【週刊メタゲーム通信】MOCSの結果から最新のモダン三強リストをチェック!

【週刊メタゲーム通信】MOCSの結果から最新のモダン三強リストをチェック!

mtg Yuyan

こんにちは。

細川 侑也(@yuyan_mtg)です。

今回は、マジックオンラインの結果やモダンの大型大会から、最新のモダンのデッキをご紹介していきます!

    メタゲーム

    マジックオンラインの中で最高峰のトーナメント、Magic Online Champions Showcase。

    厳しい予選を勝ち抜いて出られる大会に優勝したプレイヤーたちと、マジックオンラインのリーダーボード上位2名の計8人だけが参加できるのがMOCSです。

    フォーマットはキューブドラフトとモダン。

    2度の予選を突破しなければ参加できない狭き門に加え、高額賞金と世界選手権の権利もかかっている大会なため、とても競技性の高いトーナメントとなっています。

    8名のプレイヤーがここで選択するデッキは、モダン環境で最も強いデッキたちに違いありません。

    研磨ブリーチ(3名)

    最も人気のアーキタイプは、《研磨基地》と《死の国からの脱出》による即死コンボを擁する研磨ブリーチ。

     

    有名ストリーマーにしてプロプレイヤーのkanisterことPiotr Głogowski選手はオーソドックスなティムールカラーのブリーチ。

     

    そしてハンドシェイクのチームメンバーであるKarl Sarap選手とDavid Inglis選手は4色のブリーチを選択しました。

     

    ブリーチの魅力は圧倒的な速度。2種のモックスによる圧倒的な速度によって2ターンキルすら可能で、コンボにクリーチャーが絡まないため、エネルギーデッキにメイン戦での勝率が高いのが特徴です。

    ディミーア眼魔にも《ウルザの物語》によるプレッシャーで《死の国からの脱出》を通すことができ、上位2つのデッキに対してメインボードで比較的有利に戦えるのが、ブリーチが最大勢力となった理由でしょう。

    コンボデッキゆえにサイドボード後の勝率は落ちてしまいますが、それでもメイン戦での優位は魅力的です。

    ボロスエネルギー(2名)

    今大会で優勝を収めたボロスエネルギー。近頃日本では黒をタッチしたマルドゥエネルギーが主流ですが、マジックオンラインでは相変わらず純正のボロスエネルギーが活躍しています。

    エネルギーの立ち位置は絶対王者。メタゲームというよりかは、そのデッキパワーの高さで環境を牽引しています。

    湧き出る源、ジェガンサ》《一つの指輪》《色めき立つ猛竜》を失ってもエネルギーは環境随一のパワーを誇ります。《魂の導き手》《オセロットの群れ》《ナカティルの最下層民、アジャニ》《火の怒りのタイタン、フレージ》、この4種の『モダンホライゾン3』産カードたちは圧倒的な強さです。

    今後モダンのメタゲームがどのように変化しても、エネルギーは不動の存在でしょう。環境の中心に常にエネルギーは鎮座し続けます。

    ディミーア眼魔(2名)

    エネルギーと同じく2名のプレイヤーが選択したのはディミーア眼魔。

    強力カード揃いの『モダンホライゾン3』でも一、二を争うパワーを持つ《超能力蛙》を主軸に据えたデッキで、その強さはボロスエネルギーと比べても遜色ありません。

    ディミーア眼魔はボロスエネルギーと違い、青いデッキゆえに対コンボ性能が高いのが特徴。研磨ブリーチはもちろん、Tier2のアミュレットタイタンやベルチャーなど、モダン環境にはコンボデッキも多く、どのコンボデッキとも戦えるのがディミーア眼魔の強みです。

    エルドラージランプ(1名)

    研磨ブリーチ・エネルギー・ディミーア眼魔。この現モダンの三強以外を選んだのは1人のみ。John Ramos選手はティムールカラーのエルドラージランプを選択しました。

     

    エルドラージの寺院》《ウギンの迷宮》によりエルドラージは、モダンで唯一2マナランドを使えるデッキ。それを活かして早いターンから大きな《コジレックの命令》を唱えたり、《まき散らす菌糸生物》で更なるマナ加速&土地破壊を行っていきます。

    まき散らす菌糸生物》から《世界を壊すもの》で徹底的に土地を攻める動きはほとんどデッキに強く、《コジレックの命令》でメインから墓地対策が可能だったり、《コジレックの帰還》でエネルギーのクリーチャーたちを根こそぎ焼き払うなど、環境の上位デッキに対してしっかり戦えるのがエルドラージです。

