こんにちは。
細川 侑也(@yuyan_mtg)です。
毎週、最新のメタゲームをデッキリストと共にお届けするこの記事。
今回は新セット発売後、最早恒例となった大会『蒼紅杯 ~ダスクモーン:戦慄の館~ Izzet Explosive Experiment Event』から最新スタンダード環境をご紹介していきます!
【速報】スタンダード、壊れる。
まとめサイトならこんなタイトルがつけられるに違いがありません。
長いことマジックをやっていますが、2ターンキルが可能なスタンダード環境は今までなかったと思います。《ティボルトの計略》で2ターン目に《星界の大蛇、コーマ》を出して「2ターンキルだ!!」とはしゃいでいた記憶はありますが、あれも実質2ターン目に勝利するだけでした。
このデッキは正真正銘の2ターンキル。相手のライフを0にしてしまいます。
グルールアグロ
蒼紅杯:優勝 By AKINARI Shimokawabe
その方法は簡単。まずはゲーム開始時に《残響の力線》を設置。そして1ターン目に《騒音の悪獣》をキャスト。
2ターン目に《巨怪の怒り》を唱えて+2/+0の修正がコピー合わせて2度入り、その後役割で+1。更に《裏の裏まで》を唱えると+3修正が2回入る。これでパワーへの修正は+11になるので12点。《騒音の悪獣》を生け贄にして本体に12点で2ターンキル。《裏の裏まで》を2回打っても+12、《巨怪の怒り》2回なら+9なので、どの組み合わせでも2ターンキルは可能です。
《裏の裏まで》+《無感情の売剣》でもパワー7+《無感情の売剣》7点+死亡時の7点で21点が飛びますね。
1ターン目が《心火の英雄》でも2ターンキルできます。こちらは2ターン目に《巨怪の怒り》か《裏の裏まで》の後に《無感情の売剣》が必須となります。
このように、《残響の力線》があると複数のパターンによる2ターンキルが発生します。
2ターンキルばかりが目立ちますが、ベースはグルール果敢。前環境から強力と言われていたデッキで、ただでさえ不安要素の1つだったマナベースが《ソーンスパイアの境界》で解消されました。
決して《残響の力線》を初手に置けなければ勝てないデッキではなく、元々強いデッキに2ターンキル要素が加わった、と言った方が正しいでしょう。
サイド後は2ターンキルを警戒して除去を大量に増やしてきたのに合わせて、《残響の力線》をすべて抜いて《ウラブラスクの溶鉱炉》に入れ替えたりなど、デッキのベースの強さを活かしたサイドプランも可能です。
新環境はまずこのグルール果敢を攻略するところから始まりますね!それぐらい完成度の高いデッキです。
生け贄がキーワードのアグロデッキ
お次に紹介するのは、最近MTGアリーナでにわかに増え始めているラクドスサクリファイス。
ラクドスサクリファイス
蒼紅杯:7位 By MrCrocodile
《悪意ある呪詛術士》は1マナ3/2と破格のスペックを持つクリーチャーですが、戦場に出た時に呪われし者・役割をつけなければなりません。つまり実質1マナ1/1。
このエンチャントを《腐敗口のバイパー》や《甦りし悪夢、ブレイズ》、《不穏な笑い》などで生け贄に捧げてしまおうというのがラクドスサクリファイス。
特に新カードの《不穏な笑い》は、エンチャントを生け贄にして2ドローして、自身が生け贄に捧げられた時に戦慄予示と、このデッキにおいてはアドバンテージ源の塊。実質2マナ2ドローに2/2のクリーチャーがついてくる超良カード。
《悪意ある呪詛術士》から《不穏な笑い》、3ターン目に《甦りし悪夢、ブレイズ》と回った時は凄まじい速度で相手のライフを攻めつつリソースも獲得していきます。
地味ですが、《機械仕掛けの打楽器奏者》も『ダスクモーン:戦慄の館』で登場したサクリファイス向けのカード。
パイオニアで採用されていた《不運な目撃者》に近い性能ですが、この可愛い猿の玩具はめくれる枚数が1枚になった代わりに、次の自分のターン終了時までそのカードを使用できるので、2ターン目に《不穏な笑い》で生け贄に捧げた場合でも、追放したカードを使用できる可能性が高いです。
このリストには採用されていませんが、《倉庫の虎猫》を入れたバージョンも見かけたことがあります。エンチャントが大量に墓地に落ちるこのデッキと相性が抜群で、生け贄に困らなくなります。
ちなみに役割が同じクリーチャーにかぶった時もエンチャントが落ちてトークンが出たりします。最初にやられた時はびっくりしました。
サクリファイスのポテンシャルは今大会でのトップ8入賞で証明されました!ここからの活躍に期待したいアーキタイプです。
コントロールの兆候
ジャパンオープンを制して話題となったボロスコントロール。その中核を担うエンジンが《ウラブラスクの溶鉱炉》と《世話人の才能》でした。
一度設置すればクロックを生み出し続ける《ウラブラスクの溶鉱炉》と毎ターンアドバンテージを稼ぐ《世話人の才能》。これらが揃うと、何もせずに毎ターン攻撃しながらカードが引ける。寝ているだけで毎月給料が振り込まれる夢の生活が送れるのです。
そんなボロスコントロールは『ダスクモーン:戦慄の館』に住まう大主によって進化を遂げました。
ナヤコントロール
蒼紅杯:6位 By Dengekidaikon
大主たちはいずれも戦場に出た時にトークンを生み出すので、《世話人の才能》のバリューは更にアップ。
特にカードが今まで以上に引きやすくなった上に、トークンを生成する能力で《ホーントウッドの大主》が生み出す土地をコピーできるので、更なるマナ加速が可能となりました。
《ミストムーアの大主》は攻める大主。本体が出るまで時間がかかりますが、それを利用できるのがナヤコントロール。最初に出すトークンはブロッカーになり、相手が攻め手を追加したところで《太陽降下》。更地の場に《ミストムーアの大主》が降り立つこととなります。
この大主たちと相性抜群なのが《豆の木をのぼれ》。マナ総量が5以上のカードを唱えるとカードが引けるこの能力は、大主を兆候した際にもしっかり誘発してくれます。《力線の束縛》に2種の大主と、このデッキではたくさんの方法で脱法豆の木(※《豆の木をのぼれ》を軽いカードで誘発させること)が行えます。
最近は緑の《豆の木をのぼれ》、白の《世話人の才能》でアドバンテージが稼げるので、ドローの色である青を使わないコントロールデッキも増えてきました。青の入っているコントロールは打ち消しを採用しますが、非青の場合はその枠を除去にすることが多く、コントロールミラーでは弱い一方、ビートダウンには強いのが特徴。
グルール果敢が増えていくことが予想されるため、それを食うために、このナヤコントロールのようなアプローチのデッキもどんどん出てくるでしょう。
《残響の力線》ビートダウンの猛攻を止められるのはコントロールだけかもしれません!