こんにちは。
細川 侑也(@yuyan_mtg)です。
チャンピオンズカップファイナルの予選シーズンがスタート!フォーマットはモダンです。
《死の国からの脱出》がモダンで禁止されてから早1週間!
最強のデッキがいなくなり、モダンでは今どんなデッキが活躍しているのか?モダンチャレンジの優勝デッキをご紹介していきます!
アゾリウスコントロール
モダンチャレンジ(4/6) : 優勝 By Patxi

脱出基地全盛期にメタデッキとして登場したアゾリウスコントロール。《一つの指輪》が禁止されてコントロールは死滅したかと思われていましたが、アドバンテージ源をプレインズウォーカーに一任して復活してきました。
《覆いを割く者、ナーセット》はボロスエネルギーの《歴戦の紅蓮術士》と《鏡割りの寓話》、そしてオルゾフの《新たな夜明け、ケトラモーズ》を止めることができるカードで、リソースだけでなく相手のドロー封じも強力です。
《一日のやり直し》とのコンボは必殺で、最終的にはこのコンボを決めて勝利することも少なくないですね。
青白と言えば《時を解す者、テフェリー》。相手の動きを極端に狭めつつ、盤面処理しながらドローと、コントロールの欲しいものを全部乗せした贅沢なプレインズウォーカーですね。
そしてなんと言っても《ドミナリアの英雄、テフェリー》!今このカードがとても強い。
環境に青いデッキが少なくなり、5マナのプレインズウォーカーが通りやすくなったのが理由の1つ。プラス能力で土地を2つ起こせるため、実質3マナのプレインズウォーカーのように運用できるのが《ドミナリアの英雄、テフェリー》の強みですが、《対抗呪文》や《否定の力》で打ち消されてしまうと、モダンでは非常に大ぶりなアクション。エネルギーやオルゾフなどが多い環境では強く、青いコントロールやマークタイド系デッキが流行ると弱い傾向にあります。
もう1つの使われる要因は、《オアリムの詠唱》との相性が抜群だからです。
《オアリムの詠唱》は研磨基地メタとして採用されていた側面もありますが、実はアゾリウスコントロールそのものの戦略とも合致しています。
プレインズウォーカーを出して維持するには盤面にクリーチャーがいない状況を作るしかありません。しかし、全体除去をプレイして、返しの相手のアクションをさばいて、その後にプレインズウォーカーを着地させる。これは容易ではないでしょう。
そこで《オアリムの詠唱》です。このカードを使えば全体除去を後回しにできます。まず《ドミナリアの英雄、テフェリー》をプレイしてプラス能力で土地を2枚起こします。相手のアップキープに《オアリムの詠唱》をキッカー込みでプレイすると、《ドミナリアの英雄、テフェリー》に殴ることは不可能になり、更にそのターンは呪文も使えなくなるので、追加のアクションが取れません。
相手はターンを返すしかなくなり、そこで《至高の評決》が突き刺さるのです。
《オアリムの詠唱》は環境のほとんどのデッキに刺さっています。オルゾフブリンクも以前は《霊気の薬瓶》を採用しており、《オアリムの詠唱》が効かないことも多々ありましたが、《新たな夜明け、ケトラモーズ》型には実質ターンパスになります。
エルドラージも《コジレックの命令》以外はソーサリーアクションですし、コンボ系に刺さるのは言わずもがな。ディミーアマークタイドなんかには《ドミナリアの英雄、テフェリー》を通すために使えますね。
研磨基地が環境を支配していた頃も《オアリムの詠唱》はずっと強かったのですが、あの頃は研磨基地が強すぎました。1ターン目からアドバンテージエンジンを築きながら2~3マナを並べてくるデッキに対して、《オアリムの詠唱》でターンを飛ばしても焼け石に水だったのです。
しかし、今度こそ《オアリムの詠唱》はモダン最強のカードとなりました。
アゾリウスコントロールはこれから更に活躍していくこととなるでしょう!
