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【今週のピックアップデッキ】キャプテンスカベンジャー/セレズニアキャット/エターナルチャント

週刊 Modern Pioneer Standard

2024.12.05

mtg Yuyan

こんにちは。 細川 侑也(@yuyan_mtg)です。 今週のピックアップデッキでは、ちょっと珍しいデッキを、軽い解説を交えて紹介していきます。 キャプテンスカベンジャー(スタンダード) スタンダードリーグ:5-0 By Villard_00 墓地のカードを追放してそれのキーワード能力を得るクリーチャー、《魂剥ぎ》。 パイオニアでは活躍の実績もあるこの《魂剥ぎ》と似た性能を持つのが《アーボーグの掃除屋》です。 《魂剥ぎ》が探査によって追放したクリーチャー・カードの能力を得るのに対し、《アーボーグの掃除屋》は戦場に出たり攻撃する際にカードを追放し、それの能力を獲得していきます。スタンダードではなかなか活躍できなかった《アーボーグの掃除屋》。これまではキーワード能力をたくさん持つクリーチャーに恵まれず、せいぜい《偉大なる統一者、アトラクサ》を追放する程度でした。サイズの大きい《偉大なる統一者、アトラクサ》が持つ絆魂は強力ですが、《アーボーグの掃除屋》ではその効果は微々たるものです。しかし、『ファウンデーションズ』で《魂剥ぎ》の心の友と呼ぶべき相棒が帰ってきたことで、《アーボーグの掃除屋》に確変が起きました!《原初の夜明け、ゼタルパ》によって!飛行・二段攻撃・警戒・トランプル・破壊不能とヤサイマシマシニンニクアブラカラメぐらい盛りに盛った能力の数々はさすが8マナ!二段攻撃とトランプルの2つの攻撃性能に加えて破壊不能がつくので、《アーボーグの掃除屋》が欲しかった除去耐性もしっかり付与してくれます。同じく『ファウンデーションズ』からの新カード、《薄暮の聖人、エレンダ》も除去耐性を付与してくれるカード。絆魂は《原初の夜明け、ゼタルパ》にはないので同時に追放しても無駄がなく、インスタントからの呪禁は破壊不能で防げない《苦痛ある選定》のような追放除去からも耐性が付きます。《薄暮の聖人、エレンダ》は4マナと軽く手札から出しやすいのもポイント。問題はいかにして《アーボーグの掃除屋》で《原初の夜明け、ゼタルパ》や《薄暮の聖人、エレンダ》を追放するかですが、そこもクリーチャーが役立ちます。《上げ潮、キオーラ》は2枚引いて2枚捨てるので、《アーボーグの掃除屋》を引き込みながら追放したいカードを墓地に送りこめます。《逸失への恐怖》などの捨てて引くカードと違うので嬉しいですね。同じく引いて捨てるカードの《魅惑の悪漢、マルコム》も入っており、伝説のクリーチャーが大量に入っているデッキながら、手札調整が容易なので、余った2枚目の伝説を捨てられるようになっています。そして伝説のクリーチャーが大量に入っているということは、《英雄の公有地》をの出番です。青白黒の3色デッキなのですべての色マナが出る土地は非常に助かります。……ところでお気づきでしょうか?今ご紹介したカードたちに、伝説以外の共通点があることを。ヒントを出します。《原初の夜明け、ゼタルパ》は恐竜。《上げ潮、キオーラ》はマーフォーク。《魅惑の悪漢、マルコム》は海賊。《薄暮の聖人、エレンダ》は吸血鬼です。まだわかりませんか?デッキ名を見てください。キャプテンスカベンジャー。スカベンジャーは《アーボーグの掃除屋》。それではキャプテンは?その答えは《不気味な船長の玉座》です!タップするとカードを2枚切削するこの伝説のアーティファクト。《アーボーグの掃除屋》のために墓地を肥やせる置物ですが、真の力はその下に書いてある作製です。墓地やパーマネントから該当するカードを追放することで変身できる作製。恐竜とマーフォークと海賊と吸血鬼を要求する、作製カードの中でも随一の難易度を誇るのが《不気味な船長の玉座》。そもそもこの4種のカードをデッキに入れること自体が難しいと思われていました。しかし、このデッキはその作製条件を満たせます。それではほとんどの人が見たことすらないであろう《不気味な船長の玉座》の変身後の姿を見てみましょう。あまりに強すぎる!初見で見た時は僕もびっくりしました。さすが難易度Sの作製カードなだけあり、とんでもない能力を持っています。呪禁の7/7なので対処は難しいですし、攻撃するだけで相手は土地以外のパーマネントを生け贄。更に作製で追放したクリーチャーを攻撃している状態で戦場に出せるので、《原初の夜明け、ゼタルパ》が突然殴りかかることになります!変身したら勝利と言っても過言ではないでしょう。 《アーボーグの掃除屋》だけでも面白いのにそこに更にもう1ギミックが追加されたキャプテンスカベンジャー、味わってみてください! セレズニアキャット(パイオニア) パイオニアリーグ:5-0 By Tulio_Jaudy 近年最も推されている部族の1つと言えば猫。どうやらウィザーズにも猫ファンがいるようで、可愛らしい猫や可愛くないほど強い猫がバンバン収録されています。そしてとうとうパイオニアで猫デッキが組めるほどになりました!しんがりを務めるのは《聖なる猫》と《サバンナ・ライオン》。パウパーでも実績のある《聖なる猫》は墓地に落ちても一度トークンとして蘇る、除去耐性のある猫。一方の《サバンナ・ライオン》といえば、黎明期から白アグロを支えた功労者。学生の頃に1枚2000円で買ったのは良い思い出。2マナ域からレアリティが上がります。『ファウンデーションズ』で再録された《フェリダーの仔》はこの中で唯一のコモンではあるものの、生け贄でエンチャントを割れる優れた猫。《不浄な別室》などを割る場面もあるでしょう。レアの2種は、こちらは懐かしの《羊毛鬣のライオン》。アブザンミッドレンジなどでスタンダードでも活躍していた猫で、2マナ3/3といわゆる《番狼》なだけでなく、怪物化するとサイズが上がって呪禁・破壊不能を持ちます。新カードの《空騎士の従者》は他のクリーチャーが出るたびにサイズが上がり、3つ以上のカウンターが乗ると飛行を持つ、とても攻撃的なクリーチャー。すぐに《羊毛鬣のライオン》のサイズを超えていくでしょう。3マナ圏は主役揃い!なにせここには猫を強化するロードが2匹もいるのですから。まず1匹目は《初祖牙、アラーボ》。他の猫を+1/+1しつつ、自身や他のトークンでない猫が出るたびに1/1の猫を生成するという、展開と全体強化を兼ね備えた強力な猫です。続く《猫の君主》も猫に全体強化を与え、プロテクション犬も付与します。パイオニアで使われている犬は《無私の救助犬》ぐらいしか思い浮かびませんが、《変わり谷》にブロックされないのはメリットになるかもしれませんね。《猫の君主》にはもう1つ能力があり、自分の猫がプレイヤーに戦闘ダメージを与えた時に、そのプレイヤーのアーティファクトかエンチャントを破壊することができます。どれだけたくさんの猫で殴っても1枚しか破壊できませんが、全体強化のオマケとしては悪くありません。更にこれらの猫クリーチャーはすべて3マナ以下なので《集合した中隊》を採用できます。《威厳あるカラカル》を除くすべてのクリーチャーが該当するので、32枚が当たりになります。《集合した中隊》で2枚めくるには十分な数でしょう。最後に忘れてはならないのが相棒。そう、最近ではクリーチャーが《孤独》のみのアゾリウスコントロールなどにしか入らず、文字通り孤独だった《孤児護り、カヒーラ》が使えるのです。これは猫デッキの最大の魅力と言っても良いでしょう。全体強化と警戒を付与する相棒は、デッキ外のリソースとしては破格の性能です。いつも更地に出てくる《孤児護り、カヒーラ》も、たくさんの猫に囲まれてニッコリでしょう。猫まみれになりたい方は一度お試しあれ! エターナルチャント(モダン) モダンリーグ:5-0 By Sence17 かつてセプターチャントというデッキが一世を風靡していたのをご存じでしょうか?《等時の王笏》に《オアリムの詠唱》を刻印して相手のアップキープに起動し続けるだけで、相手はインスタント以外のカードを唱えられなくなり、攻撃もできない。一部のデッキはこれだけで完封でした。エクステンデッドで大流行したこのセプターチャント。実は今のモダンでも再現可能なのですが、今回は同じコンセプトを持った別のデッキをご紹介します。このエターナルチャントもセプターチャントと同じく、無限に《オアリムの詠唱》を打つデッキ。しかし、《等時の王笏》に刻印するのではなく、毎ターン手札から唱えます。それを可能にしてくれるのが《永遠の証人》と《儚い存在》のコンボ。《永遠の証人》で《オアリムの詠唱》を拾い、相手のアップキープに唱えます。その後、《儚い存在》を《永遠の証人》を対象にキャスト。明滅した《永遠の証人》で《オアリムの詠唱》を拾いつつ、アップキープの《儚い存在》の反復で《永遠の証人》を再び明滅させ、反復後に墓地に落ちた《儚い存在》を拾えば、これで永遠に《オアリムの詠唱》を打ち続けられます。もちろんこれだけで勝てるデッキはほとんどありません。インスタント除去1枚でこのコンボは止まってしまいますからね。そこで採用されているのが《時を解す者、テフェリー》です。《時を解す者、テフェリー》がこの場に加わることで対戦相手は呪文での妨害ができなくなります。戦場に既にあるカードで対処できないなら、《天上都市、大田原》によるバウンスぐらいしか防ぎようがないでしょう。そして《時を解す者、テフェリー》《永遠の証人》とキーカードが3マナのパーマネントなので、《星界の再誕》は非常にデッキに合っています。インスタントタイミングで墓地から蘇る《時を解す者、テフェリー》は相手の想定外でしょうし、思わぬ角度からコンボが決まることがありますね。コンボが決まるまでの間の延命手段として採用されているのは《空の怒り》。しかしバントカラーでは定番の《電気放出》は使えません。そこで採用されているのが懐かしの《霊気との調和》。かつてエネルギーデッキを支えていた土地サーチがモダンでも採用されることとなりました。《ファラジの考古学者》と《稲妻罠の教練者》は共に《儚い存在》《オアリムの詠唱》などのキーカードを手札に加えつつ、《儚い存在》の対象にもできる素晴らしいカード。《孤独》も想起で唱えて《儚い存在》で一時追放して場に定着させることができますし、このデッキに入っているすべてのクリーチャーは《儚い存在》と相性抜群です。コンボが決まればあのエネルギーすらも封殺!エターナル、この名前にピンと来る方はまず使ってみましょう!

【今週のピックアップデッキ】アゾリウスレイライン/イゼットロータス/シミック鱗親和

週刊 Modern Pioneer Standard

2024.11.29

mtg Yuyan

こんにちは。 細川 侑也(@yuyan_mtg)です。 今週のピックアップデッキでは、ちょっと珍しいデッキを、軽い解説を交えて紹介していきます。 アゾリウスレイライン(スタンダード) MOショーケースラストチャンス:5-0 By D00mwake 『ギルドパクト』で初めて登場した力線サイクル。ゲーム開始時に初手にあると手札から出した状態でゲームを始められるこのエンチャントのサイクルは、墓地対策の《虚空の力線》、手札破壊や火力に耐性がつく《神聖の力線》など、サイドボード後に活躍するものがほとんどでしたが、近年では《ドラコの末裔》とコンボになる《ギルドパクトの力線》と、デッキコンセプトになる力線までもが現れました。そして『ファウンデーションズ』で新しく刷られた力線も、デッキコンセプトになりうる1枚!《力線の斧》です。以前パイオニアのアゾリウスコロッサスで紹介したこの《力線の斧》。初手にあると手札からタダで出せる力線カードで、初めての装備品です。装備先に+1/+1二段攻撃トランプルを付与する装備品は本来唱えるのに4マナ、装備に3マナの合計7マナがかかるので、それが初手にあるだけで3マナで済んでしまうのはかなりお得……というより価格破壊レベル。この装備品のつけ先はなるべくサイズが大きいクリーチャーが良い!そこで選ばれたのが《威厳あるバニコーン》。可愛らしい兎さんは、その見た目とは裏腹に暴力的なサイズを持ちます。土地以外のパーマネントの数だけ大きくなるので、手がかりや地図などがあればあっという間に2マナ5/5。令和の《タルモゴイフ》と言っても過言ではありません。だが残念ながら《威厳あるバニコーン》は能力を持たないバニラ。トークンなどにチャンプブロックされてダメージが通せないのが弱点でしたが、《力線の斧》のおかげで一撃で敵を屠る兎に変貌します。《威厳あるバニコーン》と相性の良いカードが《マネドリ》。クリーチャーを飛行を持った状態でコピーしてしまうので、飛行を持つ《威厳あるバニコーン》として戦場に出ることも可能ですし、手がかりや地図を生み出して《威厳あるバニコーン》のサイズを上げる《ひよっこ捜査員》《遠眼鏡のセイレーン》にもなれます。《鋼の熾天使》も《威厳あるバニコーン》と組み合わせて強いカード。飛行を付与して《威厳あるバニコーン》のダメージを通しても良し、絆魂をつければ一気に大量のライフを回復できます。赤系アグロからしてみたらこの動きはたまらないでしょう。赤系アグロにとって天敵である《幽霊による庇護》ももちろん4枚採用です。これを《威厳あるバニコーン》につけてしまえば、《力線の斧》や《鋼の熾天使》でイージーウィンです。《幽霊による庇護》《鋼の熾天使》+《威厳あるバニコーン》は対赤アグロにおいて必勝ともいえるムーブ!赤いデッキに強いというだけでも、このデッキを選ぶ理由になりそうですね。 イゼットロータス(パイオニア) MOショーケースラストチャンス:5-0 By RNAPBP1 『ファウンデーションズ』では新カードだけでなく、これまで活躍してきた歴戦のカードたちも再録され、スタンダードで使用可能となりました。スタンダードで使えるということは、当然パイオニアでもそれらのカードが使用できるようになったのです!その中でも最もパイオニアへ影響を与えるのではないかと目されていたカード、それが《探検の地図》。ウルザ地形3種を揃えて膨大なマナを出すウルザトロンや、神座をたくさん集めてやはり大量のマナで勝利するクラウドポストなど、様々な土地コンボで採用実績のあるカードが、パイオニアにやってきました。その居場所はもちろん、パイオニアで土地を使うデッキ、ロータスコンボです!これまでのロータスコンボは《大ドルイドの魔除け》《森の占術》を採用した青緑、あるいはそこに《厳しい試験官》を加えたバントが定番でした。《睡蓮の原野》を置かなければ始まらないコンボなので、土地サーチはあればあるだけ良く、その役目を担えるのが緑しかなかったのです。しかし、《探検の地図》の登場でロータスコンボ界にも変革が訪れました。無色で使える土地サーチが出たことで、緑を使わない選択肢も出てきたのです。実は緑を使わないロータスコンボも実は少数存在していましたが、その比率は9:1ほどで、一般的なのは緑型でした。それが《探検の地図》のおかげで飛躍的に安定性が上がり、いよいよ緑の立場を脅かそうとしています。イゼットロータスの特徴はなんといっても不純物が非常に少ないことが挙げられます。通常のロータスコンボは《出現の根本原理》とそのサーチ先などで、およそ6~7枚ほど、重いカードが採用されていました。《出現の根本原理》を打って《全知》を置くことが勝ち手段だったので仕方ありませんが。これらの要素をすべて廃し、《考慮》や《手練》などのキャントリップ呪文、そして《時を越えた探索》を採用し、とにかくドロースペルを連打する構成となっています。《見えざる糸》から《出現の根本原理》を打つのではなく、ドロースペルを連打し、《見えざる糸》でマナを起こし、そのマナで更にドロースペルを打っていく。これがイゼットロータスです。とはいってもドロースペルがいつまでも連鎖するわけではありません。キャントリップ呪文もいつか土地になり、連鎖は終わります。それを防いでくれるのがイゼットフェニックスでも大活躍中の《美術家の才能》です。《美術家の才能》とキャントリップ呪文で不要なカードを弾きつつ、キャントリップを連打していき、最終的に《溺神の信奉者、リーア》に辿り着いてデッキすべてを掘り、《願い》から《タッサの神託者》で勝利。従来のロータスコンボというよりは、ストームに近い感覚のデッキですね。ロータスコンボでは《見えざる糸》を手札破壊で狙い撃ちされて《出現の根本原理》だけが手札に浮いてゲームに負けたり、《全知》や《闇の誓願》だけを引いて負ける。そんなこともありましたが、イゼットロータスではそんなことは起きません。ロータスを飽きるほど回した人でも、このイゼットロータスは新鮮な気持ちで回せるのではないでしょうか。《美術家の才能》とキャントリップと《見えざる糸》でデッキが回る様は美しく、在りし日のピットサイクルを思わせます!ぜひご堪能あれ! シミック鱗親和(モダン) モダンリーグ:5-0 By CarlosZ モダンの数あるガチャガチャデッキの1つである鱗親和。その歴史は2018年にまで遡ります。当時マジックオンライン上でマニアだけが使うマイナーデッキだった鱗親和は、その年のモダンで行われたグランプリ・プラハで優勝を果たし、人気のアーキタイプとなりました。《硬化した鱗》と《電結の荒廃者》による爆発力に魅了されるプレイヤーも多く、今もファンがとても多いデッキです。ちなみに僕も鱗親和を愛するプレイヤーの1人。そんな鱗親和の最新事情はというと、なんと青が足されています。青というスパイスが加わってどんな動きが可能になったかを、デッキの簡単な動きと共に解説していきます。このデッキは《硬化した鱗》にフィーチャーしたコンボ要素の強いアグロデッキ。《硬化した鱗》はカウンターが1つ乗る効果を2つにするので、《微光蜂、ザーバス》《歩行バリスタ》《電結の荒廃者》など、+1/+1カウンターが乗った状態で出てくるクリーチャーがすべて倍のカウンターで戦場に降り立ちます。これだけだと大したことはありませんが、《電結の荒廃者》はアーティファクトを1つ生け贄に捧げると+1/+1カウンターが1個乗るので、これも2個に。場のアーティファクトを3つ生け贄にすれば6個のカウンターが乗り、元のカウンターと合わせて8個。この《電結の荒廃者》を接合して《墨蛾の生息地》にカウンターを移せば、その際にも《硬化した鱗》でカウンターが増え、合計9個が乗り、一撃で10毒を相手に与えられるようになります。《継ぎ接ぎ自動機械》も《硬化した鱗》下ではカウンターが倍になり、恐ろしいサイズの護法クリーチャーが突然爆誕します。勝ちパターンもいろいろとあります。先ほど紹介した《電結の荒廃者》《墨蛾の生息地》による一撃必殺の他に、《歩行バリスタ》もフィニッシャーになります。《オゾリス》がある状態で《電結の荒廃者》の上に乗ったカウンターを《歩行バリスタ》に接合すると、《オゾリス》にも大量のカウンターが乗るので、たとえば8個カウンターが乗ってる《電結の荒廃者》が《歩行バリスタ》に接合することで、もともとのカウンター2+接合で乗るカウンターが8(+1)、そして《オゾリス》の上からまた8(+1)の9個が乗り、ちょうど20点を飛ばせます。そして《電結の荒廃者》《歩行バリスタ》などの強力な起動型能力を持つクリーチャーと相性の良いカードが《アガサの魂の大釜》。《電結の荒廃者》は非常に狙われやすいカードですが、《アガサの魂の大釜》があればすべてのクリーチャーが《電結の荒廃者》になるので安心。もちろん《硬化した鱗》カウンターもしっかり2つ乗ります。ここでようやくタッチ青の話が出てきます。この《アガサの魂の大釜》のバリューを更に引き上げてくれるのが《湖に潜む者、エムリー》です。戦場に出た時に切削4をするので、その中に落ちたクリーチャーを《アアガサの魂の大釜》で追放できますし、《アガサの魂の大釜》で《湖に潜む者、エムリー》を追放すれば、自分のクリーチャーがすべて《湖に潜む者、エムリー》の能力を使えるようになります。《電結の荒廃者》の能力で戦場のアーティファクトを墓地に送りこめるので、《湖に潜む者、エムリー》の能力を5体が使えたとして、それを全部使いきれるのが素晴らしい噛み合いポイント。《溶接の壺》を5回《電結の荒廃者》の能力で食べるもよし、マナがあれば《微光蜂、ザーバス》を何回も墓地から唱え、大量の+1/+1カウンターをばらまけます。これまでの鱗親和に入っていなかったのが不思議なぐらい、デッキと噛み合う1枚、それが《湖に潜む者、エムリー》です。サイドボードを見てもタッチ青はしっかりと活かされており、《記憶への放逐》と《呪文貫き》が採用されています。フェアデッキに強い一方、アンフェアはめっぽう苦手なのが鱗親和。緑単では解決できなかった対アンフェアも、青の力を借りれば攻略可能です。一度回せば虜になる魔力が鱗親和にはあります!ぜひ《湖に潜む者、エムリー》を加えて更に楽しくなったシミック鱗親和を回してみてください。

