自己紹介
皆様、初めまして。小林 輝(コバヤシ アキラ)です。
XやNoteなどでは「へいか(@enzyutuheika)」という名前で活動させていただいております。
周りからはXのハンドルネームである「へいか」もしくは「陛下」などとよく呼ばれています。
機会に恵まれ、GOOD GAMEメディアにて記事を書かせていただくことになりました。
どうぞよろしくお願いいたします。
マジック:ザ・ギャザリングを始めたのは2019年の『ラヴニカの献身』。新参です。
初めて組んだデッキは青単テンポ、初めて3-0したデッキは《荒野の再生》のティムールネクサスです!
始めた当時に幸運にもマジック:ザ・ギャザリング公式からインタビューをいただいた経験もあったりします。

この記事の通り耳が聞こえませんが、ステップカードや対戦相手のご厚意などによって楽しくプレイをさせていただいております。
コロナ禍で休止後に2021年末で復帰し、2022年の日本選手権予選をきっかけに競技の沼に入り込みました。
大きな大会で優勝などはしていませんが、主な実績としては下記のような形になっています。
第9期パイオニア神挑戦者決定戦:トップ4
第25期スタンダード神挑戦者決定戦:準優勝
プレイヤーズコンベンション千葉2023パイオニアオープン:トップ4
チャンピオンズカップファイナル シーズン2ラウンド3:PT権利獲得
2月に行われるプロツアー・シカゴに参加予定なので、そこでも何らかの形で記事を書きたいと思います!
パイオニアでは青白が板botとして、アゾリウスコントロールやアゾリウスロータスなどのコントロールデッキを好みますが、アグロもミッドレンジも結構好きだったりします。
その一方でコンボデッキはあまり触ってこなかったので、これから勉強していこうと思います。
好きなカードは《荒野の再生》です!! 禁止改訂の時期になる度に《荒野の再生》をストレージから解放する再生解禁botとしても活動しております。
そのうち《荒野の再生》の記事も書くかもしれません。ご期待ください。
パイオニア神挑戦者決定戦の参戦デッキ
さて、今回の記事としては11月23日にパイオニア神挑戦者決定戦で使用したデッキに関する解説になります。
デッキはやはりアゾリウスコントロール……ではなく、イゼットフェニックスです!
青白が板botとして最初に書かせていただく記事がイゼットフェニックスになってしまい大変申し訳ございません。腹を切って詫びます。
なぜイゼットフェニックスなの?
まずパイオニア神挑戦者決定戦に挑むにあたり、アゾリウスコントロールのポジションがかなり悪くなっていたことが始まりでした。
《思考囲い》のみならず《強迫》も複数枚入れ、《不浄な別室》によるとんでもないドローエンジンが強力なラクドスデーモン。
細かく動いてくる上にスペルを唱えるだけで墓地から《弧光のフェニックス》が飛んでくるなど、構造的に不利なイゼットフェニックス。
怨敵たる《スレイベンの守護者、サリア》を擁し、《至高の評決》などを《エイヴンの阻む者》《選定された平和の番人》でズラされてしまうセレズニアカンパニー……
このように、アゾリウスコントロールにとって辛いデッキが環境上位を占めています。とてもつらい。
これに限らずアゾリウスコントロールは以前から苦難の時期が続いており、他のデッキを模索しているところでした。
友人からイゼットフェニックスを借り、回したところ……ものすごく楽しい!!
全てのカードが美しく絡み合っていく感覚、そして何よりドロー、ドロー、ドロー!!
「マジックはドロー」という格言をこれ以上なく体感でき、正直今まで触ってこなかった事を後悔しました。それほど楽しいデッキです。
気が付けば延々と一人回しをしてしまう毎日を過ごしてしまいました。
しかし、イゼットフェニックスに触れてからパイオニア神挑戦者決定戦まで間もない状態。
練度も精度も何もかもが足りない状態です。
そこでヨーロッパのUltra Proのスポンサードプレイヤーであり、各地のRCやPTで好成績を残し続けているチームWorldly Counsel Heavy Playの一員で精力的に活動されているMyra00(@Myra00_mtg)さんからイゼットフェニックスの何たるかをコーチングしていただきました。
正直言って、本記事のかなり深い部分についてはMyra00さんの受け売りです。
こうして記事にすることを快くご許諾いただき、この場を借りて感謝申し上げます。
コーチングなども条件付きで実施されているそうなので、本記事で興味が出てきましたら是非見に行ってください!(ディスコードID:myra00)
Myra00さんからご教授いただく中でイゼットフェニックスというデッキの奥深さを知り、ますます使いたくなってきました。
マジックをしていく上で一番重要な事は「楽しむ事」なのが私の信条。楽しめるデッキを使わない選択肢はありませんでした。
当日は楽しむつもりで友人から借りたイゼットフェニックスを手にいざ出陣!
