こんにちは。
細川 侑也(@yuyan_mtg)です。
毎週、最新のメタゲームをデッキリストと共にお届けするこの記事。
今週はモダンの最新メタゲームを追っていきます!
エネルギー環境にやってきたコントロール
先週末もモダンの大会はエネルギーが勝ち組に。
特にこの週は純正2色のボロスエネルギーがチャレンジを4連続で優勝(!)しており、バントナドゥを思わせる勝率の高さです。
この要因の1つは、環境的に《血染めの月》《一つの指輪》が強くなってきたことがあげられるかもしれません。
エネルギーメタとしてジェスカイなどの多色コントロールが増え、それらに強い《血染めの月》《一つの指輪》をメインから採用できるボロスが勝ち上がったのではないでしょうか。
特に《血染めの月》はアミュレットタイタンなどの土地コンボ、《ウルザの物語》が入った3色のティムールブリーチなど、様々な相手に強く、先週最も強い1枚だったかもしれません。
ジェスカイコントロール
さて、まず紹介するのは既に名前も挙がったジェスカイコントロール。
モダンチャレンジ:2位 By MarcoBelacca95
ベースとなるのはプロツアー・モダンホライゾン3でハビエル・ドミンゲス選手がトップ8入賞を果たした、ピッチスペルを大量に採用した型。
既に3か月経過して未だにこの時のリストがベースなのですから、完成度の高さがわかりますね。
2種類のインカーネーションに《否定の力》の合計11枚のピッチ呪文と《空の怒り》《電気放出》のエネルギー除去で盤面をコントロールし、《一つの指輪》でリソースを回復するというのがこのジェスカイコントロール。
アドはンテージを取る手段は《一つの指輪》に頼り切っている……どころか他にドロースペルはほぼ入っていません。ジェスカイエネルギーコントロールの定番だった《語りの調律》すら0枚です。
こうなると《一つの指輪》が引けない時が怖いのですが、それを解決する手段は土地にあります。そう、《記念碑的列石》です。
ライブラリーの上から5枚を見て歴史的なカードを手札に加えられるので、《一つの指輪》を探しにいけるのです。ちなみに《火の怒りのタイタン、フレージ》や《水辺の学舎、水面院》も拾えます。
《呪文嵌め》は今最も強力な打ち消しの1つかもしれません。ボロスエネルギーの強力なアクションは《色めき立つ猛竜》《ナカティルの最下層民、アジャニ》《ゴブリンの砲撃》と2マナに集中しており、特に後手で《呪文嵌め》を持っているかはかなり重要なのです。
……2マナのアクションが強いと言いましたが、《魂の導き手》《オセロットの群れ》《敏捷なこそ泥、ラガバン》も十分ですがね。ボロスエネルギー、やはり強さがおかしい。
とはいえ、《呪文嵌め》をケアして1マナを並べてきたら《空の怒り》がありますし、ジェスカイコントロールは《オセロットの群れ》を比較的苦にしないデッキではあります。
除去、打ち消し、フィニッシャーのすべてが超一流のジェスカイコントロール。メタが完璧に固まった今こそ、手に取る時が来たかもしれません。
エレメンタル軍団、来る
さて、お次も分類上はコントロールですが、ジェスカイから1色足しただけでだいぶ見た目の変わったデッキ。
4cエレメンタル
モダンチャレンジ:2位 By RespectTheCat
いわゆる4cオムナスというものですが、そこに更に《発現する浅瀬》が入り、エレメンタルシナジーが強くなっています。
《発現する浅瀬》はエレメンタルが戦場に出るたびにライブラリ―トップを見て、それが土地なら場に、そうでなければ手札に加えられるすごいクリーチャー。《緻密》《孤独》を0マナで唱えると手札を消耗しますが、《発現する浅瀬》が戦場にいればカードを供給してくれるので、実質打ち放題(?)です。
アドバンテージ獲得手段として《発現する浅瀬》は優秀なので、《一つの指輪》への依存度が気になる方は、こちらのリストもおすすめです。
面白いのは《記憶への放逐》のメイン採用。
流行のエルドラージに対して完全回答なだけでなく、想起で唱えたエレメンタルの誘発型能力を打ち消すことで、そのまま戦場に残すことができます。手札は大量に使いますが、最速1ターン目に《孤独》が着地することも。
