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【週刊メタゲーム通信】世はまさに大アグロ時代!最新のアグロは赤アグロメタに!

週刊 Standard

2024.12.10

mtg Yuyan

こんにちは。 細川 侑也(@yuyan_mtg)です。 今週はマジックオンライン上で行われた大会、Birds of Paradise Standard Spectacularから、最新スタンダード環境のデッキを紹介していきます。 ボロス果敢 Birds of Paradise Standard Spectacular : 優勝 By MicroPago 今のスタンダードはなんといっても赤天国!赤単、赤単タッチ緑、グルール、そしてボロスと様々な赤いアグロデッキが活躍しています。それを可能にしているのが《心火の英雄》《熾火心の挑戦者》《多様な鼠》の3種の赤いカードたち。早い打点とリソース、除去耐性とアグロデッキが欲しいすべてを持つのが今の赤アグロです。当然、これだけ赤いデッキが強ければ、あちこちでミラーマッチが発生します。そんな赤ミラーを制するのがこのボロス果敢です。デッキのベースは赤単。前述のように《心火の英雄》《熾火心の挑戦者》《多様な鼠》の組み合わせがしっかり採用されています。そこに加わる白要素が《呑気な物漁り》と《呪文書売り》。エンチャントが戦場に出るたびにクリーチャーを強化できる《呑気な物漁り》と、役割を生成する《呪文書売り》は相性抜群です。《呪文書売り》は《多様な鼠》を新生した次のターンなどに出しても非常に強く、占術で不要牌をライブラリーの下に戻せるため、序盤・中盤いつ引いても強いカードです。これだけでは白い要素が赤ミラーを制するようには見えないかもしれませんね。スペル枠を見ればその答えは一目瞭然です。そう、赤対策と言えばこれ!《幽霊による庇護》です。赤アグロは小粒なクリーチャーばかりなので《幽霊による庇護》の恩恵は受けにくいように思えますが、《多様な鼠》の二段攻撃や《呪文書売り》の強化を駆使することで、《巨怪の怒り》なども合わせてかなりのライフゲインが見込めます。もちろん《幽霊による庇護》はエンチャントなので、《呑気な物漁り》でしっかり強くなってくれます。《呑気な物漁り》でクリーチャーを強化できるので、他の赤いデッキに比べて《幽霊による庇護》を強く運用しやすいですね。《破片魔道士の救出》はグルールの《蛇皮のヴェール》のような使い方ができるカード。《呑気な物漁り》との相性は言うまでもありません。《悪魔の大騒動》まで採用されており、かなりエンチャントシナジーに寄せたリストと言えますね。除去しあうだけが赤ミラーではありません!《幽霊による庇護》で赤ミラーに強いボロス果敢、これから更に数が増えていくことになるかもしれませんね。   ジェスカイ召集 Birds of Paradise Standard Spectacular : 3位 By TheManLand ここ1~2週間ほどマジックオンラインで大流行しているのがジェスカイ召集。スタンダードでは長いこと存在しているアーキタイプですが、特に最近結果を残してきています。《ひよっこ捜査員》《遠眼鏡のセイレーン》で出した手がかりや地図に《上機嫌の解体》を打ち、クリーチャーを並べて《イーオスの遍歴の騎士》を出し、《イモデーンの徴募兵》を手札に加えて次のターンに一気に襲い掛かる。回った時にはどのデッキも手がつけられない、パイオニア級のアグロデッキです。攻防一体の《内なる空の管理人》《威厳あるバニコーン》、そして《幽霊による庇護》と対赤アグロもしっかり勝ち筋があります。ここに来て召集が勝ち上がっている背景には、今のスタンダードで最も意識しなければならない相手が赤アグロだからでしょう。「アグロ対策が増えるならジェスカイ召集もそのあおりを受けるのでは?」と思いますが、実はそれは違います。召集には《切り崩し》や《喉首狙い》などのただの除去はほとんど効きません。クリーチャーを横並びさせて《イーオスの遍歴の騎士》や《イモデーンの徴募兵》で勝つデッキだからです。そのため、《紅蓮地獄》をはじめとした全体除去の方が効果があります。一方、赤アグロには《紅蓮地獄》などの全体除去はあまり効果がありません。《紅蓮地獄》は2/3になった《僧院の速槍》すら倒せませんし、《審判の日》などのしっかりした全体除去はマナコストが重く、速攻が多数入っている赤アグロにはやはり効果が薄い。打った返しに速攻クリーチャーに《巨怪の怒り》を撃たれて負けるのは想像に容易いですね。以前は召集は意識される側だったので、対アグロ対策としては全体除去が多く採用されていました。その全体除去スロットが単体除去に代わっており、実質召集相手のサイドボードが用意できないというのが現状なのです。「サイドボードさえなければ召集は最強のデッキだ」と以前は言われていましたが、今まさにその最強の状況になっています。ジェスカイ召集の流行を見てどのデッキも最近は2枚ほど全体除去を採用するようになりましたが、それでもそこから枚数が増えることはあまりないでしょう。その分だけ赤アグロに入れるカードが減ってしまいますからね。メインから《太陽降下》をたくさん採用しているようなドメインコントロールや白単コントロール以外に強いのが召集です。メタを見て使いどころを見極めましょう! ディミーアミッドレンジ Birds of Paradise Standard Spectacular : 6位 By PierrePoilievre2025 スタンダードで赤アグロと並んで二大巨頭のデッキ、ディミーアミッドレンジ。青の打ち消しと黒の除去、そして《悪夢滅ぼし、魁渡》によって攻めるデッキです。このリストはインスタントタイミングでのアクションを徹底したデッキ。対赤アグロで攻守で活躍する《分派の説教者》をサイドボードに落とし、《ティシャーナの潮縛り》をメイン採用しています。《分派の説教者》メイン、《ティシャーナの潮縛り》サイドが定番だったので、思い切った構成です。1マナ域の《遠眼鏡のセイレーン》を除いたすべてのクリーチャーが瞬速となっており、打ち消しや除去を構えながら常に展開していくことが可能となっています。《巨怪の怒り》などで無理やり突破されないためには、除去を常に構える必要がありますからね。《フラッドピットの溺れさせ》はすっかりディミーアミッドレンジの2マナ域として定着しました。元々2マナ域で不動の立場を確立していた《大洞窟のコウモリ》は赤いデッキがこれだけ多い環境ではなかなか活躍できません。赤いデッキには《ショック》で対処されますし、それ以外のデッキは赤を意識して大量の軽量除去を採用しています。赤だけでなく、赤を意識したデッキにも《大洞窟のコウモリ》は弱いので、この変更は納得です。一方の《フラッドピットの溺れさせ》はクリーチャーを寝かせつつブロッカーにもなりますし、《悪夢滅ぼし、魁渡》で戻して再利用しても良しと非常に便利なクリーチャー。《フラッドピットの溺れさせ》で攻撃して相手がダメージを通すタイミングで起動型能力を使い、そのスタックで《悪夢滅ぼし、魁渡》を忍術することで、麻痺カウンターが置かれたクリーチャーを除去しつつ、《フラッドピットの溺れさせ》を手札に戻せます。面白いのが《サイバの暗号術師》の採用です。戦場に出た時にクリーチャーに+1/+1カウンターを乗せつつ呪禁を付与できる、《蛇皮のヴェール》系のクリーチャー。生き残ってハイバリューなクリーチャーがいないこのデッキでは少し違和感があるかもしれませんが、デッキを瞬速で固めるなら、一番良い選択肢に見えます。また、《悪夢滅ぼし、魁渡》との相性も見過ごせません。《悪夢滅ぼし、魁渡》の忍術で再利用してクリーチャーを強化しても良いですし、何より《サイバの暗号術師》は忍者なので、《悪夢滅ぼし、魁渡》のプラス能力での紋章で強化できます。《永劫の好奇心》を《塔の点火》圏外にするのも強く、何より全く警戒されていないのは大きいでしょう。赤アグロが《抹消する稲妻》を採用するようになったのも、《サイバの暗号術師》としては好都合。しっかりとメインからミラーマッチの《悪夢滅ぼし、魁渡》を除去できる《シェオルドレッドの勅令》を採用するなど、今のスタンダードのメタを意識した作りになっているので、ディミーアミッドレンジがお好きな方は試してみてください。

ティムールカワウソ徹底解説!

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2024.12.06

mtg Yuyan

こんにちは。 細川 侑也(@yuyan_mtg)です。 本日は、スタンダードで最も難解なデッキと言われている、ティムールカワウソの記事になります。世界選手権の最終戦でティムールカワウソの製作者に負けてからというもの、このデッキの動きに惚れ込み、店舗予選を6勝1敗で突破、その後プレミアム予選も突破……出来たらよかったのですが、権利を賭けた決勝で敗れてしまいました。さほど結果を残してこれたわけではないのですが、ようやく自信を持った75枚が出来上がったので、こうして記事にすることにしました。 ティムールカワウソとは? 《嵐追いの才能》(から出るトークン)、《稲妻罠の教練者》、《渓間の洪水呼び》の3種のカワウソを活用したコンボデッキです。 《渓間の洪水呼び》は非クリーチャー呪文を唱えるたびに、カワウソやネズミなどに修正を与えてアンタップする能力を持っています。通常はこのアンタップ能力にほとんど意味はありませんが、《永劫の活力》がここに加わることでコンボになります。《永劫の活力》の能力でカワウソたちから好きなマナを出し、そのマナから軽い呪文を唱えると、すべてのカワウソが《渓間の洪水呼び》によってアンタップします。カワウソが3体いる状態で1マナのカードを使えば2マナが浮く計算になり、同時にパワータフネスに修正が入っていきます。無限の手順は後述しますが、最終的には無限に相手のパーマネントをバウンスしながらパワーが上がっていって勝利となります。よく聞かれる「ティムールカワウソはコンボなの?ビートダウンなの?」についてもお答えしましょう。ティムールカワウソはそのどちらでもなく、コントロールデッキだと認識しています。《嵐追いの才能》が初手に2枚ある時はビートダウンに変貌しますが、基本的にはライフを削るのは二の次です。そしてコンボを第一にも考えません。 このデッキは《この町は狭すぎる》《嵐追いの才能》の2枚を駆使して盤面を掌握し続け、やがてコンボを決めるデッキです。ティムールカワウソが難しいと感じる人は、このデッキをコントロールだと思ってプレイしてみてください。もしかしたら上手くいくかもしれません。 デッキリストとカード解説 《嵐追いの才能》 このデッキで最も重要となるカード。ビート・コンボ・コントロールのすべてのプランに絡んでくるので、いつでも初手に欲しいです。戦場に出た時に生成するカワウソは毎ターン2/2や3/3ほどのサイズで相手に殴りかかりますし、《薮打ち》で格闘する際も便利。《塔の点火》の協約にも使用したりします。レベル2ではインスタント・ソーサリーを拾えるので、ここで《この町は狭すぎる》を拾っておくと、永久機関が完成します。レベル2になった《嵐追いの才能》と相手の致命的なカードを《この町は狭すぎる》で戻し、《嵐追いの才能》をこちらは出し直し、またレベル2で《この町は狭すぎる》を回収。こうやって妨害しながらカワウソを増やしていくのがこのデッキの基本戦略。《永劫の活力》《渓間の洪水呼び》が揃うとこの《嵐追いの才能》レベル2→《この町は狭すぎる》を無限に行えるようになるので、一撃必殺のコンボになります。レベル3まで行くことはメイン戦ではありませんが、サイド後に墓地対策をされた際には到達することもしばしば。当然ながらかなり強いのでゲームに勝てます。 《この町は狭すぎる》 デッキ内で2番目に強いカード。ティムールカワウソこの町に名前を変えたいぐらいにはデッキの顔として役立ちます。相手の最も強いカードに触りながら、自分は《嵐追いの才能》《豆の木をのぼれ》を戻して得をし、更に《嵐追いの才能》の2章でループになる素晴らしいスペル。必ずゲーム中に1枚は引きたいカード。2マナにも関わらず5マナの呪文なので《豆の木をのぼれ》がトリガーします。僕はこれを脱法豆の木と呼んでいます。 《稲妻罠の教練者》 モダンでも大活躍のカワウソ。新生コストは少し重いですが、マナフラッドがそれなりに多いので新生で出すこともしばしばあります。《渓間の洪水呼び》+《永劫の活力》を揃えた後はカワウソの頭数が重要になるので、《稲妻罠の教練者》は積極的に序盤からドロップしておきたいカードです。引けば引くだけ《渓間の洪水呼び》のバリューが上がるので嬉しいです。 ちなみに通常版とショーケース版に加えてバンドルプロモ版があるのですが、個人的にはバンドルプロモ版が圧倒的に可愛いです。なぜフォイルしかないんだ……! 《永劫の活力》 クリーチャーをすべて《極楽鳥》に変える強力なクリーチャー。同じ能力を持つ《謎の石の儀式》もかつてコンボデッキで採用実績がありましたが、まさかそれがたった1マナ重くなっただけでクリーチャーになり、しかも除去耐性もつくとは。《永劫の活力》を出したターンにもう1アクションを取りたいので、なるべくならフルタップで出してエンドせず、事前にクリーチャーを出しておいてから《永劫の活力》を出し、構えたいところです。《苦痛ある選定》などの追放除去に弱いので、《塔の点火》を構えておきたいですね。協約コストで《永劫の活力》を生け贄にすれば追放されずにエンチャントとして場に残ります。戦場に《永劫の活力》しかクリーチャーがいない場合でも《塔の点火》で《永劫の活力》自身を対象に取り、その上で協約すればOKです。赤マナさえ構えておけば追放除去はかわせます。《嵐追いの才能》《この町は狭すぎるる》のループには非常にマナがかかるので、《永劫の活力》は必須です。逆に一度でもループが始まると、《渓間の洪水呼び》がなくて無限にならなかったとしても、カワウソが勝手に増えていくので、使えるマナや打点が増えていき、一瞬で勝利します。デッキの核です。 《塔の点火》 赤アグロが環境に多い以上、4枚必須なカード。もしマジックの4枚ルールがなくなったのなら、6枚はメインに入れると思います。それぐらい《塔の点火》は強いカードです。《嵐追いの才能》とそのトークン、《咆哮する焼炉+蒸気サウナ》、《永劫の活力》ととにかく協約の種に困らないのがティムールカワウソで使う《塔の点火》の強いところ。《永劫の活力》との相性は前述の通り。環境の9割がコントロールにならないので限り、4枚から動くことは決してないですね。 《渓間の洪水呼び》 非クリーチャー呪文がすべて瞬速を持ち、非クリーチャー呪文を唱えるとカエル・カワウソ・鳥・ネズミをアンタップして+1/+1修正を与えるという、《ジェスカイの隆盛》のような能力を持つカワウソ。このデッキにはカワウソとネズミしか入っていませんが、強い鳥やカエルがこれから登場すればデッキに入る可能性は十分あります。《永劫の活力》と揃った時には、1マナの非クリーチャー呪文はすべてフリースペルになります。《嵐追いの才能》のカワウソトークンは自身も果敢を持っているので、スペル1枚につき+2/+2。複数体のトークンがいれば突然相手を倒すことも可能です。とはいえ、基本的にはただの3マナ2/2。除去耐性もないので狙われます。《切り崩し》や《噴出の稲妻》で焼かれるのはもったいないので、1マナのカードを構えた状態で出したいです。非クリーチャー呪文を瞬速で唱えられるので《花粉の分析》《薮打ち》を構えるだけで良いので、ケアは比較的簡単です。3マナという重さで除去と交換されてしまうだけのクリーチャーなので、コンボに関わるカードですが3枚しか入っていません。よくある負けパターンの《渓間の洪水呼び》が手札に溜まって負けは、カワウソ使いなら共感してもらえるはず! 《薮打ち》 基本土地をサーチしたり格闘ができる便利な呪文。いや、そんな言葉ではこいつは言い表せません。便利すぎるカードです。3色を無理やり回しているので、色マナはカツカツ。こういった土地サーチはデッキに必須です。《渓間の洪水呼び》のトリガーや《稲妻罠の教練者》で拾えることなどから、《薮打ち》は非常に相性の良いカードです。土地サーチで使う機会がほとんどだと思いきや、実はかなり格闘として打ちます。《嵐追いの才能》は《薮打ち》でも大きくなるので《心火の英雄》や《僧院の速槍》を打ち取れますし、《稲妻罠の教練者》が《大洞窟のコウモリ》を殴り倒してくれることもしばしば。《永劫の活力》の追放が怖くて《塔の点火》がない時は、相手のパワー3クリーチャーと格闘して自らエンチャントとして蘇らせる、なんて使い方もあります。冗談でもなんでもなく、10回打って6回は土地サーチ、4回は格闘で打つ。それぐらい格闘で打つ機会は多いです。格闘が強すぎるので《花粉の分析》を押さえて4枚採用しています。 《花粉の分析》 こちらも《薮打ち》と同じ土地サーチ。もう1つのモードが証拠収集8を達成していると、好きなクリーチャーをサーチできるというもの。このデッキは非常に軽く構築されているため、証拠収集8を満たすのは難しい。《この町は狭すぎる》は後々《嵐追いの才能》で拾いたいのでできれば追放したくありません。それならほぼ証拠収集できないのかというと、そういうわけではありません。《咆哮する焼炉+蒸気サウナ》が証拠収集の種となってくれます。《咆哮する焼炉》を開けておき、《塔の点火》の協約で生け贄にするだけで《花粉の分析》を達成できるので、積極的にこのプレイを狙いましょう。 《豆の木をのぼれ》 5マナ以上のカードを唱えると1ドローのおまけがついてくる《豆の木をのぼれ》。しかしデッキ内で誘発するのは《この町は狭すぎる》(と《トーテンタンズの歌》X=4以上)のみと非常に少ない。そのため、2枚に押さえているリストが多い中、僕は一貫して3枚採用しています。それは結局他のどのリソースカードを入れるよりもゲームの勝利に貢献してくれるからです。勝つゲームの大半は《この町は狭すぎる》が絡んできますし、ゲーム序盤に攻められている場で打つ《この町は狭すぎる》に《豆の木をのぼれ》の1ドローがついてくるかは非常に重要でした。ティムールカワウソは手札を増やす手段がほとんどありません。除去を打ち続けていくと自然に手札は枯渇してしまいます。しかもバウンスは1対1交換にはならず、単なる延命措置です。《この町は狭すぎる》で戻したカードが《稲妻罠の教練者》や《嵐追いの才能》なら損はしませんが、得もしていません。しっかりとこちらが手札を増やして盤面をコントロールしていくには、《豆の木をのぼれ》が一番なのです。 《咆哮する焼炉+蒸気サウナ》 最初は「ソーサリータイミングの除去って……」とか「不確定なダメージだし不安」と思っていましたが、使っていく内にどんどん味がしてきて気づけば3枚固定になったカード。ソーサリータイミングだとしても除去できれば十分で、《この町は狭すぎる》で再利用できるのがとても好感触。《蒸気サウナ》を開けてリソース確保も、マナフラッドしやすいこのデッキでは嬉しい。このデッキで処理の難しい《分派の説教者》を倒せるのもありがたい。《蒸気サウナ》を開ける機会はそこまで多くないので、《塔の点火》の協約で生け贄にしやすく、《花粉の分析》の証拠収集を稼ぐのにも便利。かなりいぶし銀的な活躍を見せてくれました。3枚は入れるべきです。ちなみに《蒸気サウナ》から出すとマナ総量が5以上の呪文なので《豆の木をのぼれ》で1枚引けます。 《トーテンタンズの歌》 ブロックできないネズミを出して、ターン終了時までクリーチャーが速攻を持つソーサリー。ただテキストを読んだだけではあまり強さがわからないかもしれませんが、このデッキでは重要な役割を果たします。まずネズミを生成できる点。ただのブロックに参加できないネズミは、《渓間の洪水呼び》によってアンタップして修正を受けます。つまり《永劫の活力》が揃うと簡単に大量のマナを生み出せるようになります。そしてクリーチャーに速攻を付与する能力も重要です。《永劫の活力》《渓間の洪水呼び》が揃っても、カワウソが少なければ無限コンボは始まりません。《渓間の洪水呼び》でアンタップできるクリーチャーが複数体必要なのです。それを相手も理解しているからこそ、《稲妻罠の教練者》やカワウソトークンなどはしっかり処理されてしまいます。なかなか頭数を揃えておくことはできませんし、更地の状態から突然コンボを決めることは基本的にはできません。しかし、《トーテンタンズの歌》なら《永劫の活力》さえ出ていれば、更地の状態からでもコンボを開始できます。X=4で唱えて4体を生成し、その内3体を寝かせて《渓間の洪水呼び》を出し、1マナの呪文を唱えると4体が起きるので、そこから無限に入ることもできるのです。ディミーアミッドレンジやティムールカワウソミラーでは、《渓間の洪水呼び》でアンタップできるクリーチャーをどれだけ場に出しておけるかが重要なので、《トーテンタンズの歌》はキーと言っても良いです。 《焦熱の竜火》 特筆すべき点はないただの除去です。 《塔の点火》の追加のようなイメージですが、準備せずに3点追放を行えるので、《永劫の活力》《永劫の好奇心》を処理するのに便利です。《咆哮する焼炉+蒸気サウナ》の4枚目よりは《焦熱の竜火》を1枚入れておく方が好みですね。 《探索するドルイド》 グルールが多ければ《焦熱の竜火》の方が良いですが、最近ではそれ以外のデッキにもよく当たるので、追加のリソースカードとして採用することにしました。4枚目の《豆の木をのぼれ》と比べると、《花粉の分析》でサーチできるのがメリットです。《稲妻罠の教練者》をサーチすれば良い場合もありますが、2枚めくりつつ《探索するドルイド》をクリーチャーとしても運用したい場面もあるので、1枚入れる意味はそれなりにあります。 マナベース 基本は3ターン目までのアンタップインを徹底的に意識しています。《薮打ち》《花粉の分析》を駆使して土地を伸ばしていく関係上、実質それらのアクションに1マナかかる(=タップインになるようなもの)ので、土地そのものでタップインはしたくありません。そこで《寓話の小道》は入れずに組んでいます。緑マナは絶対に欲しいので16確保しており、青は12+7枚(土地サーチ)の19、赤は7+7の14です。《破滅の眺望》はデッキ内唯一のタップインですが、かなり強力なので採用しました。単色のパーマネント1つにつきその色のマナが出るので、《豆の木をのぼれ》《咆哮する焼炉》なら赤緑、ここに《嵐追いの才能》があると赤緑青の3マナが出ます。1マナ増えるというわけです。青緑など2色しか出ない場合でも、セットランド時に赤を指定しておけば実質3色土地ですし、《ヤヴィマヤの沿岸》の無色マナを《破滅の眺望》の起動に当てて青緑を出せば実質フィルターランドなので、思いのほか便利でした。 《神盾の海亀》 ここからサイドボードのお話です。そして早速問題の亀くんから。なぜこのカードを採用するに至ったのか?その経緯からお話しましょう。赤アグロと対戦していてとにかく負けるパターンが《叫ぶ宿敵》でした。序盤にしっかりとライフを守れていれば《叫ぶ宿敵》を火力で除去しても問題ないのですが、序盤のクリーチャーを打ち漏らしてライフを削られていると、《叫ぶ宿敵》に打つ《焦熱の竜火》が致命的なダメージになります。かといってティムールカラーで《叫ぶ宿敵》に対処するのは困難です。《声も出せない》は《巨怪の怒り》で大きくなったり、《亭主の才能》で突破されるのでイマイチ。そもそも《叫ぶ宿敵》に1回攻撃されてしまいますからね。そこで1ターン目に出して序盤の《心火の英雄》や《熾火心の挑戦者》を受け止めてもらいつつ、《叫ぶ宿敵》もブロックできる《神盾の海亀》に白羽の矢が立ちました。実際かなりこのカードの感触はよく、採用してから対赤アグロの勝率はかなり良いです。1マナなので出しながら《塔の点火》を構えられますし、《雇われ爪》なら《巨怪の怒り》でも突破されず、《僧院の速槍》《心火の英雄》は《巨怪の怒り》以外ならガッチリガード。《叫ぶ宿敵》も出したターンは完全ガードなので実質速攻を無効化しているようなものです。 《フラッドピットの溺れさせ》 こちらも対赤アグロ用です。《神盾の海亀》を突破する手段として《巨怪の怒り》が最も簡単で、こちらは《塔の点火》を構えていれば万全なのですが、中々上手くはいきません。そこで《フラッドピットの溺れさせ》で《巨怪の怒り》が付いたクリーチャーを寝かせるのが非常に効果的。《この町は狭すぎる》で回収して再利用できるのも良いポイント。ちなみに《フラッドピットの溺れさせ》を起動して能力スタックで《この町は狭すぎる》で《フラッドピットの溺れさせ》を手札に戻すと、相手のクリーチャーだけライブラリーに戻ります。 《脚当ての陣形》 《力線の束縛》《世話人の才能》《ドロスの魔神》《不浄な別室》などなど、エンチャントや飛行が今のスタンダードにはたくさん。それらすべてに対処しつつ、手札で腐っていればドローに変えられるので、とにかく便利なカードです。どのマッチでもベストなサイドカードではないかもしれませんが、ベターあるいはグッドなサイドカード。 《軽蔑的な一撃》 打ち消しはこの2枚だけです。《否認》との選択ですが、《否認》の方が優れているのは《豆の木をのぼれ》と《世話人の才能》を消した瞬間だけだと思っています。ズアードメインの各種大主には《軽蔑的な一撃》しか当たりませんし、《太陽降下》は《軽蔑的な一撃》でも触れます。《終末の加虐者》を消せるのもちょっと嬉しいですね。どちらか採用するなら《軽蔑的な一撃》推奨です。ミラーマッチでは《否認》が欲しいですが。 《轟く機知、ラル》 黒いミッドレンジやコントロール全般にサイドインします。見た目以上にとにかく固く、プラスでトークンを出して《塔の点火》を構えるだけで鉄壁。ディミーアやゴルガリに対しては難攻不落のフィニッシャーとなります。使っていて非常に感触が良く、2枚にしてからは1度も減らしたいと思いませんでした。コンボを決められないように《稲妻罠の教練者》やカワウソトークンを狙われがちなので、《轟く機知、ラル》を出すとかなり嫌な顔をされます。 採用しなかったカード 《手練》 《薮打ち》《手練》型のリストも多いですし、僕も実際試しました。現在のリストは土地27に土地サーチ7とかなりマナフラッドしやすいので、《手練》を入れることでそれをある程度解消できます。それでもいくつかの理由により、僕は《手練》ではなく《花粉の分析》を採用しています。最も大きいのはこのデッキがマナを無限に欲している点です。《この町は狭すぎる》《嵐追いの才能》のレベルアップだけで6マナかかり、そこから《嵐追いの才能》の出し直しなども含めると、とにかくこのデッキはマナを非常に使います。そのためセットランドできることなら毎ターンし続けたいのです。マナフラッドは嫌ですが、土地を置くメリット自体はかなりあるのです。《花粉の分析》が《咆哮する焼炉+蒸気サウナ》を証拠収集することでしっかりリソースに代わってくれるのも、《花粉の分析》にポジティブな要素です。《永劫の活力》か《渓間の洪水呼び》の足らない方をサーチしてコンボを決めたり、マナフラッドしていれば《稲妻罠の教練者》《探索するドルイド》にアクセスできます。もう1つ重要なポイントは、《薮打ち》《花粉の分析》がどちらも緑のカードであることです。緑マナ1枚さえ初手にあれば、この7枚を引くだけでゲームを開始できるのです。《手練》は青いので《銅線の地溝》や《森》でキープすることはできません。初手に土地が1枚の手札はそれなりに来ますし、当然土地が少ない初手はブン回る確率が高い。それをキープできるかどうかは大きな違いがあります。以上の理由で、僕は《薮打ち》《花粉の分析》が好みです。 《手練》が欲しい瞬間もあります。やはりフラッドしやすい構成にはなっていますからね。 《叫ぶ宿敵》 対赤アグロにおける《フラッドピットの溺れさせ》との選択でしたが、《神盾の海亀》と相性を考えて《フラッドピットの溺れさせ》を優先しました。既にお話したように《巨怪の怒り》で《神盾の海亀》を突破させて《フラッドピットの溺れさせ》で寝かせて《この町は狭すぎる》の動きが非常に強かったためです。 《叫ぶ宿敵》はダメージレースで強く、また3ターン目に出した際はブロッカーとしてかなり優秀です。1マナ域をブロックしつつ、横のクリーチャーも破壊できる可能性があるので、1対2交換が取りやすいのです。 《神盾の海亀》ではダメージが稼げないため、使うなら《フラッドピットの溺れさせ》と《叫ぶ宿敵》の組み合わせでしっかり殴れるプランを取った方が良いですね。 《解剖道具》 5ターン目に出ればかなり強いカードなのですが、《叫ぶ宿敵》の能力でライフゲインできなくなった瞬間に引きたくないカード筆頭になるので、リスクが高いと感じました。《稲妻波》《ボロスの魔除け》で本体を狙うボロスバーンが流行すれば《解剖道具》を採用するかもしれませんが、現状はライフを回復するカードはサイドボードに採用しない方向にしています。《神盾の海亀》で《叫ぶ宿敵》を止める以上、《叫ぶ宿敵》が場に残りやすいというのもマイナスでした。 回し方 《嵐追いの才能》が初手にあれば展開して、相手の盤面の脅威を除去しつつ攻撃し、ライフを削っていきます。《永劫の活力》を出しつつ除去や《この町は狭すぎる》で干渉すると、そこから行動回数が増えるので、徐々に戦場を支配できるようになります。《この町は狭すぎる》《嵐追いの才能》レベル2がループし始めると、相手の動きは制限され、こちらはカワウソが増えていくので、相手のライフがなくなっていきます。 そのまま脅威を取り除いてカワウソビートダウンを完遂するもよし、どこかで《渓間の洪水呼び》を引けばコンボが決まってゲームセットです。冒頭でお話しした通り、このデッキは基本的にはボードコントロールです。《塔の点火》《咆哮する焼炉》《この町は狭すぎる》を使って盤面を鎮静化させ、そこから《嵐追いの才能》+《この町は狭すぎる》でループで相手の攻め手を完全に潰し、最終的にコンボで勝つのです。だから僕はティムールカワウソをコントロールデッキと呼んでいます。《渓間の洪水呼び》《永劫の活力》《嵐追いの才能》《この町は狭すぎる》の無限コンボについてはしっかりとまずは頭に入れておきましょう。カワウソ(とネズミ)が3体いる場合は、《嵐追いの才能》と2マナ以下のパーマネントカード(《渓間の洪水呼び》を誘発させられればなんでもOK)があればコンボが決まります。 3体をタップして青を3つ出し、その内2マナで《この町は狭すぎる》を唱えて《嵐追いの才能》と《咆哮する焼炉》を回収。カワウソたちからマナを出して4マナになり、《嵐追いの才能》を出し直して3マナ+カワウソたちの3マナ。そこから2マナを使って《咆哮する焼炉》を唱えると4マナ+カワウソたちから3マナが出るので、浮いた4マナでレベルアップし、カワウソたちを寝かせて《この町は狭すぎる》で《嵐追いの才能》と《咆哮する焼炉》を戻せるので無限ループです。戻せるカードが《嵐追いの才能》しかなければカワウソたちは4体必要になります。一見ハードルが高そうに見えますが、実際無限パンプが必要な場面はそう多くありません。たとえばカワウソ3体と《嵐追いの才能》1枚しかない状態では、1マナずつ減っていく簡易ループになってしまいます。が、実際はそれでも十分です。ループ1回で《この町は狭すぎる》《嵐追いの才能》で2回スペルを唱えているので、《渓間の洪水呼び》で全体が+2修正されつつ、相手のブロッカーも排除できます。3ループすれば3体のカワウソが+6/+6修正を受けますから、それだけで致死量のダメージを叩き出せるはずです。今最大で何点出せるのか?この計算を素早くできるようにするために、カワウソ算をいくつか覚えておきましょう。 カワウソ算 マナを出せるカワウソとネズミの数ー呪文のマナ=余るマナ まずは《渓間の洪水呼び》《永劫の活力》が揃った時にどれだけマナが出るかを俊二に見極めましょう。カワウソトークンと《渓間の洪水呼び》だけの状態でも、《嵐追いの才能》が2枚、《この町は狭すぎる》、土地が4枚戦場にあれば、《渓間の洪水呼び》を合計で9回誘発させることができるので、カワウソトークンのパワーが19になります。カワウソ2体-2マナ《この町は狭すぎる》=0。カワウソ2体-1マナ《嵐追いの才能》=1。《嵐追いの才能》は2回キャストされるので2マナ浮き、そこから《嵐追いの才能》をレベルアップさせるとループが開始。このレベルアップには4マナが必要なので、実質2マナでレベルアップできるようになります。この例ならば2体のカワウソと土地4枚で6マナあるので、3回のレベルアップで合計9回のスペルを唱えられることができ、果敢と《渓間の洪水呼び》により18回修正を受けてトークンのパワーは19になります。 《嵐追いの才能》レベルアップ+《この町は狭すぎる》 4+2+1=7マナ。《嵐追いの才能》のレベルアップで《この町は狭すぎる》を回収し、《この町は狭すぎる》を打って《嵐追いの才能》を再キャストするのにかかるマナです。この7マナが揃うと毎ターンカワウソが増えながら相手のパーマネントに触れるようになります。カワウソが増えていくのでどんどん使えるマナが増えてきて、やがてループしながらカワウソが殴り始めてゲームが終わります。 《渓間の洪水呼び》2体 これは単純に《渓間の洪水呼び》が2回誘発するだけなので簡単です。2体の《渓間の洪水呼び》だけで2×2の4マナで、実質カワウソ4体扱いになるのでほぼ勝ちです。 計算の応用 ここまでの計算を応用することで、今無限が決まる状態なのかが簡単にわかります。マナが出るカワウソ・ネズミの数ー呪文これから唱える呪文のマナ=余るマナを使い、手札と場にあるカードで何マナ増えるのかを計算します。その増えるマナが4マナ以上ならば、《この町は狭すぎる》《嵐追いの才能》によるループが確定します。例:カワウソの数が3体、《この町は狭すぎる》、《嵐追いの才能》、《咆哮する焼炉》 3-2=1(《この町は狭すぎる》で増えるマナ)3-1=2(《嵐追いの才能》で増えるマナ)3-2=1(《咆哮する焼炉》で増えるマナ)合計で4マナ増えるので、これは無限ループです。実際にやってみましょう。1.カワウソ3体を寝かせて3マナ、《この町は狭すぎる》で《嵐追いの才能》と《咆哮する焼炉》をバウンス。残りは1マナ(カワウソ3体がアンタップ)。2.カワウソ3体からマナを出して4マナから《嵐追いの才能》。残りは3マナ(カワウソ3体がアンタップ)。3.カワウソ3体からマナを出して6マナから《咆哮する焼炉》。残りは4マナ(カワウソ3体がアンタップ)。4.残った4マナで《嵐追いの才能》をレベルアップ。1に戻って無限ループ。非常に簡単に無限が決まるかわかりますね。 マリガン 絶対的なキープ基準となるカードは《稲妻罠の教練者》《嵐追いの才能》の2種。他のカードが全部土地などでない限りはまずキープ。土地が2枚以上(《薮打ち》《花粉の分析》を含む)あって《稲妻罠の教練者》か《嵐追いの才能》があればまず始めるべきです。 《この町は狭すぎる》《豆の木をのぼれ》《永劫の活力》《咆哮する焼炉》《塔の点火》《焦熱の竜火》は準キープカード。《この町は狭すぎる》は単品でキープした場合、早いターンに使用できない可能性があります。3ターン目に2マナで打てる算段があるならキープできます。《咆哮する焼炉》や《豆の木をのぼれ》など、2ターン目に置けるパーマネントカードがあるかが重要です。一度引いて墓地に落としておけば後引きの《嵐追いの才能》で拾えるので、最初の1枚目を引いておくことは大事です。比較的キープしたいカードではあります。《豆の木をのぼれ》《咆哮する焼炉》の2種は、他のカードによりますね。《豆の木をのぼれ》の場合、《咆哮する焼炉》《塔の点火》《焦熱の竜火》《この町は狭すぎる》などの干渉手段と一緒ならキープしたいところです。《渓間の洪水呼び》《トーテンタンズの歌》など干渉手段に乏しい場合はマリガンも検討します。《永劫の活力》はクリーチャーがいないと3ターン目をただパスするだけになってしまいますが、逆に手札にクリーチャーがいる場合は積極的にキープしたいカードです。除去と《永劫の活力》だけの初手をキープするのはそれなりにリスクがありますが、その除去が《咆哮する焼炉》であればキープできます。《咆哮する焼炉》→《永劫の活力》→《蒸気サウナ》とゲームを進められますからね。悩ましいのは《塔の点火》《この町は狭すぎる》《永劫の活力》土地4といった初手が来た場合です。この土地が《花粉の分析》か《薮打ち》ならばキープ、土地ならばマリガンぐらいです。土地サーチカードをスペルとして使うことを前提にすればギリギリOKです。《この町は狭すぎる》が《焦熱の竜火》ならマリガンですね。《トーテンタンズの歌》は初手にあまり必要ないカードですが、《永劫の活力》とセットの時は強力です。X=2か3の《トーテンタンズの歌》から次のターンに《永劫の活力》で一気に展開したり、《渓間の洪水呼び》も展開して無限もあります。単体では非常に弱いですが、《永劫の活力》とセットの時だけは点数アップ。2枚が揃っていればキープしたくなります。キープに全く関わらないのは《渓間の洪水呼び》です。初手にあっても基本何もしないので、むしろ引きたくありません。《渓間の洪水呼び》が複数枚ある初手は《嵐追いの才能》《塔の点火》《この町は狭すぎる》など他の手札がかなり良くない限りはマリガンすることになります。《薮打ち》《花粉の分析》は初手にあれば土地換算なので、土地としてキープorマリガンに関わってきます。ただし上記のような絶妙な手札の時に4枚目の土地が《薮打ち》ならキープできる可能性もあります。《花粉の分析》は《咆哮する焼炉》を《塔の点火》で生け贄にした時は証拠収集できるので、その2枚が一緒にあるのであれば点数アップ。 TIPS 《トーテンタンズの歌》の速攻はターン終了時まで 《トーテンタンズの歌》で付与される速攻はターン終了時までです。そのため、このターンに出したクリーチャーは相手のターンになると《永劫の活力》でマナを出せなくなります。 そのため、何かを構えたい場合は、とりあえず全力で《トーテンタンズの歌》を打つのはやめましょう。最低限のマナを残して《トーテンタンズの歌》をキャストし、そのネズミで追加アクションを取ることをオススメします。 《永劫の活力》の能力でマナを出す際は一考する 《永劫の活力》が出ている時はクリーチャーからもマナが出ますが、まずは土地を使ってスペルを唱えると思います。クリーチャーで攻撃する可能性がありますからね。しかし、ターン終了時にクリーチャーだけを立たせてマナを構えたら、除去を喰らってマナが使えなくなり、相手に致命的なダメージを与えられる……なんてケースも考えられます。確実に《この町は狭すぎる》を打ちたいのなら土地を2枚立ててターンを返すことをオススメします。そのクリーチャーたちでブロックする予定がないなら尚更です。 《花粉の分析》と《薮打ち》の優先順位 初手に《花粉の分析》と《薮打ち》がある時、どっちで土地サーチを行うか。基本は証拠収集達成が難しい《花粉の分析》から使います。相手が赤単アグロなどの場合、《薮打ち》は除去として使い道がありますからね。ただし、《咆哮する焼炉》《塔の点火》のセットが揃っている場合は、《薮打ち》から使います。この組み合わせなら証拠収集できますし、そもそも除去が2枚あるので、《薮打ち》を格闘として使用する必要がないからです。 《渓間の洪水呼び》を出すのは1マナを構えている時 赤い相手は《噴出の稲妻》、黒には《切り崩し》があります。どちらもティムールカワウソ相手には腐りがちなカードなので、《渓間の洪水呼び》には絶対打たせたくありません。《渓間の洪水呼び》は非クリーチャー呪文が瞬速を持つので、《花粉の分析》などもインスタントでキャストできます。しっかり除去はかわせるようにしましょう。 協約で残す最優先カードは《嵐追いの才能》 《塔の点火》の協約に困ることも多々ありますが、とにかく一番協約したくないのは《嵐追いの才能》です。最終的に《この町は狭すぎる》でループを決めるために必要ですからね。《豆の木をのぼれ》やカワウソトークンから生け贄にしましょう。逆に既に複数枚の《嵐追いの才能》が置いてあるなら、1枚は気軽に協約してしまいます。2枚目以降はさほど必要ありません。 サイドボーディングガイド 対赤アグロ(赤単、グルール、ボロスなど) +4《神盾の海亀》ー3《フラッドピットの溺れさせ》 ー1《探索するドルイド》ー2《トーテンタンズの歌》ー3《豆の木をのぼれ》ー1《渓間の洪水呼び》メイン・サイドいずれもいかに《この町は狭すぎる》ループに持ち込めるかにかかっています。《叫ぶ宿敵》は強力ですが、《この町は狭すぎる》の前では無力なので、一度ハメる準備ができれば脅威ではなくなります。火力以外の方法でライフが削られなければOKなので、《噴出の稲妻》圏外になるようにライフを守りましょう。《渓間の洪水呼び》を相手は処理しづらいので、1マナだけ構えてターンを終了してきた時は特にチャンスです。協約の《塔の点火》以外で処理されないので、《巨怪の怒り》の役割トークンがついてなければ安心して出せます。適当なタイミングで出して焼かれるのは損です。貴重なまくりカードなので大事にしてください。2枚かぶった時に敗北の要因となりやすいので1枚はサイドアウトします。《神盾の海亀》を出すと相手のクリーチャーはかなり止まります。突破するには《巨怪の怒り》などが必要になりますが、《塔の点火》を構えているとなかなか相手も突破できないので、少しのマナを立てながらゲームを進めましょう。突破されたとしても、そのクリーチャーを《フラッドピットの溺れさせ》で寝かせて、《この町は狭すぎる》で拾って再度唱えることで無効化+更なる時間稼ぎができます。《神盾の海亀》で序盤のライフを守り、《叫ぶ宿敵》に殴られ続けないようにし、マナを貯めて《この町は狭すぎる》ループ。これを心掛けてプレイします。《豆の木をのぼれ》は抜いていますが《蒸気サウナ》でしっかりリソースを取れるのでさほど問題にはなりません。 対ディミーアミッドレンジ/ゴルガリミッドレンジ +2《轟く機知、ラル》ー1《渓間の洪水呼び》ー1《探索するドルイド》   有利なマッチアップです。《悪夢滅ぼし、魁渡》を出されても《この町は狭すぎる》でバウンスするだけで良いですし、こちらの《嵐追いの才能》《この町は狭すぎる》ループにほとんど干渉できません。このマッチでもコントロールとして立ち振る舞うことが多く、序盤の相手の攻め手をしっかりさばきつつ、《永劫の好奇心》辺りに《この町は狭すぎる》を当ててテンポを取り、徐々にイニシアチブを握っていきます。《トーテンタンズの歌》はかなり強力です。相手には全体除去がないのでネズミが残りやすく、《永劫の活力》のバリューが高くなります。注意しなければならないのは《フェアリーの黒幕》。後手2ターン目に《豆の木をのぼれ》を出さない方が良いですね。1ターン遅らせて《塔の点火》を構えましょう。《分派の説教者》を焼けるカードが《咆哮する焼炉》しかないので、序盤のクリーチャーを焼く際は一考の余地があります。 たとえば後手2ターン目に相手の《遠眼鏡のセイレーン》を焼くかどうかは検討しましょう。手札に《この町は狭すぎる》がある場合はバウンスの種を作れる上に《咆哮する焼炉》が手札に戻るので焼いてしまいますが、《塔の点火》がある場合はそちらを優先した方が良いかもしれません。クリーチャーがいるならまずそちらから展開しましょう。 対白単コントロール +4《脚当ての陣形》+2《轟く機知、ラル》 ー3《咆哮する焼炉》ー2《塔の点火》ー1《焦熱の竜火》   非常に有利なマッチアップ。相手のデッキは遅く、除去を連打してくるだけなので、こちらはゆっくりとコンボパーツを集めていけばOKです。《稲妻罠の教練者》も新生で出してどんどんリソースを稼いでいきましょう。《永劫の活力》が《軍備放棄》で追放されやすいので、《塔の点火》などで除去できない時に気軽に出すのはNGです。出したら必ずエンチャントになれるようにしましょう。エンチャントになった《永劫の活力》を《失せろ》される分にはOKです。インスタントタイミングの全体除去は飛んでこないので、大きい《トーテンタンズの歌》+《渓間の洪水呼び》などで一撃で決まるパターンもあります。サイド後もほとんどゲームは変わりません。《轟く機知、ラル》という勝ち手段が増えて更にゲームは楽になります。《塔の点火》は《永劫の無垢》に触れて《永劫の活力》を逃がせるカードなので少し残します。 対ズアードメイン +4《脚当ての陣形》+2《軽蔑的な一撃》 ー4《塔の点火》ー1《焦熱の竜火》ー1《渓間の洪水呼び》   有利なマッチアップですが、《豆の木をのぼれ》を設置されるとリソースが尽きずに《永遠の策謀家、ズアー》で大主をクリーチャー化しつつ《力線の束縛》連打のような動きをされるので、白単よりは厳しい印象。《豆の木をのぼれ》は設置されたら《脚当ての陣形》で対処してOKです。1枚アドバンテージを取られるのは癪ですが、放置したら1000枚引かれます。 《永遠の策謀家、ズアー》は5ターン目に出てくることが多く、大主を即クリーチャー化してきます。クリーチャーになった大主は呪禁がつきますが、その前ならバウンスは効くので、そのタイミングで《この町は狭すぎる》で戻し、返しのターンの《咆哮する焼炉》で倒すのが理想的な動きです。 対アゾリウス眼魔 +4《脚当ての陣形》+2《轟く機知、ラル》 ー1《焦熱の竜火》ー3《咆哮する焼炉》ー2《塔の点火》   そこそこ有利なマッチアップです。《永劫の活力》《渓間の洪水呼び》がとにかく触られにくいので、好き勝手に動くことができるためです。負け筋である速いターンの《忌まわしき眼魔》にも《この町は狭すぎる》が効果的。有利なので墓地対策を抜いたほどです。《一時的封鎖》が入ってくる他、《傲慢なジン》と《忌まわしき眼魔》に触れるので《脚当ての陣形》は非常に強力です。 《僧院の導師》をサイドインしてくるなら《塔の点火》を後1枚ほど残したいところです。その場合は《トーテンタンズの歌》を減らしましょう。 対ティムールカワウソ +2《轟く機知、ラル》+2《軽蔑的な一撃》 ー3《咆哮する焼炉》   《永劫の活力》を着地させた方が勝ちやすいマッチアップ。《塔の点火》で処理されないようにこちらもしっかり《塔の点火》を構えましょう。ありがちなのが、3ターン目に《稲妻罠の教練者》かカワウソトークンがいて手札に《塔の点火》もある状態で《永劫の活力》。これに対してスタックで場のクリーチャーを焼かれ、その後相手のターンにもう1枚の追放除去を喰らうパターンです。これはできれば回避したいので、他のクリーチャーを出せるならもう1ターン回し打ちしたいところです。《トーテンタンズの歌》もミラーマッチではかなり重要なカード。このデッキは《永劫の活力》を打ち消せないですし、追放除去も《塔の点火》でかわされるので、《トーテンタンズの歌》でネズミを並べられて次のターンに《永劫の活力》を展開されると、相手だけアクション数が倍になります。ミラーマッチが増えるなら3枚目を検討しても良いレベル。サイド後は最も弱いソーサリー除去を抜き、硬くて場持ちが良い《轟く機知、ラル》と、X=3以上の《トーテンタンズの歌》と《この町は狭すぎる》を消せる《軽蔑的な一撃》をサイドイン。《轟く機知、ラル》は最初半信半疑だったものの、《この町は狭すぎる》以外ではなかなか対処が難しく、カワウソを延々と増やす動きが強かったので、入れることをオススメします。 最後に 本日はティムールカワウソの紹介でした!回していてとても楽しいデッキで、しかも強いので、興味のある方はぜひこの記事を参考にして回してみてください。それではまた!

