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【今週のピックアップデッキ】4色ティーチングコントロール/コスモジャンド/白トロン

週刊 Modern Pioneer Standard ピックアップ

2025.08.22

mtg Yuyan

こんにちは。   細川 侑也(@yuyan_mtg)です。   今週のピックアップデッキでは、ちょっと珍しいデッキを、軽い解説を交えて紹介していきます。   紹介デッキ 4色ティーチングコントロール コスモジャンド 白トロン   4色ティーチングコントロール  スタンダードリーグ : 5-0 By Manuel_Danninger MTGアリーナ用インポートデータ 《神秘の指導》というカードをご存じでしょうか? 『時のらせん』で登場した4マナのサーチ呪文で、インスタントか瞬速を持つカードをサーチすることができるカードです。   当時はこの《神秘の指導》を主軸に据えたティーチングコントロールが『時のらせん』限定構築の環境を席巻していました。   《神秘の指導》で除去かカウンターを拾い、それを使いながら、フラッシュバックで《神秘の指導》をサーチ。《神秘の指導》を1枚引くだけでこれを4回行えるので、非常に再現性の高いコントロールデッキでした。 そんな《神秘の指導》は実は『ファウンデーションズ』で再録されており、スタンダードで使用することができます。そう、ティーチングコントロールがスタンダードに帰ってきたのです!   とはいえ、その枚数は控えめで2枚となっています。今のスタンダードには《神秘の指導》を超えるドロースペルがありますからね。   そう、《星間航路の助言》です。2ターン目に除去を探すために打ったり、ゲーム後半ではキッカーで唱えて10枚以上の中から2枚を探すなど、状況に応じて打ち方を変えられる素晴らしい呪文です。 《失せろ》や《稲妻のらせん》など優秀な単体除去や、《喝破》《三歩先》といった強力な打ち消し呪文で低マナ域は構成されており、コントロール好きなら大満足のラインナップです。 ここまでの顔ぶれはジェスカイですが、このデッキは《神秘の指導》のフラッシュバックのために黒を入れています。それなら黒を使わないともったいないですよね。そこで採用されているのが《不可避の敗北》です。 土地以外のパーマネントを追放し、更に3点ドレインのオマケまでついている4マナのインスタント。さすが3色を使う除去なだけあって破格の性能ですが、色が悪くてこれまでは使われることはありませんでした。   3点ゲインはコントロールには非常に嬉しく、プレイし続けるだけで勝手にこちらが有利になるすごい除去です。世が世なら《包囲サイ》クラスの活躍をしていたかもしれません。それぐらいのポテンシャルを秘めています。 当然このカードも《神秘の指導》で探すことができます。 そして《神秘の指導》で引っ張ってこれる必殺技枠は《ジェスカイの啓示》!ジェスカイの根本原理と言われるほど能力を詰め込んだこのカードもインスタント。しかも本体に飛ばすことができるので、たとえ話でもなんでもなく、除去を打ってるだけで勝手に勝ってしまうのがこのデッキなのです。 《稲妻のらせん》含めて除去の多くにはゲインがついており、ビートダウンに対しては高い耐性を持っています。コントロールにも《神秘の指導》のアドバンテージ量で勝つことができ、理論上は最強のデッキかもしれません。 コントロールフリークの皆様はぜひお試しください。     コスモジャンド パイオニアリーグ : 5-0 By xfile MTGアリーナ用インポートデータ ジャンドカラーと言えば、赤緑黒で構成されたミッドレンジ。ミッドレンジとは除去と質の高いクリーチャーで守る中速のデッキで、その中でも手札破壊を使う黒、質の高いクリーチャーの緑、攻めと守りを兼ね備えたアドバンテージ源《血編み髪のエルフ》を使うジャンドカラーがスタンダードでは定番でした。 このミッドレンジ戦略は大流行し、下環境でも猛威を振るいました。軽いカードだけで構成された中速デッキは序盤からアグロには隙がなく、コントロールにも手札破壊とクリーチャーによるビートダウンで勝つことができ、サイドボード後は不要なカードが有効牌に変わることから、不利マッチがとても少ないデッキとなり、モダンでもジャンドは親しまれていました。   モダンでは《稲妻》《思考囲い》《タルモゴイフ》によってジャンドは成立していました。質の高い除去・手札破壊・クリーチャー。ミッドレンジに必要なものはそれだけです。 そしてパイオニアでもミッドレンジは最強であり続けました。ミッドレンジを1枚で体現したカード《鏡割りの寓話》と最強の手札破壊《思考囲い》、そして環境屈指の除去である《致命的な一押し》を使うラクドスミッドレンジです。そんなラクドスに今回久しぶりに緑が加わりました。   その緑のカードとは『久遠の終端』で注目されていた1枚、《コスモゴイフ》!まさかミッドレンジにゴイフが戻ってくる日が来るとは。懐かしさに目頭が熱くなります。 《コスモゴイフ》は《タルモゴイフ》とは真逆で、墓地ではなく追放領域を参照します。自分がオーナーの追放領域にあるカードの数だけパワーとタフネスが上がるゴイフなので、普通に使うだけではただの2マナ0/1です。   しかしご安心してください。このデッキには実にたくさんの追放手段があります。   まずは《墓地の侵入者》。戦場に出た時と殴るたびにどんどん追放領域にカードを溜めていけます。相手の墓地を追放しても無意味なのは少し残念ポイント。 一方《黄金牙、タシグル》は探査を持つ4/5クリーチャー。かつてはミッドレンジの多くに採用されていたカードですが、今回は探査によって追放領域にカードを送り込めることから再注目されました。1マナで出せば5枚を追放できるので、《コスモゴイフ》は一瞬で5/6に膨れ上がります。 そしてなんといっても《悪魔の取り引き》! ライブラリーの上13枚のカードを追放し、その後好きなカードを手札に加えられる。ちょっと変わったサーチ呪文です。先にライブラリーを13枚を追放するので、コンボデッキで使う場合は少しリスクがあるというデザインになっています。   なんとこのカードを打った瞬間に《コスモゴイフ》は13/14と宇宙のようなサイズに!《悪魔の取り引き》でそのまま《コスモゴイフ》をサーチしても良いですし、《コスモゴイフ》が既に殴れているのなら、瞬殺カードを持ってこれます。   それが《ティムールの激闘》。クリーチャーに二段攻撃とトランプルを付与してくれるので、《コスモゴイフ》が突然13/14二段攻撃トランプルとなって相手に襲い掛かるのです! コンボ時以外は腐りがちな《ティムールの激闘》をデッキに入れることができるのは《悪魔の取り引き》のおかげです。強力なサーチ呪文によってこのプランが成立しています。 それ以外のカードはミッドレンジ然とした除去と手札破壊でまとまっており、《コスモゴイフ》も攻防で活躍するクリーチャーなので、《ティムールの激闘》が入っているとはいえ、戦い方はミッドレンジそのものです。   ミッドレンジが好きな方もコンボ好きにもオススメのコスモジャンド、お試しあれ。   白トロン モダンリーグ : 5-0 By kenon 《ウルザの塔》《ウルザの鉱山》《ウルザの魔力炉》。3種の土地を揃えることで7マナ出るぶっとんだ土地。 これらの土地を揃えて大量のマナを出すデッキ、通称ウルザトロン。《森の占術》がスタンダードにやってきた『ミラディン』で一気に人気が爆発し、《歯と爪》を打つ緑トロンから、ドローでトロンを揃えて大量のマナでコントロールする青トロンなど、様々なトロンがスタンダードから下フォーマットまで誕生しました。 モダンでも緑トロンや無色トロンが今も現役で活躍していますが、今回紹介するのはそんなトロン業界に殴り込みにやってきた新たな色。   それが白トロンです!   さあ白いトロン、君は何をやってくれるんだ?早速見てみると、他のトロンにはないメリットがありますね。   そう、単体除去です。青トロンも無色トロンもクリーチャーを除去するのがとにかく苦手で、《コジレックの命令》に頼っていましたが、白トロンなら《孤独》を4枚採用できます。 《冥途灯りの行進》は1~2ターン目から打てる除去で、トロンが苦手とする序盤をしっかりと制してくれます。 全体除去も白ならお手の物。万能除去である《神の怒り》に加えて《空の怒り》も入っています。エネルギーを溜めて《空の怒り》を2マナで打つのが本来の使い方ですが、このデッキでは大量のマナを支払って《空の怒り》を大きく唱えます。たくさんのマナを出せるトロンならではの荒業ですね。 白いトロンはドローが不足してしまいがち。《一つの指輪》を失ってかなり心配ではあるものの、ラインナップを見てみるとそれが杞憂であることがわかります。 《大いなる創造者、カーン》はサイドボードの好きなカードにアクセスできる万能カード。「サイドボードの数だけ忠誠値があるようなもの」と言われていますがまさにその通り。除去から墓地対策、《三なる宝球》などの妨害カードまでなんでも揃っています。 そして《嵐の目、ウギン》もドローできるプレインズウォーカー。除去も兼ねており、このカードの存在は、リソースが枯れやすい白トロンにとっては本当に大きいはず。オルゾフなど一部のデッキには《嵐の目、ウギン》を出しただけでもゲームに勝ててしまうでしょう。 《コジレックの命令》《嵐の目、ウギン》《大いなる創造者、カーン》の無色3種のおかげで、最早どのカラーのトロンもリソースを稼ぐのは簡単になりましたね。黒トロンが出てきたのも納得です。 白トロンは、トロンが苦手な序盤のカードにアプローチしやすいのが優秀で、しっかり弱点を克服しています。新たな色のトロンを組むなら、まず長所と短所を意識したいですね。トロンは揃った時の爆発力も重要ですが、どう揃えるか、揃わなかった時にどうするかが肝心。   もしかしたら悩みどころをすべて解決する赤トロンが現れたりなんてこともあるのかも?

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イゼット大釜とディミーアミッドレンジだけじゃない!スタンダードの有力デッキ

Standard ピックアップ

2025.08.21

mtg Yuyan

こんにちは。   細川 侑也(@yuyan_mtg)です。   スタンダードは相変わらずイゼット大釜が絶好調!どのトーナメントでも常に複数人が入賞し、最強の名を欲しいままにしています。   ディミーアミッドレンジはそんなイゼット大釜に次ぐ二番手で、この2つのデッキを攻略できるかどうかはカギとなっています。   そして今回はこの二強に続いて最近好成績を上げているデッキたちをご紹介していきます。   紹介デッキ ボロスハツカネズミ 赤単ドラゴン ジャンドコーナ   ボロスハツカネズミ  スタンダードチャレンジ : 3位 By deleon91 MTGアリーナ用インポートデータ 最高の1マナ域である《心火の英雄》と、《多様な鼠》とあわせて20点近いダメージを叩き出していた《巨怪の怒り》。 このキーカードが2種消えてしまったハツカネズミ主体の赤単アグロですが、今はボロスとなって環境に生き残っています。この最強格の2枚を失ってもまだ勝てるのですから、とんでもないオーバーパワーでしたね。   さて、ボロスカラーは実は今のスタンダードで非常に組みやすい2色となっています。《戦場の鍛冶場》が落ちてしまったものの、『久遠の終端』で《聖なる鋳造所》が再録され、これが《サンビロウの境界》のための土地タイプカウントも満たすので、マナベースとしてはむしろ強化されました。 《心火の英雄》を失った1マナ域を埋めるのはその白いカード。《花足の剣豪》は1マナ1/2とスタッツこそ並ですが、新生能力を持っていて、3マナで出すと2体に広がります。 そしてその能力も強烈。自身が呪文や能力の対象になった時に、それが1回目なら、ハツカネズミが+1/+0修正を受けます。つまり《多様な鼠》で二段攻撃を付与すると、ハツカネズミが全体強化されるのです。新生で出した分を含めて2体の《花足の剣豪》が対象になれば全体に+2修正が入り、凄まじい打点を叩き出します。 他の低マナ域にはかつての赤単のエースたちが並んでおり、《雇われ爪》、《熾火心の挑戦者》、《多様な鼠》は腕を組んでいます。《熾火心の挑戦者》と《多様な鼠》が存在する限り、赤いアグロが環境から消えることはないのでしょう。早いクロック、リソース、爆発的な打点、それらをすべて持つのがこのコンビです。 最強の3マナ域、《叫ぶ宿敵》の横にいるのは《岩山炎の後継者、メイブル》。ハツカネズミを全体強化するだけでなく、戦場に出た時に装備品《岩山炎》を生成します。 この装備品は装備クリーチャーに+1/+1、警戒、トランプル、速攻を付与するなかなかの優れもので、伝説ではないため2枚は置けませんが、それでも十分強力。 《岩山炎の後継者、メイブル》自身がロードなため対処しなければならず、倒したとしても装備品によって後続が強くなる、中々厄介なクリーチャーです。そして当然装備品も能力なので、《花足の剣豪》を誘発させてくれます。《岩山炎の後継者、メイブル》と《花足の剣豪》は非常に相性が良いカードです。   4マナ域の《髭谷の先駆け》は初めて見たという方も多いのではないでしょうか? こちらもハツカネズミ。《心火の英雄》たちと同じく雄姿能力を持っており、マナ総量が3以下のクリーチャー・カードをライブラリーの上5枚から戦場に出すことができます。出すクリーチャーはハツカネズミに限らずなんでもOKなので、《叫ぶ宿敵》を呼び出せます。 場に出さない選択もでいるので、全体除去に対して手札に速攻クリーチャーを温存したり、手札に加えて新生で出すことも可能と、ハツカネズミの事情にぴったりなクリーチャーです。低マナ域から高マナ域まで、対処しなければ終わりなクリーチャーが揃っているのがこのボロスハツカネズミ。   白の利点である《幽霊による庇護》も採用しているので対アグロ性能もバッチリ。イゼット大釜ばかりを意識していると、ハツカネズミに蹂躙されることになりますよ。     赤単ドラゴン スタンダードチャレンジ : 6位 By numberonenoob MTGアリーナ用インポートデータ 続いて紹介するのも赤単のアグロデッキ!なのですが、こちらはなんと《熾火心の挑戦者》《多様な鼠》のハツカネズミの力は借りていません。 その代わりにもっと巨大な者たちの力を借りています。   そう、それがドラゴンです。   ドラゴンと言えば思い浮かぶ人間がタルキールには一人いますよね?ええ、ドラゴンを愛する男、サルカンです。《龍へと昇る者、サルカン》はドラゴンデッキで輝く1枚。 戦場に出た時にドラゴンの後見を受けていると宝物を生成し、ドラゴンが戦場に出るたびに強くなり、ターン終了時まで飛行を得る。ドラゴンを出すためのマナを作りながら、ドラゴンが出ると強くなる。《龍へと昇る者、サルカン》はそんなカードです。   発売直後から注目されていたカードではありましたが、ネックだったのはそのドラゴンによって強くなる部分でした。ドラゴンは基本的にどれも重く、《龍へと昇る者、サルカン》が強くなるのが遅かったので、能力を上手く生かせませんでした。   「《龍へと昇る者、サルカン》を出した次のターンに出せる強いドラゴンがあれば」と言われていました。   そんなプレイヤー、そしてサルカンの望みを『久遠の終端』が実は叶えていました。これまで世界のどこにもなかったサルカンとぴったりの相性のドラゴンは宇宙にいたのです。   その名は《新星のヘルカイト》。5マナ4/5飛行、速攻とドラゴンらしいサイズと能力を持ち、戦場に出た時にクリーチャーに1点を与えてくれます。そして《新星のヘルカイト》が持つ能力がワープ。 3マナで戦場に出て速攻で攻撃し、その後5マナで出し直すことができるのが《新星のヘルカイト》。これが《龍へと昇る者、サルカン》と最高の相性だったのです。   2ターン目に《龍へと昇る者、サルカン》を出して《新星のヘルカイト》を公開して宝物を生成。次のターンにワープで《新星のヘルカイト》を唱えて、サルカンが成長して7点。次のターンに宝物を生け贄に《新星のヘルカイト》をプレイすると8点。ワープの次のターンに宝物のおかげで《新星のヘルカイト》を通常キャストできるのです。   もちろんドラゴンが《新星のヘルカイト》だけでは《龍へと昇る者、サルカン》は真価を発揮しませんが、そこは安心。除去である《双つ口の嵐孵り》、そして『ファウンデーションズ』で再録された《雄牛のやっかいもの》のおかげでドラゴンの枚数は合計で10枚になっています。 《双つ口の嵐孵り》と《雄牛のやっかいもの》だけでもドラゴンの数自体は担保できたかもしれませんが、《新星のヘルカイト》がないと《龍へと昇る者、サルカン》を使う気にはならないでしょう。それぐらいこの2枚の相性は抜群です。 今後《黄金架のドラゴン》クラスのカードが出れば《龍へと昇る者、サルカン》は更に価値が上がるでしょうし、《新星のヘルカイト》は《龍へと昇る者、サルカン》と一緒にずっと使われるはず。このコンビには今後も目が離せません。   ジャンドコーナ スタンダードリーグ : 5-0 By bolov0 MTGアリーナ用インポートデータ パーマネントを手札から踏み倒せる、夢がたっぷり詰まったカード、《救助のけだもの、コーナ》。ただしその条件として、パーマネントを出す能力は生存達成時、つまり第二メインフェイズの開始時に、《救助のけだもの、コーナ》がタップ状態で戦場にいなければなりません。 第二メインフェイズにタップ状態であるということは、通常は《救助のけだもの、コーナ》が攻撃し、無事に生き延びて戦闘が終わることを意味します。4ターン目に《救助のけだもの、コーナ》を出したとすると最速で5ターン目。除去もブロックもされずに能力を持たない4/3が生き延びるのはスタンダードではまず不可能です。   そう、普通ならば。   しかし《救助のけだもの、コーナ》の生存を特殊な方法で満たせるなら話は別です。生存の条件は該当クリーチャーがタップ状態であること。何も攻撃だけが生存を達成する方法ではないのです。   まずは搭乗です。機体を動かすためにはクリーチャーを寝かせる必要があり、これで生存達成となります。採用されている機体は《重厚な世界踏破車》。 戦場に出た時と攻撃した時に土地を伸ばせるので、《救助のけだもの、コーナ》で踏み倒すカードを手札から普通に唱えることもできるようになり、とてもデッキと噛み合っています。生存達成する《救助のけだもの、コーナ》を除去すると《重厚な世界踏破車》に殴られ続け、《救助のけだもの、コーナ》を残せば踏み倒されてしまいます。   そして『久遠の終端』で登場した新たな能力、配備。こちらはクリーチャーをタップすることでカウンターが乗り、一定以上の個数が溜まるとすごい起動型能力が使えるというもの。土地枠で《救助のけだもの、コーナ》をタップして生存能力を起動できるようになったのです。 《目覚めの安息地、エヴェンド》はクリーチャー分だけ緑マナを生む《ガイアの揺籃の地》になり、《記念の星、カヴァーロン》は土地を生け贄にロボットを生成し、その後全クリーチャーにパワー修正と速攻を付与します。どちらも単に《救助のけだもの、コーナ》の生存のためだけでなく、条件達成後の能力も非常に強力です。 さて、これで《救助のけだもの、コーナ》の生存が容易であることがわかりました。肝心の踏み倒すカードはというと、《全知》のような一撃必殺カードは採用されていません。 このデッキは《救助のけだもの、コーナ》の生存を意識はしていますが、決して依存していないのが特徴。《重厚な世界踏破車》からのマナ加速だけで出せるようなクリーチャーばかりです。   4枚採用されているのは《宝物庫生まれの暴君》。《不屈の独創力》でもお馴染みの恐竜で、自身やパワー4以上のクリーチャーが戦場に出た時に3点ゲインと1ドロー。更に死亡時にトークンになり帰ってくるので、除去2枚が必要となる上に2ドローで、1枚でとんでもないリソース差をつけてくれます。 デッキで一番重い《恐怖を喰うもの、ヴァルガヴォス》はさすがに手札から出すより《救助のけだもの、コーナ》から踏み倒したいカード。《逃げ場なし》が環境から消え気味な今、この護法は輝きます。 面白いのは《早駆ける業火、カラミティ》。騎乗したクリーチャーのコピーを2体生成する乗騎なのですが、《宝物庫生まれの暴君》との相性は抜群です。 《宝物庫生まれの暴君》で騎乗して《早駆ける業火、カラミティ》が攻撃すると、まず最初に《宝物庫生まれの暴君》トークンが生まれて1ドローとゲイン、そして2体目のトークンが出てきてそれぞれが誘発し、2ドローと6ゲインが入ります。 《峰の恐怖》をコピーすれば瞬殺ですし、大型クリーチャー同士のシナジーがとても気持ち良いデッキです。 《救助のけだもの、コーナ》の他にも踏み倒し手段として《密輸人の驚き》が採用されています。手札からクリーチャーを2体出したり、4枚切削した中からクリーチャーを加えるこのインスタントは、クリーチャーを拾う手段、踏み倒しの両方に使えて便利です。 《幻獣との交わり》を採用しているおかげで切削も活きる可能性があります。墓地からフラッシュバックすると4/4の英雄譚になり、次のターンに緑を2つ生成してくれて、5ターン目に7マナを生み出します。 7マナと言えばもちろんこのデッキのエース、《宝物庫生まれの暴君》。実に様々な手段で《宝物庫生まれの暴君》を出し、そこから暴れるこのデッキは、最早ジャンド暴君と呼ぶべきかもしれませんね。 強さと楽しさを兼ね備えたジャンドコーナ、今後数が増えていきそうな予感がしています。とても良いデッキなのでぜひお試しください。

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ものまねが無限を引き起こす!統率者:《世界を救うものまね中、ゴゴ》

Commander ピックアップ

2025.08.20

mtg Yuyan

みなさんこんにちは!ゆうやん(@yuyan_mtg)です。   本日は僕自身初めてとなる統率者の記事になります!   当然僕の愛するヤシュトラ様のデッキ……ではなく。 《世界を救うものまね中、ゴゴ》です!! 友人からこの統率者の存在を教えてもらい、そこから自分で1枚1枚カードを吟味して組み上げ、かなり思い入れのあるデッキになりました。   目次 《世界を救うものまね中、ゴゴ》とは? 無限コンボ デッキリストとカード紹介 マリガン デッキの回し方 妥協リスト 《世界を救うものまね中、ゴゴ》とは? 《世界を救うものまね中、ゴゴ》は、ファイナルファンタジーの通常セットに収録されているカード。とはいえ、スタンダードでは使用された実績はほぼありません。   なので、まだテキストを知らない方もいらっしゃるのではないでしょうか?というわけでゴゴのカードテキストをおさらいしましょう! 自分のコントロールしている起動型能力や誘発型能力をコピーするという、ものまね能力を持つ《世界を救うものまね中、ゴゴ》。2マナで1回コピーし、4マナを支払えば2回コピーできるので、たくさんマナがあればそれだけすごいことが起きます。   起動型能力と言えばまず思いつくのは《一つの指輪》のようなドロー能力や、《世界を救うものまね中、ゴゴ》のようにクリーチャーの起動型能力が主ですが、実際にはフェッチランドの起動をコピーしたり、サイクリングをコピーして大量にカードを引くなど、様々なものがあります。 もうこれだけでワクワクしてきませんか?《世界を救うものまね中、ゴゴ》はもうすごい統率者なのです!   ただし、《世界を救うものまね中、ゴゴ》はとても非力なので殴り勝つことは到底無理。無限コンボで勝つデッキなので、ブラケット4以上で遊んでください。   無限コンボ ゴゴ+アンタップ+3マナファクト+サイクリング デッキリストをご紹介する前に、最も基本となる動きについてご紹介しましょう。   必要なのは《世界を救うものまね中、ゴゴ》、パーマネント(クリーチャーとアーティファクト)をアンタップできるカード、タップで3マナを生み出せるアーティファクト、そしてサイクリングできるカードです。   サイクリングカードが手札に、それ以外のカードが戦場にあり、かつ8マナが生み出せる状態であれば、無限ドローできます。   手順は以下です。   1.《砂時計の侍臣》を起動して《世界を救うものまね中、ゴゴ》をアンタップ。その起動型能力を《世界を救うものまね中、ゴゴ》で8マナ使って4回コピーする。   2.アンタップ能力のコピー3回で《玄武岩のモノリス》を3回アンタップ。9マナを生み出す。   3.4回目のアンタップのコピーは《世界を救うものまね中、ゴゴ》を対象にし、これをアンタップ。   4.スタック中にあるアンタップ能力を再び《世界を救うものまね中、ゴゴ》で4回コピー。9マナの内8マナを使ってループできるので、1ループにつき1マナが増えていく。   5.最終的に無限マナになるので、最後に手札からサイクリングを行い、それを《世界を救うものまね中、ゴゴ》でコピーすることで、無限ドロー。 と、アンタップ能力を《世界を救うものまね中、ゴゴ》で複数回コピーすることで、最終的に無限ドローになります。   もちろんサイクリングの代わりに《精神石》を使っても無限ドローになりますし、サイクリングの部分は別の手段で構いません。起動型能力でカードが引ければデッキをすべて引ききれます。 3マナ出るマナアーティファクトは、代わりに《睡蓮の原野》でも無限になります。3マナの場合は、3回コピーで9マナになって初めてマナが増えるので、合計で8マナ必要になりますが、《彩色の宇宙儀》は1回で5マナが出るので、2回コピーするだけで無限になります。X=2の計4マナで《彩色の宇宙儀》と《世界を救うものまね中、ゴゴ》をアンタップし続けるだけで無限なのです。   ゴゴ+《時間の大魔道士、テフェリー》 こちらは2枚コンボ。《時間の大魔道士、テフェリー》のマイナス1能力を《世界を救うものまね中、ゴゴ》でX=1でコピーするだけで無限になります。   土地3枚とゴゴをアンタップし、X=1(2マナ)でこのループを繰り返せるため、非常にお手軽な2枚コンボとなっています。   青単だとテフェリーをサーチできないのが残念。   ゴゴ+《止められない計画》+3マナファクト ターン終了時限定の無限マナ。   《止められない計画》で土地以外のパーマネントがアンタップするので、その能力をコピーして無限を生み出します。 最初の基本コンボと違い、《砂時計の侍臣》などのアンタップクリーチャーが必要ないのがメリット。3マナファクトでなくても、土地以外から合計で3マナ出れば無限マナになるのが良いですね。   手順はシンプルで、ターン終了時の《止められない計画》のアンタップ能力をX=1でコピー。《世界を救うものまね中、ゴゴ》とマナファクトが起きるので、それを再びコピーして無限マナです。   ターン終了時の無限マナなので、ここに無限ドローが絡んだとしても、確実に勝利できるとは限りませんが、この時に無色ではなく青マナの無限マナが出ていたら、《青の太陽の頂点》を全員に打ち込んで勝利できます。(マナファクトが《エルドレインの玉座》や《金粉の水蓮》だった場合に可能)   無色マナで無限が発生する場合は妨害をすべて引き込んでエンドすることになりますね。   《一つの指輪》+《精神力》 《世界を救うものまね中、ゴゴ》と一切関係ない無限。《一つの指輪》を起動して、引いたカードを捨てて《精神力》で《一つの指輪》をアンタップすることで、ライブラリーをほとんどすべて引ききることができます。   最終的には《一つの指輪》に乗ったカウンターがライブラリーの枚数を超えてしまうので、全部引ききることはできませんが、数枚を残してすべてを引けるので、そこから別の無限手段に進み、勝利となります。   《鑑識の利器師》+《玄武岩のモノリス》 《鑑識の利器師》はアーティファクトの起動型能力を軽くする能力を持っています。   《玄武岩のモノリス》は3マナで自身をアンタップでき、それが《鑑識の利器師》によって2マナになるので、無限にこれを繰り返すことで無色の無限マナを作れます。   《大変成家、アンクタス》+アンタップするクリーチャー2種 青いクリーチャーがタップ状態になるたびにカードを引いて捨てることができる《大変成家、アンクタス》を利用し、任意の数だけライブラリーを掘り進めることができます。   《命運縫い》や《砂時計の侍臣》など、クリーチャーをアンタップする手段が2枚あれば、《砂時計の侍臣》で《命運縫い》を起こし、《命運縫い》で《砂時計の侍臣》を起こすことで、無限ルーターを引き起こせます。   手札が少なければ《一つの指輪》などを引き込みにいき、手札が潤沢ならそのまま無限パーツを集めにいけばOK。   デッキリストとカード紹介 こちらが今使用しているデッキリストです。役割別にカードを紹介していきます。 アンタップするカード 無限コンボを決める際にアンタップ手段は必須なので、少し弱めでもなるべく採用するようにしています。   基本的にはすべて同じ能力を持っているので、2マナである《アフェットの錬金術師》は優秀。ですが、この中で一番強力なのは《砂時計の侍臣》です。 《砂時計の侍臣》だけクリーチャー以外のアンタップ手段なので、戦場に出てなくても《世界を救うものまね中、ゴゴ》で無限を決められるのです。サイクリングした時のアンタップ能力を《世界を救うものまね中、ゴゴ》でコピーできますからね。しかもそのままサイクリングのドローも《世界を救うものまね中、ゴゴ》でコピーできるので、《砂時計の侍臣》だけで無限パーツ2枚分になります。   《命運縫い》は墓地から蘇生で戻せるので、突然無限を決められる便利なクリーチャーです。 《ケルピーの道案内》《療病院のヨレス》《鑑識の研究者》はどれも3マナのアンタップ手段で他には特に能力を持たないのですが、《療病院のヨレス》だけは伝説のクリーチャーを2体アンタップできます。 《殺人人形、マーヴィン》と組み合わせることで《療病院のヨレス》+他の伝説のクリーチャーを無限にアンタップできるようになります。《最高工匠卿、ウルザ》《大変成家、アンクタス》と組み合わせることで無限マナを発生させられるようになるのですが、この4枚コンボはめったに揃いません。   打ち消し 青と言えば打ち消しなので基本的なところは大体入っています。《精神壊しの罠》も入れたいのですがスロットが…。   コンボを決めに行くために使ったり、コンボを止めるのに使ったりと用途はいろいろ。   打ち消しの枚数は非常に難しいですね。個人的には10枚が限度で、9枚でも多め。8枚ぐらいがベターには感じています。手札に打ち消しばかり溜まっても困ってしまいますからね。とはいえ突然の即死を止めるには必要な場合もあり難しい。やはり《精神壊しの罠罠》はあった方が良い気もしてきました。   《世界を救うものまね中、ゴゴ》でリソースを取りやすいのでピッチ系カウンターが使いやすいのは嬉しい。   除去 青単の宿命として、除去手段はかなり弱めです。とはいえ《ドラニスの判事》《オークの弓使い》など、処理しなければならないヘイトベアが死ぬほどあるのが統率者戦。青単でできる限りの妨害手段を入れています。   最も強いのは《金粉のドレイク》ですね。統率者をそのままいただいて無効化したり、《オークの弓使い》をパクって美味しい思いができます。   《両生類の豪雨》もかなり強い除去で、同時に複数体のクリーチャーを処理できたり、統率者につけても○。勝手にスペルを撃ち合ったタイミングを狙えばストームも稼げますね。   《サイクロンの裂け目》はゲームを逆転できる全体バウンスで、《朦朧への没入》は土地としても置けるバウンスカード。純粋な単体バウンスは今回採用していません。   《猿術》《急速混成》は《剣を鍬に》だと思って使っています。   ドロー手段 《一つの指輪》はプレミアムなドローカード。あまりに強すぎます。《通電式キー》などで起こすだけで、唱えた瞬間に3ドローが確定しますし、《世界を救うものまね中、ゴゴ》で起動型能力をコピーすると、カウンターが乗ってドローするところまでコピーされるので、実質アンタップして再起動と同じことが起きます。 《一つの指輪》で勝つことが多いため、デッキにはアーティファクトサーチも多く、その影響もあり、純粋なドローカードは少なめ。   《一つの指輪》以外のドロー手段はすべてサイクリング。つまり《世界を救うものまね中、ゴゴ》で無限マナを出した後の勝ち手段として使うカードたちです。サイクリングによる無限ドローの良いところはやはり打ち消されない点ですね。無限マナは許すけど最後に打つスぺルは消されるというケースもあるので、サイクリングによる無限ドローは意外と強力です。   サイクリングカードはたくさんありますが、絶対的な条件は1マナであることです。1~2ターン目にやることがない時はとりあえずサイクリングすることも多いですし、《世界を救うものまね中、ゴゴ》で1回か2回コピーするケースも多く、1マナと2マナでは大きな差があります。   軽さの次に重要なのは無色であるかどうか。マナアーティファクトからサイクリングできるようにするために無色の方が基本強めです。 そしてカード自体の強さです。サイクリング以外の能力がどれぐらい優秀かですね。《魔道士の悪知恵》は通常使いなら最優秀カードで、《世界を救うものまね中、ゴゴ》を守れる便利なサイクリングです。 《検閲》もまずケアされないので割と《対抗呪文》になります。すいません、言い過ぎました。   最初はサイクリングを大量に入れていたのですが、最終的にはこれぐらいの枚数に落ち着きました。サイクリングもタダじゃないですし、所詮ただの1ドローなので、入れすぎると弱かったです。   サーチ このデッキはアーティファクト主体で、インスタント・ソーサリーに重要なカードはないので、《神秘の教示者》は入れていません。そのためサーチは少なめです。   基本的には《一つの指輪》をサーチすることが多く、《冷酷な船長、テゼレット》以外はすべて《一つの指輪》にアクセスできます。とはいえコンボが大体揃っている時はコンボパーツをサーチすることもあり、その辺は場の状況で判断します。   妨害があることも考えると大体の状況で《一つの指輪》が安定なのですが。 《求道者テゼレット》はマイナス能力でサーチできるので《世界を救うものまね中、ゴゴ》でコピーできる点も魅力。マイナス4をコピーして《一つの指輪》《巻き戻しの時計》とサーチするのもよくやります。各対戦相手ごとに《一つの指輪》がアンタップするので死ぬほどドローできます。   唯一《一つの指輪》をサーチできない《冷酷な船長、テゼレット》ですが、魅力的なのはその軽さ。3マナなので《玄武岩のモノリスス》などから出すことができ、プラス能力でマナファクトを起こすも良し、マイナスで《太陽の指輪》などにアクセスして次のターンに備えられます。 《歩行バリスタ》をサーチすれば除去も行えるのでとても使いやすい便利なカードです。   マナアーティファクト 3マナ以上出るマナファクトは直接無限コンボに繋がるので、かなり多めに採用しています。   《久遠なる栄光の笏》は単色デッキ限定の《スランの発電機》。通常は1マナしか出ませんが、同じ名前の土地を3枚以上コントロールしていると3マナが出ます。《スランの発電機》と違い青3つが出るので、有色無限マナが生み出せます。前述のように、インスタントタイミングで無限マナを決めた時に使います。   《エルドレインの玉座》《彩色の宇宙儀》は無限マナを生み出しつつ、無限ドローにもなる最高のカードです。 0マナファクトはこの4種のみです。《オパールのモックス》はアーティファクトが大量のこのデッキでは実質《Mox Sapphire》。   《金属モックス》は手札こそ使うものの、ほぼ無条件にマナを増やせるのはやはり強力ですね。入れない理由はないです。   序盤のマナ加速には貢献しませんが、やはり《モックス・アンバー》も強い。《世界を救うものまね中、ゴゴ》を出して《モックス・アンバー》から打ち消しを構えられるのもグッド。   そして《Jeweled Amulet》。1ターン目に出せば2ターン目に《世界を救うものまね中、ゴゴ》を出すことができます。余った時に溜めておけるので割と便利ですね。完全に使い捨ての《水蓮の花びら》より好みです。   《モックス・ダイアモンド》は採用しませんでした。土地を捨ててマナを伸ばす行為にあまりメリットを感じなかったためです。表面が呪文の両面土地を3枚採用していることもあり、土地の総数は少なく、その上フェッチランドは《世界を救うものまね中、ゴゴ》のために温存したい。そうすると土地が余っているシチュエーション自体がさほどなかったのです。 その他のマナファクト。《友なる石》は大体のデッキに入りますが、単色デッキなら《秘儀の印鑑》と変わらないので今回は採用せず。   手札が《一つの指輪》で溢れるので《思考の器》は結構強め。優先度は高いです。   《精神石》は最終的に《世界を救うものまね中、ゴゴ》で無限ドローできるので、無限マナを決めた後の勝ち手段としても使えます。優秀ですね。   《永遠溢れの杯》はX=3以上で置くと3マナファクトになるので、急に無限マナパーツになります。2ターン目に置けばマナ加速ですし、素晴らしいカードですね。《冷酷な船長、テゼレット》で一応サーチしてこれますが、そういう時は大体《魔力の櫃》を持ってきます。 ただのマナ加速とは違うカードたち。いずれも能力を起動するためにしか使えないので、普通のデッキにはなかなか入らないのですが、《世界を救うものまね中、ゴゴ》ではほぼ《太陽の指輪》です。そう、《世界を救うものまね中、ゴゴ》の起動にこのマナを使えるのです。   つまりこのデッキだけ《太陽の指輪》が3枚ということになります!すごい!片方は《お告げの行商人》なのでアーティファクトですらありませんが、細かいことは気にしないでください。   《奇怪な宝石》は勝ち手段も兼ねています。最終的に作製で《歩行バリスタ》を追放しながら変身し、《歩行バリスタ》内蔵の《啓蒙の神座》として全員を破壊してくれます。   インスタントタイミングで動くことを常に意識しつつ、即死を避ける立ち回りを続けてください!   妨害パーマネント 置いておくだけでヘイトが向いてしまうほど強力なパーマネントたち。   《リスティックの研究》は置き得カードですが、《神秘的負荷》はとりあえず置いておけば良いカードではありません。維持するのにマナがかかるので、《神秘的負荷》が置いてある時は動かなければ良いだけですからね。特に1ターン目に置く時はかなり考えましょう   コンボを決めるターンやその前のターンなどに置き、動きを制限するのが良いです。重要なパーマネントの展開の際に置いておけば、相手の打ち消しなどでカードを引けますからね。   とはいえ、マナを持て余しているなら、多少早めに置いても良いです。   《冬の月》は単色デッキで使える強力な妨害カード。ほぼ《冬の宝珠》なのに自分はさほど被害を受けないと素晴らしいですね。   《基本に帰れ》も採用候補ですが、現状はスロットがありません。ガチの大会に出るなら入れそう。   フィニッシャー 無限マナの後に無限+1/+1カウンターで出して勝ちます。非常に簡単なフィニッシャー。青単では数少ない除去にもなるクリーチャーで、もし《歩行バリスタ》と同じ能力を持つクリーチャーが3種いるなら3種とも入れたいですね。 最もよくある勝ち手段が《青の太陽の頂点》。全員に無限ドローさせて勝利します。勝ち手段の中で唯一インスタントなので、《止められない計画》中に勝てるのが魅力です。   普段使いも悪くなく、マナが余りがちなこのデッキではX=4程度ではすぐに打てます。《歩行バリスタ》と同じく、勝つ瞬間以外にも貢献してくれるグッドカードです。 カウンターが1000個乗ってる時に対戦相手を全員倒すびっくりどっきりメカ。ネタかと思いきやこれが実は結構強い。   アンタップステップにアンタップした数だけカウンターが乗り、2マナでそのカウンターを倍にできます。この能力を《世界を救うものまね中、ゴゴ》でコピーできるので、実はすぐに1000個を溜められます。   アンタップで大体カードが5枚ほど起きるとしてカウンターは5個。こっから倍にし続けて1000個にするなんて気が遠くなる……と思いますよね?   実際は、5から合計8回倍になれば1280になるので、《世界を救うものまね中、ゴゴ》で7回アンタップ能力をコピーすれば勝てます。つまり14マナですね。本体の起動を合わせると16マナで勝ちです。   そのため《千年暦》で勝つ場合は無限マナは必要ありません。マナがたくさんあればアンタップステップで《千年暦》にカウンターが乗った瞬間にゲームが終わります。   《冷酷な船長、テゼレット》でサーチできたり、無限が決まっていなくとも《世界を救うものまね中、ゴゴ》さえ出ていれば、2ターンをかけて全員を倒せるので、お互いに妨害しあった後の泥仕合を制してくれます。   実際に対戦してみると《千年暦》はかなり強く感じ、オーバーキル気味な勝ち手段だと感じて採用していなかったことを後悔するほどでした。 タップすることで次のターンが飛ぶ代わりに、起動すると追加ターンを得られる土地。   土地枠で勝ち手段になる貴重なカードで、青マナも出ます。   ターンを飛ばした後にターンを得ると、飛ばしたターンが帳消しになるため、追加ターンの起動型能力を《世界を救うものまね中、ゴゴ》でコピーすることで、追加ターンをそのまま獲得できます。1回コピーすれば追加1ターン、2回コピーすれば追加2ターンです。   《水の帳、マゴーシ》をタップしてカウンターを置き、《砂時計の侍臣》などでアンタップ。そして起動して《世界を救うものまね中、ゴゴ》でコピーするだけなので、少ないマナで無限に入れます。   X=1でコピーするだけで無限ターンとかなり強く、《探検の地図》を入れて《水の帳、マゴーシ》をサーチできるようにしても良いかもしれません。   コンボを助けるカードたち アーティファクトを唱えると手がかりが出て、アーティファクトの起動が軽くなります。《玄武岩のモノリス》と組み合わせての無限マナはもうご存じですね。   手がかりの起動も軽くなるので1マナで引けるようになり、適当なマナファクトがすべてドローになるので、かなりコンボが簡単になります。 アーティファクトが全部《Mox Sapphire》になるだけでなく、無限マナの注ぎ込み先としても優秀。ライブラリーを全部掘れるので、無限マナが決まって《最高工匠卿、ウルザ》がいれば勝ちになります。   手がかりなどのトークンも《Mox Sapphire》になるので、《最高工匠卿、ウルザ》が生き残れば《世界を救うものまね中、ゴゴ》による無限もかなりしやすくなります。出たゲームの勝利貢献度がかなり高いカード。 起動を2マナ軽減するエンチャント。0にはできないので、《世界を救うものまね中、ゴゴ》をタダで起動することはできませんが、X=1分の2マナで2回コピーできます。   無限コンボの際に必要なマナが6マナになります。《世界を救うものまね中、ゴゴ》のバリュー爆上がりです。 クリーチャーが出たターンに起動型能力を使えるようになります。《世界を救うものまね中、ゴゴ》を出したターンに即コンボに移れますし、各種アンタップクリーチャーも出たターンに起動できるので、突然死を生み出せます。   クリーチャーをアンタップする能力も強く、3マナファクトを《砂時計の侍臣》でアンタップし、その《砂時計の侍臣》を《千年霊薬》で起こすことで、マナを増やしたりできます。   《一つの指輪》の次にプライオリティの高いカードで、よくサーチ先になります。 各プレイヤーのアンタップステップにアーティファクトが一緒にアンタップする凄まじいカード。   マナアーティファクトがとりあえず全部起きるので、対戦相手のターンに常にマナを大量に使えるようになりますし、《一つの指輪》がそれぞれ1回ずつ起きるので、自分のターンに1ドローして、ターンが帰ってきた時には9枚引き、カウンターが4個乗った状態で自分のターンを迎えることができます。《求道者テゼレット》のマイナス4で《一つの指輪》とセットで持ってくることの凶悪さがこれでわかるでしょう。   《エルドレインの玉座》で各ターンに2ドローしたり、《多用途の鍵》を組み合わせれば更にアンタップしてアーティファクトを使い回せるので、ドロー手段と一緒に戦場に置いてあれば、次の自分のターンを迎えた時には大体勝ちます。 いずれもアーティファクトをアンタップするカード。《多用途の鍵》には違う能力が書かれていますが、まあ使わないので大丈夫です。   《一つの指輪》を起こして大量ドロー、《エルドレインの玉座》などを起こしてマナを爆発的に増やすなど、まさしく使い方は多用途に渡ります。1ターン目に《太陽の指輪》→《多用途の鍵》と回った時はかなりヘイトを買います。   ただ、アンタップできるのはアーティファクトに限るので、《砂時計の侍臣》などと違って《世界を救うものまね中、ゴゴ》で無限マナを生み出すことはできません。ゴゴを起こせないからです。   《世界を救うものまね中、ゴゴ》がアーティファクトになれば《多用途の鍵》でゴゴを起こせるので、《大変成家、アンクタス》でゴゴをアーティファクトにすることで、ゴゴ+《多用途の鍵》+《大変成家、アンクタス》+3マナファクトで無限マナを作れます。この場合は無限マナ+無限ルーターなのでそのまま勝ちまでいきますね。 マナファクトになったり対戦相手の《一つの指輪》になったり《巻き戻しの時計》を増やしたり。その便利さは計り知れません。   《再利用隔室》からサーチすることもしばしばあり、その役割こそはっきりとはしていないものの、手札にあれば勝利に貢献してくれます。   土地関連 《世界を救うものまね中、ゴゴ》で起動型能力をコピーすることでマナ加速できるので、フェッチランドは入れられるだけ入れてます。《寓話の小道》はタップインですが、土地が2枚の時に3枚目の土地として《寓話の小道》を置くと、片方は4枚目の土地になるのでアンタップします。   他にも《進化する未開地》などがありますが、確定タップインとなるフェッチランドは採用していません。手札にそれしかない時に動きがかなり鈍るためです。 《島》を生け贄にすることになるので《久遠なる栄光の笏》とはアンチシナジーになりますが、それでも強すぎるので入れました。   何せ《砂時計の侍臣》などでアンタップできますからね。実質3マナファクトなので無限にも貢献しますし、かなり強いです。《さびれた寺院》と組み合わせてマナを増やしたり、《一つの指輪》を起動していると、昨年のモダンの相棒を思い出して涙が出そうになります。 主に《睡蓮の原野》を起こすカードですが、《水の帳、マゴーシ》を起こして即無限ターンに突入したり、《水辺の学舎、水面院》を起こして《一つの指輪》を使い回したり、かなり便利。   《さびれた寺院》のアンタップ能力は《世界を救うものまね中、ゴゴ》でコピーできます。睡蓮の原野》を起こすなら1回のコピーで1マナ増える計算になります。使うこともあるので一応覚えておいてください。   マリガン とにかくマナ加速のない手札はダメです。《一つの指輪》があるぐらいの手札以外はまずマリガンします。 あるいは《奇怪な宝石》《お告げの行商人》で《世界を救うものまね中、ゴゴ》を4ターン目ぐらいに大きく使えるような手札です。 マナファクトは2枚以上はある方が良いですね。逆にマナしかない手札はかなり強いのでキープです。1回《世界を救うものまね中、ゴゴ》を出してマナさえ余らせておけば、サイクリング1枚が5ドローぐらいになるので、かなり受け入れが広いです。 マナが最優先で、それ以外のカードは二の次。ただし《一つの指輪》だけは強すぎるので、4ターン目に置ける算段が立っているならキープできる。   こんな感じです。   統率者戦は4番手になってしまった場合、かなり敗色濃厚です。生半可な手札では絶対勝てないので、《太陽の指輪》《魔力の櫃》《厳かなモノリス》など、後手をまくれるようなマナ加速でキープしたいです。初手が5枚でも《世界を救うものまね中、ゴゴ》がリソースになってくれるので、手番が遅いなら弱めなハンドはマリガンしましょう。   デッキの回し方 デッキの回し方は単純です。とにかく《世界を救うものまね中、ゴゴ》を使って色んな能力をコピーしましょう。 マナが多ければ多いほどコピーの値が増えるので、まずはフェッチランドを《世界を救うものまね中、ゴゴ》でコピーしてマナ加速。そしてサイクリングをコピーして大量にドロー。 こうやって引いたカードで最終的に《一つの指輪》に辿り着いたり、無限コンボを決めていきます。 《加工》などのサーチはほぼ確実に《一つの指輪》になります。無限コンボを決めにいくなら《千年霊薬》でも良かったりしますが、簡単な妨害でコンボを防がれると、一気に勝ちが遠のいてしまいます。《一つの指輪》に触れる手段はさほど多くないので、とりあえず《一つの指輪》を出して、《世界を救うものまね中、ゴゴ》でコピーして大量に引いてゲームを決めにいくのが簡単かつ安全です。   基本の無限パターンはすべて場で完結するので、コンボに向けて何か下準備をする必要はほとんどありません。とりあえず盤面に無限パーツを並べて、そのままターンが帰ってきたらとりあえず始めます。   明らかに全員がマナを構えている状態なら、自分の直前のプレイヤーのエンド時に仕掛けても良いでしょう。そこで《世界を救うものまね中、ゴゴ》を触られても、自分のターンでまたすぐにコンボを始動できます。   コンボの際は《世界を救うものまね中、ゴゴ》が触られることになるので、他のカードは場に残ります。なのでゴゴが速攻を持っていれば次のターンにすぐ仕掛けられます。《千年霊薬》の強みはここにありますね。 無限マナを作る行為自体に手札を使ったりはしないので、割とノーリスクでコンボを始められます。そのためプレイ自体はさほど難しくありません。無限マナを作ろうとすると8マナを使って3マナファクトをアンタップすることになるので、9マナが浮きます。その9マナの使い道が何かあれば更に無駄にならなくて良いですね。 妥協リスト 《厳かなモノリス》や《Transmute Artifact》など、高額カードが一部入っていますが、基本的にはかなり安いデッキです。 なので「FFも好きだしせっかくだから初めてのブラケット4のデッキにしよう」なんて方にもオススメできるのがこのデッキ。とはいえ、5万のカードを突然買うのは厳しいでしょう。 そこで5000円以上のカードを抜いた妥協リストを作ってみました。《一つの指輪》だけは絶対に必要になるので、1万円ぐらいしますが買ってください…!お願いします! 《カワウソボールの精鋭、キッツァ》+《ぐるぐる》や《等時の王笏》+《ぐるぐる》など、《世界を救うものまね中、ゴゴ》を使った基本の無限パターンの種類を増やしています。いずれも《砂時計の侍臣》などのアンタップカードの代わりになるアンタップ手段なので、妥協リストでもかなり無限を楽しめると思います。 まずは上記リストを組んでみて、そこから《意志の力》や《否定の力》といった妨害手段、次に《金属モックス》などの0マナファクト、そして最終的に《厳かなモノリス》《Transmute Artifact》に手をつけてみてください。《Transmute Artifact》は下位互換の《作り直し》でも全然良いと思います。 「デッキに興味は持ったけど高すぎる!」と思った方はぜひこの妥協リストをお試しください。   おわりに というわけで今回は《世界を救うものまね中、ゴゴ》の紹介でした! 一から統率者デッキを作るのってとにかく楽しいですね。カードを見つけて買ってどんどん完成していくのもたまらなくて、カードを買うのがクセになっちゃいそうでした。   最近は大会に出る時はリュックの奥にゴゴを忍ばせているので、機会があったらぜひ遊びましょう!   ゴゴにオススメのカードとかがあればぜひ教えてください!@yuyan_mtgにリプライ飛ばしてください!喜びます!   それではまた!

