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【週刊メタゲーム通信】MOCSの結果から最新のモダン三強リストをチェック!

週刊 Modern ピックアップ

2025.01.22

mtg Yuyan

こんにちは。 細川 侑也(@yuyan_mtg)です。 今回は、マジックオンラインの結果やモダンの大型大会から、最新のモダンのデッキをご紹介していきます! 紹介デッキ 4色ブリーチ ボロスエネルギー ディミーア眼魔 メタゲーム マジックオンラインの中で最高峰のトーナメント、Magic Online Champions Showcase。 厳しい予選を勝ち抜いて出られる大会に優勝したプレイヤーたちと、マジックオンラインのリーダーボード上位2名の計8人だけが参加できるのがMOCSです。 フォーマットはキューブドラフトとモダン。 2度の予選を突破しなければ参加できない狭き門に加え、高額賞金と世界選手権の権利もかかっている大会なため、とても競技性の高いトーナメントとなっています。 8名のプレイヤーがここで選択するデッキは、モダン環境で最も強いデッキたちに違いありません。 研磨ブリーチ(3名) 最も人気のアーキタイプは、《研磨基地》と《死の国からの脱出》による即死コンボを擁する研磨ブリーチ。   有名ストリーマーにしてプロプレイヤーのkanisterことPiotr Głogowski選手はオーソドックスなティムールカラーのブリーチ。   そしてハンドシェイクのチームメンバーであるKarl Sarap選手とDavid Inglis選手は4色のブリーチを選択しました。   ブリーチの魅力は圧倒的な速度。2種のモックスによる圧倒的な速度によって2ターンキルすら可能で、コンボにクリーチャーが絡まないため、エネルギーデッキにメイン戦での勝率が高いのが特徴です。 ディミーア眼魔にも《ウルザの物語》によるプレッシャーで《死の国からの脱出》を通すことができ、上位2つのデッキに対してメインボードで比較的有利に戦えるのが、ブリーチが最大勢力となった理由でしょう。 コンボデッキゆえにサイドボード後の勝率は落ちてしまいますが、それでもメイン戦での優位は魅力的です。 ボロスエネルギー(2名) 今大会で優勝を収めたボロスエネルギー。近頃日本では黒をタッチしたマルドゥエネルギーが主流ですが、マジックオンラインでは相変わらず純正のボロスエネルギーが活躍しています。 エネルギーの立ち位置は絶対王者。メタゲームというよりかは、そのデッキパワーの高さで環境を牽引しています。 《湧き出る源、ジェガンサ》《一つの指輪》《色めき立つ猛竜》を失ってもエネルギーは環境随一のパワーを誇ります。《魂の導き手》《オセロットの群れ》《ナカティルの最下層民、アジャニ》《火の怒りのタイタン、フレージ》、この4種の『モダンホライゾン3』産カードたちは圧倒的な強さです。 今後モダンのメタゲームがどのように変化しても、エネルギーは不動の存在でしょう。環境の中心に常にエネルギーは鎮座し続けます。 ディミーア眼魔(2名) エネルギーと同じく2名のプレイヤーが選択したのはディミーア眼魔。 強力カード揃いの『モダンホライゾン3』でも一、二を争うパワーを持つ《超能力蛙》を主軸に据えたデッキで、その強さはボロスエネルギーと比べても遜色ありません。 ディミーア眼魔はボロスエネルギーと違い、青いデッキゆえに対コンボ性能が高いのが特徴。研磨ブリーチはもちろん、Tier2のアミュレットタイタンやベルチャーなど、モダン環境にはコンボデッキも多く、どのコンボデッキとも戦えるのがディミーア眼魔の強みです。 エルドラージランプ(1名) 研磨ブリーチ・エネルギー・ディミーア眼魔。この現モダンの三強以外を選んだのは1人のみ。John Ramos選手はティムールカラーのエルドラージランプを選択しました。   《エルドラージの寺院》《ウギンの迷宮》によりエルドラージは、モダンで唯一2マナランドを使えるデッキ。それを活かして早いターンから大きな《コジレックの命令》を唱えたり、《まき散らす菌糸生物》で更なるマナ加速&土地破壊を行っていきます。 《まき散らす菌糸生物》から《世界を壊すもの》で徹底的に土地を攻める動きはほとんどデッキに強く、《コジレックの命令》でメインから墓地対策が可能だったり、《コジレックの帰還》でエネルギーのクリーチャーたちを根こそぎ焼き払うなど、環境の上位デッキに対してしっかり戦えるのがエルドラージです。 特に複数枚の2マナランドが初手にある際の動きはレガシーと見まごうほど。   一昔前のエルドラージはウルザ土地を入れた重いデッキだったため、《血染めの月》《海の先駆け》を苦手としていましたが、現代のエルドラージランプは《まき散らす菌糸生物》《コジレックの命令》によるマナ加速ができ、デッキも比較的軽くなっているため、さほどこれらの対策カードが機能しません。 《記憶への放逐》というキラーカードは存在するものの、それ以外に有効なサイドカードはさほどありません。《一つの指輪》の禁止によって弱体化を余儀なくされたものの、研磨ブリーチ・エネルギー・ディミーア眼魔と戦う力はしっかりとあります。 4色ブリーチ Magic Online Champions Showcase : 4位 By David Inglis チームハンドシェイクの2名が選択した4色研磨ブリーチ。4色とは言っても青単に緑と白と赤をタッチした、実質トリプルタッチ。何を言っているかわからないと思いますが、3色をそれぞれ少しずつ入れています。   赤は《死の国からの脱出》を使うので当然入っていますが、《邪悪な熱気》が1枚しか入っておらず、ほぼ《死の国からの脱出》のためだけに赤が採用されています。除去である《邪悪な熱気》は早いターンから打ちたいので、1~2ターン目に赤マナをサーチする必要がありますが、《死の国からの脱出》はもう少し遅くに必要となるので、《オパールのモックス》から捻出してもOKです。《邪悪な熱気》の枚数をおさえることにより、色マナの要求を軽減しています。 緑は定番の《邪悪鳴らし》。墓地を肥やしつつ、《研磨基地》《死の国からの脱出》のコンボパーツにアクセスできる強力なスペルです。落とし子も出るので、2ターン目に《邪悪鳴らし》を唱えて3ターン目に4マナから《死の国からの脱出》+《研磨基地》で即勝ちが可能です。 従来はこのティムールカラーにまとめられていたブリーチ。《邪悪な熱気》を4枚採用して赤が濃くなっていましたが、4色ではこの《邪悪な熱気》の代わりに《ポータブル・ホール》が採用されています。 《ポータブル・ホール》は《邪悪な熱気》と違ってクリーチャー以外のパーマネントにも触れられるのが強み。サイド後は《虚無の呪文爆弾》《減衰球》《ドラニスの判事》(これは《邪悪な熱気》でも触れますが)などの対策カードを置かれるので、それらを退けるのにも活用できます。 そしてなんといっても、《邪悪な熱気》と違い《超能力蛙》を除去できるのがポイントです。これは《ポータブル・ホール》を採用する一番の理由と言って良いかもしれませんね。 《ポータブル・ホール》はアーティファクトなので《オパールのモックス》の金属術に貢献するのもポイントです。 最初は4色のブリーチに疑問でしたが、《ポータブル・ホール》の強さに納得し、今ではこのリストが最も良いと思うようになりました。   禁止改訂から時間が経過して研究が進んでいき、研磨ブリーチもいよいよ完成に近づいています。   エネルギー・ディミーア眼魔・研磨ブリーチの三強時代は、当分続くかもしれません。 ボロスエネルギー Magic Online Champions Showcase : 優勝 By  Charalampos Kikidis 環境の王者、ボロスエネルギー。   《色めき立つ猛竜》《一つの指輪》とアドバンテージ源を失ったため、《ベイルマークの大主》《溌剌の牧羊犬、フィリア》を採用するマルドゥ型が日本では流行の兆しを見せていました。 ボロスエネルギーは新たなアドバンテージ源を採用することなく、よりアグロ方面に舵を切っており、1マナ域として《敏捷なこそ泥、ラガバン》が追加されています。 《オークの弓使い》が環境からいなくなったことで、《敏捷なこそ泥、ラガバン》は以前よりも強いカードとなりました。《魂の導き手》で強化してしまえば、中盤以降もダメージを通すことが可能なので、エネルギーに入っている《敏捷なこそ泥、ラガバン》は強力です。 MOCSに持ち込まれたボロスエネルギーで最も特徴的だったのは、メインから採用されている《スレイベンの魔除け》でしょう。除去枠に入っているこのカードは、除去として使うには2マナと少し重いですが、重要なのは墓地対策である点。 研磨ブリーチ・ディミーア眼魔、そしてボロスエネルギーにはそれぞれ墓地対策が有効なので、このカードのメイン採用は納得です。Andrei Klepatch選手に至っては《外科的摘出》まで採用しており、墓地に対する意識の高さがうかがえますね。 エネルギー同型でも一方的に《火の怒りのタイタン、フレージ》を抜いてしまえば勝てる可能性は非常に高く、腐るマッチはさほどありません。とはいえ、能動的なアクションではなく、デッキに決してあっているとは言えないので、メインに入れるには1枚が限界な気がしますが。 先ほどアドバンテージ源は採用していないと言ったものの、手札を入れ替える3マナ域のカードは入っています。《鏡割りの寓話》と《歴戦の紅蓮術士》で今回は分かれました。   《歴戦の紅蓮術士》は《ゴブリンの砲撃》と特に相性が良いカードで、手札が0枚の時は2ドローできるので手札がしっかり増えてくれます。これは《鏡割りの寓話》にはない魅力ですね。 一方の《鏡割りの寓話》は……最早説明不要ですね。第一章のトークンも強く、二章で手札を入れ替え、変身後も放置できない。相手に2枚の除去を強要させた上で不要なカードを有効牌に変えられる、1枚でアドバンテージを取れるカードです。 《歴戦の紅蓮術士》《鏡割りの寓話》のどちらが優れているか、結論を出すのは難しいでしょう。MOCSに出場するプレイヤーたちの中でも考えがまとまっていないほどですからね。   今回優勝したのは《鏡割りの寓話》を採用したリストでしたが、強いのは果たしてどちらなのか、これからのボロスエネルギーの進化にも注目ですね。 ディミーア眼魔 Magic Online Champions Showcase : 2位 By Matthew Wright 三強の最後の一つ、ディミーア眼魔。リストはほぼ固定化されてきており、《超能力蛙》《忌まわしき眼魔》は4枚固定、《濁浪の執政》は2枚~3枚、《海の先駆け》が2枚。ここまではほぼ固定です。 ……のはずですが、今回ご紹介しているMatthew Wright選手のリストは《忌まわしき眼魔》が3枚に押さえられており、とても独創的なリストとなっています。   その代わりに《オークの弓使い》が3枚採用されており、ボロスエネルギーの《オセロットの群れ》《敏捷なこそ泥、ラガバン》を除去しつつ、研磨ブリーチの《定業》《ミシュラのガラクタ》を使いにくくします。 《一つの指輪》の禁止によりドローするデッキが減り、《オークの弓使い》は少し弱くなりましたが、タフネス1のクリーチャー、とりわけ《敏捷なこそ泥、ラガバン》が増えるのであれば、再び《オークの弓使い》の出番というわけでしょう。 スペル枠はほぼ固定されており、1マナの打ち消し枠の《呪文嵌め》を2~3枚採用するリストがほとんどです。エネルギーの《ナカティルの最下層民、アジャニ》《ゴブリンの砲撃》、眼魔ミラーの《対抗呪文》《超能力蛙》、研磨ブリーチの《死の国からの脱出》《研磨基地》と、それぞれのデッキの強力なカードを消せることから、《呪文嵌め》は今重宝されています。 エネルギーの《火の怒りのタイタン、フレージ》が厳しいため、墓地対策がメインから採用されることも多く、《虚無の呪文爆弾》が入っている場合がほとんどです。《外科的摘出》を採用するリストもあり、この辺りの事情はエネルギーの墓地対策と同じですね。 墓地対策が増えてきていることを意識したのがMatthew Wright選手のディミーア眼魔です。   墓地がないと手札から唱えられない《忌まわしき眼魔》、そして墓地から吊り上げる《発掘》がいずれも3枚に押さえられており、それらの枠が《オークの弓使い》になっているので、墓地依存度が下がっています。 とはいえ、2ターン目に《発掘》で《忌まわしき眼魔》を釣るのはこのデッキ最大のブン回り。不利マッチも2ターン目の《忌まわしき眼魔》+《否定の力》などで勝ててしまうのもディミーア眼魔の強みなので、そこを犠牲にするべきかは悩みどころです。 墓地依存をどれだけ下げるか、そしてメインから墓地対策をどれぐらい採用するか、この辺りはディミーア眼魔の調整をする上で重要となるでしょう。

【今週のピックアップデッキ】グルール昂揚/シミック眼魔/焼却者バーン

週刊 Modern Pioneer Standard ピックアップ

2025.01.18

mtg Yuyan

こんにちは。 細川 侑也(@yuyan_mtg)です。 今週のピックアップデッキでは、ちょっと珍しいデッキを、軽い解説を交えて紹介していきます。         紹介デッキ グルール昂揚 シミック眼魔 焼却者バーン グルール昂揚 スタンダードリーグ : 5-0 By Edel スタンダードでグルールと言えば《心火の英雄》《多様な鼠》《熾火心の挑戦者》の強力な赤のハツカネズミたちを主軸に据えた赤アグロ。 このグルールもアグロデッキではありますが、《心火の英雄》《多様な鼠》《熾火心の挑戦者》の3種のハツカネズミはいずれも採用されていません。 このグルールは、その名の通り"昂揚"によって戦うデッキです。 マジックオンライン以外でも、関西でのリアルトーナメントでも活躍しており、プレミアム予選も突破している、今ホットなデッキ。 昂揚は、4種のカードタイプを墓地に揃えることで達成できます。条件が非常に厳しいため、昂揚になった際のボーナスは強力な場合が多く、このデッキには多くの昂揚ボーナスを持つカードたちが採用されています。 まずは1マナ3/3と破格のスタッツを持つ《継ぎ接ぎのけだもの》。昂揚状態でしか戦闘に参加できませんが、アップキープに切削を行えるので、昂揚を助けてくれます。自身がアーティファクトクリーチャーなので墓地に落ちた際の昂揚カウントにも便利。 下フォーマットでもお馴染みの《逸失への恐怖》は、昂揚で追加の戦闘フェイズを発生させる凄まじいカード。戦場に出た時にカードを捨てて引き、更にクリーチャー・エンチャントなので、昂揚の達成にも貢献します。 《野火の木人》は普通に出しても2マナ3/2速攻で、昂揚時は4/3トランプル。2マナ4/3速攻トランプルは下環境でも通用するスペックです。カカシなのでアーティファクトクリーチャーです。 そして《雑食性ハエトリグサ》。昂揚していると、戦場に出た時や攻撃時に+1/+1カウンターを2個割り振り、更に6種のカードタイプがある状態では乗せている+1/+1カウンターが倍になる、非常に攻撃的な植物です。 昂揚達成時の恐ろしさについてわかってもらえたところで、肝心の昂揚の満たし方についてもお話しましょう。   前述のようにエンチャントやアーティファクトでもあるクリーチャーたちがデッキには大量に入っているので、それらのクリーチャーを《陥没穴の偵察》の探検や《瓦礫帯の異端者》の諜報、《逸失への恐怖》のディスカードで墓地に落としていきます。 《脱走》はこのデッキだからこそ使える強力なスペル。2マナ以下の強力なクリーチャーが多いので、《脱走》で状況に応じて上6枚から選択して戦場に出すことができます。速攻のオマケがつくので、昂揚達成時に《逸失への恐怖》を出して、速攻を付けて他のクリーチャーをアンタップして再アタック、なんてことも。 昂揚さえ満たせればスタンダードとは思えない性能のクリーチャーたちで襲い掛かるこのグルール昂揚。普通のグルールに食傷気味の方はぜひお試しください。 シミック眼魔 パイオニアチャレンジ : 優勝 By  Tunaktunak 原根 健太さんが配信で開発し、直後にパイオニアチャレンジで入賞したのを皮切りに優勝・準優勝ととにかく勝ちまくっている、今激アツなデッキ。   その名の通り、このデッキは《忌まわしき眼魔》に特化している、眼魔による眼魔のための眼魔デッキです。《忌まわしき眼魔》を出す手段と《忌まわしき眼魔》を守るカードばかりでデッキは構成されています。 《忌まわしき眼魔》を出す手段は大きく2つ。1つは墓地を肥やして手札から出す。《ファラジの考古学者》《サテュロスの道探し》で墓地を肥やせますが、それ以外の切削カードは採用されていません。あくまで合法的に《忌まわしき眼魔》を召喚するのはサブプランです。 メインとなるのは、《新生化》によってデッキから直接場に出す方法です。   《新生化》は生け贄に捧げたクリーチャーよりマナ総量が1高いクリーチャーをデッキから場に出すことができます。 これにより、2マナクリーチャーを生け贄に捧げることで《忌まわしき眼魔》を場に出せるのです。 生け贄に捧げる2マナクリーチャーは《新生化》を手札に加える手段が3種採用されています。《ボーラスの占い師》《ファラジの考古学者》《稲妻罠の教練者》はすべて2マナでライブラリーの上3~4枚からインスタント・ソーサリーを1枚手札に加えられます。 2ターン目に《ボーラスの占い師》《ファラジの考古学者》《稲妻罠の教練者》で《新生化》を手札に加え、3ターン目に《新生化》で《忌まわしき眼魔》を呼び出しつつ、1マナを構えるのがシミック眼魔の勝ちパターンです。 《新生化》を防ぐために相手が2マナクリーチャーを除去してきても、2マナクリーチャーは14体も入っているので、次の2マナクリーチャーを用意すればいいだけです。こちらとしてはさほど痛手にはなりません。   《新生化》で《忌まわしき眼魔》を呼び出した後は、今度はこの《忌まわしき眼魔》を守るフェイズに突入します。   パワー4以上のクリーチャーをコントロールしていると《否認》になる強力な打ち消し、《頑固な否認》。《忌まわしき眼魔》を出す前提なら《否認》の上位互換です。 《タイヴァーの抵抗》は1マナで使えば呪禁と破壊不能を付与するインスタント。マナをつぎ込むことでパワーとタフネスにも修正を加えるので、フィニッシュ手段としても優秀です。 モダンの御霊でも採用実績のある《本質の変転》も《忌まわしき眼魔》を逃がせる1枚です。クリーチャーを追放して戦場に戻すので、たとえば戦慄予示で伏せてある《ファラジの考古学者》に《本質の変転》を打つと、表のまま戦場に出るので《ファラジの考古学者》の能力を誘発させられます。 このように3種の《忌まわしき眼魔》を守る手段はそれぞれ違うメリットを持っています。   《消えゆく希望》は優秀なバウンス呪文です。シミックカラーでは除去手段がほとんどないため、《消えゆく希望》による妨害は必須です。 バウンスを自分のクリーチャーに使えるのは《忌まわしき眼魔》のメリットです。戦慄予示で伏せた裏向きクリーチャーにバウンスを打つと自分の手札に戻るので、たとえば《頑固な否認》や《タイヴァーの抵抗》、必要であれば《新生化》を手札に戻せば、使用できるようになります。 戦慄予示で昂揚を達成すれば《ウルヴェンワルド横断》で《忌まわしき眼魔》をサーチしたりなど、様々な手段で《忌まわしき眼魔》を呼び出す、極限まで《忌まわしき眼魔》に特化したデッキ。《忌まわしき眼魔》をとにかく使い倒したいならこのデッキに決まりです! 焼却者バーン モダンリーグ : 5-0 By antonSN5 『ファウンデーションズ』で登場した《稲妻波》により、ついに《溶岩の撃ち込み》8枚体制となったバーン。 しかし、《火の怒りのタイタン、フレージ》《魂の導き手》の強力なライフゲインカードの存在でどうしても活躍できていないのが現状です。 そんなバーンファンの皆様に朗報!今回は新たな形のバーンがモダンリーグで5-0しました!! モダンの定番だったボロスカラーではなくなったのが今回の新たなバーン。2マナ4点の《ボロスの魔除け》すら排除し、デッキ内に入っている本体火力はすべて1マナになっています。 《稲妻波》《溶岩の撃ち込み》《稲妻》《裂け目の稲妻》《批判家刺殺》はすべて1マナの3点火力呪文で、ダメージ効率で言えば最高です。 唯一1マナ2点の《炎の印章》が入っている理由は……この後明らかになります。 2マナの火力は厳選されており、《焼尽の猛火》のみとなっています。上陸しているとクリーチャーとプレイヤーに3点ずつを与えられる火力なので、2マナ6点相当とすさまじい性能です。クリーチャーとのダメージレースになりやすいバーンデッキでは、クリーチャーを焼きつつプレイヤーにもダメージを与えられる《焼尽の猛火》は貴重で、2マナを支払う価値があります。 《乱動する渦》は直接火力ではありませんが、アップキープにプレイヤーに1点のダメージを与えるエンチャント。それだけでなく、呪文を唱える際にマナが支払われていなかった場合に、そのプレイヤーに5点を与えます。《モックス・アンバー》や《ミシュラのガラクタ》のような0マナのカードを唱えても5点を与えられますし、《否定の力》などのピッチ呪文、続唱でめくれた呪文、《孤独》などにも反応して5点のダメージを与えてくれます。 さて、クリーチャーたちも見ていきましょう。まずは《玉虫色の蔦打ち》です。 上陸するたびに対戦相手に1点のダメージを与えるトカゲ。フェッチランドで2点のダメージを与えられ、新生していると2体になるのでフェッチランドが4点火力になってくれます。   これだけでは《ゴブリンの先達》《僧院の速槍》といったバーン定番の1マナ域より弱そうですが、もう1体のクリーチャーがこの《玉虫色の蔦打ち》と噛み合うカード。 それこそが焼却者バーンの主役、《チャンドラの焼却者》です! 6マナ6/6とバーンにとても入るとは思えない重さのクリーチャーですが、安心してください。このクリーチャーは実質1マナ6/6です!   このターンに対戦相手が受けた戦闘以外のダメージ1点につきコストが(1)軽くなるので、たとえば相手が《稲妻》で3点を受けていた場合は3マナになります。 ここで《炎の印章》がなぜデッキに入っているかが明らかとなりましたね。《炎の印章》を1ターン目に置き、2ターン目に《稲妻》を本体に打ち、その後《炎の印章》を生け贄にすると、このターンに相手が5点のダメージを受けているので、《チャンドラの焼却者》が1マナになります。《チャンドラの焼却者》のコストを軽くするには1ターンで相手がたくさんのダメージを受けなければならないので、《炎の印章》は相性が良いのです。 《裂け目の稲妻》もマナを払った次のターンに待機が明けてダメージが入るので、《チャンドラの焼却者》と相性が良いカードです。 先ほど紹介した《玉虫色の蔦打ち》もまた、《チャンドラの焼却者》の2ターン目キャストに貢献します。1ターン目に出しておき、2ターン目にフェッチランドを起動すれば2点が入るので、後3点を与えれば2ターン目に6/6を出せるというわけです。 しかも《チャンドラの焼却者》はただサイズが大きいだけではありません。《チャンドラの焼却者》が戦場にいると、プレイヤーに非戦闘ダメージが入った時に、そのプレイヤーがコントロールしているクリーチャーやプレインズウォーカーに同じ点数のダメージを与えられます。《稲妻》はもちろん、クリーチャーに打てない《溶岩の撃ち込み》なども《焼尽の猛火》になってくれるのです。 2ターン目《チャンドラの焼却者》のブン回りは病みつきになるかもしれませんよ。

【週刊メタゲーム通信】最新のモダンは眼魔・ブリーチ・エネルギーの三強時代に突入!

