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【今週のピックアップデッキ】ラクドスリアニメイト/白単トークンコントロール/イゼットフェニックス

週刊 Modern Pioneer Standard ピックアップ

2025.04.18

mtg Yuyan

こんにちは。 細川 侑也(@yuyan_mtg)です。 今週のピックアップデッキでは、ちょっと珍しいデッキを、軽い解説を交えて紹介していきます。   紹介デッキ ラクドスリアニメイト 白単トークンコントロール イゼットフェニックス   ラクドスリアニメイト スタンダードリーグ : 5-0 By Apeliotes MTGアリーナ用インポートデータ 巨大なクリーチャーを墓地に落として軽いリアニメイト呪文で戦場に吊り上げるデッキ、リアニメイト。 最強のリアニメイト呪文である1マナの《再活性》は今もレガシーで猛威を振るい続けており、モダンでは《御霊の復讐》が活躍しており、下フォーマットでは今も人気の戦略です。 そんなリアニメイトがスタンダードにも登場しました。   肝心の吊り上げる呪文は最近スタンダードに帰ってきた《ゾンビ化》。4マナで墓地からクリーチャーを戦場に戻すシンプルなソーサリー。以前スタンダードで再録された時もリアニメイトで活躍しており、《ゾンビ化》がある環境ではいつもリアニメイトが成立しますね。 《ヴァルガヴォスの崇拝者》は《ゾンビ化》を内蔵するクリーチャー。出してそのまま生け贄にするには5マナかかりますが、事前に戦場に出ていれば《ゾンビ化》です。《呪文貫き》《否認》などを避けられるリアニメイトスペルなので、青い相手のサイド後は重宝しますね。 さて、デッキの主役となるファッティたちをご紹介しましょう。   まずはスタンダードからヴィンテージまで使われている最強のリアニメイト先、《偉大なる統一者、アトラクサ》。 墓地からクリーチャーを吊り上げるには、カードを捨てて、それを墓地から戦場に戻すという2つの工程が必要で、当然それぞれのためにカードを費やします。そのため、戦場に出てくるクリーチャーが出しただけで勝つほどのサイズや能力を持っているか、失ったリソースを回復できるか、いずれかでなければなりません。   《引き裂かれし永劫、エムラクール》は前者です。戦場に出ても特にカードをもたらしてくれませんが、一撃で相手を投了に追い込む力があります。 かつてこの両方を担っていたのが《グリセルブランド》でしたが、ライフが少ない状態では7枚のカードを引けず、除去されて何も起きずに敗北することもしばしばありました。 その点、《偉大なる統一者、アトラクサ》はリアニメイトされるクリーチャーとしての条件を満たす完璧なクリーチャーです。 7/7で絆魂・警戒と攻守に渡って優れたサイズと能力を持ち、上から10枚を見て各タイプを1枚ずつ手札に加えられる、驚異的なリソース補充量。スタンダードでリアニメイトが成立するのは、《偉大なる統一者、アトラクサ》がまだ残っているからといっても過言ではありません。   第二の釣り先となる《原初の征服者、エターリ》は戦場に出た時はほぼ能力がないようなカードですが、お互いのライブラリートップを土地以外のカードが出るまで追放し、それらのカードをタダでプレイできます。 《ミストムーアの大主》が入っているような相手には強力ですし、自分のライブラリーから《偉大なる統一者、アトラクサ》などがめくれることもあるため、リアニメイトデッキとの相性が良いカードです。   そして《恐怖を喰うもの、ヴァルガヴォス》。こちらは9/9、飛行・絆魂と凄まじいサイズに、強力な護法能力がついています。パーマネント3つの生け贄はかなり重く、除去するのは非常に難しい。 更に能力も強烈。墓地に送られるカードを追放し、その追放されたカードをマナの代わりにライフで唱えられます。自身が9/9絆魂なので、ライフを支払って相手のカードを使い、攻撃によって失ったライフを補填します。大抵はこのカードが除去できなかった時点でゲームセットとなりますね。   このように、リアニメイト先はどれもが超一流です。   リアニメイトスペルとファッティが揃い、後必要なのは……そう、墓地に落とす手段。このデッキはそれも一流揃いです。   様々なデッキで使われている《逸失への恐怖》は当然ながら、赤単でも活躍中の《光砕く者、テルサ》は非常に面白いチョイス。墓地にクリーチャーを落とす手段でありながら、リソースにもなる可能性があるのです。もちろん釣り先となるカードが追放されてしまう可能性もありますが。 《ベイルマークの大主》はライブラリーから直接クリーチャーを墓地に落とします。《ヴァルガヴォスの崇拝者》を拾えるので、釣り先と釣り竿の両方を《ベイルマークの大主》1枚で揃えることもできますね。 《ヴェールのリリアナ》に《苦々しい勝利》と、手札を捨てられる除去も採用されており、カードを捨てることには困らないでしょう。 ド派手な戦略がお好きな方はぜひお試しあれ。     白単トークンコントロール パイオニアチャレンジ : 優勝 By  McWinSauce MTGアリーナ用インポートデータ かつてスタンダードを賑わせていた《世話人の才能》。 トークンが出るたびに1ターンに1回カードを引き、トークンをコピーし、最終的にはトークンを全体強化する。まさにトークンデッキのためのカード。   白はトークンを出して強化する手段に優れており、《婚礼の発表》は毎ターントークンを作りながら、最終的にはクリーチャーを全体強化する《栄光の頌歌》になります。 『タルキール:龍嵐録』では、トークンデッキのためのカードがまた登場しました。   それが《嵐の討伐者、エルズペス》です。 トークンが2倍生成される常在型能力に、プラスはトークン生成。0で全体強化を行い、マイナスで全除去もついている、トークン使いたちが夢にまで見たカード。   かつてのトークンデッキが《嵐の討伐者、エルズペス》の常在型能力しか持たない《選定された行進》を使っていたことから考えると、凄まじい進化ですね。 《団結の最前線》も『タルキール:龍嵐録』から加入した新カード。 3マナ以下のクリーチャー・土地以外のパーマネントを2枚場に出すこのカード。除去を《ポータブル・ホール》などのパーマネントにしており、トークンを生成するカードの多くはエンチャントなため、非常に当たりが多く、1枚で膨大なアドバンテージを生み出します。 そしてパーマネントが多いということは……そう、《空を放浪するもの、ヨーリオン》のバリューが凄まじいのも魅力。《団結の最前線》でめくれたカードたちが《空を放浪するもの、ヨーリオン》によって更に再利用されるので、各英雄譚は誘発し、《放浪皇》はトークンを生み出し、《世話人の才能》が再び誘発します。 大量のドローと《空を放浪するもの、ヨーリオン》、更にトークン戦略と揃っているこの白単トークンは、パイオニアでずっと最強のデッキとして君臨し続けていた《思考囲い》《鏡割りの寓話》デッキに非常に有利なデッキです。 赤系アグロに対してもそれなりに有利なデッキで、勝てない相手はコンボぐらいでしょうか。ロータスコンボだけはお手上げになりそうですね。   そのためサイドボードには《真昼の決闘》が採用されています。ロータスコンボを見るなら《減衰球》ですが、《ニクスの祭殿、ニクソス》の相性を考慮してのことなのかもしれません。 そもそもロータスコンボは構造上無理だと割り切っている可能性もありますね。《真昼の決闘》はロータスコンボにはイマイチですが、イゼットフェニックスには効果的です。《減衰球》がイゼットフェニックスに微妙なことを考えると、《真昼の決闘》の採用も納得できます。 デッキ相性差が非常に極端な白単コントロール。強い相手にはとことん強く、再現性も高いデッキなので、メタが合った時には無双間違いなしですね。手札破壊に長年苦しめられた方は回してみてください。     イゼットフェニックス モダンリーグ : 5-0 By  Allaire74 今ではすっかりパイオニアの顔となっているデッキ、イゼットフェニックス。 実は《信仰無き物あさり》が禁止されるまでは、モダンで一線級のデッキでした。《信仰無き物あさり》解禁直後に姿を見かけ、最近ではまた消えかかっていましたが、『タルキール:龍嵐録』で1枚のカードを得て今回見事にリーグで5-0を達成しました。 そのカードとは《コーリ鋼の短刀》。 説明不要の『タルキール:龍嵐録』最強カード。呪文を1ターンに2回唱えると果敢を持つモンクを生成するこの装備品。当然、3回の呪文を唱えると墓地から帰ってくる《弧光のフェニックス》との相性は良好です。 《弧光のフェニックス》を復活させるために呪文を3回唱えるということは、モンクが生成されるということで、果敢自体も3回行われます。先に1体でもトークンが出ていれば4/4で、新しいモンクは3/3。そして《弧光のフェニックス》と合わせて一気に10点が入ります。   その《弧光のフェニックス》を墓地に落とす手段は、前述の《信仰無き物あさり》と《ドラゴンの怒りの媒介者》。 非クリーチャー呪文を唱えるたびに諜報し、昂揚後は3/3飛行と破格の1マナ域。デッキ内のほとんどのカードが1マナ以下のスペルなので、ライブラリーを掘り進めて《弧光のフェニックス》を引き当てにいきます。   《弧光のフェニックス》を戦場に戻すために一役買うのは《魔力変》と《溶岩の投げ矢》。いずれも2ターン目に呪文を3回使える可能性のあるカードです。 《コーリ鋼の短刀》の条件を満たすためにこれらのカードはイゼット果敢でも採用されていましたが、1ターンに2回という条件が簡単なので、どうせなら後1回唱えて《弧光のフェニックス》を帰してみようと考えて、イゼットフェニックスを組んでみたのかもしれませんね。 果敢デッキは本来除去が非常に苦手なデッキです。継続して果敢を達成するためにデッキに入っているカードの多くはキャントリップや軽い火力なため、ダメージソースであるクリーチャーを倒されてしまうと、相手のライフを削りきれません。 その弱点を解消したのが《コーリ鋼の短刀》だったのですが、《弧光のフェニックス》が加わり、除去耐性に磨きがかかりました。《ドラゴンの怒りの媒介者》《僧院の速槍》のために除去ハンドをキープしてきた相手に《コーリ鋼の短刀》と《弧光のフェニックス》で殴りかかるのは快感ですね。 このリストには採用されていませんが、《表現の反復》もありますし、リソース面の不安もイゼットカラーは解消できます。 パイオニアでイゼットフェニックスを使っている方は、これを機にモダンに参入してみてはいかがでしょうか?一味も二味も違って楽しいですよ!

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【週刊メタゲーム通信】スタンダードは赤いアグロが絶好調!そして密かに強化された全知

週刊 Standard ピックアップ

2025.04.17

mtg Yuyan

こんにちは。   細川 侑也(@yuyan_mtg)です。   今週は日々成熟しつつあるスタンダード環境から、有力デッキをご紹介!   目次 赤単アグロ イゼット果敢 アゾリウス全知     赤単アグロ スタンダードチャレンジ(4/13) : 優勝  By Latorretta MTGアリーナ用インポートデータ 先週特に目覚ましい活躍を見せたのは赤単アグロでした。   前環境から圧倒的な強さを見せつけていたビートダウン。   《心火の英雄》《熾火心の挑戦者》《多様な鼠》、パイオニアでも止まらないこの3種のハツカネズミたちを活用した赤いアグロデッキは、スタンダードに様々なバリエーションが存在していますが、その中でも2色目を入れていない純正の赤単が勝ち組となっていました。 デッキのベースは変わっていません。3種のハツカネズミに《雇われ爪》、そしてミラーマッチで最も強い《叫ぶ宿敵》もメインから4枚フル投入されています。 最後の1種は『タルキール:龍嵐録』からの新カード、《光砕く者、テルサ》です。 戦場に出た時にカードを2枚まで捨て、その枚数分ドロー。マナフラッドしている状況や、クリーチャーが欲しいのに手札に《巨怪の怒り》が溜まっている状態などで、手札をリフレッシュすることができます。 攻撃時に誘発する能力も強く、墓地にカードが7枚以上あれば、その内1枚をランダムに追放してプレイできます。手札を入れ替えながらリソースも稼げる素晴らしいカードなのです。   しかもそもそもこれらの能力がついている上で3マナ3/3速攻と及第点で、これからの赤単には間違いなく採用されていくカードとなるでしょう。   2種の3マナ域が採用されるようになったことで、赤単はより長期戦を戦えるようになりました。   《熾火心の挑戦者》《心火の英雄》は《岩面村》で強化でき、《多様な鼠》は4マナで新生と、軽いカードが中盤以降もしっかり強いのが赤アグロの強みでした。そこに《光砕く者、テルサ》が加わり、ただ単に除去をしているだけのデッキでは赤単に勝つのは事実上不可能となったと言って良いかもしれません。 《一時的封鎖》のような軽量除去に強くなったのもポイントと言えるでしょう。青黒のバウンス系デッキに対して、3マナ域が《逃げ場なし》されてしまうのはこれまでと変わりないですが、《不気味なガラクタ》は効きづらくなっています。 《光砕く者、テルサ》はサイドボード後も輝くカードです。《陽背骨のオオヤマネコ》を出すために4枚目の土地が欲しいことはよくありましたが、《探索するドルイド》なしでストレートに4枚目に辿り着くのは簡単ではありませんでした。 かといって《探索するドルイド》はそのターンをパスになってしまうアクションですし、2~3ターン目にプレイして《陽背骨のオオヤマネコ》がめくれてしまい、無駄となることも多々ありました。 《光砕く者、テルサ》ならば出して土地を探しにいけて、更に3/3速攻と、4枚目の土地を求めながら相手に圧力もかけられるのです。 ただでさえ強かった赤単は『タルキール:龍嵐録』で完成したと言って良いでしょう。新スタンダードは、この赤単を攻略できるかがカギとなります。   イゼット果敢 スタンダードチャレンジ(4/12) : 準優勝 By Junkmener MTGアリーナ用インポートデータ モダンでも暴れ回っている《コーリ鋼の短刀》。軽いカードが強い今のスタンダードでも恐ろしいスピードでモンクを生成しています。 1ターンに2回の呪文を唱えなければならない《コーリ鋼の短刀》を使うには、手札を減らさずに呪文を唱えることが重要。そのため、《選択》《手練》などキャントリップを使ってトークンを生成しています。 5枚見て好きなカードを2枚取れる《食糧補充》も《コーリ鋼の短刀》と相性の良いカード。ただ3マナと少し重いため、メインでは2枚採用にとどまっていますね。 そして《コーリ鋼の短刀》と相性の良いカードが《嵐追いの才能》《この町は狭すぎる》。《嵐追いの才能》から出るカワウソも果敢なので、《コーリ鋼の短刀》を誘発させながら巨大なサイズで攻撃できますし、《この町は狭すぎる》で《嵐追いの才能》を出し直すだけで《コーリ鋼の短刀》が誘発し、ループ後は毎ターンその2枚だけで完結してくれるのです。 《嵐追いの才能》は中盤以降に手札がなくなった場合でも《食糧補充》を回収できますし、《コーリ鋼の短刀》を絡めた高速展開で使っても良し、ロングゲームでも大活躍と、このデッキの核となるカードですね。 これまでのイゼット果敢は《稲妻波》や《噴出の稲妻》を採用して相手のライフを速やかに削る方向性でしたが、近頃流行っているタイプは、除去は《塔の点火》、キャントリップがたくさんに、《この町は狭すぎる》と、コントロール色の強いリストとなっています。 このリストの方が赤いアグロに対しては高い勝率が出るでしょう。《心火の英雄》《多様な鼠》の展開に対して《稲妻波》をプレイしている余裕はありませんからね。 《コーリ鋼の短刀》は攻め一辺倒のカードではありません。2体目のトークンを生成した時は、元々いたモンクは3/3になり、新しく出たモンクに装備品がついて2/2になります。3/3のモンクだけで殴り、2/2をブロッカーとして立たせるのも強力です。 特に《呪文貫き》《塔の点火》とインスタントがそこそこ入っているこのデッキでは、相手のターンに《コーリ鋼の短刀》を誘発させることも可能です。 《コーリ鋼の短刀》《嵐追いの才能》《この町は狭すぎる》は攻めと守りどちらでも使えるカードなので、それを攻めるためだけに使うのはもったいないと考えており、その点でこのリストには光るものを感じています。   《精鋭射手団の目立ちたがり》《巨怪の怒り》はほぼ攻めるだけのカードですが、これは仕方ないでしょう。逆にこれらのカードがなければ攻めが弱くなりすぎてしまい、本来攻めて勝てるはずのマッチも落としてしまいます。 最低限のブン回り要素は残しつつもしっかりと様々なゲームプランを立てられる、とても素晴らしいデッキだと思います。   《コーリ鋼の短刀》を試してみたい方にはまずイゼット果敢がオススメです。   アゾリウス全知 スタンダードチャレンジ(4/14) : 準優勝 By Dazai MTGアリーナ用インポートデータ 《アブエロの覚醒》で墓地から《全知》を吊り上げて勝利するアゾリウス全知。 アグロばかりの現スタンダード環境では珍しい純粋なコンボデッキで、基本《全知》以外の勝ち手段を持ちません。 前環境ではズアードメインへのアンチデッキとして活躍していましたが、実は『タルキール:龍嵐録』で強化を受けました。   まずは《マラング川の執政》。前兆側の3枚引いて1枚捨てる能力は、《全知》を落としながら《アブエロの覚醒》を引きにいけるまずまずのスペル。 本体側も決して弱くなく、6マナ6/7に2つバウンスのオマケつき。サイド後に《石の脳》で《全知》を抜かれると勝ち手段がなくなっていましたが、《マラング川の執政》によってコントロールして殴り勝ちが可能となりました。 この2点だけでは《マラング川の執政》は微妙に見えるかもしれませんね。実は《マラング川の執政》には更なるメリットがあります。   それを説明するためには、4枚採用の《乱動するドラゴンの嵐》について話しておく必要があります。戦場に出た時に2枚引いて1枚捨てるエンチャントで、《航路の作成》相当の能力。そして自分がドラゴンを戦場に出した時に、このカードを回収することができます。 つまり、《マラング川の執政》が戦場に出ると《乱動するドラゴンの嵐》を回収してもう1度使用できるのです。 これにより《全知》を貼ってからの勝ち手段である《アルケヴィオスへの侵攻》を減らせるようになりました。 以前までのこのデッキは《アルケヴィオスへの侵攻》が無限コンボの起点でした。ゲームに勝つためには《アルケヴィオスへの侵攻》を1枚必ず引かなければならないので、5マナのほぼ何もしないバトルを4枚採用させられていました。   しかし、《乱動するドラゴンの嵐》の登場で、起点が《アルケヴィオスへの侵攻》である必要がなくなりました。   《全知》が貼ってある状態で《乱動するドラゴンの嵐》と《マラング川の執政》が2枚揃うと、ライブラリーをすべて引ききることができるのです。 《マラング川の執政》は自身を戻すことはできませんが、他のカードであればバウンスできるので、《マラング川の執政》が2体いれば互いをバウンスしあい、好きなだけ《乱動するドラゴンの嵐》を唱えられるのです。これで2枚に減らした《アルケヴィオスへの侵攻》に辿り着けばゲームエンドです。 更に勝ち手段も『タルキール:龍嵐録』で進化しました。   これまでは《機織りの季節》ループから更に《ネットワーク呪詛》など、勝つために複数枚のサイドカードを必要としていましたが、《ジェスカイの啓示》だけでよくなりました。 《アルケヴィオスへの侵攻》を貼って《ジェスカイの啓示》をサーチし、《アルケヴィオスへの侵攻》を戻しながら相手に4点を与える。このシンプルな手順でゲームエンドです。   更にサイドボードには《堂々たる撤廃者》の代わりに《勝利の楽士》が投入されました。 対戦相手がこちらのターンに呪文を唱えられないという能力を持つ2マナクリーチャー2種。《勝利の楽士》のメリットは1/3と2点火力で焼かれないサイズであることと、2マナで3点のダメージソースであること、マナシンボルの薄さです。アゾリウス全知との戦いではクリーチャー除去は抜くため、継続して攻撃できるでしょう。2マナの3点クロックはかなり大きく、コントロール対決ならそのままゲームに勝ててしまうほどです。   一方、《堂々たる撤廃者》のメリットは起動型能力も止まる点です。《除霊用掃除機》や《漁る軟泥》などの墓地を追放する起動型能力が止まるので、自分のターンで《全知》をディスカードして《アブエロの覚醒》で釣り上げれば、墓地対策も効きません。 どちらが優れているかについては難しいところですが、環境のアゾリウス全知対策として《除霊用掃除機》がどれぐらい使われているかによると思います。 《除霊用掃除機》の代わりに、《安らかなる眠り》や青いデッキが《呪文貫き》などのみで全知対策をしているなら、《堂々たる撤廃者》より《勝利の楽士》の方が優れているでしょう。 どのデッキも《除霊用掃除機》を複数枚採用するようになったら、《堂々たる撤廃者》の出番ですね。   『タルキール:龍嵐録』でよりデッキが引き締まったアゾリウス全知、今注目のデッキです。

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【デッキガイド】モダンで《コーリ鋼の短刀》が大暴れ!『コーリ隆盛』解説

Modern ピックアップ

2025.04.16

mtg Yuyan

こんにちは。   細川 侑也(@yuyan_mtg)です。 こんにちは!   チャンピオンズカップファイナルのエリア予選が先月終わったと思ったら、もう次のチャンピオンズカップファイナルの予選シーズンが始まっていました。   しかもフォーマットはモダン!   ユトレヒトで惨敗してからはほとんど触っておらず、《死の国からの脱出》が禁止になってからは一度も紙でプレイしていなかったのですが、予選の予約をしてからはなぜかやる気が出て、ちょこちょこ配信などでモダンをプレイしていました。   先に結果を報告しますと、予選シーズンが始まって1発目は、店舗予選に参加。アミュレットタイタンを使用し、準々決勝で敗北しました。   そして翌日のスペシャル予選はコーリ隆盛で5-0-2の土つかずで突破!ゲームカウントも10-0と完勝でした。   本日の記事は、そのジェスカイ隆盛に関するお話となります。   その前に、店舗とかスペシャルとは何ぞや?という方のために。   今回から店舗予選・エリア予選というシステムがなくなり、チャンピオンズカップファイナルの予選はすべてが本戦への権利を獲得できるものとなりました。   店舗予選は優勝者のみ、スペシャル予選では人数に応じて複数人が権利を獲得する予選となっており、以前よりもシステムとしてはわかりやすく、「久しぶりに競技大会に出たいな」と思っている古参プレイヤーも戻ってきやすくなっていると思いました。   実際、先週は僕の古いマジックの友人が復帰してそのまま権利を獲得していましたし、今のところ新システムは賛成です。 目次 コーリ隆盛に至るまで デッキリストとカード解説 デッキの回し方 マリガン サイドボーディング 終わりに コーリ隆盛に至るまで 《ジェスカイの隆盛》コンボに《コーリ鋼の短刀》を後から入れたように見えるデッキですが、実は完成の経緯はむしろ逆で、発端は《コーリ鋼の短刀》でした。 《コーリ鋼の短刀》の強さに最初に気付いたのは、スタンダードのイゼット果敢で使われているところを見た時でした。トークン生成の条件が軽く、また出るトークンが果敢!2マナの《僧院の導師》と言っても過言ではありません。 そして下環境になれば《コーリ鋼の短刀》はさらに強くなる確信もありました。スタンダードでは軽いカードはどうしても弱く、《選択》《手練》で継続的にトークンを生成するのが基本となるでしょう。つまり、基本的にカードが動き出すのは3ターン目からです。 しかし、0マナのカードが使えるモダンならば2ターン目からトークンを生成することも簡単で、しかもほとんどのカードが軽いため、トークンが複数いる状態で一気にスペルを唱えて強化もできます。   モダンのイゼット果敢のリストを見た時に心が躍らなかった理由は、0マナの少なさでした。《コーリ鋼の短刀》を2ターン目に置いてトークンを出したり、出たトークンたちを一気に強化するなら、0マナのカードをたくさん使うべきです。 《ミシュラのガラクタ》は《コーリ鋼の短刀》と最高の相性です。0マナのキャントリップ呪文ですからね。そして《ミシュラのガラクタ》《コーリ鋼の短刀》がアーティファクトなので、同じく0マナの《オパールのモックス》の金属術も達成しやすい。 それならもう1種の0マナカードとして《モックス・アンバー》も入れたい。そうすれば0マナのアーティファクトが10枚以上入ることになり、《コーリ鋼の短刀》を非常に強く使えるはず。 《オパールのモックス》《モックス・アンバー》《ミシュラのガラクタ》。この並びと組み合わせるなら《知りたがりの学徒、タミヨウ》《湖に潜む者、エムリー》しかないでしょう。《モックス・アンバー》から色マナを出すためには、1マナの伝説のクリーチャーが一番ですからね。 ここまで集まったカードたちでできることは、《コーリ鋼の短刀》で殴りながらリソースを獲得する。ただこれだけです。しかしこれならイゼット果敢に劣ってしまうでしょう。《コーリ鋼の短刀》を誘発させるのは誰にも負けませんが、それだけではゲームに勝てません。   《コーリ鋼の短刀》と《湖に潜む者、エムリー》、その両方と噛み合うカードが何か欲しいと考えました。   その結果が《ジェスカイの隆盛》だったのです。 《湖に潜む者、エムリー》と《ジェスカイの隆盛》は実はコンボになります。《湖に潜む者、エムリー》で墓地にある《ミシュラのガラクタ》を対象に取り、《ミシュラのガラクタ》を唱えると、《ジェスカイの隆盛》の能力が誘発し、《湖に潜む者、エムリー》がアンタップします。 《ミシュラのガラクタ》を起動し、《湖に潜む者、エムリー》で再び《ミシュラのガラクタ》を墓地から唱え、この工程を無限に繰り返せるので、《ジェスカイの隆盛》が好きなだけ誘発します。 《ミシュラのガラクタ》の代わりに《モックス・アンバー》2枚や《オパールのモックス》2枚でもこのコンボが成立します。コンボが成立すれば《湖に潜む者、エムリー》が無限パワーになり、無限ルーターが発生するので勝利です。   これまでもこのコンボはモダンでも成立していましたが、《ジェスカイの隆盛》がコンボ以外の使い道に乏しいのが悩みどころでした。   しかし、《コーリ鋼の短刀》があるこのデッキなら話は変わってきます。 2~3体の果敢トークンと《ジェスカイの隆盛》があれば、コンボなどせずとも、ただスペルを数回唱えるだけでライフを削りきれます。《ミシュラのガラクタ》1枚で+2/+2修正が入りますからね。 果敢トークン2体、《コーリ鋼の短刀》とある状態で《ジェスカイの隆盛》をプレイしたとしましょう。まず果敢が1回乗ります。その後、《ミシュラのガラクタ》をプレイすると、元々いたトークンの修正値は+3/+3。更に《コーリ鋼の短刀》から新たなトークンが生成されます。もう1度スペルを唱えると元々いたトークンが+5/+5、新たなトークンが+2/+2。6+6+4の16点がたったこれだけのカードから出るのです。   コンボとビートダウン、そのどちらも成立させる《ジェスカイの隆盛》が、《コーリ鋼の短刀》のマスターピースだったのです!   デッキリストとカード解説 《知りたがりの学徒、タミヨウ》   《モックス・アンバー》《オパールのモックス》の相方。この2枚のモックスを動かすのに彼女の力はあまりに便利です。   《湖に潜む者、エムリー》は1マナでプレイするためにアーティファクトを2枚出す必要がありますが、《知りたがりの学徒、タミヨウ》は条件なく1ターン目にプレイできるので、モックスたちを無理なく運用できます。   モックスたちを並べて失った手札を手がかりで回復し、変身しようものなら、大マイナスを目指したり、小マイナスで墓地のスペルを使い回すなど、その用途も多種多様。   エルドラージ相手には《記憶への放逐》を回収し続けてハメることが多く、プレインズウォーカーに触れにくい相手には一直線に奥義に突き進んでいきます。   モックスの始動役で、1ターン目からのブン回りに貢献してくれます。4枚から動くことはありえません。   《湖に潜む者、エムリー》 3マナのクリーチャーながら、出す時は大体1マナです。そのため《モックス・アンバー》との相性はやはり良い。   墓地のアーティファクトを使い回す能力で《ミシュラのガラクタ》を回すも良し、マナが欲しければ《モックス・アンバー》《オパールのモックス》を回収。その他にも《上天の呪文爆弾》を使い回して妨害や《魂標ランタン》による継続的な墓地追放など、破格の性能を持っているシステムクリーチャー。   しかもこのデッキでは《ジェスカイの隆盛》とのコンボも内蔵しています。このコンボを決めるためには《湖に潜む者、エムリー》がアクティブである必要がありますが、後述の《コーリ鋼の短刀》によって速攻を付けられるので、更地からでも急にコンボが決まる時があります。   コンボ・リソース稼ぎ・妨害、そのすべてを担う、このデッキの心臓部分ともいえるクリーチャーです。   《ミシュラのガラクタ》 別名《湖に潜む者、エムリー》のズッ友。   0マナ1ドローはシンプルながら強力。《ジェスカイの隆盛》《コーリ鋼の短刀》や果敢などスペルを唱えることが重要なこのデッキにおいて、《ミシュラのガラクタ》は最重要カードの1枚。   フェッチランドを置いて自分のライブラリートップを見て、それが不要ならシャッフルし、必要ならドローしてからフェッチランドを起動しましょう。   1ターン目にドローしたいと思ったら、相手のアップキープの起動がオススメです。相手が引く1枚のカードがわかりますし、ドローが発生するのは自分のターンなので、《思考囲い》などの手札破壊から1枚を守れます。   《オパールのモックス》 やはり解禁は間違いだったのではないか?そう思うほどの爆発力を持つカード。《モックス・アンバー》も《知りたがりの学徒、タミヨウ》《湖に潜む者、エムリー》の8枚体制で動くようにはなりましたが、それでも便利さという点では《オパールのモックス》に劣ります。   好きな色マナが出るのも、3色のこのデッキでは嬉しく、マナトラブルを改善してくれます。   2ターン目に《コーリ鋼の短刀》+《オパールのモックス》、3ターン目に《コーリ鋼の短刀》を誘発させつつ追加でスペルを唱えて4+3の7点を入れる場合が多く、その展開では《オパールのモックス》から出る追加の1マナがしみます。   《モックス・アンバー》 ほとんど青マナしか出ないのが《オパールのモックス》に比べて弱いですが、それでもモックスの名は伊達ではなく、1ターン目からの激しい展開を生むことができるカード。   《知りたがりの学徒、タミヨウ》をキャストして《モックス・アンバー》から《定業》を打つなど、アーティファクトをあまり引いていない時は《オパールのモックス》より強く、3枚は必須。4枚目は少し多く、こちらは土地になりました。   《コーリ鋼の短刀》 来ました。このコーリ隆盛の真の主役となるカード。   2ターン目から2点、3ターン目に5点、4ターン目に8点と、最速で出してただトークンを出しているだけで勝手に勝ってしまうすごいカード。   4ターン目に追加で1回果敢が発生すれば11点入るので、お手軽に4ターンキルになります。   《ミシュラのガラクタ》《オパールのモックス》《モックス・アンバー》と0マナが満載なので、2ターン目の《コーリ鋼の短刀》からトークンを生成するのも容易く、3ターン目以降も無理なくトークンを出し続けられます。   攻撃的に使うのが基本的な運用方法ですが、ブロッカーとしても果敢クリーチャーは頼もしく、ボロスエネルギーなどアグロとのマッチアップでは、トークンを立ててターンを返すことも多々あります。攻防一体のカードですね。   速攻を付与する能力が装備品自体にあるので、《ウルザの物語》でトークンを生成して装備アタックなどもできます。トランプルもつくため、それだけでゲームに勝ててしまうこともしばしば。   《湖に潜む者、エムリー》の能力を出したターンに起動できます。それによって《ジェスカイの隆盛》《コーリ鋼の短刀》の場からでも《湖に潜む者、エムリー》による瞬殺コンボが可能です。   《ジェスカイの隆盛》コンボでありながら、その実態は《コーリ鋼の短刀》デッキ。無限コンボはオプションの1つで、《コーリ鋼の短刀》を使った様々な攻めがこのデッキの持ち味です。《ジェスカイの隆盛》と《コーリ鋼の短刀》が揃うと一瞬で人が死にます。   2枚重なっても強いカードで、2ターン目に《コーリ鋼の短刀》Aからトークン、3ターン目に《コーリ鋼の短刀》Bからトークンが2体出ると、まあ大体4ターンキルです。   モックスを使うデッキはアーティファクト主体となるため、《大いなる創造者、カーン》に苦しめられがちなデッキですが、その点も《コーリ鋼の短刀》は解決しており、デッキのすべてと噛み合う完璧なカードです。   《ジェスカイの隆盛》 3マナ、かつジェスカイの3色を使用するカードなので出しにくいですが、その分出した時の破壊力はピカイチ。   既にご紹介しているように《湖に潜む者、エムリー》《ミシュラのガラクタ》と組み合わせれば無限コンボになりますし、非クリーチャー呪文を唱えればとりあえずルーターが行えます。   《知りたがりの学徒、タミヨウ》《湖に潜む者、エムリー》《モックス・アンバー》《オパールのモックス》と大量に伝説のカードが入っているので、かぶったそれらを捨ててカードを引けますし、マナフラッド受けにもなります。   《コーリ鋼の短刀》によってクリーチャーが横に並ぶため、パンプ能力も強力です。従来の《ジェスカイの隆盛》はこのパンプ能力が無限コンボ以外で活きなかったのですが、このコーリ隆盛ではこちらの能力も強力なのです。   《ウルザの物語》を置くと最速では出せませんが、3章でモックスをサーチすれば出るので、そこまで困ることはありません。   サイド後はエンチャント破壊の的になることも多いので、何枚かサイドアウトします。   《定業》 1ターン目に《知りたがりの学徒、タミヨウ》《モックス・アンバー》と展開した際に青マナが余るので、《定業》は比較的プレイしやすく好感触でした。   《ジェスカイの隆盛》《コーリ鋼の短刀》に辿り着きたいですし、《アノールの焔》《感電破》《ポータブル・ホール》など除去にもアクセスしたい場面があるので、《定業》は様々な状況で活躍します。   《ポータブル・ホール》 便利な1マナの除去枠。《稲妻》などと違ってタフネスが高いクリーチャーも対処できます。具体的には《超能力蛙》ですね。   クリーチャー以外に触れるのもメリットです。特にサイド後に置かれる《石のような静寂》などにも対応できるのは他にはない特徴です。アーティファクトである点も優秀で、《湖に潜む者、エムリー》で墓地から唱えることもできますし、金属術の達成にも一役買います。   一方、デメリットもアーティファクトであることです。《摩耗+損耗》などで《ウルザの物語》と一緒に割られてしまうので、サイド後は除去としての信頼度が下がります。   ディミーア系の《超能力蛙》は絶対に触りたいカードなので、ディミーアを意識するなら4枚ですが、現状では2枚に落ち着いています。   《感電破》 除去を《ポータブル・ホール》とスプリットして採用。《感電破》のメリットは本体火力であることです。   《コーリ鋼の短刀》が絡むとすぐにライフを削りきれるので、《感電破》は実は重要。クリーチャー除去としても4点は十分ですし、金属術達成が難しい1ターン目なら2点で問題ないです。   《大いなる創造者、カーン》もマイナスから入ってきたら《感電破》で落とせます。色々な状況を想定して、《ポータブル・ホール》と分けた方が良いと判断しました。   《アノールの焔》   《湖に潜む者、エムリー》《知りたがりの学徒、タミヨウ》とウィザードを8枚採用しているので、相性の良い《アノールの焔》を少しだけ入れることにしました。   マナソースがモックス7枚を合わせて27枚入っているので、ある程度リソースを稼ぐカードは採用したく、その上でただカードを引くだけに3マナを使うのは嫌でした。《食糧補充》をメインに入れなかった理由はそこです。   《アノールの焔》は2ドローしながら除去できますし、サイド後はヘイトパーマネントに触れる便利なカードです。   《上天の呪文爆弾》 《ウルザの物語》からのサーチ用A。   《火の怒りのタイタン、フレージ》《濁浪の執政》《超能力蛙》など、対処困難なカードを《ウルザの物語》からサーチしてこれます。《湖に潜む者、エムリー》で使い回すのも〇。   《魂標ランタン》 《ウルザの物語》からのサーチ用B。   ボロスエネルギーの《火の怒りのタイタン、フレージ》、ディミーアマークタイド、今はアミュレットタイタンなど、墓地を使うデッキはそれなりに多く、《魂標ランタン》は活躍する場面が多めです。   やはり《湖に潜む者、エムリー》で使い回せるのが良い。   《真髄の針》 《ウルザの物語》からのサーチ用C。   主にコンボデッキに対して劇的に刺さるので、メインでの採用を推奨します。1枚デッキに入れておくだけで《ウルザの物語》のバリューが跳ね上がりますからね。   ボロスエネルギーに対しても《ゴブリンの砲撃》を指定できるので、腐るマッチ自体は少なめです。   《記憶への放逐》《儀礼的拒否》 ここからはサイドボード。   対エルドラージ対策として欠かせないカードですね。エルドラージには1マナの打ち消しが一番なので、5枚目として《儀礼的拒否》を採用しているぐらいです。   青いデッキはすべて《記憶への放逐》4枚は必須ですね。   《火の怒りのタイタン、フレージ》 エネルギーやオルゾフブリンクなどにサイドインします。   イメージとしては、《コーリ鋼の短刀》でゲームに勝つことが難しく、《ジェスカイの隆盛》も触ってくる相手でしょうか。単純に勝ち筋がなくなってしまうので、シンプルな勝ち手段として《火の怒りのタイタン、フレージ》をサイドインします。   《空の怒り》が入ってくる可能性もあるので、そういった相手には《火の怒りのタイタン、フレージ》がぴったりです。   スペシャル予選を突破した時のリストには《河童の砲手》が入っていましたが、これも用途はほぼ同じです。   《摩耗+損耗》 今回《コーリ鋼の短刀》《ウルザの物語》デッキを持ち込むプレイヤーが増えそうな予感がしていたので、対策としてサイドに入れていました。アミュレットなどにも刺さりますし、普通に良いカードですね。   《石のような静寂》がとにかくきついので、白い相手にはとりあえずサイドインを試みたいところ。   《紅蓮地獄》 主に入れる相手はエネルギー。先手の《オセロットの群れ》《魂の導き手》の展開には《紅蓮地獄》しかありません。   1マナ重いと《魂の導き手》が3/4になって触れなくなるので、3マナ3点より2マナ2点です。もちろん効かない展開もあるので、2枚が限度かなと思います。   2点なので自分のモンクトークンがそこそこ生き残りやすい。   《呪文貫き》 スペシャル予選の時には入っていなかったカード。《コーリ鋼の短刀》を使うデッキ全般、コントロール、エルドラージととりあえず入れる相手自体は多いです。   《モックス・アンバー》を構えてターンを返すことが多いので、青マナはそれなりに浮きやすく、《呪文貫き》はちょうど良いカードかなと思いました。   打ち消し自体はさほどデッキに合っていませんが、0枚と少し入れるとではだいぶ違うので、1~2枚はサイドボードに用意すると、どのマッチにも対応できて良いです。   《神秘の論争》 《呪文貫き》と用途はさほど変わりませんが、こちらはよりベルチャーに強いカード。《発明品の唸り》《現実の設計者、タメシ》と、ちょうど《記憶への放逐》を抜けてきそうなカードたちに刺さります。   コントロールデッキに対して入れるものがほとんどなかったというのもあります。スペシャル予選の時は、元々コントロールがキツいので、あえて意識せず割り切ることにしました。   《時を解す者、テフェリー》 3マナと少し重いですが、効果は絶大。コントロールに出せば打ち消しが全部手札で腐り、その上《石のような静寂》などのヘイトパーマネントにも触れます。   3マナが《ウルザの物語》の起動とかぶるマナなので複数枚入れると動きがちぐはぐになります。そのためメインに入れることは難しく、サイドボードに1枚のみとなりました。   対策を置かれればそれをバウンスでき、そうでなくてもとりあえず最低限の働きはするので、とりあえずの保険でサイドインできるカードです。環境に《石のような静寂》が増えれば枚数が増えることもあるでしょう。   《最高工匠卿、ウルザ》 用途は《火の怒りのタイタン、フレージ》とほぼ同じで、フィニッシャーの役割です。《コーリ鋼の短刀》《ジェスカイの隆盛》に触られた時用ですね。   特にエネルギーには《最高工匠卿、ウルザ》はほぼ触られないので、場に出るだけで一気に行動回数が増えます。対エネルギーで強いカードではあるのですが、《ウルザの物語》やモックスを狙われるパターンが多く、ストレートに4マナまで到達しづらく、その際に手札で腐ってしまうのが嫌なので、1枚のみとなっています。 デッキの回し方 ・無限コンボについて 《湖に潜む者、エムリー》《ジェスカイの隆盛》《ミシュラのガラクタ》が揃うと、無限に《ジェスカイの隆盛》を誘発させることができるので、無限パンプ&無限ルーターになります。 1.《湖に潜む者、エムリー》を《ミシュラのガラクタ》を対象に起動2.《ミシュラのガラクタ》を唱えて《ジェスカイの隆盛》が誘発して《湖に潜む者、エムリー》がアンタップ3.《ミシュラのガラクタ》を起動して墓地に落とし、《湖に潜む者、エムリー》で再び《ミシュラのガラクタ》を対象に取り、以下繰り返し   要するに墓地から0マナのアーティファクトを無限に唱えられればコンボが成立するので、《ミシュラのガラクタ》以外でも、《モックス・アンバー》2枚や《オパールのモックス》2枚でもコンボが成立します。 《ミシュラのガラクタ》でコンボを決めると《湖に潜む者、エムリー》が無限にデカくなるだけなので、チャンプブロックなどで凌がれてしまうと思ってしまうかもしれませんが、その点は大丈夫です。   無限ルーターをしていると、いつか《オパールのモックス》や《モックス・アンバー》に辿り着きます。ルーターで引いてきたらそのまま墓地に捨てて、《湖に潜む者、エムリー》の能力で墓地から釣りましょう。   《オパールのモックス》を捨てて、墓地から《湖に潜む者、エムリー》の能力で唱え、2枚が揃えば無限パンプ&無限ルーター&無限マナになります。(金属術が達成できなければ、墓地から《ミシュラのガラクタ》を吊り上げておけばOK) マナがある状態でルーターによって《コーリ鋼の短刀》まで辿り着き、墓地に落とし、《湖に潜む者、エムリー》で《コーリ鋼の短刀》を拾い、装備すれば無限パワーの《湖に潜む者、エムリー》にトランプルが付くので勝利です。 このコンボを決めるためには《湖に潜む者、エムリー》がアクティブである必要がありますが、《コーリ鋼の短刀》で速攻を付与すれば、《湖に潜む者、エムリー》を出したターンでもコンボが決まります。   先に《ジェスカイの隆盛》だけ貼った状態からでも、《コーリ鋼の短刀》+《湖に潜む者、エムリー》+装備の5マナでコンボができるので、割とお手軽です。   ・《コーリ鋼の短刀》を中心にプレイする 上記のコンボが内蔵されたこのデッキですが、基本的にはジェスカイトークンだと思ってプレイしてください。相手のライフを削ることを最優先します。《ウルザの物語》があればまずトークンを作りますし、《ジェスカイの隆盛》と《コーリ鋼の短刀》から何点出せるかを常に考えましょう。 《コーリ鋼の短刀》の誘発は最優先事項なので、たとえば初手に《ミシュラのガラクタ》と《コーリ鋼の短刀》がある場合は、《ミシュラのガラクタ》を唱えるのは2ターン目まで待ってください。 《定業》も先手1ターン目に欲しいカードがなければプレイせず、後の《コーリ鋼の短刀》誘発を意識しましょう。もちろん、《コーリ鋼の短刀》がなければ探しにいきますが。 このデッキをビートダウンかコンボのどちらで考えるかによって、《定業》のチョイスなどに大きく関わってきます。《湖に潜む者、エムリー》《ジェスカイの隆盛》《ミシュラのガラクタ》のコンボは除去1枚で妨害されてしまう脆弱なコンボです。   メインは《コーリ鋼の短刀》による攻撃であり、《ジェスカイの隆盛》はその攻撃を後押ししつつ、《湖に潜む者、エムリー》とのコンボにもなるエンチャントです。   ・1tの《湖に潜む者、エムリー》か2tの《コーリ鋼の短刀》 よくあるのが、初手に《モックス・アンバー》《オパールのモックス》《湖に潜む者、エムリー》《コーリ鋼の短刀》のような初手。   1ターン目に《湖に潜む者、エムリー》は出せるが、そうすると2ターン目に《コーリ鋼の短刀》が誘発しないかもしれない。そんな手札です。   この場合は温存して2ターン目に《コーリ鋼の短刀》から行きます。《コーリ鋼の短刀》→《オパールのモックス》→《モックス・アンバー》で《湖に潜む者、エムリー》まで出せてしまうためです。1ターン遅らせるだけでトークンのオマケがついてきますからね。 《湖に潜む者、エムリー》を3ターン目まで遅らせる必要はありません。3ターン目の誘発まで確定していますが、《湖に潜む者、エムリー》も早いターンに出せるなら出しておきたいです。 《オパールのモックス》か《モックス・アンバー》が代わりに《ミシュラのガラクタ》だった場合は、1ターン目に《湖に潜む者、エムリー》をプレイします。《湖に潜む者、エムリー》が生き残った場合に、2ターン目の《コーリ鋼の短刀》誘発が確定するからです。 《ミシュラのガラクタ》と《湖に潜む者、エムリー》がある場合はなるべく早く《湖に潜む者、エムリー》を着地させましょう。ターンが遅れるごとに1ドローを失うと考えてください。   マリガン 2ターン目の《コーリ鋼の短刀》誘発や、除去+《ウルザの物語》、1ターン目の《湖に潜む者、エムリー》などなど、キープできる手札は多種多様です。 デッキとしてはかなりキープしやすい部類かなとは思いますが、マナがたくさんある初手も結構来るので、その際はマリガンしましょう。   《オパールのモックス》《モックス・アンバー》土地2枚みたいな初手はただの土地4です!残りのハンドが相当強ければキープできますが。2枚のモックスと相性の良い《知りたがりの学徒、タミヨウ》《湖に潜む者、エムリー》のいずれかは必須ですね。 モダンにおいて序盤の圧力は必要不可欠です。《コーリ鋼の短刀》で2ターン目から殴れたり、《ウルザの物語》で勝つプランなら妨害手段、そしてモックスを並べて1ターン目から超展開など、ある程度頭で動きを描ける初手をキープしたいです。   土地が1枚の手札は《定業》などのドロースペルさえあれば大体キープできます。1ターン目に《湖に潜む者、エムリー》が出るハンドも土地1でも十分。フェッチランド+《ミシュラのガラクタ》でもやはりキープでき、土地1は割とキープしやすいです。 試しに今から5回ほど初手を開きます。キープorマリガン、そしてキープした場合はどうやって動くかを一緒に考えましょう! キープ。 2ターン目に《コーリ鋼の短刀》を誘発させつつ、相手によって効く可能性のある《魂標ランタン》と除去である《アノールの焔》がある良い手札。秒キープです。   フェッチランドから《轟音の滝》をサーチしつつ、2ターン目に《コーリ鋼の短刀》から攻めましょう。 キープ。 あまり強くはないですがキープできる手札です。除去とドローがありますからね。《定業》で《コーリ鋼の短刀》か《湖に潜む者、エムリー》あたりを探しにいきましょう。 キープ。 2ターン目に《コーリ鋼の短刀》が出せるか微妙で少しリスクのある初手ですが、まあキープです。《知りたがりの学徒、タミヨウ》が生き残れば2ターン目に手がかりも使えますし、ストレートに土地を引けば《コーリ鋼の短刀》も誘発します。   《ミシュラのガラクタ》起動からとりあえず始めましょう。 マリガン。 非常に惜しい手札。《感電破》+《ウルザの物語》はあるのですが、土地が多すぎます。土地が1枚《湖に潜む者、エムリー》か《知りたがりの学徒、タミヨウ》か《コーリ鋼の短刀》あたりなら完璧でしたね。 キープ。 赤マナがなく少しリスクのあるハンドに見えますが、《知りたがりの学徒、タミヨウ》が除去されて《湖に潜む者、エムリー》が生き残り、《ミシュラのガラクタ》起動でリソースが取れそうです。《ジェスカイの隆盛》もあるのでコンボも決まりそうですし、かなり良いハンドです。   サイドボーディングガイド VSボロスエネルギー +2《火の怒りのタイタン、フレージ》+2《紅蓮地獄》+1《最高工匠卿、ウルザ》 -1《真髄の針》-2《ジェスカイの隆盛》-2《定業》 《コーリ鋼の短刀》を攻めにも守りにも使うマッチアップです。序盤から攻める展開の他にも、装備のついたモンクをブロッカーとして立たせて、先に出ていた果敢の乗ったモンクだけで殴り、打点を稼いでいきます。 《湖に潜む者、エムリー》が除去されやすいので《ジェスカイの隆盛》でコンボを決めるのは簡単ではないですが、《コーリ鋼の短刀》のモンクが出ていれば《ジェスカイの隆盛》のパンプで削れたりもします。   インスタント除去は《電気放出》と《スレイベンの魔除け》ぐらいなので、《湖に潜む者、エムリー》を手札に温存しておいて、隙を見て展開→《コーリ鋼の短刀》をつけて《ジェスカイの隆盛》で無限は狙えます。   サイド後は相手が何枚エンチャント破壊を入れてくるかによります。《摩耗+損耗》2枚を想定してのサイドボーディングです。   《ジェスカイの隆盛》は3マナで設置して1マナで割られたら泣いてしまうので少し抜いています。 相手の《火の怒りのタイタン、フレージ》に触れる《上天の呪文爆弾》《魂標ランタン》があるので、《火の怒りのタイタン、フレージ》対決を制することも難しくありません。このマッチのために諜報ランドを2枚入れていると言っても過言ではありません。   VSディミーアマークタイド +2《火の怒りのタイタン、フレージ》+1《神秘の論争》+1《時を解す者、テフェリー》 -1《真髄の針》-3《ジェスカイの隆盛》 基本的には有利なマッチアップです。メインは《ウルザの物語》だけで勝ててしまいます。《上天の呪文爆弾》が光りますね。 サイド後も《ウルザの物語》対策で《海の先駆け》を入れてきづらいので、普通に《ウルザの物語》だけで勝てます。 《コーリ鋼の短刀》もかなりディミーア側にとっては脅威で、適当に誘発させているだけで勝てます。毎ターン必ず誘発させられるように、余計なスペルを打たないようにしましょう。   《オークの弓使い》は激ヤバです。絶対に処理してください。   VSエルドラージ +4《記憶への放逐》+1《儀礼的拒否》+1《呪文貫き》+1《最高工匠卿、ウルザ》 -1《真髄の針》-1《魂標ランタン》-1《上天の呪文爆弾》-2《感電破》-2《ポータブル・ホール》 有利マッチです。《湖に潜む者、エムリー》が生き残りやすく、《コーリ鋼の短刀》ビートとコンボ、どちらでも勝てます。   《コジレックの命令》を打ち消すのが割と重要なのですが、《記憶への放逐》を打ちたくない。そこで《呪文貫き》《儀礼的拒否》と《コジレックの命令》を打ち消せるカードたちをサイドインしています。   《記憶への放逐》を温存できれば大体勝ちです。   VSアミュレットタイタン +4《記憶への放逐》+2《摩耗+損耗》 -1《上天の呪文爆弾》-2《感電破》-2《ジェスカイの隆盛》-1《定業》 《コーリ鋼の短刀》で殴りながら妨害できるのでまあまあ有利です。《ジェスカイの隆盛》のコンボだけなら不利でしたね。《ジェスカイの隆盛》が《耐え抜くもの、母聖樹》で狙われるので、あまり無限コンボは狙えません。 基本は《精力の護符》を対処しつつ、さっさと殴りきるだけです。   《ポータブル・ホール》は《精力の護符》に対処できるので残しています。《洞窟探検》には何もしませんが、《精力の護符》が複数枚出なければ、3ターン以内に決着することは基本ありません。そのため、《精力の護符》だけに狙いを絞っています。   《記憶への放逐》は《ウルザの物語》3章のサーチを止めましょう。 《真髄の針》の指定は《耐え抜くもの、母聖樹》か《トレイリア西部》。《耐え抜くもの、母聖樹》を指定する際はこちらが《ジェスカイの隆盛》からコンボを決められそうな時です。相手のコンボを止めるには《トレイリア西部》と言いましょう。 《トレイリア西部》を指定しておけば、《洞窟探検》+《風景の変容》からの負けは少なくなります。土地が6枚並んでいると《耐え抜くもの、母聖樹》サーチの余裕が生まれるので、絶対に安心ではありません。それでも時間を要するので、その前に勝てるでしょう。   《魂標ランタン》は最近のアミュレットには、《変容する森林》と《事件現場の分析者》に効くのでサイド後も残しておくことを推奨します。《風景の変容》を絡めた即死がなくなるだけで十分です。 というか実は《風景の変容》がかなり通りやすいので、そこから負けないようにするのが大事です。 こちらが先手の時は《ポータブル・ホール》を抜いても良いです。《記憶への放逐》で手札からの《精力の護符》を消せますからね。その際は《感電破》を残しましょう。   《アノールの焔》と合わせて除去は4枚残しておかないと《溜め込み屋のアウフ》でハメられます。注意しましょう。   VS青単ベルチャー +2《記憶への放逐》+2《摩耗+損耗》+1《呪文貫き》+1《神秘の論争》+1《時を解す者、テフェリー》 -1《上天の呪文爆弾》-2《感電破》-2《ポータブル・ホール》-2《ジェスカイの隆盛》 メインは《真髄の針》で《ゴブリンの放火砲》を指定しつつ、速やかに殴り勝つことを目標としましょう。《コーリ鋼の短刀》が絡めば完遂することも結構あります。   サイド後は《睡蓮の花》を着地させないことを第一目標にしています。   ただし割り続けても結局《現実の設計者、タメシ》からコンボを決められます。そのため《魂標ランタン》は重要です。《湖に潜む者、エムリー》の場持ちが良いので何度も使い回せますし、このマッチでかなり大事なので絶対に抜かないでください。   VSドメインズー +4《記憶への放逐》+2《摩耗+損耗》 -1《上天の呪文爆弾》-1《魂標ランタン》-1《真髄の針》-1《ジェスカイの隆盛》-1《定業》-1《アノールの焔》 《記憶への放逐》は《ドラコの末裔》と《力線の束縛》に効くので4枚あって無駄になりません。   軽いクリーチャーは少ないデッキですが、序盤に圧力をかけられなければそもそも負けないマッチアップなので、除去はしっかり残しておきましょう。   VSルビーストーム +2《摩耗+損耗》+1《呪文貫き》 -1《上天の呪文爆弾》-1《真髄の針》-1《感電破》 当然ですが有利ではありません。ほとんどこちらが相手のコンボに干渉できませんからね。   ルビーストームが増えたら《ドラニスの判事》あたりを入れることになりそうです。   VSオルゾフブリンク +2《火の怒りのタイタン、フレージ》+2《摩耗+損耗》+1《最高工匠卿、ウルザ》 -2《ポータブル・ホール》-1《魂標ランタン》-1《真髄の針》-1《上天の呪文爆弾》 エネルギーとゲームプランは似ているのですが、《コーリ鋼の短刀》によるビートだけでは中々勝ち切らないので、《ジェスカイの隆盛》のバックアップが必要。よってサイドアウトできません。   《摩耗+損耗》が入っていないので、そこまで割られることに怯えなくても良いとは思っています。   エンチャント破壊がクリーチャーなので、《ジェスカイの隆盛》を置いてターンを返すのはNG。コンボを決めるのであれば《ジェスカイの隆盛》は最後にしましょう。   《摩耗+損耗》は《ベイルマークの大主》を倒すためにインします。無限に《孤独》を使い回されないように。   《空の怒り》がヤバいので《ポータブル・ホール》は抜いた方が良いです。   終わりに コーリ隆盛は攻めたり守ったり急にコンボを決めたり、75枚のデッキにも関わらず様々な戦い方ができて、回していてすごく楽しいです。回っている時はどんな動きも可能で全能感があります。 脱出基地に似たデッキですが、《コーリ鋼の短刀》によるビートダウンができるのはコーリ隆盛の魅力!そしてそれが対戦相手のプレイやサイドボーディングを難しくさせる要因です。   《コーリ鋼の短刀》の真の強さを味わえるのは、0マナのカードを使えるモダンだと僕は思っています。   ぜひ一度回してみてください!   それではまた。

