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【週刊メタゲーム通信】王者・マルドゥエネルギーと、《悲嘆》禁止を乗り越えた2種のデッキ

2024.09.05

mtg Yuyan

こんにちは。 細川 侑也(@yuyan_mtg)です。 毎週、最新のメタゲームをデッキリストと共にお届けするこの記事。今週も引き続き最新のモダン環境に迫ります! エネルギー対決の頂点に立つマルドゥエネルギー 今週も多くの入賞数を誇ったエネルギーデッキ。その中でも特に目立ったのは、黒を足したマルドゥエネルギーでした。 マルドゥエネルギー モダンチャレンジ:優勝 By jakobpablo ボロスとの大きな違いは、黒を入れて《オークの弓使い》と《思考囲い》を採用できること。黒を入れることでショックランドによるダメージがかさむため、ボロスには基本搭載されるようになった《一つの指輪》は採用されていません。3マナのカードは《火の怒りのタイタン、フレージ》のみと、かなり軽い構成となっています。 デッキが軽くなることによる一番のメリットはなんといっても《色めき立つ猛竜》が運用しやすいことです。《一つの指輪》を採用したリストでは3マナ以上が7枚あり、しかも2ターン目にはエネルギーを4つ貯めることは非常に困難であるため、《色めき立つ猛竜》がただの2/1になってしまうケースもありました。しかし、このリストであれば《色めき立つ猛竜》を2ターン目に出すリスクはほとんどありません。《思考囲い》はボロスにはない飛び道具的なカード。《一つの指輪》《空の怒り》など、特定のカードを抜けば、後は圧倒的なエネルギーのパワーで即勝利。ミラーマッチでとにかく強いのが《オークの弓使い》。《オセロットの群れ》を倒して盤面にクリーチャーが2体出るのは脅威で、《ゴブリンの砲撃》を運用した時の強さがボロスとは段違いなのが、このマルドゥ。《一つの指輪》は確かにエネルギーミラーマッチで強いカードですが、4ターン目にプレイするのは容易ではなく、着地したとしても《オークの弓使い》が待っているので、やはりマルドゥはエネルギー対決においてはボロスの上を行くでしょう。天敵のバントナドゥ亡き後に猛威を振るうエネルギー、その中でも特に同型に強い形が、見事今週の勝ち組でした。 禁止を乗り乗り越えて さて、ナドゥと同時に禁止されたのが《悲嘆》。先週は《悲嘆》を失いながらも活躍中のエスパー御霊を紹介しましたが、今週も故《悲嘆》組が大活躍しています。それが黒単ネクロです。 黒単ネクロ モダンチャレンジ:優勝 By VictorEsquici 《ネクロドミナンス》《一つの指輪》で大量にドローし、溢れる手札から《魂の撃ち込み》をピッチで唱えたり、《不憫な悲哀の行進》で大量のライフゲインをし、物量で圧殺するこのデッキ。大量のリソースを稼ぐ手段が2種類あるため、《悲嘆》がとても使いやすいデッキでした。それゆえ、《悲嘆》禁止の影響を最も受けたデッキ……と思われましたが、それでも見事優勝を収めました。《悲嘆》を失ったため、《マラキールの再誕》の採用をやめ、そのスロットには手札破壊が追加されており、以前よりもミッドレンジ色が強い構成となっています。エスパー御霊と同じで、《悲嘆》が1マナの手札破壊に置き換わっていますね。《悲嘆》はもちろん強力なカードですが、0マナで使用する際は、自分が2枚、相手が1枚とそれぞれ手札を失うため、アドバンテージ面では損するカード。それが《コジレックの審問》や《思考囲い》に変わると、損をしない手札破壊になるので、《悲嘆》より良いケースも多々あります。《ネクロドミナンス》《一つの指輪》でリソースが無限になれば《悲嘆》は強いですが、なかなかそうもいかないのがモダン。打ち消しや手札破壊、《ネクロドミナンス》には《オークの弓使い》など、様々な手段で妨害を受けます。「《悲嘆》で追放したあの除去があったら……」ということもあるでしょう。確かに禁止は痛手ではありましたが、それでも代わりの手札破壊でまだまだ戦えることが証明されました。 2度の禁止を乗り越えて モダンチャレンジ:4位 By MeninooNey 《有翼の叡智、ナドゥ》《悲嘆》の前に禁止されたカードはなんだったか覚えてますか?『モダンホライゾン3』の衝撃で忘れているかもしれませんが、《暴力的な突発》です。当時のモダンで圧倒的人気を誇ったカスケードクラッシュ、そしてリビングエンドの2種の続唱デッキは大きなダメージを受け、カスケードクラッシュの方はほぼ消滅しました。一方のリビングエンドはというと、意識されていないタイミングでたまに勝つぐらいのデッキとなりました。《虚空の杯》や墓地対策が薄い瞬間が勝負でした。そんなリビングエンドは《悲嘆》禁止で更に弱体化を余儀なくされました。事前の安全確認、そして《死せる生》解決後の相手の解決手段を奪う《悲嘆》はさすがに必須。これがなければ今のモダンでは通用しないデッキだと思われていました。しかし、それでもモダンチャレンジを見事優勝。リビングエンド、あまりに強すぎる!《悲嘆》を失ったとしても、リビングエンドはやはり強力。全体除去の後に大量のクリーチャーが場に戻り、次のターンには決着。8枚の続唱を引くだけでよく、サイクリングなどでその8枚にアクセスでき、《否定の力》でバックアップ。安定感と破壊力は抜群です。《悲嘆》が抜けたスロットには《忍耐》が入り、《忍耐》《緻密》《否定の力》の12枚のピッチ体制へと変わりました。また、面白いのが《敵の徴用》の採用です。呪文やパーマネントをバウンスして手札からそれ以下のマナ総量の呪文を唱えられるインスタント。疑似的な打ち消しとしても機能しますし、なんといっても相手のターンに手札にある《死せる生》を唱えることができます。《暴力的な突発》でできなくなったインスタントタイミングでの《死せる生》が蘇ったのです。誰もがリビングエンドは終わったと思っていたので、当然ながら《虚空の杯》をサイドボードに取っているプレイヤーはいなかったでしょう。間隙を突いての優勝で、リビングエンドがまだ牙を失っていないことが明らかとなりました。

【週刊メタゲーム通信】ナドゥと悲嘆亡き後はエネルギー、御霊、そしてエルドラージ!

Modern ピックアップ

2024.08.30

mtg Yuyan

こんにちは。 細川 侑也(@yuyan_mtg)です。 毎週、最新のメタゲームをデッキリストと共にお届けするこの記事。今回は禁止改訂で激減した直後のモダンチャレンジから新環境を分析! やっぱり強いボロスエネルギー 《有翼の叡智、ナドゥ》と《悲嘆》が禁止になって、全く新しく生まれ変わったモダン。禁止改訂後に行われたモダンチャレンジを制したのは、ボロスエネルギーでした。 ボロスエネルギー モダンチャレンジ:優勝 By Graciasportanto ボロスエネルギーは『モダンホライゾン3』で生まれた超強力なアグロデッキ。3ターンキルに僅かに間に合わないため、バントナドゥに不利だったものの、その他のほとんどのデッキに強く、ナドゥ亡き後はトップメタであろうことが予想されていました。そして、その予想が的中する形となりました。優勝したのは純正2色のボロスエネルギー。特徴的なのはなんといっても《一つの指輪》の4枚採用です。《一つの指輪》は置いたターンが隙になり、ナドゥにコンボを決められてしまうのが弱点。それを補うため、《一つの指輪》は黒単ネクロの《魂の撃ち込み》やジェスカイコントロールの《緻密》《否定の力》のように、ピッチスペルと合わせて採用するのが基本でした。しかし、ナドゥ亡き今、《一つの指輪》を置くリスクは各段に減りました。それならばエネルギーミラーマッチやコントロールとの対決で強い《一つの指輪》をエネルギーが採用するのに、何も躊躇うことはありません。《一つの指輪》を置く際にライフが少ないのは困るので、ボロスカラーの2色にまとめています。《色めき立つ猛竜》でめくれてしまった際に《一つの指輪》は唱えづらいですが、それも2~3ターン目の話。中盤以降は意識してエネルギーが4つ以上ある時に唱えれば問題ありません。《火の怒りのタイタン、フレージ》も、《有翼の叡智、ナドゥ》の禁止で更に強くなった1枚。《根の壁》もナドゥも3点では焼けず、交換できても《喜ぶハーフリング》が関の山でした。その分ミラーマッチなどでは強いカードだったので、禁止改訂後のメタを見据えてしっかりと4枚採用にしています。《一つの指輪》《火の怒りのタイタン、フレージ》とコンボに弱いカードを数多くメインに採用しているので、サイドには対コンボ、特にストームを意識しています。4枚の《ドラニスの判事》からは凄まじい殺意を感じますね。ミラーを特に意識した素晴らしい構成で、まずは禁止改訂後の最初のモダンを制しました。 《悲嘆》がなくても強い!エスパー御霊 さて、《有翼の叡智、ナドゥ》と一緒に禁止になった《悲嘆》。これによってコンボデッキの活躍が見られるものかと思われましたが、かつて《悲嘆》を採用していたデッキも見事にモダンチャレンジで優勝を収めました! エスパー御霊 モダンチャレンジ:優勝 By HamAndCheese それがエスパー御霊。《偉大なる統一者、アトラクサ》を《御霊の復讐》で吊り上げ、《儚い存在》で場に定着させつつ、一気にリソースを稼ぐリアニメイトデッキ。コンボパーツである《儚い存在》を1ターン目の《悲嘆》想起にも使え、更に《偉大なる統一者、アトラクサ》定着後の余った手札から《悲嘆》を連打して勝ちを確定させる動きはとても強力で、エスパー御霊は《悲嘆》の禁止で弱体化を余儀なくされた…と思われましたが、堂々の優勝。《悲嘆》のスロットに収まったのは《思考囲い》でした。《儚い存在》との相性は消えたものの、1ターン目に唱えて脅威を抜く動きは、むしろ《悲嘆》よりも強力。更にこれまで採用枚数が少なかった《超能力蛙》もしっかりと4枚採用に。《思考囲い》と《超能力蛙》が4枚ずつ採用されており、フェアな動きがより強くなりました。《悲嘆》の禁止によって《偉大なる統一者、アトラクサ》リアニメイト後の0マナの動きが減ってしまいましたが、それでも《孤独》は健在。《否定の力》と《孤独》を構えれば大体の状況は覆されないでしょう。3ターン目に《偉大なる統一者、アトラクサ》を吊り上げてしまえばボロスエネルギーはたまったものではありません。墓地対策が薄ければエスパー御霊側に分があるのは言うまでもなく、更にサイド後は《超能力蛙》4が活き、フェアに立ち回れるようにもなっています。《空の怒り》《毒の濁流》はいずれも《超能力蛙》を生き残らせながら打てる可能性のある全体除去であり、ボロスには高速リアニメイトとコントロール、どちらのプランでも勝てるようになっています。《悲嘆》を失ってのまさかの優勝で、エスパー御霊は一気に意識される立場となったわけですが、果たしてこの後も活躍できるのでしょうか。 禁止改訂後に急上昇!エルドラージブリーチ 以前から一定数は存在していたものの、禁止改訂後で一気に増えたのがエルドラージブリーチ。 エルドラージブリーチ モダンチャレンジ:準優勝 By salvation666 《ウギンの迷宮》と《エルドラージの寺院》から《まき散らす菌糸生物》を高速召喚してマナを伸ばして破壊するエルドラージ的動きと、《裂け目の突破》から《引き裂かれし永劫、エムラクール》《穢すもの、ウラモグ》を出して滅殺で一気にパーマネントを刈り取るコンボの2つで勝利を目指すデッキです。《穢すもの、ウラモグ》は《運命を貪るもの》ととても相性の良いカード。ゲーム開始時の《運命を貪るもの》の能力は1枚を残して、後のカードは追放するため、その追放された中に《引き裂かれし永劫、エムラクール》があれば一気に15個のカウンターが乗り、一撃で22点を与えられます。《裂け目の突破》はこれまで《引き裂かれし永劫、エムラクール》以外にまともな踏み倒しクリーチャーがいなかったことが課題でしたが、《穢すもの、ウラモグ》の登場で一気に強いカードとなりました。エルドラージで使用すると二度おいしい全体除去の《コジレックの帰還》はエネルギーに、コンボには《三なる宝球》と《石の脳》、コントロールには《世界を壊すもの》など、赤緑エルドラージながらそれぞれの相手にしっかりと強力なサイドカードが用意されています。不器用な以前までのイメージはまったくありません。《運命を貪るもの》で序盤の動きも安定し、土地次第では序盤から強力な展開ができたり、時には即死のコンボもある。相手からすれば非常にやりづらい相手です。妨害がほとんどないため、ナドゥには容易に3ターンキルされてしまっていました。禁止改訂後、最も今勢いのあるデッキと言って良いでしょう。モダンのメタの一角にしっかり食い込んでくるデッキパワーがあると思います!

【ゆうやんのデッキメモリー】ゴブリン召集

2024.08.28

mtg Yuyan

皆さんこんにちは。 ゆうやんのデッキメモリーは、今年でマジックを初めて21年目になる僕が、思い出に残っているデッキを紹介していく記事です。 昔を知っている方は一緒に懐かしんで、知らない方は昔話にお付き合いください! お年玉 皆さんは、お年玉で何を買ったか覚えているだろうか?どうしても欲しかったゲームやオモチャ…当時手の届かなかったものたちを手に入れられる。お正月はそんな夢のようなイベントでもあった。僕はというと、お年玉で買ったものをほとんど覚えていない。ゲームを買っていた記憶もあるが…何を買っていたのだろう。初めて買ってもらったゲームなら、スーパーファミコンのドンキーコングなのだが。さて、そんな僕が唯一覚えているお年玉の買い物こそ、本日のお話。当時学生時代だった僕は、当然好きなカードを買うお金などなかった。しかし、デッキに対する憧れはあった。どうしても組みたいデッキがあったのだ。それがゴブリンだった。アメニティドリーム中野店で最初にゴブリンと対戦した時、僕は衝撃を受けた。《スカークの探鉱者》から2ターン目に《ゴブリンの戦長》が出てきて、そこからゴブリンが速攻から飛び出し、巨大なサイズの《ゴブリンの群衆追い》に襲われる。ただのビートダウンかと思いきや、《ゴブリンの名手》と《包囲攻撃の司令官》という飛び道具もある。《ゴブリンの名手》《包囲攻撃の司令官》《スカークの探鉱者》の組み合わせでライフが何点削れるかを計算するのはとても楽しかった。 だが、ゴブリンを組むのは学生時代、それもバイトすらしていない頃の少年にはとても厳しい。なぜなら当時のゴブリンは非常に人気のある部族。スタンダードやエクステンデッド(今でいうモダン)で活躍しており、コモン・アンコモンが中心だったにもかかわらず、それぞれが100円から300円ほどしていた。加えてデッキに必須の《ゴブリンの群衆追い》が4枚。これが2000円を超える高額レアで、とても手が届かなかった。そんなとある日のことだった。自宅の近くにあるゲーム屋、カメレオンクラブ。ここにはカードゲームのシングル取り扱いこそなかったが、遊戯王やマジックのブースターパックだけは販売していた。余談だが、僕が初めてブースターパックを開封したお店はここ。わけもわからず『プロフェシー』を購入して《獣たちの女帝ジョルレイル》を引いた。話を戻そう。このカメレオンクラブで、パックの横に構築済みデッキが置いてあるのを発見したのだ。スカージのテーマデッキ、「ゴブリン襲来」を。テーマデッキとは、当時エキスパンションごとに発売していた構築済みデッキ。そのセットの特徴的な能力や種族をテーマにしたデッキがいくつか発売していた。その中でもゴブリン襲来は、人気すぎてショップで買うことができないデッキだった。それもそのはず。当時100円ぐらいしていたコモンの《ゴブリンのそり乗り》が2枚。同じく100円の《火花鍛冶》が1枚。更に300円ほどしたアンコモンの《ゴブリンの戦長》も1枚入った上で、なんと1000円以上はしていた《包囲攻撃の司令官》まで入っていて、お値段なんと1500円!しかもそのゴブリン襲来が2つ販売されていた。これはもう運命を感じざるを得なかった。家に走って帰り、親にお小遣いの前借りを頼み、3000円を握りしめてカメレオンクラブに戻った。売り切れていないか心配していたが、お店にはまだきちんと残っていた。息も絶え絶えにしっかりとゴブリン襲来を2つ購入し、その日からゴブリンを組む計画は始まった。《包囲攻撃の司令官》2枚と《ゴブリンの名手》4枚を、月のお小遣いで少しずつ集め、なんとか残り4枚を残してデッキが完成した。そして元旦。その日は来た。もらった1万円を握りしめ、池袋のカードショップへ向かう。お目当てはもちろんあのカード。「《ゴブリンの群衆追い》4枚ください」 こうして、細川少年のゴブリン召集は完成した。 ゴブリン召集 各種ゴブリンを展開していくビートダウン。《ゴブリンの群衆追い》は攻撃している他のゴブリン1体につきパワーが2上がるので、たくさんのゴブリンで攻撃すると一瞬で相手のライフを削りきる。《包囲攻撃の司令官》を出して《ゴブリンの戦長》で速攻をつけると、一気にパワーが8上がる。さすがは当時のトップレア。《ゴブリンの名手》はタップすることで好きな対象に1点を飛ばすゴブリン。アンタップステップにアンタップしない代わりに、他のクリーチャーが死亡するたびにアンタップする。つまりタフネス1のクリーチャーを倒すとアンタップするので、何百体タフネス1がいようと《ゴブリンの名手》1枚ですべて撃墜できる。《ゴブリンの名手》の重要な点は、自分のクリーチャーの死亡時にもアンタップするところ。《スカークの探鉱者》でマナを産んでもアンタップするし、《包囲攻撃の司令官》でゴブリンを生け贄にしてもアンタップする。これにより大量のダメージを1ターンで与えることが可能だった。ここに組み合わさるのが《総帥の召集》。選んだクリーチャー・タイプを持つカードが戦場に戻るソーサリー。勿論選ぶのはゴブリンだ。これにより生け贄に捧げたゴブリンがすべて戻り、その中に《ゴブリンの戦長》がいればすべてが速攻を持つので…《ゴブリンの名手》と《包囲攻撃の司令官》の組み合わせであっという間にゲームセット。《神の怒り》などの全体除去に弱かった点も《総帥の召集》で補えており、ゴブリンと言えばゴブリン召集が定番だった(たぶん)。親和しか回していなかった細川少年には、このゴブリン召集は刺激が強すぎた。多分家で毎日5時間は一人回ししていたと思う。ちなみにお年玉で《ゴブリンの群衆追い》を買い、お小遣いを3ヵ月分前借りしていた、まるで45組の細川少年は、《血染めのぬかるみ》を4枚買うことをすっかり忘れており、フライデーナイトマジックに出るときだけ、毎回優しい大人に《血染めのぬかるみ》を借りていた。この後、更に緑をタッチして《繁殖力》《鉤爪の統率者》《帰化》を採用したゴブリン召集を見つけ、憧れを抱いた細川少年。しかし、《血染めのぬかるみ》と《樹木茂る山麓》計8枚で約2万円という現実を突きつけられ、卒倒したのだった。

パイオニアとモダンで禁止カードがそれぞれ2枚!禁止改訂後の環境を予想!