手札をかなり消耗するのでまずこのプレイはしませんが、《発現する浅瀬》が戦場にある時はやる場合もあります。
ジェスカイコントロールでも、手札から唱えた《火の怒りのタイタン、フレージ》に《記憶への放逐》を打って場に残す使い方ができますね。
かつてモダンを席巻していた《創造の座、オムナス》は、最近は鳴りを潜めていましたが、今の環境では強いのかもしれません。
エネルギーに対して生き残ればまず勝つでしょう。《電気放出》で倒されてしまうのだけは残念ですが、それでもドローとライフゲインを兼ね備えるこのカードは、アグロからしてみれば悪夢そのものです。
先ほどのジェスカイと同様、11枚のピッチスペルが入っている4cエレメンタル。この2つのデッキを見ると、今のモダンがいかに早い環境か伝わってきます。0マナで対応するカードがないと、コントロールは最早成立しないと言っていいかもしれません。
同じピッチスペル大量のデッキなら、個人的にはジェスカイより4cエレメンタルの方が好みかもしれません。やはり《一つの指輪》にリソース手段を頼り切ってしまうのは不安ですし、相手もプレイやサイドボードが簡単になってしまいます。
ジェスカイと戦う際は多少コントロールされてしまっても、《一つの指輪》にさえ対処すれば段々と手札は枯渇していきます。そのため非常に攻めやすいですが、この4cエレメンタルに対しては除去を何枚残すか、除去を構えてターンを返すかなど、要所でプレイが難しくなります。
それになんといっても《発現する浅瀬》はとても気持ちいいカードですからね。スタンダードの時にお世話になった方も多いのではないでしょうか?
オムナスの強さを久しぶりに体感するにはぴったりのデッキかもしれませんね。
進化を続けるエルドラージ
そして最後を飾るのは、何度か話題に出ていたエルドラージランプ。最近のエルドラージはなんとトロンランドを採用していません。
エルドラージランプ
モダンチャレンジ:優勝 By Gerardo94
マナ加速できる土地は《エルドラージの寺院》と《ウギンの迷宮》のみなので、従来のエルドラージに比べて入っている呪文は全体的に軽め。昔あったエルドラージ系アグロとランプの中間といったところでしょうか。
とはいえ、エルドラージならではの早いターンからのビッグアクションも健在です。
《ウギンの迷宮》から1ターン目にタリスマンでマナ加速、2ターン目に4マナから《まき散らす菌糸生物》というブン回りが特に強力。
同じムーブをするために《楽園の拡散》が採用されています。1ターン目に《楽園の拡散》から2ターン目の《エルドラージの寺院》で《まき散らす菌糸生物》が出せるのです。
このデッキの良いところはなんと言っても、エルドラージ対策として機能していたサイドカードたちをほとんど無視できることです。《黒曜石の焦がし口》《減衰球》はほとんど効きません。
《血染めの月》《海の先駆け》にも多少の耐性があります。普通のトロンと違って全体のマナ総量が低めなので、「《血染めの月》でマナがなくなって手札のカードを満足にプレイできない」事案がそこまで頻繁には発生しません。
とはいえ、無色マナを出す手段が限られてしまうので、効かないわけではないのですが。《衝動のタリスマン》や《邪悪鳴らし》で出たトークンなどを有効活用する必要があります。
《記憶への放逐》だけは本当に刺さってしまうのですが、それはもうエルドラージである以上仕方ないでしょう。
同型において《記憶への放逐》以上のカードは存在しないので、このリストも青をタッチして採用してしまっているぐらいですからね。
《エルドラージの寺院》《ウギンの迷宮》《衝動のタリスマン》《楽園の拡散》とこのデッキにはマナジャンプ手段が大量にあり、《邪悪鳴らし》で必要なカードにもアクセスでき、このエルドラージランプは非常に安定した動きができます。
《三なる宝球》や《虚空の杯》など特定の相手に効くカードや、ただ土地だけを探す《探検の地図》も入っておらず、一貫性のある動きができるのも魅力の1つ。マナを伸ばして《まき散らす菌糸生物》《世界を壊すもの》で足止めして《一つの指輪》から最終的に《約束された終末、エムラクール》という流れは美しさすらあります。
これまで抱いていたエルドラージへのイメージが大きく変わるかもしれませんね。