結果はというと、1-3ドロップ……現実は非情でした。
負けはいずれも悩んだ選択の中で裏目を引いてしまった形になり、イゼットフェニックスの難しさを身をもって知る形となりました。
が、ここで得られた知見なども含めてこれからイゼットフェニックスというデッキを深掘りしていきます。
イゼットフェニックスに興味がある方々には私の屍を乗り越えていっていただければと思います。
イゼットフェニックスについて
さて、改めてイゼットフェニックスについて基本的なことを紹介していきます。
《考慮》《選択》《手練》の1マナキャントリップ、1マナ3点火力の《焦熱の衝動》や《弧光のフェニックス》を墓地に送る手段でもある《稲妻の斧》。
これらインスタント・ソーサリー呪文を3回唱え、墓地からデッキ名にもなっている《弧光のフェニックス》を戦場に戻らせる事を主目的としたデッキです。
このように1マナのスペルが非常に多く、墓地も肥えやすいことから"パイオニアにおける聖域"と謳われるパワーカードである《宝船の巡航》を最も強く使えるのも他にない強みですね。
禁断の1マナ3ドローを味わってしまったらもう戻れません。モダン・レガシーで禁止されているカードは格が違います。
『エルドレインの森』で得た新戦力《錠前破りのいたずら屋》で大きな存在感を発揮していたイゼットフェニックスですが、『ブルームバロウ』で《美術家の才能》を獲得したことでデッキとしての強さが一段階上がったと言っても過言ではありません。
とにかく《弧光のフェニックス》を求めてデッキを掘る必要があるイゼットフェニックスにおいて、「全てのノンクリーチャースペルにルーティングのオマケがつく」効果は強力無比です。
これも2マナと非常に軽く、ラクドスなどの特定カラーは対処しづらいエンチャントである点も強みの一つになっています。
この《美術家の才能》のルーティングによるデッキ掘り能力は凄まじく、探査コストを7枚要求する《宝船の巡航》を1ターンで2回唱えることすら可能としています。
また、どんどんデッキを掘っていく特性上、1枚差しの価値が大きく上がっているのもポイントの一つになります。
メインボードの1枚差しとしては《プロフトの映像記憶》がその筆頭ですね。
これもまたルーティングを繰り返す《美術家の才能》やキャントリップの《考慮》《選択》。(※《手練》は手札に加えるため、ドローにならない点に注意です。)
そして1マナ3ドローである《宝船の巡航》との相性も非常によく、《錠前破りのいたずら屋》にカウンターを乗せることで優秀なサブプランとして機能します。
また、先述した通り「特定のカードへのアクセスのしやすさ」は各マッチアップに対して効果的なサイドボードを引き込みやすい事にも繋がります。
これもイゼットフェニックスの大きな強みの一つであり、総じて「75枚全体で戦う」という感覚が強く感じられるデッキです。
今回使用したデッキリスト
今回はMyra00さんからご提供いただいたリストを使用しました。

メインボード解説(フリースロット)
様々なリストを見ていきましたが、メインボードでは56枚ほど固まっているように見受けられます。残りの4枚がフリースロットですね。
ここではフリースロット部分について言及していこうと思います。
ここは《反逆のるつぼ、霜剣山》《ジュワー島の錯乱》などとの選択ですね。
Myra00さんからいただいたリストでは《島》4枚で、それをリスペクトした形です。
理由もあり、《考慮》《手練》《選択》などのキャントリップを能動的に唱えるにあたって赤しか出ない《反逆のるつぼ、霜剣山》はややリスクがあるように感じました。
サイド後の《無効》《神秘の論争》などが構えられないのも厳しいものがあります。
《ジュワー島の錯乱》も土地として運用するとタップインなのが大きなマイナス点。
追加の1マナ火力であり、セレズニアカンパニーの《永劫の無垢》やラクドス雄姿の《心火の英雄》などに対して追放が有効に働きます。
ミラーマッチでも《弧光のフェニックス》を追放したりと、結構働いてくれる1枚です。
最悪《美術家の才能》《プロフトの映像記憶》で協約が可能な点は忘れないでおきたいところです。
この二枚はセットでの運用ですね。
追加ターンを2回得て複数の《弧光のフェニックス》で一気に削りきるコンボデッキのような立ち回りを可能としています。
この2枚を採用する理由として、《美術家の才能》によって墓地肥やし及びパッケージを探す速度が大きく上がり、このコンボで殴り切るというプランがこれまでより容易になった点が挙げられます。
また、4cズアーなどには長期戦になってしまうと必敗の中、このコンボという明確なゴールが存在することも一つのポイント。
《感電の反復》も1枚の価値が高くなるラクドスデーモン戦で《焦熱の衝動》をコピーして《ドロスの魔神》を対処したり、あるいは《厚かましい借り手》をコピーすることで一気にテンポを取ったり……というように器用な働きをします。
Tips集
《手練》《選択》《考慮》どれから使う?