【今週のピックアップデッキ】イゼット果敢/ウモーリソーサリー/ジェスカイスペル

週刊 Modern Pioneer Standard ピックアップ

2025.04.11

mtg Yuyan

こんにちは。 細川 侑也(@yuyan_mtg)です。 今週のピックアップデッキでは、ちょっと珍しいデッキを、軽い解説を交えて紹介していきます。   紹介デッキ イゼット果敢 ウモーリソーサリーコントロール ジェスカイスペル   イゼット果敢 スタンダードリーグ : 5-0 By DB_YungDingo MTGアリーナ用インポートデータ スタンダードの赤いアグロと言えば、パイオニアすら席巻している《心火の英雄》《多様な鼠》《熾火心の挑戦者》の3種のハツカネズミを使うのが定番。いや、それどころか使わないデッキなど存在しないレベルです。 が、今回紹介するイゼット果敢は赤青でありながら、ハツカネズミを1枚も採用していません!このデッキのコンセプトは、その名前の通り、果敢です。   今更説明するまでもないですが、果敢はクリーチャー以外の呪文を唱えた時に、一時的にサイズが上がる能力。そのためデッキ内の非クリーチャー呪文は多ければ多いほどいいのです。   入っているクリーチャーはたった2種類。果敢クリーチャーの代名詞とも呼ぶべき《僧院の速槍》と《精鋭射手団の目立ちたがり》のみです。 《精鋭射手団の目立ちたがり》は果敢は持たないものの、持っている能力は果敢より強力。1回の呪文でパワーが2上がり、更に自身を計画しておくことで、フルで呪文を使って《精鋭射手団の目立ちたがり》のサイズを引き上げられます。 この果敢2種に加わるのが、クリーチャーではない果敢持ち。《嵐追いの才能》。 《この町は狭すぎる》とのコンボでスタンダードで大活躍するクラスエンチャントですが、今回は単体で採用。非クリーチャー呪文でありながらしっかり1マナの果敢クリーチャーが場に出るので、果敢と相性が良いのがグッドですね。   レベルアップした際には火力や《食糧補充》を拾うことができ、《僧院の速槍》より強い場面も多々あります。   そして最後のクリーチャー枠は新カード。こちらはなんと装備品の《コーリ鋼の短刀》です。 装備クリーチャーに+1/+1速攻とトランプルを付与する装備品……というのはオマケ能力。重要なのはその下の長いテキストです。   1ターンに呪文を2回唱えた時に果敢を持つトークンを生成し、それにこの装備品をつけることができる。とんでもないことが書いてあります。   3ターン目に《コーリ鋼の短刀》から《稲妻波》を本体に打つと果敢トークンが出てきて2点の速攻アタック。次のターンに呪文を2回唱えれば、先に出ていた果敢トークンのサイズが上がりつつ、新しいトークンと一緒に攻撃します。   毎ターントークンを生成する2マナのカードは《苦花》と呼ばれることが多いですが、《苦花》を余裕で超えてくる性能です。 問題は1ターンに2回の呪文を唱えられるかどうかですが、その点を解決するのが青。《嵐追いの才能》のためだけに青が入っているわけではないのです。   《手練》は呪文カウントを稼ぎながら次の火力を探しにいく呪文ですし、なんといっても4枚採用の《食糧補充》が、継続的に《コーリ鋼の短刀》を誘発させてくれます。 相手のライフが少なければ《稲妻波》などの火力呪文、盤面に触りたければ除去、更にリソースを稼ぎたければ《嵐追いの才能》(を出してレベルアップで《食糧補充》を回収)などなど、臨機応変に勝利への道を示してくれます。 これまでの果敢デッキはクリーチャー除去に非常に弱かったのですが、《コーリ鋼の短刀》は除去を構えている相手を嘲笑うような能力です。   果敢軍団による気持ちの良いビートダウン、一度試せば病みつき間違いなし!     ウモーリソーサリーコントロール パイオニアリーグ : 5-0 By  DB_BFG MTGアリーナ用インポートデータ 『イコリア:巨獣の棲処』で登場した超問題児、相棒。   特定の条件でデッキを組むことで、相棒カードを相棒に指定することができ、各ゲーム中に3マナを支払うことで手札に加えられるカードです。   つまり、指定した相棒は確実に手札に加えることができるので、その相棒を前提にしてデッキを組めるというわけです。   最強の相棒、《夢の巣のルールス》はビートダウンのフィニッシャーとして使われました。除去をすべて使わせて、最終的に《夢の巣のルールス》を着地させてそのリソースだけで勝利。このゲームプランを1枚で、そして確実に作れるのが《夢の巣のルールス》が最強と言われる所以。 一方能力をほぼ使うことはないのが《湧き出る源、ジェガンサ》。単に確実に手札に加えられる5マナ5/5としてビートダウンを中心に多くのデッキに採用されていました。《夢の巣のルールス》と比べるとかなり弱いですが、それでもパイオニア・モダンで禁止されるほど。 モダンでのみ禁止されている相棒、《空を放浪するもの、ヨーリオン》は能力を使用することを前提に採用されている相棒。《夢の巣のルールス》に近いカードですね。戦場に出た時に能力を誘発させるパーマネントを多数採用したり、《豆の木をのぼれ》を《空を放浪するもの、ヨーリオン》で誘発させるなど、デッキ外のカード1枚から大量のアドバンテージを獲得して勝利することをコンセプトにしています。 今回ご紹介する相棒も、デッキコンセプトとなる1枚。   《集めるもの、ウモーリ》です! 初めてこの相棒を見たという方も多いのではないでしょうか?その相棒条件は、デッキ内に入っている土地以外のカードが、共通のカード・タイプを持っていることです。   たとえばクリーチャーがデッキに入っていたら、ソーサリーやインスタントをデッキに入れることはできません。インスタントがデッキに入っていたら、ソーサリーもクリーチャーも使えません。   そんな超強烈な制限をデッキにつけてくる可愛い相棒です。   その肝心の《集めるもの、ウモーリ》の能力は、戦場に出るに際し、カード・タイプを1つ選び、そのタイプの呪文がすべて1マナ軽くなるというもの。クリーチャーだけのデッキに入れれば、《集めるもの、ウモーリ》が戦場にいる間はデッキ内のすべてのカードがコスト軽減されることになります。 そして《集めるもの、ウモーリ》で指定するタイプは……ソーサリー!このデッキにはソーサリー以外のカードが1枚も入っていません。   パイオニアで最強のソーサリー《思考囲い》は当然入ります。《集めるもの、ウモーリ》で軽くなることはありませんが、そもそも1マナなので問題ありません。 ソーサリーは全体除去も得意なので、《絶滅の契機》《死人に口無し》とたっぷり採用されています。《絶滅の契機》は奇数を宣言すれば《集めるもの、ウモーリ》を戦場に残せますね。 面白いのが《中止+停止》。分割カードの片方がソーサリーなので、《集めるもの、ウモーリ》の相棒条件を満たしながらインスタントを採用できます。《集めるもの、ウモーリ》下なら1マナで墓地を追放しながらゲイン&ドローと中々の性能。 ソーサリーはインスタントより派手な能力が多いので、フィニッシャークラスも多数あります。《絶望招来》はその中でも苦い思い出がある人も多いでしょう。《絶望招来》を打つと《絶望招来》を引くので、連鎖して一瞬でゲームが終わります。これも《集めるもの、ウモーリ》で4マナに。 《詰め込み期間》は派手さこそありませんが、良い仕事をするいぶし銀カード。 《集めるもの、ウモーリ》が出ていれば1マナで4点ゲインしつつ、サイドボードから《マスコット展示会》をサーチしてフィニッシュに向かったり、除去やエンチャント・アーティファクト破壊など、状況に応じてカードを引っ張ってきます。 ソーサリーのみの厳しい条件下ながら、このウモーリコントロールはしっかりとコントロールとして成立しており、何よりデッキリストが非常に美しい!   昔《集めるもの、ウモーリ》を相棒に指定してインスタントだけでコントロールデッキを組んでいた僕としては、仲の良かった小学校時代の同級生と再会したような気持ちになりましたね。   少し変わったコントロールがお好きな方はぜひ《集めるもの、ウモーリ》を買ってみてください。     ジェスカイスペル By Aspiringspike 《死の国からの脱出》がモダンで禁止となりましたが、元々《死の国からの脱出》《研磨基地》のコンボ自体は2020年から使えました。 脱出基地がモダンで禁止級の強さと言われ始めたのは今年なので、5年間はモダンで鳴りを潜めていたということになります。   それがなぜ急にここまで暴れたのか?その原因はやはり《オパールのモックス》にあるでしょう。 《モックス・アンバー》と合わせてモックス8枚体制となり、1ターン目から《湖に潜む者、エムリー》+《知りたがりの学徒、タミヨウ》のようなめちゃくちゃな動きを可能にしてしまったことで、《死の国からの脱出》はモダンで許されないカードとなったのです。 そんな《オパールのモックス》《モックス・アンバー》をフル活用した新たなデッキがこのジェスカイナーセット!   《ジェスカイの道師、ナーセット》はこのデッキの主役。終了ステップの開始時に、手札をすべて捨てることで、このターンに唱えたカードの枚数分、ドローできます。 《オパールのモックス》《モックス・アンバー》《ミシュラのガラクタ》と0マナ満載のこのデッキでは、とりあえず気軽に3~4枚引けます。1ターンの間に呪文をたくさん唱えたいなら、モックス以上に相性が良いカードはありませんね。   同じ『タルキール:龍嵐録』から加入したジェスカイの3マナ域《担炎の闘士》も中々の性能。3マナと少し重いですが、次に唱える呪文をコピーしてくれます。パーマネントならコピーが戦場に出るので、《コーリ鋼の短刀》のコピーが現れたり、《ミシュラのガラクタ》が増えてリソースを獲得することも。 この2種のクリーチャーがどちらも3マナ域なので、相性の良い《救いの手》が採用されています。2種の3マナ域を1マナで釣り上げた時のバリューは計り知れません。 特に墓地から《担炎の闘士》を吊り上げる→手札から《担炎の闘士》を唱えると、《担炎の闘士》がコピーされるため、その次に唱える呪文が2つコピーされ、わけのわからないことになります。手札から《担炎の闘士》を2回唱えるのは難しいですが、1枚が《救いの手》なら合計4マナなのでさほど難しくはありません。 そしてスタンダードでもご紹介した《コーリ鋼の短刀》はこのデッキでも獅子奮迅の活躍を見せます。2種のモックスに《ミシュラのガラクタ》と果敢を満たすカードは大量にありますし、2ターン目に《コーリ鋼の短刀》から0マナアーティファクトで即座に攻撃も仕掛けられます。 アーティファクトなので《湖に潜む者、エムリー》から出せますし、《オパールのモックス》《感電破》の金属術も満たせるなど、能力だけでなくカード・タイプもデッキと噛み合っています。このカード、本当にすごい! 《ジェスカイの道師、ナーセット》によって毎ターン大量にカードを引いて、それらのカードで《コーリ鋼の短刀》を誘発させ続けて殴りきる。単純明快ながら、その動きはとても面白く、回しているところを見ただけでこのデッキの虜になってしまいました。   非常に面白いデッキですし、《コーリ鋼の短刀》はもちろん、《ジェスカイの道師、ナーセット》にもかなりの可能性を感じました。 この2枚の組み合わせは今後も見ることになるのではないでしょうか。そう思わせてくれるほど美しいデッキです!

『タルキール龍嵐録』がオンライン上でリリース!最新スタンダードデッキ紹介

Standard ピックアップ

2025.04.10

mtg Yuyan

こんにちは。   細川 侑也(@yuyan_mtg)です。   『タルキール龍嵐録』がついにマジックオンライン・MTGアリーナで実装されました!   最新セットが最も影響を与える環境はもちろんスタンダード!   というわけで今回は、『タルキール龍嵐録』の新カードを使って好成績を収めたデッキたちをご紹介していきます。   紹介デッキ ジェスカイ眼魔 ジェスカイコントロール オルゾフピクシー   ジェスカイ眼魔 スタンダードリーグ : 5-0 By GodOfSlaughter MTGアリーナ用インポートデータ スタンダードからモダンまで大活躍している超強力クリーチャー《忌まわしき眼魔》。 3マナという軽さで毎ターン戦慄予示を行うため、その制圧力はピカイチ。戦慄予示で《忌まわしき眼魔》がめくれれば次のターンにはあっという間に人が死ぬ盤面になりますし、過言でもなんでもなく1枚で勝ててしまうカードです。   6枚の墓地を追放しなければならない《忌まわしき眼魔》ですが、それはあくまで唱える時のみ。墓地から戦場に出す際は条件はありません。そこでモダンでは《発掘》、スタンダードでは《救いの手》《再稼働》でこの《忌まわしき眼魔》を吊り上げるのが、最早基本の使い方となっています。 このジェスカイ眼魔はもちろん《救いの手》《再稼働》で《忌まわしき眼魔》を吊り上げるデッキ。手札に来た《忌まわしき眼魔》を《逸失への恐怖》や《蒸気核の学者》で墓地に送り込み、リアニメイトします。 プロツアーでも大活躍したこのデッキは、『タルキール龍嵐録』で3種類のカードを手に入れました。   まずは《光砕く者、テルサ》。 戦場に出た時にカードを2枚まで捨て、捨てた枚数分だけドロー。《鏡割りの寓話》の第二章などでもお馴染みの能力があり、《忌まわしき眼魔》を墓地に送り込むことができます。   更に《光砕く者、テルサ》には速攻と、攻撃時に誘発する能力があります。攻撃時に墓地が7枚以上あったなら、その内の1枚をランダムに追放し、ターン終了時までプレイできます。3マナ3/3でリソースまで稼げちゃうすごいクリーチャーというわけですね。   ジェスカイ眼魔は《蒸気核の学者》《逸失への恐怖》《光砕く者、テルサ》で墓地を貯められるので、7枚以上の条件も難しくないでしょう。 《光砕く者、テルサ》は《プロフトの映像記憶》との相性の良さも注目です。2ドローなのでカウンター2つ分になりますし、速攻によって出したターンに自身にカウンターを乗せて攻撃もできます。 ここからはスペルです。   《氷河の龍狩り》は便利な除去カード。2マナで1ドローと少しコスパは悪いですが、土地でないカードを捨てることができ、捨てると対象に3点を与えます。墓地に《忌まわしき眼魔》を送り込みつつクリーチャーを除去できるので噛み合っていますね。 更にこのカードは調和を持っており、墓地からもう1度唱えることができます。調和コストは(4)(青)(赤)なのでパワーが4のクリーチャーを寝かせれば僅か2マナで唱えられます。《忌まわしき眼魔》を吊り上げてそのまま寝かせて調和でキャスト、なんて使い方ができるわけです。   同じく新加入の《冬夜の物語》も調和持ち。こちらは3枚引いて2枚捨てるソーサリー。クリーチャーであれば捨てるのは1枚でOKと、こちらも《忌まわしき眼魔》を墓地に送るのにぴったりなカード。3ドロー1ディスカードのソーサリーなのでそれだけでもそこそこな性能。 そして前述のように《冬夜の物語》にも調和がついています。1度目は手札から打ち、《忌まわしき眼魔》などをタップして1マナで調和コストで唱えて二の矢を探しにいける強力なカード。 ジェスカイ眼魔はこれまでリソースを取る手段がありませんでしたが、2種の調和ソーサリーによって手札を増やせるようになりました。いずれもカードを引いて捨てる手段なので、《忌まわしき眼魔》を墓地から吊り上げる動きが更に安定し、デッキが単純に強化されましたね。   新カード満載のジェスカイ眼魔、まずはお試しください。     ジェスカイコントロール スタンダードリーグ : 5-0 By SPyromancer MTGアリーナ用インポートデータ 続いてご紹介するのも赤白青のジェスカイカラーのデッキ。しかしこちらは盤面のクリーチャーを除去し、カードを引くコントロールデッキです。   コントロールに必要なのは当たり前ですが除去。盤面を掌握するためには除去は必須ですからね。《稲妻のらせん》に《審判の日》など、単体・全体除去が多数採用されています。 もう1つのコントロール手段は打ち消し。《三歩先》は3マナで使えばただの打ち消しですが、5マナで使うと打ち消しつつ2ドロー1ディスカードと、コントロール好きならたまらない1枚です。 そしてもう1種類の打ち消しとして採用されているのが新カードの《払拭の吐息》です。 普通に使えば相手に2マナの支払いを要求するカウンター、まあ《かき消し》ですね。しかしドラゴンの後見を受けていると相手が払うマナが4マナに増えます。   ドラゴンの後見とは、自分がドラゴンをコントロールしているか、手札からドラゴンカードを公開する必要があります。このデッキには8枚のドラゴンしか採用されていないので、いつでも後見できるとは限りませんが、常に後見している必要があるわけではないのがミソです。   序盤は相手も2マナを支払うことが難しいので、後見は必要ありません。ゲームが伸びて2マナを支払う余裕が出てきたタイミングで後見は必要となるのです。その時ならば手札か場にはドラゴンがある可能性が高く、《払拭の吐息》は多くの状況で《対抗呪文》となるでしょう。 除去と打ち消しで相手と交換を繰り返した後に必要なのは……そう、ドローです。相手より多くのリソースを獲得すれば、盤面をコントロールし続けることができます。   青いドローの定番となった《食糧補充》以外、このデッキのリソース獲得手段はすべてクリーチャーです。更にそのクリーチャーたちはなんとすべて新カード!   《マラング川の執政》はモード選択のあるクリーチャー。4マナのインスタントとして使った場合は3ドローして1枚捨てる、シンプルながらアドバンテージの取れる良スペル。唱えた後にライブラリーに戻る前兆スペルなので、何度も引くチャンスがあります。 クリーチャーとして唱えた場合は6マナ6/7飛行の巨大サイズ。出た時に土地でないパーマネントを2枚まで手札に戻すことができるので、不利な盤面を一発でひっくり返します。   中盤はドローとして使い、後半はフィニッシャーになる、コントロールが求めていた性能です。ドラゴンなのでドラゴンの後見にも寄与してくれます。   もう1匹の《道の体現者、シィコ》もフィニッシャーながらリソースを獲得できるドラゴン。こちらは戦場に出た時に、マナ総量が3以下の呪文をと唱えることができます。《失せろ》《稲妻のらせん》を唱えるもよし、《食糧補充》を唱えてリソース確保も可能。状況に応じて様々な使い方ができる便利なドラゴンです。 サイズも4/5飛行・警戒と頼もしく、攻守において優れています。   従来のコントロールデッキは絶対的なフィニッシャーと呼べるカードが少なく、《完成化した精神、ジェイス》の起動でライブラリーアウトに追い込む戦略を取っていました。が、ビートダウン相手の《完成化した精神、ジェイス》は序盤に引くと非常に弱く、複数枚を抱えて負けるケースが多々ありました。 しかし、『タルキール:龍嵐録』によってこの2種類のフィニッシャーを手に入れ、コントロールは生まれ変わりました。リソース獲得手段を兼ねるクリーチャーがいずれもビートダウン相手にはフィニッシュ手段となるため、以前の形よりも引きムラが少なくなったのです。   優秀な除去、打ち消し、フィニッシャーとすべて揃ったジェスカイコントロールは、どこを取っても強いカードだらけで、かつてのエスパードラゴンを彷彿とさせます。 今後スタンダードで活躍していきそうで、コントロールがお好きな方は早速組んでみてはいかがでしょうか?     オルゾフピクシー スタンダードリーグ : 5-0 By elvin7 MTGアリーナ用インポートデータ 戦場に出た時に能力が誘発する《望み無き悪夢》《逃げ場なし》を《養育するピクシー》で回収して何度も使い回す。そのバウンス戦略の強さは、スタンダードを遊んでいるプレイヤーなら嫌というほど体感しているでしょう。 そこに《この町は狭すぎる》《嵐追いの才能》を加えてバウンス戦略に更に重きを置いたのがエスパーピクシーですが、今回紹介するのは青を入れずに白黒の2色だけでまとめたオルゾフピクシー。 青を使わないことで《孤立への恐怖》《この町は狭すぎる》の強力なバウンスカードを採用できなくなりましたが、今回『タルキール:龍嵐録』で《孤立への恐怖》に代わるカードが登場しました。   それが《陽光真珠の麒麟》です。 戦場に出た時に自分のコントロールしているパーマネントを戦場に戻し、それがトークンだったら1ドローと、基本的な性能は《孤立への恐怖》とさほど変わりません。タフネスが2/1と、《孤立への恐怖》と比べて2少ないのは、対赤を考えれば大きな弱みですが、《陽光真珠の麒麟》のストロングポイントもたくさんあります。   なんといっても瞬速持ちな点は大きく、《養育するピクシー》を除去から守ったり、《逃げ場なし》を回収してすぐに出し直すなど、《陽光真珠の麒麟》にしかできない仕事もあります。《孤立への恐怖》でも《逃げ場なし》は拾えますが、たとえば次のターンに相手がクリーチャーを展開してこないなら《望み無き悪夢》を、クリーチャーを出してきたら《逃げ場なし》を戻したいといった状況で、《陽光真珠の麒麟》ならば最善手を選べます。 《孤立への恐怖》が土地であろうと絶対に戻さなければならないのに対し、《陽光真珠の麒麟》は戻す条件が土地でないパーマネントなので、戦場に何もない状態なら、ただの2/1としてプレイすることができます。これも地味ですがメリットですね。 トークンを戻せばカードを引けるので、《ひよっこ捜査員》の手がかりを手札に戻せば1ドローも一応できますね。まあ手がかりならそのまま生け贄にすれば良いのですが。   面白いのは《ドロスの魔神》の採用です。4マナ6/6と良スタッツで赤アグロに特に強い1枚ですが、《悪夢滅ぼし、魁渡》に非常に弱いのが特徴。麻痺を乗せられてタップしてしまうと、そのまま油がなくなって自滅してしまうためです。 しかし、《養育するピクシー》《陽光真珠の麒麟》と入っているこのデッキなら、油がなくなって次に負けてしまいそうな時は手札に回収することができます。   《ドロスの魔神》を採用するということは当然《不浄な別室+祭儀室》も入ります。この《不浄な別室+祭儀室》も使い回せるので、デーモンを生成した後は回収して再びデーモンを作り続けられます。 オルゾフの2色にまとめているので、それぞれのマナシンボルの濃いカードをたっぷり採用できるメリットもあります。黒は《ヴェールのリリアナ》、白は《一時的封鎖》です。 特に《一時的封鎖》は、自分にも被害のある全体除去だと思ってしまいますが、《一時的封鎖》が戦場を離れると、追放しているカードは再び戻ってきます。これは相手に割られるリスクがある一方、自分のカードたちも戻ってくるので、《望み無き悪夢》や《ひよっこ捜査員》が再度誘発してくれるのです。 《養育するピクシー》《陽光真珠の麒麟》の戦場に出た時の能力も誘発するので、《望み無き悪夢》が帰ってきてダメージを与え、その後《養育するピクシー》で回収し、再び《望み無き悪夢》を出し直して一気にライフを削るといった使い方も可能です。 オルゾフピクシー。ただエスパーから色を減らしただけではない、全く違った味わいのある素晴らしいデッキです!

へいかの選ぶ『タルキール:龍嵐録』各色トップ3!

