皆さん、こんにちは! 「へいか」こと 小林 輝(@enzyutuheika)です。
前回までのあらすじ
チャンピオンズカップファイナルシーズン2ラウンド3でプロツアー『霊気走破』の権利を得たへいかは、プロツアー前日から大はしゃぎ!
デカすぎるピザに敗北したり(美味しかったです!)、有名プレイヤーたちと写真を撮影して……
いよいよ金曜日!プロツアー初日のドラフトを迎えたのでした。
プロツアー1stドラフト
いよいよ運命の卓ドラフトが始まることになります。
高橋優太さんが加入したことで話題になったハビエル・ドミンゲスさんを筆頭とするドリームチーム「チームコスモス」の方が二人もおり、非常に厳しそうなテーブルです。
同じ日本人である井上さんの姿もありましたが、席が離れていたため声はかけられず……
さて、一日目の卓ドラフトで運命の1-1は……《エンドの首領、ファー・フォーチュン》!
攻撃するたびに1点のダメージを与えることで速度上昇に貢献しつつも、最高速度では「自分がコントロールしている発生源がダメージを与えるならさらに1点足す」という《朱地洞の族長、トーブラン》を思い起こさせるボムレアの一つです。
黒赤のカラーも緑が絡まないアーキでは青黒と並んで良く、まずこれを主軸としたピックになるだろうと考えました。
カードの強さとしては緑なのもあり《浚渫機の洞察》の方が優勢。Tier1である緑黒に赤をタッチした形も考えられますし、緑への渡りをつけるべくこちらの方をピック。
1パック目は非常に流れが悪く、マルチのアンコモンが流れてくるどころか強いカードすらろくに回ってきません。
これがプロツアーのドラフトか……と戦慄しながら黒や緑を中心にピック。
途中で搭乗5であるものの3/6/5の機体で基本土地をサーチできる《マーシャルの路航車》が流れてきたので拾っていきます。
これも優良アンコモンの一つで、《エンドの首領、ファー・フォーチュン》のためのタッチ手段にもなります。
途中で《記憶の守護者》に思いを馳せながら《ガイドライトの最適化技師》を流したところ、2枚目の《ガイドライトの最適化技師》が流れてくるなど青黒の線もギリギリあったのではないか……? とやや後悔したところに2-1では《ネットワーク呪詛》の姿が!!
泣く泣く流して《屍肉戦闘車》をピック。
その後も《牙の守護者》やトップコモンである《突進する小走り足》など緑のカードを拾っていきます。
が、4/4/4到達トランプルと優れたサイズと能力で環境を定義するクリーチャー《砂丘の危険》や切削しつつ土地を回収する《道穴のモグラ》などは一切流れてこず、一番欲しい除去である《轢殺》もなし。
ピック順が逆になった2パック目でも緑の流れは芳しくありません。苦しみながらなんとか緑黒のカードをピック。
3-1で色の合ったレア《翠色のラジアン、アーチック》! これもマルチレアの中では優秀な一枚で報われた形となりました。
しかし、依然としてリアニメイトである《ブルードハート・エンジン》《軌道修正》も来ない中、流れてくる2枚目の《ネットワーク呪詛》。
カットしたいところですが2/1/3飛行で諜報2を持つ優良コモンである《残骸の木人》もあったため、血の涙を流しながら流します。
当たらないかもしれない対戦相手よりも自分のデッキの完成度を上げるのが先決です。
こうして完成したデッキがこちら。
《スピン・アウト》《轢殺》が無いのは痛いですが、ちゃんと1-2マナ域を確保しつつ《エンドの首領、ファー・フォーチュン》《緑色のラジアン、アーチック》といった強力なレアも控えています。
他の方に見てもらったところ、3-0は難しいかもしれないけど2-1はできそうだねという話になりました。
そして記念すべき初戦へ! テーブル番号を確認すべくMeleeを……あれ、Meleeが表示されない?
友人から「Meleeが落ちているから紙でのペアリングになったらしい」という情報が。そんなことある??
