禁止改訂で大激変!!エネルギー・《一つの指輪》禁止と4枚の解禁

禁止改訂で大激変!!エネルギー・《一つの指輪》禁止と4枚の解禁

mtg Yuyan

日本時間の 12月17日深夜、禁止改定が行われました。

モダンで暴れ回っていた《一つの指輪》とエネルギーにメスが入るのは誰の目にも明らかで、そのエネルギーから何が禁止されるのかを全員が焦点にしていました。
結果は、《湧き出る源、ジェガンサ》《一つの指輪》《色めき立つ猛竜》の3枚の禁止。

エネルギーは《湧き出る源、ジェガンサ》と《色めき立つ猛竜》を失いましたが、《魂の導き手》《オセロットの群れ》《ナカティルの最下層民、アジャニ》《火の怒りのタイタン、フレージ》は残り、デッキの形はかろうじて保つこととなりました。
一つの指輪》の禁止も仕方のないことでしょう。アグロ・ミッドレンジ・コントロール・コンボのすべてのデッキに採用された奇跡のカードであり、昨年印刷されて以降、何度も禁止が検討されていました。《一つの指輪》が使われない環境は、すなわち《有翼の叡智、ナドゥ》のような強すぎるコンボデッキが隆盛しているということで、それもまた規制対象なのです。しかも強いコンボデッキに《一つの指輪》が組み込まれることもあり、どう考えても禁止にする以外の手立てはありませんでした。
湧き出る源、ジェガンサ》はエネルギーで活躍していたのも要因の1つですが、大きかったのは構築の幅を狭める点でした。

相棒に指定するためにはダブルシンボルのデッキを採用できなくなるため、必然的にシングルシンボルのカードばかりが使われることになり、それが構築の自由を奪うことになってしまっていました。

「構築に制限をかける代わりにデッキ外のリソースを確保できる」のが相棒なので、それを言ってしまうと「相棒を全否定しているのと変わらないのでは?」と思いましたが、《湧き出る源、ジェガンサ》はちょっと使われすぎましたね。

そして、ニュースはそれだけにはとどまりませんでした。

欠片の双子》《緑の太陽の頂点》《オパールのモックス》《信仰無き物あさり》解禁!!!!!!!!!!
正直、今回解禁が行われるとは思わなかったのでびっくりしました。

僕はモダンの禁止改訂でカードをどんどん解禁していく動きがすごく大好きです。

定業》はしっかりとディミーア眼魔やイゼットマークタイドなどを強化しましたし、《弱者の剣》や《精神を刻む者、ジェイス》《血編み髪のエルフ》も今のモダンでは適正な強さです。『モダンホライゾン』などの特殊セットの加入でモダンのカードパワーは飛躍的に上昇しており、モダンで今禁止されているカードの大半は解禁しても問題ないと思っています。
とはいえ、今回はその中でもまあまあギリギリなラインのカードたちが帰ってきました。「もしかしたらこのカードは再び禁止になるのでは?」と思うほど強いカードが戻ってきて驚いています。

というわけで今回は、禁止解除された4枚のカードを早速使用して結果を残したデッキたちをご紹介していきましょう!

    欠片の双子

    モダンが制定されて最初に行われたモダンプロツアー。《ギタクシア派の調査》を打ちながら《猛火の群れ》で2ターンキルしてくる感染や《雲上の座》と《ヴェズーヴァ》で大量のマナを出す12ポスト、《炎の儀式》から《紅蓮術士の昇天》を1ターン目に置いてくるイゼット昇天など、右も左も現代では禁止されているカードばかりのプロツアー・フィラデルフィアを制したのが《欠片の双子》でした。

    モダンと言えば《欠片の双子》。それぐらいこのカードはモダンのコンボの代名詞でした。《詐欺師の総督》と《欠片の双子》の2枚が揃うと瞬殺とわかりやすく、そのコンボパーツ以外を自由にチューンできることから、非常に構築力が問われるデッキでした。

    青のドロー・打ち消し、赤の火力を使えるイゼットカラーでコントロールしながらのらりくらりとコンボを決める構成が基本でしたが、緑を加えて《タルモゴイフ》を採用したタルモツインなども後に登場し、活躍しました。
    メタゲームに応じて様々な構成で5年間モダンで活躍し続け、2016年の1月22日に禁止。そして8年ぶりに本日、モダンに帰ってきました。

    「現代のモダンのパワーではもはや《欠片の双子》は通用しないのでは?」そんな声も聞こえていましたが、早速モダンリーグで5-0を収めました!