メイン《安らかなる眠り》でイゼット大釜を倒せ!アゾリウスコントロール簡易ガイド

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2025.08.14

mtg Yuyan

前回までのあらすじ。   日曜日のスペシャル予選で4色弾薬を使用し、《無効》のヤバさに気が付いたゆうやんは、月曜日のスペシャル予選の予約をしつつ、新たなデッキについて思案を巡らせるのであった。 というわけで今回は、月曜日のスペシャル予選で使用したデッキの解説記事をお届けします。   目次 イゼット大釜に勝つ2つのカギ デッキリストとカード解説 採用しなかったカード イゼット大釜との戦い方 サイドボーディング 大会結果 イゼット大釜に勝つ2つのカギ イゼット大釜というデッキは《アガサの魂の大釜》《迷える黒魔道士、ビビ》のコンボで勝つデッキ、というわけではありません。それはあくまでゲームプランの1つ。 最も強力なのは《略奪するアオザメ》《逸失への恐怖》《光砕く者、テルサ》によるプレッシャーと、それを後押しする《プロフトの映像記憶》。 1ターン目に出てくる《略奪するアオザメ》は《逸失への恐怖》《光砕く者、テルサ》でどんどん大きくなっていき、無視できないサイズになります。後続の《逸失への恐怖》は除去しなければすぐに昂揚を達成して爆発的な打点を叩き出してくるので、《略奪するアオザメ》を放置せざるを得ません。 すると今度は《光砕く者、テルサ》が飛んできます。速攻で《光砕く者、テルサ》が殴ってくると、《略奪するアオザメ》は既に4/4。《略奪するアオザメ》を除去らざるを得なくなり、《光砕く者、テルサ》のダメージが通り続けることになります。 ここに《プロフトの映像記憶》が加わると打点は更に上がります。《審判の日》で盤面をリセットした返しに《光砕く者、テルサ》+《プロフトの映像記憶》だけで5点、そこに《冬夜の物語》が加わったりするとあっという間にリーサルに。 昨日の記事でお話したように《無効》が強いのは、この相手の動きに対し、《逸失への恐怖》《プロフトの映像記憶》にたった1マナで触れることができるためです。 《略奪するアオザメ》スタートの相手にも2ターン目の《逸失への恐怖》をカウンターすればかなり楽になりますしね。当然《プロフトの映像記憶》を打ち消せば計算外の打点が飛んでくることもなく安心です。イゼット大釜相手には《無効》はあればあるだけ良いと思いました。   しかし、相手のビートダウンを抑えれば勝てるというわけでもありません。そう、最初にお話ししたゲームプランの1つである《アガサの魂の大釜》《迷える黒魔道士、ビビ》があるためです。 《アガサの魂の大釜》で《迷える黒魔道士、ビビ》を追放して、自軍クリーチャーたちから大量のマナを出し、《冬夜の物語》を連発してリソースを稼ぎ、最終的に見つけた《プロフトの映像記憶》で巨大なクリーチャーを作り、《竜航技師》の速攻でゲームを決める。長期戦も戦えるのがイゼット大釜です。 これに対して有効なのが墓地対策。イゼット大釜に墓地対策が効かないのではなく、単に《プロフトの映像記憶》によるビートダウンがメインプランなだけです。《プロフトの映像記憶》をしっかりと封じれば墓地対策はしっかり効果があります。 《逸失への恐怖》の昂揚、《冬夜の物語》の調和キャスト、そして《アガサの魂の大釜》と墓地を使うカードは多く、それらを封じることには大きな効果があります。とはいえ、《冬夜の物語》を手札からキャストとしてそのまま墓地からの調和を防ぐのは、《除霊用掃除機》や《魂標ランタン》といった生半可な墓地対策では無理です。 それなら墓地対策界隈のナンバーワン、《安らかなる眠り》を使うしかないでしょう!そして《無効》と《安らかなる眠り》を使えて、しかもビートダウンを止められるデッキとなれば。 そう、アゾリウスコントロールです!   アゾリウスコントロールにしようと決めたのが日曜日の夜。家に帰ってゲームをする時間はなかったので、脳内調整を行いました。今回はその脳内調整の結果できたリストです。   デッキリストとカード解説 《ミストムーアの大主》 アゾリウスコントロールがローテーションで失った中で最も痛いと感じたのは《完成化した精神、ジェイス》でした。   《マラング川の執政》《食糧補充》とドローが非常に強い今のアゾリウスコントロール。《マラング川の執政》は前兆で唱えた後にライブラリーに戻るため、後半になればなるほど《マラング川の執政》を引く確率が上がり、最終的には毎ターン《マラング川の執政》を繰り返し前兆することになります。   そうするとライブラリーを全部掘れるので、《完成化した精神、ジェイス》という絶対的なフィニッシャーに最終的にアクセスできます。   そのため、これまでのアゾリウスコントロールではメインに《完成化した精神、ジェイス》を2枚採用することで、クリーチャーで殴る必要がなく、そのためフィニッシャーは最低限で良かったのですが…残念ながらその《完成化した精神、ジェイス》が落ちてしまいました。   というわけでフィニッシャーが求められており、《ミストムーアの大主》はその中で最も攻撃的なカード。   8割ぐらい兆候でプレイします。調候中は除去で触られないのが結構強く、最終的に兆候明けたところに打たれた除去をカウンターしてそのまま殴り勝ちます。   《三歩先》のコピー先としても強く、この動きはよくやるので覚えておきましょう。   《マラング川の執政》 上で早速名前が挙がっていた《マラング川の執政》。前環境では最終的に《完成化した精神、ジェイス》を引き込む手段として強かったので4枚入っていましたが、今回のリストでは2枚です。   正直クリーチャーで出した時の性能が主にサイド後に強いので3枚以上入れたいのですが、後述する新たなドロースペルが強すぎるので、4マナが膨れてしまい、泣く泣く2枚になりました。   《マラング川の執政》として出すと6マナ6/7飛行とあまりにでかすぎる上に、2体バウンスと超強力。一気に盤面をひっくり返し、殴りにいけるようになります。   サイド後はクリーチャーとして出すことも多く、《ミストムーアの大主》と合わせてこのデッキのフィニッシャーとして活躍してくれます。《三歩先》のコピー先にもオススメ。   《跳ねる春、ベーザ》 フィニッシャーとしては少し不安ですが、実はゲームの多くを決めるのは彼(彼女?)。   なんといってもその軽さが魅力で、大体不利な場で出てきてライフを回復しながらチャンプブロッカーを生成します。ドローも先手ならまあまあしますね。   4ターン目はもちろん、《喝破》を構えつつ6ターン目に出すこともまあまああります。環境がイゼット大釜を中心に回っているので4/5というサイズがとても頼もしく、突破されにくい。   サイド後は《否認》を入れられるので《跳ねる春、ベーザ》がやはり通ることが多く、時間を稼いでくれます。   フィニッシャーではないためメインに入れていないリストも多いですが、僕は《跳ねる春、ベーザ》は必須だと思います。ライフゲインがメインに入っていないのはやはり怖いです。   《失せろ》 説明不要の除去。地図2枚をあげてしまうので《喝破》とはアンチシナジーですが仕方ありません。無条件で2マナでクリーチャーやエンチャントに触れるのは破格すぎます。   あげた地図をそのターン中に使われると、次の相手のドローの質がかなりよくなるので、ダメージを喰らってターン終了時に打つのが基本的な使い方です。序盤の2点はどうでも良いです。   《古代魔法「アルテマ」》で地図ごと巻き込むこともあるので覚えておきましょう。   《喝破》 ちょっと強い《マナ漏出》程度のカードでしたが、《アガサの魂の大釜》がここまで流行っている現状では、このオマケの追放がかなり効果的です。《迷える黒魔道士、ビビ》を《喝破》で打ち消せば《アガサの魂の大釜》で追放されませんからね。これが《マナ漏出》だったらえらいことになります。   アゾリウスコントロールは長期戦になりがちなので《喝破》は後半までとっておくと腐ります。あまり強くないカードでもとりあえず《喝破》で打ち消しておいた方が良い場合が多いです。   《星間航路の助言》 今回一番語りたいカードはこの《星間航路の助言》です。   このカードはあまりに強すぎる。《食糧補充》の強さにも衝撃を受けましたが、ことコントロールに限って言えば《星間航路の助言》は《食糧補充》を超えています。   《食糧補充》と比べて4マナで打った時は見る枚数は1枚少なく、追加で1マナと少し弱いですが、これでも《星間航路の助言》の方が強いケースがあるぐらいです。それはもちろん《星間航路の助言》がインスタントだからです。   コントロールデッキの《食糧補充》が難しい理由は、ソーサリーだからでした。《食糧補充》で見た5枚で、次の相手の動きと出てくるカードを想定し、それに構う必要があるか、あるいは放置した時にこちらはどんなアクションを次のターンにしていかなければならないかを予想して、その上で2枚をチョイスする必要がありました。   しかし、《星間航路の助言》を打つのは相手ターンの終了時です。次に迎えるのは自分のターンなので状況はさほど変わりませんし、最も今の状況に適した2枚を手札に加えるだけで良いのです。   例えば盤面に強力なクリーチャーが展開されていれば《失せろ》+何か、何も出てこなければ打ち消し呪文とドローといったように、インスタントだからこそ適切なカードチョイスが行えます。   そして2マナでキャストできるのも魅力です。6ターン目ぐらいにどうしても打ち消しが欲しい場面で6枚を見てそこから1枚を取ることも可能で、これは《食糧補充》にはできません。   更にゲーム後半には10枚から2枚を見るという《時を越えた探索》超えの凄まじいドロースペルになります。《星間航路の助言》を使っていてライブラリーが一巡することが何度もありました。   序盤・中盤・終盤いつ使っても強く、《食糧補充》は減らしたいと思った一方、《星間航路の助言》は強すぎるので絶対に4枚から動かないと確信しました。   コントロールデッキでは《星間航路の助言》が最強です。パイオニアやモダンの青いコントロールでも強いはずなので、スタンダードでは絶対に4枚です。信じてください。   《食糧補充》 というわけでアゾリウスコントロールにおける最強ドローランキングで玉座から陥落してしまった《食糧補充》ですが、まあ当然強いです。   3ターン目に打つのはいささか不安がありますが、5ターン目に唱えて《喝破》か《失せろ》を唱える動きが強力です。これは《星間航路の助言》にはできない《食糧補充》ならではのストロングポイント。   4枚入れていたのですが、少々ドローは過剰に感じました。少し回していればこの辺りは調整が入ったでしょう。もしもう一度このデッキで大会に出るとしたら3枚に減らして除去を増やしますね。   《三歩先》 3マナで打ち消して良し、5マナで打ち消しながらカードを引いても良し、クリーチャーをコピーしても良し。   《ミストムーアの大主》《マラング川の執政》とコピーしがいのあるクリーチャーが多いので、最近では《三歩先》のコピーモードをよく使います。特にマッチアップによってはコピーの方がドローより全然使うこともあるほど。 このリストはドロースペルが多いので、5マナで打ち消してドローするよりも、3マナで消しながら打ち消しを構える展開が結構あります。これはネガティブな意味合いではなくポジティブです。ドローをたくさん入れることにより、《三歩先》で無理して引かなくて済んでいます。   《審判の日》 最近は毎セット全体除去が刷られますが、最もシンプルな全体除去、《審判の日》を多めに入れることにしました。   《静寂のその先へ》の追放はかなり魅力的でした。《アガサの魂の大釜》で墓地のクリーチャーを食われませんし、ユウナデッキ相手にも追放は偉い。しかし、やはり5マナは重く感じました。   イゼット大釜との対戦を考えると4マナと5マナの差はかなり大きく、相手視点でも《審判の日》は割り切ってくることも多いので、刺さる場面はそれなりにありました。   追放に関しては《安らかなる眠り》をメインから入れることで解決し、《審判の日》を一番多くしました。   《安らかなる眠り》 メインに投入した理由は既に説明した通り。イゼット大釜とのメイン戦に勝つために《逸失への恐怖》の弱体化、《アガサの魂の大釜》の無効化、《冬夜の物語》のフラッシュバックを防ぐ《安らかなる眠り》を投入しました。   ユウナデッキや《陰湿な根》など墓地デッキもついでに対策できて便利です。   《星間航路の助言》《食糧補充》とドローが多く、カードを掘れるので、ゲーム中盤までに《安らかなる眠り》が見つかることが多く、それでも十分間に合うと思い、メインに入れることにしました。対ドレッジと違い、イゼット大釜との戦いでは2ターン目の設置がマストでないのが大きいです。   《縫い目破り》 思ったより使っていて便利だったカード。《ポータブル・ホール》より割られにくいのでイゼット相手に安心して置けますね。   イゼット大釜は3マナ以上のクリーチャーも多く、《縫い目破り》が腐る展開が嫌だと思っていましたが、実際負けパターンは序盤の《略奪するアオザメ》と《逸失への恐怖》《プロフトの映像記憶》、すべて2マナ以下なので、《縫い目破り》があればあるほど安定します。   もし次にトーナメントに出るなら《縫い目破り》はメインに3、サイドに4枚目を用意するでしょう。   《プロフトの映像記憶》を追放すると《洪水の大口へ》でドローされるので注意。《略奪するアオザメ》が一番対象として良いです。   《古代魔法「アルテマ」》 1枚ぐらいはアーティファクトもまとめて破壊できるカードを入れようということで投入。《アガサの魂の大釜》を吹っ飛ばすこともあり、ちゃんと強かったです。   フリースロットではあるものの、できれば全体除去を入れたいところです。《ピナクルの星檻》はダメです。理由は後述します。   《沈んだ城塞》 土地部分で一番悩んだのは《沈んだ城塞》の枚数です。   2種類の2色ランドが落ちたアゾリウスコントロールは、これまで2枚ほどの採用にとどめていた《不穏な投錨地》を2色ランドとして大量に入れています。が、この《不穏な投錨地》をとにかく起動しないのが今のアゾリウスコントロール。   なぜなら、大体の場合で《噴水港》を起動した方が強いからです。《噴水港》で魚や宝物を生み出してカードを引いていけば勝てるので、《不穏な投錨地》でライフを詰める必要がありません。   それなら《不穏な投錨地》と同じ2色ランド…よりは弱いですが、それに近い性能の《沈んだ廃墟》をたくさん入れたいと考えました。   1枚引けば《噴水港》の起動が楽になり、2枚あれば土地3枚から宝物生成とかなり便利なので、最終的には3枚採用し、《不穏な投錨地》は1枚のみになりました。   選んだ色しか出ないので2色ランドとしては《不穏な投錨地》より弱く、マナベースのことも考えてこのバランスです。カードの強さとしては《沈んだ城塞》を4にしてもいいほどだと思っています。   《無効》 ここからはサイドボード。   《無効》の強さについてはお話しした通り。イゼット大釜の《逸失への恐怖》《プロフトの映像記憶》《アガサの魂の大釜》に当たるカードで、殴るプランとコンボプランのどちらも咎めます。軽すぎるので後手でも構えられる素晴らしいカード。   4枚目を入れても良いかなと思ったぐらいです。   《勝利の楽士》 今回の最大の失敗は《勝利の楽士》でした。   当初はこのカード、イゼット大釜にサイドインする予定でした。カウンターが大量に入ってきて、《轟く機知、ラル》も出てくるので、盤面にプレッシャーがあるカードかつカウンターを無効化する《勝利の楽士》は強いと思ったのです。   しかし、これが大誤算でした。ラウンド1でイゼット大釜とゲームをしてみて、《勝利の楽士》が活躍する瞬間はまったくないと思いました。   打ち消しを構えなられない相手はタップアウトしてきてますし、その際に腐っているカウンターを《光砕く者、テルサ》などで捨てて有効牌に変えられます。   《勝利の楽士》のサイズは1/3なので、《逸失への恐怖》《光砕く者、テルサ》が立たれるだけで殴れません。《轟く機知、ラル》へのプレッシャーも無意味です。   このことに初戦で気づき、かなりがっかりしました。そもそも大会が始まる前に何も疑問に思わなかった自分を呪いたかったですね。   とはいえ、アゾリウスコントロールが増えてくるであろう今後は《勝利の楽士》は結構強いかもしれません。ミラーマッチはさすがにとんでもなく強いです。《失せろ》を持っていなければ大体ゲームセット。   イゼット大釜には入れませんが、青いコントロールには強いです。ディミーアミッドレンジにもサイドインします。   《否認》 ゲームが長引くので《呪文貫き》はダメです。《否認》を必ず入れましょう。   《鳴り渡る龍哮の征服者》 主にイゼット大釜を想定。《迷える黒魔道士、ビビ》《アガサの魂の大釜》が止まり、ついでに地図の起動ができなくなります。《失せろ》が万能除去になるのは意外と大きい。   イゼット大釜は《蒸気核の学者》型でない限り飛行はいないので空から殴り勝てます。   《ティシャーナの潮縛り》 なんだかんだ万能ですね。サイドインする相手はかなり多く、イゼット大釜にも入れます。   打ち消しをかいくぐれる小粒クリーチャーで殴られることが多いので、何か適当なカードを《ティシャーナの潮縛り》で打ち消しつつ盤面に3/2を出し、小粒なクリーチャーと相打ちを取るのが役目です。   《跳ねる春、ベーザ》 ビートダウン全般からイゼット大釜、アゾリウスコントロールミラーなどほとんどの相手にサイドインします。   メインはアグロだけに強いカードですが、サイド後はコントロール相手にも頼もしいカード。アグレッシブプランを取ってくる相手にも《跳ねる春、ベーザ》で粉砕できます。たとえばミラーの《勝利の楽士》などがそれに当たります。   《ミストムーアの大主》 こちらから攻める必要があるマッチやミッドレンジ全般にサイドインします。ディミーアミッドレンジに勝つにはまず《ミストムーアの大主》しかありません。   《別行動》  アグロデッキに追加の全体除去が欲しく、ただ《ピナクルの星檻》は入れたくなかったのでこちらに。《審判の日》を見せると4マナはケアされるので、1ターン速い《別行動》にしました。   アグロ対策であれば何でもよいですね。《縫い目破り》の追加とかでも良さそうです。     採用しなかったカード 《ピナクルの星檻》 《略奪するアオザメ》《逸失への恐怖》《アガサの魂の大釜》と色んなカードに触れるように見えて、アーティファクトなのですぐ割られてしまいます。   しかも割られた時に《逸失への恐怖》でカードを引かれるので、全体除去として不安定なだけでなく、リソースを取られる危険性もあり。   まったく有効活用できる気がしなかったので抜きました。   《嵐の討伐者、エルズペス》 前環境からこのカードは否定派で、いまだにその評価は変わっていません。   フィニッシャーとしては《ミストムーアの大主》に劣り、中盤に出すなら《跳ねる春、ベーザ》の方が強い。帯に短したすきに長し。   イゼットに単純に弱いカードなのもマイナスでした。ミラーマッチのサイド後とかは強そうですが。   イゼット大釜との戦い方 普段の記事ではこのあたりにTIPSとかを書くところなのですが、正直言ってこのアゾリウスコントロールは本当にシンプルな構成!   除去、カウンター、ドローしか基本的には入っていません。なので特別なプレイ指針などはなく、オーソドックスなアゾリウスコントロールです。   ただ、イゼット大釜の戦い方だけはしっかり知っておかないと負けてしまいます。なので今回は特別に対イゼット大釜についてだけ別項目で書くことにしました。 イゼット大釜に負けるパターンをまずは把握しましょう。   1.《略奪するアオザメ》から始まるテンポ展開 《略奪するアオザメ》《逸失への恐怖》《光砕く者、テルサ》と先手で回ってきた場合、こちらが対応できるのは相手の《光砕く者、テルサ》が最初です。そのため、2ターン目に2点、3ターン目に4点と喰らってこの時点で14。   ここで《逸失への恐怖》を除去しながら後続を対処できない展開は大体負けてしまいます。サイド後はこの展開を作られないために《無効》をサイドインしています。   2.《プロフトの映像記憶》+クリーチャー 《審判の日》をケアしてクリーチャーを1体ずつ展開し、《プロフトの映像記憶》で成長させてくる展開です。《冬夜の物語》でリソースを獲得しながらクリーチャーのサイズを上げてくるので、すぐに対処しなければならない上に、後続が次々と供給されてきます。   《プロフトの映像記憶》そのものに対処してしまえば除去をある程度は温存できるので、《プロフトの映像記憶》は場に残さないようにします。《失せろ》を使う場合もあります。ただし、手札に《プロフトの映像記憶》が腐っているパターンもあるので難しいところ。   《プロフトの映像記憶》を打ち消せる状態なら《プロフトの映像記憶》を割りにいくのもアリですが、相手から対消滅を気にせず1ドローをしに《プロフトの映像記憶》を出してくることの方が多いです。場と墓地で3枚見えたら割るぐらいの感覚でいましょう。   3.《アガサの魂の大釜》+《迷える黒魔道士、ビビ》 もちろんこれも負け筋の1つです。《迷える黒魔道士、ビビ》や手札から出すと《喝破》で追放されるので、よく《光砕く者、テルサ》や《冬夜の物語》で墓地に置かれます。   《迷える黒魔道士、ビビ》が出てくる→返しで2体ほど巻き込んで《審判の日》→返しで《アガサの魂の大釜》《迷える黒魔道士、ビビ》が決まる、という展開もあるので、《迷える黒魔道士、ビビ》を墓地に落とすのはある程度慎重に。 この3つがイゼット大釜に負けるパターンです。かなり頻発するので、それぞれの対応方法をしっかりと把握しておきましょう。   イゼット大釜との戦いではリソース勝負になると《冬夜の物語》が大暴れします。そのため、一度盤面をリセットして落ち着いたタイミングでほしいのは《安らかなる眠り》です。《星間航路の助言》や《食糧補充》で探しに行きたいのは6ターン目ぐらいということになります。 メインはシンプルですが、サイド後は相手が《呪文貫き》《軽蔑的な一撃》《轟く機知、ラル》とコントロールに強いカードたちを入れてくるので複雑なゲームになります。 特にほぼ100%入っている《呪文貫き》はケアできるので、徹底的に2マナを構えながら動きましょう。 サイド後も《プロフトの映像記憶》を最優先でカウンターしつつ、序盤からダメージを受けなければ良いので、ゲーム展開はさほど変わりません。《無効》が入ってこちらのゲームプランが取りやすくはなっています。 気を付けなければならない打ち消しですが、こちらは《審判の日》など重い全体除去を抜いているため、それなりに腐らせることができます。重いアクションを打ち消されてターンパスとなり、そこで速攻クリーチャー+《プロフトの映像記憶》などがよくある負けパターンです。 こちらのソーサリーアクションを打ち消される→返しのターンでアクションされながら打ち消しを構えられるという展開も敗北に直結します。そうならないためにソーサリーのドローである《食糧補充》を少しサイドアウトするのです。 相手が《光砕く者、テルサ》などを展開してきたらこちらも《跳ねる春、ベーザ》を通しやすくなるなど、相手の動きに合わせてこちらが対応していけば、徐々に相手は困っていきます。 基本的には相手のリソースを刈り取りつつ、ゲームを長引かせていけば、自動的に有利になっていきます。《冬夜の物語》のフラッシュバック、《逸失への恐怖》の昂揚を《安らかなる眠り》などで潰せば、手札は思うように増えず、急な打点も出ません。 《プロフトの映像記憶》はなるべく場に着地させないことを目指します。なんだかんだ一番負けるのはこのカードです。《プロフトの映像記憶》さえなければ相手のクリーチャーは小粒なので《跳ねる春、ベーザ》で止まりますし、そうすれば除去する必要すらありません。 こうやって相手のドローするカードのほとんどを無駄牌にすることで、こちらが有利になり、最終的にはリソース量で圧倒するのが勝ち筋です。相手の攻め手をさばき、リソースを潰し、大量にドローしていく。コントロール然とした立ち回りですね。   《安らかなる眠り》は《プロフトの映像記憶》《光砕く者、テルサ》の軸には無力ですが、《逸失への恐怖》《冬夜の物語》というリソース・勝ち筋にしっかりと刺さります。なので決して効かないわけではありません。 とはいえ、《安らかなる眠り》でデッキが機能不全するわけではないので、その点は注意が必要です。《安らかなる眠り》があるからといって土地が6枚の手札をキープするのはNGです。   インスタントタイミングで動くことを常に意識しつつ、即死を避ける立ち回りを続けてください!   サイドボーディング せっかくなので改良したリストのサイドボーディングを貼ります! VSイゼット大釜 サイドイン サイドアウト 白白のアクションがかなり減るので、色マナカウントでもある《解体爆破場》をサイドアウト。正直他に抜くカードがあれば良いのですが、あまりに抜くものがなさすぎるので仕方なく無色土地を抜いています。   《ミストムーアの大主》は重いだけで強くないので抜きますが、相手がこちらのサイドボーディングを知っていると5点火力をサイドインされるので、その時は1枚ほどあった方が良い場合があります。2本目は上記サイドボードにして、3本目で調整します。《鳴り渡る龍哮の征服者》のために除去を多めに入れてきていたら、逆に《鳴り渡る龍哮の征服者》を抜いてしまいます。   VSディミーアミッドレンジ サイドイン サイドアウト クリーチャーを全部入れてビートダウンするプランを取ります。   相手は《悪夢滅ぼし、魁渡》と《永劫の好奇心》で攻めてくるので受け展開は絶対に無理です。苦肉の策で攻めています。   メインでタップアウトすることが多く、またさほど長期戦を想定していないことから、《食糧補充》よりも《星間航路の助言》を優先して抜いています。   VSエスパーピクシー サイドイン サイドアウト   VSグルールアグロ サイドイン サイドアウト VSユウナオーバーロード サイドイン サイドアウト VSイゼット果敢 サイドイン サイドアウト VSミラーマッチ サイドイン サイドアウト   大会結果 イゼット大釜×○×グルール昂揚×○○イゼット大釜○○アゾリウス合成機○○イゼット大釜○○赤単アグロ××イゼット大釜○○ 5勝2敗で終了…でしたがなんとオポで大まくりして8位滑り込み!超ラッキー!   最終戦前でほぼ無理だったので、プライズのために最後一応やっとくか…からの予選突破でかなりテンションが上がりました。   イゼット大釜ばかりであろう今週の予選にはアゾリウスコントロールがオススメです。イゼット大釜との戦いは難しいですが、適切なプレイをすれば勝てるはずです! それではまた!

BMO2連戦!チームモダンとスペシャル予選のお話

Modern Standard ピックアップ

2025.08.13

mtg Yuyan

こんにちは。   細川 侑也(@yuyan_mtg)です。   先週末はBIG MAGICさん主催のBIG MAGIC OPEN、略してBMOが行われていました!   メインイベントのレガシーには参加しませんでしたが、チームモダン、そして2日目はチャンピオンズカップファイナルスペシャル予選と、併催イベントに参加してきました!   今回はそれぞれの使用デッキのお話を簡単にしていきたいと思います。   チームメンバー  昨年は7-1、7-1、6-2と個人成績はすさまじかったのに、勝ち星が噛み合わずにトップ8に残れなかったチームモダン。   昨年の雪辱を晴らすべく、今回は新たな仲間たちとチームを結成しました。   僕がマジックを始めた頃にもう現役のプレイヤーで、同じ師匠を持つ、いわば兄弟子のような存在であるまんたろうさん。   最近なぜかほぼすべての海外遠征で顔を見ているITTEKIさん。   まんたろうさんは前回のモダン神挑戦者決定戦でサムワイズを使用し、神への挑戦権を獲得したプレイヤー。モダンに精通しており、モダンで行われたプロツアー・バルセロナにも一緒に行きました。今回もサムワイズで良いだろうと1か月以上前から話していました。 ITTEKIさんはというと、マジック復帰直後にエネルギーを使ってモダンの地域CSの直前予選を抜け、その後はなんだかんだ毎回地域CSに出場し続けています。エネルギーを長く使っているので、そのままエネルギーを使ってもらう予定でした。 「また直前になったらデッキの話をしましょう」とチーム結成と同時に話し、そこからちょくちょくモダンの話をしながら、しかしデッキについては全く決めないまま、1週間前を迎えることになりました。   サムワイズについて  サムワイズは《サムワイズ・ギャムジー》《大釜の使い魔》サクり台の3種が揃うことで相手を瞬殺するクリーチャー主体のコンボデッキ。 《出産の儀》《召喚の調べ》で足りないクリーチャーを集めるので、この3枚コンボはよく揃います。 クリーチャー中心のコンボデッキはコンボが決まらなかった際に殴り勝てるのが魅力で、サムワイズも例に漏れずにビート戦略を持っています。《大釜の使い魔》と食物がコントロールに強いカードなので、ビートダウン性能は高めです。 とはいえ、今のモダンではお世辞にも勝っているとは言い難い状況です。   干渉手段が少ないゆえにエネルギーの《オセロットの群れ》《ナカティルの最下層民、アジャニ》《ゴブリンの砲撃》ラインが厳しかったり、除去から《火の怒りのタイタン、フレージ》の展開でも負けやすく、一番多そうなエネルギーに勝つ見込みが薄いと感じました。 次点で考えなければならないブリンク系デッキも《孤独》を何度も打ってくるのでやはりコンボ成立がしにくく、相手の《ベイルマークの大主》《溌剌の牧羊犬、フィリア》のアドバンテージ源に干渉する術が少ない。 上位2つにそこまで有利になる要素がなかったので、サムワイズの使用には反対でした。   僕が使用する予定だったアミュレットタイタンで《溜め込み屋のアウフ》《耐え抜くもの、母聖樹》を使いたいというのも、サムワイズを諦めてほしい理由でした。 エスパーブリンクを試す 同時に《量子の謎かけ屋》によって強くなったと噂のエスパーブリンクについてもITTEKIさんに試してもらうことに。 オルゾフブリンクと言えば強い2マナアクションが《溌剌の牧羊犬、フィリア》しかないことが問題でしたが、エスパーになって《超能力蛙》が入って解決……と思いきや、その《超能力蛙》が抜けて《量子の謎かけ屋》になったのが今のエスパーブリンク。 《量子の謎かけ屋》はワープで唱えて《儚い存在》《溌剌の牧羊犬、フィリア》で場に定着させられるので、非常に噛み合っているカード。とはいえ、2ターン目に唱えてもただの1ドローなので、実質3ターン目以降のカードです。   個人的には《量子の謎かけ屋》自体は強いと思いつつ、《超能力蛙》も入れるべきだと思いました。同じことをITTEKIさんも考えていたようで、《超能力蛙》《量子の謎かけ屋》両方が入ったエスパーブリンクを試してもらいました。 結論としては、悪くないデッキだったものの、まんたろうさんがもう1つの愛機、ディミーアマークタイドになったことで《超能力蛙》が使えなくなり諦めることに。   ちなみにエスパーブリンク自体はかなり良いデッキに感じました。序盤からの圧力、リソース、干渉手段すべてがしっかりと揃っていて、バランスが良くて好みです。   最近は《超能力蛙》《量子の謎かけ屋》をどちらも採用したエスパーブリンクが勝ってるみたいです。ITTEKIさんの調整は間違っていなかった!     デッキ編成 チームモダンではエネルギーに当たる確率は下がると考えました。普通のモダンの大会では一番多いエネルギーですが、まずチーム戦ということで確率は三分の一ですし、エネルギーがチーム内に確実にいるわけではありませんからね。 エネルギーは《火の怒りのタイタン、フレージ》を使うので、ジェスカイコントロールやドメインなど、他のデッキで使われる可能性もあります。 それならエネルギーに少し弱いデッキも肯定されるのではないかと考えました。そこでまんたろうさんのもう1つの愛機、ディミーアマークタイドを使ってもらうことになりました。 モダンのコンボデッキはそれぞれが専用カードを使うため、コンボ2人にもなりやすいと考え、それならコンボに強く、エネルギーに少し弱いディミーアマークタイドは、かなりチームモダン向きのデッキに思えました。   僕は事前の話し合い通り、アミュレットタイタンを使用することに。《ウルザの物語》を使うデッキの中で現状一番しっくりくるのがアミュレットタイタンでした。実際、モダンの三指に入る強さだと思います。 ITTEKIさんには「ボロスエネルギーで勝ってくれますね?」と聞くと自信を持って「勝ちます」と返事が来たのでエネルギーに。   こうしてボロスエネルギー・ディミーアマークタイド・アミュレットタイタンの王道構成で行くことが決まりました。   本戦結果 ×親和○×(マッチが終わる前にチーム負け)○ジェスカイコントロール○○×スゥルタイ眼魔×○(マッチが終わる前にチーム負け)○ディミーアミル○×○○ディミーアミル○○○青単ベルチャー×○○○4色コントロール○○   というわけで個人5-0-2、チームは5-2でした。順位は2敗の1番下で当然ノープライズ。無念。   今回は座る位置がとにかく悪かったです。ディミーアマークタイドのまんたろうさんを真ん中に置いていましたが、エルドラージに複数回当たるなど、僕が当たりたい相手に当たってしまっていました。一人が相性の悪いマッチを踏むと、必然的に自分の前にも相性の悪い相手が来る確率が高く、実際この日は不利マッチばかり当たり続けました。 スゥルタイ眼魔、ディミーアミル、ベルチャーなど青くてそこそこ速い相手が多く、これらはアミュレットが最も苦手としているところ。とはいえデッキパワーで勝ててしまうのだからアミュレットの恐ろしさも再認識しましたね。 座る位置が逆なら全勝してもおかしくなかったのですが、これもチーム戦あるあるなのでやむなし。浜松町から月島まで行き、もんじゃを食べて帰宅しました。   個人戦は負けても自分だけなのでぼっち飯になることがありますが、チーム戦はメンバー全員が負けるので、一緒にご飯に行けて良いですね。   スペシャル予選:4色弾薬 さて、切り替えて翌日のスペシャル予選です。こちらはイゼット大釜が強すぎると噂のスタンダード。使用したのは……4色弾薬です! 別にイゼット大釜に大きく有利なデッキではありませんが、面白すぎるので使いました。   少し珍しい一部のカードだけ説明します。 《探偵鞄》 《再利用隔室》で3マナを生け贄にして持ってくるカードとして採用しました。使い終わった《編まれた網》などを生け贄にして手がかりを2つ得られて、その手がかりや飛行機械トークンを生け贄に《薄暮薔薇の聖遺》などの1マナのカードをサーチできますし、手がかりで2ドローしても良いです。   生み出す飛行機械トークンも、飛行クロックの厳しいこのデッキでは強く、生け贄には困らないので、ちょうど良いカードだと思い採用しました。実際かなりライフを守ってくれましたね。   《世界歩きの兜》 ほぼ毎回テキストを説明していました。   アーティファクト・トークンが生成されるときに、一緒に地図トークンが出るというアーティファクトです。《武器製造》で弾薬が生成されるときに地図も出るので、一気にアーティファクトが戦場に溢れます。   そのため《魔列車》と相性が良く、通常は勝つために弾薬が4個ほど必要ですが、《世界歩きの兜》で地図が出る状態なら、少ない弾薬だけで勝てます。《魔列車》が10/10を超えるサイズになってくれるからです。   アーティファクトトークンもコピーできるので、ゴーレムや弾薬を追加で作ったり、《探偵鞄》の飛行機械トークンを生み出したりなど、様々な役割があります。   《編まれた網》 2マナ域を生け贄にして3マナのカードを出す際に、《ピナクルの星檻》《危険な罠》と除去は択がある一方、盤面が更地の状態でとりあえず出しておくカードがないことが気になりました。2枚目の《再利用隔室》でも良いのですが、次のターンに場が不利になる可能性もあり、保険のカードをサーチしておきたかったのです。   そこで《編まれた網》を入れることにしました。3ターンの間相手の攻撃を防ぎつつ、最終的にはリソースに代わってくれます。先出しできる除去のようなもので、まさに僕が求めている性能でした。   3枚目の《噴水港》 このデッキの《噴水港》はほぼ《Library of Alexandria》です。弾薬トークンをはじめ大量にトークンが出ますからね。   弾薬を生け贄にする手段は基本的には《再利用隔室》《軍団の成形機械》とそこからサーチする《魔列車》。ですが《武器製造》と生け贄手段の両方を毎ゲーム引けるわけではありません。《武器製造》と適当なアーティファクトだけでキープすることも多く、弾薬を持て余す展開があります。   《噴水港》があれば弾薬を生け贄にして干渉しつつドローも進められるので、《噴水港》は常に置いておきたいカードです。そこで24枚目の土地として3枚目の《噴水港》を採用することにしました。下手なスペルを入れるよりよっぽど強いカードです。   大会結果 ×グルール×○×○アゾリウスアーティファクト×○○○ボロスバーン○○×イゼット大釜××○ジェスカイコントロール○×○○ディミーアミッドレンジ○○○ディミーアミッドレンジ○○ 初戦からグルール相手に大ポカ。そしてイゼット大釜にもかなりミスって負け。ディミーアミッドレンジの2連戦は相性差だけで勝利し、4色弾薬のポテンシャルの高さは感じました。 とはいえ、イゼット大釜との戦いはさほど有利とは言い難く、同時に他の心配材料も増えました。   それがイゼット大釜に有効な《無効》が環境に増えてきていることです。 《逸失への恐怖》《プロフトの映像記憶》《アガサの魂の大釜》と当たる対象の多い《無効》は今イゼット大釜対策として注目され始めており、イゼット大釜でも採用枚数が増えています。その《無効》がとんでもないぐらい効いてしまうのが4色弾薬です。イゼット大釜流行のあおりを4色弾薬も受けているのです。 実際この日、すべての青いデッキから《無効》が飛んできたと思います。僕自身も《無効》を3枚採用していましたし、今後《無効》の枚数は増える一方だと思いました。 イゼット大釜側が《無効》を3枚採用してきたらお世辞にも相性が良いとは言えなくなります。これはかなり不安要素……   そんな思いを抱きつつ、翌日のCard Potで行われるスペシャル予選に空きができていたので、急いで予約を完了させたのでした。   Card Potで使用したデッキについてはデッキガイドを書きますので、乞うご期待!   4色弾薬の記事はまだ書くか迷っています。希望者がいれば書こうと思いますので、良かったら僕のXアカウント(@yuyan_mtg)に記事希望とリプライを飛ばしてください!