Modern Pioneer

2024.08.27

mtg Yuyan

こんにちは。 細川 侑也(@yuyan_mtg)です。 本日深夜に禁止改訂が実施されました!パイオニアで《アマリア・べナヴィデス・アギーレ》《傲慢な血王、ソリン》! モダンで《有翼の叡智、ナドゥ》《悲嘆》! レガシーで《悲嘆》! ヴィンテージで《ウルザの物語》《苛立たしいガラクタ》! 今回は、パイオニアとモダンの禁止改訂後の環境予想をしていきたいと思います! パイオニア 《アマリア・べナヴィデス・アギーレ》と《傲慢な血王、ソリン》の禁止により、アマリアコンボとラクドス吸血鬼は消滅しました。《アマリア・べナヴィデス・アギーレ》は最速3ターンキルの高速コンボだっただけでなく、アマリアのパワーが20になるのに対応してアマリアのパワーを21以上にしたり、アマリアに破壊不能を付与することで、強制的な引き分けを起こさせることができ、第4ゲームや第5ゲームに突入する場合もあり、トーナメントの進行に影響が出ていました。そしてラクドス吸血鬼。《傲慢な血王、ソリン》から《血管切り裂き魔》を高速召喚するギミックを搭載したラクドスミッドレンジの進化系とも呼ぶデッキですが、こちらは単純に強すぎるがゆえの禁止です。プロツアーを制したラクドス吸血鬼は、そのまま他のすべてのデッキを駆逐し続け、アマリアと共にパイオニア環境の二強として君臨し、消えていくこととなりました。さて、まずこの2つが消えて最も喜ぶのはイゼットフェニックス。 他フォーマットでは禁止されている《宝船の巡航》を使えるデッキであり、攻守に渡って優れ、安定感も抜群。無限ライフされるだけで勝てなくなってしまい、《集合した中隊》や《戦列への復帰》で単体除去の上からコンボを決めてくる《アマリア・べナヴィデス・アギーレ》、そして《血管切り裂き魔》が癌のラクドス吸血鬼。これらの二大巨頭に少し劣っており、これまではトップメタから陥落していました。しかし、その2つはもう存在しません!そうなればイゼットフェニックス天下間違いなし!そして忘れてはならないのが、ラクドス吸血鬼流行前はパイオニアの顔の1つだったラクドスミッドレンジ。手札破壊と除去を連打して《鏡割りの寓話》で手札を整えつつ圧力をかけ、各種カードで1対1交換を取った後に《勢団の銀行破り》でリソースを回復したり、土地で攻撃するミッドレンジです。必殺技のないラクドス吸血鬼という烙印を押されてしまいましたが、その必殺技は強すぎて禁止に。そうなれば再びラクドスミッドレンジが戻ってくるのは想像に易い。ただ、ラクドスミッドレンジはイゼットフェニックスに弱かったデッキでもあります。イゼットフェニックスを持ち込むプレイヤーが増えるのは明らかなので、そこをいかに意識できるかが鍵となるでしょう。《墓地の侵入者》や《真っ白》程度では止められないイゼットフェニックスですが、果たしてラクドスミッドレンジはそれを止めるデッキとなるのか。はたまた、アマリアと吸血鬼に抑え込まれていた他のデッキが新たにメタゲームを支配するのか。久しぶりに新しくなったパイオニア環境から目が離せませんね。 モダン 《有翼の叡智、ナドゥ》と《悲嘆》が禁止になりました。 《有翼の叡智、ナドゥ》は半ば誰もが諦めていたと思います。禁止になって当然で、なぜこの期間放置されていたのか疑問になるレベルでした。《手甲》との2枚コンボであり、そして《手甲》は《ウルザの物語》から探せるので、実質土地と《有翼の叡智、ナドゥ》の2枚コンボ。それもかかるマナは0+3の合計3マナ。3+4で7マナかかる双子コンボが禁止されているフォーマットでこれが許されるはずがありません。しかもコンボを妨害しようと《有翼の叡智、ナドゥ》を除去したらリソースを取られる始末。モダンを遊んだ誰もが思ったでしょう。バントナドゥはやばすぎると。そしてそれは結果として現れており、『モダンホライゾン3』発売以降の大型トーナメントのほとんどをバントナドゥは優勝し、トップ8に多数入賞しています。更に《悲嘆》が禁止になりました。こちらは『モダンホライゾン2』の問題児。《激情》禁止の要因となったラクドス想起の二大看板の1つで、《激情》は《悲嘆》の身代わりになったとも言われていましたが、後追いする形で禁止になりました。こう考えるとラクドス想起がプロツアーを制するのもむべなるかな、と言ったところですね。2枚の禁止カードを主軸に据えていたのですから。エスパー御霊や黒単ネクロ、リビングエンドに影響が出ました。どちらのデッキも致命的なダメージを受けており、デッキパワーは各段に下がることでしょう。エスパー御霊は《偉大なる統一者、アトラクサ》を《御霊の復讐》で吊り上げて《儚い存在》を打って場に定着させるデッキ。この《儚い存在》の使い道として《悲嘆》は最適でした。打ち消しや序盤の攻防でも《悲嘆》は必須で、《偉大なる統一者、アトラクサ》解決後のダメ押しにも活躍しました。黒単ネクロは《ネクロドミナンス》で大量のカードを引くデッキ。ドローするデッキと《悲嘆》の相性は抜群でした。どれだけ手札を消耗しても、《ネクロドミナンス》と《一つの指輪》で取り返せますからね。《悲嘆》+《マラキールの再誕》の「スキャムコンボ」で手札を奪って《ネクロドミナンス》or《一つの指輪》のメイン勝ち手段がなくなってしまいました。バントナドゥや黒単ネクロ、エスパー御霊にリビングエンドといったモダンの強デッキたちが消えて一番喜んでいるのは…それはもうエネルギーでしょう! 《魂の導き手》《オセロットの群れ》《色めき立つ猛竜》《ナカティルの報復者、アジャニ》と『モダンホライゾン3』のカードをふんだんに取り入れたボロス(+α)のアグロデッキです。バントナドゥ、黒単ネクロ、エネルギーの『モダンホライゾン3』産の三強のうち、ナドゥは消滅、ネクロも大幅な弱体化を余儀なくされました。そうなればエネルギー天下となるのは目に見えています。元々エネルギーはバントナドゥを苦手としており、逆にそれ以外にはほぼ強い、夢のようなデッキ。同型で強い《オークの弓使い》を採用したマルドゥ、《マネドリ》《イーオスのレインジャー長》《記憶への放逐》で相手の呪文へ干渉できるジェスカイなど、その強さゆえにバリエーションも豊か。どの色のエネルギーが勝つのか?次の環境、エネルギーが活躍するのは間違いないでしょう!もう1つ忘れてはならないのがルビーストーム。 こちらも『モダンホライゾン3』で登場した《モンスーンの魔道士、ラル》と《ルビーの大メダル》によって生まれたデッキ。最速2ターンキルもできる高速コンボ。(僕が書いた解説記事がありますので興味がある方はこちら)ストームはエネルギーに強いデッキなので、エネルギーが活躍するのであればストームも上がってくること間違いなし!《悲嘆》が消えたのもストームにとっては大きいですね。汎用性の高い手札破壊が消えたのは、ストームに限らず、コンボデッキ全般にとって喜ばしいことです。新しいモダン環境はエネルギーとルビーストームから始まることでしょう!もちろん、影響を受けなかったデッキは他にもたくさん!ナドゥに3キルされていたデッキたちの逆襲が始まります!

【デッキ解説】ルビーストーム(モダン)