週刊 ピックアップ

2025.01.14

mtg Yuyan

こんにちは。 細川 侑也(@yuyan_mtg)です。 今回は、マジックオンラインの結果やモダンの大型大会から、最新のモダンのデッキをご紹介していきます!         紹介デッキ ディミーア眼魔 ティムールブリーチ マルドゥエネルギー ディミーア眼魔 モダンチャレンジ : 2位 By TSPJendrek 今やエネルギーと並んでモダンにおける二強の一角となったディミーア眼魔。 《致命的な一押し》《対抗呪文》で相手の攻め手を妨害しながら、《超能力蛙》《忌まわしき眼魔》を展開し、速やかに相手のライフを削りきるデッキです。 リソースを稼ぐカードは《超能力蛙》しか入っていないため、コントロールというよりはクロックパーミッションに近いデッキです。 レガシーでは禁止されてしまった《超能力蛙》。当然モダンでもその力は脅威的で、今モダンで一番強いカードと言っても過言ではありません。手札からカードを捨てるだけで強くなり、攻撃が通れば1ドロー。更には飛行を付与するオマケと、《サイカトグ》のリメイクにしてはやりすぎです。 そんな《超能力蛙》と相性の良いクリーチャーが《忌まわしき眼魔》。スタンダードやパイオニア、そしてレガシーでも姿を見かけるカードですが、最初に注目されたのはモダンでした。《忌まわしき眼魔》を墓地に送って《発掘》で釣り上げるのがこのディミーア眼魔の勝ちムーブの1つであり、《超能力蛙》で手札から墓地に送り込むことができます。 《忌まわしき眼魔》を直接ライブラリーから墓地に送る手段として《思考掃き》と《考慮》も採用されています。これらの墓地を肥やすキャントリップ呪文で手札から《忌まわしき眼魔》を出すためのコストを支払うことも可能ですし、《濁浪の執政》のキャストにもつなげられます。 探査で召喚する《濁浪の執政》と《忌まわしき眼魔》、一見すると相性の悪い2枚ですが、実はそんなことはありません。 《忌まわしき眼魔》の戦慄予示で1枚が墓地に送られ、もう1枚が場に出ます。そのカードが除去られれば墓地は増えていきますし、《忌まわしき眼魔》が生き残れば毎ターン墓地が勝手に肥えていきます。《忌まわしき眼魔》で墓地が0枚になっても瞬く間に《濁浪の執政》が出てくるのです。 《濁浪の執政》を出した後に《忌まわしき眼魔》を唱えるのは少し大変ですが。 非常に速いデッキなので、手札を増やす手段が《超能力蛙》しかないにも関わらず、《否定の力》が大量に採用されています。《超能力蛙》《忌まわしき眼魔》《濁浪の執政》は打点が非常に高く、これらを展開して次のターンに勝てるようにしつつ、《否定の力》を構えることが多いためです。 《知りたがりの学徒、タミヨウ》の採用は珍しいですが、これは追加のリソース獲得手段なのでしょう。《思考掃き》《考慮》があるので《知りたがりの学徒、タミヨウ》の変身は比較的容易です。 《発掘》が手札に余る展開もあるので、なるべく釣れる対象は多い方が良いと考えての採用なのかもしれません。《知りたがりの学徒、タミヨウ》は攻める時は強いカードではありませんが、生き残るだけで手がかりを作っていき、変身すれば大きなプレッシャーになるので、単純なパワーカードです。 以前まではエネルギーに少し不利なデッキでしたが、《湧き出る源、ジェガンサ》《一つの指輪》《色めき立つ猛竜》の3種が禁止されたことによる弱体化で、今は良い戦いができるようになりました。その上でコンボデッキにめっぽう強いため、ディミーア眼魔は今モダンで最強のデッキの一角と言われています。 《超能力蛙》から《忌まわしき眼魔》を出して《対抗呪文》を構えたり、2ターン目に《忌まわしき眼魔》を出してそこから妨害連打など、青黒とは思えない速度でゲームに勝利することもあり、回っている時のディミーア眼魔は最強という言葉が実に相応しい。 モダンの大会に出るならば必ず意識しなければならない相手です! ティムールブリーチ モダンチャレンジ : 優勝 By  Slasher21 禁止改訂によって解禁された4枚の中で最も今活躍しているのは《オパールのモックス》でしょう!ティムールブリーチをトップメタまで押し上げてくれました。 ティムールブリーチは《死の国からの脱出》と《研磨基地》を使用したコンボデッキです。 《研磨基地》はアーティファクトを生け贄にすることで、自分か相手どちらかを3枚切削できるカード。これを使って0マナのアーティファクトを生け贄にし、自分に切削3を行います。 その後、《死の国からの脱出》を唱えて、墓地から今生け贄に捧げた0マナのアーティファクトを脱出コストでキャストします。これにより《研磨基地》がアンタップし、再度そのアーティファクトを生け贄に自分に切削し、その切削した3枚を超すとにアーティファクトを再び戦場に戻し……これで自分のライブラリーを0枚にできます。 最終的にはライブラリーが0枚になり、《タッサの神託者》を脱出で唱えて勝利となります。 生け贄にするアーティファクトが《モックス・アンバー》か《オパールのモックス》であればマナがどんどん増えていくので、フルタップで《研磨基地》と《死の国からの脱出》を唱えた場合でも瞬殺コンボに移ることができ、2マナと2マナによるコンボで、《研磨基地》側は事前に先に設置しておけるので、3ターンキル可能な非常に速いコンボデッキとなっています。 3ターンキル可能…どころか3ターンキル自体は割と安定しています。《邪悪鳴らし》は《死の国からの脱出》《研磨基地》にアクセスしつつ、落とし子を用意できるので、3ターン目に4マナの状況を簡単に作ってくれるのです。 それだけでなく、《死の国からの脱出》さえあれば《研磨基地》側は墓地から脱出で唱えても問題ありません。他にも墓地を肥やす手段はあり、《研磨基地》を墓地に送るのはさほど難しくないため、実質《死の国からの脱出》1枚コンボになっているのです。 《オパールのモックス》の登場によってこのデッキは2ターンキルも現実的となりました。1ターン目に《知りたがりの学徒、タミヨウ》をキャストして《モックス・アンバー》、《オパールのモックス》と置いて2ターン目に《知りたがりの学徒、タミヨウ》が殴って手がかりを出せば、《オパールのモックス》が金属術を達成するので4マナが用意でき、《死の国からの脱出》《研磨基地》で2ターンキルです。 ティムールブリーチの軸となっている《知りたがりの学徒、タミヨウ》《湖に潜む者、エムリー》は、《モックス・アンバー》と非常に相性の良いカード。いずれも1マナで唱えられる伝説のクリーチャーなので、早いターンから《モックス・アンバー》が《Mox Sapphire》になってくれるのです。 《知りたがりの学徒、タミヨウ》は攻撃して手がかりを出すため、《オパールのモックス》の金属術も助ける素晴らしいカード。コンボパーツを集めるために手がかりを生み出し続けても良いですし、変身して大マイナスを狙う展開も可能です。サイド後は墓地対策などヘイトカードを喰らうので、変身する機会は非常に多いです。 《湖に潜む者、エムリー》も器用なカード。墓地を4枚肥やしつつ、《ミシュラのガラクタ》などを戻して手札を増やしたり、《仕組まれた爆薬》《魂標ランタン》《上天の呪文爆弾》を使いまわして相手を妨害していきます。 この2種は絶対に放置できないクリーチャーなので、相手は除去を抜くことができません。それがこのデッキと戦いづらいポイント。《死の国からの脱出》《研磨基地》のコンボにクリーチャーは絡まないので、除去を抱えてキープして、始まったコンボを指を咥えてただ見ている…なんてことも。 コンボパーツを探せる《ウルザの物語》から出るトークンがとにかく大きいのもティムールブリーチの魅力。しかも2種のモックスによって2ターン目の起動も可能ですからね。サイド後は墓地対策を無視して構築物トークンで殴っていくことも多いです。 高速コンボにも関わらず複数のゲームプランが取れるティムールブリーチ。対策必須の強デッキです。 マルドゥエネルギー モダン神挑戦者決定戦 : 優勝 By 高橋 太朗 あれ?エネルギーは禁止改訂によって消えたはずでは…? 《湧き出る源、ジェガンサ》《一つの指輪》《色めき立つ猛竜》の3種を失ってもまだ強いエネルギー!そう、展開力とリソース確保、そして相棒を失っても、エネルギーの根幹は生き残っています。『モダンホライゾン3』がいかに恐ろしいセットだったかわかりますね。 エネルギーを稼ぎながらライフを得て、最終的には自軍クリーチャーに飛行と修正を与える《魂の導き手》。 その《魂の導き手》と相性の良い、トークンをどんどん生成していく《オセロットの群れ》。 1枚で2面展開するだけでなく、《ゴブリンの砲撃》との組み合わせで一撃でライフを削り取ることもある《ナカティルの最下層民、アジャニ》。 そして《栄光の闘技場》との組み合わせも強力な《火の怒りのタイタン、フレージ》。 この4種が使える以上、エネルギーというデッキが消えることはありません。 とはいえ、《色めき立つ猛竜》の禁止により、エネルギー要素はかなり減っています。デッキリストをよく見ると《魂の導き手》以外にエネルギーと書かれたカードは1枚も採用されていません。 以前までは4枚確定だった《電気放出》。1ターン目に除去しつつ、エネルギーを少し残せるので、2ターン目に《色めき立つ猛竜》を出した時に、3マナ以上のカードを唱えることが可能でした。 《色めき立つ猛竜》がなくなった今、エネルギーを使うことそのものが減ってしまったため、エネルギーを貯めることのバリューが減ったのです。《電気放出》は1マナで《濁浪の執政》を除去できる可能性のあるカードでしたが、《超能力蛙》を倒しづらい欠点もありました。決して1マナの万能除去というわけではなく、《色めき立つ猛竜》との相性などを加味して採用されていたのです。 《電気放出》が抜けたことで、エネルギーの維持が難しく、《静牢》も自然とデッキから抜けていきました。そこで最近では《岩への繋ぎ止め》の採用率が非常に上がっています。マルドゥでは《致命的な一押し》が使えますが、ボロスでは良い1マナ除去がないので、《岩への繋ぎ止め》が4枚投入されていることも。これによりディミーア眼魔のすべてのクリーチャーに触れるようになりました。 さて、今回モダン神挑戦者決定戦を制したリストで最も特徴的なのが《ベイルマークの大主》です。 大主サイクルの中ではスタンダードで最も姿を見ない《ベイルマークの大主》ですが、このデッキでは凄まじいリソース源となります。切削しながら墓地からカードを拾う2マナのカードと、モダンレベルではないように思えますが、その2マナのカードに5/5のサイズと、攻撃時の誘発のオマケもついてきたら話は別です。 それを可能にしているのが《溌剌の牧羊犬、フィリア》。攻撃時に兆候状態の《ベイルマークの大主》を追放すると、戻ってきた時には兆候が解けています。しかも追放領域から戻ってきた時にも切削と回収を行うので、攻撃もできれば3枚のカードを回収でき、《一つの指輪》級のリソースを獲得できます。 切削が嬉しいのもデッキと噛み合う部分。《火の怒りのタイタン、フレージ》が4枚採用されていますからね。《ベイルマークの大主》でクリーチャーを拾いつつ、《火の怒りのタイタン、フレージ》まで落ちれば、もうその時点で勝ったも同然です。 《ベイルマークの大主》と《溌剌の牧羊犬、フィリア》の組み合わせはマルドゥエネルギー以外でも、オルゾフブリンクなどで活躍しており、今後もよく見かけることになるでしょう。 《一つの指輪》を失ってからのエネルギーは、《スカルドの決戦》や《歴戦の紅蓮術士》など、様々なカードでリソースを稼ぐ努力をしてきましたが、マルドゥでは《ベイルマークの大主》が定番となるかもしれませんね。

【今週のピックアップデッキ】アゾリウス全知/マーフォーク/悟ブリンク

週刊 Modern Pioneer Standard ピックアップ

2025.01.10

mtg Yuyan

こんにちは。 細川 侑也(@yuyan_mtg)です。 今週のピックアップデッキでは、ちょっと珍しいデッキを、軽い解説を交えて紹介していきます。 アゾリウス全知(スタンダード) MOリーグ:5-0 By KidWar 『ファウンデーションズ』では《ラノワールのエルフ》をはじめ、様々な往年の名カードが再録されていますが、実はレガシーやパイオニアで現在も現役バリバリで稼働しているあのカードも収録され、スタンダードに帰ってきています。 そう、《全知》です。 手札から呪文をタダで唱えられるというエンチャント。そのマナコストは10マナと重いですが、マジックを遊戯王に変えるぐらいの能力なので当然です。 この《全知》を《アブエロの覚醒》で墓地から吊り上げるのがアゾリウス全知。最速4ターンキルも可能なデッキとなっています。 デッキのコンセプトは至って単純。《全知》を墓地に落とし、《アブエロの覚醒》で戦場に戻す。ただこれだけです。 墓地に落とす手段は実に豊富です。《ファラジの考古学者》《錠前破りのいたずら屋》はそれぞれカードを切削して《アブエロの覚醒》を手札に加えられるカードたち。その過程で《全知》を落とせます。 《決定的瞬間》《困惑の謎掛け》も同じく、《全知》を墓地に送りつつ《アブエロの覚醒》を手札に入れられるカード。《困惑の謎掛け》は打ち消し呪文としても運用できるので、相手の動きを見てモードを選択できて嬉しいですね。 手札に《全知》が来た場合も問題はありません。《航路の作成》で手札から直接墓地に落とせます。このデッキではリソースはさほど重要ではないため、強襲を達成してから《航路の作成》を打つと、後で引いてきた《全知》を捨てられずに困る場合があります。 《エファラの分散》はクリーチャーをバウンスしつつ、諜報2で《全知》を切削できるので、デッキと噛み合ったカードです。 これらのカードで《全知》を落とし、《アブエロの覚醒》で戦場に戻し、そこからどうやって勝利するのか。その手順をご紹介します。 1.《アブエロの覚醒》で《全知》を墓地から戦場に戻す。1/1の《全知》が戦場に出る。 2.《アルケヴィオスへの侵攻》を戦場に出してサイドボードから《機織りの季節》をサーチ。 3.《機織りの季節》を、1/1の《全知》をコピーしながら、トークンと土地以外をすべて手札に戻すモードで使用。 4.コピーの《全知》以外のすべての非土地パーマネントが手札に戻るので、先ほど唱えた《アルケヴィオスへの侵攻》を再キャスト。サイドボードから《肝冷やしの手》を手札に加える。 5.《肝冷やしの手》で《アルケヴィオスへの侵攻》を手札に戻して戦慄予示を行い、再び《アルケヴィオスへの侵攻》を出して墓地から《肝冷やしの手》を回収する。 6.《アルケヴィオスへの侵攻》が戦慄予示によって戦場に裏向きで出るまで、5を何度も繰り返す。 7.《肝冷やしの手》で2枚目の《アルケヴィオスへの侵攻》が戦慄予示で戦場に出たら、手札から《アルケヴィオスへの侵攻》を出し、墓地から《機織りの季節》を手札に。 8.《機織りの季節》を唱えて、戦慄予示の2/2をコピーしながら全バウンスモードを使用。コピーの2/2と《全知》以外のすべてのパーマネント(《アルケヴィオスへの侵攻》2枚を含む)が手札に戻る。 9.《機織りの季節》で2/2をコピーしながら全バウンスで《アルケヴィオスへの侵攻》が2枚手札に戻り、1枚目で好きなインスタント・ソーサリーを手札に加えつつ、2枚目で《機織りの季節》を回収して再度8を行うことで、無限に2/2を増やしながら、ライブラリー・墓地・サイドボードから任意のインスタント・ソーサリーを手札に加えられるようになる。 10.最終的に無限体の2/2を出して手札を4枚の《困惑の謎掛け》《否認》《失せろ》《エファラの分散》にしてターンエンド。相手のターンで7回の妨害を行い、無限体のトークンで攻撃して終了。 少し長いですが、このような手順で勝利となります。 《アブエロの覚醒》で釣った《全知》が1/1のクリーチャーになるので、《機織りの季節》でコピーを作り出せるというのがミソですね。最初は僕も全然コンボの方法がわからずに、MTGアリーナで画面と格闘していました。《機織りの季節》のテキストを2回読み直してようやく気付くことができましたが。 《全知》を遊戯王と表現しましたが、実際に《全知》が着地してからの勝利手順はまさに遊戯王と言わんばかり!マジックで遊戯王を楽しんでみたいならこのデッキで決まりです! マーフォーク(パイオニア) パイオニアチャレンジ:優勝 By claudioh マジック界随一の人気を誇る種族、マーフォーク。その歴史は非常に古く、黎明期から《アトランティスの王》は活躍していました。 レガシーではかつて最強と言われていて、モダンにおいても度々強化が入って騒がれているマーフォーク。美しいその容姿とは裏腹に、戦術は肉弾戦を得意としています。このギャップもマーフォークの魅力かもしれませんね。 すべてのマーフォークを+1/+1する《アトランティスの王》《ヴォーデイリアの呪詛抑え》《真珠三叉矛の達人》たちで盤面を強化し続けて相手のライフを一瞬で削りきる。これが下環境におけるマーフォークの戦略でしたが、パイオニアでのマーフォークは一味違います。 カラーリングはシミック。緑のカードは3種で、その内2枚はいずれも1マナ。 1マナ2/2の《クメーナの語り部》と、戦場に出た時に探検を行える《陥没穴の偵察》。いずれも非常に優秀なマーフォークなので納得です。 もう1種となるのが《キオーラの追随者》。他のパーマネントをアンタップできるので、一時的なマナ加速が可能なマーフォークなのですが、殴りに向いたクリーチャーではありません。 それならなぜこのカードが入っているのかというと、答えはクリーチャー以外の部分にあります。そう、《深根の巡礼》です。 トークンでないマーフォークがタップするたびに呪禁を持つマーフォークを生成するエンチャント。攻撃するたびにマーフォークを生成していくデザインのカードですが、これが《キオーラの追随者》と組み合わさることで恐ろしいコンボになります。 《キオーラの追随者》を2体出し、Aの能力でBをアンタップし、次にBでAを起こすと……無限にマーフォークをタップできるので、《深根の巡礼》で無限体のトークンを生成できるのです。 とはいっても《キオーラの追随者》が2体並ぶことなど稀。そこで採用されているのが《アガサの魂の大釜》です。 《アガサの魂の大釜》で《キオーラの追随者》を追放すると、+1/+1カウンターが乗ったすべてのクリーチャーが《キオーラの追随者》になるので、非常に簡単にコンボが決められるようになります。 《陥没穴の偵察》は探検でカウンターが乗れば能力が使えますし、《オラーズカの暴君、クメーナ》はすべてのマーフォークにカウンターを乗せられるので、《アガサの魂の大釜》との相性抜群です。 コンボを揃えるためのカードたちも優秀なメンバー揃いです。かつて禁止カードだった《密輸人の回転翼機》は《キオーラの追随者》を墓地に送りながら《アガサの魂の大釜》を引き込めるカードで、搭乗によってクリーチャーをタップできるので、《深根の巡礼》との相性も単純に良いですね。搭乗コストは1ですが、クリーチャー化した《密輸人の回転翼機》に更に搭乗することができるので、攻撃せずに毎ターン、トークンでないマーフォークの数だけ1/1の呪禁を生成可能です。 そして《上げ潮、キオーラ》。こちらは2枚引いて2枚捨てるので効率よくコンボパーツを揃えられますし、《密輸人の回転翼機》《陥没穴の偵察》の探検と組み合わせてスレッショルドを達成すれば、破格のボーナスも得られます。 《上げ潮、キオーラ》による攻撃や《深根の巡礼》+《密輸人の回転翼機》のトークン生成からの《オラーズカの暴君、クメーナ》全体強化と、決してコンボ一辺倒ではないのがパイオニアのマーフォークの魅力。コンボを揃えるカードが非常に強力なのが頼もしいですね。 美しい魚たちが織り成す無限コンボをぜひ一度体感してみてください。 悟ブリンク(モダン) モダンリーグ:5-0 By DB_DackFayden7 クリーチャーを一時的に追放して戦場に戻す能力のことを、マジックでは「ブリンク」と呼ばれています。 《一瞬の瞬き》の英語名、Momentary Blinkに由来し、同じような能力のカード、たとえばこのデッキに採用されている《儚い存在》がブリンクと呼ばれることもあれば、ブリンクカードを駆使したデッキをブリンクと名付けることもあります。 クリーチャーを一瞬だけ追放して戦場に戻す。この一見意味のない能力は、相手が打ってきた除去を回避する役目もありますが、一番の目的はなんといっても、戦場に出た時の能力をブリンクによって何度も誘発させることです。 この悟ブリンクも、実に様々な方法でブリンクを起こし、活用していきます。 まずデッキ名になっている《潜入者、悟》。自身や他のトークンでないクリーチャーが唱えられずに戦場に出た時にドローできる能力を持っています。クリーチャーがブリンクすると1枚引ける、このデッキにとっては凄まじいドローエンジンなのです。さすがデッキ名を冠するだけあります。 ブリンクする方法は様々ですが、まずは先ほども少し名前の出た《儚い存在》。反復がついているので1枚で2回のブリンクを起こすことができ、《潜入者、悟》でお手軽2ドローです。しかもブリンクするクリーチャーも何かしらのアドバンテージをもたらすので、1枚で4枚分の得ができる、アンリコ超えの性能! 《溌剌の牧羊犬、フィリア》は最近ではボロスエネルギーにも入り始めているブリンク犬。相手のパーマネントを選ぶこともできますが、自分のパーマネントをブリンクすると《溌剌の牧羊犬、フィリア》自身が強くなるオマケつき。一時的に相手のブロッカーを排除して攻撃を通すなど、器用なブリンククリーチャー。 元祖ブリンククリーチャーである《ちらつき鬼火》も採用されています。《溌剌の牧羊犬、フィリア》と違い、戦場に出た時のみなので使い切りではありますが、自身が3/1飛行とまずまずのスタッツ。《溌剌の牧羊犬、フィリア》で《ちらつき鬼火》を追放して、《ちらつき鬼火》で他のカードを追放して……と追放リレーをしていくと、《潜入者、悟》で毎ターン大量のカードをドローできます。 ブリンク先となるカードもどれも強力。《ベイルマークの大主》は兆候で唱えてブリンクすることでただのクリーチャーとして戦場に戻ってくるので、ブリンクとの相性が非常に良いカードです。戦場に出て1枚、ブリンクして1枚なので、2枚を回収しながら次のターンから早速攻撃し、更にクリーチャーを回収します。 想起+ブリンクの恐ろしさは《悲嘆》で皆さんご存じですよね。《孤独》を想起で唱えてブリンクすることで、2体のクリーチャーを除去しながら、《孤独》を戦場に着地させられます。《溌剌の牧羊犬、フィリア》では想起状態の孤独をブリンクできませんが、《儚い存在》か、《霊気の薬瓶》から出す《ちらつき鬼火》であれば、想起で唱えた《孤独》を即ブリンクしてクリーチャーとして戦場に出せます。 面白いのが《骨の皇帝》。エスパー御霊などでもおなじみのリアニメイトクリーチャーですが、このデッキでは順応して釣り上げたクリーチャーをブリンクしたり、順応済みの《骨の皇帝》をブリンクしてもう一度順応し直すなど、いろいろな使い道があります。 《骨の皇帝》で《溌剌の牧羊犬、フィリア》をリアニメイトして即攻撃し、順応した《骨の皇帝》を元に戻す、なんてことも。 本来であればリアニメイトしたクリーチャーは終了ステップに生け贄に捧げなければなりませんが、このデッキには大量のブリンクカードが入っているので、最終カウンターもなくなり、墓地から蘇ったクリーチャーは完全にリフレッシュして戦場に戻ってきます。 墓地を肥やす手段としては《ベイルマークの大主》があるため、吊り上げには困らないでしょう。《ベイルマークの大主》を墓地から吊り上げて即攻撃して2回の切削&回収を行い、そこにブリンククリーチャーを見つければ、無限のリソースとなります。 この手のブリンクデッキは攻撃手段に乏しかったのですが、悟ブリンクは《溌剌の牧羊犬、フィリア》《骨の皇帝》など、それなりの攻撃を仕掛けながら、《潜入者、悟》《ベイルマークの大主》でアドバンテージを取っていくので、ただ手札が肥えていくだけのデッキではありません。悠長に構えているとあっという間にゲームに敗北してしまうでしょう。 《霊気の薬瓶》が1ターン目に出てきた時のスピードと展開力は目を見張るものがあります。ブリンクがお好きな方にピッタリのデッキです!

