はじめまして!
このたびご縁がありGOOD GAMEメディアで記事を書かせていただくことになりました、箱田 諒(@fritz_xq)です。
普段は関東の競技イベントに出ることが多く、最近はプレミアム予選を突破し、来年のチャンピオンズカップファイナルの権利を獲得しています。ルビーストームがお気に入りなので、いつかはそのことも記事にできたら嬉しいですね。
競技マジックを遊ぶ一方、友人と統率者を遊ぶのも大好きだったりします。
というわけで、僕が今回執筆するのは統率者の記事です!
《万物の姿、オルヴァール》とは
《万物の姿、オルヴァール》は爆発的なリソース増加が魅力のデッキです!
《万物の姿、オルヴァール》はざっくり言うと、呪文で対象に取ったパーマネントのコピーを生成できるカード。
《ぐるぐる》をはじめとする、”対象に取る”呪文でどんなパーマネントでもコピーできます。
例えば《リスティックの研究》や《神秘の聖域》、果ては《船砕きの怪物》まで、強力なカードたちがたったの1マナで増えていきます。
”対象に取る”呪文が軽いため、動き出すと一気に莫大なリソースを稼ぐことが可能です。
こんな方にオススメ!
・大量の手札やマナが好きな方(嫌いな方、いませんよね!)
・他ではあまり見かけないユニークなカードを使いたい方
・比較的安価にコンボ入り統率者で遊んでみたい方
ここからはデッキリストをもとに、より詳しく《万物の姿、オルヴァール》デッキの採用カードやデッキの動きについて解説していきます。
デッキリスト
現在僕が使用しているリストはこちらです。
普段から統率者戦で遊んでいる方でも見慣れないカードが多いのではないでしょうか?
他のデッキでは採用優先度が低いカードも《万物の姿、オルヴァール》がいれば最高のカードに化けます。
ここからは採用カードの役割について、類似カードをまとめてご紹介していきます。
採用カードの役割
■パーマネントを”対象に取る”呪文
マナ加速ができる”対象に取る”呪文です。
例えば《島》を対象に唱えると、《万物の姿、オルヴァール》の効果で《島》のコピーを生成できます。元々対象に取っていた《島》はアンタップするので、1マナがその場で増えます。
「バイバック」能力を持ち、マナさえあれば手札を減らさず何回でも使うことができます。つまり無限コンボのお供です。
《ヴォルラスの気まぐれ》はバイバックコスト込みで3マナなので、3マナを生み出せる《金粉の水蓮》や《切望の宝石》と無限コンボになります。(詳しくは続くコンボ紹介の項目でご説明します。)
《ヴォルラスの気まぐれ》や《時計回し》はそれぞれやたら長いテキストを持っていますが、カードの色を変えたりカウンターを増減させる効果を目的に唱えることはあまり多くありません。
このデッキでの本質は”対象に取る”こと。
対象に取れるパーマネントのカードタイプの幅広さや、複数回唱えることができるなどの特徴を優先し、効果は二の次、というカードはこの他にもデッキに採用されています。
回顧やフラッシュバック、暗号などで複数回唱えられることを重視して採用しています。
ゲーム中盤までは《島》などをコピーしてロングゲームを目指しつつ、ゲーム後半に墓地から使えるリソースとして活用する、という使い方ができます。
土地しか対象に取れませんが、1ドローのオマケ付き。
《水大工の意思》の効果には”マーフォークをコントロールしている場合、カードを1枚引く”とありますが、《万物の姿、オルヴァール》は多相なので立派なマーフォークです。
1マナで《島》のコピーを生成し、1枚ドロー。マナも手札も減らない真の無料!すごい!
とても珍しい、青のマナ加速カード。
自身のアンタップ状態のクリーチャーをタップし、そのマナ総量に等しい数の無色マナを生成することができます。
よって時には《暗黒の儀式》以上のマナ加速になります。
クリーチャーのコピーを生成するために唱えたり、《万物の姿、オルヴァール》を出すためのマナ加速としても使います。
■増やしたいパーマネント
本記事のタイトルはここから取った、最も増やしたいパーマネント。
6マナと重たいですが、戦場に出た時に3枚ドローでき、タップすると好きな色のマナが3マナ出ます。
そんな《切望の宝石》を”対象に取る”呪文でコピーすると、たったの1マナで3ドロー+3マナ!
