皆さんこんにちは。
ゆうやんのデッキメモリーは、今年でマジックを初めて21年目になる僕が、思い出に残っているデッキを紹介していく記事です。
昔を知っている方は一緒に懐かしんで、知らない方は昔話にお付き合いください!
初めての師
僕がマジックを知った場所、アメニティドリーム中野店は、デュエルスペースとなる長い机が1つあり、そこに椅子がいくつかあるだけの、本当に狭い店舗だった。
扉もないため、外から丸見え。カードショップの中ではかなり異質な存在だ。
そんなお店だったが、中野という立地の良さから、強豪プレイヤーも数多く来店していた。
当時高校生だった、元ライバルズリーグ所属のプロプレイヤー、rizerこと石村 信太朗さんもその一人。そして、rizerさんの存在を教えてくれた人も、強豪だった。
それが愁さんだった。今のプレイヤーはその名前を聞いてもピンとこないかもしれないが、20年前に関東のトーナメントに出ていた人なら、懐かしいと思うに違いない。
愁さんは、学生でやる気のある初心者だった僕に気をかけてくれた。デッキの相談に乗ってくれるのはもちろん、プロプレイヤーたちの集まりに僕を連れていってくれて、ドラフトに混ぜてくれたりした。
ちなみにその時に人生初のドラフトに挑戦した。
場所は代々木の全理連ビル。その時は『ミラディン』ドラフトだったのだが、事前に「ドラフトは除去が強いから迷ったら除去を取れ」とアドバイスを受け、1の1で《グリッサ・サンシーカー》を流して《粉砕》、2の1で《腐食ナメクジ》を流して《恐怖》、3の1で《グリッサ・サンシーカー》を流して《トゲ撃ちゴブリン》を取り、2枚の《グリッサ・サンシーカー》を下家の宮森くん(当時のジュニアチャンピオン)に流し、2枚の《グリッサ・サンシーカー》にボコボコにされた田中 久也さん(ゲームショップとどのオーナー)に怒られる、なんていう経験をした。その久也さんとは2年後ぐらいから同じショップでマジックをするようになったのだが、その時には既に《グリッサ・サンシーカー》の話を忘れていてくれて、心の底から本当に良かったと思ったものだった。
さて、そんな様々な経験をさせてくれた愁さんを、僕は気付けば師として尊敬していた。マジックを教えてくれるだけの人は他にもいたし、誰の言葉も参考にはなったが、"教える"以外で僕のマジックの世界を広げてくれたのは愁さんだった。
だから僕も、自分が愁さんと同じ立場になった時は、同じように色々なものを与えていきたいと思っている。
これから紹介するのは、愁さんから「デッキを一から作ることの楽しさ」を教わった、そんな思い出のデッキ。
ベビーシッター
『フィフスドーン』と言えばミラディンブロックの3つ目にして、数々の名カードを生み出した小型エキスパンション。その中の1つで、今モダンでも禁止カードに指定されている《クラーク族の鉄工所》に、愁さんはすぐに目をつけていた。ポテンシャルこそ感じていたものの、その使い方は難しかった。
当時はアーティファクト土地が使えたため、4ターン目に戦場に出すと即8つの無色マナを生み出すことができた。しかし、大量の無色マナだけではできることは限られる。
その内、愁さんはこのデッキを持ってきた。

デッキコンセプトは単純だ。各種ドローやサーチで《クラーク族の鉄工所》と《マイアの保育器》を手札に揃える。《クラーク族の鉄工所》を場に出して6マナを生み、《マイアの保育器》を出して、再び6マナを作って《マイアの保育器》を起動する。デッキのカードはほとんどアーティファクトなので、致死量のトークンで勝利。《クラーク族の鉄工所》を出した時点でアーティファクトが自身を含めて6枚あれば即座に12マナを生み出し、《マイアの保育器》を起動できる。アーティファクト土地やタリスマン、《五元のプリズム》でこの条件を満たすのは比較的容易だった。
《マイアの保育器》から1/1のベビーがたくさん出ることから、ベビーシッターという名前が付けられた。この時の僕は親和しか回したことがなく、ライフをまっとうな手段で20点削ることしか知らなかった。「2枚のカードを揃えて相手を瞬殺する」というデッキ自体を初めて目にしたため、電流が走ったかのような衝撃をおぼえた。
そしてその調整過程も実に興味深かった。基本的には《マイアの保育器》でただ攻撃すれば勝てるが、相手が《めった切り》を持っている場合にコンボ成立後に敗北してしまう。そこで、別のフィニッシュ手段も必要になった。デッキからすべてのアーティファクトを抜けるため、土地を0枚にすることができる。そこで《ゴブリンの放火砲》を追加のフィニッシュとして採用することになった。
ベビーシッターを僕自身が組むことはなかったが、目の前で行われる調整、改善されていくデッキを見て、マジックの新たな一面を味わえた。
「親和をただ回すだけでも面白いのに、このゲームの面白さは無限大なのか?」少年時代の僕は、マジックにとてもワクワクした。
この時、僕はコンボに魅せられ始めていた。
思えば僕の2人の師は、どちらもコンボデッキが好きだった。コンボ使い同士は惹かれ合う…というやつなのかもしれない。
もう1人の師も、またいずれ。