こんにちは。
細川 侑也(@yuyan_mtg)です。
今週のピックアップデッキでは、ちょっと珍しいデッキを、軽い解説を交えて紹介していきます。
ティムールカワウソ(スタンダード)
スタンダードチャレンジ:優勝 By cftsoc3

新たなアーキタイプ、ディミーアデーモンの優勝で幕を閉じた今年の世界選手権。
このラスベガスの地で話題となっていたデッキがもう1つありました。
それがこのティムールカラーのコンボ・ビートダウン、ティムールカワウソ。日本からも平山選手がプレイしたこのデッキですが、この日スタンダードチャレンジを制したcftsoc3選手たちは、チームでティムールカワウソを世界選手権に持ち込みました。
デッキの核となるのは《永劫の活力》と《渓間の洪水呼び》。《永劫の活力》によって自軍クリーチャーがすべて《極楽鳥》に生まれ変わります。
そしてマナを出した後に非クリーチャー呪文を唱えると、《渓間の洪水呼び》の能力ですべてのカワウソたちがアンタップするので、戦場にカワウソが2体いる状態で《塔の点火》をキャストすれば、1マナ増える計算となっていきます。
これだけでは爆発的なダメージは出ませんが、ここに《嵐追いの才能》と《この町は狭すぎる》が加わることで大きく変わります。
《嵐追いの才能》は戦場に出た時にカワウソを生成し、4マナで墓地のインスタントやソーサリーを回収できます。この《嵐追いの才能》を《この町は狭すぎる》で回収し、また《嵐追いの才能》を出し、レベルアップで《この町は狭すぎる》を回収……とループが可能となります。
既に4体以上のカワウソがいれば、4マナを出す→《嵐追いの才能》を1マナでキャスト→4体のカワウソがアンタップして再び4マナを生む(計7マナ)。その内2マナで《この町は狭すぎる》で《嵐追いの才能》をバウンス。再び起きた4体でマナを出して計9マナから、その内4マナを使って《この町は狭すぎる》を回収(計5マナ)。《この町は狭すぎる》で《嵐追いの才能》を戻し、これで無限マナ&無限パンプとなります。
無限となった後は、そのまま殴り勝ってもよし、カワウソの中に《稲妻罠の教練者》がいれば無限回数《この町は狭すぎる》で戻して出し直して《トーテンタンズの歌》を探して勝ってもよし。無限コンボにはたくさんのパーツが必要ですが、《渓間の洪水呼び》と《永劫の活力》によって一気に展開し、大量の修正を受けたカワウソで殴り勝つのは比較的簡単で、見た目以上に速度があるデッキです。
コンボパーツの《この町は狭すぎる》は妨害手段としても優秀で、このデッキのためにあるようなカード。《嵐追いの才能》を戻せるのはもちろん、《稲妻罠の教練者》を戻してリソースを稼ぐ動きも強力。《花粉の分析》の証拠収集を稼いだり、《豆の木をのぼれ》でカードを引くなど、このデッキを支えるのは《この町は狭すぎる》と言っても過言ではありません。
一度回してみればそのトリッキーさに病みつきになること間違いなし!カワウソも可愛いのでぜひ回してみましょう!
ディミーア忍者(パイオニア)
パイオニアチャレンジ:4位 By medvedev