【今週のピックアップデッキ】キャプテンスカベンジャー/セレズニアキャット/エターナルチャント

週刊 Modern Pioneer Standard

2024.12.05

mtg Yuyan

こんにちは。 細川 侑也(@yuyan_mtg)です。 今週のピックアップデッキでは、ちょっと珍しいデッキを、軽い解説を交えて紹介していきます。 キャプテンスカベンジャー(スタンダード) スタンダードリーグ:5-0 By Villard_00 墓地のカードを追放してそれのキーワード能力を得るクリーチャー、《魂剥ぎ》。 パイオニアでは活躍の実績もあるこの《魂剥ぎ》と似た性能を持つのが《アーボーグの掃除屋》です。 《魂剥ぎ》が探査によって追放したクリーチャー・カードの能力を得るのに対し、《アーボーグの掃除屋》は戦場に出たり攻撃する際にカードを追放し、それの能力を獲得していきます。スタンダードではなかなか活躍できなかった《アーボーグの掃除屋》。これまではキーワード能力をたくさん持つクリーチャーに恵まれず、せいぜい《偉大なる統一者、アトラクサ》を追放する程度でした。サイズの大きい《偉大なる統一者、アトラクサ》が持つ絆魂は強力ですが、《アーボーグの掃除屋》ではその効果は微々たるものです。しかし、『ファウンデーションズ』で《魂剥ぎ》の心の友と呼ぶべき相棒が帰ってきたことで、《アーボーグの掃除屋》に確変が起きました!《原初の夜明け、ゼタルパ》によって!飛行・二段攻撃・警戒・トランプル・破壊不能とヤサイマシマシニンニクアブラカラメぐらい盛りに盛った能力の数々はさすが8マナ!二段攻撃とトランプルの2つの攻撃性能に加えて破壊不能がつくので、《アーボーグの掃除屋》が欲しかった除去耐性もしっかり付与してくれます。同じく『ファウンデーションズ』からの新カード、《薄暮の聖人、エレンダ》も除去耐性を付与してくれるカード。絆魂は《原初の夜明け、ゼタルパ》にはないので同時に追放しても無駄がなく、インスタントからの呪禁は破壊不能で防げない《苦痛ある選定》のような追放除去からも耐性が付きます。《薄暮の聖人、エレンダ》は4マナと軽く手札から出しやすいのもポイント。問題はいかにして《アーボーグの掃除屋》で《原初の夜明け、ゼタルパ》や《薄暮の聖人、エレンダ》を追放するかですが、そこもクリーチャーが役立ちます。《上げ潮、キオーラ》は2枚引いて2枚捨てるので、《アーボーグの掃除屋》を引き込みながら追放したいカードを墓地に送りこめます。《逸失への恐怖》などの捨てて引くカードと違うので嬉しいですね。同じく引いて捨てるカードの《魅惑の悪漢、マルコム》も入っており、伝説のクリーチャーが大量に入っているデッキながら、手札調整が容易なので、余った2枚目の伝説を捨てられるようになっています。そして伝説のクリーチャーが大量に入っているということは、《英雄の公有地》をの出番です。青白黒の3色デッキなのですべての色マナが出る土地は非常に助かります。……ところでお気づきでしょうか?今ご紹介したカードたちに、伝説以外の共通点があることを。ヒントを出します。《原初の夜明け、ゼタルパ》は恐竜。《上げ潮、キオーラ》はマーフォーク。《魅惑の悪漢、マルコム》は海賊。《薄暮の聖人、エレンダ》は吸血鬼です。まだわかりませんか?デッキ名を見てください。キャプテンスカベンジャー。スカベンジャーは《アーボーグの掃除屋》。それではキャプテンは?その答えは《不気味な船長の玉座》です!タップするとカードを2枚切削するこの伝説のアーティファクト。《アーボーグの掃除屋》のために墓地を肥やせる置物ですが、真の力はその下に書いてある作製です。墓地やパーマネントから該当するカードを追放することで変身できる作製。恐竜とマーフォークと海賊と吸血鬼を要求する、作製カードの中でも随一の難易度を誇るのが《不気味な船長の玉座》。そもそもこの4種のカードをデッキに入れること自体が難しいと思われていました。しかし、このデッキはその作製条件を満たせます。それではほとんどの人が見たことすらないであろう《不気味な船長の玉座》の変身後の姿を見てみましょう。あまりに強すぎる!初見で見た時は僕もびっくりしました。さすが難易度Sの作製カードなだけあり、とんでもない能力を持っています。呪禁の7/7なので対処は難しいですし、攻撃するだけで相手は土地以外のパーマネントを生け贄。更に作製で追放したクリーチャーを攻撃している状態で戦場に出せるので、《原初の夜明け、ゼタルパ》が突然殴りかかることになります!変身したら勝利と言っても過言ではないでしょう。 《アーボーグの掃除屋》だけでも面白いのにそこに更にもう1ギミックが追加されたキャプテンスカベンジャー、味わってみてください! セレズニアキャット(パイオニア) パイオニアリーグ:5-0 By Tulio_Jaudy 近年最も推されている部族の1つと言えば猫。どうやらウィザーズにも猫ファンがいるようで、可愛らしい猫や可愛くないほど強い猫がバンバン収録されています。そしてとうとうパイオニアで猫デッキが組めるほどになりました!しんがりを務めるのは《聖なる猫》と《サバンナ・ライオン》。パウパーでも実績のある《聖なる猫》は墓地に落ちても一度トークンとして蘇る、除去耐性のある猫。一方の《サバンナ・ライオン》といえば、黎明期から白アグロを支えた功労者。学生の頃に1枚2000円で買ったのは良い思い出。2マナ域からレアリティが上がります。『ファウンデーションズ』で再録された《フェリダーの仔》はこの中で唯一のコモンではあるものの、生け贄でエンチャントを割れる優れた猫。《不浄な別室》などを割る場面もあるでしょう。レアの2種は、こちらは懐かしの《羊毛鬣のライオン》。アブザンミッドレンジなどでスタンダードでも活躍していた猫で、2マナ3/3といわゆる《番狼》なだけでなく、怪物化するとサイズが上がって呪禁・破壊不能を持ちます。新カードの《空騎士の従者》は他のクリーチャーが出るたびにサイズが上がり、3つ以上のカウンターが乗ると飛行を持つ、とても攻撃的なクリーチャー。すぐに《羊毛鬣のライオン》のサイズを超えていくでしょう。3マナ圏は主役揃い!なにせここには猫を強化するロードが2匹もいるのですから。まず1匹目は《初祖牙、アラーボ》。他の猫を+1/+1しつつ、自身や他のトークンでない猫が出るたびに1/1の猫を生成するという、展開と全体強化を兼ね備えた強力な猫です。続く《猫の君主》も猫に全体強化を与え、プロテクション犬も付与します。パイオニアで使われている犬は《無私の救助犬》ぐらいしか思い浮かびませんが、《変わり谷》にブロックされないのはメリットになるかもしれませんね。《猫の君主》にはもう1つ能力があり、自分の猫がプレイヤーに戦闘ダメージを与えた時に、そのプレイヤーのアーティファクトかエンチャントを破壊することができます。どれだけたくさんの猫で殴っても1枚しか破壊できませんが、全体強化のオマケとしては悪くありません。更にこれらの猫クリーチャーはすべて3マナ以下なので《集合した中隊》を採用できます。《威厳あるカラカル》を除くすべてのクリーチャーが該当するので、32枚が当たりになります。《集合した中隊》で2枚めくるには十分な数でしょう。最後に忘れてはならないのが相棒。そう、最近ではクリーチャーが《孤独》のみのアゾリウスコントロールなどにしか入らず、文字通り孤独だった《孤児護り、カヒーラ》が使えるのです。これは猫デッキの最大の魅力と言っても良いでしょう。全体強化と警戒を付与する相棒は、デッキ外のリソースとしては破格の性能です。いつも更地に出てくる《孤児護り、カヒーラ》も、たくさんの猫に囲まれてニッコリでしょう。猫まみれになりたい方は一度お試しあれ! エターナルチャント(モダン) モダンリーグ:5-0 By Sence17 かつてセプターチャントというデッキが一世を風靡していたのをご存じでしょうか?《等時の王笏》に《オアリムの詠唱》を刻印して相手のアップキープに起動し続けるだけで、相手はインスタント以外のカードを唱えられなくなり、攻撃もできない。一部のデッキはこれだけで完封でした。エクステンデッドで大流行したこのセプターチャント。実は今のモダンでも再現可能なのですが、今回は同じコンセプトを持った別のデッキをご紹介します。このエターナルチャントもセプターチャントと同じく、無限に《オアリムの詠唱》を打つデッキ。しかし、《等時の王笏》に刻印するのではなく、毎ターン手札から唱えます。それを可能にしてくれるのが《永遠の証人》と《儚い存在》のコンボ。《永遠の証人》で《オアリムの詠唱》を拾い、相手のアップキープに唱えます。その後、《儚い存在》を《永遠の証人》を対象にキャスト。明滅した《永遠の証人》で《オアリムの詠唱》を拾いつつ、アップキープの《儚い存在》の反復で《永遠の証人》を再び明滅させ、反復後に墓地に落ちた《儚い存在》を拾えば、これで永遠に《オアリムの詠唱》を打ち続けられます。もちろんこれだけで勝てるデッキはほとんどありません。インスタント除去1枚でこのコンボは止まってしまいますからね。そこで採用されているのが《時を解す者、テフェリー》です。《時を解す者、テフェリー》がこの場に加わることで対戦相手は呪文での妨害ができなくなります。戦場に既にあるカードで対処できないなら、《天上都市、大田原》によるバウンスぐらいしか防ぎようがないでしょう。そして《時を解す者、テフェリー》《永遠の証人》とキーカードが3マナのパーマネントなので、《星界の再誕》は非常にデッキに合っています。インスタントタイミングで墓地から蘇る《時を解す者、テフェリー》は相手の想定外でしょうし、思わぬ角度からコンボが決まることがありますね。コンボが決まるまでの間の延命手段として採用されているのは《空の怒り》。しかしバントカラーでは定番の《電気放出》は使えません。そこで採用されているのが懐かしの《霊気との調和》。かつてエネルギーデッキを支えていた土地サーチがモダンでも採用されることとなりました。《ファラジの考古学者》と《稲妻罠の教練者》は共に《儚い存在》《オアリムの詠唱》などのキーカードを手札に加えつつ、《儚い存在》の対象にもできる素晴らしいカード。《孤独》も想起で唱えて《儚い存在》で一時追放して場に定着させることができますし、このデッキに入っているすべてのクリーチャーは《儚い存在》と相性抜群です。コンボが決まればあのエネルギーすらも封殺!エターナル、この名前にピンと来る方はまず使ってみましょう!

【リアニメイトディガー!】《もがく出現》で挑むプレミアム予選2連戦!

週刊 Standard

2024.12.04

Kyle Hitachi

皆さんこんにちは! 今週も「リアニメイトディガー!」も、スタンダードの『もがく出現』をディグしていきます! プレミアム予選に向けてどんな準備をしてきたかご紹介していきます! 赤アグロを克服するために 2024年11月24日に晴れる屋TC東京で行われたプレミアム予選では、ティムールカワウソと赤単アグロが権利を獲得しました。 1週間が経過しても環境に大きな変化はなく、赤アグロが多めの環境でした。サイドボードでの器用さから、緑を加えたグルールが現在最も強いデッキと言えそうです。 さて、先週私が取り組んだことは「どうやって赤単への勝率を上げるか?」です。 アプローチとしては、除去の増量とライフゲイン要素の追加が簡単だと考えました。注目したのは《執念の徳目》。墓地ではパーマネントでありながら、アドベンチャー面では2点回復しつつ、タフネス3を対処できるカードです。 最初は『ファンデーションズ』で《渇望の時》が再録されているのを見つけて興奮しましたが、実際には《叫ぶ宿敵》を対処できる上位互換《執念の徳目》が既に存在していました。悲しいです…。 これを釣り先兼除去として使い、赤単に有利に立ち回ろう!と考えました。 また、デッキ全体のテンポを良くするために、《切り崩し》をメインボードに移し、サイドボードの《強迫》を増量しました。理由は浮きがちな1マナを埋めることで動きに隙をなくしたかったからです。特に《強迫》は苦手なクロックパーミッションに対して効果的なカードなので期待。 その代わりに抜けたカードはまず《蓄え放題》。先週の記事にもあったように、キープ基準ではあるものの、《もがく出現》を拾えない点が少しイマイチ。 《苦痛ある選定》は追放能力が非常に環境にマッチしているものの、《永劫の好奇心》に触れないのが地味なマイナスポイント。赤アグロには《執念の徳目》の方が強いはずですからね。 また、活躍の機会が少なかった《戦慄衆の将軍、リリアナ》を解雇し、《脚当ての陣形》にも耐性がある《恐怖を喰うもの、ヴァルガヴォス》を増量しました。   2連戦のデッキリストと結果 2024年11月30日、晴れる屋吉祥寺店で行われたプレミアム予選で使用したデッキリストと結果は以下の通りです。  グルール〇 赤単〇青白エンチャント×青白眼魔〇グルール〇版図ランプ〇ID 青白エンチャント×   5-1-1で5位通過し、SEに進出しましたが、スイスラウンドと同じ対戦相手に敗北。赤単、グルールには3-0で相性の改善を感じることができました。 グルール側に理想的な動きをされると負けてしまいますが、かなり戦えるようになっています。 続いて2024年12月1日の晴れる屋川崎店! 版図ランプ 〇版図ランプ 〇グルール ×青白エンチャント ×グルール〇青黒ギャンビット 〇   トーナメント序盤では、大きく有利のつく版図ランプを2連続で踏むという幸運に恵まれましたが、現モダン神である内藤さんのグルールに残念ながら敗北。 そして今季のプレミアム予選で4回もマッチしている青白エンチャントに昨日に続けて負けてしまい、あえなく目無し。最後までやって4-2で11位という結果でした。 権利という結果こそついてこなかったものの、戦績のアベレージは高く保てているのは評価したいポイントです。また晴れる屋川崎店ではもがく出現を使っているほかプレイヤーの姿も目撃できました。なんとTOP8に二人もいます。 皆、構築に工夫があって非常に面白かったです。 さて、日曜日のデッキリストのお話です。 吉祥寺店での負け方に引きずられてはいますが、《恐怖の潮流》が手札で浮きがちな点が気になったので思い切って全て解雇しました。《執念の徳目》を拾える点を評価して《蓄え放題》を再びメインボードへ。 またサイドボードでは《深淵の収穫者》をお試し枠で採用してみました。直前までは《忌まわしき眼魔》にしていたのですが、急に天啓が浮かんできたので電撃的に採用です。 《忌まわしき眼魔》は、青黒ミッドレンジなどに対して除去やカウンターを要求する軽いフィニッシャーとして採用しており、《深淵の収穫者》はその役割を果たせるのでは?と考えました。 結果としては普通に弱かったです。《ショック》で焼かれるスタッツには哀愁すら感じますね。 他に条件に合致するカードしては《フラッドピットの大主》などでしょうか。《フェアリーの黒幕》が誘発してしまう点以外は強そうです。また《除霊用掃除機》にスムーズに対処できる、《好奇心の神童、ケラン》も再度検討したいところです。 サイドボーディングガイド VS赤アグロ 赤単、赤単タッチ緑、グルール、ボロス。全てアグロに分類されるデッキタイプなのでまとめます。 +1《深淵の裏切り、アクロゾズ》+1《解剖器具》+2《温厚な襞背》+1《強迫》 -2《森の轟き、ルムラ》-3《忘れられた者たちの嘆き》   優秀な果敢能力持ちクリーチャーでこちらを責め立ててきます。赤単は4枚の《岩面村》を、グルールは《探索するドルイド》《脚当ての陣形》を、ボロスは《ボロスの魔除け》《幽霊による庇護》をそれぞれ強みとしています。 戦略としては相手のクリーチャーを除去しつつ出来るだけ早く《偉大なる統一者、アトラクサ》《恐怖を喰うもの、ヴァルガヴォス》を戦場に着地させることになります。 負け筋は《巨怪な怒り》で急激に打点が伸びるパターン。特にこれに絡みやすい二段攻撃を付与する《多様な鼠》は必ず除去しなければなりません。 また絆魂クリーチャーを着地させても安心しないでください。《叫ぶ宿敵》《陽背骨のオオヤマネコ》でライフゲインを封じられるパターンがあります。 こちらはライフゲインできるカードを中心にサイドインします。除去が沢山ある手札が肯定されるマッチアップですが、ライフゲインなしにゲームを長引かせることはできません。 2枚引いた試合は余りにも負けますが、軽いアクションとしては悪くないので一枚だけ《強迫》をサイドインしています。《蛇皮のヴェール》やバーンスペルなどを抜くことが期待できるグルールやボロス相手には、2枚目以降のサイドインも検討して良いですね。 また、こういった相手にはとにかく早期に絆魂クリーチャーが着地することが重要です。《ゾンビ化》などのリアニメイトスペルの採用の検討や《第三の道の創設》でキープをするなど、工夫が求められます。 VSディミーアミッドレンジ 生物が主体ではあるのですが、青なのでカウンターが入っており、こちらも非常に動きにくい。 パーマネント自体は並びにくいので《恐怖を喰うもの、ヴァルガヴォス》が定着した際の勝利率は非常に高いです。《強迫》で無理やり道をこじ開けて通しましょう。 +3《強迫》+2《羅利骨灰》+2 軽量フィニッシャー -2《森の轟き、ルムラ》-3《執念の徳目》-1《苦難の収穫者》-1《忘れられた者たちの嘆き》 インスタントでクリーチャーが出てくるため、ソーサリータイミングの除去は弱めです。《ティシャーナの潮縛り》がクリティカルになる《森の轟き、ルムラ》も抜いてしまいます。 3マナ程度の軽いフィニッシャーも欲しいところです。《強迫》とくっつかせることで相手のプランをずらしたい。《除霊用掃除機》のことも考えると《忌まわしき眼魔》が最適な気はしますね。1枚ずつしか追放されないので《忌まわしき眼魔》は比較的出しやすいです。 VSティムールカワウソ 上の2つのデッキと比べるとかなり対処するのが難しいコンボデッキです。 基本的には《渓間の洪水呼び》《永劫の活力》を対処していくことになります。場合によってはビートダウンプランを取られるので、競り負けないようにこちらも《もがく出現》をキャストできる状況を作っていきましょう。 《恐怖を喰うもの、ヴァルガヴォス》が効果的なマッチではありますが、《嵐追いの才能》など複数のパーマネントを展開して護法を支払いながら《この町は狭すぎる》でバウンスされてしまいます。 +2《強迫》+2《除霊用掃除機》+2《温厚な襞背》 -3《執念の徳目》-3《忘れられた者たちの嘆き》   サイド後は墓地対策や置物対策を入れて容易にコンボを走らせないよう立ち回りましょう。 《花粉の分析》《嵐追いの才能》《永劫の活力》など墓地を使用するカードが多いので、墓地対策は効果的です。 《豆の木を登れ》《咆哮する焼炉》《嵐追いの才能》《永劫の活力》に対応できる置物破壊も欲しいところです。《羅利骨灰》《温厚な襞背》を比較した結果、今は墓地に触れる《温厚な襞背》をサイドインしています。ですがゲーム感によってはより軽い《羅利骨灰》のほうが良い可能性もあります。 VS版図ランプ 非常に有利なマッチアップですが《永遠の策謀家、ズアー》が絡んだ高速クロックを決められる展開があるので注意が必要です。あくまで相手はこちらを削り切るしかゴールがないのでライフを高く保ちつつ相手をライブラリーアウトさせる戦略を取りましょう。 +3《強迫》+3《羅利骨灰》+2《温厚な襞背》+1《向上した精霊信者、ニッサ》 -2《切り崩し》-3《執念の徳目》-2《苦々しい勝利》-1《苦難の収穫者》-1《忘れられた者たちの嘆き》   サイドボード後は相手が《安らかなる眠り》を置いてくる前提で立ち回ります。版図ランプはエンチャントを主体にしたコントロールデッキなので、置物破壊系のサイドカードが腐りにくいのが良いですね。 相手が入れてくるカードとして可能性が高いのは《ティシャーナの潮縛り》や《クチルの側衛》でしょうか。《鋼と油の夢》などで対策できますが、他のマッチで弱いので採用しづらいです。 現在の構成では、手札にあることがわかったら一度喰らいにいくしかないでしょう。   今週改善したこと 対赤アグロを改善 《執念の徳目》や《切り崩し》などでしっかり赤アグロを意識した結果、先週は4勝1敗としっかり勝ち越すことができました。 デッキ全体のバランスを調整 デッキを軽くしたり、釣るカードのクオリティを意識した結果、デッキがバランス良くなりました。 《蓄え放題》も入れ直して好感触でした。 マリガン基準 先週お話ししたキープ基準である《蓄え放題》を抜いてしまったので、単純に考えればマリガン率が高くなります。 デッキリストはいじるだけではダメです。しっかりとプレイにも反映させなければなりません。 結局《蓄え放題》を入れ直したり、切削カード以外でのキープについて考えることで、ある程度今のリストでのマリガン基準が定まりました。 今後の課題 クロックパーミッションの攻略 赤アグロは改善できたものの、アゾリウスエンチャントやアゾリウスメンターなどの打ち消しが入ったアグロデッキには負け続けており、ここの改善は必須。 マナベース やはり4色デッキゆえに事故だけで負けてしまうこともあります。 マナベースの改善は、ただ単に土地だけと睨めっこをすれば良いわけではありません。たとえば《蓄え放題》を抜けば序盤に必要な緑マナは《もがく出現》だけなので、少し緑を削れます。 サイドボードの最適化 まず取り組みたいのがこちらから。そのためにはカードプールの把握が必須! 特に『ファウンデーションズ』は「こんなカードが使えるの?」といったことも多いですからね。晴れる屋川崎店で権利を獲得したセレズニアオーラに《ひるまぬ勇気》が採用されているのを見たときは目を疑いました。 《ゾンビ化》の検討 これまでは釣ってインパクトのあるクリーチャーが《偉大なる統一者、アトラクサ》《森の轟き、ルムラ》ぐらいしかいなかったのですが、釣り先として《恐怖を喰うもの、ヴァルガヴォス》が加わったので、《ゾンビ化》を試して良いかもしれません。 前述のように赤単に強いですしね。   検討してきたカードたち これから《もがく出現》を使おうと考えている方や、既に回している方のために、これまで自分が採用を検討したカードたちを10枚ほど紹介しようと思います。 《全知》 墓地から土地を吊り上げて手札の重いカードをすべて使用できるようになる《森の轟き、ルムラ》と使用感は近いです。そのため、採用するなら《全知》か《森の轟き、ルムラ》いずれかとなるでしょう。 手札からの呪文を自由に唱えることができるようになるので、《偉大なる統一者、アトラクサ》を《忘れられた者たちの嘆き》などで使い回すことによってデッキをほとんど掘り切ることができます。つまり相手をライブラリーアウトさせるのに十分な回数の《完成された精神、ジェイス》を集めることができるのです。ですがいくつか欠点があります。 1.重すぎる 切削がかなり上手くいかなければ4ターン目までに戦場に出すことができません。また《森の轟き、ルムラ》と違って素出しをすることがほとんど不可能。 2.インスタントの対処札に弱い 《羅利骨灰》や《脚当ての陣形》、《失せろ》《力戦の束縛》などインスタントタイミングで《全知》を破壊できるカードが環境には非常に多いです。一回スペルを唱えられることは保証されていますが、少し気になる点です。 3.《森の轟き、ルムラ》の方が便利 《森の轟き、ルムラ》は軽いだけでなく、墓地から土地を出してくれるので、《不穏な浅瀬》との相性が抜群です。 《不穏な浅瀬》でライブラリーを削って《森の轟き、ルムラ》で土地を吊り上げ、たくさんの土地がある状態なら複数の《不穏な浅瀬》を起動したり、《不穏な浅瀬》を起動しながらもう1アクションなどが容易です。 ちなみに、僕は以前《死人に口無し》4枚、《石の脳》4枚を採用しているようなデッキに《不穏な浅瀬》だけで殴りきったことがあります。 《不穏な浅瀬》と相性が良い点も、《森の轟き、ルムラ》に軍配が上がりますね。 《ベイルマークの大主》 非常に優秀な切削能力に加えて5ターン後には本人が戦場に現れます! 素出しもさほど重くない良いカードなのですが、回収できるのがクリーチャーに限定されているところが歯がゆい。やはり切削しながら探したいのは《もがく出現》、もしくは土地ですからね。 《上げ潮、キオーラ》 ほとんど効果が同じ《蒸気学の学者》の頃から試していますがあまり感触はよくありません。せっかく《切り崩し》を躱せるデッキなのに当たってしまう点が微妙です。 もちろんルーティング効果はデッキに合っているので採用するならば1~2枚のカードという評価です。 《墓場波、ムルドローサ》 《溺神の信奉者、リーア》がいた頃は、1枚採用することで使えるスペルの数を飛躍的に水増しできました。《事件現場の分析者》や《見事な再生》で土地を爆発的に伸ばして、《溺神の信奉者、リーア》から《もがく出現》を連打するデッキでプレミアム予選を抜けたのは良い思い出。 そんな私が目をつけたのがこのカードです。なんと墓地のパーマネントをそれぞれの種類につきターン一回制限で使えるようになっちゃいます!さながら《ヨーグモスの意思》ですね。 ですが赤単のせいで環境のキルターンが短く、《偉大なる統一者、アトラクサ》でリソース面は確保できるためお蔵入りに… 最近のカードのインフレを感じてしまいました。 《ファラジの考古学者》 モダンの御霊シュートでも採用されている優秀な切削カードです。《もがく出現》を拾うこともできるナイスカードなのですが、《第三の道の創設》で踏み倒せないことだけが惜しいところです。 ただし、赤単相手に壁になるところは評価できます。今の環境であれば《忘れられた者たちの嘆き》《蓄え放題》を押しのけて採用する意味があるかもしれません。 僕としては《第三の道の創設》のバリューを重く見ているので採用には至りませんでした。 《洞窟探検》 《森の轟き、ルムラ》のバリューを大きく加速させるカードとして、以前のリストには採用していました。タップインが多いデッキでもあるのでマナブーストも純粋に嬉しいです。 ただし手札で浮くことが多いカードであることもあり解雇してしまいました。 採用するならば土地の枚数を26枚にして、安定して土地を伸ばせるようにしたいですね。 《緊急の検死》 証拠収集を容易く達成できるデッキなので重宝していました。 しかしサイドボードでの使いにくさから、デッキのスロットを一枠使っていることに疑念を感じてしまい、あえなく解雇。 比較的ターゲットにする頻度が高いであろう《永劫の活力》《永劫の好奇心》《永劫の無垢》を完全に対処できないのも気になってしまいますね。 《好奇心の神童、ケラン》 以前はサイドボードでゲームプランになるカードとして非常に重宝していたのですが…… 1.土地を1枚ブーストすることに価値がない2.黒系ミッドレンジへの適切なブロッカーにならない3.出来事で出す手がかり以外にドローに変えることのできるアーティファクトがない などから、採用の機会が減っていました。 ですが現在は《除霊用掃除機》という明確なヘイトカードが存在するため、採用する意義がありそうです。 《その名を言え》《三度呼ばれ、アルタナク》 《その名を言え》は土地を回収できるものの、《蓄え放題》と比べると《第三の道の創設》が拾えないことが気になってしまいます。後は単純に3枚追放して出てくる《三度呼ばれ、アルタナク》が弱すぎました。墓地対策にも弱く、スロットも圧迫するため解雇です。 《神盾の海亀》 赤単に対するキラーカード。採用して一試合目で普通に黒い除去のほうが良いことがわかりました。「このカードがあれだったら…」という思考を持っておくと試行回数を節約できます。 《否認》《軽蔑的な一撃》 サイドボードに定番の打ち消し。が、あまりおすすめはしません。 毎ターン、ソーサリータイミングでマナを使い切ることに価値があるデッキであり、インスタントタイミングで打てるカードが《錠前破りのいたずら屋》しか存在しないからです。《否認》を構えて相手が何もしてこなかった時にこちらもインスタントタイミングでカードを使えないとターンがもったいないですよね。 軽い妨害である《強迫》の方が《第三の道の創設》の第一章・第三章と噛み合うのでおすすめです。 まとめ 今週の『リアニメイトディガー!』はいかがだったでしょうか? 赤アグロが多いこの環境で勝つのは厳しいと思っていましたが、意外と勝てていて嬉しいです。 とはいえ、プレミアム予選ではまだマッチしていないディミーアミッドレンジはどう考えても鬼門。 良いサイドプランを見つけたいところです。 今週末からチャンピオンズカッププレミアム予選はお休みシーズンに入ります。が、晴れる屋様主催の『スタンダード神挑戦者決定戦』に参加する予定です。 それに向けて調整も重ねるので、来週はそれについて記事にする予定です! それではまた次回!

