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Let's Enjoy Magic! - Pro Tour Aetherdrift in Chicago(プロツアー旅行記前編)

Standard ピックアップ

2025.03.06

Akira Kobayashi

 皆さん、こんにちは! 「へいか」こと 小林 輝(@enzyutuheika)です。    記事タイトルの通り、チャンピオンズカップファイナルシーズン2ラウンド3で9-3の13位という成績を残したことで得たプロツアー権利でシカゴのプロツアー「霊気走破」に出場してきました!    結論から申し上げますとプロツアー本戦では4-4でギリギリ二日目進出し、二日目では9-6で迎えたプロツアーチェインバブルマッチ(10勝以上だと次回のプロツアー権利を獲得できます)でHreruya Prosのマッティ・クイスマさんに敗北し9-7の113位でした。    そして翌日に行われたPT出場者限定の世界一レベル高いPTQことセカンドチャンスPTQでは初戦敗退という結果でした……が、このプロツアーでは本当に何事にも代えがたい経験をさせていただきました。  というわけで、プロツアーの準備から帰国に至るまでの道程を、前後編で書かさせていただこうと思います。長くなってしまいますが、お付き合いいただけると幸いです。    なお、今回はマジックの記事というより、プロツアー旅行記がメインとなります。   ・はじまり~プロツアー「霊気走破」に出場した経緯~  まずは本プロツアー霊気走破に出場するに至った理由であるチャンピオンズカップファイナルシーズン2ラウンド3。  この詳しい内容については私のNoteで恐縮ですがこの記事に記載されています。是非ご覧ください。  このチャンピオンズカップファイナルシーズン2ラウンド3で愛機のアゾリウスコントロールを手に9勝3敗という成績を残し、13位になったことでプロツアーの権利を得ました。  が、この時に得られた権利は翌月の6月末に行われるプロツアー「モダンホライゾン3」。    仕事面やパスポートの問題など様々な理由によって断念し繰り越しをお願いしたところ、世界選手権を挟んだ事もあり権利を獲得した2024年5月からかなり間の置いた2025年2月のプロツアー「霊気走破」出場となりました。 旅行前準備編  これについてははまさん(@ziguyan)主催のはまツアーに参加させていただき、羽田空港~シカゴの直行便およびホテルを確保していただきました。  感謝してもしきれません。ちなみに金額としては合計24万ほど。激痛。    それに伴いGoogleスプレッドシートのToDoテンプレートを使って必要なものをリスト化し、一つずつ潰していきました。  海外でのネット環境についてはソフトバンクユーザーであったため、アメリカ放題というサービスがあり特に手続きの必要もなくできました。  防寒着に関してはこの時期のシカゴはなんとマイナス15度。恐ろしい寒さです。手持ちはコートなどでダウンジャケットのような防寒着がなかったためこれも用意していく必要がありました。  ワークマンに寄ってみたもののよさげなものがなく仕方なくGUに寄ったところ、「ヒートパデッドブルゾン」というよさげなものを発見。かなりモフモフしています。  これが予想以上に暖かく、-15度という地獄のようなシカゴの寒さにも適応できる優れものでした。  今後の冬で愛用していくことになりそうです。値段も4,990円と安価でおすすめです!   ▼あってよかったもの ・延長コード  当然ながらホテルは備え付けのコンセントのみ。今回は5人で1部屋を使う事もあり、延長コードは必要だろうと持ち込みましたがこれが大正解。  1人1部屋であれば不要だとは思いますが、複数人で利用する場合は延長コードは強くお勧めします。     ・アイマスク  とにかく板です。  約14時間の長期フライトにおいてアイマスクの有無で睡眠の質が変わってきますし、同様に複数人で1部屋を利用する際も灯りに影響されず寝られるのは◎。   ・ウェットティッシュ  地味ながらMVP。日本とは異なり海外ではおしぼりのようなものは出てきません。予め手を拭いておくことができるウェットティッシュはかなりストレスが軽減されました。  特にシカゴではピザなどの手づかみのものが多く手が汚れたりするので結構活躍してくれました。   ▼持って行った方がよかったもの ・スリッパ  ホテルの部屋は土足可ですが、靴を履きっぱなしも疲れますのでスリッパは欲しかったです。(アメリカのホテルはスリッパなしが一般的らしい)  飛行機内でも靴からスリッパに履き替えられるとかなり楽そうだったので次回があればスリッパは是非持ち込みたいと感じました。   ・リップクリーム  普段使っているのですが、今回に限って忘れてしまい……  寒さも相まって本当に乾燥します。最終日には唇が切れてしまいちょっと大変でした。必ず用意しておきましょう。   プロツアーシカゴ旅行記  そうして迎えた2月19日、羽田空港へ朝9時前に到着。  はまさんを筆頭にはまツアーに参加される方々と合流し、そのまま10:50のフライトへ。  フライト時間は約14時間。13時頃に機内食を食べると暗くなりそのまま仮眠。そこから約5-6時間後に再度機内食を食べて暗くなり仮眠……の繰り返しでした。  機内食は結構美味しく、味噌汁も出てきたのが◎。さすがJAL。  この時やはりお尻がやや痛くなったりしたので、余裕があれば座布団などを持って行くといいかもしれません。  そうしていよいよ着陸!シカゴの上空から眺める光景は素晴らしく、思わず感動してしまうほどでした。  が、シカゴの気温はマイナス15度。外に出た瞬間凍り付くかと思いました。  よく一緒にMTGをしているいわきさんと記念すべきアメリカでの初マック。ホットチョコレートにしましたが、とんでもない甘さの暴力でザ・アメリカを味わいました。  第3ターミナルから第2ターミナルに電車で移動し、そこからUberで車を呼びホテルまで40分ほど揺られると……  目的地であるヒルトン・ガーデン・イン・シカゴ・マコーミックプレイスに到着。とにかくスケールがデカい!  ホテルの前にはマジックコンの広告もあり、ここでプロツアーに出るんだという実感が今更ながら湧いてきました。  とはいえプロツアーまであと二日、それまではシカゴを堪能することに……と言いたいところですが、さすがに長時間のフライトで疲れたのでUberを利用して部屋でいざシカゴピザ!  で、でかい!! チーズもたっぷり!! 暴力的!!  意気揚々とかぶりつきますが……  あまりにも重すぎてなんと2ピースで満腹、撃沈。即落ち2コマです。  この流れで同室の方とフリプなどをして就寝。  すがすがしい朝を迎え、早速ホテルの前にあるサブウェイへ! 何を選べばいいのか分からなかったため、店員さんにオススメを聞くと「それならビーフね!」とのことだったのでそれを注文。非常に美味でした。  また、ここで行弘さん・松浦さん達と遭遇! ああ、シカゴの地に集結しているんだな~と少し感動してしまいました。  ハーフを頼んだのですが、それでも非常に大きい! これで約8ドル(1,200円)。太さもペットボトル以上で満足感◎。  ちなみに他の部屋の方がフルサイズで頼んだ時の画像はこちら。500mlペットボトルと比較しても分かる通りデカすぎる……  ホテルの中にあるスタバでカフェラテも購入したところ、今度は井川さん・中村さんが!  この際に井川さんから「30回以上来てるけどこの寒さは初めて」「耳当ては特にいいのでオススメ」という言葉をいただきました。プロツアー先輩だ!!    優雅な朝食をとったら……そう、次は昼食ですね!  Il Culaccinoというお店が先ほどのサブウェイの横にあり、Google Mapの評価も高かったためはまツアーの参加組で突撃。  ここでも伝家の宝刀「店員さんのオススメ」を聞き、いただくことに。  このチーズがかかった物体はなんとフライドチキン。デカすぎる。  マジか……という顔をしながら頬張ると美味!! とにかくカロリーの暴力が襲い掛かってきます。  なんとか食べた後はプロツアー参加者たちで卓ドラフトの練習。  1-1《悪魔の破砕機》から1-2に《ロケッティアの技師、ダレッティ》の姿が。普段ならスルーですが、今回は《悪魔の破砕機》使いまわしが見えるためピック。  リアニメイトの《軌道修正》や確定除去の《スピン・アウト》など黒を中心にピックしていったところ、2パック目で《ブルードハート・エンジン》《轟雷のブルードワゴン》が流れてきたため綺麗に緑黒の席に座れた形となりました。    3パック目では《アラクリアの心、カラドーラ》が流れてきたためこれをカットしつつ白黒土地の《磨かれたやせ地》も拾えたためタッチ白で完成度の高いデッキが完成。    結果はマリガンとマナフラッドに屈し2-1となりましたが、除去もありデカブツもありリアニメイトもありと非常によい緑黒に出来上がったと感じました。プロツアーに向けて視界良好!    そして午後5時頃から開催されるプロツアー出場者用の前日パーティに参加すべくマコーミックプレイスへ。  このヒルトン・ガーデン・イン・シカゴ・マコーミックプレイスホテルはマコーミックプレイスに直通となっているためスムーズに行ける……かと思いきや、デカすぎて迷子に!!    プロツアー参加者らしき人を見つけ、パーティ会場はどこ? と拙い英語で筆談すると案内してくれ事なきを得ました。ありがとうございます。  そうして辿り着いたパーティ会場。ここでプロツアー出場者を証明するバッジと参加賞のバッグ・プレイマット・パックなどを受け取りました。    プレイヤー・オブ・ザ・イヤーのハビエル・ドミンゲスさんを筆頭に「錚々たる」という言葉ですら足りないほどの方々がそこら中に歩いています。  衝撃のあまり立ち尽くしてしまいましたがこうしてはいられません! ガンガン突撃を仕掛けていきます。  まずはYellowhatこと殿堂プレイヤーのガブリエル・ナシフさん。コントロールマスターであり、配信でよく勉強させていただいている方の一人です。  この方には持ち込んできた《喝破》《否認》にサインをいただき、ツーショット! 本当に目の前にあのナシフがいるんだ、と感動しきりでした。  そしてプロツアー・ファイレクシアで優勝を果たした殿堂プレイヤーリード・デュークさん! 日本の中でも特にファンの多いお方。  本当に聖人という言葉が似合う方で、溢れ出る色気とにこやかな笑顔に悩殺されてしまいました。サインをいただいている時にスタッフの方が「写真を撮るよ!」と仰っていただき、こうした写真も……  サインを書くリード・デュークさんの美しさのあまりに興奮してしまう私を見事に激写していただきました。  見てください、このリード・デュークの御顔を。これで惚れない男はいません。  そしてアゾリウスコントロールといえばこの方を忘れてはいけません。パイオニアでアゾリウスロータスというデッキを全世界に知らしめたパトリック・ウーさんです!  あなたの大ファンです! と伝えた時の照れくさそうな顔は忘れられません。  同じ2月に行われたチャンピオンズカップファイナルで見事優勝を果たしたマ・ノアさんも。  プロツアー権利を獲得したチャンピオンズカップファイナルシーズン2ラウンド3のフィーチャーマッチでとても楽しい時間を過ごしたということもあり、顔を合わせると声を掛け合う仲になりました。    それは今回でも変わらず、この場でも出会うと「オオ~!」と駆け寄ってくれました。お互いに明日の健闘を祈り肩を組みながらパシャリ!  イタリアのスターことアンドレア・メングッチさんも配信をよく見ており、私が憧れとしている一人です。  配信と変わらないハイテンションで快くツーショットとサインに応えていただきました!  世に大きな衝撃をもたらしたハンドシェイク謹製緑トロンを手にプロツアー・指輪物語で準優勝を果たしたクリスティアン・カルカノさんも!  非常に優しい方で、わざわざスマホのメモ帳に日本語で「ありがとう!頑張って」と書いてくださりました。    そうしているとハビエル・ドミンゲスさんのプレイヤー・オブ・ザ・イヤーの式が始まり、スピーチが始まりました。  英語なので話している内容はわかりませんでしたが、感無量の面持ちをされていたのがとても印象に残りました。おめでとうございます!  式が終わった後は解散したり、プロツアーの参加賞パックでドラフトしたりする中で同じく日本人の大川さんより「南米の人たちとドラフトしない?」というお誘いを受けドラフト! これも醍醐味の一つですね。  3マナ域で見えていないものは4枚目の《溶岩族の砲兵》です。  1パック目の時点でマルチアンコモンの《推進力強化帆船》《舷側砲の一斉射撃》を確保していたこともあり青赤に突撃した形。  とにかく《溶岩族の砲兵》が流れてくる卓で、こうなったら心中してやろう! と青赤一直線に向かうもののディスカードで強化する《たかり空エイ》《略奪するアオザメ》、最強コモンこと《雷頭の砲手》も流れてこない始末……  ただひたすら《溶岩族の砲兵》が流れてくるのでありがたくピックしつつ、迎えた3パック目では。  《灯を追う者、チャンドラ》!! これで報われた形となりました。    1戦目を危なげなく勝利したところで会場が閉まると連絡を受け、最後に記念撮影してから解散。とてもいい時間でした。  そして迎えたプロツアーの朝! 清々しい天気です。  ホテルの22階にあるというレストランに向かい、「Breakfast Sandwich」という文字があり朝だしサンドイッチはいいね! と注文。すると……  どう見てもハンバーガーじゃねえか!!と思わず突っ込んでしまいました。朝から食べるものではない気もしますが、非常に美味で完食。    後から知ったのですが、アメリカでは牛肉100%のパティを挟んだ料理だけがハンバーガーと名乗るのが許されるらしく、これは法律で定められている事なのだそうです。  つまり牛肉100%のパティではなくベーコンなどが挟まれている上記の料理はサンドイッチが正しいということになります。すげえやアメリカ。  同室の友人たちと共にバッジを掲げていざ出陣!  念願のプロツアー、不安よりも楽しみの方が勝っていました。  プロツアーのラウンジブースではベーグルやバナナ、ヨーグルト、各種ドリンクなど豊富で食べるものに困りませんでした。  ウォーターサーバーもあったため、参加賞としていただいたウォーターボトルに入れて飲んでいました。  ハビエル・ドミンゲスさんの姿もあったため、昨日ではお願いできなかったツーショットをパシャリ。見ても分かる通り、非常に大柄な方でした。   プロツアー本戦レポート…は次回  そして9:00、いよいよ運命の卓ドラフトが始まることになるのですが、あまりにプロツアーを前日から満喫してしまったため、記事が長くなりすぎました。    続きは明日の記事後編で!

【今週のピックアップデッキ】ゴルガリ陰湿な根/エスパー人間/アブザンケトラモーズ

週刊 Modern Pioneer Standard ピックアップ

2025.03.05

mtg Yuyan

こんにちは。 細川 侑也(@yuyan_mtg)です。 今週のピックアップデッキでは、ちょっと珍しいデッキを、軽い解説を交えて紹介していきます。         紹介デッキ ゴルガリ陰湿な根 エスパー人間 アブザンケトラモーズ   ゴルガリ陰湿な根 スタンダードリーグ : 5-0 By Depian MTGアリーナ用インポートデータ 『カルロフ邸殺人事件』で登場した《陰湿な根》。 墓地からクリーチャー・カードが離れるたびに植物を生成し、その後植物すべてが強化され、更にクリーチャー・トークンからマナが出せるようになると、様々な能力が付いたエンチャント。   この《陰湿な根》を主軸に据えたデッキはパイオニアでも活躍実績があり、スタンダードでもたびたびチャレンジャーは現れるものの、まださほど活躍は見せていません。   ですが、『霊気走破』で登場したとある1枚のカードが、《陰湿な根》に革命をもたらし、ついにデッキが完成しようとしています。   それが《脱皮の世話人》。カードを切削する能力はもちろん、墓地のカードを追放することでマナを出せるので、クリーチャー・カードを追放して植物を出しつつマナが出せるようになりました。墓地を肥やしつつ、《陰湿な根》も誘発させ、更に自身がクリーチャーと、《陰湿な根》と非常に噛み合った1枚です。 このデッキは墓地を必要とするため、他にも墓地肥やしが多数採用されています。   モダンでもお馴染みの《ベイルマークの大主》はクリーチャーを回収できる優れもの。切削してその中からクリーチャー・カードを回収できるので、《陰湿な根》もしっかり誘発してくれます。《陰湿な根》こそ拾えませんが、後述の《歓喜する喧嘩屋、タイヴァー》も拾えるので、強力な切削カード。 《蓄え放題》は《陰湿な根》を回収できる便利な切削カード。自身がクリーチャーでないため、墓地に落ちた後は役割を持ちませんが、それでもデッキのキーカードである《陰湿な根》にアクセスできれば十分です。 切削はオマケですが、《歓喜する喧嘩屋、タイヴァー》も一応切削を持つカードです。マナ総量が2以下のクリーチャーを吊り上げられるので、デッキ内の多くのクリーチャーをリアニメイトできるのですが、このカードは常在型能力が《陰湿な根》と噛み合うカードで、むしろそっちが目的で採用されていると言っても過言ではありません。 速攻を持つかのように起動型能力を起動できるようになるので、《陰湿な根》から出たトークンから即マナが出せるようになり、1ターンで《陰湿な根》を何回も誘発させられるようになるのです。   《陰湿な根》はトークンが増えた後に各植物を強化するため、5回誘発すれば5/6, 4/5, 3/4, 2/3, 1/2のトークンが場に並ぶことになります。《陰湿な根》をただ誘発させ続けるだけでも勝ててしまうのです。《陰湿な根》、すごいカード! 切削だけがライブラリーを削る手段ではありません。そう、諜報です。必要なカードをライブラリーに置けるので切削の超上位互換とも言えるこの能力をたった1マナで持つ《瓦礫帯の異端者》は、いぶし銀の存在。墓地から追放してクリーチャーを強化すると《陰湿な根》も誘発するので、引いて美味しい、落ちて美味しい1枚。いぶし銀どころではないかもしれません。 そして《うなる大殺犬》はパワーが2以下のクリーチャーが戦場に出るたびに諜報を行います。デッキ内の多くのカードがパワー2以下なのに加え、《陰湿な根》から出る植物でも諜報できるのです。《うなる大殺犬》を用いたコンボもあります。 そのコンボを説明するために先に紹介しておかなければならないのが《骨術師の達人》。このターン、墓地のクリーチャー・カードを給餌コストを追加で支払って唱えることができるようになります。 給餌は、墓地から3枚のカードを追放するか食物を生け贄に捧げることを指すのですが、このデッキではもちろん墓地を3枚追放して使用します。そう、この給餌でも《陰湿な根》が誘発するのです。 この《骨術師の達人》《うなる大殺犬》《陰湿な根》《歓喜する喧嘩屋、タイヴァー》が揃うとゲームに勝てます。   まず《骨術師の達人》の能力を起動。給餌でカードを3枚追放して墓地のクリーチャーを唱え、《陰湿な根》からトークンが出ます。そしてトークンが出たので《うなる大殺犬》の諜報が解決。その後、墓地からクリーチャーが帰ってくる際に、もう1度《陰湿な根》が誘発するので、《うなる大殺犬》で再び諜報。 その後、クリーチャーが戦場に出るので、それがパワー2以下ならまた諜報が発生します。このすべての諜報でカードを墓地に送っていれば、それがそっくりそのまま給餌コストになるので、再び別のクリーチャーを唱えられます。マナは先ほど《陰湿な根》でトークンが2体出たのでそこからまかなえます。 《瓦礫帯の異端者》を墓地から唱えれば更に諜報2のオマケがついてきますし、《脱皮の世話人》でも切削が可能なので、繰り返していくことで、プラスマイナス0ではなく、墓地が増えていきます。   諜報で2枚目の《うなる大殺犬》が落ちれば、そこからは各諜報量が倍になるので、ライブラリーをすべて掘ることができるでしょう。最終的には墓地に落ちた《ヴォルダーレンの興奮探し》で相手の致死量のパワーを持つ植物トークンを投げてゲームエンドというわけです。 もちろんクリーチャーがまったく落ちずに《陰湿な根》の誘発ができなくなり、コンボが止まってしまうことはあります。そのため揃った瞬間に確実に勝利できるというわけではありませんが、仮に止まったとしても全体除去以外では対処できない場になります。   緑黒で墓地も場も使ってガチャガチャやりたい……そんな方には超オススメ!     エスパー人間 パイオニアリーグ : 5-0 By  Catervus MTGアリーナ用インポートデータ 一昔前から強化され続けている種族と言えば人間。   人間が作っているカードゲームだからなのか、単にどのエキスパンションにも出しやすいからなのかは定かではありませんが、人間はやたら強化されています。かつてモダン5色人間が暴れ回っていたほどですからね。 そんな人間がパイオニアでも登場しました。もちろん白単アグロを人間と呼んでいるわけではありません。エスパーカラーの人間デッキです。   デッキ自体は言うまでもなくビートダウンデッキ。人間クリーチャーの1マナ域には高スタッツかつ優秀な能力を持つ人間が集まっています。   《徴兵士官》は1マナ2/1な上にマナフラッドした際にはクリーチャーを供給する《サバンナ・ライオン》が裸足で逃げるレベルのハイスペッククリーチャー。《有望な信徒》と一緒に白単人間でも活躍していますね。 《アクロスの英雄、キテオン》も1マナ2/1で、こちらはプレインズウォーカーに変身できますが、伝説なので1枚のみの採用となっています。 あまり見ないのは《古参の生存者》でしょうか。こちらも当然1マナ2/1でメリット付き。《サバンナ・ライオン》だけでなく、昔《サバンナ・ライオン》をお年玉で買った経験のある僕も泣いています。 生存していると墓地を追放できるオマケ付きで、このデッキでは《古参の生存者》を強化して生き残らせることが可能なので、墓地対策にしっかりなってくれます。面白いチョイスですね。   1マナ域はすべて白でしたが、2マナが急にカラフルになります。   まずは《不屈の将軍、ジリーナ》。戦場に出た時に墓地を追放しつつ、自身を生け贄に自分の全人間に呪禁と破壊不能を付ける能力を持ちます。墓地対策と全体除去対策を兼ねる良将軍。 そして一見するとなぜ入っているか理解できない《潜入者、悟》!もちろんこのカードも人間。なのですが、ドローするためにはクリーチャーを唱えずに戦場から出す必要があります。なぜ入っているのかはクリーチャーを見ていても答えは出ません。 スペル欄を見ましょう。そう、《英雄たちの送り火》です!このカードを使って《潜入者、悟》を誘発させることができるのです。 クリーチャーを生け贄に捧げることで、そのクリーチャーよりマナ総量が1多く、共通のクリーチャータイプを持つクリーチャーをデッキから出す。要するに《出産の殻》ですね。1マナの人間を生け贄に2マナの人間をサーチして場に出せるのです。 《英雄たちの送り火》から出たクリーチャーは当然唱えたわけではないので1ドローでき、《潜入者、悟》との相性抜群です。   特に《サリアの副官》はクリーチャーを強化しつつ、自身を《英雄たちの送り火》で生け贄に3マナ域の人間を呼び出せるので、サーチ先筆頭となることでしょう。 《英雄たちの送り火》によって場に出る3マナ域、《輝かしい聖戦士、エーデリン》は白単人間でも活躍する超強力な人間。生成したトークンも人間なので《英雄たちの送り火》で1マナの人間に代わります。 《救出専門家》は《英雄たちの送り火》との相性が抜群。生け贄に捧げたばかりのクリーチャーをそのまま場に戻すので、《サリアの副官》ならカウンターが更に乗り、《魅力的な王子》なら《救出専門家》をブリンクし、更に他のクリーチャーを墓地から復活させます。 そしてマナカーブの頂点となる4には《刃の歴史家》も控えています。《英雄たちの送り火》がひとたび動き出せば、盤面にクリーチャーを並べ、強化し、時にはカードを引き、最終的には二段攻撃と、1枚で完結してしまいます。 人間は干渉手段に乏しいのが弱点ですが、《英雄たちの送り火》から《反射魔道士》《帆凧の窃盗犯》をサーチでき、非常に器用なデッキとなっています。 ただの人間には興味がない。そんなあなたにはエスパー人間が良いでしょう!     アブザンケトラモーズ モダンリーグ : 5-0 By Gavin5499 『霊気走破』のトップレア《新たな夜明け、ケトラモーズ》! 既にモダンではオルゾフブリンクに組み込まれ、《溌剌の牧羊犬、フィリア》や《ちらつき鬼火》で気軽にカードをもたらしてくれますが、今回はそんな《新たな夜明け、ケトラモーズ》を更にフィーチャーしたデッキ、アブザンケトラモーズを紹介します。 どのぐらいこのデッキが《新たな夜明け、ケトラモーズ》に命を懸けているかというと、《テーロスへの侵攻》を採用しているほどです。 このカードを初めて見たという方も多いでしょう。戦場に出た時にライブラリーからオーラや紙や亜神をサーチできるバトルです。そう、当然ながら主なサーチ先は神、すなわち《新たな夜明け、ケトラモーズ》になります。 ここで《新たな夜明け、ケトラモーズ》の能力についておさらいしましょう。あなたのターンに戦場や墓地から1枚以上のカードが追放されるたびに1ドローできる能力です。   最も相性が良いとされているのが《大祖始の遺産》です。オルゾフブリンクにも採用されるようになりましたが、まず上の能力で自分の墓地を1枚追放して1ドロー、その後《大祖始の遺産》の下の能力を使うと、《大祖始の遺産》が自身の能力で追放されて1ドロー、その後墓地が追放されるので1ドロー、最後に《大祖始の遺産》の効果で1ドローと、《大祖始の遺産》1枚で4枚のカードが引けるのです。 しかも墓地対策を兼ねるため、《火の怒りのタイタン、フレージ》も安心。 また相手のクリーチャーを追放するカードとの相性も良好です。《孤独》は当然として、更にその上から《薄氷の上》《骨化》と大量の追放カードが採用されています。 面白いのが《輝晶の機械巨人》の採用です。マナ総量が1以下のアーティファクト・エンチャント・クリーチャーをサーチできるこの機械巨人は、《大祖始の遺産》《薄氷の上》にアクセスできるので、《新たな夜明け、ケトラモーズ》で大量ドローする準備をしてくれます。 《新たな夜明け、ケトラモーズ》が墓地落ちた場合は《死者の神のお告げ》を持ってくるなど、器用なカードです。 そしてここまでカードを見ていて「戦場に出た時に~」と書かれたものがやたら多いことに気が付いたのではないでしょうか?   そんなカードを更に強化するのが《機械の母、エリシュ・ノーン》。 こちらの戦場に出た時の誘発を倍にしつつ、相手の誘発を止めてしまうので、特に同じ《新たな夜明け、ケトラモーズ》を使うオルゾフブリンクに強く、これ1枚でゲームに勝てるほどです。 もちろん誘発が倍になるだけでも脅威で、《孤独》をはじめとした各種除去が複数回誘発し、個々で《新たな夜明け、ケトラモーズ》で更に引けるので、《機械の母、エリシュ・ノーン》が生き残ればゲームセットでしょう。 《新たな夜明け、ケトラモーズ》でもっと気持ちよくなりたいならこのデッキ!!

【今週のピックアップデッキ】イゼットアーティファクト/エスパー記念碑パルへリオン/シミック眼魔

週刊 Modern news Pioneer Standard

2025.02.28

mtg Yuyan

こんにちは。 細川 侑也(@yuyan_mtg)です。 今週のピックアップデッキでは、ちょっと珍しいデッキを、軽い解説を交えて紹介していきます。         紹介デッキ イゼットアーティファクト エスパー記念碑パルへリオン シミック眼魔 イゼットアーティファクト プロツアー『霊気走破』 : 7-3 By Rémi Roudier 『霊気走破』で登場したアーティファクト版《出産の殻》こと《再利用隔室》。 このカードによってスタンダードで再注目されたカードと言えば《身代わり合成機》。マナ総量3以上のアーティファクトが戦場に出るたびに、アーティファクトの数分のパワータフネスのトークンを生成するという強力な能力を持っていますが、戦場に出た時に何もしないカードを出すことを3マナで出すことはスタンダードでは許されず、これまではほとんど使われませんでした。 パイオニアやモダンでは0~1マナでマナ総量が3以上のアーティファクトを出すことが可能だったため、《身代わり合成機》を出したターンの隙を埋めることが可能で、それゆえに下環境向けのカードだったのです。   しかし、《再利用隔室》の登場で《身代わり合成機》はスタンダードでも日の目を見ることになりました。《身代わり合成機》を置いたターンに《再利用隔室》を起動し、2マナのカードを生け贄にして3マナのアーティファクトに変えれば、《身代わり合成機》のターンを隙なく終えられるのです。 2マナのカードを《身代わり合成機》にもできるため、実質8枚体制で臨むことができるのも大きく、《再利用隔室》と《身代わり合成機》の組み合わせはスタンダードで息の長い活躍をしてくれそうです。   さて、このプロツアー『霊気走破』のスタンダードラウンドを7勝3敗で終えたイゼットアーティファクトは《身代わり合成機》の相方として赤を選んでいます。   赤と言えば《塔の点火》。アグロの多い今の環境では欠かせない除去です。アーティファクトが大量に出るので協約の達成が容易なのも魅力ですね。 《軍団の成形機械》と《チェーンソー》は共に2マナで戦場に出た時にダメージを与えるアーティファクト。どちらも《再利用隔室》で《身代わり合成機》になる除去です。 3マナのアーティファクトは次のターンに除去にもなります。《爆弾車》は《再利用隔室》から出すと非常にお得なアーティファクト。戦場に出た時に4マナが出るので、3点以上はまず飛ぶでしょう。 《記録の守護者》は《再利用隔室》から出すカードというよりは、むしろ手札から連打するもの。1マナで出して《身代わり合成機》が誘発してくれるので、あっという間に戦場が有利になるでしょう。1マナで出せるマナ総量が5のクリーチャーなので、《再利用隔室》によって《光輝の睡蓮》を場に出せます。 《身代わり合成機》を使うデッキとしては《不気味なガラクタ》《税血の刃》を採用したディミーアや、《帰還航路》を使うアゾリウスなどがありますが、やはり《塔の点火》を採用できるイゼットが一番対アグロ耐性があります。 赤アグロのポジションがまた一段と良くなった現環境、イゼットアーティファクトは今がチャンスかもしれませんね!     エスパー記念碑パルへリオン パイオニアチャレンジ : 3位 By  Kaberb 墓地から機体を吊り上げる《大牙勢団の総長、脂牙》で《パルヘリオンⅡ》を3ターン目に出して攻撃する白黒ベースのデッキ。 かつては《忌まわしい回収》などを採用したアブザン、最近では《税血の収穫者》《逸失への恐怖》《鏡割りの寓話》でミッドレンジプランも取れるマルドゥと様々なカラーのパルへリオンデッキが活躍していますが、今回紹介するのはエスパーカラー。 青が入ることで加わるのはドロースペル。引いて捨てることが得意な青の力は大きく、《信仰の繕い》《染みついた耽溺》はいずれも2ドローして《パルヘリオンⅡ》をディスカードできる優秀なドロー。赤いドローは捨てて引くなので、有効牌を捨てて《パルヘリオンⅡ》を引いてしまうこともありますが、引いて捨てる《信仰の繕い》ならその心配はいりません。 《上げ潮、キオーラ》も2ドロー2ディスカードするクリーチャー。しかも墓地を肥やすデッキなので、スレッショルドも目指せます。 そしてなんと言ってもこのデッキの最大の特徴は《忍耐の記念碑》の採用です。 このデッキには実に様々なディスカード手段が用意されているということで、このカードを捨てるたびに恩恵をもたらすアーティファクトが採用されているのです。《上げ潮、キオーラ》を出すだけで2つモードを選べるので、ドロー&3ライフルーズなど、やりたい放題です。   《忍耐の記念碑》はサイドボード後にその真価を発揮します。   《パルヘリオンⅡ》を《大牙勢団の総長、脂牙》で釣るコンボはサイドボードは防がれてしまうことがほとんどです、墓地を対策されるか、《大牙勢団の総長、脂牙》を除去されるか。いずれにせよほとんど成立しません。 《忍耐の記念碑》は墓地対策と除去がどちらも効かない勝ち手段なのです。特にフラッシュバックがあり2回使える《信仰の繕い》は《忍耐の記念碑》との相性抜群。《忍耐の記念碑》の能力もあり、《信仰の繕い》1枚で6枚のカードが引けるので、そこから次のディスカード手段に辿り着くのは容易でしょう。 そうしてドロー・ディスカードするカードをチェインさせていくだけで、気づけば相手のライフは0になります。サイド後は《忍耐の記念碑》で勝つことが多くなるでしょう。 サイドボード後のサブプランが強いコンボデッキは本物であるパターンが多いです!エスパーパルへリオンがこれから活躍するのか注目です。     シミック眼魔 モダンリーグ : 5-0 By singto12 スタンダードからモダンまで色んなフォーマットで暴れる《忌まわしき眼魔》。 先日のプロツアー『霊気走破』でも《救いの手》で《忌まわしき眼魔》を吊り上げるジェスカイ眼魔がトップ8に残り、モダンでも《発掘》で《忌まわしき眼魔》を場に戻すコンボを搭載したディミーアマークタイドはメタデッキの内の1つです。 そんな《忌まわしき眼魔》デッキがまたモダンで登場しました!   《忌まわしき眼魔》を戦場に出す方法は2種。まず1つ目は《新生化》。これを使った《忌まわしき眼魔》デッキはパイオニアにも存在しますね。 クリーチャーを生け贄にしてそれよりマナ総量が1大きいクリーチャーを出す《新生化》。《とぐろ巻きの巫女》や《氷牙のコアトル》が《忌まわしき眼魔》に生まれ変わります。カードを引くクリーチャーたちが《忌まわしき眼魔》になるのはパイオニアと同様。 もう1つの手段、《出産の儀》はモダンでしか使えません。こちらも2マナのクリーチャーを生け贄にすることで《忌まわしき眼魔》が出るエンチャントですが、3マナのクリーチャーからも《忌まわしき眼魔》を出せるのがミソです。 なぜなら《断片無き工作員》を生け贄にするシチュエーションがそこそこ訪れるからです。2マナでリソースを獲得できるクリーチャーがたくさん入ってるこのデッキに《断片無き工作員》はぴったり。《出産の儀》を続唱でめくって、そのまま終了時に《忌まわしき眼魔》に変わるのは美しい展開。 入っているクリーチャーがすべて青いので《拒絶の閃光》を使えるのは素晴らしい。パイオニアでは1マナを構える必要がありましたが、モダンは0マナでOKです。 《出産の儀》や《新生化》で持ってくる《海の先駆け》も奇襲性が高く、特に《出産の儀》は解決を見た後でフェッチランドを起動しようとするプレイヤーも多いはずなので、フェッチランドを《島》に変えるチャンス! 9枚のピッチスペルにフィニッシャーはほぼ《忌まわしき眼魔》のみと思い切った構成!《忌まわしき眼魔》を守り《忌まわしき眼魔》で勝ちたい。そんな方にオススメのデッキです!

【パイオニア】ディミーアバウンス徹底解説!

