article

【今週のピックアップデッキ】アゾリウスブリンク/ボロス召集/ティムールスケープシフト

週刊 Modern Pioneer Standard ピックアップ

2025.08.29

mtg Yuyan

こんにちは。   細川 侑也(@yuyan_mtg)です。   今週のピックアップデッキでは、ちょっと珍しいデッキを、軽い解説を交えて紹介していきます。   紹介デッキ アゾリウスブリンク ボロス召集 ティムールスケープシフト   アゾリウスブリンク  スタンダードリーグ : 5-0 By DB_Dykman MTGアリーナ用インポートデータ クリーチャーを一時的に追放して、「戦場に出た時」の能力を何度も使い回す。この戦略を主体とするデッキの総称は、《一瞬の瞬き》の英語名にちなんでブリンクと呼ばれています。 初代《一瞬の瞬き》はフラッシュバック付きの優秀なブリンクで、《裂け目翼の雲間を泳ぐもの》や《造物の学者、ヴェンセール》で相手の土地を戻し続けたり、《目覚ましヒバリ》をブリンクさせて一気に2体リアニメイトし、スタンダードで大活躍していました。 最近ではモダンでブリンク内蔵クリーチャー《溌剌の牧羊犬、フィリア》で《ベイルマークの大主》を明滅させるオルゾフブリンクが躍動していますね。 そんな歴史あるアーキタイプ、ブリンクがスタンダードに帰ってきました!   まずは肝心のブリンクカードから紹介していきましょう。   いつの間にか採録されていた《魅力的な王子》はブリンク以外にライフゲインと占術を持つ便利なクリーチャー。自身がブリンクカードでありながら、ブリンクを受ける対象としても使えるのが嬉しい。 《忠実な馬、フォーチュン》は騎乗したクリーチャーと自身の2つをブリンクできる乗騎。戦場に出た時に占術2のオマケがあるので、ドローの質を高めながら横のクリーチャーを使い回せます。 『久遠の終端』から入った新しいブリンククリーチャーが《万物の定めを追う者》。戦場を離れるまでクリーチャーを追放するのですが、ワープで唱えるとターン終了時に《万物の定めを追う者》が戦場を離れるので、実質ブリンクです。通常キャストした際は除去としても機能してくれます。さすが暗殺者。 そしてブリンクスペルは《水飛沫の門》!1マナですがソーサリーとそこそこのデメリット。しかし、鳥か蛙かカワウソかネズミをブリンクさせていた場合は1ドローできます。このデッキには1種だけ蛙クリーチャーがいるので、ただの1マナブリンクでない時もあります。 その蛙が《陰気な港魔道士》。他のクリーチャーが死亡せずに戦場を離れていたら1ドローできる蛙で、ブリンクとの相性が最高です。クリーチャーをブリンクするたびに1ドローですからね。《忠実な馬、フォーチュン》などで2体同時に戦場を離れた場合は1ドローしかできませんが、それでも十分。 2マナを支払うと自分のクリーチャーを手札に戻せるので、1ドローしながらそのクリーチャーを戦場に出して再利用できます。   さあ、充実したブリンク陣を見てもらった後は、ブリンク対象となるクリーチャーを見てみましょう。   まずは《量子の謎かけ屋》!今やスタンダードのみならずモダンでも第一線で活躍するスフィンクスですが、戦場に出た時に1ドローできるので、当然ブリンク対象です。手札がなければブリンクで1ドローが2ドローになり……あっという間に手札が回復していきます。 そしてこちらは戦場に出た時ではなく、離れた時に誘発する《反因果の残留》。戦場を離れた時にカードを引いて、その後にコントロールしている土地の数以下のマナ総量のパーマネントをタップ状態で出せます。土地を伸ばして良し、クリーチャーを叩きつけても良しの良質なエルドラージ。 本来はワープで能力が誘発し、その後は死亡時にもう1度誘発する程度のエルドラージなのですが、ブリンクで何度も能力を使い回せるので、このデッキでは一度戦場に出して放置すると大変なことになります。   更に《量子の謎かけ屋》と《反因果の残留》はいずれもワープを持つクリーチャーなので、ブリンクとの相性はぴったりです。ワープはエンド時に追放される代わりに本来よりかなり軽いコストに設定されています。なので、ワープ状態のクリーチャーをブリンクしてそのまま場に定着させる行為は、実質的な踏み倒しとなるのです。   3ターン目に《忠実な馬、フォーチュン》、4ターン目に《反因果の残留》をワープで出して《忠実な馬、フォーチュン》に騎乗して攻撃すると、《反因果の残留》が誘発しながらパーマネントを展開し、最終的に《反因果の残留》が戦場に降り立つことになります。 同じワープ持ちの《星原の歌手》は、戦場に出た時の誘発を倍にします。《魅力的な王子》で4点ゲインしたり、同時に2体をブリンクしたり、《量子の謎かけ屋》で2枚引いたりと、やはり放置すれば大暴れ。《反因果の残留》とは何のシナジーもありませんが贅沢は言えません。 一度動き出すとアドバンテージが止まらなくなるのがブリンクデッキの良いところ。回していてすごく楽しいので、普通のマジックに飽きた方はぜひお試しください。     コスモジャンド パイオニアリーグ : 5-0 By hauterho MTGアリーナ用インポートデータ 小粒なクリーチャーを展開して召集クリーチャーを出して相手をなぎ倒す、横並びビートダウン、ボロス召集。   スタンダードでも活躍したデッキですが、パイオニアの召集は一味違います。   スタンダードではクリーチャーを並べた後の召集カードが《イーオスの遍歴の騎士》でした。クリーチャーを2枚加える強力なカードではありますが、速効性があるわけではありません。 それがパイオニアになると大きく変わります。《イーオスの遍歴の騎士》と同じく、5マナの召集持ちのクリーチャーがもう1種増えるのです。それが《敬慕されるロクソドン》。 しかもその能力は《イーオスの遍歴の騎士》と違い超攻撃的。召集のためにタップしたクリーチャーの上に+1/+1カウンターを1個ずつ置いていくのです。2ターン目に《敬慕されるロクソドン》を出しながら2/2の群れが5体並ぶ恐ろしい場が完成します。   と、ここまでは昔から変わりません。今回なぜボロス召集を紹介したのか?その答えは、『久遠の終端』でとあるカードが入って強化されたからです。   それが《コスモグランドの頂点》! スタンダードでもエスパーピクシーで採用されていたクリーチャー。2回呪文を唱えるとトークンを生成したり、全体強化を行います。このカードがボロス召集と相性が良いことに気が付いたプレイヤーは天才ですね。   まず召集は非常に軽いデッキ。1マナのカードが大半ですし、《羽ばたき飛行機械》に至っては0マナ。3ターン目に《コスモグランドの頂点》を出してそのまま誘発までいけます。 召集クリーチャーたちも場合によっては0マナになるので、やはり3ターン目に《コスモグランドの頂点》を出しながら《イーオスの遍歴の騎士》と繋げて、そこから《コスモグランドの頂点》が誘発します。 そして《コスモグランドの頂点》の能力がどちらも召集と相性が良いのもポイント。横に広げたければトークンを生成すれば良いし、十分にクリーチャーがいるなら全体強化で次のターンの勝利を狙えます。   この3マナのスロットには《イモデーンの徴募兵》が入っていることが多かったと思います。全体強化しつつ速攻を付与するこのカードはフィニッシュの瞬間には効果的ですが、腐る場面もそれなりにありました。クリーチャーが足りなければ中途半端なダメージしか入りません。 しかし、《コスモグランドの頂点》はトークン生成に全体強化と、場面を選ばずに活躍できるカードです。《イーオスの遍歴の騎士》で《コスモグランドの頂点》と1マナクリーチャーをセットで拾われた時の絶望感と言ったらないでしょう。 《ひよっこ捜査員》《スレイベンの検査官》の手がかり8枚体制に《イーオスの遍歴の騎士》なので、《コスモグランドの頂点》は意外と2回以上誘発してくれます。ボロス召集という一撃必殺のデッキが、継続的なトークン生成を手に入れたのはかなりの脅威です。   デッキの性質上、単体除去に非常に強いデッキなので、全除去がメインから大量に入っている環境でなければ、ボロス召集は無双するかもしれません。 《コスモグランドの頂点》の頂点たるゆえん、戦えばわかるはず!   ティムールスケープシフト モダンゴールドリーグ : 5-0 By ilGianB1 土地を7枚置いて《風景の変容》を打つと勝利する。モダンにおける《風景の変容》はずっとそんなカードでした。 7枚の土地を生け贄にするとデッキから6枚の《山》と《溶鉄の尖峰、ヴァラクート》が場に出て、《溶鉄の尖峰、ヴァラクート》の条件が6枚同時に達成。18点のダメージが飛んで終了。これを《風景の変容》1枚で行えるので、実質スケープシフトは《風景の変容》1枚コンボでした。 《欠片の双子》が《やっかい児》を必要としたり、コンボは基本的には2枚で成立することがほとんど。 その中でたった1枚でゲームに勝利できる《風景の変容》は、人気の土地コンボでした。   しかし現代マジックにおいて、土地をただ7枚並べるという行為は2枚コンボよりもハードルが高い。《風景の変容》と土地7枚を揃えるのは2枚コンボ以上の難易度となってしまい、スケープシフトは現環境からは姿を消しています。   《風景の変容》は《精力の護符》があれば4枚の土地から瞬殺でき、このコンボを擁するアミュレットタイタンは今モダンで最も強いコンボの一つとなっています。2枚コンボに1枚コンボが負けてしまったのです。 《風景の変容》と土地7枚で勝つデッキがモダンで再び脚光を浴びるにはどうすれば良いか?その答えは「速やかに土地を並べる」に他なりません。   そしてそのためのカードが『久遠の終端』で追加されました。その名は《終端探査機》。 1マナ2/2で死亡時にお互いのプレイヤーが着陸船トークンを生成できるというアンコモン。このカードが《風景の変容》に新たな希望を与えました。 着陸船は2マナ起動でライブラリーから基本土地を場に出せるカード。要するに《不屈の自然》を行えるのですが、この着陸船トークンを死亡時に生成するだけの《終端探査機》がなぜ重要なのか?   答えは《耕作の閃光》です。 ライブラリーから基本土地を2枚サーチし、1枚をセットできる3マナのカード。要するに《耕作》なのですが、緑のクリーチャーを生け贄にすることで0マナでキャストできてしまいます。そう、この《耕作の閃光》の生け贄に《終端探査機》はぴったりなのです。 1ターン目に《終端探査機》を出して《耕作の閃光》で生け贄にし、2ターン目に着陸船を起動。これだけで3ターン目に既に5マナが確定するので、1回のマナ加速があればお手軽4ターンキルとなります。 《耕作の閃光》はこれまでもスケープシフトに組み込まれてきましたが、ネックなのは0マナで打つための追加コストでした。緑の軽いクリーチャーは環境にさほど多くなく、マナ加速ができるかもしれない《とぐろ巻きの巫女》やドローできる《氷牙のコアトル》など、不純物となりうるカードを採用せざるを得ませんでした。 その点、《終端探査機》は死亡時に確実に着陸船になるので、まっすぐ《風景の変容》で勝つルートを走ることができます。   《終端探査機》が加わったことで《耕作の閃光》で生け贄にできるクリーチャーが《樹上の草食獣》と合わせて2種となり、1ターン目のキャストがそれなりに安定するようになりました。ようやくモダンで《風景の変容》が《精力の護符》なしでも間に合うようになったのです。 土地を並べて《風景の変容》を打つだけのシンプルなデッキ構成なので、入っているカードも素直なものばかりです。《次元の創世》はマナ加速が必要なら土地を置き、《風景の変容》も探すことができる、まさにこのデッキのためのカード。 《食糧補充》も青いコンボデッキならお馴染みですね。更に土地をたくさん並べるデッキなので、《星間航路の助言》も採用されています。 7枚目の土地を置いて2マナで打ち、7枚の中から《風景の変容》を探してそのまま打って勝つのは美しい流れです。《食糧補充》よりも強い瞬間ですね。   《風景の変容》は4枚しか採用できないため、この手のデッキでは実質《風景の変容》を7枚体制にする《願い》や《白日の下に》などが採用されることがありましたが、ドロースペルが強くなり、《風景の変容》へのアクセスが容易になり、ついにそういった追加の《風景の変容》はすべて抜けました。 《終端探査機》の加入でモダンのスピードに追い付いたティムールスケープシフト!《溶鉄の尖峰、ヴァラクート》を再び噴火させるときが来ました!

【今週のピックアップデッキ】4色ティーチングコントロール/コスモジャンド/白トロン

週刊 Modern Pioneer Standard ピックアップ

2025.08.22

mtg Yuyan

こんにちは。   細川 侑也(@yuyan_mtg)です。   今週のピックアップデッキでは、ちょっと珍しいデッキを、軽い解説を交えて紹介していきます。   紹介デッキ 4色ティーチングコントロール コスモジャンド 白トロン   4色ティーチングコントロール  スタンダードリーグ : 5-0 By Manuel_Danninger MTGアリーナ用インポートデータ 《神秘の指導》というカードをご存じでしょうか? 『時のらせん』で登場した4マナのサーチ呪文で、インスタントか瞬速を持つカードをサーチすることができるカードです。   当時はこの《神秘の指導》を主軸に据えたティーチングコントロールが『時のらせん』限定構築の環境を席巻していました。   《神秘の指導》で除去かカウンターを拾い、それを使いながら、フラッシュバックで《神秘の指導》をサーチ。《神秘の指導》を1枚引くだけでこれを4回行えるので、非常に再現性の高いコントロールデッキでした。 そんな《神秘の指導》は実は『ファウンデーションズ』で再録されており、スタンダードで使用することができます。そう、ティーチングコントロールがスタンダードに帰ってきたのです!   とはいえ、その枚数は控えめで2枚となっています。今のスタンダードには《神秘の指導》を超えるドロースペルがありますからね。   そう、《星間航路の助言》です。2ターン目に除去を探すために打ったり、ゲーム後半ではキッカーで唱えて10枚以上の中から2枚を探すなど、状況に応じて打ち方を変えられる素晴らしい呪文です。 《失せろ》や《稲妻のらせん》など優秀な単体除去や、《喝破》《三歩先》といった強力な打ち消し呪文で低マナ域は構成されており、コントロール好きなら大満足のラインナップです。 ここまでの顔ぶれはジェスカイですが、このデッキは《神秘の指導》のフラッシュバックのために黒を入れています。それなら黒を使わないともったいないですよね。そこで採用されているのが《不可避の敗北》です。 土地以外のパーマネントを追放し、更に3点ドレインのオマケまでついている4マナのインスタント。さすが3色を使う除去なだけあって破格の性能ですが、色が悪くてこれまでは使われることはありませんでした。   3点ゲインはコントロールには非常に嬉しく、プレイし続けるだけで勝手にこちらが有利になるすごい除去です。世が世なら《包囲サイ》クラスの活躍をしていたかもしれません。それぐらいのポテンシャルを秘めています。 当然このカードも《神秘の指導》で探すことができます。 そして《神秘の指導》で引っ張ってこれる必殺技枠は《ジェスカイの啓示》!ジェスカイの根本原理と言われるほど能力を詰め込んだこのカードもインスタント。しかも本体に飛ばすことができるので、たとえ話でもなんでもなく、除去を打ってるだけで勝手に勝ってしまうのがこのデッキなのです。 《稲妻のらせん》含めて除去の多くにはゲインがついており、ビートダウンに対しては高い耐性を持っています。コントロールにも《神秘の指導》のアドバンテージ量で勝つことができ、理論上は最強のデッキかもしれません。 コントロールフリークの皆様はぜひお試しください。     コスモジャンド パイオニアリーグ : 5-0 By xfile MTGアリーナ用インポートデータ ジャンドカラーと言えば、赤緑黒で構成されたミッドレンジ。ミッドレンジとは除去と質の高いクリーチャーで守る中速のデッキで、その中でも手札破壊を使う黒、質の高いクリーチャーの緑、攻めと守りを兼ね備えたアドバンテージ源《血編み髪のエルフ》を使うジャンドカラーがスタンダードでは定番でした。 このミッドレンジ戦略は大流行し、下環境でも猛威を振るいました。軽いカードだけで構成された中速デッキは序盤からアグロには隙がなく、コントロールにも手札破壊とクリーチャーによるビートダウンで勝つことができ、サイドボード後は不要なカードが有効牌に変わることから、不利マッチがとても少ないデッキとなり、モダンでもジャンドは親しまれていました。   モダンでは《稲妻》《思考囲い》《タルモゴイフ》によってジャンドは成立していました。質の高い除去・手札破壊・クリーチャー。ミッドレンジに必要なものはそれだけです。 そしてパイオニアでもミッドレンジは最強であり続けました。ミッドレンジを1枚で体現したカード《鏡割りの寓話》と最強の手札破壊《思考囲い》、そして環境屈指の除去である《致命的な一押し》を使うラクドスミッドレンジです。そんなラクドスに今回久しぶりに緑が加わりました。   その緑のカードとは『久遠の終端』で注目されていた1枚、《コスモゴイフ》!まさかミッドレンジにゴイフが戻ってくる日が来るとは。懐かしさに目頭が熱くなります。 《コスモゴイフ》は《タルモゴイフ》とは真逆で、墓地ではなく追放領域を参照します。自分がオーナーの追放領域にあるカードの数だけパワーとタフネスが上がるゴイフなので、普通に使うだけではただの2マナ0/1です。   しかしご安心してください。このデッキには実にたくさんの追放手段があります。   まずは《墓地の侵入者》。戦場に出た時と殴るたびにどんどん追放領域にカードを溜めていけます。相手の墓地を追放しても無意味なのは少し残念ポイント。 一方《黄金牙、タシグル》は探査を持つ4/5クリーチャー。かつてはミッドレンジの多くに採用されていたカードですが、今回は探査によって追放領域にカードを送り込めることから再注目されました。1マナで出せば5枚を追放できるので、《コスモゴイフ》は一瞬で5/6に膨れ上がります。 そしてなんといっても《悪魔の取り引き》! ライブラリーの上13枚のカードを追放し、その後好きなカードを手札に加えられる。ちょっと変わったサーチ呪文です。先にライブラリーを13枚を追放するので、コンボデッキで使う場合は少しリスクがあるというデザインになっています。   なんとこのカードを打った瞬間に《コスモゴイフ》は13/14と宇宙のようなサイズに!《悪魔の取り引き》でそのまま《コスモゴイフ》をサーチしても良いですし、《コスモゴイフ》が既に殴れているのなら、瞬殺カードを持ってこれます。   それが《ティムールの激闘》。クリーチャーに二段攻撃とトランプルを付与してくれるので、《コスモゴイフ》が突然13/14二段攻撃トランプルとなって相手に襲い掛かるのです! コンボ時以外は腐りがちな《ティムールの激闘》をデッキに入れることができるのは《悪魔の取り引き》のおかげです。強力なサーチ呪文によってこのプランが成立しています。 それ以外のカードはミッドレンジ然とした除去と手札破壊でまとまっており、《コスモゴイフ》も攻防で活躍するクリーチャーなので、《ティムールの激闘》が入っているとはいえ、戦い方はミッドレンジそのものです。   ミッドレンジが好きな方もコンボ好きにもオススメのコスモジャンド、お試しあれ。   白トロン モダンリーグ : 5-0 By kenon 《ウルザの塔》《ウルザの鉱山》《ウルザの魔力炉》。3種の土地を揃えることで7マナ出るぶっとんだ土地。 これらの土地を揃えて大量のマナを出すデッキ、通称ウルザトロン。《森の占術》がスタンダードにやってきた『ミラディン』で一気に人気が爆発し、《歯と爪》を打つ緑トロンから、ドローでトロンを揃えて大量のマナでコントロールする青トロンなど、様々なトロンがスタンダードから下フォーマットまで誕生しました。 モダンでも緑トロンや無色トロンが今も現役で活躍していますが、今回紹介するのはそんなトロン業界に殴り込みにやってきた新たな色。   それが白トロンです!   さあ白いトロン、君は何をやってくれるんだ?早速見てみると、他のトロンにはないメリットがありますね。   そう、単体除去です。青トロンも無色トロンもクリーチャーを除去するのがとにかく苦手で、《コジレックの命令》に頼っていましたが、白トロンなら《孤独》を4枚採用できます。 《冥途灯りの行進》は1~2ターン目から打てる除去で、トロンが苦手とする序盤をしっかりと制してくれます。 全体除去も白ならお手の物。万能除去である《神の怒り》に加えて《空の怒り》も入っています。エネルギーを溜めて《空の怒り》を2マナで打つのが本来の使い方ですが、このデッキでは大量のマナを支払って《空の怒り》を大きく唱えます。たくさんのマナを出せるトロンならではの荒業ですね。 白いトロンはドローが不足してしまいがち。《一つの指輪》を失ってかなり心配ではあるものの、ラインナップを見てみるとそれが杞憂であることがわかります。 《大いなる創造者、カーン》はサイドボードの好きなカードにアクセスできる万能カード。「サイドボードの数だけ忠誠値があるようなもの」と言われていますがまさにその通り。除去から墓地対策、《三なる宝球》などの妨害カードまでなんでも揃っています。 そして《嵐の目、ウギン》もドローできるプレインズウォーカー。除去も兼ねており、このカードの存在は、リソースが枯れやすい白トロンにとっては本当に大きいはず。オルゾフなど一部のデッキには《嵐の目、ウギン》を出しただけでもゲームに勝ててしまうでしょう。 《コジレックの命令》《嵐の目、ウギン》《大いなる創造者、カーン》の無色3種のおかげで、最早どのカラーのトロンもリソースを稼ぐのは簡単になりましたね。黒トロンが出てきたのも納得です。 白トロンは、トロンが苦手な序盤のカードにアプローチしやすいのが優秀で、しっかり弱点を克服しています。新たな色のトロンを組むなら、まず長所と短所を意識したいですね。トロンは揃った時の爆発力も重要ですが、どう揃えるか、揃わなかった時にどうするかが肝心。   もしかしたら悩みどころをすべて解決する赤トロンが現れたりなんてこともあるのかも?

【今週のピックアップデッキ】4色弾薬/エスパースピリット/ナヤスケープシフト

週刊 Modern Pioneer Standard ピックアップ

2025.08.08

mtg Yuyan

こんにちは。   細川 侑也(@yuyan_mtg)です。   今週のピックアップデッキでは、ちょっと珍しいデッキを、軽い解説を交えて紹介していきます。   紹介デッキ 4色弾薬 エスパースピリット ナヤスケープシフト   4色弾薬  スタンダードチャレンジ : 2位 By CuteChandra19 MTGアリーナ用インポートデータ 早速パイオニアでも活躍している《武器製造》がついにスタンダードで暴れ始めました。 トークンでないアーティファクトが戦場に出るたびに弾薬を生成する2マナのエンチャント、《武器製造》。これが主役となるのが4色弾薬です。   弾薬はアーティファクト・トークンで、戦場から離れた時に好きな対象に2点のダメージを与えてくれます。墓地に置かれた時ではないので、たとえば《ピナクルの星檻》などで追放されても2点のダメージを飛ばすことができます。 この弾薬を効率的に生成しつつ、有効活用できるのが《再利用隔室》。アーティファクトを生け贄にし、それよりマナ総量が1大きいアーティファクトをデッキからサーチできます。弾薬を生け贄に捧げれば1マナのカードを探せるので、ダメージを飛ばしつつ、万能除去の《薄暮薔薇の聖遺》や、墓地対策の《除霊用掃除機》、そしてリソースを獲得できる《機械仕掛けの打楽器奏者》と、状況に応じて様々なカードにアクセスします。そしてこれらのカードが出ると、また弾薬が生成されます。 《機械仕掛けの打楽器奏者》は次のターンに《再利用隔室》で生け贄にすれば、ライブラリートップをプレイできつつ、2マナのカードにアクセスできる便利なカード。そしてこの2マナも粒ぞろいです。 アーティファクトを生け贄に成長する《煌く機械ドレイク》は、弾薬トークンなどを生け贄にして戦うこのデッキと相性抜群。自身が大きくなりながら2点を飛ばすので、思わぬ打点を叩き出してゲームを終わらせてくれます。 そして第二の弾薬の使い道である《軍団の成形機械》も2マナのアーティファクト。戦場に出た時に2点を飛ばすアーティファクトで、他のアーティファクトを生け贄にすると3/3のゴーレムを生成します。弾薬を生け贄にしてゴーレム生成と、弾薬を美味しく使えるのです。 『久遠の終端』から加わった注目のコモン、《氷魔法の秘宝》はこのデッキと相性抜群です。《再利用隔室》から出して1枚引きつつ、《再利用隔室》で生け贄にしてもう1枚ドローと、1枚で2度美味しいカード。これまでは1点喰らいながら1ドローしていましたからね。 面白いのは唯一の4マナ域であるアーティファクト、《魔列車》の採用です。このカードが入ったことで一気にこのデッキは引き締まりました。弾薬を能動的に生け贄にできつつ、高いクロックを持つ《魔列車》は、《再利用隔室》から最終的にサーチするカード。スタートが4/4トランプルなので、複数枚の弾薬がある状態で《魔列車》が攻撃すればあっという間にゲームが終わります。 たとえば弾薬が4つある状態なら8/8の《魔列車》に弾薬4つで8点。これだけで16点が確定します。更に他にも使っていないアーティファクトがあるはずなので、それらも生け贄に捧げれば、優に20点を超えるのです。   《武器製造》に《軍団の成形機械》、そして《再利用隔室》からの除去サーチなど、このデッキは自分の動きをして場をウィンコンディションに持っていく過程で相手にしっかり干渉していきます。そのため、アグロに対してある程度耐性があり、かつミッドレンジにも《再利用隔室》のバリューで勝利することができます。 回していてとても面白いデッキなので、ガチャガチャとデッキを回すのが好きな方はぜひお試しください!     エスパースピリット パイオニアリーグ : 5-0 By ViniBuzo MTGアリーナ用インポートデータ 主戦場はパイオニアとなっている種族、スピリット。メインカラーの青白2色で組まれることもあれば、展開力を《集合した中隊》で補うバント型など、3色にもなることのあるスピリットですが、今回ご紹介するのはそんな3色の中でも黒を足したもの。 そう、エスパースピリットです。   とはいってもベースはこれまでのスピリットと変わりません。《霊廟の放浪者》から始まり、名誉スピリット(?)の《マネドリ》、2マナ域には除去を避ける《鎖鳴らし》とロードである《至高の幻影》。3マナは呪文を追放しつつクロックを刻む《呪文捕らえ》。パイオニアの戦場を生き残った優秀なスピリットたちです。(スピリットが生命を持っているかはさておき) そこに加わった黒要素は《策謀の予見者、ラフィーン》!エスパーパルへリオンからミッドレンジなど幅広く使われていた名カードがスピリットに加わりました。 これまでのスピリットでは《執着的探訪》などリソースを取るオーラが採用されていたことがありますが、単体除去に弱すぎました。しかし、《策謀の予見者、ラフィーン》なら話は別です。引きすぎた土地や不要牌を捨ててスピリットを強化する動きは強烈です。 自身に護法がついているのも実にいやらしいですね。除去に多くマナを使わせることで2アクション、つまり除去の二段構えを封じれば、《呪文捕らえ》が突き刺さってくれます。それらの上から《策謀の予見者、ラフィーン》を除去しようとすれば更に1マナがかかるので、対処は困難です。 そしてもう1つの黒いカードが《悪夢滅ぼし、魁渡》です。 そう、実は《悪夢滅ぼし、魁渡》はスピリット…ではありません。忍者です。ですがスピリットと《悪夢滅ぼし、魁渡》の相性は悪くありません。   忍術はクリーチャーがブロックされなかった時に起動できる能力なので、飛行クリーチャーであるスピリットは忍術しやすく、1マナクリーチャーたちは再キャストが容易です。《マネドリ》は《悪夢滅ぼし、魁渡》の忍術で手札に戻して別のクリーチャーのコピーになれるのも強力ですね。 そして《鎖鳴らし》は再利用すれば相手にプレッシャーを与えられますし、場合によっては《呪文捕らえ》を拾うパターンもあります。   《策謀の予見者、ラフィーン》と《悪夢滅ぼし、魁渡》はいずれもドロー能力を持っているのがスピリットとしては実に嬉しいですね。打ち消しや追加のクロックなど、今必要なものを求めにいけるようになりました。   最近では《放浪皇》を入れるなどミッドレンジ風に進化してきたスピリットですが、ここに来てエスパー型が登場したのは面白いですね。 パイオニアの古株でありながら、スピリットはまだ進化を続けているのでした。   ナヤスケープシフト モダンゴールドリーグ : 5-0 By Meltiin 土地を生け贄に捧げてその枚数だけ好きな土地をデッキから場に出す。エクステンデッドの頃から様々なコンボデッキで使われてきた《風景の変容》。 6枚の《山》と《溶鉄の尖峰、ヴァラクート》をサーチすることで《溶鉄の尖峰、ヴァラクート》が6回誘発し、18点ダメージを叩き出す。そのため《風景の変容》は1枚で勝てるコンボカードであり、エクステンデッドやモダンでは《溶鉄の尖峰、ヴァラクート》とずっと一緒に使われていました。 それから時が経ち、土地を7枚並べるという行為がモダンでは遅すぎるがゆえに《風景の変容》は《溶鉄の尖峰、ヴァラクート》と別れ、《精力の護符》と出会いました。《精力の護符》と《風景の変容》は4枚の土地で勝利できるので、それも当然のこと。《風景の変容》はアミュレットに組み込まれ、今猛威を振るっています。 そんな《風景の変容》が再び《溶鉄の尖峰、ヴァラクート》とタッグを組むことになりました。 デッキ自体は古き良きスケープシフトです。6枚の《山》と《溶鉄の尖峰、ヴァラクート》を《風景の変容》でサーチして勝つためには、7枚の土地がまず必要です。普通に土地を置いていくとこのコンボを決めるためには7ターンかかってしまうので、それを大幅に短縮するために、大量の土地サーチが入っています。   《カルニの心臓の探検》は3個のカウンターが乗っていると土地を2枚戦場に出せるエンチャント。上陸でカウンターが乗っていくので、フェッチランドを使えばすぐに土地サーチに移れます。 《風景の変容》は7枚の土地が必要ですが、使うマナは4マナで良いのがミソ。つまり4マナある状態で《カルニの心臓の探検》を起動して2枚の土地をタップインし、何らかの手段でもう1枚土地を置けば、その時点でコンボが決まるのです。7マナではなく7枚の土地があれば良いので、想像よりもコンボターンは早め。   《イリーシア木立のドライアド》はこのデッキのためのカードです。追加のセットランドに加えて、土地がすべて《山》になるので、フェッチランドも《溶鉄の尖峰、ヴァラクート》もすべて《山》になります。これが何を意味するかというと、《イリーシア木立のドライアド》下では《風景の変容》によって即死させるために必要な土地の枚数が1枚減るのです。 《溶鉄の尖峰、ヴァラクート》の誘発条件は《山》6枚。《溶鉄の尖峰、ヴァラクート》自身が《山》なら5枚の土地と《溶鉄の尖峰、ヴァラクート》で18点が叩き出せます。 更に《風景の変容》を引いていない時でも、《イリーシア木立のドライアド》があり、《溶鉄の尖峰、ヴァラクート》を素引きしていれば、それだけで勝てます。2枚の《溶鉄の尖峰、ヴァラクート》がある状態でフェッチランドを置けば6点、サーチして土地を出して6点。追加セットランドでもう1回フェッチランドを置けば更に12点ですからね。 この《イリーシア木立のドライアド》をサーチできる《緑の太陽の頂点》は大きく、《ドライアドの東屋》をサーチしても良し、《エルフの開墾者》を持ってきて《溶鉄の尖峰、ヴァラクート》を先に置いて《イリーシア木立のドライアド》からの即死の準備もできます。 《風景の変容》自体はメインに3枚しか入っていませんが、それは《願い》が採用されているためです。これにより実質このデッキは《風景の変容》6枚体制となっており、かなり安定して《風景の変容》をキャストすることができます。 更にこの布陣に『久遠の終端』から加わったのが《氷耕しの探検家》。 追加セットランド権と墓地から土地を置ける《世界のるつぼ》能力を内蔵したこのクリーチャー。スケープシフトが考える最強のカードのようなものが本当に登場したのです。追加セットランドの権利がいくつあっても、手札に土地がなければ置くことはできません。それが《イリーシア木立のドライアド》が抱える弱点でしたが、《氷耕しの探検家》ならフェッチランドが1枚墓地に落ちているだけで、土地を置き続けることができます。 この《氷耕しの探検家》も《緑の太陽の頂点》でサーチできますし、このデッキはドロースペルこそ入っていませんが、かなり安定した動きが可能です。   《白蘭の幻影》のような土地破壊は効かないので、効果的なのは《血染めの月》《海の先駆け》だけ。しかし、土地をサーチするデッキなので色マナを確保しやすく、それらの月カードを対処するのも難しくありません。 モダンで《溶鉄の尖峰、ヴァラクート》が再び噴火する時が来ました!

