こんにちは。
細川 侑也(@yuyan_mtg)です。
今週はヨーロッパ地域CSの結果を分析していきます!
参考データ
メタゲーム
ヨーロッパ地域CSで最大勢力となったのはイゼット果敢でした。
様々なフォーマットで大活躍中の《コーリ鋼の短刀》を最も強く使えるデッキ。《僧院の速槍》《精鋭射手団の目立ちたがり》の単体の速いクロックに、《コーリ鋼の短刀》の横並び戦略は噛み合います。
《僧院の速槍》《精鋭射手団の目立ちたがり》を軸にデッキを組む場合、弱点となるのは当然単体除去となるのですが、一方で《コーリ鋼の短刀》は除去に対して強いカードだからです。
そしてこれらの果敢・疾風を誘発させるために《選択》《手練》《食糧補充》と青いドロースペルが最適で、その結果、イゼットカラーのデッキが最も《コーリ鋼の短刀》を使う上でベターな選択肢となっています。
179名のプレイヤーが選択したイゼット果敢はなんとトップ8に3人を送り込み、すべてが準決勝に駒を進め、そして決勝はイゼット果敢によるミラーマッチとなりました。
勝率を見ても、ジェスカイ眼魔とドメインオーバーロード以外のすべてのデッキに勝ち越しており、あまりに立派な数字です。今回イゼット果敢は事前に最大勢力であることが予想されており、そのため《真昼の決闘》をはじめ数々の対策カードが採用されていました。
にもかかわらずこの圧倒的なパーフォーマンス。スタンダードにおける最強デッキはイゼット果敢であることに、最早異を唱えるものはいないでしょう。
2番手である赤単アグロもまた、トップ8に2人入賞となりました。赤いアグロデッキは大人気かつしっかりと成果をあげ、赤アグロ包囲網は今回完全に破られました。
とはいえ、赤単アグロは全体を通して見れば、さほど好成績というわけではありません。トップメタのイゼット果敢に負け越していますし、その下のエスパーピクシー・ジェスカイ眼魔にも大きく不利です。
それでもアゾリウス全知やズアーオーバーロードに非常に強く、またその有無を言わさぬスピードで、メタ外のデッキたちに強いのが特徴です。
こういったデッキはトーナメント終盤まで数多く残り、相性差によってその多くは散ってしまうも、一部が凄まじい回りを見せて決勝ラウンドに進むことになります。その結果が今回のようになるわけですね。
さて、苦戦を強いられたのが、3番手のエスパーピクシーです。
エスパーピクシーはとにかく《コーリ鋼の短刀》が厳しいデッキ。単体除去を繰り返し使用し、《望み無き悪夢》で手札を奪いながらダメージレースを優位にしていくというデッキの構造上、無限にトークンが出てくる《コーリ鋼の短刀》とそのための《食糧補充》が苦手です。
赤単アグロにこそ勝ち越していますが、イゼット果敢には勝率44%ととどまっており、4番人気のジェスカイ眼魔に大きく不利がつき、トーナメント上位には残りませんでした。
一方、アグロキラーと言われていたジェスカイ眼魔は4番手で、こちらはまずまずの成績。イゼット果敢・赤単アグロにはしっかりそれぞれ54%、61%を叩き出し、上位デッキだけを考えれば選択肢として十分上がるでしょう。
しかし、課題となるのはやはりドメインオーバーロード。《光砕く者、テルサ》によって《審判の日》の返しに《プロフトの映像記憶》込みで打点を出せるようになったとはいえ、根本的な相性改善には至っていません。
更に今回勝ち組だったディミーアミッドレンジとの相性が絶望的だったのも、ジェスカイ眼魔がトップ8に駒を進められなかった理由の1つでしょう。ディミーアはトップ8に2人残っていますし、トーナメント終盤で食われてしまいました。
《プロフトの映像記憶》4枚採用によりジェスカイ眼魔は《フェアリーの黒幕》《黙示録、シェオルドレッド》が非常に厳しく、ディミーアミッドレンジの復権に一役買ってしまう形となりました。
