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チャンピオンズカップファイナル参加&モダンオープン優勝レポート

Modern Pioneer ピックアップ

2024.10.18

mtg Yuyan

先週末は、先週末は静岡で行われたチャンピオンズカップファイナルとモダンオープンに参加してきました!今回の旅も前日から前乗りしていたので、1日ごとに写真で振り返ります。 金曜日:沼津 今回の旅は車だったので、東京から静岡駅に向かう途中の沼津に寄ることに。バーン使いのリュウジことBIG MAGICの村栄 龍司が第二の故郷と呼んでいる沼津。東京から新幹線で近くて漁港なのでとにかく海鮮が美味しく、リュウジに誘われて行ったのがきっかけで、僕自身もハマってしまい、今では観光案内がそれなりにできるほどになりました。というわけで沼津港を練り歩きながらひたすら食べ尽くし… 中央亭の餃子 マグロステーキ ラストはグランマのシュークリームを食べつつ、ケーキをテイクアウト。 その後はいろいろとありながら夜に静岡駅近くの宿に辿り着き、就寝。 土曜日:CCF本戦 はい、というわけで本戦です。フォーマットはパイオニア。使用デッキはアゾリウスロータスでした。 アゾリウスロータス アゾリウスロータスについては以前の記事をご覧ください。 ぶっちゃけると、世界選手権まで時間がなく、ほとんどの時間をドラフトとスタンダードに費やしていたので、パイオニアはプレイしていませんでした。なので半ばロータスコンボに決め打ちしていて、何か良いデッキがあれば直前に乗り換えようとしていました。それがチャンピオンズカップファイナルから更に一週間前の話。その夜、ダイレクトメッセージが飛んできます。送ってきたのは、アメリカ地域CSでアゾリウスロータスを使い、トップ8に入賞したパトリック・ウーさん。この方、地域CSで4回アゾリウスコントロールでプロツアーの権利を獲得した超アゾリウスマスター。今年の世界選手権の権利もアゾリウスコントロールで獲得しています。 画像は公式サイトより。一番右の方がパトリック・ウーさん。 パトリック・ウーさんと僕はアゾリウスコントロールの絆で結ばれており、たびたび地域CSやプロツアーのたびにダイレクトメッセージをやり取りする仲でした。そのパトリック・ウーさんがアメリカ地域CSの初日が終わった時にメッセージを送ってきてくれたのです。その内容は…「日本の地域CSはいつだい?」でした。来週であることを告げると、パトリック・ウーさんは「俺のアゾリウスロータスがおすすめだよ!」と言い切ってくれました。これはもう乗るしかないと思い、アゾリウスロータスに決定。事前に僕が予想したメタゲームでもアゾリウスロータスは良いと感じていたので、最強のアゾリウスロータス使いが信じるそのデッキに全ベットすることに決めました。(僕の想定ではラクドス果敢、アゾリウスコントロール、ラクドス異形化の順に多く、すべてにアゾリウスロータスは有利だったのです)ちなみに今回は村栄 龍司率いる村栄塾で意見交換をしており、僕以外の全員が《美術家の才能》入りのイゼットフェニックスに決定。ロータスが無理なメタゲームなら僕もイゼットフェニックスに乗ろうとしていました。 イゼットフェニックスに自信のない僕ですら使いたくなるほど、《美術家の才能》入りのイゼフェニは良い!さて、アゾリウスロータスに決めたらそこからは微調整。 パトリック・ウーさんのフィードバックを受けて、《アーデンベイル城》を抜いて《噴水港》へ。元々白マナは過多だったので、単純にカードパワーの比較となりますが、トークンを生け贄にしてカードを引けるのは素晴らしく、一方で《アーデンベイル城》でトークンを生み出したいタイミングはあまりなかったので、《噴水港》の方が良いと思いました。 《記憶の氾濫》の4枚目は欲しいと思うことは多々あったものの、《記憶の氾濫》が必要なマッチは主にミラーマッチやエニグマなど遅い相手や、黒系ミッドレンジ。ミラーマッチやエニグマには元々強く、黒系ミッドレンジは少ない想定だったので、3枚にとどめました。 そこから直前でイゼットフェニックスが想像よりずっと良いことを受け、墓地対策をサイドに取ることに。スロットがないため《ドビンの拒否権》をメインボードに1枚移動し、デッキは完成。 本戦結果 ○×× ボロス果敢○○ イゼットフェニックス×○× ラクドス果敢×○○ ラクドス果敢×○○ ラクドス果敢○○ アゾリウスコントロール×× セレズニアカンパニー4勝2敗からバブルマッチで世界最強の一人、熊谷 陸に負けて初日落ち。相性かなり良いマッチだったが、ワールドプレイヤーには勝てず。 画像は公式サイトより引用 フルボッコにされているカバレージが残っていますので、興味のある方はどうぞ。余談ですが、僕はこのカバレージライターの大久保くん(もう数年来の友人でありかつての仕事仲間)が担当するフィーチャーマッチで勝ったことがありません。まあ最後のセレズニアカンパニー戦はツかなかったですが、ここで勝って初日を抜けても、今回は良い成績でトーナメントを終えることはなかったでしょう。苦手寄りのラクドスミッドレンジ・黒単デーモンが非常に多く、アゾリウスコントロールがその分少なかったので、アゾリウスロータスはあまり良い選択ではありませんでした。先週のアメリカ地域CSは最高のメタゲームだったのですが。「デッキをシェアしてくれた上に、様々な意見をくれたパトリック・ウーさんには申し訳ないことをしてしまったなぁ……」と思いつつ、翌日のモダンオープンの登録を行いました。 この日の夜はアリーナオープン初日でしたが、力線2枚引いた後に力線3枚のゴミプールを掴んで2回とも即死。ちなみに同じ部屋に泊まった友人は《粉砕コースター》を引いて一発抜けしていました。 ちなみに、黒単デーモンとラクドスミッドレンジがここまで多かったなら、使うべきデッキはゴルガリ陰湿な根だったかもしれません。 僕がエリア予選を突破したデッキで、とにかく回すのが楽しくて大好きな愛機だったのですが、前述のようにパイオニアの練習ができていなかったので完成させられませんでした。 《ベイルマークの大主》が入ってデッキパワーも上がっていたので、少し試せばよかったですね。今回一番後悔しているポイントです。 日曜日:モダンオープン 最終日はモダンオープンです。 初日落ちをケアして複数のフォーマットのデッキを持ってきています。というか僕はモダンがとにかくやりたかったのです。スタンダードやドラフトの練習をしなきゃいけないわけですが、細かいことには目をつむりましょう。使用デッキはぐるぐるロータスです。 ぐるぐるロータス ぐるぐるロータスの詳しい解説はまた来週書きますが、簡単に言えば《睡蓮の原野》を《ぐるぐる》でアンタップしてマナを増やしたり、《一つの指輪》をアンタップして大量にカードを引くデッキです。なぜこのデッキを使ったか。簡単です。ぐるぐるロータスが最高だからです。それ以上に言葉は必要ありません。 最高すぎて一人回しをずっとしたかったのですが、パイオニアで《睡蓮の原野》を使っているので回すことすらできず、欲求不満状態でした。 本戦結果 ○○ ジャンド昂揚○○ ジェスカイコントロール○○ ディミーアマークタイド○○ エルドラージ○○ マルドゥエネルギー○×○ エルドラージ○×○ ボロスエネルギーIDID7-0-2でトップ8に。○○ 青単ベルチャー○×○ マルドゥエネルギー○○ ボロスエネルギー優勝! 公式より引用 しっかり《睡蓮の原野》を引き込めたり、負けるギリギリ前のターンでトップデッキをしたりと、「今日は優勝しそうだな~」となんとなく思っていたら、そのまま優勝! 最高に面白いデッキで最高の結果が出せて嬉しい!2年前のパイオニアオープンでは準優勝だったので、雪辱を果たしました! この日がぐるぐるロータスの初回しだったのですが、メインボードはほぼ完成されていて、特にいじりたいところは見つかりませんでした。 一方、サイドボードにはそれなりに不満がありました。 《オアリムの詠唱》VS《沈黙》 まず《オアリムの詠唱》より《沈黙》の方が優れていると感じました。《オアリムの詠唱》はキッカーすると相手の攻撃を止めることができますが、対戦相手を対象に取る必要があるので、《一つの指輪》を置かれると打てなくなります。 これは対ジェスカイコントロール戦で致命的になりうると思いました。《否定の力》のバックアップ込みで《一つの指輪》を出してきた返しは大きな隙で、そのタイミングでコンボを決めるために《オアリムの詠唱》を打ちたいのに打てない。これは致命的。 入れるマッチアップはルビーストーム・ディミーアマークタイド・ジェスカイコントロールなどであり、これらのうちディミーア以外には攻撃を止める能力はほぼ使いません。 それなら、《一つの指輪》のプロテクションを無視できる《沈黙》の方が良い! 《大梟の小夜曲》より《記憶への放逐》 それなりに万能な打ち消し……かと思いきや、入れる相手は大体エルドラージ。クリーチャーとアーティファクト同時に触れますからね。でも同じことが《記憶への放逐》でもできます。というか誘発を打ち消せる分、《記憶への放逐》の方が強い。 《大梟の小夜曲》が優れたマッチアップはルビーストームで、《モンスーンの魔道士、ラル》と《ルビーの大メダル》の両方を打ち消せるからなのですが、対ストームを過剰に意識する必要はないと思いました。 《記憶への放逐》はエルドラージにサイドインするには最適。カウンターとして万能な他、《睡蓮の原野》を2ターン目に設置できる(誘発型能力を打ち消すことで)ので、妨害とコンボのどちらにも貢献してくれます。 エネルギーに一番強いのは《一時的封鎖》! エネルギーと戦っていてとにかく強かったのが《一時的封鎖》。《願い》からサーチしてメイン戦を制すことはもちろん、サイドインして引いて勝ったりもしました。 正直1枚じゃ全然足りず、2枚は欲しい。3枚目すら検討しました! 《外科的摘出》が気になる 現状のリストだと《願い》を《外科的摘出》で抜かれた瞬間、勝ち手段がなくなります。 《タッサの神託者》をサイドインすればそれは防げますが、それだと《願い》から勝ち手段にアクセスしたい時に困るので、何かしら1枚入れておきたいと思いました。 以上を踏まえた最新リスト   次は世界選手権……の前に 週末はモダン神挑戦者決定戦に出場します。 モダンオープン翌日のモダン神挑戦者決定戦トライアルでもぐるぐるロータスで優勝して不戦勝をゲットできましたからね!ぐるぐるロータス解説記事に優勝報告を入れられたらいいのですが、そんなに上手くいかないのがマジックというもの。肩の力を抜いて楽しんできます!ぐるぐるロータスの記事、お楽しみに!

【今週のピックアップデッキ】ドゥームズデイコントロール/アゾリウスアーティファクト/5色人間

Modern Pioneer Standard ピックアップ

2024.10.17

mtg Yuyan

こんにちは。 細川 侑也(@yuyan_mtg)です。 今週のピックアップデッキでは、ちょっと珍しいデッキを、軽い解説を交えて紹介していきます。 ドゥームズデイコントロール(スタンダード) スタンダードリーグ:5-0 By andrw1232 ライブラリーと墓地から好きな5枚を選び、それ以外のカードをすべて追放する《最後の審判》。レガシーやヴィンテージでは息の長い活躍をしており、つい先日もレガシー神挑戦者決定戦を制していました。《最後の審判》の英語名であるDoomsday。この名を持つデーモンが『ダスクモーン:戦慄の館』で登場したことを皆さんはご存知でしょうか?その名は《終末の加虐者》。まずは衝撃のマナコスト。(黒)(黒)(黒)(黒)(黒)(黒)なんていうマナコストのクリーチャーはマジック史上初めてです。一応『アングルード』に《B.F.M.》という黒15を持つクリーチャーがいますが、あれは例外でしょう。《最後の審判》2枚分のマナコストを持つ《終末の加虐者》は、唱えて戦場に出ると、各プレイヤーのライブラリーの下6枚を除くすべてのカードを裏向きで追放します。お互いに《最後の審判》を下している、といったフレイバーなのでしょうか。本家と違い、好きなカードを選んで残りを追放するわけではないので、カードを積み込んで勝つような使い方はできません。しかし、本家《最後の審判》にない利点が《終末の加虐者》にはあります。それは相手のライブラリ―も6枚にしてしまえるという点です。これにより、《終末の加虐者》を出して相手に《完成化した精神、ジェイス》のマイナス能力を起動するだけでゲームに勝利できてしまうのです!このコンボを取り入れたのがディミーアコントロール。基本的には除去と打ち消しで生き延び、隙を見て《完成化した精神、ジェイス》を着地。《終末の加虐者》を唱えてゲームセットという流れ。除去が大量に入っており、《完成化した精神、ジェイス》自体も生き残りやすい性能なので、このコンボが意外と決まります。いつも《完成化した精神、ジェイス》が生き残るわけではありませんが、そこは安心してください。《終末の加虐者》を出してライブラリーの下6枚のどこかに《完成化した精神、ジェイス》があれば良いです。こればかりは運ですが、たとえばマリガンで《完成化した精神、ジェイス》を下に送っていれば、確実にライブラリーのボトムにあるので、勝利は保証されています。《完成化した精神、ジェイス》以外でも《不穏な浅瀬》のアタックで4枚削っても良いですし、《終末の加虐者》さえ出してしまえばゲーム勝利は目前。コントロールはある程度優勢になってから、ゲームに勝つまでの時間が長いのが課題。その間に相手にトップデッキをされてしまいますし、そのカードが《世話人の才能》のように大量のリソースを獲得するものだった場合、逆転されてしまいます。このドゥームズデイコントロールは《終末の加虐者》さえ引けばすぐに勝利できるのが魅力ですね。コントロールとして立ち振る舞い、突然の勝利。パイオニアを支配したディミーアインバーターっぽさもあるこのデッキ、試してみたいですね。 アゾリウスアーティファクト(パイオニア) パイオニアリーグ:5-0 By Saporon 『ビッグスコア』の中でも一際注目を集めたカードと言えば《身代わり合成機》。マナ総量3以上のアーティファクトが戦場に出るたびにトークンを生成するこのカードは、特に下環境では使われることはあったものの、パイオニアでは全くと言って良いほど見かけないカードでした。《身代わり合成機》は戦場に出た時は盤面に影響を及ぼさないため、高速化しているパイオニアでは出す暇がありません。モダンやレガシーでは、「マナ総量は3以上だが0マナや1マナで唱えられる」《金属ガエル》や《思考の監視者》と組み合わせることにより、《身代わり合成機》を出したターンにもトークンを生成できますが、パイオニアには親和を持つカードはないので、どうしても上手く活用できませんでした。しかし、今回ご紹介するアゾリウスアーティファクトは、この《身代わり合成機》を最大限までしゃぶり尽くすデッキです!まず紹介しなければならないのは《金属製の巨像》!11マナ10/10というマナコストもサイズも巨大なクリーチャー。当然11マナなんて支払えるわけありませんので、軽減する能力がしっかりついています。自分がコントロールしているクリーチャー以外のアーティファクトのマナ総量の合計分だけ、コストが軽くなります。つまり《身代わり合成機》が1枚あれば8マナになるというわけですね。この《金属製の巨像》《身代わり合成機》と最高の相性なのが《真鍮の拳》。戦場に出た時に《真鍮の拳》のコピーを生成するので、即座にマナ総量4のアーティファクトが2つ出ます。当然《身代わり合成機》は2回誘発して2体のトークンが出てきて、更に《身代わり合成機》の3+《真鍮の拳》4×2で合計コストは11.《金属製の巨像》が0マナで出て、更に《身代わり合成機》が誘発。これだけで7/7のトークンが3体と《金属製の巨像》が場に出る、すさまじい場になります。さて、爆発力がわかったところで、足場を固めるカードたちも紹介しましょう。まずは安定の除去、《ポータブル・ホール》。アーティファクトなのでしっかり《金属製の巨像》のカウントや《身代わり合成機》のトークンのサイズアップに寄与してくれます。《月罠の試作品》はアーティファクトかクリーチャーをタップすることで無色マナを生み出せるアーティファクト。《ポータブル・ホール》なんかを寝かせるとちょっとお得な気分になります。相手への干渉手段があまり多くないデッキなので、魂力で使うこともしばしば。デッキ内のほとんどがアーティファクトなので、《加工鋳造所》も素晴らしいカードになります。《アイレンクラッグ》もそうですが、マナを生み出すアーティファクトは《金属製の巨像》のキャストをかなり助けてくれます。他にも《金色の両翼》や《結婚式への招待状》など、他のデッキでは見ないカードたちが盛りだくさん!ド派手なアーティファクト戦略がお好きな方はこのデッキに決まり! 5色人間(モダン) モダンリーグ:5-0 By RowdyGainz かつてモダンを代表するアグロデッキの1つだった5色人間。それぞれの色やマルチから最強の人間たちが集まって完成した5色人間は、主にヘイトベアーたちの集まりでした。非クリーチャー呪文のコストを重くする《スレイベンの守護者、サリア》。手札から有効なカードを抜き去る《帆凧の掠め盗り》。《稲妻》を指定して除去を禁止したり、コンボデッキのキーパーツを封殺する《翻弄する魔道士》。しかし、なんと今回ご紹介する5色人間にはそれらの定番だった人間たちが1枚も入っていません!早速、新生5色人間に選ばれた新メンバーを紹介していきましょう。まずは『モダンホライゾン3』の問題児の一人、《魂の導き手》。エネルギーデッキで活躍するカードですが、この人間は単体でもエネルギーを生成し、それを利用できるので、デッキ内のエネルギーがこのカードだけでも十分に活躍できます。続いて《マネドリ》。こちらは前までは《幻影の像》が入っていたので、同じ役割。《サリアの副官》《銅纏いの先兵》をコピーすれば全体強化で、2ターン目ならば2枚目の《教区の勇者》になって速やかに成長して相手を殴り倒すことも。飛行がついているので《教区の勇者》になった時の恩恵が地味に大きい。パイオニアの人間でも活躍する《銅纏いの先兵》は、《サリアの副官》より少し強化の面では劣りますが、護法を付与して除去に耐性をつけてくれます。これも《マネドリ》でコピーしたらおいしい人間。面白いのは《二の足踏みのノリン》の3枚採用。一見何をするかわからないこのカードですが、《教区の勇者》・《サリアの副官》のサイズを上げてくれるだけでなく、《魂の導き手》でエネルギー生成とライフ回復、更に《潜入者、悟》でドローもできちゃいます。その《潜入者、悟》はこのデッキのアドバンテージ源。先に挙げた《二の足踏みのノリン》以外でも《霊気の薬瓶》からクリーチャーを出しても誘発しますし、《イーオスのレインジャー長》で《二の足踏みのノリン》をサーチできるので、《潜入者、悟》が残ればそれなりにドローする機会は多いはず。これまでの人間がヘイトベアーを展開しながら速やかに殴りきる構成だったのに対し、この人間デッキは速度を意識しつつ、アドバンテージを重視した構成と言えますね。なかなか戦いづらいアグロデッキに見えます。5色人間、モダンで復権なるか?

【週刊メタゲーム通信】黒単デーモンがワンツーフィニッシュ!静岡のメタゲームをお届け!

