【今週のピックアップデッキ】ディミーアネズミ/ナヤエネルギー/モロフォンスリヴァー

【今週のピックアップデッキ】ディミーアネズミ/ナヤエネルギー/モロフォンスリヴァー

こんにちは。

細川 侑也(@yuyan_mtg)です。

今週のピックアップデッキでは、ちょっと珍しいデッキを、軽い解説を交えて紹介していきます。

    ディミーアネズミ(スタンダード)

    スタンダード神挑戦者決定戦:優勝 By 吉田 悠太郎

    先週末に行われたスタンダード神挑戦者決定戦。強豪プレイヤーも多数参戦するこのトーナメントを制したのはなんとディミーアネズミ!

    誰も予想できなかったネズミの快進撃に驚いた方も多いでしょう。もちろん僕もその一人です。

    さて、恐るべきネズミデッキの陣営を早速紹介していきましょう。

    まずは《ネズミの王、カルモニクス》。その名に恥じぬ活躍を見せてくれます。
    戦場に出た時にライブラリーの上5枚からネズミカードをすべて手札に加えることができるので、1枚で大量のリソースを確保できる可能性があります。

    ネズミに毒性を付与する能力も、本来低いネズミの打点を底上げしてくれます。ブロックされない《川岸の物あさり》《群青の獣縛り》との相性は中々のもの。
    苦痛ある選定》の堕落達成を助けてくれるのも地味に嬉しいですね。序盤は堕落を達成しなくても問題なく、中盤以降で重いクリーチャーを倒したい時には毒3つを与えている可能性が高く、その時には万能除去として機能するというわけです。

    しつこい湿地忍び》も非常に重要なクリーチャー。ネズミしか入っていないためそのサイズは非常に大きく、それが墓地から毎ターン帰ってくるとなれば脅威でしかありません。
    ネズミを大量に作る術もこのデッキにはあります。

    まずは既にスタンダードで採用実績のある《下水王、駆け抜け侯》。出たターンに1体、次のターンに1体とあっという間にネズミが横並びになる強力なクリーチャーです。
    更に『ブルームバロウ』から《情け知らずのヴレン》。リミテッドでは強力でお馴染みですが、出すトークンのサイズもネズミの数によって変わるので、このデッキでは非常に大きなサイズのトークンを生成できます。
    群青の獣縛り》は単体で非常に強力なカード。攻撃時にアーティファクトやプレインズウォーカーやクリーチャーを能力のない2/2に変えてしまうので、特に触りづらい《ウラブラスクの溶鉱炉》を除去との合わせ技で対処できるのが大きいですね。
    メインボードには黒い除去のみ、サイドボードは大量のカウンターと、アグロデッキの多い今のスタンダードをしっかりと意識した作りになっています。

    そしてこのデッキは土地も実に強い!

    蓮葉村》はドローの質を上げてくれる他、《しつこい湿地忍び》を墓地に落としたり、墓地を肥やしてスレッショルド条件も満たしやすくしてくれます。しつこい湿地忍び》が帰ってくれば《蓮葉村》を起動できるようになるので、相性が良いですね。泥干潟村》は言わずもがなリソース回復。《不穏な浅瀬》もしっかり4枚入っており、マナフラッドしづらい土地構成です。
    デッキ全体も軽く、非常に安定してデッキが動くようになっていますし、とても高い完成度を誇っています。

    今後のスタンダードでネズミがどこまで活躍していくのか楽しみですね。

    ナヤエネルギー(モダン)

    モダンを牽引するエネルギーアグロ。幾度となく本メディアでも紹介してきました。

    血染めの月》《一つの指輪》をメインに採用する純正ボロス、《オークの弓使い》《思考囲い》のマルドゥ、そして《マネドリ》で《オセロットの群れ》などを増やすジェスカイ。

    これまでのけもの扱いされてきた緑でしたが、ここにきてようやくナヤエネルギーが登場しました!