基本的にソーサリーの《手練》から使っていきます。
《プロフトの映像記憶》に影響がないですし、《選択》《考慮》はインスタントタイミングであるため相手の動きを見て、必要なカードかどうかを判断できるからですね。
ただし、「手札を加える」という特性上、《黙示録、シェオルドレッド》《覆いを割く者、ナーセット》などがいる時は《手練》の価値が大きく上がります。
また、同時に2枚見れるという効果の特性上、欲しいものが明確であれば《手練》を温存するという手もあります。
では《考慮》と《選択》はどうか、と言われれば一般的には《宝船の巡航》の探査、《弧光のフェニックス》が落ちる可能性のある《考慮》の方を優先して使います。
受け入れが狭い(不要なカードが多い)ほど諜報で落としやすくなるのもあり、序盤から使っていきたい1枚でもあります。
基本的には《考慮》でカードを墓地に落とした方が得ですからね。
ただし、《選択》から先に打つパターンも存在します。
土地が欲しい時は《考慮》より《選択》を打つのがベターです。前述の「《考慮》を打つならカードは墓地に落としたい」を前提に考えてみればわかりやすいです。
土地が欲しい=土地は《考慮》で墓地に落としたくないということになるので、(2枚目の土地であれば)ライブラリー内の18枚は引きたいカードですから、そこそこの確率で諜報できずに(諜報によって土地が見えて)ドローしてしまう場合があります。そのままにしてドローするなら《選択》でも《考慮》でも同じ。《考慮》の方が強いカードなのにもったいないですよね。
他には、《真っ白》などの墓地対策をケアするパターンでも《選択》から打ちます。テキストを読み上げるようですが、《考慮》は諜報によって1枚で最大墓地を2枚肥やすことが出来ますからね。
《選択》を先に使い、墓地対策をされた後から《考慮》で1枚多く墓地を肥やすことで《宝船の巡航》に繋がるようにするわけですね。
土地1枚のハンドはキープ可能?
キャントリップ2枚以上であればキープを検討します。
他に《美術家の才能》もあれば2枚目の土地を引いた時のバリューが非常に高いため、まずキープしますね。
また、キャントリップ1枚でも《美術家の才能》に加え、《錠前破りのいたずら屋》などがある強い手札であればキープします。
ただしラクドス雄姿などの序盤の干渉が必要なマッチアップであればマリガンです。
マッチアップによってキープ基準は変わるというわけですね。
《宝船の巡航》の探査
基本的に《焦熱の衝動》の魔巧達成のために土地・エンチャント・クリーチャーから優先的に追放します。
《焦熱の衝動》が関係ないマッチアップではあまり気にしなくても大丈夫です。
《思考のひずみ》が入ってきそうな相手であれば、逆に土地やクリーチャーを残し、打たれても探査コストが残るようにする小テクもありますね。
《美術家の才能》加入の影響
《稲妻の斧》の枚数減少
《弧光のフェニックス》を捨てる貴重な手段であり、1マナ5点と凄まじいマナ効率の《稲妻の斧》。
これまでのイゼットフェニックスではこれは4枚から動かないとされてきましたが、《美術家の才能》の加入によって2~3枚に減量されているリストが散見されます。
理由としては主に下記の二点であると考えています。
1.《美術家の才能》によって捨てる手段が困らなくなった
従来のイゼットフェニックスでは捨てる主な手段として《帳簿裂き》《稲妻の斧》の2種類でした。
《帳簿裂き》は盤面に関わらず謀議さえ誘発してしまえば捨てられますが、相手の除去によって定着は難しくなっています。除去された後に《弧光のフェニックス》を引いたら目も当てられません。
また、《稲妻の斧》は相手にクリーチャーがいなければディスカードすらできません。
その一方で《美術家の才能》は除去されづらいエンチャントであり、回数制限もなく盤面に関係なく使用できるため、《弧光のフェニックス》を捨てられる機会が非常に多くなっています。
2.《稲妻の斧》自体の価値が下がっている
端的に言えば「《美術家の才能》によってカード1枚の価値が上がっている」事が理由です。
《美術家の才能》のルーティングは「先に捨てる」ことになります。
そうすると、手札は多い方が判断材料として分かりやすくなりますね。
しかし《稲妻の斧》はディスカードが求められるため、手札は減ってしまいます。