ピックアップ

2025.04.03

Akira Kobayashi

 皆さん、こんにちは! 「へいか」こと 小林 輝(@enzyutuheika)です。  4月11日に正式発売する最新セット「タルキール:龍嵐録」の全カードが公開されましたので、スタンダード目線を中心に、恒例となる各色トップ3を上げていこうと思います! 目次 白 青 黒 赤 緑 マルチカラー 無色 土地     白 3位:《鳴り渡る龍哮の征服者》 《溜め込み屋のアウフ》が空を飛んだだけでなく、なんとクリーチャーとプレインズウォーカーの起動型能力まで封じます! エンチャントまで封じないのは残された良心なのかもしれません。  これまでにない大きな範囲で封じる事から、ヘイトベアーとしてのパワーは一級品。  カードプールが広がる下環境ではその強さを発揮します。ちょうど3マナなので《集合した中隊》から出してみたいですね。  特に0マナアーティファクトを筆頭に強力なカードが揃うレガシーやヴィンテージではより効果的な一枚として採用されることでしょう。   2位:《勝利の楽士》  初めて見た時私の目を疑いました。2マナかつシングルシンボルでこの能力を持っていいのか!?  こちらのターンであれば唱えられなくなる能力はシンプルに強力。  アゾリウス全知の《堂々たる撤廃者》はアーティファクト・クリーチャー・エンチャントの起動能力も封じますが、ダブルシンボルかつタフネス2であり《勝利の楽士》の方が勝る部分もあるため、入れ替わる事も考えられそうです。  応召2もかなり大きく、実質3点クロックとして機能することからビートダウンにも入ることでしょう。  残念ながら攻撃している状態で戦場に出るため《門道急行の事件》の解明には貢献しませんが、攻撃した後に出すことで応召で出したトークンを活用できますし、解明完了の+1/+0効果とも非常にマッチします。  他にも《画家の仕事場/汚された画廊》《戦導者の号令》などパワーを上げる置物と合わせてあげたくなりますね。   1位:《嵐の討伐者、エルズペス》  《選定された行進》を内蔵したプレインズウォーカー。  常在能力によって+1能力が1/1を2体出すという守りとして優れた性能で、その出したトークン達を0能力で+1/+1を乗せつつ飛行がつくので、フィニッシャーとしての役割も持ち合わせており、自己完結しています。  -3能力も、マナ総量3以上のみとはいえ全体クリーチャー破壊能力で、《太陽の勇者、エルズペス》を彷彿とさせますね。  +1スタートであれば忠誠度6で最低でも2体の1/1によってチャンプブロックできることから、かなり硬いと言えます。     そして生きて帰ってくれば常在能力によって《ミストムーアの大主》で2/1飛行が4体! 盤面を支配すること間違いなし!  今は鳴りを潜めている白単トークンですが、これによって復権もあり得るかも……!?  ボロスカラーまで視野を広げると《ウラブラスクの溶鉱炉》から出るトークンも二倍! カウンターが2個であれば4点、3個であれば6点と瞬く間にライフを詰めていきます。  アゾリウスコントロールのフィニッシャー枠として考えてみても《推理》で手がかりトークンが2つ出たりと夢がどんどん広がっていきますね。  今のスタンダードは速い環境なのでなかなか難しいかもしれませんがカードパワー自体はとても高く、トークンシナジーも多いので大きな存在感を示すであろう一枚です。     青 3位《払拭の吐息》  通常であれば《火消し》と同じく2マナを要求するソフトカウンターですが、ドラゴンの後見を受けることで4マナ要求まで伸びます。 《シルムガルの嘲笑》がより扱いやすくなったようなカウンターですね。残念ながらシングルシンボルになってカンスペではなくなりましたが、4マナ要求はなかなか。  後述する4マナドローの前兆を持ち6/6/7飛行の《マラング川の執政》、X黒黒で全体除去の前兆を持ち4/4/4飛行護法の《ゴミあさりの執政》と組み合わせたディミーアもしくはグリクシスドラゴンコントロールは是非考えてみたいところです。  目指せ八十岡翔太さんのエスパードラゴンコントロール!!     2位《マラング川の執政》  ビジュアル的には出来事のように見えますが、前兆は唱えた後にライブラリーに加えて切り直す効果。  つまり前兆の方を唱えた場合、また引ける機会のあるモード呪文のようなイメージです。  前兆で4マナインスタントで3枚ドロー1枚ディスカードとアドバンテージを取れるドローソースでありながら、本体の方を唱えるとパーマネントを最大2枚バウンスする効果で、盤面に干渉しつつ6/6/7飛行と立派なフィニッシャーとしても使える優れもの。  コントロールは出来る限りフィニッシャーは少ない方がよいと考えています。勝つためのカードを入れるとその分コントロールするためのカードが少なくなるからです。  一枚で除去も盤面構築もフィニッシャーも兼ねる《放浪皇》は最高のカードでしたが……(懐古)  そういう意味では《マラング川の執政》はドローソースでありながらフィニッシャーとしての役割を担えるため、コントロールにとって優れた一枚と言えます。     1位《冬夜の物語》  既存のデッキだとまず《プロフトの映像記憶》を活用するジェスカイ眼魔での採用が思い浮かびます。 《忌まわしき眼魔》を捨てるルーティング手段であり、アドバンテージを獲得できるだけでなく《プロフトの映像記憶》で+3/+3を乗せることができ、さらに上がったサイズで調和コストを賄うことができます。  また、《蒸気核の学者》との相性もよく《プロフトの映像記憶》がある状態で《蒸気核の学者》を唱え、2枚ドローしてこれを捨ててアドバンテージを得た後に+2/+2が乗ると4/4になります。  そのまま調和コストを4マナ減らして1マナで唱えるといった動きは強そうです。  ジェスカイ眼魔に限らず、《冬夜の物語》によって《プロフトの映像記憶》を活用した新たなデッキが産まれるかもしれませんね!   黒 3位《腐れ呪いのラクシャーサ》  2マナで5/5トランプルと破格の能力を持ちますが、その代わりブロックできない上に攻撃した後に生贄に捧げる腐乱持ち。  腐乱は戦闘終了時に誘発するため、《悪夢滅ぼし、魁渡》で再利用は可能です。  墓地に行っても相続で相手に腐乱カウンターを乗せてしまえるため、実質的なブロッカー排除としても使える点が〇。疑似的な除去にもなります。  注目点は……やはりデーモンの文字!  スタンダードでは待望の2マナデーモンであり3ターン目の《不浄な別室》で2点ドレインできるようになりますね。  さらに黒単デーモンとして《アクロゾズの放血者》も採用する場合、この《腐れ呪いのラクシャーサ》のアタックが通ると10点という無視できないインパクトに。  直近でも国内の大会で黒単デーモンが結果を残していたので、そういう意味でも注目したいカードですね。 2位《戦略的裏切り》  「布告」除去の代名詞である《悪魔の布告》が追放になり、さらに墓地まで追放するという盛りに盛った除去です。  これは特にリアニメイトデッキに対して強く、場に出てしまった大型クリーチャーを除去できるだけでなく墓地追放によって後続もシャットアウトします。  墓地対策とアグロへの除去を兼ねており枠の節約にも繋がるため、今後サイドカードで見かけてきそうな一枚ですね。     1位《陥没孔の偵察員》  黒の1位はこちら!  攻撃誘発で1/1を出す点は《分派の説教者》を思い起こさせますね。  あちらは本体も2/4接死であることと出すトークンが絆魂を持つことも強かったのですが、こちらは2マナの軽さだけでなく飛行によって殴りやすいのが最大の利点。  一回+1/+1を乗せることで《切り崩し》《逃げ場なし》などの除去の範囲から逃れつつ、それ以降は1/1トークンを産み出し続けていく事もできます。  また、1/1を出しつつ《悪夢滅ぼし、魁渡》へ忍術で繋ぐ動きは非常に強力。出した1/1も《悪夢滅ぼし、魁渡》を守るためのブロッカーにもなりますしね。  ディミーアミッドレンジの2マナ域は激戦区ですが、そこに食い込むだけのパワーがある一枚だと思います。     赤 3位《激しき乗りこなし》 《無謀なる突進》の調和バージョンですね。  1マナで+3/+0速攻はスタンダードでは他にない性能で悪さをしそうです。  具体的に言うと《残響の力線》がある状態で《騒音の悪獣》に《激しき乗りこなし》を唱えて攻撃後、生贄に捧げると7点+7点でなんと2マナ14点!!!  それでいて速攻がつくので相手がタップアウトしたタイミングなどで奇襲が可能です。なんて恐ろしいものを…………  他にもグルール昂揚で昂揚した状態の《逸失への恐怖》を急に走らせてみたりなど、環境にあるだけで意識せざるを得なくなるグッドカードだと思います。     2位《闘技場の花形》  霊気走破から引き続きゴブリンに強化が!  応召で実質2点クロックでありながら、2マナで除去にもなれる器用な一枚。  《勝利の楽士》で言及してきた通り《門道急行の事件》などの置物との相性がいいだけでなく、《竜航技師》と一緒に《アガサの魂の大釜》で煮込んでもよし。  特に1ターン目に《闘技場の花形》から2ターン目に《画家の仕事場/汚された画廊》に繋げると4点クロック!   これはいよいよゴブリンデッキが環境に来る時が来たかもしれません。     1位《コーリ鋼の短刀》  赤の1位はこちら!  スタンダードでにわかに話題になっているイゼット果敢で使えそうな見た目。  重なれば重なるほど強いですしこれを探したり、あるいは2つ目の呪文を探したりなど《食糧補充》の役割が増えるのでより強く使えるようになりますね。  除去が増えてくるサイドボードでは長期戦に貢献する良カードになりそうです。  パイオニアではイゼットフェニックスの優秀なサブプランとして機能します。  相手のターンでも2つ目の呪文を唱えることで誘発しますので、除去+《錠前破りのいたずら屋》などでトークンを出せるのはかなりいいですね。  地味にインスタントやソーサリーではないスペルでも有効なので、《プロフトの映像記憶》や《錠前破りのいたずら屋》でもトークンを出せます。  1ターンに1回しか出ないとはいえ、クリーチャー除去に刺さらないのは《第三の道の偶像破壊者》との大きな差別点。トークンが果敢なのも馬鹿にならないですしね。     緑 3位《ラシィドのうろつくもの》  墓地を肥やすデッキだと、打ち消されない2マナ(相続)で+8/+8などサブプランとして機能しそうな相読には可能性を感じています。  本体も4/5/5とスタッツ的にはそこまで悪くなく、土地分切削する部分も墓地利用の手助けになりつつ、ミッドレンジプランも取れるといった具合で、地味ながら良いカードではないかと推測します。   2位《受け継ぎし地の開墾》 《自然への回帰》の完全な上位互換ですね。とうとうここまで来たかという感じがあります。  競争相手としては《脚当ての陣形》になりますが、アーティファクトおよび墓地対策も兼ねている点は唯一無二。  《自然への回帰》も優秀なサイドカードとして使われた前例もありますし、これも同様に使われていくことでしょう。   1位《孔蹄のビヒモス》  まさかこれが再録されるとは!!  昔のモダンやレガシーの動画でフィニッシャーとして暴れてきた姿を見てきた身としては、この再録はとても衝撃を受けました。  大量のマナを産み出せるエルフデッキのフィニッシャー枠としてはもちろん、《収集家の檻》から出したらほぼ勝つカードですね。  《収集家の檻》を起動した時点で最低限のパワー1、2、3、そこに《孔蹄のビヒモス》を出すと全員に+4/+4の修正および速攻が付与され、5+6+7+9=27点のトランプルで一気にライフを削りきれます。  これは《月揺らしの騎兵隊》にはできない芸当です。  次環境でのセレズニアケージは注目デッキかも!?   マルチカラー 3位《誉れある死者の目覚め》  1章でパーマネントを破壊、2章で墓地肥やし、3章で不要牌を墓地に落ちた必要なクリーチャーもしくは土地に変換できる英雄譚。  特に1章でパーマネントを破壊できる点はカルドハイムで猛威を振るった《古き神々への拘束》を思い起こさせます。  もはやお馴染みになった《この町は狭すぎる》《孤立への恐怖》で使いまわす事もできるのが素晴らしい。  長らくスタンダードに姿を見せていないスゥルタイミッドレンジですが、こうしたカードによって環境に出てくることを期待したいところですね!   2位《ラクシャーサ流取り引き》  こ、これは……インスタントの《食糧補充》!!  シンボルが厳しくなり、5枚ではなく4枚しか見れないとはいえ3マナで唱えられるとインスタントとしては破格の効果。4マナでも及第点です。  3マナで唱えても6マナ扱いとなるので……なんと《豆の木にのぼれ》が誘発します!! なんてアドアドしいんだ。  こういったドローソースはコントロールフリークとしてワクワクしますね。  マナベースがより安定する下環境になるほど3マナで唱えやすくなり、より強く使える一枚になると思います。これでなんとアンコモン。4枚揃えちゃいましょう!     1位《道の体現者、シィコ》  マルチカラーの1位はこちら!  3マナ以下であれば土地「以外」を唱えられます。そう、パーマネントもです! 通常であればインスタントやソーサリーになる効果なのでこれはかなり珍しく破格な効果。 《道の再発見》のような3マナの英雄譚を使いまわす事も可能ですし、なんならプレインズウォーカーも唱えられます。  一枚で二枚になるカードでありながら4/5の飛行警戒と最低限のスタッツも持ち合わせています。  この《道の再発見》も、ターンを跨ぐとはいえ6枚見て2枚手札を加えつつ、二段攻撃まで付与する《食糧補充》のようなものなので、ジェスカイミッドレンジといった新しいデッキを組みたくなりますね。   無色 3位《龍火の刃》  1マナの装備品ながら+2/+2かつ単色からの呪禁と非常に強力な効果。装備4ではありますが、単色でも装備3ですし、二色ならば2と結構プレイアブルになってきます。三色であれば装備1と破格、四色以上はなんと装備0でぶっ壊れです!  単色からの呪禁はパイオニアで活躍している《至高の者、ニヴ=ミゼット》から分かる通りかなり強力。  現在のスタンダード環境でも《喉首狙い》《力線の束縛》《この町は狭すぎる》など単色の除去が主流であるため、装備さえできればかなり強そうです。  装備品が環境に食い込むことは《エンバレスの宝剣》レベルでないとあまりないのですが、これはもしかしたら……? と思わせてくれるような性能ですね。     2位《モックス・ジャスパー》  0マナのマナアーティファクト! スタンダードでは《モックス・アンバー》以来でしょうか。  今回のモックスはドラゴンをコントロールしていなければ起動できないため条件としてはなかなか厳しそうです。  ドラゴンデッキのマナ加速として使おうにも肝心のドラゴンが重い事も多く、スタンダードで上手く使うには、ドラゴンでもある多相クリーチャーを活用するなど結構工夫が必要そう。  それでもこれまでの《モックス・アンバー》などの前例から0マナのアーティファクトというだけでも大きな価値はあります。期待を込めての2位です!   1位《嵐の目、ウギン》  最初に抱いた感想は「トロン使いがかんがえたぼくのさいきょうのかーど?」でした。  これを唱えた時点で有色のパーマネントを追放するという《運命を貪るもの》の誘発能力を持ちながら、無色の呪文を唱えると同様の誘発効果を発揮する常在能力まで持ち合わせています。  《コジレックの命令》と合わせてインスタントタイミングで最大2枚追放できるとか、あなたもしかしてエルドラージだったりしませんか?  忠誠度も7と非常に高く、+2で3点(!?)のゲインと1ドロー。  0が無色3マナととんでもない加速をし、着地してすぐ他の無色の呪文を唱える手助けにもなります。  +2能力を2回起動した後の-11能力は文字通り「あなたは勝ちます」と書いてあります。《引き裂かれし永劫、エムラクール》を踏み倒しましょう。  モダンではエルドラージに押されて斜陽になりつつあるトロンですが、土地3枚だけでこれが唱えられる7マナを出せる最大の利点によって復権があり得るかもしれません。《溶鉄の雨》などの土地破壊はご愛嬌。  スタンダードではあまり使う機会がない……と思いきや、《精神迷わせの秘本》といったドローソース、《アイレンクラッグ》《面晶体の記録庫》などの《嵐の目、ウギン》に繋げるマナ加速もあります。  除去などを他の色に頼った《嵐の目、ウギン》コントロールが産まれる可能性が……?     土地 3位《精霊龍の大渦》  ドラゴン・呪文や前兆・呪文限定の5色土地であり、マナフラッドしても生贄に捧げることでドラゴン・カードをサーチ可能な土地。  土地かつ無条件でサーチができる起動能力は結構珍しく、更にスタンダードでよくある「ソーサリータイミング限定」でもないので、結構可能性を感じています。  前兆を持つドラゴンも除去であったりドローソースであったりと様々な効果を持ちますので、その時の状況に応じてサーチできるのは非常に偉そうです。  統率者でもドラゴンは好まれていますし、結構人気が出てくるであろう土地ですね。   前兆・ドラゴンミッドレンジもしくはコントロールを組むなら4枚!     2位《偉大なるアラシンの都》  自分の墓地からクリーチャーカードを追放することで1/1のスピリットトークンを生成する土地。  飛行は持ちませんが、《ムーアランドの憑依地》を思い出す性能。  クリーチャーカードを追放する必要があるとはいえ2マナ+本体の1マナの合計3マナで1/1を出せる土地はなかなかありません。  アンタップイン条件も森か平地であればよいので、アブザンではなくスゥルタイ・エスパーカラーでも一応使える土地と言えます。  墓地を肥やしながら粘り強く戦っていくスゥルタイミッドレンジの土地枠として採用してみたいところですね。  また、《新たな夜明け、ケトラモーズ》を土地枠で誘発させられるという利点もありますので、オルゾフミッドレンジ、モダンのオルゾフブリンクなどで採用されうるかもしれませんね。     1位《湧霧の村》  合計2マナで次に唱える呪文が打ち消されなくなる土地。  スタンダードでは打ち消しが弱いのでそこまで使われないかもしれませんが、《意志の力》や《否定の力》などがある下環境では結構強そうです。  特に打ち消されない《実物提示教育》は悪夢以外の何者でもありません。  打ち消されなくなる効果としては《すべてを護るもの、母聖樹》が存在しますが、これは確定タップインによって《不毛の大地》に弱い点、マナを出す度に2点のライフを支払う必要がある点など、使いづらい部分があります。  一方、こちらは手札に持っておき、山でもある《Volcanic Island》によってアンタップインしてそのまま起動能力……という使い方ができるため、こちらに分がありそうです。青が出る土地であるのも嬉しいですね。   おわりに  以上が私が選ぶ各色トップ3でした。  総合トップ3としては《嵐の討伐者、エルズペス》《コーリ鋼の短刀》《孔蹄のビヒモス》の3点です!  特に《嵐の討伐者、エルズペス》は白単トークンにとっては非常に強力なプレインズウォーカーなので使ってあげたくなりますね。  この記事で気になったカードがありましたらぜひGOOD GAMEにてぜひご予約ください! ご購入はこちらから それではまた!

ゆうやんの選ぶ『タルキール:龍嵐録』各色トップ3!

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2025.04.02

mtg Yuyan

こんにちは! ゆうやん(@yuyan_mtg)です。 最新セット『タルキール:龍嵐録』がいよいよ4月11日に発売! 今回も注目カードを各色ランキング形式でお届けします! 目次 白 青 黒 赤 緑 マルチカラー 無色 土地     白 3位:《団結の最前線》 たびたび刷られる《集合した中隊》の亜種的なカード。   これまでは《集合した中隊》の二の舞とならないよう、かなりカードパワーが弱めに設定されていましたが、《団結の最前線》は中々のもの。   まず見れるカードが7枚である点。そしてクリーチャーと土地以外と、比較的範囲が広いのもグッド。   最近のスタンダードではエンチャントやアーティファクトも強く、《世話人の才能》+《一時的封鎖》など、リソース+除去のような組み合わせを7枚から選ぶこともできます。   《逃げ場なし》など除去パーマネントも環境に多いですしね。   個人的には《身代わり合成機》と一緒に使ってみたい。《再利用隔室》《身代わり合成機》を《団結の最前線》で出したらさすがに勝ちませんか!?   2位:《嵐の討伐者、エルズペス》 新たなエルズペスはトークンが倍で出る常在型能力を持つ素敵なプレインズウォーカー!   《選定された行進》が大好きで当時はトークンデッキを使っていた僕としては、このカードは外せないですね。   《選定された行進》の弱点は出したターンに何もアクションが取れないことでしたが、《嵐の討伐者、エルズペス》は出してプラスしてトークンが2体出ます。   トークンと言えば《世話人の才能》との相性は抜群で、カードを引きながら、更に《世話人の才能》のレベルアップのトークンも倍になります。   これまで攻撃面がどうしても課題だったトークンデッキは、《嵐の討伐者、エルズペス》によって強化されるのではないでしょうか。   全体除去を打ちながら速やかに盤面を広げて勝利する白系トークンデッキ、考えてみたいですね。   1位:《勝利の楽士》 自分のターンの相手が呪文を唱えられなくなる。かなり強力な能力なのですが、これを2マナのクリーチャーにつけちゃっていいんですか!?《落葉の道三》世代としては涙が止まりませんでした。   オマケのようについている応召も意味がわからないぐらい強いですね。実質このクリーチャーは2マナ3/3ということ。   コンボデッキなどのサイドボードに採用しても打点として見込めますし、普通に《戦導者の号令》と一緒に使っても、打点が跳ね上がって強い!   アゾリウスコントロールのミラーマッチなんかで今後使われそう。     青 3位《マラング川の執政》 ザ・スタンダードカードといったドラゴン。   4マナで3ドロー、1ディスカードのインスタント呪文というだけでもまあまあ強い方ですが、6マナで使用すれば2体バウンス。自身のサイズも6/7とかなり頼もしい。   序盤はドローしつつ終盤はフィニッシャーになるので、青系コントロールに1~2枚入れてみても面白そうです。   護法(3)ぐらいつけてほしかったな~。   2位《龍学者》 インスタントかソーサリーかドラゴンが上6枚から手札に入るウィザード。結構な確率で手札にカードが入ってくれますね。   ドラゴンを主軸に据えたクリーチャーデッキで使えるのはもちろん、インスタント・ソーサリーがたくさん入ったコントロールデッキでも使いやすい良いカード。《食糧補充》と枠を争うというよりか、《龍学者》が《食糧補充》を探してきてくれます。   オマケでついてるドラゴンへの呪禁付与も強力で、まずはドラゴンデッキで試してみたい。   1位《冬夜の物語》 昔スタンダードで大活躍していた《強迫的な研究》を思い出すカード。あちらは土地を捨てるか他2枚だったので、クリーチャーを捨てなければいけない《冬夜の物語》の方が少し弱く見えます。   しかし、それは調和能力がない場合!このカードはむしろ調和が本番と言って良いでしょう。   調和は墓地からその呪文をもう1度唱えられる能力。しかもクリーチャーをタップすることで、パワー分だけコストを減らせます。つまりパワーが4のクリーチャーをタップすれば1マナで《冬夜の物語》をキャストできるというわけです。   《冬夜の物語》を切削などで墓地に落とし、軽いパワー4以上のクリーチャーを出して墓地から1マナで調和できたら最高だと思いませんか?   それができるのが今のスタンダード。《蓄え放題》などで墓地を肥やして《トレイリアの恐怖》を出すシミックテラーがスタンダードにはいるじゃないですか!   これまで《豆の木をのぼれ》にリソースを一任していたシミックテラーに《冬夜の物語》はぴったりです。早く《トレイリアの恐怖》をタップして《冬夜の物語》を1マナで唱えたい。   黒 3位《カルシの帰還者》 《吸血鬼の夜鷲》、強くなりすぎ!!   見た瞬間の感想でした。パワーが上がっただけでなく、死亡時に自分のクリーチャー1体に夜鷲3点セットをプレゼントできます。   しかし悲しいかな、今のスタンダードではタフネス3の3マナ域はお呼びではない……。《逃げ場なし》が強すぎるせいですね。   赤アグロにも相打ちしつつ相続で絆魂を付与できて強いのですが、同マナ域の《分派の説教者》がかなり強いので、使われるかと言われると微妙なところ。タフネス3だと《稲妻の一撃》で焼かれてしまいますからね。   《魂剥ぎ》デッキとかで使うのは面白いかもしれませんね。《魂剥ぎ》で追放して良し、呪禁だけとりあえずついた《魂剥ぎ》を出しておいて後で相続して良しで、相性は良さそうです。   2位《戦略的裏切り》 何かのオマケで墓地を追放するカードは《真っ白》によって構築級であることが証明されました。   それなら《戦略的裏切り》にも十分チャンスはありそうです。   単純な墓地追放として使っても2マナは軽いのでかなり強いですね。普通に布告除去として使っても追放布告なので悪くありません。   色んなフォーマットのサイドボードに入りうるカード。   1位《陥没孔の偵察員》 2マナで攻撃するたびにトークンが増えていくのは破格の性能。2マナの《分派の説教者》……は言い過ぎですが。   ディミーアミッドレンジはクリーチャーを横並びにすると《悪夢滅ぼし、魁渡》《永劫の好奇心》が運用しやすいので、《陥没孔の偵察員》は相性が良いのではないでしょうか。   自身が飛行なのも偉いですね。トークンを出しつつ自身を《悪夢滅ぼし、魁渡》の忍術で戻し、返しにスピリットのブロッカーが立つ。噛み合ってます。   赤 3位《龍へと昇る者、サルカン》 ドラゴンの後見を受けていると宝物を生成する2マナのサルカン。   更にドラゴンが出るたびに自身を強化して飛行と、ドラゴンデッキの中核を担う存在です。   正直書いてあることはめちゃくちゃ強いですが、ドラゴンは比較的重めなのが残念なポイント。《雷破の執政》のような攻撃的な4マナのドラゴンが欲しかったですね。   《マグマのヘルカイト》は悪くなさそうですが、後手だと土地を縛る意味が薄く感じてしまいます。   2位《嵐鱗の末裔》 ストームを持つドラゴン。一見ネタっぽいカードですが、小さいストームで効果大なので、モダンのストームのサイドに入るかもしれません。   《巣穴からの総出》はストーム4で10体を出すと2ターンクロックですが、《嵐鱗の末裔》はストーム1で10点クロック。ストームが2になると6/6が3体なのでほぼ1ターンで相手を倒せます。   実はかなり注目しています。   1位《コーリ鋼の短刀》 いや、めっちゃ強くないですか!?このカード。   2つ目の呪文を唱えるだけで果敢モンクを生成するだけでもまあまあなのに、そのおまけが速攻とトランプルを付与する装備品!   3ターン目に《コーリ鋼の短刀》からキャントリップを打つだけで2/2速攻で殴れるのはかなりアツい!   スタンダードでは果敢系デッキで使いたいですね。《食糧補充》でリソースを確保して毎ターンモンクを生成したいです。   パイオニアでもイゼットフェニックスのサイドプランの1つになるのではないでしょうか?最終的に《ストーム・ジャイアントの聖堂》が《コーリ鋼の短刀》を握りしめて8/8トランプルで殴る姿も見えました。   緑 3位《雨とばりの再生者》 《アガサの魂の大釜》大好き人間としてはこのカードを入れないわけにはいきませんでした。   大釜で煮込んだ瞬間大量のマナが出ること間違いなし。普通に出しても切削で墓地を肥やせるので、相性は良いですね。   2位《群れの家宝》 序盤はマナ加速、中盤以降はリソースになるグッドカード。ドラゴン系のデッキを組むならばまず入れたいですね。   《龍へと昇る者、サルカン》か《群れの家宝》でマナ加速して3ターン目に4マナのドラゴンという動きが基本になりそうなので、やはりドラゴンデッキで大事なのは4マナ域。   《退廃的なドラゴン》はもしかしたら今後使われるようになるかも?   1位《自然の律動》 クリーチャーサーチ呪文に調和が付いたお得な1枚。《破滅の終焉》に似たカードですね。   どんなクリーチャーでもサーチできるので使い勝手が良いですが、個人的には《エルフの大ドルイド》と組み合わせてみたい。   《エルフの大ドルイド》をサーチしつつ、その《エルフの大ドルイド》から出した大量のマナで調和して《孔蹄のビヒモス》という流れ、美しくないですか?しかもこれを今ならスタンダードで実現できます!   後は個人的に思い入れのあるデッキ、タメシブルームですね!《現実の設計者、タメシ》をサーチしつつ、最終的に《耕作する巨躯》になるので、《破滅の終焉》より強そう。   マルチカラー 3位《漆黒洞穴の包囲》 氏族たちが手を組む激アツ包囲サイクルから、アブザンとスゥルタイの包囲である《漆黒洞穴の包囲》をチョイスしました。   今回の包囲サイクルは2枚引いてそれぞれの氏族で置くことで力を発揮するデザインとなっており、そのため1枚だけ戦場にある場合は比較的弱め……なのですが、《漆黒洞穴の包囲》はどちらも強めです。   スゥルタイ側では、クリーチャーにカウンターを置くたびに1ドローし、アブザン側は攻撃クリーチャーに+1/+1を置きつつ、威迫を付与。アブザン側だけでも結構強いカードです。   +1/+1カウンターを置くのも地図を起動してドローできたりとそれなりに手軽。パイオニアの《硬化した鱗》デッキも強化されましたね!   2位《跨龍兵の突撃》 上陸だけで4/4飛行が出るのはかなり強力。   《跨龍兵の突撃》を意識してデッキを組む場合、おそらく上陸を1ターンで何度も達成するために、マナ加速がデッキに入るはず。そうするとマナ加速から4ターン目に《跨龍兵の突撃》を唱えたりするので、必然的に盤面への対応は疎かとなるでしょう。   そこで《跨龍兵の突撃》の出た時に3点を与える能力もしみてきますね。この能力をつけたことで構築級になっていると思います。   《事件現場の分析者》がアップを始めそうです。   1位《歌作りの魔道士》 巷ではティムール《瞬唱の魔道士》とも呼ばれている新たな魔道士。確かにその性能は《瞬唱の魔道士》と比べて見劣りしません。   一見すると1マナ重くマナ拘束がきつくなり、完全下位互換のようですが、フラッシュバックではなく調和を付与するのがポイント。重い呪文を軽く唱えられるのです。   《歌作りの魔道士》は3/2で、調和コストにあてられるので、(3)マナ分を軽減することができます。シングルシンボルの4マナの呪文であれば僅か1マナでキャストできるのは、《瞬唱の魔道士》との大きな違いです。   もちろんもっとパワーの大きいクリーチャーがいれば更にコストは軽減できます。《ジェスカイの啓示》を《歌作りの魔道士》で使い回す豪快なデッキとかが組めるかもしれません。   関係ないですが、もし初音ミクのSecret Lairを今から作るとしたら、《歌作りの魔道士》は確実に入りますね。 無色  2位《モックス・ジャスパー》 今回のモックスはドラゴンがいる時しか起動できないと中々曲者。   重いドラゴンを出すためにマナ加速がしたいのに、ドラゴンがいないと使えない。そのためまあまあ使いづらいモックスな印象です。   とはいえ、ドラゴンがいる時は好きな色マナが出るのは中々優秀。コントロールしているドラゴンの色しか出なかったらイマイチかなと思いましたが、好きなマナが出るなら、3~4マナ域のドラゴンから重くてマナ拘束の強いドラゴンへ繋げることはできそうです。   ドラゴンを出してモックスから1マナを構えられるのもなかなか。《頑固な否認》なんかをパイオニアでは構えられそうですね。スタンダードでも《呪文貫き》や、今回の《幽体の否認》を構える動きができそう。   1位《嵐の目、ウギン》 強すぎて意味がわかりません。   無色の呪文を唱えるたびにパーマネントを追放と書いてあるだけでもやばいのに、戦場に出た時にも追放できる。   プラス能力を使えばライフゲインと1ドロー、0では無色が3マナ出るので、そこから無色の呪文を唱えてパーマネント追放が可能です。   7マナのプレインズウォーカーで盤面に触りまくりながらリソースを獲得し、大マイナスすれば勝利。さすがにヤバすぎます。   同マナ域のプレインズウォーカー、《解放された者、カーン》は盤面に触る能力が低いことが弱点でしたが、《嵐の目、ウギン》は場に触りすぎです。意味がわかりません。   3ターン目に場の一番強いパーマネントが追放されながら忠誠値9のプレインズウォーカーが立ちはだかるんです。モダンだからとはいえ到底許されることではありません。   もちろん主な主戦場はモダンとなるでしょう。これまでエルドラージの影に隠れていたトロンが復権するかもしれませんね。   しかし、面白いのはトロンのミラーマッチでは強くないという点。《嵐の目、ウギン》の流行でトロンのミラーマッチが増えれば、もしかするとミラー対策で《解放された者、カーン》を採用するデッキが現れるかもしれませんね。   さすがにめちゃくちゃ強いカードだと思います。対峙するのが既に恐ろしくなっています。   土地 3位《偉大なるアラシンの都》 今回のレア土地は、各氏族に割り振られており、この《偉大なるアラシンの都》はアブザンなので、《平地》か《森》をコントロールしているとアンタップ状態で戦場に出すことができます。もちろん諜報ランドでもアンタップインしてくれます。   アブザンは墓地のクリーチャーを追放することで1/1のスピリットを生成してくれます。昔あった《ムーアランドの憑依地》に近いですね。   ちょうど緑黒には《陰湿な根》というカードがあり、《偉大なるアラシンの都》は相性抜群です。   アンタップインの土地についている能力と考えれば十分すぎる性能です。個人的には《見捨てられたぬかるみ、竹沼》より便利かなと思いますね。 2位《コーリ山の僧院》 ジェスカイの土地はいわゆる衝動的ドロー。起動は4マナと重いですが、次の自分のターンの終了時までプレイできるので、相手ターンのエンドに起動して自分のターンに使用することができます。   マナフラッド受けとしてはかなり優秀なので、こちらもよく使われそうです。アグロよりはコントロールデッキなどで見ることの方が多そうです。   1位《湧霧の村》 そして1位は当然このカードです。次に唱える呪文が打ち消されなくなるという破格の能力を、(この土地を含めて)たった2マナで付与できます。   今でも下環境のコンボデッキで採用されることがある《すべてを護るもの、母聖樹》が伝説でタップインかつ、マナを出すたびに2点を支払い、更にインスタント・ソーサリーにしか有効でないことを考えると、凄まじい進化と言えるでしょう。   ティムールカラーなので使用するデッキも完璧です。コンボは大体青いですからね。モダンやレガシーではフェッチランドからショックランドやデュアルランドをサーチするので、《湧霧の村》はほぼアンタップインとなります。   《すべてを護るもの、母聖樹》と違い、早いターンの仕掛けができないのは残念ですが、それ以外は完璧です。   色々なコンボデッキで見ることになるのではないでしょうか。   総合トップ5 5位《冬夜の物語》   4位《コーリ鋼の短刀》   3位《湧霧の村》   2位《勝利の楽士》   1位《嵐の目、ウギン》     今回の記事で気になったカードや試してみたいカードが出てきたら、ぜひGOOD GAMEでシングルカードをお買い求めください!!   ご購入はこちらから それではまた!

《死の国からの脱出》禁止で《オパールのモックス》を持て余した人に捧ぐ、オパモデッキ三選!

Modern ピックアップ

2025.04.01

mtg Yuyan

こんにちは。   細川 侑也(@yuyan_mtg)です。   昨夜、各フォーマットの禁止改訂が発表されました。   モダンでは《死の国からの脱出》が禁止。 レガシーでは《まき散らす菌糸生物》《カザド=ドゥームのトロール》が禁止。 パウパーでは《日を浴びる繁殖鱗》《カルドーサの再誕》《命取りの論争》が禁止となり、《予言のプリズム》《満潮》が解禁されました。 《死の国からの脱出》のモダン禁止は、最早異論を唱えるプレイヤーが一人もいないほど、当然の結果と言えるでしょう。   以前から存在していたアーキタイプではありましたが、《オパールのモックス》が解禁したことで2ターンキルが可能となり、速度と粘り強さを持った1枚コンボとして、モダントーナメントを席巻していました。 単純なデッキの強さもさることながら、《死の国からの脱出》ミラーマッチはとにかくゲームが長引いてしまい、トーナメントの進行にも多大な影響を及ぼしていました。 環境とトーナメントを不健全にしており、2つの観点から見て、妥当な禁止と言えるでしょう。   さて、本日の記事は……禁止改訂後の環境についてモダン・レガシー・パウパーの考察を行おうとしましたが、レガシーとパウパーに関してはオ恥ずかしながら無知なので、今回はモダン!   《死の国からの脱出》が禁止になり、《オパールのモックス》が手元に余ってしまった人に捧げる、《オパールのモックス》を使ったモダンデッキの紹介です! 紹介デッキ 親和 アスモフード ランタンコントロール   親和 モダンリーグ : 5-0 By Skpchino まずご紹介するのは「アーティファクトデッキと言えば」でまず思い浮かぶ方も多いであろう、親和です。   アーティファクトの数だけコストが下がる親和能力を最大限まで活かすべく、大量のアーティファクトを並べるデッキで、当然ながら0マナのアーティファクトで、しかもマナの出る《オパールのモックス》は、親和を一つ上のステージに押し上げるカードです。 親和と書かれたカードは《思考の監視者》しか入っていませんが、アーティファクトをタップすることでマナにあてられる即席を持つ《河童の砲手》もほぼ親和カード。これに《湖に潜む者、エムリー》を加えた計10枚が、アーティファクトでどんどんコストが軽くなっていきます。 《思考の監視者》は2ドロー、《湖に潜む者、エムリー》は墓地から《ミシュラのガラクタ》や《思考の監視者》を唱えればリソースになり、《トーモッドの墓所》による妨害、《上天の呪文爆弾》ならバウンスと、状況に応じて様々な仕事をこなしてくれる器用なカード。 《河童の砲手》は非常に攻撃的なクリーチャー。護法(4)は重すぎて払うことはほぼ不可能なので実質呪禁。しかもどんどんサイズが上がっていくので、戦場に出た次のターンには8/8ぐらいにはなっており、2回のアタックで人が死にます。 序盤のクリーチャーは《エスパーの歩哨》で、こちらもアーティファクト。《オークの弓使い》という天敵さえいなければ非常に強いカードですね。金属術や親和に貢献しながら、相手の動きを制限し、時にはカードをもたらしてくれます。 一方の《知りたがりの学徒、タミヨウ》はクリーチャーではないものの、生み出す手がかりはアーティファクト。たった1マナで、攻撃するだけでアーティファクトを作り続けるカードと考えると強力ですね。 除去枠として入っている《ポータブル・ホール》もアーティファクトなので、1マナ域のすべてのカードがアーティファクトとなっています。 そしてアーティファクトが大量に入っているデッキなら当然、《ウルザの物語》も採用されています。このデッキから出るトークンのサイズはデカい!デカすぎる。もう軽くフィニッシャークラスです。 1ターン目に《ウルザの物語》、《ミシュラのガラクタ》、《オパールのモックス》、1マナのアーティファクトを出してターンを返し、2ターン目から《ウルザの物語》を起動し続けるだけでも十分に勝ててしまうでしょう。   このデッキなら1マナの《マナ漏出》になる《金属の叱責》もあり、ハマった時は全能感すらあります。 《オパールのモックス》をまだまだ使い倒したいならこのデッキでしょう!   アスモフード モダンリーグ : 5-0 By  dr_gingy 王道の親和ではなく、ちょっと墓地も使ったトリッキーなデッキが好きな方には、アスモフードがぴったりかもしれません。   アスモフードは、その名の通り《アスモラノマルディカダイスティナカルダカール》を主軸に据えたデッキ。アスモがサーチする《地獄料理書》が食物を作ることから、アスモフードと呼ばれています。 この《地獄料理書》は、タップで手札を捨てることで食物を生成できるため、たった1枚と1マナで2つのアーティファクトを出せるため、《オパールのモックス》との相性が抜群です。1ターン目に《地獄料理書》を置き、起動して食物を出し、《オパールのモックス》から《アスモラノマルディカダイスティナカルダカール》を唱えて2枚目の《地獄料理書》をサーチするのが黄金パターンです。 《地獄料理書》は手札を捨てて食物を出すため、連発できないのが悩みですが、それを解決するのが《楕円競走の無謀者》。ただの4マナ4/2クリーチャーですが、それは戦場にいる場合。墓地にある時にアーティファクトが戦場に出ると、墓地から手札に帰ってきてくれます。 つまり、《地獄料理書》のコストで《楕円競走の無謀者》を捨てると、アーティファクトである食物が戦場に出るので、手札に戻ってくるのです。この2枚が揃うと無料で料理が作れてしまいます。   《地獄料理書》が2枚あれば毎ターン2枚の食物が出るので、《アスモラノマルディカダイスティナカルダカール》で6点を打てますし、《ウルザの物語》のトークンのサイズも膨れ上がっていきます。 そんなアスモフードは《オパールのモックス》解禁後、『霊気走破』でも更に新戦力を獲得しています。   それが《忍耐の記念碑》です。 手札からカードを捨てるたびに宝物生成・ドロー・3点ルーズのいずれかを選べるアーティファクト。3マナと重いですが、その分効果は大きいですね。特に《地獄料理書》で《楕円競走の無謀者》を捨てられなかった時に手札が減ってしまうのが悩みだったのですが、《忍耐の記念碑》があればドローできるので、毎ターン食物を出しても手札が減らなくなりました。   それどころか、《楕円競走の無謀者》があればどんどんカードが増えていきますし、複数枚の《地獄料理書》が出ればドローしながら3点ルーズしたりと、単体でフィニッシャーとなってくれます。 《忍耐の記念碑》は特にサイド後に墓地対策を受けた時に強力です。《楕円競走の無謀者》の無限回収を封じられても食物を作り続けられるのは非常に魅力的で、墓地依存度はかなり下がりました。   そして『霊気走破』からの新戦力として忘れてはならないもう1枚のカードが《略奪するアオザメ》。こちらも手札を捨てることで能力が誘発するクリーチャー。サイズがどんどんでかくなっていきます。 《地獄料理書》との相性は言わずもがな。《通りの悪霊》や《信仰無き物あさり》でも大きくなるので、1ターン目に出せた時の打点は1マナクリーチャーの中でも最高峰です。 カードを捨てる手段でもあり、捨てた時のボーナスもある夢のようなカードが《太陽の執事長、インティ》。 《略奪するアオザメ》や《忍耐の記念碑》を誘発させつつ、巨大サイズの《ウルザの物語》トークンにトランプルを付与しながら、リソースも稼いでくれます。手札を捨てるとライブラリートップを追放してプレイでじるので、《地獄料理書》でカードを捨てても誘発してくれます。 アスモフードは赤単ながら、攻めては《略奪するアオザメ》、守っては《アスモラノマルディカダイスティナカルダカール》と、攻守に渡って優れたデッキで、しかも非常にアドバンテージ獲得手段にも長けており、一筋縄では対処できません。   これまではブリーチ対策として採用されていた《溜め込み屋のアウフ》に苦しめられていましたが、新環境では輝くデッキかもしれませんね!     ランタンコントロール モダンチャレンジ : 4-2 By Taddy_99 そんな普通の《オパールのモックス》の使い方では満足できない…   贅沢なお悩みをお持ちの方、ランタンコントロールというデッキはご存じでしょうか?   ランタンコントロールは、Zac Elsikという稀代のデッキビルダーが作り、グランプリでの上位入賞を経て、グランプリオクラホマシティで見事優勝を収めたことで一気にその名が広まったデッキ。   その後、プロツアー『イクサランの相克』も制し、対戦・観戦をするプレイヤーたちに、トラウマのようなものを植え付け、《オパールのモックス》の禁止と共にモダンを去っていきました。   なぜトラウマになってしまうのか?それはこのデッキの動きを説明しなければわかりませんね。   まずこのデッキの主役は《洞察のランタン》。 「お互いのライブラリーの一番上を公開し、これを生け贄にすると、プレイヤー1人が自分のデッキをシャッフルする」この一見毒にも薬にもならなそうなアーティファクトが、ランタンコントロールの要になります。   お互いのライブラリーの一番上を公開するということは、相手が次に何をドローするのかわかります。たとえばその公開されたカードがずっと土地だったとしたら、相手は毎ターン土地しかドローできないので、場と手札さえ処理してしまえば、ゲームに勝てるとは思いませんか?   そんなゲームプランを大真面目に目指しているのがこのランタンコントロールなのです。   《写本裁断機》は自分か相手のライブラリーを1枚切削するカード。《伏魔殿のピュクシス》はお互いのライブラリーの一番上を追放するので、ほぼ同じ役割。この2種類のカードを戦場に限りなくたくさん並べ続けて、相手の有効牌だけを落とし続け、相手に土地や除去を引かせ続けるロックデッキ。それがランタンコントロールの正体。 相手の次のドローが土地だった場合は《写本裁断機》は自分に起動することで、不要なカードを墓地に落としてドローの質を上昇させることができます。《伏魔殿のピュクシス》は《火の怒りのタイタン、フレージ》や《引き裂かれし永劫、エムラクール》など、墓地に落ちた時に厄介なカードを追放できるため、時々《写本裁断機》より役に立ちます。 最初は1~2枚程度のライブラリー切削カードだけなので、ロックとしてはかなりソフトなものですが、《ウルザの物語》のサーチなどもありどんどん切削カードが場に増えていくので、あっという間に不要牌しかドローできないようにされてしまいます。   とはいえ、相手のライブラリーを攻めるカードばかり出していて生き延びれるはずもありません。クリーチャーを止める手段として採用されているのが《罠の橋》。 この《罠の橋》を強く使えるのもランタンコントロールの特徴。デッキが非常に軽いので出したターンにしっかり機能してくれますし、《罠の橋》を割れるカードがメインから数枚入っていたとしても、そのカードだけを切削で的確に落とせば、それだけでゲームに勝利できます。   ボロスエネルギーはメインから《静牢》を採用し、《ゴブリンの砲撃》《ナカティルの最下層民、アジャニ》という飛び道具もあるため、《罠の橋》1枚でゲームに勝つことは本来できません。しかし、それらのカードを排除できるランタンコントロールであれば話は別。 《罠の橋》さえ設置してしまえば、後は《静牢》《ゴブリンの砲撃》《ナカティルの最下層民、アジャニ》さえ相手に引かせなければ勝てるのです。それ以外のすべてのカードは引かせられるので、《写本裁断機》が3枚ある状態なら、相手のライブラリーの上4枚にそれらのカードが連続で積まれてさえいなければ良いのです。   しかもゲームが長引けば2枚目の《罠の橋》がどこかで見つかるので、そうすれば《静牢》も除外でき、いよいよ《ナカティルの最下層民、アジャニ》と《ゴブリンの砲撃》以外のカードでは負けなくなります。《真髄の針》2枚でそれらのカードを指定すれば、負けるカードはなくなるので、ロックが完成。 最終的には4枚の《写本裁断機》と1枚の《伏魔殿のピュクシス》、更に《マイコシンスの庭》2枚で計7回のトップ検閲が毎ターン発生し、速やかにライブラリーアウトで勝利となるわけです。   ランタンコントロールは非常に難解なプレイを要求されるデッキです。目の前に公開されたカードを引かれて良いのか、そもそも相手のデッキには何が入っていて、どのカードがダメなのか。モダンの様々なデッキの知識が求められます。   しかし、その分ロックに嵌めた時の快感は格別です。すべてを掌握しきっての勝利は、コントロールが好きなプレイヤーなら垂涎間違いなしでしょう。   このリストはブリーチがメタゲーム上にいたため、メインから《魂なき看守》が4枚入っていますが、今なら追加の切削手段である《グール呼びの鈴》などが入るかもしれませんね。《根絶》も不要になるでしょうし、6枚ほどスロットが空きますね。 手札破壊とライブラリートップの検閲により、このデッキはヘイトカードを他のデッキよりも強く使えます。メタゲームに合わせて様々な対策カードを採用できるのも強みですね。   《オパールのモックス》解禁前にもファンがランタンコントロールを使用していましたが、やはり今と比べると動きには雲泥の差があります。 8枚の手札破壊にサーチ、《洞察のランタン》に《写本裁断機》と1マナのカードが大量に入っており、特に手札破壊から《洞察のランタン》《写本裁断機》までを速やかに済ませて検閲を行いたいため、《オパールのモックス》で1マナ増えるのは非常に重要です。   ブリーチの後は、ランタンの世界に飛び込んでみてはいかがでしょうか。

