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『マジック:ザ・ギャザリング——FINAL FANTASY』リミテッド簡易ガイド&PTQレポート

Limited ピックアップ

2025.06.26

mtg Yuyan

こんにちは! ゆうやん(@yuyan_mtg)です。 先週末はラスベガスで行われていたMagic Con ラスベガスに遊びに行っていました!   ファイナルファンタジーでいまだかつてない盛り上がりを見せたMagic Con。今回の目的は何と言ってもプロツアー予選です。   通常、プロツアーに参加するためにはチャンピオンズカップファイナルで上位入賞するか、もしくはスポットライトシリーズでのトップ8入賞しかありませんが、Magic Conで行われる予選は、突破すればそのままプロツアーの権利を獲得できます。   そしてプロツアー予選のフォーマットはファイナルファンタジーによるシールド&ドラフトというわけで、プレリリースから全力でファイナルファンタジーリミテッドに取り組んできました。   というわけで今回は、ファイナルファンタジーのシールド、そして本戦のお話となります。 目次 シールドあれこれ 本番:シールド ドラフト方針 本番:トップ8ドラフト おわりに     シールドあれこれ ■除去が最重要 ファイナルファンタジーにおけるシールドで最も重要なのは除去です。   一部のアンコモン・レアにとんでもないカードが複数存在し、それを除去できなかった瞬間に即敗北となってしまうので、除去が少ないデッキはそれだけで勝ちぬくのが難しくなってしまいます。 例外として、非常に速い白系デッキが組めた場合のみ、除去ではなく《独りじゃない》といったコンバットトリックスペルのみで乗り切ることは可能ですが、シールドでそこまで極端な速いデッキを組むことはまず難しく、現実的ではありません。 コモンで最も強い除去は《雷魔法》、次に《セフィロスの介入》です。 《雷魔法》は4マナで唱えた時の4点で5マナ域ぐらいまでのクリーチャーをほぼ対処できつつ、序盤に出てきたクリーチャーにも使えるので、最強の除去です。   赤は《メテオストライク》《世界を引き裂く光》とプレイアブルな除去が3種あるのが嬉しい。どれもシングルシンボルなので赤をタッチすることもしばしば。 《セフィロスの介入》は《バラムのアルケオダイノス》といったタフネス5以上の強力なカードを倒せるので、決して《雷魔法》と比べて見劣りするわけではありません。万能除去はいつでも正義。ただ次点の《ヴェインの鬼謀》が少し使いにくいのが難点です。 アンコモンまでいくとただただ強い《サブクエスト:モブハント》が使えます。《セフィロスの介入》もやはりシングルシンボルなのでタッチしやすい。《オーバーキル》もぜひタッチしたい1枚。 今回は白の除去も充実しています。白の《白聖石》は万能除去だけでなくマナ加速にもなり、これが地味にうっとうしい。《白聖石》を出した後の1マナで《独りじゃない》などを構えれば、除去+コンバットトリックで2アクションを取ることができ、不利な状況をまくれます。 攻撃クリーチャーには3マナで使える《天陽の繭の最期》も殴り合いでは3マナの除去、普通に使っても5マナの万能除去と及第点。そして最近よくあるクリーチャー分ダメージを与える系の除去ですが、《光の一閃》は装備品もカウントするので、明らかにこれまでとは一線を画した強さ。ジョブ選択で2点分を稼げるので想像よりずっと使いやすいカードです。白が強い所以は除去の豊富さにあります。 緑は唯一コモンに除去が《チョコボキック》しかありません。性能としては申し分なく、チョコボたちが土地を置くたびにパワーが上がる上陸能力を持っているので、キッカーがメリットに働くこともしばしばあります。シールドの緑は他の色で除去を水増しして戦うのが基本となります。 そして今回は青に除去が多い!《祈り子の間での捕縛》はインスタントかつほぼ万能除去。《過激な淑女、シャントット》や《SeeDの傭兵、スコール》など、一部タップ除去ではダメなカードもありますが、大体のクリーチャーを無力化してくれます。 今セットはジョブ選択の英雄トークンを出し合うことが多いので、バウンスの価値が非常に高い。そのため《氷魔法》は割と2マナの除去として機能します。 ジョブ選択の装備品は2マナ2/1、3マナ3/2といった標準サイズで出てきて、その代わりに装備コストが重く設定されています。序盤にバウンスで英雄トークンさえ対処すれば、中盤以降まで装備品は何もしないので、実質除去なのです。   このように緑意外はコモンに2種以上除去が用意されているので、まずは最も除去の使える2色、ないし3色を組むのが基本です。   ■色のタッチ 《要衝の村》や各種コモン土地、そしてアーティファクトの《ブリッツボール》《ワールドマップ》で3色目まではそれなりにタッチ可能です。 緑ならば《天晶堂に向かうプリッシュ》がコモンにあるので4色なども一応検討可能。青緑に赤い除去をタッチしながら、爆弾レアである《スピラの罰、『シン』》を入れるといった場合に4色になりますね。 とはいえ、基本は2色か3色目をタッチ程度で済ませるのが無難です。前述の通り除去自体はかなり重要なので、2色で綺麗に組めたとしても、除去が少ないと感じたらタッチを検討しましょう。今回は本当に除去が大事です。   ■環境の速度 シールドは環境によっては1ドロー分のオマケがつく後手を取ることもありますが、今回は先手を取った方が良いです。速度が速い…というより、それなりに速いデッキを組むことができるためです。 白系はコモンのジョブ選択で序盤から圧力をかけてきて、2種のコモン除去でバックアップしてきます。相手が白ければそれなりの速度で攻めてくるので、後手を取る余裕はありません。   2ターン目からクリーチャーが出てくることが多く、ブロッカーを出しておきたいので、2マナ域は少し厚めに確保したいところ。5枚は欲しいですね。ジョブ選択のサイズが2/1か2/2なので、1/3や1/4の価値は高く、《サハギン族》や《ガードスコーピオン》は序盤を支えてくれます。 これらのクリーチャーは後半にサイズが上がるので、ジョブ選択の装備品たちが後半に1体のクリーチャーについた時でも相打ちやブロックが行えます。そういう意味で強いのであって、サイズが上がらない1/3や2/3にはさほど価値はありません。ここは勘違いしないでください。   序盤戦をクリーチャー同士の相打ちでとどめ、相手のアンコモン・レアを除去で対処しつつ、こちらのアンコモン・レアで勝利しましょう。   ■飛行対策 今回はとにかく飛行が止まりません。コモンに《東アルテパ砂漠のサボテンダー》《「吟遊詩人」の弓》しか到達がないので、上が本当によく通ります。 《イル・メグのピクシー族》は出てきたらすぐに除去したいクリーチャーで、《ゲイラキャット》は3マナ3/3飛行とかなり強く、《竜騎士の飛竜》も十分強い。《ゲイラキャット》《竜騎士の飛竜》に装備品をつけて殴ってるだけでゲームが終わることもしばしば。 なので《「吟遊詩人」の弓》は強力で、《劇場艇の墜落》もメインに入れましょう。《メテオストライク》もそうですが、アーティファクト破壊は《白聖石》も割れるので、白相手には特に強いです。 青は除去2種に、飛行も《竜騎士の飛竜》《オートタレット・ルーク》とコモンだけでしっかりと強く、攻守に渡って優れた強カラーです。下を《サハギン族》《ガードスコーピオン》で止めつつ飛行で殴り、高マナ域を除去してくる、お手本のような飛行ビートを展開してきます。   飛行があまりにも止まらず、緑に《「吟遊詩人」の弓》や《劇場艇の墜落》が複数枚あるのであれば、サイド後に色変えも検討しましょう。   本番:シールド めぼしいレアは《バハムートのドミナント、ディオン》のみで、除去は多少あるものの、プール自体は弱め。 こういう時に取る戦略はとにかく早く殴りきること。ゲームが長引けば相手のレアと付き合わされることになるので、そうしないために速いデッキを組んで相手を倒してしまうのです。   メインボードは赤白に行くことに決めて、除去デッキに当たった時のために、《更に闘う者達》や《黒魔紋の力》をタッチして長期戦で戦えるようにしました。 また、爆弾レアを複数枚持つ重めの相手に当たった時用の青赤も用意することにしました。2マナ域に不安のあるカラーリングでメインでは選ばなかったのですが、遅い相手に対しては高いパフォーマンスを発揮できると判断しました。 結果は6勝1敗1分で翌日の決勝ドラフトに進めることに。   プールは強くなく、5勝3敗が関の山でしたが、長期戦を見越した重い構築をしていた相手を警戒にビートで倒せました。2ターン目3ターン目としっかり動ける手札をキープしたくてマリガンをよくして、それが功を奏しました。   1敗は《バハムートのドミナント、ディオン》《バスターソード》でなすすべなく負けました。 ドラフト方針 色の強弱については赤>白>青>黒>緑で考えていて、赤が最も強く、やりたい色です。 組めたら最強の青赤、安定ビートダウンの赤白と強いアーキタイプのいずれにも赤が絡んでおり、赤黒ウィザードバーンも卓の人気度合いによっては独占できるので、PTQ突破に必要な3勝0敗を達成できる可能性が高いのが赤です。 白はコモンの2マナ域で最強格の《「白魔術士」の杖》があったり、除去が優秀で、白さえ取っておけば白青・白黒のどちらにでもいける柔軟性が魅力。もちろん赤白がやれれば最高です。 純粋な強さで言えば青は2番手におきたいところなのですが、青赤か青白以外の逃げ道があまりなく、しかもその2つのデッキでほしいカードが絶妙に違うことから、青赤を目指したピックから青白に逃げるのが難しく、それが少しネガティブな理由。《サハギン族》は青赤のカードですし、《祈り子の間での捕縛》は青白で使いたいカードです。 黒はコモンが弱いので4番手。《「黒魔術士」の杖》以外の2マナ域があまりに弱く、《セフィロスの介入》は強いですが《ヴェインの鬼謀》がイマイチなので、中盤以降に取りたいコモンがありません。   とはいえ赤黒専用パーツである《黒魔道士の襲撃》がダダ流れするような卓なら独占してすごいデッキが出来上がりますし、《簒奪者、アーデン》などの最強格のレアもあるので、やれないわけではありません。《ジェノムの魔術師、クジャ》は黒をやっていなくてもタッチで使います。 緑はコモンで取りたいカードがほとんどなく、町コントロールは成立に運が絡み、緑黒は黒側の除去がメインとなるカラーリング。積極的に緑からピックしていって参入するビジョンはあまり見えません。 と、ここまで色の好みを語りましたが、実際には流れてくる色をしっかりとやる戦略を取りました。決め打ちはせずに各色の強いカードをつまみ、そこから流れてくるであろう色に合わせていきます。   本番:トップ8ドラフト 初手で取ったのは《ブラネ女王》。非常に弱いパックで他にまともなアンコモンやレア、除去がなく、《バラムのアルケオダイノス》か《ブラネ女王》の選択でした。青赤や赤黒で使えることから《ブラネ女王》をピック。 2手目は非常に悩みました。実は今回のドラフト、両面カードは事前に卓の全員に公開されます。そして僕の上上家が《サブクエスト:モブハント》を引き、それをピックせずに流していたのです。 この状況で2手目で取れるカードがほぼ《セフィロスの介入》しかありませんでした。横には《サハギン族》。《セフィロスの介入》をもちろん取りたいが、しかし《サブクエスト:モブハント》を上家が取れば僕が黒をやれる可能性は低くなる。 かなり悩んで出した結論は《セフィロスの介入》ピックでした。上家が黒をやったとしても、逆順で黒いカードを取りつつ、それ以外ではもう1色を取り続ければ良いと判断。もし《サブクエスト:モブハント》が流れてきたら僥倖。   しかし当然のことながら《サブクエスト:モブハント》は取られ、そしてパックはひどい有様に。本当にひどいパックで、ここでは《バラムのアルケオダイノス》をピックしました。 そんなこんなで1パック目が終わった時点でピックしたカードはこの13枚(+基本土地)。友達に見せたら「これは剥いたパックですか?」と言われました。それぐらい悲惨な状況。 ただ、この時にある程度の指針は出来上がっていました。実は10手目に《ゲイラキャット》が流れてきたり、8手目で《「吟遊詩人」の弓》が拾えたりと、赤黒青に人気が集まっている傾向が見えたのです。 2パック目では《召喚:フェンリル》が登場し、喜んでこれをピック。この時に《ギサールの野菜》があり、他に緑のカードがほとんどないのを見て、これが返ってくるのを祈りながら、2パック目をスタートしました。 《白聖石》を取りつつ、《召喚:チョコボ&モーグリ》《ギサールの野菜》とピックしていき、《レポリット族の斥候》が返ってくるのを確信しつつ、白緑に突き進みました。結局《ギサールの野菜》も《レポリット族の斥候》は無事1周し、これをピック。およそ10枚のデッキに入るカードをピック出来て一安心。 そして迎えた3パック目では《バッツとボコ》が4手目と7手目で取れる幸運。元々強いカードではないので、流れてきてもおかしくないのですが、そもそも2枚出てくれたことに感謝ですね。これで不安だった除去不足が多少解消されました。 2マナ域が足りず《パシュハウ沼のグゥーブー》やほとんど誘発しない《上級建設官、スラム》を入れることになってしまったのが不安ですが、一応はデッキになった形。《雷魔法》が途中からダダ流れになっていたため、不安で仕方なかったですが。 実は1パック目で何かあるかもしれないと取っておいた《桃源郷の探求者、チョコ》も《召喚:フェンリル》のおかげで入れることができました。頭の片隅にチョコボを入れておいて本当に良かったです。 デッキはこちら。 結果は…3勝0敗でプロツアー・アトランタの権利を獲得!!   1パック目終了時点では全勝なんて夢のまた夢。デッキが完成した後も不満だらけだったので、この結果は望外。マリガンで2ターン目のアクションを求めにいって、土地のない不安のあるハンドをキープして無事引き込むなど、全体的にツイてました。 とはいえ、シールドもドラフトも練習の成果がしっかり出せての勝利で、とても嬉しいです。   しかも翌日はSecret Lair Spectacularに参加して5勝1敗で《稲妻》と《稲妻》フォイルもゲット! ラスベガス、最高でした!   ■おわりに そしてファイナルファンタジーでシールドをやる機会はまだあります!   7月6日はシングルスター杯!今回はありがたいことにシングルスターさんよりご招待いただきまして、シングルスター杯に参加します! シールドを皆さんと楽しむのはもちろん、デッキ構築のアドバイスなどもしますので、当日ご参加される方はぜひお声がけください!   それではまた!

【週刊メタゲーム通信】トップ8には赤単とイゼット果敢のみ!圧倒的な強さを見せる赤たち!

週刊 Standard ピックアップ

2025.06.25

mtg Yuyan

こんにちは。   細川 侑也(@yuyan_mtg)です。   ラスベガスで行われたプロツアー『マジック:ザ・ギャザリング——FINAL FANTASY』!   日本のプロ、行弘 賢選手の赤単アグロさばきに感動し、そして優勝時の嬉し泣きには、見ている側ももらい泣きするなど、様々な感情をプレゼントしてくれたプロツアーサンデーでした。   今回は週末に千葉で行われるマジックスポットライトのフォーマットでもあるスタンダードの結果を、プロツアーから分析していきます!   プロツアー『マジック:ザ・ギャザリング——FINAL FANTASY』 優勝:赤単アグロ2位:イゼット果敢3位:赤単アグロ4位:イゼット果敢5位:イゼット果敢6位:赤単アグロ7位:イゼット果敢8位:赤単アグロ   なんとトップ8には赤単アグロ4人、イゼット果敢4人!   アゾリウス全知やゴルガリ陰湿な根などの姿は一切なく、トップ8は2つのデッキタイプだけとなりました。   赤単アグロ 見事優勝を収めた行弘 賢選手の赤単アグロ。特徴的なのはメインから4枚採用されている《双つ口の嵐孵り》でしょうか。 前兆で使用することで飛行を持たないクリーチャーに5点のダメージを与えることができるドラゴン。《焙り焼き》を思い出す方もいるでしょう。 飛行に対して使用できないデメリットを除けば、2マナ5点火力となるので、非常に広い範囲のクリーチャーに対処できます。赤単が処理しづらい《ドレイクの孵卵者》や《迷える黒魔道士、ビビ》、ドメインの《ホーントウッドの大主》、《分派の説教者》に《黙示録、シェオルドレッド》などなど対象は様々です。 しかも前兆で唱えた後はライブラリーに戻ってくれるので、またドローできるチャンスもあります。   同型でもタフネス3以上のクリーチャーは処理しづらいため、相手がフルタップの隙に《心火の英雄》に《巨怪の怒り》を唱えて3/3にしておくのが定番のプレイでしたが、《双つ口の嵐孵り》の前では無力です。 他のトップ8のデッキリストを見ていると《魔女跡追いの激情》がよく採用されています。こちらも5点を与えるカードですが、攻撃クリーチャーの数だけマナが下がるカードなので使いにくいことも多く、より安定して役割を果たせるのは《双つ口の嵐孵り》だと思われます。 この部分は行弘選手のリストの大きなポイントです。今後は《双つ口の嵐孵り》がメインに4枚採用されるのが当たり前となるでしょう。   全赤単に共通しているのは、メインから《魔道士封じのトカゲ》が入っている点でしょう。 今大会ではイゼット果敢の使用率は40%を超えており、《魔道士封じのトカゲ》メインが当たり前になったのも頷けます。これまで五分程度だった相性は、《魔道士封じのトカゲ》のメイン投入で完全に赤単側に傾きました。   トップ8のブラケットが赤単4人とイゼット果敢が綺麗に分かれたため、決勝で初めて赤単とイゼット果敢が相対することとなったのですが、もしイゼット果敢と赤単が準々決勝からマッチングしているトーナメント表だった場合、上位は赤単が総なめしていたかもしれません。   イゼット果敢の人気は相変わらずでしょうが、赤単はイゼット果敢を倒す力を持っています。しかも他のマッチにおいても有利な相手が多く、赤単は非常に今強いデッキです。   本来赤単がきついはずだったミッドレンジたちが、イゼット果敢の使う《コーリ鋼の短刀》に駆逐されてしまっていることが、赤単の立ち位置を良くしているのでしょう。 今週末も赤単はベストデッキです!   イゼット果敢 そんな赤単に負けてしまったものの、メタゲームに40%超えと圧倒的な使用率にしてトップ8に4人を送り込んだデッキ、イゼット果敢。   《迷える黒魔道士、ビビ》によって強化されたと言われたり、ビビ不要論も飛び出すなど、ベストなリストはどんなものになるのか多くのプレイヤーが注目していましたが、今回の結果を見て明らかなことは1つあるでしょう。 ビビはやはりイゼット果敢に必要だったのです。   2位:4枚4位:3枚5位:2枚7位:2枚   と少なくとも2枚のビビをすべてのイゼット果敢が採用しており、イアン・ロブ選手はメインに4枚採用し、デッキの軸としています。 イゼット果敢はビビを採用したことで白系デッキへの耐性、とりわけ《一時的封鎖》に対して非常に強くなりました。 《巻物変容》で《一時的封鎖》を使い回す動きをしてくるアゾリウス全知にはこれまで苦しめられていましたが、ビビの登場により《一時的封鎖》は以前より強力ではありません。《コーリ鋼の短刀》《嵐追いの才能》を止めても勝てないデッキになったのです。 また、ビビを投入することでイゼット果敢は果敢ビートダウンの一面だけでなく、コンボデッキにもなってくれます。生半可なライフゲインではビビの前では無力です。総じてイゼット果敢のデッキパワー向上の役割を果たしたのです。   《迷える黒魔道士、ビビ》以外のカードはというと、それぞれのプレイヤーは異なるカード選択をしています。《ドレイクの孵卵者》のみから、《僧院の速槍》《迷える黒魔道士、ビビ》のコンビ、更にはビビオンリーのリストも。 《僧院の速槍》を入れれば速度が上がりますし、《ドレイクの孵卵者》はミラーマッチを見据えた選択肢。ビビだけのリストには新たな装備品の《「占星術師」の天球儀》が入っており、こちらも強力。 2ターン目に置いてターンが帰ってくれば、あっという間に5/5にサイズアップしますし、ビビにつければ、呪文を唱えるたびに《「占星術師」の天球儀》とビビ自身の能力でカウンターが2つ乗るので、ビビ自体のバリューがアップします。ビビとセットで採用することになるでしょうが、爆発力はかなりのものでしょう。装備コストが軽いのも強いですね。 イゼット果敢はこれまで勝っているリストも多種多様でした。プロツアーである程度リストが固まると思われたのですが、採用カードはそれぞれバラバラです。流行している最強のデッキのリストがここまで固まっていないのは非常に珍しいですね。   その理由はひとえに《嵐追いの才能》《コーリ鋼の短刀》《食糧補充》のベースラインが強すぎることにあると思われます。これらのカード、そして果敢を引き起こすキャントリップと除去。ここが強すぎてクリーチャーの細かい採択がゲームに影響しないことも多いのです。 とはいえ、前述の通りビビはトップ8のすべてのデッキリストが採用しており、イゼット果敢に必要であることはほぼ確定したと言って良いかもしれません。   《ドレイクの孵卵者》も主にミラーマッチで強く、《巨怪の怒り》によるお手軽ドレイク生成コンボがあり、イゼット果敢がこれだけ多い状況なら3枚以上採用したいカードでしょう。 ただ、それはあくまで今週末のメタが今のままであるなら、です。   イゼット果敢と赤単の使用率はプロツアーとスポットライト千葉で変わると思っています。イゼット果敢が減り、赤単が増え、もしかすると同じぐらいになるかもしれません。それぐらい赤単はイゼット果敢に強いことがプロツアーで証明されましたからね。   そしてスポットライト千葉がオープンイベントであることも特筆すべき点です。誰でも参加することができ、参加者は1000人を超えます。プロツアーのように偏ったメタゲームになることはありません。イゼット果敢、あるいは赤単が40%になることは決してないでしょう。   それならばデッキリストにもいわゆるマイルドさが求められてくるかもしれません。《ドレイクの孵卵者》があまり効かないアゾリウス全知をはじめ、コントロールデッキへの意識を高める必要もありそうです。 そうなると再び採用されるのが《精鋭射手団の目立ちたがり》です。《ドレイクの孵卵者》と《精鋭射手団の目立ちたがり》をスプリットするリストなどは、こういった参加者の多いオープンイベントの大会で向いています。 イゼット果敢のリストを作るだけで無限に悩めてしまいますね!どんなリストが週末に勝ち上がってくるのか楽しみです。   アゾリウス全知   トップ8からは漏れてしまったものの、スタンダードラウンドを9勝1敗の成績で終えたのがハビエル・ドミンゲス選手のアゾリウス全知。   これまでのアゾリウス全知と比べてかなりリストが洗練されており、全知の完成形と言って差し支えないでしょう。   クリーチャー枠にはフィニッシャーにもなる《マラング川の執政》に加えて《フラッドピットの大主》が4枚採用されています。カードを2枚捨てて1枚捨てる能力は《全知》を捨てつつ《アブエロの覚醒》を探すのに便利ですが、3マナの重さが気になる点から、これまでは《決定的瞬間》などが優先して採用されていました。 しかし、《一時的封鎖》との相性の良さから《巻物変容》を複数枚採用するようになったことで、その《巻物変容》の対象としても選べる《フラッドピットの大主》が4枚採用されるようになったのでしょう。 《巻物変容》の強さには目を見張るものがあります。《一時的封鎖》は対イゼット果敢において完璧なカードですが、唯一の欠点は《洪水の大口へ》で手札に戻されてしまうことでした。 それを解決してくれるのが《巻物変容》です。バウンスされそうな《一時的封鎖》を《巻物変容》でちらつかせれば、《洪水の大口へ》を無効にできるのです。もちろん相手が《一時的封鎖》後に再展開してきたところに《巻物変容》を打って更に追放するのも良いでしょう。 インスタントの干渉手段が多く用意されているのも特徴的です。《エファラの分散》4枚程度にとどめるリストが多い中、《魂の仕切り》に、《喝破》《呪文貫き》と打ち消しも多めに採用しています。 《魂の仕切り》は《迷える黒魔道士、ビビ》に対処できる貴重なカードですね。全知相手に2マナ多くビビを唱えるのは死を意味するので、実質ただの確定除去なのです。 フィニッシャーにも言及しておきましょう。全知のフィニッシュ手段と言えば様々なものがありますが、このリストは《不穏な変換》になっています。 2マナの瞬速エンチャントで、そのプレイヤーの墓地の分だけクリーチャーのパワーを下げる、疑似的な除去となるエンチャント。戦場に出た時に各プレイヤーが切削を行うので、これが勝ち手段になります。   《全知》を出して《マラング川の執政》2枚と《乱動するドラゴンの嵐》が揃うと、このデッキは無限ドローになります。《乱動するドラゴンの嵐》を出す→《マラング川の執政》Aを出して《乱動するドラゴンの嵐》を戻して出し直す。《マラング川の執政》Bを出して《マラング川の執政》Aを戻すと無限無限にライブラリーを掘り進められます。 最終的に《不穏な変換》に辿り着いたら、《マラング川の執政》で《不穏な変換》を戻し続ければ相手のライブラリーは0になり、ターンを返せば勝ちというわけです。 フィニッシャー枠として、《アルケヴィオスへの侵攻》から始まり、《第三の道の創設》など段々コンボ以外での使い道があるカードが発見されてきたアゾリウス全知。ついには無限コンボ不採用のリストまで出始めましたが、今回の《不穏な変換》はかなり使いやすくてオススメです。よくこんなカードを見つけてきましたね…!   序盤に引いても除去として機能しますし、ビビのパワーを下げてマナを出させないなんてことも可能です。 《フラッドピットの大主》の採用でコントロールプランもより強固ものとなり、いよいよスタンダード三強の一角となりました。   イゼット果敢と赤単だけを意識すればよいわけではないのがマジックの難しいところですね!   週末は墓地対策もお忘れなく!

【週刊メタゲーム通信】今日はマジックオンラインで行われた地域CSの結果を分析!イゼットビビと赤単が大活躍!)

週刊 Standard ピックアップ

2025.06.19

mtg Yuyan

こんにちは。   細川 侑也(@yuyan_mtg)です。   ついに週末はプロツアー『マジック:ザ・ギャザリング——FINAL FANTASY』がラスベガスにて行われます。   プロツアーのフォーマットはスタンダードとドラフト!ということで本日もメタゲーム通信をお届けしていきます。   今回はマジックオンライン上で行われた地域CS予選の結果をご紹介!スイスラウンド9回戦+決勝ラウンドと非常に長丁場となった本大会はどのような結果となったのでしょうか。   Standard RC Super Qualifier 優勝:イゼットビビ2位:アゾリウスコントロール3位:イゼットビビ4位:アゾリウス全知5位:ディミーアミッドレンジ6位:赤単アグロ7位:赤単アグロ8位:ディミーアミッドレンジ   イゼットビビ 『ファイナルファンタジー』で最も注目されているカードと言えば、それはもちろん《迷える黒魔道士、ビビ》でしょう。 3マナ0/3で出た時の能力こそないものの、非クリーチャー呪文を唱えるたびに+1/+1カウンターを乗せながら相手にダメージを与える、果敢と非常に相性の良いカード。   しかも自分のターンに毎回、ビビのパワー分のマナを出すことができます。こういったマナは大体が無色なのですが、ビビの場合は青か赤。キャントリップを打ってビビを大きくして青マナを大量に出し、そこからスペルを重ね、ビビを育ててそのままフィニッシュまで持っていけます。 このビビを採用したイゼット果敢が1位・3位と最上位に2人となり、このカードの恐ろしさを誰もが知ることとなりました。   デッキの構造自体はこれまでのイゼット果敢と大差ありませんが、特筆すべきは《僧院の速槍》が抜けたことでしょうか。クリーチャーは《ドレイクの孵卵者》《稲妻罠の教練者》《迷える黒魔道士、ビビ》の3種となっています。 《稲妻罠の教練者》はこれまでも少し採用されていたカード。ライブラリーの上4枚からカードを探せるので、《食糧補充》《コーリ鋼の短刀》などにアクセスしやすく便利です。《迷える黒魔道士、ビビ》のおかげでマナが大量に出るようになったので、マナの注ぎ先として《稲妻罠の教練者》は優秀です。マナの使い先であるドロースペルを探せる他、《稲妻罠の教練者》を新生しても良いですからね。 ビビによって《嵐追いの才能》レベルアップが容易となり、採用されるようになったのが《この町は狭すぎる》。2マナで《この町は狭すぎる》を打ち、《嵐追いの才能》を拾い、キャストしてレベルアップで《この町は狭すぎる》というマナのかかる無限ループは、以前までのマナがカツカツのイゼット果敢ではあまり採用されていませんでしたが、ビビが入るとなると話は別です。 ビビが加入したことでイゼット果敢は《一時的封鎖》を克服したと言えます。これまでは《僧院の速槍》《嵐追いの才能》《コーリ鋼の短刀》と攻め手がすべて《一時的封鎖》で対処されていたため、《洪水の大口へ》でバウンスする必要がありました。 しかし、《一時的封鎖》の効かないビビにより状況は一変。最も強力な攻め札に対処できないカードになってしまいました。   かといって《一時的封鎖》を抜けるかというとそうではないのが難しいところ。《コーリ鋼の短刀》《嵐追いの才能》自体にはしっかり触りたいので、《一時的封鎖》は必要です。ビビを倒すために単体除去に寄せてしまうと、今度は《コーリ鋼の短刀》が重くなってしまうのです。 コントロールは《一時的封鎖》の信頼性が下がったことでイゼット果敢を止めることが今まで以上に困難となりました。   《古代魔法「アルテマ」》は《コーリ鋼の短刀》《迷える黒魔道士、ビビ》をまとめて吹き飛ばせるため、採用率は上がってくるかもしれません……が5マナと重く《呪文貫き》の餌食になりやすい他、《嵐追いの才能》に無力なのも気になりますね。 ビビがイゼット果敢に入ったことでいよいよこのデッキは本当に最強になったのではないでしょうか。そう思わざるを得ないほど、イゼットビビは恐ろしいデッキです。   ディミーアミッドレンジ 一方、《迷える黒魔道士、ビビ》が入ったことで状況が好転するデッキも存在しています。それがディミーアミッドレンジをはじめとした黒いデッキたちです。 黒いデッキにはメインから《喉首狙い》などを採用しており、ビビの対処には困りません。3マナで除去耐性のないクリーチャーは、黒いミッドレンジにとっては的なのです。 今回もトップ8にディミーアミッドレンジは2人入賞しており、立ち位置の良さを証明しています。 とはいえ、ディミーアが《コーリ鋼の短刀》を苦手としているのは相変わらず。《群青の獣縛り》はそんな《コーリ鋼の短刀》を意識したカードです。 攻撃するたびにクリーチャーかアーティファクトかプレインズウォーカー1体を2/2のクリーチャーに変える能力を持つ《群青の獣縛り》。《コーリ鋼の短刀》をクリーチャー化して除去することができるのです。《切り崩し》が確実に機能しますし、《群青の獣縛り》はディミーアミッドレンジならぜひ採用したい1枚ですね。 新カードとしては《暗黒騎士、セシル》が1枚採用されています。序盤からクリーチャーを展開して除去を挟みつつ《永劫の好奇心》に繋げたいデッキなので、強い1マナ域は大歓迎ですね。変身後のライフゲインもしみますし、いぶし銀の1枚と言えるでしょう。 3マナ域は《分派の説教者》と《カルシの帰還者》がセパレートされています。ディミーアと言えば《分派の説教者》は不動だとばかり思っていたので少し意外でした。《分派の説教者》がドローとトークン生成でどんな相手にも一定のパフォーマンスを見せる一方、自身が絆魂を持ち、それを他のクリーチャーに付与できる《カルシの帰還者》は赤に特化したカードと言えますね。 ディミーアミッドレンジはアゾリウスコントロールやアゾリウス全知など、赤を意識した青白系のデッキに対して高い勝率を誇るデッキ。反面、《コーリ鋼の短刀》擁するデッキ、つまりイゼット果敢に少し不利という立ち位置ではあるのですが、仮にイゼット果敢に対して五分以上になるのだとしたら、メタゲーム上で不利な相手はほとんどいなくなります。 今週末の台風の目となるのでしょうか?注目していきたいですね。   赤単アグロ   最後を飾るのは赤単アグロ。   最近では《コーリ鋼の短刀》《迷える黒魔道士、ビビ》とイゼット果敢のとんでもないカードたちの前に少し影が薄くなっていますが、《心火の英雄》《熾火心の挑戦者》《多様な鼠》と序盤・中盤・後半いつでも強いハツカネズミたちを使った、スタンダードでは存在してはならないレベルの赤アグロです。 現にスタンダードとほぼ同じカードを使った赤アグロがパイオニアでも暴れており、世が世ならスタンダードで禁止されていたのではないかと個人的には思います。 さて、そんな赤単アグロがこの大会では大活躍。トップ8に2人入賞だけでなく、トップ16まで見てみると9位、10位、11位、13位にも赤単が入っており、圧倒的パフォーマンスを見せています。   今回は赤単の名手、sandydogmtg選手のリストをピックアップしています。   赤単の魅力はなんといってもハツカネズミ軍団たちによる圧倒的なカードパワー。《心火の英雄》《熾火心の挑戦者》《多様な鼠》は1~2ターン目からゲーム後半までいつでも活躍する凄まじいカードです。 《熾火心の挑戦者》は序盤にはただのクロック、中盤以降はリソースを稼いでくれまし、《多様な鼠》は新生で除去耐性があり、生き残ればそれだけで勝ててしまうカード。   そしてそれらのクリーチャーを強化する《岩面村》もあり、マナフラッドに対してかなり強いアグロとなっています。 最近はイゼット果敢を意識してメインから《魔道士封じのトカゲ》が採用されています。イゼット果敢と赤単の戦いはかなり先手ゲーになりがちなのですが、それはあくまで《魔道士封じのトカゲ》がなかった場合の話です。 《魔道士封じのトカゲ》を引けば、仮に《洪水の大口へ》で一時的に対処されたとしても唱え直してダメージを稼げるので、赤単は後手番でもイゼット果敢に勝利することができます。 赤単は新カードの入る余地はなく、完成されたデッキですね。ビビに意識が寄って単体除去が増えることは赤単としては悪くありません。特に白いデッキがビビに全く効果のない《領事の権限》を抜き始めているので、赤単としては願ったりかなったり。 《一時的封鎖》が《古代魔法「アルテマ」》になろうものならこれ以上望ましいことはないでしょう。重い全体除去は速攻の多い赤単にはほとんど無力ですからね。   歴代最強の赤単アグロ。にもかかわらずイゼット果敢というデッキの存在で、そこまで強烈にメタられているわけではない不思議なこの状況。   今週末は赤単旋風が巻き起こってもなんら不思議ではありません。

