『霊気走破』後のスタンダードに迫る!ジャパンスタンダードカップから注目デッキを紹介

『霊気走破』後のスタンダードに迫る!ジャパンスタンダードカップから注目デッキを紹介

mtg Yuyan

こんにちは。

細川 侑也(@yuyan_mtg)です。

『霊気走破』のプレリリースから僅か2日後に行われたジャパンスタンダードカップ:『霊気走破』!

スタンダードの大型トーナメントで『霊気走破』のカードは活躍したのでしょうか?

今回は注目デッキをピックアップしてご紹介していきます!

 

 

 

    アゾリウス眼魔

    ジャパンスタンダードカップ : 優勝 By MatsumotoTatsunori

    『霊気走破』環境一発目を制したのはアゾリウス眼魔!

    スタンダードではすっかりお馴染みのデッキが、新環境を見事に制覇。その名の通り、様々なフォーマットで使われている《忌まわしき眼魔》を主軸に据えたアゾリウスカラーのアグロデッキです。

     

    手札から唱える際に6枚の墓地を要求する《忌まわしき眼魔》。それなら墓地から吊り上げてしまえばいいじゃないというわけで、《救いの手》《再稼働》の6枚のリアニメイトスペルで《忌まわしき眼魔》を吊り上げます。

    1ターン目に《行き届いた書庫》などの諜報ランドを置いて《忌まわしき眼魔》を落として2ターン目に《救いの手》で釣り上げてしまうモダン級の動きも可能です。墓地に《忌まわしき眼魔》をとにかく落としたいデッキなので、《行き届いた書庫》に加えて《地底街の下水道》まで採用されています。黒いカードはデッキに入っていないので、本当に目的だけです。

    忌まわしき眼魔》を墓地に落とす手段はいろいろとあります。《航路の作成》《決定的瞬間》《錠前破りのいたずら屋》で、手札を減らすことなく《忌まわしき眼魔》を落としながら《救いの手》にアクセスします。

    第三の道の創設》は切削で《忌まわしき眼魔》を墓地に落としつつ、最終章で墓地の《救いの手》を使えるので、1枚で切削とリアニメイトの両方を行えます。第一章から入って上記のスペルたちを使用したり、切削から入ることもできるなど、とにかく場面によって色々な動きが取れる器用なカードです。

    救いの手》《再稼働》の対象が《忌まわしき眼魔》だけでは、肝心のキーカードが墓地に落ちなかった時に手札で腐ってしまいます。そこで採用されているのが《傲慢なジン》です。

    航路の作成》《決定的瞬間》《錠前破りのいたずら屋》といったカードたちが1マナになるので連打できるようになりますし、そもそも墓地を肥やしていくデッキなので、《傲慢なジン》自体のサイズも馬鹿になりません。《忌まわしき眼魔》の代わりにフィニッシャーを務めることもしばしばあります。

    『霊気走破』からの加入は2種類。その内の《跳ね弾き》は、これまでのリストに入っていた《送還》が抜けてそのスロットに採用されています。機体が『霊気走破』で大量に収録されたので、機体を戻す場面もあるでしょう。完全上位互換なので《跳ね弾き》にしない理由がありません。

    そしてもう1枚は《呪文貫き》。こちらは再録カードですが、アゾリウス眼魔にとにかく合っています。2ターン目に《忌まわしき眼魔》を《救いの手》で釣る際はもちろん、デッキが軽いのでゲーム中盤で1マナを立ててターンを返すことが多いデッキなので、1マナの妨害である《呪文貫き》はこのデッキが望んでいた打ち消し呪文。《送還》と合わせてクリーチャーとクリーチャー以外のどちらにも対処できるようになりました。

    アゾリウス眼魔を意識するなら、赤いデッキは《石術の連射》を採用することになるでしょう。回った時の眼魔はグルールすら凌ぐ速度で盤面を作りながらライフを削ってきます。

    新環境、墓地対策や《忌まわしき眼魔》対策はぬかりなく!

     

    グルール昂揚

    ジャパンスタンダードカップ : 2位 By  DAISUKE IWABUCHI

    4種のカードタイプを墓地に揃えることで達成する昂揚。厳しい条件ゆえに昂揚を達成した時のご褒美は大きく、それを目指すデッキがこのグルール昂揚。

    1マナ3/3の《継ぎ接ぎのけだもの》、そしてクリーチャーに2回攻撃を付与する《逸失への恐怖》と強力な昂揚クリーチャーたちが入っており、前環境からもトーナメントで活躍していました。

    そんなグルール昂揚が今セットで素晴らしい進化を遂げました!

