【ゆうやんのデッキメモリー】ゴブリン召集

【ゆうやんのデッキメモリー】ゴブリン召集

皆さんこんにちは。

ゆうやんのデッキメモリーは、今年でマジックを初めて21年目になる僕が、思い出に残っているデッキを紹介していく記事です。

昔を知っている方は一緒に懐かしんで、知らない方は昔話にお付き合いください!

お年玉

皆さんは、お年玉で何を買ったか覚えているだろうか?

どうしても欲しかったゲームやオモチャ…当時手の届かなかったものたちを手に入れられる。お正月はそんな夢のようなイベントでもあった。

僕はというと、お年玉で買ったものをほとんど覚えていない。ゲームを買っていた記憶もあるが…何を買っていたのだろう。初めて買ってもらったゲームなら、スーパーファミコンのドンキーコングなのだが。

さて、そんな僕が唯一覚えているお年玉の買い物こそ、本日のお話。

当時学生時代だった僕は、当然好きなカードを買うお金などなかった。しかし、デッキに対する憧れはあった。どうしても組みたいデッキがあったのだ。

それがゴブリンだった。

アメニティドリーム中野店で最初にゴブリンと対戦した時、僕は衝撃を受けた。

スカークの探鉱者》から2ターン目に《ゴブリンの戦長》が出てきて、そこからゴブリンが速攻から飛び出し、巨大なサイズの《ゴブリンの群衆追い》に襲われる。
ただのビートダウンかと思いきや、《ゴブリンの名手》と《包囲攻撃の司令官》という飛び道具もある。
ゴブリンの名手》《包囲攻撃の司令官》《スカークの探鉱者》の組み合わせでライフが何点削れるかを計算するのはとても楽しかった。

だが、ゴブリンを組むのは学生時代、それもバイトすらしていない頃の少年にはとても厳しい。

なぜなら当時のゴブリンは非常に人気のある部族。スタンダードやエクステンデッド(今でいうモダン)で活躍しており、コモン・アンコモンが中心だったにもかかわらず、それぞれが100円から300円ほどしていた。

加えてデッキに必須の《ゴブリンの群衆追い》が4枚。これが2000円を超える高額レアで、とても手が届かなかった。
そんなとある日のことだった。

自宅の近くにあるゲーム屋、カメレオンクラブ。ここにはカードゲームのシングル取り扱いこそなかったが、遊戯王やマジックのブースターパックだけは販売していた。

余談だが、僕が初めてブースターパックを開封したお店はここ。わけもわからず『プロフェシー』を購入して《獣たちの女帝ジョルレイル》を引いた。
話を戻そう。このカメレオンクラブで、パックの横に構築済みデッキが置いてあるのを発見したのだ。

スカージのテーマデッキ、「ゴブリン襲来」を。

テーマデッキとは、当時エキスパンションごとに発売していた構築済みデッキ。そのセットの特徴的な能力や種族をテーマにしたデッキがいくつか発売していた。

その中でもゴブリン襲来は、人気すぎてショップで買うことができないデッキだった。

それもそのはず。当時100円ぐらいしていたコモンの《ゴブリンのそり乗り》が2枚。同じく100円の《火花鍛冶》が1枚。更に300円ほどしたアンコモンの《ゴブリンの戦長》も1枚入った上で、なんと1000円以上はしていた《包囲攻撃の司令官》まで入っていて、お値段なんと1500円!
しかもそのゴブリン襲来が2つ販売されていた。

これはもう運命を感じざるを得なかった。家に走って帰り、親にお小遣いの前借りを頼み、3000円を握りしめてカメレオンクラブに戻った。

売り切れていないか心配していたが、お店にはまだきちんと残っていた。息も絶え絶えにしっかりとゴブリン襲来を2つ購入し、その日からゴブリンを組む計画は始まった。

包囲攻撃の司令官》2枚と《ゴブリンの名手》4枚を、月のお小遣いで少しずつ集め、なんとか残り4枚を残してデッキが完成した。
そして元旦。その日は来た。

もらった1万円を握りしめ、池袋のカードショップへ向かう。お目当てはもちろんあのカード。

「《ゴブリンの群衆追い》4枚ください」


こうして、細川少年のゴブリン召集は完成した。

ゴブリン召集

各種ゴブリンを展開していくビートダウン。《ゴブリンの群衆追い》は攻撃している他のゴブリン1体につきパワーが2上がるので、たくさんのゴブリンで攻撃すると一瞬で相手のライフを削りきる。
包囲攻撃の司令官》を出して《ゴブリンの戦長》で速攻をつけると、一気にパワーが8上がる。さすがは当時のトップレア。
ゴブリンの名手》はタップすることで好きな対象に1点を飛ばすゴブリン。アンタップステップにアンタップしない代わりに、他のクリーチャーが死亡するたびにアンタップする。つまりタフネス1のクリーチャーを倒すとアンタップするので、何百体タフネス1がいようと《ゴブリンの名手》1枚ですべて撃墜できる。
ゴブリンの名手》の重要な点は、自分のクリーチャーの死亡時にもアンタップするところ。《スカークの探鉱者》でマナを産んでもアンタップするし、《包囲攻撃の司令官》でゴブリンを生け贄にしてもアンタップする。これにより大量のダメージを1ターンで与えることが可能だった。

ここに組み合わさるのが《総帥の召集》。選んだクリーチャー・タイプを持つカードが戦場に戻るソーサリー。勿論選ぶのはゴブリンだ。
これにより生け贄に捧げたゴブリンがすべて戻り、その中に《ゴブリンの戦長》がいればすべてが速攻を持つので…《ゴブリンの名手》と《包囲攻撃の司令官》の組み合わせであっという間にゲームセット。
神の怒り》などの全体除去に弱かった点も《総帥の召集》で補えており、ゴブリンと言えばゴブリン召集が定番だった(たぶん)。
親和しか回していなかった細川少年には、このゴブリン召集は刺激が強すぎた。多分家で毎日5時間は一人回ししていたと思う。

ちなみにお年玉で《ゴブリンの群衆追い》を買い、お小遣いを3ヵ月分前借りしていた、まるで45組の細川少年は、《血染めのぬかるみ》を4枚買うことをすっかり忘れており、フライデーナイトマジックに出るときだけ、毎回優しい大人に《血染めのぬかるみ》を借りていた。
この後、更に緑をタッチして《繁殖力》《鉤爪の統率者》《帰化》を採用したゴブリン召集を見つけ、憧れを抱いた細川少年。しかし、《血染めのぬかるみ》と《樹木茂る山麓》計8枚で約2万円という現実を突きつけられ、卒倒したのだった。