【週刊メタゲーム通信】今週はイグラが大活躍!最新のパイオニア環境は黒大活躍!

【週刊メタゲーム通信】今週はイグラが大活躍!最新のパイオニア環境は黒大活躍!

こんにちは。

細川 侑也(@yuyan_mtg)です。

今回はヨーロッパ地域チャンピオンシップの結果から、最新のパイオニア環境を分析していきます!

    メタゲーム

    トップ8の内訳は以下のようになりました。

    ラクドスデーモン:3人
    ジャンドサクリファイス:2人
    ゴルガリフード:1人
    イゼットフェニックス:1人
    4cズアー:1人

    まずは黒いデッキ大活躍!というのが第一印象でしょうか。そしてラクドス果敢がトップ8に0!
    使用率は全体で2位、13.2%だったことを考えると、今回の負け組であることは揺るぎない事実。速度と粘り強さを持ったデッキではありますが、クリーチャーに強化スペルを打って勝つデッキである以上、徹底的に対策されてしまうとさすがに勝てませんね。

    そして《全てを喰らうもの、イグラ》を使用したデッキにも注目です。
    全てを喰らうもの、イグラ》と《大釜の使い魔》の無限コンボを擁したサクリファイスデッキは南米地域チャンピオンシップに続いて、ヨーロッパでもトップ8に3人を送り込みました。しかもサクリファイスデッキは上位トップ9に入っておらず、使用者は少なかったにも関わらずのこの結果。

    今回の勝ち組デッキと言って良いでしょう!

    その理由としては、ヨーロッパ地域チャンピオンシップのメタゲームがサクリファイスにとって非常に良いものだったことが挙げられます。

    こちらが今回のメタゲーム。
    イゼットフェニックス・ラクドスデーモン・セレズニアカンパニーに強く、ラクドス果敢とも五分に戦えるデッキで、厳しいマッチであるアゾリウスコントロールやロータスコンボより、それらの数が圧倒的に多かったのです。

    イゼットフェニックスは《美術家の才能》で大幅に強化され、ラクドスデーモンはラクドスミッドレンジの亜種。パイオニアで長く強力なデッキだったラクドスミッドレンジを使い続けていたプレイヤーは、そのままラクドスデーモンに移行する可能性が高く、この2つのデッキは特に多いであることが予想できました。
    上手くメタゲームを読んで《全てを喰らうもの、イグラ》を持ち込んだプレイヤーに拍手!

    ゴルガリフード

    ヨーロッパ地域チャンピオンシップ:優勝 By Marc Tobiasch

    全てを喰らうもの、イグラ》でトップ8に入賞した中で、唯一ゴルガリカラーを選択したのがMarc Tobiasch。
    元プロプレイヤーにして稀代のデッキビルダーでもあるMarc Tobiaschが見事栄冠を勝ち取ったゴルガリフードは、従来のゴルガリフードとは一線を画した仕上がりとなっております。

    まずはこのデッキの動きについて簡単におさらいしましょう。

    全てを喰らうもの、イグラ》は自身以外のクリーチャーすべてを食物に変えるクリーチャー。これにより、《大釜の使い魔》が場と墓地にいると、《大釜の使い魔》を食物として食べて墓地の《大釜の使い魔》が戻ってくるので、無限ライフルーズが発生します。
    2枚の《大釜の使い魔》を集めるのはなかなか大変。そして《全てを喰らうもの、イグラ》も5マナと結構重い。そんなこのデッキの事情をたった1枚で解決してくれるのが《清掃人の才能》です。
    まず置いておくだけで、クリーチャー死亡時に食物生成。実質《魔女のかまど》のようなエンチャントで既に強いのですが、レベルを上げると、カードを生け贄にした際に切削を行うことができます。《魔女のかまど》で《大釜の使い魔》を生け贄にして食物を出し、食物を生け贄にして《大釜の使い魔》を戻す。これだけでカードを4枚切削できるのです。
    更に更に、レベルをもう1つあげると、終了ステップ開始時に土地とこれ以外のパーマネントを3つ生け贄に捧げることで、自分の墓地からクリーチャーを戦場に戻せます。これで重い《全てを喰らうもの、イグラ》を場に戻せるのです。
    しかも最後の生け贄でも当然切削でカードを6枚墓地に送れるので、《大釜の使い魔》がそこで落ちるかもしれません。