パイオニア神挑戦者決定戦参戦記~イゼットフェニックス解説~

Pioneer ピックアップ

2024.11.28

Akira Kobayashi

自己紹介  皆様、初めまして。小林 輝(コバヤシ アキラ)です。  XやNoteなどでは「へいか(@enzyutuheika)」という名前で活動させていただいております。  周りからはXのハンドルネームである「へいか」もしくは「陛下」などとよく呼ばれています。 マジック公式の写真館より引用  機会に恵まれ、GOOD GAMEメディアにて記事を書かせていただくことになりました。  どうぞよろしくお願いいたします。  マジック:ザ・ギャザリングを始めたのは2019年の『ラヴニカの献身』。新参です。  初めて組んだデッキは青単テンポ、初めて3-0したデッキは《荒野の再生》のティムールネクサスです!  始めた当時に幸運にもマジック:ザ・ギャザリング公式からインタビューをいただいた経験もあったりします。 マジック公式カバレージより引用    この記事の通り耳が聞こえませんが、ステップカードや対戦相手のご厚意などによって楽しくプレイをさせていただいております。  コロナ禍で休止後に2021年末で復帰し、2022年の日本選手権予選をきっかけに競技の沼に入り込みました。  大きな大会で優勝などはしていませんが、主な実績としては下記のような形になっています。  第9期パイオニア神挑戦者決定戦:トップ4 第25期スタンダード神挑戦者決定戦:準優勝 プレイヤーズコンベンション千葉2023パイオニアオープン:トップ4 チャンピオンズカップファイナル シーズン2ラウンド3:PT権利獲得  2月に行われるプロツアー・シカゴに参加予定なので、そこでも何らかの形で記事を書きたいと思います!  パイオニアでは青白が板botとして、アゾリウスコントロールやアゾリウスロータスなどのコントロールデッキを好みますが、アグロもミッドレンジも結構好きだったりします。  その一方でコンボデッキはあまり触ってこなかったので、これから勉強していこうと思います。  好きなカードは《荒野の再生》です!! 禁止改訂の時期になる度に《荒野の再生》をストレージから解放する再生解禁botとしても活動しております。  そのうち《荒野の再生》の記事も書くかもしれません。ご期待ください。 パイオニア神挑戦者決定戦の参戦デッキ  さて、今回の記事としては11月23日にパイオニア神挑戦者決定戦で使用したデッキに関する解説になります。  デッキはやはりアゾリウスコントロール……ではなく、イゼットフェニックスです!  青白が板botとして最初に書かせていただく記事がイゼットフェニックスになってしまい大変申し訳ございません。腹を切って詫びます。 なぜイゼットフェニックスなの?  まずパイオニア神挑戦者決定戦に挑むにあたり、アゾリウスコントロールのポジションがかなり悪くなっていたことが始まりでした。  《思考囲い》のみならず《強迫》も複数枚入れ、《不浄な別室》によるとんでもないドローエンジンが強力なラクドスデーモン。  細かく動いてくる上にスペルを唱えるだけで墓地から《弧光のフェニックス》が飛んでくるなど、構造的に不利なイゼットフェニックス。  怨敵たる《スレイベンの守護者、サリア》を擁し、《至高の評決》などを《エイヴンの阻む者》《選定された平和の番人》でズラされてしまうセレズニアカンパニー……  このように、アゾリウスコントロールにとって辛いデッキが環境上位を占めています。とてもつらい。  これに限らずアゾリウスコントロールは以前から苦難の時期が続いており、他のデッキを模索しているところでした。  友人からイゼットフェニックスを借り、回したところ……ものすごく楽しい!!  全てのカードが美しく絡み合っていく感覚、そして何よりドロー、ドロー、ドロー!! 「マジックはドロー」という格言をこれ以上なく体感でき、正直今まで触ってこなかった事を後悔しました。それほど楽しいデッキです。  気が付けば延々と一人回しをしてしまう毎日を過ごしてしまいました。  しかし、イゼットフェニックスに触れてからパイオニア神挑戦者決定戦まで間もない状態。  練度も精度も何もかもが足りない状態です。  そこでヨーロッパのUltra Proのスポンサードプレイヤーであり、各地のRCやPTで好成績を残し続けているチームWorldly Counsel Heavy Playの一員で精力的に活動されているMyra00(@Myra00_mtg)さんからイゼットフェニックスの何たるかをコーチングしていただきました。  正直言って、本記事のかなり深い部分についてはMyra00さんの受け売りです。  こうして記事にすることを快くご許諾いただき、この場を借りて感謝申し上げます。  コーチングなども条件付きで実施されているそうなので、本記事で興味が出てきましたら是非見に行ってください!(ディスコードID:myra00)    Myra00さんからご教授いただく中でイゼットフェニックスというデッキの奥深さを知り、ますます使いたくなってきました。  マジックをしていく上で一番重要な事は「楽しむ事」なのが私の信条。楽しめるデッキを使わない選択肢はありませんでした。  当日は楽しむつもりで友人から借りたイゼットフェニックスを手にいざ出陣!  結果はというと、1-3ドロップ……現実は非情でした。  負けはいずれも悩んだ選択の中で裏目を引いてしまった形になり、イゼットフェニックスの難しさを身をもって知る形となりました。  が、ここで得られた知見なども含めてこれからイゼットフェニックスというデッキを深掘りしていきます。  イゼットフェニックスに興味がある方々には私の屍を乗り越えていっていただければと思います。 イゼットフェニックスについて  さて、改めてイゼットフェニックスについて基本的なことを紹介していきます。  《考慮》《選択》《手練》の1マナキャントリップ、1マナ3点火力の《焦熱の衝動》や《弧光のフェニックス》を墓地に送る手段でもある《稲妻の斧》。  これらインスタント・ソーサリー呪文を3回唱え、墓地からデッキ名にもなっている《弧光のフェニックス》を戦場に戻らせる事を主目的としたデッキです。  このように1マナのスペルが非常に多く、墓地も肥えやすいことから"パイオニアにおける聖域"と謳われるパワーカードである《宝船の巡航》を最も強く使えるのも他にない強みですね。  禁断の1マナ3ドローを味わってしまったらもう戻れません。モダン・レガシーで禁止されているカードは格が違います。 『エルドレインの森』で得た新戦力《錠前破りのいたずら屋》で大きな存在感を発揮していたイゼットフェニックスですが、『ブルームバロウ』で《美術家の才能》を獲得したことでデッキとしての強さが一段階上がったと言っても過言ではありません。  とにかく《弧光のフェニックス》を求めてデッキを掘る必要があるイゼットフェニックスにおいて、「全てのノンクリーチャースペルにルーティングのオマケがつく」効果は強力無比です。  これも2マナと非常に軽く、ラクドスなどの特定カラーは対処しづらいエンチャントである点も強みの一つになっています。  この《美術家の才能》のルーティングによるデッキ掘り能力は凄まじく、探査コストを7枚要求する《宝船の巡航》を1ターンで2回唱えることすら可能としています。  また、どんどんデッキを掘っていく特性上、1枚差しの価値が大きく上がっているのもポイントの一つになります。  メインボードの1枚差しとしては《プロフトの映像記憶》がその筆頭ですね。  これもまたルーティングを繰り返す《美術家の才能》やキャントリップの《考慮》《選択》。(※《手練》は手札に加えるため、ドローにならない点に注意です。)  そして1マナ3ドローである《宝船の巡航》との相性も非常によく、《錠前破りのいたずら屋》にカウンターを乗せることで優秀なサブプランとして機能します。  また、先述した通り「特定のカードへのアクセスのしやすさ」は各マッチアップに対して効果的なサイドボードを引き込みやすい事にも繋がります。  これもイゼットフェニックスの大きな強みの一つであり、総じて「75枚全体で戦う」という感覚が強く感じられるデッキです。 今回使用したデッキリスト 今回はMyra00さんからご提供いただいたリストを使用しました。 メインボード解説(フリースロット)  様々なリストを見ていきましたが、メインボードでは56枚ほど固まっているように見受けられます。残りの4枚がフリースロットですね。  ここではフリースロット部分について言及していこうと思います。    ここは《反逆のるつぼ、霜剣山》《ジュワー島の錯乱》などとの選択ですね。  Myra00さんからいただいたリストでは《島》4枚で、それをリスペクトした形です。  理由もあり、《考慮》《手練》《選択》などのキャントリップを能動的に唱えるにあたって赤しか出ない《反逆のるつぼ、霜剣山》はややリスクがあるように感じました。  サイド後の《無効》《神秘の論争》などが構えられないのも厳しいものがあります。 《ジュワー島の錯乱》も土地として運用するとタップインなのが大きなマイナス点。  追加の1マナ火力であり、セレズニアカンパニーの《永劫の無垢》やラクドス雄姿の《心火の英雄》などに対して追放が有効に働きます。  ミラーマッチでも《弧光のフェニックス》を追放したりと、結構働いてくれる1枚です。  最悪《美術家の才能》《プロフトの映像記憶》で協約が可能な点は忘れないでおきたいところです。  この二枚はセットでの運用ですね。  追加ターンを2回得て複数の《弧光のフェニックス》で一気に削りきるコンボデッキのような立ち回りを可能としています。  この2枚を採用する理由として、《美術家の才能》によって墓地肥やし及びパッケージを探す速度が大きく上がり、このコンボで殴り切るというプランがこれまでより容易になった点が挙げられます。  また、4cズアーなどには長期戦になってしまうと必敗の中、このコンボという明確なゴールが存在することも一つのポイント。  《感電の反復》も1枚の価値が高くなるラクドスデーモン戦で《焦熱の衝動》をコピーして《ドロスの魔神》を対処したり、あるいは《厚かましい借り手》をコピーすることで一気にテンポを取ったり……というように器用な働きをします。 Tips集 《手練》《選択》《考慮》どれから使う?  基本的にソーサリーの《手練》から使っていきます。 《プロフトの映像記憶》に影響がないですし、《選択》《考慮》はインスタントタイミングであるため相手の動きを見て、必要なカードかどうかを判断できるからですね。  ただし、「手札を加える」という特性上、《黙示録、シェオルドレッド》《覆いを割く者、ナーセット》などがいる時は《手練》の価値が大きく上がります。  また、同時に2枚見れるという効果の特性上、欲しいものが明確であれば《手練》を温存するという手もあります。  では《考慮》と《選択》はどうか、と言われれば一般的には《宝船の巡航》の探査、《弧光のフェニックス》が落ちる可能性のある《考慮》の方を優先して使います。  受け入れが狭い(不要なカードが多い)ほど諜報で落としやすくなるのもあり、序盤から使っていきたい1枚でもあります。  基本的には《考慮》でカードを墓地に落とした方が得ですからね。  ただし、《選択》から先に打つパターンも存在します。  土地が欲しい時は《考慮》より《選択》を打つのがベターです。前述の「《考慮》を打つならカードは墓地に落としたい」を前提に考えてみればわかりやすいです。  土地が欲しい=土地は《考慮》で墓地に落としたくないということになるので、(2枚目の土地であれば)ライブラリー内の18枚は引きたいカードですから、そこそこの確率で諜報できずに(諜報によって土地が見えて)ドローしてしまう場合があります。そのままにしてドローするなら《選択》でも《考慮》でも同じ。《考慮》の方が強いカードなのにもったいないですよね。  他には、《真っ白》などの墓地対策をケアするパターンでも《選択》から打ちます。テキストを読み上げるようですが、《考慮》は諜報によって1枚で最大墓地を2枚肥やすことが出来ますからね。  《選択》を先に使い、墓地対策をされた後から《考慮》で1枚多く墓地を肥やすことで《宝船の巡航》に繋がるようにするわけですね。 土地1枚のハンドはキープ可能?  キャントリップ2枚以上であればキープを検討します。  他に《美術家の才能》もあれば2枚目の土地を引いた時のバリューが非常に高いため、まずキープしますね。  また、キャントリップ1枚でも《美術家の才能》に加え、《錠前破りのいたずら屋》などがある強い手札であればキープします。  ただしラクドス雄姿などの序盤の干渉が必要なマッチアップであればマリガンです。  マッチアップによってキープ基準は変わるというわけですね。 《宝船の巡航》の探査  基本的に《焦熱の衝動》の魔巧達成のために土地・エンチャント・クリーチャーから優先的に追放します。  《焦熱の衝動》が関係ないマッチアップではあまり気にしなくても大丈夫です。  《思考のひずみ》が入ってきそうな相手であれば、逆に土地やクリーチャーを残し、打たれても探査コストが残るようにする小テクもありますね。 《美術家の才能》加入の影響 《稲妻の斧》の枚数減少  《弧光のフェニックス》を捨てる貴重な手段であり、1マナ5点と凄まじいマナ効率の《稲妻の斧》。  これまでのイゼットフェニックスではこれは4枚から動かないとされてきましたが、《美術家の才能》の加入によって2~3枚に減量されているリストが散見されます。  理由としては主に下記の二点であると考えています。 1.《美術家の才能》によって捨てる手段が困らなくなった  従来のイゼットフェニックスでは捨てる主な手段として《帳簿裂き》《稲妻の斧》の2種類でした。  《帳簿裂き》は盤面に関わらず謀議さえ誘発してしまえば捨てられますが、相手の除去によって定着は難しくなっています。除去された後に《弧光のフェニックス》を引いたら目も当てられません。  また、《稲妻の斧》は相手にクリーチャーがいなければディスカードすらできません。  その一方で《美術家の才能》は除去されづらいエンチャントであり、回数制限もなく盤面に関係なく使用できるため、《弧光のフェニックス》を捨てられる機会が非常に多くなっています。 2.《稲妻の斧》自体の価値が下がっている  端的に言えば「《美術家の才能》によってカード1枚の価値が上がっている」事が理由です。  《美術家の才能》のルーティングは「先に捨てる」ことになります。  そうすると、手札は多い方が判断材料として分かりやすくなりますね。  しかし《稲妻の斧》はディスカードが求められるため、手札は減ってしまいます。  そうすると《美術家の才能》のルーティングをする幅が狭まってしまい、強みが少し減ってしまいます。  例えば手札が2枚で片方がキャントリップであれば最低限ルーティングはできますが、1枚だけだとルーティングすら出来なくなります。  結果的に《宝船の巡航》などに辿り着く確率も下がってしまうというわけですね。  また、5点も魅力ではあるのですが、ラクドスデーモンなどはこの《稲妻の斧》を意識して《ドロスの魔神》《祭儀室》といったタフネス6のクリーチャーを繰り出してきます。  《稲妻の斧》の当て先の一つである《帳簿裂き》を巡るはずのイゼットフェニックスミラーにおいても、現在は《美術家の才能》型が主流になっていることも向かい風。  上記の理由から《稲妻の斧》そのものの価値が下がり、4枚が鉄板ではなくなったのだと考えられます。  とはいえ、ラクドス雄姿などに対しては信頼おける火力であるのも事実であり、《稲妻の斧》が4枚のリストも多々ありますので、この辺りはメタに応じてチョイスすることになるでしょう。 《帳簿裂き》の不採用  《美術家の才能》が入った事で抜ける枠は《帳簿裂き》になります。  ただし、一概に《美術家の才能》の方がいいとは言い切れません。《美術家の才能》自体は盤面に影響しないという大きな欠点が存在するからです。  例えばラクドス雄姿に対して《美術家の才能》を出そうにも盤面に触れず、タップアウトしてしまうことで、その隙にライフを一気に詰められてしまうリスクが生じてしまいます。  一方で《帳簿裂き》は手札を循環させる謀議も勿論ですが、この謀議によってどんどんサイズが膨れ上がる事による対アグロ性能が魅力。  2/4、3/5と育ってしまえば生半可なクリーチャーでは突破できません。  また、《帳簿裂き》抜きの《美術家の才能》型だとメインボードでは《弧光のフェニックス》《錠前破りのいたずら屋》の8枚しかクロックが存在しないため、これらを追放もしくは除去されると勝ち筋が消滅してしまうなんてことも。  《弧光のフェニックス》に頼らずとも《帳簿裂き》でのビートダウンというもう一つの勝ち筋を作り出せるのも大きな長所です。  これは墓地対策をしてくることが多くなるサイドボードでの軸をずらすサブプランとしても優秀で、デッキとしての太さにも貢献します。  このように、一概に《美術家の才能》の方が優れているとは言い切れない部分もあります。  しかしながら、当然《帳簿裂き》にも欠点が存在します。  それは《致命的な一押し》を筆頭とした除去が刺さってしまう点です。  そうすると手札に来た《弧光のフェニックス》は《稲妻の斧》ぐらいしか捨てられる手段がなくなってしまい、かさばってしまうなんてことも。  特に今はラクドス雄姿の存在によって軽量除去が多く取られているため、《帳簿裂き》はおおよそ出したターンかその次のターンに除去されると言っても差し支えないでしょう。  また、《帳簿裂き》が存在することでサイドボード後に《致命的な一押し》を減らしてこないため、結果的に《第三の道の偶像破壊者》などの他の勝ち筋にも刺さってしまう点もマイナス。  上記の理由から、現在は《帳簿裂き》はなかなか活躍しづらい環境と言えます。  一方で《美術家の才能》はエンチャントであるため、除去が刺さらない点で優れています。  これによるメインボードでの強さは段違いです。システムクリーチャーが置物になったらそりゃ強い。  また、《帳簿裂き》のターンに1回だけの謀議とは異なり、こちらは回数制限が存在しないことからデッキを回す速度は桁違い。  メインボードで墓地対策はほぼされない点、サイドボードでは《帳簿裂き》がいないことで相手の除去が減る=サイドボードのサブプランが通りやすい点なども含め、《美術家の才能》の方がトータル的に良いのでしょう。 サイドボード解説 《第三の道の偶像破壊者》3枚  墓地に依存しない別軸のプランその1。  1マナのスペルを連打するイゼットフェニックスとの相性が非常によく、1ターンで3~4枚のトークンが出てくることもザラ。  出てくるトークンのサイズは1/1と最低限のものですが、《プロフトの映像記憶》の乗せ先としても優秀。 《帳簿裂き》を採用しないこの型では除去を減らしてくることが多く、それに対してこの《第三の道の偶像破壊者》が突き刺さる構図になります。 《神秘の論争》が当たらない《若き紅蓮術士》を採用したリストもありますが、《美術家の才能》や《プロフトの映像記憶》で誘発する《第三の道の偶像破壊者》の方がオススメです。 《厚かましい借り手》2枚  墓地に依存しない別軸のプランその2。  相手の対策を一時的に対処できる万能バウンスであり、瞬速の3/1飛行。  また、飛行に対するブロッカーにもなります。特にセレズニアカンパニーの《エメリアのアルコン》は是非討ち取りたい1枚ですね。  ターンエンドに出すことで、《プロフトの映像記憶》をより強く使うことが出来る点も◎。 《弾けるドレイク》2枚  墓地に依存しない別軸のプランその3。  4マナとやや重いものの、ETBの1ドローでアドバンテージを取りつつ、追放領域まで参照するため、パワーが二桁になることも多々あります。  相手に対応がなければ速やかに試合を畳めるフィニッシャーです。 《プロフトの映像記憶》1枚  墓地に依存しない別軸のプランその4。  ドローすればするほどクリーチャーがどんどん強化されていきます。  各種キャントリップ、《宝船の巡航》《美術家の才能》などの相性が非常によく、回ると+8/+8というとんでもない数値になったりします。  警戒飛行である《錠前破りのいたずら屋》に載せると攻防共に大活躍。  地味に手札制限が撤廃される効果もあるため、クリンナップステップで《弧光のフェニックス》を捨てることが出来なくなる点については注意です。  墓地から帰ってきたばかりの《弧光のフェニックス》に乗せられないことも覚えておきましょう。 《塔の点火》1枚  追加の1マナ火力。  セレズニアカンパニーの《永劫の無垢》に対する回答であり、《心火の英雄》なども追放で対処可能です。  《第三の道の偶像破壊者》もあるので、メイン戦より協約しやすくなります。  この枠については4枚目の《焦熱の衝動》などに差し替えてもいいと思います。 《削剥》2枚  追加の火力であり《未認可霊柩車》への対応札です。  特に今はイゼットフェニックス意識で《未認可霊柩車》の採用が増えているので、2枚は必要だと感じています。  ここの枠を《プリズマリの命令》にしているリストもありますね。これもアーティファクト(《未認可霊柩車》)破壊の役割を担っています。 《無効》2枚  1マナでエンチャントおよびアーティファクトをカウンターできます。  《耳の痛い静寂》《真昼の決闘》《安らかなる眠り》《未認可霊柩車》などの対策カードの大半が置物であるため、これらに対する対策となっています。  また、現在のパイオニア環境では《不浄な別室》《美術家の才能》《鏡割りの寓話》《豆の木をのぼれ》etc……と、エンチャントが強い環境でもあるため、これらもひっくるめて1枚で見れるカード。   初めて見た時は「ほんとに~?」と思いましたが、使ってみると強さが体感できる1枚です。 《否認》1枚  シンプルなカウンターですね。  主にコントロールデッキやミラーマッチで入れる用途になっています。 《神秘の論争》1枚  こちらは青いデッキ全般に。  青い相手に対して、3ターン目にこれをバックアップに《美術家の才能》を唱える動きが非常に強力です。 サイドボードでの戦い方について 墓地に依存しないサブプラン  トップメタの宿命により、墓地対策もしくは《真昼の決闘》《耳の痛い静寂》などのイゼットフェニックス狙い打ちの対策が間違いなく入ってきます。  それに対して先述した通り《第三の道の偶像破壊者》《弾けるドレイク》《厚かましい借り手》《プロフトの映像記憶》など、軸をずらして墓地に依存しない勝ち筋で対応していくというプランを意識するとよいでしょう。  この場合、墓地に依存する《弧光のフェニックス》《宝船の巡航》を減らす形になりますね。  もちろん相手のサイドプランを見越して逆手に取る方法もありますので、各マッチアップでのインアウトはざっくり記載しつつ、大まかな方針を書いていく形にしたいと思います。 《美術家の才能》レベル2  メインボードでは2マナ以上のノンクリーチャー呪文は《美術家の才能》《錠前破りのいたずら屋》《宝船の巡航》《時間への侵入》《プロフトの映像記憶》があります。  しかし、レベルアップに要する3マナがあればその分だけ自分の動きを優先した方が強いことがほとんどで、レベルアップする暇があまりありません。  その一方でサイドボードでは相手の対策カードによってうまく動けなかったり、あるいは1枚のキャントリップ呪文を、必要なカードを探し出すために大事に温存する必要が生じたりします。  そうすると意識的に《美術家の才能》をレベル2にする機会が増える点は覚えておきたいところです。  レベル2になることでサイドから増えてくる2マナ呪文である《厚かましい借り手》《削剥》《否認》なども1マナになり、予想以上に動きやすくなったりします。 主要マッチアップ解説 現時点でのトップメタである、ラクドスデーモン・ラクドス雄姿・イゼットフェニックスミラーとのマッチアップを解説していきます。 VSラクドスデーモン  メイン有利、サイド微不利の印象です。  毎ターン誘発する《不浄な別室》によって長期戦は避けたいところ。  《不浄な別室》《黙示録、シェオルドレッド》《ドロスの魔神》でライフを詰めてくるため、それまでに《美術家の才能》《宝船の巡航》でいかにデッキを回すかが重要になってきます。 ▼キーカード - 《美術家の才能》  重要なカードとしては《美術家の才能》です。  この《美術家の才能》に対して対処できる手段がメインボードには《思考囲い》《強迫》しかなく、2マナの軽さで後引きしてもすぐ出せるなどでラクドスデーモン側は根本的な対応が不可能です。  《不浄な別室》によるドローエンジンが強いと言えども、《美術家の才能》を絡めた動きの方が速く強く、それを咎める手段もないためメインでは有利と捉えています。  ただし、《不浄な別室》《ドロスの魔神》によってライフを詰め切ってくるため、序盤はあまりライフを削られすぎないように留意する必要があります。  《止められぬ斬鬼》はその筆頭で、整ってしまえば《弧光のフェニックス》の無限ブロック・《焦熱の衝動》などで寝かせることは可能ですが、ハンデスなどで1回でも攻撃を通されると急にゲーム感が変わってきます。 ▼サイドアウト候補 《焦熱の衝動》《稲妻の斧》《塔の点火》《弧光のフェニックス》《時間への侵入》《手練》《宝船の巡航》 ▼サイドイン候補 《削剥》《無効》《プロフトの映像記憶》《厚かましい借り手》《第三の道の偶像破壊者》《弾けるドレイク》《否認》  メインボードでは先述した通り《美術家の才能》を絡めて速やかに自分のしたいことである《弧光のフェニックス》複数戻し、《宝船の巡航》連打ができる点などで有利になっています。  しかし、サイドボードでは《未認可霊柩車》《真っ白》《虚空の力線》といった墓地にクリティカルな対策カードが入ってきます。  これによりこちら側は減速を強いられることになります。  このマッチでは《無効》が、《鏡割りの寓話》《不浄な別室》のみならず、サイドボードから入ってくる《未認可霊柩車》にも刺さる頼もしい一枚となっています。  このようにお互いに牽制し合うカードが増える事から長期戦になりがち。  そうすると……先述したように《不浄な別室》が強いわけですね。  それに対して取れるプランが下記のように複数あります。 1.《第三の道の偶像破壊者》2.《弾けるドレイク》3.《プロフトの映像記憶》  ラクドスデーモン側は《致命的な一押し》は減らしたい一枚ですが、《第三の道の偶像破壊者》の存在によって減らし過ぎると裏目が生じることも。  2ゲーム目で《第三の道の偶像破壊者》を暴れさせた後、3ゲーム目では抜いて相手が増やした《致命的な一押し》を腐らせてしまうという大胆なプランも考えられますね。  このように相手のサイドプランを逆手に取ることもでき、逆に言えばラクドスデーモン側はこれに合わせていく必要があります。  特に《プロフトの映像記憶》によって脅威を増やす動きはラクドスデーモンに効果的なので意識したいところ。  《第三の道の偶像破壊者》で増やしたトークンに載せるのもよし、《弾けるドレイク》に載せてワンパンもよしと、墓地に頼らないプランの中核として働きます。  《ドロスの魔神》や《祭儀室》の6/6飛行デーモンを《厚かましい借り手》《洪水の大口へ》のバウンスでテンポを取り、そのまま差し切るというプランを念頭に置きながら動いていきましょう。 VSラクドス雄姿  軽量除去を多く擁するイゼットフェニックス側が有利であると思われがちですが、実は……辛いのではないか……?と思い始めています。  というのも、最近のラクドス雄姿はイゼットフェニックスを明らかに意識しており、タフネスが+2される《立腹》が採用されています。  これによって《焦熱の衝動》どころか《稲妻の斧》すら裏目になるリスクが生じ、さらに対応するダブルアクションが必要になってきます。  そうすると赤い土地も必要になってくるわけですが、火力を探すためにキャントリップも唱えたいので《河川滑りの小道》を赤で置くと、それはそれで窮屈な展開になります。  そして除去さえしていれば勝つわけではありません。序盤を凌いだところで《宝船の巡航》でリソースを回復し、《弧光のフェニックス》などで殴り切る必要が出てきます。  そのためにマナを寝かせる必要があり、その隙を突いて速攻を持つクリーチャーで殴りかかってくるリスクも生じます。《立身+出世》もありますしね。  このようにイゼットフェニックス側の要求値が高い一方で、ラクドス雄姿側は「イゼットフェニックスの火力をいかにかわすか」ことだけ考えていればよく、押し付けやすい形になっているように思います。  総括すると「ラクドス雄姿側がゲーム自体の主導権を握りやすい」というわけですね。《致命的な一押し》が恋しいです。 ▼キーカード - 《焦熱の衝動》《稲妻の斧》等の除去  初手にこれら除去がなければ負けます。マリガンは厳しめにやらなければなりません。  また、先手・後手で《美術家の才能》の評価が大きく変わる点も注意です。  後手だと相手がクリーチャー2体以上+3マナ使える状態になり、タップアウトしてしまうと大きくライフを削られてしまいます。  このように後手での2ターン目《美術家の才能》は出来る限り避けたい一方で、先手であればまだ脅威の度合いが小さいので即出します。  これは2ターン目で大きくライフを詰められるパターンが《心火の英雄》→《巨怪の怒り》or《立腹》or《裏の裏まで》+《無感情の売剣》の15点しかないためです。  ここで設置し、バリューを最大限引き出すようにします。 ▼意識すべき点 ◇先手1ターン目《熊野と渇苛斬の対峙》  このケースで後手1ターン目に《焦熱の衝動》は構える価値がありません。酷い目に遭ったので共有します。  なぜならこの時点の《焦熱の衝動》は魔巧未達成により2点火力であり、2章によって+1/+1カウンターが載った状態で出てくるクリーチャーたちの前には無力だからです。(《心火の英雄》だけは対応可能ではありますが……)  《手練》があれば手札によって必要な札を探しつつ、魔巧達成のために墓地にスペルを溜めていきましょう。   ◇《弧光のフェニックス》をブロッカーに回す  アグロ・クリーチャーデッキ全般にも言えることですが、3回スペルを唱えてしまえば復活する《弧光のフェニックス》は優秀なブロッカーとして機能します。  ただし、《熊野の食刻》はダメージを受けて死亡すると追放されてしまう置換を持つため、《弧光のフェニックス》をブロッカーにするプランであればマスト除去になります。  このようにゲームプランによって除去の優先順位も変わってくるので、難しいマッチアップと言えるでしょう。 ▼サイドアウト候補 《時間への侵入》《感電の反復》《弧光のフェニックス》《美術家の才能》《手練》《呪文貫き》 ▼サイドイン候補 《削剥》《塔の点火》《厚かましい借り手》《第三の道の偶像破壊者》《弾けるドレイク》  ラクドス雄姿は《熱烈の神ハゾレト》《立身+出世》《ウラブラスクの溶鉱炉》などで中盤以降でもそこまで息切れせず攻めてくるため、序盤を凌いだだけでは勝てません。  盤面に影響しないとはいえ、《美術家の才能》は勝つために必要なカードです。先手では2ターン目に置けるバリューがあるため全て残し、後手では全て抜かずに2枚程度減らすという形になると考えられます。  《弧光のフェニックス》は先手後手ともに手札にかさばると敗着に繋がるため、2枚程度減らします。  《巨怪の怒り》でトランプルを付与しない限りトークンの山を突破できないことから、《第三の道の偶像破壊者》は主な勝ち筋でもありながら火力では対処不可な《熱烈の神ハゾレト》への対抗手段にもなります。  また、《厚かましい借り手》がコンバットトリックにバウンス、《精鋭射手団の目立ちたがり》に対して相打ちを取れる点でも頼もしい1枚になっています。  《弾けるドレイク》は隙が大きいものの、ボードをコントロールした後の速やかに終わらせる手段としては最適。  制圧した後は速やかにゲームを終わらせることを意識していきましょう。 VSイゼットフェニックス  メインボードでは各種火力がほぼ死に札であり、《美術家の才能》を対処できるのが《呪文貫き》《洪水の大口へ》しか存在しません。  よってこのマッチでは《美術家の才能》を先に定着した方に大きく天秤が傾くことになります。 《美術家の才能》の2枚目を先に置けたらほぼ勝ちと言っても過言ではありません。 《感電の反復》《時間への侵入》のコンボが非常に強く、《美術家の才能》《宝船の巡航》でデッキをどんどん掘ってこの2枚を探し当てる別ゲーと化します。  逆に相手だけ《美術家の才能》が定着してしまっているケースでも同様で、おそらく《美術家の才能》が無い状態で勝つ唯一の手段もまた《感電の反復》《時間への侵入》となります。  そのため、相手だけ《美術家の才能》がある劣勢な状況であればこのコンボを狙いに行くことになります。 ▼意識すべき点 ◇《弧光のフェニックス》をあえて戻さない選択肢  墓地に《弧光のフェニックス》が1枚しかない時は、戦場に戻らせること自体リスクが生じることがあります。(火力の打ち先になってしまったり、《塔の点火》を当てられたり)  2回目のスペルを唱えた後、第二メインフェイズまで行ってから3回目のスペル唱えて《弧光のフェニックス》をあえて戻らせない工夫も、時として必要になってきます。 ▼キーカード - 《美術家の才能》  正直《美術家の才能》がない7枚のハンドよりも《美術家の才能》がある5~6枚のハンドの方が強いと感じています。  相手がイゼットフェニックスと分かっているならば、マリガンのリスクを背負ってでも《美術家の才能》を探しに行くリターンは間違いなくあります。(キャントリップが潤沢にあり、探しに行けるハンドであればキープでもよいとは思いますが)  マリガン後、弱い6枚よりも《美術家の才能》がある5枚の方が強いため、最悪《美術家の才能》を求めてダブルマリガンまで検討に値するでしょう。  それほど重要な1枚です。 ▼サイドアウト候補 《焦熱の衝動》《稲妻の斧》(相手が《帳簿裂き》型の場合は残す) ▼サイドイン候補 《無効》《否認》《神秘の論争》《プロフトの映像記憶》《塔の点火》《削剥》(《未認可霊柩車》が見えた場合) 《稲妻の斧》の有無については《帳簿裂き》型かどうかによって変わります 《帳簿裂き》型であればこれを対処できる《稲妻の斧》を残すことになります。  同じ《美術家の才能》型であれば火力は《塔の点火》以外を全て抜き、《美術家の才能》に対応できる《無効》《否認》を入れていきます。  サイド後はお互いに《美術家の才能》を意識することになります。  キープ基準も変わり、メインボードでは《美術家の才能》が重要になってきますが、お互いに対処手段が増えるサイドボードでは《美術家の才能》がなくとも、《無効》などの《美術家の才能》を対処する札および《宝船の巡航》などのリソースカードがあればキープに値します。  下手に《美術家の才能》を唱えてしまうと弾かれた後に返しで《美術家の才能》を通されて最悪ですから、何らかのバックアップと共に唱えることになります。  この辺りはかつて《かき消し》《鏡割りの寓話》があったグリクシスミッドレンジミラーと同じような考え方になりますね。  回答と墓地肥やしの両方を兼ねる《錠前破りのいたずら屋》もまた重要な1枚です。  特に序盤においては《手練》などで下手にタップアウトしてしまうと《錠前破りのいたずら屋》を通されてしまうリスクがあるので、お互いに構え合う展開になりやすい印象があります。  上記のリストでは入っていませんが、ミラーでは《美術家の才能》《宝船の巡航》を完封する《覆いを割く者、ナーセット》が非常に効果的です。  ただし、3マナのソーサリータイミングであるため、《神秘の論争》などのバックアップつきでないと安心して唱えられない点には留意してください。 最後に  ここまでイゼットフェニックスを解説させていただきましたが、魅力が少しでも伝わりましたでしょうか?  このデッキはとにかくスペルを連打、ドローもしまくりと爽快感がとてもあります!  それだけ選択肢も多岐に渡り、この迷路の中で正解に辿り着くパズルのような要素もあって非常に楽しいデッキとなっています。  「トッププロですら80%もポテンシャルを引き出せれば上出来」と言われるほど高難易度のデッキ、極めてみたくありませんか?  このイゼットフェニックスについて様々なことをコーチングいただいたMyra00(@Myra00_mtg)さんに改めて感謝を申し上げます。ありがとうございます。  これからこういった記事をGOOD GAMEメディアで執筆させていただきますので、どうぞよろしくお願いいたします!