    特に複数枚の2マナランドが初手にある際の動きはレガシーと見まごうほど。

     

    一昔前のエルドラージはウルザ土地を入れた重いデッキだったため、《血染めの月》《海の先駆け》を苦手としていましたが、現代のエルドラージランプは《まき散らす菌糸生物》《コジレックの命令》によるマナ加速ができ、デッキも比較的軽くなっているため、さほどこれらの対策カードが機能しません。

    記憶への放逐》というキラーカードは存在するものの、それ以外に有効なサイドカードはさほどありません。《一つの指輪》の禁止によって弱体化を余儀なくされたものの、研磨ブリーチ・エネルギー・ディミーア眼魔と戦う力はしっかりとあります。

    4色ブリーチ

    Magic Online Champions Showcase : 4位 By David Inglis

    チームハンドシェイクの2名が選択した4色研磨ブリーチ。4色とは言っても青単に緑と白と赤をタッチした、実質トリプルタッチ。何を言っているかわからないと思いますが、3色をそれぞれ少しずつ入れています。

     

    赤は《死の国からの脱出》を使うので当然入っていますが、《邪悪な熱気》が1枚しか入っておらず、ほぼ《死の国からの脱出》のためだけに赤が採用されています。除去である《邪悪な熱気》は早いターンから打ちたいので、1~2ターン目に赤マナをサーチする必要がありますが、《死の国からの脱出》はもう少し遅くに必要となるので、《オパールのモックス》から捻出してもOKです。《邪悪な熱気》の枚数をおさえることにより、色マナの要求を軽減しています。

    緑は定番の《邪悪鳴らし》。墓地を肥やしつつ、《研磨基地》《死の国からの脱出》のコンボパーツにアクセスできる強力なスペルです。落とし子も出るので、2ターン目に《邪悪鳴らし》を唱えて3ターン目に4マナから《死の国からの脱出》+《研磨基地》で即勝ちが可能です。

    従来はこのティムールカラーにまとめられていたブリーチ。《邪悪な熱気》を4枚採用して赤が濃くなっていましたが、4色ではこの《邪悪な熱気》の代わりに《ポータブル・ホール》が採用されています。

    ポータブル・ホール》は《邪悪な熱気》と違ってクリーチャー以外のパーマネントにも触れられるのが強み。サイド後は《虚無の呪文爆弾》《減衰球》《ドラニスの判事》(これは《邪悪な熱気》でも触れますが)などの対策カードを置かれるので、それらを退けるのにも活用できます。

    そしてなんといっても、《邪悪な熱気》と違い《超能力蛙》を除去できるのがポイントです。これは《ポータブル・ホール》を採用する一番の理由と言って良いかもしれませんね。

    ポータブル・ホール》はアーティファクトなので《オパールのモックス》の金属術に貢献するのもポイントです。

    最初は4色のブリーチに疑問でしたが、《ポータブル・ホール》の強さに納得し、今ではこのリストが最も良いと思うようになりました。

     

    禁止改訂から時間が経過して研究が進んでいき、研磨ブリーチもいよいよ完成に近づいています。

     

    エネルギー・ディミーア眼魔・研磨ブリーチの三強時代は、当分続くかもしれません。

    ボロスエネルギー

    Magic Online Champions Showcase : 優勝 By  Charalampos Kikidis

    環境の王者、ボロスエネルギー。

     

    色めき立つ猛竜》《一つの指輪》とアドバンテージ源を失ったため、《ベイルマークの大主》《溌剌の牧羊犬、フィリア》を採用するマルドゥ型が日本では流行の兆しを見せていました。

    ボロスエネルギーは新たなアドバンテージ源を採用することなく、よりアグロ方面に舵を切っており、1マナ域として《敏捷なこそ泥、ラガバン》が追加されています。

    オークの弓使い》が環境からいなくなったことで、《敏捷なこそ泥、ラガバン》は以前よりも強いカードとなりました。《魂の導き手》で強化してしまえば、中盤以降もダメージを通すことが可能なので、エネルギーに入っている《敏捷なこそ泥、ラガバン》は強力です。

    MOCSに持ち込まれたボロスエネルギーで最も特徴的だったのは、メインから採用されている《スレイベンの魔除け》でしょう。除去枠に入っているこのカードは、除去として使うには2マナと少し重いですが、重要なのは墓地対策である点。