【週刊メタゲーム通信】イゼット大釜が圧勝した週末!後を追うのはディミーアと…ティムール獰猛!?

週刊 Standard ピックアップ

2025.08.12

mtg Yuyan

こんにちは。   細川 侑也(@yuyan_mtg)です。   本日のメタゲーム通信はスタンダード!   先週末はスタンダードの競技性の高いイベントがオンライン上で複数行われました!   最新のスタンダード環境をチェックしていきましょう!   紹介デッキ イゼット大釜 ディミーアミッドレンジ ティムール獰猛   大会結果 アリーナチャンピオンシップ 優勝:イゼット大釜2位:イゼット大釜3位:イゼット大釜4位:イゼット大釜5位:イゼット大釜6位:イゼット大釜7位:ティムール獰猛8位:イゼット大釜(3~4位はトップ4、5~8位はトップ8タイ)   ショーケースチャレンジ 優勝:ディミーアミッドレンジ2位:イゼット大釜3位:イゼット大釜4位:イゼット大釜5位:イゼット大釜6位:イゼット大釜7位:イゼット大釜8位:アゾリウスコントロール   ラストチャンス 5-0:イゼット大釜5-0:ディミーアミッドレンジ4-1:イゼット大釜4-1:イゼット大釜4-1:イゼット大釜4-1:イゼット大釜 ……お分かりいただけただろうか。   とんでもないことになってしまいました。ここ最近、薄々気づいてはいたしましたが、スタンダードはイゼット大釜の海となっています。 すべてのトーナメントで上位のほぼすべてを占めており、ここまでの支配率は過去類を見ないのではないでしょうか。   一強環境として引き合いに出される《王冠泥棒、オーコ》擁するシミックフードも、最近禁止になったばかりのイゼット果敢も、このレベルでは勝っていませんでした。   正直言ってイゼット大釜は今のスタンダードで強すぎるデッキです。   イゼット大釜  アリーナチャンピオンシップ : 1位 By Raffaele Mazza MTGアリーナ用インポートデータ 《アガサの魂の大釜》で追放したクリーチャーの起動型能力を、+1/+1カウンターが乗っている自軍クリーチャーたちがすべて得る。様々なコンボデッキに入っていたこの恐ろしい釜に《迷える黒魔道士、ビビ》を煮込むことで大量のマナを出していくのがイゼット大釜。 +1/+1カウンターが乗っていればどのクリーチャーでも《アガサの魂の大釜》の恩恵を受けられるのがミソで、《略奪するアオザメ》はカードを捨てればカウンターが乗り、《プロフトの映像記憶》を使えば任意のクリーチャーに+1カウンターを置けるので、それらのクリーチャーも《アガサの魂の大釜》で《迷える黒魔道士、ビビ》の能力を獲得します。   《迷える黒魔道士、ビビ》の能力を得たら大量のマナが出るので、《冬夜の物語》を手札から打ったる墓地から調和したりして大量にカードを引きます。1回手札と墓地から打つだけで6ドローするので《プロフトの映像記憶》でカウンターを6個乗せることができ、そのクリーチャーもまたビビになるので大量のマナを生み出します。そこから更なる展開ができてしまうのです。 このデッキは《アガサの魂の大釜》+《迷える黒魔道士、ビビ》のコンボ一辺倒のデッキではありません。むしろこのプランはサブと言っても過言ではなく、メインの戦い方は《プロフトの映像記憶》です。 《プロフトの映像記憶》はデッキのほとんどのカードと噛み合います。《逸失への恐怖》《光砕く者、テルサ》《蒸気核の学者》《冬夜の物語》とドロー手段が大量にあるので、どのクリーチャーもすぐにとんでもないサイズとなり、マスト除去となります。 こちらはドローを進めながら相手には除去を打たせる。こうして有利な交換を繰り返していき、最終的には《アガサの魂の大釜》コンボが決まったり、クリーチャーを相手が打ち漏らしてそのまま巨大サイズで圧し潰します。 《逸失への恐怖》と《プロフトの映像記憶》の相性は特筆すべき点。ディスカードで任意のカードを墓地に送れるので《逸失への恐怖》の昂揚は難しくありません。そして昂揚した《逸失への恐怖》は追加の戦闘フェイズを発生させるので、《プロフトの映像記憶》でカウンターが2回乗るのです。 《逸失への恐怖》がアクティブになってターンが帰ってきただけで突然20点を出せる可能性のある恐ろしいデッキです。   前述のように《アガサの魂の大釜》《迷える黒魔道士、ビビ》のコンボを擁しながらもそこに依存しているわけではないので、思っているよりも墓地対策に強く、なんならその対策カードを置いている間に《プロフトの映像記憶》《光砕く者、テルサ》のビートが決まり、あっという間にゲームが終わります。   このようにイゼット大釜はメタりづらく、また大量のドローを重ねるデッキなので、様々なプランを展開できます。除去を大量に入れてミッドレンジのように立ち振る舞えますし、墓地対策を置かれたら《アガサの魂の大釜》を捨ててカードを引いたりと、ゲーム中も器用に立ち回ります。 これがイゼット大釜がこれほどまでに勝っている理由です。高速でコンボを決める展開もじわじわ勝つこともでき、正直かなり隙のないデッキです。   今週末の禁止改訂でメスが入るのではないかと言われていますが、この支配率を見る限り、もしかするともしかするかもしれません。   特に今月末はオーランドでスポットライトシリーズも行われますし、そのことも考えると、スタンダードに環境変化をもたらすことはありえるでしょう。     ディミーアミッドレンジ ラストチャンス : 5-0 By Mogged MTGアリーナ用インポートデータ そんなイゼット大釜天国のスタンダードで密かに勝っているのがディミーアミッドレンジです。 今更紹介するまでもないこのデッキ。《永劫の好奇心》《悪夢滅ぼし、魁渡》の二大巨頭でカードを引いて殴り、除去する。非常にシンプルながら強力なデッキ。ガチャガチャするイゼット大釜とは対極のデッキですね。 軽除去と火力で処理しづらい《分派の説教者》、そしてある程度の速いクロックが揃っているのがディミーアミッドレンジなので、比較的イゼット大釜には強いデッキです。《悲劇の軌跡》という軽い確定除去を手に入れたのはかなり大きいですね。 《切り崩し》がスタンダード落ちする時は大丈夫なのか心配になりましたが、まさかの1マナ除去が強化されるパターン。他のカードを除去した際にもヴォイドは誘発するので、同時に2体のクリーチャーを除去する際に《悲劇の軌跡》は便利です。 ディミーアミッドレンジは当然ながらイゼット大釜を強く意識しています。メインから《戦略的裏切り》を採用しているところからもそれはお判りでしょう。クリーチャーを除去しつつ墓地をすべて追放するこのカードで《冬夜の物語》や《迷える黒魔道士、ビビ》を追放し、イゼット大釜のコンボ成立を妨害します。 メインから採用されている《ティシャーナの潮縛り》は、イゼット大釜の《光砕く者、テルサ》の誘発を消したり、《アガサの魂の大釜》を止めるなど役割が多いカード。アグロ以外の相手には大体強いので、最近はメインに入っていることが多いですね。 ディミーアミラーが減ったことで《永劫の好奇心》の枚数は減っています。イゼット大釜だけを意識するなら《永劫の好奇心》は3枚で良いということなのでしょう。最近では3枚のリストが定番となっていますね。 1マナ域の《暗黒騎士、セシル》もほぼ定着しました。相手の《略奪するアオザメ》《逸失への恐怖》《光砕く者、テルサ》の並びに対して《暗黒騎士、セシル》はブロッカーとして強力です。《プロフトの映像記憶》でどれだけサイズが上がっても確実に交換が取れるので、1マナの接死は強力ですね。《分派の説教者》も攻め・守りで便利なカードですが、3マナというわけで枚数は調整されています。 かつての王者デッキが再び玉座に帰還しようとしています。ディミーアミッドレンジはイゼット大釜に強いとされているデッキで、実際に結果を残しているので、今後はディミーアの入賞数が増えてくるのではないでしょうか。   ティムール獰猛 スタンダードチャレンジ : 1位 By sokos13 MTGアリーナ用インポートデータ 近頃姿を現し始め、アリーナチャンピオンシップで多くのプレイヤーがその強さに驚いたデッキ、ティムール獰猛。残念ながらトップ8でイゼット大釜に敗れてしまいましたが、イゼット大釜の海を泳ぎ切った素晴らしいデッキです。   獰猛というのはキーワード能力。パワーが4以上のクリーチャーをコントロールすることが条件で、獰猛によって様々な恩恵が得られます。《頑固な否認》が一番有名でしょうか。 獰猛は現スタンダードにはキーワード能力としてはないものの、パワーが4以上のクリーチャーを参照する能力は獰猛と呼ばれることが多く、それがデッキの由来となっています。このデッキはパワーが4以上のクリーチャーによって構成されているのです。   その最たる理由が《ティムールの戦告者》です。自分のターンに、自分が唱える呪文が、パワー4以上のクリーチャー1体につき1少なくなります。自身を含めるのでとりあえず1マナ軽くなり、横にもう1体のパワー4がいれば2マナ軽くなり、展開力が一気に上がります。 軽くなったパワー4を出せば次のクリーチャーが更に軽くなるので、チェインコンボのように次々とカードが繋がっていきます。   それを可能にしているのが《荒野無頼団の先駆者》。自身はパワー4、かつ戦場に出た時にマナを出し、更にパワーが4以上のクリーチャーが戦場に出ると1ドロー。このデッキの心臓部分といっていいカード。 シングルシンボルなので《ティムールの戦告者》の恩恵を受けやすく、1マナで出てきて1マナを生み出すので実質フリースペル。更に後続のパワー4のクリーチャーで1ドロー。クリーチャーを次々と出しては引きを繰り返せます。   この《荒野無頼団の先駆者》と噛み合うのが《うろつく玉座》です。選んだクリーチャータイプの誘発型能力が2倍になるので、人間かドルイドを指定することで《荒野無頼団の先駆者》が2倍に。マナは倍出ますし、パワー4のクリーチャーが出ると2ドローです。 そして何といっても《うろつく玉座》は無色4マナのカード。《ティムールの戦告者》で0マナで出すことができます。パワー4以上のクリーチャーが4体出たらフリースペルですし、2枚目3枚目と引くと《荒野無頼団の先駆者》によるドローがどんどん増えます。 《荒野無頼団の先駆者》《うろつく玉座》で大量に場にパワー4を並べると、呪文が凄まじい勢いで軽減され、ほとんどのカードが色マナシンボルだけを支払うで済むようになります。   その状態で唱えるのが《絶望的猛攻》。ダブルXの呪文で、アーティファクトやクリーチャーをX体生成できます。これも《ティムールの戦告者》で軽くなるので、パワー4のクリーチャーが4体いれば1マナでX=2。2体のコピーを生成できます。《荒野無頼団の先駆者》をコピーすればマナが出て、《うろつく玉座》でマナとドローが倍になり、更に次の《絶望的猛攻》のコストが軽くなるので、今度はもっと巨大なXで《絶望的猛攻》を唱えられるように。 最終的には全展開したクリーチャーを、《百発百中のカクタスフォーク》で速攻トランプルを付与して殴り切ります。クリーチャー主体のデッキながらチェインコンボとなっており、一度回り出したら止まりません。《アガサの魂の大釜》がどんな場でターンを返してこようと、場が完成していれば一撃で相手を粉砕する破壊力を持っています。 《運命の大嵐、ドラゴンホーク》も面白いクリーチャー。パワー4のクリーチャー分だけライブラリーを追放して使用できるので、出した瞬間に大量のドローが確定しますし、10枚以上追放すればターン終了時に本体に投げつけてそれだけで勝利です。 干渉手段としても使える《跳ね弾き》ですが、主にコンボ用です。戻す対象はもちろん自分の《荒野無頼団の先駆者》。1マナで手札に戻して1マナで出し直すだけで、《うろつく玉座》の分《荒野無頼団の先駆者》で出すマナが増え、チェインが継続します。 《反因果の残留》はさほど能力がデッキと噛み合っているわけではありませんが、無色かつ7/5というサイズ……というかパワー4以上であるのが強力な点です。こちらも《ティムールの戦告者》で0マナになるので、《荒野無頼団の先駆者》でドローするだけのカードとして使えます。 デッキが回り出すと更地の状態からでもゲームが一瞬で終わるほどです。《荒野無頼団の先駆者》が計画されていて、《ティムールの戦告者》が生き残ってターンが帰ってくればほとんど勝ちですし、もう少しマナに余裕があれば更地からでも決まってしまうほど。 イゼット大釜にも高いパフォーマンスを出していますし、今実は大注目のデッキです。   個人的には、ティムール獰猛が流行り、ディミーアミッドレンジが更にイゼット大釜を意識し、イゼット大釜がミラーを見据えた構築をしなければならないという、この新たなスタンダードの状況を見守りたいところです。 果たして今週末の禁止改訂でスタンダードにメスが入るのか?注目ですね。

【今週のピックアップデッキ】4色弾薬/エスパースピリット/ナヤスケープシフト

週刊 Modern Pioneer Standard ピックアップ

2025.08.08

mtg Yuyan

こんにちは。   細川 侑也(@yuyan_mtg)です。   今週のピックアップデッキでは、ちょっと珍しいデッキを、軽い解説を交えて紹介していきます。   紹介デッキ 4色弾薬 エスパースピリット ナヤスケープシフト   4色弾薬  スタンダードチャレンジ : 2位 By CuteChandra19 MTGアリーナ用インポートデータ 早速パイオニアでも活躍している《武器製造》がついにスタンダードで暴れ始めました。 トークンでないアーティファクトが戦場に出るたびに弾薬を生成する2マナのエンチャント、《武器製造》。これが主役となるのが4色弾薬です。   弾薬はアーティファクト・トークンで、戦場から離れた時に好きな対象に2点のダメージを与えてくれます。墓地に置かれた時ではないので、たとえば《ピナクルの星檻》などで追放されても2点のダメージを飛ばすことができます。 この弾薬を効率的に生成しつつ、有効活用できるのが《再利用隔室》。アーティファクトを生け贄にし、それよりマナ総量が1大きいアーティファクトをデッキからサーチできます。弾薬を生け贄に捧げれば1マナのカードを探せるので、ダメージを飛ばしつつ、万能除去の《薄暮薔薇の聖遺》や、墓地対策の《除霊用掃除機》、そしてリソースを獲得できる《機械仕掛けの打楽器奏者》と、状況に応じて様々なカードにアクセスします。そしてこれらのカードが出ると、また弾薬が生成されます。 《機械仕掛けの打楽器奏者》は次のターンに《再利用隔室》で生け贄にすれば、ライブラリートップをプレイできつつ、2マナのカードにアクセスできる便利なカード。そしてこの2マナも粒ぞろいです。 アーティファクトを生け贄に成長する《煌く機械ドレイク》は、弾薬トークンなどを生け贄にして戦うこのデッキと相性抜群。自身が大きくなりながら2点を飛ばすので、思わぬ打点を叩き出してゲームを終わらせてくれます。 そして第二の弾薬の使い道である《軍団の成形機械》も2マナのアーティファクト。戦場に出た時に2点を飛ばすアーティファクトで、他のアーティファクトを生け贄にすると3/3のゴーレムを生成します。弾薬を生け贄にしてゴーレム生成と、弾薬を美味しく使えるのです。 『久遠の終端』から加わった注目のコモン、《氷魔法の秘宝》はこのデッキと相性抜群です。《再利用隔室》から出して1枚引きつつ、《再利用隔室》で生け贄にしてもう1枚ドローと、1枚で2度美味しいカード。これまでは1点喰らいながら1ドローしていましたからね。 面白いのは唯一の4マナ域であるアーティファクト、《魔列車》の採用です。このカードが入ったことで一気にこのデッキは引き締まりました。弾薬を能動的に生け贄にできつつ、高いクロックを持つ《魔列車》は、《再利用隔室》から最終的にサーチするカード。スタートが4/4トランプルなので、複数枚の弾薬がある状態で《魔列車》が攻撃すればあっという間にゲームが終わります。 たとえば弾薬が4つある状態なら8/8の《魔列車》に弾薬4つで8点。これだけで16点が確定します。更に他にも使っていないアーティファクトがあるはずなので、それらも生け贄に捧げれば、優に20点を超えるのです。   《武器製造》に《軍団の成形機械》、そして《再利用隔室》からの除去サーチなど、このデッキは自分の動きをして場をウィンコンディションに持っていく過程で相手にしっかり干渉していきます。そのため、アグロに対してある程度耐性があり、かつミッドレンジにも《再利用隔室》のバリューで勝利することができます。 回していてとても面白いデッキなので、ガチャガチャとデッキを回すのが好きな方はぜひお試しください!     エスパースピリット パイオニアリーグ : 5-0 By ViniBuzo MTGアリーナ用インポートデータ 主戦場はパイオニアとなっている種族、スピリット。メインカラーの青白2色で組まれることもあれば、展開力を《集合した中隊》で補うバント型など、3色にもなることのあるスピリットですが、今回ご紹介するのはそんな3色の中でも黒を足したもの。 そう、エスパースピリットです。   とはいってもベースはこれまでのスピリットと変わりません。《霊廟の放浪者》から始まり、名誉スピリット(?)の《マネドリ》、2マナ域には除去を避ける《鎖鳴らし》とロードである《至高の幻影》。3マナは呪文を追放しつつクロックを刻む《呪文捕らえ》。パイオニアの戦場を生き残った優秀なスピリットたちです。(スピリットが生命を持っているかはさておき) そこに加わった黒要素は《策謀の予見者、ラフィーン》!エスパーパルへリオンからミッドレンジなど幅広く使われていた名カードがスピリットに加わりました。 これまでのスピリットでは《執着的探訪》などリソースを取るオーラが採用されていたことがありますが、単体除去に弱すぎました。しかし、《策謀の予見者、ラフィーン》なら話は別です。引きすぎた土地や不要牌を捨ててスピリットを強化する動きは強烈です。 自身に護法がついているのも実にいやらしいですね。除去に多くマナを使わせることで2アクション、つまり除去の二段構えを封じれば、《呪文捕らえ》が突き刺さってくれます。それらの上から《策謀の予見者、ラフィーン》を除去しようとすれば更に1マナがかかるので、対処は困難です。 そしてもう1つの黒いカードが《悪夢滅ぼし、魁渡》です。 そう、実は《悪夢滅ぼし、魁渡》はスピリット…ではありません。忍者です。ですがスピリットと《悪夢滅ぼし、魁渡》の相性は悪くありません。   忍術はクリーチャーがブロックされなかった時に起動できる能力なので、飛行クリーチャーであるスピリットは忍術しやすく、1マナクリーチャーたちは再キャストが容易です。《マネドリ》は《悪夢滅ぼし、魁渡》の忍術で手札に戻して別のクリーチャーのコピーになれるのも強力ですね。 そして《鎖鳴らし》は再利用すれば相手にプレッシャーを与えられますし、場合によっては《呪文捕らえ》を拾うパターンもあります。   《策謀の予見者、ラフィーン》と《悪夢滅ぼし、魁渡》はいずれもドロー能力を持っているのがスピリットとしては実に嬉しいですね。打ち消しや追加のクロックなど、今必要なものを求めにいけるようになりました。   最近では《放浪皇》を入れるなどミッドレンジ風に進化してきたスピリットですが、ここに来てエスパー型が登場したのは面白いですね。 パイオニアの古株でありながら、スピリットはまだ進化を続けているのでした。   ナヤスケープシフト モダンゴールドリーグ : 5-0 By Meltiin 土地を生け贄に捧げてその枚数だけ好きな土地をデッキから場に出す。エクステンデッドの頃から様々なコンボデッキで使われてきた《風景の変容》。 6枚の《山》と《溶鉄の尖峰、ヴァラクート》をサーチすることで《溶鉄の尖峰、ヴァラクート》が6回誘発し、18点ダメージを叩き出す。そのため《風景の変容》は1枚で勝てるコンボカードであり、エクステンデッドやモダンでは《溶鉄の尖峰、ヴァラクート》とずっと一緒に使われていました。 それから時が経ち、土地を7枚並べるという行為がモダンでは遅すぎるがゆえに《風景の変容》は《溶鉄の尖峰、ヴァラクート》と別れ、《精力の護符》と出会いました。《精力の護符》と《風景の変容》は4枚の土地で勝利できるので、それも当然のこと。《風景の変容》はアミュレットに組み込まれ、今猛威を振るっています。 そんな《風景の変容》が再び《溶鉄の尖峰、ヴァラクート》とタッグを組むことになりました。 デッキ自体は古き良きスケープシフトです。6枚の《山》と《溶鉄の尖峰、ヴァラクート》を《風景の変容》でサーチして勝つためには、7枚の土地がまず必要です。普通に土地を置いていくとこのコンボを決めるためには7ターンかかってしまうので、それを大幅に短縮するために、大量の土地サーチが入っています。   《カルニの心臓の探検》は3個のカウンターが乗っていると土地を2枚戦場に出せるエンチャント。上陸でカウンターが乗っていくので、フェッチランドを使えばすぐに土地サーチに移れます。 《風景の変容》は7枚の土地が必要ですが、使うマナは4マナで良いのがミソ。つまり4マナある状態で《カルニの心臓の探検》を起動して2枚の土地をタップインし、何らかの手段でもう1枚土地を置けば、その時点でコンボが決まるのです。7マナではなく7枚の土地があれば良いので、想像よりもコンボターンは早め。   《イリーシア木立のドライアド》はこのデッキのためのカードです。追加のセットランドに加えて、土地がすべて《山》になるので、フェッチランドも《溶鉄の尖峰、ヴァラクート》もすべて《山》になります。これが何を意味するかというと、《イリーシア木立のドライアド》下では《風景の変容》によって即死させるために必要な土地の枚数が1枚減るのです。 《溶鉄の尖峰、ヴァラクート》の誘発条件は《山》6枚。《溶鉄の尖峰、ヴァラクート》自身が《山》なら5枚の土地と《溶鉄の尖峰、ヴァラクート》で18点が叩き出せます。 更に《風景の変容》を引いていない時でも、《イリーシア木立のドライアド》があり、《溶鉄の尖峰、ヴァラクート》を素引きしていれば、それだけで勝てます。2枚の《溶鉄の尖峰、ヴァラクート》がある状態でフェッチランドを置けば6点、サーチして土地を出して6点。追加セットランドでもう1回フェッチランドを置けば更に12点ですからね。 この《イリーシア木立のドライアド》をサーチできる《緑の太陽の頂点》は大きく、《ドライアドの東屋》をサーチしても良し、《エルフの開墾者》を持ってきて《溶鉄の尖峰、ヴァラクート》を先に置いて《イリーシア木立のドライアド》からの即死の準備もできます。 《風景の変容》自体はメインに3枚しか入っていませんが、それは《願い》が採用されているためです。これにより実質このデッキは《風景の変容》6枚体制となっており、かなり安定して《風景の変容》をキャストすることができます。 更にこの布陣に『久遠の終端』から加わったのが《氷耕しの探検家》。 追加セットランド権と墓地から土地を置ける《世界のるつぼ》能力を内蔵したこのクリーチャー。スケープシフトが考える最強のカードのようなものが本当に登場したのです。追加セットランドの権利がいくつあっても、手札に土地がなければ置くことはできません。それが《イリーシア木立のドライアド》が抱える弱点でしたが、《氷耕しの探検家》ならフェッチランドが1枚墓地に落ちているだけで、土地を置き続けることができます。 この《氷耕しの探検家》も《緑の太陽の頂点》でサーチできますし、このデッキはドロースペルこそ入っていませんが、かなり安定した動きが可能です。   《白蘭の幻影》のような土地破壊は効かないので、効果的なのは《血染めの月》《海の先駆け》だけ。しかし、土地をサーチするデッキなので色マナを確保しやすく、それらの月カードを対処するのも難しくありません。 モダンで《溶鉄の尖峰、ヴァラクート》が再び噴火する時が来ました!

BMO直前!チームモダンのデッキ編成について

Modern ピックアップ

2025.08.07

mtg Yuyan

こんにちは。   細川 侑也(@yuyan_mtg)です。   さあ、今週末はビッグマジックさん主催のBig Magic Openがありますね!メインイベントのレガシーと恒例のチームモダンが行われます。   チームモダンは1チーム3人で構成されます。3対3で戦い、2勝したチームの勝利となります。   同名カードを3人の内1人しか使用することができないという構築制限があり、プレイヤーAが《聖なる鋳造所》を使ったらプレイヤーBとCは《聖なる鋳造所》を使用できません。そのため、3人全員がボロスエネルギーを使えません。そのフォーマットで最も強いデッキを全員が選ぶことができないのが、チーム構築の面白いところです。 ということで今回は、現環境におけるモダンで最適解となるデッキの組み合わせをご紹介していきます。   モダンを定義するカードを探せ  「今の環境で最も強いデッキは何か?」その問いに答えるのは、フォーマットに精通していればさほど難しくはないでしょう。   しかし、最も強いカードは何かと聞かれると、簡単には答えられないのではないでしょうか?普段の構築戦では、このフォーマットで最強のカードについて考える機会はさほど多くありません。(新しいデッキを組む際に、最強のカードから構築するという手法はあります)   チーム構築のデッキを組むにあたって大事なのは、強いカードをいかにたくさん使うか、最上位のカードたちを使えるかだと僕は考えています。   そこで今回はモダンの強いカードランキングをご紹介していきます。   1位《火の怒りのタイタン、フレージ》 現モダン環境において最強のカードは何と言っても《火の怒りのタイタン、フレージ》です。 3点ゲイン+除去に加え、《栄光の闘技場》による一撃必殺など、ほぼ《自然の怒りのタイタン、ウーロ》、なんならウーロより強いとまで言われているこの恐ろしいクリーチャー。フェッチランド+諜報ランドが基本となるモダンでは諜報でぽろっと《火の怒りのタイタン、フレージ》が落ちてそのまま勝利なんてこともあります。この《火の怒りのタイタン、フレージ》をめぐって墓地対策を打ちあうほどで、ボロスエネルギーがたくさんの禁止を出してもメタゲームの最前線に居座ることができているのは、《火の怒りのタイタン、フレージ》が禁止にならないからです。   2位《ウルザの物語》 次に強いカードは《ウルザの物語》。 『モダンホライゾン2』から既に4年が経過していますが、それでもまだモダンで最強の一角でもある土地。土地から5/5ぐらいのサイズのトークンが2体出ながらカードをサーチするのはやはりおかしい。デッキによっては《ウルザの物語》だけで負けてしまうこともあるほど。   しかも《ウルザの物語》はルール変更によって強化されました。2章の状態で《血染めの月》などを置かれると、以前は能力を失って墓地に置かれましたが、今は戦場に残り、しかも2章のトークン生成能力を持ったままになります。これにより《ウルザの物語》の価値は上昇しました。   《オパールのモックス》が解禁されたのも《ウルザの物語》によっては追い風です。生成するトークンのサイズはアーティファクトの数に依存するため、《オパールのモックス》を使うアーティファクトデッキとの相性が良いのです。3章のサーチで《オパールのモックス》をサーチすれば《ウルザの物語》分のマナも補填できます。   3位《超能力蛙》/《コジレックの命令》 同率3位は《超能力蛙》と《コジレックの命令》。   いずれも『モダンホライゾン3』のカードたちです。《超能力蛙》はそのあまりの強さにディミーアをモダンのトップメタに押し上げたほどで、先手2ターン目に出てきた時の圧力はピカイチ。エネルギーにはブロッカーとして立ちはだかり、コンボ相手には不要なカードを捨てて速やかなクロックになりつつ、打ち消しを供給してくれます。 どのマッチにおいても活躍するスーパーカードで、《超能力蛙》をよく引くディミーアはトーナメントで優勝する可能性が高いと言われるほど。   そんな悪魔の蛙と肩を並べるのが《コジレックの命令》。 これまでインスタントタイミングのアクションも除去もドローも少なかったエルドラージが、突然そのすべてを手に入れました。墓地対策のオマケもつき、マナコストはなんと破格の2マナ+X。エルドラージは《ウギンの迷宮》《エルドラージの寺院》と、土地1枚から2マナを捻出できるため、速いターンにキャストすることができます。 以上が今のモダンにおけるトップ3(4枚)だと考えています。これらのカードをなるべく多く使用して、デッキを組んでいきましょう。   《火の怒りのタイタン、フレージ》デッキ 《火の怒りのタイタン、フレージ》を使うデッキとしてまず考えられるのはボロスエネルギーです。 モダンの王道にして最強のデッキ。《色めき立つ猛竜》《湧き出る源、ジェガンサ》《一つの指輪》を失ってもまだ強いとは実に恐ろしい。   《オセロットの群れ》は1マナ域ながら単体でゲームに勝利してしまうほどの強さを持つとんでもない猫。《魂の導き手》と組み合わせてライフレースを壊し、ゲームも壊します。かつて最強の1マナ域だった《敏捷なこそ泥、ラガバン》は、もはやこのデッキにおいては2番手3番手です。 妨害されなければ4ターンキルとそこそこ速いアグロでありながら、諜報ランドと《火の怒りのタイタン、フレージ》、そして《歴戦の紅蓮術士》《鏡割りの寓話》で中盤戦も強力と、様々なレンジで戦えるのが魅力的です。   赤白2色のためカードのかぶりも少なく、《火の怒りのタイタン、フレージ》を使うデッキとしてまず考えられるのがボロスエネルギーです。 ドメインズーも《火の怒りのタイタン、フレージ》を使う強力なデッキ。   《ギルドパクトの力線》+《ドラコの末裔》コンボを内蔵するビートダウンデッキで、回った時はボロスエネルギーをも凌ぐ破壊力を誇ります。 《力線の束縛》は万能除去、《頑固な否認》もコンボに対して強力で、ボロスエネルギーよりも対応力が高いデッキです。   5色ゆえにチーム戦に向かないと思われがちですが、入っているショックランドは《血の墓所》《聖なる鋳造所》《蒸気孔》《寺院の庭》なので、意外と他のデッキと共存できます。   ただ、他に青いデッキを入れる場合は《記憶への放逐》が使えないので、その点がネックですね。   《ウルザの物語》デッキ 《ウルザの物語》を使うデッキは比較的コンボが多め。その中でも繁殖鱗コンボは同時に《コジレックの命令》も使用できて、強いカードをたくさん使えてお得です。 《日を浴びる繁殖鱗》と《血の長の刃》による2枚コンボにエルドラージを組み合わせたこのデッキ。《コジレックの命令》はコンボを探しにいくもよし、《日を浴びる繁殖鱗》と《血の長の刃》で無限マナを決めた後のフィニッシャーとしても強く、このデッキのキーパーツです。 コンボ自体は最速3ターンキルで、《のたうつ蛹》《まばゆい肉掻き》によるエルドラージ軍団によるビートダウンもあり、それなりに多角的な攻めが可能。オススメのデッキの1つです。 アミュレットタイタンはモダンの最速コンボの一角。2ターンキルも可能な恐ろしいデッキです。   《ウルザの物語》以外のカードは緑関連のカード(《耐え抜くもの、母聖樹》や《溜め込み屋のアウフ》など)しか使わないため、チーム構築戦において優秀なデッキです。 《精力の護符》を置いて《風景の変容》を打つだけで勝てるようになってしまったアミュレットタイタン。正しくプレイするのが難しいとされているデッキなので、ある程度の練習は必要ですが、一度物にすればしばらくアミュレットだけで飯が食えます。 親和は《ウルザの物語》《オパールのモックス》のペアを同時に使用できるデッキ。イゼットコーリもこの2種を使えますが、爆発力は親和の方が上です。 《河童の砲手》はモダンでもかなり触りづらく、2~3ターン目に出てくればそのままゲームが終わります。《ピナクルの特使》という相性の良いカードも登場し、そろそろ暴れてくれるかもしれませんね。   《超能力蛙》デッキ 超能力蛙デッキの代名詞と言えばディミーアマークタイド。というかこのデッキの主役は《濁浪の執政》ではなく《超能力蛙》な気がするのですが、どうしてデッキ名はディミーアマークタイドなのでしょうか。 青黒らしく大量の打ち消しと除去、そして少量のドローで構築されたデッキで、コンボに対しては特に高い勝率を誇ります。   トップメタであるエネルギー、そして《火の怒りのタイタン、フレージ》こそ苦手なものの、それ以外の弱点はさほどなく、強力なデッキです。 《御霊の復讐》で《偉大なる統一者、アトラクサ》を吊り上げるリアニメイトデッキ、エスパー御霊。《偉大なる統一者、アトラクサ》を墓地に落とす目的で入っている、いわゆる共鳴者枠の《超能力蛙》は、共鳴者としてはあまりに強すぎます。 リアニメイトは墓地対策で簡単に止められてしまいますが、《超能力蛙》+打ち消しか除去のフェアプランでサイド後は戦うことができ、《超能力蛙》はエスパー御霊で最も強いカードなのです。   《御霊の復讐》で釣った《偉大なる統一者、アトラクサ》を明滅させる目的で採用されている《儚い存在》は、《量子の謎かけ屋》が加わったことで対象が広がりました。《儚い存在》のバリューが更に上がったこのリストは中々オススメです。   《コジレックの命令》デッキ 繁殖鱗コンボを除けば《コジレックの命令》を使うのはやはりこのデッキしかありません。   《ウギンの迷宮》《エルドラージの寺院》で2ターン目にX=2で打つこともでき、《衝動のタリスマン》が絡めばX=3で2ターン目にドローとトークン3体を生成。3ターン目にして8マナを確保できます。 その爆発力はコンボデッキも真っ青になるレベルです。   《記憶への放逐》というキラーカードこそ環境に存在していますが、それでもモダンの最上位たちと肩を並べる存在です。   上位カードを使わない強力なデッキ モダンはどのデッキも強く、上位のカードたちを使わない強力なデッキがいくつもあります。 ベルチャーはその中でも随一と言って良いでしょう。カードのかぶりも《記憶への放逐》以外はほぼ心配いりません。チーム戦において大変優秀なデッキですね。 両面土地を並べて《ゴブリンの放火砲》を起動するだけ…と非常に簡単そうに見えるデッキですが、実は難しく、練習が必要です。回った時は相手のカードを打ち消しながら4ターン目に《ゴブリンの放火砲》起動と、最強のデッキに見えます。   《記憶への放逐》を使ってしまうので青いデッキはベルチャーだけになってしまうでしょうが、逆に言えば2人が青くなければ、最後の1人はベルチャーがオススメですね。 《溌剌の牧羊犬、フィリア》《ベイルマークの大主》擁するオルゾフ・エスパーブリンクもまた、上位カードを使わずに組める強いデッキです。   《溌剌の牧羊犬、フィリア》で《ベイルマークの大主》を明滅させてアドバンテージを稼いでいき、《孤独》で盤面に触れたり、《ちらつき鬼火》で妨害したりなど、速度こそさほどありませんが、粘り強く戦って相手を倒すデッキです。 エスパーブリンクは《超能力蛙》か《量子の謎かけ屋》のどちらかが入っているのが最近の流行です。《超能力蛙》も使えば強いカードも使えてちょっとお得ですね。《量子の謎かけ屋》は前述のエスパー御霊でも採用されている《儚い存在》シナジーを仕込めますね。   組み合わせサンプル 最後に、まとめとして構築サンプルをご紹介します!   サンプルA ボロスエネルギーディミーアマークタイドエルドラージ サンプルB ドメインズー繁殖鱗コンボオルゾフブリンク サンプルC ボロスエネルギーエスパー御霊アミュレットタイタン サンプルD ・サンプルDボロスエネルギー繁殖鱗コンボベルチャー サンプルE ボロスエネルギー親和エルドラージ こうして見ると、《火の怒りのタイタン、フレージ》を使うデッキとしてはやはりボロスエネルギーは優秀ですね。《記憶への放逐》を使わなければドメインズーも大体のデッキに組み込むことができます。 《ウルザの物語》はほぼどの組み合わせにも入りますね。使わない選択肢はあまりないでしょう。 青いデッキを他に用意しないのであればベルチャーはかなり良いデッキです!   チーム戦のデッキに迷っている方はぜひ今回の記事を参考にしてみてください!

【週刊メタゲーム通信】イゼット大釜とディミーアミッドレンジが絶好調!忍び寄るのは《ウロボロイド》!?