【今週のピックアップデッキ】セレズニア上陸/カワウソ隆盛/赤単エルドラージ

Modern Pioneer Standard

2024.11.22

mtg Yuyan

こんにちは。 細川 侑也(@yuyan_mtg)です。 今週のピックアップデッキでは、ちょっと珍しいデッキを、軽い解説を交えて紹介していきます。 セレズニア上陸(スタンダード) スタンダードリーグ:5-0 By Oppa 《復活した精霊信者、ニッサ》《事件現場の分析者》タッグがまたスタンダードに現れた!!土地を置くとマナが出て、2回目のセットランド時にエルフかエレメンタルを手札に加える能力を持つ《復活した精霊信者、ニッサ》は、実質的に1ターンにセットランドを2回行える《寓話の小道》などとの相性が抜群。そして墓地に落ちた土地をまとめて吊り上げる《事件現場の分析者》はエレメンタルなので《復活した精霊信者、ニッサ》からサーチもでき、大量のマナを生み出せるため、この2枚のコンボはかつてスタンダードでティムールアナリストという名前で暴れ回っていました。 ……という話をついこの間パイオニアでした気がしますね。それぐらいこのコンボは人気でファンも多いのです! ローテーションで《記憶の氾濫》などの墓地から使えるリソースと、《斡旋屋一家の潜伏先》をはじめとした墓地に落ちる土地を失い、デッキは瓦解しましたが、今回は緑白で復活しました。『ファウンデーションズ』で再録された《フェリダーの撤退》の力で!久々に再録されたこのカード。というか僕はこのリストを見るまで《フェリダーの撤退》が再録されたことを知りませんでした。土地を置くたびに2/2の猫を生み出すか、または全クリーチャーに+1/+1カウンターを乗せて警戒を付与するかを選べるこのエンチャントは、最初は猫を出していき、たくさんの猫が出たところで全体強化できるため、自己完結しているカードと言えます。5回上陸すれば2/2を4体作ってその後に全体強化してすべて3/3……そう考えるとかなり強いカードに思えてきませんか?今までの《復活した精霊信者、ニッサ》系デッキに比べると、この《フェリダーの撤退》がキーとなるため、かなり攻撃的なのが今回のセレズニア上陸。とにかく《フェリダーの撤退》を引かなければ始まらないため、集めるためのパーツは多め。《蓄え放題》は《フェリダーの撤退》を拾いつつ、墓地に土地も落とせる良いカード。再録組の《ビビアン・リード》はプラス能力で《事件現場の分析者》《復活した精霊信者、ニッサ》にアクセスできる他、マイナス能力は《忌まわしき眼魔》や《偉大なる統一者、アトラクサ》、《力線の束縛》などに触れて何かと便利。もちろん緑でマナを使うデッキなので《ラノワールのエルフ》も入っています。2ターン目《復活した精霊信者、ニッサ》はこれまでの上陸デッキができなかったムーブですし、かなり圧力ありますね。2ターン目《復活した精霊信者、ニッサ》から3ターン目に《進化する未開地》を置いて4マナから《フェリダーの撤退》、《進化する未開地》起動でトークン生成と、すさまじい回りを見せることも。《事件現場の分析者》と同じ能力を持つ《森の轟き、ルムラ》が1枚のみに押さえられているのは、調整の結果なのでしょうか?気持ちよくなるために3~4枚ほど個人的には入れたくなってしまいますね。緑白なのでメインから大量に除去が入っており、サイドからは更に《エルズペスの強打》《跳ねる春、ベーザ》が増えます。赤いアグロ対策もバッチリなので、焼かれる前に土地の圧力で潰してやりましょう!! カワウソ隆盛(パイオニア) パイオニアリーグ:5-0 By KillerN 《渓間の洪水呼び》を出すと古参のマジックプレイヤーはひとしきりテキストを読んだ後、「《ジェスカイの隆盛》みたいなことするやつね」と言ってきます。体感5割なのでぜひ周りのおじさんで試してみてください。そんな《渓間の洪水呼び》が本家《ジェスカイの隆盛》とタッグを組みました。スタンダードの頃からジェスカイトークンや無限コンボなど、数多のプレイヤーに親しまれてきたエンチャント、《ジェスカイの隆盛》。最近のマジックプレイヤーに馴染みがないカードかもしれないので、簡単にコンボと一緒にご紹介しましょう。非クリーチャー呪文を唱えるたびにクリーチャーがアンタップして+1/+1の修正を受け、更にカードを1枚引いて1枚捨てる。クリーチャーをたくさん入れないと恩恵を受けられない能力なのに、誘発させるためには非クリーチャーを要求するため、デッキ構築がかなり難しいカードでしたが、クリーチャー生成手段をトークンにすることで、デッキ内のほとんどのカードが《ジェスカイの隆盛》を誘発させ、しかもばらまいた1/1たちが大きくなるので、スタンダード時代のジェスカイトークンは、その見た目と動きの美しさで、人気を博していました。このデッキでは純粋な無限コンボのキーパーツとなります。《ジェスカイの隆盛》を貼った状態で、クリーチャー・《モックス・アンバー》か《トーモッドの墓所》《撤回のらせん》の3枚が揃うと無限になります。《撤回のらせん》でクリーチャー(この場合は例として《侵攻の伝令、ローナ》)を対象に取り、その後《侵攻の伝令、ローナ》をタップして《モックス・アンバー》を手札に戻し、それを再び場に出します。すると《ジェスカイの隆盛》の能力で《侵攻の伝令、ローナ》がアンタップするので、再び《モックス・アンバー》をバウンスできます。これにより《侵攻の伝令、ローナ》が無限パワー&無限青マナ&無限ルーティングが完成します。《トーモッドの墓所》の場合は青マナは出ませんが、ルーティングの途中で《モックス・アンバー》を引き込めばそこからは切り替えて無限に突入します。最終的には致死量のサイズになった《侵攻の伝令、ローナ》を《トレイリアの抹消者、ローナ》に変身させればトランプルが付くので、チャンプブロックも許さずに勝利となります。 《侵攻の伝令、ローナ》以外のクリーチャーだった場合はトランプルはつきませんが、無限青マナが出せる状態を作れば勝利できます。 たとえば《稲妻罠の教練者》に《撤回のらせん》を打って無限パンプ&無限ルーターを繰り返し、道中で引いた《湖に潜む者、エムリー》か《侵攻の伝令、ローナ》をプレイ。その後《モックス・アンバー》で無限マナになります。 無限マナを作った後は手札の青と無色のカードがすべてフリースペルに変わるので、《稲妻罠の教練者》に付与された《撤回のらせん》のバウンス能力を、手札の青いカード分だけ繰り返し打つことができ、すべてのブロッカーを排除して勝利となります。 この場合は少し手札とマナが必要になる点に注意。 ちなみに《湖に潜む者、エムリー》《ジェスカイの隆盛》《トーモッドの墓所》でも無限パンプ・無限ルーターが決まります。 《湖に潜む者、エムリー》で墓地の《トーモッドの墓所》を唱えると《ジェスカイの隆盛》でアンタップするので、その後《トーモッドの墓所》を相手に使うことで再び《湖に潜む者、エムリー》で唱え……これでもやはり無限パンプ・無限ルーターが完成。《撤回のらせん》を使わない唯一のルートですね。 無限に0マナアーティファクトを墓地から出し入れできればコンボは決まるので、《トーモッドの墓所》の代わりに《モックス・アンバー》が合計2枚あっても決まります。これまでも存在していたアーキタイプでしたが、《渓間の洪水呼び》と《稲妻罠の教練者》のカワウソたちが入り、コンボとビートダウン、両方の性能が上がりました。《渓間の洪水呼び》は非クリーチャー呪文を唱えた際にカワウソたちがアンタップする能力を持っているので、自身や《稲妻罠の教練者》を起こすとことができます。つまり疑似的な《ジェスカイの隆盛》として機能するので、《渓間の洪水呼び》に《撤回のらせん》を打ち、《モックス・アンバー》を戻して出し直すことで無限パワーになるのです。《ジェスカイの隆盛》と違いルーティング能力こそありませんが、もはや《渓間の洪水呼び》は追加の《ジェスカイの隆盛》と言っても過言ではありません!そしてコンボパーツを探す目的で採用されている《稲妻罠の教練者》も当然カワウソ。《渓間の洪水呼び》によって強化されるので、このカワウソたちが少し並んだ状態で《ジェスカイの隆盛》を置くと、1回のスペルを唱えるごとに+2/+2が発生し、あっという間に致死量の打点を叩き出してくれます。《稲妻罠の教練者》が入ったことで、これまで腐りがちだった《撤回のらせん》の運用方法が増えたのも地味に素晴らしい点です。クリーチャーがいないと使えず、しかも使用先もコンボ以外では相手のクリーチャーを戻す時間稼ぎしかできませんでしたが、《稲妻罠の教練者》でクリーチャーの数が増えただけでなく、《稲妻罠の教練者》を戻すことで再び再利用し、コンボパーツを探しにいけるようになりました。個人的に思い入れもあり大好きなデッキなので回してみたい! 赤単エルドラージ(モダン) モダンリーグ:5-0 By Zoza 最近のエルドラージは《まき散らす菌糸生物》でマナを伸ばして《約束された終末、エムラクール》などに繋げるグルールランプ型が主流ですが、このエルドラージは古き良き殴るタイプのエルドラージです。トップ8に6人がエルドラージだった通称「エルドラージの冬」。《ウギンの目》が禁止となる原因を作った本トーナメントで活躍していたエルドラージに近い見た目とコンセプトなのが、今回ご紹介する赤単エルドラージ。と言っても当時から活躍していたエルドラージは最早このデッキには2種類しか入っていません。今でも現役バリバリで働いている《難題の予見者》に、最近ではあまり見なくなった《現実を砕くもの》。この2種類が登場したのが『ゲートウォッチの誓い』で、「すごいエルドラージがやってきた!」とプレイヤーたちが沸いていたのははるか昔。彼らも今ではすっかりベテラン。他の20枚はすべて新人です。《運命を貪るもの》はエルドラージに欠かせないキーカード。《エルドラージの寺院》《ウギンの迷宮》でマナ加速できるかが重要なエルドラージデッキにとって、ゲーム開始時のライブラリートップ4枚を操作できるのはあまりに大きい。そのまま《ウギンの迷宮》に刻印できるので非常に嚙み合っています。無色のクリーチャーを強化しつつ、マナ総量7以上の無色呪文のコストを軽減してくれる《終わりを告げるもの》は、《エルドラージの寺院》《ウギンの迷宮》で1ターン目から出せる強力なクリーチャー。X=5以上の《コジレックの命令》や《全ては塵》も軽くなります。そしてレガシーではすっかりお馴染みの《まばゆい肉掻き》も殴るエルドラージなら当然4枚採用。あっという間にトークンが沸いてきてライフを削ってくるので、見た目以上に速度を出してくれます。出てくる落とし子は《終わりを告げるもの》で強化されます。これらのエルドラージが《エルドラージの戦線破り》によって速攻で殴ってくるのも恐ろしいところ。《まばゆい肉掻き》でトークンが並べば《エルドラージの戦線破り》の修正値も上がるので、このコンビが揃うと非常に危険ですね。この『モダンホライゾン3』産エルドラージたちと共にデッキに入った新人が《七つの死の種父》。7マナ7/7に能力を7つ持ち、護法も7点のライフを要求と、徹底した7攻めのエルドラージ。とにかくライフを削るデッキなのでこの護法は非常に重く、問答無用に対戦相手を叩き潰します。エルドラージは《記憶への放逐》に苦しめられるデッキですが、この赤単エルドラージは《魂の洞窟》を4枚採用しているので、完全に腐らせる展開もあります。これは既存のエルドラージランプにはない魅力ですね。エルドラージ好きには、《引き裂かれし永劫、エムラクール》や《絶え間ない飢餓、ウラモグ》などの巨大エルドラージを叩きつけるのが好きな方もいれば、《現実を砕くもの》でビートするのがたまらないというプレイヤーもいるはず!このデッキは後者の皆様に超おすすめ!『モダンホライゾン3』でバッチリ強化された赤単エルドラージで《現実を砕くもの》をもう一度走らせてみましょう!

【週刊メタゲーム通信】カナダ地域CSではデーモンが大暴れ!そして突如現れたアサーラックコンボとは!?

週刊 Pioneer ピックアップ

2024.11.20

mtg Yuyan

こんにちは。 細川 侑也(@yuyan_mtg)です。 今回は先週末に行われた、カナダ地域チャンピオンシップの結果から、最新のパイオニア環境を分析していきます! メタゲーム カナダの地域チャンピオンシップ、トップ8はこれまでとは大きく異なる結果となりました。ラクドスデーモン:2イゼットフェニックス:1アサーラックコンボ:2セレズニアカンパニー:14色エニグマ:1オルゾフデーモン:1ヨーロッパ地域チャンピオンシップで大活躍だったサクリファイスはトップ8から姿を消し、デーモンがトップ8に3人!まずはサクリファイスに対するガードの高さがリストから見て取れますね。ラクドスカラーで採用できる最も強力なサクリファイス対策は《碑出告が全てを貪る》で、優勝者のリストには採用されており、トップ8のもう1人のラクドスデーモンは《虚空の力線》。いずれもサクリファイスに刺さるカードで、《虚空の力線》はイゼットフェニックスの対策も兼ねるカードです。途中で引いても《鏡割りの寓話》や血で捨てることができ、ラクドスデーモンは《虚空の力線》が使いやすいデッキと言えます。そしてなんといっても今回はトップ8にアサーラックコンボが2人!これにはさすがに驚きました。実は各地の地域チャンピオンシップでギリギリトップ8ラインなどまで勝ち進んでいたデッキだったのですが、今回ついに2人をトップ8に送り込む大躍進!更に最近では4cズアーにお株を奪われそうになっていた《奇怪な具現》も、《空を放浪するもの、ヨーリオン》の相棒を引き連れてトップ8入賞。ここからは個別にデッキ解説をしていきます。 ラクドスデーモン カナダ地域チャンピオンシップ :優勝 By Randall Litman カナダ地域チャンピオンシップを制したのはラクドスデーモン!気づけばデーモンと言えばこのラクドスが主流となってきました。デーモンと名はついていますが、その実態はラクドスミッドレンジ。手札破壊と除去で脅威を取り除き、《税血の収穫者》《止められぬ斬鬼》《鏡割りの寓話》で殴りながら、《不浄な別室》でアドバンテージを取っていくデッキです。《鬼の刃》などが入ったリストもある中、この優勝者の75枚はとてもすっきりしている印象を受けます。クリーチャーは12体のみで、手札破壊は定番の6枚、除去も環境に合わせたチョイスとお手本のようなリスト。最近では2マナの確定除去枠として《無情な行動》が採用されていますが、これはミラーにおける《ドロスの魔神》を意識したものです。《ドロスの魔神》の油カウンターを《無情な行動》で全部取り除くことで相手を敗北させることができるので、特にミラーでは重要となります。一方、《心火の英雄》をほぼ倒せなくなってしまうので、その辺りは一長一短といったところ。《心火の英雄》には他の除去を当てて、《無情な行動》は《精鋭射手団の目立ちたがり》などに打てば良いという考えでしょう。《塔の点火》はラクドス果敢の《心火の英雄》を意識したものです。サイドボードもオーソドックスな作り。《碑出告が全てを貪る》はジャンドサクリファイスに強い1枚。《清掃人の才能》をとても触りづらいカラーですが、《碑出告が全てを貪る》なら《魔女のかまど》や食物ごと《清掃人の才能》を吹っ飛ばせます。《未認可霊柩車》が3枚と多いのは対イゼットフェニックスを見据えてのことでしょう。見事決勝ではそのイゼットフェニックスにストレートで勝利を収めています。もし今週ラクドスデーモンを使うならこのリストをオススメしたい!それぐらい完成度の高い75枚だと思います。 アサーラックコンボ カナダ地域チャンピオンシップ:3位 By Dustyn Nogueira さあ、皆さんお待ちかねのアサーラックコンボです。このデッキは《アーチリッチ、アサーラック》を使用した無限ダメージデッキ。まず《アーチリッチ、アサーラック》について簡単におさらいしましょう。3マナ5/5の伝説のクリーチャーで、攻撃するたびに相手がクリーチャーを生け贄に捧げないとゾンビを生成する……ってめちゃくちゃ強いことが書いてありますが、当然そんな彼にはデメリットがあります。戦場に出た時に、自分が《魂を喰らう墓》を踏破していないと、《アーチリッチ、アサーラック》は手札に戻り、ダンジョン探索を行う。つまり《アーチリッチ、アサーラック》を何度も出して《魂を喰らう墓》を踏破し、ようやくこのクリーチャーが戦場にきちんと着地するというカード。しかし、逆に言えば《魂を喰らう墓》を踏破しない限り、《アーチリッチ、アサーラック》は何度も手札に戻り、そのたびにダンジョンを進み、踏破し、またダンジョンに入れるカード、ということになります。もしもこのカードを0マナで出し入れできたら、《魂を喰らう墓》以外の2つのダンジョンを無限回潜れるのです。それを実現したのがこのアサーラックコンボ。まずは《ガイアの眼、グウェナ》。クリーチャー呪文か起動型能力限定で2マナを生み出す強力なマナクリーチャーですが、パワーが5以上のクリーチャー呪文を唱えると自身が成長し、しかもアンタップします。《アーチリッチ、アサーラック》のパワーは5なのでアンタップし、再び2マナを生み出せるので、実質《アーチリッチ、アサーラック》が1マナで唱え放題になります。そしてここに《正直者のラトスタイン》が加わることで、正真正銘0マナの《アーチリッチ、アサーラック》が無事爆誕。後は無限に《ファンデルヴァーの失われた鉱山》を走り続けて相手のライフが0になって勝利。《正直者のラトスタイン》はコンボパーツを墓地から拾いつつ、自身もコンボパーツとなる素晴らしいカードですね。最後の1枚は《正直者のラトスタイン》の代わりに《伝説の秘宝》でも達成できます。《アーチリッチ、アサーラック》は戦場に出た時に手札に戻る能力が誘発するので、能力にスタックして《伝説の秘宝》からマナを出せば、そこで出た1マナと《ガイアの眼、グウェナ》の2マナで《アーチリッチ、アサーラック》を出し、また《伝説の秘宝》で《アーチリッチ、アサーラック》をタップしてマナを出し……これでもループが完成。《眷者の神童、キナン》も生み出すマナを1つ増やせるので、《ガイアの眼、グウェナ》1枚から3マナを出すことができ、《アーチリッチ、アサーラック》の無限が決まります。《伝説の秘宝》を用いた他の無限パターンもあります。《侵攻の伝令、ローナ》《正直者のラトスタイン》《伝説の秘宝》と揃っていれば、《アーチリッチ、アサーラック》ループが行えます。《伝説の秘宝》で《侵攻の伝令、ローナ》をタップし、《伝説の秘宝》からもマナを出して、《正直者のラトスタイン》で1マナ軽くなった《アーチリッチ、アサーラック》をプレイ。 またさっきのように能力にスタックで《アーチリッチ、アサーラック》をタップして《伝説の秘宝》からマナを出しておき、《アーチリッチ、アサーラック》のキャスト時にアンタップした《侵攻の伝令、ローナ》を再度《伝説の秘宝》で寝かせてマナを出すと2マナが発生するので、これにて無事《アーチリッチ、アサーラック》が無限鉱山の旅に出ることになります。《ガイアの眼、グウェナ》を使わないこちらのパターンは《伝説の秘宝》しか起動型能力を使用しないため、すべてのクリーチャーがこのターンに戦場に出てもよく、更地から勝つこともあります。コンボパーツが3マナに偏っているのでマナクリーチャーを7枚採用し、更に2マナ域にはこれらのマナクリーチャーから追加で1マナを生み出す《眷者の神童、キナン》まで入っています。《眷者の神童、キナン》は起動型能力も強力で、《アーチリッチ、アサーラック》か《偉大なる統一者、アトラクサ》をライブラリーから場に出してくれます。ちなみに《ガイアの眼、グウェナ》から出るマナはクリーチャーにしか使用できませんが、《眷者の神童、キナン》がいる時に追加で新たに出るマナについては、クリーチャー以外にも使用できます。《眷者の神童、キナン》は《伝説の秘宝》で伝説のクリーチャーを寝かせた際のマナは増やしてくれないので注意しましょう。こうしてよく見ると、アサーラックコンボはコンボパーツが個々でそこそこ強いものばかりです。《侵攻の伝令、ローナ》は起動型能力で必要なパーツを集めてくれますし、《正直者のラトスタイン》はクリーチャーを拾ってコンボ達成を助けます。《ガイアの眼、グウェナ》も《偉大なる統一者、アトラクサ》の高速召喚に役立つので、コンボ成立時以外で引いて困るカードは《アーチリッチ、アサーラック》自身しかありません。最速3ターンキルもあり、長期戦も《湧き出る源、ジェガンサ》《偉大なる統一者、アトラクサ》でドンと来い。今後の活躍にも注目していきたい、とても良いデッキですね!