2024.08.23

mtg Yuyan

こんにちは。 細川 侑也(@yuyan_mtg)です。 今回は、モダンのルビーストームの解説記事になります! 『モダンホライゾン3』発売直後にたくさん回して、BIG MAGIC OPENのチームモダンでも使用しました。いつもの記事より少し長くなると思いますが、ぜひ最後まで読んでみてください。 ルビーストームとは? ルビーストームは、『モダンホライゾン3』で生まれた新たなコンボデッキです。モダンのストームといえば、《けちな贈り物》から《炎の中の過去》をサーチするけちストームが定番でしたが、気付けばデッキパワー不足により姿を見なくなっていました。そんなけちストームが進化を遂げた姿こそ、このルビーストームです。デッキ名にもなっている《ルビーの大メダル》と《モンスーンの魔道士、ラル》、この2種類の『モダンホライゾン3』カードでコストを軽減し、《発熱の儀式》《捨て身の儀式》《魔力変》でマナブースト。そこから《レンの決意》《無謀なる衝動》でライブラリーをめくっていき、《炎の中の過去》でストームを更に稼ぎつつ、最後は《願い》からの《ぶどう弾》でフィニッシュ。けちストームと違い、コンボすべてが赤単色で完結するので、赤+サブカラーの1色の2色で組まれるのが一般的です。手札次第では最速2ターンキルも可能で、『モダンホライゾン3』発売直後はナドゥより先に注目されたデッキでした。が、対策カードに弱いのもストームの常。《減衰球》や《ドラニスの判事》、《魂なき看守》で徹底的に意識された結果、プロツアーでは惨敗し、クリティカルなサイドボードが存在しないナドゥの活躍を、遠くから見るような立場となってしまいました。…というのが少し前の話。ルビーストームはマジックオンラインで再び活躍し始め、今ではナドゥを倒す筆頭と呼べる位置まで上がってきました。 デッキリスト メインボード 強すぎてこれぞ『モダンホライゾン3』! 《遵法長、バラル》や《ゴブリンの電術師》と同じコスト軽減能力を持ちながら、忠誠度8で変身すればそのままゲームにほとんど勝ててしまうという恐ろしいカード。ただし、インスタントやソーサリーを唱えるたびにコインを振るので、コイン投げに負け続けるとたくさんダメージを喰らいます。ライフが5以下の時に出すとそのまま負けてしまうこともあるので注意しましょう。なお、ー8能力ばかりが目立ちますが、実は2点火力でもあります。2ターン目に着地して3ターン目にコンボが決まらなそうな時にコインに勝ったら、変身してマイナス能力を使うこともしばしば。プラス能力でコスト軽減能力を得られるので、除去を嫌って変身しておくこともできます。とにかくこのカードを使いこなすのが、ルビーストーム上達の一歩! 《モンスーンの魔道士、ラル》や《遵法長、バラル》などのコスト軽減能力を持つクリーチャーのことを「メダリオン」と呼んでいましたが、その元ネタがこの《ルビーの大メダル》をはじめとした大メダルサイクルです。《ルビーの大メダル》はクリーチャーではないというだけで非常に価値が高い。ストームは2ターン目にコスト軽減生物を置き、それが生き残れば3ターンキル…というのが定番でしたが、《ルビーの大メダル》は除去できないカードです。2ターン目に安心して着地させることができます。また、《モンスーンの魔道士、ラル》と違って赤い呪文を軽減することができるので、ラル自体を1マナにできます。ちょっとお得。反面、サイド後の《冥途灯りの行進》は軽くならないのですが、まあ些細な問題です。 デッキに必須のカードたち。これらのマナブーストを何枚引けるかで、このターンに勝てるかどうかが決まります。《魔力変》だけは《モンスーンの魔道士、ラル》などでコスト軽減をしていないとマナが増えないことに注意しましょう。《捨て身の儀式》だけは秘儀連繫という古えの能力がついています。《捨て身の儀式》を唱えた時に手札から《捨て身の儀式》を公開してマナを支払うことで、本来出るマナよりも赤マナを1つ多く生み出せます。そのため、《捨て身の儀式》はギリギリまで手札で持っておくことを推奨します。詳細はTIPSにて。こちらはまったく同じ能力を持つカードたち。上から2枚を追放し、次のターンの終了時まで使用可能になります。気軽に2ターン目に打っていけるので、このデッキでは本当に2マナ2ドロー相当のカードです。追放したカードが《レンの決意》なら更に2枚を追放し、《捨て身の儀式》ならマナを伸ばし、最終的には《炎の中の過去》《願い》に繋げていきます。よくマジックでは「同じ役割を持つカードが2種類ずつ以上存在するとコンボデッキが成り立つ」なんて言われますが、このルビーストームはまさしく同じカードが大量に入ったコンボデッキです。《レンの決意》《無謀なる衝動》、《捨て身の儀式》《発熱の儀式》、そして《ルビーの大メダル》《モンスーンの魔道士、ラル》。ルビーストームというデッキは強くて当然ですね。どちらも減らすことは考えられないカードです。枚数が減らされる傾向にあるこのカードですが、僕は結局4枚で落ち着きました。《レンの決意》と同じように追放したカードを使用できる呪文ですが、大きな違いは3マナという重さと、追放したカードをこのターンしかプレイできない点です。これにより、《レンの決意》と違って「とりあえず打ってみる」がしづらいカード。3マナしかない時に打ったら何一つカードをプレイできませんからね。その代わり、ターン終了時に追放したカードを墓地に落とし、エルドラージ・落とし子・トークンに変えることができます。《レンの決意》と違い、マナを増やせるのです。更にめくったカードは墓地に落ちるため、《炎の中の過去》がめくれればフラッシュバックも可能です。手札が《レンの決意》や《不可能の一瞥》で溢れかえっていれば、とりあえずめくってマナを増やし、それ以外の状況では3枚めくって《捨て身の儀式》などを探しにいけるので、コンボ中・コンボの準備のどちらでも便利なカードです。4枚にして邪魔だと感じたことはなく、結局この枚数に落ち着きました。この2種で合計スロット6枚をどう争うかで、僕は一貫して3枚・3枚を推しています。《炎の中の過去》を4枚にした時はしっくりきませんでした。いずれも複数枚引くと弱いカードではあるのですが、《炎の中の過去》は特に最悪で、2枚目が必ず腐ってしまいます。《炎の中の過去》を4枚にする利点は、《願い》経由でサイドボードから《炎の中の過去》をサーチすると2マナ追加でかかるため、マナブーストの引き次第でコンボが決まらなくなる可能性があることですが、複数枚引いた時の悲惨さがやはり気になりました。《願い》はサイドボードから《電位式リレー》にアクセスすることができ、追加のリソースを獲得できます。複数枚《願い》を引いても《電位式リレー》に変えられるので問題なく、マナブーストしか手札にない状況では《炎の中の過去》は打てませんが、《願い》ならキャストできるという点も大きい。マナとリソースのどちらにもなるカード。呪文を唱えるたびに赤マナが出るので、実質《ルビーの大メダル》と同じ役割ですし、《ルビーの大メダル》と一緒に戦場に並ぶと、《レンの決意》《無謀なる衝動》が打ち放題になります(1マナで《レンの決意》を打って赤マナが出るので)これができるのは《語りの神、ビルギ》だけ。《モンスーンの魔道士、ラル》と《ルビーの大メダル》を並べても《レンの決意》打ち放題にはなりません。除去の入っていないナドゥやミラーマッチのメイン戦では《捨て身の儀式》から2ターン目に着地させる価値ありです。大量にマナが出ている状況なら《豊潤の角杯、ハーンフェル》として使います。不要な手札を2枚のカードに変えられますし、《炎の中の過去》なら墓地に捨てても問題ありません。複数枚引いた時は弱いものの、1枚なら入れやすいカードです。正確なテキストを知っている人、ほとんどいない説。簡単に言えば《レンの決意》みたいなカードです。上からX枚のカードを追放して、次の自分のターン終了時まで、めくったカードのうち2枚をプレイできます。行進サイクルなので手札を追放すれば2マナ分にできます。手札1枚と赤で《レンの決意》と同じ能力ということです。《炎の中の過去》や《願い》は手札でかさばった時に弱いので、余ったカードを追放したり、《モンスーンの魔道士、ラル》と《ルビーの大メダル》でマナコスト軽減が入ると、たとえば赤マナと手札1枚追放、《ルビーの大メダル》で3枚追放して2枚を選ぶことができ、思ったよりちゃんとデッキを掘り進められます。ストームはマナ加速を引かないことで止まるケースが多く、大きめのXで儀式を探しにいくのが便利です。《炎の中の過去》や《願い》などの不要カードを処理してデッキを多く掘れるので、他のリソース獲得手段(《探索するドルイド》など)に比べて使い勝手が良かったです。 土地関連 《モンスーンの魔道士、ラル》と《ルビーの大メダル》を1ターン目に置ければ2キルもしやすいデッキなので、後手で引いた時は非常に大きい。無色マナはネックですが、最悪赤マナ1つあればコンボは始動できるので、2枚ぐらいまでは許容できます。強すぎるので2枚は絶対に確定。1ターン目に絶対置きたいカードで、2ターン目もこれでいい。ストームはコスト軽減・マナ加速・追加リソースを得るカードの3種を引かなければコンボができず、大体の状況で手札にはどれかが不足しているので、今必要なカードがわかりやすいデッキです。手札に不足しているカードを《優雅な談話室》で引きにいきましょう。1、2ターン目を諜報のターンにして3ターン目に決めにいくことが多いので、2枚でOK。3枚だと多いです。純粋に土地20枚では少し多く感じました。コンボが始まった後に土地だけがめくれ続けるのは少し不快なので、1枚ぐらいはリソースになってくれる土地が良いです。同じタップインなら3枚目の《優雅な談話室》…とも思いましたが、コンボ中にめくれた時の《ヴァラクートの覚醒》で勝つことも多かったので、ひとまずこちらに。 サイドボード 《願い》から持ってくるカードA。そして一番持ってくる。ストーム8で《願い》からサーチして本体9点。《炎の中の過去》でフラッシュバックをつけてもう1度唱えて11点でぴったり20点です。とりあえず墓地に落としておけば、後でフラッシュバックできるので、《願い》から除去として使う時もあります。《願い》から持ってくるカードB。《一つの指輪》でプロテクションをつけられた際に使うカード。追加ターンとなぜか書いてある「軽減できない」によって、《巣穴からの総出》で《一つの指輪》の上から勝ちます。追加ターンを得られるので、《電位式リレー》で追放したカードを即座にプレイできるようにもなります。ストームが十分ではなかったり、《巣穴からの総出》で勝てない状況では、《錬金術師の計略》→《電位式リレー》で追加ターン中のキルを狙うこともしばしば。《タッサの神託者》はデッキを掘りきらないと勝利できないカード。その点、《錬金術師の計略》+αはストームがある程度あれば勝てます。通常、オーバーキル気味になるストームですが、《忍耐》が絡むと大きく変わってきます。《炎の中の過去》の少しのフラッシュバックで勝つ際はストームが少なかったり、《レンの決意》がほとんどなくて、ライブラリーを全然掘り進められなかったりします。そういった状況では《タッサの神託者》で勝てない場合も多く、個人的には《錬金術師の計略》+αによる勝ち手段を推しています。《願い》から持ってくるカードC。コンボが始まった時は必要ないが、コンボをしくじった時の保険、あるいは手札に《捨て身の儀式》ばかりが溜まっている状況、後は打ち消しを構えている相手によくサーチします。よくあるシチュエーションは、《捨て身の儀式》が少し通って赤が4つ浮いてる状況。相手は《炎の中の過去》などに《対抗呪文》を当てたいので、2マナで《願い》→《電位式リレー》です。相手視点では《捨て身の儀式》+《炎の中の過去》で負けるのでなかなかこれを打ち消しづらく、《電位式リレー》が入っていないリストもそこそこあるので、通したくなります。コンボが決まるかわからない時の保険としてとても強く、サイドボードに絶対置いておきたいカード。《願い》から持ってくるカードD。とはいえ、サイドからよく入れるカードでもあります。《ぶどう弾》と違い少ないストームで相手を倒せるのが特徴。ボロスなどには2ターン目にストーム4で10体並べても十分致死量です。《ルビーの大メダル》や《モンスーンの魔道士、ラル》を対処できるカードを大量に入れられたり、打ち消しを構えられたとしても、《巣穴からの総出》はそれらを無視できます。《モンスーンの魔道士、ラル》→《捨て身の儀式》→スタックでラルが除去される→《発熱の儀式》から《巣穴からの総出》で10体出てきて実質3ターンキル、なんてことも。2枚に増やしても良いカード。ただ今は《減衰球》や《ドラニスの判事》など、直接対処しなければならないカードが多いので、1枚にとどめています。(《ルビーの大メダル》や《モンスーンの魔道士、ラル》などを対処するカードを増やしてくる程度の相手が多いなら、《巣穴からの総出》を増やしたい)《願い》から持ってくるカードE。まず最初の《願い》で《炎の中の過去》を持ってきて、フラッシュバックがついた《願い》で《ぶどう弾》を持ってきてゲームを終わらせることも多いです。《死の国からの脱出》が入っている場合は、メインに《炎の中の過去》を4枚入れているリストがほとんどです。《炎の中の過去》をサイドに落とせるなら《死の国からの脱出》は不要だと思います。《ドラニスの判事》と《減衰球》と《魂なき看守》。これらに触れるカードはこの世にありますか?あります!《削剥》です。赤緑の時は文句なく《削剥》一択だったのですが、赤白の場合は《冥途灯りの行進》を使えるので2枚にしています。なぜ《冥途灯りの行進》と《削剥》をスプリットしているのか。その答えは《耳の痛い静寂》です。《削剥》だけだと《耳の痛い静寂》で詰んでしまうので、《冥途灯りの行進》が必要です。《損耗+摩耗》も候補でしたが、こちらは《ドラニスの判事》に触れない。それは個人的には問題外でした。《削剥》は《ドラニスの判事》に《春心のナントゥーコ》がついた時に対処不能になってしまいますが、《冥途灯りの行進》なら大丈夫です。《ルビーの大メダル》でコストを軽減できないのは残念。ミラーマッチや青い相手に。赤緑では《夏の帳》を使えましたが、基本的には青いコントロール相手には《夏の帳》の方が良いです。《オアリムの詠唱》はコンボ始動にしか使えませんが、《夏の帳》はとりあえず《ルビーの大メダル》を通すのにも使えます。やはりコンボデッキで1ドローのおまけがつくのは大きい。赤白にした事情は、《冥途灯りの行進》が使えること(《耳の痛い静寂》意識)と《火の怒りのタイタン、フレージ》で、逆に青い相手には《夏の帳》がなくても勝てる可能性が高いからです。ミラーマッチでは《オアリムの詠唱》は最強のカードです!相手が赤緑だった時点でサイド後は有利と言っても過言ではありません。打ち消し対策その2。置いた時の破壊力はとんでもなく、全力で打ち消してくるため、《否定の力》をぜひ引き出したいカード。《呪文嵌め》されると泣きます。《防御の光網》を見ると相手はサイドから《空の怒り》を戻してきます。一番やっちゃいけないのは、《モンスーンの魔道士、ラル》や《ルビーの大メダル》と《防御の光網》を一緒に並べることです。必ず《防御の光網》と《空の怒り》の1対1交換にしましょう。そして、その隙にコンボを開始するのが理想です。『モダンホライゾン3』最大の問題児の一人。《自然の怒りのタイタン、ウーロ》が禁止なのになぜこのカードは使えるのか?理由を知る者は一人もいません。主にエネルギーアグロなどのフェアデッキに対してサイドインします。《ドラニスの判事》などのキラーカードを倒したり、《耳の痛い静寂》を無視して殴り勝ったりと用途は色々。墓地対策には引っかかってしまうため、メインプランにはしづらいですが、それでもサブプランの1つとしては十分。《未認可霊柩車》もターンが遅ければ墓地が溜まっているので、《火の怒りのタイタン、フレージ》を返すことはできます。《不可能の一瞥》と相性が良いカードでもあります。 採用しなかったカード 1ターン目に打って2ターン目に《モンスーンの魔道士、ラル》から2キルが狙えるカードですが、1ターン目に諜報が不要で2ターン目に勝てるほど手札が整っている状況はそうはなく、この2ターンキルが必要な状況以外では《一攫千金》はかなり弱いカードだと思いました。無料で《モンスーンの魔道士、ラル》の変身チャンスを行えるカードですが、ただそれだけという印象。使っていく内に弱いと感じることが多く抜けました。追加の《レンの決意》としてデッキに入れていたことがありましたが、とにかくクリーチャーとして出す瞬間がまったくなく、《炎の中の過去》で使い回せないので、劣化《レンの決意》でした。《無謀なる歓喜の行進》の方が強かったのでお役御免に。既に説明した通り、《炎の中の過去》をサイドに置けるなら不要に感じました。こういうカードが必要かどうかは、普段のゲーム中からぼんやりと頭の片隅に入れておくと判断がしやすいです。「ここで《死の国からの脱出》持ってきたら勝てるなぁ」みたいに妄想程度でいいです。持ってきたいと思うことがなければデッキに入れなければいいのです。僕が《死の国からの脱出》を必要としたことはありませんでした。(少しだけ実際にサイドボードに入れたこともありました)こちらも不要な理由は解説したので割愛。《錬金術師の計略》+αが追加の勝ち手段としては優秀だと思います。全体除去枠は取らないことにしました。これらのカードが必要になるのは主にボロスエネルギーですが、同じ除去枠として《火の怒りのタイタン、フレージ》の方が使い勝手が良い展開が多かったです。2体程度のクリーチャーにヘイトカードといった展開も多々あり、《魂の導き手》でタフネス4を作られると倒せなくなってしまいます。《火の怒りのタイタン、フレージ》なら横のクリーチャーを倒して殴り合いに持ち込めるので悪くありません。《紅蓮地獄》はヘイトカードに触れないのでダメでした。《沈黙》は《一つの指輪》を貼られても唱えられる点が優秀ですが、それ以外はキッカーで攻撃不可もつく《オアリムの詠唱》の方が基本的には強いです。ジェスカイには《沈黙》の方が優秀ですが、その他のマッチで入れることを考えると、やはり《オアリムの詠唱》に軍配が上がります。 基本的な回し方 2ターン目に《モンスーンの魔道士、ラル》か《ルビーの大メダル》、3ターン目に《レンの決意》《無謀なる衝動》でコンボを始動させます。その中に《捨て身の儀式》や《レンの決意》があれば続けてプレイしていき、最終的に《炎の中の過去》か《願い》に辿り着ければ、そこから更にマナと使えるカードを増やし、最終的には《ぶどう弾》。《レンの決意》は次のターンまでカードを使えるので、コンボが止まりそう…という場合もとりあえずスタートし得です。途中で止まれば次のターンにめくったカードを使えるようになるので、たとえば唱えられない《炎の中の過去》がめくれたら、次のターンに勝てば良いのです。《捨て身の儀式》と《レンの決意》どちらも手札にあり、土地3枚からコンボをスタートする時は必ず《レンの決意》からいきましょう。《レンの決意》でめくれるカードは次のターンでも使用できますが、《捨て身の儀式》でマナを増やせるのはこのターンだけ。こちらは使ったら使っただけ損をします。めくれ次第ではこのターンにコンボが決まらないので、増やしたマナが無駄になってしまいます。最終的に赤マナが1つ残っていれば《捨て身の儀式》から再度マナを増やせるので、そこまでは常に《レンの決意》でライブラリーを掘り進めてOKです。ただし、《炎の中の過去》が使える状況では、残りのマナに注意しましょう。《炎の中の過去》はコスト軽減で3マナになり、その後に墓地から《捨て身の儀式》を唱える必要があるため、《炎の中の過去》を使うには実質4マナが必要となります。欲張って《レンの決意》を唱えて3マナしかなくなってしまい、《炎の中の過去》が打てなくなるなんてことも。この悩みは、《炎の中の過去》を打っても勝ち確とまではいけない状況で起きうると思います。たとえば墓地に《発熱の儀式》《捨て身の儀式》《レンの決意》《無謀なる衝動》、この4枚しかなくて、浮きマナは赤4つ。《レンの決意》1枚だけ使える状況。これならば《炎の中の過去》を選択します。そうすれば少なくとも《レンの決意》と《無謀なる衝動》で4枚+浮いてる《レンの決意》で6枚追放してその上で赤マナが2つ余るので、そこから《捨て身の儀式》1枚と《願い》がめくれれば、大体致死量の《ぶどう弾》が打てますし、その中に《モンスーンの魔道士、ラル》があれば、一気に変身チャンスが数回訪れます。上と同じ状況で《捨て身の儀式》が1枚しかなければ、《レンの決意》のキャストを優先します。《炎の中の過去》をフラッシュバックした後に《レンの決意》を打って余るマナが2つ。一方そのまま《レンの決意》を打つと赤マナが3つ余りますからね。当然といえば当然ですが。フラッシュバックした後に《レンの決意》を打って赤マナが4つ以上余る状況なら《炎の中の過去》からいきます。《炎の中の過去》が打てる状況は常に一考する癖をつけましょう。 マリガン 先手はゆるふわ、後手は厳しめ。これをある程度意識しましょう。先手は4ターンキルでもいいですが、後手の4ターンキルはダメです。だから後手は厳しめです。基本はコンボ成立のための3種の神器が揃っているかです。・コスト軽減(《モンスーンの魔道士、ラル》《ルビーの大メダル》)・マナ加速(《捨て身の儀式》《発熱の儀式》《魔力変》・追加リソース(《レンの決意》《無謀なる衝動》《不可能の一瞥》) これらの内、2種がある手札をキープします。1種しかない場合は基本マリガン。これは先手後手関わらずです。後手の場合は2種に加えてもう少し条件を厳しくします。コスト軽減が初手にあるか、もしくはマナ加速3枚、追加リソース2枚、土地2枚など、コスト軽減を引いた瞬間にすぐ動けるような初手です。先手だと2ターン目に《レンの決意》でコスト軽減をめくり、3ターン目に設置、4ターン目にコンボ始動でもOKですが、後手だとそれでは間に合いません。先手は《レンの決意》から《モンスーンの魔道士、ラル》がめくれてもOKなので、その分で少しキープ基準が緩くなっていると考えてくれればOKです。土地が4枚以上の手札は大体マリガンですが、《ルビーの大メダル》、《レンの決意》、《魔力変》とあって先手の場合は結構悩みます。というかキープしてしまいます。諜報ランドでトップに《レンの決意》か《無謀なる衝動》があれば3ターンキルできる可能性があります。《魔力変》でもそのまま上に残しますね。《魔力変》はただのマナ加速と違ってドローもついてくるので、《炎の中の過去》でフラッシュバックした時のバリューが高いのが特徴。墓地が少ない状態でも《魔力変》が複数枚あれば勝ててしまうこともあるので、《炎の中の過去》のために墓地を強くしておくという意味でも、《魔力変》は重要なカードなのです。 簡単計算式 マナ計算が簡単になるとコンボ中の迷いがなくなります。 +1 普通に唱えた場合は1マナ増。 +2 《ルビーの大メダル》《モンスーンの魔道士、ラル》下では1枚につき2マナが増。《捨て身の儀式》を連繫した場合は3マナ増。 ±0 普通に唱えた場合はマナは増えない。 +1 《ルビーの大メダル》《モンスーンの魔道士、ラル》下で1枚につき1マナ増。 4(3+1) 《ルビーの大メダル》《モンスーンの魔道士、ラル》下で、3マナ+儀式を打つための1マナで計4マナ。 6(2+3+1) 《ルビーの大メダル》《モンスーンの魔道士、ラル》下で、《願い》経由で《炎の中の過去》を打つ場合は、2マナ+3マナ。更に儀式を打つ1マナが必要なので計6マナがかかります。逆に言えば6マナ溜まっていれば《願い》から《炎の中の過去》ルートで大体勝ちです。 TIPS 《モンスーンの魔道士、ラル》を変身させろ! 《モンスーンの魔道士、ラル》は変身した際に、このターンに自分が唱えたインスタント・ソーサリーの数だけ追加の忠誠度カウンターが乗って戦場に出ます。基本は即ー8したいので、6回目のインスタント・ソーサリーから変身させるので、5回目までは勝っても負けても虚無の時間…だと思っていませんか?たとえば4回目のインスタント・ソーサリーとして《レンの決意》を唱えたとします。《モンスーンの魔道士、ラル》の能力が誘発し、そこでスタックで《捨て身の儀式》と《魔力変》を打つと、それぞれまた誘発するのですが、そこで変身した場合は忠誠度8になってくれます。これを知らないと6回目の呪文にしか反応しないので50%のギャンブルになってしまいます。つまり、《モンスーンの魔道士、ラル》を変身させたい時は、インスタントはなるべく温存しておいた方が良いのです。 ラルを逃がせ! 《ルビーの大メダル》と違い、除去で落とされてしまう《モンスーンの魔道士、ラル》。しかし、ラルは変身することで除去から逃げることができます。《モンスーンの魔道士、ラル》を唱えて自分から呪文を唱え、大抵の場合はそこでまず除去が飛んできます。ここにインスタントを2回ほど挟めれば、ラルが逃げるチャンス。この時は「なるべくマナ加速は温存しろ」という教えは捨てて、徹底的にラルを逃がす方向に動きましょう。手札にたくさんインスタントがある時はラルを逃がしやすいので、その時はラルを出すターンを遅らせましょう。4マナあればこのプレイができるので、狙いにいきます。 ・忠誠度6~7付近のラル 一番悩ましいタイミングなのが、ー8手前の《モンスーンの魔道士、ラル》の変身です。先述のようにインスタントを重ねて一気に忠誠度8チャンスを3回ほどできるなら良いのですが、なかなか手札次第ではそうもいかない。そんな時は妥協して6や7で変身させるのも手です。特に7で置いておけば+で8。次のターンにはー8が打てるので、もしターンを返してもよさそうな状況なら、チャレンジせずに7で変身させて、+しましょう。 ・墓地対策を避けろ 直球のストーム対策(《減衰球》・《ドラニスの判事》・《魂無き看守》)は割るしかありませんが、墓地対策はプレイとプランで避けられます。サイド後は《炎の中の過去》を減らすマッチがほとんどで、これは墓地対策された際の無駄牌を減らすためです。《炎の中の過去》を唱えるとスタックで《魂標ランタン》や《忍耐》で墓地が吹っ飛びますが、その瞬間はまだ《炎の中の過去》はスタック中です。解決前に《捨て身の儀式》《発熱の儀式》《魔力変》を打つことで、それらにはフラッシュバックを付与することができます。墓地対策は見えているので、ある程度ケア可能。となればこのプレイもしやすいと思います。《忍耐》だけはケアできませんが、相手が緑で手札が4枚程度なら、飛んできそうだなと思っていてください。《タッサの神託者》で勝つためにはライブラリーをすべて掘る必要があるため、どうしても《炎の中の過去》が必須になりますが、単にストーム9で《巣穴からの総出》を打って《錬金術師の計略》で追加ターンを得るだけなら、墓地を経由しないでいける場合もあります。日頃の一人回しで、墓地を使わずに勝つ練習をしてみるのもいいですね。《炎の中の過去》と決別してみましょう。 ・青い相手と戦う時に意識すること カウンターデッキ相手に苦手意識がある人が多いと思いますが、僕はストームが有利だと認識しています。頑張れば勝てるので強気にいきましょう!まず大事なのは、打ち消されても良いカードとダメなカードを、今の手札からしっかり考えることです。相手視点では打ち消さなければならないカード、自分視点では打ち消されても(対処されても)良いカードをトレードさせ続けることが大事です。具体的には《ルビーの大メダル》と《モンスーンの魔道士、ラル》ですね。2回ほど打ち消されると、相手は次の打ち消しを探すために《一つの指輪》などを置く必要があります。その隙をきちんと狙えるようにしましょう。すべて使い果たして相手に《一つの指輪》を通されて、返しのターンに何もできない。これがよくある負けパターンです。《ルビーの大メダル》と《モンスーンの魔道士、ラル》が最も大事なカードなのは言うまでもありません。これらのカードが手札になくなってしまうのは危険です。最低でも1枚は手札に抱えて、残りをプレイするイメージにしましょう。《レンの決意》は比較的どんどん打っていけるカードです。特に2ターン目にフルタップで打つ《レンの決意》は、相手視点でも打ち消したいカードではありません。めくり次第では相手に打ち消しを引き出させた上で土地を置いたり、次の《レンの決意》に繋がるので、どんどん相手は追い込まれていきます。《モンスーンの魔道士、ラル》や《ルビーの大メダル》が《レンの決意》で追放されるのが最も良い展開です。これらにカウンターや除去を吐かせて、《一つの指輪》を引き出させて、返しで勝つ。これが常套手段です。まずは土地を伸ばし、《レンの決意》《無謀なる衝動》を打っていく。そこから見つけた《ルビーの大メダル》などで相手の打ち消しを吐かせて、リソース回復のために《一つの指輪》を出してきた返しに攻める。理想の展開はこれです。 サイドボーディングガイド 対バントナドゥ +2《冥途灯りの行進》+2《削剥》 ー1《炎の中の過去》ー1《願い》ー1《語りの神、ビルギ》ー1《無謀なる歓喜の行進》 ※自分が先手の時はー1《宝石の洞窟》+1《願い》 対ボロス(+α)エネルギー +2《冥途灯りの行進》+2《削剥》+2《火の怒りのタイタン、フレージ》+1《巣穴からの総出》 ー2《炎の中の過去》ー1《願い》ー1《語りの神、ビルギ》ー1《無謀なる歓喜の行進》ー2《不可能の一瞥》 ※自分が先手の時はー1《宝石の洞窟》+1《炎の中の過去》 対ジェスカイコントロール +2《オアリムの詠唱》+2《防御の光網》 ー1《語りの神、ビルギ》ー1《無謀なる歓喜の行進》ー1《炎の中の過去》ー1《不可能の一瞥》 ※自分が先手の時はー1《宝石の洞窟》+1《不可能の一瞥》 対ディミーアマークタイド +2《オアリムの詠唱》+2《防御の光網》+1《巣穴からの総出》 ー1《語りの神、ビルギ》ー1《無謀なる歓喜の行進》ー1《炎の中の過去》ー1《不可能の一瞥》ー1《願い》 ※自分が先手の時はー1《宝石の洞窟》+1《願い》 対エルドラージトロン +2《冥途灯りの行進》+2《削剥》 ー1《無謀なる歓喜の行進》ー1《炎の中の過去》ー1《願い》ー1《不可能の一瞥》 ※自分が先手の時はー1《宝石の洞窟》+1《不可能の一瞥》 対リビングエンド +2《オアリムの詠唱》 ー1《語りの神、ビルギ》ー1《炎の中の過去》 ※自分が先手の時は+1《語りの神、ビルギ》 対黒単ネクロ +2《冥途灯りの行進》+2《オアリムの詠唱》+1《火の怒りのタイタン、フレージ》 ー1《無謀なる歓喜の行進》ー1《炎の中の過去》ー1《願い》ー1《語りの神、ビルギ》ー1《不可能の一瞥》 ※自分が先手の時はー1《宝石の洞窟》+1《火の怒りのタイタン、フレージ》 最後に 今回はルビーストームの解説記事でした!週明けの禁止改訂でモダンには何かしらのメスが入ると思いますが、その後もストームは活躍間違いなし!この記事を読んでストームに興味を持ってくださる方が一人でもいれば嬉しい限りです。それではまた次回の記事でお会いしましょう!

【今週のピックアップデッキ】ゴルガリ上陸/白単ミッドレンジ/変容全知

Modern Pioneer Standard

2024.08.22

mtg Yuyan

こんにちは。 細川 侑也(@yuyan_mtg)です。 今週のピックアップデッキでは、ちょっと珍しいデッキを、軽い解説を交えて紹介していきます。 ゴルガリ上陸(スタンダード) スタンダードリーグ:5-0 By Squirtle19 現スタンダード環境におけるコンボデッキといえば、《亭主の才能》と《裏切りの棘、ヴラスカ》の即死コンボを取り入れたゴルガリミッドレンジ。奇しくもそれと同じカラー、かつコンボ要素を持つミッドレンジが、このゴルガリ上陸です。そのキーとなるのは《玉虫色の蔦打ち》。上陸するたびに対戦相手にダメージを与え、新生を持つこのカード。当然相性が良いのは追加で土地を置く手段なのですが、それにうってつけの1枚がスタンダードにはあります。《自由放浪団の見張り》です。悪事を働くたびにライブラリーの上5枚から土地を置けるこのカードは、《玉虫色の蔦打ち》と相性抜群!《玉虫色の蔦打ち》で悪事を働いて《自由放浪団の見張り》が誘発してダメージ、相手ターンでも除去を撃てば悪事を働いたことになるので、そこから土地を伸ばして更にダメージを稼げます。土地が伸びれば《玉虫色の蔦打ち》を新生していくのも容易く、バリューランドである《噴水港》や《眠らずの小屋》を動かしながら、どんどん相手にプレッシャーを与えていきます。コンボパーツである《玉虫色の蔦打ち》と《自由放浪団の見張り》がどちらもビートダウン向けのカードなため、このデッキはちぐはぐな動きをせずに、安定して相手を攻めていくことができるデッキです。コンボが入ったビートダウンが好きな方にはぴったりかもしれません。 白単ミッドレンジ(パイオニア) パイオニアチャレンジ:6位 By Hemsley 『ブルームバロウ』加入直後のパイオニアチャレンジを優勝して一躍話題となった白単ミッドレンジ。リストが徐々に調整されていき、しっかりとパイオニアのメタの一角になりました。デッキの構造はコントロールに近いです。《冥途灯りの行進》と《失せろ》などの単体除去、《残骸の漂着》と《太陽降下》による全体除去、これらで盤面を整えながら、《世話人の才能》でリソースを取り、ゲームに勝利します。《世話人の才能》と相性の良い《婚礼の発表》は攻めと守りを同時に行える優れたカード。《世話人の才能》のレベル3と合わせて、最終的にはトークンが巨大なサイズになって相手を襲います。《空を放浪するもの、ヨーリオン》が使えるのも魅力の1つ。これで《世話人の才能》や《婚礼の発表》、《人参ケーキ》などを使い回せるので、リソース切れがなかなかおきません。これは《思考囲い》を打ってくるデッキの多いパイオニアではとても重要なことです。《跳ねる春、ベーザ》も白系コントロールが『ブルームバロウ』で得た貴重な戦力。出た時にライフを得てクリーチャーを生成して本体は4/5と頼れるボディ。以前にも紹介したカードですが、さすがにパイオニア級ですね。《廃墟の地》《解体爆破場》の土地破壊に加えて、もはや定番の《噴水港》と、マナフラッド対策もばっちり。単色デッキであることも考えると、かなり安定した動きができますね。アグロやミッドレンジにはめっぽう強い白単ミッドレンジ、ぜひお試しください。 変容全知(モダン) モダンショーケースチャレンジ:6位 By aspiringspike 新しいデッキを作らせたら右に出るものはいない。そんな生粋のデッキビルダー、aspiringspikeの最新作がこちら。クリーチャーは《歴戦の紅蓮術士》に《グリセルブランド》。プレインズウォーカーは《大いなる創造者、カーン》。そして《一つの指輪》に…《全知》?一体このデッキはなんなんだ。わけわからん。そう思った方は、土地をよくご覧ください。《変容する森林》。これこそが、この謎デッキの主役です。各種カードで墓地を肥やしながらキーカードを集め、昂揚を達成。《変容する森林》で《全知》になります。後は《大いなる創造者、カーン》や《グリセルブランド》を0マナで唱えて勝利するというシンプルなデッキ。昂揚のために墓地を肥やしつつ、キーカードである《変容する森林》を集めるための手段として、《邪悪鳴らし》《蓄え放題》《希望の種子》はぴったり。《変容する森林》が既にある場合は、《全知》着地後に欲しい《大いなる創造者、カーン》なども探せます。《ウルヴェンワルド横断》も《変容する森林》をサーチできるカード。昂揚を満たせるデッキなら強力ですね。昂揚は《邪悪鳴らし》などで偶発的にも達成できますが、より確実なのは自分で選んで4種を墓地に送ること。《歴戦の紅蓮術士》と《鏡割りの寓話》はそのために入っています。見た目は意味不明ですが、回してみるとその安定感に驚くことでしょう。普通のコンボに飽きた方は、今週は《変容する森林》で決まり!