これにより都合手札2枚と2マナを増やすことができます。
仮に《ぐるぐる》を唱えると、加えて《切望の宝石》をアンタップできるので、3+3=6マナが出て3枚引けます。
《ぐるぐる》が《Ancestral Recall》+《Black Lotus》を超える瞬間です。とんでもない。
デッキには”対象に取る”呪文が多数採用されているので、《切望の宝石》をコピーして大量ドローとマナ加速を行い、その他のアクションにつなげるのが目標です。
ただし《切望の宝石》を大量にコピーして、”対象に取る”呪文が尽きてしまった場合は大変。
《切望の宝石》にはデメリットとして下記の効果があります。
”対戦相手1人がコントロールしているクリーチャー1体以上があなたを攻撃してブロックされないたび、そのプレイヤーはカードを3枚引いて《切望の宝石》のコントロールを得る。これをアンタップする。”
途中でストップした場合には次のターンから全員での《切望の宝石》の奪い合いが始まります。皆が切望する宝石、カード名の通りですね。
僕はこれで対戦相手に15ドロー+15マナを渡して負けたことがあります。
《切望の宝石》を出すと、自分か奪った人が概ね勝つほどの影響があるため、プレイする際には細心の注意を払いましょう。
戦場に出た際に墓地のインスタント、ソーサリー、アーティファクトから1枚を、マナを払わずに唱えることができます。
《万物の姿、オルヴァール》が戦場にいれば、”対象に取る”呪文を自身を対象に唱えることで自身のコピーを生成。よって墓地の”対象に取る”呪文の数だけ《失われた宝物庫の学者》のコピーを生成できます。
自身が5/5飛行と十分なサイズを持っており、複数体並ぶことで戦闘を有利に進められます。
8体の5/5飛行が出てそのまま殴り勝ったことも。
ゲームが長引いて墓地に呪文が溜まった際には《失われた宝物庫の学者》で強力な盤面を作ることを目指します。
また、この手のカードとしては珍しく、墓地のアーティファクトも唱えることができるため、《切望の宝石》も0マナで唱えられます。
インスタントやソーサリー呪文を唱えるたびにカードを1枚引かせてくれるすごいウィザードたち。
1体いるだけでも多くのドローをもたらす彼らですが、コピーして増えようものならすぐに手札が尽きなくなります。
なお、ドロー効果は強制なので、楽しくカードを引きすぎてライブラリーアウトで負けないように気を付けましょう。
《ルーンの大魔導師》はインスタントやソーサリー呪文のコストも軽減してくれるため、先に挙げた《ヴォルラスの気まぐれ》《時計回し》《理性のゲーム》のようなバイバック能力を持つカードとの相性もばっちりです。
『ファウンデーションズ』の新規収録カードとして彼を見つけたときは心躍りました。
マナ軽減、ドロー効果と最高の2つの能力を併せ持つ、新加入のエースです。
■コピー効率を上げるカード
選んだタイプのクリーチャーの誘発型能力を追加で1回誘発させます。
《万物の姿、オルヴァール》は多相の戦士なのでどのクリーチャー・タイプを選んでもいいのですが、デッキの他のカードも考慮してウィザードを選ぶことが多いです。
《両生類の神童》や《呪文探求者》、《大魔導師の名誉教授》など優秀なウィザードたちの誘発もついでに増やしましょう。
《万物の姿、オルヴァール》と《うろつく玉座》がいる場合、コピー能力の誘発回数は《万物の姿、オルヴァール》と《うろつく玉座》の合計数になります。よって《うろつく玉座》のコピーを増やす場合、1→3→7→15体のように2倍+1体に増えていきます。
《うろつく玉座》は護法2の除去耐性が頼もしく、場に出しやすいことも強みです。
アーティファクトやクリーチャーのうち、自身がコントロールしている1つだけを対象とする呪文を唱えるたび、そのコピーを非伝説で生成するエンチャント。
《万物の姿、オルヴァール》と異なり、コピーできるパーマネントのタイプが限られたり、1つを対象に取る呪文でしか誘発しないですが、生成するコピーが非伝説であるため《万物の姿、オルヴァール》のコピーも生成することができます。
