【デッキ解説】アゾリウスファルコン(パイオニア)

【デッキ解説】アゾリウスファルコン(パイオニア)

    こんにちは。

    細川 侑也(@yuyan_mtg)です。

    今日はパイオニアで最近僕が回しているアゾリウスファルコンについて解説していきます!

      アゾリウスファルコンとは?

      切望の隼》と《九つの命》のコンボをメインの勝ち手段に据えたアゾリウスコントロール、それがアゾリウスファルコンです。



      まずはこのコンボについて簡単に説明しましょう。

      九つの命》は、受けるダメージを軽減して、その代わりにカウンターを1つ乗せるエンチャント。喰らうダメージが1点でも2点でも3点でも1つのカウンターに代わります。つまり9回ダメージを与えないと勝利することができなくなります。

      アマリア・べナヴィデス・アギーレ》の《霊気貯蔵器》だろうと《血管切り裂き魔》の攻撃だろうとすべてカウンター1個にとどめてしまうので、凄まじい延命手段となるカードです。



      そしてその延命手段にコンボ要素を加えたのがこのデッキ。《九つの命》はそれの上に9個目のカウンターが乗ると戦場を離れ、戦場を離れた時に敗北してしまうカード。

      その《九つの命》を《切望の隼》で相手に渡してしまい、負けてもらおうというのがこのデッキ。

      デッキ構造は普通のアゾリウスコントロールですが、コンボパーツの片割れである《九つの命》が延命手段として普通に強く、《切望の隼》はリソースを取れるカードなので、どちらも腐りにくいのがポイントです。

      デッキリストとカード解説

      メインボード


      このデッキのキーカード。相手に自分のカードを渡すと、渡したカード1枚につきカードを1枚引けます。

      九つの命》を渡すのが基本ですが、《海の神のお告げ》や《一時的封鎖》を渡しても良し、土地も渡せます。返しで《切望の隼》のアタックが確定しているなら、土地を渡すこともよくあります。

      切望の隼》自身を渡すこともできるので、裏向きで出しておいて相手に除去されそうになった時に渡してしまえば、単純にお得です。

      キーカードその2。

      8回分のダメージを吸収してくれるナイスなエンチャント。普通に延命手段として優秀なので、コンボ関係なく強いカード。

      2枚引くと九つの命は十八の命になります。乗せる先を自分で選べるので、8個溜まった《九つの命》をそのままに、もう1つの《九つの命》を溜めることもできます。引くたびに命が8個増えていくので、何枚でも引きたいカード。

      9個目が溜まると戦場を離れる能力が誘発するので、そのタイミングで《切望の隼》を押し付ければ、相手にコントロールが移った瞬間に勝利できます。

      ドロースペルと言えばこれ。4マナで打った時は除去や《九つの命》を取って延命し、フラッシュバックで《切望の隼》を引き込むのが基本パターン。

      デッキに非常に合っているため、4枚確定のカード。

      空を放浪するもの、ヨーリオン》以外のアゾリウスコントロールにはまず入っていないカードですが、主に以下の理由で採用されていません。

      まず通常のアゾリウスコントロールは特定のカードを引き込みたいデッキではありません。《海の神のお告げ》は手札を増やすカードではなく、デッキ内を掘り進めるカードです。欲しいカードを引きにいくためのカードです。

      2マナを消費してリソースが稼げない《海の神のお告げ》はテンポ損で、今のパイオニアにはあまり合っていないカードなのです。

      一方、アゾリウスファルコンはテンポ損を《九つの命》で取り戻すことができ、また《九つの命》を引くかどうかが重要なので、《海の神のお告げ》はデッキに合っています。

      切望の隼》で相手に押し付けて1ドローできたり、《一時的封鎖》で追放しておいて、その《一時的封鎖》を《失せろ》や《魂の仕切り》することでもう1度《海の神のお告げ》を誘発させられます。

      2ターン目のアクションは最低限確保したいので4枚になりました。アゾリウスコントロールと違い、最終的には《切望の隼》+《九つの命》のコンボで勝つので、《喝破》をケアされたロングゲームは中々されづらく、きちんとカウンターとして機能してくれました。

      2マナ除去の中ではなんだかんだ一番強かったので4枚に。地図トークンは《一時的封鎖》で巻き込めばOK。あんまりそういう余裕はないですが。

      自分の《海の神のお告げ》を《一時的封鎖》で巻き込んでおいて、《失せろ》で吹っ飛ばしてもう1度誘発したりなど、割と便利なカード。

      相手のパーマネントを一時的に追放するカード。《失せろ》より範囲は広く、地図も作らせないのが強み。

      このデッキでは《切望の隼》で押し付けた相手のカードに《魂の仕切り》を使えるので、実質リソース手段にもなります。

      切望の隼》を相手に渡して《魂の仕切り》でもう1度使い回すパターンもあります。もちろん《魂の仕切り》で追放した《切望の隼》はもう1度変装できますよ!