Round1 vsグルールタッチ黒
懐かしい気持ちになりつつテーブル番号を確認した上で該当のテーブルに行き対戦相手とまず握手。
お互いに健闘を祈り合います。
え、あの……20点あったライフが……一瞬で……
まさかのとんでもないデッキに遭遇し一瞬で轢き殺されてしまいました。
これがプロツアーの洗礼というわけですね。
Round2 vsディミーア
気を取り直して2戦目へ。
気さくな方なので楽しめるだろうな~!!
え……あの……流した《ネットワーク呪詛》……全部拾ったんですね……しかも3枚目まで……
卓が生み出してしまった《契約人形の恐怖》2枚《ネットワーク呪詛》3枚という化け物卓一ディミーアに文字通り《壮大な玉突き衝突》され一瞬で0-2。
まさか0-1ラインでこれをされるとは。これがプロツアーの洗礼(二回目)
Round3 vsイゼット
続く3戦目ではもうどうにでもなれ! と挑むと前回の世界選手権出場者でもあるチームコスモスの方で《灯を追う者、チャンドラ》を出してくるイゼットでした。
が、それ以上にこちらの《エンドの首領、ファー・フォーチュン》が大暴れし無事、念願のプロツアー初勝利をもぎ取りました。あまりにも苦しい戦いだった。
最低限の1-2でドラフトラウンドを乗り切り、スタンダードラウンドが始まります。
スタンダードラウンド
プロツアーにおけるデッキ選択
スタンダードのデッキですが、私はエスパーピクシーを選択しました!

まずメタゲームとしてはグルールアグロ・エスパーピクシー・ドメインの三強と読み、その上でグルールアグロが最多勢力であると考えました。
MOで顔を出してきたジェスカイ眼魔を筆頭に新しいデッキを考える事も考慮しましたが、さすがにリソース不足により断念。この三つのデッキを使っていきながら選んでいくことに。
最終的にはグルールアグロに対して新戦力である《不気味なガラクタ》《勢い挫き》でより優位に立てつつ、他のデッキに対しても《呑気な物漁り》が絡んだ100点のブン回りをすれば蹴散らす事もできるエスパーピクシーを選択することとなりました。
もちろん三色デッキ故の土地周りの事故要素などはありますが、それ以上にブン回ってしまえば抗いようのないムーブはそれ以上のメリットがあると判断しました。
構築およびドラフトに関する詳細な調整については予想以上に長くなってしまったため、分割して後日投稿予定となっています。
お楽しみに!
Round4 vsエスパーピクシー
早速ミラーマッチ! 《ベイルマークの大主》《分派の説教者》、サイドに《ギックスの命令》などミラーを意識していそうな構成です。
メインボードではお互いにライフ1まで行く死闘を繰り広げ、土地以外であれば勝ちな盤面で《不気味なガラクタ》起動で土地を2枚墓地に落とした上で3ターン連続土地という悲しみで敗北。
続く2ゲーム目では先ほどの死闘がウソかのようにスペル3土地10という引きをしてしまいボロ負け……
早速1-3と初日抜けすら危うくなってきます。初プロツアーと言えども、やはりシカゴまで来たのですからせめて二日目までは行きたいものです。
Round5 vsアゾリウス眼魔
さて、次の対戦相手は……
ん……?Calcano, Christian……んん??
1-3卓なのにまさかの前日パーティでツーショットをお願いしたクリスティアン・カルカノさんとマッチング! こ、これがプロツアー。とんでもない。
しかもデッキはアゾリウス眼魔……
まずい、不利マッチだ!
こちらの《望み無き悪夢》で手札の《忌まわしき眼魔》や《傲慢なジン》を落とされてそのままリアニメイトという友情コンボ成立の恐れがあります。
1ゲーム目で祈りながら《望み無き悪夢》を打つと《忌まわしき眼魔》の姿が。あっ……そしてそのままリアニメイト。ありがとうございました。
しかし、《望み無き悪夢》はエスパーピクシーにおけるクロックの一つであり、抜き切ってしまうと削りきれなくなります。
《邪悪を打ち砕く》《喉首狙い》《安らかなる眠り》などのバックアップの下、《望み無き悪夢》をクロック源とするプランを遂行すべくサイドボーディングで減らす枚数は1枚に留めました。
2ゲーム目、クリスティアン・カルカノさんが早速2ターン目《錠前破りのいたずら屋》。……が、不発!