【週刊メタゲーム通信】グルール力線が1453名の頂点に立つ!ディミーアも新たに進化

週刊 Standard ピックアップ

2025.01.07

mtg Yuyan

こんにちは。 細川 侑也(@yuyan_mtg)です。 新年、あけましておめでとうございます!今年もGOOD GAME メディアをよろしくお願いいたします。 今回は新年から早速行われたMagic Spotlight: Foundationsの結果から、最新のスタンダードのデッキをご紹介していきます! グルール力線 Magic Spotlight: Foundations : 優勝 By Nicholas Odenheimer 新たに2025年から始まったトーナメント、Magic Spotlight。トップ8進出者にプロツアーの権利が付与される、誰でも参加できる賞金制トーナメントと、かつてのグランプリを彷彿とさせる本大会。その記念すべき第1回目を制したのはグルールアグロ……ですが、ただのグルールではありません。《残響の力線》を採用したタイプのグルールです。《残響の力線》について改めておさらいしましょう。この力線は、1体だけを対象とするインスタントやソーサリーを自分が唱えた時に、それをコピーすることができます。《巨怪の怒り》や《裏の裏まで》が倍になるという、単純明快で強力なカードですね。力線サイクルは《神聖の力線》や《虚空の力線》など、特定のデッキの対策としてサイドボードに入るものが多かったですが、《残響の力線》はデッキの軸となる力線で、しかも複数枚並べた時にしっかりと意味がある優れもの。2枚貼ればコピーも追加で1つ発生するので、初手に2枚あると片方が腐り、実質手札が1枚減ってしまう状態になりがちな他の力線とは一味違います。しかも《残響の力線》はカードをコピーできる能力なので、自分のクリーチャーを対象に取るカードの性能が倍になります。つまり初手に《巨怪の怒り》と《裏の裏まで》を持っていれば、それが《残響の力線》によってカード4枚分の価値となるので、《残響の力線》は"リソースを失わない力線"であり、マリガンで積極的に《残響の力線》を探しにいく行為も肯定されるのです。この強力な《残響の力線》を主軸に据えるのが、グルール力線。クリーチャーのラインナップも通常のグルールと異なっています。まずは《騒音の悪獣》。自身の死亡時にパワー分のダメージを与えられるクリーチャーで、《心火の英雄》と違いプレイヤー以外にも飛ばせます。その代わりに雄姿で成長しないという可愛いヤツなのですが、《残響の力線》で《裏の裏まで》や《巨怪の怒り》をコピーするこのデッキでは恐ろしい1マナ域に変貌します。《残響の力線》を着地させれば最速2ターンキルも狙えるこのデッキにとって《騒音の悪獣》は重要なパーツ。《心火の英雄》と違い能動的に生け贄にできるので、《残響の力線》を置いて1ターン目に《騒音の悪獣》、2ターン目に攻撃して《裏の裏まで》+《巨怪の怒り》で3+3+2+2+1修正が入り、パワー12+死亡時の12点で2ターンキルできます。これは《心火の英雄》にはないメリットです。《無感情の売剣》はパイオニアではお馴染みですが、スタンダードの赤アグロからは抜けたカード。しかし《残響の力線》でクリーチャーを強化するこのデッキではしっかり活躍してくれます。《残響の力線》を置いて《心火の英雄》、2ターン目に《裏の裏まで》+出来事の《合同火葬》で24点ダメージで、《心火の英雄》による2ターンキルに貢献します。グルール力線では《巨怪の怒り》を超えるカードになる《裏の裏まで》。修正値が高いのはもちろんのこと、魅力的なのは死亡時に戦慄予示する能力です。《残響の力線》はここまでしっかりコピーしてくれるので、《心火の英雄》や《騒音の悪獣》をとりあえず突っ込ませて《裏の裏まで》で相打ちを取り、追加のクリーチャーを2体並べられます。珍しい採用カードは《過剰防衛》でしょうか。2マナと他のパンプアップスペルより重いですが、その効果は強力で、+3/+3修正にトランプル・呪禁・破壊不能とほしい能力全盛り!強い《蛇皮のヴェール》としても使えますし、《巨怪の怒り》のようにダメージを通す目的でも打てる、便利なスペルですね。赤アグロ自体はかなり意識されており、どのデッキもメインから大量に除去を採用しているのが現在のスタンダード環境。除去の多いメタゲームではグルール力線は苦戦を強いられることが予想されますが、それでも圧倒的な強さを見せつけて見事Magic Spotlight: Foundationsの初代チャンピオンに輝きました。グルール力線、そのポテンシャルを見誤っていたのかもしれません。アグロが対策されている環境でも回ってしまえばすべてを粉砕する、それほどの強さがこのグルール力線にはあるのでしょうか。そう思わざるを得ないパフォーマンスでした。 ディミーアセルフバウンス Magic Spotlight: Foundations : 2位 By  Scott McNamara 今大会で台風の目となったのはこのディミーアセルフバウンス。最近急激にその勢力を伸ばしてきているエスパーピクシーのようにバウンスシナジーを用いることからこの名前が付きました。《孤立への恐怖》と《この町は狭すぎる》の8枚のバウンスで《嵐追いの才能》《望み無き悪夢》《逃げ場なし》を戻してアドバンテージを稼いでいくこのデッキ。エスパーカラーにすることで《養育するピクシー》《呑気な物漁り》が加わり、更にシナジーが強くなりますが、その分マナベースに大きな負担をかけてしまいます。ディミーアなら《地底の大河》4枚で痛い土地は済みますし、《魂石の聖域》《不穏な浅瀬》とクリーチャーになる土地たちを採用でき、マナフラッドに対して耐性を作れます。色を減らしたからといってデッキパワーが落ちるわけではなありません。エスパーとディミーアの違いでもう1つ特筆すべき点があるとすれば、《永劫の好奇心》の採用です。 エスパーは《金属海の沿岸》《闇滑りの岸》《秘密の中庭》3種のファストランドがフル投入されているため、4ターン目以降にタップインが続きがちです。しかし、ディミーアは《闇滑りの岸》のみなので、4マナ目が4ターン目に出る確率が高い。そこで《永劫の好奇心》を採用できるようになりました。バウンスシナジーが弱くなった代わりに単体のカードパワーが高くなったのがこのディミーアセルフバウンス、という見方もできますね。《悪夢滅ぼし、魁渡》も実はセルフバウンスカード。《孤立への恐怖》《フラッドピットの溺れさせ》《遠眼鏡のセイレーン》はどれを戻しても得をするカードで、実に忍術しがいがあります。《呑気な物漁り》と《養育するピクシー》がないことで、戦場に出た時に効果を発揮するエンチャントのバリューは少し下がっています。そのため、《望み無き悪夢》は3枚採用にとどめられており、今後はもしかするともっと減っていったり、あるいは0枚になるかもしれません。エスパーピクシーは《悪意ある呪詛術士》《呑気な物漁り》《養育するピクシー》によって1ターン目から殴り、《望み無き悪夢》を何度も戻してライフを削りきるビートダウンデッキでした。一方のディミーアセルフバウンスは序盤から大量のライフを削る手段はさほどなく、除去を何度も使いまわして盤面を掌握し、《永劫の好奇心》でアドバンテージを稼いでいく、ミッドレンジ系のデッキです。そのため、《望み無き悪夢》はあまりデッキとは合っていないカードなのです。しかも最近はエスパーピクシーの隆盛で《萎れ葉のしもべ》や《強情なベイロス》が流行り始めています。ちなみに僕も先日《望み無き悪夢》を1ターン目に出したら《萎れ葉のしもべ》を出されて卒倒しました。ディミーアセルフバウンス自体はかなり強いデッキで、今後トーナメントで活躍していくことはほぼ間違いないと思われます。軽いカードで構成されたミッドレンジは難しい傾向にあるので、今の内から練習してみてはいかがでしょうか? アゾリウスアグロ Magic Spotlight: Foundations : 6位 By Zhao Li これまでのアゾリウスアグロの定番は《生命ある象形》を採用したアーティファクト型でしたが、今回のアゾリウスアグロは純粋にクリーチャーで殴るシンプルな構成。ですが、この形が最も赤アグロとディミーアミッドレンジに強いと僕は考えています。デッキの主軸となるのはどのアゾリウスでも共通で《威厳あるバニコーン》。土地でないパーマネントの数だけサイズが上がるので、手がかりや地図でも大きくなり、3ターン目に5/5や6/6で攻撃していくことができます。《ひよっこ捜査員》は手がかりを、《遠眼鏡のセイレーン》は地図をせっせと作り、《マネドリ》がそれらをコピーして更にトークンを生み、《威厳あるバニコーン》を大きくしたり、《内なる空の管理人》の成長にあてていきます。個々で強いカードたちが織り成すシナジーは見ていて美しいものがありますね。このアーティファクトたちに《生命ある象形》をつけていくのがこれまでのアゾリウスアグロでしたが、このリストでは《永劫の好奇心》を4枚採用しており、これがディミーアミッドレンジを食い続けた理由になっています。除去を打ち続けて《永劫の好奇心》でアドバンテージを取って勝利するのがでぃミーアミッドレンジなので、相手の《永劫の好奇心》がとにかく重く、除去を上回る物量を展開されてしまうとなすすべがありません。3マナ域に採用しているクリーチャー群は《永劫の好奇心》と相性の良い、横に並べるクリーチャー。《血滾りの福音者》は自身が攻撃すると全体強化を行い、《フェイ花のいたずら》は妨害しながら飛行を2体並べられるインスタント。いずれも《永劫の好奇心》の前のターンに出すには最高のカードです。《鋼の熾天使》は最近少し評価が落ちたカード。このリストでも2枚に押さえられています。なぜそうなってしまったかというと、現環境の黒除去が《喉首狙い》から《逃げ場なし》になったからです。本来であれば最も強いのは《喉首狙い》で、実際これまでは最も優先されていましたが、エスパーピクシーとディミーアセルフバウンスではエンチャントを使いまわせるため、《逃げ場なし》がまず4枚、その上から《喉首狙い》が少し入るようになりました。《喉首狙い》が当たらないという除去耐性が魅力の1つだった《鋼の熾天使》は黒系に対してその価値を落としてしまったのです。とはいえ、《威厳あるバニコーン》に絆魂をつけて攻撃する動きは対赤アグロでは強力。2枚に減りはしましたが、まだまだ活躍できます。アゾリウスアグロは《威厳あるバニコーン》+《幽霊による庇護》というわかりやすいゴールが対赤アグロにある他、クリーチャーを並べて《永劫の好奇心》でディミーアミッドレンジにも強く、流行のデッキたちに対してある程度有利に立ち回れます。一方、アゾリウス眼魔やジェスカイ召集などのデッキたちには不利なので、フィールドに適していればとことん勝ち、そうでなければトーナメントから早々撤退することになるでしょう。これから数が増えていってもなんら不思議ではない、強力なデッキだと思います!《幽霊による庇護》を一番強く使うならこのデッキですね。

【週刊メタゲーム通信】禁止改訂後の地域CS予選を制したのはまさかのエネルギー!?

週刊 Modern

2024.12.24

mtg Yuyan

こんにちは。 細川 侑也(@yuyan_mtg)です。 今週は禁止改訂後、初となるモダンによる地域チャンピオンシップ予選の結果から、最新のモダン環境のデッキを紹介していきます。 ボロスエネルギー Modern Qualifier : 優勝 By A_Turtle 4枚のカードが解禁され、エネルギーに大きなメスの入った禁止改訂。その後に初めて行われたモダンによるチャンピオンシップ予選を見事制したのは……なんとボロスエネルギーでした!当然、解禁された4種のカードは採用されていません。《色めき立つ猛竜》《一つの指輪》《湧き出る源、ジェガンサ》の3種の必須カードを失っても競技トーナメントで優勝してしまうとは……恐ろしい。《色めき立つ猛竜》を失ったスロットに採用されているのは《溌剌の牧羊犬、フィリア》。攻撃時の能力で相手のブロッカーを排除したり、自分のクリーチャーを追放することで能力を再誘発させるのにも便利です。《ナカティルの最下層民、アジャニ》のトークンが増えるだけでも強力ですね。そしてその《溌剌の牧羊犬、フィリア》と噛み合うのが《歴戦の紅蓮術士》。《一つの指輪》《色めき立つ猛竜》と2種のリソースカードが禁止になったことで、実は今、密かに話題となっているカードです。手札の《火の怒りのタイタン、フレージ》を捨てつつカードを引けるので、脱出に貢献しながらカードを引ける素晴らしいカード。《溌剌の牧羊犬、フィリア》で追放するとかなりお得です。《静牢》が0枚で代わりに《岩への繋ぎ止め》が採用されているのは、《色めき立つ猛竜》が禁止なった影響かもしれません。現在のボロスエネルギーはエネルギーを貯める方法が《魂の導き手》《電気放出》のみとなっており、《静牢》に支払うエネルギーが重く感じる場面も増えるでしょう。先手2ターン目の《超能力蛙》に対して《静牢》を置き、こちらの《魂の導き手》が除去され、エネルギーを支払えない……なんてシチュエーションが目に浮かびます。サイドボードは禁止改訂後をしっかりと見据えて《溶融》が採用されています。《オパールのモックス》を採用したデッキに対して突き刺さるので、赤いデッキのサイドボードの定番になりましたね。ディミーア眼魔が赤をタッチしている場合もあるほどです。《魔道士封じのトカゲ》はストーム対策の定番。これまでティムールブリーチには、《一つの指輪》を置かれてプロテクションで無効化されてコンボを決められたり、《一つの指輪》で引いたカードで除去を喰らい、まともな対策カードとして機能しませんでしたが、《一つの指輪》の禁止により価値が上がりました。ルビーストームとブリーチコンボはどちらもエネルギーが苦手としているデッキなので、4枚採用も納得です。禁止改訂によってエネルギーは大幅な弱体化を強いられましたが、《一つの指輪》の禁止はむしろエネルギーにとっては追い風でした。エネルギーは自分で《一つの指輪》を使ってはいましたが、相手の《一つの指輪》に対してほとんど無抵抗だったのは、大きな弱点でした。《一つの指輪》禁止によって多くのデッキとの相性が改善されたため、むしろ《一つの指輪》の禁止はエネルギーにとってプラスに作用しているのです。禁止改訂ですべてを失ったかのように思われたボロスエネルギーが、見事予選を勝ち抜いたのでした。 ジェスカイコントロール Modern Qualifier : 8位 By  Viatt 《一つの指輪》を失ったデッキはモダンに数多くありますが、その中でも最も致命的だと思われていたのがコントロールデッキ。《孤独》や《否定の力》などのピッチスペルでモダンの理不尽な攻めをさばき、《一つの指輪》で延命しながらリソースを回復するのが最近のコントロールデッキでした。その中核を担う《一つの指輪》の禁止で、最早モダンにおいてコントロールデッキは成立しないのでは?と言われていたほどです。しかし、ジェスカイコントロールが本トーナメントで入賞し、コントロール使いたちを安心させました。《一つの指輪》によって無限のリソースを得ることができなくなったので、ピッチ呪文は《否定の力》のみになりました。ズルいことができなくなったので、まっとうにマナを支払って盤面をコントロールするようになったのです。アドバンテージ源は《アノールの焔》。ウィザードがいることで除去しつつ2ドローできる便利なインスタントで、肝心のウィザードは《瞬唱の魔道士》《知りたがりの学徒、タミヨウ》です。《瞬唱の魔道士》は《アノールの焔》をそのまま使い回すのが強力。もちろん《対抗呪文》になって打ち消すなど、その役割は無限大。このデッキのキーカードと言って良いでしょう。もう1人のウィザードである《知りたがりの学徒、タミヨウ》も《アノールの焔》と抜群の相性。3ターン目に《アノールの焔》を除去+2ドローで打ってそのまま《老練の学匠、タミヨウ》に変身させればウィンコンディションです。どちらのウィザードもアドバンテージを獲得できるので、《アノールの焔》とあわせて、《一つの指輪》を失った穴を埋めています。デッキが非常に軽いので《表現の反復》を採用できるのも面白いですね。コントロールで使う《表現の反復》は、土地を追放しつつ手札にスペルを入れるだけで、実質土地を並べながら手札を1枚増やすことしかできない場合が多く、あまり採用されていませんでした。このデッキならば強いカードを手札に入れながら《知りたがりの学徒、タミヨウ》展開や1マナ除去と動くことができます。これまではアドバンテージ獲得手段を《一つの指輪》に頼り切っていたので、打ち消しが入ったデッキを実は苦手としていました。その筆頭がディミーア眼魔です。除去で1対1交換を繰り返すのですが、最終的にこちらの手札を増やす手段である《一つの指輪》を狙い撃ちされ、《火の怒りのタイタン、フレージ》以外での勝ち目がない状態でした。しかし、現在は《知りたがりの学徒、タミヨウ》《瞬唱の魔道士》《アノールの焔》《表現の反復》と様々な手段で手札を増やせるので、《超能力蛙》《忌まわしき眼魔》を除去しながら、手札をしっかり補充できるようになりました。個人的にはこの形のジェスカイコントロールはディミーア眼魔に有利だと思っています。ディミーア眼魔側がジェスカイを意識し始めて《オークの弓使い》をメインに4枚採用することになったら、また話は変わってきそうですが。細かくアドバンテージを稼ぎながら、最終的に大量に溜まった墓地を喰らって何度も蘇る《火の怒りのタイタン、フレージ》がゲームを終わらせる動きは強力無比。モダンのコントロールはまだ死んでいません。それを結果が証明してくれました。 ティムールブリーチ Modern Qualifier : 7位 By Ale_Mtg ここまで禁止組の躍進を紹介してきたので、最後は解禁組の中で一番勢いのあるティムールブリーチを取り上げましょう。《死の国からの脱出》と《研磨基地》による無限コンボで勝利するティムールブリーチ。《知りたがりの学徒、タミヨウ》《湖に潜む者、エムリー》と強力な伝説クリーチャーを8枚使えるので、《モックス・アンバー》を採用することができ、爆発的な展開が可能でした。当然、《オパールのモックス》もデッキに加わります。《ミシュラのガラクタ》《モックス・アンバー》など0マナのアーティファクトが大量に入っているので、《オパールのモックス》が強く使えるデッキの1つです。《湖に潜む者、エムリー》で墓地から戻したり、《知りたがりの学徒、タミヨウ》で攻撃した際に出る手がかりもアーティファクトなので、金属術には事欠きません。《モックス・アンバー》《オパールのモックス》でモックス8枚体制となっているため、回った時の凄まじさはレガシーやヴィンテージに近いものがあります。1ターン目に《知りたがりの学徒、タミヨウ》から《モックス・アンバー》と《ミシュラのガラクタ》と《オパールのモックス》。2マナで《邪悪鳴らし》を打ち、次のターンに《死の国からの脱出》と《研磨基地》で2ターンキルなんてことも可能です。元々は《一つの指輪》が採用されていたデッキなので、禁止改訂による弱体化はしているのですが、《オパールのモックス》はそれを補って余りあるパフォーマンスを発揮してくれます。さて、コンボについて簡単におさらいしましょう。《研磨基地》はタップすることでカードを3枚切削できるアーティファクト。戦場にアーティファクトが出ることによりアンタップできます。そこに《死の国からの脱出》と0マナのアーティファクトが加わるとどうなるかというと……1.《研磨基地》で0マナアーティファクトを生け贄に捧げる。カードを3枚切削。2.《死の国からの脱出》で0マナアーティファクトを脱出で唱える。3.0マナアーティファクトが場に出たので《研磨基地》がアンタップする。4.再び《研磨基地》で0マナアーティファクトを生け贄に捧げ、1~3がループ。これによって自分のライブラリーが0枚になる。5.最終的にライブラリーが0枚の状態で《タッサの神託者》が出てきて勝利となります。従来のブリーチコンボは、《死の国からの脱出》と《研磨基地》によるコンボを決めた最後のフィニッシャーは《タッサの神託者》でした。これはコンボ時に浮くマナが青マナなため、最終的に青いカードでフィニッシュする必要があったからです。(0マナアーティファクトが《モックス・アンバー》だと、《知りたがりの学徒、タミヨウ》か《湖に潜む者、エムリー》がいる状態で青マナが出るので、1回《モックス・アンバー》を脱出するごとに青マナが浮きます)しかし、《オパールのモックス》が加わったことで、好きな色マナを出せるようになりました。そこでこのリストでは、コンボ以外に役に立たない《タッサの神託者》が抜け、《ぶどう弾》が採用されています。《ぶどう弾》ではストームが足りない可能性がある、と不安になる方もいるかもしれませんが、実際は墓地に落ちた《ぶどう弾》をもう1度脱出して唱えることができるため、相手が無限ライフなどでない限りは《ぶどう弾》で削れます。エネルギーなどに対しては除去としても優秀なので、《タッサの神託者》から《ぶどう弾》への変更は素晴らしいですね。このティムールブリーチコンボは《オパールのモックス》を使うデッキの中でも随一の爆発力を誇るデッキで、それゆえに《溶融》が流行してしまうほど。今後はサイドボード後の《溶融》といかにして戦うかが、ティムールブリーチの課題となりそうですね。

【今週のピックアップデッキ】エスパーピクシー/スゥルタイ眼魔/ディミーアアスモフード

週刊 Modern Pioneer Standard

2024.12.20

mtg Yuyan

こんにちは。 細川 侑也(@yuyan_mtg)です。 今週のピックアップデッキでは、ちょっと珍しいデッキを、軽い解説を交えて紹介していきます。 エスパーピクシー(スタンダード) MOリーグ:5-0 By Trellon 『ダスクモーン:戦慄の館』はエンチャントがメインのセット。そこで生まれたアゾリウスエンチャントは環境初期に活躍し、今でもその姿をトーナメント上位で見かけます。そんなアゾリウスエンチャントとは一線を画した新たなエンチャントデッキが、このエスパーピクシー。デッキ名になっている《養育するピクシー》はもちろんエスパーピクシーの主役。土地かフェアリーでないパーマネントを戻すことで1マナ2/2飛行になるピクシーを活かしたデッキです。どう活かすのか。それはもちろん戦場に出た時に恩恵をもたらすエンチャントとの組み合わせです。《望み無き悪夢》や《嵐追いの才能》、《チビボネの加入》などを使い回し、アドバンテージを得ていきます。エンチャントを出し直すので、違和感を持つカードとの相性は抜群です。《呑気な物漁り》を何度も誘発させることができ、序盤に出していた《養育するピクシー》がどんどん大きくなり、あっという間に対戦相手のライフを削り取ります。《孤立への恐怖》はこのデッキに欠かせない存在です。自身がエンチャントなので違和感を誘発させつつ、先ほど紹介した、戦場に出た時に効果を発揮するカードを戻します。戻すカードと言えばもちろん《この町は狭すぎる》も採用されています。もはや《嵐追いの才能》と《この町は狭すぎる》はセットになりましたね。レベル2で《この町は狭すぎる》を回収して《嵐追いの才能》に打ち、再び唱え直してレベル2にで《この町は狭すぎる》……とこのようにループを形成できます。《この町は狭すぎる》は自分のパーマネントも2枚戻すことができますが、このデッキでは特にその使い方が多そうです。《望み無き悪夢》と《チビボネの加入》を戻して出し直すだけで相手は嫌な顔をすること間違いなし。赤アグロに必殺の《幽霊による庇護》もメインから4枚採用されており、殺意を感じます。普通のエンチャントデッキに飽きてしまった方には特におすすめです! スゥルタイ眼魔(パイオニア) MOリーグ:5-0 By sloth_thopterist 《叫ぶ宿敵》や《悪夢滅ぼし、魁渡》に《ホーントウッドの大主》など、スタンダードやパイオニアで大活躍するカードが多数収録されている『ダスクモーン:戦慄の館』。その中でも最も広い環境で使われているカードと言えば《忌まわしき眼魔》ではないでしょうか。モダンでは《濁浪の執政》より優先して採用されるようになり、ディミーア眼魔というアーキタイプが生まれ、スタンダードでは《僧院の導師》を押しのけてアゾリウスメンターをアゾリウス眼魔に改名させました。そんな《忌まわしき眼魔》が主役となるスゥルタイ眼魔。他のデッキが《忌まわしき眼魔》を《救いの手》や《発掘》でリアニメイトするのに対し、このデッキでは手札から普通に唱えるのが基本です。《忌まわしき眼魔》は6枚の墓地を必要とするので、切削カードが大量に入っています。《サテュロスの道探し》、《アーボーグのルアゴイフ》で墓地を肥やし、《忌まわしき眼魔》へと繋げていきます。《上げ潮、キオーラ》は墓地を肥やしながらスレッショルド達成時には大きな恩恵を受けられるクリーチャー。《ラノワールのエルフ》《エルフの神秘家》のマナクリ8枚体制なので、後半これらのカードが不要になり、その際にも《上げ潮、キオーラ》は役に立ちます。もちろん《忌まわしき眼魔》を踏み倒す手段もきちんとあります。まずは《集合した中隊》。デッキに入っているクリーチャーカードはすべて3マナ以下なので32枚のカードがヒットします。《集合した中隊》を強く使うためには「いかに強い3マナクリーチャーをたくさん採用するか」がカギとなりますが、《忌まわしき眼魔》《上げ潮、キオーラ》はいずれも申し分ない性能です。《ホーントウッドの金切り魔》もターン終了時に出てきた際は脅威ですね。そしてもう1つの踏み倒し手段が《異界の進化》。生け贄にしたクリーチャーのマナ総量+2までのクリーチャーをサーチできるソーサリーで、《ラノワールのエルフ》が《忌まわしき眼魔》に進化します。1ターン目に《ラノワールのエルフ》から2ターン目に《異界の進化》で《忌まわしき眼魔》と、2ターン目《忌まわしき眼魔》着地も容易です。かなりの脅威となること間違いなし。墓地を活用するデッキに見えますが、サイドから《安らかなる眠り》などを置かれても特に問題ないのがこのデッキの魅力。《異界の進化》と《集合した中隊》は関係ありませんからね。《墓掘りの檻》はこの2つが止まってヤバいですが、逆に墓地を肥やして手札から《忌まわしき眼魔》を出す分には関係ありません。様々な角度から攻められるデッキで、とても楽しそう!《忌まわしき眼魔》をパイオニアで使い倒したいならスゥルタイ眼魔で決まり! ディミーアアスモフード(モダン) モダンリーグ:5-0 By TBagTom モダンで解禁された4枚の禁止カードたち。その中でも最もインパクトがあるのは、やはり0マナで置けるマナ加速・モックスの1つ、《オパールのモックス》。アーティファクトが3つ戦場にあれば好きな色マナが出せる《オパールのモックス》は、レガシーやヴィンテージでも採用されることがあるほど強力なモックスです。そんな《オパールのモックス》は鱗親和やハンマータイムなど、アーティファクトを主体とするデッキに早速組み込まれ、モダンのトーナメントで活躍し始めています。本日ご紹介するのは《オパールのモックス》を使うデッキの中でも異質な存在、アスモフード。アスモフードの主役となるのは《アスモラノマルディカダイスティナカルダカール》。名前を覚えるのが最も困難なこの伝説のクリーチャーは、戦場に出た時に《地獄料理書》をサーチします。その《地獄料理書》は手札を捨てると食物トークンを生むアーティファクトで、その食物を2つ生け贄に捧げることで、《アスモラノマルディカダイスティナカルダカールル》の能力でクリーチャーに6点のダメージを飛ばすことができます。手札を失って食物を出す《地獄料理書》は単体ではさほど機能しませんが、《楕円競走の無謀者》とすさまじいシナジーを発揮します。《楕円競走の無謀者》はアーティファクトが戦場に出るたびに墓地から手札に戻ってくるカードなので、《地獄料理書》で《楕円競走の無謀者》を捨てると食物が出て、《楕円競走の無謀者》がそのまま手札に戻ってくるのです。つまり、《地獄料理書》で何も失うことなく食物を生成し続けられます。タダで食物を得られるエンジンが出来上がるとアスモフードの本番は始まります。《地獄料理書》が2枚あれば《アスモラノマルディカダイスティナカルダカール》で毎ターンクリーチャーを除去できますし、アーティファクトがたくさんあれば《河童の砲手》を1マナで出しつつ、毎ターン《地獄料理書》を起動するだけで《河童の砲手》が強くなっていきます。《地獄料理書》は《アスモラノマルディカダイスティナカルダカール》と《ウルザの物語》の2枚でサーチできるため、場に複数枚並べるのは難しくありません。《バシム・イブン・イスハーク》もアスモフードを支える1枚。歴史的な呪文、つまりアーティファクトか伝説のクリーチャーか英雄譚を唱えると、1ターンに1回1ドローできるので、デッキ内のほとんどのカードに反応してくれます。というか《バシム・イブン・イスハーク》でカードを引けないのは《楕円競走の無謀者》と《通りの悪霊》だけ。その他のすべてのスペルでドローできてしまうのです。《アスモラノマルディカダイスティナカルダカール》《楕円競走の無謀者》を引かないとリソースが削られていってしまうだけのデッキだったので、《バシム・イブン・イスハーク》の加入は大きく、これでデッキがグッと引き締まっています。先ほどご紹介した《河童の砲手》もアスモフードを強化してくれました。盤面では強いデッキである一方、早いクロックは《ウルザの物語》しかなかったので、それなりにゲームが長引いてしまうのが弱点でした。《河童の砲手》は超強力なアタッカーで、しかも《溶融》に巻き込まれないので、サイド後は特に活躍します。《湖に潜む者、エムリー》と《河童の砲手》は《溶融》に強いですし、《地獄料理書》は壊れてしまうものの、《アスモラノマルディカダイスティナカルダカール》《バシム・イブン・イスハーク》も《溶融》に巻き込まれないので、《オパールのモックス》を使うデッキの中で最も《溶融》耐性があるデッキかもしれません。アスモフードは一度手にすれば病みつきになるデッキ。もちろん僕もアスモフードファンの一人。このディミーアアスモフードも大好物です。ガチャガチャとカードを動かして勝つのが好きならたまらないデッキです。ピンと来た過多はぜひ回してみてください。