【週刊メタゲーム通信】セレズニアトークンが優勝!ドメインにはユウナ、グルール昂揚にはティナとFFのカードも活躍

週刊 Standard ピックアップ

2025.06.18

mtg Yuyan

こんにちは。   細川 侑也(@yuyan_mtg)です。   今週のメタゲーム通信はスタンダード!   本日はMTGアリーナで開催されていた蒼紅杯 ~FINAL FANTASY~ Izzet Explosive Experiment Eventの結果から最新環境を分析!   蒼紅杯は新環境のスタンダード大会としてすっかり定着しました。勝ち上がるデッキもその後のトーナメントで見ることが多く、毎回僕個人としても楽しみにしています。   蒼紅杯 優勝:セレズニアトークン2位:ドメインオーバーロード3位:イゼットビビ4位:ジャンドミッドレンジ5位:ボロスアグロ6位:グルール昂揚7位:ドメインオーバーロード8位:アゾリウス全知   本大会を制したのはセレズニアトークンでした。   セレズニアトークン 本大会を制したのはセレズニアトークンでした。   アーキタイプとしては以前から存在していたもので、《収集家の檻》を使ったプチコンボが搭載されているトークンデッキです。 3体以上の異なるパワーを持つクリーチャーがいると《収集家の檻》に秘匿したカードが使えるので、本来4マナで兆候する《ミストムーアの大主》や、重い《孔蹄のビヒモス》を最速3ターン目に着地させることができます。 秘匿カードは単にリソースとしても使えますが、このように重いカードを踏み倒すのにも使えます。ただしその際にネックなのが、秘匿の当たりを増やそうとすると手札に引いた時のハズレが増えるという点。それを《ミストムーアの大主》はバッチリクリアしています。   異なるパワーを持つ3体以上のクリーチャーを用意するのはトークンデッキならば容易なことです。《砂嵐の回収者》は自身が1/1、トークンが3/3なので、もう1体クリーチャーが出ていれば、《収集家の檻》でパワーを上げて秘匿を達成できます。 グルールでもお馴染みの《脚当ての補充兵》も新生トークンを生み出すので採用されています。1ターン目に1マナ2/1として出しても強いカードです。 『タルキール龍嵐録』から加入したトークンデッキの相棒、《嵐の討伐者、エルズペス》。トークンを生み出すことに長けるこのデッキなら、生き残ればすさまじいアドバンテージを生み出します。単にトークンを生成するだけでなく、全体強化を行えるのが素晴らしいです。 トークンデッキという性質上、単体除去に非常に強いのが強みで、またクリーチャーの並べ合いに対しても優位性があり、秘匿からの《孔蹄のビヒモス》《ミストムーアの大主》と必殺技もあります。 反面、コントロール系には少し厳しそうに見えたのですが、決勝ではドメインオーバーロードを見事打ち破って優勝しており、そのデッキパワーの高さがうかがえますね。   ドメインオーバーロード そんなセレズニアトークンと決勝を戦ったのがドメインオーバーロード。前環境からスタンダードで活躍するデッキで、トップ8に2人が入賞しています。 大主たちを兆候コストで唱え、《永遠の策謀家、ズアー》によって無理やり起こして攻撃するコンボが搭載されたコントロールデッキで、《豆の木をのぼれ》を引くと手札が減らなくなります。ドメインオーバーロードは豆の木デッキと呼ばれるほどで、各種大主と《力線の束縛》がすべて《豆の木をのぼれ》を誘発させる軽いカードになっているので、脱法豆の木し放題となっているのです。 そんなドメインオーバーロードに今回入ったのは《スピラの希望、ユウナ》。召喚士らしく墓地からエンチャントを吊り上げる能力を持っている彼女は、大主たちをリアニメイトすることができます。もちろん兆候状態ではなくクリーチャーとして蘇らせるので、《ミストムーアの大主》が突然現れます。 しかもクリーチャー・エンチャントに絆魂を付与するので生き残ってしまえばライフレースは一気に壊れることになります。実質《永遠の策謀家、ズアー》が増えたようなものです。 しかも《永遠の策謀家、ズアー》と違い戦場に大主が出ている必要がありません。打ち消しなどを喰らって墓地に落ちた大主を戦場に戻せるので、決して《スピラの希望、ユウナ》は《永遠の策謀家、ズアー》の劣化ではないのです。   面白いのが《ベイルマークの大主》の採用です。これまで大主と言えば《ミストムーアの大主》《ホーントウッドの大主》の定番2種が4枚、そして入っていたとしても《フラッドピットの大主》が少し程度でしたが、墓地を活用できるようになったので、切削でエンチャントを墓地に落とす《ベイルマークの大主》が採用されました。 前述のように《豆の木をのぼれ》を引けば手札が溢れるドメインオーバーロードですが、それ以外のドロースペルは入っていません。《ベイルマークの大主》は攻撃するとクリーチャーを継続的に供給してくれるので、リソース面も担ってくれますね。デッキの安定性を高める手段としても一役買ってくれるナイスな大主です。   《スピラの希望、ユウナ》は打ち消されたり破壊された《豆の木をのぼれ》を戻したり、《力線の束縛》を墓地から戻すなど、大主を動かす以外にも様々な用途がありますね。 特に《豆の木をのぼれ》はデッキのキーカードで、対コントロールでは重要なカードでした。今までは打ち消されてしまっていましたが、《魂の洞窟》から《スピラの希望、ユウナ》を通して《豆の木をのぼれ》を戻す動きができるので、青い相手には《豆の木をのぼれ》を着地させやすくなっています。   グルール昂揚   ファイナルファンタジーと言えば召喚。仲間が召喚を行って敵を攻撃したり、召喚獣のボスと対峙するなど、ファイナルファンタジーを語るなら欠かせない存在ですね。   召喚カードは英雄譚・クリーチャーとしてマジックで表現されることとなりました。伝承カウンターが乗っている間、つまり最初から数ターン後に退場することが決まっているクリーチャーは、フレイバー的には素晴らしいものですが、カードパワー的にはちょっと寂しいところ。 そんな召喚を上手く使うデッキが現れました!グルール昂揚です。   墓地にカードを4種揃えることで爆発的な力を得るグルール昂揚。採用されたのは《召喚:ブリュンヒルデ》です。 第1章でライブラリーの上を追放し、このターンに伝承カウンターをブリュンヒルデに乗せていたら使用できます。つまり、ブリュンヒルデを唱えたターンにも使えますし、次のターンに生き残って第2章を迎えた時にも追放したカードは使用できます。   2章と3章は後続のクリーチャーに速攻を付けてくれるので、《雑食性ハエトリグサ》との相性がバッチリです。1章でリソースを稼ぎながら相手視点では放置できないのですぐに除去される。そんな展開で1対2交換を取りやすいカードです。 このカードがグルール昂揚に採用される一番の理由はやはりそのカードタイプでしょう。エンチャントとクリーチャーの2タイプを満たす第二の《逸失への恐怖》です。《逸失への恐怖》《継ぎ接ぎのけだもの》《野火の木人》《召喚:ブリュンヒルデ》と、このデッキに入っている4種のクリーチャーが2タイプを持っているのです。 昂揚を達成することが命題のグルール昂揚にとって、《召喚:ブリュンヒルデ》の加入は非常に大きいと言えます。追加の《逸失への恐怖》と言ったところでしょう。 そしてもう1つの新カード、《魔導戦士、ティナ》も忘れてはなりません。 戦場に出た時に5枚を切削し、そこからエンチャントを回収と、昂揚の達成とエンチャントの確保を1枚で担える素晴らしい性能。《召喚:ブリュンヒルデ》《逸失への恐怖》を拾いつつ昂揚を達成したら宇宙です。 マナフラッドした際には変身能力もあり、英雄譚となります。召喚獣となったティナは1~3章でエンチャントのコピーを生成します。《逸失への恐怖》をコピーすればダブル《逸失への恐怖》で一気に相手のライフを削れますし、相手としてはティナを放置することはできません。 エンチャントを拾いながら、墓地を肥やし、しかも相手に除去を要求する。さすがはティナ、恐るべし力の持ち主。   今回加入した《召喚:ブリュンヒルデ》《魔導戦士、ティナ》はデッキの潤滑油のようなカードで、昂揚という難しい条件を達成しなければ真価を発揮できないグルール昂揚にとっては、喉から手が出るほど欲しかったカードでしょう。   昂揚が安定するようになり、いよいよグルール昂揚が本格的にメタゲームに食い込んできそうな予感がします。

今夜もFFのデッキを紹介!ゴルガリドレッジ/イゼットビビ/マルドゥセフィロスエネルギー

Modern Pioneer Standard ピックアップ

2025.06.13

mtg Yuyan

こんにちは。   細川 侑也(@yuyan_mtg)です。   昨日に続いて本日も、ジックオンラインで結果を残したファイナルファンタジー入りのデッキたちをご紹介していきます!   紹介デッキ ゴルガリドレッジ(スタンダード) イゼットビビ(パイオニア) マルドゥセフィロスエネルギー(モダン)   ゴルガリドレッジ(スタンダード)  スタンダードリーグ : 5-0 By Atagomax MTGアリーナ用インポートデータ プロツアーで突然メタ外からトップ8に入賞し、話題をかっさらったゴルガリドレッジ。   自分のライブラリーを切削して墓地にカードを貯めていくデッキタイプのことを「ドレッジ」と呼ぶのですが、このゴルガリドレッジは切削によって、重いクリーチャーたちを軽くして唱えます。 《虚ろなる匪賊》《鞘破りの群れ》は墓地にあるクリーチャー・カードの数だけマナコストが軽くなるクリーチャーで、それぞれ最大で1マナで唱えることができます。《虚ろなる匪賊》は手札破壊のオマケ付きのため、連打するだけで相手は苦しくなっていきます。 そしてマナコストが軽くなるカードと噛み合うのが《豆の木をのぼれ》。《この町は狭すぎる》や《力線の束縛》などで不当に《豆の木をのぼれ》を誘発させることを脱法豆の木と僕は呼んでいるのですが、このデッキも脱法豆の木を行います。《虚ろなる匪賊》《鞘破りの群れ》を1マナで唱えて《豆の木をのぼれ》を誘発させ、盤面にクリーチャーをオーバーキル気味に叩きつけるのがこのデッキ。 そんな脱法豆の木カードが新たにファイナルファンタジーで加わりました!その名は《ダイヤウェポン》!! 《虚ろなる匪賊》《鞘破りの群れ》と違い2マナまでしか軽くなりませんが、その代わりにクリーチャー・カードだけでなくパーマネントの枚数だけ軽くなります。 切削で何が落ちるかは運次第。クリーチャーではなく土地が大量に落ちる場合も多々あるので、《ダイヤウェポン》の方が《虚ろなる匪賊》よりも軽く唱えられるケースも多々あります。   しかもなんと言っても強力なのはその能力!到達に加えて、戦闘によって《ダイヤウェポン》が受けるダメージを0にします。本体サイズも8/8で戦闘ダメージを受けないので、《心火の英雄》《多様な鼠》による二段攻撃も大半をシャットアウトしてくれます。 更にゴルガリドレッジはその足回りも強化されています。コストを踏み倒すために必須の切削手段として《町の歓迎者》が加わりました。 これまで1枚で大量に切削できるカードは《ベイルマークの大主》のみでした。デッキに《蓄え放題》を採用すると《虚ろなる匪賊》のマナコスト軽減確率が下がってしまいます。なるべくデッキにはクリーチャーだけを入れたいのです。 その点《町の歓迎者》はうってつけです。以前このデッキを使った時は「《サテュロスの道探し》がスタンダードに来てくれれば…」なんて思っていたのですが、まさか本当に来てくれるとは。   これにより2マナ域が4枚切削8枚体制となり、デッキは非常に安定しました。そして切削した後のフィニッシャーとしてもブロッカーとして頼もしい《ダイヤウェポン》が加わり、赤耐性も大幅に上昇。デッキパワーが非常に上がりました。 墓地への意識が薄くなったタイミングはゴルガリドレッジがチャンス!赤アグロ全盛期に《ダイヤウェポン》を叩きつけましょう!     イゼットビビ(パイオニア) パイオニアチャレンジ : 10位 By _Falcon_ MTGアリーナ用インポートデータ 「このデッキ、既視感あるな」   そう思った方が多いのではないでしょうか?いや、僕もです。   このデッキ、ほとんどスタンダードなんですよね。昨日紹介した占星ビビから《「占星術師」の天球儀》を抜いたようなデッキです。 パイオニアでも《迷える黒魔道士、ビビ》の強さは変わりません。というより、スタンダードよりキャントリップ呪文が1種類多いため、ビビの破壊力はむしろ増します。 《考慮》はカードを墓地に落とせるので、《選択》よりも強力ですね。《嵐追いの才能》の2章でカードを拾う際に、墓地に落ちるかライブラリーの下に行くかには大きな違いがあります。 他に異なるのはマナベース。《蒸気孔》が入っているのはやはり大きく、スタンダードのイゼット果敢が色事故を起こしやすいことから考えると、やはりショックランドを使えるのは大きすぎますね。 ただ、逆に言ってしまえば1種類のキャントリップとマナベース以外はこのデッキはスタンダード。このスタンダードライクなデッキがパイオニアチャレンジで4勝2敗できることがいかに恐ろしいか。   ビビの強さについては昨日も言及した通りです。キャントリップ呪文を打っていくことで大きくなり、ダメージが入り、カウンターが乗るので、1マナの呪文を唱えると使えるマナが1マナ増えます。4マナある状態でビビがいるなら、1マナのキャントリップを4回使用した後に4マナが生み出せて、更に1マナのカードを4連打できます。 つまり、理論上はビビとキャントリップ1枚だけで4ターンキルできる可能性があるということです。キャントリップでキャントリップを見つけ続ければ8回キャントリップを使用でき、本体に8点、ビビのパワーも8になりますからね。 もちろん実際にはこんなに都合よくキャントリップを引き込み続けることはできませんが、複数枚のキャントリップがある状態なら連鎖も現実的です。そういう意味では3種類目のキャントリップである《考慮》が使えるのはパイオニアバージョンの大きなメリットですね。 パイオニアでもこのデッキが出てきたことで、スタンダードのイゼットでもビビは採用するのが当たり前になってくるかもしれません。パイオニアで強いデッキがスタンダードで弱いはずがありませんからね。というかビビが除去される可能性のより高いパイオニアでビビが強いなら、スタンダードでもビビはとんでもない性能のはずです。   昨日も今日も紹介したリストは《迷える黒魔道士、ビビ》は3枚でしたが、生き残れば1枚で勝てる《迷える黒魔道士、ビビ》は4枚採用したいと個人的には思いました。手札に2枚目が腐っても場にビビが残っているならゲームに勝利しているのではないでしょうか?それぐらいビビは強力無比なクリーチャーに見えます。 ほぼスタンダードでもパイオニアで勝てるほど強いビビ、今度はどんなデッキで躍動するのでしょうか?今から楽しみです。   マルドゥセフィロスエネルギー(モダン) モダンリーグ : 5-0 By EL_Zanetti 『モダンホライゾン3』発売後ずっと人気のアーキタイプ、エネルギーアグロ。そこにファイナルファンタジーきっての人気キャラ、《威名のソルジャー、セフィロス》が採用されました。 《威名のソルジャー、セフィロス》は簡単に言えば《血の芸術家》を内蔵したクリーチャー。自分か相手のクリーチャーが死亡するたびに1点ドレインするので、攻守に渡って活躍します。《血の芸術家》が0/1だったことを考えると、たった1マナ増えるだけで3/3のボディになるのは、その時点で強力ですね。 しかも《威名のソルジャー、セフィロス》はただの《血の芸術家》ではありません。このターンに4体以上のクリーチャーが死亡していると《片翼の天使、セフィロス》に変身します。 4体のクリーチャー死亡は一見難しいように思えますが、死亡するクリーチャーが限定されていないのがミソ。自分と相手のクリーチャーが2体ずつ死亡しても変身するのです。   《ゴブリンの砲撃》を使えば自分のクリーチャー2体で相手のクリーチャー2体を除去し、即変身です。 そして変身後の《片翼の天使、セフィロス》も実に強力。本体サイズが5/5に加え、変身した際に紋章を獲得します。得る紋章は《威名のソルジャー、セフィロス》が持っていたドレイン能力なので、《片翼の天使、セフィロス》が死亡しても相手は1点ドレインを受け続けることになります。   サクリファイスに非常に長けているのがエネルギーデッキ。《オセロットの群れ》は大量のトークンを生み出し、《勝利の楽士》のトークンはエンド時に2体死亡。更に《ゴブリンの砲撃》と《ナカティルの最下層民、アジャニ》も《威名のソルジャー、セフィロス》の誘発を助けてくれます。 《黄泉帰る悪夢》も面白いカードです。《威名のソルジャー、セフィロス》を墓地から蘇生させつつ死亡誘発を1回満たせるので、《片翼の天使、セフィロス》への変身に一役買います。 これまで負け筋の1つだった全体除去の連打に対して《片翼の天使、セフィロス》の紋章は非常に大きく、全体除去連打+《火の怒りのタイタン、フレージ》対処によって落としていたコントロールに対して、新たな勝ちパターンが生まれました。 ボロスエネルギーの《勝利の楽士》には懐疑的でしたが、《威名のソルジャー、セフィロス》が採用されたこのリストであれば納得です。というよりマルドゥエネルギーの《勝利の楽士》はかなり強そうで、これからもセットで採用されるのではないでしょうか。 《威名のソルジャー、セフィロス》によってライフゲインができるため、《オセロットの群れ》の誘発を達成しやすいのもポイント。《オセロットの群れ》には《魂の導き手》が必須で、それゆえにエネルギーという形を保っていましたが、《威名のソルジャー、セフィロス》があるならばもしかしたらエネルギーである必要は最早ないのかもしれません。 白黒系の新たなサクリファイスデッキが誕生するのでは?そんな予感すらさせてくれるのが《勝利の楽士》と《威名のソルジャー、セフィロス》です。

MTG×FFがついにオンラインで実装!スタンダードとモダンからFFを使ったデッキをピックアップ!

Modern Standard ピックアップ

2025.06.12

mtg Yuyan

こんにちは。 細川 侑也(@yuyan_mtg)です。 ついに「マジック:ザ・ギャザリング――FINAL FANTASY」がMTGアリーナ、そしてマジックオンラインでも実装されました!! というわけで本日は、早速マジックオンラインで結果を残したファイナルファンタジー入りのデッキたちをご紹介していきます!   紹介デッキ 占星ビビ(スタンダード) アゾリウスコントロール(スタンダード) ジャンドリディアサーガ(モダン)   占星ビビ(スタンダード)  スタンダードリーグ : 5-0 By MJ_23 MTGアリーナ用インポートデータ 今セットで最強と言われているトップレア、《迷える黒魔道士、ビビ》。クリーチャーでない呪文を唱えるたびにプレイヤーにダメージを飛ばしながら自身が強化され、ビビのパワー分のマナを生み出すという、とんでもないクリーチャー。 既にスタンダードでは呪文を連発して打点を稼ぐイゼット果敢が最強のデッキとして君臨しており、そこにすんなり入る性能で、このリストはなんと《迷える黒魔道士、ビビ》以外のクリーチャーが1枚も採用されていません。   ビビによってイゼット果敢は手数を圧倒的に増やせるようになりました。これまでは《食糧補充》を打ったターンは1マナの追加アクションが関の山で、《嵐追いの才能》のレベルアップはターンパス、レベル3に到達することは稀でした。 しかし、ビビのおかげでその常識が覆ることとなりました。   ビビを出して生き残れば、返しのターンで4マナ+ビビ。《食糧補充》+1マナのアクションの後に更に2マナを使えますし、《コーリ鋼の短刀》+《食糧補充》なんて展開も。 ビビと《巨怪の怒り》のコンボも強烈です。0/4のビビが《巨怪の怒り》を打つだけでパワー4になるので、なんとあの《暗黒の儀式》を超えるマナ加速が可能となるのです。 《嵐追いの才能》のレベルアップもスムーズになりました。ビビが少し育てばレベルアップしたターンに《食糧補充》も打てるので、これまでゲーム中盤以降にしか機能しなかった《嵐追いの才能》が本格的にリソースカードになり始めたのです。   ビビのおかげでマナがたくさん使えるようになったので、個人的には《この町は狭すぎる》を入れて《嵐追いの才能》を出し直せる構成にしてみるのも面白そうだと思いました。 そしてビビともう1枚、忘れてはならないファイナルファンタジーの新カードがあります。   それが《「占星術師」の天球儀》です。 FFXIVの《「占星術師」の天球儀》は味方にバフを振りまきながらヒールもする、そんな器用なジョブの占星術師ですが、マジックではひたすら相手をブン殴るDPSになります。   クリーチャー以外の呪文を唱えるたびに+1/+1カウンターが乗る、いわゆるスーパー果敢を持つ装備品で、2ターン目に出した時のインパクトは《コーリ鋼の短刀》級です。クリーチャー以外の呪文によってさまざまなボーナスを得られるこのデッキには、《「占星術師」の天球儀》《コーリ鋼の短刀》《嵐追いの才能》と、実質クリーチャーのスペルが大量に入っており、引きムラが起きづらくなっています。 《「占星術師」の天球儀》がビビについた日にはもう大変なことになります。呪文を唱えるごとにカウンターが2つ乗っていくので、使い切れないマナを手に入れてしまいます。こうなったら《嵐追いの才能》のレベル3+スペル連打も現実的なものとなり、これまでのイゼット果敢にはない勝ち手段がこのデッキにはありますね。   日々進化を続けていくイゼット果敢ですが、《迷える黒魔道士、ビビ》と《「占星術師」の天球儀》によってまた一つ、新たなステージに上がったかもしれません。     アゾリウスコントロール(スタンダード) スタンダードリーグ : 5-0 By claudioh MTGアリーナ用インポートデータ 前環境でも地域CS準優勝を収め、イゼット果敢キラーとして活躍していたアゾリウスコントロールが、ファイナルファンタジーで大きく強化されました!   そう、《古代魔法「アルテマ」》によって。 現環境は《審判の日》や《別行動》など多種多様な全体除去がありますが、それらを押しのけて入るほど、《古代魔法「アルテマ」》は強力です。 まず全体除去を行ってターンを終了してしまうため、死亡時の能力は誘発しません。スタックに積まれた能力は《古代魔法「アルテマ」》のターンを終了する能力によって消えてしまうからです。   そして瞬速でクリーチャーを唱えることも許しません。全体除去を打ったらターン終了時に《永劫の好奇心》や《フェアリーの黒幕》が出てきて殴られ続けた、なんて経験があるでしょう。ターン終了時に動いてくる不届き者も《古代魔法「アルテマ」》は許しません。ターンを終了するので、打った後に相手は何もできませんし、《古代魔法「アルテマ」》にスタックして《フェアリーの黒幕》を出したら《古代魔法「アルテマ」》に巻き込まれてしまいますからね。 特に《永劫の好奇心》はアゾリウスコントロールが最も苦手とするカードでしたが、《古代魔法「アルテマ」》によってある程度克服されたと言って良いでしょう。   ターン終了時にクリーチャー化してくる《魂石の聖域》も防げるため、総じて《古代魔法「アルテマ」》はディミーアミッドレンジに強くなりました。 更に《古代魔法「アルテマ」》には他の全体除去にはないメリットがあります。そう、アーティファクトを壊せるという点です。   今のスタンダードで暴れているアーティファクトと言えば《コーリ鋼の短刀》です。 《審判の日》や《別行動》といった優秀な全体除去が控えめなのは、この《コーリ鋼の短刀》のためです。相手がキャントリップを連打して手札を維持しながらトークンを出してくるのに、そのトークンをこちらが除去するなんてばからしいですからね。 これまでは《別行動》でトークンを流しつつ、リソース減を打ち消すか、《一時的封鎖》で《コーリ鋼の短刀》を追放するのが基本となっていました。 しかし、《古代魔法「アルテマ」》のおかげで《コーリ鋼の短刀》対策は増えました。ただ打つだけで《コーリ鋼の短刀》を解決できるようになったのです。   《一時的封鎖》と異なり《古代魔法「アルテマ」》は《洪水の大口へ》も効きませんし、安心して打てる全体除去です。もちろん5マナと重いので、このリストには《一時的封鎖》も追加で採用されていますが、《古代魔法「アルテマ」》はやはり4枚です。 今後下フォーマット、特にパイオニアでは《古代魔法「アルテマ」》は活躍してくれそうです。アゾリウスコントロールがお好きな方は今の内に揃えておきましょう。   新環境はイゼットで決まりと思っていたら、アゾリウスコントロールが《古代魔法「アルテマ」》で支配していた……なんて未来もありそうです。   ジャンドリディアサーガ(モダン) モダンリーグ : 5-0 By Sanitoeter 最後はモダンから、新カードと新ルールで強くなったジャンドサーガをピックアップ!   新ルールですが、「マジック:ザ・ギャザリング――FINAL FANTASY」によって英雄譚のルールが変わりました。今回新たに登場した召喚が、英雄譚でもありクリーチャーでもあるという性質で、それに配慮するためにルール変更が行われたのです。 具体的に説明すると、これまでは英雄譚が伝承カウンターを持った状態で英雄譚能力を失った場合に、墓地に置かれていました。それが今回の変更で、墓地に置かれず戦場に残るようになったのです。   たとえば《血染めの月》や《広がりゆく海》によって《ウルザの物語》英雄譚ではなくなると、これまでは墓地に置かれましたが、今のルールでは戦場に残って《山》や《島》になります。 しかも、第1章で無色を生み出す能力、第2章のトークン生成能力を持っている《ウルザの物語》が《血染めの月》で《山》になると、無色を生み出し、トークン生成ができる《山》になります。 これは《ウルザの物語》を主軸に据えていたデッキにとっては非常に大きな変更で、1種類強力なカードが追加されたぐらいのインパクトがあります。   そんなルール上の恩恵を受けたのがジャンドサーガ。黒の手札破壊・除去を《レンと六番》と組み合わせ、《ウルザの物語》を何度も使って戦う、少しアグロ気味のミッドレンジです。 このジャンドサーガに新たに入ったのが《ミストの召喚士、リディア》。早速能力を見てみましょう。 《ミストの召喚士、リディア》には2つの能力があります。まず上陸するたびにカードを捨てて引くルーター能力。《レンと六番》で土地を手札に回収するため、ルーター能力とジャンドサーガは非常に相性が良く、それは《鏡割りの寓話》が証明しています。 もちろん《ミストの召喚士、リディア》が持つのはそれだけではありません。召喚士が行うことと言えば?そう、召喚です。 自身をタップして墓地から英雄譚を吊り上げる能力を持っています。本来であれば英雄譚クリーチャーである召喚を墓地から復活させるカードなのですが、モダンには最強の英雄譚カードがあります。   ええ、《ウルザの物語》です。 《ミストの召喚士、リディア》の能力は本来、吊り上げる英雄譚のマナ総量を支払う必要がありますが、《ウルザの物語》は土地なので、当然0マナです。タップするだけで墓地から《ウルザの物語》を再利用できてしまうのです。   最終カウンターが置かれるので《レンと六番》で再利用することこそできませんが、《レンと六番》と違い、手札ではなく直接場に戻すので、疑似的なマナ加速にもなりますし、単純に《ウルザの物語》を再利用する手段が4枚増えました。 前述のようにルーター能力も非常に便利で、《ミストの召喚士、リディア》はジャンドサーガにとても合ったカードだと思います。不要な土地を捨てて有効牌に変える手段が増えたので、《レンと六番》もより使いやすくなりました。   もちろん英雄譚を戻せるので、《鏡割りの寓話》も戻すことができます。しかも《鏡割りの寓話》は3章になった時に追放した後に変身して戦場に戻るので、最終カウンターが取り除かれて墓地に置かれます。無限《鏡割りの寓話》というわけです。 強くなった《ウルザの物語》に《鏡割りの寓話》と英雄譚たちを使い倒したいなら《ミストの召喚士、リディア》で決まりです!

へいかの選ぶ『マジック:ザ・ギャザリング——FINAL FANTASY』各色トップ3!