モダンの輝きがパイオニアでも!シミックスケープシフトガイド

Pioneer ピックアップ

2025.07.23

mtg Yuyan

こんにちは。   細川 侑也(@yuyan_mtg)です。 日曜日はパイオニア神挑戦者決定戦に参加していました! 前回のパイオニア神挑戦者決定戦は、準決勝で相手の《無謀な奇襲隊》に《致命的な一押し》を打ってしまい、紛争していなかったので倒せず、返しで《食肉鉤虐殺事件》を持っていたのにライフがなくて《湿った墓》がアンタップインできず負け……と非常に恥ずかしい負け方をしてしまいした。 今回はその雪辱を晴らすべく挑んだのですが、結果は準々決勝で負け!準決勝に辿り着くことすらなく敗北してしまいました。   というわけで今日はパイオニア神で使用したシミックスケープシフトのお話になります。   目次 シミックスケープシフトとは デッキの基本的な動き デッキリストとカード解説 プレイガイド マリガンについて 《風景の変容》のサーチ TIPS サイドボード後の戦い おわりに シミックスケープシフトとは スケープシフト、つまり《風景の変容》を使ったコンボデッキのことです。 《風景の変容》は土地を生け贄にしてライブラリーから、生け贄にした枚数だけ好きな土地をタップ状態で戦場に出すことができます。エクステンデッドやモダンでは《溶鉄の尖峰、ヴァラクート》と6枚の土地をサーチして18点を出すコンボデッキが流行していましたね。 土地が7枚と《風景の変容》があれば勝利できる実質1枚コンボが可能だったモダンと比べて、パイオニアの《風景の変容》は少しマイルドです。《溶鉄の尖峰、ヴァラクート》のように、タップ状態で戦場に出て機能する土地がありませんからね。   しかし、この《風景の変容》で出る土地がアンタップ状態になるのであれば話は別です。   そしてそれを可能としているのが《洞窟探検》と、そして《異邦の詩人》です。これまでパイオニアでは、タップ状態で出る土地がアンタップになるカードは《洞窟探検》しかありませんでしたが、ここに《異邦の詩人》が加わり、8枚体制となったことで、《風景の変容》を使うデッキは実践レベルとなりました。 《異邦の詩人》が入る以前から《風景の変容》を使用するコンボデッキ自体は存在していましたが、ごくまれにマジックオンライン上のチャレンジで入賞していた程度。やはり「同じカードが8枚になればデッキが成立する」という言葉通り、《異邦の詩人》で《風景の変容》は完成したと言えるでしょう。   この8枚体制となったシミックスケープシフトで最初に入賞したのは日本のプレイヤーであるkytk321さん(だと僕は認識しています)で、彼のリストが元となり、今では《空を放浪するもの、ヨーリオン》採用型など、様々な形のシミックスケープシフトがパイオニアでは試されています。 今回僕が参考にしたリストもkytk321さんのものになります。   デッキの基本的な動き   デッキリストの紹介や細かい調整の前に、シミックスケープシフトの基本的なコンボ手順を解説しましょう。   1.《洞窟探検》か《異邦の詩人》を戦場に出す。   2.《風景の変容》を打つ。   3.土地をすべて生け贄に捧げてライブラリーから《睡蓮の原野》《睡蓮の原野》《鏡の池》《カーフェルの港》の4枚をサーチする。この土地から緑マナ3つ、青マナ4つ、無色1つを出して《睡蓮の原野》の能力で生け贄に捧げる。   4.《森の轟き、ルムラ》を唱える。墓地からすべての土地が戦場に戻る。2枚の《睡蓮の原野》含むすべての土地が戦場に戻る。《睡蓮の原野》2枚で《睡蓮の原野》2枚を含む合計4枚の土地を生け贄に捧げる。   5.《森の轟き、ルムラ》を対象に《鏡の池》を起動する。《森の轟き、ルムラ》のコピーが場に出て切削の後に墓地の土地がすべて場に戻る。複数枚の《睡蓮の原野》が戦場に戻ってマナを出して墓地に落ちるので、この時8マナが出て、《鏡の池》の起動が5マナなので、この《森の轟き、ルムラ》コピーのループの過程でどんどんマナが増えていく。   6.墓地に他の《森の轟き、ルムラ》が落ちていれば《カーフェルの港》を起動、もしなければ場の《森の轟き、ルムラ》に《鏡の池》を起動し、ライブラリーを0枚にする。   7.最終的には《森の轟き、ルムラ》のループ中の《睡蓮の原野》の生け贄に《瑞々しいオアシス》を組み込み、相手に無限ダメージ。もしくは《イプヌの細流》でライブラリーアウトにして勝利。 となります。   《洞窟探検》《異邦の詩人》を置いて土地をアンタップ状態で出るようにし、《風景の変容》を打ち、《森の轟き、ルムラ》を出せば勝ちとなります。 ここまでの説明では3枚コンボなので、クリーチャー+《異形化》や宝物+《不屈の独創力》の実質1枚コンボデッキたちに比べて安定感がなさそうに見えますよね。 しかし、このデッキのミソは《風景の変容》と《森の轟き、ルムラ》のいずれかが必要ない場合があるという点です。 《風景の変容》はコンボに必要な《睡蓮の原野》や《カーフェルの港》を場に出し、一時的にマナを増やすためのカードです。 一方の《森の轟き、ルムラ》は墓地に落ちていても《カーフェルの港》で釣ることができるので、手札に持っておく必要はありません。   つまり《洞窟探検》か《異邦の詩人》さえ戦場にあれば、《風景の変容》か《森の轟き、ルムラ》のいずれかを手札に持っているだけでも決まりますし、どちらも手札にない状態でもコンボが決まる可能性があるのです。《洞窟探検》《異邦の詩人》による1枚コンボだと言われたら、かなり強力に聞こえてきませんか? シミックスケープシフトの基本のキがわかってもらえたところで、今回のデッキリストについてご紹介しましょう。   デッキリストとカード解説 《異邦の詩人》 土地がアンタップ状態で戦場に出る素晴らしいプロデューサー。いえ、人間です。   色々テキストが書いていますがこのデッキでは土地がアンタップ状態で戦場に出ること以外は何も書いてありません。   ゲームに勝つためには必須のカードなので、気軽に唱えて除去されるのは損です。《致命的な一押し》で簡単に除去されてしまうので、《異邦の詩人》+《風景の変容》と一気に出して勝つことも。   《洞窟探検》に比べて除去されやすいデメリットはあるものの、《異邦の詩人》にも強い点はあり、それは2ターン目に出して、3ターン目に4マナを出せる点です。お互いに干渉しあわないコンボ戦では《異邦の詩人》は2ターン目に積極的に出せるので、スピード重視のマッチでは重宝します。   《洞窟探検》 このデッキで最も引きたいカードであり、《洞窟探検》が解決したゲームの多くは勝利します。   《異邦の詩人》と違いエンチャントなので触られづらく、土地も伸ばせてドローもついてくるオマケつき。いや、オマケにしては強すぎます。   《洞窟探検》の能力で洞窟を出すと4点ゲインするので、《残響する深淵》をこのために取っておくこともあります。   《森の轟き、ルムラ》 とってもかわいい熊。通常版ではそこまで熊感はないですが、僕の愛するボーダーレス版はめちゃくちゃこっちに向かってくる熊になってます。ちなみに熊は時速50km/hぐらいだそうで、ウサインボルトより速いとのこと。《森の轟き、ルムラ》が向かってきたら逃げられないですね。   戦場に出た時に4枚切削して墓地からすべての土地をタップ状態で戦場に戻します。この能力は切削から戦場に戻るまでが一つの処理となっているので、切削した土地を墓地から追放することはできません。切削が解決したら、土地が場に戻るまでが自動で進みます。   《カーフェルの港》と《森の轟き、ルムラ》で合計8枚の切削が発生するので、とりあえず《洞窟探検》《カーフェルの港》と揃っていて墓地に《森の轟き、ルムラ》が落ちていれば、コンボが決まる場合が多いです。《睡蓮の原野》2枚(うち1枚が《残響する深淵》でも可)が落ちていれば、ループ中に8マナが確定するので、《カーフェルの港》の6マナを差し引いても2マナ浮き、ループ成立です。後は《カーフェルの港》で釣り上げるもう1枚の《森の轟き、ルムラ》があればゲーム終了です。   自身のサイズは土地の枚数に依存するため、一度戦場に出れば凄まじいサイズであると同時に、土地が0枚なら自害することもできます。《カーフェルの港》で《森の轟き、ルムラ》を吊り上げる際にこれを活用することができ、複数枚の《睡蓮の原野》を用いて土地を《カーフェルの港》だけにして、《森の轟き、ルムラ》を《カーフェルの港》で釣り上げ、ループを発生させられます。(実際にはこの8枚の切削で土地が落ちてしまうので、そのまま無限ループにはなりませんが、次の《森の轟き、ルムラ》が落ちればループが始まります)   サイド後は《洞窟探検》《異邦の詩人》に触られた結果、ただデカい《森の轟き、ルムラ》がそのまま殴り勝つこともあります。このデッキの主役です。   《風景の変容》 気付けばモダンで大暴れしているソーサリー。昔は土地が7枚あれば勝ちだったものが今では土地が4枚あれば勝てるようになっており、マジックの進化を感じますね。   《洞窟探検》《異邦の詩人》がある状態で打てば大体の状況で勝てますが、逆に土地がアンタップしない場合はただの土地サーチになります。   とはいえ、好きな土地をサーチできるのでコンボの準備を整えることができ、そのために《風景の変容》を打つ時もしばしばあります。   《迷路庭園》を4枚採用しているので、とりあえず4枚並べて上4枚を諜報できますし、《カーフェルの港》をサーチしておいて次のターンにリアニメイトする準備を整えても良いです。《迷路庭園》で《森の轟き、ルムラ》を落としながら《カーフェルの港》を出すなんて動きも。   《樹上の草食獣》 《風景の変容》《洞窟探検》と一緒にアミュレットタイタンでも採用されていますが、パイオニアでもこのトリオは強力です。   2ターン目に《洞窟探検》を設置できますし、《風景の変容》を打つ際に土地は多ければ多いほど良いので、単純にサーチできる土地の枚数を増やせる《樹上の草食獣》は、マナ加速以上の意味がこのデッキにはあります。《風景の変容》で生け贄にする土地が1枚増えれば《睡蓮の原野》1枚になって3マナ分変わりますし、《迷路庭園》でライブラリーを掘る枚数も増えますからね。   パイオニア環境は速いので序盤のブロッカーとしても頼もしく、コンボスピードも上がるので、かなり勝利に貢献してくれました。この後紹介する《食糧補充》を打つ暇を与えてくれるのも《樹上の草食獣》で、個人的には4枚絶対欲しいカードです。   《食糧補充》 《洞窟探検》《異邦の詩人》が絶対に必要なこのデッキ。しかしこの8枚を求めてマリガンするわけにもいきません。   土地を並べなければなりませんし、《樹上の草食獣》でのマナ加速にも手札を使います。アミュレットタイタンのように《精力の護符》があれば手札は不要というデッキではないのです。   《食糧補充》があればこの8枚がなくとも、マナ加速+《風景の変容》のような初手をキープしやすくなります。明確なキープ基準となり、コンボを安定させてくれる、非常に重要な役割を担っています。   1ターン目に《樹上の草食獣》から2ターン目に《食糧補充》を打った場合でも一応3ターンキルは可能です。3ターン目にセットランド+《洞窟探検》で《睡蓮の原野》をセット、4マナを出して《風景の変容》で残った土地2枚を生け贄にし、《睡蓮の原野》2枚をサーチし、手札から《森の轟き、ルムラ》。《カーフェルの港》があれば疑似ループ(2枚目の《森の轟き、ルムラ》が落ちれば勝ちの状態)がスタートします。   コンボスピードは多少落ちますが、それでもこのように打った次のターンに勝つパターンもあり、状況に応じて様々なカードにアクセスできるのはサイド後には強力です。4枚から動かすことはないでしょう。《樹上の草食獣》との相性も良く、この8枚はデッキに不動となりました。   《蓄え放題》 このデッキ最後のスペル枠は《蓄え放題》。一般的には《自然の律動》や1枚差しのクリーチャーが入っているスロットでしたが、僕はこの《蓄え放題》を激推しします。   好きなパーマネントを拾えるので、このデッキでキーとなる《洞窟探検》《異邦の詩人》《森の轟き、ルムラ》のすべてにアクセスできますし、状況に応じて土地も拾えます。   《森の轟き、ルムラ》を墓地に落としておいてコンボを決めても良いですし、土地を複数枚落として《森の轟き、ルムラ》で釣り上げることもできます。単純にコンボパーツとなる3種にアクセスできるだけでなく、切削にも価値があるので、簡単に言えば超強い《衝動》のようなものなのです。   《森の轟き、ルムラ》《異邦の詩人》にただアクセスするカードよりももっと役割の広いスペルが欲しく、《蓄え放題》を試しましたが、素晴らしい活躍を見せてくれました。   《崩壊する痕跡》 本来なら土地の解説は最小限にとどめるのですが、このデッキの主役は土地!   このカードがMTGアリーナに存在しないせいで、シミックスケープシフトを調整することができませんでした。そのため、パイオニア神挑戦者決定戦では一人回しだけで臨むことになってしまいました。   タップインの代わりに、戦場に出た時に好きな色マナを生み出す無色土地。普通に使えば、使い切りの好きなマナを生み出してくれる無色土地なのですが、土地がアンタップ状態で出てくるこのデッキにおいては話が変わります。   戦場に出た時に好きなマナが出て、本体もアンタップインなので、置いたターンに1マナ増える土地となるのです。これを利用して2ターン目に《異邦の詩人》から3ターン目に《風景の変容》が打てるのです。   《睡蓮の原野》で生け贄にすれば、《森の轟き、ルムラ》で戻ってきた時にも色マナを出してくれるので、その際も使えるマナが増えます。《睡蓮の原野》で生け贄に捧げることが多いカード。   一旦置いた後は無色しか出ないので、《風景の変容》の緑緑を出すために手札で温存しておくことも多いです。   《睡蓮の原野》 説明不要!もうこのカードには何回も助けられてきましたね。僕が一番好きな土地は《睡蓮の原野》かもしれません。『久遠の終端』でついにノンフォイルのボーダーレス《睡蓮の原野》が登場するので、僕は狂喜乱舞しています。   《洞窟探検》《異邦の詩人》でアンタップ状態で《睡蓮の原野》を出せるので、置いたターンに大量のマナを獲得することができ、それを意識すれば思わぬ状況からコンボを開始できます。とりあえず3ターン目に置くのはNG。4ターン目に《睡蓮の原野》がアンタップインすれば《森の轟き、ルムラ》が出ますよ。   場に出た《睡蓮の原野》はすぐ墓地に落ちるのが望ましいので、《睡蓮の原野》の誘発で自身を生け贄にする場合が多いです。墓地にないと《森の轟き、ルムラ》を出した時にマナが増えませんからね。   とはいえ、状況によっては《睡蓮の原野》を場に置いておく場合もあります。その場合は別の《睡蓮の原野》の誘発に巻き込んで一緒に生け贄にしてしまいましょう。   《カーフェルの港》 《森の轟き、ルムラ》を釣るために存在しているカード。タップインかつ青マナしか出ないのでまあ弱いのですが、仕方ないです。《森の轟き、ルムラ》が落ちて《洞窟探検》が場にあって《カーフェルの港》がない。これはあまりにもったいないです。コンボパーツの1枚なので4枚入れておいた方が無難です。   ちなみに墓地から帰ってくるクリーチャーはタップインなのでお気をつけください。僕がこれを知ったのはパイオニア神挑戦者決定戦の後でした。予選ラウンドでは《カーフェルの港》で釣ったクリーチャーをブロッカーに回す展開はなかったので、全く気づきませんでした。MTGアリーナで回せない弊害が出てしまった形です。申し訳ありません。   《植物の聖域》 痛くない・青緑が出る土地ということで《繁殖池》は0枚で《植物の聖域》は4枚です。3ターン目までは《洞窟探検》《異邦の詩人》のキャストに貢献し,、4ターン目に《風景の変容》を打つ時にはそれらのいずれかのカードが戦場に出ているはずなので、アンタップイン。つまりパーフェクトです。   《始まりの町》と比べて黒マナが出せないことがデメリットですが、色マナを出して痛くないのは大きすぎるメリットです。1ターン目に置けば2点ぐらいは喰らってしまいますからね。   それに黒マナは《カーフェルの港》の起動にしか使いません。《カーフェルの港》は《睡蓮の原野》で黒マナを出して起動できますし、《睡蓮の原野》がなければ《崩壊する痕跡》2枚から捻出できます。《始まりの町》を使う必要はないと判断してすべて《植物の聖域》にしました。   《残響する深淵》 墓地の土地をコピーできる便利な洞窟。   前述のように洞窟属性を持っているので、《洞窟探検》から出した時に4点ゲインできます。   墓地の土地になる際はタップインですが、特に何のコピーにもならない時にはただの無色ランドとしてアンタップインできます。使ったことがない人は忘れがちなので注意。   墓地から場に《残響する深淵》が戻ってくる際は、一緒に帰ってくる墓地の土地のコピーとして戦場に出られます。これを利用して《睡蓮の原野》として場に出たり、追加の《カーフェルの港》になるなど、様々な使い方があります。   便利な状況も多い反面、やはり無色マナであるのがネックに感じました。このデッキは《異邦の詩人》の青緑、そして《風景の変容》の緑緑と色マナの要求がそこそこあります。《崩壊する痕跡》は一度置けばタップインですし、《睡蓮の原野》は置くと《風景の変容》の威力が大幅に弱まります。そう考えると意外と色マナがタイトなので、無色マナはなるべく減らしたく、2枚のみの採用としました。   《湧霧の村》 次の呪文が打ち消されなくなる土地。正直この部分はフリー枠で、《天上都市、大田原》でも良いかなと思いました。   アゾリウスコントロールに当たった時に《森の轟き、ルムラ》が墓地から釣れる状況で墓地に落ちていれば、そのまま《湧霧の村》が帰ってきて次のターンにイージーウィンできます。アンタップインする《洞窟探検》《異邦の詩人》を《湧霧の村》で通して勝つケースがあるだろうと考え、1枚入れることにしました。   《鏡の池》 こちらは逆に試してみて次も使いたいと思った1枚。   《カーフェルの港》は《森の轟き、ルムラ》が2枚必要ですが、《鏡の池》なら1枚の《森の轟き、ルムラ》でループを完遂できるのが魅力です。《鏡の池》《森の轟き、ルムラ》ループだけで勝てます。   《カーフェルの港》《森の轟き、ルムラ》だけでもおおむね勝つことはできますが、切削の際に土地が大量に落ちて《森の轟き、ルムラ》が自害できず、かつ2枚目の《森の轟き、ルムラ》が落ちないケースもあります。《鏡の池》なら100%ループです。   一応《食糧補充》《風景の変容》もコピー可能なので、普段使いもできなくはありません。   起動に無色が必要なので、《崩壊する痕跡》から出す無色マナなどは真っ先に使わず、1枚は残すようにしましょう。ループ中に《崩壊する痕跡》を巻き込んで無色を出し続けるのもお忘れなく。   《イプヌの細流》 このデッキのフィニッシャー。切削で相手のライブラリーを0枚にします。   自分に打って《森の轟き、ルムラ》を落として《カーフェルの港》で釣り上げるなど、コンボ中にも使用できるのがポイント。   《瑞々しいオアシス》 フィニッシャーその2。こちらはシンプルイズベストで、無限ダメージ。   2枚とも《イプヌの細流》よりは1枚ずつがオススメ。先ほども言った通り、このデッキの色マナは大事ですからね。   《乾燥地帯のアーチ道》 《風景の変容》は土地をたくさん並べた方が効果が高く、《乾燥地帯のアーチ道》は土地が減ってしまうので、あまり相性が良くないと思っていましたが、《風景の変容》を打った際に持ってくるシチュエーションがそれなりにあるので、抜きませんでした。   《耐え抜くもの、母聖樹》と一緒にサーチして《乾燥地帯のアーチ道》で《耐え抜くもの、母聖樹》を回収することで、相手のエンチャントや土地に触れます。特に《ガイアー岬の療養所》は立っているだけで詰んでしまいますからね。《乾燥地帯のアーチ道》は必要です。   後は《洞窟探検》《異邦の詩人》のない状態で打つ《風景の変容》にも《乾燥地帯のアーチ道》は絡んできます。《カーフェルの港》を次のターンに起動する際、6マナ+《カーフェルの港》の7マナが必要になります。その際に次のターンの起動を場だけで確定させられるように、《乾燥地帯のアーチ道》は持ってきます。   《カーフェルの港》《睡蓮の原野》《乾燥地帯のアーチ道》土地3枚と持ってきて、アンタップインできる青マナを《乾燥地帯のアーチ道》で手札に戻せば、次のターンの起動が確定となります。   手札に他にアンタップインの青マナがあれば《乾燥地帯のアーチ道》を持ってくる必要はありませんが、ギリギリのリソースで戦うことがサイド後は多く、リソースがカツカツな状況で活躍してくれます。   砂漠を戻したら諜報1なので《イプヌの細流》《瑞々しいオアシス》を戻すと諜報できます。   《耐え抜くもの、母聖樹》 非常に強力な土地なので2枚以上入れたかったのですが、スロットの関係で泣く泣く1枚に。2枚目を入れるなら森を1枚にしても良いのですが、《廃墟の地》を考えると基本土地も2枚欲しいので悩ましいところ。   後述の《結束の記念像》を《耐え抜くもの、母聖樹》の2枚目にしても良いと思います。   《結束の記念像》 3マナと自身を生け贄に、ライブラリーの上5枚からクリーチャー・カードを手札に加えることができます。   主な使い方は《森の轟き、ルムラ》へのアクセスです。3マナ+起動で上から5枚を見れるので、他のどの手段よりも《森の轟き、ルムラ》を探すことができます。追加の《カーフェルの港》のようなものですね。   《カーフェルの港》と《結束の記念像》は基本的にはどちらをサーチしてもトータルで見れる枚数は同じなので《結束の記念像》側をサーチするメリットはもちろんないのですが、土地がたくさんある状態で打つ《風景の変容》(こちらは後述)、そして《事件現場の分析者》がデッキに入っている場合は変わります。 《カーフェルの港》で《事件現場の分析者》を見つけても、戦場に出してから更に生け贄のマナが必要になります。しかし、《結束の記念像》であれば《事件現場の分析者》の起動までいけるのです。元々は《事件現場の分析者》が1枚入っていて、その時に相性の良さから試したカードでした。   そのため、現在のリストでは《風景の変容》から持ってくることはほとんどありません。土地が4枚の状況で打つ《風景の変容》でも、《カーフェルの港》と《結束の記念像》どちらもアクセスできる枚数は同じですからね。   現在入っているのは抜き忘れたわけではなく、追加のバリューランドとしてです。   5枚目の諜報土地である《地底の遺体安置所》と悩みましたが、《異邦の詩人》《森の轟き、ルムラ》を求めて起動する場合が多く、普段使いしやすいので、こちらの方が好みでした。やはりマナフラッドはしてしまいますからね。   《事件現場の分析者》が入っているリストなら、《結束の記念像》はかなり強いので入れた方が良いと思います。このリストであれば自由枠です。   《霊気の疾風》 赤アグロ全般に一番良い対策カードはやはり《霊気の疾風》でした。盤面に触りつつ緊急時は打ち消しもできるので安心。《ジャディの横枝》なども試しましたがすべて無意味。《霊気の疾風》で良いです。   《受け継ぎし地の開墾》 《安らかなる眠り》などを置かれそうなマッチでとりあえずサイドインし、置かれなければドローに変えて、置かれたら破壊。《萎れ》ですらかなり強いと感じていたのにそれより強い《帰化》が登場してくれました。   《ティシャーナの潮縛り》 ほぼ自由枠だったので、マッチアップによって劇的な効果を発揮する《ティシャーナの潮縛り》を採用することにしました。   パイオニア神の宇都宮くんはラクドスなどの王道デッキを使う一方、トリッキーなデッキを持ち込むことも多いので、そういったデッキ全般に強い《ティシャーナの潮縛り》はちょうど良いと思い、採用。シミックスケープシフトミラーマッチでは強いですしね。ちなみに宇都宮くんがスケープシフトの可能性も結構あると思っていました。   普段ならこのスロットは《否認》の2枚目などになりそうですが、やはり入れたいカードがさほどないので、《ティシャーナの潮縛り》を少し入れることになりそうです。   《不屈の追跡者》 主にコントロールや手札破壊デッキに対してサイドインする想定です。《安らかなる眠り》を置いてくる白系にもサイドインしたいですね。   土地をたくさん置くので《不屈の追跡者》は大量に手がかりを出せますし、そのままフィニッシャーにもなってくれますね。青緑に《不屈の追跡者》はいつでも相性が良い。   《機械の母、エリシュ・ノーン》 《ティシャーナの潮縛り》と同じく特定の相手に劇的に効くカードです。《カーフェルの港》で釣れますし、手札に来ても《崩壊する痕跡》からキャストできます。   特にミラーでは《天上都市、大田原》以外対処手段がありません。   言うまでもありませんが必須カードでもなんでもない自由枠です。   《否認》 コンボやコントロール相手に。《不屈の追跡者》と一緒に入れることが多いので、インアウトの関係上1枚のみでしたが、ロータスコンボなどコンボ相手には《不屈の追跡者》を入れない場合があるので、2枚目があっても良かったと思っています。   《機械の母、エリシュ・ノーン》《ティシャーナの潮縛り》は自由スロットなのでこの辺りを《否認》に変えましょう。   採用しなかったカード 《タッサの神託者》 マジックオンラインでは持ち時間があるので、《瑞々しいオアシス》《イプヌの細流》では時間がかかりすぎるため、《タッサの神託者》が採用されています。リアルトーナメントでは必要ないと思っています。   ただし。シミックスケープシフトを意識して贈呈でドローさせるカードを相手が採用してくるようになった場合は話が変わります。このデッキは《森の轟き、ルムラ》をループさせるので必ずライブラリーが0枚になってしまい、強制ドロー対策がありません。《ガイアー岬の療養所》で詰んでしまうのもそれが理由です。あちらは途中の《耐え抜くもの、母聖樹》でケアできますが、スペルはケア不可能です。   《タッサの神託者》なら、あらかじめ途中で落ちた時点で出しておき、《鏡の池》を構えておけば、強制ドローにスタックして《タッサの神託者》をコピーして勝利できます。   《復活した精霊信者、ニッサ》 採用するのであれば《自然の律動》とのセットですね。《風景の変容》《森の轟き、ルムラ》で爆発的なマナを生み出せるので、疑似的な《洞窟探検》の機能を果たします。上陸で《森の轟き、ルムラ》が加わるのも便利。 《自然の律動》がないのでサーチできず、それならコンボの際の不純物となる場合もあるこのカードは不要と判断しました。   《事件現場の分析者》 5枚目の《森の轟き、ルムラ》として最後まで採用を悩んでいたカードでしたが、こちらもスロットの問題で解雇。というか4枚目の《蓄え放題》になりました。 《森の轟き、ルムラ》が欲しい状況より《洞窟探検》《異邦の詩人》がない場合の方が圧倒的に多く、そこにアクセスしつつ、《森の轟き、ルムラ》も落ちる《蓄え放題》が他のすべてに優先されました。 《自然の律動》を採用するなら1枚は入れたいです。   《自然の律動》 何度も話題にあがっていたこのカードももちろん最初は採用していました。墓地からも唱えられるため、切削中に落ちてそのまま《森の轟き、ルムラ》に繋がるのも魅力です。   とはいえ、切削で落ちた《自然の律動》で《森の轟き、ルムラ》をサーチするには10マナかかるため、墓地からのキャストは容易ではありません。   《異邦の詩人》を場に出すには4マナかかりますし、パイオニアの速度的にそのアクションは少し弱いと思い、実質追加の《森の轟き、ルムラ》ぐらいしか役割がないと思いました。 それならば《森の轟き、ルムラ》《洞窟探検》《異邦の詩人》にもアクセスできる《蓄え放題》の方が良いと思い、抜くことに。   《中心核の瞥見》 《樹上の草食獣》との選択ですが、3ターン目の4マナより2ターン目の3マナの方が価値が高く、ライフを守る面でも《樹上の草食獣》に軍配が上がります。   《冒険者の宿》 これは入れた方が良かったです。《洞窟探検》《異邦の詩人》なしの《風景の変容》を打ってライフを守る際に使えますし、その後の《森の轟き、ルムラ》で帰ってきて更にゲインをして時間も稼げます。   どこを抜くかはまだ検討中ですが、デッキには入れたいと思いました。   マリガンについて 土地が非常に多いデッキなので生半可な手札をキープするのは禁物です。土地6枚みたいなハンドは平気で来るので感情を無にしてマリガンしてください。 その代わりにスペルは《森の轟き、ルムラ》以外の手札はかなりキープしやすいものが揃っています。《蓄え放題》《樹上の草食獣》土地5でも1マリガン後ならキープできますし、《洞窟探検》は単体でキープ可能です。《洞窟探検》《森の轟き、ルムラ》土地5なら《睡蓮の原野》1枚で4ターン目に《森の轟き、ルムラ》が出てそのまま勝てる可能性があるのでキープ。 おおむねスペル3枚土地4枚の手札は全部キープできるのでキープしましょう。土地5の場合でも《樹上の草食獣》《食糧補充》ならキープ、《樹上の草食獣》《洞窟探検》もキープです。《風景の変容》もキープできますね。《洞窟探検》か《異邦の詩人》を引けば3ターンキルの可能性がありますからね。 ただし《樹上の草食獣》《異邦の詩人》はかなり悩ましい。というかマリガンですね。諜報土地が2枚あればギリギリキープしそうです。 《異邦の詩人》《食糧補充》は文句なくキープで、《異邦の詩人》《洞窟探検》もやはりキープです。《異邦の詩人》《森の轟き、ルムラ》は残念ながらマリガン。《異邦の詩人》《風景の変容》はもちろんキープして4ターンキルを目指しましょう。 《蓄え放題》はキーカードである《森の轟き、ルムラ》を落としつつ《洞窟探検》異邦の詩人》にアクセスできるので、かなりキープしやすいカードです。《樹上の草食獣》《異邦の詩人》《食糧補充》《風景の変容》《洞窟探検》のどれとくっついてもキープ可能です。 フィニッシュ手段の《風景の変容》はなんとオールマイティーカード。《樹上の草食獣》《異邦の詩人》《森の轟き、ルムラ》《蓄え放題》《食糧補充》《洞窟探検》のどれとくっついてもキープ。 このように土地5、スペル2でも大体の組み合わせでキープできてしまいます。土地4、スペル3になればマリガンの組み合わせはほとんどありません。   意外とキープしやすいデッキなので、弱い手札が来たら遠慮なくマリガンしていきましょう。   《風景の変容》のサーチ 土地が4枚の時 《洞窟探検》or《異邦の詩人》の状態で《風景の変容》を打つ時。土地が4枚の状態なら《カーフェルの港》、《迷路庭園》、《崩壊する痕跡》、《睡蓮の原野》が基本の組み合わせです。   これは手札に《森の轟き、ルムラ》がない状態です。《迷路庭園》の諜報+《カーフェルの港》の4枚切削の合計5枚で《森の轟き、ルムラ》が落ちれば勝ちです。 手札に《森の轟き、ルムラ》がある場合は非常に簡単です。この際は《睡蓮の原野》2枚、《鏡の池》、《崩壊する痕跡》でOKです。9マナを出して土地がすべて割れて、その後《森の轟き、ルムラ》が帰ってきて《鏡の池》ループです。 相手が除去を構えている場合は《鏡の池》起動スタックで除去されて詰んでしまうので、その時は《睡蓮の原野》2枚、《カーフェルの港》、《迷路庭園》にしましょう。最初の《森の轟き、ルムラ》の4枚切削+《カーフェルの港》の4枚切削+2回目の《森の轟き、ルムラ》の12切削に《迷路庭園》の諜報2回の14枚に《森の轟き、ルムラ》があれば勝ちですし、12切削で大量の土地が落ちれば《カーフェルの港》が2回起動できるので、切削回数が増え、《森の轟き、ルムラ》チャンスも増えることになります。   最初の《風景の変容》で墓地に無色マナを生み出す土地が落ちていれば、《迷路庭園》の代わりに《鏡の池》をサーチしても良いです。《森の轟き、ルムラ》に《鏡の池》を起動し、スタックで除去されれば《カーフェルの港》でリアニメイトしてそのまま勝利できますからね。マナに余裕があれば可能ですし、大体余裕は出ます。切削で土地が落ちてくれるためです。《鏡の池》の起動には無色マナが必要なので、いつでもこのプレイができるわけではありません。   土地が5枚の時 《森の轟き、ルムラ》がない状態の土地が5枚の《風景の変容》は《睡蓮の原野》《睡蓮の原野》《カーフェルの港》《イプヌの細流》《《乾燥地帯のアーチ道》》がベター。この場合は《イプヌの細流》+《カーフェルの港》で8枚切削+《《乾燥地帯のアーチ道》》の合計9枚切削で《森の轟き、ルムラ》が落ちれば勝ちになります。 《森の轟き、ルムラ》がいる場合は《睡蓮の原野》2枚、《鏡の池》、《崩壊する痕跡》、《カーフェルの港》で確定勝ちです。   土地が6枚の時 《睡蓮の原野》《睡蓮の原野》《乾燥地帯のアーチ道》《イプヌの細流》《カーフェルの港》《迷路庭園》が最も多くライブラリーを掘り進めつつマナを出せます。《乾燥地帯のアーチ道》で《イプヌの細流》を戻して諜報できます。《迷路庭園》の代わりに《乾燥地帯のアーチ道》にすることで無色2マナが出せるので少しお得。掘る枚数は《迷路庭園》2枚でも同じです。 合計で10枚見れます。   土地が7枚の時 先ほどの諜報が1枚増えるだけだと思えば違います。《睡蓮の原野》《睡蓮の原野》《睡蓮の原野》《乾燥地帯のアーチ道》《イプヌの細流》《カーフェルの港》《結束の記念像》の組み合わせです。合計11マナ出るので、《結束の記念像》の起動+《イプヌの細流》起動+《カーフェルの港》起動《乾燥地帯のアーチ道》諜報とすべて行えて、14枚見れます。 この場合、まず《イプヌの細流》で《乾燥地帯のアーチ道》を生け贄して切削。その後《乾燥地帯のアーチ道》で《イプヌの細流》を戻して諜報をし、その後《結束の記念像》を起動。最後に《睡蓮の原野》を先に1枚だけ解決し、残り2つの《睡蓮の原野》の生け贄がスタックに乗っている状態で《カーフェルの港》を起動することになります。   《風景の変容》が複数枚ある場合 《風景の変容》が2枚あると《森の轟き、ルムラ》を探しやすくなります。1回目の《風景の変容》でマナを増やせるので、2枚目の《風景の変容》でカードを探しやすくなります。   土地が4枚の場合でも《崩壊する痕跡》4枚をサーチすることで8マナが出るので、2枚目の《風景の変容》を打った段階で4マナ余った状態になります。 そのため、2枚目の《風景の変容》で《睡蓮の原野》《迷路庭園》《イプヌの細流》《カーフェルの港》と持ってくることで9枚掘り進められます。   ちなみに《睡蓮の原野》をサーチせずに全力で《森の轟き、ルムラ》を落としにかかるのはNGです。なぜなら《睡蓮の原野》がないと、《森の轟き、ルムラ》が墓地に落ちた後にループしない可能性が高いためです。《睡蓮の原野》自身の3マナ+他の生け贄にしたカードが戦場に戻ることで《カーフェルの港》《森の轟き、ルムラ》のループが始まるので、《睡蓮の原野》がない状態でコンボを始めるのは危険なのです。 諜報土地をたくさん持ってきた方が良いように思えるかもしれませんが、《睡蓮の原野》はまず必要です。そもそも《迷路庭園》を3枚持ってくるより《イプヌの細流》《睡蓮の原野》《迷路庭園》を持ってきた方が掘る枚数が圧倒的に多いですしね。 《風景の変容》2枚のパターン以外でも、たとえば《風景の変容》と《蓄え放題》がある場合もあり、その場合は《迷路庭園》2枚ではなく《崩壊する痕跡》2枚をサーチして2マナを増やし、《蓄え放題》で4枚切削した方が2枚分多く掘れます。 最も効率よく《森の轟き、ルムラ》を探す手段を模索しましょう。頑張って探して《森の轟き、ルムラ》を掘り当てた時の快感はすさまじいものがあります。この瞬間を味わいたくてこのデッキを使っていると言っても過言ではありません!   TIPS 《崩壊する痕跡》《睡蓮の原野》でマナ加速 既に説明したように、《洞窟探検》《異邦の詩人》コントロール下で《崩壊する痕跡》は一時的に2マナ土地になります。実質《古えの墳墓》です。 これを活用すれば3ターン目に《風景の変容》が打てたり、5ターン目に《森の轟き、ルムラ》を出せます。《睡蓮の原野》なら4ターン目です。 きちんと手札と相談してこれらの土地を置くか決めましょう。特に《崩壊する痕跡》はとりあえず序盤に置いてしまいがちですが、ギリギリまで粘りましょう。どうせ置いたターンに色マナが出るので、実質アンタップインランドです。《風景の変容》のダブルシンボルが出なくて負けることもありますし、色マナとしても重要です。   《蓄え放題》で拾わない 土地は《森の轟き、ルムラ》で戻ってきますし、《森の轟き、ルムラ》も《カーフェルの港》で場に戻せます。そのため、《蓄え放題》で何も回収しないこともあります。   特に《森の轟き、ルムラ》は墓地に落として《カーフェルの港》で釣れば相手の打ち消し呪文もかいくぐれますし、手札より墓地にある方が強いケースもあります。   手札とよく相談しましょう。   《風景の変容》で気を付けること 《洞窟探検》《異邦の詩人》下で打つ《風景の変容》は勝てることが多いですが、逆にアンタップするカードがなければ《風景の変容》は弱い。何もない状態の《風景の変容》でできることはせいぜい諜報ランドをたくさん持ってきてカードを掘り進めることぐらいです。   そのため、1枚しか《風景の変容》がないなら、ライブラリートップから《異邦の詩人》《洞窟探検》を引き込むのを待っていた方が良いです。   2枚の《風景の変容》がある状態なら1枚は消化しても大丈夫です。その場合は《迷路庭園》4枚で諜報4回だったり、既に墓地に《森の轟き、ルムラ》が落ちているなら《カーフェルの港》《睡蓮の原野》の組み合わせを持ってきておくのも手ですね。諜報2回+《睡蓮の原野》《カーフェルの港》です。   フィニッシャーが全部手札に来た場合 《イプヌの細流》《瑞々しいオアシス》が手札にある状態で《森の轟き、ルムラ》ループを始めた場合、最終的にフィニッシュ手段がなくなる…なんてことはありませんのでご安心ください。   最終的にデッキが全部落ちれば無限マナが発生しているので、《カーフェルの港》で墓地の《樹上の草食獣》を出して手札から《瑞々しいオアシス》《イプヌの細流》を出してコンボが決まります。   《乾燥地帯のアーチ道》で自身を戻す モダンのお帰りランドテクニックですが、《乾燥地帯のアーチ道》で《乾燥地帯のアーチ道》自身を戻す場合があります。たとえばどうしても6マナ目が欲しく、緑マナが場に3枚既にある状態。手札に《樹上の草食獣》がいるとセットランドが2回行えるので、《乾燥地帯のアーチ道》を出して2マナを出して手札に戻し、もう1度《乾燥地帯のアーチ道》を出すことで、3マナを増やせます。   《樹上の草食獣》《乾燥地帯のアーチ道》と手札にあり、他に土地がない場合は、このプレイで合計3マナを増やせます。そこまで頻発するケースではありませんが覚えておきましょう。   サイドボード後の戦い 《蓄え放題》を抜くことが多く、打ち消しがないマッチアップでは《湧霧の村》をサイドアウトします。 速度の必要ないアゾリウスコントロールなど相手には《樹上の草食獣》を抜いて戦います。長期戦では《風景の変容》を使わずとも勝手に《森の轟き、ルムラ》と《カーフェルの港》のコンボが揃うことがあるので、少しサイドアウトします。特にアゾリウスコントロール相手には《風景の変容》のスタックで《洞窟探検》を《失せろ》で割られたり、リスクが大きいですからね。 《異邦の詩人》《森の轟き、ルムラ》《食糧補充》《洞窟探検》には手をかけません。この4種のカードはコアパーツで、他のカードと土地を少し抜くようにすれば、サイドインアウトで迷うことは少ないでしょう。 相手からの対策カードとしては、墓地対策は効果的ではあるものの、《減衰球》が実は効きません。呪文を唱える回数は1回で後は土地の起動だけで完結しますし、《睡蓮の原野》から出るマナが無色でも《崩壊する痕跡》で勝てるためです。 《沈黙》を打たれても《カーフェルの港》と《森の轟き、ルムラ》だけで決まりますし、ロータスとは違った対策が求められます。 おわりに というわけで今回はシミックスケープシフトの紹介記事でした!   MTGアリーナで実装されておらず、まだパイオニア神挑戦者決定戦でしか回せていませんが、それでも強力なデッキだと感じました。特に手札破壊に強く、ロータスコンボよりキルターンが速い時もあるのが魅力ですね。   パミュレット(パイオニア版アミュレット)と呼ばれているように、モダンのアミュレットタイタンと見紛う動きを見せることもあります。アミュレット好きな方にはかなりオススメです! 《風景の変容》は長年活躍しているカードなのでファンも多いはず!お好きな方はぜひ使ってみてください。