Pioneer ピックアップ

2025.02.27

mtg Yuyan

こんにちは。 細川 侑也(@yuyan_mtg)です。 先週末は晴れる屋さんで行われた第17期パイオニア神挑戦者決定戦に参加していました。   結果はトップ4。とんでもないミスにより準決勝で負けてしまったわけですが、今回は珍しく大会前から自信がありました。   それは使用したデッキ、ディミーアバウンスが余りに強いデッキだったからです。   というわけで今回はディミーアバウンスの記事となります。         目次 ディミーアバウンスとは デッキリストとカード解説 採用を検討した/見送ったカード デッキの回し方 プレイ指南 TIPS サイドボーディング 終わりに ディミーアバウンスとは 《この町は狭すぎる》《孤立への恐怖》で《稲妻罠の教練者》《海の神のお告げ》を戻してアドバンテージを獲得したり、《逃げ場なし》《勢い挫き》を使い回して相手のクリーチャーを殲滅させていくのが基本戦術となるコントロールデッキです。 《嵐追いの才能》も入っており、レベル2で回収した《この町は狭すぎる》で再度戻すことで、何度もカワウソを生成しながら無限に妨害し続けることができます。   そう、スタンダードでも大人気のアーキタイプのパイオニア版なのです。   というか、このデッキはほぼスタンダードです。   リストをよく見てみてください。《致命的な一押し》《思考囲い》《海の神のお告げ》《食肉鉤虐殺事件》《覆いを割く者、ナーセット》以外のメインの呪文はすべてスタンダードのカードなのです。 いや、それは正確ではありませんでしたね。ディミーアバウンスには、スタンダードでは採用できない大きな……いや、大きすぎる1枚が採用されています。   そう、《空を放浪するもの、ヨーリオン》です。このカードがあるからこそこのディミーアバウンスは成立していると言って良い。《湧き出る源、ジェガンサ》はアグロデッキでたまに活躍する1枚ですが、このデッキにとっての《空を放浪するもの、ヨーリオン》はメイン戦略です。 かつて、《夢の巣のルールス》を採用していた数多くのアグロデッキは、《夢の巣のルールス》が出るまでの間に相手にすべての除去を使わせ、最終的に《夢の巣のルールス》が生き残って勝っていました。これはアグロのメイン戦略の1つとして組み込まれていました。 ディミーアバウンスにとっての《空を放浪するもの、ヨーリオン》も全く同じです。盤面に様々な置物を並べて《空を放浪するもの、ヨーリオン》でアドバンテージを取って勝利する。これを最初から目指しています。   相棒をただの追加リソースではなく、メインプランの1つとして据えることができるのは、それだけでデッキの強みになります。   相棒により再現性の高いゲーム展開を作れるのがディミーアバウンスの魅力なのです。   デッキリストとカード解説 《致命的な一押し》   今更解説することもない、パイオニア最強の1マナ域。黒を使い理由になる1枚。   ラクドスでは血や宝物といったトークンで紛争を達成しやすい一方、従来のディミーアコントロールでは紛争達成が難しいのが悩みどころでした。《廃墟の地》を4枚にしたり、《推理》を採用して手がかりで紛争を行うなど、様々な工夫がほどこされていました。   しかし、このデッキは紛争の達成が容易です。《この町は狭すぎる》によるバウンスでも紛争しますし、《望み無き悪夢》《海の神のお告げ》《勢い挫き》《不気味なガラクタ》はすべて能動的に生け贄に捧げられるパーマネントです。   ほぼ万能除去と言って差し支えません。   《思考囲い》 パイオニア最強の1マナ域、その2。《致命的な一押し》と《思考囲い》を使えるのが黒の最大の魅力と言っても過言ではありません。パイオニアで一番強いカードはこの2枚です。   序盤に相手の攻め札を奪ってしまえば盤面のコントロールは容易になります。《思考囲い》は決して攻めるデッキだけが使うカードではありません。守るデッキが使う《思考囲い》も十分強力なのです。   《嵐追いの才能》 スタンダードではティムールカワウソに始まり、エスパーピクシー、ディミーアバウンスと今では色々なデッキで使われています。   前述のように《この町は狭すぎる》との相性は抜群。レベル2にして《この町は狭すぎる》を拾い、その後《嵐追いの才能》をバウンスすることで、何回でも《この町は狭すぎる》を打てるようになります。   戦場に出た時のカワウソも馬鹿にならない打点を持っており、初手に《嵐追いの才能》が複数枚あればそれだけでビートダウンを完遂させることも可能です。   《嵐追いの才能》はレベル2が強いことからこのデッキで採用されていますが、出てくるカワウソが相手のプレインズウォーカーをけん制したり、ビートダウンを敢行してくれます。相手は本来コントロール相手にプレインズウォーカーを入れたり、リソースを取る手段をサイドインし、除去を抜きます。そんな相手に対してカワウソによる攻めはかなり効果的です。   《嵐追いの才能》というカードの存在が、このデッキを多角的なデッキにしている要因です。出てくるカワウソが相手にプレイやサイドボーディングを難しくさせています。   《この町は狭すぎる》 スタンダードでも《嵐追いの才能》とセットで採用されているバウンス呪文。自分のコントロールしているパーマネントを対象に取っていると2マナで打てるので、使い終わった自分の置物と相手のパーマネントを戻すのが基本的な使い方になります。   自分のパーマネントを2枚戻すこともよくあり、《望み無き悪夢》を戻して一気にライフと手札を奪ったり、《海の神のお告げ》《稲妻罠の教練者》を戻して手札を増やすことも。   《空を放浪するもの、ヨーリオン》を戻したら凄まじいアドバンテージを稼いでくれます。   攻めでも守りでも使えるスーパーカードです。このカードを毎ゲーム引くのが目標です。   《孤立への恐怖》 追加コストとして自分のパーマネントをバウンスする2マナ2/3飛行。本来はデメリットであるはずの追加コストですが、このデッキではメリットに働きます。   先手で《嵐追いの才能》から《孤立への恐怖》と回った時はビートダウンプランも取れます。アグロにもコントロールにも使える良カード。   《望み無き悪夢》 手札破壊と2点ルーズのエンチャント。ライフも手札破壊も1枚程度では効きませんが、このデッキは何度も《望み無き悪夢》を出し入れするので、段々と傷口が広がっていきます。   特に《嵐追いの才能》からカワウソを出している時はビートダウンもできるので、《望み無き悪夢》とカワウソによるダメージで意外とライフが削れてる場合があり、《この町は狭すぎる》で《嵐追いの才能》《望み無き悪夢》を戻して大量の果敢を稼いでのフィニッシュなどもあります。   突然相手のライフをごっそり削れるので、このディミーアバウンスを使う際は殴りを意識しましょう。他のコントロールデッキよりも相手のライフを削る速度は速いです。殴れる時にしっかり殴る。コントロールを普段使っている方は軽視しがちですが、ディミーアバウンスでは重要です。   《逃げ場なし》 スタンダードでもお馴染みのエンチャント除去。《孤立への恐怖》《この町は狭すぎる》で回収して使い回します。   呪禁を剝がせるので《タミヨウの保管》を無意味にしたり、《恐怖を喰うもの、ヴァルガヴォス》や《墓地の侵入者》の護法を無視できて便利です。   ビートダウン相手にはうんざりするほど何度も出し入れしましょう。《空を放浪するもの、ヨーリオン》を含めて何回か使い回せばすぐにゲームセットです。   《勢い挫き》 『霊気走破』からの新カード。このエンチャントの強さには感動しました。   クリーチャーか機体を生け贄に捧げさせる、いわゆる布告能力は、サイズを問わない除去。このデッキは《致命的な一押し》《逃げ場なし》で除去できないクリーチャーの対処を《この町は狭すぎる》に一任していたので、《勢い挫き》はちょうどいい1枚でした。   生け贄に捧げた際は速度の数値だけライフゲインが可能で、これは赤アグロに対して重宝します。   しかもこのカード、相手がクリーチャーや機体を生け贄に捧げなかった場合は手札破壊になります。先手2ターン目にとりあえずハンデス目的で出せますし、コントロール相手のサイド後でも手札破壊として機能でするので、サイドアウトしません。   コントロールミラーは《金属の徒党の種子鮫》など、除去を抜かれることを前提にクリーチャーをサイドインしてきます。《致命的な一押し》《逃げ場なし》は除去以外に使い道がないので当然サイドアウトすることになりますが、《勢い挫き》ならば、除去すべきクリーチャーが出てこなければハンデスを選べば良いのです。   除去を残して相手がクリーチャーを出してこなかった時に手札で腐るのが許せない。かといって除去をすべて抜いて《金属の徒党の種子鮫》に好き勝手されたくない。   そんな事情をバッチリ解決してくれるのが《勢い挫き》です。2枚程度のリストが多いですが、僕はこのカードを絶対に4枚にすべきだと思います!   ちなみに《望み無き悪夢》の2点ルーズで速度を進められます。   《海の神のお告げ》/《稲妻罠の教練者》 《海の神のお告げ》は《空を放浪するもの、ヨーリオン》のズッ友。青系コントロールのライブラリーが80枚になる時にはいつも採用されていましたね。   出た時に占術2を行ってから1ドローと少し重い定業ですが、戦場に残ってくれるので《空を放浪するもの、ヨーリオン》《孤立への恐怖》《この町は狭すぎる》で回収できるのが魅力。   《稲妻罠の教練者》と比べて見れる枚数は少ないものの、確実に1ドローできる点、更に土地が欲しい場合はこちらの方がより強力です。   甲乙つけがたいので《稲妻罠の教練者》と3・3といったバランスで採用されていることが多いですが、個人的には《海の神のお告げ》の方が強いと考えています。   まず土地が欲しい場面がそこそこあること。土地2枚の初手と《稲妻罠の教練者》でキープして土地が手札に入らないのはそれなりにストレス。《稲妻罠の教練者》のために《ジュワー島の攪乱》や《アガディームの覚醒》を入れようと思ったこともあったほどです。   ほぼ確実に《この町は狭すぎる》《孤立への恐怖》《空を放浪するもの、ヨーリオン》で回収できるのも、《海の神のお告げ》の評価を上げるポイントになりました。《稲妻罠の教練者》はクリーチャーなので除去されてしまいます。特にメイン戦では余った除去を投げつけられてしまうので、《稲妻罠の教練者》は生き残りづらく、バウンスしての再利用がしにくいのです。   《覆いを割く者、ナーセット》 このデッキで唯一の3マナ以上のカード。少し重いですが、それだけの価値があるカードです。   《不浄な別室》に対する回答として一番強く、デッキが軽い妨害で構成されているので、プレインズウォーカーを直接破壊するカード以外で落ちにくいのがポイント。   他のデッキでは2回マイナスを使ったら後は置物ですが、ディミーアバウンスは自分のパーマネントを戻せるデッキ。《覆いを割く者、ナーセット》をリフレッシュして再び使用可能です。   除去除去ナーセットはこのデッキの勝ちパターン。最終的には《空を放浪するもの、ヨーリオン》で《覆いを割く者、ナーセット》をブリンクして相手の心を折ることになります。   《不気味なガラクタ》 《見栄え損ない》ですが、置物なので各種バウンスで使い直せます。   1マナの置物除去はこれまで存在していなかったので使用感が未知数でしたが、使ってみるとその強さに驚き。特に後手番でアグロを相手にした時は強すぎて驚きました。   《孤立への恐怖》を2ターン目に出してブロッカーとして立てるためには1ターン目にアクションをする必要がありますが、《嵐追いの才能》はアクションとしては弱め。カワウソはブロッカーとしては心もとないですからね。   その点、盤面除去をしながら《孤立への恐怖》を出せる《不気味なガラクタ》は素晴らしいカード。回収し直して3ターン目に出しながら2マナのドロースペルに繋げれば勝利目前です。   《食肉鉤虐殺事件》 それなりにゲームが長期戦になるので、何かしらのライフゲイン手段が欲しいとは思っていましたが、良く採用されている《黙示録、シェオルドレッド》はあまり好きではありませんでした。   クリーチャーデッキ相手に欲しいはずなのに重く、強い瞬間は限られます。しかもメインでは相手の腐る除去が当たります。ラクドスデーモン相手に《黙示録、シェオルドレッド》が生き残ることはまずありません。   もちろん、相手の手札が空になってしまえば生き残る確率は上がり、それを目指せるデッキではあるものの、限られた状況でのみ強いカードはなるべく減らしたいと考えました。   そしてライフゲイン手段として白羽の矢が立ったのが《食肉鉤虐殺事件》でした。ラクドスにはX=2で《税血の収穫者》や《鏡割りの寓話》を流せますし、全体除去をメインに採用したいと考えていたので、2つの希望を同時に叶えてくれるカードだったのです。   各種バウンスで使い回せる全体除去というのもポイント。   《神秘の論争》 ここからはサイドボード。   青いデッキにサイドインする……のは当然ですが、特に重く見たのはイゼットフェニックスです。   イゼットフェニックスとの戦いはとにかく軽いことが重要。相手の致命的なスペルを打ち消す場面より、《覆いを割く者、ナーセット》を通すためにカウンターを使うことが多いので、《否認》では重いのです。   《美術家の才能》は消したいカード筆頭ではあるものの、結局後手では《否認》は間に合わずに通ってしまいます。《呪文貫き》は悪くないと考えましたが、今度は《宝船の巡航》に対して弱い。   《神秘の論争》であれば《宝船の巡航》に打つと相手は嫌な顔をします。フルタップになってしまいますからね。《呪文貫き》は割と払われてしまいます。これは《宝船の巡航》を打たれるターンが4ターン目、もしくは4枚の土地が並んでからというケースが多いためですね。   そんな事情でカウンターは《神秘の論争》のみにしました。ちなみにミラーマッチで一番強いのも《神秘の論争》です。《空を放浪するもの、ヨーリオン》に当たるのがとにかく大きい!   《未認可霊柩車》 3枚と多めですが、こちらもイゼットフェニックスを意識しています。   結局《宝船の巡航》さえ封じてしまえば最終的にはこちらが勝てます。アドバンテージ獲得手段が《宝船の巡航》以外にないので、《望み無き悪夢》《勢い挫き》ですぐに手札を枯らせられますからね。   《覆いを割く者、ナーセット》が着地すれば話は早いのですが、相手も《呪文貫き》《神秘の論争》《否認》と様々な打ち消しをサイドインしてくるので、着地は容易ではありません。それなら墓地対策は必須です。   その中で最も優秀なのが《未認可霊柩車》。《除霊用掃除機》は1マナと軽いですが、たった1枚しか墓地を削れないので、《宝船の巡航》のスピードに追い付けません。《未認可霊柩車》は毎ターンキャントリップを打たれ続けても、それに追いつけます。   《未認可霊柩車》でも相手に《宝船の巡航》を打たれてしまいますが、そのタイミングを制限できるのが重要です。土地をひたすら並べられ、《神秘の論争》が当たらない範囲で《宝船の巡航》を仕掛けられるのが嫌な展開なので、それを《未認可霊柩車》で防ぐのが狙いです。   多めに3枚入っているのは、早いターンで引き込んでおきたいからです。   《夢を引き裂く者、アショク》 こちらも《未認可霊柩車》と同じ墓地対策。   メリットはロータスコンボにも採用できる点。今回は《減衰球》を採用していないので、ロータスコンボがとにかく不利マッチです。《夢を引き裂く者、アショク》を入れた程度で有利になることはありませんが、一応の抵抗にはなります。   もちろんイゼットフェニックスにもサイドインします。先ほど《未認可霊柩車》が対策になると話したばかりですが、ゲーム序盤で引き込めなかった場合、《未認可霊柩車》の効力は激減してしまいます。大量の墓地を一度に追放する手段も必要だと考えました。   《夢を引き裂く者、アショク》は墓地をすべて追放した上で、そのまま相手のライブラリーアウトも狙えるので、イゼットフェニックス相手はフィニッシャーになる場合もあります。《宝船の巡航》で大量に引かれてる時もワンチャンス狙えますね。   デメリットはその重さと色。《神秘の論争》が引っかかってしまうのでとにかく通りづらい。《覆いを割く者、ナーセット》が通らないのですから《夢を引き裂く者、アショク》を通すのも大変です。   しかも通した結果がただの墓地追放なので、ゲーム序盤では《未認可霊柩車》以下の活躍です。たくさんの《未認可霊柩車》と少しの《夢を引き裂く者、アショク》がちょうどよいバランスだと考え、この配分になりました。   《悪夢の詩神、アショク》 またアショクの登場です。   こちらはミッドレンジやコントロールに強い1枚。プレインズウォーカー除去があまり使われていない環境なので、特に黒系ミッドレンジ全般には非常に強く、出すとそのまま勝ててしまうほどです。   元々、ミラーマッチで良いカードを探していて見つけたのが《悪夢の詩神、アショク》でした。ミラーで強いカードの条件は「《この町は狭すぎる》で戻されて何もしないカードはダメ」「除去耐性がある」「盤面に干渉するカード」でした。   《悪夢の詩神、アショク》はバウンスされても戦場に2/3のトークンを残せますし、プレインズウォーカーなので除去耐性もあります。2/3が盤面に影響を与えるので、すべての条件を満たしています。2/3というサイズもカワウソに2回の果敢を付けさせる必要があるので、ミラーマッチでは及第点です。   ラクドスミッドレンジにもそこそこ強く、《不浄な別室+祭儀室》から出てきたデーモンをバウンスしつつ、1枚ハンデスする展開が多かったです。もちろんプラスも強力でした。   《絶滅の契機》 主に緑単に対して入れるカード。緑単は《老樹林のトロール》《茨の騎兵》と死亡時に能力を持っているクリーチャーが多く、また《ラノワールのエルフ》《エルフの神秘家》などほとんどすべてのカードが奇数なので、《絶滅の契機》が一番刺さります。   単体除去は多いディミーアバウンスですが、後手で除去が追い付かない展開もあるので、少しだけサイドに入れておくと便利です。緑単相手には《食肉鉤虐殺事件》は抜いてしまいますが、他の対アグロでは《食肉鉤虐殺事件》《絶滅の契機》の4枚の全体除去で臨むことになります。   《霊気の疾風》 アグロに対して《思考囲い》4枚を抜く関係上、《絶滅の契機》以外に2枚ほど何かカードを入れたかったのですが、単なる除去の水増しよりは、除去の役割がありながらも違う使い方もできるカードが良いと考えました。   そんな便利なカードが《霊気の疾風》です。疑似的な打ち消し呪文として使えるだけでなく、盤面にも干渉できる強力なスペル。   《逃げ場なし》などの置物エンチャントが主体となっているので、《嵐追いの才能》の2章で拾える除去が少ないのは実は課題でした。《致命的な一押し》《この町は狭すぎる》だけでは少し少なかったのです。《霊気の疾風》はそんな事情も解決してくれるので、かなり好みです。   採用を検討した/見送ったカード 《無駄省き》 パイオニア神挑戦者決定戦前日に突然思いついたのですが、試す時間がなくて断念。   2ターン目に設置して何もしないカードなのでアグロには弱いですが、それ以外のマッチではすべて活躍しそうなので、サイドから《強迫》2枚を追加してディミーア無駄省きになります。   《望み無き悪夢》《思考囲い》《勢い挫き》と手札破壊は大量にあるので、誘発には問題ありません。   イゼットフェニックスの《美術家の才能》がきついので、《無駄省き》を置けばとりあえずルーターを制限できますし、ミラーマッチではお互いの手札破壊に、こちらだけオマケがつくので、アドバンテージ面で勝利できるでしょう。   ラクドスミッドレンジに対しても同プランを採用する予定ですが、ここがどうなるかがカギかなと思います。   僕の想像では結構イケてる気がするので、興味を持った方はぜひサイドボードに4枚入れてみてほしいです。   《最後の望み、リリアナ》 こちらはミラーマッチの最終兵器として投入を検討していました。当初は《悪夢の詩神、アショク》ではなく《最後の望み、リリアナ》を入れる予定でした。   ディミーアバウンスミラーマッチは《空を放浪するもの、ヨーリオン》がカギとなります。盤面にクリーチャーがそこそこ並び、手札も搾り合うので、《空を放浪するもの、ヨーリオン》で《望み無き悪夢》や《逃げ場なし》を使い回してアドバンテージを稼いだ方が勝利します。   ですが、《空を放浪するもの、ヨーリオン》を拾うタイミングが非常に難しい。《思考囲い》はお互いに温存して、相手が《空を放浪するもの、ヨーリオン》を回収したタイミングで狙います。   だからこそ、《空を放浪するもの、ヨーリオン》は《思考囲い》で相手の手札から《思考囲い》を抜いたタイミングや、8マナ溜めて回収→キャストのいずれかになります。《神秘の論争》がミラーで強いと言ったのはこのためですね。   《最後の望み、リリアナ》があれば、《空を放浪するもの、ヨーリオン》を《思考囲い》で落とされても回収できるため、プレイがかなり簡単になります。適当な時に回収しておいて《思考囲い》を打たれても、《最後の望み、リリアナ》で拾ってしまえば良いのです。   《最後の望み、リリアナ》自体の場持ちがミラーでかなり良いのもポイント。《孤立への恐怖》はパワーが0になりますし、カワウソトークンはプラスで除去できますからね。黒いので《神秘の論争》を1マナで打たれませんし、3マナという軽さも素晴らしい。   ただ、《悪夢の詩神、アショク》に比べてラクドスミッドレンジには少しイマイチかもしれません。《鏡割りの寓話》に弱いのが致命的ですね。   当日入れなかった理由はフルアート版が晴れる屋に売ってなかったからです。前日に思い付いたせいでこんなことに…。   メインの《空を放浪するもの、ヨーリオン》 ディミーアバウンスの良いところはとにかくデッキが軽く構成されていて、相棒領域に《空を放浪するもの、ヨーリオン》が用意されていることだと思います。   もちろん《空を放浪するもの、ヨーリオン》はデッキの多くのカードと噛み合って強いのですが、軽いアクションで相手の展開を凌ぎ、確定している《空を放浪するもの、ヨーリオン》でマウントを取るのがディミーアバウンスです。   その細かい動きに5マナのカードは合わないですし、そもそも確実に3マナで手札に持ってこれるので、それ以上に必要ないと感じました。1回《空を放浪するもの、ヨーリオン》が出れば大体勝ちますからね。   オーバーキルかつ事故の要因となってしまう《空を放浪するもの、ヨーリオン》はデッキに入れないことにしました。   《悪夢滅ぼし、魁渡》 《孤立への恐怖》を戻して出すと強いですよね。うん、もちろん強いです。でもコントロールデッキなのであんまりデッキに合っていませんでした。たまたま引いた時はオーバーキルか、そもそも役に立たないかのどちらか。   カワウソを忍術して出してもちょっとがっかりしちゃいますし、《稲妻罠の教練者》はそもそも忍術条件を満たすのも難しい。   使っていて全然強いと感じず、すぐに抜けました。アゾリウスコントロールなどにも《失せろ》ですぐ対処されてしまいます。 デッキの回し方 ディミーアバウンスは基本的にはコントロールデッキです。スタンダードの同デッキはアグロ寄りのミッドレンジでしたが、パイオニアのディミーアバウンスはコントロール。これを念頭に置いておきましょう。   コントロールとして立ち回る時の動きは簡単です。《逃げ場なし》や《勢い挫き》で盤面をすべてさばき、隙を見て《空を放浪するもの、ヨーリオン》を回収。出し直せばそれだけでゲームが決まります。 手札破壊カードは他のアクションがあればそちらからにしましょう。手札が少なくなってきてからの方が1枚ハンデスは効果的です。《思考囲い》と《望み無き悪夢》がどちらもあれば当然《思考囲い》から打ちましょう。 もちろん、2ターン目に《孤立への恐怖》を唱えたい場合は《望み無き悪夢》からになりますが。 除去を最優先し、相手の手札が3枚ぐらいになったら《望み無き悪夢》と《勢い挫き》で手札破壊していくことが多いです。 他のコントロールデッキと違うのは、ライフを詰めるスピードが速い点です。   《望み無き悪夢》の2点ルーズは最初はオマケ程度ですが、《孤立への恐怖》などで出し直すと徐々に重くのしかかってきます。 カワウソ、《孤立への恐怖》と合わせて突然攻撃に回れる展開もあるので、細かいダメージはしっかり刻むようにしましょう。相手のライフを削る意識をしっかり持つことが大事です。 《望み無き悪夢》を1回《孤立への恐怖》で拾うと4点。《空を放浪するもの、ヨーリオン》で出し直すと6点。《空を放浪するもの、ヨーリオン》と《孤立への恐怖》で6点とこれだけで12点削れるので、相手がショックランドや《思考囲い》で少しダメージを負っていると、守っている側のはずのディミーアバウンスが相手とほぼライフが一緒なこともしばしば。 守りを基本としつつ、攻める瞬間も意識してください。果敢が乗ったカワウソをブロッカーとして立たせるのは損です!常に殴りましょう!   プレイ指南 手札破壊の順番 《思考囲い》《望み無き悪夢》をどちらも唱える場合、先に使うべきなのは《望み無き悪夢》です。   わかりやすい例を挙げましょう。場には4枚の寝ている土地。手札には1枚の土地と《ドミナリアの英雄、テフェリー》、《放浪皇》。ここで先に《思考囲い》を受け、《ドミナリアの英雄、テフェリー》を抜かれたとします。そうすれば当然《望み無き悪夢》で土地を捨てますよね。 これが先に《望み無き悪夢》だったらどうでしょうか?《放浪皇》を捨てて、次のターンの土地+《ドミナリアの英雄、テフェリー》を確定させるかもしれません。もちろん土地を捨てて土地引きに賭ける選択肢もありますがね。   このように、《思考囲い》を後から打った方が相手の《望み無き悪夢》のディスカードで裏目を引かせやすくなります。   先に《望み無き悪夢》でスペルを捨てられて《思考囲い》で土地しかなくてスカる……なんてこともなくはないですが、《望み無き悪夢》で捨てるカードは大体土地でスペルは手札に残ります。《思考囲い》の対象はあることがほとんどです。   《勢い挫き》を上手く使おう 手札破壊も除去もできる《勢い挫き》ですが、2ターン目に《逃げ場なし》《勢い挫き》と持っていた時にどちらから使うか悩ましいですよね。   インスタントである《逃げ場なし》を温存したいでしょうが、僕は《勢い挫き》を手札に残しておきます。 手札の除去がなくなれば《勢い挫き》で除去すれば良いですし、頃合いを見て手札破壊ができるのは便利です。   ただし、相手の手札が5枚ほどある状況でとりあえず手札破壊として使うのはオススメしません。次のターンに《不浄な別室+祭儀室》を開けられてデーモンが出てきて困ったりしますからね。除去が余っていれば良いですが、《勢い挫き》しか除去がないならば、手札破壊はやめましょう。相手が出してきたクリーチャーを除去するのは、実質手札破壊でクリーチャーを落とすのと同じです。手札破壊にこだわる必要はありません。 相手の手札が2枚ぐらいになってきたら、手札破壊で1枚を落としつつ、《空を放浪するもの、ヨーリオン》を拾って次のターンにブリンクするようにしましょう。   《孤立への恐怖》《この町は狭すぎる》の受け入れ 《望み無き悪夢》と《致命的な一押し》ならばまず除去を優先してその後に手札破壊。先ほどはそう言ったものの、このデッキには《孤立への恐怖》《この町は狭すぎる》が入っています。   これらのカードは自分の場にパーマネントがないと使えないカードなので、2ターン目から唱えることを想定してプレイする必要があります。   手札にそれらのカードがない場合でも、「次のターンに引いたらどうしよう?」と考えましょう。   例えば相手がアグロデッキで、手札に《逃げ場なし》があるなら、2ターン目のアクションはまず《逃げ場なし》になるでしょう。もし《孤立への恐怖》を引いたとしても出す必要はありません。それならば1ターン目に《望み無き悪夢》を置く必要はないので、《湿った墓》や《難破船の湿地》をタップインできます。 しかし、手札に2マナのカードがなく《覆いを割く者、ナーセット》が次の展開になりそうなら、2ターン目に《孤立への恐怖》か《この町は狭すぎる》を打つことは全然ありえます。それならば1ターン目には《望み無き悪夢》を置いた方が良いのです。 初手を開いてある程度ゲームがどう展開されるかを予想しながら1~2ターン目のアクションを決めましょう!アゾリウスコントロールよりこの辺りのプレイは少し難しいです。   《空を放浪するもの、ヨーリオン》を拾うタイミング 《思考囲い》が入っている相手にはかなり慎重に回収しましょう。やることがないからと適当に回収するのはNGです。特にラクドスが1ターン目から《思考囲い》を打ってこない時は、特に注意してください。 回収した次のターンに出してアドバンテージを稼ぐことが多いので、4ターン目に拾いながら1マナアクション、5ターン目に《空を放浪するもの、ヨーリオン》で一斉ブリンクが理想の流れです。   1マナの妨害カードである《致命的な一押し》や《思考囲い》は4ターン目に使うと、《空を放浪するもの、ヨーリオン》の隙を埋めてくれます。2~3ターン目は、4ターン目に3マナ払って回収することを念頭に置いてプレイしたいところ。 とはいえ、《空を放浪するもの、ヨーリオン》が出た時に《逃げ場なし》《勢い挫き》など2種が追放されれば、それだけで盤面は一気に有利になります。なので多少盤面が不利になっても問題はないと言えばないです。 下手なアクションをするよりは《空を放浪するもの、ヨーリオン》を回収しておいた方が良い場合が多く、たとえば《海の神のお告げ》を出すなら先に《空を放浪するもの、ヨーリオン》です。《海の神のお告げ》で探したいカードが除去なら《空を放浪するもの、ヨーリオン》でも同じことができますからね(《逃げ場なし》などが戦場にあれば)   《空を放浪するもの、ヨーリオン》を拾っておき、相手の動き次第で次のターンに出すかを決めれば良いのです。《空を放浪するもの、ヨーリオン》自体は時間が経つとどんどん強くなっていくカードで、一気に不利な盤面も返せるので、ここぞという時に出せるよう、手札に早めに控えていてもらいましょう。   TIPS 《孤立への恐怖》で土地を回収 《孤立への恐怖》は他のカードと違い、珍しくどのパーマネントも戻せるので、セットランドした《天上都市、大田原》《見捨てられたぬかるみ、竹沼》を回収できます。地味ですが意外と起きることなので、見落とさないようにしましょう。   特に《見捨てられたぬかるみ、竹沼》は《空を放浪するもの、ヨーリオン》を回収できるので、魂力する機会はまあまあ多いです。   ディミーアバウンス相手に《廃墟の地》を使う時は、意外と2色ランドよりも《見捨てられたぬかるみ、竹沼》を狙った方が良いです。   《霊気の疾風》《ガイアー岬の療養所》 《霊気の疾風》でライブラリートップに積まれたカードは、相手の手札が0枚なら《ガイアー岬の療養所》で引かせてそのまま捨てさせることができます。   これは本当に見落としやすいので覚えておきましょう!   《孤立への恐怖》は追加コスト 《この町は狭すぎる》と違い、《孤立への恐怖》のバウンスは追加コストです。戻す対象を選ぶわけではないので、相手が除去を挟む余地はありません。   《覆いを割く者、ナーセット》のマイナスを起動して、そのスタックで《塔の点火》を打たれなければ、《孤立への恐怖》で回収して逃げることができます。逆にディミーアバウンスを相手にする時は、しっかり自分のメインフェイズや相手のアップキープ中、起動にスタックして《覆いを割く者、ナーセット》を処理しておくこと!   サイドボーディング VSラクドスデーモン +2《悪夢の詩神、アショク》-2《不気味なガラクタ》 基本的には有利なマッチアップ。お互いにリソースを削り合いますが、こちらには《空を放浪するもの、ヨーリオン》が控えているので、戦場に出れば終わりです。 《思考囲い》で落とされてしまうのは負け筋なので、そこだけ気を付けてください。 《不浄な別室+祭儀室》で出たデーモンは即処理する必要がありますが、《致命的な一押し》《この町は狭すぎる》でしか対処できません。《逃げ場なし》《勢い挫き》を先に使っておき、《致命的な一押し》は温存しましょう。 手札破壊に対するケアは《嵐追いの才能》《この町は狭すぎる》にも言えます。特に《この町は狭すぎる》を拾って打てないタイミングで《思考囲い》で捨てさせられるのが最悪です。《思考囲い》を打たれた時にスタックで《嵐追いの才能》と《海の神のお告げ》など、リソースになるカードを回収できるようにしておきましょう。   《覆いを割く者、ナーセット》の着地もかなり重要です。一度場に残れば部屋だけで勝手に相手が死んでいきます。   VSイゼットフェニックス +3《神秘の論争》+3《未認可霊柩車》+2《夢を引き裂く者、アショク》-4《致命的な一押し》-2《不気味なガラクタ》-2《勢い挫き》 とにかく《覆いを割く者、ナーセット》が生き残るかどうかにすべてがかかっています。メイン戦では特に重要で、《呪文貫き》で打ち消されるなんて愚行は絶対にNGです! 《弧光のフェニックス》を相手が返してきたターンはマナが寝るのでチャンスです。エンド前に《弧光のフェニックス》をしっかり落として、返しで《覆いを割く者、ナーセット》を着地させて除去を構えましょう。この時に手札からの《弧光のフェニックス》で落ちないように、《覆いを割く者、ナーセット》のマイナスは使わないでください。 一度《覆いを割く者、ナーセット》が出れば相手は《弧光のフェニックス》を返すことさえ一苦労です。《手練》《錠前破りのいたずら屋》以外のドロースペルを打てば手札が減るので、仮に《弧光のフェニックス》を返したとしても、手札がすっからかんになります。   意識したいのが無駄なクリーチャーを展開しないことです。《焦熱の衝動》で《弧光のフェニックス》を返すカウントを貯められてしまうのは損です。ブロッカーとして出すぐらいなら手札に持っておきましょう。クリーチャーを無駄に出すのは相手にとって得しかありません。 サイド後も《覆いを割く者、ナーセット》ハメを意識しつつ、墓地対策を大量に入れましょう。 相手が《若き紅蓮術士》などを入れている可能性があるので《食肉鉤虐殺事件》を残していますが、ゲーム2の長期戦で1枚も見なかった場合は、《致命的な一押し》の方が強いので戻しましょう。 《宝船の巡航》を解決させないことが最も重要です。《宝船の巡航》を何度も打たれないためにも、手札破壊では《美術家の才能》を抜きたいですね。   VSグルール/ラクドス果敢 +2《絶滅の契機》+2《霊気の疾風》-4《思考囲い》 基本は除去していくだけで自動で勝てる相手です。除去3枚でキープして《空を放浪するもの、ヨーリオン》を回収して出し直せばゲームセット。 逆にドローばかり引いてると負けてしまいますが、ゲーム1では相手のデッキがわからないのでやむなし。   サイド後も特にゲームプランを変えてくることはないので、こちらも《思考囲い》を抜いて除去を入れるだけです。 ちなみにグルールブリッツやグルール力線などと当たった際は《思考囲い》は少し残すようにしています。これは相手がコンボデッキのような動きをしてくることがあるためです。こういった相手には《思考囲い》で出鼻をくじくのが重要なので、《覆いを割く者、ナーセット》を少し減らします。   VS緑単ニクソス +2《絶滅の契機》+2《霊気の疾風》-2《食肉鉤虐殺事件》-2《逃げ場なし》 《覆いを割く者、ナーセット》がかなり効果的なマッチアップ。《ラノワールのエルフ》から順番に除去していって《覆いを割く者、ナーセット》が勝ちパターンです。 メインは後手を取ってしまい、《ラノワールのエルフ》を打ち漏らして手札破壊もできなければすぐに好き放題されます。サイド後は《絶滅の契機》もあるのでそこまで悲観していません。   VSセレズニアカンパニー +2《霊気の疾風》+2《悪夢の詩神、アショク》-4《望み無き悪夢》 《永劫の無垢》でたくさん引かれるとすぐ負けるのでやはり《覆いを割く者、ナーセット》が重要なマッチ。 2/2クリーチャーが多いので《悪夢の詩神、アショク》のトークンはかなり強いです。   《思考囲い》は《集合した中隊》を抜けるのでそこそこ強いですが、《望み無き悪夢》はほとんど意味がなかったのですべて抜きます。《永劫の無垢》でそこそこ引いてきますし、1枚ハンデスは効果がありませんでした。   VSアゾリウスコントロール +3《神秘の論争》+3《未認可霊柩車》+2《悪夢の詩神、アショク》-2《食肉鉤虐殺事件》-2《不気味なガラクタ》-4《逃げ場なし》 お察しの通り抜くカードが多すぎて、入れる必要がほとんどない《未認可霊柩車》もサイドインしています。一応《記憶の氾濫》がきついマッチなので墓地対策自体に意味はありますが。 《致命的な一押し》は《サメ台風》や《放浪皇》のトークンから《覆いを割く者、ナーセット》を守るために渋々残しています。   とはいえ、相性自体はそこまで悪くありません。というか相手が《告別》を採用していなければディミーア側が有利だと感じました。 多少不利な盤面でも《空を放浪するもの、ヨーリオン》が一瞬でまくってくれるので、エンチャントをとりあえず並べ続けて除去とハンデスを繰り返しているだけで、気づいたら勝っている場合が多いです。《この町は狭すぎる》《嵐追いの才能》が強く、《ドミナリアの英雄、テフェリー》の定着を許さないのも大きいですね。   抜くカードが多すぎるメイン戦も結局除去があればゲームが長引き、ゲームが長引くと《空を放浪するもの、ヨーリオン》で勝ててしまいます。   サイド後に《致命的な一押し》は残ってしまいますが、それでも勝つことが多いです。《告別》がたくさん入ってたら厳しそうですが。アゾリウスコントロールが流行るなら《否認》などが必要かもしれませんが、そこまで頻繁に当たることはないと思っています。   VSジャンドサクリファイス +3《未認可霊柩車》+2《霊気の疾風》+2《悪夢の詩神、アショク》-2《不気味なガラクタ》-4《勢い挫き》-1《致命的な一押し》 めちゃくちゃキツいです。《清掃人の才能》はほぼ1キルですし、《大釜の使い魔》《魔女のかまど》だけで普通に20点削られます。 このマッチはテンポプレイが重要で、《嵐追いの才能》《孤立への恐怖》と相手のライフを詰める展開が求められます。《空を放浪するもの、ヨーリオン》を5ターン目に出しつつさっさと殴り勝てるのが理想。《悪夢の詩神、アショク》を入れているのもさっさと殴り勝ちたいからです。 まあそんなことは現実にはなかなか起きないですが。   《清掃人の才能》のレベル3は3マナかかるので、そこを狙って《この町は狭すぎる》でバウンスし、その隙に勝つなど、とにかく相手の大きなアクションの隙を狙いましょう。 《全てを喰らうもの、イグラ》の護法は《逃げ場なし》で剥がせるので実は大丈夫です。   VSロータスコンボ +3《神秘の論争》+3《未認可霊柩車》+2《夢を引き裂く者、アショク》+2《悪夢の詩神、アショク》+2《霊気の疾風》-2《食肉鉤虐殺事件》-2《不気味なガラクタ》-4《逃げ場なし》-4《致命的な一押し》 当然ですがありえないぐらいきついです。メインは必敗です。   サイド後も入れるカードがないので《悪夢の詩神、アショク》をサイドインする始末。   イゼットロータスには《覆いを割く者、ナーセット》や墓地対策が非常に効くので実はまだワンチャンスありますが、バントロータスは絶望的です。《厳しい試験官》が残っているタイプには《致命的な一押し》を4枚とも残すようにしてください。 ロータスが多そうなら《減衰球》を入れてもいいです。   VSマルドゥパルへリオン +3《未認可霊柩車》+1《夢を引き裂く者、アショク》-2《不気味なガラクタ》-2《食肉鉤虐殺事件》 除去が多すぎて《パルヘリオンⅡ》が着地することはあんまりないので基本は有利なマッチアップです。 手札破壊で《パルヘリオンⅡ》を捨てられても、《大牙勢団の総長、脂牙》さえ倒せばOKです。   他のデッキでは《大牙勢団の総長、脂牙》が出てきた時、《パルヘリオンⅡ》を対象に取らせた後に《大牙勢団の総長、脂牙》を除去して《パルヘリオンⅡ》を手札に戻させることが多いですが、このデッキでは《望み無き悪夢》などで捨てられてしまうので、《大牙勢団の総長、脂牙》をすぐに除去し、《パルヘリオンⅡ》を拾わせない方が良いです。さっさと手札を0枚にさせましょう。   VS5色ニヴ +3《神秘の論争》+2《夢を引き裂く者、アショク》+2《悪夢の詩神、アショク》+2《霊気の疾風》-2《食肉鉤虐殺事件》-2《不気味なガラクタ》-1《逃げ場なし》-4《致命的な一押し》 《逃げ場なし》が抜ききれないぐらい入れるものが少ないのですが、それでもまあ有利です。お互いに回るとこちらの方が《空を放浪するもの、ヨーリオン》によるリソースで上回れるので、勝手に勝ちます。 サイド後は相手の《白日の下に》や《ニヴ=ミゼット再誕》を許さなくなるので更に勝ちやすくなります。《逃げ場なし》が手札で腐っても許せます。 《森の女人像》を実は殺せます。どうせ使い道などないのでぜひ《森の女人像》を出していただきたい。《勢い挫き》は手札破壊で使いたいですね。   VSミラーマッチ +3《神秘の論争》+3《未認可霊柩車》+2《悪夢の織り手、アショク》-2《食肉鉤虐殺事件》-2《不気味なガラクタ》-4《逃げ場なし》 重要なのはとにかく《空を放浪するもの、ヨーリオン》。着地できた方が膨大なアドバンテージを獲得してそのまま勝ちます。 《思考囲い》は打たずに必ず《空を放浪するもの、ヨーリオン》を拾われた時まで温存しましょう。2枚持っている場合は1枚を先に打っておくと、《空を放浪するもの、ヨーリオン》を回収してくれるので、そこで抜いていきます。 サイド後は除去を減らして打ち消しと《悪夢の詩神、アショク》、《未認可霊柩車》をサイドインします。《未認可霊柩車》は《嵐追いの才能》のレベル2を止める役割しかありませんが、それでも十分です。《勢い挫き》にやられてしまう点に注意してください。 《神秘の論争》は《空を放浪するもの、ヨーリオン》に温存したいところですが、《覆いを割く者、ナーセット》などにもバンバン打っていきましょう。通ったら結局《思考囲い》などを手札に加えられたりするので、打たない意味がありません。   終わりに ディミーアバウンスは非常に強いデッキで、クリーチャー主体の今のパイオニア環境にとても合ったデッキです! 今のリストには非常に満足していて、もし明日パイオニアのプロツアーがあったらこのまま持ち込みたいと思うほど。パイオニアの競技イベントがないのが悔やまれます。   興味を持った方はぜひ回してみてください。ちなみに僕はこのデッキをMTGアリーナのエクスプローラーで調整していたので、エクスプローラーで回すのもオススメですよ!   それではまた!