週刊 Standard ピックアップ

2025.08.06

mtg Yuyan

こんにちは。   細川 侑也(@yuyan_mtg)です。   本日のメタゲーム通信はスタンダード!   『久遠の終端』の加入、そしてローテーションから少し経ち、そろそろ強いデッキが明確になった頃。混沌とした環境初期を経て頭角を現しているデッキたちをご紹介しましょう!   紹介デッキ イゼット大釜 シミックウロボロイド ディミーアミッドレンジ   イゼット大釜  スタンダードチャレンジ : 1位 By Ale_Mtg MTGアリーナ用インポートデータ まずは今スタンダードで最も勝っているデッキ、イゼット大釜。 直近のマジックオンラインのイベントではトップ8に複数入賞は当たり前で、チャンピオンズカップファイナルスペシャル予選でも多くのプレイヤーが突破しているデッキです。   前環境でも一線級だったイゼット大釜は『久遠の終端』でのアップデートこそほとんどないものの、逆にローテーションによって失ったカードが《シヴの浅瀬》だけだったため、ダメージは小さく、他のデッキを圧倒的なパワーでなぎ倒しています。 デッキの勝ち手段は主に2つ。デッキ名にもなっている《アガサの魂の大釜》と《プロフトの映像記憶》です。 《アガサの魂の大釜》で煮込むクリーチャーは《迷える黒魔道士、ビビ》。スペルを唱えて大きくなり、たくさんのマナを出す《迷える黒魔道士、ビビ》ですが、《アガサの魂の大釜》で追放すると、+1/+1カウンターが乗っているクリーチャーたちから大量のマナが出せるようになります。 《略奪するアオザメ》は勝手に成長していくので《アガサの魂の大釜》で乗せなくとも《迷える黒魔道士、ビビ》を追放した瞬間にマナクリーチャーとして運用できるので相性抜群です。 他のクリーチャーは能動的にカウンターは乗りませんが、《プロフトの映像記憶》によってカウンターが乗っていきます。 《アガサの魂の大釜》によって全クリーチャーが《迷える黒魔道士、ビビ》になると、《冬夜の物語》を手札からプレイして墓地から調和で打つなど、デッキが凄まじい勢いで回り始めます。後から出した《略奪するアオザメ》もすぐにルーターでカウンターが乗り、サイズが上がれば《迷える黒魔道士、ビビ》としてマナが出せるので、1ターンでライブラリーを大量に掘りながら全展開していき、最終的には《竜航技師》を出してすべてのクリーチャーに速攻を付けて殴り勝ちます。 このデッキの《プロフトの映像記憶》は強力なエンチャントです。《逸失への恐怖》《光砕く者、テルサ》《冬夜の物語》と大量にドローが採用されているので、毎ターンたくさんのカウンターを乗せて攻撃できます。 《アガサの魂の大釜》によるコンボを墓地対策などで封じられてもあまり効果がないのはこの《プロフトの映像記憶》のおかげで、メインプランである《アガサの魂の大釜》コンボに大きく貢献しつつ、サブプランの《プロフトの映像記憶》ビートダウンも完遂してくれるのです。 このデッキはイゼット大釜ではなくイゼットプロフトと言っても過言ではありません。   《逸失への恐怖》は《プロフトの映像記憶》とコンボになります。昂揚によって追加の戦闘フェイズが発生するので、《プロフトの映像記憶》が1ターンに2回誘発するのです。 他のデッキでは昂揚は切削などで達成するため運要素が大きいですが、イゼット大釜はルーター能力で墓地にカードを落としていくので、ある程度昂揚を意識することができ、思ったより早く昂揚を達成します。そのため《逸失への恐怖》は2マナ2/3で手札を整えるだけでなく、相手にとってかなりプレッシャーのあるカードなのです。   《ヴォルダーレンの興奮探し》のローテ落ちによってデッキが回り始めた後の即死プランは《竜航技師》による速攻付与からの攻撃と、少し弱体化してしまいましたが、大抵の相手には全展開するだけで勝てますし、デッキはほとんど弱体化していません。むしろ、『久遠の終端』によって強化されたかもしれません。 一部のプレイヤーはこのイゼット大釜に《量子の謎かけ屋》を採用しているからです。 イゼット大釜はリソース獲得手段があまりなく、《冬夜の物語》で少しずつ手札を増やしていくしかありませんが、《量子の謎かけ屋》が加わることでリソースが稼ぎやすくなります。しかも《量子の謎かけ屋》はワープで唱えて《冬夜の物語》の調和コストにできるなど、相性抜群。 今後このチューンが流行るかにも注目ですね。     シミックウロボロイド スタンダードチャレンジ : 2位 By djbmppwns MTGアリーナ用インポートデータ 《量子の謎かけ屋》や《コスモグランドの頂点》など『久遠の終端』の神話レアが続々活躍している中、最近密かに注目されている神話レアがいます。 それが《ウロボロイド》です。 戦闘開始時に《ウロボロイド》のパワーに等しい+1/+1カウンターを自軍クリーチャーにばらまくこのワーム。自身にもカウンターが乗るため、毎ターン付与する+1/+1カウンターが増えていくというわけです。   この《ウロボロイド》でクリーチャーを全体強化しながら戦うのがこのデッキ。《ウロボロイド》を活かすために様々な工夫が凝らされています。   《ウロボロイド》は自身のパワー分のカウンターを乗せるので、何かしらの手段で《ウロボロイド》を強化することで、付与するカウンターが一気に増えます。   その手段の1つが《棘を播く者、逆棘のビル》。上陸で《ウロボロイド》にカウンターを置き、《ウロボロイド》がそれを全体にばらまいていくので、一気に盤面が強化されます。 そして『久遠の終端』で登場した《遺伝子変異の成虫》も《ウロボロイド》と相性抜群。上陸で《ウロボロイド》のサイズを3/3にすればカウンター3つをばらまきますし、土地が6つ以上なら《ウロボロイド》が6/6になるので、いきなり全体が+6/+6されるのです。 このように上陸カードを多数採用していることから、《地底のスクーナー船》《名もなき都市の歩哨》《遠眼鏡のセイレーン》で得られる地図の価値は高めです。地図で土地を獲得していくことで、毎ターンしっかり上陸を誘発させられます。逆に言えば、地図を他のデッキよりも上手く使えるということです。 マナ加速の《ラノワールのエルフ》に《遠眼鏡のセイレーン》と貧弱なスタッツのクリーチャーは入っていますが、それらのクリーチャーが《ウロボロイド》で暴力的なサイズになるので、このデッキでは序盤のクリーチャーがそのままフィニッシャーに化けてくれます。《ラノワールのエルフ》が後半でも価値があるのは嬉しいですね。 《ラノワールのエルフ》から《ウロボロイド》による攻撃的な面もあれば、《フラッドピットの溺れさせ》《名もなき都市の歩哨》で守り、更に干渉手段も《洪水の大口へ》《薮打ち》としっかり用意されており、攻守のバランスに優れた良いデッキです。 チャレンジでは最近入賞数が増えており、《ウロボロイド》への注目は高まっています。このデッキを組みたいなら早めに《ウロボロイド》は揃えておいた方が良いかもしれませんね!   ディミーアミッドレンジ スタンダードチャレンジ : 1位 By sokos13 MTGアリーナ用インポートデータ さて、最後に紹介するのは『久遠の終端』とローテーション落ちもどこ吹く風。皆さんすっかりお馴染みのディミーアミッドレンジです。 『ダスクモーン:戦慄の館』で《永劫の好奇心》《悪夢滅ぼし、魁渡》の2種を手に入れて完成されたこのデッキは、その後ささやかなアップデートを繰り返しながら、メタゲームの上位に常に鎮座しています。 相手の盤面を除去や打ち消しでいなすコントロール要素を持ちつつ、クリーチャーで速やかに殴る。それこそがミッドレンジですが、《永劫の好奇心》と《悪夢滅ぼし、魁渡》はまさにそのミッドレンジを体現した2枚です。   いずれのカードも攻撃とリソース確保が一つになっているので、攻撃して引いたカードで相手の妨害を繰り返すだけでゲームに勝つことができます。この2枚が存在する限り、ディミーアミッドレンジは不滅と言っても過言ではありません。   その除去がほぼ効かない《コーリ鋼の短刀》が環境に存在していた時は元気がなかったデッキですが、今やこのディミーアミッドレンジのゲームプランを1枚で覆すカードは存在しません。それならこのディミーアミッドレンジが消える理由はないのです。 そんないつまでも変わらない味を提供してくれる老舗のラーメン屋の雰囲気すらあるディミーアミッドレンジですが、メタゲームに合わせてクリーチャーや除去の選択が変わります。今は2マナ域を《フラッドピットの溺れさせ》《大洞窟のコウモリ》にした、最も基本的なリストが流行です。 赤いデッキ全盛期の時はすべてのデッキに1マナ除去が入っていたレベルだったので、《大洞窟のコウモリ》はただ2マナで相手の手札を見るだけのカードでした。そのため、2マナ域を他のカードに譲っていたのですが、現環境ではまたこの《大洞窟のコウモリ》になっています。 ディミーアミッドレンジがローテーションで失ったのは《切り崩し》《喉首狙い》といずれも除去。1マナ除去として採用されているのは《悲劇の軌跡》です。《遠眼鏡のセイレーン》で出した地図を生け贄にしたり、《悪夢滅ぼし、魁渡》で忍術など、ヴォイドを引き起こす手段はそれなりにあるので、1マナの万能除去になりやすいですね。他の除去を使えばヴォイド状態にできますし、《悲劇の軌跡》は非常に使いやすいカードです。《切り崩し》より強いかもしれませんね。 《喉首狙い》は《保安官を撃て》になりましたが、こちらも影響はさほどありません。無法者を倒せない除去ですが、《迷える黒魔道士、ビビ》や《分派の説教者》など、マスト除去の3マナ域にはしっかり当たります。ミラーマッチの《遠眼鏡のセイレーン》やイゼット大釜の《略奪するアオザメ》が倒せなくて困ることはありそうですが、それぐらいです。 ディミーアミッドレンジが環境からいなくなることは中々想像できません。エンチャントに触れないという弱点があるため、《陰湿な根》のように、地上ダメージが通りづらくてかつエンチャントを活用してくるデッキが台頭すると厳しいですが、今のところはその気配はありません。 スタンダードの大会に出るならディミーアミッドレンジとイゼット大釜)に当たることは想定しなければなりません。勝ちたいならこの2つのデッキとみっちり練習しましょう!

【今週のピックアップデッキ】イゼットアーティファクトラクドスサクリファイス/親和

週刊 ピックアップ

2025.08.01

mtg Yuyan

こんにちは。   細川 侑也(@yuyan_mtg)です。   今週のピックアップデッキでは、ちょっと珍しいデッキを、軽い解説を交えて紹介していきます。   紹介デッキ イゼットアーティファクト ラクドスサクリファイス 親和   イゼットアーティファクト  スタンダードリーグ : 5-0 By Deathnote1999 MTGアリーナ用インポートデータ スタンダードでたびたび話題になるカードと言えば《身代わり合成機》。マナ総量が3以上のアーティファクトが戦場に出るたびに構築物トークンを生み出すという派手なテキストは、スタンダードらしからぬ性能。 《身代わり合成機》の弱点は設置したターンがパスとなってしまうこと。現代のスタンダードにおいて序盤で何もせずフルタップする瞬間を作るのは死に等しく、それゆえに中々活躍できないのが実状でした。   その弱点を克服したのが《団結の最前線》でした。同時に2枚のカードを戦場に出せるので、《身代わり合成機》を出しつつ《危険な罠》で妨害+トークン生成と、《身代わり合成機》の隙を埋めることができるのです。 そんな《身代わり合成機》がまた新たな形でスタンダードに登場しました。   今回のデッキは青赤。なので当然《団結の最前線》を入れることはできませ。それならどうやって《身代わり合成機》を出したターンの隙を埋めるのか?   まずは《ピナクルの特使》。下環境で《オパールのモックス》と共に大暴れするのでは?と言われていたこのカードがなんとスタンダードでも躍動しています。 アーティファクト呪文を唱えるたびに1/1の飛行トークンを生み出す、《練達飛行機械職人、サイ》を彷彿とさせる能力を持つこのカード。《練達飛行機械職人、サイ》はレガシーでも採用されていたほどのカードですが、更に《ピナクルの特使》にはワープ能力がついています。しかもたった1マナ。とりあえず1マナで出しておき、トークンをばらまきつつ、再び唱え直せるのです。 このワープ能力と相性抜群なのが《身代わり合成機》。誘発条件はマナ総量3以上なので、《ピナクルの特使》を1マナでワープしても誘発してくれます。そのため3ターン目に《身代わり合成機》設置、4ターン目に《ピナクルの特使》ワープ+3マナのアーティファクトと動くと、その瞬間にトークン2体+1/1ドローンの場になるのです。他にアーティファクトが何もなくとも4/4×2と1/1飛行の恐ろしい場が完成します。 《身代わり合成機》のトークンのサイズを上げることにも《ピナクルの特使》は貢献しますが、それだけではありません。   アーティファクトの親和を持つ《記録の守護者》もドローントークンを並べることで1マナになり、1マナで《身代わり合成機》を誘発させることができます。 新カードの《大戦用ガンシップ》はアーティファクト分のダメージを与えるカードなので、アーティファクトの数はとても重要。《身代わり合成機》に依存することなくアーティファクトを増やせるため、アーティファクトの数を参照するカードを大量に入れられるようになっているのです。 『久遠の終端』で登場した《氷魔法の秘宝》は非常に便利な潤滑油。この便利な生け贄用のアーティファクトを手に入れたことで《再利用隔室》を4枚採用できるようになりました。そして《再利用隔室》を3ターン目に置いて即起動するために《奇怪な宝石》まで採用されており、徹底的に《身代わり合成機》の隙を埋めようとしています。 除去枠も《チェーンソー》《軍団の成形機械》《大戦用ガンシップ》《爆弾車》とすべてアーティファクトに統一されており、《ピナクルの特使》はもちろん、後半の2枚は《身代わり合成機》も誘発させてくれて、デッキ全体が強力なアーティファクトシナジーで構成されています。 《身代わり合成機》を使い方はぜひこのイゼットアーティファクトをお試しあれ。     ラクドスサクリファイス パイオニアリーグ : 5-0 By Cdnewlon MTGアリーナ用インポートデータ パイオニアのサクリファイスデッキといえば《大釜の使い魔》《魔女のかまど》《波乱の悪魔》を採用したリストが定番で、最近では《清掃人の才能》《全てを喰らうもの、イグラ》で無限コンボが入っているのが主流です。 が、今回紹介するサクリファイスはそれとはまったく別軸のデッキです。   このデッキの主役となるのは《武器製造》。トークンでないアーティファクトが戦場に出るたびに《弾薬》トークンを生み出します。弾薬は戦場を離れると2点のダメージを好きな対象に与えるので、生け贄にする対象としてぴったり。《武器製造》さえ置けば生け贄には全く困らないばかりか、生け贄の際にダメージが入るようになるのです。除去されない《波乱の悪魔》のようなカード、それが《武器製造》です! このラクドスサクリファイスは《武器製造》を攻撃的に使う、バーンのようなデッキ構成となっています。   《上機嫌の解体》は弾薬を壊しつつトークンを生成します。実は並べたトークンをまとめて別のカードに変換できるので、ただのトークン3体ではありません。 《塔の点火》は除去、《命取りの論争》はドローとどちらも弾薬を生け贄にできるカードたち。 アーティファクトの生け贄をコストに2マナ5点の破格のダメージを出す《爆片破》はこのデッキのためのカード。弾薬を生け贄にして7点で一瞬で相手のライフを詰めていきます。 恒久的に弾薬を生け贄にする手段は《鬼流の金床》。弾薬を生け贄にしつつトークンを生成し、しかもライフドレインと、ラクドスサクリファイスを支えるカードです。弾薬と合わせて毎ターン3点を詰めていくため、あっという間にライフはなくなります。 《実験統合機》《発火器具》は1マナで《武器製造》を誘発させる便利なアーティファクト。《実験統合機》は出た時と離れたときにライブラリートップをプレイでき、《発火器具》は墓地に置かれた時にドローできるので、どちらもデッキの潤滑油として非常に優秀です。どちらも生け贄に捧げるだけで効果を発揮するのも素晴らしいですね。 さあ、そしてラクドスアーティファクトの大ボスについても紹介しなければなりませんね。《腐敗口のバイパー》です! パーマネントを生け贄にした分だけ軽くなるので、5枚のカードを生け贄にすれば1マナで出すことができます。弾薬や各種アーティファクト、そして《上機嫌の解体》のトークンを生け贄にすれば1マナ6/6で出すのは容易です。   そしてその能力も中々強烈。戦場に出るか攻撃時に自身にカウンターが乗り、そのカウンターの分だけ、パーマネントの生け贄かディスカードか4点ルーズを強要します。通常この場合は4点ルーズを選択されますが、このデッキはバーンのように相手のライフを詰めていくデッキなので、気軽に相手はライフを払うことはできません。《武器製造》から弾薬をばらまいて高速召喚される《腐敗口のバイパー》はどのデッキにとっても悪夢です。 《武器製造》で気持ち良くなりましょう!!   親和 モダンゴールドリーグ : 5-0 By joaoclaudioms スタンダードでも紹介した《ピナクルの特使》ですが、やはり真価を発揮するのは下環境。とりわけ0マナアーティファクトを大量に使用できるモダンやレガシーで活躍しそうなカードでしたが、やはり期待通りの輝きを見せてくれています。 この親和はこれまでにも存在していたアーキタイプでしたが、今回《ピナクルの特使》が加わったことで、恐ろしい回りができるようになりました。   1ターン目に《ピナクルの特使》ワープ、《オパールのモックス》でトークン生成しつつ、《モックス・アンバー》、《ミシュラのガラクタ》プレイ。これでトークン3体、《オパールのモックス》、《ピナクルの特使》とあるので1マナで《河童の砲手》、更にトークン生成。 1ターン目にして《河童の砲手》と飛行トークン4体という恐ろしい場が完成します。   これまでの親和は気軽にトークンを生成する手段がなく、《河童の砲手》や《思考の監視者》といったアーティファクトを参照して軽くなるカードたちが動き出すのは3ターン目か4ターン目がほとんど。少しスピードは遅いですが、そこから爆発的な展開量で追いつき、そのまま《河童の砲手》でフィニッシュを決めるデッキでした。。 それが《ピナクルの特使》で大きく変わりました。このカードを1ターン目にワープしつつ展開していくと2ターン目には《思考の監視者》《物読み》がキャストでき、《河童の砲手》に繋がります。もちろんドローが続かなくとも《河童の砲手》が2ターン目に出ればただそれだけで勝ててしまうでしょう。 これまでには中々起こらない、《河童の砲手》を出した後に《ウルザの物語》を起動するという、とんでもないスピード展開が可能になったのです。 《河童の砲手》《思考の監視者》を2ターン目に出せるようになったことで、親和が最も苦手としていた《空の怒り》にも強くなりました。《ウルザの物語》と0マナアーティファクトがまとめて2ターン目に流されてしまうため、《空の怒り》はこのデッキにとって天敵。それを躱す手段は、《空の怒り》を打たれる前にマナ総量の大きいクリーチャー、すなわち《河童の砲手》《思考の監視者》を展開することだったのですが、これらのカードを唱えるためにはアーティファクトを大量に出す必要があり、そこに《空の怒り》を打たれてしまうのです。 《空の怒り》を打たれて、キャストできない《河童の砲手》を抱えて負けるというのがよくある負け方でした。 しかし、《ピナクルの特使》があれば相手が《空の怒り》を打たれる前に展開していくことができます。トークンは《空の怒り》で流されてしまいますが、《河童の砲手》は戦場に残りますし、《ピナクルの特使》から《河童の砲手》を出してその後展開できていれば、ドローンによって《河童の砲手》のサイズが上がるので、ほとんど2ターンでゲームが終わります。《河童の砲手》がとても出しやすくなったことで、天敵に対して耐性がついたのです。 《河童の砲手》以外の打点がほとんどなかった弱点も《ピナクルの特使》は克服しています。《ピナクルの特使》を出して《物読み》《思考の監視者》で大量にカードを引き、引いたカードをばらまいているだけで、勝手に飛行トークンが増え、そのまま勝利できます。これはレガシーの8 Castの《練達飛行機械職人、サイ》でも証明されていますね。 1枚のカードで勝ちパターンが大量に増えた親和、モダンで流行になること間違いなし。《ピナクルの特使》、ホンモノです!

『久遠の終端』加入&ローテーションで激変した新スタンダードから3デッキを紹介!

週刊 Standard ピックアップ

2025.07.31

mtg Yuyan

こんにちは。   細川 侑也(@yuyan_mtg)です。   ついに『久遠の終端』が明日8月1日、発売!!   そしてマジックオンライン・MTGアリーナ上では既に『久遠の終端』が実装され、早速新カードたちが活躍しています。   本日は『久遠の終端』の加入、そしてローテーションと大変革の起きた新スタンダード環境からデッキをご紹介していきます!   紹介デッキ オルゾフサクリファイス エスパーピクシー グルール上陸 ローテーションによるマナベース格差 デッキ紹介の前に。   突然ですが、スタンダードのローテーションにおいて最も大きなものと言えばなんでしょうか。   様々なフォーマットで活躍する《偉大なる統一者、アトラクサ》のスタンダード落ち?黒を支えた《黙示録、シェオルドレッド》でしょうか。はたまた万能除去の《喉首狙い》が消えたこと? いえいえ、それよりももっと重要なことがあります。マジックを支える要素である土地。その中でも重要な2色土地のスタンダード落ちです。   1点のダメージを受ける代わりに2色の内の片方を出せるアンタップイン土地、通称ダメランは『団結のドミナリア』『兄弟戦争』収録のため、スタンダードを去りました。 そして通称ファストランドのうち、《黒割れの崖》《銅線の地溝》《闇滑りの岸》《剃刀境の茂み》《金属海の沿岸》も『ファイレクシア:完全なる統一』のためローテーション落ち。 ファストランドは有効色5種、ダメランはすべて落ちてしまったので、マナベースに格差が生まれることとなりました。   この格差に追い打ちをかけるのが『久遠の終端』。最強の2色土地の1つであるショックランドが再録されましたが、その内容は有効色・対抗色が入り混じっています。対抗色は1種類落ちただけなので、ショックランドによってマナベースはトントン。一方、『久遠の終端』に収録されなかった有効色は大打撃です。 具体的には青白、赤黒、緑白です。この3種は一気に2種の土地を失うこととなってしまいました。諜報ランドと境界ランドは以前として使用できますが、諜報ランドは確定タップインで、境界ランドは序盤は片方の色しか出ない可能性が高い土地。いずれもアグロ用というよりは、コントロール用の土地です。 速いデッキになりやすい赤黒や、《ラノワールのエルフ》からゲームを始めたい緑白にとっては、序盤に必ずアンタップインできるダメラン・ファストのスタンダード落ち、およびショックランドのない現状はかなり痛いでしょう。 2色のマナベースについてまとめてみました。1種落ちて1種入った±0は○、2種落ちて1種加入および1種落ちの-1なら△、2種落ちの-2は×です。   赤白○白黒○青緑○緑黒△青黒△赤緑△青赤△白緑×赤黒×青白×   とこのようになっています。これからデッキを組む際の参考になるかもしれません。   オルゾフサクリファイス  スタンダードリーグ : 5-0 By RCMerriam MTGアリーナ用インポートデータ 最初に紹介するのは、ローテーションによってマナベースが強化された白黒(オルゾフ)カラーのデッキ。   白黒は《コイロスの洞窟》を失って《神無き祭殿》を得ました。境界ランドは土地タイプを参照して色マナを生み出すため、《神無き祭殿》はただただプラスです。 サクリファイス。自身のクリーチャーを生け贄に捧げることで様々な恩恵をもたらすデッキにつけられた相称ですが、現代のサクリファイスは《威名のソルジャー、セフィロス》なしでは語れません。 クリーチャーが死ぬたびに1点ドレインと《血の芸術家》能力を持ち、それが1ターンで4回誘発したら変身し、その能力の紋章を獲得。唯一無二の能力を持つのが《威名のソルジャー、セフィロス》。このデッキはもちろん、《威名のソルジャー、セフィロス》の紋章獲得を目指しています。   クリーチャーを生け贄に捧げるとどんどん戦場は寂しくなってしまうものなのですが、このデッキに入っているクリーチャーたちは死亡時にクリーチャーを産み落とす、1枚で2度美味しいものばかり。   《寄生の賢者》《入れ子ボット》《鎖破りの鼠》はすべて死亡時に1/1のトークンを生成してくれるクリーチャーで、どれも1マナ域。クリーチャーの生け贄には困りません。 《見捨てられた鉱夫》は死亡時にトークンこそ生み出しませんが、代わりに戦場に戻る能力を持っています。《威名のソルジャー、セフィロス》などのドレイン能力は対戦相手1人を対象としているため、これは悪事になります。悪事によって戦場に戻る《見捨てられた鉱夫》との相性はぴったりなのです。 生け贄に捧げる手段とマナさえあれば《見捨てられた鉱夫》1枚で《威名のソルジャー、セフィロス》を変身させられます。《見捨てられた鉱夫》が死亡し、《威名のソルジャー、セフィロス》が誘発。ここで悪事を働くため、今生け贄にした《見捨てられた鉱夫》が墓地で誘発し、マナを支払うことで戦場に戻せるのです。 《うなる大殺犬》は他の4種と違い生け贄には寄与してくれませんが、代わりに諜報で墓地を肥やしたり、ドローの質を上げてくれます。墓地を溜めることが重要なこのデッキでは欠かせない1枚です。 さて、肝心なのが生け贄にする手段です。サクリファイスが台頭する時はこの生け贄手段、通称サクり台が強い時と相場が決まっています。元祖サクリファイスは《ファルケンラスの貴種》《カルテルの貴種》でしたからね。 このデッキのサクり台は《バルトロメ・デル・プレシディオ》と新カードである《影の帯の盲信者》です! 《バルトロメ・デル・プレシディオ》はシンプルで強力なサクり台。クリーチャーかアーティファクトを生け贄にすると自身の上に+1/+1カウンターが乗ります。名カード《ナントゥーコの鞘虫》と比べても遜色ない立派なサクり台です。伝説でなければ4枚間違いなく入りましたね。   そして『久遠の終端』から加わったのが《影の帯の盲信者》。こちらは自身が強化されることはありませんが、生け贄で諜報を行えます。《うなる大殺犬》もそうですが、墓地を肥やす意味のあるこのデッキにとって諜報は大きく、サクり台が持つ能力としてはあまりに十分。伝説でないため4枚採用できるのが素晴らしいです。 なぜ墓地を肥やす必要があるのか?その答えが《過去立たせ》です。 墓地からマナ総量が2以下のクリーチャー・カードをまとめて戻す子のソーサリー。《うなる大殺犬》《影の帯の盲信者》で2マナ以下のクリーチャーをたっぷりと落とせば、《過去立たせ》を打つだけでゲームに勝てる可能性があります。   《復讐に燃えた血術師》が4枚採用されているのは《過去立たせ》が理由です。《威名のソルジャー、セフィロス》は残念ながら3マナなので《過去立たせ》から戻すことができません。更地の盤面からワンショットキルするには、《復讐に燃えた血術師》が必要なのです。 新セットでしっかり強化されたオルゾフサクリファイス、ぜひお試しください!     エスパーピクシー スタンダードリーグ : 5-0 By DB_claudioh MTGアリーナ用インポートデータ 戦場に出た時に能力が誘発する《逃げ場なし》《嵐追いの才能》を《養育するピクシー》《陽光真珠の麒麟》などで再利用してアドバンテージを獲得する、いわゆるセルフバウンス系デッキ。 《コーリ鋼の短刀》が登場する前のスタンダードでは環境を席巻し、エスパーカラーにとどまらず、ディミーアでもこのセルフバウンスシステムを採用したり、エスパーの中でも様々な型ができるほどになっていました。 そんなエスパーピクシーは天敵の《コーリ鋼の短刀》によって激減し、最終的にはキーカードである《望み無き悪夢》《この町は狭すぎる》が禁止され、環境から去った……。   と思われていたのですが、新環境で見事に復活を遂げました!   デッキのメインコンセプトは変わりません。各種バウンスクリーチャーたちで《嵐追いの才能》をバウンスしてビートダウンしたり、除去を回収してクリーチャーを死滅させてコントロールしていきます。 ここに『久遠の終端』のカードが加わり、攻守ともに大幅な強化を受けました。   まずは守。《悲劇の軌跡》です。 普通に使えば-2/-2と《死の重み》相当ですが、ヴォイド状態だと-10/-10と、破格の1マナ確定除去。ヴォイドさえ満たせれば非常に強力なカードです。   そしてこのヴォイドを容易に達成できるのがエスパーピクシー。ヴォイドの達成条件は、土地以外のパーマネントが戦場を離れているか、カードがワープされていれば良いので、自分のパーマネントを手札に戻すだけで達成できるのです。《養育するピクシー》で何かを拐取しながら《悲劇の軌跡》というアクションが取れます。 1マナでここまで確実な除去はこれまでのエスパーピクシーにはなく、これはデッキの大きな進化と言えます。たった1マナでほぼすべてのクリーチャーに対処できるようになりました。   そんな軽い確定除去とも相性の良い攻めカードが《コスモグランドの頂点》。1ターンに2回の呪文を唱えるとトークンを2体生成したり、クリーチャーを全体強化するこのカードですが、自身が3マナとそこそこ軽く、4ターン目に《コスモグランドの頂点》から1マナスペルと動けば即座に誘発することができます。 特に強いのは全体強化のモードです。《養育するピクシー》《陽光真珠の麒麟》《孤立への恐怖》ととにかく軽い飛行クロックが大量に入ったデッキなので、《コスモグランドの頂点》によるパンプアップが非常に効果的。《望み無き悪夢》を失ってライフを削るスピードが大幅に遅くなるかと思われましたが、《コスモグランドの頂点》のおかげでその心配はなくなりました。 《コスモグランドの頂点》を活かすために《遠眼鏡のセイレーン》まで採用されており、とにかく飛行を並べて強化して勝とうという意思がリストからも伝わってきます。 《遠眼鏡のセイレーン》から出る地図はヴォイドの誘発にも便利です。《遠眼鏡のセイレーン》《悲劇の軌跡》はエスパーピクシーのみならず、今後の青黒系の定番の組み合わせとなりそうですね。 《コスモグランドの頂点》の強さにとにかく驚かされるデッキで、エスパーピクシーは完全に復権したと言って良いかもしれません。エスパーピクシー愛好家の方にはぜひ試してもらいたいデッキです。   グルール上陸 スタンダードリーグ : 5-0 By ComboMAN MTGアリーナ用インポートデータ 最後に紹介するのは『久遠の終端』ではなく『ファイナルファンタジー』が主役のこちらのデッキ!   ファイナルファンタジー限定構築などで人気の上陸デッキがついにスタンダードでも登場しました。   《サッズのヒナチョコボ》《ティファ・ロックハート》《苔生まれのハイドラ》《棘を播く者、逆棘のビル》と、土地を置くことで強化されていくカードが大量に入ったビートダウンです。単純明快なコンセプトで実に緑らしいデッキですが、回った時はただのビートダウンではなく、まるでコンボのよう。 その爆発力を引き起こしているのが《旅するチョコボ》。ライブラリーの上から土地を置いたり鳥をプレイできるだけでなく、土地を置いたことによる誘発が倍になります。つまり上陸と書いてあるすべての能力が2回誘発するのです。 《サッズのヒナチョコボ》は1回の上陸でカウンターが2個乗るので、《寓話の小道》を置くだけでパワーが4上がりますし、1/2のティファは《寓話の小道》を置いて起動するだけでパワーが16に。仮に既に《ティファ・ロックハート》のパワーが3だったなら、48点のパンチをお見舞いします。 ここ最近で急激に姿を見かけるようになったのが《苔生まれのハイドラ》。上陸するたびにカウンターが倍になっていくので、ほぼ3マナの《ティファ・ロックハート》です。《旅するチョコボ》と並べばすぐに人が死ぬサイズに膨れ上がります。こちらも《ティファ・ロックハート》同様トランプルを持っているので、チャンプブロックは許しません。 そんな《ティファ・ロックハート》《苔生まれのハイドラ》と最高の相性なのが《棘を播く者、逆棘のビル》。このカードがトーナメントで使われていたのを最後に見たのはモダンのナドゥの頃だったかもしれません。あの時は《有翼の叡智、ナドゥ》の誘発のためという少々ふがいない役割でしたが、このグルール上陸では本人も納得の仕事をしてくれます。 自身のパワーを倍にする《ティファ・ロックハート》と《苔生まれのハイドラ》は《棘を播く者、逆棘のビル》で強化すると一瞬で20点を削る兵器と化すのです。 そしてこのデッキで最も大事な上陸を達成する手段として、新カードの《氷耕しの探検家》が加わりました。 セットランド権が1回増えるだけでも強力ですが、なんとこのカードは墓地から土地をプレイすることができます。   この手のセットランドを増やすカードは手札の土地がすぐに枯れてしまうのが残念なのですが、《氷耕しの探検家》はこの弱点を克服しているのです。《寓話の小道》《脱出トンネル》《広漠なる変幻地》《進化する未開地》はすべて自身を生け贄に土地をサーチするカードなので、セットランドするたびに墓地に落とすことができます。これらの土地のいずれかが1枚墓地にあるだけで、毎ターンの2回のセットランドが確約されるのです。 更にオマケとしてついている上陸時の諜報能力は、《寓話の小道》などを落とす手段でありながら、《世界魂の憤怒》とも噛み合います。 墓地の土地を戦場に戻しながらダメージを与える《世界魂の憤怒》は、上記の生け贄にする土地と一緒に使うだけで噛み合いますが、《氷耕しの探検家》による墓地肥やしによって、更にバリューが上がっています。上陸クリーチャーたちを並べて《世界魂の憤怒》をX=5ほどでプレイして一撃必殺ということもしばしば発生します。   コンセプトは単純な上陸デッキながら、様々な攻め方があるのが魅力のグルール上陸です!

へいかの選ぶ『久遠の終焉』各色トップ3!