今夜もFFのデッキを紹介!ゴルガリドレッジ/イゼットビビ/マルドゥセフィロスエネルギー

Modern Pioneer Standard ピックアップ

2025.06.13

mtg Yuyan

こんにちは。   細川 侑也(@yuyan_mtg)です。   昨日に続いて本日も、ジックオンラインで結果を残したファイナルファンタジー入りのデッキたちをご紹介していきます!   紹介デッキ ゴルガリドレッジ(スタンダード) イゼットビビ(パイオニア) マルドゥセフィロスエネルギー(モダン)   ゴルガリドレッジ(スタンダード)  スタンダードリーグ : 5-0 By Atagomax MTGアリーナ用インポートデータ プロツアーで突然メタ外からトップ8に入賞し、話題をかっさらったゴルガリドレッジ。   自分のライブラリーを切削して墓地にカードを貯めていくデッキタイプのことを「ドレッジ」と呼ぶのですが、このゴルガリドレッジは切削によって、重いクリーチャーたちを軽くして唱えます。 《虚ろなる匪賊》《鞘破りの群れ》は墓地にあるクリーチャー・カードの数だけマナコストが軽くなるクリーチャーで、それぞれ最大で1マナで唱えることができます。《虚ろなる匪賊》は手札破壊のオマケ付きのため、連打するだけで相手は苦しくなっていきます。 そしてマナコストが軽くなるカードと噛み合うのが《豆の木をのぼれ》。《この町は狭すぎる》や《力線の束縛》などで不当に《豆の木をのぼれ》を誘発させることを脱法豆の木と僕は呼んでいるのですが、このデッキも脱法豆の木を行います。《虚ろなる匪賊》《鞘破りの群れ》を1マナで唱えて《豆の木をのぼれ》を誘発させ、盤面にクリーチャーをオーバーキル気味に叩きつけるのがこのデッキ。 そんな脱法豆の木カードが新たにファイナルファンタジーで加わりました!その名は《ダイヤウェポン》!! 《虚ろなる匪賊》《鞘破りの群れ》と違い2マナまでしか軽くなりませんが、その代わりにクリーチャー・カードだけでなくパーマネントの枚数だけ軽くなります。 切削で何が落ちるかは運次第。クリーチャーではなく土地が大量に落ちる場合も多々あるので、《ダイヤウェポン》の方が《虚ろなる匪賊》よりも軽く唱えられるケースも多々あります。   しかもなんと言っても強力なのはその能力!到達に加えて、戦闘によって《ダイヤウェポン》が受けるダメージを0にします。本体サイズも8/8で戦闘ダメージを受けないので、《心火の英雄》《多様な鼠》による二段攻撃も大半をシャットアウトしてくれます。 更にゴルガリドレッジはその足回りも強化されています。コストを踏み倒すために必須の切削手段として《町の歓迎者》が加わりました。 これまで1枚で大量に切削できるカードは《ベイルマークの大主》のみでした。デッキに《蓄え放題》を採用すると《虚ろなる匪賊》のマナコスト軽減確率が下がってしまいます。なるべくデッキにはクリーチャーだけを入れたいのです。 その点《町の歓迎者》はうってつけです。以前このデッキを使った時は「《サテュロスの道探し》がスタンダードに来てくれれば…」なんて思っていたのですが、まさか本当に来てくれるとは。   これにより2マナ域が4枚切削8枚体制となり、デッキは非常に安定しました。そして切削した後のフィニッシャーとしてもブロッカーとして頼もしい《ダイヤウェポン》が加わり、赤耐性も大幅に上昇。デッキパワーが非常に上がりました。 墓地への意識が薄くなったタイミングはゴルガリドレッジがチャンス!赤アグロ全盛期に《ダイヤウェポン》を叩きつけましょう!     イゼットビビ(パイオニア) パイオニアチャレンジ : 10位 By _Falcon_ MTGアリーナ用インポートデータ 「このデッキ、既視感あるな」   そう思った方が多いのではないでしょうか?いや、僕もです。   このデッキ、ほとんどスタンダードなんですよね。昨日紹介した占星ビビから《「占星術師」の天球儀》を抜いたようなデッキです。 パイオニアでも《迷える黒魔道士、ビビ》の強さは変わりません。というより、スタンダードよりキャントリップ呪文が1種類多いため、ビビの破壊力はむしろ増します。 《考慮》はカードを墓地に落とせるので、《選択》よりも強力ですね。《嵐追いの才能》の2章でカードを拾う際に、墓地に落ちるかライブラリーの下に行くかには大きな違いがあります。 他に異なるのはマナベース。《蒸気孔》が入っているのはやはり大きく、スタンダードのイゼット果敢が色事故を起こしやすいことから考えると、やはりショックランドを使えるのは大きすぎますね。 ただ、逆に言ってしまえば1種類のキャントリップとマナベース以外はこのデッキはスタンダード。このスタンダードライクなデッキがパイオニアチャレンジで4勝2敗できることがいかに恐ろしいか。   ビビの強さについては昨日も言及した通りです。キャントリップ呪文を打っていくことで大きくなり、ダメージが入り、カウンターが乗るので、1マナの呪文を唱えると使えるマナが1マナ増えます。4マナある状態でビビがいるなら、1マナのキャントリップを4回使用した後に4マナが生み出せて、更に1マナのカードを4連打できます。 つまり、理論上はビビとキャントリップ1枚だけで4ターンキルできる可能性があるということです。キャントリップでキャントリップを見つけ続ければ8回キャントリップを使用でき、本体に8点、ビビのパワーも8になりますからね。 もちろん実際にはこんなに都合よくキャントリップを引き込み続けることはできませんが、複数枚のキャントリップがある状態なら連鎖も現実的です。そういう意味では3種類目のキャントリップである《考慮》が使えるのはパイオニアバージョンの大きなメリットですね。 パイオニアでもこのデッキが出てきたことで、スタンダードのイゼットでもビビは採用するのが当たり前になってくるかもしれません。パイオニアで強いデッキがスタンダードで弱いはずがありませんからね。というかビビが除去される可能性のより高いパイオニアでビビが強いなら、スタンダードでもビビはとんでもない性能のはずです。   昨日も今日も紹介したリストは《迷える黒魔道士、ビビ》は3枚でしたが、生き残れば1枚で勝てる《迷える黒魔道士、ビビ》は4枚採用したいと個人的には思いました。手札に2枚目が腐っても場にビビが残っているならゲームに勝利しているのではないでしょうか?それぐらいビビは強力無比なクリーチャーに見えます。 ほぼスタンダードでもパイオニアで勝てるほど強いビビ、今度はどんなデッキで躍動するのでしょうか?今から楽しみです。   マルドゥセフィロスエネルギー(モダン) モダンリーグ : 5-0 By EL_Zanetti 『モダンホライゾン3』発売後ずっと人気のアーキタイプ、エネルギーアグロ。そこにファイナルファンタジーきっての人気キャラ、《威名のソルジャー、セフィロス》が採用されました。 《威名のソルジャー、セフィロス》は簡単に言えば《血の芸術家》を内蔵したクリーチャー。自分か相手のクリーチャーが死亡するたびに1点ドレインするので、攻守に渡って活躍します。《血の芸術家》が0/1だったことを考えると、たった1マナ増えるだけで3/3のボディになるのは、その時点で強力ですね。 しかも《威名のソルジャー、セフィロス》はただの《血の芸術家》ではありません。このターンに4体以上のクリーチャーが死亡していると《片翼の天使、セフィロス》に変身します。 4体のクリーチャー死亡は一見難しいように思えますが、死亡するクリーチャーが限定されていないのがミソ。自分と相手のクリーチャーが2体ずつ死亡しても変身するのです。   《ゴブリンの砲撃》を使えば自分のクリーチャー2体で相手のクリーチャー2体を除去し、即変身です。 そして変身後の《片翼の天使、セフィロス》も実に強力。本体サイズが5/5に加え、変身した際に紋章を獲得します。得る紋章は《威名のソルジャー、セフィロス》が持っていたドレイン能力なので、《片翼の天使、セフィロス》が死亡しても相手は1点ドレインを受け続けることになります。   サクリファイスに非常に長けているのがエネルギーデッキ。《オセロットの群れ》は大量のトークンを生み出し、《勝利の楽士》のトークンはエンド時に2体死亡。更に《ゴブリンの砲撃》と《ナカティルの最下層民、アジャニ》も《威名のソルジャー、セフィロス》の誘発を助けてくれます。 《黄泉帰る悪夢》も面白いカードです。《威名のソルジャー、セフィロス》を墓地から蘇生させつつ死亡誘発を1回満たせるので、《片翼の天使、セフィロス》への変身に一役買います。 これまで負け筋の1つだった全体除去の連打に対して《片翼の天使、セフィロス》の紋章は非常に大きく、全体除去連打+《火の怒りのタイタン、フレージ》対処によって落としていたコントロールに対して、新たな勝ちパターンが生まれました。 ボロスエネルギーの《勝利の楽士》には懐疑的でしたが、《威名のソルジャー、セフィロス》が採用されたこのリストであれば納得です。というよりマルドゥエネルギーの《勝利の楽士》はかなり強そうで、これからもセットで採用されるのではないでしょうか。 《威名のソルジャー、セフィロス》によってライフゲインができるため、《オセロットの群れ》の誘発を達成しやすいのもポイント。《オセロットの群れ》には《魂の導き手》が必須で、それゆえにエネルギーという形を保っていましたが、《威名のソルジャー、セフィロス》があるならばもしかしたらエネルギーである必要は最早ないのかもしれません。 白黒系の新たなサクリファイスデッキが誕生するのでは?そんな予感すらさせてくれるのが《勝利の楽士》と《威名のソルジャー、セフィロス》です。

【今週のピックアップデッキ】ボロスモニュメント/ディミーアドラゴン/森林ギフト

週刊 Modern Pioneer Standard ピックアップ

2025.05.30

mtg Yuyan

こんにちは。 細川 侑也(@yuyan_mtg)です。 今週のピックアップデッキでは、ちょっと珍しいデッキを、軽い解説を交えて紹介していきます。   紹介デッキ ボロスモニュメント ディミーアドラゴン 森林ギフト   ボロスモニュメント  Standard RC Qualifier : 2位 By canepis16 MTGアリーナ用インポートデータ 実は少し前から各国の地域CSに現れ始めていたデッキ、ボロスモニュメント。今回マジックオンライン上での地域CS予選にて見事2位という快挙を成し遂げ、今注目を集めています。   その名の通り、このデッキは《忍耐の記念碑》を主軸に据えたミッドレンジ。とはいえ、その速度は中々のもの。 《忍耐の記念碑》はカードを捨てるたびにドロー、宝物生成、3点ルーズから好きなものを選べるアーティファクト。1ターンに各能力を1回ずつしか選べませんが、自分と相手のターンそれぞれで誘発させることができるので、3点ルーズの能力を使い続けるとあっという間に相手のライフは0になります。   とはいえ、カードを捨てるという行為は基本的にリソースを失うもの。そこでこのデッキの多くのディスカード手段は、カードが引けるものとなっています。   スタンダードから下環境まで大活躍の《逸失への恐怖》は、カードを捨てて引くクリーチャー。同じく《光砕く者、テルサ》も捨てた枚数分だけ引くカードなので、いずれも《忍耐の記念碑》でドローモードを選択することで、手札を減らすことはありません。 《光砕く者、テルサ》は一気に2枚捨てられるので、ドローと宝物を選択すれば、宝物分得をしたことになります。 《ファイレクシアのドラゴン・エンジン》は墓地から戦場に出ると、手札を捨てて3ドローします。もちろん手札が3枚あれば《忍耐の記念碑》でそれぞれの能力を誘発させつつ3ドローでき、このデッキでは非常に輝くことになります。 面白いのが《再稼働》との組み合わせです。《ファイレクシアのドラゴン・エンジン》は蘇生能力を持っており、通常この3ドロー能力は、蘇生時に誘発するものです。しかし、《再稼働》で墓地から吊り上げた際にも《ファイレクシアのドラゴン・エンジン》の3ドローが誘発してくれるのです。 《再稼働》はデッキのキーカードである《忍耐の記念碑》を出す手段としても便利ですね。もちろん、《光砕く者、テルサ》などの各種ディスカード手段を吊り上げても良しです。 捨てる手段に特化したクリーチャーである《新ベナリアの守護者》はカードを引くこそできませんが、ディスカードすることで自身に破壊不能を付与できます。最近は追放除去である《苦痛ある選定》はほとんど採用されていないので、非常に場持ちの良いカードです。 更に条件なくいつでも手札を捨てられるので、相手のターンでも気軽に《忍耐の記念碑》を誘発させることができます。とりあえず不要牌を1ドローに変えられますし、ライフを詰める状況なら3点ルーズを自分と相手のターンで使い続けられるので、あっという間に射程圏内までライフを落とせます。 このようにディスカード手段の多くが高品質なクリーチャーで構成されているので、ボロスモニュメントは分類上はビートダウンとなります。《忍耐の記念碑》を置いて各種クリーチャーを展開しながらカードを捨て、ライフを速やかに詰めていきます。   そしてこのデッキでもメインから4枚採用されているのが《魔道士封じのトカゲ》。デッキと噛み合うわけではありませんが、イゼット果敢を意識してのメイン4枚採用です。 《忍耐の記念碑》を置いた後はディスカードがメインになるので、あまり《魔道士封じのトカゲ》からダメージを受けないのは、ちょっとしたポイントです。   《幽霊による庇護》とは一応コンボにはなりますね。《魔道士封じのトカゲ》に《幽霊による庇護》をつけることで、能力によるダメージでもライフを得られるようになります。《幽霊による庇護》の付け先としては破壊不能を付与できる《新ベナリアの守護者》もいるので、このデッキは除去環境にもかかわらず、メインから気兼ねなく《幽霊による庇護》を4枚採用できるのです。 《洪水の大口へ》がなければ《幽霊による庇護》+《新ベナリアの守護者》の組み合わせはもっと鉄壁だったのですが、こればかりは仕方ありません。 《忍耐の記念碑》が面白いぐらいにチェインするデッキなので、少し変わった攻め方をするビートダウンがお好きな方なら、きっとボロスモニュメントを気に入ることでしょう!     ディミーアドラゴン パイオニアリーグ : 5-0 By Desert_24 MTGアリーナ用インポートデータ ドラゴンが活躍する次元、タルキール。久しぶりの再訪となったわけですが、以前のタルキール環境で活躍していたドラゴン、皆さんは最初に何が思い浮かびますか?   ランプの相棒だった《龍王アタルカ》でしょうか。 それとも《黄金牙、タシグル》のネックレスも衝撃的だった《龍王シルムガル》? 僕はまず《龍王オジュタイ》を思い出します。 アンタップ状態で呪禁を持ち、相手に戦闘ダメージを与えると《予期》。フルタップで出したターンは除去耐性があり、打ち消しを構えながら《龍王オジュタイ》で攻撃できるのがこのカードの強みでした。   《龍王オジュタイ》を主軸に据えたエスパードラゴンはスタンダードで大活躍していましたが、その一因としては、やはり《龍王オジュタイ》を守る打ち消し呪文が強力だったのもあるでしょう。   それが《シルムガルの嘲笑》です。 手札からドラゴンを公開することで《対抗呪文》になるこのインスタントは、龍王オジュタイ》とセットで使われ続けました。そしてこの《シルムガルの嘲笑》が、パイオニアで使われる日がついにやってきたのです。 そう、『タルキール:龍嵐録』で登場した2枚のコントロール向きのドラゴンたちと共に。   《マラング川の執政》はスタンダードの青いコントロールに欠かせないカード。前兆モードの3ドロー、1ディスカードと6/7で2枚バウンス、両方のモードが強力です。 そしてこのデッキに4枚採用されているドラゴンが《ゴミあさりの執政》。ドラゴン以外のすべてのクリーチャーに-X/-Xを与えるカードで、こちらもコントロール向きのカードです。本体も4マナ4/4飛行に、護法能力までついています。 この護法がディスカードというのも曲者。相手に護法を要求し、いざカードを捨てたら打ち消してしまえば、たまったものではありません。   《マラング川の執政》《ゴミあさりの執政》の2種類のドラゴンは、言うなればドローと全体除去。無理にフィニッシャーのドラゴンをデッキに入れることなく、《シルムガルの嘲笑》を4枚採用できるのです。 デッキ構築に制限のかからない《シルムガルの嘲笑》は《対抗呪文》そのもの。モダンでも一線級の活躍をしている《対抗呪文》をパイオニアで使えるのですから、一人だけズルをしているのと同じです。 相方の黒もモダン級のカード満載です。《致命的な一押し》《思考囲い》はパイオニアの黒を代表する2枚ですが、いずれもモダン級のカード。要するにこのデッキは実質モダンのコントロールデッキと言っても過言ではないのです! しかもモダンでは使えない《時を越えた探索》も使用できます。墓地を能動的に溜める手段がないので2枚しか採用されていませんが、それでも2マナで7枚を見て、ドロースペルと打ち消しを探し、その2枚を同ターン中に打つのは、《時を越えた探索》にしかできない芸当です。 まるで一つ下の環境のような動きができてしまうディミーアドラゴン。コントロール好きな方、特に《対抗呪文》がお好きならば使ってみましょう!   森林ギフト モダンリーグ : 5-0 By Jeppebc 全世界100万人はいると言われている(?)《王神の贈り物》ファンの皆様、モダンでまた《王神の贈り物》が活躍しています。 スタンダードでは墓地から吊り上げられたり、《来世への門》でデッキから突然出てきたりと、7マナを支払って戦場に出ることがさほどない《王神の贈り物》。このデッキではそもそも戦場にすら出ません。 それならどうやって《王神の贈り物》は活躍するのか?墓地にある《王神の贈り物》に《変容する森林》がなります。 《変容する森林》は昂揚状態の時に起動して墓地のパーマネントをコピーするカード。コピー先である《王神の贈り物》がアーティファクトなので、昂揚しやすいのが嬉しいですね。   その《変容する森林》を引くために入っているのが《邪悪鳴らし》《ウィザーブルームの命令》。いずれも切削しながら《変容する森林》を拾えるカードでありながら、昂揚を満たしつつ《王神の贈り物》を墓地に送れる、一石三鳥のカードです。 《王神の贈り物》によって追放するクリーチャーは定番の《残虐の執政官》と《穢すもの、ウラモグ》。 《残虐の執政官》は説明不要の強カード。本体のサイズはあまり関係ないので、《王神の贈り物》によって4/4に縮んでも問題ありません。速攻がつくので、戦場に出た時と攻撃時の能力が誘発し、《不屈の独創力》で出すよりも相手に壊滅的なダメージを与えられます。   《王神の贈り物》と実は相性の良いカードが《穢すもの、ウラモグ》。追放領域にある一番重いカード分のカウンターが乗るので、《王神の贈り物》で自身を追放すると、カウンターが10個乗ります。滅殺10は《引き裂かれし永劫、エムラクール》も裸足で逃げ出すレベル。 《変容する森林》《王神の贈り物》プランが防がれた時も安心。リアニメイトでお馴染みの《骨の皇帝》も採用されています。《血染めの月》などで《変容する森林》が対処されても安心というわけです。 とはいえ、《骨の皇帝》も《変容する森林》も墓地に依存するカード。墓地対策に弱いのはご愛嬌。サイド後の対策に対して強い《鏡割りの寓話》を採用したりするのも面白いかもしれませんね。 《頑強》を採用してリアニメイト色を更に強くすることもできますし、フェア・アンフェアどちらの方向にも調整できますし、これからが楽しみなデッキですね。 《変容する森林》を使うデッキも色々と増えてきており、《死の国からの脱出》のようにいつか爆発してくる予感がしています!

【今週のピックアップデッキ】黒単クレリックリアニ/シミック緑甲羅/ダイスファクトリー

週刊 Modern Pioneer Standard ピックアップ

2025.05.23

mtg Yuyan

こんにちは。 細川 侑也(@yuyan_mtg)です。 今週のピックアップデッキでは、ちょっと珍しいデッキを、軽い解説を交えて紹介していきます。   紹介デッキ 黒単クレリックリアニ シミック緑甲羅 ダイスファクトリー   黒単クレリックリアニ SCG CON Hartford RCQ : 6-2 By David Boucher MTGアリーナ用インポートデータ 墓地から巨大なファッティを吊り上げるリアニメイト戦略。最近では最強のリアニメイト先で《偉大なる統一者、アトラクサ》が登場したため、様々なフォーマットでリアニメイトデッキは存在しています。 しかし、今回ご紹介するリアニメイトには《偉大なる統一者、アトラクサ》は入っていません。そもそもこのリアニメイトは黒単色のデッキ。   しかもスタンダードで最も強力なリアニメイト呪文である《ゾンビ化》すら採用していないのです。 《ゾンビ化》の代わりに採用されているのは《ヴァルガヴォスの崇拝者》。1マナで出して4マナ起動で墓地からクリーチャーを吊り上げるため、1+4で5マナの《ゾンビ化》です。 《忘却の虚僧》も《ゾンビ化》を内蔵したクリーチャー。こちらはキッカーで墓地からクリーチャーを吊り上げられるので、6マナの《ゾンビ化》です。 ですが、そもそもこれらの重い《ゾンビ化》を使うぐらいなら、最初から4マナの《ゾンビ化》を使えば良いのでは?そう思った方も多いでしょう。   その疑問に答えてくれるのが《影の儀式の司祭》。他のクレリッククリーチャーを+1/+1するこのクリーチャーですが、実は《ヴァルガヴォスの崇拝者》も《忘却の虚僧》もクレリックなので、ロードの恩恵をしっかりと受けることができます。 そしてなんといっても《影の儀式の司祭》にはもう1つ、狭量な能力があります。他のクレリックを生け贄にすることでライブラリーから直接黒いクリーチャー・カードを戦場に出せるのです。   強いクリーチャーをリアニメイトするには、まず強いクリーチャー。そしてそれを落とす手段。最後に吊り上げる手段が必要となります。リアニメイトは下準備がかなり面倒なコンボです。しかし、《影の儀式の司祭》ならばそれらの準備は必要ありません。クレリックを用意し、マナを支払うだけで良いのです。 デッキから現れる黒いカードは《恐怖を喰うもの、ヴァルガヴォス》。非常に強い護法能力を持ち、除去するのは非常に困難。しかも生き残れば圧倒的な展開力を見せる、S級クリーチャーです。 この《恐怖を喰うもの、ヴァルガヴォス》を墓地から釣っても良し、《影の儀式の司祭》で直接出しても良しなのがこの黒単クレリックリアニなのです。   《影の儀式の司祭》はこのデッキの主役。リアニメイト、ロード、両方の能力をフル活用します。   上記の2種に加え、黒ミッドレンジでもお馴染みの《分派の説教者》も実はクレリック。3/5になれば更に硬くなりますし、《忘却の虚僧》の3/2絆魂も赤い相手に重宝します。 さて、デッキから《恐怖を喰うもの、ヴァルガヴォス》を出すには《影の儀式の司祭》がありますが、リアニメイトする際は一度墓地に落とさなければなりません。 《恐怖を喰うもの、ヴァルガヴォス》を墓地に落とす手段として、手札からは《ヴェールのリリアナ》や《苦々しい勝利》があります。いずれも除去を兼ねたディスカード手段で、リアニメイトとの相性は良好です。   良く考えられているのが《ベイルマークの大主》の採用です。 ライブラリーから直接《恐怖を喰うもの、ヴァルガヴォス》を落とせるだけでなく、リアニメイト手段である《ヴァルガヴォスの崇拝者》《忘却の虚僧》を墓地から拾うことができるのです。1枚でファッティを落としながら釣り竿を拾える。実質《納墓》+《再活性》なのです。 《恐怖を喰うもの、ヴァルガヴォス》で気持ちよくなりたい方はぜひこのデッキをお試しください!!     シミック緑甲羅 パイオニアリーグ : 5-0 By  laa11 MTGアリーナ用インポートデータ たびたびパイオニアで話題となる《肥えた緑甲羅》。 パワーよりタフネスの方が高いクリーチャーが戦場に出るたびにライブラリートップを見て、それが土地ならタップ状態で置き、それ以外なら手札に加えるという、シンプルにアドバンテージが取れるカード。《有翼の叡智、ナドゥ》のように土地がアンタップインだったらもっと使われているかもしれませんね。 このシミック緑甲羅は《肥えた緑甲羅》の能力を使い倒すことに特化したデッキ。   入っているクリーチャーのすべてがパワーよりタフネスの方が大きいのです。   《樹上の草食獣》《腹黒茸》は手札から土地を置ける能力。《肥えた緑甲羅》を早いターンに出せる便利なカードです。《腹黒茸》はドローもついていますね。 《金のガチョウ》に《断崖の見張り》まで入っているため、《肥えた緑甲羅》を4ターン目には出すことができるでしょう。とにかく早く《肥えた緑甲羅》を出して、能力を使い始めるのがこのデッキでは最重要です。《肥えた緑甲羅》が土地をめくっていき、次のターンにそれらの土地を使って更なる大量展開というのが勝ちパターンですからね。 少し見慣れないカードである《夢露の幻惑者》は、相手クリーチャーに麻痺を乗せる疑似的な除去としての使い道もあれば、自分のクリーチャーに麻痺を乗せて2ドローもできるので、場の状況や相手によって様々な使い方ができます。自身にも乗せられるため、2ドロー自体は難しくありません。 そして《玻璃池のミミック》。こちらは《肥えた緑甲羅》をコピーするのが主な役割です。《肥えた緑甲羅》が2枚になれば誘発も倍なので、あっという間に土地が増えて全体に修正が入って殴り勝てます。《肥えた緑甲羅》が1回戦場に出たらすぐに《玻璃池のミミック》でコピーしたいですね。 そんな《肥えた緑甲羅》をデッキ外から支えるのが《空を放浪するもの、ヨーリオン》!《肥えた緑甲羅》の誘発条件は、「タフネスがパワーよりも大きいクリーチャーがあなたのコントロール下で戦場に出るたび」なので、《空を放浪するもの、ヨーリオン》自身で誘発するのはもちろん、《空を放浪するもの、ヨーリオン》によって追放したクリーチャーたちでもそれぞれ誘発します。つまり3体のクリーチャーがいたら、《空を放浪するもの、ヨーリオン》+3体の4回、《肥えた緑甲羅》が誘発するのです。 このデッキの《空を放浪するもの、ヨーリオン》は超ハイバリューです。   更に最近はアゾリウス全知やアゾリウスコントロールなど、青系のデッキで活躍している《マラング川の執政》。こちらもタフネスの方が高く、《肥えた緑甲羅》が誘発します。 しかも戦場に出た時にパーマネントを戻す能力は自分のクリーチャーにも使えるので、《肥えた緑甲羅》誘発のためにクリーチャーを戻せます。《空を放浪するもの、ヨーリオン》を戻して《マラング川の執政》をブリンクさせて再利用……なんて使い方もでき、このデッキはとにかく《肥えた緑甲羅》をずっと誘発させ続けることに特化しています! その動きはさながらナドゥ!パイオニアで使える《有翼の叡智、ナドゥ》こと《肥えた緑甲羅》、味わってみませんか?   ダイスファクトリー モダンリーグ : 5-0 By  Zoza 知る人ぞ知るデッキ、ダイスファクトリーが最近密かにモダンで勝ち始めています。   ダイスファクトリーは無色のみで構成されたデッキ。キーカードである《地核搾り》を使って大量のマナを出して戦う、トロンに似た性質を持っています。実際に以前までのダイスファクトリーには《ウルザの塔》などが採用されていました。 どうやってマナを出すのか。それは《地核搾り》の能力を読めばわかります。タップすることでアーティファクトの上に蓄積カウンターを置く能力を使うのです。   蓄積カウンターを乗せることでどうマナが増えるのか?《霊体のヤギ角》と《永遠溢れの杯》がその答えです。これらのアーティファクトは、戦場に出るに際し支払ったX分の蓄積カウンターが置かれて、タップすることで蓄積カウンター分のマナが出ます。 普通に使えば《霊体のヤギ角》は3マナ払って設置して1マナを出し、《永遠溢れの杯》は2マナで1マナ。それぞれ少し弱いマナファクト相当のカードなのですが、《地核搾り》で蓄積カウンターを置けるので、マナの総量を増やせるのです。 《うねりの結節》も《地核搾り》と同じく蓄積カウンターを置くカードで、この2種類で《霊体のヤギ角》《永遠溢れの杯》を超マナアーティファクトにして戦うのがダイスファクトリーの基本戦術となります。 特に《地核搾り》は起動して1個、自身を生け贄に2個と、即座に3個の蓄積カウンターを溜められるので、トロンに近い速度でマナを増やしていくことができます。   以前はトロンランドが採用されていたスロットには《エルドラージの寺院》《ウギンの迷宮》の、エルドラージでもお馴染みの無色土地たちが採用されています。《エルドラージの寺院》を2マナランドとして使うために採用しているエルドラージは、定番の《運命を貪るもの》と、そして《まばゆい肉掻き》です。 無色の呪文を唱えるたびに落とし子を生み出す《まばゆい肉掻き》はこのデッキにはぴったり。《霊体のヤギ角》も《永遠溢れの杯》も蓄積カウンターさえいらなければ0マナで唱えられるので、2ターン目に《まばゆい肉掻き》を出してそのまま2体ほどトークンを作り、次のターンのアクションに備えるなんてことも可能です。   《ミシュラのガラクタ》《オパールのモックス》《永遠溢れの杯》《霊体のヤギ角》と大量に0マナアーティファクトを採用しているので、《まばゆい肉掻き》がとにかく強いデッキなのです。 そして0マナアーティファクトはフィニッシャーである《嵐の目、ウギン》とも嚙み合います。戦場に出たターンに0マナを並べて相手を更地にしつつ、《嵐の目、ウギン》の奥義を目指すのはわかりやすい勝ち手段です。 《嵐の目、ウギン》の加入はこのデッキにとって非常に大きいでしょう。《ウギンの迷宮》を採用するためには7マナ以上の無色のカードが2種必要になりますが、《運命を貪るもの》以外で7マナ以上の無色のカードはあまり選択肢がないのが実情です。《嵐の目、ウギン》は《ウギンの迷宮》で追放できる中で最高のフィニッシャーであり、ダイスファクトリー活躍のキーとなっています。 以前までのダイスファクトリーは大量のマナを使う手段が限られていましたが、このリストは《大いなる創造者、カーン》《嵐の目、ウギン》《コジレックの命令》と大量にあり、《まばゆい肉掻き》《神秘の炉》でライブラリーの上からカードをプレイしていくだけで勝てるイージーウィンも存在します。 ついにダイスファクトリーがモダンのトーナメントを脅かす日がきたのかもしれません!エルドラージがお好きな方はぜひ一度このダイスファクトリーもお試しください。