【今週のピックアップデッキ】アゾリウスレイライン/イゼットロータス/シミック鱗親和

週刊 Modern Pioneer Standard

2024.11.29

mtg Yuyan

こんにちは。 細川 侑也(@yuyan_mtg)です。 今週のピックアップデッキでは、ちょっと珍しいデッキを、軽い解説を交えて紹介していきます。 アゾリウスレイライン(スタンダード) MOショーケースラストチャンス:5-0 By D00mwake 『ギルドパクト』で初めて登場した力線サイクル。ゲーム開始時に初手にあると手札から出した状態でゲームを始められるこのエンチャントのサイクルは、墓地対策の《虚空の力線》、手札破壊や火力に耐性がつく《神聖の力線》など、サイドボード後に活躍するものがほとんどでしたが、近年では《ドラコの末裔》とコンボになる《ギルドパクトの力線》と、デッキコンセプトになる力線までもが現れました。そして『ファウンデーションズ』で新しく刷られた力線も、デッキコンセプトになりうる1枚!《力線の斧》です。以前パイオニアのアゾリウスコロッサスで紹介したこの《力線の斧》。初手にあると手札からタダで出せる力線カードで、初めての装備品です。装備先に+1/+1二段攻撃トランプルを付与する装備品は本来唱えるのに4マナ、装備に3マナの合計7マナがかかるので、それが初手にあるだけで3マナで済んでしまうのはかなりお得……というより価格破壊レベル。この装備品のつけ先はなるべくサイズが大きいクリーチャーが良い!そこで選ばれたのが《威厳あるバニコーン》。可愛らしい兎さんは、その見た目とは裏腹に暴力的なサイズを持ちます。土地以外のパーマネントの数だけ大きくなるので、手がかりや地図などがあればあっという間に2マナ5/5。令和の《タルモゴイフ》と言っても過言ではありません。だが残念ながら《威厳あるバニコーン》は能力を持たないバニラ。トークンなどにチャンプブロックされてダメージが通せないのが弱点でしたが、《力線の斧》のおかげで一撃で敵を屠る兎に変貌します。《威厳あるバニコーン》と相性の良いカードが《マネドリ》。クリーチャーを飛行を持った状態でコピーしてしまうので、飛行を持つ《威厳あるバニコーン》として戦場に出ることも可能ですし、手がかりや地図を生み出して《威厳あるバニコーン》のサイズを上げる《ひよっこ捜査員》《遠眼鏡のセイレーン》にもなれます。《鋼の熾天使》も《威厳あるバニコーン》と組み合わせて強いカード。飛行を付与して《威厳あるバニコーン》のダメージを通しても良し、絆魂をつければ一気に大量のライフを回復できます。赤系アグロからしてみたらこの動きはたまらないでしょう。赤系アグロにとって天敵である《幽霊による庇護》ももちろん4枚採用です。これを《威厳あるバニコーン》につけてしまえば、《力線の斧》や《鋼の熾天使》でイージーウィンです。《幽霊による庇護》《鋼の熾天使》+《威厳あるバニコーン》は対赤アグロにおいて必勝ともいえるムーブ!赤いデッキに強いというだけでも、このデッキを選ぶ理由になりそうですね。 イゼットロータス(パイオニア) MOショーケースラストチャンス:5-0 By RNAPBP1 『ファウンデーションズ』では新カードだけでなく、これまで活躍してきた歴戦のカードたちも再録され、スタンダードで使用可能となりました。スタンダードで使えるということは、当然パイオニアでもそれらのカードが使用できるようになったのです!その中でも最もパイオニアへ影響を与えるのではないかと目されていたカード、それが《探検の地図》。ウルザ地形3種を揃えて膨大なマナを出すウルザトロンや、神座をたくさん集めてやはり大量のマナで勝利するクラウドポストなど、様々な土地コンボで採用実績のあるカードが、パイオニアにやってきました。その居場所はもちろん、パイオニアで土地を使うデッキ、ロータスコンボです!これまでのロータスコンボは《大ドルイドの魔除け》《森の占術》を採用した青緑、あるいはそこに《厳しい試験官》を加えたバントが定番でした。《睡蓮の原野》を置かなければ始まらないコンボなので、土地サーチはあればあるだけ良く、その役目を担えるのが緑しかなかったのです。しかし、《探検の地図》の登場でロータスコンボ界にも変革が訪れました。無色で使える土地サーチが出たことで、緑を使わない選択肢も出てきたのです。実は緑を使わないロータスコンボも実は少数存在していましたが、その比率は9:1ほどで、一般的なのは緑型でした。それが《探検の地図》のおかげで飛躍的に安定性が上がり、いよいよ緑の立場を脅かそうとしています。イゼットロータスの特徴はなんといっても不純物が非常に少ないことが挙げられます。通常のロータスコンボは《出現の根本原理》とそのサーチ先などで、およそ6~7枚ほど、重いカードが採用されていました。《出現の根本原理》を打って《全知》を置くことが勝ち手段だったので仕方ありませんが。これらの要素をすべて廃し、《考慮》や《手練》などのキャントリップ呪文、そして《時を越えた探索》を採用し、とにかくドロースペルを連打する構成となっています。《見えざる糸》から《出現の根本原理》を打つのではなく、ドロースペルを連打し、《見えざる糸》でマナを起こし、そのマナで更にドロースペルを打っていく。これがイゼットロータスです。とはいってもドロースペルがいつまでも連鎖するわけではありません。キャントリップ呪文もいつか土地になり、連鎖は終わります。それを防いでくれるのがイゼットフェニックスでも大活躍中の《美術家の才能》です。《美術家の才能》とキャントリップ呪文で不要なカードを弾きつつ、キャントリップを連打していき、最終的に《溺神の信奉者、リーア》に辿り着いてデッキすべてを掘り、《願い》から《タッサの神託者》で勝利。従来のロータスコンボというよりは、ストームに近い感覚のデッキですね。ロータスコンボでは《見えざる糸》を手札破壊で狙い撃ちされて《出現の根本原理》だけが手札に浮いてゲームに負けたり、《全知》や《闇の誓願》だけを引いて負ける。そんなこともありましたが、イゼットロータスではそんなことは起きません。ロータスを飽きるほど回した人でも、このイゼットロータスは新鮮な気持ちで回せるのではないでしょうか。《美術家の才能》とキャントリップと《見えざる糸》でデッキが回る様は美しく、在りし日のピットサイクルを思わせます!ぜひご堪能あれ! シミック鱗親和(モダン) モダンリーグ:5-0 By CarlosZ モダンの数あるガチャガチャデッキの1つである鱗親和。その歴史は2018年にまで遡ります。当時マジックオンライン上でマニアだけが使うマイナーデッキだった鱗親和は、その年のモダンで行われたグランプリ・プラハで優勝を果たし、人気のアーキタイプとなりました。《硬化した鱗》と《電結の荒廃者》による爆発力に魅了されるプレイヤーも多く、今もファンがとても多いデッキです。ちなみに僕も鱗親和を愛するプレイヤーの1人。そんな鱗親和の最新事情はというと、なんと青が足されています。青というスパイスが加わってどんな動きが可能になったかを、デッキの簡単な動きと共に解説していきます。このデッキは《硬化した鱗》にフィーチャーしたコンボ要素の強いアグロデッキ。《硬化した鱗》はカウンターが1つ乗る効果を2つにするので、《微光蜂、ザーバス》《歩行バリスタ》《電結の荒廃者》など、+1/+1カウンターが乗った状態で出てくるクリーチャーがすべて倍のカウンターで戦場に降り立ちます。これだけだと大したことはありませんが、《電結の荒廃者》はアーティファクトを1つ生け贄に捧げると+1/+1カウンターが1個乗るので、これも2個に。場のアーティファクトを3つ生け贄にすれば6個のカウンターが乗り、元のカウンターと合わせて8個。この《電結の荒廃者》を接合して《墨蛾の生息地》にカウンターを移せば、その際にも《硬化した鱗》でカウンターが増え、合計9個が乗り、一撃で10毒を相手に与えられるようになります。《継ぎ接ぎ自動機械》も《硬化した鱗》下ではカウンターが倍になり、恐ろしいサイズの護法クリーチャーが突然爆誕します。勝ちパターンもいろいろとあります。先ほど紹介した《電結の荒廃者》《墨蛾の生息地》による一撃必殺の他に、《歩行バリスタ》もフィニッシャーになります。《オゾリス》がある状態で《電結の荒廃者》の上に乗ったカウンターを《歩行バリスタ》に接合すると、《オゾリス》にも大量のカウンターが乗るので、たとえば8個カウンターが乗ってる《電結の荒廃者》が《歩行バリスタ》に接合することで、もともとのカウンター2+接合で乗るカウンターが8(+1)、そして《オゾリス》の上からまた8(+1)の9個が乗り、ちょうど20点を飛ばせます。そして《電結の荒廃者》《歩行バリスタ》などの強力な起動型能力を持つクリーチャーと相性の良いカードが《アガサの魂の大釜》。《電結の荒廃者》は非常に狙われやすいカードですが、《アガサの魂の大釜》があればすべてのクリーチャーが《電結の荒廃者》になるので安心。もちろん《硬化した鱗》カウンターもしっかり2つ乗ります。ここでようやくタッチ青の話が出てきます。この《アガサの魂の大釜》のバリューを更に引き上げてくれるのが《湖に潜む者、エムリー》です。戦場に出た時に切削4をするので、その中に落ちたクリーチャーを《アアガサの魂の大釜》で追放できますし、《アガサの魂の大釜》で《湖に潜む者、エムリー》を追放すれば、自分のクリーチャーがすべて《湖に潜む者、エムリー》の能力を使えるようになります。《電結の荒廃者》の能力で戦場のアーティファクトを墓地に送りこめるので、《湖に潜む者、エムリー》の能力を5体が使えたとして、それを全部使いきれるのが素晴らしい噛み合いポイント。《溶接の壺》を5回《電結の荒廃者》の能力で食べるもよし、マナがあれば《微光蜂、ザーバス》を何回も墓地から唱え、大量の+1/+1カウンターをばらまけます。これまでの鱗親和に入っていなかったのが不思議なぐらい、デッキと噛み合う1枚、それが《湖に潜む者、エムリー》です。サイドボードを見てもタッチ青はしっかりと活かされており、《記憶への放逐》と《呪文貫き》が採用されています。フェアデッキに強い一方、アンフェアはめっぽう苦手なのが鱗親和。緑単では解決できなかった対アンフェアも、青の力を借りれば攻略可能です。一度回せば虜になる魔力が鱗親和にはあります!ぜひ《湖に潜む者、エムリー》を加えて更に楽しくなったシミック鱗親和を回してみてください。

パイオニア神挑戦者決定戦参戦記~イゼットフェニックス解説~

Pioneer ピックアップ

2024.11.28

Akira Kobayashi

自己紹介  皆様、初めまして。小林 輝(コバヤシ アキラ)です。  XやNoteなどでは「へいか(@enzyutuheika)」という名前で活動させていただいております。  周りからはXのハンドルネームである「へいか」もしくは「陛下」などとよく呼ばれています。 マジック公式の写真館より引用  機会に恵まれ、GOOD GAMEメディアにて記事を書かせていただくことになりました。  どうぞよろしくお願いいたします。  マジック:ザ・ギャザリングを始めたのは2019年の『ラヴニカの献身』。新参です。  初めて組んだデッキは青単テンポ、初めて3-0したデッキは《荒野の再生》のティムールネクサスです!  始めた当時に幸運にもマジック:ザ・ギャザリング公式からインタビューをいただいた経験もあったりします。 マジック公式カバレージより引用    この記事の通り耳が聞こえませんが、ステップカードや対戦相手のご厚意などによって楽しくプレイをさせていただいております。  コロナ禍で休止後に2021年末で復帰し、2022年の日本選手権予選をきっかけに競技の沼に入り込みました。  大きな大会で優勝などはしていませんが、主な実績としては下記のような形になっています。  第9期パイオニア神挑戦者決定戦:トップ4 第25期スタンダード神挑戦者決定戦:準優勝 プレイヤーズコンベンション千葉2023パイオニアオープン:トップ4 チャンピオンズカップファイナル シーズン2ラウンド3:PT権利獲得  2月に行われるプロツアー・シカゴに参加予定なので、そこでも何らかの形で記事を書きたいと思います!  パイオニアでは青白が板botとして、アゾリウスコントロールやアゾリウスロータスなどのコントロールデッキを好みますが、アグロもミッドレンジも結構好きだったりします。  その一方でコンボデッキはあまり触ってこなかったので、これから勉強していこうと思います。  好きなカードは《荒野の再生》です!! 禁止改訂の時期になる度に《荒野の再生》をストレージから解放する再生解禁botとしても活動しております。  そのうち《荒野の再生》の記事も書くかもしれません。ご期待ください。 パイオニア神挑戦者決定戦の参戦デッキ  さて、今回の記事としては11月23日にパイオニア神挑戦者決定戦で使用したデッキに関する解説になります。  デッキはやはりアゾリウスコントロール……ではなく、イゼットフェニックスです!  青白が板botとして最初に書かせていただく記事がイゼットフェニックスになってしまい大変申し訳ございません。腹を切って詫びます。 なぜイゼットフェニックスなの?  まずパイオニア神挑戦者決定戦に挑むにあたり、アゾリウスコントロールのポジションがかなり悪くなっていたことが始まりでした。  《思考囲い》のみならず《強迫》も複数枚入れ、《不浄な別室》によるとんでもないドローエンジンが強力なラクドスデーモン。  細かく動いてくる上にスペルを唱えるだけで墓地から《弧光のフェニックス》が飛んでくるなど、構造的に不利なイゼットフェニックス。  怨敵たる《スレイベンの守護者、サリア》を擁し、《至高の評決》などを《エイヴンの阻む者》《選定された平和の番人》でズラされてしまうセレズニアカンパニー……  このように、アゾリウスコントロールにとって辛いデッキが環境上位を占めています。とてもつらい。  これに限らずアゾリウスコントロールは以前から苦難の時期が続いており、他のデッキを模索しているところでした。  友人からイゼットフェニックスを借り、回したところ……ものすごく楽しい!!  全てのカードが美しく絡み合っていく感覚、そして何よりドロー、ドロー、ドロー!! 「マジックはドロー」という格言をこれ以上なく体感でき、正直今まで触ってこなかった事を後悔しました。それほど楽しいデッキです。  気が付けば延々と一人回しをしてしまう毎日を過ごしてしまいました。  しかし、イゼットフェニックスに触れてからパイオニア神挑戦者決定戦まで間もない状態。  練度も精度も何もかもが足りない状態です。  そこでヨーロッパのUltra Proのスポンサードプレイヤーであり、各地のRCやPTで好成績を残し続けているチームWorldly Counsel Heavy Playの一員で精力的に活動されているMyra00(@Myra00_mtg)さんからイゼットフェニックスの何たるかをコーチングしていただきました。  正直言って、本記事のかなり深い部分についてはMyra00さんの受け売りです。  こうして記事にすることを快くご許諾いただき、この場を借りて感謝申し上げます。  コーチングなども条件付きで実施されているそうなので、本記事で興味が出てきましたら是非見に行ってください!(ディスコードID:myra00)    Myra00さんからご教授いただく中でイゼットフェニックスというデッキの奥深さを知り、ますます使いたくなってきました。  マジックをしていく上で一番重要な事は「楽しむ事」なのが私の信条。楽しめるデッキを使わない選択肢はありませんでした。  当日は楽しむつもりで友人から借りたイゼットフェニックスを手にいざ出陣!  結果はというと、1-3ドロップ……現実は非情でした。  負けはいずれも悩んだ選択の中で裏目を引いてしまった形になり、イゼットフェニックスの難しさを身をもって知る形となりました。  が、ここで得られた知見なども含めてこれからイゼットフェニックスというデッキを深掘りしていきます。  イゼットフェニックスに興味がある方々には私の屍を乗り越えていっていただければと思います。 イゼットフェニックスについて  さて、改めてイゼットフェニックスについて基本的なことを紹介していきます。  《考慮》《選択》《手練》の1マナキャントリップ、1マナ3点火力の《焦熱の衝動》や《弧光のフェニックス》を墓地に送る手段でもある《稲妻の斧》。  これらインスタント・ソーサリー呪文を3回唱え、墓地からデッキ名にもなっている《弧光のフェニックス》を戦場に戻らせる事を主目的としたデッキです。  このように1マナのスペルが非常に多く、墓地も肥えやすいことから"パイオニアにおける聖域"と謳われるパワーカードである《宝船の巡航》を最も強く使えるのも他にない強みですね。  禁断の1マナ3ドローを味わってしまったらもう戻れません。モダン・レガシーで禁止されているカードは格が違います。 『エルドレインの森』で得た新戦力《錠前破りのいたずら屋》で大きな存在感を発揮していたイゼットフェニックスですが、『ブルームバロウ』で《美術家の才能》を獲得したことでデッキとしての強さが一段階上がったと言っても過言ではありません。  とにかく《弧光のフェニックス》を求めてデッキを掘る必要があるイゼットフェニックスにおいて、「全てのノンクリーチャースペルにルーティングのオマケがつく」効果は強力無比です。  これも2マナと非常に軽く、ラクドスなどの特定カラーは対処しづらいエンチャントである点も強みの一つになっています。  この《美術家の才能》のルーティングによるデッキ掘り能力は凄まじく、探査コストを7枚要求する《宝船の巡航》を1ターンで2回唱えることすら可能としています。  また、どんどんデッキを掘っていく特性上、1枚差しの価値が大きく上がっているのもポイントの一つになります。  メインボードの1枚差しとしては《プロフトの映像記憶》がその筆頭ですね。  これもまたルーティングを繰り返す《美術家の才能》やキャントリップの《考慮》《選択》。(※《手練》は手札に加えるため、ドローにならない点に注意です。)  そして1マナ3ドローである《宝船の巡航》との相性も非常によく、《錠前破りのいたずら屋》にカウンターを乗せることで優秀なサブプランとして機能します。  また、先述した通り「特定のカードへのアクセスのしやすさ」は各マッチアップに対して効果的なサイドボードを引き込みやすい事にも繋がります。  これもイゼットフェニックスの大きな強みの一つであり、総じて「75枚全体で戦う」という感覚が強く感じられるデッキです。 今回使用したデッキリスト 今回はMyra00さんからご提供いただいたリストを使用しました。 メインボード解説(フリースロット)  様々なリストを見ていきましたが、メインボードでは56枚ほど固まっているように見受けられます。残りの4枚がフリースロットですね。  ここではフリースロット部分について言及していこうと思います。    ここは《反逆のるつぼ、霜剣山》《ジュワー島の錯乱》などとの選択ですね。  Myra00さんからいただいたリストでは《島》4枚で、それをリスペクトした形です。  理由もあり、《考慮》《手練》《選択》などのキャントリップを能動的に唱えるにあたって赤しか出ない《反逆のるつぼ、霜剣山》はややリスクがあるように感じました。  サイド後の《無効》《神秘の論争》などが構えられないのも厳しいものがあります。 《ジュワー島の錯乱》も土地として運用するとタップインなのが大きなマイナス点。  追加の1マナ火力であり、セレズニアカンパニーの《永劫の無垢》やラクドス雄姿の《心火の英雄》などに対して追放が有効に働きます。  ミラーマッチでも《弧光のフェニックス》を追放したりと、結構働いてくれる1枚です。  最悪《美術家の才能》《プロフトの映像記憶》で協約が可能な点は忘れないでおきたいところです。  この二枚はセットでの運用ですね。  追加ターンを2回得て複数の《弧光のフェニックス》で一気に削りきるコンボデッキのような立ち回りを可能としています。  この2枚を採用する理由として、《美術家の才能》によって墓地肥やし及びパッケージを探す速度が大きく上がり、このコンボで殴り切るというプランがこれまでより容易になった点が挙げられます。  また、4cズアーなどには長期戦になってしまうと必敗の中、このコンボという明確なゴールが存在することも一つのポイント。  《感電の反復》も1枚の価値が高くなるラクドスデーモン戦で《焦熱の衝動》をコピーして《ドロスの魔神》を対処したり、あるいは《厚かましい借り手》をコピーすることで一気にテンポを取ったり……というように器用な働きをします。 Tips集 《手練》《選択》《考慮》どれから使う?  基本的にソーサリーの《手練》から使っていきます。 《プロフトの映像記憶》に影響がないですし、《選択》《考慮》はインスタントタイミングであるため相手の動きを見て、必要なカードかどうかを判断できるからですね。  ただし、「手札を加える」という特性上、《黙示録、シェオルドレッド》《覆いを割く者、ナーセット》などがいる時は《手練》の価値が大きく上がります。  また、同時に2枚見れるという効果の特性上、欲しいものが明確であれば《手練》を温存するという手もあります。  では《考慮》と《選択》はどうか、と言われれば一般的には《宝船の巡航》の探査、《弧光のフェニックス》が落ちる可能性のある《考慮》の方を優先して使います。  受け入れが狭い(不要なカードが多い)ほど諜報で落としやすくなるのもあり、序盤から使っていきたい1枚でもあります。  基本的には《考慮》でカードを墓地に落とした方が得ですからね。  ただし、《選択》から先に打つパターンも存在します。  土地が欲しい時は《考慮》より《選択》を打つのがベターです。前述の「《考慮》を打つならカードは墓地に落としたい」を前提に考えてみればわかりやすいです。  土地が欲しい=土地は《考慮》で墓地に落としたくないということになるので、(2枚目の土地であれば)ライブラリー内の18枚は引きたいカードですから、そこそこの確率で諜報できずに(諜報によって土地が見えて)ドローしてしまう場合があります。そのままにしてドローするなら《選択》でも《考慮》でも同じ。《考慮》の方が強いカードなのにもったいないですよね。  他には、《真っ白》などの墓地対策をケアするパターンでも《選択》から打ちます。テキストを読み上げるようですが、《考慮》は諜報によって1枚で最大墓地を2枚肥やすことが出来ますからね。  《選択》を先に使い、墓地対策をされた後から《考慮》で1枚多く墓地を肥やすことで《宝船の巡航》に繋がるようにするわけですね。 土地1枚のハンドはキープ可能?  キャントリップ2枚以上であればキープを検討します。  他に《美術家の才能》もあれば2枚目の土地を引いた時のバリューが非常に高いため、まずキープしますね。  また、キャントリップ1枚でも《美術家の才能》に加え、《錠前破りのいたずら屋》などがある強い手札であればキープします。  ただしラクドス雄姿などの序盤の干渉が必要なマッチアップであればマリガンです。  マッチアップによってキープ基準は変わるというわけですね。 《宝船の巡航》の探査  基本的に《焦熱の衝動》の魔巧達成のために土地・エンチャント・クリーチャーから優先的に追放します。  《焦熱の衝動》が関係ないマッチアップではあまり気にしなくても大丈夫です。  《思考のひずみ》が入ってきそうな相手であれば、逆に土地やクリーチャーを残し、打たれても探査コストが残るようにする小テクもありますね。 《美術家の才能》加入の影響 《稲妻の斧》の枚数減少  《弧光のフェニックス》を捨てる貴重な手段であり、1マナ5点と凄まじいマナ効率の《稲妻の斧》。  これまでのイゼットフェニックスではこれは4枚から動かないとされてきましたが、《美術家の才能》の加入によって2~3枚に減量されているリストが散見されます。  理由としては主に下記の二点であると考えています。 1.《美術家の才能》によって捨てる手段が困らなくなった  従来のイゼットフェニックスでは捨てる主な手段として《帳簿裂き》《稲妻の斧》の2種類でした。  《帳簿裂き》は盤面に関わらず謀議さえ誘発してしまえば捨てられますが、相手の除去によって定着は難しくなっています。除去された後に《弧光のフェニックス》を引いたら目も当てられません。  また、《稲妻の斧》は相手にクリーチャーがいなければディスカードすらできません。  その一方で《美術家の才能》は除去されづらいエンチャントであり、回数制限もなく盤面に関係なく使用できるため、《弧光のフェニックス》を捨てられる機会が非常に多くなっています。 2.《稲妻の斧》自体の価値が下がっている  端的に言えば「《美術家の才能》によってカード1枚の価値が上がっている」事が理由です。  《美術家の才能》のルーティングは「先に捨てる」ことになります。  そうすると、手札は多い方が判断材料として分かりやすくなりますね。  しかし《稲妻の斧》はディスカードが求められるため、手札は減ってしまいます。  そうすると《美術家の才能》のルーティングをする幅が狭まってしまい、強みが少し減ってしまいます。  例えば手札が2枚で片方がキャントリップであれば最低限ルーティングはできますが、1枚だけだとルーティングすら出来なくなります。  結果的に《宝船の巡航》などに辿り着く確率も下がってしまうというわけですね。  また、5点も魅力ではあるのですが、ラクドスデーモンなどはこの《稲妻の斧》を意識して《ドロスの魔神》《祭儀室》といったタフネス6のクリーチャーを繰り出してきます。  《稲妻の斧》の当て先の一つである《帳簿裂き》を巡るはずのイゼットフェニックスミラーにおいても、現在は《美術家の才能》型が主流になっていることも向かい風。  上記の理由から《稲妻の斧》そのものの価値が下がり、4枚が鉄板ではなくなったのだと考えられます。  とはいえ、ラクドス雄姿などに対しては信頼おける火力であるのも事実であり、《稲妻の斧》が4枚のリストも多々ありますので、この辺りはメタに応じてチョイスすることになるでしょう。 《帳簿裂き》の不採用  《美術家の才能》が入った事で抜ける枠は《帳簿裂き》になります。  ただし、一概に《美術家の才能》の方がいいとは言い切れません。《美術家の才能》自体は盤面に影響しないという大きな欠点が存在するからです。  例えばラクドス雄姿に対して《美術家の才能》を出そうにも盤面に触れず、タップアウトしてしまうことで、その隙にライフを一気に詰められてしまうリスクが生じてしまいます。  一方で《帳簿裂き》は手札を循環させる謀議も勿論ですが、この謀議によってどんどんサイズが膨れ上がる事による対アグロ性能が魅力。  2/4、3/5と育ってしまえば生半可なクリーチャーでは突破できません。  また、《帳簿裂き》抜きの《美術家の才能》型だとメインボードでは《弧光のフェニックス》《錠前破りのいたずら屋》の8枚しかクロックが存在しないため、これらを追放もしくは除去されると勝ち筋が消滅してしまうなんてことも。  《弧光のフェニックス》に頼らずとも《帳簿裂き》でのビートダウンというもう一つの勝ち筋を作り出せるのも大きな長所です。  これは墓地対策をしてくることが多くなるサイドボードでの軸をずらすサブプランとしても優秀で、デッキとしての太さにも貢献します。  このように、一概に《美術家の才能》の方が優れているとは言い切れない部分もあります。  しかしながら、当然《帳簿裂き》にも欠点が存在します。  それは《致命的な一押し》を筆頭とした除去が刺さってしまう点です。  そうすると手札に来た《弧光のフェニックス》は《稲妻の斧》ぐらいしか捨てられる手段がなくなってしまい、かさばってしまうなんてことも。  特に今はラクドス雄姿の存在によって軽量除去が多く取られているため、《帳簿裂き》はおおよそ出したターンかその次のターンに除去されると言っても差し支えないでしょう。  また、《帳簿裂き》が存在することでサイドボード後に《致命的な一押し》を減らしてこないため、結果的に《第三の道の偶像破壊者》などの他の勝ち筋にも刺さってしまう点もマイナス。  上記の理由から、現在は《帳簿裂き》はなかなか活躍しづらい環境と言えます。  一方で《美術家の才能》はエンチャントであるため、除去が刺さらない点で優れています。  これによるメインボードでの強さは段違いです。システムクリーチャーが置物になったらそりゃ強い。  また、《帳簿裂き》のターンに1回だけの謀議とは異なり、こちらは回数制限が存在しないことからデッキを回す速度は桁違い。  メインボードで墓地対策はほぼされない点、サイドボードでは《帳簿裂き》がいないことで相手の除去が減る=サイドボードのサブプランが通りやすい点なども含め、《美術家の才能》の方がトータル的に良いのでしょう。 サイドボード解説 《第三の道の偶像破壊者》3枚  墓地に依存しない別軸のプランその1。  1マナのスペルを連打するイゼットフェニックスとの相性が非常によく、1ターンで3~4枚のトークンが出てくることもザラ。  出てくるトークンのサイズは1/1と最低限のものですが、《プロフトの映像記憶》の乗せ先としても優秀。 《帳簿裂き》を採用しないこの型では除去を減らしてくることが多く、それに対してこの《第三の道の偶像破壊者》が突き刺さる構図になります。 《神秘の論争》が当たらない《若き紅蓮術士》を採用したリストもありますが、《美術家の才能》や《プロフトの映像記憶》で誘発する《第三の道の偶像破壊者》の方がオススメです。 《厚かましい借り手》2枚  墓地に依存しない別軸のプランその2。  相手の対策を一時的に対処できる万能バウンスであり、瞬速の3/1飛行。  また、飛行に対するブロッカーにもなります。特にセレズニアカンパニーの《エメリアのアルコン》は是非討ち取りたい1枚ですね。  ターンエンドに出すことで、《プロフトの映像記憶》をより強く使うことが出来る点も◎。 《弾けるドレイク》2枚  墓地に依存しない別軸のプランその3。  4マナとやや重いものの、ETBの1ドローでアドバンテージを取りつつ、追放領域まで参照するため、パワーが二桁になることも多々あります。  相手に対応がなければ速やかに試合を畳めるフィニッシャーです。 《プロフトの映像記憶》1枚  墓地に依存しない別軸のプランその4。  ドローすればするほどクリーチャーがどんどん強化されていきます。  各種キャントリップ、《宝船の巡航》《美術家の才能》などの相性が非常によく、回ると+8/+8というとんでもない数値になったりします。  警戒飛行である《錠前破りのいたずら屋》に載せると攻防共に大活躍。  地味に手札制限が撤廃される効果もあるため、クリンナップステップで《弧光のフェニックス》を捨てることが出来なくなる点については注意です。  墓地から帰ってきたばかりの《弧光のフェニックス》に乗せられないことも覚えておきましょう。 《塔の点火》1枚  追加の1マナ火力。  セレズニアカンパニーの《永劫の無垢》に対する回答であり、《心火の英雄》なども追放で対処可能です。  《第三の道の偶像破壊者》もあるので、メイン戦より協約しやすくなります。  この枠については4枚目の《焦熱の衝動》などに差し替えてもいいと思います。 《削剥》2枚  追加の火力であり《未認可霊柩車》への対応札です。  特に今はイゼットフェニックス意識で《未認可霊柩車》の採用が増えているので、2枚は必要だと感じています。  ここの枠を《プリズマリの命令》にしているリストもありますね。これもアーティファクト(《未認可霊柩車》)破壊の役割を担っています。 《無効》2枚  1マナでエンチャントおよびアーティファクトをカウンターできます。  《耳の痛い静寂》《真昼の決闘》《安らかなる眠り》《未認可霊柩車》などの対策カードの大半が置物であるため、これらに対する対策となっています。  また、現在のパイオニア環境では《不浄な別室》《美術家の才能》《鏡割りの寓話》《豆の木をのぼれ》etc……と、エンチャントが強い環境でもあるため、これらもひっくるめて1枚で見れるカード。   初めて見た時は「ほんとに~?」と思いましたが、使ってみると強さが体感できる1枚です。 《否認》1枚  シンプルなカウンターですね。  主にコントロールデッキやミラーマッチで入れる用途になっています。 《神秘の論争》1枚  こちらは青いデッキ全般に。  青い相手に対して、3ターン目にこれをバックアップに《美術家の才能》を唱える動きが非常に強力です。 サイドボードでの戦い方について 墓地に依存しないサブプラン  トップメタの宿命により、墓地対策もしくは《真昼の決闘》《耳の痛い静寂》などのイゼットフェニックス狙い打ちの対策が間違いなく入ってきます。  それに対して先述した通り《第三の道の偶像破壊者》《弾けるドレイク》《厚かましい借り手》《プロフトの映像記憶》など、軸をずらして墓地に依存しない勝ち筋で対応していくというプランを意識するとよいでしょう。  この場合、墓地に依存する《弧光のフェニックス》《宝船の巡航》を減らす形になりますね。  もちろん相手のサイドプランを見越して逆手に取る方法もありますので、各マッチアップでのインアウトはざっくり記載しつつ、大まかな方針を書いていく形にしたいと思います。 《美術家の才能》レベル2  メインボードでは2マナ以上のノンクリーチャー呪文は《美術家の才能》《錠前破りのいたずら屋》《宝船の巡航》《時間への侵入》《プロフトの映像記憶》があります。  しかし、レベルアップに要する3マナがあればその分だけ自分の動きを優先した方が強いことがほとんどで、レベルアップする暇があまりありません。  その一方でサイドボードでは相手の対策カードによってうまく動けなかったり、あるいは1枚のキャントリップ呪文を、必要なカードを探し出すために大事に温存する必要が生じたりします。  そうすると意識的に《美術家の才能》をレベル2にする機会が増える点は覚えておきたいところです。  レベル2になることでサイドから増えてくる2マナ呪文である《厚かましい借り手》《削剥》《否認》なども1マナになり、予想以上に動きやすくなったりします。 主要マッチアップ解説 現時点でのトップメタである、ラクドスデーモン・ラクドス雄姿・イゼットフェニックスミラーとのマッチアップを解説していきます。 VSラクドスデーモン  メイン有利、サイド微不利の印象です。  毎ターン誘発する《不浄な別室》によって長期戦は避けたいところ。  《不浄な別室》《黙示録、シェオルドレッド》《ドロスの魔神》でライフを詰めてくるため、それまでに《美術家の才能》《宝船の巡航》でいかにデッキを回すかが重要になってきます。 ▼キーカード - 《美術家の才能》  重要なカードとしては《美術家の才能》です。  この《美術家の才能》に対して対処できる手段がメインボードには《思考囲い》《強迫》しかなく、2マナの軽さで後引きしてもすぐ出せるなどでラクドスデーモン側は根本的な対応が不可能です。  《不浄な別室》によるドローエンジンが強いと言えども、《美術家の才能》を絡めた動きの方が速く強く、それを咎める手段もないためメインでは有利と捉えています。  ただし、《不浄な別室》《ドロスの魔神》によってライフを詰め切ってくるため、序盤はあまりライフを削られすぎないように留意する必要があります。  《止められぬ斬鬼》はその筆頭で、整ってしまえば《弧光のフェニックス》の無限ブロック・《焦熱の衝動》などで寝かせることは可能ですが、ハンデスなどで1回でも攻撃を通されると急にゲーム感が変わってきます。 ▼サイドアウト候補 《焦熱の衝動》《稲妻の斧》《塔の点火》《弧光のフェニックス》《時間への侵入》《手練》《宝船の巡航》 ▼サイドイン候補 《削剥》《無効》《プロフトの映像記憶》《厚かましい借り手》《第三の道の偶像破壊者》《弾けるドレイク》《否認》  メインボードでは先述した通り《美術家の才能》を絡めて速やかに自分のしたいことである《弧光のフェニックス》複数戻し、《宝船の巡航》連打ができる点などで有利になっています。  しかし、サイドボードでは《未認可霊柩車》《真っ白》《虚空の力線》といった墓地にクリティカルな対策カードが入ってきます。  これによりこちら側は減速を強いられることになります。  このマッチでは《無効》が、《鏡割りの寓話》《不浄な別室》のみならず、サイドボードから入ってくる《未認可霊柩車》にも刺さる頼もしい一枚となっています。  このようにお互いに牽制し合うカードが増える事から長期戦になりがち。  そうすると……先述したように《不浄な別室》が強いわけですね。  それに対して取れるプランが下記のように複数あります。 1.《第三の道の偶像破壊者》2.《弾けるドレイク》3.《プロフトの映像記憶》  ラクドスデーモン側は《致命的な一押し》は減らしたい一枚ですが、《第三の道の偶像破壊者》の存在によって減らし過ぎると裏目が生じることも。  2ゲーム目で《第三の道の偶像破壊者》を暴れさせた後、3ゲーム目では抜いて相手が増やした《致命的な一押し》を腐らせてしまうという大胆なプランも考えられますね。  このように相手のサイドプランを逆手に取ることもでき、逆に言えばラクドスデーモン側はこれに合わせていく必要があります。  特に《プロフトの映像記憶》によって脅威を増やす動きはラクドスデーモンに効果的なので意識したいところ。  《第三の道の偶像破壊者》で増やしたトークンに載せるのもよし、《弾けるドレイク》に載せてワンパンもよしと、墓地に頼らないプランの中核として働きます。  《ドロスの魔神》や《祭儀室》の6/6飛行デーモンを《厚かましい借り手》《洪水の大口へ》のバウンスでテンポを取り、そのまま差し切るというプランを念頭に置きながら動いていきましょう。 VSラクドス雄姿  軽量除去を多く擁するイゼットフェニックス側が有利であると思われがちですが、実は……辛いのではないか……?と思い始めています。  というのも、最近のラクドス雄姿はイゼットフェニックスを明らかに意識しており、タフネスが+2される《立腹》が採用されています。  これによって《焦熱の衝動》どころか《稲妻の斧》すら裏目になるリスクが生じ、さらに対応するダブルアクションが必要になってきます。  そうすると赤い土地も必要になってくるわけですが、火力を探すためにキャントリップも唱えたいので《河川滑りの小道》を赤で置くと、それはそれで窮屈な展開になります。  そして除去さえしていれば勝つわけではありません。序盤を凌いだところで《宝船の巡航》でリソースを回復し、《弧光のフェニックス》などで殴り切る必要が出てきます。  そのためにマナを寝かせる必要があり、その隙を突いて速攻を持つクリーチャーで殴りかかってくるリスクも生じます。《立身+出世》もありますしね。  このようにイゼットフェニックス側の要求値が高い一方で、ラクドス雄姿側は「イゼットフェニックスの火力をいかにかわすか」ことだけ考えていればよく、押し付けやすい形になっているように思います。  総括すると「ラクドス雄姿側がゲーム自体の主導権を握りやすい」というわけですね。《致命的な一押し》が恋しいです。 ▼キーカード - 《焦熱の衝動》《稲妻の斧》等の除去  初手にこれら除去がなければ負けます。マリガンは厳しめにやらなければなりません。  また、先手・後手で《美術家の才能》の評価が大きく変わる点も注意です。  後手だと相手がクリーチャー2体以上+3マナ使える状態になり、タップアウトしてしまうと大きくライフを削られてしまいます。  このように後手での2ターン目《美術家の才能》は出来る限り避けたい一方で、先手であればまだ脅威の度合いが小さいので即出します。  これは2ターン目で大きくライフを詰められるパターンが《心火の英雄》→《巨怪の怒り》or《立腹》or《裏の裏まで》+《無感情の売剣》の15点しかないためです。  ここで設置し、バリューを最大限引き出すようにします。 ▼意識すべき点 ◇先手1ターン目《熊野と渇苛斬の対峙》  このケースで後手1ターン目に《焦熱の衝動》は構える価値がありません。酷い目に遭ったので共有します。  なぜならこの時点の《焦熱の衝動》は魔巧未達成により2点火力であり、2章によって+1/+1カウンターが載った状態で出てくるクリーチャーたちの前には無力だからです。(《心火の英雄》だけは対応可能ではありますが……)  《手練》があれば手札によって必要な札を探しつつ、魔巧達成のために墓地にスペルを溜めていきましょう。   ◇《弧光のフェニックス》をブロッカーに回す  アグロ・クリーチャーデッキ全般にも言えることですが、3回スペルを唱えてしまえば復活する《弧光のフェニックス》は優秀なブロッカーとして機能します。  ただし、《熊野の食刻》はダメージを受けて死亡すると追放されてしまう置換を持つため、《弧光のフェニックス》をブロッカーにするプランであればマスト除去になります。  このようにゲームプランによって除去の優先順位も変わってくるので、難しいマッチアップと言えるでしょう。 ▼サイドアウト候補 《時間への侵入》《感電の反復》《弧光のフェニックス》《美術家の才能》《手練》《呪文貫き》 ▼サイドイン候補 《削剥》《塔の点火》《厚かましい借り手》《第三の道の偶像破壊者》《弾けるドレイク》  ラクドス雄姿は《熱烈の神ハゾレト》《立身+出世》《ウラブラスクの溶鉱炉》などで中盤以降でもそこまで息切れせず攻めてくるため、序盤を凌いだだけでは勝てません。  盤面に影響しないとはいえ、《美術家の才能》は勝つために必要なカードです。先手では2ターン目に置けるバリューがあるため全て残し、後手では全て抜かずに2枚程度減らすという形になると考えられます。  《弧光のフェニックス》は先手後手ともに手札にかさばると敗着に繋がるため、2枚程度減らします。  《巨怪の怒り》でトランプルを付与しない限りトークンの山を突破できないことから、《第三の道の偶像破壊者》は主な勝ち筋でもありながら火力では対処不可な《熱烈の神ハゾレト》への対抗手段にもなります。  また、《厚かましい借り手》がコンバットトリックにバウンス、《精鋭射手団の目立ちたがり》に対して相打ちを取れる点でも頼もしい1枚になっています。  《弾けるドレイク》は隙が大きいものの、ボードをコントロールした後の速やかに終わらせる手段としては最適。  制圧した後は速やかにゲームを終わらせることを意識していきましょう。 VSイゼットフェニックス  メインボードでは各種火力がほぼ死に札であり、《美術家の才能》を対処できるのが《呪文貫き》《洪水の大口へ》しか存在しません。  よってこのマッチでは《美術家の才能》を先に定着した方に大きく天秤が傾くことになります。 《美術家の才能》の2枚目を先に置けたらほぼ勝ちと言っても過言ではありません。 《感電の反復》《時間への侵入》のコンボが非常に強く、《美術家の才能》《宝船の巡航》でデッキをどんどん掘ってこの2枚を探し当てる別ゲーと化します。  逆に相手だけ《美術家の才能》が定着してしまっているケースでも同様で、おそらく《美術家の才能》が無い状態で勝つ唯一の手段もまた《感電の反復》《時間への侵入》となります。  そのため、相手だけ《美術家の才能》がある劣勢な状況であればこのコンボを狙いに行くことになります。 ▼意識すべき点 ◇《弧光のフェニックス》をあえて戻さない選択肢  墓地に《弧光のフェニックス》が1枚しかない時は、戦場に戻らせること自体リスクが生じることがあります。(火力の打ち先になってしまったり、《塔の点火》を当てられたり)  2回目のスペルを唱えた後、第二メインフェイズまで行ってから3回目のスペル唱えて《弧光のフェニックス》をあえて戻らせない工夫も、時として必要になってきます。 ▼キーカード - 《美術家の才能》  正直《美術家の才能》がない7枚のハンドよりも《美術家の才能》がある5~6枚のハンドの方が強いと感じています。  相手がイゼットフェニックスと分かっているならば、マリガンのリスクを背負ってでも《美術家の才能》を探しに行くリターンは間違いなくあります。(キャントリップが潤沢にあり、探しに行けるハンドであればキープでもよいとは思いますが)  マリガン後、弱い6枚よりも《美術家の才能》がある5枚の方が強いため、最悪《美術家の才能》を求めてダブルマリガンまで検討に値するでしょう。  それほど重要な1枚です。 ▼サイドアウト候補 《焦熱の衝動》《稲妻の斧》(相手が《帳簿裂き》型の場合は残す) ▼サイドイン候補 《無効》《否認》《神秘の論争》《プロフトの映像記憶》《塔の点火》《削剥》(《未認可霊柩車》が見えた場合) 《稲妻の斧》の有無については《帳簿裂き》型かどうかによって変わります 《帳簿裂き》型であればこれを対処できる《稲妻の斧》を残すことになります。  同じ《美術家の才能》型であれば火力は《塔の点火》以外を全て抜き、《美術家の才能》に対応できる《無効》《否認》を入れていきます。  サイド後はお互いに《美術家の才能》を意識することになります。  キープ基準も変わり、メインボードでは《美術家の才能》が重要になってきますが、お互いに対処手段が増えるサイドボードでは《美術家の才能》がなくとも、《無効》などの《美術家の才能》を対処する札および《宝船の巡航》などのリソースカードがあればキープに値します。  下手に《美術家の才能》を唱えてしまうと弾かれた後に返しで《美術家の才能》を通されて最悪ですから、何らかのバックアップと共に唱えることになります。  この辺りはかつて《かき消し》《鏡割りの寓話》があったグリクシスミッドレンジミラーと同じような考え方になりますね。  回答と墓地肥やしの両方を兼ねる《錠前破りのいたずら屋》もまた重要な1枚です。  特に序盤においては《手練》などで下手にタップアウトしてしまうと《錠前破りのいたずら屋》を通されてしまうリスクがあるので、お互いに構え合う展開になりやすい印象があります。  上記のリストでは入っていませんが、ミラーでは《美術家の才能》《宝船の巡航》を完封する《覆いを割く者、ナーセット》が非常に効果的です。  ただし、3マナのソーサリータイミングであるため、《神秘の論争》などのバックアップつきでないと安心して唱えられない点には留意してください。 最後に  ここまでイゼットフェニックスを解説させていただきましたが、魅力が少しでも伝わりましたでしょうか?  このデッキはとにかくスペルを連打、ドローもしまくりと爽快感がとてもあります!  それだけ選択肢も多岐に渡り、この迷路の中で正解に辿り着くパズルのような要素もあって非常に楽しいデッキとなっています。  「トッププロですら80%もポテンシャルを引き出せれば上出来」と言われるほど高難易度のデッキ、極めてみたくありませんか?  このイゼットフェニックスについて様々なことをコーチングいただいたMyra00(@Myra00_mtg)さんに改めて感謝を申し上げます。ありがとうございます。  これからこういった記事をGOOD GAMEメディアで執筆させていただきますので、どうぞよろしくお願いいたします!

