こんにちは。
細川 侑也(@yuyan_mtg)です。
毎週日本各地で行われているチャンピオンズカップファイナルの予選!
今回はその予選に持ち込むべき、今最も強いモダンのデッキたちをご紹介していきます。
ボロスエネルギー
モダンチャレンジ(4/21) : 優勝 By ShadowTitan1

モダンの王者が、ついに玉座に帰還しました。
そう言っても良いほど、ボロスエネルギーのここ最近のパフォーマンスは素晴らしく、今週末も一番の勝ち組になるのではないかと個人的には思っています。
改めて説明するようなデッキではありませんが、『モダンホライゾン3』から登場した新たなエネルギーカード《魂の導き手》《電気放出》。
《敏捷なこそ泥、ラガバン》を過去のカードにしたとまで言われた《オセロットの群れ》。
現環境最強の2マナ域《ナカティルの最下層民、アジャニ》。
モダンで最高のカードである《火の怒りのタイタン、フレージ》。
これらの質の高いカードたちを詰め込んだ早いグッドスタッフ、それがボロスエネルギーです。
《魂の導き手》《オセロットの群れ》は1マナ域ながら、除去されなければそのまま勝ってしまうほどのクリーチャー。《敏捷なこそ泥、ラガバン》を合わせた12枚、どれも相手は打ち漏らすことはできません。
《ナカティルの最下層民、アジャニ》も同様の性能を持つカードで、ボロスエネルギーが環境にいるからこそ、すべてのデッキが1マナ除去を大量に採用しています。
これらの軽いクリーチャーが除去されてしまうと厳しいのが普通のアグロデッキですが、ボロスエネルギーはアグロではなくグッドスタッフ。グッド(良い)スタッフ(カード)だけを揃えたデッキなので、3マナ域には《火の怒りのタイタン、フレージ》《歴戦の紅蓮術士》《鏡割りの寓話》も控えています。
序盤に出したクリーチャーが生き残ればそのまま勝ち、除去されれば優秀な3マナ域たちでロングゲームもできるのです。
強いカードたちだけで固められているからこそ、ボロスエネルギーはサイド後にも強いデッキです。攻める必要のない相手には序盤のカードを減らしてヘイトカードを詰め込み、ヘイトカード+《火の怒りのタイタン、フレージ》で勝つプランが可能。
速度が重要なマッチでは重いカードを抜いて攻めることも可能で、とにかく死角のないデッキです。
ボロスエネルギーには『タルキール:龍嵐録』からの新カードはほとんど入っていません。《勝利の楽士》は環境初期に試されました。《ゴブリンの砲撃》と相性の良いカードではありますが、相手がこちらのターンに呪文を唱えられないという恩恵をエネルギーはあまり受けられず、《火の怒りのタイタン、フレージ》でミラーマッチも簡単に焼かれてしまう割にインパクトの薄いカードであることから、徐々に抜けてきました。
《コーリ鋼の短刀》を採用したリストもありますが、こちらは工夫が必要で、既存のボロスエネルギーにそのまま組み込むだけでは難しそうです。エネルギーには3マナ域のカードが多く、《コーリ鋼の短刀》の誘発がさほど簡単ではないためです。
さて、ボロスエネルギーの話題になるたびに発生する3マナ域問題。今の赤白は3マナ域が優秀で、どれを採用するか、いまだに答えが出ていません。
候補となるのは《鏡割りの寓話》《歴戦の紅蓮術士》《イーオスのレインジャー長》でしょうか。あ、《火の怒りのタイタン、フレージ》は不動の4枚なので省いています。
このリストで一番多く採用されている《鏡割りの寓話》は最も無難な選択と言って良いでしょう。1章と3章がどちらも放置できず、2章で不要カードを入れ替えられるため、出すだけで得をするカードです。相手との交換を繰り返していけば自動的に《火の怒りのタイタン、フレージ》《栄光の闘技場》で勝てるのがボロスネルギーです。
《歴戦の紅蓮術士》は最近枚数が増えてきた1枚。4枚のリストも多く、僕がもしボロスエネルギーを使うならこのカードを4枚にしそうです。ボロスエネルギーは手札が枯れやすく、そうなると後は諜報ランドで《火の怒りのタイタン、フレージ》を落とすだけになりがちです。《歴戦の紅蓮術士》は手札がない状態で出せば、カードを捨てずに2ドローできるので、トップデッキした時は《鏡割りの寓話》より強力です。
また、唱えたり墓地から追放することでトークンを生成できるので、《ゴブリンの砲撃》との兼ね合いも特筆すべき点です。
