article

世界選手権参加レポート&Magic Con ラスベガス旅行記

Standard ピックアップ

2024.10.31

mtg Yuyan

みなさんこんにちは!先週末はラスベガスで行われた第30回世界選手権に出場してきました。 昨年末のチャンピオンズカップファイナルで準優勝を果たし手に入れた夢の舞台!今回はその参加レポートと、Magic Con、そしてラスベガス観光を少しだけお届けします! 水曜日 乗るはずだったシアトル行きの便が3時間の遅延、それによりラスベガスへの乗り継ぎが間に合わないため、急遽便を変更することに。ロサンゼルス経由に切り替え、その結果空港で4時間弱待ち、日本を発って16時間、ようやくラスベガスに到着しました。 宿泊先のヒルトンホテルは写真通り、いやそれ以上に綺麗かつ広くて、36階なので景色も最高で大満足。 なぜかベッドの真横に湯舟があり、その扉の先にトイレがあるという「ベッドから7歩でトイレに辿り着ける謎の部屋」ではあるものの、便利だったので気になりません。ラスベガスに来るたびに通っていたお気に入りのステーキ屋さんに行くことに。ホテルから3キロ。徒歩で40分かかる距離ですが、なぜか同行者と二人で歩くを選択。いつもなら秒でUberを呼ぶところなのですが、16時間の旅でおかしくなったのかもしれません。途中で有名なスフィアを見たりしつつ、しっかり40分歩いてステーキ屋さんに到着! そう、これが食べたかったんだ!エリスアイランドステーキ!大満足で店を出て、その後は2秒でUberを呼んでホテルに戻り、泥のように眠りにつきました。   木曜日 今日は世界選手権に選手登録をしにいく日。とはいっても昼間は特にやることはないので、ラスベガスを軽く探索しました。これまで2回ラスベガスに来た時はいずれもカジノとビュッフェを往復するだけで、観光らしい観光はしていなかったので、なぜか新鮮な気持ちに。ホテルから近い東京タワーよりも高いストラトスフィアタワーに歩いていきました。ここはバンジージャンプや絶叫アトラクションなどが楽しめるホテル付きのタワー。ちなみに僕は高いところが本当に苦手なのでバンジージャンプは絶対にできません。エレベーターで上がっている最中に揺れまくって心臓が飛び出しそうになるも、最上階からの景色は圧巻!ラスベガスのいろいろな顔を覗ける良い場所でした。ホテルからだと煌びやかな部分しか見れませんからね。その後はカニとエビの美味しい有名なビュッフェに移動して食べ放題を満喫。80歳ぐらいのおばあちゃんが山盛りのカニをもりもり食べているのがとても印象的でした。夜は世界選手権の会場に。会場まで徒歩で行ける距離のホテルを取ったつもりだったので、何も考えずに歩き始めたのですが、これが愚かでした。ホテルから近い建物はWest Hall。一方の会場はSouth Hall。そしてこの間……なんと徒歩20分ほど。West Hallまで10分ぐらいかかるので、今日も30分以上歩くことになってしまいました。なんやかんやあって迷子になりつつ会場に着くと既に19時。前日のパーティーは既にお開き気味なので、特に何かを食べたりはせず、軽く日本人プレイヤーたちと話す程度。その時にヤソさんから「会場からモノレール乗れるよ」との耳寄り情報を聞き、帰りはモノレールに乗り、木曜日は終了。 スタンダードのデッキ選択 さて、本選に進む前に今回の世界選手権のフォーマット、スタンダードとドラフトに関してのお話。 スタンダードで最も強いデッキは赤系アグロ、とりわけ赤タッチ緑のグルール果敢であることは明白でした。 (こちらは世界選手権でトップ8入賞を果たした井川さんのリスト。おめでとうございます!) 『ダスクモーン:戦慄の館』加入前からその強さは圧倒的でしたが、《ソーンスパイアの境界》を手に入れて緑マナが出やすくなり、いよいよ怖いものなし。とはいえ、そこまで抜きん出た存在になってしまうと意識されてしまうもの。グルール果敢を倒すべく、様々なデッキが研究されてきました。まず流行したのは白単コントロールでした。僅か1マナでキャストできる追放除去、《軍備放棄》がグルール果敢の《心火の英雄》に強く、《人参ケーキ》などのライフゲインもあり、赤いアグロに強い要素満載です。僕はグルール果敢を使用するよりは、それをメタる側に回りたいと思っていたので、白単や青をタッチしたアゾリウスコントロールを試してみました。感想としては……意外とグルール果敢に負けます。というのも、ソーサリー追放除去ばかりであることが相手にバレてしまうと《精鋭射手団の目立ちたがり》を計画されますし、白単側が勝つのに時間がかかりすぎてしまうため、《蛇皮のヴェール》を構えるなど、ある程度相手の準備が整うのをこちらが咎める術がありません。そしてコントロールキラーの《ウラブラスクの溶鉱炉》も当然厳しかったのです。更に、白系コントロールはとにかく試合が終わらない。MTGアリーナやマジックオンラインでは勝てるものの、リアルトーナメントなら引き分けになっていそうなゲームが何度かありました。《軍備放棄》が使えつつ、フィニッシャーが複数入っているドメインコントロールも試しましたが、こちらも欠陥があり断念。主に《力線の束縛》が軽くキャストできない問題でしたが、それが何よりもグルール果敢に対して致命的でした。こうしてコントロールたちが消えていき困り果てていたところで、アゾリウス眼魔をこすりにこすっている僕の師匠、ユン・スハンさんに声をかけ、最新のリストを教えてもらうことに。 とはいえ、対グルールの勝率はあまり芳しくなく。逆にグルール果敢を使っていてもアゾリウス眼魔にはかなり勝ちました。アゾリウス眼魔は墓地対策がどれだけ入ってくるかで大きく勝率が変わる不安定なデッキで、世界選手権ではそれなりに意識されると思いました。グルール果敢にかなり強いのであればそのリスクも負えますが、現状のリストではそちらも安定せず、できれば使用したくないといったところ。とはいえ、ユンさんがリストを仕上げてはくれているので、デッキに息詰まった時にはお願いしようと思っていました。師匠、いつもお世話になっています。 さて、一通り気になるデッキは触りましたが、どれもグルール果敢にイマイチ。こんな時はどうするのかというと、ひたすらグルール果敢を回すに限ります。敵を知る方法は自分で使うこと。きついと感じるデッキやカード、プランが出てきた時に、今度はそれを自分が使ってグルール果敢をメタる側に回れば良いのです。この方法なら、グルール果敢攻略の糸口がつかめなかった時に自分がグルール果敢を使えますしね。そしてしばらく回している内に、グルール果敢に強いデッキがついに現れました。それがアゾリウスエンチャントです。エンチャントが戦場に出ることで効果を発揮するカードと強化エンチャントたちで構成されたこのデッキ。とにかく《幽霊による庇護》がグルールに強すぎる!《天上の鎧》と合わせて一瞬でライフレースを逆転されてしまいます。このアゾリウスエンチャントにはとにかく時間をかけました。《グレムリンを手懐ける者》、《永劫の無垢》の枚数や非クリーチャー呪文の選択肢や枚数はとても大事で、特に僕はメインボードに《喝破》を入れたいと思っていました。世界選手権という場ですから、どんなデッキが持ち込まれるかわかりません。2マナの打ち消しは新しいデッキに対して有効なことが多いですし、ある程度カードを引けるデッキなので、《太陽降下》など一発逆転カードを打ち消せる《喝破》は、引き込みがいのあるカードです。ただ、《喝破》は強いものの、構えられなければ意味がありません。そのため、3ターン目の構えたいターンに出さなければならない《永劫の無垢》を抜き、同じドローソースカードである《永劫の好奇心》を試してみました。これが大正解。《永劫の好奇心》は《永劫の無垢》と違って複数枚引けますし、《グレムリンを手懐ける者》と組み合わせたら大量のドロー。言うまでもなく《喝破》は構えやすく、この組み合わせは特に強力に感じました。エンチャントを出すとボーナスがあるデッキなので《安らかなる眠り》を採用しやすく、アゾリウス眼魔に強いのもポイント。「これはいよいよ決まったか……」と思っていましたが、グルール果敢とダイレクトマッチをやっていく内に、《幽霊による庇護》を引かない時に勝てないという現実に直面しました。そして《切り崩し》が強すぎて黒系のミッドレンジに負けまくり、徐々に綻びが見えてきてしまい、あえなく断念。しかし、アゾリウスエンチャントに費やした時間は決して無駄ではありませんでした。《永劫の好奇心》と軽い打ち消しの組み合わせは天地魔闘の構え!《永劫の好奇心》を使いつつ、赤に強くしたいなら、相方は黒しかいません。《切り崩し》《苦痛ある選定》はグルール果敢に勝つには必須のカードで、特に《苦痛ある選定》はアゾリウス眼魔のクリーチャーたちを追放したり、《止められぬ斬鬼》も完全に処理できるなど、環境的に今強力。実際に回してみても想定通りの相性。グルール果敢に対してもしっかり戦え、サイド後を含めても不利はつかなかったので、ディミーアミッドレンジに決まったのでした。 ディミーアミッドレンジに関しては、ジャパンオープンでもトップ8に残った元MPLの佐藤 啓輔くんにも色々と助けてもらいました!この場を借りてお礼を言います!本当にありがとう! 『ダスクモーン:戦慄の館』ドラフト プロツアーのドラフト勝率33%という異次元の低さを誇る僕。いつもはある程度ドラフトを諦めて構築に専念するのですが、世界選手権は特にドラフトが重要な大会です。それはなぜか。プロツアーは構築5ラウンド、ドラフト3ラウンドなのに対して、世界選手権は構築が4ラウンドと1ラウンド減り、ドラフトはそのままなのです。しかも2日目も最初はドラフトから始まるため、初日に6勝1敗などの好成績で駆け抜け、2日目のドラフトを2勝1敗などで終えた場合、トータルは8勝2敗。後スタンダードを2勝した時点でトップ8入りが決定するので、実質スタンダードを6回しかプレイしない場合もあります。もう《逃げ場なし》!やるしかありません。 今回はいつもの3倍ほどドラフトに時間を費やし、更に僕の最も信頼するリミテッダーにも協力を仰ぎました。『ダスクモーン:戦慄の館』のドラフトを一言で語るなら「難しい」。初見の印象では「生存が先手有利すぎてばからしい」などと思っていましたが、そんな単純なものではありませんでした。難しい、そして面白い。それがダスクモーン。難しくしている要因は、カードの強さが使用するデッキによって大きく変わること。同じカードでも青赤と赤白で全く違う強さになる、と言えばわかりやすいでしょうか。まあ《焦熱の竜火》はいつでも最強なのですが。《殺害》が《焦熱の竜火》より弱いのも『ダスクモーン:戦慄の館』ドラフトの特徴と言えるかもしれません。2~3マナ圏のとんでもないマスト除去のシステムクリーチャーが多く、逆に高マナ域にはさほどヤバいやつがいない。低マナ域のシステムクリーチャーが暴れれば、重いカードでは対処できないのですよね。例を挙げると《グレムリンを手懐ける者》。そういった特性上、《殺害》より《焦熱の竜火》の方が強い環境です。つまり除去は必須の環境です。リミテッドでは除去は常に正義ですが、今回は特に除去の重要性が高い。除去が取れなかった時はほぼ勝てないと言ってよく、そのためピック方針は「とにかく除去を優先」となりました。今回はアンプレイアブルなクリーチャーが比較的少なく、後半拾ったクリーチャーたちで勝つことも可能です。また、前述のようにカラーリングによって強さが異なるカードが多く、自分のデッキにあったそれなりにまともなクリーチャーが後半流れてくることもあります。一部の最上級のシステムクリーチャーや《すべてを疑う者、ジモーン》クラスの爆弾レア以外は除去から優先して取る。これをとにかく意識しました。もう1つ、今回成功した戦略は緑多色。《広漠なる変幻地》や各種2色土地を早い巡目で確保し、2~3パック目で流れてきたレアをピックするというもの。MTGアリーナでは卓内プレイヤーとまず当たらないため、どんな爆弾レアであろうと平気で流してしまいます。なので緑多色は成功しやすいのですが、リアルのドラフトでもかなり勝ちやすかった印象がありました。《ヴァルガヴォスの猛攻》クラスの、タッチも容易の最強カードはまず流れてきませんが、《すべてを疑う者、ジモーン》ぐらいなら流れてきてくれますし、緑と何かのカラーリングの多色カードは、どれも緑多色なら簡単にタッチ可能です。 金曜日:世界選手権初日 というわけで世界選手権初日。まずはドラフトからです。同卓にはプロツアーチャンプのジム・デイビスやマット・スパーリング、そしてカール・サラップなど、さすが世界選手権といった面々。初手は《ひきつる人形》。緑多色をやりたい僕にとっては嬉しいレア。 2手目は弱めのパックでげんなりしていましたが、よく見ると《焦熱の竜火》の姿があり一安心。3手目で《焼殺への恐怖》を取り、更に《焦熱の竜火》をもう1枚拾えて、赤はさすがに確定。緑の流れはイマイチだったものの、特にこれといったカードは流れてくることはなく、デッキに必要になってくる2マナ域をピックする程度で終了。赤はやれそうな感じ。といったところで2パック目の初手は《生垣裁断機》。既に《広漠なる変幻地》が2枚取れていたので単純に相性が良いカード。 そこから《木人の打破者》、《果敢な生存者》、《ひと皮剥けば》と強力なアンコモンのカードが続きます。昂揚するかどうかが不安だったため、強い戦慄予示たちが取れたのはかなり嬉しかったです。そして2パック目で緑が大量に流れてきたので、2色目も緑で決定。一瞬、《見捨てられた人形、アラベラ》に心が揺れそうになりましたが、それまで白いカードが1枚も取れていなかったので、鉄の意志で放流。1パック目の時点で《広漠なる変幻地》が2枚取れており、2色土地も赤緑2枚と黒緑2枚。どんな強力なレアもタッチする気概です。が、3パック目で出たレアは《尻込みする優等生》。タッチして使いたいカードではない……強いが残念。 そして2手目にはなんと《見捨てられた人形、アラベラ》! すべてを忘れて横にある《最優秀殺害者》をピック。ボロスの夢はしっかり断ち切ろう。後は強力なレアが流れてくることを祈るのみ!……が、ダメ!そこから多色の強力なカードどころかレアすらも流れてこなくて、ドラフトは終了。デッキはこちら。 結果、レアの全然ない多色のパーツだけ余った赤緑タッチ黒に。見た目は悪いですが、デッキはそんなに悪くありません。低マナ域も十分取れて、《最優秀殺害者》が2枚あるので継続して打点を入れ続けられます。赤のコモンの一番は言うまでもなく《焦熱の竜火》ですが、《最優秀殺害者》も同じぐらい大好きなカードです。その名前通り《最優秀殺害者》すぎますね。緑黒 ○○青白 ○×○青白 ××結果は2勝からフィーチャーテーブルでジム・デイビスの青白に叩きのめされ、2勝1敗で終了。デッキも強いし相性も悪く、プレイヤーも強かった。完敗。悔しいですが、ついにプロツアードラフトの成績、ついに勝率33%を超えました!!ピックの反省点としてはやはり白に参入するタイミングでしょうか。《見捨てられた人形、アラベラ》が流れてきた時点で白いカードが2枚ほど取れていれば白も視野でした。 1パック目で緑の悪い流れは察していたので、8手目辺りで白も候補に入れるべきでした。あの8手目で《鍛えられた随伴者》さえピックしていれば、《見捨てられた人形、アラベラ》を拾えたので、すべてが変わっていたかもしれません。まだまだ未熟でしたが、方針を決めて、きっちりと勝ち筋を意識してピックすることはでき、それが結果に繋がったのかなと思います。ここからスタンダードラウンド。2勝2敗で初日を突破できるのですが……アゾリウス眼魔 ×○アゾリウス眼魔 ××ティムール果敢 ○○ティムール果敢 ×○×1-2-1。トータル3勝3敗1分で残念ながら初日落ちとなってしまいました。ドラフトと違ってスタンダードはツきに恵まれない日でした。《永劫の好奇心》で7枚引いて《忌まわしき眼魔》を倒せるカードを引かずに負けたのは落ち込みましたね。最後はあのcftsoc本人とマッチ。ティムール果敢にやられてしまい、早く僕もその面白そうなデッキが使いたい……と内心ずっと思っていました。引きには恵まれなかったものの、当たったプレイヤーは皆とてもプレイが上手でした。ライフ1点勝負で勝ったり負けたり、ワンミスの許されないデッドオアアライブの連続。プロツアーでもなかなか味わえない感覚だったかなと。またこの舞台に戻ってきたいと思いました。来年の世界選手権はリベンジしたい。そのためにはまずプロツアーの権利を獲得するところからですね。世界選手権で競技マジックの熱は一旦落ち着くと思いましたが、そんなことはなく。むしろ燃え滾ってきました! 土曜日 プロツアーや世界選手権は3日制なので、初日落ちしてもまだまだ遊べます。とりあえず11時からのSecret Showdownに参加することに。この大会はシングルエリミネーション5回戦を戦い、全勝した8名のプレイヤーが日曜日のイベントの参加権利を獲得します。金土で合計4回行われ、その32名のプレイヤーで日曜日に再度シングルエリミネーション5回戦を戦い、優勝者に世界に数枚しかない《暗黒の儀式》が進呈されます。この土曜日の大会でトップ8に残るだけでも、Secret Lairプロモの《濁浪の執政》がもらえる激熱イベント。Magic Conでは毎回開催されています。参加費125ドルのシングルエリミ。恐ろしいイベントですが、リターンも大きい!しかもなんといってもフォーマットはモダン。もちろんラスベガスにぐるぐるロータスを持ってきています!愛機を携え、いざ第一回戦へ。 ……のはずが、11時になってもイベントは始まらず。トラブルが続いて結局1回戦が始まったのは1時間以上経過した後。しかも初戦は不戦勝でした。不戦勝明けの2回戦、目の前にはプロツアーチャンプのArne!2回戦で当たるとかある!?結果は0-2のストレート負け。ダブルマリガンで負けて、2本目は《一つの指輪》を通して相手のハンドが0枚のところから、《海の先駆け》トップデッキ&《忌まわしき眼魔》の戦慄予示で《海の先駆け》2体目が出てきて負け!最後、戦慄予示でめちゃくちゃ悩んだ末に《オークの弓使い》を墓地に置いてきて、そんな強いカードを選ばない理由は《海の先駆け》以外にないので、「それ絶対《海の先駆け》じゃん!!」って笑っちゃいました。Arneも笑ってました。朝から125ドルと2時間を失いましたが、まだ目は死んでません。18時から最後のSecret Showdownがあります。時間が空いた時は……そう、アーティストにサインをもらいに行く時間です!Magic Conの魅力と言えばアーティストサイン。20人近くのアーティストのブースが並ぶ様は圧巻です。今回は《止められぬ斬鬼》《オアリムの詠唱》《神秘の論争》のサインをもらいました!!特に《止められぬ斬鬼》は虹サイン! そんなこんなであっという間に時間は過ぎ、18時からのSecret Showdownへ。そして……このSecret Showdownを突破!《濁浪の執政》をゲットし、明日の本戦参加権利を手に入れました。最終戦、周りが《湧き出る源、ジェガンサ》を公開しあい、僕の相手も《湧き出る源、ジェガンサ》を見せてきて、《オセロットの群れ》《色めき立つ猛竜》から《ナカティルの最下層民、アジャニ》を出し、その返しに3ターンキルを決めた時の快感はすさまじかったです。 日曜日 Secret Showdown本戦。結果は……ボロスエネルギー ×○○ボロスエネルギー ○○ボロスエネルギー ○×○マルドゥエネルギー ○××というわけで3勝で終了となってしまいました。最後のマルドゥエネルギーは、1ゲーム目で絶体絶命のところから《一つの指輪》をトップして勝利し、流れが来ていると確信したのですが、2ゲーム目で《色めき立つ猛竜》から《思考囲い》をめくられ、手札の残り1枚が《オアリムの詠唱》で負け。3ゲーム目は上15枚に《睡蓮の原野》が見つからずに敗北と、一歩届かず。もう少しで《暗黒の儀式》が取れたのでとても悔しかったです。でもやはりぐるぐるロータス、面白すぎる!!!最高のデッキをもう少し競技イベントでプレイしたいので、海外のモダンの大会に参加しようか検討中です。情報によるとイタリアで大会があるとか。負けた後はヘルズキッチンで有名なシェフのハンバーガー屋に。7500円のハンバーガーを食べました。 おわりに そして今、羽田空港に向かう飛行機の中でこの記事を執筆しています。世界選手権本戦、Secret Showdownともに僅かに勝ち星が足らず、今年もなんだかんだ勝負弱さが課題であることをひしひしと感じています。ですが、マジックのモチベーションは世界選手権で爆上がりしました。まずはドラフト。これまでも練習してきたつもりでしたが、今回は明らかに練習時間も良く質も高く、本番中も様々な択が見えていました。次にプロツアーの権利を得る時は同じぐらい練習して臨み、今回の結果が運でないことを証明したくなりました。そして上手いプレイヤーとの戦いは面白い。相手のプレイから手札や考えが読み取れて、それを元にこちらもゲームプランを組み立てる。これは普段から起きることですが、世界選手権では相手も全く同じことを、高い精度でやっているのです。この高度なぶつかり合いをゲーム中に実感できることも多く、もっとたくさん戦いたくなりました!世界選手権で燃え尽きるどころか、闘争本能が沸き立っています。世界選手権への第一歩は地域CS。来年2月の千葉ですね。あの舞台に戻るため、頑張ります!それではまた!

【デッキ解説】ぐるぐるロータスのススメ!

