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【今週のピックアップデッキ】4色ティーチングコントロール/コスモジャンド/白トロン

週刊 Modern Pioneer Standard ピックアップ

2025.08.22

mtg Yuyan

こんにちは。   細川 侑也(@yuyan_mtg)です。   今週のピックアップデッキでは、ちょっと珍しいデッキを、軽い解説を交えて紹介していきます。   紹介デッキ 4色ティーチングコントロール コスモジャンド 白トロン   4色ティーチングコントロール  スタンダードリーグ : 5-0 By Manuel_Danninger MTGアリーナ用インポートデータ 《神秘の指導》というカードをご存じでしょうか? 『時のらせん』で登場した4マナのサーチ呪文で、インスタントか瞬速を持つカードをサーチすることができるカードです。   当時はこの《神秘の指導》を主軸に据えたティーチングコントロールが『時のらせん』限定構築の環境を席巻していました。   《神秘の指導》で除去かカウンターを拾い、それを使いながら、フラッシュバックで《神秘の指導》をサーチ。《神秘の指導》を1枚引くだけでこれを4回行えるので、非常に再現性の高いコントロールデッキでした。 そんな《神秘の指導》は実は『ファウンデーションズ』で再録されており、スタンダードで使用することができます。そう、ティーチングコントロールがスタンダードに帰ってきたのです!   とはいえ、その枚数は控えめで2枚となっています。今のスタンダードには《神秘の指導》を超えるドロースペルがありますからね。   そう、《星間航路の助言》です。2ターン目に除去を探すために打ったり、ゲーム後半ではキッカーで唱えて10枚以上の中から2枚を探すなど、状況に応じて打ち方を変えられる素晴らしい呪文です。 《失せろ》や《稲妻のらせん》など優秀な単体除去や、《喝破》《三歩先》といった強力な打ち消し呪文で低マナ域は構成されており、コントロール好きなら大満足のラインナップです。 ここまでの顔ぶれはジェスカイですが、このデッキは《神秘の指導》のフラッシュバックのために黒を入れています。それなら黒を使わないともったいないですよね。そこで採用されているのが《不可避の敗北》です。 土地以外のパーマネントを追放し、更に3点ドレインのオマケまでついている4マナのインスタント。さすが3色を使う除去なだけあって破格の性能ですが、色が悪くてこれまでは使われることはありませんでした。   3点ゲインはコントロールには非常に嬉しく、プレイし続けるだけで勝手にこちらが有利になるすごい除去です。世が世なら《包囲サイ》クラスの活躍をしていたかもしれません。それぐらいのポテンシャルを秘めています。 当然このカードも《神秘の指導》で探すことができます。 そして《神秘の指導》で引っ張ってこれる必殺技枠は《ジェスカイの啓示》!ジェスカイの根本原理と言われるほど能力を詰め込んだこのカードもインスタント。しかも本体に飛ばすことができるので、たとえ話でもなんでもなく、除去を打ってるだけで勝手に勝ってしまうのがこのデッキなのです。 《稲妻のらせん》含めて除去の多くにはゲインがついており、ビートダウンに対しては高い耐性を持っています。コントロールにも《神秘の指導》のアドバンテージ量で勝つことができ、理論上は最強のデッキかもしれません。 コントロールフリークの皆様はぜひお試しください。     コスモジャンド パイオニアリーグ : 5-0 By xfile MTGアリーナ用インポートデータ ジャンドカラーと言えば、赤緑黒で構成されたミッドレンジ。ミッドレンジとは除去と質の高いクリーチャーで守る中速のデッキで、その中でも手札破壊を使う黒、質の高いクリーチャーの緑、攻めと守りを兼ね備えたアドバンテージ源《血編み髪のエルフ》を使うジャンドカラーがスタンダードでは定番でした。 このミッドレンジ戦略は大流行し、下環境でも猛威を振るいました。軽いカードだけで構成された中速デッキは序盤からアグロには隙がなく、コントロールにも手札破壊とクリーチャーによるビートダウンで勝つことができ、サイドボード後は不要なカードが有効牌に変わることから、不利マッチがとても少ないデッキとなり、モダンでもジャンドは親しまれていました。   モダンでは《稲妻》《思考囲い》《タルモゴイフ》によってジャンドは成立していました。質の高い除去・手札破壊・クリーチャー。ミッドレンジに必要なものはそれだけです。 そしてパイオニアでもミッドレンジは最強であり続けました。ミッドレンジを1枚で体現したカード《鏡割りの寓話》と最強の手札破壊《思考囲い》、そして環境屈指の除去である《致命的な一押し》を使うラクドスミッドレンジです。そんなラクドスに今回久しぶりに緑が加わりました。   その緑のカードとは『久遠の終端』で注目されていた1枚、《コスモゴイフ》!まさかミッドレンジにゴイフが戻ってくる日が来るとは。懐かしさに目頭が熱くなります。 《コスモゴイフ》は《タルモゴイフ》とは真逆で、墓地ではなく追放領域を参照します。自分がオーナーの追放領域にあるカードの数だけパワーとタフネスが上がるゴイフなので、普通に使うだけではただの2マナ0/1です。   しかしご安心してください。このデッキには実にたくさんの追放手段があります。   まずは《墓地の侵入者》。戦場に出た時と殴るたびにどんどん追放領域にカードを溜めていけます。相手の墓地を追放しても無意味なのは少し残念ポイント。 一方《黄金牙、タシグル》は探査を持つ4/5クリーチャー。かつてはミッドレンジの多くに採用されていたカードですが、今回は探査によって追放領域にカードを送り込めることから再注目されました。1マナで出せば5枚を追放できるので、《コスモゴイフ》は一瞬で5/6に膨れ上がります。 そしてなんといっても《悪魔の取り引き》! ライブラリーの上13枚のカードを追放し、その後好きなカードを手札に加えられる。ちょっと変わったサーチ呪文です。先にライブラリーを13枚を追放するので、コンボデッキで使う場合は少しリスクがあるというデザインになっています。   なんとこのカードを打った瞬間に《コスモゴイフ》は13/14と宇宙のようなサイズに!《悪魔の取り引き》でそのまま《コスモゴイフ》をサーチしても良いですし、《コスモゴイフ》が既に殴れているのなら、瞬殺カードを持ってこれます。   それが《ティムールの激闘》。クリーチャーに二段攻撃とトランプルを付与してくれるので、《コスモゴイフ》が突然13/14二段攻撃トランプルとなって相手に襲い掛かるのです! コンボ時以外は腐りがちな《ティムールの激闘》をデッキに入れることができるのは《悪魔の取り引き》のおかげです。強力なサーチ呪文によってこのプランが成立しています。 それ以外のカードはミッドレンジ然とした除去と手札破壊でまとまっており、《コスモゴイフ》も攻防で活躍するクリーチャーなので、《ティムールの激闘》が入っているとはいえ、戦い方はミッドレンジそのものです。   ミッドレンジが好きな方もコンボ好きにもオススメのコスモジャンド、お試しあれ。   白トロン モダンリーグ : 5-0 By kenon 《ウルザの塔》《ウルザの鉱山》《ウルザの魔力炉》。3種の土地を揃えることで7マナ出るぶっとんだ土地。 これらの土地を揃えて大量のマナを出すデッキ、通称ウルザトロン。《森の占術》がスタンダードにやってきた『ミラディン』で一気に人気が爆発し、《歯と爪》を打つ緑トロンから、ドローでトロンを揃えて大量のマナでコントロールする青トロンなど、様々なトロンがスタンダードから下フォーマットまで誕生しました。 モダンでも緑トロンや無色トロンが今も現役で活躍していますが、今回紹介するのはそんなトロン業界に殴り込みにやってきた新たな色。   それが白トロンです!   さあ白いトロン、君は何をやってくれるんだ?早速見てみると、他のトロンにはないメリットがありますね。   そう、単体除去です。青トロンも無色トロンもクリーチャーを除去するのがとにかく苦手で、《コジレックの命令》に頼っていましたが、白トロンなら《孤独》を4枚採用できます。 《冥途灯りの行進》は1~2ターン目から打てる除去で、トロンが苦手とする序盤をしっかりと制してくれます。 全体除去も白ならお手の物。万能除去である《神の怒り》に加えて《空の怒り》も入っています。エネルギーを溜めて《空の怒り》を2マナで打つのが本来の使い方ですが、このデッキでは大量のマナを支払って《空の怒り》を大きく唱えます。たくさんのマナを出せるトロンならではの荒業ですね。 白いトロンはドローが不足してしまいがち。《一つの指輪》を失ってかなり心配ではあるものの、ラインナップを見てみるとそれが杞憂であることがわかります。 《大いなる創造者、カーン》はサイドボードの好きなカードにアクセスできる万能カード。「サイドボードの数だけ忠誠値があるようなもの」と言われていますがまさにその通り。除去から墓地対策、《三なる宝球》などの妨害カードまでなんでも揃っています。 そして《嵐の目、ウギン》もドローできるプレインズウォーカー。除去も兼ねており、このカードの存在は、リソースが枯れやすい白トロンにとっては本当に大きいはず。オルゾフなど一部のデッキには《嵐の目、ウギン》を出しただけでもゲームに勝ててしまうでしょう。 《コジレックの命令》《嵐の目、ウギン》《大いなる創造者、カーン》の無色3種のおかげで、最早どのカラーのトロンもリソースを稼ぐのは簡単になりましたね。黒トロンが出てきたのも納得です。 白トロンは、トロンが苦手な序盤のカードにアプローチしやすいのが優秀で、しっかり弱点を克服しています。新たな色のトロンを組むなら、まず長所と短所を意識したいですね。トロンは揃った時の爆発力も重要ですが、どう揃えるか、揃わなかった時にどうするかが肝心。   もしかしたら悩みどころをすべて解決する赤トロンが現れたりなんてこともあるのかも?

BMO2連戦!チームモダンとスペシャル予選のお話

Modern Standard ピックアップ

2025.08.13

mtg Yuyan

こんにちは。   細川 侑也(@yuyan_mtg)です。   先週末はBIG MAGICさん主催のBIG MAGIC OPEN、略してBMOが行われていました!   メインイベントのレガシーには参加しませんでしたが、チームモダン、そして2日目はチャンピオンズカップファイナルスペシャル予選と、併催イベントに参加してきました!   今回はそれぞれの使用デッキのお話を簡単にしていきたいと思います。   チームメンバー  昨年は7-1、7-1、6-2と個人成績はすさまじかったのに、勝ち星が噛み合わずにトップ8に残れなかったチームモダン。   昨年の雪辱を晴らすべく、今回は新たな仲間たちとチームを結成しました。   僕がマジックを始めた頃にもう現役のプレイヤーで、同じ師匠を持つ、いわば兄弟子のような存在であるまんたろうさん。   最近なぜかほぼすべての海外遠征で顔を見ているITTEKIさん。   まんたろうさんは前回のモダン神挑戦者決定戦でサムワイズを使用し、神への挑戦権を獲得したプレイヤー。モダンに精通しており、モダンで行われたプロツアー・バルセロナにも一緒に行きました。今回もサムワイズで良いだろうと1か月以上前から話していました。 ITTEKIさんはというと、マジック復帰直後にエネルギーを使ってモダンの地域CSの直前予選を抜け、その後はなんだかんだ毎回地域CSに出場し続けています。エネルギーを長く使っているので、そのままエネルギーを使ってもらう予定でした。 「また直前になったらデッキの話をしましょう」とチーム結成と同時に話し、そこからちょくちょくモダンの話をしながら、しかしデッキについては全く決めないまま、1週間前を迎えることになりました。   サムワイズについて  サムワイズは《サムワイズ・ギャムジー》《大釜の使い魔》サクり台の3種が揃うことで相手を瞬殺するクリーチャー主体のコンボデッキ。 《出産の儀》《召喚の調べ》で足りないクリーチャーを集めるので、この3枚コンボはよく揃います。 クリーチャー中心のコンボデッキはコンボが決まらなかった際に殴り勝てるのが魅力で、サムワイズも例に漏れずにビート戦略を持っています。《大釜の使い魔》と食物がコントロールに強いカードなので、ビートダウン性能は高めです。 とはいえ、今のモダンではお世辞にも勝っているとは言い難い状況です。   干渉手段が少ないゆえにエネルギーの《オセロットの群れ》《ナカティルの最下層民、アジャニ》《ゴブリンの砲撃》ラインが厳しかったり、除去から《火の怒りのタイタン、フレージ》の展開でも負けやすく、一番多そうなエネルギーに勝つ見込みが薄いと感じました。 次点で考えなければならないブリンク系デッキも《孤独》を何度も打ってくるのでやはりコンボ成立がしにくく、相手の《ベイルマークの大主》《溌剌の牧羊犬、フィリア》のアドバンテージ源に干渉する術が少ない。 上位2つにそこまで有利になる要素がなかったので、サムワイズの使用には反対でした。   僕が使用する予定だったアミュレットタイタンで《溜め込み屋のアウフ》《耐え抜くもの、母聖樹》を使いたいというのも、サムワイズを諦めてほしい理由でした。 エスパーブリンクを試す 同時に《量子の謎かけ屋》によって強くなったと噂のエスパーブリンクについてもITTEKIさんに試してもらうことに。 オルゾフブリンクと言えば強い2マナアクションが《溌剌の牧羊犬、フィリア》しかないことが問題でしたが、エスパーになって《超能力蛙》が入って解決……と思いきや、その《超能力蛙》が抜けて《量子の謎かけ屋》になったのが今のエスパーブリンク。 《量子の謎かけ屋》はワープで唱えて《儚い存在》《溌剌の牧羊犬、フィリア》で場に定着させられるので、非常に噛み合っているカード。とはいえ、2ターン目に唱えてもただの1ドローなので、実質3ターン目以降のカードです。   個人的には《量子の謎かけ屋》自体は強いと思いつつ、《超能力蛙》も入れるべきだと思いました。同じことをITTEKIさんも考えていたようで、《超能力蛙》《量子の謎かけ屋》両方が入ったエスパーブリンクを試してもらいました。 結論としては、悪くないデッキだったものの、まんたろうさんがもう1つの愛機、ディミーアマークタイドになったことで《超能力蛙》が使えなくなり諦めることに。   ちなみにエスパーブリンク自体はかなり良いデッキに感じました。序盤からの圧力、リソース、干渉手段すべてがしっかりと揃っていて、バランスが良くて好みです。   最近は《超能力蛙》《量子の謎かけ屋》をどちらも採用したエスパーブリンクが勝ってるみたいです。ITTEKIさんの調整は間違っていなかった!     デッキ編成 チームモダンではエネルギーに当たる確率は下がると考えました。普通のモダンの大会では一番多いエネルギーですが、まずチーム戦ということで確率は三分の一ですし、エネルギーがチーム内に確実にいるわけではありませんからね。 エネルギーは《火の怒りのタイタン、フレージ》を使うので、ジェスカイコントロールやドメインなど、他のデッキで使われる可能性もあります。 それならエネルギーに少し弱いデッキも肯定されるのではないかと考えました。そこでまんたろうさんのもう1つの愛機、ディミーアマークタイドを使ってもらうことになりました。 モダンのコンボデッキはそれぞれが専用カードを使うため、コンボ2人にもなりやすいと考え、それならコンボに強く、エネルギーに少し弱いディミーアマークタイドは、かなりチームモダン向きのデッキに思えました。   僕は事前の話し合い通り、アミュレットタイタンを使用することに。《ウルザの物語》を使うデッキの中で現状一番しっくりくるのがアミュレットタイタンでした。実際、モダンの三指に入る強さだと思います。 ITTEKIさんには「ボロスエネルギーで勝ってくれますね?」と聞くと自信を持って「勝ちます」と返事が来たのでエネルギーに。   こうしてボロスエネルギー・ディミーアマークタイド・アミュレットタイタンの王道構成で行くことが決まりました。   本戦結果 ×親和○×(マッチが終わる前にチーム負け)○ジェスカイコントロール○○×スゥルタイ眼魔×○(マッチが終わる前にチーム負け)○ディミーアミル○×○○ディミーアミル○○○青単ベルチャー×○○○4色コントロール○○   というわけで個人5-0-2、チームは5-2でした。順位は2敗の1番下で当然ノープライズ。無念。   今回は座る位置がとにかく悪かったです。ディミーアマークタイドのまんたろうさんを真ん中に置いていましたが、エルドラージに複数回当たるなど、僕が当たりたい相手に当たってしまっていました。一人が相性の悪いマッチを踏むと、必然的に自分の前にも相性の悪い相手が来る確率が高く、実際この日は不利マッチばかり当たり続けました。 スゥルタイ眼魔、ディミーアミル、ベルチャーなど青くてそこそこ速い相手が多く、これらはアミュレットが最も苦手としているところ。とはいえデッキパワーで勝ててしまうのだからアミュレットの恐ろしさも再認識しましたね。 座る位置が逆なら全勝してもおかしくなかったのですが、これもチーム戦あるあるなのでやむなし。浜松町から月島まで行き、もんじゃを食べて帰宅しました。   個人戦は負けても自分だけなのでぼっち飯になることがありますが、チーム戦はメンバー全員が負けるので、一緒にご飯に行けて良いですね。   スペシャル予選:4色弾薬 さて、切り替えて翌日のスペシャル予選です。こちらはイゼット大釜が強すぎると噂のスタンダード。使用したのは……4色弾薬です! 別にイゼット大釜に大きく有利なデッキではありませんが、面白すぎるので使いました。   少し珍しい一部のカードだけ説明します。 《探偵鞄》 《再利用隔室》で3マナを生け贄にして持ってくるカードとして採用しました。使い終わった《編まれた網》などを生け贄にして手がかりを2つ得られて、その手がかりや飛行機械トークンを生け贄に《薄暮薔薇の聖遺》などの1マナのカードをサーチできますし、手がかりで2ドローしても良いです。   生み出す飛行機械トークンも、飛行クロックの厳しいこのデッキでは強く、生け贄には困らないので、ちょうど良いカードだと思い採用しました。実際かなりライフを守ってくれましたね。   《世界歩きの兜》 ほぼ毎回テキストを説明していました。   アーティファクト・トークンが生成されるときに、一緒に地図トークンが出るというアーティファクトです。《武器製造》で弾薬が生成されるときに地図も出るので、一気にアーティファクトが戦場に溢れます。   そのため《魔列車》と相性が良く、通常は勝つために弾薬が4個ほど必要ですが、《世界歩きの兜》で地図が出る状態なら、少ない弾薬だけで勝てます。《魔列車》が10/10を超えるサイズになってくれるからです。   アーティファクトトークンもコピーできるので、ゴーレムや弾薬を追加で作ったり、《探偵鞄》の飛行機械トークンを生み出したりなど、様々な役割があります。   《編まれた網》 2マナ域を生け贄にして3マナのカードを出す際に、《ピナクルの星檻》《危険な罠》と除去は択がある一方、盤面が更地の状態でとりあえず出しておくカードがないことが気になりました。2枚目の《再利用隔室》でも良いのですが、次のターンに場が不利になる可能性もあり、保険のカードをサーチしておきたかったのです。   そこで《編まれた網》を入れることにしました。3ターンの間相手の攻撃を防ぎつつ、最終的にはリソースに代わってくれます。先出しできる除去のようなもので、まさに僕が求めている性能でした。   3枚目の《噴水港》 このデッキの《噴水港》はほぼ《Library of Alexandria》です。弾薬トークンをはじめ大量にトークンが出ますからね。   弾薬を生け贄にする手段は基本的には《再利用隔室》《軍団の成形機械》とそこからサーチする《魔列車》。ですが《武器製造》と生け贄手段の両方を毎ゲーム引けるわけではありません。《武器製造》と適当なアーティファクトだけでキープすることも多く、弾薬を持て余す展開があります。   《噴水港》があれば弾薬を生け贄にして干渉しつつドローも進められるので、《噴水港》は常に置いておきたいカードです。そこで24枚目の土地として3枚目の《噴水港》を採用することにしました。下手なスペルを入れるよりよっぽど強いカードです。   大会結果 ×グルール×○×○アゾリウスアーティファクト×○○○ボロスバーン○○×イゼット大釜××○ジェスカイコントロール○×○○ディミーアミッドレンジ○○○ディミーアミッドレンジ○○ 初戦からグルール相手に大ポカ。そしてイゼット大釜にもかなりミスって負け。ディミーアミッドレンジの2連戦は相性差だけで勝利し、4色弾薬のポテンシャルの高さは感じました。 とはいえ、イゼット大釜との戦いはさほど有利とは言い難く、同時に他の心配材料も増えました。   それがイゼット大釜に有効な《無効》が環境に増えてきていることです。 《逸失への恐怖》《プロフトの映像記憶》《アガサの魂の大釜》と当たる対象の多い《無効》は今イゼット大釜対策として注目され始めており、イゼット大釜でも採用枚数が増えています。その《無効》がとんでもないぐらい効いてしまうのが4色弾薬です。イゼット大釜流行のあおりを4色弾薬も受けているのです。 実際この日、すべての青いデッキから《無効》が飛んできたと思います。僕自身も《無効》を3枚採用していましたし、今後《無効》の枚数は増える一方だと思いました。 イゼット大釜側が《無効》を3枚採用してきたらお世辞にも相性が良いとは言えなくなります。これはかなり不安要素……   そんな思いを抱きつつ、翌日のCard Potで行われるスペシャル予選に空きができていたので、急いで予約を完了させたのでした。   Card Potで使用したデッキについてはデッキガイドを書きますので、乞うご期待!   4色弾薬の記事はまだ書くか迷っています。希望者がいれば書こうと思いますので、良かったら僕のXアカウント(@yuyan_mtg)に記事希望とリプライを飛ばしてください!

【今週のピックアップデッキ】4色弾薬/エスパースピリット/ナヤスケープシフト

週刊 Modern Pioneer Standard ピックアップ

2025.08.08

mtg Yuyan

こんにちは。   細川 侑也(@yuyan_mtg)です。   今週のピックアップデッキでは、ちょっと珍しいデッキを、軽い解説を交えて紹介していきます。   紹介デッキ 4色弾薬 エスパースピリット ナヤスケープシフト   4色弾薬  スタンダードチャレンジ : 2位 By CuteChandra19 MTGアリーナ用インポートデータ 早速パイオニアでも活躍している《武器製造》がついにスタンダードで暴れ始めました。 トークンでないアーティファクトが戦場に出るたびに弾薬を生成する2マナのエンチャント、《武器製造》。これが主役となるのが4色弾薬です。   弾薬はアーティファクト・トークンで、戦場から離れた時に好きな対象に2点のダメージを与えてくれます。墓地に置かれた時ではないので、たとえば《ピナクルの星檻》などで追放されても2点のダメージを飛ばすことができます。 この弾薬を効率的に生成しつつ、有効活用できるのが《再利用隔室》。アーティファクトを生け贄にし、それよりマナ総量が1大きいアーティファクトをデッキからサーチできます。弾薬を生け贄に捧げれば1マナのカードを探せるので、ダメージを飛ばしつつ、万能除去の《薄暮薔薇の聖遺》や、墓地対策の《除霊用掃除機》、そしてリソースを獲得できる《機械仕掛けの打楽器奏者》と、状況に応じて様々なカードにアクセスします。そしてこれらのカードが出ると、また弾薬が生成されます。 《機械仕掛けの打楽器奏者》は次のターンに《再利用隔室》で生け贄にすれば、ライブラリートップをプレイできつつ、2マナのカードにアクセスできる便利なカード。そしてこの2マナも粒ぞろいです。 アーティファクトを生け贄に成長する《煌く機械ドレイク》は、弾薬トークンなどを生け贄にして戦うこのデッキと相性抜群。自身が大きくなりながら2点を飛ばすので、思わぬ打点を叩き出してゲームを終わらせてくれます。 そして第二の弾薬の使い道である《軍団の成形機械》も2マナのアーティファクト。戦場に出た時に2点を飛ばすアーティファクトで、他のアーティファクトを生け贄にすると3/3のゴーレムを生成します。弾薬を生け贄にしてゴーレム生成と、弾薬を美味しく使えるのです。 『久遠の終端』から加わった注目のコモン、《氷魔法の秘宝》はこのデッキと相性抜群です。《再利用隔室》から出して1枚引きつつ、《再利用隔室》で生け贄にしてもう1枚ドローと、1枚で2度美味しいカード。これまでは1点喰らいながら1ドローしていましたからね。 面白いのは唯一の4マナ域であるアーティファクト、《魔列車》の採用です。このカードが入ったことで一気にこのデッキは引き締まりました。弾薬を能動的に生け贄にできつつ、高いクロックを持つ《魔列車》は、《再利用隔室》から最終的にサーチするカード。スタートが4/4トランプルなので、複数枚の弾薬がある状態で《魔列車》が攻撃すればあっという間にゲームが終わります。 たとえば弾薬が4つある状態なら8/8の《魔列車》に弾薬4つで8点。これだけで16点が確定します。更に他にも使っていないアーティファクトがあるはずなので、それらも生け贄に捧げれば、優に20点を超えるのです。   《武器製造》に《軍団の成形機械》、そして《再利用隔室》からの除去サーチなど、このデッキは自分の動きをして場をウィンコンディションに持っていく過程で相手にしっかり干渉していきます。そのため、アグロに対してある程度耐性があり、かつミッドレンジにも《再利用隔室》のバリューで勝利することができます。 回していてとても面白いデッキなので、ガチャガチャとデッキを回すのが好きな方はぜひお試しください!     エスパースピリット パイオニアリーグ : 5-0 By ViniBuzo MTGアリーナ用インポートデータ 主戦場はパイオニアとなっている種族、スピリット。メインカラーの青白2色で組まれることもあれば、展開力を《集合した中隊》で補うバント型など、3色にもなることのあるスピリットですが、今回ご紹介するのはそんな3色の中でも黒を足したもの。 そう、エスパースピリットです。   とはいってもベースはこれまでのスピリットと変わりません。《霊廟の放浪者》から始まり、名誉スピリット(?)の《マネドリ》、2マナ域には除去を避ける《鎖鳴らし》とロードである《至高の幻影》。3マナは呪文を追放しつつクロックを刻む《呪文捕らえ》。パイオニアの戦場を生き残った優秀なスピリットたちです。(スピリットが生命を持っているかはさておき) そこに加わった黒要素は《策謀の予見者、ラフィーン》!エスパーパルへリオンからミッドレンジなど幅広く使われていた名カードがスピリットに加わりました。 これまでのスピリットでは《執着的探訪》などリソースを取るオーラが採用されていたことがありますが、単体除去に弱すぎました。しかし、《策謀の予見者、ラフィーン》なら話は別です。引きすぎた土地や不要牌を捨ててスピリットを強化する動きは強烈です。 自身に護法がついているのも実にいやらしいですね。除去に多くマナを使わせることで2アクション、つまり除去の二段構えを封じれば、《呪文捕らえ》が突き刺さってくれます。それらの上から《策謀の予見者、ラフィーン》を除去しようとすれば更に1マナがかかるので、対処は困難です。 そしてもう1つの黒いカードが《悪夢滅ぼし、魁渡》です。 そう、実は《悪夢滅ぼし、魁渡》はスピリット…ではありません。忍者です。ですがスピリットと《悪夢滅ぼし、魁渡》の相性は悪くありません。   忍術はクリーチャーがブロックされなかった時に起動できる能力なので、飛行クリーチャーであるスピリットは忍術しやすく、1マナクリーチャーたちは再キャストが容易です。《マネドリ》は《悪夢滅ぼし、魁渡》の忍術で手札に戻して別のクリーチャーのコピーになれるのも強力ですね。 そして《鎖鳴らし》は再利用すれば相手にプレッシャーを与えられますし、場合によっては《呪文捕らえ》を拾うパターンもあります。   《策謀の予見者、ラフィーン》と《悪夢滅ぼし、魁渡》はいずれもドロー能力を持っているのがスピリットとしては実に嬉しいですね。打ち消しや追加のクロックなど、今必要なものを求めにいけるようになりました。   最近では《放浪皇》を入れるなどミッドレンジ風に進化してきたスピリットですが、ここに来てエスパー型が登場したのは面白いですね。 パイオニアの古株でありながら、スピリットはまだ進化を続けているのでした。   ナヤスケープシフト モダンゴールドリーグ : 5-0 By Meltiin 土地を生け贄に捧げてその枚数だけ好きな土地をデッキから場に出す。エクステンデッドの頃から様々なコンボデッキで使われてきた《風景の変容》。 6枚の《山》と《溶鉄の尖峰、ヴァラクート》をサーチすることで《溶鉄の尖峰、ヴァラクート》が6回誘発し、18点ダメージを叩き出す。そのため《風景の変容》は1枚で勝てるコンボカードであり、エクステンデッドやモダンでは《溶鉄の尖峰、ヴァラクート》とずっと一緒に使われていました。 それから時が経ち、土地を7枚並べるという行為がモダンでは遅すぎるがゆえに《風景の変容》は《溶鉄の尖峰、ヴァラクート》と別れ、《精力の護符》と出会いました。《精力の護符》と《風景の変容》は4枚の土地で勝利できるので、それも当然のこと。《風景の変容》はアミュレットに組み込まれ、今猛威を振るっています。 そんな《風景の変容》が再び《溶鉄の尖峰、ヴァラクート》とタッグを組むことになりました。 デッキ自体は古き良きスケープシフトです。6枚の《山》と《溶鉄の尖峰、ヴァラクート》を《風景の変容》でサーチして勝つためには、7枚の土地がまず必要です。普通に土地を置いていくとこのコンボを決めるためには7ターンかかってしまうので、それを大幅に短縮するために、大量の土地サーチが入っています。   《カルニの心臓の探検》は3個のカウンターが乗っていると土地を2枚戦場に出せるエンチャント。上陸でカウンターが乗っていくので、フェッチランドを使えばすぐに土地サーチに移れます。 《風景の変容》は7枚の土地が必要ですが、使うマナは4マナで良いのがミソ。つまり4マナある状態で《カルニの心臓の探検》を起動して2枚の土地をタップインし、何らかの手段でもう1枚土地を置けば、その時点でコンボが決まるのです。7マナではなく7枚の土地があれば良いので、想像よりもコンボターンは早め。   《イリーシア木立のドライアド》はこのデッキのためのカードです。追加のセットランドに加えて、土地がすべて《山》になるので、フェッチランドも《溶鉄の尖峰、ヴァラクート》もすべて《山》になります。これが何を意味するかというと、《イリーシア木立のドライアド》下では《風景の変容》によって即死させるために必要な土地の枚数が1枚減るのです。 《溶鉄の尖峰、ヴァラクート》の誘発条件は《山》6枚。《溶鉄の尖峰、ヴァラクート》自身が《山》なら5枚の土地と《溶鉄の尖峰、ヴァラクート》で18点が叩き出せます。 更に《風景の変容》を引いていない時でも、《イリーシア木立のドライアド》があり、《溶鉄の尖峰、ヴァラクート》を素引きしていれば、それだけで勝てます。2枚の《溶鉄の尖峰、ヴァラクート》がある状態でフェッチランドを置けば6点、サーチして土地を出して6点。追加セットランドでもう1回フェッチランドを置けば更に12点ですからね。 この《イリーシア木立のドライアド》をサーチできる《緑の太陽の頂点》は大きく、《ドライアドの東屋》をサーチしても良し、《エルフの開墾者》を持ってきて《溶鉄の尖峰、ヴァラクート》を先に置いて《イリーシア木立のドライアド》からの即死の準備もできます。 《風景の変容》自体はメインに3枚しか入っていませんが、それは《願い》が採用されているためです。これにより実質このデッキは《風景の変容》6枚体制となっており、かなり安定して《風景の変容》をキャストすることができます。 更にこの布陣に『久遠の終端』から加わったのが《氷耕しの探検家》。 追加セットランド権と墓地から土地を置ける《世界のるつぼ》能力を内蔵したこのクリーチャー。スケープシフトが考える最強のカードのようなものが本当に登場したのです。追加セットランドの権利がいくつあっても、手札に土地がなければ置くことはできません。それが《イリーシア木立のドライアド》が抱える弱点でしたが、《氷耕しの探検家》ならフェッチランドが1枚墓地に落ちているだけで、土地を置き続けることができます。 この《氷耕しの探検家》も《緑の太陽の頂点》でサーチできますし、このデッキはドロースペルこそ入っていませんが、かなり安定した動きが可能です。   《白蘭の幻影》のような土地破壊は効かないので、効果的なのは《血染めの月》《海の先駆け》だけ。しかし、土地をサーチするデッキなので色マナを確保しやすく、それらの月カードを対処するのも難しくありません。 モダンで《溶鉄の尖峰、ヴァラクート》が再び噴火する時が来ました!