ピックアップ

2025.07.25

Akira Kobayashi

 こんにちは! 「へいか」こと小林 輝(@enzyutuheika)です。  8月1日に販売される最新セット『久遠の終焉』の全カードが公開されましたね。  新しいカードがどんどん出てくるという意味では嬉しい悲鳴ではあるのですが、「え、もう!?」という気持ちもあります。スパンがあまりにも早すぎる……!  今回はなんとこれまでになかったスペースSFもの!  宇宙船や惑星といったタイプのカードもあり、ワクワクさせられますね。  他のフォーマットに触れつつもスタンダード目線を中心に、恒例となる各色トップ3を上げていこうと思います!   目次 白 青 黒 赤 緑 マルチカラー 無色 土地     白 3位:《縫い目破り》  な、なんとエンチャント版《ポータブル・ホール》です!  ダンジョンズ&ドラゴンズのカードであるため再録が難しいと思われていた《ポータブル・ホール》でしたが、SFものなので再録できるのでは……? 個人的に考えていました。  その矢先にこれですよ!! 驚きの一言です。  白の代表的な1マナ除去であった《軍備放棄》がスタンダード落ちするのもあり、能動的な除去としてこれが来るのは嬉しいの一言ですね。  エンチャントなのも最も使うであろう赤に対してアーティファクト破壊系統で割られる心配がなくなり、高ポイントです。  パイオニアでも採用実績が豊富な除去ですし、これも今後スタンダードにおける白の1マナ除去の定番となることでしょう。   2位:《喜びあふれる太陽生まれ》  新メカニズムワープを持つ天使が2位となりました。  この新メカニズムであるワープはワープ・コストで唱えると場に出て、ターン終了時には追放領域に行きます。  次のターン以降に追放領域から唱えられるという調整版出来事のようなイメージですね。  いずれもETB能力を持っていたり、あるいはこの天使のように常在能力を持ったりという効果が多いです。  重いマナ総量のカードを軽いワープ・コストで唱えられるため、《豆の木をのぼれ》が禁止された大きな理由に見えますね。  さて、この天使は《嵐の討伐者、エルズペス》の常在能力と同じように二倍のトークンを出せるようになります。  これまでこういったカードは4マナ以上だったりと重く、なかなか使いづらい面がありました。  しかしこのカードはなんとワープによって2マナで出せるのです!  まず思い浮かぶのはやはり白単トークン。  《ミストムーアの大主》に繋げると2/1飛行が四体になりますし、《世話人の才能》のレベル2に繋げてもよし。  何よりも本体も5マナで4/5飛行絆魂とほどよいスペックをしています。  また、《三歩先》のコピーモードでこれをコピーすると二体出ます!!  白単にする理由だった《軍備放棄》が無くなった今、青白トークンに進化を遂げる時なのかもしれませんね。   1位:《ピナクルの星檻》  白の1位はこちら、《一時的封鎖》がスタンダード落ちしたかと思いきや後釜が出てきました。  こちらは8マナもかかるとはいえ、終盤以降の捲り札として機能するのがかなりいいポイントですね。  また2マナ以下のパーマネントであれば全て追放してしまえる《一時的封鎖》とは異なり、クリーチャーとアーティファクトのみという制約が課せられています。  しかしながら、この制約も実は…………  そう、エンチャントである《縫い目破り》と両立します! 《ポータブル・ホール》と《一時的封鎖》の組み合わせは《ポータブル・ホール》で追放したのに《一時的封鎖》で戻してしまうという矛盾を抱えており、血の涙を流しながらどちらかを選択しなければなりませんでした。 しかし……今は違うのです! 両方使えてしまうのです!!  エンチャントも追放したいというケースはあまりありませんし、《一時的封鎖》よりも使われる可能性大と言えます。 この優秀な二種の除去を得てしまったアゾリウスコントロール、ありがたく使わせていただきます(《悪夢滅ぼし、魁渡》から目を背けながら)     青 3位《月明かりの瞑想》  すごい悪さしそうなカード。  ETB能力を持つクリーチャーにつけてもいいのですが、やはり除去されづらいアーティファクトを増やしたいところ。  自分でトークンを生み出せる《コーリ鋼の短刀》につけて遊びたかったのですが、禁止されてしまったのが残念……  まず思い浮かぶのはやはり《身代わり合成機》との組み合わせですね。  後は《忍耐の記念碑》あたりも気になります。無料でルーティングするクリーチャーと組み合わせ、宝物トークンを出すモードを選ぶことで《忍耐の記念碑》のコピーがどんどん生成されて行きます。  つけて終わりだと現代スタンダードでは追いつけないので、こうした工夫が必要になりますが面白いカードだと感じますね。  ちなみに《召喚:ナイツオブラウンド》につけて章効果を解決するとなんと本体が3枚コピーで出てきます。そしてそのまま並ぶ9体の騎士たち。オーバーキルにも程がある。  このようにジョニー大歓喜のカードとなっています。EDHでも大いに盛り上がりそうですね。   2位《星原の歌手》  《喜びあふれる太陽生まれ》と同じように2マナのワープコストで戦場に出ることによる誘発型能力が追加で誘発する常在能力持ち。  軽量置物除去との相性がよく、たとえば《逃げ場なし》であれば-3/-3が二回誘発しますし、上記の《縫い目破り》でも2枚追放することができます。  本体も4マナとやや軽いですし、《養育するピクシー》《ロザリアの心、アンブロシア》《陽光真珠の麒麟》と組み合わせたアゾリウスセルフバウンスデッキも考えてみたいところですね。   1位《星間航路の助言》  このカードを見た瞬間、私は天に感謝しました。  2マナで打った場合、土地3枚以下だと《衝動》より弱いカードですが真価はキッカーコストで打った時。  土地4枚でも《記憶の氾濫》ですし、5枚、6枚、7枚と増えていくと《時を越えた探索》になっていきます。  8枚以上になったらもはや未知の領域。土地が伸び切った末に苦しいトップ勝負になった時、これを引いたら嬉しさの余り失神してしまうかもしれません。  何より嬉しいのは先述した通り《衝動》以下とはいえ、2マナで打つ選択肢がある点です。  序盤に引けば2マナで土地や除去を引き込むために。  中盤に引けばキッカーコストで有効牌2枚を探すために。  終盤に引けばとんでもない枚数を掘り、フィニッシャーを出すために。  例えば土地7枚で《審判の日》を引けないと負ける!という盤面でも2マナで打ち、上から7枚を見て《審判の日》1枚を引き込んでそのまま打つ……など、非常に器用に使える一枚だと思います。  上記のように各々のシチュエーションで強く使えるのが素晴らしい点です。  《縫い目破り》、《ピナクルの星檻》と来てこの《星間航路の助言》。きっとアゾリウスコントロールが好きな人が作ってくれたのでしょう。  私はこれから毎日感謝の祈りを捧げようと思います。本当にありがとうございます。   黒 3位《スーパーヴォイド、ソセラ》  これで《墓穴までの契約》というカードを初めて知りました。  片方のクリーチャーがいなくなった後はこれを生贄に捧げることになりますが、その際に相手が追放したクリーチャーに+2/+2を乗せつつ自分のコントロール下で出すオマケがついています。  当然ながら生け贄シナジーとの相性は凄まじく、例えば今回の新しい生け贄除去である《忘却の受容》を唱えると生け贄コストでまず1体追放させ、その後に《忘却の受容》によって1体破壊することができます。  4マナエンチャントと重めですが、後述する《影の帯の盲信者》といった無料のサクリ台があれば完璧です。  ほぼ相手の盤面を一掃しつつ、+2/+2に乗せた状態で相手の盤面にいた好きなクリーチャーを出せるという一方的な盤面になります。   2位《エレジーの見習い》  《ヨーグモスの法務官、ギックス》のように戦闘ダメージを与える事でドローをする能力を持ちます。  《永劫の好奇心》《ヨーグモスの法務官、ギックス》とは異なり「1体以上のクリーチャー」なので1枚までしか引けませんが、こういった効果が強力なのはこの二枚が証明しています。  4/4/4絆魂と頼もしいスタッツも嬉しく、ヴォイドも2/2を生み出す効果と強力の一言。宝物トークンを生贄に捧げて出すことでそのまま終了ステップに2/2が出るため、実質4マナで4/4+2/2になる可能性があると考えると強そうです。  またヴォイドは相手のパーマネントが戦場を離れても誘発するため、除去を行うことで2/2を出せるのも高評価点です。  アグロに対する壁役やフィニッシャーとして十二分の働きをしてくれることでしょう。   1位《影の帯の盲信者》  とんでもないカードが来ました。  無料でクリーチャーを生贄に捧げられるだけでなく、諜報1のデッキトップ操作までこなします。  これに加えてなんとアーティファクトも生贄可能!! さらにさらに、本体も2/3/2と素晴らしいスタッツをしています。正直2/1/1でも席はあるでしょうに。  様々なフォーマットで見かける可能性のある一枚。正直これがレアでも驚きませんでしたが、アンコモンなのは嬉しいですね。  スタンダードではやはり《威名のソルジャー、セフィロス》との組み合わせが要注目。  もともとオルゾフサクリファイスはローテーション落ちするカードが《神無き祭殿》でカバー可能な《コイロスの洞窟》やほぼ同型再録される《滅殺の眼差し》ぐらいで、他は現役です。  新メカニズムであるヴォイドとの相性も非常に良いため、まずオルゾフサクリファイスを試す方は多い事でしょう。  今のうちにオルゾフサクリファイスのパーツを抑えてしまいましょう!   赤 3位《惑星契りの威嚇屋》  このカードを見た時、まず「?」が思い浮かびました。  相手にとって都合のいい方を選べる選択権があるとはいえ、2/4/3か2/2/1+着陸船・トークン2つはさすがにやりすぎでは?  着陸船トークンの方を選ばれたとしても実質「インスタントタイミングで起動できる《不屈の自然》のアーティファクト・トークンを2つ出す2/1」ですからね。  特殊な方向性から既存のデッキに入るイメージがしづらく、新しいデッキでの採用になるとは思いますが、単体のスペックとしてはどれも一級品。  土地を伸ばしたいデッキでも2マナで4/3のスタッツは頼もしい壁役になってくれるでしょう。   2位《絶望的猛攻》  アーティファクトやクリーチャーをコピーしつつ、速攻も付与させるコピーカード。  Xの数が多くなるほどコピーする枚数も増え、5マナで2枚コピーはなかなかですね。  《喜びあふれる太陽生まれ》にX=2で打つと倍の4体出ることになり、4×4で16点の絆魂・飛行パンチになります。  《逸失の恐怖》を2体出して3回の追加の戦闘フェイズというのも面白いですね。警戒持ちがいたら一瞬でゲームが終わりそうです。  コピーして速攻も付与する類似カードとしてサンダージャンクションの《溶鉄の複製》がありますが、こちらは複数のコピーが出てくるという差別点があります。  下環境でも赤単プリズンで《パイロゴイフ》にX=2で打ったら一瞬で勝ちそうですし、なかなか将来性があって楽しみな一枚ですね。   1位《武器製造》  赤の1位はこちら! トークンでないアーティファクトが場に出ると「弾薬」という名のアーティファクトトークンを出す物騒な一枚です。  戦場を離れた時でも誘発するのがミソで、例えば下環境になりますが《ハーキルの召還術》で「弾薬」をバウンスしても2点を与えつつ、《オパールのモックス》といったアーティファクトを回収して出し直すことができます。  スタンダードでは軽量アーティファクトが少ないので扱いが難しいのですが、先述した《影の帯の盲信者》はアーティファクトも生贄に捧げられるので《不気味なガラクタ》などと組み合わせたアーティファクトサクリファイスデッキも考えてみたいところですね。  どちらかというと下環境で目立ちそうなカード。どんな新しいデッキが出来るのかワクワクしますね。   緑 3位《溶かし歩きの消散》  1マナのオーラで+0/+2修正に加えてなんと格闘!  これまでの格闘するオーラだと2マナの《戦茨の恩恵》ですが、これの完全上位互換です。しかも2体以上のクリーチャーにはブロックされないというオマケもついています。  パイオニアの呪禁オーラの選択肢の一つとしてはもちろん、スタンダードでもオーラデッキに期待したいところですが優秀なオーラである《無鉄砲》のローテーション落ちが非常に痛い。  それでも《天上の鎧》《破片魔道士の救出》《幽霊による庇護》などの優秀なオーラ、名誉オーラである《王のもてなし》もありますから、今後呪禁や護法を持つ軽量クリーチャーが出てきたらオーラデッキが成立するかもしれません。  そういう意味でも期待したい一枚ですね。   2位《終端探査機》  1/2/2到達という素晴らしいスペックに加え、死亡時にはお互いに着陸船・トークンを出すクリーチャー。  序盤の壁役とマナ加速手段を兼ねるため、アグロよりもランプ系統デッキでの採用がされそうな印象を受けます。  到達によってディミーアミッドレンジの飛行クリーチャーに対して睨めるのも小さくない利点。  メリットとデメリットのバランスがよく、かなりいいカードに見えます。使ってあげたいですね。   1位《惑星共生》  1位はこちら! 1個以上の+1/+1を置くたび、その個数に等しい枚数をドローできます。  《亭主の才能》との相性がよいのはもちろんですが、《金脈のハイドラ》といったXの分だけ+1/+1カウンターが置かれた状態で戦場に出るクリーチャーとも相性がすばらしくよいです。  相手のターンでも誘発するため、《蛇皮のヴェール》との相性も◎。  長らく不遇が続いている緑ですが、《棘を播く者、逆棘のビル》といった+1/+1カウンターを載せるカード群をまとめた新しいデッキが出てくることを期待したいですね。   マルチカラー 3位《コスモゴイフ》  ルアゴイフが宇宙進出! 追放領域にあるカードの枚数だけ強くなります。 墓地を利用するデッキは《安らかなる眠り》などの墓地対策に常に悩まされてきました。  しかし、その墓地対策を逆手に取るのがこの《コスモゴイフ》。墓地を肥やすデッキで墓地対策が効かないサブプランとしての起用が考えられますね。  他に《死人に口無し》《緊急の検死》といった任意の数だけ墓地を追放できる証拠収集との相性が非常によいのも見逃せない点です。  パイオニアでは探査コストによる能動的な追放ができるので、より強く使えそうです。   2位《サンスターの模範、ヴォンダム卿》  2/2/2で警戒威迫に加え、自分がコントロールしているクリーチャーが死亡するか追放領域に置かれるたびに+1/+1カウンターを載せつつライフゲインもするすごい一枚です。  さらにこれがパワー4以上で死亡もしくは追放された時、土地でないパーマネントを破壊するというオマケにしては強烈な効果も持ち合わせています。  応召によって能動的に2枚死亡させられる《勝利の楽士》との相性が素晴らしいですね。  カラー的にも性能的にもオルゾフサクリファイスとも非常にマッチします。《影の帯の盲信者》との組み合わせもあり、かなり期待できる一枚です!   1位《ピナクルの特使》  マルチカラーの1位は「やはりか」と予想していた方も多いと思います。  通常であれば3マナかつアーティファクト呪文を唱えるたびに1/1飛行のアーティファクトトークンを出すという点では《練達飛行機械職人、サイ》と似たクリーチャーなのですが……  なんとワープコストによって1マナで唱えることができます。えっ? しかも本体もアーティファクト・クリーチャーです。えっ??  これの何が恐ろしいかというと、下環境での話になりますが1ターン目にこれをワープコストで唱えつつ、《オパールのモックス》を唱えるだけでアーティファクトが3枚あることになり、金属術が達成します。  そこから《ミシュラのガラクタ》を唱えるとアーティファクトが5枚になり……《河童の砲手》が出ます。とんでもない。  親和である《物読み》に繋ぐことも可能ですし、これまでの親和になかった「1/1飛行トークンによる横並び」という新たな要素によって大幅に強化されることになります。  アーティファクト・クリーチャーなので重ね引きしても誘発しますし、ワープ・コストで唱えた後も再度唱えることができる点も素晴らしい。  スタンダードでも1マナで《身代わり合成機》を誘発させることができ、相性もぴったりなので今度こそトップメタへと躍り出るかもしれません。  上記の理由から堂々の1位とさせていただきました。  下環境でもどれぐらい暴れるのか見ものですね。 無色  3位《反因果の残留》  なんとスタンにエルドラージが帰ってきました! ワープ・コストで唱えることで実質「4マナで1ドローしつつ、土地の枚数以下であるパーマネントをタップ状態で戦場に出す」というソーサリーになります。  これだけではやや物足りないのも事実ですが、後から6マナで除去されてもアドバンテージと後続を引っ張ってこれる厄介なクリーチャーへと様変わり。  ワープコストで出した時に出てくる7/5を配備や搭乗などで上手く使ってあげるとかなり良さそうです。   2位《かき鳴らす巣槽》  エルドラージに引き続き、なんとスリヴァーまで!!  残念ながら現在のスタンダードにスリヴァーは存在しませんが、モダン以下ではスリヴァーがたくさんいます。  無色アーティファクトで親和(スリヴァー)を持つので、6体並べばなんと0マナで唱える事が出来ます。  またこの手のアーティファクトにしては珍しく伝説も持たたないため、重ね引きするととんでもないことに。  EDHでのスリヴァーデッキでは必須カードになりそうですね。   1位《冷酷な船長、テゼレット》  無色の1位はこちら、非常に貫禄のある姿をしたテゼレット!  性能的にもかなりアーティファクトに特化したもので明らかにした環境を意識したデザインとなっています。主戦場はモダンやレガシー、あるいは《ブラック・ロータス》や各種Mox、《Time Vault》のあるヴィンテージになりそうですね。  常在能力でアーティファクトが出るたびに忠誠カウンターが増える効果はトークンでないという縛りもないため、専用のデッキを組むと瞬く間に奥義まで行きそうな見た目。  先述した《ピナクルの特使》があればアーティファクト・呪文を2回唱えるだけで忠誠度が7までいきます。とんでもない。  +1能力はいかにも《厳かなモノリス》をアンタップしろと言わんばかりのアンタップ能力。ちょうど《厳かなモノリス》から出る3マナなのも追い風ですね。  -3能力もマナ総量が「1以下」であるため、《ウルザの物語》とは異なりXのアーティファクトカードも持ってこれます。  《歩行バリスタ》をサーチして墓地に行かせ、そのまま《アガサの魂の大釜》で煮込んで……なんてことも考えられますね。  《Time Vault》がある時には《通電式キー》を持ってきて無限に繋げたりと、やはりプールが広くなる下環境において無類の強さを誇ります。  -7の奥義能力は永続的にアーティファクトを強化し続ける紋章。長引けば長引くほど、横に並んだり縦に伸びたりとゲームを決める性能なのも嬉しいですね。   土地 3位《ヴォイドの祭壇、ススール・セクンディ》  新しいサブタイプである惑星の土地。配備コストが12と非常に重いものの、乗り切ってしまえば生贄に捧げることでなんとパワーに等しい枚数をドローする凄まじい土地に。  おや……たった2マナでパワー8のクリーチャーがいますね……?  出た当初はかなり騒がれ、結局使われずじまいだったこの《古のもの》ですが、配備というキーワード能力によってとうとう輝く時が来たのかもしれません。  買うなら今のうちですよ!! 2位《隔離された星鍛冶場》  土地枠でなんと2/2のサイズを出す事が出来ます。同じく2/2を出せる土地である《ウルザの工廠》が7マナですから、5マナは時代の流れを感じさせますね。  またアーティファクトの数だけパワーが上がる起動能力もあり、総じてアーティファクトをメインに扱うデッキのバリューランドとしての起用になりそうです。  《沈んだ城塞》と組み合わせて使ってみたい土地ですね。   同率1位ショックランド  これは誰でも異論ないはずです。まさかスタンダードでラヴニカ次元でないショックランドが出るとは……!  これによって境界ランドが大きく強化されたため、間違いなくセットでの運用が主流となります。持っていない色の境界ランドは今のうちに揃えておくとよいでしょう。  ファストランドが残り、かつショックランドがある色の組み合わせとしては白黒、青緑、赤白の三種類。  先述してきたオルゾフサクリファイスはもちろん、マナベースが強固になったボロスカラーも注目したいですね。《軍備放棄》が無くなったのでボロストークンにしてみても面白いかもしれません。   おわりに    以上、私が選ぶ各色トップ3でした。  ローテーションが行われた後の最初のセットなだけあり、環境に与える影響はかなり大きなものになりそうです。  ワープコストは色々な意味で悪さが出来そうなメカニズムなので、下環境への影響も注目していかないといけませんね。  この記事で気になったカードがありましたら是非GOOD GAMEにてご予約ください!  シングルカードの品揃えが非常に豊富ですし、何よりお買い得な値段!オススメです!!

モダンの輝きがパイオニアでも!シミックスケープシフトガイド

Pioneer ピックアップ

2025.07.23

mtg Yuyan

こんにちは。   細川 侑也(@yuyan_mtg)です。 日曜日はパイオニア神挑戦者決定戦に参加していました! 前回のパイオニア神挑戦者決定戦は、準決勝で相手の《無謀な奇襲隊》に《致命的な一押し》を打ってしまい、紛争していなかったので倒せず、返しで《食肉鉤虐殺事件》を持っていたのにライフがなくて《湿った墓》がアンタップインできず負け……と非常に恥ずかしい負け方をしてしまいした。 今回はその雪辱を晴らすべく挑んだのですが、結果は準々決勝で負け!準決勝に辿り着くことすらなく敗北してしまいました。   というわけで今日はパイオニア神で使用したシミックスケープシフトのお話になります。   目次 シミックスケープシフトとは デッキの基本的な動き デッキリストとカード解説 プレイガイド マリガンについて 《風景の変容》のサーチ TIPS サイドボード後の戦い おわりに シミックスケープシフトとは スケープシフト、つまり《風景の変容》を使ったコンボデッキのことです。 《風景の変容》は土地を生け贄にしてライブラリーから、生け贄にした枚数だけ好きな土地をタップ状態で戦場に出すことができます。エクステンデッドやモダンでは《溶鉄の尖峰、ヴァラクート》と6枚の土地をサーチして18点を出すコンボデッキが流行していましたね。 土地が7枚と《風景の変容》があれば勝利できる実質1枚コンボが可能だったモダンと比べて、パイオニアの《風景の変容》は少しマイルドです。《溶鉄の尖峰、ヴァラクート》のように、タップ状態で戦場に出て機能する土地がありませんからね。   しかし、この《風景の変容》で出る土地がアンタップ状態になるのであれば話は別です。   そしてそれを可能としているのが《洞窟探検》と、そして《異邦の詩人》です。これまでパイオニアでは、タップ状態で出る土地がアンタップになるカードは《洞窟探検》しかありませんでしたが、ここに《異邦の詩人》が加わり、8枚体制となったことで、《風景の変容》を使うデッキは実践レベルとなりました。 《異邦の詩人》が入る以前から《風景の変容》を使用するコンボデッキ自体は存在していましたが、ごくまれにマジックオンライン上のチャレンジで入賞していた程度。やはり「同じカードが8枚になればデッキが成立する」という言葉通り、《異邦の詩人》で《風景の変容》は完成したと言えるでしょう。   この8枚体制となったシミックスケープシフトで最初に入賞したのは日本のプレイヤーであるkytk321さん(だと僕は認識しています)で、彼のリストが元となり、今では《空を放浪するもの、ヨーリオン》採用型など、様々な形のシミックスケープシフトがパイオニアでは試されています。 今回僕が参考にしたリストもkytk321さんのものになります。   デッキの基本的な動き   デッキリストの紹介や細かい調整の前に、シミックスケープシフトの基本的なコンボ手順を解説しましょう。   1.《洞窟探検》か《異邦の詩人》を戦場に出す。   2.《風景の変容》を打つ。   3.土地をすべて生け贄に捧げてライブラリーから《睡蓮の原野》《睡蓮の原野》《鏡の池》《カーフェルの港》の4枚をサーチする。この土地から緑マナ3つ、青マナ4つ、無色1つを出して《睡蓮の原野》の能力で生け贄に捧げる。   4.《森の轟き、ルムラ》を唱える。墓地からすべての土地が戦場に戻る。2枚の《睡蓮の原野》含むすべての土地が戦場に戻る。《睡蓮の原野》2枚で《睡蓮の原野》2枚を含む合計4枚の土地を生け贄に捧げる。   5.《森の轟き、ルムラ》を対象に《鏡の池》を起動する。《森の轟き、ルムラ》のコピーが場に出て切削の後に墓地の土地がすべて場に戻る。複数枚の《睡蓮の原野》が戦場に戻ってマナを出して墓地に落ちるので、この時8マナが出て、《鏡の池》の起動が5マナなので、この《森の轟き、ルムラ》コピーのループの過程でどんどんマナが増えていく。   6.墓地に他の《森の轟き、ルムラ》が落ちていれば《カーフェルの港》を起動、もしなければ場の《森の轟き、ルムラ》に《鏡の池》を起動し、ライブラリーを0枚にする。   7.最終的には《森の轟き、ルムラ》のループ中の《睡蓮の原野》の生け贄に《瑞々しいオアシス》を組み込み、相手に無限ダメージ。もしくは《イプヌの細流》でライブラリーアウトにして勝利。 となります。   《洞窟探検》《異邦の詩人》を置いて土地をアンタップ状態で出るようにし、《風景の変容》を打ち、《森の轟き、ルムラ》を出せば勝ちとなります。 ここまでの説明では3枚コンボなので、クリーチャー+《異形化》や宝物+《不屈の独創力》の実質1枚コンボデッキたちに比べて安定感がなさそうに見えますよね。 しかし、このデッキのミソは《風景の変容》と《森の轟き、ルムラ》のいずれかが必要ない場合があるという点です。 《風景の変容》はコンボに必要な《睡蓮の原野》や《カーフェルの港》を場に出し、一時的にマナを増やすためのカードです。 一方の《森の轟き、ルムラ》は墓地に落ちていても《カーフェルの港》で釣ることができるので、手札に持っておく必要はありません。   つまり《洞窟探検》か《異邦の詩人》さえ戦場にあれば、《風景の変容》か《森の轟き、ルムラ》のいずれかを手札に持っているだけでも決まりますし、どちらも手札にない状態でもコンボが決まる可能性があるのです。《洞窟探検》《異邦の詩人》による1枚コンボだと言われたら、かなり強力に聞こえてきませんか? シミックスケープシフトの基本のキがわかってもらえたところで、今回のデッキリストについてご紹介しましょう。   デッキリストとカード解説 《異邦の詩人》 土地がアンタップ状態で戦場に出る素晴らしいプロデューサー。いえ、人間です。   色々テキストが書いていますがこのデッキでは土地がアンタップ状態で戦場に出ること以外は何も書いてありません。   ゲームに勝つためには必須のカードなので、気軽に唱えて除去されるのは損です。《致命的な一押し》で簡単に除去されてしまうので、《異邦の詩人》+《風景の変容》と一気に出して勝つことも。   《洞窟探検》に比べて除去されやすいデメリットはあるものの、《異邦の詩人》にも強い点はあり、それは2ターン目に出して、3ターン目に4マナを出せる点です。お互いに干渉しあわないコンボ戦では《異邦の詩人》は2ターン目に積極的に出せるので、スピード重視のマッチでは重宝します。   《洞窟探検》 このデッキで最も引きたいカードであり、《洞窟探検》が解決したゲームの多くは勝利します。   《異邦の詩人》と違いエンチャントなので触られづらく、土地も伸ばせてドローもついてくるオマケつき。いや、オマケにしては強すぎます。   《洞窟探検》の能力で洞窟を出すと4点ゲインするので、《残響する深淵》をこのために取っておくこともあります。   《森の轟き、ルムラ》 とってもかわいい熊。通常版ではそこまで熊感はないですが、僕の愛するボーダーレス版はめちゃくちゃこっちに向かってくる熊になってます。ちなみに熊は時速50km/hぐらいだそうで、ウサインボルトより速いとのこと。《森の轟き、ルムラ》が向かってきたら逃げられないですね。   戦場に出た時に4枚切削して墓地からすべての土地をタップ状態で戦場に戻します。この能力は切削から戦場に戻るまでが一つの処理となっているので、切削した土地を墓地から追放することはできません。切削が解決したら、土地が場に戻るまでが自動で進みます。   《カーフェルの港》と《森の轟き、ルムラ》で合計8枚の切削が発生するので、とりあえず《洞窟探検》《カーフェルの港》と揃っていて墓地に《森の轟き、ルムラ》が落ちていれば、コンボが決まる場合が多いです。《睡蓮の原野》2枚(うち1枚が《残響する深淵》でも可)が落ちていれば、ループ中に8マナが確定するので、《カーフェルの港》の6マナを差し引いても2マナ浮き、ループ成立です。後は《カーフェルの港》で釣り上げるもう1枚の《森の轟き、ルムラ》があればゲーム終了です。   自身のサイズは土地の枚数に依存するため、一度戦場に出れば凄まじいサイズであると同時に、土地が0枚なら自害することもできます。《カーフェルの港》で《森の轟き、ルムラ》を吊り上げる際にこれを活用することができ、複数枚の《睡蓮の原野》を用いて土地を《カーフェルの港》だけにして、《森の轟き、ルムラ》を《カーフェルの港》で釣り上げ、ループを発生させられます。(実際にはこの8枚の切削で土地が落ちてしまうので、そのまま無限ループにはなりませんが、次の《森の轟き、ルムラ》が落ちればループが始まります)   サイド後は《洞窟探検》《異邦の詩人》に触られた結果、ただデカい《森の轟き、ルムラ》がそのまま殴り勝つこともあります。このデッキの主役です。   《風景の変容》 気付けばモダンで大暴れしているソーサリー。昔は土地が7枚あれば勝ちだったものが今では土地が4枚あれば勝てるようになっており、マジックの進化を感じますね。   《洞窟探検》《異邦の詩人》がある状態で打てば大体の状況で勝てますが、逆に土地がアンタップしない場合はただの土地サーチになります。   とはいえ、好きな土地をサーチできるのでコンボの準備を整えることができ、そのために《風景の変容》を打つ時もしばしばあります。   《迷路庭園》を4枚採用しているので、とりあえず4枚並べて上4枚を諜報できますし、《カーフェルの港》をサーチしておいて次のターンにリアニメイトする準備を整えても良いです。《迷路庭園》で《森の轟き、ルムラ》を落としながら《カーフェルの港》を出すなんて動きも。   《樹上の草食獣》 《風景の変容》《洞窟探検》と一緒にアミュレットタイタンでも採用されていますが、パイオニアでもこのトリオは強力です。   2ターン目に《洞窟探検》を設置できますし、《風景の変容》を打つ際に土地は多ければ多いほど良いので、単純にサーチできる土地の枚数を増やせる《樹上の草食獣》は、マナ加速以上の意味がこのデッキにはあります。《風景の変容》で生け贄にする土地が1枚増えれば《睡蓮の原野》1枚になって3マナ分変わりますし、《迷路庭園》でライブラリーを掘る枚数も増えますからね。   パイオニア環境は速いので序盤のブロッカーとしても頼もしく、コンボスピードも上がるので、かなり勝利に貢献してくれました。この後紹介する《食糧補充》を打つ暇を与えてくれるのも《樹上の草食獣》で、個人的には4枚絶対欲しいカードです。   《食糧補充》 《洞窟探検》《異邦の詩人》が絶対に必要なこのデッキ。しかしこの8枚を求めてマリガンするわけにもいきません。   土地を並べなければなりませんし、《樹上の草食獣》でのマナ加速にも手札を使います。アミュレットタイタンのように《精力の護符》があれば手札は不要というデッキではないのです。   《食糧補充》があればこの8枚がなくとも、マナ加速+《風景の変容》のような初手をキープしやすくなります。明確なキープ基準となり、コンボを安定させてくれる、非常に重要な役割を担っています。   1ターン目に《樹上の草食獣》から2ターン目に《食糧補充》を打った場合でも一応3ターンキルは可能です。3ターン目にセットランド+《洞窟探検》で《睡蓮の原野》をセット、4マナを出して《風景の変容》で残った土地2枚を生け贄にし、《睡蓮の原野》2枚をサーチし、手札から《森の轟き、ルムラ》。《カーフェルの港》があれば疑似ループ(2枚目の《森の轟き、ルムラ》が落ちれば勝ちの状態)がスタートします。   コンボスピードは多少落ちますが、それでもこのように打った次のターンに勝つパターンもあり、状況に応じて様々なカードにアクセスできるのはサイド後には強力です。4枚から動かすことはないでしょう。《樹上の草食獣》との相性も良く、この8枚はデッキに不動となりました。   《蓄え放題》 このデッキ最後のスペル枠は《蓄え放題》。一般的には《自然の律動》や1枚差しのクリーチャーが入っているスロットでしたが、僕はこの《蓄え放題》を激推しします。   好きなパーマネントを拾えるので、このデッキでキーとなる《洞窟探検》《異邦の詩人》《森の轟き、ルムラ》のすべてにアクセスできますし、状況に応じて土地も拾えます。   《森の轟き、ルムラ》を墓地に落としておいてコンボを決めても良いですし、土地を複数枚落として《森の轟き、ルムラ》で釣り上げることもできます。単純にコンボパーツとなる3種にアクセスできるだけでなく、切削にも価値があるので、簡単に言えば超強い《衝動》のようなものなのです。   《森の轟き、ルムラ》《異邦の詩人》にただアクセスするカードよりももっと役割の広いスペルが欲しく、《蓄え放題》を試しましたが、素晴らしい活躍を見せてくれました。   《崩壊する痕跡》 本来なら土地の解説は最小限にとどめるのですが、このデッキの主役は土地!   このカードがMTGアリーナに存在しないせいで、シミックスケープシフトを調整することができませんでした。そのため、パイオニア神挑戦者決定戦では一人回しだけで臨むことになってしまいました。   タップインの代わりに、戦場に出た時に好きな色マナを生み出す無色土地。普通に使えば、使い切りの好きなマナを生み出してくれる無色土地なのですが、土地がアンタップ状態で出てくるこのデッキにおいては話が変わります。   戦場に出た時に好きなマナが出て、本体もアンタップインなので、置いたターンに1マナ増える土地となるのです。これを利用して2ターン目に《異邦の詩人》から3ターン目に《風景の変容》が打てるのです。   《睡蓮の原野》で生け贄にすれば、《森の轟き、ルムラ》で戻ってきた時にも色マナを出してくれるので、その際も使えるマナが増えます。《睡蓮の原野》で生け贄に捧げることが多いカード。   一旦置いた後は無色しか出ないので、《風景の変容》の緑緑を出すために手札で温存しておくことも多いです。   《睡蓮の原野》 説明不要!もうこのカードには何回も助けられてきましたね。僕が一番好きな土地は《睡蓮の原野》かもしれません。『久遠の終端』でついにノンフォイルのボーダーレス《睡蓮の原野》が登場するので、僕は狂喜乱舞しています。   《洞窟探検》《異邦の詩人》でアンタップ状態で《睡蓮の原野》を出せるので、置いたターンに大量のマナを獲得することができ、それを意識すれば思わぬ状況からコンボを開始できます。とりあえず3ターン目に置くのはNG。4ターン目に《睡蓮の原野》がアンタップインすれば《森の轟き、ルムラ》が出ますよ。   場に出た《睡蓮の原野》はすぐ墓地に落ちるのが望ましいので、《睡蓮の原野》の誘発で自身を生け贄にする場合が多いです。墓地にないと《森の轟き、ルムラ》を出した時にマナが増えませんからね。   とはいえ、状況によっては《睡蓮の原野》を場に置いておく場合もあります。その場合は別の《睡蓮の原野》の誘発に巻き込んで一緒に生け贄にしてしまいましょう。   《カーフェルの港》 《森の轟き、ルムラ》を釣るために存在しているカード。タップインかつ青マナしか出ないのでまあ弱いのですが、仕方ないです。《森の轟き、ルムラ》が落ちて《洞窟探検》が場にあって《カーフェルの港》がない。これはあまりにもったいないです。コンボパーツの1枚なので4枚入れておいた方が無難です。   ちなみに墓地から帰ってくるクリーチャーはタップインなのでお気をつけください。僕がこれを知ったのはパイオニア神挑戦者決定戦の後でした。予選ラウンドでは《カーフェルの港》で釣ったクリーチャーをブロッカーに回す展開はなかったので、全く気づきませんでした。MTGアリーナで回せない弊害が出てしまった形です。申し訳ありません。   《植物の聖域》 痛くない・青緑が出る土地ということで《繁殖池》は0枚で《植物の聖域》は4枚です。3ターン目までは《洞窟探検》《異邦の詩人》のキャストに貢献し,、4ターン目に《風景の変容》を打つ時にはそれらのいずれかのカードが戦場に出ているはずなので、アンタップイン。つまりパーフェクトです。   《始まりの町》と比べて黒マナが出せないことがデメリットですが、色マナを出して痛くないのは大きすぎるメリットです。1ターン目に置けば2点ぐらいは喰らってしまいますからね。   それに黒マナは《カーフェルの港》の起動にしか使いません。《カーフェルの港》は《睡蓮の原野》で黒マナを出して起動できますし、《睡蓮の原野》がなければ《崩壊する痕跡》2枚から捻出できます。《始まりの町》を使う必要はないと判断してすべて《植物の聖域》にしました。   《残響する深淵》 墓地の土地をコピーできる便利な洞窟。   前述のように洞窟属性を持っているので、《洞窟探検》から出した時に4点ゲインできます。   墓地の土地になる際はタップインですが、特に何のコピーにもならない時にはただの無色ランドとしてアンタップインできます。使ったことがない人は忘れがちなので注意。   墓地から場に《残響する深淵》が戻ってくる際は、一緒に帰ってくる墓地の土地のコピーとして戦場に出られます。これを利用して《睡蓮の原野》として場に出たり、追加の《カーフェルの港》になるなど、様々な使い方があります。   便利な状況も多い反面、やはり無色マナであるのがネックに感じました。このデッキは《異邦の詩人》の青緑、そして《風景の変容》の緑緑と色マナの要求がそこそこあります。《崩壊する痕跡》は一度置けばタップインですし、《睡蓮の原野》は置くと《風景の変容》の威力が大幅に弱まります。そう考えると意外と色マナがタイトなので、無色マナはなるべく減らしたく、2枚のみの採用としました。   《湧霧の村》 次の呪文が打ち消されなくなる土地。正直この部分はフリー枠で、《天上都市、大田原》でも良いかなと思いました。   アゾリウスコントロールに当たった時に《森の轟き、ルムラ》が墓地から釣れる状況で墓地に落ちていれば、そのまま《湧霧の村》が帰ってきて次のターンにイージーウィンできます。アンタップインする《洞窟探検》《異邦の詩人》を《湧霧の村》で通して勝つケースがあるだろうと考え、1枚入れることにしました。   《鏡の池》 こちらは逆に試してみて次も使いたいと思った1枚。   《カーフェルの港》は《森の轟き、ルムラ》が2枚必要ですが、《鏡の池》なら1枚の《森の轟き、ルムラ》でループを完遂できるのが魅力です。《鏡の池》《森の轟き、ルムラ》ループだけで勝てます。   《カーフェルの港》《森の轟き、ルムラ》だけでもおおむね勝つことはできますが、切削の際に土地が大量に落ちて《森の轟き、ルムラ》が自害できず、かつ2枚目の《森の轟き、ルムラ》が落ちないケースもあります。《鏡の池》なら100%ループです。   一応《食糧補充》《風景の変容》もコピー可能なので、普段使いもできなくはありません。   起動に無色が必要なので、《崩壊する痕跡》から出す無色マナなどは真っ先に使わず、1枚は残すようにしましょう。ループ中に《崩壊する痕跡》を巻き込んで無色を出し続けるのもお忘れなく。   《イプヌの細流》 このデッキのフィニッシャー。切削で相手のライブラリーを0枚にします。   自分に打って《森の轟き、ルムラ》を落として《カーフェルの港》で釣り上げるなど、コンボ中にも使用できるのがポイント。   《瑞々しいオアシス》 フィニッシャーその2。こちらはシンプルイズベストで、無限ダメージ。   2枚とも《イプヌの細流》よりは1枚ずつがオススメ。先ほども言った通り、このデッキの色マナは大事ですからね。   《乾燥地帯のアーチ道》 《風景の変容》は土地をたくさん並べた方が効果が高く、《乾燥地帯のアーチ道》は土地が減ってしまうので、あまり相性が良くないと思っていましたが、《風景の変容》を打った際に持ってくるシチュエーションがそれなりにあるので、抜きませんでした。   《耐え抜くもの、母聖樹》と一緒にサーチして《乾燥地帯のアーチ道》で《耐え抜くもの、母聖樹》を回収することで、相手のエンチャントや土地に触れます。特に《ガイアー岬の療養所》は立っているだけで詰んでしまいますからね。《乾燥地帯のアーチ道》は必要です。   後は《洞窟探検》《異邦の詩人》のない状態で打つ《風景の変容》にも《乾燥地帯のアーチ道》は絡んできます。《カーフェルの港》を次のターンに起動する際、6マナ+《カーフェルの港》の7マナが必要になります。その際に次のターンの起動を場だけで確定させられるように、《乾燥地帯のアーチ道》は持ってきます。   《カーフェルの港》《睡蓮の原野》《乾燥地帯のアーチ道》土地3枚と持ってきて、アンタップインできる青マナを《乾燥地帯のアーチ道》で手札に戻せば、次のターンの起動が確定となります。   手札に他にアンタップインの青マナがあれば《乾燥地帯のアーチ道》を持ってくる必要はありませんが、ギリギリのリソースで戦うことがサイド後は多く、リソースがカツカツな状況で活躍してくれます。   砂漠を戻したら諜報1なので《イプヌの細流》《瑞々しいオアシス》を戻すと諜報できます。   《耐え抜くもの、母聖樹》 非常に強力な土地なので2枚以上入れたかったのですが、スロットの関係で泣く泣く1枚に。2枚目を入れるなら森を1枚にしても良いのですが、《廃墟の地》を考えると基本土地も2枚欲しいので悩ましいところ。   後述の《結束の記念像》を《耐え抜くもの、母聖樹》の2枚目にしても良いと思います。   《結束の記念像》 3マナと自身を生け贄に、ライブラリーの上5枚からクリーチャー・カードを手札に加えることができます。   主な使い方は《森の轟き、ルムラ》へのアクセスです。3マナ+起動で上から5枚を見れるので、他のどの手段よりも《森の轟き、ルムラ》を探すことができます。追加の《カーフェルの港》のようなものですね。   《カーフェルの港》と《結束の記念像》は基本的にはどちらをサーチしてもトータルで見れる枚数は同じなので《結束の記念像》側をサーチするメリットはもちろんないのですが、土地がたくさんある状態で打つ《風景の変容》(こちらは後述)、そして《事件現場の分析者》がデッキに入っている場合は変わります。 《カーフェルの港》で《事件現場の分析者》を見つけても、戦場に出してから更に生け贄のマナが必要になります。しかし、《結束の記念像》であれば《事件現場の分析者》の起動までいけるのです。元々は《事件現場の分析者》が1枚入っていて、その時に相性の良さから試したカードでした。   そのため、現在のリストでは《風景の変容》から持ってくることはほとんどありません。土地が4枚の状況で打つ《風景の変容》でも、《カーフェルの港》と《結束の記念像》どちらもアクセスできる枚数は同じですからね。   現在入っているのは抜き忘れたわけではなく、追加のバリューランドとしてです。   5枚目の諜報土地である《地底の遺体安置所》と悩みましたが、《異邦の詩人》《森の轟き、ルムラ》を求めて起動する場合が多く、普段使いしやすいので、こちらの方が好みでした。やはりマナフラッドはしてしまいますからね。   《事件現場の分析者》が入っているリストなら、《結束の記念像》はかなり強いので入れた方が良いと思います。このリストであれば自由枠です。   《霊気の疾風》 赤アグロ全般に一番良い対策カードはやはり《霊気の疾風》でした。盤面に触りつつ緊急時は打ち消しもできるので安心。《ジャディの横枝》なども試しましたがすべて無意味。《霊気の疾風》で良いです。   《受け継ぎし地の開墾》 《安らかなる眠り》などを置かれそうなマッチでとりあえずサイドインし、置かれなければドローに変えて、置かれたら破壊。《萎れ》ですらかなり強いと感じていたのにそれより強い《帰化》が登場してくれました。   《ティシャーナの潮縛り》 ほぼ自由枠だったので、マッチアップによって劇的な効果を発揮する《ティシャーナの潮縛り》を採用することにしました。   パイオニア神の宇都宮くんはラクドスなどの王道デッキを使う一方、トリッキーなデッキを持ち込むことも多いので、そういったデッキ全般に強い《ティシャーナの潮縛り》はちょうど良いと思い、採用。シミックスケープシフトミラーマッチでは強いですしね。ちなみに宇都宮くんがスケープシフトの可能性も結構あると思っていました。   普段ならこのスロットは《否認》の2枚目などになりそうですが、やはり入れたいカードがさほどないので、《ティシャーナの潮縛り》を少し入れることになりそうです。   《不屈の追跡者》 主にコントロールや手札破壊デッキに対してサイドインする想定です。《安らかなる眠り》を置いてくる白系にもサイドインしたいですね。   土地をたくさん置くので《不屈の追跡者》は大量に手がかりを出せますし、そのままフィニッシャーにもなってくれますね。青緑に《不屈の追跡者》はいつでも相性が良い。   《機械の母、エリシュ・ノーン》 《ティシャーナの潮縛り》と同じく特定の相手に劇的に効くカードです。《カーフェルの港》で釣れますし、手札に来ても《崩壊する痕跡》からキャストできます。   特にミラーでは《天上都市、大田原》以外対処手段がありません。   言うまでもありませんが必須カードでもなんでもない自由枠です。   《否認》 コンボやコントロール相手に。《不屈の追跡者》と一緒に入れることが多いので、インアウトの関係上1枚のみでしたが、ロータスコンボなどコンボ相手には《不屈の追跡者》を入れない場合があるので、2枚目があっても良かったと思っています。   《機械の母、エリシュ・ノーン》《ティシャーナの潮縛り》は自由スロットなのでこの辺りを《否認》に変えましょう。   採用しなかったカード 《タッサの神託者》 マジックオンラインでは持ち時間があるので、《瑞々しいオアシス》《イプヌの細流》では時間がかかりすぎるため、《タッサの神託者》が採用されています。リアルトーナメントでは必要ないと思っています。   ただし。シミックスケープシフトを意識して贈呈でドローさせるカードを相手が採用してくるようになった場合は話が変わります。このデッキは《森の轟き、ルムラ》をループさせるので必ずライブラリーが0枚になってしまい、強制ドロー対策がありません。《ガイアー岬の療養所》で詰んでしまうのもそれが理由です。あちらは途中の《耐え抜くもの、母聖樹》でケアできますが、スペルはケア不可能です。   《タッサの神託者》なら、あらかじめ途中で落ちた時点で出しておき、《鏡の池》を構えておけば、強制ドローにスタックして《タッサの神託者》をコピーして勝利できます。   《復活した精霊信者、ニッサ》 採用するのであれば《自然の律動》とのセットですね。《風景の変容》《森の轟き、ルムラ》で爆発的なマナを生み出せるので、疑似的な《洞窟探検》の機能を果たします。上陸で《森の轟き、ルムラ》が加わるのも便利。 《自然の律動》がないのでサーチできず、それならコンボの際の不純物となる場合もあるこのカードは不要と判断しました。   《事件現場の分析者》 5枚目の《森の轟き、ルムラ》として最後まで採用を悩んでいたカードでしたが、こちらもスロットの問題で解雇。というか4枚目の《蓄え放題》になりました。 《森の轟き、ルムラ》が欲しい状況より《洞窟探検》《異邦の詩人》がない場合の方が圧倒的に多く、そこにアクセスしつつ、《森の轟き、ルムラ》も落ちる《蓄え放題》が他のすべてに優先されました。 《自然の律動》を採用するなら1枚は入れたいです。   《自然の律動》 何度も話題にあがっていたこのカードももちろん最初は採用していました。墓地からも唱えられるため、切削中に落ちてそのまま《森の轟き、ルムラ》に繋がるのも魅力です。   とはいえ、切削で落ちた《自然の律動》で《森の轟き、ルムラ》をサーチするには10マナかかるため、墓地からのキャストは容易ではありません。   《異邦の詩人》を場に出すには4マナかかりますし、パイオニアの速度的にそのアクションは少し弱いと思い、実質追加の《森の轟き、ルムラ》ぐらいしか役割がないと思いました。 それならば《森の轟き、ルムラ》《洞窟探検》《異邦の詩人》にもアクセスできる《蓄え放題》の方が良いと思い、抜くことに。   《中心核の瞥見》 《樹上の草食獣》との選択ですが、3ターン目の4マナより2ターン目の3マナの方が価値が高く、ライフを守る面でも《樹上の草食獣》に軍配が上がります。   《冒険者の宿》 これは入れた方が良かったです。《洞窟探検》《異邦の詩人》なしの《風景の変容》を打ってライフを守る際に使えますし、その後の《森の轟き、ルムラ》で帰ってきて更にゲインをして時間も稼げます。   どこを抜くかはまだ検討中ですが、デッキには入れたいと思いました。   マリガンについて 土地が非常に多いデッキなので生半可な手札をキープするのは禁物です。土地6枚みたいなハンドは平気で来るので感情を無にしてマリガンしてください。 その代わりにスペルは《森の轟き、ルムラ》以外の手札はかなりキープしやすいものが揃っています。《蓄え放題》《樹上の草食獣》土地5でも1マリガン後ならキープできますし、《洞窟探検》は単体でキープ可能です。《洞窟探検》《森の轟き、ルムラ》土地5なら《睡蓮の原野》1枚で4ターン目に《森の轟き、ルムラ》が出てそのまま勝てる可能性があるのでキープ。 おおむねスペル3枚土地4枚の手札は全部キープできるのでキープしましょう。土地5の場合でも《樹上の草食獣》《食糧補充》ならキープ、《樹上の草食獣》《洞窟探検》もキープです。《風景の変容》もキープできますね。《洞窟探検》か《異邦の詩人》を引けば3ターンキルの可能性がありますからね。 ただし《樹上の草食獣》《異邦の詩人》はかなり悩ましい。というかマリガンですね。諜報土地が2枚あればギリギリキープしそうです。 《異邦の詩人》《食糧補充》は文句なくキープで、《異邦の詩人》《洞窟探検》もやはりキープです。《異邦の詩人》《森の轟き、ルムラ》は残念ながらマリガン。《異邦の詩人》《風景の変容》はもちろんキープして4ターンキルを目指しましょう。 《蓄え放題》はキーカードである《森の轟き、ルムラ》を落としつつ《洞窟探検》異邦の詩人》にアクセスできるので、かなりキープしやすいカードです。《樹上の草食獣》《異邦の詩人》《食糧補充》《風景の変容》《洞窟探検》のどれとくっついてもキープ可能です。 フィニッシュ手段の《風景の変容》はなんとオールマイティーカード。《樹上の草食獣》《異邦の詩人》《森の轟き、ルムラ》《蓄え放題》《食糧補充》《洞窟探検》のどれとくっついてもキープ。 このように土地5、スペル2でも大体の組み合わせでキープできてしまいます。土地4、スペル3になればマリガンの組み合わせはほとんどありません。   意外とキープしやすいデッキなので、弱い手札が来たら遠慮なくマリガンしていきましょう。   《風景の変容》のサーチ 土地が4枚の時 《洞窟探検》or《異邦の詩人》の状態で《風景の変容》を打つ時。土地が4枚の状態なら《カーフェルの港》、《迷路庭園》、《崩壊する痕跡》、《睡蓮の原野》が基本の組み合わせです。   これは手札に《森の轟き、ルムラ》がない状態です。《迷路庭園》の諜報+《カーフェルの港》の4枚切削の合計5枚で《森の轟き、ルムラ》が落ちれば勝ちです。 手札に《森の轟き、ルムラ》がある場合は非常に簡単です。この際は《睡蓮の原野》2枚、《鏡の池》、《崩壊する痕跡》でOKです。9マナを出して土地がすべて割れて、その後《森の轟き、ルムラ》が帰ってきて《鏡の池》ループです。 相手が除去を構えている場合は《鏡の池》起動スタックで除去されて詰んでしまうので、その時は《睡蓮の原野》2枚、《カーフェルの港》、《迷路庭園》にしましょう。最初の《森の轟き、ルムラ》の4枚切削+《カーフェルの港》の4枚切削+2回目の《森の轟き、ルムラ》の12切削に《迷路庭園》の諜報2回の14枚に《森の轟き、ルムラ》があれば勝ちですし、12切削で大量の土地が落ちれば《カーフェルの港》が2回起動できるので、切削回数が増え、《森の轟き、ルムラ》チャンスも増えることになります。   最初の《風景の変容》で墓地に無色マナを生み出す土地が落ちていれば、《迷路庭園》の代わりに《鏡の池》をサーチしても良いです。《森の轟き、ルムラ》に《鏡の池》を起動し、スタックで除去されれば《カーフェルの港》でリアニメイトしてそのまま勝利できますからね。マナに余裕があれば可能ですし、大体余裕は出ます。切削で土地が落ちてくれるためです。《鏡の池》の起動には無色マナが必要なので、いつでもこのプレイができるわけではありません。   土地が5枚の時 《森の轟き、ルムラ》がない状態の土地が5枚の《風景の変容》は《睡蓮の原野》《睡蓮の原野》《カーフェルの港》《イプヌの細流》《《乾燥地帯のアーチ道》》がベター。この場合は《イプヌの細流》+《カーフェルの港》で8枚切削+《《乾燥地帯のアーチ道》》の合計9枚切削で《森の轟き、ルムラ》が落ちれば勝ちになります。 《森の轟き、ルムラ》がいる場合は《睡蓮の原野》2枚、《鏡の池》、《崩壊する痕跡》、《カーフェルの港》で確定勝ちです。   土地が6枚の時 《睡蓮の原野》《睡蓮の原野》《乾燥地帯のアーチ道》《イプヌの細流》《カーフェルの港》《迷路庭園》が最も多くライブラリーを掘り進めつつマナを出せます。《乾燥地帯のアーチ道》で《イプヌの細流》を戻して諜報できます。《迷路庭園》の代わりに《乾燥地帯のアーチ道》にすることで無色2マナが出せるので少しお得。掘る枚数は《迷路庭園》2枚でも同じです。 合計で10枚見れます。   土地が7枚の時 先ほどの諜報が1枚増えるだけだと思えば違います。《睡蓮の原野》《睡蓮の原野》《睡蓮の原野》《乾燥地帯のアーチ道》《イプヌの細流》《カーフェルの港》《結束の記念像》の組み合わせです。合計11マナ出るので、《結束の記念像》の起動+《イプヌの細流》起動+《カーフェルの港》起動《乾燥地帯のアーチ道》諜報とすべて行えて、14枚見れます。 この場合、まず《イプヌの細流》で《乾燥地帯のアーチ道》を生け贄して切削。その後《乾燥地帯のアーチ道》で《イプヌの細流》を戻して諜報をし、その後《結束の記念像》を起動。最後に《睡蓮の原野》を先に1枚だけ解決し、残り2つの《睡蓮の原野》の生け贄がスタックに乗っている状態で《カーフェルの港》を起動することになります。   《風景の変容》が複数枚ある場合 《風景の変容》が2枚あると《森の轟き、ルムラ》を探しやすくなります。1回目の《風景の変容》でマナを増やせるので、2枚目の《風景の変容》でカードを探しやすくなります。   土地が4枚の場合でも《崩壊する痕跡》4枚をサーチすることで8マナが出るので、2枚目の《風景の変容》を打った段階で4マナ余った状態になります。 そのため、2枚目の《風景の変容》で《睡蓮の原野》《迷路庭園》《イプヌの細流》《カーフェルの港》と持ってくることで9枚掘り進められます。   ちなみに《睡蓮の原野》をサーチせずに全力で《森の轟き、ルムラ》を落としにかかるのはNGです。なぜなら《睡蓮の原野》がないと、《森の轟き、ルムラ》が墓地に落ちた後にループしない可能性が高いためです。《睡蓮の原野》自身の3マナ+他の生け贄にしたカードが戦場に戻ることで《カーフェルの港》《森の轟き、ルムラ》のループが始まるので、《睡蓮の原野》がない状態でコンボを始めるのは危険なのです。 諜報土地をたくさん持ってきた方が良いように思えるかもしれませんが、《睡蓮の原野》はまず必要です。そもそも《迷路庭園》を3枚持ってくるより《イプヌの細流》《睡蓮の原野》《迷路庭園》を持ってきた方が掘る枚数が圧倒的に多いですしね。 《風景の変容》2枚のパターン以外でも、たとえば《風景の変容》と《蓄え放題》がある場合もあり、その場合は《迷路庭園》2枚ではなく《崩壊する痕跡》2枚をサーチして2マナを増やし、《蓄え放題》で4枚切削した方が2枚分多く掘れます。 最も効率よく《森の轟き、ルムラ》を探す手段を模索しましょう。頑張って探して《森の轟き、ルムラ》を掘り当てた時の快感はすさまじいものがあります。この瞬間を味わいたくてこのデッキを使っていると言っても過言ではありません!   TIPS 《崩壊する痕跡》《睡蓮の原野》でマナ加速 既に説明したように、《洞窟探検》《異邦の詩人》コントロール下で《崩壊する痕跡》は一時的に2マナ土地になります。実質《古えの墳墓》です。 これを活用すれば3ターン目に《風景の変容》が打てたり、5ターン目に《森の轟き、ルムラ》を出せます。《睡蓮の原野》なら4ターン目です。 きちんと手札と相談してこれらの土地を置くか決めましょう。特に《崩壊する痕跡》はとりあえず序盤に置いてしまいがちですが、ギリギリまで粘りましょう。どうせ置いたターンに色マナが出るので、実質アンタップインランドです。《風景の変容》のダブルシンボルが出なくて負けることもありますし、色マナとしても重要です。   《蓄え放題》で拾わない 土地は《森の轟き、ルムラ》で戻ってきますし、《森の轟き、ルムラ》も《カーフェルの港》で場に戻せます。そのため、《蓄え放題》で何も回収しないこともあります。   特に《森の轟き、ルムラ》は墓地に落として《カーフェルの港》で釣れば相手の打ち消し呪文もかいくぐれますし、手札より墓地にある方が強いケースもあります。   手札とよく相談しましょう。   《風景の変容》で気を付けること 《洞窟探検》《異邦の詩人》下で打つ《風景の変容》は勝てることが多いですが、逆にアンタップするカードがなければ《風景の変容》は弱い。何もない状態の《風景の変容》でできることはせいぜい諜報ランドをたくさん持ってきてカードを掘り進めることぐらいです。   そのため、1枚しか《風景の変容》がないなら、ライブラリートップから《異邦の詩人》《洞窟探検》を引き込むのを待っていた方が良いです。   2枚の《風景の変容》がある状態なら1枚は消化しても大丈夫です。その場合は《迷路庭園》4枚で諜報4回だったり、既に墓地に《森の轟き、ルムラ》が落ちているなら《カーフェルの港》《睡蓮の原野》の組み合わせを持ってきておくのも手ですね。諜報2回+《睡蓮の原野》《カーフェルの港》です。   フィニッシャーが全部手札に来た場合 《イプヌの細流》《瑞々しいオアシス》が手札にある状態で《森の轟き、ルムラ》ループを始めた場合、最終的にフィニッシュ手段がなくなる…なんてことはありませんのでご安心ください。   最終的にデッキが全部落ちれば無限マナが発生しているので、《カーフェルの港》で墓地の《樹上の草食獣》を出して手札から《瑞々しいオアシス》《イプヌの細流》を出してコンボが決まります。   《乾燥地帯のアーチ道》で自身を戻す モダンのお帰りランドテクニックですが、《乾燥地帯のアーチ道》で《乾燥地帯のアーチ道》自身を戻す場合があります。たとえばどうしても6マナ目が欲しく、緑マナが場に3枚既にある状態。手札に《樹上の草食獣》がいるとセットランドが2回行えるので、《乾燥地帯のアーチ道》を出して2マナを出して手札に戻し、もう1度《乾燥地帯のアーチ道》を出すことで、3マナを増やせます。   《樹上の草食獣》《乾燥地帯のアーチ道》と手札にあり、他に土地がない場合は、このプレイで合計3マナを増やせます。そこまで頻発するケースではありませんが覚えておきましょう。   サイドボード後の戦い 《蓄え放題》を抜くことが多く、打ち消しがないマッチアップでは《湧霧の村》をサイドアウトします。 速度の必要ないアゾリウスコントロールなど相手には《樹上の草食獣》を抜いて戦います。長期戦では《風景の変容》を使わずとも勝手に《森の轟き、ルムラ》と《カーフェルの港》のコンボが揃うことがあるので、少しサイドアウトします。特にアゾリウスコントロール相手には《風景の変容》のスタックで《洞窟探検》を《失せろ》で割られたり、リスクが大きいですからね。 《異邦の詩人》《森の轟き、ルムラ》《食糧補充》《洞窟探検》には手をかけません。この4種のカードはコアパーツで、他のカードと土地を少し抜くようにすれば、サイドインアウトで迷うことは少ないでしょう。 相手からの対策カードとしては、墓地対策は効果的ではあるものの、《減衰球》が実は効きません。呪文を唱える回数は1回で後は土地の起動だけで完結しますし、《睡蓮の原野》から出るマナが無色でも《崩壊する痕跡》で勝てるためです。 《沈黙》を打たれても《カーフェルの港》と《森の轟き、ルムラ》だけで決まりますし、ロータスとは違った対策が求められます。 おわりに というわけで今回はシミックスケープシフトの紹介記事でした!   MTGアリーナで実装されておらず、まだパイオニア神挑戦者決定戦でしか回せていませんが、それでも強力なデッキだと感じました。特に手札破壊に強く、ロータスコンボよりキルターンが速い時もあるのが魅力ですね。   パミュレット(パイオニア版アミュレット)と呼ばれているように、モダンのアミュレットタイタンと見紛う動きを見せることもあります。アミュレット好きな方にはかなりオススメです! 《風景の変容》は長年活躍しているカードなのでファンも多いはず!お好きな方はぜひ使ってみてください。