Pioneer ピックアップ

2024.10.16

mtg Yuyan

こんにちは。 細川 侑也(@yuyan_mtg)です。 今回は先週末に静岡で行われたチャンピオンズカップファイナル静岡の結果をお届けしていきます! メタゲーム チャンピオンズカップファイナル静岡のメタゲームをまずはご紹介していきます。 ラクドス果敢(11.3%) アメリカではアゾリウスコントロールにトップを譲りましたが、今大会ではトップメタに。 除去がないデッキに対しては3ターンキル。かと思えばサイドからは手札破壊や《ウラブラスクの溶鉱炉》で様々な攻め方も可能。すさまじい強さのアグロデッキです。 ただ、このメタゲームを想定していたプレイヤーも多かったので、軽い除去が飛び交うトーナメントとなりました。 ラクドスミッドレンジ(10.9%) アメリカと大きく異なる結果となったのが、ラクドスミッドレンジの人数。 ラクドス果敢とほぼ同数の使用者を誇り、日本ならではのメタゲームといえるでしょう。 リストについては本記事で紹介します。 黒単デーモン(8.6%) 今大会で優勝・準優勝と圧倒的な勝ち組だった黒単デーモンは3番人気でした。 《不浄な別室》+《止められぬ斬鬼》を使うのはラクドスミッドレンジも同じなので、実質この2種のカードを採用した黒系ミッドレンジが50人。20%近くとなりました。 イゼットフェニックス(8.2%) 日本では使用者が少ないと思われていたイゼットフェニックスでしたが、今回は比較的多い21人のプレイヤーが選択。 前週の活躍、そして新たに加入した《美術家の才能》の強さに惚れ込んだプレイヤーが多かったのかもしれません。 当日は僕もプレイヤーとして参加していましたが、イゼットフェニックスに自信がありそうなプレイヤーはみんなイゼットフェニックスをプレイしている印象でした(高橋 優太さんを除く)   メタゲームブレイクダウンは公式の記事に詳細がございますので、こちらからどうぞ。 黒単デーモン チャンピオンズカップファイナル静岡 :優勝 By Tomoaki Ogasawara 静岡の決勝戦は共に同タイプのデッキ、しかも同じ調整チームのメンバー同士の戦いとなりました。既に何度かご紹介しているデッキですが、まずは簡単にデッキの動きを振り返りましょう。黒単デーモンは《止められぬ斬鬼》《アクロゾズの放血者》による一撃必殺コンボを搭載したミッドレンジ。黒を使う最大のメリットである《思考囲い》《強迫》の8枚の手札破壊や《致命的な一押し》《シェオルドレッドの勅令》といった除去で、アグロ・ミッドレンジ・コントロールすべてのデッキに対応できます。使った手札を回復する手段としてこれまでは《勢団の銀行破り》が定番でしたが、このデッキがデーモンと呼ばれる理由、《不浄な別室》がメインのアドバンテージ源となっています。今のパイオニア環境は早く、《勢団の銀行破り》に費やす2マナすら惜しい場合が多々あります。一方の《不浄な別室》はただ3マナを支払うだけで毎ターンカードを引くことができ、デーモンをコントロールしていれば2点ドレインと、あまりに強いカード。この《不浄な別室》の加入により、《勢団の銀行破り》は2枚までその枚数を減らすことになりました。ここまではこれまでの黒単デーモンと変わりない部分ですが、今回世界選手権の権利を獲得した2人のリストで大きな特徴が、《ドロスの魔神》を0枚にしたところです。《ドロスの魔神》は従来の黒単には必ず4枚採用されていたカードでした。デーモンかつ相手に除去されにくいので《不浄な別室》のドレインを安定させてくれて、速やかにライフを削りきってくれます。このデッキで不動のパーツと思われた《ドロスの魔神》を抜いたのです。そのスロットには《墓地の侵入者》や《絶望招来》が入っています。《ドロスの魔神》は赤い相手には生き残りやすい一方、黒ミラーにおいては弱いカードであり、今回のメタ的に黒いデッキが勝ち上がることを予想していたのでしょう。《ドロスの魔神》は4マナと重く、戦場に出た時に何かするカードではないので、除去されるとただテンポをロスします。《アクロゾズの放血者》ほど除去されなかった時のバリューは高くありません。一方、代わりに入った《墓地の侵入者》は、除去する際に手札を要求するクリーチャーであり、ミッドレンジ対決では優秀です。《絶望招来》も黒ミラーやコントロールに対して強力な1枚です。《ドロスの魔神》を抜いてこれらのカードに変更したことにより、黒系ミッドレンジとアゾリウスコントロールに明確に強くなっていますね。見事なデッキ調整でワンツーフィニッシュを決めた黒単デーモン、素晴らしいの一言です! ラクドスミッドレンジ チャンピオンズカップファイナル静岡 :4位 By Hiroki Nakahara 今大会のメタゲームの大きな特徴はラクドスミッドレンジの増加です。ラクドス果敢に続く二番手となっており、そのリストの詳細はというと、黒単デーモンに赤を足したような形です。赤が入っているので《アクロゾズの放血者》を出すのが厳しくなっており、4マナ圏には《ドロスの魔神》が採用されているだけ。これと《不浄な別室》のデーモンシナジー、そして《止められぬ斬鬼》はただ強すぎる3マナ域として採用。《アクロゾズの放血者》とのコンボがなくとも、普通に強すぎるカードなのです。よく考えてみれば、ダメージが通ると相手のライフを半分にするわけですから、3マナでパワー11相当。しかも追放以外の除去なら戦場に戻ってくるのですから、すさまじい性能を持つクリーチャーですよね。この新たな黒の強力な2種のカードを取り入れた以外は、従来のラクドスミッドレンジとさほど変わりありません。《税血の収穫者》《鏡割りの寓話》といった、手札を入れ替えられるクリーチャーたちと手札破壊、除去の組み合わせです。 黒単デーモンと非常に似た構造となっており、《鏡割りの寓話》を使いたいならラクドス、土地周りの強さを取るなら黒単デーモンといったところでしょうか。黒単の場合は色事故は当然ありませんし、土地によるダメージも痛くありません。そして《ロークスワイン城》という超強力な土地を採用することができます。メリットたっぷりの黒単デーモンですが、それでも赤を足したい理由もわかります。何せこちらはレガシーでも一線級のカード、《鏡割りの寓話》を使えるのですから。 当然この《鏡割りの寓話》はミッドレンジ対決で最強の1枚で、黒単とラクドスが戦った場合は、ラクドスが有利だと思っています。それほど《鏡割りの寓話》はすごいカードです。黒単デーモンとラクドスミッドレンジ、共通しているのは軽い手札破壊・除去から強力な3マナ域を投げ、そこから脅威を連打し続けるというもの。 このデッキを攻略するのは非常に難しいように思えるので、今後各国で行われる地域チャンピオンシップの結果には注目していきたいところですね。 セレズニアカンパニー チャンピオンズカップファイナル静岡 :4位 By Taichi Morikawa さて、そんな黒いデッキの隆盛に真っ向から立ち向かうのがこのセレズニアカンパニー。ラクドス果敢に強いデッキとして、前週のアメリカ地域チャンピオンシップでトップ8に入賞し、話題となっていました。デッキの構造は非常にシンプルなのが、もうそのリストから伝わってきますね。21枚の土地に35枚のクリーチャー、そしてデッキ内唯一の非クリーチャー呪文は《集合した中隊》です!これまでのカンパニーデッキ史上、最も《集合した中隊》が当たりやすいデッキではないでしょうか。このデッキで《集合した中隊》が1枚しかめくれなかった日は、早めのドロップを検討したくなるレベルです。《ラノワールのエルフ》《エルフの神秘家》の2種のマナクリーチャーから3マナ域を連打していくこのデッキ。《集合した中隊》で強いカードをめくるためにデッキには大量の3マナが入っているので、これらのマナクリーチャーは必須ですね。《エメリアのアルコン》《選定された平和の番人》といった制限をかけるカードたちに、万能除去の《スカイクレイブの亡霊》。そして疑似的な打ち消し呪文である《エイヴンの阻む者》。これらのカードを展開していくだけでは手札が減ってきてしまいますが、それを補うのが《永劫の無垢》。 従来、この役割を果たすクリーチャーは、除去されてしまったらそれまでだったので、なかなかゲームプランに組み込むことができなかったのですが、《永劫の無垢》は死亡するとエンチャントとして戻ってくるので、ほとんどのマッチでしっかりと機能してくれます。このセレズニアカンパニーを成立させているカードと言っても過言ではありません。《トカシアの歓待》と違って《集合した中隊》でめくれてくれるのも、カンパニーデッキとしては素晴らしい、《トカシアの歓待》を2枚引いてもカードは引けませんが、《永劫の無垢》を2枚引いた場合はドローできるので、重ね引きも美味しい。ちょっと《永劫の無垢》、強すぎるかもしれません。ラクドス果敢に強い他、《永劫の無垢》が定着しやすい(=追放除去が少ない)黒系ミッドレンジ・コントロール全般にもそれなりに強いのがセレズニアカンパニーの魅力。ラクドスには《塔の点火》は必須になるかもしれませんね。黒と赤の活躍が目立つパイオニア環境ですが、そこに一石を投じるセレズニアカンパニー。優勝を収める日もそう遠くはない!?

【週末のススメ】ジャパンスタンダードカップ直前!オススメのデッキ3選

Standard ピックアップ

2024.10.09

mtg Yuyan

こんにちは。 細川 侑也(@yuyan_mtg)です。 今週末はプレイヤーズコンベンション静岡!その中のメインイベントの1つでもあるジャパンスタンダードカップに向けて、オススメのデッキを紹介していきます! 白単コントロール スタンダードチャレンジ :優勝 By Graciasportanto まずご紹介するのは白単色のコントロールデッキ。全体除去と言えば白ですが、近年ではドローの質も上がっており、白単だけでも十分にコントロールが可能となっています。クリーチャー群の中で目に付くのはやはり4枚の《跳ねる春、ベーザ》。グルール力線をはじめ、アグロデッキが多い環境なので、このカードは絶対に4ターン目にプレイしたいのでしょう。『ダスクモーン:戦慄の館』から加入した《永劫の無垢》は強力なリソース手段。《大天使エルズペス》や《人参ケーキ》などからトークンを生み出しつつ、相手ターンでも《噴水港》でカードが引けるので、追加の《世話人の才能》のように機能してくれます。クリーチャーは少ないですが、トークン自体は並んでくれるので、《血滾りの福音者》は高い打点を稼いでくれるでしょう。インスタント・ソーサリーはすべて除去。《軍備放棄》は白単を使う理由になるソーサリー。僅か1マナでほぼ好きなカードを除去できるので、序盤から後半まで常に強いカードです。《軍備放棄》を使いながら展開や更なる除去は1マナだからこそ為せる業。《失せろ》は万能除去である一方、《魂の仕切り》には疑問が残るかもしれません。長いゲームを想定したデッキなので、「2マナ重くした程度では出し直されて、アドバンテージを失うのではないか?」と思いますよね。しかし、一度《世話人の才能》や《永劫の無垢》と《噴水港》などで準備が整ってしまえば、手札の枚数に困らないのが白単コントロール。序盤さえ凌いでしまえば、後から出てきたクリーチャーは《太陽降下》できますからね。更に自分のカードを追放して逃がすこともあります。《永劫の無垢》を追放すれば再びクリーチャーとして唱えられますし、《跳ねる春、ベーザ》や《人参ケーキ》、《世話人の才能》なんかも使い回せます。このようにいつ引いてもある程度使えるカードである点も加味して、採用されているのでしょう。ただの除去にしてしまうと、これだけたくさん入っているので、手札に除去だけ溜まってしまう場合も多々ありますからね。アグロデッキには圧倒的な相性を誇る一方、どうしてもコントロールデッキは苦手。サイドボードに入っている《イモデーンの徴募兵》はコントロールやミラーマッチなど、全体除去を打ちあってゲームが決まらない相手への対策です。エンド前に複数の《噴水港》からトークンを出しつつ、メインで《血滾りの福音者》を追加して《イモデーンの徴募兵》で全部殴って一撃でライフを0にしてしまおうという狙いですね。《世話人の才能》でトークンのサイズも上がっているので、それなりに完遂します。単色なので色事故もせず、カードもたくさん引けてとても楽しいデッキです。とにかくビートダウンに負けたくないなら、白単コントロールがオススメです。 アゾリウス眼魔 スタンダードチャレンジ:準優勝 By DuduDeNunu 『ダスクモーン:戦慄の館』で今最も話題の神話レア、《忌まわしき眼魔》。3マナ5/5飛行というすさまじいスペックに、対戦相手のターンになると戦慄予示を行う能力。一瞬で盤面が強固になるクリーチャーです。ただし、唱えるためには墓地を6枚追放しなければならないので、使えるデッキはある程度限られてきます。このアゾリウス眼魔は、元々はアゾリウスメンターと呼ばれているデッキでした。"メンター"《僧院の導師》と《傲慢なジン》を《錠前破りのいたずら屋》で墓地に落とし、《救いの手》で吊り上げて殴っていくコンボ内蔵のクロックパーミッション、それがアゾリウスメンターです。墓地を大量に溜めることができ、墓地から3マナ以下のクリーチャー・カードを吊り上げるのがデッキコンセプト。そう、《忌まわしき眼魔》との相性が非常に良いデッキなのです。そして抜けていったのは悲しいかな、デッキ名を冠していた《僧院の導師》でした。同じ3マナ域ですが、《忌まわしき眼魔》は何もせずに相手のターンになるだけで勝手に盤面にクリーチャーを出してくれて、しかも自身のサイズも大きいので、ほぼ上位互換なのです。このデッキの動きは単純です。《航路の作成》《決定的瞬間》で《忌まわしき眼魔》や《傲慢なジン》を落とし、《救いの手》《再稼働》で墓地から吊り上げる。後は相手の呪文を《幻影の干渉》《三歩先》で打ち消して殴り切ります。除去や打ち消しで序盤を凌いで《忌まわしき眼魔》《傲慢なジン》を展開。除去されたら《救いの手》《再稼働》でしつこく場に吊り上げ続けて、相手の除去を尽きさせる場合も。《忌まわしき眼魔》は手札から唱える場合は墓地を大量に要求されますが、自身の戦慄予示能力で墓地が肥えていくので、意外と2枚目を唱えるのも容易く、吊り上げる以外の方法でも十分に運用が可能です。特に赤系アグロは《忌まわしき眼魔》を倒すのがそもそも困難な上、倒したとしてもまたすぐ吊り上げて盤面を作ってしまえるので、見た目よりも赤いデッキとしっかり戦えます。サイドボードには《エルズペスの強打》ももちろん入っています。弱点はなんといっても墓地対策。《忌まわしき眼魔》《傲慢なジン》《救いの手》《再稼働》とクリーチャーに関連する部分がすべて墓地に依存してしまっているため、アゾリウスメンターだった頃から更に厳しくなっています。このリストのサイドボードに《僧院の導師》が入っているのも、墓地対策を避けるためです。とはいえ、手札から《僧院の導師》を唱えてトークンを作っていくには、3マナで出した《僧院の導師》が生き残って帰ってくる必要がありますから、苦肉の策ではありますね。逆に言えば、それ以外の弱点はさほどなく、スピードと干渉手段を兼ね備えているので、対策がない場合は中々倒すのが困難なデッキでもあります。アゾリウスメンター、墓地対策が薄いと感じたならオススメです! グルール果敢  スタンダードチャレンジ:3位 By Boucha さあさあそしてこのデッキを紹介しないわけにはいかないでしょう!スタンダードで2キルが楽しめるエキサイティングなデッキ、グルールアグロです。《残響の力線》はただの2ターンキルパーツだと思われがちですが、そもそも《巨怪の怒り》や《裏の裏まで》が倍になってくれるので、カードとして強力です。《残響の力線》は置くとカードを1枚損しますが、自分のクリーチャーを対象に取るスペルを1回打つだけでチャラになり、2回以上使えばお釣りがくるのです。そして《残響の力線》は他の力線と違い、2枚目を出すことに大きな意味があります。2枚初手に来て置いても、《裏の裏まで》が2回コピーされてしまえば、それだけで元は取れちゃいますからね。当然、2ターンキルの確率も上がります。要するに《残響の力線》というカードがただただ強すぎるのです。とはいえ《残響の力線》を強く使うためにはデッキをそれ専用に構築する必要があります。パイオニアのラクドス果敢に《残響の力線》が採用されていないのは、自分のクリーチャーを対象に取るスペルが少ないためです。このデッキは《残響の力線》を活かすべく、17枚のインスタント・ソーサリーすべてが対象に取れるものとなっています。《巨怪の怒り》は+3/+1にトランプルを付与する最強のインスタントで、《裏の裏まで》は死亡時に戦慄予示を行えます。《残響の力線》で同じクリーチャーに《裏の裏まで》を使い、それが死亡すれば、戦慄予示が2回行えてかなりお得。 《弱者の力》は修正こそ低いですがドローできるので、《残響の力線》分のリソースを回復できます。《残響の力線》下では何枚でも引きたいですね。最近のリストで感銘を受けたのが《魔女の印》です。カードを捨てて2枚引く、いわゆる《苦しめる声》の亜種ですが、オマケで自分のクリーチャーにひねくれ者・役割をつけることができます。そう、自分のクリーチャーを対象に取っているので、これも《残響の力線》でコピーできるのです!1枚捨てて2ドローを2回行いながら、ひねくれ者を2回つけることができます。《残響の力線》下でリソースを獲得できることはもちろん、手札に腐ってしまった《残響の力線》を捨てられる点や、4枚目の土地を引いて《残響の力線》を出したい時に、不要なカードを捨てるなど、とにかくデッキに合っています。《残響の力線》を使うなら《魔女の印》を常にセットで使いたいと思わされるほどです。ちなみに同じクリーチャーにひねくれ者をつけると、1枚目が剥がれるので相手に1点飛びます。リーサル計算の際に必要になるので覚えておきましょう。どれだけ意識されてもしっかり強く、大会で結果を残し続けているグルール果敢。もちろん今週末もオススメのデッキです!

【週刊メタゲーム通信】アメリカ地域CSの結果を分析!