BMO直前!チームモダンのデッキ編成について

Modern ピックアップ

2025.08.07

mtg Yuyan

こんにちは。   細川 侑也(@yuyan_mtg)です。   さあ、今週末はビッグマジックさん主催のBig Magic Openがありますね!メインイベントのレガシーと恒例のチームモダンが行われます。   チームモダンは1チーム3人で構成されます。3対3で戦い、2勝したチームの勝利となります。   同名カードを3人の内1人しか使用することができないという構築制限があり、プレイヤーAが《聖なる鋳造所》を使ったらプレイヤーBとCは《聖なる鋳造所》を使用できません。そのため、3人全員がボロスエネルギーを使えません。そのフォーマットで最も強いデッキを全員が選ぶことができないのが、チーム構築の面白いところです。 ということで今回は、現環境におけるモダンで最適解となるデッキの組み合わせをご紹介していきます。   モダンを定義するカードを探せ  「今の環境で最も強いデッキは何か?」その問いに答えるのは、フォーマットに精通していればさほど難しくはないでしょう。   しかし、最も強いカードは何かと聞かれると、簡単には答えられないのではないでしょうか?普段の構築戦では、このフォーマットで最強のカードについて考える機会はさほど多くありません。(新しいデッキを組む際に、最強のカードから構築するという手法はあります)   チーム構築のデッキを組むにあたって大事なのは、強いカードをいかにたくさん使うか、最上位のカードたちを使えるかだと僕は考えています。   そこで今回はモダンの強いカードランキングをご紹介していきます。   1位《火の怒りのタイタン、フレージ》 現モダン環境において最強のカードは何と言っても《火の怒りのタイタン、フレージ》です。 3点ゲイン+除去に加え、《栄光の闘技場》による一撃必殺など、ほぼ《自然の怒りのタイタン、ウーロ》、なんならウーロより強いとまで言われているこの恐ろしいクリーチャー。フェッチランド+諜報ランドが基本となるモダンでは諜報でぽろっと《火の怒りのタイタン、フレージ》が落ちてそのまま勝利なんてこともあります。この《火の怒りのタイタン、フレージ》をめぐって墓地対策を打ちあうほどで、ボロスエネルギーがたくさんの禁止を出してもメタゲームの最前線に居座ることができているのは、《火の怒りのタイタン、フレージ》が禁止にならないからです。   2位《ウルザの物語》 次に強いカードは《ウルザの物語》。 『モダンホライゾン2』から既に4年が経過していますが、それでもまだモダンで最強の一角でもある土地。土地から5/5ぐらいのサイズのトークンが2体出ながらカードをサーチするのはやはりおかしい。デッキによっては《ウルザの物語》だけで負けてしまうこともあるほど。   しかも《ウルザの物語》はルール変更によって強化されました。2章の状態で《血染めの月》などを置かれると、以前は能力を失って墓地に置かれましたが、今は戦場に残り、しかも2章のトークン生成能力を持ったままになります。これにより《ウルザの物語》の価値は上昇しました。   《オパールのモックス》が解禁されたのも《ウルザの物語》によっては追い風です。生成するトークンのサイズはアーティファクトの数に依存するため、《オパールのモックス》を使うアーティファクトデッキとの相性が良いのです。3章のサーチで《オパールのモックス》をサーチすれば《ウルザの物語》分のマナも補填できます。   3位《超能力蛙》/《コジレックの命令》 同率3位は《超能力蛙》と《コジレックの命令》。   いずれも『モダンホライゾン3』のカードたちです。《超能力蛙》はそのあまりの強さにディミーアをモダンのトップメタに押し上げたほどで、先手2ターン目に出てきた時の圧力はピカイチ。エネルギーにはブロッカーとして立ちはだかり、コンボ相手には不要なカードを捨てて速やかなクロックになりつつ、打ち消しを供給してくれます。 どのマッチにおいても活躍するスーパーカードで、《超能力蛙》をよく引くディミーアはトーナメントで優勝する可能性が高いと言われるほど。   そんな悪魔の蛙と肩を並べるのが《コジレックの命令》。 これまでインスタントタイミングのアクションも除去もドローも少なかったエルドラージが、突然そのすべてを手に入れました。墓地対策のオマケもつき、マナコストはなんと破格の2マナ+X。エルドラージは《ウギンの迷宮》《エルドラージの寺院》と、土地1枚から2マナを捻出できるため、速いターンにキャストすることができます。 以上が今のモダンにおけるトップ3(4枚)だと考えています。これらのカードをなるべく多く使用して、デッキを組んでいきましょう。   《火の怒りのタイタン、フレージ》デッキ 《火の怒りのタイタン、フレージ》を使うデッキとしてまず考えられるのはボロスエネルギーです。 モダンの王道にして最強のデッキ。《色めき立つ猛竜》《湧き出る源、ジェガンサ》《一つの指輪》を失ってもまだ強いとは実に恐ろしい。   《オセロットの群れ》は1マナ域ながら単体でゲームに勝利してしまうほどの強さを持つとんでもない猫。《魂の導き手》と組み合わせてライフレースを壊し、ゲームも壊します。かつて最強の1マナ域だった《敏捷なこそ泥、ラガバン》は、もはやこのデッキにおいては2番手3番手です。 妨害されなければ4ターンキルとそこそこ速いアグロでありながら、諜報ランドと《火の怒りのタイタン、フレージ》、そして《歴戦の紅蓮術士》《鏡割りの寓話》で中盤戦も強力と、様々なレンジで戦えるのが魅力的です。   赤白2色のためカードのかぶりも少なく、《火の怒りのタイタン、フレージ》を使うデッキとしてまず考えられるのがボロスエネルギーです。 ドメインズーも《火の怒りのタイタン、フレージ》を使う強力なデッキ。   《ギルドパクトの力線》+《ドラコの末裔》コンボを内蔵するビートダウンデッキで、回った時はボロスエネルギーをも凌ぐ破壊力を誇ります。 《力線の束縛》は万能除去、《頑固な否認》もコンボに対して強力で、ボロスエネルギーよりも対応力が高いデッキです。   5色ゆえにチーム戦に向かないと思われがちですが、入っているショックランドは《血の墓所》《聖なる鋳造所》《蒸気孔》《寺院の庭》なので、意外と他のデッキと共存できます。   ただ、他に青いデッキを入れる場合は《記憶への放逐》が使えないので、その点がネックですね。   《ウルザの物語》デッキ 《ウルザの物語》を使うデッキは比較的コンボが多め。その中でも繁殖鱗コンボは同時に《コジレックの命令》も使用できて、強いカードをたくさん使えてお得です。 《日を浴びる繁殖鱗》と《血の長の刃》による2枚コンボにエルドラージを組み合わせたこのデッキ。《コジレックの命令》はコンボを探しにいくもよし、《日を浴びる繁殖鱗》と《血の長の刃》で無限マナを決めた後のフィニッシャーとしても強く、このデッキのキーパーツです。 コンボ自体は最速3ターンキルで、《のたうつ蛹》《まばゆい肉掻き》によるエルドラージ軍団によるビートダウンもあり、それなりに多角的な攻めが可能。オススメのデッキの1つです。 アミュレットタイタンはモダンの最速コンボの一角。2ターンキルも可能な恐ろしいデッキです。   《ウルザの物語》以外のカードは緑関連のカード(《耐え抜くもの、母聖樹》や《溜め込み屋のアウフ》など)しか使わないため、チーム構築戦において優秀なデッキです。 《精力の護符》を置いて《風景の変容》を打つだけで勝てるようになってしまったアミュレットタイタン。正しくプレイするのが難しいとされているデッキなので、ある程度の練習は必要ですが、一度物にすればしばらくアミュレットだけで飯が食えます。 親和は《ウルザの物語》《オパールのモックス》のペアを同時に使用できるデッキ。イゼットコーリもこの2種を使えますが、爆発力は親和の方が上です。 《河童の砲手》はモダンでもかなり触りづらく、2~3ターン目に出てくればそのままゲームが終わります。《ピナクルの特使》という相性の良いカードも登場し、そろそろ暴れてくれるかもしれませんね。   《超能力蛙》デッキ 超能力蛙デッキの代名詞と言えばディミーアマークタイド。というかこのデッキの主役は《濁浪の執政》ではなく《超能力蛙》な気がするのですが、どうしてデッキ名はディミーアマークタイドなのでしょうか。 青黒らしく大量の打ち消しと除去、そして少量のドローで構築されたデッキで、コンボに対しては特に高い勝率を誇ります。   トップメタであるエネルギー、そして《火の怒りのタイタン、フレージ》こそ苦手なものの、それ以外の弱点はさほどなく、強力なデッキです。 《御霊の復讐》で《偉大なる統一者、アトラクサ》を吊り上げるリアニメイトデッキ、エスパー御霊。《偉大なる統一者、アトラクサ》を墓地に落とす目的で入っている、いわゆる共鳴者枠の《超能力蛙》は、共鳴者としてはあまりに強すぎます。 リアニメイトは墓地対策で簡単に止められてしまいますが、《超能力蛙》+打ち消しか除去のフェアプランでサイド後は戦うことができ、《超能力蛙》はエスパー御霊で最も強いカードなのです。   《御霊の復讐》で釣った《偉大なる統一者、アトラクサ》を明滅させる目的で採用されている《儚い存在》は、《量子の謎かけ屋》が加わったことで対象が広がりました。《儚い存在》のバリューが更に上がったこのリストは中々オススメです。   《コジレックの命令》デッキ 繁殖鱗コンボを除けば《コジレックの命令》を使うのはやはりこのデッキしかありません。   《ウギンの迷宮》《エルドラージの寺院》で2ターン目にX=2で打つこともでき、《衝動のタリスマン》が絡めばX=3で2ターン目にドローとトークン3体を生成。3ターン目にして8マナを確保できます。 その爆発力はコンボデッキも真っ青になるレベルです。   《記憶への放逐》というキラーカードこそ環境に存在していますが、それでもモダンの最上位たちと肩を並べる存在です。   上位カードを使わない強力なデッキ モダンはどのデッキも強く、上位のカードたちを使わない強力なデッキがいくつもあります。 ベルチャーはその中でも随一と言って良いでしょう。カードのかぶりも《記憶への放逐》以外はほぼ心配いりません。チーム戦において大変優秀なデッキですね。 両面土地を並べて《ゴブリンの放火砲》を起動するだけ…と非常に簡単そうに見えるデッキですが、実は難しく、練習が必要です。回った時は相手のカードを打ち消しながら4ターン目に《ゴブリンの放火砲》起動と、最強のデッキに見えます。   《記憶への放逐》を使ってしまうので青いデッキはベルチャーだけになってしまうでしょうが、逆に言えば2人が青くなければ、最後の1人はベルチャーがオススメですね。 《溌剌の牧羊犬、フィリア》《ベイルマークの大主》擁するオルゾフ・エスパーブリンクもまた、上位カードを使わずに組める強いデッキです。   《溌剌の牧羊犬、フィリア》で《ベイルマークの大主》を明滅させてアドバンテージを稼いでいき、《孤独》で盤面に触れたり、《ちらつき鬼火》で妨害したりなど、速度こそさほどありませんが、粘り強く戦って相手を倒すデッキです。 エスパーブリンクは《超能力蛙》か《量子の謎かけ屋》のどちらかが入っているのが最近の流行です。《超能力蛙》も使えば強いカードも使えてちょっとお得ですね。《量子の謎かけ屋》は前述のエスパー御霊でも採用されている《儚い存在》シナジーを仕込めますね。   組み合わせサンプル 最後に、まとめとして構築サンプルをご紹介します!   サンプルA ボロスエネルギーディミーアマークタイドエルドラージ サンプルB ドメインズー繁殖鱗コンボオルゾフブリンク サンプルC ボロスエネルギーエスパー御霊アミュレットタイタン サンプルD ・サンプルDボロスエネルギー繁殖鱗コンボベルチャー サンプルE ボロスエネルギー親和エルドラージ こうして見ると、《火の怒りのタイタン、フレージ》を使うデッキとしてはやはりボロスエネルギーは優秀ですね。《記憶への放逐》を使わなければドメインズーも大体のデッキに組み込むことができます。 《ウルザの物語》はほぼどの組み合わせにも入りますね。使わない選択肢はあまりないでしょう。 青いデッキを他に用意しないのであればベルチャーはかなり良いデッキです!   チーム戦のデッキに迷っている方はぜひ今回の記事を参考にしてみてください!

今夜もFFのデッキを紹介!ゴルガリドレッジ/イゼットビビ/マルドゥセフィロスエネルギー

Modern Pioneer Standard ピックアップ

2025.06.13

mtg Yuyan

こんにちは。   細川 侑也(@yuyan_mtg)です。   昨日に続いて本日も、ジックオンラインで結果を残したファイナルファンタジー入りのデッキたちをご紹介していきます!   紹介デッキ ゴルガリドレッジ(スタンダード) イゼットビビ(パイオニア) マルドゥセフィロスエネルギー(モダン)   ゴルガリドレッジ(スタンダード)  スタンダードリーグ : 5-0 By Atagomax MTGアリーナ用インポートデータ プロツアーで突然メタ外からトップ8に入賞し、話題をかっさらったゴルガリドレッジ。   自分のライブラリーを切削して墓地にカードを貯めていくデッキタイプのことを「ドレッジ」と呼ぶのですが、このゴルガリドレッジは切削によって、重いクリーチャーたちを軽くして唱えます。 《虚ろなる匪賊》《鞘破りの群れ》は墓地にあるクリーチャー・カードの数だけマナコストが軽くなるクリーチャーで、それぞれ最大で1マナで唱えることができます。《虚ろなる匪賊》は手札破壊のオマケ付きのため、連打するだけで相手は苦しくなっていきます。 そしてマナコストが軽くなるカードと噛み合うのが《豆の木をのぼれ》。《この町は狭すぎる》や《力線の束縛》などで不当に《豆の木をのぼれ》を誘発させることを脱法豆の木と僕は呼んでいるのですが、このデッキも脱法豆の木を行います。《虚ろなる匪賊》《鞘破りの群れ》を1マナで唱えて《豆の木をのぼれ》を誘発させ、盤面にクリーチャーをオーバーキル気味に叩きつけるのがこのデッキ。 そんな脱法豆の木カードが新たにファイナルファンタジーで加わりました!その名は《ダイヤウェポン》!! 《虚ろなる匪賊》《鞘破りの群れ》と違い2マナまでしか軽くなりませんが、その代わりにクリーチャー・カードだけでなくパーマネントの枚数だけ軽くなります。 切削で何が落ちるかは運次第。クリーチャーではなく土地が大量に落ちる場合も多々あるので、《ダイヤウェポン》の方が《虚ろなる匪賊》よりも軽く唱えられるケースも多々あります。   しかもなんと言っても強力なのはその能力!到達に加えて、戦闘によって《ダイヤウェポン》が受けるダメージを0にします。本体サイズも8/8で戦闘ダメージを受けないので、《心火の英雄》《多様な鼠》による二段攻撃も大半をシャットアウトしてくれます。 更にゴルガリドレッジはその足回りも強化されています。コストを踏み倒すために必須の切削手段として《町の歓迎者》が加わりました。 これまで1枚で大量に切削できるカードは《ベイルマークの大主》のみでした。デッキに《蓄え放題》を採用すると《虚ろなる匪賊》のマナコスト軽減確率が下がってしまいます。なるべくデッキにはクリーチャーだけを入れたいのです。 その点《町の歓迎者》はうってつけです。以前このデッキを使った時は「《サテュロスの道探し》がスタンダードに来てくれれば…」なんて思っていたのですが、まさか本当に来てくれるとは。   これにより2マナ域が4枚切削8枚体制となり、デッキは非常に安定しました。そして切削した後のフィニッシャーとしてもブロッカーとして頼もしい《ダイヤウェポン》が加わり、赤耐性も大幅に上昇。デッキパワーが非常に上がりました。 墓地への意識が薄くなったタイミングはゴルガリドレッジがチャンス!赤アグロ全盛期に《ダイヤウェポン》を叩きつけましょう!     イゼットビビ(パイオニア) パイオニアチャレンジ : 10位 By _Falcon_ MTGアリーナ用インポートデータ 「このデッキ、既視感あるな」   そう思った方が多いのではないでしょうか?いや、僕もです。   このデッキ、ほとんどスタンダードなんですよね。昨日紹介した占星ビビから《「占星術師」の天球儀》を抜いたようなデッキです。 パイオニアでも《迷える黒魔道士、ビビ》の強さは変わりません。というより、スタンダードよりキャントリップ呪文が1種類多いため、ビビの破壊力はむしろ増します。 《考慮》はカードを墓地に落とせるので、《選択》よりも強力ですね。《嵐追いの才能》の2章でカードを拾う際に、墓地に落ちるかライブラリーの下に行くかには大きな違いがあります。 他に異なるのはマナベース。《蒸気孔》が入っているのはやはり大きく、スタンダードのイゼット果敢が色事故を起こしやすいことから考えると、やはりショックランドを使えるのは大きすぎますね。 ただ、逆に言ってしまえば1種類のキャントリップとマナベース以外はこのデッキはスタンダード。このスタンダードライクなデッキがパイオニアチャレンジで4勝2敗できることがいかに恐ろしいか。   ビビの強さについては昨日も言及した通りです。キャントリップ呪文を打っていくことで大きくなり、ダメージが入り、カウンターが乗るので、1マナの呪文を唱えると使えるマナが1マナ増えます。4マナある状態でビビがいるなら、1マナのキャントリップを4回使用した後に4マナが生み出せて、更に1マナのカードを4連打できます。 つまり、理論上はビビとキャントリップ1枚だけで4ターンキルできる可能性があるということです。キャントリップでキャントリップを見つけ続ければ8回キャントリップを使用でき、本体に8点、ビビのパワーも8になりますからね。 もちろん実際にはこんなに都合よくキャントリップを引き込み続けることはできませんが、複数枚のキャントリップがある状態なら連鎖も現実的です。そういう意味では3種類目のキャントリップである《考慮》が使えるのはパイオニアバージョンの大きなメリットですね。 パイオニアでもこのデッキが出てきたことで、スタンダードのイゼットでもビビは採用するのが当たり前になってくるかもしれません。パイオニアで強いデッキがスタンダードで弱いはずがありませんからね。というかビビが除去される可能性のより高いパイオニアでビビが強いなら、スタンダードでもビビはとんでもない性能のはずです。   昨日も今日も紹介したリストは《迷える黒魔道士、ビビ》は3枚でしたが、生き残れば1枚で勝てる《迷える黒魔道士、ビビ》は4枚採用したいと個人的には思いました。手札に2枚目が腐っても場にビビが残っているならゲームに勝利しているのではないでしょうか?それぐらいビビは強力無比なクリーチャーに見えます。 ほぼスタンダードでもパイオニアで勝てるほど強いビビ、今度はどんなデッキで躍動するのでしょうか?今から楽しみです。   マルドゥセフィロスエネルギー(モダン) モダンリーグ : 5-0 By EL_Zanetti 『モダンホライゾン3』発売後ずっと人気のアーキタイプ、エネルギーアグロ。そこにファイナルファンタジーきっての人気キャラ、《威名のソルジャー、セフィロス》が採用されました。 《威名のソルジャー、セフィロス》は簡単に言えば《血の芸術家》を内蔵したクリーチャー。自分か相手のクリーチャーが死亡するたびに1点ドレインするので、攻守に渡って活躍します。《血の芸術家》が0/1だったことを考えると、たった1マナ増えるだけで3/3のボディになるのは、その時点で強力ですね。 しかも《威名のソルジャー、セフィロス》はただの《血の芸術家》ではありません。このターンに4体以上のクリーチャーが死亡していると《片翼の天使、セフィロス》に変身します。 4体のクリーチャー死亡は一見難しいように思えますが、死亡するクリーチャーが限定されていないのがミソ。自分と相手のクリーチャーが2体ずつ死亡しても変身するのです。   《ゴブリンの砲撃》を使えば自分のクリーチャー2体で相手のクリーチャー2体を除去し、即変身です。 そして変身後の《片翼の天使、セフィロス》も実に強力。本体サイズが5/5に加え、変身した際に紋章を獲得します。得る紋章は《威名のソルジャー、セフィロス》が持っていたドレイン能力なので、《片翼の天使、セフィロス》が死亡しても相手は1点ドレインを受け続けることになります。   サクリファイスに非常に長けているのがエネルギーデッキ。《オセロットの群れ》は大量のトークンを生み出し、《勝利の楽士》のトークンはエンド時に2体死亡。更に《ゴブリンの砲撃》と《ナカティルの最下層民、アジャニ》も《威名のソルジャー、セフィロス》の誘発を助けてくれます。 《黄泉帰る悪夢》も面白いカードです。《威名のソルジャー、セフィロス》を墓地から蘇生させつつ死亡誘発を1回満たせるので、《片翼の天使、セフィロス》への変身に一役買います。 これまで負け筋の1つだった全体除去の連打に対して《片翼の天使、セフィロス》の紋章は非常に大きく、全体除去連打+《火の怒りのタイタン、フレージ》対処によって落としていたコントロールに対して、新たな勝ちパターンが生まれました。 ボロスエネルギーの《勝利の楽士》には懐疑的でしたが、《威名のソルジャー、セフィロス》が採用されたこのリストであれば納得です。というよりマルドゥエネルギーの《勝利の楽士》はかなり強そうで、これからもセットで採用されるのではないでしょうか。 《威名のソルジャー、セフィロス》によってライフゲインができるため、《オセロットの群れ》の誘発を達成しやすいのもポイント。《オセロットの群れ》には《魂の導き手》が必須で、それゆえにエネルギーという形を保っていましたが、《威名のソルジャー、セフィロス》があるならばもしかしたらエネルギーである必要は最早ないのかもしれません。 白黒系の新たなサクリファイスデッキが誕生するのでは?そんな予感すらさせてくれるのが《勝利の楽士》と《威名のソルジャー、セフィロス》です。

MTG×FFがついにオンラインで実装!スタンダードとモダンからFFを使ったデッキをピックアップ!

Modern Standard ピックアップ

2025.06.12

mtg Yuyan

こんにちは。 細川 侑也(@yuyan_mtg)です。 ついに「マジック:ザ・ギャザリング――FINAL FANTASY」がMTGアリーナ、そしてマジックオンラインでも実装されました!! というわけで本日は、早速マジックオンラインで結果を残したファイナルファンタジー入りのデッキたちをご紹介していきます!   紹介デッキ 占星ビビ(スタンダード) アゾリウスコントロール(スタンダード) ジャンドリディアサーガ(モダン)   占星ビビ(スタンダード)  スタンダードリーグ : 5-0 By MJ_23 MTGアリーナ用インポートデータ 今セットで最強と言われているトップレア、《迷える黒魔道士、ビビ》。クリーチャーでない呪文を唱えるたびにプレイヤーにダメージを飛ばしながら自身が強化され、ビビのパワー分のマナを生み出すという、とんでもないクリーチャー。 既にスタンダードでは呪文を連発して打点を稼ぐイゼット果敢が最強のデッキとして君臨しており、そこにすんなり入る性能で、このリストはなんと《迷える黒魔道士、ビビ》以外のクリーチャーが1枚も採用されていません。   ビビによってイゼット果敢は手数を圧倒的に増やせるようになりました。これまでは《食糧補充》を打ったターンは1マナの追加アクションが関の山で、《嵐追いの才能》のレベルアップはターンパス、レベル3に到達することは稀でした。 しかし、ビビのおかげでその常識が覆ることとなりました。   ビビを出して生き残れば、返しのターンで4マナ+ビビ。《食糧補充》+1マナのアクションの後に更に2マナを使えますし、《コーリ鋼の短刀》+《食糧補充》なんて展開も。 ビビと《巨怪の怒り》のコンボも強烈です。0/4のビビが《巨怪の怒り》を打つだけでパワー4になるので、なんとあの《暗黒の儀式》を超えるマナ加速が可能となるのです。 《嵐追いの才能》のレベルアップもスムーズになりました。ビビが少し育てばレベルアップしたターンに《食糧補充》も打てるので、これまでゲーム中盤以降にしか機能しなかった《嵐追いの才能》が本格的にリソースカードになり始めたのです。   ビビのおかげでマナがたくさん使えるようになったので、個人的には《この町は狭すぎる》を入れて《嵐追いの才能》を出し直せる構成にしてみるのも面白そうだと思いました。 そしてビビともう1枚、忘れてはならないファイナルファンタジーの新カードがあります。   それが《「占星術師」の天球儀》です。 FFXIVの《「占星術師」の天球儀》は味方にバフを振りまきながらヒールもする、そんな器用なジョブの占星術師ですが、マジックではひたすら相手をブン殴るDPSになります。   クリーチャー以外の呪文を唱えるたびに+1/+1カウンターが乗る、いわゆるスーパー果敢を持つ装備品で、2ターン目に出した時のインパクトは《コーリ鋼の短刀》級です。クリーチャー以外の呪文によってさまざまなボーナスを得られるこのデッキには、《「占星術師」の天球儀》《コーリ鋼の短刀》《嵐追いの才能》と、実質クリーチャーのスペルが大量に入っており、引きムラが起きづらくなっています。 《「占星術師」の天球儀》がビビについた日にはもう大変なことになります。呪文を唱えるごとにカウンターが2つ乗っていくので、使い切れないマナを手に入れてしまいます。こうなったら《嵐追いの才能》のレベル3+スペル連打も現実的なものとなり、これまでのイゼット果敢にはない勝ち手段がこのデッキにはありますね。   日々進化を続けていくイゼット果敢ですが、《迷える黒魔道士、ビビ》と《「占星術師」の天球儀》によってまた一つ、新たなステージに上がったかもしれません。     アゾリウスコントロール(スタンダード) スタンダードリーグ : 5-0 By claudioh MTGアリーナ用インポートデータ 前環境でも地域CS準優勝を収め、イゼット果敢キラーとして活躍していたアゾリウスコントロールが、ファイナルファンタジーで大きく強化されました!   そう、《古代魔法「アルテマ」》によって。 現環境は《審判の日》や《別行動》など多種多様な全体除去がありますが、それらを押しのけて入るほど、《古代魔法「アルテマ」》は強力です。 まず全体除去を行ってターンを終了してしまうため、死亡時の能力は誘発しません。スタックに積まれた能力は《古代魔法「アルテマ」》のターンを終了する能力によって消えてしまうからです。   そして瞬速でクリーチャーを唱えることも許しません。全体除去を打ったらターン終了時に《永劫の好奇心》や《フェアリーの黒幕》が出てきて殴られ続けた、なんて経験があるでしょう。ターン終了時に動いてくる不届き者も《古代魔法「アルテマ」》は許しません。ターンを終了するので、打った後に相手は何もできませんし、《古代魔法「アルテマ」》にスタックして《フェアリーの黒幕》を出したら《古代魔法「アルテマ」》に巻き込まれてしまいますからね。 特に《永劫の好奇心》はアゾリウスコントロールが最も苦手とするカードでしたが、《古代魔法「アルテマ」》によってある程度克服されたと言って良いでしょう。   ターン終了時にクリーチャー化してくる《魂石の聖域》も防げるため、総じて《古代魔法「アルテマ」》はディミーアミッドレンジに強くなりました。 更に《古代魔法「アルテマ」》には他の全体除去にはないメリットがあります。そう、アーティファクトを壊せるという点です。   今のスタンダードで暴れているアーティファクトと言えば《コーリ鋼の短刀》です。 《審判の日》や《別行動》といった優秀な全体除去が控えめなのは、この《コーリ鋼の短刀》のためです。相手がキャントリップを連打して手札を維持しながらトークンを出してくるのに、そのトークンをこちらが除去するなんてばからしいですからね。 これまでは《別行動》でトークンを流しつつ、リソース減を打ち消すか、《一時的封鎖》で《コーリ鋼の短刀》を追放するのが基本となっていました。 しかし、《古代魔法「アルテマ」》のおかげで《コーリ鋼の短刀》対策は増えました。ただ打つだけで《コーリ鋼の短刀》を解決できるようになったのです。   《一時的封鎖》と異なり《古代魔法「アルテマ」》は《洪水の大口へ》も効きませんし、安心して打てる全体除去です。もちろん5マナと重いので、このリストには《一時的封鎖》も追加で採用されていますが、《古代魔法「アルテマ」》はやはり4枚です。 今後下フォーマット、特にパイオニアでは《古代魔法「アルテマ」》は活躍してくれそうです。アゾリウスコントロールがお好きな方は今の内に揃えておきましょう。   新環境はイゼットで決まりと思っていたら、アゾリウスコントロールが《古代魔法「アルテマ」》で支配していた……なんて未来もありそうです。   ジャンドリディアサーガ(モダン) モダンリーグ : 5-0 By Sanitoeter 最後はモダンから、新カードと新ルールで強くなったジャンドサーガをピックアップ!   新ルールですが、「マジック:ザ・ギャザリング――FINAL FANTASY」によって英雄譚のルールが変わりました。今回新たに登場した召喚が、英雄譚でもありクリーチャーでもあるという性質で、それに配慮するためにルール変更が行われたのです。 具体的に説明すると、これまでは英雄譚が伝承カウンターを持った状態で英雄譚能力を失った場合に、墓地に置かれていました。それが今回の変更で、墓地に置かれず戦場に残るようになったのです。   たとえば《血染めの月》や《広がりゆく海》によって《ウルザの物語》英雄譚ではなくなると、これまでは墓地に置かれましたが、今のルールでは戦場に残って《山》や《島》になります。 しかも、第1章で無色を生み出す能力、第2章のトークン生成能力を持っている《ウルザの物語》が《血染めの月》で《山》になると、無色を生み出し、トークン生成ができる《山》になります。 これは《ウルザの物語》を主軸に据えていたデッキにとっては非常に大きな変更で、1種類強力なカードが追加されたぐらいのインパクトがあります。   そんなルール上の恩恵を受けたのがジャンドサーガ。黒の手札破壊・除去を《レンと六番》と組み合わせ、《ウルザの物語》を何度も使って戦う、少しアグロ気味のミッドレンジです。 このジャンドサーガに新たに入ったのが《ミストの召喚士、リディア》。早速能力を見てみましょう。 《ミストの召喚士、リディア》には2つの能力があります。まず上陸するたびにカードを捨てて引くルーター能力。《レンと六番》で土地を手札に回収するため、ルーター能力とジャンドサーガは非常に相性が良く、それは《鏡割りの寓話》が証明しています。 もちろん《ミストの召喚士、リディア》が持つのはそれだけではありません。召喚士が行うことと言えば?そう、召喚です。 自身をタップして墓地から英雄譚を吊り上げる能力を持っています。本来であれば英雄譚クリーチャーである召喚を墓地から復活させるカードなのですが、モダンには最強の英雄譚カードがあります。   ええ、《ウルザの物語》です。 《ミストの召喚士、リディア》の能力は本来、吊り上げる英雄譚のマナ総量を支払う必要がありますが、《ウルザの物語》は土地なので、当然0マナです。タップするだけで墓地から《ウルザの物語》を再利用できてしまうのです。   最終カウンターが置かれるので《レンと六番》で再利用することこそできませんが、《レンと六番》と違い、手札ではなく直接場に戻すので、疑似的なマナ加速にもなりますし、単純に《ウルザの物語》を再利用する手段が4枚増えました。 前述のようにルーター能力も非常に便利で、《ミストの召喚士、リディア》はジャンドサーガにとても合ったカードだと思います。不要な土地を捨てて有効牌に変える手段が増えたので、《レンと六番》もより使いやすくなりました。   もちろん英雄譚を戻せるので、《鏡割りの寓話》も戻すことができます。しかも《鏡割りの寓話》は3章になった時に追放した後に変身して戦場に戻るので、最終カウンターが取り除かれて墓地に置かれます。無限《鏡割りの寓話》というわけです。 強くなった《ウルザの物語》に《鏡割りの寓話》と英雄譚たちを使い倒したいなら《ミストの召喚士、リディア》で決まりです!