【リアニメイトディガー!】最新スタンダード環境を《もがく出現》で攻略

週刊 Standard

2024.11.27

Kyle Hitachi

皆さんこんにちは! 新しくGOOD GAMEメディアで筆を執らせて頂くことになった常陸カイル(Kyle Hitachi)です! X(旧Twitter)上ではEin(@Ein49499674)として活動しています。競技シーンに興味があり、主にスタンダード、パイオニア、モダン、そしてリミテッドをプレイしています。『チャンピオンズカップ』の予選やファイナルでお会いすることもあるかもしれませんね!さて、私が執筆する「リアニメイトディガー!」ではその名の通り、様々なフォーマットの「リアニメイト」デッキをディグしていきます。 「リアニメイト」とは、その名の通り、墓地からクリーチャーを戦場に戻す戦術のことです。墓地からクリーチャーを吊り上げるカードの中でも最強格の《再活性/Reanimate》をご存じの方も多いのではないでしょうか? リアニメイトデッキの歴史を振り返ると、こちらも有名なリアニメイトスペルである《動く死体》と、《納墓》や《生き埋め》といったライブラリーから直接クリーチャーを墓地に落とすカードが組み合わせたデッキが、エクステンデッド時代から長らく活躍してきました。墓地にあるクリーチャーを出す動きは、さながら釣りに例えられます!手札にある「釣り竿」で墓地のクリーチャーを「釣り上げる」なんて表現もよくされます。 リアニメイトデッキの最大の魅力は、強力なクリーチャーやパーマネントを、比較的早いターンに戦場に送り出せることです。最近ではどのフォーマットでも《偉大なる統一者、アトラクサ》がリアニメイト先としてよく使われていますね。 どんな厳しい盤面からでも一発逆転出来るポテンシャルを秘めている、非常にロマンあふれる戦術で、ファンも多く、私もその一人。様々なフォーマットで墓地からクリーチャーを吊り上げるディガーです。 記念すべき第一回ということで、今回はスタンダードの《もがく出現》デッキを紹介していこうと思います。自身のnoteで何度も取り上げているテーマですが、改めてどんなデッキなのか、『ファウンデーションズ』環境での立ち位置はどうなのか、解説していきます。 そして競技も今はスタンダードシーズン真っ最中というわけで、チャンピオンズカッププレミアム予選やThe Last Sun本戦への取り組みも紹介していく予定です! 《もがく出現》デッキとは? 《もがく出現》は『イクサラン:失われし洞窟』に収録されたリアニメイトスペル。コストは3マナと比較的軽く、準備さえ整えばどんなパーマネントでも戦場に送り出すことができます! まず気になるのが「何を釣り上げるのか?」幸いこのスタンダード環境には魅力的なカードがたくさんあります! 強力なスタッツで戦場を支配し、強力なドロー能力で後続を引っ張ってこれる《偉大なる統一者、アトラクサ》は絶対に採用したいカードです。 強力な護法能力とアドバンテージ能力を併せ持つ《恐怖を喰うもの、ヴァルガヴォス》も中々良いカードですね。 手札のカードを無制限の唱えられるようになる《全知》や、墓地の土地カード全てを場に出せる《森の轟き、ルムラ》なども非常に魅力的。 強力なプレインズウォーカーである《戦慄衆の将軍、リリアナ》やライブラリーを大量に切削出来る《完成した精神、ジェイス》なども是非使いたいですね。私が推奨するカラーは『スゥルタイ』、つまり黒緑青の3色デッキです。 赤や白にも《原初の征服者、エターリ》や《整炎師、チャンドラ》、《無形の処刑者、ケイヤ》など、釣りたいカードがたくさんありますが、青は何と言っても足回りに優れています。 足回りとはつまり「いかにして墓地を肥やすのか」。リアニメイトはこれに尽きます。青いカードには《第三の道の創設》やこれの第一章で唱えることができる《錠前破りのいたずら屋》、高い対応力を持つ《忘れられた者たちの嘆き》など、強力なカードが揃っているのです。 デッキリストと現状の立ち位置 11月24日にに晴れる屋TC東京で開催されたチャンピオンズカッププレミアム予選で使用したリストがこちら。 『ファウンデーションズ』加入後の最新スタンダードは、赤系アグロデッキの隆盛が目につきます。 更にディミーアミッドレンジにゴルガリミッドレンジとスタンダード然としたミッドレンジたち、パイオニアから逆輸入された《永遠の策謀家、ズアー》型の版図ランプ、オンラインでも多大な実績を残している新進気鋭のコンボ・ティムールカワウソ、赤アグロ殺しの白単コントロールなどが仮想敵。 もがく出現の各デッキとの相性は赤アグロ系、そしてクロックパーミッション系のデッキは苦手とするものの、その他のデッキには五分以上に戦える認識です。 これまでは赤アグロに対しては《偉大なる統一者、アトラクサ》を着地させれば一安心だったのですが、《叫ぶ宿敵》がほとんどのリストに採用されるようになってしまったので、現状はお世辞にも有利とは言えませんね。 クロックパーミッション系のデッキには、こちらのアクションが重めかつ、ソーサリーアクションであるという性質な以上、どうしても厳しい印象です。サイドボードの《強迫》を《第三の道の創設》で使い回して打ち消しを落とすなど、勝つ方法はありますが、相手の墓地対策なども考えると、中々厳しい戦いになるのは必至。 そもそも3色なので土地周りのトラブルが起こっただけでも、上記のデッキたちには容易に負けてしまいます。一方、環境が赤アグロに意識を寄せているからこそ、その他のデッキには有利に戦うことができます。メインで相手が引いた《切り崩し》《苦痛ある選定》は腐りますし、ライフゲインとドローがデッキ構築の主体である白単コントロールには《完成した精神、ジェイス》だけで勝ってしまいます。 このようにマッチアップによって有利不利がはっきりしたデッキなので、当たり運次第で勝ち星を伸ばし続けられます。 一部カード解説 シンプルなリアニメイトデッキであるもがく出現ですが、様々な使い道のあるカードがいくつかありますので、抜粋してご紹介します。 強力な切削能力を持ったプレインズウォーカー。 プラス能力のクリーチャーマイナス修正は自身の生存率を高め、ー2のドロー能力は必要なカードを揃える手段などで重宝します。 何と言っても3マナでキャストできるオプションがあるのが強みですね。3ターン目に出してプラス能力で次のターンまで生存、そしてー3かー4で9~12枚のカードを切削して《もがく出現》をキャストする動きはよくやります。 また版図ランプや白単コントロール相手にはフィニッシャーにもなります。 《豆の木を登れ》《世話人の才能》などの継続的なドローでライブラリーが30枚程度になっていることが多く、《偉大なる統一者、アトラクサ》はいくら出しても処理されますからね。《もがく出現》での再利用も考えながらLOさせちゃいましょう。 こちらはリアルでのテクニックの話になりますが、対戦相手をライブラリーアウトさせようと思った時、相手にデッキの枚数を聞くと、ライブラリーアウトを狙っていることがバレてしまいます。 そういう時は自分で数えましょう。相手の手札・戦場・墓地・追放領域にあるカードを数えれば良いのです。ゲーム中盤ならライブラリーを数えるより早く済むので、時間の節約にもなります。頭の片隅においておきましょう。自分のライブラリーを切削する以外にも、《寓話の小道》を積極的に使うことで墓地の土地枚数を増やすことができます。《森の轟き、ルムラ》を出した時に手札に《寓話の小道》が余っていると悲しい気持ちになります。 落魄カウントにもなるので《寓話の小道》はタップインを消化できるタイミングで積極的に切っていきましょう! 紙でプレイする際は《森の轟き、ルムラ》の能力解決後に諜報ランドの誘発が乗ることが多いので、忘れないようにしましょう。 《森の轟き、ルムラ》で出したタップインの《寓話の小道》は自分のアップキープに切ることでスペルを引く可能性を上げてくれるので、こちらもお忘れなく。《第三の道の創設》の第一章で《フェイの開放》としてキャストすることができます。 アグロデッキ相手や《ミストムーアの大主》から出てくるトークンへのブロッカーとしても役に立つことが多いです。 暇なときは積極的に本体を出してライフを守りましょう。除去されて墓地に落ちれば落魄カウントも稼げますからね。 あまりないシチュエーションですが、《忘れられた者たちの嘆き》のバウンス能力で使い回すこともできます。他の切削カードとは違い、3枚の内好きなカードを手札に加えて残りを墓地に落とせるので、土地が欲しい時に特に重宝します。 バウンス能力は対戦相手のパーマネントに限定されていないので、《完成した精神、ジェイス》《錠前破りのいたずら屋》を使い回せます。 例えば対戦相手のライブラリーが27枚のときは追加の《完成した精神、ジェイス》《もがく出現》がなくてもフィニッシュできるようになります。 ちなみに落魄8を達成しているときはすべてのモードを選べますが、その際は上から順番に解決していきます。つまり対戦相手の手札が0枚で場に《黙示録、シェオルドレッド》がいる場合、《黙示録、シェオルドレッド》を戻すとそのままそれをディスカード、その後でライブラリーの上3枚から選ぶ、という手順になります。除去になってちょっとお得。 相手が何を捨てたか見てから山札を見れるのも嬉しいですね。このデッキのブン回りを担保しているカードです。先読みにより実質モードが3つあるカードなので、扱うのが難しいですよね。 私は2ターン目に手札に《第三の道の創設》しかない場合、第一章で出してしまいます。次のターンにスペルを唱え、それを第三章で使い回せば、カード1枚分としての価値が生まれるからです。第二章で出してしまうと3マナない状態で第三章を迎えるため、墓地に落ちた《もがく出現》が使えなくなるのが残念ポイント。 また、第二章の能力でどちらのプレイヤーを対象に取るか、毎回考えたほうが良いです。基本的には自分を対象に取るのですが、十分に墓地がある場合や墓地対策されているとき、またライブラリーアウト勝ちが見えている状況では、相手の墓地を切削します。 第三章は2マナで墓地のスペル1枚にフラッシュバックをつけるようなカード。第二章で切削して《偉大なる統一者、アトラクサ》を落として、第三章で墓地から《もがく出現》を唱えて《偉大なる統一者、アトラクサ》を吊り上げる。美しい動き。 《もがく出現》《第三の道の創設》《完成化した精神、ジェイス》はそれぞれカードタイプが違うので《偉大なる統一者、アトラクサ》で集めやすく、揃えばライブラリーアウト勝ちが現実的になってきます。積極的に狙っていきましょう。 マリガンについて まず墓地を肥やせるカードが必ず初手に必要です。 《第三の道の創設》から《錠前破りのいたずら屋》で《もがく出現》を回収、そして落魄を達成して《偉大なる統一者、アトラクサ》《森の轟き、ルムラ》《恐怖を喰うもの、ヴァルガヴォス》《ギックスの残虐》を《もがく出現》で墓地から戦場に戻す、これが理想の動きです。 逆に墓地を肥やす算段がつかないままゲームを始めてしまうと、手札に使い道のないカードが溜まっていってしまいます。 《第三の道の創設》《錠前破りのいたずら屋》《忘れられた者たちの嘆き》はもちろん、《完成した精神、ジェイス》《蓄え放題》もキープ基準になります。どれも手札にない場合はまずマリガンですね。 トーナメント結果 予選ウィークエンドDay1 結果は1勝3敗。ゴルガリミッドレンジに勝ち、赤単アグロに2回、アゾリウス眼魔に負け……きっちり相性差が結果に出てしまった形ですね。 サイドボードカードを引かなかったり《完成化した精神、ジェイス》で18枚切削した中に釣り先がないなどの下振れもあったので、この日は私の日ではなかったですね。 チャンピオンズカッププレミアム予選 結果は5勝2敗。成績だけで見ればまずまずですが、実際は早々に2敗してしまっていたので、惜しくもなんともありませんでした。プレミアム予選の初戦で当たったのは、プレミアム予選抜けの常連、Bigsの加茂さん。デッキはイメージと違わずグルールアグロでまんまと0-2してしまいました。細かいミスや不運もあったので当然の結果でした… 次の試合に勝ち、当たったのは元パイオニア神で前回スタンダード神挑戦者決定戦の決勝ラウンドの配信卓でも対戦した松原さん。 お互いにデッキも変わっておらず、相手は5Cレジェンズ。コンボ負けからの下手負けで0-2。自分のライブラリーを削りすぎた結果、《チビボネの加入》などでデッキ枚数が足りなくなってしまいました。デッキの総枚数を増やせば解決する負け方なのですが、ケアもできたので、純粋に下手でしたね。 と振り返ってみるとミスもそれなりにありましたが、収穫もありました。今回のトーナメントでボロスバーンに2勝できたことです。厳しいマッチアップだと思っていたので望外の結果。 とはいえ、その内容まで掘り下げてみると、手放しで喜んで良いかは微妙です。相手にこちらのデッキの勘所がバレていなかったり、運が良かった部分もあるので、再現性がある勝ち方かと言われると疑問符。 それ以外のデッキにはかなり余裕を持って勝てたので、苦手な赤アグロとクロックパーミッション相手をなんとかすれば、まだまだやれそうです。 最後に ということでリアニメイトディガー、初回はスタンダードの《もがく出現》を紹介しました! できるだけ毎週『チャンピオンズカップ』の予選に参加して、そのフィードバックをこの連載で行っていく予定です! 環境がある程度わかったらサイドボードガイドなども追加していきます! 今環境での《もがく出現》の進化をお楽しみに!墓地対策はやめてください! それではまた来週お会いしましょう。

【週刊メタゲーム通信】MTGアリーナの予選を突破したデッキたちをご紹介!

週刊 Standard ピックアップ

2024.11.26

mtg Yuyan

こんにちは。 細川 侑也(@yuyan_mtg)です。 今週の週刊メタゲーム通信は、先週末に行われたMTGアリーナ上の大会、予選ウィークエンドを突破したデッキたちを紹介! グルール果敢 予選ウィークエンド突破 By Seth Manfield ワールドチャンピオンでもあり、2つのプロツアーも制した最強のプロプレイヤーの1人、セス・マンフィールド選手がMTGアリーナの予選を突破!その使用デッキはグルールアグロ。最近では赤いデッキの流行に伴い、グルールは少し減少気味でした。緑を加えることで採用できる《蛇皮のヴェール》などが赤対決ではさほど強くなく、《カープルーザンの森》によるダメージや《銅線の地溝》《不穏な尾根》のタップインが首を絞めてしまう方が多かったからです。しかし、今回予選ウィークエンドを突破したセス・マンフィールド選手と齋藤 慎也選手は共にグルールを使用していました。タッチ緑をすることで最も強くなるのはメインよりむしろサイドボード。《脚当ての陣形》はタッチ緑をする理由になります。 このデッキは《ドロスの魔神》が厳しく、そのために《歪んだ忠義》が採用されていたほどでしたが、《脚当ての陣形》なら後腐れなく除去することができ、《ドロスの魔神》が出てこなければドローでも使用できるため、とにかく腐りづらい便利なカードなのです。 後述しますが《領事の権限》も赤アグロにとっては天敵。白いデッキにはエンチャントが大量に入っており、そこをしっかり狙い打てる《脚当ての陣形》は、最も良いサイドカードなのです。《亭主の才能》も緑を入れる理由になるカード。最初のレベルアップで受けられる護法の恩恵が非常に大きく、相手に除去を構えづらくさせます。ディミーアミッドレンジのような細かいアクションの連続で妨害しながら攻撃してくるような相手にはこの護法が非常に効果的。セス・マンフィールド選手のリストで特徴的なのは、土地の多さでしょうか。通常の赤アグロが土地21枚なのに対し、なんと23枚の土地を採用しています。それも納得で、グルールはマナフラッドにとても強いアグロなのです。《岩面村》は継続的にクリーチャーの打点を上げつつ、トップデッキした《心火の英雄》を速攻にしてくれますし、《不穏な尾根》も起動します。《探索するドルイド》や《熾火心の挑戦者》によるライブラリーの追放も、マナが伸びてこそ活きてくるカードです。そして《多様な鼠》は2ターン目に出して《心火の英雄》を強化して強力なのはもちろん、4ターン目に新生でも出せるカード。この4マナで新生する動きは強力で、それまでの攻防でも除去を使わせ続けるので、1体は生き残ってしまう場合が多いです。そしてそのたった1体で致命的なダメージを叩き出せるのがグルールなのです。意外だったのが《叫ぶ宿敵》が2枚である点。赤いアグロがこれだけいることを考えれば4枚しかありえないと思っていましたが、一方で黒い相手にはただの3/3速攻なのも事実。ディミーアミッドレンジやゴルガリミッドレンジが赤アグロを強く意識していることを考えると、赤アグロ側も意識する必要があるでしょう。《探索するドルイド》が4枚なのも特徴的です。通常10~11枚体制の1マナ域を9枚まで減らして《探索するドルイド》を増やしているのは、アグロ・ミッドレンジ・コントロールすべての相手に対して手札が足りなくなると考えているのでしょう。サイドボードには更に追加の《レンの決意》まで入っています。《稲妻の一撃》が入っておらず、代わりに《抹消する稲妻》がメイン採用なのも黒を意識した結果です。特に狙っている対象は《分派の説教者》。《永劫の無垢》《永劫の好奇心》も処理できるので、この選択には感服。本体に火力を打って勝つのではなく、クリーチャーをしっかり焼いてクリーチャーで押し切るのがグルールアグロ。だからこそ、《稲妻の一撃》ではなく《抹消する稲妻》。「これからの赤アグロの基準がこのリストになるのでは?」と思うほど、完成されたリストに見えます。特に《探索するドルイド》をメインから4枚採用・土地23枚、この2点は革新的で、今後取り入れられることになるでしょう。赤アグロを使う予定の方はぜひこのリストをお試しください! ズアードメイン 予選ウィークエンド突破 By DoomSwitch 《永遠の策謀家、ズアー》の能力で3種の大主を動かす4cズアー。パイオニアでも地域CSトップ8など結果を残しているこのデッキは、実はスタンダードでも組むことができます。ズアードメインにおける《豆の木をのぼれ》は非常に強力!何せ5マナ以上のカードが大主10枚、《太陽降下》、《群れの渡り》、《力線の束縛》で合計18枚ありますからね。普通のデッキでは5マナ以上のカードなど重くてほとんど採用できませんが、大主たちが軽い5マナ以上のカードなので、《豆の木をのぼれ》を誘発させてくれます。兆候で出した《ミストムーアの大主》を《永遠の策謀家、ズアー》で動かして殴るというわかりやすいコンセプトのコントロールデッキですが、《巻物変容》を用いたプチコンボも採用しています。大主に打てば戦場に出た時の能力を再誘発させつつ、兆候が解けた状態でいきなり爆誕。特に《ミストムーアの大主》でやりたいですね。赤アグロに対してもズアードメインはしっかり勝ち筋があります。《永遠の策謀家、ズアー》は絆魂を付与するので、《力線の束縛》や各種大主をクリーチャー化して攻撃し、大量のライフを獲得。《永遠の策謀家、ズアー》は1/4と優れたサイズなので、中々火力では倒しきれないでしょう。 除去もメインから《失せろ》《力線の束縛》の定番2種に加え、《太陽降下》はもちろん、3マナの全体除去である《別行動》も採用。赤単は速攻クリーチャーが多く、すべてのクリーチャーがタップ状態でターンが返ってくることもしばしばあるため、《別行動》が突き刺さります。《叫ぶ宿敵》の返しで打つのが一番ですね。サイドボードにも4枚(!)の《領事の権限》に《エルズペスの強打》と、徹底的に赤を意識。《領事の権限》は《ウラブラスクの溶鉱炉》に最も強いカードであり、速攻クリーチャーすべてに対して耐性もつきます。赤アグロを意識するならばオススメの1枚。4色デッキなのでマナベースに少し不安はあいますが、実はバントに黒をタッチした4色なのがこのデッキ。黒マナは《魂の洞窟》4枚を合わせて7枚+《群れの渡り》+《ホーントウッドの大主》の合計13枚。意外としっかり色マナは確保できています。《力線の束縛》が打ちづらいのはご愛敬。《ゼイゴスのトライオーム》などの3色土地がなき今、1マナで打つのは《ホーントウッドの大主》頼みです。逆に《ホーントウッドの大主》さえ引けていれば《力線の束縛》はモダン級の力を見せてくれます。マナ加速から《偉大なる統一者、アトラクサ》に繋げる従来のドメインとは一味も二味も違ったズアードメイン。赤いデッキをドメインで攻略したいならこの形がベストかもしれません。 ディミーアミッドレンジ 予選ウィークエンド突破 By Beenew 最後にご紹介するのはディミーアミッドレンジ。除去と打ち消しで序盤を凌いでクリーチャーを展開し、《永劫の好奇心》でリソースを確保しながら殴りきる、前環境から強力だったデッキですね。《大洞窟のコウモリ》が入っていない点にはまず驚きましたが、現環境では赤アグロを意識する必要があるため、ほとんどのデッキが軽い除去をたくさん採用しています。その最たる例が《切り崩し》《塔の点火》。これらのカードをテンポよく打たれてしまうと、《大洞窟のコウモリ》はただ相手の手札を見るだけのカードになってしまいます。そんな《大洞窟のコウモリ》の代わりに採用されたのが《フラッドピットの溺れさせ》。《叫ぶ宿敵》を止めて除去したり、2ターン目から相手のクリーチャーに麻痺を置き、攻撃して《悪夢滅ぼし、魁渡》の忍術で手札に戻して後のターンに再利用など、その用途は多数。個人的には《フェアリーの黒幕》よりも《フラッドピットの溺れさせ》の方が強いと思うほどでした。2マナ域で最も優先したいカードは《フラッドピットの溺れさせ》!《悪夢滅ぼし、魁渡》についても改めてご紹介しなければなりませんね。このカードは使えば使うほど強力だと感じました。特に先手で強すぎる!3ターン目に忍術し、相手の盤面が何もなければドローや紋章を得ればいいですし、相手に脅威があればそれを寝かせて麻痺を2つ置くことで実質無効化。起きるまでの間に《悪夢滅ぼし、魁渡》がゲームを終わらせてくれます。最速以外でも《悪夢滅ぼし、魁渡》は強力。4ターン目に《遠眼鏡のセイレーン》を忍術で戻しつつ展開し、余った1マナで再び《遠眼鏡のセイレーン》を唱える動きは攻防一体。麻痺と合わせて《悪夢滅ぼし、魁渡》がほぼ倒されずに戦場に残ります。最初は「忍術しなければ弱い」という認識でしたがそれは誤りでした。《悪夢滅ぼし、魁渡》は忍術せずに4マナで出しても十分強いカード。麻痺カウンターを2つ置く能力が実質除去なので、とりあえず出してマイナスし、次のターンから殴っていけます。盤面が不利な状態以外では、いつ出しても強いカード! 要するに、単純にめちゃくちゃ強いプレインズウォーカーでした。サイドボードの《覆い隠し》は最近ディミーアミッドレンジのミラーで注目されているカード。《永劫の好奇心》に対処できる数少ないカードなだけでなく、《悪夢滅ぼし、魁渡》にも触れるので、今後枚数が増えてくるかもしれません。《悪夢滅ぼし、魁渡》はスタンダードで最高の1枚。それを軽いクリーチャーと軽い除去のバックアップで最も強く使えるディミーアミッドレンジが強いのは当然のこと。今後も赤アグロと共にスタンダードを牽引していくデッキになっていくでしょう。

最新スタンダード環境のオススメデッキ三選!!

Standard ピックアップ

2024.11.21

mtg Yuyan

こんにちは。 細川 侑也(@yuyan_mtg)です。 プレミアム予選も始まり、更に盛り上がりを見せるスタンダード!今回は今週末にオススメのデッキをご紹介していきます! 赤単アグロ スタンダードチャレンジ:2位 By Lollopollo2001 今のスタンダードを語る上で欠かせないのが赤アグロ。赤単アグロ、グルールアグロ、ボロスアグロ、そしてボロスバーンと、ここまで赤いアグロにバリエーションがある環境は珍しいかもしれません。その中でも今注目されているのは、色を足さない純粋な赤単アグロです。世界選手権で登場してトップ4に入賞して以降、グルールと共にスタンダードで暴れまわっていたデッキですが、『ファウンデーションズ』で再録された《噴出の稲妻》が《ショック》の枠に入り、その勢いはとどまることを知りません。構成はバーンというよりスライといった方が良いでしょう。クリーチャーが多く、火力はそれを補佐する役割。《心火の英雄》《熾火心の挑戦者》《多様な鼠》の強力なハツカネズミは最早定番の組み合わせですね。《心火の英雄》《熾火心の挑戦者》の雄姿を《多様な鼠》が満たしつつ、二段攻撃やトランプルを付与する、シンプルかつ強力なコンボ。下環境の赤いデッキを支える《僧院の速槍》は当然4枚として、更に追加で採用されている1マナは《雇われ爪》。攻撃に1点を与える1/1/2なので実質パワーは2。マナさえあればどんどん成長していくので、1マナ圏としては十分な性能。《岩面村》で速攻がつくのも美味しい。そしてなんと言っても今の赤アグロを支えるのが《叫ぶ宿敵》です。3マナ3/3速攻に加えて、このクリーチャーが受けたダメージを他の対象にも与えるという強烈なもの。3/3で《叫ぶ宿敵》を打ち取った場合、3点のダメージを受けたり、クリーチャーに3点が入ります。しかもこれによってプレイヤーにダメージが入った場合は、そのプレイヤーはライフを得られなくなるので、天敵の《跳ねる春、ベーザ》なども怖くありません。赤単に最近よく採用されている《魔女跡追いの激情》は、クリーチャーが多いために1マナで使いやすいというだけでなく、《叫ぶ宿敵》に5点を与えて本体を焼き切る目的にも使用できます。腐りがちなマッチではかなり狙えるので覚えておきましょう。赤アグロの中で赤単を最も推す理由は、とにかくそのデッキパワーに対しての安定感の高さです。赤いアグロ対決で最も強いのは間違いなく《幽霊による庇護》を擁するボロスアグロですが、赤白の2色は色に恵まれておらず、どうしても不安定。一方、グルール果敢は色マナの問題こそクリアしていますが、赤単との対決において特に優れているわけではなく、むしろタップインや《カープルーザンの森》が足を引っ張る展開の方が多く感じました。以上により、ここまで赤いデッキが多い現状なら、赤いデッキの中で選ぶなら赤単アグロが最も優れていると思います。後述する白単コントロールに対してはグルールの方が少し良いと思いますが、そこまで大きな違いは感じません。サイドボードは最近はほぼ固定化されてきています。《石術の連射》は護法を貫く火力なので《幽霊による庇護》がついたクリーチャーも倒せますし、ディミーアミッドレンジの《大洞窟のコウモリ》も倒せる優れモノ。ミラーマッチ用に《塔の点火》。《ドロスの魔神》を倒すことができないので、逆に奪ってそのまま勝つべく《歪んだ忠義》。除去デッキに対して定番の《ウラブラスクの溶鉱炉》。わかっていてもやはり避けられない最強のカード。《陽背骨のオオヤマネコ》は多色デッキに突き刺さる1枚。それぞれ役割がはっきりしたカードですが、《歪んだ忠義》には少し懐疑的です。《ドロスの魔神》が入っているデッキは除去が大量に入っていますし、上手く相手のライフを《ドロスの魔神》ワンパン圏内まで持ち込めるならともかく、「除去2回を挟んで4ターン目に《ドロスの魔神》が出てきて手札に《歪んだ忠義》があって何もしない……」なんて展開が容易に想像できます。6点火力が存在しないゆえの苦肉の策でしょうが、少なくとも枚数は1枚か2枚に減らし、他のカードを増やしそうです。《ドロスの魔神》を出してくるのは主にゴルガリミッドレンジなので、4枚目の《ウラブラスクの溶鉱炉》を入れたくなりますね。除去デッキに対してはまず《ウラブラスクの溶鉱炉》です。その《ウラブラスクの溶鉱炉》も《領事の権限》の登場で、対白に対しては完璧な回答と言えなくなりました。ゴルガリミッドレンジのことも考えると、《歪んだ忠義》のスロットが白単にも入れられる何かに変わっても良いかもしれません。たとえば《レジスタンスの火、コス》なんて面白いかもしれませんね。 白単コントロール スタンダードチャレンジ:優勝 By etoustar そんな赤単アグロを食い物にしているのがこの白単コントロール。太古から赤単に強いのは白単。古事記にもそう書いてあるとかいないとか。特殊地形が多い環境で単色がここまで活躍するというのも珍しいですね。特にスタンダードでは様々な色の強力なカードを集めて2~3色というのが定番ですが、今はローテーションが3年になったことで使えるカードの枚数が多く、単色でも十分に強いカードだけで戦えるようになったのでしょう。白単コントロールの構造は単純明快。除去とドローと回復。ただこれだけです。フィニッシャーもほとんど入っていません。白単が白単である所以が《軍備放棄》。《平地》の枚数以下のマナ総量のクリーチャーを追放する除去なので、成長した《心火の英雄》に対する完全な回答です。2色デッキではどうしても《平地》以外の土地がたくさん入るので使いにくいですが、白単ならほぼ《剣を鍬に》です。《失せろ》《魂の仕切り》は2マナインスタント。《叫ぶ宿敵》をダメージを喰らうことなく触れるのは嬉しいですね。まとめてクリーチャーを追放する《太陽降下》ももちろん4枚です。クリーチャーを片っ端から除去した後は手札補充。その役割は《永劫の無垢》《世話人の才能》が担います。《世話人の才能》は《大天使エルズペス》《人参ケーキ》《忠義の徳目》《噴水港》と様々なトークンが出るこのデッキでは、毎ターン1ドローは当たり前。自分のターンで《人参ケーキ》、相手のターン終了時に《噴水港》起動など、自分と相手ターンのそれぞれでカードを引き続けられます。『ダスクモーン:戦慄の館』で登場した《永劫の無垢》も優れたドローエンジン。こちらも《大天使エルズペス》《人参ケーキ》《忠義の徳目》《噴水港》すべてでトリガーするドローカードで、しかも2枚目以降の《永劫の無垢》でも誘発してくれます。本体が絆魂持ちなのも、赤いデッキに対して強く素晴らしいですね。赤の天敵である《跳ねる春、ベーザ》も4枚採用されており、徹底的に赤アグロを意識したデッキです。サイドボードに目を向けると、《エルズペスの強打》に加え、『ファウンデーションズ』から加入した《領事の権限》もしっかり3枚入っています。クリーチャーがタップ状態で戦場に出るので速攻を実質無効化し、更にライフゲインのオマケつき。赤単は白単のような除去デッキに対して《ウラブラスクの溶鉱炉》で対抗していますが、その《ウラブラスクの溶鉱炉》を1枚で完封するのが《領事の権限》です。むしろ《ウラブラスクの溶鉱炉》は毎ターン相手に1点のライフを与えてしまう置物になってしまいます。白単より遅い青いコントロールデッキや、ティムール果敢のようなコンボ要素のあるデッキが環境に少ないことが、この白単コントロールの躍進になっています。アドバンテージ源が豊富なのでミッドレンジに対してもそれなりに強く、赤アグロを意識したゴルガリミッドレンジなどにも勝てるため、赤アグロと赤に強いミッドレンジ両方に強いのがこの白単コントロールです。最近いろいろなトーナメントを制している理由もわかりますね。今立ち位置が一番良いデッキは白単コントロール。それゆえに意識され始めますが、白単を意識すると今度は赤単に勝てなくなるのがジレンマ。白単を攻略するのは難しくないでしょうが、だからといってトーナメントに勝てるようになるわけではないのです。白単を使用する上で絶対に注意しなければならない点は、時間です。このデッキはとにかくゲームが終わりません。赤単相手なら相手の心が折れて投了することもあるでしょうが、ミッドレンジとの戦いはそもそも3ゲーム目をやる時間もなくなるほどです。《噴水港》や《大天使エルズペス》、《失せろ》などトークンを大量に使うので、しっかりと事前に用意して、なるべく考える以外の時間を使わないように工夫しましょう! ディミーアミッドレンジ スタンダードチャレンジ:6位 By jussupinator 最後にご紹介するのは、スタンダードきってのなんでも屋。攻めも守りも自由自在のディミーアミッドレンジです。とはいってもこのリストは《ヨーグモスの法務官、ギックス》を採用した少しアグロな構成。《悪夢滅ぼし、魁渡》と共に3ターン目から強烈なプレッシャーをかけていきます。この2種類を上手く使うためには低マナ域のクリーチャーをしっかり用意する必要がありますが、ここで『ファウンデーションズ』からの新戦力が活きてきます。それが《幽体の船乗り》。1マナ1/1瞬速・飛行に、4マナでドローのオマケがついた、パイオニアのスピリットでもおなじみのクリーチャー。かつてスタンダードにいた頃も様々なデッキで活躍していましたね。この新たな1マナの飛行クリーチャーによって、序盤の攻め手がしっかり確保されたため、ディミーアミッドレンジは更に前のめりな構成になっており、もはやディミーアアグロという呼び方が適切かもしれません。3枚採用されている《蒼穹の獣縛り》は1/3警戒とアグロに強いだけでなく、このデッキが触りづらい《ウラブラスクの溶鉱炉》を無効化したり、カウンターが大量に乗った《心火の英雄》の能力を消して除去を打つなど、様々な使い方ができるネズミ。パワー2以上にブロックされないので《悪夢滅ぼし、魁渡》の忍術もしやすい。《悪夢滅ぼし、魁渡》はすっかりディミーアミッドレンジの3マナ域に定着しました。とにかくほとんどの除去を受けず、クリーチャー戦闘でしか破壊できないカードなのに、ディミーアは除去と小粒なクリーチャーが多く、中々《悪夢滅ぼし、魁渡》にダメージを与えることができません。《悪夢滅ぼし、魁渡》に構っている内に気づいたら《悪夢滅ぼし、魁渡》と他のクリーチャーに攻撃され続け、気づけばライフが危険水域まで落ち込んでいる。こんな状況に既視感はありませんか?それが《悪夢滅ぼし、魁渡》の恐ろしさです。《ヨーグモスの法務官、ギックス》を使わない構成の場合は、《幽体の船乗り》も抜けてそのスロットに《分派の説教者》《三歩先》が入っていることが多いですね。個人的には《分派の説教者》は《叫ぶ宿敵》をガッチリガードできるサイズなので、かなり好きなカードです。生成するトークンも強いですからね。赤単アグロ、白単コントロールと比べてディミーアミッドレンジは使えるカードが多すぎて、リストにはかなり好みが出てしまうと思います。今僕がMTGアリーナで回しているディミーアミッドレンジのリストを最後に掲載しておきますので、参考にしてみてください! なお、このリストは原根 健太さんの記事を参考にして組んだものです。調整のnoteは超超超必見なので、ぜひご覧ください。(記事はコチラ)

【週刊メタゲーム通信】カナダ地域CSではデーモンが大暴れ!そして突如現れたアサーラックコンボとは!?