     

    これまでは墓地にカードを落とす行為が昂揚のためだけでしたが、『霊気走破』で加入したとある1枚が、切削やディスカードに新たなバリューをもたらしました。

     

    アフターバーナーの専門家》です。

    消尽能力を起動するたびに墓地から戻ってくる3マナ4/2。巷では《復讐蔦》と呼ばれているこのカードですが、墓地から帰ってくる条件はむしろ《復讐蔦》より軽いかもしれません。

    復讐蔦》はクリーチャーを2回唱えて墓地から戦場に蘇るカードなので、すぐに手札が枯渇していました。リソースを取れないビートダウンではそう何度も返すのは難しい。

     

    一方、《アフターバーナーの専門家》は消尽能力。手札に消尽を持つクリーチャーを1枚温存していれば良いだけですし、自身が消尽を持っているため、複数体の《アフターバーナーの専門家》が帰ってきた時には、片方が除去されてももう一方が《アフターバーナーの専門家》を墓地から呼び戻すことができます。

    肝心の消尽能力を持つクリーチャー、《竜航技師》も単体で非常に強力な1枚。2つの消尽能力を持っているので、これ1枚で《アフターバーナーの専門家》を2回蘇らせられます。

    更に1つ目の能力は自身に+1/+1カウンターを置きながら、他のクリーチャーに速攻を付与させるので、《アフターバーナーの専門家》が墓地から帰ってきてそのまま殴れます!まさに《復讐蔦》!

    その《アフターバーナーの専門家》が相打ちで墓地に落ち、次のターンにもう1つの消尽でドラゴンを生み出しつつ、《アフターバーナーの専門家》を再び戻す。ここまで《竜航技師》は1枚で行えてしまうのです。

     

    切削カードも強力な1枚が『霊気走破』で加入しました。《浚渫機の洞察》です。

    蓄え放題》が好きなパーマネントを拾える一方、こちらはアーティファクト・クリーチャー・土地のみ。しかしこのデッキで拾うのはクリーチャーか土地なので、回収範囲に問題はありません。

    浚渫機の洞察》はエンチャントなので、インスタントに比べて墓地に落ちた時に昂揚しやすい点がまず強く、更に回収や《アフターバーナーの専門家》が墓地から戻った際にライフを得られるのも強力。今のスタンダードは苛烈なダメージレースが多く、ライフゲイン手段は貴重です。他の『霊気走破』組と比べて少し地味に見えますが、しっかりとデッキの強化に寄与しています。

     

    竜航技師》《アフターバーナーの専門家》が加わったことにより、グルール昂揚は粘り強いタフな攻めが可能な骨太ビートダウンに仕上がりました。

    切削次第で時に凄まじい回りを見せてくれるので、とても楽しいデッキです。『霊気走破』のカードを使いたいならこのデッキでしょう!

     

    ディミーアミッドレンジ

    ジャパンスタンダードカップ : 7位 By Hiroaki Itou

    良質な青と黒のクリーチャーで攻めつつ、盤面を除去していく、スタンダードライクなミッドレンジです。

    スタンダードではすっかり見慣れたデッキですが……『霊気走破』から新加入した神話レアが目に入ります!そう、《油浸の機械巨人》です。

    青黒の機械巨人は戦場に出た時にプレイヤーの手札からカードを捨てさせ、そのプレイヤーがドローするというもの。《ヴェンディリオン三人衆》に似た能力とでも言いましょうか。

    手札で最も危険なカードを落としてランダムな1枚に変える能力なので、決して弱いわけではありませんが、青と黒のダブルシンボルを持つのであれば、もう少し派手な能力にしてほしかった。個人的にはそんな思いを抱いていたのですが、間違っていたのかもしれません。

     

    特徴的なのは、《油浸の機械巨人》の手札破壊能力を活かすべく、《大洞窟のコウモリ》を採用している点。

    最近では赤いデッキの隆盛、それに伴ってほとんどのデッキが1マナ除去を採用していることから、ただ手札を見るだけで終わるカードになってしまうという理由で採用が見送られていた《大洞窟のコウモリ》。その割に《大洞窟のコウモリ》が生き残った時のバリューも決して高くはありません。

     

    しかし、《油浸の機械巨人》によって手札破壊を8枚体制にできるのなら話は別。

    大洞窟のコウモリ》で最初の脅威を抜き、《油浸の機械巨人》で更に手札破壊を重ねていく、新しい攻めパターンが生まれました。

     

    油浸の機械巨人》自体は4/4絆魂と非常に優秀な能力で、しかも護法もあり、何よりアーティファクトクリーチャーなのでとても除去するのが大変です。《この町は狭すぎる》を活用したエスパーピクシーやディミーアバウンスは《逃げ場なし》と《この町は狭すぎる》に盤面除去を一任しており、そのどちらにも強いのが《油浸の機械巨人》なのです。

    油浸の機械巨人》をコピーする《マネドリ》を4枚採用しているのも非常に面白く、とにかくこのディミーアミッドレンジは《油浸の機械巨人》に寄せた構築で、それが見事に理にかなっています。

    考えてみれば、《油浸の機械巨人》は現環境の多くのデッキに対して強いカードです。

     

    赤アグロには安全確認をしながら4/4絆魂を着地させることができ、《この町は狭すぎる》デッキに対しては対処が難しいカード。《喉首狙い》が当たらないので黒系ミッドレンジ全般にも攻守で頼もしい存在です。

    事前評価が決して高いとは言えなかった《油浸の機械巨人》の強さに気付く見事な隻眼とデッキ構築です!

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