5番手となったアゾリウス全知ははっきりと今週の負け組だったデッキです。
イゼット果敢・赤単アグロの両翼、その下のエスパーピクシー・ジェスカイ眼魔にしっかりと負け越しており、打ち消しを擁する青いアグロと赤い高速アグロが苦手という欠点がそのまま成績に現れてしまいました。
ただし、逆に今週はチャンスです。イゼット果敢・赤単アグロがここまで勝ったなら、今週は更に苛烈にメタられることが容易に想像できます。環境が遅くなればそれだけアゾリウス全知の勝率は上がってくるので、赤アグロが徹底的にメタられたフィールドになるなら、そこは全知にとっての楽園です。
そんな遅いデッキの筆頭だったジェスカイコントロールですが、残念ながらイゼット果敢・赤単アグロに対して負け越しています。
対イゼット果敢に対しては47%と五分に等しいと言えば等しいですが、赤単には44%、ジェスカイ眼魔にも負け越しており、大きく勝ち越しているエスパーピクシーがこの後数を増やすとは思えないので、今週も厳しい戦いを強いられることになるでしょう。
しかし、《一時的封鎖》・《稲妻のらせん》とアグロに強いパーツを採用しているのがジェスカイコントロール。リスト次第では赤アグロに耐性がつけられるかもしれません。今は《三歩先》など大量にカウンターにスロットを割いていますが、そこがアグロ対策になれば、世界が変わりそうです。
戦略としてはジェスカイコントロールは今のメタゲームに合致しています。ほとんどのデッキがクリーチャーを出してライフを削ってくるので、《一時的封鎖》《稲妻のらせん》が効果的で、ジェスカイ眼魔に対しても《審判の日》があります。
《マラング川の執政》《道の体現者、シィコ》と攻めるカードもしっかりとあり、構成次第では化ける可能性が十分にあるデッキですね。
さて、話題に上ったドメインオーバーロードは7番手。イゼット果敢に僅かに勝ち越していますが、ほぼ五分と言ってよく、《陽背骨のオオヤマネコ》が採用されている赤単には33%と悲惨な成績となっています。トップ8に1人が入賞しましたが、大健闘と言って良いでしょう。
アゾリウス全知というド不利マッチも存在しており、イゼット果敢に僅かに強いとはいえ、選択するのはリスクに思えます。
エスパーピクシー・ディミーアミッドレンジ・ジェスカイ眼魔と最上位のデッキ以外にはそれなりに勝率が出ていますが、イゼット果敢・赤単アグロが減ることはまずないでしょう。そういう意味では立ち位置としてはアゾリウス全知に近いと言えますね。
たびたび話題にのぼるディミーアミッドレンジはというと、今回トップ8に2人を送り込んだ影の勝ち組。
《コーリ鋼の短刀》がとにかく辛く、イゼット果敢には勝率40%と不利ですが、赤単にわずかに勝ち越し、アゾリウス全知にそこそこ、ジェスカイ眼魔に大きく有利と、トップメタ以外のデッキに対しては勝率が出ています。
エスパーピクシーは今週更に数が減っていくことが予想されるため、ディミーアミッドレンジにとってはフィールドは良くなるでしょう。対イゼット果敢を克服するのは難しいでしょうが、イゼット果敢を狙うデッキたちを裏から狙っています。
予想
今週の勝ち組予想は変わらずイゼット果敢!トップ8に2人~3人は入ることになるでしょう。
ジェスカイ眼魔・アゾリウス全知は日本で人気のアーキタイプであることを加味すると、ヨーロッパよりも数が増え、トップ8に1人ずつは入りそう。
3:イゼット果敢
1:アゾリウス全知
1:ジェスカイ眼魔
1:ドメインオーバーロード
1:赤単アグロ
1:その他デッキ
以上が僕のチャンピオンズカップファイナルのトップ8予想です!
僕も本戦に出場いたしますので、この予想が当たっているか、現地で確認したいと思います。
それではまた!