    まさに《全てを喰らうもの、イグラ》コンボのためのカード、それが《清掃人の才能》です。
    これらを軸にしたデッキがジャンドサクリファイス、そしてこのゴルガリフードなのです。

    このリストの最大の特徴は《パンくずの道標》が入っていない点です。《魔女のかまど》《大釜の使い魔》と組み合わせて継続的にパーマネントを拾い続ける《パンくずの道標》は、《清掃人の才能》《魔女のかまど》《大釜の使い魔》《全てを喰らうもの、イグラ》を探すカードとして、2~3枚はほぼ採用されていました。
    しかし今のパイオニアは高速環境。《パンくずの道標》を回している暇がなく、これが「《全てを喰らうもの、イグラ》を使うならジャンドサクリファイス」になる理由の1つ。継続的なリソースではなく、展開しながら手札を調整できる《鏡割りの寓話》や盤面に触れる《波乱の悪魔》になったのです。
    Marc Tobiaschはこのスロットに《蓄え放題》を採用することにしました。パーマネントを拾いながらカードを墓地に落とせるので、《全てを喰らうもの、イグラ》を落としつつ《清掃人の才能》といった動きができます。
    清掃人の才能》と《蓄え放題》で墓地を肥やせることから《ウルヴェンワルド横断》に目を付けたのも素晴らしいの一言。《全てを喰らうもの、イグラ》を手札か墓地に加えなければ始まらないデッキなので、引き込む確率を上げつつ、手札から《全てを喰らうもの、イグラ》を出しやすくもなっています。ここが単純に土地ならばマナフラッドしやすくなり、他のスペルなら《全てを喰らうもの、イグラ》を出すのは難しいでしょう
    そして《ウルヴェンワルド横断》のバリューはそれだけにとどまりません。《魂の洞窟》を採用して猫を指定し、《全てを喰らうもの、イグラ》を確実に通せるようにしたり、3枚採用されている《耐え抜くもの、母聖樹》にもアクセスできます。
    「なぜ《耐え抜くもの、母聖樹》がこんなに入っているのか?」その疑問の答えは《全てを喰らうもの、イグラ》を見ればわかります。
    全てを喰らうもの、イグラ》は他のすべてのクリーチャーを食物にします。アーティファクト・食物。そう、《全てを喰らうもの、イグラ》がいる時は他のクリーチャーはアーティファクトでもあるので、《耐え抜くもの、母聖樹》で除去することができるのです。

    金のガチョウ》によるマナ加速や土地からのダメージがジャンドに比べて低い点など、環境が速いことにしっかり適応したこのゴルガリフード、優勝も納得!

