こんにちは。
細川 侑也(@yuyan_mtg)です。
今週は日々成熟しつつあるスタンダード環境から、有力デッキをご紹介!
イゼットテンポ
スタンダードチャレンジ(4/20) : 優勝 By auzzie51

《コーリ鋼の短刀》というレガシー級のカードが登場したことで突然頭角を現したイゼット系の果敢デッキ。
《僧院の速槍》《精鋭射手団の目立ちたがり》の一時的にサイズが上がり果敢軍団と《コーリ鋼の短刀》の相性が良く、2回の誘発を達成して《コーリ鋼の短刀》で殴りつつ、《僧院の速槍》も強くなり、一瞬で相手のライフを削り取ります。
そこに《巨怪の怒り》《稲妻波》など、相手のライフを速やかに0にするカードたちを投入したイゼット果敢は、環境初期に登場し、今も一線級の活躍を続けています。
そんな中、突如として現れたのがこのイゼットテンポ。デッキは果敢と似た作りで、少しのクリーチャーと大量のスペルの組み合わせですが、入っているクリーチャーがまったく異なります。
スペルを唱えてサイズが上がるカードは一切採用されておらず、墓地にあるスペル分だけコストが下がるカードたちがそこには鎮座しているのです。
まずは《トレイリアの恐怖》。
パウパーなどでもお馴染みの1マナ5/5で、護法を持っているので、早いターンに並べられると中々処理できません。《逃げ場なし》で護法は消えてしまいますが、本体サイズが5/5と頼もしいので、むしろ《逃げ場なし》には強いカードですね。
このデッキには大量のインスタント・ソーサリーが入っているので、1マナ5/5で出すのは難しくありません。序盤は《コーリ鋼の短刀》で殴りつつ、4ターン目に1マナで連打なんて動きが強力です。
そして《かまどの精》。出来事で使うと手札をすべて捨てて2ドロー。手札が4枚ある時は4ディスカード2ドローと弱いですが、逆に手札が0枚ならタダで2ドローできます。手札を使い切って最後に打つにはベストですね。
そして出来事領域に行った《かまどの精》は、墓地のインスタント・ソーサリー・出来事を持つカードの数だけコストが軽くなります。《トレイリアの恐怖》とほぼ同じですね。
出来事で手札にダブった呪文を捨てて2ドローしつつ、1マナで唱えるなんてことも可能です。
出来事と本体、合わせて3マナでプレイできる可能性があるので、《コーリ鋼の短刀》の誘発条件を1枚で満たすことができ、また《コーリ鋼の短刀》を装備して5/6トランプルになるのも実は強力。
《トレイリアの恐怖》よりサイズは小さいですが、出来事が強いので十分です。
従来のイゼット果敢が《僧院の速槍》《精鋭射手団の目立ちたがり》で序盤から攻めていたのに対し、イゼットテンポは序盤からライフを削る手段は《コーリ鋼の短刀》しかありません。とりあえず除去やキャントリップで墓地を貯めながら妨害し、中盤から一気に攻めていくことになります。
そのため、デッキには除去がかなり多めに採用されています。《噴出の稲妻》に《塔の点火》、更に《削剥》。
《削剥》は今のスタンダードでは重要な役割を持っています。そう、《コーリ鋼の短刀》を割れるからです。青赤系のミラーマッチでは《コーリ鋼の短刀》が最重要カードになります。
《削剥》がもっと使われるようになると、例えば《分派の説教者》などといったタフネス4のクリーチャーの価値は上がっていきますね。このリストはタフネス4に触るのがかなり難しくなっています。《セラの模範》なんかは割られた《コーリ鋼の短刀》を場に戻せますし、もしかしたら白いデッキで使われるようになるかもしれません。
とはいえ、全く対処できないというわけではありません。《嵐追いの才能》と《この町は狭すぎる》の組み合わせもきちんと入っているので、対処可能です。
《この町は狭すぎる》はエスパーピクシーのように1マナの拾いたいパーマネントが《嵐追いの才能》以外に入っていないため、2枚のみの採用にとどまっています。序盤は必要なく、ゲーム中に1枚引けば良いので、大量のキャントリップと《食糧補充》で探しにいく想定の枚数です。
キャントリップと言えば、《止まぬ囁き》も最近のイゼットテンポには採用されています。1マナ1ドローと《コーリ鋼の短刀》の誘発を満たしやすいカードなだけでなく、墓地からも唱えられるので2度美味しい。《トレイリアの恐怖》をタップすれば1マナで調和できます。
《コーリ鋼の短刀》を一番強く使えるデッキはおそらくイゼットテンポです!
ジェスカイ眼魔
スタンダードチャレンジ(4/22) : 準優勝 By terlollo04