そうすると《美術家の才能》のルーティングをする幅が狭まってしまい、強みが少し減ってしまいます。
例えば手札が2枚で片方がキャントリップであれば最低限ルーティングはできますが、1枚だけだとルーティングすら出来なくなります。
結果的に《宝船の巡航》などに辿り着く確率も下がってしまうというわけですね。
また、5点も魅力ではあるのですが、ラクドスデーモンなどはこの《稲妻の斧》を意識して《ドロスの魔神》《祭儀室》といったタフネス6のクリーチャーを繰り出してきます。
《稲妻の斧》の当て先の一つである《帳簿裂き》を巡るはずのイゼットフェニックスミラーにおいても、現在は《美術家の才能》型が主流になっていることも向かい風。
上記の理由から《稲妻の斧》そのものの価値が下がり、4枚が鉄板ではなくなったのだと考えられます。
とはいえ、ラクドス雄姿などに対しては信頼おける火力であるのも事実であり、《稲妻の斧》が4枚のリストも多々ありますので、この辺りはメタに応じてチョイスすることになるでしょう。
《帳簿裂き》の不採用
《美術家の才能》が入った事で抜ける枠は《帳簿裂き》になります。
ただし、一概に《美術家の才能》の方がいいとは言い切れません。《美術家の才能》自体は盤面に影響しないという大きな欠点が存在するからです。
例えばラクドス雄姿に対して《美術家の才能》を出そうにも盤面に触れず、タップアウトしてしまうことで、その隙にライフを一気に詰められてしまうリスクが生じてしまいます。
一方で《帳簿裂き》は手札を循環させる謀議も勿論ですが、この謀議によってどんどんサイズが膨れ上がる事による対アグロ性能が魅力。
2/4、3/5と育ってしまえば生半可なクリーチャーでは突破できません。
また、《帳簿裂き》抜きの《美術家の才能》型だとメインボードでは《弧光のフェニックス》《錠前破りのいたずら屋》の8枚しかクロックが存在しないため、これらを追放もしくは除去されると勝ち筋が消滅してしまうなんてことも。
《弧光のフェニックス》に頼らずとも《帳簿裂き》でのビートダウンというもう一つの勝ち筋を作り出せるのも大きな長所です。
これは墓地対策をしてくることが多くなるサイドボードでの軸をずらすサブプランとしても優秀で、デッキとしての太さにも貢献します。
このように、一概に《美術家の才能》の方が優れているとは言い切れない部分もあります。
しかしながら、当然《帳簿裂き》にも欠点が存在します。
それは《致命的な一押し》を筆頭とした除去が刺さってしまう点です。
そうすると手札に来た《弧光のフェニックス》は《稲妻の斧》ぐらいしか捨てられる手段がなくなってしまい、かさばってしまうなんてことも。
特に今はラクドス雄姿の存在によって軽量除去が多く取られているため、《帳簿裂き》はおおよそ出したターンかその次のターンに除去されると言っても差し支えないでしょう。
また、《帳簿裂き》が存在することでサイドボード後に《致命的な一押し》を減らしてこないため、結果的に《第三の道の偶像破壊者》などの他の勝ち筋にも刺さってしまう点もマイナス。
上記の理由から、現在は《帳簿裂き》はなかなか活躍しづらい環境と言えます。
一方で《美術家の才能》はエンチャントであるため、除去が刺さらない点で優れています。
これによるメインボードでの強さは段違いです。システムクリーチャーが置物になったらそりゃ強い。
また、《帳簿裂き》のターンに1回だけの謀議とは異なり、こちらは回数制限が存在しないことからデッキを回す速度は桁違い。
メインボードで墓地対策はほぼされない点、サイドボードでは《帳簿裂き》がいないことで相手の除去が減る=サイドボードのサブプランが通りやすい点なども含め、《美術家の才能》の方がトータル的に良いのでしょう。
サイドボード解説
《第三の道の偶像破壊者》3枚
墓地に依存しない別軸のプランその1。
1マナのスペルを連打するイゼットフェニックスとの相性が非常によく、1ターンで3~4枚のトークンが出てくることもザラ。
出てくるトークンのサイズは1/1と最低限のものですが、《プロフトの映像記憶》の乗せ先としても優秀。
《帳簿裂き》を採用しないこの型では除去を減らしてくることが多く、それに対してこの《第三の道の偶像破壊者》が突き刺さる構図になります。
《神秘の論争》が当たらない《若き紅蓮術士》を採用したリストもありますが、《美術家の才能》や《プロフトの映像記憶》で誘発する《第三の道の偶像破壊者》の方がオススメです。
