【リアニメイトディガー!】最新スタンダード環境を《もがく出現》で攻略

【リアニメイトディガー!】最新スタンダード環境を《もがく出現》で攻略

Kyle Hitachi

皆さんこんにちは!

新しくGOOD GAMEメディアで筆を執らせて頂くことになった常陸カイル(Kyle Hitachi)です!

X(旧Twitter)上ではEin(@Ein49499674)として活動しています。競技シーンに興味があり、主にスタンダード、パイオニア、モダン、そしてリミテッドをプレイしています。『チャンピオンズカップ』の予選やファイナルでお会いすることもあるかもしれませんね!

さて、私が執筆する「リアニメイトディガー!」ではその名の通り、様々なフォーマットの「リアニメイト」デッキをディグしていきます。

「リアニメイト」とは、その名の通り、墓地からクリーチャーを戦場に戻す戦術のことです。墓地からクリーチャーを吊り上げるカードの中でも最強格の《再活性/Reanimate》をご存じの方も多いのではないでしょうか?

リアニメイトデッキの歴史を振り返ると、こちらも有名なリアニメイトスペルである《動く死体》と、《納墓》や《生き埋め》といったライブラリーから直接クリーチャーを墓地に落とすカードが組み合わせたデッキが、エクステンデッド時代から長らく活躍してきました。墓地にあるクリーチャーを出す動きは、さながら釣りに例えられます!手札にある「釣り竿」で墓地のクリーチャーを「釣り上げる」なんて表現もよくされます。

リアニメイトデッキの最大の魅力は、強力なクリーチャーやパーマネントを、比較的早いターンに戦場に送り出せることです。最近ではどのフォーマットでも《偉大なる統一者、アトラクサ》がリアニメイト先としてよく使われていますね。

どんな厳しい盤面からでも一発逆転出来るポテンシャルを秘めている、非常にロマンあふれる戦術で、ファンも多く、私もその一人。様々なフォーマットで墓地からクリーチャーを吊り上げるディガーです。

記念すべき第一回ということで、今回はスタンダードの《もがく出現》デッキを紹介していこうと思います。自身のnoteで何度も取り上げているテーマですが、改めてどんなデッキなのか、『ファウンデーションズ』環境での立ち位置はどうなのか、解説していきます。

そして競技も今はスタンダードシーズン真っ最中というわけで、チャンピオンズカッププレミアム予選やThe Last Sun本戦への取り組みも紹介していく予定です!

《もがく出現》デッキとは?

《もがく出現》は『イクサラン:失われし洞窟』に収録されたリアニメイトスペル。
コストは3マナと比較的軽く、準備さえ整えばどんなパーマネントでも戦場に送り出すことができます!

まず気になるのが「何を釣り上げるのか?」幸いこのスタンダード環境には魅力的なカードがたくさんあります!

強力なスタッツで戦場を支配し、強力なドロー能力で後続を引っ張ってこれる《偉大なる統一者、アトラクサ》は絶対に採用したいカードです。

強力な護法能力とアドバンテージ能力を併せ持つ《恐怖を喰うもの、ヴァルガヴォス》も中々良いカードですね。

手札のカードを無制限の唱えられるようになる《全知》や、墓地の土地カード全てを場に出せる《森の轟き、ルムラ》なども非常に魅力的。

強力なプレインズウォーカーである《戦慄衆の将軍、リリアナ》やライブラリーを大量に切削出来る《完成した精神、ジェイス》なども是非使いたいですね。
私が推奨するカラーは『スゥルタイ』、つまり黒緑青の3色デッキです。

赤や白にも《原初の征服者、エターリ》や《整炎師、チャンドラ》、《無形の処刑者、ケイヤ》など、釣りたいカードがたくさんありますが、青は何と言っても足回りに優れています。

足回りとはつまり「いかにして墓地を肥やすのか」。リアニメイトはこれに尽きます。青いカードには《第三の道の創設》やこれの第一章で唱えることができる《錠前破りのいたずら屋》、高い対応力を持つ《忘れられた者たちの嘆き》など、強力なカードが揃っているのです。

デッキリストと現状の立ち位置

11月24日にに晴れる屋TC東京で開催されたチャンピオンズカッププレミアム予選で使用したリストがこちら。

『ファウンデーションズ』加入後の最新スタンダードは、赤系アグロデッキの隆盛が目につきます。

更にディミーアミッドレンジにゴルガリミッドレンジとスタンダード然としたミッドレンジたち、パイオニアから逆輸入された《永遠の策謀家、ズアー》型の版図ランプ、オンラインでも多大な実績を残している新進気鋭のコンボ・ティムールカワウソ、赤アグロ殺しの白単コントロールなどが仮想敵。

