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【今週のピックアップデッキ】グルール昂揚/ディミーア忍者ローグ/ハンマータイム

週刊 Modern Pioneer Standard ピックアップ

2025.05.09

mtg Yuyan

こんにちは。 細川 侑也(@yuyan_mtg)です。 今週のピックアップデッキでは、ちょっと珍しいデッキを、軽い解説を交えて紹介していきます。   紹介デッキ グルール昂揚 ディミーア忍者ローグ ハンマータイム   グルール昂揚 チャンピオンズカップファイナル : 11位 By Shintaro Ishimura MTGアリーナ用インポートデータ チャンピオンズカップファイナルではイゼット果敢4人に赤単アグロ2人と、2種の赤アグロがトップ8に入賞しましたが、それらとは異なる形の赤アグロが、プロツアーの権利を獲得できる9勝3敗の成績を収めていました。   それがグルール昂揚です。   4種のカードタイプを墓地に揃えることで達成される昂揚。かなり難しい条件のため、昂揚条件を達成した際は大きなボーナスが用意されています。   《継ぎ接ぎのけだもの》は昂揚すれば1マナ3/3の《野生のナカティル》相当のクリーチャー!アップキープの切削と、自身がアーティファクト・クリーチャーなので、昂揚を助けてくれるナイスな1マナ域です。 様々なフォーマットでお馴染みの《逸失への恐怖》も、ディスカードを持ちつつ、エンチャント・クリーチャーとして墓地でも昂揚に貢献します。 昂揚していると2マナ4/3速攻トランプルと破格の性能を持つのが《野火の木人》。このカードがグルール昂揚のスピードを上げてくれています。やはりアーティファクト・クリーチャーなので昂揚を達成しやすいのも〇。 そして最後の昂揚カードは《暴力的衝動》。こちらはクリーチャーではありませんが、たった1マナでクリーチャーに二段攻撃を付与するすごいインスタントです。トランプルを持つ《野火の木人》と組み合わせた時の破壊力はピカイチ。《逸失への恐怖》で2回攻撃も発生するので、二段攻撃と組み合わせると実質4回攻撃になりますね。 さて、昂揚のバリューが高いことがわかったところで、肝心なのは昂揚の達成手段です。   《野火の木人》に《逸失への恐怖》と質の高いクリーチャーが2種のカードタイプを持っているのはわかりましたが、それをどのように墓地に落とすのか。   ここで最近引っ張りだこの《光砕く者、テルサ》が光ります。 3マナ3/3速攻の優れたスタッツに、カードを2枚捨てて2枚引く能力がついているため、昂揚に必要なカードを墓地に落としつつ、攻撃していけます。以前まではこのスロットが《蓄え放題》《浚渫機の洞察》といった戦場に影響を及ぼさないカードだったので、積極的に攻撃したいグルール昂揚と少し合わなかったのですが、非常に攻撃的な《光砕く者、テルサ》が加入したことで、デッキがグッと締まりました。 グルール昂揚でしか使えない超強力なソーサリーと言えば《脱走》。たった2マナで、ライブラリー上6枚から2マナ以下のクリーチャー・カードを速攻を持った状態で戦場に出せます。非常に強力なカードではあるものの、中々活きるデッキがないのですが、グルール昂揚とはかなり相性が良いのです。特に《逸失への恐怖》を出して速攻で攻撃し始めると、予想外からのリーサルが発生する場合も。ソーサリーカウントとしても優秀です。 《鋭い目の管理者》は昂揚能力は持ちませんが、4種類のカードタイプを追放すると+4/+4トランプルになる2マナ3/3。どちらかと言えばそのパンプ能力よりは、墓地追放がメインの使い方となっています。 ジェスカイ眼魔はもちろん、《嵐追いの才能》が入っているイゼット果敢などにも墓地追放は効きますし、昂揚を満たすことを前提にしたデッキなので、自分の墓地を追放して7/7トランプルを作りやすく、今回の隠れMVPかもしれません。   他の赤アグロと一味も二味も違うグルール昂揚、ぜひお試しください。     ディミーア忍者ローグ パイオニアリーグ : 5-0 By  season_urb MTGアリーナ用インポートデータ かつてスタンダードで最強のデッキだったローグ。 《盗賊ギルドの処罰者》で相手のライブラリーを切削し、《空飛ぶ思考盗み》などと共に殴り勝つも良し、相手をライブラリーアウトさせたり、《物語への没入》と《夢の巣のルールス》でコントロールするなど、様々な勝ちプランを持っている、とてもいやらしいデッキでした。 最近では青黒系のアグロデッキと言えば忍者になっていましたが、今回はならず者が久しぶりにパイオニアで勝利しました!   パイオニアならではのならず者をご紹介しましょう。忍者にも入っている《フェアリーの悪党》ですね。戦場に出た時に他に《フェアリーの悪党》がいれば1ドローできる忍者です。《マネドリ》との相性がバッチリで、《フェアリーの悪党》のコピーとして場に出してカードを引けます。 その《マネドリ》のコピー対象が増えたのがディミーアローグの魅力です。《盗賊ギルドの処罰者》をコピーすると、ならず者を出した時の切削枚数が4枚に増えます。1枚の《盗賊ギルドの処罰者》ではライブラリーの心配は必要ありませんが、倍になれば話は別です。 《空飛ぶ思考盗み》はローグのキーパーツ。《フェアリーの悪党》《マネドリ》など軽いならず者にパワー修正を与えれば一気に脅威になりますし、《マネドリ》でコピーすれば修正値と切削枚数もとんでもないことになります。 そしてこれらのローグ軍団と手を組むのが忍者たち。   《月回路のハッカー》《悪夢滅ぼし、魁渡》の2人の忍者はいずれも忍術でクリーチャーを手札に回収することができます。ならず者を戻して出し直せばそのたびに《盗賊ギルドの処罰者》が誘発しますし、序盤は《フェアリーの悪党》をコピーしていた《マネドリ》を拾い、更に強い別のクリーチャーのコピーに変えられます。 ならず者でも忍者でもありませんが、《フラッドピットの溺れさせ》は忍術と相性の良いクリーチャー。ブロッカーをタップしながら攻撃を通して忍術ができて、しかも能力も再利用できるので、《悪夢滅ぼし、魁渡》を使うデッキなら《フラッドピットの溺れさせ》は必須ですね。 従来のディミーア忍者に比べて、ローグ成分が加わったことで、特に攻撃面が更に強化されました。   《空飛ぶ思考盗み》による全体強化に1マナ3/2の《盗賊ギルドの処罰者》はライフを削る性能が高いだけでなく、ライブラリーアウトという新たな勝ち手段も作れます。ライフをなかなか削れないコントロールなどにはかなり現実的な勝ち筋です。   守りの観点から見ても《盗賊ギルドの処罰者》は決して悪いカードではありません。相手の墓地が溜まれば1マナ3/2接死なので、サイズの小さいこのデッキでは貴重な相打ち要因となります。 忍者から更に攻撃的になったディミーアローグ、忍者がお好きな方はいかがでしょうか。   ハンマータイム モダンリーグ : 5-0 By  aspiringspike 《巨像の鎚》を《シガルダの助け》でつけて殴るコンボ要素のあるアグロ、ハンマータイム。 シンプルな戦略で最速2ターンキルも可能なハンマータイムは、当初はファンデッキでしたが、《ウルザの物語》加入後は様々な戦略を取ることが可能となり、一気にメタデッキの仲間入りを果たしました。 そんなハンマータイムの新たな形が、赤を入れたこのボロスカラーのハンマータイム。加わった赤いカードは……色々なフォーマットで暴れているあの装備品です。   そう、《コーリ鋼の短刀》です。 《コーリ鋼の短刀》でモンクを生成するためには継続的にスペルを2回唱える必要がありますが、当然毎ターンカードを2回使用すると、手札がなくなってしまいます。そのため、キャントリップや《食糧補充》など、カードを引き続けられる青と組み合わせて使われることが多いので、赤白で採用されるのは少し珍しいですね。 0マナのアーティファクトは《オパールのモックス》と《ミシュラのガラクタ》で8枚入っており、2ターン目に《コーリ鋼の短刀》を出してそのままモンクを生み出すことができます。 更にデッキ内のほとんどが1マナ以下なので、手札がある限りはモンクは誘発させ続けられるでしょう。   肝心のカードを引く手段ですが、《純鋼の聖騎士》がハンマータイムにはあります。装備品が戦場に出ると1ドローなので、2つ装備品を出せば、手札を失うことなく、モンクトークンが出てきて、しかもそのモンクに装備品を即つけられます。 このデッキが面白いのは、《コーリ鋼の短刀》の装備品としての性能が噛み合っている点です。《巨像の鎚》をつけたクリーチャーがチャンプブロックされて何もできないことはよくありましたが、《コーリ鋼の短刀》のトークンに《巨像の鎚》をつければ12/12トランプルでブロックを許しません。 速攻で攻撃できるのも大きなメリットで、これまで盤面のクリーチャーをすべて対処された場合、どうしても攻撃するまでに1ターンのラグが発生していましたが、除去で盤面を空にされても《コーリ鋼の短刀》のトークンに様々な装備品をつけて一撃で相手のライフを0にできます。   クリーチャーがいないと意味がない装備品と、クリーチャーを供給しつつ速攻を付与する《コーリ鋼の短刀》の相性はとても良いのです。   《鷹持ち、カサンドラ》はデッキから《レオニダスの槍》を場に出すクリーチャーで、その《レオニダスの槍》の付け先として最適。とはいえ、出して2マナを払って装備するのは中々モダンでは難しい。 その装備コストを《純鋼の聖騎士》で0にしたり、《シガルダの助け》で自動装備できる状態になるとしたら話は別です。《鷹持ち、カサンドラ》を出して《シガルダの助け》で《レオニダスの槍》を装備し、速攻で殴って二段攻撃付与、ダメージを通して《鷹持ち、カサンドラ》の能力で2ドローと、装備コストを踏み倒せるだけで《鷹持ち、カサンドラ》の動きはすさまじくなります。 《龍火の刃》は《ウルザの物語》からサーチすることも可能な装備品。装備コストは重いものの、単色からの呪禁と+2/+2を付与でき、一度装備すれば《孤独》《致命的な一押し》をはじめモダン環境の様々な除去を受けなくなります。 《鷹持ち、カサンドラ》への装備コストは2マナなものの、他のクリーチャーには基本的に3マナ必要ですが、こちらも《純鋼の聖騎士》《シガルダの助け》で踏み倒せるため、ただただデメリットのない超狭量な装備品となります。 《オパールのモックス》解禁によって大幅な強化を受けたものの、いまだトーナメントではさほど活躍できていなかったハンマータイムですが、近頃リーグでの5-0数も増えてきており、これから最前線に復帰していくかもしれませんね!

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懐かしの相棒・ティムールカワウソと共に挑んだチャンピオンズカップファイナル

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2025.05.08

mtg Yuyan

こんにちは。   細川 侑也(@yuyan_mtg)です。 こんにちは!   ゴールデンウィークはチャンピオンズカップファイナルに参加していました。   結果から先に報告すると、8勝4敗で27位、賞金100ドルと《ティシャーナの潮縛り》ゲットと、プロツアーまで後1勝足りませんでした。   今回はチャンピオンズカップファイナルで使用したデッキと、スタンダードの調整過程をお話していきます。   目次 スタンダードおさらい イゼット果敢の調整 イゼット果敢の弱点 懐かしの相棒ティムールカワウソとの再会 ティムールカワウソについて 本戦結果 シミックテラーについて 終わりに スタンダードおさらい 『タルキール:龍嵐録』が発売し、スタンダード環境は一変しました。   そう、様々なフォーマットを揺るがす《コーリ鋼の短刀》が現れたためです。下フォーマットでは2ターン目からモンクをもりもり生み出すカードですが、スタンダードでも超強力なカードです。 最も影響を受けたデッキはエスパーピクシーでしょう。僕はエスパーピクシーが大好きで、前環境のエリア予選をエスパーピクシーで突破しました。赤系アグロに強く、ある程度の速度を兼ね備えつつ様々なゲームプランが取れるのが魅力的で、よっぽどのことがない限りはエスパーピクシーを調整する方向で行こうと、半ば決めていました。 しかし、それは起きました。《コーリ鋼の短刀》はエスパーピクシーにとって癌となるカードだったのです。呪文を2回唱えるだけでモンクトークンが出てきてしまう《コーリ鋼の短刀》を、エスパーピクシーでは触ることがほとんどできません。赤アグロに対して除去を回収して使い回すという戦略が、《コーリ鋼の短刀》には通用しないのです。 《コーリ鋼の短刀》の強さに屈服した僕は、すぐにエスパーピクシーを諦め、《コーリ鋼の短刀》を使う側に回ることにしました。モダンでも《コーリ鋼の短刀》を使い倒してその強さはもう既に理解していましたしね。   そしてすぐに、イゼット果敢こそが最も《コーリ鋼の短刀》を強く使えるデッキであることを確信しました。   イゼット果敢は《僧院の速槍》《精鋭射手団の目立ちたがり》《嵐追いの才能》《コーリ鋼の短刀》の果敢軍団を、《選択》《手練》《食糧補充》で強化していくデッキ。このデッキの最大の魅力は、単体除去に強いデッキである点。 《嵐追いの才能》《コーリ鋼の短刀》はいずれも果敢クリーチャーを生み出すカードでありながら、それだけにとどまらないカードです。《嵐追いの才能》はレベルアップで《食糧補充》や除去を回収できますし、《コーリ鋼の短刀》は繰り返しトークンを生成できます。これらのカードに除去を打つことは損です。 しかし、《僧院の速槍》《精鋭射手団の目立ちたがり》にはしっかり除去は当たります。というより除去しなければあっという間に負けてしまいます。そのため、相手はイゼット果敢相手に除去を抜けず、むしろ増やして、しっかり初手にキープしておく必要があります。 そんな除去を構えている相手を尻目に、《食糧補充》で手札を増やしたり、《コーリ鋼の短刀》をキャントリップで誘発させて、相手の除去と交換させることができるのです。 イゼット果敢の調整 イゼット果敢が強いということはわかったので、まずは流行っているリストを回してみました。   クリーチャーが《僧院の速槍》《精鋭射手団の目立ちたがり》だけのオーソドックスなタイプから、《精鋭射手団の目立ちたがり》を抜いて《かまどの精》を入れ、《巨怪の怒り》も抜いたコントロール型など、様々なリストがありました。 結論としては、《精鋭射手団の目立ちたがり》と《巨怪の怒り》はどちらも必要でした。   《精鋭射手団の目立ちたがり》はミラーマッチの《噴出の稲妻》で焼かれてしまう、とても場持ちの悪いクリーチャーです。《潜水》などで《精鋭射手団の目立ちたがり》を守る手段もないので、基本的には除去を避けることはかないません。1マナで除去を喰らうので、《呪文貫き》で除去をカウンターするのもさほど現実的ではないためです。 それでも《精鋭射手団の目立ちたがり》は強力なカードでした。ミラーマッチでも一度《巨怪の怒り》さえつけてしまえばタフネスが3になり除去されにくくなりますし、単体での打点はずば抜けているので、後手番で《コーリ鋼の短刀》に殴られている状況など、不利な状態から差し切る際には必要です。   また、ドメインなどのコントロール系のデッキに対しては、全体除去の返しに《精鋭射手団の目立ちたがり》から一気にダメージを叩く場合もあり、イゼットミラーにおける除去されやすい欠点を補って余りあるメリットがこのカードにはあると思いました。   《巨怪の怒り》は絶対に必要なカードで、これを一瞬でも抜いていたことを悔やみました。特にミラーマッチではサイズが上がるのは優秀ですし、除去を構えてくる相手に対してサイドアウトすることもまずありませんでした。瞬間的な打点が一番上がるカードで、《食糧補充》から《巨怪の怒り》を取って打点を計算する動きは、さながらコンボデッキのようです。 自らの浅さを再認識しつつ、その上でミラーマッチで強いカードを探すことにしました。   そうして辿り着いたのが《ドレイクの孵卵者》。 イゼット果敢のメインボードに採用されている除去は《噴出の稲妻》なので、タフネスが3のクリーチャーを処理するのは大変です。そのため、《ドレイクの孵卵者》は戦場に定着しやすいカードです。 《塔の点火》の協約で焼かれてしまいますが、1マナ構えて果敢を誘発できるようにすればそれもケアできます。   更に《ドレイクの孵卵者》は攻防において優れたクリーチャーです。《巨怪の怒り》を打てばパワーが5になるので、もう1回スペルを唱えるとドレイクを即座に2体生成できるようになります。更に本体が2/4と非常に硬く、警戒をもあるので相手の攻撃をある程度けん制できます。 出てくるドレイクも《精鋭射手団の目立ちたがり》を止められるなど、ミラーでは優秀なカードだと判断しました。   イゼット果敢の弱点 こうしてミラーマッチへの意識もしっかりとし始めたところで、課題となったのが2つ。   1つは《一時的封鎖》でした。《ドレイクの孵卵者》を入れるようになったせいで《一時的封鎖》がとにかく刺さるのです。《精鋭射手団の目立ちたがり》を計画する代わりに2マナ域をポン出ししているのですから、それも仕方ありません。 《コーリ鋼の短刀》はトークンごと奪われ、《嵐追いの才能》もなくなってレベルアップによる回収が使えなくなります。 もう1つは《真昼の決闘》です。 1ターンに1回しか呪文を唱えられなくなるので、当然《コーリ鋼の短刀》は誘発しなくなり、果敢軍団の攻撃力も半分以下に落ちてしまいます。 そして大きな問題点として、これらのカードが同じデッキに採用されていることがあるのです。具体的のはドメインオーバーロードなどです。 更にそれらのデッキは《跳ねる春、ベーザ》などでライフも回復してきます。なので《食糧補充》などでゆっくりとリソースを取っていてもなかなかライフが削れず、《ミストムーアの大主》などですぐに殴ってきます。 《一時的封鎖》《真昼の決闘》は、イゼット果敢を使うならかなり意識しなければならないカード。いかに攻略するかが命題となりました。   懐かしの相棒ティムールカワウソとの再会 《一時的封鎖》《真昼の決闘》は共にエンチャントなので、エンチャントを破壊するのが手っ取り早いのですが、残念ながら青赤にはそんな便利なカードはありません。そこで考えたのが緑タッチ。 緑には《脚当ての陣形》をはじめ優秀なエンチャント破壊がいくつもありますからね。とはいえ、ただイゼットに緑をタッチすることはできません。境界ランドの都合から、青赤に緑を少しだけ入れることはできなかったのです。基本土地が減るとそれだけ境界ランドが2色出づらくなってしまいます。 それなら逆に最初からティムールで考えてしまおうと思いました。ティムールで呪文を何度も使うデッキと言えば、そうティムールカワウソ! そう思い、ティムールカワウソで《コーリ鋼の短刀》を試してみたところ、その相性の良さに驚きました。 元々《渓間の洪水呼び》のコンボ以外では《嵐追いの才能》ビートダウンと《この町は狭すぎる》《嵐追いの才能》ハメ以外の勝ち手段しかなかったティムールカワウソですが、《嵐追いの才能》ビートには当然《嵐追いの才能》が必要で、速やかにライフを削る手段があまりありませんでした。 そこに《コーリ鋼の短刀》が加わったのです。これで《嵐追いの才能》を引かずとも、《コーリ鋼の短刀》でライフを削れるようになりました。   しかも《コーリ鋼の短刀》から出るモンクトークンは《永劫の活力》でマナを出せるので、クリーチャーがどんどん出てくる《コーリ鋼の短刀》自体がティムールカワウソに合っています。 《コーリ鋼の短刀》の継続的な誘発も問題ありません。《手練》《選択》は入っていませんが、《薮打ち》《花粉の分析》の土地サーチカードたちで《コーリ鋼の短刀》を誘発させられますし、《この町は狭すぎる》も4枚採用なので、2回の誘発に困ることはありません。 更に、当時は存在すらしていなかった《食糧補充》もデッキに非常に噛み合います。《この町は狭すぎる》《永劫の活力》のいずれかを求めることが多かったのですが、どちらも探せる《食糧補充》はマスターピース。 《花粉の分析》の証拠収集を稼ぐ手段としても、《食糧補充》は悪くありません。以前までは《この町は狭すぎる》で5マナは稼げても、後の3マナが大変でしたが、《食糧補充》がちょうどそのマナを埋めてくれるので、《この町は狭すぎる》《食糧補充》だけで《花粉の分析》の証拠収集を満たせるようになったのです。   ティムールカワウソについて ティムールカワウソは、イゼット果敢のような果敢ビートダウン要素を持ちながら、《コーリ鋼の短刀》を意識してきたデッキには別の勝ちプランを用意できるデッキです。それが最大の魅力です。 《コーリ鋼の短刀》に強い《一時的封鎖》、ある程度ライフを削った後に出てくる《跳ねる春、ベーザ》。どちらもイゼット果敢に強いカードではありますが、ティムールカワウソにはそれらのカードは効きません。 《コーリ鋼の短刀》を対処できる除去コントロール、要するにオルゾフピクシーのようなデッキをイゼット果敢は苦手としていますが、ティムールカワウソはそういったデッキに対して、《コーリ鋼の短刀》にもクリーチャーにも頼らない勝ちパターンがあります。《食糧補充》で《トーテンタンズの歌》と《渓間の洪水呼び》を集めて一気にバーストダメージを出せます。無限コンボも内蔵されているので、《跳ねる春、ベーザ》で何点回復されようと怖くありません。 イゼット果敢対ティムールカワウソの対決では、色が多い分、ティムールカワウソの方が事故りやすくはなっているものの、入っているカード自体は強力。しっかり回れば十分勝てる相手です。   イゼット果敢と戦えつつ、イゼット果敢キラーのデッキたちを狙い撃ちしたデッキ、それがティムールカワウソです。   メインに《渓間の洪水呼び》は1枚しか入っていませんが、《花粉の分析》《食糧補充》で探せますし、コンボ以外では必要のないカードなので問題ありません。《コーリ鋼の短刀》による果敢ビートダウンがあくまでメインで、そこに絡まないカードは最小限の枚数となっています。 《渓間の洪水呼び》が必要なマッチ=《コーリ鋼の短刀》で勝ちづらい相手(コントロール)なので、そういった戦いは長引き、1枚の《渓間の洪水呼び》と2枚の《トーテンタンズの歌》を揃える余裕が十分にあるのです。   本戦結果 〇×〇 ディミーアミッドレンジ×〇〇 オルゾフピクシー×〇〇 ドメイン×〇× ジェスカイ眼魔〇〇  アゾリウスアーティファクト〇〇  オルゾフピクシー〇×× 赤単×〇× イゼット果敢〇×〇 ディミーアミッドレンジ〇×× イゼット果敢〇×〇 ボロスモニュメント〇〇  赤単アグロ   最初にお伝えした通り、本戦結果は8勝4敗。   結果はまずまずでしたが、イゼット果敢には2回当たって2回負けとふがいない成績。   1回目のイゼット果敢はかなり良い勝負でしたが、色マナ関連の事故で敗北。このデッキの弱いところがモロに出た形となってしまいました。   もう1つのイゼット果敢については、《コーリ鋼の短刀》を2枚並べて誘発できない不ヅキに見舞われて比較的有利だったゲームを落としてしまい、3本目はダブルマリガンによってなすすべなく敗北。展開的には勝てそうだっただけに非常に悔やまれます。 とはいえ、オルゾフピクシーには2回当たって2回勝ちましたし、ドメインにもしっかり勝利でき、イゼット果敢を意識してきた相手には想定通りすべて勝てており、そこに関しては満足しています。   誤算は赤単アグロの《魔道士封じのトカゲ》でした。ただでさえ赤単アグロは相性が悪いのに、その上《魔道士封じのトカゲ》はあまりにクリティカル。75枚の内対処できるのが《この町は狭すぎる》と《薮打ち》のみで、《魔道士封じのトカゲ》入りの赤単には全く勝てる気がしませんでした。 もし次回参加するとしたら、《声も出せない》をサイドボードに何枚か採用すると思います。《叫ぶ宿敵》対策にもなりますし、対赤単には一番良さそうです。 本戦後の反省を踏まえたリストを掲載しておきます。 【MTGアリーナインポートデータ】 シミックテラーについて マジック大戦祭で使用したシミックテラーについても聞かれることが多かったので、軽く触れておきます。   シミックテラーは、ティムールカワウソを組んだ直後にボローニャの地域CSで見かけたデッキでした。   「《コーリ鋼の短刀》の誘発のためにメインで相手が2アクションを取り、モンクを誘発させてくるので、《渦泥の蟹》でテンポを取りやすい」と解説をしていて、なるほどと膝を打ちました。 マジック大戦祭はBO1スタンダードだったので、墓地対策をされることもありませんし、ちょうど良いと思って少し調整をして持ち込んだのですが、このデッキもそれなりに好感触でした。 まず《コーリ鋼の短刀》対策の《一時的封鎖》が全く効きませんし、ライフを削る力もあっという間なので生半可なライフゲインでは対処できません。 肝心の《コーリ鋼の短刀》を使うデッキにもそこまで不利には感じませんでした。サイド後に《石術の連射》を連発されるとさすがに終わってしまいますが、《トレイリアの恐怖》《渦泥の蟹》のサイズ差でイゼット果敢側を圧倒する展開が多かったです。 悩みの種の赤単にもバウンスを大量に入れていることでそこまで不利な印象はなく、デッキパワーは感じました。 《豆の木をのぼれ》に少し依存しているデッキではあるものの、《蓄え放題》《手練》で探せるので、そこまで気になりませんでした。 調整したBO3仕様のリストを掲載しておきますので、気になる方は使ってみてください。   ティムールカワウソが楽しすぎて今回は使用しませんでしたが、本戦で使う候補に挙がるぐらいには強かったです! 【MTGアリーナインポートデータ】 終わりに 実はチャンピオンズカップファイナルで2日目に進出したのは、僕が準優勝した一昨年の常滑以来でした。   今回はプロツアーに後1勝足りず残念な結果となってしまいましたが、久しぶりに2日目を戦えたことには少し安堵しています。次回は目指せトップ8、そして優勝!   来週はモダン神挑戦者決定戦で使用したジェスカイカッターの記事をお届けする予定です。 それではまた!

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【週刊メタゲーム通信】日本ではイゼット果敢が大暴れ!一方アメリカではアゾリウス全知が大躍進

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2025.05.07

mtg Yuyan

こんにちは。   細川 侑也(@yuyan_mtg)です。   今回は、日本とアメリカで行われた地域CSの結果から、最新のメタゲームを分析していきます。   日本 優勝:オルゾフピクシー2位:イゼット果敢3位:黒単デーモン4位:イゼット果敢5位:イゼット果敢6位:赤単アグロ7位:イゼット果敢8位:赤単アグロ   日本で行われたチャンピオンズカップファイナル(地域CS)、一言で言うなら圧倒的な赤さ!!   トップ8の内6つが赤いデッキで、その内訳はイゼット果敢が4人、赤単が2人です。   今回最大勢力だったイゼット果敢は30%以上のプレイヤーが選択しており、アメリカの地域CSでも同様の結果となっていました。一番人気のデッキがトップ8の半数を占める結果となり、最強のデッキであることは明らかです。 【MTGアリーナ用インポートデータ】   《僧院の速槍》《精鋭射手団の目立ちたがり》の8枚のクリーチャーに《コーリ鋼の短刀》《嵐追いの才能》を合わせた事実上の16枚のダメージソースを、《手練》や《選択》で強化し、《食糧補充》で追加リソースを獲得して継続的に打点を稼いでいくのがイゼット果敢。 ですが、この準優勝の芝田選手のリストのように、《ドレイクの孵卵者》を採用したイゼット果敢が本トーナメントでは散見されました。 ご覧のようにイゼット果敢にはメインに3点火力が入っていないことが多く、《ドレイクの孵卵者》を対処できるのは《洪水の大口へ》のみ。そのため非常に場持ちがよく、出てくるドレイクも《精鋭射手団の目立ちたがり》のブロッカーとして最適です。 更に《巨怪の怒り》との組み合わせでドレイクを生み出しやすくなるのも魅力です。一度タフネス4の《ドレイクの孵卵者》を作ってしまえばジェスカイ眼魔なども対処が難しいですし、《ドレイクの孵卵者》は黒以外のアグロデッキに対して強いカードとなっています。 今回は赤単にイゼット果敢と赤が非常に多いフィールドだったので、《ドレイクの孵卵者》は大活躍だったに違いないでしょう。 そんなイゼット果敢と共に今大会で相手のライフを脅かし続けたのが赤単アグロ。 【MTGアリーナ用インポートデータ】   イゼット果敢登場までは赤アグロと言えばハツカネズミでした。もちろん《コーリ鋼の短刀》が登場してからも、赤単の強さは色あせていません。トップ8にしっかり2人が駒を進めています。 グルール・ボロスなど様々なバリエーションが存在する赤アグロですが、トップ8に残ったのはいずれも赤単。やはりライフレースとなるマッチにおいて色を増やすリスクは大きく、またサイドボードの《陽背骨のオオヤマネコ》を強く使えるのも赤単のメリットです。 《光砕く者、テルサ》は最近の赤単ではすっかり定番となった1枚。これまでドローする手段と言えば《探索するドルイド》程度しかなく、そのために緑をタッチするリストもありましたが、《光砕く者、テルサ》が入ってからは《探索するドルイド》に頼る必要はなくなりました。 《探索するドルイド》と違ってリソースが増えることはありませんが、手札に溜まった土地や除去を捨ててカードを探しにいけますし、墓地が7枚以上あれば墓地からカードを使用できる可能性もあります。   特にサイド後は《陽背骨のオオヤマネコ》を入れることになるのですが、《探索するドルイド》だと中々《陽背骨のオオヤマネコ》を唱えられないのが悩みどころでした。土地が3枚しかない状態で《陽背骨のオオヤマネコ》がめくれてしまい、そのまま追放される……なんて経験をした方も多いはず。 しかし、《光砕く者、テルサ》なら単純にドローなので《陽背骨のオオヤマネコ》が追放される心配はありません。本体性能も3マナ3/3速攻と十分強く、赤単の安定性に一役買ういぶし銀のカードと言えますね。   《魔道士封じのトカゲ》が今回の赤単にはどちらにも採用されていますが、これはイゼット果敢を強く意識したクリーチャーです。1/4というサイズはイゼット果敢は非常に対処しづらく、《抹消する稲妻》などの2マナ4点火力はまず入っていないため、3マナの《焦熱の殲滅》や2点火力2枚などでしか除去できません。 赤単を使うなら《魔道士封じのトカゲ》は4枚固定になりそうですね。   さて、そんな赤アグロの波を泳ぎきり、見事チャンピオンに輝いたのはオルゾフピクシーでした。 【MTGアリーナ用インポートデータ】   《養育するピクシー》《陽光真珠の麒麟》の自分のパーマネントを手札に戻すセルフバウンスカードで、《望み無き悪夢》《逃げ場なし》《勢い挫き》を戻して、手札破壊や除去を行ってアドバンテージを稼ぐコントロールデッキです。 このデッキの最大の長所はなんといっても《一時的封鎖》を非常に強く使える点にあります。 《一時的封鎖》はもともと、イゼット果敢対策として注目されていたカードでした。ただの除去では《コーリ鋼の短刀》にはほとんど意味がなく、それがイゼット果敢対策を難しくさせている要因だったのですが、《一時的封鎖》はトークンごと《コーリ鋼の短刀》《嵐追いの才能》をすべて追放できるので、非常に強力です。 それをイゼット果敢側も理解し、メインに《洪水の大口へ》を複数枚採用するようになりました。8枚のキャントリップ+《食糧補充》でかなりデッキを掘り進められるため、2~3枚採用の《洪水の大口へ》をゲーム中に引くことはさほど難しくありません。 《洪水の大口へ》をターン終了時に唱えて《一時的封鎖》を手札に戻し、その時に帰ってきたカードで返しのターンで勝利、という流れは再現性が高く、《一時的封鎖》をイゼット果敢は克服していました。   しかし、オルゾフピクシーの使う《一時的封鎖》は事情が違います。   なぜならオルゾフピクシーは、《一時的封鎖》を有効活用するデッキだからです。《望み無き悪夢》《逃げ場なし》などの2マナ以下のパーマネントを出しておき、《一時的封鎖》で巻き込んでおき、《養育するピクシー》で《一時的封鎖》を戻してそれらのカードを使い回す。これがオルゾフピクシーの基本戦略の1つなのです。 《洪水の大口へ》で《一時的封鎖》を戻しても、《逃げ場なし》が帰ってきて亜《精鋭射手団の目立ちたがり》を除去されたり、《望み無き悪夢》で手札を枯らされては、返しで勝つことはできません。オルゾフピクシーの使う《一時的封鎖》は、ジェスカイコントロールや全知が使うそれとはまったく異なるカードだったのです。 かくして、イゼット果敢を《一時的封鎖》で完全に攻略したオルゾフピクシーは、トップ8を圧倒的パフォーマンスで駆け抜けていきました。なんとイゼット果敢3連戦を、全部ストレート勝ち!   イゼット果敢キラー、オルゾフピクシーが見事栄冠に輝いたのでした。   アメリカ 優勝:ジェスカイコントロール2位:ジェスカイ眼魔3位:イゼット果敢4位:アゾリウス全知5位:ジェスカイ眼魔6位:アゾリウス全知7位:イゼット果敢8位:アゾリウス全知   一方のアメリカは、日本と同じくイゼット果敢が最多勢力だったものの、トップ8に1人のみ。   その代わりにアゾリウス全知が3人、名を連ねています。 【MTGアリーナ用インポートデータ】   最近流行のアゾリウス全知のリストは、ついに《アルケヴィオスへの侵攻》がデッキから抜けました。これまで《全知》を貼ってからの勝ち手段として採用されていた《アルケヴィオスへの侵攻》ですが、《全知》が出ていない状態では5マナのサーチと、今のスタンダードで使用に耐えうるものではなく、手札に溜まってしまうことがそのまま敗北に直結していました。 勝ち手段として今使われているのは《第三の道の創設》。最終的に《全知》によってすべてのカードが無料で唱えられるようになるので、デッキを全部掘り、《第三の道の創設》を出して切削の対象を対戦相手にし、《マラング川の執政》を出して《第三の道の創設》を回収。再び《第三の道の創設》で相手を切削し、《マラング川の執政》Bで《マラング川の執政》Aと《第三の道の創設》を回収。後はこれを繰り返して相手のライブラリーを0枚にすることで勝利となります。 《第三の道の創設》は普通に使用しても、1章で《決定的瞬間》を打ちながら2章で全知を落とし、3章で墓地に落ちた《アブエロの覚醒》をそのままキャストと、《アルケヴィオスへの侵攻》に比べて普段使いが非常に強いのが魅力です。   これまでのアゾリウス全知は《アルケヴィオスへの侵攻》などコンボパーツが多すぎるデッキでした。そのため、サイドから全知以外のゲームプランを用意しても、結局コンボ専用カードがデッキに多すぎるため、ほとんど機能することがなく、結局コンボに特化していました。そのため、《除霊用掃除機》などの墓地対策をクリティカルに喰らうだけで負けてしまう、脆弱なコンボデッキだったのです。 しかし、コンボパーツでもありドロースペルの《マラング川の執政》《乱動するドラゴンの嵐》など、普通のアゾリウスコントロールに入るスペックのカードが入ったことで、サイド後にコンボからアゾリウスコントロールに変わることが可能となりました。 《ミストムーアの大主》《跳ねる春、ベーザ》はそのために採用されており、サイド後は《除霊用掃除機》を出して《全知》をけん制する相手に、《跳ねる春、ベーザ》《マラング川の執政》《ミストムーアの大主》を叩きつけて勝利できます。 日本では残念ながら勝ちきれなかったものの、アゾリウス全知もかなり強化されてきており、非常に強いデッキです。今回の大躍進も頷けますね。   そしてトップ8に緑と黒が1人もいないという、とても偏ったアメリカの地域CSを制したのは、なんとジェスカイコントロール! 【MTGアリーナ用インポートデータ】   赤系アグロに対しては《一時的封鎖》《稲妻のらせん》《審判の日》《跳ねる春、ベーザ》。 ミッドレンジに対しては《三歩先》をはじめとした打ち消し呪文に《マラング川の執政》《食糧補充》のアドバンテージ軍団。 理論上最強のコントロールデッキが、見事アメリカの地域CSを制しました。   デッキの核となっているのが攻防一体の《道の体現者、シィコ》です。アグロ相手には《稲妻のらせん》などを使い回しつつ、飛行警戒4/5のスタッツで鉄壁。 ミッドレンジ・コントロールに対しては《食糧補充》を使い回してアドバンテージを稼ぎます。 親の仇と言わんばかりにアグロ対策を詰め込んだデッキなので、しっかり回ったジェスカイコントロールに勝てるアグロはこの世に存在しないかもしれません。   《稲妻のらせん》は赤いアグロが隆盛する現代においてキーとなるカードと言えますね。《道の体現者、シィコ》で使い回せるのが大きく、アグロ相手のゲームプランはまず《稲妻のらせん》からの《道の体現者、シィコ》になります。 イゼット果敢・赤単アグロを意識しているミッドレンジに対しても強いのがジェスカイコントロールの特徴です。たとえば日本の地域CS優勝のオルゾフピクシーは、ジェスカイコントロールには逆立ちしても勝てません。   《望み無き悪夢》で少し手札を捨てさせても《食糧補充》《マラング川の執政》《道の体現者、シィコ》ですぐリソースを回復され、ライフを削ろうにも《稲妻のらせん》で安全圏へ行き、クリーチャーは根こそぎ除去されてしまいます。 全対面有利。その言葉が過言でないことを、ジェスカイコントロールが優勝によって証明しました。   日本とアメリカ、メタゲームはほとんど同じにもかかわらず全く異なる結果となり、スタンダードの奥深さを実感させられました。