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2025.06.05

Akira Kobayashi

こんにちは! 「へいか」こと小林 輝(@enzyutuheika)です。 6月13日に販売される最新セット「マジック:ザ・ギャザリング――FINAL FANTASY」の全カードが公開されましたね。  ファイナルファンタジーとの驚きのコラボレーションだけでなくスタンダード環境に来るということで、今回も他フォーマットに触れつつもスタンダード目線を中心に恒例となる各色トップ3を上げていこうと思います!   目次 白 青 黒 赤 緑 マルチカラー 無色 土地     白 3位:《古代魔法「アルテマ」》  FFファンならほぼ全員知ってるであろう究極の攻撃魔法、アルテマ!  この魔法が全体除去なのは納得の一言です。なんせ究極魔法ですからね。  しかもただの全体除去ではありません。クリーチャーのみならずアーティファクトも全て破壊してしまい、さらに「ターンを終了する」の効果もついています!!  この「ターンを終了する」効果によって死亡による誘発が発生しない点だけでなく、全体除去の弱点である瞬速クリーチャーの展開などを阻止する点も大きいメリットとなります。  猛威を振るい続けている《コーリ鋼の短刀》もこれ1枚でモンクごと一掃できるのも素晴らしい!  対抗馬としてはファウンデーションズで再録された4マナの全体除去である《審判の日》が高い壁となっていますが、これらのメリットによって環境で使われるカード次第では十分に選択肢として上がってくると思います。   2位:《ミッドガルの傭兵、クラウド》  2位は皆さんご存知FF7の主人公である《ミッドガルの傭兵、クラウド》です!  スマッシュブラザーズ、キングダムハーツなどを筆頭とした他のゲームにもFFの代表的なキャラクターとして名を馳せているクラウドですが、あえてここでは語らないこととします。  FF7RことFINAL FANTASY Ⅶ REMAKEがありますので、プレイ環境がある方は是非やってみていただけると嬉しいです。  さて、性能自体は白白とシンボルが濃いながらも2マナクリーチャーのETBで任意の装備品をサーチするという《石鍛冶の神秘家》を彷彿とさせる能力を持ち合わせています。  ただ起動能力で装備品を場に出す効果はなく、その代わりにこのクラウドに装備品がついている限りクラウド自身の能力またはついている装備品の能力が2回誘発する効果になっています。  同時に収録されたクラウドの相棒であり、装備したクリーチャーが戦闘ダメージを与えるとドローしつつ、マナ総量がダメージの点数以下である呪文を踏み倒せる《バスターソード》とは分かりやすいデザイナーズコンボになっていますね。  《鉱炉と前線の剣》《過去と未来の剣》《富と力の剣》といった剣シリーズとの相性も〇。  それから《溶岩拍車のブーツ》の護法(1)も2回誘発しますし、《失われた十手》も蓄積カウンターが2個乗ります(起動能力は誘発ではないため1回だけですが)。  そう考えると適用範囲は結構幅広く、状況に応じた装備品をサーチできそうです。  《フェイの血筋のケラン》《耐え忍ぶカー、ケンバ》《アラミゴの猛牛、ラウバーン》などと組み合わせて装備品デッキを考えてみたくなりますね!   1位:《召喚:ナイツオブラウンド》  栄ある白の1位はこちら、FF7最強の召喚ことナイツオブラウンド!  実は私が初めてFFをプレイしたのがこのFF7だったりします。  このナイツオブラウンドの初出もFF7で、召喚の効果としては無属性の全体攻撃であり魔法防御無視で9999ダメージを13回繰り出すという文字通りのバランスブレイカーです。  演出はというと、円卓の騎士をモデルとした13人の騎士たちが魔法・剣・槍・斧など多種多様な攻撃を繰り出していき、最後には中心にいるアーサー王が空間ごと切り裂く……それはもうカッコいい!!  初めて見た時の衝撃たるや、筆舌に尽くしがたいものがあります。28年経った今でもなお素晴らしい演出なので是非見てみてください。  ちなみに演出時間はなんと約1分30秒です。イベントシーンかな?  ナイツオブラウンドを使うたびに飲み物を取りに行ったり、トイレを済ませたりした思い出が蘇ります。  そんなナイツオブラウンドですがこのカードを見た瞬間、原作の再現っぷりに感動しました。どれぐらい再現をしているのかというと…… ・1~4章で騎士が3×4=12、本体も合わせて「13人」の騎士が召喚される ・演出時間約1分30秒という非常に長い演出を5ターンかかる5章で表現 ・5章が全体+2/+2かつ破壊不能カウンターと決まれば戦闘面ではほぼ無敵であり最強の召喚魔法を体現  というように、MTGで表現できる範囲でこれ以上なく再現できていると言えるでしょう。  そしてアーサー王がエクスカリバーを地面に突き刺しながら両手で持つシーンを再現している素晴らしいイラストですが、なんだか効果・イラストともにデジャヴを感じませんか?  ……そう、MTG最初の英雄譚であり大活躍した《ベナリア史》です!  騎士を出しつつ最後には全体強化という流れもそっくりですし、イラストの構図も似ていますね。  このようにFF7のナイツオブラウンドという最強の召喚をこれ以上なく再現しつつも、MTGの歴史も感じさせるような一枚となっており素晴らしいの一言。  ……おっと、熱くなりすぎてカードの性能を語り忘れてしまいましたね!  先述した通り、FF7における最強の召喚を体現しているだけあって効果自体は非常に強力。  ひとたび場に出れば毎ターン出てくる3体の騎士たちによって盤面を制圧することでしょう。  本体も破壊不能を持ち、追放除去や《逃げ場なし》といった破壊不能を無視する特殊な除去以外では対処不能となります。赤単などはこれを出されたらほぼ終わりといっても過言ではありません。  が、強力な効果を持つ分マナコストは相応に重く、基本的に踏み倒す事を目指すことになりますが8マナであるため10マナの《全知》より素キャストが出来る点は評価できるところです。  《全知》とのコンボでお馴染み《アブエロの覚醒》もあり、1枚で完結するサブプランとしても良さそうに見えます。また、クリーチャーでもあるため《ゾンビ化》でもリアニメイトできます。  同時に収録されている《スピラの希望、ユウナ》でも墓地からリアニメイトできますね。  個人的に一番気に入っている一枚なので、これによって新たなデッキが誕生することを期待したいところです!     青 3位《水のクリスタル》  青の3位はFF3からの《水のクリスタル》。FFといえばクリスタルのイメージがありますね。  これはどちらかというとスタンダードではなく下環境向けになります。  細川 侑也さんがツイートされていた《スフィンクスの後見》とのコンボであったり、1枚ずつ切削する《催眠の宝珠》や《群の祭壇》との相性がよかったりとLO使い界隈でざわついているようです。  4マナとやや重いですが、青のスペルコストが低減される点、対処されづらいアーティファクトである点、切削する枚数に4枚足すという唯一無二の効果もあり今後に注目したい一枚ですね。   2位《ルイゾワの献身》  2位はこちら。  通常であれば3マナで起動型能力、誘発型能力、クリーチャーでない呪文を打ち消すカウンターでやや物足りなさを感じますが、伝説のクリーチャーを生贄に捧げることでなんと1マナで唱えられるようになります。  私はモダンでジェスカイコーリを使っており、《空の怒り》に泣かされている日々を送っていました。  《白鳥の歌》も範囲がやや限定されており、かつ出てくる2/2飛行が地味に厄介で使いづらく、どうしたものかと頭を悩ませていたところにドンピシャの一枚が!  ジェスカイコーリは《知りたがりの学徒、タミヨウ》《湖に潜む者、エムリー》《ジェスカイの道師、ナーセット》と伝説のクリーチャーは結構います。  もちろんどれも重要なクリーチャーではあるのですが、《空の怒り》で更地にされることと比べれば1体の生贄は安いものです。  このように伝説のクリーチャーを採用しているデッキでは1マナ確定カウンターとして採用する価値が大きくなりそうです。最悪3マナで打てるのも〇。   1位《「占星術師」の天球儀》  青の1位はFF14より占星術師の武器である天球儀!  クリーチャーでない呪文もしくは3枚目のカードを引くたびに+1/+1が乗るという効果を付与する装備品ですね。いわゆる果敢をより強くしたような効果です。  ジョブ選択によってこの効果を持つ実質2/1/1クリーチャーであり、死亡しても装備(2)で他のクリーチャーに装備させることで恩恵を受ける事が出来ます。 : ポイントはやはり本体がクリーチャーでない呪文であるため、2枚目を引いても1枚目の《「占星術師」の天球儀》を誘発させることができる点。  この辺りはエンチャントでありながら1/1の果敢クリーチャーを出す《嵐追いの才能》も同じことが言えます。これも強いですよね。  入るデッキとしてはイゼット果敢がまず思い浮かびます。  2マナには《精鋭射手団の目立ちたがり》《ドレイクの孵卵者》といった強力なライバルがいますが、それでもこのポジションに入れるだけのポテンシャルを感じますね。  1/1英雄トークンを出すことから《この町は狭すぎる》との相性がいいのも見逃せない点です。   黒 3位《デモンズウォール》  黒の3位はこちら!  一見リミテッドでよく見かける2/3/3防衛シリーズですが、注目すべき点はやはり「デーモン」の文字。  ……そう、デーモンといえば《不浄な別室/祭儀室》ですね!  防衛ながらも2/3/3というスタッツは続く3ターン目の《不浄な別室》の隙を補うにはうってつけなだけでなく、デーモンであるため2点ドレインの条件まで満たします。  3/3であれば《コーリ鋼の短刀》+αで出てくる2/2速攻のモンクトークンを受け止めることができるのも素晴らしい点です。  さらには6マナかかるとはいえ+2/+2を乗せて5/5威迫デーモンとしての運用も可能と至れり尽くせり。  またカウンターが乗ればいいため、《カルシの帰還者》で飛行・接死・絆魂カウンターを乗せても攻撃できるようになります。まさしく黒単デーモンが求めていた2マナ域と言えるでしょう。  遂に2/3/3防衛壁が構築で使われる瞬間が来たのかもしれません。   2位《暗黒騎士、セシル》  「あんこく」によってこれがダメージを与える度に自分のライフも失ってしまうデメリットはありますが、1マナにして2/3接死という破格なスタッツを持ちます。  さらにはあんこくによってライフが失われた後、10点以下であれば4/4絆魂というとんでもないスペックに。  このライフの条件は《死の影》を思い起こさせますね。下環境であれば《思考囲い》など自分のライフを能動的に削る手段も多いのでより強く使えそうです。  これも攻撃するたびに全ての攻撃クリーチャーが破壊不能効果を持つようになり、伝説とはいえ1マナがやっていい効果ではないです。  また《覚醒したパラディン、セシル》に変身した後は《暗黒騎士、セシル》とは別カード扱いになるため並べられることも覚えておくといいかもしれません。  ライフを失うデメリットも強化をしない限りは2点と微々たるもの。クロックを重ねる度にライフが減るのも事実ですが、ライフを高く保ちたい場合は1/2/3接死の壁として運用すればよい話です。  このようにデメリットに対してこちらに選択肢があり、総じて非常に強力な一枚と言えるでしょう。   1位《威名のソルジャー、セフィロス》  そんな《暗黒騎士、セシル》を抑えて1位の座に輝いたのは《威名のソルジャー、セフィロス》!  白の2位である《ミッドガルの傭兵、クラウド》と関係深いキャラクターになりましたが、性能自体は素晴らしいの一言です。  これも同様にここでは多くは語らないこととします。個人的には「アバター」にグッときました。さすがです。是非プレイしてみてください!  まずETB能力および攻撃時に誘発する能力でクリーチャーを生贄に捧げる事で1ドロー、これに加えて自身を除いた《血の芸術家》のように他のクリーチャーが死亡するたびに1点ドレインを行う誘発効果。  いずれもサクリファイスシナジーとして噛み合っており、4回誘発することで5/5飛行である《片翼の天使、セフィロス》へと変身した上で《血の芸術家》と同等の効果の紋章を得ることができます。  これの素晴らしいところは「相手のクリーチャーでも誘発する点」で、例えば《滅殺の眼差し》で生贄に捧げつつ相手のクリーチャーを破壊するだけで2回誘発します。  終了ステップに生贄を捧げる戦士を出す応召2を持つ《勝利の楽士》と組み合わせれば4体の条件を容易に達成しつつ、相手に邪魔されず安心に変身まで出来ちゃいますね!  この《威名のソルジャー、セフィロス》を中核に据えたオルゾフサクリファイスデッキは考えてみたいところです。   赤 3位《自爆》  《巨怪の怒り》を打った《心火の英雄》を《無感情の売剣》でぶん投げる動きは強力でしたが、こちらはパワーに等しいダメージを与えるため《叫ぶ宿敵》との相性もよいですね。  こういう効果はソーサリーだと除去によって対象不適正になりがちですが、インスタントなのも非常に嬉しい点。  より前のめりになった赤単での採用もあり得る……のかも!?  パワーよりタフネスの方が大きければ生き延びるのもお忘れなく。   2位《アラミゴの猛牛、ラウバーン》  実はFF14も本当に序盤の序盤だけちょろっとやっていまして、見た瞬間思わず「ラウバーンさんだ!」となりました。  2/2/2で護法がパワーに等しいライフの支払いを要求するため、パワーの上がる装備品であったり《巨怪の怒り》などとの相性がいいですね。  攻撃する際に装備品の装備コストを踏み倒せるため、真っ先に思い浮かぶのは《巨像の鎚》。  装備品をサーチする《ミッドガルの傭兵、クラウド》もいますし、パイオニア以下のハンマータイムが熱い!  速攻を持たない点はやや残念ですが、除去されても確実に2点は叩き込める点はかなり評価できそうです。   1位《召喚:ブリュンヒルデ》  赤の1位はこちら、《召喚:ブリュンヒルデ》です!  英雄譚でありクリーチャーでもあるのですが、3章までしかないので実際に攻撃できるのは2章の1回のみになります。  しかしながらクリーチャー・エンチャントであるため、昂揚を達成しやすい点からスタンダードのグルール昂揚で強いと睨んでいます。  1章は衝動ドローで、この英雄譚に伝承カウンターを置いたターンの間であるため、除去されなければ最高3ターンまで保つことができます。  (「伝承カウンターを置いたターン」、つまり基本的には自分のターンのみであり、相手のターンではプレイできない点は注意したいところです)  また、速攻を付与させる効果も《逸失への恐怖》との相性はもちろん、《雑食性ハエトリグサ》に速攻を付与させても強力!  この二枚とも昂揚に絡む能力であるため、様々な面で噛み合いがよく1枚で2種類になれるこの一枚はグルール昂揚の強さを一段階上げる台風の目になるかもしれません。   緑 3位《町の歓迎者》  緑の3位はこちら、《サテュロスの道探し》のほぼ上位互換です。  色々なデッキで《サテュロスの道探し》が使われてきたように、2マナクリーチャーでありながら4枚も掘りつつ土地を加えられるのはかなり破格。  今後のスタンダードでのリアニメイトデッキには欠かせない一枚となりそうですね。   2位《ジャイアントビーバーとの対話》 《自然との融和》《精霊との融和》《ニッサの誓い》といった1マナでライブラリーの上から複数枚見て手札に加える緑の《思案》(?)系のソーサリー。  今回は見れる枚数が3枚とやや少なめですが、アーティファクト・クリーチャー・土地と非常に範囲が広くなっています。1マナで3種類拾えるのは《ニッサの誓い》ぐらいです。  どちらかというと下環境で使われそうな一枚ですが、スタンダードでも《コーリ鋼の短刀》を拾えてしまうのでティムールカワウソで使われそうな気配を感じます!   1位《ティファ・ロックハート》  緑の1位はFF7より《ティファ・ロックハート》!  学生時代にエアリス派・ティファ派・ユフィ派の仁義なき戦いをしていた頃を思い出しますね……  2/1/2トランプルとやや貧弱なスタッツですが、目玉は上陸によってパワーが二倍になる誘発能力。  2マナ+4/+4の《剛力化》でパワー5、《寓話の小道》や《進化する未開地》といったフェッチランドと組み合わせることで5→10→20! ワンパンウーマンですね!  こんなにうまくいくことはあまりなさそうですが、この効果で2マナは結構チャンスがありそうに見えます。攻撃を通すためのトランプルも持ち合わせているのもますます魅力的です。   マルチカラー 3位《フェニックスのドミナント、ジョシュア》  多色の3位は最新作であるFF16からのこちら。  シンプルに3/3/4で最大2枚ルーティングは速攻こそ持ちませんが《光砕く者、テルサ》《蒸気核の学者》などで強さを証明しています。  何より《塔の点火》《逃げ場なし》に耐性のあるタフネス4なのが素晴らしいの一言!  5マナで変身するモードも隙こそはありますが変身してしまえば絆魂によって実質2点ドレインしつつ、4/4飛行絆魂になり非常に頼もしい一枚となります。  そして3章もマナ総量の合計が6以下であれば任意の口―チャーをリアニメイトと非常に強烈なインパクト!  既存のデッキとしてはやはり色的にもジェスカイ眼魔への採用はほぼ確定的と言ってよいでしょう。オーバーキルかもしれませんが、3章で《忌まわしき眼魔》を2枚リアニメイトしたい……!!   2位《オリジナル、アシエン・エメトセルク》  多色の2位はFF14より《オリジナル、アシエン・エメトセルク》!!  2020年に行われたファイナルファンタジーの人気投票で悪役ながらティーダ、ライトニング、ティファなどの人気キャラを抑えて堂々の全体6位。  ヴィランとしてはセフィロスなどを抑えて1位と凄まじい人気を誇るという知識こそはありますが、彼が一体どんなキャラクターなのかは実は全然知らなかったりします。  身近にいるFF14ファンからは「1日中語りたいがどれを言ってもネタバレになるから何も言えない」としか返ってきませんでした。  カードとしては3/2/4警戒でありタフネス4という一種の除去耐性を持ち、ETBおよび攻撃時に1枚ルーティングを行います。  アップキープ開始時に墓地に14枚あれば6/6警戒の《最古の魔道士、ハーデス》になり、かの最強スペル《ヨーグモスの意志》と同等の城塞能力を持ちます!  条件こそは厳しいですが、変身さえしてしまえば墓地が手札になりますしほぼ勝ちです。これによって終盤にトップしても嬉しい一枚となっているのはいいですね。  黒の3マナ域には《分派の説教者》という強力なライバルはいますが、ディミーア眼魔などではこちらを採用するメリットは大きそうです。   1位《迷える黒魔道士、ビビ》  多色1位はFF9の人気キャラクターである《迷える黒魔道士、ビビ》。  公開された当時から前評判が非常に高い一枚ですね。かくいう私もビビッと来ました! ビビなだけに!  …コホン。3マナで0/3と非常に貧弱なスタッツですが、クリーチャーでない呪文を唱える度にだんだん強くなっていき、パワー分だけマナを産み出すという青赤にしては珍しい性能です。  他のカードとの組み合わせが必要とはいえ《巨怪の怒り》1枚で4/5で4マナ産み出せ、そこから4マナを捻出して《食糧補充》から《手練》《選択》などに繋げていけるとどんどんサイズが膨れ上がっていきます。  呪文を唱えれば唱えるほど強くなる点も一世を風靡している《コーリ鋼の短刀》との相性もよく、まずこの二つの組み合わせからデッキを考えてみたいところですね。  もちろん起動能力ですので《アガサの魂の大釜》との相性もピッタリです。  モダン以下では《ミシュラのガラクタ》などの0マナ呪文が多く、ウィザードであるため《アノールの焔》との相性もよいので様々なデッキで試されそうでワクワクしますね! 無色  3位《コヨコヨのUFO?》  無色の3位は何とも摩訶不思議なこちら。?が名前に入っているカード、初めて見ました。  2/0/4飛行と防御的なスタッツでタップ能力で手札から土地を出す事が出来ます。  ランプにとってはタフネス4による序盤の壁役でありながら手札からとはいえマナ加速もできるため、見た目に反していいカードではないかと感じています。  下環境でもバウンスランドとの組み合わせでアミュレットタイタンでの採用も考えられるかも……?   2位《バスターソード》  2位はFF7よりクラウドの相棒であるバスターソード!  効果としてはいわゆる二色剣シリーズと似ており、戦闘ダメージを与えるたびに1ドローしつつ手札から与えたダメージの点数以下である呪文を踏み倒す事が出来ます。  クラウドのところで話した通り、これをサーチしつつ装備できれば2回誘発する《ミッドガルの傭兵、クラウド》との相性は非常によく、デザイナーズコンボとなっています。やはり相棒はクラウド。  こういった装備品は得てして使われないことも多いのですが、《ミッドガルの傭兵、クラウド》がいる今ならばもしかしてチャンスが……!?   1位《召喚:バハムート》  無色の1位はやはりと言うべきか、《召喚:バハムート》です! 非常にカッコ良いイラストですね。  9マナとド級の重さですが、その重さに見合った9/9飛行とド派手な効果を持ち合わせています。  パーマネント破壊による盤面への干渉手段も嬉しく、9/9飛行も生半可なカードでは突破できません。  真っ先に出てくるのはやはり《ゾンビ化》などのリアニメイト。《もがく出現》で引っ張ってきても面白いかもしれませんし、同時に収録される《スピラの希望、ユウナ》でも是非リアニメイトしたい一枚です。  さらに下の環境だと2マナでリアニメイトできる《頑強》などもありますし、なんなら無色なのでシンプルにエルドラージに入れてしまうという手も……?   土地 3位《工業公国、リンドブルム》  土地の3位は前代未聞の出来事+土地である《工業公国、リンドブルム》。  3マナインスタントで0/1の黒魔道士トークンを出すという弱めな効果ですが、土地枠でスペルを唱えられるという強さは裏面土地たちが物語っています。  なによりこちらは出来事であるため、唱えた後に土地として確実にマナを伸ばすことができるのがメリット。  インスタントでトークンを出すため、パイオニアでの《不屈の独創力》《異形化》といったデッキで数枚ほど入りそうですね。 2位《魔晄都市、ミッドガル》  2位も同じく出来事+土地である《魔晄都市、ミッドガル》。  こちらは3マナのソーサリーでアーティファクトかクリーチャーを生贄に捧げる事で2ドローというかなり控えめな効果ですが、他の出来事土地と比べると結構強めな効果に見えます。  サクリファイスシナジーで《威名のソルジャー、セフィロス》との相性がいいですし、一緒に使ってあげたいですね。   1位《始まりの町》  土地の1位はこちら!! 個人的に1000枚買え枠です。  というのも、ローテーションによって団結のドミナリアが落ちてしまうため、各種ダメージランドが使えなくなってしまいます。  そこの枠をこの1枚だけであらゆるデッキに入ることになる……と言えばこれに秘められた価値はお分かりでしょう。  もちろん性能自体も素晴らしく、第3ターンまでに置けばアンタップインかつ全色出るダメージランド!  ファストランドとは異なり、第3ターンを過ぎてしまうと土地が3枚以下でも問答無用でタップインになってしまいますが、全色出るというメリットは絶大です。  《マナの合流点》とは異なり、無色であればダメージは発生しないのも非常に嬉しい点。  全ての始まりであるFF1から《始まりの町》という名前も非常にエモさを感じますね。   おわりに    以上、私が選ぶ各色トップ3でした。  世界のファイナルファンタジーなだけあって見知ったキャラクターが多いだけでなく、とてもワクワクするカードも多いので楽しみですね!  この記事で気になったカードがありましたらぜひGOOD GAMEにてご予約ください!     シングルカードの品揃えが非常に豊富で値段もお買い得なのでオススメです!    ご購入はこちらから

ゆうやんの選ぶ『マジック:ザ・ギャザリング——FINAL FANTASY』各色トップ3!

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2025.06.04

mtg Yuyan

こんにちは! ゆうやん(@yuyan_mtg)です。 ついに!ついに!『マジック:ザ・ギャザリング——FINAL FANTASY』に収録される全カードが公開されました!!   ゲームで一番好きなジャンルはRPG、その中でもファイナルファンタジーには強い思い入れがあるので、どのカードも胸が熱くなります。   本当はファイナルファンタジーについて語りたいのですが、それはまた別の記事にするとして、今回はいつも通り、新セットのレビュー記事になります!   構築目線で今回も各色のトップ3をご紹介していきます! 目次 白 青 黒 赤 緑 マルチカラー 無色 土地     白 3位:《バハムートのドミナント、ディオン》 4マナ3/3で、2/2の騎士を生成。しかも自身と騎士が自分のターンは飛行がつくので、攻撃性能は高めです。   《刃の接合者》が3マナで1/1と3/3で4/4相当なことを考えると、まずまずと言えるでしょう。   マナが余った後半には変身して召喚獣になり、全体強化を2ターンかけて行いつつ、パーマネントを破壊して再び表になります。   表になった際には再びトークンを生成するので、ゲームの後半での圧力はかなり高そう。   変身能力がもう少し軽ければ…。   2位:《召喚:ナイツオブラウンド》 FFと言えば召喚。マジックの召喚は英雄譚として再現されます。   一時的にクリーチャーとなってその力を行使してくれるのはまさしくFFの召喚獣!素晴らしい原作再現と言えますね。   初登場となったカードタイプである、英雄譚・クリーチャー。その中でも《召喚:ナイツオブラウンド》は最も強いカードではないかと思います。   戦場に出た時に2/2を3体出し、その後3ターンにかけてトークンを3体生成し続け、最終的には全体を+2/+2強化。本体は破壊不能までついているので、除去耐性もバッチリです。   とはいえ、普通に唱えるには少し重いのが《召喚:ナイツオブラウンド》。そこで活きてくるのが、英雄譚でもありクリーチャーであるという性質。   そう、このカードは墓地から《ゾンビ化》で釣り上げることができるのです!   これがモダンまで行くとなんと《頑強》で戦場に戻せます。パワータフネスは1ずつ下がりますが、《召喚:ナイツオブラウンド》本体のサイズは関係ないので大丈夫です。 《頑強》で釣るカードと言えば《残虐の執政官》ですが、あちらが単体除去で弱いのに対し、《召喚:ナイツオブラウンド》は除去に非常に強いカードなので、しっかりとこちらにもメリットがあります。   同セットの《スピラの希望、ユウナ》で墓地から戻す動きはスタンダードでも実現可能!《アブエロの覚醒》でも釣れますし、様々な手段で踏み倒したいですね。   1位:《古代魔法「アルテマ」》 すべてのクリーチャーを破壊する、《神の怒り》系カード。《審判の日》は4マナでクリーチャーを破壊するだけですが、1マナ重くなると《太陽降下》のように様々なオマケがつきます。   この《古代魔法「アルテマ」》のオマケはすさまじく、クリーチャーとアーティファクトをすべて破壊しつつ、ターンを終了してしまいます。   ターンを終了する。この言葉は一見何の意味もないように思えますが、非常に重要です。   破壊してそのままターンを終了してしまうので、まず死亡した時の能力は誘発しますが、解決されません。スタック上に積まれたすべての能力は、ターンの強制終了で追放されるからです。《心火の英雄》は誘発しません。実質《太陽降下》ですね。 更にターン終了時に瞬速クリーチャーを出すこともできません。《フェアリーの黒幕》《フラッドピットの溺れさせ》などを出すタイミングがないのです。《古代魔法「アルテマ」》を打つのにスタックして出せば一緒に除去されますし、《古代魔法「アルテマ」》が解決すればターンが終わってしまうのです。   モダンでは《時を解す者、テフェリー》から相手のターンに打てば、実質《時間のねじれ》。《神の怒り》がオマケでついてる《時間のねじれ》と考えるとすさまじくないですか?   カード名もかっこいいですし、イラストも申し分なし。ぜひ使いたいカードです。     青 3位《「占星術師」の天球儀》 FFで召喚と同じぐらい重要なのがジョブ。そのジョブの装備品がカードとして登場し、英雄・トークンがその装備をつけた状態で戦場に出ます。   どのジョブ選択装備品もコストがそれなりに重いのは、まあジョブチェンジにはそれだけ難しいと言うことでしょう。   さて、そんな装備品から占星術師になれる《「占星術師」の天球儀》をチョイス。FF14では占星術師ではヒーラーでしたが、カードとしては非常に攻撃的。   クリーチャーでない呪文を唱えるたびに+1/+1カウンターが乗る、《スプライトのドラゴン》の能力に加えて、1ターンにカードを3枚引いた時にも+1/+1が乗ります。《渦まく知識》を打てば即2つのカウンターが乗りますね。 ゲーム中盤では装備する余裕も生まれるので、トランプルを持つクリーチャーなどに付け替えれば、あっという間にゲームを終わらせてくれます。   スペルを唱えて勝つ果敢デッキに入るかもしれません。   2位《シヴァのドミナント、ジル》 戦場に出た時に土地以外のパーマネントを戻せる便利なクリーチャー。3マナ2/2とコストとサイズも申し分なく、それだけでもまずまずのカード。   にもかかわらず、シヴァに変身することができます。   変身時の能力は控えめですが、2ターンにかけてクリーチャーにアンブロッカブルを付与するので、シヴァ自身のダメージを通せます。   3章では相手の土地をすべて寝かせながら表になるので、またカードをバウンスできます。   パイオニアでは《集合した中隊》と一緒に使うこともありそうです。   1位《隠者、マトーヤ》 占術や諜報がドローになる!?かなりすごいことが書いてあります。   モダンならフェッチランドから諜報土地をサーチして1ドローなので、土地が実質1ドローになりますし、スタンダードでも諜報土地でカードが引けます。《選択》《考慮》は1マナ2ドローになりますね。   《うなる大殺犬》が出ていれば、パワーが2以下のクリーチャーが出るたびにドローと凄まじいことに! 中々破格の能力を持っているにもかかわらず、3マナ1/4と軽く硬いクリーチャーなので、色々なデッキで試してみたいですね。   黒 3位《隠された真実》 《巧みな軍略》が黒になりました!まんま能力は《巧みな軍略》ですが、黒は墓地を活用しやすいカラーなので、使う可能性がありそうです。   特に《ゾンビ化》で墓地からクリーチャーを吊り上げるリアニメイトデッキでは《隠された真実》は強そうですね。   フラッシュバックがあるのも地味に嬉しい。   2位《威名のソルジャー、セフィロス》 フラッシュ世代なのでセフィロスと言えばまず思い浮かぶのがあのフラッシュ。同年代の人だけ頷いてください。   FFシリーズでも特に人気のあるセフィロスは、かなり強いカードに見えます。   戦場に出るか攻撃するたびにクリーチャーを生け贄にして1ドローは、トークンや蘇生能力のあるクリーチャーを生け贄にすればリソース確保手段になります。   更に自身以外のクリーチャーが死亡するたびに1点ドレインと《血の芸術家》能力も内蔵しており、これだけでも十分な性能です。 しかし、セフィロスが本領発揮するのは変身後。その変身条件は、1ターン中に4回のライフドレインが必要。つまり4体のクリーチャーが死亡していなければなりません。   一見かなり重いように見えるコストですが、自分と相手で合計4体のクリーチャーが死亡しても大丈夫です。クリーチャー戦闘で2体ずつが死亡すれば変身できますし、死亡時にダメージを飛ばすカードを利用して、セフィロスで生け贄にしながら相手のクリーチャーを除去して変身達成なんてことも。   他にもたとえば《大釜の使い魔》1体が4回場と墓地を往復してもOKですし、意外と変身は難しくありません。   そして変身すると《血の芸術家》能力がそのまま紋章になります!クリーチャー死亡にドレインが付く紋章は想像よりもすさまじく、あっという間にゲームに勝てるほどです。   5/5飛行に加えて好きなだけクリーチャーを生け贄に捧げるようになり、カードも引け、しかも紋章でダメージと、変身すれば勝利は目前でしょう。   サクリファイス系デッキが大好きなのでぜひ使ってみたい!   1位《暗黒騎士、セシル》 1マナ2/3で接死!?ここまで強い1マナ域がスタンダードで登場するとは。さすがはセシル。   もちろんデメリットとして、セシルが与えたダメージ分だけ、プレイヤーもライフを失います。セシルの攻撃が通ると常にお互いのライフが減っていくことになります。   昔からのプレイヤーなら《カーノファージ》か《ジャッカルの仔》を思い出すでしょう。1マナ2/3接死の《ジャッカルの仔》です。すさまじいカード。 しかもこの時にライフが初期ライフの半分以下、つまり(統率者戦以外では)10以下ならセシルは暗黒騎士からパラディンになります。   パラディンになったセシルは4/4で絆魂、攻撃時に他のクリーチャーに破壊不能をつける、攻防一体の能力。そもそも1マナクリーチャーであることを考えると、変身後も超強力です。   黒系のアグロが出てくるならセシルは間違いなく採用されるでしょう。パイオニアでも黒単アグロが復権するかも?   赤 3位《アラミゴの猛牛、ラウバーン》 自身のパワー分のライフを要求する、ユニークな護法を持つラウバーン。除去するためには最低2点喰らう必要があるので、《大歓楽の幻霊》のようにタダでは死なないクリーチャーです。   更に自身が攻撃するたびに、装備品1つをタダでつけることができます。《巨像の鎚》をラウバーンにつければ護法で12点のライフを要求できるので、モダンはもちろん、パイオニアのハンマータイムも強くなってきました。   絶妙につけるには重い装備コスト(2)ぐらいの装備品をタダでつけつつ、護法も強力なので、装備品を活用するデッキがこれから生まれるかも?   2位《召喚:ブリュンヒルデ》 第一章はライブラリーの上を追放してプレイ可能になる能力。英雄譚の上に伝承カウンターを置いたターンなので、出したターンは使用可能です。   2ターン目に出した時にはカードは使用できないので、3ターン目以降に出してリソースを獲得するのが主な使い方となるでしょう。かつて赤単で使われていた《ケラル砦の修道院長》に少し似てますね。 2章と3章は、唱えたクリーチャーに速攻を付与するというもの。ダメージを与えた時に恩恵を得られるようなクリーチャーを速攻で出したらかなりお得です。ちょうどこの後紹介する《刃向かう者、ライトニング》なんかはぴったりですね。   シンプルながら使いやすく、結構強いカードではないでしょうか。   1位《刃向かう者、ライトニング》 戦闘ダメージを与えるとライブラリーの一番上を追放して使用可能にするライトニング。そしてプレイできるタイミングはターン終了時までではなく、ライトニングが戦場にいる間です。   これまでこういったダメージを通した際に追放してプレイするカードは、ターン終了時までがほとんどだったので、ライトニングはより長い間使用可能ということになります。   威迫なのでブロックしづらく、気軽にリソースを稼げる、使いやすいカードです。   緑 3位《グルメなク族、クイナ》 FF9の癒し枠、クイナ。FF9はそれなりに暗い話だったにもかかわらず、ジタン・スタイナー・クイナのおかげでかなり明るい雰囲気で終始遊べました。   さて、そんなクイナと言えばカエル。トークンを生成するたびにカエルもオマケで出すことができます。《リスの将軍、サワギバ》のようなクリーチャーですね。(サワギバの方が出るトークンの数が多いのですが) どのトークンに対してもトリガーするので、食物を生成してカエルを出したり、兵士やカワウソなどと一緒にもカエルを生み出せます。   更にカエルを生け贄にすると自身を強化でき、どんどんサイズも上げていけます。   《渓間の洪水呼び》は強化対象にカエルも含まれるので、クイナで出したトークンを《渓間の洪水呼び》で強化して一撃必殺なんてことも。   パイオニアでは《大釜の使い魔》を擁するフード系デッキで使われるかも?   2位《古代のアダマンタイマイ》 8マナ8/20!?ギャグみたいなサイズのクリーチャーです。   クリンナップ・ステップにダメージが取り除かれないので、このクリーチャーの上にはどんどんダメージが溜まっていき、20になると戦場からいなくなります。   自分や他のパーマネントから受けるダメージをすべて《古代のアダマンタイマイ》が受けてくれるので、実質自分のライフが20点増えるようなものですね。   護法(3)と除去耐性もあり、死亡時には宝物を10個生成するので、2枚目の《古代のアダマンタイマイ》をタダで出しながら他のアクションができたりと、一度《古代のアダマンタイマイ》が着地すれば、そこからかなりの時間延命できるでしょう。   クリンナップステップ中にダメージが取り除かれないだけなので、《溌剌の牧羊犬、フィリア》をはじめとしたブリンククリーチャーで場から一時的に追放されると、またリフレッシュして戻ってきます。   ランプなどには入るでしょうし、他にも面白い使い方が色々とありそうです。   1位《ダイヤウェポン》 墓地にあるパーマネントの数だけコストが軽くなる《ダイヤウェポン》。《面晶体のカニ》を出してフェッチランドで切削6を自分に使用すると、2ターン目に8/8が降臨します。   しかも到達と戦闘ダメージ軽減を持っているので、《超能力蛙》などもシャットアウトしますし、モダンでも2ターン目に出せればインパクト大!   スタンダードでも《浚渫機の洞察》などで墓地を肥やしながら早期着地できればかなり強そうです。戦闘ダメージを軽減するので、対赤単のブロッカーとしてもバッチリ。   色々なフォーマットで使ってみたいカード。   マルチカラー 5位《異邦の詩人》 マルチはカードが多かったのでトップ5にしました。   5位はこちら。FF14ユーザーなら馴染み深い《異邦の詩人》です。   今回登場した新たな土地タイプ、「街」にまつわるカード。トークンを出したり、全体パンプしたりと、街をたくさんコントロールしていると恩恵があるわけですが、一番上の能力が実は肝心です。   そう、土地がアンタップ状態で戦場に出るということは、実質《洞窟探検》。モダンのアミュレットタイタンに入りうるカードなのです。 しかも《異邦の詩人》は緑青のクリーチャーなので、《緑の太陽の頂点》でサーチできます。これまで《緑の太陽の頂点》は《原始のタイタン》ぐらいしかサーチするものがなかったため、不採用となっていましたが、土地をアンタップできるカードをサーチできるとなれば話は別。   アミュレットを回したことがある方ならご存じだと思いますが、このデッキはとにかく《精力の護符》《洞窟探検》に辿り着けるかがすべて。《ウルザの物語》を含めた12枚が採用されている現状でも、多ければ多いほど良いのです。   《緑の太陽の頂点》とあわせて《異邦の詩人》はぜひアミュレットに採用したいカード。   もちろんスタンダードなどで街コントロールを組む際にも使いそうなので、最初に揃えておきたいカードです。   4位《オリジナル、アシエン・エメトセルク》 僕がFF14で、いや、ファイナルファンタジーシリーズで最も好きなキャラクター、エメトセルク。ここで語ってしまうとそれだけで一記事ぐらいになってしまうので自重しておきます。   さて、エメトセルクは3マナ2/4警戒、戦場に出るか攻撃するたびに1ドロー1ディスカードとルーター能力を持っており、悪くありません。戦場に出た時だけだったら少し弱いですが、攻撃時にもルーターとなると、相手は中々放置できません。   墓地に14枚以上のカードがあると変身し、墓地にあるカードをプレイできるようになります。   表面が非常に使いやすく、ゲーム中盤以降は変身してリソースになる、中々便利なカードに見えます。専用デッキを組まなくても、ディミーアミッドレンジなどにすんなり入ったり、《ゾンビ化》で墓地からクリーチャーを釣るデッキでも、安定したディスカード手段として重宝しそう。   《浚渫機の洞察》《蓄え放題》などで切削しまくるデッキを組めば、変身も比較的すぐできるようになるので、そういったデッキでも見ることがあるかも。たとえば《陰湿な根》デッキなどでは、墓地に落とした《陰湿な根》《アガサの魂の大釜》を墓地から戻して勝つといった使い方も。   とにかく表面が便利なので、いろんなデッキで見ることになるかもしれません。   3位《フェニックスのドミナント、ジョシュア》 本記事で三度目の登場となるFF16のドミナント。このサイクルはすべてマナを支払ってタップすることで変身するカードで、変身自体は重いものの、戦場に出た時の能力が普通に強いので、使いやすいです。   ジョシュアは最近赤に割り振られている、カードを捨てた後に引く能力です。この能力の優秀さは《歴戦の紅蓮術士》《鏡割りの寓話》《光砕く者、テルサ》で身にしみていることでしょう。   3マナ3/4で2ディスカード2ドローとそもそも優れたクリーチャーである上に、変身した際の能力も非常に強力。   1章と2章では対戦相手に2点のダメージを与えるだけですが、自身が絆魂を持つため、2点ドレインです。しかも飛行4/4なので、2章時点で殴れば8点分ドレインの計算。   更に3章では強力なリアニメイト能力。墓地からマナ総量が6になるようにクリーチャーを戦場に戻せます。2マナクリーチャー3体や3マナクリーチャー2体など、一気に複数体を戦場に戻しつつ、自身は表になり、また手札を調整できます。   表も裏もすべて強く、マナが余りがちなボロスモニュメントあたりでぜひ採用したいカードです。   2位《スピラの希望、ユウナ》 僕と同世代のプレイヤーの多くはユウナちゃんに恋をしていたのではないでしょうか?FF10は中学一年生の頃に学校で流行っていましたが、それはもうみんなユウナちゃんに恋をしていました。僕と同世代のプレイヤーは実質ティーダなのです。   そんなユウナは割と専用デッキが組めそうなガチカードに仕上がっています。終了ステップの開始時に、墓地からエンチャントを戦場に戻せるのです。   しかも自分のターンの間、ユウナとクリーチャー・エンチャントは護法(2)を持つので、ユウナの終了ステップの能力を防ごうとするなら、4マナほど構えていなければなりません。戦場に出てとりあえずターン終了時にエンチャントを吊り上げて仕事をしてくれるのです。   しかも絆魂とトランプルがつき、攻撃面においても申し分ないので、ユウナを主軸に据えた召喚デッキが環境に現れるかもしれませんね。《召喚:ナイツオブラウンド》を釣りたい。   それだけでなく、既存のドメインオーバーロードにも入るうるカードだと思っています。   《ホーントウッドの大主》をはじめとした大主サイクルはすべてエンチャントなので、ユウナの能力で墓地から釣れますし、トランプル・絆魂・護法(2)もつきます。《永遠の策謀家、ズアー》との比較になってしまいますが、ユウナは緑白なので、無理に色を足す必要がなく、白緑の大主ランプなんかも面白そうです。(既にスタンダードにはかなり近いセレズニアランプがいますね) 要注目の1枚!   1位《迷える黒魔道士、ビビ》 そして大混戦のマルチの1位はビビ!一部ではFF9の真の主人公とも言われているビビは、作中と同じく、凄まじい性能を持つクリーチャーです。   呪文を唱えるたびに自身に+1/+1カウンターが乗る《スプライトのドラゴン》と同じスーパー果敢を持ち、オマケと言わんばかりに対戦相手に1点が飛び、更に自分のターンに1回、ビビのパワーに等しい数の青マナか赤マナが出せます。   正直言って意味わからないぐらい強いです。   イゼット果敢に入れて《選択》など細かいスペルを打ってパワーが3になり、実質0マナの《食糧補充》を打ち、次のターンにはビビから4マナを出して《嵐追いの才能》レベルアップなど、これまでイゼット果敢ができなかった大ぶりなアクションも、ビビなら余裕です。   《巨怪の怒り》でパワーが上がれば使えるマナも多くなります。《巨怪の怒り》を打つだけでパワーが4つ上がるので、実質《暗黒の儀式》超えの恐ろしいスペルとなります。   しかもビビが持つ起動型能力は、《アガサの魂の大釜》で他のクリーチャーにも使わせることができます。他のクリーチャーがビビの能力を持つと、使いきれないほどのマナが出ることになるでしょう。青には《アガサの魂の大釜》と相性の良い《全能なる者アルカニス》もいますし、新たな《アガサの魂の大釜》デッキが誕生するかも? ビビを早く使いたくてワクワクしています! 無色  3位《原初の生命体、アルテマ》 土地から出るマナを無色に変えつつ、自身が出す無色マナが倍になるという、一風変わった能力。相手の色マナを縛ったり、自分の土地を無色に変えてマナを伸ばしたりできます。   有効な使い方は思いつきませんが、モダンなどの無色系デッキでは出番があるかもしれません。土地の能力を失わせるので、エルドラージミラーあたりでは使い道があるのかも?戦場に出た時ではなく、攻撃時なのが嬉しいですね。   スタンダードというよりは下環境向けのカードです。   2位《召喚:バハムート》 FFの召喚獣と言えばバハムートをまず思い浮かべる方も多いのではないでしょうか?   そんなFFファンを納得させる圧倒的な性能を、マジックのバハムートも持っています。   まず本体が9/9飛行とでかく、1章・2章でパーマネントを破壊。3章では2ドローを行い、最終章ではこれ以外のパーマネント分のダメージを相手プレイヤーに与えます。   最終章は土地もカウントするため、実質この最終章が解決したらゲーム終了となります。まさしくバハムート。   9マナと少し重いですが、クリーチャーなので《召喚:ナイツオブラウンド》と同じく、《頑強》《ゾンビ化》でリアニメイトできるので、踏み倒しは容易です。   無色のカードということでトロンなどに入る可能性もありますね。   スタンダードでは《召喚:ナイツオブラウンド》と合わせて召喚ランプなんかも面白そうです。《スピラの希望、ユウナ》で釣り上げるプランも組み込みましょう。   ユウナがナイツオブラウンドとバハムートを召喚…なんて良い響きなんでしょう。FFファンも大満足のセレズニア召喚、普通に強そうです。   1位《バスターソード》 装備品は出して装備して殴る、この3工程で初めて機能するので、カードパワーが高くなりすぎた最近のスタンダードでは使われない傾向にありました。   かつて大活躍だった《火と氷の剣》《饗宴と飢餓の剣》ですが、今スタンダードに帰ってきてもかつての輝きを見せることはないでしょう。 唯一暴れ回っている《コーリ鋼の短刀》は装備して殴る工程が丸々カットされており、それが強みとなっています。   ウィザーズもそれを理解しており、今回のジョブ選択など、装備品にはクリーチャーを生成する能力を付与しています。こうすることで装備品をプレイアブルにしようとしているわけですね。   さて、そんな昨今の装備品事情ですが、ここまで強ければトークンが出ずとも使えるかもしれません。そんな期待を抱かせてくれるのが、クラウドの愛剣でお馴染みのバスターソードです。   装備クリーチャーに+3/+2をつけ、ダメージが通ると1ドロー、更に通ったダメージの点数以下のマナ総量の呪文をタダで唱えられます。   いや、意味不明です。強すぎます。   出して装備して5マナかかりますが、2/2のクリーチャーにつけてダメージが通れば5以下の呪文を使えるので、実質1ターンで10マナを使うことができます。   トランプルクリーチャーにつければ、ブロックされても通った分でスペルが使えますし、二段攻撃クリーチャーにつけば2枚引いて呪文を2回使用とわけのわからないことに。   いや、意味不明です。(2回目)   《饗宴と飢餓の剣》に少し似ていますが、バスターソードは1ドローがついており、呪文を唱える能力と噛み合っているのが嬉しい。   今回は装備品関連のカードも多いですし、バスターソードを使ったデッキを組みたくなっちゃいますね。   土地 3位《工業公国、リンドブルム》 今回のレア土地サイクルの街は、出来事呪文と土地がセットになっています。土地はすべてタップインですが、街なので、街シナジーのあるデッキではたくさん採用することになるかもしれませんね。   呪文として使った後にセットランドできる、1枚で2度美味しいカードなので、出来事側は全体的に弱めにデザインされています。   とはいえ、《工業公国、リンドブルム》はインスタントで、かつウィザードを生み出してくれます。FF9の黒魔道士兵ですね。非クリーチャー呪文を唱えるとプレイヤーに1点を入れてくれるので、イゼット果敢など、スペルを連打するビートダウンで活躍するトークンです。   このトークンを生み出しながら土地として置けるのは中々便利に見えます。   街コントロールなどには入らないですが、速いデッキには入る可能性があり、可能性を感じています。 2位《魔晄都市、ミッドガル》 リンドブルムと同サイクルで、こちらは《村の儀式》。リンドブルムもそうでしたが、大体1マナ相当の効果が3マナになっています。   インスタントだったら…と思わずにはいられませんが、まあ土地として置けるので仕方ありません。マナフラッドは嫌だけど土地は少し入れたい、そんな贅沢な悩みは解決してくれそうです。サクリファイスデッキには入るかなと。   1位《始まりの町》 そして1位はこちら!   1~3ターン目までアンタップインになる土地なので、条件はほぼ《銅線の地溝》などのファストランドと一緒です。ファストランドは4ターン目以降もアンタップインになる可能性があるので、厳密にはファストの方が優秀ですが。   タップで無色が出る他、1点のライフを支払うことで好きな色マナが出るので、オールマイティーなダメラン(《シヴの浅瀬》など)ということになります。   序盤から色マナを要求してきてライフ損失がそこまで気にならない2色のアグロデッキにとっては非常に嬉しいカードでしょう。   3色のアグロデッキにとってはダメランよりも優秀なカードで、エスパーピクシーのようなデッキなら4枚採用できそうです。   色々なデッキで《始まりの町》を置くことになりそう!   総合トップ5 5位《隠者、マトーヤ》 4位《暗黒騎士、セシル》 3位《古代魔法「アルテマ」》 2位《バスターソード》 1位《迷える黒魔道士、ビビ》   総合トップ5はこちらです!   とりあえずFFがリリースされたらビビを使ったいろんなデッキを組んでみようと思います!   それではまた!   ご購入はこちらから それではまた!