Modern ピックアップ

2024.10.24

mtg Yuyan

こんにちは。 細川 侑也(@yuyan_mtg)です。 今回は以前予告した通り、最近僕がハマっているモダンのコンボデッキ、ぐるぐるロータスについて書いていきます! このデッキを使用してモダンオープン優勝をはじめ、現在21勝3敗と絶好調! とても強くて楽しいデッキなので、一人でも多くの方にぐるぐるロータスの魅力を届けていきたいと思います! ぐるぐるロータスとは? その名前の通り、《ぐるぐる》と《睡蓮の原野》を使用したコンボデッキ、それがぐるぐるロータスです。《ぐるぐる》は土地などをタップ・アンタップすることのできるインスタント呪文。このカードで《睡蓮の原野》をアンタップすると、3マナを生み出すことができるので、《ぐるぐる》は1マナで3マナを生み出す呪文となります。それを利用して大量のマナを出し、《死の国からの脱出》+《秘本掃き》のコンボを決める……というのが昔のぐるぐるロータスでした。それがたった1つのカードによってデッキを凶悪なものへと変化させました。その名は《一つの指輪》。アグロ・コンボ・コントロールのすべてに採用されているこの恐ろしいカードですが、このぐるぐるロータスでは唯一無二の性能を発揮します。なぜか?その答えは簡単。《ぐるぐる》で《一つの指輪》をアンタップできるからです。つまり《一つの指輪》を出してカードを引き、《ぐるぐる》で《一つの指輪》をアンタップすると次は2枚。もう1回アンタップすると3枚と、《ぐるぐる》を起こすごとに引けるカードの枚数が増えるのです。《見えざる糸》なら《一つの指輪》と《睡蓮の原野》を同時にアンタップできるので、実質「1マナ増やしながら指輪を起動できる」恐ろしいカードに変貌します。このデッキは《睡蓮の原野》や《一つの指輪》を《ぐるぐる》でアンタップさせて、マナや手札を大量に増やすデッキ。デッキのキーとなるのは《ぐるぐる》なのです。 ぐるぐるロータスの魅力 現モダン環境におけるコンボデッキと言えば、まず頭に浮かぶのはルビーストーム。最近では青単ベルチャーなんかもありますが、前者は《モンスーンの魔道士、ラル》《ルビーの大メダル》、後者は4ターンキルには《睡蓮の花》が必須と、それぞれパーマネントに依存しています。特に《モンスーンの魔道士、ラル》は、エネルギー跋扈する今のモダンにおいては生き残るのが困難。一方、ぐるぐるロータスは勝つための事前準備がほとんど必要ありません。コンボルートはこの後詳しく説明しますが、《睡蓮の原野》さえ着地させてしまえば、そこから必要な準備が非常に少ないので、相手にとっては干渉手段が限られます。メイン戦においては、ほぼ妨害されることなくぐるぐるロータスはコンボに入ることができるのです。《一つの指輪》に対して《静牢》という回答こそあれど、《一つの指輪》を置いたターンに勝利できることもあったり、そもそも《一つの指輪》を必要としないコンボパターンもあり、干渉は困難です。その上で更に速度も持っているのがぐるぐるロータス。 青単ベルチャーは《睡蓮の花》が絡めば4ターンキルですが、基本は打ち消し呪文などによる妨害を駆使した5ターンキル。 一方、ぐるぐるロータスは3ターン目に勝利、もしくは実質勝利(3ターン目に《一つの指輪》設置から4ターン目勝利)と、キルターンも早めです。相手に干渉されづらく、かつ比較的速度のあるコンボであることが、ぐるぐるロータスの魅力!そして回していてめちゃくちゃ楽しい!! デッキリスト 《一つの指輪》 このデッキの核となるカード。《一つの指輪》がなければぐるぐるロータスがトーナメントで勝つことは難しいでしょう。《睡蓮の原野》をアンタップすることしかできない《ぐるぐる》はただの《暗黒の儀式》ですが、《一つの指輪》が存在することで、《Ancestral Recall》にもなります。《一つの指輪》によって《ぐるぐる》は《Ancestral Recall》と《暗黒の儀式》を兼ねるカードになり、カードの強さが何倍にもなりました。その性能は今更言うまでもありませんね。出たターンにプロテクションを得るので多くのデッキに対して無敵になり、帰ってきたターンと合わせて3ドローが確定。ここに《ぐるぐる》が絡んで勝利となります。モダンで最強のカードと名高い《一つの指輪》を最も強く使えるのがぐるぐるロータス! 《ぐるぐる》《夢の掌握》 ここまで《ぐるぐる》の名前が何度も出てきましたが、実はこのデッキには《ぐるぐる》は2枚しか採用されていません。というのも、《夢の掌握》は《ぐるぐる》のほぼ上位互換だからです。能力は同じですが、《夢の掌握》は追加で1マナを支払うことでタップとアンタップを同時に行えます。相手の土地を寝かせながら《睡蓮の原野》を起こせたりするので、ちょっと《ぐるぐる》より強いのです。とはいえ、ほとんど変わりはありません。これらのカードは先ほど説明した通り、《暗黒の儀式》であり《Ancestral Recall》。1マナで唱えて《睡蓮の原野》を起こすと実質2マナが増えることになるので、これは《暗黒の儀式》であり、カウンターが2つ乗った《一つの指輪》を起こせば1マナ3ドローなので《Ancestral Recall》。褒めちぎりましたが、《見えざる糸》も含めて10枚入っていれば十分です。《一つの指輪》が戦場にあれば何枚でも欲しいカードですが、ただ《ぐるぐる》だけあっても仕方ないですからね。 《見えざる糸》 《ぐるぐる》《夢の掌握》と違い、2マナかかる点とソーサリーであることが弱点。逆に言えばそれ以外、特に《睡蓮の原野》と《一つの指輪》を同時にアンタップできる唯一無二のカードなので、多くの場合で、デッキ内最強のアンタップ呪文です。2マナかかってしまう点も、戦場に《睡蓮の原野》と他の土地があれば解決します。これなら2マナ払って4マナが使えるので増えるのは2マナ。《ぐるぐる》と同じマナの増え方です。この2マナが気になるのは《睡蓮の原野》1枚しか戦場にない場合。「それならほとんど弱点とは呼べないのでは?」と思うかもしれませんが、それはぐるぐるロータスのことを知らない証拠です。結構頻発するんですよね、これが。とはいえ、常に引きたいカードなので4枚以外はありえません。 《砂時計の侍臣》 2マナでサイクリングしてパーマネントをアンタップできるナイスガイ。《ぐるぐる》と比べてマナ効率は悪いですが、ドローできるのがポイント。《一つの指輪》《願い》《死の国からの脱出》などのフィニッシャーが既にあれば《ぐるぐる》で良いですが、引き込みにいきたい場合は《砂時計の侍臣》に軍配が上がります。それでいてマナ加速自体も一応行えるので、何かと使い勝手が良いカード。特に3ターン目に《睡蓮の原野》を起こしてターンエンドして《朦朧への没入》を構える動きが強力で、それを無理なく行えるのが良いポイントですね。特に減らす理由もなく4枚です。 《定業》《考慮》 便利なキャントリップ呪文たち。《睡蓮の原野》設置後は《ぐるぐる》かフィニッシャーのいずれかが必要になるので、それを探してきてくれます。どんどん連打して墓地を貯められるので、後述する《死の国からの脱出》との相性も良好。デッキの必須パーツと言って良いカードたちです。 《願い》 フィニッシャー枠となるカード。 持ってくるカードの9割は《死の国からの脱出》です。マナと墓地に余裕があれば、そのまま《死の国からの脱出》設置→《願い》を脱出で再キャスト→《秘本掃き》をサーチして勝利。まさしくフィニッシャー。マナが足りない時は仕方なく《一時的封鎖》を持ってきたりしますが、これが決まり手でエネルギーに勝つこともしばしばあります。 このデッキでは《願い》を打つだけでゲームに勝てるので当然4枚! 《死の国からの脱出》 《願い》《一つの指輪》と合わせてフィニッシュ手段となるカード。というか勝つ時の6割は《死の国からの脱出》が絡むので、このデッキはぐるぐるブリーチと呼ばれていたりもするほど。《秘本掃き》《ぐるぐる》《睡蓮の原野》《死の国からの脱出》が揃うと、自分のライブラリーを0枚にすることができ、最終的に《タッサの神託者》で勝利できます。詳細な解説はこの後に。《一つの指輪》と《死の国からの脱出》だけで勝つことも多く、《見えざる糸》を脱出して《一つの指輪》と《睡蓮の原野》を起こし続けるだけで一瞬で勝利します。当然メインに4枚……と言いたいところなのですが、《願い》でサーチしたいので泣く泣く3枚です。 《記憶への放逐》 エルドラージ対策としてサイドボードに4枚入ることの多いカウンターですが、このデッキではメインです。なぜなら実質マナ加速として機能するからです!MTGアリーナでヒストリックをプレイしていた方ならご存じかもしれませんね。《睡蓮の原野》の戦場に出た時の誘発型能力を《記憶への放逐》で打ち消すことができるのです。2枚の土地を生け贄にしなくて済むので、実質マナ加速。2ターン目に《睡蓮の原野》を置いて《記憶への放逐》で打ち消して3ターン目に5マナからコンボを決める場合もあり、3ターンキルの際には重要なカード。もちろん、干渉手段としても機能します。エルドラージ相手はもちろん、《忍耐》《力線の束縛》《静牢》など打ち消したい誘発型能力はたくさんあり、《睡蓮の原野》とセットで持っていてもあえて使わずに構えることもあるほど。サイド後は《減衰球》などの致命的なスペルも打ち消せますし、入ってくるかもしれない相手のサイドカードに対処しつつ、能動的に有効活用できるという素晴らしいカードです。コンボの始動には絡まないので3枚にとどめていますが、特にエルドラージ相手には何枚でもほしいので、サイドに追加を入れています。 《探検の地図》 《睡蓮の原野》をサーチするカード。先手ならとりあえず1ターン目に置いて無事に2ターン目に起動にこぎつけますが、後手では触られる可能性もあるのでいささか不安です。《睡蓮の原野》が既に手札にある場合は《さびれた寺院》をサーチしますが、不要な場面も多く、《ぐるぐる》系と土地関連だけを引いて負けてしまうのが嫌なので、適正枚数は3枚程度。4枚目を入れていましたが、抜きたいカードが《記憶への放逐》か《考慮》ぐらいしかなく、そのどちらも《探検の地図》より好感触でした。 《朦朧への没入》 相手の呪文やパーマネントをバウンスできる便利なスペルにも関わらず、アンタップインで置ける青マナ。そんなのあり?って思うぐらい強いです。さすがモダホラ3。3マナがちょうどよく、《睡蓮の原野》1枚で構えられるのが素晴らしい。3ターン目に《さびれた寺院》か《砂時計の侍臣》で《睡蓮の原野》を立ててターンを返し、相手のアクションを《朦朧への没入》で防ぎ、返しのターンでコンボを決める流れは美しさすらあります。かなり強いので4枚目を検討しましたが、諜報ランドと色マナの価値も高く、フェッチランドを優先しました。 《さびれた寺院》 《睡蓮の原野》を1マナで起こせるので、ほぼコピーいらずの《演劇の舞台》。出る総マナは1つ減りますが、準備がいらないのですごい。《見えざる糸》があるとマナが大フィーバーします。パイオニアのロータスコンボを彷彿とさせますね。《睡蓮の原野》と同時にあれば大量のマナが出ますが、先置きでも意味があります。3ターン目に《睡蓮の原野》を置いた時に、生け贄に捧げる前に《睡蓮の原野》をアンタップすることで、そのターンに《睡蓮の原野》を動かせるのです。そこから《砂時計の侍臣》で1マナを増やして《一つの指輪》を設置するもよし、ターンを返して《朦朧への没入》を構えても良いでしょう。かなり強い土地ですが、無色マナなので《定業》《考慮》が打てない点、そしてコンボに必ず必要なわけではないため、3枚にとどめています。先述のように、フェッチランドは白マナと諜報ランド、双方の事情から枚数をある程度確保しておきたいのです。 《沈黙》 このターン、相手の呪文を封じるすごいカード。打ち消しと対峙する際にはほぼ必須。まずはこのカードから仕掛けて、相手にカウンターを引き出させることになります。コンボミラーでは相手のターンを飛ばす役割もあるので、青いデッキとコンボどちらにもサイドインできます。キッカーで攻撃されなくなるおまけつきの《オアリムの詠唱》もありますが、個人的には《沈黙》推しです。《一つの指輪》を張られてしまうと《オアリムの詠唱》は唱えられなくなりますが、《沈黙》はキャスト可能だからです。これがどんなシチュエーションで起きるか考えてみましょう。ジェスカイコントロールが手札に《否定の力》を構えながら4ターン目に《一つの指輪》。この返しにこちらもコンボを仕掛けたいと思いませんか?次のターンに相手にもう2枚カードを引かれて、5マナフルオープンで帰ってきたら、全部打ち消されてしまいそうな気がしますからね。攻撃不可も対リビングエンドなど強い場面があること自体は否定しませんが、《一つの指輪》を置かれて使えなくなる方が個人的には嫌だと感じました。 《洪水の大口へ》 万能バウンス。《減衰球》《魔道士封じのトカゲ》《ドラニスの判事》《耳の痛い静寂》どんなカードが相手から飛び出してくるかわかりませんが、これ1枚で全部解決。あまりに強すぎるバウンスです。とりあえず困ったらゲーム2で入れてみて様子を見ます。単に延命するだけでも十分なので、クリーチャーデッキにはまずすべて入れています。《海の先駆け》を出されて《睡蓮の原野》を《島》として置いた後に《洪水の大口へ》で戻すと良い顔をされます。 《一時的封鎖》 エネルギーに対して最も強い1枚。《減衰球》《魔道士封じのトカゲ》《ドラニスの判事》など定番のサイドカードすべてを吹っ飛ばしてくれるだけでなく、相手の速度を大幅に落とせます。エネルギーはぐるぐるロータスに対して基本は余力を残して展開してくることはありませんから、手札と場を一瞬ですっからかんにできます。《願い》からサーチ用に残したいところですが、経由すると6マナかかりますし、3ターン目にプレイするとほぼゲームに勝てるので、全部サイドインしてます。 《ドラニスの判事》 主にルビーストームとリビングエンドを意識しています。サイドインせずに《願い》からのサーチ用とするのがおすすめ。瞬間的にマナを伸ばせるので、《願い》から直接唱えるのは比較的早いターンでも行えます。それならサイドインする必要はありません。 《死の国からの脱出》《タッサの神託者》 《願い》からの勝ち手段要因です。 《秘本掃き》 こちらも《願い》から持ってくる勝ち手段要因ですが、一応コンボについて説明しておきましょう。《死の国からの脱出》下で《秘本掃き》を自分に唱えて5枚を切削し、その切削した内の3枚を脱出コストに《秘本掃き》をもう1度自分に。これで合計7枚のカードが墓地に落ちます。その後、《ぐるぐる》を脱出して墓地を3枚追放して《睡蓮の原野》をアンタップ。この状態で《秘本掃き》を脱出で唱えると、最初と同じ状態に戻りますが、墓地が1枚だけ増えています。つまり、ライブラリーが0枚になるまで《秘本掃き》を打ち続けることができるのです。最後は《願い》から《タッサの神託者》をサーチしてゲームエンド。これが《死の国からの脱出》《秘本掃き》のコンボです。お手軽コンボですが、《一つの指輪》でプロテクションを得ていると《秘本掃き》を自分に打てません!注意しましょう。 《前駆軟泥、エーヴ》 サイド後は《死の国からの脱出》を意識した墓地対策がよく置かれます。こうなってしまうと《願い》が勝ち手段ではなくなってしまうので、しっかりとサイド後も《願い》を強く使えるように、サイドボードに採用しています。《ぐるぐる》でマナを伸ばして《願い》を打てばストームが勝手に溜まるので、致死量の《前駆軟泥、エーヴ》を並べるのは容易いこと。青い相手も《願い》は通してその次のスペルを打ち消してくるので、《前駆軟泥、エーヴ》で相手の目玉を飛び出させましょう。 回し方 《睡蓮の原野》を置いて、《ぐるぐる》でマナを増やして《一つの指輪》。 もしくは《願い》から《死の国からの脱出》と《秘本掃き》でコンボを決める。 過程はともかく、最終的な着地点はとてもシンプルです。まず覚えるべきは、それぞれのコンボにどれだけのコストがかかるかです。《一つの指輪》を唱えた後に《睡蓮の原野》を《ぐるぐる》で起こして次のアクションを取りたいなら、5マナ以上必要になります。《願い》から最終的に《死の国からの脱出》《秘本掃き》ルートなら、まず《願い》の3マナ。サーチする《死の国からの脱出》で2マナ。設置して《願い》を脱出するのに3マナと墓地3枚。《秘本掃き》を打つ1マナ。最後に《ぐるぐる》でもう1マナ。合計で10マナが必要になります。この《願い》ルートの場合、《死の国からの脱出》を設置した後は墓地に落ちているであろう《ぐるぐる》を使えるので、合計こそ10マナですがハードルは意外と高くありません。 6マナあれば《願い》→《死の国からの脱出》→《ぐるぐる》までこぎつけて、そこからもう1回《ぐるぐる》を脱出すれば5マナ出せます。5マナなら《願い》から《秘本掃き》→《ぐるぐる》でデッキをすべて掘れるので、最初の6マナと、2回の《ぐるぐる》と《願い》の脱出コストである9枚の墓地(もちろん《願い》と《ぐるぐる》を除いて)さえ用意すれば、《願い》1枚で勝利できるというわけです。このように、勝つために必要なマナさえ覚えておけば、後は手札のカードで何マナ作れるかを計算するだけでOKです。 《睡蓮の原野》下でそれぞれがどれだけのマナを生み出せるか暗記してしまいましょう! 《ぐるぐる》《夢の掌握》=2マナ 《見えざる糸》=1マナor2マナor3マナ 《睡蓮の原野》だけなら1マナ、横に土地があれば2マナ、《さびれた寺院》があれば3マナ増えます。 《砂時計の侍臣》=1マナ   《さびれた寺院》=2マナ これらを覚えて足し算すればOK! 手札に《ぐるぐる》《夢の掌握》《見えざる糸》があって場に《睡蓮の原野》《島》なら、合計で10マナ!つまり《願い》を引けば即勝ちというわけです。(正確には、《願い》の脱出コストが必要になるので、後1枚墓地にカードが必要です) マリガン 《睡蓮の原野》・《探検の地図》がない手札はほとんどマリガンします。《ぐるぐる》系の10枚、《砂時計の侍臣》、《死の国からの脱出》、《願い》、《記憶への放逐》は《睡蓮の原野》がないと何もしないカードです。つまりデッキの大半のカードが、《睡蓮の原野》ありきなのです。 《睡蓮の原野》がない手札をキープする時は、《睡蓮の原野》を探せるキャントリップの枚数、そして途中で《睡蓮の原野》を引いた時に即コンボに移行できるかで考えます。《定業》《考慮》は《睡蓮の原野》を探せるカードたち。これらが合計で3枚あって、土地に《さびれた寺院》フェッチランド(or諜報ランド)とある場合は、それなりにキープできる手札です。ここに《一つの指輪》が加われば悩まずキープします。道中でどうせ《ぐるぐる》を拾えているはずなので、何度目かのキャントリップで《睡蓮の原野》を見つけて即設置→アンタップして《一つの指輪》まで見えてますからね。逆に《睡蓮の原野》がある初手はある程度ゆるふわなキープが許容されます。このデッキは一度《睡蓮の原野》を着地させれば、受け入れが広いデッキです。 《一つの指輪》と《願い》は大体の場合で勝利し、《死の国からの脱出》もキャントリップをある程度回せば《願い》か《一つの指輪》に辿り着けるので、実質11枚のカードが受けになるのです。《睡蓮の原野》を設置できるが《ぐるぐる》系しかない初手は悩まずキープしましょう。《睡蓮の原野》のないキャントリップと指輪だけの手札よりよっぽど強いですよ! TIPS 《ぐるぐる》をうまく使おう! 《暗黒の儀式》であり《Ancestral Recall》でもある《ぐるぐる》ですが、実は他の使い道もあります。そう、このカードはアンタップだけではなくタップもできるのです。相手の土地をアップキープに寝かせてそのターンを実質パスさせてもよし、クリーチャーを寝かせてダメージを防ぐこともできますし、打ち消しを構えている相手の青マナをターン終了時にタップしたりなんかも。コンボだけでなく相手の妨害にも使えてしまう。《ぐるぐる》はすごいカードなのです。だからこそ、手札の総マナ量を計算することは重要です。勝つためのマナが十分なら《ぐるぐる》を妨害で使う択が取れますからね。盲目的に《ぐるぐる》を「《睡蓮の原野》か《一つの指輪》をアンタップするもの」とは思わないでおきましょう。ちなみに《三なる宝球》はタップ状態になると能力が消えます。《ぐるぐる》でタップすると無効化できるので覚えておきましょう。タップ状態にするカードを普段あまり使わないと思うので見逃しがちですが、《虚無の呪文爆弾》や《トーモッドの墓所》などのアーティファクトは、タップが必要な起動型能力です。つまりこれも《ぐるぐる》で寝かせることで起動できなくなります。スタックで起動されても今唱えた《ぐるぐる》は墓地に残りますし、《死の国からの脱出》《秘本掃き》コンボを決める際には大量の墓地が必要なわけではないので大丈夫です。 青い相手にうまく立ち回ろう! ぐるぐるロータスは1ターンでたくさんのマナを使えるデッキです。青い相手に毎ターン《一つの指輪》《願い》を投げつけて《対抗呪文》で打ち消され続けては、デッキの強みを生かせません。勝負のターンまで座して待ちましょう。手札が6~7枚ほどあるコントロールに対しての理想は、妨害2回を受けられる、つまり3枚のフィニッシュ手段。後はすべてマナ加速です。相手がマナをフルオープンし続けているなら、《見えざる糸》を使って相手の土地をタップしましょう。スタックでマナを出されるので、やる時は必ず第一メインフェイズかつ自分がマナを使いきれる状態です。これで《対抗呪文》1枚分を封じます。そこから2回妨害を投げ続け、これらが《対抗呪文》《否定の力》されると想定しているので、3枚のフィニッシュ手段が必要なのです。《願い》《一つの指輪》《死の国からの脱出》が全部あるなら、《死の国からの脱出》を最後にしましょう。そのまま打ち消されたカードを脱出できますからね。《否定の力》で打ち消された方は脱出できないので、最初に《願い》から投げて《対抗呪文》で打ち消してもらいましょう。これらの3枚のフィニッシュ手段は3+4+2。それに加えて《ぐるぐる》で起こしたりする必要もあるのでプラス2マナほど。合計で11マナほどかかります。先に《見えざる糸》を相手に打つなら更にプラス2マナ必要です。かなりマナが必要になりますが、青相手はじっくりと土地を並べられるので問題ありません。《記憶への放逐》で《睡蓮の原野》を着地させて《さびれた寺院》を置けば、4ターン目にして場の土地だけで7マナありますからね。これは相手がカウンターをたくさん持っていて、かつ構え続けてきた場合に限ります。実際は《否定の力》と除去だらけと《一つの指輪》で、仕方なく2マナを立てて《一つの指輪》。エンド前に《ぐるぐる》で青マナのうち1つを寝かせて《対抗呪文》を念のためケアしつつ、返しで《否定の力》を乗り越えて勝利なんてこともよく起きます。 もちろんこれは一例であって、必ずしも絶対にこうすべきということではありません。手札に《一つの指輪》が溜まっているなら順番にカウンターを使わせるために連打する場合もありますからね。ぐるぐるロータスは1ターンでたくさんのマナを使えるのが強い!あくまでデッキのストロングポイントの一つとして頭に入れておいてください。 ・セットランドを考える 3ターン目は《睡蓮の原野》を置きたくなるターンですが、少し考えてみましょう。たとえば場に《島》と《さびれた寺院》があって迎える3ターン目。ここで《睡蓮の原野》を置くと《さびれた寺院》がなくなってしまい、次のターンのセットランドで使える合計マナは4マナ。ここで違う土地を置いて《朦朧への没入》を構え、4ターン目に《睡蓮の原野》をセットしましょう。青マナ2つを出してそれらが生け贄になり、《さびれた寺院》で《睡蓮の原野》がアンタップするので合計4マナ。実はどっちの順番で置いても3、4ターン目に使えるマナは共に同じなのです。それなら《さびれた寺院》が戦場にあった方が良いのは明白です。《見えざる糸》で増えるマナの量が違いますからね。《島》《島》から3ターン目に《さびれた寺院》か《睡蓮の原野》を置く時は、このセットランド方法を知っているかで大きな差があります。《睡蓮の原野》から置けば次のターンに5マナを使えますが、その代わりに3ターン目はフルタップになってしまいます。次のターンに5マナがどうしても必要なら《睡蓮の原野》からいっても良いですが、何かしらの妨害手段を持っていて、次のターンに出るのが4マナでも良いのなら、《さびれた寺院》から置きましょう。 ぐるぐるロータス対策カード 《減衰球》★★★★★ ※★は危険度です。 最も効くのはなんだかんだ《減衰球》です。《睡蓮の原野》を置いた返しに貼れば一気にマナが無色1つだけになりますし、《減衰球》を《洪水の大口へ》でバウンスしようにも青マナが必要になります。なので、ぐるぐるロータス側としては《減衰球》を気を付けた立ち回りをする必要があります。《減衰球》はなるべく《睡蓮の原野》の返しに置きたいと相手も思っているので、こちらは《睡蓮の原野》を置いたターンで一気にコンボを決めにいくか、もしくは《減衰球》を対処できるカードを構えてターンを終了しましょう。この時、《睡蓮の原野》から出る青マナで《洪水の大口へ》を構えるのは得策ではありません。《減衰球》のスタックでマナを出さなければならないため、相手がそのターンにもう1度キャストできてしまうからです。島など普通の青マナを立ててターンを返しましょう。 《徴用》★★★★★ 最近気づいたのですが、このカードがぐるぐるロータス側はめちゃくちゃキツいです。《一つの指輪》を奪われるのが最悪ですが、他にも《オアリムの詠唱》を奪われてこのターンにコンボにいけなくなるのも非常に悪い。《減衰球》クラスに効くカードです。しかもこのカードはぐるぐるロータス側がケアできません。どう考えてもケア不可能なカードでした。青単ベルチャーにも入っていますし、今後このカードが増えそうならサイドボードに2枚ほど対策カードを入れる必要がありそうです。《神秘の論争》か《苛立たしいガラクタ》、もしくは《防御の光網》のどれかにします。 《虚空の杯》★★★★★ 最近ほとんど見なくなりましたが、ぐるぐるロータスにはかなり効きます。X=1で置くとキャントリップ2種、《ぐるぐる》、《夢の掌握》が止まる上、《洪水の大口へ》も使えなくなるので、デッキの大半のカードが死んでしまいます。キャントリップ2種が打ち消されるのが致命的で、《一つの指輪》や《願い》からの対策カード、《朦朧への没入》にアクセスするのが難しくなってしまいます。速いデッキが置いてくる分には《一時的封鎖》で巻き込めますが、そうでない相手が使い始めたら恐ろしいですね。ちなみに《虚空の杯》の打ち消す能力は誘発型能力なので、《記憶への放逐》を複製で唱えて、本体は消えますが複製側でその能力を打ち消すことができます。《洪水の大口へ》でバウンスできるので、一応覚えておきましょう。 《血染めの月》★★★★☆ ボロスエネルギーなど、アグロデッキが置いてくる分には結構効きます。《洪水の大口へ》でバウンスできるので劇的ではありませんが、《島》もさほど枚数が入ってるわけではないので、《定業》などが連打しづらく、探しにいってる間に殴られて負けます。《一時的封鎖》で巻き込まれない対策なのも良いですね。速いデッキ以外が使う《血染めの月》はあまり効きません。とにかく速いクロックが目の前にないと、バウンス自体は結構入っているので、その内引かれてしまいますからね。 《オアリムの詠唱》★★★☆☆ それなりにうざい対策カードです。《ぐるぐる》などでマナ加速したところを狙われたり、《死の国からの脱出》に合わせられると非常に厄介です。入っているデッキがミラーとエネルギーぐらいで、ミラーはほぼケア不可能ですが、エネルギーの場合は起きているマナが少ないので、エンド時に《ぐるぐる》で寝かせるなどして、《オアリムの詠唱》を唱えられないようにしたいです。構えているのがわかりやすいカードではあるので、相手の動きが変だと思ったら頭の片隅に入れましょう。突然負けるカードではあるので注意は必要です。 《外科的摘出》★★☆☆☆ 《願い》を抜かれてフィニッシャーがなくなって一発負けがあるカード。ケアは簡単で、《タッサの神託者》をサイドインすれば良いだけなのですが、どのデッキから飛んでくるかがわからないのが難しい。盲目的に全マッチでサイドインするわけにはいかないですからね。《瞬唱の魔道士》が入っているデッキには《外科的摘出》が入りやすかったり、ディミーアなら1枚入ってるかもしれませんが、ゲーム2ではひとまずサイドインしないようにしています。《願い》以外のカードを抜かれた時は比較的どうでも良いですし、《願い》が墓地になければそもそも狙われないので、《一つの指輪》からデッキを全部掘って勝ったり、《沈黙》から入ることもできます。意外と《タッサの神託者》をサイドインしなくても、《願い》を墓地に落とさないプレイをすればケア可能です。 《ドラニスの判事》★★☆☆☆ ルビーストームにはかなり効く対策カードですが、ぐるぐるロータスとしてはどうでもいいカード。出されてもあまり効果ありません。《死の国からの脱出》と《願い》は止まりますが、《一つの指輪》には無力ですし、《一時的封鎖》を入れるマッチアップでは他のクリーチャーやパーマネントに巻き込まれてついでにいなくなります。《一時的封鎖》をサイドインしない相手が出してくる《ドラニスの判事》は対処が少し面倒ですが、とはいえ《洪水の大口へ》《朦朧への没入》《天上都市、大田原》(+それをサーチできる《探検の地図》)とかなりの枚数が入っているので、効き目としては弱めです。 《未認可霊柩車》《虚無の呪文爆弾》★★☆☆☆ 墓地対策は《死の国からの脱出》に効果はあるものの、それだけのカード。《ドラニスの判事》とほとんど変わらないですね。《ぐるぐる》で寝かせて機能不全にしてから《死の国からの脱出》《秘本掃き》ルートにいけますし、《一時的封鎖》でも巻き込めます。墓地対策は他のデッキにも効果的ですし、サイドボードに入っていればインするとは思いますが、ぐるぐるロータス相手には期待しない方が良いでしょう。 《魔道士封じのトカゲ》★☆☆☆☆ 《ドラニスの判事》より更に意味のない対策カード。《死の国からの脱出》も《願い》も止まりません。《一つの指輪》でプロテクションをつけてそのターン無効化もできますし、もちろん《ドラニスの判事》と同じで《一時的封鎖》で巻き込めます。このカードが出てくると安心します。 《海の先駆け》★☆☆☆☆ 《睡蓮の原野》が《島》に変わるカードですが、《血染めの月》と違い効果はかなり弱め。 《洪水の大口へ》《朦朧への没入》《天上都市、大田原》(+それをサーチできる《探検の地図》)と触るカードがたくさんあるので、生け贄にする誘発が消えた《睡蓮の原野》を並べて、マナが十分出たところでバウンスされるのがオチです。 《三なる宝球》★☆☆☆☆ 《ぐるぐる》で寝かされて機能不全になっちゃいます。このカードはダメです。下手したらサイドインしない方が良いまであるかもしれません。いや、さすがにもっと不要牌を抜いているはずなので、そんなことはないですね。とにかく全然効かないのでご注意ください。 サイドボーディングガイド 全体的に《砂時計の侍臣》を抜くマッチが多めです。マナ加速としては弱めでカードを引ける点を評価してメイン採用しているので、役割としては少しふわっとしており、サイドアウト候補の筆頭となっています。《考慮》も1枚抜く場合が多く、《砂時計の侍臣》を4枚抜くなら《考慮》1:《砂時計の侍臣》3のバランスにするといった程度。《砂時計の侍臣》は《一つの指輪》をアンタップできるので《考慮》より強い場合も多く、かといって《砂時計の侍臣》は掘る枚数が《考慮》より少ない。要するに一長一短なので、軽いカードである《考慮》を優先しつつ、どちらも少しずつ抜きます。妨害手段の少ない相手には《願い》《死の国からの脱出》《一つの指輪》だとフィニッシュ手段が過剰になるので、《願い》を抜くことがあります。こういったマッチでは《願い》・《考慮》を抜いた後に、残りを《砂時計の侍臣》で調整しています。 対エネルギー +3《一時的封鎖》+3《洪水の大口へ》 ー4《砂時計の侍臣》ー1《記憶への放逐》ー1《考慮》※ボロスエネルギーには《オアリムの詠唱》が入っている場合が多いので、エンド前に《ぐるぐる》で白マナを寝かせるのが効果的。 対青単ベルチャー +3《沈黙》+2《洪水の大口へ》+1《記憶への放逐》 ー4《砂時計の侍臣》ー1《考慮》ー1《ぐるぐる》 対ジェスカイコントロール +3《沈黙》 ー3《砂時計の侍臣》 対ディミーアマークタイド +3《沈黙》+2《洪水の大口へ》 ー3《記憶への放逐》ー2《砂時計の侍臣》 ※《海の先駆け》を相手がサイドインしていないなら《洪水の大口へ》は不要。《砂時計の侍臣》を残しましょう。 《海の先駆け》をサイドインしているかどうかは相手のフェッチランドのサーチの仕方で想像できます。フェッチから沼を積極的に持ってきているならサイドインしています。 対エルドラージ +3《洪水の大口へ》+1《記憶への放逐》 ー2《砂時計の侍臣》ー1《考慮》ー1《願い》 対リビングエンド +3《沈黙》+1《記憶への放逐》 ー4《砂時計の侍臣》 対ドメインズー +3《洪水の大口へ》+2《沈黙》 ー4《砂時計の侍臣》ー1《考慮》 対ルビーストーム +3《沈黙》+1《記憶への放逐》 ー3《砂時計の侍臣》ー1《考慮》※《ドラニスの判事》はサイドボードにおいて《願い》からのサーチに。 対アミュレットタイタン +3《沈黙》+1《記憶への放逐》 ー2《砂時計の侍臣》ー1《考慮》ー1《願い》 対エスパー御霊 +3《沈黙》+1《記憶への放逐》 ー4《砂時計の侍臣》 対ティムールブリーチ +3《沈黙》+1《記憶への放逐》 ー2《砂時計の侍臣》ー1《考慮》ー1《願い》 最後に 今回はぐるぐるロータスの解説をお届けしました! とても楽しくてやりこみがいのあるデッキなので、気になった方はぜひ使ってみてください! 現在ラスベガスは深夜3時。これから寝る……前にぐるぐるロータスを一人回ししようと思います! それでは!

