こんにちは。
細川 侑也(@yuyan_mtg)です。
今週と来週はラストチャンス予選2回、そしてチャンピオンズカップファイナルとパイオニアの競技イベントが続きます!
というわけで今週はメタゲーム通信をパイオニア編でもお届け!
ブラジルの地域チャンピオンシップの結果から、最新のリストをご紹介!
最後にボーナストピックとして、「もし今週末にラストチャンス予選に使うならこれ!」というリストをご紹介します!
コントロールがラクドス果敢を制す
ブラジルの地域チャンピオンシップを制したのはアゾリウスコントロールでした。
アゾリウスコントロール
City Class Games Showdown VII :優勝 By Vinícius Karam
白の除去と青の打ち消し・ドローというマジック黎明期から活躍するこのアーキタイプ。パイオニアでもコントロールと言えばまずアゾリウスカラーが定番です。
『ダスクモーン:戦慄の館』で実はアゾリウスコントロールは強化を受けました。一体どのカードか?デッキリストを見てもわからないかもしれませんね。
よく見てください……土地の欄を。
そう、《フラッドファームの境界》です。今回アゾリウスコントロールが手に入れたのは土地でした。
2色ランドはこれまでも《行き届いた書庫》などたびたび加入していましたが、今回の《フラッドファームの境界》ほどの影響はありません。
なぜ《フラッドファームの境界》はすごいのか?簡単に2色を生み出せる土地というだけでなく、条件不問でアンタップインかつ白マナが生み出せる土地だからです。
アゾリウスコントロールは1ターン目は白マナしか使うことがなく、3~4ターン目に青青を要求してくるデッキです。《フラッドファームの境界》は《平地》か《島》があれば、2色ランドになり、それ以外の状況では白マナが出せるので、1ターン目に白を出し、3~4ターン目の青青にしっかり貢献してくれる、アゾリウスコントロールのためのカードなのです。
この強力な土地の加入でデッキリストも進化を遂げています。1ターン目にアンタップインする白マナが12枚になったことで、《ポータブル・ホール》を1ターン目に使いやすくなりました。なのでこのリストにはメインから4枚採用。
《騒音の悪獣》と《心火の英雄》はいずれも死亡時にダメージを飛ばすカードなので、《ポータブル・ホール》は完全回答。それを後手1ターン目から使えるのは大きく、《フラッドファームの境界》によりそれが可能となったので、土地のアップデートは思っているよりもずっと大きいのです。
《冥途灯りの行進》も手札を追放すれば1ターン目から使用できますし、このデッキは後手番でもしっかり勝てるように構築されています。それを可能にしているのは《フラッドファームの境界》というわけです。
除去が多めでドロースペルは少なめなのがこのリストの特徴です。《記憶の氾濫》2枚はこれまでにはあまり見たことがありませんね。この辺りも今のメタゲームを意識した結果でしょう。ラクドス果敢にはどうしても《記憶の氾濫》は打ちづらいですからね。
《一時的封鎖》か《ポータブル・ホール》のどちらを採用するかについてですが、個人的には《ポータブル・ホール》を推します。
《一時的封鎖》は複数枚のカードを巻き込めたり、召集のようにトークンで殴ってくるデッキには効果的ですが、ラクドス果敢などは1~2体のクリーチャーを強化して殴ってくるので、《一時的封鎖》である必要があまりありません。
むしろ3マナという重さが致命的で、後手番で間に合わなかったり、盤面に並べながら《精鋭射手団の目立ちたがり》を計画され、《一時的封鎖》の返しで一撃でライフを削られてしまいます。
《ポータブル・ホール》は1マナなので後手1ターン目に盤面に触りにいったり、打ち消しを構えながら3~4ターン目に唱えられるので、隙なく盤面を対処できます。
というわけで、1ターン目の白マナがある程度確保できるのであれば、《ポータブル・ホール》がオススメです。オーラなど特殊なデッキが出てきたら変わるでしょうが、もし今週アゾリウスコントロールを使うならば、《ポータブル・ホール》を4枚採用するでしょう。
アゾリウスコントロールは今ものすごく立ち位置が良いデッキです。ラクドスミッドレンジとロータスコンボには不利で、それ以外にはあらかた有利。特に最近台頭してきている5色エニグマを得意としており、そのエニグマがラクドスミッドレンジにかなり強いデッキなので、ラクドス自体の数が減りつつあります。
天敵を食べてくれて、更にそのデッキを自分は簡単に倒せるのですから、アゾリウスコントロールとしてはエニグマ様様ですね。
ロータスも赤系アグロを苦手としているので、数自体が大幅に増えることもないでしょう。
今週間違いないデッキの1つはアゾリウスコントロールとなるでしょう。ミラーマッチ対策をお忘れなく。
蘇ったかつての王者
さて、そんなアゾリウスコントロールに強いデッキと言えばラクドスミッドレンジ。一時は《傲慢な血王、ソリン》から《血管切り裂き魔》を出す吸血鬼にお株を奪われていましたが、禁止改訂により、《思考囲い》と《鏡割りの寓話》を使うミッドレンジとしての立場を取り戻しました。