Pioneer ピックアップ

2024.10.08

mtg Yuyan

こんにちは。 細川 侑也(@yuyan_mtg)です。 今週のメタゲーム通信は、アメリカ地域チャンピオンシップの結果からお届け!週末のチャンピオンズカップファイナルに出場予定の方は要チェック!! 最後にメタゲーム予想のオマケつきです! メタゲーム アメリカ地域チャンピオンシップのメタゲームをまずはご紹介していきます。 アゾリウスコントロール(12.9%) アゾリウスコントロールがラクドス果敢を抑えてトップの使用率を誇ることになりました。ラクドス果敢を意識した構成にすることで有利に立ち回れて、不利マッチだったラクドスミッドレンジはほぼ消滅し、大きく不利な相手がロータスコンボしかいなくなったことが、このアゾリウスコントロール大増殖の要因でしょう。 ラクドス果敢(12.7%) そのアゾリウスコントロールに続くのはラクドス果敢。現パイオニア環境で絶対に意識しない相手であり、1マナの除去をほとんどのデッキに標準搭載させた元凶です。このデッキを倒せるかどうかはパイオニアの基準となります。 イゼットフェニックス(10.9%) そしてイゼットフェニックス。日本で少ない傾向にあるのか、アメリカに使用者が多いのか。そのどちらもな気もしますが、とにかく3番手にイゼットフェニックスが上がってくるのは意外でした。マジックオンラインでは少し元気がなかった印象でしたが、著名プレイヤーも多数このデッキを持ち込んでいます。 奇怪な具現(7%) 4位は《奇怪な具現》。『ダスクモーン:戦慄の館』で得た《ホーントウッドの大主》と境界土地によっていよいよメタゲームの上位にまで上り詰めたこのデッキ。ラクドス果敢とアゾリウスコントロール、その両方が厳しいデッキではありましたが、実はこのアメリカ地域予選で初日全勝を果たしており、そのポテンシャルは計り知れません。 ラクドス異形化(6.2%) 近頃台頭してきているラクドス異形化がトップ5の最後の席を埋めることに。《異形化》から《偉大なる統一者、アトラクサ》を出すデッキですが、手札破壊から《謎の骸骨の事件》《鏡割りの寓話》によるトークンの圧力や、《勢団の銀行破り》でリソースを回復しながら除去を連打。そして《湧き出る源、ジェガンサ》からの《偉大なる統一者、アトラクサ》手出し。など、色々な戦い方ができるコンボ・ミッドレンジ。今大会でも準優勝を果たしており、今後更に増えてきそうなデッキです。ここからはトップ8に入賞したデッキを紹介していきます。 ラクドス地獄の樹 アメリカ地域チャンピオンシップ :優勝 By Cory Lack 1800人を超えるアメリカの地域チャンピオンシップを見事制したのは、ラクドス地獄の樹。《アガサの魂の大釜》に《地獄の樹》を追放すると、自軍の+1カウンターの乗ったクリーチャーすべてが《地獄の樹》になるので、《税血の収穫者》をタップするだけで相手のライフが3になります。《ヴォルダーレンの興奮探し》に乗せれば、《地獄の樹》の能力を使った後に自身を生け贄にすれば確実に勝利できますし、《アガサの魂の大釜》で《地獄の樹》と《ヴォルダーレンの興奮探し》を追放していれば、カウンターが乗ったクリーチャーが《地獄の樹》の能力を使った瞬間にゲームセットとなります。つまり、コンボを内蔵したラクドスアグロ、それがラクドス地獄の樹です。このデッキはラクドス吸血鬼がパイオニアを支配していた頃に生まれたデッキでしたが、その頃から大きく進化している点が1つあります。それが『ダスクモーン:戦慄の館』から追加された《逸失への恐怖》です。2マナ2/3で出た時にカードを捨てて引ける能力は非常に優秀。《税血の収穫者》に近い、潤滑油の役割を果たせます。そして除去能力を持つ《税血の収穫者》より攻撃的な能力があり、各ターンに最初に《逸失への恐怖》が攻撃した時に、昂揚していればクリーチャー1体をアンタップして追加の戦闘フェイズが発生するというもの。《逸失への恐怖》が攻撃する必要がありますが、除去や《アガサの魂の大釜》で《逸失への恐怖》を強化していれば、この能力を誘発させることは難しくないですし、最悪《逸失への恐怖》が除去されても追加の戦闘フェイズは発生するので、無理矢理致死量のダメージを与えにいくことも可能です。強力な能力ではありますが、やはり昂揚はオマケ。メインとなるのはカードを捨てて引く能力を持つ2マナ2/3というスペックの高さです。ちなみに手札が0枚の時はただ1ドローできちゃいます。特にこのデッキは《地獄の樹》のディスカード手段にかなり困っていたので、《鏡割りの寓話》《税血の収穫者》に続く第三のディスカード手段として採用されることとなりました。非常に便利なカードで、ラクドス地獄の樹に限らず、ラクドス系のミッドレンジに新たにレギュラー入りを果たすかもしれません。それぐらいの高スペッククリーチャーです。ラクドス地獄の樹がここまで好成績だった要因の1つは、ラクドス果敢より少し遅い程度のアグロデッキでありながら、クリティカルヒットするサイドカードがあまり飛んでこなかったからでしょう。たとえばラクドス異形化がラクドス果敢対策として用意している《碑出告が全てを貪る》は、ラクドス地獄の樹には全く効きません。そうすれば当然サイドイン枚数は少なくなるので、ラクドス地獄の樹は戦いやすくなります。アグロ対策として採用されている《一時的封鎖》《ポータブル・ホール》は《鏡割りの寓話》や《ヴォルダーレンの興奮探し》に触れず、ラクドス果敢ほどは劇的なカードではありません。サイド後は《敵対するもの、オブ・ニクシリス》を入れて、更にこれらのカードを避けられる構成になっています。黒除去などは墓地にクリーチャーが落ちて《アガサの魂の大釜》が機能するので、これも大きな効果はなし。このように、ラクドス果敢対策として入ってくるカードを機能させない戦い方をして勝利を収めてきたのでしょう。相手がアグロ対策をしてくるならこちらは速度を少し落としてミッドレンジにように振る舞い、スピード勝負には《アガサの魂の大釜》《地獄の樹》で挑むという、異なる強力なゲームプランを併せ持つデッキが、見事アメリカの頂点に立ったのでした。 アゾリウスロータス アメリカ地域チャンピオンシップ  :8位 By Patrick Wu 今大会のトップメタだったアゾリウスコントロールでしたが、トップ8にその名を連ねたのはPatrick Wu選手ただ1人。ちなみにこのプレイヤーはカナダの強豪で、今大会を含めて4度の地域チャンピオンシップでアゾリウスコントロールを使いプロツアーの権利を獲得している、アゾリウスコントロールマスターです。そしてそのリストは通常のアゾリウスコントロールではなく、《睡蓮の原野》を採用した、いわゆるアゾリウスロータスです。《厳しい試験官》と《睡蓮の原野》が揃うと、《睡蓮の原野》の戦場に出た時の土地を生け贄に捧げる能力が誘発しなくなります。このコンボを採用したのがアゾリウスロータス。ロータスコンボと違い、《見えざる糸》や《熟読》から《出現の根本原理》に繋げるわけではなく、《睡蓮の原野》《演劇の舞台》による大量のマナで、盤面をコントロールしたりカードを引いていきます。特に《ドミナリアの英雄、テフェリー》との相性は目を見張るものがあり、《睡蓮の原野》2枚をタップして《ドミナリアの英雄、テフェリー》を出し、ターン終了時にそれをアンタップすると、実質《ドミナリアの英雄、テフェリー》がタダで唱えられます。次のターンに《ドミナリアの英雄、テフェリー》が場に残っていれば、使う6マナと起きる6マナの計12マナを使用できるので、《サメ台風》を素出ししてターンを終了し、相手のターンに《記憶の氾濫》を撃ったり、《告別》で盤面を一掃しつつ相手ターンに《放浪皇》など、通常のアゾリウスコントロールではできないメチャクチャな動きが実現できます。《睡蓮の原野》と《厳しい試験官》のコンボがなくとも、《演劇の舞台》が《睡蓮の原野》をコピーするだけでも十分マナ加速ができるので、特にアゾリウスコントロールミラーでは圧倒的な勝率を誇るデッキです。最終的には《演劇の舞台》が《噴水港》や《アーデンベイル城》に変わり、大量のトークンで殴り勝ちます。その代わりに打ち消し呪文が採用されていないのと、《厳しい試験官》を相手に悪用されてしまうので、ロータスコンボを大の苦手としています。アゾリウスコントロールを支える《喝破》すら未採用なので序盤の干渉手段は少ないですが、ラクドス果敢を意識して大量の除去に加え、《有角の湖鯨》が採用されています。《有角の湖鯨》はアグロデッキの足を止める1枚。マナが一気に加速するアゾリウスロータスではクリーチャーとして出すターンが速いので、デッキに非常に合った1枚です。2ターン目に相手を減速させ、3ターン目に《厳しい試験官》+《睡蓮の原野》、次のターンに《有角の湖鯨》と回れば、アグロはひとたまりもないでしょう。アゾリウスロータスは特に《厳しい試験官》が活躍するメタゲームで、かつアゾリウスコントロールが多ければ、勝ち組になりやすいデッキ。 《厳しい試験官》が入っているせいで《一時的封鎖》《ポータブル・ホール》を採用できないため、ラクドス果敢には通常のアゾリウスコントロールに比べて厳しくなっている印象。しかし、そのデメリットを補ってあまりあるほど、一部のデッキに対しては圧倒的に優位に立てます。今回は《厳しい試験官》が突き刺さる《奇怪な具現》の流行やアゾリウスコントロールトップメタなど、アゾリウスロータスにとっては非常に良い条件が整っていました。週末、静岡で行われるチャンピオンズカップファイナルを戦う上で、このアゾリウスロータスは意識に入れたいデッキですね。 イゼットフェニックス   アメリカ地域チャンピオンシップ:7位 By Omri Goldenberg 実は今大会の勝ち組だったイゼットフェニックス。アメリカは特にイゼットフェニックスが多い傾向にあり、今回も多くのプレイヤーが選択しましたが、しっかりとトップ8にも残っています。大量のキャントリップ呪文と除去でデッキを掘りながら墓地を肥やし、ヴィンテージ級のドロースペルである《宝船の巡航》でリソースを回復。その過程で墓地に落ちた《弧光のフェニックス》で攻撃しつつ、再びキャントリップと除去から《宝船の巡航》を打つというのが、イゼットフェニックスの戦い方。デッキを支えるのはもちろん《宝船の巡航》で、このカードにアクセスしつつ墓地を肥やせる《錠前破りのいたずら屋》が登場したことで、一段階上の強さのデッキとなりました。除去が大量に入っていて、そこから《宝船の巡航》でリソースを回復できるので、アグロデッキに比較的強く、デッキを大量に掘り進めることで特定のカードにアクセスしやすく、それによりデッキリスト次第ではコントロールにも強くできるなど、なんでもできる器用なデッキ。1マナのカードが非常に多いので手札事故が少なく、安定して回るのも魅力の1つ。何でもできる器用さがあり、1マナが多い。これは裏を返せば、各ゲームプランを理解しながら立ち回らなければならなく、1マナのカードばかりなのでマナカーブ順にただカードをプレイするのは許されない、ということでもあります。非常に難しい玄人好みのデッキというわけですね。さて、今回は《美術家の才能》を採用したリストを一部のプロプレイヤーたちは持ち込んでいましたが、トップ8に残ったリストは比較的オーソドックスです。《プロフトの映像記憶》はすっかり入っているのがデフォルトとなりました。《宝船の巡航》を打つだけで戦闘開始時にカウンターを3つ置けますし、《帳簿裂き》と組み合わせることで凄まじい打点を叩き出します。地味に強力なのが《錠前破りのいたずら屋》の強化。警戒を持った1/3にうっとうしい思いをした方も多いでしょうが、これにカウンターが4つ乗ると急に戦闘が一方的なものになります。《宝船の巡航》を集めて墓地を肥やすだけだった《錠前破りのいたずら屋》がフィニッシャーになるのは、《プロフトの映像記憶》の大きな利点の1つ。主にサイド後の墓地対策や《死人に口無し》でメインとなる打点を抜かれた際に便利なカードだったのですが、そもそも強力なので、最近では1~2枚はほぼすべてのリストに入っていますね。ちなみに先ほど話した《美術家の才能》との相性もかなり良いです。墓地から戻ってきた《弧光のフェニックス》にカウンターを乗せることはできないのですが、これができたら3枚入っていたかもしれませんね。メタゲーム的な立ち位置で言えば、ラクドス果敢には少し不利か五分程度、アゾリウスコントロールに有利と、トップメタの2つにはまずまずと言ったところで、これだけでは今一つに思えるかもしれませんが、それ以外のデッキに比較的有利なのは大きな魅力。特にキャントリップと除去で構成されており、そのすべてが軽いので、デッキが回りやすく安定していて、有利マッチをしっかりと勝ち切ることができます。しかも時には《弧光のフェニックス》が複数枚落ちるブン回りもありますからね。今回はラクドス果敢・アゾリウスコントロール・奇怪な具現あたりが多いという予想を立てたプレイヤーは多かったでしょう。この3つは墓地を使わないデッキなので、サイドボードの最後の1~2枠を決めるにあたり、《未認可霊柩車》や《夢を引き裂く者、アショク》を諦めた人は少なからずいたはずです。墓地対策が薄くなれば当然墓地デッキは元気になります。イゼットフェニックスが勝ち組になるのは当然かもしれませんね。 どうなる?チャンピオンズカップファイナル 今回のアメリカ地域チャンピオンシップをふまえて、チャンピオンズカップファイナル静岡のメタゲームを予想してみます! 1位:ラクドス果敢(15%)2位:アゾリウスコントロール(14%)3位:ラクドス異形化(10%)4位:黒単デーモン(8%)5位:奇怪な具現&イゼットフェニックス(5%)   僕はチャンピオンズカップファイナル静岡に出場しますが、上記のメタゲームになることを想定してデッキを考えています!答え合わせが楽しみですね!それではまた!

【今週のピックアップデッキ】ドメインズアー/黒単デーモン/ディミーア眼魔

Modern ピックアップ

2024.10.04

mtg Yuyan

こんにちは。 細川 侑也(@yuyan_mtg)です。 今週のピックアップデッキでは、ちょっと珍しいデッキを、軽い解説を交えて紹介していきます。 ドメインズアー(スタンダード) スタンダードリーグ:5-0 By LukasDusek2 ドメインと言えば、スタンダードでずっと活躍している5色のコントロールデッキ。アドバンテージ獲得手段の《豆の木をのぼれ》、それと相性の良い《力線の束縛》、マナ加速には《山積みの収穫》、そしてフィニッシャーの《偉大なる統一者、アトラクサ》。しかし、この新しいドメインには、《偉大なる統一者、アトラクサ》以外のカードが入っていません。新しいタイプのドメインデッキなのです。アドバンテージを《豆の木をのぼれ》でとらないので、《力線の束縛》は採用されていません。除去枠には《失せろ》や《シェオルドレッドの勅令》、《執念の徳目》など2マナが中心です。このデッキの核となるのは《永遠の策謀家、ズアー》。エンチャントをクリーチャー化する能力を持つこのカードは、《力線の束縛》と相性が良いことで知られています。1マナで出して除去して、《永遠の策謀家、ズアー》でクリーチャー化すると6/6になりますからね。でもこのリストには《力線の束縛》の姿はありません。それならクリーチャー化するエンチャントはどこに?その答えはクリーチャー欄にあります。そう、『ダスクモーン:戦慄の館』の大主サイクルです!兆候で唱えることで軽く戦場に出せる代わりに数ターンはクリーチャーではなくなる大主たち。クリーチャーではないエンチャント……そう、兆候状態の大主を《永遠の策謀家、ズアー》で無理やり起こすことができるのです!しかも《永遠の策謀家、ズアー》の能力で大主たちは接死・絆魂・呪禁を得るので、ダメージレースは一方的なものになりますし、攻撃時の能力も除去で邪魔されません。《トルヴァダへの侵攻》も面白い1枚。《偉大なる統一者、アトラクサ》や《ミストムーアの大主》、《無形の処刑者、ケイヤ》などの重いカードをリアニメイトできるのはもちろん、裏面はトークンを強化するので、《ミストムーアの大主》との相性抜群です。 このデッキの《花粉の分析》は素晴らしいカードですね。証拠収集8を達成するのは通常のデッキではなかなか厳しいですが、《群れの渡り》を捨てるだけで7なのですぐに満たせます。《永遠の策謀家、ズアー》があれば大主たちを、大主が兆候してあれば《永遠の策謀家、ズアー》を、手札がなければ《偉大なる統一者、アトラクサ》と、状況に応じて必要なカードを持ってこれます。《花粉の分析》のおかげで、マナ加速できる《ホーントウッドの大主》を除いたクリーチャーは2枚以下に抑えられていますね。重いクリーチャーが手札でかさばることがないようになっています。《永遠の策謀家、ズアー》が攻撃的なカードなので、このドメインズアーは従来のドメインに比べて早くゲームを終わらせられるデッキとなっています。普通のドメインに飽きた方は一度試してみてはいかがでしょうか? 黒単デーモン(パイオニア) パイオニアにまたまた新しいコンボデッキがやってきました。『ダスクモーン:戦慄の館』のプレビュー当時に騒がれた1枚、《止められぬ斬鬼》を使ったコンボデッキです。 パイオニアリーグ:5-0 By Saporon 《止められぬ斬鬼》がプレイヤーに戦闘ダメージを与えると、そのプレイヤーのライフを半分失わせるという恐ろしいクリーチャー。しかも僅か3マナで接死を持ち、死亡すると麻痺カウンターが2個乗った状態で戦場に戻ってくるので、まさしくその名の通り止められぬゾンビです。このライフを半分失わせる能力と噛み合うクリーチャーといえば《アクロゾズの放血者》。自分のターンに対戦相手がライフを失うなら、その倍失わせるデーモン。つまり《止められぬ斬鬼》のダメージが通ると、ライフの半分を失わせて、その半分が倍になるので……つまりライフが0になるということになります。この2枚が揃って《止められぬ斬鬼》の攻撃が通ると勝ちです。とはいえ、クリーチャー2枚による、かつ回避能力のないクリーチャーのダメージを通して初めて成立となる即死コンボ、毎度成功するわけではありません。このデッキはあくまで即死のサブプランを搭載した黒単ミッドレンジです。《思考囲い》《強迫》の8枚の手札破壊は除去を抜いて《止められぬ斬鬼》のダメージを通すのにぴったりなカード。大量の除去も、果敢アグロがここまで暴れる環境なら必須でしょう。『ダスクモーン:戦慄の館』で登場した《不浄な別室+祭儀室》は、黒単デーモンを支える1枚。 自分の終了ステップの開始時にカードを引き、デーモンをコントロールしているなら対戦相手が、そうでないなら自分がライフを失うというこのカード。ただ置くだけで毎ターンカードが引けるだけでなく、デーモンがいれば相手のライフも削れる素晴らしいカード。しかもオマケとして巨大なデーモンも出せるのですから、《ファイレクシアの闘技場》世代の人間としてはその強さに驚きを隠せません。この《不浄な別室》の能力も、デーモンである《アクロゾズの放血者》で倍になるので、エンドに4点を入れつつドローできます。《不浄な別室》と《アクロゾズの放血者》の相性、すごすぎる!そして《不浄な別室》でライフ回復するためのデーモンとして、《ドロスの魔神》も採用されています。こちらも相手のクリーチャーが死亡すると2点が入るので、《アクロゾズの放血者》で4点に。この2体のデーモンが揃うと一瞬でゲームが終わりますね。従来の黒単系のミッドレンジと違い、《止められぬ斬鬼》と《アクロゾズの放血者》の即死コンボを搭載していることで、ロータスコンボのようなデッキにしっかりスピード勝負できるのも、このデッキの魅力です。スピードだけでなく、《不浄な別室》《勢団の銀行破り》《ロークスワイン城》でアドバンテージも取れるので、除去を連打するコントロールプランも取れるなど、単色デッキとは思えない器用さ。単色デッキなので色事故もなく、能力のある土地も多いのでマナフラッドにもなりにくいと、回していてとにかく不快感が少ないのも個人的にはプラス。日々の多色疲れを癒せること間違いなし! ディミーア眼魔(モダン) モダンリーグ:5-0 By RowdyGainz 近頃その名前をよく目にする、今最もホットなクリーチャー《忌まわしき眼魔》。スタンダードでは《救いの手》でリアニメイトされているそうですが、モダンでも実は同じような使われ方をしています。モダンでは《考慮》《思考掃き》で《忌まわしき眼魔》を墓地に落とし、《発掘》で吊り上げるというのがトレンド。2ターン目に突然5/5飛行と戦慄予示が並ぶことになるので、あのエネルギーすらも凌駕する動きです。《忌まわしき眼魔》を墓地に落とすために1マナのスペルが大量に入っているので、吊り上げられなかった場合も安心。墓地を6枚追放して手札から出せます。一度出すと2枚目の《忌まわしき眼魔》を唱えるのは厳しいかのように思えますが、戦慄予示を行えるので実は1枚目さえ場に出れば勝手に墓地が溜まり、2枚目もすぐに場に出せます。青黒と言えば《濁浪の執政》でしたが、《忌まわしき眼魔》との相性はさすがに悪く、今は0枚に。これもエネルギーとの戦いを考えれば仕方がないのかもしれません。ディミーアはエネルギーを大の苦手としていましたが、それはエネルギー側の盤面の制圧力が高いだけでなく、《一つの指輪》という別軸の勝ち手段が生まれてしまったためでした。ディミーア側は《超能力蛙》以外の攻め手はなく、基本は防戦一方。序盤のエネルギーのカードをさばいている内に、ライフに余裕のある状態で《一つの指輪》を置かれてしまいます。《濁浪の執政》は最速でも4ターン目。圧はあるカードですが、速度という点では優秀ではありません。その点、《忌まわしき眼魔》は2ターン目に出ればあっという間にライフを削ってくれますし、盤面に並んだカードと戦慄予示が相打ちを取ってくれるので、ある程度打ち消しを構える余裕も生まれます。余計な除去を使わなくて済み、《一つの指輪》に当てる《対抗呪文》を手札に温存することができるのです。果たして《忌まわしき眼魔》は《濁浪の執政》を超える逸材なのでしょうか?このディミーア眼魔は今後活躍し続けるのか?目が離せません!