仲間と一緒に勝ち抜こう!チーム構築戦のススメ

Modern ピックアップ

2024.08.21

mtg Yuyan

こんにちは。 細川 侑也(@yuyan_mtg)です。 こんにちは。今回は、先週末に行われたBIG MAGICさん主催のイベント、BIG MAGIC OPENのチームモダンに参加しました。 そこで今回は、チーム構築戦に関するお話と、最後に実際に使用したデッキリストをご紹介します! チームモダンとは チームモダンは、3人のプレイヤーを1チームとしたモダン戦です。3人の内2人が勝つことでマッチ勝利となり、チームメイト同士でプレイの相談なども行えるので、仲の良い友人と一緒にマジックを楽しめる、とても人気のフォーマットです。一番の特徴はなんといってもデッキリストの制限です。基本土地以外の同名カードを一人のプレイヤーしか使用することしかできません。プレイヤーÅが《霧深い雨林》を1枚でも使用したら、プレイヤーBは《霧深い雨林》を1枚も使うことができません。これがモダンでは非常に大きな制限となります。必然的に4色や5色といったデッキを使うことは厳しくなります。大量のフェッチランドを一人のプレイヤーが独占したら、他のプレイヤーは単色か特殊なデッキしか使用できません。そしてそこに、チーム戦ならではの面白さもあります。一人が5色を贅沢に使い、残りの二人がフェッチランドを使用しない特殊なデッキ、たとえばベルチャーやトロンのようなデッキを使うなどです。ベルチャーは中々今のモダンでは見ることができないデッキですが、チーム戦では他とパーツがなかなかかぶらない、素晴らしいコンボなのです。 デッキの考え方 さて、チーム戦について理解してもらえたところで、デッキの振り分け方について掘り下げてみましょう。僕はこういったチーム戦でまず考えるのは、そのフォーマットで強いカードを上から順に挙げていき、それらをなるべく使うことでした。強いデッキを上から順番に並べていき、かぶってないデッキで3つ選ぶのも悪くはないのですが、意外と「こんな強いカードを使っていない!」という事態に後から陥りやすいので、念のためにカード単位で考えています。今回はモダン。そのモダンで強いカードランキングを、僕は以下のように設定しました。1位:《有翼の叡智、ナドゥ》2位:《一つの指輪》3位:《火の怒りのタイタン、フレージ》4位:《ナカティルの最下層民、アジャニ》5位:《ネクロドミナンス》6位:《ウルザの物語》7位:《魂の導き手》8位:《オセロットの群れ》9位:《モンスーンの魔道士、ラル》10位:《悲嘆》 そしてこれらのカードをなるべく多く採用できる組み合わせを考えることで、デッキを決めていきます。特に今回はバントナドゥはあまりに強すぎるデッキなので、この《有翼の叡智、ナドゥ》を使うことはまず確定。この時点で《ウルザの物語》を使う他の候補は消滅。続けて《一つの指輪》ですが、まず第一候補となるのは5位の《ネクロドミナンス》、10位の《悲嘆》を合わせた黒単ネクロ。ですが同時に《一つの指輪》はバントナドゥにも2~3枚は採用したい。 一旦黒単ネクロを保留し、《一つの指輪》をバントナドゥに渡せないかを考えます。《火の怒りのタイタン、フレージ》《ナカティルの最下層民、アジャニ》《魂の導き手》《オセロットの群れ》を使えるボロス(+1色)のエネルギーはほぼ確定しました。上位全部を使用でき、バントナドゥと黒単ネクロ、どちらとも共存できるので、選ばない理由がありません。そして次の候補はというと…9位の《モンスーンの魔道士、ラル》を使用したルビーストームでした。ルビーストームはデッキパワーとしては黒単ネクロとほぼ同じぐらいという印象。サイドボード後に徹底的にメタられてしまいますが、チーム戦では《減衰球》と《ドラニスの判事》が同じデッキに入っていることは少ないので、個人戦より勝ちやすい。それならば《一つの指輪》をバントナドゥにあげて、100%のバントナドゥにしつつ、一定の勝率もあげられるルビーストームが良いと判断しました。 サードデッキという存在 チーム構築戦は「エース2人とサードデッキ」になりがちで、今回の場合はバントナドゥとエネルギーがエース、ルビーストームがサードデッキにはなりましたが、そのサードデッキもかなり強く、エースと遜色なかったので、トリプルエースだったかもしれません。カードプールが広いモダンではこうしてトリプルエースを組める場合もありますが、大体はエースデッキ2つとサードデッキになります。このサードデッキをどのように組み上げるかも、チーム構築線の面白い部分です。サードデッキは、他の2つのエースに比べると少しデッキパワーが落ちます。エースがTier1だとしたら、サードデッキはTier2~3といったところ。そういうデッキは必ず何かしらの大きな弱点を抱えています。たとえばバントナドゥに極端に相性の悪いデッキがあったとします。しかし、バントナドゥ以外のすべてのデッキに強い。本来このデッキは個人戦で勝ち上がることはまずありません。なぜならバントナドゥはたくさんいて、勝つごとに当たる確率が高くなっていくからです。しかし、チーム戦ならどこまで勝ち上がっても当たる確率は三分の一です。それならば、中途半端に強いデッキをサードデッキに選ぶより、こうした極端なデッキを選ぶ方が、チーム戦で勝つ確率が高くなります。さて、たまにあるのがエースとサードでサイドボードにかぶりが発生する場合。こういう時は、エースにカードを譲り、サードはそれの代用品を採用すべきです。そのサイドカードにもよりますが、基本的には強いデッキをとことん強く、余りもののカードでサードデッキを考える方が良いです。 BMO使用デッキ 最後に、チームモダンで実際に使用した3デッキのリストを、軽く解説を交えながら紹介します。 A席:バントナドゥ 個人成績:7勝1敗 By Yuki Matsumoto はい、最強のデッキ、ナドゥです。東西戦の東エリア、モダン神挑戦者決定戦をバントナドゥで制した、BIGSのAさんこと松本 友樹さんに、フルパワーの75枚を使ってもらうことにしました。リスト自体に大きな変更はありません。最近では定番の《タッサの神託者》レスの形ですが、Aさんはプレイスタイル的に《タッサの神託者》が欲しいとのことだったのでそのままに。《タッサの神託者》を使わずとも、《森を護る者》と《忍耐》でライブラリーをループさせて無限マナを作り出すことができ、《破滅の終焉》でフィニッシュしたり、無限に《耐え抜くもの、母聖樹》を起動し続けることができるのですが、《忍耐》か《森を護る者》が追放されると成立しなくなります。《コーの先導》からインスタントタイミングでコンボを決めてそのまま勝利する場合は《タッサの神託者》は便利なので、Aさんはこの使用感を気に入っていました。ミラーマッチで勝つにはメインの《荒れ模様のストームドレイク》は欠かせません。サイドにはチーム戦で多くなるであろうストーム対策として《ドラニスの判事》と《魂なき看守》の両方を採用。エネルギー側のサイドプランはほぼ《過酷な指導者》なので、《ブレンタンの炉の世話人》。《夏の帳》をルビーストームが使っているので、コントロールや黒系に対しては《時を解す者、テフェリー》と《一つの指輪》を多めに用意しています。ちなみにÅさんはチームモダン個人7勝1敗により、大会で使用した際の勝率は驚異の90%でした。本当にマジックの成績かな?   ジェスカイエネルギー 個人成績:6勝2敗 By Sho Usui B席はジェスカイエネルギーでした。プロツアー出場経験もある友人です。実は今回、エネルギーに僕はそれなりに時間を使いました。バントナドゥ、エネルギー、ストームの3つに決まった時に、エネルギーの最適なリストを模索すべく、様々なタイプを回しました。そして《ゴブリンの砲撃》を採用したエネルギーが最も強いという結論に至りました。《ゴブリンの砲撃》があればバントナドゥに対してライフを詰めてワンチャンスをもぎ取れる可能性がある他、チーム戦で頻発するであろうミラーマッチでは置いた方がまず勝ちます。そしてミラーマッチでは、キーとなる《オセロットの群れ》を除去しつつ、盤面に2体のクリーチャーを残せる《オークの弓使い》は最強。というわけで《ゴブリンの砲撃》を多めに採用した《オークの弓使い》が最適解…と直前まで考えていました。しかし、このタイプのマルドゥエネルギーが増えてきて、ミラーで全くエッジを出せなくなってしまいました。更にマルドゥは《血染めの月》が使えないことで、ボロスに比べて悪いマッチがいくつかあり、黒を足す利点はミラーマッチの優位性。しかもそれも相手が同じリストなら無意味で、ほぼ良い点がなくなってしまったのです。そこでこのジェスカイエネルギーです。《イーオスのレインジャー長》はエネルギーが苦手なストームなどのコンボに強く、《一つの指輪》を置いてくるデッキにもある程度抵抗できます。そしてなんと言っても《マネドリ》。《イーオスのレインジャー長》からサーチして《イーオスのレインジャー長》になり、次の《マネドリ》をサーチしつつ、《イーオスのレインジャー長》1枚を生け贄に捧げ続ければ、デッキによっては完全に詰ませることも可能。更に《マネドリ》はブン回りにも寄与します。突然ですが、ここで問題です。《オセロットの群れ》が3体戦場にいて、エンドに1体目の《オセロットの群れ》で昇殿を達成した場合、猫トークンが何体出るでしょうか?正解は14体です。1体目の《オセロットの群れ》でトークンが出て、昇殿達成。トークンがコピーされて猫2体。2体目の《オセロットの群れ》から出たトークンと、1体目から出た猫2体の合計3体がコピーされて6体。3体目の《オセロットの群れ》の猫で7体になり、その7体がすべてコピーされるので、14体生成されます。《ゴブリンの砲撃》があれば3ターンキルというわけです。《オセロットの群れ》だけではなかなか3体を並べることはできませんが、《マネドリ》で実質8枚体制ならそれも現実的です。《ナカティルの最下層民、アジャニ》をコピーして、コピーした《マネドリ》を伝説ルールで生け贄にすることで、オリジナルのアジャニを変身させることも。《色めき立つ猛竜》からめくれると少し残念な気持ちになりますが、逆に手札から《マネドリ》を出して《色めき立つ猛竜》をコピーできて強力。マルドゥの利点だったミラーでの《オークの弓使い》も、《マネドリ》で《オークの弓使い》をコピーできるので、マルドゥVSジェスカイで大きな違いが出ることはないと判断しました。サイドボードの《記憶への放逐》も《一つの指輪》デッキへのサイドボードとして重宝。ジェスカイエネルギーを選択して正解だったと思います。   ルビーストーム 個人成績:7勝1敗 By Yuya Hosokawa C席の僕はルビーストームを使用。リストの詳細などについては今週執筆予定のデッキ解説でご紹介するので、どうぞお楽しみに! チーム戦は魅力がいっぱい 個人戦とは異なり、チーム戦はデッキ構築段階から考えることがたくさんあります!そして実際の対戦も非常に楽しい。アドバイスをお互いに交わしたり、チームメイトの勝利を祈っている時に、チームで戦っているということを実感します。昔はチームスタンダードのプロツアーもあったほどで、個人的にはチーム戦をもっといろいろやってほしいなと思っています。次にチーム戦がいつあるかわかりませんが、その時にはこの記事が参考になるかもしれません!それではまた。

【週刊メタゲーム通信】頂点に立つナドゥを脅かすコンボとコントロール

Modern

2024.08.20

mtg Yuyan

こんにちは。 細川 侑也(@yuyan_mtg)です。 毎週、最新のメタゲームをデッキリストと共にお届けするこの記事。今回は大型トーナメントやマジックオンラインの結果から、モダンの最新情報を分析! モダンで吹き荒れる赤い嵐 マジックオンライン上の大会では、近頃ルビーストームの入賞率が急激に上昇しています。 ルビーストーム モダンチャレンジ:5位 By danro さて、まずはルビーストームについて簡単に解説しましょう。ルビーストームは、赤をメインカラーに据えた、最速2ターンキルも可能な超高速のコンボデッキです。《ルビーの大メダル》や《モンスーンの魔道士、ラル》でマナを軽減し、《レンの決意》《無謀なる衝動》でライブラリーを次々と追放していき、《捨て身の儀式》《発熱の儀式》でマナ加速。こうしてライブラリーを掘り進めながらマナを増やしていき、最終的には《願い》から《ぶどう弾》や《タッサの神託者》で勝利します。メインボードに入っているカードは赤のみですが、サイドから《夏の帳》を入れたり、《火の怒りのタイタン、フレージ》を採用したりなど、カラーバリエーションも様々。『モダンホライゾン3』発売当初に大流行したものの、ありとあらゆるカードで意識され続けた結果、プロツアーでは凄まじく低い勝率を叩き出し、その後メタゲームから消えた…と思われていましたが、近頃また活躍し始めています。その大きな要因として、まず1つがエネルギーアグロの躍進にあるでしょう。エネルギー系のデッキはルビーストームを大の苦手としており、サイドボードに少し対策カードは入っているものの、メイン戦はほぼ敗北してしまうため、マッチ単位で見た時の勝率がかなり厳しい。対策を増やせば改善はできますが、エネルギーが見なければならないもう1つの相手にナドゥが存在します。ナドゥに《過酷な指導者》などで枠を割かれており、他にもミラーマッチやトロンなどを考えると、ストームに割けるスロットはそう多くはないのです。そして2つ目は、バントナドゥに対して少し有利である点です。《モンスーンの魔道士、ラル》か《ルビーの大メダル》を2ターン目に出して場に残ればそこそこの確率で3ターンキルできるため、バントナドゥに対してそれなりの勝率を担保できます。バントナドゥに不利ではなく、エネルギーに有利。これがルビーストームの復活した要因と言えるのではないでしょうか。 なお、ルビーストームに関しては僕もかなり回しているので、今週解説記事をアップする予定です! そちらもお楽しみに! モダホラ3で強化されたコントロール 参加者200名を超える大型モダントーナメント、MXPLAでは、バントナドゥがトップ8に4名と圧倒的な勝率でした。 そしてそのトーナメントで惜しくも2位とはなったものの、トップ8に2人を輩出したのが、ジェスカイコントロール。 ジェスカイコントロール MXPLA:2位 By robert seder 『モダンホライゾン3』の恩恵を大きく受けたデッキであり、《電気放出》と《空の怒り》によって、凄まじいコントロール力を見せます。特に《空の怒り》はコントロール待望の1枚。《ウルザの物語》や各種クリーチャーをまとめて、たった2マナで倒せるという破格の全体除去。これまでの他の除去にはなかった《対抗呪文》を構えながらの全体除去を行えてしまうのです。そしてフィニッシャーとして採用されているのは《火の怒りのタイタン、フレージ》。墓地から帰ってきて、クリーチャーに触りながらライフを得て、そのまま相手を殴り倒すその様はまるで《自然の怒りのタイタン、ウーロ》を見ているよう。というかフレージはほぼウーロなんです。コントロールのウーロは殴ってドローし、その引いた除去で盤面を制圧していきます。フレージはドローする代わりに除去しているので、ほとんどやっていることが変わらないのです。《火の怒りのタイタン、フレージ》の登場でコントロールデッキは《一つの指輪》が更に使いやすくなりました。最早、《一つの指輪》のダメージに怯える必要もなくなったのです。バントナドゥに一矢報いる力があることは、このトーナメントで証明されました。先週は勝ち組となりましたが、今週末は果たして。 最強のデッキは今週も大型大会を制す そして同大会を制したのは、前述の通りバントナドゥ。 バントナドゥ MXPLA:優勝 By Paul Green もうどのリストもほぼ固定になっており、細部の1枚や《邪悪鳴らし》の有無程度しか違いがありません。最強のデッキは、行き着くところまで到達したということでしょう。「明日モダンのトーナメントで勝ちたいならバントナドゥを使うべきか?」そう訊ねられたら、「YES」と答えるしかない。それぐらい支配的な強さです。さて、リストに関するお話です。《邪悪鳴らし》を採用する場合は、昂揚を達成しやすいので《変容する森林》の枚数が2枚になっています。1枚差しにたまに採用されている《造物の学者、ヴェンセール》は、《召喚の調べ》で相手の致命的な呪文やパーマネントを戻す際に使用できるだけでなく、無限コンボを決めた後のフィニッシャーとしても活躍します。(最終的に相手のパーマネントがすべて手札に戻る)サイドボードの《巻き添え》は同型対策として今最も注目されているカード。《裂け目掃き》もたまに採用しているリストがありますね。こちらは《石の脳》などのナドゥを追放された際の対策となっています。今週使用するのであればストームが多そうなので、《ドラニスの判事》と《魂なき看守》に加えて《耳の痛い静寂》や《減衰球》もオススメです!