その後も《航路の作成》《決定的瞬間》を唱えますが、《忌まわしき眼魔》の姿は現れず。その隙に押し切った形で勝利をもぎ取りました。
運命の3ゲーム目でも2ターン目《錠前破りのいたずら屋》。これは……と思いきや、これもまた不発!! 思わず目を合わせ、苦笑いをし合います。
《僧院の導師》を出されるも、《逃げ場なし》で対処すると後が続かず。しかしこちらも土地を引きまくり、お互いに絶不調な構図でグダグダの末に《精体の追跡者》《呑気な物漁り》が並んでそのまま完走。
凄まじい事故に見舞われているところにもぎ取った勝ちですが、勝ちは勝ち。クリスティアン・カルカノさんでもこういうことがあるんだな……と気持ちが少し楽になった瞬間でした。
感想戦と共にサインをお願いしたところ、ご快諾いただきました。生涯の宝物とさせていただきます。
Round6 vsグルールアグロ
ここで仮想敵のグルールアグロ! ミラーを強く意識したメイン4枚の《叫ぶ宿敵》が目につきます。
当然ながら《逃げ場なし》擁するエスパーピクシーにとっては有利な相手。
2ゲーム共に《不気味なガラクタ》《逃げ場なし》をガンガン使いまわし、相手の脅威を綺麗に対処した完勝。
これで3勝目、あと1勝で二日目進出です。
Round7 vsグルールアグロ
続いてまたもやグルールアグロ。こちらは《噴出の稲妻》4枚型です。
1ゲーム目で順調に裁きながら《呑気な物漁り》で押し付けていったところ、《探索するドルイド》から《多様な鼠》《巨怪の怒り》がめくれ、そのままライフが18点から5点に。
返しでライフを1点まで詰めるも、再度の《巨怪の怒り》に除去を合わせられず敗北。
2ゲーム目では《精体の追跡者》を絡めたコントロールプランが的中し危なげなく勝利。
3ゲーム目では1ゲームと同じくライフを1点まで詰めるも、《巨怪の怒り》込みでピッタリ足りてしまい敗北。《巨怪の怒り》に泣かされるゲームでしたね。
これで3-4、もう後がありません。
今回敗北してしまったとは言え、依然としてグルールアグロには有利。次回もグルールアグロでお願いしたい……と祈りながらマッチング。
Round8 vsグルールアグロ
祈り、届く!! が、メインから《名もなき都市の歩哨》が2枚ありエスパーピクシーにややガードを上げている形。
1ゲーム目では危惧していた《名もなき都市の歩哨》を強く使われ、成す術もなく敗北。崖っぷちに追い込まれてしまいました。
2ゲーム目ではしっかり捌いて順当に勝利。
運命の3ゲーム目、お互いにマリガン。
ワンマリガン後の後手で《不気味なガラクタ》《嵐追いの才能》《勢い挫き》《精体の追跡者》《この町は狭すぎる》《孤立への恐怖》《一時的封鎖》《闇滑りの岸》。土地1枚、通常ならばマリガンを考える手札ですが……
相手はワンマリガンでキープ。ダブルマリガンしてしまうとリソースが足りなくなってしまうおそれがあります。
土地1枚とはいえ、2枚ドローで土地を引かない確率は約3割ほど。《不気味なガラクタ》で除去自体は可能で《嵐追いの才能》もありギリギリゲームはできそうです。
長考の末、これまでの経験を信じてキープ。
すると次のドローが白黒ファストランドの《秘密の中庭》!最高のドローです。その次のドローもファストランドで《精体の追跡者》を唱えられる目処までつきました。
相手の攻め手を《不気味なガラクタ》《勢い挫き》で捌きつつ、《精体の追跡者》が着地してそのままコントロールプランにシフト。
ライフが1桁になることもなく、そのまま完勝。
勇気のキープで二日目進出を掴み取りました! やったー!
ちなみにこの際、当時の革新的なデッキであったラクドス吸血鬼を手にプロツアー「カルロフ邸殺人事件」優勝を果たした殿堂プレイヤーセス・マンフィールドさんや世界選手権23で優勝を果たしたジャン=エマニュエル・ドゥプラさんと遭遇し、サインおよびツーショットをお願いしていました。
その勢いのまま、シカゴの夜へ繰り広げPizano's Pizza & Pastaというお店で心行くまでピザを楽しんできました。
また、このお店ではホワイトソックスのユニフォームや写真などがあり、野球ファンである私と小林遼平さん二人で興奮しながら眺めていました。
プロツアー2ndドラフト
そして迎えた二日目の朝。
二日目の卓ドラフト、4-4なのでここでは2-1以上取りたい! という気持ちでテーブルについたら……10人!?