【週刊メタゲーム通信】王者エネルギーがついにトップ8から姿を消す!繁殖鱗コンボが見事優勝

週刊 Modern ピックアップ

2025.06.03

mtg Yuyan

こんにちは。   細川 侑也(@yuyan_mtg)です。   先週末はインディアナポリスでスポットライトシリーズが開催されました。   フォーマットはモダン!地域CSの予選フォーマットでもあるモダンの最新に迫りましょう!   カナダ地域CS 優勝:繁殖鱗コンボ2位:エスパー御霊3位:エスパーブリンク4位:イゼット果敢5位:親和6位:オルゾフブリンク7位:オルゾフブリンク8位:ドメインズー   インディアナポリスで行われたスポットライトシリーズ、トップ8にはなんとボロスエネルギーの姿はなし! 本大会で一番人気となったボロスエネルギーでしたが、トップ8からは姿を消し、トップ16まで見てもマルドゥエネルギーは1枚のみと、エネルギーは本大会では勝ち切ることはできませんでした。   トップ32(4敗ライン)まで見てみるとボロスエネルギーの姿が多く、デッキパワーは高くともフェアデッキであることが、今回は悪い方に作用してしまいました。   ボロスエネルギーは上質なクリーチャーと除去、そして中盤戦を《歴戦の紅蓮術士》《鏡割りの寓話》で戦い、最終的には《火の怒りのタイタン、フレージ》でゲームセットという、非常に安定したデッキです。 どのデッキ相手にも戦えるミッドレンジに近いですが、殴るクリーチャーがすべて軽いため、ブン回りが存在するアグロがミッドレンジとしても戦えるといった表現の方が近いかもしれません。   今回はその安定感、いわゆる丸さが、4敗目を喫してしまった要因と言えます。モダンはどのデッキも圧倒的なブン回りや嵌めパターンが存在し、ボロスエネルギーは打ち消しも2~3ターンキルも存在しないため、そこに抗うことはできないのです。   さて、そんなエネルギー不在のトップ8から見事勝ち上がったのは繁殖鱗コンボ。   《日を浴びる繁殖鱗》に《血の長の刃》を装備すると、クリーチャーが死亡するたびに《日を浴びる繁殖鱗》の上にカウンターが乗ります。 《日を浴びる繁殖鱗》の上にカウンターが乗ると0/1の落とし子トークンが出るので、それを生け贄に捧げると《日を浴びる繁殖鱗》にカウンターが乗り……無限マナ&無限パワータフネスの《日を浴びる繁殖鱗》が出来上がります。 無限マナになった後は《コジレックの命令》でライブラリーを全部掘り、《歩行バリスタ》で勝つも良し。《のたうつ蛹》が既に戦場にいて攻撃できるなら、無限ループ中にこちらも無限のパワーを獲得しているので、殴って終了となります。 コンボパーツの片割れである《血の長の刃》を《ウルザの物語》でサーチでき、どちらも《古きものの活性》で探せるため、意外とこの2枚コンボは成立しやすく、またエルドラージアグロとしての側面を持っているため、コンボ以外の勝ち筋もあるのが魅力です。 コンボパーツを探せる《邪悪鳴らし》が入っているので墓地も超えやすく、エルドラージランプでもお馴染みの《約束された終末、エムラクール》も採用されています。コンボに対して除去を抜けないサイド後は、むしろ除去を腐らせて《約束された終末、エムラクール》勝ちが本線になりそうです。 エルドラージは前述の《古きものの活性》に加えて《コジレックの命令》があり、ライブラリーから特定のカードを引き込むことに長けています。そのため、繁殖鱗のような瞬殺コンボとの相性は良好なのです。 繁殖鱗コンボは緑単であることがほとんどですが、優勝したリストはサイドに《紅蓮地獄》を採用しています。除去の薄いデッキなのでボロスエネルギーの《オセロットの群れ》《魂の導き手》に触れづらく、これらを無視しているとあっという間に《ゴブリンの砲撃》で負けてしまいます。そこで、横並びされたクリーチャーを一層できる《紅蓮地獄》を採用しているというわけです。 《大いなる創造者、カーン》《石のような静寂》などがあると止まってしまう《血の長の刃》コンボですが、《オパールのモックス》を採用しているわけではないため、アーティファクトに対しての依存度はそこまで高くありません。 《日を浴びる繁殖鱗》自体が止まってしまう《鳴り渡る龍哮の征服者》はかなり厳しいでしょうが、アーティファクト対策がさほど刺さらないのは嬉しいですね。 繁殖鱗コンボは数が決して多いとは言えないデッキですが、9位にも入賞しており、本大会一番の勝ち組でした! さて、今回トップ8の内最多勢力となったのはオルゾフブリンク。《ベイルマークの大主》《溌剌の牧羊犬、フィリア》を活用しはクリーチャー主体のミッドレンジで、対クリーチャーデッキに対して圧倒的な相性を誇ります。 トップ4のエスパーブリンクの同タイプのアーキタイプとなっており、苦手なエルドラージ系に対して《記憶への放逐》だけをタッチするのがこれまでは一般的でしたが、先週あたりから登場したエスパーブリンクはメインから青いカードが採用されています。 それが《超能力蛙》です。これまでの2マナ域は《ベイルマークの大主》《溌剌の牧羊犬、フィリア》《骨の皇帝》と、どれも2ターン目のカードとしてはインパクトは弱めでした。 《ベイルマークの大主》は墓地からクリーチャーを拾うため、できれば自分のクリーチャーが除去された後に回収する目的で兆候したいカード。 《骨の皇帝》も墓地のクリーチャーを追放してリアニメイトするので2ターン目のカードではありません。 唯一2ターン目に出してもそこそこ強いのは《溌剌の牧羊犬、フィリア》ですが、ちらつかせるカードが大したことはなく、2マナ域の弱さはオルゾフブリンクの課題でした。 それを解決したのが《超能力蛙》。モダンでも屈指の2マナ域である《超能力蛙》を採用したことで、従来のオルゾフブリンクに比べて圧倒的にプレッシャーが増しました。   《超能力蛙》を採用したことで使いやすくなったのが《新たな夜明け、ケトラモーズ》。《大祖始の遺産》で大量のカードを引ける《新たな夜明け、ケトラモーズ》ですが、盤面に影響を与えない《大祖始の遺産》以外では《溌剌の牧羊犬、フィリア》《孤独》《儚い存在》でしかカードが引けず、《新たな夜明け、ケトラモーズ》を持て余す展開もありました。 そこで《超能力蛙》が活きます。墓地からカードを追放して飛行を付与するとカードを引けるので、《新たな夜明け、ケトラモーズ》がかなり運用しやすくなったのです。   絶対に場に残せないクリーチャーである《超能力蛙》ですが、除去されてもこのデッキでは《ベイルマークの大主》で拾えるので、他のデッキから出てくる《超能力蛙》よりうっとうしいでしょう。 速度が必要なマッチでは《思考囲い》《超能力蛙》で妨害しながら素早く殴りきることもでき、従来のオルゾフブリンクにはない勝ち筋もあります。 オルゾフブリンク自体はエネルギーなどのクリーチャーデッキに強い一方、アミュレットをはじめコンボには苦戦を強いられます。これからもクリーチャーデッキはモダンで活躍するでしょうから、オルゾフブリンクがメタの上位から落ちることはないでしょう。 エスパーブリンクと同様、先週あたりから急に流行の兆しを見せているのがこのアゾリウス親和。本大会でもトップ8入賞を果たし、その実力が本物であることを示しました。   アーティファクト1つにつきコストが軽くなる親和能力を持つのは《思考の監視者》《物読み》の2ドロー組。レガシーでは8castと呼ばれているデッキで、このアゾリウス親和はさしずめモダン版8castと言ったところです。 1ドローになる《ミシュラのガラクタ》、マナ加速の《オパールのモックス》、便利な除去である《ポータブル・ホール》と様々なアーティファクトを出して親和コストに当てつつ、《思考の監視者》《物読み》で引いたカードを連打して物量で押し切るのが親和の戦い方です。 《ミシュラのガラクタ》《オパールのモックス》と入っていれば当然《湖に潜む者、エムリー》は入ります。生き残れば《ミシュラのガラクタ》を使い回してリソースを供給し続け、《モックス・アンバー》からもマナが出せるようになります。 《オパールのモックス》《モックス・アンバー》の並びを見れば次に思い浮かぶのは《知りたがりの学徒、タミヨウ》。当然4枚採用されています。こちらも攻撃で手がかりを生み出すリソース獲得手段でありながら、手がかりはアーティファクトなので親和も稼げて、様々な役割がある素晴らしいクリーチャーです。 攻めを担うのは《ウルザの物語》。このデッキはアーティファクト主体なのでとにかく《ウルザの物語》のサイズが凄まじい!《影槍》と《ウルザの物語》だけで勝ててしまうこともあるほど。 《ウルザの物語》3章で《溶岩拍車のブーツ》をサーチして、速攻で2体の構築物で殴ることもあります。土地なのに1枚で勝ててしまう《ウルザの物語》を最も活用できるのがこのアゾリウス親和です。 《河童の砲手》も忘れてはならないカード。アーティファクトをタップしてコストが軽くなり、ひとたび戦場に出ればあっという間に成長します。アーティファクトが戦場に出るとサイズが上がると共にブロックされなくなるため、実質ブロック不可のクリーチャーで、大体《河童の砲手》が出て2回殴れば勝利です。 しかも護法(4)という凄まじい除去耐性があり、ほぼ呪禁のようなものです。頑張って《孤独》をピッチで唱えて4マナ支払うこともできますが、《金属の叱責》もあるので、中々《河童の砲手》を倒すのは厳しいでしょう。 《思考の監視者》《物読み》で手札を肥やし、展開しながら打ち消しを構えるアゾリウス親和は、回っている時はどんな相手にも強いのではないかと思ってしまうほど、圧倒的な強さです。アグロやコンボに対しても大きく不利がつくことなく、どの相手ともしっかり戦えるのは魅力ですね。 《大いなる創造者、カーン》《石のような静寂》《溶融》などのアーティファクトヘイトは非常に苦手ですが、《河童の砲手》はこのどれも引っかからないカードです。サイド後に対策カードを入れられるのは厳しいですが、決して相性が明確に不利になるというほどではないのです。 アーティファクト主体でありながら《記憶への放逐》が全くと言っていいほど効かないのもポイント。アーティファクト破壊程度ではアゾリウス親和は止まらないので、対策しようとするとしっかり専用カードを取ることになります。 今後は意識しなければならない相手となるでしょう。《大いなる創造者、カーン》を使えない方は《石のような静寂》《溜め込み屋のアウフ》をお忘れなく!

【今週のピックアップデッキ】ボロスモニュメント/ディミーアドラゴン/森林ギフト

週刊 Modern Pioneer Standard ピックアップ

2025.05.30

mtg Yuyan

こんにちは。 細川 侑也(@yuyan_mtg)です。 今週のピックアップデッキでは、ちょっと珍しいデッキを、軽い解説を交えて紹介していきます。   紹介デッキ ボロスモニュメント ディミーアドラゴン 森林ギフト   ボロスモニュメント  Standard RC Qualifier : 2位 By canepis16 MTGアリーナ用インポートデータ 実は少し前から各国の地域CSに現れ始めていたデッキ、ボロスモニュメント。今回マジックオンライン上での地域CS予選にて見事2位という快挙を成し遂げ、今注目を集めています。   その名の通り、このデッキは《忍耐の記念碑》を主軸に据えたミッドレンジ。とはいえ、その速度は中々のもの。 《忍耐の記念碑》はカードを捨てるたびにドロー、宝物生成、3点ルーズから好きなものを選べるアーティファクト。1ターンに各能力を1回ずつしか選べませんが、自分と相手のターンそれぞれで誘発させることができるので、3点ルーズの能力を使い続けるとあっという間に相手のライフは0になります。   とはいえ、カードを捨てるという行為は基本的にリソースを失うもの。そこでこのデッキの多くのディスカード手段は、カードが引けるものとなっています。   スタンダードから下環境まで大活躍の《逸失への恐怖》は、カードを捨てて引くクリーチャー。同じく《光砕く者、テルサ》も捨てた枚数分だけ引くカードなので、いずれも《忍耐の記念碑》でドローモードを選択することで、手札を減らすことはありません。 《光砕く者、テルサ》は一気に2枚捨てられるので、ドローと宝物を選択すれば、宝物分得をしたことになります。 《ファイレクシアのドラゴン・エンジン》は墓地から戦場に出ると、手札を捨てて3ドローします。もちろん手札が3枚あれば《忍耐の記念碑》でそれぞれの能力を誘発させつつ3ドローでき、このデッキでは非常に輝くことになります。 面白いのが《再稼働》との組み合わせです。《ファイレクシアのドラゴン・エンジン》は蘇生能力を持っており、通常この3ドロー能力は、蘇生時に誘発するものです。しかし、《再稼働》で墓地から吊り上げた際にも《ファイレクシアのドラゴン・エンジン》の3ドローが誘発してくれるのです。 《再稼働》はデッキのキーカードである《忍耐の記念碑》を出す手段としても便利ですね。もちろん、《光砕く者、テルサ》などの各種ディスカード手段を吊り上げても良しです。 捨てる手段に特化したクリーチャーである《新ベナリアの守護者》はカードを引くこそできませんが、ディスカードすることで自身に破壊不能を付与できます。最近は追放除去である《苦痛ある選定》はほとんど採用されていないので、非常に場持ちの良いカードです。 更に条件なくいつでも手札を捨てられるので、相手のターンでも気軽に《忍耐の記念碑》を誘発させることができます。とりあえず不要牌を1ドローに変えられますし、ライフを詰める状況なら3点ルーズを自分と相手のターンで使い続けられるので、あっという間に射程圏内までライフを落とせます。 このようにディスカード手段の多くが高品質なクリーチャーで構成されているので、ボロスモニュメントは分類上はビートダウンとなります。《忍耐の記念碑》を置いて各種クリーチャーを展開しながらカードを捨て、ライフを速やかに詰めていきます。   そしてこのデッキでもメインから4枚採用されているのが《魔道士封じのトカゲ》。デッキと噛み合うわけではありませんが、イゼット果敢を意識してのメイン4枚採用です。 《忍耐の記念碑》を置いた後はディスカードがメインになるので、あまり《魔道士封じのトカゲ》からダメージを受けないのは、ちょっとしたポイントです。   《幽霊による庇護》とは一応コンボにはなりますね。《魔道士封じのトカゲ》に《幽霊による庇護》をつけることで、能力によるダメージでもライフを得られるようになります。《幽霊による庇護》の付け先としては破壊不能を付与できる《新ベナリアの守護者》もいるので、このデッキは除去環境にもかかわらず、メインから気兼ねなく《幽霊による庇護》を4枚採用できるのです。 《洪水の大口へ》がなければ《幽霊による庇護》+《新ベナリアの守護者》の組み合わせはもっと鉄壁だったのですが、こればかりは仕方ありません。 《忍耐の記念碑》が面白いぐらいにチェインするデッキなので、少し変わった攻め方をするビートダウンがお好きな方なら、きっとボロスモニュメントを気に入ることでしょう!     ディミーアドラゴン パイオニアリーグ : 5-0 By Desert_24 MTGアリーナ用インポートデータ ドラゴンが活躍する次元、タルキール。久しぶりの再訪となったわけですが、以前のタルキール環境で活躍していたドラゴン、皆さんは最初に何が思い浮かびますか?   ランプの相棒だった《龍王アタルカ》でしょうか。 それとも《黄金牙、タシグル》のネックレスも衝撃的だった《龍王シルムガル》? 僕はまず《龍王オジュタイ》を思い出します。 アンタップ状態で呪禁を持ち、相手に戦闘ダメージを与えると《予期》。フルタップで出したターンは除去耐性があり、打ち消しを構えながら《龍王オジュタイ》で攻撃できるのがこのカードの強みでした。   《龍王オジュタイ》を主軸に据えたエスパードラゴンはスタンダードで大活躍していましたが、その一因としては、やはり《龍王オジュタイ》を守る打ち消し呪文が強力だったのもあるでしょう。   それが《シルムガルの嘲笑》です。 手札からドラゴンを公開することで《対抗呪文》になるこのインスタントは、龍王オジュタイ》とセットで使われ続けました。そしてこの《シルムガルの嘲笑》が、パイオニアで使われる日がついにやってきたのです。 そう、『タルキール:龍嵐録』で登場した2枚のコントロール向きのドラゴンたちと共に。   《マラング川の執政》はスタンダードの青いコントロールに欠かせないカード。前兆モードの3ドロー、1ディスカードと6/7で2枚バウンス、両方のモードが強力です。 そしてこのデッキに4枚採用されているドラゴンが《ゴミあさりの執政》。ドラゴン以外のすべてのクリーチャーに-X/-Xを与えるカードで、こちらもコントロール向きのカードです。本体も4マナ4/4飛行に、護法能力までついています。 この護法がディスカードというのも曲者。相手に護法を要求し、いざカードを捨てたら打ち消してしまえば、たまったものではありません。   《マラング川の執政》《ゴミあさりの執政》の2種類のドラゴンは、言うなればドローと全体除去。無理にフィニッシャーのドラゴンをデッキに入れることなく、《シルムガルの嘲笑》を4枚採用できるのです。 デッキ構築に制限のかからない《シルムガルの嘲笑》は《対抗呪文》そのもの。モダンでも一線級の活躍をしている《対抗呪文》をパイオニアで使えるのですから、一人だけズルをしているのと同じです。 相方の黒もモダン級のカード満載です。《致命的な一押し》《思考囲い》はパイオニアの黒を代表する2枚ですが、いずれもモダン級のカード。要するにこのデッキは実質モダンのコントロールデッキと言っても過言ではないのです! しかもモダンでは使えない《時を越えた探索》も使用できます。墓地を能動的に溜める手段がないので2枚しか採用されていませんが、それでも2マナで7枚を見て、ドロースペルと打ち消しを探し、その2枚を同ターン中に打つのは、《時を越えた探索》にしかできない芸当です。 まるで一つ下の環境のような動きができてしまうディミーアドラゴン。コントロール好きな方、特に《対抗呪文》がお好きならば使ってみましょう!   森林ギフト モダンリーグ : 5-0 By Jeppebc 全世界100万人はいると言われている(?)《王神の贈り物》ファンの皆様、モダンでまた《王神の贈り物》が活躍しています。 スタンダードでは墓地から吊り上げられたり、《来世への門》でデッキから突然出てきたりと、7マナを支払って戦場に出ることがさほどない《王神の贈り物》。このデッキではそもそも戦場にすら出ません。 それならどうやって《王神の贈り物》は活躍するのか?墓地にある《王神の贈り物》に《変容する森林》がなります。 《変容する森林》は昂揚状態の時に起動して墓地のパーマネントをコピーするカード。コピー先である《王神の贈り物》がアーティファクトなので、昂揚しやすいのが嬉しいですね。   その《変容する森林》を引くために入っているのが《邪悪鳴らし》《ウィザーブルームの命令》。いずれも切削しながら《変容する森林》を拾えるカードでありながら、昂揚を満たしつつ《王神の贈り物》を墓地に送れる、一石三鳥のカードです。 《王神の贈り物》によって追放するクリーチャーは定番の《残虐の執政官》と《穢すもの、ウラモグ》。 《残虐の執政官》は説明不要の強カード。本体のサイズはあまり関係ないので、《王神の贈り物》によって4/4に縮んでも問題ありません。速攻がつくので、戦場に出た時と攻撃時の能力が誘発し、《不屈の独創力》で出すよりも相手に壊滅的なダメージを与えられます。   《王神の贈り物》と実は相性の良いカードが《穢すもの、ウラモグ》。追放領域にある一番重いカード分のカウンターが乗るので、《王神の贈り物》で自身を追放すると、カウンターが10個乗ります。滅殺10は《引き裂かれし永劫、エムラクール》も裸足で逃げ出すレベル。 《変容する森林》《王神の贈り物》プランが防がれた時も安心。リアニメイトでお馴染みの《骨の皇帝》も採用されています。《血染めの月》などで《変容する森林》が対処されても安心というわけです。 とはいえ、《骨の皇帝》も《変容する森林》も墓地に依存するカード。墓地対策に弱いのはご愛嬌。サイド後の対策に対して強い《鏡割りの寓話》を採用したりするのも面白いかもしれませんね。 《頑強》を採用してリアニメイト色を更に強くすることもできますし、フェア・アンフェアどちらの方向にも調整できますし、これからが楽しみなデッキですね。 《変容する森林》を使うデッキも色々と増えてきており、《死の国からの脱出》のようにいつか爆発してくる予感がしています!

【週刊メタゲーム通信】現環境もいよいよ大詰め!今週も絶好調のイゼット果敢!忍び寄るかつての王者

週刊 Standard ピックアップ

2025.05.28

mtg Yuyan

こんにちは。   細川 侑也(@yuyan_mtg)です。   先週末はカナダで地域チャンピオンシップが開催されました。   参加者447名による『タルキール龍嵐録』環境末期のスタンダードを分析していきます!   カナダ地域CS 優勝:アゾリウス全知2位:イゼット果敢3位:イゼット果敢4位:ディミーアミッドレンジ5位:ジェスカイ眼魔6位:イゼット果敢7位:イゼット果敢8位:赤単アグロ   『タルキール龍嵐録』で《コーリ鋼の短刀》が登場してからスタンダード環境を暴れ続けているイゼット果敢は、最後までその玉座から降りることはありませんでした。   最多勢力で最もメタられる立場にあり続けながら、常にトップ8に複数人が残り、今回も優勝こそ逃したものの、トップ8の半数を占める結果となっています。   準優勝したのはティムールカワウソや4色スローグルクなど、数々の名デッキを手掛けたことで知られるcftsoc選手。最近でも独創的なコントロール型のエスパーピクシーを構築して話題となっていた、稀代のデッキビルダーです。 【MTGアリーナ用インポートデータ】   そんなcftsoc選手のイゼット果敢は、クリーチャーの選択に一癖あります。   最近のイゼット果敢の一番の調整所がクリーチャーであることは先週もお話しましたね。《精鋭射手団の目立ちたがり》と《ドレイクの孵卵者》のいずれか、または両方を採用したり、《僧院の速槍》を抜いたりと、デッキリストから、使用者がどんな相手を意識しているのかをある程度読み取ることができます。 cftsoc選手は《僧院の速槍》4枚、《ドレイクの孵卵者》3枚で《精鋭射手団の目立ちたがり》0。つまるところミラーマッチを強く意識した構成です。《塔の点火》《噴出の稲妻》で焼かれてしまう《精鋭射手団の目立ちたがり》は同型では少し心もとなく、《ドレイクの孵卵者》は火力に耐えて、生み出すトークンが《精鋭射手団の目立ちたがり》をブロックできるので、《精鋭射手団の目立ちたがり》型のイゼット果敢に比較的強くなります。 《ドレイクの孵卵者》はミラーにおける防御面だけが注目されがちですが、《巨怪の怒り》とのコンボでドレイクを1ターンに複数体生み出す動きも強く、攻撃面においてもそれなりに優秀です。 《僧院の速槍》《ドレイクの孵卵者》の上から入っているクリーチャーが《稲妻罠の教練者》。こちらは果敢を持たない2マナ1/2なので、明らかに攻撃的なカードではありません。 《稲妻罠の教練者》は《選択》《手練》に比べると重いドローカードですが、その分上4枚からカードをピックできるので、質の高いドローが期待できます。具体的には《コーリ鋼の短刀》《食糧補充》など、強力なカードを探しにいけます。 特に《コーリ鋼の短刀》を引けるかどうかはミラーマッチにおいて最も重要で、その《コーリ鋼の短刀》を引く確率を上げられる《稲妻罠の教練者》は、ミラーでそれなりに強いカードと言えるでしょう。   《コーリ鋼の短刀》の誘発に困りそうなぐらいマナフラッドに陥った時は《食糧補充》を探しにいくなど、器用なカードではあるものの、2ターン目に積極的に出したいクリーチャーというわけでもなく、2枚採用には納得できますね。 このリストでもう1つ、忘れてはならないことがあります。それはスペル欄です。お気づきになりましたか?《巨怪の怒り》が2枚しか入っていないことに。 今まで数多のイゼット果敢のリストを見てきました。《稲妻罠の教練者》が入っているリストも中にはありましたが、《巨怪の怒り》が4枚入っていないリストを見たことはありませんでした。少なくとも地域CSを勝っていたリストはすべて4枚だったと思います。   《巨怪の怒り》は暴力的な打点を叩き出すカードですが、一方で除去に弱いカードでもあります。クリーチャーが除去されなくて初めて打点になるカードなので、盤面のクリーチャーをすべて除去されてしまい、手札に複数枚の《巨怪の怒り》を抱えて負け、という展開も多々あります。 そこでcftsoc選手は《巨怪の怒り》を2枚に減らし、しかし《巨怪の怒り》自体にはアクセスできるようにしました。それが《稲妻罠の教練者》です。ゲーム中盤で《巨怪の怒り》が必要になった時に《食糧補充》《稲妻罠の教練者》でライブラリーから探せる構成にし、序盤の《巨怪の怒り》事故を軽減することに成功したのです。 トップメタも進化し続けるのがカードゲームの面白いところ。イゼット果敢を更に進化させ、見事準優勝で世界選手権への権利を獲得しました。 【MTGアリーナ用インポートデータ】   そしてそんな最強のデッキ、イゼット果敢を下してカナダ地域CSの頂点に立ったのがアゾリウス全知。 墓地に《全知》を落として《アブエロの覚醒》で釣り上げ、そこからすべてのカードを0マナにして勝つ純粋なコンボデッキ。除去が効かないデッキなため、イゼット果敢を意識して多くのデッキが除去をメインから大量に採用している現環境では、メイン戦は非常に戦いやすくなっています。   『タルキール龍嵐録』で《マラング川の執政》が入ったことでデッキが大きくアップデートされたのは以前もお話しした通り。フィニッシャー枠だった《アルケヴィオスへの侵攻》が不要となり、デッキ内に《全知》コンボの専用パーツが《全知》《アブエロの覚醒》の8枚となったため、アゾリウスコントロールのように立ち振る舞うことが、以前よりも簡単になりました。 勝ち手段は《第三の道の創設》による無限切削が最近の流行でしたが、このリストには採用されていません。代わりにこのデッキの勝ち手段となるのが《クチルの側衛》《真夜中の一撃》《悲劇の神託者》です。 《クチルの側衛》は出た時にライフを得たり、墓地を追放するカード。アゾリウスコントロールのサイドボードなんかに入っているのを見かけますね。この《クチルの側衛》を手札に戻して場に出す。これを無限に繰り返すことで無限ライフを得るのが第一の勝ち手段です。 手順は簡単で、《全知》を貼ってすべてのカードが0マナになったら、《クチルの側衛》を出して《マラング川の執政》Aで手札に戻して出し直し、その後《マラング川の執政》Bで《マラング川の執政》Aと《クチルの側衛》を戻す。これを繰り返すだけです。   《真夜中の一撃》は普通に使うと、3マナの除去。しかも相手に人間を献上してしまうため、そこまで優秀というわけではありません。 しかし、この《真夜中の一撃》も《全知》下ではコンボに使えます。自分のクリーチャーを破壊して自分の場にトークンを生成できるのです。   そしてここに《悲劇の神託者》を組み合わせることで無限にトークンを生み出すことができます。 1.《マラング川の執政》2枚と《乱動するドラゴンの嵐》でデッキをすべて引ききる。 2.手札に《マラング川の執政》2枚、《悲劇の神託者》の状態でコンボスタート。 3.《悲劇の神託者》をプレイ。墓地から《真夜中の一撃》《マラング川の執政》《食糧補充》2枚をライブラリーに戻す。 4.《マラング川の執政》を前兆でプレイし、3枚を引く。絶対に《食糧補充》を引くことができるので、プレイ。 5.先ほどの3でライブラリーに戻した4枚の内1枚と、今前兆でライブラリーに戻った《マラング川の執政》をドロー。ライブラリーは0枚に。 6.《マラング川の執政》をプレイし、《悲劇の神託者》を戻す。 7.《真夜中の一撃》で《マラング川の執政》を破壊。トークンを生成する。 8.《悲劇の神託者》をプレイ。《真夜中の一撃》《食糧補充》《マラング川の執政》適当な1枚を選んでライブラリーに戻す。 9.《食糧補充》を打ち、《食糧補充》ともう1枚を取る。もう1度《食糧補充》を打つとライブラリーがまた0枚に。 10.《真夜中の一撃》で《マラング川の執政》を破壊。以降3に戻ることで、無限に《真夜中の一撃》のトークンを生成。 とこのような手順で無限コンボになります。無限ライフ+無限トークンになるので勝利です。   とはいえ、相手をライブラリーアウトにするわけではなく、トークンを出してターンを返すことになるので、勝てないのではないか?と思うかもしれませんが、実は大丈夫です。 たとえば相手が《太陽降下》や《一時的封鎖》などで盤面を流してきたら、無限体のトークンが戦場を離れたことになります。そのため、《クチルの側衛》を無限パワーで出すことができるのです。そのため全体除去も《クチルの側衛》1枚でケアしています。 全知ミラーマッチでは場に《マラング川の執政》4体、手札に《クチルの側衛》、《巻物変容》2枚の状態でターンを返すので、相手がコンボを決めるのは不可能です。《クチルの側衛》で墓地追放するだけで勝ちますからね。   このように、実によく練られたリストです!   コンボに使用する《悲劇の神託者》は、そもそも《全知》コンボを決めるためにも優秀なパーツです。戦場に出た時にカードを引いて捨てる能力を持っていますからね。《決定的瞬間》の方がライブラリーを掘る性能は優秀ですが、こちらは手札に来た《全知》を直接捨てられるので、一長一短です。《食糧補充》で《全知》を引き込んで《悲劇の神託者》で捨てることもできます。 《クチルの側衛》は同型なら相手の墓地を追放して《アブエロの覚醒》を防ぐことができたり、ビートダウン相手にはライフを得ながらブロッカーにもなり、無限パーツではありますが、普段使いもバッチリなのです。 アゾリウス全知はいかに無限パーツ専用カードを減らせるかがテーマで、《第三の道の創設》はかなり美しいリストでした。今回の優勝リストもそれに匹敵する美しさ。《真夜中の一撃》も少し弱いですが一応は万能除去ですからね。 《ファラジの考古学者》《悲劇の神託者》とライブラリーを掘り進めるカードの多くがクリーチャーになったので、特にアグロを意識していると言えるでしょう。《全知》はライフが1でも残っていればコンボが決まるデッキなので、この壁たちが勝利をもたらしてくれることも多々あります。 イゼット果敢たちをなぎ倒したアグロメタのアゾリウス全知がカナダを制したのでした。 【MTGアリーナ用インポートデータ】   さて、トップ8の中で異彩を放つのが、最近再び息を吹き返してきたデッキ、ディミーアミッドレンジ。   《大洞窟のコウモリ》によるハンデスや除去、《永劫の好奇心》によるドローや各種打ち消しと、黒と青の良いところを取り入れたミッドレンジです。 かつてはトップメタの一角だったディミーアミッドレンジでしたが、『タルキール龍嵐録』以降は少し元気のない印象でした。その理由はもちろん《コーリ鋼の短刀》です。 《コーリ鋼の短刀》は単体除去にはめっぽう強いカードです。2回の呪文を唱えるたびにトークンが出るため、除去を《コーリ鋼の短刀》のトークンに打っているとアドバンテージを失っていきます。 ディミーアカラーはアーティファクトに触る手段が限られるため、《コーリ鋼の短刀》を止めることができず、ダメージレースを挑むことしかできません。そしてリソースを供給するデッキの要である《永劫の好奇心》が《洪水の大口へ》で対処されてしまうため、イゼット果敢に対して上手く攻められません。 これらの理由から、イゼット果敢に少し不利なデッキとされていたディミーアミッドレンジ。実際今回4位に入賞したJayson Babin選手は本大会で対イゼット果敢に3勝3敗と、勝ち越していません。   ディミーアミッドレンジの魅力は、イゼット果敢以外のデッキに強い点です。アゾリウス全知には手札破壊と打ち消しで対処できますし、オルゾフバウンスには《永劫の好奇心》だけで勝てると言っても過言ではありません。 他にもジェスカイ眼魔に強かったりと、トップ8に入賞しているイゼット果敢以外のデッキたちに比較的強いのはデッキの大きなストロングポイントです。 しかも、対イゼット果敢も決して大きく不利がついてしまうというわけではありません。《コーリ鋼の短刀》が最速で出てこない場合は除去と《分派の説教者》のミッドレンジムーブで勝つことも可能ですし、デッキの性質上、大きく不利な相手がいないのも、ディミーアミッドレンジの良い点でしょう。 《群青の獣縛り》を採用して《コーリ鋼の短刀》を意識したリストもあり、ディミーア側もイゼット果敢に対して決して無策というわけではありません。 ほぼ固定パーツなのは《悪夢滅ぼし、魁渡》と《永劫の好奇心》ぐらいで、軽いクリーチャーや除去の選択肢は、意識する相手次第で自在に変えられます。 固定スロットが少なく、メタに合わせてデッキをチューンできるのもディミーアの強みと言えますね。   攻めも守りも自由自在なデッキ。それゆえにプレイも難しいのですが、練習しがいのあるデッキですよ!