【今週のピックアップデッキ】セレズニアアーティファクト/5色人間/青単ウルザ

Modern Pioneer Standard ピックアップ

2024.08.16

mtg Yuyan

こんにちは。 細川 侑也(@yuyan_mtg)です。 今週のピックアップデッキでは、ちょっと珍しいデッキを、軽い解説を交えて紹介していきます。 セレズニアアーティファクト(スタンダード) スタンダードリーグ:5-0 By _Cygnus スタンダードには、様々なカラーのアーティファクト・アグロが存在しています。強力なアタッカーを生み出しつつ、除去された時に発見も行う《生命ある象形》は青いアーティファクトアグロの定番で、シミックアグロやアゾリウスアグロなどが結果を残しています。そして今回、そのアーティファクトアグロにセレズニアが加わりました!白の利点は言わずもがなの、手がかりを生み出す《ひよっこ捜査員》。そして手がかりなどをタップして成長する《内なる空の管理人》に、巨大なサイズの《威厳あるバニコーン》などなど。アーティファクトアグロの定番カラー。一方の緑はというと、地図を生み出せる《名もなき都市の歩哨》に《勇敢な旅人、ケラン》の出来事モード、そして何より1マナ域としては申し分ない《生歯の子ワーム》を使えます。ライフゲインと《名もなき都市の歩哨》によって、セレズニアはアグロ同型においては最も強い形と言えます。白緑は不器用なカラー…というのは過去の話。除去は《失せろ》、回避性能をつける《鋼の熾天使》もいるため、一筋縄では攻略できません。特に《威厳あるバニコーン》と《鋼の熾天使》の組み合わせは強力で、アーティファクトアグロの今の定番の組み合わせとなっています。突然凄まじい打点で殴る。そんな爽快感を味わいたい方にオススメ! 5色人間(パイオニア) パイオニアリーグ:5-0 By Econ_Neal マジック界でも有数の強力部族、人間。かつてはモダンのプロツアーを優勝するほどの力を持ち、その多くのカードがパイオニアで使用可能です。パイオニアにおける不安要素はマナベースでしたが、《魂の洞窟》が使用可能になってからは、5色土地が12枚体制になり、いよいよ本格的に人間が暴れられるようになりました。《スレイベンの守護者、サリア》《サリアの副官》《カマキリの乗り手》などお馴染みの人間たちに、白系アグロでは欠かせない《輝かしい聖戦士、エーデリン》と、精鋭が揃っています。そしてなんといっても《銅纏いの先兵》です。人間を強化するだけでなく、護法もつけてしまうすごいロード。これまでは4枚確定だった《サリアの副官》が3枚に減っているのも納得です。また、「キミ人間だったの!?」と思わず叫んでしまいそうになる《群れ率いの人狼》。緑単ではお馴染みのこの人狼も実は人間なので、このデッキに居場所があります。《サリアの副官》や《銅纏いの先兵》があれば《群れ率いの人狼》ともう1体の人間だけで簡単にカードが引けます。更にその人間たちをまとめて呼び出す《集合した中隊》ももちろん入っています。回った時の理不尽さはモダンそのまま!モダンで人間を使っていた方、パイオニアで暴れ回ってみてはいかがでしょうか?   青単ウルザ(モダン) モダンリーグ:5-0 By Heir_of_Elendil15 モダンでウルザと言えば、最早《ウルザの物語》が最初に浮かんでしまうかもしれませんが、かつて《最高工匠卿、ウルザ》もモダンで一世を風靡していました。その《最高工匠卿、ウルザ》が再び輝く時が来ました!《最高工匠卿、ウルザ》はアーティファクトから青マナを出せる強力なカード。そのため、必然的にデッキには大量のアーティファクトが入ることになります。このデッキはとにかく《最高工匠卿、ウルザ》を着地させたいデッキ。そのために大量のマナアーティファクトが入っています。そう、《月罠の試作品》に加えて《モックス・アンバー》が3枚採用されているのです。伝説のクリーチャーをコントロールしていなければマナが出ないこのモックス。これまでは《敏捷なこそ泥、ラガバン》と《湖に潜む者、エムリー》が入っているデッキでギリギリ採用できるというレベルでしたが、『モダンホライゾン3』で《知りたがりの学徒、タミヨウ》を手に入れたことで、青単でも使いやすくなりました。1マナの伝説クリーチャーは《モックス・アンバー》と相性バッチリ。もちろん、《知りたがりの学徒、タミヨウ》は《モックス・アンバー》からただマナを生み出すためだけのカードではありません。《ミシュラのガラクタ》や《一つの指輪》が入っているので変身は容易。しかも攻撃時に生み出す手がかりが《月罠の試作品》や《最高工匠卿、ウルザ》のマナに使用できると、至れり尽くせり!ウルザと言えば《最高工匠卿、ウルザ》!再びそうなる日も近いかもしれません。…まあ、《ウルザの物語》も入っているんですが。

【ゆうやんのデッキメモリー】コンボとチューンの原点”ハートビート明神”

ピックアップ

2024.08.15

mtg Yuyan

皆さんこんにちは。 ゆうやんのデッキメモリーは、今年でマジックを初めて21年目になる僕が、思い出に残っているデッキを紹介していく記事です。 昔を知っている方は一緒に懐かしんで、知らない方は昔話にお付き合いください! コンボの原点 今ではすっかりコンボ好きになっている僕が、初めてその手にコンボデッキを握りしめたのは、2006年の時だった。その頃の僕は、フライデーナイトマジックに出れば2回に1回は3戦全勝で優勝、草の根大会では5勝2敗がアベレージと、マジックを始めた頃に比べて自分の成長を実感できる時期。つまり、マジックが面白くなり、ハマる時期だった。マジックの上達方法は、まず大前提として数をこなすこと。たくさんプレイしていくと、段々と勝率が上がっていき、勝つと嬉しくなり、更にマジックをプレイする。プレイすると強くなって更に勝つ。この良いスパイラルに入ることだと思っている。社会人には時間のかかる回る道かもしれないが、学生時代の僕はこのルートを辿っていた。幸い、お金はないが時間だけはあるのが学生だ。まさにそのスパイラルに、当時の僕はいた。その時のフォーマットはチームスタンダード。僕はアメニティドリーム吉祥寺店の常連2人とチームを組み、関東の予選によく参加していた。そして人生で初めてプロツアー予選の決勝ラウンドに残った。忘れもしない、2006年5月4日。板橋区立グリーンホール。競技マジックの、そしてコンボ好きとしての細川 侑也の原点が、この時使用していた「ハートビート明神」だった。 マガシュート ハートビート明神は、一般的には「マガシュート」と呼ばれているデッキの亜種。   プロツアーホノルル:6位 By Maximilian Bracht 《桜族の長老》や《木霊の手の内》でマナを伸ばし、《春の鼓動》を設置。お互いの土地から出るマナを倍にしたところで、《早摘み》をキャスト。土地がすべてアンタップし、大量のマナを生み出し、《交錯の混乱》を変成して《奇妙な収穫》をサーチする。この《奇妙な収穫》を大量のXで唱え、《幻の漂い》たくさんと《現し世の裏切り者、禍我》をサーチ。《幻の漂い》を変成して《早摘み》をデッキからすべてサーチし、大量のマナを注ぎ込んで《現し世の裏切り者、禍我》でフィニッシュというコンボデッキだ。フィニッシャーの禍我からマガシュートと呼ばれている。当時、お金がなかった僕は、「安い」というただそれだけの理由でこのマガシュートを組んだ。このデッキ、《早摘み》を使うため、基本土地しか入れることができなかったのだ。《アダーカー荒原》が1枚1500円していた時代だったので、基本土地しか入っていないだけでもうリーズナブル。更にデッキのキーカードである《春の鼓動》《早摘み》もとても安価で、一番高いのは《師範の占い独楽》なのでは?というレベルだった。お財布事情的に、1つのデッキを組んだらそれを使うしかなかったので、僕はこのマガシュートを使い続けた。そしてその強さと同時に、使っている内に自分の力量が目に見えて上がっていくのが楽しかった。 最初はコンボを決めるだけでも精一杯だったが、何度も対戦していると「このターンまでは絶対に死なないから待っていい」「ここは見切り発車をしなければいけないターン」「サイド後は《春の鼓動》を狙い撃ちされるから、大量のマナを使わないプラン、あるいは相手をフルタップにさせる手段として《万の眠り》を入れよう」などと、様々なことを考えるようになった。これは親和を使っていた頃の僕にはない考えだった。いや、正確に言えば、親和を使っている時も上記のように反省しなければならないのだが、それは当時の僕には難しすぎた。コンボデッキは「コンボが成立したら勝ち」「コンボターンまでは一方的で、コンボで逆転する」とわかりやすかったため、反省点を洗い出しやすかったのだ。コンボデッキのそのわかりやすい強さと、上達した時の奥深さに感動した僕は、今でもそれがコンボの魅力だと思っている。マガシュートに出会ったからこそ、今でも僕は自信を持ってコンボを使えているのだ。そして初めてデッキチューンを行ったのも、このマガシュートが初めてだった。《現し世の裏切り者、禍我》で勝利するためには20マナが必要。しかし、20マナは実際容易ではなかった。土地が5枚ある状態で《幻の漂い》経由で《早摘み》をサーチすると、10マナー6マナで4マナしか増えない。実際、マナが足りなくて敗北するシーンが何度もあった。そこで、少ないマナで勝てるカードはないか?と思い、このリストに辿り着いた。 ハートビート明神 先ほどのリストと違い、クリーチャーがやたらと入っている。《春の鼓動》と《早摘み》でマナを増やすところまでは同じ。しかし、フィニッシュ手段が全く違う。《奇妙な収穫》で《生網明神》、《土着のワーム》×2、《炎の血族の盲信者》をサーチして、《生網明神》からすべてのクリーチャーを展開して攻撃!このリストでは、勝利に必要なマナがたった9とお得なのだ。しかし、もちろんデメリットはある。まずコンボ時以外に必要のない無駄カードを大量に入れなければならないこと。次に相手にブロッカーが立っていたら勝てない可能性があること。そして、《奇妙な収穫》でこれらのカードをサーチしなければならないため、最終的に必要なマナこそ少なく済むが、最初のサーチに大量にマナがかかるのだ。つまりトータルで必要なマナが8になるわけではなく、実際は12~13マナと、さほど通常のマガシュートと変わらない。そんなことは当時の僕は気付きもしなかった。今見返すと、プロツアートップ8のリストは実によくできている。美しさすらある。それと比べると自分のハートビート明神の粗さときたら。とはいえ、そんな粗さも十代の証。人生で初めてのコンボデッキ、そして誰の力も借りないたった一人でのデッキチューンは、その後のマジック人生を大きく左右する経験になったのだった。

【週刊メタゲーム通信】ジャパンオープンを制したのはボロストークン!注目はあの新カード

ピックアップ

2024.08.13

mtg Yuyan

こんにちは。 細川 侑也(@yuyan_mtg)です。 毎週、最新のメタゲームをデッキリストと共にお届けするこの記事。今回は大型トーナメント「マジック:ザ・ギャザリング ジャパンオープン2024」の結果をチェック! 継続したアドバンテージと攻めが魅力! 『ブルームバロウ』発売後、初めての大型大会となった「マジック:ザ・ギャザリング ジャパンオープン2024」を制したのは、ボロストークンでした。 ボロストークン ジャパンオープン:優勝 By Yushi Uzuki デッキはコントロール寄りのデッキです。《塔の点火》、《稲妻のらせん》、《太陽降下》、《一時的封鎖》で盤面を制圧し、アドバンテージを稼いで勝利。 アドバンテージを稼ぐと言えば青の専売特許でしたが、『ブルームバロウ』で登場した1枚のカードが、ボロス2色でのコントロールを実現しました。それが《世話人の才能》です。まず最初の段階では、トークンを戦場に出すことで1ドロー。《ウラブラスクの溶鉱炉》でも《太陽降下》でも《忠義の徳目》でも《噴水港》でもカードが引けます。1ターンに1回の制限はあるものの、自分のターンで《ウラブラスクの溶鉱炉》でカードを引き、相手ターンのエンドに《噴水港》でトークンを生み出して引けるので、想像よりもたくさんのカードが引けます。特に《ウラブラスクの溶鉱炉》との相性は抜群。マナを使わずに自動でカードを引きつつ攻められるので、これからの定番の組み合わせになること間違いなし。そして《世話人の才能》と相性の良い《噴水港》ですが、単体で見た時のカードパワーもかなりのもの。《ウラブラスクの溶鉱炉》を生け贄にして毎ターンカードが引けますし、生成するトークンも《世話人の才能》で大きくなればフィニッシャークラスです。起動コストこそ重いですが、それを補うべく、《沈んだ城塞》も4枚投入されています。コントロールデッキの課題と言えばマナフラッドですが、このデッキには《噴水港》に《ミレックス》、《解体爆破場》と様々なバリューランドが採用されており、土地を引きすぎてもそれをリソースに変えたり、相手のカードと交換ができます。土地が強いのは、マジックというゲームの強いデッキの条件の1つです。良質な除去、豊富なアドバンテージ獲得手段とお手本のようなコントロール。まさに王者と呼ぶに相応しいデッキです! 往年の名カードがスタンダードで大暴れ! アゾリウスメンター ジャパンオープン:2位 By Soohan Yoon クリーチャー以外の呪文を唱えるとトークンを生み出す、《若き紅蓮術士》系の1種である《僧院の導師》。そのトークンが果敢を持っているため、少しのトークンもバカにならない強さで、特にピッチスペルや軽いドロースペルが多い下環境で重宝されていました。特にヴィンテージでは各種モックスからとんでもない量のトークンが出てくるので、制限カードに指定されていますその《僧院の導師》をフル活用するのがこのアゾリウスメンター。3マナと重い《僧院の導師》。普通に使うなら、ただ除去をされてしまうともったいないので、4~5マナある状態から《僧院の導師》を出し、除去されてもトークンを残せるようにするのが定番のプレイですが、それだとどうしても相手の早い展開には追い付けません。それならば1マナで《僧院の導師》を出せばいいじゃない、というのがこのデッキ。そう、《救いの手》で墓地から吊り上げるのです。《錠前破りのいたずら屋》や《決定的瞬間》で墓地に《僧院の導師》を落とし、それを《救いの手》で吊り上げて、そこからスペルを連打、あるいは打ち消しで《僧院の導師》を守ってイージーウィン。吊り上げ対象が《僧院の導師》だけでは不安ですが、そこも安心。青単でも活躍した《傲慢なジン》が入っており、こちらも残しておくと即敗北するカードです。前環境もあるデッキでしたが、《未認可霊柩車》や《敬虔な新米、デニック》に苦しめられていましたが、それらはもうスタンダードにはいません!まるで下環境のような爽快感を味わいたい方にオススメ。惜しくもボロストークンに敗れてしまいましたが、見事準優勝でした。 《放浪皇》と《記憶の氾濫》を失っても輝く 前環境ではエスパーミッドレンジと並んで最大勢力だったアゾリウスコントロール。《放浪皇》《記憶の氾濫》というパイオニア級の4マナ域を失ってしまいましたが、その強さは健在です。 アゾリウスコントロール ジャパンオープン:5位 By yoshihiko tokuyama 《マナ漏出》の上位互換である《喝破》、優秀なアドバンテージ源の《推理》はまだ現役ですし、除去も《失せろ》と《太陽降下》。こちらも一線級です。そんなアゾリウスコントロールの新戦力は本日2度目の登場となる《世話人の才能》。《噴水港》や《太陽降下》でドローできる…というのはボロストークンでもご紹介しましたが、アゾリウスコントロールでは《推理》でお手軽2ドローができます。《不穏な投錨地》の地図トークン生成でもカードが引けますし、とにかく置いておくだけでアドバンテージを取れ続けてしまうすごいカード。《世話人の才能》、本当にコントロールにぴったりの1枚。そしてコントロールにぴったりと言えば、このカードの話をしないわけにはいかないですね。《機を見た援軍》内蔵とでも言うべき大鹿。ビートダウン相手ならば、4点ゲインに魚のおまけつき、更に本体のサイズも優秀と、悪夢の一言。1ドローや宝物生成は対ビートダウンでは難しいですが、ミッドレンジ対決では十分に誘発も期待でき、対アグロ以外にも役割がしっかりあるカードです。アゾリウスコントロール、新環境でもその実力をしっかりと示してくれました。 総括 誰もが予想しなかったボロストークン優勝という形で幕を閉じたジャパンオープン。本トーナメントで最多数が選択したゴルガリミッドレンジは、トップ8にこそ残らなかったものの、《裏切りの棘、ヴラスカ》《亭主の才能》の瞬殺コンボは脅威的で、これからのスタンダードも見ることになりそうです。前環境から強かった召集アグロ、ドメインランプもトップ8に入賞していますし、赤単もトップ4と、後少しで栄冠を掴み取るところまで勝ち上がっていました。トップ8には8種のアーキタイプが名を連ね、まさに群雄割拠と呼ぶに相応しい環境となったスタンダード。果たしてここから環境はどのように動いていくのか?注目ですね。

【今週のピックアップデッキ】ラクドスリザード/ゴルガリイグラフード/アスモフード

ピックアップ

2024.08.09

mtg Yuyan

こんにちは。 細川 侑也(@yuyan_mtg)です。 今週のピックアップデッキでは、ちょっと珍しいデッキを、軽い解説を交えて紹介していきます。 ラクドスリザード(スタンダード) スタンダードリーグ:5-0 By pavementisrad7 『ブルームバロウ』で登場したいくつかの動物の中で、最も攻撃的な連中。それがトカゲ。《雇われ爪》と《玉虫色の蔦打ち》は共に1マナ域ながら、稼ぐダメージ量は破格。特に《玉虫色の蔦打ち》は後半引けば新生で出してセットランドで2点と、盤面を無視したダメージを与えられます。そしてなんといってもトカゲでまとめあげることの最大のメリットは《鱗の焦熱、ゲヴ》。自分が唱えるクリーチャーが強化されるこのカードですが、トカゲを唱えると対戦相手に1点が入るというオマケつき。あっという間に対戦相手のライフは0になるでしょう。現代に蘇った《炎樹族の使者》こと《炎貯えのヤモリ》との相性も良し。そうなってくるとリソース確保が心配ですが、《火硝子の導師》と《笑う者、ジャスパー・フリント》がその役割を担っています。特に《笑う者、ジャスパー・フリント》は一瞬「無法者!?」と思うかもしれませんが、よく見るとこのデッキは無法者だらけです。実は《大洞窟のコウモリ》以外のすべてがトカゲかつ無法者!トカゲは悪いやつでした。《思考忍びの邪術師》のピーピングハンデスなど、このデッキはアグロながら非常に器用なデッキです。新スタンダードはトカゲ使いになってみませんか? ゴルガリイグラフード(パイオニア) パイオニアリーグ:5-0 By BoltTheBirds 発売前から注目されていた《全てを喰らうもの、イグラ》のコンボが、早速結果を残しました。すべてのクリーチャーを食物にする《全てを喰らうもの、イグラ》で、墓地と場の《大釜の使い魔》をループさせる無限コンボです。《パンくずの道標》はゴルガリフード定番のリソース確保でしたが、そこに新たに加わったのが《清掃人の才能》。レベル2になると切削が行えるので、コンボパーツである《大釜の使い魔》を墓地に送り込みつつ、レベル3では《全てを喰らうもの、イグラ》をサーチできる優れモノ。非常にこのデッキと相性が良いクラスですね。《茨越えの餌あさり》もぴったりのクリーチャー。食物が大量に出るので、3ターン目に給餌して《全てを喰らうもの、イグラ》を出すのも容易です。頼もしいサイズの2マナ圏、《蔦刈りの導師》もフードを強化した1枚。出た時と死亡時に食物を生み出すので、《清掃人の才能》と併せて、《パンくずの道標》で食べるものに困ることもないでしょう。スタンダードの頃からファンも多かったゴルガリフード。懐かしい気持ちになった方はまた手にとってみては? アスモフード(モダン) モダンチャレンジ:3位 By GigaChadSigmaMale 奇しくもフードデッキが続くことになりましたが、モダンの主役は《アスモラノマルディカダイスティナカルダカール》。食物を生成する《地獄料理書》をサーチし、生み出した食物で盤面を除去していく人間です。《地獄料理書》とコンボになるのが《楕円競走の無謀者》。《地獄料理書》で《楕円競走の無謀者》を捨てて食物を出すと、捨てた《楕円競走の無謀者》が手札に戻るので、実質タダで食物を作れるようになります。モダンのアスモフードでは基本の動きになります。『ブルームバロウ』で獲得した新たな仲間は《骨蓄えの監視者》。このターンに食物を生け贄にしたりカードを3枚墓地から追放していると1ドローできる1マナクリーチャー。要するに給餌しているとカードを引けるデザインなわけですが、「給餌」とはどこにも書かれていないのがポイント。《アスモラノマルディカダイスティナカルダカール》の能力を起動した際にもドローできるのです。これによって《アガサの魂の大釜》のバリューも上がりました。これまでは《アスモラノマルディカダイスティナカルダカール》か《飢餓の潮流、グリスト》でしたが、ここに《骨蓄えの監視者》が加わり、《アガサの魂の大釜》によって除去・トークン生成・ドローの3つが行えるようになったのです。全国100万人はいる(ゆうやん調べ)アスモフードファンの皆さん、今こそ立ち上がりましょう

【ゆうやんのデッキメモリー】師が教えてくれたコンボの魅力"ベビーシッター"