【今週のピックアップデッキ】アゾリウス眼魔キオーラ/レイラインコロッサス/ネオブランド

Modern Pioneer Standard ピックアップ

2024.11.15

mtg Yuyan

こんにちは。 細川 侑也(@yuyan_mtg)です。 今週のピックアップデッキでは、ちょっと珍しいデッキを、軽い解説を交えて紹介していきます。 アゾリウス眼魔キオーラ(スタンダード) スタンダードリーグ:5-0 By HelpfulHobo 『ファウンデーションズ』がついに本日発売!既にテーブルトップでは使用可能でしたが、マジックオンライン・MTGアリーナでも解禁され、早速各種フォーマットで使われ始めています。スタンダードでは、あのアゾリウス眼魔にアップデートが入りました!アゾリウス眼魔は、その名の通り《忌まわしき眼魔》に特化したアゾリウスカラーのアグロ。《錠前破りのいたずら屋》や《第三の道の創設》で《忌まわしき眼魔》《傲慢なジン》を墓地に落とし、《救いの手》で釣り上げるリアニメイト要素を搭載しています。墓地が肥えていくので手札から《忌まわしき眼魔》も出しやすく、ブン回った時には2ターン目に《忌まわしき眼魔》が墓地から出てくる、スタンダードらしからぬ動きもできるデッキです。そんなアゾリウス眼魔に新たに加わったのが《上げ潮、キオーラ》。まずはテキストからおさらいしましょう。《上げ潮、キオーラ》は戦場に出た時にカードを2枚引き、2枚捨てます。不要牌を捨ててもよし、これからリアニメイトするクリーチャーを墓地に送りこむのも良いでしょう。そしてスレッショルドを達成している状態で《上げ潮、キオーラ》が攻撃すると、8/8のトークンが場に出てきます!地味ながら有用な能力と、派手で強力な能力を併せ持つ3マナ3/2、それが《上げ潮、キオーラ》です。前述のようにアゾリウス眼魔は墓地を肥やせるので、スレッショルド達成は容易。生き残ればすぐに8/8を生成してくれるでしょう。相手からしてみればすさまじいプレッシャーです。《錠前破りのいたずら屋》と《第三の道の創設》は共にカードを4枚切削しますし、《上げ潮、キオーラ》は出た時に墓地にカードを2枚送れるので、《上げ潮、キオーラ》が最も相性が良いデッキと言えます。吊り上げるクリーチャーが《忌まわしき眼魔》と《傲慢なジン》しかいなかったため、これまでのリストでは《救いの手》が4枚、《再稼働》は1枚から多くて2枚といったところでしたが、このリストには大量の3枚採用。《上げ潮、キオーラ》が新たに釣りあげる対象となり、更にその《上げ潮、キオーラ》によって手札のクリーチャーを捨てたり、余ったリアニメイトスペルを捨てても良いため、《再稼働》を大量に採用しやすくなりました。元々スタンダードで活躍していたアゾリウス眼魔、《上げ潮、キオーラ》の登場で更なる強化を果たしたのか?この後の活躍に注目したいですね。 レイラインコロッサス(パイオニア) パイオニアリーグ:5-0 By Franticore 以前に紹介した《金属製の巨像》デッキを覚えているでしょうか?《身代わり合成機》を最大限に活用したデッキで、特に《真鍮の拳》が《身代わり合成機》と《金属製の巨像》と相性抜群で、4ターン目に圧倒的な場を作り出すことが可能となっています。このデッキがなんと今回大きな強化を受けました!『ファウンデーションズ』から加わった新人がこちら!4マナの装備品で、二段攻撃とトランプルを付与する装備品。ここまで書くとリミテッドで強そうな装備品という印象ですが、最初に大きな一文があります。「このカードがあなたのゲーム開始時の手札にあるなら、これが戦場に出ている状態でゲームを開始してもよい。」そう、《力線の斧》は史上初めてとなる装備品の力線。ゲーム開始時に出すことができるのです。これによってどうなるか、もうお分かりですね?そうです。《力線の斧》は実質タダで置ける4マナのアーティファクト。《金属製の巨像》と相性抜群なのです。0ターン目に《力線の斧》、1ターン目に《ポータブル・ホール》で除去。2ターン目に《アイレンクラッグ》か《加工鋳造所》。3ターン目に《身代わり合成機》を出すと、場の合計のアーティファクトのマナ総量は4+1+2+3の10。余った1マナで《金属製の巨像》が出て、《身代わり合成機》から6/6!3ターン目に圧倒的な場が出来上がります。そして《力線の斧》が付与する二段攻撃とトランプルも非常に嬉しい。《金属製の巨像》は高速召喚できたとはいえ、ただのバニラクリーチャー。しかしこれに《力線の斧》がつくだけで11/11、二段攻撃、トランプルの化け物へと生まれ変わります。《金属製の巨像》のキャストを早めるだけでなく、フィニッシャー性能も格段に引き上げてくれる《力線の斧》はこのデッキのために生まれたといっても過言ではないカード!以前紹介した時より確実にパワーアップしてると思いますので、ぜひお試しください!! ネオブランド(モダン) モダンリーグ:5-0 By wefald 全カードゲームプレイヤーの憧れと言えば、それはやはり「1ターンキル」でしょう。先手1ターン目に相手がまだセットランドすらしてないのに勝利する。レガシーでは1ターンキルができるデッキもありますが、モダンではこのネオブランドのみです。手順はこうです。まずゲーム開始時に《絡み森の大長》を公開。そして青マナをセットランドして、《アロサウルス乗り》を0マナでキャスト。 《絡み森の大長》の緑マナと青マナから《新生化》で《アロサウルス乗り》を生け贄にし、《グリセルブランド》をデッキから場に。《グリセルブランド》で14枚ドローし、その中から《滋養の群れ》をピッチでキャスト。追放するのは《土着のワーム》。これで15点のライフを得るので、更に14枚ドロー。こうして《滋養の群れ》を使いながら《グリセルブランド》でライブラリーのほとんどのカードを引き、最終的に《モックス・アンバー》を2回出して黒マナを2つ作り、《マルコフ家のソリン》を召喚。このターンに《滋養の群れ》で大量のライフを得ているので変身し、そのままマイナス1能力で勝利!ネオブランド自体はそこそこ昔からあるアーキタイプでしたが、『モダンホライゾン3』が出るまではフィニッシャーにとにかく困っていました。この手のデッキでは《タッサの神託者》が定番ですが、《グリセルブランド》は7枚ドローしかできないので、たとえば初手7枚+《グリセルブランド》7回起動だとライブラリーが4枚余り、《タッサの神託者》では勝てません。更に《モックス・アンバー》では《グリセルブランド》から黒マナしか出せないので、《タッサの神託者》を出す手段も大変です。色マナを変換するためだけのカードを採用する必要がありました。それが『モダンホライゾン3』で《マルコフ家のソリン》が加入したことで、一気に楽になりました。《モックス・アンバー》2枚と《マルコフ家のソリン》さえ引けばライブラリーを掘り進める必要がなくなり、更に色マナ問題も一発で解決。無駄なカードを入れるスロットを削り、更に安定して勝てるように!ネオブランドにとって夢のようなカード。《フレイアリーズの信奉者》も地味な強化です。《アロサウルス乗り》を出すためになるべく緑のカードをたくさんデッキに入れたいので、アンタップインで緑マナが出せる緑のカードは貴重です。6マナとそこそこ重いので、《滋養の群れ》で追放するカードとしても最低限の働きをしてくれます。エネルギーやベルチャーに飽きて刺激を求めている方、1ターンキルを味わってみませんか?

【週刊メタゲーム通信】今週はイグラが大活躍!最新のパイオニア環境は黒大活躍!

Pioneer ピックアップ

2024.11.12

mtg Yuyan

こんにちは。 細川 侑也(@yuyan_mtg)です。 今回はヨーロッパ地域チャンピオンシップの結果から、最新のパイオニア環境を分析していきます! メタゲーム トップ8の内訳は以下のようになりました。ラクドスデーモン:3人ジャンドサクリファイス:2人ゴルガリフード:1人イゼットフェニックス:1人4cズアー:1人まずは黒いデッキ大活躍!というのが第一印象でしょうか。そしてラクドス果敢がトップ8に0!使用率は全体で2位、13.2%だったことを考えると、今回の負け組であることは揺るぎない事実。速度と粘り強さを持ったデッキではありますが、クリーチャーに強化スペルを打って勝つデッキである以上、徹底的に対策されてしまうとさすがに勝てませんね。そして《全てを喰らうもの、イグラ》を使用したデッキにも注目です。《全てを喰らうもの、イグラ》と《大釜の使い魔》の無限コンボを擁したサクリファイスデッキは南米地域チャンピオンシップに続いて、ヨーロッパでもトップ8に3人を送り込みました。しかもサクリファイスデッキは上位トップ9に入っておらず、使用者は少なかったにも関わらずのこの結果。今回の勝ち組デッキと言って良いでしょう!その理由としては、ヨーロッパ地域チャンピオンシップのメタゲームがサクリファイスにとって非常に良いものだったことが挙げられます。 こちらが今回のメタゲーム。イゼットフェニックス・ラクドスデーモン・セレズニアカンパニーに強く、ラクドス果敢とも五分に戦えるデッキで、厳しいマッチであるアゾリウスコントロールやロータスコンボより、それらの数が圧倒的に多かったのです。イゼットフェニックスは《美術家の才能》で大幅に強化され、ラクドスデーモンはラクドスミッドレンジの亜種。パイオニアで長く強力なデッキだったラクドスミッドレンジを使い続けていたプレイヤーは、そのままラクドスデーモンに移行する可能性が高く、この2つのデッキは特に多いであることが予想できました。上手くメタゲームを読んで《全てを喰らうもの、イグラ》を持ち込んだプレイヤーに拍手! ゴルガリフード ヨーロッパ地域チャンピオンシップ:優勝 By Marc Tobiasch 《全てを喰らうもの、イグラ》でトップ8に入賞した中で、唯一ゴルガリカラーを選択したのがMarc Tobiasch。元プロプレイヤーにして稀代のデッキビルダーでもあるMarc Tobiaschが見事栄冠を勝ち取ったゴルガリフードは、従来のゴルガリフードとは一線を画した仕上がりとなっております。まずはこのデッキの動きについて簡単におさらいしましょう。《全てを喰らうもの、イグラ》は自身以外のクリーチャーすべてを食物に変えるクリーチャー。これにより、《大釜の使い魔》が場と墓地にいると、《大釜の使い魔》を食物として食べて墓地の《大釜の使い魔》が戻ってくるので、無限ライフルーズが発生します。2枚の《大釜の使い魔》を集めるのはなかなか大変。そして《全てを喰らうもの、イグラ》も5マナと結構重い。そんなこのデッキの事情をたった1枚で解決してくれるのが《清掃人の才能》です。まず置いておくだけで、クリーチャー死亡時に食物生成。実質《魔女のかまど》のようなエンチャントで既に強いのですが、レベルを上げると、カードを生け贄にした際に切削を行うことができます。《魔女のかまど》で《大釜の使い魔》を生け贄にして食物を出し、食物を生け贄にして《大釜の使い魔》を戻す。これだけでカードを4枚切削できるのです。更に更に、レベルをもう1つあげると、終了ステップ開始時に土地とこれ以外のパーマネントを3つ生け贄に捧げることで、自分の墓地からクリーチャーを戦場に戻せます。これで重い《全てを喰らうもの、イグラ》を場に戻せるのです。しかも最後の生け贄でも当然切削でカードを6枚墓地に送れるので、《大釜の使い魔》がそこで落ちるかもしれません。まさに《全てを喰らうもの、イグラ》コンボのためのカード、それが《清掃人の才能》です。これらを軸にしたデッキがジャンドサクリファイス、そしてこのゴルガリフードなのです。このリストの最大の特徴は《パンくずの道標》が入っていない点です。《魔女のかまど》《大釜の使い魔》と組み合わせて継続的にパーマネントを拾い続ける《パンくずの道標》は、《清掃人の才能》《魔女のかまど》《大釜の使い魔》《全てを喰らうもの、イグラ》を探すカードとして、2~3枚はほぼ採用されていました。しかし今のパイオニアは高速環境。《パンくずの道標》を回している暇がなく、これが「《全てを喰らうもの、イグラ》を使うならジャンドサクリファイス」になる理由の1つ。継続的なリソースではなく、展開しながら手札を調整できる《鏡割りの寓話》や盤面に触れる《波乱の悪魔》になったのです。Marc Tobiaschはこのスロットに《蓄え放題》を採用することにしました。パーマネントを拾いながらカードを墓地に落とせるので、《全てを喰らうもの、イグラ》を落としつつ《清掃人の才能》といった動きができます。《清掃人の才能》と《蓄え放題》で墓地を肥やせることから《ウルヴェンワルド横断》に目を付けたのも素晴らしいの一言。《全てを喰らうもの、イグラ》を手札か墓地に加えなければ始まらないデッキなので、引き込む確率を上げつつ、手札から《全てを喰らうもの、イグラ》を出しやすくもなっています。ここが単純に土地ならばマナフラッドしやすくなり、他のスペルなら《全てを喰らうもの、イグラ》を出すのは難しいでしょうそして《ウルヴェンワルド横断》のバリューはそれだけにとどまりません。《魂の洞窟》を採用して猫を指定し、《全てを喰らうもの、イグラ》を確実に通せるようにしたり、3枚採用されている《耐え抜くもの、母聖樹》にもアクセスできます。「なぜ《耐え抜くもの、母聖樹》がこんなに入っているのか?」その疑問の答えは《全てを喰らうもの、イグラ》を見ればわかります。《全てを喰らうもの、イグラ》は他のすべてのクリーチャーを食物にします。アーティファクト・食物。そう、《全てを喰らうもの、イグラ》がいる時は他のクリーチャーはアーティファクトでもあるので、《耐え抜くもの、母聖樹》で除去することができるのです。《金のガチョウ》によるマナ加速や土地からのダメージがジャンドに比べて低い点など、環境が速いことにしっかり適応したこのゴルガリフード、優勝も納得! ラクドスデーモン ヨーロッパ地域チャンピオンシップ :2位 By Sergio Gimenez ヨーロッパ地域チャンピオンシップでイゼットフェニックスに次いで2番目に人気だったのがこのラクドスデーモン。デッキのコンセプトは黒単デーモンとほとんど同じです。《思考囲い》《致命的な一押し》で手札や場に触り、《不浄な別室》でリソースを稼ぎつつ、《止められぬ斬鬼》や《黙示録、シェオルドレッド》でフィニッシュするミッドレンジデッキ。赤い部分は当然《鏡割りの寓話》が入ります。手札破壊と除去、そしてクリーチャーがバランスよく入っているミッドレンジは当然《鏡割りの寓話》との相性が抜群。相手によって不要なカードを捨てて有効牌に変えていけるためです。黒単デーモンとの大きな違いは2マナ域の強さでしょう。《税血の収穫者》はラクドスだからこそ採用できる超強力な2マナ域。2マナ3/2という攻撃的なスタッツと除去性能、そして血は手札を循環させるのに使えます。このカードが使用できるのは、《鏡割りの寓話》と同じぐらい大きいですね。《税血の収穫者》を採用できるラクドスは、黒単に比べて攻撃的な構成となっています。それがよくわかるのが《鬼の刃》の採用です。黒単では採用されていないカードですが、黒単の場合は《税血の収穫者》クラスの2マナ域がなく、《鬼の刃》だけがポツンと2マナ域のクリーチャーとして浮いてしまいます。ラクドスは複数の2マナ域を採用して2ターン目からしっかり殴っていけるからこそ、《鬼の刃》を採用しているのです。この《鬼の刃》はその名の通り鬼、デーモンなので、《不浄な別室》でしっかり2点ドレインしてくれます。ただの3/1威迫なだけでなく、《鏡割りの寓話》のトークンや《税血の収穫者》に装備してデーモンにさせるのも便利。序盤から終盤までずっと殴れる良クリーチャーです。手札破壊、除去、《鏡割りの寓話》、フィニッシャーとその顔触れはほぼラクドスミッドレンジなので、パイオニアで長きにわたって隆盛していたラクドスミッドレンジの正統後継者と言っても過言ではありません。今後もパイオニア環境に残り続ける強デッキです!長い付き合いになると思うので、皆さん回しておきましょう。 4cズアー ヨーロッパ地域チャンピオンシップ:7位 By Max Penzkofer ここ最近流行の兆しだった《永遠の策謀家、ズアー》入りの《奇怪な具現》……かと思いきや、なんとこのデッキは《奇怪な具現》が採用されていません!4cエニグマレスズアーと言ったところでしょうか。《奇怪な具現》やその周りのサーチ先をデッキから抜いたため、60枚に収まっています。《豆の木をのぼれ》は5マナ以上のカードを唱えた際にカードを引けるエンチャントなので、3種入っている大主すべてで誘発します。兆候で誘発するので《豆の木をのぼれ》と大主は相性抜群ですね。3種の大主はそれぞれクリーチャー展開、マナ加速、ドローと違い、それらの大主を《永遠の策謀家、ズアー》で一足早くクリーチャー化してしまおうというのがこのデッキのコンセプト。《永遠の策謀家、ズアー》の常在型能力で他のクリーチャー・エンチャントに呪禁がつくので、一度起きた大主を倒すのは非常に困難。まず《永遠の策謀家、ズアー》から倒さなければならないので、複数の除去を要求されます。特に《ミストムーアの大主》は出た時と攻撃時に2/1飛行を2体生成と非常に凶悪な性能なので、1ターンでも除去が遅れれば十分致命傷になりえます。《思考囲い》や《マナの合流点》などでライフが減っていくため、アグロデッキは辛そうに見えますが、そこでも《永遠の策謀家、ズアー》が活躍します。クリーチャー・エンチャントは絆魂がつくので、《永遠の策謀家、ズアー》さえ残ればダメージレースを一気に覆せるのです。メインから12枚の除去が入っており、しかもその内8枚は追放なので、《心火の英雄》も後腐れなく対処できますし、《永遠の策謀家、ズアー》と大主によって攻めるのも早いため、ラクドス果敢が除去デッキ相手に行うサイドプランである《ウラブラスクの溶鉱炉》も、この4cズアーには比較的効きづらい。見た目よりラクドス果敢ともしっかり戦えるデッキです。5c白日のようなたくさんリソースを稼げるコントロールが好きな方なら、きっとこの4cズアーも気に入るはず!しっかり強いので、試してみてはいかがでしょうか?

【今週のピックアップデッキ】イゼットヘルレイザー/スゥルタイ上陸/ジャンド森林ギフト

Modern Pioneer Standard ピックアップ

2024.11.07

mtg Yuyan

こんにちは。 細川 侑也(@yuyan_mtg)です。 今週のピックアップデッキでは、ちょっと珍しいデッキを、軽い解説を交えて紹介していきます。 イゼットヘルレイザー(スタンダード) スタンダードリーグ:5-0 By TOPrift 赤の除去と青のドロー・打ち消しを組み合わせたイゼットコントロール。そこにプチコンボ要素を取り入れたのが、このイゼットヘルレイザー。まずはヘルレイザー、《気まぐれな厄介者》のテキストからおさらいしてみましょう。このカードは墓地にカードが9枚以上あるとたった3マナで唱えられる4/4飛行。そして戦場に出た時に、自分の墓地のカードをランダムに3枚追放し、その追放した3枚の中から土地かクリーチャー以外のカード1枚をマナ・コストを支払わずに使用できるというもの。つまり墓地のカードを踏み倒せる能力を持っているのですが、特定のカードを踏み倒したい場合、まずそのカードを追放する必要があります。墓地のカードが3枚なら踏み倒したいものがそこにあれば確実に追放でき、唱えることができますが、3マナで唱えるには墓地が9枚以上なければならないので、その際は希望のカードが追放できるかはわかりません。このちょっと使いにくい《気まぐれな厄介者》が主役となるこのデッキ。まず基本的な動きはイゼットコントロール。《塔の点火》で除去したり、《三歩先》で打ち消したり、《間の悪い爆発》でリソース確保や全体除去を行います。更に《苦々しい再会》《鉄面提督のトンネル掘削機》で不要牌を捨ててカードを引き、墓地を9枚以上溜めたら準備完了。3マナで《気まぐれな厄介者》をキャストし、墓地のカードを踏み倒します。この時の大当たりとなるのが《機織りの季節》!クリーチャーのコピーを2回生成できるので、これで《気まぐれな厄介者》を追加で2体戦場に出すことができます。そうすれば墓地のカードを更に2回追放できるので、ほぼ好きなカードを2度踏み倒せるのです。この《気まぐれな厄介者》をコピーする手段は《三歩先》でもOKです。こちらは追加の3マナを支払う必要がある点に注意。墓地を貯める手段として優秀な《鉄面提督のトンネル掘削機》ですが、変身時の能力も強力。《灼熱の裂け目、テクトラン》から出したマナでパーマネント呪文を唱えると、そのマナ総量に等しい値の発見を行うことができます。《気まぐれな厄介者》や《希望の標、チャンドラ》など、重くて強力なパーマネントが採用されているので、発見の値も大きい!《希望の標、チャンドラ》も《気まぐれな厄介者》でめくれて嬉しいカードですね。一度戦場に出てしまえば、《機織りの季節》が倍になって一気に大量のアドバンテージを獲得できます。《鉄面提督のトンネル掘削機》を変身させるには落魄を達成させる必要があります。クリーチャーの死亡や切削で溜まりがちな落魄ですが、このデッキでは第三の手段として、手札からパーマネントを捨てることで達成を目指します。《苦々しい再会》《美術家の才能》《間の悪い爆発》は落魄に貢献してくれるカードたち。《決定的瞬間》でも落魄を達成できる他、《塔の点火》で《咆哮する焼炉+蒸気サウナ》や《美術家の才能》などを生け贄に捧げても落魄するので、覚えておきたいですね。特に《苦々しい再会》は出してパーマネントを捨てて落魄し、自身を生け贄にしても落魄するので、落魄したいこのデッキにはぴったりです。《気まぐれな厄介者》《希望の標、チャンドラ》《機織りの季節》によるド派手な勝利は普通のコントロールデッキではなかなか味わえません! スゥルタイ上陸(パイオニア) NRG Series:5-2 By Anand Kinra スタンダードで大活躍だった《復活した精霊信者、ニッサ》がパイオニアに新たな風を吹き込みました。このデッキは《復活した精霊信者、ニッサ》《水蓮のコブラ》の「土地を置くとマナを生み出せるクリーチャー」を活用したコンボデッキ。《斡旋屋一家の潜伏先》などの土地は2回上陸を行うので、2マナを生み出せます。ここに《洞窟探検》が絡むと出せるマナが3マナになります。そうして出たマナを使って唱えるのが《肥えた緑甲羅》。パワーよりタフネスが大きいクリーチャーが戦場に出るとライブラリートップをめくり、それが土地ならタップ状態で戦場に出し、それ以外なら手札に入ります。土地なら戦場に出るので、《復活した精霊信者、ニッサ》で更にマナが伸ばせます。パワーよりタフネスが大きいクリーチャーは《肥えた緑甲羅》・《事件現場の分析者》・《森の女人像》・《災厄の占い師、グラルブ》に相棒の《空を放浪するもの、ヨーリオン》を加えた5種とそれなりに誘発の機会はあります。特にマナ総量が4以上のカードや土地をライブラリートップから使用できる《災厄の占い師、グラルブ》は便利ですね。《森の轟き、ルムラ》は《復活した精霊信者、ニッサ》《水蓮のコブラ》下ですさまじいマナを生み出せるクリーチャーで、《災厄の占い師、グラルブ》によってライブラリーから唱えることもでき、フィニッシャーにもなってくれる頼もしい熊。この《肥えた緑甲羅》と《森の轟き、ルムラ》はどちらもエレメンタルなので、《復活した精霊信者、ニッサ》によって手札に加えられるのもポイントです。相棒に指定されている《空を放浪するもの、ヨーリオン》はこのデッキでは膨大なアドバンテージを生み出します。《肥えた緑甲羅》が戦場にいる状態で《空を放浪するもの、ヨーリオン》を出すとまず1回誘発。その後、戦場の《肥えた緑甲羅》や《森の女人像》を追放すると、ターン終了時に戻ってきて《肥えた緑甲羅》がそれぞれ誘発するのです。ちなみに無限コンボも搭載されています。《洞窟探検》がある状態で《森の轟き、ルムラ》が場と墓地にあれば、《カーフェルの港》で墓地の《森の轟き、ルムラ》を吊り上げて生け贄にした《カーフェルの港》を場に戻しつつ、伝説ルールで片方が墓地に落ち、それを再び《カーフェルの港》で釣り上げることで、ループできます。《カーフェルの港》を起動するための6マナは《復活した精霊信者、ニッサ》や《水蓮のコブラ》をコントロールしていれば解決してくれます。《斡旋屋一家の潜伏先》《寓話の小道》などは能動的に墓地に落とせるので、合計で5枚あれば、《森の轟き、ルムラ》を吊り上げ続けられます。このループによってライブラリーが切削されていき、最終的にはライブラリーが0枚になり、デッキ内の土地がすべて落ちるので、《森の轟き、ルムラ》《カーフェルの港》で無限マナが発生し、その過程で落ちた《イプヌの細流》を無限回相手に起動し、ライブラリーアウトで勝利となります。上陸が好きな方や派手なデッキが好きな方にはぴったり!《肥えた緑甲羅》で気持ちよくなりましょう! ジャンド森林ギフト(モダン) モダンリーグ:5-0 By DDMeelow 『モダンホライゾン3』で収録されてからたびたび怪しいコンボデッキのお供になっている《変容する森林》が、また新たな仲間とともにモダンに殴り込んできました。今回《変容する森林》が変身するのは《王神の贈り物》。墓地のクリーチャーを追放して、それの4/4のコピーを生成する7マナのアーティファクトに変わります。《王神の贈り物》で追放するクリーチャー、まずは《残虐の執政官》。トークンは速攻を持つので非常に相性が良く、これだけでも勝てるマッチ多数。しかし、真の主役は《穢すもの、ウラモグ》でしょう。《王神の贈り物》で《穢すもの、ウラモグ》を追放してコピーを生成すると、そのコピーには10個のカウンターが乗ります。そう、《穢すもの、ウラモグ》を追放してコピーが出るので、追放領域にある一番重いカードは《穢すもの、ウラモグ》になるのです。《骨の皇帝》もこれらのクリーチャーを墓地から吊り上げることができるので、決して《王神の贈り物》に頼り切りではありません。面白いのは《逸失への恐怖》。自身がクリーチャー・エンチャントなので墓地に落ちた時の昂揚先として優秀な他、手札に来た《王神の贈り物》を捨ててカードを引く、潤滑油的な役割も果たします。そして《王神の贈り物》で追放する価値があるクリーチャーというのも大きなポイント。攻撃すると追加の戦闘フェイズを加えるため、《王神の贈り物》が更にもう1回誘発するのです。墓地に落ちてよし、引いてよし、釣ってよしと三拍子揃ったパーフェクトカード!《邪悪鳴らし》《ウィザーブルームの命令》で墓地を肥やして《変容する森林》を置くだけでコンボが成立するので、この動きに干渉できないデッキには安定して勝てるのは魅力の一つと言えますね。スタンダードの頃から活躍していた名カード、《王神の贈り物》。ついにモダンでも強力な贈り物を届けてくれるようになりました。