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2025.07.22

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こんにちは! ゆうやん(@yuyan_mtg)です。 先日晴れる屋トーナメントセンターで行われたFF限定構築の大会、「神討伐戦」で優勝いたしました。   その後、神(シン)である市川さんとのエキシビジョンマッチでは敗れてしまいましたが、ファイナルファンタジー好きとして、FF限定構築で結果を残すことができたのは非常に嬉しいです。   というわけで本日は、神討伐戦で使用したデッキのお話になります。   目次 FF限定構築とは デッキ構築 スパーキーとの調整 神討伐戦 もし次に大会に出るなら     FF限定構築とは その名の通り、今回のコラボセット『マジック:ザ・ギャザリング――FINAL FANTASY』のカードのみが使用できる特殊フォーマット。 以前まで存在していたブロック構築のようなものですね。   『マジック:ザ・ギャザリング――FINAL FANTASY』に収録されている、スタンダードリーガルのすべてのカードが4枚使用可能となっています。それに加えて《敏捷なこそ泥、ラガバン》《スランの医師、ヨーグモス》などの継承史カードも1枚だけ採用できるという、とてもエキサイティングなルール! 1ターン目にラガバン(ジタン)が出てきて負けたり、おもむろに《稲妻》本体で負けたり、《対抗呪文》でキーカードを打ち消されて負けたりするのです。 しかも継承史カードそのものしか使用できません。つまり、ラガバンをジタンの代わりに使うことはできないのです。ジタンを使いたかったらジタンを用意する必要があります。 そのため戦場には(基本土地を除いて)ファイナルファンタジーのカードしかないという、FFファン垂涎のフォーマットなのです。   FF限定構築は晴れる屋でもラストサン予選が行われたり、週末にはWPN店舗で大会があったりなど、今回の神討伐戦だけで採用された特別なフォーマットではありません。   今後もこの形式の大会はあると思いますし、まだFF限定構築のデッキを持っていない方は、ぜひ組んでみてほしいですね。   デッキ構築 さて、このFF限定構築戦における最大の問題点は練習場所がないことです。   MTGアリーナではこのフォーマットは実装されていません。FF限定構築はあくまで日本独自のフォーマットですからね。   そのため、どんなデッキが強いのかわかりません。僕はデッキを構築する時に、「このカードとこのカードの組み合わせが強そう」「環境的にこのデッキが多いから〇〇(打ち消しや全体除去などが入る)が刺さりそう」などを意識します。今回はどんな相手がいるかわからなかったので、前者で探すことにしました。   そして最初に浮かんできたのが《スピラの罰、『シン』》でした。神(シン)討伐戦ですしね。 というよりは単純に《スピラの罰、『シン』》というカードがあまりにリミテッドで強すぎました。7マナで戦場に出て生き残れば勝ち、対処されても盤面には強力なカードが残ってくれます。   このカードを早いターンで出すランプデッキが強いのではないか?と考えました。   そして《スピラの罰、『シン』》と相性の良いカードが《召喚:リヴァイアサン》。ランプは相手への干渉手段が薄く、どうしてもビートダウンなどに攻められてしまいます。《スピラの罰、『シン』》を出しても相手の場にクリーチャーが3~4体いたらそのまま押し切られてしまう可能性が高いですからね。 そういった横並びデッキに《召喚:リヴァイアサン》はぴったりです。しかも《スピラの罰、『シン』》自身もリヴァイアサンなので《召喚:リヴァイアサン》のバウンスで戻りません!《スピラの罰、『シン』》で墓地から《召喚:リヴァイアサン》を釣って勝つとんでもない動きもできるのです。 これはもう面白そうだと思い、デッキを妄想し始めたのが木曜日の夜。仮組みしたのがこちら。 これより前の最初期型は《町の歓迎者》で墓地を肥やし、《邪悪の再覚醒》で《スピラの罰、『シン』》などを吊り上げるリアニメイト要素が入っていました。しかし「そもそも《町の歓迎者》しか墓地を肥やすカードが入っていないので、釣りたいデカブツが墓地に落ちない」ということに回す前に気付き、泣く泣く《邪悪の再覚醒》を解雇しました。 この仮組みの状態で調整を開始します。その相手は……スパーキーです! スパーキーとの調整 スパーキーとは僕の知り合いの外国人女性…ではありません。MTGアリーナで対戦できる相手、いわゆるbot戦です。使用デッキはランダムで5色の内のどれかの単色デッキ。   1ターン目に1マナ、2ターン目に2マナとテンポよく、ただし能力のほとんどないバニラクリーチャーを展開してくるだけなので、コンボデッキのルートがわからない時などにたまに活用します。   そんなスパーキーが今回の調整相手です。先ほどのデッキを回していく内に、様々な問題が発覚してきました。   1.《簒奪者、アーデン》が弱い 《スピラの罰、『シン』》に続くフィニッシャーとして採用した《簒奪者、アーデン》ですが、まずマナコストが8マナと重く、黒のトリプルシンボルも非常にきつい。   その上、出てきても結局《スピラの罰、『シン』》を出すだけなので、それなら別に《スピラの罰、『シン』》だけで良いと思いました。 更に最悪だったのが《召喚:リヴァイアサン》との相性の悪さです。《簒奪者、アーデン》で《スピラの罰、『シン』》をリアニメイトし、《スピラの罰、『シン』》で攻撃して《召喚:リヴァイアサン》が戦場に出る。一見ブン回りです。しかし、《簒奪者、アーデン》をよく見てください。 そう、このカード、リアニメイトしたクリーチャーをデーモンに変えてしまうのです。追加効果でデーモンになるわけではありません。完全にデーモン化してしまうのです。すると《召喚:リヴァイアサン》によって《スピラの罰、『シン』》が戻り、トークンなので消えてしまい、もちろん《簒奪者、アーデン》自身も戻り、場には《召喚:リヴァイアサン》しか残らないのです。 スパーキー相手にこの状況が発生し、《簒奪者、アーデン》は抜きました。   2.高マナ域が多すぎる 《簒奪者、アーデン》を抜くついでに高マナ域そのものにも手をかけました。マナ加速から4ターン目に《召喚:タイタン》を着地し、そこから更なる展開に繋げていくのですが、それにしてもデッキが重すぎました。 《偉大なる統一者、アトラクサ》や《スピラの罰、『シン』》と揃った時に膨大なアドバンテージを生み出す《ヤ・シュトラ・ルル》も減らし、ランプの代名詞でもある《原始のタイタン》は0枚にしました。 土地を伸ばすカードの役割は言うまでもなく、高マナ域のカードを早いターンに展開するためです。《原始のタイタン》は高マナでありながら土地を伸ばすカードで、あまりデッキと噛み合ってはいません。   《召喚:タイタン》は土地を大量に出せる可能性があり、3章によるイージーウィンもあります。《召喚:リヴァイアサン》はあまりに強すぎるカード。《ヤ・シュトラ・ルル》は最終的に他の強力なカードとシナジーを形成して勝つカードで、これらと比べて《原始のタイタン》は役割がなさすぎました。 というわけで《原始のタイタン》も抜け、高マナ帯は今の形になりました。   3.《造物の学者、ヴェンセール》について 高マナ域を抜いた代わりに《盟友、トルガル》など序盤のマナ加速を増やし、そのついでに《造物の学者、ヴェンセール》を試してみましたが、これが大当たり。メインでは相手の《スピラの罰、『シン』》に対してとにかく干渉できず、しかし除去は単純に重くて弱いため入れたくない。 そこでパーマネントのみならず呪文にも干渉できる《造物の学者、ヴェンセール》を試してみましたが、かなり強かったです。《召喚:リヴァイアサン》で《造物の学者、ヴェンセール》を戻せるので再利用できますし、最終的に《ヤ・シュトラ・ルル》と並んで相手をハメることもできます。 墓地に落ちた《造物の学者、ヴェンセール》を《聖府首都、エデン》で回収し、唱えて《召喚:リヴァイアサン》《ヤ・シュトラ・ルル》で再利用は勝ちパターンの1つになりました。もちろん《帰還した王、ケンリス》でも釣れるので、1枚ではあるものの多くのゲームを決めてくれました。 このデッキは《町の歓迎者》《召喚:タイタン》で切削していき、墓地からカードを回収・《スピラの罰、『シン』》で出すことができます。そのため1枚差しの継承史カードたちを使いやすく、ゲームプランに組み込めるのが魅力です。   神討伐戦 というわけでスパーキーとの10ゲームに渡る調整を終えていざ迎えた神討伐戦。使用デッキはこちら。 初戦からランプミラーとなり、その後は1度赤白の装備品デッキに当たるものの、それ以外はすべてランプ。《スピラの希望、ユウナ》だったり《簒奪者、アーデン》や《スピラの罰、『シン』》など様々な巨大クリーチャーと対峙しました。 この日は《召喚:ナイツオブラウンド》を《スピラの希望、ユウナ》が吊り上げるデッキが多く、《召喚:リヴァイアサン》は大活躍しました。 結果は4勝0敗2分からトップ8で3連勝して優勝!プロデューサーの市川さんとのエキシビジョンマッチの権利を獲得。 晴れる屋様より引用   しかし、市川さんの町ランプには非常に相性が悪いなと、デッキリストを見た瞬間に思いました。 特に厳しいのが《異邦の詩人》。こちらはクリーチャーへの干渉手段が《召喚:リヴァイアサン》しかないのですが、《異邦の詩人》は一度戻してもすぐ展開され、トークンが横並びになります。そして《コヨコヨのUFO?》などが《異邦の詩人》でパンプされてすぐに負ける。非常に負け方に再現性があると感じました。 ランプ相手にはサイド後に打ち消しを大量に入れるプランを用意していましたが、《異邦の詩人》は打ち消しをかいくぐり、2マナで打たれる《世界をめぐる旅》も《中略》《リバイアサンの腹のなか》で消すのは困難。リソースを一気に4枚回復されては、カードを打ち消し続けたところで意味ありません。 総じて今回のスゥルタイシンは町ランプに弱く、もし次にFF限定構築の大会に出るのであれば、他のデッキを使うかなと思います。   ちなみにエキシビジョンマッチで僕がぼろ負けしている姿は配信で見ることができます。こちらよりご覧ください。   試合は本当に面白く、市川さんもすごく気さくで良い方で、ひたすら満喫しました。マジックがとても楽しい真剣勝負ができるゲームであるということが、配信を見ればきっと伝わるはず!   ■もし次に大会に出るなら 今回予想外だったのは、ランプを使用しているプレイヤーの数です。もう6~7割ぐらいの人がランプだったのではないでしょうか。   しかし考えてみれば、《スピラの希望、ユウナ》を使ったリアニメイト要素の強いランプに町ランプ。そして《スピラの罰、『シン』》をベースにしたスゥルタイなど、様々なランプデッキがいる環境ですからね。それも当然のことでした。 それならば打ち消し呪文は非常に強い!《中略》はとりあえず4枚必須で、《対抗呪文》も絶対に入れるべきですね。そして《ドビンの拒否権》も採用圏内です。 そこで考えたデッキがこちら! 打ち消し呪文をメインから大量に入れたデッキが強そうだと思いました。そこで僕が考えたのがアゾリウスコントロールです!これから大会に出ようと思っている方は参考にしてみてください!

スタンダードのちょっと珍しいデッキたちをご紹介!

Standard ピックアップ

2025.07.15

mtg Yuyan

こんにちは。   細川 侑也(@yuyan_mtg)です。   今回はスタンダードの全く新しいデッキを3つご紹介!   紹介デッキ バントチョコボ ボロスピアナラー 5色レジェンズ   バントチョコボ  スタンダードリーグ : 5-0 By Solidsnake408 MTGアリーナ用インポートデータ ファイナルファンタジーの乗り物と言えばチョコボ!その愛くるしい外見も相まってFFのマスコットキャラ的な役割を担い、チョコボの不思議なダンジョンなど、スピンオフのゲームも登場するほどの人気キャラクターです。 そんなチョコボが、スタンダードを走り回っています。   《サッズのヒナチョコボ》はモダンで採用実績があるほどのカード。上陸するたびに強化されていくので、1ターン目に出ればかなりの脅威となります。 ただ、モダンと違い2回の上陸を1枚で達成するフェッチランドはスタンダードには《寓話の小道》しかありません。しかも《寓話の小道》はタップインかつサーチ先が基本土地なので、枚数をあまり入れることも難しい。 それだと《サッズのヒナチョコボ》のサイズは寂しいのでは?と思うかもしれませんが、ご安心ください。《サッズのヒナチョコボ》の相方となるチョコボがいます。   そう、《旅するチョコボ》です。ライブラリーの上から鳥呪文を唱えたり、土地を置くなど、手札の枯れやすいこのデッキではそれだけで嬉しいカードなのですが、土地を置くことにより誘発する能力が倍になるので、《サッズのヒナチョコボ》はセットランドするだけでカウンターが2つ乗り、あっという間にとんでもないサイズに膨れ上がります。 更に《サッズのヒナチョコボ》と相性抜群なのが《マネドリ》。《威厳あるバニコーン》をコピーしたりなどこれまでも採用実績のあったカードですが、このデッキにおいてはテキストすべてが重要です。 何を隠そう《マネドリ》は鳥なのです!《旅するチョコボ》によってライブラリーの上から唱えられます。   そしてその《マネドリ》がコピーするのが《サッズのヒナチョコボ》。1ターン目に《サッズのヒナチョコボ》、2ターン目に《マネドリ》で《サッズのヒナチョコボ》をコピーして上陸して強化していくのがこのデッキ一番のブン回り。しかも《マネドリ》は飛行を持っているので、飛行の《サッズのヒナチョコボ》が爆誕するのです。 もちろん《旅するチョコボ》をコピーすれば、誘発は更に増えるので、《マネドリ》はデッキの様々なカードと相性が良いのです。   《旅するチョコボ》と同じくリソースを稼ぐのが《桃源郷の探求者、チョコ》。鳥が攻撃した時の能力が誘発し、土地を置いたり、カードを手札に加えたりできます。3体の鳥で攻撃した場合は3枚のカードを見て、その中から1枚を手札に加えて、残りが土地なら場に置けます。土地は望む枚数置けるので、3枚とも土地なら3枚すべてを置き、上陸をたくさん誘発させてくれます。 《桃源郷の探求者、チョコ》はチョコボトークンと同じく上陸で+1/+0の修正を受けるので、戦場に出したターンはリソースを供給するのみですが、次のターンにはとんでもないサイズのアタッカーとなります。   《サブクエスト:チョコボ育成》は残念ながら《旅するチョコボ》から唱えることはできませんが、それでもかなりのパワーカード。鳥4体をコントロールしている状態で第一メインフェイズを迎えることで変身します。 条件がそれなりに厳しいだけに変身後は圧巻!まずは変身した時に土地を探し、上陸するたびに自身……ではなく鳥クリーチャーすべてがターン終了時まで+1/+0修正!《旅するチョコボ》がいれば上陸2回になるのでほぼ《踏み荒らし》状態! しかも好きな土地をサーチできるので《立藤村》を引っ張ることも可能です。攻め手がなくなっても《立藤村》から《旅するチョコボ》や《桃源郷の探求者、チョコ》など鳥を呼び出すチョコボたちをライブラリーから探せます。 チョコボデッキ専用の《バッツとボコ》は超優秀な除去カード。2マナ4/3で出た時に相手のクリーチャーを1体破壊と、《ネクラタル》も真っ青な性能。しかも《旅するチョコボ》でライブラリーの上から唱えられます。 チョコボ以外の鳥も、1マナ域の《癒し手の鷹》や、除去をかわす《羽信隊の随員》など、優秀なカード揃い! FFのデッキでスタンダードを戦いたいという方にバントチョコボはオススメです!     ボロスピアナラー スタンダードリーグ : 5-0 By DB_Dykman MTGアリーナ用インポートデータ 追放領域から土地をプレイするか呪文を唱えると1/1の飛行機械を生み出す、ちょっとユニークな能力を持った《復興の領事、ピア・ナラー》。 それを主軸に据えたミッドレンジがこのボロスピアナラーです。   もちろんこのデッキは《復興の領事、ピア・ナラー》を絶えず誘発させることを目指しているため、デッキには追放領域から呪文を唱える手段がたっぷりあります。   《探索するドルイド》は赤いデッキではお馴染みの衝動的ドロー。自身をクリーチャーとして唱えることもでき、スペルを唱えて成長していきます。軽い除去をめくっておいて、クリーチャーで出しながら成長させていく動きは、対アグロでは重要です。ちなみに出来事領域から《探索するドルイド》を唱える際にも《復興の領事、ピア・ナラー》は誘発してくれるので、1枚で3度美味しい。 《放浪する牧場主、ブルース・タール》は初めて見たという方もいらっしゃるかもしれませんね。サンダージャンクションのリミテッドを遊んでいた方は悪夢が蘇るでしょうか。 戦場に出るか攻撃するたびにライブラリートップを追放し、それが土地なら2/2の雄牛が出て、それ以外ならプレイすることができます。《復興の領事、ピア・ナラー》のトークンに繋がるか、2/2の雄牛が出てきます。残念ながら土地がめくれた場合はプレイすることはできません。雄牛は《放浪する牧場主、ブルース・タール》の能力で二段攻撃を持つので強烈な一撃をお見舞いできます。 更に《復興の領事、ピア・ナラー》を活用すべく、《運任せ》も4枚採用!アップキープにライブラリートップを追放して使用できるという、シンプルかつ強力な能力。毎ターンタダで追加のドローができると考えれば破格です。 《復興の領事、ピア・ナラー》はこれまでアグロ系のデッキに採用されていましたが、ボロスピアナラーはコントロール要素の強いデッキです。メインから7枚の単体除去に加えて、《一時的封鎖》《審判の日》と全体除去も採用しています。《復興の領事、ピア・ナラー》でトークンを出す能力ともちろん噛み合いませんが、それでも問題ありません。 《運任せ》も《探索するドルイド》を手札をほとんど減らすことなく《復興の領事、ピア・ナラー》を誘発できるカードだからです。時には《復興の領事、ピア・ナラー》を防御的に使うこともあるでしょう。出るトークンで攻め手をさばきながら、全体除去を探しにいく。そんな展開もありそうです。 《復興の領事、ピア・ナラー》《探索するドルイド》《運任せ》の並びが非常にいやらしく、攻守に渡って粘り強いデッキです。 攻めも守りも自由自在のボロスピアナラー、お好きな方にはたまらないでしょう!   5色レジェンズ スタンダードリーグ : 5-0 By claudioh MTGアリーナ用インポートデータ 最近急に勝ち始めたデッキ、5色レジェンズ。   その名の通り5色の伝説のクリーチャーを詰め込んだデッキで、《大スライム、スローグルク》と《見捨てられたぬかるみ、竹沼》などの魂力土地があった頃は、メタゲームの一角にまで上り詰めていました。 今のスタンダードで5色は中々厳しいのですが、それは普通のデッキの話。5色レジェンズならば専用の土地を使えるので5色が可能となります。   それが《英雄の公有地》。伝説に対しては好きな色マナが出る5色ランド。これだけで既に強いのに、生け贄にすることで伝説クリーチャーを除去から守ることができます。伝説好きが作ったオリカでしょうか? 更に伝説のクリーチャーの大半が人間なので《魂の洞窟》も4枚使えます。そして《魂の洞窟》から打ち消されない能力だけがなくなった《閑静な中庭》も5色土地。ここに更にファイナルファンタジーで加わった5色土地《始まりの町》で、好きな色を出せる土地が16枚体制となりました。5色デッキが成立するのも頷けますね。 さて、マナベースについて納得してもらえたところで、肝心の伝説のクリーチャーのラインナップをご紹介しましょう!   まずはデッキの主役となるのが《統べるもの、ジョダー》。5色の5/5とそれだけで強そうなカードですが、能力を読めば更にとんでもないカードであることがわかります。 まず自分の伝説のクリーチャーたちがすべて、伝説のクリーチャーの数だけ+修正を受けます。3体の伝説がいれば+3/+3です。   更に伝説の呪文を唱えると、ライブラリーの上からそれよりマナ総量の小さい伝説のカードが場に出てきます。伝説限定の続唱ということですね。伝説のクリーチャーが伝説のクリーチャーを呼ぶので、全体の修正も+2されます。小粒なクリーチャーたちのサイズが凄まじいことになります。 生き残ればとんでもないクリーチャーであると同時に、出たターンにも戦場に多大なインパクトを与える、まさしくこのデッキの顔と呼ぶべきクリーチャーです。   《統べるもの、ジョダー》によってクリーチャーが強化されるとなると、俄然気になるのが軽い伝説たちです。せっかくなら《統べるもの、ジョダー》を出すまでにクリーチャーを大量に展開しておきたいですからね。   実は軽い伝説クリーチャーはファイナルファンタジーから大量に追加されました。   《暗黒騎士、セシル》は1マナ2/3接死と単体でもオーバースペック。攻守に渡って活躍しますし、《統べるもの、ジョダー》で強化されて突然変身!なんてことも。大量のダメージを喰らう点にはお気を付けください。 逆に《ザックス・フェア》は防御的なクリーチャー。1マナ払うとクリーチャーに破壊不能をつけるので、《統べるもの、ジョダー》を出して1マナを構えて守る展開もありそうです。1マナの伝説のクリーチャーが持つ能力としては破格ですね。2マナですが《不屈の将軍、ジリーナ》はマナを使わずに守ることができるので、《統べるもの、ジョダー》を中々除去らせてもらえません。 クリーチャーばかりが入っていますが、相手への干渉手段もきちんとあります。《シヴァのドミナント、ジル》は土地でないパーマネントを手札に戻せる優秀なクリーチャー。 リソース面を担うのは《太陽の執事長、インティ》《侵攻の伝令、ローナ》。《太陽の執事長、インティ》は手札を捨ててトップを追放し、《侵攻の伝令、ローナ》はカードを引いて捨てるなので、単体ではそれぞれリソースを稼いでくれませんが、この2枚が揃うとカードが増えます。《侵攻の伝令、ローナ》の能力でカードを捨てると《太陽の執事長、インティ》が誘発してくれるためです。 このデッキに入っている唯一の非クリーチャー呪文である《伝説の秘宝》は、その名の通り伝説のためのカード。3マナで好きな色マナを出すちょっと弱いマナアーティファクトですが、なんと伝説のクリーチャーをタップした際にもマナを生み出せます。つまり、《ザックス・フェア》のマナを残さずとも《統べるもの、ジョダー》を守ることができます。 《伝説の秘宝》さえあれば4ターン目に《統べるもの、ジョダー》を出しながら《ザックス・フェア》で守れる、凄まじい展開を作れます!このデッキのキーカードと言っても良いでしょう。   伝説のクリーチャーは派手ですし、《統べるもの、ジョダー》からクリーチャーが次々と沸いてくるのも面白く、回していてとても幸福感の高いデッキです。 《統べるもの、ジョダー》にビビっときた方はぜひ組んでみてください!

【週刊メタゲーム通信】ディミーアミッドレンジが玉座に帰還!ナヤユウナとボロス召集にも注目

週刊 Standard ピックアップ

2025.07.09

mtg Yuyan

こんにちは。   細川 侑也(@yuyan_mtg)です。   7枚の禁止が発表されたスタンダードは赤アグロ天国から大ミッドレンジ時代に突入!   紹介デッキ ディミーアミッドレンジ ナヤユウナ ボロス召集   ディミーアミッドレンジ  スタンダードチャレンジ : 1位 By TheManLand MTGアリーナ用インポートデータ 前環境で赤単アグロ・イゼット果敢・ドメインオーバーロードなどともバチバチにやりあっていたにも関わらず、なぜか今回の禁止改訂で一切の影響を受けなかったデッキ、ディミーアミッドレンジ。   《永劫の好奇心》《悪夢滅ぼし、魁渡》を一度に『ダスクモーン:戦慄の館』で手に入れ、しばらくは環境の王者として君臨していました。打ち消し、除去、そしてリソースが取れるクリーチャーで構成されており、万能なデッキということもあり、非常に人気がありました。 そんなディミーアミッドレンジでしたが、《永劫の好奇心》《悪夢滅ぼし、魁渡》といったアドバンテージ源を触ってくる、自分よりも早いエスパーピクシーが人気になりだしてから少し人気がなくなり、天敵の《コーリ鋼の短刀》出現後はほとんど見なくなっていました。 しかし、《望み無き悪夢》も《この町は狭すぎる》《コーリ鋼の短刀》はこの世にはもう存在しません!それならば当然ディミーアミッドレンジは王者に返り咲きます。 現に禁止改訂後のスタンダードチャレンジ(マジックオンライン上の大会)ではトップ8のうち7つを占めるほど。いかに《永劫の好奇心》《悪夢滅ぼし、魁渡》が強力かこれだけでわかるでしょう。 さて、そんなディミーアミッドレンジですが、現在のスタンダードは3年ローテーションということでクリーチャーの選択肢が無限にあります。《コーリ鋼の短刀》をメタるために《群青の獣縛り》なんかも使われていましたね。メタゲームに合わせて様々なクリーチャーを採用するディミーアですが、今最も意識するべきなのは当然ミラーマッチです。 そのため、赤全盛期では抜けていた《フェアリーの黒幕》が再びメインで多めに採用されるようになりました。ミラーマッチでは互いにインスタントで動けることも大事ですし、《悪夢滅ぼし、魁渡》《永劫の好奇心》でドローもするので、能力も重宝します。 メインからの《ティシャーナの潮縛り》も同型では《永劫の好奇心》を消したり、《悪夢滅ぼし、魁渡》の忍術に触れたりなど、何かと便利なクリーチャー。環境が遅くなれば必然的に《ティシャーナの潮縛り》が強くなるので、ディミーア以外にも刺さる相手は多いでしょう。 《フェイ花のいたずら》は厳密にはクリーチャーではありませんが、1/1飛行を2体出すインスタント。《永劫の好奇心》のためのクリーチャーを2体生成しつつ、相手のブロッカーを排除できるので、同型で特に強力です。飛行クリーチャーが《遠眼鏡のセイレーン》《大洞窟のコウモリ》《フェアリーの黒幕》とすべてタフネス1なので、《フェイ花のいたずら》は攻防で活躍してくれるのです。 ここまで紹介したクリーチャーはすべてインスタントタイミングでプレイできます。《フラッドピットの溺れさせ》も入っていますし、今のディミーアはとにかくマナを構えてきます。除去や打ち消しを構えながら、相手のアクションが大したものでなければクリーチャーを出せるので、非常に理にかなっています。 相手の動きによってこちらのアクションを決められる、いわゆる後出しじゃんけんが可能なリストは使いやすくて好印象です。《大洞窟のコウモリ》で相手の手札を除いてから動けますしね。 強くて使いやすい。これは強いデッキの条件の1つでもあります。再びスタンダードの頂に上ったディミーアミッドレンジを打ち倒すデッキは現れるのでしょうか。     ナヤユウナ スタンダードチャレンジ : 2位 By McWinSauce MTGアリーナ用インポートデータ 《豆の木をのぼれ》が禁止になり、大きな打撃を受けたのがドメインオーバーロード。 デッキ名になっている大主たちはすべてマナ総量が5以上ですが、兆候で軽く唱えることができる。それを利用して《豆の木をのぼれ》を何度も誘発させてアドバンテージを稼ぎ、大主たちを《永遠の策謀家、ズアー》で起こすコントロールデッキ、それがドメインオーバーロードです。 《豆の木をのぼれ》を失ってリソースが取れなくなったオーバーロードは、より早くゲームを終わらせるデッキになりました。それがこのナヤユウナ。   《スピラの希望、ユウナ》は《永遠の策謀家、ズアー》と同じく、大主と相性の良いカードです。墓地からエンチャントを吊り上げ、自分のターンは絆魂と護法を付与してくれます。墓地に落ちた大主を吊り上げて攻撃しつつ、ライフを回復していきます。 そんな《スピラの希望、ユウナ》と特に良相性なのが《ボイラービルジの大主》。好きな対象に4点を与えるこの大主は絆魂を持つので、一気に大量のライフを得ることができます。 《スピラの希望、ユウナ》は墓地からエンチャントを吊り上げるので、このデッキにはエンチャントを落とす様々な手段が用意されています。   《逸失への恐怖》《フェニックスのドミナント、ジョシュア》は手札を入れ替える便利なカードで、ディスカード手段としてだけでなく、必要なカードを引き込みにいける素晴らしいカード。《逸失への恐怖》は昂揚すれば大量の打点、《フェニックスのドミナント、ジョシュア》は変身してクリーチャーをリアニメイトするなど、どちらもドロー能力以外も強力。 《幻獣との交わり》は諜報2でエンチャントを墓地に落とします。自身もフラッシュバック能力を持っているので、ディスカードや諜報で《幻獣との交わり》自身が落ちるとお得です。 切削しつつ必要なカードを手札に加えられる《浚渫機の洞察》は当然4枚です。《スピラの希望、ユウナ》を手札に加えて大主を落として……なんてことが起きたらそれだけでゲームに勝てる場合があります。1点ゲインのオマケがついてくるので、対アグロにはしみてくるでしょう。 《浚渫機の洞察》より範囲は狭いですが、《魔導戦士、ティナ》も中々優秀です。拾えるエンチャントは《ボイラービルジの大主》に召喚カードたち、そして《浚渫機の洞察》です。切削も5なので結構掘れますし、変身すれば他のエンチャントをコピーでき、《ボイラービルジの大主》で一瞬でゲームが終わります。 このように様々なライフゲイン手段が用意されているので、ビートダウンは得意ですし、ミッドレンジに対してはスケールで勝利できます。《召喚:バハムート》や《召喚:ナイツオブラウンド》が5ターン目にぐらいに戻ってきてしまうと打つ手なしです。   これまでとはまったく違う顔を見せるオーバーロードデッキとなっているユウナオーバーロード。ドメインを使っていた方にオススメ! ファイナルファンタジー好きな方にもぴったりですね!ユウナからバハムートを召喚して気持ち良くなりましょう!   ボロス召集 スタンダードチャレンジ : 1位 By LucasG1ggs MTGアリーナ用インポートデータ 禁止改訂前の赤単やイゼット果敢は、スタンダードのみならずパイオニア級の強さを持っているデッキたちでした。 実際パイオニアで活躍する赤単アグロは《熊野と渇苛斬の対峙》と《変わり谷》以外すべてスタンダードのカードで、イゼット果敢もパーツのほとんどがスタンダードで構成されています。パイオニアで強いデッキがスタンダードで最強になるのは自明の理ですよね。 そしてこのボロス召集も、パイオニア級の強さを持つデッキと言われ、昨年のスタンダードでは恐れられていました。   《ひよっこ捜査員》《入れ子ボット》でアーティファクトを生成し、そこを対象に《上機嫌の解体》を打ち込み、トークンを生成。それらのトークンを召集コストに当てて《イーオスの遍歴の騎士》を高速召喚し、《イモデーンの徴募兵》を見つけて次のターンにトークンたちを強化してフィニッシュする、赤白のトークンデッキです。 回った時の強さは手がつけられません。2ターン目に《イーオスの遍歴の騎士》、3ターン目には《イモデーンの徴募兵》で大量のダメージを飛ばしてくるので、実質3キルのような場を作ってきます。《一時的封鎖》でも《イーオスの遍歴の騎士》が残りますし、2枚のカードを確保できているので、全体除去耐性もしっかりとあるのです。 トークンを並べるデッキなので《見捨てられた人形、アラベラ》と相性が良く、《門道急行の事件》《イモデーンの徴募兵》と共に1/1トークンの群れで殴りきるのが基本戦略です。《画家の仕事場+汚された画廊》はトークンを強化しながらリソースも稼げる、このデッキにぴったりのカード。 ファイナルファンタジーからは《「竜騎士」の両手槍》が加わりました。トークンを生成しつつアーティファクトを生み出せるので、《上機嫌の解体》の対象にぴったり。《「竜騎士」の両手槍》1枚で《上機嫌の解体》から1マナで《イーオスの遍歴の騎士》まで繋がるのが実に美しいですね。 ボロス召集の魅力はなんといってもそのメタりづらさです。アグロにも関わらず単体除去がほとんど効かないので、赤単対策などが無駄になります。《紅蓮地獄》などの全体除去がサイドボードに用意されていない環境なら無双間違いなしです。 しかも全体除去に対しては《イーオスの遍歴の騎士》がとにかく強い!条件なくすべてのクリーチャーを倒すには《審判の日》しかなく、軽い全体除去は《イーオスの遍歴の騎士》が残るので、大きなダメージを返しに受けることになります。最終的には《イモデーンの徴募兵》が控えるので、全体除去の返しに《イモデーンの徴募兵》で勝つこともしばしばあり、唯一の弱点ですらこのデッキは克服できているのです。 以前は除去が多いデッキには《ウラブラスクの溶鉱炉》で対策していました。除去に対しては強い一方、バウンスにめっぽう弱かったこのカードは、《この町は狭すぎる》《洪水の大口へ》の流行によってスタンダードで見なくなりましたが、今の環境でバウンスはほとんど見ないので、もしかしたらサイドボードで復活するかもしれませんね。 《ウラブラスクの溶鉱炉》がサイドに入ったボロス召集はかなり弱点が少ない隙のないデッキだという印象で、個人的にはかなり恐れています。   ブン回りもあり、粘り強さもしっかりあるボロス召集。人気が出てきそうな予感がするので、全体除去はしっかり入れておきましょう。ディミーアミッドレンジ使いの方は《ギックスの命令》をお忘れなく。

