こんにちは。
細川 侑也(@yuyan_mtg)です。
いよいよ明日9月27日(金)は最新セット『ダスクモーン:戦慄の館』の発売日!
一足先にマジックオンライン・MTGアリーナではこの最新セットを遊ぶことができます。
というわけで今週のピックアップデッキは、2日にわたって『ダスクモーン:戦慄の館』の影響を大きく受けたデッキたちをご紹介していきます!
本日はパイオニア!
5色エニグマファイアーズ
パイオニアリーグ:5-0 By DB_MasonClark

エンチャントを生け贄に、ライブラリーからそれよりマナ・コストが1大きいクリーチャーを戦場に出す《奇怪な具現》。パイオニアでも時折メタゲーム上に現れており、昨年はチャンピオンズカップファイナルで準優勝を収めました。
《豆の木をのぼれ》が登場して以降は、5色のミッドレンジ・コントロールの枠は《白日の下に》擁する5色ニヴにとってかわられてしまった感がありますが、『ダスクモーン:戦慄の館』で再びエニグマファイアーズは復権するかもしれません。そう、何を隠そう『ダスクモーン:戦慄の館』はエンチャントにフューチャーしたセット。強いエンチャントが出れば《奇怪な具現》はその分だけ強くなるのです。
まずはこのセットの目玉、大主サイクルから見ていきましょう。
緑の大主、《ホーントウッドの大主》はマナ加速を行うエンチャント。出てくる土地はすべての基本土地を持っているので、これ1枚で版図を達成させることができます。エンチャントとして場に出して《奇怪な具現》で6マナのクリーチャーをサーチできるのはもちろん、逆に4マナのエンチャントを生け贄に戦場から現れてきます。これは大主サイクルに共通していますが、大主たちは兆候コストで軽く出せるので、《奇怪な具現》で生け贄にして突然マナコストが高いカードをサーチできるのが大きな魅力です。更に《奇怪な具現》で生け贄・サーチの両方が可能と、大主は《奇怪な具現》のために生まれてきたようなカードです。
《ボイラービルジの大主》は好きな対象に4点を飛ばせる優れたクリーチャー。こちらはマナコストが6なので、生け贄にして《偉大なる統一者、アトラクサ》をそのまま戦場に呼び出せます。
本体性能が高いのでサーチ先としても魅力です。《奇怪な具現》で《ホーントウッドの大主》を生け贄に《ボイラービルジの大主》を呼び出す大主リレーも見れます。
《ボイラービルジの大主》を生け贄にして戦場に出す6マナ域をデッキに無理に入れる必要がないのは地味に大きいポイントですね。なるべくデッキに重いカードは入れたくないですが、何枚かはデッキにないと《奇怪な具現》のバリューが落ちます。4マナでとりあえず唱えられる《ボイラービルジの大主》はぴったりな6マナ域です。
そして忘れてはならないのが《逃げ場なし》。エニグマファイアーズは序盤に相手に干渉できる手段が《力線の束縛》ぐらいしかなく、ラクドス果敢など早いデッキの多いパイオニア環境には少し適していませんでした。このエンチャントとして置ける除去の加入でアグロ耐性もついています。しかもサーチ先は《スカイクレイブの亡霊》なので、徹底的に盤面に干渉していきます。
3マナの有用なカードが増えたので、サーチ要因として《永遠の策謀家、ズアー》が採用されているのも面白いですね。兆候状態の大主サイクルに能力を使うことで無理やり起こせたり、《力線の束縛》で突然6点パンチなど、3マナながら器用なヤツです。忘れてしまうところでしたが、『ダスクモーン:戦慄の館』で新しく刷られた2色土地もこのエニグマファイアーズを助けています。
5色をしっかりと回すには大量のショックランドの他に、《陽花弁の木立ち》などのチェックランドが必要でした。それゆえに3色土地のトライオームを引けなかった時には、タップイン地獄となること必至。それだけで敗北に直結するほどでした。しかし、そのチェックランドのほぼ上位互換となるのが今回の『ダスクモーン:戦慄の館』の土地たち。《陽花弁の木立ち》は《森》か《平地》があればアンタップで出てくる2色土地で、《ハッシュウッドの境界》はいつでも緑マナを出すことができ、《森》か《平地》があると白マナも生み出せます。
条件なくアンタップインする緑マナである《ハッシュウッドの境界》がいかに優れているかわかりますね。チェックランドによるタップインはなくなります。その分、確定で2色全てが生み出せるわけではないので、この新しい土地や基本土地だけを複数枚引き続けた場合は、色マナが不便になってしまいます。上位互換というわけではありません。
とはいえ、タップインで苦しむことはなくなったので、土地周りの改善は凄まじいと言えます。
エニグマファイアーズ、パイオニアのメタゲームに再び戻ってくるには十分な強さになっているはず!今後のアップデートに期待ですね。
5色オーラ
奇しくも次に紹介するのも5色デッキ…ですがこちらはエニグマファイアーズとは全く別の5色。そう、オーラデッキです。
パイオニアリーグ:5-0 By DB_yoman5