【今週のピックアップデッキ】ディミーア眼魔/4色レジェンズ/赤単ベルチャー

週刊 Modern Pioneer Standard ピックアップ

2025.05.02

mtg Yuyan

こんにちは。 細川 侑也(@yuyan_mtg)です。 今週のピックアップデッキでは、ちょっと珍しいデッキを、軽い解説を交えて紹介していきます。   紹介デッキ ディミーア眼魔 4色レジェンズ 赤単ベルチャー   ディミーア眼魔 スタンダードリーグ(4/29) : 5-0 By ajifly MTGアリーナ用インポートデータ スタンダードからモダン、時にはレガシーでも見かけることのある、超ハイスペッククリーチャー《忌まわしき眼魔》。 墓地を6枚追放するという重いキャスト条件があるものの、ひとたび戦場に出れば毎ターン戦慄予示であっという間に場を支配してくれます。   そして唯一の欠点である重いコストも、あくまでこれは唱える際に必要なものなので、唱えずに戦場に出してしまえば何も問題ありません。   そこで《忌まわしき眼魔》は、主に墓地から直接戦場に出てきます。   墓地からクリーチャーをよみがえらせる、いわゆるリアニメイト呪文は、条件のないものは《ゾンビ化》など4マナ以上である場合がほとんどです。レガシーで一線級の活躍をしている《再活性》はたった1マナでなんでも蘇生できますが、これは例外中の例外。《偉大なる統一者、アトラクサ》をたった1マナで釣り上げるカードは許されていいはずがありません。 しかし、逆に言えば条件付きならば軽いリアニメイト呪文はスタンダードにも存在します。特にマナ総量が3マナ以下のクリーチャーを吊り上げるカードは《救いの手》をはじめ1マナです。これはマナ総量が3以下のクリーチャーは基本的には支配力が低く、1マナで墓地から吊り上げる動きがさほど強力でないためです。 だからこそ《忌まわしき眼魔》を1マナのスペルでリアニメイトする動きは非常に強力です。実質《忌まわしき眼魔》は5~6マナ域の強さのカード。それをマナ総量が3のカードだから《救いの手》で釣り上げるのは完全に非合法の動きです。 モダンでは《発掘》で《忌まわしき眼魔》を吊り上げるディミーア眼魔、スタンダードでも《救いの手》を使ったジェスカイ眼魔が活躍しているわけですが、今回は新たな眼魔デッキをご紹介します。   それがディミーア眼魔。   墓地に《忌まわしき眼魔》を落として吊り上げるという部分は他の眼魔デッキと同じです。ただしスタンダードには《発掘》はないので、《誰も置き去りにしない》でリアニメイトします。 普通に使えば5マナの《ゾンビ化》ですが、マナ総量3以下のクリーチャーを釣る際には2マナになるので《誰も置き去りにしない》は実質《再稼働》。《救いの手》よりは重いですが仕方ありません。   5マナさえ払えば《ゾンビ化》なのでサイド後は《黙示録、シェオルドレッド》を復活させることも可能です。 墓地に落とす手段は《統合の福音者》と《蒸気核の学者》。カードを引いて捨てる、いわゆるルーター能力で墓地へと落としていきます。 そしてドロー・ディスカードによって墓地に《忌まわしき眼魔》を送り込むことから、相性の良いのが《プロフトの映像記憶》。ジェスカイ眼魔でも採用されているこのドローによって強化されているエンチャントを、ディミーア眼魔でも取り入れています。 《冬夜の物語》も《プロフトの映像記憶》と噛み合いながら《忌まわしき眼魔》を墓地に落とせるカードです。 面白いのは《鍾乳石の追跡者》。落魄することでターン終了時に成長していくこのカードは、ルーターによって土地などを捨てた時でもしっかりと誘発してくれます。《プロフトの映像記憶》と合わせてサイズを上げて大型クリーチャーを倒すなど、単純な戦闘以外の使い道があるのも良いですね。 サイドボードには手札破壊に《黙示録、シェオルドレッド》と、ジェスカイ眼魔では採用できないカードたちの姿が多数あります。特に《黙示録、シェオルドレッド》は赤アグロ全盛期の今、かなり注目されています。 青黒なら当然《悪夢滅ぼし、魁渡》も採用できますし、このカードはやはり凄まじい強さ。《誰も置き去りにしない》のために《除霊用掃除機》を出してきた相手に《悪夢滅ぼし、魁渡》忍術を決める動きはあまりにも気持ち良いですね。 《忌まわしき眼魔》を使い倒したい方、ジェスカイばかりではなくたまにはディミーアでいかがですか?     4色レジェンズ パイオニアリーグ(4/28) : 5-0 By  kanara38204 MTGアリーナ用インポートデータ このデッキは一体…?   初見でデッキリストを見て動きがわからないことはよくありますが、じっくり読み込んでもさっぱりわからないのは久しぶりかもしれません。   この4cレジェンズはとにかくその動きが謎に包まれています。   一つはっきりしているのは、《嘘の神、ヴァルキー》と《再覚醒したジェイス》のコンボが搭載されているということです。 《嘘の神、ヴァルキー》を《再覚醒したジェイス》で計画すると、《星界の騙し屋、ティボルト》として唱えることができます。この2枚コンボが採用されています。 このコンボは通常グリクシスコントロールのようなデッキに組み込まれる場合が多いですが、4cレジェンズは4枚の《闇の中の研究者、ナシ》と《策謀の予見者、ラフィーン》で果敢に殴っていくデッキです。 《闇の中の研究者、ナシ》は2マナでリソースを稼ぐクリーチャー。プレイヤーに与えたダメージ分、カードを切削し、そこからエンチャントと伝説のカードを好きなだけ回収できるので、このデッキなら1~2ドロー相当です。   そんな《闇の中の研究者、ナシ》を強化するのが《策謀の予見者、ラフィーン》。《闇の中の研究者、ナシ》はだんだんサイズが上がっていき、切削枚数が増えるカードなのですが、《策謀の予見者、ラフィーン》で強化してしまえば、攻撃していきなり4枚切削なんてことも。切削枚数が増えれば当然手札に加わる数は増えるので、大量のリソースを獲得できます。 《道の体現者、シィコ》は最もデッキ内で重いクリーチャー。墓地のマナ総量3以下のカードをコピーしてタダで唱えられるので、《思考囲い》や《致命的な一押し》などのスペルはもちろん、《策謀の予見者、ラフィーン》を戦場に出すことも可能です。 この伝説軍団たちと一緒に採用されているのが《不浄な別室+祭儀室》。一見するとデーモンがいないデッキに見えますが、実は《策謀の予見者、ラフィーン》がデーモンなので、《不浄な別室+祭儀室》との相性は良好です。 とはいえ、このデッキの《不浄な別室+祭儀室》はただ単に強力なカードとして採用されています。《致命的な一押し》《思考囲い》《不浄な別室+祭儀室》はそれだけで黒いミッドレンジを成立させるほどの強さを持つカードたち。特別なシナジーなど必要としていません。   エンチャントなので《闇の中の研究者、ナシ》で拾うことができるのは美味しいですね。 時にはハンデスと除去から《不浄な別室+祭儀室》を置いて勝ったり、またある時は《闇の中の研究者、ナシ》から《策謀の予見者、ラフィーン》で大量リソースを獲得したり、《道の体現者、シィコ》で粘り強く勝ったりと、同じデッキとは思えない顔を持っているのがこの4色レジェンズ。   すぐに同じデッキに飽きてしまう方にはオススメ!     赤単ベルチャー モダンリーグ : 5-0 By  slowbro1 デッキ内の土地を0枚にして《ゴブリンの放火砲》で一撃必殺を狙うコンボデッキ、ベルチャー。 『モダンホライゾン3』で大量の表面が呪文で裏面が土地の両面ランドが登場してからモダンでメタデッキ入りを果たし、現在は大量の打ち消し呪文を採用した青単ベルチャーが主流となっています。 今回ご紹介するのは、対照的なカラーである赤単ベルチャー。   両面ランドを入れて土地を0枚にして《ゴブリンの放火砲》を打つことは同じですが、それ以外はまったく青単と異なる動きを見せるのがこの赤単ベルチャー。   青単ベルチャーが土地を毎ターン置き、《睡蓮の花》から7マナで《ゴブリンの放火砲》を決めるのに対し、赤単は《発熱の儀式》《捨て身の儀式》でマナ加速して《ゴブリンの放火砲》キャストにこぎつけます。 《ゴブリンの放火砲》と最も相性の良いマナ加速が《アイレンクラッグの妙技》。4マナで7マナを生み出す規格外のマナ加速ができる代わりに、後1回しか呪文が唱えられなくなってしまうカード。《ゴブリンの放火砲》の設置は4マナ、起動は3マナなので、なんと《アイレンクラッグの妙技》1枚で《ゴブリンの放火砲》が打ててしまうのです。 そのため、2ターンキルも現実的です。《捨て身の儀式》《発熱の儀式》《アイレンクラッグの妙技》《ゴブリンの放火砲》、この4枚だけで2ターンキルです!   これらのマナ加速は基本的に2マナで3マナを生み出すので1マナ加速にしかなりませんが、《ルビーの大メダル》があれば1マナで3マナと、2マナ増える呪文になります。2ターン目に《ルビーの大メダル》を設置すれば3ターン目にセットランドから2回儀式を打つだけで7マナになるので、やはり《ゴブリンの放火砲》で勝利。《ゴブリンの放火砲》さえ引ければ3ターンキルは容易なデッキです。 《ゴブリンの放火砲》を引くためのドロースペルは《街道筋の強奪》《苦々しい再会》《不可能の一瞥》。青単ベルチャーが《稲妻罠の教練者》《ファラジの考古学者》《発明品の唸り》を使うことを考えると、少し心もとなく感じますよね。 その点はご安心ください。《ゴブリンの放火砲》は4枚しか採用できませんが、その代わりに追加のフィニッシャーが入っています。それが《嵐鱗の末裔》です。 6マナのストーム付きのドラゴンで、更に他のドラゴンを+1/+1するので、2体並べば5/5×2、3体なら6/6×3と、ストーム2で出しても致死量です。   先ほど紹介した《街道筋の強奪》と《苦々しい再会》はただのドロースペルではなく、《嵐鱗の末裔》を意識しています。《街道筋の強奪》を2ターン目に計画すれば、3ターン目の《嵐鱗の末裔》のストームを増やせますし、《苦々しい再会》で速攻を突ければ《嵐鱗の末裔》を出したターンにゲームを終わらせられます。   《アイレンクラッグの妙技》で赤マナを7つ出し、6マナから《嵐鱗の末裔》をキャスト、余った1マナで《苦々しい再会》を生け贄にして速攻パンチは美しすぎますね。 青単ベルチャーのように妨害を採用できない代わりに、とにかく速さに特化しているのがこの赤単ベルチャーなのです。   青単には効果的な《石のような静寂》は《嵐鱗の末裔》には無力だったりと、微妙に効くサイドカードが違うのも、赤単ベルチャーの魅力です。 その代わりに《嵐鱗の末裔》のストームと《ゴブリンの放火砲》を打ち消せる《記憶への放逐》が青単に比べてかなり効きやすくなっていますが、それをしっかりと理解しており、《防御の光網》を4枚サイドに用意しています。 一度2ターンキルを味わってしまえばもう青単ベルチャーには戻れなくなるかもしれませんよ?

【週刊メタゲーム通信】ヨーロッパ地域CSの結果から最新スタンダードを分析!

週刊 Standard ピックアップ

2025.04.30

mtg Yuyan

こんにちは。   細川 侑也(@yuyan_mtg)です。   今週はヨーロッパ地域CSの結果を分析していきます! 参考データ メタゲーム ヨーロッパ地域CSで最大勢力となったのはイゼット果敢でした。 【MTGアリーナ用インポートデータ】   様々なフォーマットで大活躍中の《コーリ鋼の短刀》を最も強く使えるデッキ。《僧院の速槍》《精鋭射手団の目立ちたがり》の単体の速いクロックに、《コーリ鋼の短刀》の横並び戦略は噛み合います。 《僧院の速槍》《精鋭射手団の目立ちたがり》を軸にデッキを組む場合、弱点となるのは当然単体除去となるのですが、一方で《コーリ鋼の短刀》は除去に対して強いカードだからです。 そしてこれらの果敢・疾風を誘発させるために《選択》《手練》《食糧補充》と青いドロースペルが最適で、その結果、イゼットカラーのデッキが最も《コーリ鋼の短刀》を使う上でベターな選択肢となっています。 179名のプレイヤーが選択したイゼット果敢はなんとトップ8に3人を送り込み、すべてが準決勝に駒を進め、そして決勝はイゼット果敢によるミラーマッチとなりました。   勝率を見ても、ジェスカイ眼魔とドメインオーバーロード以外のすべてのデッキに勝ち越しており、あまりに立派な数字です。今回イゼット果敢は事前に最大勢力であることが予想されており、そのため《真昼の決闘》をはじめ数々の対策カードが採用されていました。 にもかかわらずこの圧倒的なパーフォーマンス。スタンダードにおける最強デッキはイゼット果敢であることに、最早異を唱えるものはいないでしょう。 【MTGアリーナ用インポートデータ】   2番手である赤単アグロもまた、トップ8に2人入賞となりました。赤いアグロデッキは大人気かつしっかりと成果をあげ、赤アグロ包囲網は今回完全に破られました。 とはいえ、赤単アグロは全体を通して見れば、さほど好成績というわけではありません。トップメタのイゼット果敢に負け越していますし、その下のエスパーピクシー・ジェスカイ眼魔にも大きく不利です。   それでもアゾリウス全知やズアーオーバーロードに非常に強く、またその有無を言わさぬスピードで、メタ外のデッキたちに強いのが特徴です。   こういったデッキはトーナメント終盤まで数多く残り、相性差によってその多くは散ってしまうも、一部が凄まじい回りを見せて決勝ラウンドに進むことになります。その結果が今回のようになるわけですね。 【MTGアリーナ用インポートデータ】   さて、苦戦を強いられたのが、3番手のエスパーピクシーです。 エスパーピクシーはとにかく《コーリ鋼の短刀》が厳しいデッキ。単体除去を繰り返し使用し、《望み無き悪夢》で手札を奪いながらダメージレースを優位にしていくというデッキの構造上、無限にトークンが出てくる《コーリ鋼の短刀》とそのための《食糧補充》が苦手です。 赤単アグロにこそ勝ち越していますが、イゼット果敢には勝率44%ととどまっており、4番人気のジェスカイ眼魔に大きく不利がつき、トーナメント上位には残りませんでした。 【MTGアリーナ用インポートデータ】   一方、アグロキラーと言われていたジェスカイ眼魔は4番手で、こちらはまずまずの成績。イゼット果敢・赤単アグロにはしっかりそれぞれ54%、61%を叩き出し、上位デッキだけを考えれば選択肢として十分上がるでしょう。 しかし、課題となるのはやはりドメインオーバーロード。《光砕く者、テルサ》によって《審判の日》の返しに《プロフトの映像記憶》込みで打点を出せるようになったとはいえ、根本的な相性改善には至っていません。 更に今回勝ち組だったディミーアミッドレンジとの相性が絶望的だったのも、ジェスカイ眼魔がトップ8に駒を進められなかった理由の1つでしょう。ディミーアはトップ8に2人残っていますし、トーナメント終盤で食われてしまいました。   《プロフトの映像記憶》4枚採用によりジェスカイ眼魔は《フェアリーの黒幕》《黙示録、シェオルドレッド》が非常に厳しく、ディミーアミッドレンジの復権に一役買ってしまう形となりました。 【MTGアリーナ用インポートデータ】   5番手となったアゾリウス全知ははっきりと今週の負け組だったデッキです。 イゼット果敢・赤単アグロの両翼、その下のエスパーピクシー・ジェスカイ眼魔にしっかりと負け越しており、打ち消しを擁する青いアグロと赤い高速アグロが苦手という欠点がそのまま成績に現れてしまいました。 ただし、逆に今週はチャンスです。イゼット果敢・赤単アグロがここまで勝ったなら、今週は更に苛烈にメタられることが容易に想像できます。環境が遅くなればそれだけアゾリウス全知の勝率は上がってくるので、赤アグロが徹底的にメタられたフィールドになるなら、そこは全知にとっての楽園です。 【MTGアリーナ用インポートデータ】   そんな遅いデッキの筆頭だったジェスカイコントロールですが、残念ながらイゼット果敢・赤単アグロに対して負け越しています。 対イゼット果敢に対しては47%と五分に等しいと言えば等しいですが、赤単には44%、ジェスカイ眼魔にも負け越しており、大きく勝ち越しているエスパーピクシーがこの後数を増やすとは思えないので、今週も厳しい戦いを強いられることになるでしょう。   しかし、《一時的封鎖》・《稲妻のらせん》とアグロに強いパーツを採用しているのがジェスカイコントロール。リスト次第では赤アグロに耐性がつけられるかもしれません。今は《三歩先》など大量にカウンターにスロットを割いていますが、そこがアグロ対策になれば、世界が変わりそうです。 戦略としてはジェスカイコントロールは今のメタゲームに合致しています。ほとんどのデッキがクリーチャーを出してライフを削ってくるので、《一時的封鎖》《稲妻のらせん》が効果的で、ジェスカイ眼魔に対しても《審判の日》があります。 《マラング川の執政》《道の体現者、シィコ》と攻めるカードもしっかりとあり、構成次第では化ける可能性が十分にあるデッキですね。 【MTGアリーナ用インポートデータ】   さて、話題に上ったドメインオーバーロードは7番手。イゼット果敢に僅かに勝ち越していますが、ほぼ五分と言ってよく、《陽背骨のオオヤマネコ》が採用されている赤単には33%と悲惨な成績となっています。トップ8に1人が入賞しましたが、大健闘と言って良いでしょう。 アゾリウス全知というド不利マッチも存在しており、イゼット果敢に僅かに強いとはいえ、選択するのはリスクに思えます。   エスパーピクシー・ディミーアミッドレンジ・ジェスカイ眼魔と最上位のデッキ以外にはそれなりに勝率が出ていますが、イゼット果敢・赤単アグロが減ることはまずないでしょう。そういう意味では立ち位置としてはアゾリウス全知に近いと言えますね。 【MTGアリーナ用インポートデータ】   たびたび話題にのぼるディミーアミッドレンジはというと、今回トップ8に2人を送り込んだ影の勝ち組。 《コーリ鋼の短刀》がとにかく辛く、イゼット果敢には勝率40%と不利ですが、赤単にわずかに勝ち越し、アゾリウス全知にそこそこ、ジェスカイ眼魔に大きく有利と、トップメタ以外のデッキに対しては勝率が出ています。 エスパーピクシーは今週更に数が減っていくことが予想されるため、ディミーアミッドレンジにとってはフィールドは良くなるでしょう。対イゼット果敢を克服するのは難しいでしょうが、イゼット果敢を狙うデッキたちを裏から狙っています。   予想 今週の勝ち組予想は変わらずイゼット果敢!トップ8に2人~3人は入ることになるでしょう。 ジェスカイ眼魔・アゾリウス全知は日本で人気のアーキタイプであることを加味すると、ヨーロッパよりも数が増え、トップ8に1人ずつは入りそう。 3:イゼット果敢1:アゾリウス全知1:ジェスカイ眼魔1:ドメインオーバーロード1:赤単アグロ1:その他デッキ   以上が僕のチャンピオンズカップファイナルのトップ8予想です!   僕も本戦に出場いたしますので、この予想が当たっているか、現地で確認したいと思います。   それではまた!

【今週のピックアップデッキ】アブザンピクシー/セレズニア檻/ブルードレッジ

週刊 Modern Pioneer Standard ピックアップ

2025.04.25

mtg Yuyan

こんにちは。 細川 侑也(@yuyan_mtg)です。 今週のピックアップデッキでは、ちょっと珍しいデッキを、軽い解説を交えて紹介していきます。   紹介デッキ アブザンピクシー セレズニア檻 ブルードレッジ   アブザンピクシー スタンダードチャレンジ(4/24) : 準優勝 By A_Turtle MTGアリーナ用インポートデータ 戦場に出た時に能力が誘発するパーマネントを回収して何度も再利用する、いわゆるセルフバウンス戦略は、今やスタンダードでは大人気のアーキタイプとなりました。 青いデッキなら《この町は狭すぎる》《孤立への恐怖》、白が含まれれば《養育するピクシー》に《陽光真珠の麒麟》と、青と白にそれぞれ複数のセルフバウンス系カードがあるため、すべてを贅沢に使ったエスパーピクシーだけでなく、オルゾフ・ディミーアと2色のセルフバウンス系デッキも活躍しています。 そんなセルフバウンスに、新たなカラーバリエーションが追加されました!   それがなんと白緑黒3色のアブザンピクシーです。   戻すカードはお馴染みの《養育するピクシー》《陽光真珠の麒麟》の8枚。『タルキール:龍嵐録』のおかげで青を使わなくても8枚のバウンスカードをメインに採用できるようになりました。 《陽光真珠の麒麟》と相性の良いカードと言えば《悪意ある呪詛術士》。《陽光真珠の麒麟》は実はトークンをバウンスした時に1ドローできるので、《悪意ある呪詛術士》がつける役割をバウンスすることでカードが引けてしまいます。 《悪意ある呪詛術士》は役割をすぐに剥がすことができれば1マナ3/2というハイスペッククリーチャー。そのため、どちらかと言えば相手のライフを速やかに削るアグロデッキで使いたいカードです。   そんな《悪意ある呪詛術士》と一緒に相手のライフを削るのが《遊撃サイ》。戦場に出た時に2点ドレインしつつ、自身が3/4トランプルなので、ダメージレースで優位に立てます。タフネスが4なのでイゼット系デッキに1枚で処理されにくいのも魅力。 《絶縁の僧侶》は相手の手札を攻めるカード。相手の手札を見て好きなカードを追放します。《難題の予見者》のようなカードですが、自身が離れた時に相手にカードを引かせるのではなく、トークンを生成します。どちらかと言えば手札版の《スカイクレイブの亡霊》と言ったところでしょうか。 《スカイクレイブの亡霊》を使った・使われたことがある方ならわかると思いますが、死亡時にトークンを渡すというデメリットは、実は思いの外小さいです。昨今はクリーチャーの質が非常に上がっており、ただの能力を持たないバニラクリーチャーを献上したところでさほど痛手にはなりません。 特に《絶縁の僧侶》は手札を奪っているので、最大の仕事は戦場に出た時に終わっているので、喜んで死亡時にスピリットを渡せます。 そしてなんといっても《ヤサンの街道見張り》。唱えて戦場に出た時に、カードを4枚切削し、その後墓地からマナ総量が3以下のクリーチャーを場に戻せます。4枚切削した中である必要はなく、墓地から好きなカードを選べます。 前述の《遊撃サイ》《絶縁の僧侶》を出すも良し、《養育するピクシー》《陽光真珠の麒麟》を拾えば戦場のパーマネントを使い回すことができます。   《養育するピクシー》を墓地から戻して《ヤサンの街道見張り》を回収し、再利用なんてことも可能です。 今紹介したアブザンカラーの3種はいずれも戦場に出た時の能力を持っており、実に《養育するピクシー》《陽光真珠の麒麟》で戻しがいのあるクリーチャーです。他のバウンスデッキと違い、クリーチャーを戻すのが最大バリューとなるのがこのアブザンピクシーなのです。   セルフバウンス系デッキは《逃げ場なし》で盤面に干渉し、《望み無き悪夢》で手札破壊しながら殴っていくデッキで、手札への干渉手段は比較的限られています。コンボデッキ、とりわけ全知を苦手としていましたが、《絶縁の僧侶》は相手の手札を見て好きなカードを抜けるので、対全知に強くなっています。 一方でアグロデッキに対しても決して弱くありません。《遊撃サイ》の存在が非常に大きいですね。《コーリ鋼の短刀》の影響で《削剥》が増えていたり、他に倒したい対象が《分派の説教者》しかいない現状では、《抹消する稲妻》などはほとんど採用されていません。そのため、タフネス4の場持ちが非常に良いのです。 しかも《ヤサンの街道見張り》と各種バウンスによって粘り強さも兼ね備えており、《食糧補充》を擁する青系のデッキにもリソースで負けていません。 実は全対面有利の最強デッキなのでは?そう思ってしまうほど良いデッキで、今スタンダードで最も注目のデッキと言って良いでしょう!     セレズニア檻 パイオニアチャレンジ(4/20) : 優勝 By  claudioh MTGアリーナ用インポートデータ パイオニアにおけるセレズニアカラーのビートダウンと言えば、セレズニアエンジェルかセレズニアカンパニーが定番でした。   どちらのデッキも《ラノワールのエルフ》《エルフの神秘家》から始まり、エンジェルは《輝かしい天使》《正義の戦乙女》でライフゲインしながら天使を生成し、《集合した中隊》で追加戦力をライブラリーから召集。 カンパニーは《エイヴンの阻む者》《エメリアのアルコン》《スカイクレイブの亡霊》と様々なクリーチャーを展開して、やはり《集合した中隊》によって押し切る。 いずれのデッキもマナクリから2ターン目に3マナ域を展開し、《集合した中隊》を打つデッキです。 しかし、このセレズニア檻は同じ白緑のビートダウンながら、全く動きが異なります。   《ラノワールのエルフ》《エルフの神秘家》を使うことだけは同じですが、そこから展開する3マナ域が《砂嵐の回収者》《血滾りの福音者》《脚当ての補充兵》(新生)と独特のラインナップ。 これらの3枚に共通することと言えば1つ。そう、トークンです。   トークンと言えば『タルキール:龍嵐録』で登場した《嵐の討伐者、エルズペス》。出るトークンが倍になる常在型能力を持ち、プラスでトークンを生成し、マイナスすれば全体強化。トークンデッキのためのプレインズウォーカーです。《脚当ての補充兵》のトークンが増えるのはヤバすぎますね。 《ミストムーアの大主》も入っているため、かなりトークンが並ぶこのデッキ。そしてクリーチャーが並べば一撃必殺の《孔蹄のビヒモス》が控えています。 とはいえ、《孔蹄のビヒモス》は8マナとかなり重く、マナクリが大量に入っているとはいえ、唱えるのは容易ではありません。そこで活躍するのがデッキ名にもなっている《収集家の檻》。 1マナでクリーチャーに+1/+1カウンターを置くまずまずの能力を持っていますが、その後パワーが異なるクリーチャーを3体以上コントロールしていたら、秘匿していたカードをタダで唱えられるオマケつき!《孔蹄のビヒモス》をたった1マナで唱えることができるのです。   《ミストムーアの大主》はトークンを生成するだけでなく、《収集家の檻》の秘匿から踏み倒すのにも便利なクリーチャー。更に土地でもある《エメリアの呼び声》も《収集家の檻》から3~4ターン目に唱えれば凄まじいプレッシャーになるため、さほどデッキの形を歪めることなく、秘匿でハイバリューを叩き出すことに成功しています。素晴らしいデッキ構築ですね。 《収集家の檻》の秘匿条件を達成するのはさほど難しくありません。《脚当ての補充兵》《血滾りの福音者》《砂嵐の回収者》はそれぞれ自身とパワーの異なるトークンを生成してくれますからね。この辺りも実によく考えられています。 カンパニーデッキと違い、3マナ以下のクリーチャーの数にこだわる必要がないので、様々なゲームプランを展開できるのも強みです。《跳ねる春、ベーザ》と《ポータブル・ホール》を入れて赤アグロに耐性をつけており、これはカンパニーにはできないサイドプランです。 最近元気のないセレズニアですが、パイオニアで再び輝く時が来たかもしれません!     ブルードレッジ モダンリーグ : 5-0 By  MahfuzVanGogh 『ラヴニカ:ギルドの都』が登場した2005年以降、たびたび世間を賑わせているドレッジというデッキ。   ドローする代わりに墓地から発掘を宣言すると、その枚数だけライブラリーを切削し、該当の発掘カードを回収することができます。これによって大量に墓地にカードを溜めて、墓地から唱えられるカードたちで勝利する。それがドレッジです。 発掘6を持つ《ゴルガリの墓トロール》は下環境で長年大暴れし続け、墓地対策をすべてのデッキに標準装備させました。その凶悪さからモダン制定と同時に禁止され、一度解禁されましたが、その後再投獄となり、唯一の禁止→解禁→禁止を経験したカードでもあります。 当初、ドレッジは発掘を行うデッキのことを指していましたが、その後自分のライブラリーを切削して勝利を目指すデッキがドレッジと呼ばれるようになり、最近でもプロツアー・シカゴでゴルガリドレッジが活躍していました。 今回ご紹介するドレッジはというと、しっかり発掘カードを採用した本家ドレッジです。   実はドレッジは《信仰無き物あさり》の解禁によって復活するのではないか?と一部のマニアたちからは注目されていました。 しかし、このドレッジには《信仰無き物あさり》は採用されていません。なんと青黒の2色でまとめているのです。   まず切削する手段からです。発掘カードは《ゴルガリの凶漢》《臭い草のインプ》《暗黒破》の合計11枚。《暗黒破》は発掘3と控えめですが、《オセロットの群れ》《敏捷なこそ泥、ラガバン》を倒せるため、エネルギーに少し強いのが嬉しい。 ドレッジの定番だった《叫び角笛》は採用せず、スペルは《異世界の凝視》と《秘本掃き》。《異世界の凝視》は1マナで3枚しか削れませんが、フラッシュバックがあるため、合計6枚削れますし、切削のついでに落ちてくれるので、継続してライブラリーを掘り進められます。 従来のドレッジは墓地に発掘カードを落とし、そこからドロースペルを手札から打って発掘を連鎖させていました。《信仰無き物あさり》《安堵の再会》ですね。特に《安堵の再会》は2枚捨てて3枚引くため、発掘と相性抜群です。このカードがあるからこそ、ドレッジに赤を入れないことなど考えられませんでした。 しかし、実は今回『タルキール:龍嵐録』でとあるカードを手に入れて、ドレッジはついに赤と決別を果たすことに成功していました。   それが《冬夜の物語》! このカードは墓地からも唱えられる3枚ドロー。しかもパワー3のクリーチャーがいれば2マナで唱えられるため、《安堵の再会》を墓地からプレイしているようなものなのです。   《安堵の再会》は確かに強力ですが、手札になければ使用できません。ドレッジというデッキは1回発掘を始めたら後は通常ドローを行わずに常に発掘でライブラリーを掘りたいため、《安堵の再会》を引くチャンスは多くありません。   そのため、墓地から使用できる《冬夜の物語》は想像以上にデッキを強化しています。しかも同じ墓地から唱えられる《アゴナスの雄牛》と違って引いてから捨てるので、再び墓地に発掘カードを溜めることができ、次のターンも発掘を再開できます。《アゴナスの雄牛》は発掘カードが手札に来てしまうので、たまに発掘に困ってしまう場合がありました。 《冬夜の物語》によってこのドレッジは全く別の動きをするようになりました。1ターン目に《秘本掃き》を打ち、そこに《臭い草のインプ》が見つかれば、後の手札が全部使い物にならなくても勝ててしまう可能性があります。 1.《秘本掃き》で《臭い草のインプ》が落ちる。2.次のターンの発掘5で《ナルコメーバ》+《秘蔵の縫合体》or《這い寄る恐怖》+《銀打ちのグール》のいずれかの組み合わせ+発掘カード+《冬夜の物語》が落ちる。3.墓地から《冬夜の物語》を唱えて3ドロー分の発掘を行う。4.墓地に《秘蔵の縫合体》や《銀打ちのグール》が落ち、場に戻って勝利。 と発掘の落ち次第では《秘本掃き》1枚からだけでこのような展開が作れます。   《冬夜の物語》が加わり墓地から切削できる手段が増えたことで、デッキの安定性が大幅に向上したのです。 《セファリッドの円形競技場》もドレッジには欠かせないカードです。赤を使った3~5色なら複数枚採用するのは厳しいですが、青黒2色なら4枚採用できます。切削手段がない状態からでも《セファリッドの円形競技場》から発掘を始めて《冬夜の物語》に繋がったりしますし、この土地を4枚入れられるのは本当に大きいですね。 青黒2色のため、サイドボードには《海の先駆け》を採用できるのもポイント。第3章で《魂標ランタン》をサーチされてしまう《ウルザの物語》も安心です。 久しぶりに回してみたくなるような素晴らしいリストで、ドレッジ大好きな僕は心が躍っています!