【週刊メタゲーム通信】王者エネルギーがついにトップ8から姿を消す!繁殖鱗コンボが見事優勝

週刊 Modern ピックアップ

2025.06.03

mtg Yuyan

こんにちは。   細川 侑也(@yuyan_mtg)です。   先週末はインディアナポリスでスポットライトシリーズが開催されました。   フォーマットはモダン!地域CSの予選フォーマットでもあるモダンの最新に迫りましょう!   カナダ地域CS 優勝:繁殖鱗コンボ2位:エスパー御霊3位:エスパーブリンク4位:イゼット果敢5位:親和6位:オルゾフブリンク7位:オルゾフブリンク8位:ドメインズー   インディアナポリスで行われたスポットライトシリーズ、トップ8にはなんとボロスエネルギーの姿はなし! 本大会で一番人気となったボロスエネルギーでしたが、トップ8からは姿を消し、トップ16まで見てもマルドゥエネルギーは1枚のみと、エネルギーは本大会では勝ち切ることはできませんでした。   トップ32(4敗ライン)まで見てみるとボロスエネルギーの姿が多く、デッキパワーは高くともフェアデッキであることが、今回は悪い方に作用してしまいました。   ボロスエネルギーは上質なクリーチャーと除去、そして中盤戦を《歴戦の紅蓮術士》《鏡割りの寓話》で戦い、最終的には《火の怒りのタイタン、フレージ》でゲームセットという、非常に安定したデッキです。 どのデッキ相手にも戦えるミッドレンジに近いですが、殴るクリーチャーがすべて軽いため、ブン回りが存在するアグロがミッドレンジとしても戦えるといった表現の方が近いかもしれません。   今回はその安定感、いわゆる丸さが、4敗目を喫してしまった要因と言えます。モダンはどのデッキも圧倒的なブン回りや嵌めパターンが存在し、ボロスエネルギーは打ち消しも2~3ターンキルも存在しないため、そこに抗うことはできないのです。   さて、そんなエネルギー不在のトップ8から見事勝ち上がったのは繁殖鱗コンボ。   《日を浴びる繁殖鱗》に《血の長の刃》を装備すると、クリーチャーが死亡するたびに《日を浴びる繁殖鱗》の上にカウンターが乗ります。 《日を浴びる繁殖鱗》の上にカウンターが乗ると0/1の落とし子トークンが出るので、それを生け贄に捧げると《日を浴びる繁殖鱗》にカウンターが乗り……無限マナ&無限パワータフネスの《日を浴びる繁殖鱗》が出来上がります。 無限マナになった後は《コジレックの命令》でライブラリーを全部掘り、《歩行バリスタ》で勝つも良し。《のたうつ蛹》が既に戦場にいて攻撃できるなら、無限ループ中にこちらも無限のパワーを獲得しているので、殴って終了となります。 コンボパーツの片割れである《血の長の刃》を《ウルザの物語》でサーチでき、どちらも《古きものの活性》で探せるため、意外とこの2枚コンボは成立しやすく、またエルドラージアグロとしての側面を持っているため、コンボ以外の勝ち筋もあるのが魅力です。 コンボパーツを探せる《邪悪鳴らし》が入っているので墓地も超えやすく、エルドラージランプでもお馴染みの《約束された終末、エムラクール》も採用されています。コンボに対して除去を抜けないサイド後は、むしろ除去を腐らせて《約束された終末、エムラクール》勝ちが本線になりそうです。 エルドラージは前述の《古きものの活性》に加えて《コジレックの命令》があり、ライブラリーから特定のカードを引き込むことに長けています。そのため、繁殖鱗のような瞬殺コンボとの相性は良好なのです。 繁殖鱗コンボは緑単であることがほとんどですが、優勝したリストはサイドに《紅蓮地獄》を採用しています。除去の薄いデッキなのでボロスエネルギーの《オセロットの群れ》《魂の導き手》に触れづらく、これらを無視しているとあっという間に《ゴブリンの砲撃》で負けてしまいます。そこで、横並びされたクリーチャーを一層できる《紅蓮地獄》を採用しているというわけです。 《大いなる創造者、カーン》《石のような静寂》などがあると止まってしまう《血の長の刃》コンボですが、《オパールのモックス》を採用しているわけではないため、アーティファクトに対しての依存度はそこまで高くありません。 《日を浴びる繁殖鱗》自体が止まってしまう《鳴り渡る龍哮の征服者》はかなり厳しいでしょうが、アーティファクト対策がさほど刺さらないのは嬉しいですね。 繁殖鱗コンボは数が決して多いとは言えないデッキですが、9位にも入賞しており、本大会一番の勝ち組でした! さて、今回トップ8の内最多勢力となったのはオルゾフブリンク。《ベイルマークの大主》《溌剌の牧羊犬、フィリア》を活用しはクリーチャー主体のミッドレンジで、対クリーチャーデッキに対して圧倒的な相性を誇ります。 トップ4のエスパーブリンクの同タイプのアーキタイプとなっており、苦手なエルドラージ系に対して《記憶への放逐》だけをタッチするのがこれまでは一般的でしたが、先週あたりから登場したエスパーブリンクはメインから青いカードが採用されています。 それが《超能力蛙》です。これまでの2マナ域は《ベイルマークの大主》《溌剌の牧羊犬、フィリア》《骨の皇帝》と、どれも2ターン目のカードとしてはインパクトは弱めでした。 《ベイルマークの大主》は墓地からクリーチャーを拾うため、できれば自分のクリーチャーが除去された後に回収する目的で兆候したいカード。 《骨の皇帝》も墓地のクリーチャーを追放してリアニメイトするので2ターン目のカードではありません。 唯一2ターン目に出してもそこそこ強いのは《溌剌の牧羊犬、フィリア》ですが、ちらつかせるカードが大したことはなく、2マナ域の弱さはオルゾフブリンクの課題でした。 それを解決したのが《超能力蛙》。モダンでも屈指の2マナ域である《超能力蛙》を採用したことで、従来のオルゾフブリンクに比べて圧倒的にプレッシャーが増しました。   《超能力蛙》を採用したことで使いやすくなったのが《新たな夜明け、ケトラモーズ》。《大祖始の遺産》で大量のカードを引ける《新たな夜明け、ケトラモーズ》ですが、盤面に影響を与えない《大祖始の遺産》以外では《溌剌の牧羊犬、フィリア》《孤独》《儚い存在》でしかカードが引けず、《新たな夜明け、ケトラモーズ》を持て余す展開もありました。 そこで《超能力蛙》が活きます。墓地からカードを追放して飛行を付与するとカードを引けるので、《新たな夜明け、ケトラモーズ》がかなり運用しやすくなったのです。   絶対に場に残せないクリーチャーである《超能力蛙》ですが、除去されてもこのデッキでは《ベイルマークの大主》で拾えるので、他のデッキから出てくる《超能力蛙》よりうっとうしいでしょう。 速度が必要なマッチでは《思考囲い》《超能力蛙》で妨害しながら素早く殴りきることもでき、従来のオルゾフブリンクにはない勝ち筋もあります。 オルゾフブリンク自体はエネルギーなどのクリーチャーデッキに強い一方、アミュレットをはじめコンボには苦戦を強いられます。これからもクリーチャーデッキはモダンで活躍するでしょうから、オルゾフブリンクがメタの上位から落ちることはないでしょう。 エスパーブリンクと同様、先週あたりから急に流行の兆しを見せているのがこのアゾリウス親和。本大会でもトップ8入賞を果たし、その実力が本物であることを示しました。   アーティファクト1つにつきコストが軽くなる親和能力を持つのは《思考の監視者》《物読み》の2ドロー組。レガシーでは8castと呼ばれているデッキで、このアゾリウス親和はさしずめモダン版8castと言ったところです。 1ドローになる《ミシュラのガラクタ》、マナ加速の《オパールのモックス》、便利な除去である《ポータブル・ホール》と様々なアーティファクトを出して親和コストに当てつつ、《思考の監視者》《物読み》で引いたカードを連打して物量で押し切るのが親和の戦い方です。 《ミシュラのガラクタ》《オパールのモックス》と入っていれば当然《湖に潜む者、エムリー》は入ります。生き残れば《ミシュラのガラクタ》を使い回してリソースを供給し続け、《モックス・アンバー》からもマナが出せるようになります。 《オパールのモックス》《モックス・アンバー》の並びを見れば次に思い浮かぶのは《知りたがりの学徒、タミヨウ》。当然4枚採用されています。こちらも攻撃で手がかりを生み出すリソース獲得手段でありながら、手がかりはアーティファクトなので親和も稼げて、様々な役割がある素晴らしいクリーチャーです。 攻めを担うのは《ウルザの物語》。このデッキはアーティファクト主体なのでとにかく《ウルザの物語》のサイズが凄まじい!《影槍》と《ウルザの物語》だけで勝ててしまうこともあるほど。 《ウルザの物語》3章で《溶岩拍車のブーツ》をサーチして、速攻で2体の構築物で殴ることもあります。土地なのに1枚で勝ててしまう《ウルザの物語》を最も活用できるのがこのアゾリウス親和です。 《河童の砲手》も忘れてはならないカード。アーティファクトをタップしてコストが軽くなり、ひとたび戦場に出ればあっという間に成長します。アーティファクトが戦場に出るとサイズが上がると共にブロックされなくなるため、実質ブロック不可のクリーチャーで、大体《河童の砲手》が出て2回殴れば勝利です。 しかも護法(4)という凄まじい除去耐性があり、ほぼ呪禁のようなものです。頑張って《孤独》をピッチで唱えて4マナ支払うこともできますが、《金属の叱責》もあるので、中々《河童の砲手》を倒すのは厳しいでしょう。 《思考の監視者》《物読み》で手札を肥やし、展開しながら打ち消しを構えるアゾリウス親和は、回っている時はどんな相手にも強いのではないかと思ってしまうほど、圧倒的な強さです。アグロやコンボに対しても大きく不利がつくことなく、どの相手ともしっかり戦えるのは魅力ですね。 《大いなる創造者、カーン》《石のような静寂》《溶融》などのアーティファクトヘイトは非常に苦手ですが、《河童の砲手》はこのどれも引っかからないカードです。サイド後に対策カードを入れられるのは厳しいですが、決して相性が明確に不利になるというほどではないのです。 アーティファクト主体でありながら《記憶への放逐》が全くと言っていいほど効かないのもポイント。アーティファクト破壊程度ではアゾリウス親和は止まらないので、対策しようとするとしっかり専用カードを取ることになります。 今後は意識しなければならない相手となるでしょう。《大いなる創造者、カーン》を使えない方は《石のような静寂》《溜め込み屋のアウフ》をお忘れなく!

【今週のピックアップデッキ】ボロスモニュメント/ディミーアドラゴン/森林ギフト

週刊 Modern Pioneer Standard ピックアップ

2025.05.30

mtg Yuyan

こんにちは。 細川 侑也(@yuyan_mtg)です。 今週のピックアップデッキでは、ちょっと珍しいデッキを、軽い解説を交えて紹介していきます。   紹介デッキ ボロスモニュメント ディミーアドラゴン 森林ギフト   ボロスモニュメント  Standard RC Qualifier : 2位 By canepis16 MTGアリーナ用インポートデータ 実は少し前から各国の地域CSに現れ始めていたデッキ、ボロスモニュメント。今回マジックオンライン上での地域CS予選にて見事2位という快挙を成し遂げ、今注目を集めています。   その名の通り、このデッキは《忍耐の記念碑》を主軸に据えたミッドレンジ。とはいえ、その速度は中々のもの。 《忍耐の記念碑》はカードを捨てるたびにドロー、宝物生成、3点ルーズから好きなものを選べるアーティファクト。1ターンに各能力を1回ずつしか選べませんが、自分と相手のターンそれぞれで誘発させることができるので、3点ルーズの能力を使い続けるとあっという間に相手のライフは0になります。   とはいえ、カードを捨てるという行為は基本的にリソースを失うもの。そこでこのデッキの多くのディスカード手段は、カードが引けるものとなっています。   スタンダードから下環境まで大活躍の《逸失への恐怖》は、カードを捨てて引くクリーチャー。同じく《光砕く者、テルサ》も捨てた枚数分だけ引くカードなので、いずれも《忍耐の記念碑》でドローモードを選択することで、手札を減らすことはありません。 《光砕く者、テルサ》は一気に2枚捨てられるので、ドローと宝物を選択すれば、宝物分得をしたことになります。 《ファイレクシアのドラゴン・エンジン》は墓地から戦場に出ると、手札を捨てて3ドローします。もちろん手札が3枚あれば《忍耐の記念碑》でそれぞれの能力を誘発させつつ3ドローでき、このデッキでは非常に輝くことになります。 面白いのが《再稼働》との組み合わせです。《ファイレクシアのドラゴン・エンジン》は蘇生能力を持っており、通常この3ドロー能力は、蘇生時に誘発するものです。しかし、《再稼働》で墓地から吊り上げた際にも《ファイレクシアのドラゴン・エンジン》の3ドローが誘発してくれるのです。 《再稼働》はデッキのキーカードである《忍耐の記念碑》を出す手段としても便利ですね。もちろん、《光砕く者、テルサ》などの各種ディスカード手段を吊り上げても良しです。 捨てる手段に特化したクリーチャーである《新ベナリアの守護者》はカードを引くこそできませんが、ディスカードすることで自身に破壊不能を付与できます。最近は追放除去である《苦痛ある選定》はほとんど採用されていないので、非常に場持ちの良いカードです。 更に条件なくいつでも手札を捨てられるので、相手のターンでも気軽に《忍耐の記念碑》を誘発させることができます。とりあえず不要牌を1ドローに変えられますし、ライフを詰める状況なら3点ルーズを自分と相手のターンで使い続けられるので、あっという間に射程圏内までライフを落とせます。 このようにディスカード手段の多くが高品質なクリーチャーで構成されているので、ボロスモニュメントは分類上はビートダウンとなります。《忍耐の記念碑》を置いて各種クリーチャーを展開しながらカードを捨て、ライフを速やかに詰めていきます。   そしてこのデッキでもメインから4枚採用されているのが《魔道士封じのトカゲ》。デッキと噛み合うわけではありませんが、イゼット果敢を意識してのメイン4枚採用です。 《忍耐の記念碑》を置いた後はディスカードがメインになるので、あまり《魔道士封じのトカゲ》からダメージを受けないのは、ちょっとしたポイントです。   《幽霊による庇護》とは一応コンボにはなりますね。《魔道士封じのトカゲ》に《幽霊による庇護》をつけることで、能力によるダメージでもライフを得られるようになります。《幽霊による庇護》の付け先としては破壊不能を付与できる《新ベナリアの守護者》もいるので、このデッキは除去環境にもかかわらず、メインから気兼ねなく《幽霊による庇護》を4枚採用できるのです。 《洪水の大口へ》がなければ《幽霊による庇護》+《新ベナリアの守護者》の組み合わせはもっと鉄壁だったのですが、こればかりは仕方ありません。 《忍耐の記念碑》が面白いぐらいにチェインするデッキなので、少し変わった攻め方をするビートダウンがお好きな方なら、きっとボロスモニュメントを気に入ることでしょう!     ディミーアドラゴン パイオニアリーグ : 5-0 By Desert_24 MTGアリーナ用インポートデータ ドラゴンが活躍する次元、タルキール。久しぶりの再訪となったわけですが、以前のタルキール環境で活躍していたドラゴン、皆さんは最初に何が思い浮かびますか?   ランプの相棒だった《龍王アタルカ》でしょうか。 それとも《黄金牙、タシグル》のネックレスも衝撃的だった《龍王シルムガル》? 僕はまず《龍王オジュタイ》を思い出します。 アンタップ状態で呪禁を持ち、相手に戦闘ダメージを与えると《予期》。フルタップで出したターンは除去耐性があり、打ち消しを構えながら《龍王オジュタイ》で攻撃できるのがこのカードの強みでした。   《龍王オジュタイ》を主軸に据えたエスパードラゴンはスタンダードで大活躍していましたが、その一因としては、やはり《龍王オジュタイ》を守る打ち消し呪文が強力だったのもあるでしょう。   それが《シルムガルの嘲笑》です。 手札からドラゴンを公開することで《対抗呪文》になるこのインスタントは、龍王オジュタイ》とセットで使われ続けました。そしてこの《シルムガルの嘲笑》が、パイオニアで使われる日がついにやってきたのです。 そう、『タルキール:龍嵐録』で登場した2枚のコントロール向きのドラゴンたちと共に。   《マラング川の執政》はスタンダードの青いコントロールに欠かせないカード。前兆モードの3ドロー、1ディスカードと6/7で2枚バウンス、両方のモードが強力です。 そしてこのデッキに4枚採用されているドラゴンが《ゴミあさりの執政》。ドラゴン以外のすべてのクリーチャーに-X/-Xを与えるカードで、こちらもコントロール向きのカードです。本体も4マナ4/4飛行に、護法能力までついています。 この護法がディスカードというのも曲者。相手に護法を要求し、いざカードを捨てたら打ち消してしまえば、たまったものではありません。   《マラング川の執政》《ゴミあさりの執政》の2種類のドラゴンは、言うなればドローと全体除去。無理にフィニッシャーのドラゴンをデッキに入れることなく、《シルムガルの嘲笑》を4枚採用できるのです。 デッキ構築に制限のかからない《シルムガルの嘲笑》は《対抗呪文》そのもの。モダンでも一線級の活躍をしている《対抗呪文》をパイオニアで使えるのですから、一人だけズルをしているのと同じです。 相方の黒もモダン級のカード満載です。《致命的な一押し》《思考囲い》はパイオニアの黒を代表する2枚ですが、いずれもモダン級のカード。要するにこのデッキは実質モダンのコントロールデッキと言っても過言ではないのです! しかもモダンでは使えない《時を越えた探索》も使用できます。墓地を能動的に溜める手段がないので2枚しか採用されていませんが、それでも2マナで7枚を見て、ドロースペルと打ち消しを探し、その2枚を同ターン中に打つのは、《時を越えた探索》にしかできない芸当です。 まるで一つ下の環境のような動きができてしまうディミーアドラゴン。コントロール好きな方、特に《対抗呪文》がお好きならば使ってみましょう!   森林ギフト モダンリーグ : 5-0 By Jeppebc 全世界100万人はいると言われている(?)《王神の贈り物》ファンの皆様、モダンでまた《王神の贈り物》が活躍しています。 スタンダードでは墓地から吊り上げられたり、《来世への門》でデッキから突然出てきたりと、7マナを支払って戦場に出ることがさほどない《王神の贈り物》。このデッキではそもそも戦場にすら出ません。 それならどうやって《王神の贈り物》は活躍するのか?墓地にある《王神の贈り物》に《変容する森林》がなります。 《変容する森林》は昂揚状態の時に起動して墓地のパーマネントをコピーするカード。コピー先である《王神の贈り物》がアーティファクトなので、昂揚しやすいのが嬉しいですね。   その《変容する森林》を引くために入っているのが《邪悪鳴らし》《ウィザーブルームの命令》。いずれも切削しながら《変容する森林》を拾えるカードでありながら、昂揚を満たしつつ《王神の贈り物》を墓地に送れる、一石三鳥のカードです。 《王神の贈り物》によって追放するクリーチャーは定番の《残虐の執政官》と《穢すもの、ウラモグ》。 《残虐の執政官》は説明不要の強カード。本体のサイズはあまり関係ないので、《王神の贈り物》によって4/4に縮んでも問題ありません。速攻がつくので、戦場に出た時と攻撃時の能力が誘発し、《不屈の独創力》で出すよりも相手に壊滅的なダメージを与えられます。   《王神の贈り物》と実は相性の良いカードが《穢すもの、ウラモグ》。追放領域にある一番重いカード分のカウンターが乗るので、《王神の贈り物》で自身を追放すると、カウンターが10個乗ります。滅殺10は《引き裂かれし永劫、エムラクール》も裸足で逃げ出すレベル。 《変容する森林》《王神の贈り物》プランが防がれた時も安心。リアニメイトでお馴染みの《骨の皇帝》も採用されています。《血染めの月》などで《変容する森林》が対処されても安心というわけです。 とはいえ、《骨の皇帝》も《変容する森林》も墓地に依存するカード。墓地対策に弱いのはご愛嬌。サイド後の対策に対して強い《鏡割りの寓話》を採用したりするのも面白いかもしれませんね。 《頑強》を採用してリアニメイト色を更に強くすることもできますし、フェア・アンフェアどちらの方向にも調整できますし、これからが楽しみなデッキですね。 《変容する森林》を使うデッキも色々と増えてきており、《死の国からの脱出》のようにいつか爆発してくる予感がしています!

【今週のピックアップデッキ】黒単クレリックリアニ/シミック緑甲羅/ダイスファクトリー

週刊 Modern Pioneer Standard ピックアップ

2025.05.23

mtg Yuyan

こんにちは。 細川 侑也(@yuyan_mtg)です。 今週のピックアップデッキでは、ちょっと珍しいデッキを、軽い解説を交えて紹介していきます。   紹介デッキ 黒単クレリックリアニ シミック緑甲羅 ダイスファクトリー   黒単クレリックリアニ SCG CON Hartford RCQ : 6-2 By David Boucher MTGアリーナ用インポートデータ 墓地から巨大なファッティを吊り上げるリアニメイト戦略。最近では最強のリアニメイト先で《偉大なる統一者、アトラクサ》が登場したため、様々なフォーマットでリアニメイトデッキは存在しています。 しかし、今回ご紹介するリアニメイトには《偉大なる統一者、アトラクサ》は入っていません。そもそもこのリアニメイトは黒単色のデッキ。   しかもスタンダードで最も強力なリアニメイト呪文である《ゾンビ化》すら採用していないのです。 《ゾンビ化》の代わりに採用されているのは《ヴァルガヴォスの崇拝者》。1マナで出して4マナ起動で墓地からクリーチャーを吊り上げるため、1+4で5マナの《ゾンビ化》です。 《忘却の虚僧》も《ゾンビ化》を内蔵したクリーチャー。こちらはキッカーで墓地からクリーチャーを吊り上げられるので、6マナの《ゾンビ化》です。 ですが、そもそもこれらの重い《ゾンビ化》を使うぐらいなら、最初から4マナの《ゾンビ化》を使えば良いのでは?そう思った方も多いでしょう。   その疑問に答えてくれるのが《影の儀式の司祭》。他のクレリッククリーチャーを+1/+1するこのクリーチャーですが、実は《ヴァルガヴォスの崇拝者》も《忘却の虚僧》もクレリックなので、ロードの恩恵をしっかりと受けることができます。 そしてなんといっても《影の儀式の司祭》にはもう1つ、狭量な能力があります。他のクレリックを生け贄にすることでライブラリーから直接黒いクリーチャー・カードを戦場に出せるのです。   強いクリーチャーをリアニメイトするには、まず強いクリーチャー。そしてそれを落とす手段。最後に吊り上げる手段が必要となります。リアニメイトは下準備がかなり面倒なコンボです。しかし、《影の儀式の司祭》ならばそれらの準備は必要ありません。クレリックを用意し、マナを支払うだけで良いのです。 デッキから現れる黒いカードは《恐怖を喰うもの、ヴァルガヴォス》。非常に強い護法能力を持ち、除去するのは非常に困難。しかも生き残れば圧倒的な展開力を見せる、S級クリーチャーです。 この《恐怖を喰うもの、ヴァルガヴォス》を墓地から釣っても良し、《影の儀式の司祭》で直接出しても良しなのがこの黒単クレリックリアニなのです。   《影の儀式の司祭》はこのデッキの主役。リアニメイト、ロード、両方の能力をフル活用します。   上記の2種に加え、黒ミッドレンジでもお馴染みの《分派の説教者》も実はクレリック。3/5になれば更に硬くなりますし、《忘却の虚僧》の3/2絆魂も赤い相手に重宝します。 さて、デッキから《恐怖を喰うもの、ヴァルガヴォス》を出すには《影の儀式の司祭》がありますが、リアニメイトする際は一度墓地に落とさなければなりません。 《恐怖を喰うもの、ヴァルガヴォス》を墓地に落とす手段として、手札からは《ヴェールのリリアナ》や《苦々しい勝利》があります。いずれも除去を兼ねたディスカード手段で、リアニメイトとの相性は良好です。   良く考えられているのが《ベイルマークの大主》の採用です。 ライブラリーから直接《恐怖を喰うもの、ヴァルガヴォス》を落とせるだけでなく、リアニメイト手段である《ヴァルガヴォスの崇拝者》《忘却の虚僧》を墓地から拾うことができるのです。1枚でファッティを落としながら釣り竿を拾える。実質《納墓》+《再活性》なのです。 《恐怖を喰うもの、ヴァルガヴォス》で気持ちよくなりたい方はぜひこのデッキをお試しください!!     シミック緑甲羅 パイオニアリーグ : 5-0 By  laa11 MTGアリーナ用インポートデータ たびたびパイオニアで話題となる《肥えた緑甲羅》。 パワーよりタフネスの方が高いクリーチャーが戦場に出るたびにライブラリートップを見て、それが土地ならタップ状態で置き、それ以外なら手札に加えるという、シンプルにアドバンテージが取れるカード。《有翼の叡智、ナドゥ》のように土地がアンタップインだったらもっと使われているかもしれませんね。 このシミック緑甲羅は《肥えた緑甲羅》の能力を使い倒すことに特化したデッキ。   入っているクリーチャーのすべてがパワーよりタフネスの方が大きいのです。   《樹上の草食獣》《腹黒茸》は手札から土地を置ける能力。《肥えた緑甲羅》を早いターンに出せる便利なカードです。《腹黒茸》はドローもついていますね。 《金のガチョウ》に《断崖の見張り》まで入っているため、《肥えた緑甲羅》を4ターン目には出すことができるでしょう。とにかく早く《肥えた緑甲羅》を出して、能力を使い始めるのがこのデッキでは最重要です。《肥えた緑甲羅》が土地をめくっていき、次のターンにそれらの土地を使って更なる大量展開というのが勝ちパターンですからね。 少し見慣れないカードである《夢露の幻惑者》は、相手クリーチャーに麻痺を乗せる疑似的な除去としての使い道もあれば、自分のクリーチャーに麻痺を乗せて2ドローもできるので、場の状況や相手によって様々な使い方ができます。自身にも乗せられるため、2ドロー自体は難しくありません。 そして《玻璃池のミミック》。こちらは《肥えた緑甲羅》をコピーするのが主な役割です。《肥えた緑甲羅》が2枚になれば誘発も倍なので、あっという間に土地が増えて全体に修正が入って殴り勝てます。《肥えた緑甲羅》が1回戦場に出たらすぐに《玻璃池のミミック》でコピーしたいですね。 そんな《肥えた緑甲羅》をデッキ外から支えるのが《空を放浪するもの、ヨーリオン》!《肥えた緑甲羅》の誘発条件は、「タフネスがパワーよりも大きいクリーチャーがあなたのコントロール下で戦場に出るたび」なので、《空を放浪するもの、ヨーリオン》自身で誘発するのはもちろん、《空を放浪するもの、ヨーリオン》によって追放したクリーチャーたちでもそれぞれ誘発します。つまり3体のクリーチャーがいたら、《空を放浪するもの、ヨーリオン》+3体の4回、《肥えた緑甲羅》が誘発するのです。 このデッキの《空を放浪するもの、ヨーリオン》は超ハイバリューです。   更に最近はアゾリウス全知やアゾリウスコントロールなど、青系のデッキで活躍している《マラング川の執政》。こちらもタフネスの方が高く、《肥えた緑甲羅》が誘発します。 しかも戦場に出た時にパーマネントを戻す能力は自分のクリーチャーにも使えるので、《肥えた緑甲羅》誘発のためにクリーチャーを戻せます。《空を放浪するもの、ヨーリオン》を戻して《マラング川の執政》をブリンクさせて再利用……なんて使い方もでき、このデッキはとにかく《肥えた緑甲羅》をずっと誘発させ続けることに特化しています! その動きはさながらナドゥ!パイオニアで使える《有翼の叡智、ナドゥ》こと《肥えた緑甲羅》、味わってみませんか?   ダイスファクトリー モダンリーグ : 5-0 By  Zoza 知る人ぞ知るデッキ、ダイスファクトリーが最近密かにモダンで勝ち始めています。   ダイスファクトリーは無色のみで構成されたデッキ。キーカードである《地核搾り》を使って大量のマナを出して戦う、トロンに似た性質を持っています。実際に以前までのダイスファクトリーには《ウルザの塔》などが採用されていました。 どうやってマナを出すのか。それは《地核搾り》の能力を読めばわかります。タップすることでアーティファクトの上に蓄積カウンターを置く能力を使うのです。   蓄積カウンターを乗せることでどうマナが増えるのか?《霊体のヤギ角》と《永遠溢れの杯》がその答えです。これらのアーティファクトは、戦場に出るに際し支払ったX分の蓄積カウンターが置かれて、タップすることで蓄積カウンター分のマナが出ます。 普通に使えば《霊体のヤギ角》は3マナ払って設置して1マナを出し、《永遠溢れの杯》は2マナで1マナ。それぞれ少し弱いマナファクト相当のカードなのですが、《地核搾り》で蓄積カウンターを置けるので、マナの総量を増やせるのです。 《うねりの結節》も《地核搾り》と同じく蓄積カウンターを置くカードで、この2種類で《霊体のヤギ角》《永遠溢れの杯》を超マナアーティファクトにして戦うのがダイスファクトリーの基本戦術となります。 特に《地核搾り》は起動して1個、自身を生け贄に2個と、即座に3個の蓄積カウンターを溜められるので、トロンに近い速度でマナを増やしていくことができます。   以前はトロンランドが採用されていたスロットには《エルドラージの寺院》《ウギンの迷宮》の、エルドラージでもお馴染みの無色土地たちが採用されています。《エルドラージの寺院》を2マナランドとして使うために採用しているエルドラージは、定番の《運命を貪るもの》と、そして《まばゆい肉掻き》です。 無色の呪文を唱えるたびに落とし子を生み出す《まばゆい肉掻き》はこのデッキにはぴったり。《霊体のヤギ角》も《永遠溢れの杯》も蓄積カウンターさえいらなければ0マナで唱えられるので、2ターン目に《まばゆい肉掻き》を出してそのまま2体ほどトークンを作り、次のターンのアクションに備えるなんてことも可能です。   《ミシュラのガラクタ》《オパールのモックス》《永遠溢れの杯》《霊体のヤギ角》と大量に0マナアーティファクトを採用しているので、《まばゆい肉掻き》がとにかく強いデッキなのです。 そして0マナアーティファクトはフィニッシャーである《嵐の目、ウギン》とも嚙み合います。戦場に出たターンに0マナを並べて相手を更地にしつつ、《嵐の目、ウギン》の奥義を目指すのはわかりやすい勝ち手段です。 《嵐の目、ウギン》の加入はこのデッキにとって非常に大きいでしょう。《ウギンの迷宮》を採用するためには7マナ以上の無色のカードが2種必要になりますが、《運命を貪るもの》以外で7マナ以上の無色のカードはあまり選択肢がないのが実情です。《嵐の目、ウギン》は《ウギンの迷宮》で追放できる中で最高のフィニッシャーであり、ダイスファクトリー活躍のキーとなっています。 以前までのダイスファクトリーは大量のマナを使う手段が限られていましたが、このリストは《大いなる創造者、カーン》《嵐の目、ウギン》《コジレックの命令》と大量にあり、《まばゆい肉掻き》《神秘の炉》でライブラリーの上からカードをプレイしていくだけで勝てるイージーウィンも存在します。 ついにダイスファクトリーがモダンのトーナメントを脅かす日がきたのかもしれません!エルドラージがお好きな方はぜひ一度このダイスファクトリーもお試しください。