【今週のピックアップデッキ】グルール昂揚/ディミーア忍者ローグ/ハンマータイム

週刊 Modern Pioneer Standard ピックアップ

2025.05.09

mtg Yuyan

こんにちは。 細川 侑也(@yuyan_mtg)です。 今週のピックアップデッキでは、ちょっと珍しいデッキを、軽い解説を交えて紹介していきます。   紹介デッキ グルール昂揚 ディミーア忍者ローグ ハンマータイム   グルール昂揚 チャンピオンズカップファイナル : 11位 By Shintaro Ishimura MTGアリーナ用インポートデータ チャンピオンズカップファイナルではイゼット果敢4人に赤単アグロ2人と、2種の赤アグロがトップ8に入賞しましたが、それらとは異なる形の赤アグロが、プロツアーの権利を獲得できる9勝3敗の成績を収めていました。   それがグルール昂揚です。   4種のカードタイプを墓地に揃えることで達成される昂揚。かなり難しい条件のため、昂揚条件を達成した際は大きなボーナスが用意されています。   《継ぎ接ぎのけだもの》は昂揚すれば1マナ3/3の《野生のナカティル》相当のクリーチャー!アップキープの切削と、自身がアーティファクト・クリーチャーなので、昂揚を助けてくれるナイスな1マナ域です。 様々なフォーマットでお馴染みの《逸失への恐怖》も、ディスカードを持ちつつ、エンチャント・クリーチャーとして墓地でも昂揚に貢献します。 昂揚していると2マナ4/3速攻トランプルと破格の性能を持つのが《野火の木人》。このカードがグルール昂揚のスピードを上げてくれています。やはりアーティファクト・クリーチャーなので昂揚を達成しやすいのも〇。 そして最後の昂揚カードは《暴力的衝動》。こちらはクリーチャーではありませんが、たった1マナでクリーチャーに二段攻撃を付与するすごいインスタントです。トランプルを持つ《野火の木人》と組み合わせた時の破壊力はピカイチ。《逸失への恐怖》で2回攻撃も発生するので、二段攻撃と組み合わせると実質4回攻撃になりますね。 さて、昂揚のバリューが高いことがわかったところで、肝心なのは昂揚の達成手段です。   《野火の木人》に《逸失への恐怖》と質の高いクリーチャーが2種のカードタイプを持っているのはわかりましたが、それをどのように墓地に落とすのか。   ここで最近引っ張りだこの《光砕く者、テルサ》が光ります。 3マナ3/3速攻の優れたスタッツに、カードを2枚捨てて2枚引く能力がついているため、昂揚に必要なカードを墓地に落としつつ、攻撃していけます。以前まではこのスロットが《蓄え放題》《浚渫機の洞察》といった戦場に影響を及ぼさないカードだったので、積極的に攻撃したいグルール昂揚と少し合わなかったのですが、非常に攻撃的な《光砕く者、テルサ》が加入したことで、デッキがグッと締まりました。 グルール昂揚でしか使えない超強力なソーサリーと言えば《脱走》。たった2マナで、ライブラリー上6枚から2マナ以下のクリーチャー・カードを速攻を持った状態で戦場に出せます。非常に強力なカードではあるものの、中々活きるデッキがないのですが、グルール昂揚とはかなり相性が良いのです。特に《逸失への恐怖》を出して速攻で攻撃し始めると、予想外からのリーサルが発生する場合も。ソーサリーカウントとしても優秀です。 《鋭い目の管理者》は昂揚能力は持ちませんが、4種類のカードタイプを追放すると+4/+4トランプルになる2マナ3/3。どちらかと言えばそのパンプ能力よりは、墓地追放がメインの使い方となっています。 ジェスカイ眼魔はもちろん、《嵐追いの才能》が入っているイゼット果敢などにも墓地追放は効きますし、昂揚を満たすことを前提にしたデッキなので、自分の墓地を追放して7/7トランプルを作りやすく、今回の隠れMVPかもしれません。   他の赤アグロと一味も二味も違うグルール昂揚、ぜひお試しください。     ディミーア忍者ローグ パイオニアリーグ : 5-0 By  season_urb MTGアリーナ用インポートデータ かつてスタンダードで最強のデッキだったローグ。 《盗賊ギルドの処罰者》で相手のライブラリーを切削し、《空飛ぶ思考盗み》などと共に殴り勝つも良し、相手をライブラリーアウトさせたり、《物語への没入》と《夢の巣のルールス》でコントロールするなど、様々な勝ちプランを持っている、とてもいやらしいデッキでした。 最近では青黒系のアグロデッキと言えば忍者になっていましたが、今回はならず者が久しぶりにパイオニアで勝利しました!   パイオニアならではのならず者をご紹介しましょう。忍者にも入っている《フェアリーの悪党》ですね。戦場に出た時に他に《フェアリーの悪党》がいれば1ドローできる忍者です。《マネドリ》との相性がバッチリで、《フェアリーの悪党》のコピーとして場に出してカードを引けます。 その《マネドリ》のコピー対象が増えたのがディミーアローグの魅力です。《盗賊ギルドの処罰者》をコピーすると、ならず者を出した時の切削枚数が4枚に増えます。1枚の《盗賊ギルドの処罰者》ではライブラリーの心配は必要ありませんが、倍になれば話は別です。 《空飛ぶ思考盗み》はローグのキーパーツ。《フェアリーの悪党》《マネドリ》など軽いならず者にパワー修正を与えれば一気に脅威になりますし、《マネドリ》でコピーすれば修正値と切削枚数もとんでもないことになります。 そしてこれらのローグ軍団と手を組むのが忍者たち。   《月回路のハッカー》《悪夢滅ぼし、魁渡》の2人の忍者はいずれも忍術でクリーチャーを手札に回収することができます。ならず者を戻して出し直せばそのたびに《盗賊ギルドの処罰者》が誘発しますし、序盤は《フェアリーの悪党》をコピーしていた《マネドリ》を拾い、更に強い別のクリーチャーのコピーに変えられます。 ならず者でも忍者でもありませんが、《フラッドピットの溺れさせ》は忍術と相性の良いクリーチャー。ブロッカーをタップしながら攻撃を通して忍術ができて、しかも能力も再利用できるので、《悪夢滅ぼし、魁渡》を使うデッキなら《フラッドピットの溺れさせ》は必須ですね。 従来のディミーア忍者に比べて、ローグ成分が加わったことで、特に攻撃面が更に強化されました。   《空飛ぶ思考盗み》による全体強化に1マナ3/2の《盗賊ギルドの処罰者》はライフを削る性能が高いだけでなく、ライブラリーアウトという新たな勝ち手段も作れます。ライフをなかなか削れないコントロールなどにはかなり現実的な勝ち筋です。   守りの観点から見ても《盗賊ギルドの処罰者》は決して悪いカードではありません。相手の墓地が溜まれば1マナ3/2接死なので、サイズの小さいこのデッキでは貴重な相打ち要因となります。 忍者から更に攻撃的になったディミーアローグ、忍者がお好きな方はいかがでしょうか。   ハンマータイム モダンリーグ : 5-0 By  aspiringspike 《巨像の鎚》を《シガルダの助け》でつけて殴るコンボ要素のあるアグロ、ハンマータイム。 シンプルな戦略で最速2ターンキルも可能なハンマータイムは、当初はファンデッキでしたが、《ウルザの物語》加入後は様々な戦略を取ることが可能となり、一気にメタデッキの仲間入りを果たしました。 そんなハンマータイムの新たな形が、赤を入れたこのボロスカラーのハンマータイム。加わった赤いカードは……色々なフォーマットで暴れているあの装備品です。   そう、《コーリ鋼の短刀》です。 《コーリ鋼の短刀》でモンクを生成するためには継続的にスペルを2回唱える必要がありますが、当然毎ターンカードを2回使用すると、手札がなくなってしまいます。そのため、キャントリップや《食糧補充》など、カードを引き続けられる青と組み合わせて使われることが多いので、赤白で採用されるのは少し珍しいですね。 0マナのアーティファクトは《オパールのモックス》と《ミシュラのガラクタ》で8枚入っており、2ターン目に《コーリ鋼の短刀》を出してそのままモンクを生み出すことができます。 更にデッキ内のほとんどが1マナ以下なので、手札がある限りはモンクは誘発させ続けられるでしょう。   肝心のカードを引く手段ですが、《純鋼の聖騎士》がハンマータイムにはあります。装備品が戦場に出ると1ドローなので、2つ装備品を出せば、手札を失うことなく、モンクトークンが出てきて、しかもそのモンクに装備品を即つけられます。 このデッキが面白いのは、《コーリ鋼の短刀》の装備品としての性能が噛み合っている点です。《巨像の鎚》をつけたクリーチャーがチャンプブロックされて何もできないことはよくありましたが、《コーリ鋼の短刀》のトークンに《巨像の鎚》をつければ12/12トランプルでブロックを許しません。 速攻で攻撃できるのも大きなメリットで、これまで盤面のクリーチャーをすべて対処された場合、どうしても攻撃するまでに1ターンのラグが発生していましたが、除去で盤面を空にされても《コーリ鋼の短刀》のトークンに様々な装備品をつけて一撃で相手のライフを0にできます。   クリーチャーがいないと意味がない装備品と、クリーチャーを供給しつつ速攻を付与する《コーリ鋼の短刀》の相性はとても良いのです。   《鷹持ち、カサンドラ》はデッキから《レオニダスの槍》を場に出すクリーチャーで、その《レオニダスの槍》の付け先として最適。とはいえ、出して2マナを払って装備するのは中々モダンでは難しい。 その装備コストを《純鋼の聖騎士》で0にしたり、《シガルダの助け》で自動装備できる状態になるとしたら話は別です。《鷹持ち、カサンドラ》を出して《シガルダの助け》で《レオニダスの槍》を装備し、速攻で殴って二段攻撃付与、ダメージを通して《鷹持ち、カサンドラ》の能力で2ドローと、装備コストを踏み倒せるだけで《鷹持ち、カサンドラ》の動きはすさまじくなります。 《龍火の刃》は《ウルザの物語》からサーチすることも可能な装備品。装備コストは重いものの、単色からの呪禁と+2/+2を付与でき、一度装備すれば《孤独》《致命的な一押し》をはじめモダン環境の様々な除去を受けなくなります。 《鷹持ち、カサンドラ》への装備コストは2マナなものの、他のクリーチャーには基本的に3マナ必要ですが、こちらも《純鋼の聖騎士》《シガルダの助け》で踏み倒せるため、ただただデメリットのない超狭量な装備品となります。 《オパールのモックス》解禁によって大幅な強化を受けたものの、いまだトーナメントではさほど活躍できていなかったハンマータイムですが、近頃リーグでの5-0数も増えてきており、これから最前線に復帰していくかもしれませんね!

【今週のピックアップデッキ】ディミーア眼魔/4色レジェンズ/赤単ベルチャー

週刊 Modern Pioneer Standard ピックアップ

2025.05.02

mtg Yuyan

こんにちは。 細川 侑也(@yuyan_mtg)です。 今週のピックアップデッキでは、ちょっと珍しいデッキを、軽い解説を交えて紹介していきます。   紹介デッキ ディミーア眼魔 4色レジェンズ 赤単ベルチャー   ディミーア眼魔 スタンダードリーグ(4/29) : 5-0 By ajifly MTGアリーナ用インポートデータ スタンダードからモダン、時にはレガシーでも見かけることのある、超ハイスペッククリーチャー《忌まわしき眼魔》。 墓地を6枚追放するという重いキャスト条件があるものの、ひとたび戦場に出れば毎ターン戦慄予示であっという間に場を支配してくれます。   そして唯一の欠点である重いコストも、あくまでこれは唱える際に必要なものなので、唱えずに戦場に出してしまえば何も問題ありません。   そこで《忌まわしき眼魔》は、主に墓地から直接戦場に出てきます。   墓地からクリーチャーをよみがえらせる、いわゆるリアニメイト呪文は、条件のないものは《ゾンビ化》など4マナ以上である場合がほとんどです。レガシーで一線級の活躍をしている《再活性》はたった1マナでなんでも蘇生できますが、これは例外中の例外。《偉大なる統一者、アトラクサ》をたった1マナで釣り上げるカードは許されていいはずがありません。 しかし、逆に言えば条件付きならば軽いリアニメイト呪文はスタンダードにも存在します。特にマナ総量が3マナ以下のクリーチャーを吊り上げるカードは《救いの手》をはじめ1マナです。これはマナ総量が3以下のクリーチャーは基本的には支配力が低く、1マナで墓地から吊り上げる動きがさほど強力でないためです。 だからこそ《忌まわしき眼魔》を1マナのスペルでリアニメイトする動きは非常に強力です。実質《忌まわしき眼魔》は5~6マナ域の強さのカード。それをマナ総量が3のカードだから《救いの手》で釣り上げるのは完全に非合法の動きです。 モダンでは《発掘》で《忌まわしき眼魔》を吊り上げるディミーア眼魔、スタンダードでも《救いの手》を使ったジェスカイ眼魔が活躍しているわけですが、今回は新たな眼魔デッキをご紹介します。   それがディミーア眼魔。   墓地に《忌まわしき眼魔》を落として吊り上げるという部分は他の眼魔デッキと同じです。ただしスタンダードには《発掘》はないので、《誰も置き去りにしない》でリアニメイトします。 普通に使えば5マナの《ゾンビ化》ですが、マナ総量3以下のクリーチャーを釣る際には2マナになるので《誰も置き去りにしない》は実質《再稼働》。《救いの手》よりは重いですが仕方ありません。   5マナさえ払えば《ゾンビ化》なのでサイド後は《黙示録、シェオルドレッド》を復活させることも可能です。 墓地に落とす手段は《統合の福音者》と《蒸気核の学者》。カードを引いて捨てる、いわゆるルーター能力で墓地へと落としていきます。 そしてドロー・ディスカードによって墓地に《忌まわしき眼魔》を送り込むことから、相性の良いのが《プロフトの映像記憶》。ジェスカイ眼魔でも採用されているこのドローによって強化されているエンチャントを、ディミーア眼魔でも取り入れています。 《冬夜の物語》も《プロフトの映像記憶》と噛み合いながら《忌まわしき眼魔》を墓地に落とせるカードです。 面白いのは《鍾乳石の追跡者》。落魄することでターン終了時に成長していくこのカードは、ルーターによって土地などを捨てた時でもしっかりと誘発してくれます。《プロフトの映像記憶》と合わせてサイズを上げて大型クリーチャーを倒すなど、単純な戦闘以外の使い道があるのも良いですね。 サイドボードには手札破壊に《黙示録、シェオルドレッド》と、ジェスカイ眼魔では採用できないカードたちの姿が多数あります。特に《黙示録、シェオルドレッド》は赤アグロ全盛期の今、かなり注目されています。 青黒なら当然《悪夢滅ぼし、魁渡》も採用できますし、このカードはやはり凄まじい強さ。《誰も置き去りにしない》のために《除霊用掃除機》を出してきた相手に《悪夢滅ぼし、魁渡》忍術を決める動きはあまりにも気持ち良いですね。 《忌まわしき眼魔》を使い倒したい方、ジェスカイばかりではなくたまにはディミーアでいかがですか?     4色レジェンズ パイオニアリーグ(4/28) : 5-0 By  kanara38204 MTGアリーナ用インポートデータ このデッキは一体…?   初見でデッキリストを見て動きがわからないことはよくありますが、じっくり読み込んでもさっぱりわからないのは久しぶりかもしれません。   この4cレジェンズはとにかくその動きが謎に包まれています。   一つはっきりしているのは、《嘘の神、ヴァルキー》と《再覚醒したジェイス》のコンボが搭載されているということです。 《嘘の神、ヴァルキー》を《再覚醒したジェイス》で計画すると、《星界の騙し屋、ティボルト》として唱えることができます。この2枚コンボが採用されています。 このコンボは通常グリクシスコントロールのようなデッキに組み込まれる場合が多いですが、4cレジェンズは4枚の《闇の中の研究者、ナシ》と《策謀の予見者、ラフィーン》で果敢に殴っていくデッキです。 《闇の中の研究者、ナシ》は2マナでリソースを稼ぐクリーチャー。プレイヤーに与えたダメージ分、カードを切削し、そこからエンチャントと伝説のカードを好きなだけ回収できるので、このデッキなら1~2ドロー相当です。   そんな《闇の中の研究者、ナシ》を強化するのが《策謀の予見者、ラフィーン》。《闇の中の研究者、ナシ》はだんだんサイズが上がっていき、切削枚数が増えるカードなのですが、《策謀の予見者、ラフィーン》で強化してしまえば、攻撃していきなり4枚切削なんてことも。切削枚数が増えれば当然手札に加わる数は増えるので、大量のリソースを獲得できます。 《道の体現者、シィコ》は最もデッキ内で重いクリーチャー。墓地のマナ総量3以下のカードをコピーしてタダで唱えられるので、《思考囲い》や《致命的な一押し》などのスペルはもちろん、《策謀の予見者、ラフィーン》を戦場に出すことも可能です。 この伝説軍団たちと一緒に採用されているのが《不浄な別室+祭儀室》。一見するとデーモンがいないデッキに見えますが、実は《策謀の予見者、ラフィーン》がデーモンなので、《不浄な別室+祭儀室》との相性は良好です。 とはいえ、このデッキの《不浄な別室+祭儀室》はただ単に強力なカードとして採用されています。《致命的な一押し》《思考囲い》《不浄な別室+祭儀室》はそれだけで黒いミッドレンジを成立させるほどの強さを持つカードたち。特別なシナジーなど必要としていません。   エンチャントなので《闇の中の研究者、ナシ》で拾うことができるのは美味しいですね。 時にはハンデスと除去から《不浄な別室+祭儀室》を置いて勝ったり、またある時は《闇の中の研究者、ナシ》から《策謀の予見者、ラフィーン》で大量リソースを獲得したり、《道の体現者、シィコ》で粘り強く勝ったりと、同じデッキとは思えない顔を持っているのがこの4色レジェンズ。   すぐに同じデッキに飽きてしまう方にはオススメ!     赤単ベルチャー モダンリーグ : 5-0 By  slowbro1 デッキ内の土地を0枚にして《ゴブリンの放火砲》で一撃必殺を狙うコンボデッキ、ベルチャー。 『モダンホライゾン3』で大量の表面が呪文で裏面が土地の両面ランドが登場してからモダンでメタデッキ入りを果たし、現在は大量の打ち消し呪文を採用した青単ベルチャーが主流となっています。 今回ご紹介するのは、対照的なカラーである赤単ベルチャー。   両面ランドを入れて土地を0枚にして《ゴブリンの放火砲》を打つことは同じですが、それ以外はまったく青単と異なる動きを見せるのがこの赤単ベルチャー。   青単ベルチャーが土地を毎ターン置き、《睡蓮の花》から7マナで《ゴブリンの放火砲》を決めるのに対し、赤単は《発熱の儀式》《捨て身の儀式》でマナ加速して《ゴブリンの放火砲》キャストにこぎつけます。 《ゴブリンの放火砲》と最も相性の良いマナ加速が《アイレンクラッグの妙技》。4マナで7マナを生み出す規格外のマナ加速ができる代わりに、後1回しか呪文が唱えられなくなってしまうカード。《ゴブリンの放火砲》の設置は4マナ、起動は3マナなので、なんと《アイレンクラッグの妙技》1枚で《ゴブリンの放火砲》が打ててしまうのです。 そのため、2ターンキルも現実的です。《捨て身の儀式》《発熱の儀式》《アイレンクラッグの妙技》《ゴブリンの放火砲》、この4枚だけで2ターンキルです!   これらのマナ加速は基本的に2マナで3マナを生み出すので1マナ加速にしかなりませんが、《ルビーの大メダル》があれば1マナで3マナと、2マナ増える呪文になります。2ターン目に《ルビーの大メダル》を設置すれば3ターン目にセットランドから2回儀式を打つだけで7マナになるので、やはり《ゴブリンの放火砲》で勝利。《ゴブリンの放火砲》さえ引ければ3ターンキルは容易なデッキです。 《ゴブリンの放火砲》を引くためのドロースペルは《街道筋の強奪》《苦々しい再会》《不可能の一瞥》。青単ベルチャーが《稲妻罠の教練者》《ファラジの考古学者》《発明品の唸り》を使うことを考えると、少し心もとなく感じますよね。 その点はご安心ください。《ゴブリンの放火砲》は4枚しか採用できませんが、その代わりに追加のフィニッシャーが入っています。それが《嵐鱗の末裔》です。 6マナのストーム付きのドラゴンで、更に他のドラゴンを+1/+1するので、2体並べば5/5×2、3体なら6/6×3と、ストーム2で出しても致死量です。   先ほど紹介した《街道筋の強奪》と《苦々しい再会》はただのドロースペルではなく、《嵐鱗の末裔》を意識しています。《街道筋の強奪》を2ターン目に計画すれば、3ターン目の《嵐鱗の末裔》のストームを増やせますし、《苦々しい再会》で速攻を突ければ《嵐鱗の末裔》を出したターンにゲームを終わらせられます。   《アイレンクラッグの妙技》で赤マナを7つ出し、6マナから《嵐鱗の末裔》をキャスト、余った1マナで《苦々しい再会》を生け贄にして速攻パンチは美しすぎますね。 青単ベルチャーのように妨害を採用できない代わりに、とにかく速さに特化しているのがこの赤単ベルチャーなのです。   青単には効果的な《石のような静寂》は《嵐鱗の末裔》には無力だったりと、微妙に効くサイドカードが違うのも、赤単ベルチャーの魅力です。 その代わりに《嵐鱗の末裔》のストームと《ゴブリンの放火砲》を打ち消せる《記憶への放逐》が青単に比べてかなり効きやすくなっていますが、それをしっかりと理解しており、《防御の光網》を4枚サイドに用意しています。 一度2ターンキルを味わってしまえばもう青単ベルチャーには戻れなくなるかもしれませんよ?

【今週のピックアップデッキ】アブザンピクシー/セレズニア檻/ブルードレッジ

週刊 Modern Pioneer Standard ピックアップ

2025.04.25

mtg Yuyan

こんにちは。 細川 侑也(@yuyan_mtg)です。 今週のピックアップデッキでは、ちょっと珍しいデッキを、軽い解説を交えて紹介していきます。   紹介デッキ アブザンピクシー セレズニア檻 ブルードレッジ   アブザンピクシー スタンダードチャレンジ(4/24) : 準優勝 By A_Turtle MTGアリーナ用インポートデータ 戦場に出た時に能力が誘発するパーマネントを回収して何度も再利用する、いわゆるセルフバウンス戦略は、今やスタンダードでは大人気のアーキタイプとなりました。 青いデッキなら《この町は狭すぎる》《孤立への恐怖》、白が含まれれば《養育するピクシー》に《陽光真珠の麒麟》と、青と白にそれぞれ複数のセルフバウンス系カードがあるため、すべてを贅沢に使ったエスパーピクシーだけでなく、オルゾフ・ディミーアと2色のセルフバウンス系デッキも活躍しています。 そんなセルフバウンスに、新たなカラーバリエーションが追加されました!   それがなんと白緑黒3色のアブザンピクシーです。   戻すカードはお馴染みの《養育するピクシー》《陽光真珠の麒麟》の8枚。『タルキール:龍嵐録』のおかげで青を使わなくても8枚のバウンスカードをメインに採用できるようになりました。 《陽光真珠の麒麟》と相性の良いカードと言えば《悪意ある呪詛術士》。《陽光真珠の麒麟》は実はトークンをバウンスした時に1ドローできるので、《悪意ある呪詛術士》がつける役割をバウンスすることでカードが引けてしまいます。 《悪意ある呪詛術士》は役割をすぐに剥がすことができれば1マナ3/2というハイスペッククリーチャー。そのため、どちらかと言えば相手のライフを速やかに削るアグロデッキで使いたいカードです。   そんな《悪意ある呪詛術士》と一緒に相手のライフを削るのが《遊撃サイ》。戦場に出た時に2点ドレインしつつ、自身が3/4トランプルなので、ダメージレースで優位に立てます。タフネスが4なのでイゼット系デッキに1枚で処理されにくいのも魅力。 《絶縁の僧侶》は相手の手札を攻めるカード。相手の手札を見て好きなカードを追放します。《難題の予見者》のようなカードですが、自身が離れた時に相手にカードを引かせるのではなく、トークンを生成します。どちらかと言えば手札版の《スカイクレイブの亡霊》と言ったところでしょうか。 《スカイクレイブの亡霊》を使った・使われたことがある方ならわかると思いますが、死亡時にトークンを渡すというデメリットは、実は思いの外小さいです。昨今はクリーチャーの質が非常に上がっており、ただの能力を持たないバニラクリーチャーを献上したところでさほど痛手にはなりません。 特に《絶縁の僧侶》は手札を奪っているので、最大の仕事は戦場に出た時に終わっているので、喜んで死亡時にスピリットを渡せます。 そしてなんといっても《ヤサンの街道見張り》。唱えて戦場に出た時に、カードを4枚切削し、その後墓地からマナ総量が3以下のクリーチャーを場に戻せます。4枚切削した中である必要はなく、墓地から好きなカードを選べます。 前述の《遊撃サイ》《絶縁の僧侶》を出すも良し、《養育するピクシー》《陽光真珠の麒麟》を拾えば戦場のパーマネントを使い回すことができます。   《養育するピクシー》を墓地から戻して《ヤサンの街道見張り》を回収し、再利用なんてことも可能です。 今紹介したアブザンカラーの3種はいずれも戦場に出た時の能力を持っており、実に《養育するピクシー》《陽光真珠の麒麟》で戻しがいのあるクリーチャーです。他のバウンスデッキと違い、クリーチャーを戻すのが最大バリューとなるのがこのアブザンピクシーなのです。   セルフバウンス系デッキは《逃げ場なし》で盤面に干渉し、《望み無き悪夢》で手札破壊しながら殴っていくデッキで、手札への干渉手段は比較的限られています。コンボデッキ、とりわけ全知を苦手としていましたが、《絶縁の僧侶》は相手の手札を見て好きなカードを抜けるので、対全知に強くなっています。 一方でアグロデッキに対しても決して弱くありません。《遊撃サイ》の存在が非常に大きいですね。《コーリ鋼の短刀》の影響で《削剥》が増えていたり、他に倒したい対象が《分派の説教者》しかいない現状では、《抹消する稲妻》などはほとんど採用されていません。そのため、タフネス4の場持ちが非常に良いのです。 しかも《ヤサンの街道見張り》と各種バウンスによって粘り強さも兼ね備えており、《食糧補充》を擁する青系のデッキにもリソースで負けていません。 実は全対面有利の最強デッキなのでは?そう思ってしまうほど良いデッキで、今スタンダードで最も注目のデッキと言って良いでしょう!     セレズニア檻 パイオニアチャレンジ(4/20) : 優勝 By  claudioh MTGアリーナ用インポートデータ パイオニアにおけるセレズニアカラーのビートダウンと言えば、セレズニアエンジェルかセレズニアカンパニーが定番でした。   どちらのデッキも《ラノワールのエルフ》《エルフの神秘家》から始まり、エンジェルは《輝かしい天使》《正義の戦乙女》でライフゲインしながら天使を生成し、《集合した中隊》で追加戦力をライブラリーから召集。 カンパニーは《エイヴンの阻む者》《エメリアのアルコン》《スカイクレイブの亡霊》と様々なクリーチャーを展開して、やはり《集合した中隊》によって押し切る。 いずれのデッキもマナクリから2ターン目に3マナ域を展開し、《集合した中隊》を打つデッキです。 しかし、このセレズニア檻は同じ白緑のビートダウンながら、全く動きが異なります。   《ラノワールのエルフ》《エルフの神秘家》を使うことだけは同じですが、そこから展開する3マナ域が《砂嵐の回収者》《血滾りの福音者》《脚当ての補充兵》(新生)と独特のラインナップ。 これらの3枚に共通することと言えば1つ。そう、トークンです。   トークンと言えば『タルキール:龍嵐録』で登場した《嵐の討伐者、エルズペス》。出るトークンが倍になる常在型能力を持ち、プラスでトークンを生成し、マイナスすれば全体強化。トークンデッキのためのプレインズウォーカーです。《脚当ての補充兵》のトークンが増えるのはヤバすぎますね。 《ミストムーアの大主》も入っているため、かなりトークンが並ぶこのデッキ。そしてクリーチャーが並べば一撃必殺の《孔蹄のビヒモス》が控えています。 とはいえ、《孔蹄のビヒモス》は8マナとかなり重く、マナクリが大量に入っているとはいえ、唱えるのは容易ではありません。そこで活躍するのがデッキ名にもなっている《収集家の檻》。 1マナでクリーチャーに+1/+1カウンターを置くまずまずの能力を持っていますが、その後パワーが異なるクリーチャーを3体以上コントロールしていたら、秘匿していたカードをタダで唱えられるオマケつき!《孔蹄のビヒモス》をたった1マナで唱えることができるのです。   《ミストムーアの大主》はトークンを生成するだけでなく、《収集家の檻》の秘匿から踏み倒すのにも便利なクリーチャー。更に土地でもある《エメリアの呼び声》も《収集家の檻》から3~4ターン目に唱えれば凄まじいプレッシャーになるため、さほどデッキの形を歪めることなく、秘匿でハイバリューを叩き出すことに成功しています。素晴らしいデッキ構築ですね。 《収集家の檻》の秘匿条件を達成するのはさほど難しくありません。《脚当ての補充兵》《血滾りの福音者》《砂嵐の回収者》はそれぞれ自身とパワーの異なるトークンを生成してくれますからね。この辺りも実によく考えられています。 カンパニーデッキと違い、3マナ以下のクリーチャーの数にこだわる必要がないので、様々なゲームプランを展開できるのも強みです。《跳ねる春、ベーザ》と《ポータブル・ホール》を入れて赤アグロに耐性をつけており、これはカンパニーにはできないサイドプランです。 最近元気のないセレズニアですが、パイオニアで再び輝く時が来たかもしれません!     ブルードレッジ モダンリーグ : 5-0 By  MahfuzVanGogh 『ラヴニカ:ギルドの都』が登場した2005年以降、たびたび世間を賑わせているドレッジというデッキ。   ドローする代わりに墓地から発掘を宣言すると、その枚数だけライブラリーを切削し、該当の発掘カードを回収することができます。これによって大量に墓地にカードを溜めて、墓地から唱えられるカードたちで勝利する。それがドレッジです。 発掘6を持つ《ゴルガリの墓トロール》は下環境で長年大暴れし続け、墓地対策をすべてのデッキに標準装備させました。その凶悪さからモダン制定と同時に禁止され、一度解禁されましたが、その後再投獄となり、唯一の禁止→解禁→禁止を経験したカードでもあります。 当初、ドレッジは発掘を行うデッキのことを指していましたが、その後自分のライブラリーを切削して勝利を目指すデッキがドレッジと呼ばれるようになり、最近でもプロツアー・シカゴでゴルガリドレッジが活躍していました。 今回ご紹介するドレッジはというと、しっかり発掘カードを採用した本家ドレッジです。   実はドレッジは《信仰無き物あさり》の解禁によって復活するのではないか?と一部のマニアたちからは注目されていました。 しかし、このドレッジには《信仰無き物あさり》は採用されていません。なんと青黒の2色でまとめているのです。   まず切削する手段からです。発掘カードは《ゴルガリの凶漢》《臭い草のインプ》《暗黒破》の合計11枚。《暗黒破》は発掘3と控えめですが、《オセロットの群れ》《敏捷なこそ泥、ラガバン》を倒せるため、エネルギーに少し強いのが嬉しい。 ドレッジの定番だった《叫び角笛》は採用せず、スペルは《異世界の凝視》と《秘本掃き》。《異世界の凝視》は1マナで3枚しか削れませんが、フラッシュバックがあるため、合計6枚削れますし、切削のついでに落ちてくれるので、継続してライブラリーを掘り進められます。 従来のドレッジは墓地に発掘カードを落とし、そこからドロースペルを手札から打って発掘を連鎖させていました。《信仰無き物あさり》《安堵の再会》ですね。特に《安堵の再会》は2枚捨てて3枚引くため、発掘と相性抜群です。このカードがあるからこそ、ドレッジに赤を入れないことなど考えられませんでした。 しかし、実は今回『タルキール:龍嵐録』でとあるカードを手に入れて、ドレッジはついに赤と決別を果たすことに成功していました。   それが《冬夜の物語》! このカードは墓地からも唱えられる3枚ドロー。しかもパワー3のクリーチャーがいれば2マナで唱えられるため、《安堵の再会》を墓地からプレイしているようなものなのです。   《安堵の再会》は確かに強力ですが、手札になければ使用できません。ドレッジというデッキは1回発掘を始めたら後は通常ドローを行わずに常に発掘でライブラリーを掘りたいため、《安堵の再会》を引くチャンスは多くありません。   そのため、墓地から使用できる《冬夜の物語》は想像以上にデッキを強化しています。しかも同じ墓地から唱えられる《アゴナスの雄牛》と違って引いてから捨てるので、再び墓地に発掘カードを溜めることができ、次のターンも発掘を再開できます。《アゴナスの雄牛》は発掘カードが手札に来てしまうので、たまに発掘に困ってしまう場合がありました。 《冬夜の物語》によってこのドレッジは全く別の動きをするようになりました。1ターン目に《秘本掃き》を打ち、そこに《臭い草のインプ》が見つかれば、後の手札が全部使い物にならなくても勝ててしまう可能性があります。 1.《秘本掃き》で《臭い草のインプ》が落ちる。2.次のターンの発掘5で《ナルコメーバ》+《秘蔵の縫合体》or《這い寄る恐怖》+《銀打ちのグール》のいずれかの組み合わせ+発掘カード+《冬夜の物語》が落ちる。3.墓地から《冬夜の物語》を唱えて3ドロー分の発掘を行う。4.墓地に《秘蔵の縫合体》や《銀打ちのグール》が落ち、場に戻って勝利。 と発掘の落ち次第では《秘本掃き》1枚からだけでこのような展開が作れます。   《冬夜の物語》が加わり墓地から切削できる手段が増えたことで、デッキの安定性が大幅に向上したのです。 《セファリッドの円形競技場》もドレッジには欠かせないカードです。赤を使った3~5色なら複数枚採用するのは厳しいですが、青黒2色なら4枚採用できます。切削手段がない状態からでも《セファリッドの円形競技場》から発掘を始めて《冬夜の物語》に繋がったりしますし、この土地を4枚入れられるのは本当に大きいですね。 青黒2色のため、サイドボードには《海の先駆け》を採用できるのもポイント。第3章で《魂標ランタン》をサーチされてしまう《ウルザの物語》も安心です。 久しぶりに回してみたくなるような素晴らしいリストで、ドレッジ大好きな僕は心が躍っています!

