こんにちは。
細川 侑也(@yuyan_mtg)です。
今週のピックアップデッキでは、ちょっと珍しいデッキを、軽い解説を交えて紹介していきます。
紹介デッキ
4色ティーチングコントロール
スタンダードリーグ : 5-0 By Manuel_Danninger

《神秘の指導》というカードをご存じでしょうか?
『時のらせん』で登場した4マナのサーチ呪文で、インスタントか瞬速を持つカードをサーチすることができるカードです。
当時はこの《神秘の指導》を主軸に据えたティーチングコントロールが『時のらせん』限定構築の環境を席巻していました。
《神秘の指導》で除去かカウンターを拾い、それを使いながら、フラッシュバックで《神秘の指導》をサーチ。《神秘の指導》を1枚引くだけでこれを4回行えるので、非常に再現性の高いコントロールデッキでした。
そんな《神秘の指導》は実は『ファウンデーションズ』で再録されており、スタンダードで使用することができます。そう、ティーチングコントロールがスタンダードに帰ってきたのです!
とはいえ、その枚数は控えめで2枚となっています。今のスタンダードには《神秘の指導》を超えるドロースペルがありますからね。
そう、《星間航路の助言》です。2ターン目に除去を探すために打ったり、ゲーム後半ではキッカーで唱えて10枚以上の中から2枚を探すなど、状況に応じて打ち方を変えられる素晴らしい呪文です。
《失せろ》や《稲妻のらせん》など優秀な単体除去や、《喝破》《三歩先》といった強力な打ち消し呪文で低マナ域は構成されており、コントロール好きなら大満足のラインナップです。
ここまでの顔ぶれはジェスカイですが、このデッキは《神秘の指導》のフラッシュバックのために黒を入れています。それなら黒を使わないともったいないですよね。そこで採用されているのが《不可避の敗北》です。
土地以外のパーマネントを追放し、更に3点ドレインのオマケまでついている4マナのインスタント。さすが3色を使う除去なだけあって破格の性能ですが、色が悪くてこれまでは使われることはありませんでした。
3点ゲインはコントロールには非常に嬉しく、プレイし続けるだけで勝手にこちらが有利になるすごい除去です。世が世なら《包囲サイ》クラスの活躍をしていたかもしれません。それぐらいのポテンシャルを秘めています。
当然このカードも《神秘の指導》で探すことができます。
そして《神秘の指導》で引っ張ってこれる必殺技枠は《ジェスカイの啓示》!ジェスカイの根本原理と言われるほど能力を詰め込んだこのカードもインスタント。しかも本体に飛ばすことができるので、たとえ話でもなんでもなく、除去を打ってるだけで勝手に勝ってしまうのがこのデッキなのです。
《稲妻のらせん》含めて除去の多くにはゲインがついており、ビートダウンに対しては高い耐性を持っています。コントロールにも《神秘の指導》のアドバンテージ量で勝つことができ、理論上は最強のデッキかもしれません。
コントロールフリークの皆様はぜひお試しください。
コスモジャンド
パイオニアリーグ : 5-0 By xfile