【今週のピックアップデッキ】セレズニアアーティファクト/セレズニアオーラ/4cエレメンタル

週刊 Modern Pioneer Standard

2024.12.13

mtg Yuyan

こんにちは。 細川 侑也(@yuyan_mtg)です。 今週のピックアップデッキでは、ちょっと珍しいデッキを、軽い解説を交えて紹介していきます。 セレズニアアーティファクト(スタンダード) MOリーグ:5-0 By AgrusKos93 スタンダード神挑戦者決定戦で驚くべきパフォーマンスを見せたアゾリウスアーティファクトアグロ。特にデッキのキーカードの1つだった《威厳あるバニコーン》は、その巨大なサイズで攻守に渡って戦場を支配する存在で、今の赤アグロの多いスタンダード環境における回答とも言えるカードでした。そんな《威厳あるバニコーン》が主役となるのが、こちらのセレズニアアーティファクトアグロ。デッキコンセプトはアゾリウスに近く、《ひよっこ捜査員》《内なる空の管理人》《威厳あるバニコーン》と、パーマネントを戦場に出し、それらをタップして強化し、サイズの大きいクリーチャーたちで殴る構成です。緑によって強化されたのはパーマネントの生成能力。《堅いクッキー》はその名の通り(?)非常に手堅いクリーチャー。戦場に出た時に食物を生成するので、パーマネント2枚分になり、更に3マナ支払うとアーティファクトを4/4のクリーチャーにできます。後半引いても4/4のクリーチャーを生成して殴れる、便利なカードですね。《名もなき都市の歩哨》は様々なミッドレンジで採用実績のある強カード。戦場に出るか攻撃するたびに地図を生成するので、出して地図を起動して攻撃するだけで、サイズを上げつつライブラリートップの質を上げられます。警戒もついているので赤アグロにも強いですね。3マナ3/4とそもそものスタッツも優秀。リソースを稼ぐ手段として《勇敢な旅人、ケラン》も優秀です。出来事として唱えれば地図を1つか2つ生成し、クリーチャー面では手札を増やしてくれる可能性があり、両方が活きるセレズニアアーティファクトにぴったりです。もう1つの緑のメリットが《生歯の子ワーム》。アーティファクトが戦場に出るたびに成長していくので、このデッキなら毎ターン大きくなっていきます。《ひよっこ捜査員》《勇敢な旅人、ケラン》《堅いクッキー》《名もなき都市の歩哨》《鋼の熾天使》《薄暮薔薇の聖遺》《未確認浮遊船》とアーティファクトはたっぷり入っています。《鋼の熾天使》は《威厳あるバニコーン》に飛行を付与するもよし、絆魂で赤アグロに悪夢を見せるもよしと、このデッキに噛み合った1枚。《幽霊による庇護》と合わせて《威厳あるバニコーン》に絆魂を付ける手段が6枚もあります。今スタンダードで激熱の《威厳あるバニコーン》を使い倒したい方、このセレズニアもおすすめですよ! セレズニアオーラ(パイオニア) MOリーグ:5-0 By T1_Tinker 《幽霊による庇護》《天上の鎧》と強力なオーラカードが登場したことでスタンダードでもオーラデッキは活躍していますが、元々オーラと言えばパイオニアやモダンのデッキでした。スタンダードと最も違う点はやはりそのクリーチャーたち。 まずは《上級建設官、スラム》。オーラデッキの弱点である「オーラを唱えて手札がなくなる」を克服する能力を持っており、オーラを唱えてオーラを引くオーラ連鎖が発生すると一瞬でゲームが壊れます。特に《天上の鎧》はオーラをつけるほど強化値が上がっていくので、《上級建設官、スラム》が生き残ってターンが帰ってくればあっという間に手をつけられないサイズのクリーチャーが爆誕します。《皇の声、軽脚》も、《上級建設官、スラム》とは違った形でオーラを供給し続けるクリーチャー。こちらはオーラを唱えて戦場に出した時に、そのマナ総量以下の、戦場に同名カードがないオーラをデッキからサーチして《皇の声、軽脚》につけることができます。たとえば《幽霊による庇護》を手札から唱えると、戦場に《天上の鎧》がある場合、《幽霊による庇護》と《天上の鎧》以外の2マナ以下のオーラをデッキから場に出して《皇の声、軽脚》につけられます。好きな1マナオーラからそのまま《天上の鎧》につなげたり、《幽霊による庇護》から《きらきらするすべて》をサーチしたりと、《皇の声、軽脚》が出てオーラを唱えることさえできれば、《皇の声、軽脚》のサイズがすぐに上がっていく寸法です。サイズを上げた後は、トランプルを付与する《無鉄砲》や飛行をつける《グリフの加護》だったり、《ケイヤ式幽体化》を持ってきて《皇の声、軽脚》を除去から守るも良し、《歩哨の目》を持ってくれば、後に墓地に落ちた時に《上級建設官、スラム》や次の《皇の声、軽脚》に再利用できて便利です。こういった「修正値は並だが回避能力を付与するエンチャント」は4枚採用しづらいカードですが、《皇の声、軽脚》のおかげで好きな時にサーチできます。以前までは相手への干渉手段が少なかったオーラですが、《幽霊による庇護》の登場で一気にデッキパワーが上昇しました。《幽霊による庇護》を引かなくとも《皇の声、軽脚》によってサーチできるため、しっかりと相手の盤面に触れるようになったのです。《破片魔道士の救出》はこれまでになかったインスタントのオーラ。《皇の声、軽脚》でもちろんサーチできるので、インスタントタイミングで《天上の鎧》が降ってきたり、《ケイヤ式幽体化》で《皇の声、軽脚》の定着を大きく安定させられるようになりました。除去を一度《破片魔道士の救出》で避けた上で《ケイヤ式幽体化》がつくので、《皇の声、軽脚》を除去するのは至難の業です。《離反ダニ、スクレルヴ》《皇の声、軽脚》《上級建設官、スラム》と12枚の伝説のクリーチャーを採用しているので《モックス・アンバー》を4枚使えるのもポイント。1マナで《破片魔道士の救出》を構えられるので、2ターン目に《上級建設官、スラム》か《皇の声、軽脚》+《モックス・アンバー》で《破片魔道士の救出》を構える動きは強烈。以前はここが《ケイラメトラの恩恵》だったので、デッキはすさまじく強化されていますね。《皇の声、軽脚》に《きらきらするすべて》をつけてデッキから《幽霊による庇護》をサーチする動きは非常に強力!アグロデッキにはこの動きだけで勝ててしまうほどです。正直「オーラデッキは過小評価されているのでは?」と感じています!それぐらいこのデッキは強そう! 4cエレメンタル(モダン) モダンリーグ:5-0 By Traumatismes モダンでも息の長く人気のある種族、エレメンタル。《創造の座、オムナス》や《孤独》など、モダン級のカードはエレメンタルであることが多いので、よくアップデートされるのも魅力ですね。そんなエレメンタルの最新事情を今回はご紹介していきましょう。まずエレメンタルの心臓ともいえる部分を担う《発現する浅瀬》。エレメンタルが戦場に出るたびにライブラリーの上を見て、それが土地ならタップインで場に出て、それ以外なら手札に加わる。要するにエレメンタルを出すとリソースを供給する恐ろしいカードです。《孤独》を想起で唱えても1枚めくれるのであまり損をしません。そしてデッキのカードすべてと噛み合う《発現する浅瀬》と最も相性が良いエレメンタルが《雷族の呼び覚まし》。攻撃するたびに、墓地から《雷族の呼び覚まし》のタフネスよりタフネスが小さいクリーチャー、つまりタフネス1のクリーチャーを攻撃状態で釣り上げます。終了ステップにそのクリーチャーは生け贄になりますが、釣った時点で《発現する浅瀬》が誘発してくれます。そんな《雷族の呼び覚まし》は他にもシナジー盛りだくさん。エレメンタルをデッキからサーチしてライブラリーの上に積む《炎族の先触れ》を釣って常にエレメンタルを積み込み続けたり、《ちらつき鬼火》を釣れば他のクリーチャーを明滅させてアドバンテージを稼げます。ちなみに相棒の《孤児護り、カヒーラ》でタフネスが上がるとタフネス2以下のクリーチャーも場に戻せるので、《孤独》も墓地から場に戻せます。《雷族の呼び覚まし》との相性なら《夕暮れヒバリ》が最高かもしれません。場を離れた時にパワーが1以下のクリーチャーを戦場に戻してくれるので、墓地から《発現する浅瀬》や《炎族の先触れ》を復活できるのです。《炎族の先触れ》によってエレメンタルをライブラリーに積めるので、1枚差しも大量に入っています。置物に触れたければ《仮面の蛮人》か《基盤砕き》。土地が欲しいなら《絡みつく花面晶体》。除去耐性が欲しかったら《不確定な船乗り》。《鎮まらぬ大地、ヤシャーン》も特定のマッチでは非常に効果的です。フェッチランドがとりあえず使えなくなったり、宝物を生け贄にできなくなります。そうそう、『モダンホライゾン3』で登場した《出産の儀》についても触れなければなりませんね!終了ステップの開始時に、ライブラリーの上7枚を見て、その後にクリーチャーを生け贄にできます。その生け贄に捧げたクリーチャーのマナ総量+1以下のカードを、7枚の中から場に出せます。つまり《復活の声》を生け贄に捧げた場合、マナ総量3以下のカードを場に出せるのです。《雷族の呼び覚まし》で釣ったカードや《復活の声》など、《出産の儀》で生け贄に捧げたいクリーチャーはたくさんいますし、3マナ以下のカードが多いので当たりも比較的多い。更に《炎族の先触れ》でエレメンタルを積めるので、あらかじめ積み込みしておき、《出産の儀》でめくるなんて荒業も可能です。《炎族の先触れ》以外にデッキ内のエレメンタルにアクセスしやすくなるため、この《出産の儀》でデッキがかなり強化されたのではないかと思います。アドバンテージ獲得手段の《発現する浅瀬》《雷族の呼び覚まし》とそれをサーチする《炎族の先触れ》《出産の儀》。攻守に渡って優れる《復活の声》に、持っているだけで安心の《孤独》と、その派手な見た目に反して非常に堅実的な動きができるデッキです。エレメンタルが並べば場も手札もすごいことになるので、面白さ間違いなし!ぜひ回してみてください。

【リアニメイトディガー!】《もがく出現》反省記&マリガンノート

週刊 Standard

2024.12.12

Kyle Hitachi

皆さんこんにちは!Kyle Hitachiです。 今週も「リアニメイトディガー!」も、スタンダードの『もがく出現』をディグしていきます! 先週末はプレミアム予選がお休みということで『第29期スタンダード神挑戦者決定戦』に参加してきました。 優勝は岡井さん謹製の青白アグロ。オリジナルなデッキが勝っていく様子はいつ見てもワクワクしますね!神との対戦も見ていて非常に面白かったです。 スタンダード神挑戦者決定戦に向けた調整 さて、私が『スタンダード神決定戦』に挑むに当たって意識した点は以下の三点です。 1.アグロデッキ対策 Magic Online上でジェスカイ召集が好成績をあげていることを踏まえて《苦難の収穫者》を増量。 アグロ対策を重く見るという方針は今まで通りで、そこに召集が加わりました。 2.デッキの安定性の上昇 《ゾンビ化》を2枚採用してデッキの安定性向上を目指しました。 追加のリアニメイトスペルを用意することにより、今までよりも安定して《偉大なる統一者、アトラクサ》《恐怖を喰うもの、ヴァルガヴォス》を着地させられます。 3.青黒ミッドレンジ攻略の糸口を模索 そろそろ紙のメタゲーム上でも青黒ミッドレンジが大流行するはずだと考え、サイドボードプランを準備しました。 《忌まわしき眼魔》《好奇心の神童、ケラン》による飛行ブロッカーの増量です。 サイドボード後、相手が《除霊用掃除機》など墓地対策ハンドをキープした際にイニシアチブを取れるようなプランを意識しました。  『スタンダード神挑戦者決定戦』デッキリスト 今回使用したデッキリストはこちら。 大会結果 ボロスバーン〇白単コントロール〇白単コントロール〇グルールアグロ×セレズニアオーラ×ティムールカワウソ   成績は3-0から0-3してしまい、3-3でドロップ。悔しい結果になってしまいました。 1〜3戦目は比較的簡単なゲームでした。ボロスバーンは《脚当ての陣形》がないため、《偉大なる統一者、アトラクサ》《恐怖を喰うもの、ヴァルガヴォス》が対処されず、リアニメイトさえ決めれば試合がだいぶ有利になります。 白単コントロールは《完成化した精神、ジェイス》を相手が採用していなければ、サイドボード後に《安らかなる眠り》を貼られることを前提に考えても、負ける要素がありません。 そして問題のグルールアグロです。《多様な鼠》《叫ぶ宿敵》《巨怪の怒り》が絡んだブン回りを2回連続で食らってしまい、あえなく敗北してしまいました。トーナメント中一度は受け入れなければならない負け方ですが、ここでティルト状態に入ってしまいます。セレズニアオーラ、ティムールカワウソ相手はある程度こちらも好き勝手に動くことができ、その時間を与えてくれるので、キーカードさえ揃っていれば怖くない相手なのですが、日和って微妙なハンドをキープし続けてしまい敗北。 「運がなかった」と言えばそこまでですが、パフォーマンスは良くなかったです。 反省 さて、負けたときこそ成長のチャンス、ということで反省したいポイントを纏めてみます。 まずメタゲームを読み違えていました。 《苦難の収穫者》はジェスカイ召集にも強い除去である反面、《叫ぶ宿敵》を除去できない欠点がありました。 赤アグロミラーのミラーでは絶対的な《叫ぶ宿敵》は、黒いデッキやシミックテラーなどにはさほど強くなく、それらのデッキの流行に伴い、採用数が減少すると予想していましたが、その読みが外れてしまいました。 もう一つは厳しいマリガンを徹底することができなかったことです。 グルールアグロに理不尽な負け方をしたのは事実ですが、そのメンタルを次の試合に持ち込んでいいわけがありません。マリガンを恐れてはいけないアーキタイプを使っていることもあり、ここは妥協してはいけないポイントでしたね。とはいえ、妥協キープなどのマリガン失敗は改善できるポイントでもあります。 このデッキを使って勝率が出ない人の中にはマリガンで躓いてる人も多いのではないでしょうか。 自戒の意味を込めて、マリガンについて掘り下げていきます。 マリガンについて考える マリガンを嫌がるプレイヤーは多いです。 手札が対戦相手よりも少ない状態でゲームをスタートするのには勇気が必要ですからね。 ですが、マリガンは明確にプレイングの一部です。 初手でゲーム展開の8割が決まると思って、時には積極的に6枚の手札を選びましょう。 キープ基準となるカードはあるにはあるのですが、サイドボーディングの仕方やゲームプランによってカードの価値は変化してしまうので、一概には言えません。 それではいくつか例題を挙げて解説していきましょう。   1.VSグルールアグロ     私の答えはマリガンです。 とてもキープしたくなるハンドですね! ですが黒マナが見当たらず、《恐怖を喰うもの、ヴァルガヴォス》がこちらを見守っています。今後の展開がどうなるか、3枚引いてみましょう。 黒マナを引くことができませんでしたね。16枚入っているので引いても良さそうなものですが、仕方ありません。 2枚目の《錠前破りのいたずら屋》《完成化した精神、ジェイス》は引きこめましたが、グルールアグロ相手ではとても間に合わなそうです。 また《第三の道の創設》がないので、仮に黒マナを引けたとしても墓地が足りず、《もがく出現》を上手く使えないかもしれません。 対グルールアグロではリソースは必要ないので、厳しくマリガンしていくことになります。 というわけでマリガンしてみて配られた6枚です。これはキープ。 またしても難しいハンドが来てしまいました…が、今度はキープしても良さそうですね。このデッキ、緑マナを要求するカードが《もがく出現》《森の轟き、ルムラ》のみなので、青マナと黒マナさえあればとりあえず動き続けることができます。 戻すカードとしては《島》《ゾンビ化》のどちらかでしょうか。 《島》を戻すとマナスクリューの恐怖に怯えることになります。一方《ゾンビ化》を戻すと、《もがく出現》と緑マナの両方を引かなければゲームに勝つことができません。私は《切り崩し》でゲームが長引くことも考えて《島》を戻しそうです。   2.VSディミーアミッドレンジ マリガンです。惜しい、グルール戦でこの初手が来ていれば…! グルールアグロにならこれでキープしてしまいそうですが、相手はディミーアミッドレンジです。このマッチでは土地を伸ばしたいので2枚は少なく感じてしまいます。《完成化した精神、ジェイス》も、アグロには良いカードですが、ディミーアには使い勝手が悪いです。 このデッキはこういった「アクションはできるけれどゴールがない」ハンドがたくさん来るのが問題ですね。 これはキープします! 一度マリガンした、ということを考慮すれば良いハンドでしょう。諜報ランドで《錠前破りのいたずら屋》《蓄え放題》が見つかれば最高のハンドかもしれません。 1ターン目に諜報ランドをセットランドしたいので、同じくタップインである《不穏な浅瀬》を戻す……と思ってしまいそうになりますが、相手は青黒ミッドレンジで、手札には《切り崩し》があります。闇雲に動いてもしょうがないので、最初のターンは《不穏な浅瀬》をセットランド、2ターン目は《切り崩し》を構えながら諜報、そして3ターン目から《第三の道の創設》で動き始められそうです。 というわけで《ハッシュウッドの境界》か《沼》を戻すのが良いでしょう。 3.VS白単コントロール   マリガンです。 非常に有利なマッチアップですが、流石にリアニメイト先が2枚のハンドはまずいです。もしも《執念の徳目》あたりが《第三の道の創設》であれば、《忘れられた者たちの嘆き》で土地も探せそうなのでキープできますが、この手札は無理せずにマリガンという判断になります。    これはキープできます。 《苦々しい勝利》、もしくは《偉大なる統一者、アトラクサ》を戻してキープとなりそうなハンドです。ポイントとしては《第三の道の創設》があること、《忘れられた者たちの嘆き》で3枚目の土地を探せること。相手が白単コントロールなので《苦々しい勝利》を戻して問題ないでしょう。 4.VSティムールカワウソ     パーフェクトハンド。キープです。 非常に理想的なハンドです!色マナがすべて揃っており、《第三の道の創設》で素早く墓地を肥やすことができ、3ターン目までの行動が見えています。後は《偉大なる統一者、アトラクサ》《恐怖を喰うもの、ヴァルガヴォス》《もがく出現》がめくれるかどうかの勝負になりますね。  さて、今度は少し応用編で、サイドボード後のマリガンについても触れましょう。 インアウトは ー2《執念の徳目》ー2《忘れられた者たちの嘆き》ー2《切り崩し》+2《除霊用掃除機》+2《羅利骨灰》+2《強迫》 です。 マリガンです。 出ましたね、こういうハンドをキープすると負けてしまいます。 特にティムールカワウソのような準備をコツコツと整えていくデッキに対して、こういったハンドで始めてしまうことはかなりリスキー。最低限ゴールが見える手札をキープしましょう。 キープです。 黒マナこそないですが諜報ランドが複数枚あり、リアニメイトというゴールも見えている手札です。 なおかつ《羅利骨灰》もあることから《永劫の活力》などに対処することができます。この程度のハンドならばキープしてもよいでしょう。 5.VSディミーアミッドレンジ ディミーアミッドレンジとのサイドボード後について。 インアウトは以下の通り。 ー2《森の轟き、ルムラ》ー2《執念の徳目》ー2《忘れられた者たちの嘆き》+3《強迫》+2《温厚な襞背》+1《忌まわしき眼魔》+1《好奇心の神童、ケラン》 キープ。 土地に少し不自由がありますが、《強迫》を《第三の道の創設》で使い回す展開が見えているのは非常に良いことです。 一見邪魔に見える《恐怖を喰うもの、ヴァルガヴォス》も《苦々しい勝利》で墓地に落とすことができますし、《切り崩し》で早期のクロックに対処することもできます。 ただしこちが後手で、相手が1ターン目に《除霊用掃除機》をプレイしてきたときは非常に辛そうです。 キープ。 初手としては《好奇心の神童、ケラン》で土地を伸ばしつつ飛行ブロッカーを立て、《第三の道の創設》でライブラリーを掘り進められるなど、悪くない手札。《迷路庭園》の諜報と《不穏な浅瀬》2枚も頼もしいですね。土地は初手に5枚もありますが問題ありません。 《除霊用掃除機》を置かれても《好奇心の神童、ケラン》で割れるので安心です。 6.VS不明 《切り崩し》があるので早い相手には対応できそうですし、遅い相手に対しては《ゾンビ化》という仕掛けが2枚ある上に《第三の道の創設》での上振れも期待できます。どんな相手にでもキープしても良いでしょう。 このように除去・切削・リアニメイトなど、序盤を遅らせるカードからゴールまですべて揃っている手札は、どんな相手でも文句なくキープできる初手です。 このデッキにとってはゴールが重要なので、切削とリアニメイトを兼ねる《第三の道の創設》は非常に大事なカードで、いつでも初手に欲しいですね。 今後の課題 今週はマリガンに焦点を当ててみました。私が普段どのように考えて初手をキープしているか、少しでも伝わったのなら幸いです。 もちろん初手だけではなく「これから何を引きたいか」を考えることも重要です。麻雀で言うところの面子を揃えるようなものなので、受けが広くなるようプレイしていきましょう。 今後の課題ですが、まだ「マナベースの最大化」という地味ながらも大事な作業が残っています。 現在のマナベースはファストランドを抑えて《グルームレイクの境界》にフィーチャーした形を取っていますが、このマナベースがベストとは限りません。だいぶ長いこと使ってしまったのでそろそろ計算し直そうと思います。 また果敢クリーチャーに対してブレやすくて嫌いだった《切り崩し》を再評価し、4枚まで採用することを検討しそうです。やはり初手にあるとタップインランドを処理しやすいですからね。それに合わせて本当に諜報ランドが《迷路庭園》で良いのか、検討し直します。「それではまた来週……!」と言いたいところですが、今週末は特にイベントがありません。 店舗予選に出ることができればその様子をレポート、もしくは「The Last Sun」用モダンデッキの叩き台を作る様子を記事にしようと思います!禁止改定も12/16に控えていますからね。 それではまた次回、お楽しみに。

【週刊メタゲーム通信】世はまさに大アグロ時代!最新のアグロは赤アグロメタに!