【今週のピックアップデッキ】ラクドスリアニメイト/白単トークンコントロール/イゼットフェニックス

週刊 Modern Pioneer Standard ピックアップ

2025.04.18

mtg Yuyan

こんにちは。 細川 侑也(@yuyan_mtg)です。 今週のピックアップデッキでは、ちょっと珍しいデッキを、軽い解説を交えて紹介していきます。   紹介デッキ ラクドスリアニメイト 白単トークンコントロール イゼットフェニックス   ラクドスリアニメイト スタンダードリーグ : 5-0 By Apeliotes MTGアリーナ用インポートデータ 巨大なクリーチャーを墓地に落として軽いリアニメイト呪文で戦場に吊り上げるデッキ、リアニメイト。 最強のリアニメイト呪文である1マナの《再活性》は今もレガシーで猛威を振るい続けており、モダンでは《御霊の復讐》が活躍しており、下フォーマットでは今も人気の戦略です。 そんなリアニメイトがスタンダードにも登場しました。   肝心の吊り上げる呪文は最近スタンダードに帰ってきた《ゾンビ化》。4マナで墓地からクリーチャーを戦場に戻すシンプルなソーサリー。以前スタンダードで再録された時もリアニメイトで活躍しており、《ゾンビ化》がある環境ではいつもリアニメイトが成立しますね。 《ヴァルガヴォスの崇拝者》は《ゾンビ化》を内蔵するクリーチャー。出してそのまま生け贄にするには5マナかかりますが、事前に戦場に出ていれば《ゾンビ化》です。《呪文貫き》《否認》などを避けられるリアニメイトスペルなので、青い相手のサイド後は重宝しますね。 さて、デッキの主役となるファッティたちをご紹介しましょう。   まずはスタンダードからヴィンテージまで使われている最強のリアニメイト先、《偉大なる統一者、アトラクサ》。 墓地からクリーチャーを吊り上げるには、カードを捨てて、それを墓地から戦場に戻すという2つの工程が必要で、当然それぞれのためにカードを費やします。そのため、戦場に出てくるクリーチャーが出しただけで勝つほどのサイズや能力を持っているか、失ったリソースを回復できるか、いずれかでなければなりません。   《引き裂かれし永劫、エムラクール》は前者です。戦場に出ても特にカードをもたらしてくれませんが、一撃で相手を投了に追い込む力があります。 かつてこの両方を担っていたのが《グリセルブランド》でしたが、ライフが少ない状態では7枚のカードを引けず、除去されて何も起きずに敗北することもしばしばありました。 その点、《偉大なる統一者、アトラクサ》はリアニメイトされるクリーチャーとしての条件を満たす完璧なクリーチャーです。 7/7で絆魂・警戒と攻守に渡って優れたサイズと能力を持ち、上から10枚を見て各タイプを1枚ずつ手札に加えられる、驚異的なリソース補充量。スタンダードでリアニメイトが成立するのは、《偉大なる統一者、アトラクサ》がまだ残っているからといっても過言ではありません。   第二の釣り先となる《原初の征服者、エターリ》は戦場に出た時はほぼ能力がないようなカードですが、お互いのライブラリートップを土地以外のカードが出るまで追放し、それらのカードをタダでプレイできます。 《ミストムーアの大主》が入っているような相手には強力ですし、自分のライブラリーから《偉大なる統一者、アトラクサ》などがめくれることもあるため、リアニメイトデッキとの相性が良いカードです。   そして《恐怖を喰うもの、ヴァルガヴォス》。こちらは9/9、飛行・絆魂と凄まじいサイズに、強力な護法能力がついています。パーマネント3つの生け贄はかなり重く、除去するのは非常に難しい。 更に能力も強烈。墓地に送られるカードを追放し、その追放されたカードをマナの代わりにライフで唱えられます。自身が9/9絆魂なので、ライフを支払って相手のカードを使い、攻撃によって失ったライフを補填します。大抵はこのカードが除去できなかった時点でゲームセットとなりますね。   このように、リアニメイト先はどれもが超一流です。   リアニメイトスペルとファッティが揃い、後必要なのは……そう、墓地に落とす手段。このデッキはそれも一流揃いです。   様々なデッキで使われている《逸失への恐怖》は当然ながら、赤単でも活躍中の《光砕く者、テルサ》は非常に面白いチョイス。墓地にクリーチャーを落とす手段でありながら、リソースにもなる可能性があるのです。もちろん釣り先となるカードが追放されてしまう可能性もありますが。 《ベイルマークの大主》はライブラリーから直接クリーチャーを墓地に落とします。《ヴァルガヴォスの崇拝者》を拾えるので、釣り先と釣り竿の両方を《ベイルマークの大主》1枚で揃えることもできますね。 《ヴェールのリリアナ》に《苦々しい勝利》と、手札を捨てられる除去も採用されており、カードを捨てることには困らないでしょう。 ド派手な戦略がお好きな方はぜひお試しあれ。     白単トークンコントロール パイオニアチャレンジ : 優勝 By  McWinSauce MTGアリーナ用インポートデータ かつてスタンダードを賑わせていた《世話人の才能》。 トークンが出るたびに1ターンに1回カードを引き、トークンをコピーし、最終的にはトークンを全体強化する。まさにトークンデッキのためのカード。   白はトークンを出して強化する手段に優れており、《婚礼の発表》は毎ターントークンを作りながら、最終的にはクリーチャーを全体強化する《栄光の頌歌》になります。 『タルキール:龍嵐録』では、トークンデッキのためのカードがまた登場しました。   それが《嵐の討伐者、エルズペス》です。 トークンが2倍生成される常在型能力に、プラスはトークン生成。0で全体強化を行い、マイナスで全除去もついている、トークン使いたちが夢にまで見たカード。   かつてのトークンデッキが《嵐の討伐者、エルズペス》の常在型能力しか持たない《選定された行進》を使っていたことから考えると、凄まじい進化ですね。 《団結の最前線》も『タルキール:龍嵐録』から加入した新カード。 3マナ以下のクリーチャー・土地以外のパーマネントを2枚場に出すこのカード。除去を《ポータブル・ホール》などのパーマネントにしており、トークンを生成するカードの多くはエンチャントなため、非常に当たりが多く、1枚で膨大なアドバンテージを生み出します。 そしてパーマネントが多いということは……そう、《空を放浪するもの、ヨーリオン》のバリューが凄まじいのも魅力。《団結の最前線》でめくれたカードたちが《空を放浪するもの、ヨーリオン》によって更に再利用されるので、各英雄譚は誘発し、《放浪皇》はトークンを生み出し、《世話人の才能》が再び誘発します。 大量のドローと《空を放浪するもの、ヨーリオン》、更にトークン戦略と揃っているこの白単トークンは、パイオニアでずっと最強のデッキとして君臨し続けていた《思考囲い》《鏡割りの寓話》デッキに非常に有利なデッキです。 赤系アグロに対してもそれなりに有利なデッキで、勝てない相手はコンボぐらいでしょうか。ロータスコンボだけはお手上げになりそうですね。   そのためサイドボードには《真昼の決闘》が採用されています。ロータスコンボを見るなら《減衰球》ですが、《ニクスの祭殿、ニクソス》の相性を考慮してのことなのかもしれません。 そもそもロータスコンボは構造上無理だと割り切っている可能性もありますね。《真昼の決闘》はロータスコンボにはイマイチですが、イゼットフェニックスには効果的です。《減衰球》がイゼットフェニックスに微妙なことを考えると、《真昼の決闘》の採用も納得できます。 デッキ相性差が非常に極端な白単コントロール。強い相手にはとことん強く、再現性も高いデッキなので、メタが合った時には無双間違いなしですね。手札破壊に長年苦しめられた方は回してみてください。     イゼットフェニックス モダンリーグ : 5-0 By  Allaire74 今ではすっかりパイオニアの顔となっているデッキ、イゼットフェニックス。 実は《信仰無き物あさり》が禁止されるまでは、モダンで一線級のデッキでした。《信仰無き物あさり》解禁直後に姿を見かけ、最近ではまた消えかかっていましたが、『タルキール:龍嵐録』で1枚のカードを得て今回見事にリーグで5-0を達成しました。 そのカードとは《コーリ鋼の短刀》。 説明不要の『タルキール:龍嵐録』最強カード。呪文を1ターンに2回唱えると果敢を持つモンクを生成するこの装備品。当然、3回の呪文を唱えると墓地から帰ってくる《弧光のフェニックス》との相性は良好です。 《弧光のフェニックス》を復活させるために呪文を3回唱えるということは、モンクが生成されるということで、果敢自体も3回行われます。先に1体でもトークンが出ていれば4/4で、新しいモンクは3/3。そして《弧光のフェニックス》と合わせて一気に10点が入ります。   その《弧光のフェニックス》を墓地に落とす手段は、前述の《信仰無き物あさり》と《ドラゴンの怒りの媒介者》。 非クリーチャー呪文を唱えるたびに諜報し、昂揚後は3/3飛行と破格の1マナ域。デッキ内のほとんどのカードが1マナ以下のスペルなので、ライブラリーを掘り進めて《弧光のフェニックス》を引き当てにいきます。   《弧光のフェニックス》を戦場に戻すために一役買うのは《魔力変》と《溶岩の投げ矢》。いずれも2ターン目に呪文を3回使える可能性のあるカードです。 《コーリ鋼の短刀》の条件を満たすためにこれらのカードはイゼット果敢でも採用されていましたが、1ターンに2回という条件が簡単なので、どうせなら後1回唱えて《弧光のフェニックス》を帰してみようと考えて、イゼットフェニックスを組んでみたのかもしれませんね。 果敢デッキは本来除去が非常に苦手なデッキです。継続して果敢を達成するためにデッキに入っているカードの多くはキャントリップや軽い火力なため、ダメージソースであるクリーチャーを倒されてしまうと、相手のライフを削りきれません。 その弱点を解消したのが《コーリ鋼の短刀》だったのですが、《弧光のフェニックス》が加わり、除去耐性に磨きがかかりました。《ドラゴンの怒りの媒介者》《僧院の速槍》のために除去ハンドをキープしてきた相手に《コーリ鋼の短刀》と《弧光のフェニックス》で殴りかかるのは快感ですね。 このリストには採用されていませんが、《表現の反復》もありますし、リソース面の不安もイゼットカラーは解消できます。 パイオニアでイゼットフェニックスを使っている方は、これを機にモダンに参入してみてはいかがでしょうか?一味も二味も違って楽しいですよ!

【今週のピックアップデッキ】イゼット果敢/ウモーリソーサリー/ジェスカイスペル

週刊 Modern Pioneer Standard ピックアップ

2025.04.11

mtg Yuyan

こんにちは。 細川 侑也(@yuyan_mtg)です。 今週のピックアップデッキでは、ちょっと珍しいデッキを、軽い解説を交えて紹介していきます。   紹介デッキ イゼット果敢 ウモーリソーサリーコントロール ジェスカイスペル   イゼット果敢 スタンダードリーグ : 5-0 By DB_YungDingo MTGアリーナ用インポートデータ スタンダードの赤いアグロと言えば、パイオニアすら席巻している《心火の英雄》《多様な鼠》《熾火心の挑戦者》の3種のハツカネズミを使うのが定番。いや、それどころか使わないデッキなど存在しないレベルです。 が、今回紹介するイゼット果敢は赤青でありながら、ハツカネズミを1枚も採用していません!このデッキのコンセプトは、その名前の通り、果敢です。   今更説明するまでもないですが、果敢はクリーチャー以外の呪文を唱えた時に、一時的にサイズが上がる能力。そのためデッキ内の非クリーチャー呪文は多ければ多いほどいいのです。   入っているクリーチャーはたった2種類。果敢クリーチャーの代名詞とも呼ぶべき《僧院の速槍》と《精鋭射手団の目立ちたがり》のみです。 《精鋭射手団の目立ちたがり》は果敢は持たないものの、持っている能力は果敢より強力。1回の呪文でパワーが2上がり、更に自身を計画しておくことで、フルで呪文を使って《精鋭射手団の目立ちたがり》のサイズを引き上げられます。 この果敢2種に加わるのが、クリーチャーではない果敢持ち。《嵐追いの才能》。 《この町は狭すぎる》とのコンボでスタンダードで大活躍するクラスエンチャントですが、今回は単体で採用。非クリーチャー呪文でありながらしっかり1マナの果敢クリーチャーが場に出るので、果敢と相性が良いのがグッドですね。   レベルアップした際には火力や《食糧補充》を拾うことができ、《僧院の速槍》より強い場面も多々あります。   そして最後のクリーチャー枠は新カード。こちらはなんと装備品の《コーリ鋼の短刀》です。 装備クリーチャーに+1/+1速攻とトランプルを付与する装備品……というのはオマケ能力。重要なのはその下の長いテキストです。   1ターンに呪文を2回唱えた時に果敢を持つトークンを生成し、それにこの装備品をつけることができる。とんでもないことが書いてあります。   3ターン目に《コーリ鋼の短刀》から《稲妻波》を本体に打つと果敢トークンが出てきて2点の速攻アタック。次のターンに呪文を2回唱えれば、先に出ていた果敢トークンのサイズが上がりつつ、新しいトークンと一緒に攻撃します。   毎ターントークンを生成する2マナのカードは《苦花》と呼ばれることが多いですが、《苦花》を余裕で超えてくる性能です。 問題は1ターンに2回の呪文を唱えられるかどうかですが、その点を解決するのが青。《嵐追いの才能》のためだけに青が入っているわけではないのです。   《手練》は呪文カウントを稼ぎながら次の火力を探しにいく呪文ですし、なんといっても4枚採用の《食糧補充》が、継続的に《コーリ鋼の短刀》を誘発させてくれます。 相手のライフが少なければ《稲妻波》などの火力呪文、盤面に触りたければ除去、更にリソースを稼ぎたければ《嵐追いの才能》(を出してレベルアップで《食糧補充》を回収)などなど、臨機応変に勝利への道を示してくれます。 これまでの果敢デッキはクリーチャー除去に非常に弱かったのですが、《コーリ鋼の短刀》は除去を構えている相手を嘲笑うような能力です。   果敢軍団による気持ちの良いビートダウン、一度試せば病みつき間違いなし!     ウモーリソーサリーコントロール パイオニアリーグ : 5-0 By  DB_BFG MTGアリーナ用インポートデータ 『イコリア:巨獣の棲処』で登場した超問題児、相棒。   特定の条件でデッキを組むことで、相棒カードを相棒に指定することができ、各ゲーム中に3マナを支払うことで手札に加えられるカードです。   つまり、指定した相棒は確実に手札に加えることができるので、その相棒を前提にしてデッキを組めるというわけです。   最強の相棒、《夢の巣のルールス》はビートダウンのフィニッシャーとして使われました。除去をすべて使わせて、最終的に《夢の巣のルールス》を着地させてそのリソースだけで勝利。このゲームプランを1枚で、そして確実に作れるのが《夢の巣のルールス》が最強と言われる所以。 一方能力をほぼ使うことはないのが《湧き出る源、ジェガンサ》。単に確実に手札に加えられる5マナ5/5としてビートダウンを中心に多くのデッキに採用されていました。《夢の巣のルールス》と比べるとかなり弱いですが、それでもパイオニア・モダンで禁止されるほど。 モダンでのみ禁止されている相棒、《空を放浪するもの、ヨーリオン》は能力を使用することを前提に採用されている相棒。《夢の巣のルールス》に近いカードですね。戦場に出た時に能力を誘発させるパーマネントを多数採用したり、《豆の木をのぼれ》を《空を放浪するもの、ヨーリオン》で誘発させるなど、デッキ外のカード1枚から大量のアドバンテージを獲得して勝利することをコンセプトにしています。 今回ご紹介する相棒も、デッキコンセプトとなる1枚。   《集めるもの、ウモーリ》です! 初めてこの相棒を見たという方も多いのではないでしょうか?その相棒条件は、デッキ内に入っている土地以外のカードが、共通のカード・タイプを持っていることです。   たとえばクリーチャーがデッキに入っていたら、ソーサリーやインスタントをデッキに入れることはできません。インスタントがデッキに入っていたら、ソーサリーもクリーチャーも使えません。   そんな超強烈な制限をデッキにつけてくる可愛い相棒です。   その肝心の《集めるもの、ウモーリ》の能力は、戦場に出るに際し、カード・タイプを1つ選び、そのタイプの呪文がすべて1マナ軽くなるというもの。クリーチャーだけのデッキに入れれば、《集めるもの、ウモーリ》が戦場にいる間はデッキ内のすべてのカードがコスト軽減されることになります。 そして《集めるもの、ウモーリ》で指定するタイプは……ソーサリー!このデッキにはソーサリー以外のカードが1枚も入っていません。   パイオニアで最強のソーサリー《思考囲い》は当然入ります。《集めるもの、ウモーリ》で軽くなることはありませんが、そもそも1マナなので問題ありません。 ソーサリーは全体除去も得意なので、《絶滅の契機》《死人に口無し》とたっぷり採用されています。《絶滅の契機》は奇数を宣言すれば《集めるもの、ウモーリ》を戦場に残せますね。 面白いのが《中止+停止》。分割カードの片方がソーサリーなので、《集めるもの、ウモーリ》の相棒条件を満たしながらインスタントを採用できます。《集めるもの、ウモーリ》下なら1マナで墓地を追放しながらゲイン&ドローと中々の性能。 ソーサリーはインスタントより派手な能力が多いので、フィニッシャークラスも多数あります。《絶望招来》はその中でも苦い思い出がある人も多いでしょう。《絶望招来》を打つと《絶望招来》を引くので、連鎖して一瞬でゲームが終わります。これも《集めるもの、ウモーリ》で4マナに。 《詰め込み期間》は派手さこそありませんが、良い仕事をするいぶし銀カード。 《集めるもの、ウモーリ》が出ていれば1マナで4点ゲインしつつ、サイドボードから《マスコット展示会》をサーチしてフィニッシュに向かったり、除去やエンチャント・アーティファクト破壊など、状況に応じてカードを引っ張ってきます。 ソーサリーのみの厳しい条件下ながら、このウモーリコントロールはしっかりとコントロールとして成立しており、何よりデッキリストが非常に美しい!   昔《集めるもの、ウモーリ》を相棒に指定してインスタントだけでコントロールデッキを組んでいた僕としては、仲の良かった小学校時代の同級生と再会したような気持ちになりましたね。   少し変わったコントロールがお好きな方はぜひ《集めるもの、ウモーリ》を買ってみてください。     ジェスカイスペル By Aspiringspike 《死の国からの脱出》がモダンで禁止となりましたが、元々《死の国からの脱出》《研磨基地》のコンボ自体は2020年から使えました。 脱出基地がモダンで禁止級の強さと言われ始めたのは今年なので、5年間はモダンで鳴りを潜めていたということになります。   それがなぜ急にここまで暴れたのか?その原因はやはり《オパールのモックス》にあるでしょう。 《モックス・アンバー》と合わせてモックス8枚体制となり、1ターン目から《湖に潜む者、エムリー》+《知りたがりの学徒、タミヨウ》のようなめちゃくちゃな動きを可能にしてしまったことで、《死の国からの脱出》はモダンで許されないカードとなったのです。 そんな《オパールのモックス》《モックス・アンバー》をフル活用した新たなデッキがこのジェスカイナーセット!   《ジェスカイの道師、ナーセット》はこのデッキの主役。終了ステップの開始時に、手札をすべて捨てることで、このターンに唱えたカードの枚数分、ドローできます。 《オパールのモックス》《モックス・アンバー》《ミシュラのガラクタ》と0マナ満載のこのデッキでは、とりあえず気軽に3~4枚引けます。1ターンの間に呪文をたくさん唱えたいなら、モックス以上に相性が良いカードはありませんね。   同じ『タルキール:龍嵐録』から加入したジェスカイの3マナ域《担炎の闘士》も中々の性能。3マナと少し重いですが、次に唱える呪文をコピーしてくれます。パーマネントならコピーが戦場に出るので、《コーリ鋼の短刀》のコピーが現れたり、《ミシュラのガラクタ》が増えてリソースを獲得することも。 この2種のクリーチャーがどちらも3マナ域なので、相性の良い《救いの手》が採用されています。2種の3マナ域を1マナで釣り上げた時のバリューは計り知れません。 特に墓地から《担炎の闘士》を吊り上げる→手札から《担炎の闘士》を唱えると、《担炎の闘士》がコピーされるため、その次に唱える呪文が2つコピーされ、わけのわからないことになります。手札から《担炎の闘士》を2回唱えるのは難しいですが、1枚が《救いの手》なら合計4マナなのでさほど難しくはありません。 そしてスタンダードでもご紹介した《コーリ鋼の短刀》はこのデッキでも獅子奮迅の活躍を見せます。2種のモックスに《ミシュラのガラクタ》と果敢を満たすカードは大量にありますし、2ターン目に《コーリ鋼の短刀》から0マナアーティファクトで即座に攻撃も仕掛けられます。 アーティファクトなので《湖に潜む者、エムリー》から出せますし、《オパールのモックス》《感電破》の金属術も満たせるなど、能力だけでなくカード・タイプもデッキと噛み合っています。このカード、本当にすごい! 《ジェスカイの道師、ナーセット》によって毎ターン大量にカードを引いて、それらのカードで《コーリ鋼の短刀》を誘発させ続けて殴りきる。単純明快ながら、その動きはとても面白く、回しているところを見ただけでこのデッキの虜になってしまいました。   非常に面白いデッキですし、《コーリ鋼の短刀》はもちろん、《ジェスカイの道師、ナーセット》にもかなりの可能性を感じました。 この2枚の組み合わせは今後も見ることになるのではないでしょうか。そう思わせてくれるほど美しいデッキです!

【今週のピックアップデッキ】ディミーアコントロール/エスパーレジェンズ/純鋼ストーム

週刊 Modern Pioneer Standard ピックアップ

2025.03.14

mtg Yuyan

こんにちは。 細川 侑也(@yuyan_mtg)です。 今週のピックアップデッキでは、ちょっと珍しいデッキを、軽い解説を交えて紹介していきます。         紹介デッキ ディミーアコントロール エスパーレジェンズ 純鋼ストーム   ディミーアコントロール スタンダードチャレンジ : 7位 By TheSandwichKing MTGアリーナ用インポートデータ 現在のスタンダード環境は、エスパーピクシーに各種赤アグロとアグロ全盛期。 とはいっても、ミッドレンジとしてはズアーやゴルガリ、コンボならアゾリウス全知と、どのアーキタイプもメタ上位に存在しています。 一方コントロールデッキはというと、一時は死んでいるとまで思われていたのですが、プロツアー『霊気走破』で活躍し、今ではメタの一角にまで上り詰めました。   それがアゾリウスコントロール。リソース源として《食糧補充》を採用し、打ち消しを少し入れ、除去は《審判の日》、フィニッシャーには《完成化した精神、ジェイス》と、古典的なドロー・全体除去・フィニッシャーのアゾリウスコントロールです。 ここまで読んでお気づきになった方もいるのではないでしょうか?   実はこの青で打ち消してドローして、白で全体除去を打ち、フィニッシャーを叩きつける。この動きは青白だけでなく、青黒でもできてしまうのです!   というか、除去に関しては白より黒の方が良質です。白の2マナの除去は《全損事故》と、タップ状態のクリーチャーにしか使用できませんが、黒ならば問答無用で破壊する《喉首狙い》に《悪夢滅ぼし、魁渡》にも触れる《シェオルドレッドの勅令》、更に1マナの《切り崩し》とよりどりみどり。 《全損事故》はやはりタップ状態のクリーチャーにしか打てないのはかなりのデメリットです。構えていることが見え見えなので、相手はケアして攻撃しないことが容易ですし、《逸失への恐怖》などのシステムクリーチャーにも触りづらい。《喉首狙い》なら先手2ターン目に構えて、相手が出してきた2マナクリーチャーを破壊し、自分のターンで安全に《食糧補充》を打てますからね。 《審判の日》こそ青黒にはありませんが、その代わりに《死人に口無し》を採用できるのはむしろ良いことかもしれません。ただの全体除去である《審判の日》と違い、《死人に口無し》は証拠収集で墓地のカードをライブラリーからすべて抜けるので、アゾリウス全知から《全知》をすべて抜くなど、本来全体除去が効かないマッチでも機能する、素晴らしい全体除去なのです。 打ち消しは少し青白には劣ります。何せ青白には《喝破》がありますからね。コントロールフリークが十年以上も再録を待っている《マナ漏出》の上位互換を青白に与えるなんてずるいですよね。 とはいえないものは仕方ないので、《否認》《三歩先》でなんとか打ち消し枠を埋めています。   《強迫》は青黒だけの強み。事前に《豆の木をのぼれ》を抜いてしまえば実質打ち消しのようなものですし、赤アグロに対しても《巨怪の怒り》などを抜きつつ、手札を見ることでプレイがしやすくなるので、使いやすいカードです。 そしてなんといっても《油浸の機械巨人》!このカードはディミーアコントロールを語る上で欠かせません。 コントロールが求めるサイズの大きな絆魂。エスパーピクシーの《逃げ場なし》に耐えつつ、《この町は狭すぎる》で戻されても、出し直して手札破壊として使用できるので、特に青黒バウンス系のデッキに強いカードです。 もちろん、赤アグロに対しても強力です。手札を見て1枚を抜けるので、《巨怪の怒り》などがないかをチェックしつつ、《魔女跡追いの激情》を抜いて安心してブロッカーとして立たせられます。   青白の《激浪の機械巨人》はコントロールに採用しづらい能力ですが、《油浸の機械巨人》はぴったり。4枚目も検討したくなりますね。   《油浸の機械巨人》が入ったとはいえ、フィニッシャーが《完成化した精神、ジェイス》である点は変わりません。青白も青黒もフィニッシャーが《完成化した精神、ジェイス》になったのは、決してズアーを意識した結果ではありません。 現在のスタンダードにはコントロールで採用できる絶対的なフィニッシャーがいないため、《完成化した精神、ジェイス》を大量に採用しているのです。   絶対的なフィニッシャーとは、生き残るだけでゲームに自動的に勝ったり、速やかにゲームを終わらせられる性能を持つ重いカードです。たとえば《ドミナリアの英雄、テフェリー》は、出してカードを引いているだけでゲームに勝利しますし、《船砕きの怪物》は呪文がすべて通らなくなり、ブロッカーはバウンスされ、7/8がすぐにライフを削り切ります。他には《夢さらい》などでしょうか。 今のスタンダードには、このレベルの強さのフィニッシャーはいません。そこで2枚引けば大体の状況でゲームに勝てて、相手の除去も受けることのない《完成化した精神、ジェイス》が採用されることとなったのです。   エスパーピクシーや赤アグロ相手にもコントロール側は《完成化した精神、ジェイス》をフィニッシャーとします。適当に重いフィニッシャーを出して4回殴るより、《完成化した精神、ジェイス》を複数枚出して相手のライブラリーを削りきる方が簡単なのです。   コントロールデッキを調整する時、まず減らしがちなのが《完成化した精神、ジェイス》だと思いますが、少なくともメインでは4枚の《完成化した精神、ジェイス》を使った方が良いと思います! アゾリウスコントロールに続いてディミーアコントロールも登場し、いよいよスタンダードのコントロールにもバリエーションが生まれました。   環境が成熟していくほど強くなるコントロール、ここからの成長に期待です。     エスパーレジェンズ パイオニアリーグ : 5-0 By  Heilagur MTGアリーナ用インポートデータ 長きにわたってスタンダードで活躍し続けた《策謀の予見者、ラフィーン》。パイオニアでその力を見せつける時がついにやってきました。 エスパーパルへリオンなど、ディスカード手段として採用されることはあったものの、《策謀の予見者、ラフィーン》がメインになるデッキはこれまでパイオニアには存在しませんでしたが、このデッキはエスパーレジェンズ!主役はもちろん《策謀の予見者、ラフィーン》です。   さて、このデッキはレジェンズの名の通り、エスパーカラーの伝説のクリーチャーで構成されています。   1マナ域は良質なサイズの《アクロスの英雄、キテオン》と、クリーチャーを守る《離反ダニ、スクレルヴ》。どちらも定番の強力な伝説たち。 2マナ域の2種はどちらも青黒で、少し珍しいカードが並んでいます。   スタンダードでも使用可能な《闇の中の研究者、ナシ》はリソースを獲得するクリーチャー。こちらは攻撃が通った際に伝説のカードやエンチャントを切削した中から加えられます。このデッキには伝説のパーマネントとエンチャントがたっぷり入っているので、攻撃が通るだけで一気に2~3枚のカードを得られることも。 《顔を繕う者、ラザーヴ》は攻撃するたびに墓地を追放して手がかりを生み出す、こちらもリソースが取れるクリーチャーです。更に手がかりを生け贄に捧げることで、《顔を繕う者、ラザーヴ》を追放したクリーチャー・カードのコピーにできるので、墓地に落ちた《策謀の予見者、ラフィーン》などになることができます。 ただ、それだけでは《顔を繕う者、ラザーヴ》の力は半分しか引き出せていません。《老いざるメドマイ》によってその真価を発揮します。 《老いざるメドマイ》は初めて見た方も多いかもしれません。プレイヤーに戦闘ダメージを与えると追加ターンを獲得し、追加ターン中には攻撃できないこのカード。6マナと通常プレイは重いこの伝説のスフィンクスが、《顔を繕う者、ラザーヴ》と組み合わさってコンボになります。   《顔を繕う者、ラザーヴ》で《老いざるメドマイ》を追放し、手がかりを生成してそれを生け贄にして《顔を繕う者、ラザーヴ》が《老いざるメドマイ》になると追加ターンを得ます。   そして追加ターン中は《顔を繕う者、ラザーヴ》は当然攻撃可能となり、再び墓地を追放して手がかりを出し、それを生け贄にして再び《老いざるメドマイ》になり、また追加ターンを獲得。つまり、墓地にカードがある限り、追加ターンがずっと続くことになります。 さて、そもそもエスパーレジェンズで組む意義はなんでしょうか?スタンダードでは3色をすべてアンタップインで出すために《英雄の公有地》を採用する必要があり、そのためにレジェンズでした。しかしパイオニアでは《闇滑りの岸》などのファストランドと《神無き祭殿》をはじめとしたショックランドが使えるため、《英雄の公有地》頼りではありません。 ならばなぜレジェンズにこだわるのか?それは《モックス・アンバー》です。掟破りの0マナファクトによる爆発的な展開が可能になるのが、エスパーレジェンズ最大の魅力!《アクロスの英雄、キテオン》から2ターン目に《策謀の予見者、ラフィーン》なんてことも容易にできてしまうのです。 《戦闘研究》も忘れてはいけません。普通に使うだけで《好奇心》ですが、エンチャント先が伝説なら+1/+1に護法(1)と超破格! 加えて呪禁付与の《破片魔道士の救出》に対赤アグロの最終兵器《幽霊による庇護》と、クリーチャーを守ることに徹底しているのがこのエスパーレジェンズ。《離反ダニ、スクレルヴ》も合わせると《策謀の予見者、ラフィーン》を倒すのは至難の業でしょう。 《策謀の予見者、ラフィーン》を再び輝かせたい方はこのデッキに決まり!     純鋼ストーム モダンリーグ : 5-0 By SoggyCheerios ストーム。コンボの代名詞とも言えるこのアーキタイプは、かつてのスタンダードにも存在し、レガシーやモダンでは黎明期からずっとメタゲームを脅かしています。 現在ストームと呼ばれて真っ先に思い浮かぶのはルビーストームですが、一昔前に一世風靡したストームデッキがモダンにはありました。   それが純鋼ストームです。   今でこそ《死の国からの脱出》《研磨基地》で実現可能な脱出基地がいるため、珍しくなくなってしまった2ターンキルですが、当時は「2ターンキルできるすごいデッキが出てきた!」と世のコンボ好きは純鋼ストームに注目していました。   その後、長い間すっかり名前を見なくなってしまった純鋼ストームでしたが、最大の相棒……というよりコンボパーツである《オパールのモックス》が解禁されたことで、モダンについに帰ってきました。 デッキ名を冠する《純鋼の聖騎士》が当然キーカード。装備品が戦場に出るたびに1ドローするハンマータイムでもお馴染みのクリーチャー。あちらでは《巨像の鎚》を0マナで装備するのがメインの仕事でしたが、純鋼ストームではドローの方が重要となってきます。 このデッキのアーティファクトを見てください。名前も能力も知らない装備品たちがあります。これらの能力は一旦無視して、マナコストだけを見ましょう。   0マナです。《純鋼の聖騎士》がいればタダで1ドローできるのです。こうして0マナ装備品を大量に出してドローしていき、《撤収》《ハーキルの召還術》で手札に戻し、再び出し直す。こうして大量にカードを引いていき、最終的に《ぶどう弾》で相手のライフを一撃で削りきる。これが純鋼ストームの基本の動きです。 《オパールのモックス》解禁前は《撤収》を打つためのマナを捻出するのがとにかく大変でした。《極楽のマントル》を《純鋼の聖騎士》に0マナで装備してマナを出しても1マナしか増えないので、《羽ばたき飛行機械》と合わせて採用する必要があり、不純物が大量に入ってしまっていました。マナの問題を《オパールのモックス》が解決してくれたので、2ターンキルがかなり現実的に可能なラインになっています。 《河童の砲手》の採用は目から鱗でした。0マナのアーティファクトを並べれば《河童の砲手》の着地は用意ですし、《河童の砲手》を出してから0マナ連打で一瞬でゲームも終わります。 《撤収》《ハーキルの召還術》では《河童の砲手》も手札に戻ってしまいますが、《河童の砲手》を唱える→スタックで《撤収》《ハーキルの召還術》で0マナアーティファクトを戻せば、即席で使用した0マナ装備品を回収しつつ、《河童の砲手》を戦場に送り出せます。 以前までの純鋼ストームは一度コンボをスタートさせた後は、《ぶどう弾》で相手のライフを削りきるまでコンボが途切れないのを祈るしかありませんでした。《撤収》《ハーキルの召還術》で装備品を出し直すループは、カードは引けますがマナは増えないので、最終的に《ぶどう弾》とそれを打つマナ(追加の《オパールのモックス》など)をしっかり引き込む必要があり、止まるリスクもそこそこあったのです。 しかし、《河童の砲手》によってその憂いはなくなりました。コンボが止まってしまいそうでも《河童の砲手》さえ途中で出しておけば、コンボが途切れた時には致死量に近いサイズの《河童の砲手》が戦場にいるはずです。《溶岩拍車のブーツ》で速攻をつけて攻撃することもでき、勝利に必要な条件がかなり緩くなったのです。 これまで0マナの装備品たちを活かす手段がなかった純鋼ストームにとって、《河童の砲手》は最高の相棒です。   2ターンキルするデッキが更に環境に増え、モダンはますます恐ろしくなっていきますね。

