【今週のピックアップデッキ】黒単クレリックリアニ/シミック緑甲羅/ダイスファクトリー
週刊
Modern
Pioneer
Standard
ピックアップ
こんにちは。
細川 侑也(@yuyan_mtg)です。
今週のピックアップデッキでは、ちょっと珍しいデッキを、軽い解説を交えて紹介していきます。
紹介デッキ
黒単クレリックリアニ
シミック緑甲羅
ダイスファクトリー
黒単クレリックリアニ
SCG CON Hartford RCQ : 6-2 By David Boucher
MTGアリーナ用インポートデータ
墓地から巨大なファッティを吊り上げるリアニメイト戦略。最近では最強のリアニメイト先で《偉大なる統一者、アトラクサ》が登場したため、様々なフォーマットでリアニメイトデッキは存在しています。
しかし、今回ご紹介するリアニメイトには《偉大なる統一者、アトラクサ》は入っていません。そもそもこのリアニメイトは黒単色のデッキ。
しかもスタンダードで最も強力なリアニメイト呪文である《ゾンビ化》すら採用していないのです。
《ゾンビ化》の代わりに採用されているのは《ヴァルガヴォスの崇拝者》。1マナで出して4マナ起動で墓地からクリーチャーを吊り上げるため、1+4で5マナの《ゾンビ化》です。
《忘却の虚僧》も《ゾンビ化》を内蔵したクリーチャー。こちらはキッカーで墓地からクリーチャーを吊り上げられるので、6マナの《ゾンビ化》です。
ですが、そもそもこれらの重い《ゾンビ化》を使うぐらいなら、最初から4マナの《ゾンビ化》を使えば良いのでは?そう思った方も多いでしょう。
その疑問に答えてくれるのが《影の儀式の司祭》。他のクレリッククリーチャーを+1/+1するこのクリーチャーですが、実は《ヴァルガヴォスの崇拝者》も《忘却の虚僧》もクレリックなので、ロードの恩恵をしっかりと受けることができます。
そしてなんといっても《影の儀式の司祭》にはもう1つ、狭量な能力があります。他のクレリックを生け贄にすることでライブラリーから直接黒いクリーチャー・カードを戦場に出せるのです。
強いクリーチャーをリアニメイトするには、まず強いクリーチャー。そしてそれを落とす手段。最後に吊り上げる手段が必要となります。リアニメイトは下準備がかなり面倒なコンボです。しかし、《影の儀式の司祭》ならばそれらの準備は必要ありません。クレリックを用意し、マナを支払うだけで良いのです。
デッキから現れる黒いカードは《恐怖を喰うもの、ヴァルガヴォス》。非常に強い護法能力を持ち、除去するのは非常に困難。しかも生き残れば圧倒的な展開力を見せる、S級クリーチャーです。
この《恐怖を喰うもの、ヴァルガヴォス》を墓地から釣っても良し、《影の儀式の司祭》で直接出しても良しなのがこの黒単クレリックリアニなのです。
《影の儀式の司祭》はこのデッキの主役。リアニメイト、ロード、両方の能力をフル活用します。
上記の2種に加え、黒ミッドレンジでもお馴染みの《分派の説教者》も実はクレリック。3/5になれば更に硬くなりますし、《忘却の虚僧》の3/2絆魂も赤い相手に重宝します。
さて、デッキから《恐怖を喰うもの、ヴァルガヴォス》を出すには《影の儀式の司祭》がありますが、リアニメイトする際は一度墓地に落とさなければなりません。
《恐怖を喰うもの、ヴァルガヴォス》を墓地に落とす手段として、手札からは《ヴェールのリリアナ》や《苦々しい勝利》があります。いずれも除去を兼ねたディスカード手段で、リアニメイトとの相性は良好です。
良く考えられているのが《ベイルマークの大主》の採用です。
ライブラリーから直接《恐怖を喰うもの、ヴァルガヴォス》を落とせるだけでなく、リアニメイト手段である《ヴァルガヴォスの崇拝者》《忘却の虚僧》を墓地から拾うことができるのです。1枚でファッティを落としながら釣り竿を拾える。実質《納墓》+《再活性》なのです。
《恐怖を喰うもの、ヴァルガヴォス》で気持ちよくなりたい方はぜひこのデッキをお試しください!!
