こんにちは。
細川 侑也(@yuyan_mtg)です。
『タルキール龍嵐録』がついにマジックオンライン・MTGアリーナで実装されました!
最新セットが最も影響を与える環境はもちろんスタンダード!
というわけで今回は、『タルキール龍嵐録』の新カードを使って好成績を収めたデッキたちをご紹介していきます。
紹介デッキ
ジェスカイ眼魔
スタンダードリーグ : 5-0 By GodOfSlaughter

スタンダードからモダンまで大活躍している超強力クリーチャー《忌まわしき眼魔》。
3マナという軽さで毎ターン戦慄予示を行うため、その制圧力はピカイチ。戦慄予示で《忌まわしき眼魔》がめくれれば次のターンにはあっという間に人が死ぬ盤面になりますし、過言でもなんでもなく1枚で勝ててしまうカードです。
6枚の墓地を追放しなければならない《忌まわしき眼魔》ですが、それはあくまで唱える時のみ。墓地から戦場に出す際は条件はありません。そこでモダンでは《発掘》、スタンダードでは《救いの手》《再稼働》でこの《忌まわしき眼魔》を吊り上げるのが、最早基本の使い方となっています。
このジェスカイ眼魔はもちろん《救いの手》《再稼働》で《忌まわしき眼魔》を吊り上げるデッキ。手札に来た《忌まわしき眼魔》を《逸失への恐怖》や《蒸気核の学者》で墓地に送り込み、リアニメイトします。
プロツアーでも大活躍したこのデッキは、『タルキール龍嵐録』で3種類のカードを手に入れました。
まずは《光砕く者、テルサ》。
戦場に出た時にカードを2枚まで捨て、捨てた枚数分だけドロー。《鏡割りの寓話》の第二章などでもお馴染みの能力があり、《忌まわしき眼魔》を墓地に送り込むことができます。
更に《光砕く者、テルサ》には速攻と、攻撃時に誘発する能力があります。攻撃時に墓地が7枚以上あったなら、その内の1枚をランダムに追放し、ターン終了時までプレイできます。3マナ3/3でリソースまで稼げちゃうすごいクリーチャーというわけですね。
ジェスカイ眼魔は《蒸気核の学者》《逸失への恐怖》《光砕く者、テルサ》で墓地を貯められるので、7枚以上の条件も難しくないでしょう。
《光砕く者、テルサ》は《プロフトの映像記憶》との相性の良さも注目です。2ドローなのでカウンター2つ分になりますし、速攻によって出したターンに自身にカウンターを乗せて攻撃もできます。
ここからはスペルです。
《氷河の龍狩り》は便利な除去カード。2マナで1ドローと少しコスパは悪いですが、土地でないカードを捨てることができ、捨てると対象に3点を与えます。墓地に《忌まわしき眼魔》を送り込みつつクリーチャーを除去できるので噛み合っていますね。
更にこのカードは調和を持っており、墓地からもう1度唱えることができます。調和コストは(4)(青)(赤)なのでパワーが4のクリーチャーを寝かせれば僅か2マナで唱えられます。《忌まわしき眼魔》を吊り上げてそのまま寝かせて調和でキャスト、なんて使い方ができるわけです。
同じく新加入の《冬夜の物語》も調和持ち。こちらは3枚引いて2枚捨てるソーサリー。クリーチャーであれば捨てるのは1枚でOKと、こちらも《忌まわしき眼魔》を墓地に送るのにぴったりなカード。3ドロー1ディスカードのソーサリーなのでそれだけでもそこそこな性能。
そして前述のように《冬夜の物語》にも調和がついています。1度目は手札から打ち、《忌まわしき眼魔》などをタップして1マナで調和コストで唱えて二の矢を探しにいける強力なカード。
ジェスカイ眼魔はこれまでリソースを取る手段がありませんでしたが、2種の調和ソーサリーによって手札を増やせるようになりました。いずれもカードを引いて捨てる手段なので、《忌まわしき眼魔》を墓地から吊り上げる動きが更に安定し、デッキが単純に強化されましたね。
新カード満載のジェスカイ眼魔、まずはお試しください。
ジェスカイコントロール