禁止改訂後に活躍しているスタンダードのデッキたち

週刊 Standard ピックアップ

2025.07.04

mtg Yuyan

こんにちは。 細川 侑也(@yuyan_mtg)です。 今週のピックアップデッキでは、ちょっと珍しいデッキを、軽い解説を交えて紹介していきます。   紹介デッキ 白単トークンコントロール ゴルガリミッドレンジ グルールハツカネズミ   白単トークンコントロール  スタンダードチャレンジ : 1位 By gazmon48 MTGアリーナ用インポートデータ コントロールにとって大事なアドバンテージ源だった《豆の木をのぼれ》が禁止になり、個人的には《食糧補充》と《マラング川の執政》を使える青系コントロールが台頭すると予想していたのですが、そういえば今のスタンダード環境には他にもドローできるカードが存在していました。 そう、《世話人の才能》です。 かつては《ウラブラスクの溶鉱炉》と一緒に自動ドロー装置となっていたり、様々な白系ミッドレンジ・コントロールで活躍していたこのカード。いつしか忘れ去られていましたが、禁止改訂と共にスタンダードに戻ってきました。   白単コントロールはトークンを活用したデッキで、どちらかと言えばミッドレンジぐらいの速度。《勝利の楽士》《ミストムーアの大主》で出したトークンで殴っていくので、アゾリウスコントロールのようなどっしりとしたコントロールデッキではありません。 《世話人の才能》《永劫の無垢》はいずれも様々なトークンにトリガーしてカードが引けるカード。《勝利の楽士》や《ミストムーアの大主》、《人参ケーキ》、《噴水港》とたっぷり入っているので、戦場に出ればドロー装置として機能します。 どちらも1ターンに1度の制限付きではありますが、自分のターン以外でも誘発するのがミソ。自ターンで《勝利の楽士》でカードを引き、相手のターンで《噴水港》を起動してドローもできます。《人参ケーキ》も相手のターンに生け贄にすればカードを引けるので、1枚ですぐに2ドローできる優秀なカードです。 《世話人の才能》は優れたドローカードであるだけでなく、フィニッシャーの役割も兼ねます。レベルを3まで引き上げればトークンが大幅強化されるので、《ミストムーアの大主》が出すトークンが4/3飛行と凶暴なサイズに。蛾というか実質天使です。   白単で構成されていることから優秀な専用カードである《軍備放棄》を4枚採用できるのも魅力です。《失せろ》との8枚体制でビートダウンをシャットアウトしつつ、遅いデッキには圧倒的なドロー量とトークンによる物量で押し込みます。非常にシンプルかつ強力なデッキ。 白単であるもう1つの魅力は土地。ドローに繋がる《噴水港》は当然4枚採用できますし、土地の起動を楽にする《沈んだ城塞》も4枚入れることができます。このデッキは《噴水港》を同時に2枚起動するのも容易く、土地がとにかく強いのが素晴らしいですね。 チャレンジでも早速トップ8に3人が入賞し、今勝ちまくっている白単トークンコントロール。まずはここから新スタンダードを始めてみてはいかがでしょうか。     ゴルガリミッドレンジ スタンダードチャレンジ : 2位 By Desert_24 MTGアリーナ用インポートデータ 赤単アグロ・イゼット果敢と速い2つのデッキが消え、中速殺しのアゾリウス全知も禁止改訂の影響を受け、スタンダードはミッドレンジ天国になると予想されていましたが、やはりそれは間違っていなかったようです。 久しぶりにゴルガリミッドレンジの姿をスタンダードで見かけたような気がします。   ディミーアミッドレンジが1マナクリーチャーから《悪夢滅ぼし、魁渡》に繋げて《永劫の好奇心》で攻めながら引くアグロ気味のミッドレンジなのに対し、ゴルガリはどちらかと言えばマナを伸ばしてどっしりと除去とアドバンテージで勝っていく、王道ミッドレンジです。 とはいえ時にはスピードを出すことができ、それを可能にしているのが《ラノワールのエルフ》です。この唯一無二の3マナへのジャンプアップを可能にするマナクリーチャーは、ゴルガリミッドレンジの最大の魅力と言って良いでしょう。 《ラノワールのエルフ》から繋げる先の3マナ域はどれも強力。アドバンテージエンジンの《不浄な別室》に攻防一体の《名もなき都市の歩哨》、そしてなんといっても《重厚な世界踏破車》です。 《重厚な世界踏破車》は土地を伸ばしつつ攻撃できる強力な機体で、環境にある除去の多くが当たらないのも魅力の1つ。《ラノワールのエルフ》から2ターン目に《重厚な世界踏破車》と回った時のゴルガリは手が付けられません。   面白いのが《不浄な別室》絡みのデーモンシナジーです。デーモンがいることで2点ドレインになる《不浄な別室》のために、これまで様々なデーモンが試されてきましたが、ファイナルファンタジーから《デモンズウォール》が加入しました。2マナ3/3と守りには優秀なサイズで、カウンターさえあれば攻撃もできるため、《カルシの帰還者》や《名もなき都市の歩哨》の地図起動などでカウンターが乗れば、攻撃することも可能です。 《腐れ呪いのラクシャーサ》と合わせて《不浄な別室》のデーモン条件を満たしながら、攻防に渡って活躍してくれます。デーモンは4マナが定番だったので、これが軽くなったのは非常に大きいですね。3ターン目の《不浄な別室》がドレインになってくれるのは思いの外大きいです。 《永劫の好奇心》《悪夢滅ぼし、魁渡》擁するディミーア、《ラノワールのエルフ》から《不浄な別室》《重厚な世界踏破車》に繋げてくるゴルガリ、どちらも同じミッドレンジですが全く戦い方が異なるデッキたちが台頭してきて、スタンダードは難しくなりそうですね。   グルールハツカネズミ スタンダードチャレンジ : 3位 By Grogore MTGアリーナ用インポートデータ 禁止改訂で大きな弱体化を受けることとなってしまった赤系アグロ。それも仕方ありません。デッキに入っているほとんどのカードがスタンダードと同じ赤単がパイオニアでも一線級の活躍をしてしまうほど、カードパワーが飛びぬけていたのですから。 そんなハツカネズミ軍団の先陣を切っていた《心火の英雄》、そして《巨怪の怒り》が禁止になりました。   《心火の英雄》は2ターン目に《多様な鼠》を出してお手軽4点、放置したら次のターンには7点が飛び、除去でもダメージが入る、凄まじい1マナ域のクリーチャーでした。1ターン目にドロップできる赤いハツカネズミというだけで《多様な鼠》と相性が良いのに、その能力が強すぎました。 《巨怪の怒り》も《多様な鼠》と組み合わせることで意味不明なダメージを叩き出すカードでした。《心火の英雄》に2ターン目につけて5点で殴りつつ、次のターンからチャンプブロックを許さないのも、1マナのカードがやってはいけない強さ。 この2枚が禁止となり、正直ハツカネズミは終わったと思っていましたが、このようにまだ生き残っています。   《心火の英雄》がなくなったスロットには《脚当ての補充兵》を採用しています。《多様な鼠》で強くなることはありませんが、1ターン目に出せるパワー2なだけでなく、新生でばらまくこともでき、単体除去に対して非常に強いカードです。 《巨怪の怒り》の代わりは《過剰防衛》。+3/+3トランプルを付与するので《多様な鼠》と合わせての二段攻撃大ダメージは健在……と言いたいところですが、2マナと重く、更にトランプルもこのターンしか付与できません。《巨怪の怒り》の凄まじさがわかりますね。 とはいえ、《過剰防衛》は呪禁を付与するので、《巨怪の怒り》と違い単体除去を避けるために使うことも可能です。黒いデッキには《巨怪の怒り》より便利になる場合もありますね。 もちろん《心火の英雄》《巨怪の怒り》を失ったことでデッキパワーが大幅に低下したのは否めません。しかし、勝てなくなるかというとそれはまた別の話。   なぜなら赤単が当たり前のように意識されていた時代は終わったからです。むしろ今は赤アグロが消え、除去が減ってきているかもしれません。そうなればハツカネズミは大チャンスです。《熾火心の挑戦者》《多様な鼠》のラインは残っていますし、《雇われ爪》もまだ元気ですからね。《岩面村》《多様な鼠》《熾火心の挑戦者》で粘り強く戦うグルールの持ち味はまだ死んでいません。 週末は赤対策を完全に捨てても良いと思っているなら、甘いですよ!l

スポットライトシリーズで使用したアゾリウスコントロールができるまで

Standard ピックアップ

2025.07.03

mtg Yuyan

こんにちは! ゆうやん(@yuyan_mtg)です。 先週末はスポットライトシリーズ千葉に参加してきました!   結果は11勝4敗で、上位プロモの《ミッドガルの傭兵、クラウド》フォイルを獲得。トップ8入賞こそ果たせなかったものの、プロツアー・アトランタの権利を幸運にもラスベガスで得ていた僕としては、この結果でも万々歳です。   本当はこの時使用したアゾリウスコントロールの詳細な解説を書こうと思っていたのですが、皆さんご存じの通り、7月1日の禁止改訂で大量にカードが禁止になってしまいました。 そこで今回はアゾリウスコントロールの使用に至った経緯とデッキリストについて簡単な解説をした後、禁止改訂後のスタンダード環境におけるアゾリウスコントロールについてご紹介していきたいと思います。   アゾリウスコントロールは今回の禁止改訂で無傷だったデッキですからね。これからも使えるデッキなので、まあ一応この記事にも意味はあるだろうと自分を慰めながら、今タイピングをしています。   目次 赤まみれのスタンダード 赤に強いのは白 全知死すともアゾリウスは死せず 使用したリストについて 本戦結果 新環境のアゾリウスコントロール     赤まみれのスタンダード スタンダードは《心火の英雄》《熾火心の挑戦者》《多様な鼠》の『ブルームバロウ』が誇るハツカネズミ軍団を主軸に据えた赤単アグロ、そして《コーリ鋼の短刀》《嵐追いの才能》《迷える黒魔道士、ビビ》《食糧補充》で様々なプランによって相手を粉砕するイゼット果敢、この2種のデッキがとにかく強力でした。 赤単とイゼット果敢の次はアゾリウス全知でしたが、その数は赤単の半分程度。イゼット果敢と赤単を合わせればフィールドの60%近くになるレベルだと予想していました。   実際はスポットライトシリーズはオープンイベントかつ2000人を超えるため、ここまで偏ったメタゲームにはならない予想でしたが、それでも50%近くに上ると読んでいました。   ただ、どちらのデッキも個人的に使用したくない理由が何点かありました。   まずイゼット果敢は、当たり前のようにメインから3~4枚採用されている《魔道士封じのトカゲ》があまりにも厳しい。前週の行弘プロの《自爆》による劇的な幕引きを見て、赤単に決めたプレイヤーも多いでしょう。赤単を使うプレイヤーは全員《魔道士封じのトカゲ》をメインに入れてくるはずです。 赤単はというと、個人的に僕が苦手というのもあるのですが、その《魔道士封じのトカゲ》が曲者でした。イゼット果敢に強い一方、ミラーマッチやその他の相手、たとえば全知にすら弱く、ほぼ対イゼット専用カードです。   そんな専用カードが入っている状態で、リスト非公開性のトーナメントを戦うのは非常にリスクが高いと判断しました。相手がイゼット果敢なら《魔道士封じのトカゲ》を探しにいくマリガンもできますが、相手がわからない状態ではそれもできません。逆に除去と《魔道士封じのトカゲ》だけの手札をキープできるでしょうか? 《光砕く者、テルサ》や《フェニックスのドミナント、ジョシュア》など、不要牌を捨てられるカードが採用されていれば良いですが、赤単には入っていても《光砕く者、テルサ》1枚。こうしたデッキではマッチによって不要となるカードを、リスト非公開のトーナメントで採用したくありません。 上位2つは使いたくない。というわけで今回は、いや……今回もこの上位2つに強いデッキを選ぶことにしたのです。   赤に強いのは白 イゼット果敢と赤単。この2つに、とりわけイゼット果敢に強いカードが《一時的封鎖》です。 イゼット果敢が除去に強いのは繰り返しトークンが沸く《コーリ鋼の短刀》とリソースを回復する《食糧補充》です。《コーリ鋼の短刀》そのものが触られてしまうとクロックが出てこないので、イゼット果敢の攻め手をシャットアウトできます。キャントリップのついでにトークンが出てくるのが厳しいのであって、ただドローされ続けるだけではコントロール側には何もダメージがありません。 《一時的封鎖》は出ているトークンや《ドレイクの孵卵者》、《嵐追いの才能》に《コーリ鋼の短刀》とほとんどのカードをシャットアウトでき、イゼット果敢と戦うなら欠かせない1枚となっているのです。これが赤に対して白が強い理由です。   その《一時的封鎖》を使うデッキとしてメタゲームの三番手に位置しているのがアゾリウス全知。しかも《魔道士封じのトカゲ》でイゼット果敢を攻略した赤単には全知は強いという触れ込みなので、これはいけると思い、早速全知を使い始めました。 その感触は……想像よりかなり悪い!   まず赤単に思ったより勝てませんでした。《一時的封鎖》《エファラの分散》で盤面に触りつつ6ターンキルぐらいすれば余裕かと思っていましたが、そもそも《アブエロの覚醒》《全知》の2枚コンボが揃っていなければ負けなので、メイン戦をまあまあ落とします。 かといってサイド後に大きく有利になるわけでもありません。赤単相手に全知側はミッドレンジプランで勝利することはできないので、除去を追加して減速を狙うだけ。一方相手はクリティカルなサイドカードとして《除霊用掃除機》を入れてきますし、《陽背骨のオオヤマネコ》もそれなりに厳しい。 トータルで五分以上の勝率が出せる気がしませんでした。   イゼット果敢は《迷える黒魔道士、ビビ》が入ったことで相性が明確に悪くなりました。これまでは《一時的封鎖》でクロックをすべてシャットアウトできました。そのためサイド後は《ミストムーアの大主》などを入れてミッドレンジ戦略が取れたのですが、《迷える黒魔道士、ビビ》のせいで多少の盤面の不利なら余裕で覆してくるようになってしまいました。 そのため、対イゼット果敢でも《全知》をサイドアウトできなくなり、コンボによる勝利を目指すのが基本のゲームプランとなってしまいました。当然相手の墓地対策は効きますし、《呪文貫き》は刺さります。 トップ2に対してあまりに不安要素が大きく、アゾリウス全知は脱落。   全知死すともアゾリウスは死せず イゼット果敢・赤単の両者に《一時的封鎖》が強いのは間違いありません。しかし《全知》によるコンボ部分が足を引っ張っていると感じた僕は、それならばアゾリウスコントロールで良いのでは?と考えました。 メインから《跳ねる春、ベーザ》を大量に採用して対赤単への意識を高めつつ、《迷える黒魔道士、ビビ》にも4枚の《失せろ》に加えて大量の打ち消しがあるので、対応札としては申し分ありません。 特に《一時的封鎖》が効かないビビはアゾリウスコントロールとしてはさほどきついカードではありません。3マナのソーサリーアクションカードは強いものの、そのインパクトは《轟く機知、ラル》よりは少し低い程度。《轟く機知、ラル》と違って《失せろ》で除去した際にカワウソが出てこない分マシと言えるでしょう。 3マナ域が増えたことで打ち消し呪文も以前よりイゼット果敢に効くようになりました。そこでアゾリウスコントロールの強みである打ち消し呪文の枚数を増やしつつ、イゼット果敢に勝率が出るようなリストを作ることに成功したのです。 本来、アゾリウスコントロールがアグロに強くなるためには、除去を大量に入れなければなりません。そうなると打ち消し呪文を減らさざるを得なくなり、「せっかく青いコントロールにも関わらずカウンターをほとんど入れられなくなり、アグロ以外にメイン戦を落とす」といった状況が多発してしまいます。 イゼット果敢の《精鋭射手団の目立ちたがり》《僧院の速槍》が《迷える黒魔道士、ビビ》になり、打ち消しが効きやすくなったことが、アゾリウスコントロール側としてはあまりにも大きいのです。心置きなく打ち消しを増やせるようになりましたからね。今なら《喝破》を4枚入れられると確信しました。   リストの調整 というわけでアゾリウスコントロールの具体的な構築に。今回はイゼット果敢・赤単に重点を置くことになります。 ■単体除去 単体除去は《失せろ》以外に選択肢がほぼありません。   《魂の仕切り》も《エルズペスの強打》も5枚目以降の除去としては入りますが、《失せろ》を押しのけることはありません。対赤単では雄姿を誘発させてしまう地図を相手には渡したくないですが、それでも《魂の仕切り》は根本的解決にならず、《エルズペスの強打》は除去として弱いので、《失せろ》を使う他ありません。 ■全体除去 《一時的封鎖》は3枚採用にとどめました。赤単が《叫ぶ宿敵》と1~2マナを並べて《一時的封鎖》をケアしてきますし、イゼット果敢も《迷える黒魔道士、ビビ》があるためです。 そこで追加の除去として入ったのが《古代魔法「アルテマ」》。ボーダーレス版のイラストがあまりにもかっこよかったわけではなく、非常に強い全体除去なので採用しました。 これまでの全体除去《別行動》や《審判の日》は《コーリ鋼の短刀》に触れませんでしたが、《古代魔法「アルテマ」》はその点もバッチリ。《心火の英雄》の死亡誘発もありませんし、5マナと少し重いですが、《一時的封鎖》をケアする盤面を破壊しつつ、《コーリ鋼の短刀》に対処できる素晴らしいカードです。 ■ライフ回復 《跳ねる春、ベーザ》《領事の権限》は赤単を強く意識したカード。 特に《領事の権限》は赤単に勝つなら必須と思い、メインに2枚、サイドに1枚入れることにしました。《フラッドファームの境界》が単体で白を出せるため、1ターン目に置きやすいのも嬉しい。《叫ぶ宿敵》《栄光荒野のオオヤマネコ》でライフゲインが封じられても、速攻を消せるので《岩面村》や各種速攻クリーチャーをシャットアウトできて便利です。 イゼット果敢に対しても《コーリ鋼の短刀》の威力を半減できますし、非常に強いカードでした。   《一時的封鎖》と《領事の権限》は一見相性が悪いカードですが、対イゼット果敢においては実は重要です。《領事の権限》を《一時的封鎖》で巻き込んで追放しておくと、相手が《洪水の大口へ》で《一時的封鎖》を戻した時に、一緒に戦場に戻ってきてくれます。 そうすれば《コーリ鋼の短刀》によるダメージを抑えられるので、返しのターンでバウンスされた《一時的封鎖》を再び使えば良いのです。《洪水の大口へ》をケアするためにあえて《領事の権限》を《一時的封鎖》で巻き込んでおくのが、対イゼット果敢では重要となる場合もあります。 赤単に対しては当然《領事の権限》は場に残ってほしいですが、たまに《マラング川の執政》で《一時的封鎖》を回収し、《領事の権限》を出し直すことがあります。同時に帰ってきてライフゲインできるので、《失せろ》で《一時的封鎖》を割ることもありますね。手札に《一時的封鎖》が余った場合によくやるプレイです。   ■打ち消し呪文 前述のようにイゼット果敢に打ち消しが腐りにくくなったので、《喝破》は4枚投入することにしました。先手ならば赤単に対してもしっかり機能しますし、初手に持っている状態でゲームを始めたいので、この枚数に納得しています。以前までのイゼット果敢には《僧院の速槍》《精鋭射手団の目立ちたがり》が入っていたので、《喝破》は中々4枚採用できませんでした。それが歯がゆかったのです。 追加の打ち消しとして採用している《方程式の改変》。これはイゼット果敢・赤単の二大巨頭を倒すためにはサイド合わせて4枚にすべきだと思いました。 イゼット果敢は《迷える黒魔道士、ビビ》と《嵐の伝導者、ラル》でサイド後に重いカードが増えてきますし、赤単側も《陽背骨のオオヤマネコ》が4枚入ります。《叫ぶ宿敵》もそうですが、できる限りこれらのカードを除去ではなく打ち消しで対処したいところ。しかし、《三歩先》は重すぎてどちらのデッキに対してもサイドアウトします。 相手は打ち消しに弱いが重くて強いカードを入れているのに、こちらは打ち消しを抜かなければならない。そこでサイドボードには軽い万能カウンターを入れるべきだと考えました。そこで《方程式の改変》4枚体制となったのです。   イゼット果敢に対しては《食糧補充》を打ち消せない以外はほぼ完ぺきなカードで、最終的に《一時的封鎖》に向けられた《洪水の大口へ》を打ち消してゲームセットとなります。 《三歩先》と《否認》は上位2つ以外の相手を意識した結果です。特に《三歩先》はサイド後はクリーチャーをコピーすることも多く、イゼット果敢・赤単以外の相手にはかなり強いカードです。   ■ドロースペル 《食糧補充》はもう当然4枚入りますし、ここに文字数を使うのももったいないレベル。 僕が声を大にして言いたいのは、《マラング川の執政》は絶対に4枚にしてくださいということです!! 《マラング川の執政》はアゾリウスコントロールの要になるカードです。ある程度盤面をコントロールした後は、《マラング川の執政》を連打して速やかにライブラリーを掘りきってフィニッシャーである《完成化した精神、ジェイス》を2枚見つけにいくことになります。 《マラング川の執政》は3枚引いてデッキに戻っていくので、必然的に段々とライブラリーが《マラング川の執政》で濃くなります。毎ターン、《マラング川の執政》で3枚引きながら相手の場に対応していくのが理想の流れです。   そして対イゼット果敢・赤単では戦場でも活躍します。《領事の権限》を貼った状態で《マラング川の執政》でクリーチャーをバウンスすると、一気に攻守が入れ替わります。ライフが7~8ぐらいある状態で《マラング川の執政》を出してバウンス、返しで相手は《領事の権限》が置いてあるので速攻で殴れず、返しで《マラング川の執政》の2体目で勝利となるのです。 ドローとしてもクリーチャーとしても超一流で、どのマッチでも4枚欲しいし、サイドアウトもしません。これからどんな環境になり、アゾリウスコントロールのリストが変化していこうとも、《マラング川の執政》と《食糧補充》だけは絶対に4枚採用します。   ■フィニッシャー 今回はメインに《完成化した精神、ジェイス》を入れました。対アグロに腐ってしまうことから最近では《完成化した精神、ジェイス》は抜ける傾向にありましたが、アグロ以外の相手を見るのであれば、《完成化した精神、ジェイス》は必要だと思いました。 いくら盤面をコントロールしきっても相手の除去は余っているので、《ミストムーアの大主》を入れたところでゲームに勝てませんし、《跳ねる春、ベーザ》と《マラング川の執政》だけではあまりに心もとない。《嵐の討伐者、エルズペス》はそもそもカードが強いと思えませんでした。《世話人の才能》と一緒に使って初めて強いカードだと思っています。 そこでスロットを最小限に抑えつつ、確実にフィニッシャーになってくれる《完成化した精神、ジェイス》をチョイスしました。《マラング川の執政》でライブラリーを全部掘れるので2枚の《完成化した精神、ジェイス》はしっかり見つかります。 ドメインオーバーロードやジェスカイコントロール相手には《完成化した精神、ジェイス》を入れているかどうかでメイン勝率が大きく変わる一方、イゼット果敢・赤単に対して《完成化した精神、ジェイス》を引いたせいで負けるかと言えばそうではありません。   2枚しか入っていない《完成化した精神、ジェイス》は当然引かずにゲームが終わることもありますし、引いたとしても軽い妨害やドローにはなります。決して赤い相手に腐るわけではないのです。   一方、コントロール相手には非常に長期戦となるため、《完成化した精神、ジェイス》は高確率でドローしますし、ゲームにも絡んでいます。なので《完成化した精神、ジェイス》のメイン投入はローリスクハイリターンと言えるでしょう。 ■サイドボード 今回のサイドで特筆すべきはなんといっても《永劫の好奇心》です。 元々は対ミラーマッチを想定して《冷静なスフィンクス》を入れようとしていました。 今の青いコントロールミラーは、実は相手のデッキに打ち消したいカードがほとんどありません。《ミストムーアの大主》も《完成化した精神、ジェイス》もすべて《失せろ》で対処できますし、通すことで致命的になってしまうスペルが存在していないのです。   《ドミナリアの英雄、テフェリー》を通されて2マナでカウンターを構えられたら負ける。こういった状況が今のスタンダードのコントロールには存在しないので、青対決ではお互いにタップアウトが肯定されます。だからこそ《喝破》をケアした6マナからの《食糧補充》など、相手の次の展開に対する打ち消しを構えるのではなく、《食糧補充》自体が打ち消されないためにマナを立たせるだけにとどめて、どんどんメインで動き合います。 最もタップアウトの隙を突けるのは《ミストムーアの大主》でしょうが、それでも劇的とは言い難い。 この状況を逆手に取れないかと僕は考えました。タップアウトの隙をなんとか突きたいと思い、導き出した答えが前述の《冷静なスフィンクス》でした。   一度戦場に出てそのターンさえ無事に終えれば、《冷静なスフィンクス》は決して対処されない飛行クリーチャーです。ミラーマッチはもちろん、全知相手にカウンターを構えながら相手のエンドに出す動きも強力なはず。 そう思ってデッキについて話し合っていたユンさんに《冷静なスフィンクス》を提案したところ、思いのほか渋い返事。   「《ミストムーアの大主》のトークンで止まるのが許せない」   ぐうの音も出ませんでした。そして《冷静なスフィンクス》ではなく、《永劫の好奇心》ではどうだろうか?と代案が来たのです。 この《永劫の好奇心》がとんでもなく素晴らしいカードでした。全知に対しては仕掛けやすく、《失せろ》されてもエンチャントとして場に残るので、《噴水港》などのトークンが脅威になります。サイド後に《ティシャーナの潮縛り》とセットで入れることも多く、全くケアされずに無双する展開が何度もありました。 特に《不浄な別室》を使う黒系ミッドレンジには《永劫の好奇心》1枚で勝ってしまうほどで、当初は1枚だったのですが、強すぎて2枚に増えました。最終的には赤単アグロにも《永劫の好奇心》をサイドインすることになり、ほぼ全マッチで投入していたと思います。 禁止改訂後の新環境では黒系ミッドレンジが復権していますし、今後も確実にサイドボードに椅子を用意しますね。スポットライトでのMVPは《永劫の好奇心》でした。   本戦結果 ■初日 〇赤単アグロ×アゾリウス眼魔×イゼット果敢(フィーチャー)〇赤単アグロ〇赤単アグロ〇赤単アグロ〇赤単アグロ×赤単アグロ〇赤単アグロ〇ユウナオーバーロード   初日の2回戦で3ゲーム目、相手の先手2ターン目《忌まわしき眼魔》で負け、続くフィーチャーはメインで3枚目の土地を引けば《一時的封鎖》で勝てる状況で2ターン引かず負け。完全にツキに見放されていましたが、そこからは赤単に勝ち続けました。 途中でパーフェクトな赤単に負けるものの、最後は相性の良いオーバーロードに当たり、《永劫の好奇心》で無事勝利。 7勝3敗で2日目へ。   ■2日目 ×ドメインオーバーロード〇ラクドスアグロ〇イゼット果敢〇赤単アグロ〇赤単アグロ 初戦のドメインオーバーロードは1ゲーム目を土地引きまくって落とし、3ゲーム目で《豆の木をのぼれ》→《ホーントウッドの大主》→《ミストムーアの大主》を先手でやられ、手札に《否認》しかなかったので即投了。   その後はアグロデッキ4連戦で、気づけばトータル4敗で《ミッドガルの傭兵、クラウド》フォイルゲット! 予想よりも赤単に当たりすぎましたが、このいくつかがディミーアミッドレンジだったらおそらく4敗にはおさめられなかったと思うので、当たり運は少しツいていましたね。 新環境のアゾリウスコントロール 最後に、禁止改訂後にまず試したいアゾリウスコントロールのリストを貼って、本記事の締めといたします。 赤単が消えたことで《領事の権限》が不要になったり、環境が遅くなったので《三歩先》を増やしてみました。 コントロール好きな方はぜひ参考にしてみてください。 それではまた!

スタンダード大激震!衝撃の7枚禁止の雑感と禁止改訂の影響を受けなかったデッキたちの紹介

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2025.07.01

mtg Yuyan

こんにちは。   細川 侑也(@yuyan_mtg)です。   昨夜、スタンダードに大激震が走りました。   《コーリ鋼の短刀》《アブエロの覚醒》《巨怪の怒り》《心火の英雄》《豆の木をのぼれ》《望み無き悪夢》《この町は狭すぎる》   以上7枚がスタンダードで禁止となりました。   近年のスタンダードでは赤単アグロとイゼット果敢があまりにも強すぎました。 赤単アグロは『ブルームバロウ』産のハツカネズミたちが暴れ回るデッキで、《心火の英雄》《熾火心の挑戦者》《多様な鼠》の3匹が、序盤から終盤まで常に強く、速やかに相手を倒し、かつリソースを稼ぐという、ビートダウンが持つべきすべてを兼ね備えた完璧な布陣でした。 そんな超パイオニア級の赤単と肩を並べる存在として君臨していたのがイゼット果敢。令和最強の装備品である《コーリ鋼の短刀》の登場により一気にスタンダードの頂点に君臨。1マナのキャントリップ呪文などで《コーリ鋼の短刀》を毎ターン誘発させ、《嵐追いの才能》のカワウソと一緒に速やかに相手のライフを削ります。 失ったリソースを回復する《食糧補充》、それを回収する《嵐追いの才能》2章と、こちらも長期戦に強いアグロデッキで、《迷える黒魔道士、ビビ》が加入してからはコンボデッキのような立ち回りも可能となりました。 これらの赤いデッキは圧倒的な支配率を誇り、またいずれのデッキも非常に速いことから、スタンダードの多くのカードを環境から締め出すこととなってしまいました。   《アブエロの覚醒》はアゾリウス全知のキーパーツ。 4ターンキルも可能な純粋なコンボデッキも今回の禁止改訂の影響を受けることとなりました。赤アグロとイゼット果敢の禁止によって環境は以前より遅くなることは確かで、全知が最速となる可能性があります。4ターン目にフルタップできない状況は、スタンダードでは好ましくないのでしょう。   様々なフォーマットやデッキで活躍した《豆の木をのぼれ》が、ついにモダンに続いてスタンダードでも禁止となりました。 マナ総量が5以上の呪文を唱えることで1ドローできる2マナのエンチャント。普通に使えば重い呪文にドローがついてくる並のカードですが、今のスタンダードにはコストが軽くなる5マナ以上の呪文が多すぎました。   《力線の束縛》はもちろん、各種大主の兆候にも1ドローがついてくる《豆の木をのぼれ》は、禁止改訂後のスタンダードを支配する恐れがあります。そしてその状況はおそらく『エルドレインの森』がローテーション落ちする時まで続くと危惧したのでしょう。 個人的にはゴルガリ切削やシミックテラーなど、マイナーな豆の木デッキたちが可哀想に思いましたが、まあやむなしと言ったところです。《ホーントウッドの大主》を禁止にするよりはマシという判断だったのかもしれません。   《望み無き悪夢》は昨年から急激に使われ出したカード。自分のパーマネントを戻す《養育するピクシー》や《孤立への恐怖》で何度も再利用するセルフバウンス系デッキで活躍しました。 《望み無き悪夢》はライフと手札を同時に刈り取り、《逃げ場なし》は除去。これらのカードを何度も使い回せるので、時にはビートダウン、またある時はコントロールになるなど、様々なゲームプランが取れるデッキでした。一時は赤単アグロを駆逐し、環境最強のデッキとなっていました。 しかし、天敵である《コーリ鋼の短刀》が出現してからはセルフバウンス系デッキはほぼ消滅し、唯一残ったのがコントロール要素の強いオルゾフピクシーでした。   禁止にするほど環境を支配したデッキではないものの、今回の禁止改訂で多くのデッキが消滅すると、必然的にセルフバウンス系デッキが最強になってしまいますので、未来を見据えた禁止ですね。   そして《この町は狭すぎる》。こちらもセルフバウンス系デッキの要で、特に《嵐追いの才能》とのコンボが強力でした。 相手の盤面に触りながら自分の《嵐追いの才能》を戻してカワウソを生み出し、レベルアップ時に《この町は狭すぎる》を回収。再び《嵐追いの才能》を戻すことで、何度も《この町は狭すぎる》を使いながらカワウソを増やすことができます。 疑似的なロックに加えてカワウソがどんどん沸いてくるこのコンボはスタンダードのほとんどのデッキを駆逐してしまう可能性があります。加えて《この町は狭すぎる》がスタンダードにある限り、戦場に出た時に何も影響を及ぼさないクリーチャーはすべて価値がなくなってしまいます。色々なカードに可能性を見出してもらうためにも、必要な禁止だったのでしょう。   さて、今回の禁止改訂で環境の多くのデッキは姿を消すこととなりました。その中で無傷で生き残っているデッキたちがあるので、簡単に紹介していきましょう。   ディミーアミッドレンジ 《遠眼鏡のセイレーン》から始まり、《大洞窟のコウモリ》による手札破壊、《フラッドピットの溺れさせ》による盤面干渉を経て、3ターン目には《悪夢滅ぼし、魁渡》で忍術。そして《永劫の好奇心》による大量ドローで勝利します。 これらの動きを、優秀な黒い除去と打ち消しでバックアップしていきます。   特に《悪夢滅ぼし、魁渡》と《永劫の好奇心》はこのディミーアミッドレンジのキーパーツ。素早いクロックとドローを兼ね備えたこの2枚は、様々なパワーカードが禁止になった新環境においてはとんでもないパワーカードです。これらを一緒に使えるディミーアミッドレンジは、最強のデッキである可能性が高い。   しかもこのディミーアミッドレンジは、スタンダードのローテーションを迎えた後もその大部分が残ります。 1マナ除去である《切り崩し》と《闇滑りの岸》以外は残るので、《悪夢滅ぼし、魁渡》《永劫の好奇心》の並びはローテーション後も健在です。   これからのスタンダード、長い付き合いとなること間違いなしです。   ジェスカイ眼魔 墓地に《忌まわしき眼魔》を落として《救いの手》で釣り上げるコンボを搭載したジェスカイ眼魔もまた、今回の禁止改訂の影響を受けなかったデッキ。 かつては赤アグロキラーとして人気を博していたジェスカイ眼魔ですが、イゼット果敢が《一時的封鎖》を意識して《洪水の大口へ》を3枚以上採用するのがデフォルトとなり、ビートダウン相手のプランである高速眼魔リアニメイトをナチュラルに対策されてしまったため、環境から去っていました。 ジェスカイ眼魔は単に《忌まわしき眼魔》をリアニメイトするだけのデッキではありません。《逸失への恐怖》《蒸気核の学者》《光砕く者、テルサ》は《忌まわしき眼魔》を墓地に送り込みつつ、カードを引ける便利なクリーチャーたち。そのドロー軍団と《プロフトの映像記憶》を組み合わせて高い打点を作り続けることができます。 むしろ眼魔はオマケで《プロフトの映像記憶》デッキと言われていたほど。《忌まわしき眼魔》を使ったデッキは墓地対策に弱いのが大きな欠点でしたが、ジェスカイ眼魔は《プロフトの映像記憶》と各種ドロークリーチャーによって墓地を追放されてもさほど痛くはありません。   意外と対策のしづらいデッキであるジェスカイ眼魔は再びスタンダードを脅かす存在となるでしょう。しかも《フェニックスのドミナント、ジョシュア》によって強化されたという噂もあります。 《忌まわしき眼魔》を再び使いたい方、その機会がやってきました。   イゼット大釜   イゼット果敢のために《迷える黒魔道士、ビビ》を購入して泣いているプレイヤーの皆様にオススメなのがこのイゼット大釜。 デッキの構造はジェスカイ眼魔と少し似ていて、《光砕く者、テルサ》や《逸失への恐怖》といったルータークリーチャーでデッキを回し、《プロフトの映像記憶》で巨大クリーチャーを作ったり、《略奪するアオザメ》を育てていきます。 大きく違うのは《忌まわしき眼魔》を吊り上げる代わりに、《アガサの魂の大釜》を使っている点です。 この《アガサの魂の大釜》で煮込むクリーチャーこそが《迷える黒魔道士、ビビ》。イゼット果敢では戦場で暴れていたビビは、イゼット大釜においては追放領域で真価を発揮します。 《アガサの魂の大釜》でビビを追放することにより、+1/+1カウンターが置かれている各クリーチャーは、自身のパワー分のマナを生み出すことができます。これで大量のマナを生み出して《冬夜の物語》を連打し、大量ドローの後に《プロフトの映像記憶》が誘発。クリーチャー1体を超強化し、更にそのクリーチャーでビビの能力を使い、再び大量のマナを作り、更にデッキを回し、最終的には《ヴォルダーレンの興奮探し》でフィニッシュというデッキ。 ジェスカイ眼魔と比べてコンボ要素が強く、初見でこのデッキの正体を見破ることは困難。いわゆるわからん殺しデッキですね。   《プロフトの映像記憶》《光砕く者、テルサ》《逸失への恐怖》の並びはやはり強力で、これだけでデッキを回転させる動きとビートダウンを兼ね備えており、コンボ一辺倒の脆さを解消しています。相手がアグロ展開をさばいている間に《アガサの魂の大釜》《迷える黒魔道士、ビビ》のコンボを仕込んでいき、2つの軸で攻められます。 とても回していて楽しいデッキなので、新環境の勉強がてら、触ってみてはいかがでしょうか。   ゴルガリ《陰湿な根》   墓地からクリーチャー・カードが離れるたびに植物を生成しつつ植物全体を強化していくエンチャント、《陰湿な根》。以前僕もパイオニアの《陰湿な根》デッキを紹介したことがありましたが、最近ではスタンダードでも活躍していました。 《陰湿な根》はどのフォーマットでも《歓喜する喧嘩屋、タイヴァー》とズッ友です。《歓喜する喧嘩屋、タイヴァー》のマイナスで墓地からクリーチャーをリアニメイトする際に《陰湿な根》が誘発するのはもちろん、《歓喜する喧嘩屋、タイヴァー》の常在型能力によって、《陰湿な根》から生まれる植物トークンが、出たターンにマナを生み出せるようになるからです。 この2枚が揃うと《陰湿な根》は爆発的な展開を作ります。たとえば《漁る軟泥》がいれば、自分の墓地のクリーチャーを追放すると植物が出て、その植物が《漁る軟泥》の起動マナを捻出するので、自分の墓地のクリーチャーの数だけ《漁る軟泥》を起動し続けることができ、その数だけ植物が出て強化されていきます。 《骨術師の達人》が加われば一気にフィニッシュまで到達します。墓地のクリーチャーが給餌によって戦場に戻れるようになるこのカード。給餌、つまり食物の生け贄か墓地の追放が必要となるわけですが、その際の墓地追放にも《陰湿な根》が反応するので、給餌+墓地からクリーチャーが帰ってくる際の、計2回《陰湿な根》が誘発してくれます。要するに1回墓地からクリーチャーが戻るごとに2マナが帰ってくるというわけですね。 どんな劣勢な場でも墓地が大量に肥えていれば、《骨術師の達人》1枚で一気に盤面をまくり返せますし、《陰湿な根》への依存度こそやや高いものの、決して無視できないデッキです。特に《陰湿な根》に直接触る手段のないディミーアミッドレンジに対しては相性が良く、ディミーアの猛攻に待ったをかけるデッキとなるかもしれません。