スポットライトシリーズ参戦!ユトレヒト旅行記

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2025.03.26

mtg Yuyan

皆さんこんにちは。   チャンピオンズカップファイナルの参加権利を獲得できるエリア予選で日本が盛り上がっていた頃、僕はオランダのユトレヒトに行っていました。   そう、スポットライトシリーズに参加するためです! スポットライトシリーズとは、世界各地で年に数回行われる大型トーナメント。トップ8入賞者には次回のプロツアーの権利が付与される他、賞金や賞品も豪華で、かつてあったグランプリを彷彿とさせるようなイベントです。   日本でも今年開催が決定していますね。   そんなスポットライトシリーズ・ユトレヒトのフォーマットはモダン。しかもトップ8に入ればラスベガスで行われるプロツアー・ファイナルファンタジーに出場できるとのことで、日本から参加してきました!   今回はそのユトレヒトの旅行記と、モダンのデッキ選択のお話になります。 水曜日 旅の始まりは水曜日。   今回は往復7万5000円の超格安便を取ったのですが、その代わりに飛行機の乗り継ぎ時間が20時間、つまり実質1日滞在となる旅券。   なので本戦は土曜日なのですが、日本を出発するのは水曜日です。   まずは羽田空港から北京の北京大興国際空港まで4時間のフライト。   北京大興国際空港は最近できた新しい空港らしく、僕も初めて降りたのですが、非常にきれいな空港で驚きました。   面白かったのは空港の喫煙所。   他の空港では見たことのない、火をつける場所のある喫煙所でした。ちなみに火はつかなかったそうです。   空港のWi-Fiが一切繋がらないことを除けば快適で、空港から迎えのリムジンバスにより10分程度でホテルへ到着。   そこから少し歩いたところに見つけた定食屋に入ります。 久しぶりに来た北京ですが、物価は非常に安く、食べきれないほどの量が来ましたがお会計は1人2000円ほど。 ちなみに何度こちらが訴えても水とお酒の料金を請求してくれなかったので、実質0円飲み放題つき。意味がわかりませんでした。   翌日のフライトが13時からなので早めに就寝。   木曜日 北京からアムステルダム空港までは10時間と長いフライト。   しかし、あまり行く人がいないのか機内はガラガラで、僕の隣にも人がいなかったので、非常に快適に過ごしていました。   機内ではアイパッドで漫画を読んだり、携帯ゲーム機で時間を潰していましたが、スウィッチの充電が切れてしまい、残り3時間ほど手持ち無沙汰に。   そこで座席についている機械に入っているゲームを遊んでみることに。   動物を3つ並べて消すだけのゲームだったのですが、これに大ハマりし、結局気づいたらオランダに上陸していました。 入国審査で、英語を全く知らない同行者の友人が「Where?」と聞かれているにもかかわらず「サイトシーイング!」を繰り返したため、助けに入りましたが、それ以外は特に問題なく、アムステルダムに到着! 実は昨年もアムステルダムに来ているので、感動というよりは懐かしいに近かったです。   アムステルダムからユトレヒトまでは電車移動。30分ほどで到着するので、あっさりと目的地に到着。ちなみに電車の中では女性の方に「日本人ですか?」と声を掛けられました。おそらくオランダの方のはずなのに日本語が喋れてびっくりしました。   ホテルに到着すると、前日に既にユトレヒト入りしていたBIG MAGICのくーやんさんと合流し、オランダでの最初の食事へ。 前回来た時も思いましたが、オランダのご飯は全体的にヘルシー志向が強いように思えます。大体の食事にサラダがしっかりついてくるんですよね。アメリカだとセットでサラダを選ぶとデカいジャガイモがついてくるだけなこともあります。   海外名物の「よくわからないものを食べているけど美味しいからいいか」もしっかりありながら、木曜日は終了。   金曜日 本戦は土曜日からですが、会場自体は金曜日から空いています。   ヨーロッパの地域CSの予選が行われたり、ショップがオープンしていたり、まるでMagic Conのような盛り上がり。平日昼間からマジックが盛り上がっている様子に懐かしさすら覚えました。   ショップでは日本で見たことのないドラゴンシールドのロックマンスリーブが売っていました。買いました! 僕の金曜日の目的は……そう、サインです。   今回はボーダーレス諜報ランドと《空の怒り》のアーティストが来ているということで、楽しみにしていました。   特に諜報ランドはスタンダードからヴィンテージまで使わないフォーマットはないレベルのカード。サインしてもらわない手はないでしょう! 見てください!この美しいサインたちを!! いや~。もうこの瞬間にユトレヒトに来てよかったと思いましたね。   そしてここで、僕より先に会場入りした友人から言われた言葉を思い出しました。   「木のテーブルでやらされるから、今回はプレイマットを敷いた方が良い」とのこと。プレイマットを使わない主義の僕なので、当然この旅には持ち込んでいなかったのですが、会場でそのテーブルを見て、プレイマットが必須であることを理解。   一通り会場を散策して、最も良いプレイマットを探した結果……   見つけたのは愛しの《大釜の使い魔》プレイマット!しかもアーティストブースで購入したので、サイン入りです! これにて金曜日に会場でやることはすべて終了。大会に出ていた二人の同行者と共に夕飯へ。   夜はアップルボウルなるデザートが有名なお店へ。ユトレヒトの名物とかで、アップルパイとは一線を画すものでした。 アップルパイがパイ生地にリンゴを練り込んでいるのに対して、アップルボウルはりんごの中身だけをパイに直接投入し、それを焼いたような印象。味わいもただ甘いだけではなく、かなり好み。日本に同じ店ができたら流行るんじゃないかな?と思いました。   土曜日……の前にモダンのデッキ選択の話 ▽最強のデッキと向き合う   もうすぐ禁止改訂で《死の国からの脱出》が禁止になると思うので、今回のデッキのお話は軽めです。   最強のデッキが《死の国からの脱出》《研磨基地》のコンボ、ティムールブリーチなのは最早疑いようがなくなりました。使用率1位で勝率も1位。これは最強のデッキであることの証明に他なりません。 最速2ターンキルや1ターン目《湖に潜む者、エムリー》《知りたがりの学徒、タミヨウ》などのプレッシャー連打、そしてコンボ自体は実質《死の国からの脱出》1枚コンボ。モダンでも随一の速度・安定性を誇るコンボデッキです。   ユトレヒトでも確実に使用率1位になるでしょうし、勝ち進めばどんどん当たる可能性があがってきます。そこで、ティムールブリーチに強いデッキを模索することにしました。   まずはディミーアライブラリーアウト。フィニッシャーの《死の国からの脱出》を《根絶》か《外科的摘出》して後は相手のライブラリーを削ってしまえる、いわばコンボキラーです。 エネルギーがとても苦手なデッキですが、現在は減少傾向にあり、トップメタのブリーチ、そして二番手と目されるオルゾフブリンクに強いと言われている、立ち位置の良いデッキなのです。   ……と思っていたのですが、これが大誤算。そもそもメイン戦もほぼ必勝というわけではありませんでした。切削で《死の国からの脱出》が墓地に落ちてそれを《外科的摘出》すれば勝てますが、現実はそんなに甘くありません。逆に切削によって《死の国からの脱出》が落ちなければ、切削が相手の助けになってしまい、《死の国からの脱出》で一瞬でコンボを決められてしまいます。 サイド後は相手がカウンターを増やしつつ《ウルザの物語》で勝とうとしてくるので、《根絶》《外科的摘出》を増やしても意味がありません。メイン勝率こそまだマシですが、サイド後は決して相性が良いとは言えませんでした。 デッキパワー自体も高くはないので、使用は断念。   次の候補はアゾリウスコントロール。中国の地域CSで上位入賞していたリストで、こちらは《死の国からの脱出》を実質無効化できる《オアリムの詠唱》が4枚採用されています。 高い勝率を期待しましたが……やはりブリーチにはダメでした。   《オアリムの詠唱》は確かに強いですが、それはあくまで《死の国からの脱出》を止められるだけ。ブリーチは《死の国からの脱出》でコンボを決める際に全力を出してくるわけではありません。ただ《死の国からの脱出》を唱えて、それが解決すれば勝ててしまうのです。失敗した時のリスクがほとんどありません。   《オアリムの詠唱》で1ターンを稼いでも、その返しのターンでこちらがビッグアクションを取れるわけではないのです。ただ相手のコンボを防いでそれで終わりです。   ブリーチ側のリソース確保手段をアゾリウスコントロールが止めづらいのもマイナスでした。青白2色では軽い除去は《虹色の終焉》しか採用できず、とにかく1ターン目に出てきた《湖に潜む者、エムリー》が厳しい。 《湖に潜む者、エムリー》を処理できずにアドバンテージを取られ続け、《ウルザの物語》で殴られ、《オアリムの詠唱》がなければ即負け。   アゾリウスコントロール、ダメでした。   ▽《オアリムの詠唱》の使い方を変える しかし、《オアリムの詠唱》自体には可能性を感じていました。   アゾリウスコントロールの《オアリムの詠唱》が弱いのは、相手のコンボを防いだターンの返しに特に何もしないからです。要するに《オアリムの詠唱》は、ティムールブリーチ相手に弱いカードではないものの、1マナの《対抗呪文》ぐらいの強さであり、1枚で勝てるスーパーカードではなかったのです。 逆に言えば、1マナの《対抗呪文》ではあるということで、「このカードをコンボデッキで使えば良いのでは?」と考えました。   《オアリムの詠唱》を無理なく採用できるコンボデッキ、それがルビーストームです! 解説記事は以前にも書きましたので、基本的な動きが知りたい方はこちらの記事も参考にしてみてください。   ルビーストームは2ターン目に《モンスーンの魔道士、ラル》《ルビーの大メダル》を設置して3ターンキルを目指すデッキで、ブリーチと同速度のデッキです。そしてこちらだけ《オアリムの詠唱》をメインから採用することで、後手での勝率を少しでも上げようと考えました。 リストはアメリカの地域CSのものを参考にしましたが、特に感銘を受けたのは《美術家の才能》です。 《無謀なる衝動》《レンの決意》でめくれたカードをどんどん置いていくこのデッキは、手札に不要な土地が溜まりやすいのですが、《美術家の才能》はその土地を捨ててドローできます。3マナ払えば《モンスーンの魔道士、ラル》にもなり、2つの役割をこなせる素晴らしいカードでした。 《美術家の才能》のおかげで墓地が以前よりも溜まりやすくなったので、《死の国からの脱出》も運用しやすくなりました。運悪く儀式系スペルを1枚しか引けなかった時は、《炎の中の過去》ではなく《死の国からの脱出》をサーチします。 諜報ランドの枚数は3枚になりました。基本的には2枚の諜報ランドを2ターン連続で置いて3ターン目に仕掛けていくか、あるいは諜報ランドから入って2ターン目に《レンの決意》でトップをめくっていくことになります。 そのため、3枚目は不要だと考えていましたが、サイド後は相手が《モンスーンの魔道士、ラル》《ルビーの大メダル》に対して打ち消しや除去を構えるケースが多く、ほとんどの状況で3枚目の諜報ランドをサーチしたかったのです。   3枚目の諜報ランドとして入っている《轟音の滝》は他の赤い諜報ランドならどれでも構わないです。あえて色を散らしているのは《虹色の終焉》用です。 オルゾフブリンクの出してくる《エイヴンの阻む者》があまりにネックだったので、《虹色の終焉》で対処できるよう、3色目を入れることをオススメします。   土曜日 スポットライトシリーズは6勝3敗で2日目に進出することができます。が、トップ8はおそらく2敗しか難しいので、目指すは7勝2敗、もしくは8勝1敗!   ゴルガリエルフ ×〇〇エルドラージ 〇×〇ティムールブリーチ 〇××ティムールブリーチ ×○〇ボロスエネルギー 〇〇ドメインカスケード ××オルゾフブリンク 〇××オルゾフブリンク 〇〇ティムールブリーチ ×〇×   最終成績5勝4敗で初日落ち。 バブルマッチ、ティムールブリーチに《オアリムの詠唱》で先手3キルを防ぎ、返しに3キル……で不発。その返しに2枚目の《死の国からの脱出》で負けてしまいました。 《モンスーンの魔道士、ラル》の変身後の奥義が不発だったり、《レンの決意》で何枚めくっても土地だったりと、全体的にツキに見放されていましたね。 ほぼ毎ラウンド30分ほど延長していたのが印象的でした。延長卓を見るとブリーチミラーが多く、強さとは別にトーナメント進行上の理由からも「このデッキは禁止になりそうだな」と感じました。   毎回30分押すと当然9ラウンド終了時は夜なので、この日はレストランに行かずに帰宅。   オランダに無限にあるスーパー、アルバート・ハインでハムとパテをしこたま買い込み、ホテルで爆食いして就寝。   日曜日 優勝するとアルティメットガードのスリーブが300個もらえるという面白そうなトーナメントに参加。 ドメインズー 〇〇ボロスエネルギー ××アゾリウスコントロール 〇××オルゾフブリンク 〇〇青単ベルチャー ××鱗コンボ 〇×〇アスモフード 〇〇ティムールブリーチ 〇〇 5勝3敗でプライズチケットを少し獲得して終了。   2日通して負けまくってしまい、正直結構落ち込みましたね。   一方で、ヨーロッパは素晴らしいプレイヤーが多かったです。勝っても負けてもニコニコしてグッドラックと言ってくれますし、モダンのデッキもこだわりがすごくて、フルフォイルのプレイヤーもたくさんいました。   僕もイラスト違いが大好きなのですが、「君のストーム、良いアートたくさんだね」と言ってもらいました。 テキストを聞かれた三銃士がこちら。   ヨーロッパはモダンやレガシーなど、下フォーマットがとにかく人気!海外で下環境を遊びたいならヨーロッパがオススメですよ。優しいプレイヤーばかりなので、初めて海外でマジックをするのにもぴったりです!   月曜日 ユトレヒトはあのミッフィーちゃんの出身地!当然ながらお土産もたっぷりあります。   というわけで最終日はミッフィーちゃんのお土産を買いに散策。 ちなみに世界に1つだけしかない、ミッフィーちゃんの信号機もありました。 お土産コーナーには定番のぬいぐるみやクッキーなどの他、トートバッグやリュックサックなどいろいろ! どれも可愛くてついつい散財してしまいました。   そしてランチはパンケーキの有名なお店にいきました。食べたのはこちら。 一見チヂミに見えますが、パンケーキです。日本で食べるホットケーキっぽいものを想像していたのでびっくりしましたが、味にはもっと驚かされました!美味しい!   戦いは続く 月曜日の夜の便で帰国……ではなく、そこから再び北京に向かい、火曜日は北京ダックを食べつつ、日本に帰国したのは水曜日でした。   北京ダックは動画しか残していなかったので、絶品だった水煮を貼っておきます。 安いだけで選んだ北京経由の航空券でしたが、北京はホテルもご飯も安く快適で、Wi-Fiが一切使えないことを除けば、何も不満がありませんでした。1回の旅行で2カ国を観光できてお得な気分になりました。   さて、ユトレヒトが終わっても休みはありません!僕がヨーロッパにいた週、既に日本ではエリア予選が行われていました。   1週遅く、僕もエリア予選に出始めなければならないのです。しかもフォーマットはスタンダード!プロツアーが終わった後のスタンダードは相手のデッキもプレイも強く、中々勝つのが難しい。   というわけで、次回はエリア予選のデッキ選択とその経緯に関するお話となります。   それではまた!

『マジック:ザ・ギャザリング――FINAL FANTASY』コラボスリーブ予約開始!!

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2025.03.21

mtg Yuyan

こんにちは。   細川 侑也(@yuyan_mtg)です。   連日情報が公開されるたびに大盛り上がりのマジック:ザ・ギャザリングとファイナルファンタジーのコラボ製品『マジック:ザ・ギャザリング――FINAL FANTASY』!   少年時代をファイナルファンタジーで過ごした方にとっては、6月13日の発売が待ちきれないという方も多いでしょう!かくいう僕もその一人!   ちなみに皆さんはファイファン派でしたか?エフエフ派でしたか?僕は小学校の時はファイナルと呼んでました。   ありがたいことに、各種プレイブースターや統率者デッキは当店での予約も既に完売しておりますが、今回のコラボで発売する製品は、カードだけではありません!   そう、マジックを遊ぶ上で必要不可欠と言って良いもの、スリーブです!   今回は6月13日に発売となるファイナルファンタジーコラボスリーブ、8種を一気にご紹介いたします! 【ご予約はコチラから】   第1弾となる今回は、それぞれのパッケージアートがそのままスリーブになりました! 背景が白となっているこの4種は、プレイ・ブースター、スターターキット、コレクター・ブースター、そしてバンドルのアートとなっています。   セフィロスとクラウドが互いの武器を構えて立つスターターキット版、映えますよね~。 そして黒背景の4種は統率者デッキの4キャラがそのまま登場! 《魔導の力を持つ少女、ティナ》《元ソルジャー・クラウド》《ユウナのガード・ティーダ》《魔女、ヤ・シュトラ・ルル》 こちらは既にカードテキストも公開されていますね!   皆さんはどの統率者で遊ぶかもう決まりましたか?デッキとスリーブを合わせれば親和性抜群なので、揃えて購入したいですよね!   FF6の《魔導の力を持つ少女、ティナ》はパワーが3以下のクリーチャーを墓地から吊り上げる能力。自身が切削を持っているので、殴っているだけでどんどん盤面が強固になっていきます。 みんな大好き《元ソルジャー・クラウド》は装備品に関連する能力を2つ持ちます。ここまで装備品関連の能力があるということは、バスターソードもカード化されるのでしょうか?期待しちゃいますね。 シリーズ最高作との声もあるFF10の主人公、《ユウナのガード・ティーダ》は非常にトリッキーなカード。カウンターを動かす能力と、カウンターが乗ったクリーチャーの戦闘ダメージが通ると1ドロー+増殖。1回増殖でカウンターが2個になると、次の戦闘では2個の内1つを他のクリーチャーに移して増殖するので、どんどんクリーチャーが強くなっていきます。 まだ公開されていませんが、ワッカやユウナとの相性が良いと嬉しいですね。 そして最後に紹介するのは麗しの《魔女、ヤ・シュトラ・ルル》!何を隠そう、僕は大のFF14好き、そしてヤ・シュトラさんに恋心を抱いている報われないボウヤなのです。 終了時に4点以上のライフを失っているとドロー、そしてマナ総量3以上の非クリーチャー呪文を唱えると各プレイヤーに2点を与えて2点ゲイン。ドロー能力は各ターン誘発するので、できれば各プレイヤーにダメージを与え続けられるデッキにしたいですね《血の長の昇天》との相性は抜群! スリーブ予約開始! 今回のこの8種のスリーブ、GOOD GAMEで予約開始しています!   スリーブはすべて80枚入価格はいずれも税込1760円 発売日は6月20日ですが、人気商品なので、買いたいと思った時にはもう売り切れてしまっているかもしれません。   確実に好きなキャラのスリーブを手に入れたい方には、ご予約をオススメいたします!僕も早速ヤ・シュトラさんのスリーブを……   【ご予約はコチラから】   お得なポイントキャンペーン また、ブースターボックスを当店でご購入する際にお得なポイントキャンペーンもご紹介! 当店ではプレイブースター・コレクターブースターをボックス単位でご購入した方に、シングルカード予約時の付与ポイントを5倍にいたします!   シングルカード予約とは、正式発売日前の新セットのカードの事前予約購入のことで、その際に1ポイント1円で使用できるポイントがなんと通常の5倍になるのです!   【ご予約はコチラから】   ボックスを購入してシングルカードも予約すればポイントは5倍!そのポイントを使ってお得に買い物しちゃいましょう!コレクターブースターからなら美しい幽霊火版カードも手に入るかも!? 放浪皇のお花見キャンペーン 更に4月4日からは放浪皇のお花見キャンペーンも開催! こちらは対象製品のお買い上げごとにちびキャラシールをプレゼント!更にあたりシールを引くと「プレイマット」「スリーブ」「アクリルスタンド」のいずれかを進呈いたします! 対象製品は、2022年以降に発売されたプレイブースター6パック、またはコレクターブースター2パックなので、パック開封しながら豪華賞品が当たるチャンス!   ちなみにラスとドロー賞では藤ちょこ先生サインデータ付きのビジュアルボードがもらえる至れり尽くせりの内容!これはもう参加するしかありませんね!   『タルキール:龍嵐録』はポイントキャンペーン・お花見キャンペーンの対象となりますので、ぜひ当店でボックス予約、そして開封をお楽しみください!   【ご予約はコチラから】

【デッキガイド】攻めも守りも自由自在!エスパーピクシー

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2025.03.17

Akira Kobayashi

 皆さん、こんにちは! 「へいか」こと 小林 輝(@enzyutuheika)です。    今回はプロツアー『霊気紛争』で使用したエスパーピクシーの記事になります。    サイドボーディングガイドなどもあるので、エスパーピクシーを使用している方はぜひ参考にしてみてください! ▼プロツアーに向けた調整~構築編~  リミテッドについては前回上げた記事に記載されている通りこなしてきましたが、問題となるのはスタンダード。  プロツアーでのリミテッドは1日に3ラウンドですが、スタンダードは5ラウンドと比率が大きいものになっています。    これについては機会に恵まれ、にいはちさんこと小林遼平さんと愛するシュタインズ・ゲートについて6時間ほど語り合った事があります。  その際に同じプロツアーに行くという事で調整を一緒にやらないかという話になり、マスとんのディスコードサーバーにPT調整チャンネルのみという制限付きでご招待いただきました。    まずメタゲームとしてはグルールアグロ・エスパーピクシー・ドメインの三強と読み、その上でグルールアグロが最多勢力であると考えました。  新しいデッキを考える事も考慮しましたが、さすがにリソース不足により断念。この三つのデッキを使っていきながら選んでいくことに。  グルールアグロについては流石の安定感ですが、新戦力がほぼなし。  また、《不気味なガラクタ》《勢い挫き》という新戦力を得たエスパーピクシーに対してより不利になっている点も気になりました。  最多勢力でもありながら、ミラーに対して《叫ぶ宿敵》4枚や《塔の点火》を多めに取るぐらいのアプローチしか取れなかったため断念。  最終的にはグルールアグロに対して新戦力である《不気味なガラクタ》《勢い挫き》でより優位に立てつつ、他のデッキに対しても《呑気な物漁り》が絡んだ100点のブン回りをすれば蹴散らす事もできるエスパーピクシーを選択しました。    もちろん三色デッキ故の土地周りの事故要素などはありますが、それ以上にブン回ってしまえば抗いようのないムーブはそれ以上のメリットがあると判断。  何より調整相手の小林遼平さんがエスパーピクシーを好み、これで行くという話もあり同じ方向性で見ていった方がいいだろうという事情もありました。  ちなみにデッキサブミット期日2日前、夢の中でチャンピオンズカップファイナル覇者のjgさんから「ドメインランプを使え」と迫真顔で言われました。  境界ランドによってマナベースが改善され、《全損事故》によって赤系アグロに対してある程度抗えるようになったこれも感触が非常によく、最後の最後まで悩んだデッキでした。    実際プロツアー優勝も果たし、勝率的にも勝ち組デッキでした。さすがjgさん、天啓に従わず申し訳ありませんでした。  最終的なリストとしては上記の通り。   ▼メインボード  プロツアー前時点でメインボードに関しては個人的に土地含む56枚がほぼ固定枠だと考えていました。  このフリースロット4枚は下記の通りに選択しました。   3枚目の《悪意ある呪詛術士》  《呑気な物漁り》《養育するピクシー》《嵐追いの才能》と組み合わせることで1/3/2かつエンチャントによる誘発トリガーとして機能します。  他にも1ターン目《悪意ある呪詛術士》から《孤立への恐怖》や《養育するピクシー》で呪われし者・役割・トークンを外すパターンもあり、ほぼ3点クロックとして計算できます。    もちろん他に役割トークンのつけ先がなかったり、バウンスパーツがなかったり等で1/1になってしまったり、後手でのアグロ系には弱いなどサイドでは抜けるカードの筆頭である弱さもありますが……  ドメインランプを筆頭に1マナのテンポを押し付ける展開を大いに貢献するため3枚目を採択しました。   《不気味なガラクタ》  《逃げ場なし》に次ぐ《養育するピクシー》《孤立への恐怖》《この町は狭すぎる》で使いまわせる除去。    グルールアグロやミラーで効果的な一枚で、特にグルールアグロの先手《心火の英雄》から《多様な鼠》という黄金のムーブに対して《不気味なガラクタ》から《養育するピクシー》で回収して再度《不気味なガラクタ》で綺麗に返せるようになったのは非常に大きいです。    もともと有利なグルールアグロですが、これを落としたくないという気持ちでメインに1枚入れました。  実際大活躍してくれ、プロツアー本戦でもvsグルールアグロの成績は4-1でした。   《荒らされた地下室/解剖室》  主にエスパーピクシーミラーを見た一枚です。  ミラーにおける《解剖室》は影響度が大きく、《養育するピクシー》《孤立への恐怖》を回収しつつこれをバウンスすることで半永久的に使いまわせることができます。 《荒らされた地下室》も《嵐追いの才能》レベル2で回収しても誘発し、出てくるトークンも実はエンチャントなので《呑気な物漁り》も誘発します。    元々は《不気味なガラクタ》をメインに2枚、《荒らされた地下室/解剖室》はサイドに入れていたのですがミラーも見るためにメインに入れたという経緯があります。  結局ミラーマッチは1回しかなく、これを有効に使えた場面もありませんでした。  《不気味なガラクタ》もミラーである程度有効なのでメイン2枚のままにするべきだったなと感じました。   《保安官を撃て》  《喉首狙い》《逃げ場なし》で対処できない《輝晶の機械巨人》《油浸の機械巨人》《激浪の機械巨人》などのアーティファクトかつタフネス4以上のクリーチャーを見て採用。    ……が、これは《喉首狙い》の方が明らかによかったです。  グルールアグロの《雇われ爪》が傭兵なため、これを対処できないデメリットの方が大きく感じました。   ▼サイドボード   《精体の追跡者》2枚  グルールアグロに対しては除去を使いまわしていくコントロールプランを取っていくわけですが、《脚当ての補充兵》《多様な鼠》の新生・《熾火心の挑戦者》の雄姿や《探検するドルイド》などによってこちらにアドバンテージエンジンがないとリソース負けしてしまいがち。    そこに対して《精体の追跡者》でリソース部分をカバーしていくという戦略を調整相手の小林遼平さんから教えていただき、実際にやってみるとかなり好感触。  《逃げ場なし》との両構えをしつつ、相手が《亭主の才能》や《探検するドルイド》でずらしてきたところに《精体の追跡者》を出すという流れが綺麗でした。  特に《一時的封鎖》は相手だけを一方的に追放し、《精体の追跡者》のみが残るという構図は非常に強力。   《喝破》2枚  主にドメインランプに対する一枚ですが、ディミーアミッドレンジなど様々なデッキにも幅広く入る器用な枠です。  ドメインランプの《永遠の策謀家、ズアー》《ミストムーアの大主》《審判の日》をまとめて見られるだけでなく、既に出てしまったパーマネントにも《この町は狭すぎる》で戻して出し直してきた所に《喝破》でカウンターもできます。   《否認》1枚  《嵐追いの才能》で回収出来る確定カウンターが欲しかったため、《喝破》と散らしました。  ドメインランプの《害獣駆除》が軽く《喝破》ケアが容易であるため、これに対してリスクを負わせたいというのもあります。   《邪悪を打ち砕く》2枚  ドメインランプ、エスパーピクシーミラーだけでなく《分派の説教者》などエスパーピクシーの《逃げ場なし》を意識したタフネス4以上のクリーチャーに対する回答でもあります。    《嵐追いの才能》で回収するシチュエーションもありますので覚えておきたいところです。   《不気味なガラクタ》1枚  主にグルールアグロへの一枚ですが、ミラーでも有効です。  次回があればメインの《荒らされた地下室/解剖室》と入れ替えたいところです。  《養育するピクシー》《孤立への恐怖》《この町は狭すぎる》といったセルフバウンスで使いまわせる除去でもあり、起動能力によってマナフラッド受けにもなります。    特に諜報でスペルを落としておいて《嵐追いの才能》で回収するという動きは占術である《望み無き悪夢》に出来ない部分です。   《一時的封鎖》2枚  グルールアグロおよび召集に対する全体除去。  こちらの《望み無き悪夢》《不気味なガラクタ》《逃げ場なし》ごと閉じ込めておくとセルフバウンスで使いまわせるのは覚えておくべき点ですね。    《脚当ての陣形》《邪悪を打ち砕く》による裏目も強く、ミラーにも入る《害獣駆除》と枠を争う形ですが、《精体の追跡者》との組み合わせがとにかく強いためセットでの採用になりました。   《勢い挫き》1枚  《不気味なガラクタ》と同じく霊気走破での新戦力。使いまわせる布告が最大の魅力。  《名もなき都市の歩哨》《分派の説教者》といったタフネス4以上クリーチャーに対するアンサーでもあります。  エンジン始動も《望み無き悪夢》でのライフロスト、《養育するピクシー》《孤立への恐怖》の飛行クロックによって上昇しやすくライフゲインもダメージランドを多用するこのデッキにおいては沁みます。    主にグルールアグロに入れますが、《分派の説教者》を擁するゴルガリや青黒ミッドレンジなどにも入ります。   《ゴバカーンへの侵攻》2枚  ドメインランプへの対応策を探していたところ、小林遼平さんが発見した一枚。  《魂の洞窟》絡みの《ミストムーアの大主》と《審判の日》に両方対応できつつ、実は裏面がエンチャントにもなります。  《強情なベイロス》に対するアンサーの一つでもあり、これで前方確認した後に《望み無き悪夢》を出していくという動きもできます。    ドメインランプにしか入りませんが、感触の良い一枚でした。   《安らかなる眠り》2枚  各種眼魔、アゾリウス全知など墓地利用全般への対応策。  《嵐追いの才能》で《この町は狭すぎる》を回収するコントロールプランが出来なくなるのが最大の欠点であり、《除霊用掃除機》も検討しましたが消したいカードが複数あっても問答無用で追放するこれに落ち着きました。    地味にエンチャントでもあるので《呑気な物漁り》が誘発するのもポイント。   ▼Tips 適切なアクションを考える  こちらが先手、相手のデッキは不明。初手は1回マリガンした後の6枚としましょう。  ぱっと見ると違和感による誘発を最大限に活かすために《呑気な物漁り》から出したくなりますが、これは《嵐追いの才能》が正解であることが大半です。    なぜならば《呑気な物漁り》スタートだと2ターン目で《孤立への恐怖》は戻すものがないため唱えられないからです。  ファストランドを戻すこともできますが、その場合だと3枚目の土地を引いた時の《嵐追いの才能》《喉首狙い》のダブルアクションができなくなるデメリットの方が大きくなります。    後手の相手が1マナクリーチャーを出して来たら《喉首狙い》で除去はできますが、赤系アグロでない限りは出してこないケースが大半です。  そうすると消去法的に《嵐追いの才能》になるわけですが、そうすると1マナ余ってしまいテンポが悪いですし盤面もやや弱めです。  さらに3枚目の土地を引けなかった場合、《孤立への恐怖》で《嵐追いの才能》を戻してそのままダブルアクションも出来ない恐れがあります。  《嵐追いの才能》からスタートすることで《孤立への恐怖》へと繋がりつつも、3ターン目には《呑気な物漁り》+《嵐追いの才能》のダブルアクションが確定します。  また、3枚目の土地が引けているならば《呑気な物漁り》+《喉首狙い》でブロッカーをどかしつつライフを詰めていくのもよしと選択肢の幅が広がります。    ちゃんとマナを使い切る・ダブルアクションをしていくことを意識するだけでも大きく違うので意識していきましょう。   ファストランドの受け入れを考える    このエスパーピクシーではファストランドが3種4枚ずつの合計12枚が入っています。土地の総数としては23枚であり、半数以上を占めている割合です。  テキストを読み上げるようですが、このファストランドは「4枚目以降の土地」として置くとタップインします。これを意識してあえて3枚目の土地を置かないという行動が肯定される場面があります。    例として、相手はグルールアグロで戦場にはこの4枚があるとしましょう。相手の盤面は更地です。  手札には下記の4枚。  《コイロスの洞窟》を置いてしまいがちですが、私は置きません。  前提として、この手札では《孤立への恐怖》《この町は狭すぎる》の青いカードが2枚浮いており、青マナの土地を引くとダブルアクションが取れる状態です。    《コイロスの洞窟》を置いてしまうと青絡みのファストランドである《闇滑りの岸》《金属海の沿岸》がタップインになってしまうため、《アダーカー荒原》《地底の大河》の2種類のみしかダブルアクションが取れなくなります。  このリストでは《アダーカー荒原》2枚、《地底の大河》3枚の合計5枚で受け入れ枚数が非常に少なくなってしまいます。  一方で置かなかった場合、ファストランドがアンタップインになるため、《闇滑りの岸》《金属海の沿岸》の合計8枚も受け入れとして考えられるようになります。ダメージランドの5枚と合わせると合計13枚ですね。    先述した2+2のダブルアクション、つまり《孤立への恐怖》や《この町は狭すぎる》から《逃げ場なし》は出来なくなりますが、《不気味なガラクタ》はプレイできます。 さらに次のターンでは手札の《コイロスの洞窟》を置くことで2+2のダブルアクションができるようになります。    これらを考え、アンタップインの青マナ土地を置ける確立を大幅に上げるために3枚目の土地として《コイロスの洞窟》は置かない……というわけです。    細かく動けるデッキであるため、このように土地の置き方によって勝率が大きく変わってきます。  土地は毎ターン置かねばならないということはもはや常識ですが、その常識を一旦疑ってみるのも大事です。   ▼マッチアップガイド vsグルールアグロ  《不気味なガラクタ》《逃げ場なし》の除去を使いまわせることから有利マッチですが、《多様な鼠》+《巨怪の怒り》が絡むと一瞬で負けうるので慎重にやらねばなりません。    キープ基準としては当然ながら《不気味なガラクタ》《逃げ場なし》といった除去になりますが、先手で《呑気な物漁り》《悪意ある呪詛術士》《養育するピクシー》《嵐追いの才能》《この町は狭すぎる》というような初手であればダメージレースで勝ちうるためキープできます。  後手だとダメージレースを制するのは難しいためマリガンで考えますが……  ゲームプランとしては基本的に除去を使いまわしてコントロールしていきますが、除去ばかりしていては《脚当ての補充兵》《多様な鼠》の新生によっていずれリソース負けしてしまいます。  ですので、除去しつつも《嵐追いの才能》のカワウソトークンや《養育するピクシー》などでクロックを刻んでいき、ダメージレースしていくという方向性になります。  《巨怪の怒り》だけ気を付けて細かく除去していきながら、盤面有利を作り出して押し切るという流れを作るといいでしょう。   ▼サイドアウト-3《悪意ある呪詛術士》-1《荒らされた地下室/解剖室》-2《悪夢滅ぼし、魁渡》   ▼サイドイン+2《精体の追跡者》+1《不気味なガラクタ》+2《一時的封鎖》+1《勢い挫き》    サイド後でも依然として除去を使いまわすコントロールプランになります。  相手は《脚当ての陣形》《探検するドルイド》を増量してくることから土地を立たせてターンを返し、こちらの除去をかわそうとしてきます。    それを逆手に取って《精体の追跡者》を出し、そのまま《望み無き悪夢》《嵐追いの才能》《孤立への恐怖》などによってリソースを稼いでいけば勝利は目前です。  《一時的封鎖》についても2マナ立っているところには極力出さないようにすることを心掛けておきましょう。    ただし、最近は《陽背骨のオオヤマネコ》プランを取ってくる事が多く、ライフを詰められると明確な時間制限が発生するため以前ほど有利ではなくなってきます。  要所要所でちゃんと相手のライフをコツコツと削り、ライフレースを制していく意識が必要です。   vsドメインランプ  微不利マッチです。  とにかく《呑気な物漁り》《嵐追いの才能》《悪意ある呪詛術士》などの1マナクリーチャーを繰り出し、《望み無き悪夢》も絡めて早期決着を目指していく形となります。    これに対する《害獣駆除》が致命的な敗着になってしまいますが、デッキのマナベース的に2~3ターン目に《害獣駆除》をされる確率は低いため割り切ってしまった方がよいです。    キープ基準については上記にも記載した通り1マナのクリーチャー群。クロックがなければ始まりません。  《呑気な物漁り》+エンチャント類がとにかくキー。どんどんクロックを重ねていきましょう。   ▼サイドアウト-4《逃げ場なし》-1《荒らされた地下室/解剖室》-1《不気味なガラクタ》-1《悪意ある呪詛術士》   ▼サイドイン+2《喝破》+1《否認》+2《邪悪を打ち砕く》+2《ゴバカーンへの侵攻》    サイドではカウンターと《邪悪を打ち砕く》によってある程度ゲームを急がなくても良くなります。  それでも攻める立場である事に変わりはなく、クロックを用意した上でカウンター類と《邪悪を打ち砕く》で相手のアクションに対応していきたいところです。    2マナ浮きで《永遠の策謀家、ズアー》を唱えられた際、《ホーントウッドの大主》等がある場合は解決前に《邪悪を打ち砕く》で先に破壊しておくことを勧めます。  《永遠の策謀家、ズアー》の起動にスタックで《邪悪を打ち砕く》をできればよいのですが、相手もそれは織り込み済であることを忘れてはいけません。    とはいえ先に《永遠の策謀家、ズアー》に対して《邪悪を打ち砕く》で処理してしまうパターンもあるので、ケースバイケースではあるのですが……   vsエスパーピクシー  どの程度ミラーを意識しているかで変わってきます。  相手が《分派の説教者》まで採用しているとやや不利です。    お互いに除去し続けるため、長期戦になりがち。  先に《嵐追いの才能》《この町は狭すぎる》パッケージが揃った方が勝ちになりがちですが、この動きをするためには6マナ必要で大振りなので先に揃われたとしてもこの隙を突く事で勝ちをもぎ取れる時もあります。  《嵐追いの才能》レベル2に合わせて《この町は狭すぎる》で大きくテンポを取れますが、その逆も然りなので覚えておきましょう。    《逃げ場なし》が主な除去になるため、《呑気な物漁り》で《孤立への恐怖》に+1/+1を乗せ、タフネス4を作ることは意識しておきたいポイントです。  《養育するピクシー》《悪意ある呪詛術士》に+2/+2を載せていくのも良いです。もちろん《逃げ場なし》に気を付けながらやっていきましょう。   ▼サイドアウト-2《悪夢滅ぼし、魁渡》-1《保安官を撃て》-1《喉首狙い》-1《悪意ある呪詛術士》 ▼サイドイン+2《邪悪を打ち砕く》+1《不気味なガラクタ》+1《喝破》+1《精体の追跡者》    相手の構成やサイドプランによって変わってきます。  《悪夢滅ぼし、魁渡》については忍術先が定着しづらく、《逃げ場なし》もあり《邪悪を打ち砕く》で対処されがちなため基本的に抜いています。  後手であれば《悪意ある呪詛術士》をもう少し減らしますし、ケースバイケースといったところです。    サイド後でも方針は変わりませんが、お互いに《邪悪を打ち砕く》がある点については留意すべき事項です。  《嵐追いの才能》レベル2に合わせて《邪悪を打ち砕く》をされるのが最悪のパターンなので、ここは必ずケアしましょう。    上記の内容はマスとんの皆様との指名対戦を重ね、調整相手である小林遼平さんと話し合ってゲームの争点やゲームプランなどを確立させていったものです。    その成果もあり、本戦の結果としては5-3の勝ち越し!  特に得意なマッチアップとするグルールアグロで4-1できたのが非常に大きく、練習の成果を感じました。(逆に言えばそれ以外のマッチは1-2ですが……)    この場を借りてマスとんの皆様に感謝を申し上げます。  本当にありがとうございました。   ▼今後のエスパーピクシーについて  ここまではプロツアー前のエスパーピクシーの話。  現在はコンボマスターことcftsoc3さんが3月2日にメイン《食糧補充》《分派の説教者》《ベイルマークの大主》を採用してスタンダードチャレンジで優勝したことをきっかけに変化が訪れています。    大きな相違点としては《呑気な物漁り》および《悪意ある呪詛術士》の不採用ですね。  これによってアグロプランが取りづらくなった代わりにミッドレンジとしての太さが備わり、《嵐追いの才能》+《この町は狭すぎる》による長期戦の強さが際立っています。  抜けたこの2枚もグルールアグロやエスパーピクシーミラーではサイドアウト候補であり、その分これらに対して優位に立てる構成となっています。  ここから発展してオータム・バーチェットさんは《悪夢滅ぼし、魁渡》をサイドボードに移した上でメインから《食糧補充》4枚・《鋼と油の夢》3枚、果てには《ギックスの命令》まで採用したエスパーピクシー・コントロールと呼んでも差し支えない構成を作り上げています。  1マナ域が減り《害獣駆除》や同型に対してより強くなっている一方、ドメインランプに対してライフを詰め切るというプランが取りづらくなっており相性が悪化しているように思います。  その一方で従来の《呑気な物漁り》《悪意ある呪詛術士》を採用した型もスタンダードチャレンジなどで上位につけています。  どの構成にもメリットとデメリットがあり、メタに応じて使い分けていくことになるでしょう。    以上がプロツアー旅行記から始まり4本の記事と長くなってしまいましたが、私が初プロツアーにおいて調整してきた過程になります。  これが皆様のマジック道において一つのご参考にでもなれば幸いです。    これほどまでに真剣に調整をしてきたのは初めてで、体力的にも精神的にも大変でしたがコツは掴めたような気がするので今後の機会に活かしていきたいところです。  こうした調整も含め、プロツアーという大会を通してマジック:ザ・ギャザリングを心の底から楽しめたと思えました。    「Let's Enjoy Magic」を胸にこれからも楽しんでいきます!!