【週刊メタゲーム通信】進化するイゼットとアグロキラーたち

週刊 Standard ピックアップ

2025.04.24

mtg Yuyan

こんにちは。   細川 侑也(@yuyan_mtg)です。   今週は日々成熟しつつあるスタンダード環境から、有力デッキをご紹介!   目次 イゼットテンポ ジェスカイ眼魔 オルゾフピクシー     イゼットテンポ スタンダードチャレンジ(4/20) : 優勝  By auzzie51 MTGアリーナ用インポートデータ 《コーリ鋼の短刀》というレガシー級のカードが登場したことで突然頭角を現したイゼット系の果敢デッキ。 《僧院の速槍》《精鋭射手団の目立ちたがり》の一時的にサイズが上がり果敢軍団と《コーリ鋼の短刀》の相性が良く、2回の誘発を達成して《コーリ鋼の短刀》で殴りつつ、《僧院の速槍》も強くなり、一瞬で相手のライフを削り取ります。 そこに《巨怪の怒り》《稲妻波》など、相手のライフを速やかに0にするカードたちを投入したイゼット果敢は、環境初期に登場し、今も一線級の活躍を続けています。 そんな中、突如として現れたのがこのイゼットテンポ。デッキは果敢と似た作りで、少しのクリーチャーと大量のスペルの組み合わせですが、入っているクリーチャーがまったく異なります。   スペルを唱えてサイズが上がるカードは一切採用されておらず、墓地にあるスペル分だけコストが下がるカードたちがそこには鎮座しているのです。   まずは《トレイリアの恐怖》。 パウパーなどでもお馴染みの1マナ5/5で、護法を持っているので、早いターンに並べられると中々処理できません。《逃げ場なし》で護法は消えてしまいますが、本体サイズが5/5と頼もしいので、むしろ《逃げ場なし》には強いカードですね。 このデッキには大量のインスタント・ソーサリーが入っているので、1マナ5/5で出すのは難しくありません。序盤は《コーリ鋼の短刀》で殴りつつ、4ターン目に1マナで連打なんて動きが強力です。   そして《かまどの精》。出来事で使うと手札をすべて捨てて2ドロー。手札が4枚ある時は4ディスカード2ドローと弱いですが、逆に手札が0枚ならタダで2ドローできます。手札を使い切って最後に打つにはベストですね。 そして出来事領域に行った《かまどの精》は、墓地のインスタント・ソーサリー・出来事を持つカードの数だけコストが軽くなります。《トレイリアの恐怖》とほぼ同じですね。 出来事で手札にダブった呪文を捨てて2ドローしつつ、1マナで唱えるなんてことも可能です。   出来事と本体、合わせて3マナでプレイできる可能性があるので、《コーリ鋼の短刀》の誘発条件を1枚で満たすことができ、また《コーリ鋼の短刀》を装備して5/6トランプルになるのも実は強力。 《トレイリアの恐怖》よりサイズは小さいですが、出来事が強いので十分です。   従来のイゼット果敢が《僧院の速槍》《精鋭射手団の目立ちたがり》で序盤から攻めていたのに対し、イゼットテンポは序盤からライフを削る手段は《コーリ鋼の短刀》しかありません。とりあえず除去やキャントリップで墓地を貯めながら妨害し、中盤から一気に攻めていくことになります。 そのため、デッキには除去がかなり多めに採用されています。《噴出の稲妻》に《塔の点火》、更に《削剥》。 《削剥》は今のスタンダードでは重要な役割を持っています。そう、《コーリ鋼の短刀》を割れるからです。青赤系のミラーマッチでは《コーリ鋼の短刀》が最重要カードになります。   《削剥》がもっと使われるようになると、例えば《分派の説教者》などといったタフネス4のクリーチャーの価値は上がっていきますね。このリストはタフネス4に触るのがかなり難しくなっています。《セラの模範》なんかは割られた《コーリ鋼の短刀》を場に戻せますし、もしかしたら白いデッキで使われるようになるかもしれません。 とはいえ、全く対処できないというわけではありません。《嵐追いの才能》と《この町は狭すぎる》の組み合わせもきちんと入っているので、対処可能です。 《この町は狭すぎる》はエスパーピクシーのように1マナの拾いたいパーマネントが《嵐追いの才能》以外に入っていないため、2枚のみの採用にとどまっています。序盤は必要なく、ゲーム中に1枚引けば良いので、大量のキャントリップと《食糧補充》で探しにいく想定の枚数です。 キャントリップと言えば、《止まぬ囁き》も最近のイゼットテンポには採用されています。1マナ1ドローと《コーリ鋼の短刀》の誘発を満たしやすいカードなだけでなく、墓地からも唱えられるので2度美味しい。《トレイリアの恐怖》をタップすれば1マナで調和できます。 《コーリ鋼の短刀》を一番強く使えるデッキはおそらくイゼットテンポです!   ジェスカイ眼魔 スタンダードチャレンジ(4/22) : 準優勝 By terlollo04 MTGアリーナ用インポートデータ 《忌まわしき眼魔》を墓地に落として《救いの手》でリアニメイトするコンボを盛り込んだジェスカイカラーのアグロデッキ、ジェスカイ眼魔。 《光砕く者、テルサ》の加入により《忌まわしき眼魔》を吊り上げる以外の勝ち手段が増え、そのため最近では《再稼働》は抜け、リアニメイト呪文は《救いの手》のみとなっています。 《蒸気核の学者》《逸失への恐怖》に加え、『タルキール:龍嵐録』で《氷河の龍狩り》《光砕く者、テルサ》を得て、今のジェスカイ眼魔は引いて捨てる手段が非常に豊富となっています。 そのため、カードを引くことでクリーチャーを強化する《プロフトの映像記憶》が4枚採用されるようになりました。 《プロフトの映像記憶》は特に《光砕く者、テルサ》と相性が良く、戦場に出てカードを2枚引き、その後強化された状態で速攻で攻撃できます。《光砕く者、テルサ》は《忌まわしき眼魔》を落とすだけでなく、単体で非常に強力なクリーチャーなのです。伝説じゃなかったなら間違いなく4枚入ったでしょう。   引いて捨てるカードが増えた影響で《略奪するアオザメ》が入るようになり、ジェスカイ眼魔は更にビートダウン色が強くなりました。速度を求められるアゾリウス全知などとの戦いでは重要で、全体的に厳しめなマッチが改善されています。 そしてジェスカイ眼魔のアグロに強い特性はそのままです。大量の除去から《忌まわしき眼魔》を出すというデッキのコンセプト上、早いデッキ全般に強く、赤単に加えてイゼットも現れた現在のメタにとてもあっており、最近勝ちまくっています。 先ほど紹介したイゼットテンポのように軽除去が効かない構成が出てきたのも頷けますね。《かまどの精》《トレイリアの恐怖》で除去を躱す作戦を取っているというわけです。 とはいえ、除去が効かなくても問題ないのがジェスカイ眼魔。なぜなら《忌まわしき眼魔》を吊り上げてこちらから攻めることも可能だからです。赤系のアグロは《忌まわしき眼魔》がとにかく処理しづらく、2枚を使って除去されて、2回目の《忌まわしき眼魔》でゲームセットという展開になりがちです。 《略奪するアオザメ》《光砕く者、テルサ》《プロフトの映像記憶》による《忌まわしき眼魔》を介さないゲームプランが取れるようになったおかげで、今のジェスカイ眼魔は弱点の1つだった墓地追放カードがあまり効かなくなっています。 殴ってよし、守ってよし、サイドボードも充実と隙のなさそうなジェスカイ眼魔。今後更にその数を増やすことになるかもしれませんね。   オルゾフピクシー スタンダードチャレンジ(4/22) : 優勝 By MJ_23 MTGアリーナ用インポートデータ 《コーリ鋼の短刀》が登場して更に赤いデッキが強くなり、今のスタンダードはアグロまみれとなりました。 そのアグロを倒すために現れたのは、ジェスカイ眼魔だけではありません。『タルキール:龍嵐録』で強化されたオルゾフピクシーもアグロ殺し。   オルゾフピクシーは《養育するピクシー》でパーマネントを使い回すコントロールデッキ。《望み無き悪夢》でハンデスを重ねたり、《逃げ場なし》で除去と、エスパーピクシーと大部分では同じです。 これまでは使い回すカードが《養育するピクシー》のみで、《孤立への恐怖》《この町は狭すぎる》とあるエスパーに比べ、《望み無き悪夢》《逃げ場なし》が少し物足りなく感じていました。『タルキール:龍嵐録』からの新カード《陽光真珠の麒麟》によってバウンスが8枚体制になり、大幅に強化されたのです。 エスパーと異なるのはゲームプランです。《嵐追いの才能》がなくなり、序盤からの圧力をかける手段が減っているので、オルゾフは《養育するピクシー》《陽光真珠の麒麟》によるバウンスで、盤面のコントロールを目指します。 そしてコントロールの役割を担う重要なカードが、白黒の2色になったことで採用できるようになりました。マナベースが強くなり、エスパーの時は採用しづらかったダブルシンボルのカードもメインから入れられるようになったのです。そう、《一時的封鎖》です。 《コーリ鋼の短刀》に対して除去は意味がなく、《削剥》でもトークンは残ります。しかし《一時的封鎖》なら完全な回答となります。   イゼットが流行っているのも、《一時的封鎖》が強い要因です。イゼットカラーではエンチャントを割ることができず、《この町は狭すぎる》でバウンスするしかありません。しかしバウンスしても《コーリ鋼の短刀》が戻るだけでトークンは帰ってこないので、完全回答にはならないのです。 そして《一時的封鎖》を単なる除去としてではなく、攻めにも使えるのがオルゾフピクシー。《望み無き悪夢》を《一時的封鎖》で追放し、《養育するピクシー》で自らバウンスし、《望み無き悪夢》を戦場に戻して再度手札破壊もできるのです。 《養育するピクシー》が一緒に追放されていれば一緒に帰ってきて、そのまま《養育するピクシー》の能力で《望み無き悪夢》回収までいけますし、《陽光真珠の麒麟》ならインスタントタイミングで《望み無き悪夢》を戦場に戻せるので、手札が0枚の相手のドロー後に仕掛けることで、次のトップデッキチャンスを潰せます。 《養育するピクシー》《陽光真珠の麒麟》と《一時的封鎖》の相性は素晴らしく、一度複数枚のカードを追放した後に相手が再展開してきた場合、《一時的封鎖》を《養育するピクシー》で回収して再び《一時的封鎖》を置き直すことで、再展開したカードたちもまとめて追放できます。   エスパーピクシー、ディミーアバウンスと様々な《逃げ場なし》《望み無き悪夢》デッキが環境にはありますが、その中で最もアグロデッキに強いのはオルゾフピクシーだと思います。《一時的封鎖》がやはり強い! 赤単もイゼットも強すぎる。そんなお悩みを抱えているならオルゾフではないでしょうか。

今週末のモダン予選に出る方向け!最新モダン環境の三強をご紹介!

Modern ピックアップ

2025.04.23

mtg Yuyan

こんにちは。   細川 侑也(@yuyan_mtg)です。   毎週日本各地で行われているチャンピオンズカップファイナルの予選!   今回はその予選に持ち込むべき、今最も強いモダンのデッキたちをご紹介していきます。   紹介デッキ ボロスエネルギー ジェスカイ果敢 エルドラージランプ   ボロスエネルギー モダンチャレンジ(4/21) : 優勝 By ShadowTitan1 モダンの王者が、ついに玉座に帰還しました。   そう言っても良いほど、ボロスエネルギーのここ最近のパフォーマンスは素晴らしく、今週末も一番の勝ち組になるのではないかと個人的には思っています。   改めて説明するようなデッキではありませんが、『モダンホライゾン3』から登場した新たなエネルギーカード《魂の導き手》《電気放出》。 《敏捷なこそ泥、ラガバン》を過去のカードにしたとまで言われた《オセロットの群れ》。 現環境最強の2マナ域《ナカティルの最下層民、アジャニ》。 モダンで最高のカードである《火の怒りのタイタン、フレージ》。 これらの質の高いカードたちを詰め込んだ早いグッドスタッフ、それがボロスエネルギーです。   《魂の導き手》《オセロットの群れ》は1マナ域ながら、除去されなければそのまま勝ってしまうほどのクリーチャー。《敏捷なこそ泥、ラガバン》を合わせた12枚、どれも相手は打ち漏らすことはできません。 《ナカティルの最下層民、アジャニ》も同様の性能を持つカードで、ボロスエネルギーが環境にいるからこそ、すべてのデッキが1マナ除去を大量に採用しています。 これらの軽いクリーチャーが除去されてしまうと厳しいのが普通のアグロデッキですが、ボロスエネルギーはアグロではなくグッドスタッフ。グッド(良い)スタッフ(カード)だけを揃えたデッキなので、3マナ域には《火の怒りのタイタン、フレージ》《歴戦の紅蓮術士》《鏡割りの寓話》も控えています。 序盤に出したクリーチャーが生き残ればそのまま勝ち、除去されれば優秀な3マナ域たちでロングゲームもできるのです。   強いカードたちだけで固められているからこそ、ボロスエネルギーはサイド後にも強いデッキです。攻める必要のない相手には序盤のカードを減らしてヘイトカードを詰め込み、ヘイトカード+《火の怒りのタイタン、フレージ》で勝つプランが可能。 速度が重要なマッチでは重いカードを抜いて攻めることも可能で、とにかく死角のないデッキです。   ボロスエネルギーには『タルキール:龍嵐録』からの新カードはほとんど入っていません。《勝利の楽士》は環境初期に試されました。《ゴブリンの砲撃》と相性の良いカードではありますが、相手がこちらのターンに呪文を唱えられないという恩恵をエネルギーはあまり受けられず、《火の怒りのタイタン、フレージ》でミラーマッチも簡単に焼かれてしまう割にインパクトの薄いカードであることから、徐々に抜けてきました。 《コーリ鋼の短刀》を採用したリストもありますが、こちらは工夫が必要で、既存のボロスエネルギーにそのまま組み込むだけでは難しそうです。エネルギーには3マナ域のカードが多く、《コーリ鋼の短刀》の誘発がさほど簡単ではないためです。 さて、ボロスエネルギーの話題になるたびに発生する3マナ域問題。今の赤白は3マナ域が優秀で、どれを採用するか、いまだに答えが出ていません。   候補となるのは《鏡割りの寓話》《歴戦の紅蓮術士》《イーオスのレインジャー長》でしょうか。あ、《火の怒りのタイタン、フレージ》は不動の4枚なので省いています。 このリストで一番多く採用されている《鏡割りの寓話》は最も無難な選択と言って良いでしょう。1章と3章がどちらも放置できず、2章で不要カードを入れ替えられるため、出すだけで得をするカードです。相手との交換を繰り返していけば自動的に《火の怒りのタイタン、フレージ》《栄光の闘技場》で勝てるのがボロスネルギーです。 《歴戦の紅蓮術士》は最近枚数が増えてきた1枚。4枚のリストも多く、僕がもしボロスエネルギーを使うならこのカードを4枚にしそうです。ボロスエネルギーは手札が枯れやすく、そうなると後は諜報ランドで《火の怒りのタイタン、フレージ》を落とすだけになりがちです。《歴戦の紅蓮術士》は手札がない状態で出せば、カードを捨てずに2ドローできるので、トップデッキした時は《鏡割りの寓話》より強力です。 また、唱えたり墓地から追放することでトークンを生成できるので、《ゴブリンの砲撃》との兼ね合いも特筆すべき点です。 《イーオスのレインジャー長》はコンボに強く、また確実なリソースになるカードです。《オセロットの群れ》《敏捷なこそ泥、ラガバン》《魂の導き手》を確実に手札に加えられるのは単純に強力ですからね。ボロスエネルギーは順調に殴り続ければ4ターンキルなので、コンボに対して後1ターンあれば勝てるという状況になりがちです。《イーオスのレインジャー長》はその1ターンを作ってくれる可能性があります。特にベルチャー相手はあるかないかで大きく変わるでしょう。 僕がエネルギーを持ち込むなら、《歴戦の紅蓮術士》4枚・《鏡割りの寓話》3枚にすると思います。ベルチャーが多ければ《イーオスのレインジャー長》を2枚入れて、《鏡割りの寓話》1枚にしますね。   最強のデッキを使うなら、リストも最強にしましょう!ボロスエネルギーはサイドボードが強いのも魅力で、75枚をじっくりと吟味する価値がありますよ!     ジェスカイ果敢 モダンチャレンジ(4/19) : 優勝 By  boytriton 『タルキール:龍嵐録』最強のカード《コーリ鋼の短刀》。 呪文をたった2回唱えるだけで果敢モンクを生成し、それに装備して速攻を付けるという、《僧院の導師》が裸足で逃げ出すレベルの装備品は、スタンダードではもちろん、0~1マナのカードが強い下環境でもデッキの顔として活躍しています。 モダンでは《コーリ鋼の短刀》はイゼット果敢に組み込まれていましたが、近頃は白を加えたジェスカイ果敢が人気を博しています。   デッキのベースはイゼット果敢。《僧院の速槍》《損魂魔道士》の果敢軍団+《コーリ鋼の短刀》で速やかに相手のライフを削っていきます。 2回のスペルを唱えるのを容易にする《溶岩の投げ矢》《ミシュラのガラクタ》以外のカードは、最強の火力呪文である《稲妻》、そしてスペルを継続して唱えるための《定業》《表現の反復》とオーソドックスな作りです。 白が入ったことで《虹色の終焉》を採用できるようになり、これがとにかく強力。 これまで1マナ域の除去に困ってただけでなく、《火の怒りのタイタン、フレージ》の処理や《超能力蛙》など、頭を悩ませるクリーチャーは大量にいましたが、《虹色の終焉》はすべてに対応できるカードです。   確実な除去は欲しいが、2マナ以上のカードを入れると《コーリ鋼の短刀》の誘発に関わったり、そもそも行動回数が減ってしまい、果敢によるダメージに影響が出てしまう。そんな事情を一発で解決するのが《虹色の終焉》というわけです。もちろん《超能力蛙》を倒すのには2マナかかってしまいますが、他のカードではそもそも触れませんからね。 1枚ではありますが《火の怒りのタイタン、フレージ》も採用されており、ボロスエネルギーよろしく諜報ランドのバリューをあげています。特に果敢のミラーマッチでは《火の怒りのタイタン、フレージ》を引くとかなり有利になりますね。 サイドボードには《岩への繋ぎ止め》が採用されていますが、これは対ディミーアマークタイドを見据えてのことでしょう。《超能力蛙》は《虹色の終焉》で倒せても《濁浪の執政》は止まらず、それが主な敗因となりうるのです。 逆にその負け筋さえ潰してしまえば、《コーリ鋼の短刀》が止まらないディミーア側は、ジェスカイ相手の勝ち筋がほとんどありません。 ジェスカイ果敢はボロスエネルギー相手は少し不利ですが、《オセロットの群れ》《敏捷なこそ泥、ラガバン》に《溶岩の投げ矢》が当たり、《コーリ鋼の短刀》で勝つ展開もあります。 コンボをはじめとした干渉手段の薄い相手には、ボロスエネルギーのように除去や3マナ域だけを引いて手をこまねいてしまう状況にはなりません。ジェスカイ果敢は果敢クリーチャーと火力で構成されたデッキで、相手のライフを速やかに0にすることに長けています。   メタゲーム次第ではボロスエネルギーよりジェスカイ果敢の方が良いかもしれません。単純にデッキパワーも高く、週末の勝ち組になりうるデッキです。     エルドラージランプ モダンチャレンジ(4/21) : 7位 By  Shadowz2005 今週のおすすめ、最後はエルドラージランプです。   《ウギンの迷宮》《エルドラージの寺院》の2マナランド8枚体制、そして《楽園の拡散》により、最速2ターン目に《まき散らす菌糸生物》を出して更にマナを伸ばしたり、《コジレックの命令》でトークン生成や除去、ドローを行う、『モダンホライゾン3』で強化されたエルドラージデッキ。 このデッキは『タルキール:龍嵐録』で非常に大きな戦力を獲得しました!   それはもちろん《嵐の目、ウギン》です。 唱えた時に1色以上のパーマネントを追放し、無色の呪文を唱えるたびにその追放を行うという超強力な常在型能力を持ちながら、プラスではリソースを稼ぎ、大マイナスは実質ゲーム勝利と、恐ろしい性能を持っています。   この《嵐の目、ウギン》によって、エルドラージは新たな7マナのゴールを手に入れました。   以前までのエルドラージランプはマナを伸ばした先の勝ち手段はほぼ《約束された終末、エムラクール》単騎でした。《まき散らす菌糸生物》《世界を壊すもの》で土地を壊しながら《約束された終末、エムラクール》を唱えれば当然ゲームには勝つのですが、マナを伸ばしてただ《世界を壊すもの》だけを出してもモダンで勝つことはできません。 《嵐の目、ウギン》は戦場に出てしまえばそれだけで勝てるマッチもあるほど強力なカードです。このカードがマナを伸ばした先に待っているというのは恐ろしく、マナを伸ばして《嵐の目、ウギン》を出す勝ち筋が生まれました。   《嵐の目、ウギン》の採用によって再び見るようになったのが《大いなる創造者、カーン》。最近のエルドラージランプでは《大いなる創造者、カーン》はあまり採用されていませんでしたが、《嵐の目、ウギン》の常在型能力を誘発させるために《大いなる創造者、カーン》は大いに役立ちます。 従来のエルドラージランプは無色のカードが比較的少なく、《嵐の目、ウギン》が出た次のターンにパーマネントを並べられてしまうと処理が少し大変でしたが、《大いなる創造者、カーン》を唱えて《嵐の目、ウギン》誘発、《大いなる創造者、カーン》のマイナスでアーティファクトをサーチし、それを唱えて更に《嵐の目、ウギン》が誘発と、一瞬で複数のパーマネントを追放できるのです。 《大いなる創造者、カーン》自体は今は環境的にさほど刺さっているわけではありません。アーティファクトを使うデッキはそこまで多くないですからね。とはいえ、青単ベルチャーや親和など、ナチュラルに常在が効くデッキもありますし、そもそも《大いなる創造者、カーン》は強いカードです。 《嵐の目、ウギン》の加入によって最近では青トロンなども活躍し始めており、今大注目のカードの内の1枚です。   特にフェアデッキのボロスエネルギー・ジェスカイ果敢が流行の現状では《嵐の目、ウギン》は有効なカードであり、4枚目が入ってもおかしくありません。   そして《ウギンの迷宮》《エルドラージの寺院》《コジレックの命令》はエルドラージランプ・トロン、そしてたまに青単タイムワープなど、様々なデッキで活躍しています。《エルドラージの寺院》と《コジレックの命令》だけで言えば、繁殖鱗コンボや鱗親和など、更に該当デッキが増えていきます。 実はこのセットでまだ誰も組んだことのないすごいデッキがあるかもしれませんね。  

【今週のピックアップデッキ】ラクドスリアニメイト/白単トークンコントロール/イゼットフェニックス

週刊 Modern Pioneer Standard ピックアップ

2025.04.18

mtg Yuyan

こんにちは。 細川 侑也(@yuyan_mtg)です。 今週のピックアップデッキでは、ちょっと珍しいデッキを、軽い解説を交えて紹介していきます。   紹介デッキ ラクドスリアニメイト 白単トークンコントロール イゼットフェニックス   ラクドスリアニメイト スタンダードリーグ : 5-0 By Apeliotes MTGアリーナ用インポートデータ 巨大なクリーチャーを墓地に落として軽いリアニメイト呪文で戦場に吊り上げるデッキ、リアニメイト。 最強のリアニメイト呪文である1マナの《再活性》は今もレガシーで猛威を振るい続けており、モダンでは《御霊の復讐》が活躍しており、下フォーマットでは今も人気の戦略です。 そんなリアニメイトがスタンダードにも登場しました。   肝心の吊り上げる呪文は最近スタンダードに帰ってきた《ゾンビ化》。4マナで墓地からクリーチャーを戦場に戻すシンプルなソーサリー。以前スタンダードで再録された時もリアニメイトで活躍しており、《ゾンビ化》がある環境ではいつもリアニメイトが成立しますね。 《ヴァルガヴォスの崇拝者》は《ゾンビ化》を内蔵するクリーチャー。出してそのまま生け贄にするには5マナかかりますが、事前に戦場に出ていれば《ゾンビ化》です。《呪文貫き》《否認》などを避けられるリアニメイトスペルなので、青い相手のサイド後は重宝しますね。 さて、デッキの主役となるファッティたちをご紹介しましょう。   まずはスタンダードからヴィンテージまで使われている最強のリアニメイト先、《偉大なる統一者、アトラクサ》。 墓地からクリーチャーを吊り上げるには、カードを捨てて、それを墓地から戦場に戻すという2つの工程が必要で、当然それぞれのためにカードを費やします。そのため、戦場に出てくるクリーチャーが出しただけで勝つほどのサイズや能力を持っているか、失ったリソースを回復できるか、いずれかでなければなりません。   《引き裂かれし永劫、エムラクール》は前者です。戦場に出ても特にカードをもたらしてくれませんが、一撃で相手を投了に追い込む力があります。 かつてこの両方を担っていたのが《グリセルブランド》でしたが、ライフが少ない状態では7枚のカードを引けず、除去されて何も起きずに敗北することもしばしばありました。 その点、《偉大なる統一者、アトラクサ》はリアニメイトされるクリーチャーとしての条件を満たす完璧なクリーチャーです。 7/7で絆魂・警戒と攻守に渡って優れたサイズと能力を持ち、上から10枚を見て各タイプを1枚ずつ手札に加えられる、驚異的なリソース補充量。スタンダードでリアニメイトが成立するのは、《偉大なる統一者、アトラクサ》がまだ残っているからといっても過言ではありません。   第二の釣り先となる《原初の征服者、エターリ》は戦場に出た時はほぼ能力がないようなカードですが、お互いのライブラリートップを土地以外のカードが出るまで追放し、それらのカードをタダでプレイできます。 《ミストムーアの大主》が入っているような相手には強力ですし、自分のライブラリーから《偉大なる統一者、アトラクサ》などがめくれることもあるため、リアニメイトデッキとの相性が良いカードです。   そして《恐怖を喰うもの、ヴァルガヴォス》。こちらは9/9、飛行・絆魂と凄まじいサイズに、強力な護法能力がついています。パーマネント3つの生け贄はかなり重く、除去するのは非常に難しい。 更に能力も強烈。墓地に送られるカードを追放し、その追放されたカードをマナの代わりにライフで唱えられます。自身が9/9絆魂なので、ライフを支払って相手のカードを使い、攻撃によって失ったライフを補填します。大抵はこのカードが除去できなかった時点でゲームセットとなりますね。   このように、リアニメイト先はどれもが超一流です。   リアニメイトスペルとファッティが揃い、後必要なのは……そう、墓地に落とす手段。このデッキはそれも一流揃いです。   様々なデッキで使われている《逸失への恐怖》は当然ながら、赤単でも活躍中の《光砕く者、テルサ》は非常に面白いチョイス。墓地にクリーチャーを落とす手段でありながら、リソースにもなる可能性があるのです。もちろん釣り先となるカードが追放されてしまう可能性もありますが。 《ベイルマークの大主》はライブラリーから直接クリーチャーを墓地に落とします。《ヴァルガヴォスの崇拝者》を拾えるので、釣り先と釣り竿の両方を《ベイルマークの大主》1枚で揃えることもできますね。 《ヴェールのリリアナ》に《苦々しい勝利》と、手札を捨てられる除去も採用されており、カードを捨てることには困らないでしょう。 ド派手な戦略がお好きな方はぜひお試しあれ。     白単トークンコントロール パイオニアチャレンジ : 優勝 By  McWinSauce MTGアリーナ用インポートデータ かつてスタンダードを賑わせていた《世話人の才能》。 トークンが出るたびに1ターンに1回カードを引き、トークンをコピーし、最終的にはトークンを全体強化する。まさにトークンデッキのためのカード。   白はトークンを出して強化する手段に優れており、《婚礼の発表》は毎ターントークンを作りながら、最終的にはクリーチャーを全体強化する《栄光の頌歌》になります。 『タルキール:龍嵐録』では、トークンデッキのためのカードがまた登場しました。   それが《嵐の討伐者、エルズペス》です。 トークンが2倍生成される常在型能力に、プラスはトークン生成。0で全体強化を行い、マイナスで全除去もついている、トークン使いたちが夢にまで見たカード。   かつてのトークンデッキが《嵐の討伐者、エルズペス》の常在型能力しか持たない《選定された行進》を使っていたことから考えると、凄まじい進化ですね。 《団結の最前線》も『タルキール:龍嵐録』から加入した新カード。 3マナ以下のクリーチャー・土地以外のパーマネントを2枚場に出すこのカード。除去を《ポータブル・ホール》などのパーマネントにしており、トークンを生成するカードの多くはエンチャントなため、非常に当たりが多く、1枚で膨大なアドバンテージを生み出します。 そしてパーマネントが多いということは……そう、《空を放浪するもの、ヨーリオン》のバリューが凄まじいのも魅力。《団結の最前線》でめくれたカードたちが《空を放浪するもの、ヨーリオン》によって更に再利用されるので、各英雄譚は誘発し、《放浪皇》はトークンを生み出し、《世話人の才能》が再び誘発します。 大量のドローと《空を放浪するもの、ヨーリオン》、更にトークン戦略と揃っているこの白単トークンは、パイオニアでずっと最強のデッキとして君臨し続けていた《思考囲い》《鏡割りの寓話》デッキに非常に有利なデッキです。 赤系アグロに対してもそれなりに有利なデッキで、勝てない相手はコンボぐらいでしょうか。ロータスコンボだけはお手上げになりそうですね。   そのためサイドボードには《真昼の決闘》が採用されています。ロータスコンボを見るなら《減衰球》ですが、《ニクスの祭殿、ニクソス》の相性を考慮してのことなのかもしれません。 そもそもロータスコンボは構造上無理だと割り切っている可能性もありますね。《真昼の決闘》はロータスコンボにはイマイチですが、イゼットフェニックスには効果的です。《減衰球》がイゼットフェニックスに微妙なことを考えると、《真昼の決闘》の採用も納得できます。 デッキ相性差が非常に極端な白単コントロール。強い相手にはとことん強く、再現性も高いデッキなので、メタが合った時には無双間違いなしですね。手札破壊に長年苦しめられた方は回してみてください。     イゼットフェニックス モダンリーグ : 5-0 By  Allaire74 今ではすっかりパイオニアの顔となっているデッキ、イゼットフェニックス。 実は《信仰無き物あさり》が禁止されるまでは、モダンで一線級のデッキでした。《信仰無き物あさり》解禁直後に姿を見かけ、最近ではまた消えかかっていましたが、『タルキール:龍嵐録』で1枚のカードを得て今回見事にリーグで5-0を達成しました。 そのカードとは《コーリ鋼の短刀》。 説明不要の『タルキール:龍嵐録』最強カード。呪文を1ターンに2回唱えると果敢を持つモンクを生成するこの装備品。当然、3回の呪文を唱えると墓地から帰ってくる《弧光のフェニックス》との相性は良好です。 《弧光のフェニックス》を復活させるために呪文を3回唱えるということは、モンクが生成されるということで、果敢自体も3回行われます。先に1体でもトークンが出ていれば4/4で、新しいモンクは3/3。そして《弧光のフェニックス》と合わせて一気に10点が入ります。   その《弧光のフェニックス》を墓地に落とす手段は、前述の《信仰無き物あさり》と《ドラゴンの怒りの媒介者》。 非クリーチャー呪文を唱えるたびに諜報し、昂揚後は3/3飛行と破格の1マナ域。デッキ内のほとんどのカードが1マナ以下のスペルなので、ライブラリーを掘り進めて《弧光のフェニックス》を引き当てにいきます。   《弧光のフェニックス》を戦場に戻すために一役買うのは《魔力変》と《溶岩の投げ矢》。いずれも2ターン目に呪文を3回使える可能性のあるカードです。 《コーリ鋼の短刀》の条件を満たすためにこれらのカードはイゼット果敢でも採用されていましたが、1ターンに2回という条件が簡単なので、どうせなら後1回唱えて《弧光のフェニックス》を帰してみようと考えて、イゼットフェニックスを組んでみたのかもしれませんね。 果敢デッキは本来除去が非常に苦手なデッキです。継続して果敢を達成するためにデッキに入っているカードの多くはキャントリップや軽い火力なため、ダメージソースであるクリーチャーを倒されてしまうと、相手のライフを削りきれません。 その弱点を解消したのが《コーリ鋼の短刀》だったのですが、《弧光のフェニックス》が加わり、除去耐性に磨きがかかりました。《ドラゴンの怒りの媒介者》《僧院の速槍》のために除去ハンドをキープしてきた相手に《コーリ鋼の短刀》と《弧光のフェニックス》で殴りかかるのは快感ですね。 このリストには採用されていませんが、《表現の反復》もありますし、リソース面の不安もイゼットカラーは解消できます。 パイオニアでイゼットフェニックスを使っている方は、これを機にモダンに参入してみてはいかがでしょうか?一味も二味も違って楽しいですよ!