    モダンチャレンジ:3位 By Martin_Dominguez

    ナヤの魅力はなんといっても無限コンボです。《サッフィー・エリクスドッター》がそれを可能としてくれます。
    まず《サッフィー・エリクスドッター》を生け贄にして《改革派の結集者》を対象に取ります。その後、《ゴブリンの砲撃》で《改革派の結集者》を生け贄にし、相手に1点。《改革派の結集者》が《サッフィー・エリクスドッター》の能力で戦場に戻ってきて、戦場に出た時の能力で《改革派の結集者》が《サッフィー・エリクスドッター》を吊り上げます。この手順を繰り返すことで無限ダメージになります。
    救出専門家》も《改革派の結集者》と同じことができるので、このデッキには実質6枚の吊り上げるクリーチャーが採用されています。
    このコンボの優れた点は、すべてのカードが単体で強力であることです。

    サッフィー・エリクスドッター》はクリーチャーを守る能力のようなものなので、《オセロットの群れ》や《ナカティルの最下層民、アジャニ》といったマスト除去たちを戦場に生き残らせることができます。
    改革派の結集者》と《救出専門家》もそれらのクリーチャーを戦場に戻せるため、特にお互いのクリーチャーを除去しあうミラーマッチにおいては、引けば引くだけナヤが有利になっていくでしょう。

    コンボパーツである《ゴブリンの砲撃》はエネルギーミラーで最もキーとなるカード。このデッキには4枚採用されており、これによりミラーマッチに強い構成となっているのがナヤエネルギーです。

    出産の儀》もナヤで使える強力なエンチャント。2マナのクリーチャーを生け贄にして《改革派の結集者》《救出専門家》で戻す動きが基本。もちろんトークンを生け贄にして《オセロットの群れ》《魂の導き手》を出すだけでも強すぎます。
    これですべての3色のエネルギーが登場したわけですが、果たしてエネルギーはここから更に進化していくのでしょうか。

    モロフォンスリヴァー(モダン)

    モダンリーグ:5-0 By Zoza

    この頃モダンでちょくちょく見かけるスリヴァーデッキ。これまでのスリヴァーのイメージは、大量のスリヴァーたちがそれぞれの能力で強化しあう……そんな美しい部族デッキでしたが、この5色スリヴァーはそれとは一線を画すものとなっています。

    まず目に留まるのは《限りないもの、モロフォン》。このカードは戦場に出た時にクリーチャ―タイプを指定し、そのタイプの呪文を唱えるコストを各色1つずつ軽減するというもの。色分しか軽減しないので、(1)(黒)のクリーチャーは(1)だけ支払う必要があります。
    逆に言えば、色はすべて軽減してくれます。最大で5マナを。5色のクリーチャーならなんと0マナで唱えられるということです。

    初祖スリヴァー》も

    スリヴァー軍団》も

    巣主スリヴァー》も

    ぜーーーーんぶ0マナ!夢のようなカードです。

    とはいえそんな強い踏み倒しクリーチャーが軽いわけありません。《限りないもの、モロフォン》は7マナ。そんなマナを普通に出す余裕は今のモダンにはない。

    そこで登場するのが《傲慢な血王、ソリン》。《血管切り裂き魔》を3ターン目に呼び出した罪でパイオニアで禁止となったこのカードは、モダンでは《限りないもの、モロフォン》を出しています。そう、《限りないもの、モロフォン》は吸血鬼でもある多相クリーチャー!
    つまり最速3ターン目に《傲慢な血王、ソリン》→《限りないもの、モロフォン》→《初祖スリヴァー》から続唱→《スリヴァー軍団》から続唱、などといった恐ろしいブン回りができてしまうのです!

    この《限りないもの、モロフォン》をサーチするために《ウルヴェンワルド横断》が入っていたり、《邪悪鳴らし》《蓄え放題》もコンボパーツの足りない方を用意しつつ、墓地を肥やして昂揚を助けます。
    デッキリストだけを見ると非常にカオスに満ちているこのデッキですが、よく見るとしっかりと練られていることがわかりますね。

    傲慢な血王、ソリン》で《血管切り裂き魔》を出すよりも気持ち良いかもしれません。パイオニアで病みつきになった方、モダンでもいかがですか?