こんにちは。
細川 侑也(@yuyan_mtg)です。
先週末はインディアナポリスでスポットライトシリーズが開催されました。
フォーマットはモダン!地域CSの予選フォーマットでもあるモダンの最新に迫りましょう!
カナダ地域CS
優勝:繁殖鱗コンボ
2位:エスパー御霊
3位:エスパーブリンク
4位:イゼット果敢
5位:親和
6位:オルゾフブリンク
7位:オルゾフブリンク
8位:ドメインズー
インディアナポリスで行われたスポットライトシリーズ、トップ8にはなんとボロスエネルギーの姿はなし!
本大会で一番人気となったボロスエネルギーでしたが、トップ8からは姿を消し、トップ16まで見てもマルドゥエネルギーは1枚のみと、エネルギーは本大会では勝ち切ることはできませんでした。
トップ32(4敗ライン)まで見てみるとボロスエネルギーの姿が多く、デッキパワーは高くともフェアデッキであることが、今回は悪い方に作用してしまいました。
ボロスエネルギーは上質なクリーチャーと除去、そして中盤戦を《歴戦の紅蓮術士》《鏡割りの寓話》で戦い、最終的には《火の怒りのタイタン、フレージ》でゲームセットという、非常に安定したデッキです。
どのデッキ相手にも戦えるミッドレンジに近いですが、殴るクリーチャーがすべて軽いため、ブン回りが存在するアグロがミッドレンジとしても戦えるといった表現の方が近いかもしれません。
今回はその安定感、いわゆる丸さが、4敗目を喫してしまった要因と言えます。モダンはどのデッキも圧倒的なブン回りや嵌めパターンが存在し、ボロスエネルギーは打ち消しも2~3ターンキルも存在しないため、そこに抗うことはできないのです。
さて、そんなエネルギー不在のトップ8から見事勝ち上がったのは繁殖鱗コンボ。
《日を浴びる繁殖鱗》に《血の長の刃》を装備すると、クリーチャーが死亡するたびに《日を浴びる繁殖鱗》の上にカウンターが乗ります。
《日を浴びる繁殖鱗》の上にカウンターが乗ると0/1の落とし子トークンが出るので、それを生け贄に捧げると《日を浴びる繁殖鱗》にカウンターが乗り……無限マナ&無限パワータフネスの《日を浴びる繁殖鱗》が出来上がります。
無限マナになった後は《コジレックの命令》でライブラリーを全部掘り、《歩行バリスタ》で勝つも良し。《のたうつ蛹》が既に戦場にいて攻撃できるなら、無限ループ中にこちらも無限のパワーを獲得しているので、殴って終了となります。
コンボパーツの片割れである《血の長の刃》を《ウルザの物語》でサーチでき、どちらも《古きものの活性》で探せるため、意外とこの2枚コンボは成立しやすく、またエルドラージアグロとしての側面を持っているため、コンボ以外の勝ち筋もあるのが魅力です。
コンボパーツを探せる《邪悪鳴らし》が入っているので墓地も超えやすく、エルドラージランプでもお馴染みの《約束された終末、エムラクール》も採用されています。コンボに対して除去を抜けないサイド後は、むしろ除去を腐らせて《約束された終末、エムラクール》勝ちが本線になりそうです。
エルドラージは前述の《古きものの活性》に加えて《コジレックの命令》があり、ライブラリーから特定のカードを引き込むことに長けています。そのため、繁殖鱗のような瞬殺コンボとの相性は良好なのです。
繁殖鱗コンボは緑単であることがほとんどですが、優勝したリストはサイドに《紅蓮地獄》を採用しています。除去の薄いデッキなのでボロスエネルギーの《オセロットの群れ》《魂の導き手》に触れづらく、これらを無視しているとあっという間に《ゴブリンの砲撃》で負けてしまいます。そこで、横並びされたクリーチャーを一層できる《紅蓮地獄》を採用しているというわけです。
《大いなる創造者、カーン》《石のような静寂》などがあると止まってしまう《血の長の刃》コンボですが、《オパールのモックス》を採用しているわけではないため、アーティファクトに対しての依存度はそこまで高くありません。
《日を浴びる繁殖鱗》自体が止まってしまう《鳴り渡る龍哮の征服者》はかなり厳しいでしょうが、アーティファクト対策がさほど刺さらないのは嬉しいですね。
繁殖鱗コンボは数が決して多いとは言えないデッキですが、9位にも入賞しており、本大会一番の勝ち組でした!