チャンピオンズカップファイナル参加&モダンオープン優勝レポート

Modern Pioneer ピックアップ

2024.10.18

mtg Yuyan

先週末は、先週末は静岡で行われたチャンピオンズカップファイナルとモダンオープンに参加してきました!今回の旅も前日から前乗りしていたので、1日ごとに写真で振り返ります。 金曜日:沼津 今回の旅は車だったので、東京から静岡駅に向かう途中の沼津に寄ることに。バーン使いのリュウジことBIG MAGICの村栄 龍司が第二の故郷と呼んでいる沼津。東京から新幹線で近くて漁港なのでとにかく海鮮が美味しく、リュウジに誘われて行ったのがきっかけで、僕自身もハマってしまい、今では観光案内がそれなりにできるほどになりました。というわけで沼津港を練り歩きながらひたすら食べ尽くし… 中央亭の餃子 マグロステーキ ラストはグランマのシュークリームを食べつつ、ケーキをテイクアウト。 その後はいろいろとありながら夜に静岡駅近くの宿に辿り着き、就寝。 土曜日:CCF本戦 はい、というわけで本戦です。フォーマットはパイオニア。使用デッキはアゾリウスロータスでした。 アゾリウスロータス アゾリウスロータスについては以前の記事をご覧ください。 ぶっちゃけると、世界選手権まで時間がなく、ほとんどの時間をドラフトとスタンダードに費やしていたので、パイオニアはプレイしていませんでした。なので半ばロータスコンボに決め打ちしていて、何か良いデッキがあれば直前に乗り換えようとしていました。それがチャンピオンズカップファイナルから更に一週間前の話。その夜、ダイレクトメッセージが飛んできます。送ってきたのは、アメリカ地域CSでアゾリウスロータスを使い、トップ8に入賞したパトリック・ウーさん。この方、地域CSで4回アゾリウスコントロールでプロツアーの権利を獲得した超アゾリウスマスター。今年の世界選手権の権利もアゾリウスコントロールで獲得しています。 画像は公式サイトより。一番右の方がパトリック・ウーさん。 パトリック・ウーさんと僕はアゾリウスコントロールの絆で結ばれており、たびたび地域CSやプロツアーのたびにダイレクトメッセージをやり取りする仲でした。そのパトリック・ウーさんがアメリカ地域CSの初日が終わった時にメッセージを送ってきてくれたのです。その内容は…「日本の地域CSはいつだい?」でした。来週であることを告げると、パトリック・ウーさんは「俺のアゾリウスロータスがおすすめだよ!」と言い切ってくれました。これはもう乗るしかないと思い、アゾリウスロータスに決定。事前に僕が予想したメタゲームでもアゾリウスロータスは良いと感じていたので、最強のアゾリウスロータス使いが信じるそのデッキに全ベットすることに決めました。(僕の想定ではラクドス果敢、アゾリウスコントロール、ラクドス異形化の順に多く、すべてにアゾリウスロータスは有利だったのです)ちなみに今回は村栄 龍司率いる村栄塾で意見交換をしており、僕以外の全員が《美術家の才能》入りのイゼットフェニックスに決定。ロータスが無理なメタゲームなら僕もイゼットフェニックスに乗ろうとしていました。 イゼットフェニックスに自信のない僕ですら使いたくなるほど、《美術家の才能》入りのイゼフェニは良い!さて、アゾリウスロータスに決めたらそこからは微調整。 パトリック・ウーさんのフィードバックを受けて、《アーデンベイル城》を抜いて《噴水港》へ。元々白マナは過多だったので、単純にカードパワーの比較となりますが、トークンを生け贄にしてカードを引けるのは素晴らしく、一方で《アーデンベイル城》でトークンを生み出したいタイミングはあまりなかったので、《噴水港》の方が良いと思いました。 《記憶の氾濫》の4枚目は欲しいと思うことは多々あったものの、《記憶の氾濫》が必要なマッチは主にミラーマッチやエニグマなど遅い相手や、黒系ミッドレンジ。ミラーマッチやエニグマには元々強く、黒系ミッドレンジは少ない想定だったので、3枚にとどめました。 そこから直前でイゼットフェニックスが想像よりずっと良いことを受け、墓地対策をサイドに取ることに。スロットがないため《ドビンの拒否権》をメインボードに1枚移動し、デッキは完成。 本戦結果 ○×× ボロス果敢○○ イゼットフェニックス×○× ラクドス果敢×○○ ラクドス果敢×○○ ラクドス果敢○○ アゾリウスコントロール×× セレズニアカンパニー4勝2敗からバブルマッチで世界最強の一人、熊谷 陸に負けて初日落ち。相性かなり良いマッチだったが、ワールドプレイヤーには勝てず。 画像は公式サイトより引用 フルボッコにされているカバレージが残っていますので、興味のある方はどうぞ。余談ですが、僕はこのカバレージライターの大久保くん(もう数年来の友人でありかつての仕事仲間)が担当するフィーチャーマッチで勝ったことがありません。まあ最後のセレズニアカンパニー戦はツかなかったですが、ここで勝って初日を抜けても、今回は良い成績でトーナメントを終えることはなかったでしょう。苦手寄りのラクドスミッドレンジ・黒単デーモンが非常に多く、アゾリウスコントロールがその分少なかったので、アゾリウスロータスはあまり良い選択ではありませんでした。先週のアメリカ地域CSは最高のメタゲームだったのですが。「デッキをシェアしてくれた上に、様々な意見をくれたパトリック・ウーさんには申し訳ないことをしてしまったなぁ……」と思いつつ、翌日のモダンオープンの登録を行いました。 この日の夜はアリーナオープン初日でしたが、力線2枚引いた後に力線3枚のゴミプールを掴んで2回とも即死。ちなみに同じ部屋に泊まった友人は《粉砕コースター》を引いて一発抜けしていました。 ちなみに、黒単デーモンとラクドスミッドレンジがここまで多かったなら、使うべきデッキはゴルガリ陰湿な根だったかもしれません。 僕がエリア予選を突破したデッキで、とにかく回すのが楽しくて大好きな愛機だったのですが、前述のようにパイオニアの練習ができていなかったので完成させられませんでした。 《ベイルマークの大主》が入ってデッキパワーも上がっていたので、少し試せばよかったですね。今回一番後悔しているポイントです。 日曜日:モダンオープン 最終日はモダンオープンです。 初日落ちをケアして複数のフォーマットのデッキを持ってきています。というか僕はモダンがとにかくやりたかったのです。スタンダードやドラフトの練習をしなきゃいけないわけですが、細かいことには目をつむりましょう。使用デッキはぐるぐるロータスです。 ぐるぐるロータス ぐるぐるロータスの詳しい解説はまた来週書きますが、簡単に言えば《睡蓮の原野》を《ぐるぐる》でアンタップしてマナを増やしたり、《一つの指輪》をアンタップして大量にカードを引くデッキです。なぜこのデッキを使ったか。簡単です。ぐるぐるロータスが最高だからです。それ以上に言葉は必要ありません。 最高すぎて一人回しをずっとしたかったのですが、パイオニアで《睡蓮の原野》を使っているので回すことすらできず、欲求不満状態でした。 本戦結果 ○○ ジャンド昂揚○○ ジェスカイコントロール○○ ディミーアマークタイド○○ エルドラージ○○ マルドゥエネルギー○×○ エルドラージ○×○ ボロスエネルギーIDID7-0-2でトップ8に。○○ 青単ベルチャー○×○ マルドゥエネルギー○○ ボロスエネルギー優勝! 公式より引用 しっかり《睡蓮の原野》を引き込めたり、負けるギリギリ前のターンでトップデッキをしたりと、「今日は優勝しそうだな~」となんとなく思っていたら、そのまま優勝! 最高に面白いデッキで最高の結果が出せて嬉しい!2年前のパイオニアオープンでは準優勝だったので、雪辱を果たしました! この日がぐるぐるロータスの初回しだったのですが、メインボードはほぼ完成されていて、特にいじりたいところは見つかりませんでした。 一方、サイドボードにはそれなりに不満がありました。 《オアリムの詠唱》VS《沈黙》 まず《オアリムの詠唱》より《沈黙》の方が優れていると感じました。《オアリムの詠唱》はキッカーすると相手の攻撃を止めることができますが、対戦相手を対象に取る必要があるので、《一つの指輪》を置かれると打てなくなります。 これは対ジェスカイコントロール戦で致命的になりうると思いました。《否定の力》のバックアップ込みで《一つの指輪》を出してきた返しは大きな隙で、そのタイミングでコンボを決めるために《オアリムの詠唱》を打ちたいのに打てない。これは致命的。 入れるマッチアップはルビーストーム・ディミーアマークタイド・ジェスカイコントロールなどであり、これらのうちディミーア以外には攻撃を止める能力はほぼ使いません。 それなら、《一つの指輪》のプロテクションを無視できる《沈黙》の方が良い! 《大梟の小夜曲》より《記憶への放逐》 それなりに万能な打ち消し……かと思いきや、入れる相手は大体エルドラージ。クリーチャーとアーティファクト同時に触れますからね。でも同じことが《記憶への放逐》でもできます。というか誘発を打ち消せる分、《記憶への放逐》の方が強い。 《大梟の小夜曲》が優れたマッチアップはルビーストームで、《モンスーンの魔道士、ラル》と《ルビーの大メダル》の両方を打ち消せるからなのですが、対ストームを過剰に意識する必要はないと思いました。 《記憶への放逐》はエルドラージにサイドインするには最適。カウンターとして万能な他、《睡蓮の原野》を2ターン目に設置できる(誘発型能力を打ち消すことで)ので、妨害とコンボのどちらにも貢献してくれます。 エネルギーに一番強いのは《一時的封鎖》! エネルギーと戦っていてとにかく強かったのが《一時的封鎖》。《願い》からサーチしてメイン戦を制すことはもちろん、サイドインして引いて勝ったりもしました。 正直1枚じゃ全然足りず、2枚は欲しい。3枚目すら検討しました! 《外科的摘出》が気になる 現状のリストだと《願い》を《外科的摘出》で抜かれた瞬間、勝ち手段がなくなります。 《タッサの神託者》をサイドインすればそれは防げますが、それだと《願い》から勝ち手段にアクセスしたい時に困るので、何かしら1枚入れておきたいと思いました。 以上を踏まえた最新リスト   次は世界選手権……の前に 週末はモダン神挑戦者決定戦に出場します。 モダンオープン翌日のモダン神挑戦者決定戦トライアルでもぐるぐるロータスで優勝して不戦勝をゲットできましたからね!ぐるぐるロータス解説記事に優勝報告を入れられたらいいのですが、そんなに上手くいかないのがマジックというもの。肩の力を抜いて楽しんできます!ぐるぐるロータスの記事、お楽しみに!

【今週のピックアップデッキ】ドゥームズデイコントロール/アゾリウスアーティファクト/5色人間

Modern Pioneer Standard ピックアップ

2024.10.17

mtg Yuyan

こんにちは。 細川 侑也(@yuyan_mtg)です。 今週のピックアップデッキでは、ちょっと珍しいデッキを、軽い解説を交えて紹介していきます。 ドゥームズデイコントロール(スタンダード) スタンダードリーグ:5-0 By andrw1232 ライブラリーと墓地から好きな5枚を選び、それ以外のカードをすべて追放する《最後の審判》。レガシーやヴィンテージでは息の長い活躍をしており、つい先日もレガシー神挑戦者決定戦を制していました。《最後の審判》の英語名であるDoomsday。この名を持つデーモンが『ダスクモーン:戦慄の館』で登場したことを皆さんはご存知でしょうか?その名は《終末の加虐者》。まずは衝撃のマナコスト。(黒)(黒)(黒)(黒)(黒)(黒)なんていうマナコストのクリーチャーはマジック史上初めてです。一応『アングルード』に《B.F.M.》という黒15を持つクリーチャーがいますが、あれは例外でしょう。《最後の審判》2枚分のマナコストを持つ《終末の加虐者》は、唱えて戦場に出ると、各プレイヤーのライブラリーの下6枚を除くすべてのカードを裏向きで追放します。お互いに《最後の審判》を下している、といったフレイバーなのでしょうか。本家と違い、好きなカードを選んで残りを追放するわけではないので、カードを積み込んで勝つような使い方はできません。しかし、本家《最後の審判》にない利点が《終末の加虐者》にはあります。それは相手のライブラリ―も6枚にしてしまえるという点です。これにより、《終末の加虐者》を出して相手に《完成化した精神、ジェイス》のマイナス能力を起動するだけでゲームに勝利できてしまうのです!このコンボを取り入れたのがディミーアコントロール。基本的には除去と打ち消しで生き延び、隙を見て《完成化した精神、ジェイス》を着地。《終末の加虐者》を唱えてゲームセットという流れ。除去が大量に入っており、《完成化した精神、ジェイス》自体も生き残りやすい性能なので、このコンボが意外と決まります。いつも《完成化した精神、ジェイス》が生き残るわけではありませんが、そこは安心してください。《終末の加虐者》を出してライブラリーの下6枚のどこかに《完成化した精神、ジェイス》があれば良いです。こればかりは運ですが、たとえばマリガンで《完成化した精神、ジェイス》を下に送っていれば、確実にライブラリーのボトムにあるので、勝利は保証されています。《完成化した精神、ジェイス》以外でも《不穏な浅瀬》のアタックで4枚削っても良いですし、《終末の加虐者》さえ出してしまえばゲーム勝利は目前。コントロールはある程度優勢になってから、ゲームに勝つまでの時間が長いのが課題。その間に相手にトップデッキをされてしまいますし、そのカードが《世話人の才能》のように大量のリソースを獲得するものだった場合、逆転されてしまいます。このドゥームズデイコントロールは《終末の加虐者》さえ引けばすぐに勝利できるのが魅力ですね。コントロールとして立ち振る舞い、突然の勝利。パイオニアを支配したディミーアインバーターっぽさもあるこのデッキ、試してみたいですね。 アゾリウスアーティファクト(パイオニア) パイオニアリーグ:5-0 By Saporon 『ビッグスコア』の中でも一際注目を集めたカードと言えば《身代わり合成機》。マナ総量3以上のアーティファクトが戦場に出るたびにトークンを生成するこのカードは、特に下環境では使われることはあったものの、パイオニアでは全くと言って良いほど見かけないカードでした。《身代わり合成機》は戦場に出た時は盤面に影響を及ぼさないため、高速化しているパイオニアでは出す暇がありません。モダンやレガシーでは、「マナ総量は3以上だが0マナや1マナで唱えられる」《金属ガエル》や《思考の監視者》と組み合わせることにより、《身代わり合成機》を出したターンにもトークンを生成できますが、パイオニアには親和を持つカードはないので、どうしても上手く活用できませんでした。しかし、今回ご紹介するアゾリウスアーティファクトは、この《身代わり合成機》を最大限までしゃぶり尽くすデッキです!まず紹介しなければならないのは《金属製の巨像》!11マナ10/10というマナコストもサイズも巨大なクリーチャー。当然11マナなんて支払えるわけありませんので、軽減する能力がしっかりついています。自分がコントロールしているクリーチャー以外のアーティファクトのマナ総量の合計分だけ、コストが軽くなります。つまり《身代わり合成機》が1枚あれば8マナになるというわけですね。この《金属製の巨像》《身代わり合成機》と最高の相性なのが《真鍮の拳》。戦場に出た時に《真鍮の拳》のコピーを生成するので、即座にマナ総量4のアーティファクトが2つ出ます。当然《身代わり合成機》は2回誘発して2体のトークンが出てきて、更に《身代わり合成機》の3+《真鍮の拳》4×2で合計コストは11.《金属製の巨像》が0マナで出て、更に《身代わり合成機》が誘発。これだけで7/7のトークンが3体と《金属製の巨像》が場に出る、すさまじい場になります。さて、爆発力がわかったところで、足場を固めるカードたちも紹介しましょう。まずは安定の除去、《ポータブル・ホール》。アーティファクトなのでしっかり《金属製の巨像》のカウントや《身代わり合成機》のトークンのサイズアップに寄与してくれます。《月罠の試作品》はアーティファクトかクリーチャーをタップすることで無色マナを生み出せるアーティファクト。《ポータブル・ホール》なんかを寝かせるとちょっとお得な気分になります。相手への干渉手段があまり多くないデッキなので、魂力で使うこともしばしば。デッキ内のほとんどがアーティファクトなので、《加工鋳造所》も素晴らしいカードになります。《アイレンクラッグ》もそうですが、マナを生み出すアーティファクトは《金属製の巨像》のキャストをかなり助けてくれます。他にも《金色の両翼》や《結婚式への招待状》など、他のデッキでは見ないカードたちが盛りだくさん!ド派手なアーティファクト戦略がお好きな方はこのデッキに決まり! 5色人間(モダン) モダンリーグ:5-0 By RowdyGainz かつてモダンを代表するアグロデッキの1つだった5色人間。それぞれの色やマルチから最強の人間たちが集まって完成した5色人間は、主にヘイトベアーたちの集まりでした。非クリーチャー呪文のコストを重くする《スレイベンの守護者、サリア》。手札から有効なカードを抜き去る《帆凧の掠め盗り》。《稲妻》を指定して除去を禁止したり、コンボデッキのキーパーツを封殺する《翻弄する魔道士》。しかし、なんと今回ご紹介する5色人間にはそれらの定番だった人間たちが1枚も入っていません!早速、新生5色人間に選ばれた新メンバーを紹介していきましょう。まずは『モダンホライゾン3』の問題児の一人、《魂の導き手》。エネルギーデッキで活躍するカードですが、この人間は単体でもエネルギーを生成し、それを利用できるので、デッキ内のエネルギーがこのカードだけでも十分に活躍できます。続いて《マネドリ》。こちらは前までは《幻影の像》が入っていたので、同じ役割。《サリアの副官》《銅纏いの先兵》をコピーすれば全体強化で、2ターン目ならば2枚目の《教区の勇者》になって速やかに成長して相手を殴り倒すことも。飛行がついているので《教区の勇者》になった時の恩恵が地味に大きい。パイオニアの人間でも活躍する《銅纏いの先兵》は、《サリアの副官》より少し強化の面では劣りますが、護法を付与して除去に耐性をつけてくれます。これも《マネドリ》でコピーしたらおいしい人間。面白いのは《二の足踏みのノリン》の3枚採用。一見何をするかわからないこのカードですが、《教区の勇者》・《サリアの副官》のサイズを上げてくれるだけでなく、《魂の導き手》でエネルギー生成とライフ回復、更に《潜入者、悟》でドローもできちゃいます。その《潜入者、悟》はこのデッキのアドバンテージ源。先に挙げた《二の足踏みのノリン》以外でも《霊気の薬瓶》からクリーチャーを出しても誘発しますし、《イーオスのレインジャー長》で《二の足踏みのノリン》をサーチできるので、《潜入者、悟》が残ればそれなりにドローする機会は多いはず。これまでの人間がヘイトベアーを展開しながら速やかに殴りきる構成だったのに対し、この人間デッキは速度を意識しつつ、アドバンテージを重視した構成と言えますね。なかなか戦いづらいアグロデッキに見えます。5色人間、モダンで復権なるか?

【週刊メタゲーム通信】黒単デーモンがワンツーフィニッシュ!静岡のメタゲームをお届け!

Pioneer ピックアップ

2024.10.16

mtg Yuyan

こんにちは。 細川 侑也(@yuyan_mtg)です。 今回は先週末に静岡で行われたチャンピオンズカップファイナル静岡の結果をお届けしていきます! メタゲーム チャンピオンズカップファイナル静岡のメタゲームをまずはご紹介していきます。 ラクドス果敢(11.3%) アメリカではアゾリウスコントロールにトップを譲りましたが、今大会ではトップメタに。 除去がないデッキに対しては3ターンキル。かと思えばサイドからは手札破壊や《ウラブラスクの溶鉱炉》で様々な攻め方も可能。すさまじい強さのアグロデッキです。 ただ、このメタゲームを想定していたプレイヤーも多かったので、軽い除去が飛び交うトーナメントとなりました。 ラクドスミッドレンジ(10.9%) アメリカと大きく異なる結果となったのが、ラクドスミッドレンジの人数。 ラクドス果敢とほぼ同数の使用者を誇り、日本ならではのメタゲームといえるでしょう。 リストについては本記事で紹介します。 黒単デーモン(8.6%) 今大会で優勝・準優勝と圧倒的な勝ち組だった黒単デーモンは3番人気でした。 《不浄な別室》+《止められぬ斬鬼》を使うのはラクドスミッドレンジも同じなので、実質この2種のカードを採用した黒系ミッドレンジが50人。20%近くとなりました。 イゼットフェニックス(8.2%) 日本では使用者が少ないと思われていたイゼットフェニックスでしたが、今回は比較的多い21人のプレイヤーが選択。 前週の活躍、そして新たに加入した《美術家の才能》の強さに惚れ込んだプレイヤーが多かったのかもしれません。 当日は僕もプレイヤーとして参加していましたが、イゼットフェニックスに自信がありそうなプレイヤーはみんなイゼットフェニックスをプレイしている印象でした(高橋 優太さんを除く)   メタゲームブレイクダウンは公式の記事に詳細がございますので、こちらからどうぞ。 黒単デーモン チャンピオンズカップファイナル静岡 :優勝 By Tomoaki Ogasawara 静岡の決勝戦は共に同タイプのデッキ、しかも同じ調整チームのメンバー同士の戦いとなりました。既に何度かご紹介しているデッキですが、まずは簡単にデッキの動きを振り返りましょう。黒単デーモンは《止められぬ斬鬼》《アクロゾズの放血者》による一撃必殺コンボを搭載したミッドレンジ。黒を使う最大のメリットである《思考囲い》《強迫》の8枚の手札破壊や《致命的な一押し》《シェオルドレッドの勅令》といった除去で、アグロ・ミッドレンジ・コントロールすべてのデッキに対応できます。使った手札を回復する手段としてこれまでは《勢団の銀行破り》が定番でしたが、このデッキがデーモンと呼ばれる理由、《不浄な別室》がメインのアドバンテージ源となっています。今のパイオニア環境は早く、《勢団の銀行破り》に費やす2マナすら惜しい場合が多々あります。一方の《不浄な別室》はただ3マナを支払うだけで毎ターンカードを引くことができ、デーモンをコントロールしていれば2点ドレインと、あまりに強いカード。この《不浄な別室》の加入により、《勢団の銀行破り》は2枚までその枚数を減らすことになりました。ここまではこれまでの黒単デーモンと変わりない部分ですが、今回世界選手権の権利を獲得した2人のリストで大きな特徴が、《ドロスの魔神》を0枚にしたところです。《ドロスの魔神》は従来の黒単には必ず4枚採用されていたカードでした。デーモンかつ相手に除去されにくいので《不浄な別室》のドレインを安定させてくれて、速やかにライフを削りきってくれます。このデッキで不動のパーツと思われた《ドロスの魔神》を抜いたのです。そのスロットには《墓地の侵入者》や《絶望招来》が入っています。《ドロスの魔神》は赤い相手には生き残りやすい一方、黒ミラーにおいては弱いカードであり、今回のメタ的に黒いデッキが勝ち上がることを予想していたのでしょう。《ドロスの魔神》は4マナと重く、戦場に出た時に何かするカードではないので、除去されるとただテンポをロスします。《アクロゾズの放血者》ほど除去されなかった時のバリューは高くありません。一方、代わりに入った《墓地の侵入者》は、除去する際に手札を要求するクリーチャーであり、ミッドレンジ対決では優秀です。《絶望招来》も黒ミラーやコントロールに対して強力な1枚です。《ドロスの魔神》を抜いてこれらのカードに変更したことにより、黒系ミッドレンジとアゾリウスコントロールに明確に強くなっていますね。見事なデッキ調整でワンツーフィニッシュを決めた黒単デーモン、素晴らしいの一言です! ラクドスミッドレンジ チャンピオンズカップファイナル静岡 :4位 By Hiroki Nakahara 今大会のメタゲームの大きな特徴はラクドスミッドレンジの増加です。ラクドス果敢に続く二番手となっており、そのリストの詳細はというと、黒単デーモンに赤を足したような形です。赤が入っているので《アクロゾズの放血者》を出すのが厳しくなっており、4マナ圏には《ドロスの魔神》が採用されているだけ。これと《不浄な別室》のデーモンシナジー、そして《止められぬ斬鬼》はただ強すぎる3マナ域として採用。《アクロゾズの放血者》とのコンボがなくとも、普通に強すぎるカードなのです。よく考えてみれば、ダメージが通ると相手のライフを半分にするわけですから、3マナでパワー11相当。しかも追放以外の除去なら戦場に戻ってくるのですから、すさまじい性能を持つクリーチャーですよね。この新たな黒の強力な2種のカードを取り入れた以外は、従来のラクドスミッドレンジとさほど変わりありません。《税血の収穫者》《鏡割りの寓話》といった、手札を入れ替えられるクリーチャーたちと手札破壊、除去の組み合わせです。 黒単デーモンと非常に似た構造となっており、《鏡割りの寓話》を使いたいならラクドス、土地周りの強さを取るなら黒単デーモンといったところでしょうか。黒単の場合は色事故は当然ありませんし、土地によるダメージも痛くありません。そして《ロークスワイン城》という超強力な土地を採用することができます。メリットたっぷりの黒単デーモンですが、それでも赤を足したい理由もわかります。何せこちらはレガシーでも一線級のカード、《鏡割りの寓話》を使えるのですから。 当然この《鏡割りの寓話》はミッドレンジ対決で最強の1枚で、黒単とラクドスが戦った場合は、ラクドスが有利だと思っています。それほど《鏡割りの寓話》はすごいカードです。黒単デーモンとラクドスミッドレンジ、共通しているのは軽い手札破壊・除去から強力な3マナ域を投げ、そこから脅威を連打し続けるというもの。 このデッキを攻略するのは非常に難しいように思えるので、今後各国で行われる地域チャンピオンシップの結果には注目していきたいところですね。 セレズニアカンパニー チャンピオンズカップファイナル静岡 :4位 By Taichi Morikawa さて、そんな黒いデッキの隆盛に真っ向から立ち向かうのがこのセレズニアカンパニー。ラクドス果敢に強いデッキとして、前週のアメリカ地域チャンピオンシップでトップ8に入賞し、話題となっていました。デッキの構造は非常にシンプルなのが、もうそのリストから伝わってきますね。21枚の土地に35枚のクリーチャー、そしてデッキ内唯一の非クリーチャー呪文は《集合した中隊》です!これまでのカンパニーデッキ史上、最も《集合した中隊》が当たりやすいデッキではないでしょうか。このデッキで《集合した中隊》が1枚しかめくれなかった日は、早めのドロップを検討したくなるレベルです。《ラノワールのエルフ》《エルフの神秘家》の2種のマナクリーチャーから3マナ域を連打していくこのデッキ。《集合した中隊》で強いカードをめくるためにデッキには大量の3マナが入っているので、これらのマナクリーチャーは必須ですね。《エメリアのアルコン》《選定された平和の番人》といった制限をかけるカードたちに、万能除去の《スカイクレイブの亡霊》。そして疑似的な打ち消し呪文である《エイヴンの阻む者》。これらのカードを展開していくだけでは手札が減ってきてしまいますが、それを補うのが《永劫の無垢》。 従来、この役割を果たすクリーチャーは、除去されてしまったらそれまでだったので、なかなかゲームプランに組み込むことができなかったのですが、《永劫の無垢》は死亡するとエンチャントとして戻ってくるので、ほとんどのマッチでしっかりと機能してくれます。このセレズニアカンパニーを成立させているカードと言っても過言ではありません。《トカシアの歓待》と違って《集合した中隊》でめくれてくれるのも、カンパニーデッキとしては素晴らしい、《トカシアの歓待》を2枚引いてもカードは引けませんが、《永劫の無垢》を2枚引いた場合はドローできるので、重ね引きも美味しい。ちょっと《永劫の無垢》、強すぎるかもしれません。ラクドス果敢に強い他、《永劫の無垢》が定着しやすい(=追放除去が少ない)黒系ミッドレンジ・コントロール全般にもそれなりに強いのがセレズニアカンパニーの魅力。ラクドスには《塔の点火》は必須になるかもしれませんね。黒と赤の活躍が目立つパイオニア環境ですが、そこに一石を投じるセレズニアカンパニー。優勝を収める日もそう遠くはない!?

