こんにちは。
細川 侑也(@yuyan_mtg)です。
ついに『久遠の終端』が明日8月1日、発売!!
そしてマジックオンライン・MTGアリーナ上では既に『久遠の終端』が実装され、早速新カードたちが活躍しています。
本日は『久遠の終端』の加入、そしてローテーションと大変革の起きた新スタンダード環境からデッキをご紹介していきます!
紹介デッキ
ローテーションによるマナベース格差
デッキ紹介の前に。
突然ですが、スタンダードのローテーションにおいて最も大きなものと言えばなんでしょうか。
様々なフォーマットで活躍する《偉大なる統一者、アトラクサ》のスタンダード落ち?黒を支えた《黙示録、シェオルドレッド》でしょうか。はたまた万能除去の《喉首狙い》が消えたこと?
いえいえ、それよりももっと重要なことがあります。マジックを支える要素である土地。その中でも重要な2色土地のスタンダード落ちです。
1点のダメージを受ける代わりに2色の内の片方を出せるアンタップイン土地、通称ダメランは『団結のドミナリア』『兄弟戦争』収録のため、スタンダードを去りました。
そして通称ファストランドのうち、《黒割れの崖》《銅線の地溝》《闇滑りの岸》《剃刀境の茂み》《金属海の沿岸》も『ファイレクシア:完全なる統一』のためローテーション落ち。
ファストランドは有効色5種、ダメランはすべて落ちてしまったので、マナベースに格差が生まれることとなりました。
この格差に追い打ちをかけるのが『久遠の終端』。最強の2色土地の1つであるショックランドが再録されましたが、その内容は有効色・対抗色が入り混じっています。対抗色は1種類落ちただけなので、ショックランドによってマナベースはトントン。一方、『久遠の終端』に収録されなかった有効色は大打撃です。
具体的には青白、赤黒、緑白です。この3種は一気に2種の土地を失うこととなってしまいました。諜報ランドと境界ランドは以前として使用できますが、諜報ランドは確定タップインで、境界ランドは序盤は片方の色しか出ない可能性が高い土地。いずれもアグロ用というよりは、コントロール用の土地です。
速いデッキになりやすい赤黒や、《ラノワールのエルフ》からゲームを始めたい緑白にとっては、序盤に必ずアンタップインできるダメラン・ファストのスタンダード落ち、およびショックランドのない現状はかなり痛いでしょう。
2色のマナベースについてまとめてみました。1種落ちて1種入った±0は○、2種落ちて1種加入および1種落ちの-1なら△、2種落ちの-2は×です。
赤白○
白黒○
青緑○
緑黒△
青黒△
赤緑△
青赤△
白緑×
赤黒×
青白×
とこのようになっています。これからデッキを組む際の参考になるかもしれません。
オルゾフサクリファイス
スタンダードリーグ : 5-0 By RCMerriam

最初に紹介するのは、ローテーションによってマナベースが強化された白黒(オルゾフ)カラーのデッキ。
白黒は《コイロスの洞窟》を失って《神無き祭殿》を得ました。境界ランドは土地タイプを参照して色マナを生み出すため、《神無き祭殿》はただただプラスです。
サクリファイス。自身のクリーチャーを生け贄に捧げることで様々な恩恵をもたらすデッキにつけられた相称ですが、現代のサクリファイスは《威名のソルジャー、セフィロス》なしでは語れません。
クリーチャーが死ぬたびに1点ドレインと《血の芸術家》能力を持ち、それが1ターンで4回誘発したら変身し、その能力の紋章を獲得。唯一無二の能力を持つのが《威名のソルジャー、セフィロス》。このデッキはもちろん、《威名のソルジャー、セフィロス》の紋章獲得を目指しています。
クリーチャーを生け贄に捧げるとどんどん戦場は寂しくなってしまうものなのですが、このデッキに入っているクリーチャーたちは死亡時にクリーチャーを産み落とす、1枚で2度美味しいものばかり。
《寄生の賢者》《入れ子ボット》《鎖破りの鼠》はすべて死亡時に1/1のトークンを生成してくれるクリーチャーで、どれも1マナ域。クリーチャーの生け贄には困りません。
《見捨てられた鉱夫》は死亡時にトークンこそ生み出しませんが、代わりに戦場に戻る能力を持っています。《威名のソルジャー、セフィロス》などのドレイン能力は対戦相手1人を対象としているため、これは悪事になります。悪事によって戦場に戻る《見捨てられた鉱夫》との相性はぴったりなのです。
生け贄に捧げる手段とマナさえあれば《見捨てられた鉱夫》1枚で《威名のソルジャー、セフィロス》を変身させられます。《見捨てられた鉱夫》が死亡し、《威名のソルジャー、セフィロス》が誘発。ここで悪事を働くため、今生け贄にした《見捨てられた鉱夫》が墓地で誘発し、マナを支払うことで戦場に戻せるのです。
《うなる大殺犬》は他の4種と違い生け贄には寄与してくれませんが、代わりに諜報で墓地を肥やしたり、ドローの質を上げてくれます。墓地を溜めることが重要なこのデッキでは欠かせない1枚です。
さて、肝心なのが生け贄にする手段です。サクリファイスが台頭する時はこの生け贄手段、通称サクり台が強い時と相場が決まっています。元祖サクリファイスは《ファルケンラスの貴種》《カルテルの貴種》でしたからね。
このデッキのサクり台は《バルトロメ・デル・プレシディオ》と新カードである《影の帯の盲信者》です!
