コンボデッキのススメ!

コンボデッキのススメ!

突然ですが、皆さんはコンボデッキがお好きですか?

多分8割の人が「No」と答えるのではないでしょうか。アグロやコントロールが好きな人に比べてコンボ好きは少し少ない気がします。

その理由はいくつかありますが、大きいのは2つ。

1つは「難しい」というイメージです。コンボデッキは上手く回すのが難しく、自信がない。

そしてもう1つが脆さ。対策された時の弱さだったり、手札がちぐはぐでどうしようもない展開がどうしてもあります。負ける時までは完膚なきまでに負けてしまい、「やっぱりコンボは向いていない」とそのまま折れて使用を諦めた経験、ありませんか?
本日の記事では、コンボデッキを僕がオススメする理由、上手くなり方、そして練習方法などをご紹介していきます!

これを読んでコンボデッカーが一人でも増えれば嬉しいです!

コンボのススメ

まずはやはりコンボデッキの魅力について語らなければならないですね。

もうズバリ、一番は何といっても楽しさです。1ターン目に手札破壊を打って、2ターン目に《税血の収穫者》を出して、3ターン目に《鏡割りの寓話》を出して……そんなまるで「朝起きて歯を磨いて朝食を食べて電車に乗って会社に行く」みたいなマジック、もう飽き飽きしていませんか?
コンボデッキは自分のコンボさえ揃えてしまえばそれまでの道のりは関係ありません。ただ特定のカードを揃えた瞬間、相手の手札が何枚だろうと、場に何体のクリーチャーがいようと、ライフがいくつであろうと関係ありません。無条件で勝利です。突然宝くじに当選して一発逆転するようなもの。

これだけ書くと怪しい勧誘に思えますが、実際のところ、コンボはこの爽快感こそが最も魅力的です。

コンボの中でもストームのようにたくさんの呪文を唱えていくコンボデッキは、1つ目の呪文の時点でバラバラだったパズルのピースが、最後は一気に完成していくかのようで、美しさすらあります。
戦略的な部分で言えば、コンボデッキは第一ゲームの勝率が高いという点も挙げられるでしょう。

普通のミッドレンジなら《致命的な一押し》はキープ基準になりますが、クリーチャーを介さないコンボならそのカードは完全な無駄牌。コンボ側は手札破壊か速いクロック以外のすべてを無視できます。
そしてコンボを熟知していない相手を簡単に倒してしまう、いわゆるわからん殺しが発生しやすいのもコンボデッキ。どのカードがコンボに重要なのかを熟知してしなければ、手札破壊の選択を誤るかもしれませんし、そもそもコンボ成立ターンをある程度把握していなければ、サイドボード後に展開力に乏しいが対策カードのある手札をキープし、悠々とそのカードを対処されて負けてしまうでしょう。
相手がビートダウンならとりあえず除去しておけば良いですし、コントロールには殴っていけば良い。しかし、コンボデッキ相手にはそのデッキに対する知識が求められます。

ちょっとコンボデッキが使いたくなってきたのではないでしょうか?

コンボのやり方を覚える

というわけでコンボマスターを目指していきましょう!その第一歩は当たり前ですが、コンボのやり方を覚えることです。

詳しくは後述する練習方法に書きますが、何と何が揃ったらコンボになって勝てるのかを頭に叩き込む。たったこれだけです。

双子コンボのように《詐欺師の総督》と《欠片の双子》が揃った瞬間に勝つ場合は特に再確認する必要はない……と思うのも激アマです。当然ですが、このコンボは《詐欺師の総督》を出したターンだと成立しません。《欠片の双子》を付けて起動型能力を使用できないですからね。
しかし、《欠片の双子》が《鏡割りのキキジキ》なら《詐欺師の総督》を出したターンにコンボを決めることができます。
パイオニアのロータスコンボのようにマナ計算やカード選択が複雑なデッキならば、コンボのやり方を覚えるのは必須。というより完璧にマスターするまでは大会に出ないでひたすら練習をした方が良いレベルです。

出現の根本原理》を打つための色マナ、黒黒青青緑緑緑をどう出すか。《睡蓮の原野》2枚から《砂時計の侍臣》を打つ時にどうやってマナを出せば《出現の根本原理》が打てるのか?《見えざる糸》を打つ時は《睡蓮の原野》2枚を使ってどんなマナを生み出せば良いか。
出現の根本原理》で持ってくる3枚、どの組み合わせなら確実に勝利できるのか。これをきちんと把握しましょう。

ミッドレンジやアグロではとりあえず出したクリーチャーでライフを削り切れば良いですし、コントロールならひたすら全体除去を打ってフィニッシャーを出せば勝てます。しかし、コンボデッキではそれはありえません。