【週末のススメ】ジャパンスタンダードカップ直前!オススメのデッキ3選

Standard ピックアップ

2024.10.09

mtg Yuyan

こんにちは。 細川 侑也(@yuyan_mtg)です。 今週末はプレイヤーズコンベンション静岡!その中のメインイベントの1つでもあるジャパンスタンダードカップに向けて、オススメのデッキを紹介していきます! 白単コントロール スタンダードチャレンジ :優勝 By Graciasportanto まずご紹介するのは白単色のコントロールデッキ。全体除去と言えば白ですが、近年ではドローの質も上がっており、白単だけでも十分にコントロールが可能となっています。クリーチャー群の中で目に付くのはやはり4枚の《跳ねる春、ベーザ》。グルール力線をはじめ、アグロデッキが多い環境なので、このカードは絶対に4ターン目にプレイしたいのでしょう。『ダスクモーン:戦慄の館』から加入した《永劫の無垢》は強力なリソース手段。《大天使エルズペス》や《人参ケーキ》などからトークンを生み出しつつ、相手ターンでも《噴水港》でカードが引けるので、追加の《世話人の才能》のように機能してくれます。クリーチャーは少ないですが、トークン自体は並んでくれるので、《血滾りの福音者》は高い打点を稼いでくれるでしょう。インスタント・ソーサリーはすべて除去。《軍備放棄》は白単を使う理由になるソーサリー。僅か1マナでほぼ好きなカードを除去できるので、序盤から後半まで常に強いカードです。《軍備放棄》を使いながら展開や更なる除去は1マナだからこそ為せる業。《失せろ》は万能除去である一方、《魂の仕切り》には疑問が残るかもしれません。長いゲームを想定したデッキなので、「2マナ重くした程度では出し直されて、アドバンテージを失うのではないか?」と思いますよね。しかし、一度《世話人の才能》や《永劫の無垢》と《噴水港》などで準備が整ってしまえば、手札の枚数に困らないのが白単コントロール。序盤さえ凌いでしまえば、後から出てきたクリーチャーは《太陽降下》できますからね。更に自分のカードを追放して逃がすこともあります。《永劫の無垢》を追放すれば再びクリーチャーとして唱えられますし、《跳ねる春、ベーザ》や《人参ケーキ》、《世話人の才能》なんかも使い回せます。このようにいつ引いてもある程度使えるカードである点も加味して、採用されているのでしょう。ただの除去にしてしまうと、これだけたくさん入っているので、手札に除去だけ溜まってしまう場合も多々ありますからね。アグロデッキには圧倒的な相性を誇る一方、どうしてもコントロールデッキは苦手。サイドボードに入っている《イモデーンの徴募兵》はコントロールやミラーマッチなど、全体除去を打ちあってゲームが決まらない相手への対策です。エンド前に複数の《噴水港》からトークンを出しつつ、メインで《血滾りの福音者》を追加して《イモデーンの徴募兵》で全部殴って一撃でライフを0にしてしまおうという狙いですね。《世話人の才能》でトークンのサイズも上がっているので、それなりに完遂します。単色なので色事故もせず、カードもたくさん引けてとても楽しいデッキです。とにかくビートダウンに負けたくないなら、白単コントロールがオススメです。 アゾリウス眼魔 スタンダードチャレンジ:準優勝 By DuduDeNunu 『ダスクモーン:戦慄の館』で今最も話題の神話レア、《忌まわしき眼魔》。3マナ5/5飛行というすさまじいスペックに、対戦相手のターンになると戦慄予示を行う能力。一瞬で盤面が強固になるクリーチャーです。ただし、唱えるためには墓地を6枚追放しなければならないので、使えるデッキはある程度限られてきます。このアゾリウス眼魔は、元々はアゾリウスメンターと呼ばれているデッキでした。"メンター"《僧院の導師》と《傲慢なジン》を《錠前破りのいたずら屋》で墓地に落とし、《救いの手》で吊り上げて殴っていくコンボ内蔵のクロックパーミッション、それがアゾリウスメンターです。墓地を大量に溜めることができ、墓地から3マナ以下のクリーチャー・カードを吊り上げるのがデッキコンセプト。そう、《忌まわしき眼魔》との相性が非常に良いデッキなのです。そして抜けていったのは悲しいかな、デッキ名を冠していた《僧院の導師》でした。同じ3マナ域ですが、《忌まわしき眼魔》は何もせずに相手のターンになるだけで勝手に盤面にクリーチャーを出してくれて、しかも自身のサイズも大きいので、ほぼ上位互換なのです。このデッキの動きは単純です。《航路の作成》《決定的瞬間》で《忌まわしき眼魔》や《傲慢なジン》を落とし、《救いの手》《再稼働》で墓地から吊り上げる。後は相手の呪文を《幻影の干渉》《三歩先》で打ち消して殴り切ります。除去や打ち消しで序盤を凌いで《忌まわしき眼魔》《傲慢なジン》を展開。除去されたら《救いの手》《再稼働》でしつこく場に吊り上げ続けて、相手の除去を尽きさせる場合も。《忌まわしき眼魔》は手札から唱える場合は墓地を大量に要求されますが、自身の戦慄予示能力で墓地が肥えていくので、意外と2枚目を唱えるのも容易く、吊り上げる以外の方法でも十分に運用が可能です。特に赤系アグロは《忌まわしき眼魔》を倒すのがそもそも困難な上、倒したとしてもまたすぐ吊り上げて盤面を作ってしまえるので、見た目よりも赤いデッキとしっかり戦えます。サイドボードには《エルズペスの強打》ももちろん入っています。弱点はなんといっても墓地対策。《忌まわしき眼魔》《傲慢なジン》《救いの手》《再稼働》とクリーチャーに関連する部分がすべて墓地に依存してしまっているため、アゾリウスメンターだった頃から更に厳しくなっています。このリストのサイドボードに《僧院の導師》が入っているのも、墓地対策を避けるためです。とはいえ、手札から《僧院の導師》を唱えてトークンを作っていくには、3マナで出した《僧院の導師》が生き残って帰ってくる必要がありますから、苦肉の策ではありますね。逆に言えば、それ以外の弱点はさほどなく、スピードと干渉手段を兼ね備えているので、対策がない場合は中々倒すのが困難なデッキでもあります。アゾリウスメンター、墓地対策が薄いと感じたならオススメです! グルール果敢  スタンダードチャレンジ:3位 By Boucha さあさあそしてこのデッキを紹介しないわけにはいかないでしょう!スタンダードで2キルが楽しめるエキサイティングなデッキ、グルールアグロです。《残響の力線》はただの2ターンキルパーツだと思われがちですが、そもそも《巨怪の怒り》や《裏の裏まで》が倍になってくれるので、カードとして強力です。《残響の力線》は置くとカードを1枚損しますが、自分のクリーチャーを対象に取るスペルを1回打つだけでチャラになり、2回以上使えばお釣りがくるのです。そして《残響の力線》は他の力線と違い、2枚目を出すことに大きな意味があります。2枚初手に来て置いても、《裏の裏まで》が2回コピーされてしまえば、それだけで元は取れちゃいますからね。当然、2ターンキルの確率も上がります。要するに《残響の力線》というカードがただただ強すぎるのです。とはいえ《残響の力線》を強く使うためにはデッキをそれ専用に構築する必要があります。パイオニアのラクドス果敢に《残響の力線》が採用されていないのは、自分のクリーチャーを対象に取るスペルが少ないためです。このデッキは《残響の力線》を活かすべく、17枚のインスタント・ソーサリーすべてが対象に取れるものとなっています。《巨怪の怒り》は+3/+1にトランプルを付与する最強のインスタントで、《裏の裏まで》は死亡時に戦慄予示を行えます。《残響の力線》で同じクリーチャーに《裏の裏まで》を使い、それが死亡すれば、戦慄予示が2回行えてかなりお得。 《弱者の力》は修正こそ低いですがドローできるので、《残響の力線》分のリソースを回復できます。《残響の力線》下では何枚でも引きたいですね。最近のリストで感銘を受けたのが《魔女の印》です。カードを捨てて2枚引く、いわゆる《苦しめる声》の亜種ですが、オマケで自分のクリーチャーにひねくれ者・役割をつけることができます。そう、自分のクリーチャーを対象に取っているので、これも《残響の力線》でコピーできるのです!1枚捨てて2ドローを2回行いながら、ひねくれ者を2回つけることができます。《残響の力線》下でリソースを獲得できることはもちろん、手札に腐ってしまった《残響の力線》を捨てられる点や、4枚目の土地を引いて《残響の力線》を出したい時に、不要なカードを捨てるなど、とにかくデッキに合っています。《残響の力線》を使うなら《魔女の印》を常にセットで使いたいと思わされるほどです。ちなみに同じクリーチャーにひねくれ者をつけると、1枚目が剥がれるので相手に1点飛びます。リーサル計算の際に必要になるので覚えておきましょう。どれだけ意識されてもしっかり強く、大会で結果を残し続けているグルール果敢。もちろん今週末もオススメのデッキです!

【週刊メタゲーム通信】アメリカ地域CSの結果を分析!

Pioneer ピックアップ

2024.10.08

mtg Yuyan

こんにちは。 細川 侑也(@yuyan_mtg)です。 今週のメタゲーム通信は、アメリカ地域チャンピオンシップの結果からお届け!週末のチャンピオンズカップファイナルに出場予定の方は要チェック!! 最後にメタゲーム予想のオマケつきです! メタゲーム アメリカ地域チャンピオンシップのメタゲームをまずはご紹介していきます。 アゾリウスコントロール(12.9%) アゾリウスコントロールがラクドス果敢を抑えてトップの使用率を誇ることになりました。ラクドス果敢を意識した構成にすることで有利に立ち回れて、不利マッチだったラクドスミッドレンジはほぼ消滅し、大きく不利な相手がロータスコンボしかいなくなったことが、このアゾリウスコントロール大増殖の要因でしょう。 ラクドス果敢(12.7%) そのアゾリウスコントロールに続くのはラクドス果敢。現パイオニア環境で絶対に意識しない相手であり、1マナの除去をほとんどのデッキに標準搭載させた元凶です。このデッキを倒せるかどうかはパイオニアの基準となります。 イゼットフェニックス(10.9%) そしてイゼットフェニックス。日本で少ない傾向にあるのか、アメリカに使用者が多いのか。そのどちらもな気もしますが、とにかく3番手にイゼットフェニックスが上がってくるのは意外でした。マジックオンラインでは少し元気がなかった印象でしたが、著名プレイヤーも多数このデッキを持ち込んでいます。 奇怪な具現(7%) 4位は《奇怪な具現》。『ダスクモーン:戦慄の館』で得た《ホーントウッドの大主》と境界土地によっていよいよメタゲームの上位にまで上り詰めたこのデッキ。ラクドス果敢とアゾリウスコントロール、その両方が厳しいデッキではありましたが、実はこのアメリカ地域予選で初日全勝を果たしており、そのポテンシャルは計り知れません。 ラクドス異形化(6.2%) 近頃台頭してきているラクドス異形化がトップ5の最後の席を埋めることに。《異形化》から《偉大なる統一者、アトラクサ》を出すデッキですが、手札破壊から《謎の骸骨の事件》《鏡割りの寓話》によるトークンの圧力や、《勢団の銀行破り》でリソースを回復しながら除去を連打。そして《湧き出る源、ジェガンサ》からの《偉大なる統一者、アトラクサ》手出し。など、色々な戦い方ができるコンボ・ミッドレンジ。今大会でも準優勝を果たしており、今後更に増えてきそうなデッキです。ここからはトップ8に入賞したデッキを紹介していきます。 ラクドス地獄の樹 アメリカ地域チャンピオンシップ :優勝 By Cory Lack 1800人を超えるアメリカの地域チャンピオンシップを見事制したのは、ラクドス地獄の樹。《アガサの魂の大釜》に《地獄の樹》を追放すると、自軍の+1カウンターの乗ったクリーチャーすべてが《地獄の樹》になるので、《税血の収穫者》をタップするだけで相手のライフが3になります。《ヴォルダーレンの興奮探し》に乗せれば、《地獄の樹》の能力を使った後に自身を生け贄にすれば確実に勝利できますし、《アガサの魂の大釜》で《地獄の樹》と《ヴォルダーレンの興奮探し》を追放していれば、カウンターが乗ったクリーチャーが《地獄の樹》の能力を使った瞬間にゲームセットとなります。つまり、コンボを内蔵したラクドスアグロ、それがラクドス地獄の樹です。このデッキはラクドス吸血鬼がパイオニアを支配していた頃に生まれたデッキでしたが、その頃から大きく進化している点が1つあります。それが『ダスクモーン:戦慄の館』から追加された《逸失への恐怖》です。2マナ2/3で出た時にカードを捨てて引ける能力は非常に優秀。《税血の収穫者》に近い、潤滑油の役割を果たせます。そして除去能力を持つ《税血の収穫者》より攻撃的な能力があり、各ターンに最初に《逸失への恐怖》が攻撃した時に、昂揚していればクリーチャー1体をアンタップして追加の戦闘フェイズが発生するというもの。《逸失への恐怖》が攻撃する必要がありますが、除去や《アガサの魂の大釜》で《逸失への恐怖》を強化していれば、この能力を誘発させることは難しくないですし、最悪《逸失への恐怖》が除去されても追加の戦闘フェイズは発生するので、無理矢理致死量のダメージを与えにいくことも可能です。強力な能力ではありますが、やはり昂揚はオマケ。メインとなるのはカードを捨てて引く能力を持つ2マナ2/3というスペックの高さです。ちなみに手札が0枚の時はただ1ドローできちゃいます。特にこのデッキは《地獄の樹》のディスカード手段にかなり困っていたので、《鏡割りの寓話》《税血の収穫者》に続く第三のディスカード手段として採用されることとなりました。非常に便利なカードで、ラクドス地獄の樹に限らず、ラクドス系のミッドレンジに新たにレギュラー入りを果たすかもしれません。それぐらいの高スペッククリーチャーです。ラクドス地獄の樹がここまで好成績だった要因の1つは、ラクドス果敢より少し遅い程度のアグロデッキでありながら、クリティカルヒットするサイドカードがあまり飛んでこなかったからでしょう。たとえばラクドス異形化がラクドス果敢対策として用意している《碑出告が全てを貪る》は、ラクドス地獄の樹には全く効きません。そうすれば当然サイドイン枚数は少なくなるので、ラクドス地獄の樹は戦いやすくなります。アグロ対策として採用されている《一時的封鎖》《ポータブル・ホール》は《鏡割りの寓話》や《ヴォルダーレンの興奮探し》に触れず、ラクドス果敢ほどは劇的なカードではありません。サイド後は《敵対するもの、オブ・ニクシリス》を入れて、更にこれらのカードを避けられる構成になっています。黒除去などは墓地にクリーチャーが落ちて《アガサの魂の大釜》が機能するので、これも大きな効果はなし。このように、ラクドス果敢対策として入ってくるカードを機能させない戦い方をして勝利を収めてきたのでしょう。相手がアグロ対策をしてくるならこちらは速度を少し落としてミッドレンジにように振る舞い、スピード勝負には《アガサの魂の大釜》《地獄の樹》で挑むという、異なる強力なゲームプランを併せ持つデッキが、見事アメリカの頂点に立ったのでした。 アゾリウスロータス アメリカ地域チャンピオンシップ  :8位 By Patrick Wu 今大会のトップメタだったアゾリウスコントロールでしたが、トップ8にその名を連ねたのはPatrick Wu選手ただ1人。ちなみにこのプレイヤーはカナダの強豪で、今大会を含めて4度の地域チャンピオンシップでアゾリウスコントロールを使いプロツアーの権利を獲得している、アゾリウスコントロールマスターです。そしてそのリストは通常のアゾリウスコントロールではなく、《睡蓮の原野》を採用した、いわゆるアゾリウスロータスです。《厳しい試験官》と《睡蓮の原野》が揃うと、《睡蓮の原野》の戦場に出た時の土地を生け贄に捧げる能力が誘発しなくなります。このコンボを採用したのがアゾリウスロータス。ロータスコンボと違い、《見えざる糸》や《熟読》から《出現の根本原理》に繋げるわけではなく、《睡蓮の原野》《演劇の舞台》による大量のマナで、盤面をコントロールしたりカードを引いていきます。特に《ドミナリアの英雄、テフェリー》との相性は目を見張るものがあり、《睡蓮の原野》2枚をタップして《ドミナリアの英雄、テフェリー》を出し、ターン終了時にそれをアンタップすると、実質《ドミナリアの英雄、テフェリー》がタダで唱えられます。次のターンに《ドミナリアの英雄、テフェリー》が場に残っていれば、使う6マナと起きる6マナの計12マナを使用できるので、《サメ台風》を素出ししてターンを終了し、相手のターンに《記憶の氾濫》を撃ったり、《告別》で盤面を一掃しつつ相手ターンに《放浪皇》など、通常のアゾリウスコントロールではできないメチャクチャな動きが実現できます。《睡蓮の原野》と《厳しい試験官》のコンボがなくとも、《演劇の舞台》が《睡蓮の原野》をコピーするだけでも十分マナ加速ができるので、特にアゾリウスコントロールミラーでは圧倒的な勝率を誇るデッキです。最終的には《演劇の舞台》が《噴水港》や《アーデンベイル城》に変わり、大量のトークンで殴り勝ちます。その代わりに打ち消し呪文が採用されていないのと、《厳しい試験官》を相手に悪用されてしまうので、ロータスコンボを大の苦手としています。アゾリウスコントロールを支える《喝破》すら未採用なので序盤の干渉手段は少ないですが、ラクドス果敢を意識して大量の除去に加え、《有角の湖鯨》が採用されています。《有角の湖鯨》はアグロデッキの足を止める1枚。マナが一気に加速するアゾリウスロータスではクリーチャーとして出すターンが速いので、デッキに非常に合った1枚です。2ターン目に相手を減速させ、3ターン目に《厳しい試験官》+《睡蓮の原野》、次のターンに《有角の湖鯨》と回れば、アグロはひとたまりもないでしょう。アゾリウスロータスは特に《厳しい試験官》が活躍するメタゲームで、かつアゾリウスコントロールが多ければ、勝ち組になりやすいデッキ。 《厳しい試験官》が入っているせいで《一時的封鎖》《ポータブル・ホール》を採用できないため、ラクドス果敢には通常のアゾリウスコントロールに比べて厳しくなっている印象。しかし、そのデメリットを補ってあまりあるほど、一部のデッキに対しては圧倒的に優位に立てます。今回は《厳しい試験官》が突き刺さる《奇怪な具現》の流行やアゾリウスコントロールトップメタなど、アゾリウスロータスにとっては非常に良い条件が整っていました。週末、静岡で行われるチャンピオンズカップファイナルを戦う上で、このアゾリウスロータスは意識に入れたいデッキですね。 イゼットフェニックス   アメリカ地域チャンピオンシップ:7位 By Omri Goldenberg 実は今大会の勝ち組だったイゼットフェニックス。アメリカは特にイゼットフェニックスが多い傾向にあり、今回も多くのプレイヤーが選択しましたが、しっかりとトップ8にも残っています。大量のキャントリップ呪文と除去でデッキを掘りながら墓地を肥やし、ヴィンテージ級のドロースペルである《宝船の巡航》でリソースを回復。その過程で墓地に落ちた《弧光のフェニックス》で攻撃しつつ、再びキャントリップと除去から《宝船の巡航》を打つというのが、イゼットフェニックスの戦い方。デッキを支えるのはもちろん《宝船の巡航》で、このカードにアクセスしつつ墓地を肥やせる《錠前破りのいたずら屋》が登場したことで、一段階上の強さのデッキとなりました。除去が大量に入っていて、そこから《宝船の巡航》でリソースを回復できるので、アグロデッキに比較的強く、デッキを大量に掘り進めることで特定のカードにアクセスしやすく、それによりデッキリスト次第ではコントロールにも強くできるなど、なんでもできる器用なデッキ。1マナのカードが非常に多いので手札事故が少なく、安定して回るのも魅力の1つ。何でもできる器用さがあり、1マナが多い。これは裏を返せば、各ゲームプランを理解しながら立ち回らなければならなく、1マナのカードばかりなのでマナカーブ順にただカードをプレイするのは許されない、ということでもあります。非常に難しい玄人好みのデッキというわけですね。さて、今回は《美術家の才能》を採用したリストを一部のプロプレイヤーたちは持ち込んでいましたが、トップ8に残ったリストは比較的オーソドックスです。《プロフトの映像記憶》はすっかり入っているのがデフォルトとなりました。《宝船の巡航》を打つだけで戦闘開始時にカウンターを3つ置けますし、《帳簿裂き》と組み合わせることで凄まじい打点を叩き出します。地味に強力なのが《錠前破りのいたずら屋》の強化。警戒を持った1/3にうっとうしい思いをした方も多いでしょうが、これにカウンターが4つ乗ると急に戦闘が一方的なものになります。《宝船の巡航》を集めて墓地を肥やすだけだった《錠前破りのいたずら屋》がフィニッシャーになるのは、《プロフトの映像記憶》の大きな利点の1つ。主にサイド後の墓地対策や《死人に口無し》でメインとなる打点を抜かれた際に便利なカードだったのですが、そもそも強力なので、最近では1~2枚はほぼすべてのリストに入っていますね。ちなみに先ほど話した《美術家の才能》との相性もかなり良いです。墓地から戻ってきた《弧光のフェニックス》にカウンターを乗せることはできないのですが、これができたら3枚入っていたかもしれませんね。メタゲーム的な立ち位置で言えば、ラクドス果敢には少し不利か五分程度、アゾリウスコントロールに有利と、トップメタの2つにはまずまずと言ったところで、これだけでは今一つに思えるかもしれませんが、それ以外のデッキに比較的有利なのは大きな魅力。特にキャントリップと除去で構成されており、そのすべてが軽いので、デッキが回りやすく安定していて、有利マッチをしっかりと勝ち切ることができます。しかも時には《弧光のフェニックス》が複数枚落ちるブン回りもありますからね。今回はラクドス果敢・アゾリウスコントロール・奇怪な具現あたりが多いという予想を立てたプレイヤーは多かったでしょう。この3つは墓地を使わないデッキなので、サイドボードの最後の1~2枠を決めるにあたり、《未認可霊柩車》や《夢を引き裂く者、アショク》を諦めた人は少なからずいたはずです。墓地対策が薄くなれば当然墓地デッキは元気になります。イゼットフェニックスが勝ち組になるのは当然かもしれませんね。 どうなる?チャンピオンズカップファイナル 今回のアメリカ地域チャンピオンシップをふまえて、チャンピオンズカップファイナル静岡のメタゲームを予想してみます! 1位:ラクドス果敢(15%)2位:アゾリウスコントロール(14%)3位:ラクドス異形化(10%)4位:黒単デーモン(8%)5位:奇怪な具現&イゼットフェニックス(5%)   僕はチャンピオンズカップファイナル静岡に出場しますが、上記のメタゲームになることを想定してデッキを考えています!答え合わせが楽しみですね!それではまた!

【今週のピックアップデッキ】ドメインズアー/黒単デーモン/ディミーア眼魔

Modern ピックアップ

2024.10.04

mtg Yuyan

こんにちは。 細川 侑也(@yuyan_mtg)です。 今週のピックアップデッキでは、ちょっと珍しいデッキを、軽い解説を交えて紹介していきます。 ドメインズアー(スタンダード) スタンダードリーグ:5-0 By LukasDusek2 ドメインと言えば、スタンダードでずっと活躍している5色のコントロールデッキ。アドバンテージ獲得手段の《豆の木をのぼれ》、それと相性の良い《力線の束縛》、マナ加速には《山積みの収穫》、そしてフィニッシャーの《偉大なる統一者、アトラクサ》。しかし、この新しいドメインには、《偉大なる統一者、アトラクサ》以外のカードが入っていません。新しいタイプのドメインデッキなのです。アドバンテージを《豆の木をのぼれ》でとらないので、《力線の束縛》は採用されていません。除去枠には《失せろ》や《シェオルドレッドの勅令》、《執念の徳目》など2マナが中心です。このデッキの核となるのは《永遠の策謀家、ズアー》。エンチャントをクリーチャー化する能力を持つこのカードは、《力線の束縛》と相性が良いことで知られています。1マナで出して除去して、《永遠の策謀家、ズアー》でクリーチャー化すると6/6になりますからね。でもこのリストには《力線の束縛》の姿はありません。それならクリーチャー化するエンチャントはどこに?その答えはクリーチャー欄にあります。そう、『ダスクモーン:戦慄の館』の大主サイクルです!兆候で唱えることで軽く戦場に出せる代わりに数ターンはクリーチャーではなくなる大主たち。クリーチャーではないエンチャント……そう、兆候状態の大主を《永遠の策謀家、ズアー》で無理やり起こすことができるのです!しかも《永遠の策謀家、ズアー》の能力で大主たちは接死・絆魂・呪禁を得るので、ダメージレースは一方的なものになりますし、攻撃時の能力も除去で邪魔されません。《トルヴァダへの侵攻》も面白い1枚。《偉大なる統一者、アトラクサ》や《ミストムーアの大主》、《無形の処刑者、ケイヤ》などの重いカードをリアニメイトできるのはもちろん、裏面はトークンを強化するので、《ミストムーアの大主》との相性抜群です。 このデッキの《花粉の分析》は素晴らしいカードですね。証拠収集8を達成するのは通常のデッキではなかなか厳しいですが、《群れの渡り》を捨てるだけで7なのですぐに満たせます。《永遠の策謀家、ズアー》があれば大主たちを、大主が兆候してあれば《永遠の策謀家、ズアー》を、手札がなければ《偉大なる統一者、アトラクサ》と、状況に応じて必要なカードを持ってこれます。《花粉の分析》のおかげで、マナ加速できる《ホーントウッドの大主》を除いたクリーチャーは2枚以下に抑えられていますね。重いクリーチャーが手札でかさばることがないようになっています。《永遠の策謀家、ズアー》が攻撃的なカードなので、このドメインズアーは従来のドメインに比べて早くゲームを終わらせられるデッキとなっています。普通のドメインに飽きた方は一度試してみてはいかがでしょうか? 黒単デーモン(パイオニア) パイオニアにまたまた新しいコンボデッキがやってきました。『ダスクモーン:戦慄の館』のプレビュー当時に騒がれた1枚、《止められぬ斬鬼》を使ったコンボデッキです。 パイオニアリーグ:5-0 By Saporon 《止められぬ斬鬼》がプレイヤーに戦闘ダメージを与えると、そのプレイヤーのライフを半分失わせるという恐ろしいクリーチャー。しかも僅か3マナで接死を持ち、死亡すると麻痺カウンターが2個乗った状態で戦場に戻ってくるので、まさしくその名の通り止められぬゾンビです。このライフを半分失わせる能力と噛み合うクリーチャーといえば《アクロゾズの放血者》。自分のターンに対戦相手がライフを失うなら、その倍失わせるデーモン。つまり《止められぬ斬鬼》のダメージが通ると、ライフの半分を失わせて、その半分が倍になるので……つまりライフが0になるということになります。この2枚が揃って《止められぬ斬鬼》の攻撃が通ると勝ちです。とはいえ、クリーチャー2枚による、かつ回避能力のないクリーチャーのダメージを通して初めて成立となる即死コンボ、毎度成功するわけではありません。このデッキはあくまで即死のサブプランを搭載した黒単ミッドレンジです。《思考囲い》《強迫》の8枚の手札破壊は除去を抜いて《止められぬ斬鬼》のダメージを通すのにぴったりなカード。大量の除去も、果敢アグロがここまで暴れる環境なら必須でしょう。『ダスクモーン:戦慄の館』で登場した《不浄な別室+祭儀室》は、黒単デーモンを支える1枚。 自分の終了ステップの開始時にカードを引き、デーモンをコントロールしているなら対戦相手が、そうでないなら自分がライフを失うというこのカード。ただ置くだけで毎ターンカードが引けるだけでなく、デーモンがいれば相手のライフも削れる素晴らしいカード。しかもオマケとして巨大なデーモンも出せるのですから、《ファイレクシアの闘技場》世代の人間としてはその強さに驚きを隠せません。この《不浄な別室》の能力も、デーモンである《アクロゾズの放血者》で倍になるので、エンドに4点を入れつつドローできます。《不浄な別室》と《アクロゾズの放血者》の相性、すごすぎる!そして《不浄な別室》でライフ回復するためのデーモンとして、《ドロスの魔神》も採用されています。こちらも相手のクリーチャーが死亡すると2点が入るので、《アクロゾズの放血者》で4点に。この2体のデーモンが揃うと一瞬でゲームが終わりますね。従来の黒単系のミッドレンジと違い、《止められぬ斬鬼》と《アクロゾズの放血者》の即死コンボを搭載していることで、ロータスコンボのようなデッキにしっかりスピード勝負できるのも、このデッキの魅力です。スピードだけでなく、《不浄な別室》《勢団の銀行破り》《ロークスワイン城》でアドバンテージも取れるので、除去を連打するコントロールプランも取れるなど、単色デッキとは思えない器用さ。単色デッキなので色事故もなく、能力のある土地も多いのでマナフラッドにもなりにくいと、回していてとにかく不快感が少ないのも個人的にはプラス。日々の多色疲れを癒せること間違いなし! ディミーア眼魔(モダン) モダンリーグ:5-0 By RowdyGainz 近頃その名前をよく目にする、今最もホットなクリーチャー《忌まわしき眼魔》。スタンダードでは《救いの手》でリアニメイトされているそうですが、モダンでも実は同じような使われ方をしています。モダンでは《考慮》《思考掃き》で《忌まわしき眼魔》を墓地に落とし、《発掘》で吊り上げるというのがトレンド。2ターン目に突然5/5飛行と戦慄予示が並ぶことになるので、あのエネルギーすらも凌駕する動きです。《忌まわしき眼魔》を墓地に落とすために1マナのスペルが大量に入っているので、吊り上げられなかった場合も安心。墓地を6枚追放して手札から出せます。一度出すと2枚目の《忌まわしき眼魔》を唱えるのは厳しいかのように思えますが、戦慄予示を行えるので実は1枚目さえ場に出れば勝手に墓地が溜まり、2枚目もすぐに場に出せます。青黒と言えば《濁浪の執政》でしたが、《忌まわしき眼魔》との相性はさすがに悪く、今は0枚に。これもエネルギーとの戦いを考えれば仕方がないのかもしれません。ディミーアはエネルギーを大の苦手としていましたが、それはエネルギー側の盤面の制圧力が高いだけでなく、《一つの指輪》という別軸の勝ち手段が生まれてしまったためでした。ディミーア側は《超能力蛙》以外の攻め手はなく、基本は防戦一方。序盤のエネルギーのカードをさばいている内に、ライフに余裕のある状態で《一つの指輪》を置かれてしまいます。《濁浪の執政》は最速でも4ターン目。圧はあるカードですが、速度という点では優秀ではありません。その点、《忌まわしき眼魔》は2ターン目に出ればあっという間にライフを削ってくれますし、盤面に並んだカードと戦慄予示が相打ちを取ってくれるので、ある程度打ち消しを構える余裕も生まれます。余計な除去を使わなくて済み、《一つの指輪》に当てる《対抗呪文》を手札に温存することができるのです。果たして《忌まわしき眼魔》は《濁浪の執政》を超える逸材なのでしょうか?このディミーア眼魔は今後活躍し続けるのか?目が離せません!