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2025.02.21

mtg Yuyan

いよいよ今夜から行われるプロツアー『霊気走破』。   『霊気走破』加入後のスタンダード、そにメタゲームブレイクダウンが公式から発表されました。   今回はそのデータをもとに、プロツアーでのメタゲームを分析していきます!   グルールアグロ(66名/18.9%) 最大勢力となったのは、前環境の王者にして歴代最強の赤アグロとの声も名高いグルールでした。 《心火の英雄》《熾火心の挑戦者》《多様な鼠》は早いクロック・継続的なリソースを稼ぎ出す、赤アグロの三種の神器。特に《心火の英雄》《熾火心の挑戦者》のタッグはパイオニアでも大活躍しています。 早いだけならこれまで同速度の赤アグロは存在しましたが、今のスタンダードのグルールアグロはなんといっても粘り強い。ただ除去を大量に入れるだけでは勝利することはできません。   《多様な鼠》は2ターン目に出しても良し、4ターン目に新生で唱えれば横にトークンが並ぶので、単体除去に耐性があります。 緑を入れる理由でもある《探索するドルイド》も、ライブラリーの上2枚を追放して使用しつつ、自身も馬鹿にならないクロック。2枚のスペルが出来事でめくれれば、1枚で3枚分の活躍を見せてくれます。 《岩面村》《不穏な尾根》というマナフラッド受けも存在し、逆に土地が3枚止まっても《心火の英雄》《多様な鼠》《巨怪の怒り》だけで勝ててしまいます。 最序盤からアクションを起こしつつ、中盤・終盤まで攻め続けられる。そしてマナフラッド・マナスクリューの両方に強い。   夢のようなデッキです。   そんなグルールですが、『霊気走破』加入後のスタンダードでは少しその姿を減らしていました。   『霊気走破』で加入した《不気味なガラクタ》《勢い挫き》によって、2番手だったエスパーピクシーのアグロ耐性が上がったことが、まずは挙げられるでしょう。 グルール対エスパーピクシーは、お互いが特に意識していなければ、五分程度の相性でした。『霊気走破』が入り、グルール側にはアップデートがなかったのに対し、エスパーピクシー側は置物除去を手に入れたことで、エスパーピクシーがグルールに強いリストになっていると考えられます。   しかし、グルールも黒いデッキに強い《脚当ての補充兵》を大量に採用することにより、単体除去耐性を向上させられます。今回グルールを持ち込んだプレイヤーはグルール同型、エスパーピクシー、そしてズアードメインの3つを仮想敵としているでしょうから、ミラーマッチとエスパーピクシーに強い《脚当ての補充兵》をメインボードに採用しているプレイヤーは多いはずです。 もしかしたら『霊気走破』で加入した、知られざる新戦力もあるかもしれませんね。   エスパーピクシー(58名/16.6%) グルールに次いで多かったのがエスパーピクシー。 《養育するピクシー》《孤立への恐怖》《この町は狭すぎる》の3種のバウンスを駆使し、アドバンテージを稼ぎながら相手のライフを速やかに0にするデッキです。 《この町は狭すぎる》《嵐追いの才能》ループを軸にしているデッキの中で最も攻撃的で、2ターン目にパワー3のクリーチャーで攻撃していく、《野生のナカティル》が活躍していたズーを想起させてくれます。 《望み無き悪夢》をバウンスして手札破壊とダメージを稼いだり、《逃げ場なし》を回収して除去を使い回したりと、アグロにも関わらず非常に器用なデッキです。 グルールアグロはリソース勝負はかなり得意なデッキですが、実は守りの面では少し心もとないデッキ。エスパーピクシーはその弱点を突き、グルール相手に短期決戦を挑んでいるのです。《逃げ場なし》などの除去で盤面をコントロールしていくのではなく、ダメージレースに使っているというわけです。 そんなエスパーピクシーに『霊気走破』から加わったのが《不気味なガラクタ》。1マナで-2/-2修正を与える《見栄え損ない》が置物になったことで、グルールへの耐性が上がりました。 これまでは後手で1マナで使える除去は《切り崩し》しかなく、《切り崩し》から入ると2ターン目に《孤立への恐怖》や《この町は狭すぎる》を構えられませんでした。 しかし、1マナの置物除去である《不気味なガラクタ》のおかげで世界は変わりました。1ターン目に除去しつつ、2ターン目に《孤立への恐怖》を立てつつ《不気味なガラクタ》を回収するムーブは、赤アグロにとっては溜まったものではありません。   『霊気走破』後のスタンダードでエスパーピクシーがグルールを圧倒しているのは、ひとえにこの《不気味なガラクタ》のおかげと言っても過言ではないでしょう。 エスパーピクシーが今回負け組になるとしたら、それはグルール側に攻略された時だと思います。グルールを選択したプレイヤーがエスパーピクシーにどんなプランを用意したのかがカギです。   エスパーピクシー側はグルールに対し、除去を増やしてダメージレースを優位に進めて勝利するのが基本戦略で、それはおそらく今回のプロツアーでも同様になると思われます。   一方のグルールは、《不気味なガラクタ》によってこれまでの戦い方ではより勝ちづらくなっています。それならゲームプランをそもそも変えるしかないのですが、単に除去を増やして長期戦を挑むのは、対エスパーピクシーでは得策と言えません。《この町は狭すぎる》《嵐追いの才能》《望み無き悪夢》などでエスパー側もロングゲームができるのです。 だからこそエスパーピクシーは攻略しにくいデッキと言われています。プロプレイヤーたちのグルールが果たしてどのような形でこの難敵を攻略するのか、楽しみですね。     ズアードメイン(53名/15.2%) グルール、エスパーピクシーとアグロデッキが続く中、3番手につけたのはコントロールデッキのズアードメイン。3番手とは言ったものの、エスパーピクシーと使用者はほとんど変わりません。 《永遠の策謀家、ズアー》によって兆候状態の大主たちを起こして攻めるデッキ、ズアードメイン。その名の通り基本はドメインなので、《力線の束縛》《太陽降下》で盤面を掌握しつつ、《豆の木をのぼれ》でリソースを稼いでいきます。 《豆の木をのぼれ》のトリガーとしても優秀なのが《ミストムーアの大主》《ホーントウッドの大主》。兆候で唱えてカードを引き、《永遠の策謀家、ズアー》で無理やり動かす、2つのインチキ要素がデッキに入っています。 『霊気走破』の影響を特別受けたわけではありませんが、グルールアグロとティムールカワウソを苦手とし、その他のデッキには五分以上あることから、近頃頭角を現してきました。   特にティムールカワウソがエスパーピクシーやディミーアバウンスになったことが大きく、これらのデッキに対しては比較的有利に立ち回れるため、事実上敵はグルールアグロ。グルールをしっかりと意識した構築さえできれば、環境のほとんどのデッキに対して有利に立ち回れるでしょう。   先ほど『霊気走破』の影響を受けなかったと言いましたが、それは少し誤りで、実は《全損事故》が加わっています。 タップ状態のパーマネントに対しては2マナになる、クリーチャー・機体を追放するインスタント。そう、本来5マナのカードが2マナになるので、《豆の木をのぼれ》でドローできるのです。しかも追放なので《心火の英雄》も後腐れなく除去することができ、対赤アグロへの耐性が上がりました。 従来のドメインと違い大主からの《永遠の策謀家、ズアー》によるビートダウンが可能なので、不利マッチを無理やり取る力もあり、デッキパワーはかなり高め。   リストの自由度がそれなりに高いことから、緑白青に黒をタッチ(ズアーのみ)したリストから、緑白黒に青(ズアーのみ)を採用するなど、様々なチューンが可能です。グルールアグロ・エスパーピクシーに強いリストに仕上げたプレイヤーが有利なフィールドですが、果たしてどのようなリストが持ち込まれたのか、早く見てみたいですね。   個人的には《フラッドピットの大主》を抜き、青を《永遠の策謀家、ズアー》だけにした緑白黒タッチ青の形がグルールアグロ・エスパーピクシーに強いと思っていますが、果たして。 ズアードメインまでの3デッキのみが使用者10%以上となっており、グルールアグロ・エスパーピクシー・ズアードメインが現スタンダードの三強と言って差し支えないでしょう。   ジェスカイ眼魔(21名/6%) 21名のプレイヤーが選択したデッキは……ジェスカイ眼魔!? 正直驚きました。   リストはまだ上がっていませんが、最近のトーナメントで勝っていたのは、《逸失への恐怖》で《忌まわしき眼魔》を墓地に落とし、《救いの手》《再稼働》で釣り上げるデッキでした。 《忌まわしき眼魔》を捨てる手段として《蒸気核の学者》を採用していることから、相性の良い《プロフトの映像記憶》も入れ、《忌まわしき眼魔》を吊り上げる以外の勝ち手段もしっかりと入っています。 《灯を追う者、チャンドラ》は『霊気走破』で加入した新たなディスカード手段。機体を作る能力は全体除去と墓地対策に強く、ルーター能力以外にも使い道があるのが魅力です。 ジェスカイ眼魔のようにサイドからキラーカードを入れられてしまうデッキにおいて、《灯を追う者、チャンドラ》のようなサイドカードは最も欲しいカードです。単に《安らかなる眠り》や《除霊用掃除機》を割れるだけのカードではなく、《灯を追う者、チャンドラ》のようにコンボに寄与(ルーター能力)しつつ、相手のサイドボードを無視する(墓地対策が刺さらない)カードが望ましいのです。 《安らかなる眠り》や《除霊用掃除機》は多くのデッキに採用されていそうですが、果たして墓地対策の海を泳ぎ切ることはできるのでしょうか。   霊気走破の影響 今回のプロツアーで使用されている『霊気走破』のカード一覧も公開されています。   1位《全損事故》(166枚) メインに161枚、サイドボードに5枚。これは大半がズアードメインだと思いますが、7人が使用しているアゾリウスコントロールにも採用されているかもしれませんね。   《全損事故》はズアードメインのマスターピースとなるのでしょうか。   2位《呪文貫き》(160枚) エスパーピクシーやジェスカイ眼魔、ディミーアミッドレンジなどに採用されているのでしょう。4枚採用されることはほとんどありませんが、メインとサイドに1枚ずつなど、リスト公開制トーナメントでは、少ない枚数を採用して相手にプレイさせにくくする戦術が取れます。   1マナであればグルール相手にも構えやすく、《探索するドルイド》、《亭主の才能》など打ち消したいカードもそれなりに多い。メインに入れてもそれなりに活躍の機会がありそうですね。   3位《ウェイストウッドの境界》(141枚) 対抗色の境界ランドが今回5種収録されましたが、その中で圧倒的な枚数となったのが緑黒。ゴルガリミッドレンジ・ゴルガリ《陰湿な根》は当然として、他にはどのようなデッキに入っているのでしょうか。   2つのゴルガリは合わせて12人。4枚ずつ使ったとして48枚なので、100枚近くが浮いていることになります。ドメインが53人いることを考えると、ここに組み込まれている可能性が高いですね。   ゴルガリミッドレンジはグルール・エスパーピクシーに強く、ズアードメインに弱いデッキ。今回のメタゲームでは優れた選択で、もしズアードメインに対して強いリストになっていれば、トップ8が見えてくるデッキですね。   ゴルガリ《陰湿な根》を持ち込んだ4名はチームデッキでしょうか?今回《脱皮の世話人》で強化されたデッキであり、注目のアーキタイプです。   4・5位《不気味なガラクタ》(130枚)/《勢い挫き》(107枚) 戦場に出た時に除去を行うコンビが4位・5位となりました。トータル枚数は《不気味なガラクタ》の方が多いものの、メインに入っている枚数は《勢い挫き》の方が圧倒的に多いのが面白いところ。   メインから入れる除去としては《勢い挫き》の方が強力なのは言うまでもありません。倒すクリーチャーのサイズに制限はなく、除去できなかったとしても手札破壊が可能ですからね。   ただ、サイドから除去を追加したい時には《勢い挫き》は心もとない。入れたい相手はアグロであり、それならば1ターン目から除去できる《不気味なガラクタ》に軍配が上がります。   ほぼすべてのエスパーピクシー・ディミーアバウンスにこれらのカードは採用されているでしょう。今回トップメタであるグルールがしっかり意識されているのがわかりますね。   6位《輝晶の機械巨人》(58枚) 『霊気走破』の目玉でもある機械巨人サイクルから、緑白の《輝晶の機械巨人》がトップ10入り。   戦場に出た時に1マナ以下のクリーチャー・アーティファクト・エンチャントを2枚サーチするカードで、今回8名が選択しているセレズニア檻、バント檻、そしてバントギアハルクで採用されているのでしょう。   セレズニア・バントの檻デッキは、《収集家の檻》を活用したトークンデッキのことでしょう。クリーチャーにカウンターを置く置物でありながら、秘匿能力を持ち、カードを1枚タダで唱えることができます。 バントの方は《マネドリ》を採用しているのでしょうか。《輝晶の機械巨人》で《マネドリ》をサーチし、《輝晶の機械巨人》をコピーする動きは強烈。 圧倒的な展開量とサイズでクリーチャーデッキ全般に強く、グルールアグロ・エスパーピクシーには優位に立ち回れそうですが、ズアードメインに対しては厳しいデッキです。   とはいえ、それはこれまでの常識。プロツアーで持ち込まれたリスト次第ではズアードメインを圧倒してしまうかもしれません。そうなれば三強すべてに強いということになりますね。   7位《食糧補充》(45枚) レガシーでも話題になっている3マナのドロースペルが7位にランクイン。41枚がメインで使用されています。   3マナのドローと言えば2ドローが普通でしたが、《食糧補充》は5枚見て好きな2枚を選べる破格の性能。コンボデッキはもちろん、コントロールでも採用されそうです。 今回の上位デッキたちのどれにも入っていなそうですが、アゾリウス全知とアゾリウスコントロールあたりでは入るかもしれませんね。アゾリウスコントロールは《全損事故》と《食糧補充》と、『霊気走破』で地味に強化されたアーキタイプですね。 《放浪皇》があった頃のスタンダードではアゾリウスコントロールは環境最強のデッキで意識される側でしたが、今回はメタ外。そういう時に怖いデッキなので、アゾリウスコントロールには少しばかり期待してしまいますね。 終わりに  というわけで今回はプロツアー・シカゴのメタゲームブレイクダウンを元に、スタンダード環境をお届けしました!   ちなみに僕の優勝予想はズアードメインです! プロツアー・シカゴは日本語公式配信もあります。最高峰のプレイヤーたちの戦いを目に焼き付けましょう!日本時間の今日深夜2時からです!(配信ページはこちら)   それではまた!

【今週のピックアップデッキ】ディミーアアーティファクト/4c眼魔パルへリオン/オボシュケトラモーズエネルギー

週刊 Modern Pioneer Standard

2025.02.20

mtg Yuyan

こんにちは。 細川 侑也(@yuyan_mtg)です。 今週のピックアップデッキでは、ちょっと珍しいデッキを、軽い解説を交えて紹介していきます。         紹介デッキ ディミーアアーティファクト 4c眼魔パルへリオン オボシュケトラモーズエネルギー ディミーアアーティファクト スタンダードリーグ : 5-0 By Melicard 『サンダー・ジャンクションの無法者』のビッグスコアで登場した《身代わり合成機》というカードは、様々なフォーマットでアーティファクト愛好家に親しまれる一方、スタンダードではこれまでさほど活躍できませんでした。 マナ総量が3以上のアーティファクトが戦場に出るたびに、アーティファクト分の修正を持つトークンを生成。このトークンは《ウルザの物語》などから出るものと同じで、非常に大きなサイズで相手を押し潰します。 《身代わり合成機》がスタンダードで今一つな理由は、なんといっても出したターンの隙です。マナ総量が3以上のカードは、ほとんどの場合で《身代わり合成機》を置いたターンには出すことはできません。そのため、《身代わり合成機》を置いてエンドするターンを作ることになり、この1ターンを丸々無駄にする行動が命取りとなってしまうのです。   モダンでは《身代わり合成機》を出してそのまま《金属ガエル》を唱えるなど、この《身代わり合成機》のターンにもう1アクションする工夫がなされています。パイオニアでも《金属製の巨像》を0マナで出せますからね。 そんな事情でなかなかスタンダードで見かけなかった《身代わり合成機》ですが、『霊気走破』でそのデメリットを補うカードが登場しました。   それが《再利用隔室》です。 アーティファクトを生け贄に捧げ、それよりマナ総量の1大きいアーティファクトを場に出せる、アーティファクト版の《出産の殻》です。これが《身代わり合成機》のポテンシャルを引き出してくれます。 まず、2マナのカードを生け贄にすればデッキから《身代わり合成機》を場に出せますし、《身代わり合成機》を出したターンに2マナがあれば、そのまま3以上のカードをサーチして即座にトークンを生成できます。   起動に2マナがかかってしまいますが、そこで役立つのが《奇怪な宝石》。起動型能力に使える2マナを生み出してくれるので、実質《再利用隔室》を0マナで起動できるようになります。 《再利用隔室》のおかげで《身代わり合成機》を置くターンの隙はかなり少なくなります。2マナのカードを生け贄にして《身代わり合成機》を出しつつ、《税血の刃》で除去。この動きは4マナででき、更にターンが帰ってくれば《税血の刃》を生け贄にして更なる《身代わり合成機》を戦場に出しつつ、とりあえず1体目のトークンが生成できます。 《再利用隔室》を採用するにあたって最も考えなければならないのが、生け贄に捧げるアーティファクトについてです。 まずは1マナの《不気味なガラクタ》。こちらは戦場に出た時に-2/-2修正を与える便利なカードで、置けば役割がなくなるので、《再利用隔室》の生け贄に最適です。 2マナは選択肢が多く、除去が欲しければ《税血の刃》、リソースを稼ぐための《蒐集家の保管庫》、更にドローに特化した《毒気の薬》と用意されています。特に《毒気の薬》は出た時にカードを引き、《再利用隔室》で墓地に送ってもドローできるので、非常に便利です。 主役となる3マナ域は《再利用隔室》《身代わり合成機》の他には《スランの蜘蛛》が1枚採用されるのみです。《スランの蜘蛛》は4マナへの繋ぎになりますが、パワーストーンを生み出してくれるので、それが今度は1マナのアーティファクト、すなわち《不気味なガラクタ》《奇怪な宝石》に変わります。 4マナは《力線の斧》。これは《身代わり合成機》から生成したトークンに装備して一撃必殺を狙います。 そのもう1つの主なつけ先となるのが同じ4マナの《油浸の機械巨人》。相手の手札の最も強いカードを抜いてくれて、《身代わり合成機》も誘発するナイスガイ。《力線の斧》の装備先としても申し分ないですね。 その2つから出てくるのは《解剖道具》と《マイトストーンとウィークストーン》。ライフゲインしたいなら《解剖道具》、リソースか除去なら《マイトストーンとウィークストーン》と状況に応じて使い分けることができます。 面白いのが《悪魔の破砕機》の採用です。戦場に出た時にクリーチャーを破壊する機体ですが、親和がついているため、軽くプレイできます。もちろん《身代わり合成機》も誘発するので、手札に複数枚あるとどんどん軽くなっていきますね。この《悪魔の破砕機》は親和で軽くなってもマナ総量は7なので、《再利用隔室》で生け贄にすることで8マナを場に出せます。 そのために《街並みの地ならし屋》が採用されており、早いターンの《街並みの地ならし屋》はマッチアップによっては相手を詰ませられます。 《身代わり合成機》《再利用隔室》の組み合わせは非常に強力で、これからアーティファクトを主体としたデッキがスタンダードで活躍していくなら、この2種に《奇怪な宝石》を合わせた3種は必須となるでしょう!     4c眼魔パルへリオン パイオニアリーグ : 5-0 By  IofTiger 《大牙勢団の総長、脂牙》で《パルヘリオンⅡ》を墓地から吊り上げて勝利するパルへリオンデッキ。 《大牙勢団の総長、脂牙》が登場してすぐにパイオニアで登場し、日々アップデートが続いているアーキタイプ。 《忌まわしい回収》《サテュロスの道探し》で墓地を肥やし、強力な機体である《エシカの戦車》を入れたアブザン。 《逸失への恐怖》《鏡割りの寓話》で手札から《パルヘリオンⅡ》を落としつつ、ミッドレンジとしても戦えるマルドゥ。 様々なバージョンがトーナメントでは勝ってきましたが、今回は4色。しかもなんと《大牙勢団の総長、脂牙》《パルヘリオンⅡ》以外に強烈なコンボを採用しています。   それが《忌まわしき眼魔》《再稼働》。スタンダードのアゾリウス眼魔でもお馴染みの、2ターン目に《忌まわしき眼魔》を吊り上げるコンボです。 《再稼働》は《忌まわしき眼魔》だけでなく《大牙勢団の総長、脂牙》をリアニメイトすることができ、その《大牙勢団の総長、脂牙》が今度は《パルヘリオンⅡ》を連れてきます。 《再稼働》《大牙勢団の総長、脂牙》《忌まわしき眼魔》ととにかく墓地を利用するデッキなので、墓地肥やしとして様々なカードが採用されています。   《錠前破りのいたずら屋》はアゾリウス眼魔にも採用されているカードで、墓地にカードを送り込みつつ、《再稼働》にアクセスできます。 2ターン目に《再稼働》を打つためには1ターン目から墓地を肥やす必要があります。そこで採用されているのが《異世界の凝視》と《秘本掃き》。《秘本掃き》は枚数だけなら破格の5枚切削。一方の《異世界の凝視》は3枚の内好きな数を残せる上、フラッシュバックもついていて、1枚で2度お得なカード。 《信仰の繕い》と《染みついた耽溺》はいずれもカードを引いて捨てるインスタントで、切削と違って手札のコンボパーツを捨てられます。いずれも2ドローでき、引いてから捨てるカードを選べるので便利ですね。 このデッキには3マナ以下のアーティファクトがないため、一見すると《再稼働》より《救いの手》の方が良いのではないか?と思われた方もいらっしゃるのではないでしょうか。実は僕も最初はそう思っていましたが、よく考えると《救いの手》はタップインでクリーチャーが出てくるので、《大牙勢団の総長、脂牙》を吊り上げた時に《パルヘリオンⅡ》に搭乗できませんでした。絶対に《再稼働》です! 普通のパルへリオンに飽きてしまった方はぜひ一度、眼魔パルへリオンを手に取ってみてください!     オボシュケトラモーズエネルギー モダンリーグ : 5-0 By NicolasGEM カードを戦場や墓地から追放するたびにドローする《新たな夜明け、ケトラモーズ》。既にモダンでは《溌剌の牧羊犬、フィリア》《孤独》でたくさんカードを引くオルゾフブリンク、そして《超能力蛙》との瞬殺コンボを搭載したエスパー眼魔と、様々なデッキで活躍しています。 そんな《新たな夜明け、ケトラモーズ》の新たな活躍場所はなんとエネルギー!『モダンホライゾン3』の問題児が『霊気走破』のトップレアとタッグを組みました。 まずなんといっても《新たな夜明け、ケトラモーズ》と相性の良い《火の怒りのタイタン、フレージ》。脱出するだけで《新たな夜明け、ケトラモーズ》でカードが引けるなんて夢のようですね。そして引いたカードを使っていくだけで墓地が溜まるので、また《火の怒りのタイタン、フレージ》がすぐ脱出できるようになります。 これまでのエネルギーは一度脱出した後に再び脱出するのは大変でしたが、《新たな夜明け、ケトラモーズ》のおかげで比較的容易になりました。   《ボガートの獲物さらい》《虚無の呪文爆弾》は墓地を追放し、《虹色の終焉》《静牢》はパーマネントを追放し、《鋼と油の夢》も手札と墓地のカードを追放してくれるので、すべて《新たな夜明け、ケトラモーズ》によりドローのオマケがついてきます。このデッキは実に簡単にカードが引けるのです。《新たな夜明け、ケトラモーズ》、すごすぎる! エネルギーに《新たな夜明け、ケトラモーズ》が入るだけでもスパイシーですが、このデッキは更に相棒として《獲物貫き、オボシュ》を採用しています。 デッキに奇数のカードを入れられないという強烈な構築制限を課す《獲物貫き、オボシュ》。エネルギーに入っている偶数のカードと言えば……そう、《ナカティルの最下層民、アジャニ》と《ゴブリンの砲撃》です。 この2つを失ったことでエネルギーデッキは速度を失いました。《ナカティルの最下層民、アジャニ》《ゴブリンの砲撃》《火の怒りのタイタン、フレージ》による直接火力でライフを削りきるのが従来のエネルギーでした。 それができない分、このリストは《新たな夜明け、ケトラモーズ》と除去で盤面をさばきながらリソースを取っていく、コントロール的勝ち方が可能となっています。   《獲物貫き、オボシュ》自体は非常に攻撃的な相棒です。奇数のパーマネントが与えるダメージが2倍になるので、《火の怒りのタイタン、フレージ》が6点火力になってくれます。《栄光の闘技場》から《火の怒りのタイタン、フレージ》が走れば6点×2と12点で一撃24点も可能です。 ただでさえ強いエネルギーが、《新たな夜明け、ケトラモーズ》という新たなリソースカードを手に入れたことで更に強くなる予感がしています。 今後《新たな夜明け、ケトラモーズ》はエネルギーの定番となるのでしょうか?

【週刊メタゲーム通信】エスパーピクシーとズアーが新スタンを牽引!ゴブリンにも注目!