スタンダードリーグ : 5-0 By SPyromancer

続いてご紹介するのも赤白青のジェスカイカラーのデッキ。しかしこちらは盤面のクリーチャーを除去し、カードを引くコントロールデッキです。
コントロールに必要なのは当たり前ですが除去。盤面を掌握するためには除去は必須ですからね。《稲妻のらせん》に《審判の日》など、単体・全体除去が多数採用されています。
もう1つのコントロール手段は打ち消し。《三歩先》は3マナで使えばただの打ち消しですが、5マナで使うと打ち消しつつ2ドロー1ディスカードと、コントロール好きならたまらない1枚です。
そしてもう1種類の打ち消しとして採用されているのが新カードの《払拭の吐息》です。
普通に使えば相手に2マナの支払いを要求するカウンター、まあ《かき消し》ですね。しかしドラゴンの後見を受けていると相手が払うマナが4マナに増えます。
ドラゴンの後見とは、自分がドラゴンをコントロールしているか、手札からドラゴンカードを公開する必要があります。このデッキには8枚のドラゴンしか採用されていないので、いつでも後見できるとは限りませんが、常に後見している必要があるわけではないのがミソです。
序盤は相手も2マナを支払うことが難しいので、後見は必要ありません。ゲームが伸びて2マナを支払う余裕が出てきたタイミングで後見は必要となるのです。その時ならば手札か場にはドラゴンがある可能性が高く、《払拭の吐息》は多くの状況で《対抗呪文》となるでしょう。
除去と打ち消しで相手と交換を繰り返した後に必要なのは……そう、ドローです。相手より多くのリソースを獲得すれば、盤面をコントロールし続けることができます。
青いドローの定番となった《食糧補充》以外、このデッキのリソース獲得手段はすべてクリーチャーです。更にそのクリーチャーたちはなんとすべて新カード!
《マラング川の執政》はモード選択のあるクリーチャー。4マナのインスタントとして使った場合は3ドローして1枚捨てる、シンプルながらアドバンテージの取れる良スペル。唱えた後にライブラリーに戻る前兆スペルなので、何度も引くチャンスがあります。
クリーチャーとして唱えた場合は6マナ6/7飛行の巨大サイズ。出た時に土地でないパーマネントを2枚まで手札に戻すことができるので、不利な盤面を一発でひっくり返します。
中盤はドローとして使い、後半はフィニッシャーになる、コントロールが求めていた性能です。ドラゴンなのでドラゴンの後見にも寄与してくれます。
もう1匹の《道の体現者、シィコ》もフィニッシャーながらリソースを獲得できるドラゴン。こちらは戦場に出た時に、マナ総量が3以下の呪文をと唱えることができます。《失せろ》《稲妻のらせん》を唱えるもよし、《食糧補充》を唱えてリソース確保も可能。状況に応じて様々な使い方ができる便利なドラゴンです。
サイズも4/5飛行・警戒と頼もしく、攻守において優れています。
従来のコントロールデッキは絶対的なフィニッシャーと呼べるカードが少なく、《完成化した精神、ジェイス》の起動でライブラリーアウトに追い込む戦略を取っていました。が、ビートダウン相手の《完成化した精神、ジェイス》は序盤に引くと非常に弱く、複数枚を抱えて負けるケースが多々ありました。
しかし、『タルキール:龍嵐録』によってこの2種類のフィニッシャーを手に入れ、コントロールは生まれ変わりました。リソース獲得手段を兼ねるクリーチャーがいずれもビートダウン相手にはフィニッシュ手段となるため、以前の形よりも引きムラが少なくなったのです。
優秀な除去、打ち消し、フィニッシャーとすべて揃ったジェスカイコントロールは、どこを取っても強いカードだらけで、かつてのエスパードラゴンを彷彿とさせます。
今後スタンダードで活躍していきそうで、コントロールがお好きな方は早速組んでみてはいかがでしょうか?