【今週のピックアップデッキ】黒単クレリックリアニ/シミック緑甲羅/ダイスファクトリー

週刊 Modern Pioneer Standard ピックアップ

2025.05.23

mtg Yuyan

こんにちは。 細川 侑也(@yuyan_mtg)です。 今週のピックアップデッキでは、ちょっと珍しいデッキを、軽い解説を交えて紹介していきます。   紹介デッキ 黒単クレリックリアニ シミック緑甲羅 ダイスファクトリー   黒単クレリックリアニ SCG CON Hartford RCQ : 6-2 By David Boucher MTGアリーナ用インポートデータ 墓地から巨大なファッティを吊り上げるリアニメイト戦略。最近では最強のリアニメイト先で《偉大なる統一者、アトラクサ》が登場したため、様々なフォーマットでリアニメイトデッキは存在しています。 しかし、今回ご紹介するリアニメイトには《偉大なる統一者、アトラクサ》は入っていません。そもそもこのリアニメイトは黒単色のデッキ。   しかもスタンダードで最も強力なリアニメイト呪文である《ゾンビ化》すら採用していないのです。 《ゾンビ化》の代わりに採用されているのは《ヴァルガヴォスの崇拝者》。1マナで出して4マナ起動で墓地からクリーチャーを吊り上げるため、1+4で5マナの《ゾンビ化》です。 《忘却の虚僧》も《ゾンビ化》を内蔵したクリーチャー。こちらはキッカーで墓地からクリーチャーを吊り上げられるので、6マナの《ゾンビ化》です。 ですが、そもそもこれらの重い《ゾンビ化》を使うぐらいなら、最初から4マナの《ゾンビ化》を使えば良いのでは?そう思った方も多いでしょう。   その疑問に答えてくれるのが《影の儀式の司祭》。他のクレリッククリーチャーを+1/+1するこのクリーチャーですが、実は《ヴァルガヴォスの崇拝者》も《忘却の虚僧》もクレリックなので、ロードの恩恵をしっかりと受けることができます。 そしてなんといっても《影の儀式の司祭》にはもう1つ、狭量な能力があります。他のクレリックを生け贄にすることでライブラリーから直接黒いクリーチャー・カードを戦場に出せるのです。   強いクリーチャーをリアニメイトするには、まず強いクリーチャー。そしてそれを落とす手段。最後に吊り上げる手段が必要となります。リアニメイトは下準備がかなり面倒なコンボです。しかし、《影の儀式の司祭》ならばそれらの準備は必要ありません。クレリックを用意し、マナを支払うだけで良いのです。 デッキから現れる黒いカードは《恐怖を喰うもの、ヴァルガヴォス》。非常に強い護法能力を持ち、除去するのは非常に困難。しかも生き残れば圧倒的な展開力を見せる、S級クリーチャーです。 この《恐怖を喰うもの、ヴァルガヴォス》を墓地から釣っても良し、《影の儀式の司祭》で直接出しても良しなのがこの黒単クレリックリアニなのです。   《影の儀式の司祭》はこのデッキの主役。リアニメイト、ロード、両方の能力をフル活用します。   上記の2種に加え、黒ミッドレンジでもお馴染みの《分派の説教者》も実はクレリック。3/5になれば更に硬くなりますし、《忘却の虚僧》の3/2絆魂も赤い相手に重宝します。 さて、デッキから《恐怖を喰うもの、ヴァルガヴォス》を出すには《影の儀式の司祭》がありますが、リアニメイトする際は一度墓地に落とさなければなりません。 《恐怖を喰うもの、ヴァルガヴォス》を墓地に落とす手段として、手札からは《ヴェールのリリアナ》や《苦々しい勝利》があります。いずれも除去を兼ねたディスカード手段で、リアニメイトとの相性は良好です。   良く考えられているのが《ベイルマークの大主》の採用です。 ライブラリーから直接《恐怖を喰うもの、ヴァルガヴォス》を落とせるだけでなく、リアニメイト手段である《ヴァルガヴォスの崇拝者》《忘却の虚僧》を墓地から拾うことができるのです。1枚でファッティを落としながら釣り竿を拾える。実質《納墓》+《再活性》なのです。 《恐怖を喰うもの、ヴァルガヴォス》で気持ちよくなりたい方はぜひこのデッキをお試しください!!     シミック緑甲羅 パイオニアリーグ : 5-0 By  laa11 MTGアリーナ用インポートデータ たびたびパイオニアで話題となる《肥えた緑甲羅》。 パワーよりタフネスの方が高いクリーチャーが戦場に出るたびにライブラリートップを見て、それが土地ならタップ状態で置き、それ以外なら手札に加えるという、シンプルにアドバンテージが取れるカード。《有翼の叡智、ナドゥ》のように土地がアンタップインだったらもっと使われているかもしれませんね。 このシミック緑甲羅は《肥えた緑甲羅》の能力を使い倒すことに特化したデッキ。   入っているクリーチャーのすべてがパワーよりタフネスの方が大きいのです。   《樹上の草食獣》《腹黒茸》は手札から土地を置ける能力。《肥えた緑甲羅》を早いターンに出せる便利なカードです。《腹黒茸》はドローもついていますね。 《金のガチョウ》に《断崖の見張り》まで入っているため、《肥えた緑甲羅》を4ターン目には出すことができるでしょう。とにかく早く《肥えた緑甲羅》を出して、能力を使い始めるのがこのデッキでは最重要です。《肥えた緑甲羅》が土地をめくっていき、次のターンにそれらの土地を使って更なる大量展開というのが勝ちパターンですからね。 少し見慣れないカードである《夢露の幻惑者》は、相手クリーチャーに麻痺を乗せる疑似的な除去としての使い道もあれば、自分のクリーチャーに麻痺を乗せて2ドローもできるので、場の状況や相手によって様々な使い方ができます。自身にも乗せられるため、2ドロー自体は難しくありません。 そして《玻璃池のミミック》。こちらは《肥えた緑甲羅》をコピーするのが主な役割です。《肥えた緑甲羅》が2枚になれば誘発も倍なので、あっという間に土地が増えて全体に修正が入って殴り勝てます。《肥えた緑甲羅》が1回戦場に出たらすぐに《玻璃池のミミック》でコピーしたいですね。 そんな《肥えた緑甲羅》をデッキ外から支えるのが《空を放浪するもの、ヨーリオン》!《肥えた緑甲羅》の誘発条件は、「タフネスがパワーよりも大きいクリーチャーがあなたのコントロール下で戦場に出るたび」なので、《空を放浪するもの、ヨーリオン》自身で誘発するのはもちろん、《空を放浪するもの、ヨーリオン》によって追放したクリーチャーたちでもそれぞれ誘発します。つまり3体のクリーチャーがいたら、《空を放浪するもの、ヨーリオン》+3体の4回、《肥えた緑甲羅》が誘発するのです。 このデッキの《空を放浪するもの、ヨーリオン》は超ハイバリューです。   更に最近はアゾリウス全知やアゾリウスコントロールなど、青系のデッキで活躍している《マラング川の執政》。こちらもタフネスの方が高く、《肥えた緑甲羅》が誘発します。 しかも戦場に出た時にパーマネントを戻す能力は自分のクリーチャーにも使えるので、《肥えた緑甲羅》誘発のためにクリーチャーを戻せます。《空を放浪するもの、ヨーリオン》を戻して《マラング川の執政》をブリンクさせて再利用……なんて使い方もでき、このデッキはとにかく《肥えた緑甲羅》をずっと誘発させ続けることに特化しています! その動きはさながらナドゥ!パイオニアで使える《有翼の叡智、ナドゥ》こと《肥えた緑甲羅》、味わってみませんか?   ダイスファクトリー モダンリーグ : 5-0 By  Zoza 知る人ぞ知るデッキ、ダイスファクトリーが最近密かにモダンで勝ち始めています。   ダイスファクトリーは無色のみで構成されたデッキ。キーカードである《地核搾り》を使って大量のマナを出して戦う、トロンに似た性質を持っています。実際に以前までのダイスファクトリーには《ウルザの塔》などが採用されていました。 どうやってマナを出すのか。それは《地核搾り》の能力を読めばわかります。タップすることでアーティファクトの上に蓄積カウンターを置く能力を使うのです。   蓄積カウンターを乗せることでどうマナが増えるのか?《霊体のヤギ角》と《永遠溢れの杯》がその答えです。これらのアーティファクトは、戦場に出るに際し支払ったX分の蓄積カウンターが置かれて、タップすることで蓄積カウンター分のマナが出ます。 普通に使えば《霊体のヤギ角》は3マナ払って設置して1マナを出し、《永遠溢れの杯》は2マナで1マナ。それぞれ少し弱いマナファクト相当のカードなのですが、《地核搾り》で蓄積カウンターを置けるので、マナの総量を増やせるのです。 《うねりの結節》も《地核搾り》と同じく蓄積カウンターを置くカードで、この2種類で《霊体のヤギ角》《永遠溢れの杯》を超マナアーティファクトにして戦うのがダイスファクトリーの基本戦術となります。 特に《地核搾り》は起動して1個、自身を生け贄に2個と、即座に3個の蓄積カウンターを溜められるので、トロンに近い速度でマナを増やしていくことができます。   以前はトロンランドが採用されていたスロットには《エルドラージの寺院》《ウギンの迷宮》の、エルドラージでもお馴染みの無色土地たちが採用されています。《エルドラージの寺院》を2マナランドとして使うために採用しているエルドラージは、定番の《運命を貪るもの》と、そして《まばゆい肉掻き》です。 無色の呪文を唱えるたびに落とし子を生み出す《まばゆい肉掻き》はこのデッキにはぴったり。《霊体のヤギ角》も《永遠溢れの杯》も蓄積カウンターさえいらなければ0マナで唱えられるので、2ターン目に《まばゆい肉掻き》を出してそのまま2体ほどトークンを作り、次のターンのアクションに備えるなんてことも可能です。   《ミシュラのガラクタ》《オパールのモックス》《永遠溢れの杯》《霊体のヤギ角》と大量に0マナアーティファクトを採用しているので、《まばゆい肉掻き》がとにかく強いデッキなのです。 そして0マナアーティファクトはフィニッシャーである《嵐の目、ウギン》とも嚙み合います。戦場に出たターンに0マナを並べて相手を更地にしつつ、《嵐の目、ウギン》の奥義を目指すのはわかりやすい勝ち手段です。 《嵐の目、ウギン》の加入はこのデッキにとって非常に大きいでしょう。《ウギンの迷宮》を採用するためには7マナ以上の無色のカードが2種必要になりますが、《運命を貪るもの》以外で7マナ以上の無色のカードはあまり選択肢がないのが実情です。《嵐の目、ウギン》は《ウギンの迷宮》で追放できる中で最高のフィニッシャーであり、ダイスファクトリー活躍のキーとなっています。 以前までのダイスファクトリーは大量のマナを使う手段が限られていましたが、このリストは《大いなる創造者、カーン》《嵐の目、ウギン》《コジレックの命令》と大量にあり、《まばゆい肉掻き》《神秘の炉》でライブラリーの上からカードをプレイしていくだけで勝てるイージーウィンも存在します。 ついにダイスファクトリーがモダンのトーナメントを脅かす日がきたのかもしれません!エルドラージがお好きな方はぜひ一度このダイスファクトリーもお試しください。

【週刊メタゲーム通信】メインからメタカードを採用した赤単が優勝!そして新たな赤アグロキラーが登場

週刊 Standard ピックアップ

2025.05.22

mtg Yuyan

こんにちは。   細川 侑也(@yuyan_mtg)です。   今回は、参加者929名のアメリカの地域CSから、最新スタンダード環境を分析!   アメリカ地域CS 優勝:赤単アグロ2位:アゾリウスコントロール3位:イゼット果敢4位:オルゾフピクシー5位:オルゾフデーモン6位:赤単アグロ7位:イゼット果敢8位:イゼット果敢   アメリカの地域CSはイゼット果敢の使用率が40%にも上り、トップ8には3位が入賞。   使用率1位でトップ8に最多と、今回もやはり最強であることを証明しました。 【MTGアリーナ用インポートデータ】   今回トップ4に入賞したリストはなんと《僧院の速槍》0枚!このカードがイゼット果敢から抜けることになるとは思わなかったので、非常に衝撃を受けました。 今ではすっかり定番となった《ドレイクの孵卵者》は主にミラーマッチで輝く1枚。1/3というサイズが《噴出の稲妻》で焼かれないため場持ちがよく、警戒で攻守に渡って活躍。 更に《巨怪の怒り》でパワーが瞬間的に5になるので、プラス1回果敢を誘発させると6点が入り、一気にドレイクを2体生成できます。ドレイクは《精鋭射手団の目立ちたがり》のブロックにも役立ち、《ドレイクの孵卵者》をメインに入れてミラーを意識するリストが最近では増えてきました。 その《ドレイクの孵卵者》を入れるためにこれまで抜けていたのは《精鋭射手団の目立ちたがり》でした。ミラーマッチでは《噴出の稲妻》に焼かれてしまうことから、このスロットが《ドレイクの孵卵者》になっているリストが多かったのですが、《精鋭射手団の目立ちたがり》が抜けることでアゾリウス全知やドメインなどに対する勝率が落ちてしまいます。 その結果、《ドレイクの孵卵者》と《精鋭射手団の目立ちたがり》をどちらも少しずつ採用するのが一般的だったのですが、最初に言ったように、このリストは《僧院の速槍》が抜けています。 《僧院の速槍》は確かに1マナ域としては優秀ですが、《精鋭射手団の目立ちたがり》のように生き残った時に高い打点を叩き出すカードでもなければ、《ドレイクの孵卵者》ほどミラーマッチで攻守に渡って活躍しません。 どのマッチでも最低限の活躍をするカードではあるものの、特定のマッチアップで必ず引きたいというほどでもない。そんな評価を《僧院の速槍》に下し、デッキからすべて抜いてしまったのでしょう。   スペルも独特なカード選択が光ります。《噴出の稲妻》を1枚におさえて《塔の点火》を3枚採用し、赤単や同型を意識しています。 赤単の《心火の英雄》や、ミラーマッチは協約することで《ドレイクの孵卵者》を対処できることから、赤いアグロには《塔の点火》の方が《噴出の稲妻》より強力です。《コーリ鋼の短刀》からもトークンが出るので、イゼット果敢は赤単に比べて協約を達成しやすいデッキでもあります。 《洪水の大口へ》は2枚から3枚が定番でしたが、このリストは4枚採用となりました! イゼット果敢対策として採用されている《一時的封鎖》に対応するために最近では多めに採用されているバウンスですが、ミラーマッチで《ドレイクの孵卵者》を戻す手段としても重宝するので、腐るマッチがほとんどない状態。4枚採用も納得ですね。 クリーチャーとスペルの両方に工夫が凝らされたイゼット果敢が見事にトップ4入賞を果たしました! 【MTGアリーナ用インポートデータ】   イゼット果敢が相変わらず人気の中、優勝を収めたのは赤単アグロでした。 イゼット果敢に比べてサイドボード後にメタられやすかったり、《全知》などに対して耐性が低いなどの欠点はあるものの、それでも長らくアグロ界の王者として君臨していた赤単。 パイオニアでもお馴染みの《心火の英雄》《熾火心の挑戦者》《多様な鼠》のハツカネズミコンビたちは、決して《コーリ鋼の短刀》に引けを取っていません。 そんな赤単ですが、今回優勝したリストはなんとメインに《魔道士封じのトカゲ》を3枚採用!非常に思い切った採用となりました。 《魔道士封じのトカゲ》によって苦しめられるデッキはもちろんイゼット果敢。《コーリ鋼の短刀》の誘発はもちろん、各種果敢のためのキャントリップ呪文を重ねていくイゼット果敢は、《魔道士封じのトカゲ》でとにかくダメージを負います。 しかもイゼット果敢はタフネス3までなら《塔の点火》でなんとか対処できますが、4は完全に射程圏外。5マナで《噴出の稲妻》をキッカーするか、もしくは火力を2枚使うしかありません。しかも2枚の火力を使った時点で3点を受けることは確定しているので、ライフレースとアドバンテージ、両方で一気に不利になります。 これまでの赤単とイゼット果敢の戦いは熾烈なダメージレースでした。《コーリ鋼の短刀》を絡めてイゼット果敢が勝利したり、後手番では除去から《食糧補充》だったりと、イゼット果敢側に僅かではありますが分があったのですが、《魔道士封じのトカゲ》をメイン投入されたとなると、揺蕩っていた相性差は一気に赤単側に傾くことになります。 もちろん《魔道士封じのトカゲ》はイゼット果敢以外のすべてのマッチで強くありません。《全知》に一見強いカードですが、実際は大量のバウンスや《一時的封鎖》で対処されてしまうので、おそらくサイドアウトするでしょう。 それでもイゼット果敢が4割のフィールドなら、役に立ったことの方が多いでしょう。《魔道士封じのトカゲ》が役に立たないマッチでは、《心火の英雄》《熾火心の挑戦者》《多様な鼠》のラインで勝ててしまうこともあるでしょうし、マリガンした際にはボトムに送れば良いのです。リスト公開で強い構成と言えるかもしれません。 見事な《魔道士封じのトカゲ》メイン構成の赤単がアメリカの地域CSを制したのでした。 【MTGアリーナ用インポートデータ】   そんな赤単に決勝こそ敗れはしたものの、赤アグロの海を見事に泳ぎ切り、準優勝を収めたのがアゾリウスコントロール。   ドローと除去と打ち消し。誰もがその名前から想像する古典的なコントロールデッキですが、今のアゾリウスはそのどれもが一流です。   まずは青に欠かせないドロー。《食糧補充》は説明不要の、スタンダード最強のドロースペル。《時を越えた探索》とまで言われており、3マナで5枚から好きな2枚を取れる、シンプルかつ最強のドローです。除去や土地など、その時に欲しいカード2種類が揃います。 そして《マラング川の執政》。呪文として唱えた際はインスタントの3枚ドローとまずまずですが、クリーチャーとして出した場合がとにかく強い。戦場に出た時に2体をバウンスしながら6/7が立つので、一気に盤面をひっくり返せます。フィニッシャーとして十分な風格があり、ドロースペルとしても申し分ありません。今の青いコントロールを支える1枚ですね。 全体除去は《審判の日》に《別行動》。《別行動》が3枚と多めに採用されており、《一時的封鎖》と合わせて3マナの全体除去が5枚となっています。メインから2枚採用の《領事の権限》とはコンボで、出したターンのクリーチャーと攻撃クリーチャーが全部タップ状態になるので、まとめて対処できて便利です。 《コーリ鋼の短刀》で出たトークンもタップ状態なので、速攻で殴られる心配がなくなります。   打ち消しも強化版《マナ漏出》の《喝破》に、ドローもできる《三歩先》、そして《否認》とパイオニアクラスのラインナップ。ただし環境が速いことも考慮して、枚数はそれぞれ2枚となっています。 アゾリウスコントロールは赤アグロに対してだけでなく、赤アグロをメタったデッキに強いのも特徴です。除去ばかり入れた大ぶりなコントロールはアドバンテージを取られ続け、長期戦の末、《完成化した精神、ジェイス》に敗れることになりますし、コンボデッキは打ち消し呪文の餌食となります。 打ち消しと除去で理論上どんな相手にも強いのがアゾリウスコントロールですが、現環境でもそれがしっかり証明される形となりました。   今大会でもイゼット果敢を7回、赤単アグロを1回倒しており、圧倒的な赤アグロキラーと言えるでしょう。 《強迫》と《不浄な別室》擁する黒系ミッドレンジに対してのみ、予選ラウンドでは1敗1分となっていますが、決して相性が悪いというわけではないと思われます。手札破壊以上のドロースペルが入っていますし、相手もメイン戦では《不浄な別室》以外でアドバンテージを取る手段がなく、大量の除去を腐らせることになるはずです。 現れては消えていたアゾリウスコントロールですが、今後はメタゲーム上に残ることになるでしょう。意識しなければならない強敵が、またスタンダードに現れました。