《厚かましい借り手》2枚
墓地に依存しない別軸のプランその2。
相手の対策を一時的に対処できる万能バウンスであり、瞬速の3/1飛行。
また、飛行に対するブロッカーにもなります。特にセレズニアカンパニーの《エメリアのアルコン》は是非討ち取りたい1枚ですね。
ターンエンドに出すことで、《プロフトの映像記憶》をより強く使うことが出来る点も◎。
《弾けるドレイク》2枚
墓地に依存しない別軸のプランその3。
4マナとやや重いものの、ETBの1ドローでアドバンテージを取りつつ、追放領域まで参照するため、パワーが二桁になることも多々あります。
相手に対応がなければ速やかに試合を畳めるフィニッシャーです。
《プロフトの映像記憶》1枚
墓地に依存しない別軸のプランその4。
ドローすればするほどクリーチャーがどんどん強化されていきます。
各種キャントリップ、《宝船の巡航》《美術家の才能》などの相性が非常によく、回ると+8/+8というとんでもない数値になったりします。
警戒飛行である《錠前破りのいたずら屋》に載せると攻防共に大活躍。
地味に手札制限が撤廃される効果もあるため、クリンナップステップで《弧光のフェニックス》を捨てることが出来なくなる点については注意です。
墓地から帰ってきたばかりの《弧光のフェニックス》に乗せられないことも覚えておきましょう。
《塔の点火》1枚
追加の1マナ火力。
セレズニアカンパニーの《永劫の無垢》に対する回答であり、《心火の英雄》なども追放で対処可能です。
《第三の道の偶像破壊者》もあるので、メイン戦より協約しやすくなります。
この枠については4枚目の《焦熱の衝動》などに差し替えてもいいと思います。
《削剥》2枚
追加の火力であり《未認可霊柩車》への対応札です。
特に今はイゼットフェニックス意識で《未認可霊柩車》の採用が増えているので、2枚は必要だと感じています。
ここの枠を《プリズマリの命令》にしているリストもありますね。これもアーティファクト(《未認可霊柩車》)破壊の役割を担っています。
《無効》2枚
1マナでエンチャントおよびアーティファクトをカウンターできます。
《耳の痛い静寂》《真昼の決闘》《安らかなる眠り》《未認可霊柩車》などの対策カードの大半が置物であるため、これらに対する対策となっています。
また、現在のパイオニア環境では《不浄な別室》《美術家の才能》《鏡割りの寓話》《豆の木をのぼれ》etc……と、エンチャントが強い環境でもあるため、これらもひっくるめて1枚で見れるカード。
初めて見た時は「ほんとに~?」と思いましたが、使ってみると強さが体感できる1枚です。
《否認》1枚
シンプルなカウンターですね。
主にコントロールデッキやミラーマッチで入れる用途になっています。
《神秘の論争》1枚
こちらは青いデッキ全般に。
青い相手に対して、3ターン目にこれをバックアップに《美術家の才能》を唱える動きが非常に強力です。
サイドボードでの戦い方について
墓地に依存しないサブプラン
トップメタの宿命により、墓地対策もしくは《真昼の決闘》《耳の痛い静寂》などのイゼットフェニックス狙い打ちの対策が間違いなく入ってきます。
それに対して先述した通り《第三の道の偶像破壊者》《弾けるドレイク》《厚かましい借り手》《プロフトの映像記憶》など、軸をずらして墓地に依存しない勝ち筋で対応していくというプランを意識するとよいでしょう。
この場合、墓地に依存する《弧光のフェニックス》《宝船の巡航》を減らす形になりますね。
もちろん相手のサイドプランを見越して逆手に取る方法もありますので、各マッチアップでのインアウトはざっくり記載しつつ、大まかな方針を書いていく形にしたいと思います。
《美術家の才能》レベル2
メインボードでは2マナ以上のノンクリーチャー呪文は《美術家の才能》《錠前破りのいたずら屋》《宝船の巡航》《時間への侵入》《プロフトの映像記憶》があります。
しかし、レベルアップに要する3マナがあればその分だけ自分の動きを優先した方が強いことがほとんどで、レベルアップする暇があまりありません。
その一方でサイドボードでは相手の対策カードによってうまく動けなかったり、あるいは1枚のキャントリップ呪文を、必要なカードを探し出すために大事に温存する必要が生じたりします。