オルゾフピクシー
スタンダードリーグ : 5-0 By elvin7

戦場に出た時に能力が誘発する《望み無き悪夢》《逃げ場なし》を《養育するピクシー》で回収して何度も使い回す。そのバウンス戦略の強さは、スタンダードを遊んでいるプレイヤーなら嫌というほど体感しているでしょう。
そこに《この町は狭すぎる》《嵐追いの才能》を加えてバウンス戦略に更に重きを置いたのがエスパーピクシーですが、今回紹介するのは青を入れずに白黒の2色だけでまとめたオルゾフピクシー。
青を使わないことで《孤立への恐怖》《この町は狭すぎる》の強力なバウンスカードを採用できなくなりましたが、今回『タルキール:龍嵐録』で《孤立への恐怖》に代わるカードが登場しました。
それが《陽光真珠の麒麟》です。
戦場に出た時に自分のコントロールしているパーマネントを戦場に戻し、それがトークンだったら1ドローと、基本的な性能は《孤立への恐怖》とさほど変わりません。タフネスが2/1と、《孤立への恐怖》と比べて2少ないのは、対赤を考えれば大きな弱みですが、《陽光真珠の麒麟》のストロングポイントもたくさんあります。
なんといっても瞬速持ちな点は大きく、《養育するピクシー》を除去から守ったり、《逃げ場なし》を回収してすぐに出し直すなど、《陽光真珠の麒麟》にしかできない仕事もあります。《孤立への恐怖》でも《逃げ場なし》は拾えますが、たとえば次のターンに相手がクリーチャーを展開してこないなら《望み無き悪夢》を、クリーチャーを出してきたら《逃げ場なし》を戻したいといった状況で、《陽光真珠の麒麟》ならば最善手を選べます。
《孤立への恐怖》が土地であろうと絶対に戻さなければならないのに対し、《陽光真珠の麒麟》は戻す条件が土地でないパーマネントなので、戦場に何もない状態なら、ただの2/1としてプレイすることができます。これも地味ですがメリットですね。
トークンを戻せばカードを引けるので、《ひよっこ捜査員》の手がかりを手札に戻せば1ドローも一応できますね。まあ手がかりならそのまま生け贄にすれば良いのですが。
面白いのは《ドロスの魔神》の採用です。4マナ6/6と良スタッツで赤アグロに特に強い1枚ですが、《悪夢滅ぼし、魁渡》に非常に弱いのが特徴。麻痺を乗せられてタップしてしまうと、そのまま油がなくなって自滅してしまうためです。
しかし、《養育するピクシー》《陽光真珠の麒麟》と入っているこのデッキなら、油がなくなって次に負けてしまいそうな時は手札に回収することができます。
《ドロスの魔神》を採用するということは当然《不浄な別室+祭儀室》も入ります。この《不浄な別室+祭儀室》も使い回せるので、デーモンを生成した後は回収して再びデーモンを作り続けられます。
オルゾフの2色にまとめているので、それぞれのマナシンボルの濃いカードをたっぷり採用できるメリットもあります。黒は《ヴェールのリリアナ》、白は《一時的封鎖》です。
特に《一時的封鎖》は、自分にも被害のある全体除去だと思ってしまいますが、《一時的封鎖》が戦場を離れると、追放しているカードは再び戻ってきます。これは相手に割られるリスクがある一方、自分のカードたちも戻ってくるので、《望み無き悪夢》や《ひよっこ捜査員》が再度誘発してくれるのです。
《養育するピクシー》《陽光真珠の麒麟》の戦場に出た時の能力も誘発するので、《望み無き悪夢》が帰ってきてダメージを与え、その後《養育するピクシー》で回収し、再び《望み無き悪夢》を出し直して一気にライフを削るといった使い方も可能です。
オルゾフピクシー。ただエスパーから色を減らしただけではない、全く違った味わいのある素晴らしいデッキです!