こんにちは。
細川 侑也(@yuyan_mtg)です。
毎週、最新のメタゲームをデッキリストと共にお届けするこの記事。
今回は大型トーナメントが行われたモダンのメタゲームをお届けします!
最強デッキは今週も最強だった!
今週行われた大型大会、SCG CON Baltimoreを制したのはバントナドゥ。
トップ8に5人、更にはその上位5つを独占と、圧倒的な勝率を誇っています。
バントナドゥ
SCG CON Baltimore:優勝 By Derek Pite
バントナドゥは《召喚の調べ》と《召喚士の契約》でクリーチャーをサーチできることから、1枚差しのクリーチャーを多く入れることができ、細かいチューンでも差が出やすいデッキ。
最近ではメインの《荒れ模様のストームドレイク》、《陽光浄化者》は鉄板で、《荒れ模様のストームドレイク》に至っては5名すべてが採用しています。
《荒れ模様のストームドレイク》はもちろんミラーマッチ対策で、このカードをデッキに入れているだけで、Ⅹ=2で相手の《有翼の叡智、ナドゥ》を奪えるようになるため、コンボを阻害し、逆にこちらが決められるようになります。
まずほぼすべてのバントナドゥが採用しているので、相手が《召喚の調べ》を構えていそうな時は、うかつに《有翼の叡智、ナドゥ》を出さないようにしましょう。《森を護る者》を出せるようになるまで待機です。
《荒れ模様のストームドレイク》はナドゥミラーでの対策以外にも、疑似的な除去としても使用できます。《偉大なる統一者、アトラクサ》や《濁浪の執政》など、エネルギーを支払いきれない場合でも、交換して生け贄に捧げるだけなので、実質的な除去になるのです。
《陽光浄化者》はボロスエネルギーとジェスカイコントロールに効果的な1枚。特にジェスカイコントロールは除去を《電気放出》と《空の怒り》に頼り切っているため、《陽光浄化者》1枚で詰んでしまうこともあります。
ジェスカイを使うプレイヤーは《陽光浄化者》を意識して、《至高の評決》や《虹色の終焉》を少し入れた方が良いでしょう。最近では《力線の束縛》を入れたリストも見かけますが、《陽光浄化者》に強いので、個人的にオススメです。
呪文枠は《召喚の調べ》4枚、《手甲》4枚、《召喚士の契約》2枚がテンプレで、人によって《手甲》《召喚士の契約》の枚数が1枚減ったりといった程度。残りの枠は何かしらのドローカードが入っています。
《時を解す者、テフェリー》は同型では強力な1枚で、《荒れ模様のストームドレイク》に怯えずにコンボを開始できます。
《一つの指輪》は同型では隙になりやすいカードですが、エネルギーや黒単などに強い1枚。サイドボードに複数枚入れている人も多いですね。
そして《邪悪鳴らし》は0枚か3~4枚に分かれるカード。ここは《根の壁》とスロットを争っています。
《根の壁》は《召喚の調べ》を打ちやすくするカードですが、マナを生み出すしか使い道のないカードで、一方《邪悪鳴らし》はコンボパーツを揃えるカード。こちらも落とし子を生み出すため、マナ加速が可能です。
これについてはどちらが良いか結論は出ていませんが、個人的には《根の壁》を4枚入れるのは多いと感じています。1マナ域が大量にあるデッキならば《根の壁》+1マナと動きやすく、バリューを出しやすいのですが、現状では《召喚の調べ》を打ちやすくするためだけのカードな印象。《春心のナントゥーコ》もあるので、《召喚の調べ》自体はあまり打ちづらいとは思いません。
そのため、今は《邪悪鳴らし》派になりつつあります。意外と2枚ずつとかにしても良いかもしれませんね。
最速2ターンキルの脅威
さて、そんなバントナドゥ祭りのトップ8に名を連ねたのがルビーストーム。『モダンホライゾン3』発売直後のトーナメントで結果を残し、プロツアーでは負け組だったものの、その後じわじわと勝ち始めています。
ルビーストーム
SCG CON Baltimore:6位 By Jackson Dillard
《ルビーの大メダル》か《モンスーンの魔道士、ラル》を出して《捨て身の儀式》《発熱の儀式》でマナを増やし、《レンの決意》《無謀なる衝動》でライブラリーを掘り進め、《炎の中の過去》でそれらを再度使い回し、最終的に《願い》からの《ぶどう弾》で勝利するデッキ。