【デッキガイド】ナーセットでデッキが進化!ジェスカイカッター解説

Modern ピックアップ

2025.05.15

mtg Yuyan

こんにちは。   細川 侑也(@yuyan_mtg)です。 こんにちは!   本日は、Xでも要望の声が多かった、モダン神挑戦者決定戦で使用したジェスカイカッターの記事になります。   市川 ユウキ選手がMOCSを準優勝を果たし、今モダンで最もホットなデッキと言っても過言ではありません!   ご本人が執筆されたサイドボーディングガイド付きのnoteがついさっき公開されましたので、ぜひこちらもご覧ください。(記事はこちら)   目次 隆盛からナーセットへ 影のMVP《撤廃》 デッキの微調整 プレイ指南 サイドボーディングガイド 終わりに 隆盛からナーセットへ ジェスカイカッターは、以前にスペシャル予選を突破したジェスカイコーリ隆盛の進化版といった位置づけのデッキです。(記事はこちら) 基本的なコンセプトはあまり変わっておらず、《コーリ鋼の短刀》を2ターン目に誘発させるために0マナのアーティファクトとして《オパールのモックス》《モックス・アンバー》《ミシュラのガラクタ》、そしてそれらと相性の良い《湖に潜む者、エムリー》《知りたがりの学徒、タミヨウ》が入った、ジェスカイカラーのアーティファクト主体のデッキとなっています。 元々はイタリアのプロプレイヤーであるアンドレア・メングッチ選手がアップしていたリストで、特に「《ジェスカイの道師、ナーセット》が強い!」とのことだったので、少し懐疑的ではあったものの、試してみることにしました。 5-0 swiss RCQ Modern, but lost Quarters 😅 with Jeskai Ascendancy. Mox Opal is a good card. I will explore the archetype furthermore in future. #MTGModern pic.twitter.com/ftTjrKJwio — Andrea Mengucci (@Mengu09) May 3, 2025 そして《ジェスカイの道師、ナーセット》の素晴らしさにすぐに気が付きました。 以前まで4枚採用されていた《ジェスカイの隆盛》は《コーリ鋼の短刀》とくっつけばダメージソースになり、《湖に潜む者、エムリー》と組み合わせて無限コンボになるカード。とはいえ、どちらも引いていない状態ではルーター程度の役割しかありません。 そのルーターも、《コーリ鋼の短刀》で毎ターンカードを使っていくことから、手札がどんどん減っていってしまうため、際限なく行えるわけでもありません。 一方、《ジェスカイの道師、ナーセット》は出したターンにカードを3~4枚引きつつ、次のターンからも継続してリソースを供給し続けるとんでもないカードでした。   手札が減りやすいが、カード自体は非常に軽いというデッキの構造に合致しており、《ジェスカイの隆盛》より強い場面がとても多かったのです。   ここで多くの方がこんな疑問を抱くはずです。   ずばり「《ジェスカイの隆盛》じゃないと間に合わないコンボ相手もいるのではないか?」です。 もちろん《ジェスカイの隆盛》による速度勝負が必要なマッチは存在しますが、そういった相手に対しても《ジェスカイの道師、ナーセット》は強力です。早いターンに《ジェスカイの道師、ナーセット》でカードを引き続け、《コーリ鋼の短刀》で押し切ったり、サイド後はサイドカードを連打して勝利できるのです。 そもそも《ジェスカイの隆盛》の早期着地で勝てるパターンは《湖に潜む者、エムリー》がほぼ必須で、その2枚が揃って初めてコンボデッキ相手に《ジェスカイの隆盛》は機能します。一方、《ジェスカイの道師、ナーセット》は軽いすべてのカードとくっつきが良いので、デッキの動きが安定するのです。   ほぼすべての場面で《ジェスカイの道師、ナーセット》は《ジェスカイの隆盛》を上回るパフォーマンスを見せてくれたので、モダン神挑戦者決定戦はこのデッキで行くことに決めました。   影のMVP《撤廃》 そして《ジェスカイの道師、ナーセット》と一緒に採用されている《撤廃》もいぶし銀…というにはあまりに強すぎるカードで、とても感動しました。 まず《ジェスカイの道師、ナーセット》との相性の良さです。《オパールのモックス》《モックス・アンバー》を戻して《撤廃》でカードを引き、またモックスを唱え直すだけで、呪文カウントを稼げる上に、追加のドローで更にアクションを起こせます。そのため、モックスと《撤廃》しかない手札からターン終了時に《ジェスカイの道師、ナーセット》でお手軽に4ドローできてしまうのです。 《コーリ鋼の短刀》との相性の良さにも驚きました。果敢モンクが3体ほどいればモックスを戻して出し直して果敢を稼げますし、《撤廃》1枚で《コーリ鋼の短刀》の誘発条件も満たせます。 と自分のカードたちと相性が良い《撤廃》は、もちろんその本来の使い方であるバウンスによる妨害も非常に優秀です。   相手の《ウルザの物語》トークンや1マナ域、サイズが上がって火力では対処しづらいイゼット果敢のクリーチャー群などなど、《撤廃》で戻したい軽いカードはたくさんありますし、サイド後に置かれる《石のような静寂》《溜め込み屋のアウフ》なども戻せます。 自分のデッキとしっかり噛み合いつつ、サイド後のキラーカードに対する保険にもなる夢のようなカードで、《撤廃》を4枚採用したおかげで、《ジェスカイの道師、ナーセット》をデッキの核として据えることができているのです。 デッキの微調整とサイドボード解説 《ジェスカイの道師、ナーセット》は素晴らしかったものの、回していて好みでない部分がいくつかあったので、調整を行いました。 今回はモダン神挑戦者決定戦の後に調整した最新のリストをご紹介します。 ちなみにサイドボードが1枚余っていたので、ライブラリーアウト対策の《引き裂かれし永劫、エムラクール》を入れていますが、ここはお好みで変えてください。《アノールの焔》あたりが候補です。 ・《金属の叱責》を抜く 《ジェスカイの道師、ナーセット》を使う関係上、能動的なアクションのみで構成したいと考えました。エルドラージを打ち消すための《記憶への放逐》はサイドに必須ですが、少なくともメインボードにはなるべく入れたくなかったのです。   元々《金属の叱責》は嫌いなカードでした。このデッキはアーティファクト・トークンが出るわけではありませんし、0マナのアーティファクトの内7枚はモックスです。モックスは元々マナが出せるカードなので、《金属の叱責》の即席に使うことにさほどうまみはありません。   《コーリ鋼の短刀》はアーティファクトですが2マナのカードですし、《金属の叱責》の良さである「1~2ターン目から1マナで構えられる《マナ漏出》」という良さはこのデッキでは失われています。   そもそも強いカードでなく、更に《ジェスカイの道師、ナーセット》軸にしたことで更にデッキと合わなくなりました。3マナを払われてしまうことも多いですし、不要だと思っています。   ・《ウルザの物語》の4枚目 《ジェスカイの道師、ナーセット》が白赤青と要求値が高いこと、色マナがそもそもきついことなどから3枚に減らされていましたが、僕はこのデッキの《ウルザの物語》は4枚にすべきだと考えています。   まず《ウルザの物語》は単体でゲームプランになります。2ターン目、3ターン目と起動して《真髄の針》をサーチするのは青単ベルチャーに対する勝ち手段です。 色マナについても、第3章で《オパールのモックス》を持ってくれば好きなマナが出るので、実質無色のターンが少しあるだけです。《ジェスカイの道師、ナーセット》はしっかりと《ウルザの物語》から出せるのです。 そして《ウルザの物語》デッキの弱点である《血染めの月》《海の先駆け》がこのデッキにはサイドインしづらいのも、《ウルザの物語》を4枚にしたい理由です。 《オパールのモックス》《モックス・アンバー》であるこのデッキに、《ウルザの物語》のためだけに相手は月系をサイドインしたくないでしょう。そのため、サイド後も《ウルザの物語》を意気揚々と動かすことができるのです。もちろんサイドインされる場合もあるでしょうが、《コーリ鋼の短刀》で殴っている時に《血染めの月》を貼られて、こちらはモックスでノーダメージなんてことも多発します。   これらの理由から、《ウルザの物語》の4枚目は採用したいと考えました。   ・《感電破》 除去が《ポータブル・ホール》4枚とソーサリーに偏っているので、《感電破》を追加で1枚入れることにしました。   以前は《ポータブル・ホール》と《感電破》をスプリットして採用していましたが、《撤廃》を採用する以上は、相性を考慮して《ポータブル・ホール》を優先すべきだと思います。 《ポータブル・ホール》を《撤廃》で再利用する展開は意外と多いのです。たとえば序盤厳しい《敏捷なこそ泥、ラガバン》はブロッカーのある程度並んだ後半はどうでもよく、《撤廃》で回収して今度は《静牢》を追放なんてことがよく起きますからね。   そんなわけで今回は《感電破》が1枚となりました。インスタントが少ないとイゼット果敢などが厳しくなりますが、《撤廃》のおかげでそこまで気になりません。   ・《影槍》 イゼット果敢・ボロスエネルギーに強くなります。   メイン戦では《ウルザの物語》が割られる心配がまずないので、ビートダウン全般に対しては《ウルザの物語》2回起動からの《影槍》はそれだけで勝ち手段になります。 サイドボード後は《ウルザの物語》を割られる展開が多く、上記のプランは安定しません。そのため、採用するなら《影槍》はメインがオススメ。   特にイゼット果敢相手には《ウルザの物語》起動からの《影槍》がメインの勝ち筋です。《ウルザの物語》を4枚採用するなら《影槍》はぜひ入れておきたいですね。   ・《トーモッドの墓所》 これはHareruya Prosの平山くんが「《魂標ランタン》より《トーモッドの墓所》」と言っていて、その通りだと思い、モダン神後にいじりました。   《トーモッドの墓所》の利点はもちろん0マナであることです。このデッキは2ターン目の《コーリ鋼の短刀》、1ターン目の《湖に潜む者、エムリー》と0マナでアーティファクトを置けるバリューが高いデッキです。   もちろん《魂標ランタン》にもメリットがいくつかあります。まず1ドローできる点なのですが、僕はこのデッキを使っていて《魂標ランタン》を1ドローで使用したケースはほとんどありませんでした。 《火の怒りのタイタン、フレージ》を追放するのに便利なのも《魂標ランタン》の利点です。《火の怒りのタイタン、フレージ》は手札から出てきて、こちらのクリーチャーを除去し、墓地に落ちます。そのタイミングで《ウルザの物語》から《魂標ランタン》をサーチして《火の怒りのタイタン、フレージ》を追放し、その後相手の2枚目の《火の怒りのタイタン、フレージ》に睨みを利かせられるのです。 《トーモッドの墓所》は出した時は何もしてくれないので、《火の怒りのタイタン、フレージ》1枚を対処することしかできません。この点は大きく《魂標ランタン》に劣る部分です。   とはいえ、《トーモッドの墓所》で溜まった墓地を追放すれば《火の怒りのタイタン、フレージ》の2枚目の対策にもなりますし、それよりはデッキの動きにより合うカードを採用したいと思いました。   ・《オアリムの詠唱》 コンボデッキとエルドラージの両方に入れられるカードを探した結果、《オアリムの詠唱》に白羽の矢が立ちました。《儀礼的拒否》はエルドラージにしか入れられませんからね。《約束された終末、エムラクール》も阻止できる《オアリムの詠唱》は中々です。   《ジェスカイの道師、ナーセット》や《コーリ鋼の短刀》などでメインで動くので、相手のターンに構える際に軽い方がよく、《オアリムの詠唱》はその点でも素晴らしかったです。   ・《鞭打ち炎》 当初はエネルギーに対して効かない場面が多々あるので0枚にしていましたが、実は負けパターンの多くがテンポ負けか《オセロットの群れ》であることが判明したので、今は2枚に落ち着いています。 《ウルザの物語》トークン+《影槍》でダメージレースを先行していても突然覆してくるのが《オセロットの群れ》。1体ならどうでも良いですが、《魂の導き手》と同時に2体並ぶと全くライフを削れなくなり、3体目が出るとゲームセットになります。   《ジェスカイの道師、ナーセット》でどれだけ引いても解決しないので、一気に焼き切れる全体除去を入れた方が良いと思っています。せっかく《ジェスカイの道師、ナーセット》である程度引けるので、2枚入れる意味は十分にあります。 自分の構築物トークンが巻き込まれないので、《鞭打ち炎》の方が基本的には優れています。それ以外のマッチではまず入れません。   ちなみに僕は《鞭打ち炎》を持っていなかったので《紅蓮地獄》を使っていました。   ・《チャンドラの敗北》 速攻クリーチャーばかりのイゼット果敢に対して《ポータブル・ホール》4枚のため、よく除去を持ちながら敗北してしまいます。そのため、インスタントタイミングで除去できるカードをサイドボードに用意しました。   《変異原性の成長》を3/3の《ドラゴンの怒りの媒介者》や《僧院の速槍》に打たれることから考えると、生半可な火力では1枚で耐えられてしまいます。《チャンドラの敗北》は5点入るので、生き残るためには《変異原性の成長》+何か別のスペルを要求できるので、相手にかなりリソースを吐かせられます。   ・《火の怒りのタイタン、フレージ》 エネルギー相手の主なゲームプランの1つになります。   無色のカード多数、《島》と入っているこのデッキでは手札から唱えることも簡単ではありませんし、脱出は困難ですが、それでも採用しています。 《湖に潜む者、エムリー》で墓地が肥えるので脱出しやすく、《ジェスカイの道師、ナーセット》との相性も良いので、ゲームが長引けばすぐに脱出し、そこからは除去されても何度か連続で脱出でき、この繰り返し脱出可能な点が大きいのです。 《鳴り渡る龍哮の征服者》なんかも最近のエネルギーからは出てきますし、倒せると美味しい。   プレイ指南 基本的なデッキの回し方やマリガンについては、以前のジェスカイコーリ隆盛の記事と同様なので、こちらをご覧ください。   ・セットランドについて このデッキが最も難しいのがセットランドでしょう。3色デッキかつ《ウルザの物語》4枚と非常に色事故しやすいこのデッキ。初手にフェッチランド、《ウルザの物語》という手札がよく来ます。青赤を持ってくるべきか青白を持ってくるべきか、悩ましいですよね。 こういったケースでは大体の場合、青赤を持ってきます。1ターン目のアクションがなければもちろん《轟音の滝》ですね。2ターン目に《ウルザの物語》から《コーリ鋼の短刀》を置きたいというのが一番の理由です。 《コーリ鋼の短刀》を引いていない場合でもまずサーチしたいのは《轟音の滝》です。トップデッキする可能性が単純にありますしね。   青白を持ってくるケースは手札に《ポータブル・ホール》が既にある場合のみです。《コーリ鋼の短刀》の受け入れよりも《ポータブル・ホール》のキャストを優先するのは当然のことです。 結局《ウルザの物語》は最終的に《オパールのモックス》になるので、色マナ自体は揃います。そのためフェッチ《ウルザの物語》の手札をあまり悲観する必要はないのです。   ・《ミシュラのガラクタ》の使い方 《ミシュラのガラクタ》の小テクと言えば、フェッチランドを絡めた動きでしょう。 《ミシュラのガラクタ》を自分に起動し、それが不要牌だった場合はフェッチランドでリフレッシュしてからドローすると、実質疑似的な占術になります。 これは基本的にやり得ですが、《コーリ鋼の短刀》があるこのデッキでは1ターン目に《ミシュラのガラクタ》を唱えないケースもあります。そのため、一考の余地あり。 手札にモックスがあって《コーリ鋼の短刀》の誘発が確定しているならやってもいいでしょう。手札に《コーリ鋼の短刀》がない場合もやります。《コーリ鋼の短刀》を《ミシュラのガラクタ》で引けるかもしれませんからね。   手札に《コーリ鋼の短刀》《ミシュラのガラクタ》とあって他に0マナのカードがない場合には、フェッチガラクタはせず、2ターン目を迎えましょう。1ターン目を諜報ランドでパスしても全然OKです。   ・《撤廃》を上手く使おう 《コーリ鋼の短刀》と《撤廃》とモックスが揃うと打点がめちゃくちゃ伸びる時があります。 たとえば《コーリ鋼の短刀》、モンクトークン2体の場合は、《撤廃》でモックスを戻してモックスを出し直すだけで3/3×2、《コーリ鋼の短刀》のついた2/2で8点に。ドローが《撤廃》ならもう2回果敢が乗るので14点、その《撤廃》のドローがスペルなら17点です。 このように《撤廃》には夢があります。モックスから青マナが出る状態なら、《撤廃》モックスループには一切のマナがかからないので、とりあえず運試しぐらいの気持ちで打ってみるのも悪くありません。 《撤廃》で引いたカードが《撤廃》ではなかったとしても、たとえば《ジェスカイの道師、ナーセット》ならそのまま出して大量にカードを引けますし、《撤廃》が打点以外に繋がることもあります。   妨害カードという側面もある《撤廃》ですが、能動的に使う場合もこのデッキでは多いです。モックスを使って実質0マナで《撤廃》をプレイできる時はまず《撤廃》からいきましょう。   サイドボーディングガイド VSボロスエネルギー こちらが先手の時 +2《火の怒りのタイタン、フレージ》+2《鞭打ち炎》   -1《真髄の針》-1《トーモッドの墓所》-1《感電破》-1《ミシュラのガラクタ》 こちらが後手の時 +2《火の怒りのタイタン、フレージ》+2《鞭打ち炎》 -1《真髄の針》-1《トーモッドの墓所》-2《コーリ鋼の短刀》 《ジェスカイの道師、ナーセット》が入ってからは、リソース勝負がしやすくなり、盤面を除去しながら《コーリ鋼の短刀》でトークンを量産して勝てるようになりました。 サイドからは《火の怒りのタイタン、フレージ》を入れて、より長期戦を意識することになるのですが、相手からはエンチャント・アーティファクト破壊や《石のような静寂》などが飛んできます。そのため、リスクはありますが《ポータブル・ホール》は抜けません。 以前は《ジェスカイの隆盛》を抜いていましたが、考えを改めました。《鞭打ち炎》の項目でもお話したように、このマッチで負け筋となるのは《オセロットの群れ》です。ダメージレースを《魂の導き手》と《オセロットの群れ》で無にされてしまうので、《火の怒りのタイタン、フレージ》《ジェスカイの道師、ナーセット》が並んでも押し切られてしまいます。 《ジェスカイの道師、ナーセット》自体の場持ちはよく、カードを引けるけど《オセロットの群れ》の解決にならないという展開が多かったので、コンボが揃った瞬間に勝てる《ジェスカイの隆盛》はあった方が良いと思うようになりました。   《鞭打ち炎》と合わせて、《オセロットの群れ》を意識しています。   VSエルドラージ +4《記憶への放逐》+2《オアリムの詠唱》+2《損耗+摩耗》 -3《ポータブル・ホール》-1《影槍》-1《トーモッドの墓所》-1《真髄の針》-1《上天の呪文爆弾》-1《感電破》 《損耗+摩耗》は《楽園の拡散》とタリスマンを割る用です。《ポータブル・ホール》でも問題ないのですが、サイド後に《三なる宝球》などを置かれる可能性を考慮して、《損耗+摩耗》にしています。   VSイゼット果敢 +2《火の怒りのタイタン、フレージ》+2《チャンドラの敗北》   -1《真髄の針》-1《ジェスカイの隆盛》-2《ポータブル・ホール》 速攻クリーチャーが多いので《ポータブル・ホール》の信頼性はちょっと低めです。《感電破》も《変異原性の成長》で避けられてしまうため、一長一短ではありますが、サイドインする《火の怒りのタイタン、フレージ》がソーサリーの除去であることを考えて、《ポータブル・ホール》から抜いています。 このマッチは除去って《火の怒りのタイタン、フレージ》か《ジェスカイの道師、ナーセット》で爆発的なリソースを稼いで勝利することになります。《ジェスカイの隆盛》は不要。 《トーモッドの墓所》は昂揚を防いだり《溶岩の投げ矢》を追放したりと割と役割があります。   VSディミーアマークタイド +2《火の怒りのタイタン、フレージ》 -1《真髄の針》-1《感電破》 かなり相性の良いマッチです。《コーリ鋼の短刀》はもちろん、《ウルザの物語》だけで勝てたり、モックス連打からの《ジェスカイの道師、ナーセット》、《湖に潜む者、エムリー》が生き残っても勝てます。   《超能力蛙》に対して《ポータブル・ホール》4枚がとても頼もしいです。 《海の先駆け》を相手が入れていたら《感電破》を残しましょう。   VSアミュレットタイタン +4《記憶への放逐》+2《オアリムの詠唱》+2《損耗+摩耗》 -1《感電破》-1《影槍》-1《ジェスカイの隆盛》-1《ジェスカイの道師、ナーセット》-2《ポータブル・ホール》-1《トーモッドの墓所》-1《ウルザの物語》 《コーリ鋼の短刀》ビートしつつ相手の展開を妨害して差し切りましょう。   《ジェスカイの隆盛》を抜くのは意外だと思われるかもしれませんが、このマッチではスピード勝負を目指す必要はなく、相手への妨害を続けているだけで勝てます。こちらは妨害されにくい《コーリ鋼の短刀》でクロックを刻めますし、《ジェスカイの道師、ナーセット》も定着しますからね。妨害を続けていると勝てるので、速度勝負を挑まなくて良いのです。 むしろ、3マナのエンチャントを貼って《耐え抜くもの、母聖樹》《活性の力》を喰らうと目も当てられません。 《トーモッドの墓所》はメイン戦ではそれなりに機能します。メインでは《精力の護符》《洞窟探検》に触る手段が非常に少なく、《風景の変容》からコンボを決められることが多いですからね。《風景の変容》と土地4枚《精力の護符》からの無限パターンでは《事件現場の分析者》が必要になるので、《トーモッドの墓所》が刺さります。 《真髄の針》の指定は《トレイリア西部》にしましょう。   VS青単ベルチャー +2《記憶への放逐》+2《オアリムの詠唱》+2《損耗+摩耗》   -1《影槍》-3《ポータブル・ホール》-1《上天の呪文爆弾》-1《ジェスカイの隆盛》 《コーリ鋼の短刀》ビート+《真髄の針》で勝つことが多いです。こちらの妨害が豊富かつ多角的で、速度もあるので、結構有利です。 《睡蓮の花》を《撤廃》したりして遅らせている間にどんどん《コーリ鋼の短刀》でトークンを生み出して速やかに殴り切りましょう。   《トーモッドの墓所》は《現実の設計者、タメシ》負けを防ぐために必須です。   VSドメインズー +4《記憶への放逐》+2《摩耗+損耗》 -1《上天の呪文爆弾》-1《トーモッドの墓所》-1《真髄の針》-1《ジェスカイの隆盛》-1《感電破》-1《コーリ鋼の短刀》 《記憶への放逐》は《ドラコの末裔》と《力線の束縛》に効くので4枚入れてOKです。   最後の数点を《部族の炎》で負けないように、《影槍》は入れておくことをオススメします。抜くものがないので《コーリ鋼の短刀》を抜きましたが、この辺りは自由です。《ミシュラのガラクタ》を抜いてもOK。   VSルビーストーム +2《オアリムの詠唱》+1《損耗+摩耗》 -1《影槍》-1《真髄の針》-1《上天の呪文爆弾》 当然ながらめちゃくちゃきついです。妨害はあまりできません。《ルビーの大メダル》《モンスーンの魔道士、ラル》を出してターンが帰ってきた時のために《ポータブル・ホール》を抜けません。   《コーリ鋼の短刀》で速やかに殴り勝つか、《ジェスカイの隆盛》でコンボを決めるのみ。《ジェスカイの道師、ナーセット》でどんどん引いて急いで勝ちにいきましょう。   VSオルゾフブリンク +4《記憶への放逐》+2《火の怒りのタイタン、フレージ》   -1《トーモッドの墓所》-1《影槍》-4《ポータブル・ホール》 《記憶への放逐》を《名誉回復》として使います。《溌剌の牧羊犬、フィリア》や《ちらつき鬼火》でカードが戻ってくる際の誘発型能力を打ち消しましょう。 後は《ジェスカイの道師、ナーセット》のリソース量と《火の怒りのタイタン、フレージ》に期待するのみです。   VSジェスカイカッターミラー +2《火の怒りのタイタン、フレージ》+2《損耗+摩耗》   -1《影槍》-1《真髄の針》-1《上天の呪文爆弾》-1《知りたがりの学徒、タミヨウ》 《ジェスカイの道師、ナーセット》や《コーリ鋼の短刀》など、片方だけに出ればそれだけでゲームに勝つカードが大量にあります。基本はいずれかの定着を目指し、速やかにに勝ちましょう。   《湖に潜む者、エムリー》が《ポータブル・ホール》で死なないので割と処理しづらいです。《火の怒りのタイタン、フレージ》でしっかり除去しましょう。   《湖に潜む者、エムリー》が除去されにくいので《ジェスカイの隆盛》で無限コンボを決めるチャンスはそれなりにあります。 一度墓地に落ちた《火の怒りのタイタン、フレージ》に触る手段がないのは危険なので《トーモッドの墓所》はサイド後も残しています。《湖に潜む者、エムリー》にも一応効くので悪くはありません。 変身しても《ポータブル・ホール》で処理されてしまうのを嫌って《知りたがりの学徒、タミヨウ》を1枚減らしています。他にあまりに抜くものがないので仕方ありません。実は61枚の方が良いのかも?   終わりに 《ジェスカイの道師、ナーセット》が入ったことでこのデッキは間違いなく一段階強くなりました。 とにかく《ジェスカイの道師、ナーセット》というカードが強すぎる!《撤廃》との相性もバッチリで、ジェスカイカッターは《コーリ鋼の短刀》を最も上手く使えるデッキかなと思います。 モダンの予選シーズンはまだまだありますので、デッキにお困りの方はぜひジェスカイカッターを使ってみてください。   また、冒頭でも少し触れましたが、ジェスカイカッターについてもっと詳しく知りたい方は、日本のプロ市川 ユウキ選手のnoteがちょうどさっき公開されたので、ぜひ読んでみてください。(記事はこちら)   マジックオンラインで最も出場が難しい最高峰の大会MOCSにて、ジェスカイカッターを使用してモダンラウンドを全勝し、見事準優勝を果たしています。   それではまた!

【今週のピックアップデッキ】グルール昂揚/ディミーア忍者ローグ/ハンマータイム

週刊 Modern Pioneer Standard ピックアップ

2025.05.09

mtg Yuyan

こんにちは。 細川 侑也(@yuyan_mtg)です。 今週のピックアップデッキでは、ちょっと珍しいデッキを、軽い解説を交えて紹介していきます。   紹介デッキ グルール昂揚 ディミーア忍者ローグ ハンマータイム   グルール昂揚 チャンピオンズカップファイナル : 11位 By Shintaro Ishimura MTGアリーナ用インポートデータ チャンピオンズカップファイナルではイゼット果敢4人に赤単アグロ2人と、2種の赤アグロがトップ8に入賞しましたが、それらとは異なる形の赤アグロが、プロツアーの権利を獲得できる9勝3敗の成績を収めていました。   それがグルール昂揚です。   4種のカードタイプを墓地に揃えることで達成される昂揚。かなり難しい条件のため、昂揚条件を達成した際は大きなボーナスが用意されています。   《継ぎ接ぎのけだもの》は昂揚すれば1マナ3/3の《野生のナカティル》相当のクリーチャー!アップキープの切削と、自身がアーティファクト・クリーチャーなので、昂揚を助けてくれるナイスな1マナ域です。 様々なフォーマットでお馴染みの《逸失への恐怖》も、ディスカードを持ちつつ、エンチャント・クリーチャーとして墓地でも昂揚に貢献します。 昂揚していると2マナ4/3速攻トランプルと破格の性能を持つのが《野火の木人》。このカードがグルール昂揚のスピードを上げてくれています。やはりアーティファクト・クリーチャーなので昂揚を達成しやすいのも〇。 そして最後の昂揚カードは《暴力的衝動》。こちらはクリーチャーではありませんが、たった1マナでクリーチャーに二段攻撃を付与するすごいインスタントです。トランプルを持つ《野火の木人》と組み合わせた時の破壊力はピカイチ。《逸失への恐怖》で2回攻撃も発生するので、二段攻撃と組み合わせると実質4回攻撃になりますね。 さて、昂揚のバリューが高いことがわかったところで、肝心なのは昂揚の達成手段です。   《野火の木人》に《逸失への恐怖》と質の高いクリーチャーが2種のカードタイプを持っているのはわかりましたが、それをどのように墓地に落とすのか。   ここで最近引っ張りだこの《光砕く者、テルサ》が光ります。 3マナ3/3速攻の優れたスタッツに、カードを2枚捨てて2枚引く能力がついているため、昂揚に必要なカードを墓地に落としつつ、攻撃していけます。以前まではこのスロットが《蓄え放題》《浚渫機の洞察》といった戦場に影響を及ぼさないカードだったので、積極的に攻撃したいグルール昂揚と少し合わなかったのですが、非常に攻撃的な《光砕く者、テルサ》が加入したことで、デッキがグッと締まりました。 グルール昂揚でしか使えない超強力なソーサリーと言えば《脱走》。たった2マナで、ライブラリー上6枚から2マナ以下のクリーチャー・カードを速攻を持った状態で戦場に出せます。非常に強力なカードではあるものの、中々活きるデッキがないのですが、グルール昂揚とはかなり相性が良いのです。特に《逸失への恐怖》を出して速攻で攻撃し始めると、予想外からのリーサルが発生する場合も。ソーサリーカウントとしても優秀です。 《鋭い目の管理者》は昂揚能力は持ちませんが、4種類のカードタイプを追放すると+4/+4トランプルになる2マナ3/3。どちらかと言えばそのパンプ能力よりは、墓地追放がメインの使い方となっています。 ジェスカイ眼魔はもちろん、《嵐追いの才能》が入っているイゼット果敢などにも墓地追放は効きますし、昂揚を満たすことを前提にしたデッキなので、自分の墓地を追放して7/7トランプルを作りやすく、今回の隠れMVPかもしれません。   他の赤アグロと一味も二味も違うグルール昂揚、ぜひお試しください。     ディミーア忍者ローグ パイオニアリーグ : 5-0 By  season_urb MTGアリーナ用インポートデータ かつてスタンダードで最強のデッキだったローグ。 《盗賊ギルドの処罰者》で相手のライブラリーを切削し、《空飛ぶ思考盗み》などと共に殴り勝つも良し、相手をライブラリーアウトさせたり、《物語への没入》と《夢の巣のルールス》でコントロールするなど、様々な勝ちプランを持っている、とてもいやらしいデッキでした。 最近では青黒系のアグロデッキと言えば忍者になっていましたが、今回はならず者が久しぶりにパイオニアで勝利しました!   パイオニアならではのならず者をご紹介しましょう。忍者にも入っている《フェアリーの悪党》ですね。戦場に出た時に他に《フェアリーの悪党》がいれば1ドローできる忍者です。《マネドリ》との相性がバッチリで、《フェアリーの悪党》のコピーとして場に出してカードを引けます。 その《マネドリ》のコピー対象が増えたのがディミーアローグの魅力です。《盗賊ギルドの処罰者》をコピーすると、ならず者を出した時の切削枚数が4枚に増えます。1枚の《盗賊ギルドの処罰者》ではライブラリーの心配は必要ありませんが、倍になれば話は別です。 《空飛ぶ思考盗み》はローグのキーパーツ。《フェアリーの悪党》《マネドリ》など軽いならず者にパワー修正を与えれば一気に脅威になりますし、《マネドリ》でコピーすれば修正値と切削枚数もとんでもないことになります。 そしてこれらのローグ軍団と手を組むのが忍者たち。   《月回路のハッカー》《悪夢滅ぼし、魁渡》の2人の忍者はいずれも忍術でクリーチャーを手札に回収することができます。ならず者を戻して出し直せばそのたびに《盗賊ギルドの処罰者》が誘発しますし、序盤は《フェアリーの悪党》をコピーしていた《マネドリ》を拾い、更に強い別のクリーチャーのコピーに変えられます。 ならず者でも忍者でもありませんが、《フラッドピットの溺れさせ》は忍術と相性の良いクリーチャー。ブロッカーをタップしながら攻撃を通して忍術ができて、しかも能力も再利用できるので、《悪夢滅ぼし、魁渡》を使うデッキなら《フラッドピットの溺れさせ》は必須ですね。 従来のディミーア忍者に比べて、ローグ成分が加わったことで、特に攻撃面が更に強化されました。   《空飛ぶ思考盗み》による全体強化に1マナ3/2の《盗賊ギルドの処罰者》はライフを削る性能が高いだけでなく、ライブラリーアウトという新たな勝ち手段も作れます。ライフをなかなか削れないコントロールなどにはかなり現実的な勝ち筋です。   守りの観点から見ても《盗賊ギルドの処罰者》は決して悪いカードではありません。相手の墓地が溜まれば1マナ3/2接死なので、サイズの小さいこのデッキでは貴重な相打ち要因となります。 忍者から更に攻撃的になったディミーアローグ、忍者がお好きな方はいかがでしょうか。   ハンマータイム モダンリーグ : 5-0 By  aspiringspike 《巨像の鎚》を《シガルダの助け》でつけて殴るコンボ要素のあるアグロ、ハンマータイム。 シンプルな戦略で最速2ターンキルも可能なハンマータイムは、当初はファンデッキでしたが、《ウルザの物語》加入後は様々な戦略を取ることが可能となり、一気にメタデッキの仲間入りを果たしました。 そんなハンマータイムの新たな形が、赤を入れたこのボロスカラーのハンマータイム。加わった赤いカードは……色々なフォーマットで暴れているあの装備品です。   そう、《コーリ鋼の短刀》です。 《コーリ鋼の短刀》でモンクを生成するためには継続的にスペルを2回唱える必要がありますが、当然毎ターンカードを2回使用すると、手札がなくなってしまいます。そのため、キャントリップや《食糧補充》など、カードを引き続けられる青と組み合わせて使われることが多いので、赤白で採用されるのは少し珍しいですね。 0マナのアーティファクトは《オパールのモックス》と《ミシュラのガラクタ》で8枚入っており、2ターン目に《コーリ鋼の短刀》を出してそのままモンクを生み出すことができます。 更にデッキ内のほとんどが1マナ以下なので、手札がある限りはモンクは誘発させ続けられるでしょう。   肝心のカードを引く手段ですが、《純鋼の聖騎士》がハンマータイムにはあります。装備品が戦場に出ると1ドローなので、2つ装備品を出せば、手札を失うことなく、モンクトークンが出てきて、しかもそのモンクに装備品を即つけられます。 このデッキが面白いのは、《コーリ鋼の短刀》の装備品としての性能が噛み合っている点です。《巨像の鎚》をつけたクリーチャーがチャンプブロックされて何もできないことはよくありましたが、《コーリ鋼の短刀》のトークンに《巨像の鎚》をつければ12/12トランプルでブロックを許しません。 速攻で攻撃できるのも大きなメリットで、これまで盤面のクリーチャーをすべて対処された場合、どうしても攻撃するまでに1ターンのラグが発生していましたが、除去で盤面を空にされても《コーリ鋼の短刀》のトークンに様々な装備品をつけて一撃で相手のライフを0にできます。   クリーチャーがいないと意味がない装備品と、クリーチャーを供給しつつ速攻を付与する《コーリ鋼の短刀》の相性はとても良いのです。   《鷹持ち、カサンドラ》はデッキから《レオニダスの槍》を場に出すクリーチャーで、その《レオニダスの槍》の付け先として最適。とはいえ、出して2マナを払って装備するのは中々モダンでは難しい。 その装備コストを《純鋼の聖騎士》で0にしたり、《シガルダの助け》で自動装備できる状態になるとしたら話は別です。《鷹持ち、カサンドラ》を出して《シガルダの助け》で《レオニダスの槍》を装備し、速攻で殴って二段攻撃付与、ダメージを通して《鷹持ち、カサンドラ》の能力で2ドローと、装備コストを踏み倒せるだけで《鷹持ち、カサンドラ》の動きはすさまじくなります。 《龍火の刃》は《ウルザの物語》からサーチすることも可能な装備品。装備コストは重いものの、単色からの呪禁と+2/+2を付与でき、一度装備すれば《孤独》《致命的な一押し》をはじめモダン環境の様々な除去を受けなくなります。 《鷹持ち、カサンドラ》への装備コストは2マナなものの、他のクリーチャーには基本的に3マナ必要ですが、こちらも《純鋼の聖騎士》《シガルダの助け》で踏み倒せるため、ただただデメリットのない超狭量な装備品となります。 《オパールのモックス》解禁によって大幅な強化を受けたものの、いまだトーナメントではさほど活躍できていなかったハンマータイムですが、近頃リーグでの5-0数も増えてきており、これから最前線に復帰していくかもしれませんね!