《万物の姿、オルヴァール》がいなくてもコピーを作ることができ、エンチャントであるためクリーチャーに比べて除去されづらい点が優秀です。
主なコンボ
1.《切望の宝石》無限ドロー
”対象に取る”呪文として《ヴォルラスの気まぐれ》を使用する無限ドローのルート。
《ヴォルラスの気まぐれ》は1マナでパーマネントをなんでも対象に取ることができ、追加2マナを支払うとバイバックで手札に戻せるため、3マナで何度も唱えることができます。
よって、《切望の宝石》のコピーから生み出す3マナを使って《ヴォルラスの気まぐれ》をバイバックし続けられるので、これで無限に3ドローできます。
1.《切望の宝石》を対象に《ヴォルラスの気まぐれ》をバイバックコスト込みの3マナで唱える。
2.《万物の姿、オルヴァール》が誘発し、《切望の宝石》のコピーを生成する。
3.《切望の宝石》のコピーにより3枚ドローして3マナを出す。
1~3の手順を繰り返すとマナがかからず3ドローし続けられるため、無限ドローになります。
なお、これだけだと手札が増えるだけでマナは増えません。
そのため、道中で引いた《ぐるぐる》などで《切望の宝石》をコピーしてマナを増やし、引いた勝ち手段を使えるようにする必要があります。
なお、《ヴォルラスの気まぐれ》は《時計回し》や《理性のゲーム》でも代用可能な場合があります。
《時計回し》と《理性のゲーム》はバイバックのコスト込みで4コストですが、《サファイアの大メダル》などで3マナに軽減することで、《切望の宝石》が生み出す3マナで何回でも唱えられるようになります。
※《時計回し》はカウンターが置かれていないパーマネントでも対象に取ることができます。
2.《流浪のドレイク》無限マナ
戦場に出た際に土地を最大5枚アンタップできる《流浪のドレイク》をバイバック持ち呪文で無限にコピーし、無限マナとするルート。
《流浪のドレイク》でアンタップする土地から5マナ以上が出る場合、4マナ以下でコピーし続ければ無限マナ。その場合には《ヴォルラスの気まぐれ》《時計回し》《理性のゲーム》どれでも無限マナコンボが可能です。
無限マナから《歩行バリスタ》で無限ダメージを飛ばして勝つほか、無限マナの過程で無限ストームとし、《思考停止》を対戦相手に唱えて勝つこともできます。
3.《万物の姿、オルヴァール》なし無限ドロー
こちらは《万物の姿、オルヴァール》を使用しない無限ドローのコンボ。
《ドラニスの判事》などで《万物の姿、オルヴァール》を出せない場合にはこのルートを目指します。
《幽霊のゆらめき》はアーティファクトやクリーチャーや土地を合わせて2つ対象にし、対象のカードを一度追放した後すぐに戦場に戻す、いわゆる”ブリンク”能力を持っています。
《幽霊のゆらめき》で《切望の宝石》と《古術師》をブリンクすることで、3枚ドローと3マナを得て、墓地の《幽霊のゆらめき》を回収することができます。
1.《切望の宝石》と《古術師》を対象に《幽霊のゆらめき》を唱える。
2.《切望の宝石》と《古術師》をブリンクし、3枚ドローして墓地の《幽霊のゆらめき》を回収する。
3.《切望の宝石》から3マナを出す。
1~3の手順を繰り返すと消費マナなしで3枚ドローすることができるため、無限ドローになります。
4.《渦巻く空、開璃》無限
伝説のクリーチャーである《渦巻く空、開璃》をコピーし、レジェンド・ルールによって墓地に送られる際の能力誘発を利用した、無限マナかつ無限呪文回収のコンボです。
《渦巻く空、開璃》は死亡時にカード6枚を切削した後、墓地のインスタントかソーサリー呪文を最大2枚回収することができます。
マナを増やす役割のカードとして《ぐるぐる》を、《渦巻く空、開璃》をコピーする役割のカードとして《時計回し》を使用し、そでぞれを回収して再利用することで、ライブラリーをすべて切削することができます。
※《島》を対象に《ぐるぐる》を唱えると、《島》のコピーとアンタップにより2マナが出るので1マナ増えます。その1マナを使って《時計回し》を唱えます。
今回は例として《ぐるぐる》と《時計回し》を用いていますが、《ぐるぐる》は似た効果の《夢の掌握》や《見えざる糸》で代用可能です。