【週刊メタゲーム通信】スタンダードは赤いアグロが絶好調!そして密かに強化された全知

週刊 Standard ピックアップ

2025.04.17

mtg Yuyan

こんにちは。   細川 侑也(@yuyan_mtg)です。   今週は日々成熟しつつあるスタンダード環境から、有力デッキをご紹介!   目次 赤単アグロ イゼット果敢 アゾリウス全知     赤単アグロ スタンダードチャレンジ(4/13) : 優勝  By Latorretta MTGアリーナ用インポートデータ 先週特に目覚ましい活躍を見せたのは赤単アグロでした。   前環境から圧倒的な強さを見せつけていたビートダウン。   《心火の英雄》《熾火心の挑戦者》《多様な鼠》、パイオニアでも止まらないこの3種のハツカネズミたちを活用した赤いアグロデッキは、スタンダードに様々なバリエーションが存在していますが、その中でも2色目を入れていない純正の赤単が勝ち組となっていました。 デッキのベースは変わっていません。3種のハツカネズミに《雇われ爪》、そしてミラーマッチで最も強い《叫ぶ宿敵》もメインから4枚フル投入されています。 最後の1種は『タルキール:龍嵐録』からの新カード、《光砕く者、テルサ》です。 戦場に出た時にカードを2枚まで捨て、その枚数分ドロー。マナフラッドしている状況や、クリーチャーが欲しいのに手札に《巨怪の怒り》が溜まっている状態などで、手札をリフレッシュすることができます。 攻撃時に誘発する能力も強く、墓地にカードが7枚以上あれば、その内1枚をランダムに追放してプレイできます。手札を入れ替えながらリソースも稼げる素晴らしいカードなのです。   しかもそもそもこれらの能力がついている上で3マナ3/3速攻と及第点で、これからの赤単には間違いなく採用されていくカードとなるでしょう。   2種の3マナ域が採用されるようになったことで、赤単はより長期戦を戦えるようになりました。   《熾火心の挑戦者》《心火の英雄》は《岩面村》で強化でき、《多様な鼠》は4マナで新生と、軽いカードが中盤以降もしっかり強いのが赤アグロの強みでした。そこに《光砕く者、テルサ》が加わり、ただ単に除去をしているだけのデッキでは赤単に勝つのは事実上不可能となったと言って良いかもしれません。 《一時的封鎖》のような軽量除去に強くなったのもポイントと言えるでしょう。青黒のバウンス系デッキに対して、3マナ域が《逃げ場なし》されてしまうのはこれまでと変わりないですが、《不気味なガラクタ》は効きづらくなっています。 《光砕く者、テルサ》はサイドボード後も輝くカードです。《陽背骨のオオヤマネコ》を出すために4枚目の土地が欲しいことはよくありましたが、《探索するドルイド》なしでストレートに4枚目に辿り着くのは簡単ではありませんでした。 かといって《探索するドルイド》はそのターンをパスになってしまうアクションですし、2~3ターン目にプレイして《陽背骨のオオヤマネコ》がめくれてしまい、無駄となることも多々ありました。 《光砕く者、テルサ》ならば出して土地を探しにいけて、更に3/3速攻と、4枚目の土地を求めながら相手に圧力もかけられるのです。 ただでさえ強かった赤単は『タルキール:龍嵐録』で完成したと言って良いでしょう。新スタンダードは、この赤単を攻略できるかがカギとなります。   イゼット果敢 スタンダードチャレンジ(4/12) : 準優勝 By Junkmener MTGアリーナ用インポートデータ モダンでも暴れ回っている《コーリ鋼の短刀》。軽いカードが強い今のスタンダードでも恐ろしいスピードでモンクを生成しています。 1ターンに2回の呪文を唱えなければならない《コーリ鋼の短刀》を使うには、手札を減らさずに呪文を唱えることが重要。そのため、《選択》《手練》などキャントリップを使ってトークンを生成しています。 5枚見て好きなカードを2枚取れる《食糧補充》も《コーリ鋼の短刀》と相性の良いカード。ただ3マナと少し重いため、メインでは2枚採用にとどまっていますね。 そして《コーリ鋼の短刀》と相性の良いカードが《嵐追いの才能》《この町は狭すぎる》。《嵐追いの才能》から出るカワウソも果敢なので、《コーリ鋼の短刀》を誘発させながら巨大なサイズで攻撃できますし、《この町は狭すぎる》で《嵐追いの才能》を出し直すだけで《コーリ鋼の短刀》が誘発し、ループ後は毎ターンその2枚だけで完結してくれるのです。 《嵐追いの才能》は中盤以降に手札がなくなった場合でも《食糧補充》を回収できますし、《コーリ鋼の短刀》を絡めた高速展開で使っても良し、ロングゲームでも大活躍と、このデッキの核となるカードですね。 これまでのイゼット果敢は《稲妻波》や《噴出の稲妻》を採用して相手のライフを速やかに削る方向性でしたが、近頃流行っているタイプは、除去は《塔の点火》、キャントリップがたくさんに、《この町は狭すぎる》と、コントロール色の強いリストとなっています。 このリストの方が赤いアグロに対しては高い勝率が出るでしょう。《心火の英雄》《多様な鼠》の展開に対して《稲妻波》をプレイしている余裕はありませんからね。 《コーリ鋼の短刀》は攻め一辺倒のカードではありません。2体目のトークンを生成した時は、元々いたモンクは3/3になり、新しく出たモンクに装備品がついて2/2になります。3/3のモンクだけで殴り、2/2をブロッカーとして立たせるのも強力です。 特に《呪文貫き》《塔の点火》とインスタントがそこそこ入っているこのデッキでは、相手のターンに《コーリ鋼の短刀》を誘発させることも可能です。 《コーリ鋼の短刀》《嵐追いの才能》《この町は狭すぎる》は攻めと守りどちらでも使えるカードなので、それを攻めるためだけに使うのはもったいないと考えており、その点でこのリストには光るものを感じています。   《精鋭射手団の目立ちたがり》《巨怪の怒り》はほぼ攻めるだけのカードですが、これは仕方ないでしょう。逆にこれらのカードがなければ攻めが弱くなりすぎてしまい、本来攻めて勝てるはずのマッチも落としてしまいます。 最低限のブン回り要素は残しつつもしっかりと様々なゲームプランを立てられる、とても素晴らしいデッキだと思います。   《コーリ鋼の短刀》を試してみたい方にはまずイゼット果敢がオススメです。   アゾリウス全知 スタンダードチャレンジ(4/14) : 準優勝 By Dazai MTGアリーナ用インポートデータ 《アブエロの覚醒》で墓地から《全知》を吊り上げて勝利するアゾリウス全知。 アグロばかりの現スタンダード環境では珍しい純粋なコンボデッキで、基本《全知》以外の勝ち手段を持ちません。 前環境ではズアードメインへのアンチデッキとして活躍していましたが、実は『タルキール:龍嵐録』で強化を受けました。   まずは《マラング川の執政》。前兆側の3枚引いて1枚捨てる能力は、《全知》を落としながら《アブエロの覚醒》を引きにいけるまずまずのスペル。 本体側も決して弱くなく、6マナ6/7に2つバウンスのオマケつき。サイド後に《石の脳》で《全知》を抜かれると勝ち手段がなくなっていましたが、《マラング川の執政》によってコントロールして殴り勝ちが可能となりました。 この2点だけでは《マラング川の執政》は微妙に見えるかもしれませんね。実は《マラング川の執政》には更なるメリットがあります。   それを説明するためには、4枚採用の《乱動するドラゴンの嵐》について話しておく必要があります。戦場に出た時に2枚引いて1枚捨てるエンチャントで、《航路の作成》相当の能力。そして自分がドラゴンを戦場に出した時に、このカードを回収することができます。 つまり、《マラング川の執政》が戦場に出ると《乱動するドラゴンの嵐》を回収してもう1度使用できるのです。 これにより《全知》を貼ってからの勝ち手段である《アルケヴィオスへの侵攻》を減らせるようになりました。 以前までのこのデッキは《アルケヴィオスへの侵攻》が無限コンボの起点でした。ゲームに勝つためには《アルケヴィオスへの侵攻》を1枚必ず引かなければならないので、5マナのほぼ何もしないバトルを4枚採用させられていました。   しかし、《乱動するドラゴンの嵐》の登場で、起点が《アルケヴィオスへの侵攻》である必要がなくなりました。   《全知》が貼ってある状態で《乱動するドラゴンの嵐》と《マラング川の執政》が2枚揃うと、ライブラリーをすべて引ききることができるのです。 《マラング川の執政》は自身を戻すことはできませんが、他のカードであればバウンスできるので、《マラング川の執政》が2体いれば互いをバウンスしあい、好きなだけ《乱動するドラゴンの嵐》を唱えられるのです。これで2枚に減らした《アルケヴィオスへの侵攻》に辿り着けばゲームエンドです。 更に勝ち手段も『タルキール:龍嵐録』で進化しました。   これまでは《機織りの季節》ループから更に《ネットワーク呪詛》など、勝つために複数枚のサイドカードを必要としていましたが、《ジェスカイの啓示》だけでよくなりました。 《アルケヴィオスへの侵攻》を貼って《ジェスカイの啓示》をサーチし、《アルケヴィオスへの侵攻》を戻しながら相手に4点を与える。このシンプルな手順でゲームエンドです。   更にサイドボードには《堂々たる撤廃者》の代わりに《勝利の楽士》が投入されました。 対戦相手がこちらのターンに呪文を唱えられないという能力を持つ2マナクリーチャー2種。《勝利の楽士》のメリットは1/3と2点火力で焼かれないサイズであることと、2マナで3点のダメージソースであること、マナシンボルの薄さです。アゾリウス全知との戦いではクリーチャー除去は抜くため、継続して攻撃できるでしょう。2マナの3点クロックはかなり大きく、コントロール対決ならそのままゲームに勝ててしまうほどです。   一方、《堂々たる撤廃者》のメリットは起動型能力も止まる点です。《除霊用掃除機》や《漁る軟泥》などの墓地を追放する起動型能力が止まるので、自分のターンで《全知》をディスカードして《アブエロの覚醒》で釣り上げれば、墓地対策も効きません。 どちらが優れているかについては難しいところですが、環境のアゾリウス全知対策として《除霊用掃除機》がどれぐらい使われているかによると思います。 《除霊用掃除機》の代わりに、《安らかなる眠り》や青いデッキが《呪文貫き》などのみで全知対策をしているなら、《堂々たる撤廃者》より《勝利の楽士》の方が優れているでしょう。 どのデッキも《除霊用掃除機》を複数枚採用するようになったら、《堂々たる撤廃者》の出番ですね。   『タルキール:龍嵐録』でよりデッキが引き締まったアゾリウス全知、今注目のデッキです。

【デッキガイド】モダンで《コーリ鋼の短刀》が大暴れ!『コーリ隆盛』解説

Modern ピックアップ

2025.04.16

mtg Yuyan

こんにちは。   細川 侑也(@yuyan_mtg)です。 こんにちは!   チャンピオンズカップファイナルのエリア予選が先月終わったと思ったら、もう次のチャンピオンズカップファイナルの予選シーズンが始まっていました。   しかもフォーマットはモダン!   ユトレヒトで惨敗してからはほとんど触っておらず、《死の国からの脱出》が禁止になってからは一度も紙でプレイしていなかったのですが、予選の予約をしてからはなぜかやる気が出て、ちょこちょこ配信などでモダンをプレイしていました。   先に結果を報告しますと、予選シーズンが始まって1発目は、店舗予選に参加。アミュレットタイタンを使用し、準々決勝で敗北しました。   そして翌日のスペシャル予選はコーリ隆盛で5-0-2の土つかずで突破!ゲームカウントも10-0と完勝でした。   本日の記事は、そのジェスカイ隆盛に関するお話となります。   その前に、店舗とかスペシャルとは何ぞや?という方のために。   今回から店舗予選・エリア予選というシステムがなくなり、チャンピオンズカップファイナルの予選はすべてが本戦への権利を獲得できるものとなりました。   店舗予選は優勝者のみ、スペシャル予選では人数に応じて複数人が権利を獲得する予選となっており、以前よりもシステムとしてはわかりやすく、「久しぶりに競技大会に出たいな」と思っている古参プレイヤーも戻ってきやすくなっていると思いました。   実際、先週は僕の古いマジックの友人が復帰してそのまま権利を獲得していましたし、今のところ新システムは賛成です。 目次 コーリ隆盛に至るまで デッキリストとカード解説 デッキの回し方 マリガン サイドボーディング 終わりに コーリ隆盛に至るまで 《ジェスカイの隆盛》コンボに《コーリ鋼の短刀》を後から入れたように見えるデッキですが、実は完成の経緯はむしろ逆で、発端は《コーリ鋼の短刀》でした。 《コーリ鋼の短刀》の強さに最初に気付いたのは、スタンダードのイゼット果敢で使われているところを見た時でした。トークン生成の条件が軽く、また出るトークンが果敢!2マナの《僧院の導師》と言っても過言ではありません。 そして下環境になれば《コーリ鋼の短刀》はさらに強くなる確信もありました。スタンダードでは軽いカードはどうしても弱く、《選択》《手練》で継続的にトークンを生成するのが基本となるでしょう。つまり、基本的にカードが動き出すのは3ターン目からです。 しかし、0マナのカードが使えるモダンならば2ターン目からトークンを生成することも簡単で、しかもほとんどのカードが軽いため、トークンが複数いる状態で一気にスペルを唱えて強化もできます。   モダンのイゼット果敢のリストを見た時に心が躍らなかった理由は、0マナの少なさでした。《コーリ鋼の短刀》を2ターン目に置いてトークンを出したり、出たトークンたちを一気に強化するなら、0マナのカードをたくさん使うべきです。 《ミシュラのガラクタ》は《コーリ鋼の短刀》と最高の相性です。0マナのキャントリップ呪文ですからね。そして《ミシュラのガラクタ》《コーリ鋼の短刀》がアーティファクトなので、同じく0マナの《オパールのモックス》の金属術も達成しやすい。 それならもう1種の0マナカードとして《モックス・アンバー》も入れたい。そうすれば0マナのアーティファクトが10枚以上入ることになり、《コーリ鋼の短刀》を非常に強く使えるはず。 《オパールのモックス》《モックス・アンバー》《ミシュラのガラクタ》。この並びと組み合わせるなら《知りたがりの学徒、タミヨウ》《湖に潜む者、エムリー》しかないでしょう。《モックス・アンバー》から色マナを出すためには、1マナの伝説のクリーチャーが一番ですからね。 ここまで集まったカードたちでできることは、《コーリ鋼の短刀》で殴りながらリソースを獲得する。ただこれだけです。しかしこれならイゼット果敢に劣ってしまうでしょう。《コーリ鋼の短刀》を誘発させるのは誰にも負けませんが、それだけではゲームに勝てません。   《コーリ鋼の短刀》と《湖に潜む者、エムリー》、その両方と噛み合うカードが何か欲しいと考えました。   その結果が《ジェスカイの隆盛》だったのです。 《湖に潜む者、エムリー》と《ジェスカイの隆盛》は実はコンボになります。《湖に潜む者、エムリー》で墓地にある《ミシュラのガラクタ》を対象に取り、《ミシュラのガラクタ》を唱えると、《ジェスカイの隆盛》の能力が誘発し、《湖に潜む者、エムリー》がアンタップします。 《ミシュラのガラクタ》を起動し、《湖に潜む者、エムリー》で再び《ミシュラのガラクタ》を墓地から唱え、この工程を無限に繰り返せるので、《ジェスカイの隆盛》が好きなだけ誘発します。 《ミシュラのガラクタ》の代わりに《モックス・アンバー》2枚や《オパールのモックス》2枚でもこのコンボが成立します。コンボが成立すれば《湖に潜む者、エムリー》が無限パワーになり、無限ルーターが発生するので勝利です。   これまでもこのコンボはモダンでも成立していましたが、《ジェスカイの隆盛》がコンボ以外の使い道に乏しいのが悩みどころでした。   しかし、《コーリ鋼の短刀》があるこのデッキなら話は変わってきます。 2~3体の果敢トークンと《ジェスカイの隆盛》があれば、コンボなどせずとも、ただスペルを数回唱えるだけでライフを削りきれます。《ミシュラのガラクタ》1枚で+2/+2修正が入りますからね。 果敢トークン2体、《コーリ鋼の短刀》とある状態で《ジェスカイの隆盛》をプレイしたとしましょう。まず果敢が1回乗ります。その後、《ミシュラのガラクタ》をプレイすると、元々いたトークンの修正値は+3/+3。更に《コーリ鋼の短刀》から新たなトークンが生成されます。もう1度スペルを唱えると元々いたトークンが+5/+5、新たなトークンが+2/+2。6+6+4の16点がたったこれだけのカードから出るのです。   コンボとビートダウン、そのどちらも成立させる《ジェスカイの隆盛》が、《コーリ鋼の短刀》のマスターピースだったのです!   デッキリストとカード解説 《知りたがりの学徒、タミヨウ》   《モックス・アンバー》《オパールのモックス》の相方。この2枚のモックスを動かすのに彼女の力はあまりに便利です。   《湖に潜む者、エムリー》は1マナでプレイするためにアーティファクトを2枚出す必要がありますが、《知りたがりの学徒、タミヨウ》は条件なく1ターン目にプレイできるので、モックスたちを無理なく運用できます。   モックスたちを並べて失った手札を手がかりで回復し、変身しようものなら、大マイナスを目指したり、小マイナスで墓地のスペルを使い回すなど、その用途も多種多様。   エルドラージ相手には《記憶への放逐》を回収し続けてハメることが多く、プレインズウォーカーに触れにくい相手には一直線に奥義に突き進んでいきます。   モックスの始動役で、1ターン目からのブン回りに貢献してくれます。4枚から動くことはありえません。   《湖に潜む者、エムリー》 3マナのクリーチャーながら、出す時は大体1マナです。そのため《モックス・アンバー》との相性はやはり良い。   墓地のアーティファクトを使い回す能力で《ミシュラのガラクタ》を回すも良し、マナが欲しければ《モックス・アンバー》《オパールのモックス》を回収。その他にも《上天の呪文爆弾》を使い回して妨害や《魂標ランタン》による継続的な墓地追放など、破格の性能を持っているシステムクリーチャー。   しかもこのデッキでは《ジェスカイの隆盛》とのコンボも内蔵しています。このコンボを決めるためには《湖に潜む者、エムリー》がアクティブである必要がありますが、後述の《コーリ鋼の短刀》によって速攻を付けられるので、更地からでも急にコンボが決まる時があります。   コンボ・リソース稼ぎ・妨害、そのすべてを担う、このデッキの心臓部分ともいえるクリーチャーです。   《ミシュラのガラクタ》 別名《湖に潜む者、エムリー》のズッ友。   0マナ1ドローはシンプルながら強力。《ジェスカイの隆盛》《コーリ鋼の短刀》や果敢などスペルを唱えることが重要なこのデッキにおいて、《ミシュラのガラクタ》は最重要カードの1枚。   フェッチランドを置いて自分のライブラリートップを見て、それが不要ならシャッフルし、必要ならドローしてからフェッチランドを起動しましょう。   1ターン目にドローしたいと思ったら、相手のアップキープの起動がオススメです。相手が引く1枚のカードがわかりますし、ドローが発生するのは自分のターンなので、《思考囲い》などの手札破壊から1枚を守れます。   《オパールのモックス》 やはり解禁は間違いだったのではないか?そう思うほどの爆発力を持つカード。《モックス・アンバー》も《知りたがりの学徒、タミヨウ》《湖に潜む者、エムリー》の8枚体制で動くようにはなりましたが、それでも便利さという点では《オパールのモックス》に劣ります。   好きな色マナが出るのも、3色のこのデッキでは嬉しく、マナトラブルを改善してくれます。   2ターン目に《コーリ鋼の短刀》+《オパールのモックス》、3ターン目に《コーリ鋼の短刀》を誘発させつつ追加でスペルを唱えて4+3の7点を入れる場合が多く、その展開では《オパールのモックス》から出る追加の1マナがしみます。   《モックス・アンバー》 ほとんど青マナしか出ないのが《オパールのモックス》に比べて弱いですが、それでもモックスの名は伊達ではなく、1ターン目からの激しい展開を生むことができるカード。   《知りたがりの学徒、タミヨウ》をキャストして《モックス・アンバー》から《定業》を打つなど、アーティファクトをあまり引いていない時は《オパールのモックス》より強く、3枚は必須。4枚目は少し多く、こちらは土地になりました。   《コーリ鋼の短刀》 来ました。このコーリ隆盛の真の主役となるカード。   2ターン目から2点、3ターン目に5点、4ターン目に8点と、最速で出してただトークンを出しているだけで勝手に勝ってしまうすごいカード。   4ターン目に追加で1回果敢が発生すれば11点入るので、お手軽に4ターンキルになります。   《ミシュラのガラクタ》《オパールのモックス》《モックス・アンバー》と0マナが満載なので、2ターン目の《コーリ鋼の短刀》からトークンを生成するのも容易く、3ターン目以降も無理なくトークンを出し続けられます。   攻撃的に使うのが基本的な運用方法ですが、ブロッカーとしても果敢クリーチャーは頼もしく、ボロスエネルギーなどアグロとのマッチアップでは、トークンを立ててターンを返すことも多々あります。攻防一体のカードですね。   速攻を付与する能力が装備品自体にあるので、《ウルザの物語》でトークンを生成して装備アタックなどもできます。トランプルもつくため、それだけでゲームに勝ててしまうこともしばしば。   《湖に潜む者、エムリー》の能力を出したターンに起動できます。それによって《ジェスカイの隆盛》《コーリ鋼の短刀》の場からでも《湖に潜む者、エムリー》による瞬殺コンボが可能です。   《ジェスカイの隆盛》コンボでありながら、その実態は《コーリ鋼の短刀》デッキ。無限コンボはオプションの1つで、《コーリ鋼の短刀》を使った様々な攻めがこのデッキの持ち味です。《ジェスカイの隆盛》と《コーリ鋼の短刀》が揃うと一瞬で人が死にます。   2枚重なっても強いカードで、2ターン目に《コーリ鋼の短刀》Aからトークン、3ターン目に《コーリ鋼の短刀》Bからトークンが2体出ると、まあ大体4ターンキルです。   モックスを使うデッキはアーティファクト主体となるため、《大いなる創造者、カーン》に苦しめられがちなデッキですが、その点も《コーリ鋼の短刀》は解決しており、デッキのすべてと噛み合う完璧なカードです。   《ジェスカイの隆盛》 3マナ、かつジェスカイの3色を使用するカードなので出しにくいですが、その分出した時の破壊力はピカイチ。   既にご紹介しているように《湖に潜む者、エムリー》《ミシュラのガラクタ》と組み合わせれば無限コンボになりますし、非クリーチャー呪文を唱えればとりあえずルーターが行えます。   《知りたがりの学徒、タミヨウ》《湖に潜む者、エムリー》《モックス・アンバー》《オパールのモックス》と大量に伝説のカードが入っているので、かぶったそれらを捨ててカードを引けますし、マナフラッド受けにもなります。   《コーリ鋼の短刀》によってクリーチャーが横に並ぶため、パンプ能力も強力です。従来の《ジェスカイの隆盛》はこのパンプ能力が無限コンボ以外で活きなかったのですが、このコーリ隆盛ではこちらの能力も強力なのです。   《ウルザの物語》を置くと最速では出せませんが、3章でモックスをサーチすれば出るので、そこまで困ることはありません。   サイド後はエンチャント破壊の的になることも多いので、何枚かサイドアウトします。   《定業》 1ターン目に《知りたがりの学徒、タミヨウ》《モックス・アンバー》と展開した際に青マナが余るので、《定業》は比較的プレイしやすく好感触でした。   《ジェスカイの隆盛》《コーリ鋼の短刀》に辿り着きたいですし、《アノールの焔》《感電破》《ポータブル・ホール》など除去にもアクセスしたい場面があるので、《定業》は様々な状況で活躍します。   《ポータブル・ホール》 便利な1マナの除去枠。《稲妻》などと違ってタフネスが高いクリーチャーも対処できます。具体的には《超能力蛙》ですね。   クリーチャー以外に触れるのもメリットです。特にサイド後に置かれる《石のような静寂》などにも対応できるのは他にはない特徴です。アーティファクトである点も優秀で、《湖に潜む者、エムリー》で墓地から唱えることもできますし、金属術の達成にも一役買います。   一方、デメリットもアーティファクトであることです。《摩耗+損耗》などで《ウルザの物語》と一緒に割られてしまうので、サイド後は除去としての信頼度が下がります。   ディミーア系の《超能力蛙》は絶対に触りたいカードなので、ディミーアを意識するなら4枚ですが、現状では2枚に落ち着いています。   《感電破》 除去を《ポータブル・ホール》とスプリットして採用。《感電破》のメリットは本体火力であることです。   《コーリ鋼の短刀》が絡むとすぐにライフを削りきれるので、《感電破》は実は重要。クリーチャー除去としても4点は十分ですし、金属術達成が難しい1ターン目なら2点で問題ないです。   《大いなる創造者、カーン》もマイナスから入ってきたら《感電破》で落とせます。色々な状況を想定して、《ポータブル・ホール》と分けた方が良いと判断しました。   《アノールの焔》   《湖に潜む者、エムリー》《知りたがりの学徒、タミヨウ》とウィザードを8枚採用しているので、相性の良い《アノールの焔》を少しだけ入れることにしました。   マナソースがモックス7枚を合わせて27枚入っているので、ある程度リソースを稼ぐカードは採用したく、その上でただカードを引くだけに3マナを使うのは嫌でした。《食糧補充》をメインに入れなかった理由はそこです。   《アノールの焔》は2ドローしながら除去できますし、サイド後はヘイトパーマネントに触れる便利なカードです。   《上天の呪文爆弾》 《ウルザの物語》からのサーチ用A。   《火の怒りのタイタン、フレージ》《濁浪の執政》《超能力蛙》など、対処困難なカードを《ウルザの物語》からサーチしてこれます。《湖に潜む者、エムリー》で使い回すのも〇。   《魂標ランタン》 《ウルザの物語》からのサーチ用B。   ボロスエネルギーの《火の怒りのタイタン、フレージ》、ディミーアマークタイド、今はアミュレットタイタンなど、墓地を使うデッキはそれなりに多く、《魂標ランタン》は活躍する場面が多めです。   やはり《湖に潜む者、エムリー》で使い回せるのが良い。   《真髄の針》 《ウルザの物語》からのサーチ用C。   主にコンボデッキに対して劇的に刺さるので、メインでの採用を推奨します。1枚デッキに入れておくだけで《ウルザの物語》のバリューが跳ね上がりますからね。   ボロスエネルギーに対しても《ゴブリンの砲撃》を指定できるので、腐るマッチ自体は少なめです。   《記憶への放逐》《儀礼的拒否》 ここからはサイドボード。   対エルドラージ対策として欠かせないカードですね。エルドラージには1マナの打ち消しが一番なので、5枚目として《儀礼的拒否》を採用しているぐらいです。   青いデッキはすべて《記憶への放逐》4枚は必須ですね。   《火の怒りのタイタン、フレージ》 エネルギーやオルゾフブリンクなどにサイドインします。   イメージとしては、《コーリ鋼の短刀》でゲームに勝つことが難しく、《ジェスカイの隆盛》も触ってくる相手でしょうか。単純に勝ち筋がなくなってしまうので、シンプルな勝ち手段として《火の怒りのタイタン、フレージ》をサイドインします。   《空の怒り》が入ってくる可能性もあるので、そういった相手には《火の怒りのタイタン、フレージ》がぴったりです。   スペシャル予選を突破した時のリストには《河童の砲手》が入っていましたが、これも用途はほぼ同じです。   《摩耗+損耗》 今回《コーリ鋼の短刀》《ウルザの物語》デッキを持ち込むプレイヤーが増えそうな予感がしていたので、対策としてサイドに入れていました。アミュレットなどにも刺さりますし、普通に良いカードですね。   《石のような静寂》がとにかくきついので、白い相手にはとりあえずサイドインを試みたいところ。   《紅蓮地獄》 主に入れる相手はエネルギー。先手の《オセロットの群れ》《魂の導き手》の展開には《紅蓮地獄》しかありません。   1マナ重いと《魂の導き手》が3/4になって触れなくなるので、3マナ3点より2マナ2点です。もちろん効かない展開もあるので、2枚が限度かなと思います。   2点なので自分のモンクトークンがそこそこ生き残りやすい。   《呪文貫き》 スペシャル予選の時には入っていなかったカード。《コーリ鋼の短刀》を使うデッキ全般、コントロール、エルドラージととりあえず入れる相手自体は多いです。   《モックス・アンバー》を構えてターンを返すことが多いので、青マナはそれなりに浮きやすく、《呪文貫き》はちょうど良いカードかなと思いました。   打ち消し自体はさほどデッキに合っていませんが、0枚と少し入れるとではだいぶ違うので、1~2枚はサイドボードに用意すると、どのマッチにも対応できて良いです。   《神秘の論争》 《呪文貫き》と用途はさほど変わりませんが、こちらはよりベルチャーに強いカード。《発明品の唸り》《現実の設計者、タメシ》と、ちょうど《記憶への放逐》を抜けてきそうなカードたちに刺さります。   コントロールデッキに対して入れるものがほとんどなかったというのもあります。スペシャル予選の時は、元々コントロールがキツいので、あえて意識せず割り切ることにしました。   《時を解す者、テフェリー》 3マナと少し重いですが、効果は絶大。コントロールに出せば打ち消しが全部手札で腐り、その上《石のような静寂》などのヘイトパーマネントにも触れます。   3マナが《ウルザの物語》の起動とかぶるマナなので複数枚入れると動きがちぐはぐになります。そのためメインに入れることは難しく、サイドボードに1枚のみとなりました。   対策を置かれればそれをバウンスでき、そうでなくてもとりあえず最低限の働きはするので、とりあえずの保険でサイドインできるカードです。環境に《石のような静寂》が増えれば枚数が増えることもあるでしょう。   《最高工匠卿、ウルザ》 用途は《火の怒りのタイタン、フレージ》とほぼ同じで、フィニッシャーの役割です。《コーリ鋼の短刀》《ジェスカイの隆盛》に触られた時用ですね。   特にエネルギーには《最高工匠卿、ウルザ》はほぼ触られないので、場に出るだけで一気に行動回数が増えます。対エネルギーで強いカードではあるのですが、《ウルザの物語》やモックスを狙われるパターンが多く、ストレートに4マナまで到達しづらく、その際に手札で腐ってしまうのが嫌なので、1枚のみとなっています。 デッキの回し方 ・無限コンボについて 《湖に潜む者、エムリー》《ジェスカイの隆盛》《ミシュラのガラクタ》が揃うと、無限に《ジェスカイの隆盛》を誘発させることができるので、無限パンプ&無限ルーターになります。 1.《湖に潜む者、エムリー》を《ミシュラのガラクタ》を対象に起動2.《ミシュラのガラクタ》を唱えて《ジェスカイの隆盛》が誘発して《湖に潜む者、エムリー》がアンタップ3.《ミシュラのガラクタ》を起動して墓地に落とし、《湖に潜む者、エムリー》で再び《ミシュラのガラクタ》を対象に取り、以下繰り返し   要するに墓地から0マナのアーティファクトを無限に唱えられればコンボが成立するので、《ミシュラのガラクタ》以外でも、《モックス・アンバー》2枚や《オパールのモックス》2枚でもコンボが成立します。 《ミシュラのガラクタ》でコンボを決めると《湖に潜む者、エムリー》が無限にデカくなるだけなので、チャンプブロックなどで凌がれてしまうと思ってしまうかもしれませんが、その点は大丈夫です。   無限ルーターをしていると、いつか《オパールのモックス》や《モックス・アンバー》に辿り着きます。ルーターで引いてきたらそのまま墓地に捨てて、《湖に潜む者、エムリー》の能力で墓地から釣りましょう。   《オパールのモックス》を捨てて、墓地から《湖に潜む者、エムリー》の能力で唱え、2枚が揃えば無限パンプ&無限ルーター&無限マナになります。(金属術が達成できなければ、墓地から《ミシュラのガラクタ》を吊り上げておけばOK) マナがある状態でルーターによって《コーリ鋼の短刀》まで辿り着き、墓地に落とし、《湖に潜む者、エムリー》で《コーリ鋼の短刀》を拾い、装備すれば無限パワーの《湖に潜む者、エムリー》にトランプルが付くので勝利です。 このコンボを決めるためには《湖に潜む者、エムリー》がアクティブである必要がありますが、《コーリ鋼の短刀》で速攻を付与すれば、《湖に潜む者、エムリー》を出したターンでもコンボが決まります。   先に《ジェスカイの隆盛》だけ貼った状態からでも、《コーリ鋼の短刀》+《湖に潜む者、エムリー》+装備の5マナでコンボができるので、割とお手軽です。   ・《コーリ鋼の短刀》を中心にプレイする 上記のコンボが内蔵されたこのデッキですが、基本的にはジェスカイトークンだと思ってプレイしてください。相手のライフを削ることを最優先します。《ウルザの物語》があればまずトークンを作りますし、《ジェスカイの隆盛》と《コーリ鋼の短刀》から何点出せるかを常に考えましょう。 《コーリ鋼の短刀》の誘発は最優先事項なので、たとえば初手に《ミシュラのガラクタ》と《コーリ鋼の短刀》がある場合は、《ミシュラのガラクタ》を唱えるのは2ターン目まで待ってください。 《定業》も先手1ターン目に欲しいカードがなければプレイせず、後の《コーリ鋼の短刀》誘発を意識しましょう。もちろん、《コーリ鋼の短刀》がなければ探しにいきますが。 このデッキをビートダウンかコンボのどちらで考えるかによって、《定業》のチョイスなどに大きく関わってきます。《湖に潜む者、エムリー》《ジェスカイの隆盛》《ミシュラのガラクタ》のコンボは除去1枚で妨害されてしまう脆弱なコンボです。   メインは《コーリ鋼の短刀》による攻撃であり、《ジェスカイの隆盛》はその攻撃を後押ししつつ、《湖に潜む者、エムリー》とのコンボにもなるエンチャントです。   ・1tの《湖に潜む者、エムリー》か2tの《コーリ鋼の短刀》 よくあるのが、初手に《モックス・アンバー》《オパールのモックス》《湖に潜む者、エムリー》《コーリ鋼の短刀》のような初手。   1ターン目に《湖に潜む者、エムリー》は出せるが、そうすると2ターン目に《コーリ鋼の短刀》が誘発しないかもしれない。そんな手札です。   この場合は温存して2ターン目に《コーリ鋼の短刀》から行きます。《コーリ鋼の短刀》→《オパールのモックス》→《モックス・アンバー》で《湖に潜む者、エムリー》まで出せてしまうためです。1ターン遅らせるだけでトークンのオマケがついてきますからね。 《湖に潜む者、エムリー》を3ターン目まで遅らせる必要はありません。3ターン目の誘発まで確定していますが、《湖に潜む者、エムリー》も早いターンに出せるなら出しておきたいです。 《オパールのモックス》か《モックス・アンバー》が代わりに《ミシュラのガラクタ》だった場合は、1ターン目に《湖に潜む者、エムリー》をプレイします。《湖に潜む者、エムリー》が生き残った場合に、2ターン目の《コーリ鋼の短刀》誘発が確定するからです。 《ミシュラのガラクタ》と《湖に潜む者、エムリー》がある場合はなるべく早く《湖に潜む者、エムリー》を着地させましょう。ターンが遅れるごとに1ドローを失うと考えてください。   マリガン 2ターン目の《コーリ鋼の短刀》誘発や、除去+《ウルザの物語》、1ターン目の《湖に潜む者、エムリー》などなど、キープできる手札は多種多様です。 デッキとしてはかなりキープしやすい部類かなとは思いますが、マナがたくさんある初手も結構来るので、その際はマリガンしましょう。   《オパールのモックス》《モックス・アンバー》土地2枚みたいな初手はただの土地4です!残りのハンドが相当強ければキープできますが。2枚のモックスと相性の良い《知りたがりの学徒、タミヨウ》《湖に潜む者、エムリー》のいずれかは必須ですね。 モダンにおいて序盤の圧力は必要不可欠です。《コーリ鋼の短刀》で2ターン目から殴れたり、《ウルザの物語》で勝つプランなら妨害手段、そしてモックスを並べて1ターン目から超展開など、ある程度頭で動きを描ける初手をキープしたいです。   土地が1枚の手札は《定業》などのドロースペルさえあれば大体キープできます。1ターン目に《湖に潜む者、エムリー》が出るハンドも土地1でも十分。フェッチランド+《ミシュラのガラクタ》でもやはりキープでき、土地1は割とキープしやすいです。 試しに今から5回ほど初手を開きます。キープorマリガン、そしてキープした場合はどうやって動くかを一緒に考えましょう! キープ。 2ターン目に《コーリ鋼の短刀》を誘発させつつ、相手によって効く可能性のある《魂標ランタン》と除去である《アノールの焔》がある良い手札。秒キープです。   フェッチランドから《轟音の滝》をサーチしつつ、2ターン目に《コーリ鋼の短刀》から攻めましょう。 キープ。 あまり強くはないですがキープできる手札です。除去とドローがありますからね。《定業》で《コーリ鋼の短刀》か《湖に潜む者、エムリー》あたりを探しにいきましょう。 キープ。 2ターン目に《コーリ鋼の短刀》が出せるか微妙で少しリスクのある初手ですが、まあキープです。《知りたがりの学徒、タミヨウ》が生き残れば2ターン目に手がかりも使えますし、ストレートに土地を引けば《コーリ鋼の短刀》も誘発します。   《ミシュラのガラクタ》起動からとりあえず始めましょう。 マリガン。 非常に惜しい手札。《感電破》+《ウルザの物語》はあるのですが、土地が多すぎます。土地が1枚《湖に潜む者、エムリー》か《知りたがりの学徒、タミヨウ》か《コーリ鋼の短刀》あたりなら完璧でしたね。 キープ。 赤マナがなく少しリスクのあるハンドに見えますが、《知りたがりの学徒、タミヨウ》が除去されて《湖に潜む者、エムリー》が生き残り、《ミシュラのガラクタ》起動でリソースが取れそうです。《ジェスカイの隆盛》もあるのでコンボも決まりそうですし、かなり良いハンドです。   サイドボーディングガイド VSボロスエネルギー +2《火の怒りのタイタン、フレージ》+2《紅蓮地獄》+1《最高工匠卿、ウルザ》 -1《真髄の針》-2《ジェスカイの隆盛》-2《定業》 《コーリ鋼の短刀》を攻めにも守りにも使うマッチアップです。序盤から攻める展開の他にも、装備のついたモンクをブロッカーとして立たせて、先に出ていた果敢の乗ったモンクだけで殴り、打点を稼いでいきます。 《湖に潜む者、エムリー》が除去されやすいので《ジェスカイの隆盛》でコンボを決めるのは簡単ではないですが、《コーリ鋼の短刀》のモンクが出ていれば《ジェスカイの隆盛》のパンプで削れたりもします。   インスタント除去は《電気放出》と《スレイベンの魔除け》ぐらいなので、《湖に潜む者、エムリー》を手札に温存しておいて、隙を見て展開→《コーリ鋼の短刀》をつけて《ジェスカイの隆盛》で無限は狙えます。   サイド後は相手が何枚エンチャント破壊を入れてくるかによります。《摩耗+損耗》2枚を想定してのサイドボーディングです。   《ジェスカイの隆盛》は3マナで設置して1マナで割られたら泣いてしまうので少し抜いています。 相手の《火の怒りのタイタン、フレージ》に触れる《上天の呪文爆弾》《魂標ランタン》があるので、《火の怒りのタイタン、フレージ》対決を制することも難しくありません。このマッチのために諜報ランドを2枚入れていると言っても過言ではありません。   VSディミーアマークタイド +2《火の怒りのタイタン、フレージ》+1《神秘の論争》+1《時を解す者、テフェリー》 -1《真髄の針》-3《ジェスカイの隆盛》 基本的には有利なマッチアップです。メインは《ウルザの物語》だけで勝ててしまいます。《上天の呪文爆弾》が光りますね。 サイド後も《ウルザの物語》対策で《海の先駆け》を入れてきづらいので、普通に《ウルザの物語》だけで勝てます。 《コーリ鋼の短刀》もかなりディミーア側にとっては脅威で、適当に誘発させているだけで勝てます。毎ターン必ず誘発させられるように、余計なスペルを打たないようにしましょう。   《オークの弓使い》は激ヤバです。絶対に処理してください。   VSエルドラージ +4《記憶への放逐》+1《儀礼的拒否》+1《呪文貫き》+1《最高工匠卿、ウルザ》 -1《真髄の針》-1《魂標ランタン》-1《上天の呪文爆弾》-2《感電破》-2《ポータブル・ホール》 有利マッチです。《湖に潜む者、エムリー》が生き残りやすく、《コーリ鋼の短刀》ビートとコンボ、どちらでも勝てます。   《コジレックの命令》を打ち消すのが割と重要なのですが、《記憶への放逐》を打ちたくない。そこで《呪文貫き》《儀礼的拒否》と《コジレックの命令》を打ち消せるカードたちをサイドインしています。   《記憶への放逐》を温存できれば大体勝ちです。   VSアミュレットタイタン +4《記憶への放逐》+2《摩耗+損耗》 -1《上天の呪文爆弾》-2《感電破》-2《ジェスカイの隆盛》-1《定業》 《コーリ鋼の短刀》で殴りながら妨害できるのでまあまあ有利です。《ジェスカイの隆盛》のコンボだけなら不利でしたね。《ジェスカイの隆盛》が《耐え抜くもの、母聖樹》で狙われるので、あまり無限コンボは狙えません。 基本は《精力の護符》を対処しつつ、さっさと殴りきるだけです。   《ポータブル・ホール》は《精力の護符》に対処できるので残しています。《洞窟探検》には何もしませんが、《精力の護符》が複数枚出なければ、3ターン以内に決着することは基本ありません。そのため、《精力の護符》だけに狙いを絞っています。   《記憶への放逐》は《ウルザの物語》3章のサーチを止めましょう。 《真髄の針》の指定は《耐え抜くもの、母聖樹》か《トレイリア西部》。《耐え抜くもの、母聖樹》を指定する際はこちらが《ジェスカイの隆盛》からコンボを決められそうな時です。相手のコンボを止めるには《トレイリア西部》と言いましょう。 《トレイリア西部》を指定しておけば、《洞窟探検》+《風景の変容》からの負けは少なくなります。土地が6枚並んでいると《耐え抜くもの、母聖樹》サーチの余裕が生まれるので、絶対に安心ではありません。それでも時間を要するので、その前に勝てるでしょう。   《魂標ランタン》は最近のアミュレットには、《変容する森林》と《事件現場の分析者》に効くのでサイド後も残しておくことを推奨します。《風景の変容》を絡めた即死がなくなるだけで十分です。 というか実は《風景の変容》がかなり通りやすいので、そこから負けないようにするのが大事です。 こちらが先手の時は《ポータブル・ホール》を抜いても良いです。《記憶への放逐》で手札からの《精力の護符》を消せますからね。その際は《感電破》を残しましょう。   《アノールの焔》と合わせて除去は4枚残しておかないと《溜め込み屋のアウフ》でハメられます。注意しましょう。   VS青単ベルチャー +2《記憶への放逐》+2《摩耗+損耗》+1《呪文貫き》+1《神秘の論争》+1《時を解す者、テフェリー》 -1《上天の呪文爆弾》-2《感電破》-2《ポータブル・ホール》-2《ジェスカイの隆盛》 メインは《真髄の針》で《ゴブリンの放火砲》を指定しつつ、速やかに殴り勝つことを目標としましょう。《コーリ鋼の短刀》が絡めば完遂することも結構あります。   サイド後は《睡蓮の花》を着地させないことを第一目標にしています。   ただし割り続けても結局《現実の設計者、タメシ》からコンボを決められます。そのため《魂標ランタン》は重要です。《湖に潜む者、エムリー》の場持ちが良いので何度も使い回せますし、このマッチでかなり大事なので絶対に抜かないでください。   VSドメインズー +4《記憶への放逐》+2《摩耗+損耗》 -1《上天の呪文爆弾》-1《魂標ランタン》-1《真髄の針》-1《ジェスカイの隆盛》-1《定業》-1《アノールの焔》 《記憶への放逐》は《ドラコの末裔》と《力線の束縛》に効くので4枚あって無駄になりません。   軽いクリーチャーは少ないデッキですが、序盤に圧力をかけられなければそもそも負けないマッチアップなので、除去はしっかり残しておきましょう。   VSルビーストーム +2《摩耗+損耗》+1《呪文貫き》 -1《上天の呪文爆弾》-1《真髄の針》-1《感電破》 当然ですが有利ではありません。ほとんどこちらが相手のコンボに干渉できませんからね。   ルビーストームが増えたら《ドラニスの判事》あたりを入れることになりそうです。   VSオルゾフブリンク +2《火の怒りのタイタン、フレージ》+2《摩耗+損耗》+1《最高工匠卿、ウルザ》 -2《ポータブル・ホール》-1《魂標ランタン》-1《真髄の針》-1《上天の呪文爆弾》 エネルギーとゲームプランは似ているのですが、《コーリ鋼の短刀》によるビートだけでは中々勝ち切らないので、《ジェスカイの隆盛》のバックアップが必要。よってサイドアウトできません。   《摩耗+損耗》が入っていないので、そこまで割られることに怯えなくても良いとは思っています。   エンチャント破壊がクリーチャーなので、《ジェスカイの隆盛》を置いてターンを返すのはNG。コンボを決めるのであれば《ジェスカイの隆盛》は最後にしましょう。   《摩耗+損耗》は《ベイルマークの大主》を倒すためにインします。無限に《孤独》を使い回されないように。   《空の怒り》がヤバいので《ポータブル・ホール》は抜いた方が良いです。   終わりに コーリ隆盛は攻めたり守ったり急にコンボを決めたり、75枚のデッキにも関わらず様々な戦い方ができて、回していてすごく楽しいです。回っている時はどんな動きも可能で全能感があります。 脱出基地に似たデッキですが、《コーリ鋼の短刀》によるビートダウンができるのはコーリ隆盛の魅力!そしてそれが対戦相手のプレイやサイドボーディングを難しくさせる要因です。   《コーリ鋼の短刀》の真の強さを味わえるのは、0マナのカードを使えるモダンだと僕は思っています。   ぜひ一度回してみてください!   それではまた。