そうすると意識的に《美術家の才能》をレベル2にする機会が増える点は覚えておきたいところです。
レベル2になることでサイドから増えてくる2マナ呪文である《厚かましい借り手》《削剥》《否認》なども1マナになり、予想以上に動きやすくなったりします。
主要マッチアップ解説
現時点でのトップメタである、ラクドスデーモン・ラクドス雄姿・イゼットフェニックスミラーとのマッチアップを解説していきます。
VSラクドスデーモン
メイン有利、サイド微不利の印象です。
毎ターン誘発する《不浄な別室》によって長期戦は避けたいところ。
《不浄な別室》《黙示録、シェオルドレッド》《ドロスの魔神》でライフを詰めてくるため、それまでに《美術家の才能》《宝船の巡航》でいかにデッキを回すかが重要になってきます。
▼キーカード - 《美術家の才能》
重要なカードとしては《美術家の才能》です。
この《美術家の才能》に対して対処できる手段がメインボードには《思考囲い》《強迫》しかなく、2マナの軽さで後引きしてもすぐ出せるなどでラクドスデーモン側は根本的な対応が不可能です。
《不浄な別室》によるドローエンジンが強いと言えども、《美術家の才能》を絡めた動きの方が速く強く、それを咎める手段もないためメインでは有利と捉えています。
ただし、《不浄な別室》《ドロスの魔神》によってライフを詰め切ってくるため、序盤はあまりライフを削られすぎないように留意する必要があります。
《止められぬ斬鬼》はその筆頭で、整ってしまえば《弧光のフェニックス》の無限ブロック・《焦熱の衝動》などで寝かせることは可能ですが、ハンデスなどで1回でも攻撃を通されると急にゲーム感が変わってきます。
▼サイドアウト候補
《焦熱の衝動》
《稲妻の斧》
《塔の点火》
《弧光のフェニックス》
《時間への侵入》
《手練》
《宝船の巡航》
▼サイドイン候補
《削剥》
《無効》
《プロフトの映像記憶》
《厚かましい借り手》
《第三の道の偶像破壊者》
《弾けるドレイク》
《否認》
メインボードでは先述した通り《美術家の才能》を絡めて速やかに自分のしたいことである《弧光のフェニックス》複数戻し、《宝船の巡航》連打ができる点などで有利になっています。
しかし、サイドボードでは《未認可霊柩車》《真っ白》《虚空の力線》といった墓地にクリティカルな対策カードが入ってきます。
これによりこちら側は減速を強いられることになります。
このマッチでは《無効》が、《鏡割りの寓話》《不浄な別室》のみならず、サイドボードから入ってくる《未認可霊柩車》にも刺さる頼もしい一枚となっています。
このようにお互いに牽制し合うカードが増える事から長期戦になりがち。
そうすると……先述したように《不浄な別室》が強いわけですね。
それに対して取れるプランが下記のように複数あります。
1.《第三の道の偶像破壊者》
2.《弾けるドレイク》
3.《プロフトの映像記憶》
ラクドスデーモン側は《致命的な一押し》は減らしたい一枚ですが、《第三の道の偶像破壊者》の存在によって減らし過ぎると裏目が生じることも。
2ゲーム目で《第三の道の偶像破壊者》を暴れさせた後、3ゲーム目では抜いて相手が増やした《致命的な一押し》を腐らせてしまうという大胆なプランも考えられますね。
このように相手のサイドプランを逆手に取ることもでき、逆に言えばラクドスデーモン側はこれに合わせていく必要があります。
特に《プロフトの映像記憶》によって脅威を増やす動きはラクドスデーモンに効果的なので意識したいところ。
《第三の道の偶像破壊者》で増やしたトークンに載せるのもよし、《弾けるドレイク》に載せてワンパンもよしと、墓地に頼らないプランの中核として働きます。
《ドロスの魔神》や《祭儀室》の6/6飛行デーモンを《厚かましい借り手》《洪水の大口へ》のバウンスでテンポを取り、そのまま差し切るというプランを念頭に置きながら動いていきましょう。
VSラクドス雄姿
軽量除去を多く擁するイゼットフェニックス側が有利であると思われがちですが、実は……辛いのではないか……?と思い始めています。
というのも、最近のラクドス雄姿はイゼットフェニックスを明らかに意識しており、タフネスが+2される《立腹》が採用されています。
これによって《焦熱の衝動》どころか《稲妻の斧》すら裏目になるリスクが生じ、さらに対応するダブルアクションが必要になってきます。