【今週のピックアップデッキ】ゴルガリ陰湿な根/エスパー人間/アブザンケトラモーズ

週刊 Modern Pioneer Standard ピックアップ

2025.03.05

mtg Yuyan

こんにちは。 細川 侑也(@yuyan_mtg)です。 今週のピックアップデッキでは、ちょっと珍しいデッキを、軽い解説を交えて紹介していきます。         紹介デッキ ゴルガリ陰湿な根 エスパー人間 アブザンケトラモーズ   ゴルガリ陰湿な根 スタンダードリーグ : 5-0 By Depian MTGアリーナ用インポートデータ 『カルロフ邸殺人事件』で登場した《陰湿な根》。 墓地からクリーチャー・カードが離れるたびに植物を生成し、その後植物すべてが強化され、更にクリーチャー・トークンからマナが出せるようになると、様々な能力が付いたエンチャント。   この《陰湿な根》を主軸に据えたデッキはパイオニアでも活躍実績があり、スタンダードでもたびたびチャレンジャーは現れるものの、まださほど活躍は見せていません。   ですが、『霊気走破』で登場したとある1枚のカードが、《陰湿な根》に革命をもたらし、ついにデッキが完成しようとしています。   それが《脱皮の世話人》。カードを切削する能力はもちろん、墓地のカードを追放することでマナを出せるので、クリーチャー・カードを追放して植物を出しつつマナが出せるようになりました。墓地を肥やしつつ、《陰湿な根》も誘発させ、更に自身がクリーチャーと、《陰湿な根》と非常に噛み合った1枚です。 このデッキは墓地を必要とするため、他にも墓地肥やしが多数採用されています。   モダンでもお馴染みの《ベイルマークの大主》はクリーチャーを回収できる優れもの。切削してその中からクリーチャー・カードを回収できるので、《陰湿な根》もしっかり誘発してくれます。《陰湿な根》こそ拾えませんが、後述の《歓喜する喧嘩屋、タイヴァー》も拾えるので、強力な切削カード。 《蓄え放題》は《陰湿な根》を回収できる便利な切削カード。自身がクリーチャーでないため、墓地に落ちた後は役割を持ちませんが、それでもデッキのキーカードである《陰湿な根》にアクセスできれば十分です。 切削はオマケですが、《歓喜する喧嘩屋、タイヴァー》も一応切削を持つカードです。マナ総量が2以下のクリーチャーを吊り上げられるので、デッキ内の多くのクリーチャーをリアニメイトできるのですが、このカードは常在型能力が《陰湿な根》と噛み合うカードで、むしろそっちが目的で採用されていると言っても過言ではありません。 速攻を持つかのように起動型能力を起動できるようになるので、《陰湿な根》から出たトークンから即マナが出せるようになり、1ターンで《陰湿な根》を何回も誘発させられるようになるのです。   《陰湿な根》はトークンが増えた後に各植物を強化するため、5回誘発すれば5/6, 4/5, 3/4, 2/3, 1/2のトークンが場に並ぶことになります。《陰湿な根》をただ誘発させ続けるだけでも勝ててしまうのです。《陰湿な根》、すごいカード! 切削だけがライブラリーを削る手段ではありません。そう、諜報です。必要なカードをライブラリーに置けるので切削の超上位互換とも言えるこの能力をたった1マナで持つ《瓦礫帯の異端者》は、いぶし銀の存在。墓地から追放してクリーチャーを強化すると《陰湿な根》も誘発するので、引いて美味しい、落ちて美味しい1枚。いぶし銀どころではないかもしれません。 そして《うなる大殺犬》はパワーが2以下のクリーチャーが戦場に出るたびに諜報を行います。デッキ内の多くのカードがパワー2以下なのに加え、《陰湿な根》から出る植物でも諜報できるのです。《うなる大殺犬》を用いたコンボもあります。 そのコンボを説明するために先に紹介しておかなければならないのが《骨術師の達人》。このターン、墓地のクリーチャー・カードを給餌コストを追加で支払って唱えることができるようになります。 給餌は、墓地から3枚のカードを追放するか食物を生け贄に捧げることを指すのですが、このデッキではもちろん墓地を3枚追放して使用します。そう、この給餌でも《陰湿な根》が誘発するのです。 この《骨術師の達人》《うなる大殺犬》《陰湿な根》《歓喜する喧嘩屋、タイヴァー》が揃うとゲームに勝てます。   まず《骨術師の達人》の能力を起動。給餌でカードを3枚追放して墓地のクリーチャーを唱え、《陰湿な根》からトークンが出ます。そしてトークンが出たので《うなる大殺犬》の諜報が解決。その後、墓地からクリーチャーが帰ってくる際に、もう1度《陰湿な根》が誘発するので、《うなる大殺犬》で再び諜報。 その後、クリーチャーが戦場に出るので、それがパワー2以下ならまた諜報が発生します。このすべての諜報でカードを墓地に送っていれば、それがそっくりそのまま給餌コストになるので、再び別のクリーチャーを唱えられます。マナは先ほど《陰湿な根》でトークンが2体出たのでそこからまかなえます。 《瓦礫帯の異端者》を墓地から唱えれば更に諜報2のオマケがついてきますし、《脱皮の世話人》でも切削が可能なので、繰り返していくことで、プラスマイナス0ではなく、墓地が増えていきます。   諜報で2枚目の《うなる大殺犬》が落ちれば、そこからは各諜報量が倍になるので、ライブラリーをすべて掘ることができるでしょう。最終的には墓地に落ちた《ヴォルダーレンの興奮探し》で相手の致死量のパワーを持つ植物トークンを投げてゲームエンドというわけです。 もちろんクリーチャーがまったく落ちずに《陰湿な根》の誘発ができなくなり、コンボが止まってしまうことはあります。そのため揃った瞬間に確実に勝利できるというわけではありませんが、仮に止まったとしても全体除去以外では対処できない場になります。   緑黒で墓地も場も使ってガチャガチャやりたい……そんな方には超オススメ!     エスパー人間 パイオニアリーグ : 5-0 By  Catervus MTGアリーナ用インポートデータ 一昔前から強化され続けている種族と言えば人間。   人間が作っているカードゲームだからなのか、単にどのエキスパンションにも出しやすいからなのかは定かではありませんが、人間はやたら強化されています。かつてモダン5色人間が暴れ回っていたほどですからね。 そんな人間がパイオニアでも登場しました。もちろん白単アグロを人間と呼んでいるわけではありません。エスパーカラーの人間デッキです。   デッキ自体は言うまでもなくビートダウンデッキ。人間クリーチャーの1マナ域には高スタッツかつ優秀な能力を持つ人間が集まっています。   《徴兵士官》は1マナ2/1な上にマナフラッドした際にはクリーチャーを供給する《サバンナ・ライオン》が裸足で逃げるレベルのハイスペッククリーチャー。《有望な信徒》と一緒に白単人間でも活躍していますね。 《アクロスの英雄、キテオン》も1マナ2/1で、こちらはプレインズウォーカーに変身できますが、伝説なので1枚のみの採用となっています。 あまり見ないのは《古参の生存者》でしょうか。こちらも当然1マナ2/1でメリット付き。《サバンナ・ライオン》だけでなく、昔《サバンナ・ライオン》をお年玉で買った経験のある僕も泣いています。 生存していると墓地を追放できるオマケ付きで、このデッキでは《古参の生存者》を強化して生き残らせることが可能なので、墓地対策にしっかりなってくれます。面白いチョイスですね。   1マナ域はすべて白でしたが、2マナが急にカラフルになります。   まずは《不屈の将軍、ジリーナ》。戦場に出た時に墓地を追放しつつ、自身を生け贄に自分の全人間に呪禁と破壊不能を付ける能力を持ちます。墓地対策と全体除去対策を兼ねる良将軍。 そして一見するとなぜ入っているか理解できない《潜入者、悟》!もちろんこのカードも人間。なのですが、ドローするためにはクリーチャーを唱えずに戦場から出す必要があります。なぜ入っているのかはクリーチャーを見ていても答えは出ません。 スペル欄を見ましょう。そう、《英雄たちの送り火》です!このカードを使って《潜入者、悟》を誘発させることができるのです。 クリーチャーを生け贄に捧げることで、そのクリーチャーよりマナ総量が1多く、共通のクリーチャータイプを持つクリーチャーをデッキから出す。要するに《出産の殻》ですね。1マナの人間を生け贄に2マナの人間をサーチして場に出せるのです。 《英雄たちの送り火》から出たクリーチャーは当然唱えたわけではないので1ドローでき、《潜入者、悟》との相性抜群です。   特に《サリアの副官》はクリーチャーを強化しつつ、自身を《英雄たちの送り火》で生け贄に3マナ域の人間を呼び出せるので、サーチ先筆頭となることでしょう。 《英雄たちの送り火》によって場に出る3マナ域、《輝かしい聖戦士、エーデリン》は白単人間でも活躍する超強力な人間。生成したトークンも人間なので《英雄たちの送り火》で1マナの人間に代わります。 《救出専門家》は《英雄たちの送り火》との相性が抜群。生け贄に捧げたばかりのクリーチャーをそのまま場に戻すので、《サリアの副官》ならカウンターが更に乗り、《魅力的な王子》なら《救出専門家》をブリンクし、更に他のクリーチャーを墓地から復活させます。 そしてマナカーブの頂点となる4には《刃の歴史家》も控えています。《英雄たちの送り火》がひとたび動き出せば、盤面にクリーチャーを並べ、強化し、時にはカードを引き、最終的には二段攻撃と、1枚で完結してしまいます。 人間は干渉手段に乏しいのが弱点ですが、《英雄たちの送り火》から《反射魔道士》《帆凧の窃盗犯》をサーチでき、非常に器用なデッキとなっています。 ただの人間には興味がない。そんなあなたにはエスパー人間が良いでしょう!     アブザンケトラモーズ モダンリーグ : 5-0 By Gavin5499 『霊気走破』のトップレア《新たな夜明け、ケトラモーズ》! 既にモダンではオルゾフブリンクに組み込まれ、《溌剌の牧羊犬、フィリア》や《ちらつき鬼火》で気軽にカードをもたらしてくれますが、今回はそんな《新たな夜明け、ケトラモーズ》を更にフィーチャーしたデッキ、アブザンケトラモーズを紹介します。 どのぐらいこのデッキが《新たな夜明け、ケトラモーズ》に命を懸けているかというと、《テーロスへの侵攻》を採用しているほどです。 このカードを初めて見たという方も多いでしょう。戦場に出た時にライブラリーからオーラや紙や亜神をサーチできるバトルです。そう、当然ながら主なサーチ先は神、すなわち《新たな夜明け、ケトラモーズ》になります。 ここで《新たな夜明け、ケトラモーズ》の能力についておさらいしましょう。あなたのターンに戦場や墓地から1枚以上のカードが追放されるたびに1ドローできる能力です。   最も相性が良いとされているのが《大祖始の遺産》です。オルゾフブリンクにも採用されるようになりましたが、まず上の能力で自分の墓地を1枚追放して1ドロー、その後《大祖始の遺産》の下の能力を使うと、《大祖始の遺産》が自身の能力で追放されて1ドロー、その後墓地が追放されるので1ドロー、最後に《大祖始の遺産》の効果で1ドローと、《大祖始の遺産》1枚で4枚のカードが引けるのです。 しかも墓地対策を兼ねるため、《火の怒りのタイタン、フレージ》も安心。 また相手のクリーチャーを追放するカードとの相性も良好です。《孤独》は当然として、更にその上から《薄氷の上》《骨化》と大量の追放カードが採用されています。 面白いのが《輝晶の機械巨人》の採用です。マナ総量が1以下のアーティファクト・エンチャント・クリーチャーをサーチできるこの機械巨人は、《大祖始の遺産》《薄氷の上》にアクセスできるので、《新たな夜明け、ケトラモーズ》で大量ドローする準備をしてくれます。 《新たな夜明け、ケトラモーズ》が墓地落ちた場合は《死者の神のお告げ》を持ってくるなど、器用なカードです。 そしてここまでカードを見ていて「戦場に出た時に~」と書かれたものがやたら多いことに気が付いたのではないでしょうか?   そんなカードを更に強化するのが《機械の母、エリシュ・ノーン》。 こちらの戦場に出た時の誘発を倍にしつつ、相手の誘発を止めてしまうので、特に同じ《新たな夜明け、ケトラモーズ》を使うオルゾフブリンクに強く、これ1枚でゲームに勝てるほどです。 もちろん誘発が倍になるだけでも脅威で、《孤独》をはじめとした各種除去が複数回誘発し、個々で《新たな夜明け、ケトラモーズ》で更に引けるので、《機械の母、エリシュ・ノーン》が生き残ればゲームセットでしょう。 《新たな夜明け、ケトラモーズ》でもっと気持ちよくなりたいならこのデッキ!!

【今週のピックアップデッキ】イゼットアーティファクト/エスパー記念碑パルへリオン/シミック眼魔

週刊 Modern news Pioneer Standard

2025.02.28

mtg Yuyan

こんにちは。 細川 侑也(@yuyan_mtg)です。 今週のピックアップデッキでは、ちょっと珍しいデッキを、軽い解説を交えて紹介していきます。         紹介デッキ イゼットアーティファクト エスパー記念碑パルへリオン シミック眼魔 イゼットアーティファクト プロツアー『霊気走破』 : 7-3 By Rémi Roudier 『霊気走破』で登場したアーティファクト版《出産の殻》こと《再利用隔室》。 このカードによってスタンダードで再注目されたカードと言えば《身代わり合成機》。マナ総量3以上のアーティファクトが戦場に出るたびに、アーティファクトの数分のパワータフネスのトークンを生成するという強力な能力を持っていますが、戦場に出た時に何もしないカードを出すことを3マナで出すことはスタンダードでは許されず、これまではほとんど使われませんでした。 パイオニアやモダンでは0~1マナでマナ総量が3以上のアーティファクトを出すことが可能だったため、《身代わり合成機》を出したターンの隙を埋めることが可能で、それゆえに下環境向けのカードだったのです。   しかし、《再利用隔室》の登場で《身代わり合成機》はスタンダードでも日の目を見ることになりました。《身代わり合成機》を置いたターンに《再利用隔室》を起動し、2マナのカードを生け贄にして3マナのアーティファクトに変えれば、《身代わり合成機》のターンを隙なく終えられるのです。 2マナのカードを《身代わり合成機》にもできるため、実質8枚体制で臨むことができるのも大きく、《再利用隔室》と《身代わり合成機》の組み合わせはスタンダードで息の長い活躍をしてくれそうです。   さて、このプロツアー『霊気走破』のスタンダードラウンドを7勝3敗で終えたイゼットアーティファクトは《身代わり合成機》の相方として赤を選んでいます。   赤と言えば《塔の点火》。アグロの多い今の環境では欠かせない除去です。アーティファクトが大量に出るので協約の達成が容易なのも魅力ですね。 《軍団の成形機械》と《チェーンソー》は共に2マナで戦場に出た時にダメージを与えるアーティファクト。どちらも《再利用隔室》で《身代わり合成機》になる除去です。 3マナのアーティファクトは次のターンに除去にもなります。《爆弾車》は《再利用隔室》から出すと非常にお得なアーティファクト。戦場に出た時に4マナが出るので、3点以上はまず飛ぶでしょう。 《記録の守護者》は《再利用隔室》から出すカードというよりは、むしろ手札から連打するもの。1マナで出して《身代わり合成機》が誘発してくれるので、あっという間に戦場が有利になるでしょう。1マナで出せるマナ総量が5のクリーチャーなので、《再利用隔室》によって《光輝の睡蓮》を場に出せます。 《身代わり合成機》を使うデッキとしては《不気味なガラクタ》《税血の刃》を採用したディミーアや、《帰還航路》を使うアゾリウスなどがありますが、やはり《塔の点火》を採用できるイゼットが一番対アグロ耐性があります。 赤アグロのポジションがまた一段と良くなった現環境、イゼットアーティファクトは今がチャンスかもしれませんね!     エスパー記念碑パルへリオン パイオニアチャレンジ : 3位 By  Kaberb 墓地から機体を吊り上げる《大牙勢団の総長、脂牙》で《パルヘリオンⅡ》を3ターン目に出して攻撃する白黒ベースのデッキ。 かつては《忌まわしい回収》などを採用したアブザン、最近では《税血の収穫者》《逸失への恐怖》《鏡割りの寓話》でミッドレンジプランも取れるマルドゥと様々なカラーのパルへリオンデッキが活躍していますが、今回紹介するのはエスパーカラー。 青が入ることで加わるのはドロースペル。引いて捨てることが得意な青の力は大きく、《信仰の繕い》《染みついた耽溺》はいずれも2ドローして《パルヘリオンⅡ》をディスカードできる優秀なドロー。赤いドローは捨てて引くなので、有効牌を捨てて《パルヘリオンⅡ》を引いてしまうこともありますが、引いて捨てる《信仰の繕い》ならその心配はいりません。 《上げ潮、キオーラ》も2ドロー2ディスカードするクリーチャー。しかも墓地を肥やすデッキなので、スレッショルドも目指せます。 そしてなんと言ってもこのデッキの最大の特徴は《忍耐の記念碑》の採用です。 このデッキには実に様々なディスカード手段が用意されているということで、このカードを捨てるたびに恩恵をもたらすアーティファクトが採用されているのです。《上げ潮、キオーラ》を出すだけで2つモードを選べるので、ドロー&3ライフルーズなど、やりたい放題です。   《忍耐の記念碑》はサイドボード後にその真価を発揮します。   《パルヘリオンⅡ》を《大牙勢団の総長、脂牙》で釣るコンボはサイドボードは防がれてしまうことがほとんどです、墓地を対策されるか、《大牙勢団の総長、脂牙》を除去されるか。いずれにせよほとんど成立しません。 《忍耐の記念碑》は墓地対策と除去がどちらも効かない勝ち手段なのです。特にフラッシュバックがあり2回使える《信仰の繕い》は《忍耐の記念碑》との相性抜群。《忍耐の記念碑》の能力もあり、《信仰の繕い》1枚で6枚のカードが引けるので、そこから次のディスカード手段に辿り着くのは容易でしょう。 そうしてドロー・ディスカードするカードをチェインさせていくだけで、気づけば相手のライフは0になります。サイド後は《忍耐の記念碑》で勝つことが多くなるでしょう。 サイドボード後のサブプランが強いコンボデッキは本物であるパターンが多いです!エスパーパルへリオンがこれから活躍するのか注目です。     シミック眼魔 モダンリーグ : 5-0 By singto12 スタンダードからモダンまで色んなフォーマットで暴れる《忌まわしき眼魔》。 先日のプロツアー『霊気走破』でも《救いの手》で《忌まわしき眼魔》を吊り上げるジェスカイ眼魔がトップ8に残り、モダンでも《発掘》で《忌まわしき眼魔》を場に戻すコンボを搭載したディミーアマークタイドはメタデッキの内の1つです。 そんな《忌まわしき眼魔》デッキがまたモダンで登場しました!   《忌まわしき眼魔》を戦場に出す方法は2種。まず1つ目は《新生化》。これを使った《忌まわしき眼魔》デッキはパイオニアにも存在しますね。 クリーチャーを生け贄にしてそれよりマナ総量が1大きいクリーチャーを出す《新生化》。《とぐろ巻きの巫女》や《氷牙のコアトル》が《忌まわしき眼魔》に生まれ変わります。カードを引くクリーチャーたちが《忌まわしき眼魔》になるのはパイオニアと同様。 もう1つの手段、《出産の儀》はモダンでしか使えません。こちらも2マナのクリーチャーを生け贄にすることで《忌まわしき眼魔》が出るエンチャントですが、3マナのクリーチャーからも《忌まわしき眼魔》を出せるのがミソです。 なぜなら《断片無き工作員》を生け贄にするシチュエーションがそこそこ訪れるからです。2マナでリソースを獲得できるクリーチャーがたくさん入ってるこのデッキに《断片無き工作員》はぴったり。《出産の儀》を続唱でめくって、そのまま終了時に《忌まわしき眼魔》に変わるのは美しい展開。 入っているクリーチャーがすべて青いので《拒絶の閃光》を使えるのは素晴らしい。パイオニアでは1マナを構える必要がありましたが、モダンは0マナでOKです。 《出産の儀》や《新生化》で持ってくる《海の先駆け》も奇襲性が高く、特に《出産の儀》は解決を見た後でフェッチランドを起動しようとするプレイヤーも多いはずなので、フェッチランドを《島》に変えるチャンス! 9枚のピッチスペルにフィニッシャーはほぼ《忌まわしき眼魔》のみと思い切った構成!《忌まわしき眼魔》を守り《忌まわしき眼魔》で勝ちたい。そんな方にオススメのデッキです!

【パイオニア】ディミーアバウンス徹底解説!