週刊 Standard

2025.02.18

mtg Yuyan

こんにちは。   細川 侑也(@yuyan_mtg)です。   『霊気走破』がオンライン上でもリリースされ、早速様々な大会が行われている最新スタンダード環境。   今回は現段階で結果を残しているデッキたちを紹介していきます!   目次 エスパーピクシー ズアードメイン ゴブリン エスパーピクシー スタンダードチャレンジ : 優勝  By RubyXillia 《この町は狭すぎる》《嵐追いの才能》コンボは今やパイオニアでも活躍するほど。当然ながらスタンダードでもその力を見せつけています。 ティムールカワウソの必殺技だったこの組み合わせはそのまま他のデッキに派生していき、今ではディミーアバウンス、そしてこのエスパーピクシーと、メタゲームを牽引するようになりました。   《嵐追いの才能》でトークンを生み出し、《この町は狭すぎる》で《嵐追いの才能》を手札に戻しつつ相手の展開を妨害。その後、《嵐追いの才能》のレベルを2に引き上げて《この町は狭すぎる》を回収し、再び《嵐追いの才能》を戻すことで、永久機関を作り上げます。 このコンボをアグロデッキに取り入れたのがエスパーピクシー。《養育するピクシー》《孤立への恐怖》は共にパーマネントを手札に戻せるので、《嵐追いの才能》を再利用して大量のカワウソを並べ、一気にクロックを作っていきます。 《養育するピクシー》《孤立への恐怖》《この町は狭すぎる》の3種のバウンスが入っているので、これを最大限に活かすべく、戦場に出た時に効果を発揮するパーマネントが《嵐追いの才能》の他にも入っています。   《望み無き悪夢》は1枚ハンデスと2点ルーズ。手札とライフを同時に攻めるカードで、エスパーピクシーのブン回りに寄与します。《この町は狭すぎる》で2枚とも戻して4点ダメージを叩き出すのはよくあるリーサルパターン。 《逃げ場なし》を回収すれば除去を2度使えて美味しく、特にアグロデッキ相手には重宝します。 入っているカードは前のめりですが、《逃げ場なし》《不気味なガラクタ》を何度も出し直して盤面を殲滅する動きはコントロールデッキそのもので、アグロ耐性のあるアグロデッキです。   クリーチャーの質も決して低いわけではありません。   《悪意ある呪詛術士》はエスパーピクシーに合った1枚。戦場に出た時に呪われし者の役割をクリーチャーにつける必要がある代わりに1マナ3/2とハイスペック。この役割を《嵐追いの才能》から出るカワウソにつければ、デメリットがなくなり、ただの1マナ3/2になります。 呪われし者の役割はエンチャントなので、《呑気な物漁り》の違和感が誘発してカウンターが乗ったり、《孤立への恐怖》《養育するピクシー》で戻すことも可能です。《望み無き悪夢》などを戻してアドバンテージを獲得することこそできませんが、それでも《悪意ある呪詛術士》が1マナ3/2になるので、悪い展開ではありません。 単にクリーチャー除去を入れても《嵐追いの才能》《この町は狭すぎる》で妨害しながらカワウソを生み出したり、《望み無き悪夢》を出し入れされ続けてダメージと手札を失い続ける。 かといって《否認》などの打ち消しを入れればクリーチャーに殴られる。 このように完璧に対応するのが非常に難しいデッキで、今のスタンダードの最強候補の1つです。   その証拠に、相手に《望み無き悪夢》を出された時に手札から捨ててその場で場に出せる《萎れ葉のしもべ》《強情なベイロス》が、実際に緑のデッキに採用されているのです。《強情なベイロス》は赤いデッキにも入れられますが、《萎れ葉のしもべ》はほぼエスパーピクシー専用カードなので、驚きですよね。 早いターンに墓地から《忌まわしき眼魔》を吊り上げるアゾリウス眼魔もエスパーピクシーは苦手としています。そのため、サイドボードには《安らかなる眠り》を3枚忍ばせています。 自分も《この町は狭すぎる》《嵐追いの才能》ループをできなくなってしまうため、《安らかなる眠り》の採用はアンチシナジーに見えるかもしれませんが、逆に言えばそれだけ警戒しているということでしょう。《アフターバーナーの専門家》の影響で墓地デッキが増えつつあるので、それらをまとめて意識するのならば、《安らかなる眠り》が一番です。 今週末に行われるプロツアーシカゴでも一大勢力となることでしょう!   ズアードメイン スタンダードチャレンジ : 3位 By jps_17 兆候で唱えることで軽く出せる代わりに、クリーチャー化するのに数ターンかかる大主サイクル。 モダンでは兆候した《ベイルマークの大主》を《溌剌の牧羊犬、フィリア》《ちらつき鬼火》で追放してクリーチャーとして場に出すズルをするオルゾフブリンクが活躍していますが、このズアードメインは、スタンダードで大主を使ってズルをするカード。   兆候状態の大主を《永遠の策謀家、ズアー》でクリーチャー化し、兆候のまま攻撃してしまおうというのがこのデッキです。 《ホーントウッドの大主》はドメインには欠かせない1枚。出てくる土地トークンはすべてのクリーチャータイプを持っているので、マナトラブルから解放されるだけでなく、《力線の束縛》が1マナになってくれます。 攻める大主は白の《ミストムーアの大主》。こちらは2/1飛行を2体生成するので、飛行クロックで攻めてくるエスパーピクシーに頼もしく、兆候で攻撃すれば攻防一体です。 これらの大主は兆候コストで出す時もマナ総量は5以上なので、《豆の木をのぼれ》との相性が最高。僕は軽いカードで《豆の木をのぼれ》を誘発させることを脱法豆の木と呼んでいますが、このデッキは脱法手段が《力線の束縛》《ミストムーアの大主》《ホーントウッドの大主》と3種あります。 さて、このズアードメインはご覧のように大主によって完成した『ダスクモーン:戦慄の館』デッキ。決して『霊気走破』で強化されたわけではありません。   にもかかわらず、今ここまで活躍し、注目されているのはなぜか。その理由の1つは、苦手としているグルールアグロの減少にあるでしょう。 『霊気走破』はグルールアグロを強化することがありませんでした。その一方で《不気味なガラクタ》はエスパーピクシーをはじめとしたバウンス系デッキに入り、他にもグルールに勝ちやすいデッキたちが現れ始めたのです。 もう1つは、最も苦手としていたティムールカワウソが環境からいなくなったことです。   《この町は狭すぎる》《嵐追いの才能》を使うデッキの中で最も厳しかったのがティムールカワウソ。大ぶりなアクションのデッキに加え、コンボを妨害する手段も少なかったため、すぐに無限コンボを決められていました。 その後、スタンダードは研究が進み、《嵐追いの才能》はエスパーピクシー・ディミーアバンスに受け継がれました。この2つのデッキは純粋なアグロなので、ズアードメインは決して相性が悪くありません。《望み無き悪夢》連打にも《豆の木をのぼれ》を引いているだけでリソースは追いつきます。 相性の悪かった2つのデッキが減ったことで、ズアードメインは前環境よりも遥かに戦いやすい環境となっています。   エスパーピクシーに対しても《害獣駆除》の枚数を増やすことで更に戦いやすくなりますし、様々な色のカードを使えるので、ガードを上げたいところにしっかり強くなれるのも、このデッキの魅力と言えますね。   ゴブリン スタンダードチャレンジ : 5位 By SaddlebackLagac 最後は『霊気走破』以前には存在していなかったアーキタイプのご紹介です。   そう、ゴブリンです!スタンダードにゴブリンが帰ってきました!   マジック黎明期から存在し、人気の高い種族であるゴブリン。最近のスタンダードではちょくちょく刷られていましたが、これまでは強いカードが少なく、デッキになるには至りませんでした。   まずは《焼き切る非行士》。エンジン始動と威迫を持つので、速度を4にさせやすく、最高速度で二段攻撃を持つので打点も高い優秀なクリーチャー。最高速度に到達するのはこのデッキでは重要なので、貴重な1マナ域です。 同じ1マナ域の《グリスレンチのゴブリン》は脅威の1マナ2/1。消尽能力で+1/+1カウンターを置きつつ、手札を2枚まで入れ替えることができます。1マナとしては十分なスペックで、能力もオマケにしては強力。 グルール昂揚などで活躍する《竜航技師》も実はゴブリン。消尽で他のクリーチャーに速攻を付けられるので、《群衆の親分、クレンコ》で出たトークンたちに速攻を付与させて攻撃できます。《群衆の親分、クレンコ》は『ファウンデーションズ』で帰ってきてくれましたね。 これだけでは少しデッキパワーに難があるように思えますが、最後の『霊気走破』ゴブリンである《咆吼部隊の重量級》を見ればその考えは変わるかもしれません。それぐらいインパクトのあるカードです。 自分のゴブリンすべてが速攻を持ち、戦闘開始時にゴブリンを生成。《軍勢の戦親分》や《ゴブリンの熟練扇動者》と似た能力を持つゴブリンですが、ゴブリン全体が速攻を持つのは非常に強力。《群衆の親分、クレンコ》を出したターンに起動できるのはあまりにも大きい! しかも能力はそれだけではありません。最高速度状態の場合、タップすることでゴブリンの数だけマナを生み出せるのです。《群衆の親分、クレンコ》でトークンを並べて《咆吼部隊の重量級》でマナを出して更に展開と、最高速度状態では凄まじい動きを見せてくれます。   《焼き切る非行士》の時に「最高速度に到達するのは重要」と言ったのはこのためです。 速度を得るために《アモンケット・サーキット》を採用しているのもポイント。2ターン目にセットするだけで速度を持ち、1ターン目に出していた1マナ域で攻撃すれば速度2になります。1ターン目に《焼き切る非行士》を出して2ターン目にダメージが通った時と同じ速度なのです。 最高速度後に《アモンケット・サーキット》を引いた場合は、クリーチャーに速攻を付与できるので、後半引いても十分にバリューを出せる土地です。   ベテランのゴブリンたちも『霊気走破』の新人組たちに負けていません。   《ランドヴェルトの大群率い》は全体強化を行いながら、リソースも稼げる最強のロード。《審判の日》を喰らっても《ランドヴェルトの大群率い》さえいれば怖くありません。《太陽降下》は泣きましょう。 強襲能力でトークンを生成する《焦がし切りのゴブリン》も、とにかく数を並べたいゴブリンにとっては嬉しいカードです。 このゴブリンはただのアグロデッキではなく、《アガサの魂の大釜》によるコンボも内蔵しています。 《群衆の親分、クレンコ》を追放すれば自軍クリーチャーたちが《群衆の親分、クレンコ》になるので、+1/+1カウンターが乗っているクリーチャーが複数体いるだけで一気に致死量になります。《グリスレンチのゴブリン》の消尽能力でカウンターを乗せても《アガサの魂の大釜》で追放したクリーチャーの能力が使えることを忘れないでください。 2つの消尽能力を持つ《竜航技師》も《アガサの魂の大釜》に入れる価値がありますね。クリーチャーに速攻をつけられるので、《群衆の親分、クレンコ》《竜航技師》と追放していれば、トークン生成→速攻まで行えます。こちらも自身の能力で+1/+1カウンターが乗るので、《アガサの魂の大釜》の恩恵を受けやすい1枚です。 《咆吼部隊の重量級》は《アガサの魂の大釜》で追放しても、最高速度時の起動型能力をコピーすることはできませんので、ご注意ください。それでも《アガサの魂の大釜》は十分活躍してくれます。   《群衆の親分、クレンコ》は絶対に残すことのできないカードなので、相手はまず見たら除去してくるでしょう。そこを《アガサの魂の大釜》で追放して自軍クリーチャーが《群衆の親分、クレンコ》になれば勝利目前です。 《狂信的扇動者》を《アガサの魂の大釜》に突っ込むことで、能動的にクリーチャーを墓地に送り込めます。《群衆の親分、クレンコ》で《狂信的扇動者》の能力を使って墓地に落とし、その後《アガサの魂の大釜》に入るという芸当も。 即死の動きを持つゴブリンはかつてのゴブリン召集を見ているようで非常に楽しい!しっかり強いデッキでトーナメントでもじわじわ入賞してきているので、これからの大爆発に期待したいですね!

【今週のピックアップデッキ】オルゾフサクリファイス/ボロスイクイップメント/アスモニュメント

週刊 Modern Pioneer Standard ピックアップ

2025.02.14

mtg Yuyan

こんにちは。 細川 侑也(@yuyan_mtg)です。 今週のピックアップデッキでは、ちょっと珍しいデッキを、軽い解説を交えて紹介していきます。         紹介デッキ オルゾフサクリファイス ボロスイクイップメント アスモニュメント オルゾフサクリファイス スタンダードチャレンジ : 6位 By Folero カードを生け贄にして様々な恩恵を得るデッキ、サクリファイス。   《大釜の使い魔》《魔女のかまど》《波乱の悪魔》によって大量のダメージを与えて勝利するラクドスサクリファイスは今もパイオニアで現役のデッキで、スタンダード時代もこのサクリファイスエンジンは大暴れしていました。 そんなサクリファイスデッキが、今回はオルゾフカラーで登場しました。   まずこのデッキはサクリファイスによって何を起こすのか。それは大量に入っているクリーチャー陣をじっくりと見ればわかります。   《復讐に燃えた血術師》《残忍な巡礼者、コー追われのエラス》は共に自分のコントロールするクリーチャーが死亡した時に相手のライフを失わせるカード。つまり、このデッキはサクリファイスにより相手のライフを削っていくデッキなのです。 サクリファイス手段として採用されているのは《バルトロメ・デル・プレシディオ》。最近あまりいない、起動にマナがかからないサクり台で、能力も自身に+1/+1カウンターを置くという優秀なもの。サクリファイスデッキには、このマナのいらないサクり手段は必須です。 そして肝心なのは生け贄に捧げるものたちです。ただカードを生け贄に捧げてもどんどん損をしていってしまうので、供物には工夫が必要です。   《永劫の無垢》は生け贄にするカードとして最上級。死亡するとエンチャントとして戻ってくるだけでなく、クリーチャーを自分がプレイすればカードを引けるので、後続を供給し続けてくれます。 《寄生の賢者》と《入れ子ボット》は共に死亡時に1/1のクリーチャーを戦場に残していくクリーチャーたち。前述の《永劫の無垢》とも相性が良いですね。自分のターンに《入れ子ボット》を出してカードを引き、相手のターンで生け贄にしてトークンを出せばまたカードを引けます。 環境には赤アグロをはじめ、1ターン目からクリーチャーを展開してくるデッキも多々あるため、《かじりつく害獣》は重宝します。ブロックして死亡時に-1/-1すればタフネス2までのクリーチャーを倒せますし、《バルトロメ・デル・プレシディオ》で生け贄にして能動的にクリーチャーにマイナス修正を与えることも可能です。 《うなる大殺犬》は生け贄に捧げた時のボーナスを持っていませんが、パワー2以下のクリーチャーが戦場に出た時に諜報を行い、クリーチャーを墓地に送り込んだり、引き込みたいカードにアクセスしやすくしてくれます。 墓地にクリーチャーを送る手段として《ベイルマークの大主》も用意されています。こちらは切削と同時に回収も行えるカードですね。 なぜ墓地にカードを送りたいのか?その答えはスペル欄にあります。このデッキに入っている唯一のクリーチャー以外の呪文が《過去立たせ》です。 墓地のパワー2以下のクリーチャー・カードをすべて戦場に戻すので、《ベイルマークの大主》以外のクリーチャーがすべて戦場に戻ってきます。そしてそれらのクリーチャーを生け贄にして、相手のライフを失わせて勝利と、コンボチックな動きができるのです!   更に『霊気走破』からの新人にも注目です。その名は《去りし栄光、ザフール》。 他のクリーチャーを生け贄に捧げることで諜報1が行え、最高速度を持っていると、トークンでないクリーチャーが死亡するたびに2/2のゾンビを生成してくれます。つまり《寄生の賢者》が死亡すると1/1と2/2が出てくるわけですね。そこに《過去立たせ》が絡めば1ターンで20点のライフを奪うことも容易です。 ここで問題となるのが、最高速度に到達できるのかという点ですが、それも解決しています。速度を上げるにはクリーチャーで攻撃するしかないわけではありません。相手のライフを失わせれば速度が上がります。つまり、《復讐に燃えた血術師》などの能力でも構わないのです。 かつてスタンダードで活躍していたラリーコンボを思わせる動きのできるオルゾフサクリファイス、好きな方にはたまらないデッキではないでしょうか?   ボロスイクイップメント パイオニアリーグ : 5-0 By  CrusherBotBG 装備品を主軸に据えたデッキと言えば、モダンのハンマータイムがまず頭に思い浮かぶ方も多いのではないでしょうか? 今回はパイオニアで装備品主体のデッキが生まれました!   まずこのデッキには装備品が合計18枚!恐ろしい数採用されています。いまだかつてここまで装備品を採用したデッキを見たことがありません。   初手にあると戦場に出した状態からゲームを始められる《力線の斧》、モダンでもよく見る《影槍》。この辺りは構築フォーマットでもよく使われるので、お馴染みでしょう。 モダンで《ウルザの物語》からのサーチ用として採用されることもある《溶岩拍車のブーツ》は、パワー修正の他に速攻と護法も付与できる便利な装備品。キャストと装備コストがどちらも軽いので使いやすいですね。 《スランの魔力鎧》は正直僕も初めて見たレベルのカードです。装備先のクリーチャーについているオーラや装備品の数だけ+1/+1修正を与える装備品なので、1体につければつけるほどサイズが上がっていく、面白い性能です。こちらも護法がつきます。 装備品でありながら3点除去になるのが《チェーンソー》。クリーチャーが死亡するたびにカウンターが乗っていき、そのカウンター分がパワーに乗るので、どんどんうなりを上げて成長していってくれます。たくさん装備品を採用したいデッキなので、除去を兼ねてくれるのは非常に嬉しいですね。 そして《刃砦の戦鞭》はクリーチャーについた状態で出てくる装備品。実質3マナのクリーチャーですね。装備先が二段攻撃を持つ他、これ以外の装備コストを1つ下げてくれます。《溶岩拍車のブーツ》が0マナになり、《スランの魔力鎧》も1マナと、この辺りの装備品は非常に使いやすくなりますね。 そんな装備品たちをサーチするのが《フェイの血筋のケラン》。装備品をサーチするのが主な役割ですが、装備先としても優秀です。自身が二段攻撃を持つだけでなく、ついた装備品の数だけ他のクリーチャーのサイズも上げてくれるので、みんなで強くなれます。 装備品はアーティファクトなので、実は相性が良いのが《継ぎ接ぎ自動機械》。装備品を唱えるだけで成長してくれて、護法2を持っているのでなかなか除去されません。装備先が除去されてしまうのがこの手のデッキの一番の負け筋ですからね。《スランの魔力鎧》や《溶岩拍車のブーツ》で護法が重なれば実質呪禁です。 そろそろこのデッキの主役をご紹介しましょうか。それはもちろん《熱烈な勇者》!赤単で活躍したカードですが、実は《熱烈な勇者》に装備品をつける際、そのコストが3下がるのです。 《力線の斧》も《スランの魔力鎧》も《影槍》も《チェーンソー》も全部つけ放題なのです!まさにこのデッキのためのカード!というか《熱烈な勇者》がいなかったらこのデッキを組もうと思わなかったかもしれませんね。   1体のクリーチャーに装備品をつけまくる!そんなロマン溢れる戦いができるのがこのボロスイクイップメントの魅力。一撃必殺を決めてみませんか?   アスモニュメント モダンリーグ : 5-0 By DB_InspiringTimmy カードを捨てるたびに様々な効果をもたらす《忍耐の記念碑》。カードを引いたり宝物を出したり3点ルーズさせたりとどの能力も強く、発売前から期待されているカードです。 この手のカードを使う上で重要なのは、《忍耐の記念碑》を出したターンの隙をどう埋めるかです。3マナで何も盤面に影響を与えないカードを出してターンをパスするのは、スタンダードすら危険な行為です。   それは、3ターンキルが横行するモダンにおいてはタブーと言って良いでしょう。だからこそ、このカードの使い方は非常に難しい。   今回ご紹介するデッキは、そんな《忍耐の記念碑》を実にうまく使ったデッキです。   《アスモラノマルディカダイスティナカルダカール》をご存じでしょうか?カードを捨てたターンにのみ唱えることができ、戦場に出た時に《地獄料理書》をサーチしてきます。 その《地獄料理書》は、手札を捨てることで食物を生成します。この食物を2つ生け贄に捧げると、《アスモラノマルディカダイスティナカルダカール》がクリーチャーを除去してくれるようになります。 《地獄料理書》はタップするだけでカードを捨てられるので、《忍耐の記念碑》と相性が良いですね。   この《地獄料理書》とセットで採用されるのが《楕円競走の無謀者》。アーティファクトが戦場に出るたびに墓地から手札に戻ってくるこのカードは、《地獄料理書》のコストで手札から捨てると、食物生成にトリガーして手札に帰ってきてくれるので、無から料理を作れるのです。 ここに《忍耐の記念碑》が加わると、手札から《楕円競走の無謀者》を捨てて食物を作りながら1ドローしたりと、凄まじいアドバンテージを生み出します。   《信仰無き物あさり》は2枚のカードを捨てられるので《忍耐の記念碑》を2回誘発させてくれたり、《太陽の執事長、インティ》も手札を捨てながらリソースを稼げるので、マナが不自由な時は《忍耐の記念碑》で宝物を作って《太陽の執事長、インティ》で追放したカードをプレイ、なんてことも。 更に『霊気走破』で登場した《略奪するアオザメ》も、手札を大量に捨てるこのデッキにはぴったり。1ターン目に出して2ターン目には3/3以上となり、あっという間に手をつけられないサイズに成長します。 これまで《地獄料理書》《楕円競走の無謀者》のコンボは、《アスモラノマルディカダイスティナカルダカール》が生き残って食物を投げ続けたり、《太陽の執事長、インティ》を複数回誘発させたり、《ウルザの物語》のトークンのサイズを上げたりなど、活躍の機会自体はあったものの、物足りなさがあったのは否めませんでした。 そこに新たに加わった《忍耐の記念碑》と《略奪するアオザメ》は、どちらも単体でゲームプランとして成立するレベルに強力で、間違いなくこのデッキは『霊気走破』で大幅にアップデートされました。 従来のアスモデッキに比べてかなりデッキが速く、粘り強くなりました。《忍耐の記念碑》を使ってみたいならまずこのデッキです!

『霊気走破』後のスタンダードに迫る!ジャパンスタンダードカップから注目デッキを紹介

Standard ピックアップ

2025.02.13

mtg Yuyan

こんにちは。 細川 侑也(@yuyan_mtg)です。 『霊気走破』のプレリリースから僅か2日後に行われたジャパンスタンダードカップ:『霊気走破』! スタンダードの大型トーナメントで『霊気走破』のカードは活躍したのでしょうか? 今回は注目デッキをピックアップしてご紹介していきます!       紹介デッキ アゾリウス眼魔 グルール昂揚 ディミーアミッドレンジ アゾリウス眼魔 ジャパンスタンダードカップ : 優勝 By MatsumotoTatsunori 『霊気走破』環境一発目を制したのはアゾリウス眼魔! スタンダードではすっかりお馴染みのデッキが、新環境を見事に制覇。その名の通り、様々なフォーマットで使われている《忌まわしき眼魔》を主軸に据えたアゾリウスカラーのアグロデッキです。   手札から唱える際に6枚の墓地を要求する《忌まわしき眼魔》。それなら墓地から吊り上げてしまえばいいじゃないというわけで、《救いの手》《再稼働》の6枚のリアニメイトスペルで《忌まわしき眼魔》を吊り上げます。 1ターン目に《行き届いた書庫》などの諜報ランドを置いて《忌まわしき眼魔》を落として2ターン目に《救いの手》で釣り上げてしまうモダン級の動きも可能です。墓地に《忌まわしき眼魔》をとにかく落としたいデッキなので、《行き届いた書庫》に加えて《地底街の下水道》まで採用されています。黒いカードはデッキに入っていないので、本当に目的だけです。 《忌まわしき眼魔》を墓地に落とす手段はいろいろとあります。《航路の作成》《決定的瞬間》《錠前破りのいたずら屋》で、手札を減らすことなく《忌まわしき眼魔》を落としながら《救いの手》にアクセスします。 《第三の道の創設》は切削で《忌まわしき眼魔》を墓地に落としつつ、最終章で墓地の《救いの手》を使えるので、1枚で切削とリアニメイトの両方を行えます。第一章から入って上記のスペルたちを使用したり、切削から入ることもできるなど、とにかく場面によって色々な動きが取れる器用なカードです。 《救いの手》《再稼働》の対象が《忌まわしき眼魔》だけでは、肝心のキーカードが墓地に落ちなかった時に手札で腐ってしまいます。そこで採用されているのが《傲慢なジン》です。 《航路の作成》《決定的瞬間》《錠前破りのいたずら屋》といったカードたちが1マナになるので連打できるようになりますし、そもそも墓地を肥やしていくデッキなので、《傲慢なジン》自体のサイズも馬鹿になりません。《忌まわしき眼魔》の代わりにフィニッシャーを務めることもしばしばあります。 『霊気走破』からの加入は2種類。その内の《跳ね弾き》は、これまでのリストに入っていた《送還》が抜けてそのスロットに採用されています。機体が『霊気走破』で大量に収録されたので、機体を戻す場面もあるでしょう。完全上位互換なので《跳ね弾き》にしない理由がありません。 そしてもう1枚は《呪文貫き》。こちらは再録カードですが、アゾリウス眼魔にとにかく合っています。2ターン目に《忌まわしき眼魔》を《救いの手》で釣る際はもちろん、デッキが軽いのでゲーム中盤で1マナを立ててターンを返すことが多いデッキなので、1マナの妨害である《呪文貫き》はこのデッキが望んでいた打ち消し呪文。《送還》と合わせてクリーチャーとクリーチャー以外のどちらにも対処できるようになりました。 アゾリウス眼魔を意識するなら、赤いデッキは《石術の連射》を採用することになるでしょう。回った時の眼魔はグルールすら凌ぐ速度で盤面を作りながらライフを削ってきます。 新環境、墓地対策や《忌まわしき眼魔》対策はぬかりなく!   グルール昂揚 ジャパンスタンダードカップ : 2位 By  DAISUKE IWABUCHI 4種のカードタイプを墓地に揃えることで達成する昂揚。厳しい条件ゆえに昂揚を達成した時のご褒美は大きく、それを目指すデッキがこのグルール昂揚。 1マナ3/3の《継ぎ接ぎのけだもの》、そしてクリーチャーに2回攻撃を付与する《逸失への恐怖》と強力な昂揚クリーチャーたちが入っており、前環境からもトーナメントで活躍していました。 そんなグルール昂揚が今セットで素晴らしい進化を遂げました!   これまでは墓地にカードを落とす行為が昂揚のためだけでしたが、『霊気走破』で加入したとある1枚が、切削やディスカードに新たなバリューをもたらしました。   《アフターバーナーの専門家》です。 消尽能力を起動するたびに墓地から戻ってくる3マナ4/2。巷では《復讐蔦》と呼ばれているこのカードですが、墓地から帰ってくる条件はむしろ《復讐蔦》より軽いかもしれません。 《復讐蔦》はクリーチャーを2回唱えて墓地から戦場に蘇るカードなので、すぐに手札が枯渇していました。リソースを取れないビートダウンではそう何度も返すのは難しい。   一方、《アフターバーナーの専門家》は消尽能力。手札に消尽を持つクリーチャーを1枚温存していれば良いだけですし、自身が消尽を持っているため、複数体の《アフターバーナーの専門家》が帰ってきた時には、片方が除去されてももう一方が《アフターバーナーの専門家》を墓地から呼び戻すことができます。 肝心の消尽能力を持つクリーチャー、《竜航技師》も単体で非常に強力な1枚。2つの消尽能力を持っているので、これ1枚で《アフターバーナーの専門家》を2回蘇らせられます。 更に1つ目の能力は自身に+1/+1カウンターを置きながら、他のクリーチャーに速攻を付与させるので、《アフターバーナーの専門家》が墓地から帰ってきてそのまま殴れます!まさに《復讐蔦》! その《アフターバーナーの専門家》が相打ちで墓地に落ち、次のターンにもう1つの消尽でドラゴンを生み出しつつ、《アフターバーナーの専門家》を再び戻す。ここまで《竜航技師》は1枚で行えてしまうのです。   切削カードも強力な1枚が『霊気走破』で加入しました。《浚渫機の洞察》です。 《蓄え放題》が好きなパーマネントを拾える一方、こちらはアーティファクト・クリーチャー・土地のみ。しかしこのデッキで拾うのはクリーチャーか土地なので、回収範囲に問題はありません。 《浚渫機の洞察》はエンチャントなので、インスタントに比べて墓地に落ちた時に昂揚しやすい点がまず強く、更に回収や《アフターバーナーの専門家》が墓地から戻った際にライフを得られるのも強力。今のスタンダードは苛烈なダメージレースが多く、ライフゲイン手段は貴重です。他の『霊気走破』組と比べて少し地味に見えますが、しっかりとデッキの強化に寄与しています。   《竜航技師》《アフターバーナーの専門家》が加わったことにより、グルール昂揚は粘り強いタフな攻めが可能な骨太ビートダウンに仕上がりました。 切削次第で時に凄まじい回りを見せてくれるので、とても楽しいデッキです。『霊気走破』のカードを使いたいならこのデッキでしょう!   ディミーアミッドレンジ ジャパンスタンダードカップ : 7位 By Hiroaki Itou 良質な青と黒のクリーチャーで攻めつつ、盤面を除去していく、スタンダードライクなミッドレンジです。 スタンダードではすっかり見慣れたデッキですが……『霊気走破』から新加入した神話レアが目に入ります!そう、《油浸の機械巨人》です。 青黒の機械巨人は戦場に出た時にプレイヤーの手札からカードを捨てさせ、そのプレイヤーがドローするというもの。《ヴェンディリオン三人衆》に似た能力とでも言いましょうか。 手札で最も危険なカードを落としてランダムな1枚に変える能力なので、決して弱いわけではありませんが、青と黒のダブルシンボルを持つのであれば、もう少し派手な能力にしてほしかった。個人的にはそんな思いを抱いていたのですが、間違っていたのかもしれません。   特徴的なのは、《油浸の機械巨人》の手札破壊能力を活かすべく、《大洞窟のコウモリ》を採用している点。 最近では赤いデッキの隆盛、それに伴ってほとんどのデッキが1マナ除去を採用していることから、ただ手札を見るだけで終わるカードになってしまうという理由で採用が見送られていた《大洞窟のコウモリ》。その割に《大洞窟のコウモリ》が生き残った時のバリューも決して高くはありません。   しかし、《油浸の機械巨人》によって手札破壊を8枚体制にできるのなら話は別。 《大洞窟のコウモリ》で最初の脅威を抜き、《油浸の機械巨人》で更に手札破壊を重ねていく、新しい攻めパターンが生まれました。   《油浸の機械巨人》自体は4/4絆魂と非常に優秀な能力で、しかも護法もあり、何よりアーティファクトクリーチャーなのでとても除去するのが大変です。《この町は狭すぎる》を活用したエスパーピクシーやディミーアバウンスは《逃げ場なし》と《この町は狭すぎる》に盤面除去を一任しており、そのどちらにも強いのが《油浸の機械巨人》なのです。 《油浸の機械巨人》をコピーする《マネドリ》を4枚採用しているのも非常に面白く、とにかくこのディミーアミッドレンジは《油浸の機械巨人》に寄せた構築で、それが見事に理にかなっています。 考えてみれば、《油浸の機械巨人》は現環境の多くのデッキに対して強いカードです。   赤アグロには安全確認をしながら4/4絆魂を着地させることができ、《この町は狭すぎる》デッキに対しては対処が難しいカード。《喉首狙い》が当たらないので黒系ミッドレンジ全般にも攻守で頼もしい存在です。 事前評価が決して高いとは言えなかった《油浸の機械巨人》の強さに気付く見事な隻眼とデッキ構築です!

【週刊メタゲーム通信】日本とアメリカの地域CSではエネルギーとブリーチが大暴れ!