週刊 Pioneer ピックアップ

2024.11.20

mtg Yuyan

こんにちは。 細川 侑也(@yuyan_mtg)です。 今回は先週末に行われた、カナダ地域チャンピオンシップの結果から、最新のパイオニア環境を分析していきます! メタゲーム カナダの地域チャンピオンシップ、トップ8はこれまでとは大きく異なる結果となりました。ラクドスデーモン:2イゼットフェニックス:1アサーラックコンボ:2セレズニアカンパニー:14色エニグマ:1オルゾフデーモン:1ヨーロッパ地域チャンピオンシップで大活躍だったサクリファイスはトップ8から姿を消し、デーモンがトップ8に3人!まずはサクリファイスに対するガードの高さがリストから見て取れますね。ラクドスカラーで採用できる最も強力なサクリファイス対策は《碑出告が全てを貪る》で、優勝者のリストには採用されており、トップ8のもう1人のラクドスデーモンは《虚空の力線》。いずれもサクリファイスに刺さるカードで、《虚空の力線》はイゼットフェニックスの対策も兼ねるカードです。途中で引いても《鏡割りの寓話》や血で捨てることができ、ラクドスデーモンは《虚空の力線》が使いやすいデッキと言えます。そしてなんといっても今回はトップ8にアサーラックコンボが2人!これにはさすがに驚きました。実は各地の地域チャンピオンシップでギリギリトップ8ラインなどまで勝ち進んでいたデッキだったのですが、今回ついに2人をトップ8に送り込む大躍進!更に最近では4cズアーにお株を奪われそうになっていた《奇怪な具現》も、《空を放浪するもの、ヨーリオン》の相棒を引き連れてトップ8入賞。ここからは個別にデッキ解説をしていきます。 ラクドスデーモン カナダ地域チャンピオンシップ :優勝 By Randall Litman カナダ地域チャンピオンシップを制したのはラクドスデーモン!気づけばデーモンと言えばこのラクドスが主流となってきました。デーモンと名はついていますが、その実態はラクドスミッドレンジ。手札破壊と除去で脅威を取り除き、《税血の収穫者》《止められぬ斬鬼》《鏡割りの寓話》で殴りながら、《不浄な別室》でアドバンテージを取っていくデッキです。《鬼の刃》などが入ったリストもある中、この優勝者の75枚はとてもすっきりしている印象を受けます。クリーチャーは12体のみで、手札破壊は定番の6枚、除去も環境に合わせたチョイスとお手本のようなリスト。最近では2マナの確定除去枠として《無情な行動》が採用されていますが、これはミラーにおける《ドロスの魔神》を意識したものです。《ドロスの魔神》の油カウンターを《無情な行動》で全部取り除くことで相手を敗北させることができるので、特にミラーでは重要となります。一方、《心火の英雄》をほぼ倒せなくなってしまうので、その辺りは一長一短といったところ。《心火の英雄》には他の除去を当てて、《無情な行動》は《精鋭射手団の目立ちたがり》などに打てば良いという考えでしょう。《塔の点火》はラクドス果敢の《心火の英雄》を意識したものです。サイドボードもオーソドックスな作り。《碑出告が全てを貪る》はジャンドサクリファイスに強い1枚。《清掃人の才能》をとても触りづらいカラーですが、《碑出告が全てを貪る》なら《魔女のかまど》や食物ごと《清掃人の才能》を吹っ飛ばせます。《未認可霊柩車》が3枚と多いのは対イゼットフェニックスを見据えてのことでしょう。見事決勝ではそのイゼットフェニックスにストレートで勝利を収めています。もし今週ラクドスデーモンを使うならこのリストをオススメしたい!それぐらい完成度の高い75枚だと思います。 アサーラックコンボ カナダ地域チャンピオンシップ:3位 By Dustyn Nogueira さあ、皆さんお待ちかねのアサーラックコンボです。このデッキは《アーチリッチ、アサーラック》を使用した無限ダメージデッキ。まず《アーチリッチ、アサーラック》について簡単におさらいしましょう。3マナ5/5の伝説のクリーチャーで、攻撃するたびに相手がクリーチャーを生け贄に捧げないとゾンビを生成する……ってめちゃくちゃ強いことが書いてありますが、当然そんな彼にはデメリットがあります。戦場に出た時に、自分が《魂を喰らう墓》を踏破していないと、《アーチリッチ、アサーラック》は手札に戻り、ダンジョン探索を行う。つまり《アーチリッチ、アサーラック》を何度も出して《魂を喰らう墓》を踏破し、ようやくこのクリーチャーが戦場にきちんと着地するというカード。しかし、逆に言えば《魂を喰らう墓》を踏破しない限り、《アーチリッチ、アサーラック》は何度も手札に戻り、そのたびにダンジョンを進み、踏破し、またダンジョンに入れるカード、ということになります。もしもこのカードを0マナで出し入れできたら、《魂を喰らう墓》以外の2つのダンジョンを無限回潜れるのです。それを実現したのがこのアサーラックコンボ。まずは《ガイアの眼、グウェナ》。クリーチャー呪文か起動型能力限定で2マナを生み出す強力なマナクリーチャーですが、パワーが5以上のクリーチャー呪文を唱えると自身が成長し、しかもアンタップします。《アーチリッチ、アサーラック》のパワーは5なのでアンタップし、再び2マナを生み出せるので、実質《アーチリッチ、アサーラック》が1マナで唱え放題になります。そしてここに《正直者のラトスタイン》が加わることで、正真正銘0マナの《アーチリッチ、アサーラック》が無事爆誕。後は無限に《ファンデルヴァーの失われた鉱山》を走り続けて相手のライフが0になって勝利。《正直者のラトスタイン》はコンボパーツを墓地から拾いつつ、自身もコンボパーツとなる素晴らしいカードですね。最後の1枚は《正直者のラトスタイン》の代わりに《伝説の秘宝》でも達成できます。《アーチリッチ、アサーラック》は戦場に出た時に手札に戻る能力が誘発するので、能力にスタックして《伝説の秘宝》からマナを出せば、そこで出た1マナと《ガイアの眼、グウェナ》の2マナで《アーチリッチ、アサーラック》を出し、また《伝説の秘宝》で《アーチリッチ、アサーラック》をタップしてマナを出し……これでもループが完成。《眷者の神童、キナン》も生み出すマナを1つ増やせるので、《ガイアの眼、グウェナ》1枚から3マナを出すことができ、《アーチリッチ、アサーラック》の無限が決まります。《伝説の秘宝》を用いた他の無限パターンもあります。《侵攻の伝令、ローナ》《正直者のラトスタイン》《伝説の秘宝》と揃っていれば、《アーチリッチ、アサーラック》ループが行えます。《伝説の秘宝》で《侵攻の伝令、ローナ》をタップし、《伝説の秘宝》からもマナを出して、《正直者のラトスタイン》で1マナ軽くなった《アーチリッチ、アサーラック》をプレイ。 またさっきのように能力にスタックで《アーチリッチ、アサーラック》をタップして《伝説の秘宝》からマナを出しておき、《アーチリッチ、アサーラック》のキャスト時にアンタップした《侵攻の伝令、ローナ》を再度《伝説の秘宝》で寝かせてマナを出すと2マナが発生するので、これにて無事《アーチリッチ、アサーラック》が無限鉱山の旅に出ることになります。《ガイアの眼、グウェナ》を使わないこちらのパターンは《伝説の秘宝》しか起動型能力を使用しないため、すべてのクリーチャーがこのターンに戦場に出てもよく、更地から勝つこともあります。コンボパーツが3マナに偏っているのでマナクリーチャーを7枚採用し、更に2マナ域にはこれらのマナクリーチャーから追加で1マナを生み出す《眷者の神童、キナン》まで入っています。《眷者の神童、キナン》は起動型能力も強力で、《アーチリッチ、アサーラック》か《偉大なる統一者、アトラクサ》をライブラリーから場に出してくれます。ちなみに《ガイアの眼、グウェナ》から出るマナはクリーチャーにしか使用できませんが、《眷者の神童、キナン》がいる時に追加で新たに出るマナについては、クリーチャー以外にも使用できます。《眷者の神童、キナン》は《伝説の秘宝》で伝説のクリーチャーを寝かせた際のマナは増やしてくれないので注意しましょう。こうしてよく見ると、アサーラックコンボはコンボパーツが個々でそこそこ強いものばかりです。《侵攻の伝令、ローナ》は起動型能力で必要なパーツを集めてくれますし、《正直者のラトスタイン》はクリーチャーを拾ってコンボ達成を助けます。《ガイアの眼、グウェナ》も《偉大なる統一者、アトラクサ》の高速召喚に役立つので、コンボ成立時以外で引いて困るカードは《アーチリッチ、アサーラック》自身しかありません。最速3ターンキルもあり、長期戦も《湧き出る源、ジェガンサ》《偉大なる統一者、アトラクサ》でドンと来い。今後の活躍にも注目していきたい、とても良いデッキですね!

【今週のピックアップデッキ】アゾリウス眼魔キオーラ/レイラインコロッサス/ネオブランド

Modern Pioneer Standard ピックアップ

2024.11.15

mtg Yuyan

こんにちは。 細川 侑也(@yuyan_mtg)です。 今週のピックアップデッキでは、ちょっと珍しいデッキを、軽い解説を交えて紹介していきます。 アゾリウス眼魔キオーラ(スタンダード) スタンダードリーグ:5-0 By HelpfulHobo 『ファウンデーションズ』がついに本日発売!既にテーブルトップでは使用可能でしたが、マジックオンライン・MTGアリーナでも解禁され、早速各種フォーマットで使われ始めています。スタンダードでは、あのアゾリウス眼魔にアップデートが入りました!アゾリウス眼魔は、その名の通り《忌まわしき眼魔》に特化したアゾリウスカラーのアグロ。《錠前破りのいたずら屋》や《第三の道の創設》で《忌まわしき眼魔》《傲慢なジン》を墓地に落とし、《救いの手》で釣り上げるリアニメイト要素を搭載しています。墓地が肥えていくので手札から《忌まわしき眼魔》も出しやすく、ブン回った時には2ターン目に《忌まわしき眼魔》が墓地から出てくる、スタンダードらしからぬ動きもできるデッキです。そんなアゾリウス眼魔に新たに加わったのが《上げ潮、キオーラ》。まずはテキストからおさらいしましょう。《上げ潮、キオーラ》は戦場に出た時にカードを2枚引き、2枚捨てます。不要牌を捨ててもよし、これからリアニメイトするクリーチャーを墓地に送りこむのも良いでしょう。そしてスレッショルドを達成している状態で《上げ潮、キオーラ》が攻撃すると、8/8のトークンが場に出てきます!地味ながら有用な能力と、派手で強力な能力を併せ持つ3マナ3/2、それが《上げ潮、キオーラ》です。前述のようにアゾリウス眼魔は墓地を肥やせるので、スレッショルド達成は容易。生き残ればすぐに8/8を生成してくれるでしょう。相手からしてみればすさまじいプレッシャーです。《錠前破りのいたずら屋》と《第三の道の創設》は共にカードを4枚切削しますし、《上げ潮、キオーラ》は出た時に墓地にカードを2枚送れるので、《上げ潮、キオーラ》が最も相性が良いデッキと言えます。吊り上げるクリーチャーが《忌まわしき眼魔》と《傲慢なジン》しかいなかったため、これまでのリストでは《救いの手》が4枚、《再稼働》は1枚から多くて2枚といったところでしたが、このリストには大量の3枚採用。《上げ潮、キオーラ》が新たに釣りあげる対象となり、更にその《上げ潮、キオーラ》によって手札のクリーチャーを捨てたり、余ったリアニメイトスペルを捨てても良いため、《再稼働》を大量に採用しやすくなりました。元々スタンダードで活躍していたアゾリウス眼魔、《上げ潮、キオーラ》の登場で更なる強化を果たしたのか?この後の活躍に注目したいですね。 レイラインコロッサス(パイオニア) パイオニアリーグ:5-0 By Franticore 以前に紹介した《金属製の巨像》デッキを覚えているでしょうか?《身代わり合成機》を最大限に活用したデッキで、特に《真鍮の拳》が《身代わり合成機》と《金属製の巨像》と相性抜群で、4ターン目に圧倒的な場を作り出すことが可能となっています。このデッキがなんと今回大きな強化を受けました!『ファウンデーションズ』から加わった新人がこちら!4マナの装備品で、二段攻撃とトランプルを付与する装備品。ここまで書くとリミテッドで強そうな装備品という印象ですが、最初に大きな一文があります。「このカードがあなたのゲーム開始時の手札にあるなら、これが戦場に出ている状態でゲームを開始してもよい。」そう、《力線の斧》は史上初めてとなる装備品の力線。ゲーム開始時に出すことができるのです。これによってどうなるか、もうお分かりですね?そうです。《力線の斧》は実質タダで置ける4マナのアーティファクト。《金属製の巨像》と相性抜群なのです。0ターン目に《力線の斧》、1ターン目に《ポータブル・ホール》で除去。2ターン目に《アイレンクラッグ》か《加工鋳造所》。3ターン目に《身代わり合成機》を出すと、場の合計のアーティファクトのマナ総量は4+1+2+3の10。余った1マナで《金属製の巨像》が出て、《身代わり合成機》から6/6!3ターン目に圧倒的な場が出来上がります。そして《力線の斧》が付与する二段攻撃とトランプルも非常に嬉しい。《金属製の巨像》は高速召喚できたとはいえ、ただのバニラクリーチャー。しかしこれに《力線の斧》がつくだけで11/11、二段攻撃、トランプルの化け物へと生まれ変わります。《金属製の巨像》のキャストを早めるだけでなく、フィニッシャー性能も格段に引き上げてくれる《力線の斧》はこのデッキのために生まれたといっても過言ではないカード!以前紹介した時より確実にパワーアップしてると思いますので、ぜひお試しください!! ネオブランド(モダン) モダンリーグ:5-0 By wefald 全カードゲームプレイヤーの憧れと言えば、それはやはり「1ターンキル」でしょう。先手1ターン目に相手がまだセットランドすらしてないのに勝利する。レガシーでは1ターンキルができるデッキもありますが、モダンではこのネオブランドのみです。手順はこうです。まずゲーム開始時に《絡み森の大長》を公開。そして青マナをセットランドして、《アロサウルス乗り》を0マナでキャスト。 《絡み森の大長》の緑マナと青マナから《新生化》で《アロサウルス乗り》を生け贄にし、《グリセルブランド》をデッキから場に。《グリセルブランド》で14枚ドローし、その中から《滋養の群れ》をピッチでキャスト。追放するのは《土着のワーム》。これで15点のライフを得るので、更に14枚ドロー。こうして《滋養の群れ》を使いながら《グリセルブランド》でライブラリーのほとんどのカードを引き、最終的に《モックス・アンバー》を2回出して黒マナを2つ作り、《マルコフ家のソリン》を召喚。このターンに《滋養の群れ》で大量のライフを得ているので変身し、そのままマイナス1能力で勝利!ネオブランド自体はそこそこ昔からあるアーキタイプでしたが、『モダンホライゾン3』が出るまではフィニッシャーにとにかく困っていました。この手のデッキでは《タッサの神託者》が定番ですが、《グリセルブランド》は7枚ドローしかできないので、たとえば初手7枚+《グリセルブランド》7回起動だとライブラリーが4枚余り、《タッサの神託者》では勝てません。更に《モックス・アンバー》では《グリセルブランド》から黒マナしか出せないので、《タッサの神託者》を出す手段も大変です。色マナを変換するためだけのカードを採用する必要がありました。それが『モダンホライゾン3』で《マルコフ家のソリン》が加入したことで、一気に楽になりました。《モックス・アンバー》2枚と《マルコフ家のソリン》さえ引けばライブラリーを掘り進める必要がなくなり、更に色マナ問題も一発で解決。無駄なカードを入れるスロットを削り、更に安定して勝てるように!ネオブランドにとって夢のようなカード。《フレイアリーズの信奉者》も地味な強化です。《アロサウルス乗り》を出すためになるべく緑のカードをたくさんデッキに入れたいので、アンタップインで緑マナが出せる緑のカードは貴重です。6マナとそこそこ重いので、《滋養の群れ》で追放するカードとしても最低限の働きをしてくれます。エネルギーやベルチャーに飽きて刺激を求めている方、1ターンキルを味わってみませんか?

コンボデッキのススメ!

ピックアップ

2024.11.14

mtg Yuyan

突然ですが、皆さんはコンボデッキがお好きですか?多分8割の人が「No」と答えるのではないでしょうか。アグロやコントロールが好きな人に比べてコンボ好きは少し少ない気がします。その理由はいくつかありますが、大きいのは2つ。1つは「難しい」というイメージです。コンボデッキは上手く回すのが難しく、自信がない。そしてもう1つが脆さ。対策された時の弱さだったり、手札がちぐはぐでどうしようもない展開がどうしてもあります。負ける時までは完膚なきまでに負けてしまい、「やっぱりコンボは向いていない」とそのまま折れて使用を諦めた経験、ありませんか?本日の記事では、コンボデッキを僕がオススメする理由、上手くなり方、そして練習方法などをご紹介していきます!これを読んでコンボデッカーが一人でも増えれば嬉しいです! コンボのススメ まずはやはりコンボデッキの魅力について語らなければならないですね。もうズバリ、一番は何といっても楽しさです。1ターン目に手札破壊を打って、2ターン目に《税血の収穫者》を出して、3ターン目に《鏡割りの寓話》を出して……そんなまるで「朝起きて歯を磨いて朝食を食べて電車に乗って会社に行く」みたいなマジック、もう飽き飽きしていませんか?コンボデッキは自分のコンボさえ揃えてしまえばそれまでの道のりは関係ありません。ただ特定のカードを揃えた瞬間、相手の手札が何枚だろうと、場に何体のクリーチャーがいようと、ライフがいくつであろうと関係ありません。無条件で勝利です。突然宝くじに当選して一発逆転するようなもの。これだけ書くと怪しい勧誘に思えますが、実際のところ、コンボはこの爽快感こそが最も魅力的です。コンボの中でもストームのようにたくさんの呪文を唱えていくコンボデッキは、1つ目の呪文の時点でバラバラだったパズルのピースが、最後は一気に完成していくかのようで、美しさすらあります。戦略的な部分で言えば、コンボデッキは第一ゲームの勝率が高いという点も挙げられるでしょう。普通のミッドレンジなら《致命的な一押し》はキープ基準になりますが、クリーチャーを介さないコンボならそのカードは完全な無駄牌。コンボ側は手札破壊か速いクロック以外のすべてを無視できます。そしてコンボを熟知していない相手を簡単に倒してしまう、いわゆるわからん殺しが発生しやすいのもコンボデッキ。どのカードがコンボに重要なのかを熟知してしなければ、手札破壊の選択を誤るかもしれませんし、そもそもコンボ成立ターンをある程度把握していなければ、サイドボード後に展開力に乏しいが対策カードのある手札をキープし、悠々とそのカードを対処されて負けてしまうでしょう。相手がビートダウンならとりあえず除去しておけば良いですし、コントロールには殴っていけば良い。しかし、コンボデッキ相手にはそのデッキに対する知識が求められます。ちょっとコンボデッキが使いたくなってきたのではないでしょうか? コンボのやり方を覚える というわけでコンボマスターを目指していきましょう!その第一歩は当たり前ですが、コンボのやり方を覚えることです。詳しくは後述する練習方法に書きますが、何と何が揃ったらコンボになって勝てるのかを頭に叩き込む。たったこれだけです。双子コンボのように《詐欺師の総督》と《欠片の双子》が揃った瞬間に勝つ場合は特に再確認する必要はない……と思うのも激アマです。当然ですが、このコンボは《詐欺師の総督》を出したターンだと成立しません。《欠片の双子》を付けて起動型能力を使用できないですからね。しかし、《欠片の双子》が《鏡割りのキキジキ》なら《詐欺師の総督》を出したターンにコンボを決めることができます。パイオニアのロータスコンボのようにマナ計算やカード選択が複雑なデッキならば、コンボのやり方を覚えるのは必須。というより完璧にマスターするまでは大会に出ないでひたすら練習をした方が良いレベルです。《出現の根本原理》を打つための色マナ、黒黒青青緑緑緑をどう出すか。《睡蓮の原野》2枚から《砂時計の侍臣》を打つ時にどうやってマナを出せば《出現の根本原理》が打てるのか?《見えざる糸》を打つ時は《睡蓮の原野》2枚を使ってどんなマナを生み出せば良いか。《出現の根本原理》で持ってくる3枚、どの組み合わせなら確実に勝利できるのか。これをきちんと把握しましょう。ミッドレンジやアグロではとりあえず出したクリーチャーでライフを削り切れば良いですし、コントロールならひたすら全体除去を打ってフィニッシャーを出せば勝てます。しかし、コンボデッキではそれはありえません。ここにハードルの高さを感じるのかもしれません。いわばコンボデッキは予習の時間が必須です。ぶっつけ本番で大会に持っていくことはできません。しかし、事前に対戦相手を殺す方法さえ完璧にマスターすれば何も心配いりません。別に完璧に回せるようになる必要はないのです。サイドボード後の対策に何もできず負けてしまうのが情けないなんてことはありません。ただ、相手を殺す方法さえわかっていればそれでOKです。コンボが手札で揃った時に手順ミスせずに相手を倒せるように、デッキのことをしっかり勉強しておきましょう。 練習方法 具体的な練習方法は、ずばり一人回し(ソリティア)です。最近ではMTGアリーナの普及などで一人回しをしたことがないプレイヤーもいると聞き、驚きを隠せませんでした。僕がマジックを始めた頃はマジックオンラインしかなく、学生時代の僕は金銭的理由で手が出せませんでした。しかし、マジック熱は10時間友達と遊んだ後も冷めなかったので、家でやっていたのが一人回しでした。やり方は簡単。目の前に《島》60枚のデッキを持っている対戦相手がいるつもりで、自分のデッキをひたすら回すのです。「こんなの意味あるのか?」と思うかもしれませんね。はっきり言います!効果は絶大です!既にお話したコンボのやり方を覚えるなら一人回しで十分ですし、初手でどんな手札をキープすれば良いかも、一人回しの回数を重ねることでわかってきます。2枚コンボならその片方がなければマリガンなのか、それともドロースペルが多いから両方なくてもキープできるのか、などなど。イゼット天啓のようなコントロール要素を持つコンボなら《アールンドの天啓》は初手に必要ないですが、ロータスコンボなら《睡蓮の原野》は初手に絶対必要です。何回までならマリガンできるかの、いわば耐久テストのようなものも一人回しで行えます。僕がよくやるのは、常にダブルマリガンで戦ってみるとかですね。ダブルマリガンも意に介さず4~5キルが安定するデッキなら、マリガンは厳しめにできますからね。パイオニアのロータスコンボがこれに当たります。《睡蓮の原野》なしの手札がキープできない代わりに、初手は少なくても勝てます。これを実際に体感すれば、本番でも自信を持ってマリガンできるでしょう。本番は練習のように、練習は本番のように。こんな言葉はありますが、一人回しの段階ではゆるふわでOKです。コンボデッキを手足のように自在に使うための訓練のようなものですから、最初の内はマリガン後も7枚のハンドでキープしてみたり、決まるかわからないぎりぎりのハンドで仕掛けて決まらなかったら全部巻き戻し、なんてこともよくやります。とにかく自由に何でも試せて誰にも迷惑をかけないのが一人回しの良さですからね。変なプレッシャーもないのでミスも起きません。一人回しでプレイに迷っているようでは、実際に対戦相手がいた時はもっと迷うことになります。確実に一人回しよりパフォーマンスは落ちるので、できれば一人回しは100%の力を引き出したいものです。少しデッキを回すのに慣れてきたら、徐々に応用編に突入していきましょう。たとえば「もし対戦相手が打ち消しを持っていたら?」や「次の次のターンに殺される可能性が高い。どうする?」など、自分で勝手にシチュエーションを作って一人回しを行うのです。ロータスコンボで例を挙げると、「相手は《全知》を割れる。《出現の根本原理》のサーチは?」「浮きマナなしの状態で打つ《出現の根本原理》のサーチは?」「《黙示録、シェオルドレッド》が出てきました。コンボを決めてください」この辺りですね。これを後手4ターンキルされるなど複合パターンでどんどん自分を追い込んで、その状態で勝てるかを試してみます。実践では大体の場合でこれより余裕がありますから、対戦相手のプレッシャーを差し引いて、一人回しと対人戦でさほど変わらぬ緊張感でプレイできるのではないでしょうか。コンボデッキは一人回しで学べるものが他のデッキよりも多いのも、魅力の1つです。ミッドレンジで一人回しをしてもさほど上手くなりませんが、コンボデッキを一人回しすれば上手くなります!大会で鍛錬を積まなくても、MTGアリーナで対人戦を重ねなくても、かなりの経験値を一人回しで得ることができるのです。これはコンボならではのメリットと言って良いでしょう。対戦時間のない社会人プレイヤーには特におすすめです。月に400時間働いていた頃があったのですが、対人戦はほとんどしていませんでした。それでも会社で考え事をしながら一人回しをしていて、それだけで上位入賞したこともあったぐらいです。一人回しだけである程度戦える可能性のあるコンボデッキは、対人戦があまりできない人に特にオススメ! 自分の中で完璧に一人回しができたと思ったら、MTGアリーナや紙の大会に持ち込むと良いでしょう!当たり前ですが、対人戦も非常に練習になりますからね。 ターン数の意識 ここからは実践的な話になります。一人回しもして、ある程度大会に出て、そこそこ勝てるようになりました。この段階まではすごい勢いで成長を実感すると思いますが、急な停滞時期です。どうやって上手くなれば良いかがなかなかわからないのですよね。コンボデッキってどうしても「引いて勝ち」「引かないで負け」「サイド後に対策喰らって負け」この3つが圧倒的に多く、普通のデッキを使った時よりも反省点が少なくなってしまいます。だからこそ成長を感じにくいのでしょう。 次のステップに進むなら、意識するのはターン数です。・何ターン目にコンボを決めることができるか・目の前の対戦相手が何ターン目にこちらを倒してくるか?・このフォーマットは何ターン目にゲームが決まるかこれらを正しく理解することが、コンボを上手くなるコツです。例えばラクドス果敢は何ターン目にロータスコンボを倒してくるでしょうか?ロータス側に妨害がほぼなかったとしたら3ターンキルでしょう。《心火の英雄》に《巨怪の怒り》などを打たれて3ターン目に負ける。よくあります一方のロータスコンボは早くて4ターン、平均は5ターンキル、本当に回れば《樹上の草食獣》経由から3ターン目に勝つこともあるでしょうが、あまり現実的ではありません。となればラクドス果敢対ロータスコンボは不利であることがわかり、《魂の仕切り》や《一時的封鎖》を使って減速させて5ターンキルを決めるという指針を立てられます。環境の平均キルターンを把握するのは非常に大事です。モダンなら今はどのデッキも4ターン目に大体こちらを倒してきます。エネルギーは普通に4ターンキルしてきますし、《一つの指輪》が出てくるのもこのターン。つまり3ターンキルデッキはそれだけでモダンで価値があり、4ターンキルするコンボは先手なら間に合うが後手なら遅いため、1ターン生き残る工夫が求められることになります。パイオニアならラクドス果敢を覗けば平均ターンは5と言ったところでしょうか。パイオニアのあらゆるデッキが5ターン目にどんな場になっているかを想像すれば簡単だと思います。イゼットフェニックスなら3ターン目に1枚、4ターン目にもう1枚が落ちていてこの時点で9点喰らうので、5ターン目には大体負けるでしょう。《異形化》なら《偉大なる統一者、アトラクサ》が出てくる次のターン。《全てを喰らうもの、イグラ》が手札から出てくるのもこのターンですね。《清掃人の才能》次第で4ターン目に出てきますが、平均で言えば4~5ターンといったところ。つまりロータスコンボはキルターンで言えば、ラクドス果敢を除けば大体のデッキに対して間に合っていて、速度では追いついているということです。速度で追いついているならば、今のパイオニアにおいてロータスコンボを選択する理由にもなります。ターン数を把握することで、「今このコンボを使うに値するか?」のバロメーターにもなるのです。対戦相手が何ターン目にこちらを倒してくるか。この意識を持っているだけで、まずはマリガンが変わってきます。リスト非公開だとしてもゲーム2以降では相手のデッキがわかるため、確実な5ターンキルハンドをキープするか、リスクを取るか、その判断が可能です。意識していなければただ《睡蓮の原野》があるだけでキープをして負けてしまうでしょう。プレイ中もキルターンへの意識を持つことで、適切なタイミングでカードを使用できます。《鏡割りの寓話》を置かれた次のターンに確実に死なないのなら、トークンに《天上都市、大田原》を打たずに《演劇の舞台》で《睡蓮の原野》をコピーしますよね。このプレイは当たり前ですが、より複雑な状況において、「何ターンで倒してくるデッキなのか。このままいけば何ターンで負けるのか」「この手札なら何ターン目に勝てる」これらを常に意識しておくだけで、二択をミスしなくなります。コンボデッキは勝つターンのみに意識を集中させれば良いので、自分に残り何ターンあるかを把握するのが重要です。残りのターン数がライフと言って良いでしょう。相手のデッキと動きを見て勝つターンを設定し、そのターンに向けて準備を進めていくのです。そのために必要なのがターン数の意識というわけです。 サイドボード後の戦い コンボデッキで戦う上で最も悩みなのがサイドボード後のゲーム。マジックはサイドボード後の方が戦う回数が多いので、メインだけ取ってサイドを2本取られることが、コンボではよくあります。メイン勝ち、サイド後をどちらも落とす。これはコンボデッキ使いが一番恥じるべき結果です。これならまだメインも負けてストレート負けの方が良かったと思うぐらいです。これは僕だけかもしれませんが。サイドボード後の勝率が50%になれば、コンボデッキ使いとして一人前です。まずはこれを目指していくことです。さて、サイドボードをする上で最も考えなければならないことはなんでしょうか?それはもちろん、相手がどんな対策をしてくるかです。ロータスコンボに対して《減衰球》なのか《強迫》か、あるいは《神秘の論争》か、はたまた《石の脳》か。それぞれ違う対処法があり、こちらがサイドから入れるカードも変わってきます。《減衰球》は一番置かれる可能性があるサイドカードです。無色で2マナで最も劇的。かといってすべてのデッキが採用してくるわけではありません。たとえばイゼットフェニックスやラクドス果敢は1ターンでたくさんの呪文を唱えるため、《減衰球》によって自分も被害を受けます。そのためまず《減衰球》は採用されていないでしょう。それならば置物対策をあまりたくさんサイドインする必要はありません。一方、《奇怪な具現》のように《減衰球》の影響をほとんど受けず、更にロータスコンボとの相性が絶望的な相手は、高確率で《減衰球》などの1枚で勝てる致命的な置物を置いてくるでしょう。《耳の痛い静寂》や《エメリアのアルコン》もありえますね。こういった相手には全力で《洪水の大口へ》を入れておきます。《洪水の大口へ》のようなバウンスカードは、リスト非公開トーナメントにおいては保険としてサイドインすることが多く、とりあえずゲーム2では、よっぽど置物対策を置いてこないという確信がない限りは、少しだけサイドインするようにします。注意しなければならないのは、相性の悪いマッチで大量のサイドカードを用意する状況です。たとえばラクドス果敢に弱いからといってサイドを10枚用意したとしましょう。ロータスコンボのメインからカードを10枚抜けるでしょうか?サイドボード後のデッキがしっかりコンボを決められる形でなければ意味がありません。《出現の根本原理》が重いからといって、サーチ先含めてすべてを抜いて除去にしてしまったら、《睡蓮の原野》と《演劇の舞台》が揃って盤面も一掃したのに、そこから勝てなくなってしまうでしょう。コンボデッキはコンボパーツ・コンボを集めるカード・除去や妨害の3種で構成されることが多く、相手がアグロデッキの場合は除去や妨害を抜きづらいので、コンボを集めるカードに手をかけるケースが多いです。ここで抜きすぎると失敗してしまいます。どうやって勝つかを明確にしておくのが重要です。コンボデッキはどんなに多くともサイドアウト枚数を6枚程度にとどめておくのが良いでしょう。どのような形でサイド後を戦うかは、サイドボードを組む段階で細かく考えておいてください。本番でアドリブでサイドインアウトするのは、コンボデッキに慣れてからにしましょう。サイドボード後にコンボパーツそのものを減らすケースとしては、そのコンボがコントロールやビートダウンを兼ねていたり、サイド後にコンボ以外の勝ち筋を用意している場合、もしくは極端にそのコンボパーツがメタられやすい時です。最初の例はイゼット天啓です。白単アグロなどのビートダウンには《アールンドの天啓》+《感電の反復》を決める必要がなく、ただ重いだけなので、この重い部分を抜いて除去などを減らします。コンボ以外の勝ち筋は、たとえばストーム系デッキのサイドボードに入る《若き紅蓮術士》などでしょうか。この場合は重いコンボパーツを減らすことも肯定されます。逆にコンボを探すパーツは《若き紅蓮術士》と噛み合いますから、ほとんど抜かないですね。これならコンボパーツを抜いたとしてもコンボはそこそこ揃います。コンボパーツが極端にメタられやすい例はルビーストームです。《ドラニスの判事》はすべてのデッキに入っているわけではないですが、墓地対策はほぼすべてのデッキに入っています。そのため、《炎の中の過去》はサイドアウト候補になります。どの相手も最も入れてくる可能性が高いのが墓地対策で、《炎の中の過去》は墓地対策をされると何もしないカード。たくさん引くリスクがあるのでサイドアウト候補となるのです。サイドボードをする時は「しっかりサイド後も勝てるデッキになっているか」が大事です。これはコンボデッキ以外のすべてのデッキでも言えることですが。サイドボーディング後の60枚があなたのゲーム2、3のデッキになるんです!メインボードの60枚はバランスを意識して組みますよね?サイド後も同じです! これからコンボデッカーを目指す皆さんへ 簡単ですが、今回の記事は以上となります。とっつきにくい印象のあるコンボデッキですが、実はそんなことはありません!コンボデッキは誰でもウェルカム。大歓迎です。一人回しだけでも十分に強くなれますし、クリーチャー同士の戦闘やカードの交換が苦手な人も、戦闘を介さないコンボデッキなら上手く回せるかもしれません。皆さん、コンボデッキを手に取ってみませんか?