そうすると赤い土地も必要になってくるわけですが、火力を探すためにキャントリップも唱えたいので《河川滑りの小道》を赤で置くと、それはそれで窮屈な展開になります。
そして除去さえしていれば勝つわけではありません。序盤を凌いだところで《宝船の巡航》でリソースを回復し、《弧光のフェニックス》などで殴り切る必要が出てきます。
そのためにマナを寝かせる必要があり、その隙を突いて速攻を持つクリーチャーで殴りかかってくるリスクも生じます。《立身+出世》もありますしね。
このようにイゼットフェニックス側の要求値が高い一方で、ラクドス雄姿側は「イゼットフェニックスの火力をいかにかわすか」ことだけ考えていればよく、押し付けやすい形になっているように思います。
総括すると「ラクドス雄姿側がゲーム自体の主導権を握りやすい」というわけですね。《致命的な一押し》が恋しいです。
初手にこれら除去がなければ負けます。マリガンは厳しめにやらなければなりません。
また、先手・後手で《美術家の才能》の評価が大きく変わる点も注意です。
後手だと相手がクリーチャー2体以上+3マナ使える状態になり、タップアウトしてしまうと大きくライフを削られてしまいます。
このように後手での2ターン目《美術家の才能》は出来る限り避けたい一方で、先手であればまだ脅威の度合いが小さいので即出します。
これは2ターン目で大きくライフを詰められるパターンが《心火の英雄》→《巨怪の怒り》or《立腹》or《裏の裏まで》+《無感情の売剣》の15点しかないためです。
ここで設置し、バリューを最大限引き出すようにします。
▼意識すべき点
◇先手1ターン目《熊野と渇苛斬の対峙》
このケースで後手1ターン目に《焦熱の衝動》は構える価値がありません。酷い目に遭ったので共有します。
なぜならこの時点の《焦熱の衝動》は魔巧未達成により2点火力であり、2章によって+1/+1カウンターが載った状態で出てくるクリーチャーたちの前には無力だからです。(《心火の英雄》だけは対応可能ではありますが……)
《手練》があれば手札によって必要な札を探しつつ、魔巧達成のために墓地にスペルを溜めていきましょう。
◇《弧光のフェニックス》をブロッカーに回す
アグロ・クリーチャーデッキ全般にも言えることですが、3回スペルを唱えてしまえば復活する《弧光のフェニックス》は優秀なブロッカーとして機能します。
ただし、《熊野の食刻》はダメージを受けて死亡すると追放されてしまう置換を持つため、《弧光のフェニックス》をブロッカーにするプランであればマスト除去になります。
このようにゲームプランによって除去の優先順位も変わってくるので、難しいマッチアップと言えるでしょう。
▼サイドアウト候補
《時間への侵入》
《感電の反復》
《弧光のフェニックス》
《美術家の才能》
《手練》
《呪文貫き》
▼サイドイン候補
《削剥》
《塔の点火》
《厚かましい借り手》
《第三の道の偶像破壊者》
《弾けるドレイク》
ラクドス雄姿は《熱烈の神ハゾレト》《立身+出世》《ウラブラスクの溶鉱炉》などで中盤以降でもそこまで息切れせず攻めてくるため、序盤を凌いだだけでは勝てません。
盤面に影響しないとはいえ、《美術家の才能》は勝つために必要なカードです。先手では2ターン目に置けるバリューがあるため全て残し、後手では全て抜かずに2枚程度減らすという形になると考えられます。
《弧光のフェニックス》は先手後手ともに手札にかさばると敗着に繋がるため、2枚程度減らします。
《巨怪の怒り》でトランプルを付与しない限りトークンの山を突破できないことから、《第三の道の偶像破壊者》は主な勝ち筋でもありながら火力では対処不可な《熱烈の神ハゾレト》への対抗手段にもなります。
また、《厚かましい借り手》がコンバットトリックにバウンス、《精鋭射手団の目立ちたがり》に対して相打ちを取れる点でも頼もしい1枚になっています。
《弾けるドレイク》は隙が大きいものの、ボードをコントロールした後の速やかに終わらせる手段としては最適。
制圧した後は速やかにゲームを終わらせることを意識していきましょう。
VSイゼットフェニックス
メインボードでは各種火力がほぼ死に札であり、《美術家の才能》を対処できるのが《呪文貫き》《洪水の大口へ》しか存在しません。
よってこのマッチでは《美術家の才能》を先に定着した方に大きく天秤が傾くことになります。