また、《時計回し》も1マナの”対象に取る”呪文であれば何でもOKです。
具体的なコンボ手順は下記の通りです。
コンボ途中で回収する呪文が変わるため、やや複雑な手順になっています。
1.《島》を対象に《ぐるぐる》を唱える。
2.《島》のコピーを生成し、対象にした《島》をアンタップする。(これで青2マナが出ます。)
3.《渦巻く空、開璃》を対象に《時計回し》を唱える。
4.《渦巻く空、開璃》のコピーを生成し、レジェンドルールにより《渦巻く空、開璃》の死亡時効果が誘発する。
5.ライブラリーを6枚切削し、墓地の《ぐるぐる》と《時計回し》を回収する。
1~5の手順を繰り返すと消費マナなしでライブラリーをすべて切削することができます。
その後、5で回収する呪文を変更するところから再開します。
6.《ぐるぐる》と《満潮》を回収する。
7.《島》を対象に《ぐるぐる》を唱える。
8.《島》のコピーを生成し、対象にした《島》をアンタップする。
9.《満潮》を唱える。(これで《島》1枚から2マナが出ます。)
10.《渦巻く空、開璃》を対象に、墓地から《反重力》をフラッシュバックコストで唱える。
11.《渦巻く空、開璃》の死亡時効果で墓地の《ぐるぐる》と《時計回し》を回収する。
12.《島》を対象に《ぐるぐる》を唱える。
13.《島》のコピーを生成し、対象にした《島》をアンタップする。
《満潮》の効果で《島》2枚から青4マナが出るようになるため、1~5の手順で繰り返した《ぐるぐる》と《時計回し》を唱える1ループで2マナずつ浮きます。
これで青無限マナになります。
無限マナにした後は、マナを増やすために使用していた《ぐるぐる》が不要になるため、《渦巻く空、開璃》のコピーを出すための”対象に取る”呪文1枚と自由枠1枚を回収することができます。
よって墓地のすべてのインスタント呪文とソーサリー呪文を回収することができます。
無限マナかつ墓地のインスタントもソーサリーも使い放題な状態になったら速やかに勝つだけです。
道中で十分なストームカウントを稼ぎ、《思考停止》ですべての対戦相手のライブラリーを切削します。その後ターンを終了し、対戦相手のドローステップを迎えて勝利となるわけですね。
5.《神秘の聖域》無限コピー
《神秘の聖域》を無限にコピーし、無限マナにするルートです。
《水大工の意思》と《ゆらめく蜃気楼》は土地を対象に取りつつ1枚ドローすることができます。
《神秘の聖域》は墓地の呪文をライブラリートップに置くことができるので、《神秘の聖域》を対象に《水大工の意思》と《ゆらめく蜃気楼》を交互に唱えることで、《神秘の聖域》のコピーを増やしながらそれぞれをライブラリートップに置き、ドローし続けてループします。
なお、これだと《水大工の意思》と《ゆらめく蜃気楼》の合計3マナが必要なことに対して、コピーで増える《神秘の聖域》2枚の2マナしか供給されないため、なにかでサポートする必要があります。
この時《満潮》を唱えていれば、コピーで増える《神秘の聖域》2枚から青4マナが出るようになり、《水大工の意思》と《ゆらめく蜃気楼》を交互に唱える1ループにつき青1マナが浮くので青無限マナになります。
1.《満潮》を唱える。
2.《神秘の聖域》を対象に《水大工の意思》を唱える。
3.《万物の姿、オルヴァール》が誘発し、《神秘の聖域》のコピーを生成する。
4.《水大工の意思》により1枚ドローする。
5.コピーした《神秘の聖域》から青2マナを出し、《神秘の聖域》を対象に《ゆらめく蜃気楼》を唱える。
6.《万物の姿、オルヴァール》が誘発し、《神秘の聖域》のコピーを生成する。この時、墓地の《水大工の意思》をライブラリートップに置く。
7.《ゆらめく蜃気楼》により1枚ドローする。(これが《水大工の意思》なので、2に戻る。)
2~7の手順を無限に繰り返せるので、無限マナとなります。
なお、《満潮》の代わりに《サファイアの大メダル》がある場合には、マナは増えないものの、無限《神秘の聖域》にすることはできます。無限《神秘の聖域》なので要するに次のアンタップを迎えれば無限マナですね。