なんと二日目で二卓しかない10人ドラフトになってしまいました。これが吉と出るか凶と出るか。
1-1は……《竜航技師》!
唯一消尽能力を2つ持ち、いずれも強力な構築級の効果。間違いなくボムレアです。シングルシンボルのため、タッチカラーで使えるのも◎。
プロツアー「カルロフ邸殺人事件」に出場する友人のために英語トークンセットに加え、ボムレアの一つ《蜘蛛網の頭、アイゾーニ》の蜘蛛トークンだけ多めに渡したことがあります。
すると一日目ドラフトの3-1で見事《蜘蛛網の頭、アイゾーニ》を引き当て、これが大活躍で3-0発進と好スタート。
そんな友人からお返しとばかりに霊気走破の英語トークンセットをいただいたところ、ボムレアである《竜航技師》の4/4飛行恐竜・ドラゴントークンだけ3枚と多めになっていました。
その友人の顔が脳裏に思い浮かびました。本当にありがとう……
1-2のパックを見ていったところ、《網撃の精鋭》の姿が。
他にもめぼしいカードもなく、アンコモンも3枚残っていたことからおそらくレア以上が二枚出たパックでこの二択になったと予想。緑への渡りをつけるべくピック。
続く1-3では……
ん!? なんと2枚目の《網撃の精鋭》。
アンコモンが2枚だったためこれよりも強いアンコモンを優先していそうです。上家は緑をやらない方針であろうと考え、棲み分けが出来そうだとピック。
その過程で緑のトップコモンである《突進する小走り足》を2枚ピックできたため緑はほぼ確定。
が、《竜航技師》に絡む赤の流れは無く、上は赤をやっていそうな気配。青や黒の流れもあまりない中で《クラウドスパイアの隊長》などの白のカード群が流れてきたためつまんでおきます。
1パック目としては緑+白+《竜航技師》といった具合の内容。
緑はほぼ確定であることから緑赤か、あるいは緑Xタッチ赤か……と考えていました。
続く2パック目の1手目はレアが弱く、《突進する小走り足》と《レインジャーズの給油機》の二択。
《突進する小走り足》は既に2枚あり、緑青タッチ《竜航技師》の消尽デッキが恐らく目指すべきデッキだろうと考え《レインジャーズの給油機》をピック。
2-2で消尽の1回制限を撤廃する《エルフの補給者》もピックでき、今度はいいデッキができそうな予感。
1パック目で青や赤の流れが悪いということは、逆回りとなる2パック目ではこの流れが良くなるのは必然。
2/1/3飛行の消尽持ちである《飛空跡の技師》、2マナカウンターの《幽体の干渉》など青の良コモンが流れ込み、その流れに乗っていきます。
そして2-5で流れてきたのは……
緑青のボムレアの一つである《仮面のレーサー、シータ・ヴァルマ》!
これが5手目で流れてくるならば間違いなく下に緑青をやっている人は存在しないと言ってもいいでしょう。当然ながらピック。
その過程でタッチ赤するために緑赤の土地である《岩だらけの高地》、マナリス機体である《輪心のバイク》をピックし緑青タッチ赤への視界は良好。
そして一周する最後のパックである2-10で《レインジャーズの霊気蜂巣》!! これが一周するイコール卓一の席に座れたことを確信した瞬間です。
総じて2パック目では青を中心にピックしつつ緑青マルチもきちんと取れており、タッチ赤のためのカードも取れていることから完成度の高いデッキに仕上がりそうだぞとワクワクしっぱなし。
そうして迎えた最後の3-1は……
霊気走破の顔である《灯を追う者、チャンドラ》!!