《美術家の才能》の2枚目を先に置けたらほぼ勝ちと言っても過言ではありません。
《感電の反復》《時間への侵入》のコンボが非常に強く、《美術家の才能》《宝船の巡航》でデッキをどんどん掘ってこの2枚を探し当てる別ゲーと化します。
逆に相手だけ《美術家の才能》が定着してしまっているケースでも同様で、おそらく《美術家の才能》が無い状態で勝つ唯一の手段もまた《感電の反復》《時間への侵入》となります。
そのため、相手だけ《美術家の才能》がある劣勢な状況であればこのコンボを狙いに行くことになります。
▼意識すべき点
◇《弧光のフェニックス》をあえて戻さない選択肢
墓地に《弧光のフェニックス》が1枚しかない時は、戦場に戻らせること自体リスクが生じることがあります。(火力の打ち先になってしまったり、《塔の点火》を当てられたり)
2回目のスペルを唱えた後、第二メインフェイズまで行ってから3回目のスペル唱えて《弧光のフェニックス》をあえて戻らせない工夫も、時として必要になってきます。
▼キーカード - 《美術家の才能》
正直《美術家の才能》がない7枚のハンドよりも《美術家の才能》がある5~6枚のハンドの方が強いと感じています。
相手がイゼットフェニックスと分かっているならば、マリガンのリスクを背負ってでも《美術家の才能》を探しに行くリターンは間違いなくあります。(キャントリップが潤沢にあり、探しに行けるハンドであればキープでもよいとは思いますが)
マリガン後、弱い6枚よりも《美術家の才能》がある5枚の方が強いため、最悪《美術家の才能》を求めてダブルマリガンまで検討に値するでしょう。
それほど重要な1枚です。
▼サイドアウト候補
《焦熱の衝動》
《稲妻の斧》(相手が《帳簿裂き》型の場合は残す)
▼サイドイン候補
《無効》
《否認》
《神秘の論争》
《プロフトの映像記憶》
《塔の点火》
《削剥》(《未認可霊柩車》が見えた場合)
《稲妻の斧》の有無については《帳簿裂き》型かどうかによって変わります
《帳簿裂き》型であればこれを対処できる《稲妻の斧》を残すことになります。
同じ《美術家の才能》型であれば火力は《塔の点火》以外を全て抜き、《美術家の才能》に対応できる《無効》《否認》を入れていきます。
サイド後はお互いに《美術家の才能》を意識することになります。
キープ基準も変わり、メインボードでは《美術家の才能》が重要になってきますが、お互いに対処手段が増えるサイドボードでは《美術家の才能》がなくとも、《無効》などの《美術家の才能》を対処する札および《宝船の巡航》などのリソースカードがあればキープに値します。
下手に《美術家の才能》を唱えてしまうと弾かれた後に返しで《美術家の才能》を通されて最悪ですから、何らかのバックアップと共に唱えることになります。
この辺りはかつて《かき消し》《鏡割りの寓話》があったグリクシスミッドレンジミラーと同じような考え方になりますね。
回答と墓地肥やしの両方を兼ねる《錠前破りのいたずら屋》もまた重要な1枚です。
特に序盤においては《手練》などで下手にタップアウトしてしまうと《錠前破りのいたずら屋》を通されてしまうリスクがあるので、お互いに構え合う展開になりやすい印象があります。
上記のリストでは入っていませんが、ミラーでは《美術家の才能》《宝船の巡航》を完封する《覆いを割く者、ナーセット》が非常に効果的です。
ただし、3マナのソーサリータイミングであるため、《神秘の論争》などのバックアップつきでないと安心して唱えられない点には留意してください。
最後に
ここまでイゼットフェニックスを解説させていただきましたが、魅力が少しでも伝わりましたでしょうか?
このデッキはとにかくスペルを連打、ドローもしまくりと爽快感がとてもあります!
それだけ選択肢も多岐に渡り、この迷路の中で正解に辿り着くパズルのような要素もあって非常に楽しいデッキとなっています。
「トッププロですら80%もポテンシャルを引き出せれば上出来」と言われるほど高難易度のデッキ、極めてみたくありませんか?
このイゼットフェニックスについて様々なことをコーチングいただいたMyra00(@Myra00_mtg)さんに改めて感謝を申し上げます。ありがとうございます。
これからこういった記事をGOOD GAMEメディアで執筆させていただきますので、どうぞよろしくお願いいたします!