    ラクドスデーモン

    ヨーロッパ地域チャンピオンシップ :2位 By Sergio Gimenez

    ヨーロッパ地域チャンピオンシップでイゼットフェニックスに次いで2番目に人気だったのがこのラクドスデーモン。

    デッキのコンセプトは黒単デーモンとほとんど同じです。《思考囲い》《致命的な一押し》で手札や場に触り、《不浄な別室》でリソースを稼ぎつつ、《止められぬ斬鬼》や《黙示録、シェオルドレッド》でフィニッシュするミッドレンジデッキ。
    赤い部分は当然《鏡割りの寓話》が入ります。手札破壊と除去、そしてクリーチャーがバランスよく入っているミッドレンジは当然《鏡割りの寓話》との相性が抜群。相手によって不要なカードを捨てて有効牌に変えていけるためです。
    黒単デーモンとの大きな違いは2マナ域の強さでしょう。《税血の収穫者》はラクドスだからこそ採用できる超強力な2マナ域。2マナ3/2という攻撃的なスタッツと除去性能、そして血は手札を循環させるのに使えます。このカードが使用できるのは、《鏡割りの寓話》と同じぐらい大きいですね。
    税血の収穫者》を採用できるラクドスは、黒単に比べて攻撃的な構成となっています。それがよくわかるのが《鬼の刃》の採用です。黒単では採用されていないカードですが、黒単の場合は《税血の収穫者》クラスの2マナ域がなく、《鬼の刃》だけがポツンと2マナ域のクリーチャーとして浮いてしまいます。
    ラクドスは複数の2マナ域を採用して2ターン目からしっかり殴っていけるからこそ、《鬼の刃》を採用しているのです。

    この《鬼の刃》はその名の通り鬼、デーモンなので、《不浄な別室》でしっかり2点ドレインしてくれます。ただの3/1威迫なだけでなく、《鏡割りの寓話》のトークンや《税血の収穫者》に装備してデーモンにさせるのも便利。序盤から終盤までずっと殴れる良クリーチャーです。
    手札破壊、除去、《鏡割りの寓話》、フィニッシャーとその顔触れはほぼラクドスミッドレンジなので、パイオニアで長きにわたって隆盛していたラクドスミッドレンジの正統後継者と言っても過言ではありません。

    今後もパイオニア環境に残り続ける強デッキです!長い付き合いになると思うので、皆さん回しておきましょう。

    4cズアー

    ヨーロッパ地域チャンピオンシップ:7位 By Max Penzkofer

    ここ最近流行の兆しだった《永遠の策謀家、ズアー》入りの《奇怪な具現》……かと思いきや、なんとこのデッキは《奇怪な具現》が採用されていません!
    4cエニグマレスズアーと言ったところでしょうか。《奇怪な具現》やその周りのサーチ先をデッキから抜いたため、60枚に収まっています。
    豆の木をのぼれ》は5マナ以上のカードを唱えた際にカードを引けるエンチャントなので、3種入っている大主すべてで誘発します。兆候で誘発するので《豆の木をのぼれ》と大主は相性抜群ですね。
    3種の大主はそれぞれクリーチャー展開、マナ加速、ドローと違い、それらの大主を《永遠の策謀家、ズアー》で一足早くクリーチャー化してしまおうというのがこのデッキのコンセプト。
    永遠の策謀家、ズアー》の常在型能力で他のクリーチャー・エンチャントに呪禁がつくので、一度起きた大主を倒すのは非常に困難。まず《永遠の策謀家、ズアー》から倒さなければならないので、複数の除去を要求されます。
    特に《ミストムーアの大主》は出た時と攻撃時に2/1飛行を2体生成と非常に凶悪な性能なので、1ターンでも除去が遅れれば十分致命傷になりえます。
    思考囲い》や《マナの合流点》などでライフが減っていくため、アグロデッキは辛そうに見えますが、そこでも《永遠の策謀家、ズアー》が活躍します。クリーチャー・エンチャントは絆魂がつくので、《永遠の策謀家、ズアー》さえ残ればダメージレースを一気に覆せるのです。
    メインから12枚の除去が入っており、しかもその内8枚は追放なので、《心火の英雄》も後腐れなく対処できますし、《永遠の策謀家、ズアー》と大主によって攻めるのも早いため、ラクドス果敢が除去デッキ相手に行うサイドプランである《ウラブラスクの溶鉱炉》も、この4cズアーには比較的効きづらい。
    見た目よりラクドス果敢ともしっかり戦えるデッキです。

    5c白日のようなたくさんリソースを稼げるコントロールが好きな方なら、きっとこの4cズアーも気に入るはず!しっかり強いので、試してみてはいかがでしょうか?

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