ジャンドカラーと言えば、赤緑黒で構成されたミッドレンジ。ミッドレンジとは除去と質の高いクリーチャーで守る中速のデッキで、その中でも手札破壊を使う黒、質の高いクリーチャーの緑、攻めと守りを兼ね備えたアドバンテージ源《血編み髪のエルフ》を使うジャンドカラーがスタンダードでは定番でした。
このミッドレンジ戦略は大流行し、下環境でも猛威を振るいました。軽いカードだけで構成された中速デッキは序盤からアグロには隙がなく、コントロールにも手札破壊とクリーチャーによるビートダウンで勝つことができ、サイドボード後は不要なカードが有効牌に変わることから、不利マッチがとても少ないデッキとなり、モダンでもジャンドは親しまれていました。
モダンでは《稲妻》《思考囲い》《タルモゴイフ》によってジャンドは成立していました。質の高い除去・手札破壊・クリーチャー。ミッドレンジに必要なものはそれだけです。
そしてパイオニアでもミッドレンジは最強であり続けました。ミッドレンジを1枚で体現したカード《鏡割りの寓話》と最強の手札破壊《思考囲い》、そして環境屈指の除去である《致命的な一押し》を使うラクドスミッドレンジです。そんなラクドスに今回久しぶりに緑が加わりました。
その緑のカードとは『久遠の終端』で注目されていた1枚、《コスモゴイフ》!まさかミッドレンジにゴイフが戻ってくる日が来るとは。懐かしさに目頭が熱くなります。
《コスモゴイフ》は《タルモゴイフ》とは真逆で、墓地ではなく追放領域を参照します。自分がオーナーの追放領域にあるカードの数だけパワーとタフネスが上がるゴイフなので、普通に使うだけではただの2マナ0/1です。
しかしご安心してください。このデッキには実にたくさんの追放手段があります。
まずは《墓地の侵入者》。戦場に出た時と殴るたびにどんどん追放領域にカードを溜めていけます。相手の墓地を追放しても無意味なのは少し残念ポイント。
一方《黄金牙、タシグル》は探査を持つ4/5クリーチャー。かつてはミッドレンジの多くに採用されていたカードですが、今回は探査によって追放領域にカードを送り込めることから再注目されました。1マナで出せば5枚を追放できるので、《コスモゴイフ》は一瞬で5/6に膨れ上がります。
そしてなんといっても《悪魔の取り引き》!
ライブラリーの上13枚のカードを追放し、その後好きなカードを手札に加えられる。ちょっと変わったサーチ呪文です。先にライブラリーを13枚を追放するので、コンボデッキで使う場合は少しリスクがあるというデザインになっています。
なんとこのカードを打った瞬間に《コスモゴイフ》は13/14と宇宙のようなサイズに!《悪魔の取り引き》でそのまま《コスモゴイフ》をサーチしても良いですし、《コスモゴイフ》が既に殴れているのなら、瞬殺カードを持ってこれます。
それが《ティムールの激闘》。クリーチャーに二段攻撃とトランプルを付与してくれるので、《コスモゴイフ》が突然13/14二段攻撃トランプルとなって相手に襲い掛かるのです!
コンボ時以外は腐りがちな《ティムールの激闘》をデッキに入れることができるのは《悪魔の取り引き》のおかげです。強力なサーチ呪文によってこのプランが成立しています。
それ以外のカードはミッドレンジ然とした除去と手札破壊でまとまっており、《コスモゴイフ》も攻防で活躍するクリーチャーなので、《ティムールの激闘》が入っているとはいえ、戦い方はミッドレンジそのものです。
ミッドレンジが好きな方もコンボ好きにもオススメのコスモジャンド、お試しあれ。
白トロン
モダンリーグ : 5-0 By kenon

《ウルザの塔》《ウルザの鉱山》《ウルザの魔力炉》。3種の土地を揃えることで7マナ出るぶっとんだ土地。
これらの土地を揃えて大量のマナを出すデッキ、通称ウルザトロン。《森の占術》がスタンダードにやってきた『ミラディン』で一気に人気が爆発し、《歯と爪》を打つ緑トロンから、ドローでトロンを揃えて大量のマナでコントロールする青トロンなど、様々なトロンがスタンダードから下フォーマットまで誕生しました。
モダンでも緑トロンや無色トロンが今も現役で活躍していますが、今回紹介するのはそんなトロン業界に殴り込みにやってきた新たな色。
それが白トロンです!
さあ白いトロン、君は何をやってくれるんだ?早速見てみると、他のトロンにはないメリットがありますね。
そう、単体除去です。青トロンも無色トロンもクリーチャーを除去するのがとにかく苦手で、《コジレックの命令》に頼っていましたが、白トロンなら《孤独》を4枚採用できます。
《冥途灯りの行進》は1~2ターン目から打てる除去で、トロンが苦手とする序盤をしっかりと制してくれます。
全体除去も白ならお手の物。万能除去である《神の怒り》に加えて《空の怒り》も入っています。エネルギーを溜めて《空の怒り》を2マナで打つのが本来の使い方ですが、このデッキでは大量のマナを支払って《空の怒り》を大きく唱えます。たくさんのマナを出せるトロンならではの荒業ですね。
白いトロンはドローが不足してしまいがち。《一つの指輪》を失ってかなり心配ではあるものの、ラインナップを見てみるとそれが杞憂であることがわかります。
《大いなる創造者、カーン》はサイドボードの好きなカードにアクセスできる万能カード。「サイドボードの数だけ忠誠値があるようなもの」と言われていますがまさにその通り。除去から墓地対策、《三なる宝球》などの妨害カードまでなんでも揃っています。
そして《嵐の目、ウギン》もドローできるプレインズウォーカー。除去も兼ねており、このカードの存在は、リソースが枯れやすい白トロンにとっては本当に大きいはず。オルゾフなど一部のデッキには《嵐の目、ウギン》を出しただけでもゲームに勝ててしまうでしょう。
《コジレックの命令》《嵐の目、ウギン》《大いなる創造者、カーン》の無色3種のおかげで、最早どのカラーのトロンもリソースを稼ぐのは簡単になりましたね。黒トロンが出てきたのも納得です。
白トロンは、トロンが苦手な序盤のカードにアプローチしやすいのが優秀で、しっかり弱点を克服しています。新たな色のトロンを組むなら、まず長所と短所を意識したいですね。トロンは揃った時の爆発力も重要ですが、どう揃えるか、揃わなかった時にどうするかが肝心。
もしかしたら悩みどころをすべて解決する赤トロンが現れたりなんてこともあるのかも?