【今週のピックアップデッキ】ディミーア眼魔/4色レジェンズ/赤単ベルチャー

週刊 Modern Pioneer Standard ピックアップ

2025.05.02

mtg Yuyan

こんにちは。 細川 侑也(@yuyan_mtg)です。 今週のピックアップデッキでは、ちょっと珍しいデッキを、軽い解説を交えて紹介していきます。   紹介デッキ ディミーア眼魔 4色レジェンズ 赤単ベルチャー   ディミーア眼魔 スタンダードリーグ(4/29) : 5-0 By ajifly MTGアリーナ用インポートデータ スタンダードからモダン、時にはレガシーでも見かけることのある、超ハイスペッククリーチャー《忌まわしき眼魔》。 墓地を6枚追放するという重いキャスト条件があるものの、ひとたび戦場に出れば毎ターン戦慄予示であっという間に場を支配してくれます。   そして唯一の欠点である重いコストも、あくまでこれは唱える際に必要なものなので、唱えずに戦場に出してしまえば何も問題ありません。   そこで《忌まわしき眼魔》は、主に墓地から直接戦場に出てきます。   墓地からクリーチャーをよみがえらせる、いわゆるリアニメイト呪文は、条件のないものは《ゾンビ化》など4マナ以上である場合がほとんどです。レガシーで一線級の活躍をしている《再活性》はたった1マナでなんでも蘇生できますが、これは例外中の例外。《偉大なる統一者、アトラクサ》をたった1マナで釣り上げるカードは許されていいはずがありません。 しかし、逆に言えば条件付きならば軽いリアニメイト呪文はスタンダードにも存在します。特にマナ総量が3マナ以下のクリーチャーを吊り上げるカードは《救いの手》をはじめ1マナです。これはマナ総量が3以下のクリーチャーは基本的には支配力が低く、1マナで墓地から吊り上げる動きがさほど強力でないためです。 だからこそ《忌まわしき眼魔》を1マナのスペルでリアニメイトする動きは非常に強力です。実質《忌まわしき眼魔》は5~6マナ域の強さのカード。それをマナ総量が3のカードだから《救いの手》で釣り上げるのは完全に非合法の動きです。 モダンでは《発掘》で《忌まわしき眼魔》を吊り上げるディミーア眼魔、スタンダードでも《救いの手》を使ったジェスカイ眼魔が活躍しているわけですが、今回は新たな眼魔デッキをご紹介します。   それがディミーア眼魔。   墓地に《忌まわしき眼魔》を落として吊り上げるという部分は他の眼魔デッキと同じです。ただしスタンダードには《発掘》はないので、《誰も置き去りにしない》でリアニメイトします。 普通に使えば5マナの《ゾンビ化》ですが、マナ総量3以下のクリーチャーを釣る際には2マナになるので《誰も置き去りにしない》は実質《再稼働》。《救いの手》よりは重いですが仕方ありません。   5マナさえ払えば《ゾンビ化》なのでサイド後は《黙示録、シェオルドレッド》を復活させることも可能です。 墓地に落とす手段は《統合の福音者》と《蒸気核の学者》。カードを引いて捨てる、いわゆるルーター能力で墓地へと落としていきます。 そしてドロー・ディスカードによって墓地に《忌まわしき眼魔》を送り込むことから、相性の良いのが《プロフトの映像記憶》。ジェスカイ眼魔でも採用されているこのドローによって強化されているエンチャントを、ディミーア眼魔でも取り入れています。 《冬夜の物語》も《プロフトの映像記憶》と噛み合いながら《忌まわしき眼魔》を墓地に落とせるカードです。 面白いのは《鍾乳石の追跡者》。落魄することでターン終了時に成長していくこのカードは、ルーターによって土地などを捨てた時でもしっかりと誘発してくれます。《プロフトの映像記憶》と合わせてサイズを上げて大型クリーチャーを倒すなど、単純な戦闘以外の使い道があるのも良いですね。 サイドボードには手札破壊に《黙示録、シェオルドレッド》と、ジェスカイ眼魔では採用できないカードたちの姿が多数あります。特に《黙示録、シェオルドレッド》は赤アグロ全盛期の今、かなり注目されています。 青黒なら当然《悪夢滅ぼし、魁渡》も採用できますし、このカードはやはり凄まじい強さ。《誰も置き去りにしない》のために《除霊用掃除機》を出してきた相手に《悪夢滅ぼし、魁渡》忍術を決める動きはあまりにも気持ち良いですね。 《忌まわしき眼魔》を使い倒したい方、ジェスカイばかりではなくたまにはディミーアでいかがですか?     4色レジェンズ パイオニアリーグ(4/28) : 5-0 By  kanara38204 MTGアリーナ用インポートデータ このデッキは一体…?   初見でデッキリストを見て動きがわからないことはよくありますが、じっくり読み込んでもさっぱりわからないのは久しぶりかもしれません。   この4cレジェンズはとにかくその動きが謎に包まれています。   一つはっきりしているのは、《嘘の神、ヴァルキー》と《再覚醒したジェイス》のコンボが搭載されているということです。 《嘘の神、ヴァルキー》を《再覚醒したジェイス》で計画すると、《星界の騙し屋、ティボルト》として唱えることができます。この2枚コンボが採用されています。 このコンボは通常グリクシスコントロールのようなデッキに組み込まれる場合が多いですが、4cレジェンズは4枚の《闇の中の研究者、ナシ》と《策謀の予見者、ラフィーン》で果敢に殴っていくデッキです。 《闇の中の研究者、ナシ》は2マナでリソースを稼ぐクリーチャー。プレイヤーに与えたダメージ分、カードを切削し、そこからエンチャントと伝説のカードを好きなだけ回収できるので、このデッキなら1~2ドロー相当です。   そんな《闇の中の研究者、ナシ》を強化するのが《策謀の予見者、ラフィーン》。《闇の中の研究者、ナシ》はだんだんサイズが上がっていき、切削枚数が増えるカードなのですが、《策謀の予見者、ラフィーン》で強化してしまえば、攻撃していきなり4枚切削なんてことも。切削枚数が増えれば当然手札に加わる数は増えるので、大量のリソースを獲得できます。 《道の体現者、シィコ》は最もデッキ内で重いクリーチャー。墓地のマナ総量3以下のカードをコピーしてタダで唱えられるので、《思考囲い》や《致命的な一押し》などのスペルはもちろん、《策謀の予見者、ラフィーン》を戦場に出すことも可能です。 この伝説軍団たちと一緒に採用されているのが《不浄な別室+祭儀室》。一見するとデーモンがいないデッキに見えますが、実は《策謀の予見者、ラフィーン》がデーモンなので、《不浄な別室+祭儀室》との相性は良好です。 とはいえ、このデッキの《不浄な別室+祭儀室》はただ単に強力なカードとして採用されています。《致命的な一押し》《思考囲い》《不浄な別室+祭儀室》はそれだけで黒いミッドレンジを成立させるほどの強さを持つカードたち。特別なシナジーなど必要としていません。   エンチャントなので《闇の中の研究者、ナシ》で拾うことができるのは美味しいですね。 時にはハンデスと除去から《不浄な別室+祭儀室》を置いて勝ったり、またある時は《闇の中の研究者、ナシ》から《策謀の予見者、ラフィーン》で大量リソースを獲得したり、《道の体現者、シィコ》で粘り強く勝ったりと、同じデッキとは思えない顔を持っているのがこの4色レジェンズ。   すぐに同じデッキに飽きてしまう方にはオススメ!     赤単ベルチャー モダンリーグ : 5-0 By  slowbro1 デッキ内の土地を0枚にして《ゴブリンの放火砲》で一撃必殺を狙うコンボデッキ、ベルチャー。 『モダンホライゾン3』で大量の表面が呪文で裏面が土地の両面ランドが登場してからモダンでメタデッキ入りを果たし、現在は大量の打ち消し呪文を採用した青単ベルチャーが主流となっています。 今回ご紹介するのは、対照的なカラーである赤単ベルチャー。   両面ランドを入れて土地を0枚にして《ゴブリンの放火砲》を打つことは同じですが、それ以外はまったく青単と異なる動きを見せるのがこの赤単ベルチャー。   青単ベルチャーが土地を毎ターン置き、《睡蓮の花》から7マナで《ゴブリンの放火砲》を決めるのに対し、赤単は《発熱の儀式》《捨て身の儀式》でマナ加速して《ゴブリンの放火砲》キャストにこぎつけます。 《ゴブリンの放火砲》と最も相性の良いマナ加速が《アイレンクラッグの妙技》。4マナで7マナを生み出す規格外のマナ加速ができる代わりに、後1回しか呪文が唱えられなくなってしまうカード。《ゴブリンの放火砲》の設置は4マナ、起動は3マナなので、なんと《アイレンクラッグの妙技》1枚で《ゴブリンの放火砲》が打ててしまうのです。 そのため、2ターンキルも現実的です。《捨て身の儀式》《発熱の儀式》《アイレンクラッグの妙技》《ゴブリンの放火砲》、この4枚だけで2ターンキルです!   これらのマナ加速は基本的に2マナで3マナを生み出すので1マナ加速にしかなりませんが、《ルビーの大メダル》があれば1マナで3マナと、2マナ増える呪文になります。2ターン目に《ルビーの大メダル》を設置すれば3ターン目にセットランドから2回儀式を打つだけで7マナになるので、やはり《ゴブリンの放火砲》で勝利。《ゴブリンの放火砲》さえ引ければ3ターンキルは容易なデッキです。 《ゴブリンの放火砲》を引くためのドロースペルは《街道筋の強奪》《苦々しい再会》《不可能の一瞥》。青単ベルチャーが《稲妻罠の教練者》《ファラジの考古学者》《発明品の唸り》を使うことを考えると、少し心もとなく感じますよね。 その点はご安心ください。《ゴブリンの放火砲》は4枚しか採用できませんが、その代わりに追加のフィニッシャーが入っています。それが《嵐鱗の末裔》です。 6マナのストーム付きのドラゴンで、更に他のドラゴンを+1/+1するので、2体並べば5/5×2、3体なら6/6×3と、ストーム2で出しても致死量です。   先ほど紹介した《街道筋の強奪》と《苦々しい再会》はただのドロースペルではなく、《嵐鱗の末裔》を意識しています。《街道筋の強奪》を2ターン目に計画すれば、3ターン目の《嵐鱗の末裔》のストームを増やせますし、《苦々しい再会》で速攻を突ければ《嵐鱗の末裔》を出したターンにゲームを終わらせられます。   《アイレンクラッグの妙技》で赤マナを7つ出し、6マナから《嵐鱗の末裔》をキャスト、余った1マナで《苦々しい再会》を生け贄にして速攻パンチは美しすぎますね。 青単ベルチャーのように妨害を採用できない代わりに、とにかく速さに特化しているのがこの赤単ベルチャーなのです。   青単には効果的な《石のような静寂》は《嵐鱗の末裔》には無力だったりと、微妙に効くサイドカードが違うのも、赤単ベルチャーの魅力です。 その代わりに《嵐鱗の末裔》のストームと《ゴブリンの放火砲》を打ち消せる《記憶への放逐》が青単に比べてかなり効きやすくなっていますが、それをしっかりと理解しており、《防御の光網》を4枚サイドに用意しています。 一度2ターンキルを味わってしまえばもう青単ベルチャーには戻れなくなるかもしれませんよ?

【今週のピックアップデッキ】アブザンピクシー/セレズニア檻/ブルードレッジ

週刊 Modern Pioneer Standard ピックアップ

2025.04.25

mtg Yuyan

こんにちは。 細川 侑也(@yuyan_mtg)です。 今週のピックアップデッキでは、ちょっと珍しいデッキを、軽い解説を交えて紹介していきます。   紹介デッキ アブザンピクシー セレズニア檻 ブルードレッジ   アブザンピクシー スタンダードチャレンジ(4/24) : 準優勝 By A_Turtle MTGアリーナ用インポートデータ 戦場に出た時に能力が誘発するパーマネントを回収して何度も再利用する、いわゆるセルフバウンス戦略は、今やスタンダードでは大人気のアーキタイプとなりました。 青いデッキなら《この町は狭すぎる》《孤立への恐怖》、白が含まれれば《養育するピクシー》に《陽光真珠の麒麟》と、青と白にそれぞれ複数のセルフバウンス系カードがあるため、すべてを贅沢に使ったエスパーピクシーだけでなく、オルゾフ・ディミーアと2色のセルフバウンス系デッキも活躍しています。 そんなセルフバウンスに、新たなカラーバリエーションが追加されました!   それがなんと白緑黒3色のアブザンピクシーです。   戻すカードはお馴染みの《養育するピクシー》《陽光真珠の麒麟》の8枚。『タルキール:龍嵐録』のおかげで青を使わなくても8枚のバウンスカードをメインに採用できるようになりました。 《陽光真珠の麒麟》と相性の良いカードと言えば《悪意ある呪詛術士》。《陽光真珠の麒麟》は実はトークンをバウンスした時に1ドローできるので、《悪意ある呪詛術士》がつける役割をバウンスすることでカードが引けてしまいます。 《悪意ある呪詛術士》は役割をすぐに剥がすことができれば1マナ3/2というハイスペッククリーチャー。そのため、どちらかと言えば相手のライフを速やかに削るアグロデッキで使いたいカードです。   そんな《悪意ある呪詛術士》と一緒に相手のライフを削るのが《遊撃サイ》。戦場に出た時に2点ドレインしつつ、自身が3/4トランプルなので、ダメージレースで優位に立てます。タフネスが4なのでイゼット系デッキに1枚で処理されにくいのも魅力。 《絶縁の僧侶》は相手の手札を攻めるカード。相手の手札を見て好きなカードを追放します。《難題の予見者》のようなカードですが、自身が離れた時に相手にカードを引かせるのではなく、トークンを生成します。どちらかと言えば手札版の《スカイクレイブの亡霊》と言ったところでしょうか。 《スカイクレイブの亡霊》を使った・使われたことがある方ならわかると思いますが、死亡時にトークンを渡すというデメリットは、実は思いの外小さいです。昨今はクリーチャーの質が非常に上がっており、ただの能力を持たないバニラクリーチャーを献上したところでさほど痛手にはなりません。 特に《絶縁の僧侶》は手札を奪っているので、最大の仕事は戦場に出た時に終わっているので、喜んで死亡時にスピリットを渡せます。 そしてなんといっても《ヤサンの街道見張り》。唱えて戦場に出た時に、カードを4枚切削し、その後墓地からマナ総量が3以下のクリーチャーを場に戻せます。4枚切削した中である必要はなく、墓地から好きなカードを選べます。 前述の《遊撃サイ》《絶縁の僧侶》を出すも良し、《養育するピクシー》《陽光真珠の麒麟》を拾えば戦場のパーマネントを使い回すことができます。   《養育するピクシー》を墓地から戻して《ヤサンの街道見張り》を回収し、再利用なんてことも可能です。 今紹介したアブザンカラーの3種はいずれも戦場に出た時の能力を持っており、実に《養育するピクシー》《陽光真珠の麒麟》で戻しがいのあるクリーチャーです。他のバウンスデッキと違い、クリーチャーを戻すのが最大バリューとなるのがこのアブザンピクシーなのです。   セルフバウンス系デッキは《逃げ場なし》で盤面に干渉し、《望み無き悪夢》で手札破壊しながら殴っていくデッキで、手札への干渉手段は比較的限られています。コンボデッキ、とりわけ全知を苦手としていましたが、《絶縁の僧侶》は相手の手札を見て好きなカードを抜けるので、対全知に強くなっています。 一方でアグロデッキに対しても決して弱くありません。《遊撃サイ》の存在が非常に大きいですね。《コーリ鋼の短刀》の影響で《削剥》が増えていたり、他に倒したい対象が《分派の説教者》しかいない現状では、《抹消する稲妻》などはほとんど採用されていません。そのため、タフネス4の場持ちが非常に良いのです。 しかも《ヤサンの街道見張り》と各種バウンスによって粘り強さも兼ね備えており、《食糧補充》を擁する青系のデッキにもリソースで負けていません。 実は全対面有利の最強デッキなのでは?そう思ってしまうほど良いデッキで、今スタンダードで最も注目のデッキと言って良いでしょう!     セレズニア檻 パイオニアチャレンジ(4/20) : 優勝 By  claudioh MTGアリーナ用インポートデータ パイオニアにおけるセレズニアカラーのビートダウンと言えば、セレズニアエンジェルかセレズニアカンパニーが定番でした。   どちらのデッキも《ラノワールのエルフ》《エルフの神秘家》から始まり、エンジェルは《輝かしい天使》《正義の戦乙女》でライフゲインしながら天使を生成し、《集合した中隊》で追加戦力をライブラリーから召集。 カンパニーは《エイヴンの阻む者》《エメリアのアルコン》《スカイクレイブの亡霊》と様々なクリーチャーを展開して、やはり《集合した中隊》によって押し切る。 いずれのデッキもマナクリから2ターン目に3マナ域を展開し、《集合した中隊》を打つデッキです。 しかし、このセレズニア檻は同じ白緑のビートダウンながら、全く動きが異なります。   《ラノワールのエルフ》《エルフの神秘家》を使うことだけは同じですが、そこから展開する3マナ域が《砂嵐の回収者》《血滾りの福音者》《脚当ての補充兵》(新生)と独特のラインナップ。 これらの3枚に共通することと言えば1つ。そう、トークンです。   トークンと言えば『タルキール:龍嵐録』で登場した《嵐の討伐者、エルズペス》。出るトークンが倍になる常在型能力を持ち、プラスでトークンを生成し、マイナスすれば全体強化。トークンデッキのためのプレインズウォーカーです。《脚当ての補充兵》のトークンが増えるのはヤバすぎますね。 《ミストムーアの大主》も入っているため、かなりトークンが並ぶこのデッキ。そしてクリーチャーが並べば一撃必殺の《孔蹄のビヒモス》が控えています。 とはいえ、《孔蹄のビヒモス》は8マナとかなり重く、マナクリが大量に入っているとはいえ、唱えるのは容易ではありません。そこで活躍するのがデッキ名にもなっている《収集家の檻》。 1マナでクリーチャーに+1/+1カウンターを置くまずまずの能力を持っていますが、その後パワーが異なるクリーチャーを3体以上コントロールしていたら、秘匿していたカードをタダで唱えられるオマケつき!《孔蹄のビヒモス》をたった1マナで唱えることができるのです。   《ミストムーアの大主》はトークンを生成するだけでなく、《収集家の檻》の秘匿から踏み倒すのにも便利なクリーチャー。更に土地でもある《エメリアの呼び声》も《収集家の檻》から3~4ターン目に唱えれば凄まじいプレッシャーになるため、さほどデッキの形を歪めることなく、秘匿でハイバリューを叩き出すことに成功しています。素晴らしいデッキ構築ですね。 《収集家の檻》の秘匿条件を達成するのはさほど難しくありません。《脚当ての補充兵》《血滾りの福音者》《砂嵐の回収者》はそれぞれ自身とパワーの異なるトークンを生成してくれますからね。この辺りも実によく考えられています。 カンパニーデッキと違い、3マナ以下のクリーチャーの数にこだわる必要がないので、様々なゲームプランを展開できるのも強みです。《跳ねる春、ベーザ》と《ポータブル・ホール》を入れて赤アグロに耐性をつけており、これはカンパニーにはできないサイドプランです。 最近元気のないセレズニアですが、パイオニアで再び輝く時が来たかもしれません!     ブルードレッジ モダンリーグ : 5-0 By  MahfuzVanGogh 『ラヴニカ:ギルドの都』が登場した2005年以降、たびたび世間を賑わせているドレッジというデッキ。   ドローする代わりに墓地から発掘を宣言すると、その枚数だけライブラリーを切削し、該当の発掘カードを回収することができます。これによって大量に墓地にカードを溜めて、墓地から唱えられるカードたちで勝利する。それがドレッジです。 発掘6を持つ《ゴルガリの墓トロール》は下環境で長年大暴れし続け、墓地対策をすべてのデッキに標準装備させました。その凶悪さからモダン制定と同時に禁止され、一度解禁されましたが、その後再投獄となり、唯一の禁止→解禁→禁止を経験したカードでもあります。 当初、ドレッジは発掘を行うデッキのことを指していましたが、その後自分のライブラリーを切削して勝利を目指すデッキがドレッジと呼ばれるようになり、最近でもプロツアー・シカゴでゴルガリドレッジが活躍していました。 今回ご紹介するドレッジはというと、しっかり発掘カードを採用した本家ドレッジです。   実はドレッジは《信仰無き物あさり》の解禁によって復活するのではないか?と一部のマニアたちからは注目されていました。 しかし、このドレッジには《信仰無き物あさり》は採用されていません。なんと青黒の2色でまとめているのです。   まず切削する手段からです。発掘カードは《ゴルガリの凶漢》《臭い草のインプ》《暗黒破》の合計11枚。《暗黒破》は発掘3と控えめですが、《オセロットの群れ》《敏捷なこそ泥、ラガバン》を倒せるため、エネルギーに少し強いのが嬉しい。 ドレッジの定番だった《叫び角笛》は採用せず、スペルは《異世界の凝視》と《秘本掃き》。《異世界の凝視》は1マナで3枚しか削れませんが、フラッシュバックがあるため、合計6枚削れますし、切削のついでに落ちてくれるので、継続してライブラリーを掘り進められます。 従来のドレッジは墓地に発掘カードを落とし、そこからドロースペルを手札から打って発掘を連鎖させていました。《信仰無き物あさり》《安堵の再会》ですね。特に《安堵の再会》は2枚捨てて3枚引くため、発掘と相性抜群です。このカードがあるからこそ、ドレッジに赤を入れないことなど考えられませんでした。 しかし、実は今回『タルキール:龍嵐録』でとあるカードを手に入れて、ドレッジはついに赤と決別を果たすことに成功していました。   それが《冬夜の物語》! このカードは墓地からも唱えられる3枚ドロー。しかもパワー3のクリーチャーがいれば2マナで唱えられるため、《安堵の再会》を墓地からプレイしているようなものなのです。   《安堵の再会》は確かに強力ですが、手札になければ使用できません。ドレッジというデッキは1回発掘を始めたら後は通常ドローを行わずに常に発掘でライブラリーを掘りたいため、《安堵の再会》を引くチャンスは多くありません。   そのため、墓地から使用できる《冬夜の物語》は想像以上にデッキを強化しています。しかも同じ墓地から唱えられる《アゴナスの雄牛》と違って引いてから捨てるので、再び墓地に発掘カードを溜めることができ、次のターンも発掘を再開できます。《アゴナスの雄牛》は発掘カードが手札に来てしまうので、たまに発掘に困ってしまう場合がありました。 《冬夜の物語》によってこのドレッジは全く別の動きをするようになりました。1ターン目に《秘本掃き》を打ち、そこに《臭い草のインプ》が見つかれば、後の手札が全部使い物にならなくても勝ててしまう可能性があります。 1.《秘本掃き》で《臭い草のインプ》が落ちる。2.次のターンの発掘5で《ナルコメーバ》+《秘蔵の縫合体》or《這い寄る恐怖》+《銀打ちのグール》のいずれかの組み合わせ+発掘カード+《冬夜の物語》が落ちる。3.墓地から《冬夜の物語》を唱えて3ドロー分の発掘を行う。4.墓地に《秘蔵の縫合体》や《銀打ちのグール》が落ち、場に戻って勝利。 と発掘の落ち次第では《秘本掃き》1枚からだけでこのような展開が作れます。   《冬夜の物語》が加わり墓地から切削できる手段が増えたことで、デッキの安定性が大幅に向上したのです。 《セファリッドの円形競技場》もドレッジには欠かせないカードです。赤を使った3~5色なら複数枚採用するのは厳しいですが、青黒2色なら4枚採用できます。切削手段がない状態からでも《セファリッドの円形競技場》から発掘を始めて《冬夜の物語》に繋がったりしますし、この土地を4枚入れられるのは本当に大きいですね。 青黒2色のため、サイドボードには《海の先駆け》を採用できるのもポイント。第3章で《魂標ランタン》をサーチされてしまう《ウルザの物語》も安心です。 久しぶりに回してみたくなるような素晴らしいリストで、ドレッジ大好きな僕は心が躍っています!

今週末のモダン予選に出る方向け!最新モダン環境の三強をご紹介!

Modern ピックアップ

2025.04.23

mtg Yuyan

こんにちは。   細川 侑也(@yuyan_mtg)です。   毎週日本各地で行われているチャンピオンズカップファイナルの予選!   今回はその予選に持ち込むべき、今最も強いモダンのデッキたちをご紹介していきます。   紹介デッキ ボロスエネルギー ジェスカイ果敢 エルドラージランプ   ボロスエネルギー モダンチャレンジ(4/21) : 優勝 By ShadowTitan1 モダンの王者が、ついに玉座に帰還しました。   そう言っても良いほど、ボロスエネルギーのここ最近のパフォーマンスは素晴らしく、今週末も一番の勝ち組になるのではないかと個人的には思っています。   改めて説明するようなデッキではありませんが、『モダンホライゾン3』から登場した新たなエネルギーカード《魂の導き手》《電気放出》。 《敏捷なこそ泥、ラガバン》を過去のカードにしたとまで言われた《オセロットの群れ》。 現環境最強の2マナ域《ナカティルの最下層民、アジャニ》。 モダンで最高のカードである《火の怒りのタイタン、フレージ》。 これらの質の高いカードたちを詰め込んだ早いグッドスタッフ、それがボロスエネルギーです。   《魂の導き手》《オセロットの群れ》は1マナ域ながら、除去されなければそのまま勝ってしまうほどのクリーチャー。《敏捷なこそ泥、ラガバン》を合わせた12枚、どれも相手は打ち漏らすことはできません。 《ナカティルの最下層民、アジャニ》も同様の性能を持つカードで、ボロスエネルギーが環境にいるからこそ、すべてのデッキが1マナ除去を大量に採用しています。 これらの軽いクリーチャーが除去されてしまうと厳しいのが普通のアグロデッキですが、ボロスエネルギーはアグロではなくグッドスタッフ。グッド(良い)スタッフ(カード)だけを揃えたデッキなので、3マナ域には《火の怒りのタイタン、フレージ》《歴戦の紅蓮術士》《鏡割りの寓話》も控えています。 序盤に出したクリーチャーが生き残ればそのまま勝ち、除去されれば優秀な3マナ域たちでロングゲームもできるのです。   強いカードたちだけで固められているからこそ、ボロスエネルギーはサイド後にも強いデッキです。攻める必要のない相手には序盤のカードを減らしてヘイトカードを詰め込み、ヘイトカード+《火の怒りのタイタン、フレージ》で勝つプランが可能。 速度が重要なマッチでは重いカードを抜いて攻めることも可能で、とにかく死角のないデッキです。   ボロスエネルギーには『タルキール:龍嵐録』からの新カードはほとんど入っていません。《勝利の楽士》は環境初期に試されました。《ゴブリンの砲撃》と相性の良いカードではありますが、相手がこちらのターンに呪文を唱えられないという恩恵をエネルギーはあまり受けられず、《火の怒りのタイタン、フレージ》でミラーマッチも簡単に焼かれてしまう割にインパクトの薄いカードであることから、徐々に抜けてきました。 《コーリ鋼の短刀》を採用したリストもありますが、こちらは工夫が必要で、既存のボロスエネルギーにそのまま組み込むだけでは難しそうです。エネルギーには3マナ域のカードが多く、《コーリ鋼の短刀》の誘発がさほど簡単ではないためです。 さて、ボロスエネルギーの話題になるたびに発生する3マナ域問題。今の赤白は3マナ域が優秀で、どれを採用するか、いまだに答えが出ていません。   候補となるのは《鏡割りの寓話》《歴戦の紅蓮術士》《イーオスのレインジャー長》でしょうか。あ、《火の怒りのタイタン、フレージ》は不動の4枚なので省いています。 このリストで一番多く採用されている《鏡割りの寓話》は最も無難な選択と言って良いでしょう。1章と3章がどちらも放置できず、2章で不要カードを入れ替えられるため、出すだけで得をするカードです。相手との交換を繰り返していけば自動的に《火の怒りのタイタン、フレージ》《栄光の闘技場》で勝てるのがボロスネルギーです。 《歴戦の紅蓮術士》は最近枚数が増えてきた1枚。4枚のリストも多く、僕がもしボロスエネルギーを使うならこのカードを4枚にしそうです。ボロスエネルギーは手札が枯れやすく、そうなると後は諜報ランドで《火の怒りのタイタン、フレージ》を落とすだけになりがちです。《歴戦の紅蓮術士》は手札がない状態で出せば、カードを捨てずに2ドローできるので、トップデッキした時は《鏡割りの寓話》より強力です。 また、唱えたり墓地から追放することでトークンを生成できるので、《ゴブリンの砲撃》との兼ね合いも特筆すべき点です。 《イーオスのレインジャー長》はコンボに強く、また確実なリソースになるカードです。《オセロットの群れ》《敏捷なこそ泥、ラガバン》《魂の導き手》を確実に手札に加えられるのは単純に強力ですからね。ボロスエネルギーは順調に殴り続ければ4ターンキルなので、コンボに対して後1ターンあれば勝てるという状況になりがちです。《イーオスのレインジャー長》はその1ターンを作ってくれる可能性があります。特にベルチャー相手はあるかないかで大きく変わるでしょう。 僕がエネルギーを持ち込むなら、《歴戦の紅蓮術士》4枚・《鏡割りの寓話》3枚にすると思います。ベルチャーが多ければ《イーオスのレインジャー長》を2枚入れて、《鏡割りの寓話》1枚にしますね。   最強のデッキを使うなら、リストも最強にしましょう!ボロスエネルギーはサイドボードが強いのも魅力で、75枚をじっくりと吟味する価値がありますよ!     ジェスカイ果敢 モダンチャレンジ(4/19) : 優勝 By  boytriton 『タルキール:龍嵐録』最強のカード《コーリ鋼の短刀》。 呪文をたった2回唱えるだけで果敢モンクを生成し、それに装備して速攻を付けるという、《僧院の導師》が裸足で逃げ出すレベルの装備品は、スタンダードではもちろん、0~1マナのカードが強い下環境でもデッキの顔として活躍しています。 モダンでは《コーリ鋼の短刀》はイゼット果敢に組み込まれていましたが、近頃は白を加えたジェスカイ果敢が人気を博しています。   デッキのベースはイゼット果敢。《僧院の速槍》《損魂魔道士》の果敢軍団+《コーリ鋼の短刀》で速やかに相手のライフを削っていきます。 2回のスペルを唱えるのを容易にする《溶岩の投げ矢》《ミシュラのガラクタ》以外のカードは、最強の火力呪文である《稲妻》、そしてスペルを継続して唱えるための《定業》《表現の反復》とオーソドックスな作りです。 白が入ったことで《虹色の終焉》を採用できるようになり、これがとにかく強力。 これまで1マナ域の除去に困ってただけでなく、《火の怒りのタイタン、フレージ》の処理や《超能力蛙》など、頭を悩ませるクリーチャーは大量にいましたが、《虹色の終焉》はすべてに対応できるカードです。   確実な除去は欲しいが、2マナ以上のカードを入れると《コーリ鋼の短刀》の誘発に関わったり、そもそも行動回数が減ってしまい、果敢によるダメージに影響が出てしまう。そんな事情を一発で解決するのが《虹色の終焉》というわけです。もちろん《超能力蛙》を倒すのには2マナかかってしまいますが、他のカードではそもそも触れませんからね。 1枚ではありますが《火の怒りのタイタン、フレージ》も採用されており、ボロスエネルギーよろしく諜報ランドのバリューをあげています。特に果敢のミラーマッチでは《火の怒りのタイタン、フレージ》を引くとかなり有利になりますね。 サイドボードには《岩への繋ぎ止め》が採用されていますが、これは対ディミーアマークタイドを見据えてのことでしょう。《超能力蛙》は《虹色の終焉》で倒せても《濁浪の執政》は止まらず、それが主な敗因となりうるのです。 逆にその負け筋さえ潰してしまえば、《コーリ鋼の短刀》が止まらないディミーア側は、ジェスカイ相手の勝ち筋がほとんどありません。 ジェスカイ果敢はボロスエネルギー相手は少し不利ですが、《オセロットの群れ》《敏捷なこそ泥、ラガバン》に《溶岩の投げ矢》が当たり、《コーリ鋼の短刀》で勝つ展開もあります。 コンボをはじめとした干渉手段の薄い相手には、ボロスエネルギーのように除去や3マナ域だけを引いて手をこまねいてしまう状況にはなりません。ジェスカイ果敢は果敢クリーチャーと火力で構成されたデッキで、相手のライフを速やかに0にすることに長けています。   メタゲーム次第ではボロスエネルギーよりジェスカイ果敢の方が良いかもしれません。単純にデッキパワーも高く、週末の勝ち組になりうるデッキです。     エルドラージランプ モダンチャレンジ(4/21) : 7位 By  Shadowz2005 今週のおすすめ、最後はエルドラージランプです。   《ウギンの迷宮》《エルドラージの寺院》の2マナランド8枚体制、そして《楽園の拡散》により、最速2ターン目に《まき散らす菌糸生物》を出して更にマナを伸ばしたり、《コジレックの命令》でトークン生成や除去、ドローを行う、『モダンホライゾン3』で強化されたエルドラージデッキ。 このデッキは『タルキール:龍嵐録』で非常に大きな戦力を獲得しました!   それはもちろん《嵐の目、ウギン》です。 唱えた時に1色以上のパーマネントを追放し、無色の呪文を唱えるたびにその追放を行うという超強力な常在型能力を持ちながら、プラスではリソースを稼ぎ、大マイナスは実質ゲーム勝利と、恐ろしい性能を持っています。   この《嵐の目、ウギン》によって、エルドラージは新たな7マナのゴールを手に入れました。   以前までのエルドラージランプはマナを伸ばした先の勝ち手段はほぼ《約束された終末、エムラクール》単騎でした。《まき散らす菌糸生物》《世界を壊すもの》で土地を壊しながら《約束された終末、エムラクール》を唱えれば当然ゲームには勝つのですが、マナを伸ばしてただ《世界を壊すもの》だけを出してもモダンで勝つことはできません。 《嵐の目、ウギン》は戦場に出てしまえばそれだけで勝てるマッチもあるほど強力なカードです。このカードがマナを伸ばした先に待っているというのは恐ろしく、マナを伸ばして《嵐の目、ウギン》を出す勝ち筋が生まれました。   《嵐の目、ウギン》の採用によって再び見るようになったのが《大いなる創造者、カーン》。最近のエルドラージランプでは《大いなる創造者、カーン》はあまり採用されていませんでしたが、《嵐の目、ウギン》の常在型能力を誘発させるために《大いなる創造者、カーン》は大いに役立ちます。 従来のエルドラージランプは無色のカードが比較的少なく、《嵐の目、ウギン》が出た次のターンにパーマネントを並べられてしまうと処理が少し大変でしたが、《大いなる創造者、カーン》を唱えて《嵐の目、ウギン》誘発、《大いなる創造者、カーン》のマイナスでアーティファクトをサーチし、それを唱えて更に《嵐の目、ウギン》が誘発と、一瞬で複数のパーマネントを追放できるのです。 《大いなる創造者、カーン》自体は今は環境的にさほど刺さっているわけではありません。アーティファクトを使うデッキはそこまで多くないですからね。とはいえ、青単ベルチャーや親和など、ナチュラルに常在が効くデッキもありますし、そもそも《大いなる創造者、カーン》は強いカードです。 《嵐の目、ウギン》の加入によって最近では青トロンなども活躍し始めており、今大注目のカードの内の1枚です。   特にフェアデッキのボロスエネルギー・ジェスカイ果敢が流行の現状では《嵐の目、ウギン》は有効なカードであり、4枚目が入ってもおかしくありません。   そして《ウギンの迷宮》《エルドラージの寺院》《コジレックの命令》はエルドラージランプ・トロン、そしてたまに青単タイムワープなど、様々なデッキで活躍しています。《エルドラージの寺院》と《コジレックの命令》だけで言えば、繁殖鱗コンボや鱗親和など、更に該当デッキが増えていきます。 実はこのセットでまだ誰も組んだことのないすごいデッキがあるかもしれませんね。  