【メタゲーム通信増刊号】地域CSに向けて最新のパイオニア情報をお届け

Pioneer ピックアップ

2024.10.03

mtg Yuyan

こんにちは。 細川 侑也(@yuyan_mtg)です。 今週と来週はラストチャンス予選2回、そしてチャンピオンズカップファイナルとパイオニアの競技イベントが続きます!というわけで今週はメタゲーム通信をパイオニア編でもお届け!ブラジルの地域チャンピオンシップの結果から、最新のリストをご紹介! 最後にボーナストピックとして、「もし今週末にラストチャンス予選に使うならこれ!」というリストをご紹介します! コントロールがラクドス果敢を制す ブラジルの地域チャンピオンシップを制したのはアゾリウスコントロールでした。 アゾリウスコントロール City Class Games Showdown VII :優勝 By Vinícius Karam 白の除去と青の打ち消し・ドローというマジック黎明期から活躍するこのアーキタイプ。パイオニアでもコントロールと言えばまずアゾリウスカラーが定番です。『ダスクモーン:戦慄の館』で実はアゾリウスコントロールは強化を受けました。一体どのカードか?デッキリストを見てもわからないかもしれませんね。よく見てください……土地の欄を。そう、《フラッドファームの境界》です。今回アゾリウスコントロールが手に入れたのは土地でした。2色ランドはこれまでも《行き届いた書庫》などたびたび加入していましたが、今回の《フラッドファームの境界》ほどの影響はありません。なぜ《フラッドファームの境界》はすごいのか?簡単に2色を生み出せる土地というだけでなく、条件不問でアンタップインかつ白マナが生み出せる土地だからです。アゾリウスコントロールは1ターン目は白マナしか使うことがなく、3~4ターン目に青青を要求してくるデッキです。《フラッドファームの境界》は《平地》か《島》があれば、2色ランドになり、それ以外の状況では白マナが出せるので、1ターン目に白を出し、3~4ターン目の青青にしっかり貢献してくれる、アゾリウスコントロールのためのカードなのです。この強力な土地の加入でデッキリストも進化を遂げています。1ターン目にアンタップインする白マナが12枚になったことで、《ポータブル・ホール》を1ターン目に使いやすくなりました。なのでこのリストにはメインから4枚採用。《騒音の悪獣》と《心火の英雄》はいずれも死亡時にダメージを飛ばすカードなので、《ポータブル・ホール》は完全回答。それを後手1ターン目から使えるのは大きく、《フラッドファームの境界》によりそれが可能となったので、土地のアップデートは思っているよりもずっと大きいのです。《冥途灯りの行進》も手札を追放すれば1ターン目から使用できますし、このデッキは後手番でもしっかり勝てるように構築されています。それを可能にしているのは《フラッドファームの境界》というわけです。除去が多めでドロースペルは少なめなのがこのリストの特徴です。《記憶の氾濫》2枚はこれまでにはあまり見たことがありませんね。この辺りも今のメタゲームを意識した結果でしょう。ラクドス果敢にはどうしても《記憶の氾濫》は打ちづらいですからね。《一時的封鎖》か《ポータブル・ホール》のどちらを採用するかについてですが、個人的には《ポータブル・ホール》を推します。《一時的封鎖》は複数枚のカードを巻き込めたり、召集のようにトークンで殴ってくるデッキには効果的ですが、ラクドス果敢などは1~2体のクリーチャーを強化して殴ってくるので、《一時的封鎖》である必要があまりありません。むしろ3マナという重さが致命的で、後手番で間に合わなかったり、盤面に並べながら《精鋭射手団の目立ちたがり》を計画され、《一時的封鎖》の返しで一撃でライフを削られてしまいます。《ポータブル・ホール》は1マナなので後手1ターン目に盤面に触りにいったり、打ち消しを構えながら3~4ターン目に唱えられるので、隙なく盤面を対処できます。というわけで、1ターン目の白マナがある程度確保できるのであれば、《ポータブル・ホール》がオススメです。オーラなど特殊なデッキが出てきたら変わるでしょうが、もし今週アゾリウスコントロールを使うならば、《ポータブル・ホール》を4枚採用するでしょう。アゾリウスコントロールは今ものすごく立ち位置が良いデッキです。ラクドスミッドレンジとロータスコンボには不利で、それ以外にはあらかた有利。特に最近台頭してきている5色エニグマを得意としており、そのエニグマがラクドスミッドレンジにかなり強いデッキなので、ラクドス自体の数が減りつつあります。天敵を食べてくれて、更にそのデッキを自分は簡単に倒せるのですから、アゾリウスコントロールとしてはエニグマ様様ですね。ロータスも赤系アグロを苦手としているので、数自体が大幅に増えることもないでしょう。今週間違いないデッキの1つはアゾリウスコントロールとなるでしょう。ミラーマッチ対策をお忘れなく。 蘇ったかつての王者 さて、そんなアゾリウスコントロールに強いデッキと言えばラクドスミッドレンジ。一時は《傲慢な血王、ソリン》から《血管切り裂き魔》を出す吸血鬼にお株を奪われていましたが、禁止改訂により、《思考囲い》と《鏡割りの寓話》を使うミッドレンジとしての立場を取り戻しました。 ラクドスミッドレンジ City Class Games Showdown VII :7位 By XandreB このリストは《ドロスの魔神》4枚かつ《変わり谷》が1枚に押さえられており、アゾリウスコントロールを意識した構成にはなっていませんが、それでも有利なのは間違いありません。そしてラクドスミッドレンジは、ただアゾリウスキラーというだけではありません。特に大きいのはラクドス果敢に強い点です。除去と手札破壊もさることながらクロックが速いので、ラクドス果敢側に立て直しの時間を与えません。これはサイドボード後の除去デッキに対するラクドス果敢のプランが機能しにくいことを意味します。たとえば《ウラブラスクの溶鉱炉》ですね。 その他にも、ラクドス果敢が対除去デッキに対して行うサイド後のゲームプランは、ある程度ロングゲームを想定しています。しかし、ラクドスミッドレンジは大量の除去でゲームを遅らせるだけではありません。除去で初速を潰してクロックを展開し、そのままライフを詰めてきます。今のラクドス果敢には、対ラクドスミッドレンジで有効なサイドカードが《熱烈の神ハゾレト》ぐらいしかないのです。ラクドスミッドレンジは、ラクドス果敢とアゾリウスコントロールの上位2つに強いデッキということになります。更に極端に相性が悪いデッキがほとんどない点も魅力です。手札破壊と除去とクロックがまんべんなく入り、サイドボードにそれぞれのマッチアップに更に強くなるので、ほぼ全方位を見れるデッキと言えます。唯一、エニグマだけは本当に苦手としており、当たったら即投了レベル。エニグマが少なければ、ラクドスミッドレンジは段々と増えていたことでしょう。サイドボードに目を向けると、やはりここもエニグマを意識していません。結局どのカードを入れても意味がないと判断したのでしょう。そしてそれはおそらく正しいと思います。《屍呆症》で《奇怪な具現》を抜いたとしても《豆の木をのぼれ》から重いスペルを連打されるだけで負けてしまいます。それならば《思考囲い》《強迫》から《鏡割りの寓話》《ドロスの魔神》で一瞬で勝つ方がまだ勝算があります。《碑出告が全てを貪る》は果敢対策として最近評価されているカード。ラクドス果敢は《戦慄衆の秘儀術師》と《立身+出世》があるので、実は墓地追放も無意味ではありません。《危難の道》、《兄弟仲の終焉》も合わせてかなり全体除去が多めですね。3マナの全体除去が多い中、異彩を放つのが《絶滅の契機》ですが、こちらは《熱烈の神ハゾレト》を触れるカード。果敢は奇数クリーチャーが多いので、《熱烈の神ハゾレト》がいない時は奇数を選択する場合が多いです。エニグマを避け続ければ優勝のポテンシャルが十分あるデッキだと思います。 意識されてもなお強い たびたび話題に挙がっているラクドス果敢。ブラジル地域チャンピオンシップではしっかり意識されていましたが、それでもトップ4に2人を送り込み、このデッキの地力の高さがうかがえますね。 ラクドス果敢 City Class Games Showdown VII :3位 By MARCOSHBF リストには大きな変化はないものの、ミラーを意識してメインに《致命的な一押し》と《無謀な怒り》が採用されています。それ以外に大きなリストの変化はありません。『ダスクモーン:戦慄の館』で《残響の力線》という新たなブン回りカードを手に入れた果敢アグロですが、既存のラクドス果敢には入りにくいと思います。《残響の力線》は初手にある時に2ターンキルパターンが増えるカードではあるものの、初手になかった時は無駄カードとなります。《照光の巨匠》が入ったボロス型ならば謀議で捨てられますが、ラクドスでは引くだけ損なカードです。《残響の力線》は《照光の巨匠》とセットで使うのがパイオニアでは定番になるかと思われます。謀議で捨てられるのはもちろん、《残響の力線》でコピーした呪文でも謀議が誘発するので、《照光の巨匠》と《残響の力線》2枚だけでもゲームに勝てると言っても過言ではありません。ここまで相性が良ければ《残響の力線》を置いた時のバリューも高いので、デッキに入れる価値があります。ラクドス果敢では《残響の力線》を引けなかった時のリスクはもちろん、引いた場合のリターンもさほど高くないと判断しての不採用だったのでしょう。サイドボードには《敵対するもの、オブ・ニクシリス》が採用されており、これは主にコントロール対策。その中でもアゾリウスコントロールに最も効果的な1枚です。能動的にクリーチャーを生け贄に出来るので《心火の英雄》を生け贄にしてダメージを飛ばしつつ、忠誠度の高い《敵対するもの、オブ・ニクシリス》のコピーを作る、という場面もあるかもしれませんね。《大群への給餌》も《一時的封鎖》を割れるカードなので、このラクドス果敢のサイドボードはアゾリウスコントロールを強く意識しているのがうかがえます。どれだけ意識されてもしっかり勝ち切る確かな実力を持つラクドス果敢は、今週もオススメのデッキの1つです。使わない方はしっかり対策しましょう! ボーナストピック もし今週ラストチャンス予選に出るならこの75枚にします! ゆうやんアゾリウス

【週刊メタゲーム通信】グルールアグロでスタンダードが壊れる!?

Standard ピックアップ

2024.10.01

mtg Yuyan

こんにちは。 細川 侑也(@yuyan_mtg)です。 毎週、最新のメタゲームをデッキリストと共にお届けするこの記事。今回は新セット発売後、最早恒例となった大会『蒼紅杯 ~ダスクモーン:戦慄の館~ Izzet Explosive Experiment Event』から最新スタンダード環境をご紹介していきます! 【速報】スタンダード、壊れる。 まとめサイトならこんなタイトルがつけられるに違いがありません。長いことマジックをやっていますが、2ターンキルが可能なスタンダード環境は今までなかったと思います。《ティボルトの計略》で2ターン目に《星界の大蛇、コーマ》を出して「2ターンキルだ!!」とはしゃいでいた記憶はありますが、あれも実質2ターン目に勝利するだけでした。このデッキは正真正銘の2ターンキル。相手のライフを0にしてしまいます。 グルールアグロ 蒼紅杯:優勝 By AKINARI Shimokawabe その方法は簡単。まずはゲーム開始時に《残響の力線》を設置。そして1ターン目に《騒音の悪獣》をキャスト。 2ターン目に《巨怪の怒り》を唱えて+2/+0の修正がコピー合わせて2度入り、その後役割で+1。更に《裏の裏まで》を唱えると+3修正が2回入る。これでパワーへの修正は+11になるので12点。《騒音の悪獣》を生け贄にして本体に12点で2ターンキル。《裏の裏まで》を2回打っても+12、《巨怪の怒り》2回なら+9なので、どの組み合わせでも2ターンキルは可能です。 《裏の裏まで》+《無感情の売剣》でもパワー7+《無感情の売剣》7点+死亡時の7点で21点が飛びますね。1ターン目が《心火の英雄》でも2ターンキルできます。こちらは2ターン目に《巨怪の怒り》か《裏の裏まで》の後に《無感情の売剣》が必須となります。 このように、《残響の力線》があると複数のパターンによる2ターンキルが発生します。2ターンキルばかりが目立ちますが、ベースはグルール果敢。前環境から強力と言われていたデッキで、ただでさえ不安要素の1つだったマナベースが《ソーンスパイアの境界》で解消されました。決して《残響の力線》を初手に置けなければ勝てないデッキではなく、元々強いデッキに2ターンキル要素が加わった、と言った方が正しいでしょう。サイド後は2ターンキルを警戒して除去を大量に増やしてきたのに合わせて、《残響の力線》をすべて抜いて《ウラブラスクの溶鉱炉》に入れ替えたりなど、デッキのベースの強さを活かしたサイドプランも可能です。新環境はまずこのグルール果敢を攻略するところから始まりますね!それぐらい完成度の高いデッキです。 生け贄がキーワードのアグロデッキ お次に紹介するのは、最近MTGアリーナでにわかに増え始めているラクドスサクリファイス。 ラクドスサクリファイス 蒼紅杯:7位 By MrCrocodile 《悪意ある呪詛術士》は1マナ3/2と破格のスペックを持つクリーチャーですが、戦場に出た時に呪われし者・役割をつけなければなりません。つまり実質1マナ1/1。このエンチャントを《腐敗口のバイパー》や《甦りし悪夢、ブレイズ》、《不穏な笑い》などで生け贄に捧げてしまおうというのがラクドスサクリファイス。特に新カードの《不穏な笑い》は、エンチャントを生け贄にして2ドローして、自身が生け贄に捧げられた時に戦慄予示と、このデッキにおいてはアドバンテージ源の塊。実質2マナ2ドローに2/2のクリーチャーがついてくる超良カード。《悪意ある呪詛術士》から《不穏な笑い》、3ターン目に《甦りし悪夢、ブレイズ》と回った時は凄まじい速度で相手のライフを攻めつつリソースも獲得していきます。地味ですが、《機械仕掛けの打楽器奏者》も『ダスクモーン:戦慄の館』で登場したサクリファイス向けのカード。パイオニアで採用されていた《不運な目撃者》に近い性能ですが、この可愛い猿の玩具はめくれる枚数が1枚になった代わりに、次の自分のターン終了時までそのカードを使用できるので、2ターン目に《不穏な笑い》で生け贄に捧げた場合でも、追放したカードを使用できる可能性が高いです。このリストには採用されていませんが、《倉庫の虎猫》を入れたバージョンも見かけたことがあります。エンチャントが大量に墓地に落ちるこのデッキと相性が抜群で、生け贄に困らなくなります。ちなみに役割が同じクリーチャーにかぶった時もエンチャントが落ちてトークンが出たりします。最初にやられた時はびっくりしました。サクリファイスのポテンシャルは今大会でのトップ8入賞で証明されました!ここからの活躍に期待したいアーキタイプです。 コントロールの兆候 ジャパンオープンを制して話題となったボロスコントロール。その中核を担うエンジンが《ウラブラスクの溶鉱炉》と《世話人の才能》でした。 一度設置すればクロックを生み出し続ける《ウラブラスクの溶鉱炉》と毎ターンアドバンテージを稼ぐ《世話人の才能》。これらが揃うと、何もせずに毎ターン攻撃しながらカードが引ける。寝ているだけで毎月給料が振り込まれる夢の生活が送れるのです。そんなボロスコントロールは『ダスクモーン:戦慄の館』に住まう大主によって進化を遂げました。 ナヤコントロール 蒼紅杯:6位 By Dengekidaikon 大主たちはいずれも戦場に出た時にトークンを生み出すので、《世話人の才能》のバリューは更にアップ。 特にカードが今まで以上に引きやすくなった上に、トークンを生成する能力で《ホーントウッドの大主》が生み出す土地をコピーできるので、更なるマナ加速が可能となりました。《ミストムーアの大主》は攻める大主。本体が出るまで時間がかかりますが、それを利用できるのがナヤコントロール。最初に出すトークンはブロッカーになり、相手が攻め手を追加したところで《太陽降下》。更地の場に《ミストムーアの大主》が降り立つこととなります。この大主たちと相性抜群なのが《豆の木をのぼれ》。マナ総量が5以上のカードを唱えるとカードが引けるこの能力は、大主を兆候した際にもしっかり誘発してくれます。《力線の束縛》に2種の大主と、このデッキではたくさんの方法で脱法豆の木(※《豆の木をのぼれ》を軽いカードで誘発させること)が行えます。最近は緑の《豆の木をのぼれ》、白の《世話人の才能》でアドバンテージが稼げるので、ドローの色である青を使わないコントロールデッキも増えてきました。青の入っているコントロールは打ち消しを採用しますが、非青の場合はその枠を除去にすることが多く、コントロールミラーでは弱い一方、ビートダウンには強いのが特徴。グルール果敢が増えていくことが予想されるため、それを食うために、このナヤコントロールのようなアプローチのデッキもどんどん出てくるでしょう。《残響の力線》ビートダウンの猛攻を止められるのはコントロールだけかもしれません!

【新環境ピックアップデッキ】マーフォーク/ヨーグモス/イゼットウィザード

Modern ピックアップ

2024.09.27

mtg Yuyan

こんにちは。 細川 侑也(@yuyan_mtg)です。 本日は最新セット『ダスクモーン:戦慄の館』の発売日! 昨日に続いて、『ダスクモーン:戦慄の館』の新カードを採用したデッキを紹介していきます!今回はモダン編! マーフォーク モダンリーグ:5-0 By LordMajicus 黎明期から存在し、その美しい容姿も相まって、マジック界でも屈指の人気を誇る海の戦士たち。かつてはレガシーで一線級のデッキで、今もモダンで時たま活躍しています。ドラゴンや人間などと違い、マーフォークは毎セットにほぼいるというわけではないので、新セットで必ずアップデートされるわけではありませんが、最近はたびたび強化が入っています。《マネドリ》は『ブルームバロウ』で入った強力なコピーカード。《アトランティスの王》《真珠三叉矛の達人》を並べて全体を強化していくアグロデッキなので、これらのロードをコピーするのが主な《マネドリ》の役割です。『モダンホライゾン3』から加わった強力なマーフォークの《海の先駆け》も紹介しないわけにはいきませんね。《血染めの月》の《島》版を内蔵するマーフォーク、最初はマーフォーク使いたちの作ったオリカかと思いました。《真珠三叉矛の達人》などのロードはマーフォークに島渡りを付与するので、他のデッキの使う多色土地対策の《海の先駆け》と違い、マーフォークたちがブロックされなくなるおまけつきです。そして『ダスクモーン:戦慄の館』からは《フラッドピットの溺れさせ》が採用されています。2マナ2/1瞬速で、戦場に出た時にクリーチャ―をタップして麻痺カウンターを置く。《マーフォークのペテン師》のようなクリーチャーですね。更に2マナを支払うことでそのクリーチャーをライブラリーに戻せるので、実質除去として機能します。これまでのマーフォークが持っていなかった完全除去クリーチャーがついに登場したのです。ライブラリーに戻してしまうので、エスパー御霊のようなデッキにはただ除去してしまうより強力。死んだら吊り上げられてしまいますからね。マーフォークとしては珍しく警戒がついているので、麻痺カウンターを置く能力と合わせて、ライフレースを先行する上でとても重宝するカードでしょう。マーフォークは《島》を渡ってくる関係上、ノーガードの殴り合いになりがちですからね。ついに確定除去まで手に入れたマーフォーク、エネルギーの海を泳ぐことはできるのでしょうか? ゴルガリヨーグモス 《スランの医師、ヨーグモス》で不死クリーチャーを生け贄にして無限コンボで勝利する、クリーチャーによるコンボデッキ。 モダンリーグ:5-0 By Manas235 《若き狼》2体と《スランの医師、ヨーグモス》が戦場にいる状態で、まず《若き狼》Aを生け贄にし、今度は不死で戻ってきた《若き狼》Aに、《若き狼》Bを生け贄にマイナスカウンターを置く。するとプラスとマイナスのカウンターが相殺され、《若き狼》Aはまっさらな状態に。同じように今度は《若き狼》Bのプラスカウンターを取り除き……これで自分のライフがある限り、《スランの医師、ヨーグモス》でドローし続けることができます。《血の芸術家》がいれば生け贄に捧げるたびにライフを得て相手だけ1点ずつ失うので、そのまま勝利。《スランの医師、ヨーグモス》がコンボパーツでありながら、必要なカードを探しにいけるので、極度に《スランの医師、ヨーグモス》に依存したコンボ。それゆえに《召喚の調べ》とあわせた8枚体制で、絶対に戦場に《スランの医師、ヨーグモス》を出せるようにしています。このデッキは《アガサの魂の大釜》で大幅なアップデートを受けました。今までは《スランの医師、ヨーグモス》が戦場にいる必要がありましたが、《アガサの魂の大釜》で《スランの医師、ヨーグモス》を追放すれば、+1カウンターが乗ったクリーチャーはすべて《スランの医師、ヨーグモス》の能力を持つので、カウンターの乗った不死クリーチャーが《スランの医師、ヨーグモス》になってくれます。更にデッキのもう1つの強みだった「コンボを決めないで勝つゴルガリアグロパターン」も《アガサの魂の大釜》で強化されました。《アガサの魂の大釜》で《飢餓の潮流、グリスト》を追放することにより、プラスカウンターが置かれているクリーチャーがすべて《飢餓の潮流、グリスト》になるので、1ターンで大量のトークンを生み出していき、それだけでも勝てるマッチがあるぐらいでした。そんなヨーグモスに今回入ったのが《永劫の活力》。自軍クリーチャーがすべて好きな色のマナを生み出せるようになるのですが、これによってコンボが更に容易になりました。クリーチャーが大量に入っているので、ただ出すだけでも行動回数が増えますし、《絡み根の霊》は速攻を持っているので、戦場に出たターンでもタップしてマナを生み出せるようになります。これがどういうことかというと、《スランの医師、ヨーグモス》によって生け贄に捧げて、不死で戻ってきた時にマナを出せるので、マナが全くない状態からでも《若き狼》《スランの医師、ヨーグモス》《絡み根の霊》で勝てるようになったのです。《絡み根の霊》でマナを出して生け贄に捧げて不死で蘇り、再びマナを出してから《若き狼》を生け贄にしてカウンターを取り除き、再び《絡み根の霊》を生け贄に捧げる。先ほど説明したこの不死ループ中にマナを増やせるので、大量のドローで《血の芸術家》か《召喚の調べ》を引けばそのまま唱えられるようになりました。これまではマナが一切ない状態では、大量ドローはできるが、その先がなく、手札をパンパンにしてエンドするしかなかったのですが、《永劫の活力》によってターンを返さずに確殺できるようになったのです。《オークの弓使い》や不死クリーチャーなど、クリーチャーが横並びして除去されにくいデッキなので、それらからマナを生み出せる《永劫の活力》はうってつけ。しかも自身は死亡時にエンチャントとして戻ってくるので、とりあえず《スランの医師、ヨーグモス》で生け贄にしてリソースにしてもOKと至れ尽くせり。新たな動きが可能になったヨーグモス、試してみたいですね。 イゼットウィザード 最後に紹介するのはイゼットカラーのコントロールデッキ。 モダンリーグ:5-0 By SvenSveeterSven デッキのベースは打ち消しと除去とキャントリップで構成されたコントロール。それだけ見ればイゼットマークタイドのようですが、《ドラゴンの怒りの媒介者》や《濁浪の執政》は採用されていません。その代わりに入っているのが《瞬唱の魔道士》と《稲妻罠の教練者》。先の2枚のように攻撃性能は皆無な可愛いやつらですが、フラッシュバックで除去やドローを使い回したり、ライブラリーを掘り進めていきます。これらがウィザードなので、《アノールの焔》との相性も良し。そしてここに『ダスクモーン:戦慄の館』からの新戦力、《永劫の好奇心》が加わりました。《永劫の好奇心》は様々なフォーマットで注目されているカード。クリーチャーがプレイヤーにダメージを与えるたびにドローするカードは、《タッサの二叉槍》など、その能力だけでも採用する価値があるほど強力。にも関わらず、《永劫の好奇心》は瞬速と4/3のボディに加えて、死亡してもエンチャントとして戻ってくるのです。さすがに破格の性能すぎますね。クリーチャ―の数こそ少ないこのデッキですが、デッキ内のクリーチャーはすべて戦場に出た時に一旦の仕事を終えているので、相手視点では除去したくありません。しかし、《永劫の好奇心》がある以上は倒さざるを得ない。そうやってカードの交換を繰り返していけば、必然的に手札をどんどん増やしているこちらが有利になるという、古き良きマジックを楽しめる、そんなデッキ。特にサイドボード後は相手はやりづらいでしょう。クリーチャーは数少なく、しかもどれも除去する価値がないのに、除去を抜けば《永劫の好奇心》でカードを引かれてしまいます。このデッキを使用して5-0したプレイヤーは、「《永劫の好奇心》を2枚しか持っていなかったが、3枚目があれば入れたい」と言っていました。それほど《永劫の好奇心心》は強かったのでしょう。スタンダードでも《永劫の好奇心》の姿を見かける機会は多いですし、もしまだお持ちでないなら、早めに揃えておいても損はないかもしれませんね!