《忌まわしき眼魔》を墓地に落として《救いの手》でリアニメイトするコンボを盛り込んだジェスカイカラーのアグロデッキ、ジェスカイ眼魔。
《光砕く者、テルサ》の加入により《忌まわしき眼魔》を吊り上げる以外の勝ち手段が増え、そのため最近では《再稼働》は抜け、リアニメイト呪文は《救いの手》のみとなっています。
《蒸気核の学者》《逸失への恐怖》に加え、『タルキール:龍嵐録』で《氷河の龍狩り》《光砕く者、テルサ》を得て、今のジェスカイ眼魔は引いて捨てる手段が非常に豊富となっています。
そのため、カードを引くことでクリーチャーを強化する《プロフトの映像記憶》が4枚採用されるようになりました。
《プロフトの映像記憶》は特に《光砕く者、テルサ》と相性が良く、戦場に出てカードを2枚引き、その後強化された状態で速攻で攻撃できます。《光砕く者、テルサ》は《忌まわしき眼魔》を落とすだけでなく、単体で非常に強力なクリーチャーなのです。伝説じゃなかったなら間違いなく4枚入ったでしょう。
引いて捨てるカードが増えた影響で《略奪するアオザメ》が入るようになり、ジェスカイ眼魔は更にビートダウン色が強くなりました。速度を求められるアゾリウス全知などとの戦いでは重要で、全体的に厳しめなマッチが改善されています。
そしてジェスカイ眼魔のアグロに強い特性はそのままです。大量の除去から《忌まわしき眼魔》を出すというデッキのコンセプト上、早いデッキ全般に強く、赤単に加えてイゼットも現れた現在のメタにとてもあっており、最近勝ちまくっています。
先ほど紹介したイゼットテンポのように軽除去が効かない構成が出てきたのも頷けますね。《かまどの精》《トレイリアの恐怖》で除去を躱す作戦を取っているというわけです。
とはいえ、除去が効かなくても問題ないのがジェスカイ眼魔。なぜなら《忌まわしき眼魔》を吊り上げてこちらから攻めることも可能だからです。赤系のアグロは《忌まわしき眼魔》がとにかく処理しづらく、2枚を使って除去されて、2回目の《忌まわしき眼魔》でゲームセットという展開になりがちです。
《略奪するアオザメ》《光砕く者、テルサ》《プロフトの映像記憶》による《忌まわしき眼魔》を介さないゲームプランが取れるようになったおかげで、今のジェスカイ眼魔は弱点の1つだった墓地追放カードがあまり効かなくなっています。
殴ってよし、守ってよし、サイドボードも充実と隙のなさそうなジェスカイ眼魔。今後更にその数を増やすことになるかもしれませんね。
オルゾフピクシー
スタンダードチャレンジ(4/22) : 優勝 By MJ_23

《コーリ鋼の短刀》が登場して更に赤いデッキが強くなり、今のスタンダードはアグロまみれとなりました。
そのアグロを倒すために現れたのは、ジェスカイ眼魔だけではありません。『タルキール:龍嵐録』で強化されたオルゾフピクシーもアグロ殺し。
オルゾフピクシーは《養育するピクシー》でパーマネントを使い回すコントロールデッキ。《望み無き悪夢》でハンデスを重ねたり、《逃げ場なし》で除去と、エスパーピクシーと大部分では同じです。
これまでは使い回すカードが《養育するピクシー》のみで、《孤立への恐怖》《この町は狭すぎる》とあるエスパーに比べ、《望み無き悪夢》《逃げ場なし》が少し物足りなく感じていました。『タルキール:龍嵐録』からの新カード《陽光真珠の麒麟》によってバウンスが8枚体制になり、大幅に強化されたのです。
エスパーと異なるのはゲームプランです。《嵐追いの才能》がなくなり、序盤からの圧力をかける手段が減っているので、オルゾフは《養育するピクシー》《陽光真珠の麒麟》によるバウンスで、盤面のコントロールを目指します。
そしてコントロールの役割を担う重要なカードが、白黒の2色になったことで採用できるようになりました。マナベースが強くなり、エスパーの時は採用しづらかったダブルシンボルのカードもメインから入れられるようになったのです。そう、《一時的封鎖》です。
《コーリ鋼の短刀》に対して除去は意味がなく、《削剥》でもトークンは残ります。しかし《一時的封鎖》なら完全な回答となります。
イゼットが流行っているのも、《一時的封鎖》が強い要因です。イゼットカラーではエンチャントを割ることができず、《この町は狭すぎる》でバウンスするしかありません。しかしバウンスしても《コーリ鋼の短刀》が戻るだけでトークンは帰ってこないので、完全回答にはならないのです。
そして《一時的封鎖》を単なる除去としてではなく、攻めにも使えるのがオルゾフピクシー。《望み無き悪夢》を《一時的封鎖》で追放し、《養育するピクシー》で自らバウンスし、《望み無き悪夢》を戦場に戻して再度手札破壊もできるのです。
《養育するピクシー》が一緒に追放されていれば一緒に帰ってきて、そのまま《養育するピクシー》の能力で《望み無き悪夢》回収までいけますし、《陽光真珠の麒麟》ならインスタントタイミングで《望み無き悪夢》を戦場に戻せるので、手札が0枚の相手のドロー後に仕掛けることで、次のトップデッキチャンスを潰せます。
《養育するピクシー》《陽光真珠の麒麟》と《一時的封鎖》の相性は素晴らしく、一度複数枚のカードを追放した後に相手が再展開してきた場合、《一時的封鎖》を《養育するピクシー》で回収して再び《一時的封鎖》を置き直すことで、再展開したカードたちもまとめて追放できます。
エスパーピクシー、ディミーアバウンスと様々な《逃げ場なし》《望み無き悪夢》デッキが環境にはありますが、その中で最もアグロデッキに強いのはオルゾフピクシーだと思います。《一時的封鎖》がやはり強い!
赤単もイゼットも強すぎる。そんなお悩みを抱えているならオルゾフではないでしょうか。