【今週のピックアップデッキ】ラクドスリアニメイト/白単トークンコントロール/イゼットフェニックス

週刊 Modern Pioneer Standard ピックアップ

2025.04.18

mtg Yuyan

こんにちは。 細川 侑也(@yuyan_mtg)です。 今週のピックアップデッキでは、ちょっと珍しいデッキを、軽い解説を交えて紹介していきます。   紹介デッキ ラクドスリアニメイト 白単トークンコントロール イゼットフェニックス   ラクドスリアニメイト スタンダードリーグ : 5-0 By Apeliotes MTGアリーナ用インポートデータ 巨大なクリーチャーを墓地に落として軽いリアニメイト呪文で戦場に吊り上げるデッキ、リアニメイト。 最強のリアニメイト呪文である1マナの《再活性》は今もレガシーで猛威を振るい続けており、モダンでは《御霊の復讐》が活躍しており、下フォーマットでは今も人気の戦略です。 そんなリアニメイトがスタンダードにも登場しました。   肝心の吊り上げる呪文は最近スタンダードに帰ってきた《ゾンビ化》。4マナで墓地からクリーチャーを戦場に戻すシンプルなソーサリー。以前スタンダードで再録された時もリアニメイトで活躍しており、《ゾンビ化》がある環境ではいつもリアニメイトが成立しますね。 《ヴァルガヴォスの崇拝者》は《ゾンビ化》を内蔵するクリーチャー。出してそのまま生け贄にするには5マナかかりますが、事前に戦場に出ていれば《ゾンビ化》です。《呪文貫き》《否認》などを避けられるリアニメイトスペルなので、青い相手のサイド後は重宝しますね。 さて、デッキの主役となるファッティたちをご紹介しましょう。   まずはスタンダードからヴィンテージまで使われている最強のリアニメイト先、《偉大なる統一者、アトラクサ》。 墓地からクリーチャーを吊り上げるには、カードを捨てて、それを墓地から戦場に戻すという2つの工程が必要で、当然それぞれのためにカードを費やします。そのため、戦場に出てくるクリーチャーが出しただけで勝つほどのサイズや能力を持っているか、失ったリソースを回復できるか、いずれかでなければなりません。   《引き裂かれし永劫、エムラクール》は前者です。戦場に出ても特にカードをもたらしてくれませんが、一撃で相手を投了に追い込む力があります。 かつてこの両方を担っていたのが《グリセルブランド》でしたが、ライフが少ない状態では7枚のカードを引けず、除去されて何も起きずに敗北することもしばしばありました。 その点、《偉大なる統一者、アトラクサ》はリアニメイトされるクリーチャーとしての条件を満たす完璧なクリーチャーです。 7/7で絆魂・警戒と攻守に渡って優れたサイズと能力を持ち、上から10枚を見て各タイプを1枚ずつ手札に加えられる、驚異的なリソース補充量。スタンダードでリアニメイトが成立するのは、《偉大なる統一者、アトラクサ》がまだ残っているからといっても過言ではありません。   第二の釣り先となる《原初の征服者、エターリ》は戦場に出た時はほぼ能力がないようなカードですが、お互いのライブラリートップを土地以外のカードが出るまで追放し、それらのカードをタダでプレイできます。 《ミストムーアの大主》が入っているような相手には強力ですし、自分のライブラリーから《偉大なる統一者、アトラクサ》などがめくれることもあるため、リアニメイトデッキとの相性が良いカードです。   そして《恐怖を喰うもの、ヴァルガヴォス》。こちらは9/9、飛行・絆魂と凄まじいサイズに、強力な護法能力がついています。パーマネント3つの生け贄はかなり重く、除去するのは非常に難しい。 更に能力も強烈。墓地に送られるカードを追放し、その追放されたカードをマナの代わりにライフで唱えられます。自身が9/9絆魂なので、ライフを支払って相手のカードを使い、攻撃によって失ったライフを補填します。大抵はこのカードが除去できなかった時点でゲームセットとなりますね。   このように、リアニメイト先はどれもが超一流です。   リアニメイトスペルとファッティが揃い、後必要なのは……そう、墓地に落とす手段。このデッキはそれも一流揃いです。   様々なデッキで使われている《逸失への恐怖》は当然ながら、赤単でも活躍中の《光砕く者、テルサ》は非常に面白いチョイス。墓地にクリーチャーを落とす手段でありながら、リソースにもなる可能性があるのです。もちろん釣り先となるカードが追放されてしまう可能性もありますが。 《ベイルマークの大主》はライブラリーから直接クリーチャーを墓地に落とします。《ヴァルガヴォスの崇拝者》を拾えるので、釣り先と釣り竿の両方を《ベイルマークの大主》1枚で揃えることもできますね。 《ヴェールのリリアナ》に《苦々しい勝利》と、手札を捨てられる除去も採用されており、カードを捨てることには困らないでしょう。 ド派手な戦略がお好きな方はぜひお試しあれ。     白単トークンコントロール パイオニアチャレンジ : 優勝 By  McWinSauce MTGアリーナ用インポートデータ かつてスタンダードを賑わせていた《世話人の才能》。 トークンが出るたびに1ターンに1回カードを引き、トークンをコピーし、最終的にはトークンを全体強化する。まさにトークンデッキのためのカード。   白はトークンを出して強化する手段に優れており、《婚礼の発表》は毎ターントークンを作りながら、最終的にはクリーチャーを全体強化する《栄光の頌歌》になります。 『タルキール:龍嵐録』では、トークンデッキのためのカードがまた登場しました。   それが《嵐の討伐者、エルズペス》です。 トークンが2倍生成される常在型能力に、プラスはトークン生成。0で全体強化を行い、マイナスで全除去もついている、トークン使いたちが夢にまで見たカード。   かつてのトークンデッキが《嵐の討伐者、エルズペス》の常在型能力しか持たない《選定された行進》を使っていたことから考えると、凄まじい進化ですね。 《団結の最前線》も『タルキール:龍嵐録』から加入した新カード。 3マナ以下のクリーチャー・土地以外のパーマネントを2枚場に出すこのカード。除去を《ポータブル・ホール》などのパーマネントにしており、トークンを生成するカードの多くはエンチャントなため、非常に当たりが多く、1枚で膨大なアドバンテージを生み出します。 そしてパーマネントが多いということは……そう、《空を放浪するもの、ヨーリオン》のバリューが凄まじいのも魅力。《団結の最前線》でめくれたカードたちが《空を放浪するもの、ヨーリオン》によって更に再利用されるので、各英雄譚は誘発し、《放浪皇》はトークンを生み出し、《世話人の才能》が再び誘発します。 大量のドローと《空を放浪するもの、ヨーリオン》、更にトークン戦略と揃っているこの白単トークンは、パイオニアでずっと最強のデッキとして君臨し続けていた《思考囲い》《鏡割りの寓話》デッキに非常に有利なデッキです。 赤系アグロに対してもそれなりに有利なデッキで、勝てない相手はコンボぐらいでしょうか。ロータスコンボだけはお手上げになりそうですね。   そのためサイドボードには《真昼の決闘》が採用されています。ロータスコンボを見るなら《減衰球》ですが、《ニクスの祭殿、ニクソス》の相性を考慮してのことなのかもしれません。 そもそもロータスコンボは構造上無理だと割り切っている可能性もありますね。《真昼の決闘》はロータスコンボにはイマイチですが、イゼットフェニックスには効果的です。《減衰球》がイゼットフェニックスに微妙なことを考えると、《真昼の決闘》の採用も納得できます。 デッキ相性差が非常に極端な白単コントロール。強い相手にはとことん強く、再現性も高いデッキなので、メタが合った時には無双間違いなしですね。手札破壊に長年苦しめられた方は回してみてください。     イゼットフェニックス モダンリーグ : 5-0 By  Allaire74 今ではすっかりパイオニアの顔となっているデッキ、イゼットフェニックス。 実は《信仰無き物あさり》が禁止されるまでは、モダンで一線級のデッキでした。《信仰無き物あさり》解禁直後に姿を見かけ、最近ではまた消えかかっていましたが、『タルキール:龍嵐録』で1枚のカードを得て今回見事にリーグで5-0を達成しました。 そのカードとは《コーリ鋼の短刀》。 説明不要の『タルキール:龍嵐録』最強カード。呪文を1ターンに2回唱えると果敢を持つモンクを生成するこの装備品。当然、3回の呪文を唱えると墓地から帰ってくる《弧光のフェニックス》との相性は良好です。 《弧光のフェニックス》を復活させるために呪文を3回唱えるということは、モンクが生成されるということで、果敢自体も3回行われます。先に1体でもトークンが出ていれば4/4で、新しいモンクは3/3。そして《弧光のフェニックス》と合わせて一気に10点が入ります。   その《弧光のフェニックス》を墓地に落とす手段は、前述の《信仰無き物あさり》と《ドラゴンの怒りの媒介者》。 非クリーチャー呪文を唱えるたびに諜報し、昂揚後は3/3飛行と破格の1マナ域。デッキ内のほとんどのカードが1マナ以下のスペルなので、ライブラリーを掘り進めて《弧光のフェニックス》を引き当てにいきます。   《弧光のフェニックス》を戦場に戻すために一役買うのは《魔力変》と《溶岩の投げ矢》。いずれも2ターン目に呪文を3回使える可能性のあるカードです。 《コーリ鋼の短刀》の条件を満たすためにこれらのカードはイゼット果敢でも採用されていましたが、1ターンに2回という条件が簡単なので、どうせなら後1回唱えて《弧光のフェニックス》を帰してみようと考えて、イゼットフェニックスを組んでみたのかもしれませんね。 果敢デッキは本来除去が非常に苦手なデッキです。継続して果敢を達成するためにデッキに入っているカードの多くはキャントリップや軽い火力なため、ダメージソースであるクリーチャーを倒されてしまうと、相手のライフを削りきれません。 その弱点を解消したのが《コーリ鋼の短刀》だったのですが、《弧光のフェニックス》が加わり、除去耐性に磨きがかかりました。《ドラゴンの怒りの媒介者》《僧院の速槍》のために除去ハンドをキープしてきた相手に《コーリ鋼の短刀》と《弧光のフェニックス》で殴りかかるのは快感ですね。 このリストには採用されていませんが、《表現の反復》もありますし、リソース面の不安もイゼットカラーは解消できます。 パイオニアでイゼットフェニックスを使っている方は、これを機にモダンに参入してみてはいかがでしょうか?一味も二味も違って楽しいですよ!

【デッキガイド】モダンで《コーリ鋼の短刀》が大暴れ!『コーリ隆盛』解説

Modern ピックアップ

2025.04.16

mtg Yuyan

こんにちは。   細川 侑也(@yuyan_mtg)です。 こんにちは!   チャンピオンズカップファイナルのエリア予選が先月終わったと思ったら、もう次のチャンピオンズカップファイナルの予選シーズンが始まっていました。   しかもフォーマットはモダン!   ユトレヒトで惨敗してからはほとんど触っておらず、《死の国からの脱出》が禁止になってからは一度も紙でプレイしていなかったのですが、予選の予約をしてからはなぜかやる気が出て、ちょこちょこ配信などでモダンをプレイしていました。   先に結果を報告しますと、予選シーズンが始まって1発目は、店舗予選に参加。アミュレットタイタンを使用し、準々決勝で敗北しました。   そして翌日のスペシャル予選はコーリ隆盛で5-0-2の土つかずで突破!ゲームカウントも10-0と完勝でした。   本日の記事は、そのジェスカイ隆盛に関するお話となります。   その前に、店舗とかスペシャルとは何ぞや?という方のために。   今回から店舗予選・エリア予選というシステムがなくなり、チャンピオンズカップファイナルの予選はすべてが本戦への権利を獲得できるものとなりました。   店舗予選は優勝者のみ、スペシャル予選では人数に応じて複数人が権利を獲得する予選となっており、以前よりもシステムとしてはわかりやすく、「久しぶりに競技大会に出たいな」と思っている古参プレイヤーも戻ってきやすくなっていると思いました。   実際、先週は僕の古いマジックの友人が復帰してそのまま権利を獲得していましたし、今のところ新システムは賛成です。 目次 コーリ隆盛に至るまで デッキリストとカード解説 デッキの回し方 マリガン サイドボーディング 終わりに コーリ隆盛に至るまで 《ジェスカイの隆盛》コンボに《コーリ鋼の短刀》を後から入れたように見えるデッキですが、実は完成の経緯はむしろ逆で、発端は《コーリ鋼の短刀》でした。 《コーリ鋼の短刀》の強さに最初に気付いたのは、スタンダードのイゼット果敢で使われているところを見た時でした。トークン生成の条件が軽く、また出るトークンが果敢!2マナの《僧院の導師》と言っても過言ではありません。 そして下環境になれば《コーリ鋼の短刀》はさらに強くなる確信もありました。スタンダードでは軽いカードはどうしても弱く、《選択》《手練》で継続的にトークンを生成するのが基本となるでしょう。つまり、基本的にカードが動き出すのは3ターン目からです。 しかし、0マナのカードが使えるモダンならば2ターン目からトークンを生成することも簡単で、しかもほとんどのカードが軽いため、トークンが複数いる状態で一気にスペルを唱えて強化もできます。   モダンのイゼット果敢のリストを見た時に心が躍らなかった理由は、0マナの少なさでした。《コーリ鋼の短刀》を2ターン目に置いてトークンを出したり、出たトークンたちを一気に強化するなら、0マナのカードをたくさん使うべきです。 《ミシュラのガラクタ》は《コーリ鋼の短刀》と最高の相性です。0マナのキャントリップ呪文ですからね。そして《ミシュラのガラクタ》《コーリ鋼の短刀》がアーティファクトなので、同じく0マナの《オパールのモックス》の金属術も達成しやすい。 それならもう1種の0マナカードとして《モックス・アンバー》も入れたい。そうすれば0マナのアーティファクトが10枚以上入ることになり、《コーリ鋼の短刀》を非常に強く使えるはず。 《オパールのモックス》《モックス・アンバー》《ミシュラのガラクタ》。この並びと組み合わせるなら《知りたがりの学徒、タミヨウ》《湖に潜む者、エムリー》しかないでしょう。《モックス・アンバー》から色マナを出すためには、1マナの伝説のクリーチャーが一番ですからね。 ここまで集まったカードたちでできることは、《コーリ鋼の短刀》で殴りながらリソースを獲得する。ただこれだけです。しかしこれならイゼット果敢に劣ってしまうでしょう。《コーリ鋼の短刀》を誘発させるのは誰にも負けませんが、それだけではゲームに勝てません。   《コーリ鋼の短刀》と《湖に潜む者、エムリー》、その両方と噛み合うカードが何か欲しいと考えました。   その結果が《ジェスカイの隆盛》だったのです。 《湖に潜む者、エムリー》と《ジェスカイの隆盛》は実はコンボになります。《湖に潜む者、エムリー》で墓地にある《ミシュラのガラクタ》を対象に取り、《ミシュラのガラクタ》を唱えると、《ジェスカイの隆盛》の能力が誘発し、《湖に潜む者、エムリー》がアンタップします。 《ミシュラのガラクタ》を起動し、《湖に潜む者、エムリー》で再び《ミシュラのガラクタ》を墓地から唱え、この工程を無限に繰り返せるので、《ジェスカイの隆盛》が好きなだけ誘発します。 《ミシュラのガラクタ》の代わりに《モックス・アンバー》2枚や《オパールのモックス》2枚でもこのコンボが成立します。コンボが成立すれば《湖に潜む者、エムリー》が無限パワーになり、無限ルーターが発生するので勝利です。   これまでもこのコンボはモダンでも成立していましたが、《ジェスカイの隆盛》がコンボ以外の使い道に乏しいのが悩みどころでした。   しかし、《コーリ鋼の短刀》があるこのデッキなら話は変わってきます。 2~3体の果敢トークンと《ジェスカイの隆盛》があれば、コンボなどせずとも、ただスペルを数回唱えるだけでライフを削りきれます。《ミシュラのガラクタ》1枚で+2/+2修正が入りますからね。 果敢トークン2体、《コーリ鋼の短刀》とある状態で《ジェスカイの隆盛》をプレイしたとしましょう。まず果敢が1回乗ります。その後、《ミシュラのガラクタ》をプレイすると、元々いたトークンの修正値は+3/+3。更に《コーリ鋼の短刀》から新たなトークンが生成されます。もう1度スペルを唱えると元々いたトークンが+5/+5、新たなトークンが+2/+2。6+6+4の16点がたったこれだけのカードから出るのです。   コンボとビートダウン、そのどちらも成立させる《ジェスカイの隆盛》が、《コーリ鋼の短刀》のマスターピースだったのです!   デッキリストとカード解説 《知りたがりの学徒、タミヨウ》   《モックス・アンバー》《オパールのモックス》の相方。この2枚のモックスを動かすのに彼女の力はあまりに便利です。   《湖に潜む者、エムリー》は1マナでプレイするためにアーティファクトを2枚出す必要がありますが、《知りたがりの学徒、タミヨウ》は条件なく1ターン目にプレイできるので、モックスたちを無理なく運用できます。   モックスたちを並べて失った手札を手がかりで回復し、変身しようものなら、大マイナスを目指したり、小マイナスで墓地のスペルを使い回すなど、その用途も多種多様。   エルドラージ相手には《記憶への放逐》を回収し続けてハメることが多く、プレインズウォーカーに触れにくい相手には一直線に奥義に突き進んでいきます。   モックスの始動役で、1ターン目からのブン回りに貢献してくれます。4枚から動くことはありえません。   《湖に潜む者、エムリー》 3マナのクリーチャーながら、出す時は大体1マナです。そのため《モックス・アンバー》との相性はやはり良い。   墓地のアーティファクトを使い回す能力で《ミシュラのガラクタ》を回すも良し、マナが欲しければ《モックス・アンバー》《オパールのモックス》を回収。その他にも《上天の呪文爆弾》を使い回して妨害や《魂標ランタン》による継続的な墓地追放など、破格の性能を持っているシステムクリーチャー。   しかもこのデッキでは《ジェスカイの隆盛》とのコンボも内蔵しています。このコンボを決めるためには《湖に潜む者、エムリー》がアクティブである必要がありますが、後述の《コーリ鋼の短刀》によって速攻を付けられるので、更地からでも急にコンボが決まる時があります。   コンボ・リソース稼ぎ・妨害、そのすべてを担う、このデッキの心臓部分ともいえるクリーチャーです。   《ミシュラのガラクタ》 別名《湖に潜む者、エムリー》のズッ友。   0マナ1ドローはシンプルながら強力。《ジェスカイの隆盛》《コーリ鋼の短刀》や果敢などスペルを唱えることが重要なこのデッキにおいて、《ミシュラのガラクタ》は最重要カードの1枚。   フェッチランドを置いて自分のライブラリートップを見て、それが不要ならシャッフルし、必要ならドローしてからフェッチランドを起動しましょう。   1ターン目にドローしたいと思ったら、相手のアップキープの起動がオススメです。相手が引く1枚のカードがわかりますし、ドローが発生するのは自分のターンなので、《思考囲い》などの手札破壊から1枚を守れます。   《オパールのモックス》 やはり解禁は間違いだったのではないか?そう思うほどの爆発力を持つカード。《モックス・アンバー》も《知りたがりの学徒、タミヨウ》《湖に潜む者、エムリー》の8枚体制で動くようにはなりましたが、それでも便利さという点では《オパールのモックス》に劣ります。   好きな色マナが出るのも、3色のこのデッキでは嬉しく、マナトラブルを改善してくれます。   2ターン目に《コーリ鋼の短刀》+《オパールのモックス》、3ターン目に《コーリ鋼の短刀》を誘発させつつ追加でスペルを唱えて4+3の7点を入れる場合が多く、その展開では《オパールのモックス》から出る追加の1マナがしみます。   《モックス・アンバー》 ほとんど青マナしか出ないのが《オパールのモックス》に比べて弱いですが、それでもモックスの名は伊達ではなく、1ターン目からの激しい展開を生むことができるカード。   《知りたがりの学徒、タミヨウ》をキャストして《モックス・アンバー》から《定業》を打つなど、アーティファクトをあまり引いていない時は《オパールのモックス》より強く、3枚は必須。4枚目は少し多く、こちらは土地になりました。   《コーリ鋼の短刀》 来ました。このコーリ隆盛の真の主役となるカード。   2ターン目から2点、3ターン目に5点、4ターン目に8点と、最速で出してただトークンを出しているだけで勝手に勝ってしまうすごいカード。   4ターン目に追加で1回果敢が発生すれば11点入るので、お手軽に4ターンキルになります。   《ミシュラのガラクタ》《オパールのモックス》《モックス・アンバー》と0マナが満載なので、2ターン目の《コーリ鋼の短刀》からトークンを生成するのも容易く、3ターン目以降も無理なくトークンを出し続けられます。   攻撃的に使うのが基本的な運用方法ですが、ブロッカーとしても果敢クリーチャーは頼もしく、ボロスエネルギーなどアグロとのマッチアップでは、トークンを立ててターンを返すことも多々あります。攻防一体のカードですね。   速攻を付与する能力が装備品自体にあるので、《ウルザの物語》でトークンを生成して装備アタックなどもできます。トランプルもつくため、それだけでゲームに勝ててしまうこともしばしば。   《湖に潜む者、エムリー》の能力を出したターンに起動できます。それによって《ジェスカイの隆盛》《コーリ鋼の短刀》の場からでも《湖に潜む者、エムリー》による瞬殺コンボが可能です。   《ジェスカイの隆盛》コンボでありながら、その実態は《コーリ鋼の短刀》デッキ。無限コンボはオプションの1つで、《コーリ鋼の短刀》を使った様々な攻めがこのデッキの持ち味です。《ジェスカイの隆盛》と《コーリ鋼の短刀》が揃うと一瞬で人が死にます。   2枚重なっても強いカードで、2ターン目に《コーリ鋼の短刀》Aからトークン、3ターン目に《コーリ鋼の短刀》Bからトークンが2体出ると、まあ大体4ターンキルです。   モックスを使うデッキはアーティファクト主体となるため、《大いなる創造者、カーン》に苦しめられがちなデッキですが、その点も《コーリ鋼の短刀》は解決しており、デッキのすべてと噛み合う完璧なカードです。   《ジェスカイの隆盛》 3マナ、かつジェスカイの3色を使用するカードなので出しにくいですが、その分出した時の破壊力はピカイチ。   既にご紹介しているように《湖に潜む者、エムリー》《ミシュラのガラクタ》と組み合わせれば無限コンボになりますし、非クリーチャー呪文を唱えればとりあえずルーターが行えます。   《知りたがりの学徒、タミヨウ》《湖に潜む者、エムリー》《モックス・アンバー》《オパールのモックス》と大量に伝説のカードが入っているので、かぶったそれらを捨ててカードを引けますし、マナフラッド受けにもなります。   《コーリ鋼の短刀》によってクリーチャーが横に並ぶため、パンプ能力も強力です。従来の《ジェスカイの隆盛》はこのパンプ能力が無限コンボ以外で活きなかったのですが、このコーリ隆盛ではこちらの能力も強力なのです。   《ウルザの物語》を置くと最速では出せませんが、3章でモックスをサーチすれば出るので、そこまで困ることはありません。   サイド後はエンチャント破壊の的になることも多いので、何枚かサイドアウトします。   《定業》 1ターン目に《知りたがりの学徒、タミヨウ》《モックス・アンバー》と展開した際に青マナが余るので、《定業》は比較的プレイしやすく好感触でした。   《ジェスカイの隆盛》《コーリ鋼の短刀》に辿り着きたいですし、《アノールの焔》《感電破》《ポータブル・ホール》など除去にもアクセスしたい場面があるので、《定業》は様々な状況で活躍します。   《ポータブル・ホール》 便利な1マナの除去枠。《稲妻》などと違ってタフネスが高いクリーチャーも対処できます。具体的には《超能力蛙》ですね。   クリーチャー以外に触れるのもメリットです。特にサイド後に置かれる《石のような静寂》などにも対応できるのは他にはない特徴です。アーティファクトである点も優秀で、《湖に潜む者、エムリー》で墓地から唱えることもできますし、金属術の達成にも一役買います。   一方、デメリットもアーティファクトであることです。《摩耗+損耗》などで《ウルザの物語》と一緒に割られてしまうので、サイド後は除去としての信頼度が下がります。   ディミーア系の《超能力蛙》は絶対に触りたいカードなので、ディミーアを意識するなら4枚ですが、現状では2枚に落ち着いています。   《感電破》 除去を《ポータブル・ホール》とスプリットして採用。《感電破》のメリットは本体火力であることです。   《コーリ鋼の短刀》が絡むとすぐにライフを削りきれるので、《感電破》は実は重要。クリーチャー除去としても4点は十分ですし、金属術達成が難しい1ターン目なら2点で問題ないです。   《大いなる創造者、カーン》もマイナスから入ってきたら《感電破》で落とせます。色々な状況を想定して、《ポータブル・ホール》と分けた方が良いと判断しました。   《アノールの焔》   《湖に潜む者、エムリー》《知りたがりの学徒、タミヨウ》とウィザードを8枚採用しているので、相性の良い《アノールの焔》を少しだけ入れることにしました。   マナソースがモックス7枚を合わせて27枚入っているので、ある程度リソースを稼ぐカードは採用したく、その上でただカードを引くだけに3マナを使うのは嫌でした。《食糧補充》をメインに入れなかった理由はそこです。   《アノールの焔》は2ドローしながら除去できますし、サイド後はヘイトパーマネントに触れる便利なカードです。   《上天の呪文爆弾》 《ウルザの物語》からのサーチ用A。   《火の怒りのタイタン、フレージ》《濁浪の執政》《超能力蛙》など、対処困難なカードを《ウルザの物語》からサーチしてこれます。《湖に潜む者、エムリー》で使い回すのも〇。   《魂標ランタン》 《ウルザの物語》からのサーチ用B。   ボロスエネルギーの《火の怒りのタイタン、フレージ》、ディミーアマークタイド、今はアミュレットタイタンなど、墓地を使うデッキはそれなりに多く、《魂標ランタン》は活躍する場面が多めです。   やはり《湖に潜む者、エムリー》で使い回せるのが良い。   《真髄の針》 《ウルザの物語》からのサーチ用C。   主にコンボデッキに対して劇的に刺さるので、メインでの採用を推奨します。1枚デッキに入れておくだけで《ウルザの物語》のバリューが跳ね上がりますからね。   ボロスエネルギーに対しても《ゴブリンの砲撃》を指定できるので、腐るマッチ自体は少なめです。   《記憶への放逐》《儀礼的拒否》 ここからはサイドボード。   対エルドラージ対策として欠かせないカードですね。エルドラージには1マナの打ち消しが一番なので、5枚目として《儀礼的拒否》を採用しているぐらいです。   青いデッキはすべて《記憶への放逐》4枚は必須ですね。   《火の怒りのタイタン、フレージ》 エネルギーやオルゾフブリンクなどにサイドインします。   イメージとしては、《コーリ鋼の短刀》でゲームに勝つことが難しく、《ジェスカイの隆盛》も触ってくる相手でしょうか。単純に勝ち筋がなくなってしまうので、シンプルな勝ち手段として《火の怒りのタイタン、フレージ》をサイドインします。   《空の怒り》が入ってくる可能性もあるので、そういった相手には《火の怒りのタイタン、フレージ》がぴったりです。   スペシャル予選を突破した時のリストには《河童の砲手》が入っていましたが、これも用途はほぼ同じです。   《摩耗+損耗》 今回《コーリ鋼の短刀》《ウルザの物語》デッキを持ち込むプレイヤーが増えそうな予感がしていたので、対策としてサイドに入れていました。アミュレットなどにも刺さりますし、普通に良いカードですね。   《石のような静寂》がとにかくきついので、白い相手にはとりあえずサイドインを試みたいところ。   《紅蓮地獄》 主に入れる相手はエネルギー。先手の《オセロットの群れ》《魂の導き手》の展開には《紅蓮地獄》しかありません。   1マナ重いと《魂の導き手》が3/4になって触れなくなるので、3マナ3点より2マナ2点です。もちろん効かない展開もあるので、2枚が限度かなと思います。   2点なので自分のモンクトークンがそこそこ生き残りやすい。   《呪文貫き》 スペシャル予選の時には入っていなかったカード。《コーリ鋼の短刀》を使うデッキ全般、コントロール、エルドラージととりあえず入れる相手自体は多いです。   《モックス・アンバー》を構えてターンを返すことが多いので、青マナはそれなりに浮きやすく、《呪文貫き》はちょうど良いカードかなと思いました。   打ち消し自体はさほどデッキに合っていませんが、0枚と少し入れるとではだいぶ違うので、1~2枚はサイドボードに用意すると、どのマッチにも対応できて良いです。   《神秘の論争》 《呪文貫き》と用途はさほど変わりませんが、こちらはよりベルチャーに強いカード。《発明品の唸り》《現実の設計者、タメシ》と、ちょうど《記憶への放逐》を抜けてきそうなカードたちに刺さります。   コントロールデッキに対して入れるものがほとんどなかったというのもあります。スペシャル予選の時は、元々コントロールがキツいので、あえて意識せず割り切ることにしました。   《時を解す者、テフェリー》 3マナと少し重いですが、効果は絶大。コントロールに出せば打ち消しが全部手札で腐り、その上《石のような静寂》などのヘイトパーマネントにも触れます。   3マナが《ウルザの物語》の起動とかぶるマナなので複数枚入れると動きがちぐはぐになります。そのためメインに入れることは難しく、サイドボードに1枚のみとなりました。   対策を置かれればそれをバウンスでき、そうでなくてもとりあえず最低限の働きはするので、とりあえずの保険でサイドインできるカードです。環境に《石のような静寂》が増えれば枚数が増えることもあるでしょう。   《最高工匠卿、ウルザ》 用途は《火の怒りのタイタン、フレージ》とほぼ同じで、フィニッシャーの役割です。《コーリ鋼の短刀》《ジェスカイの隆盛》に触られた時用ですね。   特にエネルギーには《最高工匠卿、ウルザ》はほぼ触られないので、場に出るだけで一気に行動回数が増えます。対エネルギーで強いカードではあるのですが、《ウルザの物語》やモックスを狙われるパターンが多く、ストレートに4マナまで到達しづらく、その際に手札で腐ってしまうのが嫌なので、1枚のみとなっています。 デッキの回し方 ・無限コンボについて 《湖に潜む者、エムリー》《ジェスカイの隆盛》《ミシュラのガラクタ》が揃うと、無限に《ジェスカイの隆盛》を誘発させることができるので、無限パンプ&無限ルーターになります。 1.《湖に潜む者、エムリー》を《ミシュラのガラクタ》を対象に起動2.《ミシュラのガラクタ》を唱えて《ジェスカイの隆盛》が誘発して《湖に潜む者、エムリー》がアンタップ3.《ミシュラのガラクタ》を起動して墓地に落とし、《湖に潜む者、エムリー》で再び《ミシュラのガラクタ》を対象に取り、以下繰り返し   要するに墓地から0マナのアーティファクトを無限に唱えられればコンボが成立するので、《ミシュラのガラクタ》以外でも、《モックス・アンバー》2枚や《オパールのモックス》2枚でもコンボが成立します。 《ミシュラのガラクタ》でコンボを決めると《湖に潜む者、エムリー》が無限にデカくなるだけなので、チャンプブロックなどで凌がれてしまうと思ってしまうかもしれませんが、その点は大丈夫です。   無限ルーターをしていると、いつか《オパールのモックス》や《モックス・アンバー》に辿り着きます。ルーターで引いてきたらそのまま墓地に捨てて、《湖に潜む者、エムリー》の能力で墓地から釣りましょう。   《オパールのモックス》を捨てて、墓地から《湖に潜む者、エムリー》の能力で唱え、2枚が揃えば無限パンプ&無限ルーター&無限マナになります。(金属術が達成できなければ、墓地から《ミシュラのガラクタ》を吊り上げておけばOK) マナがある状態でルーターによって《コーリ鋼の短刀》まで辿り着き、墓地に落とし、《湖に潜む者、エムリー》で《コーリ鋼の短刀》を拾い、装備すれば無限パワーの《湖に潜む者、エムリー》にトランプルが付くので勝利です。 このコンボを決めるためには《湖に潜む者、エムリー》がアクティブである必要がありますが、《コーリ鋼の短刀》で速攻を付与すれば、《湖に潜む者、エムリー》を出したターンでもコンボが決まります。   先に《ジェスカイの隆盛》だけ貼った状態からでも、《コーリ鋼の短刀》+《湖に潜む者、エムリー》+装備の5マナでコンボができるので、割とお手軽です。   ・《コーリ鋼の短刀》を中心にプレイする 上記のコンボが内蔵されたこのデッキですが、基本的にはジェスカイトークンだと思ってプレイしてください。相手のライフを削ることを最優先します。《ウルザの物語》があればまずトークンを作りますし、《ジェスカイの隆盛》と《コーリ鋼の短刀》から何点出せるかを常に考えましょう。 《コーリ鋼の短刀》の誘発は最優先事項なので、たとえば初手に《ミシュラのガラクタ》と《コーリ鋼の短刀》がある場合は、《ミシュラのガラクタ》を唱えるのは2ターン目まで待ってください。 《定業》も先手1ターン目に欲しいカードがなければプレイせず、後の《コーリ鋼の短刀》誘発を意識しましょう。もちろん、《コーリ鋼の短刀》がなければ探しにいきますが。 このデッキをビートダウンかコンボのどちらで考えるかによって、《定業》のチョイスなどに大きく関わってきます。《湖に潜む者、エムリー》《ジェスカイの隆盛》《ミシュラのガラクタ》のコンボは除去1枚で妨害されてしまう脆弱なコンボです。   メインは《コーリ鋼の短刀》による攻撃であり、《ジェスカイの隆盛》はその攻撃を後押ししつつ、《湖に潜む者、エムリー》とのコンボにもなるエンチャントです。   ・1tの《湖に潜む者、エムリー》か2tの《コーリ鋼の短刀》 よくあるのが、初手に《モックス・アンバー》《オパールのモックス》《湖に潜む者、エムリー》《コーリ鋼の短刀》のような初手。   1ターン目に《湖に潜む者、エムリー》は出せるが、そうすると2ターン目に《コーリ鋼の短刀》が誘発しないかもしれない。そんな手札です。   この場合は温存して2ターン目に《コーリ鋼の短刀》から行きます。《コーリ鋼の短刀》→《オパールのモックス》→《モックス・アンバー》で《湖に潜む者、エムリー》まで出せてしまうためです。1ターン遅らせるだけでトークンのオマケがついてきますからね。 《湖に潜む者、エムリー》を3ターン目まで遅らせる必要はありません。3ターン目の誘発まで確定していますが、《湖に潜む者、エムリー》も早いターンに出せるなら出しておきたいです。 《オパールのモックス》か《モックス・アンバー》が代わりに《ミシュラのガラクタ》だった場合は、1ターン目に《湖に潜む者、エムリー》をプレイします。《湖に潜む者、エムリー》が生き残った場合に、2ターン目の《コーリ鋼の短刀》誘発が確定するからです。 《ミシュラのガラクタ》と《湖に潜む者、エムリー》がある場合はなるべく早く《湖に潜む者、エムリー》を着地させましょう。ターンが遅れるごとに1ドローを失うと考えてください。   マリガン 2ターン目の《コーリ鋼の短刀》誘発や、除去+《ウルザの物語》、1ターン目の《湖に潜む者、エムリー》などなど、キープできる手札は多種多様です。 デッキとしてはかなりキープしやすい部類かなとは思いますが、マナがたくさんある初手も結構来るので、その際はマリガンしましょう。   《オパールのモックス》《モックス・アンバー》土地2枚みたいな初手はただの土地4です!残りのハンドが相当強ければキープできますが。2枚のモックスと相性の良い《知りたがりの学徒、タミヨウ》《湖に潜む者、エムリー》のいずれかは必須ですね。 モダンにおいて序盤の圧力は必要不可欠です。《コーリ鋼の短刀》で2ターン目から殴れたり、《ウルザの物語》で勝つプランなら妨害手段、そしてモックスを並べて1ターン目から超展開など、ある程度頭で動きを描ける初手をキープしたいです。   土地が1枚の手札は《定業》などのドロースペルさえあれば大体キープできます。1ターン目に《湖に潜む者、エムリー》が出るハンドも土地1でも十分。フェッチランド+《ミシュラのガラクタ》でもやはりキープでき、土地1は割とキープしやすいです。 試しに今から5回ほど初手を開きます。キープorマリガン、そしてキープした場合はどうやって動くかを一緒に考えましょう! キープ。 2ターン目に《コーリ鋼の短刀》を誘発させつつ、相手によって効く可能性のある《魂標ランタン》と除去である《アノールの焔》がある良い手札。秒キープです。   フェッチランドから《轟音の滝》をサーチしつつ、2ターン目に《コーリ鋼の短刀》から攻めましょう。 キープ。 あまり強くはないですがキープできる手札です。除去とドローがありますからね。《定業》で《コーリ鋼の短刀》か《湖に潜む者、エムリー》あたりを探しにいきましょう。 キープ。 2ターン目に《コーリ鋼の短刀》が出せるか微妙で少しリスクのある初手ですが、まあキープです。《知りたがりの学徒、タミヨウ》が生き残れば2ターン目に手がかりも使えますし、ストレートに土地を引けば《コーリ鋼の短刀》も誘発します。   《ミシュラのガラクタ》起動からとりあえず始めましょう。 マリガン。 非常に惜しい手札。《感電破》+《ウルザの物語》はあるのですが、土地が多すぎます。土地が1枚《湖に潜む者、エムリー》か《知りたがりの学徒、タミヨウ》か《コーリ鋼の短刀》あたりなら完璧でしたね。 キープ。 赤マナがなく少しリスクのあるハンドに見えますが、《知りたがりの学徒、タミヨウ》が除去されて《湖に潜む者、エムリー》が生き残り、《ミシュラのガラクタ》起動でリソースが取れそうです。《ジェスカイの隆盛》もあるのでコンボも決まりそうですし、かなり良いハンドです。   サイドボーディングガイド VSボロスエネルギー +2《火の怒りのタイタン、フレージ》+2《紅蓮地獄》+1《最高工匠卿、ウルザ》 -1《真髄の針》-2《ジェスカイの隆盛》-2《定業》 《コーリ鋼の短刀》を攻めにも守りにも使うマッチアップです。序盤から攻める展開の他にも、装備のついたモンクをブロッカーとして立たせて、先に出ていた果敢の乗ったモンクだけで殴り、打点を稼いでいきます。 《湖に潜む者、エムリー》が除去されやすいので《ジェスカイの隆盛》でコンボを決めるのは簡単ではないですが、《コーリ鋼の短刀》のモンクが出ていれば《ジェスカイの隆盛》のパンプで削れたりもします。   インスタント除去は《電気放出》と《スレイベンの魔除け》ぐらいなので、《湖に潜む者、エムリー》を手札に温存しておいて、隙を見て展開→《コーリ鋼の短刀》をつけて《ジェスカイの隆盛》で無限は狙えます。   サイド後は相手が何枚エンチャント破壊を入れてくるかによります。《摩耗+損耗》2枚を想定してのサイドボーディングです。   《ジェスカイの隆盛》は3マナで設置して1マナで割られたら泣いてしまうので少し抜いています。 相手の《火の怒りのタイタン、フレージ》に触れる《上天の呪文爆弾》《魂標ランタン》があるので、《火の怒りのタイタン、フレージ》対決を制することも難しくありません。このマッチのために諜報ランドを2枚入れていると言っても過言ではありません。   VSディミーアマークタイド +2《火の怒りのタイタン、フレージ》+1《神秘の論争》+1《時を解す者、テフェリー》 -1《真髄の針》-3《ジェスカイの隆盛》 基本的には有利なマッチアップです。メインは《ウルザの物語》だけで勝ててしまいます。《上天の呪文爆弾》が光りますね。 サイド後も《ウルザの物語》対策で《海の先駆け》を入れてきづらいので、普通に《ウルザの物語》だけで勝てます。 《コーリ鋼の短刀》もかなりディミーア側にとっては脅威で、適当に誘発させているだけで勝てます。毎ターン必ず誘発させられるように、余計なスペルを打たないようにしましょう。   《オークの弓使い》は激ヤバです。絶対に処理してください。   VSエルドラージ +4《記憶への放逐》+1《儀礼的拒否》+1《呪文貫き》+1《最高工匠卿、ウルザ》 -1《真髄の針》-1《魂標ランタン》-1《上天の呪文爆弾》-2《感電破》-2《ポータブル・ホール》 有利マッチです。《湖に潜む者、エムリー》が生き残りやすく、《コーリ鋼の短刀》ビートとコンボ、どちらでも勝てます。   《コジレックの命令》を打ち消すのが割と重要なのですが、《記憶への放逐》を打ちたくない。そこで《呪文貫き》《儀礼的拒否》と《コジレックの命令》を打ち消せるカードたちをサイドインしています。   《記憶への放逐》を温存できれば大体勝ちです。   VSアミュレットタイタン +4《記憶への放逐》+2《摩耗+損耗》 -1《上天の呪文爆弾》-2《感電破》-2《ジェスカイの隆盛》-1《定業》 《コーリ鋼の短刀》で殴りながら妨害できるのでまあまあ有利です。《ジェスカイの隆盛》のコンボだけなら不利でしたね。《ジェスカイの隆盛》が《耐え抜くもの、母聖樹》で狙われるので、あまり無限コンボは狙えません。 基本は《精力の護符》を対処しつつ、さっさと殴りきるだけです。   《ポータブル・ホール》は《精力の護符》に対処できるので残しています。《洞窟探検》には何もしませんが、《精力の護符》が複数枚出なければ、3ターン以内に決着することは基本ありません。そのため、《精力の護符》だけに狙いを絞っています。   《記憶への放逐》は《ウルザの物語》3章のサーチを止めましょう。 《真髄の針》の指定は《耐え抜くもの、母聖樹》か《トレイリア西部》。《耐え抜くもの、母聖樹》を指定する際はこちらが《ジェスカイの隆盛》からコンボを決められそうな時です。相手のコンボを止めるには《トレイリア西部》と言いましょう。 《トレイリア西部》を指定しておけば、《洞窟探検》+《風景の変容》からの負けは少なくなります。土地が6枚並んでいると《耐え抜くもの、母聖樹》サーチの余裕が生まれるので、絶対に安心ではありません。それでも時間を要するので、その前に勝てるでしょう。   《魂標ランタン》は最近のアミュレットには、《変容する森林》と《事件現場の分析者》に効くのでサイド後も残しておくことを推奨します。《風景の変容》を絡めた即死がなくなるだけで十分です。 というか実は《風景の変容》がかなり通りやすいので、そこから負けないようにするのが大事です。 こちらが先手の時は《ポータブル・ホール》を抜いても良いです。《記憶への放逐》で手札からの《精力の護符》を消せますからね。その際は《感電破》を残しましょう。   《アノールの焔》と合わせて除去は4枚残しておかないと《溜め込み屋のアウフ》でハメられます。注意しましょう。   VS青単ベルチャー +2《記憶への放逐》+2《摩耗+損耗》+1《呪文貫き》+1《神秘の論争》+1《時を解す者、テフェリー》 -1《上天の呪文爆弾》-2《感電破》-2《ポータブル・ホール》-2《ジェスカイの隆盛》 メインは《真髄の針》で《ゴブリンの放火砲》を指定しつつ、速やかに殴り勝つことを目標としましょう。《コーリ鋼の短刀》が絡めば完遂することも結構あります。   サイド後は《睡蓮の花》を着地させないことを第一目標にしています。   ただし割り続けても結局《現実の設計者、タメシ》からコンボを決められます。そのため《魂標ランタン》は重要です。《湖に潜む者、エムリー》の場持ちが良いので何度も使い回せますし、このマッチでかなり大事なので絶対に抜かないでください。   VSドメインズー +4《記憶への放逐》+2《摩耗+損耗》 -1《上天の呪文爆弾》-1《魂標ランタン》-1《真髄の針》-1《ジェスカイの隆盛》-1《定業》-1《アノールの焔》 《記憶への放逐》は《ドラコの末裔》と《力線の束縛》に効くので4枚あって無駄になりません。   軽いクリーチャーは少ないデッキですが、序盤に圧力をかけられなければそもそも負けないマッチアップなので、除去はしっかり残しておきましょう。   VSルビーストーム +2《摩耗+損耗》+1《呪文貫き》 -1《上天の呪文爆弾》-1《真髄の針》-1《感電破》 当然ですが有利ではありません。ほとんどこちらが相手のコンボに干渉できませんからね。   ルビーストームが増えたら《ドラニスの判事》あたりを入れることになりそうです。   VSオルゾフブリンク +2《火の怒りのタイタン、フレージ》+2《摩耗+損耗》+1《最高工匠卿、ウルザ》 -2《ポータブル・ホール》-1《魂標ランタン》-1《真髄の針》-1《上天の呪文爆弾》 エネルギーとゲームプランは似ているのですが、《コーリ鋼の短刀》によるビートだけでは中々勝ち切らないので、《ジェスカイの隆盛》のバックアップが必要。よってサイドアウトできません。   《摩耗+損耗》が入っていないので、そこまで割られることに怯えなくても良いとは思っています。   エンチャント破壊がクリーチャーなので、《ジェスカイの隆盛》を置いてターンを返すのはNG。コンボを決めるのであれば《ジェスカイの隆盛》は最後にしましょう。   《摩耗+損耗》は《ベイルマークの大主》を倒すためにインします。無限に《孤独》を使い回されないように。   《空の怒り》がヤバいので《ポータブル・ホール》は抜いた方が良いです。   終わりに コーリ隆盛は攻めたり守ったり急にコンボを決めたり、75枚のデッキにも関わらず様々な戦い方ができて、回していてすごく楽しいです。回っている時はどんな動きも可能で全能感があります。 脱出基地に似たデッキですが、《コーリ鋼の短刀》によるビートダウンができるのはコーリ隆盛の魅力!そしてそれが対戦相手のプレイやサイドボーディングを難しくさせる要因です。   《コーリ鋼の短刀》の真の強さを味わえるのは、0マナのカードを使えるモダンだと僕は思っています。   ぜひ一度回してみてください!   それではまた。