もがく出現の各デッキとの相性は赤アグロ系、そしてクロックパーミッション系のデッキは苦手とするものの、その他のデッキには五分以上に戦える認識です。

これまでは赤アグロに対しては《偉大なる統一者、アトラクサ》を着地させれば一安心だったのですが、《叫ぶ宿敵》がほとんどのリストに採用されるようになってしまったので、現状はお世辞にも有利とは言えませんね。

クロックパーミッション系のデッキには、こちらのアクションが重めかつ、ソーサリーアクションであるという性質な以上、どうしても厳しい印象です。サイドボードの《強迫》を《第三の道の創設》で使い回して打ち消しを落とすなど、勝つ方法はありますが、相手の墓地対策なども考えると、中々厳しい戦いになるのは必至。

そもそも3色なので土地周りのトラブルが起こっただけでも、上記のデッキたちには容易に負けてしまいます。

一方、環境が赤アグロに意識を寄せているからこそ、その他のデッキには有利に戦うことができます。メインで相手が引いた《切り崩し》《苦痛ある選定》は腐りますし、ライフゲインとドローがデッキ構築の主体である白単コントロールには《完成した精神、ジェイス》だけで勝ってしまいます。

このようにマッチアップによって有利不利がはっきりしたデッキなので、当たり運次第で勝ち星を伸ばし続けられます。

一部カード解説

シンプルなリアニメイトデッキであるもがく出現ですが、様々な使い道のあるカードがいくつかありますので、抜粋してご紹介します。

強力な切削能力を持ったプレインズウォーカー。

プラス能力のクリーチャーマイナス修正は自身の生存率を高め、ー2のドロー能力は必要なカードを揃える手段などで重宝します。

何と言っても3マナでキャストできるオプションがあるのが強みですね。3ターン目に出してプラス能力で次のターンまで生存、そしてー3かー4で9~12枚のカードを切削して《もがく出現》をキャストする動きはよくやります。


また版図ランプや白単コントロール相手にはフィニッシャーにもなります。

《豆の木を登れ》《世話人の才能》などの継続的なドローでライブラリーが30枚程度になっていることが多く、《偉大なる統一者、アトラクサ》はいくら出しても処理されますからね。《もがく出現》での再利用も考えながらLOさせちゃいましょう。

こちらはリアルでのテクニックの話になりますが、対戦相手をライブラリーアウトさせようと思った時、相手にデッキの枚数を聞くと、ライブラリーアウトを狙っていることがバレてしまいます。

そういう時は自分で数えましょう。相手の手札・戦場・墓地・追放領域にあるカードを数えれば良いのです。ゲーム中盤ならライブラリーを数えるより早く済むので、時間の節約にもなります。頭の片隅においておきましょう。
自分のライブラリーを切削する以外にも、《寓話の小道》を積極的に使うことで墓地の土地枚数を増やすことができます。《森の轟き、ルムラ》を出した時に手札に《寓話の小道》が余っていると悲しい気持ちになります。

落魄カウントにもなるので《寓話の小道》はタップインを消化できるタイミングで積極的に切っていきましょう!

紙でプレイする際は《森の轟き、ルムラ》の能力解決後に諜報ランドの誘発が乗ることが多いので、忘れないようにしましょう。

《森の轟き、ルムラ》で出したタップインの《寓話の小道》は自分のアップキープに切ることでスペルを引く可能性を上げてくれるので、こちらもお忘れなく。
《第三の道の創設》の第一章で《フェイの開放》としてキャストすることができます。

アグロデッキ相手や《ミストムーアの大主》から出てくるトークンへのブロッカーとしても役に立つことが多いです。

暇なときは積極的に本体を出してライフを守りましょう。除去されて墓地に落ちれば落魄カウントも稼げますからね。

あまりないシチュエーションですが、《忘れられた者たちの嘆き》のバウンス能力で使い回すこともできます。
他の切削カードとは違い、3枚の内好きなカードを手札に加えて残りを墓地に落とせるので、土地が欲しい時に特に重宝します。

バウンス能力は対戦相手のパーマネントに限定されていないので、《完成した精神、ジェイス》《錠前破りのいたずら屋》を使い回せます。

例えば対戦相手のライブラリーが27枚のときは追加の《完成した精神、ジェイス》《もがく出現》がなくてもフィニッシュできるようになります。

ちなみに落魄8を達成しているときはすべてのモードを選べますが、その際は上から順番に解決していきます。つまり対戦相手の手札が0枚で場に《黙示録、シェオルドレッド》がいる場合、《黙示録、シェオルドレッド》を戻すとそのままそれをディスカード、その後でライブラリーの上3枚から選ぶ、という手順になります。除去になってちょっとお得。