【新環境ピックアップデッキ】5色エニグマファイアーズ/5色オーラ/ジャンド果敢

2024.09.26

mtg Yuyan

こんにちは。 細川 侑也(@yuyan_mtg)です。 いよいよ明日9月27日(金)は最新セット『ダスクモーン:戦慄の館』の発売日! 一足先にマジックオンライン・MTGアリーナではこの最新セットを遊ぶことができます。 というわけで今週のピックアップデッキは、2日にわたって『ダスクモーン:戦慄の館』の影響を大きく受けたデッキたちをご紹介していきます! 本日はパイオニア! 5色エニグマファイアーズ パイオニアリーグ:5-0 By DB_MasonClark エンチャントを生け贄に、ライブラリーからそれよりマナ・コストが1大きいクリーチャーを戦場に出す《奇怪な具現》。パイオニアでも時折メタゲーム上に現れており、昨年はチャンピオンズカップファイナルで準優勝を収めました。《豆の木をのぼれ》が登場して以降は、5色のミッドレンジ・コントロールの枠は《白日の下に》擁する5色ニヴにとってかわられてしまった感がありますが、『ダスクモーン:戦慄の館』で再びエニグマファイアーズは復権するかもしれません。そう、何を隠そう『ダスクモーン:戦慄の館』はエンチャントにフューチャーしたセット。強いエンチャントが出れば《奇怪な具現》はその分だけ強くなるのです。まずはこのセットの目玉、大主サイクルから見ていきましょう。緑の大主、《ホーントウッドの大主》はマナ加速を行うエンチャント。出てくる土地はすべての基本土地を持っているので、これ1枚で版図を達成させることができます。エンチャントとして場に出して《奇怪な具現》で6マナのクリーチャーをサーチできるのはもちろん、逆に4マナのエンチャントを生け贄に戦場から現れてきます。これは大主サイクルに共通していますが、大主たちは兆候コストで軽く出せるので、《奇怪な具現》で生け贄にして突然マナコストが高いカードをサーチできるのが大きな魅力です。更に《奇怪な具現》で生け贄・サーチの両方が可能と、大主は《奇怪な具現》のために生まれてきたようなカードです。《ボイラービルジの大主》は好きな対象に4点を飛ばせる優れたクリーチャー。こちらはマナコストが6なので、生け贄にして《偉大なる統一者、アトラクサ》をそのまま戦場に呼び出せます。本体性能が高いのでサーチ先としても魅力です。《奇怪な具現》で《ホーントウッドの大主》を生け贄に《ボイラービルジの大主》を呼び出す大主リレーも見れます。《ボイラービルジの大主》を生け贄にして戦場に出す6マナ域をデッキに無理に入れる必要がないのは地味に大きいポイントですね。なるべくデッキに重いカードは入れたくないですが、何枚かはデッキにないと《奇怪な具現》のバリューが落ちます。4マナでとりあえず唱えられる《ボイラービルジの大主》はぴったりな6マナ域です。そして忘れてはならないのが《逃げ場なし》。エニグマファイアーズは序盤に相手に干渉できる手段が《力線の束縛》ぐらいしかなく、ラクドス果敢など早いデッキの多いパイオニア環境には少し適していませんでした。このエンチャントとして置ける除去の加入でアグロ耐性もついています。しかもサーチ先は《スカイクレイブの亡霊》なので、徹底的に盤面に干渉していきます。3マナの有用なカードが増えたので、サーチ要因として《永遠の策謀家、ズアー》が採用されているのも面白いですね。兆候状態の大主サイクルに能力を使うことで無理やり起こせたり、《力線の束縛》で突然6点パンチなど、3マナながら器用なヤツです。忘れてしまうところでしたが、『ダスクモーン:戦慄の館』で新しく刷られた2色土地もこのエニグマファイアーズを助けています。5色をしっかりと回すには大量のショックランドの他に、《陽花弁の木立ち》などのチェックランドが必要でした。それゆえに3色土地のトライオームを引けなかった時には、タップイン地獄となること必至。それだけで敗北に直結するほどでした。しかし、そのチェックランドのほぼ上位互換となるのが今回の『ダスクモーン:戦慄の館』の土地たち。《陽花弁の木立ち》は《森》か《平地》があればアンタップで出てくる2色土地で、《ハッシュウッドの境界》はいつでも緑マナを出すことができ、《森》か《平地》があると白マナも生み出せます。条件なくアンタップインする緑マナである《ハッシュウッドの境界》がいかに優れているかわかりますね。チェックランドによるタップインはなくなります。その分、確定で2色全てが生み出せるわけではないので、この新しい土地や基本土地だけを複数枚引き続けた場合は、色マナが不便になってしまいます。上位互換というわけではありません。とはいえ、タップインで苦しむことはなくなったので、土地周りの改善は凄まじいと言えます。エニグマファイアーズ、パイオニアのメタゲームに再び戻ってくるには十分な強さになっているはず!今後のアップデートに期待ですね。 5色オーラ 奇しくも次に紹介するのも5色デッキ…ですがこちらはエニグマファイアーズとは全く別の5色。そう、オーラデッキです。 パイオニアリーグ:5-0 By DB_yoman5 5色と言ってもベースは白緑の2色で、青はサイドボードのみ。黒と赤はライブラリーからサーチしてくる2枚のカードのみです。クリーチャーにエンチャント・オーラをべたべたと張り付けてビートダウンするデッキで、パイオニアでは長い歴史を持ち、プレイヤーズツアー・名古屋でメタ外から突然準優勝を収めました。かつては《上級建設官、スラム》を出してリソースを取っていくデッキでしたが、このリストでは採用されておらず。同じく近年のオーラデッキの主戦力だった《皇の声、軽脚》だけが入っています。なぜ今オーラデッキなのか?その答えはクリーチャーにはありません。答えはエンチャント欄にあります。『ダスクモーン:戦慄の館』で登場した超強力なオーラがあるのです。それが《幽霊による庇護》。戦場に出た時に土地以外のパーマネントを、これが戦場に離れるまで追放する、いわゆる《忘却の輪》系除去。……だけでなく、エンチャントしているクリーチャーに+1/+0修整と絆魂と護法(2)を付与します!正直、最初にこのカードを見た時、強すぎて誤訳したかと思ったぐらいです。テキストを3回ぐらいリアルに読み返しました。オーラデッキは自分の動きは強力でも相手への干渉手段がなく、それがデッキの弱点でもありました。単なる除去を入れても自身の動きが悪くなってしまいます。それが《幽霊による庇護》ならどうでしょうか?強化と保護と追放を1枚で行えてしまうのです。そしてこのオーラがデッキから出てくるのが恐ろしいところ。 《皇の声、軽脚》がいれば、《きらきらするすべて》を唱えて《幽霊による庇護》が出てきますし、《幽霊による庇護》から《きらきらするすべて》のパターンもあります。《幽霊による庇護》で絆魂が付くので、《きらきらするすべて》と合わせることで一気にゲームを逆転させてくれるでしょう。《破片魔道士の救出》も今回登場した強力なオーラ。戦場に出たターンだけエンチャント先に呪禁を付与する+1/+1オーラ。これまでクリーチャーを守る手段として《ケイラメトラの恩恵》が採用されていましたが、それがオーラになったことで《皇の声、軽脚》のバリューは更に上がりました。インスタントタイミングで戦場に出るので《皇の声、軽脚》が突然《天上の鎧》で大きくなったりなど、これまでにはなかった動きができるようになりました。実はクリーチャーにも新戦力が追加されています。《呑気な物漁り》はエンチャントが戦場に出るたびにクリーチャーを強化する1マナクリーチャー。《気前のいい訪問者》と似た性能に見えますが、戦場に出るたびに能力が誘発するので、《皇の声、軽脚》からオーラを出した時にも好きな対象を強化できます。新カード満載で超強化されたオーラ、特にラクドス果敢のようなアグロデッキには《幽霊による庇護》を引くだけでかなり有利になるでしょうし、今後メタゲームを牽引する存在となっても不思議ではありませんね。 ジャンド果敢 さて、そんなラクドス果敢も『ダスクモーン:戦慄の館』で進化(?)を遂げています。 パイオニアリーグ:5-0 By Brickmaster2 《心火の英雄》や《熾火心の挑戦者》に強化スペルを打ち込んで《無感情の売剣》でフィニッシュする超高速アグロ、ラクドス果敢。何度も本メディアで紹介してきたこのデッキに、新たな1枚が加わりました。それが《残響の力線》です。初手にあるとタダで戦場に出せる力線サイクルの新たな1枚は、ラクドス果敢と非常に相性の良いカード。自分のクリーチャー1体だけを対象としている呪文を唱えると、それをコピーできます。つまり《タイタンの力》も《巨怪の怒り》も全部2倍!恐ろしい打点を叩き出します。これにより0ターン目《残響の力線》、1ターン目に《心火の英雄》、2ターン目に《巨怪の怒り》で7点。《無感情の売剣》で本体に7点、《心火の英雄》で7点の2ターンキルができるようになりました!!しかもお気付きでしょうか?このコンボ、スタンダードでもできるようになっています。恐ろしい、《残響の力線》。 ちなみに《無感情の売剣》は《残響の力線》でコピーされないのでお気をつけください。(クリーチャーとプレイヤーの2つを対象に取っているためです)新しく入ったパンプスペルも紹介しなければなりませんね。《裏の裏まで》は+3/+0の修整を与えるインスタントで、そのクリーチャーがこのターンに死亡すると戦慄予示を行えます。ただ強化するもよし。強化して相打ちを取っても新たなクリーチャーがライブラリーの上から供給されるので、結構便利なカードです。個人的には《タイタンの力》に匹敵、あるいはそれよりも強いカードだと思っています。《心火の英雄》はよく死亡するので、相打ちして新たなパンプ先を供給できるのは強力です。今後この《裏の裏まで》はラクドス果敢に標準搭載されていき、枚数も徐々に増えていくのではないかと予想します。全体除去に耐性がつくのも地味に良いポイントですね。このリストはジャンドカラーですが、緑が増えたことでさほど変わった部分はありません。サイドの《毒を選べ》はエンチャント、とりわけ《一時的封鎖》を意識したものだと思われます。アゾリウスコントロールの《一時的封鎖》は天敵ですからね。ついに2ターンキルを可能にしたラクドス果敢。とはいえ、《残響の力線》は爆発力の反面、リスクもすさまじいカード。このデッキでは初手になければほぼ無駄牌になってしまいます。今後デッキがどのような方向性で調整されていくのか楽しみですね。

【週刊メタゲーム通信】エネルギーに立ち向かうコントロールとエルドラージ

Modern ピックアップ

2024.09.25

mtg Yuyan

こんにちは。 細川 侑也(@yuyan_mtg)です。 毎週、最新のメタゲームをデッキリストと共にお届けするこの記事。今週はモダンの最新メタゲームを追っていきます! エネルギー環境にやってきたコントロール 先週末もモダンの大会はエネルギーが勝ち組に。特にこの週は純正2色のボロスエネルギーがチャレンジを4連続で優勝(!)しており、バントナドゥを思わせる勝率の高さです。この要因の1つは、環境的に《血染めの月》《一つの指輪》が強くなってきたことがあげられるかもしれません。エネルギーメタとしてジェスカイなどの多色コントロールが増え、それらに強い《血染めの月》《一つの指輪》をメインから採用できるボロスが勝ち上がったのではないでしょうか。特に《血染めの月》はアミュレットタイタンなどの土地コンボ、《ウルザの物語》が入った3色のティムールブリーチなど、様々な相手に強く、先週最も強い1枚だったかもしれません。 ジェスカイコントロール さて、まず紹介するのは既に名前も挙がったジェスカイコントロール。 モダンチャレンジ:2位 By MarcoBelacca95 ベースとなるのはプロツアー・モダンホライゾン3でハビエル・ドミンゲス選手がトップ8入賞を果たした、ピッチスペルを大量に採用した型。 既に3か月経過して未だにこの時のリストがベースなのですから、完成度の高さがわかりますね。2種類のインカーネーションに《否定の力》の合計11枚のピッチ呪文と《空の怒り》《電気放出》のエネルギー除去で盤面をコントロールし、《一つの指輪》でリソースを回復するというのがこのジェスカイコントロール。アドはンテージを取る手段は《一つの指輪》に頼り切っている……どころか他にドロースペルはほぼ入っていません。ジェスカイエネルギーコントロールの定番だった《語りの調律》すら0枚です。こうなると《一つの指輪》が引けない時が怖いのですが、それを解決する手段は土地にあります。そう、《記念碑的列石》です。ライブラリーの上から5枚を見て歴史的なカードを手札に加えられるので、《一つの指輪》を探しにいけるのです。ちなみに《火の怒りのタイタン、フレージ》や《水辺の学舎、水面院》も拾えます。《呪文嵌め》は今最も強力な打ち消しの1つかもしれません。ボロスエネルギーの強力なアクションは《色めき立つ猛竜》《ナカティルの最下層民、アジャニ》《ゴブリンの砲撃》と2マナに集中しており、特に後手で《呪文嵌め》を持っているかはかなり重要なのです。……2マナのアクションが強いと言いましたが、《魂の導き手》《オセロットの群れ》《敏捷なこそ泥、ラガバン》も十分ですがね。ボロスエネルギー、やはり強さがおかしい。とはいえ、《呪文嵌め》をケアして1マナを並べてきたら《空の怒り》がありますし、ジェスカイコントロールは《オセロットの群れ》を比較的苦にしないデッキではあります。除去、打ち消し、フィニッシャーのすべてが超一流のジェスカイコントロール。メタが完璧に固まった今こそ、手に取る時が来たかもしれません。 エレメンタル軍団、来る さて、お次も分類上はコントロールですが、ジェスカイから1色足しただけでだいぶ見た目の変わったデッキ。 4cエレメンタル モダンチャレンジ:2位 By RespectTheCat いわゆる4cオムナスというものですが、そこに更に《発現する浅瀬》が入り、エレメンタルシナジーが強くなっています。《発現する浅瀬》はエレメンタルが戦場に出るたびにライブラリ―トップを見て、それが土地なら場に、そうでなければ手札に加えられるすごいクリーチャー。《緻密》《孤独》を0マナで唱えると手札を消耗しますが、《発現する浅瀬》が戦場にいればカードを供給してくれるので、実質打ち放題(?)です。アドバンテージ獲得手段として《発現する浅瀬》は優秀なので、《一つの指輪》への依存度が気になる方は、こちらのリストもおすすめです。面白いのは《記憶への放逐》のメイン採用。 流行のエルドラージに対して完全回答なだけでなく、想起で唱えたエレメンタルの誘発型能力を打ち消すことで、そのまま戦場に残すことができます。手札は大量に使いますが、最速1ターン目に《孤独》が着地することも。 手札をかなり消耗するのでまずこのプレイはしませんが、《発現する浅瀬》が戦場にある時はやる場合もあります。 ジェスカイコントロールでも、手札から唱えた《火の怒りのタイタン、フレージ》に《記憶への放逐》を打って場に残す使い方ができますね。 かつてモダンを席巻していた《創造の座、オムナス》は、最近は鳴りを潜めていましたが、今の環境では強いのかもしれません。エネルギーに対して生き残ればまず勝つでしょう。《電気放出》で倒されてしまうのだけは残念ですが、それでもドローとライフゲインを兼ね備えるこのカードは、アグロからしてみれば悪夢そのものです。 先ほどのジェスカイと同様、11枚のピッチスペルが入っている4cエレメンタル。この2つのデッキを見ると、今のモダンがいかに早い環境か伝わってきます。0マナで対応するカードがないと、コントロールは最早成立しないと言っていいかもしれません。同じピッチスペル大量のデッキなら、個人的にはジェスカイより4cエレメンタルの方が好みかもしれません。やはり《一つの指輪》にリソース手段を頼り切ってしまうのは不安ですし、相手もプレイやサイドボードが簡単になってしまいます。ジェスカイと戦う際は多少コントロールされてしまっても、《一つの指輪》にさえ対処すれば段々と手札は枯渇していきます。そのため非常に攻めやすいですが、この4cエレメンタルに対しては除去を何枚残すか、除去を構えてターンを返すかなど、要所でプレイが難しくなります。それになんといっても《発現する浅瀬》はとても気持ちいいカードですからね。スタンダードの時にお世話になった方も多いのではないでしょうか?オムナスの強さを久しぶりに体感するにはぴったりのデッキかもしれませんね。 進化を続けるエルドラージ そして最後を飾るのは、何度か話題に出ていたエルドラージランプ。最近のエルドラージはなんとトロンランドを採用していません。 エルドラージランプ モダンチャレンジ:優勝 By Gerardo94 マナ加速できる土地は《エルドラージの寺院》と《ウギンの迷宮》のみなので、従来のエルドラージに比べて入っている呪文は全体的に軽め。昔あったエルドラージ系アグロとランプの中間といったところでしょうか。とはいえ、エルドラージならではの早いターンからのビッグアクションも健在です。《ウギンの迷宮》から1ターン目にタリスマンでマナ加速、2ターン目に4マナから《まき散らす菌糸生物》というブン回りが特に強力。同じムーブをするために《楽園の拡散》が採用されています。1ターン目に《楽園の拡散》から2ターン目の《エルドラージの寺院》で《まき散らす菌糸生物》が出せるのです。このデッキの良いところはなんと言っても、エルドラージ対策として機能していたサイドカードたちをほとんど無視できることです。《黒曜石の焦がし口》《減衰球》はほとんど効きません。《血染めの月》《海の先駆け》にも多少の耐性があります。普通のトロンと違って全体のマナ総量が低めなので、「《血染めの月》でマナがなくなって手札のカードを満足にプレイできない」事案がそこまで頻繁には発生しません。とはいえ、無色マナを出す手段が限られてしまうので、効かないわけではないのですが。《衝動のタリスマン》や《邪悪鳴らし》で出たトークンなどを有効活用する必要があります。《記憶への放逐》だけは本当に刺さってしまうのですが、それはもうエルドラージである以上仕方ないでしょう。同型において《記憶への放逐》以上のカードは存在しないので、このリストも青をタッチして採用してしまっているぐらいですからね。《エルドラージの寺院》《ウギンの迷宮》《衝動のタリスマン》《楽園の拡散》とこのデッキにはマナジャンプ手段が大量にあり、《邪悪鳴らし》で必要なカードにもアクセスでき、このエルドラージランプは非常に安定した動きができます。《三なる宝球》や《虚空の杯》など特定の相手に効くカードや、ただ土地だけを探す《探検の地図》も入っておらず、一貫性のある動きができるのも魅力の1つ。マナを伸ばして《まき散らす菌糸生物》《世界を壊すもの》で足止めして《一つの指輪》から最終的に《約束された終末、エムラクール》という流れは美しさすらあります。これまで抱いていたエルドラージへのイメージが大きく変わるかもしれませんね。

【今週のピックアップデッキ】ディミーアネズミ/ナヤエネルギー/モロフォンスリヴァー

Modern Standard

2024.09.20

mtg Yuyan

こんにちは。 細川 侑也(@yuyan_mtg)です。 今週のピックアップデッキでは、ちょっと珍しいデッキを、軽い解説を交えて紹介していきます。 ディミーアネズミ(スタンダード) スタンダード神挑戦者決定戦:優勝 By 吉田 悠太郎 先週末に行われたスタンダード神挑戦者決定戦。強豪プレイヤーも多数参戦するこのトーナメントを制したのはなんとディミーアネズミ!誰も予想できなかったネズミの快進撃に驚いた方も多いでしょう。もちろん僕もその一人です。さて、恐るべきネズミデッキの陣営を早速紹介していきましょう。まずは《ネズミの王、カルモニクス》。その名に恥じぬ活躍を見せてくれます。戦場に出た時にライブラリーの上5枚からネズミカードをすべて手札に加えることができるので、1枚で大量のリソースを確保できる可能性があります。ネズミに毒性を付与する能力も、本来低いネズミの打点を底上げしてくれます。ブロックされない《川岸の物あさり》《群青の獣縛り》との相性は中々のもの。《苦痛ある選定》の堕落達成を助けてくれるのも地味に嬉しいですね。序盤は堕落を達成しなくても問題なく、中盤以降で重いクリーチャーを倒したい時には毒3つを与えている可能性が高く、その時には万能除去として機能するというわけです。《しつこい湿地忍び》も非常に重要なクリーチャー。ネズミしか入っていないためそのサイズは非常に大きく、それが墓地から毎ターン帰ってくるとなれば脅威でしかありません。ネズミを大量に作る術もこのデッキにはあります。まずは既にスタンダードで採用実績のある《下水王、駆け抜け侯》。出たターンに1体、次のターンに1体とあっという間にネズミが横並びになる強力なクリーチャーです。更に『ブルームバロウ』から《情け知らずのヴレン》。リミテッドでは強力でお馴染みですが、出すトークンのサイズもネズミの数によって変わるので、このデッキでは非常に大きなサイズのトークンを生成できます。《群青の獣縛り》は単体で非常に強力なカード。攻撃時にアーティファクトやプレインズウォーカーやクリーチャーを能力のない2/2に変えてしまうので、特に触りづらい《ウラブラスクの溶鉱炉》を除去との合わせ技で対処できるのが大きいですね。メインボードには黒い除去のみ、サイドボードは大量のカウンターと、アグロデッキの多い今のスタンダードをしっかりと意識した作りになっています。そしてこのデッキは土地も実に強い!《蓮葉村》はドローの質を上げてくれる他、《しつこい湿地忍び》を墓地に落としたり、墓地を肥やしてスレッショルド条件も満たしやすくしてくれます。《しつこい湿地忍び》が帰ってくれば《蓮葉村》を起動できるようになるので、相性が良いですね。《泥干潟村》は言わずもがなリソース回復。《不穏な浅瀬》もしっかり4枚入っており、マナフラッドしづらい土地構成です。デッキ全体も軽く、非常に安定してデッキが動くようになっていますし、とても高い完成度を誇っています。今後のスタンダードでネズミがどこまで活躍していくのか楽しみですね。 ナヤエネルギー(モダン) モダンを牽引するエネルギーアグロ。幾度となく本メディアでも紹介してきました。《血染めの月》《一つの指輪》をメインに採用する純正ボロス、《オークの弓使い》《思考囲い》のマルドゥ、そして《マネドリ》で《オセロットの群れ》などを増やすジェスカイ。これまでのけもの扱いされてきた緑でしたが、ここにきてようやくナヤエネルギーが登場しました! モダンチャレンジ:3位 By Martin_Dominguez ナヤの魅力はなんといっても無限コンボです。《サッフィー・エリクスドッター》がそれを可能としてくれます。まず《サッフィー・エリクスドッター》を生け贄にして《改革派の結集者》を対象に取ります。その後、《ゴブリンの砲撃》で《改革派の結集者》を生け贄にし、相手に1点。《改革派の結集者》が《サッフィー・エリクスドッター》の能力で戦場に戻ってきて、戦場に出た時の能力で《改革派の結集者》が《サッフィー・エリクスドッター》を吊り上げます。この手順を繰り返すことで無限ダメージになります。《救出専門家》も《改革派の結集者》と同じことができるので、このデッキには実質6枚の吊り上げるクリーチャーが採用されています。このコンボの優れた点は、すべてのカードが単体で強力であることです。《サッフィー・エリクスドッター》はクリーチャーを守る能力のようなものなので、《オセロットの群れ》や《ナカティルの最下層民、アジャニ》といったマスト除去たちを戦場に生き残らせることができます。《改革派の結集者》と《救出専門家》もそれらのクリーチャーを戦場に戻せるため、特にお互いのクリーチャーを除去しあうミラーマッチにおいては、引けば引くだけナヤが有利になっていくでしょう。コンボパーツである《ゴブリンの砲撃》はエネルギーミラーで最もキーとなるカード。このデッキには4枚採用されており、これによりミラーマッチに強い構成となっているのがナヤエネルギーです。《出産の儀》もナヤで使える強力なエンチャント。2マナのクリーチャーを生け贄にして《改革派の結集者》《救出専門家》で戻す動きが基本。もちろんトークンを生け贄にして《オセロットの群れ》《魂の導き手》を出すだけでも強すぎます。これですべての3色のエネルギーが登場したわけですが、果たしてエネルギーはここから更に進化していくのでしょうか。 モロフォンスリヴァー(モダン) モダンリーグ:5-0 By Zoza この頃モダンでちょくちょく見かけるスリヴァーデッキ。これまでのスリヴァーのイメージは、大量のスリヴァーたちがそれぞれの能力で強化しあう……そんな美しい部族デッキでしたが、この5色スリヴァーはそれとは一線を画すものとなっています。まず目に留まるのは《限りないもの、モロフォン》。このカードは戦場に出た時にクリーチャ―タイプを指定し、そのタイプの呪文を唱えるコストを各色1つずつ軽減するというもの。色分しか軽減しないので、(1)(黒)のクリーチャーは(1)だけ支払う必要があります。逆に言えば、色はすべて軽減してくれます。最大で5マナを。5色のクリーチャーならなんと0マナで唱えられるということです。《初祖スリヴァー》も 《スリヴァー軍団》も 《巣主スリヴァー》も ぜーーーーんぶ0マナ!夢のようなカードです。とはいえそんな強い踏み倒しクリーチャーが軽いわけありません。《限りないもの、モロフォン》は7マナ。そんなマナを普通に出す余裕は今のモダンにはない。そこで登場するのが《傲慢な血王、ソリン》。《血管切り裂き魔》を3ターン目に呼び出した罪でパイオニアで禁止となったこのカードは、モダンでは《限りないもの、モロフォン》を出しています。そう、《限りないもの、モロフォン》は吸血鬼でもある多相クリーチャー!つまり最速3ターン目に《傲慢な血王、ソリン》→《限りないもの、モロフォン》→《初祖スリヴァー》から続唱→《スリヴァー軍団》から続唱、などといった恐ろしいブン回りができてしまうのです!この《限りないもの、モロフォン》をサーチするために《ウルヴェンワルド横断》が入っていたり、《邪悪鳴らし》《蓄え放題》もコンボパーツの足りない方を用意しつつ、墓地を肥やして昂揚を助けます。デッキリストだけを見ると非常にカオスに満ちているこのデッキですが、よく見るとしっかりと練られていることがわかりますね。《傲慢な血王、ソリン》で《血管切り裂き魔》を出すよりも気持ち良いかもしれません。パイオニアで病みつきになった方、モダンでもいかがですか?

GATTA new games 参加&新潟マジック旅行記

2024.09.19

mtg Yuyan

先週末は、新潟の燕三条で行われたパイオニアの大会「GATTA new games」に参加してきました!新潟の車&マジック好きメンバーで構成されたGATTAさんが主催となり、新潟出身者が多数所属しているOnogamesさんが協賛・全面協力し、たくさんの方からも協賛を受けて開催されました。 更にはTeam Cygames所属のプロプレイヤー・ストリーマーの市川 ユウキさんが本大会に招待されており、地方の草の根イベントながら70名を超える大盛況の大会となりました。その燕三条には友人の木原くんが住んでおり、以前から何度も「燕三条に行ってはご飯をただ満喫する」という特に目的のない旅行をしていた僕が、この大会に行かない手はありません!というわけで、福岡に行ってご飯をただ満喫する目的のない旅行を2週間ほど前にしていた僕は、木曜日に木原君と2週間ぶりの再会を果たしたのでした。(そう、福岡には木原君と行っていたのです) 木曜日:寺泊 燕三条から車で数十分の距離にある長岡市寺泊。「魚のアメ横」の名で親しまれており、海産物市場が軒を連ねる、活気ある観光地です。生鮮品はもちろん、加工品や冷凍など、あらゆる魚が安い安い!中でもお気に入りは焼き鯖。塩が効いていて最高でした。脂もしっかり乗っていて、一瞬で食べきりました。その後はお土産を見るつもりでぐるっと回り、気付いたらコシヒカリアイスなるものを食べていたり、安いお刺身盛り合わせを見つけたと思ったら次の瞬間にはテーブルでお刺身を広げていて……何が起きたのか自分でもわかりませんでした。寺泊は毎回燕三条に遊びに来るたびに行っているのですが、最高ですね。新潟に来たら寺泊には絶対に行きましょう! 金曜日:杭州飯店 そしてなんといっても燕三条に来る目的の一つが杭州飯店。皆さんは杭州飯店をご存知でしょうか?1933年創業、新潟5大ラーメンの1つである「燕三条背脂」の元祖とされているラーメン屋、それが杭州飯店です。木原くんの実家から徒歩で歩ける距離にあるそのラーメン屋は、いつ行っても行列となっている超人気店。その杭州飯店ですが、今年の5月に火災が起き、長く休業していました。8月に営業は無事再開し、以前にも増してお客さんが殺到しているとのことでした。いつもは営業時間の11時ごろに木原くんと並ぶのですが、事前情報として人が増えていると仕入れていたので、開店時間の20分前に並ぶことに。……が甘かった!10時40分には既に長蛇の列。いつも開店後にふらっと行ってもここまで並ぶことはなかったのですが、さすがの人気です。結局入店できたのは11時30分ごろ。ラーメンが運ばれてきたのは12時に差し掛かろうというところでしたが、一口すすった瞬間にそんなことはすべてどうでもよくなってしまいました。 極太の麺、いやこれはもはやうどんの域に達している極太麺は小麦の風味がしっかり楽しめ、その触感もモチモチ。背脂たっぷりの濃いスープから取り出して口に含むと言葉になりません。ものの数分で食べてしまい、そして杭州飯店のもう1つの名物でもある餃子もあっという間に平らげ、この日は大満足。 後は木原くんの家でずっとぐだぐだしていました。 土曜日:The Last Sun 2024予選 さて、ようやくマジックのお話です。土曜日は晴れる屋新潟店で行われたThe Last Sun 2024予選に参加。フォーマットはレガシーです。既に本戦出場権利は持っているので、この日はBye(不戦勝)と優勝賞品のプレイマット目的での参加。使用デッキはゴルガリクレイドルです。 ゴルガリクレイドル その名の通り、《ガイアの揺籃の地》から大量のマナを出してゲームに勝利するデッキ。《エルフの開墾者》《聖遺のワイト》で《ガイアの揺籃の地》をサーチできるので、ほぼ毎ゲーム《ガイアの揺籃の地》を場に置くことができます。《春心のナントゥーコ》などでクリーチャーを並べ、《ガイアの揺籃の地》で大量のマナを出し、《自然の秩序》や《緑の太陽の頂点》で《偉大なる統一者、アトラクサ》や《孔蹄のビヒモス》を出してゲームエンド。《ガイアの揺籃の地》を探す手段として土地サーチが大量に入っており、特に勝ち手段となるのは《ハイドラの巣》です。《ガイアの揺籃の地》で大量のマナを出して《ハイドラの巣》で勝つことも多く、相手の攻め手やブロッカーを排除する《マダラの鉤爪門》も非常に良い味を出していました。イタリアのプロプレイヤー、アンドレア・メングッチが先週の大規模トーナメントで使用し、8勝0敗1分の成績だったとのことで、レガシーのことをまったく知らない僕は、とりあえずそのデッキを使ってみるのでした。   Finished 1st in Swiss (8-0-1) so qualified for next year @EULegacyMasters ! 🥳🥳🥳 Played the same list I Top8ed @impactreturns1 with. What’s perfect doesn’t need to be changed! Thanks again to @hello_newton for the many videos and infos about this deck. 🤗#MTGLegacy pic.twitter.com/ZSrprLux7I — Andrea Mengucci (@Mengu09) September 8, 2024 本戦結果 デス&タックス 〇×〇ゴルガリリアニ 〇〇ディミーアリアニ 〇〇IDIDセレズニアデプス 〇〇優勝! 決勝の相手が権利不要ということだったので勝ちを譲っていただき、目的のByeとプレイマットを獲得。ゴルガリクレイドルはこの日初めて回したデッキだったのですが、想像よりも強かったです。特に《春心のナントゥーコ》がすごい!このカードだけで勝ったマッチがいくつもありました。《聖遺のワイト》に授与して《聖遺のワイト》を大量に並べる動きや、《忍耐》を増やして無限に墓地を攻め続けたり、そもそもトークンをたくさん作る行為が《ガイアの揺籃の地》を助けます。次にこのデッキを使うなら絶対に《春心のナントゥーコ》は4枚にするでしょう!   日曜日:GATTA new games ようやく本番!このために新潟まで来たのです!本戦はパイオニア。使用デッキはロータスコンボでした。 ロータスコンボ 今のパイオニアを語る上で欠かせないのはラクドス果敢の存在。最速3ターンキルの高速アグロながら、《戦慄衆の秘儀術師》や《立身+出世》などで粘り強い攻め方もしてくる、今パイオニアで最も強いと言われているデッキです。メインから《熊野と渇苛斬の対峙》を抜いたり、サイドに《ウラブラスクの溶鉱炉》を4枚入れて《一時的封鎖》や《致命的な一押し》を弱くさせるプランもしっかり機能し、半ばこれで決まり……と思いきや、友人から「パイオニア神に出たいからデッキを貸してくれ!」と連絡があり、このラクドス果敢はレンタル用に。そして手元に残ったのがもう1つの候補であるロータスコンボでした。ラクドス果敢に弱いロータスコンボがそもそも候補なことに違和感があるかもしれませんが、ラクドス果敢包囲網が敷かれた時は、ロータスコンボのチャンスでもあります。ラクドス果敢に強いデッキとしてまず挙がるのはセレズニアエンジェル。大量のライフ回復によって一瞬で瞬殺圏内から逃げられるこのデッキは、ラクドスの天敵で、サイドボードに《暴れ回るフェロキドン》を入れさせるほどです。他にはアゾリウスコントロールも比較的ラクドス果敢に強いデッキ。《一時的封鎖》《跳ねる春、ベーザ》、サイド後は《痛烈な一撃》と徹底的に赤いデッキをメタることができます。これらのラクドス果敢に有利なデッキに対して、ロータスコンボは非常に強いのです。ラクドスが多いなら失敗、ラクドスを意識したデッキが多いなら成功。今回ロータスコンボを持ち込むのは賭けでした。ラクドス果敢をメタる側、アゾリウスコントロールを使う気にはなれませんでした。アゾリウスコントロールは確かにラクドスに強いですが、それは一部のカードが強いだけ。それらを引かなければ一瞬で負けてしまうので、そもそも安定して勝てるわけではありません。《喝破》と《ドビンの拒否権》を後手で抱えて《心火の英雄》と《熾火心の挑戦者》に殴られ続けるのは容易に想像できますからね。ラクドス果敢に安定して勝つのは難しいと判断しました。それならば「ラクドス果敢に強いデッキたちに楽に勝てるロータスコンボを持ち込もう」というのが今回の考えだったのです。 本戦結果 セレズニア天使 ×〇〇ボロス召集 〇〇ラクドス果敢 〇×〇ラクドスミッドレンジ 〇××イゼットフェニックス 〇〇イゼットフェニックス 〇〇ID5色ニヴ 〇×〇ラクドス果敢 〇×〇アゾリウスコントロール 〇〇優勝! 序盤からボロス召集、ラクドス果敢と踏んで「失敗だったか……」と後悔するも、ラスト2連戦で有利マッチのイゼットフェニックスを倒してトップ8。決勝ラウンドはラクドス果敢が1人で完全にロータスコンボのフィールドでした。準決勝で当たってしまうも辛勝をおさめ、それ以外は相性差で無事勝つことができました。ラクドス果敢は予想より多かったものの、アゾリウスコントロールやイゼットフェニックスも多く、それらのデッキがしっかりラクドス果敢を倒していたため、ラウンド後半になればなるほどロータスコンボが勝ちやすいメタゲームになっている印象でした。ラクドス果敢に2回勝てたのは完全に運でした。予選ラウンドでは1枚差しの《一時的封鎖》を引いてメイン戦を勝利し、3本目は相手の回りがかんばしくなく。準決勝では《樹上の草食獣》《跳ねる春、ベーザ》の初手をキープして3ターン目に着地させ、《天上都市、大田原》でそれをバウンスして使い回したりして時間を稼ぎ、最終的には素引きした《全知》から《出現の根本原理》を打って勝利。とにかくメインの《跳ねる春、ベーザ》が活躍した1日でした。引けてすごくラッキーでしたね。その後はみんなで打ち上げ!新潟の居酒屋、驚くほどレベルが高い!とても美味しいご飯に、話も弾みました。 月曜日:晴れる屋モダン杯 せっかくの祝日、東京に帰る前にもう1回大会に出たいと思い、再び晴れる屋新潟店へ。ティムールブリーチを回したかったので使用することに。 ティムールブリーチ 以前にもGOOD GAME メディアで紹介しましたが、ティムールブリーチは《死の国からの脱出》を使用したコンボデッキ。 《死の国からの脱出》と《研磨基地》と《モックス・アンバー》(0マナアーティファクトなら何でもよい)が揃うとコンボがスタート。《死の国からの脱出》を設置し、《研磨基地》で《モックス・アンバー》を生け贄にして3枚切削を行い、その切削した3枚を脱出コストにして《モックス・アンバー》をキャスト。後はこれをライブラリーが0枚になるまで行い、最終的に墓地に落ちた《タッサの神託者》を脱出で戦場に出してゲームセット。3枚コンボではあるものの、《ウルザの物語》によるビートダウンや《知りたがりの学徒、タミヨウ》《湖に潜む者、エムリー》など、生き残るとアドバンテージを稼ぐ面々、そして《一つの指輪》と、多角的な攻め手段があり、それらに対応させている間にコンボを決めるというのが基本的な動き。墓地を肥やした状態で《死の国からの脱出》を出して数回《ミシュラのガラクタ》を出し入れするだけでも十分強く、デッキ内のパーツで明確に単体で弱いカードは《研磨基地》ぐらいなのです。 入っているカードが全部強いコンボデッキ!それがティムールブリーチなのです。 本戦結果 ディミーアマークタイド 〇〇ジェスカイコントロール 〇〇ボロスエネルギー 〇〇IDボロスエネルギー 〇×〇ディミーアマークタイド 〇〇優勝!なんと週末は新潟の3連戦全ての大会で優勝と、望外の結果に。ティムールブリーチはやはり強い。1ターン目の《湖に潜む者、エムリー》+《知りたがりの学徒、タミヨウ》みたいなブン回りもあれば、除去から《ウルザの物語》と相手に干渉する展開もありますし、リソース不足になることもほとんどありませんでした。リソース不足にならない要因として大きいのは、《一つの指輪》と《死の国からの脱出》がいずれも多大なアドバンテージを生み出すからです。そしてこれらにアクセスできる《邪悪鳴らし》はデッキのマスターピース。《六番》も地味ながら活躍を見せてくれます。《一つの指輪》《死の国からの脱出》を回顧で戻せるのが強く、《知りたがりの学徒、タミヨウ》《湖に潜む者、エムリー》の除去を使わせて《六番》が生き残る展開もありました。マナベースについては一考の余地があるかもしれません。初手に《邪悪な熱気》、《邪悪鳴らし》と持っていて、土地がフェッチランドと《ウルザの物語》しかない場合、どちらにも対応する《踏み鳴らされる地》を持ってこなければならないのですが、「ここで諜報できたら……」と思う瞬間がありました。デッキは間違いなく強いのでオススメできます!ただ、必ず大会に出る前に一人回しをしましょう! おわりに というわけで先週末の新潟三連戦を記事としてお届けしました。GATTAのみなさん、Onogamesのみなさん、新潟でお会いしたみなさん、とても楽しい3連休になりました!ありがとうございました! 特にGATTA new gamesでは、優勝賞品の《Tundra》はもちろん、プラークもカッコよくて最高でした! 反動で今週負けまくらないか不安ですが、浮き沈みがあるのがマジックというものなので、負けても文句なしです。9月23日(月)は僕もGOOD GAMEの店舗予選に出場する予定なので、良かったら遊びに来てください!(ご予約はこちらから)それではまた!