週刊 Modern

2025.02.12

mtg Yuyan

こんにちは。   細川 侑也(@yuyan_mtg)です。   先週末は日本とアメリカでそれぞれ地域CSが開催!   プロツアー、そして世界選手権の権利がかかった今大会から、メタゲームを分析していきます! 目次 メタゲーム ボロスエネルギー 研磨ブリーチ アミュレットタイタン メタゲーム 日本 優勝:ボロスエネルギー2位:オルゾフブリンク3位:研磨ブリーチ4位:青単ベルチャー5位:研磨ブリーチ6位:エルドラージランプ7位:ジェスカイコントロール8位:オルゾフブリンク アメリカ 優勝:アミュレットタイタン2位:研磨ブリーチ3位:エルドラージランプ4位:ボロスエネルギー5位:研磨ブリーチ6位:エルドラージランプ7位:オルゾフブリンク8位:研磨ブリーチ   ボロスエネルギーは日本・アメリカのどちらでも人気が高く、また最も意識されているデッキの1つでした。日本では優勝、アメリカでも4位に入賞していますが、共に1つずつのみ。 安定感・速度・サイド後の強度と強さに必要なあらゆる条件を兼ね備えているボロスエネルギーも、意識されれば支配的ではないことが明らかとなったと思います。   一方、そんなボロスエネルギーと同じぐらい意識されていたはずの研磨ブリーチは大暴れ!日本では2人、アメリカでは3人がトップ8に入賞しています。 研磨ブリーチはボロスエネルギーと違い、サイドボード後にあらゆる妨害を受けるデッキ。メイン戦の勝率は高く、サイドボード後は落としがち。しかも今回はトップメタの一角と予想されており、対策は更に苛烈になっているはずでした。 にもかかわらずの今回の圧倒的勝率。研磨ブリーチというデッキが最強のデッキの一つであると言わざるを得ないでしょう。   そして今回もディミーア眼魔は入賞することはありませんでした。《害獣駆除》でボロスエネルギーと研磨ブリーチに強くなったエスパー眼魔は今大会での活躍が期待されましたが、トップ8に駒を進めることはできず。 今のモダンは、ボロスエネルギーと研磨ブリーチにエルドラージランプとオルゾフブリンクを加えた4強となりましたね。 ボロスエネルギー チャンピオンズカップファイナル : 優勝  By Ma Noah チャンピオンズカップファイナルを制したのは前述のようにボロスエネルギー。 もう何度説明したかわかりませんが、《魂の導き手》《オセロットの群れ》《ナカティルの最下層民、アジャニ》の『モダンホライゾン3』が誇る低マナ高スペックのクリーチャーを連打するビートダウンの動き。 こちらも『モダンホライゾン3』の問題児、《火の怒りのタイタン、フレージ》《栄光の闘技場》の必殺を加えた、まさに『モダンホライゾン3』そのものと言って差し支えないデッキ。 《色めき立つ猛竜》が禁止になりましたが、デッキの根幹部分は丸ごと残ったので、前環境からモダンを牽引し続けているデッキです。   1マナ域を普通に引くだけで4ターンキルしてしまう速度を持ちながら、諜報ランドと《火の怒りのタイタン、フレージ》によって中盤戦も強く、クリティカルなサイドボードも存在しない。速い・強い・安定のデッキです。   ボロスエネルギーと言えば3マナ域問題。《歴戦の紅蓮術士》と《鏡割りの寓話》のどちらを採用するか、人によって異なっていましたが、このリストはそのいずれも少しずつ採用し、代わりに別の3マナが入っています。 それが《イーオスのレインジャー長》です。 戦場に出た時に1マナ以下のクリーチャーをサーチし、自身を生け贄にすることで対戦相手がそのターンだけクリーチャーでない呪文を唱えられなくなる。後者の能力は研磨ブリーチに強く、ライフを詰めて《イーオスのレインジャー長》でラストターンを潰すのが基本的な使い方です。 ミラーマッチこそ《歴戦の紅蓮術士》《鏡割りの寓話》に劣りますが、Ma Noah氏は同型よりも研磨ブリーチを意識したのでしょう。サイドボードには大量のカードを用意しているとはいえ、メイン戦を落としてしまうと、残り2戦を必ず勝たなければなりません。研磨ブリーチは時々2種のモックスからとんでもない動きをするデッキなので、どれだけサイド後に相性が良くなったとしても、片方は負けてしまうこともあります。   そこで、メインで勝ちやすいように、《イーオスのレインジャー長》を厚めに採用したのでしょう。   先ほど少し触れましたが、サイドボードには《オアリムの詠唱》《石のような静寂》《空の怒り》《損耗+摩耗》《外科的摘出》と、研磨ブリーチ対策が大量に入っています。 この対策量、そしてメインからの《イーオスのレインジャー長》と、研磨ブリーチに対するリスペクトが、今回の勝利に繋がったのでしょう。   事実、日本では研磨ブリーチはエネルギーに続いて二番手でした。お見事な構築!   研磨ブリーチ Regional Championship SCG CON Portland : 2位 By jackson knorr 優勝こそしなかったものの、週末に圧倒的パフォーマンスを見せつけた研磨ブリーチ。   《死の国からの脱出》《研磨基地》0マナアーティファクトが揃った瞬間に勝利する恐ろしいコンボデッキで、《研磨基地》は《死の国からの脱出》で墓地から唱えられるので、このデッキは実質《死の国からの脱出》1枚コンボです。 前環境から存在していたデッキでしたが、《オパールのモックス》解禁によって速度に磨きがかかり、2ターンキルも可能となりました。 様々な構成が試されてきましたが、環境の成熟に伴い、研磨ブリーチもほとんどのパーツが固定されるようになっています。   除去枠として採用されているのは《邪悪な熱気》《稲妻》。この1マナ除去が散らされているのは、天敵《大いなる創造者、カーン》を意識した結果です。 地域チャンピオンシップはリスト公開性なので、ゲーム開始時に対戦相手はデッキに入っている火力が何かを知ることができます。この時、《邪悪な熱気》しか入っていなかったとしましょう。すると対戦相手はマイナス能力を使い、《トーモッドの墓所》をサーチしてしまえば、昂揚しない《邪悪な熱気》では2点しか入らないため、返しのターンで《大いなる創造者、カーン》が落とされなくなるのです。 《稲妻》だけの場合は、《大いなる創造者、カーン》がプラスから入ればやはり落とされなくなります。 しかし、1枚ずつ採用されていた場合、相手のプレイを難しくさせることができます。プラスして《邪悪な熱気》で落とされたり、マイナスして《稲妻》と、プラスとマイナスに裏目を発生させることができるのです。   《白鳥の歌》もデッキに1枚入れておくのが重要です。このカードがないと、《オアリムの詠唱》をメインに採用しているデッキに対して無力なのです。 たとえば《白鳥の歌》が相手のデッキに入っていないなら、《死の国からの脱出》《研磨基地》が決まっても、こちらは《オアリムの詠唱》を温存できます。ライブラリーをある程度掘られ、《タッサの神託者》や《ぶどう弾》で敗北しないぎりぎりのタイミングを見計って《オアリムの詠唱》を打つことができるのです。 しかし、《白鳥の歌》が入っていた場合は、途中で落ちてしまうと、《オアリムの詠唱》に《白鳥の歌》を(脱出によって)打たれてしまいます。そのため、おとなしく《死の国からの脱出》のキャストのスタックで打つしかないのです。 研磨ブリーチはライブラリーをすべて掘って最終的に勝利し、しかも墓地のカードにアクセスできるため、1枚差しにも深い意味がある場合があります。とりあえず抜いてしまわないように注意しましょう!   フィニッシャー枠として、このリストは《ぶどう弾》を採用しています。正直、個人的には《タッサの神託者》である必要はないと思っているので、《ぶどう弾》で納得です。 以前の《モックス・アンバー》しかない研磨ブリーチでは、コンボが決まった際に増えるマナは青マナだけでした。そのため《タッサの神託者》が採用されていましたが、今は《オパールのモックス》で好きな色マナが出るので、フィニッシュの色はなんでも良いのです。 《ぶどう弾》はサイドボード後の《溜め込み屋のアウフ》《ドラニスの判事》を除去したりと、途中でドローしても強いカードなので、僕が使うなら《ぶどう弾》にするでしょう。   《神秘を操る者、ジェイス》をメインに採用したリストがチャンピオンズカップファイナルのトップ4に入賞していますが、このカードも強く、個人的には《タッサの神託者》よりもオススメです。 《タッサの神託者》は《記憶への放逐》で誘発型能力を打ち消されてしまいますが、《神秘を操る者、ジェイス》には無意味です。また、コンボ途中に落ちてしまった場合に先に場に出しておけるので、たとえば《外科的摘出》を構えられている時でも、切削で落ちた直後に唱えて戦場に逃がしてしまえば、そのままコンボ達成が可能です。これは《タッサの神託者》にはできない大きなメリットです。 最近ではメインから墓地対策が入っていることも多く、《敏捷なこそ泥、ラガバン》など、不慮の事故で1枚のフィニッシャーが追放されてしまうケースがしばしばあります。《ぶどう弾》《神秘を操る者、ジェイス》の2枚採用を僕は推します!   アミュレットタイタン Regional Championship SCG CON Portland : 優勝 By Peter Husisian アメリカ地域CSを制したのはまさかのアミュレットタイタン!   アミュレットタイタンの歴史は非常に古く、今年でなんと10年目。当時は《花盛りの夏》から2ターン目に《原始のタイタン》を出すデッキでした。 10年間も2ターン目に《原始のタイタン》を出し続けながら、禁止改定の影響を受けたのはたった2回という奇跡のデッキ。それがアミュレットタイタンです。ちなみに1度目は《花盛りの夏》で、2度目は《一つの指輪》です。 《一つの指輪》が禁止されてしまったアミュレットタイタンですが、この時に解禁された《緑の太陽の頂点》が組み込まれています。 序盤は土地や《樹上の草食獣》などマナ加速になりつつ、マナが余った状態では《原始のタイタン》をサーチできるため、《緑の太陽の頂点》はデッキ内の実を増やしつつ、序盤のアクションにも寄与する便利なカードです。 デッキについて簡単に説明しましょう。キーカードはそのデッキ名の通り、アミュレット=《精力の護符》です。 このアーティファクトがあるとタップ状態で戦場に出るパーマネントがアンタップで出るので、《シミックの成長室》などの2マナが出る土地がアンタップ状態となります。《精力の護符》が2枚あればアンタップが2回誘発するので、《シミックの成長室》を置くと4マナが生まれます。 《原始のタイタン》から出てくる土地もアンタップ状態となり、そこから様々なコンボに繋がっていきます。   以前までは《原始のタイタン》から《ハンウィアーの要塞》を出して攻撃するデッキでしたが、近頃は攻撃せずとも勝利できるようになりました。 《事件現場の分析者》と《鏡の池》や《変容する森林》によって無限切削や無限マナが可能となり、最終的には《イリーシア木立のドライアド》《溶鉄の尖峰、ヴァラクート》が揃うのです。 そのため、以前までは4枚採用されていた《イリーシア木立のドライアド》は最近では1枚のみに押さえられ、よりデッキが安定するようになっています。 特徴的なのは《邪悪鳴らし》でしょうか。《精力の護符》《洞窟探検》《原始のタイタン》とコンボの肝となる部分にアクセスできます。一度《原始のタイタン》が出ればそこからコンボが始まるので、一時的なマナ加速も絶大な効果を持ちます。 今回の勝利の要因としては、苦手な対策カードが環境的に少なかったことが挙げられるでしょう。   ずばり、《血染めの月》と《海の先駆け》です。 《ウルザの物語》が割られるだけでなく土地から色マナも出なくなり、能力すらなくなってしまうため、この特殊地形対策たちがとにかく苦手でした。 以前までの環境トップはボロスエネルギーとディミーア眼魔で、そのどちらもが《血染めの月》《海の先駆け》を採用していました。そのため、トップメタにとにかく弱いデッキだったのです。   しかし、昨今のメタゲームを鑑みてボロスエネルギーから《血染めの月》は抜けていきました。入っていてもメインは1枚、サイドに2枚目があるか程度です。研磨ブリーチに対して効果が薄く、エルドラージにも実はあまり効かない《血染めの月》は、最近では《溶鉄の雨》になっている場合もあります。 《溶鉄の雨》は逆にアミュレットにはあまり効果のないカードです。するとボロスエネルギーにもある程度強いデッキとなり、元々持っていた「回れば2ターンキル」という特性も生き、アメリカの地域CSで優勝を果たしたのでした。   研磨ブリーチに対してもサイドボードの《溜め込み屋のアウフ》を《緑の太陽の頂点》でサーチできるのが魅力です。他の《緑の太陽の頂点》デッキは少し悠長なため、《溜め込み屋のアウフ》を除去するカードを引くチャンスがありますが、アミュレットは妨害がなければ3~4ターンキルしてくるデッキ。そんなデッキが置いてくる対策カードは、研磨ブリーチ視点では溜まったものではありません。 更に流行のエルドラージランプにはそもそも相性が良く、環境的にキラーカードがアンプレイアブル気味になったこともあって、今非常に立ち位置が良いデッキと言えるでしょう。   アミュレットタイタンは動きがとにかく複雑で、相手をしていて難しいデッキでもあります。何をどこで止めれば良いのか?それを勉強するために、一度デッキを回しておくのもオススメです。

ゆうやんの選ぶ『霊気走破』各色トップ3!

ピックアップ

2025.02.07

mtg Yuyan

こんにちは! ゆうやん(@yuyan_mtg)です。 最新セット『霊気走破』がいよいよ2月14日に発売! 今回も注目カードを各色ランキング形式でお届けします! 目次 白 青 黒 赤 緑 マルチカラー 無色 土地     白 3位:《危険な罠》 "エンジン始動!"持ちの《忘却の輪》。最高速度の際のボーナスはタップすることでクリーチャーを強化できるという些細なもの。   "エンジン始動!"については、未達成時のカードの強さと、軽さが重要だと考えています。   "エンジン始動"のカードをざっと見ると、未達成時でもそれなりの強さのカードが多いですね。元々プレイアブルなカードに"エンジン始動"をつけたような印象を受けます。   軽さもかなり重要です。1ターン目に"エンジン始動"で速度を持てば、2ターン目からの攻撃によって、4ターン目には最高速度に到達できます。最高速度になれば、デッキ内に入っている"エンジン始動"カードたちのバリューは跳ね上がるので、最高速度に達するのは非常に大きく、早くそこに行き着くために、"エンジン始動"カードは早ければ早いほどいいのです。   さて、その観点でいくと《危険な罠》はなかなか強いカード。最高速度未達成時でも、《忘却の輪》なので十分構築級の性能。戦場に出た時にブロッカーをどけながら速度を持ち、攻撃が通ってエンド前に速度は2になり、5ターン目には最高速度に到達できることになる。   そして最高速度時のボーナスも、マナを使わずにクリーチャーを強化できるといぶし銀の能力。重ね引いた場合の恩恵も大きく、除去枠としてこのカードに4枚割くのも悪くないように見えます。   2位:《入れ子ボット》 つ、つよ~い!!   《危険な罠》で話したように"エンジン始動"はその軽さが重要。1マナ1/1のエンジン始動は、まさしく最高速度への特急券。   最高速度時のボーナスは+1/+0と些細なものの、死亡時に霊気装置を生成し、自身がアーティファクト・クリーチャーというのは、ボロス召集が最も求めていたカード。これまでは《上機嫌の解体》の対象にするアーティファクトに困り、《遠眼鏡のセイレーン》を採用していたのだが、《入れ子ロボット》のおかげでボロスで組めるようになっりました。   境界ランドも今回登場したし、いよいよボロス召集が本気を出す時が来たのかも。   1位:《武勇の旗艦》 飛行・先制攻撃・絆魂の7/7機体!   《パルヘリオンⅡ》の亜種かと思いきや、他に特に能力はなく、《大牙勢団の総長、脂牙》で釣り上げる価値はありません。   その代わり、このカードにはサイクリングがついています。サイクリングした時にXを支払い、その数だけ操縦士を生成……   この能力、どこかで見覚えがありませんか?そう、《正義の命令》です!! 『スカージ』で登場し、白系コントロールを支えた1枚。当時お金がなくて白コントロールを組めなかった僕にとっては憧れのカードでした。   そんな《正義の命令》がスタンダードに帰ってきた!歓喜せざるを得ません。   とはいえ、当時よりカードパワーが跳ね上がっているスタンダードでは、《武勇の旗艦》が活躍できるかはわかりません。それでも白系コントロールに入りうるカードだとは思います。   《世話人の才能》の最終レベルでトークンたちを強化し、エンド前に《武勇の旗艦》をサイクリングして一撃必殺!なんてこともできるかもしれません。   インスタントタイミングでカードを引きつつ、トークンを生成する。その強さは《サメ台風》で皆さんも体験しているでしょう。   《サメ台風》と違ってサイズは1/1ですが、複数体をばらまけるので、決して下位互換というわけではありません。《武勇の旗艦》には新たなコントロールのフィニッシャーになってほしいですね。   そんな期待を込めて1位です!     青 3位《食糧補充》 5枚見て好きな2枚を加える……いや普通に強くないですか?   かつてイゼットフェニックスには《パズルの欠片》が入っていましたが、あちらはインスタント・ソーサリーのみに対し、《食糧補充》は好きなカードが手に入ります。カードが墓地に落ちればアゾリウス全知に入ったでしょうね。   とはいえ、墓地シナジーが特にないデッキでは《パズルの欠片》の上位互換です。5枚見て2枚加える能力は、3マナ3ドローより強いカードだと思っています。   《予言》、どこまで強くなるんだ…!   2位《牽制機》 ちょっと弱くなった《心悪しき隠遁者》。こちらは2/1飛行なので序盤から殴れる点は優秀ですが、打ち消せる範囲が狭くなっています。 その上、降霊もついていないので、どうしても見劣りしてしまいます。まあレアリティの違いということで納得しましょう。   ただし、《心悪しき隠遁者》と《牽制機》で大きく異なる点があります。それは今のスタンダードには《アガサの魂の大釜》があることです。   《アガサの魂の大釜》でこのクリーチャーを追放すると、自軍生物が全部《牽制機》になるので、かなり相手の動きを制限できます。   今回は《開拓者、おたから》もあり、《アガサの魂の大釜》にくべるクリーチャーがたくさん出た印象があります。 ぜひ一緒に使いたいですね。   1位《思考の泉のマーフォーク》 その名の通り、《思考の泉》を内蔵したマーフォークです。(ちなみに今スタンダードで《思考の泉》が使えるって知ってました?僕は今初めて知りました) カードをX枚引く能力は単純に強く、1ターン目から出せるマーフォークが持っている能力としては破格です。後半引いて腐らない1マナクリーチャーは素晴らしい。   しかもカードを引けるだけでなく、マーフォーク全部に+1/+1カウンターを置くことができるのも強力。3マナで1枚引いてマーフォーク全体強化でも十分です。Xが0でもカウンターは置けるので、実は攻撃的な性能のマーフォークです。   更にこれは起動型能力なので、《アガサの魂の大釜》で他のクリーチャーに能力を付与させることができます。しかもマーフォークにカウンターが乗れば全員が《アガサの魂の大釜》の恩恵を受けられるので、相性抜群。   スタンダードでもマーフォークが組めるようになったのではないでしょうか?今すぐマーフォークで検索しましょう!   黒 3位《勢い挫き》 戦場に出た時にクリーチャーか機体を生け贄に捧げさせるエンチャント。生け贄にできない場合は手札を捨てさせることができるので、似た能力を持つ《税血の刃》より便利。   更に自身を生け贄にすることで速度分のライフを得られるので、最低でも1点のライフを獲得できます。   スタンダードで活躍しているエスパーピクシーで使えば最高速度到達も現実的。赤アグロとのライフレースにおいてライフゲインは重要ですし、最初は盤面のクリーチャーを生け贄に捧げさせつつ、手札も攻められるので、非常にデッキに合っています。かなりの強化になるのではないでしょうか。   少し話はそれますが、エスパーピクシーは《地底の大河》などダメージランドを大量に採用しているデッキです。相手のターンに土地からダメージを受けると相手の速度は上がってしまうので気を付けましょう。 パイオニアでも《空を放浪するもの、ヨーリオン》型のディミーアバウンスに組み込まれると思われるので、かなりの頻度でこれから目にすることになりそうです。 2位《恐血鬼》 おかえり!!!   実に16年ぶりにスタンダードセットで再録されました。僕が初めてプロツアー予選を突破した時の相棒なので、とても《恐血鬼》には思い入れがあります。   土地を置くことで墓地から戻ってきて、相手のライフが10以下だと速攻を持つ。攻撃的なデッキで使いたい性能ですが、特にクリーチャーを生け贄にすることで恩恵を得られるサクリファイス系デッキで真価を発揮します。   それは墓地から蘇る条件がとにかく軽いからです。墓地から戦場に戻る際にマナを要求するカードが多い中、《恐血鬼》はただセットランドするだけで墓地から戻ってこれるので、気軽に生け贄にすることができます。   個人的には《陰湿な根》と一緒に使いたいところ。生け贄にしてカードを引きつつ、セットランドで戻したいですね。   今回登場した《ガス喰らい》との相性もなかなかのもの。   1位《沼地の晩餐会》 カードを切削しつつ、クリーチャー・プレインズウォーカー・機体を除去できる便利なソーサリー。2枚切削できるのでマナ総量が2以下のカードであれば特に下準備せずに除去できます。   こちらも《陰湿な根》で使いたい1枚。墓地を肥やす能力は嬉しいですからね。ただの除去にメリットがつくのはそれだけで素晴らしい。しかもほぼ万能除去です。   プレインズウォーカーを除去できるのは今のスタンダードでは重要です。《悪夢滅ぼし、魁渡》がかなり使われていますからね。   パイオニアの《陰湿な根》デッキにも入れてみたい1枚。   赤 3位《グリスレンチのゴブリン》 《ジャッカルの仔》……お前どこまで強くなるんだ?   昔の下環境の赤単ではエースだった《ジャッカルの仔》。今ではその上位互換がバンバンアンコモンで収録されていますが、《グリスレンチのゴブリン》には驚かされました。 序盤は2/1、中盤に手札を入れ替えながら自身を強化と申し分ない能力に加え、更にシナジー豊富なゴブリン!   1ターン目から展開できるゴブリンが登場したことで、いよいよゴブリンデッキがスタンダードでも現実味を帯びてきたかもしれません。   2位《略奪するアオザメ》 《繁栄の狐》はかつてスタンダードで大活躍したクリーチャーでしたが、《略奪するアオザメ》はそれに近い性能……というかサイクリングコストが重いことを除けば上位互換です。 サイクリングに限らず、カードを捨てればなんでも誘発するので、モダンで《信仰無き物あさり》を打てば2つのカウンターが乗ります。   モダンのホロウワンでは《炎刃の達人》が採用されていますが、あちらがターン終了時までの強化なのに対し、こちらはカウンター。恐ろしいです。威迫を持っていたり、タフネスが2あるので必ずしも上位互換とは言い切れませんが、《略奪するアオザメ》の方が基本は強力でしょう。《通りの悪霊》をサイクリングするだけでもう1マナ2/2です。   《炎刃の達人》《略奪するアオザメ》で8枚体制となったホロウワンをモダンで回してみたいですね。もちろんスタンダードでも活躍する可能性は十分にあるでしょう。   1位《咆吼部隊の重量級》 先に紹介した《グリスレンチのゴブリン》はゴブリンの期待の1マナ域ですが、この《咆吼部隊の重量級》はデッキの中核を担います。   自身以外のゴブリンに速攻を付与し、戦闘開始時にトークンを生成。更に最高速度に達していると、タップでゴブリンの数だけ赤マナを生み出すことができます。   今のスタンダードには実は《群衆の親分、クレンコ》がいるので、《咆吼部隊の重量級》と《群衆の親分、クレンコ》で大量にトークンを生成し、最大速度でマナを出して更に展開。しかも《群衆の親分、クレンコ》は《咆吼部隊の重量級》で速攻を持つ。こう書いているとゴブリンがかなり強く思えてきました。 下環境のゴブリンでも使われる可能性があるほどの強さだと思います。最高速度を活かすために、1ターン目から"エンジン始動"できるゴブリンを入れたいところですね。   緑 3位《浚渫機の洞察》 最近よくある切削したカードを手札に加えるシリーズ。《浚渫機の洞察》は《蓄え放題》などと違ってエンチャントなので場に残ります。   更にアーティファクトやクリーチャーが墓地を離れるとライフを得られるので、とりあえず《浚渫機の洞察》で土地以外を拾った場合は1点ゲインできます。   2枚目を引いて拾えれば2点ゲインになるので、赤いデッキ相手には馬鹿にならない回復量ですね。   《浚渫機の洞察》で《浚渫機の洞察》を拾えないのは残念ですが、アーティファクトとクリーチャーが主体のデッキならば選択肢にあがりそうです。   エンチャントなので昂揚を達成したいデッキでもチャンスがあるかもしれません。《蓄え放題》と違って自身が墓地に落ちないのは少し残念ですが、カードタイプを散らすことで昂揚しやすくなります。   2位《威厳ある放漫トカゲ》 3マナ域のクリーチャーはどんどん強くなっていきますね。ダブルシンボルの3マナ5/4で恐竜ロード??さすがに強すぎてびっくりしました。   伝説ではないので連打すれば4ターン目に6/5が並びますし、恐竜デッキもだんだん強くなってきましたね。   《好戦的な一年仔》から《威厳ある放漫》で6点パンチとかやってみたくないですか?   1位《轟音の速百足》 マナ総量3以下のクリーチャー・機体は+1/+1カウンターが1個乗り、4以上なら3個乗る、3マナ5/5トランプルの機体です。   何を言っているのかわかりませんが、そう書いてあります。   戦場に出したターンこそ何もしないものの、後続がすべて強化されますし、4以上のクリーチャーならば一気にサイズが3つアップします。   マナ総量が4以上なので、《トレイリアの恐怖》のように、コストが軽くなるクリーチャーと相性が良いですね。1マナ8/8はまさに恐怖。 アーティファクトなので親和とも相性が良いですね。下環境にはなりますが、《金属ガエル》は0マナ5/5、《マイアの処罰者》は0マナ7/7と壊れたスタッツです。   スタンダードでも《記録の守護者》は相性が良いカード。食物もアーティファクトなのでコスト軽減に寄与しますし、シミック親和、イケそうです。   マルチカラー 3位《呪われし運転手、ウィンター》 自身と他のアーティファクトがライフを2点支払わせる護法を持ちます。2点のライフは護法1より弱く見えますが、ライフを攻めるデッキで使うなら話は別。攻撃的なデッキなら2点のライフは重くのしかかります。   消尽能力である全体除去も、デッキがアーティファクト主体なら、被害は相手だけという恐ろしい能力。   同じ青黒の《ネットワーク呪詛》もアーティファクトデッキなら強力なフィニッシャーになりうるので、まずは青黒でアーティファクトアグロが組めないか、カードを並べてみたいですね。   2位《ガイドライト、雲水族》 アーティファクト分のパワーを持ち、最高速度を持っていると……アーティファクト呪文をコピー?ヤバいですね。   最初は4マナぐらいだと思ってましたが、よく右上を見てみたらこのカードは2マナでした。2マナならめちゃくちゃ強いカードです。2ターン目に出して最低で1/3、アーティファクトデッキなら2/3になっているでしょうし、次のターンにはもうパワー4になっています。   最高速度になった時には後続がすべて倍になるようなもの。《記録の守護者》をコピーするだけでも凄まじい。   《呪われし運転手、ウィンター》まで入れてエスパーカラーの親和を組みたいところ。   1位《新たな夜明け、ケトラモーズ》 珍しく追放領域を参照するカード。カードが墓地や戦場から追放領域にいくとドローするので、《剣を鍬に》でクリーチャーを追放したらドロー。《儚い存在》で自分のクリーチャーを一時的に追放するだけでもドローできます。   《安らかなる眠り》を貼っているとカードが追放されるので、ドローし放題になります。   神ゆえに破壊不能を持っているので対処は難しく、威迫・絆魂と、動き出したら攻守で活躍します。   更にモダンでは《超能力蛙》とのコンボも注目を集めています。 《超能力蛙》《新たな夜明け、ケトラモーズ》が揃っている状態で《超能力蛙》で《暗黒破》を捨て、墓地のカード3枚を《超能力蛙》で追放すると、《新たな夜明け、ケトラモーズ》の能力で1ドロー。そのドローを《暗黒破》の発掘で置換して3枚切削。拾った《暗黒破》を《超能力蛙》で捨て、先ほど切削した3枚をそのまま《超能力蛙》で追放……とループしていきます。 1ループごとに《超能力蛙》が1つ大きくなるので、先手なら(マリガンしていないなら)3ターン目にライブラリーが51枚=17ループでき、《超能力蛙》のパワーが18になり、手札2枚を追加で捨てれば一撃20点となります。   単体で強いのはもちろん、コンボも早速発見されており、今最も期待を集めているカードです。   《儚い存在》《溌剌の牧羊犬、フィリア》《ちらつき鬼火》でカードを引けるので、モダンのオルゾフブリンクにも入るかもしれませんね。 無色 3位《生体生成エンジン》 選んだクリーチャータイプが+1/+1修正を受ける機体。更に機体がそのクリーチャータイプに変わるので、《生体生成エンジン》自身もそのタイプを持ちます。   今回はマーフォークやゴブリンが強化されたので、それらのデッキではまず活躍するでしょう。特にゴブリンはトークン生成手段が豊富で、それらのトークンが強化されるのは非常に強力。   クリーチャーを全体強化するロードは除去されやすかったり、逆にただ強化するだけのエンチャントだと攻撃の手を緩めることになります。   《生体生成エンジン》は除去されづらく、4/4が場に出るのでプレッシャーも十分です。   2位《光輝の睡蓮》 今回の睡蓮は、アーティファクトを生け贄に捧げた数だけ3マナを生み出すというド派手な能力。自分のアーティファクトが全部《Black Lotus》になります。   最近の睡蓮は悪用しづらいようにタップインなことが多かったですが、《光輝の睡蓮》はアンタップ状態で出てくるので、戦場に出したターンに早速マナが使えます。   ただし、起動にはタップを要するので簡単には悪さができないようになっています。   《屑鉄さらい》と非常に相性がよく、生け贄に捧げたアーティファクトよりマナ総量が小さいカードを回収でき、出たマナから拾ったアーティファクトを出し直し……なんてことができるかもしれません。 《光輝の睡蓮》自身を生け贄にできるので、《屑鉄さらい》《光輝の睡蓮》と生け贄にすると、《光輝の睡蓮》で《屑鉄さらい》を拾えます。   《光輝の睡蓮》をアンタップでき、《屑鉄さらい》を生け贄にした際に拾える《通路の監視者》なんかは面白いかも?《通路の監視者》《屑鉄さらい》《光輝の睡蓮》と揃えば何かが起きそうです。 アーティファクト版《出産の殻》こと《再利用隔室》もあるので、パイオニアでデッキを組んでみたいですね。   1位《忍耐の記念碑》 強すぎる!初見時に目を疑いました。   カードを捨てるたびに宝物かドローか3点ルーズ。どのモードも強力で、1ターンに1つずつしか選べないというデメリットなんて気になりません。   問題の捨てる手段ですが、《美術家の才能》は相性ぴったり。この2枚が揃えば、後はただスペルをプレイしているだけで勝手にゲームに勝利するのではないでしょうか。非クリーチャー呪文をプレイすればカードを1枚捨てて2枚引き、次にカードをプレイすれば3点ルーズですからね。自分と相手のターンでこれを繰り返していくだけです。 《侵攻の伝令、ローナ》のようにマナを払わずにカードを捨てられる手段とも相性が良いですね。2ターン目に《侵攻の伝令、ローナ》、3ターン目の《忍耐の記念碑》でとりあえずドローです。 もちろん相手にカードを捨てさせられた際にも能力が誘発するので、置いておくだけで《思考囲い》対策になります。手札破壊の後に必ずドローがついてきたら、最早打つ気が起きません。   《美術家の才能》を4枚採用しているイゼットフェニックスのサイドボードには最適かもしれません。イゼットフェニックスは墓地対策を受けるデッキですが、《忍耐の記念碑》はこれを完全に無視できます。相手が《虚空の力線》を置いてきたら、涼しい顔で《美術家の才能》と《忍耐の記念碑》で勝ちましょう。   1枚捨てるたびに誘発するので、同時に2枚捨てた場合はモードを2つ選ぶことができます。《上げ潮、キオーラ》でドローしつつ宝物生成なんかも面白いですね。   様々な使い道があるアーティファクトで、デッキ創作意欲が沸いてきますね!   土地 対抗色境界ランド ついに境界ランドが10種揃いました!!   対抗色デッキとしては、ボロスハツカネズミやゴルガリミッドレンジは現環境でもいました。これらのデッキは純粋に強化されることになります。   特に《ウェイストウッドの境界》は最初から緑が出るので、《ラノワールのエルフ》を出すことができ、ゴルガリとしてはこれ以上に嬉しい強化はないでしょう。 境界ランドで色マナが安定するようになったので、今まではできなかった無茶も可能になりました。緑と黒のそれぞれのダブルシンボルのカードを採用しやすくなったのです。   そして忘れてはならないのがスゥルタイテラー。《ウィローラッシュの境界》によってこちらも色マナが更に安定。3色とは思えないほど快適にゲームを進められるマナベースを手に入れました。  おわりに 総合トップ3は 《忍耐の記念碑》《新たな夜明け、ケトラモーズ》《ガイドライト、雲水核》 の3つです!(境界ランドは殿堂入り)   今回の記事で気になったカードや試してみたいカードが出てきたら、ぜひGOOD GAMEでシングルカードをお買い求めください!!   ご購入はこちらから それではまた!