    デッキのベースはイゼットコントロール。《対抗呪文》《瞬唱の魔道士》《アノールの焔》《稲妻》と少し前のモダンで見たことのあるイゼットウィザードの構成です。そこに《詐欺師の総督》と《欠片の双子》の2枚コンボを採用し、瞬殺を可能としました。
    双子デッキで重要なのは《欠片の双子》を腐らせないことです。《詐欺師の総督》はエンド前に相手のアタッカーを寝かせて1/4で場を固めたり、《欠片の双子》のプレッシャーを相手にかけることができるカードである一方、《欠片の双子》は手札に残り続けることになります。
    そのため、《欠片の双子》のつけ先が重要です。以前までは《詐欺師の総督》と同じく無限コンボになる《やっかい児》が採用されていましたが、このリストでは《瞬唱の魔道士》に加えて《稲妻罠の教練者》が採用されており、《欠片の双子》のエンチャント先が12枚に増えています。
    瞬唱の魔道士》に《欠片の双子》がつくと毎ターン墓地から無料でカードを1枚フラッシュバックできるようになりますし、《稲妻罠の教練者》もリソースを供給し続けてくれるので、このリストなら《欠片の双子》の処理に困ることはなさそうですね。

    拒絶の閃光》は《詐欺師の総督》が余った時に生け贄に捧げて0マナで打てて便利です。
    『モダンホライゾン3』の《知りたがりの学徒、タミヨウ》はデッキと噛み合うカードではありませんが、タダ強枠として採用されています。《アノールの焔》との相性は抜群。3ターン目に5点と2ドローで打てば変身しながら相手のクリーチャーを除去し、カードまで引けてしまうのです。《欠片の双子》が1ターン目から脅威を展開してくる時代になりました。今から戦うのが恐ろしい。
    モダン黎明期から活躍し続けたコンボ、果たして令和に生き抜くことはできるのか?今後に注目ですね。

    信仰無き物あさり

    カードを2枚引いて2枚捨てる1マナのソーサリー。元祖となる《入念な研究》はリアニメイトやマッドネスなど様々なデッキで暴れ回りました。

    その赤バージョンが登場した時には驚きました。フラッシュバックというおまけにしては強すぎる能力も手に入れましたからね。

    そして《信仰無き物あさり》はしっかりモダンでも暴れます。特に好きなカードを墓地に送りこめる点を評価され、イゼットフェニックスやドレッジ、ブリッジヴァインなどのアンフェアな墓地デッキを支えました。
    結果、すべてのデッキに4枚以上の墓地対策が必須となってしまい、2019年に禁止。5年ぶりにモダンに戻ってきました。