【ゆうやんのデッキメモリー】ピクルスコンボ

ピックアップ

2024.11.13

mtg Yuyan

皆さんこんにちは。 ゆうやんのデッキメモリーは、今年でマジックを初めて21年目になる僕が、思い出に残っているデッキを紹介していく記事です。 昔を知っている方は一緒に懐かしんで、知らない方は昔話にお付き合いください! ピクルスコンボ 突然だが、僕が一番好きなデッキは、コンボ要素の入っているコントロールデッキだ。除去と打ち消しだけを詰め込んだアゾリウスコントロールも嫌いではないが、かつてスタンダードを席巻したイゼット天啓のように、コントロールとして立ち振る舞いながら突然勝てるようなデッキの方がより好み。その原点となるのが今回紹介するピクルスコンボ。 ピクルスと聞いて一瞬マックのハンバーガーに入っているアレを連想した人がいるかもしれないが、あのピクルスで間違いない。このデッキのフィニッシャーである《塩水の精霊》の能力を毎ターン使用して相手を塩漬け(タップ状態)にさせ続けてしまうことから、その名前がつけられた。ピクルスコンボは基本的には青単、もしくはディミーアカラーのコントロールデッキ……というよりパーミッションデッキ。デッキに入っている打ち消し呪文はなんと16枚と、今では考えられない枚数。ちなみに打ち消しが大量に入っているデッキを、パーミッションデッキと呼ぶのだが、これは打消しがあまりに入りすぎているため、対戦相手が呪文を唱える時に「これは通りますか?」と許可を求めてくることから、その名前がついたらしい。デッキの動きは先述の通りディミーアパーミッション。大量の打ち消しで盤面とライフを守りつつ、打ち消しを構えながら変異をプレイ。 そして相手が呪文を使ってフルタップになった隙に《塩水の精霊》を表返し、相手のアンタップ状態を一度飛ばす。相手が動けずターンを返してきたところで、《ヴェズーヴァの多相の戦士》を変異で出し、《塩水の精霊》として表返す。これで相手は更にもう1ターンアンタップが飛び、アップキープに《ヴェズーヴァの多相の戦士》を裏にして、それをまた《塩水の精霊》として表にしてロックが完成する。この《塩水の精霊》と《ヴェズーヴァの多相の戦士》のピクルスコンビは、このデッキのみならず、様々な青いデッキに採用されていた。赤いトロンは《ボガーダンのヘルカイト》を採用していたが、それ以外の青系トロンのフィニッシャーとして入っていることが多く、当時スタンダードをやっていたプレイヤーなら誰もが知るコンビだ。フィニッシャーでもある《ヴェズーヴァの多相の戦士》がとにかく強力なのがこのデッキの魅力だった。相手のクリーチャーになって相打ちを取っても良し、《意志を曲げる者》が表状態で場にいれば《ヴェズーヴァの多相の戦士》に飛んできた除去を、自身を表返すことで《意志を曲げる者》になって跳ね返せたり、《水深の予見者》がいれば2マナを払って2ドローし、アップキープに再び裏返って無限のドローエンジンが完成した。クリーチャーのほとんどが変異なため、《呪文嵌め》を構えながら4ターン目に、あるいは《差し戻し》などの2マナカウンターを構えながら5ターン目に出す動きが安定し、しかも相手はその変異が何かを読まなければならない。《塩水の精霊》なら7マナが揃うタイミングが要注意。《差し戻し》で重いアクションを戻されて返しで《塩水の精霊》が表になればそのまま負けるからだ。それなら7マナが揃うまでに対処したいのだが、《意志を曲げる者》だったら裏目ってしまうかもしれない。そこに2体目の変異が追加されたらどちらを除去しようか迷ってしまう。この頃非常によく使われていた"貯めラン"こと《戦慄艦の浅瀬》も、ピクルスコンボと非常に相性が良い土地だった。自身をタップすることで、カウンターを乗せていき、好きな数のカウンターを取り除くとその分のマナを生み出せるのが貯めラン。つまり4つのカウンターを取り除けば、1枚の土地から4マナを生み出せるというわけだ。打ち消しを構えてターンを返し、相手が警戒して展開してこなければ《戦慄艦の浅瀬》にカウンターを貯める。それが続くと気づけば大量のカウンターが《戦慄艦の浅瀬》に乗り、《塩水の精霊》を変異→即表返して勝利することも多く、この重いコンボを使いやすくさせてくれていた。青いデッキ対決では1ターンに何回行動できるかが重要なため、マナの総量が決め手となる。となれば貯めランをたくさん引いて貯めた方が勝つのは自明の理。そこでサイドボードには5枚目の貯めランとして《石灰の池》まで採用している。ピクルスは青単、あるいは青黒で組まれることが多いのだが、青単では除去を採用することはできない。そこで活躍していたのが《砂漠》だ。当時は《サバンナ・ライオン》《サルタリーの僧侶》などタフネス1のクリーチャーが多く、《砂漠》がよく効いてくれた。とはいえ《砂漠》だけではさばききるのは難しく、サイドには大量の《最後の喘ぎ》が入っている。 今見ると黒マナが《戦慄艦の浅瀬》合わせて12枚と、アグロ相手にはどう考えても足りない気がするのだが、マナベースの脆さは若さの現れでもある。17歳の細川少年では気づけなかった。ただ、一方で《神秘の指導》からサーチするためのカードはそれなりにしっかり考えられている。4マナしかない状況で《神秘の指導》から持ってきて即打ちできる《殺戮の契約》や、ビートダウン相手に3対1交換が取れる可能性のある《魂の捕縛》など、複数枚入れたくはないが活躍するカードたちがサイドボードに散りばめられている。17歳の細川少年、やるじゃん!このリストは僕が五竜杯という草の根大会で初めてトップ8入賞を果たした時のものだ。当時、強豪プレイヤーが集まる草の根大会の1つだった五竜杯。そこで5勝2敗の成績が最高だった僕にとって、6勝1敗でリストをウェブサイトに乗せるのは夢で、それが叶った瞬間だった。3位入賞で名前を呼ばれた時、ものすごく嬉しくて、その日の帰りの電車はずっとドキドキしていた。その時の成功体験が今も残っていて、コントロールやコンボが好きなのかもしれない余談だが、このデッキリストはウェブ上に今も残っており、サイドボードの《根絶》が記載されていない。どうやら僕の字が汚すぎて、デッキリストを入力する方がわからなかったようで、今も「2《字が汚くて解読不能/ご本人は連絡ください》」と書いてある。字が汚いとこうしてデジタルタトゥーとして残ってしまうので、皆さん気を付けよう!それではまた、次のデッキメモリーで!

【週刊メタゲーム通信】今週はイグラが大活躍!最新のパイオニア環境は黒大活躍!

Pioneer ピックアップ

2024.11.12

mtg Yuyan

こんにちは。 細川 侑也(@yuyan_mtg)です。 今回はヨーロッパ地域チャンピオンシップの結果から、最新のパイオニア環境を分析していきます! メタゲーム トップ8の内訳は以下のようになりました。ラクドスデーモン:3人ジャンドサクリファイス:2人ゴルガリフード:1人イゼットフェニックス:1人4cズアー:1人まずは黒いデッキ大活躍!というのが第一印象でしょうか。そしてラクドス果敢がトップ8に0!使用率は全体で2位、13.2%だったことを考えると、今回の負け組であることは揺るぎない事実。速度と粘り強さを持ったデッキではありますが、クリーチャーに強化スペルを打って勝つデッキである以上、徹底的に対策されてしまうとさすがに勝てませんね。そして《全てを喰らうもの、イグラ》を使用したデッキにも注目です。《全てを喰らうもの、イグラ》と《大釜の使い魔》の無限コンボを擁したサクリファイスデッキは南米地域チャンピオンシップに続いて、ヨーロッパでもトップ8に3人を送り込みました。しかもサクリファイスデッキは上位トップ9に入っておらず、使用者は少なかったにも関わらずのこの結果。今回の勝ち組デッキと言って良いでしょう!その理由としては、ヨーロッパ地域チャンピオンシップのメタゲームがサクリファイスにとって非常に良いものだったことが挙げられます。 こちらが今回のメタゲーム。イゼットフェニックス・ラクドスデーモン・セレズニアカンパニーに強く、ラクドス果敢とも五分に戦えるデッキで、厳しいマッチであるアゾリウスコントロールやロータスコンボより、それらの数が圧倒的に多かったのです。イゼットフェニックスは《美術家の才能》で大幅に強化され、ラクドスデーモンはラクドスミッドレンジの亜種。パイオニアで長く強力なデッキだったラクドスミッドレンジを使い続けていたプレイヤーは、そのままラクドスデーモンに移行する可能性が高く、この2つのデッキは特に多いであることが予想できました。上手くメタゲームを読んで《全てを喰らうもの、イグラ》を持ち込んだプレイヤーに拍手! ゴルガリフード ヨーロッパ地域チャンピオンシップ:優勝 By Marc Tobiasch 《全てを喰らうもの、イグラ》でトップ8に入賞した中で、唯一ゴルガリカラーを選択したのがMarc Tobiasch。元プロプレイヤーにして稀代のデッキビルダーでもあるMarc Tobiaschが見事栄冠を勝ち取ったゴルガリフードは、従来のゴルガリフードとは一線を画した仕上がりとなっております。まずはこのデッキの動きについて簡単におさらいしましょう。《全てを喰らうもの、イグラ》は自身以外のクリーチャーすべてを食物に変えるクリーチャー。これにより、《大釜の使い魔》が場と墓地にいると、《大釜の使い魔》を食物として食べて墓地の《大釜の使い魔》が戻ってくるので、無限ライフルーズが発生します。2枚の《大釜の使い魔》を集めるのはなかなか大変。そして《全てを喰らうもの、イグラ》も5マナと結構重い。そんなこのデッキの事情をたった1枚で解決してくれるのが《清掃人の才能》です。まず置いておくだけで、クリーチャー死亡時に食物生成。実質《魔女のかまど》のようなエンチャントで既に強いのですが、レベルを上げると、カードを生け贄にした際に切削を行うことができます。《魔女のかまど》で《大釜の使い魔》を生け贄にして食物を出し、食物を生け贄にして《大釜の使い魔》を戻す。これだけでカードを4枚切削できるのです。更に更に、レベルをもう1つあげると、終了ステップ開始時に土地とこれ以外のパーマネントを3つ生け贄に捧げることで、自分の墓地からクリーチャーを戦場に戻せます。これで重い《全てを喰らうもの、イグラ》を場に戻せるのです。しかも最後の生け贄でも当然切削でカードを6枚墓地に送れるので、《大釜の使い魔》がそこで落ちるかもしれません。まさに《全てを喰らうもの、イグラ》コンボのためのカード、それが《清掃人の才能》です。これらを軸にしたデッキがジャンドサクリファイス、そしてこのゴルガリフードなのです。このリストの最大の特徴は《パンくずの道標》が入っていない点です。《魔女のかまど》《大釜の使い魔》と組み合わせて継続的にパーマネントを拾い続ける《パンくずの道標》は、《清掃人の才能》《魔女のかまど》《大釜の使い魔》《全てを喰らうもの、イグラ》を探すカードとして、2~3枚はほぼ採用されていました。しかし今のパイオニアは高速環境。《パンくずの道標》を回している暇がなく、これが「《全てを喰らうもの、イグラ》を使うならジャンドサクリファイス」になる理由の1つ。継続的なリソースではなく、展開しながら手札を調整できる《鏡割りの寓話》や盤面に触れる《波乱の悪魔》になったのです。Marc Tobiaschはこのスロットに《蓄え放題》を採用することにしました。パーマネントを拾いながらカードを墓地に落とせるので、《全てを喰らうもの、イグラ》を落としつつ《清掃人の才能》といった動きができます。《清掃人の才能》と《蓄え放題》で墓地を肥やせることから《ウルヴェンワルド横断》に目を付けたのも素晴らしいの一言。《全てを喰らうもの、イグラ》を手札か墓地に加えなければ始まらないデッキなので、引き込む確率を上げつつ、手札から《全てを喰らうもの、イグラ》を出しやすくもなっています。ここが単純に土地ならばマナフラッドしやすくなり、他のスペルなら《全てを喰らうもの、イグラ》を出すのは難しいでしょうそして《ウルヴェンワルド横断》のバリューはそれだけにとどまりません。《魂の洞窟》を採用して猫を指定し、《全てを喰らうもの、イグラ》を確実に通せるようにしたり、3枚採用されている《耐え抜くもの、母聖樹》にもアクセスできます。「なぜ《耐え抜くもの、母聖樹》がこんなに入っているのか?」その疑問の答えは《全てを喰らうもの、イグラ》を見ればわかります。《全てを喰らうもの、イグラ》は他のすべてのクリーチャーを食物にします。アーティファクト・食物。そう、《全てを喰らうもの、イグラ》がいる時は他のクリーチャーはアーティファクトでもあるので、《耐え抜くもの、母聖樹》で除去することができるのです。《金のガチョウ》によるマナ加速や土地からのダメージがジャンドに比べて低い点など、環境が速いことにしっかり適応したこのゴルガリフード、優勝も納得! ラクドスデーモン ヨーロッパ地域チャンピオンシップ :2位 By Sergio Gimenez ヨーロッパ地域チャンピオンシップでイゼットフェニックスに次いで2番目に人気だったのがこのラクドスデーモン。デッキのコンセプトは黒単デーモンとほとんど同じです。《思考囲い》《致命的な一押し》で手札や場に触り、《不浄な別室》でリソースを稼ぎつつ、《止められぬ斬鬼》や《黙示録、シェオルドレッド》でフィニッシュするミッドレンジデッキ。赤い部分は当然《鏡割りの寓話》が入ります。手札破壊と除去、そしてクリーチャーがバランスよく入っているミッドレンジは当然《鏡割りの寓話》との相性が抜群。相手によって不要なカードを捨てて有効牌に変えていけるためです。黒単デーモンとの大きな違いは2マナ域の強さでしょう。《税血の収穫者》はラクドスだからこそ採用できる超強力な2マナ域。2マナ3/2という攻撃的なスタッツと除去性能、そして血は手札を循環させるのに使えます。このカードが使用できるのは、《鏡割りの寓話》と同じぐらい大きいですね。《税血の収穫者》を採用できるラクドスは、黒単に比べて攻撃的な構成となっています。それがよくわかるのが《鬼の刃》の採用です。黒単では採用されていないカードですが、黒単の場合は《税血の収穫者》クラスの2マナ域がなく、《鬼の刃》だけがポツンと2マナ域のクリーチャーとして浮いてしまいます。ラクドスは複数の2マナ域を採用して2ターン目からしっかり殴っていけるからこそ、《鬼の刃》を採用しているのです。この《鬼の刃》はその名の通り鬼、デーモンなので、《不浄な別室》でしっかり2点ドレインしてくれます。ただの3/1威迫なだけでなく、《鏡割りの寓話》のトークンや《税血の収穫者》に装備してデーモンにさせるのも便利。序盤から終盤までずっと殴れる良クリーチャーです。手札破壊、除去、《鏡割りの寓話》、フィニッシャーとその顔触れはほぼラクドスミッドレンジなので、パイオニアで長きにわたって隆盛していたラクドスミッドレンジの正統後継者と言っても過言ではありません。今後もパイオニア環境に残り続ける強デッキです!長い付き合いになると思うので、皆さん回しておきましょう。 4cズアー ヨーロッパ地域チャンピオンシップ:7位 By Max Penzkofer ここ最近流行の兆しだった《永遠の策謀家、ズアー》入りの《奇怪な具現》……かと思いきや、なんとこのデッキは《奇怪な具現》が採用されていません!4cエニグマレスズアーと言ったところでしょうか。《奇怪な具現》やその周りのサーチ先をデッキから抜いたため、60枚に収まっています。《豆の木をのぼれ》は5マナ以上のカードを唱えた際にカードを引けるエンチャントなので、3種入っている大主すべてで誘発します。兆候で誘発するので《豆の木をのぼれ》と大主は相性抜群ですね。3種の大主はそれぞれクリーチャー展開、マナ加速、ドローと違い、それらの大主を《永遠の策謀家、ズアー》で一足早くクリーチャー化してしまおうというのがこのデッキのコンセプト。《永遠の策謀家、ズアー》の常在型能力で他のクリーチャー・エンチャントに呪禁がつくので、一度起きた大主を倒すのは非常に困難。まず《永遠の策謀家、ズアー》から倒さなければならないので、複数の除去を要求されます。特に《ミストムーアの大主》は出た時と攻撃時に2/1飛行を2体生成と非常に凶悪な性能なので、1ターンでも除去が遅れれば十分致命傷になりえます。《思考囲い》や《マナの合流点》などでライフが減っていくため、アグロデッキは辛そうに見えますが、そこでも《永遠の策謀家、ズアー》が活躍します。クリーチャー・エンチャントは絆魂がつくので、《永遠の策謀家、ズアー》さえ残ればダメージレースを一気に覆せるのです。メインから12枚の除去が入っており、しかもその内8枚は追放なので、《心火の英雄》も後腐れなく対処できますし、《永遠の策謀家、ズアー》と大主によって攻めるのも早いため、ラクドス果敢が除去デッキ相手に行うサイドプランである《ウラブラスクの溶鉱炉》も、この4cズアーには比較的効きづらい。見た目よりラクドス果敢ともしっかり戦えるデッキです。5c白日のようなたくさんリソースを稼げるコントロールが好きな方なら、きっとこの4cズアーも気に入るはず!しっかり強いので、試してみてはいかがでしょうか?

『ファウンデーションズ』注目新規カードトップ10!!

ピックアップ

2024.11.08

mtg Yuyan

こんにちは。 細川 侑也(@yuyan_mtg)です。 今回は5年間スタンダードで使用できる『ファウンデーションズ』から、新規カードのみをピックアップして、トップ10形式でご紹介していきます! 第10位 特定のクリーチャー・タイプを集めたデッキで活躍した《旗印》の現代版といった性能が《親族旗》。戦場に出る際に指定したクリーチャー・タイプ、たとえばゴブリンが5体いれば、仲間カウンターが5個乗った状態で場に出て、自分のゴブリンは+5/+5の修正を受けます。《旗印》と違って戦場に出る際に修正値が決まるので、除去されるごとにクリーチャーがどんどん弱くなるということはありません。5マナと少し重いカードではありますが、マナを出せるデッキならばもしかしたら活躍できるかもしれません。真っ先に思い付いたのがエルフでした。『ファウンデーションズ』では《ラノワールのエルフ》や《エルフの大ドルイド》など強力なエルフが多数再録されています。エルフはサイズの小ささが悩みでしたが、《親族旗》があれば解決します。スタンダードでエルフが成立するか楽しみですね!もちろん他の種族デッキでも使えるので、お気に入りの種族を強化させましょう!   第9位 マジックのカードパワーが年々上がっていくにつれ、徐々についていけなくなった装備品というカード。装備品はその性質上、戦場に出し、つける必要があるので、マナコスト以上にマナがかかってしまいます。3ターン目に3マナ分のインパクトを残したいのに、3マナの装備品は置くだけでターンを返してしまうので、それがどれだけ強力であろうと、現代では敬遠されがちです。かつて一世を風靡した《火と氷の剣》はモダンで見なくなりましたし、「今《梅澤の十手》が禁止解除されても使われないのでは?」と言われているぐらいです。事実、最近活躍している装備品は《有翼の叡智、ナドゥ》との即死コンボとなる《手甲》や、《シガルダの助け》で即装備することで一撃で相手を屠る《巨像の鎚》など、コンボパーツとなっているのがほとんど。コンボと関係のなく、今も使われている装備品は、《ウルザの物語》からサーチでき、かつ構築物トークンにつけられる《影槍》ぐらいでしょう。さて、スタンダードで最後に活躍した装備品は一体なんでしょうか?《謎めいた外套》……もたまに採用されるぐらいだったのでもっと前になります。『ゼンディカーの夜明け』の《スカイクレイブの大鎚》です。+2/+2と飛行・先制攻撃付与とまずまずの装備性能ですが、戦場に出た時にタダで装備できるため、装備品の欠点であるマナ食い虫が解消されていることから、白いアグロデッキにはよく採用されていました。今回登場した《天界の鎧》もまた、戦場に出た時にマナを支払わずに装備できる装備品。パワーを2つ上げて飛行を付与する点も同じですね。違うのは、タフネスと先制攻撃を犠牲にして持っている能力。《天界の鎧》は瞬速を持ち、更に装備したターンのみ、装備先のクリーチャーに呪禁と破壊不能を付与してくれます。相手の除去から守ってよし、クリーチャー同士の相打ちが発生しそうな時にコンバットトリックで使用も可能です。《心火の英雄》に装備すれば、死亡時のダメージも上がる上に、そもそも《心火の英雄》自体が止まりづらくなるのでかなり魅力的ですね。相手も《心火の英雄》は早めに打ち取りたいはずなので、クリーチャーで積極的に相打ちを取ってくるでしょうし、そこを狙えば大きなアドバンテージとなるでしょう。単純な打点を上げるだけでなく、除去避けやコンバットトリックなどに使える器用な装備品だと思います。 第8位 スゥルタイカラーのコントロールデッキなどで活躍した《星界の大蛇、コーマ》でしたが、こちらの新コーマも似た系統のデッキでフィニッシャーとなりそうな見た目をしています。8/12というふざけたサイズでクリーチャー同士の戦闘ではほぼ倒されませんし、トランプルがあるのでダメージも通りやすい。そしてダメージを与えた際のボーナスが3/3トークンを4体と、非常に強力。《墓所のタイタン》みたいなものです。護法もしっかりついているので除去するのはかなり大変。7ターン目に出てくれば《喉首狙い》を6マナで打つことで対処できますが、マナ加速から先手5ターン目に出てきたら対処しようがありません。大体こういうのは打ち消せば良いのですが、ご丁寧にしっかり「この呪文は打ち消されない」と書いてあります。《ホーントウッドの大主》から《世界を喰らうもの、コーマ》を出すデッキが出てきそうな予感がします。 天敵は《ティシャーナの潮縛り》ですね。勘弁してください。 第7位 追加のセットランドを行える可愛いビースト・貴族のおたからくん。《ホーントウッドの大主》と比べると、手札に土地がないとマナ加速できず、手札の土地を消耗してしまうので、マナを伸ばすカードとしての性能は劣りますが、もう1つ強力な能力がおたからにはついています。ライブラリーの上6枚から、自分のコントロールする土地以下のマナ総量のクリーチャーを場に出すことができるのです。自分でマナ加速を行いながらフィニッシャーをデッキから場に出せる、自己完結したクリーチャーです。《偉大なる統一者、アトラクサ》を出しても良し、先ほど紹介した《世界を喰らうもの、コーマ》も良いでしょう!《ホーントウッドの大主》と《溌剌とした探検家、おたから》からデカブツを連打したくなってきました。 第6位 最初に断っておきますが、このカードはおそらく未来永劫、おじさんマジックプレイヤーたちに《運命の大立者》と呼ばれます。おじさんマジックプレイヤーの一人である僕が先に謝罪いたします。マナを払ってどんどん新しいクリーチャー・タイプを獲得しながら強くなるクリーチャーの元祖、《運命の大立者》はスタンダードの赤単アグロや白単アグロで大活躍しましたが、この《次元の先駆者、ケラン》も、十分にスタンダードの1マナ域に組み込まれるスペックだと思います。まず1マナ2/1です。これだけで《ジャッカルの仔》を意気揚々と出していた赤好きおじさんは号泣することでしょう。最初に2マナを払うと、プレイヤーにダメージを与えた時にトップを追放してプレイできるようになる、いわゆる衝動ドローが発生します。再序盤に使う余裕はありませんが、中盤以降にリソースを稼げるのは優秀。そして次の段階では3/2二段攻撃になり、戦闘能力が格段に上昇します。しかも二段攻撃なので、衝動ドローも2倍!最初の成長段階では与えるダメージは増えないものの、2回目の成長で非常に強力なクリーチャーになります。しかも2回目の成長が3マナと軽いので、成長させる機会もかなり多いでしょう。1マナ域のクリーチャーは中盤以降に引くとカードにならないのが悩みでしたが、《次元の先駆者、ケラン》は1マナ3/2二段攻撃と、十分相手が出してくる3~4マナ圏と戦える性能をしています。そんな強力なカードがそもそも1マナ2/1なのです。今のスタンダードではただでさえ《心火の英雄》《僧院の速槍》と強力な1マナ圏が赤には揃っていますが、そこに名を連ねる性能なのではないでしょうか?また、クリーチャー・タイプがフェアリーである点も注目です。1マナのフェアリーが《眠り呪いのフェアリー》に続いて増えたので、これでモダンでは《呪文づまりのスプライト》が本気を出すのではないでしょうか?「《呪文づまりのスプライト》は2ターン目に2マナのカードを打ち消せれば強い」と昔はよく言われていましたが、プレイアブルな1マナフェアリーがいないのがネックでした。《次元の先駆者、ケラン》はフェアリー界にも新たな風を巻き起こすかもしれませんね! 第5位 突然ですが、僕の使用している「仙豆スリーブ」をご存じでしょうか? 「このスリーブを使うと勝てる!」と言われて手渡され、半信半疑で使い始め、そのシーズンだけでグランプリトップ8に3回、プロツアーでも11勝4敗1分の成績を残し、その年のプロポイントを30点稼いだスリーブ、それが通称仙豆です。 画像は公式サイトより引用   マジック公式カバレージでも僕がこのスリーブを使っている姿は何度も映っていて、その逸話もちょっと紹介されていたりします。その仙豆に描かれている人物こそ、このエレンダなのです。以前のエレンダは統率者で人気のカードですが、新エレンダはスタンダードで活躍してくれそうな性能です。4マナ4/4絆魂と優れた能力に加え、インスタントからの呪禁という強力な除去耐性を擁しています。スタンダードでは《僧院の速槍》や《精鋭射手団の目立ちたがり》で殴ってくる赤系アグロや、《フェアリーの黒幕》《永劫の好奇心》など瞬速クリーチャーで攻めてくる青系ミッドレンジがいるため、まずソーサリー除去が採用されることはありません。インスタントからの呪禁はすさまじい除去耐性です。対処方法が《力線の束縛》か《軍備放棄》ぐらいしか思いつきません。そして能力はそれだけではありません。ライフが20より多いだけで5/5の威迫・絆魂となり、更にライフが30を超えるとサイズが10/10へと大幅アップ。ただこのカードを出して殴っているだけで文字通りゲームに勝ってしまいます。除去しづらく、放置しているだけであっという間に負けてしまうカードはかなりの脅威。色が白黒なのでデッキを選びますが、白黒系のあらゆるデッキに入るぐらい強力だと思います。エスパー(青白黒)やアブザン(緑白黒)など、様々なカラーリングでエレンダを試してみたいですね。 第4位 最初に断っておきますが、このカードはおそらく未来永劫、おじさんマジックプレイヤーたちに《瞬唱の魔道士》と呼ばれます。おじさんマジックプレイヤーの一人である僕が先に謝罪いたします。4マナ3/3で瞬速・飛行。攻撃時に墓地のインスタントかソーサリーにフラッシュバックを付与と、もはや《瞬唱の魔道士》本人と言っても遜色ない性能。攻撃が通った時でなく、攻撃した時なのが嬉しいですね。《瞬唱の魔道士》のように打ち消しを使い回してクロックパーミッションを行うことはできませんが、盤面を除去したりカードを引いたりと、それでも十分に活躍が見込めます。同じマナ域に《永劫の好奇心》がいて、そちらは除去耐性を持っていますが、能力を生かすためにはクリーチャーをそれなりに採用する必要があります。一方、《忘れ去られし伝承のスフィンクス》は単体で機能するので、どちらかと言えばコントロールデッキに入るカードかもしれません。《塔の点火》を使い回すビジョンがまず見えたので、イゼットカラーのデッキでまずは試してみたい1枚。 第3位 戦場に出た時に2ドロー、2ディスカードする新キオーラ。何かとキオーラはカードを引かせてくれますが、貴族だからでしょうか。これだけでも最低限の性能ですが、《上げ潮、キオーラ》が真価を発揮するのはスレッショルド後。墓地に7枚以上のカードがある状態で攻撃すると8/8のタコを召喚してくれます!「え?条件緩すぎない??」って思いましたよね。同意見です。3マナで戦場に出た時にクリーチャーを出しつつ手札を調整……つまりこのカードは実質《鏡割りの寓話》といっても過言ではありません。いや、それは少し言いすぎましたが、非常に便利なクリーチャーであることは間違いないでしょう。伝説クリーチャーは複数枚引くと手札に溜まってしまうリスクがありますが、《上げ潮、キオーラ》は捨ててしまえば問題ないので、4枚投入することをためらう必要ありません。相手視点ではいつスレッショルドを達成されて攻撃されるかわからないので、見たらとりあえず除去するしかありません。3マナにして大きなプレッシャーを与えて除去を強要させつつ、自身は手札入れ替えで質を上げていく。うーん、このカード、やはり《鏡割りの寓話》なのでは? 第2位 久しぶりにとんでもない3マナプレインズウォーカーがやってきた気がします。3ターン目に出て、+能力を起動してルーターするだけで既に忠誠値が5。硬い、硬すぎる!3マナでこの硬さはまるで《王冠泥棒、オーコ》……と言いかけて、《王冠泥棒、オーコ》は何のお膳立てもせずに出すだけで忠誠度6だったのを思い出しました。なんなんだあいつは。まああんなやつのことはおいといて、話を《狡猾な侵入者、魁渡》に戻しましょう。マイナスから入って2/1を生成しつつ、他のクリーチャーでダメージを通せば忠誠度は2になり、次のターンにその2体がダメージを通せば忠誠度は4になり、更にトークンを出して次のターンに殴り……とどんどん忠誠度とトークンが増えていきます。正直、3マナとは思えない性能です。《遠眼鏡のセイレーン》や《フェアリーの黒幕》と一緒にデッキに入る画がもう浮かんできました。+1能力もなかなか強力。すぐに止まりがちな《腐食の荒馬》を通したり、最後の数点を削るのにも重宝しそうです。能力すべてが嚙み合っていてとても強力!すぐに4枚揃えたい。左にいるのはポンポンちゃんですか?可愛いですね。 第1位 《隠れ石》強くなりすぎだろ!!このカードを最初プレビューで見た時の感想でした。昔はこれより起動コストが2マナ重くて警戒もついてなくてただのエレメンタルだったんですよ?それでもいろいろなデッキで使われているすごいカードでした。《隠れ石》の名誉のために《魂石の聖域》は未来永劫、《隠れ石》と呼びます。おじさんを許してください。《不穏な投錨地》などのミシュラランドと違い、一度クリーチャー化したら元に戻らないので、全体除去などのソーサリーにやられてしまうのが欠点ですが、都度マナがかからないのは強力です。起動コストにタップを含まないので、4枚の土地があれば相手のターン終了時にクリーチャー化してすぐに殴りにいけます。《山》しか入っていないスタンダードの赤単アグロには入るのではないでしょうか。すべてのクリーチャー・タイプを持っているので《多様な鼠》で二段攻撃をつけられるのも美味しい。そしてすべてのクリーチャー・タイプを持っているということは、デーモンでもあるということ。今スタンダードやパイオニアで活躍しまくっている《不浄な別室+祭儀室》の恩恵も受けられます。パイオニアでは名誉デーモンの《変わり谷》があることで強力な《不浄な別室》ですが、スタンダードでも《魂石の聖域》が加わったことで、更に使いやすくなりそうです。5年間使いそうな土地です! GOOD GAMEでもシングル販売&プレリ開始! GOOD GAMEでは現在、『ファウンデーションズ』の各種製品を店頭にて販売中! 放浪皇のクリスマスキャンペーンにも対応しておりますので、ぜひブースターパックを購入していってください! 更にシングルカードも店頭では既にご購入いただけ、Webサイトでもご予約を承っております! 今回のレビューで気になったカードや、狙っているカードなど、ございましたらぜひGOOD GAMEにてご購入ください! ご購入はコチラから!

【今週のピックアップデッキ】イゼットヘルレイザー/スゥルタイ上陸/ジャンド森林ギフト

Modern Pioneer Standard ピックアップ

2024.11.07

mtg Yuyan

こんにちは。 細川 侑也(@yuyan_mtg)です。 今週のピックアップデッキでは、ちょっと珍しいデッキを、軽い解説を交えて紹介していきます。 イゼットヘルレイザー(スタンダード) スタンダードリーグ:5-0 By TOPrift 赤の除去と青のドロー・打ち消しを組み合わせたイゼットコントロール。そこにプチコンボ要素を取り入れたのが、このイゼットヘルレイザー。まずはヘルレイザー、《気まぐれな厄介者》のテキストからおさらいしてみましょう。このカードは墓地にカードが9枚以上あるとたった3マナで唱えられる4/4飛行。そして戦場に出た時に、自分の墓地のカードをランダムに3枚追放し、その追放した3枚の中から土地かクリーチャー以外のカード1枚をマナ・コストを支払わずに使用できるというもの。つまり墓地のカードを踏み倒せる能力を持っているのですが、特定のカードを踏み倒したい場合、まずそのカードを追放する必要があります。墓地のカードが3枚なら踏み倒したいものがそこにあれば確実に追放でき、唱えることができますが、3マナで唱えるには墓地が9枚以上なければならないので、その際は希望のカードが追放できるかはわかりません。このちょっと使いにくい《気まぐれな厄介者》が主役となるこのデッキ。まず基本的な動きはイゼットコントロール。《塔の点火》で除去したり、《三歩先》で打ち消したり、《間の悪い爆発》でリソース確保や全体除去を行います。更に《苦々しい再会》《鉄面提督のトンネル掘削機》で不要牌を捨ててカードを引き、墓地を9枚以上溜めたら準備完了。3マナで《気まぐれな厄介者》をキャストし、墓地のカードを踏み倒します。この時の大当たりとなるのが《機織りの季節》!クリーチャーのコピーを2回生成できるので、これで《気まぐれな厄介者》を追加で2体戦場に出すことができます。そうすれば墓地のカードを更に2回追放できるので、ほぼ好きなカードを2度踏み倒せるのです。この《気まぐれな厄介者》をコピーする手段は《三歩先》でもOKです。こちらは追加の3マナを支払う必要がある点に注意。墓地を貯める手段として優秀な《鉄面提督のトンネル掘削機》ですが、変身時の能力も強力。《灼熱の裂け目、テクトラン》から出したマナでパーマネント呪文を唱えると、そのマナ総量に等しい値の発見を行うことができます。《気まぐれな厄介者》や《希望の標、チャンドラ》など、重くて強力なパーマネントが採用されているので、発見の値も大きい!《希望の標、チャンドラ》も《気まぐれな厄介者》でめくれて嬉しいカードですね。一度戦場に出てしまえば、《機織りの季節》が倍になって一気に大量のアドバンテージを獲得できます。《鉄面提督のトンネル掘削機》を変身させるには落魄を達成させる必要があります。クリーチャーの死亡や切削で溜まりがちな落魄ですが、このデッキでは第三の手段として、手札からパーマネントを捨てることで達成を目指します。《苦々しい再会》《美術家の才能》《間の悪い爆発》は落魄に貢献してくれるカードたち。《決定的瞬間》でも落魄を達成できる他、《塔の点火》で《咆哮する焼炉+蒸気サウナ》や《美術家の才能》などを生け贄に捧げても落魄するので、覚えておきたいですね。特に《苦々しい再会》は出してパーマネントを捨てて落魄し、自身を生け贄にしても落魄するので、落魄したいこのデッキにはぴったりです。《気まぐれな厄介者》《希望の標、チャンドラ》《機織りの季節》によるド派手な勝利は普通のコントロールデッキではなかなか味わえません! スゥルタイ上陸(パイオニア) NRG Series:5-2 By Anand Kinra スタンダードで大活躍だった《復活した精霊信者、ニッサ》がパイオニアに新たな風を吹き込みました。このデッキは《復活した精霊信者、ニッサ》《水蓮のコブラ》の「土地を置くとマナを生み出せるクリーチャー」を活用したコンボデッキ。《斡旋屋一家の潜伏先》などの土地は2回上陸を行うので、2マナを生み出せます。ここに《洞窟探検》が絡むと出せるマナが3マナになります。そうして出たマナを使って唱えるのが《肥えた緑甲羅》。パワーよりタフネスが大きいクリーチャーが戦場に出るとライブラリートップをめくり、それが土地ならタップ状態で戦場に出し、それ以外なら手札に入ります。土地なら戦場に出るので、《復活した精霊信者、ニッサ》で更にマナが伸ばせます。パワーよりタフネスが大きいクリーチャーは《肥えた緑甲羅》・《事件現場の分析者》・《森の女人像》・《災厄の占い師、グラルブ》に相棒の《空を放浪するもの、ヨーリオン》を加えた5種とそれなりに誘発の機会はあります。特にマナ総量が4以上のカードや土地をライブラリートップから使用できる《災厄の占い師、グラルブ》は便利ですね。《森の轟き、ルムラ》は《復活した精霊信者、ニッサ》《水蓮のコブラ》下ですさまじいマナを生み出せるクリーチャーで、《災厄の占い師、グラルブ》によってライブラリーから唱えることもでき、フィニッシャーにもなってくれる頼もしい熊。この《肥えた緑甲羅》と《森の轟き、ルムラ》はどちらもエレメンタルなので、《復活した精霊信者、ニッサ》によって手札に加えられるのもポイントです。相棒に指定されている《空を放浪するもの、ヨーリオン》はこのデッキでは膨大なアドバンテージを生み出します。《肥えた緑甲羅》が戦場にいる状態で《空を放浪するもの、ヨーリオン》を出すとまず1回誘発。その後、戦場の《肥えた緑甲羅》や《森の女人像》を追放すると、ターン終了時に戻ってきて《肥えた緑甲羅》がそれぞれ誘発するのです。ちなみに無限コンボも搭載されています。《洞窟探検》がある状態で《森の轟き、ルムラ》が場と墓地にあれば、《カーフェルの港》で墓地の《森の轟き、ルムラ》を吊り上げて生け贄にした《カーフェルの港》を場に戻しつつ、伝説ルールで片方が墓地に落ち、それを再び《カーフェルの港》で釣り上げることで、ループできます。《カーフェルの港》を起動するための6マナは《復活した精霊信者、ニッサ》や《水蓮のコブラ》をコントロールしていれば解決してくれます。《斡旋屋一家の潜伏先》《寓話の小道》などは能動的に墓地に落とせるので、合計で5枚あれば、《森の轟き、ルムラ》を吊り上げ続けられます。このループによってライブラリーが切削されていき、最終的にはライブラリーが0枚になり、デッキ内の土地がすべて落ちるので、《森の轟き、ルムラ》《カーフェルの港》で無限マナが発生し、その過程で落ちた《イプヌの細流》を無限回相手に起動し、ライブラリーアウトで勝利となります。上陸が好きな方や派手なデッキが好きな方にはぴったり!《肥えた緑甲羅》で気持ちよくなりましょう! ジャンド森林ギフト(モダン) モダンリーグ:5-0 By DDMeelow 『モダンホライゾン3』で収録されてからたびたび怪しいコンボデッキのお供になっている《変容する森林》が、また新たな仲間とともにモダンに殴り込んできました。今回《変容する森林》が変身するのは《王神の贈り物》。墓地のクリーチャーを追放して、それの4/4のコピーを生成する7マナのアーティファクトに変わります。《王神の贈り物》で追放するクリーチャー、まずは《残虐の執政官》。トークンは速攻を持つので非常に相性が良く、これだけでも勝てるマッチ多数。しかし、真の主役は《穢すもの、ウラモグ》でしょう。《王神の贈り物》で《穢すもの、ウラモグ》を追放してコピーを生成すると、そのコピーには10個のカウンターが乗ります。そう、《穢すもの、ウラモグ》を追放してコピーが出るので、追放領域にある一番重いカードは《穢すもの、ウラモグ》になるのです。《骨の皇帝》もこれらのクリーチャーを墓地から吊り上げることができるので、決して《王神の贈り物》に頼り切りではありません。面白いのは《逸失への恐怖》。自身がクリーチャー・エンチャントなので墓地に落ちた時の昂揚先として優秀な他、手札に来た《王神の贈り物》を捨ててカードを引く、潤滑油的な役割も果たします。そして《王神の贈り物》で追放する価値があるクリーチャーというのも大きなポイント。攻撃すると追加の戦闘フェイズを加えるため、《王神の贈り物》が更にもう1回誘発するのです。墓地に落ちてよし、引いてよし、釣ってよしと三拍子揃ったパーフェクトカード!《邪悪鳴らし》《ウィザーブルームの命令》で墓地を肥やして《変容する森林》を置くだけでコンボが成立するので、この動きに干渉できないデッキには安定して勝てるのは魅力の一つと言えますね。スタンダードの頃から活躍していた名カード、《王神の贈り物》。ついにモダンでも強力な贈り物を届けてくれるようになりました。