へいかの選ぶ!『霊気走破』各色トップ3

ピックアップ

2025.02.06

Akira Kobayashi

皆さん、こんにちは! 「へいか」こと 小林 輝(@enzyutuheika)です。 2月14日に販売される最新セット「霊気走破」がとうとう全カード公開されましたね! 私の注目カードを色ごとに紹介していこうと思います。 目次 白 青 黒 赤 緑 マルチカラー 無色 土地     白 3位:《壮大な玉突き衝突》 《太陽降下》に次ぐ破壊不能を無視する全体除去であるだけでなく、なんと全体除去への対策でもあった機体ごと破壊してしまいます。   パイオニアであの憎き《勢団の銀行破り》がラクドスミッドレンジなどで幅を利かせていた頃に出してほしかった……という思いはありますが、全体除去としては相当な性能です。   そして……真価はやはりサイクリング2でしょう!   こういった全体除去カードは有効な相手とそうでない相手によって価値に雲泥の差があります。   クリーチャーデッキに全体除去は効果的なのは皆さんもご存知の通り。   しかしながら、例えばビートダウンに頼らないコンボで勝つアブエロ全知相手に《太陽降下》を引いて喜ぶ人はいないと言っていいでしょう。   引いてしまうと実質的に手札が1枚減るのと同様です。サイドボードならサイドアウトできますが、メインボードではそうもいきません。   そんな状況においてサイクリングすることで不要牌が有効牌になる可能性が産まれるというだけでも他の全体除去にない価値があります。   5マナ域の全体除去としては《太陽降下》という強力なライバルこそいますが、それでも採用に値する一枚と言えるでしょう。   2位:《入れ子ボット》 こちらはスタンダードの《イーオスの遍歴の騎士》を活用したジェスカイ召集デッキで、青をタッチしてでも採用せざるを得なかった《遠眼鏡のセイレーン》の枠に収まると予想しています。   死亡時に1/1の霊気装置・アーティファクト・クリーチャートークンを生成する効果も《上機嫌の解体》との相性が非常に良いのも◎。   アーティファクトでありながら1マナのエンジン始動カードでもあるため、最高速度になると「たった1マナでアーティファクト・呪文をコピーする」という凄まじい効果を持つ《ガイドライト、雲水核》を中核としたアゾリウスアーティファクトデッキも考えられそうです。   他の最高速度をキーとしたデッキのエンジンを始動する切り込み隊長としての役割を担えます。   1マナの軽さにしては非常に多様な仕事をするこの一枚、アンコモンながら活躍に注目しています。   1位:《ボヤージャーの滑空車》 白の1位はこの機体!   クリーチャーを3枚タップすることで+1/+1が乗り、飛行がつく効果はスタンダードのジェスカイ召集やアゾリウスアグロなどで活躍している《内なる空の管理人》を彷彿させる性能ですね。   アーティファクトもタップ対象出来る《内なる空の管理人》とは異なり、クリーチャーのみで3枚はなかなか難しそうに見えます。   が……1マナクリーチャーをばらまき、《上機嫌の解体》《毅然たる援軍》といった1枚で2枚以上のクリーチャーを出すカードも採用している召集デッキではこの条件は楽にクリアします。   パワー1が多いこのデッキで搭乗1も嬉しく、《イーオスの遍歴の騎士》《上機嫌の解体》《イモデーンの徴募兵》などキーカードを引きたい召集にとって占術1もありがたい効果です。   そしてソーサリータイミングでタップせねばならない《内なる空の管理人》とは異なり、こちらはインスタントタイミングでタップ可能です。   相手の攻め手に備えてクリーチャーを立たせ、相手が攻めあぐねた結果ターン終了時に起動して+1/+1を乗せていくのもよし。   ある程度育った後は搭乗1でアタックしていき、下手なブロックをすれば起動で+1/+1を乗せて一方的に討ち取る事も出来るぞ、と圧をかけていくこともできます。   何より1マナで2/3というスタッツも非常に頼もしい!   アーティファクトなので《喉首狙い》が効かないだけでなく、+1/+1がひとたび乗ってしまえば3/4となり現環境の代表的な除去である《切り崩し》《逃げ場無し》から逃れる事が出来ます。   この機体と2位にも上げた《入れ子ボット》、ボロスカラーの境界ランドこと《サンビロウの境界》の存在によってようやくジェスカイからボロスに回帰することになるでしょう。   強力な新戦力を得たボロス召集は次期環境での要注目デッキの一つになりそうです!   今のうちにGOODGAMEでパーツを買い揃えちゃいましょう!!(ダイマ)     青 3位《記録の守護者》 5マナで3/4飛行、スタッツだけで見ればただの平凡なリミテカードと言えるでしょう。   真価は親和(アーティファクト)! アーティファクトが4枚あればなんと1マナで3/4飛行と《秘密を掘り下げる者》もびっくりな性能です。   ミラディンの《厳粛な空護り》が同じ親和持ちの飛行で6マナ3/2飛行であり、これの上位互換となっています。 スタンダードでは《身代わり合成機》、そして同じく霊気走破からの最大値で2マナ3点ゲイン3ドローの《帰還航路》を擁するアゾリウスアーティファクトとの組み合わせがまず思い浮かびますね。   アーティファクトクリーチャーかつ3/4のスタッツも非常に嬉しく、環境を定義する黒の除去である《切り崩し》《喉首狙い》《逃げ場無し》が通用しません。   今や時代の中心になりつつあるエスパーピクシーやディミーアミッドレンジの飛行群も飛行によって受け止める事が出来ます。環境に適したスペックですね。   モダン等の下環境でも《稲妻》《致命的な一押し》といった代表的な除去を回避できることから検討に値するかもしれません。   これを採用したデッキを考えたくなってきますね!   2位《たかり空エイ》 サメに続いてとうとうエイも空を……   2/1/2飛行とスタッツだけ見れば貧弱ですが、1枚以上のカードを捨てるたび、その枚数に等しい個数の+1/+1カウンターが乗るというディスカードシナジー効果を持ち合わせています。   枚数に等しい枚数というのもミソで、《上げ潮、キオーラ》の2枚ルーティングにであれば一気に+2/+2カウンターが乗り、3/4飛行と明確な脅威へと変貌します。   同じく3マナで2枚ルーティングをする《蒸気核の学者》もいますし、何よりも同じく霊気走破で出た1マナで同様の効果を持つ《略奪するアオザメ》が存在します。 MTGで古より伝わる「同じ能力のカードが2種(8枚)あればデッキになる法則」がここでも発動しそうです。   スタンダードには《逸失への恐怖》、《太陽の執事長、インティ》と非常に優秀なディスカード要員もたくさんいますので、ディスカードギミックデッキにはかなり可能性を感じています。   1位《思考の泉のマーフォーク》 青の1位はこのマーフォーク!   1マナながらマナフラッド受けかつ全体強化も兼ねる消尽能力が非常に強力です。   X=3であれば3ドローしつつ各マーフォークに+1/+1が乗りますし、何より「ソーサリータイミング限定」ではありません。   瞬速持ちのロードである《ヴォーデイリアの呪詛抑え》といったインスタントタイミングの選択肢が増えるだけでも非常に嬉しいものです。   特筆すべきはX=0の2マナでも各マーフォークに+1/+1が乗る点。Xの値はあくまでもドローの枚数であり、+1/+1を乗せる効果には影響がありません。   先述した《ヴォーデイリアの呪詛抑え》と合わせることで4マナで急に+2/+2になり、そのままリーサル……なんてことも考えられそうですね!   スタンダードでも《フラッドピットの溺れさせ》《名もなき都市の歩哨》といった優れたマーフォークが存在し、《深根の巡礼》というマーフォークサポートの置物もありますから遂に環境に出てくる日が来たのかもしれません。   召集に続いてマーフォークもまた要注目デッキです!   黒 3位《勢い挫き》 エンジン始動カードにしては珍しい除去で、相手のブロッカーをどかしながら攻撃を通すことでエンジン速度上昇の手助けにもなります。   やはりエスパーピクシーでアーティファクトであった《税血の刃》と入れ替えることになりそうです。《呑気な物漁り》が誘発するエンチャントなのも非常に嬉しい。   ライフを詰めていくエスパーピクシーとエンジン始動もマッチしており、《コイロスの洞窟》などのダメージランドを多数採用するため、生贄によるライフゲイン効果とも噛み合っています。   まるでエスパーピクシーのために作られたかのような一枚ですね。アゾリウスコントロールにもそんな一枚を……   もちろんエンジン始動を中核としたデッキの除去枠としても採用を検討できるでしょう。 2位《悪魔の破砕機》 親和であり除去も兼ね備えている機体です。   現在のデッキで黒絡みでアーティファクトにフィーチャーしているデッキはなく、既存のデッキには当然ながら入りません。   それはすなわち、新デッキが産まれる事に他ならないのです! ワクワクしてきますね。   最大値ではアーティファクトを6枚要求するとはいえ、1マナ4/3かつ除去もこなすスーパー機体と凄まじいコストパフォーマンスを誇ります。   自分の死亡誘発持ちクリーチャーがあればそれを破壊した上で6/5機体と見た目以上に活用の幅が広いのも◎。   また、親和全般に言えることですが、マナ総量が7マナと高いカードを安く出せる点を悪用したりと可能性は無限大です。   親和の手助けとなる1枚でアーティファクトを複数出す《スランの蜘蛛》などは今のうちに買い揃えておいた方がいいかもしれませんね。   1位《ガス喰らい》 1位はこの1マナエンジン始動! 1マナでエンジン始動はそれでも強力なのに2/1と打点が高めなのも嬉しい点ですね。   最高速度になると機体やクリーチャーのサクリ台にもなり、中盤以降に引いても役割を担えるのは◎。   ラクドスサクリファイスなど飛び道具が多いデッキであれば速度も上げやすく、起動能力のシナジーによってさらなるアドバンテージに繋がるという動きが考えられます。   今回は白黒の境界ランドである《ブリーチボーンの境界》もありますし、同じくエンジン始動の《去りし栄光、ザフール》と組み合わせてオルゾフエンジンサクリファイスといった新しいデッキのキーになりそうです。   赤 3位《竜航技師》 なんと消尽能力が2つ! ゴブリンのエースになりうるポテンシャルを秘めています。   速攻付与能力はたった1マナで《群衆の親分、クレンコ》など起動能力の手助けにもなりますし、本体にも+1/+1が乗るのも非常に嬉しいポイントです。   4マナの消尽も4/4飛行とシンプルかつ強力で、-3/-3である《逃げ場無し》を擁するエスパーピクシーに強いのも◎。   1マナの速攻付与と組み合わせて4/4飛行速攻としても運用できますし、序盤・中盤・後半どの時間帯でも引いて嬉しい一枚はアグロにとっての福音ですね。   現在赤系アグロの2マナ域は《多様な鼠》《熾火心の挑戦者》《探索するドルイド》《亭主の才能》と鉄壁のレギュラー陣が揃い踏みしていますが、これらに食い込むだけのパワーは間違いなくあります。   それこそゴブリンデッキの2マナ域としても相当な活躍を見込める一枚です。   2位《焼き切る非行士》 《竜航技師》と同じゴブリンであり切り込み隊長であるこれが2位となりました。ゴブリン推しです。   1マナでエンジン始動の強さはもちろん、威迫なのも非常に偉いです。   1ターン目に《焼き切る非行士》から2ターン目に威迫アタックでエンジン速度を2にしつつ《焦がし切りのゴブリン》で強襲達成、1/1ゴブリントークンを産み出すという動きは現在のスタンダード環境でも通用します。   最高速度になると「威迫+二段攻撃」という非常に攻撃的な能力になり、マナ効率こそは悪めですが+1/+0の起動能力とも噛み合っています。   ゴブリンデッキであればエンジン速度を上げる事は容易で、最高速度もあっという間に達成することでしょう。   これら新ゴブリン2種の新戦力により、ゴブリン最高のロードである《ランドヴェルトの大群率い》、もう片方のロードこと《画家の仕事場/汚された画廊》を中核としたゴブリンデッキがスタンダードで成立すると確信しています。   1位《灯を追う者、チャンドラ》 これを見た瞬間、白単トークン使いの私は悪い意味で鳥肌が立ちました。   同じ4マナ域のプレインズウォーカーである《焦熱の交渉人、ヤヤ》《レジスタンスの火、コス》《免れ得ぬ破滅、ルーカ》とは異なり、奥義以外の除去手段すら持たずひたすら攻めに特化した性能を持ちます。   0能力は常在能力の戦闘開始時に機体をクリーチャー化+速攻によって実質3/2速攻として機能します。   生贄に捧げることもなく、機体として残り続けるのもミソ。この3/2機体が2枚ある状態で《脚当ての補充兵》《多様な鼠》を新生で唱えるとあら不思議!   新生1枚で2枚の機体に搭乗して3/2二体が殴ります。この世の地獄か?   赤系アグロへの有効なサイドカードである《領事の権限》も機体として出るため誘発しません。   +2によって余った機体や地図などを生贄にすることでアドバンテージを得られますし、不要な土地を捨ててルーティングも可能。   このように攻めに関しては恐らく随一でしょう。とにかくコントロール系統を倒すために産まれてきたかのようなプレインズウォーカーです。   この手のプレインズウォーカーにしてはシングルシンボルなのも非常にグッド。   その一方で自衛手段はなく、守りには不向きです。主に白単トークン、ドメインランプなどへの強烈な攻め手としての運用になるでしょう。   緑 3位《アフターバーナーの専門家》 消尽能力を起動すると墓地から戦場に戻る効果はかつて一時代を築いた《死霧の猛禽》を彷彿とさせるもの。   接死を持たなないものの、こちらはパワー4と攻撃的なスタッツ。自身も消尽能力を持ち、他の《アフターバーナーの専門家》を戻らせる事も可能としています。   《竜航技師》との相性は非常によく、1マナの消尽を起動した時点で《アフターバーナーの専門家》が戦場に戻り、その後に効果が解決されるため速攻が付与されることになります。   2ターン目に《逸失への恐怖》でこれを捨てた後、3ターン目に《竜航技師》から1マナの起動能力でリアニメイト+速攻でかなり強い盤面を構築できるのは想像に難しくありません。   欠点はやはり追放除去である《塔の点火》が刺さるタフネス2な点。   それでも消尽能力で戦場に戻る効果は唯一無二であり、《竜航技師》との組み合わせで活躍する日はそう遠くはないように感じます。   2位《威厳ある放漫トカゲ》 とうとう出てきた3マナで5/4……に、なんと恐竜のロード能力まで!!   しかも伝説でもありません。緑もここまで来ましたか。   恐竜限定ですが《イクサーリの伝承守り》によって《ラノワールのエルフ》8枚体制であり、そのジャンプ先である3マナ域もこの《威厳ある放漫トカゲ》と脅威の3/6/6である《好戦的な槌頭》で8枚です。   これも勿論「8枚あればデッキになる法則」が発動しそうに見えます。   今の恐竜には置物および墓地を対策しつつもライフゲインもこなす《温厚な襞背》、強烈なフィニッシャーである《骨集めのドラコサウルス》、《嘶くカルノサウルス》と粒揃い。   《逃げ場無し》が環境を定義している今タフネスが4なのも嬉しく、これで活躍できなかったら恐竜をメインとしたデッキはもう無理と言わんばかりのヤケクソさを感じます。   1位《重厚な世界踏破者》 緑の1位はこちらの機体。   3マナでいわゆるランパンと呼ばれるマナ加速を担いつつ、土地の数に等しいパワーとタフネス4の機体と非常に良質なスペックです。   マナ加速は得てして中盤以降に引くと腐りがちという欠点がありますが、これは土地が伸びれば伸びるほどパワーが上がっていくため中盤以降に引いても嬉しいのも高評価点。   搭乗4は重いものの、マナ加速をするデッキは、得てしてパワー4を優に超えるファッティを連打することができます。   シンプルに3ターン目にこれを出しつつ、4ターン目に《ホーントウッドの大主》を出しそのまま搭乗からアタックするとさらに土地サーチが誘発して土地が7枚になり、7/4と非常にインパクトのある動きになります。   機体であることから《喉首狙い》が刺さらず、タフネスも4で《逃げ場無し》にも刺さらないので見た目以上の脅威として暴れる事になりそうと予想しています。   土地をガンガン伸ばしてパワー10でアタックしちゃいましょう!   マルチカラー 3位《ガイドライト、雲水族》 2マナでエンジンの起爆剤になりつつ、最高速度まで達するとアーティファクト・呪文をたった1マナでコピーするという凄まじい効果を持ちます。   特に《薄墓薔薇の聖遺》は追加コストとして要求されるアーティファクトやクリーチャーの生贄は「唱えるための追加コスト」であるため、コピーでは追加コストを支払う必要がなくなり、相性が良いと言えるでしょう。   何よりもインパクトのある《激浪の機械巨人》をコピーするとこの世の終わりが訪れます。 この機械巨人については惜しくも選考外となりましたが、3位にしようかと悩んでいたぐらいのパワーはあります。   本体の性能もアーティファクトの数によってパワーがどんどん上がっていくため、親和との相性もよくアーティファクトデッキを組む動機の一つにもなりますね。   2位《帰還航路》 令和の《物読み》。マナも相応に重くなっていますが、こちらはなんと3ドローと3点ゲインと強くなっています。   2マナで唱えられたらブーンズである《Ancestral Recall》と《治癒の軟膏》を合わせた1枚になります。凄まじい。   親和もスタンダードには実質3マナ低減である《スランの蜘蛛》(本体、パワーストーン、パワーストーンから出るマナで合計3マナ)もいますし、同じく親和である《記録の守護者》もいます。   除去枠としても《薄墓薔薇の聖遺》《ガラスの棺》もあり、プレイアブルなアーティファクトは十分。   このように新戦力を多く得たアゾリウスアーティファクトは台風の目になる可能性も。ぜひ期待したいところですね!   1位《輝晶の機械巨人》 マルチカラーは1位はこの機械巨人!   4/4/4先制攻撃トランプルはブロッカーとしてもアタッカーとしても頼もしく、何よりも「1枚で2枚のアドバンテージを得られる点」が白眉。   マナ総量1以下とはいえ2枚も持ってくる効果は《イーオスのレインジャー》を彷彿とさせます。   しかもこちらはクリーチャーだけでなくアーティファクトやエンチャントまで対象となります!   サーチ対象となるカードでクリーチャーだと《養育するピクシー》は《輝晶の機械巨人》を再利用可能ですし、《脚当ての補充兵》も実質3マナのクリーチャーとして活用できます。《機能不全ダニ》もアーティファクト/エンチャント対策として持ってこれますね。   何より《金脈のハイドラ》も(X)(緑)、つまり1マナ扱いなのでなんとサーチ可能です! 後続の脅威を持ってこれるのです。   バントにして《マネドリ》を持ってきてもかなり面白いかもしれません。   エンチャントでは《破片魔道士の救出》で自衛することも可能。アーティファクトだと除去枠にもなる《薄墓薔薇の聖遺》、墓地対策である《除霊用掃除機》もありますね。   ファウンデーションズで再録された《バジリスクの首輪》も対象の一つで、この《輝晶の機械巨人》につけると先制攻撃・トランプル・接死・絆魂のスーパークリーチャーが爆誕します。   このように夢が広がる一枚です。カード単体のパワーは間違いなくあり、これを中核とした新しいデッキが産まれるかもしれませんね。   無色 3位《霊気灯》 3位は伝説のアーティファクト・プレインズウォーカー・装備品と史上初の組み合わせである《霊気灯》!   無色のプレインズウォーカーであるだけでなく、アーティファクトかつ装備品なことからこれらのシナジーと発揮するのが非常に面白い試みだと感じています。   性能自体は攻めっ気が強く、コントロールよりもアグロもしくはミッドレンジで+1/+1を乗せつつ2ドローと継続的に攻めていく性能に見えます。   奥義は正直飾りと言ってもよく、+1で装備した後に-5、-5と繋げられたら強そうです。   注意点としては装備したとしても火力やプレインズウォーカーへの除去の対象にはなるため、+1でつけて攻撃されなくなっても過信は禁物。《削剥》が最大の敵になりそうですね。   2位《生体生成エンジン》 部族を強化する置物としてはカルドハイムの《兵員の結集》がまず思い浮かびますね。   これは当時使われませんでしたが、こちらは4/4機体がついている点、また本体自身も選ばれたクリーチャータイプになることでシナジーの恩恵を受けられる点は他にないメリット。   例えばハツカネズミを指定するとこの機体もハツカネズミになるため、《多様な鼠》によってこの機体に二段攻撃やトランプルを付与する事もできます。   修正値によって搭乗3が実質搭乗2である点も嬉しく、継続的な攻めを支えるよい一枚になるやもしれません。   個人的には赤編で言及してきたゴブリンでこの機体を使ってみたいです。   1位《忍耐の記念碑》 無色の1位はやはりこれ!   《身代わり合成機》が証明している通り、3マナアーティファクトでありながらこれだけでは何もしないのが最大の欠点。   が、ひとたび効果を誘発してしまえばとんでもないアドバンテージを得られる可能性を秘めている一枚でもあります。   「カード1枚を捨てるたび」というテキストなので、例えば《上げ潮、キオーラ》だと2枚引き2枚捨てた場合、その後に1枚引いて宝物を生成するというとんでもない性能に。   2マナの《侵攻の伝令、ローナ》など継続的なルーティング能力を持つクリーチャーで3マナアーティファクトである欠点をカバーしたいところ。   他にも《たかり空エイ》などディスカードで強くなるカードも増えており、これのサブプランとしてサイドに忍ばせておくのも効果的に見えますね。   それから《美術家の才能》も凄まじい速度でルーティングするため、コンボチックなデッキを考えてみても面白いかもしれません。   ディスカード手段はルーティングであることが多く、キーとなるこのカードを探す事にも繋がり一貫性も生じます。   もしかしたらディスカードデッキこそが真の台風の目なのかもしれません……!   土地 対抗色境界ランド 『ダスクモーン:戦慄の館』の前例からもはや説明不要と言ってもよいでしょう。   今回は対抗色だからか、ダスクモーンの境界ランドとは反対の色が出ます。(ダスクモーンでは左の色から出るのですが、今回は右の色から出ます。わかりやすいですね)   《サンビロウの境界》は白が中心であるボロス召集、《ウェイストウッドの境界》は《ラノワールのエルフ》を擁するゴルガリミッドレンジの強化に直結します。   境界ランドが無かった事で貧弱なマナベースになり、成立しなかった対抗色のデッキがいよいよ出てくる事になるかもしれません。   これまでは見向きもされなかったマルチカラーのレア・神話レアたちを改めて見直してみてはいかがでしょうか?   もしかしたらそこに環境で頭角を現す一枚があるかもしれません……!   おわりに 以上が私の選ぶ各色トップ3でした。こうしてみると新デッキが産まれそうなカードも多く、大変ワクワクしますね!   私自身もプロツアー・シカゴに向けて新しいデッキを模索していきます。   GOOD GAMEでも『霊気走破』のシングルカード予約が既に始まっています。 今回はなんと2月8日(土)~2月9日(日)に開催されるプレイヤーズコンベンション千葉のGOOD GAMEブースにて予約販売カードの受取が可能となっています。   スタンオープンなどに向けてぜひご予約ください!   シングルカードご予約はこちらから ボックスご予約はこちらから

新弾レビュー『霊気走破』:統率者目線の注目カード30選!

ピックアップ

2025.02.05

Ryo Hakoda

こんにちは!箱田 諒(fritz_xq)です。   2/14(金)発売の最新セット『霊気走破』の全収録カードが公開されましたね! 『カラデシュ』~『アモンケット』期にマジックを始めた身としては、「機械巨人」や「神」など懐かしいカードも多く、発売が待ち遠しい!   今回はそんな『霊気走破』の収録カードを統率者目線でレビューしていきます。 既存デッキの強化や新デッキの軸になりそうな面白いカードがないか、ぜひチェックしてみてください! 目次 白 青 黒 赤 緑 マルチカラー 無色 土地 統率者収録 白 《守護の陽馬》 コンボパーツを探す他、状況に応じて《リスティックの研究》などのアドバンテージ源や墓地対策などにもアクセスできます。 直接戦場に出せるため、カウンターされない《イーオスのレインジャー長》からコンボを開始することも可能。護法2で除去耐性も持つのもいいですね。 5マナと重たいことがネックではあるものの、攻撃できた時のバリューはかなり高いです。 青 《珊瑚の暴君、ケローナ》 どう見てもパワー0の見た目をしていない伝説のタコ。 11マナの《育殻組の誉れ》もこれ1枚で8マナ軽減されるので相性良し。   《思考の泉のマーフォーク》 インスタントタイミングで起動できるため、カウンターを構えつつ、相手ターンの終了時に余ったマナでドローできます。   《うねる魂のハクバル》は探検でマナを伸ばせるため相性バッチリ。   1マナのマーフォークなのも探検の誘発要員として最高です。   《思考の泉のマーフォーク》で+1/+1カウンターが各マーフォークに乗るため、《アガサの魂の大釜》で《思考の泉のマーフォーク》を追放し、毎ターン余ったマナでドローと全体強化をするという動きも可能です。   《再利用隔室》 アーティファクト版の《出産の殻》。 青い《オズワルド・フィドルベンダー》でもあります。 彼らと違って起動に2マナはかかるものの、能力の強さは折り紙付き。 仮に《思考の監視者》→《隔離するタイタン》→《ファイレクシアへの門》と動けば相手の盤面は壊滅。 デッキをアーティファクトで染めて、《神秘の炉》や《クラーク族の鉄工所》など強力なカードにアクセスする手段としても使ってみたいカードです。 《通電式キー》や《多用途の鍵》でアンタップして1ターンに複数回起動したいですね。 起動コストの重さは《奇怪な宝石》や《お告げの行商人》などが助けてくれます。   《運送の魔道士》 〇マナのアーティファクトをサーチする魔道士シリーズ。   《粗石の魔道士》《捧げ物の魔道士》《戦利品の魔道士》《運送の魔道士》《宝物の魔道士》の5人で0~6マナまでが遂に揃いました!   一番先輩の《粗石の魔道士》が登場したのが2004年発売の『フィフス・ドーン』なので、21年で1サイクルが完成したことになります。すごい。 サーチ対象の4~5マナには《一つの指輪》や《ファイレクシアの変形者》、《クラーク族の鉄工所》など強力な布陣が揃っており、《加工》に追加して入るので、よりコンボが達成しやすくなるでしょう。   《加工》と異なりクリーチャーなので、《出産の殻》から場に出して《ファイレクシアの変形者》や《クラーク族の鉄工所》をサーチできるのは便利ですね。   また、《精霊の魂、アニマー》との相性もバッチリ。 《運送の魔道士》で《祖先の像》をサーチし、《祖先の像》を0マナで出して自身をバウンスすることを繰り返すことで、《精霊の魂、アニマー》が無限パワーになります。《運送の魔道士》は《帝国の徴募兵》でサーチできるので、アクセスしやすいコンボとなりました。   《止められない計画》 《荒野の再生》が土地を起こすのに対し、こちらは土地以外のすべてのパーマネントをアンタップします。   青らしく、マナを生むアーティファクトを起こして相手ターンに構える動きができます。   アンタップするパーマネントは多ければ多いほど嬉しいので、アーティファクトを大量に起こせそうな《開闢機関、勝利械》《最高工匠卿、ウルザ》《眷者の神童、キナン》などで使ってみたいカードです。 統率者戦では各対戦相手のターンにアンタップする《巻き戻しの時計》が使われていますが、クリーチャーがアンタップする恩恵を活かせるデッキではこちらが優先されそうです。 黒 《墓所呼びの戦車》 《エシカの戦車》を想起させる4マナの機体。 猫・ゾンビトークンでないのは猫好きへの配慮かな…?   《滝の賢者》がいる際に手札を捨てると《墓所呼びの戦車》によりゾンビトークンが生成され、それにより《滝の賢者》が誘発するため、無限コンボになります。   残りライブラリーの枚数と同じ数のトークンを生成し、山札を削り切ることができるため、《戦慄の復活》で《タッサの神託者》を復活させて勝利できます。 《悪魔の破砕機》 各対戦相手のクリーチャーを除去でき、「親和」で最小1マナで唱えられるという破格のマナ効率を持ちます。 戦場に出た時の効果なので、ブリンクしたり墓地から戻したりなど利用方法は様々。   《夜の大臣、ゴンティ》 《トレストの密偵長、エドリック》と同じく、自分以外を攻撃することにメリットを与える効果。 全員が攻撃によりアドバンテージを得られるようになるため、より自分が多くのアドバンテージを得られるようなシナジーや盤面を用意したい。 赤 《咆吼部隊の重量級》 ゴブリンデッキの特性上、速度上昇はさほど難しくありません。 早いターンに「エンジン始動!」できるカードを他にも複数枚採用すれば、《ゴブリンの戦長》など速攻付与手段はあるので、《咆吼部隊の重量級》を出して即大量のマナ!なんて展開も。   《暗黒のマントル》を装備すれば、《咆吼部隊の重量級》から出したマナを用いて自身をアンタップすることも可能。   ゴブリンが3体以上なら無限パワー、4体以上なら無限パワー+無限マナになります。   《溶岩族の砲兵》 《鋭い目の航海士、マルコム》《鸚鵡の匪賊、フランシスコ》《鉄面連合の略取者、ブリーチェス》など共闘持ちの海賊サイクルと相性バッチリ。 例えば《鋭い目の航海士、マルコム》がいる状態でサイクリングすると、各対戦相手にダメージを与えることで宝物が3個生成されます。 サイクリングコストは2マナなので、次ターンに持ち越せるマナ加速が可能です。 緑 《轟音の速百足》 後続のクリーチャーをサイズアップしてくれるだけでなく、自身のサイズも申し分ありません。 基本のパワーから育っているとボーナスがある、《マラメトの模範、クチル》《君主のオキネク・アハウ》などと一緒に使いたい。   《網撃の精鋭》 《堂々たる撤廃者》を相手がコントロールしていても《死の国からの脱出》を破壊できます。   《耐え抜くもの、母聖樹》が優先されますが、《適者生存》や《俗世の教示者》からアクセスできることが役立つ場面があるかも。 マルチカラー 《輝晶の機械巨人》 サーチできる対象が幅広く、状況に応じて必要なカードを持ってこられます。 対戦相手への妨害カードと自分の展開に寄与するカードを持ってくることで、相手を減速させつつ自分は加速するような動きも可能です。 4/4先制攻撃というのも戦闘で頼もしいサイズと能力ですね。   《新たな夜明け、ケトラモーズ》 カードが墓地や戦場から追放領域に移動するとドローできるものすごい神様。 自ターン限定ではあるものの、よくある「毎ターン1回しか誘発しない」などの制限もありません。 《剣を鍬に》や《致命的なはしゃぎ回り》で除去しても1ドロー。 《儚い存在》でブリンクしても1ドロー。   《安らかなる眠り》を置いておくと、パーマネントが戦場から追放領域に移動するため1ドロー。似た効果の《次元の狭間》は一度墓地を経由するため、呪文も墓地から追放領域に移動し1ドロー。   自身が絆魂と破壊不能を持っており、ブロッカーとしてライフを守りつつ場持ちもいいと至れり尽くせり。   除去でカードを引けるため、除去コントロールのようなデッキも組めそうです。   《開拓者、おたから》 強力な起動型能力を見るとつい《アガサの魂の大釜》で煮込みたくなりますね。 クリーチャーを多く並べられ、+1/+1カウンターを撒けるデッキで消尽能力を多用したいです。   《ガイドライト、雲水核》 1マナでどんなアーティファクトもコピーできる、すごい技術を持ったロボット。   自身が2マナと軽いため、2ターン目に「エンジン始動!」できるのは高評価。   序盤に出したい飛行持ちなどダメージを与えられるクリーチャーと、後半にコピーしたいアーティファクトの採用バランスが難しそうですが、最高速度での出力は凄まじそうなので試してみたい1枚です。 無色 《ピットストップの自動機械》 《育殻組の誉れ》加入カード2枚目。 こちらは《育殻組の誉れ》のコストを4マナ軽減しつつ、無色2マナ生成が《育殻組の誉れ》の能力起動を助けます。   《光輝の睡蓮》 生け贄に捧げるアーティファクト1つあたり3マナを生成し、実質《Black Lotus》とする新しい睡蓮。   自身が6マナと重いながらも、爆発的なマナ加速が可能です。   生成したマナは対象にしたプレイヤーに加えられるため、《偏向はたき》で奪われることに要注意です。 土地 対抗色境界ランド 対抗色の境界土地サイクル。 既存の境界土地同様に、2色~3色のデッキに内定しそうです。 統率者デッキ収録 《世界魂の代弁者、ニッサ》 エネルギーを得る手段と払った際の効果のどちらもが強力で自己完結しています。   エネルギーを軸にしたデッキでなくとも、上陸シナジーを活かしたデッキにも活躍の場がありそうです。   《風景の変容》や《森林の目覚め》で大量に上陸して増やしたエネルギーから大暴れする動きは一度やってみたいですね。   《森林の目覚め》で稼いだエネルギーから《孔蹄のビヒモス》を出せば大体勝ち!   《歩行格納庫の自動機械》 《巣穴の魂商人》でクリーチャーを生け贄に宝物を生成すればコンボスタート。   宝物が出る際に飛行機械トークンも併せて生成されるため、飛行機械トークンを生け贄にし続けることでライフ分の宝物トークンを生成できます。   同じ要領で、《無慈悲な略奪者》と《アシュノッドの供犠台》などマナの要らないサクリ台を用意すれば無限宝物トークンになります。 《改良式鋳造所》《前兆の時計》と合わせれば無限トークンのコンボにもなります。手順は下記の通りです。 1.《改良式鋳造所》から霊気装置トークンを生成する。2.《歩行格納庫の自動機械》が誘発し、飛行機械トークンを生成する。3.《前兆の時計》で霊気装置トークンと飛行機械トークンをタップして、《改良式鋳造所》をアンタップする。4.《改良式鋳造所》で飛行機械トークンを生け贄に捧げ、構築物トークンを生成する。5.《歩行格納庫の自動機械》が誘発し、飛行機械トークンを生成する。6.《前兆の時計》で構築物トークンと飛行機械トークンをタップして、《改良式鋳造所》をアンタップする。   以降は4~6を繰り返せるので無限にトークンを生成できます。   《ナクタムンの意志、テムメト》 各ターンにドローした枚数分、自陣のゾンビに+1/+1修正を与えるゾンビロード。   この手のカードには珍しく、自身も強化対象に含まれています。   ドローステップのドローと、自身の攻撃時のルーティング能力で攻撃時には最低+2/+2の修正を付与できるため、かなりのサイズアップを期待できます。   相手ターンにもドローすると強化されるため、防御面も堅く、うかつに攻撃しづらい印象。   《渦まく知識》で+3/+3修正…⁉   《スカラベの拳、ハシャトン》 ディスカード手段は必要なものの、3マナでどんなクリーチャーのコピーでも生成できます。   《拷問生活》はディスカード手段になりつつ、捨てたカードを回収して再度ディスカードすることもできるため相性バッチリ。   《呪われし砂の庭》 《群がりの庭》の亜種。   起動にマナがかかるようになったのは惜しいものの、マナベースに無理なく採用できるゾンビ軸などのデッキでは見かけることがあるかも。   《腐敗の巨体》 ※既存カードです。   収録セットの関係で《Rot Hulk》という英語名および英語版カードしか存在しませんでしたが、この度ついに日本語版が収録!   初めて《Rot Hulk》が収録されたのは2018年発売の『Magic:Game Night』。新規プレイヤー向けの多人数戦構築済みセットで、英語版のみの発売でした。   昨年発売の『Mystery Booster 2』で再録されたものの、こちらも英語版のみの商品だったため、日本語版での収録を長年待ち望んでいた方もいらっしゃるのではないでしょうか。   まとめ 各色の注目カードを紹介してきましたが、気になるカードはありましたか? 既存デッキを強化するもの、統率者としてデッキの軸になるカードなど様々あったかと思います。 特に《再利用隔室》などは動きが好きな方も多く、今後多く試されるのではないでしょうか。 個人的に組もうとしているのは《新たな夜明け、ケトラモーズ》。 他のカードに無いアドバンテージの取り方をするのでどんな動きができるか楽しみです。 広大なカードプールから《次元の狭間》などこれまで知らなかった相性の良いカードを発見するのがとても楽しい! 情報収集しつつ、できるだけ多くのカードを試してみようと思います。 そして! GOOD GAMEでは現在『霊気走破』のシングルカード・各種ブースターボックスの予約販売を受付中!   通販でご予約いただいた『霊気走破』のシングルカードは、なんと2月8日(土)ー2月9日(日)に開催するプレイヤーズコンベンション千葉の会場内GOOD GAMEのブースにて受け取ることができます! 千葉の会場で『霊気走破』のカードをイチ早く試したい方は、ぜひご利用ください!   しかも『霊気走破』のボックスをご予約の上、『霊気走破』シングルカードを予約すると、当店で1ポイント1円で使用できるポイントがなんと通常の5倍付与!   『霊気走破』の各種商品をゲットするなら予約時がおトクですよ!!   シングルカードご予約はこちらから ボックスご予約はこちらから

【週刊メタゲーム通信】エネルギーとブリーチの二強を狙う、最近活躍中のデッキたち!