【新セットレビュー】『ダスクモーン:戦慄の館』各色トップ3

ピックアップ

2024.09.18

mtg Yuyan

こんにちは。 細川 侑也(@yuyan_mtg)です。 9月27日発売の最新セット『ダスクモーン:戦慄の館』、全カードが公開されました。 というわけで今回も各色の注目カードトップ3をご紹介していきます! 白トップ3 第3位 《墓所のタイタン》が帰ってきた!戦場に出るか攻撃するたびに能力を誘発させる『基本セット2011』のタイタンサイクルは大人気で、スタンダードはタイタン同士の争いとなっていました。《原始のタイタン》は今でもモダンで現役なほどです。そのタイタンサイクルと同じ能力を持つのが今回の大主サイクル。各色の神話レアで、戦場に出るか攻撃するたびに能力が誘発し、更に本来のコストとは別に、兆候コストで軽く出すことができます。兆候時は、自分の終了ステップに時間カウンターが取り除かれていき、時間カウンターが乗っているかぎり、クリーチャーではありません。つまり、兆候で唱えてまずは戦場に出た時の能力が誘発し、攻撃時の能力はおあずけというわけです。序盤に引いた場合は4ターン目に兆候でとりあえずトークン、中盤以降は7マナと、元祖タイタンとは違った使い方ができます。トークンが2/1飛行なので、その点では《墓所のタイタン》より強力です。《墓所のタイタン》は登場後のスタンダードで大活躍だったカード。《ミストムーアの大主》にも期待してしまいます。兆候カードは《リッチの騎士の征服》と相性が良いので遊んでみたいですね。兆候で並べて生け贄にして一気にリアニメイトしたら熱そうです!   第2位 最初に読んだ時に「え?マジ?」って思いました。強すぎてびっくり。《忘却の輪》のような一時追放エンチャントで、自分のクリーチャーにエンチャントするオーラなため、除去されやすい分1マナ軽い…のですが、エンチャント先に護法(2)がつくので、普通に除去されづらい。更に+1/+0に絆魂と強化もまずまず。ビートダウン対決ではアタッカーを一時的に追放しながらライフを回復できます。しかも《運命に導かれし者、ケイリクス》との相性は抜群。相手のブロッカーを《幽霊による庇護》で排除して、《運命に導かれし者、ケイリクス》の能力で《幽霊による庇護》をコピー。《運命に導かれし者、ケイリクス》にエンチャントすれば除去が難しくなります。《運命に導かれし者、ケイリクス》と《幽霊による庇護》でまずはデッキを組んでみたいですね!   第1位 今回各色に存在するレアの光霊サイクル。かつてあったカードたちが現代版に調整されたとも言うべきでしょうか。最初はクリーチャーですが、死亡するとエンチャントとして戦場に戻ってきます。とてつもなくアッパー調整されたのがわかりますね。その中から最も強力だと思ったのがこの《永劫の無垢》。パワーが2以下のクリーチャーが戦場に出るたびに1ドローは、条件が緩すぎます。1ターンに1回という制限はありますが、《ミレックス》や《噴水港》など相手ターンにも1/1を作る手段があるため、1ターンの間に2枚引けることもザラです。そもそも同じ能力を持つ《歓迎する吸血鬼》は少し前のスタンダードで使われていたぐらいです。戦場に残れば膨大なアドバンテージを生み出す能力なため、まず生き残りませんでした。しかし、《永劫の無垢》は除去してもエンチャントとして帰ってくるので、《歓迎する吸血鬼》のようにはいきません。このカード、普通にめちゃくちゃでは? 青トップ3 第3位 全国10万人の青ファンの皆様!お待たせしました!ついに《対抗呪文》がパイオニアにやってきましたよ!え?全然《対抗呪文》じゃないって?想像してみてください。パイオニアでよく起きていたことを。《ドビンの拒否権》を構えていて《墓地の侵入者》を出されたことはありませんでしたか?でも《ドビンの拒否権》を入れないと《鏡割りの寓話》が通って負けるので、入れざるを得ない。こんな苦悩があったはずです。でももう安心。《今のうちに出よう》はクリーチャーと《鏡割りの寓話》をどっちも消せます。しかももう1つのバウンスモードもなかなか。《海の神のお告げ》を戻してもよし、《一時的封鎖》を2枚戻してその内1枚で全部を巻き込めば、《一時的封鎖》を1枚回収できます。青青とマナシンボルまで《対抗呪文》なのが玉に瑕なので、アゾリウスコントロールでの採用は厳しそうですが、もっと青が濃いデッキでは選択肢になるかもしれませんね。 第2位 エンチャントが戦場に出たり、部屋1つを完全に開放することを違和感と呼びます。このカードは違和感で1ドロー。つまり《アルゴスの女魔術師》、いわゆるエンチャントレス系の1種です。自身が瞬速を持っているのは大きく、相手がフルタップになって除去を構えられなくなった隙に唱え、そこから大量にドローできます。今回はクリーチャー・エンチャントも多いので、思わぬ組み合わせで引けるかも?まずはエンチャントで検索しましょう! 第1位 部屋は新たに登場したエンチャントのタイプ。分割カードのようにいずれかのマナを支払って場に出て、その支払った側の部屋が開放され、能力が発揮されます。戦場にある部屋のうち、開放されていない方を、マナ・コストを支払って開放できるので、1枚で2度美味しいカードです。《鏡の間》は自分がコントロールしているクリーチャーのコピーを生成するカード。3マナのコピーは標準的なスペック。とはいえ構築で使われるレベルではありません。しかし、部屋のもう一方が強力なら話は別です。コストこそ重いですが、開放すればパーマネントの誘発型能力が倍に!この手の誘発倍カードは重く、手札でダブつくのが課題でしたが、《鏡の間》なら軽く、コピー能力は汎用性も高いので、デッキに比較的組み込みやすい。使ってみたい1枚ですね。 黒トップ3 第3位 踏み倒したい系デーモン。普通に唱えるのは9マナとまず無理なので、パイオニアなら《不屈の独創力》あたりで出してみたいですね。土地以外3つという膨大な護法があるので、一度戦場に出れば触るのは難しい。しかも能力でそれらのカードを追放でき、使用可能となるため、護法を払わせて除去を打ち消した場合は、その瞬間に相手の吹っ飛ばした3枚のパーマネントをこちらが唱える、奇跡の0対7交換が行われることになるのです。スタンダードなら普通にリアニメイトで墓地から釣りましょう。それだけでもかなりのプレッシャーになること間違いなし。   第2位 生存は、第二メインフェイズ開始時にそのカードがタップ状態である時に能力を発揮します。第二メインフェイズでタップ状態ということは攻撃した後が普通なので、戦闘を生き残った…というフレーバーなのでしょう。しかし、実は生存する方法は他にもあります。その内の1つが乗り物に乗ること。すなわち機体への搭乗です。安全に生存したいなら機体なのです。そしてその機体を主軸に据えたデッキと言えば、《パルヘリオンⅡ》を《大牙勢団の総長、脂牙》で墓地から吊り上げるアブザンパルヘリオン。墓地に《パルヘリオンⅡ》を落とす手段として《冷笑的な一匹狼》はぴったり!こんなにアブザンパルヘリオンと相性の良いカードが出るとは。墓地に落とすカードはなんでも良いので、フラッシュバックを持つ《未練残り》やリアニ先となる《大牙勢団の総長、脂牙》など、状況に応じて様々なカードをチョイスできるのも魅力。これまでは《パルヘリオンⅡ》《エシカの戦車》《領事の旗艦、スカイソブリン》が定番でしたが、更に限定的な状況でのみ強い機体なども入ってくるかもしれません。 第1位 クリーチャーを破壊して、それをこちらの戦場に戻して、終了ステップに生け贄に捧げる。要するに《脅しつけ》に近いカードですが、生け贄手段を必要としないのがメリット。速攻がつかないのがデメリットというわけですね。《脅しつけ》は生け贄手段があるデッキ専用のカードでしたが、《望まれぬ復活》はとりあえず打って良しの除去なので、かなり強そうです。出た時に何かを行うカードは「除去耐性がある」とされていますが、《望まれぬ復活》だとその戦場に出た時の能力がしっかり誘発するので、相手だけ美味しい思いをさせることはありません。特に《偉大なる統一者、アトラクサ》を除去した時の気持ちよさは格別でしょうね。かなりスタンダードで暴れることを想定し、メタカードを作ったのでは?と思うほどです。 赤トップ3 第3位 タップするだけで次に唱えるインスタント・ソーサリーのコピーを生成できる強力なアーティファクトだが、インスタント・ソーサリーを唱えるたびにカウンターが乗り、7個以上のカウンターが乗ると20点が自分に入るデメリットつき。主な使い方はリソース手段です。除去をコピーしても良し、ドロースペルを2倍使うのもいいでしょう。計画であらかじめカードを追放しておけば、呪われた録画を置いたターンのラグも困りません。 7個目が乗ると20点を喰らいますが、その前に《削剥》で割るなどしておけば問題ないでしょう。それまでに膨大なアドバンテージを稼げていますからね。 第2位 大主サイクルの赤は戦場に出た時と攻撃するたびに4点。一見大したことない能力に思えますが、このカードは素で唱えるコストが6マナと軽い!《業火のタイタン》と同じにするとは。赤いミッドレンジにはとりあえず4枚入るのではないでしょうか?《リッチの騎士の征服》からのワンパン勝利にも貢献してくれそうですね。 第1位 《ボロスの反攻者》を思い出す性能。《叫ぶ宿敵》がダメージを受けると好きなところにダメージを飛ばす能力ですが、これによって対戦相手がダメージを受けると、そのプレイヤーはライフが得られなくなります。しかもこのゲームの間能力は継続するので、一度でも喰らわせれば《跳ねる春、ベーザ》もだいぶ抑えられます。自身がダメージを喰らうと同ダメージを好きな場所に飛ばせるので、実質的にチャンプブロックを無効にしてくれます。2/2でブロックしたら2点分を本体に飛ばせてしまいますからね。 このカードの強さは《ボロスの反攻者》をスタンダードで相手にしたプレイヤーには伝わるはず。その《ボロスの反攻者》が速攻を持つとどうなるか、今から対峙するのが恐ろしいです。 緑トップ3 第3位 ライブラリーから土地が落ちるたびに、その土地をタップ状態で戦場に出す機体。攻撃しながら切削するので、殴って土地を伸ばしていきます。土地が戦場に出る能力自体は、切削とは関係ないので、あらゆる手段でデッキから墓地に土地を落としてガンガン土地を伸ばしていくデッキができそうです。モダンにはなってしまいますが、《面晶体のカニ》とのコンボが話題。自分に対象を取って3枚を削り、その中に土地があれば《面晶体のカニ》の能力が誘発し、その切削で土地が落ちれば…ループしていきます。面白い使い道が他にもあるのでしょうか。いろいろ考えてみたいカード。 第2位 大主サイクルの中でも兆候コストが3マナと軽く、その能力は5色出る土地トークンを場に出すという、先祖である《原始のタイタン》に比べたらマイルドなもの。とはいえ、3マナで土地を伸ばしつつ、6/5が控えるだけでも結構なプレッシャー。《装飾庭園を踏み歩くもの》も以前のドメインではエースでしたからね。出せる土地がすべての基本土地タイプを持っているのも地味に嬉しい。これによって《力線の束縛》は1マナになりますし、《ニショーバの喧嘩屋》のようなカードも使いやすいでしょう。《装飾庭園を踏み歩くもの》は基本土地サーチなので、意識してデッキを構築しないとすぐにサーチするものがなくなりましたが、《ホーントウッドの大主》ならばその問題もありません。スタンダードのドメインにその席はあるのでしょうか。せめてトランプルなどがあれば……とは思いましたが、贅沢な希望かもしれません。 第1位 クリーチャーが全員《極楽鳥》になるエンチャント、《謎の石の儀式》は僕の大好きなカード。それが今回光霊となって帰ってきました。本体サイズが3/3で警戒持ちと、攻撃もできてマナもできる素晴らしいクリーチャーです。すぐに思いつくのはパイオニアの緑単ニクソスでしょうか。《炎樹族の使者》を大量に入れて信心を稼ぎつつ、《永劫の活力》で爆発的なマナを生み出す、なんて使い方ができそうです。本人も緑のダブルシンボルで信心はバッチリですからね。 多色トップ3 第3位 戦場に出た時にリソースを稼ぐカード、嫌いな人はいないでしょう。《希望の光、ニコ》が産み落とす破片トークンは強化版手がかりです。破片はエンチャントなため、違和感を2回達成してくれます。先に紹介した《精体の追跡者》でとりあえず2ドローは誰もが考え付くでしょう。パーマネントの数が即3つ増えるので《威厳あるバニコーン》との相性も良好。更に破片を《威厳あるバニコーン》に変えるなんて使い方もできますね。《威厳あるバニコーン》で攻撃しつつ、相手の攻撃は2つの破片(《威厳あるバニコーン》》で守る、なんてシーンもあるかもしれません。書いてあることは地味かつマルチカラーですが、アグロやミッドレンジなどその居場所はたくさんある、便利なカードに見えます。 第2位 初代《漆月魁渡》と似た能力ですが、こちらはより攻撃的なプレインズウォーカー。忍者を自前で用意して、除去から逃げて、コツコツとアドバンテージを稼ぐ《漆月魁渡》と違い、《悪夢滅ぼし、魁渡》は積極的に殴りながらリソースを確保します。その居場所はやはりディミーアミッドレンジでしょうか。《遠眼鏡のセイレーン》や《フェアリーの黒幕》など、ダメージの通しやすい飛行クリーチャーで忍術を行い、0能力を使いながら攻撃していくのが基本的な使い方となるでしょう。4/5にしてしまえば大体のブロッカーは突破できますし、目の前に立ちはだかるクリーチャーを見てから、プラス能力で紋章を得て殴りにいけるので、思ったより《悪夢滅ぼし、魁渡》はずっと攻撃し続けられる印象です。プラス能力の紋章が機能するデッキだとその破壊力はマシマシ。パイオニアで忍者デッキは成立するのでしょうか?もちろん名誉忍者の《変わり谷》もアップを始めています。   第1位 手札の枚数分のダメージを与えたり、終了ステップにカードを引ける部屋。除去とアドバンテージを兼ねる素晴らしい部屋だと思います。コントロールでぜひ使いたいカード。先に5マナで設置しておいて後から除去としても使えるため、思った以上に使い勝手が良いのではないかと思っています。また、マナ総量の合計が7であるため、《巨智、ケルーガ》を相棒に指定しているデッキに組み込めるのも注目ポイント。《巨智、ケルーガ》デッキの除去の選択肢の一つとなるでしょう。 アーティファクト 第2位 コンボ好きな皆さんの玩具が登場!《パラジウムのマイア》と《ピリ=パラ》がいれば無限マナになりますが、すべて場に揃えなければならないので、《アガサの魂の大釜》でコンボを決めるよりハードルは高そう。ただ、《アガサの魂の大釜》が入るデッキとの相性が恐ろしく良いのは間違いありません。起動型能力を持つクリーチャーが多く採用されているということですからね。真っ先に思いつくのは鱗親和でしょうか。戦場に残るどのクリーチャーの能力を得ても強いので、フリースロットに入れてみたい。イラストも名前もフレイバーテキストも怖い!   第1位 1マナのアーティファクトというだけで、モダン以下のプレイヤーは注目してしまいますよね。そう、《ウルザの物語》でサーチできるからです。そしてこの《除霊用掃除機》は破格の性能。タップで墓地の好きなカードを追放できるので、最低限の墓地対策としての役割は持ちつつ、重要なのは下の能力。6マナを支払い、これを生け贄に捧げることで、《除霊用掃除機》で追放したクリーチャーを、1/1にはなりますが戦場に戻すことができるのです!《ウルザの物語》からサーチできるカードがこんなに強くて良いのでしょうか?びっくりしました。これまで《ウルザの物語》でサーチするカードは、モダンでは《バネ葉の太鼓》《モックス・アンバー》などのマナ加速や、《地獄料理書》などのコンボ用カード、リソースを取る《ミシュラのガラクタ》《ミシュラの研究机》、そして《影槍》が定番でした。レガシーでは、マナさえあれば非常に強力な《改良式鋳造所》がありますが、この《除霊用掃除機》はそれと同じぐらいのインパクトを持つカードだと思います。墓地対策で定番の《魂標ランタン》の代わりに、とりあえず1枚だけメインに入れてみたいと思います。相手の《偉大なる統一者、アトラクサ》や《残虐の執政官》を追放してみたくないですか? 土地 同率1位 新たな友好色土地、そのあまりの強さに驚きました。こんな強い2色ランドは久しぶりに見たかもしれません。まず条件などなくアンタップイン。そしてタップで色マナが出て、もう片方の色が出る条件も緩い。何度もスタンダードに再録されていた《陽花弁の木立ち》などの通称チェックランド(またはM10ランド)の上位互換です。条件なく片方の色マナは出るので、たとえば《グルームレイクの境界》であれば、青マナは更に出しやすくなります。1ターン目に青いカードを唱えるディミーアミッドレンジなどは更に色が安定しますね。逆に1ターン目に《強迫》を打つ際にはこの土地は寄与しません。黒い1マナのカードが大量に入っているラクドスミッドレンジのようなデッキには《ブレイズマイアの境界》はうってつけというわけです。アンタップインの強力な土地が増えるということは、それだけアグロデッキが強くなることを意味します。2色のビートダウン、とりわけグルール果敢は現スタンダード環境でも活躍していますが、この土地の登場でマナ基盤が非常に強固なものとなります。これまでは色マナが不安定だったために枚数が押さえられていたカードたちも、採用枚数が再考されるかもしれません。《亭主の才能》や《蛇皮のヴェール》は強力なカードなので、もう少し枚数が増えるのではないでしょうか。フェッチランドから諜報ランドを持ってくるのが定番の動きとなっているモダンでは、この土地はほぼデュアルランド。ディミーアマークタイドなんかには1枚ぐらい入ってもおかしくないのでは?スタンダードやパイオニアのあらゆる友好色デッキが更に安定するようになりましたが、果たして対抗色サイクルは登場するのでしょうか。   総合トップ5  そして全色を含めたトップ5はこちら! 《咆哮する焼炉》を4枚採用した青赤系コントロール、早速組んでみたいです!また、GOOD GAMEでは現在『ダスクモーン:戦慄の館』の各種ブースター・パックを予約販売中!この機会にぜひご予約ください!(ご予約ページはこちら)  

【今週のピックアップデッキ】ゴルガリ上陸/エスパーパルへリオン/感染

Modern Pioneer Standard ピックアップ

2024.09.13

mtg Yuyan

こんにちは。 細川 侑也(@yuyan_mtg)です。 今週のピックアップデッキでは、ちょっと珍しいデッキを、軽い解説を交えて紹介していきます。 ゴルガリ上陸(スタンダード) スタンダードチャレンジ:5位 By HouseOfManaMTG ゴルガリといえば《裏切りの棘、ヴラスカ》+《亭主の才能》の即死コンボを採用したタイプや、《自由放浪団の見張り》+《玉虫色の蔦打ち》の悪事上陸コンボなど、様々な形のミッドレンジが現スタンダード環境にはありますが、今回紹介するのは更にコンボに特化したタイプ。その名はゴルガリ上陸です。デッキの構造は前環境のティムールランプに似ています。《脱出トンネル》と《寓話の小道》でデッキから土地をサーチし、《事件現場の分析者》でそれらを場に戻してマナ加速。ここに《復活した精霊信者、ニッサ》が絡むと大量のマナが出て、《洞窟探検》が絡むと更にマナを生み出していきます。《洞窟探検》と《復活した精霊信者、ニッサ》が揃った時は脅威。4枚の《寓話の小道》や《脱出トンネル》が墓地にあって、それらが場に戻るとまず4マナ、そしてそれぞれが基本土地をサーチして更に4マナ、場に出てきた基本土地4枚で4マナの計12マナが出てくることになります。ここに更に《無慈悲な殺戮》が加わることでループが始まります。《無慈悲な殺戮》を唱えて場に出ているすべての土地を生け贄にして大量にドロー、その中に《事件現場の分析者》か《森の轟き、ルムラ》が見つかれば、再び唱えて大量のマナを生成。たくさん引いた中に《無慈悲な殺戮》があればループが発生します。これだけでは勝利できませんが、《玉虫色の蔦打ち》をループ中に引けば、唱えて《森の轟き、ルムラ》か《事件現場の分析者》で勝利というわけです。《森の轟き、ルムラ》は新たに加わった強力なクリーチャー。《事件現場の分析者》と同じく墓地から土地を場に戻すカードで、しかもエレメンタルなため、《復活した精霊信者、ニッサ》の能力で手札に加えることができるのです。フィニッシャー枠として採用されている《玉虫色の蔦打ち》はコントロール相手には1ターン目に積極的に唱えられるのも強力。毎ターン攻撃しつつ上陸するだけであっという間に相手のライフを削ります。これまでは上陸した後に大量のマナから勝つ必要があったため、赤をタッチして《世界魂の憤怒》を採用していましたが、《玉虫色の蔦打ち》のおかげでその必要がなくなりました。デッキの性質上、大量の墓地に落ちる土地(《寓話の小道》《脱出トンネル》)とそのサーチ先である基本土地が採用されていますが、《泥干潟村》は数少ないバリューランド。戻すカードは《玉虫色の蔦打ち》だけですが、それで十分です。《事件現場の分析者》や《森の轟き、ルムラ》で、生け贄にした《泥干潟村》も戻ってくるので、序盤に出してダメージを数点出した《玉虫色の蔦打ち》を、ほぼタダで回収することができます。ティムールランプが好きな方はこのデッキを気に入ること間違いなし!ちなみに僕も最近はこのデッキがお気に入りですが、《眠らずの小屋》ではなく《地底の遺体安置所》を採用しています!特定のカードを引き込みたいコンボデッキなため、諜報はこのデッキに合っていて、土地を墓地に落とすことで《事件現場の分析者》で場に出せる数が増えるので、好感触です。《玉虫色の蔦打ち》でダメージを与えている時の《眠らずの小屋》も非常に強いので悩みどころですが、ぜひお試しください! エスパーパルへリオン(パイオニア)   墓地に《パルヘリオンⅡ》を落として《大牙勢団の総長、脂牙》で吊り上げるコンボデッキ、アブザンパルヘリオン。 白黒は確定として、残りの1色として、墓地に《パルヘリオンⅡ》を落としつつ《大牙勢団の総長、脂牙》を手札に加えられる《忌まわしい回収》や追加の機体である《エシカの戦車》が使える緑を使うのが定番でしたが、このリストでは青を採用しています。 パイオニアリーグ:5-0 By Kaberb 青採用のメリットはまずはドローです。《考慮》は墓地にカードを送り込みつつドローするだけですが、《染みついた耽溺》と《信仰の繕い》は2ドローしてカードを捨てるので、《大牙勢団の総長、脂牙》を引き込みつつ《パルヘリオンⅡ》を墓地に送り込めます。掘る枚数は《忌まわしい回収》より少ないものの、5枚から土地かクリーチャーしか拾えないより、2ドローの方が価値が高い場合ももちろんあります。《思考囲い》などが欲しい場合がありますからね。更に青を採用することで打ち消しを採用できるのもメリットです。メインから《頑固な否認》がしっかり採用されており、サイドにも《軽蔑的な一撃》や《ドビンの拒否権》で、しっかり青を利用しています。クリーチャーがほとんど入っていないので、コントロールプランを取りやすいのもメリットです。アブザンパルヘリオンは《エシカの戦車》や《忌まわしい回収》などが入っていることから、持久戦はできても、全体除去で盤面をコントロールするプランを取るのは難しい。しかし、エスパーパルへリオンはドロースペルと《パルヘリオンⅡ》と除去で構成されているので、サイド後は全体除去を増やしてエスパーコントロールのように立ち振る舞えます。特にラクドス果敢のような早いデッキにはこのプランは効果的でしょう。アブザンとは一味違った魅力があるエスパーパルへリオン、見た目がとにかくいいですね! 感染(モダン) ナドゥの3ターンキルやルビーストームの2ターンキルなど、『モダンホライゾン3』ではキルターンの早いコンボデッキが生まれてきましたが、実はそれ以前からずっと2ターンキルデッキはモダン環境に存在していました。それが感染です! SCG CON Tampa:12位 By Quinn Reed しかも難しい手順は一切なし!1ターン目に《ぎらつかせのエルフ》を唱えて2ターン目に《厚鱗化》を打って《古きクローサの力》を打つだけ。これでイージーに毒10個達成となります!モダン黎明期から活躍し続けている感染は、『モダンホライゾン3』のカードをメインボードに1枚も採用していない構成で、懐かしさすら感じます。中でも目を引くのは4枚採用されている《ファイレクシアの十字軍》。このカードの真価が発揮されるのは何と言ってもエネルギー相手でしょう。プロテクション赤・白なのでデッキのどのカードでもブロックできず、除去れず、出されたら後はダメージレースを挑むしかなくなります。感染側はただ《ファイレクシアの十字軍》のパワーを10にするだけで勝てるので、対エネルギーの最終兵器と言えるでしょう。ジェスカイコントロールも《空の怒り》以外でこのクリーチャーを触れませんし、《ファイレクシアの十字軍》が現環境に突き刺さっていることが、感染の強みかもしれません。《強大化》や《変異原性の成長》などが入っている印象でしたが、前者は墓地が肥えてないと使えないため序盤に打ちにくく、後者は修正値が低く、このリストでは未採用。その代わりに相手の除去を回避する《巨森の蔦》《顕在的防御》に加え、《強迫》まで採用されており、これまでの感染よりも除去対策が多い印象です。感染をまたモダンで遊んでみたい方はぜひお試しあれ!

