こんにちは。
細川 侑也(@yuyan_mtg)です。
毎週、最新のメタゲームをデッキリストと共にお届けするこの記事。
今週はパイオニアの最新メタゲームを追っていきます!
圧倒的な強さを誇る新星・ラクドス果敢
前回の【今週のピックアップデッキ】で紹介したラクドス果敢が今週は大暴れ!
ラクドス果敢
パイオニアチャレンジ:優勝 By Hamuda
9月8日のチャレンジではトップ3を独占し、もう1つのチャレンジでも2位、翌日の2つのチャレンジでもしっかり入賞を果たしており、その勝利がフロックでないことが明らかとなりました。
基本的な動きは赤単アグロ。《僧院の速槍》《精鋭射手団の目立ちたがり》《熾火心の挑戦者》など、インスタントやソーサリーを唱えることで一時的にサイズが上がるクリーチャーを、《タイタンの力》や《巨怪の怒り》で更にサイズアップさせて一気にライフを削り取ってしまうデッキ。
特に《熾火心の挑戦者》は《巨怪の怒り》でサイズを上げながら、自身が対象に取ることで雄姿が誘発し、リソースも稼いでくれる素晴らしいクリーチャー。このカードの存在が今の赤系果敢をメタの上位に押し上げている要因と言えるでしょう。
《心火の英雄》は果敢こそありませんが、雄姿でサイズが上がっていくクリーチャー。《巨怪の怒り》《タイタンの力》《弱者の力》《無謀な怒り》がすべて対象に取るカードなので、毎ターンサイズはアップしていきます。
この《心火の英雄》は死亡時に自身のパワー分のダメージを対戦相手に与えることができるので、一時的にパワーを上げるカードと相性がとにかくよく、能動的に《心火の英雄》を墓地に送りつつ、プレイヤーにダメージを飛ばす《無感情の売剣》とのコンボは強烈。
たとえば3ターン目に《心火の英雄》に《タイタンの力》と《巨怪の怒り》を打って1+1+3+3の8点。《無感情の売剣》で8点。更に墓地に落ちて《心火の英雄》の能力で8点。これだけで24点がわずか3ターン目に入ります。
最近のリストでは《戦慄衆の秘儀術師》が入っているのがトレンド。ほとんどの呪文が1マナなので、生き残りさえすればリソースを稼いだり、更なるダメージを叩き出してくれます。
そしてこのカードが真価を発揮するのはサイドボード後。《致命的な一押し》や《思考囲い》を使い回す動きは、対アグロ・コントロールに脅威となり、愚直に相手のライフを削る他のカードとは異なる動きを見せることが可能です。
ラクドス果敢はパイオニアに現れて瞬く間にその強さを見せつけ、それによってメタゲームは変わりつつあります。
白系のコントロールやセレズニアエンジェルといった、赤いアグロを目の敵にしているデッキも勝ち始めており、早速メタられる側へと回っています。
今度はいかなる対策を行うか、そして増えている同型に対してどのようなプランを取るか、ラクドスのリストの変化にも注目していきたいですね。
赤を切る正義の天使軍団
さて、その赤殺しのセレズニアエンジェルもパイオニアチャレンジを制しています。
セレズニアエンジェル
パイオニアチャレンジ:優勝 By sandoiche
《ラノワールのエルフ》や《希望の源、ジアーダ》から高速で《正義の戦乙女》《輝かしい天使》を出し、大量のライフを得ながら圧倒的な盤面を築いていくデッキです。
デッキのキーとなるのは《正義の戦乙女》。天使かクレリックが出るたびにタフネス分のライフを得て、ライフが27以上だと自軍クリーチャーのパワーとタフネスが2つずつ上がるので、一度27になるとそこからライフを落とすことは困難。
《翼の司教》から《正義の戦乙女》、そこからクリーチャーという超大量のライフゲインが続く展開は、ビートダウンからしてみれば溜まったものではありません。
終了ステップにライフを5点以上得ていると天使が出る《輝かしい天使》もこのデッキでは誘発は比較的容易で、しかも出てきた天使で更にライフが回復するので、たとえライフが一桁に落ち込んでも、たった1ターンで20を超えることも。
《正義の戦乙女》+《輝かしい天使》や《輝かしい天使》+《翼の司教》など、クリーチャー同士によるコンボが多いため、複数のクリーチャーが同時に場に出るカードはセレズニアエンジェルと相性がよく、今のパイオニアで最も《集合した中隊》を強く使えるデッキはセレズニアエンジェルです。
そのため、《集合した中隊》4枚だけでは足りず、《カイラの再建》もフル投入されています。
《カイラの再建》は《集合した中隊》よりマナはかかりますが、能力も強力。見る枚数は7枚で、戦場に出す数はマナを支払うほど多くなります。少しマナフラッドしている時にドローすれば、一挙に4体のクリーチャーを戦場に出すことも。
ビートダウン殺しのセレズニアエンジェルが、ラクドス果敢の進軍に待ったをかけることとなりました。
2度の禁止を乗り越えて
そんなセレズニアエンジェルにも弱点があります。それはキルターン自体は決して早くないということ。そしてあくまでクリーチャーデッキであり、全体除去を苦手としていること。
即ちコンボとコントロールが苦手なのです。
ロータスコンボ
パイオニアチャレンジ:優勝 By KingHairy
パイオニアではコンボデッキは禁止されてしまいがちですが、そんな中、安定4~5ターンキルかつ劇的なサイドカードである《減衰球》があることで存在を許されている、それがロータスコンボ。
《睡蓮の原野》を《森の占術》や《大ドルイドの魔除け》で探し、それを《演劇の舞台》でコピー。2枚の土地から6マナを生み出せるようになったら、《見えざる糸》や《熟読》でマナと手札を増やし、《出現の根本原理》で勝利するというデッキ。
《睡蓮の原野》と《演劇の舞台》、この2枚の土地によるコンボを妨害する手段はほとんどなく、揃ってしまう前に殴りきらなければ、まず敗北してしまいます。
逆に、揃って《睡蓮の原野》が並ぶまではほとんど相手に干渉できないことから、ラクドス果敢を非常に苦手としているデッキではありますが、実は先週のチャレンジでは2回優勝を収めています。
ラクドス果敢は厳しいものの、そのラクドスが除去コントロールやライフゲイン要素の多いミッドレンジに狩られるのなら、それらのデッキを食い物にしているロータスコンボの出番というわけです。
ラクドス果敢→白系のミッドレンジ~コントロール→ロータスコンボというわかりやすい3すくみですね。
ロータスもラクドス果敢に一矢報いるため、様々な工夫を凝らしています。優勝したリストはメインから《跳ねる春、ベーザ》が入っており、《大ドルイドの魔除け》からこれはサーチ可能です。《闇の誓願》からサーチしてそのままキャストできる《危難の道》もメインと、それなりに意識していることがうかがえます。
これでも以前としてラクドスがきついのは間違いないでしょうが、きちんと回られてしまったら負けるのは仕方なく、動きが芳しくなかった時に勝てるように調整されています。
ロータスコンボはサーチ呪文が大量に入っていることから、デッキ構築が非常に重要なデッキです。たった1枚でもそれにアクセスするカードが複数枚あるので、普通のデッキの1枚とは大きく意味が異なるのです。
メタゲームの間隙を突いて優勝する力は健在です!対策をお忘れなく。