特に《モンスーンの魔道士、ラル》はマナ軽減を行いながら、最終的には自身が強力なドロースペルになるという、ストームのために生まれてきたカード。ルビーストームは『モダンホライゾン3』で生まれた強力なデッキの1つです。
最速2ターンキルもできるデッキということで、環境初期で活躍しました。その速度はバントナドゥを上回り、更にバントナドゥは干渉手段に乏しいデッキなため、特に先手ではストームが圧倒的に有利です。
しかし、ストームはバントナドゥと違って対策しやすいデッキでもあります。《ドラニスの判事》、《減衰球》など大量の対策カードの前に屈し、プロツアーでは沈黙していました。
このリストは《探索するドルイド》を採用しているのが特徴的。追加のドローとして機能するだけでなく、フィニッシャーとしても優秀で、特にサイド後は対策カードを無視して《探索するドルイド》で殴りにいく場面も多いでしょう。
今はストーム対策が減ってきており、バントナドゥに対しては構成上不利になることはまずありません。メインに少し《有翼の叡智、ナドゥ》を除去できるカードを入れれば、後手でも勝機は十分にあるでしょう。
入れるなら個人的には《四肢切断》が良いと思います!《モンスーンの魔道士、ラル》のコインフリップに負けて死んだら…俺を恨んでください。
進化するエネルギー
《魂の導き手》《オセロットの群れ》《色めき立つ猛竜》と、『モダンホライゾン3』の強力なカードを詰め込んだボロスエネルギー。バントナドゥに苦手ではあるものの、その圧倒的なカードパワーの高さから人気を博し、一定の勝率もしっかり出ています。
マルドゥサクリファイス
SCG CON Baltimore:8位 By KELLEN PASTORE
そのボロスエネルギーの派生がこのマルドゥサクリファイス。黒をタッチして《オークの弓使い》《マリオネットの見習い》《黄泉帰る悪夢》と、トークンが出るカード+リアニメイト手段を確保し、《ゴブリンの砲撃》を入れています。
《ゴブリンの砲撃》は《ナカティルの最下層民、アジャニ》との噛み合いがすさまじいカード。猫を生け贄に捧げることで能動的に《ナカティルの最下層民、アジャニ》を変身でき、《ゴブリンの砲撃》が赤いので、0能力で大量のダメージを飛ばせます。
《オセロットの群れ》をはじめ、トークン生成手段は大量にあるので、《ゴブリンの砲撃》を引くだけで一瞬で相手のライフは0になり、従来のエネルギーに加えて早いデッキになっています。
黒が入ったので《電気放出》が抜けて《致命的な一押し》になっていますが、これは《陽光浄化者》の流行を考えると良い変更だと思います。《ゴブリンの砲撃》があれば紛争達成は容易なので、《有翼の叡智、ナドゥ》を除去できるでしょう。
ジェスカイコントロールの《空の怒り》は天敵ですが、黒を入れると《敵対するもの、オブ・ニクシリス》を採用できるので心配いりません。《オセロットの群れ》でコピーした日には、その瞬間に投了されることも。
バントナドゥにも《過酷な指導者》がありますし、メイン戦でもライフを詰めて《有翼の叡智、ナドゥ》を倒せば勝てるので、決して相性が悪いわけではなく、実際にデータでもこの対戦は勝率50%。
実は最強のデッキなのかもしれません!
総括
今週もバントナドゥは圧倒的な勝率を収めましたが、そのナドゥの弱点を突くデッキも徐々に勝ち始めています。
特にルビーストームは徐々に入賞数を増やしており、《ドラニスの判事》と《減衰球》が少ない世界なら、天下を取る日も近いかもしれません。
そしてアンフェアなモダン環境における最後の(?)良心、ボロスエネルギーも黒を足して進化を遂げています。
特に《有翼の叡智、ナドゥ》を除去しづらかった《電気放出》が《致命的な一押し》に代わっているのは大きいでしょう。《貴族の教主》や《極楽鳥》を採用しているリストも増えてきたため、《オークの弓使い》も刺さる状況が増えています。
今週もナドゥは勝ち続けるのか?それともナドゥを意識したデッキが勝ち上がるのか?はたまた全く新しいデッキが生まれるのか。
カードプールが広いモダンだからこそ、新デッキの活躍を期待できるのもモダンの魅力。
また来週のメタゲーム通信でお会いしましょう!