【週刊メタゲーム通信】新星・ラクドス果敢の脅威とそこから形成されるメタゲーム

Pioneer ピックアップ

2024.09.12

mtg Yuyan

こんにちは。 細川 侑也(@yuyan_mtg)です。 毎週、最新のメタゲームをデッキリストと共にお届けするこの記事。今週はパイオニアの最新メタゲームを追っていきます! 圧倒的な強さを誇る新星・ラクドス果敢 前回の【今週のピックアップデッキ】で紹介したラクドス果敢が今週は大暴れ! ラクドス果敢 パイオニアチャレンジ:優勝 By Hamuda 9月8日のチャレンジではトップ3を独占し、もう1つのチャレンジでも2位、翌日の2つのチャレンジでもしっかり入賞を果たしており、その勝利がフロックでないことが明らかとなりました。基本的な動きは赤単アグロ。《僧院の速槍》《精鋭射手団の目立ちたがり》《熾火心の挑戦者》など、インスタントやソーサリーを唱えることで一時的にサイズが上がるクリーチャーを、《タイタンの力》や《巨怪の怒り》で更にサイズアップさせて一気にライフを削り取ってしまうデッキ。 特に《熾火心の挑戦者》は《巨怪の怒り》でサイズを上げながら、自身が対象に取ることで雄姿が誘発し、リソースも稼いでくれる素晴らしいクリーチャー。このカードの存在が今の赤系果敢をメタの上位に押し上げている要因と言えるでしょう。《心火の英雄》は果敢こそありませんが、雄姿でサイズが上がっていくクリーチャー。《巨怪の怒り》《タイタンの力》《弱者の力》《無謀な怒り》がすべて対象に取るカードなので、毎ターンサイズはアップしていきます。この《心火の英雄》は死亡時に自身のパワー分のダメージを対戦相手に与えることができるので、一時的にパワーを上げるカードと相性がとにかくよく、能動的に《心火の英雄》を墓地に送りつつ、プレイヤーにダメージを飛ばす《無感情の売剣》とのコンボは強烈。たとえば3ターン目に《心火の英雄》に《タイタンの力》と《巨怪の怒り》を打って1+1+3+3の8点。《無感情の売剣》で8点。更に墓地に落ちて《心火の英雄》の能力で8点。これだけで24点がわずか3ターン目に入ります。最近のリストでは《戦慄衆の秘儀術師》が入っているのがトレンド。ほとんどの呪文が1マナなので、生き残りさえすればリソースを稼いだり、更なるダメージを叩き出してくれます。そしてこのカードが真価を発揮するのはサイドボード後。《致命的な一押し》や《思考囲い》を使い回す動きは、対アグロ・コントロールに脅威となり、愚直に相手のライフを削る他のカードとは異なる動きを見せることが可能です。ラクドス果敢はパイオニアに現れて瞬く間にその強さを見せつけ、それによってメタゲームは変わりつつあります。白系のコントロールやセレズニアエンジェルといった、赤いアグロを目の敵にしているデッキも勝ち始めており、早速メタられる側へと回っています。今度はいかなる対策を行うか、そして増えている同型に対してどのようなプランを取るか、ラクドスのリストの変化にも注目していきたいですね。 赤を切る正義の天使軍団 さて、その赤殺しのセレズニアエンジェルもパイオニアチャレンジを制しています。 セレズニアエンジェル パイオニアチャレンジ:優勝 By sandoiche 《ラノワールのエルフ》や《希望の源、ジアーダ》から高速で《正義の戦乙女》《輝かしい天使》を出し、大量のライフを得ながら圧倒的な盤面を築いていくデッキです。デッキのキーとなるのは《正義の戦乙女》。天使かクレリックが出るたびにタフネス分のライフを得て、ライフが27以上だと自軍クリーチャーのパワーとタフネスが2つずつ上がるので、一度27になるとそこからライフを落とすことは困難。《翼の司教》から《正義の戦乙女》、そこからクリーチャーという超大量のライフゲインが続く展開は、ビートダウンからしてみれば溜まったものではありません。終了ステップにライフを5点以上得ていると天使が出る《輝かしい天使》もこのデッキでは誘発は比較的容易で、しかも出てきた天使で更にライフが回復するので、たとえライフが一桁に落ち込んでも、たった1ターンで20を超えることも。《正義の戦乙女》+《輝かしい天使》や《輝かしい天使》+《翼の司教》など、クリーチャー同士によるコンボが多いため、複数のクリーチャーが同時に場に出るカードはセレズニアエンジェルと相性がよく、今のパイオニアで最も《集合した中隊》を強く使えるデッキはセレズニアエンジェルです。そのため、《集合した中隊》4枚だけでは足りず、《カイラの再建》もフル投入されています。《カイラの再建》は《集合した中隊》よりマナはかかりますが、能力も強力。見る枚数は7枚で、戦場に出す数はマナを支払うほど多くなります。少しマナフラッドしている時にドローすれば、一挙に4体のクリーチャーを戦場に出すことも。ビートダウン殺しのセレズニアエンジェルが、ラクドス果敢の進軍に待ったをかけることとなりました。 2度の禁止を乗り越えて そんなセレズニアエンジェルにも弱点があります。それはキルターン自体は決して早くないということ。そしてあくまでクリーチャーデッキであり、全体除去を苦手としていること。即ちコンボとコントロールが苦手なのです。 ロータスコンボ パイオニアチャレンジ:優勝 By KingHairy パイオニアではコンボデッキは禁止されてしまいがちですが、そんな中、安定4~5ターンキルかつ劇的なサイドカードである《減衰球》があることで存在を許されている、それがロータスコンボ。《睡蓮の原野》を《森の占術》や《大ドルイドの魔除け》で探し、それを《演劇の舞台》でコピー。2枚の土地から6マナを生み出せるようになったら、《見えざる糸》や《熟読》でマナと手札を増やし、《出現の根本原理》で勝利するというデッキ。《睡蓮の原野》と《演劇の舞台》、この2枚の土地によるコンボを妨害する手段はほとんどなく、揃ってしまう前に殴りきらなければ、まず敗北してしまいます。逆に、揃って《睡蓮の原野》が並ぶまではほとんど相手に干渉できないことから、ラクドス果敢を非常に苦手としているデッキではありますが、実は先週のチャレンジでは2回優勝を収めています。 ラクドス果敢は厳しいものの、そのラクドスが除去コントロールやライフゲイン要素の多いミッドレンジに狩られるのなら、それらのデッキを食い物にしているロータスコンボの出番というわけです。ラクドス果敢→白系のミッドレンジ~コントロール→ロータスコンボというわかりやすい3すくみですね。ロータスもラクドス果敢に一矢報いるため、様々な工夫を凝らしています。優勝したリストはメインから《跳ねる春、ベーザ》が入っており、《大ドルイドの魔除け》からこれはサーチ可能です。《闇の誓願》からサーチしてそのままキャストできる《危難の道》もメインと、それなりに意識していることがうかがえます。これでも以前としてラクドスがきついのは間違いないでしょうが、きちんと回られてしまったら負けるのは仕方なく、動きが芳しくなかった時に勝てるように調整されています。ロータスコンボはサーチ呪文が大量に入っていることから、デッキ構築が非常に重要なデッキです。たった1枚でもそれにアクセスするカードが複数枚あるので、普通のデッキの1枚とは大きく意味が異なるのです。メタゲームの間隙を突いて優勝する力は健在です!対策をお忘れなく。

【週末のススメ】エネルギー溢れる現モダン環境、使うべきはエネルギーかコンボ!

Modern

2024.09.11

mtg Yuyan

こんにちは。 細川 侑也(@yuyan_mtg)です。 今回は各地で開催中のチャンピオンズカップファイナルの予選に向けて、今週末オススメのモダンのデッキを紹介していきます! 最強のデッキ、マルドゥエネルギー 今週も大暴れしたカードは《湧き出る源、ジェガンサ》!!とうとうモダンで《湧き出る源、ジェガンサ》は禁止されるのか?といった冗談も飛び交っていますが、その《湧き出る源、ジェガンサ》を相棒にしているデッキの中で、最も活躍しているのは、当然ですがエネルギーです。 マジックオンライン上で行われる地域チャンピオンシップ予選は、競技志向のプレイヤーが集まる大会で、どのフォーマットの予選でもその環境の答え合わせになることが多いのですが、エネルギーが5人トップ8に残り、その強さが圧倒的であることを証明しました。マルドゥエネルギーが4人にボロスエネルギーが1人と、マルドゥエネルギーの方が勝ち組になっていますが、ここには2番手の存在も大きく関係していることでしょう。 マルドゥエネルギー Modern Super Qualifier:優勝 By Shambler ボロスエネルギーは2色にまとめて《一つの指輪》を4枚採用。一方、マルドゥエネルギーは《思考囲い》と《オークの弓使い》のために黒を足し、《一つの指輪》は不採用。マルドゥの方がより軽いデッキとなっています。《一つの指輪》は対ジェスカイコントロールやディミーアマークタイド、エネルギー同型など、リソースが重要となるマッチでキーとなるカード。その分、コンボデッキに対しては速度が重要なので4マナが重く、ドローも重要ではないため、今一つなカード。マルドゥ側が《思考囲い》をメインから搭載していることもあり、対コンボに対する勝率はボロスかマルドゥでかなり変わってきます。エネルギーのミラーマッチでは《一つの指輪》は重要なカードではあるものの、23枚の土地で4ターン目にしっかり4枚目の土地を置いて《一つの指輪》を置くのは容易ではなく、またマルドゥ側もメインから《思考囲い》で《一つの指輪》を落とせたり、《オークの弓使い》が一方的に《オセロットの群れ》を処理できるので、ボロスVSマルドゥもマルドゥ側にやや分があると思われます。ディミーアマークタイド、ジェスカイエネルギーコントロールにも《オークの弓使い》と《思考囲い》はかなり突き刺さってくれるので、今はマルドゥの方が総合的に見て良いデッキに感じています。結果を見ても、マルドゥの勝率が高いですしね。優勝したリストはサイドボードもとてもシンプルな作りです。《魔道士封じのトカゲ》はストーム対策として最も強いカード。《削剥》で除去されない点が素晴らしいですね。《黒曜石の焦がし口》はトロン対策で、《血染めの月》と違って自身が4/4飛行なのが魅力。《血染めの月》を置いてもだらだらと土地を伸ばされてしまいますが、《黒曜石の焦がし口》なら速やかにライフを削りきってくれます。墓地デッキ・エンチャント対策・除去の3つの役割を持つ《スレイベンの魔除け》は、《損耗+摩耗》と合わせて《ウルザの物語》デッキを意識。そして《一つの指輪》は同型と対コントロールデッキ。《一時の猶予》はトロンやアミュレットといった大振りなデッキを咎めます。《一つの指輪》デッキにはよくサイドインしますね。同型、ストーム、トロンの3つに特にメタを絞ったこのリストは、今のモダン環境で最適化されたものだと思います。今週末、最強のデッキで勝ちに行くなら、最もオススメのリストです。 チャンス到来!ルビーストーム そしてエネルギーの次に最多入賞だったのはルビーストーム。最速2ターンキルも可能なデッキで、既に何度も記事で取り上げていますね。 ルビーストーム Modern Super Qualifier:2位 By 336767332971 《ルビーの大メダル》と《モンスーンの魔道士、ラル》でコストを軽くして《レンの決意》《無謀なる衝動》を連打し、《捨て身の儀式》《発熱の儀式》《魔力変》でマナ加速。最終的には《願い》からの《ぶどう弾》でフィニッシュ。エネルギーが同型を見据えて《一つの指輪》を採用したり、除去を増やすのであれば、ルビーストームにとっては願ったり叶ったり。このデッキも実は《湧き出る源、ジェガンサ》を相棒にしているのですが、エネルギーと違ってメイン戦ではほとんど手札に加えません。《血染めの月》を貼って動きを止めた後にフィニッシャーとして活躍してくれます。もう1つの狙いはデッキの偽装です。《湧き出る源、ジェガンサ》を公開すれば相手はまずエネルギーだと勘違いしてくれるので、除去ハンドをキープしてくれることでしょう。《モンスーンの魔道士、ラル》ならその除去は当たりますが、《ルビーの大メダル》からコンボを始動する展開では、相手の除去ハンドは裏目になります。最近サイドボードに入り始めている《鉱山の崩壊》はエネルギーの《魔道士封じのトカゲ》用でしょう。《炎の斬りつけ》を採用されている場合も多いですが、《鉱山の崩壊》はマナを使わずに除去できるのが魅力。ストームにとっての1マナは《レンの決意》1枚分に相当するのでかなり貴重です。《削剥》はこれまで最も信頼できるサイドボードカードでした。エネルギー側の対策が《ドラニスの判事》《減衰球》だったため、《削剥》はそのどちらにも当てられるのです。しかし、《魔道士封じのトカゲ》が採用されてしまった以上、《削剥》以外の除去手段が必要になったというわけですね。とはいっても《魔道士封じのトカゲ》になったこと自体はさほど悪いことではありません。というのも、《ドラニスの判事》の方が除去できなかった時の制圧力はすさまじいのです。《魔道士封じのトカゲ》はダメージを喰らえばカードが使えますが、《ドラニスの判事》は手札以外からの呪文を唱えられなくします。これは《レンの決意》《無謀なる衝動》《願い》が完璧に殺されてしまうことを意味します。《レンの決意》《無謀なる衝動》で対策カードを探しにいけるので、《魔道士封じのトカゲ》がたくさん入るのであれば、それの対策を増やすだけでよく、個人的には《ドラニスの判事》が減っている今は、ストーム側は以前よりも戦いやすくなっていると思っています。もし今週末にルビーストームを予選に持ち込むのであれば、《魔道士封じのトカゲ》対策をもう1~2枚サイドから増やすでしょう。《炎の斬りつけ》を入れておきたいところです。エネルギーのガードが極限まで高まっている今、ルビーストームはチャンスですよ! 突如現れた新たなコンボ!ティムールブリーチ SCG CON Tampa:2位 By Corey Baumeister ここまでのオススメで紹介してきた2つは、ほとんどのプレイヤーが知っているデッキでしたが、このティムールブリーチについてはある程度の説明が必要でしょう。このデッキは、Brad Nelsonの異母兄弟としても知られる元プロプレイヤーで、現在はプロツアーでのキャスターなども務めるCorey Baumeisterが愛用しているコンボデッキ。マジックオンラインでも好成績を残していましたが、先週行われた大規模トーナメントでも準優勝を収め、注目が高まっています。ブリーチという名前の通り、《死の国からの脱出》を使用したコンボです。《死の国からの脱出》《研磨基地》《モックス・アンバー》の3枚が揃うと、《研磨基地》で《モックス・アンバー》を生け贄にして自身を3枚切削→今落とした3枚を脱出コストに《死の国からの脱出》で《モックス・アンバー》を脱出で、これを繰り返すことができ、最終的にデッキのカードが全部落ちるので、《タッサの神託者》を墓地から脱出して勝利。また、《研磨基地》を使わないパターンのループも存在します。《モックス・アンバー》が場か墓地に2枚、《六番》をコントロールしている状態で《死の国からの脱出》を唱えると、《邪悪鳴らし》を半永久的に唱えられるようになります。 まず《邪悪鳴らし》をキャストし、4枚の中から土地を手札に取ります。その後、《モックス・アンバー》で緑マナを出し、《六番》の能力で土地を捨てて《モックス・アンバー》を回顧で出し(戦場の《モックス・アンバー》は墓地へ)、その新しい《モックス・アンバー》で緑マナ、《邪悪鳴らし》で出た落とし子トークンを生け贄にし、墓地から《邪悪鳴らし》を脱出でキャストします。先ほど《邪悪鳴らし》で墓地に3枚のカードが落ちているはずなので、この3枚で《邪悪鳴らし》を唱えられます。《六番》の回顧で《モックス・アンバー》を場に戻すことで何度も《邪悪鳴らし》を使えるようになるので、《邪悪鳴らし》で土地が手札に入りさえすれば、このループは続きます。手札に土地が入らなかったら《モックス・アンバー》を一度脱出で出す必要があるので、墓地が3枚減っていきます。とはいえ、これでデッキをすべて掘りきる必要はなく、どこかで《研磨基地》が落ちればそこからは上記の確定パターンで勝利できます。デッキ自体は『モダンホライゾン2』から存在していましたが、《知りたがりの学徒、タミヨウ》と《邪悪鳴らし》によってしっかりと強化されています。《知りたがりの学徒、タミヨウ》の加入はこのデッキにとって非常に大きく、殴って出した手がかりが《湖に潜む者、エムリー》のコストを軽くしたり、《ミシュラのガラクタ》と《湖に潜む者、エムリー》で変身も容易、更には《モックス・アンバー》からマナが出ると至れり尽くせり。1ターン目に《知りたがりの学徒、タミヨウ》から《モックス・アンバー》、《ミシュラのガラクタ》を置いて《湖に潜む者、エムリー》まで出してエンドと、モダンでも随一の展開力を見せる時も。アーティファクトが大量に入っているデッキ、かつ《モックス・アンバー》がキーとなるので、それをサーチできる《ウルザの物語》も当然4枚採用されています。この《ウルザの物語》トークンのサイズが大きいのもデッキの魅力。ただ殴るだけで勝手に勝つこともあるぐらいです。そして《一つの指輪》。《湖に潜む者、エムリー》によって何度も墓地から出し直せたり、《研磨基地》で能動的に墓地に送り込めるので、指輪によるスリップダメージで死亡することがまずないのが魅力的です。このように《研磨基地》《死の国からの脱出》《モックス・アンバー》のコンボ以外でも、入っているカードのほとんどが強いのが、ティムールブリーチの魅力です。コンボパーツの《死の国からの脱出》も、墓地が肥えている状態なら《ミシュラのガラクタ》を複数回使い回せるだけで十分で、役割がコンボしかないカードは《研磨基地》のみです。その《研磨基地》はやはり2枚採用に押さえられています。ティムールミッドレンジにコンボが内蔵されているといった方が正しいかもしれませんね。それゆえに対策がそれなりに難しいのも、このデッキのストロングポイント。ルビーストームのように《魔道士封じのトカゲ》が生き残れば勝つわけではありません。《ウルザの物語》のトークンと戦い、《知りたがりの学徒、タミヨウ》《湖に潜む者、エムリー》のリソースカードたちをしっかり除去し、《一つの指輪》とも向き合わなければなりません。戦い方がわからないデッキはそれだけで使用する価値があるので今週は特に勝つチャンスかも。ただし注意点として、このデッキは非常に難解です。勝ち手段が複数あり、プレイの選択肢も多く、相手だけではなく自分も混乱してしまうかもしれません。もし使う場合は一人回しを欠かさないでくださいね! GOOD GAMEでも店舗予選が開始! そしてチャンピオンズカップ店舗予選を、GOOD GAMEでは今週末から3週に渡って開催!フォーマットはすべてモダンです!9月16日(月・祝):11時~9月23日(月・祝):11時~9月26日(日)  :11時~ 以上の日程で開催します!予約も既に始まっています! 予約はこちらからちなみに9月23日(月)の予選には僕も参加予定なので、ぜひGOOD GAMEに遊びにきてくださいね!

【今週のピックアップデッキ】ラクドス果敢/ラクドス果敢/出産バント

2024.09.06

mtg Yuyan

こんにちは。 細川 侑也(@yuyan_mtg)です。 今週のピックアップデッキでは、ちょっと珍しいデッキを、軽い解説を交えて紹介していきます。 ラクドス果敢(パイオニア) MOパイオニア予選:5位 By drVendigo クリーチャーのサイズを呪文で一時的に上げて一気に相手を殴るデッキ、果敢アグロ。これまで果敢デッキと言えばボロスが一般的でした。その最たる理由が《照光の巨匠》。このカードを対象に呪文を唱えるだけでどんどんサイズが上がっていき、不要牌を整理したり、自身を成長したりする。そして二段攻撃を持っているため、強化呪文と合わせれば一瞬で相手のライフを削りきってしまう、恐ろしいクリーチャー。そして《照光の巨匠》を守る手段としても白はうってつけ。《照光の巨匠》を《神々の思し召し》や《ロランの脱出》で守る動きは定番でした。が、今回紹介する果敢アグロはラクドス。つまり赤黒です。ベースとなるのは赤。定番の《僧院の速槍》、《精鋭射手団の目立ちたがり》から、『ブルームバロウ』で加入した強力な2種のクリーチャーである《心火の英雄》と《熾火心の挑戦者》ももちろん採用されています。《心火の英雄》は果敢の1マナ域として完全に定着しました。《恩寵の重装歩兵》と同じように成長していく1マナで、強化されるのは1ターンに1回ですが、死亡時にダメージを飛ばす能力が非常に優秀。実質二段攻撃のようなプレッシャーが相手にはあります。《熾火心の挑戦者》も果敢アグロには欠かせないスペック。こちらは果敢なので《心火の英雄》のようにずっと強くはなりませんが、ライブラリーのトップを追放して使用する能力は、リソース獲得手段がほとんどない果敢アグロでは貴重です。この赤の布陣に加わる黒のカードが《無感情の売剣》。とはいっても、使用するのはほぼ赤の出来事の方なのですが。クリーチャーのパワー分のダメージを好きな対象に与えて、そのクリーチャーを生け贄に捧げるという能力。《投げ飛ばし》に似ていますね。これで《心火の英雄》を生け贄に捧げると…凄まじいダメージを叩き出します。パワーが6の《心火の英雄》を生け贄にすれば、6点+《心火の英雄》の能力で6点入るので、このデッキではお手軽3ターンキルもしばしば発生します。《立身+出世》も強力なカード。ボロスと違い、クリーチャーを守る術はないので、相手の除去をしっかり喰らうデッキです。墓地から《熾火心の挑戦者》《精鋭射手団の目立ちたがり》を吊り上げるだけで相手は嫌な顔をするでしょう。+2/+0と速攻付与も、思わぬ打点を叩きだしてくれます。サイドボードには対除去コントロール相手の《思考囲い》《敵対するもの、オブ・ニクシリス》、アグロには《致命的な一押し》と、黒要素が必要な理由が詰まっています。ラクドス果敢は最近参加者の多いトーナメントで好成績を残し始めたデッキ。まだ使ったことがない方はぜひお試しください。 ラクドス果敢(スタンダード) やあ。ようこそ、ラクドス果敢へ。 《心火の英雄》や《熾火心の挑戦者》を呪文で強化して相手のライフを削るアグロデッキ、それがラクドス果敢です。 スタンダードリーグ:5-0 By ThorCat …うん、またなんだ、すまない。今ラクドス果敢を紹介したばかりなのにまたラクドス果敢の話になりますが、誤植ではないので安心してください。先ほど紹介したカードたちは実はどれもスタンダード。《無感情の売剣》もしっかりありますし、《巨怪の怒り》も使えるので、当然スタンダードでもデッキは成立します。スタンダード版では、自分のクリーチャーを対象とする呪文として《弱者の力》が入っています。ハツカネズミをコントロールしていれば+1/+0とトランプル付与、そしてドローと至れり尽くせりのスペルです。《心火の英雄》《熾火心の挑戦者》《多様な鼠》と3種のハツカネズミはどれも強力。『ブルームバロウ』、恐るべし。《多様な鼠》はパイオニアでは採用されていなかったカードですが、そのスペックは凄まじいもの。戦闘開始時にハツカネズミにトランプルか二段攻撃を付与します。 もちろん対象に取る能力なので《心火の英雄》《熾火心の挑戦者》のそれぞれの能力を誘発させながら、二段攻撃で打点を跳ね上げてくれます。土地が少し伸びたら新生でプレイし、相手の除去に耐性をつけることも可能。珍しい採用カードは《逃走する暗号破り》。ただの果敢速攻としてプレイしても良し、リソース不足に陥ったら変装もできる便利なクリーチャー。手札はすぐになくなるので、表返せばほぼ3ドロー。15枚スペルが入っているので、変装コストも3マナほどになるでしょう。こうして見るとこのデッキ、ほぼパイオニアだと思いませんか?《喝破》《放浪皇》《記憶の氾濫》が使えたスタンダードのアゾリウスコントロールは、「ほぼパイオニアのデッキ」と言われており、その言葉通り、アゾリウスコントロールは環境の終盤で圧倒的な存在感を示しました。このほぼパイオニアのデッキのラクドス果敢。果たしてスタンダードを支配する力があるのでしょうか。 出産バント(モダン) モダンリーグ:5-0 By rameison かつてモダン環境で猛威を振るった《出産の殻》のリメイク版、《出産の儀》。本家のように起動したターンに無限コンボが決まらないよう調整はされているものの、ターン終了時にクリーチャーがどんどん強くなっていく様は、《包囲サイ》を毎ターン出していた頃の《出産の殻》を思い出させてくれます。そんな《出産の儀》をフル活用するのがこの出産バント。デッキの核となるのはもちろん《出産の儀》。クリーチャーを生け贄に、そのマナ総量+1以下のクリーチャーを、ライブラリーの上7枚から場に出すことができます。主に生け贄になるのは《復活の声》です。生け贄にしてもトークンが出てくるので、《出産の儀》で2度美味しい思いができます。同じく採用されている2マナ域の《白蘭の幻影》は、相手の特殊地形を基本土地に変える優れもの。エルドラージやトロンに刺さるのはもちろん、ドメイン達成のためのトライオームを破壊したり、基本土地が少ない相手には連打しているといずれは《石の雨》になります。普通なら連打は難しいですが、このデッキには《白蘭の幻影》を何度も出せるギミックが搭載されています。《救出専門家》、《改革派の結集者》、そして《ちらつき鬼火》が、《白蘭の幻影》を使い回せるのです。3マナ域はリソースを稼ぐカードが大半です。《救出専門家》と《改革派の結集者》は墓地のクリーチャーを戻せるので、《出産の儀》で2マナを生け贄→《救出専門家》《改革派の結集者》を場に出す→生け贄にした2マナを再び場に戻す、という動きが安定します。《断片無き工作員》は《出産の儀》で出すには物足りませんが、手札から唱える分には最高のカード。2マナ域はどれも強力ですし、続唱した後は《出産の儀》で生け贄にしてしまいましょう。3マナ払って出す分には少し重い《護衛募集員》ですが、《出産の儀》でめくるなら最高の1枚。このデッキのクリーチャーはなんとほとんどがタフネス2以下なので、除去や追加の攻め手段、墓地からクリーチャーの吊り上げなど、あらゆる仕事をやってのけます。《出産の儀》以外ほぼすべてがクリーチャーで構成されているデッキながら、土地やパーマネントに触る手段も豊富で、実に器用なのが出産バント。この手のデッキが好きな方には垂涎モノではないでしょうか。