『ダスクモーン:戦慄の館』で初めて登場した忍術持ちのプレインズウォーカー、《悪夢滅ぼし、魁渡》。プラス能力で忍者に修正を与えられるこのカードがプレビューで公開された時、誰もがスタンダードに存在する忍者を確認し、そして絶望したことでしょう。
しかし、パイオニアなら『神河:輝ける世界』があります!そう、神河は忍者の世界。そして実際そこには、《悪夢滅ぼし、魁渡》のパートナーとなる素晴らしい忍者がいました。
その名は《月回路のハッカー》。僅か1マナの忍術コストで唱えられ、ダメージが通ると忍術したターンなら1ドロー。それ以降はルーターと、非常に強力な性能の持ち主。
《月回路のハッカー》と《悪夢滅ぼし、魁渡》の8枚の忍術クリーチャーを活用するのがこのディミーア忍者です。
忍術を行うためにはまず攻撃を通す必要があるので、このデッキに入っているほとんどのクリーチャーは飛行持ちです。《遠眼鏡のセイレーン》は1マナ飛行の中でも最上級で、《フェアリーの黒幕》は青いビートダウンなら最早定番のクリーチャー。《マネドリ》は忍術と非常にかみ合うカード。1ターン目に1/1飛行として出して忍術の種になるだけでなく、手札に戻った後は他のカードのコピーになれるので、いつでも強いカードです。
飛行を持たない《フラッドピットの溺れさせ》ですが、こちらは戦場に出た時にクリーチャーをタップさせて麻痺を載せるので、ダメージを通すのに役立ちますし、忍術で回収して再度タップ能力を使えば、相手からすれば悪夢そのものでしょう。もちろん前述の《マネドリ》でコピーするのも良いですね。
そして大量の飛行クリーチャーでダメージを通しやすいので、《永劫の好奇心》もこのデッキなら大量にカードを引ける恐ろしいカードになります。デッキが軽いので引いたカードもすぐプレイでき、恐ろしい手数を叩き出すデッキとなっています。
あ、そうそう、もちろん隠れた忍者も忘れていませんよ。《変わり谷》もしっかり忍者なので《悪夢滅ぼし、魁渡》で強くなります。どのデッキともシナジーになる《変わり谷》、やっぱりすごい!
スタンダードでも活躍し始めている《悪夢滅ぼし、魁渡》ですが、パイオニアでもしっかりその存在感を示しています。忍者の力、体感してみては?
ナヤ秘匿(モダン)
モダンリーグ:5-0 By Zoru

『ローウィン』で初めて登場した秘匿という能力。戦場に出た時にライブラリーの上から何枚かを追放し、秘匿の条件を満たすことでそのカードをタダで唱えられる強力な能力です。白単アグロのリソース源として使われたり、コンボデッキのお供としても活躍した秘匿ですが、このデッキではどちらでも使います!秘匿を持つカードは8枚。《風立ての高地》は『ローウィン』の土地で、3体以上のクリーチャーで攻撃するのが条件。このデッキならばそれを満たすのは難しくありません。
そしてもう1種が『ビッグスコア』の《収集家の檻》。こちらもクリーチャーが3体必要ですが、条件は少し違い、3体のクリーチャーのパワーが異なる必要があります。いずれも大量のクリーチャーを必要とするため、このデッキは大量のクリーチャー群で構成されています。
《魂の導き手》《オセロットの群れ》《ナカティルの最下層民、アジャニ》《色めき立つ猛竜》。このエネルギー四天王と呼ぶべき4種のクリーチャーは外せないですね。《魂の導き手》以外の3体はどれも戦場にパーマネントを増やすカードで、秘匿解除に貢献してくれます。いぶし銀の活躍を見せるのが《羽ばたき飛行機械》です。《風立ての高地》の条件を満たしたり。《収集家の檻》の解除条件を満たすのにパワー0が役に立ってくれます。
そして肝心の秘匿するクリーチャーたちはというと……《引き裂かれし永劫、エムラクール》に《絶え間ない飢餓、ウラモグ》。こちらは踏み倒しの定番となる超大型クリーチャーですね。まさか《オセロットの群れ》に殴られたと思ったら突然ターンを奪われて《引き裂かれし永劫、エムラクール》でも殴られるなんて、夢にも思わないですね。
3体のクリーチャーを揃えるために《ウルザの物語》を採用するなど、細部の調整も光ったナヤ秘匿。ただのビートダウンでは物足りないという方はぜひお試しあれ!