シミック緑甲羅
パイオニアリーグ : 5-0 By laa11
MTGアリーナ用インポートデータ
たびたびパイオニアで話題となる《肥えた緑甲羅》。
パワーよりタフネスの方が高いクリーチャーが戦場に出るたびにライブラリートップを見て、それが土地ならタップ状態で置き、それ以外なら手札に加えるという、シンプルにアドバンテージが取れるカード。《有翼の叡智、ナドゥ》のように土地がアンタップインだったらもっと使われているかもしれませんね。
このシミック緑甲羅は《肥えた緑甲羅》の能力を使い倒すことに特化したデッキ。
入っているクリーチャーのすべてがパワーよりタフネスの方が大きいのです。
《樹上の草食獣》《腹黒茸》は手札から土地を置ける能力。《肥えた緑甲羅》を早いターンに出せる便利なカードです。《腹黒茸》はドローもついていますね。
《金のガチョウ》に《断崖の見張り》まで入っているため、《肥えた緑甲羅》を4ターン目には出すことができるでしょう。とにかく早く《肥えた緑甲羅》を出して、能力を使い始めるのがこのデッキでは最重要です。《肥えた緑甲羅》が土地をめくっていき、次のターンにそれらの土地を使って更なる大量展開というのが勝ちパターンですからね。
少し見慣れないカードである《夢露の幻惑者》は、相手クリーチャーに麻痺を乗せる疑似的な除去としての使い道もあれば、自分のクリーチャーに麻痺を乗せて2ドローもできるので、場の状況や相手によって様々な使い方ができます。自身にも乗せられるため、2ドロー自体は難しくありません。
そして《玻璃池のミミック》。こちらは《肥えた緑甲羅》をコピーするのが主な役割です。《肥えた緑甲羅》が2枚になれば誘発も倍なので、あっという間に土地が増えて全体に修正が入って殴り勝てます。《肥えた緑甲羅》が1回戦場に出たらすぐに《玻璃池のミミック》でコピーしたいですね。
そんな《肥えた緑甲羅》をデッキ外から支えるのが《空を放浪するもの、ヨーリオン》!《肥えた緑甲羅》の誘発条件は、「タフネスがパワーよりも大きいクリーチャーがあなたのコントロール下で戦場に出るたび」なので、《空を放浪するもの、ヨーリオン》自身で誘発するのはもちろん、《空を放浪するもの、ヨーリオン》によって追放したクリーチャーたちでもそれぞれ誘発します。つまり3体のクリーチャーがいたら、《空を放浪するもの、ヨーリオン》+3体の4回、《肥えた緑甲羅》が誘発するのです。
このデッキの《空を放浪するもの、ヨーリオン》は超ハイバリューです。
更に最近はアゾリウス全知やアゾリウスコントロールなど、青系のデッキで活躍している《マラング川の執政》。こちらもタフネスの方が高く、《肥えた緑甲羅》が誘発します。
しかも戦場に出た時にパーマネントを戻す能力は自分のクリーチャーにも使えるので、《肥えた緑甲羅》誘発のためにクリーチャーを戻せます。《空を放浪するもの、ヨーリオン》を戻して《マラング川の執政》をブリンクさせて再利用……なんて使い方もでき、このデッキはとにかく《肥えた緑甲羅》をずっと誘発させ続けることに特化しています!
その動きはさながらナドゥ!パイオニアで使える《有翼の叡智、ナドゥ》こと《肥えた緑甲羅》、味わってみませんか?
ダイスファクトリー
モダンリーグ : 5-0 By Zoza
知る人ぞ知るデッキ、ダイスファクトリーが最近密かにモダンで勝ち始めています。
ダイスファクトリーは無色のみで構成されたデッキ。キーカードである《地核搾り》を使って大量のマナを出して戦う、トロンに似た性質を持っています。実際に以前までのダイスファクトリーには《ウルザの塔》などが採用されていました。
どうやってマナを出すのか。それは《地核搾り》の能力を読めばわかります。タップすることでアーティファクトの上に蓄積カウンターを置く能力を使うのです。
蓄積カウンターを乗せることでどうマナが増えるのか?《霊体のヤギ角》と《永遠溢れの杯》がその答えです。これらのアーティファクトは、戦場に出るに際し支払ったX分の蓄積カウンターが置かれて、タップすることで蓄積カウンター分のマナが出ます。
普通に使えば《霊体のヤギ角》は3マナ払って設置して1マナを出し、《永遠溢れの杯》は2マナで1マナ。それぞれ少し弱いマナファクト相当のカードなのですが、《地核搾り》で蓄積カウンターを置けるので、マナの総量を増やせるのです。
《うねりの結節》も《地核搾り》と同じく蓄積カウンターを置くカードで、この2種類で《霊体のヤギ角》《永遠溢れの杯》を超マナアーティファクトにして戦うのがダイスファクトリーの基本戦術となります。
特に《地核搾り》は起動して1個、自身を生け贄に2個と、即座に3個の蓄積カウンターを溜められるので、トロンに近い速度でマナを増やしていくことができます。
以前はトロンランドが採用されていたスロットには《エルドラージの寺院》《ウギンの迷宮》の、エルドラージでもお馴染みの無色土地たちが採用されています。《エルドラージの寺院》を2マナランドとして使うために採用しているエルドラージは、定番の《運命を貪るもの》と、そして《まばゆい肉掻き》です。
無色の呪文を唱えるたびに落とし子を生み出す《まばゆい肉掻き》はこのデッキにはぴったり。《霊体のヤギ角》も《永遠溢れの杯》も蓄積カウンターさえいらなければ0マナで唱えられるので、2ターン目に《まばゆい肉掻き》を出してそのまま2体ほどトークンを作り、次のターンのアクションに備えるなんてことも可能です。
《ミシュラのガラクタ》《オパールのモックス》《永遠溢れの杯》《霊体のヤギ角》と大量に0マナアーティファクトを採用しているので、《まばゆい肉掻き》がとにかく強いデッキなのです。
そして0マナアーティファクトはフィニッシャーである《嵐の目、ウギン》とも嚙み合います。戦場に出たターンに0マナを並べて相手を更地にしつつ、《嵐の目、ウギン》の奥義を目指すのはわかりやすい勝ち手段です。
《嵐の目、ウギン》の加入はこのデッキにとって非常に大きいでしょう。《ウギンの迷宮》を採用するためには7マナ以上の無色のカードが2種必要になりますが、《運命を貪るもの》以外で7マナ以上の無色のカードはあまり選択肢がないのが実情です。《嵐の目、ウギン》は《ウギンの迷宮》で追放できる中で最高のフィニッシャーであり、ダイスファクトリー活躍のキーとなっています。
以前までのダイスファクトリーは大量のマナを使う手段が限られていましたが、このリストは《大いなる創造者、カーン》《嵐の目、ウギン》《コジレックの命令》と大量にあり、《まばゆい肉掻き》《神秘の炉》でライブラリーの上からカードをプレイしていくだけで勝てるイージーウィンも存在します。
ついにダイスファクトリーがモダンのトーナメントを脅かす日がきたのかもしれません!エルドラージがお好きな方はぜひ一度このダイスファクトリーもお試しください。