2024.08.08

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皆さんこんにちは。 ゆうやんのデッキメモリーは、今年でマジックを初めて21年目になる僕が、思い出に残っているデッキを紹介していく記事です。 昔を知っている方は一緒に懐かしんで、知らない方は昔話にお付き合いください! 初めての師 僕がマジックを知った場所、アメニティドリーム中野店は、デュエルスペースとなる長い机が1つあり、そこに椅子がいくつかあるだけの、本当に狭い店舗だった。扉もないため、外から丸見え。カードショップの中ではかなり異質な存在だ。そんなお店だったが、中野という立地の良さから、強豪プレイヤーも数多く来店していた。当時高校生だった、元ライバルズリーグ所属のプロプレイヤー、rizerこと石村 信太朗さんもその一人。そして、rizerさんの存在を教えてくれた人も、強豪だった。それが愁さんだった。今のプレイヤーはその名前を聞いてもピンとこないかもしれないが、20年前に関東のトーナメントに出ていた人なら、懐かしいと思うに違いない。愁さんは、学生でやる気のある初心者だった僕に気をかけてくれた。デッキの相談に乗ってくれるのはもちろん、プロプレイヤーたちの集まりに僕を連れていってくれて、ドラフトに混ぜてくれたりした。ちなみにその時に人生初のドラフトに挑戦した。場所は代々木の全理連ビル。その時は『ミラディン』ドラフトだったのだが、事前に「ドラフトは除去が強いから迷ったら除去を取れ」とアドバイスを受け、1の1で《グリッサ・サンシーカー》を流して《粉砕》、2の1で《腐食ナメクジ》を流して《恐怖》、3の1で《グリッサ・サンシーカー》を流して《トゲ撃ちゴブリン》を取り、2枚の《グリッサ・サンシーカー》を下家の宮森くん(当時のジュニアチャンピオン)に流し、2枚の《グリッサ・サンシーカー》にボコボコにされた田中 久也さん(ゲームショップとどのオーナー)に怒られる、なんていう経験をした。その久也さんとは2年後ぐらいから同じショップでマジックをするようになったのだが、その時には既に《グリッサ・サンシーカー》の話を忘れていてくれて、心の底から本当に良かったと思ったものだった。さて、そんな様々な経験をさせてくれた愁さんを、僕は気付けば師として尊敬していた。マジックを教えてくれるだけの人は他にもいたし、誰の言葉も参考にはなったが、"教える"以外で僕のマジックの世界を広げてくれたのは愁さんだった。だから僕も、自分が愁さんと同じ立場になった時は、同じように色々なものを与えていきたいと思っている。これから紹介するのは、愁さんから「デッキを一から作ることの楽しさ」を教わった、そんな思い出のデッキ。 ベビーシッター 『フィフスドーン』と言えばミラディンブロックの3つ目にして、数々の名カードを生み出した小型エキスパンション。その中の1つで、今モダンでも禁止カードに指定されている《クラーク族の鉄工所》に、愁さんはすぐに目をつけていた。ポテンシャルこそ感じていたものの、その使い方は難しかった。当時はアーティファクト土地が使えたため、4ターン目に戦場に出すと即8つの無色マナを生み出すことができた。しかし、大量の無色マナだけではできることは限られる。その内、愁さんはこのデッキを持ってきた。 デッキコンセプトは単純だ。各種ドローやサーチで《クラーク族の鉄工所》と《マイアの保育器》を手札に揃える。《クラーク族の鉄工所》を場に出して6マナを生み、《マイアの保育器》を出して、再び6マナを作って《マイアの保育器》を起動する。デッキのカードはほとんどアーティファクトなので、致死量のトークンで勝利。《クラーク族の鉄工所》を出した時点でアーティファクトが自身を含めて6枚あれば即座に12マナを生み出し、《マイアの保育器》を起動できる。アーティファクト土地やタリスマン、《五元のプリズム》でこの条件を満たすのは比較的容易だった。《マイアの保育器》から1/1のベビーがたくさん出ることから、ベビーシッターという名前が付けられた。この時の僕は親和しか回したことがなく、ライフをまっとうな手段で20点削ることしか知らなかった。「2枚のカードを揃えて相手を瞬殺する」というデッキ自体を初めて目にしたため、電流が走ったかのような衝撃をおぼえた。そしてその調整過程も実に興味深かった。基本的には《マイアの保育器》でただ攻撃すれば勝てるが、相手が《めった切り》を持っている場合にコンボ成立後に敗北してしまう。そこで、別のフィニッシュ手段も必要になった。デッキからすべてのアーティファクトを抜けるため、土地を0枚にすることができる。そこで《ゴブリンの放火砲》を追加のフィニッシュとして採用することになった。ベビーシッターを僕自身が組むことはなかったが、目の前で行われる調整、改善されていくデッキを見て、マジックの新たな一面を味わえた。「親和をただ回すだけでも面白いのに、このゲームの面白さは無限大なのか?」少年時代の僕は、マジックにとてもワクワクした。この時、僕はコンボに魅せられ始めていた。思えば僕の2人の師は、どちらもコンボデッキが好きだった。コンボ使い同士は惹かれ合う…というやつなのかもしれない。 もう1人の師も、またいずれ。

【週刊メタゲーム通信】新環境スタンダードはミッドレンジやランプが活躍!

2024.08.06

mtg Yuyan

こんにちは。 細川 侑也(@yuyan_mtg)です。 毎週、最新のメタゲームをデッキリストと共にお届けするこの記事。今回はローテーションと『ブルームバロウ』加入で生まれ変わった新スタンダードをチェック! 殴る焼くだけじゃない!赤単ミッドレンジ 新セット発売直後にMTGアリーナで行われた蒼紅杯。毎回多くの参加者で配信も盛り上がる本大会で、これを制したのは赤単ミッドレンジでした!使用者はプレイヤーズコンベンションオープンなどでも赤単で優勝している、赤単の名手、ryuumei選手。 赤単ミッドレンジ 蒼紅杯:優勝 By ryuumei 赤単と言えば定番はアグロ。低マナ域のクリーチャーを除去でバックアップしつつ、火力で本体を削りきる構成が一般的ですが、このリストは中盤戦を強く意識しています。まず赤単に絶対と言っていいほど入っている《巨怪の怒り》は入っていません。そのため、《巨怪の怒り》と相性の良い《熾火心の挑戦者》もサイドボードのみ。1マナ域は《僧院の速槍》と《雇われ爪》という、1マナ域とは思えない性能の2種類のみが採用されています。《僧院の速槍》は赤いデッキには欠かせない存在で、下環境でもエース格のカードですが、《雇われ爪》は『ブルームバロウ』から加入した新戦力。 攻撃するたびに1点を与え、2マナを支払うことで自身を強化できるので、1ターン目に出して2ターン目に攻撃すればとりあえず3点。破格の1マナ域です。《陽背骨のオオヤマネコ》も『ブルームバロウ』から加入した強力なクリーチャー。今のスタンダードは特殊地形が多く、4ターン目に出せば2点は入るでしょう。もちろん後半なら一撃で相手を焼き切るほどのダメージが入ります。序盤は《僧院の速槍》でダメージを稼ぎつつ、除去で盤面を空にしていき、《ウラブラスクの溶鉱炉》《レジスタンスの火、コス》《陽背骨のオオヤマネコ》などの除去では対処が難しいカード群で勝利。「赤単相手にはとりあえずサイドから除去を増やそう」はこの赤単には通用しません。環境初期とは思えない完成度のデッキです! 良質な除去と生物、オルゾフミッドレンジ 近年のスタンダードは、とにかく黒の圧倒的な強さが目立っています。直近ではエスパーミッドレンジ、その前はグリクシスにラクドス。その理由の1つとなるのが除去の強さ。万能除去の《喉首狙い》、そして1マナ除去としては高水準の《切り崩し》があります。もう1つはクリーチャーの質の高さです。《大洞窟のコウモリ》は一時的なピーピングハンデスに飛行絆魂のオマケつき!《分派の説教者》はリソースを稼ぎますし、《黙示録、シェオルドレッド》は言わずもがなの制圧力。除去とクリーチャーの質がズバ抜けているのが今の黒。それならば当然黒系ミッドレンジは新環境でも元気です。 オルゾフミッドレンジ スタンダードチャレンジ:優勝 By John1111 その黒が相方に選んだのが白。その理由の大部分を担っているのが『ブルームバロウ』で登場した《星界を呼ぶ者、ゾラリーネ》!コウモリが攻撃するたびにライフを得て、自身が戦場に出るか攻撃するたびに、マナを支払うとマナ総量3以下の土地でないパーマネントを吊り上げる。書いてあることがとにかく凄まじいですね。自身がコウモリなのはもちろん、《大洞窟のコウモリ》もコウモリなので、ライフはモリモリ回復していきます。このアグロ環境ではそれだけで優秀ですね。吊り上げるクリーチャーは主に《分派の説教者》。他にも《ヨーグモスの法務官、ギックス》や《門衛のスラル》など、生き残るとリソースを稼いだり、トリガーを無効にするうっとうしいクリーチャーなどが採用されています。ビートダウン環境なら、ライフ回復、除去、質の良いクリーチャーの三拍子が揃ったデッキが勝つのは必然。見事なメタ読みと構成で勝利を収めました。 ローテ後も活躍するドメインランプ プロツアーで井川 良彦選手が優勝したのが記憶に新しいスタンダードのドメインランプ。ローテーション後もその輝きは失っていません。 ドメインランプ スタンダードチャレンジ:準優勝 By Edel ドメインを支えていた《ラフィーンの塔》をはじめとした3色土地がローテーションでなくなってしまいましたが、代わりにスタンダードには諜報土地があります。その大量の諜報土地、《寓話の小道》でなんとか5つの基本土地タイプを揃えていきます。新加入の《山積みの収穫》はドメインにぴったりの1枚。出た時に基本土地をサーチし、自身を生け贄にするともう1度基本土地をサーチ。食物のため、ライフを得ながら土地をサーチできます。3ターン目に出して土地をサーチし、4ターン目に生け贄で土地をサーチ、5ターン目に7マナと、このカード1枚で《偉大なる統一者、アトラクサ》が5ターン目に出せてしまうのです!《怒りの大天使》《偉大なる統一者、アトラクサ》《力線の束縛》《豆の木をのぼれ》《太陽降下》《群れの渡り》など、デッキの強力なカードたちがローテーションで生き残ったドメインランプは、新環境でも強力無比!まずはドメインランプを攻略するところから、新スタンダードは始まりそうですね! 総括 オルゾフミッドレンジとドメインランプはアグロ殺しの構成で、赤単などの軽いアグロデッキを狩ってきたことでしょう。本来なら赤単側が除去に対してどうリストを変化させていくか…というのがここからの楽しみなのですが、その回答は既に出ており、それが赤単ミッドレンジです。次週はどんなデッキが出てくるのか。それともここで挙がったデッキたちが勝ち続けるのか。新スタンダードから目が離せませんね!

【今週のピックアップデッキ】アゾリウス兵士/緑単鱗アグロ/4cヘルガオムナス

ピックアップ

2024.08.02

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こんにちは。 細川 侑也(@yuyan_mtg)です。 今週のピックアップデッキでは、ちょっと珍しいデッキを、軽い解説を交えて紹介していきます。 アゾリウス兵士(スタンダード) スタンダードリーグ:5-0 By TIMBITS ローテーションにより新しくなったスタンダード環境。 《放浪皇》や《記憶の氾濫》、《策謀の予見者、ラフィーン》に《婚礼の発表》など、スタンダードの顔だったカードたちが消え、環境は文字通り一新しました。その新環境で早速結果を残したのはアゾリウス兵士。かつてはプロツアーでも活躍したデッキでしたが、ここ1年ほどはその名前を聞いていませんでした。アゾリウス兵士は、質の高い兵士クリーチャーと少しのカウンターを入れた白単のアグロデッキ。《毅然たる援軍》でトークンを出し、《イーオスの遍歴の騎士》で攻め手を確保し、兵士を強化する《雄々しい古参兵》で全体強化してフィニッシュ。《先兵の飛行士、ハービン》は強力で、地上が止まった後のフィニッシャーとして活躍してくれます。『ブルームバロウ』から加わった新戦力は《花足の剣豪》。雄姿によってハツカネズミが+1/+0の修整を受ける、1マナ1/2の兵士・クリーチャー。1マナの兵士であり、3マナで1/2と1/1の兵士を場に出せる点が強く、採用されています。雄姿能力自体も《ヨーティアの前線兵》で誘発することができ、新生でトークンも生み出していれば、一気に大ダメージも稼げます。これまで1枚から複数の兵士を生み出すカードはなかったので、このカードの加入は大きい。しかも《微風の歩哨》で戻して再度新生し直す…なんて使い方も。たった1枚のアンコモンでデッキの強さは大きく変わるもの。アゾリウス兵士は、かつての輝きを取り戻せるのでしょうか。 緑単鱗アグロ(パイオニア) パイオニアリーグ:5-0 By FRANTICORE +1/+1カウンターの数を1個増やす《硬化した鱗》と言えば、モダンの鱗親和のキーカードとなっていますが、その《硬化した鱗》がパイオニアでも活躍!このデッキは、実にたくさんの+1/+1カウンターにまつわるカードたちで溢れています。まずは《棘を播く者、逆棘のビル》。上陸するとカウンターを付与。そして《金脈のハイドラ》。こちらは戦場に出る時のカウンターの数が増えます。《翡翠光のレインジャー》は探検によって乗るカウンターが増えます。そして一気にカウンターを増やせるのが《アーク弓のレインジャー、ビビアン》。クリーチャー2体に1つずつカウンターを乗せれば2つずつになり、更にトランプルもつくオマケつき!チャンプブロックしようとしていた相手は絶望するでしょう。更にここに加わるのが『ブルームバロウ』の《亭主の才能》。置いた時にはカウンターを乗せるだけですが、強力なのはレベル2。たった1マナでレベルアップし、カウンターが置かれているパーマネントが護法(1)を持ちます。この地味な除去耐性はうっとうしいことこの上なし。しかもレベル3になると、置かれるカウンターが倍になります。《硬化した鱗》があると、1個置かれるカウンターが2個になり、それが倍なので、4つ乗ることに!2マナで出したターンも最低限の活躍をし、レベルを1つあげれば除去耐性付与、レベル3になるとクリーチャーがすべてフィニッシャークラスに変貌と、まさにこのデッキのために生まれてきたようなカード!たくさんの+1/+1カウンターで気持ちよくなりたい方はこのデッキがオススメ!《歩行バリスタ》が禁止なのが残念でなりません。 4cヘルガオムナス(モダン) モダンリーグ:5-0 By RESPECTTHECAT 《孤独》や《力線の束縛》で除去し、《創造の座、オムナス》《一つの指輪》でライフ回復を得ながらアドバンテージを無限に獲得していく4色のコントロール、それが4cオムナス。かつては大人気のデッキでしたが、まずは《空を放浪するもの、ヨーリオン》、この間は《豆の木をのぼれ》と《激情》が禁止され、今ではすっかりモダンで姿を消してしまいました。 そんなオムナスが新たな相棒を引き連れてモダンに帰ってきました!それが《神経質な予見者、ヘルガ》です。マナ総量が4以上のクリーチャー呪文を唱えるたびに自身を強化し、ライフを得て、ドロー。更にタップすることで、マナ総量が4以上のクリーチャーやXのクリーチャーに使用できるマナを、自身のパワー分生み出せるという、オムナスが待ち望んでいたクオリティのカエルです。《創造の座、オムナス》、《孤独》、《緻密》の3種で誘発し、その内《孤独》と《緻密》はピッチスペルなので、手札の消耗を抑えながら0マナで相手に干渉し、その間に《神経質な予見者、ヘルガ》が大きくなっていきます。禁止された《豆の木をのぼれ》のようなカードですね。ライフを得ながら自身を強化していくのは《豆の木をのぼれ》にはない《神経質な予見者、ヘルガ》の強み。《緻密》で誘発するのも大きいですね。4cオムナスはモダンでも非常に人気のアーキタイプ。復権するのか注目ですね!

【デッキ解説】黒単無駄省き(パイオニア)