【今週のピックアップデッキ】ティムールカワウソ/ディミーア忍者/ナヤ秘匿

Modern Pioneer Standard

2024.11.01

mtg Yuyan

こんにちは。 細川 侑也(@yuyan_mtg)です。 今週のピックアップデッキでは、ちょっと珍しいデッキを、軽い解説を交えて紹介していきます。 ティムールカワウソ(スタンダード) スタンダードチャレンジ:優勝 By cftsoc3 新たなアーキタイプ、ディミーアデーモンの優勝で幕を閉じた今年の世界選手権。 このラスベガスの地で話題となっていたデッキがもう1つありました。それがこのティムールカラーのコンボ・ビートダウン、ティムールカワウソ。日本からも平山選手がプレイしたこのデッキですが、この日スタンダードチャレンジを制したcftsoc3選手たちは、チームでティムールカワウソを世界選手権に持ち込みました。デッキの核となるのは《永劫の活力》と《渓間の洪水呼び》。《永劫の活力》によって自軍クリーチャーがすべて《極楽鳥》に生まれ変わります。 そしてマナを出した後に非クリーチャー呪文を唱えると、《渓間の洪水呼び》の能力ですべてのカワウソたちがアンタップするので、戦場にカワウソが2体いる状態で《塔の点火》をキャストすれば、1マナ増える計算となっていきます。これだけでは爆発的なダメージは出ませんが、ここに《嵐追いの才能》と《この町は狭すぎる》が加わることで大きく変わります。《嵐追いの才能》は戦場に出た時にカワウソを生成し、4マナで墓地のインスタントやソーサリーを回収できます。この《嵐追いの才能》を《この町は狭すぎる》で回収し、また《嵐追いの才能》を出し、レベルアップで《この町は狭すぎる》を回収……とループが可能となります。既に4体以上のカワウソがいれば、4マナを出す→《嵐追いの才能》を1マナでキャスト→4体のカワウソがアンタップして再び4マナを生む(計7マナ)。その内2マナで《この町は狭すぎる》で《嵐追いの才能》をバウンス。再び起きた4体でマナを出して計9マナから、その内4マナを使って《この町は狭すぎる》を回収(計5マナ)。《この町は狭すぎる》で《嵐追いの才能》を戻し、これで無限マナ&無限パンプとなります。無限となった後は、そのまま殴り勝ってもよし、カワウソの中に《稲妻罠の教練者》がいれば無限回数《この町は狭すぎる》で戻して出し直して《トーテンタンズの歌》を探して勝ってもよし。無限コンボにはたくさんのパーツが必要ですが、《渓間の洪水呼び》と《永劫の活力》によって一気に展開し、大量の修正を受けたカワウソで殴り勝つのは比較的簡単で、見た目以上に速度があるデッキです。コンボパーツの《この町は狭すぎる》は妨害手段としても優秀で、このデッキのためにあるようなカード。《嵐追いの才能》を戻せるのはもちろん、《稲妻罠の教練者》を戻してリソースを稼ぐ動きも強力。《花粉の分析》の証拠収集を稼いだり、《豆の木をのぼれ》でカードを引くなど、このデッキを支えるのは《この町は狭すぎる》と言っても過言ではありません。一度回してみればそのトリッキーさに病みつきになること間違いなし!カワウソも可愛いのでぜひ回してみましょう! ディミーア忍者(パイオニア) パイオニアチャレンジ:4位 By medvedev 『ダスクモーン:戦慄の館』で初めて登場した忍術持ちのプレインズウォーカー、《悪夢滅ぼし、魁渡》。プラス能力で忍者に修正を与えられるこのカードがプレビューで公開された時、誰もがスタンダードに存在する忍者を確認し、そして絶望したことでしょう。しかし、パイオニアなら『神河:輝ける世界』があります!そう、神河は忍者の世界。そして実際そこには、《悪夢滅ぼし、魁渡》のパートナーとなる素晴らしい忍者がいました。その名は《月回路のハッカー》。僅か1マナの忍術コストで唱えられ、ダメージが通ると忍術したターンなら1ドロー。それ以降はルーターと、非常に強力な性能の持ち主。《月回路のハッカー》と《悪夢滅ぼし、魁渡》の8枚の忍術クリーチャーを活用するのがこのディミーア忍者です。忍術を行うためにはまず攻撃を通す必要があるので、このデッキに入っているほとんどのクリーチャーは飛行持ちです。《遠眼鏡のセイレーン》は1マナ飛行の中でも最上級で、《フェアリーの黒幕》は青いビートダウンなら最早定番のクリーチャー。《マネドリ》は忍術と非常にかみ合うカード。1ターン目に1/1飛行として出して忍術の種になるだけでなく、手札に戻った後は他のカードのコピーになれるので、いつでも強いカードです。飛行を持たない《フラッドピットの溺れさせ》ですが、こちらは戦場に出た時にクリーチャーをタップさせて麻痺を載せるので、ダメージを通すのに役立ちますし、忍術で回収して再度タップ能力を使えば、相手からすれば悪夢そのものでしょう。もちろん前述の《マネドリ》でコピーするのも良いですね。そして大量の飛行クリーチャーでダメージを通しやすいので、《永劫の好奇心》もこのデッキなら大量にカードを引ける恐ろしいカードになります。デッキが軽いので引いたカードもすぐプレイでき、恐ろしい手数を叩き出すデッキとなっています。 あ、そうそう、もちろん隠れた忍者も忘れていませんよ。《変わり谷》もしっかり忍者なので《悪夢滅ぼし、魁渡》で強くなります。どのデッキともシナジーになる《変わり谷》、やっぱりすごい!スタンダードでも活躍し始めている《悪夢滅ぼし、魁渡》ですが、パイオニアでもしっかりその存在感を示しています。忍者の力、体感してみては? ナヤ秘匿(モダン) モダンリーグ:5-0 By Zoru 『ローウィン』で初めて登場した秘匿という能力。戦場に出た時にライブラリーの上から何枚かを追放し、秘匿の条件を満たすことでそのカードをタダで唱えられる強力な能力です。白単アグロのリソース源として使われたり、コンボデッキのお供としても活躍した秘匿ですが、このデッキではどちらでも使います!秘匿を持つカードは8枚。《風立ての高地》は『ローウィン』の土地で、3体以上のクリーチャーで攻撃するのが条件。このデッキならばそれを満たすのは難しくありません。そしてもう1種が『ビッグスコア』の《収集家の檻》。こちらもクリーチャーが3体必要ですが、条件は少し違い、3体のクリーチャーのパワーが異なる必要があります。いずれも大量のクリーチャーを必要とするため、このデッキは大量のクリーチャー群で構成されています。《魂の導き手》《オセロットの群れ》《ナカティルの最下層民、アジャニ》《色めき立つ猛竜》。このエネルギー四天王と呼ぶべき4種のクリーチャーは外せないですね。《魂の導き手》以外の3体はどれも戦場にパーマネントを増やすカードで、秘匿解除に貢献してくれます。いぶし銀の活躍を見せるのが《羽ばたき飛行機械》です。《風立ての高地》の条件を満たしたり。《収集家の檻》の解除条件を満たすのにパワー0が役に立ってくれます。そして肝心の秘匿するクリーチャーたちはというと……《引き裂かれし永劫、エムラクール》に《絶え間ない飢餓、ウラモグ》。こちらは踏み倒しの定番となる超大型クリーチャーですね。まさか《オセロットの群れ》に殴られたと思ったら突然ターンを奪われて《引き裂かれし永劫、エムラクール》でも殴られるなんて、夢にも思わないですね。3体のクリーチャーを揃えるために《ウルザの物語》を採用するなど、細部の調整も光ったナヤ秘匿。ただのビートダウンでは物足りないという方はぜひお試しあれ!

チャンピオンズカップファイナル参加&モダンオープン優勝レポート

Modern Pioneer ピックアップ

2024.10.18

mtg Yuyan

先週末は、先週末は静岡で行われたチャンピオンズカップファイナルとモダンオープンに参加してきました!今回の旅も前日から前乗りしていたので、1日ごとに写真で振り返ります。 金曜日:沼津 今回の旅は車だったので、東京から静岡駅に向かう途中の沼津に寄ることに。バーン使いのリュウジことBIG MAGICの村栄 龍司が第二の故郷と呼んでいる沼津。東京から新幹線で近くて漁港なのでとにかく海鮮が美味しく、リュウジに誘われて行ったのがきっかけで、僕自身もハマってしまい、今では観光案内がそれなりにできるほどになりました。というわけで沼津港を練り歩きながらひたすら食べ尽くし… 中央亭の餃子 マグロステーキ ラストはグランマのシュークリームを食べつつ、ケーキをテイクアウト。 その後はいろいろとありながら夜に静岡駅近くの宿に辿り着き、就寝。 土曜日:CCF本戦 はい、というわけで本戦です。フォーマットはパイオニア。使用デッキはアゾリウスロータスでした。 アゾリウスロータス アゾリウスロータスについては以前の記事をご覧ください。 ぶっちゃけると、世界選手権まで時間がなく、ほとんどの時間をドラフトとスタンダードに費やしていたので、パイオニアはプレイしていませんでした。なので半ばロータスコンボに決め打ちしていて、何か良いデッキがあれば直前に乗り換えようとしていました。それがチャンピオンズカップファイナルから更に一週間前の話。その夜、ダイレクトメッセージが飛んできます。送ってきたのは、アメリカ地域CSでアゾリウスロータスを使い、トップ8に入賞したパトリック・ウーさん。この方、地域CSで4回アゾリウスコントロールでプロツアーの権利を獲得した超アゾリウスマスター。今年の世界選手権の権利もアゾリウスコントロールで獲得しています。 画像は公式サイトより。一番右の方がパトリック・ウーさん。 パトリック・ウーさんと僕はアゾリウスコントロールの絆で結ばれており、たびたび地域CSやプロツアーのたびにダイレクトメッセージをやり取りする仲でした。そのパトリック・ウーさんがアメリカ地域CSの初日が終わった時にメッセージを送ってきてくれたのです。その内容は…「日本の地域CSはいつだい?」でした。来週であることを告げると、パトリック・ウーさんは「俺のアゾリウスロータスがおすすめだよ!」と言い切ってくれました。これはもう乗るしかないと思い、アゾリウスロータスに決定。事前に僕が予想したメタゲームでもアゾリウスロータスは良いと感じていたので、最強のアゾリウスロータス使いが信じるそのデッキに全ベットすることに決めました。(僕の想定ではラクドス果敢、アゾリウスコントロール、ラクドス異形化の順に多く、すべてにアゾリウスロータスは有利だったのです)ちなみに今回は村栄 龍司率いる村栄塾で意見交換をしており、僕以外の全員が《美術家の才能》入りのイゼットフェニックスに決定。ロータスが無理なメタゲームなら僕もイゼットフェニックスに乗ろうとしていました。 イゼットフェニックスに自信のない僕ですら使いたくなるほど、《美術家の才能》入りのイゼフェニは良い!さて、アゾリウスロータスに決めたらそこからは微調整。 パトリック・ウーさんのフィードバックを受けて、《アーデンベイル城》を抜いて《噴水港》へ。元々白マナは過多だったので、単純にカードパワーの比較となりますが、トークンを生け贄にしてカードを引けるのは素晴らしく、一方で《アーデンベイル城》でトークンを生み出したいタイミングはあまりなかったので、《噴水港》の方が良いと思いました。 《記憶の氾濫》の4枚目は欲しいと思うことは多々あったものの、《記憶の氾濫》が必要なマッチは主にミラーマッチやエニグマなど遅い相手や、黒系ミッドレンジ。ミラーマッチやエニグマには元々強く、黒系ミッドレンジは少ない想定だったので、3枚にとどめました。 そこから直前でイゼットフェニックスが想像よりずっと良いことを受け、墓地対策をサイドに取ることに。スロットがないため《ドビンの拒否権》をメインボードに1枚移動し、デッキは完成。 本戦結果 ○×× ボロス果敢○○ イゼットフェニックス×○× ラクドス果敢×○○ ラクドス果敢×○○ ラクドス果敢○○ アゾリウスコントロール×× セレズニアカンパニー4勝2敗からバブルマッチで世界最強の一人、熊谷 陸に負けて初日落ち。相性かなり良いマッチだったが、ワールドプレイヤーには勝てず。 画像は公式サイトより引用 フルボッコにされているカバレージが残っていますので、興味のある方はどうぞ。余談ですが、僕はこのカバレージライターの大久保くん(もう数年来の友人でありかつての仕事仲間)が担当するフィーチャーマッチで勝ったことがありません。まあ最後のセレズニアカンパニー戦はツかなかったですが、ここで勝って初日を抜けても、今回は良い成績でトーナメントを終えることはなかったでしょう。苦手寄りのラクドスミッドレンジ・黒単デーモンが非常に多く、アゾリウスコントロールがその分少なかったので、アゾリウスロータスはあまり良い選択ではありませんでした。先週のアメリカ地域CSは最高のメタゲームだったのですが。「デッキをシェアしてくれた上に、様々な意見をくれたパトリック・ウーさんには申し訳ないことをしてしまったなぁ……」と思いつつ、翌日のモダンオープンの登録を行いました。 この日の夜はアリーナオープン初日でしたが、力線2枚引いた後に力線3枚のゴミプールを掴んで2回とも即死。ちなみに同じ部屋に泊まった友人は《粉砕コースター》を引いて一発抜けしていました。 ちなみに、黒単デーモンとラクドスミッドレンジがここまで多かったなら、使うべきデッキはゴルガリ陰湿な根だったかもしれません。 僕がエリア予選を突破したデッキで、とにかく回すのが楽しくて大好きな愛機だったのですが、前述のようにパイオニアの練習ができていなかったので完成させられませんでした。 《ベイルマークの大主》が入ってデッキパワーも上がっていたので、少し試せばよかったですね。今回一番後悔しているポイントです。 日曜日:モダンオープン 最終日はモダンオープンです。 初日落ちをケアして複数のフォーマットのデッキを持ってきています。というか僕はモダンがとにかくやりたかったのです。スタンダードやドラフトの練習をしなきゃいけないわけですが、細かいことには目をつむりましょう。使用デッキはぐるぐるロータスです。 ぐるぐるロータス ぐるぐるロータスの詳しい解説はまた来週書きますが、簡単に言えば《睡蓮の原野》を《ぐるぐる》でアンタップしてマナを増やしたり、《一つの指輪》をアンタップして大量にカードを引くデッキです。なぜこのデッキを使ったか。簡単です。ぐるぐるロータスが最高だからです。それ以上に言葉は必要ありません。 最高すぎて一人回しをずっとしたかったのですが、パイオニアで《睡蓮の原野》を使っているので回すことすらできず、欲求不満状態でした。 本戦結果 ○○ ジャンド昂揚○○ ジェスカイコントロール○○ ディミーアマークタイド○○ エルドラージ○○ マルドゥエネルギー○×○ エルドラージ○×○ ボロスエネルギーIDID7-0-2でトップ8に。○○ 青単ベルチャー○×○ マルドゥエネルギー○○ ボロスエネルギー優勝! 公式より引用 しっかり《睡蓮の原野》を引き込めたり、負けるギリギリ前のターンでトップデッキをしたりと、「今日は優勝しそうだな~」となんとなく思っていたら、そのまま優勝! 最高に面白いデッキで最高の結果が出せて嬉しい!2年前のパイオニアオープンでは準優勝だったので、雪辱を果たしました! この日がぐるぐるロータスの初回しだったのですが、メインボードはほぼ完成されていて、特にいじりたいところは見つかりませんでした。 一方、サイドボードにはそれなりに不満がありました。 《オアリムの詠唱》VS《沈黙》 まず《オアリムの詠唱》より《沈黙》の方が優れていると感じました。《オアリムの詠唱》はキッカーすると相手の攻撃を止めることができますが、対戦相手を対象に取る必要があるので、《一つの指輪》を置かれると打てなくなります。 これは対ジェスカイコントロール戦で致命的になりうると思いました。《否定の力》のバックアップ込みで《一つの指輪》を出してきた返しは大きな隙で、そのタイミングでコンボを決めるために《オアリムの詠唱》を打ちたいのに打てない。これは致命的。 入れるマッチアップはルビーストーム・ディミーアマークタイド・ジェスカイコントロールなどであり、これらのうちディミーア以外には攻撃を止める能力はほぼ使いません。 それなら、《一つの指輪》のプロテクションを無視できる《沈黙》の方が良い! 《大梟の小夜曲》より《記憶への放逐》 それなりに万能な打ち消し……かと思いきや、入れる相手は大体エルドラージ。クリーチャーとアーティファクト同時に触れますからね。でも同じことが《記憶への放逐》でもできます。というか誘発を打ち消せる分、《記憶への放逐》の方が強い。 《大梟の小夜曲》が優れたマッチアップはルビーストームで、《モンスーンの魔道士、ラル》と《ルビーの大メダル》の両方を打ち消せるからなのですが、対ストームを過剰に意識する必要はないと思いました。 《記憶への放逐》はエルドラージにサイドインするには最適。カウンターとして万能な他、《睡蓮の原野》を2ターン目に設置できる(誘発型能力を打ち消すことで)ので、妨害とコンボのどちらにも貢献してくれます。 エネルギーに一番強いのは《一時的封鎖》! エネルギーと戦っていてとにかく強かったのが《一時的封鎖》。《願い》からサーチしてメイン戦を制すことはもちろん、サイドインして引いて勝ったりもしました。 正直1枚じゃ全然足りず、2枚は欲しい。3枚目すら検討しました! 《外科的摘出》が気になる 現状のリストだと《願い》を《外科的摘出》で抜かれた瞬間、勝ち手段がなくなります。 《タッサの神託者》をサイドインすればそれは防げますが、それだと《願い》から勝ち手段にアクセスしたい時に困るので、何かしら1枚入れておきたいと思いました。 以上を踏まえた最新リスト   次は世界選手権……の前に 週末はモダン神挑戦者決定戦に出場します。 モダンオープン翌日のモダン神挑戦者決定戦トライアルでもぐるぐるロータスで優勝して不戦勝をゲットできましたからね!ぐるぐるロータス解説記事に優勝報告を入れられたらいいのですが、そんなに上手くいかないのがマジックというもの。肩の力を抜いて楽しんできます!ぐるぐるロータスの記事、お楽しみに!

【今週のピックアップデッキ】ドゥームズデイコントロール/アゾリウスアーティファクト/5色人間

Modern Pioneer Standard ピックアップ

2024.10.17

mtg Yuyan

こんにちは。 細川 侑也(@yuyan_mtg)です。 今週のピックアップデッキでは、ちょっと珍しいデッキを、軽い解説を交えて紹介していきます。 ドゥームズデイコントロール(スタンダード) スタンダードリーグ:5-0 By andrw1232 ライブラリーと墓地から好きな5枚を選び、それ以外のカードをすべて追放する《最後の審判》。レガシーやヴィンテージでは息の長い活躍をしており、つい先日もレガシー神挑戦者決定戦を制していました。《最後の審判》の英語名であるDoomsday。この名を持つデーモンが『ダスクモーン:戦慄の館』で登場したことを皆さんはご存知でしょうか?その名は《終末の加虐者》。まずは衝撃のマナコスト。(黒)(黒)(黒)(黒)(黒)(黒)なんていうマナコストのクリーチャーはマジック史上初めてです。一応『アングルード』に《B.F.M.》という黒15を持つクリーチャーがいますが、あれは例外でしょう。《最後の審判》2枚分のマナコストを持つ《終末の加虐者》は、唱えて戦場に出ると、各プレイヤーのライブラリーの下6枚を除くすべてのカードを裏向きで追放します。お互いに《最後の審判》を下している、といったフレイバーなのでしょうか。本家と違い、好きなカードを選んで残りを追放するわけではないので、カードを積み込んで勝つような使い方はできません。しかし、本家《最後の審判》にない利点が《終末の加虐者》にはあります。それは相手のライブラリ―も6枚にしてしまえるという点です。これにより、《終末の加虐者》を出して相手に《完成化した精神、ジェイス》のマイナス能力を起動するだけでゲームに勝利できてしまうのです!このコンボを取り入れたのがディミーアコントロール。基本的には除去と打ち消しで生き延び、隙を見て《完成化した精神、ジェイス》を着地。《終末の加虐者》を唱えてゲームセットという流れ。除去が大量に入っており、《完成化した精神、ジェイス》自体も生き残りやすい性能なので、このコンボが意外と決まります。いつも《完成化した精神、ジェイス》が生き残るわけではありませんが、そこは安心してください。《終末の加虐者》を出してライブラリーの下6枚のどこかに《完成化した精神、ジェイス》があれば良いです。こればかりは運ですが、たとえばマリガンで《完成化した精神、ジェイス》を下に送っていれば、確実にライブラリーのボトムにあるので、勝利は保証されています。《完成化した精神、ジェイス》以外でも《不穏な浅瀬》のアタックで4枚削っても良いですし、《終末の加虐者》さえ出してしまえばゲーム勝利は目前。コントロールはある程度優勢になってから、ゲームに勝つまでの時間が長いのが課題。その間に相手にトップデッキをされてしまいますし、そのカードが《世話人の才能》のように大量のリソースを獲得するものだった場合、逆転されてしまいます。このドゥームズデイコントロールは《終末の加虐者》さえ引けばすぐに勝利できるのが魅力ですね。コントロールとして立ち振る舞い、突然の勝利。パイオニアを支配したディミーアインバーターっぽさもあるこのデッキ、試してみたいですね。 アゾリウスアーティファクト(パイオニア) パイオニアリーグ:5-0 By Saporon 『ビッグスコア』の中でも一際注目を集めたカードと言えば《身代わり合成機》。マナ総量3以上のアーティファクトが戦場に出るたびにトークンを生成するこのカードは、特に下環境では使われることはあったものの、パイオニアでは全くと言って良いほど見かけないカードでした。《身代わり合成機》は戦場に出た時は盤面に影響を及ぼさないため、高速化しているパイオニアでは出す暇がありません。モダンやレガシーでは、「マナ総量は3以上だが0マナや1マナで唱えられる」《金属ガエル》や《思考の監視者》と組み合わせることにより、《身代わり合成機》を出したターンにもトークンを生成できますが、パイオニアには親和を持つカードはないので、どうしても上手く活用できませんでした。しかし、今回ご紹介するアゾリウスアーティファクトは、この《身代わり合成機》を最大限までしゃぶり尽くすデッキです!まず紹介しなければならないのは《金属製の巨像》!11マナ10/10というマナコストもサイズも巨大なクリーチャー。当然11マナなんて支払えるわけありませんので、軽減する能力がしっかりついています。自分がコントロールしているクリーチャー以外のアーティファクトのマナ総量の合計分だけ、コストが軽くなります。つまり《身代わり合成機》が1枚あれば8マナになるというわけですね。この《金属製の巨像》《身代わり合成機》と最高の相性なのが《真鍮の拳》。戦場に出た時に《真鍮の拳》のコピーを生成するので、即座にマナ総量4のアーティファクトが2つ出ます。当然《身代わり合成機》は2回誘発して2体のトークンが出てきて、更に《身代わり合成機》の3+《真鍮の拳》4×2で合計コストは11.《金属製の巨像》が0マナで出て、更に《身代わり合成機》が誘発。これだけで7/7のトークンが3体と《金属製の巨像》が場に出る、すさまじい場になります。さて、爆発力がわかったところで、足場を固めるカードたちも紹介しましょう。まずは安定の除去、《ポータブル・ホール》。アーティファクトなのでしっかり《金属製の巨像》のカウントや《身代わり合成機》のトークンのサイズアップに寄与してくれます。《月罠の試作品》はアーティファクトかクリーチャーをタップすることで無色マナを生み出せるアーティファクト。《ポータブル・ホール》なんかを寝かせるとちょっとお得な気分になります。相手への干渉手段があまり多くないデッキなので、魂力で使うこともしばしば。デッキ内のほとんどがアーティファクトなので、《加工鋳造所》も素晴らしいカードになります。《アイレンクラッグ》もそうですが、マナを生み出すアーティファクトは《金属製の巨像》のキャストをかなり助けてくれます。他にも《金色の両翼》や《結婚式への招待状》など、他のデッキでは見ないカードたちが盛りだくさん!ド派手なアーティファクト戦略がお好きな方はこのデッキに決まり! 5色人間(モダン) モダンリーグ:5-0 By RowdyGainz かつてモダンを代表するアグロデッキの1つだった5色人間。それぞれの色やマルチから最強の人間たちが集まって完成した5色人間は、主にヘイトベアーたちの集まりでした。非クリーチャー呪文のコストを重くする《スレイベンの守護者、サリア》。手札から有効なカードを抜き去る《帆凧の掠め盗り》。《稲妻》を指定して除去を禁止したり、コンボデッキのキーパーツを封殺する《翻弄する魔道士》。しかし、なんと今回ご紹介する5色人間にはそれらの定番だった人間たちが1枚も入っていません!早速、新生5色人間に選ばれた新メンバーを紹介していきましょう。まずは『モダンホライゾン3』の問題児の一人、《魂の導き手》。エネルギーデッキで活躍するカードですが、この人間は単体でもエネルギーを生成し、それを利用できるので、デッキ内のエネルギーがこのカードだけでも十分に活躍できます。続いて《マネドリ》。こちらは前までは《幻影の像》が入っていたので、同じ役割。《サリアの副官》《銅纏いの先兵》をコピーすれば全体強化で、2ターン目ならば2枚目の《教区の勇者》になって速やかに成長して相手を殴り倒すことも。飛行がついているので《教区の勇者》になった時の恩恵が地味に大きい。パイオニアの人間でも活躍する《銅纏いの先兵》は、《サリアの副官》より少し強化の面では劣りますが、護法を付与して除去に耐性をつけてくれます。これも《マネドリ》でコピーしたらおいしい人間。面白いのは《二の足踏みのノリン》の3枚採用。一見何をするかわからないこのカードですが、《教区の勇者》・《サリアの副官》のサイズを上げてくれるだけでなく、《魂の導き手》でエネルギー生成とライフ回復、更に《潜入者、悟》でドローもできちゃいます。その《潜入者、悟》はこのデッキのアドバンテージ源。先に挙げた《二の足踏みのノリン》以外でも《霊気の薬瓶》からクリーチャーを出しても誘発しますし、《イーオスのレインジャー長》で《二の足踏みのノリン》をサーチできるので、《潜入者、悟》が残ればそれなりにドローする機会は多いはず。これまでの人間がヘイトベアーを展開しながら速やかに殴りきる構成だったのに対し、この人間デッキは速度を意識しつつ、アドバンテージを重視した構成と言えますね。なかなか戦いづらいアグロデッキに見えます。5色人間、モダンで復権なるか?