Pioneer ピックアップ

2025.02.27

mtg Yuyan

こんにちは。 細川 侑也(@yuyan_mtg)です。 先週末は晴れる屋さんで行われた第17期パイオニア神挑戦者決定戦に参加していました。   結果はトップ4。とんでもないミスにより準決勝で負けてしまったわけですが、今回は珍しく大会前から自信がありました。   それは使用したデッキ、ディミーアバウンスが余りに強いデッキだったからです。   というわけで今回はディミーアバウンスの記事となります。         目次 ディミーアバウンスとは デッキリストとカード解説 採用を検討した/見送ったカード デッキの回し方 プレイ指南 TIPS サイドボーディング 終わりに ディミーアバウンスとは 《この町は狭すぎる》《孤立への恐怖》で《稲妻罠の教練者》《海の神のお告げ》を戻してアドバンテージを獲得したり、《逃げ場なし》《勢い挫き》を使い回して相手のクリーチャーを殲滅させていくのが基本戦術となるコントロールデッキです。 《嵐追いの才能》も入っており、レベル2で回収した《この町は狭すぎる》で再度戻すことで、何度もカワウソを生成しながら無限に妨害し続けることができます。   そう、スタンダードでも大人気のアーキタイプのパイオニア版なのです。   というか、このデッキはほぼスタンダードです。   リストをよく見てみてください。《致命的な一押し》《思考囲い》《海の神のお告げ》《食肉鉤虐殺事件》《覆いを割く者、ナーセット》以外のメインの呪文はすべてスタンダードのカードなのです。 いや、それは正確ではありませんでしたね。ディミーアバウンスには、スタンダードでは採用できない大きな……いや、大きすぎる1枚が採用されています。   そう、《空を放浪するもの、ヨーリオン》です。このカードがあるからこそこのディミーアバウンスは成立していると言って良い。《湧き出る源、ジェガンサ》はアグロデッキでたまに活躍する1枚ですが、このデッキにとっての《空を放浪するもの、ヨーリオン》はメイン戦略です。 かつて、《夢の巣のルールス》を採用していた数多くのアグロデッキは、《夢の巣のルールス》が出るまでの間に相手にすべての除去を使わせ、最終的に《夢の巣のルールス》が生き残って勝っていました。これはアグロのメイン戦略の1つとして組み込まれていました。 ディミーアバウンスにとっての《空を放浪するもの、ヨーリオン》も全く同じです。盤面に様々な置物を並べて《空を放浪するもの、ヨーリオン》でアドバンテージを取って勝利する。これを最初から目指しています。   相棒をただの追加リソースではなく、メインプランの1つとして据えることができるのは、それだけでデッキの強みになります。   相棒により再現性の高いゲーム展開を作れるのがディミーアバウンスの魅力なのです。   デッキリストとカード解説 《致命的な一押し》   今更解説することもない、パイオニア最強の1マナ域。黒を使い理由になる1枚。   ラクドスでは血や宝物といったトークンで紛争を達成しやすい一方、従来のディミーアコントロールでは紛争達成が難しいのが悩みどころでした。《廃墟の地》を4枚にしたり、《推理》を採用して手がかりで紛争を行うなど、様々な工夫がほどこされていました。   しかし、このデッキは紛争の達成が容易です。《この町は狭すぎる》によるバウンスでも紛争しますし、《望み無き悪夢》《海の神のお告げ》《勢い挫き》《不気味なガラクタ》はすべて能動的に生け贄に捧げられるパーマネントです。   ほぼ万能除去と言って差し支えません。   《思考囲い》 パイオニア最強の1マナ域、その2。《致命的な一押し》と《思考囲い》を使えるのが黒の最大の魅力と言っても過言ではありません。パイオニアで一番強いカードはこの2枚です。   序盤に相手の攻め札を奪ってしまえば盤面のコントロールは容易になります。《思考囲い》は決して攻めるデッキだけが使うカードではありません。守るデッキが使う《思考囲い》も十分強力なのです。   《嵐追いの才能》 スタンダードではティムールカワウソに始まり、エスパーピクシー、ディミーアバウンスと今では色々なデッキで使われています。   前述のように《この町は狭すぎる》との相性は抜群。レベル2にして《この町は狭すぎる》を拾い、その後《嵐追いの才能》をバウンスすることで、何回でも《この町は狭すぎる》を打てるようになります。   戦場に出た時のカワウソも馬鹿にならない打点を持っており、初手に《嵐追いの才能》が複数枚あればそれだけでビートダウンを完遂させることも可能です。   《嵐追いの才能》はレベル2が強いことからこのデッキで採用されていますが、出てくるカワウソが相手のプレインズウォーカーをけん制したり、ビートダウンを敢行してくれます。相手は本来コントロール相手にプレインズウォーカーを入れたり、リソースを取る手段をサイドインし、除去を抜きます。そんな相手に対してカワウソによる攻めはかなり効果的です。   《嵐追いの才能》というカードの存在が、このデッキを多角的なデッキにしている要因です。出てくるカワウソが相手にプレイやサイドボーディングを難しくさせています。   《この町は狭すぎる》 スタンダードでも《嵐追いの才能》とセットで採用されているバウンス呪文。自分のコントロールしているパーマネントを対象に取っていると2マナで打てるので、使い終わった自分の置物と相手のパーマネントを戻すのが基本的な使い方になります。   自分のパーマネントを2枚戻すこともよくあり、《望み無き悪夢》を戻して一気にライフと手札を奪ったり、《海の神のお告げ》《稲妻罠の教練者》を戻して手札を増やすことも。   《空を放浪するもの、ヨーリオン》を戻したら凄まじいアドバンテージを稼いでくれます。   攻めでも守りでも使えるスーパーカードです。このカードを毎ゲーム引くのが目標です。   《孤立への恐怖》 追加コストとして自分のパーマネントをバウンスする2マナ2/3飛行。本来はデメリットであるはずの追加コストですが、このデッキではメリットに働きます。   先手で《嵐追いの才能》から《孤立への恐怖》と回った時はビートダウンプランも取れます。アグロにもコントロールにも使える良カード。   《望み無き悪夢》 手札破壊と2点ルーズのエンチャント。ライフも手札破壊も1枚程度では効きませんが、このデッキは何度も《望み無き悪夢》を出し入れするので、段々と傷口が広がっていきます。   特に《嵐追いの才能》からカワウソを出している時はビートダウンもできるので、《望み無き悪夢》とカワウソによるダメージで意外とライフが削れてる場合があり、《この町は狭すぎる》で《嵐追いの才能》《望み無き悪夢》を戻して大量の果敢を稼いでのフィニッシュなどもあります。   突然相手のライフをごっそり削れるので、このディミーアバウンスを使う際は殴りを意識しましょう。他のコントロールデッキよりも相手のライフを削る速度は速いです。殴れる時にしっかり殴る。コントロールを普段使っている方は軽視しがちですが、ディミーアバウンスでは重要です。   《逃げ場なし》 スタンダードでもお馴染みのエンチャント除去。《孤立への恐怖》《この町は狭すぎる》で回収して使い回します。   呪禁を剝がせるので《タミヨウの保管》を無意味にしたり、《恐怖を喰うもの、ヴァルガヴォス》や《墓地の侵入者》の護法を無視できて便利です。   ビートダウン相手にはうんざりするほど何度も出し入れしましょう。《空を放浪するもの、ヨーリオン》を含めて何回か使い回せばすぐにゲームセットです。   《勢い挫き》 『霊気走破』からの新カード。このエンチャントの強さには感動しました。   クリーチャーか機体を生け贄に捧げさせる、いわゆる布告能力は、サイズを問わない除去。このデッキは《致命的な一押し》《逃げ場なし》で除去できないクリーチャーの対処を《この町は狭すぎる》に一任していたので、《勢い挫き》はちょうどいい1枚でした。   生け贄に捧げた際は速度の数値だけライフゲインが可能で、これは赤アグロに対して重宝します。   しかもこのカード、相手がクリーチャーや機体を生け贄に捧げなかった場合は手札破壊になります。先手2ターン目にとりあえずハンデス目的で出せますし、コントロール相手のサイド後でも手札破壊として機能でするので、サイドアウトしません。   コントロールミラーは《金属の徒党の種子鮫》など、除去を抜かれることを前提にクリーチャーをサイドインしてきます。《致命的な一押し》《逃げ場なし》は除去以外に使い道がないので当然サイドアウトすることになりますが、《勢い挫き》ならば、除去すべきクリーチャーが出てこなければハンデスを選べば良いのです。   除去を残して相手がクリーチャーを出してこなかった時に手札で腐るのが許せない。かといって除去をすべて抜いて《金属の徒党の種子鮫》に好き勝手されたくない。   そんな事情をバッチリ解決してくれるのが《勢い挫き》です。2枚程度のリストが多いですが、僕はこのカードを絶対に4枚にすべきだと思います!   ちなみに《望み無き悪夢》の2点ルーズで速度を進められます。   《海の神のお告げ》/《稲妻罠の教練者》 《海の神のお告げ》は《空を放浪するもの、ヨーリオン》のズッ友。青系コントロールのライブラリーが80枚になる時にはいつも採用されていましたね。   出た時に占術2を行ってから1ドローと少し重い定業ですが、戦場に残ってくれるので《空を放浪するもの、ヨーリオン》《孤立への恐怖》《この町は狭すぎる》で回収できるのが魅力。   《稲妻罠の教練者》と比べて見れる枚数は少ないものの、確実に1ドローできる点、更に土地が欲しい場合はこちらの方がより強力です。   甲乙つけがたいので《稲妻罠の教練者》と3・3といったバランスで採用されていることが多いですが、個人的には《海の神のお告げ》の方が強いと考えています。   まず土地が欲しい場面がそこそこあること。土地2枚の初手と《稲妻罠の教練者》でキープして土地が手札に入らないのはそれなりにストレス。《稲妻罠の教練者》のために《ジュワー島の攪乱》や《アガディームの覚醒》を入れようと思ったこともあったほどです。   ほぼ確実に《この町は狭すぎる》《孤立への恐怖》《空を放浪するもの、ヨーリオン》で回収できるのも、《海の神のお告げ》の評価を上げるポイントになりました。《稲妻罠の教練者》はクリーチャーなので除去されてしまいます。特にメイン戦では余った除去を投げつけられてしまうので、《稲妻罠の教練者》は生き残りづらく、バウンスしての再利用がしにくいのです。   《覆いを割く者、ナーセット》 このデッキで唯一の3マナ以上のカード。少し重いですが、それだけの価値があるカードです。   《不浄な別室》に対する回答として一番強く、デッキが軽い妨害で構成されているので、プレインズウォーカーを直接破壊するカード以外で落ちにくいのがポイント。   他のデッキでは2回マイナスを使ったら後は置物ですが、ディミーアバウンスは自分のパーマネントを戻せるデッキ。《覆いを割く者、ナーセット》をリフレッシュして再び使用可能です。   除去除去ナーセットはこのデッキの勝ちパターン。最終的には《空を放浪するもの、ヨーリオン》で《覆いを割く者、ナーセット》をブリンクして相手の心を折ることになります。   《不気味なガラクタ》 《見栄え損ない》ですが、置物なので各種バウンスで使い直せます。   1マナの置物除去はこれまで存在していなかったので使用感が未知数でしたが、使ってみるとその強さに驚き。特に後手番でアグロを相手にした時は強すぎて驚きました。   《孤立への恐怖》を2ターン目に出してブロッカーとして立てるためには1ターン目にアクションをする必要がありますが、《嵐追いの才能》はアクションとしては弱め。カワウソはブロッカーとしては心もとないですからね。   その点、盤面除去をしながら《孤立への恐怖》を出せる《不気味なガラクタ》は素晴らしいカード。回収し直して3ターン目に出しながら2マナのドロースペルに繋げれば勝利目前です。   《食肉鉤虐殺事件》 それなりにゲームが長期戦になるので、何かしらのライフゲイン手段が欲しいとは思っていましたが、良く採用されている《黙示録、シェオルドレッド》はあまり好きではありませんでした。   クリーチャーデッキ相手に欲しいはずなのに重く、強い瞬間は限られます。しかもメインでは相手の腐る除去が当たります。ラクドスデーモン相手に《黙示録、シェオルドレッド》が生き残ることはまずありません。   もちろん、相手の手札が空になってしまえば生き残る確率は上がり、それを目指せるデッキではあるものの、限られた状況でのみ強いカードはなるべく減らしたいと考えました。   そしてライフゲイン手段として白羽の矢が立ったのが《食肉鉤虐殺事件》でした。ラクドスにはX=2で《税血の収穫者》や《鏡割りの寓話》を流せますし、全体除去をメインに採用したいと考えていたので、2つの希望を同時に叶えてくれるカードだったのです。   各種バウンスで使い回せる全体除去というのもポイント。   《神秘の論争》 ここからはサイドボード。   青いデッキにサイドインする……のは当然ですが、特に重く見たのはイゼットフェニックスです。   イゼットフェニックスとの戦いはとにかく軽いことが重要。相手の致命的なスペルを打ち消す場面より、《覆いを割く者、ナーセット》を通すためにカウンターを使うことが多いので、《否認》では重いのです。   《美術家の才能》は消したいカード筆頭ではあるものの、結局後手では《否認》は間に合わずに通ってしまいます。《呪文貫き》は悪くないと考えましたが、今度は《宝船の巡航》に対して弱い。   《神秘の論争》であれば《宝船の巡航》に打つと相手は嫌な顔をします。フルタップになってしまいますからね。《呪文貫き》は割と払われてしまいます。これは《宝船の巡航》を打たれるターンが4ターン目、もしくは4枚の土地が並んでからというケースが多いためですね。   そんな事情でカウンターは《神秘の論争》のみにしました。ちなみにミラーマッチで一番強いのも《神秘の論争》です。《空を放浪するもの、ヨーリオン》に当たるのがとにかく大きい!   《未認可霊柩車》 3枚と多めですが、こちらもイゼットフェニックスを意識しています。   結局《宝船の巡航》さえ封じてしまえば最終的にはこちらが勝てます。アドバンテージ獲得手段が《宝船の巡航》以外にないので、《望み無き悪夢》《勢い挫き》ですぐに手札を枯らせられますからね。   《覆いを割く者、ナーセット》が着地すれば話は早いのですが、相手も《呪文貫き》《神秘の論争》《否認》と様々な打ち消しをサイドインしてくるので、着地は容易ではありません。それなら墓地対策は必須です。   その中で最も優秀なのが《未認可霊柩車》。《除霊用掃除機》は1マナと軽いですが、たった1枚しか墓地を削れないので、《宝船の巡航》のスピードに追い付けません。《未認可霊柩車》は毎ターンキャントリップを打たれ続けても、それに追いつけます。   《未認可霊柩車》でも相手に《宝船の巡航》を打たれてしまいますが、そのタイミングを制限できるのが重要です。土地をひたすら並べられ、《神秘の論争》が当たらない範囲で《宝船の巡航》を仕掛けられるのが嫌な展開なので、それを《未認可霊柩車》で防ぐのが狙いです。   多めに3枚入っているのは、早いターンで引き込んでおきたいからです。   《夢を引き裂く者、アショク》 こちらも《未認可霊柩車》と同じ墓地対策。   メリットはロータスコンボにも採用できる点。今回は《減衰球》を採用していないので、ロータスコンボがとにかく不利マッチです。《夢を引き裂く者、アショク》を入れた程度で有利になることはありませんが、一応の抵抗にはなります。   もちろんイゼットフェニックスにもサイドインします。先ほど《未認可霊柩車》が対策になると話したばかりですが、ゲーム序盤で引き込めなかった場合、《未認可霊柩車》の効力は激減してしまいます。大量の墓地を一度に追放する手段も必要だと考えました。   《夢を引き裂く者、アショク》は墓地をすべて追放した上で、そのまま相手のライブラリーアウトも狙えるので、イゼットフェニックス相手はフィニッシャーになる場合もあります。《宝船の巡航》で大量に引かれてる時もワンチャンス狙えますね。   デメリットはその重さと色。《神秘の論争》が引っかかってしまうのでとにかく通りづらい。《覆いを割く者、ナーセット》が通らないのですから《夢を引き裂く者、アショク》を通すのも大変です。   しかも通した結果がただの墓地追放なので、ゲーム序盤では《未認可霊柩車》以下の活躍です。たくさんの《未認可霊柩車》と少しの《夢を引き裂く者、アショク》がちょうどよいバランスだと考え、この配分になりました。   《悪夢の詩神、アショク》 またアショクの登場です。   こちらはミッドレンジやコントロールに強い1枚。プレインズウォーカー除去があまり使われていない環境なので、特に黒系ミッドレンジ全般には非常に強く、出すとそのまま勝ててしまうほどです。   元々、ミラーマッチで良いカードを探していて見つけたのが《悪夢の詩神、アショク》でした。ミラーで強いカードの条件は「《この町は狭すぎる》で戻されて何もしないカードはダメ」「除去耐性がある」「盤面に干渉するカード」でした。   《悪夢の詩神、アショク》はバウンスされても戦場に2/3のトークンを残せますし、プレインズウォーカーなので除去耐性もあります。2/3が盤面に影響を与えるので、すべての条件を満たしています。2/3というサイズもカワウソに2回の果敢を付けさせる必要があるので、ミラーマッチでは及第点です。   ラクドスミッドレンジにもそこそこ強く、《不浄な別室+祭儀室》から出てきたデーモンをバウンスしつつ、1枚ハンデスする展開が多かったです。もちろんプラスも強力でした。   《絶滅の契機》 主に緑単に対して入れるカード。緑単は《老樹林のトロール》《茨の騎兵》と死亡時に能力を持っているクリーチャーが多く、また《ラノワールのエルフ》《エルフの神秘家》などほとんどすべてのカードが奇数なので、《絶滅の契機》が一番刺さります。   単体除去は多いディミーアバウンスですが、後手で除去が追い付かない展開もあるので、少しだけサイドに入れておくと便利です。緑単相手には《食肉鉤虐殺事件》は抜いてしまいますが、他の対アグロでは《食肉鉤虐殺事件》《絶滅の契機》の4枚の全体除去で臨むことになります。   《霊気の疾風》 アグロに対して《思考囲い》4枚を抜く関係上、《絶滅の契機》以外に2枚ほど何かカードを入れたかったのですが、単なる除去の水増しよりは、除去の役割がありながらも違う使い方もできるカードが良いと考えました。   そんな便利なカードが《霊気の疾風》です。疑似的な打ち消し呪文として使えるだけでなく、盤面にも干渉できる強力なスペル。   《逃げ場なし》などの置物エンチャントが主体となっているので、《嵐追いの才能》の2章で拾える除去が少ないのは実は課題でした。《致命的な一押し》《この町は狭すぎる》だけでは少し少なかったのです。《霊気の疾風》はそんな事情も解決してくれるので、かなり好みです。   採用を検討した/見送ったカード 《無駄省き》 パイオニア神挑戦者決定戦前日に突然思いついたのですが、試す時間がなくて断念。   2ターン目に設置して何もしないカードなのでアグロには弱いですが、それ以外のマッチではすべて活躍しそうなので、サイドから《強迫》2枚を追加してディミーア無駄省きになります。   《望み無き悪夢》《思考囲い》《勢い挫き》と手札破壊は大量にあるので、誘発には問題ありません。   イゼットフェニックスの《美術家の才能》がきついので、《無駄省き》を置けばとりあえずルーターを制限できますし、ミラーマッチではお互いの手札破壊に、こちらだけオマケがつくので、アドバンテージ面で勝利できるでしょう。   ラクドスミッドレンジに対しても同プランを採用する予定ですが、ここがどうなるかがカギかなと思います。   僕の想像では結構イケてる気がするので、興味を持った方はぜひサイドボードに4枚入れてみてほしいです。   《最後の望み、リリアナ》 こちらはミラーマッチの最終兵器として投入を検討していました。当初は《悪夢の詩神、アショク》ではなく《最後の望み、リリアナ》を入れる予定でした。   ディミーアバウンスミラーマッチは《空を放浪するもの、ヨーリオン》がカギとなります。盤面にクリーチャーがそこそこ並び、手札も搾り合うので、《空を放浪するもの、ヨーリオン》で《望み無き悪夢》や《逃げ場なし》を使い回してアドバンテージを稼いだ方が勝利します。   ですが、《空を放浪するもの、ヨーリオン》を拾うタイミングが非常に難しい。《思考囲い》はお互いに温存して、相手が《空を放浪するもの、ヨーリオン》を回収したタイミングで狙います。   だからこそ、《空を放浪するもの、ヨーリオン》は《思考囲い》で相手の手札から《思考囲い》を抜いたタイミングや、8マナ溜めて回収→キャストのいずれかになります。《神秘の論争》がミラーで強いと言ったのはこのためですね。   《最後の望み、リリアナ》があれば、《空を放浪するもの、ヨーリオン》を《思考囲い》で落とされても回収できるため、プレイがかなり簡単になります。適当な時に回収しておいて《思考囲い》を打たれても、《最後の望み、リリアナ》で拾ってしまえば良いのです。   《最後の望み、リリアナ》自体の場持ちがミラーでかなり良いのもポイント。《孤立への恐怖》はパワーが0になりますし、カワウソトークンはプラスで除去できますからね。黒いので《神秘の論争》を1マナで打たれませんし、3マナという軽さも素晴らしい。   ただ、《悪夢の詩神、アショク》に比べてラクドスミッドレンジには少しイマイチかもしれません。《鏡割りの寓話》に弱いのが致命的ですね。   当日入れなかった理由はフルアート版が晴れる屋に売ってなかったからです。前日に思い付いたせいでこんなことに…。   メインの《空を放浪するもの、ヨーリオン》 ディミーアバウンスの良いところはとにかくデッキが軽く構成されていて、相棒領域に《空を放浪するもの、ヨーリオン》が用意されていることだと思います。   もちろん《空を放浪するもの、ヨーリオン》はデッキの多くのカードと噛み合って強いのですが、軽いアクションで相手の展開を凌ぎ、確定している《空を放浪するもの、ヨーリオン》でマウントを取るのがディミーアバウンスです。   その細かい動きに5マナのカードは合わないですし、そもそも確実に3マナで手札に持ってこれるので、それ以上に必要ないと感じました。1回《空を放浪するもの、ヨーリオン》が出れば大体勝ちますからね。   オーバーキルかつ事故の要因となってしまう《空を放浪するもの、ヨーリオン》はデッキに入れないことにしました。   《悪夢滅ぼし、魁渡》 《孤立への恐怖》を戻して出すと強いですよね。うん、もちろん強いです。でもコントロールデッキなのであんまりデッキに合っていませんでした。たまたま引いた時はオーバーキルか、そもそも役に立たないかのどちらか。   カワウソを忍術して出してもちょっとがっかりしちゃいますし、《稲妻罠の教練者》はそもそも忍術条件を満たすのも難しい。   使っていて全然強いと感じず、すぐに抜けました。アゾリウスコントロールなどにも《失せろ》ですぐ対処されてしまいます。 デッキの回し方 ディミーアバウンスは基本的にはコントロールデッキです。スタンダードの同デッキはアグロ寄りのミッドレンジでしたが、パイオニアのディミーアバウンスはコントロール。これを念頭に置いておきましょう。   コントロールとして立ち回る時の動きは簡単です。《逃げ場なし》や《勢い挫き》で盤面をすべてさばき、隙を見て《空を放浪するもの、ヨーリオン》を回収。出し直せばそれだけでゲームが決まります。 手札破壊カードは他のアクションがあればそちらからにしましょう。手札が少なくなってきてからの方が1枚ハンデスは効果的です。《思考囲い》と《望み無き悪夢》がどちらもあれば当然《思考囲い》から打ちましょう。 もちろん、2ターン目に《孤立への恐怖》を唱えたい場合は《望み無き悪夢》からになりますが。 除去を最優先し、相手の手札が3枚ぐらいになったら《望み無き悪夢》と《勢い挫き》で手札破壊していくことが多いです。 他のコントロールデッキと違うのは、ライフを詰めるスピードが速い点です。   《望み無き悪夢》の2点ルーズは最初はオマケ程度ですが、《孤立への恐怖》などで出し直すと徐々に重くのしかかってきます。 カワウソ、《孤立への恐怖》と合わせて突然攻撃に回れる展開もあるので、細かいダメージはしっかり刻むようにしましょう。相手のライフを削る意識をしっかり持つことが大事です。 《望み無き悪夢》を1回《孤立への恐怖》で拾うと4点。《空を放浪するもの、ヨーリオン》で出し直すと6点。《空を放浪するもの、ヨーリオン》と《孤立への恐怖》で6点とこれだけで12点削れるので、相手がショックランドや《思考囲い》で少しダメージを負っていると、守っている側のはずのディミーアバウンスが相手とほぼライフが一緒なこともしばしば。 守りを基本としつつ、攻める瞬間も意識してください。果敢が乗ったカワウソをブロッカーとして立たせるのは損です!常に殴りましょう!   プレイ指南 手札破壊の順番 《思考囲い》《望み無き悪夢》をどちらも唱える場合、先に使うべきなのは《望み無き悪夢》です。   わかりやすい例を挙げましょう。場には4枚の寝ている土地。手札には1枚の土地と《ドミナリアの英雄、テフェリー》、《放浪皇》。ここで先に《思考囲い》を受け、《ドミナリアの英雄、テフェリー》を抜かれたとします。そうすれば当然《望み無き悪夢》で土地を捨てますよね。 これが先に《望み無き悪夢》だったらどうでしょうか?《放浪皇》を捨てて、次のターンの土地+《ドミナリアの英雄、テフェリー》を確定させるかもしれません。もちろん土地を捨てて土地引きに賭ける選択肢もありますがね。   このように、《思考囲い》を後から打った方が相手の《望み無き悪夢》のディスカードで裏目を引かせやすくなります。   先に《望み無き悪夢》でスペルを捨てられて《思考囲い》で土地しかなくてスカる……なんてこともなくはないですが、《望み無き悪夢》で捨てるカードは大体土地でスペルは手札に残ります。《思考囲い》の対象はあることがほとんどです。   《勢い挫き》を上手く使おう 手札破壊も除去もできる《勢い挫き》ですが、2ターン目に《逃げ場なし》《勢い挫き》と持っていた時にどちらから使うか悩ましいですよね。   インスタントである《逃げ場なし》を温存したいでしょうが、僕は《勢い挫き》を手札に残しておきます。 手札の除去がなくなれば《勢い挫き》で除去すれば良いですし、頃合いを見て手札破壊ができるのは便利です。   ただし、相手の手札が5枚ほどある状況でとりあえず手札破壊として使うのはオススメしません。次のターンに《不浄な別室+祭儀室》を開けられてデーモンが出てきて困ったりしますからね。除去が余っていれば良いですが、《勢い挫き》しか除去がないならば、手札破壊はやめましょう。相手が出してきたクリーチャーを除去するのは、実質手札破壊でクリーチャーを落とすのと同じです。手札破壊にこだわる必要はありません。 相手の手札が2枚ぐらいになってきたら、手札破壊で1枚を落としつつ、《空を放浪するもの、ヨーリオン》を拾って次のターンにブリンクするようにしましょう。   《孤立への恐怖》《この町は狭すぎる》の受け入れ 《望み無き悪夢》と《致命的な一押し》ならばまず除去を優先してその後に手札破壊。先ほどはそう言ったものの、このデッキには《孤立への恐怖》《この町は狭すぎる》が入っています。   これらのカードは自分の場にパーマネントがないと使えないカードなので、2ターン目から唱えることを想定してプレイする必要があります。   手札にそれらのカードがない場合でも、「次のターンに引いたらどうしよう?」と考えましょう。   例えば相手がアグロデッキで、手札に《逃げ場なし》があるなら、2ターン目のアクションはまず《逃げ場なし》になるでしょう。もし《孤立への恐怖》を引いたとしても出す必要はありません。それならば1ターン目に《望み無き悪夢》を置く必要はないので、《湿った墓》や《難破船の湿地》をタップインできます。 しかし、手札に2マナのカードがなく《覆いを割く者、ナーセット》が次の展開になりそうなら、2ターン目に《孤立への恐怖》か《この町は狭すぎる》を打つことは全然ありえます。それならば1ターン目には《望み無き悪夢》を置いた方が良いのです。 初手を開いてある程度ゲームがどう展開されるかを予想しながら1~2ターン目のアクションを決めましょう!アゾリウスコントロールよりこの辺りのプレイは少し難しいです。   《空を放浪するもの、ヨーリオン》を拾うタイミング 《思考囲い》が入っている相手にはかなり慎重に回収しましょう。やることがないからと適当に回収するのはNGです。特にラクドスが1ターン目から《思考囲い》を打ってこない時は、特に注意してください。 回収した次のターンに出してアドバンテージを稼ぐことが多いので、4ターン目に拾いながら1マナアクション、5ターン目に《空を放浪するもの、ヨーリオン》で一斉ブリンクが理想の流れです。   1マナの妨害カードである《致命的な一押し》や《思考囲い》は4ターン目に使うと、《空を放浪するもの、ヨーリオン》の隙を埋めてくれます。2~3ターン目は、4ターン目に3マナ払って回収することを念頭に置いてプレイしたいところ。 とはいえ、《空を放浪するもの、ヨーリオン》が出た時に《逃げ場なし》《勢い挫き》など2種が追放されれば、それだけで盤面は一気に有利になります。なので多少盤面が不利になっても問題はないと言えばないです。 下手なアクションをするよりは《空を放浪するもの、ヨーリオン》を回収しておいた方が良い場合が多く、たとえば《海の神のお告げ》を出すなら先に《空を放浪するもの、ヨーリオン》です。《海の神のお告げ》で探したいカードが除去なら《空を放浪するもの、ヨーリオン》でも同じことができますからね(《逃げ場なし》などが戦場にあれば)   《空を放浪するもの、ヨーリオン》を拾っておき、相手の動き次第で次のターンに出すかを決めれば良いのです。《空を放浪するもの、ヨーリオン》自体は時間が経つとどんどん強くなっていくカードで、一気に不利な盤面も返せるので、ここぞという時に出せるよう、手札に早めに控えていてもらいましょう。   TIPS 《孤立への恐怖》で土地を回収 《孤立への恐怖》は他のカードと違い、珍しくどのパーマネントも戻せるので、セットランドした《天上都市、大田原》《見捨てられたぬかるみ、竹沼》を回収できます。地味ですが意外と起きることなので、見落とさないようにしましょう。   特に《見捨てられたぬかるみ、竹沼》は《空を放浪するもの、ヨーリオン》を回収できるので、魂力する機会はまあまあ多いです。   ディミーアバウンス相手に《廃墟の地》を使う時は、意外と2色ランドよりも《見捨てられたぬかるみ、竹沼》を狙った方が良いです。   《霊気の疾風》《ガイアー岬の療養所》 《霊気の疾風》でライブラリートップに積まれたカードは、相手の手札が0枚なら《ガイアー岬の療養所》で引かせてそのまま捨てさせることができます。   これは本当に見落としやすいので覚えておきましょう!   《孤立への恐怖》は追加コスト 《この町は狭すぎる》と違い、《孤立への恐怖》のバウンスは追加コストです。戻す対象を選ぶわけではないので、相手が除去を挟む余地はありません。   《覆いを割く者、ナーセット》のマイナスを起動して、そのスタックで《塔の点火》を打たれなければ、《孤立への恐怖》で回収して逃げることができます。逆にディミーアバウンスを相手にする時は、しっかり自分のメインフェイズや相手のアップキープ中、起動にスタックして《覆いを割く者、ナーセット》を処理しておくこと!   サイドボーディング VSラクドスデーモン +2《悪夢の詩神、アショク》-2《不気味なガラクタ》 基本的には有利なマッチアップ。お互いにリソースを削り合いますが、こちらには《空を放浪するもの、ヨーリオン》が控えているので、戦場に出れば終わりです。 《思考囲い》で落とされてしまうのは負け筋なので、そこだけ気を付けてください。 《不浄な別室+祭儀室》で出たデーモンは即処理する必要がありますが、《致命的な一押し》《この町は狭すぎる》でしか対処できません。《逃げ場なし》《勢い挫き》を先に使っておき、《致命的な一押し》は温存しましょう。 手札破壊に対するケアは《嵐追いの才能》《この町は狭すぎる》にも言えます。特に《この町は狭すぎる》を拾って打てないタイミングで《思考囲い》で捨てさせられるのが最悪です。《思考囲い》を打たれた時にスタックで《嵐追いの才能》と《海の神のお告げ》など、リソースになるカードを回収できるようにしておきましょう。   《覆いを割く者、ナーセット》の着地もかなり重要です。一度場に残れば部屋だけで勝手に相手が死んでいきます。   VSイゼットフェニックス +3《神秘の論争》+3《未認可霊柩車》+2《夢を引き裂く者、アショク》-4《致命的な一押し》-2《不気味なガラクタ》-2《勢い挫き》 とにかく《覆いを割く者、ナーセット》が生き残るかどうかにすべてがかかっています。メイン戦では特に重要で、《呪文貫き》で打ち消されるなんて愚行は絶対にNGです! 《弧光のフェニックス》を相手が返してきたターンはマナが寝るのでチャンスです。エンド前に《弧光のフェニックス》をしっかり落として、返しで《覆いを割く者、ナーセット》を着地させて除去を構えましょう。この時に手札からの《弧光のフェニックス》で落ちないように、《覆いを割く者、ナーセット》のマイナスは使わないでください。 一度《覆いを割く者、ナーセット》が出れば相手は《弧光のフェニックス》を返すことさえ一苦労です。《手練》《錠前破りのいたずら屋》以外のドロースペルを打てば手札が減るので、仮に《弧光のフェニックス》を返したとしても、手札がすっからかんになります。   意識したいのが無駄なクリーチャーを展開しないことです。《焦熱の衝動》で《弧光のフェニックス》を返すカウントを貯められてしまうのは損です。ブロッカーとして出すぐらいなら手札に持っておきましょう。クリーチャーを無駄に出すのは相手にとって得しかありません。 サイド後も《覆いを割く者、ナーセット》ハメを意識しつつ、墓地対策を大量に入れましょう。 相手が《若き紅蓮術士》などを入れている可能性があるので《食肉鉤虐殺事件》を残していますが、ゲーム2の長期戦で1枚も見なかった場合は、《致命的な一押し》の方が強いので戻しましょう。 《宝船の巡航》を解決させないことが最も重要です。《宝船の巡航》を何度も打たれないためにも、手札破壊では《美術家の才能》を抜きたいですね。   VSグルール/ラクドス果敢 +2《絶滅の契機》+2《霊気の疾風》-4《思考囲い》 基本は除去していくだけで自動で勝てる相手です。除去3枚でキープして《空を放浪するもの、ヨーリオン》を回収して出し直せばゲームセット。 逆にドローばかり引いてると負けてしまいますが、ゲーム1では相手のデッキがわからないのでやむなし。   サイド後も特にゲームプランを変えてくることはないので、こちらも《思考囲い》を抜いて除去を入れるだけです。 ちなみにグルールブリッツやグルール力線などと当たった際は《思考囲い》は少し残すようにしています。これは相手がコンボデッキのような動きをしてくることがあるためです。こういった相手には《思考囲い》で出鼻をくじくのが重要なので、《覆いを割く者、ナーセット》を少し減らします。   VS緑単ニクソス +2《絶滅の契機》+2《霊気の疾風》-2《食肉鉤虐殺事件》-2《逃げ場なし》 《覆いを割く者、ナーセット》がかなり効果的なマッチアップ。《ラノワールのエルフ》から順番に除去していって《覆いを割く者、ナーセット》が勝ちパターンです。 メインは後手を取ってしまい、《ラノワールのエルフ》を打ち漏らして手札破壊もできなければすぐに好き放題されます。サイド後は《絶滅の契機》もあるのでそこまで悲観していません。   VSセレズニアカンパニー +2《霊気の疾風》+2《悪夢の詩神、アショク》-4《望み無き悪夢》 《永劫の無垢》でたくさん引かれるとすぐ負けるのでやはり《覆いを割く者、ナーセット》が重要なマッチ。 2/2クリーチャーが多いので《悪夢の詩神、アショク》のトークンはかなり強いです。   《思考囲い》は《集合した中隊》を抜けるのでそこそこ強いですが、《望み無き悪夢》はほとんど意味がなかったのですべて抜きます。《永劫の無垢》でそこそこ引いてきますし、1枚ハンデスは効果がありませんでした。   VSアゾリウスコントロール +3《神秘の論争》+3《未認可霊柩車》+2《悪夢の詩神、アショク》-2《食肉鉤虐殺事件》-2《不気味なガラクタ》-4《逃げ場なし》 お察しの通り抜くカードが多すぎて、入れる必要がほとんどない《未認可霊柩車》もサイドインしています。一応《記憶の氾濫》がきついマッチなので墓地対策自体に意味はありますが。 《致命的な一押し》は《サメ台風》や《放浪皇》のトークンから《覆いを割く者、ナーセット》を守るために渋々残しています。   とはいえ、相性自体はそこまで悪くありません。というか相手が《告別》を採用していなければディミーア側が有利だと感じました。 多少不利な盤面でも《空を放浪するもの、ヨーリオン》が一瞬でまくってくれるので、エンチャントをとりあえず並べ続けて除去とハンデスを繰り返しているだけで、気づいたら勝っている場合が多いです。《この町は狭すぎる》《嵐追いの才能》が強く、《ドミナリアの英雄、テフェリー》の定着を許さないのも大きいですね。   抜くカードが多すぎるメイン戦も結局除去があればゲームが長引き、ゲームが長引くと《空を放浪するもの、ヨーリオン》で勝ててしまいます。   サイド後に《致命的な一押し》は残ってしまいますが、それでも勝つことが多いです。《告別》がたくさん入ってたら厳しそうですが。アゾリウスコントロールが流行るなら《否認》などが必要かもしれませんが、そこまで頻繁に当たることはないと思っています。   VSジャンドサクリファイス +3《未認可霊柩車》+2《霊気の疾風》+2《悪夢の詩神、アショク》-2《不気味なガラクタ》-4《勢い挫き》-1《致命的な一押し》 めちゃくちゃキツいです。《清掃人の才能》はほぼ1キルですし、《大釜の使い魔》《魔女のかまど》だけで普通に20点削られます。 このマッチはテンポプレイが重要で、《嵐追いの才能》《孤立への恐怖》と相手のライフを詰める展開が求められます。《空を放浪するもの、ヨーリオン》を5ターン目に出しつつさっさと殴り勝てるのが理想。《悪夢の詩神、アショク》を入れているのもさっさと殴り勝ちたいからです。 まあそんなことは現実にはなかなか起きないですが。   《清掃人の才能》のレベル3は3マナかかるので、そこを狙って《この町は狭すぎる》でバウンスし、その隙に勝つなど、とにかく相手の大きなアクションの隙を狙いましょう。 《全てを喰らうもの、イグラ》の護法は《逃げ場なし》で剥がせるので実は大丈夫です。   VSロータスコンボ +3《神秘の論争》+3《未認可霊柩車》+2《夢を引き裂く者、アショク》+2《悪夢の詩神、アショク》+2《霊気の疾風》-2《食肉鉤虐殺事件》-2《不気味なガラクタ》-4《逃げ場なし》-4《致命的な一押し》 当然ですがありえないぐらいきついです。メインは必敗です。   サイド後も入れるカードがないので《悪夢の詩神、アショク》をサイドインする始末。   イゼットロータスには《覆いを割く者、ナーセット》や墓地対策が非常に効くので実はまだワンチャンスありますが、バントロータスは絶望的です。《厳しい試験官》が残っているタイプには《致命的な一押し》を4枚とも残すようにしてください。 ロータスが多そうなら《減衰球》を入れてもいいです。   VSマルドゥパルへリオン +3《未認可霊柩車》+1《夢を引き裂く者、アショク》-2《不気味なガラクタ》-2《食肉鉤虐殺事件》 除去が多すぎて《パルヘリオンⅡ》が着地することはあんまりないので基本は有利なマッチアップです。 手札破壊で《パルヘリオンⅡ》を捨てられても、《大牙勢団の総長、脂牙》さえ倒せばOKです。   他のデッキでは《大牙勢団の総長、脂牙》が出てきた時、《パルヘリオンⅡ》を対象に取らせた後に《大牙勢団の総長、脂牙》を除去して《パルヘリオンⅡ》を手札に戻させることが多いですが、このデッキでは《望み無き悪夢》などで捨てられてしまうので、《大牙勢団の総長、脂牙》をすぐに除去し、《パルヘリオンⅡ》を拾わせない方が良いです。さっさと手札を0枚にさせましょう。   VS5色ニヴ +3《神秘の論争》+2《夢を引き裂く者、アショク》+2《悪夢の詩神、アショク》+2《霊気の疾風》-2《食肉鉤虐殺事件》-2《不気味なガラクタ》-1《逃げ場なし》-4《致命的な一押し》 《逃げ場なし》が抜ききれないぐらい入れるものが少ないのですが、それでもまあ有利です。お互いに回るとこちらの方が《空を放浪するもの、ヨーリオン》によるリソースで上回れるので、勝手に勝ちます。 サイド後は相手の《白日の下に》や《ニヴ=ミゼット再誕》を許さなくなるので更に勝ちやすくなります。《逃げ場なし》が手札で腐っても許せます。 《森の女人像》を実は殺せます。どうせ使い道などないのでぜひ《森の女人像》を出していただきたい。《勢い挫き》は手札破壊で使いたいですね。   VSミラーマッチ +3《神秘の論争》+3《未認可霊柩車》+2《悪夢の織り手、アショク》-2《食肉鉤虐殺事件》-2《不気味なガラクタ》-4《逃げ場なし》 重要なのはとにかく《空を放浪するもの、ヨーリオン》。着地できた方が膨大なアドバンテージを獲得してそのまま勝ちます。 《思考囲い》は打たずに必ず《空を放浪するもの、ヨーリオン》を拾われた時まで温存しましょう。2枚持っている場合は1枚を先に打っておくと、《空を放浪するもの、ヨーリオン》を回収してくれるので、そこで抜いていきます。 サイド後は除去を減らして打ち消しと《悪夢の詩神、アショク》、《未認可霊柩車》をサイドインします。《未認可霊柩車》は《嵐追いの才能》のレベル2を止める役割しかありませんが、それでも十分です。《勢い挫き》にやられてしまう点に注意してください。 《神秘の論争》は《空を放浪するもの、ヨーリオン》に温存したいところですが、《覆いを割く者、ナーセット》などにもバンバン打っていきましょう。通ったら結局《思考囲い》などを手札に加えられたりするので、打たない意味がありません。   終わりに ディミーアバウンスは非常に強いデッキで、クリーチャー主体の今のパイオニア環境にとても合ったデッキです! 今のリストには非常に満足していて、もし明日パイオニアのプロツアーがあったらこのまま持ち込みたいと思うほど。パイオニアの競技イベントがないのが悔やまれます。   興味を持った方はぜひ回してみてください。ちなみに僕はこのデッキをMTGアリーナのエクスプローラーで調整していたので、エクスプローラーで回すのもオススメですよ!   それではまた!

【今週のピックアップデッキ】ディミーアアーティファクト/4c眼魔パルへリオン/オボシュケトラモーズエネルギー

週刊 Modern Pioneer Standard

2025.02.20

mtg Yuyan

こんにちは。 細川 侑也(@yuyan_mtg)です。 今週のピックアップデッキでは、ちょっと珍しいデッキを、軽い解説を交えて紹介していきます。         紹介デッキ ディミーアアーティファクト 4c眼魔パルへリオン オボシュケトラモーズエネルギー ディミーアアーティファクト スタンダードリーグ : 5-0 By Melicard 『サンダー・ジャンクションの無法者』のビッグスコアで登場した《身代わり合成機》というカードは、様々なフォーマットでアーティファクト愛好家に親しまれる一方、スタンダードではこれまでさほど活躍できませんでした。 マナ総量が3以上のアーティファクトが戦場に出るたびに、アーティファクト分の修正を持つトークンを生成。このトークンは《ウルザの物語》などから出るものと同じで、非常に大きなサイズで相手を押し潰します。 《身代わり合成機》がスタンダードで今一つな理由は、なんといっても出したターンの隙です。マナ総量が3以上のカードは、ほとんどの場合で《身代わり合成機》を置いたターンには出すことはできません。そのため、《身代わり合成機》を置いてエンドするターンを作ることになり、この1ターンを丸々無駄にする行動が命取りとなってしまうのです。   モダンでは《身代わり合成機》を出してそのまま《金属ガエル》を唱えるなど、この《身代わり合成機》のターンにもう1アクションする工夫がなされています。パイオニアでも《金属製の巨像》を0マナで出せますからね。 そんな事情でなかなかスタンダードで見かけなかった《身代わり合成機》ですが、『霊気走破』でそのデメリットを補うカードが登場しました。   それが《再利用隔室》です。 アーティファクトを生け贄に捧げ、それよりマナ総量の1大きいアーティファクトを場に出せる、アーティファクト版の《出産の殻》です。これが《身代わり合成機》のポテンシャルを引き出してくれます。 まず、2マナのカードを生け贄にすればデッキから《身代わり合成機》を場に出せますし、《身代わり合成機》を出したターンに2マナがあれば、そのまま3以上のカードをサーチして即座にトークンを生成できます。   起動に2マナがかかってしまいますが、そこで役立つのが《奇怪な宝石》。起動型能力に使える2マナを生み出してくれるので、実質《再利用隔室》を0マナで起動できるようになります。 《再利用隔室》のおかげで《身代わり合成機》を置くターンの隙はかなり少なくなります。2マナのカードを生け贄にして《身代わり合成機》を出しつつ、《税血の刃》で除去。この動きは4マナででき、更にターンが帰ってくれば《税血の刃》を生け贄にして更なる《身代わり合成機》を戦場に出しつつ、とりあえず1体目のトークンが生成できます。 《再利用隔室》を採用するにあたって最も考えなければならないのが、生け贄に捧げるアーティファクトについてです。 まずは1マナの《不気味なガラクタ》。こちらは戦場に出た時に-2/-2修正を与える便利なカードで、置けば役割がなくなるので、《再利用隔室》の生け贄に最適です。 2マナは選択肢が多く、除去が欲しければ《税血の刃》、リソースを稼ぐための《蒐集家の保管庫》、更にドローに特化した《毒気の薬》と用意されています。特に《毒気の薬》は出た時にカードを引き、《再利用隔室》で墓地に送ってもドローできるので、非常に便利です。 主役となる3マナ域は《再利用隔室》《身代わり合成機》の他には《スランの蜘蛛》が1枚採用されるのみです。《スランの蜘蛛》は4マナへの繋ぎになりますが、パワーストーンを生み出してくれるので、それが今度は1マナのアーティファクト、すなわち《不気味なガラクタ》《奇怪な宝石》に変わります。 4マナは《力線の斧》。これは《身代わり合成機》から生成したトークンに装備して一撃必殺を狙います。 そのもう1つの主なつけ先となるのが同じ4マナの《油浸の機械巨人》。相手の手札の最も強いカードを抜いてくれて、《身代わり合成機》も誘発するナイスガイ。《力線の斧》の装備先としても申し分ないですね。 その2つから出てくるのは《解剖道具》と《マイトストーンとウィークストーン》。ライフゲインしたいなら《解剖道具》、リソースか除去なら《マイトストーンとウィークストーン》と状況に応じて使い分けることができます。 面白いのが《悪魔の破砕機》の採用です。戦場に出た時にクリーチャーを破壊する機体ですが、親和がついているため、軽くプレイできます。もちろん《身代わり合成機》も誘発するので、手札に複数枚あるとどんどん軽くなっていきますね。この《悪魔の破砕機》は親和で軽くなってもマナ総量は7なので、《再利用隔室》で生け贄にすることで8マナを場に出せます。 そのために《街並みの地ならし屋》が採用されており、早いターンの《街並みの地ならし屋》はマッチアップによっては相手を詰ませられます。 《身代わり合成機》《再利用隔室》の組み合わせは非常に強力で、これからアーティファクトを主体としたデッキがスタンダードで活躍していくなら、この2種に《奇怪な宝石》を合わせた3種は必須となるでしょう!     4c眼魔パルへリオン パイオニアリーグ : 5-0 By  IofTiger 《大牙勢団の総長、脂牙》で《パルヘリオンⅡ》を墓地から吊り上げて勝利するパルへリオンデッキ。 《大牙勢団の総長、脂牙》が登場してすぐにパイオニアで登場し、日々アップデートが続いているアーキタイプ。 《忌まわしい回収》《サテュロスの道探し》で墓地を肥やし、強力な機体である《エシカの戦車》を入れたアブザン。 《逸失への恐怖》《鏡割りの寓話》で手札から《パルヘリオンⅡ》を落としつつ、ミッドレンジとしても戦えるマルドゥ。 様々なバージョンがトーナメントでは勝ってきましたが、今回は4色。しかもなんと《大牙勢団の総長、脂牙》《パルヘリオンⅡ》以外に強烈なコンボを採用しています。   それが《忌まわしき眼魔》《再稼働》。スタンダードのアゾリウス眼魔でもお馴染みの、2ターン目に《忌まわしき眼魔》を吊り上げるコンボです。 《再稼働》は《忌まわしき眼魔》だけでなく《大牙勢団の総長、脂牙》をリアニメイトすることができ、その《大牙勢団の総長、脂牙》が今度は《パルヘリオンⅡ》を連れてきます。 《再稼働》《大牙勢団の総長、脂牙》《忌まわしき眼魔》ととにかく墓地を利用するデッキなので、墓地肥やしとして様々なカードが採用されています。   《錠前破りのいたずら屋》はアゾリウス眼魔にも採用されているカードで、墓地にカードを送り込みつつ、《再稼働》にアクセスできます。 2ターン目に《再稼働》を打つためには1ターン目から墓地を肥やす必要があります。そこで採用されているのが《異世界の凝視》と《秘本掃き》。《秘本掃き》は枚数だけなら破格の5枚切削。一方の《異世界の凝視》は3枚の内好きな数を残せる上、フラッシュバックもついていて、1枚で2度お得なカード。 《信仰の繕い》と《染みついた耽溺》はいずれもカードを引いて捨てるインスタントで、切削と違って手札のコンボパーツを捨てられます。いずれも2ドローでき、引いてから捨てるカードを選べるので便利ですね。 このデッキには3マナ以下のアーティファクトがないため、一見すると《再稼働》より《救いの手》の方が良いのではないか?と思われた方もいらっしゃるのではないでしょうか。実は僕も最初はそう思っていましたが、よく考えると《救いの手》はタップインでクリーチャーが出てくるので、《大牙勢団の総長、脂牙》を吊り上げた時に《パルヘリオンⅡ》に搭乗できませんでした。絶対に《再稼働》です! 普通のパルへリオンに飽きてしまった方はぜひ一度、眼魔パルへリオンを手に取ってみてください!     オボシュケトラモーズエネルギー モダンリーグ : 5-0 By NicolasGEM カードを戦場や墓地から追放するたびにドローする《新たな夜明け、ケトラモーズ》。既にモダンでは《溌剌の牧羊犬、フィリア》《孤独》でたくさんカードを引くオルゾフブリンク、そして《超能力蛙》との瞬殺コンボを搭載したエスパー眼魔と、様々なデッキで活躍しています。 そんな《新たな夜明け、ケトラモーズ》の新たな活躍場所はなんとエネルギー!『モダンホライゾン3』の問題児が『霊気走破』のトップレアとタッグを組みました。 まずなんといっても《新たな夜明け、ケトラモーズ》と相性の良い《火の怒りのタイタン、フレージ》。脱出するだけで《新たな夜明け、ケトラモーズ》でカードが引けるなんて夢のようですね。そして引いたカードを使っていくだけで墓地が溜まるので、また《火の怒りのタイタン、フレージ》がすぐ脱出できるようになります。 これまでのエネルギーは一度脱出した後に再び脱出するのは大変でしたが、《新たな夜明け、ケトラモーズ》のおかげで比較的容易になりました。   《ボガートの獲物さらい》《虚無の呪文爆弾》は墓地を追放し、《虹色の終焉》《静牢》はパーマネントを追放し、《鋼と油の夢》も手札と墓地のカードを追放してくれるので、すべて《新たな夜明け、ケトラモーズ》によりドローのオマケがついてきます。このデッキは実に簡単にカードが引けるのです。《新たな夜明け、ケトラモーズ》、すごすぎる! エネルギーに《新たな夜明け、ケトラモーズ》が入るだけでもスパイシーですが、このデッキは更に相棒として《獲物貫き、オボシュ》を採用しています。 デッキに奇数のカードを入れられないという強烈な構築制限を課す《獲物貫き、オボシュ》。エネルギーに入っている偶数のカードと言えば……そう、《ナカティルの最下層民、アジャニ》と《ゴブリンの砲撃》です。 この2つを失ったことでエネルギーデッキは速度を失いました。《ナカティルの最下層民、アジャニ》《ゴブリンの砲撃》《火の怒りのタイタン、フレージ》による直接火力でライフを削りきるのが従来のエネルギーでした。 それができない分、このリストは《新たな夜明け、ケトラモーズ》と除去で盤面をさばきながらリソースを取っていく、コントロール的勝ち方が可能となっています。   《獲物貫き、オボシュ》自体は非常に攻撃的な相棒です。奇数のパーマネントが与えるダメージが2倍になるので、《火の怒りのタイタン、フレージ》が6点火力になってくれます。《栄光の闘技場》から《火の怒りのタイタン、フレージ》が走れば6点×2と12点で一撃24点も可能です。 ただでさえ強いエネルギーが、《新たな夜明け、ケトラモーズ》という新たなリソースカードを手に入れたことで更に強くなる予感がしています。 今後《新たな夜明け、ケトラモーズ》はエネルギーの定番となるのでしょうか?