もともと《竜航技師》のためにタッチ赤を進めていたところにこれは朗報以外の何者でもありません。
こうしてできたデッキがこちら。
《轢殺》や《砂丘の危険》などは流れてきませんでしたが、それ以外はかなり良い感じです。
霊気走破における緑青は序盤を凌いでしまえば中盤以降は消尽で差をつけていけるため、1-2マナ域が非常に厚いのは追い風です。
ボムもしっかり複数あり、3-0まで見えてくるよいデッキを組めたと確信。プロツアー二日目という場所でしっかり基本に従ったドラフトが出来たのは大きな自信になりました。
ちなみにドラフトデッキの構築テーブルの目の前にあのジェイソン・イーがいらっしゃったのでこちらもツーショットをお願いしました。カワウソトークンにサインもいただけました!!
Round9 vsラクドス
こうして迎えた9戦目、初手が弱い。
ここは「デッキが強いならマリガン」というドラフトにおける鉄則に従いダブルマリガンを敢行します。
ここで《山》《森》《島》と3色出るハンドかつ《突進する小走り足》《幽体の干渉》もあったことからキープ。
ラクドスでしたが、《仮面のレーサー、シータ・ヴァルマ》から《竜航技師》を見せると対戦相手が「は??」という顔をされ、そのまま圧勝。
2ゲーム目も同じく《竜航技師》が大暴れし、危なげなく勝利。
感想戦で「《網撃の精鋭》を流しただろ? あれ、《求道神、ハゾレト》との二択だったんだよ」と教えてもらいました。確かに上家の方でしたね、それなら仕方ない……
「そのデッキ見せてくれるか?」と言われたので見せるとだんだん怪訝そうな顔になり、「チャンドラまであるのか!? ハァ~! 3-0おめでとう」という言葉までいただきました。
Round10 vsゴルガリ
続く10戦目。
1ゲーム目は《仮面のレーサー、シータ・ヴァルマ》で圧勝。
続く2ゲーム目ではこちらのデッキの回りが芳しくないところに《重厚な世界踏破車》から《屑転がし》! とんでもないデッキだった!!
圧倒的パワーの前に成す術もなく敗北。
3ゲーム目では……マリガン、マリガン! そして土地詰まり。
そうこうしているうちに2ターン目《ブルードハート・エンジン》から諜報で《轟雷のブルードワゴン》が落ちてしまいます。ヒエエ~~~~あの卓、3-0デッキを2つ作り出していたのか……!!
いいところもなく敗北。まさかこのデッキで負けてしまうとは……対戦相手の方から「Sorry for manascrew(マナスクリューなのにごめんね)」と気遣われてしまうレベルでした。
感想戦でお互いにデッキを交換して「あのテーブル、3-0デッキを二つ作ってたね」という話で対戦相手の方も強く同意しており、「We truly both had 3-0 decks!(本当に二人とも3-0デッキだったね!)」というのが対戦相手の言でした。
「絶対に3-0してね! こっちは2-1しとくから!」と伝えると、笑いながら「OK! サイコロを交換していい?」と申し出が。快く応え、ツーショットした後に固く握手を交わしました。
この出会いもまたマジックのいいところです。
Round11 vsvsセレズニアタッチ赤
そしてドラフトラウンド最後の11戦目では……
Hareruya Prosの松浦さんとの日本人対決!
セレズニアタッチ赤で、《ボヤージャーの滑空車》の姿が。
しかし1ゲーム目では《突進する小走り足》から《仮面のレーサー、シータ・ヴァルマ》で押し切り勝利。
続く2ゲーム目で《幽体の干渉》を構えるも、しっかり土地を伸ばしてきて7マナで《重厚な世界踏破車》。
こちらの土地が止まってしまったところにちゃんと《幽体の干渉》をケアしてくる動きにやられ敗北。
3ゲーム目では《エルフの補給者》から《竜航技師》。つまり……
そういうことです。
延々と産み出される4/4恐竜・ドラゴンの前には流石の松浦さんでも膝を屈し、勝利をもぎ取りました。
3-0とはなりませんでしたが、プロツアー二日目ドラフトラウンドで2-1の勝ち越しは大きな財産!