《イーオスのレインジャー長》はコンボに強く、また確実なリソースになるカードです。《オセロットの群れ》《敏捷なこそ泥、ラガバン》《魂の導き手》を確実に手札に加えられるのは単純に強力ですからね。ボロスエネルギーは順調に殴り続ければ4ターンキルなので、コンボに対して後1ターンあれば勝てるという状況になりがちです。《イーオスのレインジャー長》はその1ターンを作ってくれる可能性があります。特にベルチャー相手はあるかないかで大きく変わるでしょう。
僕がエネルギーを持ち込むなら、《歴戦の紅蓮術士》4枚・《鏡割りの寓話》3枚にすると思います。ベルチャーが多ければ《イーオスのレインジャー長》を2枚入れて、《鏡割りの寓話》1枚にしますね。
最強のデッキを使うなら、リストも最強にしましょう!ボロスエネルギーはサイドボードが強いのも魅力で、75枚をじっくりと吟味する価値がありますよ!
ジェスカイ果敢
モダンチャレンジ(4/19) : 優勝 By boytriton

『タルキール:龍嵐録』最強のカード《コーリ鋼の短刀》。
呪文をたった2回唱えるだけで果敢モンクを生成し、それに装備して速攻を付けるという、《僧院の導師》が裸足で逃げ出すレベルの装備品は、スタンダードではもちろん、0~1マナのカードが強い下環境でもデッキの顔として活躍しています。
モダンでは《コーリ鋼の短刀》はイゼット果敢に組み込まれていましたが、近頃は白を加えたジェスカイ果敢が人気を博しています。
デッキのベースはイゼット果敢。《僧院の速槍》《損魂魔道士》の果敢軍団+《コーリ鋼の短刀》で速やかに相手のライフを削っていきます。
2回のスペルを唱えるのを容易にする《溶岩の投げ矢》《ミシュラのガラクタ》以外のカードは、最強の火力呪文である《稲妻》、そしてスペルを継続して唱えるための《定業》《表現の反復》とオーソドックスな作りです。
白が入ったことで《虹色の終焉》を採用できるようになり、これがとにかく強力。
これまで1マナ域の除去に困ってただけでなく、《火の怒りのタイタン、フレージ》の処理や《超能力蛙》など、頭を悩ませるクリーチャーは大量にいましたが、《虹色の終焉》はすべてに対応できるカードです。
確実な除去は欲しいが、2マナ以上のカードを入れると《コーリ鋼の短刀》の誘発に関わったり、そもそも行動回数が減ってしまい、果敢によるダメージに影響が出てしまう。そんな事情を一発で解決するのが《虹色の終焉》というわけです。もちろん《超能力蛙》を倒すのには2マナかかってしまいますが、他のカードではそもそも触れませんからね。
1枚ではありますが《火の怒りのタイタン、フレージ》も採用されており、ボロスエネルギーよろしく諜報ランドのバリューをあげています。特に果敢のミラーマッチでは《火の怒りのタイタン、フレージ》を引くとかなり有利になりますね。
サイドボードには《岩への繋ぎ止め》が採用されていますが、これは対ディミーアマークタイドを見据えてのことでしょう。《超能力蛙》は《虹色の終焉》で倒せても《濁浪の執政》は止まらず、それが主な敗因となりうるのです。
逆にその負け筋さえ潰してしまえば、《コーリ鋼の短刀》が止まらないディミーア側は、ジェスカイ相手の勝ち筋がほとんどありません。
ジェスカイ果敢はボロスエネルギー相手は少し不利ですが、《オセロットの群れ》《敏捷なこそ泥、ラガバン》に《溶岩の投げ矢》が当たり、《コーリ鋼の短刀》で勝つ展開もあります。
コンボをはじめとした干渉手段の薄い相手には、ボロスエネルギーのように除去や3マナ域だけを引いて手をこまねいてしまう状況にはなりません。ジェスカイ果敢は果敢クリーチャーと火力で構成されたデッキで、相手のライフを速やかに0にすることに長けています。
メタゲーム次第ではボロスエネルギーよりジェスカイ果敢の方が良いかもしれません。単純にデッキパワーも高く、週末の勝ち組になりうるデッキです。
エルドラージランプ
モダンチャレンジ(4/21) : 7位 By Shadowz2005

今週のおすすめ、最後はエルドラージランプです。
《ウギンの迷宮》《エルドラージの寺院》の2マナランド8枚体制、そして《楽園の拡散》により、最速2ターン目に《まき散らす菌糸生物》を出して更にマナを伸ばしたり、《コジレックの命令》でトークン生成や除去、ドローを行う、『モダンホライゾン3』で強化されたエルドラージデッキ。
このデッキは『タルキール:龍嵐録』で非常に大きな戦力を獲得しました!