【週刊メタゲーム通信】黒単デーモンがワンツーフィニッシュ!静岡のメタゲームをお届け!

Pioneer ピックアップ

2024.10.16

mtg Yuyan

こんにちは。 細川 侑也(@yuyan_mtg)です。 今回は先週末に静岡で行われたチャンピオンズカップファイナル静岡の結果をお届けしていきます! メタゲーム チャンピオンズカップファイナル静岡のメタゲームをまずはご紹介していきます。 ラクドス果敢(11.3%) アメリカではアゾリウスコントロールにトップを譲りましたが、今大会ではトップメタに。 除去がないデッキに対しては3ターンキル。かと思えばサイドからは手札破壊や《ウラブラスクの溶鉱炉》で様々な攻め方も可能。すさまじい強さのアグロデッキです。 ただ、このメタゲームを想定していたプレイヤーも多かったので、軽い除去が飛び交うトーナメントとなりました。 ラクドスミッドレンジ(10.9%) アメリカと大きく異なる結果となったのが、ラクドスミッドレンジの人数。 ラクドス果敢とほぼ同数の使用者を誇り、日本ならではのメタゲームといえるでしょう。 リストについては本記事で紹介します。 黒単デーモン(8.6%) 今大会で優勝・準優勝と圧倒的な勝ち組だった黒単デーモンは3番人気でした。 《不浄な別室》+《止められぬ斬鬼》を使うのはラクドスミッドレンジも同じなので、実質この2種のカードを採用した黒系ミッドレンジが50人。20%近くとなりました。 イゼットフェニックス(8.2%) 日本では使用者が少ないと思われていたイゼットフェニックスでしたが、今回は比較的多い21人のプレイヤーが選択。 前週の活躍、そして新たに加入した《美術家の才能》の強さに惚れ込んだプレイヤーが多かったのかもしれません。 当日は僕もプレイヤーとして参加していましたが、イゼットフェニックスに自信がありそうなプレイヤーはみんなイゼットフェニックスをプレイしている印象でした(高橋 優太さんを除く)   メタゲームブレイクダウンは公式の記事に詳細がございますので、こちらからどうぞ。 黒単デーモン チャンピオンズカップファイナル静岡 :優勝 By Tomoaki Ogasawara 静岡の決勝戦は共に同タイプのデッキ、しかも同じ調整チームのメンバー同士の戦いとなりました。既に何度かご紹介しているデッキですが、まずは簡単にデッキの動きを振り返りましょう。黒単デーモンは《止められぬ斬鬼》《アクロゾズの放血者》による一撃必殺コンボを搭載したミッドレンジ。黒を使う最大のメリットである《思考囲い》《強迫》の8枚の手札破壊や《致命的な一押し》《シェオルドレッドの勅令》といった除去で、アグロ・ミッドレンジ・コントロールすべてのデッキに対応できます。使った手札を回復する手段としてこれまでは《勢団の銀行破り》が定番でしたが、このデッキがデーモンと呼ばれる理由、《不浄な別室》がメインのアドバンテージ源となっています。今のパイオニア環境は早く、《勢団の銀行破り》に費やす2マナすら惜しい場合が多々あります。一方の《不浄な別室》はただ3マナを支払うだけで毎ターンカードを引くことができ、デーモンをコントロールしていれば2点ドレインと、あまりに強いカード。この《不浄な別室》の加入により、《勢団の銀行破り》は2枚までその枚数を減らすことになりました。ここまではこれまでの黒単デーモンと変わりない部分ですが、今回世界選手権の権利を獲得した2人のリストで大きな特徴が、《ドロスの魔神》を0枚にしたところです。《ドロスの魔神》は従来の黒単には必ず4枚採用されていたカードでした。デーモンかつ相手に除去されにくいので《不浄な別室》のドレインを安定させてくれて、速やかにライフを削りきってくれます。このデッキで不動のパーツと思われた《ドロスの魔神》を抜いたのです。そのスロットには《墓地の侵入者》や《絶望招来》が入っています。《ドロスの魔神》は赤い相手には生き残りやすい一方、黒ミラーにおいては弱いカードであり、今回のメタ的に黒いデッキが勝ち上がることを予想していたのでしょう。《ドロスの魔神》は4マナと重く、戦場に出た時に何かするカードではないので、除去されるとただテンポをロスします。《アクロゾズの放血者》ほど除去されなかった時のバリューは高くありません。一方、代わりに入った《墓地の侵入者》は、除去する際に手札を要求するクリーチャーであり、ミッドレンジ対決では優秀です。《絶望招来》も黒ミラーやコントロールに対して強力な1枚です。《ドロスの魔神》を抜いてこれらのカードに変更したことにより、黒系ミッドレンジとアゾリウスコントロールに明確に強くなっていますね。見事なデッキ調整でワンツーフィニッシュを決めた黒単デーモン、素晴らしいの一言です! ラクドスミッドレンジ チャンピオンズカップファイナル静岡 :4位 By Hiroki Nakahara 今大会のメタゲームの大きな特徴はラクドスミッドレンジの増加です。ラクドス果敢に続く二番手となっており、そのリストの詳細はというと、黒単デーモンに赤を足したような形です。赤が入っているので《アクロゾズの放血者》を出すのが厳しくなっており、4マナ圏には《ドロスの魔神》が採用されているだけ。これと《不浄な別室》のデーモンシナジー、そして《止められぬ斬鬼》はただ強すぎる3マナ域として採用。《アクロゾズの放血者》とのコンボがなくとも、普通に強すぎるカードなのです。よく考えてみれば、ダメージが通ると相手のライフを半分にするわけですから、3マナでパワー11相当。しかも追放以外の除去なら戦場に戻ってくるのですから、すさまじい性能を持つクリーチャーですよね。この新たな黒の強力な2種のカードを取り入れた以外は、従来のラクドスミッドレンジとさほど変わりありません。《税血の収穫者》《鏡割りの寓話》といった、手札を入れ替えられるクリーチャーたちと手札破壊、除去の組み合わせです。 黒単デーモンと非常に似た構造となっており、《鏡割りの寓話》を使いたいならラクドス、土地周りの強さを取るなら黒単デーモンといったところでしょうか。黒単の場合は色事故は当然ありませんし、土地によるダメージも痛くありません。そして《ロークスワイン城》という超強力な土地を採用することができます。メリットたっぷりの黒単デーモンですが、それでも赤を足したい理由もわかります。何せこちらはレガシーでも一線級のカード、《鏡割りの寓話》を使えるのですから。 当然この《鏡割りの寓話》はミッドレンジ対決で最強の1枚で、黒単とラクドスが戦った場合は、ラクドスが有利だと思っています。それほど《鏡割りの寓話》はすごいカードです。黒単デーモンとラクドスミッドレンジ、共通しているのは軽い手札破壊・除去から強力な3マナ域を投げ、そこから脅威を連打し続けるというもの。 このデッキを攻略するのは非常に難しいように思えるので、今後各国で行われる地域チャンピオンシップの結果には注目していきたいところですね。 セレズニアカンパニー チャンピオンズカップファイナル静岡 :4位 By Taichi Morikawa さて、そんな黒いデッキの隆盛に真っ向から立ち向かうのがこのセレズニアカンパニー。ラクドス果敢に強いデッキとして、前週のアメリカ地域チャンピオンシップでトップ8に入賞し、話題となっていました。デッキの構造は非常にシンプルなのが、もうそのリストから伝わってきますね。21枚の土地に35枚のクリーチャー、そしてデッキ内唯一の非クリーチャー呪文は《集合した中隊》です!これまでのカンパニーデッキ史上、最も《集合した中隊》が当たりやすいデッキではないでしょうか。このデッキで《集合した中隊》が1枚しかめくれなかった日は、早めのドロップを検討したくなるレベルです。《ラノワールのエルフ》《エルフの神秘家》の2種のマナクリーチャーから3マナ域を連打していくこのデッキ。《集合した中隊》で強いカードをめくるためにデッキには大量の3マナが入っているので、これらのマナクリーチャーは必須ですね。《エメリアのアルコン》《選定された平和の番人》といった制限をかけるカードたちに、万能除去の《スカイクレイブの亡霊》。そして疑似的な打ち消し呪文である《エイヴンの阻む者》。これらのカードを展開していくだけでは手札が減ってきてしまいますが、それを補うのが《永劫の無垢》。 従来、この役割を果たすクリーチャーは、除去されてしまったらそれまでだったので、なかなかゲームプランに組み込むことができなかったのですが、《永劫の無垢》は死亡するとエンチャントとして戻ってくるので、ほとんどのマッチでしっかりと機能してくれます。このセレズニアカンパニーを成立させているカードと言っても過言ではありません。《トカシアの歓待》と違って《集合した中隊》でめくれてくれるのも、カンパニーデッキとしては素晴らしい、《トカシアの歓待》を2枚引いてもカードは引けませんが、《永劫の無垢》を2枚引いた場合はドローできるので、重ね引きも美味しい。ちょっと《永劫の無垢》、強すぎるかもしれません。ラクドス果敢に強い他、《永劫の無垢》が定着しやすい(=追放除去が少ない)黒系ミッドレンジ・コントロール全般にもそれなりに強いのがセレズニアカンパニーの魅力。ラクドスには《塔の点火》は必須になるかもしれませんね。黒と赤の活躍が目立つパイオニア環境ですが、そこに一石を投じるセレズニアカンパニー。優勝を収める日もそう遠くはない!?

【週刊メタゲーム通信】アメリカ地域CSの結果を分析!

Pioneer ピックアップ

2024.10.08

mtg Yuyan

こんにちは。 細川 侑也(@yuyan_mtg)です。 今週のメタゲーム通信は、アメリカ地域チャンピオンシップの結果からお届け!週末のチャンピオンズカップファイナルに出場予定の方は要チェック!! 最後にメタゲーム予想のオマケつきです! メタゲーム アメリカ地域チャンピオンシップのメタゲームをまずはご紹介していきます。 アゾリウスコントロール(12.9%) アゾリウスコントロールがラクドス果敢を抑えてトップの使用率を誇ることになりました。ラクドス果敢を意識した構成にすることで有利に立ち回れて、不利マッチだったラクドスミッドレンジはほぼ消滅し、大きく不利な相手がロータスコンボしかいなくなったことが、このアゾリウスコントロール大増殖の要因でしょう。 ラクドス果敢(12.7%) そのアゾリウスコントロールに続くのはラクドス果敢。現パイオニア環境で絶対に意識しない相手であり、1マナの除去をほとんどのデッキに標準搭載させた元凶です。このデッキを倒せるかどうかはパイオニアの基準となります。 イゼットフェニックス(10.9%) そしてイゼットフェニックス。日本で少ない傾向にあるのか、アメリカに使用者が多いのか。そのどちらもな気もしますが、とにかく3番手にイゼットフェニックスが上がってくるのは意外でした。マジックオンラインでは少し元気がなかった印象でしたが、著名プレイヤーも多数このデッキを持ち込んでいます。 奇怪な具現(7%) 4位は《奇怪な具現》。『ダスクモーン:戦慄の館』で得た《ホーントウッドの大主》と境界土地によっていよいよメタゲームの上位にまで上り詰めたこのデッキ。ラクドス果敢とアゾリウスコントロール、その両方が厳しいデッキではありましたが、実はこのアメリカ地域予選で初日全勝を果たしており、そのポテンシャルは計り知れません。 ラクドス異形化(6.2%) 近頃台頭してきているラクドス異形化がトップ5の最後の席を埋めることに。《異形化》から《偉大なる統一者、アトラクサ》を出すデッキですが、手札破壊から《謎の骸骨の事件》《鏡割りの寓話》によるトークンの圧力や、《勢団の銀行破り》でリソースを回復しながら除去を連打。そして《湧き出る源、ジェガンサ》からの《偉大なる統一者、アトラクサ》手出し。など、色々な戦い方ができるコンボ・ミッドレンジ。今大会でも準優勝を果たしており、今後更に増えてきそうなデッキです。ここからはトップ8に入賞したデッキを紹介していきます。 ラクドス地獄の樹 アメリカ地域チャンピオンシップ :優勝 By Cory Lack 1800人を超えるアメリカの地域チャンピオンシップを見事制したのは、ラクドス地獄の樹。《アガサの魂の大釜》に《地獄の樹》を追放すると、自軍の+1カウンターの乗ったクリーチャーすべてが《地獄の樹》になるので、《税血の収穫者》をタップするだけで相手のライフが3になります。《ヴォルダーレンの興奮探し》に乗せれば、《地獄の樹》の能力を使った後に自身を生け贄にすれば確実に勝利できますし、《アガサの魂の大釜》で《地獄の樹》と《ヴォルダーレンの興奮探し》を追放していれば、カウンターが乗ったクリーチャーが《地獄の樹》の能力を使った瞬間にゲームセットとなります。つまり、コンボを内蔵したラクドスアグロ、それがラクドス地獄の樹です。このデッキはラクドス吸血鬼がパイオニアを支配していた頃に生まれたデッキでしたが、その頃から大きく進化している点が1つあります。それが『ダスクモーン:戦慄の館』から追加された《逸失への恐怖》です。2マナ2/3で出た時にカードを捨てて引ける能力は非常に優秀。《税血の収穫者》に近い、潤滑油の役割を果たせます。そして除去能力を持つ《税血の収穫者》より攻撃的な能力があり、各ターンに最初に《逸失への恐怖》が攻撃した時に、昂揚していればクリーチャー1体をアンタップして追加の戦闘フェイズが発生するというもの。《逸失への恐怖》が攻撃する必要がありますが、除去や《アガサの魂の大釜》で《逸失への恐怖》を強化していれば、この能力を誘発させることは難しくないですし、最悪《逸失への恐怖》が除去されても追加の戦闘フェイズは発生するので、無理矢理致死量のダメージを与えにいくことも可能です。強力な能力ではありますが、やはり昂揚はオマケ。メインとなるのはカードを捨てて引く能力を持つ2マナ2/3というスペックの高さです。ちなみに手札が0枚の時はただ1ドローできちゃいます。特にこのデッキは《地獄の樹》のディスカード手段にかなり困っていたので、《鏡割りの寓話》《税血の収穫者》に続く第三のディスカード手段として採用されることとなりました。非常に便利なカードで、ラクドス地獄の樹に限らず、ラクドス系のミッドレンジに新たにレギュラー入りを果たすかもしれません。それぐらいの高スペッククリーチャーです。ラクドス地獄の樹がここまで好成績だった要因の1つは、ラクドス果敢より少し遅い程度のアグロデッキでありながら、クリティカルヒットするサイドカードがあまり飛んでこなかったからでしょう。たとえばラクドス異形化がラクドス果敢対策として用意している《碑出告が全てを貪る》は、ラクドス地獄の樹には全く効きません。そうすれば当然サイドイン枚数は少なくなるので、ラクドス地獄の樹は戦いやすくなります。アグロ対策として採用されている《一時的封鎖》《ポータブル・ホール》は《鏡割りの寓話》や《ヴォルダーレンの興奮探し》に触れず、ラクドス果敢ほどは劇的なカードではありません。サイド後は《敵対するもの、オブ・ニクシリス》を入れて、更にこれらのカードを避けられる構成になっています。黒除去などは墓地にクリーチャーが落ちて《アガサの魂の大釜》が機能するので、これも大きな効果はなし。このように、ラクドス果敢対策として入ってくるカードを機能させない戦い方をして勝利を収めてきたのでしょう。相手がアグロ対策をしてくるならこちらは速度を少し落としてミッドレンジにように振る舞い、スピード勝負には《アガサの魂の大釜》《地獄の樹》で挑むという、異なる強力なゲームプランを併せ持つデッキが、見事アメリカの頂点に立ったのでした。 アゾリウスロータス アメリカ地域チャンピオンシップ  :8位 By Patrick Wu 今大会のトップメタだったアゾリウスコントロールでしたが、トップ8にその名を連ねたのはPatrick Wu選手ただ1人。ちなみにこのプレイヤーはカナダの強豪で、今大会を含めて4度の地域チャンピオンシップでアゾリウスコントロールを使いプロツアーの権利を獲得している、アゾリウスコントロールマスターです。そしてそのリストは通常のアゾリウスコントロールではなく、《睡蓮の原野》を採用した、いわゆるアゾリウスロータスです。《厳しい試験官》と《睡蓮の原野》が揃うと、《睡蓮の原野》の戦場に出た時の土地を生け贄に捧げる能力が誘発しなくなります。このコンボを採用したのがアゾリウスロータス。ロータスコンボと違い、《見えざる糸》や《熟読》から《出現の根本原理》に繋げるわけではなく、《睡蓮の原野》《演劇の舞台》による大量のマナで、盤面をコントロールしたりカードを引いていきます。特に《ドミナリアの英雄、テフェリー》との相性は目を見張るものがあり、《睡蓮の原野》2枚をタップして《ドミナリアの英雄、テフェリー》を出し、ターン終了時にそれをアンタップすると、実質《ドミナリアの英雄、テフェリー》がタダで唱えられます。次のターンに《ドミナリアの英雄、テフェリー》が場に残っていれば、使う6マナと起きる6マナの計12マナを使用できるので、《サメ台風》を素出ししてターンを終了し、相手のターンに《記憶の氾濫》を撃ったり、《告別》で盤面を一掃しつつ相手ターンに《放浪皇》など、通常のアゾリウスコントロールではできないメチャクチャな動きが実現できます。《睡蓮の原野》と《厳しい試験官》のコンボがなくとも、《演劇の舞台》が《睡蓮の原野》をコピーするだけでも十分マナ加速ができるので、特にアゾリウスコントロールミラーでは圧倒的な勝率を誇るデッキです。最終的には《演劇の舞台》が《噴水港》や《アーデンベイル城》に変わり、大量のトークンで殴り勝ちます。その代わりに打ち消し呪文が採用されていないのと、《厳しい試験官》を相手に悪用されてしまうので、ロータスコンボを大の苦手としています。アゾリウスコントロールを支える《喝破》すら未採用なので序盤の干渉手段は少ないですが、ラクドス果敢を意識して大量の除去に加え、《有角の湖鯨》が採用されています。《有角の湖鯨》はアグロデッキの足を止める1枚。マナが一気に加速するアゾリウスロータスではクリーチャーとして出すターンが速いので、デッキに非常に合った1枚です。2ターン目に相手を減速させ、3ターン目に《厳しい試験官》+《睡蓮の原野》、次のターンに《有角の湖鯨》と回れば、アグロはひとたまりもないでしょう。アゾリウスロータスは特に《厳しい試験官》が活躍するメタゲームで、かつアゾリウスコントロールが多ければ、勝ち組になりやすいデッキ。 《厳しい試験官》が入っているせいで《一時的封鎖》《ポータブル・ホール》を採用できないため、ラクドス果敢には通常のアゾリウスコントロールに比べて厳しくなっている印象。しかし、そのデメリットを補ってあまりあるほど、一部のデッキに対しては圧倒的に優位に立てます。今回は《厳しい試験官》が突き刺さる《奇怪な具現》の流行やアゾリウスコントロールトップメタなど、アゾリウスロータスにとっては非常に良い条件が整っていました。週末、静岡で行われるチャンピオンズカップファイナルを戦う上で、このアゾリウスロータスは意識に入れたいデッキですね。 イゼットフェニックス   アメリカ地域チャンピオンシップ:7位 By Omri Goldenberg 実は今大会の勝ち組だったイゼットフェニックス。アメリカは特にイゼットフェニックスが多い傾向にあり、今回も多くのプレイヤーが選択しましたが、しっかりとトップ8にも残っています。大量のキャントリップ呪文と除去でデッキを掘りながら墓地を肥やし、ヴィンテージ級のドロースペルである《宝船の巡航》でリソースを回復。その過程で墓地に落ちた《弧光のフェニックス》で攻撃しつつ、再びキャントリップと除去から《宝船の巡航》を打つというのが、イゼットフェニックスの戦い方。デッキを支えるのはもちろん《宝船の巡航》で、このカードにアクセスしつつ墓地を肥やせる《錠前破りのいたずら屋》が登場したことで、一段階上の強さのデッキとなりました。除去が大量に入っていて、そこから《宝船の巡航》でリソースを回復できるので、アグロデッキに比較的強く、デッキを大量に掘り進めることで特定のカードにアクセスしやすく、それによりデッキリスト次第ではコントロールにも強くできるなど、なんでもできる器用なデッキ。1マナのカードが非常に多いので手札事故が少なく、安定して回るのも魅力の1つ。何でもできる器用さがあり、1マナが多い。これは裏を返せば、各ゲームプランを理解しながら立ち回らなければならなく、1マナのカードばかりなのでマナカーブ順にただカードをプレイするのは許されない、ということでもあります。非常に難しい玄人好みのデッキというわけですね。さて、今回は《美術家の才能》を採用したリストを一部のプロプレイヤーたちは持ち込んでいましたが、トップ8に残ったリストは比較的オーソドックスです。《プロフトの映像記憶》はすっかり入っているのがデフォルトとなりました。《宝船の巡航》を打つだけで戦闘開始時にカウンターを3つ置けますし、《帳簿裂き》と組み合わせることで凄まじい打点を叩き出します。地味に強力なのが《錠前破りのいたずら屋》の強化。警戒を持った1/3にうっとうしい思いをした方も多いでしょうが、これにカウンターが4つ乗ると急に戦闘が一方的なものになります。《宝船の巡航》を集めて墓地を肥やすだけだった《錠前破りのいたずら屋》がフィニッシャーになるのは、《プロフトの映像記憶》の大きな利点の1つ。主にサイド後の墓地対策や《死人に口無し》でメインとなる打点を抜かれた際に便利なカードだったのですが、そもそも強力なので、最近では1~2枚はほぼすべてのリストに入っていますね。ちなみに先ほど話した《美術家の才能》との相性もかなり良いです。墓地から戻ってきた《弧光のフェニックス》にカウンターを乗せることはできないのですが、これができたら3枚入っていたかもしれませんね。メタゲーム的な立ち位置で言えば、ラクドス果敢には少し不利か五分程度、アゾリウスコントロールに有利と、トップメタの2つにはまずまずと言ったところで、これだけでは今一つに思えるかもしれませんが、それ以外のデッキに比較的有利なのは大きな魅力。特にキャントリップと除去で構成されており、そのすべてが軽いので、デッキが回りやすく安定していて、有利マッチをしっかりと勝ち切ることができます。しかも時には《弧光のフェニックス》が複数枚落ちるブン回りもありますからね。今回はラクドス果敢・アゾリウスコントロール・奇怪な具現あたりが多いという予想を立てたプレイヤーは多かったでしょう。この3つは墓地を使わないデッキなので、サイドボードの最後の1~2枠を決めるにあたり、《未認可霊柩車》や《夢を引き裂く者、アショク》を諦めた人は少なからずいたはずです。墓地対策が薄くなれば当然墓地デッキは元気になります。イゼットフェニックスが勝ち組になるのは当然かもしれませんね。 どうなる?チャンピオンズカップファイナル 今回のアメリカ地域チャンピオンシップをふまえて、チャンピオンズカップファイナル静岡のメタゲームを予想してみます! 1位:ラクドス果敢(15%)2位:アゾリウスコントロール(14%)3位:ラクドス異形化(10%)4位:黒単デーモン(8%)5位:奇怪な具現&イゼットフェニックス(5%)   僕はチャンピオンズカップファイナル静岡に出場しますが、上記のメタゲームになることを想定してデッキを考えています!答え合わせが楽しみですね!それではまた!

