【ゆうやんのデッキメモリー】コンボとチューンの原点”ハートビート明神”

【ゆうやんのデッキメモリー】コンボとチューンの原点”ハートビート明神”

皆さんこんにちは。

ゆうやんのデッキメモリーは、今年でマジックを初めて21年目になる僕が、思い出に残っているデッキを紹介していく記事です。

昔を知っている方は一緒に懐かしんで、知らない方は昔話にお付き合いください!

コンボの原点

今ではすっかりコンボ好きになっている僕が、初めてその手にコンボデッキを握りしめたのは、2006年の時だった。

その頃の僕は、フライデーナイトマジックに出れば2回に1回は3戦全勝で優勝、草の根大会では5勝2敗がアベレージと、マジックを始めた頃に比べて自分の成長を実感できる時期。つまり、マジックが面白くなり、ハマる時期だった。
マジックの上達方法は、まず大前提として数をこなすこと。たくさんプレイしていくと、段々と勝率が上がっていき、勝つと嬉しくなり、更にマジックをプレイする。プレイすると強くなって更に勝つ。この良いスパイラルに入ることだと思っている。

社会人には時間のかかる回る道かもしれないが、学生時代の僕はこのルートを辿っていた。幸い、お金はないが時間だけはあるのが学生だ。

まさにそのスパイラルに、当時の僕はいた。

その時のフォーマットはチームスタンダード。僕はアメニティドリーム吉祥寺店の常連2人とチームを組み、関東の予選によく参加していた。

そして人生で初めてプロツアー予選の決勝ラウンドに残った。忘れもしない、2006年5月4日。板橋区立グリーンホール。

競技マジックの、そしてコンボ好きとしての細川 侑也の原点が、この時使用していた「ハートビート明神」だった。

マガシュート

ハートビート明神は、一般的には「マガシュート」と呼ばれているデッキの亜種。

 

プロツアーホノルル:6位 By Maximilian Bracht

桜族の長老》や《木霊の手の内》でマナを伸ばし、《春の鼓動》を設置。お互いの土地から出るマナを倍にしたところで、《早摘み》をキャスト。土地がすべてアンタップし、大量のマナを生み出し、《交錯の混乱》を変成して《奇妙な収穫》をサーチする。
この《奇妙な収穫》を大量のXで唱え、《幻の漂い》たくさんと《現し世の裏切り者、禍我》をサーチ。《幻の漂い》を変成して《早摘み》をデッキからすべてサーチし、大量のマナを注ぎ込んで《現し世の裏切り者、禍我》でフィニッシュというコンボデッキだ。
フィニッシャーの禍我からマガシュートと呼ばれている。

当時、お金がなかった僕は、「安い」というただそれだけの理由でこのマガシュートを組んだ。

このデッキ、《早摘み》を使うため、基本土地しか入れることができなかったのだ。《アダーカー荒原》が1枚1500円していた時代だったので、基本土地しか入っていないだけでもうリーズナブル。
更にデッキのキーカードである《春の鼓動》《早摘み》もとても安価で、一番高いのは《師範の占い独楽》なのでは?というレベルだった。
お財布事情的に、1つのデッキを組んだらそれを使うしかなかったので、僕はこのマガシュートを使い続けた。

そしてその強さと同時に、使っている内に自分の力量が目に見えて上がっていくのが楽しかった。

最初はコンボを決めるだけでも精一杯だったが、何度も対戦していると「このターンまでは絶対に死なないから待っていい」「ここは見切り発車をしなければいけないターン」「サイド後は《春の鼓動》を狙い撃ちされるから、大量のマナを使わないプラン、あるいは相手をフルタップにさせる手段として《万の眠り》を入れよう」などと、様々なことを考えるようになった。
これは親和を使っていた頃の僕にはない考えだった。いや、正確に言えば、親和を使っている時も上記のように反省しなければならないのだが、それは当時の僕には難しすぎた。コンボデッキは「コンボが成立したら勝ち」「コンボターンまでは一方的で、コンボで逆転する」とわかりやすかったため、反省点を洗い出しやすかったのだ。

コンボデッキのそのわかりやすい強さと、上達した時の奥深さに感動した僕は、今でもそれがコンボの魅力だと思っている。マガシュートに出会ったからこそ、今でも僕は自信を持ってコンボを使えているのだ。

そして初めてデッキチューンを行ったのも、このマガシュートが初めてだった。

現し世の裏切り者、禍我》で勝利するためには20マナが必要。しかし、20マナは実際容易ではなかった。土地が5枚ある状態で《幻の漂い》経由で《早摘み》をサーチすると、10マナー6マナで4マナしか増えない。実際、マナが足りなくて敗北するシーンが何度もあった。
そこで、少ないマナで勝てるカードはないか?と思い、このリストに辿り着いた。

ハートビート明神

先ほどのリストと違い、クリーチャーがやたらと入っている。

春の鼓動》と《早摘み》でマナを増やすところまでは同じ。しかし、フィニッシュ手段が全く違う。
奇妙な収穫》で《生網明神》、《土着のワーム》×2、《炎の血族の盲信者》をサーチして、《生網明神》からすべてのクリーチャーを展開して攻撃!
このリストでは、勝利に必要なマナがたった9とお得なのだ。

しかし、もちろんデメリットはある。

まずコンボ時以外に必要のない無駄カードを大量に入れなければならないこと。

次に相手にブロッカーが立っていたら勝てない可能性があること。

そして、《奇妙な収穫》でこれらのカードをサーチしなければならないため、最終的に必要なマナこそ少なく済むが、最初のサーチに大量にマナがかかるのだ。つまりトータルで必要なマナが8になるわけではなく、実際は12~13マナと、さほど通常のマガシュートと変わらない。
そんなことは当時の僕は気付きもしなかった。今見返すと、プロツアートップ8のリストは実によくできている。美しさすらある。それと比べると自分のハートビート明神の粗さときたら。

とはいえ、そんな粗さも十代の証。

人生で初めてのコンボデッキ、そして誰の力も借りないたった一人でのデッキチューンは、その後のマジック人生を大きく左右する経験になったのだった。