【メタゲーム通信増刊号】地域CSに向けて最新のパイオニア情報をお届け

Pioneer ピックアップ

2024.10.03

mtg Yuyan

こんにちは。 細川 侑也(@yuyan_mtg)です。 今週と来週はラストチャンス予選2回、そしてチャンピオンズカップファイナルとパイオニアの競技イベントが続きます!というわけで今週はメタゲーム通信をパイオニア編でもお届け!ブラジルの地域チャンピオンシップの結果から、最新のリストをご紹介! 最後にボーナストピックとして、「もし今週末にラストチャンス予選に使うならこれ!」というリストをご紹介します! コントロールがラクドス果敢を制す ブラジルの地域チャンピオンシップを制したのはアゾリウスコントロールでした。 アゾリウスコントロール City Class Games Showdown VII :優勝 By Vinícius Karam 白の除去と青の打ち消し・ドローというマジック黎明期から活躍するこのアーキタイプ。パイオニアでもコントロールと言えばまずアゾリウスカラーが定番です。『ダスクモーン:戦慄の館』で実はアゾリウスコントロールは強化を受けました。一体どのカードか?デッキリストを見てもわからないかもしれませんね。よく見てください……土地の欄を。そう、《フラッドファームの境界》です。今回アゾリウスコントロールが手に入れたのは土地でした。2色ランドはこれまでも《行き届いた書庫》などたびたび加入していましたが、今回の《フラッドファームの境界》ほどの影響はありません。なぜ《フラッドファームの境界》はすごいのか?簡単に2色を生み出せる土地というだけでなく、条件不問でアンタップインかつ白マナが生み出せる土地だからです。アゾリウスコントロールは1ターン目は白マナしか使うことがなく、3~4ターン目に青青を要求してくるデッキです。《フラッドファームの境界》は《平地》か《島》があれば、2色ランドになり、それ以外の状況では白マナが出せるので、1ターン目に白を出し、3~4ターン目の青青にしっかり貢献してくれる、アゾリウスコントロールのためのカードなのです。この強力な土地の加入でデッキリストも進化を遂げています。1ターン目にアンタップインする白マナが12枚になったことで、《ポータブル・ホール》を1ターン目に使いやすくなりました。なのでこのリストにはメインから4枚採用。《騒音の悪獣》と《心火の英雄》はいずれも死亡時にダメージを飛ばすカードなので、《ポータブル・ホール》は完全回答。それを後手1ターン目から使えるのは大きく、《フラッドファームの境界》によりそれが可能となったので、土地のアップデートは思っているよりもずっと大きいのです。《冥途灯りの行進》も手札を追放すれば1ターン目から使用できますし、このデッキは後手番でもしっかり勝てるように構築されています。それを可能にしているのは《フラッドファームの境界》というわけです。除去が多めでドロースペルは少なめなのがこのリストの特徴です。《記憶の氾濫》2枚はこれまでにはあまり見たことがありませんね。この辺りも今のメタゲームを意識した結果でしょう。ラクドス果敢にはどうしても《記憶の氾濫》は打ちづらいですからね。《一時的封鎖》か《ポータブル・ホール》のどちらを採用するかについてですが、個人的には《ポータブル・ホール》を推します。《一時的封鎖》は複数枚のカードを巻き込めたり、召集のようにトークンで殴ってくるデッキには効果的ですが、ラクドス果敢などは1~2体のクリーチャーを強化して殴ってくるので、《一時的封鎖》である必要があまりありません。むしろ3マナという重さが致命的で、後手番で間に合わなかったり、盤面に並べながら《精鋭射手団の目立ちたがり》を計画され、《一時的封鎖》の返しで一撃でライフを削られてしまいます。《ポータブル・ホール》は1マナなので後手1ターン目に盤面に触りにいったり、打ち消しを構えながら3~4ターン目に唱えられるので、隙なく盤面を対処できます。というわけで、1ターン目の白マナがある程度確保できるのであれば、《ポータブル・ホール》がオススメです。オーラなど特殊なデッキが出てきたら変わるでしょうが、もし今週アゾリウスコントロールを使うならば、《ポータブル・ホール》を4枚採用するでしょう。アゾリウスコントロールは今ものすごく立ち位置が良いデッキです。ラクドスミッドレンジとロータスコンボには不利で、それ以外にはあらかた有利。特に最近台頭してきている5色エニグマを得意としており、そのエニグマがラクドスミッドレンジにかなり強いデッキなので、ラクドス自体の数が減りつつあります。天敵を食べてくれて、更にそのデッキを自分は簡単に倒せるのですから、アゾリウスコントロールとしてはエニグマ様様ですね。ロータスも赤系アグロを苦手としているので、数自体が大幅に増えることもないでしょう。今週間違いないデッキの1つはアゾリウスコントロールとなるでしょう。ミラーマッチ対策をお忘れなく。 蘇ったかつての王者 さて、そんなアゾリウスコントロールに強いデッキと言えばラクドスミッドレンジ。一時は《傲慢な血王、ソリン》から《血管切り裂き魔》を出す吸血鬼にお株を奪われていましたが、禁止改訂により、《思考囲い》と《鏡割りの寓話》を使うミッドレンジとしての立場を取り戻しました。 ラクドスミッドレンジ City Class Games Showdown VII :7位 By XandreB このリストは《ドロスの魔神》4枚かつ《変わり谷》が1枚に押さえられており、アゾリウスコントロールを意識した構成にはなっていませんが、それでも有利なのは間違いありません。そしてラクドスミッドレンジは、ただアゾリウスキラーというだけではありません。特に大きいのはラクドス果敢に強い点です。除去と手札破壊もさることながらクロックが速いので、ラクドス果敢側に立て直しの時間を与えません。これはサイドボード後の除去デッキに対するラクドス果敢のプランが機能しにくいことを意味します。たとえば《ウラブラスクの溶鉱炉》ですね。 その他にも、ラクドス果敢が対除去デッキに対して行うサイド後のゲームプランは、ある程度ロングゲームを想定しています。しかし、ラクドスミッドレンジは大量の除去でゲームを遅らせるだけではありません。除去で初速を潰してクロックを展開し、そのままライフを詰めてきます。今のラクドス果敢には、対ラクドスミッドレンジで有効なサイドカードが《熱烈の神ハゾレト》ぐらいしかないのです。ラクドスミッドレンジは、ラクドス果敢とアゾリウスコントロールの上位2つに強いデッキということになります。更に極端に相性が悪いデッキがほとんどない点も魅力です。手札破壊と除去とクロックがまんべんなく入り、サイドボードにそれぞれのマッチアップに更に強くなるので、ほぼ全方位を見れるデッキと言えます。唯一、エニグマだけは本当に苦手としており、当たったら即投了レベル。エニグマが少なければ、ラクドスミッドレンジは段々と増えていたことでしょう。サイドボードに目を向けると、やはりここもエニグマを意識していません。結局どのカードを入れても意味がないと判断したのでしょう。そしてそれはおそらく正しいと思います。《屍呆症》で《奇怪な具現》を抜いたとしても《豆の木をのぼれ》から重いスペルを連打されるだけで負けてしまいます。それならば《思考囲い》《強迫》から《鏡割りの寓話》《ドロスの魔神》で一瞬で勝つ方がまだ勝算があります。《碑出告が全てを貪る》は果敢対策として最近評価されているカード。ラクドス果敢は《戦慄衆の秘儀術師》と《立身+出世》があるので、実は墓地追放も無意味ではありません。《危難の道》、《兄弟仲の終焉》も合わせてかなり全体除去が多めですね。3マナの全体除去が多い中、異彩を放つのが《絶滅の契機》ですが、こちらは《熱烈の神ハゾレト》を触れるカード。果敢は奇数クリーチャーが多いので、《熱烈の神ハゾレト》がいない時は奇数を選択する場合が多いです。エニグマを避け続ければ優勝のポテンシャルが十分あるデッキだと思います。 意識されてもなお強い たびたび話題に挙がっているラクドス果敢。ブラジル地域チャンピオンシップではしっかり意識されていましたが、それでもトップ4に2人を送り込み、このデッキの地力の高さがうかがえますね。 ラクドス果敢 City Class Games Showdown VII :3位 By MARCOSHBF リストには大きな変化はないものの、ミラーを意識してメインに《致命的な一押し》と《無謀な怒り》が採用されています。それ以外に大きなリストの変化はありません。『ダスクモーン:戦慄の館』で《残響の力線》という新たなブン回りカードを手に入れた果敢アグロですが、既存のラクドス果敢には入りにくいと思います。《残響の力線》は初手にある時に2ターンキルパターンが増えるカードではあるものの、初手になかった時は無駄カードとなります。《照光の巨匠》が入ったボロス型ならば謀議で捨てられますが、ラクドスでは引くだけ損なカードです。《残響の力線》は《照光の巨匠》とセットで使うのがパイオニアでは定番になるかと思われます。謀議で捨てられるのはもちろん、《残響の力線》でコピーした呪文でも謀議が誘発するので、《照光の巨匠》と《残響の力線》2枚だけでもゲームに勝てると言っても過言ではありません。ここまで相性が良ければ《残響の力線》を置いた時のバリューも高いので、デッキに入れる価値があります。ラクドス果敢では《残響の力線》を引けなかった時のリスクはもちろん、引いた場合のリターンもさほど高くないと判断しての不採用だったのでしょう。サイドボードには《敵対するもの、オブ・ニクシリス》が採用されており、これは主にコントロール対策。その中でもアゾリウスコントロールに最も効果的な1枚です。能動的にクリーチャーを生け贄に出来るので《心火の英雄》を生け贄にしてダメージを飛ばしつつ、忠誠度の高い《敵対するもの、オブ・ニクシリス》のコピーを作る、という場面もあるかもしれませんね。《大群への給餌》も《一時的封鎖》を割れるカードなので、このラクドス果敢のサイドボードはアゾリウスコントロールを強く意識しているのがうかがえます。どれだけ意識されてもしっかり勝ち切る確かな実力を持つラクドス果敢は、今週もオススメのデッキの1つです。使わない方はしっかり対策しましょう! ボーナストピック もし今週ラストチャンス予選に出るならこの75枚にします! ゆうやんアゾリウス

【週刊メタゲーム通信】グルールアグロでスタンダードが壊れる!?

Standard ピックアップ

2024.10.01

mtg Yuyan

こんにちは。 細川 侑也(@yuyan_mtg)です。 毎週、最新のメタゲームをデッキリストと共にお届けするこの記事。今回は新セット発売後、最早恒例となった大会『蒼紅杯 ~ダスクモーン:戦慄の館~ Izzet Explosive Experiment Event』から最新スタンダード環境をご紹介していきます! 【速報】スタンダード、壊れる。 まとめサイトならこんなタイトルがつけられるに違いがありません。長いことマジックをやっていますが、2ターンキルが可能なスタンダード環境は今までなかったと思います。《ティボルトの計略》で2ターン目に《星界の大蛇、コーマ》を出して「2ターンキルだ!!」とはしゃいでいた記憶はありますが、あれも実質2ターン目に勝利するだけでした。このデッキは正真正銘の2ターンキル。相手のライフを0にしてしまいます。 グルールアグロ 蒼紅杯:優勝 By AKINARI Shimokawabe その方法は簡単。まずはゲーム開始時に《残響の力線》を設置。そして1ターン目に《騒音の悪獣》をキャスト。 2ターン目に《巨怪の怒り》を唱えて+2/+0の修正がコピー合わせて2度入り、その後役割で+1。更に《裏の裏まで》を唱えると+3修正が2回入る。これでパワーへの修正は+11になるので12点。《騒音の悪獣》を生け贄にして本体に12点で2ターンキル。《裏の裏まで》を2回打っても+12、《巨怪の怒り》2回なら+9なので、どの組み合わせでも2ターンキルは可能です。 《裏の裏まで》+《無感情の売剣》でもパワー7+《無感情の売剣》7点+死亡時の7点で21点が飛びますね。1ターン目が《心火の英雄》でも2ターンキルできます。こちらは2ターン目に《巨怪の怒り》か《裏の裏まで》の後に《無感情の売剣》が必須となります。 このように、《残響の力線》があると複数のパターンによる2ターンキルが発生します。2ターンキルばかりが目立ちますが、ベースはグルール果敢。前環境から強力と言われていたデッキで、ただでさえ不安要素の1つだったマナベースが《ソーンスパイアの境界》で解消されました。決して《残響の力線》を初手に置けなければ勝てないデッキではなく、元々強いデッキに2ターンキル要素が加わった、と言った方が正しいでしょう。サイド後は2ターンキルを警戒して除去を大量に増やしてきたのに合わせて、《残響の力線》をすべて抜いて《ウラブラスクの溶鉱炉》に入れ替えたりなど、デッキのベースの強さを活かしたサイドプランも可能です。新環境はまずこのグルール果敢を攻略するところから始まりますね!それぐらい完成度の高いデッキです。 生け贄がキーワードのアグロデッキ お次に紹介するのは、最近MTGアリーナでにわかに増え始めているラクドスサクリファイス。 ラクドスサクリファイス 蒼紅杯:7位 By MrCrocodile 《悪意ある呪詛術士》は1マナ3/2と破格のスペックを持つクリーチャーですが、戦場に出た時に呪われし者・役割をつけなければなりません。つまり実質1マナ1/1。このエンチャントを《腐敗口のバイパー》や《甦りし悪夢、ブレイズ》、《不穏な笑い》などで生け贄に捧げてしまおうというのがラクドスサクリファイス。特に新カードの《不穏な笑い》は、エンチャントを生け贄にして2ドローして、自身が生け贄に捧げられた時に戦慄予示と、このデッキにおいてはアドバンテージ源の塊。実質2マナ2ドローに2/2のクリーチャーがついてくる超良カード。《悪意ある呪詛術士》から《不穏な笑い》、3ターン目に《甦りし悪夢、ブレイズ》と回った時は凄まじい速度で相手のライフを攻めつつリソースも獲得していきます。地味ですが、《機械仕掛けの打楽器奏者》も『ダスクモーン:戦慄の館』で登場したサクリファイス向けのカード。パイオニアで採用されていた《不運な目撃者》に近い性能ですが、この可愛い猿の玩具はめくれる枚数が1枚になった代わりに、次の自分のターン終了時までそのカードを使用できるので、2ターン目に《不穏な笑い》で生け贄に捧げた場合でも、追放したカードを使用できる可能性が高いです。このリストには採用されていませんが、《倉庫の虎猫》を入れたバージョンも見かけたことがあります。エンチャントが大量に墓地に落ちるこのデッキと相性が抜群で、生け贄に困らなくなります。ちなみに役割が同じクリーチャーにかぶった時もエンチャントが落ちてトークンが出たりします。最初にやられた時はびっくりしました。サクリファイスのポテンシャルは今大会でのトップ8入賞で証明されました!ここからの活躍に期待したいアーキタイプです。 コントロールの兆候 ジャパンオープンを制して話題となったボロスコントロール。その中核を担うエンジンが《ウラブラスクの溶鉱炉》と《世話人の才能》でした。 一度設置すればクロックを生み出し続ける《ウラブラスクの溶鉱炉》と毎ターンアドバンテージを稼ぐ《世話人の才能》。これらが揃うと、何もせずに毎ターン攻撃しながらカードが引ける。寝ているだけで毎月給料が振り込まれる夢の生活が送れるのです。そんなボロスコントロールは『ダスクモーン:戦慄の館』に住まう大主によって進化を遂げました。 ナヤコントロール 蒼紅杯:6位 By Dengekidaikon 大主たちはいずれも戦場に出た時にトークンを生み出すので、《世話人の才能》のバリューは更にアップ。 特にカードが今まで以上に引きやすくなった上に、トークンを生成する能力で《ホーントウッドの大主》が生み出す土地をコピーできるので、更なるマナ加速が可能となりました。《ミストムーアの大主》は攻める大主。本体が出るまで時間がかかりますが、それを利用できるのがナヤコントロール。最初に出すトークンはブロッカーになり、相手が攻め手を追加したところで《太陽降下》。更地の場に《ミストムーアの大主》が降り立つこととなります。この大主たちと相性抜群なのが《豆の木をのぼれ》。マナ総量が5以上のカードを唱えるとカードが引けるこの能力は、大主を兆候した際にもしっかり誘発してくれます。《力線の束縛》に2種の大主と、このデッキではたくさんの方法で脱法豆の木(※《豆の木をのぼれ》を軽いカードで誘発させること)が行えます。最近は緑の《豆の木をのぼれ》、白の《世話人の才能》でアドバンテージが稼げるので、ドローの色である青を使わないコントロールデッキも増えてきました。青の入っているコントロールは打ち消しを採用しますが、非青の場合はその枠を除去にすることが多く、コントロールミラーでは弱い一方、ビートダウンには強いのが特徴。グルール果敢が増えていくことが予想されるため、それを食うために、このナヤコントロールのようなアプローチのデッキもどんどん出てくるでしょう。《残響の力線》ビートダウンの猛攻を止められるのはコントロールだけかもしれません!

【新環境ピックアップデッキ】マーフォーク/ヨーグモス/イゼットウィザード

Modern ピックアップ

2024.09.27

mtg Yuyan

こんにちは。 細川 侑也(@yuyan_mtg)です。 本日は最新セット『ダスクモーン:戦慄の館』の発売日! 昨日に続いて、『ダスクモーン:戦慄の館』の新カードを採用したデッキを紹介していきます!今回はモダン編! マーフォーク モダンリーグ:5-0 By LordMajicus 黎明期から存在し、その美しい容姿も相まって、マジック界でも屈指の人気を誇る海の戦士たち。かつてはレガシーで一線級のデッキで、今もモダンで時たま活躍しています。ドラゴンや人間などと違い、マーフォークは毎セットにほぼいるというわけではないので、新セットで必ずアップデートされるわけではありませんが、最近はたびたび強化が入っています。《マネドリ》は『ブルームバロウ』で入った強力なコピーカード。《アトランティスの王》《真珠三叉矛の達人》を並べて全体を強化していくアグロデッキなので、これらのロードをコピーするのが主な《マネドリ》の役割です。『モダンホライゾン3』から加わった強力なマーフォークの《海の先駆け》も紹介しないわけにはいきませんね。《血染めの月》の《島》版を内蔵するマーフォーク、最初はマーフォーク使いたちの作ったオリカかと思いました。《真珠三叉矛の達人》などのロードはマーフォークに島渡りを付与するので、他のデッキの使う多色土地対策の《海の先駆け》と違い、マーフォークたちがブロックされなくなるおまけつきです。そして『ダスクモーン:戦慄の館』からは《フラッドピットの溺れさせ》が採用されています。2マナ2/1瞬速で、戦場に出た時にクリーチャ―をタップして麻痺カウンターを置く。《マーフォークのペテン師》のようなクリーチャーですね。更に2マナを支払うことでそのクリーチャーをライブラリーに戻せるので、実質除去として機能します。これまでのマーフォークが持っていなかった完全除去クリーチャーがついに登場したのです。ライブラリーに戻してしまうので、エスパー御霊のようなデッキにはただ除去してしまうより強力。死んだら吊り上げられてしまいますからね。マーフォークとしては珍しく警戒がついているので、麻痺カウンターを置く能力と合わせて、ライフレースを先行する上でとても重宝するカードでしょう。マーフォークは《島》を渡ってくる関係上、ノーガードの殴り合いになりがちですからね。ついに確定除去まで手に入れたマーフォーク、エネルギーの海を泳ぐことはできるのでしょうか? ゴルガリヨーグモス 《スランの医師、ヨーグモス》で不死クリーチャーを生け贄にして無限コンボで勝利する、クリーチャーによるコンボデッキ。 モダンリーグ:5-0 By Manas235 《若き狼》2体と《スランの医師、ヨーグモス》が戦場にいる状態で、まず《若き狼》Aを生け贄にし、今度は不死で戻ってきた《若き狼》Aに、《若き狼》Bを生け贄にマイナスカウンターを置く。するとプラスとマイナスのカウンターが相殺され、《若き狼》Aはまっさらな状態に。同じように今度は《若き狼》Bのプラスカウンターを取り除き……これで自分のライフがある限り、《スランの医師、ヨーグモス》でドローし続けることができます。《血の芸術家》がいれば生け贄に捧げるたびにライフを得て相手だけ1点ずつ失うので、そのまま勝利。《スランの医師、ヨーグモス》がコンボパーツでありながら、必要なカードを探しにいけるので、極度に《スランの医師、ヨーグモス》に依存したコンボ。それゆえに《召喚の調べ》とあわせた8枚体制で、絶対に戦場に《スランの医師、ヨーグモス》を出せるようにしています。このデッキは《アガサの魂の大釜》で大幅なアップデートを受けました。今までは《スランの医師、ヨーグモス》が戦場にいる必要がありましたが、《アガサの魂の大釜》で《スランの医師、ヨーグモス》を追放すれば、+1カウンターが乗ったクリーチャーはすべて《スランの医師、ヨーグモス》の能力を持つので、カウンターの乗った不死クリーチャーが《スランの医師、ヨーグモス》になってくれます。更にデッキのもう1つの強みだった「コンボを決めないで勝つゴルガリアグロパターン」も《アガサの魂の大釜》で強化されました。《アガサの魂の大釜》で《飢餓の潮流、グリスト》を追放することにより、プラスカウンターが置かれているクリーチャーがすべて《飢餓の潮流、グリスト》になるので、1ターンで大量のトークンを生み出していき、それだけでも勝てるマッチがあるぐらいでした。そんなヨーグモスに今回入ったのが《永劫の活力》。自軍クリーチャーがすべて好きな色のマナを生み出せるようになるのですが、これによってコンボが更に容易になりました。クリーチャーが大量に入っているので、ただ出すだけでも行動回数が増えますし、《絡み根の霊》は速攻を持っているので、戦場に出たターンでもタップしてマナを生み出せるようになります。これがどういうことかというと、《スランの医師、ヨーグモス》によって生け贄に捧げて、不死で戻ってきた時にマナを出せるので、マナが全くない状態からでも《若き狼》《スランの医師、ヨーグモス》《絡み根の霊》で勝てるようになったのです。《絡み根の霊》でマナを出して生け贄に捧げて不死で蘇り、再びマナを出してから《若き狼》を生け贄にしてカウンターを取り除き、再び《絡み根の霊》を生け贄に捧げる。先ほど説明したこの不死ループ中にマナを増やせるので、大量のドローで《血の芸術家》か《召喚の調べ》を引けばそのまま唱えられるようになりました。これまではマナが一切ない状態では、大量ドローはできるが、その先がなく、手札をパンパンにしてエンドするしかなかったのですが、《永劫の活力》によってターンを返さずに確殺できるようになったのです。《オークの弓使い》や不死クリーチャーなど、クリーチャーが横並びして除去されにくいデッキなので、それらからマナを生み出せる《永劫の活力》はうってつけ。しかも自身は死亡時にエンチャントとして戻ってくるので、とりあえず《スランの医師、ヨーグモス》で生け贄にしてリソースにしてもOKと至れ尽くせり。新たな動きが可能になったヨーグモス、試してみたいですね。 イゼットウィザード 最後に紹介するのはイゼットカラーのコントロールデッキ。 モダンリーグ:5-0 By SvenSveeterSven デッキのベースは打ち消しと除去とキャントリップで構成されたコントロール。それだけ見ればイゼットマークタイドのようですが、《ドラゴンの怒りの媒介者》や《濁浪の執政》は採用されていません。その代わりに入っているのが《瞬唱の魔道士》と《稲妻罠の教練者》。先の2枚のように攻撃性能は皆無な可愛いやつらですが、フラッシュバックで除去やドローを使い回したり、ライブラリーを掘り進めていきます。これらがウィザードなので、《アノールの焔》との相性も良し。そしてここに『ダスクモーン:戦慄の館』からの新戦力、《永劫の好奇心》が加わりました。《永劫の好奇心》は様々なフォーマットで注目されているカード。クリーチャーがプレイヤーにダメージを与えるたびにドローするカードは、《タッサの二叉槍》など、その能力だけでも採用する価値があるほど強力。にも関わらず、《永劫の好奇心》は瞬速と4/3のボディに加えて、死亡してもエンチャントとして戻ってくるのです。さすがに破格の性能すぎますね。クリーチャ―の数こそ少ないこのデッキですが、デッキ内のクリーチャーはすべて戦場に出た時に一旦の仕事を終えているので、相手視点では除去したくありません。しかし、《永劫の好奇心》がある以上は倒さざるを得ない。そうやってカードの交換を繰り返していけば、必然的に手札をどんどん増やしているこちらが有利になるという、古き良きマジックを楽しめる、そんなデッキ。特にサイドボード後は相手はやりづらいでしょう。クリーチャーは数少なく、しかもどれも除去する価値がないのに、除去を抜けば《永劫の好奇心》でカードを引かれてしまいます。このデッキを使用して5-0したプレイヤーは、「《永劫の好奇心》を2枚しか持っていなかったが、3枚目があれば入れたい」と言っていました。それほど《永劫の好奇心心》は強かったのでしょう。スタンダードでも《永劫の好奇心》の姿を見かける機会は多いですし、もしまだお持ちでないなら、早めに揃えておいても損はないかもしれませんね!