【今週のピックアップデッキ】オルゾフサクリファイス/ボロスイクイップメント/アスモニュメント

週刊 Modern Pioneer Standard ピックアップ

2025.02.14

mtg Yuyan

こんにちは。 細川 侑也(@yuyan_mtg)です。 今週のピックアップデッキでは、ちょっと珍しいデッキを、軽い解説を交えて紹介していきます。         紹介デッキ オルゾフサクリファイス ボロスイクイップメント アスモニュメント オルゾフサクリファイス スタンダードチャレンジ : 6位 By Folero カードを生け贄にして様々な恩恵を得るデッキ、サクリファイス。   《大釜の使い魔》《魔女のかまど》《波乱の悪魔》によって大量のダメージを与えて勝利するラクドスサクリファイスは今もパイオニアで現役のデッキで、スタンダード時代もこのサクリファイスエンジンは大暴れしていました。 そんなサクリファイスデッキが、今回はオルゾフカラーで登場しました。   まずこのデッキはサクリファイスによって何を起こすのか。それは大量に入っているクリーチャー陣をじっくりと見ればわかります。   《復讐に燃えた血術師》《残忍な巡礼者、コー追われのエラス》は共に自分のコントロールするクリーチャーが死亡した時に相手のライフを失わせるカード。つまり、このデッキはサクリファイスにより相手のライフを削っていくデッキなのです。 サクリファイス手段として採用されているのは《バルトロメ・デル・プレシディオ》。最近あまりいない、起動にマナがかからないサクり台で、能力も自身に+1/+1カウンターを置くという優秀なもの。サクリファイスデッキには、このマナのいらないサクり手段は必須です。 そして肝心なのは生け贄に捧げるものたちです。ただカードを生け贄に捧げてもどんどん損をしていってしまうので、供物には工夫が必要です。   《永劫の無垢》は生け贄にするカードとして最上級。死亡するとエンチャントとして戻ってくるだけでなく、クリーチャーを自分がプレイすればカードを引けるので、後続を供給し続けてくれます。 《寄生の賢者》と《入れ子ボット》は共に死亡時に1/1のクリーチャーを戦場に残していくクリーチャーたち。前述の《永劫の無垢》とも相性が良いですね。自分のターンに《入れ子ボット》を出してカードを引き、相手のターンで生け贄にしてトークンを出せばまたカードを引けます。 環境には赤アグロをはじめ、1ターン目からクリーチャーを展開してくるデッキも多々あるため、《かじりつく害獣》は重宝します。ブロックして死亡時に-1/-1すればタフネス2までのクリーチャーを倒せますし、《バルトロメ・デル・プレシディオ》で生け贄にして能動的にクリーチャーにマイナス修正を与えることも可能です。 《うなる大殺犬》は生け贄に捧げた時のボーナスを持っていませんが、パワー2以下のクリーチャーが戦場に出た時に諜報を行い、クリーチャーを墓地に送り込んだり、引き込みたいカードにアクセスしやすくしてくれます。 墓地にクリーチャーを送る手段として《ベイルマークの大主》も用意されています。こちらは切削と同時に回収も行えるカードですね。 なぜ墓地にカードを送りたいのか?その答えはスペル欄にあります。このデッキに入っている唯一のクリーチャー以外の呪文が《過去立たせ》です。 墓地のパワー2以下のクリーチャー・カードをすべて戦場に戻すので、《ベイルマークの大主》以外のクリーチャーがすべて戦場に戻ってきます。そしてそれらのクリーチャーを生け贄にして、相手のライフを失わせて勝利と、コンボチックな動きができるのです!   更に『霊気走破』からの新人にも注目です。その名は《去りし栄光、ザフール》。 他のクリーチャーを生け贄に捧げることで諜報1が行え、最高速度を持っていると、トークンでないクリーチャーが死亡するたびに2/2のゾンビを生成してくれます。つまり《寄生の賢者》が死亡すると1/1と2/2が出てくるわけですね。そこに《過去立たせ》が絡めば1ターンで20点のライフを奪うことも容易です。 ここで問題となるのが、最高速度に到達できるのかという点ですが、それも解決しています。速度を上げるにはクリーチャーで攻撃するしかないわけではありません。相手のライフを失わせれば速度が上がります。つまり、《復讐に燃えた血術師》などの能力でも構わないのです。 かつてスタンダードで活躍していたラリーコンボを思わせる動きのできるオルゾフサクリファイス、好きな方にはたまらないデッキではないでしょうか?   ボロスイクイップメント パイオニアリーグ : 5-0 By  CrusherBotBG 装備品を主軸に据えたデッキと言えば、モダンのハンマータイムがまず頭に思い浮かぶ方も多いのではないでしょうか? 今回はパイオニアで装備品主体のデッキが生まれました!   まずこのデッキには装備品が合計18枚!恐ろしい数採用されています。いまだかつてここまで装備品を採用したデッキを見たことがありません。   初手にあると戦場に出した状態からゲームを始められる《力線の斧》、モダンでもよく見る《影槍》。この辺りは構築フォーマットでもよく使われるので、お馴染みでしょう。 モダンで《ウルザの物語》からのサーチ用として採用されることもある《溶岩拍車のブーツ》は、パワー修正の他に速攻と護法も付与できる便利な装備品。キャストと装備コストがどちらも軽いので使いやすいですね。 《スランの魔力鎧》は正直僕も初めて見たレベルのカードです。装備先のクリーチャーについているオーラや装備品の数だけ+1/+1修正を与える装備品なので、1体につければつけるほどサイズが上がっていく、面白い性能です。こちらも護法がつきます。 装備品でありながら3点除去になるのが《チェーンソー》。クリーチャーが死亡するたびにカウンターが乗っていき、そのカウンター分がパワーに乗るので、どんどんうなりを上げて成長していってくれます。たくさん装備品を採用したいデッキなので、除去を兼ねてくれるのは非常に嬉しいですね。 そして《刃砦の戦鞭》はクリーチャーについた状態で出てくる装備品。実質3マナのクリーチャーですね。装備先が二段攻撃を持つ他、これ以外の装備コストを1つ下げてくれます。《溶岩拍車のブーツ》が0マナになり、《スランの魔力鎧》も1マナと、この辺りの装備品は非常に使いやすくなりますね。 そんな装備品たちをサーチするのが《フェイの血筋のケラン》。装備品をサーチするのが主な役割ですが、装備先としても優秀です。自身が二段攻撃を持つだけでなく、ついた装備品の数だけ他のクリーチャーのサイズも上げてくれるので、みんなで強くなれます。 装備品はアーティファクトなので、実は相性が良いのが《継ぎ接ぎ自動機械》。装備品を唱えるだけで成長してくれて、護法2を持っているのでなかなか除去されません。装備先が除去されてしまうのがこの手のデッキの一番の負け筋ですからね。《スランの魔力鎧》や《溶岩拍車のブーツ》で護法が重なれば実質呪禁です。 そろそろこのデッキの主役をご紹介しましょうか。それはもちろん《熱烈な勇者》!赤単で活躍したカードですが、実は《熱烈な勇者》に装備品をつける際、そのコストが3下がるのです。 《力線の斧》も《スランの魔力鎧》も《影槍》も《チェーンソー》も全部つけ放題なのです!まさにこのデッキのためのカード!というか《熱烈な勇者》がいなかったらこのデッキを組もうと思わなかったかもしれませんね。   1体のクリーチャーに装備品をつけまくる!そんなロマン溢れる戦いができるのがこのボロスイクイップメントの魅力。一撃必殺を決めてみませんか?   アスモニュメント モダンリーグ : 5-0 By DB_InspiringTimmy カードを捨てるたびに様々な効果をもたらす《忍耐の記念碑》。カードを引いたり宝物を出したり3点ルーズさせたりとどの能力も強く、発売前から期待されているカードです。 この手のカードを使う上で重要なのは、《忍耐の記念碑》を出したターンの隙をどう埋めるかです。3マナで何も盤面に影響を与えないカードを出してターンをパスするのは、スタンダードすら危険な行為です。   それは、3ターンキルが横行するモダンにおいてはタブーと言って良いでしょう。だからこそ、このカードの使い方は非常に難しい。   今回ご紹介するデッキは、そんな《忍耐の記念碑》を実にうまく使ったデッキです。   《アスモラノマルディカダイスティナカルダカール》をご存じでしょうか?カードを捨てたターンにのみ唱えることができ、戦場に出た時に《地獄料理書》をサーチしてきます。 その《地獄料理書》は、手札を捨てることで食物を生成します。この食物を2つ生け贄に捧げると、《アスモラノマルディカダイスティナカルダカール》がクリーチャーを除去してくれるようになります。 《地獄料理書》はタップするだけでカードを捨てられるので、《忍耐の記念碑》と相性が良いですね。   この《地獄料理書》とセットで採用されるのが《楕円競走の無謀者》。アーティファクトが戦場に出るたびに墓地から手札に戻ってくるこのカードは、《地獄料理書》のコストで手札から捨てると、食物生成にトリガーして手札に帰ってきてくれるので、無から料理を作れるのです。 ここに《忍耐の記念碑》が加わると、手札から《楕円競走の無謀者》を捨てて食物を作りながら1ドローしたりと、凄まじいアドバンテージを生み出します。   《信仰無き物あさり》は2枚のカードを捨てられるので《忍耐の記念碑》を2回誘発させてくれたり、《太陽の執事長、インティ》も手札を捨てながらリソースを稼げるので、マナが不自由な時は《忍耐の記念碑》で宝物を作って《太陽の執事長、インティ》で追放したカードをプレイ、なんてことも。 更に『霊気走破』で登場した《略奪するアオザメ》も、手札を大量に捨てるこのデッキにはぴったり。1ターン目に出して2ターン目には3/3以上となり、あっという間に手をつけられないサイズに成長します。 これまで《地獄料理書》《楕円競走の無謀者》のコンボは、《アスモラノマルディカダイスティナカルダカール》が生き残って食物を投げ続けたり、《太陽の執事長、インティ》を複数回誘発させたり、《ウルザの物語》のトークンのサイズを上げたりなど、活躍の機会自体はあったものの、物足りなさがあったのは否めませんでした。 そこに新たに加わった《忍耐の記念碑》と《略奪するアオザメ》は、どちらも単体でゲームプランとして成立するレベルに強力で、間違いなくこのデッキは『霊気走破』で大幅にアップデートされました。 従来のアスモデッキに比べてかなりデッキが速く、粘り強くなりました。《忍耐の記念碑》を使ってみたいならまずこのデッキです!

【今週のピックアップデッキ】ジェスカイ眼魔/オボシュバーン/ラクドスリアニメイト

週刊 Modern Pioneer Standard ピックアップ

2025.01.31

mtg Yuyan

こんにちは。 細川 侑也(@yuyan_mtg)です。 今週のピックアップデッキでは、ちょっと珍しいデッキを、軽い解説を交えて紹介していきます。         紹介デッキ ジェスカイ眼魔 オボシュバーン ラクドスリアニメイト ジェスカイ眼魔 スタンダードリーグ : 5-0 By SaltyXD スタンダードからレガシーまで幅広い環境で使われているクリーチャーと言えば。   そう、《忌まわしき眼魔》。 3マナ5/5飛行脅威的なスペックに加えて、相手のアップキープに戦慄予示を行い、放置しておくとクリーチャーがどんどん横並びになっていく、モダンホライゾン産と言われても疑わないパワーを持っています。 デメリットとして唱える際に墓地を6枚要求するので、モダンでは《発掘》、スタンダードでは《救いの手》など、リアニメイトでデメリットを打ち消す使い方が基本です。 そんな《忌まわしき眼魔》をリアニメイトすることに全力を注ぐデッキがアゾリウス眼魔。昨年の世界選手権から今も活躍を続けています。   本日紹介するジェスカイ眼魔は、《救いの手》《再稼働》で《忌まわしき眼魔》を吊り上げるコンセプトはアゾリウス眼魔と同じなものの、似て非なるデッキ。 最も異なるのは《忌まわしき眼魔》を墓地に落とす手段です。アゾリウス眼魔が《錠前破りのいたずら屋》や《第三の道の創設》でライブラリーから直接《忌忌まわしき眼魔》を落とすのに対し、このデッキでは手札からのディスカードしていきます。 《逸失への恐怖》はパイオニアやモダンでもお馴染みのクリーチャー。カードを捨てて引く能力で損をせず、昂揚した状態で攻撃することで追加の戦闘フェイズを獲得できる、便利な2マナ域。 同じ2マナ域の《太陽の執事長、インティ》もディスカード手段。こちらはリソースを稼ぎつつクリーチャーを強化してくれます。《逸失への恐怖》と相性が良く、昂揚を達成していると2回攻撃できるので、《太陽の執事長、インティ》も2回誘発するのです。 《蒸気核の学者》は面白いチョイスです。2ドローした後にインスタントかソーサリーか飛行を持つクリーチャーを捨てるかカードを2枚捨てるかのいずれかを選ぶので、《忌まわしき眼魔》を捨てれば2ドロー1ディスカードとかなりお得なカード。《遠眼鏡のセイレーン》を捨てても良いのでかなり使いやすいですね。もちろんこのディスカードにも《太陽の執事長、インティ》は反応します。 1枚だけ採用されている《上げ潮、キオーラ》も2枚引いて2枚捨てるクリーチャー。こちらはスレッショルド状態で攻撃するとタコが出るオマケつきなので、墓地が肥えてきた中盤以降は脅威となります。 《忌まわしき眼魔》をライブラリーからではなく手札から墓地に送り込むことで何が変わったのかというと、それはクリーチャーを多く採用できる点です。   従来のアゾリウス眼魔は《錠前破りのいたずら屋》《傲慢なジン》《忌まわしき眼魔》のクリーチャー12枚体制がデフォルトでした。《錠前破りのいたずら屋》はただの1/3警戒なので、戦慄予示による当たりは2種類しかなく、大体の場合はただの2/2クリーチャーです。 しかし、ジェスカイ眼魔は違います。《遠眼鏡のセイレーン》は外れとしても、《太陽の執事長、インティ》《逸失への恐怖》《上げ潮、キオーラ》は当たりの部類に入るので、《忌まわしき眼魔》を合わせて12枚は戦慄予示による当たりがあるのです。《遠眼鏡のセイレーン》《蒸気核の学者》も飛行を持っているので、戦慄予示で場に出す外れというわけでもありません。 また、《逸失への恐怖》《蒸気核の学者》《上げ潮、キオーラ》とドローできるカードがたくさん入っているので、《プロフトの映像記憶》も採用しています。《プロフトの映像記憶》はどんなクリーチャーもフィニッシャークラスに成長させるエンチャントなので、サイド後に《安らかなる眠り》を置かれた際には凄まじい活躍を見せるでしょう。 アゾリウス眼魔はアタッカーである《傲慢なジン》と《忌まわしき眼魔》がいずれも墓地依存のカードなので、墓地対策がとても苦手でしたが、このジェスカイ眼魔は墓地対策にかなり耐性のあるデッキです。 赤を使えるのでサイドには墓地を使わないダメージソースとして《ウラブラスクの溶鉱炉》も採用しており、墓地対策を無視しようとする姿勢が伝わってきます。 スタンダードで《忌まわしき眼魔》を出したい方、選択肢はアゾリウスだけではありませんよ! オボシュバーン パイオニアチャレンジ : 5位 By  KO_Mak パイオニアで長きにわたって親しまれていた相棒、《湧き出る源、ジェガンサ》が禁止され、最近は《空を放浪するもの、ヨーリオン》以外の相棒をすっかり見なくなりました。 そんな中、すい星のごとく現れたのがこのオボシュバーン。   奇数のカードしかデッキに入れられないという強力な制限がある《獲物貫き、オボシュ》。その分ボーナスは破格で、戦場に《獲獲物貫き、オボシュ》がいると、奇数のカードによりダメージがすべて倍になります。 《ギトゥの溶岩走り》は2マナ4点になり、《批判家刺殺》は6点火力になる。そんな夢のような相棒です。 奇数しか採用できない点も、バーンなら難しくありません。火力のほとんどは1マナで、《舞台照らし》《批判家刺殺》は3マナながら、絢爛コストは1マナなので実質1マナ。 そう、よく見るとこのオボシュバーンは、デッキ内に入っているカードがすべて1マナなのです。   それゆえに回った時には凄まじい速度です。《僧院の速槍》《損魂魔道士》の果敢持ちクリーチャーを非常に強く使えるデッキでもあります。何せデッキに入っているカードはすべて1マナですから、3連打してパワー4で殴ることもしばしばあるのです。絢爛と相性が悪いのはご愛嬌。 以前までは火力が弱かったため、《ボロスの魔除け》など2マナの火力呪文に頼る必要があり、《獲物貫き、オボシュ》を採用できませんでした。しかし、『ファウンデーションズ』で登場した《稲妻波》により、赤単でデッキが成立するようになったのです。 面白いのはサイドボードの偶数カードたち。   《解き放たれた狂戦士》はプロテクション白を持つので、天敵である《跳ねる春、ベーザ》を無視して殴り、《力線の束縛》をはじめとした白い除去も受け付けません。 そして4枚採用されている《碑出告の第二の儀式》は、相手のライフがちょうど10なら10点を与えるド派手な火力スペル。 これらの偶数のカードをサイドインする時は《獲物貫き、オボシュ》を相棒に指定できませんが、そのデメリットを補ってあまりある力が、この2種にはあります。   赤単バーンは相手のライフを20点削る設計のデッキです。なぜならデッキには1マナ2点や1マナ3点など、ただダメージを与えることしかできないカードが大量に入っているからです。クリーチャーが多いタイプの赤単は火力を除去として使い、クリーチャーでライフを削っていきます。そのため、ライフゲインを苦にしません。 スタンダードのグルール果敢などはその典型ですね。相手が《跳ねる春、ベーザ》を連打してライフが20になっていようと、《心火の英雄》《多様な鼠》《巨怪の怒り》などが絡めばあっという間にライフは消し飛びます。 そのクリーチャーによるダメージをあまり期待できない赤単にとって、ライフゲインカードは非常に厳しい。《跳ねる春、ベーザ》1枚で《火遊び》2枚分と考えると恐ろしいですよね。   だからこそ、サイド後はライフゲインを意識したカードチョイス。ライフを回復するカードは白が多いので、プロテクション白を持つ《解き放たれた狂戦士》、そして1枚で10点を出す《碑出告の第二の儀式》なのです。 赤好きにはたまらないオボシュバーン、ぜひお試しください。 ラクドスリアニメイト Ultimate Guard Open : 7-1 By Christian Rothen モダンでリアニメイトと言えば《御霊の復讐》。 モダンで《残虐の執政官》を出すなら《不屈の独創力》。 その常識を覆すのが、このラクドスリアニメイト。《御霊の復讐》ではなく《頑強》をリアニメイト手段とし、《残虐の執政官》を吊り上げます。 《頑強》は伝説のクリーチャーを釣れないので、強力なリアニ先の《偉大なる統一者、アトラクサ》《穢すもの、ウラモグ》は採用できません。 しかし、伝説以外でも強力な釣り先は存在します。それが《カザド=ドゥームのトロール》です。 スーパー威迫などと呼ばれている《カザド=ドゥームのトロール》。3体以上でしかブロックできないのでほとんどの場面でダメージを通すことができ、非常に早くクロックを刻んでいきます。1ターン目にサイクリングして土地をサーチして2ターン目に《頑強》で場に戻す動きは強力。   《カザド=ドゥームのトロール》はリアニメイトパーツでありながら、1マナで土地に変えられるので、腐ることがほぼないカード。実はリアニメイト要素はこのデッキには《残虐の執政官》と《頑強》しか入っていません。 残るパーツは殴るカードで構成されています。   《ドラゴンの怒りの媒介者》《ネザーゴイフ》は墓地が豪華になると強くなるカードたち。リアニメイトするためには墓地にカードを送る必要があるので、相性が良いですね。 《逸失への恐怖》は自身が墓地にある時は昂揚達成を助け、戦場に出てもカードを捨てて引くので、2つの意味で昂揚に貢献してくれます。もちろん昂揚達成時の2回攻撃のボーナスも強力。 《残虐の執政官》《カザド=ドゥームのトロール》と重いクリーチャーたちを採用しているので、《探偵のフェニックス》は非常に相性が良いカード。証拠収集6は非常に重いコストですが、このデッキなら達成は容易です。 そして《探偵のフェニックス》のバリューも非常に高いのがストロングポイント。《カザド=ドゥームのトロール》につけば《頑強》のパワーマイナス修正を受けても7点あり、しかも飛行3体を用意するのは現実的に不可能なので、事実上のアンブロッカブル。しかも《頑強》で釣り上げたターンに速攻をつけて攻撃もできます。 もちろん、《残虐の執政官》に《探偵のフェニックス》を授与して攻撃すれば大体勝ちですね。   《カザド=ドゥームのトロール》と《残虐の執政官》による一撃の打点が高いので、《逸失への恐怖》による2回攻撃も活きやすく、かなり早いデッキです。 《信仰無き物あさり》でリアニメイトが強化されたとは言われていたものの、これまでは良いデッキがまだ見つかっていませんでした。 このラクドスリアニメイトは《信仰無き物あさり》を再び輝かせるのか、今後の活躍に注目したいですね。

【今週のピックアップデッキ】ラクドスサクリファイス/ディミーアバウンス/ライフネクロ

週刊 Modern Pioneer Standard ピックアップ

2025.01.24

mtg Yuyan

こんにちは。 細川 侑也(@yuyan_mtg)です。 今週のピックアップデッキでは、ちょっと珍しいデッキを、軽い解説を交えて紹介していきます。         紹介デッキ ラクドスサクリファイス ディミーアバウンス ライフネクロ ラクドスサクリファイス スタンダードリーグ : 5-0 By Tomemoc 最近のスタンダードでは《この町は狭すぎる》《嵐追いの才能》のバウンスギミックが大流行していますが、サクリファイスもスタンダードでは定番のギミックでした。 その名の通り、生け贄(サクリファイス)を有効活用するのがラクドスサクリファイス。まずは生け贄にする手段からご紹介しましょう。   《塔の点火》《最後の復讐》は生け贄にして対象を除去するカードたち。《塔の点火》は生け贄にせずとも2点火力なのでそもそも及第点で、今のスタンダードでは引っ張りだこのカードですね。 《最後の復讐》はサクリファイス専用の除去。クリーチャーかエンチャントを生け贄に捧げることで使える1マナの除去で、好きなクリーチャーを追放できます。生け贄という大きな追加コストな分、強力な除去です。 この2種類はいずれも追放除去なので《心火の英雄》を後腐れなく除去できます。 近頃のサクリファイスで欠かせないのが《不穏な笑い》。他のエンチャントかクリーチャーを生け贄に捧げることで2ドローでき、更にこの《不穏な笑い》が生け贄に捧げられた時に戦慄予示を行えます。能動的な生け贄手段になるだけでなく、自身も生け贄時にボーナスがある、まさにサクリファイスのためのカード。 そして忘れてはならないのが《甦りし悪夢、ブレイズ》。終了ステップにカードを生け贄にし、それと同じタイプのパーマネントを生け贄に捧げさせます。その生け贄を拒否すると2点のライフルーズをさせながら自分が1ドロー。基本は相手がコントロールしていないカードタイプを生け贄にするので、ライフを失わせつつリソースを稼ぐスーパーカードです。 強力な生け贄軍団の次は、その供物たちをご紹介しましょう。   《機械仕掛けの打楽器奏者》は1ターン目から攻撃しつつ、生け贄にするとライブラリーのトップをプレイできるカード。生け贄はリソースを失う行為ですが、《機械仕掛けの打楽器奏者》はカードを失うことのない生け贄素材なので、非常に使い勝手が良いですね。 最近ではバウンスギミックのデッキでも大活躍中の《悪意ある呪詛術士》もサクリファイスで活躍します。戦場に出た時に生成される呪われし者の役割はエンチャントなので、実は《最後の復讐》や《塔の点火》で生け贄にできます。本来デメリットであるはずの呪われし者がサクリファイスではメリットに働くというわけですね。 《望み無き悪夢》もバウンスデッキで活躍するエンチャント。バウンスでは何度も使いまわして手札とライフを奪いますが、サクリファイスでは生け贄先として使います。墓地に置かれた時に占術2ができるのはかなり便利です。 サクリファイスは戦場のパーマネントを生け贄に捧げることが多いので、落魄しやすいデッキです。というわけで強力な落魄カードも採用されています。   《鍾乳石の追跡者》は落魄でどんどん成長していくクリーチャー。威迫があるのでブロックされず、生け贄にすることで除去も行える便利な1マナ域です。1ターン目に出した《鍾乳石の追跡者》を毎ターン《甦りし悪夢、ブレイズ》なので強化していくのが理想の流れとなっています。 落魄カードでもあり、エンチャントなので生け贄にもできるのが《迷いし者の骸》。落魄すれば何度も使い回せるので、こちらがライフを詰めにいく展開ではどんどん手札に戻していくことになります。 落魄手段は決して戦場から墓地に送るだけではありません。《逸失への恐怖》のディスカードで墓地にパーマネント・カードを送っても落魄してくれるのは覚えておいて損はないです。 説明不要の強カード、《ウラブラスクの溶鉱炉》は出たトークンを生け贄に捧げてもよし、ターンが経てばフィニッシャーとしてもよしですが、あくまで生成されるのはトークンなので、落魄しない点には注意。それでも十二分に活躍できます。 様々なシナジー満載のラクドスサクリファイス、この手のデッキがお好きな方にはたまらないはず! ディミーアバウンス パイオニアチャレンジ : 4位 By  rasvd スタンダードですっかり一大勢力となっているバウンス系デッキ。先ほども話にあがりましたが、今のスタンダード環境を語るなら欠かせないギミックです。 《嵐追いの才能》を出し、その《嵐追いの才能》と相手のパーマネントを《この町は狭すぎる》で戻し、《嵐追いの才能》を再びキャスト。レベル2になった時の能力で《この町は狭すぎる》を回収することで、マナはかかりますが無限に《この町は狭すぎる》で妨害を行いつつ、カワウソを生成できるようになります。 そんなバウンスタッグがなんとパイオニアでも活躍しています!   パイオニアでも動きに大きな違いはありません。《逃げ場なし》を戻して除去の使い回しを行ったり、《望み無き悪夢》で相手の手札とライフを同時に攻めていきます。 《食肉鉤虐殺事件》は使い回せる全体除去で、置いておくと相手のクリーチャーを除去するだけでライフを得られるので、コントロールにとって嬉しい1枚。 実は《覆いを割く者、ナーセット》もバウンスカードと相性が良いプレインズウォーカー。『灯争大戦』の一部のプレインズウォーカーは強力な常在能力がある代わりにプラス能力が存在しないため、忠誠度がなくなった後は常在型能力を持った置物になってしまいます。《覆いを割く者、ナーセット》もその内の1枚。 しかし、《孤立への恐怖》《この町は狭すぎる》で手札に戻せば《覆いを割く者、ナーセット》を再び再利用できるのです。 手札に戻すことでリソースを獲得できるカードとして《稲妻罠の教練者》も採用されており、《逃げ場なし》を戻す必要のない対コントロールなどでは、《稲妻罠の教練者》と《覆いを割く者、ナーセット》を何度も使い回していきます。 そしてなんといってもスタンダードとの一番の違いはライブラリーの枚数です!ご覧の通り、このディミーアバウンスはメインが80枚。   そう、《空を放浪するもの、ヨーリオン》が相棒なのです。 ディミーアバウンスは、戦場に出た時に効果を発揮するパーマネントをバウンスで何度も出し直して勝利するデッキ。それならば、戦場のパーマネントを一斉に明滅させてくれる《空を放浪するもの、ヨーリオン》との相性は抜群です。   《稲妻罠の教練者》《望み無き悪夢》《嵐追いの才能》《チビボネの加入》《逃げ場なし》は《空を放浪するもの、ヨーリオン》で一時追放するだけで恩恵がありますし、《覆いを割く者、ナーセット》もリフレッシュできます。 更にこの《空を放浪するもの、ヨーリオン》を《この町は狭すぎる》で回収してもう一度使用することができるので、相棒を徹底的に使い倒すことができるのです。今存在しているデッキの中で最も相棒と相性の良いデッキがこのディミーアバウンスなのです。 相棒は必ず手札に加えられるカードなので、戦略に組み込んだ時の強さは恐ろしいものです。ランダム要素の強いマジックというゲームにおいて非常に高い再現性を生み出すのが相棒システムです。   相棒界の王、《夢の巣のルールス》が入ったデッキは、軽いアクションで相手の除去と交換を続け、除去が尽きたところで《夢の巣のルールス》を出して勝利という動きが定番でした。必ずゲーム中に引けるカードは戦略として実に組み込みやすいのです。 パイオニアのディミーアバウンスは《空を放浪するもの、ヨーリオン》によって非常にデッキパワーが高く、これからどんどん活躍していくデッキになると個人的には思っています。 ライフネクロ モダンリーグ : 5-0 By PeanutBrittle ライフをドローに置換することのできる《ネクロポーテンス》。そのリメイク版として『モダンホライゾン3』で登場したのが《ネクロドミナンス》です。 元祖よろしく1点のライフを支払ってカードを引けるエンチャントで、手札の上限枚数が5枚になるなど、デメリットこそありますが、その性能は基本的には《ネクロポーテンス》です。 この《ネクロドミナンス》を活用したデッキが黒単ネクロ。《一つの指輪》《ネクロドミナンス》で大量の手札を確保し、《魂の撃ち込み》を相手に打ち続けて勝利します。 《一つの指輪》の禁止によってリソース確保手段は減ってしまいましたが、それでも《ネクロドミナンス》の強さは健在。今回は形を大きく変えた《ネクロドミナンス》デッキとして、このライフネクロを紹介します。 《ネクロドミナンス》で大量ドローするためにはライフが必要になりますが、その回復手段として黒単でも定番だった《魂の撃ち込み》と《不憫な悲哀の行進》に加えて、《滋養の群れ》も採用されています。 《滋養の群れ》は手札から緑のカードを追放することで、その追放したカードのマナ総量分のライフを獲得できます。《土着のワーム》を追放して15点ゲインできるので、《ネクロドミナンス》15ドロー分を0マナで確保できるのです。 《滋養の群れ》で回復するために《土着のワーム》の上から採用されているのが《一なる否命》です。手札からプレイした際にライブラリーからスピリットを場に出し、死亡時に墓地からスピリットを吊り上げる……なんて能力を使うことは一度もありません。 このカードの価値はそのマナ総量と色にあります。   《滋養の群れ》のコストに使えば12点のライフを得られる他、黒なので《魂の撃ち込み》でも追放できます。要するに黒でもあり緑でもあるカードの中で最も重いカードだから採用されているのです。 ライフゲインカードを大量にデッキに入れたことで《マルコフ家のソリン》を活用できるようになったのもポイント。3点以上のライフを得ることで変身でき、プレインズウォーカーになると、このターンに得たライフの分だけ好きな対象にダメージを与えられるので、《滋養の群れ》で《土着のワーム》を追放すると15点ダメージになります。 《薄暮薔薇の棘、ヴィト》も回復したライフ分、相手のライフを失わせるカードなので、このデッキの《滋養の群れ》は0マナ15点火力となる瞬間が多々あります。 そして《オルサンクのパランティール》。終了ステップの開始時にカードを引くか、切削を相手が選び、切削したカードの中のマナ総量分だけ相手にダメージが入ります。 通常は切削を選ばれますが、このデッキは《滋養の群れ》のために6枚の超高コスト呪文を採用できるようになったので、《オルサンクのパランティール》による切削は時に一撃必殺となるのです。 ギミック満載のアブザンネクロ、その破壊力をぜひ味わってみてください。