また、《ルーンの大魔導師》がある場合には追加でドローができるようになるため、無限《神秘の聖域》+無限ドロー。ドローしたカードでさらに《神秘の聖域》をコピーし、《満潮》を回収することでマナも増やせるようになります。
※《ルーンの大魔導師》は強制ドローなので、厳密にはコピーできる《神秘の聖域》の数は残りライブラリー枚数です。
プレイガイド+Tips
■《万物の姿、オルヴァール》を守ろう
このデッキがやりたい動きには大抵《万物の姿、オルヴァール》が関わってくるため、彼(?)を戦場に維持することには大きな価値があります。
ゆえに対戦相手から見た時の除去の優先度は高いため、様々な手段で彼を守りましょう。
除去呪文に対してはカウンター呪文で対処することもできますが、ゲームの展開上、いつも豊富にカウンター呪文が余っているわけではありません。
そこで、呪文の枠を取らない土地で除去から守れるカードを優先して採用しています。
まず《群がりの庭》は昆虫などを再生することができるため、多相の戦士であり昆虫の《万物の姿、オルヴァール》を守ることができます。
能力の起動にマナが必要無いのが他4枚と比較して最も優れているポイントです。
スタンダードでもお馴染みの《英雄の公有地》は呪禁と破壊不能を付与できるので、以後安全にコンボを進行できます。起動コストは少し重たいのですが、青マナを出せる点が優れています。
戦場に出た際にクリーチャーをフェイズアウトできる《マダラの鉤爪門》。4マナ支払うと手札から戦場に出せるため除去をかわせます。
また、相手の《ドラニスの判事》などを一時的に退かす役割としても使える器用なカードでもあります。土地を置くだけで除去となるため、実質0マナの除去として活用できます。
《ウルザの洞窟》は、ライブラリーから土地を直接戦場に出すことができます。
タップ状態で戦場に出るため《群がりの庭》や《英雄の公有地》は起動できませんが、《マダラの鉤爪門》を出すことで《万物の姿、オルヴァール》を守ることができます。
モダンでも大活躍の《水力発電の検体》は、戦場に出た際に単一の対象を取るインスタントやソーサリー呪文の対象を自身に変更することができます。《水力発電の検体》を身代わりに除去を回避しましょう。
■時には割り切りも大事
”除去から守る”という前の項目に反してしまいますが、《万物の姿、オルヴァール》が除去されてもOKと考えてプレイする場合もあります。
すぐに除去されたとしても、コピーして残るパーマネントが手札やマナの供給面で優れていればOK。次のターン以降にまた仕掛けなおすことができます。
除去から《万物の姿、オルヴァール》を守るカードがない場合には、除去のスタック上で複数のコピーを生成することを目指しましょう。
《万物の姿、オルヴァール》が除去されると次にまた唱えるときに2マナ重くなってしまいますが、例えば《金粉の水蓮》をコピーできる場合だと3マナ増えるため、次のターン以降で実質的に使えるマナは増えます。
このような場合には《万物の姿、オルヴァール》を除去される前提でプレイすることもあります。
■《大魔導師の名誉教授》《ルーンの大魔導師》のご利用は計画的に
「インスタントやソーサリー呪文を唱えるたびカードを1枚引く」という強力な効果を持つ《大魔導師の名誉教授》と《ルーンの大魔導師》ですが、強制ドローが自分の首を絞めることがあります。
無限コンボに入り、無限ドローだ!と楽しくドローしていると、強制ドローの彼らによりセルフライブラリーアウトとなることも。
そんな場合には引いたカードの中から《渦巻く霧の行進》で全員をフェイズアウトさせることで負けを回避できます。
《大魔導師の名誉教授》や《ルーンの大魔導師》をコピーしている場合でも、手札の青のカードをコストとして複数体をたった1マナで退かすことができます。
《渦巻く霧の行進》の他にも、《蒸気の連鎖》で全員を手札に戻す場合もあります。
《蒸気の連鎖》は自分の土地を生け贄に捧げることで呪文のコピーが生まれるため、複数体の《大魔導師の名誉教授》や《ルーンの大魔導師》をコピーした場合でも、それが土地の数以下なら手札に戻し切ることができます。