ベルチャー
モダンチャレンジ(4/5) : 優勝 By Manas235

『ミラディン』で登場した《ゴブリンの放火砲》というカード。
ライブラリーの上からカードを《山》が出るまでめくり、それまでにめくったカードの枚数だけダメージを与える4マナのアーティファクトです。
無色のダメージソース源として、プロテクション赤のクリーチャーを焼いたり、《赤の防御円》を貼ってくる相手に対して赤単側がサイドインしたりなど、まっとうな使われ方をしていた一方で、下環境では昔から悪さをしていました。
《山》がめくれるまでダメージが入る。それならデッキに《山》がなかったら即死。そこでライブラリーから土地をすべて追放する《マナ切り離し》を採用したデッキがエクステンデッドで登場しました。
あのガブリエル・ナシフがプロツアー準優勝を収めたマナベルチャーです。
あれから22年の時を経て、《ゴブリンの放火砲》は今も下環境の第一線で活躍しています。
当時はデッキ内の土地を《マナ切り離し》で抜いてから《ゴブリンの放火砲》を打っていましたが、その《マナ切り離し》の過程がカットされ、ただ単に《ゴブリンの放火砲》を起動するだけで勝てるようになりました。
そう、デッキ内の土地をすべて両面土地にすることで、見た目上の土地が0枚になっている。それが現代のベルチャーです。
青単タッチ白で構成されたベルチャーはとてもシンプルなデッキ。《ゴブリンの放火砲》を起動して勝つ。ただこれだけです。
《ファラジの考古学者》《稲妻罠の教練者》は《ゴブリンの放火砲》を探す役割がある他、両面土地も拾えるとても便利なクリーチャー。しかも戦場に出てからも《拒絶の閃光》のピッチコストにできると至れり尽くせりです。
この2種に加えて《発明品の唸り》でも《ゴブリンの放火砲》をサーチできるため、フィニッシャーにアクセスするのは容易です。
《発明品の唸り》は《ゴブリンの放火砲》をサーチするだけでなく、大事な《睡蓮の花》を3マナで呼び出すこともできて便利です。
《睡蓮の花》を1ターン目に待機すると4ターン目に戦場に出てくるので、セットランドでぴったり7マナで《ゴブリンの放火砲》を設置から起動まで行えます。《発明品の唸り》でも同じことができ、ベルチャーは基本キルターンは4ターン目ということになります。
この《睡蓮の花》との相性の良さからデッキに採用されているのが《現実の設計者、タメシ》。白Xマナを払って土地を手札に戻すことで、墓地からX以下のアーティファクトかエンチャントを戦場に戻す能力を持っています。
《睡蓮の花》は0マナのカードなので、白だけで戦場に戻すことができ、この過程を自分がコントロールしている土地の数だけ繰り返せます。土地1枚から2マナが増える計算になるということですね。
大量のマナを出せば《発明品の唸り》X=4で《ゴブリンの放火砲》を出して即起動や、《ファラジの考古学者》で墓地に落ちた《ゴブリンの放火砲》を《現実の設計者、タメシ》で釣り上げるなどして、ゲームに勝利できます。
既にお話した通り、このデッキは基本が4ターンキル。それまでは各種カウンターで妨害するデッキとなっているのですが、《撹乱する群れ》は青いカード、《拒絶の閃光》にはクリーチャーが必要です。ベルチャー相手には除去は不要なのでとりあえずバンバン《稲妻罠の教練者》などを焼かれますし、そうなると《拒絶の閃光》は腐り、《撹乱する群れ》で手札の青いカードを消費すると、最終的にセットランドに困ってキルターンが遅れてしまうケースもあります。
何もしなければ4ターンキルしてくるボロスエネルギーに対して、ベルチャーはかなり有利というわけでもありません。ここに《イーオスのレインジャー長》なども加われば厳しいマッチになります。
とはいえ、今のエネルギーが研磨基地が禁止になったことで、対策カードをメインに入れていない状態なので、ベルチャーとの相性は五分、あるいは少しベルチャー側が有利な認識です。
オルゾフも《新たな夜明け、ケトラモーズ》で何枚引かれようが関係ありませんし、サイド後の《白蘭の幻影》だけが癌と言ったところ。サイドボードに《山》が入っているのは《白蘭の幻影》用ですね。それでも《儚い存在》や《ちらつき鬼火》、《溌剌の牧羊犬、フィリア》で何度も使い回されると《山》以外の土地が残らないのですが。
大量の妨害をバックアップに《ゴブリンの放火砲》を決めてくるため、コンボ対決において優位性があるのはベルチャーの強みと言えます。
スピードで上回ってくるルビーストームやアミュレットに有利なので、コンボデッキ界の頂点と言えるデッキです。
予選シーズンではまず意識しなければならない相手でしょう。
ディミーアマークタイド
モダンチャレンジ : 優勝 By oosunq

本日ご紹介するデッキは奇しくもすべて青!