この時点で6-5。プロツアーチェインをするためにはここからスタンダードラウンドで4-1しなければなりません。
この時点ではチェインのことは考えておらず、ただひたすらプロツアーという場を楽しむ事しか考えていませんでした。
Round12 vsグルールアグロ
グルールアグロ4連戦! 《叫ぶ宿敵》メイン4枚で有利ですが、なんとサイドに《強情なベイロス》の姿が。グルールアグロでこれを入れた型は初めて見ましたが、どうなることやら……
1ゲーム目、先手。
1ターン目《呑気な物漁り》
2ターン目《呑気な物漁り》《嵐追いの才能》
3ターン目《望み無き悪夢》《養育するピクシー》《嵐追いの才能》
4ターン目《この町は狭すぎる》でブロッカーをどかしてリーサル
2ゲーム目、後手。
1ターン目《呑気な物漁り》
2ターン目《呑気な物漁り》《呑気な物漁り》
3ターン目《不気味なガラクタ》《逃げ場なし》
4ターン目《養育するピクシー》《逃げ場なし》
これまでも経験したことのないブン回りによって20分で勝利。対戦相手も釈然としない顔でした。
Round13 vsグルールアグロ
なんとドリームチーム「チーム・コスモス」のリーダーであるアンソニー・リーさん!
非常に気さくな方で、アンソニー・リーさんがコレクションしているプロプレイヤートークンをきっかけに話も盛り上がっていました。
私も様々な方からいただいたサインをもらったカワウソトークンを見せると、「同じテーブルにドミンゲスがいるよ、サインが欲しいなら声掛けるよ」と仰っていただきました。
そのご厚意に甘えることにしながらいざ勝負!
1ゲーム目では後手、《心火の英雄》に《不気味なガラクタ》、《多様な鼠》に《養育するピクシー》から再度《不気味なガラクタ》で綺麗に対処。
その後も《逃げ場なし》を《孤立への恐怖》で使いまわすなどで対処し続け、息切れしたところに詰め切って勝利。
続く2ゲーム目では《カープルーザンの森》2枚と《魂石の聖域》という土地の内訳で行動するたびに1点を受けていくアンソニー・リーさん。
それに対して捌き続ける私という構図で、最終的には《精体の追跡者》からの《望み無き悪夢》《勢い挫き》のコントロールプランが刺さり勝利。
試合後にハビエル・ドミンゲスさんがたまたま横を通ったところにアンソニー・リーさんが呼び止めていただき、サインをしていただけました。
その際にアンソニー・リーさんにもサインをお願いし、ツーショットも撮らせていただきました。本当にありがとうございます。
非常に丁寧かつにこやかにプレイされる方で、やっててとても楽しかったです。
Round14 vsジェスカイ眼魔
今大会で森山ジャパンおよびガブリエル・ナシフなどがチームデッキとして持ち込まれた台風の目であるジェスカイ眼魔。正直言って不利です。
1ゲーム目、祈りながらこっそり《望み無き悪夢》をすると、それに対して首を小さく振りながら笑顔で捨てられます。そこには……
はい。もちろんそのまま流れるようにリアニメイトされ瞬く間に敗北。
続く2ゲーム目ですが、引きがピリッとしません。引くは土地ばかり。
《プロフトの映像記憶》から《蒸気核の学者》で膨れ上がるクロックの前に敗北してしまいます。
Round15 vsドメインランプ
仮想敵の一つ、ドメインランプがここで立ち塞がります!