【デッキガイド】満潮になった島が生み出すチェインコンボ!ハイタイド解説

Pauper ピックアップ

2025.05.19

mtg Yuyan

こんにちは。   細川 侑也(@yuyan_mtg)です。 先週末はパウパー神挑戦者決定戦に参加していました!   結果はトップ4で負け。あれ…デジャヴかな?   というわけで今回はパウパー神挑戦者決定戦で使用したハイタイドのお話になります。   目次 ハイタイドとは デッキリストと一部解説 ハイタイドの基本 プレイガイド マリガンについて サイドボーディングガイド 終わりに ハイタイドとは このターンの間だけ、《島》から青マナが追加で出るというインスタント《満潮》。これを使い、爆発的なマナを生み出すコンボデッキです。 古くは《満潮》を打って《転換》や《時のらせん》で土地を起こして最終的に《天才のひらめき》を相手に打ち込むハイタイドモマから、《パリンクロン》との2枚コンボなど、下フォーマットでとにかく活躍していたカードでしたが、パウパーではこれまで見ることはありませんでした。 そう、《満潮》はパウパーでずっと禁止されていたカードだったからです。   ロータスコンボ愛好家の僕は、土地を何度もアンタップして大量のマナを出す《満潮》ももちろん大好物。しかし、これまで使った経験はありませんでした。ハイタイドモマなどをマジックの先輩やwikiで見て、羨ましがることしかできなかったのです。 そんな《満潮》を使える機会とあって、久しぶりにパウパー神に出ることに決めたのです。   とりあえず勝っているリストを適当にコピーしてマジックオンラインで遊んでいる内に、ちょっとずつデッキの解像度が上がり、このデッキが僕にぴったりのチェインコンボだということをすぐに理解しました。   《満潮》を打って、マナを少しずつ伸ばしながらドローを重ねていき、コンボパーツを揃えて無限マナを出して勝利する。僕の好きな要素である、決まった瞬間に勝ちが確定するわけではないチェインコンボそのものだったのです。   ハイタイドの基本  さて、このデッキはどうやって動くのか。基本的な動きから解説していきましょう。 1.前提知識 まずハイタイドがコンボをスタートさせるために必須なのは2つ。《満潮》と《精神のくぐつ》です。 《満潮》は冒頭でもお話したように、《島》から追加の青マナが出るインスタント。複数枚打つとその分だけ青マナが追加で出るので、《満潮》を3回打てば《島》1つから青が4つ出ます。《ウルザの塔》も真っ青です。 一方、《精神のくぐつ》は土地をアンタップするインスタント。通常キャストでは2マナで1枚しか起こせない《ぐるぐる》の下位互換なのですが、連繋がついており、その際は1マナになります。 秘儀呪文を打つ際に手札から《精神のくぐつ》を見せて1マナ払うだけで《島》を起こせるので、何度も再利用できる《ぐるぐる》というわけです。つまり《ぐるぐる》の上位互換!手の平ぐるぐるになりました。 《満潮》で《島》から出るマナを増やし、《島》を繰り返し《精神のくぐつ》で起こす。これによってドロー呪文を打ち続けて、マナと手札を増やしていくのがハイタイドというデッキです。   まずコンボを開始するには、《満潮》2枚と《精神のくぐつ》が必要となります。理由は後述します。   2.コンボパーツを集める 各種ドロースペルでコンボパーツを集めていくことになるのですが、その際に便利なのが《商人の巻物》。 青いインスタントしかサーチできない、少し不器用なサーチ呪文なのですが、このデッキのキーとなる《満潮》《精神のくぐつ》がいずれも青のインスタント呪文なので、なんとサーチできるのです。このデッキでは《商人の巻物》は《悪魔の教示者》となります。 《商人の巻物》はもちろん、様々なドロースペルを駆使して《満潮》2枚と《精神のくぐつ》をかき集めていきます。《深遠の覗き見》などの秘儀呪文も温存することなく使用して構わないですが、気を付けてほしいのは《留まらぬ発想》です。 このカードだけは使ってはいけません。3ドローと魅力的に見えますが、ターン終了時に3枚捨てるデメリットが重すぎます。   土地が3枚余っていたとしても《渦まく知識》で戻せますし、基本的にディスカードする余裕はハイタイドにはありません。《留まらぬ発想》以外のドローでパーツを集めていきましょう。   3.コンボ始動 《島》4枚、《満潮》2枚、《精神のくぐつ》、そして秘儀呪文が揃ったらコンボが始められます。 1枚目の《満潮》を打ち、2枚目の《満潮》を打つと、この時点で浮きマナは青のみ。そして2つの《島》から青が3つずつ出るので計7マナ。この7マナから勝利していくことになります。   この時点で《留まらぬ発想》と《深遠の覗き見》は《精神のくぐつ》連繋で実質0マナ、《霧中の到達》を打つと青が1マナ増える状態になっています。 ドローを繋げていき、《満潮》か《精神のくぐつ》が増えれば、これらの秘儀呪文を唱えるたびにどんどんマナが増えていくことになります。これを繰り返し、自分のライブラリーを引ききるか、30マナほど生み出すのが目標です。 まずコンボを開始して引き込みたいのは追加の《精神のくぐつ》か《満潮》です。マナを増やすには秘儀呪文も必要ですが、マナを増やす手段を優先した方がコンボ成立率が高まります。《ロリアンの発見》のような重いドローも運用できるようになりますからね。 3枚の土地からでもコンボは始められますが、その際は4マナしか残りません。4マナは《留まらぬ発想》+《精神のくぐつ》で3マナ使うことを考えると、1マナしか余らないので、《パズルの欠片》などを途中で引いた時に、キャストできません。《満潮》2枚、《精神のくぐつ》1枚だと土地3枚からコンボを決めるのにはリスクがあります。   《満潮》3枚、《精神のくぐつ》1枚の場合は変わります。一見すると浮くのは4マナ出る《島》1枚のみなので、状況は変わっていないように思えますが、《島》から出るマナが1つ多いので、《留まらぬ発想》《深遠の覗き見》+《精神のくぐつ》で3マナ使い、《島》が起きて、1マナずつ増えていきます。 《精神のくぐつ》を連繋するごとに1マナ増えていくので、秘儀呪文を打つたびに各種ドロースペルを打つ余裕が生まれてきます。《満潮》3、《精神のくぐつ》1なら3キルを狙えます。もちろん《満潮》2、《精神のくぐつ》2でも3キル圏内です。   とはいえ、大体の状況では4ターンキルを狙っていくので、《島》4枚からスタートしたいです。   4.勝ち手段 《満潮》《精神のくぐつ》を集めきってマナと手札がモリモリになってきたら、いよいよ勝ちにいきます。このデッキのフィニッシャーとなるのが《思考の流れ》です。 プレイヤー1人が4枚切削し、その後自分の墓地からカードを4枚デッキに戻せる1マナのソーサリー。複製付きです。   お察しの言い方は既に答えが分かったと思いますが、最終的にはこの《思考の流れ》を相手に打って、複製をたくさんしてライブラリーアウトに追い込みます。   しかし、基本的に最初は《思考の流れ》を自分に打ち続けることになります。手札に《深遠の覗き見》か《ロリアンの発見》か《留まらぬ発想》を保持した状態で自分のライブラリーを《思考の流れ》で0枚にすることが、実質勝利条件となっています。 手順を説明しましょう。まず《思考の流れ》でライブラリーを0枚にします。そして墓地から《思考の流れ》《深遠の覗き見》《深遠の覗き見》《留まらぬ発想》を選んでデッキに戻します。 手札から《深遠の覗き見》(《ロリアンの発見》《留まらぬ発想》でもOK)をキャスト。以下の流れは《深遠の覗き見》のパターンです。3ドローを使った場合でも全く変わらないので安心してください。 4枚の中から《留まらぬ発想》を選んでそのままキャスト。ライブラリーを全部引ききる。今引いた《思考の流れ》をもう1度打ち、先ほどと同じパイルをもう1度組みます。 《留まらぬ発想》と《深遠の覗き見》を打つたびに《精神のくぐつ》で2マナが増えるはずなので無限マナが発生します。最終的に相手に《思考の流れ》を打ち、ライブラリーを0枚にして、《綿密な分析》で引かせて勝ちです。 《溶岩の投げ矢》が入っているデッキにはライブラリーアウトだと負けてしまう可能性があるので、その際は《思考の流れ》を相手に打たず、《綿密な分析》を打ち続けて相手にデッキを全部引かせるライブラリーアウトパターンもあります。 手順としては、先ほどのパイルとほとんど変わりません。   無限マナを作った時点で好きなカードを手札に加えられているはずなので、《留まらぬ発想》を手札に加えておき、《思考の流れ》で《思考の流れ》《綿密な分析》《留まらぬ発想》の3枚を積み、手札の《留まらぬ発想》でこれらすべてを引き、《綿密な分析》を相手に打ち、《思考の流れ》でまた同じパイルを作ればOKです。(この《綿密な分析》の部分を他のカードにすれば、そのカードが手札に入るので、サイド後に《青霊破》を4枚手札に加えたい時などはこのパイルを作って《青霊破》を4枚集めてください) この際注意が必要なのが、相手にライブラリーのカードをすべて引かせてしまう関係上、インスタントタイミングによる妨害です。そこでメインに入っている《万の眠り》が活躍します。 無限マナを決めた後に《万の眠り》で相手の土地をすべて寝かせれば、《綿密な分析》による無限ドローで動かれる心配がなくなります。相手に引かせて勝つ場合は必ずやってください。   デッキリストと一部解説 パウパー神で実際に使用したリストはこちら。元々ハイタイドには固定パーツが多すぎるので、部分的に解説します。 Hareruya Prosの平山くんが最終的に送ってくれたリストからサイドボードを1枚だけ変えました。ちなみに平山くんに言われるまで《綿密な分析》で相手を倒せることを知りませんでした。いつもお世話になっております。 《思案》と《渦まく知識》 レガシーでも最強のドローとして活躍している《渦まく知識》。パウパーのハイタイドでも一般的なリストでは《渦まく知識》が4枚採用されていますが、フェッチランドのないパウパーにおいては《渦まく知識》は《思案》より弱い場合があります。シャッフル手段が《ロリアンの発見》以外に《商人の巻物》しか入っていませんからね。 特にハイタイドは《島》15+《ロリアンの発見》4の19枚しか土地が入っていないので、土地1キープがよく起きます。土地1で《渦まく知識》でキープするよりは《思案》の方が良いですからね。 僕個人としては、《島》が溜まる展開が負けパターンの1つで、そういった展開で《渦まく知識》が強いので、《渦まく知識》4枚を推奨していましたが、一長一短なのも事実。スプリットするという平山くんの構築が一番良いと思いました。   《洞察力の花弁》不採用 《洞察力の花弁》があると無限マナが簡単に発生します。   《満潮》を3回打った状態で《洞察力の花弁》に《精神のくぐつ》を2枚連繋すると、7マナ使って《精神のくぐつ》2枚で《島》が2つアンタップします。《満潮》3発により《島》から4マナが出るので1マナ増えます。《洞察力の花弁》は3ドローを選ばなければ手札に戻るので無限マナになり、3枚見て下に送る行為を無限に繰り返せるので、フィニッシャーの《思考の流れ》を引き込んでそのまま勝利できます。 揃った瞬間に即コンボが決まるので、ライブラリーを全部掘り進める必要がなく、かなり好みだったのですが、これも平山くんは不要と断定。そして正しかったです。   そもそも《洞察力の花弁》の無限条件の《満潮》3枚《精神のくぐつ》2枚ですが、ここまで揃えばまずコンボが止まることはほとんどありません。 更に僕は、《洞察力の花弁》を使わない際はライブラリーをすべて掘りきる必要があると思っていましたが、それは実際には違いました。大量のマナを出して《思考の流れ》を複製しまくることで自分のライブラリーを0枚にできるので、実際には20~30マナを溜めて《思考の流れ》を自分に打てば勝利だったのです。 このカードを不採用にしたのはさすがだと思いました。必要な場面は1回もありませんでした。   《見えざる糸》 コンボ中に秘儀カードを引かないとマナがどんどん減っていってしまうのですが(後述)、そういった場合もまあまああります。《定業》や《パズルの欠片》などを連打する展開ですね。 秘儀から連繋していくには3~4マナ必要となりますが、ドローの連打で2マナしかなくなる場合もあります。そういった時に《見えざる糸》が1枚あると便利です。   ただし、複数枚採用したいとは思いませんでした。所詮使い切りのマナ加速で、ハイタイドはとにかくドローを途切れさせるわけにはいきません。マナは基本回復していく前提なので、マナを増やすカードを必要以上に入れたくはありませんでした。   0枚か1枚。ここはフリースロットだとは思います。個人的には《精神のくぐつ》をサーチできる《交錯の混乱》でもいいかなと。 《ボーラスの占い師》 赤単相手にドロースペルを打ち続けているだけでは負けてしまうので、ブロッカーになるドロースペルとしてサイドボードに入っています。   元々平山くんはメインに《ボーラスの占い師》を入れているリストを使用していたようで、メインでの感触はさほど良くなかったものの、対アグロの信頼性は買っていたようでした。   僕は《ボーラスの占い師》型を回したことがなかったので使用感はわかりませんが、信じて入れることにしました。実際は場に出したゲームが0回でしたが、脳内では良さそうなので、次にパウパーを遊ぶ機会があれば4枚にしそうです。   プレイガイド ・マナ加速とドロースペル このデッキはドローとマナ、両方が必要になります。 《満潮》2枚、《精神のくぐつ》からコンボを始めるとマナが増えずにただデッキを掘り進めることになるので、言わば自転車操業です。そのため、マナを増やす《満潮》《精神のくぐつ》の追加がマストです。 しかし、マナを増やす手段を優先してしまうと今度はドローが途切れる可能性があります。 マナを増やすことを選んでドローが尽きることがありますし、その逆も然り。そうならないために、しっかり何をいつどのように使うか考える必要があります。   まずマナが欲しい時。要するに《満潮》《精神のくぐつ》が欲しい場合は、最優先で打つべきカードは《商人の巻物》です。大体の場合で《満潮》《精神のくぐつ》が欲しいので、コンボ中にどこかで手札に来たらまず打つカードということになります。 テキストに書いてある通りなのですが、《商人の巻物》は青のインスタントしか持ってこれないので、《留まらぬ発想》や《ロリアンの発見》のように、カードを複数枚ドローすることはできません。《深遠の覗き見》をサーチできますが、これも手札が増えないので、ドローカードとしては弱めです。 一方で《満潮》《精神のくぐつ》を確実にサーチできる唯一無二のカードです。マナを増やすカードは速いうちに手札に持っておきたいので、《商人の巻物》があって他に秘儀スペルがある場合は、まず《商人の巻物》で《精神のくぐつ》をサーチしましょう。 それなら《深遠の覗き見》も最優先で打つべきかというと、実はそういうわけではありません。5枚見て1枚加えるため、ある程度欲しいカードが手に入るのが《深遠の覗き見》の特徴なので、《満潮》《精神のくぐつ》を手に入れるという目的で打つことはよくあるのですが、このカード自体が秘儀を持っているので、《精神のくぐつ》で連繋する対象になるのです。 複数枚の《精神のくぐつ》を連繋させてマナを増やしたいので、他のドローで《精神のくぐつ》を先に引いた場合を考えて、《深遠の覗き見》は後に打ちたいカードです。   そこで、他のドロースペルがある場合はやはりそちらを優先します。秘儀呪文はなるべく《精神のくぐつ》の後引きを考慮し、ギリギリまで打たないでおきましょう。   ・カードのプレイ順 もう少し詳しくプレイの順番を掘り下げましょう。   《満潮》2枚、《精神のくぐつ》でコンボを始めて、手札に《商人の巻物》がある場合。真っ先にまずは《精神のくぐつ》をサーチすべきだと先ほどは言いましたが、これも時と場合によります。 手札に《定業》《思案》《渦まく知識》など1枚しかドロースペルがない場合は、先に《定業》などから打ちましょう。《商人の巻物》で《精神のくぐつ》をサーチしてもどうせ《定業》には連繋できないのでマナが増えませんからね。 このように秘儀以外のドロースペルを打つ場合は、《商人の巻物》のサーチを後回しにしがちです。ただし、複数枚のドロースペルがある時は《商人の巻物》で《満潮》をサーチします。 なぜなら複数のドロースペルを打つ場合、それを唱えるために新たに《島》を寝かせる可能性があるためです。 基本的には、《精神のくぐつ》の2枚目と《満潮》の3枚目では、《精神のくぐつ》の方がマナが増えます。《精神のくぐつ》の2枚目をサーチすることで起きる《島》の数が1つ増え、《満潮》を打つと1マナ増えるため、前者の方が増えるマナ総量は大きいのです。 しかし、秘儀呪文以外のドロースペルを打つ際には《精神のくぐつ》ではマナは増えません。その点、《満潮》は《島》を寝かせた際にマナが増えるので、秘儀以外のドロースペルが多い時は、《満潮》をサーチしてマナを増やす方向にしましょう。大体《島》は2枚ほど立っているはずなので、少しお得です。 《満潮》で《島》自体から出るマナを増やしておけば、後で《精神のくぐつ》の2枚目を引いた場合にマナの心配から完全に開放されます(《留まらぬ発想》+《精神のくぐつ》2枚で4マナ増える計算になります)。《満潮》の3枚目を先に打っておくのは全く悪いことではありません。   そして大量のマナが生み出せる状態になれば、《ロリアンの発見》も打ち放題になるので、ほとんどのカードがライブラリーを掘り進める手段になります。 最終的には手札に3ドローか《深遠の覗き見》がある状態でライブラリーを《思考の流れ》で0枚にしたら勝ちなので、大量のマナを出せると、20枚ぐらいのライブラリーを一撃で吹っ飛ばしてそのまま勝利できます。マリオカートのショートカットのようなものですね。マナがたくさんあればデッキを引ききる必要すらなくなります。 というわけで、とにかくマナは最優先。ただし、ドロースペルが1枚しかない場合は、マナを増やすかは保留し、ドローから打ち、その結果で判断。これが大体の場合における優先順位です。   ただし、《商人の巻物》《深遠の覗き見》しかない状態は、《商人の巻物》で《精神のくぐつ》を持ってきておき、最初の《深遠の覗き見》からマナを増やしていくことを推奨します。 《深遠の覗き見》で《深遠の覗き見》が見つかれば、キャストしてプラス4マナなので《ロリアンの発見》も打てるようになるかもしれませんからね。どうせ《商人の巻物》はドロースペルとして使った場合は二流ですから、《精神のくぐつ》をサーチしてマナを増やせることが確定しているなら、先に使って問題ないです。 《霧中の到達》はただの1ドローなので全く信用できません。なのでこの場合は先に《霧中の到達》でドローしてから、《深遠の覗き見》を使いましょう。   ・残すマナの量 秘儀呪文を打たないとどんどんマナが減っていきます。どこまでなら秘儀呪文を我慢して他のドロースペルを打って良いのか。難しいところですよね。 基本的には残したいのは4マナです。4マナ余らせておくと良いですね。《留まらぬ発想《深遠の覗き見》+《精神のくぐつ》で3マナ、2枚目の《精神のくぐつ》だと4マナ必要です。 《精神のくぐつ》の追加を引くために基本的にはドローを打つはずなので、残りマナが3マナになってしまうと、せっかく2枚目の《精神のくぐつ》を引いても連繋できません。そのため、4マナを余らせましょう。   ただし《霧中の到達》があれば3マナで2つの《精神のくぐつ》を連繋できるので、3マナまで使ってOKです。手札に《霧中の到達》がある時は動きやすくなります。 ・ドロースペルの順番 ドロースペルを打つ際は、なるべく軽いカードから消化するのがオススメです。 たとえば4マナが余っていて、《パズルの欠片》と《定業》がある場合は、《定業》から打ちます。《定業》で《思案》や《渦まく知識》、《定業》を引けば《パズルの欠片》でめくった枚数以上を見た上で1マナ浮きます。《商人の巻物》が見つかれば、そのままキャストして《満潮》《精神のくぐつ》に繋げられますからね。 3マナしか余っていない場合は、《定業》で土地や《ロリアンの発見》などつながらないカードしか引けない可能性を考慮して、《パズルの欠片》からいくようにしています。 これはあくまで手札に《パズルの欠片》と1マナのドロー(《定業》《渦まく知識》《思案》)しかない場合です。《定業》と《思案》の両方があるなら、当然1マナを連打します。その方が見れる枚数が多いですからね。 軽いカードから基本的には打っていくと覚えましょう。   ・《思考の流れ》を途中で打つ時 フィニッシャーとなる《思考の流れ》ですが、既に説明したように、途中で引いた場合に一気にライブラリーを削れる便利なカードです。   とはいえ、マナが大量に余っている状態ならドローが繋がって結局デッキを全部掘れるので、ショートカットモードにこだわる必要も実はありません。なので途中で引いたからといって手札に温存しなくても構わないです。   よくあるのが、秘儀呪文を途中で使いすぎてしまった場合です。 《満潮》2、《精神のくぐつ》のみの自転車操業で何度も《深遠の覗き見》《留まらぬ発想》を打ち続けていると、デッキから秘儀がなくなっていきます。秘儀呪文を引けないと《精神のくぐつ》が途中で増えてもマナがほとんど増えなくなってしまうので、秘儀が減るのはピンチです。 そこで《思考の流れ》です。薄くなったライブラリーに秘儀呪文が4枚復活するのは大きいので、墓地を見て秘儀が何枚デッキに残っているかを把握し、必要ならデッキに戻していきましょう。 《パズルの欠片》《ロリアンの発見》などを打つ前に《思考の流れ》で秘儀を戻しておくことをオススメします。   ・マナ計算まとめ  《満潮》2枚、《精神のくぐつ》1枚の場合は2マナの秘儀呪文で±0。 《満潮》2枚、《精神のくぐつ》2枚の場合は同条件で+2。 《満潮》3枚、《精神のくぐつ》1枚の場合は同条件で+1。 《満潮》3枚、《精神のくぐつ》2枚の場合は同条件で+4。 基本は《満潮》2枚、《精神のくぐつ》2枚を目指し、次に《満潮》か《精神のくぐつ》3枚を目指しましょう。(《精神のくぐつ》3枚でも+4マナなので実は変わりません)   ちなみに《精神のくぐつ》は秘儀呪文なので《精神のくぐつ》に連繋できるのも一応覚えておきましょう。秘儀呪文がなくなってドロースペルが余っている場合にたまにやります。   マリガンについて このデッキのマリガンは実は簡単です!   ハイタイドはコンボ始動に《満潮》2枚、《精神のくぐつ》を必要とし、その上土地も3~4枚、ドロースペルも必須です。そのため、キーカードを求めてマリガンしている余裕なんてありません。 つまり、ほとんどの初手をキープすることになります。土地がなくてまともにカードが使えない初手以外はほとんどキープします。初動が《パズルの欠片》だろうと気にせずキープします。 土地1枚の手札は《定業》《思案》《渦まく知識》がなければマリガンしたくなります。《霧中の到達》ではちょっとキープしがたいですね。《渦まく知識》の場合は少し怖いので、他の手札が弱い場合はマリガンしてしまいますが。《満潮》《精神のくぐつ》《留まらぬ発想》あたりが揃っていると始めたくなりますね。 土地が2枚以上ある初手は大体キープです。土地3は少し多めに感じますが、マリガンしている余裕はありませんし、ハイタイドは4ターン目まではセットランドを続けたいデッキなので、キープしてOKです。このデッキの《島》は大量のマナを生み出すので、土地ストップはコンボ成立を阻害する要素なのです。 というわけで大体の初手をキープしましょう。そして何もできず赤単にサンドバッグにされて泣くのもお約束です。   サイドボーディングガイド VSバーン こちらが先手の時 +3《青霊破》+3《ボーラスの占い師》+2《断絶》   -1《綿密な分析》-1《見えざる糸》-1《万の眠り》-1《ロリアンの発見》-2《渦まく知識》-1《パズルの欠片》-1《霧中の到達》 当然ながらきついですね。当たり前です。こっちは必死にパーツ集めて4ターンキルなのに、相手は普通に4ターンキルしてきますからね。こっちがマグロなのが悪いのですが。   《ケッシグの炎吹き》があると《溶岩の投げ矢》が2点火力になるので、《思考の流れ》で相手のライブラリーを全部削ると負け確になる場合があります。その際は《綿密な分析》による無限ドローで勝ちましょう。 ただし、無限ドローだと《火炎破》のリスクもあります。 サイド後は《綿密な分析》を抜いてしまいますが、代わりに《青霊破》をコンボの最後に構えられるので、ライブラリーを削り切っても大丈夫です。 ちなみにライブラリーを0枚にしてターンを返して《青霊破》を構える際は、一度エンドすることになるので、《留まらぬ発想》のディスカードが発生します。ループを《留まらぬ発想》で組んでいると手札が0枚になって《青霊破》を構えられなくなってしまうので、無限マナ後に《ロリアンの発見》を組み込み、《留まらぬ発想》のディスカードの数以上の手札を用意するようにしておきましょう。 《青霊破》を3枚しか入れていないのは、ハイタイドというデッキの特性です。コンボに関係のないカードばかり入れると、コンボが止まる原因にもなりますし、そもそもコンボを始められません。   《断絶》はコンボ中に実質《見えざる糸》としても機能するバウンスですし、《ボーラスの占い師》は壁になりつつ、カードを供給してくれます。 もし次に使うなら《青霊破》を減らすと思います。   VS青単テラー +2《万の眠り》+2《払拭》   -1《思案》-1《見えざる糸》-1《思考の流れ》-1《渦まく知識》 超不利です。勝てるわけないです。早いクロックと打ち消し。パウパーでこんな強いデッキが許されて良いのでしょうか? 《万の眠り》で全部寝かせてコンボといきたいところですが、現実的には1~2枚の《島》をカウンターで防がれて、その立っているマナでカウンターを構えられて負けます。 そのため、《万の眠り》をコンボターンに合わせるだけではなく、事前に使っていってカウンターをある程度引き出させていくことをオススメします。   たとえば《パズルの欠片》を打ちたいと思った時に、相手のエンドに《万の眠り》を打ち、1マナだけ残してきたところに《パズルの欠片》を通すといった感じです。1マナなら《被覆》以外で打ち消されませんからね。《対抗呪文》を上回る濃厚な手札を確保する必要があるので、《パズルの欠片》は重要です。 相手が《トレイリアの恐怖》のために積極的に自分のライブラリーを削ってくることから、《思考の流れ》の複製は少なめで相手のライブラリーを削りきれます。無限ループの必要はないので、1枚サイドアウトしています。 しかし、1枚しかデッキに残っていないので、《パズルの欠片》で落ちた場合は必ず拾わなければなりません。   VS親和 +1《綿密な分析》+2《払拭》 -1《見えざる糸》-2《渦まく知識》 大量の《紅蓮破》が入ってくるのと、ドロー関連の多くがインスタントなので《払拭》はサイドインします。 リソース勝負になりがちなので《綿密な分析》を追加します。相手が結構遅いのでそれなりに有利だとは思っています。   VSブラッドバーン +4《青霊破》 -1《見えざる糸》-1《万の眠り》-1《思案》-1《霧中の到達》 赤単と違い地上クリーチャーが《ヴォルダーレンの美食家》しかいないのでブロッカーとしての役割が薄い《ボーラスの占い師》はサイドインしません。 ライブラリーアウトで《青霊破》を構えてターンを返すとアップキープに血を生け贄にしてマッドネスで《血管の施し》を捨てられて負けるので、自分のターン中に勝たなければならないため、《綿密な分析》が必要です。 《青霊破》自体は《信仰無き物あさり》《目標の強奪》《街道筋の強奪》に当たるので強いです。   VSエルフ +3《断絶》 -1《万の眠り》-1《綿密な分析》-1《見えざる糸》 基本的には墓地対策以外の妨害をしてこないので有利ですが、普通に4ターンキルしてくるので悠長に構えている余裕はありません。   特に《森林守りのエルフ》を絡めた打点がカギになるので、《断絶》でしっかり妨害しておきたいです。 《断絶》はバウンスつきの《見えざる糸》なので、コンボ中でもそれ以外でも便利ですが、《巨森の蔦》を喰らうと土地が起きないので注意が必要です。   VSスパイ +3《断絶》 -1《綿密な分析》-1《見えざる糸》-1《思案》 キルターンは少しこちらが早めですが、《催眠の悪鬼》で妨害されたりします。《催眠の悪鬼》で《満潮》を取られるのが負け筋なので、《商人の巻物》で《満潮》をサーチしてターンを返すのは少し考えもの。とはいえ、仕方のない時もありますが。 《欄干のスパイ》からコンボを決めるにはクリーチャーの頭数が必要(《戦慄の復活》のために)なので、《断絶》で妨害できます。《催眠の悪鬼》に打つことも考えればフル投入で問題ないでしょう。   VSボーグル、白単 +3《断絶》 -1《綿密な分析》-1《見えざる糸》-1《万の眠り》 《軍旗の旗手》を出された時のために《断絶》は必須です。   VSグルールランプ +2《万の眠り》 -1《綿密な分析》-1《見えざる糸》 《楽園の拡散》でマナを伸ばしてくるので《万の眠り》をアップキープに打つと結構効きます。土地を並べながら相手のビッグアクションのターンに土地を攻めたり、エンド時に赤マナを全部寝かせて《紅蓮破》をケアしましょう。 赤マナがほとんどないので、たとえば赤が2つしかない場合は、それらの2枚に《万の眠り》の複製もぶつけましょう。こうすれば《紅蓮破》で片方を守られることはなくなります。緑が立っていても何もされないので無視してOKです。   終わりに 今回はハイタイドの紹介でした。   ハイタイドはかなり好きな部類のコンボデッキで、回していく内にどんどん愛着がわいてきました。   《留まらぬ発想》と《ロリアンの発見》を余裕で打てるマナがあり、さすがに100%勝ったかと思いきや、5枚連続土地を引いて、6枚目で《定業》を引き込み、その《定業》からドローが繋がった時に、このデッキを回すために自分が生まれたのだと確信しました。 ヒカルの碁の名シーン「神はこの一局をヒカルに見せるため私に千年の時を長らえさせたのだ。」の時の藤原佐為みたいな感じになりました。伝わる人にだけ伝わってほしいです。   とにかく面白いコンボなので、お好きな方はぜひ回してみてくださいね。   それではまた。

【デッキガイド】ナーセットでデッキが進化!ジェスカイカッター解説

Modern ピックアップ

2025.05.15

mtg Yuyan

こんにちは。   細川 侑也(@yuyan_mtg)です。 こんにちは!   本日は、Xでも要望の声が多かった、モダン神挑戦者決定戦で使用したジェスカイカッターの記事になります。   市川 ユウキ選手がMOCSを準優勝を果たし、今モダンで最もホットなデッキと言っても過言ではありません!   ご本人が執筆されたサイドボーディングガイド付きのnoteがついさっき公開されましたので、ぜひこちらもご覧ください。(記事はこちら)   目次 隆盛からナーセットへ 影のMVP《撤廃》 デッキの微調整 プレイ指南 サイドボーディングガイド 終わりに 隆盛からナーセットへ ジェスカイカッターは、以前にスペシャル予選を突破したジェスカイコーリ隆盛の進化版といった位置づけのデッキです。(記事はこちら) 基本的なコンセプトはあまり変わっておらず、《コーリ鋼の短刀》を2ターン目に誘発させるために0マナのアーティファクトとして《オパールのモックス》《モックス・アンバー》《ミシュラのガラクタ》、そしてそれらと相性の良い《湖に潜む者、エムリー》《知りたがりの学徒、タミヨウ》が入った、ジェスカイカラーのアーティファクト主体のデッキとなっています。 元々はイタリアのプロプレイヤーであるアンドレア・メングッチ選手がアップしていたリストで、特に「《ジェスカイの道師、ナーセット》が強い!」とのことだったので、少し懐疑的ではあったものの、試してみることにしました。 5-0 swiss RCQ Modern, but lost Quarters 😅 with Jeskai Ascendancy. Mox Opal is a good card. I will explore the archetype furthermore in future. #MTGModern pic.twitter.com/ftTjrKJwio — Andrea Mengucci (@Mengu09) May 3, 2025 そして《ジェスカイの道師、ナーセット》の素晴らしさにすぐに気が付きました。 以前まで4枚採用されていた《ジェスカイの隆盛》は《コーリ鋼の短刀》とくっつけばダメージソースになり、《湖に潜む者、エムリー》と組み合わせて無限コンボになるカード。とはいえ、どちらも引いていない状態ではルーター程度の役割しかありません。 そのルーターも、《コーリ鋼の短刀》で毎ターンカードを使っていくことから、手札がどんどん減っていってしまうため、際限なく行えるわけでもありません。 一方、《ジェスカイの道師、ナーセット》は出したターンにカードを3~4枚引きつつ、次のターンからも継続してリソースを供給し続けるとんでもないカードでした。   手札が減りやすいが、カード自体は非常に軽いというデッキの構造に合致しており、《ジェスカイの隆盛》より強い場面がとても多かったのです。   ここで多くの方がこんな疑問を抱くはずです。   ずばり「《ジェスカイの隆盛》じゃないと間に合わないコンボ相手もいるのではないか?」です。 もちろん《ジェスカイの隆盛》による速度勝負が必要なマッチは存在しますが、そういった相手に対しても《ジェスカイの道師、ナーセット》は強力です。早いターンに《ジェスカイの道師、ナーセット》でカードを引き続け、《コーリ鋼の短刀》で押し切ったり、サイド後はサイドカードを連打して勝利できるのです。 そもそも《ジェスカイの隆盛》の早期着地で勝てるパターンは《湖に潜む者、エムリー》がほぼ必須で、その2枚が揃って初めてコンボデッキ相手に《ジェスカイの隆盛》は機能します。一方、《ジェスカイの道師、ナーセット》は軽いすべてのカードとくっつきが良いので、デッキの動きが安定するのです。   ほぼすべての場面で《ジェスカイの道師、ナーセット》は《ジェスカイの隆盛》を上回るパフォーマンスを見せてくれたので、モダン神挑戦者決定戦はこのデッキで行くことに決めました。   影のMVP《撤廃》 そして《ジェスカイの道師、ナーセット》と一緒に採用されている《撤廃》もいぶし銀…というにはあまりに強すぎるカードで、とても感動しました。 まず《ジェスカイの道師、ナーセット》との相性の良さです。《オパールのモックス》《モックス・アンバー》を戻して《撤廃》でカードを引き、またモックスを唱え直すだけで、呪文カウントを稼げる上に、追加のドローで更にアクションを起こせます。そのため、モックスと《撤廃》しかない手札からターン終了時に《ジェスカイの道師、ナーセット》でお手軽に4ドローできてしまうのです。 《コーリ鋼の短刀》との相性の良さにも驚きました。果敢モンクが3体ほどいればモックスを戻して出し直して果敢を稼げますし、《撤廃》1枚で《コーリ鋼の短刀》の誘発条件も満たせます。 と自分のカードたちと相性が良い《撤廃》は、もちろんその本来の使い方であるバウンスによる妨害も非常に優秀です。   相手の《ウルザの物語》トークンや1マナ域、サイズが上がって火力では対処しづらいイゼット果敢のクリーチャー群などなど、《撤廃》で戻したい軽いカードはたくさんありますし、サイド後に置かれる《石のような静寂》《溜め込み屋のアウフ》なども戻せます。 自分のデッキとしっかり噛み合いつつ、サイド後のキラーカードに対する保険にもなる夢のようなカードで、《撤廃》を4枚採用したおかげで、《ジェスカイの道師、ナーセット》をデッキの核として据えることができているのです。 デッキの微調整とサイドボード解説 《ジェスカイの道師、ナーセット》は素晴らしかったものの、回していて好みでない部分がいくつかあったので、調整を行いました。 今回はモダン神挑戦者決定戦の後に調整した最新のリストをご紹介します。 ちなみにサイドボードが1枚余っていたので、ライブラリーアウト対策の《引き裂かれし永劫、エムラクール》を入れていますが、ここはお好みで変えてください。《アノールの焔》あたりが候補です。 ・《金属の叱責》を抜く 《ジェスカイの道師、ナーセット》を使う関係上、能動的なアクションのみで構成したいと考えました。エルドラージを打ち消すための《記憶への放逐》はサイドに必須ですが、少なくともメインボードにはなるべく入れたくなかったのです。   元々《金属の叱責》は嫌いなカードでした。このデッキはアーティファクト・トークンが出るわけではありませんし、0マナのアーティファクトの内7枚はモックスです。モックスは元々マナが出せるカードなので、《金属の叱責》の即席に使うことにさほどうまみはありません。   《コーリ鋼の短刀》はアーティファクトですが2マナのカードですし、《金属の叱責》の良さである「1~2ターン目から1マナで構えられる《マナ漏出》」という良さはこのデッキでは失われています。   そもそも強いカードでなく、更に《ジェスカイの道師、ナーセット》軸にしたことで更にデッキと合わなくなりました。3マナを払われてしまうことも多いですし、不要だと思っています。   ・《ウルザの物語》の4枚目 《ジェスカイの道師、ナーセット》が白赤青と要求値が高いこと、色マナがそもそもきついことなどから3枚に減らされていましたが、僕はこのデッキの《ウルザの物語》は4枚にすべきだと考えています。   まず《ウルザの物語》は単体でゲームプランになります。2ターン目、3ターン目と起動して《真髄の針》をサーチするのは青単ベルチャーに対する勝ち手段です。 色マナについても、第3章で《オパールのモックス》を持ってくれば好きなマナが出るので、実質無色のターンが少しあるだけです。《ジェスカイの道師、ナーセット》はしっかりと《ウルザの物語》から出せるのです。 そして《ウルザの物語》デッキの弱点である《血染めの月》《海の先駆け》がこのデッキにはサイドインしづらいのも、《ウルザの物語》を4枚にしたい理由です。 《オパールのモックス》《モックス・アンバー》であるこのデッキに、《ウルザの物語》のためだけに相手は月系をサイドインしたくないでしょう。そのため、サイド後も《ウルザの物語》を意気揚々と動かすことができるのです。もちろんサイドインされる場合もあるでしょうが、《コーリ鋼の短刀》で殴っている時に《血染めの月》を貼られて、こちらはモックスでノーダメージなんてことも多発します。   これらの理由から、《ウルザの物語》の4枚目は採用したいと考えました。   ・《感電破》 除去が《ポータブル・ホール》4枚とソーサリーに偏っているので、《感電破》を追加で1枚入れることにしました。   以前は《ポータブル・ホール》と《感電破》をスプリットして採用していましたが、《撤廃》を採用する以上は、相性を考慮して《ポータブル・ホール》を優先すべきだと思います。 《ポータブル・ホール》を《撤廃》で再利用する展開は意外と多いのです。たとえば序盤厳しい《敏捷なこそ泥、ラガバン》はブロッカーのある程度並んだ後半はどうでもよく、《撤廃》で回収して今度は《静牢》を追放なんてことがよく起きますからね。   そんなわけで今回は《感電破》が1枚となりました。インスタントが少ないとイゼット果敢などが厳しくなりますが、《撤廃》のおかげでそこまで気になりません。   ・《影槍》 イゼット果敢・ボロスエネルギーに強くなります。   メイン戦では《ウルザの物語》が割られる心配がまずないので、ビートダウン全般に対しては《ウルザの物語》2回起動からの《影槍》はそれだけで勝ち手段になります。 サイドボード後は《ウルザの物語》を割られる展開が多く、上記のプランは安定しません。そのため、採用するなら《影槍》はメインがオススメ。   特にイゼット果敢相手には《ウルザの物語》起動からの《影槍》がメインの勝ち筋です。《ウルザの物語》を4枚採用するなら《影槍》はぜひ入れておきたいですね。   ・《トーモッドの墓所》 これはHareruya Prosの平山くんが「《魂標ランタン》より《トーモッドの墓所》」と言っていて、その通りだと思い、モダン神後にいじりました。   《トーモッドの墓所》の利点はもちろん0マナであることです。このデッキは2ターン目の《コーリ鋼の短刀》、1ターン目の《湖に潜む者、エムリー》と0マナでアーティファクトを置けるバリューが高いデッキです。   もちろん《魂標ランタン》にもメリットがいくつかあります。まず1ドローできる点なのですが、僕はこのデッキを使っていて《魂標ランタン》を1ドローで使用したケースはほとんどありませんでした。 《火の怒りのタイタン、フレージ》を追放するのに便利なのも《魂標ランタン》の利点です。《火の怒りのタイタン、フレージ》は手札から出てきて、こちらのクリーチャーを除去し、墓地に落ちます。そのタイミングで《ウルザの物語》から《魂標ランタン》をサーチして《火の怒りのタイタン、フレージ》を追放し、その後相手の2枚目の《火の怒りのタイタン、フレージ》に睨みを利かせられるのです。 《トーモッドの墓所》は出した時は何もしてくれないので、《火の怒りのタイタン、フレージ》1枚を対処することしかできません。この点は大きく《魂標ランタン》に劣る部分です。   とはいえ、《トーモッドの墓所》で溜まった墓地を追放すれば《火の怒りのタイタン、フレージ》の2枚目の対策にもなりますし、それよりはデッキの動きにより合うカードを採用したいと思いました。   ・《オアリムの詠唱》 コンボデッキとエルドラージの両方に入れられるカードを探した結果、《オアリムの詠唱》に白羽の矢が立ちました。《儀礼的拒否》はエルドラージにしか入れられませんからね。《約束された終末、エムラクール》も阻止できる《オアリムの詠唱》は中々です。   《ジェスカイの道師、ナーセット》や《コーリ鋼の短刀》などでメインで動くので、相手のターンに構える際に軽い方がよく、《オアリムの詠唱》はその点でも素晴らしかったです。   ・《鞭打ち炎》 当初はエネルギーに対して効かない場面が多々あるので0枚にしていましたが、実は負けパターンの多くがテンポ負けか《オセロットの群れ》であることが判明したので、今は2枚に落ち着いています。 《ウルザの物語》トークン+《影槍》でダメージレースを先行していても突然覆してくるのが《オセロットの群れ》。1体ならどうでも良いですが、《魂の導き手》と同時に2体並ぶと全くライフを削れなくなり、3体目が出るとゲームセットになります。   《ジェスカイの道師、ナーセット》でどれだけ引いても解決しないので、一気に焼き切れる全体除去を入れた方が良いと思っています。せっかく《ジェスカイの道師、ナーセット》である程度引けるので、2枚入れる意味は十分にあります。 自分の構築物トークンが巻き込まれないので、《鞭打ち炎》の方が基本的には優れています。それ以外のマッチではまず入れません。   ちなみに僕は《鞭打ち炎》を持っていなかったので《紅蓮地獄》を使っていました。   ・《チャンドラの敗北》 速攻クリーチャーばかりのイゼット果敢に対して《ポータブル・ホール》4枚のため、よく除去を持ちながら敗北してしまいます。そのため、インスタントタイミングで除去できるカードをサイドボードに用意しました。   《変異原性の成長》を3/3の《ドラゴンの怒りの媒介者》や《僧院の速槍》に打たれることから考えると、生半可な火力では1枚で耐えられてしまいます。《チャンドラの敗北》は5点入るので、生き残るためには《変異原性の成長》+何か別のスペルを要求できるので、相手にかなりリソースを吐かせられます。   ・《火の怒りのタイタン、フレージ》 エネルギー相手の主なゲームプランの1つになります。   無色のカード多数、《島》と入っているこのデッキでは手札から唱えることも簡単ではありませんし、脱出は困難ですが、それでも採用しています。 《湖に潜む者、エムリー》で墓地が肥えるので脱出しやすく、《ジェスカイの道師、ナーセット》との相性も良いので、ゲームが長引けばすぐに脱出し、そこからは除去されても何度か連続で脱出でき、この繰り返し脱出可能な点が大きいのです。 《鳴り渡る龍哮の征服者》なんかも最近のエネルギーからは出てきますし、倒せると美味しい。   プレイ指南 基本的なデッキの回し方やマリガンについては、以前のジェスカイコーリ隆盛の記事と同様なので、こちらをご覧ください。   ・セットランドについて このデッキが最も難しいのがセットランドでしょう。3色デッキかつ《ウルザの物語》4枚と非常に色事故しやすいこのデッキ。初手にフェッチランド、《ウルザの物語》という手札がよく来ます。青赤を持ってくるべきか青白を持ってくるべきか、悩ましいですよね。 こういったケースでは大体の場合、青赤を持ってきます。1ターン目のアクションがなければもちろん《轟音の滝》ですね。2ターン目に《ウルザの物語》から《コーリ鋼の短刀》を置きたいというのが一番の理由です。 《コーリ鋼の短刀》を引いていない場合でもまずサーチしたいのは《轟音の滝》です。トップデッキする可能性が単純にありますしね。   青白を持ってくるケースは手札に《ポータブル・ホール》が既にある場合のみです。《コーリ鋼の短刀》の受け入れよりも《ポータブル・ホール》のキャストを優先するのは当然のことです。 結局《ウルザの物語》は最終的に《オパールのモックス》になるので、色マナ自体は揃います。そのためフェッチ《ウルザの物語》の手札をあまり悲観する必要はないのです。   ・《ミシュラのガラクタ》の使い方 《ミシュラのガラクタ》の小テクと言えば、フェッチランドを絡めた動きでしょう。 《ミシュラのガラクタ》を自分に起動し、それが不要牌だった場合はフェッチランドでリフレッシュしてからドローすると、実質疑似的な占術になります。 これは基本的にやり得ですが、《コーリ鋼の短刀》があるこのデッキでは1ターン目に《ミシュラのガラクタ》を唱えないケースもあります。そのため、一考の余地あり。 手札にモックスがあって《コーリ鋼の短刀》の誘発が確定しているならやってもいいでしょう。手札に《コーリ鋼の短刀》がない場合もやります。《コーリ鋼の短刀》を《ミシュラのガラクタ》で引けるかもしれませんからね。   手札に《コーリ鋼の短刀》《ミシュラのガラクタ》とあって他に0マナのカードがない場合には、フェッチガラクタはせず、2ターン目を迎えましょう。1ターン目を諜報ランドでパスしても全然OKです。   ・《撤廃》を上手く使おう 《コーリ鋼の短刀》と《撤廃》とモックスが揃うと打点がめちゃくちゃ伸びる時があります。 たとえば《コーリ鋼の短刀》、モンクトークン2体の場合は、《撤廃》でモックスを戻してモックスを出し直すだけで3/3×2、《コーリ鋼の短刀》のついた2/2で8点に。ドローが《撤廃》ならもう2回果敢が乗るので14点、その《撤廃》のドローがスペルなら17点です。 このように《撤廃》には夢があります。モックスから青マナが出る状態なら、《撤廃》モックスループには一切のマナがかからないので、とりあえず運試しぐらいの気持ちで打ってみるのも悪くありません。 《撤廃》で引いたカードが《撤廃》ではなかったとしても、たとえば《ジェスカイの道師、ナーセット》ならそのまま出して大量にカードを引けますし、《撤廃》が打点以外に繋がることもあります。   妨害カードという側面もある《撤廃》ですが、能動的に使う場合もこのデッキでは多いです。モックスを使って実質0マナで《撤廃》をプレイできる時はまず《撤廃》からいきましょう。   サイドボーディングガイド VSボロスエネルギー こちらが先手の時 +2《火の怒りのタイタン、フレージ》+2《鞭打ち炎》   -1《真髄の針》-1《トーモッドの墓所》-1《感電破》-1《ミシュラのガラクタ》 こちらが後手の時 +2《火の怒りのタイタン、フレージ》+2《鞭打ち炎》 -1《真髄の針》-1《トーモッドの墓所》-2《コーリ鋼の短刀》 《ジェスカイの道師、ナーセット》が入ってからは、リソース勝負がしやすくなり、盤面を除去しながら《コーリ鋼の短刀》でトークンを量産して勝てるようになりました。 サイドからは《火の怒りのタイタン、フレージ》を入れて、より長期戦を意識することになるのですが、相手からはエンチャント・アーティファクト破壊や《石のような静寂》などが飛んできます。そのため、リスクはありますが《ポータブル・ホール》は抜けません。 以前は《ジェスカイの隆盛》を抜いていましたが、考えを改めました。《鞭打ち炎》の項目でもお話したように、このマッチで負け筋となるのは《オセロットの群れ》です。ダメージレースを《魂の導き手》と《オセロットの群れ》で無にされてしまうので、《火の怒りのタイタン、フレージ》《ジェスカイの道師、ナーセット》が並んでも押し切られてしまいます。 《ジェスカイの道師、ナーセット》自体の場持ちはよく、カードを引けるけど《オセロットの群れ》の解決にならないという展開が多かったので、コンボが揃った瞬間に勝てる《ジェスカイの隆盛》はあった方が良いと思うようになりました。   《鞭打ち炎》と合わせて、《オセロットの群れ》を意識しています。   VSエルドラージ +4《記憶への放逐》+2《オアリムの詠唱》+2《損耗+摩耗》 -3《ポータブル・ホール》-1《影槍》-1《トーモッドの墓所》-1《真髄の針》-1《上天の呪文爆弾》-1《感電破》 《損耗+摩耗》は《楽園の拡散》とタリスマンを割る用です。《ポータブル・ホール》でも問題ないのですが、サイド後に《三なる宝球》などを置かれる可能性を考慮して、《損耗+摩耗》にしています。   VSイゼット果敢 +2《火の怒りのタイタン、フレージ》+2《チャンドラの敗北》   -1《真髄の針》-1《ジェスカイの隆盛》-2《ポータブル・ホール》 速攻クリーチャーが多いので《ポータブル・ホール》の信頼性はちょっと低めです。《感電破》も《変異原性の成長》で避けられてしまうため、一長一短ではありますが、サイドインする《火の怒りのタイタン、フレージ》がソーサリーの除去であることを考えて、《ポータブル・ホール》から抜いています。 このマッチは除去って《火の怒りのタイタン、フレージ》か《ジェスカイの道師、ナーセット》で爆発的なリソースを稼いで勝利することになります。《ジェスカイの隆盛》は不要。 《トーモッドの墓所》は昂揚を防いだり《溶岩の投げ矢》を追放したりと割と役割があります。   VSディミーアマークタイド +2《火の怒りのタイタン、フレージ》 -1《真髄の針》-1《感電破》 かなり相性の良いマッチです。《コーリ鋼の短刀》はもちろん、《ウルザの物語》だけで勝てたり、モックス連打からの《ジェスカイの道師、ナーセット》、《湖に潜む者、エムリー》が生き残っても勝てます。   《超能力蛙》に対して《ポータブル・ホール》4枚がとても頼もしいです。 《海の先駆け》を相手が入れていたら《感電破》を残しましょう。   VSアミュレットタイタン +4《記憶への放逐》+2《オアリムの詠唱》+2《損耗+摩耗》 -1《感電破》-1《影槍》-1《ジェスカイの隆盛》-1《ジェスカイの道師、ナーセット》-2《ポータブル・ホール》-1《トーモッドの墓所》-1《ウルザの物語》 《コーリ鋼の短刀》ビートしつつ相手の展開を妨害して差し切りましょう。   《ジェスカイの隆盛》を抜くのは意外だと思われるかもしれませんが、このマッチではスピード勝負を目指す必要はなく、相手への妨害を続けているだけで勝てます。こちらは妨害されにくい《コーリ鋼の短刀》でクロックを刻めますし、《ジェスカイの道師、ナーセット》も定着しますからね。妨害を続けていると勝てるので、速度勝負を挑まなくて良いのです。 むしろ、3マナのエンチャントを貼って《耐え抜くもの、母聖樹》《活性の力》を喰らうと目も当てられません。 《トーモッドの墓所》はメイン戦ではそれなりに機能します。メインでは《精力の護符》《洞窟探検》に触る手段が非常に少なく、《風景の変容》からコンボを決められることが多いですからね。《風景の変容》と土地4枚《精力の護符》からの無限パターンでは《事件現場の分析者》が必要になるので、《トーモッドの墓所》が刺さります。 《真髄の針》の指定は《トレイリア西部》にしましょう。   VS青単ベルチャー +2《記憶への放逐》+2《オアリムの詠唱》+2《損耗+摩耗》   -1《影槍》-3《ポータブル・ホール》-1《上天の呪文爆弾》-1《ジェスカイの隆盛》 《コーリ鋼の短刀》ビート+《真髄の針》で勝つことが多いです。こちらの妨害が豊富かつ多角的で、速度もあるので、結構有利です。 《睡蓮の花》を《撤廃》したりして遅らせている間にどんどん《コーリ鋼の短刀》でトークンを生み出して速やかに殴り切りましょう。   《トーモッドの墓所》は《現実の設計者、タメシ》負けを防ぐために必須です。   VSドメインズー +4《記憶への放逐》+2《摩耗+損耗》 -1《上天の呪文爆弾》-1《トーモッドの墓所》-1《真髄の針》-1《ジェスカイの隆盛》-1《感電破》-1《コーリ鋼の短刀》 《記憶への放逐》は《ドラコの末裔》と《力線の束縛》に効くので4枚入れてOKです。   最後の数点を《部族の炎》で負けないように、《影槍》は入れておくことをオススメします。抜くものがないので《コーリ鋼の短刀》を抜きましたが、この辺りは自由です。《ミシュラのガラクタ》を抜いてもOK。   VSルビーストーム +2《オアリムの詠唱》+1《損耗+摩耗》 -1《影槍》-1《真髄の針》-1《上天の呪文爆弾》 当然ながらめちゃくちゃきついです。妨害はあまりできません。《ルビーの大メダル》《モンスーンの魔道士、ラル》を出してターンが帰ってきた時のために《ポータブル・ホール》を抜けません。   《コーリ鋼の短刀》で速やかに殴り勝つか、《ジェスカイの隆盛》でコンボを決めるのみ。《ジェスカイの道師、ナーセット》でどんどん引いて急いで勝ちにいきましょう。   VSオルゾフブリンク +4《記憶への放逐》+2《火の怒りのタイタン、フレージ》   -1《トーモッドの墓所》-1《影槍》-4《ポータブル・ホール》 《記憶への放逐》を《名誉回復》として使います。《溌剌の牧羊犬、フィリア》や《ちらつき鬼火》でカードが戻ってくる際の誘発型能力を打ち消しましょう。 後は《ジェスカイの道師、ナーセット》のリソース量と《火の怒りのタイタン、フレージ》に期待するのみです。   VSジェスカイカッターミラー +2《火の怒りのタイタン、フレージ》+2《損耗+摩耗》   -1《影槍》-1《真髄の針》-1《上天の呪文爆弾》-1《知りたがりの学徒、タミヨウ》 《ジェスカイの道師、ナーセット》や《コーリ鋼の短刀》など、片方だけに出ればそれだけでゲームに勝つカードが大量にあります。基本はいずれかの定着を目指し、速やかにに勝ちましょう。   《湖に潜む者、エムリー》が《ポータブル・ホール》で死なないので割と処理しづらいです。《火の怒りのタイタン、フレージ》でしっかり除去しましょう。   《湖に潜む者、エムリー》が除去されにくいので《ジェスカイの隆盛》で無限コンボを決めるチャンスはそれなりにあります。 一度墓地に落ちた《火の怒りのタイタン、フレージ》に触る手段がないのは危険なので《トーモッドの墓所》はサイド後も残しています。《湖に潜む者、エムリー》にも一応効くので悪くはありません。 変身しても《ポータブル・ホール》で処理されてしまうのを嫌って《知りたがりの学徒、タミヨウ》を1枚減らしています。他にあまりに抜くものがないので仕方ありません。実は61枚の方が良いのかも?   終わりに 《ジェスカイの道師、ナーセット》が入ったことでこのデッキは間違いなく一段階強くなりました。 とにかく《ジェスカイの道師、ナーセット》というカードが強すぎる!《撤廃》との相性もバッチリで、ジェスカイカッターは《コーリ鋼の短刀》を最も上手く使えるデッキかなと思います。 モダンの予選シーズンはまだまだありますので、デッキにお困りの方はぜひジェスカイカッターを使ってみてください。   また、冒頭でも少し触れましたが、ジェスカイカッターについてもっと詳しく知りたい方は、日本のプロ市川 ユウキ選手のnoteがちょうどさっき公開されたので、ぜひ読んでみてください。(記事はこちら)   マジックオンラインで最も出場が難しい最高峰の大会MOCSにて、ジェスカイカッターを使用してモダンラウンドを全勝し、見事準優勝を果たしています。   それではまた!