【今週のピックアップデッキ】イゼット果敢/ウモーリソーサリー/ジェスカイスペル

週刊 Modern Pioneer Standard ピックアップ

2025.04.11

mtg Yuyan

こんにちは。 細川 侑也(@yuyan_mtg)です。 今週のピックアップデッキでは、ちょっと珍しいデッキを、軽い解説を交えて紹介していきます。   紹介デッキ イゼット果敢 ウモーリソーサリーコントロール ジェスカイスペル   イゼット果敢 スタンダードリーグ : 5-0 By DB_YungDingo MTGアリーナ用インポートデータ スタンダードの赤いアグロと言えば、パイオニアすら席巻している《心火の英雄》《多様な鼠》《熾火心の挑戦者》の3種のハツカネズミを使うのが定番。いや、それどころか使わないデッキなど存在しないレベルです。 が、今回紹介するイゼット果敢は赤青でありながら、ハツカネズミを1枚も採用していません!このデッキのコンセプトは、その名前の通り、果敢です。   今更説明するまでもないですが、果敢はクリーチャー以外の呪文を唱えた時に、一時的にサイズが上がる能力。そのためデッキ内の非クリーチャー呪文は多ければ多いほどいいのです。   入っているクリーチャーはたった2種類。果敢クリーチャーの代名詞とも呼ぶべき《僧院の速槍》と《精鋭射手団の目立ちたがり》のみです。 《精鋭射手団の目立ちたがり》は果敢は持たないものの、持っている能力は果敢より強力。1回の呪文でパワーが2上がり、更に自身を計画しておくことで、フルで呪文を使って《精鋭射手団の目立ちたがり》のサイズを引き上げられます。 この果敢2種に加わるのが、クリーチャーではない果敢持ち。《嵐追いの才能》。 《この町は狭すぎる》とのコンボでスタンダードで大活躍するクラスエンチャントですが、今回は単体で採用。非クリーチャー呪文でありながらしっかり1マナの果敢クリーチャーが場に出るので、果敢と相性が良いのがグッドですね。   レベルアップした際には火力や《食糧補充》を拾うことができ、《僧院の速槍》より強い場面も多々あります。   そして最後のクリーチャー枠は新カード。こちらはなんと装備品の《コーリ鋼の短刀》です。 装備クリーチャーに+1/+1速攻とトランプルを付与する装備品……というのはオマケ能力。重要なのはその下の長いテキストです。   1ターンに呪文を2回唱えた時に果敢を持つトークンを生成し、それにこの装備品をつけることができる。とんでもないことが書いてあります。   3ターン目に《コーリ鋼の短刀》から《稲妻波》を本体に打つと果敢トークンが出てきて2点の速攻アタック。次のターンに呪文を2回唱えれば、先に出ていた果敢トークンのサイズが上がりつつ、新しいトークンと一緒に攻撃します。   毎ターントークンを生成する2マナのカードは《苦花》と呼ばれることが多いですが、《苦花》を余裕で超えてくる性能です。 問題は1ターンに2回の呪文を唱えられるかどうかですが、その点を解決するのが青。《嵐追いの才能》のためだけに青が入っているわけではないのです。   《手練》は呪文カウントを稼ぎながら次の火力を探しにいく呪文ですし、なんといっても4枚採用の《食糧補充》が、継続的に《コーリ鋼の短刀》を誘発させてくれます。 相手のライフが少なければ《稲妻波》などの火力呪文、盤面に触りたければ除去、更にリソースを稼ぎたければ《嵐追いの才能》(を出してレベルアップで《食糧補充》を回収)などなど、臨機応変に勝利への道を示してくれます。 これまでの果敢デッキはクリーチャー除去に非常に弱かったのですが、《コーリ鋼の短刀》は除去を構えている相手を嘲笑うような能力です。   果敢軍団による気持ちの良いビートダウン、一度試せば病みつき間違いなし!     ウモーリソーサリーコントロール パイオニアリーグ : 5-0 By  DB_BFG MTGアリーナ用インポートデータ 『イコリア:巨獣の棲処』で登場した超問題児、相棒。   特定の条件でデッキを組むことで、相棒カードを相棒に指定することができ、各ゲーム中に3マナを支払うことで手札に加えられるカードです。   つまり、指定した相棒は確実に手札に加えることができるので、その相棒を前提にしてデッキを組めるというわけです。   最強の相棒、《夢の巣のルールス》はビートダウンのフィニッシャーとして使われました。除去をすべて使わせて、最終的に《夢の巣のルールス》を着地させてそのリソースだけで勝利。このゲームプランを1枚で、そして確実に作れるのが《夢の巣のルールス》が最強と言われる所以。 一方能力をほぼ使うことはないのが《湧き出る源、ジェガンサ》。単に確実に手札に加えられる5マナ5/5としてビートダウンを中心に多くのデッキに採用されていました。《夢の巣のルールス》と比べるとかなり弱いですが、それでもパイオニア・モダンで禁止されるほど。 モダンでのみ禁止されている相棒、《空を放浪するもの、ヨーリオン》は能力を使用することを前提に採用されている相棒。《夢の巣のルールス》に近いカードですね。戦場に出た時に能力を誘発させるパーマネントを多数採用したり、《豆の木をのぼれ》を《空を放浪するもの、ヨーリオン》で誘発させるなど、デッキ外のカード1枚から大量のアドバンテージを獲得して勝利することをコンセプトにしています。 今回ご紹介する相棒も、デッキコンセプトとなる1枚。   《集めるもの、ウモーリ》です! 初めてこの相棒を見たという方も多いのではないでしょうか?その相棒条件は、デッキ内に入っている土地以外のカードが、共通のカード・タイプを持っていることです。   たとえばクリーチャーがデッキに入っていたら、ソーサリーやインスタントをデッキに入れることはできません。インスタントがデッキに入っていたら、ソーサリーもクリーチャーも使えません。   そんな超強烈な制限をデッキにつけてくる可愛い相棒です。   その肝心の《集めるもの、ウモーリ》の能力は、戦場に出るに際し、カード・タイプを1つ選び、そのタイプの呪文がすべて1マナ軽くなるというもの。クリーチャーだけのデッキに入れれば、《集めるもの、ウモーリ》が戦場にいる間はデッキ内のすべてのカードがコスト軽減されることになります。 そして《集めるもの、ウモーリ》で指定するタイプは……ソーサリー!このデッキにはソーサリー以外のカードが1枚も入っていません。   パイオニアで最強のソーサリー《思考囲い》は当然入ります。《集めるもの、ウモーリ》で軽くなることはありませんが、そもそも1マナなので問題ありません。 ソーサリーは全体除去も得意なので、《絶滅の契機》《死人に口無し》とたっぷり採用されています。《絶滅の契機》は奇数を宣言すれば《集めるもの、ウモーリ》を戦場に残せますね。 面白いのが《中止+停止》。分割カードの片方がソーサリーなので、《集めるもの、ウモーリ》の相棒条件を満たしながらインスタントを採用できます。《集めるもの、ウモーリ》下なら1マナで墓地を追放しながらゲイン&ドローと中々の性能。 ソーサリーはインスタントより派手な能力が多いので、フィニッシャークラスも多数あります。《絶望招来》はその中でも苦い思い出がある人も多いでしょう。《絶望招来》を打つと《絶望招来》を引くので、連鎖して一瞬でゲームが終わります。これも《集めるもの、ウモーリ》で4マナに。 《詰め込み期間》は派手さこそありませんが、良い仕事をするいぶし銀カード。 《集めるもの、ウモーリ》が出ていれば1マナで4点ゲインしつつ、サイドボードから《マスコット展示会》をサーチしてフィニッシュに向かったり、除去やエンチャント・アーティファクト破壊など、状況に応じてカードを引っ張ってきます。 ソーサリーのみの厳しい条件下ながら、このウモーリコントロールはしっかりとコントロールとして成立しており、何よりデッキリストが非常に美しい!   昔《集めるもの、ウモーリ》を相棒に指定してインスタントだけでコントロールデッキを組んでいた僕としては、仲の良かった小学校時代の同級生と再会したような気持ちになりましたね。   少し変わったコントロールがお好きな方はぜひ《集めるもの、ウモーリ》を買ってみてください。     ジェスカイスペル By Aspiringspike 《死の国からの脱出》がモダンで禁止となりましたが、元々《死の国からの脱出》《研磨基地》のコンボ自体は2020年から使えました。 脱出基地がモダンで禁止級の強さと言われ始めたのは今年なので、5年間はモダンで鳴りを潜めていたということになります。   それがなぜ急にここまで暴れたのか?その原因はやはり《オパールのモックス》にあるでしょう。 《モックス・アンバー》と合わせてモックス8枚体制となり、1ターン目から《湖に潜む者、エムリー》+《知りたがりの学徒、タミヨウ》のようなめちゃくちゃな動きを可能にしてしまったことで、《死の国からの脱出》はモダンで許されないカードとなったのです。 そんな《オパールのモックス》《モックス・アンバー》をフル活用した新たなデッキがこのジェスカイナーセット!   《ジェスカイの道師、ナーセット》はこのデッキの主役。終了ステップの開始時に、手札をすべて捨てることで、このターンに唱えたカードの枚数分、ドローできます。 《オパールのモックス》《モックス・アンバー》《ミシュラのガラクタ》と0マナ満載のこのデッキでは、とりあえず気軽に3~4枚引けます。1ターンの間に呪文をたくさん唱えたいなら、モックス以上に相性が良いカードはありませんね。   同じ『タルキール:龍嵐録』から加入したジェスカイの3マナ域《担炎の闘士》も中々の性能。3マナと少し重いですが、次に唱える呪文をコピーしてくれます。パーマネントならコピーが戦場に出るので、《コーリ鋼の短刀》のコピーが現れたり、《ミシュラのガラクタ》が増えてリソースを獲得することも。 この2種のクリーチャーがどちらも3マナ域なので、相性の良い《救いの手》が採用されています。2種の3マナ域を1マナで釣り上げた時のバリューは計り知れません。 特に墓地から《担炎の闘士》を吊り上げる→手札から《担炎の闘士》を唱えると、《担炎の闘士》がコピーされるため、その次に唱える呪文が2つコピーされ、わけのわからないことになります。手札から《担炎の闘士》を2回唱えるのは難しいですが、1枚が《救いの手》なら合計4マナなのでさほど難しくはありません。 そしてスタンダードでもご紹介した《コーリ鋼の短刀》はこのデッキでも獅子奮迅の活躍を見せます。2種のモックスに《ミシュラのガラクタ》と果敢を満たすカードは大量にありますし、2ターン目に《コーリ鋼の短刀》から0マナアーティファクトで即座に攻撃も仕掛けられます。 アーティファクトなので《湖に潜む者、エムリー》から出せますし、《オパールのモックス》《感電破》の金属術も満たせるなど、能力だけでなくカード・タイプもデッキと噛み合っています。このカード、本当にすごい! 《ジェスカイの道師、ナーセット》によって毎ターン大量にカードを引いて、それらのカードで《コーリ鋼の短刀》を誘発させ続けて殴りきる。単純明快ながら、その動きはとても面白く、回しているところを見ただけでこのデッキの虜になってしまいました。   非常に面白いデッキですし、《コーリ鋼の短刀》はもちろん、《ジェスカイの道師、ナーセット》にもかなりの可能性を感じました。 この2枚の組み合わせは今後も見ることになるのではないでしょうか。そう思わせてくれるほど美しいデッキです!

【週刊メタゲーム通信】禁止改訂後のモダンは青いコンボやコントロールが大活躍!

週刊 Modern

2025.04.08

mtg Yuyan

こんにちは。   細川 侑也(@yuyan_mtg)です。   チャンピオンズカップファイナルの予選シーズンがスタート!フォーマットはモダンです。   《死の国からの脱出》がモダンで禁止されてから早1週間!   最強のデッキがいなくなり、モダンでは今どんなデッキが活躍しているのか?モダンチャレンジの優勝デッキをご紹介していきます!   目次 アゾリウスコントロール ベルチャー ディミーアマークタイド     アゾリウスコントロール モダンチャレンジ(4/6) : 優勝  By Patxi 脱出基地全盛期にメタデッキとして登場したアゾリウスコントロール。《一つの指輪》が禁止されてコントロールは死滅したかと思われていましたが、アドバンテージ源をプレインズウォーカーに一任して復活してきました。 《覆いを割く者、ナーセット》はボロスエネルギーの《歴戦の紅蓮術士》と《鏡割りの寓話》、そしてオルゾフの《新たな夜明け、ケトラモーズ》を止めることができるカードで、リソースだけでなく相手のドロー封じも強力です。 《一日のやり直し》とのコンボは必殺で、最終的にはこのコンボを決めて勝利することも少なくないですね。 青白と言えば《時を解す者、テフェリー》。相手の動きを極端に狭めつつ、盤面処理しながらドローと、コントロールの欲しいものを全部乗せした贅沢なプレインズウォーカーですね。 そしてなんと言っても《ドミナリアの英雄、テフェリー》!今このカードがとても強い。 環境に青いデッキが少なくなり、5マナのプレインズウォーカーが通りやすくなったのが理由の1つ。プラス能力で土地を2つ起こせるため、実質3マナのプレインズウォーカーのように運用できるのが《ドミナリアの英雄、テフェリー》の強みですが、《対抗呪文》や《否定の力》で打ち消されてしまうと、モダンでは非常に大ぶりなアクション。エネルギーやオルゾフなどが多い環境では強く、青いコントロールやマークタイド系デッキが流行ると弱い傾向にあります。   もう1つの使われる要因は、《オアリムの詠唱》との相性が抜群だからです。 《オアリムの詠唱》は研磨基地メタとして採用されていた側面もありますが、実はアゾリウスコントロールそのものの戦略とも合致しています。   プレインズウォーカーを出して維持するには盤面にクリーチャーがいない状況を作るしかありません。しかし、全体除去をプレイして、返しの相手のアクションをさばいて、その後にプレインズウォーカーを着地させる。これは容易ではないでしょう。   そこで《オアリムの詠唱》です。このカードを使えば全体除去を後回しにできます。まず《ドミナリアの英雄、テフェリー》をプレイしてプラス能力で土地を2枚起こします。相手のアップキープに《オアリムの詠唱》をキッカー込みでプレイすると、《ドミナリアの英雄、テフェリー》に殴ることは不可能になり、更にそのターンは呪文も使えなくなるので、追加のアクションが取れません。   相手はターンを返すしかなくなり、そこで《至高の評決》が突き刺さるのです。 《オアリムの詠唱》は環境のほとんどのデッキに刺さっています。オルゾフブリンクも以前は《霊気の薬瓶》を採用しており、《オアリムの詠唱》が効かないことも多々ありましたが、《新たな夜明け、ケトラモーズ》型には実質ターンパスになります。 エルドラージも《コジレックの命令》以外はソーサリーアクションですし、コンボ系に刺さるのは言わずもがな。ディミーアマークタイドなんかには《ドミナリアの英雄、テフェリー》を通すために使えますね。 研磨基地が環境を支配していた頃も《オアリムの詠唱》はずっと強かったのですが、あの頃は研磨基地が強すぎました。1ターン目からアドバンテージエンジンを築きながら2~3マナを並べてくるデッキに対して、《オアリムの詠唱》でターンを飛ばしても焼け石に水だったのです。   しかし、今度こそ《オアリムの詠唱》はモダン最強のカードとなりました。   アゾリウスコントロールはこれから更に活躍していくこととなるでしょう!   ベルチャー モダンチャレンジ(4/5) : 優勝 By Manas235 『ミラディン』で登場した《ゴブリンの放火砲》というカード。 ライブラリーの上からカードを《山》が出るまでめくり、それまでにめくったカードの枚数だけダメージを与える4マナのアーティファクトです。   無色のダメージソース源として、プロテクション赤のクリーチャーを焼いたり、《赤の防御円》を貼ってくる相手に対して赤単側がサイドインしたりなど、まっとうな使われ方をしていた一方で、下環境では昔から悪さをしていました。 《山》がめくれるまでダメージが入る。それならデッキに《山》がなかったら即死。そこでライブラリーから土地をすべて追放する《マナ切り離し》を採用したデッキがエクステンデッドで登場しました。 あのガブリエル・ナシフがプロツアー準優勝を収めたマナベルチャーです。   あれから22年の時を経て、《ゴブリンの放火砲》は今も下環境の第一線で活躍しています。   当時はデッキ内の土地を《マナ切り離し》で抜いてから《ゴブリンの放火砲》を打っていましたが、その《マナ切り離し》の過程がカットされ、ただ単に《ゴブリンの放火砲》を起動するだけで勝てるようになりました。 そう、デッキ内の土地をすべて両面土地にすることで、見た目上の土地が0枚になっている。それが現代のベルチャーです。 青単タッチ白で構成されたベルチャーはとてもシンプルなデッキ。《ゴブリンの放火砲》を起動して勝つ。ただこれだけです。   《ファラジの考古学者》《稲妻罠の教練者》は《ゴブリンの放火砲》を探す役割がある他、両面土地も拾えるとても便利なクリーチャー。しかも戦場に出てからも《拒絶の閃光》のピッチコストにできると至れり尽くせりです。 この2種に加えて《発明品の唸り》でも《ゴブリンの放火砲》をサーチできるため、フィニッシャーにアクセスするのは容易です。 《発明品の唸り》は《ゴブリンの放火砲》をサーチするだけでなく、大事な《睡蓮の花》を3マナで呼び出すこともできて便利です。 《睡蓮の花》を1ターン目に待機すると4ターン目に戦場に出てくるので、セットランドでぴったり7マナで《ゴブリンの放火砲》を設置から起動まで行えます。《発明品の唸り》でも同じことができ、ベルチャーは基本キルターンは4ターン目ということになります。   この《睡蓮の花》との相性の良さからデッキに採用されているのが《現実の設計者、タメシ》。白Xマナを払って土地を手札に戻すことで、墓地からX以下のアーティファクトかエンチャントを戦場に戻す能力を持っています。 《睡蓮の花》は0マナのカードなので、白だけで戦場に戻すことができ、この過程を自分がコントロールしている土地の数だけ繰り返せます。土地1枚から2マナが増える計算になるということですね。   大量のマナを出せば《発明品の唸り》X=4で《ゴブリンの放火砲》を出して即起動や、《ファラジの考古学者》で墓地に落ちた《ゴブリンの放火砲》を《現実の設計者、タメシ》で釣り上げるなどして、ゲームに勝利できます。 既にお話した通り、このデッキは基本が4ターンキル。それまでは各種カウンターで妨害するデッキとなっているのですが、《撹乱する群れ》は青いカード、《拒絶の閃光》にはクリーチャーが必要です。ベルチャー相手には除去は不要なのでとりあえずバンバン《稲妻罠の教練者》などを焼かれますし、そうなると《拒絶の閃光》は腐り、《撹乱する群れ》で手札の青いカードを消費すると、最終的にセットランドに困ってキルターンが遅れてしまうケースもあります。 何もしなければ4ターンキルしてくるボロスエネルギーに対して、ベルチャーはかなり有利というわけでもありません。ここに《イーオスのレインジャー長》なども加われば厳しいマッチになります。 とはいえ、今のエネルギーが研磨基地が禁止になったことで、対策カードをメインに入れていない状態なので、ベルチャーとの相性は五分、あるいは少しベルチャー側が有利な認識です。   オルゾフも《新たな夜明け、ケトラモーズ》で何枚引かれようが関係ありませんし、サイド後の《白蘭の幻影》だけが癌と言ったところ。サイドボードに《山》が入っているのは《白蘭の幻影》用ですね。それでも《儚い存在》や《ちらつき鬼火》、《溌剌の牧羊犬、フィリア》で何度も使い回されると《山》以外の土地が残らないのですが。 大量の妨害をバックアップに《ゴブリンの放火砲》を決めてくるため、コンボ対決において優位性があるのはベルチャーの強みと言えます。   スピードで上回ってくるルビーストームやアミュレットに有利なので、コンボデッキ界の頂点と言えるデッキです。   予選シーズンではまず意識しなければならない相手でしょう。   ディミーアマークタイド モダンチャレンジ : 優勝 By oosunq 本日ご紹介するデッキは奇しくもすべて青!   コントロール、コンボと来て最後はクロックパーミッションに分類されるデッキです。   《超能力蛙》を主軸に据えたディミーア系デッキとして、以前までは《忌まわしき眼魔》が主流でしたが、最近は原点回帰で《濁浪の執政》を多めに採用したディミーアマークタイドが復権してきています。 オルゾフがメインから《大祖始の遺産》を採用するようになり、墓地依存度が高い構成にリスクを感じているのでしょう。 ディミーアマークタイドは、キャントリップ呪文で除去や打ち消しを集めてコントロールしつつ、《濁浪の執政》《超能力蛙》を守りきって速やかに殴るデッキ。先ほどはクロックパーミッションと紹介しましたが、ディミーアコントロールチックな動きをする場合もあります。 《超能力蛙》が2ターン目に出た時はビートダウン顔負けの速度で相手のライフを削ることもあります。《超能力蛙》の能力で手札をすべて捨てて、《濁浪の執政》を3ターン目に出す展開では4ターンキルもしますからね。 《濁浪の執政》と《超能力蛙》が同時に戦場にいると、《超能力蛙》の飛行を付与する際の墓地追放で《濁浪の執政》のサイズが上がるため、一瞬でゲームが終わります。   ディミーアマークタイドは《超能力蛙》と《濁浪の執政》以外のクリーチャーが自由枠でしたが、最近では《オークの弓使い》の採用が増えてきています。 元々、《オークの弓使い》ケアでタフネス1が環境から減り、その後《一つの指輪》が禁止になってからは追加ドロー抑止も不要となり、不採用となっていたカードでした。が、ボロスエネルギーがメインから《敏捷なこそ泥、ラガバン》を4枚採用するようになったため、しっかり除去として機能し始めました。 《歴戦の紅蓮術士》《鏡割りの寓話》にも強く、《オークの弓使い》は今のボロスエネルギーにとても強いカードです。 《新たな夜明け、ケトラモーズ》に対しても当然強いですね。オルゾフブリンクも盤面にクリーチャーを並べてきますし、《ちらつき鬼火》はタフネス1なので、《オークの弓使い》の良い的です。 リソースを稼ぐ《知りたがりの学徒、タミヨウ》、そしてクリーチャー対策の《緻密》と合計で15枚のクリーチャーが入ったことで使いやすくなったのが《悪夢滅ぼし、魁渡》。 スタンダードからパイオニアまで大活躍するプレインズウォーカーですが、ついにモダンでも存在感を示し始めました。自分のターンは呪禁、相手ターンではプレインズウォーカーなので、除去に非常に強く、特にアゾリウスコントロールは《虹色の終焉》で除去するためにはX=4、つまり4色が必要なため、結構大変です。 0ならリソースを稼ぎ、プラスでダメージを上げたり、場合によっては相手の大型クリーチャーを麻痺させたりなど、3マナとしては破格のプレインズウォーカーです。   忍術によって戻すカードも《緻密》や《オークの弓使い》なら再利用できて美味しく、《知りたがりの学徒、タミヨウ》は1マナかつ飛行なので《悪夢滅ぼし、魁渡》との相性が抜群です。 さて、ディミーアマークタイドの立ち位置はコンボとコントロールキラー。手札破壊と打ち消し、そして速いクロックを持ち合わせているため、特にコンボに強いデッキです。   《超能力蛙》はコンボデッキにとっては2ターンキルに等しいカード。継続的に殴られるだけで手札が膨れ上がりますし、急に打点を上げてきて制限時間を作ってきます。 アゾリウスコントロールもアドバンテージ源を重いプレインズウォーカーに頼っているので、《対抗呪文》《否定の力》の餌食です。手札差が勝手につき、最終的にはディミーア側が勝利します。《至高の評決》ですべてのクロックを失って負ける展開以外はあまりないでしょう。全体除去に対して構えられる《オークの弓使い》、軽い《知りたがりの学徒、タミヨウ》、そして《悪夢滅ぼし、魁渡》がアゾリウスコントロールに特に強いカードたちです。 反面、アグロデッキは苦手です。その中でも最も厳しいのがオルゾフブリンク。《新たな夜明け、ケトラモーズ》《大祖始の遺産》による無限アドバンテージを止められませんし、《ベイルマークの大主》を除去する手段がほとんどないので、無限に《孤独》を使い回されてクロックをすべて失ってしまいます。 オルゾフが多いフィールドでは、ディミーアマークタイドが勝つのは難しいですね。   一方のボロスエネルギーは以前までは厳しいマッチでしたが、最近は改善傾向にあります。エネルギー側が《濁浪の執政》を倒せるカードをほとんど採用していないのが理由です。 《静牢》が4枚あった頃は《超能力蛙》《濁浪の執政》が定着することが少なかったのですが、今はエネルギーを維持するのが難しく、入っていても2枚が限度です。《岩への繋ぎ止め》も最近は見ませんし、とにかくディミーア側の重要なクリーチャーが生き残りやすいのです。 とはいえ、有利マッチかと言われるとそうでもなく、やはりディミーアが当たりたいのはコンボとコントロールですね。   コンボ活躍週にはチャンスが訪れそうですね。個人的にはとりあえず予選の最初の週はエネルギーから始めて、そこから色々なデッキに移るプレイヤーが多そうなので、今週末は腕に自信のある人だけが勝つことになると予想します。   それでも、多少の不利マッチなら跳ね返す力があるデッキです。《超能力蛙》、すごすぎる。このモダンに残された数少ない壊れカードを使いたいなら、ディミーアマークタイドしかないですね。