【今週のピックアップデッキ】ディミーアコントロール/エスパーレジェンズ/純鋼ストーム

週刊 Modern Pioneer Standard ピックアップ

2025.03.14

mtg Yuyan

こんにちは。 細川 侑也(@yuyan_mtg)です。 今週のピックアップデッキでは、ちょっと珍しいデッキを、軽い解説を交えて紹介していきます。         紹介デッキ ディミーアコントロール エスパーレジェンズ 純鋼ストーム   ディミーアコントロール スタンダードチャレンジ : 7位 By TheSandwichKing MTGアリーナ用インポートデータ 現在のスタンダード環境は、エスパーピクシーに各種赤アグロとアグロ全盛期。 とはいっても、ミッドレンジとしてはズアーやゴルガリ、コンボならアゾリウス全知と、どのアーキタイプもメタ上位に存在しています。 一方コントロールデッキはというと、一時は死んでいるとまで思われていたのですが、プロツアー『霊気走破』で活躍し、今ではメタの一角にまで上り詰めました。   それがアゾリウスコントロール。リソース源として《食糧補充》を採用し、打ち消しを少し入れ、除去は《審判の日》、フィニッシャーには《完成化した精神、ジェイス》と、古典的なドロー・全体除去・フィニッシャーのアゾリウスコントロールです。 ここまで読んでお気づきになった方もいるのではないでしょうか?   実はこの青で打ち消してドローして、白で全体除去を打ち、フィニッシャーを叩きつける。この動きは青白だけでなく、青黒でもできてしまうのです!   というか、除去に関しては白より黒の方が良質です。白の2マナの除去は《全損事故》と、タップ状態のクリーチャーにしか使用できませんが、黒ならば問答無用で破壊する《喉首狙い》に《悪夢滅ぼし、魁渡》にも触れる《シェオルドレッドの勅令》、更に1マナの《切り崩し》とよりどりみどり。 《全損事故》はやはりタップ状態のクリーチャーにしか打てないのはかなりのデメリットです。構えていることが見え見えなので、相手はケアして攻撃しないことが容易ですし、《逸失への恐怖》などのシステムクリーチャーにも触りづらい。《喉首狙い》なら先手2ターン目に構えて、相手が出してきた2マナクリーチャーを破壊し、自分のターンで安全に《食糧補充》を打てますからね。 《審判の日》こそ青黒にはありませんが、その代わりに《死人に口無し》を採用できるのはむしろ良いことかもしれません。ただの全体除去である《審判の日》と違い、《死人に口無し》は証拠収集で墓地のカードをライブラリーからすべて抜けるので、アゾリウス全知から《全知》をすべて抜くなど、本来全体除去が効かないマッチでも機能する、素晴らしい全体除去なのです。 打ち消しは少し青白には劣ります。何せ青白には《喝破》がありますからね。コントロールフリークが十年以上も再録を待っている《マナ漏出》の上位互換を青白に与えるなんてずるいですよね。 とはいえないものは仕方ないので、《否認》《三歩先》でなんとか打ち消し枠を埋めています。   《強迫》は青黒だけの強み。事前に《豆の木をのぼれ》を抜いてしまえば実質打ち消しのようなものですし、赤アグロに対しても《巨怪の怒り》などを抜きつつ、手札を見ることでプレイがしやすくなるので、使いやすいカードです。 そしてなんといっても《油浸の機械巨人》!このカードはディミーアコントロールを語る上で欠かせません。 コントロールが求めるサイズの大きな絆魂。エスパーピクシーの《逃げ場なし》に耐えつつ、《この町は狭すぎる》で戻されても、出し直して手札破壊として使用できるので、特に青黒バウンス系のデッキに強いカードです。 もちろん、赤アグロに対しても強力です。手札を見て1枚を抜けるので、《巨怪の怒り》などがないかをチェックしつつ、《魔女跡追いの激情》を抜いて安心してブロッカーとして立たせられます。   青白の《激浪の機械巨人》はコントロールに採用しづらい能力ですが、《油浸の機械巨人》はぴったり。4枚目も検討したくなりますね。   《油浸の機械巨人》が入ったとはいえ、フィニッシャーが《完成化した精神、ジェイス》である点は変わりません。青白も青黒もフィニッシャーが《完成化した精神、ジェイス》になったのは、決してズアーを意識した結果ではありません。 現在のスタンダードにはコントロールで採用できる絶対的なフィニッシャーがいないため、《完成化した精神、ジェイス》を大量に採用しているのです。   絶対的なフィニッシャーとは、生き残るだけでゲームに自動的に勝ったり、速やかにゲームを終わらせられる性能を持つ重いカードです。たとえば《ドミナリアの英雄、テフェリー》は、出してカードを引いているだけでゲームに勝利しますし、《船砕きの怪物》は呪文がすべて通らなくなり、ブロッカーはバウンスされ、7/8がすぐにライフを削り切ります。他には《夢さらい》などでしょうか。 今のスタンダードには、このレベルの強さのフィニッシャーはいません。そこで2枚引けば大体の状況でゲームに勝てて、相手の除去も受けることのない《完成化した精神、ジェイス》が採用されることとなったのです。   エスパーピクシーや赤アグロ相手にもコントロール側は《完成化した精神、ジェイス》をフィニッシャーとします。適当に重いフィニッシャーを出して4回殴るより、《完成化した精神、ジェイス》を複数枚出して相手のライブラリーを削りきる方が簡単なのです。   コントロールデッキを調整する時、まず減らしがちなのが《完成化した精神、ジェイス》だと思いますが、少なくともメインでは4枚の《完成化した精神、ジェイス》を使った方が良いと思います! アゾリウスコントロールに続いてディミーアコントロールも登場し、いよいよスタンダードのコントロールにもバリエーションが生まれました。   環境が成熟していくほど強くなるコントロール、ここからの成長に期待です。     エスパーレジェンズ パイオニアリーグ : 5-0 By  Heilagur MTGアリーナ用インポートデータ 長きにわたってスタンダードで活躍し続けた《策謀の予見者、ラフィーン》。パイオニアでその力を見せつける時がついにやってきました。 エスパーパルへリオンなど、ディスカード手段として採用されることはあったものの、《策謀の予見者、ラフィーン》がメインになるデッキはこれまでパイオニアには存在しませんでしたが、このデッキはエスパーレジェンズ!主役はもちろん《策謀の予見者、ラフィーン》です。   さて、このデッキはレジェンズの名の通り、エスパーカラーの伝説のクリーチャーで構成されています。   1マナ域は良質なサイズの《アクロスの英雄、キテオン》と、クリーチャーを守る《離反ダニ、スクレルヴ》。どちらも定番の強力な伝説たち。 2マナ域の2種はどちらも青黒で、少し珍しいカードが並んでいます。   スタンダードでも使用可能な《闇の中の研究者、ナシ》はリソースを獲得するクリーチャー。こちらは攻撃が通った際に伝説のカードやエンチャントを切削した中から加えられます。このデッキには伝説のパーマネントとエンチャントがたっぷり入っているので、攻撃が通るだけで一気に2~3枚のカードを得られることも。 《顔を繕う者、ラザーヴ》は攻撃するたびに墓地を追放して手がかりを生み出す、こちらもリソースが取れるクリーチャーです。更に手がかりを生け贄に捧げることで、《顔を繕う者、ラザーヴ》を追放したクリーチャー・カードのコピーにできるので、墓地に落ちた《策謀の予見者、ラフィーン》などになることができます。 ただ、それだけでは《顔を繕う者、ラザーヴ》の力は半分しか引き出せていません。《老いざるメドマイ》によってその真価を発揮します。 《老いざるメドマイ》は初めて見た方も多いかもしれません。プレイヤーに戦闘ダメージを与えると追加ターンを獲得し、追加ターン中には攻撃できないこのカード。6マナと通常プレイは重いこの伝説のスフィンクスが、《顔を繕う者、ラザーヴ》と組み合わさってコンボになります。   《顔を繕う者、ラザーヴ》で《老いざるメドマイ》を追放し、手がかりを生成してそれを生け贄にして《顔を繕う者、ラザーヴ》が《老いざるメドマイ》になると追加ターンを得ます。   そして追加ターン中は《顔を繕う者、ラザーヴ》は当然攻撃可能となり、再び墓地を追放して手がかりを出し、それを生け贄にして再び《老いざるメドマイ》になり、また追加ターンを獲得。つまり、墓地にカードがある限り、追加ターンがずっと続くことになります。 さて、そもそもエスパーレジェンズで組む意義はなんでしょうか?スタンダードでは3色をすべてアンタップインで出すために《英雄の公有地》を採用する必要があり、そのためにレジェンズでした。しかしパイオニアでは《闇滑りの岸》などのファストランドと《神無き祭殿》をはじめとしたショックランドが使えるため、《英雄の公有地》頼りではありません。 ならばなぜレジェンズにこだわるのか?それは《モックス・アンバー》です。掟破りの0マナファクトによる爆発的な展開が可能になるのが、エスパーレジェンズ最大の魅力!《アクロスの英雄、キテオン》から2ターン目に《策謀の予見者、ラフィーン》なんてことも容易にできてしまうのです。 《戦闘研究》も忘れてはいけません。普通に使うだけで《好奇心》ですが、エンチャント先が伝説なら+1/+1に護法(1)と超破格! 加えて呪禁付与の《破片魔道士の救出》に対赤アグロの最終兵器《幽霊による庇護》と、クリーチャーを守ることに徹底しているのがこのエスパーレジェンズ。《離反ダニ、スクレルヴ》も合わせると《策謀の予見者、ラフィーン》を倒すのは至難の業でしょう。 《策謀の予見者、ラフィーン》を再び輝かせたい方はこのデッキに決まり!     純鋼ストーム モダンリーグ : 5-0 By SoggyCheerios ストーム。コンボの代名詞とも言えるこのアーキタイプは、かつてのスタンダードにも存在し、レガシーやモダンでは黎明期からずっとメタゲームを脅かしています。 現在ストームと呼ばれて真っ先に思い浮かぶのはルビーストームですが、一昔前に一世風靡したストームデッキがモダンにはありました。   それが純鋼ストームです。   今でこそ《死の国からの脱出》《研磨基地》で実現可能な脱出基地がいるため、珍しくなくなってしまった2ターンキルですが、当時は「2ターンキルできるすごいデッキが出てきた!」と世のコンボ好きは純鋼ストームに注目していました。   その後、長い間すっかり名前を見なくなってしまった純鋼ストームでしたが、最大の相棒……というよりコンボパーツである《オパールのモックス》が解禁されたことで、モダンについに帰ってきました。 デッキ名を冠する《純鋼の聖騎士》が当然キーカード。装備品が戦場に出るたびに1ドローするハンマータイムでもお馴染みのクリーチャー。あちらでは《巨像の鎚》を0マナで装備するのがメインの仕事でしたが、純鋼ストームではドローの方が重要となってきます。 このデッキのアーティファクトを見てください。名前も能力も知らない装備品たちがあります。これらの能力は一旦無視して、マナコストだけを見ましょう。   0マナです。《純鋼の聖騎士》がいればタダで1ドローできるのです。こうして0マナ装備品を大量に出してドローしていき、《撤収》《ハーキルの召還術》で手札に戻し、再び出し直す。こうして大量にカードを引いていき、最終的に《ぶどう弾》で相手のライフを一撃で削りきる。これが純鋼ストームの基本の動きです。 《オパールのモックス》解禁前は《撤収》を打つためのマナを捻出するのがとにかく大変でした。《極楽のマントル》を《純鋼の聖騎士》に0マナで装備してマナを出しても1マナしか増えないので、《羽ばたき飛行機械》と合わせて採用する必要があり、不純物が大量に入ってしまっていました。マナの問題を《オパールのモックス》が解決してくれたので、2ターンキルがかなり現実的に可能なラインになっています。 《河童の砲手》の採用は目から鱗でした。0マナのアーティファクトを並べれば《河童の砲手》の着地は用意ですし、《河童の砲手》を出してから0マナ連打で一瞬でゲームも終わります。 《撤収》《ハーキルの召還術》では《河童の砲手》も手札に戻ってしまいますが、《河童の砲手》を唱える→スタックで《撤収》《ハーキルの召還術》で0マナアーティファクトを戻せば、即席で使用した0マナ装備品を回収しつつ、《河童の砲手》を戦場に送り出せます。 以前までの純鋼ストームは一度コンボをスタートさせた後は、《ぶどう弾》で相手のライフを削りきるまでコンボが途切れないのを祈るしかありませんでした。《撤収》《ハーキルの召還術》で装備品を出し直すループは、カードは引けますがマナは増えないので、最終的に《ぶどう弾》とそれを打つマナ(追加の《オパールのモックス》など)をしっかり引き込む必要があり、止まるリスクもそこそこあったのです。 しかし、《河童の砲手》によってその憂いはなくなりました。コンボが止まってしまいそうでも《河童の砲手》さえ途中で出しておけば、コンボが途切れた時には致死量に近いサイズの《河童の砲手》が戦場にいるはずです。《溶岩拍車のブーツ》で速攻をつけて攻撃することもでき、勝利に必要な条件がかなり緩くなったのです。 これまで0マナの装備品たちを活かす手段がなかった純鋼ストームにとって、《河童の砲手》は最高の相棒です。   2ターンキルするデッキが更に環境に増え、モダンはますます恐ろしくなっていきますね。

Let's Enjoy Magic! - Pro Tour Aetherdrift in Chicago(プロツアー旅行記前編)

Standard ピックアップ

2025.03.06

Akira Kobayashi

 皆さん、こんにちは! 「へいか」こと 小林 輝(@enzyutuheika)です。    記事タイトルの通り、チャンピオンズカップファイナルシーズン2ラウンド3で9-3の13位という成績を残したことで得たプロツアー権利でシカゴのプロツアー「霊気走破」に出場してきました!    結論から申し上げますとプロツアー本戦では4-4でギリギリ二日目進出し、二日目では9-6で迎えたプロツアーチェインバブルマッチ(10勝以上だと次回のプロツアー権利を獲得できます)でHreruya Prosのマッティ・クイスマさんに敗北し9-7の113位でした。    そして翌日に行われたPT出場者限定の世界一レベル高いPTQことセカンドチャンスPTQでは初戦敗退という結果でした……が、このプロツアーでは本当に何事にも代えがたい経験をさせていただきました。  というわけで、プロツアーの準備から帰国に至るまでの道程を、前後編で書かさせていただこうと思います。長くなってしまいますが、お付き合いいただけると幸いです。    なお、今回はマジックの記事というより、プロツアー旅行記がメインとなります。   ・はじまり~プロツアー「霊気走破」に出場した経緯~  まずは本プロツアー霊気走破に出場するに至った理由であるチャンピオンズカップファイナルシーズン2ラウンド3。  この詳しい内容については私のNoteで恐縮ですがこの記事に記載されています。是非ご覧ください。  このチャンピオンズカップファイナルシーズン2ラウンド3で愛機のアゾリウスコントロールを手に9勝3敗という成績を残し、13位になったことでプロツアーの権利を得ました。  が、この時に得られた権利は翌月の6月末に行われるプロツアー「モダンホライゾン3」。    仕事面やパスポートの問題など様々な理由によって断念し繰り越しをお願いしたところ、世界選手権を挟んだ事もあり権利を獲得した2024年5月からかなり間の置いた2025年2月のプロツアー「霊気走破」出場となりました。 旅行前準備編  これについてははまさん(@ziguyan)主催のはまツアーに参加させていただき、羽田空港~シカゴの直行便およびホテルを確保していただきました。  感謝してもしきれません。ちなみに金額としては合計24万ほど。激痛。    それに伴いGoogleスプレッドシートのToDoテンプレートを使って必要なものをリスト化し、一つずつ潰していきました。  海外でのネット環境についてはソフトバンクユーザーであったため、アメリカ放題というサービスがあり特に手続きの必要もなくできました。  防寒着に関してはこの時期のシカゴはなんとマイナス15度。恐ろしい寒さです。手持ちはコートなどでダウンジャケットのような防寒着がなかったためこれも用意していく必要がありました。  ワークマンに寄ってみたもののよさげなものがなく仕方なくGUに寄ったところ、「ヒートパデッドブルゾン」というよさげなものを発見。かなりモフモフしています。  これが予想以上に暖かく、-15度という地獄のようなシカゴの寒さにも適応できる優れものでした。  今後の冬で愛用していくことになりそうです。値段も4,990円と安価でおすすめです!   ▼あってよかったもの ・延長コード  当然ながらホテルは備え付けのコンセントのみ。今回は5人で1部屋を使う事もあり、延長コードは必要だろうと持ち込みましたがこれが大正解。  1人1部屋であれば不要だとは思いますが、複数人で利用する場合は延長コードは強くお勧めします。     ・アイマスク  とにかく板です。  約14時間の長期フライトにおいてアイマスクの有無で睡眠の質が変わってきますし、同様に複数人で1部屋を利用する際も灯りに影響されず寝られるのは◎。   ・ウェットティッシュ  地味ながらMVP。日本とは異なり海外ではおしぼりのようなものは出てきません。予め手を拭いておくことができるウェットティッシュはかなりストレスが軽減されました。  特にシカゴではピザなどの手づかみのものが多く手が汚れたりするので結構活躍してくれました。   ▼持って行った方がよかったもの ・スリッパ  ホテルの部屋は土足可ですが、靴を履きっぱなしも疲れますのでスリッパは欲しかったです。(アメリカのホテルはスリッパなしが一般的らしい)  飛行機内でも靴からスリッパに履き替えられるとかなり楽そうだったので次回があればスリッパは是非持ち込みたいと感じました。   ・リップクリーム  普段使っているのですが、今回に限って忘れてしまい……  寒さも相まって本当に乾燥します。最終日には唇が切れてしまいちょっと大変でした。必ず用意しておきましょう。   プロツアーシカゴ旅行記  そうして迎えた2月19日、羽田空港へ朝9時前に到着。  はまさんを筆頭にはまツアーに参加される方々と合流し、そのまま10:50のフライトへ。  フライト時間は約14時間。13時頃に機内食を食べると暗くなりそのまま仮眠。そこから約5-6時間後に再度機内食を食べて暗くなり仮眠……の繰り返しでした。  機内食は結構美味しく、味噌汁も出てきたのが◎。さすがJAL。  この時やはりお尻がやや痛くなったりしたので、余裕があれば座布団などを持って行くといいかもしれません。  そうしていよいよ着陸!シカゴの上空から眺める光景は素晴らしく、思わず感動してしまうほどでした。  が、シカゴの気温はマイナス15度。外に出た瞬間凍り付くかと思いました。  よく一緒にMTGをしているいわきさんと記念すべきアメリカでの初マック。ホットチョコレートにしましたが、とんでもない甘さの暴力でザ・アメリカを味わいました。  第3ターミナルから第2ターミナルに電車で移動し、そこからUberで車を呼びホテルまで40分ほど揺られると……  目的地であるヒルトン・ガーデン・イン・シカゴ・マコーミックプレイスに到着。とにかくスケールがデカい!  ホテルの前にはマジックコンの広告もあり、ここでプロツアーに出るんだという実感が今更ながら湧いてきました。  とはいえプロツアーまであと二日、それまではシカゴを堪能することに……と言いたいところですが、さすがに長時間のフライトで疲れたのでUberを利用して部屋でいざシカゴピザ!  で、でかい!! チーズもたっぷり!! 暴力的!!  意気揚々とかぶりつきますが……  あまりにも重すぎてなんと2ピースで満腹、撃沈。即落ち2コマです。  この流れで同室の方とフリプなどをして就寝。  すがすがしい朝を迎え、早速ホテルの前にあるサブウェイへ! 何を選べばいいのか分からなかったため、店員さんにオススメを聞くと「それならビーフね!」とのことだったのでそれを注文。非常に美味でした。  また、ここで行弘さん・松浦さん達と遭遇! ああ、シカゴの地に集結しているんだな~と少し感動してしまいました。  ハーフを頼んだのですが、それでも非常に大きい! これで約8ドル(1,200円)。太さもペットボトル以上で満足感◎。  ちなみに他の部屋の方がフルサイズで頼んだ時の画像はこちら。500mlペットボトルと比較しても分かる通りデカすぎる……  ホテルの中にあるスタバでカフェラテも購入したところ、今度は井川さん・中村さんが!  この際に井川さんから「30回以上来てるけどこの寒さは初めて」「耳当ては特にいいのでオススメ」という言葉をいただきました。プロツアー先輩だ!!    優雅な朝食をとったら……そう、次は昼食ですね!  Il Culaccinoというお店が先ほどのサブウェイの横にあり、Google Mapの評価も高かったためはまツアーの参加組で突撃。  ここでも伝家の宝刀「店員さんのオススメ」を聞き、いただくことに。  このチーズがかかった物体はなんとフライドチキン。デカすぎる。  マジか……という顔をしながら頬張ると美味!! とにかくカロリーの暴力が襲い掛かってきます。  なんとか食べた後はプロツアー参加者たちで卓ドラフトの練習。  1-1《悪魔の破砕機》から1-2に《ロケッティアの技師、ダレッティ》の姿が。普段ならスルーですが、今回は《悪魔の破砕機》使いまわしが見えるためピック。  リアニメイトの《軌道修正》や確定除去の《スピン・アウト》など黒を中心にピックしていったところ、2パック目で《ブルードハート・エンジン》《轟雷のブルードワゴン》が流れてきたため綺麗に緑黒の席に座れた形となりました。    3パック目では《アラクリアの心、カラドーラ》が流れてきたためこれをカットしつつ白黒土地の《磨かれたやせ地》も拾えたためタッチ白で完成度の高いデッキが完成。    結果はマリガンとマナフラッドに屈し2-1となりましたが、除去もありデカブツもありリアニメイトもありと非常によい緑黒に出来上がったと感じました。プロツアーに向けて視界良好!    そして午後5時頃から開催されるプロツアー出場者用の前日パーティに参加すべくマコーミックプレイスへ。  このヒルトン・ガーデン・イン・シカゴ・マコーミックプレイスホテルはマコーミックプレイスに直通となっているためスムーズに行ける……かと思いきや、デカすぎて迷子に!!    プロツアー参加者らしき人を見つけ、パーティ会場はどこ? と拙い英語で筆談すると案内してくれ事なきを得ました。ありがとうございます。  そうして辿り着いたパーティ会場。ここでプロツアー出場者を証明するバッジと参加賞のバッグ・プレイマット・パックなどを受け取りました。    プレイヤー・オブ・ザ・イヤーのハビエル・ドミンゲスさんを筆頭に「錚々たる」という言葉ですら足りないほどの方々がそこら中に歩いています。  衝撃のあまり立ち尽くしてしまいましたがこうしてはいられません! ガンガン突撃を仕掛けていきます。  まずはYellowhatこと殿堂プレイヤーのガブリエル・ナシフさん。コントロールマスターであり、配信でよく勉強させていただいている方の一人です。  この方には持ち込んできた《喝破》《否認》にサインをいただき、ツーショット! 本当に目の前にあのナシフがいるんだ、と感動しきりでした。  そしてプロツアー・ファイレクシアで優勝を果たした殿堂プレイヤーリード・デュークさん! 日本の中でも特にファンの多いお方。  本当に聖人という言葉が似合う方で、溢れ出る色気とにこやかな笑顔に悩殺されてしまいました。サインをいただいている時にスタッフの方が「写真を撮るよ!」と仰っていただき、こうした写真も……  サインを書くリード・デュークさんの美しさのあまりに興奮してしまう私を見事に激写していただきました。  見てください、このリード・デュークの御顔を。これで惚れない男はいません。  そしてアゾリウスコントロールといえばこの方を忘れてはいけません。パイオニアでアゾリウスロータスというデッキを全世界に知らしめたパトリック・ウーさんです!  あなたの大ファンです! と伝えた時の照れくさそうな顔は忘れられません。  同じ2月に行われたチャンピオンズカップファイナルで見事優勝を果たしたマ・ノアさんも。  プロツアー権利を獲得したチャンピオンズカップファイナルシーズン2ラウンド3のフィーチャーマッチでとても楽しい時間を過ごしたということもあり、顔を合わせると声を掛け合う仲になりました。    それは今回でも変わらず、この場でも出会うと「オオ~!」と駆け寄ってくれました。お互いに明日の健闘を祈り肩を組みながらパシャリ!  イタリアのスターことアンドレア・メングッチさんも配信をよく見ており、私が憧れとしている一人です。  配信と変わらないハイテンションで快くツーショットとサインに応えていただきました!  世に大きな衝撃をもたらしたハンドシェイク謹製緑トロンを手にプロツアー・指輪物語で準優勝を果たしたクリスティアン・カルカノさんも!  非常に優しい方で、わざわざスマホのメモ帳に日本語で「ありがとう!頑張って」と書いてくださりました。    そうしているとハビエル・ドミンゲスさんのプレイヤー・オブ・ザ・イヤーの式が始まり、スピーチが始まりました。  英語なので話している内容はわかりませんでしたが、感無量の面持ちをされていたのがとても印象に残りました。おめでとうございます!  式が終わった後は解散したり、プロツアーの参加賞パックでドラフトしたりする中で同じく日本人の大川さんより「南米の人たちとドラフトしない?」というお誘いを受けドラフト! これも醍醐味の一つですね。  3マナ域で見えていないものは4枚目の《溶岩族の砲兵》です。  1パック目の時点でマルチアンコモンの《推進力強化帆船》《舷側砲の一斉射撃》を確保していたこともあり青赤に突撃した形。  とにかく《溶岩族の砲兵》が流れてくる卓で、こうなったら心中してやろう! と青赤一直線に向かうもののディスカードで強化する《たかり空エイ》《略奪するアオザメ》、最強コモンこと《雷頭の砲手》も流れてこない始末……  ただひたすら《溶岩族の砲兵》が流れてくるのでありがたくピックしつつ、迎えた3パック目では。  《灯を追う者、チャンドラ》!! これで報われた形となりました。    1戦目を危なげなく勝利したところで会場が閉まると連絡を受け、最後に記念撮影してから解散。とてもいい時間でした。  そして迎えたプロツアーの朝! 清々しい天気です。  ホテルの22階にあるというレストランに向かい、「Breakfast Sandwich」という文字があり朝だしサンドイッチはいいね! と注文。すると……  どう見てもハンバーガーじゃねえか!!と思わず突っ込んでしまいました。朝から食べるものではない気もしますが、非常に美味で完食。    後から知ったのですが、アメリカでは牛肉100%のパティを挟んだ料理だけがハンバーガーと名乗るのが許されるらしく、これは法律で定められている事なのだそうです。  つまり牛肉100%のパティではなくベーコンなどが挟まれている上記の料理はサンドイッチが正しいということになります。すげえやアメリカ。  同室の友人たちと共にバッジを掲げていざ出陣!  念願のプロツアー、不安よりも楽しみの方が勝っていました。  プロツアーのラウンジブースではベーグルやバナナ、ヨーグルト、各種ドリンクなど豊富で食べるものに困りませんでした。  ウォーターサーバーもあったため、参加賞としていただいたウォーターボトルに入れて飲んでいました。  ハビエル・ドミンゲスさんの姿もあったため、昨日ではお願いできなかったツーショットをパシャリ。見ても分かる通り、非常に大柄な方でした。   プロツアー本戦レポート…は次回  そして9:00、いよいよ運命の卓ドラフトが始まることになるのですが、あまりにプロツアーを前日から満喫してしまったため、記事が長くなりすぎました。    続きは明日の記事後編で!

【今週のピックアップデッキ】ゴルガリ陰湿な根/エスパー人間/アブザンケトラモーズ

週刊 Modern Pioneer Standard ピックアップ

2025.03.05

mtg Yuyan

こんにちは。 細川 侑也(@yuyan_mtg)です。 今週のピックアップデッキでは、ちょっと珍しいデッキを、軽い解説を交えて紹介していきます。         紹介デッキ ゴルガリ陰湿な根 エスパー人間 アブザンケトラモーズ   ゴルガリ陰湿な根 スタンダードリーグ : 5-0 By Depian MTGアリーナ用インポートデータ 『カルロフ邸殺人事件』で登場した《陰湿な根》。 墓地からクリーチャー・カードが離れるたびに植物を生成し、その後植物すべてが強化され、更にクリーチャー・トークンからマナが出せるようになると、様々な能力が付いたエンチャント。   この《陰湿な根》を主軸に据えたデッキはパイオニアでも活躍実績があり、スタンダードでもたびたびチャレンジャーは現れるものの、まださほど活躍は見せていません。   ですが、『霊気走破』で登場したとある1枚のカードが、《陰湿な根》に革命をもたらし、ついにデッキが完成しようとしています。   それが《脱皮の世話人》。カードを切削する能力はもちろん、墓地のカードを追放することでマナを出せるので、クリーチャー・カードを追放して植物を出しつつマナが出せるようになりました。墓地を肥やしつつ、《陰湿な根》も誘発させ、更に自身がクリーチャーと、《陰湿な根》と非常に噛み合った1枚です。 このデッキは墓地を必要とするため、他にも墓地肥やしが多数採用されています。   モダンでもお馴染みの《ベイルマークの大主》はクリーチャーを回収できる優れもの。切削してその中からクリーチャー・カードを回収できるので、《陰湿な根》もしっかり誘発してくれます。《陰湿な根》こそ拾えませんが、後述の《歓喜する喧嘩屋、タイヴァー》も拾えるので、強力な切削カード。 《蓄え放題》は《陰湿な根》を回収できる便利な切削カード。自身がクリーチャーでないため、墓地に落ちた後は役割を持ちませんが、それでもデッキのキーカードである《陰湿な根》にアクセスできれば十分です。 切削はオマケですが、《歓喜する喧嘩屋、タイヴァー》も一応切削を持つカードです。マナ総量が2以下のクリーチャーを吊り上げられるので、デッキ内の多くのクリーチャーをリアニメイトできるのですが、このカードは常在型能力が《陰湿な根》と噛み合うカードで、むしろそっちが目的で採用されていると言っても過言ではありません。 速攻を持つかのように起動型能力を起動できるようになるので、《陰湿な根》から出たトークンから即マナが出せるようになり、1ターンで《陰湿な根》を何回も誘発させられるようになるのです。   《陰湿な根》はトークンが増えた後に各植物を強化するため、5回誘発すれば5/6, 4/5, 3/4, 2/3, 1/2のトークンが場に並ぶことになります。《陰湿な根》をただ誘発させ続けるだけでも勝ててしまうのです。《陰湿な根》、すごいカード! 切削だけがライブラリーを削る手段ではありません。そう、諜報です。必要なカードをライブラリーに置けるので切削の超上位互換とも言えるこの能力をたった1マナで持つ《瓦礫帯の異端者》は、いぶし銀の存在。墓地から追放してクリーチャーを強化すると《陰湿な根》も誘発するので、引いて美味しい、落ちて美味しい1枚。いぶし銀どころではないかもしれません。 そして《うなる大殺犬》はパワーが2以下のクリーチャーが戦場に出るたびに諜報を行います。デッキ内の多くのカードがパワー2以下なのに加え、《陰湿な根》から出る植物でも諜報できるのです。《うなる大殺犬》を用いたコンボもあります。 そのコンボを説明するために先に紹介しておかなければならないのが《骨術師の達人》。このターン、墓地のクリーチャー・カードを給餌コストを追加で支払って唱えることができるようになります。 給餌は、墓地から3枚のカードを追放するか食物を生け贄に捧げることを指すのですが、このデッキではもちろん墓地を3枚追放して使用します。そう、この給餌でも《陰湿な根》が誘発するのです。 この《骨術師の達人》《うなる大殺犬》《陰湿な根》《歓喜する喧嘩屋、タイヴァー》が揃うとゲームに勝てます。   まず《骨術師の達人》の能力を起動。給餌でカードを3枚追放して墓地のクリーチャーを唱え、《陰湿な根》からトークンが出ます。そしてトークンが出たので《うなる大殺犬》の諜報が解決。その後、墓地からクリーチャーが帰ってくる際に、もう1度《陰湿な根》が誘発するので、《うなる大殺犬》で再び諜報。 その後、クリーチャーが戦場に出るので、それがパワー2以下ならまた諜報が発生します。このすべての諜報でカードを墓地に送っていれば、それがそっくりそのまま給餌コストになるので、再び別のクリーチャーを唱えられます。マナは先ほど《陰湿な根》でトークンが2体出たのでそこからまかなえます。 《瓦礫帯の異端者》を墓地から唱えれば更に諜報2のオマケがついてきますし、《脱皮の世話人》でも切削が可能なので、繰り返していくことで、プラスマイナス0ではなく、墓地が増えていきます。   諜報で2枚目の《うなる大殺犬》が落ちれば、そこからは各諜報量が倍になるので、ライブラリーをすべて掘ることができるでしょう。最終的には墓地に落ちた《ヴォルダーレンの興奮探し》で相手の致死量のパワーを持つ植物トークンを投げてゲームエンドというわけです。 もちろんクリーチャーがまったく落ちずに《陰湿な根》の誘発ができなくなり、コンボが止まってしまうことはあります。そのため揃った瞬間に確実に勝利できるというわけではありませんが、仮に止まったとしても全体除去以外では対処できない場になります。   緑黒で墓地も場も使ってガチャガチャやりたい……そんな方には超オススメ!     エスパー人間 パイオニアリーグ : 5-0 By  Catervus MTGアリーナ用インポートデータ 一昔前から強化され続けている種族と言えば人間。   人間が作っているカードゲームだからなのか、単にどのエキスパンションにも出しやすいからなのかは定かではありませんが、人間はやたら強化されています。かつてモダン5色人間が暴れ回っていたほどですからね。 そんな人間がパイオニアでも登場しました。もちろん白単アグロを人間と呼んでいるわけではありません。エスパーカラーの人間デッキです。   デッキ自体は言うまでもなくビートダウンデッキ。人間クリーチャーの1マナ域には高スタッツかつ優秀な能力を持つ人間が集まっています。   《徴兵士官》は1マナ2/1な上にマナフラッドした際にはクリーチャーを供給する《サバンナ・ライオン》が裸足で逃げるレベルのハイスペッククリーチャー。《有望な信徒》と一緒に白単人間でも活躍していますね。 《アクロスの英雄、キテオン》も1マナ2/1で、こちらはプレインズウォーカーに変身できますが、伝説なので1枚のみの採用となっています。 あまり見ないのは《古参の生存者》でしょうか。こちらも当然1マナ2/1でメリット付き。《サバンナ・ライオン》だけでなく、昔《サバンナ・ライオン》をお年玉で買った経験のある僕も泣いています。 生存していると墓地を追放できるオマケ付きで、このデッキでは《古参の生存者》を強化して生き残らせることが可能なので、墓地対策にしっかりなってくれます。面白いチョイスですね。   1マナ域はすべて白でしたが、2マナが急にカラフルになります。   まずは《不屈の将軍、ジリーナ》。戦場に出た時に墓地を追放しつつ、自身を生け贄に自分の全人間に呪禁と破壊不能を付ける能力を持ちます。墓地対策と全体除去対策を兼ねる良将軍。 そして一見するとなぜ入っているか理解できない《潜入者、悟》!もちろんこのカードも人間。なのですが、ドローするためにはクリーチャーを唱えずに戦場から出す必要があります。なぜ入っているのかはクリーチャーを見ていても答えは出ません。 スペル欄を見ましょう。そう、《英雄たちの送り火》です!このカードを使って《潜入者、悟》を誘発させることができるのです。 クリーチャーを生け贄に捧げることで、そのクリーチャーよりマナ総量が1多く、共通のクリーチャータイプを持つクリーチャーをデッキから出す。要するに《出産の殻》ですね。1マナの人間を生け贄に2マナの人間をサーチして場に出せるのです。 《英雄たちの送り火》から出たクリーチャーは当然唱えたわけではないので1ドローでき、《潜入者、悟》との相性抜群です。   特に《サリアの副官》はクリーチャーを強化しつつ、自身を《英雄たちの送り火》で生け贄に3マナ域の人間を呼び出せるので、サーチ先筆頭となることでしょう。 《英雄たちの送り火》によって場に出る3マナ域、《輝かしい聖戦士、エーデリン》は白単人間でも活躍する超強力な人間。生成したトークンも人間なので《英雄たちの送り火》で1マナの人間に代わります。 《救出専門家》は《英雄たちの送り火》との相性が抜群。生け贄に捧げたばかりのクリーチャーをそのまま場に戻すので、《サリアの副官》ならカウンターが更に乗り、《魅力的な王子》なら《救出専門家》をブリンクし、更に他のクリーチャーを墓地から復活させます。 そしてマナカーブの頂点となる4には《刃の歴史家》も控えています。《英雄たちの送り火》がひとたび動き出せば、盤面にクリーチャーを並べ、強化し、時にはカードを引き、最終的には二段攻撃と、1枚で完結してしまいます。 人間は干渉手段に乏しいのが弱点ですが、《英雄たちの送り火》から《反射魔道士》《帆凧の窃盗犯》をサーチでき、非常に器用なデッキとなっています。 ただの人間には興味がない。そんなあなたにはエスパー人間が良いでしょう!     アブザンケトラモーズ モダンリーグ : 5-0 By Gavin5499 『霊気走破』のトップレア《新たな夜明け、ケトラモーズ》! 既にモダンではオルゾフブリンクに組み込まれ、《溌剌の牧羊犬、フィリア》や《ちらつき鬼火》で気軽にカードをもたらしてくれますが、今回はそんな《新たな夜明け、ケトラモーズ》を更にフィーチャーしたデッキ、アブザンケトラモーズを紹介します。 どのぐらいこのデッキが《新たな夜明け、ケトラモーズ》に命を懸けているかというと、《テーロスへの侵攻》を採用しているほどです。 このカードを初めて見たという方も多いでしょう。戦場に出た時にライブラリーからオーラや紙や亜神をサーチできるバトルです。そう、当然ながら主なサーチ先は神、すなわち《新たな夜明け、ケトラモーズ》になります。 ここで《新たな夜明け、ケトラモーズ》の能力についておさらいしましょう。あなたのターンに戦場や墓地から1枚以上のカードが追放されるたびに1ドローできる能力です。   最も相性が良いとされているのが《大祖始の遺産》です。オルゾフブリンクにも採用されるようになりましたが、まず上の能力で自分の墓地を1枚追放して1ドロー、その後《大祖始の遺産》の下の能力を使うと、《大祖始の遺産》が自身の能力で追放されて1ドロー、その後墓地が追放されるので1ドロー、最後に《大祖始の遺産》の効果で1ドローと、《大祖始の遺産》1枚で4枚のカードが引けるのです。 しかも墓地対策を兼ねるため、《火の怒りのタイタン、フレージ》も安心。 また相手のクリーチャーを追放するカードとの相性も良好です。《孤独》は当然として、更にその上から《薄氷の上》《骨化》と大量の追放カードが採用されています。 面白いのが《輝晶の機械巨人》の採用です。マナ総量が1以下のアーティファクト・エンチャント・クリーチャーをサーチできるこの機械巨人は、《大祖始の遺産》《薄氷の上》にアクセスできるので、《新たな夜明け、ケトラモーズ》で大量ドローする準備をしてくれます。 《新たな夜明け、ケトラモーズ》が墓地落ちた場合は《死者の神のお告げ》を持ってくるなど、器用なカードです。 そしてここまでカードを見ていて「戦場に出た時に~」と書かれたものがやたら多いことに気が付いたのではないでしょうか?   そんなカードを更に強化するのが《機械の母、エリシュ・ノーン》。 こちらの戦場に出た時の誘発を倍にしつつ、相手の誘発を止めてしまうので、特に同じ《新たな夜明け、ケトラモーズ》を使うオルゾフブリンクに強く、これ1枚でゲームに勝てるほどです。 もちろん誘発が倍になるだけでも脅威で、《孤独》をはじめとした各種除去が複数回誘発し、個々で《新たな夜明け、ケトラモーズ》で更に引けるので、《機械の母、エリシュ・ノーン》が生き残ればゲームセットでしょう。 《新たな夜明け、ケトラモーズ》でもっと気持ちよくなりたいならこのデッキ!!