まず確認するのは《害獣駆除》の枚数。メインに1枚、サイドに……3枚!? マジかよ~~~とサイドの《害獣駆除》3枚に指差すと「ヘヘヘ」と憎めない笑顔を返されました。
ダイスに勝利しまず先手。
《呑気な物漁り》から《嵐追いの才能》《悪意ある呪詛術士》とロケットスタート。《害獣駆除》も1枚しかありませんし、裏目は気にしていられません。
3ターン目で《養育するピクシー》《嵐追いの才能》でライフを9点まで詰め、何らかの除去がなければ負けの盤面を作り出しそのまま勝利。
2ゲーム目では《悪意ある呪詛術士》スタート。
そのまま《孤立への恐怖》へと繋ぐも、相手も《ホーントウッドの大主》。こちらの引きも負けておらず、《邪悪を打ち砕く》《喝破》の二段構え。
《魂の洞窟》から《永遠の策謀家、ズアー》! 《ホーントウッドの大主》に《邪悪を打ち砕く》でなんとか凌ぎます。
ライフを残り5点まで詰めたところで《害獣駆除》、そこに《否認》。2枚目の《永遠の策謀家、ズアー》には《喉首狙い》と完璧な回答をし続け、完勝。
気付けば9-6、プロツアーチェインまで目前に迫ってきました。対戦相手も「次でチェインだね、グッドラック!」と声をかけてくれます。
Round15 vsジェスカイ召集
最後に立ち塞がるのはHareruya Prosのマッティ・クイスマさん。紛う事なき強豪の一人です。
試合前にも関わらず快く記念撮影に応えていただいたマッティ・クイスマさんに感謝を。
1ゲーム目では《孤立への恐怖》のブロッカーで上手く足を止めつつ、《養育するピクシー》でクロックを刻んでいきます。
ライフ1まで詰められたところに《この町は狭すぎる》で相手のブロッカーを排除し、なんとか勝利! プロツアーチェインまであと一歩のところまで迫ります。
2ゲーム目、《内なる空の管理人》の占術を数回された後に《喉首狙い》で何とか対処。《望み無き悪夢》で手札を0にした後のトップは……
最も引かれたくないカード、《イーオスの遍歴の騎士》。
仕方なく通し、コンバットを絡めた《逃げ場なし》で何とか対処。
そして次のドローは……
《イーオスの遍歴の騎士》。さすがにどうにもならず、敗北。
続く3ゲーム目、マリガン。
《一時的封鎖》《一時的封鎖》《養育するピクシー》《精体の追跡者》《呑気な物漁り》《闇滑りの岸》《金属海の海岸》。
悩んだ末に何らかのエンチャントを引いた時のバリューとの兼ね合いを考えて《一時的封鎖》をボトムに。
結論から言うとこの《一時的封鎖》ボトム送りが敗着でした。
《一時的封鎖》に対して《邪悪を打ち砕く》によって対処され、唱えられた《イーオスの遍歴の騎士》からは……
《萎れ葉のしもべ》。
《イモデーンの徴募兵》。
そして唱えられる2枚目の《イーオスの遍歴の騎士》。そこまで引かれたらもうどうにもなりません。
次ターンに唱えられた《イモデーンの徴募兵》と共に全軍突撃してくるマッティ・クイスマさんに対して「プロツアーチェインおめでとうございます」と手を差し出しました。
こうして私の初めてのプロツアーは最後のプロツアーチェインバブルマッチに敗北し、9-7という結果になりました。
初プロツアーを終えて
ちなみに結果としては9-7ですが、同じ9-7の方々を軽く見てみたら卒倒しました。
説明不要の日本人殿堂プレイヤー中村修平さんおよび八十岡翔太さん、2021年世界選手権優勝の高橋優太さん、2023年世界選手権優勝のジャン=エマニュエル・ドゥプラさん、プロツアーモダンホライゾン3準優勝を筆頭に幾多の実績を残しているサム・パーディさん、パイオニアのラクドス吸血鬼を持ち込みプロツアーカルロフ邸殺人事件優勝のセス・マンフィールドさんなどなど……「錚々たる」という言葉でも足りないほどの方々が揃っています。
もちろんこれに書き切れなかったプレイヤーもたくさんいます。これがプロツアー、凄まじいの一言です。
あと一歩のところでプロツアーチェインを逃した形でしたが、不思議と清々しい気持ちでした。
というのも、私が競技マジックをする上で「レベルの高いプレイヤーと対戦し、切磋琢磨して楽しみたい」が大きな理由となっています。
これを実現できるのは上手い方が集う競技の世界であり、そこに飛び込むのは必然でした。そうして気が付けばプロツアー権利まで得ていました。
そして、このプロツアーはまさしく私にとって理想とする場所でした。
対戦相手はいずれもとても上手く、ミスと思える動きが一つもありませんでした。完璧な動きをずっとしてきます。
常にお互いに最善手を打つという前提の下、生まれるゲームとドラマ。これをいつまでも味わいたい……とプロツアー中にずっと考えていました。
最終試合で負けた瞬間、悔しさよりも真っ先に「ああ……もう終わっちゃったのか、寂しいな。もっとやっていたいな」という寂寥感がありました。
二日間で合計16回戦もやったのにも関わらず! それほどまでに楽しかったのです。
ちなみに野生のマローことマーク・ローズウォーターさんに遭遇! もちろんツーショットをお願いしてきました。本物だ……!!!