【週刊メタゲーム通信】エネルギーに立ち向かうコントロールとエルドラージ

Modern ピックアップ

2024.09.25

mtg Yuyan

こんにちは。 細川 侑也(@yuyan_mtg)です。 毎週、最新のメタゲームをデッキリストと共にお届けするこの記事。今週はモダンの最新メタゲームを追っていきます! エネルギー環境にやってきたコントロール 先週末もモダンの大会はエネルギーが勝ち組に。特にこの週は純正2色のボロスエネルギーがチャレンジを4連続で優勝(!)しており、バントナドゥを思わせる勝率の高さです。この要因の1つは、環境的に《血染めの月》《一つの指輪》が強くなってきたことがあげられるかもしれません。エネルギーメタとしてジェスカイなどの多色コントロールが増え、それらに強い《血染めの月》《一つの指輪》をメインから採用できるボロスが勝ち上がったのではないでしょうか。特に《血染めの月》はアミュレットタイタンなどの土地コンボ、《ウルザの物語》が入った3色のティムールブリーチなど、様々な相手に強く、先週最も強い1枚だったかもしれません。 ジェスカイコントロール さて、まず紹介するのは既に名前も挙がったジェスカイコントロール。 モダンチャレンジ:2位 By MarcoBelacca95 ベースとなるのはプロツアー・モダンホライゾン3でハビエル・ドミンゲス選手がトップ8入賞を果たした、ピッチスペルを大量に採用した型。 既に3か月経過して未だにこの時のリストがベースなのですから、完成度の高さがわかりますね。2種類のインカーネーションに《否定の力》の合計11枚のピッチ呪文と《空の怒り》《電気放出》のエネルギー除去で盤面をコントロールし、《一つの指輪》でリソースを回復するというのがこのジェスカイコントロール。アドはンテージを取る手段は《一つの指輪》に頼り切っている……どころか他にドロースペルはほぼ入っていません。ジェスカイエネルギーコントロールの定番だった《語りの調律》すら0枚です。こうなると《一つの指輪》が引けない時が怖いのですが、それを解決する手段は土地にあります。そう、《記念碑的列石》です。ライブラリーの上から5枚を見て歴史的なカードを手札に加えられるので、《一つの指輪》を探しにいけるのです。ちなみに《火の怒りのタイタン、フレージ》や《水辺の学舎、水面院》も拾えます。《呪文嵌め》は今最も強力な打ち消しの1つかもしれません。ボロスエネルギーの強力なアクションは《色めき立つ猛竜》《ナカティルの最下層民、アジャニ》《ゴブリンの砲撃》と2マナに集中しており、特に後手で《呪文嵌め》を持っているかはかなり重要なのです。……2マナのアクションが強いと言いましたが、《魂の導き手》《オセロットの群れ》《敏捷なこそ泥、ラガバン》も十分ですがね。ボロスエネルギー、やはり強さがおかしい。とはいえ、《呪文嵌め》をケアして1マナを並べてきたら《空の怒り》がありますし、ジェスカイコントロールは《オセロットの群れ》を比較的苦にしないデッキではあります。除去、打ち消し、フィニッシャーのすべてが超一流のジェスカイコントロール。メタが完璧に固まった今こそ、手に取る時が来たかもしれません。 エレメンタル軍団、来る さて、お次も分類上はコントロールですが、ジェスカイから1色足しただけでだいぶ見た目の変わったデッキ。 4cエレメンタル モダンチャレンジ:2位 By RespectTheCat いわゆる4cオムナスというものですが、そこに更に《発現する浅瀬》が入り、エレメンタルシナジーが強くなっています。《発現する浅瀬》はエレメンタルが戦場に出るたびにライブラリ―トップを見て、それが土地なら場に、そうでなければ手札に加えられるすごいクリーチャー。《緻密》《孤独》を0マナで唱えると手札を消耗しますが、《発現する浅瀬》が戦場にいればカードを供給してくれるので、実質打ち放題(?)です。アドバンテージ獲得手段として《発現する浅瀬》は優秀なので、《一つの指輪》への依存度が気になる方は、こちらのリストもおすすめです。面白いのは《記憶への放逐》のメイン採用。 流行のエルドラージに対して完全回答なだけでなく、想起で唱えたエレメンタルの誘発型能力を打ち消すことで、そのまま戦場に残すことができます。手札は大量に使いますが、最速1ターン目に《孤独》が着地することも。 手札をかなり消耗するのでまずこのプレイはしませんが、《発現する浅瀬》が戦場にある時はやる場合もあります。 ジェスカイコントロールでも、手札から唱えた《火の怒りのタイタン、フレージ》に《記憶への放逐》を打って場に残す使い方ができますね。 かつてモダンを席巻していた《創造の座、オムナス》は、最近は鳴りを潜めていましたが、今の環境では強いのかもしれません。エネルギーに対して生き残ればまず勝つでしょう。《電気放出》で倒されてしまうのだけは残念ですが、それでもドローとライフゲインを兼ね備えるこのカードは、アグロからしてみれば悪夢そのものです。 先ほどのジェスカイと同様、11枚のピッチスペルが入っている4cエレメンタル。この2つのデッキを見ると、今のモダンがいかに早い環境か伝わってきます。0マナで対応するカードがないと、コントロールは最早成立しないと言っていいかもしれません。同じピッチスペル大量のデッキなら、個人的にはジェスカイより4cエレメンタルの方が好みかもしれません。やはり《一つの指輪》にリソース手段を頼り切ってしまうのは不安ですし、相手もプレイやサイドボードが簡単になってしまいます。ジェスカイと戦う際は多少コントロールされてしまっても、《一つの指輪》にさえ対処すれば段々と手札は枯渇していきます。そのため非常に攻めやすいですが、この4cエレメンタルに対しては除去を何枚残すか、除去を構えてターンを返すかなど、要所でプレイが難しくなります。それになんといっても《発現する浅瀬》はとても気持ちいいカードですからね。スタンダードの時にお世話になった方も多いのではないでしょうか?オムナスの強さを久しぶりに体感するにはぴったりのデッキかもしれませんね。 進化を続けるエルドラージ そして最後を飾るのは、何度か話題に出ていたエルドラージランプ。最近のエルドラージはなんとトロンランドを採用していません。 エルドラージランプ モダンチャレンジ:優勝 By Gerardo94 マナ加速できる土地は《エルドラージの寺院》と《ウギンの迷宮》のみなので、従来のエルドラージに比べて入っている呪文は全体的に軽め。昔あったエルドラージ系アグロとランプの中間といったところでしょうか。とはいえ、エルドラージならではの早いターンからのビッグアクションも健在です。《ウギンの迷宮》から1ターン目にタリスマンでマナ加速、2ターン目に4マナから《まき散らす菌糸生物》というブン回りが特に強力。同じムーブをするために《楽園の拡散》が採用されています。1ターン目に《楽園の拡散》から2ターン目の《エルドラージの寺院》で《まき散らす菌糸生物》が出せるのです。このデッキの良いところはなんと言っても、エルドラージ対策として機能していたサイドカードたちをほとんど無視できることです。《黒曜石の焦がし口》《減衰球》はほとんど効きません。《血染めの月》《海の先駆け》にも多少の耐性があります。普通のトロンと違って全体のマナ総量が低めなので、「《血染めの月》でマナがなくなって手札のカードを満足にプレイできない」事案がそこまで頻繁には発生しません。とはいえ、無色マナを出す手段が限られてしまうので、効かないわけではないのですが。《衝動のタリスマン》や《邪悪鳴らし》で出たトークンなどを有効活用する必要があります。《記憶への放逐》だけは本当に刺さってしまうのですが、それはもうエルドラージである以上仕方ないでしょう。同型において《記憶への放逐》以上のカードは存在しないので、このリストも青をタッチして採用してしまっているぐらいですからね。《エルドラージの寺院》《ウギンの迷宮》《衝動のタリスマン》《楽園の拡散》とこのデッキにはマナジャンプ手段が大量にあり、《邪悪鳴らし》で必要なカードにもアクセスでき、このエルドラージランプは非常に安定した動きができます。《三なる宝球》や《虚空の杯》など特定の相手に効くカードや、ただ土地だけを探す《探検の地図》も入っておらず、一貫性のある動きができるのも魅力の1つ。マナを伸ばして《まき散らす菌糸生物》《世界を壊すもの》で足止めして《一つの指輪》から最終的に《約束された終末、エムラクール》という流れは美しさすらあります。これまで抱いていたエルドラージへのイメージが大きく変わるかもしれませんね。

【新セットレビュー】『ダスクモーン:戦慄の館』各色トップ3

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2024.09.18

mtg Yuyan

こんにちは。 細川 侑也(@yuyan_mtg)です。 9月27日発売の最新セット『ダスクモーン:戦慄の館』、全カードが公開されました。 というわけで今回も各色の注目カードトップ3をご紹介していきます! 白トップ3 第3位 《墓所のタイタン》が帰ってきた!戦場に出るか攻撃するたびに能力を誘発させる『基本セット2011』のタイタンサイクルは大人気で、スタンダードはタイタン同士の争いとなっていました。《原始のタイタン》は今でもモダンで現役なほどです。そのタイタンサイクルと同じ能力を持つのが今回の大主サイクル。各色の神話レアで、戦場に出るか攻撃するたびに能力が誘発し、更に本来のコストとは別に、兆候コストで軽く出すことができます。兆候時は、自分の終了ステップに時間カウンターが取り除かれていき、時間カウンターが乗っているかぎり、クリーチャーではありません。つまり、兆候で唱えてまずは戦場に出た時の能力が誘発し、攻撃時の能力はおあずけというわけです。序盤に引いた場合は4ターン目に兆候でとりあえずトークン、中盤以降は7マナと、元祖タイタンとは違った使い方ができます。トークンが2/1飛行なので、その点では《墓所のタイタン》より強力です。《墓所のタイタン》は登場後のスタンダードで大活躍だったカード。《ミストムーアの大主》にも期待してしまいます。兆候カードは《リッチの騎士の征服》と相性が良いので遊んでみたいですね。兆候で並べて生け贄にして一気にリアニメイトしたら熱そうです!   第2位 最初に読んだ時に「え?マジ?」って思いました。強すぎてびっくり。《忘却の輪》のような一時追放エンチャントで、自分のクリーチャーにエンチャントするオーラなため、除去されやすい分1マナ軽い…のですが、エンチャント先に護法(2)がつくので、普通に除去されづらい。更に+1/+0に絆魂と強化もまずまず。ビートダウン対決ではアタッカーを一時的に追放しながらライフを回復できます。しかも《運命に導かれし者、ケイリクス》との相性は抜群。相手のブロッカーを《幽霊による庇護》で排除して、《運命に導かれし者、ケイリクス》の能力で《幽霊による庇護》をコピー。《運命に導かれし者、ケイリクス》にエンチャントすれば除去が難しくなります。《運命に導かれし者、ケイリクス》と《幽霊による庇護》でまずはデッキを組んでみたいですね!   第1位 今回各色に存在するレアの光霊サイクル。かつてあったカードたちが現代版に調整されたとも言うべきでしょうか。最初はクリーチャーですが、死亡するとエンチャントとして戦場に戻ってきます。とてつもなくアッパー調整されたのがわかりますね。その中から最も強力だと思ったのがこの《永劫の無垢》。パワーが2以下のクリーチャーが戦場に出るたびに1ドローは、条件が緩すぎます。1ターンに1回という制限はありますが、《ミレックス》や《噴水港》など相手ターンにも1/1を作る手段があるため、1ターンの間に2枚引けることもザラです。そもそも同じ能力を持つ《歓迎する吸血鬼》は少し前のスタンダードで使われていたぐらいです。戦場に残れば膨大なアドバンテージを生み出す能力なため、まず生き残りませんでした。しかし、《永劫の無垢》は除去してもエンチャントとして帰ってくるので、《歓迎する吸血鬼》のようにはいきません。このカード、普通にめちゃくちゃでは? 青トップ3 第3位 全国10万人の青ファンの皆様!お待たせしました!ついに《対抗呪文》がパイオニアにやってきましたよ!え?全然《対抗呪文》じゃないって?想像してみてください。パイオニアでよく起きていたことを。《ドビンの拒否権》を構えていて《墓地の侵入者》を出されたことはありませんでしたか?でも《ドビンの拒否権》を入れないと《鏡割りの寓話》が通って負けるので、入れざるを得ない。こんな苦悩があったはずです。でももう安心。《今のうちに出よう》はクリーチャーと《鏡割りの寓話》をどっちも消せます。しかももう1つのバウンスモードもなかなか。《海の神のお告げ》を戻してもよし、《一時的封鎖》を2枚戻してその内1枚で全部を巻き込めば、《一時的封鎖》を1枚回収できます。青青とマナシンボルまで《対抗呪文》なのが玉に瑕なので、アゾリウスコントロールでの採用は厳しそうですが、もっと青が濃いデッキでは選択肢になるかもしれませんね。 第2位 エンチャントが戦場に出たり、部屋1つを完全に開放することを違和感と呼びます。このカードは違和感で1ドロー。つまり《アルゴスの女魔術師》、いわゆるエンチャントレス系の1種です。自身が瞬速を持っているのは大きく、相手がフルタップになって除去を構えられなくなった隙に唱え、そこから大量にドローできます。今回はクリーチャー・エンチャントも多いので、思わぬ組み合わせで引けるかも?まずはエンチャントで検索しましょう! 第1位 部屋は新たに登場したエンチャントのタイプ。分割カードのようにいずれかのマナを支払って場に出て、その支払った側の部屋が開放され、能力が発揮されます。戦場にある部屋のうち、開放されていない方を、マナ・コストを支払って開放できるので、1枚で2度美味しいカードです。《鏡の間》は自分がコントロールしているクリーチャーのコピーを生成するカード。3マナのコピーは標準的なスペック。とはいえ構築で使われるレベルではありません。しかし、部屋のもう一方が強力なら話は別です。コストこそ重いですが、開放すればパーマネントの誘発型能力が倍に!この手の誘発倍カードは重く、手札でダブつくのが課題でしたが、《鏡の間》なら軽く、コピー能力は汎用性も高いので、デッキに比較的組み込みやすい。使ってみたい1枚ですね。 黒トップ3 第3位 踏み倒したい系デーモン。普通に唱えるのは9マナとまず無理なので、パイオニアなら《不屈の独創力》あたりで出してみたいですね。土地以外3つという膨大な護法があるので、一度戦場に出れば触るのは難しい。しかも能力でそれらのカードを追放でき、使用可能となるため、護法を払わせて除去を打ち消した場合は、その瞬間に相手の吹っ飛ばした3枚のパーマネントをこちらが唱える、奇跡の0対7交換が行われることになるのです。スタンダードなら普通にリアニメイトで墓地から釣りましょう。それだけでもかなりのプレッシャーになること間違いなし。   第2位 生存は、第二メインフェイズ開始時にそのカードがタップ状態である時に能力を発揮します。第二メインフェイズでタップ状態ということは攻撃した後が普通なので、戦闘を生き残った…というフレーバーなのでしょう。しかし、実は生存する方法は他にもあります。その内の1つが乗り物に乗ること。すなわち機体への搭乗です。安全に生存したいなら機体なのです。そしてその機体を主軸に据えたデッキと言えば、《パルヘリオンⅡ》を《大牙勢団の総長、脂牙》で墓地から吊り上げるアブザンパルヘリオン。墓地に《パルヘリオンⅡ》を落とす手段として《冷笑的な一匹狼》はぴったり!こんなにアブザンパルヘリオンと相性の良いカードが出るとは。墓地に落とすカードはなんでも良いので、フラッシュバックを持つ《未練残り》やリアニ先となる《大牙勢団の総長、脂牙》など、状況に応じて様々なカードをチョイスできるのも魅力。これまでは《パルヘリオンⅡ》《エシカの戦車》《領事の旗艦、スカイソブリン》が定番でしたが、更に限定的な状況でのみ強い機体なども入ってくるかもしれません。 第1位 クリーチャーを破壊して、それをこちらの戦場に戻して、終了ステップに生け贄に捧げる。要するに《脅しつけ》に近いカードですが、生け贄手段を必要としないのがメリット。速攻がつかないのがデメリットというわけですね。《脅しつけ》は生け贄手段があるデッキ専用のカードでしたが、《望まれぬ復活》はとりあえず打って良しの除去なので、かなり強そうです。出た時に何かを行うカードは「除去耐性がある」とされていますが、《望まれぬ復活》だとその戦場に出た時の能力がしっかり誘発するので、相手だけ美味しい思いをさせることはありません。特に《偉大なる統一者、アトラクサ》を除去した時の気持ちよさは格別でしょうね。かなりスタンダードで暴れることを想定し、メタカードを作ったのでは?と思うほどです。 赤トップ3 第3位 タップするだけで次に唱えるインスタント・ソーサリーのコピーを生成できる強力なアーティファクトだが、インスタント・ソーサリーを唱えるたびにカウンターが乗り、7個以上のカウンターが乗ると20点が自分に入るデメリットつき。主な使い方はリソース手段です。除去をコピーしても良し、ドロースペルを2倍使うのもいいでしょう。計画であらかじめカードを追放しておけば、呪われた録画を置いたターンのラグも困りません。 7個目が乗ると20点を喰らいますが、その前に《削剥》で割るなどしておけば問題ないでしょう。それまでに膨大なアドバンテージを稼げていますからね。 第2位 大主サイクルの赤は戦場に出た時と攻撃するたびに4点。一見大したことない能力に思えますが、このカードは素で唱えるコストが6マナと軽い!《業火のタイタン》と同じにするとは。赤いミッドレンジにはとりあえず4枚入るのではないでしょうか?《リッチの騎士の征服》からのワンパン勝利にも貢献してくれそうですね。 第1位 《ボロスの反攻者》を思い出す性能。《叫ぶ宿敵》がダメージを受けると好きなところにダメージを飛ばす能力ですが、これによって対戦相手がダメージを受けると、そのプレイヤーはライフが得られなくなります。しかもこのゲームの間能力は継続するので、一度でも喰らわせれば《跳ねる春、ベーザ》もだいぶ抑えられます。自身がダメージを喰らうと同ダメージを好きな場所に飛ばせるので、実質的にチャンプブロックを無効にしてくれます。2/2でブロックしたら2点分を本体に飛ばせてしまいますからね。 このカードの強さは《ボロスの反攻者》をスタンダードで相手にしたプレイヤーには伝わるはず。その《ボロスの反攻者》が速攻を持つとどうなるか、今から対峙するのが恐ろしいです。 緑トップ3 第3位 ライブラリーから土地が落ちるたびに、その土地をタップ状態で戦場に出す機体。攻撃しながら切削するので、殴って土地を伸ばしていきます。土地が戦場に出る能力自体は、切削とは関係ないので、あらゆる手段でデッキから墓地に土地を落としてガンガン土地を伸ばしていくデッキができそうです。モダンにはなってしまいますが、《面晶体のカニ》とのコンボが話題。自分に対象を取って3枚を削り、その中に土地があれば《面晶体のカニ》の能力が誘発し、その切削で土地が落ちれば…ループしていきます。面白い使い道が他にもあるのでしょうか。いろいろ考えてみたいカード。 第2位 大主サイクルの中でも兆候コストが3マナと軽く、その能力は5色出る土地トークンを場に出すという、先祖である《原始のタイタン》に比べたらマイルドなもの。とはいえ、3マナで土地を伸ばしつつ、6/5が控えるだけでも結構なプレッシャー。《装飾庭園を踏み歩くもの》も以前のドメインではエースでしたからね。出せる土地がすべての基本土地タイプを持っているのも地味に嬉しい。これによって《力線の束縛》は1マナになりますし、《ニショーバの喧嘩屋》のようなカードも使いやすいでしょう。《装飾庭園を踏み歩くもの》は基本土地サーチなので、意識してデッキを構築しないとすぐにサーチするものがなくなりましたが、《ホーントウッドの大主》ならばその問題もありません。スタンダードのドメインにその席はあるのでしょうか。せめてトランプルなどがあれば……とは思いましたが、贅沢な希望かもしれません。 第1位 クリーチャーが全員《極楽鳥》になるエンチャント、《謎の石の儀式》は僕の大好きなカード。それが今回光霊となって帰ってきました。本体サイズが3/3で警戒持ちと、攻撃もできてマナもできる素晴らしいクリーチャーです。すぐに思いつくのはパイオニアの緑単ニクソスでしょうか。《炎樹族の使者》を大量に入れて信心を稼ぎつつ、《永劫の活力》で爆発的なマナを生み出す、なんて使い方ができそうです。本人も緑のダブルシンボルで信心はバッチリですからね。 多色トップ3 第3位 戦場に出た時にリソースを稼ぐカード、嫌いな人はいないでしょう。《希望の光、ニコ》が産み落とす破片トークンは強化版手がかりです。破片はエンチャントなため、違和感を2回達成してくれます。先に紹介した《精体の追跡者》でとりあえず2ドローは誰もが考え付くでしょう。パーマネントの数が即3つ増えるので《威厳あるバニコーン》との相性も良好。更に破片を《威厳あるバニコーン》に変えるなんて使い方もできますね。《威厳あるバニコーン》で攻撃しつつ、相手の攻撃は2つの破片(《威厳あるバニコーン》》で守る、なんてシーンもあるかもしれません。書いてあることは地味かつマルチカラーですが、アグロやミッドレンジなどその居場所はたくさんある、便利なカードに見えます。 第2位 初代《漆月魁渡》と似た能力ですが、こちらはより攻撃的なプレインズウォーカー。忍者を自前で用意して、除去から逃げて、コツコツとアドバンテージを稼ぐ《漆月魁渡》と違い、《悪夢滅ぼし、魁渡》は積極的に殴りながらリソースを確保します。その居場所はやはりディミーアミッドレンジでしょうか。《遠眼鏡のセイレーン》や《フェアリーの黒幕》など、ダメージの通しやすい飛行クリーチャーで忍術を行い、0能力を使いながら攻撃していくのが基本的な使い方となるでしょう。4/5にしてしまえば大体のブロッカーは突破できますし、目の前に立ちはだかるクリーチャーを見てから、プラス能力で紋章を得て殴りにいけるので、思ったより《悪夢滅ぼし、魁渡》はずっと攻撃し続けられる印象です。プラス能力の紋章が機能するデッキだとその破壊力はマシマシ。パイオニアで忍者デッキは成立するのでしょうか?もちろん名誉忍者の《変わり谷》もアップを始めています。   第1位 手札の枚数分のダメージを与えたり、終了ステップにカードを引ける部屋。除去とアドバンテージを兼ねる素晴らしい部屋だと思います。コントロールでぜひ使いたいカード。先に5マナで設置しておいて後から除去としても使えるため、思った以上に使い勝手が良いのではないかと思っています。また、マナ総量の合計が7であるため、《巨智、ケルーガ》を相棒に指定しているデッキに組み込めるのも注目ポイント。《巨智、ケルーガ》デッキの除去の選択肢の一つとなるでしょう。 アーティファクト 第2位 コンボ好きな皆さんの玩具が登場!《パラジウムのマイア》と《ピリ=パラ》がいれば無限マナになりますが、すべて場に揃えなければならないので、《アガサの魂の大釜》でコンボを決めるよりハードルは高そう。ただ、《アガサの魂の大釜》が入るデッキとの相性が恐ろしく良いのは間違いありません。起動型能力を持つクリーチャーが多く採用されているということですからね。真っ先に思いつくのは鱗親和でしょうか。戦場に残るどのクリーチャーの能力を得ても強いので、フリースロットに入れてみたい。イラストも名前もフレイバーテキストも怖い!   第1位 1マナのアーティファクトというだけで、モダン以下のプレイヤーは注目してしまいますよね。そう、《ウルザの物語》でサーチできるからです。そしてこの《除霊用掃除機》は破格の性能。タップで墓地の好きなカードを追放できるので、最低限の墓地対策としての役割は持ちつつ、重要なのは下の能力。6マナを支払い、これを生け贄に捧げることで、《除霊用掃除機》で追放したクリーチャーを、1/1にはなりますが戦場に戻すことができるのです!《ウルザの物語》からサーチできるカードがこんなに強くて良いのでしょうか?びっくりしました。これまで《ウルザの物語》でサーチするカードは、モダンでは《バネ葉の太鼓》《モックス・アンバー》などのマナ加速や、《地獄料理書》などのコンボ用カード、リソースを取る《ミシュラのガラクタ》《ミシュラの研究机》、そして《影槍》が定番でした。レガシーでは、マナさえあれば非常に強力な《改良式鋳造所》がありますが、この《除霊用掃除機》はそれと同じぐらいのインパクトを持つカードだと思います。墓地対策で定番の《魂標ランタン》の代わりに、とりあえず1枚だけメインに入れてみたいと思います。相手の《偉大なる統一者、アトラクサ》や《残虐の執政官》を追放してみたくないですか? 土地 同率1位 新たな友好色土地、そのあまりの強さに驚きました。こんな強い2色ランドは久しぶりに見たかもしれません。まず条件などなくアンタップイン。そしてタップで色マナが出て、もう片方の色が出る条件も緩い。何度もスタンダードに再録されていた《陽花弁の木立ち》などの通称チェックランド(またはM10ランド)の上位互換です。条件なく片方の色マナは出るので、たとえば《グルームレイクの境界》であれば、青マナは更に出しやすくなります。1ターン目に青いカードを唱えるディミーアミッドレンジなどは更に色が安定しますね。逆に1ターン目に《強迫》を打つ際にはこの土地は寄与しません。黒い1マナのカードが大量に入っているラクドスミッドレンジのようなデッキには《ブレイズマイアの境界》はうってつけというわけです。アンタップインの強力な土地が増えるということは、それだけアグロデッキが強くなることを意味します。2色のビートダウン、とりわけグルール果敢は現スタンダード環境でも活躍していますが、この土地の登場でマナ基盤が非常に強固なものとなります。これまでは色マナが不安定だったために枚数が押さえられていたカードたちも、採用枚数が再考されるかもしれません。《亭主の才能》や《蛇皮のヴェール》は強力なカードなので、もう少し枚数が増えるのではないでしょうか。フェッチランドから諜報ランドを持ってくるのが定番の動きとなっているモダンでは、この土地はほぼデュアルランド。ディミーアマークタイドなんかには1枚ぐらい入ってもおかしくないのでは?スタンダードやパイオニアのあらゆる友好色デッキが更に安定するようになりましたが、果たして対抗色サイクルは登場するのでしょうか。   総合トップ5  そして全色を含めたトップ5はこちら! 《咆哮する焼炉》を4枚採用した青赤系コントロール、早速組んでみたいです!また、GOOD GAMEでは現在『ダスクモーン:戦慄の館』の各種ブースター・パックを予約販売中!この機会にぜひご予約ください!(ご予約ページはこちら)  