【パイオニア】ディミーアバウンス徹底解説!

Pioneer ピックアップ

2025.02.27

mtg Yuyan

こんにちは。 細川 侑也(@yuyan_mtg)です。 先週末は晴れる屋さんで行われた第17期パイオニア神挑戦者決定戦に参加していました。   結果はトップ4。とんでもないミスにより準決勝で負けてしまったわけですが、今回は珍しく大会前から自信がありました。   それは使用したデッキ、ディミーアバウンスが余りに強いデッキだったからです。   というわけで今回はディミーアバウンスの記事となります。         目次 ディミーアバウンスとは デッキリストとカード解説 採用を検討した/見送ったカード デッキの回し方 プレイ指南 TIPS サイドボーディング 終わりに ディミーアバウンスとは 《この町は狭すぎる》《孤立への恐怖》で《稲妻罠の教練者》《海の神のお告げ》を戻してアドバンテージを獲得したり、《逃げ場なし》《勢い挫き》を使い回して相手のクリーチャーを殲滅させていくのが基本戦術となるコントロールデッキです。 《嵐追いの才能》も入っており、レベル2で回収した《この町は狭すぎる》で再度戻すことで、何度もカワウソを生成しながら無限に妨害し続けることができます。   そう、スタンダードでも大人気のアーキタイプのパイオニア版なのです。   というか、このデッキはほぼスタンダードです。   リストをよく見てみてください。《致命的な一押し》《思考囲い》《海の神のお告げ》《食肉鉤虐殺事件》《覆いを割く者、ナーセット》以外のメインの呪文はすべてスタンダードのカードなのです。 いや、それは正確ではありませんでしたね。ディミーアバウンスには、スタンダードでは採用できない大きな……いや、大きすぎる1枚が採用されています。   そう、《空を放浪するもの、ヨーリオン》です。このカードがあるからこそこのディミーアバウンスは成立していると言って良い。《湧き出る源、ジェガンサ》はアグロデッキでたまに活躍する1枚ですが、このデッキにとっての《空を放浪するもの、ヨーリオン》はメイン戦略です。 かつて、《夢の巣のルールス》を採用していた数多くのアグロデッキは、《夢の巣のルールス》が出るまでの間に相手にすべての除去を使わせ、最終的に《夢の巣のルールス》が生き残って勝っていました。これはアグロのメイン戦略の1つとして組み込まれていました。 ディミーアバウンスにとっての《空を放浪するもの、ヨーリオン》も全く同じです。盤面に様々な置物を並べて《空を放浪するもの、ヨーリオン》でアドバンテージを取って勝利する。これを最初から目指しています。   相棒をただの追加リソースではなく、メインプランの1つとして据えることができるのは、それだけでデッキの強みになります。   相棒により再現性の高いゲーム展開を作れるのがディミーアバウンスの魅力なのです。   デッキリストとカード解説 《致命的な一押し》   今更解説することもない、パイオニア最強の1マナ域。黒を使い理由になる1枚。   ラクドスでは血や宝物といったトークンで紛争を達成しやすい一方、従来のディミーアコントロールでは紛争達成が難しいのが悩みどころでした。《廃墟の地》を4枚にしたり、《推理》を採用して手がかりで紛争を行うなど、様々な工夫がほどこされていました。   しかし、このデッキは紛争の達成が容易です。《この町は狭すぎる》によるバウンスでも紛争しますし、《望み無き悪夢》《海の神のお告げ》《勢い挫き》《不気味なガラクタ》はすべて能動的に生け贄に捧げられるパーマネントです。   ほぼ万能除去と言って差し支えません。   《思考囲い》 パイオニア最強の1マナ域、その2。《致命的な一押し》と《思考囲い》を使えるのが黒の最大の魅力と言っても過言ではありません。パイオニアで一番強いカードはこの2枚です。   序盤に相手の攻め札を奪ってしまえば盤面のコントロールは容易になります。《思考囲い》は決して攻めるデッキだけが使うカードではありません。守るデッキが使う《思考囲い》も十分強力なのです。   《嵐追いの才能》 スタンダードではティムールカワウソに始まり、エスパーピクシー、ディミーアバウンスと今では色々なデッキで使われています。   前述のように《この町は狭すぎる》との相性は抜群。レベル2にして《この町は狭すぎる》を拾い、その後《嵐追いの才能》をバウンスすることで、何回でも《この町は狭すぎる》を打てるようになります。   戦場に出た時のカワウソも馬鹿にならない打点を持っており、初手に《嵐追いの才能》が複数枚あればそれだけでビートダウンを完遂させることも可能です。   《嵐追いの才能》はレベル2が強いことからこのデッキで採用されていますが、出てくるカワウソが相手のプレインズウォーカーをけん制したり、ビートダウンを敢行してくれます。相手は本来コントロール相手にプレインズウォーカーを入れたり、リソースを取る手段をサイドインし、除去を抜きます。そんな相手に対してカワウソによる攻めはかなり効果的です。   《嵐追いの才能》というカードの存在が、このデッキを多角的なデッキにしている要因です。出てくるカワウソが相手にプレイやサイドボーディングを難しくさせています。   《この町は狭すぎる》 スタンダードでも《嵐追いの才能》とセットで採用されているバウンス呪文。自分のコントロールしているパーマネントを対象に取っていると2マナで打てるので、使い終わった自分の置物と相手のパーマネントを戻すのが基本的な使い方になります。   自分のパーマネントを2枚戻すこともよくあり、《望み無き悪夢》を戻して一気にライフと手札を奪ったり、《海の神のお告げ》《稲妻罠の教練者》を戻して手札を増やすことも。   《空を放浪するもの、ヨーリオン》を戻したら凄まじいアドバンテージを稼いでくれます。   攻めでも守りでも使えるスーパーカードです。このカードを毎ゲーム引くのが目標です。   《孤立への恐怖》 追加コストとして自分のパーマネントをバウンスする2マナ2/3飛行。本来はデメリットであるはずの追加コストですが、このデッキではメリットに働きます。   先手で《嵐追いの才能》から《孤立への恐怖》と回った時はビートダウンプランも取れます。アグロにもコントロールにも使える良カード。   《望み無き悪夢》 手札破壊と2点ルーズのエンチャント。ライフも手札破壊も1枚程度では効きませんが、このデッキは何度も《望み無き悪夢》を出し入れするので、段々と傷口が広がっていきます。   特に《嵐追いの才能》からカワウソを出している時はビートダウンもできるので、《望み無き悪夢》とカワウソによるダメージで意外とライフが削れてる場合があり、《この町は狭すぎる》で《嵐追いの才能》《望み無き悪夢》を戻して大量の果敢を稼いでのフィニッシュなどもあります。   突然相手のライフをごっそり削れるので、このディミーアバウンスを使う際は殴りを意識しましょう。他のコントロールデッキよりも相手のライフを削る速度は速いです。殴れる時にしっかり殴る。コントロールを普段使っている方は軽視しがちですが、ディミーアバウンスでは重要です。   《逃げ場なし》 スタンダードでもお馴染みのエンチャント除去。《孤立への恐怖》《この町は狭すぎる》で回収して使い回します。   呪禁を剝がせるので《タミヨウの保管》を無意味にしたり、《恐怖を喰うもの、ヴァルガヴォス》や《墓地の侵入者》の護法を無視できて便利です。   ビートダウン相手にはうんざりするほど何度も出し入れしましょう。《空を放浪するもの、ヨーリオン》を含めて何回か使い回せばすぐにゲームセットです。   《勢い挫き》 『霊気走破』からの新カード。このエンチャントの強さには感動しました。   クリーチャーか機体を生け贄に捧げさせる、いわゆる布告能力は、サイズを問わない除去。このデッキは《致命的な一押し》《逃げ場なし》で除去できないクリーチャーの対処を《この町は狭すぎる》に一任していたので、《勢い挫き》はちょうどいい1枚でした。   生け贄に捧げた際は速度の数値だけライフゲインが可能で、これは赤アグロに対して重宝します。   しかもこのカード、相手がクリーチャーや機体を生け贄に捧げなかった場合は手札破壊になります。先手2ターン目にとりあえずハンデス目的で出せますし、コントロール相手のサイド後でも手札破壊として機能でするので、サイドアウトしません。   コントロールミラーは《金属の徒党の種子鮫》など、除去を抜かれることを前提にクリーチャーをサイドインしてきます。《致命的な一押し》《逃げ場なし》は除去以外に使い道がないので当然サイドアウトすることになりますが、《勢い挫き》ならば、除去すべきクリーチャーが出てこなければハンデスを選べば良いのです。   除去を残して相手がクリーチャーを出してこなかった時に手札で腐るのが許せない。かといって除去をすべて抜いて《金属の徒党の種子鮫》に好き勝手されたくない。   そんな事情をバッチリ解決してくれるのが《勢い挫き》です。2枚程度のリストが多いですが、僕はこのカードを絶対に4枚にすべきだと思います!   ちなみに《望み無き悪夢》の2点ルーズで速度を進められます。   《海の神のお告げ》/《稲妻罠の教練者》 《海の神のお告げ》は《空を放浪するもの、ヨーリオン》のズッ友。青系コントロールのライブラリーが80枚になる時にはいつも採用されていましたね。   出た時に占術2を行ってから1ドローと少し重い定業ですが、戦場に残ってくれるので《空を放浪するもの、ヨーリオン》《孤立への恐怖》《この町は狭すぎる》で回収できるのが魅力。   《稲妻罠の教練者》と比べて見れる枚数は少ないものの、確実に1ドローできる点、更に土地が欲しい場合はこちらの方がより強力です。   甲乙つけがたいので《稲妻罠の教練者》と3・3といったバランスで採用されていることが多いですが、個人的には《海の神のお告げ》の方が強いと考えています。   まず土地が欲しい場面がそこそこあること。土地2枚の初手と《稲妻罠の教練者》でキープして土地が手札に入らないのはそれなりにストレス。《稲妻罠の教練者》のために《ジュワー島の攪乱》や《アガディームの覚醒》を入れようと思ったこともあったほどです。   ほぼ確実に《この町は狭すぎる》《孤立への恐怖》《空を放浪するもの、ヨーリオン》で回収できるのも、《海の神のお告げ》の評価を上げるポイントになりました。《稲妻罠の教練者》はクリーチャーなので除去されてしまいます。特にメイン戦では余った除去を投げつけられてしまうので、《稲妻罠の教練者》は生き残りづらく、バウンスしての再利用がしにくいのです。   《覆いを割く者、ナーセット》 このデッキで唯一の3マナ以上のカード。少し重いですが、それだけの価値があるカードです。   《不浄な別室》に対する回答として一番強く、デッキが軽い妨害で構成されているので、プレインズウォーカーを直接破壊するカード以外で落ちにくいのがポイント。   他のデッキでは2回マイナスを使ったら後は置物ですが、ディミーアバウンスは自分のパーマネントを戻せるデッキ。《覆いを割く者、ナーセット》をリフレッシュして再び使用可能です。   除去除去ナーセットはこのデッキの勝ちパターン。最終的には《空を放浪するもの、ヨーリオン》で《覆いを割く者、ナーセット》をブリンクして相手の心を折ることになります。   《不気味なガラクタ》 《見栄え損ない》ですが、置物なので各種バウンスで使い直せます。   1マナの置物除去はこれまで存在していなかったので使用感が未知数でしたが、使ってみるとその強さに驚き。特に後手番でアグロを相手にした時は強すぎて驚きました。   《孤立への恐怖》を2ターン目に出してブロッカーとして立てるためには1ターン目にアクションをする必要がありますが、《嵐追いの才能》はアクションとしては弱め。カワウソはブロッカーとしては心もとないですからね。   その点、盤面除去をしながら《孤立への恐怖》を出せる《不気味なガラクタ》は素晴らしいカード。回収し直して3ターン目に出しながら2マナのドロースペルに繋げれば勝利目前です。   《食肉鉤虐殺事件》 それなりにゲームが長期戦になるので、何かしらのライフゲイン手段が欲しいとは思っていましたが、良く採用されている《黙示録、シェオルドレッド》はあまり好きではありませんでした。   クリーチャーデッキ相手に欲しいはずなのに重く、強い瞬間は限られます。しかもメインでは相手の腐る除去が当たります。ラクドスデーモン相手に《黙示録、シェオルドレッド》が生き残ることはまずありません。   もちろん、相手の手札が空になってしまえば生き残る確率は上がり、それを目指せるデッキではあるものの、限られた状況でのみ強いカードはなるべく減らしたいと考えました。   そしてライフゲイン手段として白羽の矢が立ったのが《食肉鉤虐殺事件》でした。ラクドスにはX=2で《税血の収穫者》や《鏡割りの寓話》を流せますし、全体除去をメインに採用したいと考えていたので、2つの希望を同時に叶えてくれるカードだったのです。   各種バウンスで使い回せる全体除去というのもポイント。   《神秘の論争》 ここからはサイドボード。   青いデッキにサイドインする……のは当然ですが、特に重く見たのはイゼットフェニックスです。   イゼットフェニックスとの戦いはとにかく軽いことが重要。相手の致命的なスペルを打ち消す場面より、《覆いを割く者、ナーセット》を通すためにカウンターを使うことが多いので、《否認》では重いのです。   《美術家の才能》は消したいカード筆頭ではあるものの、結局後手では《否認》は間に合わずに通ってしまいます。《呪文貫き》は悪くないと考えましたが、今度は《宝船の巡航》に対して弱い。   《神秘の論争》であれば《宝船の巡航》に打つと相手は嫌な顔をします。フルタップになってしまいますからね。《呪文貫き》は割と払われてしまいます。これは《宝船の巡航》を打たれるターンが4ターン目、もしくは4枚の土地が並んでからというケースが多いためですね。   そんな事情でカウンターは《神秘の論争》のみにしました。ちなみにミラーマッチで一番強いのも《神秘の論争》です。《空を放浪するもの、ヨーリオン》に当たるのがとにかく大きい!   《未認可霊柩車》 3枚と多めですが、こちらもイゼットフェニックスを意識しています。   結局《宝船の巡航》さえ封じてしまえば最終的にはこちらが勝てます。アドバンテージ獲得手段が《宝船の巡航》以外にないので、《望み無き悪夢》《勢い挫き》ですぐに手札を枯らせられますからね。   《覆いを割く者、ナーセット》が着地すれば話は早いのですが、相手も《呪文貫き》《神秘の論争》《否認》と様々な打ち消しをサイドインしてくるので、着地は容易ではありません。それなら墓地対策は必須です。   その中で最も優秀なのが《未認可霊柩車》。《除霊用掃除機》は1マナと軽いですが、たった1枚しか墓地を削れないので、《宝船の巡航》のスピードに追い付けません。《未認可霊柩車》は毎ターンキャントリップを打たれ続けても、それに追いつけます。   《未認可霊柩車》でも相手に《宝船の巡航》を打たれてしまいますが、そのタイミングを制限できるのが重要です。土地をひたすら並べられ、《神秘の論争》が当たらない範囲で《宝船の巡航》を仕掛けられるのが嫌な展開なので、それを《未認可霊柩車》で防ぐのが狙いです。   多めに3枚入っているのは、早いターンで引き込んでおきたいからです。   《夢を引き裂く者、アショク》 こちらも《未認可霊柩車》と同じ墓地対策。   メリットはロータスコンボにも採用できる点。今回は《減衰球》を採用していないので、ロータスコンボがとにかく不利マッチです。《夢を引き裂く者、アショク》を入れた程度で有利になることはありませんが、一応の抵抗にはなります。   もちろんイゼットフェニックスにもサイドインします。先ほど《未認可霊柩車》が対策になると話したばかりですが、ゲーム序盤で引き込めなかった場合、《未認可霊柩車》の効力は激減してしまいます。大量の墓地を一度に追放する手段も必要だと考えました。   《夢を引き裂く者、アショク》は墓地をすべて追放した上で、そのまま相手のライブラリーアウトも狙えるので、イゼットフェニックス相手はフィニッシャーになる場合もあります。《宝船の巡航》で大量に引かれてる時もワンチャンス狙えますね。   デメリットはその重さと色。《神秘の論争》が引っかかってしまうのでとにかく通りづらい。《覆いを割く者、ナーセット》が通らないのですから《夢を引き裂く者、アショク》を通すのも大変です。   しかも通した結果がただの墓地追放なので、ゲーム序盤では《未認可霊柩車》以下の活躍です。たくさんの《未認可霊柩車》と少しの《夢を引き裂く者、アショク》がちょうどよいバランスだと考え、この配分になりました。   《悪夢の詩神、アショク》 またアショクの登場です。   こちらはミッドレンジやコントロールに強い1枚。プレインズウォーカー除去があまり使われていない環境なので、特に黒系ミッドレンジ全般には非常に強く、出すとそのまま勝ててしまうほどです。   元々、ミラーマッチで良いカードを探していて見つけたのが《悪夢の詩神、アショク》でした。ミラーで強いカードの条件は「《この町は狭すぎる》で戻されて何もしないカードはダメ」「除去耐性がある」「盤面に干渉するカード」でした。   《悪夢の詩神、アショク》はバウンスされても戦場に2/3のトークンを残せますし、プレインズウォーカーなので除去耐性もあります。2/3が盤面に影響を与えるので、すべての条件を満たしています。2/3というサイズもカワウソに2回の果敢を付けさせる必要があるので、ミラーマッチでは及第点です。   ラクドスミッドレンジにもそこそこ強く、《不浄な別室+祭儀室》から出てきたデーモンをバウンスしつつ、1枚ハンデスする展開が多かったです。もちろんプラスも強力でした。   《絶滅の契機》 主に緑単に対して入れるカード。緑単は《老樹林のトロール》《茨の騎兵》と死亡時に能力を持っているクリーチャーが多く、また《ラノワールのエルフ》《エルフの神秘家》などほとんどすべてのカードが奇数なので、《絶滅の契機》が一番刺さります。   単体除去は多いディミーアバウンスですが、後手で除去が追い付かない展開もあるので、少しだけサイドに入れておくと便利です。緑単相手には《食肉鉤虐殺事件》は抜いてしまいますが、他の対アグロでは《食肉鉤虐殺事件》《絶滅の契機》の4枚の全体除去で臨むことになります。   《霊気の疾風》 アグロに対して《思考囲い》4枚を抜く関係上、《絶滅の契機》以外に2枚ほど何かカードを入れたかったのですが、単なる除去の水増しよりは、除去の役割がありながらも違う使い方もできるカードが良いと考えました。   そんな便利なカードが《霊気の疾風》です。疑似的な打ち消し呪文として使えるだけでなく、盤面にも干渉できる強力なスペル。   《逃げ場なし》などの置物エンチャントが主体となっているので、《嵐追いの才能》の2章で拾える除去が少ないのは実は課題でした。《致命的な一押し》《この町は狭すぎる》だけでは少し少なかったのです。《霊気の疾風》はそんな事情も解決してくれるので、かなり好みです。   採用を検討した/見送ったカード 《無駄省き》 パイオニア神挑戦者決定戦前日に突然思いついたのですが、試す時間がなくて断念。   2ターン目に設置して何もしないカードなのでアグロには弱いですが、それ以外のマッチではすべて活躍しそうなので、サイドから《強迫》2枚を追加してディミーア無駄省きになります。   《望み無き悪夢》《思考囲い》《勢い挫き》と手札破壊は大量にあるので、誘発には問題ありません。   イゼットフェニックスの《美術家の才能》がきついので、《無駄省き》を置けばとりあえずルーターを制限できますし、ミラーマッチではお互いの手札破壊に、こちらだけオマケがつくので、アドバンテージ面で勝利できるでしょう。   ラクドスミッドレンジに対しても同プランを採用する予定ですが、ここがどうなるかがカギかなと思います。   僕の想像では結構イケてる気がするので、興味を持った方はぜひサイドボードに4枚入れてみてほしいです。   《最後の望み、リリアナ》 こちらはミラーマッチの最終兵器として投入を検討していました。当初は《悪夢の詩神、アショク》ではなく《最後の望み、リリアナ》を入れる予定でした。   ディミーアバウンスミラーマッチは《空を放浪するもの、ヨーリオン》がカギとなります。盤面にクリーチャーがそこそこ並び、手札も搾り合うので、《空を放浪するもの、ヨーリオン》で《望み無き悪夢》や《逃げ場なし》を使い回してアドバンテージを稼いだ方が勝利します。   ですが、《空を放浪するもの、ヨーリオン》を拾うタイミングが非常に難しい。《思考囲い》はお互いに温存して、相手が《空を放浪するもの、ヨーリオン》を回収したタイミングで狙います。   だからこそ、《空を放浪するもの、ヨーリオン》は《思考囲い》で相手の手札から《思考囲い》を抜いたタイミングや、8マナ溜めて回収→キャストのいずれかになります。《神秘の論争》がミラーで強いと言ったのはこのためですね。   《最後の望み、リリアナ》があれば、《空を放浪するもの、ヨーリオン》を《思考囲い》で落とされても回収できるため、プレイがかなり簡単になります。適当な時に回収しておいて《思考囲い》を打たれても、《最後の望み、リリアナ》で拾ってしまえば良いのです。   《最後の望み、リリアナ》自体の場持ちがミラーでかなり良いのもポイント。《孤立への恐怖》はパワーが0になりますし、カワウソトークンはプラスで除去できますからね。黒いので《神秘の論争》を1マナで打たれませんし、3マナという軽さも素晴らしい。   ただ、《悪夢の詩神、アショク》に比べてラクドスミッドレンジには少しイマイチかもしれません。《鏡割りの寓話》に弱いのが致命的ですね。   当日入れなかった理由はフルアート版が晴れる屋に売ってなかったからです。前日に思い付いたせいでこんなことに…。   メインの《空を放浪するもの、ヨーリオン》 ディミーアバウンスの良いところはとにかくデッキが軽く構成されていて、相棒領域に《空を放浪するもの、ヨーリオン》が用意されていることだと思います。   もちろん《空を放浪するもの、ヨーリオン》はデッキの多くのカードと噛み合って強いのですが、軽いアクションで相手の展開を凌ぎ、確定している《空を放浪するもの、ヨーリオン》でマウントを取るのがディミーアバウンスです。   その細かい動きに5マナのカードは合わないですし、そもそも確実に3マナで手札に持ってこれるので、それ以上に必要ないと感じました。1回《空を放浪するもの、ヨーリオン》が出れば大体勝ちますからね。   オーバーキルかつ事故の要因となってしまう《空を放浪するもの、ヨーリオン》はデッキに入れないことにしました。   《悪夢滅ぼし、魁渡》 《孤立への恐怖》を戻して出すと強いですよね。うん、もちろん強いです。でもコントロールデッキなのであんまりデッキに合っていませんでした。たまたま引いた時はオーバーキルか、そもそも役に立たないかのどちらか。   カワウソを忍術して出してもちょっとがっかりしちゃいますし、《稲妻罠の教練者》はそもそも忍術条件を満たすのも難しい。   使っていて全然強いと感じず、すぐに抜けました。アゾリウスコントロールなどにも《失せろ》ですぐ対処されてしまいます。 デッキの回し方 ディミーアバウンスは基本的にはコントロールデッキです。スタンダードの同デッキはアグロ寄りのミッドレンジでしたが、パイオニアのディミーアバウンスはコントロール。これを念頭に置いておきましょう。   コントロールとして立ち回る時の動きは簡単です。《逃げ場なし》や《勢い挫き》で盤面をすべてさばき、隙を見て《空を放浪するもの、ヨーリオン》を回収。出し直せばそれだけでゲームが決まります。 手札破壊カードは他のアクションがあればそちらからにしましょう。手札が少なくなってきてからの方が1枚ハンデスは効果的です。《思考囲い》と《望み無き悪夢》がどちらもあれば当然《思考囲い》から打ちましょう。 もちろん、2ターン目に《孤立への恐怖》を唱えたい場合は《望み無き悪夢》からになりますが。 除去を最優先し、相手の手札が3枚ぐらいになったら《望み無き悪夢》と《勢い挫き》で手札破壊していくことが多いです。 他のコントロールデッキと違うのは、ライフを詰めるスピードが速い点です。   《望み無き悪夢》の2点ルーズは最初はオマケ程度ですが、《孤立への恐怖》などで出し直すと徐々に重くのしかかってきます。 カワウソ、《孤立への恐怖》と合わせて突然攻撃に回れる展開もあるので、細かいダメージはしっかり刻むようにしましょう。相手のライフを削る意識をしっかり持つことが大事です。 《望み無き悪夢》を1回《孤立への恐怖》で拾うと4点。《空を放浪するもの、ヨーリオン》で出し直すと6点。《空を放浪するもの、ヨーリオン》と《孤立への恐怖》で6点とこれだけで12点削れるので、相手がショックランドや《思考囲い》で少しダメージを負っていると、守っている側のはずのディミーアバウンスが相手とほぼライフが一緒なこともしばしば。 守りを基本としつつ、攻める瞬間も意識してください。果敢が乗ったカワウソをブロッカーとして立たせるのは損です!常に殴りましょう!   プレイ指南 手札破壊の順番 《思考囲い》《望み無き悪夢》をどちらも唱える場合、先に使うべきなのは《望み無き悪夢》です。   わかりやすい例を挙げましょう。場には4枚の寝ている土地。手札には1枚の土地と《ドミナリアの英雄、テフェリー》、《放浪皇》。ここで先に《思考囲い》を受け、《ドミナリアの英雄、テフェリー》を抜かれたとします。そうすれば当然《望み無き悪夢》で土地を捨てますよね。 これが先に《望み無き悪夢》だったらどうでしょうか?《放浪皇》を捨てて、次のターンの土地+《ドミナリアの英雄、テフェリー》を確定させるかもしれません。もちろん土地を捨てて土地引きに賭ける選択肢もありますがね。   このように、《思考囲い》を後から打った方が相手の《望み無き悪夢》のディスカードで裏目を引かせやすくなります。   先に《望み無き悪夢》でスペルを捨てられて《思考囲い》で土地しかなくてスカる……なんてこともなくはないですが、《望み無き悪夢》で捨てるカードは大体土地でスペルは手札に残ります。《思考囲い》の対象はあることがほとんどです。   《勢い挫き》を上手く使おう 手札破壊も除去もできる《勢い挫き》ですが、2ターン目に《逃げ場なし》《勢い挫き》と持っていた時にどちらから使うか悩ましいですよね。   インスタントである《逃げ場なし》を温存したいでしょうが、僕は《勢い挫き》を手札に残しておきます。 手札の除去がなくなれば《勢い挫き》で除去すれば良いですし、頃合いを見て手札破壊ができるのは便利です。   ただし、相手の手札が5枚ほどある状況でとりあえず手札破壊として使うのはオススメしません。次のターンに《不浄な別室+祭儀室》を開けられてデーモンが出てきて困ったりしますからね。除去が余っていれば良いですが、《勢い挫き》しか除去がないならば、手札破壊はやめましょう。相手が出してきたクリーチャーを除去するのは、実質手札破壊でクリーチャーを落とすのと同じです。手札破壊にこだわる必要はありません。 相手の手札が2枚ぐらいになってきたら、手札破壊で1枚を落としつつ、《空を放浪するもの、ヨーリオン》を拾って次のターンにブリンクするようにしましょう。   《孤立への恐怖》《この町は狭すぎる》の受け入れ 《望み無き悪夢》と《致命的な一押し》ならばまず除去を優先してその後に手札破壊。先ほどはそう言ったものの、このデッキには《孤立への恐怖》《この町は狭すぎる》が入っています。   これらのカードは自分の場にパーマネントがないと使えないカードなので、2ターン目から唱えることを想定してプレイする必要があります。   手札にそれらのカードがない場合でも、「次のターンに引いたらどうしよう?」と考えましょう。   例えば相手がアグロデッキで、手札に《逃げ場なし》があるなら、2ターン目のアクションはまず《逃げ場なし》になるでしょう。もし《孤立への恐怖》を引いたとしても出す必要はありません。それならば1ターン目に《望み無き悪夢》を置く必要はないので、《湿った墓》や《難破船の湿地》をタップインできます。 しかし、手札に2マナのカードがなく《覆いを割く者、ナーセット》が次の展開になりそうなら、2ターン目に《孤立への恐怖》か《この町は狭すぎる》を打つことは全然ありえます。それならば1ターン目には《望み無き悪夢》を置いた方が良いのです。 初手を開いてある程度ゲームがどう展開されるかを予想しながら1~2ターン目のアクションを決めましょう!アゾリウスコントロールよりこの辺りのプレイは少し難しいです。   《空を放浪するもの、ヨーリオン》を拾うタイミング 《思考囲い》が入っている相手にはかなり慎重に回収しましょう。やることがないからと適当に回収するのはNGです。特にラクドスが1ターン目から《思考囲い》を打ってこない時は、特に注意してください。 回収した次のターンに出してアドバンテージを稼ぐことが多いので、4ターン目に拾いながら1マナアクション、5ターン目に《空を放浪するもの、ヨーリオン》で一斉ブリンクが理想の流れです。   1マナの妨害カードである《致命的な一押し》や《思考囲い》は4ターン目に使うと、《空を放浪するもの、ヨーリオン》の隙を埋めてくれます。2~3ターン目は、4ターン目に3マナ払って回収することを念頭に置いてプレイしたいところ。 とはいえ、《空を放浪するもの、ヨーリオン》が出た時に《逃げ場なし》《勢い挫き》など2種が追放されれば、それだけで盤面は一気に有利になります。なので多少盤面が不利になっても問題はないと言えばないです。 下手なアクションをするよりは《空を放浪するもの、ヨーリオン》を回収しておいた方が良い場合が多く、たとえば《海の神のお告げ》を出すなら先に《空を放浪するもの、ヨーリオン》です。《海の神のお告げ》で探したいカードが除去なら《空を放浪するもの、ヨーリオン》でも同じことができますからね(《逃げ場なし》などが戦場にあれば)   《空を放浪するもの、ヨーリオン》を拾っておき、相手の動き次第で次のターンに出すかを決めれば良いのです。《空を放浪するもの、ヨーリオン》自体は時間が経つとどんどん強くなっていくカードで、一気に不利な盤面も返せるので、ここぞという時に出せるよう、手札に早めに控えていてもらいましょう。   TIPS 《孤立への恐怖》で土地を回収 《孤立への恐怖》は他のカードと違い、珍しくどのパーマネントも戻せるので、セットランドした《天上都市、大田原》《見捨てられたぬかるみ、竹沼》を回収できます。地味ですが意外と起きることなので、見落とさないようにしましょう。   特に《見捨てられたぬかるみ、竹沼》は《空を放浪するもの、ヨーリオン》を回収できるので、魂力する機会はまあまあ多いです。   ディミーアバウンス相手に《廃墟の地》を使う時は、意外と2色ランドよりも《見捨てられたぬかるみ、竹沼》を狙った方が良いです。   《霊気の疾風》《ガイアー岬の療養所》 《霊気の疾風》でライブラリートップに積まれたカードは、相手の手札が0枚なら《ガイアー岬の療養所》で引かせてそのまま捨てさせることができます。   これは本当に見落としやすいので覚えておきましょう!   《孤立への恐怖》は追加コスト 《この町は狭すぎる》と違い、《孤立への恐怖》のバウンスは追加コストです。戻す対象を選ぶわけではないので、相手が除去を挟む余地はありません。   《覆いを割く者、ナーセット》のマイナスを起動して、そのスタックで《塔の点火》を打たれなければ、《孤立への恐怖》で回収して逃げることができます。逆にディミーアバウンスを相手にする時は、しっかり自分のメインフェイズや相手のアップキープ中、起動にスタックして《覆いを割く者、ナーセット》を処理しておくこと!   サイドボーディング VSラクドスデーモン +2《悪夢の詩神、アショク》-2《不気味なガラクタ》 基本的には有利なマッチアップ。お互いにリソースを削り合いますが、こちらには《空を放浪するもの、ヨーリオン》が控えているので、戦場に出れば終わりです。 《思考囲い》で落とされてしまうのは負け筋なので、そこだけ気を付けてください。 《不浄な別室+祭儀室》で出たデーモンは即処理する必要がありますが、《致命的な一押し》《この町は狭すぎる》でしか対処できません。《逃げ場なし》《勢い挫き》を先に使っておき、《致命的な一押し》は温存しましょう。 手札破壊に対するケアは《嵐追いの才能》《この町は狭すぎる》にも言えます。特に《この町は狭すぎる》を拾って打てないタイミングで《思考囲い》で捨てさせられるのが最悪です。《思考囲い》を打たれた時にスタックで《嵐追いの才能》と《海の神のお告げ》など、リソースになるカードを回収できるようにしておきましょう。   《覆いを割く者、ナーセット》の着地もかなり重要です。一度場に残れば部屋だけで勝手に相手が死んでいきます。   VSイゼットフェニックス +3《神秘の論争》+3《未認可霊柩車》+2《夢を引き裂く者、アショク》-4《致命的な一押し》-2《不気味なガラクタ》-2《勢い挫き》 とにかく《覆いを割く者、ナーセット》が生き残るかどうかにすべてがかかっています。メイン戦では特に重要で、《呪文貫き》で打ち消されるなんて愚行は絶対にNGです! 《弧光のフェニックス》を相手が返してきたターンはマナが寝るのでチャンスです。エンド前に《弧光のフェニックス》をしっかり落として、返しで《覆いを割く者、ナーセット》を着地させて除去を構えましょう。この時に手札からの《弧光のフェニックス》で落ちないように、《覆いを割く者、ナーセット》のマイナスは使わないでください。 一度《覆いを割く者、ナーセット》が出れば相手は《弧光のフェニックス》を返すことさえ一苦労です。《手練》《錠前破りのいたずら屋》以外のドロースペルを打てば手札が減るので、仮に《弧光のフェニックス》を返したとしても、手札がすっからかんになります。   意識したいのが無駄なクリーチャーを展開しないことです。《焦熱の衝動》で《弧光のフェニックス》を返すカウントを貯められてしまうのは損です。ブロッカーとして出すぐらいなら手札に持っておきましょう。クリーチャーを無駄に出すのは相手にとって得しかありません。 サイド後も《覆いを割く者、ナーセット》ハメを意識しつつ、墓地対策を大量に入れましょう。 相手が《若き紅蓮術士》などを入れている可能性があるので《食肉鉤虐殺事件》を残していますが、ゲーム2の長期戦で1枚も見なかった場合は、《致命的な一押し》の方が強いので戻しましょう。 《宝船の巡航》を解決させないことが最も重要です。《宝船の巡航》を何度も打たれないためにも、手札破壊では《美術家の才能》を抜きたいですね。   VSグルール/ラクドス果敢 +2《絶滅の契機》+2《霊気の疾風》-4《思考囲い》 基本は除去していくだけで自動で勝てる相手です。除去3枚でキープして《空を放浪するもの、ヨーリオン》を回収して出し直せばゲームセット。 逆にドローばかり引いてると負けてしまいますが、ゲーム1では相手のデッキがわからないのでやむなし。   サイド後も特にゲームプランを変えてくることはないので、こちらも《思考囲い》を抜いて除去を入れるだけです。 ちなみにグルールブリッツやグルール力線などと当たった際は《思考囲い》は少し残すようにしています。これは相手がコンボデッキのような動きをしてくることがあるためです。こういった相手には《思考囲い》で出鼻をくじくのが重要なので、《覆いを割く者、ナーセット》を少し減らします。   VS緑単ニクソス +2《絶滅の契機》+2《霊気の疾風》-2《食肉鉤虐殺事件》-2《逃げ場なし》 《覆いを割く者、ナーセット》がかなり効果的なマッチアップ。《ラノワールのエルフ》から順番に除去していって《覆いを割く者、ナーセット》が勝ちパターンです。 メインは後手を取ってしまい、《ラノワールのエルフ》を打ち漏らして手札破壊もできなければすぐに好き放題されます。サイド後は《絶滅の契機》もあるのでそこまで悲観していません。   VSセレズニアカンパニー +2《霊気の疾風》+2《悪夢の詩神、アショク》-4《望み無き悪夢》 《永劫の無垢》でたくさん引かれるとすぐ負けるのでやはり《覆いを割く者、ナーセット》が重要なマッチ。 2/2クリーチャーが多いので《悪夢の詩神、アショク》のトークンはかなり強いです。   《思考囲い》は《集合した中隊》を抜けるのでそこそこ強いですが、《望み無き悪夢》はほとんど意味がなかったのですべて抜きます。《永劫の無垢》でそこそこ引いてきますし、1枚ハンデスは効果がありませんでした。   VSアゾリウスコントロール +3《神秘の論争》+3《未認可霊柩車》+2《悪夢の詩神、アショク》-2《食肉鉤虐殺事件》-2《不気味なガラクタ》-4《逃げ場なし》 お察しの通り抜くカードが多すぎて、入れる必要がほとんどない《未認可霊柩車》もサイドインしています。一応《記憶の氾濫》がきついマッチなので墓地対策自体に意味はありますが。 《致命的な一押し》は《サメ台風》や《放浪皇》のトークンから《覆いを割く者、ナーセット》を守るために渋々残しています。   とはいえ、相性自体はそこまで悪くありません。というか相手が《告別》を採用していなければディミーア側が有利だと感じました。 多少不利な盤面でも《空を放浪するもの、ヨーリオン》が一瞬でまくってくれるので、エンチャントをとりあえず並べ続けて除去とハンデスを繰り返しているだけで、気づいたら勝っている場合が多いです。《この町は狭すぎる》《嵐追いの才能》が強く、《ドミナリアの英雄、テフェリー》の定着を許さないのも大きいですね。   抜くカードが多すぎるメイン戦も結局除去があればゲームが長引き、ゲームが長引くと《空を放浪するもの、ヨーリオン》で勝ててしまいます。   サイド後に《致命的な一押し》は残ってしまいますが、それでも勝つことが多いです。《告別》がたくさん入ってたら厳しそうですが。アゾリウスコントロールが流行るなら《否認》などが必要かもしれませんが、そこまで頻繁に当たることはないと思っています。   VSジャンドサクリファイス +3《未認可霊柩車》+2《霊気の疾風》+2《悪夢の詩神、アショク》-2《不気味なガラクタ》-4《勢い挫き》-1《致命的な一押し》 めちゃくちゃキツいです。《清掃人の才能》はほぼ1キルですし、《大釜の使い魔》《魔女のかまど》だけで普通に20点削られます。 このマッチはテンポプレイが重要で、《嵐追いの才能》《孤立への恐怖》と相手のライフを詰める展開が求められます。《空を放浪するもの、ヨーリオン》を5ターン目に出しつつさっさと殴り勝てるのが理想。《悪夢の詩神、アショク》を入れているのもさっさと殴り勝ちたいからです。 まあそんなことは現実にはなかなか起きないですが。   《清掃人の才能》のレベル3は3マナかかるので、そこを狙って《この町は狭すぎる》でバウンスし、その隙に勝つなど、とにかく相手の大きなアクションの隙を狙いましょう。 《全てを喰らうもの、イグラ》の護法は《逃げ場なし》で剥がせるので実は大丈夫です。   VSロータスコンボ +3《神秘の論争》+3《未認可霊柩車》+2《夢を引き裂く者、アショク》+2《悪夢の詩神、アショク》+2《霊気の疾風》-2《食肉鉤虐殺事件》-2《不気味なガラクタ》-4《逃げ場なし》-4《致命的な一押し》 当然ですがありえないぐらいきついです。メインは必敗です。   サイド後も入れるカードがないので《悪夢の詩神、アショク》をサイドインする始末。   イゼットロータスには《覆いを割く者、ナーセット》や墓地対策が非常に効くので実はまだワンチャンスありますが、バントロータスは絶望的です。《厳しい試験官》が残っているタイプには《致命的な一押し》を4枚とも残すようにしてください。 ロータスが多そうなら《減衰球》を入れてもいいです。   VSマルドゥパルへリオン +3《未認可霊柩車》+1《夢を引き裂く者、アショク》-2《不気味なガラクタ》-2《食肉鉤虐殺事件》 除去が多すぎて《パルヘリオンⅡ》が着地することはあんまりないので基本は有利なマッチアップです。 手札破壊で《パルヘリオンⅡ》を捨てられても、《大牙勢団の総長、脂牙》さえ倒せばOKです。   他のデッキでは《大牙勢団の総長、脂牙》が出てきた時、《パルヘリオンⅡ》を対象に取らせた後に《大牙勢団の総長、脂牙》を除去して《パルヘリオンⅡ》を手札に戻させることが多いですが、このデッキでは《望み無き悪夢》などで捨てられてしまうので、《大牙勢団の総長、脂牙》をすぐに除去し、《パルヘリオンⅡ》を拾わせない方が良いです。さっさと手札を0枚にさせましょう。   VS5色ニヴ +3《神秘の論争》+2《夢を引き裂く者、アショク》+2《悪夢の詩神、アショク》+2《霊気の疾風》-2《食肉鉤虐殺事件》-2《不気味なガラクタ》-1《逃げ場なし》-4《致命的な一押し》 《逃げ場なし》が抜ききれないぐらい入れるものが少ないのですが、それでもまあ有利です。お互いに回るとこちらの方が《空を放浪するもの、ヨーリオン》によるリソースで上回れるので、勝手に勝ちます。 サイド後は相手の《白日の下に》や《ニヴ=ミゼット再誕》を許さなくなるので更に勝ちやすくなります。《逃げ場なし》が手札で腐っても許せます。 《森の女人像》を実は殺せます。どうせ使い道などないのでぜひ《森の女人像》を出していただきたい。《勢い挫き》は手札破壊で使いたいですね。   VSミラーマッチ +3《神秘の論争》+3《未認可霊柩車》+2《悪夢の織り手、アショク》-2《食肉鉤虐殺事件》-2《不気味なガラクタ》-4《逃げ場なし》 重要なのはとにかく《空を放浪するもの、ヨーリオン》。着地できた方が膨大なアドバンテージを獲得してそのまま勝ちます。 《思考囲い》は打たずに必ず《空を放浪するもの、ヨーリオン》を拾われた時まで温存しましょう。2枚持っている場合は1枚を先に打っておくと、《空を放浪するもの、ヨーリオン》を回収してくれるので、そこで抜いていきます。 サイド後は除去を減らして打ち消しと《悪夢の詩神、アショク》、《未認可霊柩車》をサイドインします。《未認可霊柩車》は《嵐追いの才能》のレベル2を止める役割しかありませんが、それでも十分です。《勢い挫き》にやられてしまう点に注意してください。 《神秘の論争》は《空を放浪するもの、ヨーリオン》に温存したいところですが、《覆いを割く者、ナーセット》などにもバンバン打っていきましょう。通ったら結局《思考囲い》などを手札に加えられたりするので、打たない意味がありません。   終わりに ディミーアバウンスは非常に強いデッキで、クリーチャー主体の今のパイオニア環境にとても合ったデッキです! 今のリストには非常に満足していて、もし明日パイオニアのプロツアーがあったらこのまま持ち込みたいと思うほど。パイオニアの競技イベントがないのが悔やまれます。   興味を持った方はぜひ回してみてください。ちなみに僕はこのデッキをMTGアリーナのエクスプローラーで調整していたので、エクスプローラーで回すのもオススメですよ!   それではまた!