ここにハードルの高さを感じるのかもしれません。いわばコンボデッキは予習の時間が必須です。ぶっつけ本番で大会に持っていくことはできません。しかし、事前に対戦相手を殺す方法さえ完璧にマスターすれば何も心配いりません。

別に完璧に回せるようになる必要はないのです。サイドボード後の対策に何もできず負けてしまうのが情けないなんてことはありません。ただ、相手を殺す方法さえわかっていればそれでOKです。コンボが手札で揃った時に手順ミスせずに相手を倒せるように、デッキのことをしっかり勉強しておきましょう。

練習方法

具体的な練習方法は、ずばり一人回し(ソリティア)です。

最近ではMTGアリーナの普及などで一人回しをしたことがないプレイヤーもいると聞き、驚きを隠せませんでした。僕がマジックを始めた頃はマジックオンラインしかなく、学生時代の僕は金銭的理由で手が出せませんでした。しかし、マジック熱は10時間友達と遊んだ後も冷めなかったので、家でやっていたのが一人回しでした。

やり方は簡単。目の前に《》60枚のデッキを持っている対戦相手がいるつもりで、自分のデッキをひたすら回すのです。
「こんなの意味あるのか?」と思うかもしれませんね。はっきり言います!効果は絶大です!

既にお話したコンボのやり方を覚えるなら一人回しで十分ですし、初手でどんな手札をキープすれば良いかも、一人回しの回数を重ねることでわかってきます。2枚コンボならその片方がなければマリガンなのか、それともドロースペルが多いから両方なくてもキープできるのか、などなど。イゼット天啓のようなコントロール要素を持つコンボなら《アールンドの天啓》は初手に必要ないですが、ロータスコンボなら《睡蓮の原野》は初手に絶対必要です。
何回までならマリガンできるかの、いわば耐久テストのようなものも一人回しで行えます。僕がよくやるのは、常にダブルマリガンで戦ってみるとかですね。ダブルマリガンも意に介さず4~5キルが安定するデッキなら、マリガンは厳しめにできますからね。パイオニアのロータスコンボがこれに当たります。《睡蓮の原野》なしの手札がキープできない代わりに、初手は少なくても勝てます。これを実際に体感すれば、本番でも自信を持ってマリガンできるでしょう。
本番は練習のように、練習は本番のように。こんな言葉はありますが、一人回しの段階ではゆるふわでOKです。コンボデッキを手足のように自在に使うための訓練のようなものですから、最初の内はマリガン後も7枚のハンドでキープしてみたり、決まるかわからないぎりぎりのハンドで仕掛けて決まらなかったら全部巻き戻し、なんてこともよくやります。

とにかく自由に何でも試せて誰にも迷惑をかけないのが一人回しの良さですからね。変なプレッシャーもないのでミスも起きません。

一人回しでプレイに迷っているようでは、実際に対戦相手がいた時はもっと迷うことになります。確実に一人回しよりパフォーマンスは落ちるので、できれば一人回しは100%の力を引き出したいものです。

少しデッキを回すのに慣れてきたら、徐々に応用編に突入していきましょう。たとえば「もし対戦相手が打ち消しを持っていたら?」や「次の次のターンに殺される可能性が高い。どうする?」など、自分で勝手にシチュエーションを作って一人回しを行うのです。
ロータスコンボで例を挙げると、

「相手は《全知》を割れる。《出現の根本原理》のサーチは?」
「浮きマナなしの状態で打つ《出現の根本原理》のサーチは?」
「《黙示録、シェオルドレッド》が出てきました。コンボを決めてください」
この辺りですね。これを後手4ターンキルされるなど複合パターンでどんどん自分を追い込んで、その状態で勝てるかを試してみます。

実践では大体の場合でこれより余裕がありますから、対戦相手のプレッシャーを差し引いて、一人回しと対人戦でさほど変わらぬ緊張感でプレイできるのではないでしょうか。

コンボデッキは一人回しで学べるものが他のデッキよりも多いのも、魅力の1つです。ミッドレンジで一人回しをしてもさほど上手くなりませんが、コンボデッキを一人回しすれば上手くなります!大会で鍛錬を積まなくても、MTGアリーナで対人戦を重ねなくても、かなりの経験値を一人回しで得ることができるのです。

これはコンボならではのメリットと言って良いでしょう。対戦時間のない社会人プレイヤーには特におすすめです。月に400時間働いていた頃があったのですが、対人戦はほとんどしていませんでした。それでも会社で考え事をしながら一人回しをしていて、それだけで上位入賞したこともあったぐらいです。

一人回しだけである程度戦える可能性のあるコンボデッキは、対人戦があまりできない人に特にオススメ!