【今週のピックアップデッキ】ゴルガリ上陸/エスパーパルへリオン/感染

Modern Pioneer Standard ピックアップ

2024.09.13

mtg Yuyan

こんにちは。 細川 侑也(@yuyan_mtg)です。 今週のピックアップデッキでは、ちょっと珍しいデッキを、軽い解説を交えて紹介していきます。 ゴルガリ上陸(スタンダード) スタンダードチャレンジ:5位 By HouseOfManaMTG ゴルガリといえば《裏切りの棘、ヴラスカ》+《亭主の才能》の即死コンボを採用したタイプや、《自由放浪団の見張り》+《玉虫色の蔦打ち》の悪事上陸コンボなど、様々な形のミッドレンジが現スタンダード環境にはありますが、今回紹介するのは更にコンボに特化したタイプ。その名はゴルガリ上陸です。デッキの構造は前環境のティムールランプに似ています。《脱出トンネル》と《寓話の小道》でデッキから土地をサーチし、《事件現場の分析者》でそれらを場に戻してマナ加速。ここに《復活した精霊信者、ニッサ》が絡むと大量のマナが出て、《洞窟探検》が絡むと更にマナを生み出していきます。《洞窟探検》と《復活した精霊信者、ニッサ》が揃った時は脅威。4枚の《寓話の小道》や《脱出トンネル》が墓地にあって、それらが場に戻るとまず4マナ、そしてそれぞれが基本土地をサーチして更に4マナ、場に出てきた基本土地4枚で4マナの計12マナが出てくることになります。ここに更に《無慈悲な殺戮》が加わることでループが始まります。《無慈悲な殺戮》を唱えて場に出ているすべての土地を生け贄にして大量にドロー、その中に《事件現場の分析者》か《森の轟き、ルムラ》が見つかれば、再び唱えて大量のマナを生成。たくさん引いた中に《無慈悲な殺戮》があればループが発生します。これだけでは勝利できませんが、《玉虫色の蔦打ち》をループ中に引けば、唱えて《森の轟き、ルムラ》か《事件現場の分析者》で勝利というわけです。《森の轟き、ルムラ》は新たに加わった強力なクリーチャー。《事件現場の分析者》と同じく墓地から土地を場に戻すカードで、しかもエレメンタルなため、《復活した精霊信者、ニッサ》の能力で手札に加えることができるのです。フィニッシャー枠として採用されている《玉虫色の蔦打ち》はコントロール相手には1ターン目に積極的に唱えられるのも強力。毎ターン攻撃しつつ上陸するだけであっという間に相手のライフを削ります。これまでは上陸した後に大量のマナから勝つ必要があったため、赤をタッチして《世界魂の憤怒》を採用していましたが、《玉虫色の蔦打ち》のおかげでその必要がなくなりました。デッキの性質上、大量の墓地に落ちる土地(《寓話の小道》《脱出トンネル》)とそのサーチ先である基本土地が採用されていますが、《泥干潟村》は数少ないバリューランド。戻すカードは《玉虫色の蔦打ち》だけですが、それで十分です。《事件現場の分析者》や《森の轟き、ルムラ》で、生け贄にした《泥干潟村》も戻ってくるので、序盤に出してダメージを数点出した《玉虫色の蔦打ち》を、ほぼタダで回収することができます。ティムールランプが好きな方はこのデッキを気に入ること間違いなし!ちなみに僕も最近はこのデッキがお気に入りですが、《眠らずの小屋》ではなく《地底の遺体安置所》を採用しています!特定のカードを引き込みたいコンボデッキなため、諜報はこのデッキに合っていて、土地を墓地に落とすことで《事件現場の分析者》で場に出せる数が増えるので、好感触です。《玉虫色の蔦打ち》でダメージを与えている時の《眠らずの小屋》も非常に強いので悩みどころですが、ぜひお試しください! エスパーパルへリオン(パイオニア)   墓地に《パルヘリオンⅡ》を落として《大牙勢団の総長、脂牙》で吊り上げるコンボデッキ、アブザンパルヘリオン。 白黒は確定として、残りの1色として、墓地に《パルヘリオンⅡ》を落としつつ《大牙勢団の総長、脂牙》を手札に加えられる《忌まわしい回収》や追加の機体である《エシカの戦車》が使える緑を使うのが定番でしたが、このリストでは青を採用しています。 パイオニアリーグ:5-0 By Kaberb 青採用のメリットはまずはドローです。《考慮》は墓地にカードを送り込みつつドローするだけですが、《染みついた耽溺》と《信仰の繕い》は2ドローしてカードを捨てるので、《大牙勢団の総長、脂牙》を引き込みつつ《パルヘリオンⅡ》を墓地に送り込めます。掘る枚数は《忌まわしい回収》より少ないものの、5枚から土地かクリーチャーしか拾えないより、2ドローの方が価値が高い場合ももちろんあります。《思考囲い》などが欲しい場合がありますからね。更に青を採用することで打ち消しを採用できるのもメリットです。メインから《頑固な否認》がしっかり採用されており、サイドにも《軽蔑的な一撃》や《ドビンの拒否権》で、しっかり青を利用しています。クリーチャーがほとんど入っていないので、コントロールプランを取りやすいのもメリットです。アブザンパルヘリオンは《エシカの戦車》や《忌まわしい回収》などが入っていることから、持久戦はできても、全体除去で盤面をコントロールするプランを取るのは難しい。しかし、エスパーパルへリオンはドロースペルと《パルヘリオンⅡ》と除去で構成されているので、サイド後は全体除去を増やしてエスパーコントロールのように立ち振る舞えます。特にラクドス果敢のような早いデッキにはこのプランは効果的でしょう。アブザンとは一味違った魅力があるエスパーパルへリオン、見た目がとにかくいいですね! 感染(モダン) ナドゥの3ターンキルやルビーストームの2ターンキルなど、『モダンホライゾン3』ではキルターンの早いコンボデッキが生まれてきましたが、実はそれ以前からずっと2ターンキルデッキはモダン環境に存在していました。それが感染です! SCG CON Tampa:12位 By Quinn Reed しかも難しい手順は一切なし!1ターン目に《ぎらつかせのエルフ》を唱えて2ターン目に《厚鱗化》を打って《古きクローサの力》を打つだけ。これでイージーに毒10個達成となります!モダン黎明期から活躍し続けている感染は、『モダンホライゾン3』のカードをメインボードに1枚も採用していない構成で、懐かしさすら感じます。中でも目を引くのは4枚採用されている《ファイレクシアの十字軍》。このカードの真価が発揮されるのは何と言ってもエネルギー相手でしょう。プロテクション赤・白なのでデッキのどのカードでもブロックできず、除去れず、出されたら後はダメージレースを挑むしかなくなります。感染側はただ《ファイレクシアの十字軍》のパワーを10にするだけで勝てるので、対エネルギーの最終兵器と言えるでしょう。ジェスカイコントロールも《空の怒り》以外でこのクリーチャーを触れませんし、《ファイレクシアの十字軍》が現環境に突き刺さっていることが、感染の強みかもしれません。《強大化》や《変異原性の成長》などが入っている印象でしたが、前者は墓地が肥えてないと使えないため序盤に打ちにくく、後者は修正値が低く、このリストでは未採用。その代わりに相手の除去を回避する《巨森の蔦》《顕在的防御》に加え、《強迫》まで採用されており、これまでの感染よりも除去対策が多い印象です。感染をまたモダンで遊んでみたい方はぜひお試しあれ!

【週刊メタゲーム通信】新星・ラクドス果敢の脅威とそこから形成されるメタゲーム

Pioneer ピックアップ

2024.09.12

mtg Yuyan

こんにちは。 細川 侑也(@yuyan_mtg)です。 毎週、最新のメタゲームをデッキリストと共にお届けするこの記事。今週はパイオニアの最新メタゲームを追っていきます! 圧倒的な強さを誇る新星・ラクドス果敢 前回の【今週のピックアップデッキ】で紹介したラクドス果敢が今週は大暴れ! ラクドス果敢 パイオニアチャレンジ:優勝 By Hamuda 9月8日のチャレンジではトップ3を独占し、もう1つのチャレンジでも2位、翌日の2つのチャレンジでもしっかり入賞を果たしており、その勝利がフロックでないことが明らかとなりました。基本的な動きは赤単アグロ。《僧院の速槍》《精鋭射手団の目立ちたがり》《熾火心の挑戦者》など、インスタントやソーサリーを唱えることで一時的にサイズが上がるクリーチャーを、《タイタンの力》や《巨怪の怒り》で更にサイズアップさせて一気にライフを削り取ってしまうデッキ。 特に《熾火心の挑戦者》は《巨怪の怒り》でサイズを上げながら、自身が対象に取ることで雄姿が誘発し、リソースも稼いでくれる素晴らしいクリーチャー。このカードの存在が今の赤系果敢をメタの上位に押し上げている要因と言えるでしょう。《心火の英雄》は果敢こそありませんが、雄姿でサイズが上がっていくクリーチャー。《巨怪の怒り》《タイタンの力》《弱者の力》《無謀な怒り》がすべて対象に取るカードなので、毎ターンサイズはアップしていきます。この《心火の英雄》は死亡時に自身のパワー分のダメージを対戦相手に与えることができるので、一時的にパワーを上げるカードと相性がとにかくよく、能動的に《心火の英雄》を墓地に送りつつ、プレイヤーにダメージを飛ばす《無感情の売剣》とのコンボは強烈。たとえば3ターン目に《心火の英雄》に《タイタンの力》と《巨怪の怒り》を打って1+1+3+3の8点。《無感情の売剣》で8点。更に墓地に落ちて《心火の英雄》の能力で8点。これだけで24点がわずか3ターン目に入ります。最近のリストでは《戦慄衆の秘儀術師》が入っているのがトレンド。ほとんどの呪文が1マナなので、生き残りさえすればリソースを稼いだり、更なるダメージを叩き出してくれます。そしてこのカードが真価を発揮するのはサイドボード後。《致命的な一押し》や《思考囲い》を使い回す動きは、対アグロ・コントロールに脅威となり、愚直に相手のライフを削る他のカードとは異なる動きを見せることが可能です。ラクドス果敢はパイオニアに現れて瞬く間にその強さを見せつけ、それによってメタゲームは変わりつつあります。白系のコントロールやセレズニアエンジェルといった、赤いアグロを目の敵にしているデッキも勝ち始めており、早速メタられる側へと回っています。今度はいかなる対策を行うか、そして増えている同型に対してどのようなプランを取るか、ラクドスのリストの変化にも注目していきたいですね。 赤を切る正義の天使軍団 さて、その赤殺しのセレズニアエンジェルもパイオニアチャレンジを制しています。 セレズニアエンジェル パイオニアチャレンジ:優勝 By sandoiche 《ラノワールのエルフ》や《希望の源、ジアーダ》から高速で《正義の戦乙女》《輝かしい天使》を出し、大量のライフを得ながら圧倒的な盤面を築いていくデッキです。デッキのキーとなるのは《正義の戦乙女》。天使かクレリックが出るたびにタフネス分のライフを得て、ライフが27以上だと自軍クリーチャーのパワーとタフネスが2つずつ上がるので、一度27になるとそこからライフを落とすことは困難。《翼の司教》から《正義の戦乙女》、そこからクリーチャーという超大量のライフゲインが続く展開は、ビートダウンからしてみれば溜まったものではありません。終了ステップにライフを5点以上得ていると天使が出る《輝かしい天使》もこのデッキでは誘発は比較的容易で、しかも出てきた天使で更にライフが回復するので、たとえライフが一桁に落ち込んでも、たった1ターンで20を超えることも。《正義の戦乙女》+《輝かしい天使》や《輝かしい天使》+《翼の司教》など、クリーチャー同士によるコンボが多いため、複数のクリーチャーが同時に場に出るカードはセレズニアエンジェルと相性がよく、今のパイオニアで最も《集合した中隊》を強く使えるデッキはセレズニアエンジェルです。そのため、《集合した中隊》4枚だけでは足りず、《カイラの再建》もフル投入されています。《カイラの再建》は《集合した中隊》よりマナはかかりますが、能力も強力。見る枚数は7枚で、戦場に出す数はマナを支払うほど多くなります。少しマナフラッドしている時にドローすれば、一挙に4体のクリーチャーを戦場に出すことも。ビートダウン殺しのセレズニアエンジェルが、ラクドス果敢の進軍に待ったをかけることとなりました。 2度の禁止を乗り越えて そんなセレズニアエンジェルにも弱点があります。それはキルターン自体は決して早くないということ。そしてあくまでクリーチャーデッキであり、全体除去を苦手としていること。即ちコンボとコントロールが苦手なのです。 ロータスコンボ パイオニアチャレンジ:優勝 By KingHairy パイオニアではコンボデッキは禁止されてしまいがちですが、そんな中、安定4~5ターンキルかつ劇的なサイドカードである《減衰球》があることで存在を許されている、それがロータスコンボ。《睡蓮の原野》を《森の占術》や《大ドルイドの魔除け》で探し、それを《演劇の舞台》でコピー。2枚の土地から6マナを生み出せるようになったら、《見えざる糸》や《熟読》でマナと手札を増やし、《出現の根本原理》で勝利するというデッキ。《睡蓮の原野》と《演劇の舞台》、この2枚の土地によるコンボを妨害する手段はほとんどなく、揃ってしまう前に殴りきらなければ、まず敗北してしまいます。逆に、揃って《睡蓮の原野》が並ぶまではほとんど相手に干渉できないことから、ラクドス果敢を非常に苦手としているデッキではありますが、実は先週のチャレンジでは2回優勝を収めています。 ラクドス果敢は厳しいものの、そのラクドスが除去コントロールやライフゲイン要素の多いミッドレンジに狩られるのなら、それらのデッキを食い物にしているロータスコンボの出番というわけです。ラクドス果敢→白系のミッドレンジ~コントロール→ロータスコンボというわかりやすい3すくみですね。ロータスもラクドス果敢に一矢報いるため、様々な工夫を凝らしています。優勝したリストはメインから《跳ねる春、ベーザ》が入っており、《大ドルイドの魔除け》からこれはサーチ可能です。《闇の誓願》からサーチしてそのままキャストできる《危難の道》もメインと、それなりに意識していることがうかがえます。これでも以前としてラクドスがきついのは間違いないでしょうが、きちんと回られてしまったら負けるのは仕方なく、動きが芳しくなかった時に勝てるように調整されています。ロータスコンボはサーチ呪文が大量に入っていることから、デッキ構築が非常に重要なデッキです。たった1枚でもそれにアクセスするカードが複数枚あるので、普通のデッキの1枚とは大きく意味が異なるのです。メタゲームの間隙を突いて優勝する力は健在です!対策をお忘れなく。

【週刊メタゲーム通信】ナドゥと悲嘆亡き後はエネルギー、御霊、そしてエルドラージ!