「マジック:ザ・ギャザリング——FINAL FANTASY」ドラフト・アルティマニア

Limited ピックアップ

2025.06.27

Akira Kobayashi

 こんにちは! へいか(@enzyutuheika)です。  今回の新セットである「マジック:ザ・ギャザリング——FINAL FANTASY」ですが、ドラフトが非常に楽しい環境です!  アーキタイプ毎の特色も分かりやすいだけでなく各々のカードの役割も明確で、これに加えてファイナルファンタジーというフレーバー満点なセット。個人的に最も好きな環境と断言できるほどです。  主にアリーナで楽しんでいますが、終わってしまってもおそらく紙で楽しみ続けることになりそうです。それぐらいには好きになってしまいました。    たびたび言及する勝率については17landsという統計サイトを参考にしています。(リンク)    なお、本記事はMTGアリーナにおけるドラフトの攻略記事となります。卓内のプレイヤーと対戦するテーブルトップのドラフトは想定しておりませんので、ご注意ください。(とはいってもまったく紙のドラフトで参考にならないわけではありません!)   目次 環境理解 - アーキタイプ環境 ピックの方針 アーキタイプごとに点数が上がるカード・ゲームプランの立て方 Tips     ▼環境理解 - アーキタイプ環境  まず大前提として、この環境のコモン・アンコモンはシナジーやアーキタイプごとの戦略を意識したカードが多く、アーキタイプ環境です。  霊気走破の緑のように突出した色もなく、総じて色のバランスがいい環境と言えるでしょう。  改めてアーキタイプごとにまとめていきましょう。  青白:アーティファクト/工匠(シド) 青黒:コントロール/アーティファクト 青赤:4マナ以上非クリーチャー呪文 青緑:街ランプ 白黒:サクリファイス/アーティファクト 赤白:装備品アグロ 緑白:横並べ/英雄譚/チョコボ 赤緑:上陸/チョコボ 黒赤:黒魔術士バーン 黒緑:墓地利用/ランプ  上記の通り、一つのアーキの中でもいくつかのシナジーがあることが分かるかと思います。  これらのシナジーによってカード毎の点数が大きく変わる事はこの環境で非常に重要な部分ですので、これは必ず意識する必要があります。   ▶環境のサイズ・速度感  まずこの環境において2マナパワー3はレア含めてもなんと《コーネリアの騎士、ガーランド》のみ。後は上陸込みのチョコボトークンぐらいしかいません。  2マナのジョブ選択装備品はいずれもパワー2であり、《サハギン族》《ガードスコーピオン》《パシュハウ沼のグゥーブー》などの2マナタフネス3に価値が生じることにも繋がります。  こういったタフネスが高い2マナ域から3ターン目《チュートリアルバトル》に繋げるとアドバンテージを得つつ、非常に硬くなれるので鉄板の組み合わせとなっています。  また先手が強い環境でもあります。  17landsによるデータでも表れており、先手勝率は53%に近い数値。これに加えてこれまでの環境の中ではやや早めな速度感となっています。  この理由としてはやはりジョブ選択装備品が挙げられます。  英雄トークンを生み出しつつ装備させる装備品ですが、この装備品を重ねることで打点を縦に伸ばしやすく、ブロッカーを突破するのが容易になっています。  そうすると先に動ける先手側が優位に立ちやすく、結果的に先手環境になっていると推測できます。  環境の速度感としても歴史を見てもだいぶ早く、17landsでは決着ターンが平均8.9ターンとなっており、これまでの環境の中でも速くなっています。これらの要因から押し付けが強い環境であると言えそうです。  ドラフトにおける2マナ域は重要と古事記にも書いてありますが、今回は先述した通り先手が強いことに加えてジョブ選択の装備品が2マナに集中しているのも大きく、攻めるにしても受けるにしても特に2マナが重要になっています。  上記の理由からピック・構築時は2マナアクションの数を意識した方がよい、という話に繋がります。 ▶FF環境における飛行  さて、基本サイズの話をしたところで、ここでこの環境の飛行について言及せねばなりません。  まず飛行を阻む到達持ちが非常に少ないという特徴が挙げられます。コモンで到達を持つカードは《東アルテバ砂漠のサボテンダー》《「吟遊詩人」の弓》《岩巨人》の三枚しかありません。  さらに言えば《「吟遊詩人」の弓》以外の2枚はいわゆるアンプレイアブルなため、実質1枚しかないとも言えます。  ではアンコモンはどうかというと、《バレット・ウォーレス》《グ・ラハ・ティア》《ダイヤウェポン》とこれもまた3枚しかありません。  《ダイヤウェポン》はどちらかというとフィニッシャーであるため、序盤~中盤の飛行に対するブロッカーとしては期待できません。  《バレット・ウォーレス》もただの4/4到達になりやすく、カードパワーが低いのもマイナス点。実際17landsでも52.2%と非常に低い数値です。  《グ・ラハ・ティア》は5マナとやや重く、同じくブロッカーとしての運用はどうかと言われると……サクリファイスシナジーのある白黒以外のアーキタイプだと弱めなのも厳しいところですね。  このようにアンコモン含めても序盤で使用に耐えうる到達持ちは《「吟遊詩人」の弓》1枚しかないということになります。  一方で飛行クリーチャーは3/2/1飛行でありながら1/1英雄トークンを出す青のトップコモンである《竜騎士の飛竜》、2/2/1飛行で攻撃時に諜報1と凄まじいカードパワーを持つ《イル・メグのピクシー族》。  裏返る必要があるとはいえ、一回裏返ってしまえば搭乗1かつ4/4飛行の機体となる《サブクエスト:カードコレクション》も強いですね。    白にもアーティファクトが2枚あるだけで3/3飛行警戒と素晴らしいカードになる《ゲイラキャット》、実質2/2/1飛行であり装備することで+1/+0と飛行も付与してしまうトップアンコモン《「竜騎士」の両手槍》もいます。  この《「竜騎士」の両手槍》含めた装備品を持ってこれながらパワー3の飛行でもある《レターモーグリ》、2-3章で飛行を付与する《召喚:蛮神ガルーダ》と粒揃いです。  これに加えてジョブ選択の装備品も多いため、これらの飛行に装備しパワーを上げて殴る飛行ビートが成立しやすい環境でもあります。  このように飛行を持つ青と白はテンポよくライフを削るというプランを立てやすく、色自体が強い理由の一つです。 ▶レアに対する対抗策は用意すべし  どのリミテッドでも言える事ではあるのですが、今回はボーナスシートである継承史カードも含めて試合を動かすレアが多くなっています。  17landsでも勝率60%前後であるレアの数は多く、数字的にも証明されていると言えるでしょう。  こんなレアへの対抗策としては下記の通りになると考えます。   1.《中略》《リバイアサンの腹のなか》といったカウンター    レアをそもそも解決させないカウンターがまず思い浮かびますね。  これは数字にも表れており、17landsでは《中略》が57.5%、《リバイアサンの腹のなか》が59.9%と高い勝率を記録しています。    もちろんボーナスシート(継承史カード)のカンスペこと《対抗呪文》も58.6%と高い勝率を記録しています。  これはレアが強い環境であるからこそ、これへの完全回答になり得るカウンターの価値が上がっているのはもちろんですが、同時に構えるインスタントが強いのも一因になっていると思われます。  青単色だけでも《ラグナの記憶》や3マナ瞬速のタップオーラである《祈り子の間での捕縛》、バウンスの《氷魔法》や《緊急脱出》も同時に構える選択肢が豊富ですね。  黒でも《ヴェインの鬼謀》《オーバーキル》《セフィロスの介入》と優秀な各種除去、赤では《雷魔法》《火魔法》……といった具合で、いわゆる構え損になりづらいというのもこれらカウンターの強さを支えていると推察できます。 2.デッキ自体のゲームレンジを短くする   ゲームが延びれば延びるほどボムレアを出される確率は高くなっていくため、速やかにゲームを畳めるような構築を意識せねばなりません。  赤白アグロなどはその筆頭で、2マナを中心とした軽量クリーチャーを次々と展開していきながら6-7ターン辺りの決着を狙っていく構築が17landsでの7勝デッキでちらほらと見かけます。  ここまで極端ではないにしろ、強いレアがないデッキではちゃんと飛行+装備の組み合わせなどゲームを畳む手段を用意していることが多いですね。  逆に除去が多くてもフィニッシャーが少ないデッキだと結果的に相手のボムレアによって敗北してしまうというケースが多見されました。  もちろんこちらがボムレアを複数あるのであれば逆にゲームを長引かせ、ボムレアを引き込んで連打していくという構築の方が勝率高くなるというケースもあるでしょう。  攻める側、受ける側。アーキタイプも含めてどの立場に立った方がいいのかをよく考えて構築していく必要があります。 ▶英雄譚・クリーチャーについて  一時的に力を貸してくれる召喚獣を最終章まで行ったら墓地に落ちる英雄譚・クリーチャーとして表現したのは見事以外の何ものでもありません。  正直この発想はなく、MTGにはまだまだデザインの幅はあるのだと思い知らされましたね。  さて、そんな英雄譚・クリーチャーですが、最終章まで行ったら墓地に落ちる関係上、3章の英雄譚・クリーチャーは1回しか殴れない点には留意したいところです。(1章では召喚酔い、2章では攻撃できるものの3章で墓地に落ちるため)  ただ、ブロック面で言えば1章、2章の2ターンはブロッカーとして運用できるため、受ける側のデッキとしてはありがたいと言えます。  3章までしかない英雄譚クリーチャーは英雄譚側の効果を目当てにしつつ、ブロッカーの運用として考えたほうがよいでしょう。  これについてはデザイナーチームも意識しているのか、《召喚:シヴァ》《召喚:蛮神ガルーダ》など3章の英雄譚は盤面に干渉する効果を持つ事が多くなっています。  一方で4章まである《召喚:モーグリ&チョコボ》《召喚:デブチョコボ》《召喚:G.F.イフリート》は攻撃するクリーチャーとしての運用ができるということにもなりますね。  特に《召喚:デブチョコボ》は1賞で2/2チョコボトークンを出すことで1枚で2枚になりつつ、2~4章は全体にトランプル付与と緑とかなり噛み合う性能となっています。緑の強コモンですね。  攻める側も受ける側もこの英雄譚クリーチャーの特性をきちんと理解しておきたいところです。   ▼ピックの方針 前半はカードパワー重視  これはシンプルですね。  空いている色に座る事は非常に重要です。「どの色にも入れるようにする」ために前半ではそのパックの中で一番強いカードをピックする事になります。  そのためには各色ごとの強いカードは覚えておく必要があります。   色単体の強さは青≧白>黒>緑≧赤    これはあくまでも色単体での強さとしての個人的な評価です。  また、先述した通り色の強さにそこまで差はありませんが、緑に関してはレアが絡まないと弱いと感じます。  ただレアは強く、他の色のレアもマナサポートによって強く使えるため「色単体での強さ」としては4番手としています。  コモン・アンコモン限定で見れば緑は最下位と言っても差し支えないと考えています。    最下位である赤も攻めるカードと受けるカードが二極化している上、またいわゆるボムレアが《燃え上がるニブルヘイム》《サイファー・アルマシー》《親衛隊長、ギルガメッシュ》ぐらいしかないのも「色単体での強さ」で最下位としている理由の一つでもあります。  その一方で特定アーキタイプでは強くなるカードも多々あり、アーキタイプとしての完成度を高くできる点は評価できます。  先述した通り、アーキタイプとしての完成度が重要になってくるというわけですね。  その上でカードパワーの高いアンコモンやコモンを色ごとに簡単にまとめていきます。   パックの前半~中盤辺りに流れてきたら取るカードTOP5  前半はアンコモンを中心に、このアンコモンが枯れてくる中盤でコモンをTOP5形式で見ていきます。  左から点数および優先度が高い順となっています。   ▶白  いずれもまっすぐ殴っていくという方向性で統一感があり、これによってデッキの完成度が高くなりやすい利点があります。  先手環境でもあるためテンポよく攻めていける白が一番強いという見方もありますね。    《白聖石》はパーマネントを追放しつつもアーティファクトシナジーを満たし、さらにマナも産み出すトップコモン。  《「白魔術士」の杖》も2マナながら+1/+1修正とタフネスも上がるため、1/1に止められない点が素晴らしいですね。  《「竜騎士」の両手槍》は全アンコモンでもトップクラスの強さ。17landsではなんと61.6%とレア並の勝率が出ています。  2/2/1飛行でありながら後から出たクリーチャーにも+1/+0と飛行をつけることでフィニッシャーに様変わり。先述してきたように飛行が強い環境であるため、この装備品の価値も大きく上がっています。   ▶青  《サハギン族》と4マナ以上の非スペル、クリーチャー+《チュートリアルバトル》との組み合わせなど青単色内で完結する流れが多いため完成度が高くなりやすいのが利点です。  個人的に生物の質が環境に合っている上にアドバンテージも取れ、カウンターもありと器用に対応できるのもあってかなり好きな色です。  青の2/1/3はリミテでよく見かけて大体弱い傾向にありますが、今回の《サハギン族》は別格。17landsでは58.4%と非常に高い勝率を誇っています。  先述した通り2マナ域のクリーチャーはほぼ受け止められるため、2/1/3というスタッツが環境的に良いというのがまず挙げられますね。  《サハギン族》を複数拾えている場合、4マナ以上の非クリーチャー呪文の点数は大きく上がるのでここの繋がりは是非意識しておきたいところですね。  《迷惑なタコ、オルトロス》は《氷魔法》の4マナモードと組み合わせることで2枚ブロッカーをどかせる押し付け最強カードです。  デッキの中核としても働くので見かけたらピックしておきたい一枚ですね。 ▶黒  除去が強く、アンプレイアブルなカードが他の色と比べて少なく安定しているのが特徴と言えます。  ちなみにコモン・アンコモンの勝率TOP5が《サブクエスト:モブハント》《セフィロスの介入》《ビッグブリッジの死闘/致命的な一押し》《ヴェインの鬼謀》《黒魔道士の襲撃》と全て除去となっています。  《ヘクトアイズ》については《「黒魔術士」の杖》・《隠された真実》・《神羅の援軍》などと悩みましたが、ディスカードによる安定したパフォーマンスと生贄に捧げやすい点で5番手としました。  《サブクエスト:モブハント》は特に強力で、確定除去のオマケに宝物トークンを産み出しつつ、3個になると5/6のフィニッシャーに様変わり。1-1でも強いレアがなければピックするレベルです。   ▶緑  上で紹介したような単色内で完結するシナジーや強力な動きがないため、コモン・アンコモンだけで入るような色ではありません。  緑の強い動きとしてはマナサポートで補助しつつランプ先を用意するようなイメージです。ですのでレアから入るのがよいように思います。  そういう意味では戦略と噛み合っている青緑、緑黒は割と強めな印象がありますね。  《チョコボキック》はキッカーで二倍のダメージを与えられる点、上陸シナジーとも噛むなどの複数の要因によってトップコモンとなっています。  《町の歓迎者》は黒緑や青緑では是非欲しい一枚ですね。   先述した通り緑はコモンやアンコモンから中核を据えるにはあまりしたくない色ではありますが、構築級の強さを持つ《召喚:フェンリル》であれば話は別です。  これが早くない巡目に流れてくるなら上は間違いなく緑をやっていないというサインになりますし、多色化によってレアの受けも広くなるためです。   ▶赤  カード単体で見ると強いカードは少なく、シナジーによって強さを発揮する事が多いです。  このシナジーを発揮してしまえば他の色のコモンよりも強い動きをする事が多く、色の相方としてはよき相棒になれる色と言えます。  《猛火のボム》に関しては青赤専用カードです。青赤では勝率59.1%と高勝率を誇りますが他の色では最高でも黒赤の53.3%と非常に極端な数字を残しています。  よってパックの後半などでこれが流れてくる時点で青赤をやっている人は少ないという情報を得る事が出来ます。(もちろん他のカードとの兼ね合いで取らなかった可能性もありますが)  逆に青赤の席に座っているのであれば、これが流れてきやすくなるのでより完成度が高くなるという好循環が産まれることになりますね。  《チョコメット》と《「侍」の刀》の2枚がかなり抜けており、これらは是非ピックしたいところです。  5番手の《魔女の野望》に関しては《猛火のボム》と同じように青赤・黒赤専用カードとなっており入るデッキは少ないのですが、これらのデッキで1枚あるだけでも太さが違うので評価をやや上げています。   ▶マルチ  ほぼ全てのマルチアンコモンはアーキタイプを大きく支える性能であるため、どれも前半に流れてきたらピックしたいですね。  中でも《過激な淑女、シャントット》はレア級で別格の性能です。  1-1で普通以下のレアであればこれを取って青赤への布石を打つことも検討するレベルです。    各色の強カードについてはここまでにして、次から具体的なピック指針に移ります。   エスパーカラーを少し意識  エスパーカラーは色の強さで言えばいずれもTOP3に入ると考えており、かつこれらはアーティファクトシナジーが少しだけ繋がっている点は留意したいところです。  例えば黒ですと《ヴェインの鬼謀》《魔列車》などはクリーチャーだけでなく、アーティファクトも生贄に捧げることでボーナスがかかります。  クリーチャーとアーティファクトが両方出る装備品との相性が良いのは見逃せません。そういう意味では無色の《「モンク」の拳》は悪くないカードです。   《アルベド族のサルベージャー》もアーティファクトが墓地に行くと1点ドレインであり、サクリファイスシナジーとの相性がよい一枚です。  アーティファクト(親和)の《ヘリガンナー》を擁する青はもちろんですが、4/3/3飛行で他のアーティファクトが出るたびにルーティングをする《オートタレット・ルーク》はややカードパワーが低めなのは注意。  また、《「白魔導士」の杖》《「竜騎士」の槍》《「ナイト」の盾》といずれも強力な装備品が白には多く、意識せずともアーティファクトが集まっているというパターンが多々あります。  これらの装備品をサーチしてくる《レターモーグリ》も強力ですね。白が分かりやすく強いとされている理由もここです。  いずれのカードも「殴っていく」という一貫性があり、カードパワーに従ってもアーキタイプ毎に求められているカードが自然と集まるためです。   赤緑はボムレアを複数拾えた時以外は極力入らない  理由はシンプル、デッドカラーだからです。  17landsの統計でもダントツの勝率最下位となっています。  弱い色同士の組み合わせになり、赤緑というカラーは攻めていきたいのですが攻めるのに不向きなカードが多いというのも一つの理由でしょうか。  上陸シナジーもこれといった強力なものがなく、ただただシンプルにアーキタイプとしてのパワーが低いという悲しい理由です。  ただ《燃え上がるニブルヘイム》《原始のタイタン》といった強力なボムを複数ピックできており、かつ《チョコメット》《召喚:フェンリル》といった強アンコモンが流れてくるなど赤緑が空いているのであれば話は別。  これらのボムを強く使えるように構築していきましょう。  (大半のケースで緑青タッチ赤の方が強いという悲しい現実もありますが)   青赤は入れるなら入りたい。マルチアンコが流れてくるならピック  一方で青赤は17landsの統計でも勝率最上位となっており、入れるなら入りたい組み合わせになります。  《猛火のボム》《「戦士」の剣》など青赤では強力なものの、他のアーキタイプでは点数が落ちるカードが多いのも特徴です。 青赤・黒赤専用カード筆頭    また、赤は単体で見るとパワーが低いように見えるカードも多く、特に《狂気の嘲笑》《ラグナの記憶》《魔女の野望》といったコントロール寄りのカードは敬遠されがちな傾向にあります。(《チョコメット》《「侍」の刀》といったパワーカードは例外ですが)  そうすると必要なカードが集まりやすく、結果的にアーキタイプとしての完成度が高くなりやすいのも勝率最上位である理由と言えます。 とんでもないやつら    マルチアンコモンである《パラメキア皇帝》《過激な淑女、シャントット》は相当なパワーカードであり、これあるなしでは青赤としての完成度が桁違い。  1パック目の前半で流れてきたら是非ピックしたいところです。   空いている色に座るのが重要  ここで意識しておきたい事としては、アーキタイプ毎に点数が大きく変わるカードが多いということです。  先述してきた通り、今回の環境はアーキタイプ環境。  霊気走破の緑ほど突出している色もなく、いかに競合せずに完成度の高いアーキを作り上げられるかどうかが重要になってきます。    例えば1-5辺りから流れてきたパックの中で唯一の青である《チュートリアルバトル》などを取っていき、下家に対して青がないという情報を渡し続けて「俺は青をやるぞ」と色を主張することも効果的と考えられます。  もちろんこれは上家も同じことが言えます。  ここで「このカードが流れてくるなら上はこのアーキタイプはやっていない可能性が高い」と判断できるように、カード単体でアーキタイプごとの評価・点数を覚えておく必要があります。    具体的な例としては、《コヨコヨのUFO?》が挙げられます。  2/0/4飛行のタップ起動で手札の土地を出しつつ、3マナ起動で街の数と同等のパワーになるというカードです。  一見するとただの2/0/4飛行ですが、街をかき集め土地を伸ばしていって《キキルンの商人たち》《世界をめぐる旅》《心を持たぬもの、オメガ》といった街を参照する街ランプ・コントロールデッキでは点数が高いカードとなります。    2/0/4飛行の防御的なスタッツで序盤を支え、マナなしの起動能力で手札から土地をセットすることでマナ加速に貢献し、最終的には3マナの起動能力で戦力にもなる……と、街ランプ・コントロールにとってほしい要素が全て詰まっており80点~90点のカードと言えるでしょう。  一方で街参照シナジーがなく、街自体もないとなると本当にただの2/0/4飛行になってしまいます。  例えば赤白などの攻めっ気の強いデッキではほぼ0点、いわゆるアンプレイアブルなカードに成り下がります。  このようにアーキタイプ毎に点数が大きく変わる事はご理解いただけたかと思います。 ではこの《コヨコヨのUFO?》が1-8辺りで流れてきたらどうでしょうか。  街ランプ/コントロールでは評価の高いこのカードがこの巡目になっても流れてくるということは、このアーキタイプに参入している人が卓にいない可能性が高くなりますね。  これが「空いている席を見極める」ということになります。このように流れてくるカードには卓の状況という情報が詰まっていますので、意識しましょう。  よって空いた色に座りつつ、かつピックしたカードを強く使えるような構築をする事が重要という方針にも繋がると考えます。   ▼アーキタイプごとに点数が上がるカード・ゲームプランの立て方  ここではアーキタイプごとに点数が上がる、つまり評価が高くなるカード群とゲームプランの立て方をまとめていきます。  前提として、マルチアンコモンはそもそも入るので例外とします。  また、デッキリストについては基本的にミシック帯かつ7勝です。 青白 - アーティファクト・飛行ビート/高速~中速 ▶点数↑ 各種ジョブ選択装備品(特に白) 《ゲイラキャット》 《ガードスコーピオン》 《竜騎士の飛竜》 《武器屋》    ゲームプランとしては赤白ほど早くはないため中速寄りですが、主に飛行ビートによって早めにゲームをたたむ事を意識することになるでしょう。  そのため飛行系統およびアーティファクトシナジーも満たす各種ジョブ装備品の点数は高めになってきます。  《ガードスコーピオン》も地上を止めつつ、アーティファクトシナジーも満たすので《ゲイラキャット》との相性は〇。  そういった意味でも継承史カードですが《帝都アルケイディス/前兆の壁》も地上の壁として相性がいいとも言えます。  《武器屋》もこのアーキタイプとは相性がよく、上記の装備品を1マナで飛行につけて殴っていくというプランを取ることができます。  《独創的な革新者、シド》をピック出来ている場合、常在効果を活かすために対象となる英雄トークンを出すカードやアーティファクトクリーチャーの点数が高くなりますね。  これも各種ジョブ装備品で英雄トークンが出るため、やはり装備品を集めていきたいという話になってきます。  また、《武器屋》は《独創的な革新者、シド》との工匠シナジーも存在するので忘れないようにしたいところです。  ちなみに継承史の《第三の道のロラン》《最高工匠卿、ウルザ》も実は工匠だったりします。  再現性は皆無に近いですが、万が一揃ったなら紙で気づく方は皆無と言ってもよいです。ドシャクりましょう。   青黒 - コントロール/中速~低速 ▶点数↑ カードパワーが高いカード全般  身も蓋もないかもしれませんが、事実です。  青黒に関しては明確なシナジーはなく、青と黒の強カードをかき集めた結果強い青黒が出来上がるという印象が強いです。  下記にミシック帯7勝リストを並べると共に、シナジーも記載します。 ★テンポ型・《サハギン族》《迷惑なタコ、オルトロス》+4マナ以上非クリーチャー呪文・《サハギン族》《イル・メグのピクシー族》+《チュートリアルバトル》 ★低速寄りの中速型・《「黒魔術士」の杖》が重なった上で優秀なスペル群が揃う ★低速型・カウンター・除去と街を集めて《世界を巡る旅》のコントロール+ボム  このように強いカードをかき集めるだけでなくシナジーを発揮させつつ、どういった速度感やゲームレンジで行くのかを意識しながら構築されているのが分かるかと思います。  ピックしていく上でアーキタイプが目指すゴールが定まっていない分、ある意味では腕が一番問われるアーキタイプなのかもしれませんね。 青赤 - 4マナ以上非クリーチャー呪文/中速~低速 ▶点数↑ 《猛火のボム》 《サハギン族》 《戦士の剣》 《幻獣を奪取せよ》 《山チョコボで冒険》 《ラグナの記憶》 《狂気の嘲笑》 《魔女の野望》 《緊急脱出》    青赤は4マナ以上非クリーチャー呪文によって強化する《猛火のボム》《サハギン族》が欲しくなってきます。特に青赤濃厚時の《サハギン族》は早めの巡目でもピックを検討するレベル。  2/1/4で相手を止めやすい《ガードスコーピオン》も個人的には評価が高いカードです。    それから4マナ以上非クリーチャー呪文の要件を満たしつつクリーチャー枠にもなれる《戦士の剣》《幻獣を奪取せよ》《山チョコボで冒険》も青赤では点数が高くなりますね。  特に《幻獣を奪取せよ》《山チョコボで冒険》はフラッシュバックもあり、1枚で2枚分のクリーチャーかつ4マナ以上の誘発を2回させることができ、青赤で使った時の強さはコモンとは思えない性能です。《山チョコボで冒険》についてはそもそもカードが強いですが。  使いやすいドローソースである《ラグナの記憶》はもちろん、他のデッキではあまり入らない《狂気の嘲笑》もフラッシュバックで4マナ以上の要件を満たします。  ルーティングも青赤に多いフラッシュバックを持つカードを捨てるとアドバンテージにも繋がるので他のアーキタイプよりも強く使う事ができます。  《魔女の野望》は青赤以外だと黒赤しか使わないカードですが、フラッシュバック持ちであれば追放されたソーサリー・インスタント呪文も回収することができます。   自身もフラッシュバックを持つためこれで得られるリソースは凄まじく、中盤~長期戦にかけて4マナ以上の非クリーチャー呪文を連打していけるため青赤とかなり噛み合っています。 ブチヂレると普通にパワー7とかで殴る   ゲームプランとしてはまず《猛火のボム》《サハギン族》《パラメキア皇帝》《過激な淑女、シャントット》などの4マナ以上の非クリーチャー呪文でボーナスのかかるクリーチャーを展開していく事になります。  そこから《緊急脱出》《氷魔法》《雷魔法》といった4マナ以上の除去でボーナスを達成しつつ殴っていくという流れが多くなりますね。  この動きを補助するリソースカードも欲しく、先述した《ラグナの記憶》《狂気の嘲笑》の他にも3マナですが《猛火のボム》《サハギン族》などとの相性がいい《チュートリアルバトル》もあるとなおいいですね。  これらの動きをしていくためには土地が4枚以上であることは必須であり、その点《山チョコボで冒険》は山サーチによって確実に土地を伸ばせるので青赤が最も強く使えるカードと言っても過言ではありません。  クリーチャー・スペルの質もさることながらフラッシュバックも多いためマナフラッド・長期戦にも強く、総じてアーキタイプとしての完成度が高い色と言えるでしょう。 個人的にはこの青赤がトップティアと考えています。   青緑 - 街ランプ/低速 ▶点数↑ 各種街土地 《キキルンの商人たち》 《世界をめぐる旅》 《パシュハウ沼のグゥーブー》 《コヨコヨのUFO?》 《地平線への到達》 《光曜の指輪》 各種除去 《ガードスコーピオン》 《バラムのアルケオダイノス》 《闘技場のベヒーモス》 各種ボムレア  街土地および街シナジーカードは当然ながら、序盤を支えるカード群および土地を伸ばした先のゴールは必須と言えます。    特にゴール部分がないと画竜点睛を欠くと言っても過言ではありません。少なくとも3枚ほどのゴールがあるとよいでしょう。  街土地によって多色化は容易なため、流れてきたボムレアたちをありがたく拾っていきましょう。色が合わなくてもライブラリーをサーチするマナ加速などで必要な色を揃えればいい話なので拾いましょう。  また、他のアーキタイプでは点数が低くなる《天晶堂に向かうプリッシュ》《地平線への到達》《光曜の指輪》は青緑であればゲームプランを成立させるマナ加速になります。《ブリッツボール》もいいですね。  《光曜の指輪》は1点支払う必要があるとはいえ、タップさせて確実に時間を稼いでくれる点も◎。  ただ、出る色も無色でカード単体としては弱めなカードではあるので23枚目の候補として考えた方がいいでしょう。  ゲームプランとしては序盤を支えるカード群、マナ加速でフィニッシャーに繋げてスケール差で勝つというシンプルなアーキタイプです。  よって《中略》といった実質除去になれるカウンターは重要ですし、《ガードスコーピオン》《キキルンの商人たち》といったタフネス4による肉壁も必要になるというわけですね。  とにかく序盤を凌いでマナを伸ばす事を意識します。マナさえ伸びてしまえば後はこちらのものです。    フィニッシャーも多種多様で、緑であれば《闘技場のベヒーモス》《心を持たぬもの、オメガ》の他にも《古代の災厄、ジェノバ》《グラディオラス・アミシティア》《スピラの罰、『シン』》《召喚:バハムート》……  他の色ではちゃんとマナサポートがあるのであれば《イフリートのドミナント、クライヴ》《ナイツオブラウンド》あたりもいいですね。  とにかく卓にあるフィニッシャーたちをガメていきましょう。   白黒 - サクリファイス/中速  ▶点数↑ 各種ジョブ選択装備品 《魔列車》 《アルベド族のサルベージャー》  こちらはサクリファイスというシナジーが存在します。  《魔列車》や《アルベド族のサルベージャー》両方ともアーティファクトも適用されるため、1枚で2枚になる各種ジョブ選択装備品の点数が高くなります。  比較的安く流れてくる《モンクの拳》はその筆頭で、上記のミシック7勝デッキでも3枚入っています。    ただ他のサクリファイスを行うカードである《アーリマン》《ナマズオ族の商人》に関してはカード単体のパワーが低く、勝率自体も平凡です。  よって、サクリファイスに絡まず強いカードをかき集めたグッドスタッフ的なデッキになる場合も多々あります。  この場合は《プルート隊隊長、スタイナー》や《ゲイラキャット》+ジョブ選択装備品など、白単色内でも完結するシナジーを優秀な黒の除去で補助していくという動きになる事が多いです。  そういう意味では青黒と同じくアーキタイプに囚われず、柔軟にその都度のシナジーを考えていく必要があると言えます。   赤白:装備品アグロ/高速  ▶点数↑ 各種ジョブ選択装備品 《ゲイラキャット》 《さんごの剣》 《光の一閃》 《ブルメシアの竜騎士、フライヤ》    こちらはとにかく速度が命。1~2マナアクションを詰め込みつつ、《雷魔法》《白聖石》などの除去でどかしていくゲームプランを狙います。  そのため1~2マナアクションは非常に重要で、装備コストが軽く縦の打点を伸ばしやすい《モンクの拳》も立派な戦力になります。    マルチアンコモンである《ドワーフの王、ジオット》も装備品が出ることでルーティングする能力に加え、装備品自体と相性のいい二段攻撃で一点突破を狙っていくことになります。  先述してきた通り、赤のカードは攻めるカードと受けるカードで二極化になっているため、赤よりもカードパワーの高い白のカードを集めていくケースが多くなります。  そうすると優秀な白のカードをかき集めた上で、《雷魔法》《「侍」の刀》など赤の強いカードをつまんだタッチ赤のような形になりやすいアーキタイプでもあります。    上記の7勝デッキなどはほぼ白のカードになっているのでわかりやすいですね。  特に白のジョブ選択装備品は優秀なものが多く、ピックすることが多くなることから自然とアーティファクトの数が増えるため、《ゲイラキャット》の点数も同様に上がっていきます。  速めの決着を目指すゲームプランとも合致していますが、赤白に限らず白中心にピックを進めている時は《ゲイラキャット》も拾っておく意識をしておくとよいでしょう。   緑白:横並べ/高速~中速  ▶点数↑ 《アーロンの鼓舞》 《召喚:チョコボ&モーグリ》 《魔導兵器の歩兵》    マルチアンコモンへの依存度がかなり高いように感じます。7勝デッキを見てもいずれもマルチアンコモンがほぼ入っていました。  逆に言ってしまえばマルチアンコモンが無いとあまり勝たないアーキタイプとも言えそうです。  《魔導兵器の歩兵》《エアリス救出作戦》などで展開しつつ、《リノア・ハーティリー》や《召喚:チョコボ&モーグリ》で横並べ戦術を後押しする形ができるとよいでしょう。 そこに《アレクサンドリアの王女、ガーネット》で《召喚:チョコボ&モーグリ》《召喚:デブチョコボ》を使いまわすコンボも組み合わせると完成度が高くなりますね。  例にもれず、白を中心に集めていく中で緑の強い所だけ入れるという形になりがちです。白の優秀さがよくわかりますね。 赤緑:上陸/中速  正直組んだことがないので何とも言えません……申し訳ございません。  上陸シナジーカードは正直弱く、赤と緑がガラ空きで強いカードを集められた結果勝てるというようなデッキが多いように見受けられます。  7勝デッキを見てみてもアーキタイプとしての完成度はそこまで高くなく、レアのカードパワーで押し切っているというような印象が強いです。  上記にも記載した通り、複数のボムレアを引いて空いているなら仕方なく入るぐらいの立ち位置と考えます。  その場合はちゃんと強いカードをかき集め、グッドスタッフ的にするか街を集めて街ランプといった形になるかと思います。   黒赤:黒魔導士バーン/中速  ▶点数↑ 《「黒魔術士」の杖》 《黒魔道士の襲撃》 《黒魔紋の力》 《ミシディアの長老》 《魔女の野望》  黒赤は独特な組み方となっており、ウィザード・トークンを中核としたバーンチックな構築にすると勝率がよくなる傾向にあります。  ウィザード・トークンによるバーンダメージによって試合を速やかに終わらせることができるのが大きな理由と考えられます。  上記のミシック帯トロフィーデッキでも《「黒魔術士」の杖》4枚、《ミシディアの長老》3枚、《黒魔道士の襲撃》1枚で8枚もあります。  これに加えて屈指のボムである《ジェノムの魔術師、クジャ》もあり優秀な除去も山ほどあるため黒赤の到達点と言えるでしょう。  このウィザード・トークンを出す《「黒魔術士」の杖》、《黒魔道士の襲撃》《ミシディアの長老》などはいずれもコモンであり、黒の席に座れると自然と集まりやすいです。  《黒魔道士の襲撃》でダブルシンボルが多くなるので黒を中心にピックしつつ、赤の強いカードをつまんで黒タッチ赤というような流れが理想的と言えそうですね。上記のミシック帯トロフィーデッキはほぼ黒単ですね。  サクリファイスが多いため、通常であればアンプレイアブルな《予想外のお願い》が強く使えるデッキとなっています。  ゲームプランとしてはやはり《「黒魔術士」の杖》や《黒魔道士の襲撃》などから出てくるウィザード・トークンによるバーンダメージを活かしたダメージレース。  重なれば重なるほど強くなるため、これらウィザード・トークンを出すカードの点数は高くなっていきます。  もちろん誘発させるためのスペルも重要で、そういう意味では後続のスペルを引き込みつつウィザード・トークンも出す《黒魔紋の力》も黒赤にピッタリな一枚です。このターン限定とはいえ絆魂もつくためダメージレースに貢献するのも◎。  ほぼ青赤・黒赤専用カードである《魔女の野望》も《黒魔道士の襲撃》や《黒魔紋の力》などを使いまわしたりと強く使える一枚となっています。  ウィザード・トークンを出しつつ、相手の脅威を優秀な除去で対応しながらバーンダメージでダメージレースを制しましょう!   黒緑:墓地利用/中速~低速  ▶点数↑ 《町の歓迎者》 《神羅の援軍》 《戦うものたち》 《邪悪の再覚醒》 《ダイヤウェポン》  こちらは墓地を肥やしつつ、回収やリアニメイトもこなす墓地利用デッキでグッドスタッフ的な面もあります。いつもの黒緑ですね。    特にマルチアンコモンの墓地にあるパーマネント分-X/-Xの除去を内蔵している3/3飛行の《暗闇の雲》はアンコモンの中でもトップクラスの勝率で下手なレアより高い60.2%を記録しています。  《「無」の暗黒魔道士、エクスデス》も墓地のパーマネントを参照する変身持ちであり、変身も終了ステップの開始時と即効性があります。3点のライフゲインも非常に頼もしく、勝率58%と高めの勝率です。  これらマルチアンコモンとの兼ね合いもあり墓地を肥やすカード全般の評価が高くなり、これに伴い墓地を回収したり利用するカードの評価も同時に高くなっているというわけですね。  黒緑の理想形としては《町の歓迎者》《神羅の援軍》の墓地肥やしに加えて《召喚:フェンリル》といったマナ加速がありつつ、《簒奪者、アーデン》といったド級クリーチャーを安定して唱えることもできるデッキでしょう。  墓地に落ちてしまってもリアニメイトの《邪悪の再覚醒》、墓地回収の《戦うものたち》で利用できると隙が無くなります。  《簒奪者、アーデン》ほどのボムがなくとも《闘技場のベヒーモス》《モルボル》でもいいわけですし、優秀な除去で脇を固めるとより盤石なものになります。  黒が誇る質の高い除去で相手の攻めを挫きつつ、デカブツで押し切る。まさしくグッドスタッフです。 ▼Tips 《ゼル・ディン》《チョコボキック》《ロザリアの心、アンブロシア》の土地を戻す効果で再利用  《ゼル・ディン》《チョコボキック》《ロザリアの心、アンブロシア》は土地を戻す効果を持ちます。通常ならばデメリットとなる効果ですが、各種出来事土地および《冒険者の宿》を戻すことで再利用することができます。  特に緑の《古の大都市、ザナルカンド》は6/6以上が確約されており、強力な組み合わせとなっています。レア同士ですが《ゼル・ディン》で毎ターン唱えたら勝ちますね。  《ゼル・ディン》によって《冒険者の宿》で毎ターン2点ゲインするのも強力です。   《グルメなク族、クイナ》のトークンは他の効果で育つ 《グルメなク族、クイナ》によって出るカエルトークンは《古の大都市、ザナルカンド》《幻獣を奪取せよ》によって+1/+1乗る効果が適用されます。    《古の大都市、ザナルカンド》《幻獣を奪取せよ》は「クリーチャー・トークン1体を生成する。それの上に+1/+1カウンターを置く」という説明文になっています。  《グルメなク族、クイナ》による置換効果により、「トークン1体と1/1のカエル・クリーチャー・トークン1体を生成する。それの上に+1/+1カウンターを置く」という効果になり、カエルトークンにも+1/+1が置かれるというわけですね。  特に《古の大都市、ザナルカンド》とは緑単色での組み合わせになるため、覚えておいて損はないです。   《モーグリの商人、スティルツキン》のあれこれ  自分がコントロールしていてこれでないパーマネントを相手に押し付けることで1ドローする効果を持ちます。  これについて直感的でない結果になる事もあるので下記に記載します。   1.戦闘時、ブロッカーを対象に起動 →戦闘自体がなかったことになり、そのまま相手のコントロールになります。  例えば4/4に対して1/1でチャンプブロックした後に対象にすると、その1/1は倒されずに相手の盤面に移ります。   2.対戦相手がコントロールしているものを対象とする除去に対応して起動    例えば《白聖石》でこちらのクリーチャーを対象にされ、それにスタックで起動するとそのクリーチャーは相手のコントロール下へ移ることになります。  その後《白聖石》の誘発を解決することになるのですが、この時点で「対戦相手がコントロールしているパーマネント」ではなくなり、対象不適正になるため追放されません。  《召喚:蛮神ガルーダ》も「対戦相手がコントロールしていてタップ状態であるクリーチャー」なので同じ結果になります。  強いクリーチャーだとそのまま敗北に直結することもあるので、その際は大人しく除去された方が正解なパターンもあります。気を付けましょう。   《シーンドライブ、ライトニング》の2倍ダメージは次ターンまで持続する     実はこのターン中ではなく次のターンまでです。    なので相手のターンでこちらがブロックしてもダメージが二倍になります。とんでもない強さ、さすがライトニングさんだぜ!    ちなみにこれに二段攻撃を付与して2回ダメージが通ると2倍の誘発が2回発生し4倍になります。 《マザークリスタル、ハイデリン》の破壊不能付与効果は次ターンまで持続する 《星の意思、ヴェーネス》が裏返った《マザークリスタル、ハイデリン》は+1/+1を乗せつつ破壊不能を一時的に付与する効果を持ちます。  こういった効果は「ターン終了時まで」であることが多いのですが、実は次のターンまで持続します。なので破壊不能のブロッカーとして立たせておくことも可能になります。  私はこれに気付かず破壊不能のブロッカーにやられた経験があります。テキストはちゃんと読みましょう。 《ザックス・フェア》はカウンターだけでなく装備品もつける    例えばこちらのクリーチャーの数が多く、かつ+6/+6ほどになっている《「機工士」の装備》があるといったパターン。  この時に《ザックス・フェア》に装備させ、全員で攻撃した後に《ザックス・フェア》を生贄に捧げる事でブロックされなかった方に《「機工士」の装備》を付け替えてリーサルというケースがあります。  これもテキストを読めば済む話ではあるのですが、こういったテクニックは覚えておいて損はないでしょう。 《キスティス・トゥリープ》はインスタントタイミングでも墓地からソーサリーを唱えられる   《リミットブレイク:ヴィセント》などでインスタントタイミングでETB能力を発動させると、インスタントタイミングであってもソーサリーを唱える事が出来ます。  《ヤ・シュトラ・ルル》によるブリンク効果でも同様ですね。   《光の召喚獣、バハムート》3章の破壊効果を対象不適正にすると戦場に戻らない  3章の効果は「パーマネント1つを対象とする。それを破壊する。これを追放し、その後、これを戦場に戻す」。  対象となったパーマネントを破壊などで対象不適正にすると追放する効果まで解決されず、戦場に戻りません。  その後に《光の召喚獣、バハムート》は3章になったことから英雄譚の状況起因処理によって生け贄に捧げられ墓地に行くことになります。  変身されて3章まで行っている時点でほぼ負けのようなものですが、3章を対象不適正にすることで勝ちそうな場面もあるかもしれないので覚えておいて損はありません。   《SeeDの傭兵、スコール》と《ブリッツボール》    《SeeDの傭兵、スコール》に二段攻撃を付与し、1回目の戦闘ダメージを与えた際の誘発にスタックで《ブリッツボール》を生贄に捧げる事で誘発解決時に《ブリッツボール》を戦場に戻す事が出来ます。  その後二段攻撃による2回目の戦闘ダメージを与えた際も同様に生け贄に捧げる事で再度戻り、0マナ4ドローというとんでもない動きをします。  ここからさらに生け贄に捧げれば6ドローになります。    スコール、ビサイド・オーラカに入らないか?   《「黒魔術士」の杖》を絆魂クリーチャーにつける   「あなたがクリーチャーでない呪文1つを唱えるたび、このクリーチャーは各対戦相手にそれぞれ1点のダメージを与える」という効果を持つため、絆魂クリーチャーに装備すると1点飛ばしつつ絆魂によって1点回復します。  《エアリス・ゲインズプール》《白魔導師、ミンウ》などの組み合わせは意識しておきたいところですね。   おわりに  長くなってしまいましたが、以上となります。  本当に楽しい環境なので本記事をご参考にいただき、ドラフトをお楽しみいただけると嬉しいです!