【今週のピックアップデッキ】イゼット果敢/ウモーリソーサリー/ジェスカイスペル

週刊 Modern Pioneer Standard ピックアップ

2025.04.11

mtg Yuyan

こんにちは。 細川 侑也(@yuyan_mtg)です。 今週のピックアップデッキでは、ちょっと珍しいデッキを、軽い解説を交えて紹介していきます。   紹介デッキ イゼット果敢 ウモーリソーサリーコントロール ジェスカイスペル   イゼット果敢 スタンダードリーグ : 5-0 By DB_YungDingo MTGアリーナ用インポートデータ スタンダードの赤いアグロと言えば、パイオニアすら席巻している《心火の英雄》《多様な鼠》《熾火心の挑戦者》の3種のハツカネズミを使うのが定番。いや、それどころか使わないデッキなど存在しないレベルです。 が、今回紹介するイゼット果敢は赤青でありながら、ハツカネズミを1枚も採用していません!このデッキのコンセプトは、その名前の通り、果敢です。   今更説明するまでもないですが、果敢はクリーチャー以外の呪文を唱えた時に、一時的にサイズが上がる能力。そのためデッキ内の非クリーチャー呪文は多ければ多いほどいいのです。   入っているクリーチャーはたった2種類。果敢クリーチャーの代名詞とも呼ぶべき《僧院の速槍》と《精鋭射手団の目立ちたがり》のみです。 《精鋭射手団の目立ちたがり》は果敢は持たないものの、持っている能力は果敢より強力。1回の呪文でパワーが2上がり、更に自身を計画しておくことで、フルで呪文を使って《精鋭射手団の目立ちたがり》のサイズを引き上げられます。 この果敢2種に加わるのが、クリーチャーではない果敢持ち。《嵐追いの才能》。 《この町は狭すぎる》とのコンボでスタンダードで大活躍するクラスエンチャントですが、今回は単体で採用。非クリーチャー呪文でありながらしっかり1マナの果敢クリーチャーが場に出るので、果敢と相性が良いのがグッドですね。   レベルアップした際には火力や《食糧補充》を拾うことができ、《僧院の速槍》より強い場面も多々あります。   そして最後のクリーチャー枠は新カード。こちらはなんと装備品の《コーリ鋼の短刀》です。 装備クリーチャーに+1/+1速攻とトランプルを付与する装備品……というのはオマケ能力。重要なのはその下の長いテキストです。   1ターンに呪文を2回唱えた時に果敢を持つトークンを生成し、それにこの装備品をつけることができる。とんでもないことが書いてあります。   3ターン目に《コーリ鋼の短刀》から《稲妻波》を本体に打つと果敢トークンが出てきて2点の速攻アタック。次のターンに呪文を2回唱えれば、先に出ていた果敢トークンのサイズが上がりつつ、新しいトークンと一緒に攻撃します。   毎ターントークンを生成する2マナのカードは《苦花》と呼ばれることが多いですが、《苦花》を余裕で超えてくる性能です。 問題は1ターンに2回の呪文を唱えられるかどうかですが、その点を解決するのが青。《嵐追いの才能》のためだけに青が入っているわけではないのです。   《手練》は呪文カウントを稼ぎながら次の火力を探しにいく呪文ですし、なんといっても4枚採用の《食糧補充》が、継続的に《コーリ鋼の短刀》を誘発させてくれます。 相手のライフが少なければ《稲妻波》などの火力呪文、盤面に触りたければ除去、更にリソースを稼ぎたければ《嵐追いの才能》(を出してレベルアップで《食糧補充》を回収)などなど、臨機応変に勝利への道を示してくれます。 これまでの果敢デッキはクリーチャー除去に非常に弱かったのですが、《コーリ鋼の短刀》は除去を構えている相手を嘲笑うような能力です。   果敢軍団による気持ちの良いビートダウン、一度試せば病みつき間違いなし!     ウモーリソーサリーコントロール パイオニアリーグ : 5-0 By  DB_BFG MTGアリーナ用インポートデータ 『イコリア:巨獣の棲処』で登場した超問題児、相棒。   特定の条件でデッキを組むことで、相棒カードを相棒に指定することができ、各ゲーム中に3マナを支払うことで手札に加えられるカードです。   つまり、指定した相棒は確実に手札に加えることができるので、その相棒を前提にしてデッキを組めるというわけです。   最強の相棒、《夢の巣のルールス》はビートダウンのフィニッシャーとして使われました。除去をすべて使わせて、最終的に《夢の巣のルールス》を着地させてそのリソースだけで勝利。このゲームプランを1枚で、そして確実に作れるのが《夢の巣のルールス》が最強と言われる所以。 一方能力をほぼ使うことはないのが《湧き出る源、ジェガンサ》。単に確実に手札に加えられる5マナ5/5としてビートダウンを中心に多くのデッキに採用されていました。《夢の巣のルールス》と比べるとかなり弱いですが、それでもパイオニア・モダンで禁止されるほど。 モダンでのみ禁止されている相棒、《空を放浪するもの、ヨーリオン》は能力を使用することを前提に採用されている相棒。《夢の巣のルールス》に近いカードですね。戦場に出た時に能力を誘発させるパーマネントを多数採用したり、《豆の木をのぼれ》を《空を放浪するもの、ヨーリオン》で誘発させるなど、デッキ外のカード1枚から大量のアドバンテージを獲得して勝利することをコンセプトにしています。 今回ご紹介する相棒も、デッキコンセプトとなる1枚。   《集めるもの、ウモーリ》です! 初めてこの相棒を見たという方も多いのではないでしょうか?その相棒条件は、デッキ内に入っている土地以外のカードが、共通のカード・タイプを持っていることです。   たとえばクリーチャーがデッキに入っていたら、ソーサリーやインスタントをデッキに入れることはできません。インスタントがデッキに入っていたら、ソーサリーもクリーチャーも使えません。   そんな超強烈な制限をデッキにつけてくる可愛い相棒です。   その肝心の《集めるもの、ウモーリ》の能力は、戦場に出るに際し、カード・タイプを1つ選び、そのタイプの呪文がすべて1マナ軽くなるというもの。クリーチャーだけのデッキに入れれば、《集めるもの、ウモーリ》が戦場にいる間はデッキ内のすべてのカードがコスト軽減されることになります。 そして《集めるもの、ウモーリ》で指定するタイプは……ソーサリー!このデッキにはソーサリー以外のカードが1枚も入っていません。   パイオニアで最強のソーサリー《思考囲い》は当然入ります。《集めるもの、ウモーリ》で軽くなることはありませんが、そもそも1マナなので問題ありません。 ソーサリーは全体除去も得意なので、《絶滅の契機》《死人に口無し》とたっぷり採用されています。《絶滅の契機》は奇数を宣言すれば《集めるもの、ウモーリ》を戦場に残せますね。 面白いのが《中止+停止》。分割カードの片方がソーサリーなので、《集めるもの、ウモーリ》の相棒条件を満たしながらインスタントを採用できます。《集めるもの、ウモーリ》下なら1マナで墓地を追放しながらゲイン&ドローと中々の性能。 ソーサリーはインスタントより派手な能力が多いので、フィニッシャークラスも多数あります。《絶望招来》はその中でも苦い思い出がある人も多いでしょう。《絶望招来》を打つと《絶望招来》を引くので、連鎖して一瞬でゲームが終わります。これも《集めるもの、ウモーリ》で4マナに。 《詰め込み期間》は派手さこそありませんが、良い仕事をするいぶし銀カード。 《集めるもの、ウモーリ》が出ていれば1マナで4点ゲインしつつ、サイドボードから《マスコット展示会》をサーチしてフィニッシュに向かったり、除去やエンチャント・アーティファクト破壊など、状況に応じてカードを引っ張ってきます。 ソーサリーのみの厳しい条件下ながら、このウモーリコントロールはしっかりとコントロールとして成立しており、何よりデッキリストが非常に美しい!   昔《集めるもの、ウモーリ》を相棒に指定してインスタントだけでコントロールデッキを組んでいた僕としては、仲の良かった小学校時代の同級生と再会したような気持ちになりましたね。   少し変わったコントロールがお好きな方はぜひ《集めるもの、ウモーリ》を買ってみてください。     ジェスカイスペル By Aspiringspike 《死の国からの脱出》がモダンで禁止となりましたが、元々《死の国からの脱出》《研磨基地》のコンボ自体は2020年から使えました。 脱出基地がモダンで禁止級の強さと言われ始めたのは今年なので、5年間はモダンで鳴りを潜めていたということになります。   それがなぜ急にここまで暴れたのか?その原因はやはり《オパールのモックス》にあるでしょう。 《モックス・アンバー》と合わせてモックス8枚体制となり、1ターン目から《湖に潜む者、エムリー》+《知りたがりの学徒、タミヨウ》のようなめちゃくちゃな動きを可能にしてしまったことで、《死の国からの脱出》はモダンで許されないカードとなったのです。 そんな《オパールのモックス》《モックス・アンバー》をフル活用した新たなデッキがこのジェスカイナーセット!   《ジェスカイの道師、ナーセット》はこのデッキの主役。終了ステップの開始時に、手札をすべて捨てることで、このターンに唱えたカードの枚数分、ドローできます。 《オパールのモックス》《モックス・アンバー》《ミシュラのガラクタ》と0マナ満載のこのデッキでは、とりあえず気軽に3~4枚引けます。1ターンの間に呪文をたくさん唱えたいなら、モックス以上に相性が良いカードはありませんね。   同じ『タルキール:龍嵐録』から加入したジェスカイの3マナ域《担炎の闘士》も中々の性能。3マナと少し重いですが、次に唱える呪文をコピーしてくれます。パーマネントならコピーが戦場に出るので、《コーリ鋼の短刀》のコピーが現れたり、《ミシュラのガラクタ》が増えてリソースを獲得することも。 この2種のクリーチャーがどちらも3マナ域なので、相性の良い《救いの手》が採用されています。2種の3マナ域を1マナで釣り上げた時のバリューは計り知れません。 特に墓地から《担炎の闘士》を吊り上げる→手札から《担炎の闘士》を唱えると、《担炎の闘士》がコピーされるため、その次に唱える呪文が2つコピーされ、わけのわからないことになります。手札から《担炎の闘士》を2回唱えるのは難しいですが、1枚が《救いの手》なら合計4マナなのでさほど難しくはありません。 そしてスタンダードでもご紹介した《コーリ鋼の短刀》はこのデッキでも獅子奮迅の活躍を見せます。2種のモックスに《ミシュラのガラクタ》と果敢を満たすカードは大量にありますし、2ターン目に《コーリ鋼の短刀》から0マナアーティファクトで即座に攻撃も仕掛けられます。 アーティファクトなので《湖に潜む者、エムリー》から出せますし、《オパールのモックス》《感電破》の金属術も満たせるなど、能力だけでなくカード・タイプもデッキと噛み合っています。このカード、本当にすごい! 《ジェスカイの道師、ナーセット》によって毎ターン大量にカードを引いて、それらのカードで《コーリ鋼の短刀》を誘発させ続けて殴りきる。単純明快ながら、その動きはとても面白く、回しているところを見ただけでこのデッキの虜になってしまいました。   非常に面白いデッキですし、《コーリ鋼の短刀》はもちろん、《ジェスカイの道師、ナーセット》にもかなりの可能性を感じました。 この2枚の組み合わせは今後も見ることになるのではないでしょうか。そう思わせてくれるほど美しいデッキです!

『タルキール龍嵐録』がオンライン上でリリース!最新スタンダードデッキ紹介

Standard ピックアップ

2025.04.10

mtg Yuyan

こんにちは。   細川 侑也(@yuyan_mtg)です。   『タルキール龍嵐録』がついにマジックオンライン・MTGアリーナで実装されました!   最新セットが最も影響を与える環境はもちろんスタンダード!   というわけで今回は、『タルキール龍嵐録』の新カードを使って好成績を収めたデッキたちをご紹介していきます。   紹介デッキ ジェスカイ眼魔 ジェスカイコントロール オルゾフピクシー   ジェスカイ眼魔 スタンダードリーグ : 5-0 By GodOfSlaughter MTGアリーナ用インポートデータ スタンダードからモダンまで大活躍している超強力クリーチャー《忌まわしき眼魔》。 3マナという軽さで毎ターン戦慄予示を行うため、その制圧力はピカイチ。戦慄予示で《忌まわしき眼魔》がめくれれば次のターンにはあっという間に人が死ぬ盤面になりますし、過言でもなんでもなく1枚で勝ててしまうカードです。   6枚の墓地を追放しなければならない《忌まわしき眼魔》ですが、それはあくまで唱える時のみ。墓地から戦場に出す際は条件はありません。そこでモダンでは《発掘》、スタンダードでは《救いの手》《再稼働》でこの《忌まわしき眼魔》を吊り上げるのが、最早基本の使い方となっています。 このジェスカイ眼魔はもちろん《救いの手》《再稼働》で《忌まわしき眼魔》を吊り上げるデッキ。手札に来た《忌まわしき眼魔》を《逸失への恐怖》や《蒸気核の学者》で墓地に送り込み、リアニメイトします。 プロツアーでも大活躍したこのデッキは、『タルキール龍嵐録』で3種類のカードを手に入れました。   まずは《光砕く者、テルサ》。 戦場に出た時にカードを2枚まで捨て、捨てた枚数分だけドロー。《鏡割りの寓話》の第二章などでもお馴染みの能力があり、《忌まわしき眼魔》を墓地に送り込むことができます。   更に《光砕く者、テルサ》には速攻と、攻撃時に誘発する能力があります。攻撃時に墓地が7枚以上あったなら、その内の1枚をランダムに追放し、ターン終了時までプレイできます。3マナ3/3でリソースまで稼げちゃうすごいクリーチャーというわけですね。   ジェスカイ眼魔は《蒸気核の学者》《逸失への恐怖》《光砕く者、テルサ》で墓地を貯められるので、7枚以上の条件も難しくないでしょう。 《光砕く者、テルサ》は《プロフトの映像記憶》との相性の良さも注目です。2ドローなのでカウンター2つ分になりますし、速攻によって出したターンに自身にカウンターを乗せて攻撃もできます。 ここからはスペルです。   《氷河の龍狩り》は便利な除去カード。2マナで1ドローと少しコスパは悪いですが、土地でないカードを捨てることができ、捨てると対象に3点を与えます。墓地に《忌まわしき眼魔》を送り込みつつクリーチャーを除去できるので噛み合っていますね。 更にこのカードは調和を持っており、墓地からもう1度唱えることができます。調和コストは(4)(青)(赤)なのでパワーが4のクリーチャーを寝かせれば僅か2マナで唱えられます。《忌まわしき眼魔》を吊り上げてそのまま寝かせて調和でキャスト、なんて使い方ができるわけです。   同じく新加入の《冬夜の物語》も調和持ち。こちらは3枚引いて2枚捨てるソーサリー。クリーチャーであれば捨てるのは1枚でOKと、こちらも《忌まわしき眼魔》を墓地に送るのにぴったりなカード。3ドロー1ディスカードのソーサリーなのでそれだけでもそこそこな性能。 そして前述のように《冬夜の物語》にも調和がついています。1度目は手札から打ち、《忌まわしき眼魔》などをタップして1マナで調和コストで唱えて二の矢を探しにいける強力なカード。 ジェスカイ眼魔はこれまでリソースを取る手段がありませんでしたが、2種の調和ソーサリーによって手札を増やせるようになりました。いずれもカードを引いて捨てる手段なので、《忌まわしき眼魔》を墓地から吊り上げる動きが更に安定し、デッキが単純に強化されましたね。   新カード満載のジェスカイ眼魔、まずはお試しください。     ジェスカイコントロール スタンダードリーグ : 5-0 By SPyromancer MTGアリーナ用インポートデータ 続いてご紹介するのも赤白青のジェスカイカラーのデッキ。しかしこちらは盤面のクリーチャーを除去し、カードを引くコントロールデッキです。   コントロールに必要なのは当たり前ですが除去。盤面を掌握するためには除去は必須ですからね。《稲妻のらせん》に《審判の日》など、単体・全体除去が多数採用されています。 もう1つのコントロール手段は打ち消し。《三歩先》は3マナで使えばただの打ち消しですが、5マナで使うと打ち消しつつ2ドロー1ディスカードと、コントロール好きならたまらない1枚です。 そしてもう1種類の打ち消しとして採用されているのが新カードの《払拭の吐息》です。 普通に使えば相手に2マナの支払いを要求するカウンター、まあ《かき消し》ですね。しかしドラゴンの後見を受けていると相手が払うマナが4マナに増えます。   ドラゴンの後見とは、自分がドラゴンをコントロールしているか、手札からドラゴンカードを公開する必要があります。このデッキには8枚のドラゴンしか採用されていないので、いつでも後見できるとは限りませんが、常に後見している必要があるわけではないのがミソです。   序盤は相手も2マナを支払うことが難しいので、後見は必要ありません。ゲームが伸びて2マナを支払う余裕が出てきたタイミングで後見は必要となるのです。その時ならば手札か場にはドラゴンがある可能性が高く、《払拭の吐息》は多くの状況で《対抗呪文》となるでしょう。 除去と打ち消しで相手と交換を繰り返した後に必要なのは……そう、ドローです。相手より多くのリソースを獲得すれば、盤面をコントロールし続けることができます。   青いドローの定番となった《食糧補充》以外、このデッキのリソース獲得手段はすべてクリーチャーです。更にそのクリーチャーたちはなんとすべて新カード!   《マラング川の執政》はモード選択のあるクリーチャー。4マナのインスタントとして使った場合は3ドローして1枚捨てる、シンプルながらアドバンテージの取れる良スペル。唱えた後にライブラリーに戻る前兆スペルなので、何度も引くチャンスがあります。 クリーチャーとして唱えた場合は6マナ6/7飛行の巨大サイズ。出た時に土地でないパーマネントを2枚まで手札に戻すことができるので、不利な盤面を一発でひっくり返します。   中盤はドローとして使い、後半はフィニッシャーになる、コントロールが求めていた性能です。ドラゴンなのでドラゴンの後見にも寄与してくれます。   もう1匹の《道の体現者、シィコ》もフィニッシャーながらリソースを獲得できるドラゴン。こちらは戦場に出た時に、マナ総量が3以下の呪文をと唱えることができます。《失せろ》《稲妻のらせん》を唱えるもよし、《食糧補充》を唱えてリソース確保も可能。状況に応じて様々な使い方ができる便利なドラゴンです。 サイズも4/5飛行・警戒と頼もしく、攻守において優れています。   従来のコントロールデッキは絶対的なフィニッシャーと呼べるカードが少なく、《完成化した精神、ジェイス》の起動でライブラリーアウトに追い込む戦略を取っていました。が、ビートダウン相手の《完成化した精神、ジェイス》は序盤に引くと非常に弱く、複数枚を抱えて負けるケースが多々ありました。 しかし、『タルキール:龍嵐録』によってこの2種類のフィニッシャーを手に入れ、コントロールは生まれ変わりました。リソース獲得手段を兼ねるクリーチャーがいずれもビートダウン相手にはフィニッシュ手段となるため、以前の形よりも引きムラが少なくなったのです。   優秀な除去、打ち消し、フィニッシャーとすべて揃ったジェスカイコントロールは、どこを取っても強いカードだらけで、かつてのエスパードラゴンを彷彿とさせます。 今後スタンダードで活躍していきそうで、コントロールがお好きな方は早速組んでみてはいかがでしょうか?     オルゾフピクシー スタンダードリーグ : 5-0 By elvin7 MTGアリーナ用インポートデータ 戦場に出た時に能力が誘発する《望み無き悪夢》《逃げ場なし》を《養育するピクシー》で回収して何度も使い回す。そのバウンス戦略の強さは、スタンダードを遊んでいるプレイヤーなら嫌というほど体感しているでしょう。 そこに《この町は狭すぎる》《嵐追いの才能》を加えてバウンス戦略に更に重きを置いたのがエスパーピクシーですが、今回紹介するのは青を入れずに白黒の2色だけでまとめたオルゾフピクシー。 青を使わないことで《孤立への恐怖》《この町は狭すぎる》の強力なバウンスカードを採用できなくなりましたが、今回『タルキール:龍嵐録』で《孤立への恐怖》に代わるカードが登場しました。   それが《陽光真珠の麒麟》です。 戦場に出た時に自分のコントロールしているパーマネントを戦場に戻し、それがトークンだったら1ドローと、基本的な性能は《孤立への恐怖》とさほど変わりません。タフネスが2/1と、《孤立への恐怖》と比べて2少ないのは、対赤を考えれば大きな弱みですが、《陽光真珠の麒麟》のストロングポイントもたくさんあります。   なんといっても瞬速持ちな点は大きく、《養育するピクシー》を除去から守ったり、《逃げ場なし》を回収してすぐに出し直すなど、《陽光真珠の麒麟》にしかできない仕事もあります。《孤立への恐怖》でも《逃げ場なし》は拾えますが、たとえば次のターンに相手がクリーチャーを展開してこないなら《望み無き悪夢》を、クリーチャーを出してきたら《逃げ場なし》を戻したいといった状況で、《陽光真珠の麒麟》ならば最善手を選べます。 《孤立への恐怖》が土地であろうと絶対に戻さなければならないのに対し、《陽光真珠の麒麟》は戻す条件が土地でないパーマネントなので、戦場に何もない状態なら、ただの2/1としてプレイすることができます。これも地味ですがメリットですね。 トークンを戻せばカードを引けるので、《ひよっこ捜査員》の手がかりを手札に戻せば1ドローも一応できますね。まあ手がかりならそのまま生け贄にすれば良いのですが。   面白いのは《ドロスの魔神》の採用です。4マナ6/6と良スタッツで赤アグロに特に強い1枚ですが、《悪夢滅ぼし、魁渡》に非常に弱いのが特徴。麻痺を乗せられてタップしてしまうと、そのまま油がなくなって自滅してしまうためです。 しかし、《養育するピクシー》《陽光真珠の麒麟》と入っているこのデッキなら、油がなくなって次に負けてしまいそうな時は手札に回収することができます。   《ドロスの魔神》を採用するということは当然《不浄な別室+祭儀室》も入ります。この《不浄な別室+祭儀室》も使い回せるので、デーモンを生成した後は回収して再びデーモンを作り続けられます。 オルゾフの2色にまとめているので、それぞれのマナシンボルの濃いカードをたっぷり採用できるメリットもあります。黒は《ヴェールのリリアナ》、白は《一時的封鎖》です。 特に《一時的封鎖》は、自分にも被害のある全体除去だと思ってしまいますが、《一時的封鎖》が戦場を離れると、追放しているカードは再び戻ってきます。これは相手に割られるリスクがある一方、自分のカードたちも戻ってくるので、《望み無き悪夢》や《ひよっこ捜査員》が再度誘発してくれるのです。 《養育するピクシー》《陽光真珠の麒麟》の戦場に出た時の能力も誘発するので、《望み無き悪夢》が帰ってきてダメージを与え、その後《養育するピクシー》で回収し、再び《望み無き悪夢》を出し直して一気にライフを削るといった使い方も可能です。 オルゾフピクシー。ただエスパーから色を減らしただけではない、全く違った味わいのある素晴らしいデッキです!