週刊 Standard

2024.12.10

mtg Yuyan

こんにちは。 細川 侑也(@yuyan_mtg)です。 今週はマジックオンライン上で行われた大会、Birds of Paradise Standard Spectacularから、最新スタンダード環境のデッキを紹介していきます。 ボロス果敢 Birds of Paradise Standard Spectacular : 優勝 By MicroPago 今のスタンダードはなんといっても赤天国!赤単、赤単タッチ緑、グルール、そしてボロスと様々な赤いアグロデッキが活躍しています。それを可能にしているのが《心火の英雄》《熾火心の挑戦者》《多様な鼠》の3種の赤いカードたち。早い打点とリソース、除去耐性とアグロデッキが欲しいすべてを持つのが今の赤アグロです。当然、これだけ赤いデッキが強ければ、あちこちでミラーマッチが発生します。そんな赤ミラーを制するのがこのボロス果敢です。デッキのベースは赤単。前述のように《心火の英雄》《熾火心の挑戦者》《多様な鼠》の組み合わせがしっかり採用されています。そこに加わる白要素が《呑気な物漁り》と《呪文書売り》。エンチャントが戦場に出るたびにクリーチャーを強化できる《呑気な物漁り》と、役割を生成する《呪文書売り》は相性抜群です。《呪文書売り》は《多様な鼠》を新生した次のターンなどに出しても非常に強く、占術で不要牌をライブラリーの下に戻せるため、序盤・中盤いつ引いても強いカードです。これだけでは白い要素が赤ミラーを制するようには見えないかもしれませんね。スペル枠を見ればその答えは一目瞭然です。そう、赤対策と言えばこれ!《幽霊による庇護》です。赤アグロは小粒なクリーチャーばかりなので《幽霊による庇護》の恩恵は受けにくいように思えますが、《多様な鼠》の二段攻撃や《呪文書売り》の強化を駆使することで、《巨怪の怒り》なども合わせてかなりのライフゲインが見込めます。もちろん《幽霊による庇護》はエンチャントなので、《呑気な物漁り》でしっかり強くなってくれます。《呑気な物漁り》でクリーチャーを強化できるので、他の赤いデッキに比べて《幽霊による庇護》を強く運用しやすいですね。《破片魔道士の救出》はグルールの《蛇皮のヴェール》のような使い方ができるカード。《呑気な物漁り》との相性は言うまでもありません。《悪魔の大騒動》まで採用されており、かなりエンチャントシナジーに寄せたリストと言えますね。除去しあうだけが赤ミラーではありません!《幽霊による庇護》で赤ミラーに強いボロス果敢、これから更に数が増えていくことになるかもしれませんね。   ジェスカイ召集 Birds of Paradise Standard Spectacular : 3位 By TheManLand ここ1~2週間ほどマジックオンラインで大流行しているのがジェスカイ召集。スタンダードでは長いこと存在しているアーキタイプですが、特に最近結果を残してきています。《ひよっこ捜査員》《遠眼鏡のセイレーン》で出した手がかりや地図に《上機嫌の解体》を打ち、クリーチャーを並べて《イーオスの遍歴の騎士》を出し、《イモデーンの徴募兵》を手札に加えて次のターンに一気に襲い掛かる。回った時にはどのデッキも手がつけられない、パイオニア級のアグロデッキです。攻防一体の《内なる空の管理人》《威厳あるバニコーン》、そして《幽霊による庇護》と対赤アグロもしっかり勝ち筋があります。ここに来て召集が勝ち上がっている背景には、今のスタンダードで最も意識しなければならない相手が赤アグロだからでしょう。「アグロ対策が増えるならジェスカイ召集もそのあおりを受けるのでは?」と思いますが、実はそれは違います。召集には《切り崩し》や《喉首狙い》などのただの除去はほとんど効きません。クリーチャーを横並びさせて《イーオスの遍歴の騎士》や《イモデーンの徴募兵》で勝つデッキだからです。そのため、《紅蓮地獄》をはじめとした全体除去の方が効果があります。一方、赤アグロには《紅蓮地獄》などの全体除去はあまり効果がありません。《紅蓮地獄》は2/3になった《僧院の速槍》すら倒せませんし、《審判の日》などのしっかりした全体除去はマナコストが重く、速攻が多数入っている赤アグロにはやはり効果が薄い。打った返しに速攻クリーチャーに《巨怪の怒り》を撃たれて負けるのは想像に容易いですね。以前は召集は意識される側だったので、対アグロ対策としては全体除去が多く採用されていました。その全体除去スロットが単体除去に代わっており、実質召集相手のサイドボードが用意できないというのが現状なのです。「サイドボードさえなければ召集は最強のデッキだ」と以前は言われていましたが、今まさにその最強の状況になっています。ジェスカイ召集の流行を見てどのデッキも最近は2枚ほど全体除去を採用するようになりましたが、それでもそこから枚数が増えることはあまりないでしょう。その分だけ赤アグロに入れるカードが減ってしまいますからね。メインから《太陽降下》をたくさん採用しているようなドメインコントロールや白単コントロール以外に強いのが召集です。メタを見て使いどころを見極めましょう! ディミーアミッドレンジ Birds of Paradise Standard Spectacular : 6位 By PierrePoilievre2025 スタンダードで赤アグロと並んで二大巨頭のデッキ、ディミーアミッドレンジ。青の打ち消しと黒の除去、そして《悪夢滅ぼし、魁渡》によって攻めるデッキです。このリストはインスタントタイミングでのアクションを徹底したデッキ。対赤アグロで攻守で活躍する《分派の説教者》をサイドボードに落とし、《ティシャーナの潮縛り》をメイン採用しています。《分派の説教者》メイン、《ティシャーナの潮縛り》サイドが定番だったので、思い切った構成です。1マナ域の《遠眼鏡のセイレーン》を除いたすべてのクリーチャーが瞬速となっており、打ち消しや除去を構えながら常に展開していくことが可能となっています。《巨怪の怒り》などで無理やり突破されないためには、除去を常に構える必要がありますからね。《フラッドピットの溺れさせ》はすっかりディミーアミッドレンジの2マナ域として定着しました。元々2マナ域で不動の立場を確立していた《大洞窟のコウモリ》は赤いデッキがこれだけ多い環境ではなかなか活躍できません。赤いデッキには《ショック》で対処されますし、それ以外のデッキは赤を意識して大量の軽量除去を採用しています。赤だけでなく、赤を意識したデッキにも《大洞窟のコウモリ》は弱いので、この変更は納得です。一方の《フラッドピットの溺れさせ》はクリーチャーを寝かせつつブロッカーにもなりますし、《悪夢滅ぼし、魁渡》で戻して再利用しても良しと非常に便利なクリーチャー。《フラッドピットの溺れさせ》で攻撃して相手がダメージを通すタイミングで起動型能力を使い、そのスタックで《悪夢滅ぼし、魁渡》を忍術することで、麻痺カウンターが置かれたクリーチャーを除去しつつ、《フラッドピットの溺れさせ》を手札に戻せます。面白いのが《サイバの暗号術師》の採用です。戦場に出た時にクリーチャーに+1/+1カウンターを乗せつつ呪禁を付与できる、《蛇皮のヴェール》系のクリーチャー。生き残ってハイバリューなクリーチャーがいないこのデッキでは少し違和感があるかもしれませんが、デッキを瞬速で固めるなら、一番良い選択肢に見えます。また、《悪夢滅ぼし、魁渡》との相性も見過ごせません。《悪夢滅ぼし、魁渡》の忍術で再利用してクリーチャーを強化しても良いですし、何より《サイバの暗号術師》は忍者なので、《悪夢滅ぼし、魁渡》のプラス能力での紋章で強化できます。《永劫の好奇心》を《塔の点火》圏外にするのも強く、何より全く警戒されていないのは大きいでしょう。赤アグロが《抹消する稲妻》を採用するようになったのも、《サイバの暗号術師》としては好都合。しっかりとメインからミラーマッチの《悪夢滅ぼし、魁渡》を除去できる《シェオルドレッドの勅令》を採用するなど、今のスタンダードのメタを意識した作りになっているので、ディミーアミッドレンジがお好きな方は試してみてください。

【今週のピックアップデッキ】キャプテンスカベンジャー/セレズニアキャット/エターナルチャント

週刊 Modern Pioneer Standard

2024.12.05

mtg Yuyan

こんにちは。 細川 侑也(@yuyan_mtg)です。 今週のピックアップデッキでは、ちょっと珍しいデッキを、軽い解説を交えて紹介していきます。 キャプテンスカベンジャー(スタンダード) スタンダードリーグ:5-0 By Villard_00 墓地のカードを追放してそれのキーワード能力を得るクリーチャー、《魂剥ぎ》。 パイオニアでは活躍の実績もあるこの《魂剥ぎ》と似た性能を持つのが《アーボーグの掃除屋》です。 《魂剥ぎ》が探査によって追放したクリーチャー・カードの能力を得るのに対し、《アーボーグの掃除屋》は戦場に出たり攻撃する際にカードを追放し、それの能力を獲得していきます。スタンダードではなかなか活躍できなかった《アーボーグの掃除屋》。これまではキーワード能力をたくさん持つクリーチャーに恵まれず、せいぜい《偉大なる統一者、アトラクサ》を追放する程度でした。サイズの大きい《偉大なる統一者、アトラクサ》が持つ絆魂は強力ですが、《アーボーグの掃除屋》ではその効果は微々たるものです。しかし、『ファウンデーションズ』で《魂剥ぎ》の心の友と呼ぶべき相棒が帰ってきたことで、《アーボーグの掃除屋》に確変が起きました!《原初の夜明け、ゼタルパ》によって!飛行・二段攻撃・警戒・トランプル・破壊不能とヤサイマシマシニンニクアブラカラメぐらい盛りに盛った能力の数々はさすが8マナ!二段攻撃とトランプルの2つの攻撃性能に加えて破壊不能がつくので、《アーボーグの掃除屋》が欲しかった除去耐性もしっかり付与してくれます。同じく『ファウンデーションズ』からの新カード、《薄暮の聖人、エレンダ》も除去耐性を付与してくれるカード。絆魂は《原初の夜明け、ゼタルパ》にはないので同時に追放しても無駄がなく、インスタントからの呪禁は破壊不能で防げない《苦痛ある選定》のような追放除去からも耐性が付きます。《薄暮の聖人、エレンダ》は4マナと軽く手札から出しやすいのもポイント。問題はいかにして《アーボーグの掃除屋》で《原初の夜明け、ゼタルパ》や《薄暮の聖人、エレンダ》を追放するかですが、そこもクリーチャーが役立ちます。《上げ潮、キオーラ》は2枚引いて2枚捨てるので、《アーボーグの掃除屋》を引き込みながら追放したいカードを墓地に送りこめます。《逸失への恐怖》などの捨てて引くカードと違うので嬉しいですね。同じく引いて捨てるカードの《魅惑の悪漢、マルコム》も入っており、伝説のクリーチャーが大量に入っているデッキながら、手札調整が容易なので、余った2枚目の伝説を捨てられるようになっています。そして伝説のクリーチャーが大量に入っているということは、《英雄の公有地》をの出番です。青白黒の3色デッキなのですべての色マナが出る土地は非常に助かります。……ところでお気づきでしょうか?今ご紹介したカードたちに、伝説以外の共通点があることを。ヒントを出します。《原初の夜明け、ゼタルパ》は恐竜。《上げ潮、キオーラ》はマーフォーク。《魅惑の悪漢、マルコム》は海賊。《薄暮の聖人、エレンダ》は吸血鬼です。まだわかりませんか?デッキ名を見てください。キャプテンスカベンジャー。スカベンジャーは《アーボーグの掃除屋》。それではキャプテンは?その答えは《不気味な船長の玉座》です!タップするとカードを2枚切削するこの伝説のアーティファクト。《アーボーグの掃除屋》のために墓地を肥やせる置物ですが、真の力はその下に書いてある作製です。墓地やパーマネントから該当するカードを追放することで変身できる作製。恐竜とマーフォークと海賊と吸血鬼を要求する、作製カードの中でも随一の難易度を誇るのが《不気味な船長の玉座》。そもそもこの4種のカードをデッキに入れること自体が難しいと思われていました。しかし、このデッキはその作製条件を満たせます。それではほとんどの人が見たことすらないであろう《不気味な船長の玉座》の変身後の姿を見てみましょう。あまりに強すぎる!初見で見た時は僕もびっくりしました。さすが難易度Sの作製カードなだけあり、とんでもない能力を持っています。呪禁の7/7なので対処は難しいですし、攻撃するだけで相手は土地以外のパーマネントを生け贄。更に作製で追放したクリーチャーを攻撃している状態で戦場に出せるので、《原初の夜明け、ゼタルパ》が突然殴りかかることになります!変身したら勝利と言っても過言ではないでしょう。 《アーボーグの掃除屋》だけでも面白いのにそこに更にもう1ギミックが追加されたキャプテンスカベンジャー、味わってみてください! セレズニアキャット(パイオニア) パイオニアリーグ:5-0 By Tulio_Jaudy 近年最も推されている部族の1つと言えば猫。どうやらウィザーズにも猫ファンがいるようで、可愛らしい猫や可愛くないほど強い猫がバンバン収録されています。そしてとうとうパイオニアで猫デッキが組めるほどになりました!しんがりを務めるのは《聖なる猫》と《サバンナ・ライオン》。パウパーでも実績のある《聖なる猫》は墓地に落ちても一度トークンとして蘇る、除去耐性のある猫。一方の《サバンナ・ライオン》といえば、黎明期から白アグロを支えた功労者。学生の頃に1枚2000円で買ったのは良い思い出。2マナ域からレアリティが上がります。『ファウンデーションズ』で再録された《フェリダーの仔》はこの中で唯一のコモンではあるものの、生け贄でエンチャントを割れる優れた猫。《不浄な別室》などを割る場面もあるでしょう。レアの2種は、こちらは懐かしの《羊毛鬣のライオン》。アブザンミッドレンジなどでスタンダードでも活躍していた猫で、2マナ3/3といわゆる《番狼》なだけでなく、怪物化するとサイズが上がって呪禁・破壊不能を持ちます。新カードの《空騎士の従者》は他のクリーチャーが出るたびにサイズが上がり、3つ以上のカウンターが乗ると飛行を持つ、とても攻撃的なクリーチャー。すぐに《羊毛鬣のライオン》のサイズを超えていくでしょう。3マナ圏は主役揃い!なにせここには猫を強化するロードが2匹もいるのですから。まず1匹目は《初祖牙、アラーボ》。他の猫を+1/+1しつつ、自身や他のトークンでない猫が出るたびに1/1の猫を生成するという、展開と全体強化を兼ね備えた強力な猫です。続く《猫の君主》も猫に全体強化を与え、プロテクション犬も付与します。パイオニアで使われている犬は《無私の救助犬》ぐらいしか思い浮かびませんが、《変わり谷》にブロックされないのはメリットになるかもしれませんね。《猫の君主》にはもう1つ能力があり、自分の猫がプレイヤーに戦闘ダメージを与えた時に、そのプレイヤーのアーティファクトかエンチャントを破壊することができます。どれだけたくさんの猫で殴っても1枚しか破壊できませんが、全体強化のオマケとしては悪くありません。更にこれらの猫クリーチャーはすべて3マナ以下なので《集合した中隊》を採用できます。《威厳あるカラカル》を除くすべてのクリーチャーが該当するので、32枚が当たりになります。《集合した中隊》で2枚めくるには十分な数でしょう。最後に忘れてはならないのが相棒。そう、最近ではクリーチャーが《孤独》のみのアゾリウスコントロールなどにしか入らず、文字通り孤独だった《孤児護り、カヒーラ》が使えるのです。これは猫デッキの最大の魅力と言っても良いでしょう。全体強化と警戒を付与する相棒は、デッキ外のリソースとしては破格の性能です。いつも更地に出てくる《孤児護り、カヒーラ》も、たくさんの猫に囲まれてニッコリでしょう。猫まみれになりたい方は一度お試しあれ! エターナルチャント(モダン) モダンリーグ:5-0 By Sence17 かつてセプターチャントというデッキが一世を風靡していたのをご存じでしょうか?《等時の王笏》に《オアリムの詠唱》を刻印して相手のアップキープに起動し続けるだけで、相手はインスタント以外のカードを唱えられなくなり、攻撃もできない。一部のデッキはこれだけで完封でした。エクステンデッドで大流行したこのセプターチャント。実は今のモダンでも再現可能なのですが、今回は同じコンセプトを持った別のデッキをご紹介します。このエターナルチャントもセプターチャントと同じく、無限に《オアリムの詠唱》を打つデッキ。しかし、《等時の王笏》に刻印するのではなく、毎ターン手札から唱えます。それを可能にしてくれるのが《永遠の証人》と《儚い存在》のコンボ。《永遠の証人》で《オアリムの詠唱》を拾い、相手のアップキープに唱えます。その後、《儚い存在》を《永遠の証人》を対象にキャスト。明滅した《永遠の証人》で《オアリムの詠唱》を拾いつつ、アップキープの《儚い存在》の反復で《永遠の証人》を再び明滅させ、反復後に墓地に落ちた《儚い存在》を拾えば、これで永遠に《オアリムの詠唱》を打ち続けられます。もちろんこれだけで勝てるデッキはほとんどありません。インスタント除去1枚でこのコンボは止まってしまいますからね。そこで採用されているのが《時を解す者、テフェリー》です。《時を解す者、テフェリー》がこの場に加わることで対戦相手は呪文での妨害ができなくなります。戦場に既にあるカードで対処できないなら、《天上都市、大田原》によるバウンスぐらいしか防ぎようがないでしょう。そして《時を解す者、テフェリー》《永遠の証人》とキーカードが3マナのパーマネントなので、《星界の再誕》は非常にデッキに合っています。インスタントタイミングで墓地から蘇る《時を解す者、テフェリー》は相手の想定外でしょうし、思わぬ角度からコンボが決まることがありますね。コンボが決まるまでの間の延命手段として採用されているのは《空の怒り》。しかしバントカラーでは定番の《電気放出》は使えません。そこで採用されているのが懐かしの《霊気との調和》。かつてエネルギーデッキを支えていた土地サーチがモダンでも採用されることとなりました。《ファラジの考古学者》と《稲妻罠の教練者》は共に《儚い存在》《オアリムの詠唱》などのキーカードを手札に加えつつ、《儚い存在》の対象にもできる素晴らしいカード。《孤独》も想起で唱えて《儚い存在》で一時追放して場に定着させることができますし、このデッキに入っているすべてのクリーチャーは《儚い存在》と相性抜群です。コンボが決まればあのエネルギーすらも封殺!エターナル、この名前にピンと来る方はまず使ってみましょう!

【リアニメイトディガー!】《もがく出現》で挑むプレミアム予選2連戦!