【週刊メタゲーム通信】今週はミッドレンジが大活躍!メルボルンではディミーアとラクドスのミッドレンジ対決!

週刊 Standard ピックアップ

2025.05.14

mtg Yuyan

こんにちは。   細川 侑也(@yuyan_mtg)です。   今回は、メルボルンと中国で行われた地域CSの結果から、最新のメタゲームを分析していきます。   メルボルン 優勝:ディミーアミッドレンジ2位:ラクドスミッドレンジ3位:オルゾフピクシー4位:グルール昂揚5位:イゼット果敢6位:ジェスカイ眼魔7位:イゼット果敢8位:ジェスカイ眼魔   優勝を争ったのはなんとディミーアとラクドスのミッドレンジ対決!   ジェスカイ眼魔とイゼット果敢はトップ8の準々決勝で全員が破れ、ミッドレンジたちが勝ち上がりました。   ミッドレンジ界の頂点に立ったのはやはりディミーアミッドレンジ。 【MTGアリーナ用インポートデータ】   なぜミッドレンジ対決においてディミーアは強いのか?その答えは何と言っても《永劫の好奇心》です。 自軍クリーチャーの攻撃が通るだけで1ドローという性能を持つ4マナ4/3瞬速。それだけで脅威にもかかわらず、除去してもエンチャントとして戦場に残るので、完璧に処理するには追放か、除去+エンチャント破壊しかありません。   《永劫の好奇心》を放置するには戦場のクリーチャーを根こそぎ処理するしかないのですが、そんなことは到底現実的ではありません。《遠眼鏡のセイレーン》《フラッドピットの溺れさせ》《大洞窟のコウモリ》などの小粒なクリーチャーから、《分派の説教者》《黙示録、シェオルドレッド》《悪夢滅ぼし、魁渡》と、強力な生物まで揃っています。 ミッドレンジ対決はアドバンテージの稼ぎ合いとなるため、《永劫の好奇心》を採用できることこそ、ディミーアミッドレンジがミッドレンジ界の王たるゆえんなのです。 さて、そんなディミーアに決勝で敗れてしまったものの、大健闘を見せたのがラクドスミッドレンジ。 【MTGアリーナ用インポートデータ】   ミッドレンジの中でも少し攻撃的なミッドレンジといったところでしょうか。2ターン目から《大洞窟のコウモリ》で手札破壊をする他、《逸失への恐怖》《太陽の執事長、インティ》といった2マナでリソースを稼ぐ攻めカードが採用されています。 4枚採用されている《すりのチビボネ》は相手の墓地野パーマネント・カードを唱えられます。《強迫》で《不浄な別室+祭儀室》を落として奪ったり、クリーチャー同士の相打ちで墓地が溜まったところに出すと、1マナ域とは思えないプレッシャーになります。 とはいえ、所詮は1/1のクリーチャー。接死で相打ちを取るのが主な役割なのですが、このデッキではその《すりのチビボネ》を活かすことができます。   《運命を笑う者、アリーシャ》によって。 このターンに攻撃していると誘発する強襲能力で、墓地から《運命を笑う者、アリーシャ》のパワー以下のマナ総量のクリーチャーを墓地から吊り上げることができます。戦場に出したターンは大体パワー2なので、2以下のクリーチャーをリアニメイトできるというわけです。   《逸失への恐怖》《太陽の執事長、インティ》、《大洞窟のコウモリ》に《すりのチビボネ》とよりどりみどりです。 特に《すりのチビボネ》は相手も積極的に止めたいカードなので、墓地に落ちていることが多く、《運命を笑う者、アリーシャ》で何度も釣られるとうっとうしくて仕方がないでしょう。 1~2ターン目からクリーチャーを展開し、除去されたカードを《運命を笑う者、アリーシャ》で釣り上げると、まず《運命を笑う者、アリーシャ》がマスト除去になるので、釣ったクリーチャーは残ってくれます。1対1交換を繰り返して勝利を目指すミッドレンジの動きが攻撃的に行えるというわけですね。 《ギックスに拾われし者、ミシュラ》と《ファイレクシアのドラゴン・エンジン》のコンビを採用しているのも実に面白い! 《ギックスに拾われし者、ミシュラ》はクリーチャーで攻撃するとライフをドレインできるので、クリーチャーがたっぷり入ったこのデッキではかなりのダメージが期待できます。 一方、リソースを稼ぐのが《ファイレクシアのドラゴン・エンジン》。蘇生時に手札を捨てて3枚引くのが基本的な使い方なのですが、実は墓地から戦場に出ると能力が誘発するので、《運命を笑う者、アリーシャ》で墓地から戦場に戻しても良いのです。 マナ総量は3なので、《運命を笑う者、アリーシャ》に+1/+1カウンターが1つでも乗っていれば《ファイレクシアのドラゴン・エンジン》をリアニメイトでき、非常に強力な動きとなります。 もちろんゲームが長引いて合体すれば、戦場に出た瞬間に盤面や相手の手札に干渉するので大体勝利です。 とても革新的なリストで、見事2位にまで上り詰めました!   中国 優勝:アゾリウス全知2位:イゼット果敢3位:オルゾフミッドレンジ4位:イゼット果敢5位:グルールアグロ6位:赤単アグロ7位:アゾリウス全知8位:アブザンピクシー   一方、中国の地域CSではアゾリウス全知が優勝を収め、トップ8にも駒を進めています。   赤アグロはイゼット果敢が2人に赤単・グルールのハツカネズミ軍団たちも残り、大活躍と言ったところ。   単色・2色のデッキたちがトップ8を独占する中、一人息を吐いたのがアブザンピクシー。バウンス軸のデッキとして唯一の入賞です。 【MTGアリーナ用インポートデータ】   《養育するピクシー》《陽光真珠の麒麟》の8枚のバウンスで、《望み無き悪夢》《逃げ場なし》《勢い挫き》を戻して再利用するセルフバウンス系統のデッキ。 《一時的封鎖》まで採用されており、《一時的封鎖》で自分の《養育するピクシー》《望み無き悪夢》などを追放し、《陽光真珠の麒麟》で《一時的封鎖》を回収。すると自分で追放していた《望み無き悪夢》なども戻り、更に《養育するピクシー》で《陽光真珠の麒麟》を回収できるので、《一時的封鎖》を使い回し続け、《望み無き悪夢》《勢い挫き》などを何度もぐるぐる回せるようになります。 ここまではオルゾフピクシーと同じですが、アブザンは緑を足し、強力なクリーチャーたちを採用できます。   手札破壊を行うのが《絶縁の僧侶》。戦場から離れると、追放したカードのマナ総量分のサイズを持つクリーチャーを相手に献上しますが、《難題の予見者》のように相手にカードを引かせないのがポイントです。《絶縁の僧侶》が対処されても失った手札は回復しないのです。 デッキには大量に除去が入っていますし、トークンは《一時的封鎖》でまとめて処理できるのでさほど困りません。特にアゾリウス全知のような除去が効かないデッキに対しては、手札で除去が腐り続けるので、《絶縁の僧侶》から出たトークンを対処するのにぴったりです。 そしてアブザンピクシーを支える強力な4マナ域、《ヤサンの街道見張り》。カードを4枚切削してマナ総量が3以下のクリーチャー・カードを戦場に戻せるので、《絶縁の僧侶》で手札破壊を行ったり、余裕があれば《養育するピクシー》《陽光真珠の麒麟》を吊り上げて、《ヤサンの街道見張り》を回収し、更なる展開を望めます。 以前までのアブザンピクシーには《遊撃サイ》が入っていたスロットには、《名もなき都市の歩哨》が採用されています。 3/3/4のスタッツは《遊撃サイ》と同じですが、地図で4/5へサイズを上げたり、ドローの質を向上できるなど、ライフドレインの《遊撃サイ》に比べて、用途が広いのが《名もなき都市の歩哨》です。警戒なので攻守に渡って優れており、赤アグロの多い環境なら非常に強いカードです。 1枚採用の《カルシの帰還者》もセンスが光るチョイス。《名もなき都市の歩哨》の地図、《ヤサンの街道見張り》の切削と、墓地で誘発するカードには価値があります。《名もなき都市の歩哨》が《カルシの帰還者》の相続を受けたらもう勝ったも同然!1枚入れるだけで切削にバリューが生まれるので、アブザンピクシーを使うならぜひ1枚は採用したいですね。 決勝ラウンドでは振るわなかったものの、赤単・イゼット果敢キラーとして本トーナメントで活躍したアブザンピクシーは、これから数が増えてくるかもしれませんね。   先週末はミッドレンジが大活躍!果たしてここからスタンダードのメタゲームはどのように変化していくのでしょうか。

【今週のピックアップデッキ】グルール昂揚/ディミーア忍者ローグ/ハンマータイム

週刊 Modern Pioneer Standard ピックアップ

2025.05.09

mtg Yuyan

こんにちは。 細川 侑也(@yuyan_mtg)です。 今週のピックアップデッキでは、ちょっと珍しいデッキを、軽い解説を交えて紹介していきます。   紹介デッキ グルール昂揚 ディミーア忍者ローグ ハンマータイム   グルール昂揚 チャンピオンズカップファイナル : 11位 By Shintaro Ishimura MTGアリーナ用インポートデータ チャンピオンズカップファイナルではイゼット果敢4人に赤単アグロ2人と、2種の赤アグロがトップ8に入賞しましたが、それらとは異なる形の赤アグロが、プロツアーの権利を獲得できる9勝3敗の成績を収めていました。   それがグルール昂揚です。   4種のカードタイプを墓地に揃えることで達成される昂揚。かなり難しい条件のため、昂揚条件を達成した際は大きなボーナスが用意されています。   《継ぎ接ぎのけだもの》は昂揚すれば1マナ3/3の《野生のナカティル》相当のクリーチャー!アップキープの切削と、自身がアーティファクト・クリーチャーなので、昂揚を助けてくれるナイスな1マナ域です。 様々なフォーマットでお馴染みの《逸失への恐怖》も、ディスカードを持ちつつ、エンチャント・クリーチャーとして墓地でも昂揚に貢献します。 昂揚していると2マナ4/3速攻トランプルと破格の性能を持つのが《野火の木人》。このカードがグルール昂揚のスピードを上げてくれています。やはりアーティファクト・クリーチャーなので昂揚を達成しやすいのも〇。 そして最後の昂揚カードは《暴力的衝動》。こちらはクリーチャーではありませんが、たった1マナでクリーチャーに二段攻撃を付与するすごいインスタントです。トランプルを持つ《野火の木人》と組み合わせた時の破壊力はピカイチ。《逸失への恐怖》で2回攻撃も発生するので、二段攻撃と組み合わせると実質4回攻撃になりますね。 さて、昂揚のバリューが高いことがわかったところで、肝心なのは昂揚の達成手段です。   《野火の木人》に《逸失への恐怖》と質の高いクリーチャーが2種のカードタイプを持っているのはわかりましたが、それをどのように墓地に落とすのか。   ここで最近引っ張りだこの《光砕く者、テルサ》が光ります。 3マナ3/3速攻の優れたスタッツに、カードを2枚捨てて2枚引く能力がついているため、昂揚に必要なカードを墓地に落としつつ、攻撃していけます。以前まではこのスロットが《蓄え放題》《浚渫機の洞察》といった戦場に影響を及ぼさないカードだったので、積極的に攻撃したいグルール昂揚と少し合わなかったのですが、非常に攻撃的な《光砕く者、テルサ》が加入したことで、デッキがグッと締まりました。 グルール昂揚でしか使えない超強力なソーサリーと言えば《脱走》。たった2マナで、ライブラリー上6枚から2マナ以下のクリーチャー・カードを速攻を持った状態で戦場に出せます。非常に強力なカードではあるものの、中々活きるデッキがないのですが、グルール昂揚とはかなり相性が良いのです。特に《逸失への恐怖》を出して速攻で攻撃し始めると、予想外からのリーサルが発生する場合も。ソーサリーカウントとしても優秀です。 《鋭い目の管理者》は昂揚能力は持ちませんが、4種類のカードタイプを追放すると+4/+4トランプルになる2マナ3/3。どちらかと言えばそのパンプ能力よりは、墓地追放がメインの使い方となっています。 ジェスカイ眼魔はもちろん、《嵐追いの才能》が入っているイゼット果敢などにも墓地追放は効きますし、昂揚を満たすことを前提にしたデッキなので、自分の墓地を追放して7/7トランプルを作りやすく、今回の隠れMVPかもしれません。   他の赤アグロと一味も二味も違うグルール昂揚、ぜひお試しください。     ディミーア忍者ローグ パイオニアリーグ : 5-0 By  season_urb MTGアリーナ用インポートデータ かつてスタンダードで最強のデッキだったローグ。 《盗賊ギルドの処罰者》で相手のライブラリーを切削し、《空飛ぶ思考盗み》などと共に殴り勝つも良し、相手をライブラリーアウトさせたり、《物語への没入》と《夢の巣のルールス》でコントロールするなど、様々な勝ちプランを持っている、とてもいやらしいデッキでした。 最近では青黒系のアグロデッキと言えば忍者になっていましたが、今回はならず者が久しぶりにパイオニアで勝利しました!   パイオニアならではのならず者をご紹介しましょう。忍者にも入っている《フェアリーの悪党》ですね。戦場に出た時に他に《フェアリーの悪党》がいれば1ドローできる忍者です。《マネドリ》との相性がバッチリで、《フェアリーの悪党》のコピーとして場に出してカードを引けます。 その《マネドリ》のコピー対象が増えたのがディミーアローグの魅力です。《盗賊ギルドの処罰者》をコピーすると、ならず者を出した時の切削枚数が4枚に増えます。1枚の《盗賊ギルドの処罰者》ではライブラリーの心配は必要ありませんが、倍になれば話は別です。 《空飛ぶ思考盗み》はローグのキーパーツ。《フェアリーの悪党》《マネドリ》など軽いならず者にパワー修正を与えれば一気に脅威になりますし、《マネドリ》でコピーすれば修正値と切削枚数もとんでもないことになります。 そしてこれらのローグ軍団と手を組むのが忍者たち。   《月回路のハッカー》《悪夢滅ぼし、魁渡》の2人の忍者はいずれも忍術でクリーチャーを手札に回収することができます。ならず者を戻して出し直せばそのたびに《盗賊ギルドの処罰者》が誘発しますし、序盤は《フェアリーの悪党》をコピーしていた《マネドリ》を拾い、更に強い別のクリーチャーのコピーに変えられます。 ならず者でも忍者でもありませんが、《フラッドピットの溺れさせ》は忍術と相性の良いクリーチャー。ブロッカーをタップしながら攻撃を通して忍術ができて、しかも能力も再利用できるので、《悪夢滅ぼし、魁渡》を使うデッキなら《フラッドピットの溺れさせ》は必須ですね。 従来のディミーア忍者に比べて、ローグ成分が加わったことで、特に攻撃面が更に強化されました。   《空飛ぶ思考盗み》による全体強化に1マナ3/2の《盗賊ギルドの処罰者》はライフを削る性能が高いだけでなく、ライブラリーアウトという新たな勝ち手段も作れます。ライフをなかなか削れないコントロールなどにはかなり現実的な勝ち筋です。   守りの観点から見ても《盗賊ギルドの処罰者》は決して悪いカードではありません。相手の墓地が溜まれば1マナ3/2接死なので、サイズの小さいこのデッキでは貴重な相打ち要因となります。 忍者から更に攻撃的になったディミーアローグ、忍者がお好きな方はいかがでしょうか。   ハンマータイム モダンリーグ : 5-0 By  aspiringspike 《巨像の鎚》を《シガルダの助け》でつけて殴るコンボ要素のあるアグロ、ハンマータイム。 シンプルな戦略で最速2ターンキルも可能なハンマータイムは、当初はファンデッキでしたが、《ウルザの物語》加入後は様々な戦略を取ることが可能となり、一気にメタデッキの仲間入りを果たしました。 そんなハンマータイムの新たな形が、赤を入れたこのボロスカラーのハンマータイム。加わった赤いカードは……色々なフォーマットで暴れているあの装備品です。   そう、《コーリ鋼の短刀》です。 《コーリ鋼の短刀》でモンクを生成するためには継続的にスペルを2回唱える必要がありますが、当然毎ターンカードを2回使用すると、手札がなくなってしまいます。そのため、キャントリップや《食糧補充》など、カードを引き続けられる青と組み合わせて使われることが多いので、赤白で採用されるのは少し珍しいですね。 0マナのアーティファクトは《オパールのモックス》と《ミシュラのガラクタ》で8枚入っており、2ターン目に《コーリ鋼の短刀》を出してそのままモンクを生み出すことができます。 更にデッキ内のほとんどが1マナ以下なので、手札がある限りはモンクは誘発させ続けられるでしょう。   肝心のカードを引く手段ですが、《純鋼の聖騎士》がハンマータイムにはあります。装備品が戦場に出ると1ドローなので、2つ装備品を出せば、手札を失うことなく、モンクトークンが出てきて、しかもそのモンクに装備品を即つけられます。 このデッキが面白いのは、《コーリ鋼の短刀》の装備品としての性能が噛み合っている点です。《巨像の鎚》をつけたクリーチャーがチャンプブロックされて何もできないことはよくありましたが、《コーリ鋼の短刀》のトークンに《巨像の鎚》をつければ12/12トランプルでブロックを許しません。 速攻で攻撃できるのも大きなメリットで、これまで盤面のクリーチャーをすべて対処された場合、どうしても攻撃するまでに1ターンのラグが発生していましたが、除去で盤面を空にされても《コーリ鋼の短刀》のトークンに様々な装備品をつけて一撃で相手のライフを0にできます。   クリーチャーがいないと意味がない装備品と、クリーチャーを供給しつつ速攻を付与する《コーリ鋼の短刀》の相性はとても良いのです。   《鷹持ち、カサンドラ》はデッキから《レオニダスの槍》を場に出すクリーチャーで、その《レオニダスの槍》の付け先として最適。とはいえ、出して2マナを払って装備するのは中々モダンでは難しい。 その装備コストを《純鋼の聖騎士》で0にしたり、《シガルダの助け》で自動装備できる状態になるとしたら話は別です。《鷹持ち、カサンドラ》を出して《シガルダの助け》で《レオニダスの槍》を装備し、速攻で殴って二段攻撃付与、ダメージを通して《鷹持ち、カサンドラ》の能力で2ドローと、装備コストを踏み倒せるだけで《鷹持ち、カサンドラ》の動きはすさまじくなります。 《龍火の刃》は《ウルザの物語》からサーチすることも可能な装備品。装備コストは重いものの、単色からの呪禁と+2/+2を付与でき、一度装備すれば《孤独》《致命的な一押し》をはじめモダン環境の様々な除去を受けなくなります。 《鷹持ち、カサンドラ》への装備コストは2マナなものの、他のクリーチャーには基本的に3マナ必要ですが、こちらも《純鋼の聖騎士》《シガルダの助け》で踏み倒せるため、ただただデメリットのない超狭量な装備品となります。 《オパールのモックス》解禁によって大幅な強化を受けたものの、いまだトーナメントではさほど活躍できていなかったハンマータイムですが、近頃リーグでの5-0数も増えてきており、これから最前線に復帰していくかもしれませんね!