へいかの選ぶ『タルキール:龍嵐録』各色トップ3!

ピックアップ

2025.04.03

Akira Kobayashi

 皆さん、こんにちは! 「へいか」こと 小林 輝(@enzyutuheika)です。  4月11日に正式発売する最新セット「タルキール:龍嵐録」の全カードが公開されましたので、スタンダード目線を中心に、恒例となる各色トップ3を上げていこうと思います! 目次 白 青 黒 赤 緑 マルチカラー 無色 土地     白 3位:《鳴り渡る龍哮の征服者》 《溜め込み屋のアウフ》が空を飛んだだけでなく、なんとクリーチャーとプレインズウォーカーの起動型能力まで封じます! エンチャントまで封じないのは残された良心なのかもしれません。  これまでにない大きな範囲で封じる事から、ヘイトベアーとしてのパワーは一級品。  カードプールが広がる下環境ではその強さを発揮します。ちょうど3マナなので《集合した中隊》から出してみたいですね。  特に0マナアーティファクトを筆頭に強力なカードが揃うレガシーやヴィンテージではより効果的な一枚として採用されることでしょう。   2位:《勝利の楽士》  初めて見た時私の目を疑いました。2マナかつシングルシンボルでこの能力を持っていいのか!?  こちらのターンであれば唱えられなくなる能力はシンプルに強力。  アゾリウス全知の《堂々たる撤廃者》はアーティファクト・クリーチャー・エンチャントの起動能力も封じますが、ダブルシンボルかつタフネス2であり《勝利の楽士》の方が勝る部分もあるため、入れ替わる事も考えられそうです。  応召2もかなり大きく、実質3点クロックとして機能することからビートダウンにも入ることでしょう。  残念ながら攻撃している状態で戦場に出るため《門道急行の事件》の解明には貢献しませんが、攻撃した後に出すことで応召で出したトークンを活用できますし、解明完了の+1/+0効果とも非常にマッチします。  他にも《画家の仕事場/汚された画廊》《戦導者の号令》などパワーを上げる置物と合わせてあげたくなりますね。   1位:《嵐の討伐者、エルズペス》  《選定された行進》を内蔵したプレインズウォーカー。  常在能力によって+1能力が1/1を2体出すという守りとして優れた性能で、その出したトークン達を0能力で+1/+1を乗せつつ飛行がつくので、フィニッシャーとしての役割も持ち合わせており、自己完結しています。  -3能力も、マナ総量3以上のみとはいえ全体クリーチャー破壊能力で、《太陽の勇者、エルズペス》を彷彿とさせますね。  +1スタートであれば忠誠度6で最低でも2体の1/1によってチャンプブロックできることから、かなり硬いと言えます。     そして生きて帰ってくれば常在能力によって《ミストムーアの大主》で2/1飛行が4体! 盤面を支配すること間違いなし!  今は鳴りを潜めている白単トークンですが、これによって復権もあり得るかも……!?  ボロスカラーまで視野を広げると《ウラブラスクの溶鉱炉》から出るトークンも二倍! カウンターが2個であれば4点、3個であれば6点と瞬く間にライフを詰めていきます。  アゾリウスコントロールのフィニッシャー枠として考えてみても《推理》で手がかりトークンが2つ出たりと夢がどんどん広がっていきますね。  今のスタンダードは速い環境なのでなかなか難しいかもしれませんがカードパワー自体はとても高く、トークンシナジーも多いので大きな存在感を示すであろう一枚です。     青 3位《払拭の吐息》  通常であれば《火消し》と同じく2マナを要求するソフトカウンターですが、ドラゴンの後見を受けることで4マナ要求まで伸びます。 《シルムガルの嘲笑》がより扱いやすくなったようなカウンターですね。残念ながらシングルシンボルになってカンスペではなくなりましたが、4マナ要求はなかなか。  後述する4マナドローの前兆を持ち6/6/7飛行の《マラング川の執政》、X黒黒で全体除去の前兆を持ち4/4/4飛行護法の《ゴミあさりの執政》と組み合わせたディミーアもしくはグリクシスドラゴンコントロールは是非考えてみたいところです。  目指せ八十岡翔太さんのエスパードラゴンコントロール!!     2位《マラング川の執政》  ビジュアル的には出来事のように見えますが、前兆は唱えた後にライブラリーに加えて切り直す効果。  つまり前兆の方を唱えた場合、また引ける機会のあるモード呪文のようなイメージです。  前兆で4マナインスタントで3枚ドロー1枚ディスカードとアドバンテージを取れるドローソースでありながら、本体の方を唱えるとパーマネントを最大2枚バウンスする効果で、盤面に干渉しつつ6/6/7飛行と立派なフィニッシャーとしても使える優れもの。  コントロールは出来る限りフィニッシャーは少ない方がよいと考えています。勝つためのカードを入れるとその分コントロールするためのカードが少なくなるからです。  一枚で除去も盤面構築もフィニッシャーも兼ねる《放浪皇》は最高のカードでしたが……(懐古)  そういう意味では《マラング川の執政》はドローソースでありながらフィニッシャーとしての役割を担えるため、コントロールにとって優れた一枚と言えます。     1位《冬夜の物語》  既存のデッキだとまず《プロフトの映像記憶》を活用するジェスカイ眼魔での採用が思い浮かびます。 《忌まわしき眼魔》を捨てるルーティング手段であり、アドバンテージを獲得できるだけでなく《プロフトの映像記憶》で+3/+3を乗せることができ、さらに上がったサイズで調和コストを賄うことができます。  また、《蒸気核の学者》との相性もよく《プロフトの映像記憶》がある状態で《蒸気核の学者》を唱え、2枚ドローしてこれを捨ててアドバンテージを得た後に+2/+2が乗ると4/4になります。  そのまま調和コストを4マナ減らして1マナで唱えるといった動きは強そうです。  ジェスカイ眼魔に限らず、《冬夜の物語》によって《プロフトの映像記憶》を活用した新たなデッキが産まれるかもしれませんね!   黒 3位《腐れ呪いのラクシャーサ》  2マナで5/5トランプルと破格の能力を持ちますが、その代わりブロックできない上に攻撃した後に生贄に捧げる腐乱持ち。  腐乱は戦闘終了時に誘発するため、《悪夢滅ぼし、魁渡》で再利用は可能です。  墓地に行っても相続で相手に腐乱カウンターを乗せてしまえるため、実質的なブロッカー排除としても使える点が〇。疑似的な除去にもなります。  注目点は……やはりデーモンの文字!  スタンダードでは待望の2マナデーモンであり3ターン目の《不浄な別室》で2点ドレインできるようになりますね。  さらに黒単デーモンとして《アクロゾズの放血者》も採用する場合、この《腐れ呪いのラクシャーサ》のアタックが通ると10点という無視できないインパクトに。  直近でも国内の大会で黒単デーモンが結果を残していたので、そういう意味でも注目したいカードですね。 2位《戦略的裏切り》  「布告」除去の代名詞である《悪魔の布告》が追放になり、さらに墓地まで追放するという盛りに盛った除去です。  これは特にリアニメイトデッキに対して強く、場に出てしまった大型クリーチャーを除去できるだけでなく墓地追放によって後続もシャットアウトします。  墓地対策とアグロへの除去を兼ねており枠の節約にも繋がるため、今後サイドカードで見かけてきそうな一枚ですね。     1位《陥没孔の偵察員》  黒の1位はこちら!  攻撃誘発で1/1を出す点は《分派の説教者》を思い起こさせますね。  あちらは本体も2/4接死であることと出すトークンが絆魂を持つことも強かったのですが、こちらは2マナの軽さだけでなく飛行によって殴りやすいのが最大の利点。  一回+1/+1を乗せることで《切り崩し》《逃げ場なし》などの除去の範囲から逃れつつ、それ以降は1/1トークンを産み出し続けていく事もできます。  また、1/1を出しつつ《悪夢滅ぼし、魁渡》へ忍術で繋ぐ動きは非常に強力。出した1/1も《悪夢滅ぼし、魁渡》を守るためのブロッカーにもなりますしね。  ディミーアミッドレンジの2マナ域は激戦区ですが、そこに食い込むだけのパワーがある一枚だと思います。     赤 3位《激しき乗りこなし》 《無謀なる突進》の調和バージョンですね。  1マナで+3/+0速攻はスタンダードでは他にない性能で悪さをしそうです。  具体的に言うと《残響の力線》がある状態で《騒音の悪獣》に《激しき乗りこなし》を唱えて攻撃後、生贄に捧げると7点+7点でなんと2マナ14点!!!  それでいて速攻がつくので相手がタップアウトしたタイミングなどで奇襲が可能です。なんて恐ろしいものを…………  他にもグルール昂揚で昂揚した状態の《逸失への恐怖》を急に走らせてみたりなど、環境にあるだけで意識せざるを得なくなるグッドカードだと思います。     2位《闘技場の花形》  霊気走破から引き続きゴブリンに強化が!  応召で実質2点クロックでありながら、2マナで除去にもなれる器用な一枚。  《勝利の楽士》で言及してきた通り《門道急行の事件》などの置物との相性がいいだけでなく、《竜航技師》と一緒に《アガサの魂の大釜》で煮込んでもよし。  特に1ターン目に《闘技場の花形》から2ターン目に《画家の仕事場/汚された画廊》に繋げると4点クロック!   これはいよいよゴブリンデッキが環境に来る時が来たかもしれません。     1位《コーリ鋼の短刀》  赤の1位はこちら!  スタンダードでにわかに話題になっているイゼット果敢で使えそうな見た目。  重なれば重なるほど強いですしこれを探したり、あるいは2つ目の呪文を探したりなど《食糧補充》の役割が増えるのでより強く使えるようになりますね。  除去が増えてくるサイドボードでは長期戦に貢献する良カードになりそうです。  パイオニアではイゼットフェニックスの優秀なサブプランとして機能します。  相手のターンでも2つ目の呪文を唱えることで誘発しますので、除去+《錠前破りのいたずら屋》などでトークンを出せるのはかなりいいですね。  地味にインスタントやソーサリーではないスペルでも有効なので、《プロフトの映像記憶》や《錠前破りのいたずら屋》でもトークンを出せます。  1ターンに1回しか出ないとはいえ、クリーチャー除去に刺さらないのは《第三の道の偶像破壊者》との大きな差別点。トークンが果敢なのも馬鹿にならないですしね。     緑 3位《ラシィドのうろつくもの》  墓地を肥やすデッキだと、打ち消されない2マナ(相続)で+8/+8などサブプランとして機能しそうな相読には可能性を感じています。  本体も4/5/5とスタッツ的にはそこまで悪くなく、土地分切削する部分も墓地利用の手助けになりつつ、ミッドレンジプランも取れるといった具合で、地味ながら良いカードではないかと推測します。   2位《受け継ぎし地の開墾》 《自然への回帰》の完全な上位互換ですね。とうとうここまで来たかという感じがあります。  競争相手としては《脚当ての陣形》になりますが、アーティファクトおよび墓地対策も兼ねている点は唯一無二。  《自然への回帰》も優秀なサイドカードとして使われた前例もありますし、これも同様に使われていくことでしょう。   1位《孔蹄のビヒモス》  まさかこれが再録されるとは!!  昔のモダンやレガシーの動画でフィニッシャーとして暴れてきた姿を見てきた身としては、この再録はとても衝撃を受けました。  大量のマナを産み出せるエルフデッキのフィニッシャー枠としてはもちろん、《収集家の檻》から出したらほぼ勝つカードですね。  《収集家の檻》を起動した時点で最低限のパワー1、2、3、そこに《孔蹄のビヒモス》を出すと全員に+4/+4の修正および速攻が付与され、5+6+7+9=27点のトランプルで一気にライフを削りきれます。  これは《月揺らしの騎兵隊》にはできない芸当です。  次環境でのセレズニアケージは注目デッキかも!?   マルチカラー 3位《誉れある死者の目覚め》  1章でパーマネントを破壊、2章で墓地肥やし、3章で不要牌を墓地に落ちた必要なクリーチャーもしくは土地に変換できる英雄譚。  特に1章でパーマネントを破壊できる点はカルドハイムで猛威を振るった《古き神々への拘束》を思い起こさせます。  もはやお馴染みになった《この町は狭すぎる》《孤立への恐怖》で使いまわす事もできるのが素晴らしい。  長らくスタンダードに姿を見せていないスゥルタイミッドレンジですが、こうしたカードによって環境に出てくることを期待したいところですね!   2位《ラクシャーサ流取り引き》  こ、これは……インスタントの《食糧補充》!!  シンボルが厳しくなり、5枚ではなく4枚しか見れないとはいえ3マナで唱えられるとインスタントとしては破格の効果。4マナでも及第点です。  3マナで唱えても6マナ扱いとなるので……なんと《豆の木にのぼれ》が誘発します!! なんてアドアドしいんだ。  こういったドローソースはコントロールフリークとしてワクワクしますね。  マナベースがより安定する下環境になるほど3マナで唱えやすくなり、より強く使える一枚になると思います。これでなんとアンコモン。4枚揃えちゃいましょう!     1位《道の体現者、シィコ》  マルチカラーの1位はこちら!  3マナ以下であれば土地「以外」を唱えられます。そう、パーマネントもです! 通常であればインスタントやソーサリーになる効果なのでこれはかなり珍しく破格な効果。 《道の再発見》のような3マナの英雄譚を使いまわす事も可能ですし、なんならプレインズウォーカーも唱えられます。  一枚で二枚になるカードでありながら4/5の飛行警戒と最低限のスタッツも持ち合わせています。  この《道の再発見》も、ターンを跨ぐとはいえ6枚見て2枚手札を加えつつ、二段攻撃まで付与する《食糧補充》のようなものなので、ジェスカイミッドレンジといった新しいデッキを組みたくなりますね。   無色 3位《龍火の刃》  1マナの装備品ながら+2/+2かつ単色からの呪禁と非常に強力な効果。装備4ではありますが、単色でも装備3ですし、二色ならば2と結構プレイアブルになってきます。三色であれば装備1と破格、四色以上はなんと装備0でぶっ壊れです!  単色からの呪禁はパイオニアで活躍している《至高の者、ニヴ=ミゼット》から分かる通りかなり強力。  現在のスタンダード環境でも《喉首狙い》《力線の束縛》《この町は狭すぎる》など単色の除去が主流であるため、装備さえできればかなり強そうです。  装備品が環境に食い込むことは《エンバレスの宝剣》レベルでないとあまりないのですが、これはもしかしたら……? と思わせてくれるような性能ですね。     2位《モックス・ジャスパー》  0マナのマナアーティファクト! スタンダードでは《モックス・アンバー》以来でしょうか。  今回のモックスはドラゴンをコントロールしていなければ起動できないため条件としてはなかなか厳しそうです。  ドラゴンデッキのマナ加速として使おうにも肝心のドラゴンが重い事も多く、スタンダードで上手く使うには、ドラゴンでもある多相クリーチャーを活用するなど結構工夫が必要そう。  それでもこれまでの《モックス・アンバー》などの前例から0マナのアーティファクトというだけでも大きな価値はあります。期待を込めての2位です!   1位《嵐の目、ウギン》  最初に抱いた感想は「トロン使いがかんがえたぼくのさいきょうのかーど?」でした。  これを唱えた時点で有色のパーマネントを追放するという《運命を貪るもの》の誘発能力を持ちながら、無色の呪文を唱えると同様の誘発効果を発揮する常在能力まで持ち合わせています。  《コジレックの命令》と合わせてインスタントタイミングで最大2枚追放できるとか、あなたもしかしてエルドラージだったりしませんか?  忠誠度も7と非常に高く、+2で3点(!?)のゲインと1ドロー。  0が無色3マナととんでもない加速をし、着地してすぐ他の無色の呪文を唱える手助けにもなります。  +2能力を2回起動した後の-11能力は文字通り「あなたは勝ちます」と書いてあります。《引き裂かれし永劫、エムラクール》を踏み倒しましょう。  モダンではエルドラージに押されて斜陽になりつつあるトロンですが、土地3枚だけでこれが唱えられる7マナを出せる最大の利点によって復権があり得るかもしれません。《溶鉄の雨》などの土地破壊はご愛嬌。  スタンダードではあまり使う機会がない……と思いきや、《精神迷わせの秘本》といったドローソース、《アイレンクラッグ》《面晶体の記録庫》などの《嵐の目、ウギン》に繋げるマナ加速もあります。  除去などを他の色に頼った《嵐の目、ウギン》コントロールが産まれる可能性が……?     土地 3位《精霊龍の大渦》  ドラゴン・呪文や前兆・呪文限定の5色土地であり、マナフラッドしても生贄に捧げることでドラゴン・カードをサーチ可能な土地。  土地かつ無条件でサーチができる起動能力は結構珍しく、更にスタンダードでよくある「ソーサリータイミング限定」でもないので、結構可能性を感じています。  前兆を持つドラゴンも除去であったりドローソースであったりと様々な効果を持ちますので、その時の状況に応じてサーチできるのは非常に偉そうです。  統率者でもドラゴンは好まれていますし、結構人気が出てくるであろう土地ですね。   前兆・ドラゴンミッドレンジもしくはコントロールを組むなら4枚!     2位《偉大なるアラシンの都》  自分の墓地からクリーチャーカードを追放することで1/1のスピリットトークンを生成する土地。  飛行は持ちませんが、《ムーアランドの憑依地》を思い出す性能。  クリーチャーカードを追放する必要があるとはいえ2マナ+本体の1マナの合計3マナで1/1を出せる土地はなかなかありません。  アンタップイン条件も森か平地であればよいので、アブザンではなくスゥルタイ・エスパーカラーでも一応使える土地と言えます。  墓地を肥やしながら粘り強く戦っていくスゥルタイミッドレンジの土地枠として採用してみたいところですね。  また、《新たな夜明け、ケトラモーズ》を土地枠で誘発させられるという利点もありますので、オルゾフミッドレンジ、モダンのオルゾフブリンクなどで採用されうるかもしれませんね。     1位《湧霧の村》  合計2マナで次に唱える呪文が打ち消されなくなる土地。  スタンダードでは打ち消しが弱いのでそこまで使われないかもしれませんが、《意志の力》や《否定の力》などがある下環境では結構強そうです。  特に打ち消されない《実物提示教育》は悪夢以外の何者でもありません。  打ち消されなくなる効果としては《すべてを護るもの、母聖樹》が存在しますが、これは確定タップインによって《不毛の大地》に弱い点、マナを出す度に2点のライフを支払う必要がある点など、使いづらい部分があります。  一方、こちらは手札に持っておき、山でもある《Volcanic Island》によってアンタップインしてそのまま起動能力……という使い方ができるため、こちらに分がありそうです。青が出る土地であるのも嬉しいですね。   おわりに  以上が私が選ぶ各色トップ3でした。  総合トップ3としては《嵐の討伐者、エルズペス》《コーリ鋼の短刀》《孔蹄のビヒモス》の3点です!  特に《嵐の討伐者、エルズペス》は白単トークンにとっては非常に強力なプレインズウォーカーなので使ってあげたくなりますね。  この記事で気になったカードがありましたらぜひGOOD GAMEにてぜひご予約ください! ご購入はこちらから それではまた!

ゆうやんの選ぶ『タルキール:龍嵐録』各色トップ3!

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2025.04.02

mtg Yuyan

こんにちは! ゆうやん(@yuyan_mtg)です。 最新セット『タルキール:龍嵐録』がいよいよ4月11日に発売! 今回も注目カードを各色ランキング形式でお届けします! 目次 白 青 黒 赤 緑 マルチカラー 無色 土地     白 3位:《団結の最前線》 たびたび刷られる《集合した中隊》の亜種的なカード。   これまでは《集合した中隊》の二の舞とならないよう、かなりカードパワーが弱めに設定されていましたが、《団結の最前線》は中々のもの。   まず見れるカードが7枚である点。そしてクリーチャーと土地以外と、比較的範囲が広いのもグッド。   最近のスタンダードではエンチャントやアーティファクトも強く、《世話人の才能》+《一時的封鎖》など、リソース+除去のような組み合わせを7枚から選ぶこともできます。   《逃げ場なし》など除去パーマネントも環境に多いですしね。   個人的には《身代わり合成機》と一緒に使ってみたい。《再利用隔室》《身代わり合成機》を《団結の最前線》で出したらさすがに勝ちませんか!?   2位:《嵐の討伐者、エルズペス》 新たなエルズペスはトークンが倍で出る常在型能力を持つ素敵なプレインズウォーカー!   《選定された行進》が大好きで当時はトークンデッキを使っていた僕としては、このカードは外せないですね。   《選定された行進》の弱点は出したターンに何もアクションが取れないことでしたが、《嵐の討伐者、エルズペス》は出してプラスしてトークンが2体出ます。   トークンと言えば《世話人の才能》との相性は抜群で、カードを引きながら、更に《世話人の才能》のレベルアップのトークンも倍になります。   これまで攻撃面がどうしても課題だったトークンデッキは、《嵐の討伐者、エルズペス》によって強化されるのではないでしょうか。   全体除去を打ちながら速やかに盤面を広げて勝利する白系トークンデッキ、考えてみたいですね。   1位:《勝利の楽士》 自分のターンの相手が呪文を唱えられなくなる。かなり強力な能力なのですが、これを2マナのクリーチャーにつけちゃっていいんですか!?《落葉の道三》世代としては涙が止まりませんでした。   オマケのようについている応召も意味がわからないぐらい強いですね。実質このクリーチャーは2マナ3/3ということ。   コンボデッキなどのサイドボードに採用しても打点として見込めますし、普通に《戦導者の号令》と一緒に使っても、打点が跳ね上がって強い!   アゾリウスコントロールのミラーマッチなんかで今後使われそう。     青 3位《マラング川の執政》 ザ・スタンダードカードといったドラゴン。   4マナで3ドロー、1ディスカードのインスタント呪文というだけでもまあまあ強い方ですが、6マナで使用すれば2体バウンス。自身のサイズも6/7とかなり頼もしい。   序盤はドローしつつ終盤はフィニッシャーになるので、青系コントロールに1~2枚入れてみても面白そうです。   護法(3)ぐらいつけてほしかったな~。   2位《龍学者》 インスタントかソーサリーかドラゴンが上6枚から手札に入るウィザード。結構な確率で手札にカードが入ってくれますね。   ドラゴンを主軸に据えたクリーチャーデッキで使えるのはもちろん、インスタント・ソーサリーがたくさん入ったコントロールデッキでも使いやすい良いカード。《食糧補充》と枠を争うというよりか、《龍学者》が《食糧補充》を探してきてくれます。   オマケでついてるドラゴンへの呪禁付与も強力で、まずはドラゴンデッキで試してみたい。   1位《冬夜の物語》 昔スタンダードで大活躍していた《強迫的な研究》を思い出すカード。あちらは土地を捨てるか他2枚だったので、クリーチャーを捨てなければいけない《冬夜の物語》の方が少し弱く見えます。   しかし、それは調和能力がない場合!このカードはむしろ調和が本番と言って良いでしょう。   調和は墓地からその呪文をもう1度唱えられる能力。しかもクリーチャーをタップすることで、パワー分だけコストを減らせます。つまりパワーが4のクリーチャーをタップすれば1マナで《冬夜の物語》をキャストできるというわけです。   《冬夜の物語》を切削などで墓地に落とし、軽いパワー4以上のクリーチャーを出して墓地から1マナで調和できたら最高だと思いませんか?   それができるのが今のスタンダード。《蓄え放題》などで墓地を肥やして《トレイリアの恐怖》を出すシミックテラーがスタンダードにはいるじゃないですか!   これまで《豆の木をのぼれ》にリソースを一任していたシミックテラーに《冬夜の物語》はぴったりです。早く《トレイリアの恐怖》をタップして《冬夜の物語》を1マナで唱えたい。   黒 3位《カルシの帰還者》 《吸血鬼の夜鷲》、強くなりすぎ!!   見た瞬間の感想でした。パワーが上がっただけでなく、死亡時に自分のクリーチャー1体に夜鷲3点セットをプレゼントできます。   しかし悲しいかな、今のスタンダードではタフネス3の3マナ域はお呼びではない……。《逃げ場なし》が強すぎるせいですね。   赤アグロにも相打ちしつつ相続で絆魂を付与できて強いのですが、同マナ域の《分派の説教者》がかなり強いので、使われるかと言われると微妙なところ。タフネス3だと《稲妻の一撃》で焼かれてしまいますからね。   《魂剥ぎ》デッキとかで使うのは面白いかもしれませんね。《魂剥ぎ》で追放して良し、呪禁だけとりあえずついた《魂剥ぎ》を出しておいて後で相続して良しで、相性は良さそうです。   2位《戦略的裏切り》 何かのオマケで墓地を追放するカードは《真っ白》によって構築級であることが証明されました。   それなら《戦略的裏切り》にも十分チャンスはありそうです。   単純な墓地追放として使っても2マナは軽いのでかなり強いですね。普通に布告除去として使っても追放布告なので悪くありません。   色んなフォーマットのサイドボードに入りうるカード。   1位《陥没孔の偵察員》 2マナで攻撃するたびにトークンが増えていくのは破格の性能。2マナの《分派の説教者》……は言い過ぎですが。   ディミーアミッドレンジはクリーチャーを横並びにすると《悪夢滅ぼし、魁渡》《永劫の好奇心》が運用しやすいので、《陥没孔の偵察員》は相性が良いのではないでしょうか。   自身が飛行なのも偉いですね。トークンを出しつつ自身を《悪夢滅ぼし、魁渡》の忍術で戻し、返しにスピリットのブロッカーが立つ。噛み合ってます。   赤 3位《龍へと昇る者、サルカン》 ドラゴンの後見を受けていると宝物を生成する2マナのサルカン。   更にドラゴンが出るたびに自身を強化して飛行と、ドラゴンデッキの中核を担う存在です。   正直書いてあることはめちゃくちゃ強いですが、ドラゴンは比較的重めなのが残念なポイント。《雷破の執政》のような攻撃的な4マナのドラゴンが欲しかったですね。   《マグマのヘルカイト》は悪くなさそうですが、後手だと土地を縛る意味が薄く感じてしまいます。   2位《嵐鱗の末裔》 ストームを持つドラゴン。一見ネタっぽいカードですが、小さいストームで効果大なので、モダンのストームのサイドに入るかもしれません。   《巣穴からの総出》はストーム4で10体を出すと2ターンクロックですが、《嵐鱗の末裔》はストーム1で10点クロック。ストームが2になると6/6が3体なのでほぼ1ターンで相手を倒せます。   実はかなり注目しています。   1位《コーリ鋼の短刀》 いや、めっちゃ強くないですか!?このカード。   2つ目の呪文を唱えるだけで果敢モンクを生成するだけでもまあまあなのに、そのおまけが速攻とトランプルを付与する装備品!   3ターン目に《コーリ鋼の短刀》からキャントリップを打つだけで2/2速攻で殴れるのはかなりアツい!   スタンダードでは果敢系デッキで使いたいですね。《食糧補充》でリソースを確保して毎ターンモンクを生成したいです。   パイオニアでもイゼットフェニックスのサイドプランの1つになるのではないでしょうか?最終的に《ストーム・ジャイアントの聖堂》が《コーリ鋼の短刀》を握りしめて8/8トランプルで殴る姿も見えました。   緑 3位《雨とばりの再生者》 《アガサの魂の大釜》大好き人間としてはこのカードを入れないわけにはいきませんでした。   大釜で煮込んだ瞬間大量のマナが出ること間違いなし。普通に出しても切削で墓地を肥やせるので、相性は良いですね。   2位《群れの家宝》 序盤はマナ加速、中盤以降はリソースになるグッドカード。ドラゴン系のデッキを組むならばまず入れたいですね。   《龍へと昇る者、サルカン》か《群れの家宝》でマナ加速して3ターン目に4マナのドラゴンという動きが基本になりそうなので、やはりドラゴンデッキで大事なのは4マナ域。   《退廃的なドラゴン》はもしかしたら今後使われるようになるかも?   1位《自然の律動》 クリーチャーサーチ呪文に調和が付いたお得な1枚。《破滅の終焉》に似たカードですね。   どんなクリーチャーでもサーチできるので使い勝手が良いですが、個人的には《エルフの大ドルイド》と組み合わせてみたい。   《エルフの大ドルイド》をサーチしつつ、その《エルフの大ドルイド》から出した大量のマナで調和して《孔蹄のビヒモス》という流れ、美しくないですか?しかもこれを今ならスタンダードで実現できます!   後は個人的に思い入れのあるデッキ、タメシブルームですね!《現実の設計者、タメシ》をサーチしつつ、最終的に《耕作する巨躯》になるので、《破滅の終焉》より強そう。   マルチカラー 3位《漆黒洞穴の包囲》 氏族たちが手を組む激アツ包囲サイクルから、アブザンとスゥルタイの包囲である《漆黒洞穴の包囲》をチョイスしました。   今回の包囲サイクルは2枚引いてそれぞれの氏族で置くことで力を発揮するデザインとなっており、そのため1枚だけ戦場にある場合は比較的弱め……なのですが、《漆黒洞穴の包囲》はどちらも強めです。   スゥルタイ側では、クリーチャーにカウンターを置くたびに1ドローし、アブザン側は攻撃クリーチャーに+1/+1を置きつつ、威迫を付与。アブザン側だけでも結構強いカードです。   +1/+1カウンターを置くのも地図を起動してドローできたりとそれなりに手軽。パイオニアの《硬化した鱗》デッキも強化されましたね!   2位《跨龍兵の突撃》 上陸だけで4/4飛行が出るのはかなり強力。   《跨龍兵の突撃》を意識してデッキを組む場合、おそらく上陸を1ターンで何度も達成するために、マナ加速がデッキに入るはず。そうするとマナ加速から4ターン目に《跨龍兵の突撃》を唱えたりするので、必然的に盤面への対応は疎かとなるでしょう。   そこで《跨龍兵の突撃》の出た時に3点を与える能力もしみてきますね。この能力をつけたことで構築級になっていると思います。   《事件現場の分析者》がアップを始めそうです。   1位《歌作りの魔道士》 巷ではティムール《瞬唱の魔道士》とも呼ばれている新たな魔道士。確かにその性能は《瞬唱の魔道士》と比べて見劣りしません。   一見すると1マナ重くマナ拘束がきつくなり、完全下位互換のようですが、フラッシュバックではなく調和を付与するのがポイント。重い呪文を軽く唱えられるのです。   《歌作りの魔道士》は3/2で、調和コストにあてられるので、(3)マナ分を軽減することができます。シングルシンボルの4マナの呪文であれば僅か1マナでキャストできるのは、《瞬唱の魔道士》との大きな違いです。   もちろんもっとパワーの大きいクリーチャーがいれば更にコストは軽減できます。《ジェスカイの啓示》を《歌作りの魔道士》で使い回す豪快なデッキとかが組めるかもしれません。   関係ないですが、もし初音ミクのSecret Lairを今から作るとしたら、《歌作りの魔道士》は確実に入りますね。 無色  2位《モックス・ジャスパー》 今回のモックスはドラゴンがいる時しか起動できないと中々曲者。   重いドラゴンを出すためにマナ加速がしたいのに、ドラゴンがいないと使えない。そのためまあまあ使いづらいモックスな印象です。   とはいえ、ドラゴンがいる時は好きな色マナが出るのは中々優秀。コントロールしているドラゴンの色しか出なかったらイマイチかなと思いましたが、好きなマナが出るなら、3~4マナ域のドラゴンから重くてマナ拘束の強いドラゴンへ繋げることはできそうです。   ドラゴンを出してモックスから1マナを構えられるのもなかなか。《頑固な否認》なんかをパイオニアでは構えられそうですね。スタンダードでも《呪文貫き》や、今回の《幽体の否認》を構える動きができそう。   1位《嵐の目、ウギン》 強すぎて意味がわかりません。   無色の呪文を唱えるたびにパーマネントを追放と書いてあるだけでもやばいのに、戦場に出た時にも追放できる。   プラス能力を使えばライフゲインと1ドロー、0では無色が3マナ出るので、そこから無色の呪文を唱えてパーマネント追放が可能です。   7マナのプレインズウォーカーで盤面に触りまくりながらリソースを獲得し、大マイナスすれば勝利。さすがにヤバすぎます。   同マナ域のプレインズウォーカー、《解放された者、カーン》は盤面に触る能力が低いことが弱点でしたが、《嵐の目、ウギン》は場に触りすぎです。意味がわかりません。   3ターン目に場の一番強いパーマネントが追放されながら忠誠値9のプレインズウォーカーが立ちはだかるんです。モダンだからとはいえ到底許されることではありません。   もちろん主な主戦場はモダンとなるでしょう。これまでエルドラージの影に隠れていたトロンが復権するかもしれませんね。   しかし、面白いのはトロンのミラーマッチでは強くないという点。《嵐の目、ウギン》の流行でトロンのミラーマッチが増えれば、もしかするとミラー対策で《解放された者、カーン》を採用するデッキが現れるかもしれませんね。   さすがにめちゃくちゃ強いカードだと思います。対峙するのが既に恐ろしくなっています。   土地 3位《偉大なるアラシンの都》 今回のレア土地は、各氏族に割り振られており、この《偉大なるアラシンの都》はアブザンなので、《平地》か《森》をコントロールしているとアンタップ状態で戦場に出すことができます。もちろん諜報ランドでもアンタップインしてくれます。   アブザンは墓地のクリーチャーを追放することで1/1のスピリットを生成してくれます。昔あった《ムーアランドの憑依地》に近いですね。   ちょうど緑黒には《陰湿な根》というカードがあり、《偉大なるアラシンの都》は相性抜群です。   アンタップインの土地についている能力と考えれば十分すぎる性能です。個人的には《見捨てられたぬかるみ、竹沼》より便利かなと思いますね。 2位《コーリ山の僧院》 ジェスカイの土地はいわゆる衝動的ドロー。起動は4マナと重いですが、次の自分のターンの終了時までプレイできるので、相手ターンのエンドに起動して自分のターンに使用することができます。   マナフラッド受けとしてはかなり優秀なので、こちらもよく使われそうです。アグロよりはコントロールデッキなどで見ることの方が多そうです。   1位《湧霧の村》 そして1位は当然このカードです。次に唱える呪文が打ち消されなくなるという破格の能力を、(この土地を含めて)たった2マナで付与できます。   今でも下環境のコンボデッキで採用されることがある《すべてを護るもの、母聖樹》が伝説でタップインかつ、マナを出すたびに2点を支払い、更にインスタント・ソーサリーにしか有効でないことを考えると、凄まじい進化と言えるでしょう。   ティムールカラーなので使用するデッキも完璧です。コンボは大体青いですからね。モダンやレガシーではフェッチランドからショックランドやデュアルランドをサーチするので、《湧霧の村》はほぼアンタップインとなります。   《すべてを護るもの、母聖樹》と違い、早いターンの仕掛けができないのは残念ですが、それ以外は完璧です。   色々なコンボデッキで見ることになるのではないでしょうか。   総合トップ5 5位《冬夜の物語》   4位《コーリ鋼の短刀》   3位《湧霧の村》   2位《勝利の楽士》   1位《嵐の目、ウギン》     今回の記事で気になったカードや試してみたいカードが出てきたら、ぜひGOOD GAMEでシングルカードをお買い求めください!!   ご購入はこちらから それではまた!