Modern ピックアップ

2024.08.30

mtg Yuyan

こんにちは。 細川 侑也(@yuyan_mtg)です。 毎週、最新のメタゲームをデッキリストと共にお届けするこの記事。今回は禁止改訂で激減した直後のモダンチャレンジから新環境を分析! やっぱり強いボロスエネルギー 《有翼の叡智、ナドゥ》と《悲嘆》が禁止になって、全く新しく生まれ変わったモダン。禁止改訂後に行われたモダンチャレンジを制したのは、ボロスエネルギーでした。 ボロスエネルギー モダンチャレンジ:優勝 By Graciasportanto ボロスエネルギーは『モダンホライゾン3』で生まれた超強力なアグロデッキ。3ターンキルに僅かに間に合わないため、バントナドゥに不利だったものの、その他のほとんどのデッキに強く、ナドゥ亡き後はトップメタであろうことが予想されていました。そして、その予想が的中する形となりました。優勝したのは純正2色のボロスエネルギー。特徴的なのはなんといっても《一つの指輪》の4枚採用です。《一つの指輪》は置いたターンが隙になり、ナドゥにコンボを決められてしまうのが弱点。それを補うため、《一つの指輪》は黒単ネクロの《魂の撃ち込み》やジェスカイコントロールの《緻密》《否定の力》のように、ピッチスペルと合わせて採用するのが基本でした。しかし、ナドゥ亡き今、《一つの指輪》を置くリスクは各段に減りました。それならばエネルギーミラーマッチやコントロールとの対決で強い《一つの指輪》をエネルギーが採用するのに、何も躊躇うことはありません。《一つの指輪》を置く際にライフが少ないのは困るので、ボロスカラーの2色にまとめています。《色めき立つ猛竜》でめくれてしまった際に《一つの指輪》は唱えづらいですが、それも2~3ターン目の話。中盤以降は意識してエネルギーが4つ以上ある時に唱えれば問題ありません。《火の怒りのタイタン、フレージ》も、《有翼の叡智、ナドゥ》の禁止で更に強くなった1枚。《根の壁》もナドゥも3点では焼けず、交換できても《喜ぶハーフリング》が関の山でした。その分ミラーマッチなどでは強いカードだったので、禁止改訂後のメタを見据えてしっかりと4枚採用にしています。《一つの指輪》《火の怒りのタイタン、フレージ》とコンボに弱いカードを数多くメインに採用しているので、サイドには対コンボ、特にストームを意識しています。4枚の《ドラニスの判事》からは凄まじい殺意を感じますね。ミラーを特に意識した素晴らしい構成で、まずは禁止改訂後の最初のモダンを制しました。 《悲嘆》がなくても強い!エスパー御霊 さて、《有翼の叡智、ナドゥ》と一緒に禁止になった《悲嘆》。これによってコンボデッキの活躍が見られるものかと思われましたが、かつて《悲嘆》を採用していたデッキも見事にモダンチャレンジで優勝を収めました! エスパー御霊 モダンチャレンジ:優勝 By HamAndCheese それがエスパー御霊。《偉大なる統一者、アトラクサ》を《御霊の復讐》で吊り上げ、《儚い存在》で場に定着させつつ、一気にリソースを稼ぐリアニメイトデッキ。コンボパーツである《儚い存在》を1ターン目の《悲嘆》想起にも使え、更に《偉大なる統一者、アトラクサ》定着後の余った手札から《悲嘆》を連打して勝ちを確定させる動きはとても強力で、エスパー御霊は《悲嘆》の禁止で弱体化を余儀なくされた…と思われましたが、堂々の優勝。《悲嘆》のスロットに収まったのは《思考囲い》でした。《儚い存在》との相性は消えたものの、1ターン目に唱えて脅威を抜く動きは、むしろ《悲嘆》よりも強力。更にこれまで採用枚数が少なかった《超能力蛙》もしっかりと4枚採用に。《思考囲い》と《超能力蛙》が4枚ずつ採用されており、フェアな動きがより強くなりました。《悲嘆》の禁止によって《偉大なる統一者、アトラクサ》リアニメイト後の0マナの動きが減ってしまいましたが、それでも《孤独》は健在。《否定の力》と《孤独》を構えれば大体の状況は覆されないでしょう。3ターン目に《偉大なる統一者、アトラクサ》を吊り上げてしまえばボロスエネルギーはたまったものではありません。墓地対策が薄ければエスパー御霊側に分があるのは言うまでもなく、更にサイド後は《超能力蛙》4が活き、フェアに立ち回れるようにもなっています。《空の怒り》《毒の濁流》はいずれも《超能力蛙》を生き残らせながら打てる可能性のある全体除去であり、ボロスには高速リアニメイトとコントロール、どちらのプランでも勝てるようになっています。《悲嘆》を失ってのまさかの優勝で、エスパー御霊は一気に意識される立場となったわけですが、果たしてこの後も活躍できるのでしょうか。 禁止改訂後に急上昇!エルドラージブリーチ 以前から一定数は存在していたものの、禁止改訂後で一気に増えたのがエルドラージブリーチ。 エルドラージブリーチ モダンチャレンジ:準優勝 By salvation666 《ウギンの迷宮》と《エルドラージの寺院》から《まき散らす菌糸生物》を高速召喚してマナを伸ばして破壊するエルドラージ的動きと、《裂け目の突破》から《引き裂かれし永劫、エムラクール》《穢すもの、ウラモグ》を出して滅殺で一気にパーマネントを刈り取るコンボの2つで勝利を目指すデッキです。《穢すもの、ウラモグ》は《運命を貪るもの》ととても相性の良いカード。ゲーム開始時の《運命を貪るもの》の能力は1枚を残して、後のカードは追放するため、その追放された中に《引き裂かれし永劫、エムラクール》があれば一気に15個のカウンターが乗り、一撃で22点を与えられます。《裂け目の突破》はこれまで《引き裂かれし永劫、エムラクール》以外にまともな踏み倒しクリーチャーがいなかったことが課題でしたが、《穢すもの、ウラモグ》の登場で一気に強いカードとなりました。エルドラージで使用すると二度おいしい全体除去の《コジレックの帰還》はエネルギーに、コンボには《三なる宝球》と《石の脳》、コントロールには《世界を壊すもの》など、赤緑エルドラージながらそれぞれの相手にしっかりと強力なサイドカードが用意されています。不器用な以前までのイメージはまったくありません。《運命を貪るもの》で序盤の動きも安定し、土地次第では序盤から強力な展開ができたり、時には即死のコンボもある。相手からすれば非常にやりづらい相手です。妨害がほとんどないため、ナドゥには容易に3ターンキルされてしまっていました。禁止改訂後、最も今勢いのあるデッキと言って良いでしょう。モダンのメタの一角にしっかり食い込んでくるデッキパワーがあると思います!

仲間と一緒に勝ち抜こう!チーム構築戦のススメ

Modern ピックアップ

2024.08.21

mtg Yuyan

こんにちは。 細川 侑也(@yuyan_mtg)です。 こんにちは。今回は、先週末に行われたBIG MAGICさん主催のイベント、BIG MAGIC OPENのチームモダンに参加しました。 そこで今回は、チーム構築戦に関するお話と、最後に実際に使用したデッキリストをご紹介します! チームモダンとは チームモダンは、3人のプレイヤーを1チームとしたモダン戦です。3人の内2人が勝つことでマッチ勝利となり、チームメイト同士でプレイの相談なども行えるので、仲の良い友人と一緒にマジックを楽しめる、とても人気のフォーマットです。一番の特徴はなんといってもデッキリストの制限です。基本土地以外の同名カードを一人のプレイヤーしか使用することしかできません。プレイヤーÅが《霧深い雨林》を1枚でも使用したら、プレイヤーBは《霧深い雨林》を1枚も使うことができません。これがモダンでは非常に大きな制限となります。必然的に4色や5色といったデッキを使うことは厳しくなります。大量のフェッチランドを一人のプレイヤーが独占したら、他のプレイヤーは単色か特殊なデッキしか使用できません。そしてそこに、チーム戦ならではの面白さもあります。一人が5色を贅沢に使い、残りの二人がフェッチランドを使用しない特殊なデッキ、たとえばベルチャーやトロンのようなデッキを使うなどです。ベルチャーは中々今のモダンでは見ることができないデッキですが、チーム戦では他とパーツがなかなかかぶらない、素晴らしいコンボなのです。 デッキの考え方 さて、チーム戦について理解してもらえたところで、デッキの振り分け方について掘り下げてみましょう。僕はこういったチーム戦でまず考えるのは、そのフォーマットで強いカードを上から順に挙げていき、それらをなるべく使うことでした。強いデッキを上から順番に並べていき、かぶってないデッキで3つ選ぶのも悪くはないのですが、意外と「こんな強いカードを使っていない!」という事態に後から陥りやすいので、念のためにカード単位で考えています。今回はモダン。そのモダンで強いカードランキングを、僕は以下のように設定しました。1位:《有翼の叡智、ナドゥ》2位:《一つの指輪》3位:《火の怒りのタイタン、フレージ》4位:《ナカティルの最下層民、アジャニ》5位:《ネクロドミナンス》6位:《ウルザの物語》7位:《魂の導き手》8位:《オセロットの群れ》9位:《モンスーンの魔道士、ラル》10位:《悲嘆》 そしてこれらのカードをなるべく多く採用できる組み合わせを考えることで、デッキを決めていきます。特に今回はバントナドゥはあまりに強すぎるデッキなので、この《有翼の叡智、ナドゥ》を使うことはまず確定。この時点で《ウルザの物語》を使う他の候補は消滅。続けて《一つの指輪》ですが、まず第一候補となるのは5位の《ネクロドミナンス》、10位の《悲嘆》を合わせた黒単ネクロ。ですが同時に《一つの指輪》はバントナドゥにも2~3枚は採用したい。 一旦黒単ネクロを保留し、《一つの指輪》をバントナドゥに渡せないかを考えます。《火の怒りのタイタン、フレージ》《ナカティルの最下層民、アジャニ》《魂の導き手》《オセロットの群れ》を使えるボロス(+1色)のエネルギーはほぼ確定しました。上位全部を使用でき、バントナドゥと黒単ネクロ、どちらとも共存できるので、選ばない理由がありません。そして次の候補はというと…9位の《モンスーンの魔道士、ラル》を使用したルビーストームでした。ルビーストームはデッキパワーとしては黒単ネクロとほぼ同じぐらいという印象。サイドボード後に徹底的にメタられてしまいますが、チーム戦では《減衰球》と《ドラニスの判事》が同じデッキに入っていることは少ないので、個人戦より勝ちやすい。それならば《一つの指輪》をバントナドゥにあげて、100%のバントナドゥにしつつ、一定の勝率もあげられるルビーストームが良いと判断しました。 サードデッキという存在 チーム構築戦は「エース2人とサードデッキ」になりがちで、今回の場合はバントナドゥとエネルギーがエース、ルビーストームがサードデッキにはなりましたが、そのサードデッキもかなり強く、エースと遜色なかったので、トリプルエースだったかもしれません。カードプールが広いモダンではこうしてトリプルエースを組める場合もありますが、大体はエースデッキ2つとサードデッキになります。このサードデッキをどのように組み上げるかも、チーム構築線の面白い部分です。サードデッキは、他の2つのエースに比べると少しデッキパワーが落ちます。エースがTier1だとしたら、サードデッキはTier2~3といったところ。そういうデッキは必ず何かしらの大きな弱点を抱えています。たとえばバントナドゥに極端に相性の悪いデッキがあったとします。しかし、バントナドゥ以外のすべてのデッキに強い。本来このデッキは個人戦で勝ち上がることはまずありません。なぜならバントナドゥはたくさんいて、勝つごとに当たる確率が高くなっていくからです。しかし、チーム戦ならどこまで勝ち上がっても当たる確率は三分の一です。それならば、中途半端に強いデッキをサードデッキに選ぶより、こうした極端なデッキを選ぶ方が、チーム戦で勝つ確率が高くなります。さて、たまにあるのがエースとサードでサイドボードにかぶりが発生する場合。こういう時は、エースにカードを譲り、サードはそれの代用品を採用すべきです。そのサイドカードにもよりますが、基本的には強いデッキをとことん強く、余りもののカードでサードデッキを考える方が良いです。 BMO使用デッキ 最後に、チームモダンで実際に使用した3デッキのリストを、軽く解説を交えながら紹介します。 A席:バントナドゥ 個人成績:7勝1敗 By Yuki Matsumoto はい、最強のデッキ、ナドゥです。東西戦の東エリア、モダン神挑戦者決定戦をバントナドゥで制した、BIGSのAさんこと松本 友樹さんに、フルパワーの75枚を使ってもらうことにしました。リスト自体に大きな変更はありません。最近では定番の《タッサの神託者》レスの形ですが、Aさんはプレイスタイル的に《タッサの神託者》が欲しいとのことだったのでそのままに。《タッサの神託者》を使わずとも、《森を護る者》と《忍耐》でライブラリーをループさせて無限マナを作り出すことができ、《破滅の終焉》でフィニッシュしたり、無限に《耐え抜くもの、母聖樹》を起動し続けることができるのですが、《忍耐》か《森を護る者》が追放されると成立しなくなります。《コーの先導》からインスタントタイミングでコンボを決めてそのまま勝利する場合は《タッサの神託者》は便利なので、Aさんはこの使用感を気に入っていました。ミラーマッチで勝つにはメインの《荒れ模様のストームドレイク》は欠かせません。サイドにはチーム戦で多くなるであろうストーム対策として《ドラニスの判事》と《魂なき看守》の両方を採用。エネルギー側のサイドプランはほぼ《過酷な指導者》なので、《ブレンタンの炉の世話人》。《夏の帳》をルビーストームが使っているので、コントロールや黒系に対しては《時を解す者、テフェリー》と《一つの指輪》を多めに用意しています。ちなみにÅさんはチームモダン個人7勝1敗により、大会で使用した際の勝率は驚異の90%でした。本当にマジックの成績かな?   ジェスカイエネルギー 個人成績:6勝2敗 By Sho Usui B席はジェスカイエネルギーでした。プロツアー出場経験もある友人です。実は今回、エネルギーに僕はそれなりに時間を使いました。バントナドゥ、エネルギー、ストームの3つに決まった時に、エネルギーの最適なリストを模索すべく、様々なタイプを回しました。そして《ゴブリンの砲撃》を採用したエネルギーが最も強いという結論に至りました。《ゴブリンの砲撃》があればバントナドゥに対してライフを詰めてワンチャンスをもぎ取れる可能性がある他、チーム戦で頻発するであろうミラーマッチでは置いた方がまず勝ちます。そしてミラーマッチでは、キーとなる《オセロットの群れ》を除去しつつ、盤面に2体のクリーチャーを残せる《オークの弓使い》は最強。というわけで《ゴブリンの砲撃》を多めに採用した《オークの弓使い》が最適解…と直前まで考えていました。しかし、このタイプのマルドゥエネルギーが増えてきて、ミラーで全くエッジを出せなくなってしまいました。更にマルドゥは《血染めの月》が使えないことで、ボロスに比べて悪いマッチがいくつかあり、黒を足す利点はミラーマッチの優位性。しかもそれも相手が同じリストなら無意味で、ほぼ良い点がなくなってしまったのです。そこでこのジェスカイエネルギーです。《イーオスのレインジャー長》はエネルギーが苦手なストームなどのコンボに強く、《一つの指輪》を置いてくるデッキにもある程度抵抗できます。そしてなんと言っても《マネドリ》。《イーオスのレインジャー長》からサーチして《イーオスのレインジャー長》になり、次の《マネドリ》をサーチしつつ、《イーオスのレインジャー長》1枚を生け贄に捧げ続ければ、デッキによっては完全に詰ませることも可能。更に《マネドリ》はブン回りにも寄与します。突然ですが、ここで問題です。《オセロットの群れ》が3体戦場にいて、エンドに1体目の《オセロットの群れ》で昇殿を達成した場合、猫トークンが何体出るでしょうか?正解は14体です。1体目の《オセロットの群れ》でトークンが出て、昇殿達成。トークンがコピーされて猫2体。2体目の《オセロットの群れ》から出たトークンと、1体目から出た猫2体の合計3体がコピーされて6体。3体目の《オセロットの群れ》の猫で7体になり、その7体がすべてコピーされるので、14体生成されます。《ゴブリンの砲撃》があれば3ターンキルというわけです。《オセロットの群れ》だけではなかなか3体を並べることはできませんが、《マネドリ》で実質8枚体制ならそれも現実的です。《ナカティルの最下層民、アジャニ》をコピーして、コピーした《マネドリ》を伝説ルールで生け贄にすることで、オリジナルのアジャニを変身させることも。《色めき立つ猛竜》からめくれると少し残念な気持ちになりますが、逆に手札から《マネドリ》を出して《色めき立つ猛竜》をコピーできて強力。マルドゥの利点だったミラーでの《オークの弓使い》も、《マネドリ》で《オークの弓使い》をコピーできるので、マルドゥVSジェスカイで大きな違いが出ることはないと判断しました。サイドボードの《記憶への放逐》も《一つの指輪》デッキへのサイドボードとして重宝。ジェスカイエネルギーを選択して正解だったと思います。   ルビーストーム 個人成績:7勝1敗 By Yuya Hosokawa C席の僕はルビーストームを使用。リストの詳細などについては今週執筆予定のデッキ解説でご紹介するので、どうぞお楽しみに! チーム戦は魅力がいっぱい 個人戦とは異なり、チーム戦はデッキ構築段階から考えることがたくさんあります!そして実際の対戦も非常に楽しい。アドバイスをお互いに交わしたり、チームメイトの勝利を祈っている時に、チームで戦っているということを実感します。昔はチームスタンダードのプロツアーもあったほどで、個人的にはチーム戦をもっといろいろやってほしいなと思っています。次にチーム戦がいつあるかわかりませんが、その時にはこの記事が参考になるかもしれません!それではまた。

【今週のピックアップデッキ】セレズニアアーティファクト/5色人間/青単ウルザ

Modern Pioneer Standard ピックアップ

2024.08.16

mtg Yuyan

こんにちは。 細川 侑也(@yuyan_mtg)です。 今週のピックアップデッキでは、ちょっと珍しいデッキを、軽い解説を交えて紹介していきます。 セレズニアアーティファクト(スタンダード) スタンダードリーグ:5-0 By _Cygnus スタンダードには、様々なカラーのアーティファクト・アグロが存在しています。強力なアタッカーを生み出しつつ、除去された時に発見も行う《生命ある象形》は青いアーティファクトアグロの定番で、シミックアグロやアゾリウスアグロなどが結果を残しています。そして今回、そのアーティファクトアグロにセレズニアが加わりました!白の利点は言わずもがなの、手がかりを生み出す《ひよっこ捜査員》。そして手がかりなどをタップして成長する《内なる空の管理人》に、巨大なサイズの《威厳あるバニコーン》などなど。アーティファクトアグロの定番カラー。一方の緑はというと、地図を生み出せる《名もなき都市の歩哨》に《勇敢な旅人、ケラン》の出来事モード、そして何より1マナ域としては申し分ない《生歯の子ワーム》を使えます。ライフゲインと《名もなき都市の歩哨》によって、セレズニアはアグロ同型においては最も強い形と言えます。白緑は不器用なカラー…というのは過去の話。除去は《失せろ》、回避性能をつける《鋼の熾天使》もいるため、一筋縄では攻略できません。特に《威厳あるバニコーン》と《鋼の熾天使》の組み合わせは強力で、アーティファクトアグロの今の定番の組み合わせとなっています。突然凄まじい打点で殴る。そんな爽快感を味わいたい方にオススメ! 5色人間(パイオニア) パイオニアリーグ:5-0 By Econ_Neal マジック界でも有数の強力部族、人間。かつてはモダンのプロツアーを優勝するほどの力を持ち、その多くのカードがパイオニアで使用可能です。パイオニアにおける不安要素はマナベースでしたが、《魂の洞窟》が使用可能になってからは、5色土地が12枚体制になり、いよいよ本格的に人間が暴れられるようになりました。《スレイベンの守護者、サリア》《サリアの副官》《カマキリの乗り手》などお馴染みの人間たちに、白系アグロでは欠かせない《輝かしい聖戦士、エーデリン》と、精鋭が揃っています。そしてなんといっても《銅纏いの先兵》です。人間を強化するだけでなく、護法もつけてしまうすごいロード。これまでは4枚確定だった《サリアの副官》が3枚に減っているのも納得です。また、「キミ人間だったの!?」と思わず叫んでしまいそうになる《群れ率いの人狼》。緑単ではお馴染みのこの人狼も実は人間なので、このデッキに居場所があります。《サリアの副官》や《銅纏いの先兵》があれば《群れ率いの人狼》ともう1体の人間だけで簡単にカードが引けます。更にその人間たちをまとめて呼び出す《集合した中隊》ももちろん入っています。回った時の理不尽さはモダンそのまま!モダンで人間を使っていた方、パイオニアで暴れ回ってみてはいかがでしょうか?   青単ウルザ(モダン) モダンリーグ:5-0 By Heir_of_Elendil15 モダンでウルザと言えば、最早《ウルザの物語》が最初に浮かんでしまうかもしれませんが、かつて《最高工匠卿、ウルザ》もモダンで一世を風靡していました。その《最高工匠卿、ウルザ》が再び輝く時が来ました!《最高工匠卿、ウルザ》はアーティファクトから青マナを出せる強力なカード。そのため、必然的にデッキには大量のアーティファクトが入ることになります。このデッキはとにかく《最高工匠卿、ウルザ》を着地させたいデッキ。そのために大量のマナアーティファクトが入っています。そう、《月罠の試作品》に加えて《モックス・アンバー》が3枚採用されているのです。伝説のクリーチャーをコントロールしていなければマナが出ないこのモックス。これまでは《敏捷なこそ泥、ラガバン》と《湖に潜む者、エムリー》が入っているデッキでギリギリ採用できるというレベルでしたが、『モダンホライゾン3』で《知りたがりの学徒、タミヨウ》を手に入れたことで、青単でも使いやすくなりました。1マナの伝説クリーチャーは《モックス・アンバー》と相性バッチリ。もちろん、《知りたがりの学徒、タミヨウ》は《モックス・アンバー》からただマナを生み出すためだけのカードではありません。《ミシュラのガラクタ》や《一つの指輪》が入っているので変身は容易。しかも攻撃時に生み出す手がかりが《月罠の試作品》や《最高工匠卿、ウルザ》のマナに使用できると、至れり尽くせり!ウルザと言えば《最高工匠卿、ウルザ》!再びそうなる日も近いかもしれません。…まあ、《ウルザの物語》も入っているんですが。

【ゆうやんのデッキメモリー】コンボとチューンの原点”ハートビート明神”