【メタゲーム通信増刊号】地域CSに向けて最新のパイオニア情報をお届け

Pioneer ピックアップ

2024.10.03

mtg Yuyan

こんにちは。 細川 侑也(@yuyan_mtg)です。 今週と来週はラストチャンス予選2回、そしてチャンピオンズカップファイナルとパイオニアの競技イベントが続きます!というわけで今週はメタゲーム通信をパイオニア編でもお届け!ブラジルの地域チャンピオンシップの結果から、最新のリストをご紹介! 最後にボーナストピックとして、「もし今週末にラストチャンス予選に使うならこれ!」というリストをご紹介します! コントロールがラクドス果敢を制す ブラジルの地域チャンピオンシップを制したのはアゾリウスコントロールでした。 アゾリウスコントロール City Class Games Showdown VII :優勝 By Vinícius Karam 白の除去と青の打ち消し・ドローというマジック黎明期から活躍するこのアーキタイプ。パイオニアでもコントロールと言えばまずアゾリウスカラーが定番です。『ダスクモーン:戦慄の館』で実はアゾリウスコントロールは強化を受けました。一体どのカードか?デッキリストを見てもわからないかもしれませんね。よく見てください……土地の欄を。そう、《フラッドファームの境界》です。今回アゾリウスコントロールが手に入れたのは土地でした。2色ランドはこれまでも《行き届いた書庫》などたびたび加入していましたが、今回の《フラッドファームの境界》ほどの影響はありません。なぜ《フラッドファームの境界》はすごいのか?簡単に2色を生み出せる土地というだけでなく、条件不問でアンタップインかつ白マナが生み出せる土地だからです。アゾリウスコントロールは1ターン目は白マナしか使うことがなく、3~4ターン目に青青を要求してくるデッキです。《フラッドファームの境界》は《平地》か《島》があれば、2色ランドになり、それ以外の状況では白マナが出せるので、1ターン目に白を出し、3~4ターン目の青青にしっかり貢献してくれる、アゾリウスコントロールのためのカードなのです。この強力な土地の加入でデッキリストも進化を遂げています。1ターン目にアンタップインする白マナが12枚になったことで、《ポータブル・ホール》を1ターン目に使いやすくなりました。なのでこのリストにはメインから4枚採用。《騒音の悪獣》と《心火の英雄》はいずれも死亡時にダメージを飛ばすカードなので、《ポータブル・ホール》は完全回答。それを後手1ターン目から使えるのは大きく、《フラッドファームの境界》によりそれが可能となったので、土地のアップデートは思っているよりもずっと大きいのです。《冥途灯りの行進》も手札を追放すれば1ターン目から使用できますし、このデッキは後手番でもしっかり勝てるように構築されています。それを可能にしているのは《フラッドファームの境界》というわけです。除去が多めでドロースペルは少なめなのがこのリストの特徴です。《記憶の氾濫》2枚はこれまでにはあまり見たことがありませんね。この辺りも今のメタゲームを意識した結果でしょう。ラクドス果敢にはどうしても《記憶の氾濫》は打ちづらいですからね。《一時的封鎖》か《ポータブル・ホール》のどちらを採用するかについてですが、個人的には《ポータブル・ホール》を推します。《一時的封鎖》は複数枚のカードを巻き込めたり、召集のようにトークンで殴ってくるデッキには効果的ですが、ラクドス果敢などは1~2体のクリーチャーを強化して殴ってくるので、《一時的封鎖》である必要があまりありません。むしろ3マナという重さが致命的で、後手番で間に合わなかったり、盤面に並べながら《精鋭射手団の目立ちたがり》を計画され、《一時的封鎖》の返しで一撃でライフを削られてしまいます。《ポータブル・ホール》は1マナなので後手1ターン目に盤面に触りにいったり、打ち消しを構えながら3~4ターン目に唱えられるので、隙なく盤面を対処できます。というわけで、1ターン目の白マナがある程度確保できるのであれば、《ポータブル・ホール》がオススメです。オーラなど特殊なデッキが出てきたら変わるでしょうが、もし今週アゾリウスコントロールを使うならば、《ポータブル・ホール》を4枚採用するでしょう。アゾリウスコントロールは今ものすごく立ち位置が良いデッキです。ラクドスミッドレンジとロータスコンボには不利で、それ以外にはあらかた有利。特に最近台頭してきている5色エニグマを得意としており、そのエニグマがラクドスミッドレンジにかなり強いデッキなので、ラクドス自体の数が減りつつあります。天敵を食べてくれて、更にそのデッキを自分は簡単に倒せるのですから、アゾリウスコントロールとしてはエニグマ様様ですね。ロータスも赤系アグロを苦手としているので、数自体が大幅に増えることもないでしょう。今週間違いないデッキの1つはアゾリウスコントロールとなるでしょう。ミラーマッチ対策をお忘れなく。 蘇ったかつての王者 さて、そんなアゾリウスコントロールに強いデッキと言えばラクドスミッドレンジ。一時は《傲慢な血王、ソリン》から《血管切り裂き魔》を出す吸血鬼にお株を奪われていましたが、禁止改訂により、《思考囲い》と《鏡割りの寓話》を使うミッドレンジとしての立場を取り戻しました。 ラクドスミッドレンジ City Class Games Showdown VII :7位 By XandreB このリストは《ドロスの魔神》4枚かつ《変わり谷》が1枚に押さえられており、アゾリウスコントロールを意識した構成にはなっていませんが、それでも有利なのは間違いありません。そしてラクドスミッドレンジは、ただアゾリウスキラーというだけではありません。特に大きいのはラクドス果敢に強い点です。除去と手札破壊もさることながらクロックが速いので、ラクドス果敢側に立て直しの時間を与えません。これはサイドボード後の除去デッキに対するラクドス果敢のプランが機能しにくいことを意味します。たとえば《ウラブラスクの溶鉱炉》ですね。 その他にも、ラクドス果敢が対除去デッキに対して行うサイド後のゲームプランは、ある程度ロングゲームを想定しています。しかし、ラクドスミッドレンジは大量の除去でゲームを遅らせるだけではありません。除去で初速を潰してクロックを展開し、そのままライフを詰めてきます。今のラクドス果敢には、対ラクドスミッドレンジで有効なサイドカードが《熱烈の神ハゾレト》ぐらいしかないのです。ラクドスミッドレンジは、ラクドス果敢とアゾリウスコントロールの上位2つに強いデッキということになります。更に極端に相性が悪いデッキがほとんどない点も魅力です。手札破壊と除去とクロックがまんべんなく入り、サイドボードにそれぞれのマッチアップに更に強くなるので、ほぼ全方位を見れるデッキと言えます。唯一、エニグマだけは本当に苦手としており、当たったら即投了レベル。エニグマが少なければ、ラクドスミッドレンジは段々と増えていたことでしょう。サイドボードに目を向けると、やはりここもエニグマを意識していません。結局どのカードを入れても意味がないと判断したのでしょう。そしてそれはおそらく正しいと思います。《屍呆症》で《奇怪な具現》を抜いたとしても《豆の木をのぼれ》から重いスペルを連打されるだけで負けてしまいます。それならば《思考囲い》《強迫》から《鏡割りの寓話》《ドロスの魔神》で一瞬で勝つ方がまだ勝算があります。《碑出告が全てを貪る》は果敢対策として最近評価されているカード。ラクドス果敢は《戦慄衆の秘儀術師》と《立身+出世》があるので、実は墓地追放も無意味ではありません。《危難の道》、《兄弟仲の終焉》も合わせてかなり全体除去が多めですね。3マナの全体除去が多い中、異彩を放つのが《絶滅の契機》ですが、こちらは《熱烈の神ハゾレト》を触れるカード。果敢は奇数クリーチャーが多いので、《熱烈の神ハゾレト》がいない時は奇数を選択する場合が多いです。エニグマを避け続ければ優勝のポテンシャルが十分あるデッキだと思います。 意識されてもなお強い たびたび話題に挙がっているラクドス果敢。ブラジル地域チャンピオンシップではしっかり意識されていましたが、それでもトップ4に2人を送り込み、このデッキの地力の高さがうかがえますね。 ラクドス果敢 City Class Games Showdown VII :3位 By MARCOSHBF リストには大きな変化はないものの、ミラーを意識してメインに《致命的な一押し》と《無謀な怒り》が採用されています。それ以外に大きなリストの変化はありません。『ダスクモーン:戦慄の館』で《残響の力線》という新たなブン回りカードを手に入れた果敢アグロですが、既存のラクドス果敢には入りにくいと思います。《残響の力線》は初手にある時に2ターンキルパターンが増えるカードではあるものの、初手になかった時は無駄カードとなります。《照光の巨匠》が入ったボロス型ならば謀議で捨てられますが、ラクドスでは引くだけ損なカードです。《残響の力線》は《照光の巨匠》とセットで使うのがパイオニアでは定番になるかと思われます。謀議で捨てられるのはもちろん、《残響の力線》でコピーした呪文でも謀議が誘発するので、《照光の巨匠》と《残響の力線》2枚だけでもゲームに勝てると言っても過言ではありません。ここまで相性が良ければ《残響の力線》を置いた時のバリューも高いので、デッキに入れる価値があります。ラクドス果敢では《残響の力線》を引けなかった時のリスクはもちろん、引いた場合のリターンもさほど高くないと判断しての不採用だったのでしょう。サイドボードには《敵対するもの、オブ・ニクシリス》が採用されており、これは主にコントロール対策。その中でもアゾリウスコントロールに最も効果的な1枚です。能動的にクリーチャーを生け贄に出来るので《心火の英雄》を生け贄にしてダメージを飛ばしつつ、忠誠度の高い《敵対するもの、オブ・ニクシリス》のコピーを作る、という場面もあるかもしれませんね。《大群への給餌》も《一時的封鎖》を割れるカードなので、このラクドス果敢のサイドボードはアゾリウスコントロールを強く意識しているのがうかがえます。どれだけ意識されてもしっかり勝ち切る確かな実力を持つラクドス果敢は、今週もオススメのデッキの1つです。使わない方はしっかり対策しましょう! ボーナストピック もし今週ラストチャンス予選に出るならこの75枚にします! ゆうやんアゾリウス

【今週のピックアップデッキ】ゴルガリ上陸/エスパーパルへリオン/感染

Modern Pioneer Standard ピックアップ

2024.09.13

mtg Yuyan

こんにちは。 細川 侑也(@yuyan_mtg)です。 今週のピックアップデッキでは、ちょっと珍しいデッキを、軽い解説を交えて紹介していきます。 ゴルガリ上陸(スタンダード) スタンダードチャレンジ:5位 By HouseOfManaMTG ゴルガリといえば《裏切りの棘、ヴラスカ》+《亭主の才能》の即死コンボを採用したタイプや、《自由放浪団の見張り》+《玉虫色の蔦打ち》の悪事上陸コンボなど、様々な形のミッドレンジが現スタンダード環境にはありますが、今回紹介するのは更にコンボに特化したタイプ。その名はゴルガリ上陸です。デッキの構造は前環境のティムールランプに似ています。《脱出トンネル》と《寓話の小道》でデッキから土地をサーチし、《事件現場の分析者》でそれらを場に戻してマナ加速。ここに《復活した精霊信者、ニッサ》が絡むと大量のマナが出て、《洞窟探検》が絡むと更にマナを生み出していきます。《洞窟探検》と《復活した精霊信者、ニッサ》が揃った時は脅威。4枚の《寓話の小道》や《脱出トンネル》が墓地にあって、それらが場に戻るとまず4マナ、そしてそれぞれが基本土地をサーチして更に4マナ、場に出てきた基本土地4枚で4マナの計12マナが出てくることになります。ここに更に《無慈悲な殺戮》が加わることでループが始まります。《無慈悲な殺戮》を唱えて場に出ているすべての土地を生け贄にして大量にドロー、その中に《事件現場の分析者》か《森の轟き、ルムラ》が見つかれば、再び唱えて大量のマナを生成。たくさん引いた中に《無慈悲な殺戮》があればループが発生します。これだけでは勝利できませんが、《玉虫色の蔦打ち》をループ中に引けば、唱えて《森の轟き、ルムラ》か《事件現場の分析者》で勝利というわけです。《森の轟き、ルムラ》は新たに加わった強力なクリーチャー。《事件現場の分析者》と同じく墓地から土地を場に戻すカードで、しかもエレメンタルなため、《復活した精霊信者、ニッサ》の能力で手札に加えることができるのです。フィニッシャー枠として採用されている《玉虫色の蔦打ち》はコントロール相手には1ターン目に積極的に唱えられるのも強力。毎ターン攻撃しつつ上陸するだけであっという間に相手のライフを削ります。これまでは上陸した後に大量のマナから勝つ必要があったため、赤をタッチして《世界魂の憤怒》を採用していましたが、《玉虫色の蔦打ち》のおかげでその必要がなくなりました。デッキの性質上、大量の墓地に落ちる土地(《寓話の小道》《脱出トンネル》)とそのサーチ先である基本土地が採用されていますが、《泥干潟村》は数少ないバリューランド。戻すカードは《玉虫色の蔦打ち》だけですが、それで十分です。《事件現場の分析者》や《森の轟き、ルムラ》で、生け贄にした《泥干潟村》も戻ってくるので、序盤に出してダメージを数点出した《玉虫色の蔦打ち》を、ほぼタダで回収することができます。ティムールランプが好きな方はこのデッキを気に入ること間違いなし!ちなみに僕も最近はこのデッキがお気に入りですが、《眠らずの小屋》ではなく《地底の遺体安置所》を採用しています!特定のカードを引き込みたいコンボデッキなため、諜報はこのデッキに合っていて、土地を墓地に落とすことで《事件現場の分析者》で場に出せる数が増えるので、好感触です。《玉虫色の蔦打ち》でダメージを与えている時の《眠らずの小屋》も非常に強いので悩みどころですが、ぜひお試しください! エスパーパルへリオン(パイオニア)   墓地に《パルヘリオンⅡ》を落として《大牙勢団の総長、脂牙》で吊り上げるコンボデッキ、アブザンパルヘリオン。 白黒は確定として、残りの1色として、墓地に《パルヘリオンⅡ》を落としつつ《大牙勢団の総長、脂牙》を手札に加えられる《忌まわしい回収》や追加の機体である《エシカの戦車》が使える緑を使うのが定番でしたが、このリストでは青を採用しています。 パイオニアリーグ:5-0 By Kaberb 青採用のメリットはまずはドローです。《考慮》は墓地にカードを送り込みつつドローするだけですが、《染みついた耽溺》と《信仰の繕い》は2ドローしてカードを捨てるので、《大牙勢団の総長、脂牙》を引き込みつつ《パルヘリオンⅡ》を墓地に送り込めます。掘る枚数は《忌まわしい回収》より少ないものの、5枚から土地かクリーチャーしか拾えないより、2ドローの方が価値が高い場合ももちろんあります。《思考囲い》などが欲しい場合がありますからね。更に青を採用することで打ち消しを採用できるのもメリットです。メインから《頑固な否認》がしっかり採用されており、サイドにも《軽蔑的な一撃》や《ドビンの拒否権》で、しっかり青を利用しています。クリーチャーがほとんど入っていないので、コントロールプランを取りやすいのもメリットです。アブザンパルヘリオンは《エシカの戦車》や《忌まわしい回収》などが入っていることから、持久戦はできても、全体除去で盤面をコントロールするプランを取るのは難しい。しかし、エスパーパルへリオンはドロースペルと《パルヘリオンⅡ》と除去で構成されているので、サイド後は全体除去を増やしてエスパーコントロールのように立ち振る舞えます。特にラクドス果敢のような早いデッキにはこのプランは効果的でしょう。アブザンとは一味違った魅力があるエスパーパルへリオン、見た目がとにかくいいですね! 感染(モダン) ナドゥの3ターンキルやルビーストームの2ターンキルなど、『モダンホライゾン3』ではキルターンの早いコンボデッキが生まれてきましたが、実はそれ以前からずっと2ターンキルデッキはモダン環境に存在していました。それが感染です! SCG CON Tampa:12位 By Quinn Reed しかも難しい手順は一切なし!1ターン目に《ぎらつかせのエルフ》を唱えて2ターン目に《厚鱗化》を打って《古きクローサの力》を打つだけ。これでイージーに毒10個達成となります!モダン黎明期から活躍し続けている感染は、『モダンホライゾン3』のカードをメインボードに1枚も採用していない構成で、懐かしさすら感じます。中でも目を引くのは4枚採用されている《ファイレクシアの十字軍》。このカードの真価が発揮されるのは何と言ってもエネルギー相手でしょう。プロテクション赤・白なのでデッキのどのカードでもブロックできず、除去れず、出されたら後はダメージレースを挑むしかなくなります。感染側はただ《ファイレクシアの十字軍》のパワーを10にするだけで勝てるので、対エネルギーの最終兵器と言えるでしょう。ジェスカイコントロールも《空の怒り》以外でこのクリーチャーを触れませんし、《ファイレクシアの十字軍》が現環境に突き刺さっていることが、感染の強みかもしれません。《強大化》や《変異原性の成長》などが入っている印象でしたが、前者は墓地が肥えてないと使えないため序盤に打ちにくく、後者は修正値が低く、このリストでは未採用。その代わりに相手の除去を回避する《巨森の蔦》《顕在的防御》に加え、《強迫》まで採用されており、これまでの感染よりも除去対策が多い印象です。感染をまたモダンで遊んでみたい方はぜひお試しあれ!

【週刊メタゲーム通信】新星・ラクドス果敢の脅威とそこから形成されるメタゲーム

Pioneer ピックアップ

2024.09.12

mtg Yuyan

こんにちは。 細川 侑也(@yuyan_mtg)です。 毎週、最新のメタゲームをデッキリストと共にお届けするこの記事。今週はパイオニアの最新メタゲームを追っていきます! 圧倒的な強さを誇る新星・ラクドス果敢 前回の【今週のピックアップデッキ】で紹介したラクドス果敢が今週は大暴れ! ラクドス果敢 パイオニアチャレンジ:優勝 By Hamuda 9月8日のチャレンジではトップ3を独占し、もう1つのチャレンジでも2位、翌日の2つのチャレンジでもしっかり入賞を果たしており、その勝利がフロックでないことが明らかとなりました。基本的な動きは赤単アグロ。《僧院の速槍》《精鋭射手団の目立ちたがり》《熾火心の挑戦者》など、インスタントやソーサリーを唱えることで一時的にサイズが上がるクリーチャーを、《タイタンの力》や《巨怪の怒り》で更にサイズアップさせて一気にライフを削り取ってしまうデッキ。 特に《熾火心の挑戦者》は《巨怪の怒り》でサイズを上げながら、自身が対象に取ることで雄姿が誘発し、リソースも稼いでくれる素晴らしいクリーチャー。このカードの存在が今の赤系果敢をメタの上位に押し上げている要因と言えるでしょう。《心火の英雄》は果敢こそありませんが、雄姿でサイズが上がっていくクリーチャー。《巨怪の怒り》《タイタンの力》《弱者の力》《無謀な怒り》がすべて対象に取るカードなので、毎ターンサイズはアップしていきます。この《心火の英雄》は死亡時に自身のパワー分のダメージを対戦相手に与えることができるので、一時的にパワーを上げるカードと相性がとにかくよく、能動的に《心火の英雄》を墓地に送りつつ、プレイヤーにダメージを飛ばす《無感情の売剣》とのコンボは強烈。たとえば3ターン目に《心火の英雄》に《タイタンの力》と《巨怪の怒り》を打って1+1+3+3の8点。《無感情の売剣》で8点。更に墓地に落ちて《心火の英雄》の能力で8点。これだけで24点がわずか3ターン目に入ります。最近のリストでは《戦慄衆の秘儀術師》が入っているのがトレンド。ほとんどの呪文が1マナなので、生き残りさえすればリソースを稼いだり、更なるダメージを叩き出してくれます。そしてこのカードが真価を発揮するのはサイドボード後。《致命的な一押し》や《思考囲い》を使い回す動きは、対アグロ・コントロールに脅威となり、愚直に相手のライフを削る他のカードとは異なる動きを見せることが可能です。ラクドス果敢はパイオニアに現れて瞬く間にその強さを見せつけ、それによってメタゲームは変わりつつあります。白系のコントロールやセレズニアエンジェルといった、赤いアグロを目の敵にしているデッキも勝ち始めており、早速メタられる側へと回っています。今度はいかなる対策を行うか、そして増えている同型に対してどのようなプランを取るか、ラクドスのリストの変化にも注目していきたいですね。 赤を切る正義の天使軍団 さて、その赤殺しのセレズニアエンジェルもパイオニアチャレンジを制しています。 セレズニアエンジェル パイオニアチャレンジ:優勝 By sandoiche 《ラノワールのエルフ》や《希望の源、ジアーダ》から高速で《正義の戦乙女》《輝かしい天使》を出し、大量のライフを得ながら圧倒的な盤面を築いていくデッキです。デッキのキーとなるのは《正義の戦乙女》。天使かクレリックが出るたびにタフネス分のライフを得て、ライフが27以上だと自軍クリーチャーのパワーとタフネスが2つずつ上がるので、一度27になるとそこからライフを落とすことは困難。《翼の司教》から《正義の戦乙女》、そこからクリーチャーという超大量のライフゲインが続く展開は、ビートダウンからしてみれば溜まったものではありません。終了ステップにライフを5点以上得ていると天使が出る《輝かしい天使》もこのデッキでは誘発は比較的容易で、しかも出てきた天使で更にライフが回復するので、たとえライフが一桁に落ち込んでも、たった1ターンで20を超えることも。《正義の戦乙女》+《輝かしい天使》や《輝かしい天使》+《翼の司教》など、クリーチャー同士によるコンボが多いため、複数のクリーチャーが同時に場に出るカードはセレズニアエンジェルと相性がよく、今のパイオニアで最も《集合した中隊》を強く使えるデッキはセレズニアエンジェルです。そのため、《集合した中隊》4枚だけでは足りず、《カイラの再建》もフル投入されています。《カイラの再建》は《集合した中隊》よりマナはかかりますが、能力も強力。見る枚数は7枚で、戦場に出す数はマナを支払うほど多くなります。少しマナフラッドしている時にドローすれば、一挙に4体のクリーチャーを戦場に出すことも。ビートダウン殺しのセレズニアエンジェルが、ラクドス果敢の進軍に待ったをかけることとなりました。 2度の禁止を乗り越えて そんなセレズニアエンジェルにも弱点があります。それはキルターン自体は決して早くないということ。そしてあくまでクリーチャーデッキであり、全体除去を苦手としていること。即ちコンボとコントロールが苦手なのです。 ロータスコンボ パイオニアチャレンジ:優勝 By KingHairy パイオニアではコンボデッキは禁止されてしまいがちですが、そんな中、安定4~5ターンキルかつ劇的なサイドカードである《減衰球》があることで存在を許されている、それがロータスコンボ。《睡蓮の原野》を《森の占術》や《大ドルイドの魔除け》で探し、それを《演劇の舞台》でコピー。2枚の土地から6マナを生み出せるようになったら、《見えざる糸》や《熟読》でマナと手札を増やし、《出現の根本原理》で勝利するというデッキ。《睡蓮の原野》と《演劇の舞台》、この2枚の土地によるコンボを妨害する手段はほとんどなく、揃ってしまう前に殴りきらなければ、まず敗北してしまいます。逆に、揃って《睡蓮の原野》が並ぶまではほとんど相手に干渉できないことから、ラクドス果敢を非常に苦手としているデッキではありますが、実は先週のチャレンジでは2回優勝を収めています。 ラクドス果敢は厳しいものの、そのラクドスが除去コントロールやライフゲイン要素の多いミッドレンジに狩られるのなら、それらのデッキを食い物にしているロータスコンボの出番というわけです。ラクドス果敢→白系のミッドレンジ~コントロール→ロータスコンボというわかりやすい3すくみですね。ロータスもラクドス果敢に一矢報いるため、様々な工夫を凝らしています。優勝したリストはメインから《跳ねる春、ベーザ》が入っており、《大ドルイドの魔除け》からこれはサーチ可能です。《闇の誓願》からサーチしてそのままキャストできる《危難の道》もメインと、それなりに意識していることがうかがえます。これでも以前としてラクドスがきついのは間違いないでしょうが、きちんと回られてしまったら負けるのは仕方なく、動きが芳しくなかった時に勝てるように調整されています。ロータスコンボはサーチ呪文が大量に入っていることから、デッキ構築が非常に重要なデッキです。たった1枚でもそれにアクセスするカードが複数枚あるので、普通のデッキの1枚とは大きく意味が異なるのです。メタゲームの間隙を突いて優勝する力は健在です!対策をお忘れなく。

パイオニアとモダンで禁止カードがそれぞれ2枚!禁止改訂後の環境を予想!