《死の国からの脱出》禁止で《オパールのモックス》を持て余した人に捧ぐ、オパモデッキ三選!

Modern ピックアップ

2025.04.01

mtg Yuyan

こんにちは。   細川 侑也(@yuyan_mtg)です。   昨夜、各フォーマットの禁止改訂が発表されました。   モダンでは《死の国からの脱出》が禁止。 レガシーでは《まき散らす菌糸生物》《カザド=ドゥームのトロール》が禁止。 パウパーでは《日を浴びる繁殖鱗》《カルドーサの再誕》《命取りの論争》が禁止となり、《予言のプリズム》《満潮》が解禁されました。 《死の国からの脱出》のモダン禁止は、最早異論を唱えるプレイヤーが一人もいないほど、当然の結果と言えるでしょう。   以前から存在していたアーキタイプではありましたが、《オパールのモックス》が解禁したことで2ターンキルが可能となり、速度と粘り強さを持った1枚コンボとして、モダントーナメントを席巻していました。 単純なデッキの強さもさることながら、《死の国からの脱出》ミラーマッチはとにかくゲームが長引いてしまい、トーナメントの進行にも多大な影響を及ぼしていました。 環境とトーナメントを不健全にしており、2つの観点から見て、妥当な禁止と言えるでしょう。   さて、本日の記事は……禁止改訂後の環境についてモダン・レガシー・パウパーの考察を行おうとしましたが、レガシーとパウパーに関してはオ恥ずかしながら無知なので、今回はモダン!   《死の国からの脱出》が禁止になり、《オパールのモックス》が手元に余ってしまった人に捧げる、《オパールのモックス》を使ったモダンデッキの紹介です! 紹介デッキ 親和 アスモフード ランタンコントロール   親和 モダンリーグ : 5-0 By Skpchino まずご紹介するのは「アーティファクトデッキと言えば」でまず思い浮かぶ方も多いであろう、親和です。   アーティファクトの数だけコストが下がる親和能力を最大限まで活かすべく、大量のアーティファクトを並べるデッキで、当然ながら0マナのアーティファクトで、しかもマナの出る《オパールのモックス》は、親和を一つ上のステージに押し上げるカードです。 親和と書かれたカードは《思考の監視者》しか入っていませんが、アーティファクトをタップすることでマナにあてられる即席を持つ《河童の砲手》もほぼ親和カード。これに《湖に潜む者、エムリー》を加えた計10枚が、アーティファクトでどんどんコストが軽くなっていきます。 《思考の監視者》は2ドロー、《湖に潜む者、エムリー》は墓地から《ミシュラのガラクタ》や《思考の監視者》を唱えればリソースになり、《トーモッドの墓所》による妨害、《上天の呪文爆弾》ならバウンスと、状況に応じて様々な仕事をこなしてくれる器用なカード。 《河童の砲手》は非常に攻撃的なクリーチャー。護法(4)は重すぎて払うことはほぼ不可能なので実質呪禁。しかもどんどんサイズが上がっていくので、戦場に出た次のターンには8/8ぐらいにはなっており、2回のアタックで人が死にます。 序盤のクリーチャーは《エスパーの歩哨》で、こちらもアーティファクト。《オークの弓使い》という天敵さえいなければ非常に強いカードですね。金属術や親和に貢献しながら、相手の動きを制限し、時にはカードをもたらしてくれます。 一方の《知りたがりの学徒、タミヨウ》はクリーチャーではないものの、生み出す手がかりはアーティファクト。たった1マナで、攻撃するだけでアーティファクトを作り続けるカードと考えると強力ですね。 除去枠として入っている《ポータブル・ホール》もアーティファクトなので、1マナ域のすべてのカードがアーティファクトとなっています。 そしてアーティファクトが大量に入っているデッキなら当然、《ウルザの物語》も採用されています。このデッキから出るトークンのサイズはデカい!デカすぎる。もう軽くフィニッシャークラスです。 1ターン目に《ウルザの物語》、《ミシュラのガラクタ》、《オパールのモックス》、1マナのアーティファクトを出してターンを返し、2ターン目から《ウルザの物語》を起動し続けるだけでも十分に勝ててしまうでしょう。   このデッキなら1マナの《マナ漏出》になる《金属の叱責》もあり、ハマった時は全能感すらあります。 《オパールのモックス》をまだまだ使い倒したいならこのデッキでしょう!   アスモフード モダンリーグ : 5-0 By  dr_gingy 王道の親和ではなく、ちょっと墓地も使ったトリッキーなデッキが好きな方には、アスモフードがぴったりかもしれません。   アスモフードは、その名の通り《アスモラノマルディカダイスティナカルダカール》を主軸に据えたデッキ。アスモがサーチする《地獄料理書》が食物を作ることから、アスモフードと呼ばれています。 この《地獄料理書》は、タップで手札を捨てることで食物を生成できるため、たった1枚と1マナで2つのアーティファクトを出せるため、《オパールのモックス》との相性が抜群です。1ターン目に《地獄料理書》を置き、起動して食物を出し、《オパールのモックス》から《アスモラノマルディカダイスティナカルダカール》を唱えて2枚目の《地獄料理書》をサーチするのが黄金パターンです。 《地獄料理書》は手札を捨てて食物を出すため、連発できないのが悩みですが、それを解決するのが《楕円競走の無謀者》。ただの4マナ4/2クリーチャーですが、それは戦場にいる場合。墓地にある時にアーティファクトが戦場に出ると、墓地から手札に帰ってきてくれます。 つまり、《地獄料理書》のコストで《楕円競走の無謀者》を捨てると、アーティファクトである食物が戦場に出るので、手札に戻ってくるのです。この2枚が揃うと無料で料理が作れてしまいます。   《地獄料理書》が2枚あれば毎ターン2枚の食物が出るので、《アスモラノマルディカダイスティナカルダカール》で6点を打てますし、《ウルザの物語》のトークンのサイズも膨れ上がっていきます。 そんなアスモフードは《オパールのモックス》解禁後、『霊気走破』でも更に新戦力を獲得しています。   それが《忍耐の記念碑》です。 手札からカードを捨てるたびに宝物生成・ドロー・3点ルーズのいずれかを選べるアーティファクト。3マナと重いですが、その分効果は大きいですね。特に《地獄料理書》で《楕円競走の無謀者》を捨てられなかった時に手札が減ってしまうのが悩みだったのですが、《忍耐の記念碑》があればドローできるので、毎ターン食物を出しても手札が減らなくなりました。   それどころか、《楕円競走の無謀者》があればどんどんカードが増えていきますし、複数枚の《地獄料理書》が出ればドローしながら3点ルーズしたりと、単体でフィニッシャーとなってくれます。 《忍耐の記念碑》は特にサイド後に墓地対策を受けた時に強力です。《楕円競走の無謀者》の無限回収を封じられても食物を作り続けられるのは非常に魅力的で、墓地依存度はかなり下がりました。   そして『霊気走破』からの新戦力として忘れてはならないもう1枚のカードが《略奪するアオザメ》。こちらも手札を捨てることで能力が誘発するクリーチャー。サイズがどんどんでかくなっていきます。 《地獄料理書》との相性は言わずもがな。《通りの悪霊》や《信仰無き物あさり》でも大きくなるので、1ターン目に出せた時の打点は1マナクリーチャーの中でも最高峰です。 カードを捨てる手段でもあり、捨てた時のボーナスもある夢のようなカードが《太陽の執事長、インティ》。 《略奪するアオザメ》や《忍耐の記念碑》を誘発させつつ、巨大サイズの《ウルザの物語》トークンにトランプルを付与しながら、リソースも稼いでくれます。手札を捨てるとライブラリートップを追放してプレイでじるので、《地獄料理書》でカードを捨てても誘発してくれます。 アスモフードは赤単ながら、攻めては《略奪するアオザメ》、守っては《アスモラノマルディカダイスティナカルダカール》と、攻守に渡って優れたデッキで、しかも非常にアドバンテージ獲得手段にも長けており、一筋縄では対処できません。   これまではブリーチ対策として採用されていた《溜め込み屋のアウフ》に苦しめられていましたが、新環境では輝くデッキかもしれませんね!     ランタンコントロール モダンチャレンジ : 4-2 By Taddy_99 そんな普通の《オパールのモックス》の使い方では満足できない…   贅沢なお悩みをお持ちの方、ランタンコントロールというデッキはご存じでしょうか?   ランタンコントロールは、Zac Elsikという稀代のデッキビルダーが作り、グランプリでの上位入賞を経て、グランプリオクラホマシティで見事優勝を収めたことで一気にその名が広まったデッキ。   その後、プロツアー『イクサランの相克』も制し、対戦・観戦をするプレイヤーたちに、トラウマのようなものを植え付け、《オパールのモックス》の禁止と共にモダンを去っていきました。   なぜトラウマになってしまうのか?それはこのデッキの動きを説明しなければわかりませんね。   まずこのデッキの主役は《洞察のランタン》。 「お互いのライブラリーの一番上を公開し、これを生け贄にすると、プレイヤー1人が自分のデッキをシャッフルする」この一見毒にも薬にもならなそうなアーティファクトが、ランタンコントロールの要になります。   お互いのライブラリーの一番上を公開するということは、相手が次に何をドローするのかわかります。たとえばその公開されたカードがずっと土地だったとしたら、相手は毎ターン土地しかドローできないので、場と手札さえ処理してしまえば、ゲームに勝てるとは思いませんか?   そんなゲームプランを大真面目に目指しているのがこのランタンコントロールなのです。   《写本裁断機》は自分か相手のライブラリーを1枚切削するカード。《伏魔殿のピュクシス》はお互いのライブラリーの一番上を追放するので、ほぼ同じ役割。この2種類のカードを戦場に限りなくたくさん並べ続けて、相手の有効牌だけを落とし続け、相手に土地や除去を引かせ続けるロックデッキ。それがランタンコントロールの正体。 相手の次のドローが土地だった場合は《写本裁断機》は自分に起動することで、不要なカードを墓地に落としてドローの質を上昇させることができます。《伏魔殿のピュクシス》は《火の怒りのタイタン、フレージ》や《引き裂かれし永劫、エムラクール》など、墓地に落ちた時に厄介なカードを追放できるため、時々《写本裁断機》より役に立ちます。 最初は1~2枚程度のライブラリー切削カードだけなので、ロックとしてはかなりソフトなものですが、《ウルザの物語》のサーチなどもありどんどん切削カードが場に増えていくので、あっという間に不要牌しかドローできないようにされてしまいます。   とはいえ、相手のライブラリーを攻めるカードばかり出していて生き延びれるはずもありません。クリーチャーを止める手段として採用されているのが《罠の橋》。 この《罠の橋》を強く使えるのもランタンコントロールの特徴。デッキが非常に軽いので出したターンにしっかり機能してくれますし、《罠の橋》を割れるカードがメインから数枚入っていたとしても、そのカードだけを切削で的確に落とせば、それだけでゲームに勝利できます。   ボロスエネルギーはメインから《静牢》を採用し、《ゴブリンの砲撃》《ナカティルの最下層民、アジャニ》という飛び道具もあるため、《罠の橋》1枚でゲームに勝つことは本来できません。しかし、それらのカードを排除できるランタンコントロールであれば話は別。 《罠の橋》さえ設置してしまえば、後は《静牢》《ゴブリンの砲撃》《ナカティルの最下層民、アジャニ》さえ相手に引かせなければ勝てるのです。それ以外のすべてのカードは引かせられるので、《写本裁断機》が3枚ある状態なら、相手のライブラリーの上4枚にそれらのカードが連続で積まれてさえいなければ良いのです。   しかもゲームが長引けば2枚目の《罠の橋》がどこかで見つかるので、そうすれば《静牢》も除外でき、いよいよ《ナカティルの最下層民、アジャニ》と《ゴブリンの砲撃》以外のカードでは負けなくなります。《真髄の針》2枚でそれらのカードを指定すれば、負けるカードはなくなるので、ロックが完成。 最終的には4枚の《写本裁断機》と1枚の《伏魔殿のピュクシス》、更に《マイコシンスの庭》2枚で計7回のトップ検閲が毎ターン発生し、速やかにライブラリーアウトで勝利となるわけです。   ランタンコントロールは非常に難解なプレイを要求されるデッキです。目の前に公開されたカードを引かれて良いのか、そもそも相手のデッキには何が入っていて、どのカードがダメなのか。モダンの様々なデッキの知識が求められます。   しかし、その分ロックに嵌めた時の快感は格別です。すべてを掌握しきっての勝利は、コントロールが好きなプレイヤーなら垂涎間違いなしでしょう。   このリストはブリーチがメタゲーム上にいたため、メインから《魂なき看守》が4枚入っていますが、今なら追加の切削手段である《グール呼びの鈴》などが入るかもしれませんね。《根絶》も不要になるでしょうし、6枚ほどスロットが空きますね。 手札破壊とライブラリートップの検閲により、このデッキはヘイトカードを他のデッキよりも強く使えます。メタゲームに合わせて様々な対策カードを採用できるのも強みですね。   《オパールのモックス》解禁前にもファンがランタンコントロールを使用していましたが、やはり今と比べると動きには雲泥の差があります。 8枚の手札破壊にサーチ、《洞察のランタン》に《写本裁断機》と1マナのカードが大量に入っており、特に手札破壊から《洞察のランタン》《写本裁断機》までを速やかに済ませて検閲を行いたいため、《オパールのモックス》で1マナ増えるのは非常に重要です。   ブリーチの後は、ランタンの世界に飛び込んでみてはいかがでしょうか。

スポットライトシリーズ参戦!ユトレヒト旅行記

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2025.03.26

mtg Yuyan

皆さんこんにちは。   チャンピオンズカップファイナルの参加権利を獲得できるエリア予選で日本が盛り上がっていた頃、僕はオランダのユトレヒトに行っていました。   そう、スポットライトシリーズに参加するためです! スポットライトシリーズとは、世界各地で年に数回行われる大型トーナメント。トップ8入賞者には次回のプロツアーの権利が付与される他、賞金や賞品も豪華で、かつてあったグランプリを彷彿とさせるようなイベントです。   日本でも今年開催が決定していますね。   そんなスポットライトシリーズ・ユトレヒトのフォーマットはモダン。しかもトップ8に入ればラスベガスで行われるプロツアー・ファイナルファンタジーに出場できるとのことで、日本から参加してきました!   今回はそのユトレヒトの旅行記と、モダンのデッキ選択のお話になります。 水曜日 旅の始まりは水曜日。   今回は往復7万5000円の超格安便を取ったのですが、その代わりに飛行機の乗り継ぎ時間が20時間、つまり実質1日滞在となる旅券。   なので本戦は土曜日なのですが、日本を出発するのは水曜日です。   まずは羽田空港から北京の北京大興国際空港まで4時間のフライト。   北京大興国際空港は最近できた新しい空港らしく、僕も初めて降りたのですが、非常にきれいな空港で驚きました。   面白かったのは空港の喫煙所。   他の空港では見たことのない、火をつける場所のある喫煙所でした。ちなみに火はつかなかったそうです。   空港のWi-Fiが一切繋がらないことを除けば快適で、空港から迎えのリムジンバスにより10分程度でホテルへ到着。   そこから少し歩いたところに見つけた定食屋に入ります。 久しぶりに来た北京ですが、物価は非常に安く、食べきれないほどの量が来ましたがお会計は1人2000円ほど。 ちなみに何度こちらが訴えても水とお酒の料金を請求してくれなかったので、実質0円飲み放題つき。意味がわかりませんでした。   翌日のフライトが13時からなので早めに就寝。   木曜日 北京からアムステルダム空港までは10時間と長いフライト。   しかし、あまり行く人がいないのか機内はガラガラで、僕の隣にも人がいなかったので、非常に快適に過ごしていました。   機内ではアイパッドで漫画を読んだり、携帯ゲーム機で時間を潰していましたが、スウィッチの充電が切れてしまい、残り3時間ほど手持ち無沙汰に。   そこで座席についている機械に入っているゲームを遊んでみることに。   動物を3つ並べて消すだけのゲームだったのですが、これに大ハマりし、結局気づいたらオランダに上陸していました。 入国審査で、英語を全く知らない同行者の友人が「Where?」と聞かれているにもかかわらず「サイトシーイング!」を繰り返したため、助けに入りましたが、それ以外は特に問題なく、アムステルダムに到着! 実は昨年もアムステルダムに来ているので、感動というよりは懐かしいに近かったです。   アムステルダムからユトレヒトまでは電車移動。30分ほどで到着するので、あっさりと目的地に到着。ちなみに電車の中では女性の方に「日本人ですか?」と声を掛けられました。おそらくオランダの方のはずなのに日本語が喋れてびっくりしました。   ホテルに到着すると、前日に既にユトレヒト入りしていたBIG MAGICのくーやんさんと合流し、オランダでの最初の食事へ。 前回来た時も思いましたが、オランダのご飯は全体的にヘルシー志向が強いように思えます。大体の食事にサラダがしっかりついてくるんですよね。アメリカだとセットでサラダを選ぶとデカいジャガイモがついてくるだけなこともあります。   海外名物の「よくわからないものを食べているけど美味しいからいいか」もしっかりありながら、木曜日は終了。   金曜日 本戦は土曜日からですが、会場自体は金曜日から空いています。   ヨーロッパの地域CSの予選が行われたり、ショップがオープンしていたり、まるでMagic Conのような盛り上がり。平日昼間からマジックが盛り上がっている様子に懐かしさすら覚えました。   ショップでは日本で見たことのないドラゴンシールドのロックマンスリーブが売っていました。買いました! 僕の金曜日の目的は……そう、サインです。   今回はボーダーレス諜報ランドと《空の怒り》のアーティストが来ているということで、楽しみにしていました。   特に諜報ランドはスタンダードからヴィンテージまで使わないフォーマットはないレベルのカード。サインしてもらわない手はないでしょう! 見てください!この美しいサインたちを!! いや~。もうこの瞬間にユトレヒトに来てよかったと思いましたね。   そしてここで、僕より先に会場入りした友人から言われた言葉を思い出しました。   「木のテーブルでやらされるから、今回はプレイマットを敷いた方が良い」とのこと。プレイマットを使わない主義の僕なので、当然この旅には持ち込んでいなかったのですが、会場でそのテーブルを見て、プレイマットが必須であることを理解。   一通り会場を散策して、最も良いプレイマットを探した結果……   見つけたのは愛しの《大釜の使い魔》プレイマット!しかもアーティストブースで購入したので、サイン入りです! これにて金曜日に会場でやることはすべて終了。大会に出ていた二人の同行者と共に夕飯へ。   夜はアップルボウルなるデザートが有名なお店へ。ユトレヒトの名物とかで、アップルパイとは一線を画すものでした。 アップルパイがパイ生地にリンゴを練り込んでいるのに対して、アップルボウルはりんごの中身だけをパイに直接投入し、それを焼いたような印象。味わいもただ甘いだけではなく、かなり好み。日本に同じ店ができたら流行るんじゃないかな?と思いました。   土曜日……の前にモダンのデッキ選択の話 ▽最強のデッキと向き合う   もうすぐ禁止改訂で《死の国からの脱出》が禁止になると思うので、今回のデッキのお話は軽めです。   最強のデッキが《死の国からの脱出》《研磨基地》のコンボ、ティムールブリーチなのは最早疑いようがなくなりました。使用率1位で勝率も1位。これは最強のデッキであることの証明に他なりません。 最速2ターンキルや1ターン目《湖に潜む者、エムリー》《知りたがりの学徒、タミヨウ》などのプレッシャー連打、そしてコンボ自体は実質《死の国からの脱出》1枚コンボ。モダンでも随一の速度・安定性を誇るコンボデッキです。   ユトレヒトでも確実に使用率1位になるでしょうし、勝ち進めばどんどん当たる可能性があがってきます。そこで、ティムールブリーチに強いデッキを模索することにしました。   まずはディミーアライブラリーアウト。フィニッシャーの《死の国からの脱出》を《根絶》か《外科的摘出》して後は相手のライブラリーを削ってしまえる、いわばコンボキラーです。 エネルギーがとても苦手なデッキですが、現在は減少傾向にあり、トップメタのブリーチ、そして二番手と目されるオルゾフブリンクに強いと言われている、立ち位置の良いデッキなのです。   ……と思っていたのですが、これが大誤算。そもそもメイン戦もほぼ必勝というわけではありませんでした。切削で《死の国からの脱出》が墓地に落ちてそれを《外科的摘出》すれば勝てますが、現実はそんなに甘くありません。逆に切削によって《死の国からの脱出》が落ちなければ、切削が相手の助けになってしまい、《死の国からの脱出》で一瞬でコンボを決められてしまいます。 サイド後は相手がカウンターを増やしつつ《ウルザの物語》で勝とうとしてくるので、《根絶》《外科的摘出》を増やしても意味がありません。メイン勝率こそまだマシですが、サイド後は決して相性が良いとは言えませんでした。 デッキパワー自体も高くはないので、使用は断念。   次の候補はアゾリウスコントロール。中国の地域CSで上位入賞していたリストで、こちらは《死の国からの脱出》を実質無効化できる《オアリムの詠唱》が4枚採用されています。 高い勝率を期待しましたが……やはりブリーチにはダメでした。   《オアリムの詠唱》は確かに強いですが、それはあくまで《死の国からの脱出》を止められるだけ。ブリーチは《死の国からの脱出》でコンボを決める際に全力を出してくるわけではありません。ただ《死の国からの脱出》を唱えて、それが解決すれば勝ててしまうのです。失敗した時のリスクがほとんどありません。   《オアリムの詠唱》で1ターンを稼いでも、その返しのターンでこちらがビッグアクションを取れるわけではないのです。ただ相手のコンボを防いでそれで終わりです。   ブリーチ側のリソース確保手段をアゾリウスコントロールが止めづらいのもマイナスでした。青白2色では軽い除去は《虹色の終焉》しか採用できず、とにかく1ターン目に出てきた《湖に潜む者、エムリー》が厳しい。 《湖に潜む者、エムリー》を処理できずにアドバンテージを取られ続け、《ウルザの物語》で殴られ、《オアリムの詠唱》がなければ即負け。   アゾリウスコントロール、ダメでした。   ▽《オアリムの詠唱》の使い方を変える しかし、《オアリムの詠唱》自体には可能性を感じていました。   アゾリウスコントロールの《オアリムの詠唱》が弱いのは、相手のコンボを防いだターンの返しに特に何もしないからです。要するに《オアリムの詠唱》は、ティムールブリーチ相手に弱いカードではないものの、1マナの《対抗呪文》ぐらいの強さであり、1枚で勝てるスーパーカードではなかったのです。 逆に言えば、1マナの《対抗呪文》ではあるということで、「このカードをコンボデッキで使えば良いのでは?」と考えました。   《オアリムの詠唱》を無理なく採用できるコンボデッキ、それがルビーストームです! 解説記事は以前にも書きましたので、基本的な動きが知りたい方はこちらの記事も参考にしてみてください。   ルビーストームは2ターン目に《モンスーンの魔道士、ラル》《ルビーの大メダル》を設置して3ターンキルを目指すデッキで、ブリーチと同速度のデッキです。そしてこちらだけ《オアリムの詠唱》をメインから採用することで、後手での勝率を少しでも上げようと考えました。 リストはアメリカの地域CSのものを参考にしましたが、特に感銘を受けたのは《美術家の才能》です。 《無謀なる衝動》《レンの決意》でめくれたカードをどんどん置いていくこのデッキは、手札に不要な土地が溜まりやすいのですが、《美術家の才能》はその土地を捨ててドローできます。3マナ払えば《モンスーンの魔道士、ラル》にもなり、2つの役割をこなせる素晴らしいカードでした。 《美術家の才能》のおかげで墓地が以前よりも溜まりやすくなったので、《死の国からの脱出》も運用しやすくなりました。運悪く儀式系スペルを1枚しか引けなかった時は、《炎の中の過去》ではなく《死の国からの脱出》をサーチします。 諜報ランドの枚数は3枚になりました。基本的には2枚の諜報ランドを2ターン連続で置いて3ターン目に仕掛けていくか、あるいは諜報ランドから入って2ターン目に《レンの決意》でトップをめくっていくことになります。 そのため、3枚目は不要だと考えていましたが、サイド後は相手が《モンスーンの魔道士、ラル》《ルビーの大メダル》に対して打ち消しや除去を構えるケースが多く、ほとんどの状況で3枚目の諜報ランドをサーチしたかったのです。   3枚目の諜報ランドとして入っている《轟音の滝》は他の赤い諜報ランドならどれでも構わないです。あえて色を散らしているのは《虹色の終焉》用です。 オルゾフブリンクの出してくる《エイヴンの阻む者》があまりにネックだったので、《虹色の終焉》で対処できるよう、3色目を入れることをオススメします。   土曜日 スポットライトシリーズは6勝3敗で2日目に進出することができます。が、トップ8はおそらく2敗しか難しいので、目指すは7勝2敗、もしくは8勝1敗!   ゴルガリエルフ ×〇〇エルドラージ 〇×〇ティムールブリーチ 〇××ティムールブリーチ ×○〇ボロスエネルギー 〇〇ドメインカスケード ××オルゾフブリンク 〇××オルゾフブリンク 〇〇ティムールブリーチ ×〇×   最終成績5勝4敗で初日落ち。 バブルマッチ、ティムールブリーチに《オアリムの詠唱》で先手3キルを防ぎ、返しに3キル……で不発。その返しに2枚目の《死の国からの脱出》で負けてしまいました。 《モンスーンの魔道士、ラル》の変身後の奥義が不発だったり、《レンの決意》で何枚めくっても土地だったりと、全体的にツキに見放されていましたね。 ほぼ毎ラウンド30分ほど延長していたのが印象的でした。延長卓を見るとブリーチミラーが多く、強さとは別にトーナメント進行上の理由からも「このデッキは禁止になりそうだな」と感じました。   毎回30分押すと当然9ラウンド終了時は夜なので、この日はレストランに行かずに帰宅。   オランダに無限にあるスーパー、アルバート・ハインでハムとパテをしこたま買い込み、ホテルで爆食いして就寝。   日曜日 優勝するとアルティメットガードのスリーブが300個もらえるという面白そうなトーナメントに参加。 ドメインズー 〇〇ボロスエネルギー ××アゾリウスコントロール 〇××オルゾフブリンク 〇〇青単ベルチャー ××鱗コンボ 〇×〇アスモフード 〇〇ティムールブリーチ 〇〇 5勝3敗でプライズチケットを少し獲得して終了。   2日通して負けまくってしまい、正直結構落ち込みましたね。   一方で、ヨーロッパは素晴らしいプレイヤーが多かったです。勝っても負けてもニコニコしてグッドラックと言ってくれますし、モダンのデッキもこだわりがすごくて、フルフォイルのプレイヤーもたくさんいました。   僕もイラスト違いが大好きなのですが、「君のストーム、良いアートたくさんだね」と言ってもらいました。 テキストを聞かれた三銃士がこちら。   ヨーロッパはモダンやレガシーなど、下フォーマットがとにかく人気!海外で下環境を遊びたいならヨーロッパがオススメですよ。優しいプレイヤーばかりなので、初めて海外でマジックをするのにもぴったりです!   月曜日 ユトレヒトはあのミッフィーちゃんの出身地!当然ながらお土産もたっぷりあります。   というわけで最終日はミッフィーちゃんのお土産を買いに散策。 ちなみに世界に1つだけしかない、ミッフィーちゃんの信号機もありました。 お土産コーナーには定番のぬいぐるみやクッキーなどの他、トートバッグやリュックサックなどいろいろ! どれも可愛くてついつい散財してしまいました。   そしてランチはパンケーキの有名なお店にいきました。食べたのはこちら。 一見チヂミに見えますが、パンケーキです。日本で食べるホットケーキっぽいものを想像していたのでびっくりしましたが、味にはもっと驚かされました!美味しい!   戦いは続く 月曜日の夜の便で帰国……ではなく、そこから再び北京に向かい、火曜日は北京ダックを食べつつ、日本に帰国したのは水曜日でした。   北京ダックは動画しか残していなかったので、絶品だった水煮を貼っておきます。 安いだけで選んだ北京経由の航空券でしたが、北京はホテルもご飯も安く快適で、Wi-Fiが一切使えないことを除けば、何も不満がありませんでした。1回の旅行で2カ国を観光できてお得な気分になりました。   さて、ユトレヒトが終わっても休みはありません!僕がヨーロッパにいた週、既に日本ではエリア予選が行われていました。   1週遅く、僕もエリア予選に出始めなければならないのです。しかもフォーマットはスタンダード!プロツアーが終わった後のスタンダードは相手のデッキもプレイも強く、中々勝つのが難しい。   というわけで、次回はエリア予選のデッキ選択とその経緯に関するお話となります。   それではまた!

『マジック:ザ・ギャザリング――FINAL FANTASY』コラボスリーブ予約開始!!