なお、《大魔導師の名誉教授》は「魔技」により呪文をコピーすることでもドロー効果が誘発してしまいます。《蒸気の連鎖》のコピーでもドロー効果が誘発してしまうため、残りのライブラリーの枚数に気を付けてプレイする必要があります。
■実は使い道多数の《水流破》
《水流破》は対赤の呪文とパーマネントに非常に有効なカードですが、このデッキでは対すべての色のカウンターや除去となることがあります。
《ヴォルラスの気まぐれ》や《現実の修正》は対象の呪文やパーマネントの色を変更する効果を持つので、そのカードの色を赤にすることで《水流破》が万能カードに化けます。
また、《水流破》は《ヴォルラスの気まぐれ》などが無くても、赤でないパーマネントを”対象に取る”ことができます。よってコピー生成のために使用することもできるため、対戦相手に赤いデッキがいない場合も使い道があります。
■《時計回し》をうまく使おう
一見地味なカウンターを増減させる効果は、時に自身のパーマネントの強化や相手の妨害を行うことができます。
例えば《両生類の神童》の+1/+1カウンターを増やしてドローしやすくしたり、《神秘的負荷》の経年カウンターを取り除いて次のターンに維持しやすくしたりなど。
相手のパーマネントに対しては逆の増減を行うことで妨害も可能です。
その他にも自分の《一つの指輪》の重荷カウンターを増やしてドローを増やしたり、地味な使い方がたくさん!
”対象に取る”呪文の採用優先度
”対象に取る”呪文はマジック30年の歴史の中で数えきれないくらい登場しています。
今回ご紹介したリストに採用されている各カードたちには、優先するだけの理由が存在しています。
というわけで、ここでは僕が採用する上で優先していることをまとめました。
今後”対象に取る”呪文が新規収録された際に、採用するかの判断基準にもなりますので、ぜひ参考にしてみてください。
【優先度高】マナを増やせるカード
《ぐるぐる》《夢の掌握》《見えざる糸》など。
《万物の姿、オルヴァール》がいれば土地のコピーを増やしながら土地を起こせるため、マナを増やせるのが強みです。
各種コンボルートでも頻出の彼らは”対象に取る”呪文界のエース。
現在はこの3枚しかないので、似たカードがもっと増えてほしい!
《魔力のタップ》も無色マナのみですが一時的に大幅なマナ加速が可能です。
【優先度高】コンボルートに含まれるカード
《ヴォルラスの気まぐれ》《時計回し》《理性のゲーム》《反重力》など。
バイバックや1マナのフラッシュバックなど、無限コンボのルートに含まれる呪文です。
これらの呪文はバイバックコストを払わない場合、1マナで唱えられることも優秀です。
【優先度中】複数回使えるカード
回顧・フラッシュバック・暗号など、カード1枚で2回以上使えるカードは、”対象に取る”呪文不足で動けなくなることを防ぎます。
フラッシュバックなどは単純に強力な効果なので、他の”対象に取る”呪文よりもマナ・コストが重たくなりますが、複数回使えるメリットの方が大きいです。
【優先度中】手札が減らないカード
《水大工の意思》《ゆらめく蜃気楼》《熱風の変転》《ひきつり》など。
1枚ドロー付きで”対象に取る”ことができるため、ゲーム中盤に手札を減らさず《島》などをコピーし、盤面のリソースを増やす動きが可能です。
《万物の姿、オルヴァール》がいない場面でも最低限キャントリップ呪文として働きます。
【優先度中】インスタントであること
《万物の姿、オルヴァール》が除去の対象になった際に、スタック上で複数のコピーを生成することができるため、インスタント呪文であることが優先されます。
【優先度低】対象に取れる範囲が狭い
《万物の姿、オルヴァール》は状況に応じて土地やアーティファクトをコピーしたい場合も多いため、クリーチャーしか対象に取れないカードの優先度はあまり高くありません。
一方で、《ミジウムの外皮》や《本質の変転》など《万物の姿、オルヴァール》や《大魔導師の名誉教授》といった、強力なクリーチャーを守れるカードについては数枚採用することもあります。
今回のリストでは《本質の変転》だけを採用しています。