Modern Pioneer

2024.08.27

mtg Yuyan

こんにちは。 細川 侑也(@yuyan_mtg)です。 本日深夜に禁止改訂が実施されました!パイオニアで《アマリア・べナヴィデス・アギーレ》《傲慢な血王、ソリン》! モダンで《有翼の叡智、ナドゥ》《悲嘆》! レガシーで《悲嘆》! ヴィンテージで《ウルザの物語》《苛立たしいガラクタ》! 今回は、パイオニアとモダンの禁止改訂後の環境予想をしていきたいと思います! パイオニア 《アマリア・べナヴィデス・アギーレ》と《傲慢な血王、ソリン》の禁止により、アマリアコンボとラクドス吸血鬼は消滅しました。《アマリア・べナヴィデス・アギーレ》は最速3ターンキルの高速コンボだっただけでなく、アマリアのパワーが20になるのに対応してアマリアのパワーを21以上にしたり、アマリアに破壊不能を付与することで、強制的な引き分けを起こさせることができ、第4ゲームや第5ゲームに突入する場合もあり、トーナメントの進行に影響が出ていました。そしてラクドス吸血鬼。《傲慢な血王、ソリン》から《血管切り裂き魔》を高速召喚するギミックを搭載したラクドスミッドレンジの進化系とも呼ぶデッキですが、こちらは単純に強すぎるがゆえの禁止です。プロツアーを制したラクドス吸血鬼は、そのまま他のすべてのデッキを駆逐し続け、アマリアと共にパイオニア環境の二強として君臨し、消えていくこととなりました。さて、まずこの2つが消えて最も喜ぶのはイゼットフェニックス。 他フォーマットでは禁止されている《宝船の巡航》を使えるデッキであり、攻守に渡って優れ、安定感も抜群。無限ライフされるだけで勝てなくなってしまい、《集合した中隊》や《戦列への復帰》で単体除去の上からコンボを決めてくる《アマリア・べナヴィデス・アギーレ》、そして《血管切り裂き魔》が癌のラクドス吸血鬼。これらの二大巨頭に少し劣っており、これまではトップメタから陥落していました。しかし、その2つはもう存在しません!そうなればイゼットフェニックス天下間違いなし!そして忘れてはならないのが、ラクドス吸血鬼流行前はパイオニアの顔の1つだったラクドスミッドレンジ。手札破壊と除去を連打して《鏡割りの寓話》で手札を整えつつ圧力をかけ、各種カードで1対1交換を取った後に《勢団の銀行破り》でリソースを回復したり、土地で攻撃するミッドレンジです。必殺技のないラクドス吸血鬼という烙印を押されてしまいましたが、その必殺技は強すぎて禁止に。そうなれば再びラクドスミッドレンジが戻ってくるのは想像に易い。ただ、ラクドスミッドレンジはイゼットフェニックスに弱かったデッキでもあります。イゼットフェニックスを持ち込むプレイヤーが増えるのは明らかなので、そこをいかに意識できるかが鍵となるでしょう。《墓地の侵入者》や《真っ白》程度では止められないイゼットフェニックスですが、果たしてラクドスミッドレンジはそれを止めるデッキとなるのか。はたまた、アマリアと吸血鬼に抑え込まれていた他のデッキが新たにメタゲームを支配するのか。久しぶりに新しくなったパイオニア環境から目が離せませんね。 モダン 《有翼の叡智、ナドゥ》と《悲嘆》が禁止になりました。 《有翼の叡智、ナドゥ》は半ば誰もが諦めていたと思います。禁止になって当然で、なぜこの期間放置されていたのか疑問になるレベルでした。《手甲》との2枚コンボであり、そして《手甲》は《ウルザの物語》から探せるので、実質土地と《有翼の叡智、ナドゥ》の2枚コンボ。それもかかるマナは0+3の合計3マナ。3+4で7マナかかる双子コンボが禁止されているフォーマットでこれが許されるはずがありません。しかもコンボを妨害しようと《有翼の叡智、ナドゥ》を除去したらリソースを取られる始末。モダンを遊んだ誰もが思ったでしょう。バントナドゥはやばすぎると。そしてそれは結果として現れており、『モダンホライゾン3』発売以降の大型トーナメントのほとんどをバントナドゥは優勝し、トップ8に多数入賞しています。更に《悲嘆》が禁止になりました。こちらは『モダンホライゾン2』の問題児。《激情》禁止の要因となったラクドス想起の二大看板の1つで、《激情》は《悲嘆》の身代わりになったとも言われていましたが、後追いする形で禁止になりました。こう考えるとラクドス想起がプロツアーを制するのもむべなるかな、と言ったところですね。2枚の禁止カードを主軸に据えていたのですから。エスパー御霊や黒単ネクロ、リビングエンドに影響が出ました。どちらのデッキも致命的なダメージを受けており、デッキパワーは各段に下がることでしょう。エスパー御霊は《偉大なる統一者、アトラクサ》を《御霊の復讐》で吊り上げて《儚い存在》を打って場に定着させるデッキ。この《儚い存在》の使い道として《悲嘆》は最適でした。打ち消しや序盤の攻防でも《悲嘆》は必須で、《偉大なる統一者、アトラクサ》解決後のダメ押しにも活躍しました。黒単ネクロは《ネクロドミナンス》で大量のカードを引くデッキ。ドローするデッキと《悲嘆》の相性は抜群でした。どれだけ手札を消耗しても、《ネクロドミナンス》と《一つの指輪》で取り返せますからね。《悲嘆》+《マラキールの再誕》の「スキャムコンボ」で手札を奪って《ネクロドミナンス》or《一つの指輪》のメイン勝ち手段がなくなってしまいました。バントナドゥや黒単ネクロ、エスパー御霊にリビングエンドといったモダンの強デッキたちが消えて一番喜んでいるのは…それはもうエネルギーでしょう! 《魂の導き手》《オセロットの群れ》《色めき立つ猛竜》《ナカティルの報復者、アジャニ》と『モダンホライゾン3』のカードをふんだんに取り入れたボロス(+α)のアグロデッキです。バントナドゥ、黒単ネクロ、エネルギーの『モダンホライゾン3』産の三強のうち、ナドゥは消滅、ネクロも大幅な弱体化を余儀なくされました。そうなればエネルギー天下となるのは目に見えています。元々エネルギーはバントナドゥを苦手としており、逆にそれ以外にはほぼ強い、夢のようなデッキ。同型で強い《オークの弓使い》を採用したマルドゥ、《マネドリ》《イーオスのレインジャー長》《記憶への放逐》で相手の呪文へ干渉できるジェスカイなど、その強さゆえにバリエーションも豊か。どの色のエネルギーが勝つのか?次の環境、エネルギーが活躍するのは間違いないでしょう!もう1つ忘れてはならないのがルビーストーム。 こちらも『モダンホライゾン3』で登場した《モンスーンの魔道士、ラル》と《ルビーの大メダル》によって生まれたデッキ。最速2ターンキルもできる高速コンボ。(僕が書いた解説記事がありますので興味がある方はこちら)ストームはエネルギーに強いデッキなので、エネルギーが活躍するのであればストームも上がってくること間違いなし!《悲嘆》が消えたのもストームにとっては大きいですね。汎用性の高い手札破壊が消えたのは、ストームに限らず、コンボデッキ全般にとって喜ばしいことです。新しいモダン環境はエネルギーとルビーストームから始まることでしょう!もちろん、影響を受けなかったデッキは他にもたくさん!ナドゥに3キルされていたデッキたちの逆襲が始まります!

【今週のピックアップデッキ】ゴルガリ上陸/白単ミッドレンジ/変容全知

Modern Pioneer Standard

2024.08.22

mtg Yuyan

こんにちは。 細川 侑也(@yuyan_mtg)です。 今週のピックアップデッキでは、ちょっと珍しいデッキを、軽い解説を交えて紹介していきます。 ゴルガリ上陸(スタンダード) スタンダードリーグ:5-0 By Squirtle19 現スタンダード環境におけるコンボデッキといえば、《亭主の才能》と《裏切りの棘、ヴラスカ》の即死コンボを取り入れたゴルガリミッドレンジ。奇しくもそれと同じカラー、かつコンボ要素を持つミッドレンジが、このゴルガリ上陸です。そのキーとなるのは《玉虫色の蔦打ち》。上陸するたびに対戦相手にダメージを与え、新生を持つこのカード。当然相性が良いのは追加で土地を置く手段なのですが、それにうってつけの1枚がスタンダードにはあります。《自由放浪団の見張り》です。悪事を働くたびにライブラリーの上5枚から土地を置けるこのカードは、《玉虫色の蔦打ち》と相性抜群!《玉虫色の蔦打ち》で悪事を働いて《自由放浪団の見張り》が誘発してダメージ、相手ターンでも除去を撃てば悪事を働いたことになるので、そこから土地を伸ばして更にダメージを稼げます。土地が伸びれば《玉虫色の蔦打ち》を新生していくのも容易く、バリューランドである《噴水港》や《眠らずの小屋》を動かしながら、どんどん相手にプレッシャーを与えていきます。コンボパーツである《玉虫色の蔦打ち》と《自由放浪団の見張り》がどちらもビートダウン向けのカードなため、このデッキはちぐはぐな動きをせずに、安定して相手を攻めていくことができるデッキです。コンボが入ったビートダウンが好きな方にはぴったりかもしれません。 白単ミッドレンジ(パイオニア) パイオニアチャレンジ:6位 By Hemsley 『ブルームバロウ』加入直後のパイオニアチャレンジを優勝して一躍話題となった白単ミッドレンジ。リストが徐々に調整されていき、しっかりとパイオニアのメタの一角になりました。デッキの構造はコントロールに近いです。《冥途灯りの行進》と《失せろ》などの単体除去、《残骸の漂着》と《太陽降下》による全体除去、これらで盤面を整えながら、《世話人の才能》でリソースを取り、ゲームに勝利します。《世話人の才能》と相性の良い《婚礼の発表》は攻めと守りを同時に行える優れたカード。《世話人の才能》のレベル3と合わせて、最終的にはトークンが巨大なサイズになって相手を襲います。《空を放浪するもの、ヨーリオン》が使えるのも魅力の1つ。これで《世話人の才能》や《婚礼の発表》、《人参ケーキ》などを使い回せるので、リソース切れがなかなかおきません。これは《思考囲い》を打ってくるデッキの多いパイオニアではとても重要なことです。《跳ねる春、ベーザ》も白系コントロールが『ブルームバロウ』で得た貴重な戦力。出た時にライフを得てクリーチャーを生成して本体は4/5と頼れるボディ。以前にも紹介したカードですが、さすがにパイオニア級ですね。《廃墟の地》《解体爆破場》の土地破壊に加えて、もはや定番の《噴水港》と、マナフラッド対策もばっちり。単色デッキであることも考えると、かなり安定した動きができますね。アグロやミッドレンジにはめっぽう強い白単ミッドレンジ、ぜひお試しください。 変容全知(モダン) モダンショーケースチャレンジ:6位 By aspiringspike 新しいデッキを作らせたら右に出るものはいない。そんな生粋のデッキビルダー、aspiringspikeの最新作がこちら。クリーチャーは《歴戦の紅蓮術士》に《グリセルブランド》。プレインズウォーカーは《大いなる創造者、カーン》。そして《一つの指輪》に…《全知》?一体このデッキはなんなんだ。わけわからん。そう思った方は、土地をよくご覧ください。《変容する森林》。これこそが、この謎デッキの主役です。各種カードで墓地を肥やしながらキーカードを集め、昂揚を達成。《変容する森林》で《全知》になります。後は《大いなる創造者、カーン》や《グリセルブランド》を0マナで唱えて勝利するというシンプルなデッキ。昂揚のために墓地を肥やしつつ、キーカードである《変容する森林》を集めるための手段として、《邪悪鳴らし》《蓄え放題》《希望の種子》はぴったり。《変容する森林》が既にある場合は、《全知》着地後に欲しい《大いなる創造者、カーン》なども探せます。《ウルヴェンワルド横断》も《変容する森林》をサーチできるカード。昂揚を満たせるデッキなら強力ですね。昂揚は《邪悪鳴らし》などで偶発的にも達成できますが、より確実なのは自分で選んで4種を墓地に送ること。《歴戦の紅蓮術士》と《鏡割りの寓話》はそのために入っています。見た目は意味不明ですが、回してみるとその安定感に驚くことでしょう。普通のコンボに飽きた方は、今週は《変容する森林》で決まり!

【今週のピックアップデッキ】セレズニアアーティファクト/5色人間/青単ウルザ

Modern Pioneer Standard ピックアップ

2024.08.16

mtg Yuyan

こんにちは。 細川 侑也(@yuyan_mtg)です。 今週のピックアップデッキでは、ちょっと珍しいデッキを、軽い解説を交えて紹介していきます。 セレズニアアーティファクト(スタンダード) スタンダードリーグ:5-0 By _Cygnus スタンダードには、様々なカラーのアーティファクト・アグロが存在しています。強力なアタッカーを生み出しつつ、除去された時に発見も行う《生命ある象形》は青いアーティファクトアグロの定番で、シミックアグロやアゾリウスアグロなどが結果を残しています。そして今回、そのアーティファクトアグロにセレズニアが加わりました!白の利点は言わずもがなの、手がかりを生み出す《ひよっこ捜査員》。そして手がかりなどをタップして成長する《内なる空の管理人》に、巨大なサイズの《威厳あるバニコーン》などなど。アーティファクトアグロの定番カラー。一方の緑はというと、地図を生み出せる《名もなき都市の歩哨》に《勇敢な旅人、ケラン》の出来事モード、そして何より1マナ域としては申し分ない《生歯の子ワーム》を使えます。ライフゲインと《名もなき都市の歩哨》によって、セレズニアはアグロ同型においては最も強い形と言えます。白緑は不器用なカラー…というのは過去の話。除去は《失せろ》、回避性能をつける《鋼の熾天使》もいるため、一筋縄では攻略できません。特に《威厳あるバニコーン》と《鋼の熾天使》の組み合わせは強力で、アーティファクトアグロの今の定番の組み合わせとなっています。突然凄まじい打点で殴る。そんな爽快感を味わいたい方にオススメ! 5色人間(パイオニア) パイオニアリーグ:5-0 By Econ_Neal マジック界でも有数の強力部族、人間。かつてはモダンのプロツアーを優勝するほどの力を持ち、その多くのカードがパイオニアで使用可能です。パイオニアにおける不安要素はマナベースでしたが、《魂の洞窟》が使用可能になってからは、5色土地が12枚体制になり、いよいよ本格的に人間が暴れられるようになりました。《スレイベンの守護者、サリア》《サリアの副官》《カマキリの乗り手》などお馴染みの人間たちに、白系アグロでは欠かせない《輝かしい聖戦士、エーデリン》と、精鋭が揃っています。そしてなんといっても《銅纏いの先兵》です。人間を強化するだけでなく、護法もつけてしまうすごいロード。これまでは4枚確定だった《サリアの副官》が3枚に減っているのも納得です。また、「キミ人間だったの!?」と思わず叫んでしまいそうになる《群れ率いの人狼》。緑単ではお馴染みのこの人狼も実は人間なので、このデッキに居場所があります。《サリアの副官》や《銅纏いの先兵》があれば《群れ率いの人狼》ともう1体の人間だけで簡単にカードが引けます。更にその人間たちをまとめて呼び出す《集合した中隊》ももちろん入っています。回った時の理不尽さはモダンそのまま!モダンで人間を使っていた方、パイオニアで暴れ回ってみてはいかがでしょうか?   青単ウルザ(モダン) モダンリーグ:5-0 By Heir_of_Elendil15 モダンでウルザと言えば、最早《ウルザの物語》が最初に浮かんでしまうかもしれませんが、かつて《最高工匠卿、ウルザ》もモダンで一世を風靡していました。その《最高工匠卿、ウルザ》が再び輝く時が来ました!《最高工匠卿、ウルザ》はアーティファクトから青マナを出せる強力なカード。そのため、必然的にデッキには大量のアーティファクトが入ることになります。このデッキはとにかく《最高工匠卿、ウルザ》を着地させたいデッキ。そのために大量のマナアーティファクトが入っています。そう、《月罠の試作品》に加えて《モックス・アンバー》が3枚採用されているのです。伝説のクリーチャーをコントロールしていなければマナが出ないこのモックス。これまでは《敏捷なこそ泥、ラガバン》と《湖に潜む者、エムリー》が入っているデッキでギリギリ採用できるというレベルでしたが、『モダンホライゾン3』で《知りたがりの学徒、タミヨウ》を手に入れたことで、青単でも使いやすくなりました。1マナの伝説クリーチャーは《モックス・アンバー》と相性バッチリ。もちろん、《知りたがりの学徒、タミヨウ》は《モックス・アンバー》からただマナを生み出すためだけのカードではありません。《ミシュラのガラクタ》や《一つの指輪》が入っているので変身は容易。しかも攻撃時に生み出す手がかりが《月罠の試作品》や《最高工匠卿、ウルザ》のマナに使用できると、至れり尽くせり!ウルザと言えば《最高工匠卿、ウルザ》!再びそうなる日も近いかもしれません。…まあ、《ウルザの物語》も入っているんですが。

【週刊メタゲーム通信】吸血鬼とアマリアの仁義なき二強環境

Pioneer

2024.07.11

mtg Yuyan

こんにちは。 細川 侑也(@yuyan_mtg)です。 毎週、最新のメタゲームをデッキリストと共にお届けするこの記事。本日はエリア予選期間真っ最中で盛り上がっている、パイオニアを解説! 大会説明 初回の記事なので、今回のメタゲームを語る上で参照した大会について今回は説明していきます。 チャンピオンズカップエリア予選 プレイヤーズコンベンションで行われる競技大会「チャンピオンズカップファイナル」の参加権利を賭けて戦う大会です。店舗予選を突破したプレイヤーしか出場することのできない、競技性の高いトーナメント。今回は以下の3大会を参照。 エリア予選(ドラゴンスターオタロード中央店) エリア予選(晴れる屋トーナメントセンター東京) エリア予選(シーガル泉中央店) パイオニアチャレンジ パソコンでマジックが楽しめるマジックオンライン上で行われる大会。人数に応じたスイスラウンドを行い、その後シングルエリミネーションとなっています。参加費のみで誰でも出られる大会。今回は以下の4大会を参照。 PIONEER CHALLENGE 32 (7月6日開催) PIONEER CHALLENGE 32 (7月7日開催) PIONEER CHALLENGE 64 (7月6日開催) PIONEER CHALLENGE 64 (7月7日開催) ラストチャンス予選 マジックオンラインチャンピオンシップ(通称MOCS)という、マジックオンラインの中で最も賞金・賞品が豪華な大会があり、優勝することでそれに出場することのできる予選大会…の予選大会です。5回戦を5勝0敗することで予選大会の権利を獲得できます。今回は以下の2大会を参照。 PIONEER LAST CHANCE (7月7日開催) PIONEER LAST CHANCE (7月8日開催) 進化し続けるTier1、ラクドス吸血鬼 エリア予選での権利獲得者、各チャレンジのトップ8、そしてラストチャンス予選で4勝1敗以上の成績を収めたデッキをすべて集計すると、最も使用者がが多かったのはラクドス吸血鬼でした。その数は26。合計75人のうち、26人がこのラクドス吸血鬼で好成績を収めました。特に晴れる屋トーナメントセンター東京では15人のうち8名がラクドス吸血鬼で予選を突破しています。 ラクドス吸血鬼 エリア予選(晴れる屋TC東京):突破 By 矢田 和樹   ラクドス吸血鬼はプロツアー『カルロフ邸殺人事件』を優勝して鮮烈なデビューを飾ったデッキ。ベースとなるのは《思考囲い》と《鏡割りの寓話》という、もはやパイオニアでは見慣れたラクドスの2枚看板によるミッドレンジ戦術。ここに加わったのが《傲慢な血王、ソリン》から《血管切り裂き魔》を出すコンボ要素。 《血管切り裂き魔》は凄まじい性能で、ひとたび戦場に出ればそもそも護法で除去をするのが困難。倒そうとすればダメージを最低でも4点喰らい、倒し損ねれば攻撃の6点+《傲慢な血王、ソリン》の生け贄3点+2点で11点と、一瞬でライフを削りきられてしまいます。 近頃のラクドス吸血鬼は《腐食の荒馬》を採用したリストが増えています。騎乗して攻撃すると《血管切り裂き魔》がめくれて6点だったり、《傲慢な血王、ソリン》と《血管切り裂き魔》を揃うのに寄与するなど、デッキと噛み合っています。そして、2ターン目のプレッシャーのあるアクションが《税血の収穫者》しかなかったのはラクドス吸血鬼の弱点でした。《腐食の荒馬》によって相手は2ターン目から対応を迫られることとなり、3ターン目の《鏡割りの寓話》や《傲慢な血王、ソリン》が二の矢として機能するのです。プロツアーではこのスロットは《薄暮軍団の盲信者》でした。こちらは3ターン目の強いアクションである《鏡割りの寓話》か《傲慢な血王、ソリン》を引き込みにいくカードでしたが、クリーチャースペックは1/1と貧弱でした。 ラクドス吸血鬼が攻撃的なデッキであるにもかかわらず、2ターン目のアクションが弱いのは問題でしたが、《腐食の荒馬》はそれを見事に解消しました。また、《腐食の荒馬》が標準装備になったことで見直されたのが《砕骨の巨人》。ラクドスミラーで《腐食の荒馬》を除去できるだけでなく、《腐食の荒馬》に騎乗できるので、再評価を受けています。 ラクドス吸血鬼の進化はそれだけではありません。近頃は更なるコンボを搭載したラクドス地獄の樹も現れ始めました。 ラクドス地獄の樹 パイオニアチャレンジ:2位 By CHICHICHI 通常のラクドス吸血鬼に《地獄の樹》と《アガサの魂の大釜》を加えたのがこのラクドス地獄の樹。 《地獄の樹》は自身のタフネスと対戦相手のライフを交換できる起動型能力を持っています。普通に使えば相手のライフが13になり、ライフがタフネスになる。そんな微妙なカード。しかし、《アガサの魂の大釜》で追放することで《地獄の樹》は真価を発揮します。クリーチャーに《地獄の樹》の能力を付与できるので、たとえば《ヴォルダーレンの美食家》も《地獄の樹》になるのです。一瞬で相手のライフは20から2に! このコンボは特に、ラクドス吸血鬼は現環境の対抗馬であるアブザンアマリアに対して有効です。通常は一度コンボを決められて90近いライフになったアマリアに勝つのは至難の業ですが、いくつライフがあろうと《地獄の樹》と《アガサの魂の大釜》が揃えば関係ありません。新たな2枚コンボの投入ができてしまうというのは、《思考囲い》や《鏡割りの寓話》、そして《傲慢な血王、ソリン》からの《血管切り裂き魔》、このラクドス吸血鬼の根幹部分が強いことの証明ともいえますね。 王者・吸血鬼を狙うは、3ターンキルのアマリア ラクドス吸血鬼に続いて先週成功を収めたのは、アブザンアマリア。各地のエリア予選でも突破者が多く、MOのラストチャンス予選で権利を獲得した4つのうち、2つがアブザンアマリアでした。 アブザンアマリア ラストチャンス予選:5-0 By OPPA 《アマリア・べナヴィデス・アギーレ》と《野茂み歩き》を場に揃え、30回ほどの探検によって90近いライフを獲得しながら、《霊気貯蔵器》をライブラリートップに積み込んで勝利するクリーチャー・コンボ。なんと最速3ターン目にこのコンボが成立します。 固定となる2体のクリーチャー+ライフゲイン手段が必要なコンボで、除去1枚で妨害されてしまうため、「コンボ自体は成立するけど実用的かどうか…」と思われていたのは遥か昔。蓋を開けてみれば、クリーチャー側をサーチする手段が豊富かつインスタントだったり、除去しても複数の手段で場に戻すなど、除去に対して強い構成にすることができ、今や環境最強の一角となっています。特にラクドス吸血鬼の最強ムーブである3ターン目《血管切り裂き魔》に対しても、3ターン目にコンボを決めてしまえば勝利できるので、お互いが最も強い動きをした際はアマリア側に軍配が上がります。 アブザンアマリアのリストもすっかり洗礼されています。《救出専門家》が多めに採用されるようになり、ラクドス吸血鬼の除去の雨にも耐性がついています。 《救出専門家》をたくさん採用することで3マナ以下の強力なクリーチャーが増えたので、今まで2枚程度だった《集合した中隊》は4枚に。《救出専門家》と同じ役割だった《戦列への復帰》がそのまま《集合した中隊》になっていますね。《スカイクレイブの亡霊》は段々と採用枚数が増えてきた1枚。これまではメインサイド合わせて1~2枚という印象でしたが、今ではメインから2枚。サイドにも2枚。ミラーマッチで《アマリア・べナヴィデス・アギーレ》を追放できるだけでなく、ラクドスがサイドから投入してくるキラーカード、《暮影の騎士》に触れる数少ないカードです。 《スカイクレイブの亡霊》の枚数が増えている現状では、ラクドスがサイドから採用すべきは《暮影の騎士》ではなく《揺れ招き》なのかもしれませんね。 総括 今週の勝ち組はラクドス吸血鬼、次いでアブザンアマリアという結果でした。ラクドス吸血鬼は《腐食の荒馬》と《砕骨の巨人》を採用したリストが目立ちました。《砕骨の巨人》は《腐食の荒馬》が使われれば使われるほど強いカードなので、もしかしたら今週は枚数が増えるかもしれません。 アブザンアマリアは特にマジックオンラインでの活躍が目立ちます。ラストチャンス予選を突破した4つのうち、2つがアブザンアマリアなのです!4勝1敗にもアブザンアマリアは多く入賞していますし、今週はラクドス吸血鬼との立場を逆転させていてもおかしくありません。 そしてこの2つが互いのデッキやミラーを意識し始めると、またその間隙を突くデッキが現れることでしょう。墓地を利用するデッキが減っており、墓地対策は今減少傾向にあります。もしかしたら今はイゼットフェニックスあたりにチャンスかも?《腐食の荒馬》も《砕骨の巨人》も苦にしないので、今のラクドス吸血鬼には比較的強いはずです。 来週はどうなっているのでしょうか。今から楽しみですね。それではまた!