    今回は最新型のホロウワンに組み込まれました。

    カードを1枚捨てるごとに2マナ軽くなる4/4クリーチャー、《虚ろな者》。その英語名のホロウワンがそのままデッキ名になったのがこちらのホロウワン。その名の通り、《虚ろな者》が主役です。
    燃え立つ調査》《信仰無き物あさり》でカードを捨てて《虚ろな者》を1マナや0マナで召喚して殴るビートダウンデッキ。以前は《燃え立つ調査》しかなく、3枚ディスカードで《虚ろな者》が捨てられてしまうこともありましたが、《信仰無き物あさり》は自分で選んで2枚を捨てられるのでその心配はありません。
    虚ろな者》と相性の良いカードが《探偵のフェニックス》です。証拠収集6で授与することができ、装備先に飛行と+2/+2速攻を付与してくれるので、《虚ろな者》を強化して殴るも良し、墓地に落ちた《虚ろな者》が証拠収集6のうち5を満たすので、《虚ろな者》が場と墓地どちらにいても活躍するのです。
    1マナ圏も優秀なカード揃い。墓地を貯めつつ3/3飛行になる《ドラゴンの怒りの媒介者》に加え、《ネザーゴイフ》も強力です。アーティファクト・エンチャントが採用されているため、早いターンから4/5になりやすく、《虚ろな者》と並んであっという間に相手のライフを消し飛ばしてくれます。
    信仰無き物あさり》の解禁で墓地デッキがまた生き生きし始めました。僕も個人的に思い入れのあるカードなので、また使い倒していきたいと思います。

    緑の太陽の頂点

    ライブラリーから緑のクリーチャーカードを直接場に出す1マナのソーサリー。レガシーの緑を支えるカードであり、1ターン目に《ドライアドの東屋》をサーチできるため、実質《ラノワールのエルフ》としても機能します。
    序盤に引けば《ラノワールのエルフ》、中盤に引けば3~4マナの最も強いクリーチャー、後半はフィニッシャーと、状況に応じてなんでもできるすさまじいカード。緑のすべてのデッキに入ってしまうことから、2011年に禁止されました。

    なんとモダンでは13年ぶりの解禁!このカードをモダンで再び使えるようになる日が来るとは思いませんでした。

    前述のように、どのターンに引いても強いのが《緑の太陽の頂点》。《ラノワールのエルフ》は1ターン目には引きたいが後半引いたら腐るカードですし、《孔蹄のビヒモス》は初手には必要ありませんが、最終的には引き込みたいフィニッシャー。《緑の太陽の頂点》は、そんなワガママを叶えてしまうカードです。《ラノワールのエルフ》と《飢餓の潮流、グリスト》と《孔蹄のビヒモス》の3つのモードから選べるカードだと考えるとその凄さがわかるでしょう。
    実際はそれよりも強く、《緑の太陽の頂点》にはデッキ内のすべての緑のクリーチャーのテキストがついているようなものなのです。
    さて、ここまで強い《緑の太陽の頂点》。入賞数も非常に多く、早速このカードがモダンでも現役であることを示しましたね。その中からピックアップするのがこちら。

    ゴルガリヨーグモスです。
    スランの医師、ヨーグモス》自身は残念ながらサーチできませんが、逆に言えばそれ以外のすべてをサーチできる《緑の太陽の頂点》。1ターン目のマナ加速として《喜ぶハーフリング》の追加で採用されていた《極楽鳥》《下賤の教主》は抜け、《緑の太陽の頂点》に統一されました。
    中盤に引いた際は《飢餓の潮流、グリスト》にまずなります。除去とトークン生成を兼ねるプレインズウォーカーにアクセスする手段が大幅に増えましたし、《召喚の調べ》でのサーチを《スランの医師、ヨーグモス》に絞ることができますね。
    スランの医師、ヨーグモス》と揃うことでコンボになる《毒物の侍臣、ハパチラ》も《緑の太陽の頂点》でアクセスできるカード。相手のクリーチャーに《スランの医師、ヨーグモス》でマイナスカウンターを乗せると蛇が出てきて、その蛇を《スランの医師、ヨーグモス》で生け贄にできるため、ライフが続く限り、相手のクリーチャーにマイナスを置き続けてドローできます。大体の場合は盤面を全部除去して7ドローぐらいできるので、実質勝ちです。
    元々強力なデッキだったヨーグモスが1ターン目のマナ加速を安定させるだけでなく、中盤・終盤にも腐らないカードを手に入れてしまいました。マナ加速から《飢餓の潮流、グリスト》の流れも前より安定するようになり、再現性が更に上がることに。

    緑の太陽の頂点》、その名の通り頂点を取ってしまうのでは?