週刊 Standard

2024.12.04

Kyle Hitachi

皆さんこんにちは! 今週も「リアニメイトディガー!」も、スタンダードの『もがく出現』をディグしていきます! プレミアム予選に向けてどんな準備をしてきたかご紹介していきます! 赤アグロを克服するために 2024年11月24日に晴れる屋TC東京で行われたプレミアム予選では、ティムールカワウソと赤単アグロが権利を獲得しました。 1週間が経過しても環境に大きな変化はなく、赤アグロが多めの環境でした。サイドボードでの器用さから、緑を加えたグルールが現在最も強いデッキと言えそうです。 さて、先週私が取り組んだことは「どうやって赤単への勝率を上げるか?」です。 アプローチとしては、除去の増量とライフゲイン要素の追加が簡単だと考えました。注目したのは《執念の徳目》。墓地ではパーマネントでありながら、アドベンチャー面では2点回復しつつ、タフネス3を対処できるカードです。 最初は『ファンデーションズ』で《渇望の時》が再録されているのを見つけて興奮しましたが、実際には《叫ぶ宿敵》を対処できる上位互換《執念の徳目》が既に存在していました。悲しいです…。 これを釣り先兼除去として使い、赤単に有利に立ち回ろう!と考えました。 また、デッキ全体のテンポを良くするために、《切り崩し》をメインボードに移し、サイドボードの《強迫》を増量しました。理由は浮きがちな1マナを埋めることで動きに隙をなくしたかったからです。特に《強迫》は苦手なクロックパーミッションに対して効果的なカードなので期待。 その代わりに抜けたカードはまず《蓄え放題》。先週の記事にもあったように、キープ基準ではあるものの、《もがく出現》を拾えない点が少しイマイチ。 《苦痛ある選定》は追放能力が非常に環境にマッチしているものの、《永劫の好奇心》に触れないのが地味なマイナスポイント。赤アグロには《執念の徳目》の方が強いはずですからね。 また、活躍の機会が少なかった《戦慄衆の将軍、リリアナ》を解雇し、《脚当ての陣形》にも耐性がある《恐怖を喰うもの、ヴァルガヴォス》を増量しました。   2連戦のデッキリストと結果 2024年11月30日、晴れる屋吉祥寺店で行われたプレミアム予選で使用したデッキリストと結果は以下の通りです。  グルール〇 赤単〇青白エンチャント×青白眼魔〇グルール〇版図ランプ〇ID 青白エンチャント×   5-1-1で5位通過し、SEに進出しましたが、スイスラウンドと同じ対戦相手に敗北。赤単、グルールには3-0で相性の改善を感じることができました。 グルール側に理想的な動きをされると負けてしまいますが、かなり戦えるようになっています。 続いて2024年12月1日の晴れる屋川崎店! 版図ランプ 〇版図ランプ 〇グルール ×青白エンチャント ×グルール〇青黒ギャンビット 〇   トーナメント序盤では、大きく有利のつく版図ランプを2連続で踏むという幸運に恵まれましたが、現モダン神である内藤さんのグルールに残念ながら敗北。 そして今季のプレミアム予選で4回もマッチしている青白エンチャントに昨日に続けて負けてしまい、あえなく目無し。最後までやって4-2で11位という結果でした。 権利という結果こそついてこなかったものの、戦績のアベレージは高く保てているのは評価したいポイントです。また晴れる屋川崎店ではもがく出現を使っているほかプレイヤーの姿も目撃できました。なんとTOP8に二人もいます。 皆、構築に工夫があって非常に面白かったです。 さて、日曜日のデッキリストのお話です。 吉祥寺店での負け方に引きずられてはいますが、《恐怖の潮流》が手札で浮きがちな点が気になったので思い切って全て解雇しました。《執念の徳目》を拾える点を評価して《蓄え放題》を再びメインボードへ。 またサイドボードでは《深淵の収穫者》をお試し枠で採用してみました。直前までは《忌まわしき眼魔》にしていたのですが、急に天啓が浮かんできたので電撃的に採用です。 《忌まわしき眼魔》は、青黒ミッドレンジなどに対して除去やカウンターを要求する軽いフィニッシャーとして採用しており、《深淵の収穫者》はその役割を果たせるのでは?と考えました。 結果としては普通に弱かったです。《ショック》で焼かれるスタッツには哀愁すら感じますね。 他に条件に合致するカードしては《フラッドピットの大主》などでしょうか。《フェアリーの黒幕》が誘発してしまう点以外は強そうです。また《除霊用掃除機》にスムーズに対処できる、《好奇心の神童、ケラン》も再度検討したいところです。 サイドボーディングガイド VS赤アグロ 赤単、赤単タッチ緑、グルール、ボロス。全てアグロに分類されるデッキタイプなのでまとめます。 +1《深淵の裏切り、アクロゾズ》+1《解剖器具》+2《温厚な襞背》+1《強迫》 -2《森の轟き、ルムラ》-3《忘れられた者たちの嘆き》   優秀な果敢能力持ちクリーチャーでこちらを責め立ててきます。赤単は4枚の《岩面村》を、グルールは《探索するドルイド》《脚当ての陣形》を、ボロスは《ボロスの魔除け》《幽霊による庇護》をそれぞれ強みとしています。 戦略としては相手のクリーチャーを除去しつつ出来るだけ早く《偉大なる統一者、アトラクサ》《恐怖を喰うもの、ヴァルガヴォス》を戦場に着地させることになります。 負け筋は《巨怪な怒り》で急激に打点が伸びるパターン。特にこれに絡みやすい二段攻撃を付与する《多様な鼠》は必ず除去しなければなりません。 また絆魂クリーチャーを着地させても安心しないでください。《叫ぶ宿敵》《陽背骨のオオヤマネコ》でライフゲインを封じられるパターンがあります。 こちらはライフゲインできるカードを中心にサイドインします。除去が沢山ある手札が肯定されるマッチアップですが、ライフゲインなしにゲームを長引かせることはできません。 2枚引いた試合は余りにも負けますが、軽いアクションとしては悪くないので一枚だけ《強迫》をサイドインしています。《蛇皮のヴェール》やバーンスペルなどを抜くことが期待できるグルールやボロス相手には、2枚目以降のサイドインも検討して良いですね。 また、こういった相手にはとにかく早期に絆魂クリーチャーが着地することが重要です。《ゾンビ化》などのリアニメイトスペルの採用の検討や《第三の道の創設》でキープをするなど、工夫が求められます。 VSディミーアミッドレンジ 生物が主体ではあるのですが、青なのでカウンターが入っており、こちらも非常に動きにくい。 パーマネント自体は並びにくいので《恐怖を喰うもの、ヴァルガヴォス》が定着した際の勝利率は非常に高いです。《強迫》で無理やり道をこじ開けて通しましょう。 +3《強迫》+2《羅利骨灰》+2 軽量フィニッシャー -2《森の轟き、ルムラ》-3《執念の徳目》-1《苦難の収穫者》-1《忘れられた者たちの嘆き》 インスタントでクリーチャーが出てくるため、ソーサリータイミングの除去は弱めです。《ティシャーナの潮縛り》がクリティカルになる《森の轟き、ルムラ》も抜いてしまいます。 3マナ程度の軽いフィニッシャーも欲しいところです。《強迫》とくっつかせることで相手のプランをずらしたい。《除霊用掃除機》のことも考えると《忌まわしき眼魔》が最適な気はしますね。1枚ずつしか追放されないので《忌まわしき眼魔》は比較的出しやすいです。 VSティムールカワウソ 上の2つのデッキと比べるとかなり対処するのが難しいコンボデッキです。 基本的には《渓間の洪水呼び》《永劫の活力》を対処していくことになります。場合によってはビートダウンプランを取られるので、競り負けないようにこちらも《もがく出現》をキャストできる状況を作っていきましょう。 《恐怖を喰うもの、ヴァルガヴォス》が効果的なマッチではありますが、《嵐追いの才能》など複数のパーマネントを展開して護法を支払いながら《この町は狭すぎる》でバウンスされてしまいます。 +2《強迫》+2《除霊用掃除機》+2《温厚な襞背》 -3《執念の徳目》-3《忘れられた者たちの嘆き》   サイド後は墓地対策や置物対策を入れて容易にコンボを走らせないよう立ち回りましょう。 《花粉の分析》《嵐追いの才能》《永劫の活力》など墓地を使用するカードが多いので、墓地対策は効果的です。 《豆の木を登れ》《咆哮する焼炉》《嵐追いの才能》《永劫の活力》に対応できる置物破壊も欲しいところです。《羅利骨灰》《温厚な襞背》を比較した結果、今は墓地に触れる《温厚な襞背》をサイドインしています。ですがゲーム感によってはより軽い《羅利骨灰》のほうが良い可能性もあります。 VS版図ランプ 非常に有利なマッチアップですが《永遠の策謀家、ズアー》が絡んだ高速クロックを決められる展開があるので注意が必要です。あくまで相手はこちらを削り切るしかゴールがないのでライフを高く保ちつつ相手をライブラリーアウトさせる戦略を取りましょう。 +3《強迫》+3《羅利骨灰》+2《温厚な襞背》+1《向上した精霊信者、ニッサ》 -2《切り崩し》-3《執念の徳目》-2《苦々しい勝利》-1《苦難の収穫者》-1《忘れられた者たちの嘆き》   サイドボード後は相手が《安らかなる眠り》を置いてくる前提で立ち回ります。版図ランプはエンチャントを主体にしたコントロールデッキなので、置物破壊系のサイドカードが腐りにくいのが良いですね。 相手が入れてくるカードとして可能性が高いのは《ティシャーナの潮縛り》や《クチルの側衛》でしょうか。《鋼と油の夢》などで対策できますが、他のマッチで弱いので採用しづらいです。 現在の構成では、手札にあることがわかったら一度喰らいにいくしかないでしょう。   今週改善したこと 対赤アグロを改善 《執念の徳目》や《切り崩し》などでしっかり赤アグロを意識した結果、先週は4勝1敗としっかり勝ち越すことができました。 デッキ全体のバランスを調整 デッキを軽くしたり、釣るカードのクオリティを意識した結果、デッキがバランス良くなりました。 《蓄え放題》も入れ直して好感触でした。 マリガン基準 先週お話ししたキープ基準である《蓄え放題》を抜いてしまったので、単純に考えればマリガン率が高くなります。 デッキリストはいじるだけではダメです。しっかりとプレイにも反映させなければなりません。 結局《蓄え放題》を入れ直したり、切削カード以外でのキープについて考えることで、ある程度今のリストでのマリガン基準が定まりました。 今後の課題 クロックパーミッションの攻略 赤アグロは改善できたものの、アゾリウスエンチャントやアゾリウスメンターなどの打ち消しが入ったアグロデッキには負け続けており、ここの改善は必須。 マナベース やはり4色デッキゆえに事故だけで負けてしまうこともあります。 マナベースの改善は、ただ単に土地だけと睨めっこをすれば良いわけではありません。たとえば《蓄え放題》を抜けば序盤に必要な緑マナは《もがく出現》だけなので、少し緑を削れます。 サイドボードの最適化 まず取り組みたいのがこちらから。そのためにはカードプールの把握が必須! 特に『ファウンデーションズ』は「こんなカードが使えるの?」といったことも多いですからね。晴れる屋川崎店で権利を獲得したセレズニアオーラに《ひるまぬ勇気》が採用されているのを見たときは目を疑いました。 《ゾンビ化》の検討 これまでは釣ってインパクトのあるクリーチャーが《偉大なる統一者、アトラクサ》《森の轟き、ルムラ》ぐらいしかいなかったのですが、釣り先として《恐怖を喰うもの、ヴァルガヴォス》が加わったので、《ゾンビ化》を試して良いかもしれません。 前述のように赤単に強いですしね。   検討してきたカードたち これから《もがく出現》を使おうと考えている方や、既に回している方のために、これまで自分が採用を検討したカードたちを10枚ほど紹介しようと思います。 《全知》 墓地から土地を吊り上げて手札の重いカードをすべて使用できるようになる《森の轟き、ルムラ》と使用感は近いです。そのため、採用するなら《全知》か《森の轟き、ルムラ》いずれかとなるでしょう。 手札からの呪文を自由に唱えることができるようになるので、《偉大なる統一者、アトラクサ》を《忘れられた者たちの嘆き》などで使い回すことによってデッキをほとんど掘り切ることができます。つまり相手をライブラリーアウトさせるのに十分な回数の《完成された精神、ジェイス》を集めることができるのです。ですがいくつか欠点があります。 1.重すぎる 切削がかなり上手くいかなければ4ターン目までに戦場に出すことができません。また《森の轟き、ルムラ》と違って素出しをすることがほとんど不可能。 2.インスタントの対処札に弱い 《羅利骨灰》や《脚当ての陣形》、《失せろ》《力戦の束縛》などインスタントタイミングで《全知》を破壊できるカードが環境には非常に多いです。一回スペルを唱えられることは保証されていますが、少し気になる点です。 3.《森の轟き、ルムラ》の方が便利 《森の轟き、ルムラ》は軽いだけでなく、墓地から土地を出してくれるので、《不穏な浅瀬》との相性が抜群です。 《不穏な浅瀬》でライブラリーを削って《森の轟き、ルムラ》で土地を吊り上げ、たくさんの土地がある状態なら複数の《不穏な浅瀬》を起動したり、《不穏な浅瀬》を起動しながらもう1アクションなどが容易です。 ちなみに、僕は以前《死人に口無し》4枚、《石の脳》4枚を採用しているようなデッキに《不穏な浅瀬》だけで殴りきったことがあります。 《不穏な浅瀬》と相性が良い点も、《森の轟き、ルムラ》に軍配が上がりますね。 《ベイルマークの大主》 非常に優秀な切削能力に加えて5ターン後には本人が戦場に現れます! 素出しもさほど重くない良いカードなのですが、回収できるのがクリーチャーに限定されているところが歯がゆい。やはり切削しながら探したいのは《もがく出現》、もしくは土地ですからね。 《上げ潮、キオーラ》 ほとんど効果が同じ《蒸気学の学者》の頃から試していますがあまり感触はよくありません。せっかく《切り崩し》を躱せるデッキなのに当たってしまう点が微妙です。 もちろんルーティング効果はデッキに合っているので採用するならば1~2枚のカードという評価です。 《墓場波、ムルドローサ》 《溺神の信奉者、リーア》がいた頃は、1枚採用することで使えるスペルの数を飛躍的に水増しできました。《事件現場の分析者》や《見事な再生》で土地を爆発的に伸ばして、《溺神の信奉者、リーア》から《もがく出現》を連打するデッキでプレミアム予選を抜けたのは良い思い出。 そんな私が目をつけたのがこのカードです。なんと墓地のパーマネントをそれぞれの種類につきターン一回制限で使えるようになっちゃいます!さながら《ヨーグモスの意思》ですね。 ですが赤単のせいで環境のキルターンが短く、《偉大なる統一者、アトラクサ》でリソース面は確保できるためお蔵入りに… 最近のカードのインフレを感じてしまいました。 《ファラジの考古学者》 モダンの御霊シュートでも採用されている優秀な切削カードです。《もがく出現》を拾うこともできるナイスカードなのですが、《第三の道の創設》で踏み倒せないことだけが惜しいところです。 ただし、赤単相手に壁になるところは評価できます。今の環境であれば《忘れられた者たちの嘆き》《蓄え放題》を押しのけて採用する意味があるかもしれません。 僕としては《第三の道の創設》のバリューを重く見ているので採用には至りませんでした。 《洞窟探検》 《森の轟き、ルムラ》のバリューを大きく加速させるカードとして、以前のリストには採用していました。タップインが多いデッキでもあるのでマナブーストも純粋に嬉しいです。 ただし手札で浮くことが多いカードであることもあり解雇してしまいました。 採用するならば土地の枚数を26枚にして、安定して土地を伸ばせるようにしたいですね。 《緊急の検死》 証拠収集を容易く達成できるデッキなので重宝していました。 しかしサイドボードでの使いにくさから、デッキのスロットを一枠使っていることに疑念を感じてしまい、あえなく解雇。 比較的ターゲットにする頻度が高いであろう《永劫の活力》《永劫の好奇心》《永劫の無垢》を完全に対処できないのも気になってしまいますね。 《好奇心の神童、ケラン》 以前はサイドボードでゲームプランになるカードとして非常に重宝していたのですが…… 1.土地を1枚ブーストすることに価値がない2.黒系ミッドレンジへの適切なブロッカーにならない3.出来事で出す手がかり以外にドローに変えることのできるアーティファクトがない などから、採用の機会が減っていました。 ですが現在は《除霊用掃除機》という明確なヘイトカードが存在するため、採用する意義がありそうです。 《その名を言え》《三度呼ばれ、アルタナク》 《その名を言え》は土地を回収できるものの、《蓄え放題》と比べると《第三の道の創設》が拾えないことが気になってしまいます。後は単純に3枚追放して出てくる《三度呼ばれ、アルタナク》が弱すぎました。墓地対策にも弱く、スロットも圧迫するため解雇です。 《神盾の海亀》 赤単に対するキラーカード。採用して一試合目で普通に黒い除去のほうが良いことがわかりました。「このカードがあれだったら…」という思考を持っておくと試行回数を節約できます。 《否認》《軽蔑的な一撃》 サイドボードに定番の打ち消し。が、あまりおすすめはしません。 毎ターン、ソーサリータイミングでマナを使い切ることに価値があるデッキであり、インスタントタイミングで打てるカードが《錠前破りのいたずら屋》しか存在しないからです。《否認》を構えて相手が何もしてこなかった時にこちらもインスタントタイミングでカードを使えないとターンがもったいないですよね。 軽い妨害である《強迫》の方が《第三の道の創設》の第一章・第三章と噛み合うのでおすすめです。 まとめ 今週の『リアニメイトディガー!』はいかがだったでしょうか? 赤アグロが多いこの環境で勝つのは厳しいと思っていましたが、意外と勝てていて嬉しいです。 とはいえ、プレミアム予選ではまだマッチしていないディミーアミッドレンジはどう考えても鬼門。 良いサイドプランを見つけたいところです。 今週末からチャンピオンズカッププレミアム予選はお休みシーズンに入ります。が、晴れる屋様主催の『スタンダード神挑戦者決定戦』に参加する予定です。 それに向けて調整も重ねるので、来週はそれについて記事にする予定です! それではまた次回!

【週刊メタゲーム通信】赤単タッチ緑/アゾリウスアーティファクト/セレズニアオーラ

週刊 Standard ピックアップ

2024.12.03

mtg Yuyan

こんにちは。 細川 侑也(@yuyan_mtg)です。 今週は東京で行われた2つのプレミアム予選の結果から、見事権利を獲得したデッキたちを紹介していきます! 赤単タッチ緑 プレミアム予選 in 晴れる屋吉祥寺店:突破 By Yokoyama Shota まずご紹介するのは大本命の赤アグロ。最強と言われ、意識され、それでも勝つデッキは強い。現スタンダード環境で最も強いデッキと言って間違いありません。 そんな赤アグロは今最もバリエーションが豊富です。緑を抜いた純正赤単に、《蛇皮のヴェール》と《亭主の才能》を入れたグルール、更には《稲妻波》《ボロスの魔除け》で本体を狙うボロスバーン。そしてこの赤単に少しだけ緑のカードをタッチした赤単タッチ緑型です。通常の赤単タッチ緑は赤単に《探索するドルイド》と《脚当ての陣形》だけを入れるのが定番。《探索するドルイド》は追加で2枚のリソースを獲得しつつ、盤面にクリーチャーを展開できる、一粒で二度おいしい便利なクリーチャー。緑マナを引かなくても最低限の働きができるので、緑が出なくても問題ないのは魅力ですね。《脚当ての陣形》は便利なサイドボードカード。《一時的封鎖》を割ったり、《ドロスの魔神》を1枚のカードで対処できるなど、赤単ではできなかったことを成し遂げてくれるカードです。《悪夢滅ぼし、魁渡》の影響などもあり《ドロスの魔神》が減りつつある今、緑マナの安定しないこのデッキで使うのはリスクと考えての不採用なのかもしれません。赤単タッチ緑の魅力はなんといっても土地の強さです。赤緑と違い《カープルーザンの森》でダメージを受けることもなければ、《不穏な尾根》《銅線の地溝》で4マナ目がタップインになり《多様な鼠》が遅れることもありません。《山》を大量に採用できるので、《ソーンスパイアの境界》を引けば緑マナが安定して出せますし、本来であれば《山》カウントのために犠牲しがちになる《岩面村》もしっかり4枚採用できます。《岩面村》は赤いデッキにとって貴重なマナフラッド受けとなるカード。というか《岩面村》の強さが赤アグロに更に安定感をもたらしていると言ってもいいぐらいです。《心火の英雄》《熾火心の挑戦者》《多様な鼠》《雇われ爪》どれを強化しても強く、土地を多少引きすぎてもまったく問題がありません。そんな強い土地がアンタップインでクリーチャーに使える赤マナを生み出せるのですから、あまりに破格。この土地を4枚採用できるだけでも、赤単、あるいは赤単タッチ緑にする価値があるぐらいです。グルールでもスロットさえ許せばぜひ4枚採用したいカードですね。メインから3枚の《塔の点火》とミラーを強く意識している一方、《魔女跡追いの激情》《抹消する稲妻》といった4点以上出る火力は一切採用しておらず、代わりに《稲妻の一撃》で本体を狙う構成となっています。 火力の選択はどこを見ているかで大きく変わりますが、ディミーア・ゴルガリなどのミッドレンジに強いのは4点以上出る火力で、それ以外に対しては本体に打てる《稲妻の一撃》の方が基本は優秀です。《塔の点火》を採用しているため、本体に当たらない火力はこれ以上入れたくなかったのかもしれません。非常にバランスの良いリストなのでどの赤アグロを使うかで迷っている方にオススメ! アゾリウスアーティファクト プレミアム予選 in 晴れる屋川崎店:突破 By Okai Toshiki 《力線の斧》の加入で近頃注目を集めているアゾリウスアーティファクト……ですが、このリストには《力線の斧》は採用されていません。初手にあれば《威厳あるバニコーン》と組み合わせて強力な装備品ですが、逆に初手になければ引きたくないカード筆頭。このデッキには不要牌を捨てて引くようなカードが入っていないので、《力線の斧》をデッキに入れるのはリスクがあります。不安定な新人に頼らなくとも、このデッキには多くの勝ち手段があります。《威厳あるバニコーン》を《マネドリ》でコピーすることで飛行の《威厳あるバニコーン》を爆誕させるのは最早定番。《ひよっこ捜査員》《遠眼鏡のセイレーン》はいつ引いても強力なリソース源。公判でも活躍する1マナクリーチャーは貴重ですね。手がかりと地図は使う以外にも用途があります。まず《内なる空の管理人》です。1マナを連打して2ターン目から《内なる空の管理人》を起動するのはこのデッキのブン周りの1つ。すぐ飛行がつき、攻防一体のアタッカーになります。地図や手がかりもタップできるので2ターン目から育てるのも実は難しくありません。アーティファクトを5/4クリーチャーに変える《生命ある象形》も地図や手がかりにつけられて便利。しかもこのカードは除去された時に発見できるので、対処されても損をしません。《泥棒隼の事件》でも空を飛ぶクロックになれますし、地図と手がかりをとことんしゃぶりつくすデッキですね。ちょっと珍しいのが《薄暮薔薇の聖遺》の採用。クリーチャーかアーティファクトを追放できる上に護法2と触られづらいアーティファクトですが、追加コストとして自分もクリーチャーかアーティファクトを生け贄に捧げなければなりません。しかし、このデッキには地図、手がかり、そしてそれらを作り出すクリーチャーたちと、生け贄に捧げるカードに窮することはないでしょう。しかも護法2がついているので、この《薄暮薔薇の聖遺》は絶好のクリーチャー化対象。《生命ある象形》《泥棒隼の事件》でクリーチャー化してしまえば、相手としては厄介なアタッカーになるのです。サイドボードからは赤殺しの《幽霊による庇護》もあり、赤単に対して有利に立ち回れそうに見えますね。 アゾリウスアーティファクト、今後本格的にメタゲームに食い込んでくることになってきそうです。 セレズニアオーラ プレミアム予選 in 晴れる屋川崎店:突破 By Iso Toshiharu 先ほど紹介した、赤アグロ殺しの《幽霊による庇護》。更にこれに特化したデッキがセレズニアオーラです。セレズニアオーラはその名の通り、クリーチャーにオーラを貼って強化するビートダウンデッキ。モダンでも同色のオーラデッキはいますが、大きく異なるのはクリーチャーの質。オーラはクリーチャーに貼るというカードの特性上、除去に対してすごく弱い。オーラが付いたクリーチャーを除去されたら、カードを2枚失ってしまいますからね。だからこそ、オーラを付ける対象となるクリーチャーは相手の除去を受けない呪禁を持っています。別名で呪禁オーラとも呼ぶぐらいです。しかし、スタンダードには上等な呪禁クリーチャーはいません。そこで白羽の矢が立ったのが《毒茸の称賛者》。1マナ1/1で、マナを支払うと+1/+1カウンターを乗せられるアウフ。強化には4マナが必要で、コモンらしい性能ですが、大事な能力である護法がついています。護法はたった2なので、3マナ支払えば《塔の点火》で焼けますが、その時にはオーラが既についているはずなので焼けません。そして《幽霊による庇護》をつければ護法は4となるので、いよいよ対処は困難でしょう。《喉首狙い》などの除去が当たる4ターン目まではオーラを付け放題というわけです。そしてサイズ差を無視する黒除去たちもメインから意識しています。そう、採録された《善意の騎士》。黒からの呪禁を持っているので、黒い相手には何も気にせずオーラをぺたぺたと貼り続けられます。《新ベナリアの守護者》は手札を捨てることで破壊不能を持つクリーチャー。オーラさえつけばすぐ火力圏外に逃げるので、除去は困難です。これらの死ににくいクリーチャーたちにつけるオーラはパイオニア級の一流たち。打点が跳ね上がる《天上の鎧》にパワー2修正とトランプルを付与する《無鉄砲》。《幽霊による庇護》の修正値が低い弱点をこの2枚が補っています。《ひるまぬ勇気》は3マナと重い代わりに絆魂・トランプルとほしいもの満載のオーラ。赤からしてみれば悪夢ですね。赤アグロだけは倒すという意思が、メインサイド含めて4枚というデッキリストから伝わってきます。サイドボードを見ていて驚いたのが《装甲アルマジロ》。このカードも護法を持っていますが、選ばれた理由は1マナ0/4という恵まれたサイズからでしょう。《叫ぶ宿敵》までも優しく受け止めてくれるサイズで、防衛はないのでオーラがつけばしっかりと暴れてくれます。サイドアウトする《善意の騎士》と入れ替えるためでしょう。オーラデッキはサイドボード後にオーラを貼る先とオーラ自体のバランスが崩れがちですが、しっかりとサイド後の60枚を意識して構築されていますね。赤アグロが憎い方にオススメのデッキです!