それはもちろん《嵐の目、ウギン》です。
唱えた時に1色以上のパーマネントを追放し、無色の呪文を唱えるたびにその追放を行うという超強力な常在型能力を持ちながら、プラスではリソースを稼ぎ、大マイナスは実質ゲーム勝利と、恐ろしい性能を持っています。
この《嵐の目、ウギン》によって、エルドラージは新たな7マナのゴールを手に入れました。
以前までのエルドラージランプはマナを伸ばした先の勝ち手段はほぼ《約束された終末、エムラクール》単騎でした。《まき散らす菌糸生物》《世界を壊すもの》で土地を壊しながら《約束された終末、エムラクール》を唱えれば当然ゲームには勝つのですが、マナを伸ばしてただ《世界を壊すもの》だけを出してもモダンで勝つことはできません。
《嵐の目、ウギン》は戦場に出てしまえばそれだけで勝てるマッチもあるほど強力なカードです。このカードがマナを伸ばした先に待っているというのは恐ろしく、マナを伸ばして《嵐の目、ウギン》を出す勝ち筋が生まれました。
《嵐の目、ウギン》の採用によって再び見るようになったのが《大いなる創造者、カーン》。最近のエルドラージランプでは《大いなる創造者、カーン》はあまり採用されていませんでしたが、《嵐の目、ウギン》の常在型能力を誘発させるために《大いなる創造者、カーン》は大いに役立ちます。
従来のエルドラージランプは無色のカードが比較的少なく、《嵐の目、ウギン》が出た次のターンにパーマネントを並べられてしまうと処理が少し大変でしたが、《大いなる創造者、カーン》を唱えて《嵐の目、ウギン》誘発、《大いなる創造者、カーン》のマイナスでアーティファクトをサーチし、それを唱えて更に《嵐の目、ウギン》が誘発と、一瞬で複数のパーマネントを追放できるのです。
《大いなる創造者、カーン》自体は今は環境的にさほど刺さっているわけではありません。アーティファクトを使うデッキはそこまで多くないですからね。とはいえ、青単ベルチャーや親和など、ナチュラルに常在が効くデッキもありますし、そもそも《大いなる創造者、カーン》は強いカードです。
《嵐の目、ウギン》の加入によって最近では青トロンなども活躍し始めており、今大注目のカードの内の1枚です。
特にフェアデッキのボロスエネルギー・ジェスカイ果敢が流行の現状では《嵐の目、ウギン》は有効なカードであり、4枚目が入ってもおかしくありません。
そして《ウギンの迷宮》《エルドラージの寺院》《コジレックの命令》はエルドラージランプ・トロン、そしてたまに青単タイムワープなど、様々なデッキで活躍しています。《エルドラージの寺院》と《コジレックの命令》だけで言えば、繁殖鱗コンボや鱗親和など、更に該当デッキが増えていきます。
実はこのセットでまだ誰も組んだことのないすごいデッキがあるかもしれませんね。