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2025.02.21

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いよいよ今夜から行われるプロツアー『霊気走破』。   『霊気走破』加入後のスタンダード、そにメタゲームブレイクダウンが公式から発表されました。   今回はそのデータをもとに、プロツアーでのメタゲームを分析していきます!   グルールアグロ(66名/18.9%) 最大勢力となったのは、前環境の王者にして歴代最強の赤アグロとの声も名高いグルールでした。 《心火の英雄》《熾火心の挑戦者》《多様な鼠》は早いクロック・継続的なリソースを稼ぎ出す、赤アグロの三種の神器。特に《心火の英雄》《熾火心の挑戦者》のタッグはパイオニアでも大活躍しています。 早いだけならこれまで同速度の赤アグロは存在しましたが、今のスタンダードのグルールアグロはなんといっても粘り強い。ただ除去を大量に入れるだけでは勝利することはできません。   《多様な鼠》は2ターン目に出しても良し、4ターン目に新生で唱えれば横にトークンが並ぶので、単体除去に耐性があります。 緑を入れる理由でもある《探索するドルイド》も、ライブラリーの上2枚を追放して使用しつつ、自身も馬鹿にならないクロック。2枚のスペルが出来事でめくれれば、1枚で3枚分の活躍を見せてくれます。 《岩面村》《不穏な尾根》というマナフラッド受けも存在し、逆に土地が3枚止まっても《心火の英雄》《多様な鼠》《巨怪の怒り》だけで勝ててしまいます。 最序盤からアクションを起こしつつ、中盤・終盤まで攻め続けられる。そしてマナフラッド・マナスクリューの両方に強い。   夢のようなデッキです。   そんなグルールですが、『霊気走破』加入後のスタンダードでは少しその姿を減らしていました。   『霊気走破』で加入した《不気味なガラクタ》《勢い挫き》によって、2番手だったエスパーピクシーのアグロ耐性が上がったことが、まずは挙げられるでしょう。 グルール対エスパーピクシーは、お互いが特に意識していなければ、五分程度の相性でした。『霊気走破』が入り、グルール側にはアップデートがなかったのに対し、エスパーピクシー側は置物除去を手に入れたことで、エスパーピクシーがグルールに強いリストになっていると考えられます。   しかし、グルールも黒いデッキに強い《脚当ての補充兵》を大量に採用することにより、単体除去耐性を向上させられます。今回グルールを持ち込んだプレイヤーはグルール同型、エスパーピクシー、そしてズアードメインの3つを仮想敵としているでしょうから、ミラーマッチとエスパーピクシーに強い《脚当ての補充兵》をメインボードに採用しているプレイヤーは多いはずです。 もしかしたら『霊気走破』で加入した、知られざる新戦力もあるかもしれませんね。   エスパーピクシー(58名/16.6%) グルールに次いで多かったのがエスパーピクシー。 《養育するピクシー》《孤立への恐怖》《この町は狭すぎる》の3種のバウンスを駆使し、アドバンテージを稼ぎながら相手のライフを速やかに0にするデッキです。 《この町は狭すぎる》《嵐追いの才能》ループを軸にしているデッキの中で最も攻撃的で、2ターン目にパワー3のクリーチャーで攻撃していく、《野生のナカティル》が活躍していたズーを想起させてくれます。 《望み無き悪夢》をバウンスして手札破壊とダメージを稼いだり、《逃げ場なし》を回収して除去を使い回したりと、アグロにも関わらず非常に器用なデッキです。 グルールアグロはリソース勝負はかなり得意なデッキですが、実は守りの面では少し心もとないデッキ。エスパーピクシーはその弱点を突き、グルール相手に短期決戦を挑んでいるのです。《逃げ場なし》などの除去で盤面をコントロールしていくのではなく、ダメージレースに使っているというわけです。 そんなエスパーピクシーに『霊気走破』から加わったのが《不気味なガラクタ》。1マナで-2/-2修正を与える《見栄え損ない》が置物になったことで、グルールへの耐性が上がりました。 これまでは後手で1マナで使える除去は《切り崩し》しかなく、《切り崩し》から入ると2ターン目に《孤立への恐怖》や《この町は狭すぎる》を構えられませんでした。 しかし、1マナの置物除去である《不気味なガラクタ》のおかげで世界は変わりました。1ターン目に除去しつつ、2ターン目に《孤立への恐怖》を立てつつ《不気味なガラクタ》を回収するムーブは、赤アグロにとっては溜まったものではありません。   『霊気走破』後のスタンダードでエスパーピクシーがグルールを圧倒しているのは、ひとえにこの《不気味なガラクタ》のおかげと言っても過言ではないでしょう。 エスパーピクシーが今回負け組になるとしたら、それはグルール側に攻略された時だと思います。グルールを選択したプレイヤーがエスパーピクシーにどんなプランを用意したのかがカギです。   エスパーピクシー側はグルールに対し、除去を増やしてダメージレースを優位に進めて勝利するのが基本戦略で、それはおそらく今回のプロツアーでも同様になると思われます。   一方のグルールは、《不気味なガラクタ》によってこれまでの戦い方ではより勝ちづらくなっています。それならゲームプランをそもそも変えるしかないのですが、単に除去を増やして長期戦を挑むのは、対エスパーピクシーでは得策と言えません。《この町は狭すぎる》《嵐追いの才能》《望み無き悪夢》などでエスパー側もロングゲームができるのです。 だからこそエスパーピクシーは攻略しにくいデッキと言われています。プロプレイヤーたちのグルールが果たしてどのような形でこの難敵を攻略するのか、楽しみですね。     ズアードメイン(53名/15.2%) グルール、エスパーピクシーとアグロデッキが続く中、3番手につけたのはコントロールデッキのズアードメイン。3番手とは言ったものの、エスパーピクシーと使用者はほとんど変わりません。 《永遠の策謀家、ズアー》によって兆候状態の大主たちを起こして攻めるデッキ、ズアードメイン。その名の通り基本はドメインなので、《力線の束縛》《太陽降下》で盤面を掌握しつつ、《豆の木をのぼれ》でリソースを稼いでいきます。 《豆の木をのぼれ》のトリガーとしても優秀なのが《ミストムーアの大主》《ホーントウッドの大主》。兆候で唱えてカードを引き、《永遠の策謀家、ズアー》で無理やり動かす、2つのインチキ要素がデッキに入っています。 『霊気走破』の影響を特別受けたわけではありませんが、グルールアグロとティムールカワウソを苦手とし、その他のデッキには五分以上あることから、近頃頭角を現してきました。   特にティムールカワウソがエスパーピクシーやディミーアバウンスになったことが大きく、これらのデッキに対しては比較的有利に立ち回れるため、事実上敵はグルールアグロ。グルールをしっかりと意識した構築さえできれば、環境のほとんどのデッキに対して有利に立ち回れるでしょう。   先ほど『霊気走破』の影響を受けなかったと言いましたが、それは少し誤りで、実は《全損事故》が加わっています。 タップ状態のパーマネントに対しては2マナになる、クリーチャー・機体を追放するインスタント。そう、本来5マナのカードが2マナになるので、《豆の木をのぼれ》でドローできるのです。しかも追放なので《心火の英雄》も後腐れなく除去することができ、対赤アグロへの耐性が上がりました。 従来のドメインと違い大主からの《永遠の策謀家、ズアー》によるビートダウンが可能なので、不利マッチを無理やり取る力もあり、デッキパワーはかなり高め。   リストの自由度がそれなりに高いことから、緑白青に黒をタッチ(ズアーのみ)したリストから、緑白黒に青(ズアーのみ)を採用するなど、様々なチューンが可能です。グルールアグロ・エスパーピクシーに強いリストに仕上げたプレイヤーが有利なフィールドですが、果たしてどのようなリストが持ち込まれたのか、早く見てみたいですね。   個人的には《フラッドピットの大主》を抜き、青を《永遠の策謀家、ズアー》だけにした緑白黒タッチ青の形がグルールアグロ・エスパーピクシーに強いと思っていますが、果たして。 ズアードメインまでの3デッキのみが使用者10%以上となっており、グルールアグロ・エスパーピクシー・ズアードメインが現スタンダードの三強と言って差し支えないでしょう。   ジェスカイ眼魔(21名/6%) 21名のプレイヤーが選択したデッキは……ジェスカイ眼魔!? 正直驚きました。   リストはまだ上がっていませんが、最近のトーナメントで勝っていたのは、《逸失への恐怖》で《忌まわしき眼魔》を墓地に落とし、《救いの手》《再稼働》で釣り上げるデッキでした。 《忌まわしき眼魔》を捨てる手段として《蒸気核の学者》を採用していることから、相性の良い《プロフトの映像記憶》も入れ、《忌まわしき眼魔》を吊り上げる以外の勝ち手段もしっかりと入っています。 《灯を追う者、チャンドラ》は『霊気走破』で加入した新たなディスカード手段。機体を作る能力は全体除去と墓地対策に強く、ルーター能力以外にも使い道があるのが魅力です。 ジェスカイ眼魔のようにサイドからキラーカードを入れられてしまうデッキにおいて、《灯を追う者、チャンドラ》のようなサイドカードは最も欲しいカードです。単に《安らかなる眠り》や《除霊用掃除機》を割れるだけのカードではなく、《灯を追う者、チャンドラ》のようにコンボに寄与(ルーター能力)しつつ、相手のサイドボードを無視する(墓地対策が刺さらない)カードが望ましいのです。 《安らかなる眠り》や《除霊用掃除機》は多くのデッキに採用されていそうですが、果たして墓地対策の海を泳ぎ切ることはできるのでしょうか。   霊気走破の影響 今回のプロツアーで使用されている『霊気走破』のカード一覧も公開されています。   1位《全損事故》(166枚) メインに161枚、サイドボードに5枚。これは大半がズアードメインだと思いますが、7人が使用しているアゾリウスコントロールにも採用されているかもしれませんね。   《全損事故》はズアードメインのマスターピースとなるのでしょうか。   2位《呪文貫き》(160枚) エスパーピクシーやジェスカイ眼魔、ディミーアミッドレンジなどに採用されているのでしょう。4枚採用されることはほとんどありませんが、メインとサイドに1枚ずつなど、リスト公開制トーナメントでは、少ない枚数を採用して相手にプレイさせにくくする戦術が取れます。   1マナであればグルール相手にも構えやすく、《探索するドルイド》、《亭主の才能》など打ち消したいカードもそれなりに多い。メインに入れてもそれなりに活躍の機会がありそうですね。   3位《ウェイストウッドの境界》(141枚) 対抗色の境界ランドが今回5種収録されましたが、その中で圧倒的な枚数となったのが緑黒。ゴルガリミッドレンジ・ゴルガリ《陰湿な根》は当然として、他にはどのようなデッキに入っているのでしょうか。   2つのゴルガリは合わせて12人。4枚ずつ使ったとして48枚なので、100枚近くが浮いていることになります。ドメインが53人いることを考えると、ここに組み込まれている可能性が高いですね。   ゴルガリミッドレンジはグルール・エスパーピクシーに強く、ズアードメインに弱いデッキ。今回のメタゲームでは優れた選択で、もしズアードメインに対して強いリストになっていれば、トップ8が見えてくるデッキですね。   ゴルガリ《陰湿な根》を持ち込んだ4名はチームデッキでしょうか?今回《脱皮の世話人》で強化されたデッキであり、注目のアーキタイプです。   4・5位《不気味なガラクタ》(130枚)/《勢い挫き》(107枚) 戦場に出た時に除去を行うコンビが4位・5位となりました。トータル枚数は《不気味なガラクタ》の方が多いものの、メインに入っている枚数は《勢い挫き》の方が圧倒的に多いのが面白いところ。   メインから入れる除去としては《勢い挫き》の方が強力なのは言うまでもありません。倒すクリーチャーのサイズに制限はなく、除去できなかったとしても手札破壊が可能ですからね。   ただ、サイドから除去を追加したい時には《勢い挫き》は心もとない。入れたい相手はアグロであり、それならば1ターン目から除去できる《不気味なガラクタ》に軍配が上がります。   ほぼすべてのエスパーピクシー・ディミーアバウンスにこれらのカードは採用されているでしょう。今回トップメタであるグルールがしっかり意識されているのがわかりますね。   6位《輝晶の機械巨人》(58枚) 『霊気走破』の目玉でもある機械巨人サイクルから、緑白の《輝晶の機械巨人》がトップ10入り。   戦場に出た時に1マナ以下のクリーチャー・アーティファクト・エンチャントを2枚サーチするカードで、今回8名が選択しているセレズニア檻、バント檻、そしてバントギアハルクで採用されているのでしょう。   セレズニア・バントの檻デッキは、《収集家の檻》を活用したトークンデッキのことでしょう。クリーチャーにカウンターを置く置物でありながら、秘匿能力を持ち、カードを1枚タダで唱えることができます。 バントの方は《マネドリ》を採用しているのでしょうか。《輝晶の機械巨人》で《マネドリ》をサーチし、《輝晶の機械巨人》をコピーする動きは強烈。 圧倒的な展開量とサイズでクリーチャーデッキ全般に強く、グルールアグロ・エスパーピクシーには優位に立ち回れそうですが、ズアードメインに対しては厳しいデッキです。   とはいえ、それはこれまでの常識。プロツアーで持ち込まれたリスト次第ではズアードメインを圧倒してしまうかもしれません。そうなれば三強すべてに強いということになりますね。   7位《食糧補充》(45枚) レガシーでも話題になっている3マナのドロースペルが7位にランクイン。41枚がメインで使用されています。   3マナのドローと言えば2ドローが普通でしたが、《食糧補充》は5枚見て好きな2枚を選べる破格の性能。コンボデッキはもちろん、コントロールでも採用されそうです。 今回の上位デッキたちのどれにも入っていなそうですが、アゾリウス全知とアゾリウスコントロールあたりでは入るかもしれませんね。アゾリウスコントロールは《全損事故》と《食糧補充》と、『霊気走破』で地味に強化されたアーキタイプですね。 《放浪皇》があった頃のスタンダードではアゾリウスコントロールは環境最強のデッキで意識される側でしたが、今回はメタ外。そういう時に怖いデッキなので、アゾリウスコントロールには少しばかり期待してしまいますね。 終わりに  というわけで今回はプロツアー・シカゴのメタゲームブレイクダウンを元に、スタンダード環境をお届けしました!   ちなみに僕の優勝予想はズアードメインです! プロツアー・シカゴは日本語公式配信もあります。最高峰のプレイヤーたちの戦いを目に焼き付けましょう!日本時間の今日深夜2時からです!(配信ページはこちら)   それではまた!

【今週のピックアップデッキ】オルゾフサクリファイス/ボロスイクイップメント/アスモニュメント

週刊 Modern Pioneer Standard ピックアップ

2025.02.14

mtg Yuyan

こんにちは。 細川 侑也(@yuyan_mtg)です。 今週のピックアップデッキでは、ちょっと珍しいデッキを、軽い解説を交えて紹介していきます。         紹介デッキ オルゾフサクリファイス ボロスイクイップメント アスモニュメント オルゾフサクリファイス スタンダードチャレンジ : 6位 By Folero カードを生け贄にして様々な恩恵を得るデッキ、サクリファイス。   《大釜の使い魔》《魔女のかまど》《波乱の悪魔》によって大量のダメージを与えて勝利するラクドスサクリファイスは今もパイオニアで現役のデッキで、スタンダード時代もこのサクリファイスエンジンは大暴れしていました。 そんなサクリファイスデッキが、今回はオルゾフカラーで登場しました。   まずこのデッキはサクリファイスによって何を起こすのか。それは大量に入っているクリーチャー陣をじっくりと見ればわかります。   《復讐に燃えた血術師》《残忍な巡礼者、コー追われのエラス》は共に自分のコントロールするクリーチャーが死亡した時に相手のライフを失わせるカード。つまり、このデッキはサクリファイスにより相手のライフを削っていくデッキなのです。 サクリファイス手段として採用されているのは《バルトロメ・デル・プレシディオ》。最近あまりいない、起動にマナがかからないサクり台で、能力も自身に+1/+1カウンターを置くという優秀なもの。サクリファイスデッキには、このマナのいらないサクり手段は必須です。 そして肝心なのは生け贄に捧げるものたちです。ただカードを生け贄に捧げてもどんどん損をしていってしまうので、供物には工夫が必要です。   《永劫の無垢》は生け贄にするカードとして最上級。死亡するとエンチャントとして戻ってくるだけでなく、クリーチャーを自分がプレイすればカードを引けるので、後続を供給し続けてくれます。 《寄生の賢者》と《入れ子ボット》は共に死亡時に1/1のクリーチャーを戦場に残していくクリーチャーたち。前述の《永劫の無垢》とも相性が良いですね。自分のターンに《入れ子ボット》を出してカードを引き、相手のターンで生け贄にしてトークンを出せばまたカードを引けます。 環境には赤アグロをはじめ、1ターン目からクリーチャーを展開してくるデッキも多々あるため、《かじりつく害獣》は重宝します。ブロックして死亡時に-1/-1すればタフネス2までのクリーチャーを倒せますし、《バルトロメ・デル・プレシディオ》で生け贄にして能動的にクリーチャーにマイナス修正を与えることも可能です。 《うなる大殺犬》は生け贄に捧げた時のボーナスを持っていませんが、パワー2以下のクリーチャーが戦場に出た時に諜報を行い、クリーチャーを墓地に送り込んだり、引き込みたいカードにアクセスしやすくしてくれます。 墓地にクリーチャーを送る手段として《ベイルマークの大主》も用意されています。こちらは切削と同時に回収も行えるカードですね。 なぜ墓地にカードを送りたいのか?その答えはスペル欄にあります。このデッキに入っている唯一のクリーチャー以外の呪文が《過去立たせ》です。 墓地のパワー2以下のクリーチャー・カードをすべて戦場に戻すので、《ベイルマークの大主》以外のクリーチャーがすべて戦場に戻ってきます。そしてそれらのクリーチャーを生け贄にして、相手のライフを失わせて勝利と、コンボチックな動きができるのです!   更に『霊気走破』からの新人にも注目です。その名は《去りし栄光、ザフール》。 他のクリーチャーを生け贄に捧げることで諜報1が行え、最高速度を持っていると、トークンでないクリーチャーが死亡するたびに2/2のゾンビを生成してくれます。つまり《寄生の賢者》が死亡すると1/1と2/2が出てくるわけですね。そこに《過去立たせ》が絡めば1ターンで20点のライフを奪うことも容易です。 ここで問題となるのが、最高速度に到達できるのかという点ですが、それも解決しています。速度を上げるにはクリーチャーで攻撃するしかないわけではありません。相手のライフを失わせれば速度が上がります。つまり、《復讐に燃えた血術師》などの能力でも構わないのです。 かつてスタンダードで活躍していたラリーコンボを思わせる動きのできるオルゾフサクリファイス、好きな方にはたまらないデッキではないでしょうか?   ボロスイクイップメント パイオニアリーグ : 5-0 By  CrusherBotBG 装備品を主軸に据えたデッキと言えば、モダンのハンマータイムがまず頭に思い浮かぶ方も多いのではないでしょうか? 今回はパイオニアで装備品主体のデッキが生まれました!   まずこのデッキには装備品が合計18枚!恐ろしい数採用されています。いまだかつてここまで装備品を採用したデッキを見たことがありません。   初手にあると戦場に出した状態からゲームを始められる《力線の斧》、モダンでもよく見る《影槍》。この辺りは構築フォーマットでもよく使われるので、お馴染みでしょう。 モダンで《ウルザの物語》からのサーチ用として採用されることもある《溶岩拍車のブーツ》は、パワー修正の他に速攻と護法も付与できる便利な装備品。キャストと装備コストがどちらも軽いので使いやすいですね。 《スランの魔力鎧》は正直僕も初めて見たレベルのカードです。装備先のクリーチャーについているオーラや装備品の数だけ+1/+1修正を与える装備品なので、1体につければつけるほどサイズが上がっていく、面白い性能です。こちらも護法がつきます。 装備品でありながら3点除去になるのが《チェーンソー》。クリーチャーが死亡するたびにカウンターが乗っていき、そのカウンター分がパワーに乗るので、どんどんうなりを上げて成長していってくれます。たくさん装備品を採用したいデッキなので、除去を兼ねてくれるのは非常に嬉しいですね。 そして《刃砦の戦鞭》はクリーチャーについた状態で出てくる装備品。実質3マナのクリーチャーですね。装備先が二段攻撃を持つ他、これ以外の装備コストを1つ下げてくれます。《溶岩拍車のブーツ》が0マナになり、《スランの魔力鎧》も1マナと、この辺りの装備品は非常に使いやすくなりますね。 そんな装備品たちをサーチするのが《フェイの血筋のケラン》。装備品をサーチするのが主な役割ですが、装備先としても優秀です。自身が二段攻撃を持つだけでなく、ついた装備品の数だけ他のクリーチャーのサイズも上げてくれるので、みんなで強くなれます。 装備品はアーティファクトなので、実は相性が良いのが《継ぎ接ぎ自動機械》。装備品を唱えるだけで成長してくれて、護法2を持っているのでなかなか除去されません。装備先が除去されてしまうのがこの手のデッキの一番の負け筋ですからね。《スランの魔力鎧》や《溶岩拍車のブーツ》で護法が重なれば実質呪禁です。 そろそろこのデッキの主役をご紹介しましょうか。それはもちろん《熱烈な勇者》!赤単で活躍したカードですが、実は《熱烈な勇者》に装備品をつける際、そのコストが3下がるのです。 《力線の斧》も《スランの魔力鎧》も《影槍》も《チェーンソー》も全部つけ放題なのです!まさにこのデッキのためのカード!というか《熱烈な勇者》がいなかったらこのデッキを組もうと思わなかったかもしれませんね。   1体のクリーチャーに装備品をつけまくる!そんなロマン溢れる戦いができるのがこのボロスイクイップメントの魅力。一撃必殺を決めてみませんか?   アスモニュメント モダンリーグ : 5-0 By DB_InspiringTimmy カードを捨てるたびに様々な効果をもたらす《忍耐の記念碑》。カードを引いたり宝物を出したり3点ルーズさせたりとどの能力も強く、発売前から期待されているカードです。 この手のカードを使う上で重要なのは、《忍耐の記念碑》を出したターンの隙をどう埋めるかです。3マナで何も盤面に影響を与えないカードを出してターンをパスするのは、スタンダードすら危険な行為です。   それは、3ターンキルが横行するモダンにおいてはタブーと言って良いでしょう。だからこそ、このカードの使い方は非常に難しい。   今回ご紹介するデッキは、そんな《忍耐の記念碑》を実にうまく使ったデッキです。   《アスモラノマルディカダイスティナカルダカール》をご存じでしょうか?カードを捨てたターンにのみ唱えることができ、戦場に出た時に《地獄料理書》をサーチしてきます。 その《地獄料理書》は、手札を捨てることで食物を生成します。この食物を2つ生け贄に捧げると、《アスモラノマルディカダイスティナカルダカール》がクリーチャーを除去してくれるようになります。 《地獄料理書》はタップするだけでカードを捨てられるので、《忍耐の記念碑》と相性が良いですね。   この《地獄料理書》とセットで採用されるのが《楕円競走の無謀者》。アーティファクトが戦場に出るたびに墓地から手札に戻ってくるこのカードは、《地獄料理書》のコストで手札から捨てると、食物生成にトリガーして手札に帰ってきてくれるので、無から料理を作れるのです。 ここに《忍耐の記念碑》が加わると、手札から《楕円競走の無謀者》を捨てて食物を作りながら1ドローしたりと、凄まじいアドバンテージを生み出します。   《信仰無き物あさり》は2枚のカードを捨てられるので《忍耐の記念碑》を2回誘発させてくれたり、《太陽の執事長、インティ》も手札を捨てながらリソースを稼げるので、マナが不自由な時は《忍耐の記念碑》で宝物を作って《太陽の執事長、インティ》で追放したカードをプレイ、なんてことも。 更に『霊気走破』で登場した《略奪するアオザメ》も、手札を大量に捨てるこのデッキにはぴったり。1ターン目に出して2ターン目には3/3以上となり、あっという間に手をつけられないサイズに成長します。 これまで《地獄料理書》《楕円競走の無謀者》のコンボは、《アスモラノマルディカダイスティナカルダカール》が生き残って食物を投げ続けたり、《太陽の執事長、インティ》を複数回誘発させたり、《ウルザの物語》のトークンのサイズを上げたりなど、活躍の機会自体はあったものの、物足りなさがあったのは否めませんでした。 そこに新たに加わった《忍耐の記念碑》と《略奪するアオザメ》は、どちらも単体でゲームプランとして成立するレベルに強力で、間違いなくこのデッキは『霊気走破』で大幅にアップデートされました。 従来のアスモデッキに比べてかなりデッキが速く、粘り強くなりました。《忍耐の記念碑》を使ってみたいならまずこのデッキです!

『霊気走破』後のスタンダードに迫る!ジャパンスタンダードカップから注目デッキを紹介

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2025.02.13

mtg Yuyan

こんにちは。 細川 侑也(@yuyan_mtg)です。 『霊気走破』のプレリリースから僅か2日後に行われたジャパンスタンダードカップ:『霊気走破』! スタンダードの大型トーナメントで『霊気走破』のカードは活躍したのでしょうか? 今回は注目デッキをピックアップしてご紹介していきます!       紹介デッキ アゾリウス眼魔 グルール昂揚 ディミーアミッドレンジ アゾリウス眼魔 ジャパンスタンダードカップ : 優勝 By MatsumotoTatsunori 『霊気走破』環境一発目を制したのはアゾリウス眼魔! スタンダードではすっかりお馴染みのデッキが、新環境を見事に制覇。その名の通り、様々なフォーマットで使われている《忌まわしき眼魔》を主軸に据えたアゾリウスカラーのアグロデッキです。   手札から唱える際に6枚の墓地を要求する《忌まわしき眼魔》。それなら墓地から吊り上げてしまえばいいじゃないというわけで、《救いの手》《再稼働》の6枚のリアニメイトスペルで《忌まわしき眼魔》を吊り上げます。 1ターン目に《行き届いた書庫》などの諜報ランドを置いて《忌まわしき眼魔》を落として2ターン目に《救いの手》で釣り上げてしまうモダン級の動きも可能です。墓地に《忌まわしき眼魔》をとにかく落としたいデッキなので、《行き届いた書庫》に加えて《地底街の下水道》まで採用されています。黒いカードはデッキに入っていないので、本当に目的だけです。 《忌まわしき眼魔》を墓地に落とす手段はいろいろとあります。《航路の作成》《決定的瞬間》《錠前破りのいたずら屋》で、手札を減らすことなく《忌まわしき眼魔》を落としながら《救いの手》にアクセスします。 《第三の道の創設》は切削で《忌まわしき眼魔》を墓地に落としつつ、最終章で墓地の《救いの手》を使えるので、1枚で切削とリアニメイトの両方を行えます。第一章から入って上記のスペルたちを使用したり、切削から入ることもできるなど、とにかく場面によって色々な動きが取れる器用なカードです。 《救いの手》《再稼働》の対象が《忌まわしき眼魔》だけでは、肝心のキーカードが墓地に落ちなかった時に手札で腐ってしまいます。そこで採用されているのが《傲慢なジン》です。 《航路の作成》《決定的瞬間》《錠前破りのいたずら屋》といったカードたちが1マナになるので連打できるようになりますし、そもそも墓地を肥やしていくデッキなので、《傲慢なジン》自体のサイズも馬鹿になりません。《忌まわしき眼魔》の代わりにフィニッシャーを務めることもしばしばあります。 『霊気走破』からの加入は2種類。その内の《跳ね弾き》は、これまでのリストに入っていた《送還》が抜けてそのスロットに採用されています。機体が『霊気走破』で大量に収録されたので、機体を戻す場面もあるでしょう。完全上位互換なので《跳ね弾き》にしない理由がありません。 そしてもう1枚は《呪文貫き》。こちらは再録カードですが、アゾリウス眼魔にとにかく合っています。2ターン目に《忌まわしき眼魔》を《救いの手》で釣る際はもちろん、デッキが軽いのでゲーム中盤で1マナを立ててターンを返すことが多いデッキなので、1マナの妨害である《呪文貫き》はこのデッキが望んでいた打ち消し呪文。《送還》と合わせてクリーチャーとクリーチャー以外のどちらにも対処できるようになりました。 アゾリウス眼魔を意識するなら、赤いデッキは《石術の連射》を採用することになるでしょう。回った時の眼魔はグルールすら凌ぐ速度で盤面を作りながらライフを削ってきます。 新環境、墓地対策や《忌まわしき眼魔》対策はぬかりなく!   グルール昂揚 ジャパンスタンダードカップ : 2位 By  DAISUKE IWABUCHI 4種のカードタイプを墓地に揃えることで達成する昂揚。厳しい条件ゆえに昂揚を達成した時のご褒美は大きく、それを目指すデッキがこのグルール昂揚。 1マナ3/3の《継ぎ接ぎのけだもの》、そしてクリーチャーに2回攻撃を付与する《逸失への恐怖》と強力な昂揚クリーチャーたちが入っており、前環境からもトーナメントで活躍していました。 そんなグルール昂揚が今セットで素晴らしい進化を遂げました!   これまでは墓地にカードを落とす行為が昂揚のためだけでしたが、『霊気走破』で加入したとある1枚が、切削やディスカードに新たなバリューをもたらしました。   《アフターバーナーの専門家》です。 消尽能力を起動するたびに墓地から戻ってくる3マナ4/2。巷では《復讐蔦》と呼ばれているこのカードですが、墓地から帰ってくる条件はむしろ《復讐蔦》より軽いかもしれません。 《復讐蔦》はクリーチャーを2回唱えて墓地から戦場に蘇るカードなので、すぐに手札が枯渇していました。リソースを取れないビートダウンではそう何度も返すのは難しい。   一方、《アフターバーナーの専門家》は消尽能力。手札に消尽を持つクリーチャーを1枚温存していれば良いだけですし、自身が消尽を持っているため、複数体の《アフターバーナーの専門家》が帰ってきた時には、片方が除去されてももう一方が《アフターバーナーの専門家》を墓地から呼び戻すことができます。 肝心の消尽能力を持つクリーチャー、《竜航技師》も単体で非常に強力な1枚。2つの消尽能力を持っているので、これ1枚で《アフターバーナーの専門家》を2回蘇らせられます。 更に1つ目の能力は自身に+1/+1カウンターを置きながら、他のクリーチャーに速攻を付与させるので、《アフターバーナーの専門家》が墓地から帰ってきてそのまま殴れます!まさに《復讐蔦》! その《アフターバーナーの専門家》が相打ちで墓地に落ち、次のターンにもう1つの消尽でドラゴンを生み出しつつ、《アフターバーナーの専門家》を再び戻す。ここまで《竜航技師》は1枚で行えてしまうのです。   切削カードも強力な1枚が『霊気走破』で加入しました。《浚渫機の洞察》です。 《蓄え放題》が好きなパーマネントを拾える一方、こちらはアーティファクト・クリーチャー・土地のみ。しかしこのデッキで拾うのはクリーチャーか土地なので、回収範囲に問題はありません。 《浚渫機の洞察》はエンチャントなので、インスタントに比べて墓地に落ちた時に昂揚しやすい点がまず強く、更に回収や《アフターバーナーの専門家》が墓地から戻った際にライフを得られるのも強力。今のスタンダードは苛烈なダメージレースが多く、ライフゲイン手段は貴重です。他の『霊気走破』組と比べて少し地味に見えますが、しっかりとデッキの強化に寄与しています。   《竜航技師》《アフターバーナーの専門家》が加わったことにより、グルール昂揚は粘り強いタフな攻めが可能な骨太ビートダウンに仕上がりました。 切削次第で時に凄まじい回りを見せてくれるので、とても楽しいデッキです。『霊気走破』のカードを使いたいならこのデッキでしょう!   ディミーアミッドレンジ ジャパンスタンダードカップ : 7位 By Hiroaki Itou 良質な青と黒のクリーチャーで攻めつつ、盤面を除去していく、スタンダードライクなミッドレンジです。 スタンダードではすっかり見慣れたデッキですが……『霊気走破』から新加入した神話レアが目に入ります!そう、《油浸の機械巨人》です。 青黒の機械巨人は戦場に出た時にプレイヤーの手札からカードを捨てさせ、そのプレイヤーがドローするというもの。《ヴェンディリオン三人衆》に似た能力とでも言いましょうか。 手札で最も危険なカードを落としてランダムな1枚に変える能力なので、決して弱いわけではありませんが、青と黒のダブルシンボルを持つのであれば、もう少し派手な能力にしてほしかった。個人的にはそんな思いを抱いていたのですが、間違っていたのかもしれません。   特徴的なのは、《油浸の機械巨人》の手札破壊能力を活かすべく、《大洞窟のコウモリ》を採用している点。 最近では赤いデッキの隆盛、それに伴ってほとんどのデッキが1マナ除去を採用していることから、ただ手札を見るだけで終わるカードになってしまうという理由で採用が見送られていた《大洞窟のコウモリ》。その割に《大洞窟のコウモリ》が生き残った時のバリューも決して高くはありません。   しかし、《油浸の機械巨人》によって手札破壊を8枚体制にできるのなら話は別。 《大洞窟のコウモリ》で最初の脅威を抜き、《油浸の機械巨人》で更に手札破壊を重ねていく、新しい攻めパターンが生まれました。   《油浸の機械巨人》自体は4/4絆魂と非常に優秀な能力で、しかも護法もあり、何よりアーティファクトクリーチャーなのでとても除去するのが大変です。《この町は狭すぎる》を活用したエスパーピクシーやディミーアバウンスは《逃げ場なし》と《この町は狭すぎる》に盤面除去を一任しており、そのどちらにも強いのが《油浸の機械巨人》なのです。 《油浸の機械巨人》をコピーする《マネドリ》を4枚採用しているのも非常に面白く、とにかくこのディミーアミッドレンジは《油浸の機械巨人》に寄せた構築で、それが見事に理にかなっています。 考えてみれば、《油浸の機械巨人》は現環境の多くのデッキに対して強いカードです。   赤アグロには安全確認をしながら4/4絆魂を着地させることができ、《この町は狭すぎる》デッキに対しては対処が難しいカード。《喉首狙い》が当たらないので黒系ミッドレンジ全般にも攻守で頼もしい存在です。 事前評価が決して高いとは言えなかった《油浸の機械巨人》の強さに気付く見事な隻眼とデッキ構築です!

ゆうやんの選ぶ『霊気走破』各色トップ3!