2024.08.01

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こんにちは。 細川 侑也(@yuyan_mtg)です。 本日ご紹介するのは、パイオニアの黒単無駄省きです!エリア予選でも1度だけ使用し、権利を賭けた最終戦で敗北してしまったものの、それなりに回して納得のいく75枚が完成したので、ぜひ参考にしてみてください。 黒単無駄省きとは? その名の通り、《無駄省き》を活用した黒単の手札破壊デッキです。《無駄省き》は、対戦相手が手札からクリーチャーを捨てるとトークン生成、土地を捨てると黒マナが2つ、それ以外を捨てると1ドローできるエンチャント。 このカードを置いて手札破壊を撃ち、手札をボロボロにしながらこちらだけリソースを得ていく、そんなちょっといやらしいデッキです。黒単無駄省きは、僕は黒単コントロールだと考えてデッキを構築しています。普通のリストよりも全体除去が多めなのはそのためです。相手とカードの交換を繰り返してこちらだけ《勢団の銀行破り》や《ロークスワイン城》でカードを引く。この動きに重きを置いています。余談になりますが、デッキを組む際に「このデッキはアグロ・ミッドレンジ・コントロール・コンボのどれに該当するのか?」を考えるのは非常に重要です。デッキの性質を理解していないと、正しいカード選択は難しいのです。「そんなことは当たり前だ」と思っている方は、次にサイドボーディング後について考えてみると良いでしょう!特に攻めと守りの両方を行うミッドレンジです。ビートダウン相手にコントロールとして立ち回ろうとする時、そのサイドボーディングは本当に適切でしょうか?サイド後にあなたのデッキはコントロールになっていますか?コントロールデッキになっていないのに、コントロールしようとしていませんか?ゲームに勝つには、まず己を知るところから! デッキリストとカード解説 メインボード 黒単無駄省きには様々なクリーチャーが採用されています。《最深の裏切り、アクロゾズ》や《敵意ある調査員》ですね。ですが、僕はどちらのクリーチャーも不要という結論に至りました。まず《最深の裏切り、アクロゾズ》のような「除去されてもまた場に戻ってくる」ようなフィニッシャーですが、手札破壊を大量に撃つこのデッキにはあまり向かないと感じました。どうせ場に出て除去されませんし、生き残った時のインパクトは、5マナのクリーチャーと考えるとさほど大きくありません。いや、弱くはないのですが、《黙示録、シェオルドレッド》が強すぎるんですよね。《敵意ある調査員》に関してはもう少し悪く、4マナで1枚ハンデスはコスパが悪すぎます。手札破壊にかかるマナは少なければ少ないほどよく、1マナで1枚が基本。これはパイオニアの速度に対して、3~4ターン目にただの手札破壊を打つだけでターンを終えるという行為が遅すぎると感じたためです。しかも《敵意ある調査員》のおまけである手がかりを出す能力も、1度手札が空になった相手には無力。よく4/3が棒立ちになります。その点、《黙示録、シェオルドレッド》は生き残った時のインパクトが凄まじい。《ロークスワイン城》はほぼ起動し放題になりますし、ライフレースもほぼ無にします。黒単無駄省きの大量に入っている手札破壊を最も活かせるのがこの《黙示録、シェオルドレッド》だと思いました。毎ゲーム引きたいカードなので3枚に増やしましたが、かぶって困るケースはありませんでした。 デッキ名を冠しているこのエンチャントですが、決して《無駄省き》への依存度が高くないのがこのデッキの良さ。もちろん2ターン目に設置して《真っ白》や《思考囲い》を連打すれば瞬く間にゲームに勝てますが、引かなくともハンデスと《勢団の銀行破り》で勝つことができます。《無駄省き》はあくまでオプションです。とはいえ、手札破壊がこれだけ入っているので、引けばちゃんとカードとして機能してくれます。相手の手札が空になった後も《ガイアー岬の療養所》があれば誘発するので、後半引いても腐ることはあまりありません。僕は《無駄省き》を「マナのかからない《勢団の銀行破り》」程度の認識で使っています。1マナの手札破壊は、7枚や8枚などを試して、結果6枚に落ち着きました。《思考囲い》は最早説明の必要もなく絶対に4枚入りますが、《強迫》についてはそれなりに腐るマッチがあったり、抜けても《致命的な一押し》だけで意味がないことも多いので、2枚にとどめています。《致命的な一押し》を落としたいのは最終的に《黙示録、シェオルドレッド》を出す瞬間だけであり、ラクドスのように「序盤の《税血の収穫者》を倒されたくない」という状況も起きないので、《致命的な一押し》を落とす優先度は低いのです。また、初手に《思考囲い》しかなかった場合はとりあえず《鏡割りの寓話》を落とします。その後に引いた《強迫》は《致命的な一押し》しか抜くものがない、といった裏目も起きるので、《強迫》をメインに3枚入れるのはリスクが高いと思っています。《思考囲い》から《勢団の銀行破り》。これだけで勝ってしまうこともあるほどの強力なアクションなので4枚です。《精神迷わせの秘本》と散らして使っていましたが、最終的にクロックになるのが強く、4回引けることよりも重要でした。《精神迷わせの秘本》を引いた時に毎回「これが《勢団の銀行破り》だったらなぁ…」と思っていましたからね。特に語ることもなく4枚です。意外と紛争しないデッキなので、《勢団の銀行破り》で出てくる宝物は重宝します。これも《勢団の銀行破り》のメリットですね。《廃墟の地》と《解体爆破場》でも紛争を達成するので、むやみに使うのは禁物です。プレインズウォーカーに触りづらい、《血管切り裂き魔》に対して使えるという2点で採用されています。最初は「こんな除去で大丈夫か?」と心配していましたが、使い勝手がよく、4枚の時期もありました。《薄暮軍団の盲信者》から《傲慢な血王、ソリン》《血管切り裂き魔》という展開に対しては《シェオルドレッドの勅令》は弱いですが、《シェオルドレッドの勅令》が手札にあれば《致命的な一押し》を《薄暮軍団の盲信者》に当てられますし、あまり問題はなかったです。個人的にはこのデッキで4枚必須だと思っているカード。《血管切り裂き魔》を除去する手段としても良し、《勢団の銀行破り》が減っている今ならラクドスに対しても強いカード。除去と手札破壊のどちらも使用できますし、プラス能力は《無駄省き》と噛み合います。《黙示録、シェオルドレッド》の項目でもお話しましたが、手札破壊は軽ければ軽いほどよく、3マナの手札破壊はあまり入れたくありません。しかし、《無駄省き》を有効活用したいなら手札破壊を入れざるを得ない。その点、《ヴェールのリリアナ》は完璧です。最初にマナこそ払いますが、除去として使った後は手札破壊で《無駄省き》を誘発させられ、しかも支払うマナは0です。《無駄省き》と《ヴェールのリリアナ》の相性はよく、ここは4枚ずつで動かないと思っています。サイド後はより最適なカードと入れ替わりやすく、1枚抜くことはありますが、メイン戦では除去と手札破壊のどちらにもなることから、腐りづらく、非常に便利なカードです。弱すぎてどんどん枚数が減ったカード。《血管切り裂き魔》が出てきた返しに《真っ白》を打てますか?打てません。イゼットフェニックスに対してのみ強いカードですが、他のマッチでは基本的には最悪です。とはいえ、2枚程度入れておくとアマリアの《戦列への復帰》と《救出専門家》を潰せること、イゼットフェニックスに対しての勝率は担保しておきたい、《無駄省き》下では使用に耐えうる(3マナ支払って土地を捨てたら2マナが出て追加アクションが取れ、クリーチャーを捨てればブロッカーが立つため)カードなので、2枚のみ採用しています。数ある全体除去の中でも1、2を争うぐらい好きなカード。クリーチャーが入っていないデッキにも《外科的摘出》のように使用できるって素晴らしい。特にアマリアと吸血鬼に強く、それぞれのキーパーツである《アマリア・べナヴィデス・アギーレ》と《血管切り裂き魔》を抜いてしまえば勝利目前です。手札破壊と布告系除去を警戒して、相手はカードを手札で温存してくることはあまりなく、基本は全展開となります。なので《死人に口無し》はよく刺さってくれます。黒単無駄省きはコントロールデッキで、毎ターン土地を置きたい。にもかかわらず伝説の土地である《ガイアー岬の療養所》は3枚入っています。なので、土地は多めの27枚です。バリューランドが《ロークスワイン城》、《廃墟の地》、《解体爆破場》、《目玉の暴君の住処》、《ガイアー岬の療養所》と14枚あるので、土地を引きすぎて困ることはさほどありません。土地が詰まって2アクション起こせなかったり、5マナ目を引けずに《死人に口無し》が打てないことの方が問題です。《地底街の下水道》は《死人に口無し》の証拠収集を助けることもでき、気に入っています。《沈んだ城塞》は2ターン目に《廃墟の地》が起動できること以外はあまりメリットがなく、《ロークスワイン城》がアンタップインできない状況が頻発して許せませんでした。《見捨てられたぬかるみ、竹沼》は入れても入れなくてもどっちでもいいのですが、拾うカードが大したことなく、やはり《ロークスワイン城》がアンタップしないことが腹立たしかったので入れていません。 サイドボード 主にラクドスとコントロール全般、5cニヴにも入れます。 対ラクドスは手札破壊の撃ち合いを経て、《血管切り裂き魔》と《鏡割りの寓話》との戦いになります。1対1交換を繰り返していくと《鏡割りの寓話》分不利になるので、こちらは《勢団の銀行破り》を用意しておきたいのですが、相手の《思考囲い》で抜かれることもあります。かといって、《勢団の銀行破り》の上から《精神迷わせの秘本》を増やすのは限界があります。ラクドス吸血鬼は比較的早いデッキで、従来のラクドスミッドレンジよりも早いゲームを仕掛けてきます。《精神迷わせの秘本》と《勢団の銀行破り》を4枚ずつ入れると手札にそればかり溜まってきます。そこで、リソースと除去を兼ねる《絶望招来》が一番良いと考えました。ニヴにも《絶望招来》連打が一番です。アマリアに対して軽い除去を増やしても結局《救出専門家》と《戦列への復帰》で戻されて意味がなかったので、追放除去を入れることにしました。最初は《未認可霊柩車》などをサイドに取り、アマリアに対してもサイドインすることで解決しようとしたのですが、あまりにただの墓地対策が弱すぎたのでやめました。《真っ白》を残したこともありますが、探検で手札が増えた瞬間に打つ気が失せたので、やはりナシ。結局墓地対策を入れるのではなく、全体除去かつ墓地対策の《影の評決》で解決することにしました。緑単とロータスに。緑単は特に少し減速すれば《黙示録、シェオルドレッド》や全体除去に辿り着けるので、《減衰球》でターンを遅らせるのは重要。アマリアや白単などのアグロデッキに対して。アマリアへの意識はかなり強いです。《救出専門家》、絶対に使わせない!アマリアや白単への追加です。《強迫》を抜いてカードを増やすのでデッキが少し重くなるのが気になり、1マナの除去が少し欲しいと思いました。《切り崩し》はカウンターが乗った《アマリア・べナヴィデス・アギーレ》と《野茂み歩き》を倒せないのでダメです。ラクドス、コントロール全般に。先ほどは《強迫》の弱いところを話しましたが、サイド後はラクドス相手に《強迫》を増やしてもOKです。サイド後の戦いでは相手も不要カードを抜いてその分スペルが入るので、《強迫》の当たりが増えるためです。こちらもアマリアを主に意識しています。場に残った時に強いカードは黒単無駄省きと相性が良いので、《ゲトの裏切り者、カリタス》も相性抜群です。トップデッキで除去引かれたらキレましょう。 基本的な回し方 手札破壊と除去で1対1交換を繰り返していき、《勢団の銀行破り》や《ロークスワイン城》でこちらだけ手札を増やし、そのリソース差で勝利しましょう。意識すべきはとにかく相手のカードとの交換です。カードを1枚ずつ交換していったら勝手に有利になっていくので、手なりでプレイしていっても気づいたら有利になっています。すごいデッキですね!《ロークスワイン城》を起動してから何かアクションを起こしたりなど、とにかく毎ターンマナを使うデッキなので、手札破壊を温存することはあまりなく、どんどん1ターン目から打ってしまいます。《無駄省き》、《思考囲い》と両方揃っている時は3ターン目に《思考囲い》を打ちたいかもしれませんが、相手の知らないゲーム1では絶対に1ターン目《思考囲い》から入りましょう。 相手に《思考囲い》を撃たれたら悲惨なことになりますし、《無駄省き》から《思考囲い》を打ってもただの1ドローにしかなりません。3ターン目の1ドローより1ターン目の《思考囲い》の方が価値があります。1対1交換を繰り返すコントロールデッキであることを念頭に置いて回しましょう! TIPS 《無駄省き》は様々なディスカードに対して誘発する 《鏡割りの寓話》の2章や《天上都市、大田原》などの魂力、様々なカードで《無駄省き》は誘発します。 最初は特に忘れがちなので注意しましょう。 《ヴェールのリリアナ》はプラス必須ではない プレインズウォーカーは基本的にプラスし得なものばかりですが、《ヴェールのリリアナ》はちょっとクセがあります。プラスした結果、自分が損することもあるのです。たとえばこちらの手札がすべて有効牌だったなら、あえてプラスしないのも手です。相手はいらない除去などを捨て、こちらが有効牌を捨てたら損します。《ヴェールのリリアナ》をプラスして得られるリターンは、次のターンのマイナス2ぐらいです。もちろん、相手の手札を絞っていくと、《ヴェールのリリアナ》はどんどん強くなります。3枚からならいらない除去を捨てることになりますが、2枚になれば良いカードを奪える確率は上がりますからね。なので実際は有効牌しかない手札でも、プラスをする場面は多いです。ただ、プラスが必須ではないということは覚えてプレイしましょう。 《死人に口無し》の証拠収集を意識しよう このデッキはほとんどのカードが軽いため、証拠収集6を達成するのは意外と大変。しかし、5ターン目に達成して打ちたい状況も多い。最も満たしやすいのは《思考囲い》+《シェオルドレッドの勅令》+《ヴェールのリリアナ》による6。《ヴェールのリリアナ》を引いている場合は捨てるカードで証拠収集6を満たせるようにしましょう。返しで相手が《ヴェールのリリアナ》を落としてくれば3増えるので、《ヴェールのリリアナ》を引けばそこそこの確率で条件達成できます。5ターン目に達成できるかで対アマリアの勝率は大きく変わります!  サイドボーディングガイド 対ラクドス吸血鬼 +4《絶望招来》+1《強迫》ー2《真っ白》ー1《致命的な一押し》ー1《死人に口無し》ー1《黙示録、シェオルドレッド》 対アマリア +3《影の評決》+2《ゲトの裏切り者、カリタス》+2《軍団の最期》+1《レイ・オヴ・エンフィーブルメント》ー2《無駄省き》ー2《強迫》ー2《真っ白》ー1《黙示録、シェオルドレッド》ー1《ヴェールのリリアナ》 対イゼットフェニックス +1《強迫》ー1《ヴェールのリリアナ》 対緑単 +2《減衰球》+3《影の評決》ー2《死人に口無し》ー2《真っ白》ー1《ヴェールのリリアナ》 対アゾリウスコントロール +1《強迫》+4《絶望招来》ー1《死人に口無し》ー4《致命的な一押し》 対5cニヴ +1《強迫》+4《絶望招来》ー1《シェオルドレッドの勅令》ー4《致命的な一押し》 対ゴルガリ《陰湿な根》 +2《軍団の最期》+2《ゲトの裏切り者、カリタス》+3《影の評決》ー2《真っ白》ー2《黙示録、シェオルドレッド》ー3《死人に口無し》 『ブルームバロウ』で試してみたいカード そして今回は、黒単無駄省きで試してみたい『ブルームバロウ』のカードを紹介します!土地なら2枚、土地以外なら1枚を捨てさせられる手札破壊。手札破壊としては二流ですが、レベルアップした時にまあまあ強いですね。特に最初のレベルアップが軽いのが魅力。黒単コントロールだった無駄省きですが、もしかしたらこのカードを4枚入れて、追加で《はぐれ影魔道士、ダブリエル》なども入れることで、早期決着を目指す形が作れるかもしれません。追放なので《無駄省き》とは噛み合わないが、それ以外は中々完璧な1枚。カード1枚を贈呈するというデメリットが、黒単無駄省きには薄いので、実は贈呈系カードは色々と見ています。引かれたカードがインスタントや瞬速以外なら、そのまま《ヴェールのリリアナ》などでディスカードさせられるので、贈呈のデメリットを帳消しにできるのです。贈呈したらリソースになりますし、試したい1枚。《真っ白》を抜くことになりそう。まさにその「カード1枚を贈呈する」と書かれているカード。《血管切り裂き魔》を安心して倒せる除去です。《黙示録、シェオルドレッド》を回収しながら相手にカードを引かせて、そのカードを《ヴェールのリリアナ》で捨てさせる…なんて動きができるかも。 終わりに 今回は黒単無駄省きの解説でした!明日は『ブルームバロウ』発売日!黒単無駄省きにはどんなアップデートが入るのでしょうか?デッキに関する質問などは、僕のXアカウント(@yuyan_mtg)まで遠慮なく!それではまた!

【ゆうやんのデッキメモリー】初めてのデッキ"ブルードスター親和"

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2024.07.31

mtg Yuyan

皆さんこんにちは。 ゆうやんのデッキメモリーは、今年でマジックを初めて21年目になる僕が、思い出に残っているデッキを紹介していく記事です。 昔を知っている方は一緒に懐かしんで、知らない方は昔話にお付き合いください! マジックとの出会い 僕がマジック:ザ・ギャザリングと出会ったのは、中学生の時だった。 僕の地元は中野駅に自転車で行ける距離で、その日も特に理由もなく、中野で遊ぶことに。常に人で賑わう中野サンモールを、特に何か買うわけでもなく歩き、そのままブロードウェイへ。いつもは2階に上がってそのアングラな雰囲気を楽しむところだったが、その日はなぜか1階をもう少し歩いてみることにした。そして…一件の店の前で立ち止まった。ただでさえ狭い店内に置かれているショーケース。その中にはカードが並び、小さい机では2人の大人がカードゲームをプレイしていた。小学校で遊戯王は流行っていたから、カードゲーム自体はもちろん馴染みがあったが、大人がカードを遊んでいるのを見たのは初めて。なかなかの衝撃だった。そのお店はアメニティドリーム中野店。後に知ることになるのだが、そこで遊んでいたのは、アメニティドリームの社長と副社長。興味津々にショーケースを見つめる僕に、2人は話しかけてくれた。「プロとかもいて、賞金がもらえるんだよ」「うちのお店にもプロが遊びに来てるんだよ」そのお店によく遊びに来るというプロは、日本人初の殿堂表彰者、ローリー(藤田 剛史)さんで、それから20年後にローリーさんと僕が焼肉を食べることになるのだから、人生とはわからないものだ。「プロがいて、賞金をもらっている」その言葉は、中学生の僕には衝撃的すぎた。そして中学生がなけなしのお小遣いでデッキを組むには、それは十分すぎる言葉だった。 ブルードスター親和 「今が一番いい時だよ!今ならめちゃくちゃ強いデッキが安く組めるよ!」今聞くと実に胡散臭い言葉だが、言われるがままに組んだデッキは、今考えてもすごく安くて強く、その言葉通りだったと思う。 悪名高き初代『ミラディン』の代名詞ともいえるデッキ、親和だ。当時トップレアだった《金属モックス》は3000円で当然買うことはできなかったが、それでも十分な強さだった。 このデッキはほとんどのカードがコモンで、レアの《ブルードスター》も1枚80円。確か一番高いカードは《空僻地》で300円程度。その次は150円の《稲妻のすね当て》、100円の《知識の渇望》だったと思う。後は全部10円で買ったはず。デッキコンセプトは単純。アーティファクトを並べて親和を稼ぎ、《金属ガエル》、《マイアの処罰者》、《厳粛な空護り》、《ブルードスター》を高速召喚する。《稲妻のすね当て》で《ブルードスター》を突然走らせたり、0マナで《マイアの処罰者》や《金属ガエル》を出して《踏みにじり》と《分散の盾》を構えるなど、突然死のあるクロックパーミッションだった。特に《分散の盾》と親和クリーチャーの相性の良さは目を見張るものがあった。《マイアの処罰者》を出していればほぼ2マナの《対抗呪文》だし、《金属ガエル》でも《神の怒り》を打ち消せる。《分散の盾》と親和クリーチャーたちの相性の良さに驚き、「似たようなカードですごいことできないかな?」と大人たちに聞いた結果、《流れ込む知識》を見つけた時は感動したものだ。《ブルードスター》で10枚引いたことがある人、友達になりましょう!このデッキを使ってアメニティドリーム中野店に毎日行き、とにかく対戦しまくっていたが、勝率は8割ぐらいあったはず。みんなカジュアルデッキで遊んでくれていたおかげだろうけど。ここでたくさん勝たせてもらったから、マジックというゲームにのめり込んでいったのだと思う。その内、アメニティドリーム中野店以外の場所でもマジックを遊びたくなった僕に、社長は「フライデーナイトマジック」の存在を教えてくれた。僕がマジックに更にのめり込むきっかけになり、そして人生で初めて出たフライデーナイトマジックで《アクローマの復讐》に1対8交換を取られて泣くことになるのだが、それはまた少し先のお話。