《死の国からの脱出》禁止で《オパールのモックス》を持て余した人に捧ぐ、オパモデッキ三選!

Modern ピックアップ

2025.04.01

mtg Yuyan

こんにちは。   細川 侑也(@yuyan_mtg)です。   昨夜、各フォーマットの禁止改訂が発表されました。   モダンでは《死の国からの脱出》が禁止。 レガシーでは《まき散らす菌糸生物》《カザド=ドゥームのトロール》が禁止。 パウパーでは《日を浴びる繁殖鱗》《カルドーサの再誕》《命取りの論争》が禁止となり、《予言のプリズム》《満潮》が解禁されました。 《死の国からの脱出》のモダン禁止は、最早異論を唱えるプレイヤーが一人もいないほど、当然の結果と言えるでしょう。   以前から存在していたアーキタイプではありましたが、《オパールのモックス》が解禁したことで2ターンキルが可能となり、速度と粘り強さを持った1枚コンボとして、モダントーナメントを席巻していました。 単純なデッキの強さもさることながら、《死の国からの脱出》ミラーマッチはとにかくゲームが長引いてしまい、トーナメントの進行にも多大な影響を及ぼしていました。 環境とトーナメントを不健全にしており、2つの観点から見て、妥当な禁止と言えるでしょう。   さて、本日の記事は……禁止改訂後の環境についてモダン・レガシー・パウパーの考察を行おうとしましたが、レガシーとパウパーに関してはオ恥ずかしながら無知なので、今回はモダン!   《死の国からの脱出》が禁止になり、《オパールのモックス》が手元に余ってしまった人に捧げる、《オパールのモックス》を使ったモダンデッキの紹介です! 紹介デッキ 親和 アスモフード ランタンコントロール   親和 モダンリーグ : 5-0 By Skpchino まずご紹介するのは「アーティファクトデッキと言えば」でまず思い浮かぶ方も多いであろう、親和です。   アーティファクトの数だけコストが下がる親和能力を最大限まで活かすべく、大量のアーティファクトを並べるデッキで、当然ながら0マナのアーティファクトで、しかもマナの出る《オパールのモックス》は、親和を一つ上のステージに押し上げるカードです。 親和と書かれたカードは《思考の監視者》しか入っていませんが、アーティファクトをタップすることでマナにあてられる即席を持つ《河童の砲手》もほぼ親和カード。これに《湖に潜む者、エムリー》を加えた計10枚が、アーティファクトでどんどんコストが軽くなっていきます。 《思考の監視者》は2ドロー、《湖に潜む者、エムリー》は墓地から《ミシュラのガラクタ》や《思考の監視者》を唱えればリソースになり、《トーモッドの墓所》による妨害、《上天の呪文爆弾》ならバウンスと、状況に応じて様々な仕事をこなしてくれる器用なカード。 《河童の砲手》は非常に攻撃的なクリーチャー。護法(4)は重すぎて払うことはほぼ不可能なので実質呪禁。しかもどんどんサイズが上がっていくので、戦場に出た次のターンには8/8ぐらいにはなっており、2回のアタックで人が死にます。 序盤のクリーチャーは《エスパーの歩哨》で、こちらもアーティファクト。《オークの弓使い》という天敵さえいなければ非常に強いカードですね。金属術や親和に貢献しながら、相手の動きを制限し、時にはカードをもたらしてくれます。 一方の《知りたがりの学徒、タミヨウ》はクリーチャーではないものの、生み出す手がかりはアーティファクト。たった1マナで、攻撃するだけでアーティファクトを作り続けるカードと考えると強力ですね。 除去枠として入っている《ポータブル・ホール》もアーティファクトなので、1マナ域のすべてのカードがアーティファクトとなっています。 そしてアーティファクトが大量に入っているデッキなら当然、《ウルザの物語》も採用されています。このデッキから出るトークンのサイズはデカい!デカすぎる。もう軽くフィニッシャークラスです。 1ターン目に《ウルザの物語》、《ミシュラのガラクタ》、《オパールのモックス》、1マナのアーティファクトを出してターンを返し、2ターン目から《ウルザの物語》を起動し続けるだけでも十分に勝ててしまうでしょう。   このデッキなら1マナの《マナ漏出》になる《金属の叱責》もあり、ハマった時は全能感すらあります。 《オパールのモックス》をまだまだ使い倒したいならこのデッキでしょう!   アスモフード モダンリーグ : 5-0 By  dr_gingy 王道の親和ではなく、ちょっと墓地も使ったトリッキーなデッキが好きな方には、アスモフードがぴったりかもしれません。   アスモフードは、その名の通り《アスモラノマルディカダイスティナカルダカール》を主軸に据えたデッキ。アスモがサーチする《地獄料理書》が食物を作ることから、アスモフードと呼ばれています。 この《地獄料理書》は、タップで手札を捨てることで食物を生成できるため、たった1枚と1マナで2つのアーティファクトを出せるため、《オパールのモックス》との相性が抜群です。1ターン目に《地獄料理書》を置き、起動して食物を出し、《オパールのモックス》から《アスモラノマルディカダイスティナカルダカール》を唱えて2枚目の《地獄料理書》をサーチするのが黄金パターンです。 《地獄料理書》は手札を捨てて食物を出すため、連発できないのが悩みですが、それを解決するのが《楕円競走の無謀者》。ただの4マナ4/2クリーチャーですが、それは戦場にいる場合。墓地にある時にアーティファクトが戦場に出ると、墓地から手札に帰ってきてくれます。 つまり、《地獄料理書》のコストで《楕円競走の無謀者》を捨てると、アーティファクトである食物が戦場に出るので、手札に戻ってくるのです。この2枚が揃うと無料で料理が作れてしまいます。   《地獄料理書》が2枚あれば毎ターン2枚の食物が出るので、《アスモラノマルディカダイスティナカルダカール》で6点を打てますし、《ウルザの物語》のトークンのサイズも膨れ上がっていきます。 そんなアスモフードは《オパールのモックス》解禁後、『霊気走破』でも更に新戦力を獲得しています。   それが《忍耐の記念碑》です。 手札からカードを捨てるたびに宝物生成・ドロー・3点ルーズのいずれかを選べるアーティファクト。3マナと重いですが、その分効果は大きいですね。特に《地獄料理書》で《楕円競走の無謀者》を捨てられなかった時に手札が減ってしまうのが悩みだったのですが、《忍耐の記念碑》があればドローできるので、毎ターン食物を出しても手札が減らなくなりました。   それどころか、《楕円競走の無謀者》があればどんどんカードが増えていきますし、複数枚の《地獄料理書》が出ればドローしながら3点ルーズしたりと、単体でフィニッシャーとなってくれます。 《忍耐の記念碑》は特にサイド後に墓地対策を受けた時に強力です。《楕円競走の無謀者》の無限回収を封じられても食物を作り続けられるのは非常に魅力的で、墓地依存度はかなり下がりました。   そして『霊気走破』からの新戦力として忘れてはならないもう1枚のカードが《略奪するアオザメ》。こちらも手札を捨てることで能力が誘発するクリーチャー。サイズがどんどんでかくなっていきます。 《地獄料理書》との相性は言わずもがな。《通りの悪霊》や《信仰無き物あさり》でも大きくなるので、1ターン目に出せた時の打点は1マナクリーチャーの中でも最高峰です。 カードを捨てる手段でもあり、捨てた時のボーナスもある夢のようなカードが《太陽の執事長、インティ》。 《略奪するアオザメ》や《忍耐の記念碑》を誘発させつつ、巨大サイズの《ウルザの物語》トークンにトランプルを付与しながら、リソースも稼いでくれます。手札を捨てるとライブラリートップを追放してプレイでじるので、《地獄料理書》でカードを捨てても誘発してくれます。 アスモフードは赤単ながら、攻めては《略奪するアオザメ》、守っては《アスモラノマルディカダイスティナカルダカール》と、攻守に渡って優れたデッキで、しかも非常にアドバンテージ獲得手段にも長けており、一筋縄では対処できません。   これまではブリーチ対策として採用されていた《溜め込み屋のアウフ》に苦しめられていましたが、新環境では輝くデッキかもしれませんね!     ランタンコントロール モダンチャレンジ : 4-2 By Taddy_99 そんな普通の《オパールのモックス》の使い方では満足できない…   贅沢なお悩みをお持ちの方、ランタンコントロールというデッキはご存じでしょうか?   ランタンコントロールは、Zac Elsikという稀代のデッキビルダーが作り、グランプリでの上位入賞を経て、グランプリオクラホマシティで見事優勝を収めたことで一気にその名が広まったデッキ。   その後、プロツアー『イクサランの相克』も制し、対戦・観戦をするプレイヤーたちに、トラウマのようなものを植え付け、《オパールのモックス》の禁止と共にモダンを去っていきました。   なぜトラウマになってしまうのか?それはこのデッキの動きを説明しなければわかりませんね。   まずこのデッキの主役は《洞察のランタン》。 「お互いのライブラリーの一番上を公開し、これを生け贄にすると、プレイヤー1人が自分のデッキをシャッフルする」この一見毒にも薬にもならなそうなアーティファクトが、ランタンコントロールの要になります。   お互いのライブラリーの一番上を公開するということは、相手が次に何をドローするのかわかります。たとえばその公開されたカードがずっと土地だったとしたら、相手は毎ターン土地しかドローできないので、場と手札さえ処理してしまえば、ゲームに勝てるとは思いませんか?   そんなゲームプランを大真面目に目指しているのがこのランタンコントロールなのです。   《写本裁断機》は自分か相手のライブラリーを1枚切削するカード。《伏魔殿のピュクシス》はお互いのライブラリーの一番上を追放するので、ほぼ同じ役割。この2種類のカードを戦場に限りなくたくさん並べ続けて、相手の有効牌だけを落とし続け、相手に土地や除去を引かせ続けるロックデッキ。それがランタンコントロールの正体。 相手の次のドローが土地だった場合は《写本裁断機》は自分に起動することで、不要なカードを墓地に落としてドローの質を上昇させることができます。《伏魔殿のピュクシス》は《火の怒りのタイタン、フレージ》や《引き裂かれし永劫、エムラクール》など、墓地に落ちた時に厄介なカードを追放できるため、時々《写本裁断機》より役に立ちます。 最初は1~2枚程度のライブラリー切削カードだけなので、ロックとしてはかなりソフトなものですが、《ウルザの物語》のサーチなどもありどんどん切削カードが場に増えていくので、あっという間に不要牌しかドローできないようにされてしまいます。   とはいえ、相手のライブラリーを攻めるカードばかり出していて生き延びれるはずもありません。クリーチャーを止める手段として採用されているのが《罠の橋》。 この《罠の橋》を強く使えるのもランタンコントロールの特徴。デッキが非常に軽いので出したターンにしっかり機能してくれますし、《罠の橋》を割れるカードがメインから数枚入っていたとしても、そのカードだけを切削で的確に落とせば、それだけでゲームに勝利できます。   ボロスエネルギーはメインから《静牢》を採用し、《ゴブリンの砲撃》《ナカティルの最下層民、アジャニ》という飛び道具もあるため、《罠の橋》1枚でゲームに勝つことは本来できません。しかし、それらのカードを排除できるランタンコントロールであれば話は別。 《罠の橋》さえ設置してしまえば、後は《静牢》《ゴブリンの砲撃》《ナカティルの最下層民、アジャニ》さえ相手に引かせなければ勝てるのです。それ以外のすべてのカードは引かせられるので、《写本裁断機》が3枚ある状態なら、相手のライブラリーの上4枚にそれらのカードが連続で積まれてさえいなければ良いのです。   しかもゲームが長引けば2枚目の《罠の橋》がどこかで見つかるので、そうすれば《静牢》も除外でき、いよいよ《ナカティルの最下層民、アジャニ》と《ゴブリンの砲撃》以外のカードでは負けなくなります。《真髄の針》2枚でそれらのカードを指定すれば、負けるカードはなくなるので、ロックが完成。 最終的には4枚の《写本裁断機》と1枚の《伏魔殿のピュクシス》、更に《マイコシンスの庭》2枚で計7回のトップ検閲が毎ターン発生し、速やかにライブラリーアウトで勝利となるわけです。   ランタンコントロールは非常に難解なプレイを要求されるデッキです。目の前に公開されたカードを引かれて良いのか、そもそも相手のデッキには何が入っていて、どのカードがダメなのか。モダンの様々なデッキの知識が求められます。   しかし、その分ロックに嵌めた時の快感は格別です。すべてを掌握しきっての勝利は、コントロールが好きなプレイヤーなら垂涎間違いなしでしょう。   このリストはブリーチがメタゲーム上にいたため、メインから《魂なき看守》が4枚入っていますが、今なら追加の切削手段である《グール呼びの鈴》などが入るかもしれませんね。《根絶》も不要になるでしょうし、6枚ほどスロットが空きますね。 手札破壊とライブラリートップの検閲により、このデッキはヘイトカードを他のデッキよりも強く使えます。メタゲームに合わせて様々な対策カードを採用できるのも強みですね。   《オパールのモックス》解禁前にもファンがランタンコントロールを使用していましたが、やはり今と比べると動きには雲泥の差があります。 8枚の手札破壊にサーチ、《洞察のランタン》に《写本裁断機》と1マナのカードが大量に入っており、特に手札破壊から《洞察のランタン》《写本裁断機》までを速やかに済ませて検閲を行いたいため、《オパールのモックス》で1マナ増えるのは非常に重要です。   ブリーチの後は、ランタンの世界に飛び込んでみてはいかがでしょうか。

スポットライトシリーズ参戦!ユトレヒト旅行記

Modern ピックアップ

2025.03.26

mtg Yuyan

皆さんこんにちは。   チャンピオンズカップファイナルの参加権利を獲得できるエリア予選で日本が盛り上がっていた頃、僕はオランダのユトレヒトに行っていました。   そう、スポットライトシリーズに参加するためです! スポットライトシリーズとは、世界各地で年に数回行われる大型トーナメント。トップ8入賞者には次回のプロツアーの権利が付与される他、賞金や賞品も豪華で、かつてあったグランプリを彷彿とさせるようなイベントです。   日本でも今年開催が決定していますね。   そんなスポットライトシリーズ・ユトレヒトのフォーマットはモダン。しかもトップ8に入ればラスベガスで行われるプロツアー・ファイナルファンタジーに出場できるとのことで、日本から参加してきました!   今回はそのユトレヒトの旅行記と、モダンのデッキ選択のお話になります。 水曜日 旅の始まりは水曜日。   今回は往復7万5000円の超格安便を取ったのですが、その代わりに飛行機の乗り継ぎ時間が20時間、つまり実質1日滞在となる旅券。   なので本戦は土曜日なのですが、日本を出発するのは水曜日です。   まずは羽田空港から北京の北京大興国際空港まで4時間のフライト。   北京大興国際空港は最近できた新しい空港らしく、僕も初めて降りたのですが、非常にきれいな空港で驚きました。   面白かったのは空港の喫煙所。   他の空港では見たことのない、火をつける場所のある喫煙所でした。ちなみに火はつかなかったそうです。   空港のWi-Fiが一切繋がらないことを除けば快適で、空港から迎えのリムジンバスにより10分程度でホテルへ到着。   そこから少し歩いたところに見つけた定食屋に入ります。 久しぶりに来た北京ですが、物価は非常に安く、食べきれないほどの量が来ましたがお会計は1人2000円ほど。 ちなみに何度こちらが訴えても水とお酒の料金を請求してくれなかったので、実質0円飲み放題つき。意味がわかりませんでした。   翌日のフライトが13時からなので早めに就寝。   木曜日 北京からアムステルダム空港までは10時間と長いフライト。   しかし、あまり行く人がいないのか機内はガラガラで、僕の隣にも人がいなかったので、非常に快適に過ごしていました。   機内ではアイパッドで漫画を読んだり、携帯ゲーム機で時間を潰していましたが、スウィッチの充電が切れてしまい、残り3時間ほど手持ち無沙汰に。   そこで座席についている機械に入っているゲームを遊んでみることに。   動物を3つ並べて消すだけのゲームだったのですが、これに大ハマりし、結局気づいたらオランダに上陸していました。 入国審査で、英語を全く知らない同行者の友人が「Where?」と聞かれているにもかかわらず「サイトシーイング!」を繰り返したため、助けに入りましたが、それ以外は特に問題なく、アムステルダムに到着! 実は昨年もアムステルダムに来ているので、感動というよりは懐かしいに近かったです。   アムステルダムからユトレヒトまでは電車移動。30分ほどで到着するので、あっさりと目的地に到着。ちなみに電車の中では女性の方に「日本人ですか?」と声を掛けられました。おそらくオランダの方のはずなのに日本語が喋れてびっくりしました。   ホテルに到着すると、前日に既にユトレヒト入りしていたBIG MAGICのくーやんさんと合流し、オランダでの最初の食事へ。 前回来た時も思いましたが、オランダのご飯は全体的にヘルシー志向が強いように思えます。大体の食事にサラダがしっかりついてくるんですよね。アメリカだとセットでサラダを選ぶとデカいジャガイモがついてくるだけなこともあります。   海外名物の「よくわからないものを食べているけど美味しいからいいか」もしっかりありながら、木曜日は終了。   金曜日 本戦は土曜日からですが、会場自体は金曜日から空いています。   ヨーロッパの地域CSの予選が行われたり、ショップがオープンしていたり、まるでMagic Conのような盛り上がり。平日昼間からマジックが盛り上がっている様子に懐かしさすら覚えました。   ショップでは日本で見たことのないドラゴンシールドのロックマンスリーブが売っていました。買いました! 僕の金曜日の目的は……そう、サインです。   今回はボーダーレス諜報ランドと《空の怒り》のアーティストが来ているということで、楽しみにしていました。   特に諜報ランドはスタンダードからヴィンテージまで使わないフォーマットはないレベルのカード。サインしてもらわない手はないでしょう! 見てください!この美しいサインたちを!! いや~。もうこの瞬間にユトレヒトに来てよかったと思いましたね。   そしてここで、僕より先に会場入りした友人から言われた言葉を思い出しました。   「木のテーブルでやらされるから、今回はプレイマットを敷いた方が良い」とのこと。プレイマットを使わない主義の僕なので、当然この旅には持ち込んでいなかったのですが、会場でそのテーブルを見て、プレイマットが必須であることを理解。   一通り会場を散策して、最も良いプレイマットを探した結果……   見つけたのは愛しの《大釜の使い魔》プレイマット!しかもアーティストブースで購入したので、サイン入りです! これにて金曜日に会場でやることはすべて終了。大会に出ていた二人の同行者と共に夕飯へ。   夜はアップルボウルなるデザートが有名なお店へ。ユトレヒトの名物とかで、アップルパイとは一線を画すものでした。 アップルパイがパイ生地にリンゴを練り込んでいるのに対して、アップルボウルはりんごの中身だけをパイに直接投入し、それを焼いたような印象。味わいもただ甘いだけではなく、かなり好み。日本に同じ店ができたら流行るんじゃないかな?と思いました。   土曜日……の前にモダンのデッキ選択の話 ▽最強のデッキと向き合う   もうすぐ禁止改訂で《死の国からの脱出》が禁止になると思うので、今回のデッキのお話は軽めです。   最強のデッキが《死の国からの脱出》《研磨基地》のコンボ、ティムールブリーチなのは最早疑いようがなくなりました。使用率1位で勝率も1位。これは最強のデッキであることの証明に他なりません。 最速2ターンキルや1ターン目《湖に潜む者、エムリー》《知りたがりの学徒、タミヨウ》などのプレッシャー連打、そしてコンボ自体は実質《死の国からの脱出》1枚コンボ。モダンでも随一の速度・安定性を誇るコンボデッキです。   ユトレヒトでも確実に使用率1位になるでしょうし、勝ち進めばどんどん当たる可能性があがってきます。そこで、ティムールブリーチに強いデッキを模索することにしました。   まずはディミーアライブラリーアウト。フィニッシャーの《死の国からの脱出》を《根絶》か《外科的摘出》して後は相手のライブラリーを削ってしまえる、いわばコンボキラーです。 エネルギーがとても苦手なデッキですが、現在は減少傾向にあり、トップメタのブリーチ、そして二番手と目されるオルゾフブリンクに強いと言われている、立ち位置の良いデッキなのです。   ……と思っていたのですが、これが大誤算。そもそもメイン戦もほぼ必勝というわけではありませんでした。切削で《死の国からの脱出》が墓地に落ちてそれを《外科的摘出》すれば勝てますが、現実はそんなに甘くありません。逆に切削によって《死の国からの脱出》が落ちなければ、切削が相手の助けになってしまい、《死の国からの脱出》で一瞬でコンボを決められてしまいます。 サイド後は相手がカウンターを増やしつつ《ウルザの物語》で勝とうとしてくるので、《根絶》《外科的摘出》を増やしても意味がありません。メイン勝率こそまだマシですが、サイド後は決して相性が良いとは言えませんでした。 デッキパワー自体も高くはないので、使用は断念。   次の候補はアゾリウスコントロール。中国の地域CSで上位入賞していたリストで、こちらは《死の国からの脱出》を実質無効化できる《オアリムの詠唱》が4枚採用されています。 高い勝率を期待しましたが……やはりブリーチにはダメでした。   《オアリムの詠唱》は確かに強いですが、それはあくまで《死の国からの脱出》を止められるだけ。ブリーチは《死の国からの脱出》でコンボを決める際に全力を出してくるわけではありません。ただ《死の国からの脱出》を唱えて、それが解決すれば勝ててしまうのです。失敗した時のリスクがほとんどありません。   《オアリムの詠唱》で1ターンを稼いでも、その返しのターンでこちらがビッグアクションを取れるわけではないのです。ただ相手のコンボを防いでそれで終わりです。   ブリーチ側のリソース確保手段をアゾリウスコントロールが止めづらいのもマイナスでした。青白2色では軽い除去は《虹色の終焉》しか採用できず、とにかく1ターン目に出てきた《湖に潜む者、エムリー》が厳しい。 《湖に潜む者、エムリー》を処理できずにアドバンテージを取られ続け、《ウルザの物語》で殴られ、《オアリムの詠唱》がなければ即負け。   アゾリウスコントロール、ダメでした。   ▽《オアリムの詠唱》の使い方を変える しかし、《オアリムの詠唱》自体には可能性を感じていました。   アゾリウスコントロールの《オアリムの詠唱》が弱いのは、相手のコンボを防いだターンの返しに特に何もしないからです。要するに《オアリムの詠唱》は、ティムールブリーチ相手に弱いカードではないものの、1マナの《対抗呪文》ぐらいの強さであり、1枚で勝てるスーパーカードではなかったのです。 逆に言えば、1マナの《対抗呪文》ではあるということで、「このカードをコンボデッキで使えば良いのでは?」と考えました。   《オアリムの詠唱》を無理なく採用できるコンボデッキ、それがルビーストームです! 解説記事は以前にも書きましたので、基本的な動きが知りたい方はこちらの記事も参考にしてみてください。   ルビーストームは2ターン目に《モンスーンの魔道士、ラル》《ルビーの大メダル》を設置して3ターンキルを目指すデッキで、ブリーチと同速度のデッキです。そしてこちらだけ《オアリムの詠唱》をメインから採用することで、後手での勝率を少しでも上げようと考えました。 リストはアメリカの地域CSのものを参考にしましたが、特に感銘を受けたのは《美術家の才能》です。 《無謀なる衝動》《レンの決意》でめくれたカードをどんどん置いていくこのデッキは、手札に不要な土地が溜まりやすいのですが、《美術家の才能》はその土地を捨ててドローできます。3マナ払えば《モンスーンの魔道士、ラル》にもなり、2つの役割をこなせる素晴らしいカードでした。 《美術家の才能》のおかげで墓地が以前よりも溜まりやすくなったので、《死の国からの脱出》も運用しやすくなりました。運悪く儀式系スペルを1枚しか引けなかった時は、《炎の中の過去》ではなく《死の国からの脱出》をサーチします。 諜報ランドの枚数は3枚になりました。基本的には2枚の諜報ランドを2ターン連続で置いて3ターン目に仕掛けていくか、あるいは諜報ランドから入って2ターン目に《レンの決意》でトップをめくっていくことになります。 そのため、3枚目は不要だと考えていましたが、サイド後は相手が《モンスーンの魔道士、ラル》《ルビーの大メダル》に対して打ち消しや除去を構えるケースが多く、ほとんどの状況で3枚目の諜報ランドをサーチしたかったのです。   3枚目の諜報ランドとして入っている《轟音の滝》は他の赤い諜報ランドならどれでも構わないです。あえて色を散らしているのは《虹色の終焉》用です。 オルゾフブリンクの出してくる《エイヴンの阻む者》があまりにネックだったので、《虹色の終焉》で対処できるよう、3色目を入れることをオススメします。   土曜日 スポットライトシリーズは6勝3敗で2日目に進出することができます。が、トップ8はおそらく2敗しか難しいので、目指すは7勝2敗、もしくは8勝1敗!   ゴルガリエルフ ×〇〇エルドラージ 〇×〇ティムールブリーチ 〇××ティムールブリーチ ×○〇ボロスエネルギー 〇〇ドメインカスケード ××オルゾフブリンク 〇××オルゾフブリンク 〇〇ティムールブリーチ ×〇×   最終成績5勝4敗で初日落ち。 バブルマッチ、ティムールブリーチに《オアリムの詠唱》で先手3キルを防ぎ、返しに3キル……で不発。その返しに2枚目の《死の国からの脱出》で負けてしまいました。 《モンスーンの魔道士、ラル》の変身後の奥義が不発だったり、《レンの決意》で何枚めくっても土地だったりと、全体的にツキに見放されていましたね。 ほぼ毎ラウンド30分ほど延長していたのが印象的でした。延長卓を見るとブリーチミラーが多く、強さとは別にトーナメント進行上の理由からも「このデッキは禁止になりそうだな」と感じました。   毎回30分押すと当然9ラウンド終了時は夜なので、この日はレストランに行かずに帰宅。   オランダに無限にあるスーパー、アルバート・ハインでハムとパテをしこたま買い込み、ホテルで爆食いして就寝。   日曜日 優勝するとアルティメットガードのスリーブが300個もらえるという面白そうなトーナメントに参加。 ドメインズー 〇〇ボロスエネルギー ××アゾリウスコントロール 〇××オルゾフブリンク 〇〇青単ベルチャー ××鱗コンボ 〇×〇アスモフード 〇〇ティムールブリーチ 〇〇 5勝3敗でプライズチケットを少し獲得して終了。   2日通して負けまくってしまい、正直結構落ち込みましたね。   一方で、ヨーロッパは素晴らしいプレイヤーが多かったです。勝っても負けてもニコニコしてグッドラックと言ってくれますし、モダンのデッキもこだわりがすごくて、フルフォイルのプレイヤーもたくさんいました。   僕もイラスト違いが大好きなのですが、「君のストーム、良いアートたくさんだね」と言ってもらいました。 テキストを聞かれた三銃士がこちら。   ヨーロッパはモダンやレガシーなど、下フォーマットがとにかく人気!海外で下環境を遊びたいならヨーロッパがオススメですよ。優しいプレイヤーばかりなので、初めて海外でマジックをするのにもぴったりです!   月曜日 ユトレヒトはあのミッフィーちゃんの出身地!当然ながらお土産もたっぷりあります。   というわけで最終日はミッフィーちゃんのお土産を買いに散策。 ちなみに世界に1つだけしかない、ミッフィーちゃんの信号機もありました。 お土産コーナーには定番のぬいぐるみやクッキーなどの他、トートバッグやリュックサックなどいろいろ! どれも可愛くてついつい散財してしまいました。   そしてランチはパンケーキの有名なお店にいきました。食べたのはこちら。 一見チヂミに見えますが、パンケーキです。日本で食べるホットケーキっぽいものを想像していたのでびっくりしましたが、味にはもっと驚かされました!美味しい!   戦いは続く 月曜日の夜の便で帰国……ではなく、そこから再び北京に向かい、火曜日は北京ダックを食べつつ、日本に帰国したのは水曜日でした。   北京ダックは動画しか残していなかったので、絶品だった水煮を貼っておきます。 安いだけで選んだ北京経由の航空券でしたが、北京はホテルもご飯も安く快適で、Wi-Fiが一切使えないことを除けば、何も不満がありませんでした。1回の旅行で2カ国を観光できてお得な気分になりました。   さて、ユトレヒトが終わっても休みはありません!僕がヨーロッパにいた週、既に日本ではエリア予選が行われていました。   1週遅く、僕もエリア予選に出始めなければならないのです。しかもフォーマットはスタンダード!プロツアーが終わった後のスタンダードは相手のデッキもプレイも強く、中々勝つのが難しい。   というわけで、次回はエリア予選のデッキ選択とその経緯に関するお話となります。   それではまた!