【今週のピックアップデッキ】アゾリウスレイライン/イゼットロータス/シミック鱗親和

週刊 Modern Pioneer Standard

2024.11.29

mtg Yuyan

こんにちは。 細川 侑也(@yuyan_mtg)です。 今週のピックアップデッキでは、ちょっと珍しいデッキを、軽い解説を交えて紹介していきます。 アゾリウスレイライン(スタンダード) MOショーケースラストチャンス:5-0 By D00mwake 『ギルドパクト』で初めて登場した力線サイクル。ゲーム開始時に初手にあると手札から出した状態でゲームを始められるこのエンチャントのサイクルは、墓地対策の《虚空の力線》、手札破壊や火力に耐性がつく《神聖の力線》など、サイドボード後に活躍するものがほとんどでしたが、近年では《ドラコの末裔》とコンボになる《ギルドパクトの力線》と、デッキコンセプトになる力線までもが現れました。そして『ファウンデーションズ』で新しく刷られた力線も、デッキコンセプトになりうる1枚!《力線の斧》です。以前パイオニアのアゾリウスコロッサスで紹介したこの《力線の斧》。初手にあると手札からタダで出せる力線カードで、初めての装備品です。装備先に+1/+1二段攻撃トランプルを付与する装備品は本来唱えるのに4マナ、装備に3マナの合計7マナがかかるので、それが初手にあるだけで3マナで済んでしまうのはかなりお得……というより価格破壊レベル。この装備品のつけ先はなるべくサイズが大きいクリーチャーが良い!そこで選ばれたのが《威厳あるバニコーン》。可愛らしい兎さんは、その見た目とは裏腹に暴力的なサイズを持ちます。土地以外のパーマネントの数だけ大きくなるので、手がかりや地図などがあればあっという間に2マナ5/5。令和の《タルモゴイフ》と言っても過言ではありません。だが残念ながら《威厳あるバニコーン》は能力を持たないバニラ。トークンなどにチャンプブロックされてダメージが通せないのが弱点でしたが、《力線の斧》のおかげで一撃で敵を屠る兎に変貌します。《威厳あるバニコーン》と相性の良いカードが《マネドリ》。クリーチャーを飛行を持った状態でコピーしてしまうので、飛行を持つ《威厳あるバニコーン》として戦場に出ることも可能ですし、手がかりや地図を生み出して《威厳あるバニコーン》のサイズを上げる《ひよっこ捜査員》《遠眼鏡のセイレーン》にもなれます。《鋼の熾天使》も《威厳あるバニコーン》と組み合わせて強いカード。飛行を付与して《威厳あるバニコーン》のダメージを通しても良し、絆魂をつければ一気に大量のライフを回復できます。赤系アグロからしてみたらこの動きはたまらないでしょう。赤系アグロにとって天敵である《幽霊による庇護》ももちろん4枚採用です。これを《威厳あるバニコーン》につけてしまえば、《力線の斧》や《鋼の熾天使》でイージーウィンです。《幽霊による庇護》《鋼の熾天使》+《威厳あるバニコーン》は対赤アグロにおいて必勝ともいえるムーブ!赤いデッキに強いというだけでも、このデッキを選ぶ理由になりそうですね。 イゼットロータス(パイオニア) MOショーケースラストチャンス:5-0 By RNAPBP1 『ファウンデーションズ』では新カードだけでなく、これまで活躍してきた歴戦のカードたちも再録され、スタンダードで使用可能となりました。スタンダードで使えるということは、当然パイオニアでもそれらのカードが使用できるようになったのです!その中でも最もパイオニアへ影響を与えるのではないかと目されていたカード、それが《探検の地図》。ウルザ地形3種を揃えて膨大なマナを出すウルザトロンや、神座をたくさん集めてやはり大量のマナで勝利するクラウドポストなど、様々な土地コンボで採用実績のあるカードが、パイオニアにやってきました。その居場所はもちろん、パイオニアで土地を使うデッキ、ロータスコンボです!これまでのロータスコンボは《大ドルイドの魔除け》《森の占術》を採用した青緑、あるいはそこに《厳しい試験官》を加えたバントが定番でした。《睡蓮の原野》を置かなければ始まらないコンボなので、土地サーチはあればあるだけ良く、その役目を担えるのが緑しかなかったのです。しかし、《探検の地図》の登場でロータスコンボ界にも変革が訪れました。無色で使える土地サーチが出たことで、緑を使わない選択肢も出てきたのです。実は緑を使わないロータスコンボも実は少数存在していましたが、その比率は9:1ほどで、一般的なのは緑型でした。それが《探検の地図》のおかげで飛躍的に安定性が上がり、いよいよ緑の立場を脅かそうとしています。イゼットロータスの特徴はなんといっても不純物が非常に少ないことが挙げられます。通常のロータスコンボは《出現の根本原理》とそのサーチ先などで、およそ6~7枚ほど、重いカードが採用されていました。《出現の根本原理》を打って《全知》を置くことが勝ち手段だったので仕方ありませんが。これらの要素をすべて廃し、《考慮》や《手練》などのキャントリップ呪文、そして《時を越えた探索》を採用し、とにかくドロースペルを連打する構成となっています。《見えざる糸》から《出現の根本原理》を打つのではなく、ドロースペルを連打し、《見えざる糸》でマナを起こし、そのマナで更にドロースペルを打っていく。これがイゼットロータスです。とはいってもドロースペルがいつまでも連鎖するわけではありません。キャントリップ呪文もいつか土地になり、連鎖は終わります。それを防いでくれるのがイゼットフェニックスでも大活躍中の《美術家の才能》です。《美術家の才能》とキャントリップ呪文で不要なカードを弾きつつ、キャントリップを連打していき、最終的に《溺神の信奉者、リーア》に辿り着いてデッキすべてを掘り、《願い》から《タッサの神託者》で勝利。従来のロータスコンボというよりは、ストームに近い感覚のデッキですね。ロータスコンボでは《見えざる糸》を手札破壊で狙い撃ちされて《出現の根本原理》だけが手札に浮いてゲームに負けたり、《全知》や《闇の誓願》だけを引いて負ける。そんなこともありましたが、イゼットロータスではそんなことは起きません。ロータスを飽きるほど回した人でも、このイゼットロータスは新鮮な気持ちで回せるのではないでしょうか。《美術家の才能》とキャントリップと《見えざる糸》でデッキが回る様は美しく、在りし日のピットサイクルを思わせます!ぜひご堪能あれ! シミック鱗親和(モダン) モダンリーグ:5-0 By CarlosZ モダンの数あるガチャガチャデッキの1つである鱗親和。その歴史は2018年にまで遡ります。当時マジックオンライン上でマニアだけが使うマイナーデッキだった鱗親和は、その年のモダンで行われたグランプリ・プラハで優勝を果たし、人気のアーキタイプとなりました。《硬化した鱗》と《電結の荒廃者》による爆発力に魅了されるプレイヤーも多く、今もファンがとても多いデッキです。ちなみに僕も鱗親和を愛するプレイヤーの1人。そんな鱗親和の最新事情はというと、なんと青が足されています。青というスパイスが加わってどんな動きが可能になったかを、デッキの簡単な動きと共に解説していきます。このデッキは《硬化した鱗》にフィーチャーしたコンボ要素の強いアグロデッキ。《硬化した鱗》はカウンターが1つ乗る効果を2つにするので、《微光蜂、ザーバス》《歩行バリスタ》《電結の荒廃者》など、+1/+1カウンターが乗った状態で出てくるクリーチャーがすべて倍のカウンターで戦場に降り立ちます。これだけだと大したことはありませんが、《電結の荒廃者》はアーティファクトを1つ生け贄に捧げると+1/+1カウンターが1個乗るので、これも2個に。場のアーティファクトを3つ生け贄にすれば6個のカウンターが乗り、元のカウンターと合わせて8個。この《電結の荒廃者》を接合して《墨蛾の生息地》にカウンターを移せば、その際にも《硬化した鱗》でカウンターが増え、合計9個が乗り、一撃で10毒を相手に与えられるようになります。《継ぎ接ぎ自動機械》も《硬化した鱗》下ではカウンターが倍になり、恐ろしいサイズの護法クリーチャーが突然爆誕します。勝ちパターンもいろいろとあります。先ほど紹介した《電結の荒廃者》《墨蛾の生息地》による一撃必殺の他に、《歩行バリスタ》もフィニッシャーになります。《オゾリス》がある状態で《電結の荒廃者》の上に乗ったカウンターを《歩行バリスタ》に接合すると、《オゾリス》にも大量のカウンターが乗るので、たとえば8個カウンターが乗ってる《電結の荒廃者》が《歩行バリスタ》に接合することで、もともとのカウンター2+接合で乗るカウンターが8(+1)、そして《オゾリス》の上からまた8(+1)の9個が乗り、ちょうど20点を飛ばせます。そして《電結の荒廃者》《歩行バリスタ》などの強力な起動型能力を持つクリーチャーと相性の良いカードが《アガサの魂の大釜》。《電結の荒廃者》は非常に狙われやすいカードですが、《アガサの魂の大釜》があればすべてのクリーチャーが《電結の荒廃者》になるので安心。もちろん《硬化した鱗》カウンターもしっかり2つ乗ります。ここでようやくタッチ青の話が出てきます。この《アガサの魂の大釜》のバリューを更に引き上げてくれるのが《湖に潜む者、エムリー》です。戦場に出た時に切削4をするので、その中に落ちたクリーチャーを《アアガサの魂の大釜》で追放できますし、《アガサの魂の大釜》で《湖に潜む者、エムリー》を追放すれば、自分のクリーチャーがすべて《湖に潜む者、エムリー》の能力を使えるようになります。《電結の荒廃者》の能力で戦場のアーティファクトを墓地に送りこめるので、《湖に潜む者、エムリー》の能力を5体が使えたとして、それを全部使いきれるのが素晴らしい噛み合いポイント。《溶接の壺》を5回《電結の荒廃者》の能力で食べるもよし、マナがあれば《微光蜂、ザーバス》を何回も墓地から唱え、大量の+1/+1カウンターをばらまけます。これまでの鱗親和に入っていなかったのが不思議なぐらい、デッキと噛み合う1枚、それが《湖に潜む者、エムリー》です。サイドボードを見てもタッチ青はしっかりと活かされており、《記憶への放逐》と《呪文貫き》が採用されています。フェアデッキに強い一方、アンフェアはめっぽう苦手なのが鱗親和。緑単では解決できなかった対アンフェアも、青の力を借りれば攻略可能です。一度回せば虜になる魔力が鱗親和にはあります!ぜひ《湖に潜む者、エムリー》を加えて更に楽しくなったシミック鱗親和を回してみてください。

【リアニメイトディガー!】最新スタンダード環境を《もがく出現》で攻略

週刊 Standard

2024.11.27

Kyle Hitachi

皆さんこんにちは! 新しくGOOD GAMEメディアで筆を執らせて頂くことになった常陸カイル(Kyle Hitachi)です! X(旧Twitter)上ではEin(@Ein49499674)として活動しています。競技シーンに興味があり、主にスタンダード、パイオニア、モダン、そしてリミテッドをプレイしています。『チャンピオンズカップ』の予選やファイナルでお会いすることもあるかもしれませんね!さて、私が執筆する「リアニメイトディガー!」ではその名の通り、様々なフォーマットの「リアニメイト」デッキをディグしていきます。 「リアニメイト」とは、その名の通り、墓地からクリーチャーを戦場に戻す戦術のことです。墓地からクリーチャーを吊り上げるカードの中でも最強格の《再活性/Reanimate》をご存じの方も多いのではないでしょうか? リアニメイトデッキの歴史を振り返ると、こちらも有名なリアニメイトスペルである《動く死体》と、《納墓》や《生き埋め》といったライブラリーから直接クリーチャーを墓地に落とすカードが組み合わせたデッキが、エクステンデッド時代から長らく活躍してきました。墓地にあるクリーチャーを出す動きは、さながら釣りに例えられます!手札にある「釣り竿」で墓地のクリーチャーを「釣り上げる」なんて表現もよくされます。 リアニメイトデッキの最大の魅力は、強力なクリーチャーやパーマネントを、比較的早いターンに戦場に送り出せることです。最近ではどのフォーマットでも《偉大なる統一者、アトラクサ》がリアニメイト先としてよく使われていますね。 どんな厳しい盤面からでも一発逆転出来るポテンシャルを秘めている、非常にロマンあふれる戦術で、ファンも多く、私もその一人。様々なフォーマットで墓地からクリーチャーを吊り上げるディガーです。 記念すべき第一回ということで、今回はスタンダードの《もがく出現》デッキを紹介していこうと思います。自身のnoteで何度も取り上げているテーマですが、改めてどんなデッキなのか、『ファウンデーションズ』環境での立ち位置はどうなのか、解説していきます。 そして競技も今はスタンダードシーズン真っ最中というわけで、チャンピオンズカッププレミアム予選やThe Last Sun本戦への取り組みも紹介していく予定です! 《もがく出現》デッキとは? 《もがく出現》は『イクサラン:失われし洞窟』に収録されたリアニメイトスペル。コストは3マナと比較的軽く、準備さえ整えばどんなパーマネントでも戦場に送り出すことができます! まず気になるのが「何を釣り上げるのか?」幸いこのスタンダード環境には魅力的なカードがたくさんあります! 強力なスタッツで戦場を支配し、強力なドロー能力で後続を引っ張ってこれる《偉大なる統一者、アトラクサ》は絶対に採用したいカードです。 強力な護法能力とアドバンテージ能力を併せ持つ《恐怖を喰うもの、ヴァルガヴォス》も中々良いカードですね。 手札のカードを無制限の唱えられるようになる《全知》や、墓地の土地カード全てを場に出せる《森の轟き、ルムラ》なども非常に魅力的。 強力なプレインズウォーカーである《戦慄衆の将軍、リリアナ》やライブラリーを大量に切削出来る《完成した精神、ジェイス》なども是非使いたいですね。私が推奨するカラーは『スゥルタイ』、つまり黒緑青の3色デッキです。 赤や白にも《原初の征服者、エターリ》や《整炎師、チャンドラ》、《無形の処刑者、ケイヤ》など、釣りたいカードがたくさんありますが、青は何と言っても足回りに優れています。 足回りとはつまり「いかにして墓地を肥やすのか」。リアニメイトはこれに尽きます。青いカードには《第三の道の創設》やこれの第一章で唱えることができる《錠前破りのいたずら屋》、高い対応力を持つ《忘れられた者たちの嘆き》など、強力なカードが揃っているのです。 デッキリストと現状の立ち位置 11月24日にに晴れる屋TC東京で開催されたチャンピオンズカッププレミアム予選で使用したリストがこちら。 『ファウンデーションズ』加入後の最新スタンダードは、赤系アグロデッキの隆盛が目につきます。 更にディミーアミッドレンジにゴルガリミッドレンジとスタンダード然としたミッドレンジたち、パイオニアから逆輸入された《永遠の策謀家、ズアー》型の版図ランプ、オンラインでも多大な実績を残している新進気鋭のコンボ・ティムールカワウソ、赤アグロ殺しの白単コントロールなどが仮想敵。 もがく出現の各デッキとの相性は赤アグロ系、そしてクロックパーミッション系のデッキは苦手とするものの、その他のデッキには五分以上に戦える認識です。 これまでは赤アグロに対しては《偉大なる統一者、アトラクサ》を着地させれば一安心だったのですが、《叫ぶ宿敵》がほとんどのリストに採用されるようになってしまったので、現状はお世辞にも有利とは言えませんね。 クロックパーミッション系のデッキには、こちらのアクションが重めかつ、ソーサリーアクションであるという性質な以上、どうしても厳しい印象です。サイドボードの《強迫》を《第三の道の創設》で使い回して打ち消しを落とすなど、勝つ方法はありますが、相手の墓地対策なども考えると、中々厳しい戦いになるのは必至。 そもそも3色なので土地周りのトラブルが起こっただけでも、上記のデッキたちには容易に負けてしまいます。一方、環境が赤アグロに意識を寄せているからこそ、その他のデッキには有利に戦うことができます。メインで相手が引いた《切り崩し》《苦痛ある選定》は腐りますし、ライフゲインとドローがデッキ構築の主体である白単コントロールには《完成した精神、ジェイス》だけで勝ってしまいます。 このようにマッチアップによって有利不利がはっきりしたデッキなので、当たり運次第で勝ち星を伸ばし続けられます。 一部カード解説 シンプルなリアニメイトデッキであるもがく出現ですが、様々な使い道のあるカードがいくつかありますので、抜粋してご紹介します。 強力な切削能力を持ったプレインズウォーカー。 プラス能力のクリーチャーマイナス修正は自身の生存率を高め、ー2のドロー能力は必要なカードを揃える手段などで重宝します。 何と言っても3マナでキャストできるオプションがあるのが強みですね。3ターン目に出してプラス能力で次のターンまで生存、そしてー3かー4で9~12枚のカードを切削して《もがく出現》をキャストする動きはよくやります。 また版図ランプや白単コントロール相手にはフィニッシャーにもなります。 《豆の木を登れ》《世話人の才能》などの継続的なドローでライブラリーが30枚程度になっていることが多く、《偉大なる統一者、アトラクサ》はいくら出しても処理されますからね。《もがく出現》での再利用も考えながらLOさせちゃいましょう。 こちらはリアルでのテクニックの話になりますが、対戦相手をライブラリーアウトさせようと思った時、相手にデッキの枚数を聞くと、ライブラリーアウトを狙っていることがバレてしまいます。 そういう時は自分で数えましょう。相手の手札・戦場・墓地・追放領域にあるカードを数えれば良いのです。ゲーム中盤ならライブラリーを数えるより早く済むので、時間の節約にもなります。頭の片隅においておきましょう。自分のライブラリーを切削する以外にも、《寓話の小道》を積極的に使うことで墓地の土地枚数を増やすことができます。《森の轟き、ルムラ》を出した時に手札に《寓話の小道》が余っていると悲しい気持ちになります。 落魄カウントにもなるので《寓話の小道》はタップインを消化できるタイミングで積極的に切っていきましょう! 紙でプレイする際は《森の轟き、ルムラ》の能力解決後に諜報ランドの誘発が乗ることが多いので、忘れないようにしましょう。 《森の轟き、ルムラ》で出したタップインの《寓話の小道》は自分のアップキープに切ることでスペルを引く可能性を上げてくれるので、こちらもお忘れなく。《第三の道の創設》の第一章で《フェイの開放》としてキャストすることができます。 アグロデッキ相手や《ミストムーアの大主》から出てくるトークンへのブロッカーとしても役に立つことが多いです。 暇なときは積極的に本体を出してライフを守りましょう。除去されて墓地に落ちれば落魄カウントも稼げますからね。 あまりないシチュエーションですが、《忘れられた者たちの嘆き》のバウンス能力で使い回すこともできます。他の切削カードとは違い、3枚の内好きなカードを手札に加えて残りを墓地に落とせるので、土地が欲しい時に特に重宝します。 バウンス能力は対戦相手のパーマネントに限定されていないので、《完成した精神、ジェイス》《錠前破りのいたずら屋》を使い回せます。 例えば対戦相手のライブラリーが27枚のときは追加の《完成した精神、ジェイス》《もがく出現》がなくてもフィニッシュできるようになります。 ちなみに落魄8を達成しているときはすべてのモードを選べますが、その際は上から順番に解決していきます。つまり対戦相手の手札が0枚で場に《黙示録、シェオルドレッド》がいる場合、《黙示録、シェオルドレッド》を戻すとそのままそれをディスカード、その後でライブラリーの上3枚から選ぶ、という手順になります。除去になってちょっとお得。 相手が何を捨てたか見てから山札を見れるのも嬉しいですね。このデッキのブン回りを担保しているカードです。先読みにより実質モードが3つあるカードなので、扱うのが難しいですよね。 私は2ターン目に手札に《第三の道の創設》しかない場合、第一章で出してしまいます。次のターンにスペルを唱え、それを第三章で使い回せば、カード1枚分としての価値が生まれるからです。第二章で出してしまうと3マナない状態で第三章を迎えるため、墓地に落ちた《もがく出現》が使えなくなるのが残念ポイント。 また、第二章の能力でどちらのプレイヤーを対象に取るか、毎回考えたほうが良いです。基本的には自分を対象に取るのですが、十分に墓地がある場合や墓地対策されているとき、またライブラリーアウト勝ちが見えている状況では、相手の墓地を切削します。 第三章は2マナで墓地のスペル1枚にフラッシュバックをつけるようなカード。第二章で切削して《偉大なる統一者、アトラクサ》を落として、第三章で墓地から《もがく出現》を唱えて《偉大なる統一者、アトラクサ》を吊り上げる。美しい動き。 《もがく出現》《第三の道の創設》《完成化した精神、ジェイス》はそれぞれカードタイプが違うので《偉大なる統一者、アトラクサ》で集めやすく、揃えばライブラリーアウト勝ちが現実的になってきます。積極的に狙っていきましょう。 マリガンについて まず墓地を肥やせるカードが必ず初手に必要です。 《第三の道の創設》から《錠前破りのいたずら屋》で《もがく出現》を回収、そして落魄を達成して《偉大なる統一者、アトラクサ》《森の轟き、ルムラ》《恐怖を喰うもの、ヴァルガヴォス》《ギックスの残虐》を《もがく出現》で墓地から戦場に戻す、これが理想の動きです。 逆に墓地を肥やす算段がつかないままゲームを始めてしまうと、手札に使い道のないカードが溜まっていってしまいます。 《第三の道の創設》《錠前破りのいたずら屋》《忘れられた者たちの嘆き》はもちろん、《完成した精神、ジェイス》《蓄え放題》もキープ基準になります。どれも手札にない場合はまずマリガンですね。 トーナメント結果 予選ウィークエンドDay1 結果は1勝3敗。ゴルガリミッドレンジに勝ち、赤単アグロに2回、アゾリウス眼魔に負け……きっちり相性差が結果に出てしまった形ですね。 サイドボードカードを引かなかったり《完成化した精神、ジェイス》で18枚切削した中に釣り先がないなどの下振れもあったので、この日は私の日ではなかったですね。 チャンピオンズカッププレミアム予選 結果は5勝2敗。成績だけで見ればまずまずですが、実際は早々に2敗してしまっていたので、惜しくもなんともありませんでした。プレミアム予選の初戦で当たったのは、プレミアム予選抜けの常連、Bigsの加茂さん。デッキはイメージと違わずグルールアグロでまんまと0-2してしまいました。細かいミスや不運もあったので当然の結果でした… 次の試合に勝ち、当たったのは元パイオニア神で前回スタンダード神挑戦者決定戦の決勝ラウンドの配信卓でも対戦した松原さん。 お互いにデッキも変わっておらず、相手は5Cレジェンズ。コンボ負けからの下手負けで0-2。自分のライブラリーを削りすぎた結果、《チビボネの加入》などでデッキ枚数が足りなくなってしまいました。デッキの総枚数を増やせば解決する負け方なのですが、ケアもできたので、純粋に下手でしたね。 と振り返ってみるとミスもそれなりにありましたが、収穫もありました。今回のトーナメントでボロスバーンに2勝できたことです。厳しいマッチアップだと思っていたので望外の結果。 とはいえ、その内容まで掘り下げてみると、手放しで喜んで良いかは微妙です。相手にこちらのデッキの勘所がバレていなかったり、運が良かった部分もあるので、再現性がある勝ち方かと言われると疑問符。 それ以外のデッキにはかなり余裕を持って勝てたので、苦手な赤アグロとクロックパーミッション相手をなんとかすれば、まだまだやれそうです。 最後に ということでリアニメイトディガー、初回はスタンダードの《もがく出現》を紹介しました! できるだけ毎週『チャンピオンズカップ』の予選に参加して、そのフィードバックをこの連載で行っていく予定です! 環境がある程度わかったらサイドボードガイドなども追加していきます! 今環境での《もがく出現》の進化をお楽しみに!墓地対策はやめてください! それではまた来週お会いしましょう。

【週刊メタゲーム通信】MTGアリーナの予選を突破したデッキたちをご紹介!