そして忘れていけないのはジャッジの方々。
耳が聞こえない私が楽しくプレイできるのは対戦相手のみならずジャッジの方々のおかげでもあります。ジャッジステーションへ向かい、お礼の言葉を伝えて記念写真もご快諾いただきました。
本当にありがとうございました。
その後はホテルの横にあった火鍋のお店に行き、久しぶりの茹でた野菜や豆腐が心の中から安心するような味に舌鼓を打ちました。
プロツアー最終日
そして翌日、実はプロツアーはまだ終わっていません。
今回のプロツアー出場者で権利を得ていないプレイヤーのみが出場できるPTQがあります。世界一レベルの高いPTQとも言われていますね。
が、初戦で赤単に対して《コイロスの洞窟》から10点ほど食らう、を2回繰り返して即敗北。こんなもんですよね。
ちなみに右手にジョジョの「ゴゴゴ」のタトゥーを入れており、「誰が好きなの?」と聞くと「モハメド・アブドゥル!」と返ってきて風貌も相まって納得の一言でした。
私はワムウが好きで、それを伝えると「オオ~グッドガイ!」と大喜びでした。まさかシカゴの地でジョジョ談義をできるとは……
そして10戦目のドラフトラウンドで笑い合ったBassel NasriさんがなんとこのPTQで6-0して突破! 思わず声を掛けに行くと、力強いハグをしてくれました。
この地で仲良くなれた戦友の勝利は嬉しいものですね。
これで私の初プロツアーは終わりました。長くも短い三日間でした。
本当に最高の場所でした。また来るぞ、プロツアー!
その後は時間が出来たのでマジックコンを見学していきました。
凄まじい人!!
完成度の高いサルカンのコスプレイヤーさんもいらっしゃいました。とんでもない眼力にタジタジ。
調整仲間である小林遼平さんと共に新カードとして発表されていた《龍へと昇る者、サルカン》との記念撮影。
霊気走破のレースを体験できるコーナーもありました!その後に表彰台に乗れるようで見てて面白かったです。
ちなみに私と小林遼平さんはアゾリウスコントロークフリーク。そんな中で見つけたフルアートのプロモ版《対抗呪文》。1枚……7ドル!? 安い!
思わず二人とも4枚買った時の写真です。カンスペはなんぼあってもいいですからね。
イラストレーターブースもかなり熱く、《ライオンの瞳のダイアモンド》を描かれたMargaret Organ-Keanさんもいらっしゃいました。
他にも《黙示録、シェオルドレッド》《熾火心の挑戦者》のChris Rahnさんなど、サインをお願いしたくなるような方々もたくさん。
次回があればちゃんとイラストレーターの情報も収集してサインをもらいに行きたいところです。
帰路につこうとしたところに《星界を呼ぶ者、ゾラリーネ》のセクシーなコスプレをされた方も見つけ、写真をお願いしました! アメリカすごい!
アメリカ最後の晩餐ははまさんに連れていただいたオイスターハウス!
焼き牡蠣はこの世のものと思えぬほどの美味でしたが、これでなんと42ドル(約6,300円)。
リブロースステーキも非常に美味。79ドル(約11,800円)ですがこの際値段は気にしないことにします。
ロブスターも初めて食べましたが天国に昇るような味でした。ええ、値段は気にしません。
デザートも大変豪華で、GODIVAを使ったケーキもありました。
はまツアーの参加者たちと記念撮影。 一人130ドル(約2万円)と高額でしたが、とてもいい時間でした。
そして帰国する最後の日。
まずホテルでパシャリ。
シカゴ空港も時間さえあればゆっくり見て回りたいほど魅力的な場所でしたが、時間がなく断念。
約14時間のフライトを経て無事帰国!
これが私の初プロツアーの道程です。とても楽しい一週間でした。
旅行記を通して皆様にもお楽しみいただけたら幸いです。
次は5月に開催されるチャンピオンズカップファイナル。
プロツアー二日目に進出したことでファイナル権利を得たため、次はこの大会に向けて楽しみながら腕を磨いていこうと思います。
また行くぞ、プロツアー
Let's Enjoy Magic!