コントロール、コンボと来て最後はクロックパーミッションに分類されるデッキです。
《超能力蛙》を主軸に据えたディミーア系デッキとして、以前までは《忌まわしき眼魔》が主流でしたが、最近は原点回帰で《濁浪の執政》を多めに採用したディミーアマークタイドが復権してきています。
オルゾフがメインから《大祖始の遺産》を採用するようになり、墓地依存度が高い構成にリスクを感じているのでしょう。
ディミーアマークタイドは、キャントリップ呪文で除去や打ち消しを集めてコントロールしつつ、《濁浪の執政》《超能力蛙》を守りきって速やかに殴るデッキ。先ほどはクロックパーミッションと紹介しましたが、ディミーアコントロールチックな動きをする場合もあります。
《超能力蛙》が2ターン目に出た時はビートダウン顔負けの速度で相手のライフを削ることもあります。《超能力蛙》の能力で手札をすべて捨てて、《濁浪の執政》を3ターン目に出す展開では4ターンキルもしますからね。
《濁浪の執政》と《超能力蛙》が同時に戦場にいると、《超能力蛙》の飛行を付与する際の墓地追放で《濁浪の執政》のサイズが上がるため、一瞬でゲームが終わります。
ディミーアマークタイドは《超能力蛙》と《濁浪の執政》以外のクリーチャーが自由枠でしたが、最近では《オークの弓使い》の採用が増えてきています。
元々、《オークの弓使い》ケアでタフネス1が環境から減り、その後《一つの指輪》が禁止になってからは追加ドロー抑止も不要となり、不採用となっていたカードでした。が、ボロスエネルギーがメインから《敏捷なこそ泥、ラガバン》を4枚採用するようになったため、しっかり除去として機能し始めました。
《歴戦の紅蓮術士》《鏡割りの寓話》にも強く、《オークの弓使い》は今のボロスエネルギーにとても強いカードです。
《新たな夜明け、ケトラモーズ》に対しても当然強いですね。オルゾフブリンクも盤面にクリーチャーを並べてきますし、《ちらつき鬼火》はタフネス1なので、《オークの弓使い》の良い的です。
リソースを稼ぐ《知りたがりの学徒、タミヨウ》、そしてクリーチャー対策の《緻密》と合計で15枚のクリーチャーが入ったことで使いやすくなったのが《悪夢滅ぼし、魁渡》。
スタンダードからパイオニアまで大活躍するプレインズウォーカーですが、ついにモダンでも存在感を示し始めました。自分のターンは呪禁、相手ターンではプレインズウォーカーなので、除去に非常に強く、特にアゾリウスコントロールは《虹色の終焉》で除去するためにはX=4、つまり4色が必要なため、結構大変です。
0ならリソースを稼ぎ、プラスでダメージを上げたり、場合によっては相手の大型クリーチャーを麻痺させたりなど、3マナとしては破格のプレインズウォーカーです。
忍術によって戻すカードも《緻密》や《オークの弓使い》なら再利用できて美味しく、《知りたがりの学徒、タミヨウ》は1マナかつ飛行なので《悪夢滅ぼし、魁渡》との相性が抜群です。
さて、ディミーアマークタイドの立ち位置はコンボとコントロールキラー。手札破壊と打ち消し、そして速いクロックを持ち合わせているため、特にコンボに強いデッキです。
《超能力蛙》はコンボデッキにとっては2ターンキルに等しいカード。継続的に殴られるだけで手札が膨れ上がりますし、急に打点を上げてきて制限時間を作ってきます。
アゾリウスコントロールもアドバンテージ源を重いプレインズウォーカーに頼っているので、《対抗呪文》《否定の力》の餌食です。手札差が勝手につき、最終的にはディミーア側が勝利します。《至高の評決》ですべてのクロックを失って負ける展開以外はあまりないでしょう。全体除去に対して構えられる《オークの弓使い》、軽い《知りたがりの学徒、タミヨウ》、そして《悪夢滅ぼし、魁渡》がアゾリウスコントロールに特に強いカードたちです。
反面、アグロデッキは苦手です。その中でも最も厳しいのがオルゾフブリンク。《新たな夜明け、ケトラモーズ》《大祖始の遺産》による無限アドバンテージを止められませんし、《ベイルマークの大主》を除去する手段がほとんどないので、無限に《孤独》を使い回されてクロックをすべて失ってしまいます。
オルゾフが多いフィールドでは、ディミーアマークタイドが勝つのは難しいですね。
一方のボロスエネルギーは以前までは厳しいマッチでしたが、最近は改善傾向にあります。エネルギー側が《濁浪の執政》を倒せるカードをほとんど採用していないのが理由です。
《静牢》が4枚あった頃は《超能力蛙》《濁浪の執政》が定着することが少なかったのですが、今はエネルギーを維持するのが難しく、入っていても2枚が限度です。《岩への繋ぎ止め》も最近は見ませんし、とにかくディミーア側の重要なクリーチャーが生き残りやすいのです。
とはいえ、有利マッチかと言われるとそうでもなく、やはりディミーアが当たりたいのはコンボとコントロールですね。
コンボ活躍週にはチャンスが訪れそうですね。個人的にはとりあえず予選の最初の週はエネルギーから始めて、そこから色々なデッキに移るプレイヤーが多そうなので、今週末は腕に自信のある人だけが勝つことになると予想します。
それでも、多少の不利マッチなら跳ね返す力があるデッキです。《超能力蛙》、すごすぎる。このモダンに残された数少ない壊れカードを使いたいなら、ディミーアマークタイドしかないですね。