自分の中で完璧に一人回しができたと思ったら、MTGアリーナや紙の大会に持ち込むと良いでしょう!当たり前ですが、対人戦も非常に練習になりますからね。

ターン数の意識

ここからは実践的な話になります。一人回しもして、ある程度大会に出て、そこそこ勝てるようになりました。

この段階まではすごい勢いで成長を実感すると思いますが、急な停滞時期です。どうやって上手くなれば良いかがなかなかわからないのですよね。コンボデッキってどうしても「引いて勝ち」「引かないで負け」「サイド後に対策喰らって負け」この3つが圧倒的に多く、普通のデッキを使った時よりも反省点が少なくなってしまいます。
だからこそ成長を感じにくいのでしょう。

次のステップに進むなら、意識するのはターン数です。

・何ターン目にコンボを決めることができるか
・目の前の対戦相手が何ターン目にこちらを倒してくるか?
・このフォーマットは何ターン目にゲームが決まるか

これらを正しく理解することが、コンボを上手くなるコツです。

例えばラクドス果敢は何ターン目にロータスコンボを倒してくるでしょうか?ロータス側に妨害がほぼなかったとしたら3ターンキルでしょう。《心火の英雄》に《巨怪の怒り》などを打たれて3ターン目に負ける。よくあります
一方のロータスコンボは早くて4ターン、平均は5ターンキル、本当に回れば《樹上の草食獣》経由から3ターン目に勝つこともあるでしょうが、あまり現実的ではありません。

となればラクドス果敢対ロータスコンボは不利であることがわかり、《魂の仕切り》や《一時的封鎖》を使って減速させて5ターンキルを決めるという指針を立てられます。
環境の平均キルターンを把握するのは非常に大事です。モダンなら今はどのデッキも4ターン目に大体こちらを倒してきます。エネルギーは普通に4ターンキルしてきますし、《一つの指輪》が出てくるのもこのターン。つまり3ターンキルデッキはそれだけでモダンで価値があり、4ターンキルするコンボは先手なら間に合うが後手なら遅いため、1ターン生き残る工夫が求められることになります。
パイオニアならラクドス果敢を覗けば平均ターンは5と言ったところでしょうか。

パイオニアのあらゆるデッキが5ターン目にどんな場になっているかを想像すれば簡単だと思います。イゼットフェニックスなら3ターン目に1枚、4ターン目にもう1枚が落ちていてこの時点で9点喰らうので、5ターン目には大体負けるでしょう。

異形化》なら《偉大なる統一者、アトラクサ》が出てくる次のターン。

全てを喰らうもの、イグラ》が手札から出てくるのもこのターンですね。《清掃人の才能》次第で4ターン目に出てきますが、平均で言えば4~5ターンといったところ。
つまりロータスコンボはキルターンで言えば、ラクドス果敢を除けば大体のデッキに対して間に合っていて、速度では追いついているということです。

速度で追いついているならば、今のパイオニアにおいてロータスコンボを選択する理由にもなります。ターン数を把握することで、「今このコンボを使うに値するか?」のバロメーターにもなるのです。

対戦相手が何ターン目にこちらを倒してくるか。この意識を持っているだけで、まずはマリガンが変わってきます。リスト非公開だとしてもゲーム2以降では相手のデッキがわかるため、確実な5ターンキルハンドをキープするか、リスクを取るか、その判断が可能です。意識していなければただ《睡蓮の原野》があるだけでキープをして負けてしまうでしょう。
プレイ中もキルターンへの意識を持つことで、適切なタイミングでカードを使用できます。《鏡割りの寓話》を置かれた次のターンに確実に死なないのなら、トークンに《天上都市、大田原》を打たずに《演劇の舞台》で《睡蓮の原野》をコピーしますよね。このプレイは当たり前ですが、より複雑な状況において、「何ターンで倒してくるデッキなのか。このままいけば何ターンで負けるのか」「この手札なら何ターン目に勝てる」これらを常に意識しておくだけで、二択をミスしなくなります。
コンボデッキは勝つターンのみに意識を集中させれば良いので、自分に残り何ターンあるかを把握するのが重要です。残りのターン数がライフと言って良いでしょう。相手のデッキと動きを見て勝つターンを設定し、そのターンに向けて準備を進めていくのです。そのために必要なのがターン数の意識というわけです。

サイドボード後の戦い

コンボデッキで戦う上で最も悩みなのがサイドボード後のゲーム。マジックはサイドボード後の方が戦う回数が多いので、メインだけ取ってサイドを2本取られることが、コンボではよくあります。

メイン勝ち、サイド後をどちらも落とす。これはコンボデッキ使いが一番恥じるべき結果です。これならまだメインも負けてストレート負けの方が良かったと思うぐらいです。これは僕だけかもしれませんが。