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2025.02.04

mtg Yuyan

こんにちは。 細川 侑也(@yuyan_mtg)です。 今週もボロスエネルギーとブリーチは絶好調! しかし、その二強状態を許してくれるほどモダン環境は甘くありません。 今回はエネルギーとブリーチに次いで活躍しているデッキたちをご紹介していきます。 紹介デッキ オルゾフブリンク グリクシス御霊 エスパー眼魔 オルゾフブリンク モダンチャレンジ : 優勝  By Omegauo クリーチャーを一時的に追放して戦場に戻すブリンク能力を駆使してアドバンテージを稼いでいくデッキ、それがオルゾフブリンク。   ブリンクを引き起こす中で最も強力なのが《溌剌の牧羊犬、フィリア》です。自分のクリーチャーをブリンクすれば自身にカウンターが乗り、相手のクリーチャーを一時的に追放してダメージを通したり、トークンを対象に取ればそのまま追放でき、攻守に渡って優秀なクリーチャーです。 《ちらつき鬼火》は白系ではお馴染みのクリーチャー。3/1飛行という優秀なサイズだけでなく、《溌剌の牧羊犬、フィリア》と違って土地を追放できるので、自分や相手の土地を追放することができます。 自分の土地を追放すればエンド前にアンタップ状態で帰ってくるので、3ターン目に《ちらつき鬼火》を出して自分の土地を追放し、終了時にアンタップ状態で戻ってきて《儚い存在》を構える、なんてことも。 《溌剌の牧羊犬、フィリア》の能力で《ちらつき鬼火》を追放すると、エンド前に《ちらつき鬼火》が戻ってきます。そしてここで《ちらつき鬼火》によって追放したカードは相手のターン終了時に戻ってくるので、このタイミングで相手の土地を対象に取ることで、一時的に相手が使用できるマナを1マナ減らせます。 また、《ボガートの獲物さらい》や《魔女の結界師》を裏面土地で置いておき、そこに対して《ちらつき鬼火》を使うと、戻ってくる時は表の状態になります。《ちらつき鬼火》と《溌剌の牧羊犬、フィリア》は似ているカードですが、《ちらつき鬼火》の方が重い代わりにユーティリティに富んだカードなのです。 ブリンクカードたちと相性が良いのが《ベイルマークの大主》。このカードがオルゾフブリンクの心臓といって差し支えないでしょう。兆候で2ターン目に出しておき、それを明滅することで、《ベイルマークの大主》が早ければ4ターン目から攻撃できます。しかも兆候で出して明滅して2枚のクリーチャーを回収できているので、全く手札が減りません。 《溌剌の牧羊犬、フィリア》《ベイルマークの大主》と並んだ時は圧巻。圧倒的なアドバンテージ量の前にはどのデッキも屈することになるでしょう。   《ベイルマークの大主》で使い回すカードをサーチする手段として便利なのが《護衛募集員》。《エイヴンの阻む者》や《白蘭の幻影》など、特定のマッチアップで役に立つカードをサーチし、それを《ベイルマークの大主》や各種明滅カードで使い回します。 《エイヴンの阻む者》は特に研磨ブリーチに強く、《死の国からの脱出》と《湖に潜む者、エムリー》に大きな制限をかけます。数少ない除去も《儚い存在》で避けてしまえば問題ありません。 一方の《白蘭の幻影》も青単ベルチャーに強いのはもちろん、研磨ブリーチにも効果的な1枚。基本土地は1~2枚程度なので、明滅していくとすぐに基本土地が枯れ、ただの土地破壊と化します。《ウルザの物語》を積極的に割っていきたいですね。 《護衛募集員》は《ベイルマークの大主》には残念ながらアクセスできません。が、《ベイルマークの大主》が墓地に落ちていれば《骨の皇帝》で釣り上げることは可能です。《ベイルマークの大主》が出て速攻がついて攻撃するので、《骨の皇帝》を起動するだけで2枚のクリーチャーを回収でき、明滅で《骨の皇帝》をリフレッシュすると、再度能力が使用可能となります。 ギミック満載のオルゾフブリンク、回していてとても楽しいデッキです。ボロスエネルギーとの相性は決してよくありませんが、研磨ブリーチや眼魔に強く、無視できないデッキの1つです。 グリクシス御霊 モダンチャレンジ : 3位 By  TrueHero 最近は少し元気のなかった御霊。その名の通り、《御霊の復讐》で墓地からクリーチャーを吊り上げて戦うリアニメイトデッキです。 《御霊の復讐》は伝説のクリーチャーしかリアニメイトできないので、《残虐の執政官》こそ使えませんが、《偉大なる統一者、アトラクサ》《グリセルブランド》の超強力な面々をたった2マナで釣り上げることができます。 これまでの御霊はエスパーカラーが基本でした。青の大事な要素は《超能力蛙》。手札から《偉大なる統一者、アトラクサ》を捨てたり、サイド後は相手が墓地対策を貼ってきても無視してそのまま《超能力蛙》1枚で勝利できるのです。メインから戦術に絡みながら、単体でゲームプランになる。《超能力蛙》は今のモダンのトップ3に入るパワーカードです。 3色目として白が定番だった理由は《儚い存在》です。   《御霊の復讐》は釣ったクリーチャーを終了ステップ開始時に追放するという大きなデメリットがあります。《偉大なる統一者、アトラクサ》でカードを4~5枚手に入れても、《偉大なる統一者、アトラクサ》自体が戦場からいなくなっては、エネルギーなどライフを詰めてくる相手に勝つことはできません。 そこで《儚い存在》です。《御霊の復讐》で釣った《偉大なる統一者、アトラクサ》を対象に唱えると、更に《偉大なる統一者、アトラクサ》でカードを手札に加えつつ、リフレッシュされるので、終了ステップに追放されなくなるのです。 そんな《儚い存在》を犠牲にしてまで入れたカードは《信仰無き物あさり》。2ドロー2ディスカードを行う禁止解禁組の1マナソーサリーによって、2ターン目の《御霊の復讐》が安定するようになりました。 《信仰無き物あさり》の解禁は非常に大きい!これまでの2ターン目《御霊の復讐》には重宝ランドで《偉大なる統一者、アトラクサ》《グリセルブランド》を落とすしかありませんでした。それが手札にある《偉大なる統一者、アトラクサ》を捨てつつ、2ドローで《御霊の復讐》を引きにいけるようになったのですから、凄まじい進化です。   とはいえ、《信仰無き物あさり》では《儚い存在》の代わりにはなりません。釣ったクリーチャーをそのまま戦場に残す方法はあるのでしょうか? 実はありました。《記憶への放逐》です。 エルドラージに強い打ち消しとして青いデッキたちが4枚採用するこのカードを、このデッキではメインから4枚入れています。しかし、それはエルドラージを意識してではありません。《記憶への放逐》が打ち消すのは自分の誘発型能力。すなわち、《御霊の復讐》の遅延誘発型能力を《記憶への放逐》で打ち消すのです。 《儚い存在》のように《偉大なる統一者、アトラクサ》を2回誘発させることはできませんが、それでも戦場に《御霊の復讐》で釣ったクリーチャーを残せるのならば問題ありません。もちろんエルドラージに対してはカウンターとしても機能します。 3色目を赤にしたことで、サイドボードにも変化が見られるようになりました。エネルギーに強い《紅蓮地獄》や手札からクリーチャーを出す《裂け目の突破》です。 《御霊の復讐》をケアして墓地対策を置いても《裂け目の突破》を避けることはできません。このデッキと戦う時は、サイド後は《裂け目の突破》も警戒していかなければならないのです。   急に勝ち始めた御霊デッキ、果たしてチャンピオンズカップファイナル千葉の台風の目となるのでしょうか。 エスパー眼魔 モダンチャレンジ : 4位 By Dazai 地域CSで大敗を喫したディミーア眼魔。 エネルギー・研磨ブリーチと並んでモダンの三強と言われながら、2つの地域CSでエネルギーと研磨ブリーチが優勝する中、一人負け組となってしまったのがディミーア眼魔でした。   そんなディミーア眼魔が、とある白いカードをメインから投入し、エスパー眼魔として現在復権してきています。   エスパーになってもデッキの構造自体は変わっていません。除去と打ち消しで序盤を凌ぎながら《超能力蛙》で勝利するコントロールのようなプランと、《忌まわしき眼魔》を《発掘》で釣って早期決着を目指すリアニプラン。この2つを併せ持つデッキです。 青黒というカラーコンビネーション、かつディミーア眼魔の性質上、デッキに全体除去をなかなか入れることができず、パーマネントの横並び展開を非常に苦手としていました。《滅び》は重くて間に合わず、《毒の濁流》はコストが痛く、クリーチャー以外には効果がない。サイドボードに《仕組まれた爆薬》が2枚ほど入っていましたが、逆に言えばそれぐらいしかカードがありませんでした。 そのため、エネルギーの《オセロットの群れ》展開や研磨ブリーチのモックスからなる手数の多さに苦戦を強いられていたのです。 そんな問題を解決したのが《害獣駆除》。このカードのためにディミーア眼魔に白がタッチされることとなりました。 《害獣駆除》の効果はすさまじく、エネルギーの1マナ域のクリーチャーから《岩への繋ぎ止め》まで薙ぎ払ったり、研磨ブリーチをモックスごと《知りたがりの学徒、タミヨウ》も叩き割るなど、とにかく苦手としているカードたちに強いのです。 エルドラージなどの不要なマッチではサイクリングで他のカードに代えられます。特定のマッチアップでクリティカルなカードに関わらず、メインから採用して腐る展開がほとんどないのです。   この《害獣駆除》にアクセスする工夫も凝らされています。このリストは《思考掃き》が0枚で、《錠前破りのいたずら屋》が採用されています。《思考掃き》は1マナでカードを2枚(+自身で1枚)墓地に送り込めるキャントリップですが、逆に言えばただ墓地を肥やすだけの1ドローカードです。《忌まわしき眼魔》を釣ったり手札から出す手段ではありますが、強いカードではありません。 一方の《錠前破りのいたずら屋》は少し重いですが、4枚を切削し、しかもスペルを1枚手札に加えられます。2ターン目の《忌まわしき眼魔》リアニメイトこそできないものの、《忌まわしき眼魔》を墓地に落としつつ《発掘》を手札に加えることのできるカードで、非常に優秀です。 《害獣駆除》という一発逆転のカードをメインから採用できるようになったので、《錠前破りのいたずら屋》のようにデッキを掘り進められるカードの価値は上がりました。もし僕がこのデッキを使うなら、間違いなく《思考掃き》ではなく《錠前破りのいたずら屋》を使うでしょう。 メインから《呪文嵌め》が4枚なのも、《害獣駆除》との相性を考えると納得です。1マナ域はどうせ《害獣駆除》で吹き飛ばせるので、後手では確実に2マナを打ち消しておきたい。相手が《呪文嵌め》を喰らわない1マナ連打の展開なら《害獣駆除》してしまえば良いのです。 エルドラージに腐ってしまいますが、《呪文嵌め》はエネルギーと研磨ブリーチのどちらにも非常に強いカードです。前者は《ナカティルの最下層民、アジャニ》《ゴブリンの砲撃》、後者は《邪悪鳴らし》《研磨基地》《死の国からの脱出》と、デッキのキーカードたちをたった1マナで打ち消せます。 悩みの種だった後手番で構えた時の1マナ連打を《害獣駆除》で処理可能になり、心置きなく環境的に強い《呪文嵌め》をフル投入できるようになったというわけですね。   環境2トップに対して強くなったエスパー眼魔。チャンピオンズカップファイナル千葉では勝ち組となるのか?今から注目ですね!

【今週のピックアップデッキ】ジェスカイ眼魔/オボシュバーン/ラクドスリアニメイト

週刊 Modern Pioneer Standard ピックアップ

2025.01.31

mtg Yuyan

こんにちは。 細川 侑也(@yuyan_mtg)です。 今週のピックアップデッキでは、ちょっと珍しいデッキを、軽い解説を交えて紹介していきます。         紹介デッキ ジェスカイ眼魔 オボシュバーン ラクドスリアニメイト ジェスカイ眼魔 スタンダードリーグ : 5-0 By SaltyXD スタンダードからレガシーまで幅広い環境で使われているクリーチャーと言えば。   そう、《忌まわしき眼魔》。 3マナ5/5飛行脅威的なスペックに加えて、相手のアップキープに戦慄予示を行い、放置しておくとクリーチャーがどんどん横並びになっていく、モダンホライゾン産と言われても疑わないパワーを持っています。 デメリットとして唱える際に墓地を6枚要求するので、モダンでは《発掘》、スタンダードでは《救いの手》など、リアニメイトでデメリットを打ち消す使い方が基本です。 そんな《忌まわしき眼魔》をリアニメイトすることに全力を注ぐデッキがアゾリウス眼魔。昨年の世界選手権から今も活躍を続けています。   本日紹介するジェスカイ眼魔は、《救いの手》《再稼働》で《忌まわしき眼魔》を吊り上げるコンセプトはアゾリウス眼魔と同じなものの、似て非なるデッキ。 最も異なるのは《忌まわしき眼魔》を墓地に落とす手段です。アゾリウス眼魔が《錠前破りのいたずら屋》や《第三の道の創設》でライブラリーから直接《忌忌まわしき眼魔》を落とすのに対し、このデッキでは手札からのディスカードしていきます。 《逸失への恐怖》はパイオニアやモダンでもお馴染みのクリーチャー。カードを捨てて引く能力で損をせず、昂揚した状態で攻撃することで追加の戦闘フェイズを獲得できる、便利な2マナ域。 同じ2マナ域の《太陽の執事長、インティ》もディスカード手段。こちらはリソースを稼ぎつつクリーチャーを強化してくれます。《逸失への恐怖》と相性が良く、昂揚を達成していると2回攻撃できるので、《太陽の執事長、インティ》も2回誘発するのです。 《蒸気核の学者》は面白いチョイスです。2ドローした後にインスタントかソーサリーか飛行を持つクリーチャーを捨てるかカードを2枚捨てるかのいずれかを選ぶので、《忌まわしき眼魔》を捨てれば2ドロー1ディスカードとかなりお得なカード。《遠眼鏡のセイレーン》を捨てても良いのでかなり使いやすいですね。もちろんこのディスカードにも《太陽の執事長、インティ》は反応します。 1枚だけ採用されている《上げ潮、キオーラ》も2枚引いて2枚捨てるクリーチャー。こちらはスレッショルド状態で攻撃するとタコが出るオマケつきなので、墓地が肥えてきた中盤以降は脅威となります。 《忌まわしき眼魔》をライブラリーからではなく手札から墓地に送り込むことで何が変わったのかというと、それはクリーチャーを多く採用できる点です。   従来のアゾリウス眼魔は《錠前破りのいたずら屋》《傲慢なジン》《忌まわしき眼魔》のクリーチャー12枚体制がデフォルトでした。《錠前破りのいたずら屋》はただの1/3警戒なので、戦慄予示による当たりは2種類しかなく、大体の場合はただの2/2クリーチャーです。 しかし、ジェスカイ眼魔は違います。《遠眼鏡のセイレーン》は外れとしても、《太陽の執事長、インティ》《逸失への恐怖》《上げ潮、キオーラ》は当たりの部類に入るので、《忌まわしき眼魔》を合わせて12枚は戦慄予示による当たりがあるのです。《遠眼鏡のセイレーン》《蒸気核の学者》も飛行を持っているので、戦慄予示で場に出す外れというわけでもありません。 また、《逸失への恐怖》《蒸気核の学者》《上げ潮、キオーラ》とドローできるカードがたくさん入っているので、《プロフトの映像記憶》も採用しています。《プロフトの映像記憶》はどんなクリーチャーもフィニッシャークラスに成長させるエンチャントなので、サイド後に《安らかなる眠り》を置かれた際には凄まじい活躍を見せるでしょう。 アゾリウス眼魔はアタッカーである《傲慢なジン》と《忌まわしき眼魔》がいずれも墓地依存のカードなので、墓地対策がとても苦手でしたが、このジェスカイ眼魔は墓地対策にかなり耐性のあるデッキです。 赤を使えるのでサイドには墓地を使わないダメージソースとして《ウラブラスクの溶鉱炉》も採用しており、墓地対策を無視しようとする姿勢が伝わってきます。 スタンダードで《忌まわしき眼魔》を出したい方、選択肢はアゾリウスだけではありませんよ! オボシュバーン パイオニアチャレンジ : 5位 By  KO_Mak パイオニアで長きにわたって親しまれていた相棒、《湧き出る源、ジェガンサ》が禁止され、最近は《空を放浪するもの、ヨーリオン》以外の相棒をすっかり見なくなりました。 そんな中、すい星のごとく現れたのがこのオボシュバーン。   奇数のカードしかデッキに入れられないという強力な制限がある《獲物貫き、オボシュ》。その分ボーナスは破格で、戦場に《獲獲物貫き、オボシュ》がいると、奇数のカードによりダメージがすべて倍になります。 《ギトゥの溶岩走り》は2マナ4点になり、《批判家刺殺》は6点火力になる。そんな夢のような相棒です。 奇数しか採用できない点も、バーンなら難しくありません。火力のほとんどは1マナで、《舞台照らし》《批判家刺殺》は3マナながら、絢爛コストは1マナなので実質1マナ。 そう、よく見るとこのオボシュバーンは、デッキ内に入っているカードがすべて1マナなのです。   それゆえに回った時には凄まじい速度です。《僧院の速槍》《損魂魔道士》の果敢持ちクリーチャーを非常に強く使えるデッキでもあります。何せデッキに入っているカードはすべて1マナですから、3連打してパワー4で殴ることもしばしばあるのです。絢爛と相性が悪いのはご愛嬌。 以前までは火力が弱かったため、《ボロスの魔除け》など2マナの火力呪文に頼る必要があり、《獲物貫き、オボシュ》を採用できませんでした。しかし、『ファウンデーションズ』で登場した《稲妻波》により、赤単でデッキが成立するようになったのです。 面白いのはサイドボードの偶数カードたち。   《解き放たれた狂戦士》はプロテクション白を持つので、天敵である《跳ねる春、ベーザ》を無視して殴り、《力線の束縛》をはじめとした白い除去も受け付けません。 そして4枚採用されている《碑出告の第二の儀式》は、相手のライフがちょうど10なら10点を与えるド派手な火力スペル。 これらの偶数のカードをサイドインする時は《獲物貫き、オボシュ》を相棒に指定できませんが、そのデメリットを補ってあまりある力が、この2種にはあります。   赤単バーンは相手のライフを20点削る設計のデッキです。なぜならデッキには1マナ2点や1マナ3点など、ただダメージを与えることしかできないカードが大量に入っているからです。クリーチャーが多いタイプの赤単は火力を除去として使い、クリーチャーでライフを削っていきます。そのため、ライフゲインを苦にしません。 スタンダードのグルール果敢などはその典型ですね。相手が《跳ねる春、ベーザ》を連打してライフが20になっていようと、《心火の英雄》《多様な鼠》《巨怪の怒り》などが絡めばあっという間にライフは消し飛びます。 そのクリーチャーによるダメージをあまり期待できない赤単にとって、ライフゲインカードは非常に厳しい。《跳ねる春、ベーザ》1枚で《火遊び》2枚分と考えると恐ろしいですよね。   だからこそ、サイド後はライフゲインを意識したカードチョイス。ライフを回復するカードは白が多いので、プロテクション白を持つ《解き放たれた狂戦士》、そして1枚で10点を出す《碑出告の第二の儀式》なのです。 赤好きにはたまらないオボシュバーン、ぜひお試しください。 ラクドスリアニメイト Ultimate Guard Open : 7-1 By Christian Rothen モダンでリアニメイトと言えば《御霊の復讐》。 モダンで《残虐の執政官》を出すなら《不屈の独創力》。 その常識を覆すのが、このラクドスリアニメイト。《御霊の復讐》ではなく《頑強》をリアニメイト手段とし、《残虐の執政官》を吊り上げます。 《頑強》は伝説のクリーチャーを釣れないので、強力なリアニ先の《偉大なる統一者、アトラクサ》《穢すもの、ウラモグ》は採用できません。 しかし、伝説以外でも強力な釣り先は存在します。それが《カザド=ドゥームのトロール》です。 スーパー威迫などと呼ばれている《カザド=ドゥームのトロール》。3体以上でしかブロックできないのでほとんどの場面でダメージを通すことができ、非常に早くクロックを刻んでいきます。1ターン目にサイクリングして土地をサーチして2ターン目に《頑強》で場に戻す動きは強力。   《カザド=ドゥームのトロール》はリアニメイトパーツでありながら、1マナで土地に変えられるので、腐ることがほぼないカード。実はリアニメイト要素はこのデッキには《残虐の執政官》と《頑強》しか入っていません。 残るパーツは殴るカードで構成されています。   《ドラゴンの怒りの媒介者》《ネザーゴイフ》は墓地が豪華になると強くなるカードたち。リアニメイトするためには墓地にカードを送る必要があるので、相性が良いですね。 《逸失への恐怖》は自身が墓地にある時は昂揚達成を助け、戦場に出てもカードを捨てて引くので、2つの意味で昂揚に貢献してくれます。もちろん昂揚達成時の2回攻撃のボーナスも強力。 《残虐の執政官》《カザド=ドゥームのトロール》と重いクリーチャーたちを採用しているので、《探偵のフェニックス》は非常に相性が良いカード。証拠収集6は非常に重いコストですが、このデッキなら達成は容易です。 そして《探偵のフェニックス》のバリューも非常に高いのがストロングポイント。《カザド=ドゥームのトロール》につけば《頑強》のパワーマイナス修正を受けても7点あり、しかも飛行3体を用意するのは現実的に不可能なので、事実上のアンブロッカブル。しかも《頑強》で釣り上げたターンに速攻をつけて攻撃もできます。 もちろん、《残虐の執政官》に《探偵のフェニックス》を授与して攻撃すれば大体勝ちですね。   《カザド=ドゥームのトロール》と《残虐の執政官》による一撃の打点が高いので、《逸失への恐怖》による2回攻撃も活きやすく、かなり早いデッキです。 《信仰無き物あさり》でリアニメイトが強化されたとは言われていたものの、これまでは良いデッキがまだ見つかっていませんでした。 このラクドスリアニメイトは《信仰無き物あさり》を再び輝かせるのか、今後の活躍に注目したいですね。

【週刊メタゲーム通信】2つの地域CSの結果から最新のモダン環境をご紹介!

週刊 Modern ピックアップ

2025.01.29

mtg Yuyan

こんにちは。 細川 侑也(@yuyan_mtg)です。 いよいよ2週間後に迫った、モダンで行われるチャンピオンズカップファイナル。 そのメタゲームに大きな影響を与える大型大会、地域チャンピオンシップが、ヨーロッパとカナダで行われました。 今回は2つの地域チャンピオンシップの結果から、最新のモダン環境を分析していきます! 紹介デッキ ボロスエネルギー 研磨ブリーチ エルドラージランプ 三強から二強へ 2つの地域チャンピオンシップで圧倒的に勝ち組だったのは、ボロスエネルギーと研磨ブリーチの2つ。事前に最大勢力と予想されていた3つの内、2つのデッキがトップ8にそれぞれ複数入賞し、しかも優勝を収めました。 仮想敵としてしっかり想定されていたにも関わらず優勝。これはボロスエネルギーと研磨ブリーチの自力の高さを証明したことに他なりません。 一方、三強の一角だったディミーア眼魔はトップ8に0……それどころかトップ16にも姿を見かけることはなく、先週の負け組となりました。 ティムールブリーチとボロスエネルギーの両方に負けただけでなく、新たに出てきたオルゾフブリンクにも相性が悪く、ディミーア眼魔は最前線から脱落したと言って良いでしょう。 その代わりに先週の活躍が目立ったのがエルドラージランプ。 トップ8にはヨーロッパに1人のみだったものの、ヨーロッパのトップ16ライン、更にプロツアー権利獲得ラインまで見てみると、研磨ブリーチと並んで最多突破を果たしています。   エルドラージランプは今回あまり意識されておらず、その結果大躍進でした。今週からは青いデッキは《記憶への放逐》4枚から始まることになりそうですが、その上でまだ生き残れるようなら、いよいよエルドラージは本物。エネルギー・ブリーチと並んで三強となるかもしれません。 カナダの地域チャンピオンシップではオルゾフブリンクやドメインカスケード、アミュレットに青単ベルチャーと、様々なデッキが活躍しており、エネルギーとブリーチが座る玉座を虎視眈々と狙っています。 トップメタを意識するだけでは決して勝てない。いろいろなデッキが牙を隠し持ち、そして鋭いのがモダンの特徴。千葉ではどのようなメタゲームが展開されるのか、今から楽しみですね。 ボロスエネルギー カナダ地域チャンピオンシップ :  By Simon Piché カナダの地域チャンピオンシップを制したのはボロスエネルギーでした。   MOCSでは《鏡割りの寓話》を採用したリストが優勝しましたが、こちらは《歴戦の紅蓮術士》。 《鏡割りの寓話》は出すだけで相手に1対2交換を半ば強要させつつ手札を入れ替える、わかりやすい強カード。 一方の《歴戦の紅蓮術士》は、手札を入れ替える能力こそ一緒ですが、クリーチャーそのものは脅威ではないため、相手から除去を引き出すことはできません。その代わり、トークンを生成して横並びさせたり、自身を墓地から追放することでトークンを生み出せるので、《ゴブリンの砲撃》と相性が良いカードです。 更に手札が1枚や0枚の状態でも2ドローはできるので、後半にトップデッキした際にはリソースを稼ぐカードにもなってくれます。遅いターンでは明確に《鏡割りの寓話》より強く、特に消耗戦になりやすいミラーマッチでは重宝します。   除去は《岩への繋ぎ止め》ではなく、《電気放出》と《静牢》のエネルギー絡み除去。 以前の記事では、《色めき立つ猛竜》がいなくなったことで、エネルギーを稼ぐ理由が薄くなったため、逆にエネルギーに依存しない構成も出てきたとお話ししましたが、このリストはエネルギーを全力で活用します。 なんだかんだ《電気放出》はエネルギーさえ余っていれば1マナの万能除去で、《静牢》も同じくどんなカードも対処可能。《魂の導き手》が残りさえすればエネルギーには困らないので、除去がエネルギーに寄ると《魂の導き手》が非常に重要になります。 そんな事情を解決してくれるのが《イーオスのレインジャー長》です。これにより他のリストに比べて《魂の導き手》が出しやすくなっているので、納得のチューンです。研磨ブリーチにも強いですし、《イーオスのレインジャー長》は素晴らしいチョイスですね。 ボロスでは定番だった《血染めの月》が不採用だったり、《スレイベンの魔除け》がしっかりと2枚採用されているなど、メタゲームに合わせてしっかりと作りこまれています。 サイドボードも対エルドラージ用の《黒曜石の焦がし口》に、研磨ブリーチ対策の《石のような静寂》、《オアリムの詠唱》など、2色だけでも十分各デッキに対するサイドボードが揃っており、リストから死角のなさがうかがえます。 千葉でも数多くのエネルギーが生み出されては消費されていく。それは間違いないでしょう。 研磨ブリーチ ヨーロッパ地域チャンピオンシップ : 優勝 By  Alexander Rohan プラハの地で優勝を収めたのは研磨ブリーチ。カナダでは白を加えた4色の研磨ブリーチがトップ8に2人残りましたが、こちらは純正のティムールカラーのブリーチです。   《邪悪な熱気》を1枚まで減らし、相手への干渉手段を様々なカードに代えた独特な構成です。 《呪文嵌め》はミラーマッチやディミーア眼魔に強く、《白鳥の歌》もコンボデッキ全般に強く、全体的に同型を意識していると言えます。 サイドボードと合わせて合計で3枚入っている《アノールの焔》は、ウィザードが8枚入っているティムールブリーチと相性の良い1枚。特に《知りたがりの学徒、タミヨウ》は相性抜群で、《アノールの焔》で5点と2ドローしつつ、即変身と美しい流れ。 サイド後は《ドラニスの判事》《減衰球》などを対処しながらカードを引けるので、サイドボードに2枚採用されています。 《アノールの焔》は今後ブリーチのサイドボードに増えそうなので、ブリーチ対策の際にはクリーチャーかアーティファクト以外を採用したいところですね。《石のような静寂》の枚数が増えそうです。 4色であれば《損耗+摩耗》が使えたり、メインでも《ポータブル・ホール》があるなど、相手の対策カードに触りやすいのですが、ティムールカラーにも大きな利点があります。 それは《変容する森林》を使える点です。 以前までは《一つの指輪》が入った上でマナソースが25枚ほどだったこのティムールブリーチは、禁止改訂で《一つの指輪》を失い、2種のモックスを合わせて26枚のマナソースになりました。どう考えても以前のブリーチよりもマナフラッドしやすくなっています。 そこでこの《変容する森林》です。昂揚することで墓地のパーマネントに変容できるので、《湖に潜む者、エムリー》や《研磨基地》で《死の国からの脱出》を墓地に落とし、《変容する森林》でコピーすることが可能です。 4色は相手への干渉手段が豊富で、3色では《変容する森林》が使える。どちらにもメリットがあり、一概に一方が優れているとは言えません。   3色と4色、これから活躍していくのは果たしてどちらになるのでしょうか。ブリーチが流行るのならば、ミラーマッチでより多くのキラーカードを使えて、かつ増えるであろう対策カードを割れる4色が優れていると、個人的には思います。 ただ、《変容する森林》を使えるメリットは大きく、マナベースの安定も長丁場では重要です。どちらを使うべきか迷ってしまいますね。 エルドラージランプ ヨーロッパ地域チャンピオンシップ : 2位 By FerMTG 惜しくも準優勝だったものの、世界選手権の権利を勝ち取るに至ったエルドラージランプ。   モダンでは掟破りの2マナランド《ウギンの迷宮》《エルドラージの寺院》によって2ターン目に《まき散らす菌糸生物》を唱えて更にマナ加速。 3ターン目には更なる《まき散らす菌糸生物》を今度はキッカーで唱え、相手の土地を割りながら更なるマナ加速をしたり、《世界を壊すもの》や《大いなる創造者、カーン》に繋げてゲームに勝利するデッキです。 《一つの指輪》を失って大打撃を受けたのは間違いありませんが、《コジレックの命令》というエルドラージ専用の超強力なスペルはまだ健在。適当に大量のマナから《コジレックの命令》を打ち、落とし子を生成しながら《約束された終末、エムラクール》を探して次のターンに唱えるだけで勝利できるすごいインスタントです。 相手の墓地に触れたり、クリーチャーを除去したりなど、《コジレックの命令》はすべてのモードが超強力。さすが『モダンホライゾン3』産といったところでしょうか。   《約束された終末、エムラクール》はこのデッキのフィニッシャー。《邪悪鳴らし》で墓地が肥え、《コジレックの命令》がインスタントと同族で2カウントとなるので、8~9マナほどで唱えることができます。更に《エルドラージの寺院》《ウギンの迷宮》が並べば1枚の土地から2マナが出るので、驚くほど早く戦場に出てきます。 序盤は《ウギンの迷宮》で刻印し、マナが揃ったら回収して唱えます。そのため、3枚と多めに採用されています。 そしてこのリストの最大の特徴はなんといっても《のたうつ蛹》でしょう!『モダンホライゾン3』リミテッドではコモンなのにレア級と言われ、パウパーでも大活躍するカードですが、ついにモダンでも採用されました。 落とし子を2つ生成するのでマナ加速になるだけでなく、その落とし子を生け贄にすれば4/5になるので、エネルギーに対しても強力なブロッカーになってくれます。到達もあるので《魂の導き手》で飛ばれても心配ありません。同じ4マナの《まき散らす菌糸生物》は《火の怒りのタイタン、フレージ》で焼かれたり、飛行に対して無力なことを考えると、《のたうつ蛹》の強さがわかりますね。 《のたうつ蛹》によってボロスエネルギー耐性は確実に上がっていることでしょう。実際、今大会ではボロスエネルギーに5回当たり、4回勝利しています。   このエルドラージランプは2色にまとめられていますが、ネックとなるのが《記憶への放逐》を使えない点。そこでミラーマッチ最強の《記憶への放逐》の代わりに採用しているのが《石の雨》です。 《楽園の拡散》と《ウギンの迷宮》があるので2ターン目から《石の雨》を打てるのがエルドラージランプの魅力。ティムールエルドラージも青マナを安定して供給できるわけではないので、1枚割ってしまえば《記憶への放逐》をそのまま腐らせられる場合も。 《記憶への放逐》が強力であることに異論はありませんが、《石の雨》にも利点があります。2色にまとめて《のたうつ蛹》を採用してボロスエネルギーに強くなっているのも大きく、これまでエルドラージランプと言えばティムール一択でしたが、今はグルールとティムール、どちらも素晴らしいデッキだと思うようになりました。   特にこのグルール型はすごく理にかなっており、今後流行のリストになっていくかもしれません。

【今週のピックアップデッキ】ラクドスサクリファイス/ディミーアバウンス/ライフネクロ

週刊 Modern Pioneer Standard ピックアップ

2025.01.24

mtg Yuyan

こんにちは。 細川 侑也(@yuyan_mtg)です。 今週のピックアップデッキでは、ちょっと珍しいデッキを、軽い解説を交えて紹介していきます。         紹介デッキ ラクドスサクリファイス ディミーアバウンス ライフネクロ ラクドスサクリファイス スタンダードリーグ : 5-0 By Tomemoc 最近のスタンダードでは《この町は狭すぎる》《嵐追いの才能》のバウンスギミックが大流行していますが、サクリファイスもスタンダードでは定番のギミックでした。 その名の通り、生け贄(サクリファイス)を有効活用するのがラクドスサクリファイス。まずは生け贄にする手段からご紹介しましょう。   《塔の点火》《最後の復讐》は生け贄にして対象を除去するカードたち。《塔の点火》は生け贄にせずとも2点火力なのでそもそも及第点で、今のスタンダードでは引っ張りだこのカードですね。 《最後の復讐》はサクリファイス専用の除去。クリーチャーかエンチャントを生け贄に捧げることで使える1マナの除去で、好きなクリーチャーを追放できます。生け贄という大きな追加コストな分、強力な除去です。 この2種類はいずれも追放除去なので《心火の英雄》を後腐れなく除去できます。 近頃のサクリファイスで欠かせないのが《不穏な笑い》。他のエンチャントかクリーチャーを生け贄に捧げることで2ドローでき、更にこの《不穏な笑い》が生け贄に捧げられた時に戦慄予示を行えます。能動的な生け贄手段になるだけでなく、自身も生け贄時にボーナスがある、まさにサクリファイスのためのカード。 そして忘れてはならないのが《甦りし悪夢、ブレイズ》。終了ステップにカードを生け贄にし、それと同じタイプのパーマネントを生け贄に捧げさせます。その生け贄を拒否すると2点のライフルーズをさせながら自分が1ドロー。基本は相手がコントロールしていないカードタイプを生け贄にするので、ライフを失わせつつリソースを稼ぐスーパーカードです。 強力な生け贄軍団の次は、その供物たちをご紹介しましょう。   《機械仕掛けの打楽器奏者》は1ターン目から攻撃しつつ、生け贄にするとライブラリーのトップをプレイできるカード。生け贄はリソースを失う行為ですが、《機械仕掛けの打楽器奏者》はカードを失うことのない生け贄素材なので、非常に使い勝手が良いですね。 最近ではバウンスギミックのデッキでも大活躍中の《悪意ある呪詛術士》もサクリファイスで活躍します。戦場に出た時に生成される呪われし者の役割はエンチャントなので、実は《最後の復讐》や《塔の点火》で生け贄にできます。本来デメリットであるはずの呪われし者がサクリファイスではメリットに働くというわけですね。 《望み無き悪夢》もバウンスデッキで活躍するエンチャント。バウンスでは何度も使いまわして手札とライフを奪いますが、サクリファイスでは生け贄先として使います。墓地に置かれた時に占術2ができるのはかなり便利です。 サクリファイスは戦場のパーマネントを生け贄に捧げることが多いので、落魄しやすいデッキです。というわけで強力な落魄カードも採用されています。   《鍾乳石の追跡者》は落魄でどんどん成長していくクリーチャー。威迫があるのでブロックされず、生け贄にすることで除去も行える便利な1マナ域です。1ターン目に出した《鍾乳石の追跡者》を毎ターン《甦りし悪夢、ブレイズ》なので強化していくのが理想の流れとなっています。 落魄カードでもあり、エンチャントなので生け贄にもできるのが《迷いし者の骸》。落魄すれば何度も使い回せるので、こちらがライフを詰めにいく展開ではどんどん手札に戻していくことになります。 落魄手段は決して戦場から墓地に送るだけではありません。《逸失への恐怖》のディスカードで墓地にパーマネント・カードを送っても落魄してくれるのは覚えておいて損はないです。 説明不要の強カード、《ウラブラスクの溶鉱炉》は出たトークンを生け贄に捧げてもよし、ターンが経てばフィニッシャーとしてもよしですが、あくまで生成されるのはトークンなので、落魄しない点には注意。それでも十二分に活躍できます。 様々なシナジー満載のラクドスサクリファイス、この手のデッキがお好きな方にはたまらないはず! ディミーアバウンス パイオニアチャレンジ : 4位 By  rasvd スタンダードですっかり一大勢力となっているバウンス系デッキ。先ほども話にあがりましたが、今のスタンダード環境を語るなら欠かせないギミックです。 《嵐追いの才能》を出し、その《嵐追いの才能》と相手のパーマネントを《この町は狭すぎる》で戻し、《嵐追いの才能》を再びキャスト。レベル2になった時の能力で《この町は狭すぎる》を回収することで、マナはかかりますが無限に《この町は狭すぎる》で妨害を行いつつ、カワウソを生成できるようになります。 そんなバウンスタッグがなんとパイオニアでも活躍しています!   パイオニアでも動きに大きな違いはありません。《逃げ場なし》を戻して除去の使い回しを行ったり、《望み無き悪夢》で相手の手札とライフを同時に攻めていきます。 《食肉鉤虐殺事件》は使い回せる全体除去で、置いておくと相手のクリーチャーを除去するだけでライフを得られるので、コントロールにとって嬉しい1枚。 実は《覆いを割く者、ナーセット》もバウンスカードと相性が良いプレインズウォーカー。『灯争大戦』の一部のプレインズウォーカーは強力な常在能力がある代わりにプラス能力が存在しないため、忠誠度がなくなった後は常在型能力を持った置物になってしまいます。《覆いを割く者、ナーセット》もその内の1枚。 しかし、《孤立への恐怖》《この町は狭すぎる》で手札に戻せば《覆いを割く者、ナーセット》を再び再利用できるのです。 手札に戻すことでリソースを獲得できるカードとして《稲妻罠の教練者》も採用されており、《逃げ場なし》を戻す必要のない対コントロールなどでは、《稲妻罠の教練者》と《覆いを割く者、ナーセット》を何度も使い回していきます。 そしてなんといってもスタンダードとの一番の違いはライブラリーの枚数です!ご覧の通り、このディミーアバウンスはメインが80枚。   そう、《空を放浪するもの、ヨーリオン》が相棒なのです。 ディミーアバウンスは、戦場に出た時に効果を発揮するパーマネントをバウンスで何度も出し直して勝利するデッキ。それならば、戦場のパーマネントを一斉に明滅させてくれる《空を放浪するもの、ヨーリオン》との相性は抜群です。   《稲妻罠の教練者》《望み無き悪夢》《嵐追いの才能》《チビボネの加入》《逃げ場なし》は《空を放浪するもの、ヨーリオン》で一時追放するだけで恩恵がありますし、《覆いを割く者、ナーセット》もリフレッシュできます。 更にこの《空を放浪するもの、ヨーリオン》を《この町は狭すぎる》で回収してもう一度使用することができるので、相棒を徹底的に使い倒すことができるのです。今存在しているデッキの中で最も相棒と相性の良いデッキがこのディミーアバウンスなのです。 相棒は必ず手札に加えられるカードなので、戦略に組み込んだ時の強さは恐ろしいものです。ランダム要素の強いマジックというゲームにおいて非常に高い再現性を生み出すのが相棒システムです。   相棒界の王、《夢の巣のルールス》が入ったデッキは、軽いアクションで相手の除去と交換を続け、除去が尽きたところで《夢の巣のルールス》を出して勝利という動きが定番でした。必ずゲーム中に引けるカードは戦略として実に組み込みやすいのです。 パイオニアのディミーアバウンスは《空を放浪するもの、ヨーリオン》によって非常にデッキパワーが高く、これからどんどん活躍していくデッキになると個人的には思っています。 ライフネクロ モダンリーグ : 5-0 By PeanutBrittle ライフをドローに置換することのできる《ネクロポーテンス》。そのリメイク版として『モダンホライゾン3』で登場したのが《ネクロドミナンス》です。 元祖よろしく1点のライフを支払ってカードを引けるエンチャントで、手札の上限枚数が5枚になるなど、デメリットこそありますが、その性能は基本的には《ネクロポーテンス》です。 この《ネクロドミナンス》を活用したデッキが黒単ネクロ。《一つの指輪》《ネクロドミナンス》で大量の手札を確保し、《魂の撃ち込み》を相手に打ち続けて勝利します。 《一つの指輪》の禁止によってリソース確保手段は減ってしまいましたが、それでも《ネクロドミナンス》の強さは健在。今回は形を大きく変えた《ネクロドミナンス》デッキとして、このライフネクロを紹介します。 《ネクロドミナンス》で大量ドローするためにはライフが必要になりますが、その回復手段として黒単でも定番だった《魂の撃ち込み》と《不憫な悲哀の行進》に加えて、《滋養の群れ》も採用されています。 《滋養の群れ》は手札から緑のカードを追放することで、その追放したカードのマナ総量分のライフを獲得できます。《土着のワーム》を追放して15点ゲインできるので、《ネクロドミナンス》15ドロー分を0マナで確保できるのです。 《滋養の群れ》で回復するために《土着のワーム》の上から採用されているのが《一なる否命》です。手札からプレイした際にライブラリーからスピリットを場に出し、死亡時に墓地からスピリットを吊り上げる……なんて能力を使うことは一度もありません。 このカードの価値はそのマナ総量と色にあります。   《滋養の群れ》のコストに使えば12点のライフを得られる他、黒なので《魂の撃ち込み》でも追放できます。要するに黒でもあり緑でもあるカードの中で最も重いカードだから採用されているのです。 ライフゲインカードを大量にデッキに入れたことで《マルコフ家のソリン》を活用できるようになったのもポイント。3点以上のライフを得ることで変身でき、プレインズウォーカーになると、このターンに得たライフの分だけ好きな対象にダメージを与えられるので、《滋養の群れ》で《土着のワーム》を追放すると15点ダメージになります。 《薄暮薔薇の棘、ヴィト》も回復したライフ分、相手のライフを失わせるカードなので、このデッキの《滋養の群れ》は0マナ15点火力となる瞬間が多々あります。 そして《オルサンクのパランティール》。終了ステップの開始時にカードを引くか、切削を相手が選び、切削したカードの中のマナ総量分だけ相手にダメージが入ります。 通常は切削を選ばれますが、このデッキは《滋養の群れ》のために6枚の超高コスト呪文を採用できるようになったので、《オルサンクのパランティール》による切削は時に一撃必殺となるのです。 ギミック満載のアブザンネクロ、その破壊力をぜひ味わってみてください。

【週刊メタゲーム通信】MOCSの結果から最新のモダン三強リストをチェック!