《本質の変転》は《万物の姿、オルヴァール》でコピーできない状況でも《呪文探求者》や《粗石の魔道士》をブリンクし、必要なカードをサーチできるため、優先して採用しています。
採用候補カード
最後に、今回のリストでは採用していないものの、過去に採用していたり、今後環境の変化などで採用する可能性のあるカードをご紹介します。
自身に影響が少ない、対戦相手への妨害カードです。
《基本に帰れ》を採用する場合は《アカデミーの廃墟》や《水辺の学舎、水面院》などが影響を受けてしまうため、有効に使えるタイミングが限られており、優先度がやや低い土地は《島》に変更します。
《水辺の学舎、水面院》は《一つの指輪》をアンタップできることが強みですが、現在のリストではそれ以外にアンタップするカードはありません。
ちなみに自身のパーマネント以外もアンタップできるため、ごくまれに対戦相手の《一つの指輪》をアンタップして妨害手段を引いてもらうこともあります。
《呪われたトーテム像》や《墓掘りの檻》は自身の《歩行バリスタ》や《失われた宝物庫の学者》に影響するため今回採用していませんが、友人との対戦などで明確に対策が必要な場合には採用することもあります。
インスタントやソーサリー呪文のコスト軽減が優秀なカード。
特に《遵法長、バラル》は呪文を打ち消した際のルーティング能力も高頻度で誘発するため優秀です。
《研究所荒らしの事件》は事件を解明することでドロー効果を持ちますが、この条件達成がなかなか難しい!
こちらは事件解明後の効果をはじめから持つ、《ルーンの大魔導師》の登場により席を譲ることになりました。
《両生類の豪雨》という一度に複数体の対処が可能な強力な除去を得たため枠を譲っています。
現在は1マナの除去として《蒸気の連鎖》や《渦巻く霧の行進》を採用していますが、対戦環境によって早いターンでの除去が必要な場合には増量する場合もあります。
ライブラリーが無い状態での最も簡単な勝ち手段。
このデッキでは《切望の宝石》や《渦巻く空、開璃》を用いたコンボルートでライブラリーを空にした際には、ドローや回収したカードで無限マナとすることができるため、《歩行バリスタ》や《思考停止》で勝つことができます。
《歩行バリスタ》は《流浪のドレイク》などを用いた他の無限マナコンボでも有効です。また、《思考停止》は《渦巻く空、開璃》で回収できる勝ち手段であり、対戦相手が「教示者」カードでライブラリーの上に置いたカードを切削させるなどの妨害としても使用できます。
よって《タッサの神託者》に比べて他の場面での使い道が多い《歩行バリスタ》と《思考停止》を優先しています。
《万物の姿、オルヴァール》によりコピーすると1マナで呪文や能力をカウンターできるようになります。
《万物の姿、オルヴァール》をプレイする際にも、彼らが既に戦場に出ていれば”対象に取る”呪文がカウンターとして働くため、《万物の姿、オルヴァール》が生き残りやすくなります。
現在のリストでは元のマナ・コストが重たいことを懸念して不採用としています。
対戦相手が呪文を唱えるコストが2マナ多くなるため、除去やカウンターが飛んでくる枚数が少なくなりコンボを決めやすくなります。
無限コンボまで行かずとも、《王神の立像》を複数コピーすれば対戦相手が1枚も呪文を唱えられない状況になることもあります。
このように強いカードではあるものの、6マナという重さかつ出したターンの盤面に影響を及ぼさないことが弱点。
このカードはヘイトが高く、場に出すと攻められる展開となり、このデッキは攻撃された際に盤面を止められるクリーチャーが少ないため、不採用としています。
おわりに
《万物の姿、オルヴァール》の統率者デッキをご紹介しました!
「変わった面白いデッキだな~」と少しでも思っていただけていたら幸いです!
無限コンボを抜きにしても、強力なパーマネントのコピーが増えていく楽しさは他のデッキでは味わえません!
”対象に取る”呪文は今後の新セットでも高頻度で登場すると思います。
「もしかしたらこれ、《万物の姿、オルヴァール》で使えるかも?」と毎回新セットごとに胸をときめかせられるのも、この統率者の魅力です!