皆さんこんにちは。
ゆうやんのデッキメモリーは、今年でマジックを初めて21年目になる僕が、思い出に残っているデッキを紹介していく記事です。
昔を知っている方は一緒に懐かしんで、知らない方は昔話にお付き合いください!
ピクルスコンボ
突然だが、僕が一番好きなデッキは、コンボ要素の入っているコントロールデッキだ。
除去と打ち消しだけを詰め込んだアゾリウスコントロールも嫌いではないが、かつてスタンダードを席巻したイゼット天啓のように、コントロールとして立ち振る舞いながら突然勝てるようなデッキの方がより好み。
その原点となるのが今回紹介するピクルスコンボ。
ピクルスと聞いて一瞬マックのハンバーガーに入っているアレを連想した人がいるかもしれないが、あのピクルスで間違いない。このデッキのフィニッシャーである《塩水の精霊》の能力を毎ターン使用して相手を塩漬け(タップ状態)にさせ続けてしまうことから、その名前がつけられた。
ピクルスコンボは基本的には青単、もしくはディミーアカラーのコントロールデッキ……というよりパーミッションデッキ。デッキに入っている打ち消し呪文はなんと16枚と、今では考えられない枚数。
ちなみに打ち消しが大量に入っているデッキを、パーミッションデッキと呼ぶのだが、これは打消しがあまりに入りすぎているため、対戦相手が呪文を唱える時に「これは通りますか?」と許可を求めてくることから、その名前がついたらしい。
デッキの動きは先述の通りディミーアパーミッション。大量の打ち消しで盤面とライフを守りつつ、打ち消しを構えながら変異をプレイ。
そして相手が呪文を使ってフルタップになった隙に《塩水の精霊》を表返し、相手のアンタップ状態を一度飛ばす。
相手が動けずターンを返してきたところで、《ヴェズーヴァの多相の戦士》を変異で出し、《塩水の精霊》として表返す。これで相手は更にもう1ターンアンタップが飛び、アップキープに《ヴェズーヴァの多相の戦士》を裏にして、それをまた《塩水の精霊》として表にしてロックが完成する。
この《塩水の精霊》と《ヴェズーヴァの多相の戦士》のピクルスコンビは、このデッキのみならず、様々な青いデッキに採用されていた。赤いトロンは《ボガーダンのヘルカイト》を採用していたが、それ以外の青系トロンのフィニッシャーとして入っていることが多く、当時スタンダードをやっていたプレイヤーなら誰もが知るコンビだ。
フィニッシャーでもある《ヴェズーヴァの多相の戦士》がとにかく強力なのがこのデッキの魅力だった。相手のクリーチャーになって相打ちを取っても良し、《意志を曲げる者》が表状態で場にいれば《ヴェズーヴァの多相の戦士》に飛んできた除去を、自身を表返すことで《意志を曲げる者》になって跳ね返せたり、《水深の予見者》がいれば2マナを払って2ドローし、アップキープに再び裏返って無限のドローエンジンが完成した。
クリーチャーのほとんどが変異なため、《呪文嵌め》を構えながら4ターン目に、あるいは《差し戻し》などの2マナカウンターを構えながら5ターン目に出す動きが安定し、しかも相手はその変異が何かを読まなければならない。
《塩水の精霊》なら7マナが揃うタイミングが要注意。《差し戻し》で重いアクションを戻されて返しで《塩水の精霊》が表になればそのまま負けるからだ。それなら7マナが揃うまでに対処したいのだが、《意志を曲げる者》だったら裏目ってしまうかもしれない。そこに2体目の変異が追加されたらどちらを除去しようか迷ってしまう。
この頃非常によく使われていた"貯めラン"こと《戦慄艦の浅瀬》も、ピクルスコンボと非常に相性が良い土地だった。自身をタップすることで、カウンターを乗せていき、好きな数のカウンターを取り除くとその分のマナを生み出せるのが貯めラン。つまり4つのカウンターを取り除けば、1枚の土地から4マナを生み出せるというわけだ。
打ち消しを構えてターンを返し、相手が警戒して展開してこなければ《戦慄艦の浅瀬》にカウンターを貯める。それが続くと気づけば大量のカウンターが《戦慄艦の浅瀬》に乗り、《塩水の精霊》を変異→即表返して勝利することも多く、この重いコンボを使いやすくさせてくれていた。
青いデッキ対決では1ターンに何回行動できるかが重要なため、マナの総量が決め手となる。となれば貯めランをたくさん引いて貯めた方が勝つのは自明の理。そこでサイドボードには5枚目の貯めランとして《石灰の池》まで採用している。
ピクルスは青単、あるいは青黒で組まれることが多いのだが、青単では除去を採用することはできない。そこで活躍していたのが《砂漠》だ。
当時は《サバンナ・ライオン》《サルタリーの僧侶》などタフネス1のクリーチャーが多く、《砂漠》がよく効いてくれた。とはいえ《砂漠》だけではさばききるのは難しく、サイドには大量の《最後の喘ぎ》が入っている。
今見ると黒マナが《戦慄艦の浅瀬》合わせて12枚と、アグロ相手にはどう考えても足りない気がするのだが、マナベースの脆さは若さの現れでもある。17歳の細川少年では気づけなかった。
ただ、一方で《神秘の指導》からサーチするためのカードはそれなりにしっかり考えられている。4マナしかない状況で《神秘の指導》から持ってきて即打ちできる《殺戮の契約》や、ビートダウン相手に3対1交換が取れる可能性のある《魂の捕縛》など、複数枚入れたくはないが活躍するカードたちがサイドボードに散りばめられている。17歳の細川少年、やるじゃん!
このリストは僕が五竜杯という草の根大会で初めてトップ8入賞を果たした時のものだ。
当時、強豪プレイヤーが集まる草の根大会の1つだった五竜杯。そこで5勝2敗の成績が最高だった僕にとって、6勝1敗でリストをウェブサイトに乗せるのは夢で、それが叶った瞬間だった。
3位入賞で名前を呼ばれた時、ものすごく嬉しくて、その日の帰りの電車はずっとドキドキしていた。その時の成功体験が今も残っていて、コントロールやコンボが好きなのかもしれない
余談だが、このデッキリストはウェブ上に今も残っており、サイドボードの《根絶》が記載されていない。どうやら僕の字が汚すぎて、デッキリストを入力する方がわからなかったようで、今も「2《字が汚くて解読不能/ご本人は連絡ください》」と書いてある。
字が汚いとこうしてデジタルタトゥーとして残ってしまうので、皆さん気を付けよう!
それではまた、次のデッキメモリーで!