【週刊メタゲーム通信】圧倒的ナドゥ環境に切り込む、ルビーストームとマルドゥサクリファイス

ピックアップ

2024.07.30

mtg Yuyan

こんにちは。 細川 侑也(@yuyan_mtg)です。 毎週、最新のメタゲームをデッキリストと共にお届けするこの記事。今回は大型トーナメントが行われたモダンのメタゲームをお届けします! 最強デッキは今週も最強だった! 今週行われた大型大会、SCG CON Baltimoreを制したのはバントナドゥ。トップ8に5人、更にはその上位5つを独占と、圧倒的な勝率を誇っています。 バントナドゥ SCG CON Baltimore:優勝 By Derek Pite   バントナドゥは《召喚の調べ》と《召喚士の契約》でクリーチャーをサーチできることから、1枚差しのクリーチャーを多く入れることができ、細かいチューンでも差が出やすいデッキ。最近ではメインの《荒れ模様のストームドレイク》、《陽光浄化者》は鉄板で、《荒れ模様のストームドレイク》に至っては5名すべてが採用しています。《荒れ模様のストームドレイク》はもちろんミラーマッチ対策で、このカードをデッキに入れているだけで、Ⅹ=2で相手の《有翼の叡智、ナドゥ》を奪えるようになるため、コンボを阻害し、逆にこちらが決められるようになります。まずほぼすべてのバントナドゥが採用しているので、相手が《召喚の調べ》を構えていそうな時は、うかつに《有翼の叡智、ナドゥ》を出さないようにしましょう。《森を護る者》を出せるようになるまで待機です。《荒れ模様のストームドレイク》はナドゥミラーでの対策以外にも、疑似的な除去としても使用できます。《偉大なる統一者、アトラクサ》や《濁浪の執政》など、エネルギーを支払いきれない場合でも、交換して生け贄に捧げるだけなので、実質的な除去になるのです。《陽光浄化者》はボロスエネルギーとジェスカイコントロールに効果的な1枚。特にジェスカイコントロールは除去を《電気放出》と《空の怒り》に頼り切っているため、《陽光浄化者》1枚で詰んでしまうこともあります。ジェスカイを使うプレイヤーは《陽光浄化者》を意識して、《至高の評決》や《虹色の終焉》を少し入れた方が良いでしょう。最近では《力線の束縛》を入れたリストも見かけますが、《陽光浄化者》に強いので、個人的にオススメです。呪文枠は《召喚の調べ》4枚、《手甲》4枚、《召喚士の契約》2枚がテンプレで、人によって《手甲》《召喚士の契約》の枚数が1枚減ったりといった程度。残りの枠は何かしらのドローカードが入っています。《時を解す者、テフェリー》は同型では強力な1枚で、《荒れ模様のストームドレイク》に怯えずにコンボを開始できます。《一つの指輪》は同型では隙になりやすいカードですが、エネルギーや黒単などに強い1枚。サイドボードに複数枚入れている人も多いですね。そして《邪悪鳴らし》は0枚か3~4枚に分かれるカード。ここは《根の壁》とスロットを争っています。《根の壁》は《召喚の調べ》を打ちやすくするカードですが、マナを生み出すしか使い道のないカードで、一方《邪悪鳴らし》はコンボパーツを揃えるカード。こちらも落とし子を生み出すため、マナ加速が可能です。これについてはどちらが良いか結論は出ていませんが、個人的には《根の壁》を4枚入れるのは多いと感じています。1マナ域が大量にあるデッキならば《根の壁》+1マナと動きやすく、バリューを出しやすいのですが、現状では《召喚の調べ》を打ちやすくするためだけのカードな印象。《春心のナントゥーコ》もあるので、《召喚の調べ》自体はあまり打ちづらいとは思いません。そのため、今は《邪悪鳴らし》派になりつつあります。意外と2枚ずつとかにしても良いかもしれませんね。   最速2ターンキルの脅威 さて、そんなバントナドゥ祭りのトップ8に名を連ねたのがルビーストーム。『モダンホライゾン3』発売直後のトーナメントで結果を残し、プロツアーでは負け組だったものの、その後じわじわと勝ち始めています。 ルビーストーム SCG CON Baltimore:6位 By Jackson Dillard 《ルビーの大メダル》か《モンスーンの魔道士、ラル》を出して《捨て身の儀式》《発熱の儀式》でマナを増やし、《レンの決意》《無謀なる衝動》でライブラリーを掘り進め、《炎の中の過去》でそれらを再度使い回し、最終的に《願い》からの《ぶどう弾》で勝利するデッキ。特に《モンスーンの魔道士、ラル》はマナ軽減を行いながら、最終的には自身が強力なドロースペルになるという、ストームのために生まれてきたカード。ルビーストームは『モダンホライゾン3』で生まれた強力なデッキの1つです。最速2ターンキルもできるデッキということで、環境初期で活躍しました。その速度はバントナドゥを上回り、更にバントナドゥは干渉手段に乏しいデッキなため、特に先手ではストームが圧倒的に有利です。しかし、ストームはバントナドゥと違って対策しやすいデッキでもあります。《ドラニスの判事》、《減衰球》など大量の対策カードの前に屈し、プロツアーでは沈黙していました。このリストは《探索するドルイド》を採用しているのが特徴的。追加のドローとして機能するだけでなく、フィニッシャーとしても優秀で、特にサイド後は対策カードを無視して《探索するドルイド》で殴りにいく場面も多いでしょう。今はストーム対策が減ってきており、バントナドゥに対しては構成上不利になることはまずありません。メインに少し《有翼の叡智、ナドゥ》を除去できるカードを入れれば、後手でも勝機は十分にあるでしょう。入れるなら個人的には《四肢切断》が良いと思います!《モンスーンの魔道士、ラル》のコインフリップに負けて死んだら…俺を恨んでください。 進化するエネルギー 《魂の導き手》《オセロットの群れ》《色めき立つ猛竜》と、『モダンホライゾン3』の強力なカードを詰め込んだボロスエネルギー。バントナドゥに苦手ではあるものの、その圧倒的なカードパワーの高さから人気を博し、一定の勝率もしっかり出ています。 マルドゥサクリファイス SCG CON Baltimore:8位 By KELLEN PASTORE   そのボロスエネルギーの派生がこのマルドゥサクリファイス。黒をタッチして《オークの弓使い》《マリオネットの見習い》《黄泉帰る悪夢》と、トークンが出るカード+リアニメイト手段を確保し、《ゴブリンの砲撃》を入れています。《ゴブリンの砲撃》は《ナカティルの最下層民、アジャニ》との噛み合いがすさまじいカード。猫を生け贄に捧げることで能動的に《ナカティルの最下層民、アジャニ》を変身でき、《ゴブリンの砲撃》が赤いので、0能力で大量のダメージを飛ばせます。《オセロットの群れ》をはじめ、トークン生成手段は大量にあるので、《ゴブリンの砲撃》を引くだけで一瞬で相手のライフは0になり、従来のエネルギーに加えて早いデッキになっています。 黒が入ったので《電気放出》が抜けて《致命的な一押し》になっていますが、これは《陽光浄化者》の流行を考えると良い変更だと思います。《ゴブリンの砲撃》があれば紛争達成は容易なので、《有翼の叡智、ナドゥ》を除去できるでしょう。ジェスカイコントロールの《空の怒り》は天敵ですが、黒を入れると《敵対するもの、オブ・ニクシリス》を採用できるので心配いりません。《オセロットの群れ》でコピーした日には、その瞬間に投了されることも。バントナドゥにも《過酷な指導者》がありますし、メイン戦でもライフを詰めて《有翼の叡智、ナドゥ》を倒せば勝てるので、決して相性が悪いわけではなく、実際にデータでもこの対戦は勝率50%。実は最強のデッキなのかもしれません!   総括   今週もバントナドゥは圧倒的な勝率を収めましたが、そのナドゥの弱点を突くデッキも徐々に勝ち始めています。特にルビーストームは徐々に入賞数を増やしており、《ドラニスの判事》と《減衰球》が少ない世界なら、天下を取る日も近いかもしれません。そしてアンフェアなモダン環境における最後の(?)良心、ボロスエネルギーも黒を足して進化を遂げています。特に《有翼の叡智、ナドゥ》を除去しづらかった《電気放出》が《致命的な一押し》に代わっているのは大きいでしょう。《貴族の教主》や《極楽鳥》を採用しているリストも増えてきたため、《オークの弓使い》も刺さる状況が増えています。今週もナドゥは勝ち続けるのか?それともナドゥを意識したデッキが勝ち上がるのか?はたまた全く新しいデッキが生まれるのか。カードプールが広いモダンだからこそ、新デッキの活躍を期待できるのもモダンの魅力。また来週のメタゲーム通信でお会いしましょう!  

【今週のピックアップデッキ】バーシングナイトメア/セレクティブオラクル/ぐるぐるストーム

2024.07.26

mtg Yuyan

こんにちは。 細川 侑也(@yuyan_mtg)です。 今週のピックアップデッキでは、ちょっと珍しいデッキを、軽い解説を交えて紹介していきます。 バーシングナイトメア(モダン) モダンリーグ:5-0 By MisterAsiago 《ネクロポーテンス》のリメイクとして登場した《ネクロドミナンス》。 このように、往年の名カードが『モダンホライゾン3』ではカードパワーを調整して収録されています。《出産の儀》と《黄泉帰る悪夢》もその中の1つです。 《出産の儀》の元となったのは《出産の殻》。スタンダードでも活躍したこのカードですが、サーチはカードプールが広くなればそれだけ強くなるもの。モダンでは《出産の殻》を起動して1マナのクリーチャーを生け贄にすれば即勝利できるので、現在禁止されています。そして《黄泉帰る悪夢》の祖先はnWoでお馴染みの《繰り返す悪夢》。クリーチャーを生け贄に墓地のクリーチャーをリアニメイトできるこの強力なエンチャント。この2種類のエンチャントを駆使して戦うのが、このゴルガリカラーのサクリファイスデッキ、バーシングナイトメア。デッキの構造は緑黒の生け贄シナジーを活用したビートダウンデッキです。その中核を担うのは《巣穴の魂商人》。クリーチャーを生け贄にすることで宝物を生み出すこの強力なカードは、自身がゾンビなので、《墓所這い》を墓地から唱えることができます。そしてその《墓所這い》を生け贄にして宝物を生み出し、その宝物で《墓所這い》が帰ってきて…ライフの数だけ《墓所這い》を生け贄に捧げることができます。ここに《マリオネットの見習い》が加われば、自分の方がライフが多ければ先に勝利できますし、《密偵長の大霊堂》で大量の謀議も可能です。デッキのキーとなる《巣穴の魂商人》をライブラリ―の上7枚から探せる《出産の儀》、そして除去された際の釣る手段として《黄泉帰る悪夢》が採用されています。《出産の儀》で生け贄にした2マナクリーチャーを、次のターンに《黄泉帰る悪夢》で戦場に戻すなど、この2枚は非常に噛み合っています。墓地利用デッキがお好きな方はぜひお試しください! セレクティブオラクル(モダン) モダンリーグ:5-0 By AcquireCardboard 《タッサの神託者》と言えば、様々なコンボデッキのフィニッシャーとして活躍するカード。その中でも一番最初に注目されたのは、《パラダイム・シフト》とのコンボでしょう。たった4マナによる2枚コンボ、しかもそれがどちらも青いので、レガシーで話題となっていました。そしてそのコンボは、モダンでも再現可能です。モダンには《パラダイム・シフト》はありませんが、似たカードはあります。それが《選り抜きの記憶》。本家と違い、追放できるのは土地だけ。その代わり追放するカードを文字通り選ぶことができます。「これじゃ意味がない」と思うかもしれませんが、安心してください。このデッキには土地が1枚も入っていないので、《選り抜きの記憶》を撃てばライブラリ―はなくなります!しかも、《パラダイム・シフト》と違って追放するカードは選べるので、ライブラリーを《タッサの神託者》1枚だけにして残りを追放することも可能。事実上《選り抜きの記憶》1枚コンボなのです。そして土地が0枚といえば?当然《ゴブリンの放火砲》の出番ですね。このデッキは《選り抜きの記憶》と《ゴブリンの放火砲》の2つのコンボを擁するデッキです。そして青単なので多くの妨害を積めるのも魅力。《否定の力》と《撹乱する群れ》はピッチの打ち消し呪文で、《朦朧への没入》は土地にもなるバウンス。最近トーナメントでの入賞数も増えているこのデッキ。人気のアーキタイプとなる日も近いかも? ぐるぐるストーム(モダン) モダンチャレンジ:4位 By mlex 《ぐるぐる》で《金粉の水蓮》をアンタップしてストームとマナを増やし、《精神の願望》を打つデッキ、ぐるぐるストーム。かつてスタンダードで活躍していたこのデッキは、形を変えてモダン環境で躍動しています。《ぐるぐる》はなんと現役ですが、アンタップする水蓮は睡蓮に代わりました。そう、コンボでお馴染みの《睡蓮の原野》です。この《睡蓮の原野》をアンタップしたり、マナが十分にあれば《一つの指輪》をアンタップするのが《ぐるぐる》の役割。《見えざる糸》は《睡蓮の原野》と《一つの指輪》を同時に起こせるスーパーカードです。《ぐるぐる》と《一つの指輪》の相性はすさまじく、アンタップして引いて2枚。またアンタップして3枚とどんどんドローする枚数が増えていきます。そしてこのぐるぐるストームに『モダンホライゾン3』から加わったのが《さびれた寺院》。その役割は単純で、《睡蓮の原野》をアンタップするだけ。いや、それだけで十分すぎる仕事なのですが。《記憶への放逐》も地味ながら強化ポイント。相手への妨害手段でありながら、自分の《睡蓮の原野》の誘発型能力も打ち消せるので、2ターン目に設置できるのです。ぐるぐるストームに強い対策カードは、今のモダンでは《減衰球》しか採用されていません。そのため、最近ではモダンチャレンジでも何度かトップ8入賞しており、流行の兆しを見せ始めています。パイオニアでロータスに魅せられた方々、モダンでもその魅力に酔いしれてみませんか?

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ピックアップ

2024.07.24

mtg Yuyan

こんにちは。 細川 侑也(@yuyan_mtg)です。 毎週、最新のメタゲームをデッキリストと共にお届けするこの記事。今回は8月からチャンピオンズカップファイナルの店舗予選も始まる、モダンの最新メタゲームをお届け! 白トップ3 第3位 3マナでクリーチャーを2体場に戻すだけでもそれなりに強いのに、相手にカードを贈呈するだけで3体目を場に戻せてしまうのは破格。 2マナ以下のクリーチャーでデッキを固めれば、場を壊滅されても一瞬でリカバリーできますし、生け贄を駆使したサクリファイスデッキで活用したらもっとスゴいことになるかも? パイオニアのアマリアコンボ…には《陽気な哀歌》の方が優先されそうなので少し厳しいか。   第2位 飛行クリーチャーでデッキを固めずとも、このクリーチャーが死亡するだけでも墓地からマナ総量2以下のクリーチャーを場に戻せるので、それなりに強力。本体のサイズもパワー3で飛行なので優秀ですね。 戻せるクリーチャーが飛行以外で良いというのも素晴らしいですね。   第1位 《修復の天使》を彷彿とさせるクリーチャー。追放されたクリーチャーが帰ってくるのは終了ステップの開始時なので、全体除去避けにも使用可能です。 対象に取ったクリーチャーが飛行カウンターが乗って帰ってきて、自身も飛行があるため、相手からしたらうっとうしいことこの上なし。 青トップ3 第3位   1マナで対戦相手のクリーチャーを戻し、魚を贈呈することで土地以外の好きなパーマネントに対象を変えられるインスタント。 今回登場した贈呈はドローが比較的多く、これは中々のデメリットになりますが、1/1の魚は非常に弱いので渡しても問題なし。 1マナで土地以外の好きなパーマネントを戻せるカードは実はかなり少なく、今でもレガシーのコンボデッキでは《蒸気の連鎖》が使われているほど。相手のサイドからのヘイトカードをバウンスし、そのままコンボを決めるにはマナコストが低ければ低いほど良いので、1マナのバウンスは最高です。 《黙示録、シェオルドレッド》を自分がサイドから入れる場合、《蒸気の連鎖》がデメリットとなるケースもあるので、もしかすると《洪水の大口へ》が使われるかもしれません。 第2位   僅か1マナで1/1の果敢を生み出せるのは強力。そのカードがマナを支払うとリソースを稼ぎ、最終的にトークンを大量に生成できるともなれば、これはもう使いたくなる1枚ですね。 起動コストが重いので、何かしらの方法で生み出したマナを使いたいところ。 《お告げの行商人》 と一緒に使いたい! 第1位 安定のルーター(カードを引いて捨てる)能力を持っているカワウソ。ルーター能力を持つクリーチャーは攻撃するか能力を使うか悩ましいですが、警戒がついているのでその心配はなし。そして果敢もあるので積極的に殴れます。 そして更にインスタントかソーサリーをコピー??さすがに能力つきすぎではないでしょうか。パワー3にするためには2回呪文を唱えれば、2回目の呪文はコピーできるので、条件も全く厳しくありません。 ぜひとも使ってみたいカード。 黒トップ3 第3位 今回登場した季節サイクルで最も使ってみたいと思ったのがこちら。 3体のクリーチャーを生け贄にして3ドローするのが基本的な使い方になりそうでしょうか。死亡しても大して困らないクリーチャーでデッキを構築すれば、相手のクリーチャーを3体除去しながら3枚引く、凄まじいカードになります。 白黒のトークン系デッキを組んでみたいですね。除去とリソースを兼ね備える素晴らしいカードとなるでしょう。   第2位   リアニメイトしたクリーチャーが伝説でなかったらそれのコピーを生成できる、ド派手なスペル。カード1枚を贈呈してもそれ以上のアドバンテージをこちらが得ていれば問題ないでしょう。 《宝物庫生まれの暴君》を吊り上げるのが良さそうですが、トークンが1/1なのは少し寂しい。トークンだから死亡しても《宝物庫生まれの暴君》が出てこないのもちょっとマイナス。 その点、 《嘶くカルノサウルス》はぴったりかもしれません。手札から捨てて3点を撃ち、5ターン目に《とぐろ巻きの再誕》で吊り上げて発見5×2。さすがに勝つでしょう! 第1位 《困窮》、強くなりすぎでは?衝撃を受けました。 ただの手札破壊として使っても及第点。贈呈していれば相手の手札を実質奪い取ることができます。 カードを引かせた後に手札からカードを抜けるので、手札にある一番強いカードを抜けるのは魅力的。 また、他の手札破壊と違い、相手の手札が0枚の時でも機能する可能性があります。カードを贈呈して、その引かせたカードが呪文なら、そのまま奪えますからね。 とりあえず新環境、黒いデッキを組むならまず4枚からスタートします。 赤トップ3 第3位   贈呈すればクリーチャーに2点、コントローラーに3点を与えるすごいカード。 新環境で赤単アグロを使うならまず4枚入れたいカードですが、2点で死ぬクリーチャーが環境に少なければ微妙ですね。 第2位 戦場に出た瞬間にライブラリ―を追放できるので、除去されても大丈夫。このカードが出れば1枚追放できるので、2点はとりあえず飛ばせますね。 既に場にパワー4がいれば4点。もちろん唱えることも可能です。 《荒野無頼団の先駆者》との相性は素晴らしい。3ターン目に計画しておいて、4ターン目に《荒野無頼団の先駆者》から《運命の大嵐、ドラゴンホーク》。カードを引きながら4点与える強ムーブ。 同マナ域には生き残れば最強の《骨集めのドラコサウルス》もいますが、果たしてどちらが使われるのか。個人的には戦場に出た時にとりあえず機能する《運命の大嵐、ドラゴンホーク》推し。 第1位 2マナ2/2速攻・果敢だけで赤単なら十分な性能。 そして雄姿能力もリソースを稼げる優れモノ。ちょうど今のスタンダードには《巨怪の怒り》があるじゃないですか!大量のダメージを与えつつ追加のリソースを稼げるのは素晴らしい。 《精鋭射手団の目立ちたがり》と《熾火心の挑戦者》は次環境の赤単の2マナ域として確定でしょう! 緑トップ3 第3位 マナクリーチャーでありながら強化もでき、マナが余っていればコピーも生成するというフクロネズミ。最近はマナクリーチャーも強くなってきていますね。 育てるのにマナがかからないのはかなり便利で、気付いたら無視できないサイズになっていることでしょう。 個人的には《アガサの魂の大釜》と一緒に使いたいカード。自身に勝手にカウンターが乗るので《アガサの魂の大釜》の能力を使いやすいですし、《アガサの魂の大釜》で《耕作する高原導き》を追放すれば2つの能力を使えるので、どちらでも美味しいカード。 第2位  カードを贈呈するとアドバンテージを失うのが普通ですが、このカードは2枚のアーティファクト・エンチャントを破壊できるので、贈呈させたとしても損しません。 《活性の力》が使いにくいデッキなら《削弱》にもチャンスはあるでしょう。下環境向けのカードですね。 第1位 クラスエンチャントはレベルアップ前の第一段階がどれだけ強いかが重要です。 スタンダードで最も使われたレンジャー・クラスは、出た時に2/2を生み出せて強力でした。 《亭主の才能》はとりあえず置いておけば《光輝王の野心家》相当の性能。しかもレベルアップコストは1マナと軽く、気軽に護法(1)を付与できるのはバカにできません。 レベル3になれば乗せるカウンターも倍になるので、2枚目の《亭主の才能》で一気に強化できるなど、複数枚引いても強い。 緑の定番カードとなること間違いなし。 多色トップ3 第3位   相手がライフを失っていればクリーチャーが強化された状態で出てきます。トカゲしか効果がないと思いきや、どんなクリーチャーも強くなります。 護法もビートダウンで使うなら強力。クリーチャーを除去して2点受けるなら、実質《大歓楽の幻霊》です。 《鱗の焦熱、ゲヴ》を主軸に据えたラクドスビートダウン、まずは組んでみたい。 第2位 クリーチャーを食物に変えちゃう可愛い猫ちゃん。ちょっとデカいけど可愛いです。 《大釜の使い魔》2枚で無限ドレインになるということで注目されています。場の《大釜の使い魔》は食物なので、生け贄に捧げることで墓地から《大釜の使い魔》を戻し、今度は復活した《大釜の使い魔》を生け贄にして墓地から《大釜の使い魔》を戻せば…それだけで無限ドレインです。 単純に相手のクリーチャーを食物にするのも強力。流行の《血管切り裂き魔》ですらただの食べ物です。 ゴルガリフード、組むっきゃない!   第1位 カワウソになったラル。素晴らしい。実に可愛いですね。 クリーチャーでない呪文を唱えると忠誠値が増えていくので、除去と相性が良いプレインズウォーカー。コントロールデッキやキャントリップの多いデッキで使いたいですね。 +で生成されるカワウソはキャントリップの多いデッキならそれだけで脅威。《焦熱の交渉人、ヤヤ》から出る果敢トークンも圧がありました。 ー3も3ドローと非常に強く、忠誠値を上げる自身の能力とも相性良し。 更にー10がほぼ即勝利なのも強力な点。一瞬で忠誠度が上がるので、見た目以上にプレッシャーがあるはずです。 総合トップ5  そして全色を含めたトップ5はこちら! 特に《蠢く機知、ラル》と《全てを喰らうもの、イグラ》は今すぐにでも使いたい! また、GOOD GAMEでは現在『ブルームバロウ』の各種ブースター・パックを予約販売中! この機会にぜひご予約ください!(ご予約ページはこちら)