【週刊メタゲーム通信】エネルギーの支配に立ち向かうコントロールデッキたち

週刊 Modern ピックアップ

2024.11.06

mtg Yuyan

こんにちは。 細川 侑也(@yuyan_mtg)です。 今回は先週末に行われた、モダンショーケースチャレンジの結果から、最新のモダン環境を分析していきます! メタゲーム 通常のチャレンジよりも競技性が高く、参加者も多いモダンショーケースチャレンジ。トップ8の内訳は エネルギー:5黒単ネクロ:1ルビーストーム:1ジェスカイコントロール:1とエネルギー人気は今週も変わらず。ナドゥ禁止後、ずっと強いエネルギーデッキですが、「速度があり」「様々なゲームプランを擁し」「特定のサイドボードでメタれない」と、強いデッキの条件をすべて満たしており、この牙城を打ち崩すのは難しそうです。テーブルトップのトーナメントでは青単ベルチャーの入賞もそこそこ見られますが、ショーケースチャレンジではトップ32に2人のみと寂しい結果に。 ボロスエネルギー モダンショーケースチャレンジ :優勝 By 336767332971 ショーケースチャレンジを制したのはボロスエネルギー。日本では《思考囲い》《オークの弓使い》を入れたマルドゥエネルギーが主流ですが、電脳世界ではボロスエネルギーの方が活躍しています。このリストで特徴的なのはメインからの《スレイベンの魔除け》採用でしょうか。《火の怒りのタイタン、フレージ》を墓地から追放でき、除去としても使え、更に《静牢》も破壊できると、エネルギー同型で特に活躍するこの除去。最近の《忌まわしき眼魔》型のディミーアマークタイドやルビーストームなど、墓地を活用するデッキは他にもいますし、クリーチャー除去としても信頼度は低くありません。 この便利な除去を《稲妻》の枠に採用しつつ、追加の除去として少し珍しい《岩への繋ぎ止め》が。《稲妻》を徹底的に嫌っている理由としては、その用途の狭さでしょう。同型でも《火の怒りのタイタン、フレージ》を倒せませんし、《忌まわしき眼魔》や《超能力蛙》にも今一つ。かといって《静牢》を増やしすぎると維持が大変なのでこちらは2枚が限界。そこで白羽の矢が立ったのが《岩への繋ぎ止め》というわけですね。《山》にエンチャントしなければならないデメリットを持つ1マナの追放除去ですが、フェッチショックランドのモダン環境なら実質デメリットなしの除去です。運用に問題ありません。ボロスエネルギーと言えば《一つの指輪》がメインから3枚以上採用されているのが当たり前でしたが、このリストは2枚にとどめてあります。エネルギー同型における《一つの指輪》は非常に強力なものの、4枚採用した時のリスクも小さくありません。早いターンの《色めき立つ猛竜》から唱えられなかったり、そもそも4枚目の土地がストレートに引けず、手札に《一つの指輪》が溜まってしまうケースもありますからね。とはいえ、エネルギーミラーを制するのはやはり《一つの指輪》ということでサイドボードには2枚入っています。追加の除去と一緒にサイドインし、消耗戦を制する狙いです。リスクには目を瞑っています。《一つの指輪》とは逆にエネルギーにしては採用枚数が多いと感じたのは《ゴブリンの砲撃》。1~2枚採用が定番の中、3枚投入されており、ミラーマッチにおける最重要カードという位置づけなのでしょう。《一つの指輪》と《ゴブリンの砲撃》はいずれもミラーマッチを決める1枚であり、前述のリスクの高さから《一つの指輪》を嫌い、《ゴブリンの砲撃》をチョイスしたのかもしれません。エネルギー同型をしっかり意識した独自の構成での勝利、見事! 黒単ネクロ モダンショーケースチャレンジ :2位 By werhsdnas1414 《悲嘆》禁止以降、しばらく音沙汰のなかったデッキ、黒単ネクロ。《ネクロドミナンス》《一つの指輪》で大量のカードを引き、《魂の撃ち込み》を打ち込んだり、大量の手札破壊から《黙示録、シェオルドレッド》を着地させるという、黒単コントロールです。コントロールにしては早すぎるデッキだと思われるでしょうが、除去・手札破壊・アドバンテージ・フィニッシャーがバランスよく入ったデッキと言われれば、コントロールに見えてきませんか?以前は《悲嘆》+《マラキールの再誕》コンボを搭載して《ダウスィーの虚空歩き》と合わせたビートダウンプランもありましたが、現在の形はよりコントロールっぽい仕上がりとなっています。以前は《思考囲い》のみだった手札破壊ですが、《悲嘆》禁止後は《コジレックの審問》に代わり、現在は7枚体制。《悲嘆》によるピッチコストを払わなくてよくなったので、実は一概に弱体化したとは言えません。除去は本体にも撃ちこめる《魂の撃ち込み》に加え、《不憫な悲哀の行進》。このカードが黒単ネクロの強さを支えている内の1人と言っても過言ではありません。黒いカードを追放するごとに与える修正と回復量が2点増えるので、たとえば10枚追放すれば1マナ20点回復の超強力スペルに。この2種類のピッチスペルを活用するために、黒単ネクロには10枚の両面土地が採用されています。《ネクロドミナンス》でターン終了時に16枚引いて、不要なカードを《不憫な悲哀の行進》で追放して除去しつつライフを回復、返しのターンに手札破壊+《黙示録、シェオルドレッド》、そして保険で《一つの指輪》というのがこのデッキの必勝パターン。《ネクロドミナンス》と《一つの指輪》は共に大量ドロー、2種の手札破壊、そして大量の除去と、黒単ネクロは似た能力を持つカードを複数種採用し、高い再現性をもたらしています。そういえば、サイドボードに採用されている《地底街の密告人》に気が付きましたか?このカードは青単ベルチャー相手に出して起動すると勝利できますので、黒いデッキを使う際は検討の余地アリです。エネルギーがミラーマッチを意識し、エネルギーを倒すために青単ベルチャーなどコンボデッキも台頭してきた今、どちらとも戦える黒単ネクロも今がチャンスなのかもしれません。 ジェスカイコントロール モダンショーケースチャレンジ :8位 By RespectTheCat コントロールと言えば欠かせないのがジェスカイコントロールです。プロツアー『モダンホライゾン3』でもトップ8入賞を果たしたこのデッキ。除去と打ち消し、大量のピッチ呪文で徹底的にコントロールした後、リソースを《一つの指輪》で回復して《火の怒りのタイタン、フレージ》で勝つという、モダンでも随一の強さを誇るコントロールデッキです。『モダンホライゾン3』加入当初は《空の怒り》《電気放出》《語りの調律》を採用したエネルギー型が一般的でしたが、こちらのジェスカイコントロールはエネルギー要素を一切廃した形となっています。エネルギーを使うメリットはやはり除去の強さ。《電気放出》は1マナで4点以上出せる可能性のある除去で、《空の怒り》は《ウルザの物語》などの置物ごと吹き飛ばせる軽い全体除去。 しかし、エネルギーを貯めるために採用する必要のある《語りの調律》の弱さがネックでした。現在のジェスカイコントロールは《力線の束縛》のために3色土地を投入し、諜報土地も3枚ほど入っています。どちらもデッキに必要なタップインランドで、抜くことはまずありえません。モダンにしては珍しくタップインランドが5枚入っており、1ターン目のアクションはほぼタップインからになります。つまり《語りの調律》を1ターン目に打つ余裕がないのです。そして2ターン目もタップインすることが多く、その際は1マナのアクションをしながらやはりタップイン。ここでも《語りの調律》は打てません。結果、3ターン目以降にしか使えないカードなのです。 《語りの調律》を打つ暇がないので採用したくなく、それならエネルギーを貯める手段に乏しく《空の怒り》も軽く運用しづらい。そういった理由からエネルギー要素が抜けています。《電気放出》と《空の怒り》は強いのですがね。 さて、採用カードにも目を向けてみましょう。なんと《対抗呪文》が0枚で《呪文嵌め》が4枚になっています。 後手番における《対抗呪文》は現代のモダン環境、とりわけ対エネルギーでは弱く、一方《呪文嵌め》は2マナが《ナカティルの最下層民、アジャニ》《色めき立つ猛竜》と強力なので非常によく突き刺さります。後手で盤面を掌握するには《呪文嵌め》が必要なので、思い切ってメインからの4枚採用となっています。《虹色の終焉》と《力線の束縛》は共に軽い除去。《対抗呪文》の不採用と投入されている《呪文嵌め》《虹色の終焉》《力線の束縛》から、軽さを意識しているのが伝わってきますね。全体除去枠の《空の怒り》の代わりとなっている《至高の評決》は、エネルギーにはただの全体除去ですが、ディミーア眼魔には効果てきめんの除去。青であり白でもあるので、《孤独》と《緻密》のどちらのピッチコストにも使えて便利です。《記憶への放逐》のメイン採用は、昨今の《一つの指輪》環境を見据えてのことでしょう。エネルギーにはあまり効かないカードなので、これまでジェスカイコントロールには入っていませんでしたが、エネルギーすらメインから《一つの指輪》を置いてくるのであれば、大体のマッチで有効です。《火の怒りのタイタン、フレージ》を手札から出して生け贄に捧げる能力を打ち消すこともできるので、一応完全に腐るカードではありません。便利なカードです。しばらく元気のなかったコントロール、ショーケースチャレンジでは比較的活躍したと言って良いのではないでしょうか。エネルギー側のサイドボードがどのように変化するのかにも注目したいですね。

【今週のピックアップデッキ】ティムールカワウソ/ディミーア忍者/ナヤ秘匿

Modern Pioneer Standard

2024.11.01

mtg Yuyan

こんにちは。 細川 侑也(@yuyan_mtg)です。 今週のピックアップデッキでは、ちょっと珍しいデッキを、軽い解説を交えて紹介していきます。 ティムールカワウソ(スタンダード) スタンダードチャレンジ:優勝 By cftsoc3 新たなアーキタイプ、ディミーアデーモンの優勝で幕を閉じた今年の世界選手権。 このラスベガスの地で話題となっていたデッキがもう1つありました。それがこのティムールカラーのコンボ・ビートダウン、ティムールカワウソ。日本からも平山選手がプレイしたこのデッキですが、この日スタンダードチャレンジを制したcftsoc3選手たちは、チームでティムールカワウソを世界選手権に持ち込みました。デッキの核となるのは《永劫の活力》と《渓間の洪水呼び》。《永劫の活力》によって自軍クリーチャーがすべて《極楽鳥》に生まれ変わります。 そしてマナを出した後に非クリーチャー呪文を唱えると、《渓間の洪水呼び》の能力ですべてのカワウソたちがアンタップするので、戦場にカワウソが2体いる状態で《塔の点火》をキャストすれば、1マナ増える計算となっていきます。これだけでは爆発的なダメージは出ませんが、ここに《嵐追いの才能》と《この町は狭すぎる》が加わることで大きく変わります。《嵐追いの才能》は戦場に出た時にカワウソを生成し、4マナで墓地のインスタントやソーサリーを回収できます。この《嵐追いの才能》を《この町は狭すぎる》で回収し、また《嵐追いの才能》を出し、レベルアップで《この町は狭すぎる》を回収……とループが可能となります。既に4体以上のカワウソがいれば、4マナを出す→《嵐追いの才能》を1マナでキャスト→4体のカワウソがアンタップして再び4マナを生む(計7マナ)。その内2マナで《この町は狭すぎる》で《嵐追いの才能》をバウンス。再び起きた4体でマナを出して計9マナから、その内4マナを使って《この町は狭すぎる》を回収(計5マナ)。《この町は狭すぎる》で《嵐追いの才能》を戻し、これで無限マナ&無限パンプとなります。無限となった後は、そのまま殴り勝ってもよし、カワウソの中に《稲妻罠の教練者》がいれば無限回数《この町は狭すぎる》で戻して出し直して《トーテンタンズの歌》を探して勝ってもよし。無限コンボにはたくさんのパーツが必要ですが、《渓間の洪水呼び》と《永劫の活力》によって一気に展開し、大量の修正を受けたカワウソで殴り勝つのは比較的簡単で、見た目以上に速度があるデッキです。コンボパーツの《この町は狭すぎる》は妨害手段としても優秀で、このデッキのためにあるようなカード。《嵐追いの才能》を戻せるのはもちろん、《稲妻罠の教練者》を戻してリソースを稼ぐ動きも強力。《花粉の分析》の証拠収集を稼いだり、《豆の木をのぼれ》でカードを引くなど、このデッキを支えるのは《この町は狭すぎる》と言っても過言ではありません。一度回してみればそのトリッキーさに病みつきになること間違いなし!カワウソも可愛いのでぜひ回してみましょう! ディミーア忍者(パイオニア) パイオニアチャレンジ:4位 By medvedev 『ダスクモーン:戦慄の館』で初めて登場した忍術持ちのプレインズウォーカー、《悪夢滅ぼし、魁渡》。プラス能力で忍者に修正を与えられるこのカードがプレビューで公開された時、誰もがスタンダードに存在する忍者を確認し、そして絶望したことでしょう。しかし、パイオニアなら『神河:輝ける世界』があります!そう、神河は忍者の世界。そして実際そこには、《悪夢滅ぼし、魁渡》のパートナーとなる素晴らしい忍者がいました。その名は《月回路のハッカー》。僅か1マナの忍術コストで唱えられ、ダメージが通ると忍術したターンなら1ドロー。それ以降はルーターと、非常に強力な性能の持ち主。《月回路のハッカー》と《悪夢滅ぼし、魁渡》の8枚の忍術クリーチャーを活用するのがこのディミーア忍者です。忍術を行うためにはまず攻撃を通す必要があるので、このデッキに入っているほとんどのクリーチャーは飛行持ちです。《遠眼鏡のセイレーン》は1マナ飛行の中でも最上級で、《フェアリーの黒幕》は青いビートダウンなら最早定番のクリーチャー。《マネドリ》は忍術と非常にかみ合うカード。1ターン目に1/1飛行として出して忍術の種になるだけでなく、手札に戻った後は他のカードのコピーになれるので、いつでも強いカードです。飛行を持たない《フラッドピットの溺れさせ》ですが、こちらは戦場に出た時にクリーチャーをタップさせて麻痺を載せるので、ダメージを通すのに役立ちますし、忍術で回収して再度タップ能力を使えば、相手からすれば悪夢そのものでしょう。もちろん前述の《マネドリ》でコピーするのも良いですね。そして大量の飛行クリーチャーでダメージを通しやすいので、《永劫の好奇心》もこのデッキなら大量にカードを引ける恐ろしいカードになります。デッキが軽いので引いたカードもすぐプレイでき、恐ろしい手数を叩き出すデッキとなっています。 あ、そうそう、もちろん隠れた忍者も忘れていませんよ。《変わり谷》もしっかり忍者なので《悪夢滅ぼし、魁渡》で強くなります。どのデッキともシナジーになる《変わり谷》、やっぱりすごい!スタンダードでも活躍し始めている《悪夢滅ぼし、魁渡》ですが、パイオニアでもしっかりその存在感を示しています。忍者の力、体感してみては? ナヤ秘匿(モダン) モダンリーグ:5-0 By Zoru 『ローウィン』で初めて登場した秘匿という能力。戦場に出た時にライブラリーの上から何枚かを追放し、秘匿の条件を満たすことでそのカードをタダで唱えられる強力な能力です。白単アグロのリソース源として使われたり、コンボデッキのお供としても活躍した秘匿ですが、このデッキではどちらでも使います!秘匿を持つカードは8枚。《風立ての高地》は『ローウィン』の土地で、3体以上のクリーチャーで攻撃するのが条件。このデッキならばそれを満たすのは難しくありません。そしてもう1種が『ビッグスコア』の《収集家の檻》。こちらもクリーチャーが3体必要ですが、条件は少し違い、3体のクリーチャーのパワーが異なる必要があります。いずれも大量のクリーチャーを必要とするため、このデッキは大量のクリーチャー群で構成されています。《魂の導き手》《オセロットの群れ》《ナカティルの最下層民、アジャニ》《色めき立つ猛竜》。このエネルギー四天王と呼ぶべき4種のクリーチャーは外せないですね。《魂の導き手》以外の3体はどれも戦場にパーマネントを増やすカードで、秘匿解除に貢献してくれます。いぶし銀の活躍を見せるのが《羽ばたき飛行機械》です。《風立ての高地》の条件を満たしたり。《収集家の檻》の解除条件を満たすのにパワー0が役に立ってくれます。そして肝心の秘匿するクリーチャーたちはというと……《引き裂かれし永劫、エムラクール》に《絶え間ない飢餓、ウラモグ》。こちらは踏み倒しの定番となる超大型クリーチャーですね。まさか《オセロットの群れ》に殴られたと思ったら突然ターンを奪われて《引き裂かれし永劫、エムラクール》でも殴られるなんて、夢にも思わないですね。3体のクリーチャーを揃えるために《ウルザの物語》を採用するなど、細部の調整も光ったナヤ秘匿。ただのビートダウンでは物足りないという方はぜひお試しあれ!

世界選手権参加レポート&Magic Con ラスベガス旅行記

Standard ピックアップ

2024.10.31

mtg Yuyan

みなさんこんにちは!先週末はラスベガスで行われた第30回世界選手権に出場してきました。 昨年末のチャンピオンズカップファイナルで準優勝を果たし手に入れた夢の舞台!今回はその参加レポートと、Magic Con、そしてラスベガス観光を少しだけお届けします! 水曜日 乗るはずだったシアトル行きの便が3時間の遅延、それによりラスベガスへの乗り継ぎが間に合わないため、急遽便を変更することに。ロサンゼルス経由に切り替え、その結果空港で4時間弱待ち、日本を発って16時間、ようやくラスベガスに到着しました。 宿泊先のヒルトンホテルは写真通り、いやそれ以上に綺麗かつ広くて、36階なので景色も最高で大満足。 なぜかベッドの真横に湯舟があり、その扉の先にトイレがあるという「ベッドから7歩でトイレに辿り着ける謎の部屋」ではあるものの、便利だったので気になりません。ラスベガスに来るたびに通っていたお気に入りのステーキ屋さんに行くことに。ホテルから3キロ。徒歩で40分かかる距離ですが、なぜか同行者と二人で歩くを選択。いつもなら秒でUberを呼ぶところなのですが、16時間の旅でおかしくなったのかもしれません。途中で有名なスフィアを見たりしつつ、しっかり40分歩いてステーキ屋さんに到着! そう、これが食べたかったんだ!エリスアイランドステーキ!大満足で店を出て、その後は2秒でUberを呼んでホテルに戻り、泥のように眠りにつきました。   木曜日 今日は世界選手権に選手登録をしにいく日。とはいっても昼間は特にやることはないので、ラスベガスを軽く探索しました。これまで2回ラスベガスに来た時はいずれもカジノとビュッフェを往復するだけで、観光らしい観光はしていなかったので、なぜか新鮮な気持ちに。ホテルから近い東京タワーよりも高いストラトスフィアタワーに歩いていきました。ここはバンジージャンプや絶叫アトラクションなどが楽しめるホテル付きのタワー。ちなみに僕は高いところが本当に苦手なのでバンジージャンプは絶対にできません。エレベーターで上がっている最中に揺れまくって心臓が飛び出しそうになるも、最上階からの景色は圧巻!ラスベガスのいろいろな顔を覗ける良い場所でした。ホテルからだと煌びやかな部分しか見れませんからね。その後はカニとエビの美味しい有名なビュッフェに移動して食べ放題を満喫。80歳ぐらいのおばあちゃんが山盛りのカニをもりもり食べているのがとても印象的でした。夜は世界選手権の会場に。会場まで徒歩で行ける距離のホテルを取ったつもりだったので、何も考えずに歩き始めたのですが、これが愚かでした。ホテルから近い建物はWest Hall。一方の会場はSouth Hall。そしてこの間……なんと徒歩20分ほど。West Hallまで10分ぐらいかかるので、今日も30分以上歩くことになってしまいました。なんやかんやあって迷子になりつつ会場に着くと既に19時。前日のパーティーは既にお開き気味なので、特に何かを食べたりはせず、軽く日本人プレイヤーたちと話す程度。その時にヤソさんから「会場からモノレール乗れるよ」との耳寄り情報を聞き、帰りはモノレールに乗り、木曜日は終了。 スタンダードのデッキ選択 さて、本選に進む前に今回の世界選手権のフォーマット、スタンダードとドラフトに関してのお話。 スタンダードで最も強いデッキは赤系アグロ、とりわけ赤タッチ緑のグルール果敢であることは明白でした。 (こちらは世界選手権でトップ8入賞を果たした井川さんのリスト。おめでとうございます!) 『ダスクモーン:戦慄の館』加入前からその強さは圧倒的でしたが、《ソーンスパイアの境界》を手に入れて緑マナが出やすくなり、いよいよ怖いものなし。とはいえ、そこまで抜きん出た存在になってしまうと意識されてしまうもの。グルール果敢を倒すべく、様々なデッキが研究されてきました。まず流行したのは白単コントロールでした。僅か1マナでキャストできる追放除去、《軍備放棄》がグルール果敢の《心火の英雄》に強く、《人参ケーキ》などのライフゲインもあり、赤いアグロに強い要素満載です。僕はグルール果敢を使用するよりは、それをメタる側に回りたいと思っていたので、白単や青をタッチしたアゾリウスコントロールを試してみました。感想としては……意外とグルール果敢に負けます。というのも、ソーサリー追放除去ばかりであることが相手にバレてしまうと《精鋭射手団の目立ちたがり》を計画されますし、白単側が勝つのに時間がかかりすぎてしまうため、《蛇皮のヴェール》を構えるなど、ある程度相手の準備が整うのをこちらが咎める術がありません。そしてコントロールキラーの《ウラブラスクの溶鉱炉》も当然厳しかったのです。更に、白系コントロールはとにかく試合が終わらない。MTGアリーナやマジックオンラインでは勝てるものの、リアルトーナメントなら引き分けになっていそうなゲームが何度かありました。《軍備放棄》が使えつつ、フィニッシャーが複数入っているドメインコントロールも試しましたが、こちらも欠陥があり断念。主に《力線の束縛》が軽くキャストできない問題でしたが、それが何よりもグルール果敢に対して致命的でした。こうしてコントロールたちが消えていき困り果てていたところで、アゾリウス眼魔をこすりにこすっている僕の師匠、ユン・スハンさんに声をかけ、最新のリストを教えてもらうことに。 とはいえ、対グルールの勝率はあまり芳しくなく。逆にグルール果敢を使っていてもアゾリウス眼魔にはかなり勝ちました。アゾリウス眼魔は墓地対策がどれだけ入ってくるかで大きく勝率が変わる不安定なデッキで、世界選手権ではそれなりに意識されると思いました。グルール果敢にかなり強いのであればそのリスクも負えますが、現状のリストではそちらも安定せず、できれば使用したくないといったところ。とはいえ、ユンさんがリストを仕上げてはくれているので、デッキに息詰まった時にはお願いしようと思っていました。師匠、いつもお世話になっています。 さて、一通り気になるデッキは触りましたが、どれもグルール果敢にイマイチ。こんな時はどうするのかというと、ひたすらグルール果敢を回すに限ります。敵を知る方法は自分で使うこと。きついと感じるデッキやカード、プランが出てきた時に、今度はそれを自分が使ってグルール果敢をメタる側に回れば良いのです。この方法なら、グルール果敢攻略の糸口がつかめなかった時に自分がグルール果敢を使えますしね。そしてしばらく回している内に、グルール果敢に強いデッキがついに現れました。それがアゾリウスエンチャントです。エンチャントが戦場に出ることで効果を発揮するカードと強化エンチャントたちで構成されたこのデッキ。とにかく《幽霊による庇護》がグルールに強すぎる!《天上の鎧》と合わせて一瞬でライフレースを逆転されてしまいます。このアゾリウスエンチャントにはとにかく時間をかけました。《グレムリンを手懐ける者》、《永劫の無垢》の枚数や非クリーチャー呪文の選択肢や枚数はとても大事で、特に僕はメインボードに《喝破》を入れたいと思っていました。世界選手権という場ですから、どんなデッキが持ち込まれるかわかりません。2マナの打ち消しは新しいデッキに対して有効なことが多いですし、ある程度カードを引けるデッキなので、《太陽降下》など一発逆転カードを打ち消せる《喝破》は、引き込みがいのあるカードです。ただ、《喝破》は強いものの、構えられなければ意味がありません。そのため、3ターン目の構えたいターンに出さなければならない《永劫の無垢》を抜き、同じドローソースカードである《永劫の好奇心》を試してみました。これが大正解。《永劫の好奇心》は《永劫の無垢》と違って複数枚引けますし、《グレムリンを手懐ける者》と組み合わせたら大量のドロー。言うまでもなく《喝破》は構えやすく、この組み合わせは特に強力に感じました。エンチャントを出すとボーナスがあるデッキなので《安らかなる眠り》を採用しやすく、アゾリウス眼魔に強いのもポイント。「これはいよいよ決まったか……」と思っていましたが、グルール果敢とダイレクトマッチをやっていく内に、《幽霊による庇護》を引かない時に勝てないという現実に直面しました。そして《切り崩し》が強すぎて黒系のミッドレンジに負けまくり、徐々に綻びが見えてきてしまい、あえなく断念。しかし、アゾリウスエンチャントに費やした時間は決して無駄ではありませんでした。《永劫の好奇心》と軽い打ち消しの組み合わせは天地魔闘の構え!《永劫の好奇心》を使いつつ、赤に強くしたいなら、相方は黒しかいません。《切り崩し》《苦痛ある選定》はグルール果敢に勝つには必須のカードで、特に《苦痛ある選定》はアゾリウス眼魔のクリーチャーたちを追放したり、《止められぬ斬鬼》も完全に処理できるなど、環境的に今強力。実際に回してみても想定通りの相性。グルール果敢に対してもしっかり戦え、サイド後を含めても不利はつかなかったので、ディミーアミッドレンジに決まったのでした。 ディミーアミッドレンジに関しては、ジャパンオープンでもトップ8に残った元MPLの佐藤 啓輔くんにも色々と助けてもらいました!この場を借りてお礼を言います!本当にありがとう! 『ダスクモーン:戦慄の館』ドラフト プロツアーのドラフト勝率33%という異次元の低さを誇る僕。いつもはある程度ドラフトを諦めて構築に専念するのですが、世界選手権は特にドラフトが重要な大会です。それはなぜか。プロツアーは構築5ラウンド、ドラフト3ラウンドなのに対して、世界選手権は構築が4ラウンドと1ラウンド減り、ドラフトはそのままなのです。しかも2日目も最初はドラフトから始まるため、初日に6勝1敗などの好成績で駆け抜け、2日目のドラフトを2勝1敗などで終えた場合、トータルは8勝2敗。後スタンダードを2勝した時点でトップ8入りが決定するので、実質スタンダードを6回しかプレイしない場合もあります。もう《逃げ場なし》!やるしかありません。 今回はいつもの3倍ほどドラフトに時間を費やし、更に僕の最も信頼するリミテッダーにも協力を仰ぎました。『ダスクモーン:戦慄の館』のドラフトを一言で語るなら「難しい」。初見の印象では「生存が先手有利すぎてばからしい」などと思っていましたが、そんな単純なものではありませんでした。難しい、そして面白い。それがダスクモーン。難しくしている要因は、カードの強さが使用するデッキによって大きく変わること。同じカードでも青赤と赤白で全く違う強さになる、と言えばわかりやすいでしょうか。まあ《焦熱の竜火》はいつでも最強なのですが。《殺害》が《焦熱の竜火》より弱いのも『ダスクモーン:戦慄の館』ドラフトの特徴と言えるかもしれません。2~3マナ圏のとんでもないマスト除去のシステムクリーチャーが多く、逆に高マナ域にはさほどヤバいやつがいない。低マナ域のシステムクリーチャーが暴れれば、重いカードでは対処できないのですよね。例を挙げると《グレムリンを手懐ける者》。そういった特性上、《殺害》より《焦熱の竜火》の方が強い環境です。つまり除去は必須の環境です。リミテッドでは除去は常に正義ですが、今回は特に除去の重要性が高い。除去が取れなかった時はほぼ勝てないと言ってよく、そのためピック方針は「とにかく除去を優先」となりました。今回はアンプレイアブルなクリーチャーが比較的少なく、後半拾ったクリーチャーたちで勝つことも可能です。また、前述のようにカラーリングによって強さが異なるカードが多く、自分のデッキにあったそれなりにまともなクリーチャーが後半流れてくることもあります。一部の最上級のシステムクリーチャーや《すべてを疑う者、ジモーン》クラスの爆弾レア以外は除去から優先して取る。これをとにかく意識しました。もう1つ、今回成功した戦略は緑多色。《広漠なる変幻地》や各種2色土地を早い巡目で確保し、2~3パック目で流れてきたレアをピックするというもの。MTGアリーナでは卓内プレイヤーとまず当たらないため、どんな爆弾レアであろうと平気で流してしまいます。なので緑多色は成功しやすいのですが、リアルのドラフトでもかなり勝ちやすかった印象がありました。《ヴァルガヴォスの猛攻》クラスの、タッチも容易の最強カードはまず流れてきませんが、《すべてを疑う者、ジモーン》ぐらいなら流れてきてくれますし、緑と何かのカラーリングの多色カードは、どれも緑多色なら簡単にタッチ可能です。 金曜日:世界選手権初日 というわけで世界選手権初日。まずはドラフトからです。同卓にはプロツアーチャンプのジム・デイビスやマット・スパーリング、そしてカール・サラップなど、さすが世界選手権といった面々。初手は《ひきつる人形》。緑多色をやりたい僕にとっては嬉しいレア。 2手目は弱めのパックでげんなりしていましたが、よく見ると《焦熱の竜火》の姿があり一安心。3手目で《焼殺への恐怖》を取り、更に《焦熱の竜火》をもう1枚拾えて、赤はさすがに確定。緑の流れはイマイチだったものの、特にこれといったカードは流れてくることはなく、デッキに必要になってくる2マナ域をピックする程度で終了。赤はやれそうな感じ。といったところで2パック目の初手は《生垣裁断機》。既に《広漠なる変幻地》が2枚取れていたので単純に相性が良いカード。 そこから《木人の打破者》、《果敢な生存者》、《ひと皮剥けば》と強力なアンコモンのカードが続きます。昂揚するかどうかが不安だったため、強い戦慄予示たちが取れたのはかなり嬉しかったです。そして2パック目で緑が大量に流れてきたので、2色目も緑で決定。一瞬、《見捨てられた人形、アラベラ》に心が揺れそうになりましたが、それまで白いカードが1枚も取れていなかったので、鉄の意志で放流。1パック目の時点で《広漠なる変幻地》が2枚取れており、2色土地も赤緑2枚と黒緑2枚。どんな強力なレアもタッチする気概です。が、3パック目で出たレアは《尻込みする優等生》。タッチして使いたいカードではない……強いが残念。 そして2手目にはなんと《見捨てられた人形、アラベラ》! すべてを忘れて横にある《最優秀殺害者》をピック。ボロスの夢はしっかり断ち切ろう。後は強力なレアが流れてくることを祈るのみ!……が、ダメ!そこから多色の強力なカードどころかレアすらも流れてこなくて、ドラフトは終了。デッキはこちら。 結果、レアの全然ない多色のパーツだけ余った赤緑タッチ黒に。見た目は悪いですが、デッキはそんなに悪くありません。低マナ域も十分取れて、《最優秀殺害者》が2枚あるので継続して打点を入れ続けられます。赤のコモンの一番は言うまでもなく《焦熱の竜火》ですが、《最優秀殺害者》も同じぐらい大好きなカードです。その名前通り《最優秀殺害者》すぎますね。緑黒 ○○青白 ○×○青白 ××結果は2勝からフィーチャーテーブルでジム・デイビスの青白に叩きのめされ、2勝1敗で終了。デッキも強いし相性も悪く、プレイヤーも強かった。完敗。悔しいですが、ついにプロツアードラフトの成績、ついに勝率33%を超えました!!ピックの反省点としてはやはり白に参入するタイミングでしょうか。《見捨てられた人形、アラベラ》が流れてきた時点で白いカードが2枚ほど取れていれば白も視野でした。 1パック目で緑の悪い流れは察していたので、8手目辺りで白も候補に入れるべきでした。あの8手目で《鍛えられた随伴者》さえピックしていれば、《見捨てられた人形、アラベラ》を拾えたので、すべてが変わっていたかもしれません。まだまだ未熟でしたが、方針を決めて、きっちりと勝ち筋を意識してピックすることはでき、それが結果に繋がったのかなと思います。ここからスタンダードラウンド。2勝2敗で初日を突破できるのですが……アゾリウス眼魔 ×○アゾリウス眼魔 ××ティムール果敢 ○○ティムール果敢 ×○×1-2-1。トータル3勝3敗1分で残念ながら初日落ちとなってしまいました。ドラフトと違ってスタンダードはツきに恵まれない日でした。《永劫の好奇心》で7枚引いて《忌まわしき眼魔》を倒せるカードを引かずに負けたのは落ち込みましたね。最後はあのcftsoc本人とマッチ。ティムール果敢にやられてしまい、早く僕もその面白そうなデッキが使いたい……と内心ずっと思っていました。引きには恵まれなかったものの、当たったプレイヤーは皆とてもプレイが上手でした。ライフ1点勝負で勝ったり負けたり、ワンミスの許されないデッドオアアライブの連続。プロツアーでもなかなか味わえない感覚だったかなと。またこの舞台に戻ってきたいと思いました。来年の世界選手権はリベンジしたい。そのためにはまずプロツアーの権利を獲得するところからですね。世界選手権で競技マジックの熱は一旦落ち着くと思いましたが、そんなことはなく。むしろ燃え滾ってきました! 土曜日 プロツアーや世界選手権は3日制なので、初日落ちしてもまだまだ遊べます。とりあえず11時からのSecret Showdownに参加することに。この大会はシングルエリミネーション5回戦を戦い、全勝した8名のプレイヤーが日曜日のイベントの参加権利を獲得します。金土で合計4回行われ、その32名のプレイヤーで日曜日に再度シングルエリミネーション5回戦を戦い、優勝者に世界に数枚しかない《暗黒の儀式》が進呈されます。この土曜日の大会でトップ8に残るだけでも、Secret Lairプロモの《濁浪の執政》がもらえる激熱イベント。Magic Conでは毎回開催されています。参加費125ドルのシングルエリミ。恐ろしいイベントですが、リターンも大きい!しかもなんといってもフォーマットはモダン。もちろんラスベガスにぐるぐるロータスを持ってきています!愛機を携え、いざ第一回戦へ。 ……のはずが、11時になってもイベントは始まらず。トラブルが続いて結局1回戦が始まったのは1時間以上経過した後。しかも初戦は不戦勝でした。不戦勝明けの2回戦、目の前にはプロツアーチャンプのArne!2回戦で当たるとかある!?結果は0-2のストレート負け。ダブルマリガンで負けて、2本目は《一つの指輪》を通して相手のハンドが0枚のところから、《海の先駆け》トップデッキ&《忌まわしき眼魔》の戦慄予示で《海の先駆け》2体目が出てきて負け!最後、戦慄予示でめちゃくちゃ悩んだ末に《オークの弓使い》を墓地に置いてきて、そんな強いカードを選ばない理由は《海の先駆け》以外にないので、「それ絶対《海の先駆け》じゃん!!」って笑っちゃいました。Arneも笑ってました。朝から125ドルと2時間を失いましたが、まだ目は死んでません。18時から最後のSecret Showdownがあります。時間が空いた時は……そう、アーティストにサインをもらいに行く時間です!Magic Conの魅力と言えばアーティストサイン。20人近くのアーティストのブースが並ぶ様は圧巻です。今回は《止められぬ斬鬼》《オアリムの詠唱》《神秘の論争》のサインをもらいました!!特に《止められぬ斬鬼》は虹サイン! そんなこんなであっという間に時間は過ぎ、18時からのSecret Showdownへ。そして……このSecret Showdownを突破!《濁浪の執政》をゲットし、明日の本戦参加権利を手に入れました。最終戦、周りが《湧き出る源、ジェガンサ》を公開しあい、僕の相手も《湧き出る源、ジェガンサ》を見せてきて、《オセロットの群れ》《色めき立つ猛竜》から《ナカティルの最下層民、アジャニ》を出し、その返しに3ターンキルを決めた時の快感はすさまじかったです。 日曜日 Secret Showdown本戦。結果は……ボロスエネルギー ×○○ボロスエネルギー ○○ボロスエネルギー ○×○マルドゥエネルギー ○××というわけで3勝で終了となってしまいました。最後のマルドゥエネルギーは、1ゲーム目で絶体絶命のところから《一つの指輪》をトップして勝利し、流れが来ていると確信したのですが、2ゲーム目で《色めき立つ猛竜》から《思考囲い》をめくられ、手札の残り1枚が《オアリムの詠唱》で負け。3ゲーム目は上15枚に《睡蓮の原野》が見つからずに敗北と、一歩届かず。もう少しで《暗黒の儀式》が取れたのでとても悔しかったです。でもやはりぐるぐるロータス、面白すぎる!!!最高のデッキをもう少し競技イベントでプレイしたいので、海外のモダンの大会に参加しようか検討中です。情報によるとイタリアで大会があるとか。負けた後はヘルズキッチンで有名なシェフのハンバーガー屋に。7500円のハンバーガーを食べました。 おわりに そして今、羽田空港に向かう飛行機の中でこの記事を執筆しています。世界選手権本戦、Secret Showdownともに僅かに勝ち星が足らず、今年もなんだかんだ勝負弱さが課題であることをひしひしと感じています。ですが、マジックのモチベーションは世界選手権で爆上がりしました。まずはドラフト。これまでも練習してきたつもりでしたが、今回は明らかに練習時間も良く質も高く、本番中も様々な択が見えていました。次にプロツアーの権利を得る時は同じぐらい練習して臨み、今回の結果が運でないことを証明したくなりました。そして上手いプレイヤーとの戦いは面白い。相手のプレイから手札や考えが読み取れて、それを元にこちらもゲームプランを組み立てる。これは普段から起きることですが、世界選手権では相手も全く同じことを、高い精度でやっているのです。この高度なぶつかり合いをゲーム中に実感できることも多く、もっとたくさん戦いたくなりました!世界選手権で燃え尽きるどころか、闘争本能が沸き立っています。世界選手権への第一歩は地域CS。来年2月の千葉ですね。あの舞台に戻るため、頑張ります!それではまた!