週刊 Modern ピックアップ

2025.01.22

mtg Yuyan

こんにちは。 細川 侑也(@yuyan_mtg)です。 今回は、マジックオンラインの結果やモダンの大型大会から、最新のモダンのデッキをご紹介していきます! 紹介デッキ 4色ブリーチ ボロスエネルギー ディミーア眼魔 メタゲーム マジックオンラインの中で最高峰のトーナメント、Magic Online Champions Showcase。 厳しい予選を勝ち抜いて出られる大会に優勝したプレイヤーたちと、マジックオンラインのリーダーボード上位2名の計8人だけが参加できるのがMOCSです。 フォーマットはキューブドラフトとモダン。 2度の予選を突破しなければ参加できない狭き門に加え、高額賞金と世界選手権の権利もかかっている大会なため、とても競技性の高いトーナメントとなっています。 8名のプレイヤーがここで選択するデッキは、モダン環境で最も強いデッキたちに違いありません。 研磨ブリーチ(3名) 最も人気のアーキタイプは、《研磨基地》と《死の国からの脱出》による即死コンボを擁する研磨ブリーチ。   有名ストリーマーにしてプロプレイヤーのkanisterことPiotr Głogowski選手はオーソドックスなティムールカラーのブリーチ。   そしてハンドシェイクのチームメンバーであるKarl Sarap選手とDavid Inglis選手は4色のブリーチを選択しました。   ブリーチの魅力は圧倒的な速度。2種のモックスによる圧倒的な速度によって2ターンキルすら可能で、コンボにクリーチャーが絡まないため、エネルギーデッキにメイン戦での勝率が高いのが特徴です。 ディミーア眼魔にも《ウルザの物語》によるプレッシャーで《死の国からの脱出》を通すことができ、上位2つのデッキに対してメインボードで比較的有利に戦えるのが、ブリーチが最大勢力となった理由でしょう。 コンボデッキゆえにサイドボード後の勝率は落ちてしまいますが、それでもメイン戦での優位は魅力的です。 ボロスエネルギー(2名) 今大会で優勝を収めたボロスエネルギー。近頃日本では黒をタッチしたマルドゥエネルギーが主流ですが、マジックオンラインでは相変わらず純正のボロスエネルギーが活躍しています。 エネルギーの立ち位置は絶対王者。メタゲームというよりかは、そのデッキパワーの高さで環境を牽引しています。 《湧き出る源、ジェガンサ》《一つの指輪》《色めき立つ猛竜》を失ってもエネルギーは環境随一のパワーを誇ります。《魂の導き手》《オセロットの群れ》《ナカティルの最下層民、アジャニ》《火の怒りのタイタン、フレージ》、この4種の『モダンホライゾン3』産カードたちは圧倒的な強さです。 今後モダンのメタゲームがどのように変化しても、エネルギーは不動の存在でしょう。環境の中心に常にエネルギーは鎮座し続けます。 ディミーア眼魔(2名) エネルギーと同じく2名のプレイヤーが選択したのはディミーア眼魔。 強力カード揃いの『モダンホライゾン3』でも一、二を争うパワーを持つ《超能力蛙》を主軸に据えたデッキで、その強さはボロスエネルギーと比べても遜色ありません。 ディミーア眼魔はボロスエネルギーと違い、青いデッキゆえに対コンボ性能が高いのが特徴。研磨ブリーチはもちろん、Tier2のアミュレットタイタンやベルチャーなど、モダン環境にはコンボデッキも多く、どのコンボデッキとも戦えるのがディミーア眼魔の強みです。 エルドラージランプ(1名) 研磨ブリーチ・エネルギー・ディミーア眼魔。この現モダンの三強以外を選んだのは1人のみ。John Ramos選手はティムールカラーのエルドラージランプを選択しました。   《エルドラージの寺院》《ウギンの迷宮》によりエルドラージは、モダンで唯一2マナランドを使えるデッキ。それを活かして早いターンから大きな《コジレックの命令》を唱えたり、《まき散らす菌糸生物》で更なるマナ加速&土地破壊を行っていきます。 《まき散らす菌糸生物》から《世界を壊すもの》で徹底的に土地を攻める動きはほとんどデッキに強く、《コジレックの命令》でメインから墓地対策が可能だったり、《コジレックの帰還》でエネルギーのクリーチャーたちを根こそぎ焼き払うなど、環境の上位デッキに対してしっかり戦えるのがエルドラージです。 特に複数枚の2マナランドが初手にある際の動きはレガシーと見まごうほど。   一昔前のエルドラージはウルザ土地を入れた重いデッキだったため、《血染めの月》《海の先駆け》を苦手としていましたが、現代のエルドラージランプは《まき散らす菌糸生物》《コジレックの命令》によるマナ加速ができ、デッキも比較的軽くなっているため、さほどこれらの対策カードが機能しません。 《記憶への放逐》というキラーカードは存在するものの、それ以外に有効なサイドカードはさほどありません。《一つの指輪》の禁止によって弱体化を余儀なくされたものの、研磨ブリーチ・エネルギー・ディミーア眼魔と戦う力はしっかりとあります。 4色ブリーチ Magic Online Champions Showcase : 4位 By David Inglis チームハンドシェイクの2名が選択した4色研磨ブリーチ。4色とは言っても青単に緑と白と赤をタッチした、実質トリプルタッチ。何を言っているかわからないと思いますが、3色をそれぞれ少しずつ入れています。   赤は《死の国からの脱出》を使うので当然入っていますが、《邪悪な熱気》が1枚しか入っておらず、ほぼ《死の国からの脱出》のためだけに赤が採用されています。除去である《邪悪な熱気》は早いターンから打ちたいので、1~2ターン目に赤マナをサーチする必要がありますが、《死の国からの脱出》はもう少し遅くに必要となるので、《オパールのモックス》から捻出してもOKです。《邪悪な熱気》の枚数をおさえることにより、色マナの要求を軽減しています。 緑は定番の《邪悪鳴らし》。墓地を肥やしつつ、《研磨基地》《死の国からの脱出》のコンボパーツにアクセスできる強力なスペルです。落とし子も出るので、2ターン目に《邪悪鳴らし》を唱えて3ターン目に4マナから《死の国からの脱出》+《研磨基地》で即勝ちが可能です。 従来はこのティムールカラーにまとめられていたブリーチ。《邪悪な熱気》を4枚採用して赤が濃くなっていましたが、4色ではこの《邪悪な熱気》の代わりに《ポータブル・ホール》が採用されています。 《ポータブル・ホール》は《邪悪な熱気》と違ってクリーチャー以外のパーマネントにも触れられるのが強み。サイド後は《虚無の呪文爆弾》《減衰球》《ドラニスの判事》(これは《邪悪な熱気》でも触れますが)などの対策カードを置かれるので、それらを退けるのにも活用できます。 そしてなんといっても、《邪悪な熱気》と違い《超能力蛙》を除去できるのがポイントです。これは《ポータブル・ホール》を採用する一番の理由と言って良いかもしれませんね。 《ポータブル・ホール》はアーティファクトなので《オパールのモックス》の金属術に貢献するのもポイントです。 最初は4色のブリーチに疑問でしたが、《ポータブル・ホール》の強さに納得し、今ではこのリストが最も良いと思うようになりました。   禁止改訂から時間が経過して研究が進んでいき、研磨ブリーチもいよいよ完成に近づいています。   エネルギー・ディミーア眼魔・研磨ブリーチの三強時代は、当分続くかもしれません。 ボロスエネルギー Magic Online Champions Showcase : 優勝 By  Charalampos Kikidis 環境の王者、ボロスエネルギー。   《色めき立つ猛竜》《一つの指輪》とアドバンテージ源を失ったため、《ベイルマークの大主》《溌剌の牧羊犬、フィリア》を採用するマルドゥ型が日本では流行の兆しを見せていました。 ボロスエネルギーは新たなアドバンテージ源を採用することなく、よりアグロ方面に舵を切っており、1マナ域として《敏捷なこそ泥、ラガバン》が追加されています。 《オークの弓使い》が環境からいなくなったことで、《敏捷なこそ泥、ラガバン》は以前よりも強いカードとなりました。《魂の導き手》で強化してしまえば、中盤以降もダメージを通すことが可能なので、エネルギーに入っている《敏捷なこそ泥、ラガバン》は強力です。 MOCSに持ち込まれたボロスエネルギーで最も特徴的だったのは、メインから採用されている《スレイベンの魔除け》でしょう。除去枠に入っているこのカードは、除去として使うには2マナと少し重いですが、重要なのは墓地対策である点。 研磨ブリーチ・ディミーア眼魔、そしてボロスエネルギーにはそれぞれ墓地対策が有効なので、このカードのメイン採用は納得です。Andrei Klepatch選手に至っては《外科的摘出》まで採用しており、墓地に対する意識の高さがうかがえますね。 エネルギー同型でも一方的に《火の怒りのタイタン、フレージ》を抜いてしまえば勝てる可能性は非常に高く、腐るマッチはさほどありません。とはいえ、能動的なアクションではなく、デッキに決してあっているとは言えないので、メインに入れるには1枚が限界な気がしますが。 先ほどアドバンテージ源は採用していないと言ったものの、手札を入れ替える3マナ域のカードは入っています。《鏡割りの寓話》と《歴戦の紅蓮術士》で今回は分かれました。   《歴戦の紅蓮術士》は《ゴブリンの砲撃》と特に相性が良いカードで、手札が0枚の時は2ドローできるので手札がしっかり増えてくれます。これは《鏡割りの寓話》にはない魅力ですね。 一方の《鏡割りの寓話》は……最早説明不要ですね。第一章のトークンも強く、二章で手札を入れ替え、変身後も放置できない。相手に2枚の除去を強要させた上で不要なカードを有効牌に変えられる、1枚でアドバンテージを取れるカードです。 《歴戦の紅蓮術士》《鏡割りの寓話》のどちらが優れているか、結論を出すのは難しいでしょう。MOCSに出場するプレイヤーたちの中でも考えがまとまっていないほどですからね。   今回優勝したのは《鏡割りの寓話》を採用したリストでしたが、強いのは果たしてどちらなのか、これからのボロスエネルギーの進化にも注目ですね。 ディミーア眼魔 Magic Online Champions Showcase : 2位 By Matthew Wright 三強の最後の一つ、ディミーア眼魔。リストはほぼ固定化されてきており、《超能力蛙》《忌まわしき眼魔》は4枚固定、《濁浪の執政》は2枚~3枚、《海の先駆け》が2枚。ここまではほぼ固定です。 ……のはずですが、今回ご紹介しているMatthew Wright選手のリストは《忌まわしき眼魔》が3枚に押さえられており、とても独創的なリストとなっています。   その代わりに《オークの弓使い》が3枚採用されており、ボロスエネルギーの《オセロットの群れ》《敏捷なこそ泥、ラガバン》を除去しつつ、研磨ブリーチの《定業》《ミシュラのガラクタ》を使いにくくします。 《一つの指輪》の禁止によりドローするデッキが減り、《オークの弓使い》は少し弱くなりましたが、タフネス1のクリーチャー、とりわけ《敏捷なこそ泥、ラガバン》が増えるのであれば、再び《オークの弓使い》の出番というわけでしょう。 スペル枠はほぼ固定されており、1マナの打ち消し枠の《呪文嵌め》を2~3枚採用するリストがほとんどです。エネルギーの《ナカティルの最下層民、アジャニ》《ゴブリンの砲撃》、眼魔ミラーの《対抗呪文》《超能力蛙》、研磨ブリーチの《死の国からの脱出》《研磨基地》と、それぞれのデッキの強力なカードを消せることから、《呪文嵌め》は今重宝されています。 エネルギーの《火の怒りのタイタン、フレージ》が厳しいため、墓地対策がメインから採用されることも多く、《虚無の呪文爆弾》が入っている場合がほとんどです。《外科的摘出》を採用するリストもあり、この辺りの事情はエネルギーの墓地対策と同じですね。 墓地対策が増えてきていることを意識したのがMatthew Wright選手のディミーア眼魔です。   墓地がないと手札から唱えられない《忌まわしき眼魔》、そして墓地から吊り上げる《発掘》がいずれも3枚に押さえられており、それらの枠が《オークの弓使い》になっているので、墓地依存度が下がっています。 とはいえ、2ターン目に《発掘》で《忌まわしき眼魔》を釣るのはこのデッキ最大のブン回り。不利マッチも2ターン目の《忌まわしき眼魔》+《否定の力》などで勝ててしまうのもディミーア眼魔の強みなので、そこを犠牲にするべきかは悩みどころです。 墓地依存をどれだけ下げるか、そしてメインから墓地対策をどれぐらい採用するか、この辺りはディミーア眼魔の調整をする上で重要となるでしょう。

【今週のピックアップデッキ】グルール昂揚/シミック眼魔/焼却者バーン

週刊 Modern Pioneer Standard ピックアップ

2025.01.18

mtg Yuyan

こんにちは。 細川 侑也(@yuyan_mtg)です。 今週のピックアップデッキでは、ちょっと珍しいデッキを、軽い解説を交えて紹介していきます。         紹介デッキ グルール昂揚 シミック眼魔 焼却者バーン グルール昂揚 スタンダードリーグ : 5-0 By Edel スタンダードでグルールと言えば《心火の英雄》《多様な鼠》《熾火心の挑戦者》の強力な赤のハツカネズミたちを主軸に据えた赤アグロ。 このグルールもアグロデッキではありますが、《心火の英雄》《多様な鼠》《熾火心の挑戦者》の3種のハツカネズミはいずれも採用されていません。 このグルールは、その名の通り"昂揚"によって戦うデッキです。 マジックオンライン以外でも、関西でのリアルトーナメントでも活躍しており、プレミアム予選も突破している、今ホットなデッキ。 昂揚は、4種のカードタイプを墓地に揃えることで達成できます。条件が非常に厳しいため、昂揚になった際のボーナスは強力な場合が多く、このデッキには多くの昂揚ボーナスを持つカードたちが採用されています。 まずは1マナ3/3と破格のスタッツを持つ《継ぎ接ぎのけだもの》。昂揚状態でしか戦闘に参加できませんが、アップキープに切削を行えるので、昂揚を助けてくれます。自身がアーティファクトクリーチャーなので墓地に落ちた際の昂揚カウントにも便利。 下フォーマットでもお馴染みの《逸失への恐怖》は、昂揚で追加の戦闘フェイズを発生させる凄まじいカード。戦場に出た時にカードを捨てて引き、更にクリーチャー・エンチャントなので、昂揚の達成にも貢献します。 《野火の木人》は普通に出しても2マナ3/2速攻で、昂揚時は4/3トランプル。2マナ4/3速攻トランプルは下環境でも通用するスペックです。カカシなのでアーティファクトクリーチャーです。 そして《雑食性ハエトリグサ》。昂揚していると、戦場に出た時や攻撃時に+1/+1カウンターを2個割り振り、更に6種のカードタイプがある状態では乗せている+1/+1カウンターが倍になる、非常に攻撃的な植物です。 昂揚達成時の恐ろしさについてわかってもらえたところで、肝心の昂揚の満たし方についてもお話しましょう。   前述のようにエンチャントやアーティファクトでもあるクリーチャーたちがデッキには大量に入っているので、それらのクリーチャーを《陥没穴の偵察》の探検や《瓦礫帯の異端者》の諜報、《逸失への恐怖》のディスカードで墓地に落としていきます。 《脱走》はこのデッキだからこそ使える強力なスペル。2マナ以下の強力なクリーチャーが多いので、《脱走》で状況に応じて上6枚から選択して戦場に出すことができます。速攻のオマケがつくので、昂揚達成時に《逸失への恐怖》を出して、速攻を付けて他のクリーチャーをアンタップして再アタック、なんてことも。 昂揚さえ満たせればスタンダードとは思えない性能のクリーチャーたちで襲い掛かるこのグルール昂揚。普通のグルールに食傷気味の方はぜひお試しください。 シミック眼魔 パイオニアチャレンジ : 優勝 By  Tunaktunak 原根 健太さんが配信で開発し、直後にパイオニアチャレンジで入賞したのを皮切りに優勝・準優勝ととにかく勝ちまくっている、今激アツなデッキ。   その名の通り、このデッキは《忌まわしき眼魔》に特化している、眼魔による眼魔のための眼魔デッキです。《忌まわしき眼魔》を出す手段と《忌まわしき眼魔》を守るカードばかりでデッキは構成されています。 《忌まわしき眼魔》を出す手段は大きく2つ。1つは墓地を肥やして手札から出す。《ファラジの考古学者》《サテュロスの道探し》で墓地を肥やせますが、それ以外の切削カードは採用されていません。あくまで合法的に《忌まわしき眼魔》を召喚するのはサブプランです。 メインとなるのは、《新生化》によってデッキから直接場に出す方法です。   《新生化》は生け贄に捧げたクリーチャーよりマナ総量が1高いクリーチャーをデッキから場に出すことができます。 これにより、2マナクリーチャーを生け贄に捧げることで《忌まわしき眼魔》を場に出せるのです。 生け贄に捧げる2マナクリーチャーは《新生化》を手札に加える手段が3種採用されています。《ボーラスの占い師》《ファラジの考古学者》《稲妻罠の教練者》はすべて2マナでライブラリーの上3~4枚からインスタント・ソーサリーを1枚手札に加えられます。 2ターン目に《ボーラスの占い師》《ファラジの考古学者》《稲妻罠の教練者》で《新生化》を手札に加え、3ターン目に《新生化》で《忌まわしき眼魔》を呼び出しつつ、1マナを構えるのがシミック眼魔の勝ちパターンです。 《新生化》を防ぐために相手が2マナクリーチャーを除去してきても、2マナクリーチャーは14体も入っているので、次の2マナクリーチャーを用意すればいいだけです。こちらとしてはさほど痛手にはなりません。   《新生化》で《忌まわしき眼魔》を呼び出した後は、今度はこの《忌まわしき眼魔》を守るフェイズに突入します。   パワー4以上のクリーチャーをコントロールしていると《否認》になる強力な打ち消し、《頑固な否認》。《忌まわしき眼魔》を出す前提なら《否認》の上位互換です。 《タイヴァーの抵抗》は1マナで使えば呪禁と破壊不能を付与するインスタント。マナをつぎ込むことでパワーとタフネスにも修正を加えるので、フィニッシュ手段としても優秀です。 モダンの御霊でも採用実績のある《本質の変転》も《忌まわしき眼魔》を逃がせる1枚です。クリーチャーを追放して戦場に戻すので、たとえば戦慄予示で伏せてある《ファラジの考古学者》に《本質の変転》を打つと、表のまま戦場に出るので《ファラジの考古学者》の能力を誘発させられます。 このように3種の《忌まわしき眼魔》を守る手段はそれぞれ違うメリットを持っています。   《消えゆく希望》は優秀なバウンス呪文です。シミックカラーでは除去手段がほとんどないため、《消えゆく希望》による妨害は必須です。 バウンスを自分のクリーチャーに使えるのは《忌まわしき眼魔》のメリットです。戦慄予示で伏せた裏向きクリーチャーにバウンスを打つと自分の手札に戻るので、たとえば《頑固な否認》や《タイヴァーの抵抗》、必要であれば《新生化》を手札に戻せば、使用できるようになります。 戦慄予示で昂揚を達成すれば《ウルヴェンワルド横断》で《忌まわしき眼魔》をサーチしたりなど、様々な手段で《忌まわしき眼魔》を呼び出す、極限まで《忌まわしき眼魔》に特化したデッキ。《忌まわしき眼魔》をとにかく使い倒したいならこのデッキに決まりです! 焼却者バーン モダンリーグ : 5-0 By antonSN5 『ファウンデーションズ』で登場した《稲妻波》により、ついに《溶岩の撃ち込み》8枚体制となったバーン。 しかし、《火の怒りのタイタン、フレージ》《魂の導き手》の強力なライフゲインカードの存在でどうしても活躍できていないのが現状です。 そんなバーンファンの皆様に朗報!今回は新たな形のバーンがモダンリーグで5-0しました!! モダンの定番だったボロスカラーではなくなったのが今回の新たなバーン。2マナ4点の《ボロスの魔除け》すら排除し、デッキ内に入っている本体火力はすべて1マナになっています。 《稲妻波》《溶岩の撃ち込み》《稲妻》《裂け目の稲妻》《批判家刺殺》はすべて1マナの3点火力呪文で、ダメージ効率で言えば最高です。 唯一1マナ2点の《炎の印章》が入っている理由は……この後明らかになります。 2マナの火力は厳選されており、《焼尽の猛火》のみとなっています。上陸しているとクリーチャーとプレイヤーに3点ずつを与えられる火力なので、2マナ6点相当とすさまじい性能です。クリーチャーとのダメージレースになりやすいバーンデッキでは、クリーチャーを焼きつつプレイヤーにもダメージを与えられる《焼尽の猛火》は貴重で、2マナを支払う価値があります。 《乱動する渦》は直接火力ではありませんが、アップキープにプレイヤーに1点のダメージを与えるエンチャント。それだけでなく、呪文を唱える際にマナが支払われていなかった場合に、そのプレイヤーに5点を与えます。《モックス・アンバー》や《ミシュラのガラクタ》のような0マナのカードを唱えても5点を与えられますし、《否定の力》などのピッチ呪文、続唱でめくれた呪文、《孤独》などにも反応して5点のダメージを与えてくれます。 さて、クリーチャーたちも見ていきましょう。まずは《玉虫色の蔦打ち》です。 上陸するたびに対戦相手に1点のダメージを与えるトカゲ。フェッチランドで2点のダメージを与えられ、新生していると2体になるのでフェッチランドが4点火力になってくれます。   これだけでは《ゴブリンの先達》《僧院の速槍》といったバーン定番の1マナ域より弱そうですが、もう1体のクリーチャーがこの《玉虫色の蔦打ち》と噛み合うカード。 それこそが焼却者バーンの主役、《チャンドラの焼却者》です! 6マナ6/6とバーンにとても入るとは思えない重さのクリーチャーですが、安心してください。このクリーチャーは実質1マナ6/6です!   このターンに対戦相手が受けた戦闘以外のダメージ1点につきコストが(1)軽くなるので、たとえば相手が《稲妻》で3点を受けていた場合は3マナになります。 ここで《炎の印章》がなぜデッキに入っているかが明らかとなりましたね。《炎の印章》を1ターン目に置き、2ターン目に《稲妻》を本体に打ち、その後《炎の印章》を生け贄にすると、このターンに相手が5点のダメージを受けているので、《チャンドラの焼却者》が1マナになります。《チャンドラの焼却者》のコストを軽くするには1ターンで相手がたくさんのダメージを受けなければならないので、《炎の印章》は相性が良いのです。 《裂け目の稲妻》もマナを払った次のターンに待機が明けてダメージが入るので、《チャンドラの焼却者》と相性が良いカードです。 先ほど紹介した《玉虫色の蔦打ち》もまた、《チャンドラの焼却者》の2ターン目キャストに貢献します。1ターン目に出しておき、2ターン目にフェッチランドを起動すれば2点が入るので、後3点を与えれば2ターン目に6/6を出せるというわけです。 しかも《チャンドラの焼却者》はただサイズが大きいだけではありません。《チャンドラの焼却者》が戦場にいると、プレイヤーに非戦闘ダメージが入った時に、そのプレイヤーがコントロールしているクリーチャーやプレインズウォーカーに同じ点数のダメージを与えられます。《稲妻》はもちろん、クリーチャーに打てない《溶岩の撃ち込み》なども《焼尽の猛火》になってくれるのです。 2ターン目《チャンドラの焼却者》のブン回りは病みつきになるかもしれませんよ。

【ゆうやんのデッキメモリー】青黒ネズミ

ピックアップ

2025.01.16

mtg Yuyan

皆さんこんにちは。 ゆうやんのデッキメモリーは、今年でマジックを初めて21年目になる僕が、思い出に残っているデッキを紹介していく記事です。 昔を知っている方は一緒に懐かしんで、知らない方は昔話にお付き合いください! マジックインビテーショナル 『神河物語』が発売された頃、僕にとってはマジックのカードを買うことは最早当たり前になっていた。 3000円で《金属モックス》を4枚揃えたのをきっかけに、バイト代やお小遣いをすべてカードにつぎ込むことになんら違和感がなくなっていた僕は、とあるデッキリストを見つけて衝撃を受けた。   それは、インビテーショナル05の大会結果だった。   インビテーショナルとは、かつて存在していたマジックのトーナメントの1つ。   プロツアーチャンピオンや人気投票で選ばれたプレイヤーなどのみが参加できる大会で、お祭りゆえに変わったフォーマットが採用されている。   デッキを初期ライフと手札枚数で競り落とす「デッキオークション」や、まったく同じカードプールでシールド戦を戦う「デュプリケートシールド」など、ユニークなフォーマットで著名プレイヤーたちが戦うのがインビテーショナルだ。   そして本大会の優勝者には、カードを1枚デザインする機会が与えられる。かの有名なボブこと《闇の腹心》や、ナドゥで活躍した《森を護る者》、フィンケルこと《影魔道士の浸透者》などはすべてインビテーショナルカードだ。 そのインビテーショナルに招待された構築の天才、ローリーさんこと藤田 剛史さん。日本人初の殿堂プレイヤーであるローリーさんが作り、インビテーショナルのスタンダードラウンドで勝ち越しをあげて準優勝に貢献したのが青黒ネズミ。 青黒ネズミ このデッキは一言で言えばディミーアカラーのコントロールデッキ。《貪欲なるネズミ》と《騒がしいネズミ》で相手のリソースを奪い、クリーチャーを除去や打ち消しでいなしていく。 8枚のネズミたちを使い回すべく採用されているのが《ヴィダルケンの黒幕》。《騒がしいネズミ》と《ヴィダルケンの黒幕》が揃うとロックコンボが決まる。相手の手札をライブラリーの一番上に戻させて、その後《ヴィダルケンの黒幕》で《騒がしいネズミ》を回収して使い直せるのだ。これによって相手は永遠に新しいカードを引けなくなるので、盤面で勝っていなければ詰みとなる。 もちろん相手が手札を使い切ってしまった場合にはこのハンドロックは成立しない。そのためにカードを相手の手札に返す手段として《上天の呪文爆弾》《残響する真実》などのバウンスも採用されている。 とはいっても、通常このロックは《ヴィダルケンの黒幕》《騒がしいネズミ》だけでは成立しない。相手の最後の1枚が土地ならば置くだけだし、それ以外なら使うだけ。その手札のカードが唱えられない状況のみ決まる、不確実なコンボだ。 しかし、ここに《霊気の薬瓶》が加わることでロックは強固となる。相手のドロー後に《騒がしいネズミ》をインスタントタイミングで出すことで、相手の手札がインスタントでない限りは、ロックが決まるようになるのだ。 コンボパーツの一つにもなる《霊気の薬瓶》も4枚採用されており、更にそれをサーチする手段として《粗石の魔道士》もあり、しっかりとコンボが決まるようになっている。《粗石の魔道士》は《霊気の薬瓶》が不要なタイミングでは《師範の占い独楽》をサーチできるので、この頃はスタンダードのみならず、様々なフォーマットで《粗石の魔道士》は採用されていた。 《上天の呪文爆弾》《残響する真実》のバウンスがネズミたちによって実質的に除去のような機能を果たしたり、ネズミを回収して使い回すこともできるのが美しく、シナジーが非常に美しかった。 が、それ以上に衝撃を受けたことがあった。   それは、このデッキがコモンとアンコモンだけで構築されているという事実。ローリーさんの作った青黒ネズミにはただ1枚のレアすらも採用されていなかったのだ。   マジックに触れて20年。パウパー以外のフォーマットで僕はレアが0枚のデッキを見たことは、この青黒ネズミを除いてただの一度もなかった。   どれだけ安いとされているデッキでも、土地かスペルのどちらかにレアは入っている。《嵐追いの才能》が安かった頃はエスパーピクシーがほぼアンコモンだけで構成されて安かったが、それでも《悪意ある呪詛術士》と《嵐追いの才能》、そして土地すべてがレアだ。 レア0枚のデッキなんてありえない。20年以上経った今でも、最初にコモンとアンコモンだけで構成されていると気づいた時の衝撃はまだ記憶に残っている。それも奥底に眠っている記憶ではなく、新鮮なものとして。   ローリーさんはどんなことを考えてこのデッキを作ったのだろうか?僕ならば、レア0枚のデッキを組んだら楽しくて仕方がなくなる。本当は一種ぐらい入れたいレアがあったとしても、それがアンコモンで代用できそうなら、少し妥協してしまいそうだ。   僕はマジックにおいて勝利至上主義であることは確かだが、同時に遊び心も重視している。自分が楽しいと思えないデッキは回していても楽しくない。楽しくないデッキを使っても僕は勝てない。 だから僕は、楽しさを見出したデッキしかトーナメントに持ち込まない。   このマインドを持つようになったのは、ローリーさんがきっかけだ。 マジック公式サイトより引用 常に環境で最も強いデッキを練習して勝つのは、僕にとってはストレスであり、もしそれしかトーナメントに勝つ方法がないのなら、既にマジックをやめていただろう。   最前線でプロプレイヤーとして戦いながら、常に遊び心を持っていたローリーさんが「楽しさと強さは両立する」ということを教えてくれた。だから僕はマジックを今も楽しくプレイし続けることができている。   青黒ネズミと出会ってちょうど今年で20年。ありがたいことに、今の僕は多くの皆さんに認知してもらっている。   競技マジック駆け出しの細川少年のマジック観に影響を与えた憧れのプロプレイヤー、藤田 剛史さん。誰かにとっての僕もそんな存在になれたら嬉しいと思う。今の僕の実力と実績ではおこがましい願望に過ぎないが。   僕に楽しさと強さの両立を教えてくれて、今ではマジックの最終目標となっている藤田 剛史さん。その名前を知るきっかけとなった青黒ネズミは、生涯忘れることのないデッキだ。