ピックアップ

2025.02.07

mtg Yuyan

こんにちは! ゆうやん(@yuyan_mtg)です。 最新セット『霊気走破』がいよいよ2月14日に発売! 今回も注目カードを各色ランキング形式でお届けします! 目次 白 青 黒 赤 緑 マルチカラー 無色 土地     白 3位:《危険な罠》 "エンジン始動!"持ちの《忘却の輪》。最高速度の際のボーナスはタップすることでクリーチャーを強化できるという些細なもの。   "エンジン始動!"については、未達成時のカードの強さと、軽さが重要だと考えています。   "エンジン始動"のカードをざっと見ると、未達成時でもそれなりの強さのカードが多いですね。元々プレイアブルなカードに"エンジン始動"をつけたような印象を受けます。   軽さもかなり重要です。1ターン目に"エンジン始動"で速度を持てば、2ターン目からの攻撃によって、4ターン目には最高速度に到達できます。最高速度になれば、デッキ内に入っている"エンジン始動"カードたちのバリューは跳ね上がるので、最高速度に達するのは非常に大きく、早くそこに行き着くために、"エンジン始動"カードは早ければ早いほどいいのです。   さて、その観点でいくと《危険な罠》はなかなか強いカード。最高速度未達成時でも、《忘却の輪》なので十分構築級の性能。戦場に出た時にブロッカーをどけながら速度を持ち、攻撃が通ってエンド前に速度は2になり、5ターン目には最高速度に到達できることになる。   そして最高速度時のボーナスも、マナを使わずにクリーチャーを強化できるといぶし銀の能力。重ね引いた場合の恩恵も大きく、除去枠としてこのカードに4枚割くのも悪くないように見えます。   2位:《入れ子ボット》 つ、つよ~い!!   《危険な罠》で話したように"エンジン始動"はその軽さが重要。1マナ1/1のエンジン始動は、まさしく最高速度への特急券。   最高速度時のボーナスは+1/+0と些細なものの、死亡時に霊気装置を生成し、自身がアーティファクト・クリーチャーというのは、ボロス召集が最も求めていたカード。これまでは《上機嫌の解体》の対象にするアーティファクトに困り、《遠眼鏡のセイレーン》を採用していたのだが、《入れ子ロボット》のおかげでボロスで組めるようになっりました。   境界ランドも今回登場したし、いよいよボロス召集が本気を出す時が来たのかも。   1位:《武勇の旗艦》 飛行・先制攻撃・絆魂の7/7機体!   《パルヘリオンⅡ》の亜種かと思いきや、他に特に能力はなく、《大牙勢団の総長、脂牙》で釣り上げる価値はありません。   その代わり、このカードにはサイクリングがついています。サイクリングした時にXを支払い、その数だけ操縦士を生成……   この能力、どこかで見覚えがありませんか?そう、《正義の命令》です!! 『スカージ』で登場し、白系コントロールを支えた1枚。当時お金がなくて白コントロールを組めなかった僕にとっては憧れのカードでした。   そんな《正義の命令》がスタンダードに帰ってきた!歓喜せざるを得ません。   とはいえ、当時よりカードパワーが跳ね上がっているスタンダードでは、《武勇の旗艦》が活躍できるかはわかりません。それでも白系コントロールに入りうるカードだとは思います。   《世話人の才能》の最終レベルでトークンたちを強化し、エンド前に《武勇の旗艦》をサイクリングして一撃必殺!なんてこともできるかもしれません。   インスタントタイミングでカードを引きつつ、トークンを生成する。その強さは《サメ台風》で皆さんも体験しているでしょう。   《サメ台風》と違ってサイズは1/1ですが、複数体をばらまけるので、決して下位互換というわけではありません。《武勇の旗艦》には新たなコントロールのフィニッシャーになってほしいですね。   そんな期待を込めて1位です!     青 3位《食糧補充》 5枚見て好きな2枚を加える……いや普通に強くないですか?   かつてイゼットフェニックスには《パズルの欠片》が入っていましたが、あちらはインスタント・ソーサリーのみに対し、《食糧補充》は好きなカードが手に入ります。カードが墓地に落ちればアゾリウス全知に入ったでしょうね。   とはいえ、墓地シナジーが特にないデッキでは《パズルの欠片》の上位互換です。5枚見て2枚加える能力は、3マナ3ドローより強いカードだと思っています。   《予言》、どこまで強くなるんだ…!   2位《牽制機》 ちょっと弱くなった《心悪しき隠遁者》。こちらは2/1飛行なので序盤から殴れる点は優秀ですが、打ち消せる範囲が狭くなっています。 その上、降霊もついていないので、どうしても見劣りしてしまいます。まあレアリティの違いということで納得しましょう。   ただし、《心悪しき隠遁者》と《牽制機》で大きく異なる点があります。それは今のスタンダードには《アガサの魂の大釜》があることです。   《アガサの魂の大釜》でこのクリーチャーを追放すると、自軍生物が全部《牽制機》になるので、かなり相手の動きを制限できます。   今回は《開拓者、おたから》もあり、《アガサの魂の大釜》にくべるクリーチャーがたくさん出た印象があります。 ぜひ一緒に使いたいですね。   1位《思考の泉のマーフォーク》 その名の通り、《思考の泉》を内蔵したマーフォークです。(ちなみに今スタンダードで《思考の泉》が使えるって知ってました?僕は今初めて知りました) カードをX枚引く能力は単純に強く、1ターン目から出せるマーフォークが持っている能力としては破格です。後半引いて腐らない1マナクリーチャーは素晴らしい。   しかもカードを引けるだけでなく、マーフォーク全部に+1/+1カウンターを置くことができるのも強力。3マナで1枚引いてマーフォーク全体強化でも十分です。Xが0でもカウンターは置けるので、実は攻撃的な性能のマーフォークです。   更にこれは起動型能力なので、《アガサの魂の大釜》で他のクリーチャーに能力を付与させることができます。しかもマーフォークにカウンターが乗れば全員が《アガサの魂の大釜》の恩恵を受けられるので、相性抜群。   スタンダードでもマーフォークが組めるようになったのではないでしょうか?今すぐマーフォークで検索しましょう!   黒 3位《勢い挫き》 戦場に出た時にクリーチャーか機体を生け贄に捧げさせるエンチャント。生け贄にできない場合は手札を捨てさせることができるので、似た能力を持つ《税血の刃》より便利。   更に自身を生け贄にすることで速度分のライフを得られるので、最低でも1点のライフを獲得できます。   スタンダードで活躍しているエスパーピクシーで使えば最高速度到達も現実的。赤アグロとのライフレースにおいてライフゲインは重要ですし、最初は盤面のクリーチャーを生け贄に捧げさせつつ、手札も攻められるので、非常にデッキに合っています。かなりの強化になるのではないでしょうか。   少し話はそれますが、エスパーピクシーは《地底の大河》などダメージランドを大量に採用しているデッキです。相手のターンに土地からダメージを受けると相手の速度は上がってしまうので気を付けましょう。 パイオニアでも《空を放浪するもの、ヨーリオン》型のディミーアバウンスに組み込まれると思われるので、かなりの頻度でこれから目にすることになりそうです。 2位《恐血鬼》 おかえり!!!   実に16年ぶりにスタンダードセットで再録されました。僕が初めてプロツアー予選を突破した時の相棒なので、とても《恐血鬼》には思い入れがあります。   土地を置くことで墓地から戻ってきて、相手のライフが10以下だと速攻を持つ。攻撃的なデッキで使いたい性能ですが、特にクリーチャーを生け贄にすることで恩恵を得られるサクリファイス系デッキで真価を発揮します。   それは墓地から蘇る条件がとにかく軽いからです。墓地から戦場に戻る際にマナを要求するカードが多い中、《恐血鬼》はただセットランドするだけで墓地から戻ってこれるので、気軽に生け贄にすることができます。   個人的には《陰湿な根》と一緒に使いたいところ。生け贄にしてカードを引きつつ、セットランドで戻したいですね。   今回登場した《ガス喰らい》との相性もなかなかのもの。   1位《沼地の晩餐会》 カードを切削しつつ、クリーチャー・プレインズウォーカー・機体を除去できる便利なソーサリー。2枚切削できるのでマナ総量が2以下のカードであれば特に下準備せずに除去できます。   こちらも《陰湿な根》で使いたい1枚。墓地を肥やす能力は嬉しいですからね。ただの除去にメリットがつくのはそれだけで素晴らしい。しかもほぼ万能除去です。   プレインズウォーカーを除去できるのは今のスタンダードでは重要です。《悪夢滅ぼし、魁渡》がかなり使われていますからね。   パイオニアの《陰湿な根》デッキにも入れてみたい1枚。   赤 3位《グリスレンチのゴブリン》 《ジャッカルの仔》……お前どこまで強くなるんだ?   昔の下環境の赤単ではエースだった《ジャッカルの仔》。今ではその上位互換がバンバンアンコモンで収録されていますが、《グリスレンチのゴブリン》には驚かされました。 序盤は2/1、中盤に手札を入れ替えながら自身を強化と申し分ない能力に加え、更にシナジー豊富なゴブリン!   1ターン目から展開できるゴブリンが登場したことで、いよいよゴブリンデッキがスタンダードでも現実味を帯びてきたかもしれません。   2位《略奪するアオザメ》 《繁栄の狐》はかつてスタンダードで大活躍したクリーチャーでしたが、《略奪するアオザメ》はそれに近い性能……というかサイクリングコストが重いことを除けば上位互換です。 サイクリングに限らず、カードを捨てればなんでも誘発するので、モダンで《信仰無き物あさり》を打てば2つのカウンターが乗ります。   モダンのホロウワンでは《炎刃の達人》が採用されていますが、あちらがターン終了時までの強化なのに対し、こちらはカウンター。恐ろしいです。威迫を持っていたり、タフネスが2あるので必ずしも上位互換とは言い切れませんが、《略奪するアオザメ》の方が基本は強力でしょう。《通りの悪霊》をサイクリングするだけでもう1マナ2/2です。   《炎刃の達人》《略奪するアオザメ》で8枚体制となったホロウワンをモダンで回してみたいですね。もちろんスタンダードでも活躍する可能性は十分にあるでしょう。   1位《咆吼部隊の重量級》 先に紹介した《グリスレンチのゴブリン》はゴブリンの期待の1マナ域ですが、この《咆吼部隊の重量級》はデッキの中核を担います。   自身以外のゴブリンに速攻を付与し、戦闘開始時にトークンを生成。更に最高速度に達していると、タップでゴブリンの数だけ赤マナを生み出すことができます。   今のスタンダードには実は《群衆の親分、クレンコ》がいるので、《咆吼部隊の重量級》と《群衆の親分、クレンコ》で大量にトークンを生成し、最大速度でマナを出して更に展開。しかも《群衆の親分、クレンコ》は《咆吼部隊の重量級》で速攻を持つ。こう書いているとゴブリンがかなり強く思えてきました。 下環境のゴブリンでも使われる可能性があるほどの強さだと思います。最高速度を活かすために、1ターン目から"エンジン始動"できるゴブリンを入れたいところですね。   緑 3位《浚渫機の洞察》 最近よくある切削したカードを手札に加えるシリーズ。《浚渫機の洞察》は《蓄え放題》などと違ってエンチャントなので場に残ります。   更にアーティファクトやクリーチャーが墓地を離れるとライフを得られるので、とりあえず《浚渫機の洞察》で土地以外を拾った場合は1点ゲインできます。   2枚目を引いて拾えれば2点ゲインになるので、赤いデッキ相手には馬鹿にならない回復量ですね。   《浚渫機の洞察》で《浚渫機の洞察》を拾えないのは残念ですが、アーティファクトとクリーチャーが主体のデッキならば選択肢にあがりそうです。   エンチャントなので昂揚を達成したいデッキでもチャンスがあるかもしれません。《蓄え放題》と違って自身が墓地に落ちないのは少し残念ですが、カードタイプを散らすことで昂揚しやすくなります。   2位《威厳ある放漫トカゲ》 3マナ域のクリーチャーはどんどん強くなっていきますね。ダブルシンボルの3マナ5/4で恐竜ロード??さすがに強すぎてびっくりしました。   伝説ではないので連打すれば4ターン目に6/5が並びますし、恐竜デッキもだんだん強くなってきましたね。   《好戦的な一年仔》から《威厳ある放漫》で6点パンチとかやってみたくないですか?   1位《轟音の速百足》 マナ総量3以下のクリーチャー・機体は+1/+1カウンターが1個乗り、4以上なら3個乗る、3マナ5/5トランプルの機体です。   何を言っているのかわかりませんが、そう書いてあります。   戦場に出したターンこそ何もしないものの、後続がすべて強化されますし、4以上のクリーチャーならば一気にサイズが3つアップします。   マナ総量が4以上なので、《トレイリアの恐怖》のように、コストが軽くなるクリーチャーと相性が良いですね。1マナ8/8はまさに恐怖。 アーティファクトなので親和とも相性が良いですね。下環境にはなりますが、《金属ガエル》は0マナ5/5、《マイアの処罰者》は0マナ7/7と壊れたスタッツです。   スタンダードでも《記録の守護者》は相性が良いカード。食物もアーティファクトなのでコスト軽減に寄与しますし、シミック親和、イケそうです。   マルチカラー 3位《呪われし運転手、ウィンター》 自身と他のアーティファクトがライフを2点支払わせる護法を持ちます。2点のライフは護法1より弱く見えますが、ライフを攻めるデッキで使うなら話は別。攻撃的なデッキなら2点のライフは重くのしかかります。   消尽能力である全体除去も、デッキがアーティファクト主体なら、被害は相手だけという恐ろしい能力。   同じ青黒の《ネットワーク呪詛》もアーティファクトデッキなら強力なフィニッシャーになりうるので、まずは青黒でアーティファクトアグロが組めないか、カードを並べてみたいですね。   2位《ガイドライト、雲水族》 アーティファクト分のパワーを持ち、最高速度を持っていると……アーティファクト呪文をコピー?ヤバいですね。   最初は4マナぐらいだと思ってましたが、よく右上を見てみたらこのカードは2マナでした。2マナならめちゃくちゃ強いカードです。2ターン目に出して最低で1/3、アーティファクトデッキなら2/3になっているでしょうし、次のターンにはもうパワー4になっています。   最高速度になった時には後続がすべて倍になるようなもの。《記録の守護者》をコピーするだけでも凄まじい。   《呪われし運転手、ウィンター》まで入れてエスパーカラーの親和を組みたいところ。   1位《新たな夜明け、ケトラモーズ》 珍しく追放領域を参照するカード。カードが墓地や戦場から追放領域にいくとドローするので、《剣を鍬に》でクリーチャーを追放したらドロー。《儚い存在》で自分のクリーチャーを一時的に追放するだけでもドローできます。   《安らかなる眠り》を貼っているとカードが追放されるので、ドローし放題になります。   神ゆえに破壊不能を持っているので対処は難しく、威迫・絆魂と、動き出したら攻守で活躍します。   更にモダンでは《超能力蛙》とのコンボも注目を集めています。 《超能力蛙》《新たな夜明け、ケトラモーズ》が揃っている状態で《超能力蛙》で《暗黒破》を捨て、墓地のカード3枚を《超能力蛙》で追放すると、《新たな夜明け、ケトラモーズ》の能力で1ドロー。そのドローを《暗黒破》の発掘で置換して3枚切削。拾った《暗黒破》を《超能力蛙》で捨て、先ほど切削した3枚をそのまま《超能力蛙》で追放……とループしていきます。 1ループごとに《超能力蛙》が1つ大きくなるので、先手なら(マリガンしていないなら)3ターン目にライブラリーが51枚=17ループでき、《超能力蛙》のパワーが18になり、手札2枚を追加で捨てれば一撃20点となります。   単体で強いのはもちろん、コンボも早速発見されており、今最も期待を集めているカードです。   《儚い存在》《溌剌の牧羊犬、フィリア》《ちらつき鬼火》でカードを引けるので、モダンのオルゾフブリンクにも入るかもしれませんね。 無色 3位《生体生成エンジン》 選んだクリーチャータイプが+1/+1修正を受ける機体。更に機体がそのクリーチャータイプに変わるので、《生体生成エンジン》自身もそのタイプを持ちます。   今回はマーフォークやゴブリンが強化されたので、それらのデッキではまず活躍するでしょう。特にゴブリンはトークン生成手段が豊富で、それらのトークンが強化されるのは非常に強力。   クリーチャーを全体強化するロードは除去されやすかったり、逆にただ強化するだけのエンチャントだと攻撃の手を緩めることになります。   《生体生成エンジン》は除去されづらく、4/4が場に出るのでプレッシャーも十分です。   2位《光輝の睡蓮》 今回の睡蓮は、アーティファクトを生け贄に捧げた数だけ3マナを生み出すというド派手な能力。自分のアーティファクトが全部《Black Lotus》になります。   最近の睡蓮は悪用しづらいようにタップインなことが多かったですが、《光輝の睡蓮》はアンタップ状態で出てくるので、戦場に出したターンに早速マナが使えます。   ただし、起動にはタップを要するので簡単には悪さができないようになっています。   《屑鉄さらい》と非常に相性がよく、生け贄に捧げたアーティファクトよりマナ総量が小さいカードを回収でき、出たマナから拾ったアーティファクトを出し直し……なんてことができるかもしれません。 《光輝の睡蓮》自身を生け贄にできるので、《屑鉄さらい》《光輝の睡蓮》と生け贄にすると、《光輝の睡蓮》で《屑鉄さらい》を拾えます。   《光輝の睡蓮》をアンタップでき、《屑鉄さらい》を生け贄にした際に拾える《通路の監視者》なんかは面白いかも?《通路の監視者》《屑鉄さらい》《光輝の睡蓮》と揃えば何かが起きそうです。 アーティファクト版《出産の殻》こと《再利用隔室》もあるので、パイオニアでデッキを組んでみたいですね。   1位《忍耐の記念碑》 強すぎる!初見時に目を疑いました。   カードを捨てるたびに宝物かドローか3点ルーズ。どのモードも強力で、1ターンに1つずつしか選べないというデメリットなんて気になりません。   問題の捨てる手段ですが、《美術家の才能》は相性ぴったり。この2枚が揃えば、後はただスペルをプレイしているだけで勝手にゲームに勝利するのではないでしょうか。非クリーチャー呪文をプレイすればカードを1枚捨てて2枚引き、次にカードをプレイすれば3点ルーズですからね。自分と相手のターンでこれを繰り返していくだけです。 《侵攻の伝令、ローナ》のようにマナを払わずにカードを捨てられる手段とも相性が良いですね。2ターン目に《侵攻の伝令、ローナ》、3ターン目の《忍耐の記念碑》でとりあえずドローです。 もちろん相手にカードを捨てさせられた際にも能力が誘発するので、置いておくだけで《思考囲い》対策になります。手札破壊の後に必ずドローがついてきたら、最早打つ気が起きません。   《美術家の才能》を4枚採用しているイゼットフェニックスのサイドボードには最適かもしれません。イゼットフェニックスは墓地対策を受けるデッキですが、《忍耐の記念碑》はこれを完全に無視できます。相手が《虚空の力線》を置いてきたら、涼しい顔で《美術家の才能》と《忍耐の記念碑》で勝ちましょう。   1枚捨てるたびに誘発するので、同時に2枚捨てた場合はモードを2つ選ぶことができます。《上げ潮、キオーラ》でドローしつつ宝物生成なんかも面白いですね。   様々な使い道があるアーティファクトで、デッキ創作意欲が沸いてきますね!   土地 対抗色境界ランド ついに境界ランドが10種揃いました!!   対抗色デッキとしては、ボロスハツカネズミやゴルガリミッドレンジは現環境でもいました。これらのデッキは純粋に強化されることになります。   特に《ウェイストウッドの境界》は最初から緑が出るので、《ラノワールのエルフ》を出すことができ、ゴルガリとしてはこれ以上に嬉しい強化はないでしょう。 境界ランドで色マナが安定するようになったので、今まではできなかった無茶も可能になりました。緑と黒のそれぞれのダブルシンボルのカードを採用しやすくなったのです。   そして忘れてはならないのがスゥルタイテラー。《ウィローラッシュの境界》によってこちらも色マナが更に安定。3色とは思えないほど快適にゲームを進められるマナベースを手に入れました。  おわりに 総合トップ3は 《忍耐の記念碑》《新たな夜明け、ケトラモーズ》《ガイドライト、雲水核》 の3つです!(境界ランドは殿堂入り)   今回の記事で気になったカードや試してみたいカードが出てきたら、ぜひGOOD GAMEでシングルカードをお買い求めください!!   ご購入はこちらから それではまた!

へいかの選ぶ!『霊気走破』各色トップ3

ピックアップ

2025.02.06

Akira Kobayashi

皆さん、こんにちは! 「へいか」こと 小林 輝(@enzyutuheika)です。 2月14日に販売される最新セット「霊気走破」がとうとう全カード公開されましたね! 私の注目カードを色ごとに紹介していこうと思います。 目次 白 青 黒 赤 緑 マルチカラー 無色 土地     白 3位:《壮大な玉突き衝突》 《太陽降下》に次ぐ破壊不能を無視する全体除去であるだけでなく、なんと全体除去への対策でもあった機体ごと破壊してしまいます。   パイオニアであの憎き《勢団の銀行破り》がラクドスミッドレンジなどで幅を利かせていた頃に出してほしかった……という思いはありますが、全体除去としては相当な性能です。   そして……真価はやはりサイクリング2でしょう!   こういった全体除去カードは有効な相手とそうでない相手によって価値に雲泥の差があります。   クリーチャーデッキに全体除去は効果的なのは皆さんもご存知の通り。   しかしながら、例えばビートダウンに頼らないコンボで勝つアブエロ全知相手に《太陽降下》を引いて喜ぶ人はいないと言っていいでしょう。   引いてしまうと実質的に手札が1枚減るのと同様です。サイドボードならサイドアウトできますが、メインボードではそうもいきません。   そんな状況においてサイクリングすることで不要牌が有効牌になる可能性が産まれるというだけでも他の全体除去にない価値があります。   5マナ域の全体除去としては《太陽降下》という強力なライバルこそいますが、それでも採用に値する一枚と言えるでしょう。   2位:《入れ子ボット》 こちらはスタンダードの《イーオスの遍歴の騎士》を活用したジェスカイ召集デッキで、青をタッチしてでも採用せざるを得なかった《遠眼鏡のセイレーン》の枠に収まると予想しています。   死亡時に1/1の霊気装置・アーティファクト・クリーチャートークンを生成する効果も《上機嫌の解体》との相性が非常に良いのも◎。   アーティファクトでありながら1マナのエンジン始動カードでもあるため、最高速度になると「たった1マナでアーティファクト・呪文をコピーする」という凄まじい効果を持つ《ガイドライト、雲水核》を中核としたアゾリウスアーティファクトデッキも考えられそうです。   他の最高速度をキーとしたデッキのエンジンを始動する切り込み隊長としての役割を担えます。   1マナの軽さにしては非常に多様な仕事をするこの一枚、アンコモンながら活躍に注目しています。   1位:《ボヤージャーの滑空車》 白の1位はこの機体!   クリーチャーを3枚タップすることで+1/+1が乗り、飛行がつく効果はスタンダードのジェスカイ召集やアゾリウスアグロなどで活躍している《内なる空の管理人》を彷彿させる性能ですね。   アーティファクトもタップ対象出来る《内なる空の管理人》とは異なり、クリーチャーのみで3枚はなかなか難しそうに見えます。   が……1マナクリーチャーをばらまき、《上機嫌の解体》《毅然たる援軍》といった1枚で2枚以上のクリーチャーを出すカードも採用している召集デッキではこの条件は楽にクリアします。   パワー1が多いこのデッキで搭乗1も嬉しく、《イーオスの遍歴の騎士》《上機嫌の解体》《イモデーンの徴募兵》などキーカードを引きたい召集にとって占術1もありがたい効果です。   そしてソーサリータイミングでタップせねばならない《内なる空の管理人》とは異なり、こちらはインスタントタイミングでタップ可能です。   相手の攻め手に備えてクリーチャーを立たせ、相手が攻めあぐねた結果ターン終了時に起動して+1/+1を乗せていくのもよし。   ある程度育った後は搭乗1でアタックしていき、下手なブロックをすれば起動で+1/+1を乗せて一方的に討ち取る事も出来るぞ、と圧をかけていくこともできます。   何より1マナで2/3というスタッツも非常に頼もしい!   アーティファクトなので《喉首狙い》が効かないだけでなく、+1/+1がひとたび乗ってしまえば3/4となり現環境の代表的な除去である《切り崩し》《逃げ場無し》から逃れる事が出来ます。   この機体と2位にも上げた《入れ子ボット》、ボロスカラーの境界ランドこと《サンビロウの境界》の存在によってようやくジェスカイからボロスに回帰することになるでしょう。   強力な新戦力を得たボロス召集は次期環境での要注目デッキの一つになりそうです!   今のうちにGOODGAMEでパーツを買い揃えちゃいましょう!!(ダイマ)     青 3位《記録の守護者》 5マナで3/4飛行、スタッツだけで見ればただの平凡なリミテカードと言えるでしょう。   真価は親和(アーティファクト)! アーティファクトが4枚あればなんと1マナで3/4飛行と《秘密を掘り下げる者》もびっくりな性能です。   ミラディンの《厳粛な空護り》が同じ親和持ちの飛行で6マナ3/2飛行であり、これの上位互換となっています。 スタンダードでは《身代わり合成機》、そして同じく霊気走破からの最大値で2マナ3点ゲイン3ドローの《帰還航路》を擁するアゾリウスアーティファクトとの組み合わせがまず思い浮かびますね。   アーティファクトクリーチャーかつ3/4のスタッツも非常に嬉しく、環境を定義する黒の除去である《切り崩し》《喉首狙い》《逃げ場無し》が通用しません。   今や時代の中心になりつつあるエスパーピクシーやディミーアミッドレンジの飛行群も飛行によって受け止める事が出来ます。環境に適したスペックですね。   モダン等の下環境でも《稲妻》《致命的な一押し》といった代表的な除去を回避できることから検討に値するかもしれません。   これを採用したデッキを考えたくなってきますね!   2位《たかり空エイ》 サメに続いてとうとうエイも空を……   2/1/2飛行とスタッツだけ見れば貧弱ですが、1枚以上のカードを捨てるたび、その枚数に等しい個数の+1/+1カウンターが乗るというディスカードシナジー効果を持ち合わせています。   枚数に等しい枚数というのもミソで、《上げ潮、キオーラ》の2枚ルーティングにであれば一気に+2/+2カウンターが乗り、3/4飛行と明確な脅威へと変貌します。   同じく3マナで2枚ルーティングをする《蒸気核の学者》もいますし、何よりも同じく霊気走破で出た1マナで同様の効果を持つ《略奪するアオザメ》が存在します。 MTGで古より伝わる「同じ能力のカードが2種(8枚)あればデッキになる法則」がここでも発動しそうです。   スタンダードには《逸失への恐怖》、《太陽の執事長、インティ》と非常に優秀なディスカード要員もたくさんいますので、ディスカードギミックデッキにはかなり可能性を感じています。   1位《思考の泉のマーフォーク》 青の1位はこのマーフォーク!   1マナながらマナフラッド受けかつ全体強化も兼ねる消尽能力が非常に強力です。   X=3であれば3ドローしつつ各マーフォークに+1/+1が乗りますし、何より「ソーサリータイミング限定」ではありません。   瞬速持ちのロードである《ヴォーデイリアの呪詛抑え》といったインスタントタイミングの選択肢が増えるだけでも非常に嬉しいものです。   特筆すべきはX=0の2マナでも各マーフォークに+1/+1が乗る点。Xの値はあくまでもドローの枚数であり、+1/+1を乗せる効果には影響がありません。   先述した《ヴォーデイリアの呪詛抑え》と合わせることで4マナで急に+2/+2になり、そのままリーサル……なんてことも考えられそうですね!   スタンダードでも《フラッドピットの溺れさせ》《名もなき都市の歩哨》といった優れたマーフォークが存在し、《深根の巡礼》というマーフォークサポートの置物もありますから遂に環境に出てくる日が来たのかもしれません。   召集に続いてマーフォークもまた要注目デッキです!   黒 3位《勢い挫き》 エンジン始動カードにしては珍しい除去で、相手のブロッカーをどかしながら攻撃を通すことでエンジン速度上昇の手助けにもなります。   やはりエスパーピクシーでアーティファクトであった《税血の刃》と入れ替えることになりそうです。《呑気な物漁り》が誘発するエンチャントなのも非常に嬉しい。   ライフを詰めていくエスパーピクシーとエンジン始動もマッチしており、《コイロスの洞窟》などのダメージランドを多数採用するため、生贄によるライフゲイン効果とも噛み合っています。   まるでエスパーピクシーのために作られたかのような一枚ですね。アゾリウスコントロールにもそんな一枚を……   もちろんエンジン始動を中核としたデッキの除去枠としても採用を検討できるでしょう。 2位《悪魔の破砕機》 親和であり除去も兼ね備えている機体です。   現在のデッキで黒絡みでアーティファクトにフィーチャーしているデッキはなく、既存のデッキには当然ながら入りません。   それはすなわち、新デッキが産まれる事に他ならないのです! ワクワクしてきますね。   最大値ではアーティファクトを6枚要求するとはいえ、1マナ4/3かつ除去もこなすスーパー機体と凄まじいコストパフォーマンスを誇ります。   自分の死亡誘発持ちクリーチャーがあればそれを破壊した上で6/5機体と見た目以上に活用の幅が広いのも◎。   また、親和全般に言えることですが、マナ総量が7マナと高いカードを安く出せる点を悪用したりと可能性は無限大です。   親和の手助けとなる1枚でアーティファクトを複数出す《スランの蜘蛛》などは今のうちに買い揃えておいた方がいいかもしれませんね。   1位《ガス喰らい》 1位はこの1マナエンジン始動! 1マナでエンジン始動はそれでも強力なのに2/1と打点が高めなのも嬉しい点ですね。   最高速度になると機体やクリーチャーのサクリ台にもなり、中盤以降に引いても役割を担えるのは◎。   ラクドスサクリファイスなど飛び道具が多いデッキであれば速度も上げやすく、起動能力のシナジーによってさらなるアドバンテージに繋がるという動きが考えられます。   今回は白黒の境界ランドである《ブリーチボーンの境界》もありますし、同じくエンジン始動の《去りし栄光、ザフール》と組み合わせてオルゾフエンジンサクリファイスといった新しいデッキのキーになりそうです。   赤 3位《竜航技師》 なんと消尽能力が2つ! ゴブリンのエースになりうるポテンシャルを秘めています。   速攻付与能力はたった1マナで《群衆の親分、クレンコ》など起動能力の手助けにもなりますし、本体にも+1/+1が乗るのも非常に嬉しいポイントです。   4マナの消尽も4/4飛行とシンプルかつ強力で、-3/-3である《逃げ場無し》を擁するエスパーピクシーに強いのも◎。   1マナの速攻付与と組み合わせて4/4飛行速攻としても運用できますし、序盤・中盤・後半どの時間帯でも引いて嬉しい一枚はアグロにとっての福音ですね。   現在赤系アグロの2マナ域は《多様な鼠》《熾火心の挑戦者》《探索するドルイド》《亭主の才能》と鉄壁のレギュラー陣が揃い踏みしていますが、これらに食い込むだけのパワーは間違いなくあります。   それこそゴブリンデッキの2マナ域としても相当な活躍を見込める一枚です。   2位《焼き切る非行士》 《竜航技師》と同じゴブリンであり切り込み隊長であるこれが2位となりました。ゴブリン推しです。   1マナでエンジン始動の強さはもちろん、威迫なのも非常に偉いです。   1ターン目に《焼き切る非行士》から2ターン目に威迫アタックでエンジン速度を2にしつつ《焦がし切りのゴブリン》で強襲達成、1/1ゴブリントークンを産み出すという動きは現在のスタンダード環境でも通用します。   最高速度になると「威迫+二段攻撃」という非常に攻撃的な能力になり、マナ効率こそは悪めですが+1/+0の起動能力とも噛み合っています。   ゴブリンデッキであればエンジン速度を上げる事は容易で、最高速度もあっという間に達成することでしょう。   これら新ゴブリン2種の新戦力により、ゴブリン最高のロードである《ランドヴェルトの大群率い》、もう片方のロードこと《画家の仕事場/汚された画廊》を中核としたゴブリンデッキがスタンダードで成立すると確信しています。   1位《灯を追う者、チャンドラ》 これを見た瞬間、白単トークン使いの私は悪い意味で鳥肌が立ちました。   同じ4マナ域のプレインズウォーカーである《焦熱の交渉人、ヤヤ》《レジスタンスの火、コス》《免れ得ぬ破滅、ルーカ》とは異なり、奥義以外の除去手段すら持たずひたすら攻めに特化した性能を持ちます。   0能力は常在能力の戦闘開始時に機体をクリーチャー化+速攻によって実質3/2速攻として機能します。   生贄に捧げることもなく、機体として残り続けるのもミソ。この3/2機体が2枚ある状態で《脚当ての補充兵》《多様な鼠》を新生で唱えるとあら不思議!   新生1枚で2枚の機体に搭乗して3/2二体が殴ります。この世の地獄か?   赤系アグロへの有効なサイドカードである《領事の権限》も機体として出るため誘発しません。   +2によって余った機体や地図などを生贄にすることでアドバンテージを得られますし、不要な土地を捨ててルーティングも可能。   このように攻めに関しては恐らく随一でしょう。とにかくコントロール系統を倒すために産まれてきたかのようなプレインズウォーカーです。   この手のプレインズウォーカーにしてはシングルシンボルなのも非常にグッド。   その一方で自衛手段はなく、守りには不向きです。主に白単トークン、ドメインランプなどへの強烈な攻め手としての運用になるでしょう。   緑 3位《アフターバーナーの専門家》 消尽能力を起動すると墓地から戦場に戻る効果はかつて一時代を築いた《死霧の猛禽》を彷彿とさせるもの。   接死を持たなないものの、こちらはパワー4と攻撃的なスタッツ。自身も消尽能力を持ち、他の《アフターバーナーの専門家》を戻らせる事も可能としています。   《竜航技師》との相性は非常によく、1マナの消尽を起動した時点で《アフターバーナーの専門家》が戦場に戻り、その後に効果が解決されるため速攻が付与されることになります。   2ターン目に《逸失への恐怖》でこれを捨てた後、3ターン目に《竜航技師》から1マナの起動能力でリアニメイト+速攻でかなり強い盤面を構築できるのは想像に難しくありません。   欠点はやはり追放除去である《塔の点火》が刺さるタフネス2な点。   それでも消尽能力で戦場に戻る効果は唯一無二であり、《竜航技師》との組み合わせで活躍する日はそう遠くはないように感じます。   2位《威厳ある放漫トカゲ》 とうとう出てきた3マナで5/4……に、なんと恐竜のロード能力まで!!   しかも伝説でもありません。緑もここまで来ましたか。   恐竜限定ですが《イクサーリの伝承守り》によって《ラノワールのエルフ》8枚体制であり、そのジャンプ先である3マナ域もこの《威厳ある放漫トカゲ》と脅威の3/6/6である《好戦的な槌頭》で8枚です。   これも勿論「8枚あればデッキになる法則」が発動しそうに見えます。   今の恐竜には置物および墓地を対策しつつもライフゲインもこなす《温厚な襞背》、強烈なフィニッシャーである《骨集めのドラコサウルス》、《嘶くカルノサウルス》と粒揃い。   《逃げ場無し》が環境を定義している今タフネスが4なのも嬉しく、これで活躍できなかったら恐竜をメインとしたデッキはもう無理と言わんばかりのヤケクソさを感じます。   1位《重厚な世界踏破者》 緑の1位はこちらの機体。   3マナでいわゆるランパンと呼ばれるマナ加速を担いつつ、土地の数に等しいパワーとタフネス4の機体と非常に良質なスペックです。   マナ加速は得てして中盤以降に引くと腐りがちという欠点がありますが、これは土地が伸びれば伸びるほどパワーが上がっていくため中盤以降に引いても嬉しいのも高評価点。   搭乗4は重いものの、マナ加速をするデッキは、得てしてパワー4を優に超えるファッティを連打することができます。   シンプルに3ターン目にこれを出しつつ、4ターン目に《ホーントウッドの大主》を出しそのまま搭乗からアタックするとさらに土地サーチが誘発して土地が7枚になり、7/4と非常にインパクトのある動きになります。   機体であることから《喉首狙い》が刺さらず、タフネスも4で《逃げ場無し》にも刺さらないので見た目以上の脅威として暴れる事になりそうと予想しています。   土地をガンガン伸ばしてパワー10でアタックしちゃいましょう!   マルチカラー 3位《ガイドライト、雲水族》 2マナでエンジンの起爆剤になりつつ、最高速度まで達するとアーティファクト・呪文をたった1マナでコピーするという凄まじい効果を持ちます。   特に《薄墓薔薇の聖遺》は追加コストとして要求されるアーティファクトやクリーチャーの生贄は「唱えるための追加コスト」であるため、コピーでは追加コストを支払う必要がなくなり、相性が良いと言えるでしょう。   何よりもインパクトのある《激浪の機械巨人》をコピーするとこの世の終わりが訪れます。 この機械巨人については惜しくも選考外となりましたが、3位にしようかと悩んでいたぐらいのパワーはあります。   本体の性能もアーティファクトの数によってパワーがどんどん上がっていくため、親和との相性もよくアーティファクトデッキを組む動機の一つにもなりますね。   2位《帰還航路》 令和の《物読み》。マナも相応に重くなっていますが、こちらはなんと3ドローと3点ゲインと強くなっています。   2マナで唱えられたらブーンズである《Ancestral Recall》と《治癒の軟膏》を合わせた1枚になります。凄まじい。   親和もスタンダードには実質3マナ低減である《スランの蜘蛛》(本体、パワーストーン、パワーストーンから出るマナで合計3マナ)もいますし、同じく親和である《記録の守護者》もいます。   除去枠としても《薄墓薔薇の聖遺》《ガラスの棺》もあり、プレイアブルなアーティファクトは十分。   このように新戦力を多く得たアゾリウスアーティファクトは台風の目になる可能性も。ぜひ期待したいところですね!   1位《輝晶の機械巨人》 マルチカラーは1位はこの機械巨人!   4/4/4先制攻撃トランプルはブロッカーとしてもアタッカーとしても頼もしく、何よりも「1枚で2枚のアドバンテージを得られる点」が白眉。   マナ総量1以下とはいえ2枚も持ってくる効果は《イーオスのレインジャー》を彷彿とさせます。   しかもこちらはクリーチャーだけでなくアーティファクトやエンチャントまで対象となります!   サーチ対象となるカードでクリーチャーだと《養育するピクシー》は《輝晶の機械巨人》を再利用可能ですし、《脚当ての補充兵》も実質3マナのクリーチャーとして活用できます。《機能不全ダニ》もアーティファクト/エンチャント対策として持ってこれますね。   何より《金脈のハイドラ》も(X)(緑)、つまり1マナ扱いなのでなんとサーチ可能です! 後続の脅威を持ってこれるのです。   バントにして《マネドリ》を持ってきてもかなり面白いかもしれません。   エンチャントでは《破片魔道士の救出》で自衛することも可能。アーティファクトだと除去枠にもなる《薄墓薔薇の聖遺》、墓地対策である《除霊用掃除機》もありますね。   ファウンデーションズで再録された《バジリスクの首輪》も対象の一つで、この《輝晶の機械巨人》につけると先制攻撃・トランプル・接死・絆魂のスーパークリーチャーが爆誕します。   このように夢が広がる一枚です。カード単体のパワーは間違いなくあり、これを中核とした新しいデッキが産まれるかもしれませんね。   無色 3位《霊気灯》 3位は伝説のアーティファクト・プレインズウォーカー・装備品と史上初の組み合わせである《霊気灯》!   無色のプレインズウォーカーであるだけでなく、アーティファクトかつ装備品なことからこれらのシナジーと発揮するのが非常に面白い試みだと感じています。   性能自体は攻めっ気が強く、コントロールよりもアグロもしくはミッドレンジで+1/+1を乗せつつ2ドローと継続的に攻めていく性能に見えます。   奥義は正直飾りと言ってもよく、+1で装備した後に-5、-5と繋げられたら強そうです。   注意点としては装備したとしても火力やプレインズウォーカーへの除去の対象にはなるため、+1でつけて攻撃されなくなっても過信は禁物。《削剥》が最大の敵になりそうですね。   2位《生体生成エンジン》 部族を強化する置物としてはカルドハイムの《兵員の結集》がまず思い浮かびますね。   これは当時使われませんでしたが、こちらは4/4機体がついている点、また本体自身も選ばれたクリーチャータイプになることでシナジーの恩恵を受けられる点は他にないメリット。   例えばハツカネズミを指定するとこの機体もハツカネズミになるため、《多様な鼠》によってこの機体に二段攻撃やトランプルを付与する事もできます。   修正値によって搭乗3が実質搭乗2である点も嬉しく、継続的な攻めを支えるよい一枚になるやもしれません。   個人的には赤編で言及してきたゴブリンでこの機体を使ってみたいです。   1位《忍耐の記念碑》 無色の1位はやはりこれ!   《身代わり合成機》が証明している通り、3マナアーティファクトでありながらこれだけでは何もしないのが最大の欠点。   が、ひとたび効果を誘発してしまえばとんでもないアドバンテージを得られる可能性を秘めている一枚でもあります。   「カード1枚を捨てるたび」というテキストなので、例えば《上げ潮、キオーラ》だと2枚引き2枚捨てた場合、その後に1枚引いて宝物を生成するというとんでもない性能に。   2マナの《侵攻の伝令、ローナ》など継続的なルーティング能力を持つクリーチャーで3マナアーティファクトである欠点をカバーしたいところ。   他にも《たかり空エイ》などディスカードで強くなるカードも増えており、これのサブプランとしてサイドに忍ばせておくのも効果的に見えますね。   それから《美術家の才能》も凄まじい速度でルーティングするため、コンボチックなデッキを考えてみても面白いかもしれません。   ディスカード手段はルーティングであることが多く、キーとなるこのカードを探す事にも繋がり一貫性も生じます。   もしかしたらディスカードデッキこそが真の台風の目なのかもしれません……!   土地 対抗色境界ランド 『ダスクモーン:戦慄の館』の前例からもはや説明不要と言ってもよいでしょう。   今回は対抗色だからか、ダスクモーンの境界ランドとは反対の色が出ます。(ダスクモーンでは左の色から出るのですが、今回は右の色から出ます。わかりやすいですね)   《サンビロウの境界》は白が中心であるボロス召集、《ウェイストウッドの境界》は《ラノワールのエルフ》を擁するゴルガリミッドレンジの強化に直結します。   境界ランドが無かった事で貧弱なマナベースになり、成立しなかった対抗色のデッキがいよいよ出てくる事になるかもしれません。   これまでは見向きもされなかったマルチカラーのレア・神話レアたちを改めて見直してみてはいかがでしょうか?   もしかしたらそこに環境で頭角を現す一枚があるかもしれません……!   おわりに 以上が私の選ぶ各色トップ3でした。こうしてみると新デッキが産まれそうなカードも多く、大変ワクワクしますね!   私自身もプロツアー・シカゴに向けて新しいデッキを模索していきます。   GOOD GAMEでも『霊気走破』のシングルカード予約が既に始まっています。 今回はなんと2月8日(土)~2月9日(日)に開催されるプレイヤーズコンベンション千葉のGOOD GAMEブースにて予約販売カードの受取が可能となっています。   スタンオープンなどに向けてぜひご予約ください!   シングルカードご予約はこちらから ボックスご予約はこちらから