    研磨ブリーチ・ディミーア眼魔、そしてボロスエネルギーにはそれぞれ墓地対策が有効なので、このカードのメイン採用は納得です。Andrei Klepatch選手に至っては《外科的摘出》まで採用しており、墓地に対する意識の高さがうかがえますね。

    エネルギー同型でも一方的に《火の怒りのタイタン、フレージ》を抜いてしまえば勝てる可能性は非常に高く、腐るマッチはさほどありません。とはいえ、能動的なアクションではなく、デッキに決してあっているとは言えないので、メインに入れるには1枚が限界な気がしますが。

    先ほどアドバンテージ源は採用していないと言ったものの、手札を入れ替える3マナ域のカードは入っています。《鏡割りの寓話》と《歴戦の紅蓮術士》で今回は分かれました。

     

    歴戦の紅蓮術士》は《ゴブリンの砲撃》と特に相性が良いカードで、手札が0枚の時は2ドローできるので手札がしっかり増えてくれます。これは《鏡割りの寓話》にはない魅力ですね。

    一方の《鏡割りの寓話》は……最早説明不要ですね。第一章のトークンも強く、二章で手札を入れ替え、変身後も放置できない。相手に2枚の除去を強要させた上で不要なカードを有効牌に変えられる、1枚でアドバンテージを取れるカードです。

    歴戦の紅蓮術士》《鏡割りの寓話》のどちらが優れているか、結論を出すのは難しいでしょう。MOCSに出場するプレイヤーたちの中でも考えがまとまっていないほどですからね。

     

    今回優勝したのは《鏡割りの寓話》を採用したリストでしたが、強いのは果たしてどちらなのか、これからのボロスエネルギーの進化にも注目ですね。

    ディミーア眼魔

    Magic Online Champions Showcase : 2位 By Matthew Wright

    三強の最後の一つ、ディミーア眼魔。リストはほぼ固定化されてきており、《超能力蛙》《忌まわしき眼魔》は4枚固定、《濁浪の執政》は2枚~3枚、《海の先駆け》が2枚。ここまではほぼ固定です。

    ……のはずですが、今回ご紹介しているMatthew Wright選手のリストは《忌まわしき眼魔》が3枚に押さえられており、とても独創的なリストとなっています。

     

    その代わりに《オークの弓使い》が3枚採用されており、ボロスエネルギーの《オセロットの群れ》《敏捷なこそ泥、ラガバン》を除去しつつ、研磨ブリーチの《定業》《ミシュラのガラクタ》を使いにくくします。

    一つの指輪》の禁止によりドローするデッキが減り、《オークの弓使い》は少し弱くなりましたが、タフネス1のクリーチャー、とりわけ《敏捷なこそ泥、ラガバン》が増えるのであれば、再び《オークの弓使い》の出番というわけでしょう。

    スペル枠はほぼ固定されており、1マナの打ち消し枠の《呪文嵌め》を2~3枚採用するリストがほとんどです。エネルギーの《ナカティルの最下層民、アジャニ》《ゴブリンの砲撃》、眼魔ミラーの《対抗呪文》《超能力蛙》、研磨ブリーチの《死の国からの脱出》《研磨基地》と、それぞれのデッキの強力なカードを消せることから、《呪文嵌め》は今重宝されています。

    エネルギーの《火の怒りのタイタン、フレージ》が厳しいため、墓地対策がメインから採用されることも多く、《虚無の呪文爆弾》が入っている場合がほとんどです。《外科的摘出》を採用するリストもあり、この辺りの事情はエネルギーの墓地対策と同じですね。

    墓地対策が増えてきていることを意識したのがMatthew Wright選手のディミーア眼魔です。

     

    墓地がないと手札から唱えられない《忌まわしき眼魔》、そして墓地から吊り上げる《発掘》がいずれも3枚に押さえられており、それらの枠が《オークの弓使い》になっているので、墓地依存度が下がっています。

    とはいえ、2ターン目に《発掘》で《忌まわしき眼魔》を釣るのはこのデッキ最大のブン回り。不利マッチも2ターン目の《忌まわしき眼魔》+《否定の力》などで勝ててしまうのもディミーア眼魔の強みなので、そこを犠牲にするべきかは悩みどころです。

    墓地依存をどれだけ下げるか、そしてメインから墓地対策をどれぐらい採用するか、この辺りはディミーア眼魔の調整をする上で重要となるでしょう。

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