懐かしの相棒・ティムールカワウソと共に挑んだチャンピオンズカップファイナル

Standard ピックアップ

2025.05.08

mtg Yuyan

こんにちは。   細川 侑也(@yuyan_mtg)です。 こんにちは!   ゴールデンウィークはチャンピオンズカップファイナルに参加していました。   結果から先に報告すると、8勝4敗で27位、賞金100ドルと《ティシャーナの潮縛り》ゲットと、プロツアーまで後1勝足りませんでした。   今回はチャンピオンズカップファイナルで使用したデッキと、スタンダードの調整過程をお話していきます。   目次 スタンダードおさらい イゼット果敢の調整 イゼット果敢の弱点 懐かしの相棒ティムールカワウソとの再会 ティムールカワウソについて 本戦結果 シミックテラーについて 終わりに スタンダードおさらい 『タルキール:龍嵐録』が発売し、スタンダード環境は一変しました。   そう、様々なフォーマットを揺るがす《コーリ鋼の短刀》が現れたためです。下フォーマットでは2ターン目からモンクをもりもり生み出すカードですが、スタンダードでも超強力なカードです。 最も影響を受けたデッキはエスパーピクシーでしょう。僕はエスパーピクシーが大好きで、前環境のエリア予選をエスパーピクシーで突破しました。赤系アグロに強く、ある程度の速度を兼ね備えつつ様々なゲームプランが取れるのが魅力的で、よっぽどのことがない限りはエスパーピクシーを調整する方向で行こうと、半ば決めていました。 しかし、それは起きました。《コーリ鋼の短刀》はエスパーピクシーにとって癌となるカードだったのです。呪文を2回唱えるだけでモンクトークンが出てきてしまう《コーリ鋼の短刀》を、エスパーピクシーでは触ることがほとんどできません。赤アグロに対して除去を回収して使い回すという戦略が、《コーリ鋼の短刀》には通用しないのです。 《コーリ鋼の短刀》の強さに屈服した僕は、すぐにエスパーピクシーを諦め、《コーリ鋼の短刀》を使う側に回ることにしました。モダンでも《コーリ鋼の短刀》を使い倒してその強さはもう既に理解していましたしね。   そしてすぐに、イゼット果敢こそが最も《コーリ鋼の短刀》を強く使えるデッキであることを確信しました。   イゼット果敢は《僧院の速槍》《精鋭射手団の目立ちたがり》《嵐追いの才能》《コーリ鋼の短刀》の果敢軍団を、《選択》《手練》《食糧補充》で強化していくデッキ。このデッキの最大の魅力は、単体除去に強いデッキである点。 《嵐追いの才能》《コーリ鋼の短刀》はいずれも果敢クリーチャーを生み出すカードでありながら、それだけにとどまらないカードです。《嵐追いの才能》はレベルアップで《食糧補充》や除去を回収できますし、《コーリ鋼の短刀》は繰り返しトークンを生成できます。これらのカードに除去を打つことは損です。 しかし、《僧院の速槍》《精鋭射手団の目立ちたがり》にはしっかり除去は当たります。というより除去しなければあっという間に負けてしまいます。そのため、相手はイゼット果敢相手に除去を抜けず、むしろ増やして、しっかり初手にキープしておく必要があります。 そんな除去を構えている相手を尻目に、《食糧補充》で手札を増やしたり、《コーリ鋼の短刀》をキャントリップで誘発させて、相手の除去と交換させることができるのです。 イゼット果敢の調整 イゼット果敢が強いということはわかったので、まずは流行っているリストを回してみました。   クリーチャーが《僧院の速槍》《精鋭射手団の目立ちたがり》だけのオーソドックスなタイプから、《精鋭射手団の目立ちたがり》を抜いて《かまどの精》を入れ、《巨怪の怒り》も抜いたコントロール型など、様々なリストがありました。 結論としては、《精鋭射手団の目立ちたがり》と《巨怪の怒り》はどちらも必要でした。   《精鋭射手団の目立ちたがり》はミラーマッチの《噴出の稲妻》で焼かれてしまう、とても場持ちの悪いクリーチャーです。《潜水》などで《精鋭射手団の目立ちたがり》を守る手段もないので、基本的には除去を避けることはかないません。1マナで除去を喰らうので、《呪文貫き》で除去をカウンターするのもさほど現実的ではないためです。 それでも《精鋭射手団の目立ちたがり》は強力なカードでした。ミラーマッチでも一度《巨怪の怒り》さえつけてしまえばタフネスが3になり除去されにくくなりますし、単体での打点はずば抜けているので、後手番で《コーリ鋼の短刀》に殴られている状況など、不利な状態から差し切る際には必要です。   また、ドメインなどのコントロール系のデッキに対しては、全体除去の返しに《精鋭射手団の目立ちたがり》から一気にダメージを叩く場合もあり、イゼットミラーにおける除去されやすい欠点を補って余りあるメリットがこのカードにはあると思いました。   《巨怪の怒り》は絶対に必要なカードで、これを一瞬でも抜いていたことを悔やみました。特にミラーマッチではサイズが上がるのは優秀ですし、除去を構えてくる相手に対してサイドアウトすることもまずありませんでした。瞬間的な打点が一番上がるカードで、《食糧補充》から《巨怪の怒り》を取って打点を計算する動きは、さながらコンボデッキのようです。 自らの浅さを再認識しつつ、その上でミラーマッチで強いカードを探すことにしました。   そうして辿り着いたのが《ドレイクの孵卵者》。 イゼット果敢のメインボードに採用されている除去は《噴出の稲妻》なので、タフネスが3のクリーチャーを処理するのは大変です。そのため、《ドレイクの孵卵者》は戦場に定着しやすいカードです。 《塔の点火》の協約で焼かれてしまいますが、1マナ構えて果敢を誘発できるようにすればそれもケアできます。   更に《ドレイクの孵卵者》は攻防において優れたクリーチャーです。《巨怪の怒り》を打てばパワーが5になるので、もう1回スペルを唱えるとドレイクを即座に2体生成できるようになります。更に本体が2/4と非常に硬く、警戒をもあるので相手の攻撃をある程度けん制できます。 出てくるドレイクも《精鋭射手団の目立ちたがり》を止められるなど、ミラーでは優秀なカードだと判断しました。   イゼット果敢の弱点 こうしてミラーマッチへの意識もしっかりとし始めたところで、課題となったのが2つ。   1つは《一時的封鎖》でした。《ドレイクの孵卵者》を入れるようになったせいで《一時的封鎖》がとにかく刺さるのです。《精鋭射手団の目立ちたがり》を計画する代わりに2マナ域をポン出ししているのですから、それも仕方ありません。 《コーリ鋼の短刀》はトークンごと奪われ、《嵐追いの才能》もなくなってレベルアップによる回収が使えなくなります。 もう1つは《真昼の決闘》です。 1ターンに1回しか呪文を唱えられなくなるので、当然《コーリ鋼の短刀》は誘発しなくなり、果敢軍団の攻撃力も半分以下に落ちてしまいます。 そして大きな問題点として、これらのカードが同じデッキに採用されていることがあるのです。具体的のはドメインオーバーロードなどです。 更にそれらのデッキは《跳ねる春、ベーザ》などでライフも回復してきます。なので《食糧補充》などでゆっくりとリソースを取っていてもなかなかライフが削れず、《ミストムーアの大主》などですぐに殴ってきます。 《一時的封鎖》《真昼の決闘》は、イゼット果敢を使うならかなり意識しなければならないカード。いかに攻略するかが命題となりました。   懐かしの相棒ティムールカワウソとの再会 《一時的封鎖》《真昼の決闘》は共にエンチャントなので、エンチャントを破壊するのが手っ取り早いのですが、残念ながら青赤にはそんな便利なカードはありません。そこで考えたのが緑タッチ。 緑には《脚当ての陣形》をはじめ優秀なエンチャント破壊がいくつもありますからね。とはいえ、ただイゼットに緑をタッチすることはできません。境界ランドの都合から、青赤に緑を少しだけ入れることはできなかったのです。基本土地が減るとそれだけ境界ランドが2色出づらくなってしまいます。 それなら逆に最初からティムールで考えてしまおうと思いました。ティムールで呪文を何度も使うデッキと言えば、そうティムールカワウソ! そう思い、ティムールカワウソで《コーリ鋼の短刀》を試してみたところ、その相性の良さに驚きました。 元々《渓間の洪水呼び》のコンボ以外では《嵐追いの才能》ビートダウンと《この町は狭すぎる》《嵐追いの才能》ハメ以外の勝ち手段しかなかったティムールカワウソですが、《嵐追いの才能》ビートには当然《嵐追いの才能》が必要で、速やかにライフを削る手段があまりありませんでした。 そこに《コーリ鋼の短刀》が加わったのです。これで《嵐追いの才能》を引かずとも、《コーリ鋼の短刀》でライフを削れるようになりました。   しかも《コーリ鋼の短刀》から出るモンクトークンは《永劫の活力》でマナを出せるので、クリーチャーがどんどん出てくる《コーリ鋼の短刀》自体がティムールカワウソに合っています。 《コーリ鋼の短刀》の継続的な誘発も問題ありません。《手練》《選択》は入っていませんが、《薮打ち》《花粉の分析》の土地サーチカードたちで《コーリ鋼の短刀》を誘発させられますし、《この町は狭すぎる》も4枚採用なので、2回の誘発に困ることはありません。 更に、当時は存在すらしていなかった《食糧補充》もデッキに非常に噛み合います。《この町は狭すぎる》《永劫の活力》のいずれかを求めることが多かったのですが、どちらも探せる《食糧補充》はマスターピース。 《花粉の分析》の証拠収集を稼ぐ手段としても、《食糧補充》は悪くありません。以前までは《この町は狭すぎる》で5マナは稼げても、後の3マナが大変でしたが、《食糧補充》がちょうどそのマナを埋めてくれるので、《この町は狭すぎる》《食糧補充》だけで《花粉の分析》の証拠収集を満たせるようになったのです。   ティムールカワウソについて ティムールカワウソは、イゼット果敢のような果敢ビートダウン要素を持ちながら、《コーリ鋼の短刀》を意識してきたデッキには別の勝ちプランを用意できるデッキです。それが最大の魅力です。 《コーリ鋼の短刀》に強い《一時的封鎖》、ある程度ライフを削った後に出てくる《跳ねる春、ベーザ》。どちらもイゼット果敢に強いカードではありますが、ティムールカワウソにはそれらのカードは効きません。 《コーリ鋼の短刀》を対処できる除去コントロール、要するにオルゾフピクシーのようなデッキをイゼット果敢は苦手としていますが、ティムールカワウソはそういったデッキに対して、《コーリ鋼の短刀》にもクリーチャーにも頼らない勝ちパターンがあります。《食糧補充》で《トーテンタンズの歌》と《渓間の洪水呼び》を集めて一気にバーストダメージを出せます。無限コンボも内蔵されているので、《跳ねる春、ベーザ》で何点回復されようと怖くありません。 イゼット果敢対ティムールカワウソの対決では、色が多い分、ティムールカワウソの方が事故りやすくはなっているものの、入っているカード自体は強力。しっかり回れば十分勝てる相手です。   イゼット果敢と戦えつつ、イゼット果敢キラーのデッキたちを狙い撃ちしたデッキ、それがティムールカワウソです。   メインに《渓間の洪水呼び》は1枚しか入っていませんが、《花粉の分析》《食糧補充》で探せますし、コンボ以外では必要のないカードなので問題ありません。《コーリ鋼の短刀》による果敢ビートダウンがあくまでメインで、そこに絡まないカードは最小限の枚数となっています。 《渓間の洪水呼び》が必要なマッチ=《コーリ鋼の短刀》で勝ちづらい相手(コントロール)なので、そういった戦いは長引き、1枚の《渓間の洪水呼び》と2枚の《トーテンタンズの歌》を揃える余裕が十分にあるのです。   本戦結果 〇×〇 ディミーアミッドレンジ×〇〇 オルゾフピクシー×〇〇 ドメイン×〇× ジェスカイ眼魔〇〇  アゾリウスアーティファクト〇〇  オルゾフピクシー〇×× 赤単×〇× イゼット果敢〇×〇 ディミーアミッドレンジ〇×× イゼット果敢〇×〇 ボロスモニュメント〇〇  赤単アグロ   最初にお伝えした通り、本戦結果は8勝4敗。   結果はまずまずでしたが、イゼット果敢には2回当たって2回負けとふがいない成績。   1回目のイゼット果敢はかなり良い勝負でしたが、色マナ関連の事故で敗北。このデッキの弱いところがモロに出た形となってしまいました。   もう1つのイゼット果敢については、《コーリ鋼の短刀》を2枚並べて誘発できない不ヅキに見舞われて比較的有利だったゲームを落としてしまい、3本目はダブルマリガンによってなすすべなく敗北。展開的には勝てそうだっただけに非常に悔やまれます。 とはいえ、オルゾフピクシーには2回当たって2回勝ちましたし、ドメインにもしっかり勝利でき、イゼット果敢を意識してきた相手には想定通りすべて勝てており、そこに関しては満足しています。   誤算は赤単アグロの《魔道士封じのトカゲ》でした。ただでさえ赤単アグロは相性が悪いのに、その上《魔道士封じのトカゲ》はあまりにクリティカル。75枚の内対処できるのが《この町は狭すぎる》と《薮打ち》のみで、《魔道士封じのトカゲ》入りの赤単には全く勝てる気がしませんでした。 もし次回参加するとしたら、《声も出せない》をサイドボードに何枚か採用すると思います。《叫ぶ宿敵》対策にもなりますし、対赤単には一番良さそうです。 本戦後の反省を踏まえたリストを掲載しておきます。 【MTGアリーナインポートデータ】 シミックテラーについて マジック大戦祭で使用したシミックテラーについても聞かれることが多かったので、軽く触れておきます。   シミックテラーは、ティムールカワウソを組んだ直後にボローニャの地域CSで見かけたデッキでした。   「《コーリ鋼の短刀》の誘発のためにメインで相手が2アクションを取り、モンクを誘発させてくるので、《渦泥の蟹》でテンポを取りやすい」と解説をしていて、なるほどと膝を打ちました。 マジック大戦祭はBO1スタンダードだったので、墓地対策をされることもありませんし、ちょうど良いと思って少し調整をして持ち込んだのですが、このデッキもそれなりに好感触でした。 まず《コーリ鋼の短刀》対策の《一時的封鎖》が全く効きませんし、ライフを削る力もあっという間なので生半可なライフゲインでは対処できません。 肝心の《コーリ鋼の短刀》を使うデッキにもそこまで不利には感じませんでした。サイド後に《石術の連射》を連発されるとさすがに終わってしまいますが、《トレイリアの恐怖》《渦泥の蟹》のサイズ差でイゼット果敢側を圧倒する展開が多かったです。 悩みの種の赤単にもバウンスを大量に入れていることでそこまで不利な印象はなく、デッキパワーは感じました。 《豆の木をのぼれ》に少し依存しているデッキではあるものの、《蓄え放題》《手練》で探せるので、そこまで気になりませんでした。 調整したBO3仕様のリストを掲載しておきますので、気になる方は使ってみてください。   ティムールカワウソが楽しすぎて今回は使用しませんでしたが、本戦で使う候補に挙がるぐらいには強かったです! 【MTGアリーナインポートデータ】 終わりに 実はチャンピオンズカップファイナルで2日目に進出したのは、僕が準優勝した一昨年の常滑以来でした。   今回はプロツアーに後1勝足りず残念な結果となってしまいましたが、久しぶりに2日目を戦えたことには少し安堵しています。次回は目指せトップ8、そして優勝!   来週はモダン神挑戦者決定戦で使用したジェスカイカッターの記事をお届けする予定です。 それではまた!

【週刊メタゲーム通信】日本ではイゼット果敢が大暴れ!一方アメリカではアゾリウス全知が大躍進

週刊 Standard ピックアップ

2025.05.07

mtg Yuyan

こんにちは。   細川 侑也(@yuyan_mtg)です。   今回は、日本とアメリカで行われた地域CSの結果から、最新のメタゲームを分析していきます。   日本 優勝:オルゾフピクシー2位:イゼット果敢3位:黒単デーモン4位:イゼット果敢5位:イゼット果敢6位:赤単アグロ7位:イゼット果敢8位:赤単アグロ   日本で行われたチャンピオンズカップファイナル(地域CS)、一言で言うなら圧倒的な赤さ!!   トップ8の内6つが赤いデッキで、その内訳はイゼット果敢が4人、赤単が2人です。   今回最大勢力だったイゼット果敢は30%以上のプレイヤーが選択しており、アメリカの地域CSでも同様の結果となっていました。一番人気のデッキがトップ8の半数を占める結果となり、最強のデッキであることは明らかです。 【MTGアリーナ用インポートデータ】   《僧院の速槍》《精鋭射手団の目立ちたがり》の8枚のクリーチャーに《コーリ鋼の短刀》《嵐追いの才能》を合わせた事実上の16枚のダメージソースを、《手練》や《選択》で強化し、《食糧補充》で追加リソースを獲得して継続的に打点を稼いでいくのがイゼット果敢。 ですが、この準優勝の芝田選手のリストのように、《ドレイクの孵卵者》を採用したイゼット果敢が本トーナメントでは散見されました。 ご覧のようにイゼット果敢にはメインに3点火力が入っていないことが多く、《ドレイクの孵卵者》を対処できるのは《洪水の大口へ》のみ。そのため非常に場持ちがよく、出てくるドレイクも《精鋭射手団の目立ちたがり》のブロッカーとして最適です。 更に《巨怪の怒り》との組み合わせでドレイクを生み出しやすくなるのも魅力です。一度タフネス4の《ドレイクの孵卵者》を作ってしまえばジェスカイ眼魔なども対処が難しいですし、《ドレイクの孵卵者》は黒以外のアグロデッキに対して強いカードとなっています。 今回は赤単にイゼット果敢と赤が非常に多いフィールドだったので、《ドレイクの孵卵者》は大活躍だったに違いないでしょう。 そんなイゼット果敢と共に今大会で相手のライフを脅かし続けたのが赤単アグロ。 【MTGアリーナ用インポートデータ】   イゼット果敢登場までは赤アグロと言えばハツカネズミでした。もちろん《コーリ鋼の短刀》が登場してからも、赤単の強さは色あせていません。トップ8にしっかり2人が駒を進めています。 グルール・ボロスなど様々なバリエーションが存在する赤アグロですが、トップ8に残ったのはいずれも赤単。やはりライフレースとなるマッチにおいて色を増やすリスクは大きく、またサイドボードの《陽背骨のオオヤマネコ》を強く使えるのも赤単のメリットです。 《光砕く者、テルサ》は最近の赤単ではすっかり定番となった1枚。これまでドローする手段と言えば《探索するドルイド》程度しかなく、そのために緑をタッチするリストもありましたが、《光砕く者、テルサ》が入ってからは《探索するドルイド》に頼る必要はなくなりました。 《探索するドルイド》と違ってリソースが増えることはありませんが、手札に溜まった土地や除去を捨ててカードを探しにいけますし、墓地が7枚以上あれば墓地からカードを使用できる可能性もあります。   特にサイド後は《陽背骨のオオヤマネコ》を入れることになるのですが、《探索するドルイド》だと中々《陽背骨のオオヤマネコ》を唱えられないのが悩みどころでした。土地が3枚しかない状態で《陽背骨のオオヤマネコ》がめくれてしまい、そのまま追放される……なんて経験をした方も多いはず。 しかし、《光砕く者、テルサ》なら単純にドローなので《陽背骨のオオヤマネコ》が追放される心配はありません。本体性能も3マナ3/3速攻と十分強く、赤単の安定性に一役買ういぶし銀のカードと言えますね。   《魔道士封じのトカゲ》が今回の赤単にはどちらにも採用されていますが、これはイゼット果敢を強く意識したクリーチャーです。1/4というサイズはイゼット果敢は非常に対処しづらく、《抹消する稲妻》などの2マナ4点火力はまず入っていないため、3マナの《焦熱の殲滅》や2点火力2枚などでしか除去できません。 赤単を使うなら《魔道士封じのトカゲ》は4枚固定になりそうですね。   さて、そんな赤アグロの波を泳ぎきり、見事チャンピオンに輝いたのはオルゾフピクシーでした。 【MTGアリーナ用インポートデータ】   《養育するピクシー》《陽光真珠の麒麟》の自分のパーマネントを手札に戻すセルフバウンスカードで、《望み無き悪夢》《逃げ場なし》《勢い挫き》を戻して、手札破壊や除去を行ってアドバンテージを稼ぐコントロールデッキです。 このデッキの最大の長所はなんといっても《一時的封鎖》を非常に強く使える点にあります。 《一時的封鎖》はもともと、イゼット果敢対策として注目されていたカードでした。ただの除去では《コーリ鋼の短刀》にはほとんど意味がなく、それがイゼット果敢対策を難しくさせている要因だったのですが、《一時的封鎖》はトークンごと《コーリ鋼の短刀》《嵐追いの才能》をすべて追放できるので、非常に強力です。 それをイゼット果敢側も理解し、メインに《洪水の大口へ》を複数枚採用するようになりました。8枚のキャントリップ+《食糧補充》でかなりデッキを掘り進められるため、2~3枚採用の《洪水の大口へ》をゲーム中に引くことはさほど難しくありません。 《洪水の大口へ》をターン終了時に唱えて《一時的封鎖》を手札に戻し、その時に帰ってきたカードで返しのターンで勝利、という流れは再現性が高く、《一時的封鎖》をイゼット果敢は克服していました。   しかし、オルゾフピクシーの使う《一時的封鎖》は事情が違います。   なぜならオルゾフピクシーは、《一時的封鎖》を有効活用するデッキだからです。《望み無き悪夢》《逃げ場なし》などの2マナ以下のパーマネントを出しておき、《一時的封鎖》で巻き込んでおき、《養育するピクシー》で《一時的封鎖》を戻してそれらのカードを使い回す。これがオルゾフピクシーの基本戦略の1つなのです。 《洪水の大口へ》で《一時的封鎖》を戻しても、《逃げ場なし》が帰ってきて亜《精鋭射手団の目立ちたがり》を除去されたり、《望み無き悪夢》で手札を枯らされては、返しで勝つことはできません。オルゾフピクシーの使う《一時的封鎖》は、ジェスカイコントロールや全知が使うそれとはまったく異なるカードだったのです。 かくして、イゼット果敢を《一時的封鎖》で完全に攻略したオルゾフピクシーは、トップ8を圧倒的パフォーマンスで駆け抜けていきました。なんとイゼット果敢3連戦を、全部ストレート勝ち!   イゼット果敢キラー、オルゾフピクシーが見事栄冠に輝いたのでした。   アメリカ 優勝:ジェスカイコントロール2位:ジェスカイ眼魔3位:イゼット果敢4位:アゾリウス全知5位:ジェスカイ眼魔6位:アゾリウス全知7位:イゼット果敢8位:アゾリウス全知   一方のアメリカは、日本と同じくイゼット果敢が最多勢力だったものの、トップ8に1人のみ。   その代わりにアゾリウス全知が3人、名を連ねています。 【MTGアリーナ用インポートデータ】   最近流行のアゾリウス全知のリストは、ついに《アルケヴィオスへの侵攻》がデッキから抜けました。これまで《全知》を貼ってからの勝ち手段として採用されていた《アルケヴィオスへの侵攻》ですが、《全知》が出ていない状態では5マナのサーチと、今のスタンダードで使用に耐えうるものではなく、手札に溜まってしまうことがそのまま敗北に直結していました。 勝ち手段として今使われているのは《第三の道の創設》。最終的に《全知》によってすべてのカードが無料で唱えられるようになるので、デッキを全部掘り、《第三の道の創設》を出して切削の対象を対戦相手にし、《マラング川の執政》を出して《第三の道の創設》を回収。再び《第三の道の創設》で相手を切削し、《マラング川の執政》Bで《マラング川の執政》Aと《第三の道の創設》を回収。後はこれを繰り返して相手のライブラリーを0枚にすることで勝利となります。 《第三の道の創設》は普通に使用しても、1章で《決定的瞬間》を打ちながら2章で全知を落とし、3章で墓地に落ちた《アブエロの覚醒》をそのままキャストと、《アルケヴィオスへの侵攻》に比べて普段使いが非常に強いのが魅力です。   これまでのアゾリウス全知は《アルケヴィオスへの侵攻》などコンボパーツが多すぎるデッキでした。そのため、サイドから全知以外のゲームプランを用意しても、結局コンボ専用カードがデッキに多すぎるため、ほとんど機能することがなく、結局コンボに特化していました。そのため、《除霊用掃除機》などの墓地対策をクリティカルに喰らうだけで負けてしまう、脆弱なコンボデッキだったのです。 しかし、コンボパーツでもありドロースペルの《マラング川の執政》《乱動するドラゴンの嵐》など、普通のアゾリウスコントロールに入るスペックのカードが入ったことで、サイド後にコンボからアゾリウスコントロールに変わることが可能となりました。 《ミストムーアの大主》《跳ねる春、ベーザ》はそのために採用されており、サイド後は《除霊用掃除機》を出して《全知》をけん制する相手に、《跳ねる春、ベーザ》《マラング川の執政》《ミストムーアの大主》を叩きつけて勝利できます。 日本では残念ながら勝ちきれなかったものの、アゾリウス全知もかなり強化されてきており、非常に強いデッキです。今回の大躍進も頷けますね。   そしてトップ8に緑と黒が1人もいないという、とても偏ったアメリカの地域CSを制したのは、なんとジェスカイコントロール! 【MTGアリーナ用インポートデータ】   赤系アグロに対しては《一時的封鎖》《稲妻のらせん》《審判の日》《跳ねる春、ベーザ》。 ミッドレンジに対しては《三歩先》をはじめとした打ち消し呪文に《マラング川の執政》《食糧補充》のアドバンテージ軍団。 理論上最強のコントロールデッキが、見事アメリカの地域CSを制しました。   デッキの核となっているのが攻防一体の《道の体現者、シィコ》です。アグロ相手には《稲妻のらせん》などを使い回しつつ、飛行警戒4/5のスタッツで鉄壁。 ミッドレンジ・コントロールに対しては《食糧補充》を使い回してアドバンテージを稼ぎます。 親の仇と言わんばかりにアグロ対策を詰め込んだデッキなので、しっかり回ったジェスカイコントロールに勝てるアグロはこの世に存在しないかもしれません。   《稲妻のらせん》は赤いアグロが隆盛する現代においてキーとなるカードと言えますね。《道の体現者、シィコ》で使い回せるのが大きく、アグロ相手のゲームプランはまず《稲妻のらせん》からの《道の体現者、シィコ》になります。 イゼット果敢・赤単アグロを意識しているミッドレンジに対しても強いのがジェスカイコントロールの特徴です。たとえば日本の地域CS優勝のオルゾフピクシーは、ジェスカイコントロールには逆立ちしても勝てません。   《望み無き悪夢》で少し手札を捨てさせても《食糧補充》《マラング川の執政》《道の体現者、シィコ》ですぐリソースを回復され、ライフを削ろうにも《稲妻のらせん》で安全圏へ行き、クリーチャーは根こそぎ除去されてしまいます。 全対面有利。その言葉が過言でないことを、ジェスカイコントロールが優勝によって証明しました。   日本とアメリカ、メタゲームはほとんど同じにもかかわらず全く異なる結果となり、スタンダードの奥深さを実感させられました。

【今週のピックアップデッキ】ディミーア眼魔/4色レジェンズ/赤単ベルチャー

週刊 Modern Pioneer Standard ピックアップ

2025.05.02

mtg Yuyan

こんにちは。 細川 侑也(@yuyan_mtg)です。 今週のピックアップデッキでは、ちょっと珍しいデッキを、軽い解説を交えて紹介していきます。   紹介デッキ ディミーア眼魔 4色レジェンズ 赤単ベルチャー   ディミーア眼魔 スタンダードリーグ(4/29) : 5-0 By ajifly MTGアリーナ用インポートデータ スタンダードからモダン、時にはレガシーでも見かけることのある、超ハイスペッククリーチャー《忌まわしき眼魔》。 墓地を6枚追放するという重いキャスト条件があるものの、ひとたび戦場に出れば毎ターン戦慄予示であっという間に場を支配してくれます。   そして唯一の欠点である重いコストも、あくまでこれは唱える際に必要なものなので、唱えずに戦場に出してしまえば何も問題ありません。   そこで《忌まわしき眼魔》は、主に墓地から直接戦場に出てきます。   墓地からクリーチャーをよみがえらせる、いわゆるリアニメイト呪文は、条件のないものは《ゾンビ化》など4マナ以上である場合がほとんどです。レガシーで一線級の活躍をしている《再活性》はたった1マナでなんでも蘇生できますが、これは例外中の例外。《偉大なる統一者、アトラクサ》をたった1マナで釣り上げるカードは許されていいはずがありません。 しかし、逆に言えば条件付きならば軽いリアニメイト呪文はスタンダードにも存在します。特にマナ総量が3マナ以下のクリーチャーを吊り上げるカードは《救いの手》をはじめ1マナです。これはマナ総量が3以下のクリーチャーは基本的には支配力が低く、1マナで墓地から吊り上げる動きがさほど強力でないためです。 だからこそ《忌まわしき眼魔》を1マナのスペルでリアニメイトする動きは非常に強力です。実質《忌まわしき眼魔》は5~6マナ域の強さのカード。それをマナ総量が3のカードだから《救いの手》で釣り上げるのは完全に非合法の動きです。 モダンでは《発掘》で《忌まわしき眼魔》を吊り上げるディミーア眼魔、スタンダードでも《救いの手》を使ったジェスカイ眼魔が活躍しているわけですが、今回は新たな眼魔デッキをご紹介します。   それがディミーア眼魔。   墓地に《忌まわしき眼魔》を落として吊り上げるという部分は他の眼魔デッキと同じです。ただしスタンダードには《発掘》はないので、《誰も置き去りにしない》でリアニメイトします。 普通に使えば5マナの《ゾンビ化》ですが、マナ総量3以下のクリーチャーを釣る際には2マナになるので《誰も置き去りにしない》は実質《再稼働》。《救いの手》よりは重いですが仕方ありません。   5マナさえ払えば《ゾンビ化》なのでサイド後は《黙示録、シェオルドレッド》を復活させることも可能です。 墓地に落とす手段は《統合の福音者》と《蒸気核の学者》。カードを引いて捨てる、いわゆるルーター能力で墓地へと落としていきます。 そしてドロー・ディスカードによって墓地に《忌まわしき眼魔》を送り込むことから、相性の良いのが《プロフトの映像記憶》。ジェスカイ眼魔でも採用されているこのドローによって強化されているエンチャントを、ディミーア眼魔でも取り入れています。 《冬夜の物語》も《プロフトの映像記憶》と噛み合いながら《忌まわしき眼魔》を墓地に落とせるカードです。 面白いのは《鍾乳石の追跡者》。落魄することでターン終了時に成長していくこのカードは、ルーターによって土地などを捨てた時でもしっかりと誘発してくれます。《プロフトの映像記憶》と合わせてサイズを上げて大型クリーチャーを倒すなど、単純な戦闘以外の使い道があるのも良いですね。 サイドボードには手札破壊に《黙示録、シェオルドレッド》と、ジェスカイ眼魔では採用できないカードたちの姿が多数あります。特に《黙示録、シェオルドレッド》は赤アグロ全盛期の今、かなり注目されています。 青黒なら当然《悪夢滅ぼし、魁渡》も採用できますし、このカードはやはり凄まじい強さ。《誰も置き去りにしない》のために《除霊用掃除機》を出してきた相手に《悪夢滅ぼし、魁渡》忍術を決める動きはあまりにも気持ち良いですね。 《忌まわしき眼魔》を使い倒したい方、ジェスカイばかりではなくたまにはディミーアでいかがですか?     4色レジェンズ パイオニアリーグ(4/28) : 5-0 By  kanara38204 MTGアリーナ用インポートデータ このデッキは一体…?   初見でデッキリストを見て動きがわからないことはよくありますが、じっくり読み込んでもさっぱりわからないのは久しぶりかもしれません。   この4cレジェンズはとにかくその動きが謎に包まれています。   一つはっきりしているのは、《嘘の神、ヴァルキー》と《再覚醒したジェイス》のコンボが搭載されているということです。 《嘘の神、ヴァルキー》を《再覚醒したジェイス》で計画すると、《星界の騙し屋、ティボルト》として唱えることができます。この2枚コンボが採用されています。 このコンボは通常グリクシスコントロールのようなデッキに組み込まれる場合が多いですが、4cレジェンズは4枚の《闇の中の研究者、ナシ》と《策謀の予見者、ラフィーン》で果敢に殴っていくデッキです。 《闇の中の研究者、ナシ》は2マナでリソースを稼ぐクリーチャー。プレイヤーに与えたダメージ分、カードを切削し、そこからエンチャントと伝説のカードを好きなだけ回収できるので、このデッキなら1~2ドロー相当です。   そんな《闇の中の研究者、ナシ》を強化するのが《策謀の予見者、ラフィーン》。《闇の中の研究者、ナシ》はだんだんサイズが上がっていき、切削枚数が増えるカードなのですが、《策謀の予見者、ラフィーン》で強化してしまえば、攻撃していきなり4枚切削なんてことも。切削枚数が増えれば当然手札に加わる数は増えるので、大量のリソースを獲得できます。 《道の体現者、シィコ》は最もデッキ内で重いクリーチャー。墓地のマナ総量3以下のカードをコピーしてタダで唱えられるので、《思考囲い》や《致命的な一押し》などのスペルはもちろん、《策謀の予見者、ラフィーン》を戦場に出すことも可能です。 この伝説軍団たちと一緒に採用されているのが《不浄な別室+祭儀室》。一見するとデーモンがいないデッキに見えますが、実は《策謀の予見者、ラフィーン》がデーモンなので、《不浄な別室+祭儀室》との相性は良好です。 とはいえ、このデッキの《不浄な別室+祭儀室》はただ単に強力なカードとして採用されています。《致命的な一押し》《思考囲い》《不浄な別室+祭儀室》はそれだけで黒いミッドレンジを成立させるほどの強さを持つカードたち。特別なシナジーなど必要としていません。   エンチャントなので《闇の中の研究者、ナシ》で拾うことができるのは美味しいですね。 時にはハンデスと除去から《不浄な別室+祭儀室》を置いて勝ったり、またある時は《闇の中の研究者、ナシ》から《策謀の予見者、ラフィーン》で大量リソースを獲得したり、《道の体現者、シィコ》で粘り強く勝ったりと、同じデッキとは思えない顔を持っているのがこの4色レジェンズ。   すぐに同じデッキに飽きてしまう方にはオススメ!     赤単ベルチャー モダンリーグ : 5-0 By  slowbro1 デッキ内の土地を0枚にして《ゴブリンの放火砲》で一撃必殺を狙うコンボデッキ、ベルチャー。 『モダンホライゾン3』で大量の表面が呪文で裏面が土地の両面ランドが登場してからモダンでメタデッキ入りを果たし、現在は大量の打ち消し呪文を採用した青単ベルチャーが主流となっています。 今回ご紹介するのは、対照的なカラーである赤単ベルチャー。   両面ランドを入れて土地を0枚にして《ゴブリンの放火砲》を打つことは同じですが、それ以外はまったく青単と異なる動きを見せるのがこの赤単ベルチャー。   青単ベルチャーが土地を毎ターン置き、《睡蓮の花》から7マナで《ゴブリンの放火砲》を決めるのに対し、赤単は《発熱の儀式》《捨て身の儀式》でマナ加速して《ゴブリンの放火砲》キャストにこぎつけます。 《ゴブリンの放火砲》と最も相性の良いマナ加速が《アイレンクラッグの妙技》。4マナで7マナを生み出す規格外のマナ加速ができる代わりに、後1回しか呪文が唱えられなくなってしまうカード。《ゴブリンの放火砲》の設置は4マナ、起動は3マナなので、なんと《アイレンクラッグの妙技》1枚で《ゴブリンの放火砲》が打ててしまうのです。 そのため、2ターンキルも現実的です。《捨て身の儀式》《発熱の儀式》《アイレンクラッグの妙技》《ゴブリンの放火砲》、この4枚だけで2ターンキルです!   これらのマナ加速は基本的に2マナで3マナを生み出すので1マナ加速にしかなりませんが、《ルビーの大メダル》があれば1マナで3マナと、2マナ増える呪文になります。2ターン目に《ルビーの大メダル》を設置すれば3ターン目にセットランドから2回儀式を打つだけで7マナになるので、やはり《ゴブリンの放火砲》で勝利。《ゴブリンの放火砲》さえ引ければ3ターンキルは容易なデッキです。 《ゴブリンの放火砲》を引くためのドロースペルは《街道筋の強奪》《苦々しい再会》《不可能の一瞥》。青単ベルチャーが《稲妻罠の教練者》《ファラジの考古学者》《発明品の唸り》を使うことを考えると、少し心もとなく感じますよね。 その点はご安心ください。《ゴブリンの放火砲》は4枚しか採用できませんが、その代わりに追加のフィニッシャーが入っています。それが《嵐鱗の末裔》です。 6マナのストーム付きのドラゴンで、更に他のドラゴンを+1/+1するので、2体並べば5/5×2、3体なら6/6×3と、ストーム2で出しても致死量です。   先ほど紹介した《街道筋の強奪》と《苦々しい再会》はただのドロースペルではなく、《嵐鱗の末裔》を意識しています。《街道筋の強奪》を2ターン目に計画すれば、3ターン目の《嵐鱗の末裔》のストームを増やせますし、《苦々しい再会》で速攻を突ければ《嵐鱗の末裔》を出したターンにゲームを終わらせられます。   《アイレンクラッグの妙技》で赤マナを7つ出し、6マナから《嵐鱗の末裔》をキャスト、余った1マナで《苦々しい再会》を生け贄にして速攻パンチは美しすぎますね。 青単ベルチャーのように妨害を採用できない代わりに、とにかく速さに特化しているのがこの赤単ベルチャーなのです。   青単には効果的な《石のような静寂》は《嵐鱗の末裔》には無力だったりと、微妙に効くサイドカードが違うのも、赤単ベルチャーの魅力です。 その代わりに《嵐鱗の末裔》のストームと《ゴブリンの放火砲》を打ち消せる《記憶への放逐》が青単に比べてかなり効きやすくなっていますが、それをしっかりと理解しており、《防御の光網》を4枚サイドに用意しています。 一度2ターンキルを味わってしまえばもう青単ベルチャーには戻れなくなるかもしれませんよ?