【デッキ解説】ぐるぐるロータスのススメ!

Modern ピックアップ

2024.10.24

mtg Yuyan

こんにちは。 細川 侑也(@yuyan_mtg)です。 今回は以前予告した通り、最近僕がハマっているモダンのコンボデッキ、ぐるぐるロータスについて書いていきます! このデッキを使用してモダンオープン優勝をはじめ、現在21勝3敗と絶好調! とても強くて楽しいデッキなので、一人でも多くの方にぐるぐるロータスの魅力を届けていきたいと思います! ぐるぐるロータスとは? その名前の通り、《ぐるぐる》と《睡蓮の原野》を使用したコンボデッキ、それがぐるぐるロータスです。《ぐるぐる》は土地などをタップ・アンタップすることのできるインスタント呪文。このカードで《睡蓮の原野》をアンタップすると、3マナを生み出すことができるので、《ぐるぐる》は1マナで3マナを生み出す呪文となります。それを利用して大量のマナを出し、《死の国からの脱出》+《秘本掃き》のコンボを決める……というのが昔のぐるぐるロータスでした。それがたった1つのカードによってデッキを凶悪なものへと変化させました。その名は《一つの指輪》。アグロ・コンボ・コントロールのすべてに採用されているこの恐ろしいカードですが、このぐるぐるロータスでは唯一無二の性能を発揮します。なぜか?その答えは簡単。《ぐるぐる》で《一つの指輪》をアンタップできるからです。つまり《一つの指輪》を出してカードを引き、《ぐるぐる》で《一つの指輪》をアンタップすると次は2枚。もう1回アンタップすると3枚と、《ぐるぐる》を起こすごとに引けるカードの枚数が増えるのです。《見えざる糸》なら《一つの指輪》と《睡蓮の原野》を同時にアンタップできるので、実質「1マナ増やしながら指輪を起動できる」恐ろしいカードに変貌します。このデッキは《睡蓮の原野》や《一つの指輪》を《ぐるぐる》でアンタップさせて、マナや手札を大量に増やすデッキ。デッキのキーとなるのは《ぐるぐる》なのです。 ぐるぐるロータスの魅力 現モダン環境におけるコンボデッキと言えば、まず頭に浮かぶのはルビーストーム。最近では青単ベルチャーなんかもありますが、前者は《モンスーンの魔道士、ラル》《ルビーの大メダル》、後者は4ターンキルには《睡蓮の花》が必須と、それぞれパーマネントに依存しています。特に《モンスーンの魔道士、ラル》は、エネルギー跋扈する今のモダンにおいては生き残るのが困難。一方、ぐるぐるロータスは勝つための事前準備がほとんど必要ありません。コンボルートはこの後詳しく説明しますが、《睡蓮の原野》さえ着地させてしまえば、そこから必要な準備が非常に少ないので、相手にとっては干渉手段が限られます。メイン戦においては、ほぼ妨害されることなくぐるぐるロータスはコンボに入ることができるのです。《一つの指輪》に対して《静牢》という回答こそあれど、《一つの指輪》を置いたターンに勝利できることもあったり、そもそも《一つの指輪》を必要としないコンボパターンもあり、干渉は困難です。その上で更に速度も持っているのがぐるぐるロータス。 青単ベルチャーは《睡蓮の花》が絡めば4ターンキルですが、基本は打ち消し呪文などによる妨害を駆使した5ターンキル。 一方、ぐるぐるロータスは3ターン目に勝利、もしくは実質勝利(3ターン目に《一つの指輪》設置から4ターン目勝利)と、キルターンも早めです。相手に干渉されづらく、かつ比較的速度のあるコンボであることが、ぐるぐるロータスの魅力!そして回していてめちゃくちゃ楽しい!! デッキリスト 《一つの指輪》 このデッキの核となるカード。《一つの指輪》がなければぐるぐるロータスがトーナメントで勝つことは難しいでしょう。《睡蓮の原野》をアンタップすることしかできない《ぐるぐる》はただの《暗黒の儀式》ですが、《一つの指輪》が存在することで、《Ancestral Recall》にもなります。《一つの指輪》によって《ぐるぐる》は《Ancestral Recall》と《暗黒の儀式》を兼ねるカードになり、カードの強さが何倍にもなりました。その性能は今更言うまでもありませんね。出たターンにプロテクションを得るので多くのデッキに対して無敵になり、帰ってきたターンと合わせて3ドローが確定。ここに《ぐるぐる》が絡んで勝利となります。モダンで最強のカードと名高い《一つの指輪》を最も強く使えるのがぐるぐるロータス! 《ぐるぐる》《夢の掌握》 ここまで《ぐるぐる》の名前が何度も出てきましたが、実はこのデッキには《ぐるぐる》は2枚しか採用されていません。というのも、《夢の掌握》は《ぐるぐる》のほぼ上位互換だからです。能力は同じですが、《夢の掌握》は追加で1マナを支払うことでタップとアンタップを同時に行えます。相手の土地を寝かせながら《睡蓮の原野》を起こせたりするので、ちょっと《ぐるぐる》より強いのです。とはいえ、ほとんど変わりはありません。これらのカードは先ほど説明した通り、《暗黒の儀式》であり《Ancestral Recall》。1マナで唱えて《睡蓮の原野》を起こすと実質2マナが増えることになるので、これは《暗黒の儀式》であり、カウンターが2つ乗った《一つの指輪》を起こせば1マナ3ドローなので《Ancestral Recall》。褒めちぎりましたが、《見えざる糸》も含めて10枚入っていれば十分です。《一つの指輪》が戦場にあれば何枚でも欲しいカードですが、ただ《ぐるぐる》だけあっても仕方ないですからね。 《見えざる糸》 《ぐるぐる》《夢の掌握》と違い、2マナかかる点とソーサリーであることが弱点。逆に言えばそれ以外、特に《睡蓮の原野》と《一つの指輪》を同時にアンタップできる唯一無二のカードなので、多くの場合で、デッキ内最強のアンタップ呪文です。2マナかかってしまう点も、戦場に《睡蓮の原野》と他の土地があれば解決します。これなら2マナ払って4マナが使えるので増えるのは2マナ。《ぐるぐる》と同じマナの増え方です。この2マナが気になるのは《睡蓮の原野》1枚しか戦場にない場合。「それならほとんど弱点とは呼べないのでは?」と思うかもしれませんが、それはぐるぐるロータスのことを知らない証拠です。結構頻発するんですよね、これが。とはいえ、常に引きたいカードなので4枚以外はありえません。 《砂時計の侍臣》 2マナでサイクリングしてパーマネントをアンタップできるナイスガイ。《ぐるぐる》と比べてマナ効率は悪いですが、ドローできるのがポイント。《一つの指輪》《願い》《死の国からの脱出》などのフィニッシャーが既にあれば《ぐるぐる》で良いですが、引き込みにいきたい場合は《砂時計の侍臣》に軍配が上がります。それでいてマナ加速自体も一応行えるので、何かと使い勝手が良いカード。特に3ターン目に《睡蓮の原野》を起こしてターンエンドして《朦朧への没入》を構える動きが強力で、それを無理なく行えるのが良いポイントですね。特に減らす理由もなく4枚です。 《定業》《考慮》 便利なキャントリップ呪文たち。《睡蓮の原野》設置後は《ぐるぐる》かフィニッシャーのいずれかが必要になるので、それを探してきてくれます。どんどん連打して墓地を貯められるので、後述する《死の国からの脱出》との相性も良好。デッキの必須パーツと言って良いカードたちです。 《願い》 フィニッシャー枠となるカード。 持ってくるカードの9割は《死の国からの脱出》です。マナと墓地に余裕があれば、そのまま《死の国からの脱出》設置→《願い》を脱出で再キャスト→《秘本掃き》をサーチして勝利。まさしくフィニッシャー。マナが足りない時は仕方なく《一時的封鎖》を持ってきたりしますが、これが決まり手でエネルギーに勝つこともしばしばあります。 このデッキでは《願い》を打つだけでゲームに勝てるので当然4枚! 《死の国からの脱出》 《願い》《一つの指輪》と合わせてフィニッシュ手段となるカード。というか勝つ時の6割は《死の国からの脱出》が絡むので、このデッキはぐるぐるブリーチと呼ばれていたりもするほど。《秘本掃き》《ぐるぐる》《睡蓮の原野》《死の国からの脱出》が揃うと、自分のライブラリーを0枚にすることができ、最終的に《タッサの神託者》で勝利できます。詳細な解説はこの後に。《一つの指輪》と《死の国からの脱出》だけで勝つことも多く、《見えざる糸》を脱出して《一つの指輪》と《睡蓮の原野》を起こし続けるだけで一瞬で勝利します。当然メインに4枚……と言いたいところなのですが、《願い》でサーチしたいので泣く泣く3枚です。 《記憶への放逐》 エルドラージ対策としてサイドボードに4枚入ることの多いカウンターですが、このデッキではメインです。なぜなら実質マナ加速として機能するからです!MTGアリーナでヒストリックをプレイしていた方ならご存じかもしれませんね。《睡蓮の原野》の戦場に出た時の誘発型能力を《記憶への放逐》で打ち消すことができるのです。2枚の土地を生け贄にしなくて済むので、実質マナ加速。2ターン目に《睡蓮の原野》を置いて《記憶への放逐》で打ち消して3ターン目に5マナからコンボを決める場合もあり、3ターンキルの際には重要なカード。もちろん、干渉手段としても機能します。エルドラージ相手はもちろん、《忍耐》《力線の束縛》《静牢》など打ち消したい誘発型能力はたくさんあり、《睡蓮の原野》とセットで持っていてもあえて使わずに構えることもあるほど。サイド後は《減衰球》などの致命的なスペルも打ち消せますし、入ってくるかもしれない相手のサイドカードに対処しつつ、能動的に有効活用できるという素晴らしいカードです。コンボの始動には絡まないので3枚にとどめていますが、特にエルドラージ相手には何枚でもほしいので、サイドに追加を入れています。 《探検の地図》 《睡蓮の原野》をサーチするカード。先手ならとりあえず1ターン目に置いて無事に2ターン目に起動にこぎつけますが、後手では触られる可能性もあるのでいささか不安です。《睡蓮の原野》が既に手札にある場合は《さびれた寺院》をサーチしますが、不要な場面も多く、《ぐるぐる》系と土地関連だけを引いて負けてしまうのが嫌なので、適正枚数は3枚程度。4枚目を入れていましたが、抜きたいカードが《記憶への放逐》か《考慮》ぐらいしかなく、そのどちらも《探検の地図》より好感触でした。 《朦朧への没入》 相手の呪文やパーマネントをバウンスできる便利なスペルにも関わらず、アンタップインで置ける青マナ。そんなのあり?って思うぐらい強いです。さすがモダホラ3。3マナがちょうどよく、《睡蓮の原野》1枚で構えられるのが素晴らしい。3ターン目に《さびれた寺院》か《砂時計の侍臣》で《睡蓮の原野》を立ててターンを返し、相手のアクションを《朦朧への没入》で防ぎ、返しのターンでコンボを決める流れは美しさすらあります。かなり強いので4枚目を検討しましたが、諜報ランドと色マナの価値も高く、フェッチランドを優先しました。 《さびれた寺院》 《睡蓮の原野》を1マナで起こせるので、ほぼコピーいらずの《演劇の舞台》。出る総マナは1つ減りますが、準備がいらないのですごい。《見えざる糸》があるとマナが大フィーバーします。パイオニアのロータスコンボを彷彿とさせますね。《睡蓮の原野》と同時にあれば大量のマナが出ますが、先置きでも意味があります。3ターン目に《睡蓮の原野》を置いた時に、生け贄に捧げる前に《睡蓮の原野》をアンタップすることで、そのターンに《睡蓮の原野》を動かせるのです。そこから《砂時計の侍臣》で1マナを増やして《一つの指輪》を設置するもよし、ターンを返して《朦朧への没入》を構えても良いでしょう。かなり強い土地ですが、無色マナなので《定業》《考慮》が打てない点、そしてコンボに必ず必要なわけではないため、3枚にとどめています。先述のように、フェッチランドは白マナと諜報ランド、双方の事情から枚数をある程度確保しておきたいのです。 《沈黙》 このターン、相手の呪文を封じるすごいカード。打ち消しと対峙する際にはほぼ必須。まずはこのカードから仕掛けて、相手にカウンターを引き出させることになります。コンボミラーでは相手のターンを飛ばす役割もあるので、青いデッキとコンボどちらにもサイドインできます。キッカーで攻撃されなくなるおまけつきの《オアリムの詠唱》もありますが、個人的には《沈黙》推しです。《一つの指輪》を張られてしまうと《オアリムの詠唱》は唱えられなくなりますが、《沈黙》はキャスト可能だからです。これがどんなシチュエーションで起きるか考えてみましょう。ジェスカイコントロールが手札に《否定の力》を構えながら4ターン目に《一つの指輪》。この返しにこちらもコンボを仕掛けたいと思いませんか?次のターンに相手にもう2枚カードを引かれて、5マナフルオープンで帰ってきたら、全部打ち消されてしまいそうな気がしますからね。攻撃不可も対リビングエンドなど強い場面があること自体は否定しませんが、《一つの指輪》を置かれて使えなくなる方が個人的には嫌だと感じました。 《洪水の大口へ》 万能バウンス。《減衰球》《魔道士封じのトカゲ》《ドラニスの判事》《耳の痛い静寂》どんなカードが相手から飛び出してくるかわかりませんが、これ1枚で全部解決。あまりに強すぎるバウンスです。とりあえず困ったらゲーム2で入れてみて様子を見ます。単に延命するだけでも十分なので、クリーチャーデッキにはまずすべて入れています。《海の先駆け》を出されて《睡蓮の原野》を《島》として置いた後に《洪水の大口へ》で戻すと良い顔をされます。 《一時的封鎖》 エネルギーに対して最も強い1枚。《減衰球》《魔道士封じのトカゲ》《ドラニスの判事》など定番のサイドカードすべてを吹っ飛ばしてくれるだけでなく、相手の速度を大幅に落とせます。エネルギーはぐるぐるロータスに対して基本は余力を残して展開してくることはありませんから、手札と場を一瞬ですっからかんにできます。《願い》からサーチ用に残したいところですが、経由すると6マナかかりますし、3ターン目にプレイするとほぼゲームに勝てるので、全部サイドインしてます。 《ドラニスの判事》 主にルビーストームとリビングエンドを意識しています。サイドインせずに《願い》からのサーチ用とするのがおすすめ。瞬間的にマナを伸ばせるので、《願い》から直接唱えるのは比較的早いターンでも行えます。それならサイドインする必要はありません。 《死の国からの脱出》《タッサの神託者》 《願い》からの勝ち手段要因です。 《秘本掃き》 こちらも《願い》から持ってくる勝ち手段要因ですが、一応コンボについて説明しておきましょう。《死の国からの脱出》下で《秘本掃き》を自分に唱えて5枚を切削し、その切削した内の3枚を脱出コストに《秘本掃き》をもう1度自分に。これで合計7枚のカードが墓地に落ちます。その後、《ぐるぐる》を脱出して墓地を3枚追放して《睡蓮の原野》をアンタップ。この状態で《秘本掃き》を脱出で唱えると、最初と同じ状態に戻りますが、墓地が1枚だけ増えています。つまり、ライブラリーが0枚になるまで《秘本掃き》を打ち続けることができるのです。最後は《願い》から《タッサの神託者》をサーチしてゲームエンド。これが《死の国からの脱出》《秘本掃き》のコンボです。お手軽コンボですが、《一つの指輪》でプロテクションを得ていると《秘本掃き》を自分に打てません!注意しましょう。 《前駆軟泥、エーヴ》 サイド後は《死の国からの脱出》を意識した墓地対策がよく置かれます。こうなってしまうと《願い》が勝ち手段ではなくなってしまうので、しっかりとサイド後も《願い》を強く使えるように、サイドボードに採用しています。《ぐるぐる》でマナを伸ばして《願い》を打てばストームが勝手に溜まるので、致死量の《前駆軟泥、エーヴ》を並べるのは容易いこと。青い相手も《願い》は通してその次のスペルを打ち消してくるので、《前駆軟泥、エーヴ》で相手の目玉を飛び出させましょう。 回し方 《睡蓮の原野》を置いて、《ぐるぐる》でマナを増やして《一つの指輪》。 もしくは《願い》から《死の国からの脱出》と《秘本掃き》でコンボを決める。 過程はともかく、最終的な着地点はとてもシンプルです。まず覚えるべきは、それぞれのコンボにどれだけのコストがかかるかです。《一つの指輪》を唱えた後に《睡蓮の原野》を《ぐるぐる》で起こして次のアクションを取りたいなら、5マナ以上必要になります。《願い》から最終的に《死の国からの脱出》《秘本掃き》ルートなら、まず《願い》の3マナ。サーチする《死の国からの脱出》で2マナ。設置して《願い》を脱出するのに3マナと墓地3枚。《秘本掃き》を打つ1マナ。最後に《ぐるぐる》でもう1マナ。合計で10マナが必要になります。この《願い》ルートの場合、《死の国からの脱出》を設置した後は墓地に落ちているであろう《ぐるぐる》を使えるので、合計こそ10マナですがハードルは意外と高くありません。 6マナあれば《願い》→《死の国からの脱出》→《ぐるぐる》までこぎつけて、そこからもう1回《ぐるぐる》を脱出すれば5マナ出せます。5マナなら《願い》から《秘本掃き》→《ぐるぐる》でデッキをすべて掘れるので、最初の6マナと、2回の《ぐるぐる》と《願い》の脱出コストである9枚の墓地(もちろん《願い》と《ぐるぐる》を除いて)さえ用意すれば、《願い》1枚で勝利できるというわけです。このように、勝つために必要なマナさえ覚えておけば、後は手札のカードで何マナ作れるかを計算するだけでOKです。 《睡蓮の原野》下でそれぞれがどれだけのマナを生み出せるか暗記してしまいましょう! 《ぐるぐる》《夢の掌握》=2マナ 《見えざる糸》=1マナor2マナor3マナ 《睡蓮の原野》だけなら1マナ、横に土地があれば2マナ、《さびれた寺院》があれば3マナ増えます。 《砂時計の侍臣》=1マナ   《さびれた寺院》=2マナ これらを覚えて足し算すればOK! 手札に《ぐるぐる》《夢の掌握》《見えざる糸》があって場に《睡蓮の原野》《島》なら、合計で10マナ!つまり《願い》を引けば即勝ちというわけです。(正確には、《願い》の脱出コストが必要になるので、後1枚墓地にカードが必要です) マリガン 《睡蓮の原野》・《探検の地図》がない手札はほとんどマリガンします。《ぐるぐる》系の10枚、《砂時計の侍臣》、《死の国からの脱出》、《願い》、《記憶への放逐》は《睡蓮の原野》がないと何もしないカードです。つまりデッキの大半のカードが、《睡蓮の原野》ありきなのです。 《睡蓮の原野》がない手札をキープする時は、《睡蓮の原野》を探せるキャントリップの枚数、そして途中で《睡蓮の原野》を引いた時に即コンボに移行できるかで考えます。《定業》《考慮》は《睡蓮の原野》を探せるカードたち。これらが合計で3枚あって、土地に《さびれた寺院》フェッチランド(or諜報ランド)とある場合は、それなりにキープできる手札です。ここに《一つの指輪》が加われば悩まずキープします。道中でどうせ《ぐるぐる》を拾えているはずなので、何度目かのキャントリップで《睡蓮の原野》を見つけて即設置→アンタップして《一つの指輪》まで見えてますからね。逆に《睡蓮の原野》がある初手はある程度ゆるふわなキープが許容されます。このデッキは一度《睡蓮の原野》を着地させれば、受け入れが広いデッキです。 《一つの指輪》と《願い》は大体の場合で勝利し、《死の国からの脱出》もキャントリップをある程度回せば《願い》か《一つの指輪》に辿り着けるので、実質11枚のカードが受けになるのです。《睡蓮の原野》を設置できるが《ぐるぐる》系しかない初手は悩まずキープしましょう。《睡蓮の原野》のないキャントリップと指輪だけの手札よりよっぽど強いですよ! TIPS 《ぐるぐる》をうまく使おう! 《暗黒の儀式》であり《Ancestral Recall》でもある《ぐるぐる》ですが、実は他の使い道もあります。そう、このカードはアンタップだけではなくタップもできるのです。相手の土地をアップキープに寝かせてそのターンを実質パスさせてもよし、クリーチャーを寝かせてダメージを防ぐこともできますし、打ち消しを構えている相手の青マナをターン終了時にタップしたりなんかも。コンボだけでなく相手の妨害にも使えてしまう。《ぐるぐる》はすごいカードなのです。だからこそ、手札の総マナ量を計算することは重要です。勝つためのマナが十分なら《ぐるぐる》を妨害で使う択が取れますからね。盲目的に《ぐるぐる》を「《睡蓮の原野》か《一つの指輪》をアンタップするもの」とは思わないでおきましょう。ちなみに《三なる宝球》はタップ状態になると能力が消えます。《ぐるぐる》でタップすると無効化できるので覚えておきましょう。タップ状態にするカードを普段あまり使わないと思うので見逃しがちですが、《虚無の呪文爆弾》や《トーモッドの墓所》などのアーティファクトは、タップが必要な起動型能力です。つまりこれも《ぐるぐる》で寝かせることで起動できなくなります。スタックで起動されても今唱えた《ぐるぐる》は墓地に残りますし、《死の国からの脱出》《秘本掃き》コンボを決める際には大量の墓地が必要なわけではないので大丈夫です。 青い相手にうまく立ち回ろう! ぐるぐるロータスは1ターンでたくさんのマナを使えるデッキです。青い相手に毎ターン《一つの指輪》《願い》を投げつけて《対抗呪文》で打ち消され続けては、デッキの強みを生かせません。勝負のターンまで座して待ちましょう。手札が6~7枚ほどあるコントロールに対しての理想は、妨害2回を受けられる、つまり3枚のフィニッシュ手段。後はすべてマナ加速です。相手がマナをフルオープンし続けているなら、《見えざる糸》を使って相手の土地をタップしましょう。スタックでマナを出されるので、やる時は必ず第一メインフェイズかつ自分がマナを使いきれる状態です。これで《対抗呪文》1枚分を封じます。そこから2回妨害を投げ続け、これらが《対抗呪文》《否定の力》されると想定しているので、3枚のフィニッシュ手段が必要なのです。《願い》《一つの指輪》《死の国からの脱出》が全部あるなら、《死の国からの脱出》を最後にしましょう。そのまま打ち消されたカードを脱出できますからね。《否定の力》で打ち消された方は脱出できないので、最初に《願い》から投げて《対抗呪文》で打ち消してもらいましょう。これらの3枚のフィニッシュ手段は3+4+2。それに加えて《ぐるぐる》で起こしたりする必要もあるのでプラス2マナほど。合計で11マナほどかかります。先に《見えざる糸》を相手に打つなら更にプラス2マナ必要です。かなりマナが必要になりますが、青相手はじっくりと土地を並べられるので問題ありません。《記憶への放逐》で《睡蓮の原野》を着地させて《さびれた寺院》を置けば、4ターン目にして場の土地だけで7マナありますからね。これは相手がカウンターをたくさん持っていて、かつ構え続けてきた場合に限ります。実際は《否定の力》と除去だらけと《一つの指輪》で、仕方なく2マナを立てて《一つの指輪》。エンド前に《ぐるぐる》で青マナのうち1つを寝かせて《対抗呪文》を念のためケアしつつ、返しで《否定の力》を乗り越えて勝利なんてこともよく起きます。 もちろんこれは一例であって、必ずしも絶対にこうすべきということではありません。手札に《一つの指輪》が溜まっているなら順番にカウンターを使わせるために連打する場合もありますからね。ぐるぐるロータスは1ターンでたくさんのマナを使えるのが強い!あくまでデッキのストロングポイントの一つとして頭に入れておいてください。 ・セットランドを考える 3ターン目は《睡蓮の原野》を置きたくなるターンですが、少し考えてみましょう。たとえば場に《島》と《さびれた寺院》があって迎える3ターン目。ここで《睡蓮の原野》を置くと《さびれた寺院》がなくなってしまい、次のターンのセットランドで使える合計マナは4マナ。ここで違う土地を置いて《朦朧への没入》を構え、4ターン目に《睡蓮の原野》をセットしましょう。青マナ2つを出してそれらが生け贄になり、《さびれた寺院》で《睡蓮の原野》がアンタップするので合計4マナ。実はどっちの順番で置いても3、4ターン目に使えるマナは共に同じなのです。それなら《さびれた寺院》が戦場にあった方が良いのは明白です。《見えざる糸》で増えるマナの量が違いますからね。《島》《島》から3ターン目に《さびれた寺院》か《睡蓮の原野》を置く時は、このセットランド方法を知っているかで大きな差があります。《睡蓮の原野》から置けば次のターンに5マナを使えますが、その代わりに3ターン目はフルタップになってしまいます。次のターンに5マナがどうしても必要なら《睡蓮の原野》からいっても良いですが、何かしらの妨害手段を持っていて、次のターンに出るのが4マナでも良いのなら、《さびれた寺院》から置きましょう。 ぐるぐるロータス対策カード 《減衰球》★★★★★ ※★は危険度です。 最も効くのはなんだかんだ《減衰球》です。《睡蓮の原野》を置いた返しに貼れば一気にマナが無色1つだけになりますし、《減衰球》を《洪水の大口へ》でバウンスしようにも青マナが必要になります。なので、ぐるぐるロータス側としては《減衰球》を気を付けた立ち回りをする必要があります。《減衰球》はなるべく《睡蓮の原野》の返しに置きたいと相手も思っているので、こちらは《睡蓮の原野》を置いたターンで一気にコンボを決めにいくか、もしくは《減衰球》を対処できるカードを構えてターンを終了しましょう。この時、《睡蓮の原野》から出る青マナで《洪水の大口へ》を構えるのは得策ではありません。《減衰球》のスタックでマナを出さなければならないため、相手がそのターンにもう1度キャストできてしまうからです。島など普通の青マナを立ててターンを返しましょう。 《徴用》★★★★★ 最近気づいたのですが、このカードがぐるぐるロータス側はめちゃくちゃキツいです。《一つの指輪》を奪われるのが最悪ですが、他にも《オアリムの詠唱》を奪われてこのターンにコンボにいけなくなるのも非常に悪い。《減衰球》クラスに効くカードです。しかもこのカードはぐるぐるロータス側がケアできません。どう考えてもケア不可能なカードでした。青単ベルチャーにも入っていますし、今後このカードが増えそうならサイドボードに2枚ほど対策カードを入れる必要がありそうです。《神秘の論争》か《苛立たしいガラクタ》、もしくは《防御の光網》のどれかにします。 《虚空の杯》★★★★★ 最近ほとんど見なくなりましたが、ぐるぐるロータスにはかなり効きます。X=1で置くとキャントリップ2種、《ぐるぐる》、《夢の掌握》が止まる上、《洪水の大口へ》も使えなくなるので、デッキの大半のカードが死んでしまいます。キャントリップ2種が打ち消されるのが致命的で、《一つの指輪》や《願い》からの対策カード、《朦朧への没入》にアクセスするのが難しくなってしまいます。速いデッキが置いてくる分には《一時的封鎖》で巻き込めますが、そうでない相手が使い始めたら恐ろしいですね。ちなみに《虚空の杯》の打ち消す能力は誘発型能力なので、《記憶への放逐》を複製で唱えて、本体は消えますが複製側でその能力を打ち消すことができます。《洪水の大口へ》でバウンスできるので、一応覚えておきましょう。 《血染めの月》★★★★☆ ボロスエネルギーなど、アグロデッキが置いてくる分には結構効きます。《洪水の大口へ》でバウンスできるので劇的ではありませんが、《島》もさほど枚数が入ってるわけではないので、《定業》などが連打しづらく、探しにいってる間に殴られて負けます。《一時的封鎖》で巻き込まれない対策なのも良いですね。速いデッキ以外が使う《血染めの月》はあまり効きません。とにかく速いクロックが目の前にないと、バウンス自体は結構入っているので、その内引かれてしまいますからね。 《オアリムの詠唱》★★★☆☆ それなりにうざい対策カードです。《ぐるぐる》などでマナ加速したところを狙われたり、《死の国からの脱出》に合わせられると非常に厄介です。入っているデッキがミラーとエネルギーぐらいで、ミラーはほぼケア不可能ですが、エネルギーの場合は起きているマナが少ないので、エンド時に《ぐるぐる》で寝かせるなどして、《オアリムの詠唱》を唱えられないようにしたいです。構えているのがわかりやすいカードではあるので、相手の動きが変だと思ったら頭の片隅に入れましょう。突然負けるカードではあるので注意は必要です。 《外科的摘出》★★☆☆☆ 《願い》を抜かれてフィニッシャーがなくなって一発負けがあるカード。ケアは簡単で、《タッサの神託者》をサイドインすれば良いだけなのですが、どのデッキから飛んでくるかがわからないのが難しい。盲目的に全マッチでサイドインするわけにはいかないですからね。《瞬唱の魔道士》が入っているデッキには《外科的摘出》が入りやすかったり、ディミーアなら1枚入ってるかもしれませんが、ゲーム2ではひとまずサイドインしないようにしています。《願い》以外のカードを抜かれた時は比較的どうでも良いですし、《願い》が墓地になければそもそも狙われないので、《一つの指輪》からデッキを全部掘って勝ったり、《沈黙》から入ることもできます。意外と《タッサの神託者》をサイドインしなくても、《願い》を墓地に落とさないプレイをすればケア可能です。 《ドラニスの判事》★★☆☆☆ ルビーストームにはかなり効く対策カードですが、ぐるぐるロータスとしてはどうでもいいカード。出されてもあまり効果ありません。《死の国からの脱出》と《願い》は止まりますが、《一つの指輪》には無力ですし、《一時的封鎖》を入れるマッチアップでは他のクリーチャーやパーマネントに巻き込まれてついでにいなくなります。《一時的封鎖》をサイドインしない相手が出してくる《ドラニスの判事》は対処が少し面倒ですが、とはいえ《洪水の大口へ》《朦朧への没入》《天上都市、大田原》(+それをサーチできる《探検の地図》)とかなりの枚数が入っているので、効き目としては弱めです。 《未認可霊柩車》《虚無の呪文爆弾》★★☆☆☆ 墓地対策は《死の国からの脱出》に効果はあるものの、それだけのカード。《ドラニスの判事》とほとんど変わらないですね。《ぐるぐる》で寝かせて機能不全にしてから《死の国からの脱出》《秘本掃き》ルートにいけますし、《一時的封鎖》でも巻き込めます。墓地対策は他のデッキにも効果的ですし、サイドボードに入っていればインするとは思いますが、ぐるぐるロータス相手には期待しない方が良いでしょう。 《魔道士封じのトカゲ》★☆☆☆☆ 《ドラニスの判事》より更に意味のない対策カード。《死の国からの脱出》も《願い》も止まりません。《一つの指輪》でプロテクションをつけてそのターン無効化もできますし、もちろん《ドラニスの判事》と同じで《一時的封鎖》で巻き込めます。このカードが出てくると安心します。 《海の先駆け》★☆☆☆☆ 《睡蓮の原野》が《島》に変わるカードですが、《血染めの月》と違い効果はかなり弱め。 《洪水の大口へ》《朦朧への没入》《天上都市、大田原》(+それをサーチできる《探検の地図》)と触るカードがたくさんあるので、生け贄にする誘発が消えた《睡蓮の原野》を並べて、マナが十分出たところでバウンスされるのがオチです。 《三なる宝球》★☆☆☆☆ 《ぐるぐる》で寝かされて機能不全になっちゃいます。このカードはダメです。下手したらサイドインしない方が良いまであるかもしれません。いや、さすがにもっと不要牌を抜いているはずなので、そんなことはないですね。とにかく全然効かないのでご注意ください。 サイドボーディングガイド 全体的に《砂時計の侍臣》を抜くマッチが多めです。マナ加速としては弱めでカードを引ける点を評価してメイン採用しているので、役割としては少しふわっとしており、サイドアウト候補の筆頭となっています。《考慮》も1枚抜く場合が多く、《砂時計の侍臣》を4枚抜くなら《考慮》1:《砂時計の侍臣》3のバランスにするといった程度。《砂時計の侍臣》は《一つの指輪》をアンタップできるので《考慮》より強い場合も多く、かといって《砂時計の侍臣》は掘る枚数が《考慮》より少ない。要するに一長一短なので、軽いカードである《考慮》を優先しつつ、どちらも少しずつ抜きます。妨害手段の少ない相手には《願い》《死の国からの脱出》《一つの指輪》だとフィニッシュ手段が過剰になるので、《願い》を抜くことがあります。こういったマッチでは《願い》・《考慮》を抜いた後に、残りを《砂時計の侍臣》で調整しています。 対エネルギー +3《一時的封鎖》+3《洪水の大口へ》 ー4《砂時計の侍臣》ー1《記憶への放逐》ー1《考慮》※ボロスエネルギーには《オアリムの詠唱》が入っている場合が多いので、エンド前に《ぐるぐる》で白マナを寝かせるのが効果的。 対青単ベルチャー +3《沈黙》+2《洪水の大口へ》+1《記憶への放逐》 ー4《砂時計の侍臣》ー1《考慮》ー1《ぐるぐる》 対ジェスカイコントロール +3《沈黙》 ー3《砂時計の侍臣》 対ディミーアマークタイド +3《沈黙》+2《洪水の大口へ》 ー3《記憶への放逐》ー2《砂時計の侍臣》 ※《海の先駆け》を相手がサイドインしていないなら《洪水の大口へ》は不要。《砂時計の侍臣》を残しましょう。 《海の先駆け》をサイドインしているかどうかは相手のフェッチランドのサーチの仕方で想像できます。フェッチから沼を積極的に持ってきているならサイドインしています。 対エルドラージ +3《洪水の大口へ》+1《記憶への放逐》 ー2《砂時計の侍臣》ー1《考慮》ー1《願い》 対リビングエンド +3《沈黙》+1《記憶への放逐》 ー4《砂時計の侍臣》 対ドメインズー +3《洪水の大口へ》+2《沈黙》 ー4《砂時計の侍臣》ー1《考慮》 対ルビーストーム +3《沈黙》+1《記憶への放逐》 ー3《砂時計の侍臣》ー1《考慮》※《ドラニスの判事》はサイドボードにおいて《願い》からのサーチに。 対アミュレットタイタン +3《沈黙》+1《記憶への放逐》 ー2《砂時計の侍臣》ー1《考慮》ー1《願い》 対エスパー御霊 +3《沈黙》+1《記憶への放逐》 ー4《砂時計の侍臣》 対ティムールブリーチ +3《沈黙》+1《記憶への放逐》 ー2《砂時計の侍臣》ー1《考慮》ー1《願い》 最後に 今回はぐるぐるロータスの解説をお届けしました! とても楽しくてやりこみがいのあるデッキなので、気になった方はぜひ使ってみてください! 現在ラスベガスは深夜3時。これから寝る……前にぐるぐるロータスを一人回ししようと思います! それでは!