サイドボード後の勝率が50%になれば、コンボデッキ使いとして一人前です。まずはこれを目指していくことです。

さて、サイドボードをする上で最も考えなければならないことはなんでしょうか?それはもちろん、相手がどんな対策をしてくるかです。

ロータスコンボに対して《減衰球》なのか《強迫》か、あるいは《神秘の論争》か、はたまた《石の脳》か。それぞれ違う対処法があり、こちらがサイドから入れるカードも変わってきます。
減衰球》は一番置かれる可能性があるサイドカードです。無色で2マナで最も劇的。かといってすべてのデッキが採用してくるわけではありません。
たとえばイゼットフェニックスやラクドス果敢は1ターンでたくさんの呪文を唱えるため、《減衰球》によって自分も被害を受けます。そのためまず《減衰球》は採用されていないでしょう。それならば置物対策をあまりたくさんサイドインする必要はありません。
一方、《奇怪な具現》のように《減衰球》の影響をほとんど受けず、更にロータスコンボとの相性が絶望的な相手は、高確率で《減衰球》などの1枚で勝てる致命的な置物を置いてくるでしょう。《耳の痛い静寂》や《エメリアのアルコン》もありえますね。こういった相手には全力で《洪水の大口へ》を入れておきます。
洪水の大口へ》のようなバウンスカードは、リスト非公開トーナメントにおいては保険としてサイドインすることが多く、とりあえずゲーム2では、よっぽど置物対策を置いてこないという確信がない限りは、少しだけサイドインするようにします。
注意しなければならないのは、相性の悪いマッチで大量のサイドカードを用意する状況です。たとえばラクドス果敢に弱いからといってサイドを10枚用意したとしましょう。ロータスコンボのメインからカードを10枚抜けるでしょうか?

サイドボード後のデッキがしっかりコンボを決められる形でなければ意味がありません。《出現の根本原理》が重いからといって、サーチ先含めてすべてを抜いて除去にしてしまったら、《睡蓮の原野》と《演劇の舞台》が揃って盤面も一掃したのに、そこから勝てなくなってしまうでしょう。
コンボデッキはコンボパーツ・コンボを集めるカード・除去や妨害の3種で構成されることが多く、相手がアグロデッキの場合は除去や妨害を抜きづらいので、コンボを集めるカードに手をかけるケースが多いです。ここで抜きすぎると失敗してしまいます。

どうやって勝つかを明確にしておくのが重要です。コンボデッキはどんなに多くともサイドアウト枚数を6枚程度にとどめておくのが良いでしょう。どのような形でサイド後を戦うかは、サイドボードを組む段階で細かく考えておいてください。本番でアドリブでサイドインアウトするのは、コンボデッキに慣れてからにしましょう。

サイドボード後にコンボパーツそのものを減らすケースとしては、そのコンボがコントロールやビートダウンを兼ねていたり、サイド後にコンボ以外の勝ち筋を用意している場合、もしくは極端にそのコンボパーツがメタられやすい時です。

最初の例はイゼット天啓です。白単アグロなどのビートダウンには《アールンドの天啓》+《感電の反復》を決める必要がなく、ただ重いだけなので、この重い部分を抜いて除去などを減らします。
コンボ以外の勝ち筋は、たとえばストーム系デッキのサイドボードに入る《若き紅蓮術士》などでしょうか。この場合は重いコンボパーツを減らすことも肯定されます。逆にコンボを探すパーツは《若き紅蓮術士》と噛み合いますから、ほとんど抜かないですね。これならコンボパーツを抜いたとしてもコンボはそこそこ揃います。
コンボパーツが極端にメタられやすい例はルビーストームです。《ドラニスの判事》はすべてのデッキに入っているわけではないですが、墓地対策はほぼすべてのデッキに入っています。そのため、《炎の中の過去》はサイドアウト候補になります。どの相手も最も入れてくる可能性が高いのが墓地対策で、《炎の中の過去》は墓地対策をされると何もしないカード。たくさん引くリスクがあるのでサイドアウト候補となるのです。
サイドボードをする時は「しっかりサイド後も勝てるデッキになっているか」が大事です。これはコンボデッキ以外のすべてのデッキでも言えることですが。サイドボーディング後の60枚があなたのゲーム2、3のデッキになるんです!メインボードの60枚はバランスを意識して組みますよね?サイド後も同じです!

これからコンボデッカーを目指す皆さんへ

簡単ですが、今回の記事は以上となります。

とっつきにくい印象のあるコンボデッキですが、実はそんなことはありません!コンボデッキは誰でもウェルカム。大歓迎です。
一人回しだけでも十分に強くなれますし、クリーチャー同士の戦闘やカードの交換が苦手な人も、戦闘を介さないコンボデッキなら上手く回せるかもしれません。

皆さん、コンボデッキを手に取ってみませんか?