《バルトロメ・デル・プレシディオ》はシンプルで強力なサクり台。クリーチャーかアーティファクトを生け贄にすると自身の上に+1/+1カウンターが乗ります。名カード《ナントゥーコの鞘虫》と比べても遜色ない立派なサクり台です。伝説でなければ4枚間違いなく入りましたね。
そして『久遠の終端』から加わったのが《影の帯の盲信者》。こちらは自身が強化されることはありませんが、生け贄で諜報を行えます。《うなる大殺犬》もそうですが、墓地を肥やす意味のあるこのデッキにとって諜報は大きく、サクり台が持つ能力としてはあまりに十分。伝説でないため4枚採用できるのが素晴らしいです。
なぜ墓地を肥やす必要があるのか?その答えが《過去立たせ》です。
墓地からマナ総量が2以下のクリーチャー・カードをまとめて戻す子のソーサリー。《うなる大殺犬》《影の帯の盲信者》で2マナ以下のクリーチャーをたっぷりと落とせば、《過去立たせ》を打つだけでゲームに勝てる可能性があります。
《復讐に燃えた血術師》が4枚採用されているのは《過去立たせ》が理由です。《威名のソルジャー、セフィロス》は残念ながら3マナなので《過去立たせ》から戻すことができません。更地の盤面からワンショットキルするには、《復讐に燃えた血術師》が必要なのです。
新セットでしっかり強化されたオルゾフサクリファイス、ぜひお試しください!
エスパーピクシー
スタンダードリーグ : 5-0 By DB_claudioh

戦場に出た時に能力が誘発する《逃げ場なし》《嵐追いの才能》を《養育するピクシー》《陽光真珠の麒麟》などで再利用してアドバンテージを獲得する、いわゆるセルフバウンス系デッキ。
《コーリ鋼の短刀》が登場する前のスタンダードでは環境を席巻し、エスパーカラーにとどまらず、ディミーアでもこのセルフバウンスシステムを採用したり、エスパーの中でも様々な型ができるほどになっていました。
そんなエスパーピクシーは天敵の《コーリ鋼の短刀》によって激減し、最終的にはキーカードである《望み無き悪夢》《この町は狭すぎる》が禁止され、環境から去った……。
と思われていたのですが、新環境で見事に復活を遂げました!
デッキのメインコンセプトは変わりません。各種バウンスクリーチャーたちで《嵐追いの才能》をバウンスしてビートダウンしたり、除去を回収してクリーチャーを死滅させてコントロールしていきます。
ここに『久遠の終端』のカードが加わり、攻守ともに大幅な強化を受けました。
まずは守。《悲劇の軌跡》です。
普通に使えば-2/-2と《死の重み》相当ですが、ヴォイド状態だと-10/-10と、破格の1マナ確定除去。ヴォイドさえ満たせれば非常に強力なカードです。
そしてこのヴォイドを容易に達成できるのがエスパーピクシー。ヴォイドの達成条件は、土地以外のパーマネントが戦場を離れているか、カードがワープされていれば良いので、自分のパーマネントを手札に戻すだけで達成できるのです。《養育するピクシー》で何かを拐取しながら《悲劇の軌跡》というアクションが取れます。
1マナでここまで確実な除去はこれまでのエスパーピクシーにはなく、これはデッキの大きな進化と言えます。たった1マナでほぼすべてのクリーチャーに対処できるようになりました。
そんな軽い確定除去とも相性の良い攻めカードが《コスモグランドの頂点》。1ターンに2回の呪文を唱えるとトークンを2体生成したり、クリーチャーを全体強化するこのカードですが、自身が3マナとそこそこ軽く、4ターン目に《コスモグランドの頂点》から1マナスペルと動けば即座に誘発することができます。
特に強いのは全体強化のモードです。《養育するピクシー》《陽光真珠の麒麟》《孤立への恐怖》ととにかく軽い飛行クロックが大量に入ったデッキなので、《コスモグランドの頂点》によるパンプアップが非常に効果的。《望み無き悪夢》を失ってライフを削るスピードが大幅に遅くなるかと思われましたが、《コスモグランドの頂点》のおかげでその心配はなくなりました。
《コスモグランドの頂点》を活かすために《遠眼鏡のセイレーン》まで採用されており、とにかく飛行を並べて強化して勝とうという意思がリストからも伝わってきます。
《遠眼鏡のセイレーン》から出る地図はヴォイドの誘発にも便利です。《遠眼鏡のセイレーン》《悲劇の軌跡》はエスパーピクシーのみならず、今後の青黒系の定番の組み合わせとなりそうですね。
《コスモグランドの頂点》の強さにとにかく驚かされるデッキで、エスパーピクシーは完全に復権したと言って良いかもしれません。エスパーピクシー愛好家の方にはぜひ試してもらいたいデッキです。
グルール上陸
スタンダードリーグ : 5-0 By ComboMAN

最後に紹介するのは『久遠の終端』ではなく『ファイナルファンタジー』が主役のこちらのデッキ!