さて、今回トップ8の内最多勢力となったのはオルゾフブリンク。《ベイルマークの大主》《溌剌の牧羊犬、フィリア》を活用しはクリーチャー主体のミッドレンジで、対クリーチャーデッキに対して圧倒的な相性を誇ります。
トップ4のエスパーブリンクの同タイプのアーキタイプとなっており、苦手なエルドラージ系に対して《記憶への放逐》だけをタッチするのがこれまでは一般的でしたが、先週あたりから登場したエスパーブリンクはメインから青いカードが採用されています。
それが《超能力蛙》です。これまでの2マナ域は《ベイルマークの大主》《溌剌の牧羊犬、フィリア》《骨の皇帝》と、どれも2ターン目のカードとしてはインパクトは弱めでした。
《ベイルマークの大主》は墓地からクリーチャーを拾うため、できれば自分のクリーチャーが除去された後に回収する目的で兆候したいカード。
《骨の皇帝》も墓地のクリーチャーを追放してリアニメイトするので2ターン目のカードではありません。
唯一2ターン目に出してもそこそこ強いのは《溌剌の牧羊犬、フィリア》ですが、ちらつかせるカードが大したことはなく、2マナ域の弱さはオルゾフブリンクの課題でした。
それを解決したのが《超能力蛙》。モダンでも屈指の2マナ域である《超能力蛙》を採用したことで、従来のオルゾフブリンクに比べて圧倒的にプレッシャーが増しました。
《超能力蛙》を採用したことで使いやすくなったのが《新たな夜明け、ケトラモーズ》。《大祖始の遺産》で大量のカードを引ける《新たな夜明け、ケトラモーズ》ですが、盤面に影響を与えない《大祖始の遺産》以外では《溌剌の牧羊犬、フィリア》《孤独》《儚い存在》でしかカードが引けず、《新たな夜明け、ケトラモーズ》を持て余す展開もありました。
そこで《超能力蛙》が活きます。墓地からカードを追放して飛行を付与するとカードを引けるので、《新たな夜明け、ケトラモーズ》がかなり運用しやすくなったのです。
絶対に場に残せないクリーチャーである《超能力蛙》ですが、除去されてもこのデッキでは《ベイルマークの大主》で拾えるので、他のデッキから出てくる《超能力蛙》よりうっとうしいでしょう。
速度が必要なマッチでは《思考囲い》《超能力蛙》で妨害しながら素早く殴りきることもでき、従来のオルゾフブリンクにはない勝ち筋もあります。
オルゾフブリンク自体はエネルギーなどのクリーチャーデッキに強い一方、アミュレットをはじめコンボには苦戦を強いられます。これからもクリーチャーデッキはモダンで活躍するでしょうから、オルゾフブリンクがメタの上位から落ちることはないでしょう。

エスパーブリンクと同様、先週あたりから急に流行の兆しを見せているのがこのアゾリウス親和。本大会でもトップ8入賞を果たし、その実力が本物であることを示しました。
アーティファクト1つにつきコストが軽くなる親和能力を持つのは《思考の監視者》《物読み》の2ドロー組。レガシーでは8castと呼ばれているデッキで、このアゾリウス親和はさしずめモダン版8castと言ったところです。
1ドローになる《ミシュラのガラクタ》、マナ加速の《オパールのモックス》、便利な除去である《ポータブル・ホール》と様々なアーティファクトを出して親和コストに当てつつ、《思考の監視者》《物読み》で引いたカードを連打して物量で押し切るのが親和の戦い方です。
《ミシュラのガラクタ》《オパールのモックス》と入っていれば当然《湖に潜む者、エムリー》は入ります。生き残れば《ミシュラのガラクタ》を使い回してリソースを供給し続け、《モックス・アンバー》からもマナが出せるようになります。
《オパールのモックス》《モックス・アンバー》の並びを見れば次に思い浮かぶのは《知りたがりの学徒、タミヨウ》。当然4枚採用されています。こちらも攻撃で手がかりを生み出すリソース獲得手段でありながら、手がかりはアーティファクトなので親和も稼げて、様々な役割がある素晴らしいクリーチャーです。
攻めを担うのは《ウルザの物語》。このデッキはアーティファクト主体なのでとにかく《ウルザの物語》のサイズが凄まじい!《影槍》と《ウルザの物語》だけで勝ててしまうこともあるほど。
《ウルザの物語》3章で《溶岩拍車のブーツ》をサーチして、速攻で2体の構築物で殴ることもあります。土地なのに1枚で勝ててしまう《ウルザの物語》を最も活用できるのがこのアゾリウス親和です。
《河童の砲手》も忘れてはならないカード。アーティファクトをタップしてコストが軽くなり、ひとたび戦場に出ればあっという間に成長します。アーティファクトが戦場に出るとサイズが上がると共にブロックされなくなるため、実質ブロック不可のクリーチャーで、大体《河童の砲手》が出て2回殴れば勝利です。
しかも護法(4)という凄まじい除去耐性があり、ほぼ呪禁のようなものです。頑張って《孤独》をピッチで唱えて4マナ支払うこともできますが、《金属の叱責》もあるので、中々《河童の砲手》を倒すのは厳しいでしょう。
《思考の監視者》《物読み》で手札を肥やし、展開しながら打ち消しを構えるアゾリウス親和は、回っている時はどんな相手にも強いのではないかと思ってしまうほど、圧倒的な強さです。アグロやコンボに対しても大きく不利がつくことなく、どの相手ともしっかり戦えるのは魅力ですね。
《大いなる創造者、カーン》《石のような静寂》《溶融》などのアーティファクトヘイトは非常に苦手ですが、《河童の砲手》はこのどれも引っかからないカードです。サイド後に対策カードを入れられるのは厳しいですが、決して相性が明確に不利になるというほどではないのです。
アーティファクト主体でありながら《記憶への放逐》が全くと言っていいほど効かないのもポイント。アーティファクト破壊程度ではアゾリウス親和は止まらないので、対策しようとするとしっかり専用カードを取ることになります。
今後は意識しなければならない相手となるでしょう。《大いなる創造者、カーン》を使えない方は《石のような静寂》《溜め込み屋のアウフ》をお忘れなく!