    オパールのモックス

    最後にご紹介するのが今回の解禁組の中でも一番の問題児。というか僕はこのカードだけは絶対に解禁されないと思いました。

    アーティファクトを3枚コントロールしていると好きなマナを出せるモックス。自身がアーティファクトなので、他に2枚あれば達成と、一見難しそうに見える条件ですが、アーティファクトにデッキを寄せれば、このカードはパワー9級の性能を発揮してくれます。

    あらゆるアーティファクトデッキに4枚採用され、《最高工匠卿、ウルザ》《クラーク族の鉄工所》などと組み合わせて暴れ回ったり、黎明期から親和にも重宝され続けていましたが、2020年にモダンで禁止となりました。
    信仰無き物あさり》もそうですが、近年モダンで禁止になったカードが解禁されるのは意外でした。ある程度カードパワーが高くなったモダンで禁止になったカードなので、解禁するにはまだ早いと考えるのが普通だからです。

    オパールのモックス》はかなり危険なカードです。これまではほとんどのデッキで不可能だった《ウルザの物語》の2ターン目起動を簡単に行えるようになってしまったのです。
    1ターン目に《ウルザの物語》から1マナのアーティファクト、2ターン目に《ダークスティールの城塞》と《オパールのモックス》、これだけで2・3ターン目に《ウルザの物語》を起動できてしまえます。レガシーやヴィンテージをプレイされている方なら、この恐ろしさがわかるのではないでしょうか。

    単純にゲームスピードも変わることになります。モダンでは《金属モックス》《炎の儀式》と、軽いマナ加速カードは禁止傾向にありました。一瞬だけ2マナを3マナに増やす《捨て身の儀式》がギリギリで、3マナを5マナに増やす《煮えたぎる歌》すら今は禁止されていますからね。
    特に0マナで1マナを増やせるモックスは、早いターンにはマナを出せないように調整されており、デッキ構築を大幅に伝説に寄せた《モックス・アンバー》ですら、使えるデッキでは獅子奮迅の活躍をしています。
    オパールのモックス》はただアーティファクトを大量にデッキに入れるだけでよく、《モックス・アンバー》ほどデッキ構築段階で意識する必要はありません。

    早速リーグの結果を見てみると、《オパールのモックス》は2種のデッキに組み込まれていました。まず1つ目は《硬化した鱗》を使用したコンボアグロ、鱗親和です。
    電結の荒廃者》と《硬化した鱗》の組み合わせで瞬殺するデッキで、2マナのカードがとにかく多いので、3ターン目に《オパールのモックス》を絡めた2アクションが非常に強力で、デッキはすさまじく強化されました。
    そしてもう1つ、リーグで複数入賞しているのがこちらのデッキ。

    そう、装備コストの重い《巨像の鎚》を《シガルダの助け》で無理やり装備するハンマータイムです。

    巨像の鎚》《シガルダの助け》とキーパーツがどちらも1マナ、しかもアーティファクトを大量に採用しているので、ハンマータイムと《オパールのモックス》の相性は最高です!
    基本が白単のビートダウンなので2ターン目の《ウルザの物語》起動だけでも十分です。というかこの動きだけで勝てるマッチ、結構ありませんか?おそろしい。《メムナイト》《羽ばたき飛行機械》と0マナのアーティファクトが大量に入っているので、《オパールのモックス》さえ引けば2ターン目の《ウルザの物語》起動はそう難しくありません。
    メムナイト》《羽ばたき飛行機械は《オパールのモックス》と相性が良い反面、少しカードパワー面で不安のあるカード。しかしハンマータイムならこれらのクリーチャーが《巨像の鎚》の装備先となるので、採用しても問題ないというわけです。ハンマータイムが《オパールのモックス》を一番強く使えるかもしれませんね。
    オパールのモックス》は先ほどご紹介した鱗親和以外にも、アーティファクトを並べて《思考の監視者》《河童の砲手》で暴れ回る8 Castなどにも採用されており、モダンでアーティファクト旋風が吹き荒れつつあります。
    溶融》がモダンに標準搭載される日も近いかもしれませんね!

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