5色と言ってもベースは白緑の2色で、青はサイドボードのみ。黒と赤はライブラリーからサーチしてくる2枚のカードのみです。
クリーチャーにエンチャント・オーラをべたべたと張り付けてビートダウンするデッキで、パイオニアでは長い歴史を持ち、プレイヤーズツアー・名古屋でメタ外から突然準優勝を収めました。
かつては《上級建設官、スラム》を出してリソースを取っていくデッキでしたが、このリストでは採用されておらず。同じく近年のオーラデッキの主戦力だった《皇の声、軽脚》だけが入っています。なぜ今オーラデッキなのか?その答えはクリーチャーにはありません。答えはエンチャント欄にあります。『ダスクモーン:戦慄の館』で登場した超強力なオーラがあるのです。
それが《幽霊による庇護》。戦場に出た時に土地以外のパーマネントを、これが戦場に離れるまで追放する、いわゆる《忘却の輪》系除去。
……だけでなく、エンチャントしているクリーチャーに+1/+0修整と絆魂と護法(2)を付与します!正直、最初にこのカードを見た時、強すぎて誤訳したかと思ったぐらいです。テキストを3回ぐらいリアルに読み返しました。
オーラデッキは自分の動きは強力でも相手への干渉手段がなく、それがデッキの弱点でもありました。単なる除去を入れても自身の動きが悪くなってしまいます。それが《幽霊による庇護》ならどうでしょうか?強化と保護と追放を1枚で行えてしまうのです。
そしてこのオーラがデッキから出てくるのが恐ろしいところ。
《皇の声、軽脚》がいれば、《きらきらするすべて》を唱えて《幽霊による庇護》が出てきますし、《幽霊による庇護》から《きらきらするすべて》のパターンもあります。《幽霊による庇護》で絆魂が付くので、《きらきらするすべて》と合わせることで一気にゲームを逆転させてくれるでしょう。《破片魔道士の救出》も今回登場した強力なオーラ。戦場に出たターンだけエンチャント先に呪禁を付与する+1/+1オーラ。これまでクリーチャーを守る手段として《ケイラメトラの恩恵》が採用されていましたが、それがオーラになったことで《皇の声、軽脚》のバリューは更に上がりました。
インスタントタイミングで戦場に出るので《皇の声、軽脚》が突然《天上の鎧》で大きくなったりなど、これまでにはなかった動きができるようになりました。
実はクリーチャーにも新戦力が追加されています。《呑気な物漁り》はエンチャントが戦場に出るたびにクリーチャーを強化する1マナクリーチャー。《気前のいい訪問者》と似た性能に見えますが、戦場に出るたびに能力が誘発するので、《皇の声、軽脚》からオーラを出した時にも好きな対象を強化できます。新カード満載で超強化されたオーラ、特にラクドス果敢のようなアグロデッキには《幽霊による庇護》を引くだけでかなり有利になるでしょうし、今後メタゲームを牽引する存在となっても不思議ではありませんね。
ジャンド果敢
さて、そんなラクドス果敢も『ダスクモーン:戦慄の館』で進化(?)を遂げています。
パイオニアリーグ:5-0 By Brickmaster2

《心火の英雄》や《熾火心の挑戦者》に強化スペルを打ち込んで《無感情の売剣》でフィニッシュする超高速アグロ、ラクドス果敢。何度も本メディアで紹介してきたこのデッキに、新たな1枚が加わりました。
それが《残響の力線》です。初手にあるとタダで戦場に出せる力線サイクルの新たな1枚は、ラクドス果敢と非常に相性の良いカード。自分のクリーチャー1体だけを対象としている呪文を唱えると、それをコピーできます。
つまり《タイタンの力》も《巨怪の怒り》も全部2倍!恐ろしい打点を叩き出します。これにより0ターン目《残響の力線》、1ターン目に《心火の英雄》、2ターン目に《巨怪の怒り》で7点。《無感情の売剣》で本体に7点、《心火の英雄》で7点の2ターンキルができるようになりました!!
しかもお気付きでしょうか?このコンボ、スタンダードでもできるようになっています。恐ろしい、《残響の力線》。
ちなみに《無感情の売剣》は《残響の力線》でコピーされないのでお気をつけください。(クリーチャーとプレイヤーの2つを対象に取っているためです)新しく入ったパンプスペルも紹介しなければなりませんね。《裏の裏まで》は+3/+0の修整を与えるインスタントで、そのクリーチャーがこのターンに死亡すると戦慄予示を行えます。
ただ強化するもよし。強化して相打ちを取っても新たなクリーチャーがライブラリーの上から供給されるので、結構便利なカードです。
個人的には《タイタンの力》に匹敵、あるいはそれよりも強いカードだと思っています。《心火の英雄》はよく死亡するので、相打ちして新たなパンプ先を供給できるのは強力です。今後この《裏の裏まで》はラクドス果敢に標準搭載されていき、枚数も徐々に増えていくのではないかと予想します。全体除去に耐性がつくのも地味に良いポイントですね。
このリストはジャンドカラーですが、緑が増えたことでさほど変わった部分はありません。サイドの《毒を選べ》はエンチャント、とりわけ《一時的封鎖》を意識したものだと思われます。アゾリウスコントロールの《一時的封鎖》は天敵ですからね。ついに2ターンキルを可能にしたラクドス果敢。とはいえ、《残響の力線》は爆発力の反面、リスクもすさまじいカード。このデッキでは初手になければほぼ無駄牌になってしまいます。
今後デッキがどのような方向性で調整されていくのか楽しみですね。