週刊 Standard ピックアップ

2024.11.26

mtg Yuyan

こんにちは。 細川 侑也(@yuyan_mtg)です。 今週の週刊メタゲーム通信は、先週末に行われたMTGアリーナ上の大会、予選ウィークエンドを突破したデッキたちを紹介! グルール果敢 予選ウィークエンド突破 By Seth Manfield ワールドチャンピオンでもあり、2つのプロツアーも制した最強のプロプレイヤーの1人、セス・マンフィールド選手がMTGアリーナの予選を突破!その使用デッキはグルールアグロ。最近では赤いデッキの流行に伴い、グルールは少し減少気味でした。緑を加えることで採用できる《蛇皮のヴェール》などが赤対決ではさほど強くなく、《カープルーザンの森》によるダメージや《銅線の地溝》《不穏な尾根》のタップインが首を絞めてしまう方が多かったからです。しかし、今回予選ウィークエンドを突破したセス・マンフィールド選手と齋藤 慎也選手は共にグルールを使用していました。タッチ緑をすることで最も強くなるのはメインよりむしろサイドボード。《脚当ての陣形》はタッチ緑をする理由になります。 このデッキは《ドロスの魔神》が厳しく、そのために《歪んだ忠義》が採用されていたほどでしたが、《脚当ての陣形》なら後腐れなく除去することができ、《ドロスの魔神》が出てこなければドローでも使用できるため、とにかく腐りづらい便利なカードなのです。 後述しますが《領事の権限》も赤アグロにとっては天敵。白いデッキにはエンチャントが大量に入っており、そこをしっかり狙い打てる《脚当ての陣形》は、最も良いサイドカードなのです。《亭主の才能》も緑を入れる理由になるカード。最初のレベルアップで受けられる護法の恩恵が非常に大きく、相手に除去を構えづらくさせます。ディミーアミッドレンジのような細かいアクションの連続で妨害しながら攻撃してくるような相手にはこの護法が非常に効果的。セス・マンフィールド選手のリストで特徴的なのは、土地の多さでしょうか。通常の赤アグロが土地21枚なのに対し、なんと23枚の土地を採用しています。それも納得で、グルールはマナフラッドにとても強いアグロなのです。《岩面村》は継続的にクリーチャーの打点を上げつつ、トップデッキした《心火の英雄》を速攻にしてくれますし、《不穏な尾根》も起動します。《探索するドルイド》や《熾火心の挑戦者》によるライブラリーの追放も、マナが伸びてこそ活きてくるカードです。そして《多様な鼠》は2ターン目に出して《心火の英雄》を強化して強力なのはもちろん、4ターン目に新生でも出せるカード。この4マナで新生する動きは強力で、それまでの攻防でも除去を使わせ続けるので、1体は生き残ってしまう場合が多いです。そしてそのたった1体で致命的なダメージを叩き出せるのがグルールなのです。意外だったのが《叫ぶ宿敵》が2枚である点。赤いアグロがこれだけいることを考えれば4枚しかありえないと思っていましたが、一方で黒い相手にはただの3/3速攻なのも事実。ディミーアミッドレンジやゴルガリミッドレンジが赤アグロを強く意識していることを考えると、赤アグロ側も意識する必要があるでしょう。《探索するドルイド》が4枚なのも特徴的です。通常10~11枚体制の1マナ域を9枚まで減らして《探索するドルイド》を増やしているのは、アグロ・ミッドレンジ・コントロールすべての相手に対して手札が足りなくなると考えているのでしょう。サイドボードには更に追加の《レンの決意》まで入っています。《稲妻の一撃》が入っておらず、代わりに《抹消する稲妻》がメイン採用なのも黒を意識した結果です。特に狙っている対象は《分派の説教者》。《永劫の無垢》《永劫の好奇心》も処理できるので、この選択には感服。本体に火力を打って勝つのではなく、クリーチャーをしっかり焼いてクリーチャーで押し切るのがグルールアグロ。だからこそ、《稲妻の一撃》ではなく《抹消する稲妻》。「これからの赤アグロの基準がこのリストになるのでは?」と思うほど、完成されたリストに見えます。特に《探索するドルイド》をメインから4枚採用・土地23枚、この2点は革新的で、今後取り入れられることになるでしょう。赤アグロを使う予定の方はぜひこのリストをお試しください! ズアードメイン 予選ウィークエンド突破 By DoomSwitch 《永遠の策謀家、ズアー》の能力で3種の大主を動かす4cズアー。パイオニアでも地域CSトップ8など結果を残しているこのデッキは、実はスタンダードでも組むことができます。ズアードメインにおける《豆の木をのぼれ》は非常に強力!何せ5マナ以上のカードが大主10枚、《太陽降下》、《群れの渡り》、《力線の束縛》で合計18枚ありますからね。普通のデッキでは5マナ以上のカードなど重くてほとんど採用できませんが、大主たちが軽い5マナ以上のカードなので、《豆の木をのぼれ》を誘発させてくれます。兆候で出した《ミストムーアの大主》を《永遠の策謀家、ズアー》で動かして殴るというわかりやすいコンセプトのコントロールデッキですが、《巻物変容》を用いたプチコンボも採用しています。大主に打てば戦場に出た時の能力を再誘発させつつ、兆候が解けた状態でいきなり爆誕。特に《ミストムーアの大主》でやりたいですね。赤アグロに対してもズアードメインはしっかり勝ち筋があります。《永遠の策謀家、ズアー》は絆魂を付与するので、《力線の束縛》や各種大主をクリーチャー化して攻撃し、大量のライフを獲得。《永遠の策謀家、ズアー》は1/4と優れたサイズなので、中々火力では倒しきれないでしょう。 除去もメインから《失せろ》《力線の束縛》の定番2種に加え、《太陽降下》はもちろん、3マナの全体除去である《別行動》も採用。赤単は速攻クリーチャーが多く、すべてのクリーチャーがタップ状態でターンが返ってくることもしばしばあるため、《別行動》が突き刺さります。《叫ぶ宿敵》の返しで打つのが一番ですね。サイドボードにも4枚(!)の《領事の権限》に《エルズペスの強打》と、徹底的に赤を意識。《領事の権限》は《ウラブラスクの溶鉱炉》に最も強いカードであり、速攻クリーチャーすべてに対して耐性もつきます。赤アグロを意識するならばオススメの1枚。4色デッキなのでマナベースに少し不安はあいますが、実はバントに黒をタッチした4色なのがこのデッキ。黒マナは《魂の洞窟》4枚を合わせて7枚+《群れの渡り》+《ホーントウッドの大主》の合計13枚。意外としっかり色マナは確保できています。《力線の束縛》が打ちづらいのはご愛敬。《ゼイゴスのトライオーム》などの3色土地がなき今、1マナで打つのは《ホーントウッドの大主》頼みです。逆に《ホーントウッドの大主》さえ引けていれば《力線の束縛》はモダン級の力を見せてくれます。マナ加速から《偉大なる統一者、アトラクサ》に繋げる従来のドメインとは一味も二味も違ったズアードメイン。赤いデッキをドメインで攻略したいならこの形がベストかもしれません。 ディミーアミッドレンジ 予選ウィークエンド突破 By Beenew 最後にご紹介するのはディミーアミッドレンジ。除去と打ち消しで序盤を凌いでクリーチャーを展開し、《永劫の好奇心》でリソースを確保しながら殴りきる、前環境から強力だったデッキですね。《大洞窟のコウモリ》が入っていない点にはまず驚きましたが、現環境では赤アグロを意識する必要があるため、ほとんどのデッキが軽い除去をたくさん採用しています。その最たる例が《切り崩し》《塔の点火》。これらのカードをテンポよく打たれてしまうと、《大洞窟のコウモリ》はただ相手の手札を見るだけのカードになってしまいます。そんな《大洞窟のコウモリ》の代わりに採用されたのが《フラッドピットの溺れさせ》。《叫ぶ宿敵》を止めて除去したり、2ターン目から相手のクリーチャーに麻痺を置き、攻撃して《悪夢滅ぼし、魁渡》の忍術で手札に戻して後のターンに再利用など、その用途は多数。個人的には《フェアリーの黒幕》よりも《フラッドピットの溺れさせ》の方が強いと思うほどでした。2マナ域で最も優先したいカードは《フラッドピットの溺れさせ》!《悪夢滅ぼし、魁渡》についても改めてご紹介しなければなりませんね。このカードは使えば使うほど強力だと感じました。特に先手で強すぎる!3ターン目に忍術し、相手の盤面が何もなければドローや紋章を得ればいいですし、相手に脅威があればそれを寝かせて麻痺を2つ置くことで実質無効化。起きるまでの間に《悪夢滅ぼし、魁渡》がゲームを終わらせてくれます。最速以外でも《悪夢滅ぼし、魁渡》は強力。4ターン目に《遠眼鏡のセイレーン》を忍術で戻しつつ展開し、余った1マナで再び《遠眼鏡のセイレーン》を唱える動きは攻防一体。麻痺と合わせて《悪夢滅ぼし、魁渡》がほぼ倒されずに戦場に残ります。最初は「忍術しなければ弱い」という認識でしたがそれは誤りでした。《悪夢滅ぼし、魁渡》は忍術せずに4マナで出しても十分強いカード。麻痺カウンターを2つ置く能力が実質除去なので、とりあえず出してマイナスし、次のターンから殴っていけます。盤面が不利な状態以外では、いつ出しても強いカード! 要するに、単純にめちゃくちゃ強いプレインズウォーカーでした。サイドボードの《覆い隠し》は最近ディミーアミッドレンジのミラーで注目されているカード。《永劫の好奇心》に対処できる数少ないカードなだけでなく、《悪夢滅ぼし、魁渡》にも触れるので、今後枚数が増えてくるかもしれません。《悪夢滅ぼし、魁渡》はスタンダードで最高の1枚。それを軽いクリーチャーと軽い除去のバックアップで最も強く使えるディミーアミッドレンジが強いのは当然のこと。今後も赤アグロと共にスタンダードを牽引していくデッキになっていくでしょう。

【週刊メタゲーム通信】カナダ地域CSではデーモンが大暴れ!そして突如現れたアサーラックコンボとは!?

週刊 Pioneer ピックアップ

2024.11.20

mtg Yuyan

こんにちは。 細川 侑也(@yuyan_mtg)です。 今回は先週末に行われた、カナダ地域チャンピオンシップの結果から、最新のパイオニア環境を分析していきます! メタゲーム カナダの地域チャンピオンシップ、トップ8はこれまでとは大きく異なる結果となりました。ラクドスデーモン:2イゼットフェニックス:1アサーラックコンボ:2セレズニアカンパニー:14色エニグマ:1オルゾフデーモン:1ヨーロッパ地域チャンピオンシップで大活躍だったサクリファイスはトップ8から姿を消し、デーモンがトップ8に3人!まずはサクリファイスに対するガードの高さがリストから見て取れますね。ラクドスカラーで採用できる最も強力なサクリファイス対策は《碑出告が全てを貪る》で、優勝者のリストには採用されており、トップ8のもう1人のラクドスデーモンは《虚空の力線》。いずれもサクリファイスに刺さるカードで、《虚空の力線》はイゼットフェニックスの対策も兼ねるカードです。途中で引いても《鏡割りの寓話》や血で捨てることができ、ラクドスデーモンは《虚空の力線》が使いやすいデッキと言えます。そしてなんといっても今回はトップ8にアサーラックコンボが2人!これにはさすがに驚きました。実は各地の地域チャンピオンシップでギリギリトップ8ラインなどまで勝ち進んでいたデッキだったのですが、今回ついに2人をトップ8に送り込む大躍進!更に最近では4cズアーにお株を奪われそうになっていた《奇怪な具現》も、《空を放浪するもの、ヨーリオン》の相棒を引き連れてトップ8入賞。ここからは個別にデッキ解説をしていきます。 ラクドスデーモン カナダ地域チャンピオンシップ :優勝 By Randall Litman カナダ地域チャンピオンシップを制したのはラクドスデーモン!気づけばデーモンと言えばこのラクドスが主流となってきました。デーモンと名はついていますが、その実態はラクドスミッドレンジ。手札破壊と除去で脅威を取り除き、《税血の収穫者》《止められぬ斬鬼》《鏡割りの寓話》で殴りながら、《不浄な別室》でアドバンテージを取っていくデッキです。《鬼の刃》などが入ったリストもある中、この優勝者の75枚はとてもすっきりしている印象を受けます。クリーチャーは12体のみで、手札破壊は定番の6枚、除去も環境に合わせたチョイスとお手本のようなリスト。最近では2マナの確定除去枠として《無情な行動》が採用されていますが、これはミラーにおける《ドロスの魔神》を意識したものです。《ドロスの魔神》の油カウンターを《無情な行動》で全部取り除くことで相手を敗北させることができるので、特にミラーでは重要となります。一方、《心火の英雄》をほぼ倒せなくなってしまうので、その辺りは一長一短といったところ。《心火の英雄》には他の除去を当てて、《無情な行動》は《精鋭射手団の目立ちたがり》などに打てば良いという考えでしょう。《塔の点火》はラクドス果敢の《心火の英雄》を意識したものです。サイドボードもオーソドックスな作り。《碑出告が全てを貪る》はジャンドサクリファイスに強い1枚。《清掃人の才能》をとても触りづらいカラーですが、《碑出告が全てを貪る》なら《魔女のかまど》や食物ごと《清掃人の才能》を吹っ飛ばせます。《未認可霊柩車》が3枚と多いのは対イゼットフェニックスを見据えてのことでしょう。見事決勝ではそのイゼットフェニックスにストレートで勝利を収めています。もし今週ラクドスデーモンを使うならこのリストをオススメしたい!それぐらい完成度の高い75枚だと思います。 アサーラックコンボ カナダ地域チャンピオンシップ:3位 By Dustyn Nogueira さあ、皆さんお待ちかねのアサーラックコンボです。このデッキは《アーチリッチ、アサーラック》を使用した無限ダメージデッキ。まず《アーチリッチ、アサーラック》について簡単におさらいしましょう。3マナ5/5の伝説のクリーチャーで、攻撃するたびに相手がクリーチャーを生け贄に捧げないとゾンビを生成する……ってめちゃくちゃ強いことが書いてありますが、当然そんな彼にはデメリットがあります。戦場に出た時に、自分が《魂を喰らう墓》を踏破していないと、《アーチリッチ、アサーラック》は手札に戻り、ダンジョン探索を行う。つまり《アーチリッチ、アサーラック》を何度も出して《魂を喰らう墓》を踏破し、ようやくこのクリーチャーが戦場にきちんと着地するというカード。しかし、逆に言えば《魂を喰らう墓》を踏破しない限り、《アーチリッチ、アサーラック》は何度も手札に戻り、そのたびにダンジョンを進み、踏破し、またダンジョンに入れるカード、ということになります。もしもこのカードを0マナで出し入れできたら、《魂を喰らう墓》以外の2つのダンジョンを無限回潜れるのです。それを実現したのがこのアサーラックコンボ。まずは《ガイアの眼、グウェナ》。クリーチャー呪文か起動型能力限定で2マナを生み出す強力なマナクリーチャーですが、パワーが5以上のクリーチャー呪文を唱えると自身が成長し、しかもアンタップします。《アーチリッチ、アサーラック》のパワーは5なのでアンタップし、再び2マナを生み出せるので、実質《アーチリッチ、アサーラック》が1マナで唱え放題になります。そしてここに《正直者のラトスタイン》が加わることで、正真正銘0マナの《アーチリッチ、アサーラック》が無事爆誕。後は無限に《ファンデルヴァーの失われた鉱山》を走り続けて相手のライフが0になって勝利。《正直者のラトスタイン》はコンボパーツを墓地から拾いつつ、自身もコンボパーツとなる素晴らしいカードですね。最後の1枚は《正直者のラトスタイン》の代わりに《伝説の秘宝》でも達成できます。《アーチリッチ、アサーラック》は戦場に出た時に手札に戻る能力が誘発するので、能力にスタックして《伝説の秘宝》からマナを出せば、そこで出た1マナと《ガイアの眼、グウェナ》の2マナで《アーチリッチ、アサーラック》を出し、また《伝説の秘宝》で《アーチリッチ、アサーラック》をタップしてマナを出し……これでもループが完成。《眷者の神童、キナン》も生み出すマナを1つ増やせるので、《ガイアの眼、グウェナ》1枚から3マナを出すことができ、《アーチリッチ、アサーラック》の無限が決まります。《伝説の秘宝》を用いた他の無限パターンもあります。《侵攻の伝令、ローナ》《正直者のラトスタイン》《伝説の秘宝》と揃っていれば、《アーチリッチ、アサーラック》ループが行えます。《伝説の秘宝》で《侵攻の伝令、ローナ》をタップし、《伝説の秘宝》からもマナを出して、《正直者のラトスタイン》で1マナ軽くなった《アーチリッチ、アサーラック》をプレイ。 またさっきのように能力にスタックで《アーチリッチ、アサーラック》をタップして《伝説の秘宝》からマナを出しておき、《アーチリッチ、アサーラック》のキャスト時にアンタップした《侵攻の伝令、ローナ》を再度《伝説の秘宝》で寝かせてマナを出すと2マナが発生するので、これにて無事《アーチリッチ、アサーラック》が無限鉱山の旅に出ることになります。《ガイアの眼、グウェナ》を使わないこちらのパターンは《伝説の秘宝》しか起動型能力を使用しないため、すべてのクリーチャーがこのターンに戦場に出てもよく、更地から勝つこともあります。コンボパーツが3マナに偏っているのでマナクリーチャーを7枚採用し、更に2マナ域にはこれらのマナクリーチャーから追加で1マナを生み出す《眷者の神童、キナン》まで入っています。《眷者の神童、キナン》は起動型能力も強力で、《アーチリッチ、アサーラック》か《偉大なる統一者、アトラクサ》をライブラリーから場に出してくれます。ちなみに《ガイアの眼、グウェナ》から出るマナはクリーチャーにしか使用できませんが、《眷者の神童、キナン》がいる時に追加で新たに出るマナについては、クリーチャー以外にも使用できます。《眷者の神童、キナン》は《伝説の秘宝》で伝説のクリーチャーを寝かせた際のマナは増やしてくれないので注意しましょう。こうしてよく見ると、アサーラックコンボはコンボパーツが個々でそこそこ強いものばかりです。《侵攻の伝令、ローナ》は起動型能力で必要なパーツを集めてくれますし、《正直者のラトスタイン》はクリーチャーを拾ってコンボ達成を助けます。《ガイアの眼、グウェナ》も《偉大なる統一者、アトラクサ》の高速召喚に役立つので、コンボ成立時以外で引いて困るカードは《アーチリッチ、アサーラック》自身しかありません。最速3ターンキルもあり、長期戦も《湧き出る源、ジェガンサ》《偉大なる統一者、アトラクサ》でドンと来い。今後の活躍にも注目していきたい、とても良いデッキですね!

【週刊メタゲーム通信】エネルギーの支配に立ち向かうコントロールデッキたち

週刊 Modern ピックアップ

2024.11.06

mtg Yuyan

こんにちは。 細川 侑也(@yuyan_mtg)です。 今回は先週末に行われた、モダンショーケースチャレンジの結果から、最新のモダン環境を分析していきます! メタゲーム 通常のチャレンジよりも競技性が高く、参加者も多いモダンショーケースチャレンジ。トップ8の内訳は エネルギー:5黒単ネクロ:1ルビーストーム:1ジェスカイコントロール:1とエネルギー人気は今週も変わらず。ナドゥ禁止後、ずっと強いエネルギーデッキですが、「速度があり」「様々なゲームプランを擁し」「特定のサイドボードでメタれない」と、強いデッキの条件をすべて満たしており、この牙城を打ち崩すのは難しそうです。テーブルトップのトーナメントでは青単ベルチャーの入賞もそこそこ見られますが、ショーケースチャレンジではトップ32に2人のみと寂しい結果に。 ボロスエネルギー モダンショーケースチャレンジ :優勝 By 336767332971 ショーケースチャレンジを制したのはボロスエネルギー。日本では《思考囲い》《オークの弓使い》を入れたマルドゥエネルギーが主流ですが、電脳世界ではボロスエネルギーの方が活躍しています。このリストで特徴的なのはメインからの《スレイベンの魔除け》採用でしょうか。《火の怒りのタイタン、フレージ》を墓地から追放でき、除去としても使え、更に《静牢》も破壊できると、エネルギー同型で特に活躍するこの除去。最近の《忌まわしき眼魔》型のディミーアマークタイドやルビーストームなど、墓地を活用するデッキは他にもいますし、クリーチャー除去としても信頼度は低くありません。 この便利な除去を《稲妻》の枠に採用しつつ、追加の除去として少し珍しい《岩への繋ぎ止め》が。《稲妻》を徹底的に嫌っている理由としては、その用途の狭さでしょう。同型でも《火の怒りのタイタン、フレージ》を倒せませんし、《忌まわしき眼魔》や《超能力蛙》にも今一つ。かといって《静牢》を増やしすぎると維持が大変なのでこちらは2枚が限界。そこで白羽の矢が立ったのが《岩への繋ぎ止め》というわけですね。《山》にエンチャントしなければならないデメリットを持つ1マナの追放除去ですが、フェッチショックランドのモダン環境なら実質デメリットなしの除去です。運用に問題ありません。ボロスエネルギーと言えば《一つの指輪》がメインから3枚以上採用されているのが当たり前でしたが、このリストは2枚にとどめてあります。エネルギー同型における《一つの指輪》は非常に強力なものの、4枚採用した時のリスクも小さくありません。早いターンの《色めき立つ猛竜》から唱えられなかったり、そもそも4枚目の土地がストレートに引けず、手札に《一つの指輪》が溜まってしまうケースもありますからね。とはいえ、エネルギーミラーを制するのはやはり《一つの指輪》ということでサイドボードには2枚入っています。追加の除去と一緒にサイドインし、消耗戦を制する狙いです。リスクには目を瞑っています。《一つの指輪》とは逆にエネルギーにしては採用枚数が多いと感じたのは《ゴブリンの砲撃》。1~2枚採用が定番の中、3枚投入されており、ミラーマッチにおける最重要カードという位置づけなのでしょう。《一つの指輪》と《ゴブリンの砲撃》はいずれもミラーマッチを決める1枚であり、前述のリスクの高さから《一つの指輪》を嫌い、《ゴブリンの砲撃》をチョイスしたのかもしれません。エネルギー同型をしっかり意識した独自の構成での勝利、見事! 黒単ネクロ モダンショーケースチャレンジ :2位 By werhsdnas1414 《悲嘆》禁止以降、しばらく音沙汰のなかったデッキ、黒単ネクロ。《ネクロドミナンス》《一つの指輪》で大量のカードを引き、《魂の撃ち込み》を打ち込んだり、大量の手札破壊から《黙示録、シェオルドレッド》を着地させるという、黒単コントロールです。コントロールにしては早すぎるデッキだと思われるでしょうが、除去・手札破壊・アドバンテージ・フィニッシャーがバランスよく入ったデッキと言われれば、コントロールに見えてきませんか?以前は《悲嘆》+《マラキールの再誕》コンボを搭載して《ダウスィーの虚空歩き》と合わせたビートダウンプランもありましたが、現在の形はよりコントロールっぽい仕上がりとなっています。以前は《思考囲い》のみだった手札破壊ですが、《悲嘆》禁止後は《コジレックの審問》に代わり、現在は7枚体制。《悲嘆》によるピッチコストを払わなくてよくなったので、実は一概に弱体化したとは言えません。除去は本体にも撃ちこめる《魂の撃ち込み》に加え、《不憫な悲哀の行進》。このカードが黒単ネクロの強さを支えている内の1人と言っても過言ではありません。黒いカードを追放するごとに与える修正と回復量が2点増えるので、たとえば10枚追放すれば1マナ20点回復の超強力スペルに。この2種類のピッチスペルを活用するために、黒単ネクロには10枚の両面土地が採用されています。《ネクロドミナンス》でターン終了時に16枚引いて、不要なカードを《不憫な悲哀の行進》で追放して除去しつつライフを回復、返しのターンに手札破壊+《黙示録、シェオルドレッド》、そして保険で《一つの指輪》というのがこのデッキの必勝パターン。《ネクロドミナンス》と《一つの指輪》は共に大量ドロー、2種の手札破壊、そして大量の除去と、黒単ネクロは似た能力を持つカードを複数種採用し、高い再現性をもたらしています。そういえば、サイドボードに採用されている《地底街の密告人》に気が付きましたか?このカードは青単ベルチャー相手に出して起動すると勝利できますので、黒いデッキを使う際は検討の余地アリです。エネルギーがミラーマッチを意識し、エネルギーを倒すために青単ベルチャーなどコンボデッキも台頭してきた今、どちらとも戦える黒単ネクロも今がチャンスなのかもしれません。 ジェスカイコントロール モダンショーケースチャレンジ :8位 By RespectTheCat コントロールと言えば欠かせないのがジェスカイコントロールです。プロツアー『モダンホライゾン3』でもトップ8入賞を果たしたこのデッキ。除去と打ち消し、大量のピッチ呪文で徹底的にコントロールした後、リソースを《一つの指輪》で回復して《火の怒りのタイタン、フレージ》で勝つという、モダンでも随一の強さを誇るコントロールデッキです。『モダンホライゾン3』加入当初は《空の怒り》《電気放出》《語りの調律》を採用したエネルギー型が一般的でしたが、こちらのジェスカイコントロールはエネルギー要素を一切廃した形となっています。エネルギーを使うメリットはやはり除去の強さ。《電気放出》は1マナで4点以上出せる可能性のある除去で、《空の怒り》は《ウルザの物語》などの置物ごと吹き飛ばせる軽い全体除去。 しかし、エネルギーを貯めるために採用する必要のある《語りの調律》の弱さがネックでした。現在のジェスカイコントロールは《力線の束縛》のために3色土地を投入し、諜報土地も3枚ほど入っています。どちらもデッキに必要なタップインランドで、抜くことはまずありえません。モダンにしては珍しくタップインランドが5枚入っており、1ターン目のアクションはほぼタップインからになります。つまり《語りの調律》を1ターン目に打つ余裕がないのです。そして2ターン目もタップインすることが多く、その際は1マナのアクションをしながらやはりタップイン。ここでも《語りの調律》は打てません。結果、3ターン目以降にしか使えないカードなのです。 《語りの調律》を打つ暇がないので採用したくなく、それならエネルギーを貯める手段に乏しく《空の怒り》も軽く運用しづらい。そういった理由からエネルギー要素が抜けています。《電気放出》と《空の怒り》は強いのですがね。 さて、採用カードにも目を向けてみましょう。なんと《対抗呪文》が0枚で《呪文嵌め》が4枚になっています。 後手番における《対抗呪文》は現代のモダン環境、とりわけ対エネルギーでは弱く、一方《呪文嵌め》は2マナが《ナカティルの最下層民、アジャニ》《色めき立つ猛竜》と強力なので非常によく突き刺さります。後手で盤面を掌握するには《呪文嵌め》が必要なので、思い切ってメインからの4枚採用となっています。《虹色の終焉》と《力線の束縛》は共に軽い除去。《対抗呪文》の不採用と投入されている《呪文嵌め》《虹色の終焉》《力線の束縛》から、軽さを意識しているのが伝わってきますね。全体除去枠の《空の怒り》の代わりとなっている《至高の評決》は、エネルギーにはただの全体除去ですが、ディミーア眼魔には効果てきめんの除去。青であり白でもあるので、《孤独》と《緻密》のどちらのピッチコストにも使えて便利です。《記憶への放逐》のメイン採用は、昨今の《一つの指輪》環境を見据えてのことでしょう。エネルギーにはあまり効かないカードなので、これまでジェスカイコントロールには入っていませんでしたが、エネルギーすらメインから《一つの指輪》を置いてくるのであれば、大体のマッチで有効です。《火の怒りのタイタン、フレージ》を手札から出して生け贄に捧げる能力を打ち消すこともできるので、一応完全に腐るカードではありません。便利なカードです。しばらく元気のなかったコントロール、ショーケースチャレンジでは比較的活躍したと言って良いのではないでしょうか。エネルギー側のサイドボードがどのように変化するのかにも注目したいですね。