ピックアップ

2024.08.15

mtg Yuyan

皆さんこんにちは。 ゆうやんのデッキメモリーは、今年でマジックを初めて21年目になる僕が、思い出に残っているデッキを紹介していく記事です。 昔を知っている方は一緒に懐かしんで、知らない方は昔話にお付き合いください! コンボの原点 今ではすっかりコンボ好きになっている僕が、初めてその手にコンボデッキを握りしめたのは、2006年の時だった。その頃の僕は、フライデーナイトマジックに出れば2回に1回は3戦全勝で優勝、草の根大会では5勝2敗がアベレージと、マジックを始めた頃に比べて自分の成長を実感できる時期。つまり、マジックが面白くなり、ハマる時期だった。マジックの上達方法は、まず大前提として数をこなすこと。たくさんプレイしていくと、段々と勝率が上がっていき、勝つと嬉しくなり、更にマジックをプレイする。プレイすると強くなって更に勝つ。この良いスパイラルに入ることだと思っている。社会人には時間のかかる回る道かもしれないが、学生時代の僕はこのルートを辿っていた。幸い、お金はないが時間だけはあるのが学生だ。まさにそのスパイラルに、当時の僕はいた。その時のフォーマットはチームスタンダード。僕はアメニティドリーム吉祥寺店の常連2人とチームを組み、関東の予選によく参加していた。そして人生で初めてプロツアー予選の決勝ラウンドに残った。忘れもしない、2006年5月4日。板橋区立グリーンホール。競技マジックの、そしてコンボ好きとしての細川 侑也の原点が、この時使用していた「ハートビート明神」だった。 マガシュート ハートビート明神は、一般的には「マガシュート」と呼ばれているデッキの亜種。   プロツアーホノルル:6位 By Maximilian Bracht 《桜族の長老》や《木霊の手の内》でマナを伸ばし、《春の鼓動》を設置。お互いの土地から出るマナを倍にしたところで、《早摘み》をキャスト。土地がすべてアンタップし、大量のマナを生み出し、《交錯の混乱》を変成して《奇妙な収穫》をサーチする。この《奇妙な収穫》を大量のXで唱え、《幻の漂い》たくさんと《現し世の裏切り者、禍我》をサーチ。《幻の漂い》を変成して《早摘み》をデッキからすべてサーチし、大量のマナを注ぎ込んで《現し世の裏切り者、禍我》でフィニッシュというコンボデッキだ。フィニッシャーの禍我からマガシュートと呼ばれている。当時、お金がなかった僕は、「安い」というただそれだけの理由でこのマガシュートを組んだ。このデッキ、《早摘み》を使うため、基本土地しか入れることができなかったのだ。《アダーカー荒原》が1枚1500円していた時代だったので、基本土地しか入っていないだけでもうリーズナブル。更にデッキのキーカードである《春の鼓動》《早摘み》もとても安価で、一番高いのは《師範の占い独楽》なのでは?というレベルだった。お財布事情的に、1つのデッキを組んだらそれを使うしかなかったので、僕はこのマガシュートを使い続けた。そしてその強さと同時に、使っている内に自分の力量が目に見えて上がっていくのが楽しかった。 最初はコンボを決めるだけでも精一杯だったが、何度も対戦していると「このターンまでは絶対に死なないから待っていい」「ここは見切り発車をしなければいけないターン」「サイド後は《春の鼓動》を狙い撃ちされるから、大量のマナを使わないプラン、あるいは相手をフルタップにさせる手段として《万の眠り》を入れよう」などと、様々なことを考えるようになった。これは親和を使っていた頃の僕にはない考えだった。いや、正確に言えば、親和を使っている時も上記のように反省しなければならないのだが、それは当時の僕には難しすぎた。コンボデッキは「コンボが成立したら勝ち」「コンボターンまでは一方的で、コンボで逆転する」とわかりやすかったため、反省点を洗い出しやすかったのだ。コンボデッキのそのわかりやすい強さと、上達した時の奥深さに感動した僕は、今でもそれがコンボの魅力だと思っている。マガシュートに出会ったからこそ、今でも僕は自信を持ってコンボを使えているのだ。そして初めてデッキチューンを行ったのも、このマガシュートが初めてだった。《現し世の裏切り者、禍我》で勝利するためには20マナが必要。しかし、20マナは実際容易ではなかった。土地が5枚ある状態で《幻の漂い》経由で《早摘み》をサーチすると、10マナー6マナで4マナしか増えない。実際、マナが足りなくて敗北するシーンが何度もあった。そこで、少ないマナで勝てるカードはないか?と思い、このリストに辿り着いた。 ハートビート明神 先ほどのリストと違い、クリーチャーがやたらと入っている。《春の鼓動》と《早摘み》でマナを増やすところまでは同じ。しかし、フィニッシュ手段が全く違う。《奇妙な収穫》で《生網明神》、《土着のワーム》×2、《炎の血族の盲信者》をサーチして、《生網明神》からすべてのクリーチャーを展開して攻撃!このリストでは、勝利に必要なマナがたった9とお得なのだ。しかし、もちろんデメリットはある。まずコンボ時以外に必要のない無駄カードを大量に入れなければならないこと。次に相手にブロッカーが立っていたら勝てない可能性があること。そして、《奇妙な収穫》でこれらのカードをサーチしなければならないため、最終的に必要なマナこそ少なく済むが、最初のサーチに大量にマナがかかるのだ。つまりトータルで必要なマナが8になるわけではなく、実際は12~13マナと、さほど通常のマガシュートと変わらない。そんなことは当時の僕は気付きもしなかった。今見返すと、プロツアートップ8のリストは実によくできている。美しさすらある。それと比べると自分のハートビート明神の粗さときたら。とはいえ、そんな粗さも十代の証。人生で初めてのコンボデッキ、そして誰の力も借りないたった一人でのデッキチューンは、その後のマジック人生を大きく左右する経験になったのだった。

【週刊メタゲーム通信】ジャパンオープンを制したのはボロストークン!注目はあの新カード

ピックアップ

2024.08.13

mtg Yuyan

こんにちは。 細川 侑也(@yuyan_mtg)です。 毎週、最新のメタゲームをデッキリストと共にお届けするこの記事。今回は大型トーナメント「マジック:ザ・ギャザリング ジャパンオープン2024」の結果をチェック! 継続したアドバンテージと攻めが魅力! 『ブルームバロウ』発売後、初めての大型大会となった「マジック:ザ・ギャザリング ジャパンオープン2024」を制したのは、ボロストークンでした。 ボロストークン ジャパンオープン:優勝 By Yushi Uzuki デッキはコントロール寄りのデッキです。《塔の点火》、《稲妻のらせん》、《太陽降下》、《一時的封鎖》で盤面を制圧し、アドバンテージを稼いで勝利。 アドバンテージを稼ぐと言えば青の専売特許でしたが、『ブルームバロウ』で登場した1枚のカードが、ボロス2色でのコントロールを実現しました。それが《世話人の才能》です。まず最初の段階では、トークンを戦場に出すことで1ドロー。《ウラブラスクの溶鉱炉》でも《太陽降下》でも《忠義の徳目》でも《噴水港》でもカードが引けます。1ターンに1回の制限はあるものの、自分のターンで《ウラブラスクの溶鉱炉》でカードを引き、相手ターンのエンドに《噴水港》でトークンを生み出して引けるので、想像よりもたくさんのカードが引けます。特に《ウラブラスクの溶鉱炉》との相性は抜群。マナを使わずに自動でカードを引きつつ攻められるので、これからの定番の組み合わせになること間違いなし。そして《世話人の才能》と相性の良い《噴水港》ですが、単体で見た時のカードパワーもかなりのもの。《ウラブラスクの溶鉱炉》を生け贄にして毎ターンカードが引けますし、生成するトークンも《世話人の才能》で大きくなればフィニッシャークラスです。起動コストこそ重いですが、それを補うべく、《沈んだ城塞》も4枚投入されています。コントロールデッキの課題と言えばマナフラッドですが、このデッキには《噴水港》に《ミレックス》、《解体爆破場》と様々なバリューランドが採用されており、土地を引きすぎてもそれをリソースに変えたり、相手のカードと交換ができます。土地が強いのは、マジックというゲームの強いデッキの条件の1つです。良質な除去、豊富なアドバンテージ獲得手段とお手本のようなコントロール。まさに王者と呼ぶに相応しいデッキです! 往年の名カードがスタンダードで大暴れ! アゾリウスメンター ジャパンオープン:2位 By Soohan Yoon クリーチャー以外の呪文を唱えるとトークンを生み出す、《若き紅蓮術士》系の1種である《僧院の導師》。そのトークンが果敢を持っているため、少しのトークンもバカにならない強さで、特にピッチスペルや軽いドロースペルが多い下環境で重宝されていました。特にヴィンテージでは各種モックスからとんでもない量のトークンが出てくるので、制限カードに指定されていますその《僧院の導師》をフル活用するのがこのアゾリウスメンター。3マナと重い《僧院の導師》。普通に使うなら、ただ除去をされてしまうともったいないので、4~5マナある状態から《僧院の導師》を出し、除去されてもトークンを残せるようにするのが定番のプレイですが、それだとどうしても相手の早い展開には追い付けません。それならば1マナで《僧院の導師》を出せばいいじゃない、というのがこのデッキ。そう、《救いの手》で墓地から吊り上げるのです。《錠前破りのいたずら屋》や《決定的瞬間》で墓地に《僧院の導師》を落とし、それを《救いの手》で吊り上げて、そこからスペルを連打、あるいは打ち消しで《僧院の導師》を守ってイージーウィン。吊り上げ対象が《僧院の導師》だけでは不安ですが、そこも安心。青単でも活躍した《傲慢なジン》が入っており、こちらも残しておくと即敗北するカードです。前環境もあるデッキでしたが、《未認可霊柩車》や《敬虔な新米、デニック》に苦しめられていましたが、それらはもうスタンダードにはいません!まるで下環境のような爽快感を味わいたい方にオススメ。惜しくもボロストークンに敗れてしまいましたが、見事準優勝でした。 《放浪皇》と《記憶の氾濫》を失っても輝く 前環境ではエスパーミッドレンジと並んで最大勢力だったアゾリウスコントロール。《放浪皇》《記憶の氾濫》というパイオニア級の4マナ域を失ってしまいましたが、その強さは健在です。 アゾリウスコントロール ジャパンオープン:5位 By yoshihiko tokuyama 《マナ漏出》の上位互換である《喝破》、優秀なアドバンテージ源の《推理》はまだ現役ですし、除去も《失せろ》と《太陽降下》。こちらも一線級です。そんなアゾリウスコントロールの新戦力は本日2度目の登場となる《世話人の才能》。《噴水港》や《太陽降下》でドローできる…というのはボロストークンでもご紹介しましたが、アゾリウスコントロールでは《推理》でお手軽2ドローができます。《不穏な投錨地》の地図トークン生成でもカードが引けますし、とにかく置いておくだけでアドバンテージを取れ続けてしまうすごいカード。《世話人の才能》、本当にコントロールにぴったりの1枚。そしてコントロールにぴったりと言えば、このカードの話をしないわけにはいかないですね。《機を見た援軍》内蔵とでも言うべき大鹿。ビートダウン相手ならば、4点ゲインに魚のおまけつき、更に本体のサイズも優秀と、悪夢の一言。1ドローや宝物生成は対ビートダウンでは難しいですが、ミッドレンジ対決では十分に誘発も期待でき、対アグロ以外にも役割がしっかりあるカードです。アゾリウスコントロール、新環境でもその実力をしっかりと示してくれました。 総括 誰もが予想しなかったボロストークン優勝という形で幕を閉じたジャパンオープン。本トーナメントで最多数が選択したゴルガリミッドレンジは、トップ8にこそ残らなかったものの、《裏切りの棘、ヴラスカ》《亭主の才能》の瞬殺コンボは脅威的で、これからのスタンダードも見ることになりそうです。前環境から強かった召集アグロ、ドメインランプもトップ8に入賞していますし、赤単もトップ4と、後少しで栄冠を掴み取るところまで勝ち上がっていました。トップ8には8種のアーキタイプが名を連ね、まさに群雄割拠と呼ぶに相応しい環境となったスタンダード。果たしてここから環境はどのように動いていくのか?注目ですね。

【今週のピックアップデッキ】ラクドスリザード/ゴルガリイグラフード/アスモフード

ピックアップ

2024.08.09

mtg Yuyan

こんにちは。 細川 侑也(@yuyan_mtg)です。 今週のピックアップデッキでは、ちょっと珍しいデッキを、軽い解説を交えて紹介していきます。 ラクドスリザード(スタンダード) スタンダードリーグ:5-0 By pavementisrad7 『ブルームバロウ』で登場したいくつかの動物の中で、最も攻撃的な連中。それがトカゲ。《雇われ爪》と《玉虫色の蔦打ち》は共に1マナ域ながら、稼ぐダメージ量は破格。特に《玉虫色の蔦打ち》は後半引けば新生で出してセットランドで2点と、盤面を無視したダメージを与えられます。そしてなんといってもトカゲでまとめあげることの最大のメリットは《鱗の焦熱、ゲヴ》。自分が唱えるクリーチャーが強化されるこのカードですが、トカゲを唱えると対戦相手に1点が入るというオマケつき。あっという間に対戦相手のライフは0になるでしょう。現代に蘇った《炎樹族の使者》こと《炎貯えのヤモリ》との相性も良し。そうなってくるとリソース確保が心配ですが、《火硝子の導師》と《笑う者、ジャスパー・フリント》がその役割を担っています。特に《笑う者、ジャスパー・フリント》は一瞬「無法者!?」と思うかもしれませんが、よく見るとこのデッキは無法者だらけです。実は《大洞窟のコウモリ》以外のすべてがトカゲかつ無法者!トカゲは悪いやつでした。《思考忍びの邪術師》のピーピングハンデスなど、このデッキはアグロながら非常に器用なデッキです。新スタンダードはトカゲ使いになってみませんか? ゴルガリイグラフード(パイオニア) パイオニアリーグ:5-0 By BoltTheBirds 発売前から注目されていた《全てを喰らうもの、イグラ》のコンボが、早速結果を残しました。すべてのクリーチャーを食物にする《全てを喰らうもの、イグラ》で、墓地と場の《大釜の使い魔》をループさせる無限コンボです。《パンくずの道標》はゴルガリフード定番のリソース確保でしたが、そこに新たに加わったのが《清掃人の才能》。レベル2になると切削が行えるので、コンボパーツである《大釜の使い魔》を墓地に送り込みつつ、レベル3では《全てを喰らうもの、イグラ》をサーチできる優れモノ。非常にこのデッキと相性が良いクラスですね。《茨越えの餌あさり》もぴったりのクリーチャー。食物が大量に出るので、3ターン目に給餌して《全てを喰らうもの、イグラ》を出すのも容易です。頼もしいサイズの2マナ圏、《蔦刈りの導師》もフードを強化した1枚。出た時と死亡時に食物を生み出すので、《清掃人の才能》と併せて、《パンくずの道標》で食べるものに困ることもないでしょう。スタンダードの頃からファンも多かったゴルガリフード。懐かしい気持ちになった方はまた手にとってみては? アスモフード(モダン) モダンチャレンジ:3位 By GigaChadSigmaMale 奇しくもフードデッキが続くことになりましたが、モダンの主役は《アスモラノマルディカダイスティナカルダカール》。食物を生成する《地獄料理書》をサーチし、生み出した食物で盤面を除去していく人間です。《地獄料理書》とコンボになるのが《楕円競走の無謀者》。《地獄料理書》で《楕円競走の無謀者》を捨てて食物を出すと、捨てた《楕円競走の無謀者》が手札に戻るので、実質タダで食物を作れるようになります。モダンのアスモフードでは基本の動きになります。『ブルームバロウ』で獲得した新たな仲間は《骨蓄えの監視者》。このターンに食物を生け贄にしたりカードを3枚墓地から追放していると1ドローできる1マナクリーチャー。要するに給餌しているとカードを引けるデザインなわけですが、「給餌」とはどこにも書かれていないのがポイント。《アスモラノマルディカダイスティナカルダカール》の能力を起動した際にもドローできるのです。これによって《アガサの魂の大釜》のバリューも上がりました。これまでは《アスモラノマルディカダイスティナカルダカール》か《飢餓の潮流、グリスト》でしたが、ここに《骨蓄えの監視者》が加わり、《アガサの魂の大釜》によって除去・トークン生成・ドローの3つが行えるようになったのです。全国100万人はいる(ゆうやん調べ)アスモフードファンの皆さん、今こそ立ち上がりましょう

【今週のピックアップデッキ】アゾリウス兵士/緑単鱗アグロ/4cヘルガオムナス

ピックアップ

2024.08.02

mtg Yuyan

こんにちは。 細川 侑也(@yuyan_mtg)です。 今週のピックアップデッキでは、ちょっと珍しいデッキを、軽い解説を交えて紹介していきます。 アゾリウス兵士(スタンダード) スタンダードリーグ:5-0 By TIMBITS ローテーションにより新しくなったスタンダード環境。 《放浪皇》や《記憶の氾濫》、《策謀の予見者、ラフィーン》に《婚礼の発表》など、スタンダードの顔だったカードたちが消え、環境は文字通り一新しました。その新環境で早速結果を残したのはアゾリウス兵士。かつてはプロツアーでも活躍したデッキでしたが、ここ1年ほどはその名前を聞いていませんでした。アゾリウス兵士は、質の高い兵士クリーチャーと少しのカウンターを入れた白単のアグロデッキ。《毅然たる援軍》でトークンを出し、《イーオスの遍歴の騎士》で攻め手を確保し、兵士を強化する《雄々しい古参兵》で全体強化してフィニッシュ。《先兵の飛行士、ハービン》は強力で、地上が止まった後のフィニッシャーとして活躍してくれます。『ブルームバロウ』から加わった新戦力は《花足の剣豪》。雄姿によってハツカネズミが+1/+0の修整を受ける、1マナ1/2の兵士・クリーチャー。1マナの兵士であり、3マナで1/2と1/1の兵士を場に出せる点が強く、採用されています。雄姿能力自体も《ヨーティアの前線兵》で誘発することができ、新生でトークンも生み出していれば、一気に大ダメージも稼げます。これまで1枚から複数の兵士を生み出すカードはなかったので、このカードの加入は大きい。しかも《微風の歩哨》で戻して再度新生し直す…なんて使い方も。たった1枚のアンコモンでデッキの強さは大きく変わるもの。アゾリウス兵士は、かつての輝きを取り戻せるのでしょうか。 緑単鱗アグロ(パイオニア) パイオニアリーグ:5-0 By FRANTICORE +1/+1カウンターの数を1個増やす《硬化した鱗》と言えば、モダンの鱗親和のキーカードとなっていますが、その《硬化した鱗》がパイオニアでも活躍!このデッキは、実にたくさんの+1/+1カウンターにまつわるカードたちで溢れています。まずは《棘を播く者、逆棘のビル》。上陸するとカウンターを付与。そして《金脈のハイドラ》。こちらは戦場に出る時のカウンターの数が増えます。《翡翠光のレインジャー》は探検によって乗るカウンターが増えます。そして一気にカウンターを増やせるのが《アーク弓のレインジャー、ビビアン》。クリーチャー2体に1つずつカウンターを乗せれば2つずつになり、更にトランプルもつくオマケつき!チャンプブロックしようとしていた相手は絶望するでしょう。更にここに加わるのが『ブルームバロウ』の《亭主の才能》。置いた時にはカウンターを乗せるだけですが、強力なのはレベル2。たった1マナでレベルアップし、カウンターが置かれているパーマネントが護法(1)を持ちます。この地味な除去耐性はうっとうしいことこの上なし。しかもレベル3になると、置かれるカウンターが倍になります。《硬化した鱗》があると、1個置かれるカウンターが2個になり、それが倍なので、4つ乗ることに!2マナで出したターンも最低限の活躍をし、レベルを1つあげれば除去耐性付与、レベル3になるとクリーチャーがすべてフィニッシャークラスに変貌と、まさにこのデッキのために生まれてきたようなカード!たくさんの+1/+1カウンターで気持ちよくなりたい方はこのデッキがオススメ!《歩行バリスタ》が禁止なのが残念でなりません。 4cヘルガオムナス(モダン) モダンリーグ:5-0 By RESPECTTHECAT 《孤独》や《力線の束縛》で除去し、《創造の座、オムナス》《一つの指輪》でライフ回復を得ながらアドバンテージを無限に獲得していく4色のコントロール、それが4cオムナス。かつては大人気のデッキでしたが、まずは《空を放浪するもの、ヨーリオン》、この間は《豆の木をのぼれ》と《激情》が禁止され、今ではすっかりモダンで姿を消してしまいました。 そんなオムナスが新たな相棒を引き連れてモダンに帰ってきました!それが《神経質な予見者、ヘルガ》です。マナ総量が4以上のクリーチャー呪文を唱えるたびに自身を強化し、ライフを得て、ドロー。更にタップすることで、マナ総量が4以上のクリーチャーやXのクリーチャーに使用できるマナを、自身のパワー分生み出せるという、オムナスが待ち望んでいたクオリティのカエルです。《創造の座、オムナス》、《孤独》、《緻密》の3種で誘発し、その内《孤独》と《緻密》はピッチスペルなので、手札の消耗を抑えながら0マナで相手に干渉し、その間に《神経質な予見者、ヘルガ》が大きくなっていきます。禁止された《豆の木をのぼれ》のようなカードですね。ライフを得ながら自身を強化していくのは《豆の木をのぼれ》にはない《神経質な予見者、ヘルガ》の強み。《緻密》で誘発するのも大きいですね。4cオムナスはモダンでも非常に人気のアーキタイプ。復権するのか注目ですね!