相手が何を捨てたか見てから山札を見れるのも嬉しいですね。
このデッキのブン回りを担保しているカードです。先読みにより実質モードが3つあるカードなので、扱うのが難しいですよね。

私は2ターン目に手札に《第三の道の創設》しかない場合、第一章で出してしまいます。次のターンにスペルを唱え、それを第三章で使い回せば、カード1枚分としての価値が生まれるからです。第二章で出してしまうと3マナない状態で第三章を迎えるため、墓地に落ちた《もがく出現》が使えなくなるのが残念ポイント。

また、第二章の能力でどちらのプレイヤーを対象に取るか、毎回考えたほうが良いです。基本的には自分を対象に取るのですが、十分に墓地がある場合や墓地対策されているとき、またライブラリーアウト勝ちが見えている状況では、相手の墓地を切削します。

第三章は2マナで墓地のスペル1枚にフラッシュバックをつけるようなカード。第二章で切削して《偉大なる統一者、アトラクサ》を落として、第三章で墓地から《もがく出現》を唱えて《偉大なる統一者、アトラクサ》を吊り上げる。美しい動き。

《もがく出現》《第三の道の創設》《完成化した精神、ジェイス》はそれぞれカードタイプが違うので《偉大なる統一者、アトラクサ》で集めやすく、揃えばライブラリーアウト勝ちが現実的になってきます。積極的に狙っていきましょう。

マリガンについて

まず墓地を肥やせるカードが必ず初手に必要です。

《第三の道の創設》から《錠前破りのいたずら屋》で《もがく出現》を回収、そして落魄を達成して《偉大なる統一者、アトラクサ》《森の轟き、ルムラ》《恐怖を喰うもの、ヴァルガヴォス》《ギックスの残虐》を《もがく出現》で墓地から戦場に戻す、これが理想の動きです。

逆に墓地を肥やす算段がつかないままゲームを始めてしまうと、手札に使い道のないカードが溜まっていってしまいます。

《第三の道の創設》《錠前破りのいたずら屋》《忘れられた者たちの嘆き》はもちろん、《完成した精神、ジェイス》《蓄え放題》もキープ基準になります。どれも手札にない場合はまずマリガンですね。

トーナメント結果

予選ウィークエンドDay1

結果は1勝3敗。

ゴルガリミッドレンジに勝ち、赤単アグロに2回、アゾリウス眼魔に負け……きっちり相性差が結果に出てしまった形ですね。

サイドボードカードを引かなかったり《完成化した精神、ジェイス》で18枚切削した中に釣り先がないなどの下振れもあったので、この日は私の日ではなかったですね。

チャンピオンズカッププレミアム予選

結果は5勝2敗。

成績だけで見ればまずまずですが、実際は早々に2敗してしまっていたので、惜しくもなんともありませんでした。

プレミアム予選の初戦で当たったのは、プレミアム予選抜けの常連、Bigsの加茂さん。デッキはイメージと違わずグルールアグロでまんまと0-2してしまいました。細かいミスや不運もあったので当然の結果でした…

次の試合に勝ち、当たったのは元パイオニア神で前回スタンダード神挑戦者決定戦の決勝ラウンドの配信卓でも対戦した松原さん。

お互いにデッキも変わっておらず、相手は5Cレジェンズ。コンボ負けからの下手負けで0-2。自分のライブラリーを削りすぎた結果、《チビボネの加入》などでデッキ枚数が足りなくなってしまいました。デッキの総枚数を増やせば解決する負け方なのですが、ケアもできたので、純粋に下手でしたね。

と振り返ってみるとミスもそれなりにありましたが、収穫もありました。今回のトーナメントでボロスバーンに2勝できたことです。厳しいマッチアップだと思っていたので望外の結果。

とはいえ、その内容まで掘り下げてみると、手放しで喜んで良いかは微妙です。相手にこちらのデッキの勘所がバレていなかったり、運が良かった部分もあるので、再現性がある勝ち方かと言われると疑問符。

それ以外のデッキにはかなり余裕を持って勝てたので、苦手な赤アグロとクロックパーミッション相手をなんとかすれば、まだまだやれそうです。

最後に

ということでリアニメイトディガー、初回はスタンダードの《もがく出現》を紹介しました!

できるだけ毎週『チャンピオンズカップ』の予選に参加して、そのフィードバックをこの連載で行っていく予定です!

環境がある程度わかったらサイドボードガイドなども追加していきます!

今環境での《もがく出現》の進化をお楽しみに!墓地対策はやめてください!

それではまた来週お会いしましょう。

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