ラクドスミッドレンジ
City Class Games Showdown VII :7位 By XandreB
このリストは《ドロスの魔神》4枚かつ《変わり谷》が1枚に押さえられており、アゾリウスコントロールを意識した構成にはなっていませんが、それでも有利なのは間違いありません。
そしてラクドスミッドレンジは、ただアゾリウスキラーというだけではありません。
特に大きいのはラクドス果敢に強い点です。除去と手札破壊もさることながらクロックが速いので、ラクドス果敢側に立て直しの時間を与えません。
これはサイドボード後の除去デッキに対するラクドス果敢のプランが機能しにくいことを意味します。たとえば《ウラブラスクの溶鉱炉》ですね。
その他にも、ラクドス果敢が対除去デッキに対して行うサイド後のゲームプランは、ある程度ロングゲームを想定しています。
しかし、ラクドスミッドレンジは大量の除去でゲームを遅らせるだけではありません。除去で初速を潰してクロックを展開し、そのままライフを詰めてきます。
今のラクドス果敢には、対ラクドスミッドレンジで有効なサイドカードが《熱烈の神ハゾレト》ぐらいしかないのです。
ラクドスミッドレンジは、ラクドス果敢とアゾリウスコントロールの上位2つに強いデッキということになります。
更に極端に相性が悪いデッキがほとんどない点も魅力です。
手札破壊と除去とクロックがまんべんなく入り、サイドボードにそれぞれのマッチアップに更に強くなるので、ほぼ全方位を見れるデッキと言えます。
唯一、エニグマだけは本当に苦手としており、当たったら即投了レベル。エニグマが少なければ、ラクドスミッドレンジは段々と増えていたことでしょう。
サイドボードに目を向けると、やはりここもエニグマを意識していません。結局どのカードを入れても意味がないと判断したのでしょう。そしてそれはおそらく正しいと思います。
《屍呆症》で《奇怪な具現》を抜いたとしても《豆の木をのぼれ》から重いスペルを連打されるだけで負けてしまいます。それならば《思考囲い》《強迫》から《鏡割りの寓話》《ドロスの魔神》で一瞬で勝つ方がまだ勝算があります。
《碑出告が全てを貪る》は果敢対策として最近評価されているカード。ラクドス果敢は《戦慄衆の秘儀術師》と《立身+出世》があるので、実は墓地追放も無意味ではありません。《危難の道》、《兄弟仲の終焉》も合わせてかなり全体除去が多めですね。
3マナの全体除去が多い中、異彩を放つのが《絶滅の契機》ですが、こちらは《熱烈の神ハゾレト》を触れるカード。果敢は奇数クリーチャーが多いので、《熱烈の神ハゾレト》がいない時は奇数を選択する場合が多いです。
エニグマを避け続ければ優勝のポテンシャルが十分あるデッキだと思います。
意識されてもなお強い
たびたび話題に挙がっているラクドス果敢。ブラジル地域チャンピオンシップではしっかり意識されていましたが、それでもトップ4に2人を送り込み、このデッキの地力の高さがうかがえますね。
ラクドス果敢
City Class Games Showdown VII :3位 By MARCOSHBF
リストには大きな変化はないものの、ミラーを意識してメインに《致命的な一押し》と《無謀な怒り》が採用されています。
それ以外に大きなリストの変化はありません。『ダスクモーン:戦慄の館』で《残響の力線》という新たなブン回りカードを手に入れた果敢アグロですが、既存のラクドス果敢には入りにくいと思います。
《残響の力線》は初手にある時に2ターンキルパターンが増えるカードではあるものの、初手になかった時は無駄カードとなります。
《照光の巨匠》が入ったボロス型ならば謀議で捨てられますが、ラクドスでは引くだけ損なカードです。《残響の力線》は《照光の巨匠》とセットで使うのがパイオニアでは定番になるかと思われます。
謀議で捨てられるのはもちろん、《残響の力線》でコピーした呪文でも謀議が誘発するので、《照光の巨匠》と《残響の力線》2枚だけでもゲームに勝てると言っても過言ではありません。ここまで相性が良ければ《残響の力線》を置いた時のバリューも高いので、デッキに入れる価値があります。
ラクドス果敢では《残響の力線》を引けなかった時のリスクはもちろん、引いた場合のリターンもさほど高くないと判断しての不採用だったのでしょう。
サイドボードには《敵対するもの、オブ・ニクシリス》が採用されており、これは主にコントロール対策。その中でもアゾリウスコントロールに最も効果的な1枚です。
能動的にクリーチャーを生け贄に出来るので《心火の英雄》を生け贄にしてダメージを飛ばしつつ、忠誠度の高い《敵対するもの、オブ・ニクシリス》のコピーを作る、という場面もあるかもしれませんね。
《大群への給餌》も《一時的封鎖》を割れるカードなので、このラクドス果敢のサイドボードはアゾリウスコントロールを強く意識しているのがうかがえます。
どれだけ意識されてもしっかり勝ち切る確かな実力を持つラクドス果敢は、今週もオススメのデッキの1つです。
使わない方はしっかり対策しましょう!
ボーナストピック
もし今週ラストチャンス予選に出るならこの75枚にします!