ファイナルファンタジー限定構築などで人気の上陸デッキがついにスタンダードでも登場しました。
《サッズのヒナチョコボ》《ティファ・ロックハート》《苔生まれのハイドラ》《棘を播く者、逆棘のビル》と、土地を置くことで強化されていくカードが大量に入ったビートダウンです。単純明快なコンセプトで実に緑らしいデッキですが、回った時はただのビートダウンではなく、まるでコンボのよう。
その爆発力を引き起こしているのが《旅するチョコボ》。ライブラリーの上から土地を置いたり鳥をプレイできるだけでなく、土地を置いたことによる誘発が倍になります。つまり上陸と書いてあるすべての能力が2回誘発するのです。
《サッズのヒナチョコボ》は1回の上陸でカウンターが2個乗るので、《寓話の小道》を置くだけでパワーが4上がりますし、1/2のティファは《寓話の小道》を置いて起動するだけでパワーが16に。仮に既に《ティファ・ロックハート》のパワーが3だったなら、48点のパンチをお見舞いします。
ここ最近で急激に姿を見かけるようになったのが《苔生まれのハイドラ》。上陸するたびにカウンターが倍になっていくので、ほぼ3マナの《ティファ・ロックハート》です。《旅するチョコボ》と並べばすぐに人が死ぬサイズに膨れ上がります。こちらも《ティファ・ロックハート》同様トランプルを持っているので、チャンプブロックは許しません。
そんな《ティファ・ロックハート》《苔生まれのハイドラ》と最高の相性なのが《棘を播く者、逆棘のビル》。このカードがトーナメントで使われていたのを最後に見たのはモダンのナドゥの頃だったかもしれません。あの時は《有翼の叡智、ナドゥ》の誘発のためという少々ふがいない役割でしたが、このグルール上陸では本人も納得の仕事をしてくれます。
自身のパワーを倍にする《ティファ・ロックハート》と《苔生まれのハイドラ》は《棘を播く者、逆棘のビル》で強化すると一瞬で20点を削る兵器と化すのです。
そしてこのデッキで最も大事な上陸を達成する手段として、新カードの《氷耕しの探検家》が加わりました。
セットランド権が1回増えるだけでも強力ですが、なんとこのカードは墓地から土地をプレイすることができます。
この手のセットランドを増やすカードは手札の土地がすぐに枯れてしまうのが残念なのですが、《氷耕しの探検家》はこの弱点を克服しているのです。《寓話の小道》《脱出トンネル》《広漠なる変幻地》《進化する未開地》はすべて自身を生け贄に土地をサーチするカードなので、セットランドするたびに墓地に落とすことができます。これらの土地のいずれかが1枚墓地にあるだけで、毎ターンの2回のセットランドが確約されるのです。
更にオマケとしてついている上陸時の諜報能力は、《寓話の小道》などを落とす手段でありながら、《世界魂の憤怒》とも噛み合います。
墓地の土地を戦場に戻しながらダメージを与える《世界魂の憤怒》は、上記の生け贄にする土地と一緒に使うだけで噛み合いますが、《氷耕しの探検家》による墓地肥やしによって、更にバリューが上がっています。上陸クリーチャーたちを並べて《世界魂の憤怒》をX=5ほどでプレイして一撃必殺ということもしばしば発生します。
コンセプトは単純な上陸デッキながら、様々な攻め方があるのが魅力のグルール上陸です!