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2025.03.21

mtg Yuyan

こんにちは。   細川 侑也(@yuyan_mtg)です。   連日情報が公開されるたびに大盛り上がりのマジック:ザ・ギャザリングとファイナルファンタジーのコラボ製品『マジック:ザ・ギャザリング――FINAL FANTASY』!   少年時代をファイナルファンタジーで過ごした方にとっては、6月13日の発売が待ちきれないという方も多いでしょう!かくいう僕もその一人!   ちなみに皆さんはファイファン派でしたか?エフエフ派でしたか?僕は小学校の時はファイナルと呼んでました。   ありがたいことに、各種プレイブースターや統率者デッキは当店での予約も既に完売しておりますが、今回のコラボで発売する製品は、カードだけではありません!   そう、マジックを遊ぶ上で必要不可欠と言って良いもの、スリーブです!   今回は6月13日に発売となるファイナルファンタジーコラボスリーブ、8種を一気にご紹介いたします! 【ご予約はコチラから】   第1弾となる今回は、それぞれのパッケージアートがそのままスリーブになりました! 背景が白となっているこの4種は、プレイ・ブースター、スターターキット、コレクター・ブースター、そしてバンドルのアートとなっています。   セフィロスとクラウドが互いの武器を構えて立つスターターキット版、映えますよね~。 そして黒背景の4種は統率者デッキの4キャラがそのまま登場! 《魔導の力を持つ少女、ティナ》《元ソルジャー・クラウド》《ユウナのガード・ティーダ》《魔女、ヤ・シュトラ・ルル》 こちらは既にカードテキストも公開されていますね!   皆さんはどの統率者で遊ぶかもう決まりましたか?デッキとスリーブを合わせれば親和性抜群なので、揃えて購入したいですよね!   FF6の《魔導の力を持つ少女、ティナ》はパワーが3以下のクリーチャーを墓地から吊り上げる能力。自身が切削を持っているので、殴っているだけでどんどん盤面が強固になっていきます。 みんな大好き《元ソルジャー・クラウド》は装備品に関連する能力を2つ持ちます。ここまで装備品関連の能力があるということは、バスターソードもカード化されるのでしょうか?期待しちゃいますね。 シリーズ最高作との声もあるFF10の主人公、《ユウナのガード・ティーダ》は非常にトリッキーなカード。カウンターを動かす能力と、カウンターが乗ったクリーチャーの戦闘ダメージが通ると1ドロー+増殖。1回増殖でカウンターが2個になると、次の戦闘では2個の内1つを他のクリーチャーに移して増殖するので、どんどんクリーチャーが強くなっていきます。 まだ公開されていませんが、ワッカやユウナとの相性が良いと嬉しいですね。 そして最後に紹介するのは麗しの《魔女、ヤ・シュトラ・ルル》!何を隠そう、僕は大のFF14好き、そしてヤ・シュトラさんに恋心を抱いている報われないボウヤなのです。 終了時に4点以上のライフを失っているとドロー、そしてマナ総量3以上の非クリーチャー呪文を唱えると各プレイヤーに2点を与えて2点ゲイン。ドロー能力は各ターン誘発するので、できれば各プレイヤーにダメージを与え続けられるデッキにしたいですね《血の長の昇天》との相性は抜群! スリーブ予約開始! 今回のこの8種のスリーブ、GOOD GAMEで予約開始しています!   スリーブはすべて80枚入価格はいずれも税込1760円 発売日は6月20日ですが、人気商品なので、買いたいと思った時にはもう売り切れてしまっているかもしれません。   確実に好きなキャラのスリーブを手に入れたい方には、ご予約をオススメいたします!僕も早速ヤ・シュトラさんのスリーブを……   【ご予約はコチラから】   お得なポイントキャンペーン また、ブースターボックスを当店でご購入する際にお得なポイントキャンペーンもご紹介! 当店ではプレイブースター・コレクターブースターをボックス単位でご購入した方に、シングルカード予約時の付与ポイントを5倍にいたします!   シングルカード予約とは、正式発売日前の新セットのカードの事前予約購入のことで、その際に1ポイント1円で使用できるポイントがなんと通常の5倍になるのです!   【ご予約はコチラから】   ボックスを購入してシングルカードも予約すればポイントは5倍!そのポイントを使ってお得に買い物しちゃいましょう!コレクターブースターからなら美しい幽霊火版カードも手に入るかも!? 放浪皇のお花見キャンペーン 更に4月4日からは放浪皇のお花見キャンペーンも開催! こちらは対象製品のお買い上げごとにちびキャラシールをプレゼント!更にあたりシールを引くと「プレイマット」「スリーブ」「アクリルスタンド」のいずれかを進呈いたします! 対象製品は、2022年以降に発売されたプレイブースター6パック、またはコレクターブースター2パックなので、パック開封しながら豪華賞品が当たるチャンス!   ちなみにラスとドロー賞では藤ちょこ先生サインデータ付きのビジュアルボードがもらえる至れり尽くせりの内容!これはもう参加するしかありませんね!   『タルキール:龍嵐録』はポイントキャンペーン・お花見キャンペーンの対象となりますので、ぜひ当店でボックス予約、そして開封をお楽しみください!   【ご予約はコチラから】

【デッキガイド】攻めも守りも自由自在!エスパーピクシー

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2025.03.17

Akira Kobayashi

 皆さん、こんにちは! 「へいか」こと 小林 輝(@enzyutuheika)です。    今回はプロツアー『霊気紛争』で使用したエスパーピクシーの記事になります。    サイドボーディングガイドなどもあるので、エスパーピクシーを使用している方はぜひ参考にしてみてください! ▼プロツアーに向けた調整~構築編~  リミテッドについては前回上げた記事に記載されている通りこなしてきましたが、問題となるのはスタンダード。  プロツアーでのリミテッドは1日に3ラウンドですが、スタンダードは5ラウンドと比率が大きいものになっています。    これについては機会に恵まれ、にいはちさんこと小林遼平さんと愛するシュタインズ・ゲートについて6時間ほど語り合った事があります。  その際に同じプロツアーに行くという事で調整を一緒にやらないかという話になり、マスとんのディスコードサーバーにPT調整チャンネルのみという制限付きでご招待いただきました。    まずメタゲームとしてはグルールアグロ・エスパーピクシー・ドメインの三強と読み、その上でグルールアグロが最多勢力であると考えました。  新しいデッキを考える事も考慮しましたが、さすがにリソース不足により断念。この三つのデッキを使っていきながら選んでいくことに。  グルールアグロについては流石の安定感ですが、新戦力がほぼなし。  また、《不気味なガラクタ》《勢い挫き》という新戦力を得たエスパーピクシーに対してより不利になっている点も気になりました。  最多勢力でもありながら、ミラーに対して《叫ぶ宿敵》4枚や《塔の点火》を多めに取るぐらいのアプローチしか取れなかったため断念。  最終的にはグルールアグロに対して新戦力である《不気味なガラクタ》《勢い挫き》でより優位に立てつつ、他のデッキに対しても《呑気な物漁り》が絡んだ100点のブン回りをすれば蹴散らす事もできるエスパーピクシーを選択しました。    もちろん三色デッキ故の土地周りの事故要素などはありますが、それ以上にブン回ってしまえば抗いようのないムーブはそれ以上のメリットがあると判断。  何より調整相手の小林遼平さんがエスパーピクシーを好み、これで行くという話もあり同じ方向性で見ていった方がいいだろうという事情もありました。  ちなみにデッキサブミット期日2日前、夢の中でチャンピオンズカップファイナル覇者のjgさんから「ドメインランプを使え」と迫真顔で言われました。  境界ランドによってマナベースが改善され、《全損事故》によって赤系アグロに対してある程度抗えるようになったこれも感触が非常によく、最後の最後まで悩んだデッキでした。    実際プロツアー優勝も果たし、勝率的にも勝ち組デッキでした。さすがjgさん、天啓に従わず申し訳ありませんでした。  最終的なリストとしては上記の通り。   ▼メインボード  プロツアー前時点でメインボードに関しては個人的に土地含む56枚がほぼ固定枠だと考えていました。  このフリースロット4枚は下記の通りに選択しました。   3枚目の《悪意ある呪詛術士》  《呑気な物漁り》《養育するピクシー》《嵐追いの才能》と組み合わせることで1/3/2かつエンチャントによる誘発トリガーとして機能します。  他にも1ターン目《悪意ある呪詛術士》から《孤立への恐怖》や《養育するピクシー》で呪われし者・役割・トークンを外すパターンもあり、ほぼ3点クロックとして計算できます。    もちろん他に役割トークンのつけ先がなかったり、バウンスパーツがなかったり等で1/1になってしまったり、後手でのアグロ系には弱いなどサイドでは抜けるカードの筆頭である弱さもありますが……  ドメインランプを筆頭に1マナのテンポを押し付ける展開を大いに貢献するため3枚目を採択しました。   《不気味なガラクタ》  《逃げ場なし》に次ぐ《養育するピクシー》《孤立への恐怖》《この町は狭すぎる》で使いまわせる除去。    グルールアグロやミラーで効果的な一枚で、特にグルールアグロの先手《心火の英雄》から《多様な鼠》という黄金のムーブに対して《不気味なガラクタ》から《養育するピクシー》で回収して再度《不気味なガラクタ》で綺麗に返せるようになったのは非常に大きいです。    もともと有利なグルールアグロですが、これを落としたくないという気持ちでメインに1枚入れました。  実際大活躍してくれ、プロツアー本戦でもvsグルールアグロの成績は4-1でした。   《荒らされた地下室/解剖室》  主にエスパーピクシーミラーを見た一枚です。  ミラーにおける《解剖室》は影響度が大きく、《養育するピクシー》《孤立への恐怖》を回収しつつこれをバウンスすることで半永久的に使いまわせることができます。 《荒らされた地下室》も《嵐追いの才能》レベル2で回収しても誘発し、出てくるトークンも実はエンチャントなので《呑気な物漁り》も誘発します。    元々は《不気味なガラクタ》をメインに2枚、《荒らされた地下室/解剖室》はサイドに入れていたのですがミラーも見るためにメインに入れたという経緯があります。  結局ミラーマッチは1回しかなく、これを有効に使えた場面もありませんでした。  《不気味なガラクタ》もミラーである程度有効なのでメイン2枚のままにするべきだったなと感じました。   《保安官を撃て》  《喉首狙い》《逃げ場なし》で対処できない《輝晶の機械巨人》《油浸の機械巨人》《激浪の機械巨人》などのアーティファクトかつタフネス4以上のクリーチャーを見て採用。    ……が、これは《喉首狙い》の方が明らかによかったです。  グルールアグロの《雇われ爪》が傭兵なため、これを対処できないデメリットの方が大きく感じました。   ▼サイドボード   《精体の追跡者》2枚  グルールアグロに対しては除去を使いまわしていくコントロールプランを取っていくわけですが、《脚当ての補充兵》《多様な鼠》の新生・《熾火心の挑戦者》の雄姿や《探検するドルイド》などによってこちらにアドバンテージエンジンがないとリソース負けしてしまいがち。    そこに対して《精体の追跡者》でリソース部分をカバーしていくという戦略を調整相手の小林遼平さんから教えていただき、実際にやってみるとかなり好感触。  《逃げ場なし》との両構えをしつつ、相手が《亭主の才能》や《探検するドルイド》でずらしてきたところに《精体の追跡者》を出すという流れが綺麗でした。  特に《一時的封鎖》は相手だけを一方的に追放し、《精体の追跡者》のみが残るという構図は非常に強力。   《喝破》2枚  主にドメインランプに対する一枚ですが、ディミーアミッドレンジなど様々なデッキにも幅広く入る器用な枠です。  ドメインランプの《永遠の策謀家、ズアー》《ミストムーアの大主》《審判の日》をまとめて見られるだけでなく、既に出てしまったパーマネントにも《この町は狭すぎる》で戻して出し直してきた所に《喝破》でカウンターもできます。   《否認》1枚  《嵐追いの才能》で回収出来る確定カウンターが欲しかったため、《喝破》と散らしました。  ドメインランプの《害獣駆除》が軽く《喝破》ケアが容易であるため、これに対してリスクを負わせたいというのもあります。   《邪悪を打ち砕く》2枚  ドメインランプ、エスパーピクシーミラーだけでなく《分派の説教者》などエスパーピクシーの《逃げ場なし》を意識したタフネス4以上のクリーチャーに対する回答でもあります。    《嵐追いの才能》で回収するシチュエーションもありますので覚えておきたいところです。   《不気味なガラクタ》1枚  主にグルールアグロへの一枚ですが、ミラーでも有効です。  次回があればメインの《荒らされた地下室/解剖室》と入れ替えたいところです。  《養育するピクシー》《孤立への恐怖》《この町は狭すぎる》といったセルフバウンスで使いまわせる除去でもあり、起動能力によってマナフラッド受けにもなります。    特に諜報でスペルを落としておいて《嵐追いの才能》で回収するという動きは占術である《望み無き悪夢》に出来ない部分です。   《一時的封鎖》2枚  グルールアグロおよび召集に対する全体除去。  こちらの《望み無き悪夢》《不気味なガラクタ》《逃げ場なし》ごと閉じ込めておくとセルフバウンスで使いまわせるのは覚えておくべき点ですね。    《脚当ての陣形》《邪悪を打ち砕く》による裏目も強く、ミラーにも入る《害獣駆除》と枠を争う形ですが、《精体の追跡者》との組み合わせがとにかく強いためセットでの採用になりました。   《勢い挫き》1枚  《不気味なガラクタ》と同じく霊気走破での新戦力。使いまわせる布告が最大の魅力。  《名もなき都市の歩哨》《分派の説教者》といったタフネス4以上クリーチャーに対するアンサーでもあります。  エンジン始動も《望み無き悪夢》でのライフロスト、《養育するピクシー》《孤立への恐怖》の飛行クロックによって上昇しやすくライフゲインもダメージランドを多用するこのデッキにおいては沁みます。    主にグルールアグロに入れますが、《分派の説教者》を擁するゴルガリや青黒ミッドレンジなどにも入ります。   《ゴバカーンへの侵攻》2枚  ドメインランプへの対応策を探していたところ、小林遼平さんが発見した一枚。  《魂の洞窟》絡みの《ミストムーアの大主》と《審判の日》に両方対応できつつ、実は裏面がエンチャントにもなります。  《強情なベイロス》に対するアンサーの一つでもあり、これで前方確認した後に《望み無き悪夢》を出していくという動きもできます。    ドメインランプにしか入りませんが、感触の良い一枚でした。   《安らかなる眠り》2枚  各種眼魔、アゾリウス全知など墓地利用全般への対応策。  《嵐追いの才能》で《この町は狭すぎる》を回収するコントロールプランが出来なくなるのが最大の欠点であり、《除霊用掃除機》も検討しましたが消したいカードが複数あっても問答無用で追放するこれに落ち着きました。    地味にエンチャントでもあるので《呑気な物漁り》が誘発するのもポイント。   ▼Tips 適切なアクションを考える  こちらが先手、相手のデッキは不明。初手は1回マリガンした後の6枚としましょう。  ぱっと見ると違和感による誘発を最大限に活かすために《呑気な物漁り》から出したくなりますが、これは《嵐追いの才能》が正解であることが大半です。    なぜならば《呑気な物漁り》スタートだと2ターン目で《孤立への恐怖》は戻すものがないため唱えられないからです。  ファストランドを戻すこともできますが、その場合だと3枚目の土地を引いた時の《嵐追いの才能》《喉首狙い》のダブルアクションができなくなるデメリットの方が大きくなります。    後手の相手が1マナクリーチャーを出して来たら《喉首狙い》で除去はできますが、赤系アグロでない限りは出してこないケースが大半です。  そうすると消去法的に《嵐追いの才能》になるわけですが、そうすると1マナ余ってしまいテンポが悪いですし盤面もやや弱めです。  さらに3枚目の土地を引けなかった場合、《孤立への恐怖》で《嵐追いの才能》を戻してそのままダブルアクションも出来ない恐れがあります。  《嵐追いの才能》からスタートすることで《孤立への恐怖》へと繋がりつつも、3ターン目には《呑気な物漁り》+《嵐追いの才能》のダブルアクションが確定します。  また、3枚目の土地が引けているならば《呑気な物漁り》+《喉首狙い》でブロッカーをどかしつつライフを詰めていくのもよしと選択肢の幅が広がります。    ちゃんとマナを使い切る・ダブルアクションをしていくことを意識するだけでも大きく違うので意識していきましょう。   ファストランドの受け入れを考える    このエスパーピクシーではファストランドが3種4枚ずつの合計12枚が入っています。土地の総数としては23枚であり、半数以上を占めている割合です。  テキストを読み上げるようですが、このファストランドは「4枚目以降の土地」として置くとタップインします。これを意識してあえて3枚目の土地を置かないという行動が肯定される場面があります。    例として、相手はグルールアグロで戦場にはこの4枚があるとしましょう。相手の盤面は更地です。  手札には下記の4枚。  《コイロスの洞窟》を置いてしまいがちですが、私は置きません。  前提として、この手札では《孤立への恐怖》《この町は狭すぎる》の青いカードが2枚浮いており、青マナの土地を引くとダブルアクションが取れる状態です。    《コイロスの洞窟》を置いてしまうと青絡みのファストランドである《闇滑りの岸》《金属海の沿岸》がタップインになってしまうため、《アダーカー荒原》《地底の大河》の2種類のみしかダブルアクションが取れなくなります。  このリストでは《アダーカー荒原》2枚、《地底の大河》3枚の合計5枚で受け入れ枚数が非常に少なくなってしまいます。  一方で置かなかった場合、ファストランドがアンタップインになるため、《闇滑りの岸》《金属海の沿岸》の合計8枚も受け入れとして考えられるようになります。ダメージランドの5枚と合わせると合計13枚ですね。    先述した2+2のダブルアクション、つまり《孤立への恐怖》や《この町は狭すぎる》から《逃げ場なし》は出来なくなりますが、《不気味なガラクタ》はプレイできます。 さらに次のターンでは手札の《コイロスの洞窟》を置くことで2+2のダブルアクションができるようになります。    これらを考え、アンタップインの青マナ土地を置ける確立を大幅に上げるために3枚目の土地として《コイロスの洞窟》は置かない……というわけです。    細かく動けるデッキであるため、このように土地の置き方によって勝率が大きく変わってきます。  土地は毎ターン置かねばならないということはもはや常識ですが、その常識を一旦疑ってみるのも大事です。   ▼マッチアップガイド vsグルールアグロ  《不気味なガラクタ》《逃げ場なし》の除去を使いまわせることから有利マッチですが、《多様な鼠》+《巨怪の怒り》が絡むと一瞬で負けうるので慎重にやらねばなりません。    キープ基準としては当然ながら《不気味なガラクタ》《逃げ場なし》といった除去になりますが、先手で《呑気な物漁り》《悪意ある呪詛術士》《養育するピクシー》《嵐追いの才能》《この町は狭すぎる》というような初手であればダメージレースで勝ちうるためキープできます。  後手だとダメージレースを制するのは難しいためマリガンで考えますが……  ゲームプランとしては基本的に除去を使いまわしてコントロールしていきますが、除去ばかりしていては《脚当ての補充兵》《多様な鼠》の新生によっていずれリソース負けしてしまいます。  ですので、除去しつつも《嵐追いの才能》のカワウソトークンや《養育するピクシー》などでクロックを刻んでいき、ダメージレースしていくという方向性になります。  《巨怪の怒り》だけ気を付けて細かく除去していきながら、盤面有利を作り出して押し切るという流れを作るといいでしょう。   ▼サイドアウト-3《悪意ある呪詛術士》-1《荒らされた地下室/解剖室》-2《悪夢滅ぼし、魁渡》   ▼サイドイン+2《精体の追跡者》+1《不気味なガラクタ》+2《一時的封鎖》+1《勢い挫き》    サイド後でも依然として除去を使いまわすコントロールプランになります。  相手は《脚当ての陣形》《探検するドルイド》を増量してくることから土地を立たせてターンを返し、こちらの除去をかわそうとしてきます。    それを逆手に取って《精体の追跡者》を出し、そのまま《望み無き悪夢》《嵐追いの才能》《孤立への恐怖》などによってリソースを稼いでいけば勝利は目前です。  《一時的封鎖》についても2マナ立っているところには極力出さないようにすることを心掛けておきましょう。    ただし、最近は《陽背骨のオオヤマネコ》プランを取ってくる事が多く、ライフを詰められると明確な時間制限が発生するため以前ほど有利ではなくなってきます。  要所要所でちゃんと相手のライフをコツコツと削り、ライフレースを制していく意識が必要です。   vsドメインランプ  微不利マッチです。  とにかく《呑気な物漁り》《嵐追いの才能》《悪意ある呪詛術士》などの1マナクリーチャーを繰り出し、《望み無き悪夢》も絡めて早期決着を目指していく形となります。    これに対する《害獣駆除》が致命的な敗着になってしまいますが、デッキのマナベース的に2~3ターン目に《害獣駆除》をされる確率は低いため割り切ってしまった方がよいです。    キープ基準については上記にも記載した通り1マナのクリーチャー群。クロックがなければ始まりません。  《呑気な物漁り》+エンチャント類がとにかくキー。どんどんクロックを重ねていきましょう。   ▼サイドアウト-4《逃げ場なし》-1《荒らされた地下室/解剖室》-1《不気味なガラクタ》-1《悪意ある呪詛術士》   ▼サイドイン+2《喝破》+1《否認》+2《邪悪を打ち砕く》+2《ゴバカーンへの侵攻》    サイドではカウンターと《邪悪を打ち砕く》によってある程度ゲームを急がなくても良くなります。  それでも攻める立場である事に変わりはなく、クロックを用意した上でカウンター類と《邪悪を打ち砕く》で相手のアクションに対応していきたいところです。    2マナ浮きで《永遠の策謀家、ズアー》を唱えられた際、《ホーントウッドの大主》等がある場合は解決前に《邪悪を打ち砕く》で先に破壊しておくことを勧めます。  《永遠の策謀家、ズアー》の起動にスタックで《邪悪を打ち砕く》をできればよいのですが、相手もそれは織り込み済であることを忘れてはいけません。    とはいえ先に《永遠の策謀家、ズアー》に対して《邪悪を打ち砕く》で処理してしまうパターンもあるので、ケースバイケースではあるのですが……   vsエスパーピクシー  どの程度ミラーを意識しているかで変わってきます。  相手が《分派の説教者》まで採用しているとやや不利です。    お互いに除去し続けるため、長期戦になりがち。  先に《嵐追いの才能》《この町は狭すぎる》パッケージが揃った方が勝ちになりがちですが、この動きをするためには6マナ必要で大振りなので先に揃われたとしてもこの隙を突く事で勝ちをもぎ取れる時もあります。  《嵐追いの才能》レベル2に合わせて《この町は狭すぎる》で大きくテンポを取れますが、その逆も然りなので覚えておきましょう。    《逃げ場なし》が主な除去になるため、《呑気な物漁り》で《孤立への恐怖》に+1/+1を乗せ、タフネス4を作ることは意識しておきたいポイントです。  《養育するピクシー》《悪意ある呪詛術士》に+2/+2を載せていくのも良いです。もちろん《逃げ場なし》に気を付けながらやっていきましょう。   ▼サイドアウト-2《悪夢滅ぼし、魁渡》-1《保安官を撃て》-1《喉首狙い》-1《悪意ある呪詛術士》 ▼サイドイン+2《邪悪を打ち砕く》+1《不気味なガラクタ》+1《喝破》+1《精体の追跡者》    相手の構成やサイドプランによって変わってきます。  《悪夢滅ぼし、魁渡》については忍術先が定着しづらく、《逃げ場なし》もあり《邪悪を打ち砕く》で対処されがちなため基本的に抜いています。  後手であれば《悪意ある呪詛術士》をもう少し減らしますし、ケースバイケースといったところです。    サイド後でも方針は変わりませんが、お互いに《邪悪を打ち砕く》がある点については留意すべき事項です。  《嵐追いの才能》レベル2に合わせて《邪悪を打ち砕く》をされるのが最悪のパターンなので、ここは必ずケアしましょう。    上記の内容はマスとんの皆様との指名対戦を重ね、調整相手である小林遼平さんと話し合ってゲームの争点やゲームプランなどを確立させていったものです。    その成果もあり、本戦の結果としては5-3の勝ち越し!  特に得意なマッチアップとするグルールアグロで4-1できたのが非常に大きく、練習の成果を感じました。(逆に言えばそれ以外のマッチは1-2ですが……)    この場を借りてマスとんの皆様に感謝を申し上げます。  本当にありがとうございました。   ▼今後のエスパーピクシーについて  ここまではプロツアー前のエスパーピクシーの話。  現在はコンボマスターことcftsoc3さんが3月2日にメイン《食糧補充》《分派の説教者》《ベイルマークの大主》を採用してスタンダードチャレンジで優勝したことをきっかけに変化が訪れています。    大きな相違点としては《呑気な物漁り》および《悪意ある呪詛術士》の不採用ですね。  これによってアグロプランが取りづらくなった代わりにミッドレンジとしての太さが備わり、《嵐追いの才能》+《この町は狭すぎる》による長期戦の強さが際立っています。  抜けたこの2枚もグルールアグロやエスパーピクシーミラーではサイドアウト候補であり、その分これらに対して優位に立てる構成となっています。  ここから発展してオータム・バーチェットさんは《悪夢滅ぼし、魁渡》をサイドボードに移した上でメインから《食糧補充》4枚・《鋼と油の夢》3枚、果てには《ギックスの命令》まで採用したエスパーピクシー・コントロールと呼んでも差し支えない構成を作り上げています。  1マナ域が減り《害獣駆除》や同型に対してより強くなっている一方、ドメインランプに対してライフを詰め切るというプランが取りづらくなっており相性が悪化しているように思います。  その一方で従来の《呑気な物漁り》《悪意ある呪詛術士》を採用した型もスタンダードチャレンジなどで上位につけています。  どの構成にもメリットとデメリットがあり、メタに応じて使い分けていくことになるでしょう。    以上がプロツアー旅行記から始まり4本の記事と長くなってしまいましたが、私が初プロツアーにおいて調整してきた過程になります。  これが皆様のマジック道において一つのご参考にでもなれば幸いです。    これほどまでに真剣に調整をしてきたのは初めてで、体力的にも精神的にも大変でしたがコツは掴めたような気がするので今後の機会に活かしていきたいところです。  こうした調整も含め、プロツアーという大会を通してマジック:ザ・ギャザリングを心の底から楽しめたと思えました。    「Let's Enjoy Magic」を胸にこれからも楽しんでいきます!!

【今週のピックアップデッキ】ディミーアコントロール/エスパーレジェンズ/純鋼ストーム

週刊 Modern Pioneer Standard ピックアップ

2025.03.14

mtg Yuyan

こんにちは。 細川 侑也(@yuyan_mtg)です。 今週のピックアップデッキでは、ちょっと珍しいデッキを、軽い解説を交えて紹介していきます。         紹介デッキ ディミーアコントロール エスパーレジェンズ 純鋼ストーム   ディミーアコントロール スタンダードチャレンジ : 7位 By TheSandwichKing MTGアリーナ用インポートデータ 現在のスタンダード環境は、エスパーピクシーに各種赤アグロとアグロ全盛期。 とはいっても、ミッドレンジとしてはズアーやゴルガリ、コンボならアゾリウス全知と、どのアーキタイプもメタ上位に存在しています。 一方コントロールデッキはというと、一時は死んでいるとまで思われていたのですが、プロツアー『霊気走破』で活躍し、今ではメタの一角にまで上り詰めました。   それがアゾリウスコントロール。リソース源として《食糧補充》を採用し、打ち消しを少し入れ、除去は《審判の日》、フィニッシャーには《完成化した精神、ジェイス》と、古典的なドロー・全体除去・フィニッシャーのアゾリウスコントロールです。 ここまで読んでお気づきになった方もいるのではないでしょうか?   実はこの青で打ち消してドローして、白で全体除去を打ち、フィニッシャーを叩きつける。この動きは青白だけでなく、青黒でもできてしまうのです!   というか、除去に関しては白より黒の方が良質です。白の2マナの除去は《全損事故》と、タップ状態のクリーチャーにしか使用できませんが、黒ならば問答無用で破壊する《喉首狙い》に《悪夢滅ぼし、魁渡》にも触れる《シェオルドレッドの勅令》、更に1マナの《切り崩し》とよりどりみどり。 《全損事故》はやはりタップ状態のクリーチャーにしか打てないのはかなりのデメリットです。構えていることが見え見えなので、相手はケアして攻撃しないことが容易ですし、《逸失への恐怖》などのシステムクリーチャーにも触りづらい。《喉首狙い》なら先手2ターン目に構えて、相手が出してきた2マナクリーチャーを破壊し、自分のターンで安全に《食糧補充》を打てますからね。 《審判の日》こそ青黒にはありませんが、その代わりに《死人に口無し》を採用できるのはむしろ良いことかもしれません。ただの全体除去である《審判の日》と違い、《死人に口無し》は証拠収集で墓地のカードをライブラリーからすべて抜けるので、アゾリウス全知から《全知》をすべて抜くなど、本来全体除去が効かないマッチでも機能する、素晴らしい全体除去なのです。 打ち消しは少し青白には劣ります。何せ青白には《喝破》がありますからね。コントロールフリークが十年以上も再録を待っている《マナ漏出》の上位互換を青白に与えるなんてずるいですよね。 とはいえないものは仕方ないので、《否認》《三歩先》でなんとか打ち消し枠を埋めています。   《強迫》は青黒だけの強み。事前に《豆の木をのぼれ》を抜いてしまえば実質打ち消しのようなものですし、赤アグロに対しても《巨怪の怒り》などを抜きつつ、手札を見ることでプレイがしやすくなるので、使いやすいカードです。 そしてなんといっても《油浸の機械巨人》!このカードはディミーアコントロールを語る上で欠かせません。 コントロールが求めるサイズの大きな絆魂。エスパーピクシーの《逃げ場なし》に耐えつつ、《この町は狭すぎる》で戻されても、出し直して手札破壊として使用できるので、特に青黒バウンス系のデッキに強いカードです。 もちろん、赤アグロに対しても強力です。手札を見て1枚を抜けるので、《巨怪の怒り》などがないかをチェックしつつ、《魔女跡追いの激情》を抜いて安心してブロッカーとして立たせられます。   青白の《激浪の機械巨人》はコントロールに採用しづらい能力ですが、《油浸の機械巨人》はぴったり。4枚目も検討したくなりますね。   《油浸の機械巨人》が入ったとはいえ、フィニッシャーが《完成化した精神、ジェイス》である点は変わりません。青白も青黒もフィニッシャーが《完成化した精神、ジェイス》になったのは、決してズアーを意識した結果ではありません。 現在のスタンダードにはコントロールで採用できる絶対的なフィニッシャーがいないため、《完成化した精神、ジェイス》を大量に採用しているのです。   絶対的なフィニッシャーとは、生き残るだけでゲームに自動的に勝ったり、速やかにゲームを終わらせられる性能を持つ重いカードです。たとえば《ドミナリアの英雄、テフェリー》は、出してカードを引いているだけでゲームに勝利しますし、《船砕きの怪物》は呪文がすべて通らなくなり、ブロッカーはバウンスされ、7/8がすぐにライフを削り切ります。他には《夢さらい》などでしょうか。 今のスタンダードには、このレベルの強さのフィニッシャーはいません。そこで2枚引けば大体の状況でゲームに勝てて、相手の除去も受けることのない《完成化した精神、ジェイス》が採用されることとなったのです。   エスパーピクシーや赤アグロ相手にもコントロール側は《完成化した精神、ジェイス》をフィニッシャーとします。適当に重いフィニッシャーを出して4回殴るより、《完成化した精神、ジェイス》を複数枚出して相手のライブラリーを削りきる方が簡単なのです。   コントロールデッキを調整する時、まず減らしがちなのが《完成化した精神、ジェイス》だと思いますが、少なくともメインでは4枚の《完成化した精神、ジェイス》を使った方が良いと思います! アゾリウスコントロールに続いてディミーアコントロールも登場し、いよいよスタンダードのコントロールにもバリエーションが生まれました。   環境が成熟していくほど強くなるコントロール、ここからの成長に期待です。     エスパーレジェンズ パイオニアリーグ : 5-0 By  Heilagur MTGアリーナ用インポートデータ 長きにわたってスタンダードで活躍し続けた《策謀の予見者、ラフィーン》。パイオニアでその力を見せつける時がついにやってきました。 エスパーパルへリオンなど、ディスカード手段として採用されることはあったものの、《策謀の予見者、ラフィーン》がメインになるデッキはこれまでパイオニアには存在しませんでしたが、このデッキはエスパーレジェンズ!主役はもちろん《策謀の予見者、ラフィーン》です。   さて、このデッキはレジェンズの名の通り、エスパーカラーの伝説のクリーチャーで構成されています。   1マナ域は良質なサイズの《アクロスの英雄、キテオン》と、クリーチャーを守る《離反ダニ、スクレルヴ》。どちらも定番の強力な伝説たち。 2マナ域の2種はどちらも青黒で、少し珍しいカードが並んでいます。   スタンダードでも使用可能な《闇の中の研究者、ナシ》はリソースを獲得するクリーチャー。こちらは攻撃が通った際に伝説のカードやエンチャントを切削した中から加えられます。このデッキには伝説のパーマネントとエンチャントがたっぷり入っているので、攻撃が通るだけで一気に2~3枚のカードを得られることも。 《顔を繕う者、ラザーヴ》は攻撃するたびに墓地を追放して手がかりを生み出す、こちらもリソースが取れるクリーチャーです。更に手がかりを生け贄に捧げることで、《顔を繕う者、ラザーヴ》を追放したクリーチャー・カードのコピーにできるので、墓地に落ちた《策謀の予見者、ラフィーン》などになることができます。 ただ、それだけでは《顔を繕う者、ラザーヴ》の力は半分しか引き出せていません。《老いざるメドマイ》によってその真価を発揮します。 《老いざるメドマイ》は初めて見た方も多いかもしれません。プレイヤーに戦闘ダメージを与えると追加ターンを獲得し、追加ターン中には攻撃できないこのカード。6マナと通常プレイは重いこの伝説のスフィンクスが、《顔を繕う者、ラザーヴ》と組み合わさってコンボになります。   《顔を繕う者、ラザーヴ》で《老いざるメドマイ》を追放し、手がかりを生成してそれを生け贄にして《顔を繕う者、ラザーヴ》が《老いざるメドマイ》になると追加ターンを得ます。   そして追加ターン中は《顔を繕う者、ラザーヴ》は当然攻撃可能となり、再び墓地を追放して手がかりを出し、それを生け贄にして再び《老いざるメドマイ》になり、また追加ターンを獲得。つまり、墓地にカードがある限り、追加ターンがずっと続くことになります。 さて、そもそもエスパーレジェンズで組む意義はなんでしょうか?スタンダードでは3色をすべてアンタップインで出すために《英雄の公有地》を採用する必要があり、そのためにレジェンズでした。しかしパイオニアでは《闇滑りの岸》などのファストランドと《神無き祭殿》をはじめとしたショックランドが使えるため、《英雄の公有地》頼りではありません。 ならばなぜレジェンズにこだわるのか?それは《モックス・アンバー》です。掟破りの0マナファクトによる爆発的な展開が可能になるのが、エスパーレジェンズ最大の魅力!《アクロスの英雄、キテオン》から2ターン目に《策謀の予見者、ラフィーン》なんてことも容易にできてしまうのです。 《戦闘研究》も忘れてはいけません。普通に使うだけで《好奇心》ですが、エンチャント先が伝説なら+1/+1に護法(1)と超破格! 加えて呪禁付与の《破片魔道士の救出》に対赤アグロの最終兵器《幽霊による庇護》と、クリーチャーを守ることに徹底しているのがこのエスパーレジェンズ。《離反ダニ、スクレルヴ》も合わせると《策謀の予見者、ラフィーン》を倒すのは至難の業でしょう。 《策謀の予見者、ラフィーン》を再び輝かせたい方はこのデッキに決まり!     純鋼ストーム モダンリーグ : 5-0 By SoggyCheerios ストーム。コンボの代名詞とも言えるこのアーキタイプは、かつてのスタンダードにも存在し、レガシーやモダンでは黎明期からずっとメタゲームを脅かしています。 現在ストームと呼ばれて真っ先に思い浮かぶのはルビーストームですが、一昔前に一世風靡したストームデッキがモダンにはありました。   それが純鋼ストームです。   今でこそ《死の国からの脱出》《研磨基地》で実現可能な脱出基地がいるため、珍しくなくなってしまった2ターンキルですが、当時は「2ターンキルできるすごいデッキが出てきた!」と世のコンボ好きは純鋼ストームに注目していました。   その後、長い間すっかり名前を見なくなってしまった純鋼ストームでしたが、最大の相棒……というよりコンボパーツである《オパールのモックス》が解禁されたことで、モダンについに帰ってきました。 デッキ名を冠する《純鋼の聖騎士》が当然キーカード。装備品が戦場に出るたびに1ドローするハンマータイムでもお馴染みのクリーチャー。あちらでは《巨像の鎚》を0マナで装備するのがメインの仕事でしたが、純鋼ストームではドローの方が重要となってきます。 このデッキのアーティファクトを見てください。名前も能力も知らない装備品たちがあります。これらの能力は一旦無視して、マナコストだけを見ましょう。   0マナです。《純鋼の聖騎士》がいればタダで1ドローできるのです。こうして0マナ装備品を大量に出してドローしていき、《撤収》《ハーキルの召還術》で手札に戻し、再び出し直す。こうして大量にカードを引いていき、最終的に《ぶどう弾》で相手のライフを一撃で削りきる。これが純鋼ストームの基本の動きです。 《オパールのモックス》解禁前は《撤収》を打つためのマナを捻出するのがとにかく大変でした。《極楽のマントル》を《純鋼の聖騎士》に0マナで装備してマナを出しても1マナしか増えないので、《羽ばたき飛行機械》と合わせて採用する必要があり、不純物が大量に入ってしまっていました。マナの問題を《オパールのモックス》が解決してくれたので、2ターンキルがかなり現実的に可能なラインになっています。 《河童の砲手》の採用は目から鱗でした。0マナのアーティファクトを並べれば《河童の砲手》の着地は用意ですし、《河童の砲手》を出してから0マナ連打で一瞬でゲームも終わります。 《撤収》《ハーキルの召還術》では《河童の砲手》も手札に戻ってしまいますが、《河童の砲手》を唱える→スタックで《撤収》《ハーキルの召還術》で0マナアーティファクトを戻せば、即席で使用した0マナ装備品を回収しつつ、《河童の砲手》を戦場に送り出せます。 以前までの純鋼ストームは一度コンボをスタートさせた後は、《ぶどう弾》で相手のライフを削りきるまでコンボが途切れないのを祈るしかありませんでした。《撤収》《ハーキルの召還術》で装備品を出し直すループは、カードは引けますがマナは増えないので、最終的に《ぶどう弾》とそれを打つマナ(追加の《オパールのモックス》など)をしっかり引き込む必要があり、止まるリスクもそこそこあったのです。 しかし、《河童の砲手》によってその憂いはなくなりました。コンボが止まってしまいそうでも《河童の砲手》さえ途中で出しておけば、コンボが途切れた時には致死量に近いサイズの《河童の砲手》が戦場にいるはずです。《溶岩拍車のブーツ》で速攻をつけて攻撃することもでき、勝利に必要な条件がかなり緩くなったのです。 これまで0マナの装備品たちを活かす手段がなかった純鋼ストームにとって、《河童の砲手》は最高の相棒です。   2ターンキルするデッキが更に環境に増え、モダンはますます恐ろしくなっていきますね。