      ただの除去以外にも使い道があるので、使ってるうちにどんどん好きになりました。

      ドロースペルが比較的多め、環境的に《一時的封鎖》が比較的強い、《切望の隼》で押し付けられるなど、このデッキで使う《一時的封鎖》はかなり強めです。

      メタ次第ではメインに3枚目を入れることもあります。

      追加の打ち消しとして入れています。《かき消し》は犠牲コストが払えないのでなしです。3枚目を入れるかどうかはメタゲームで変わりますね。ニヴが多ければ増やします。

      今回の調整のポイントの1つ。普通ならば《浄化の輝き》が入っているスロットです。

      なぜ《浄化の輝き》なのかについては、《切望の隼》+《九つの命》で相手に《九つの命》を渡した後に、即エンチャント・アーティファクト破壊モードで相手を敗北させられるからです。

      しかし、《浄化の輝き》が必要なシチュエーションはそれほど多くありませんでした。後述する《アダーカー荒原》によって《九つの命》のカウンターを調整できるようになったためです。

      浄化の輝き》は半分コンボパーツである全体除去として最初は好きでしたが、徐々にカードとしての弱さが気になり始めました。《血管切り裂き魔》に対して《太陽降下》と《浄化の輝き》で違いが大きすぎて、《浄化の輝き》で《九つの命》を吹っ飛ばすことなどどうでもよくなったのです。

      血管切り裂き魔》を流した後に残ったライフを《変わり谷》と《目玉の暴君の住処》で削られるのがラクドス相手の負けパターン。《変わり谷》を止める培養トークンを生み出し、追放でダメージも受けない《太陽降下》は、対吸血鬼では重要。

      浄化の輝き》を《太陽降下》にしたいというのが最初の発想で、そこから《アダーカー荒原》に辿り着きました。《太陽降下》にはそれだけのバリューがあります。

      相手に押し付けた《九つの命》を《告別》で流せば即勝利。《浄化の輝き》と同じ特殊勝利カードの1枚ですが、こちらはカードが結構強いので採用することにしました。

      浄化の輝き》は劣化《太陽降下》であり、コンボパーツとしてギリギリデッキに採用できるレベルのカードでしたが、《告別》はイゼットフェニックスやアマリア相手に強烈で、重さを除けばその強さはピカイチ。その上コンボにも使えるので2枚採用しています。

      土地関連ではここだけ。

      九つの命》を使っていてとても困ったのが、カウンターを5~6個貯めた状態で放置されることでした。さっさと8まで溜めてくれれば、《切望の隼》を出して渡して、返しで勝てるのに、相手は中々そうはさせてくれません。

      少ないカウンターの状態で相手に渡すには《浄化の輝き》か《告別》が必要になりますが、そもそも全体除去をそこまで温存できるわけではありません。それに《浄化の輝き》は《太陽降下》と比べて弱すぎる

      そこで、能動的にダメージを食らって《九つの命》のカウンターを調整できる《アダーカー荒原》を入れてみたところ、これが驚くほどジャストフィット。

      切望の隼》と《九つの命》、《アダーカー荒原》が揃うだけで能動的にカウンターを増やしていけるので、3枚コンボが実質2枚コンボになりました。

      切望の隼》と《九つの命》が揃うと、相手は致死量のダメージを与えられなくなってしまいます。9個目が乗った時に《九つの命》を《切望の隼》で相手に押し付けることができるためです。だから何かを引き込むのを基本は待つしかないのですが、《アダーカー荒原》があれば確実に勝利できます。

      この勝利条件を満たすカードとして《アダーカー荒原》を採用できるようになったので、《太陽降下》を入れられるようになりました。

      サイドボード


      ラクドスに負ける時の7割は手札破壊が絡みます。そして関東には《絶望招来》を採用したラクドスが多く、《九つの命》を貼って《絶望招来》で負けるのが腹立たしすぎたので入れました。

      手札破壊に対して手札を消費するカードで対策するのは個人的には反対だったのですが、思ったより好感触でした。《血管切り裂き魔》のダメージを防げるのも地味に優秀。

      ラクドス相手には全力でマリガンして《神聖の力線》を探しに行きます。失った手札はドロースペルで回復する想定です。そのため、《多元宇宙の警告》などと一緒にサイドインしましょう。

      このデッキの弱点の1つが「普通のアゾリウスコントロールに弱いこと」です。《九つの命》以外に勝てるカードが入っていませんからね。そのため、サイドボードの大半が対コントロール用になってしまっています。

      サメ台風》である理由は特にないのですが、コントロール相手にスロットをたくさん割けるなら《サメ台風》が一番強いです。4枚入っていると連打だけで勝てることがありますからね。

      コントロール対策その2。

      コントロール対策その3。

      コントロールと、《神聖の力線》を入れる手札破壊デッキにサイドインします。マリガンしても取り返せますし、どうせ《神聖の力線》のない7枚をキープしても手札破壊で抜かれて5枚ぐらいになるので、最初から5枚でも問題ないです。

      アグロデッキへの追加として。4枚は過剰ですが、メインサイド合わせて3枚は欲しいカード。

      アグロは大抵赤か緑が入っているので、《ドビンの拒否権》2枚を入れ替えるのに、《一時的封鎖》+もう1枚欲しくて、ちょうどよい《霊気の疾風》になっています。アグロ全般にサイドインしつつ、独創力のような少し変わった相手にも入れられ、その対応力の高さが好みです。

      追加のカウンターです。吸血鬼相手にはサイドインしません。

      基本的な回し方

      このデッキは大前提としてアゾリウスコントロールです。

      序盤を打ち消しや除去でしのいで、《記憶の氾濫》でリソースを取り、全体除去で一気に盤面を片付け、《記憶の氾濫》のフラッシュバックで勝利します。



      その勝利手段が《切望の隼》になっただけです。

      無理に《九つの命》と《切望の隼》を《記憶の氾濫》で揃えようとするのが一番悪手です。



      既にどちらかが片方にある場合は、もう一方を取るのも良いでしょう。しかし、どちらも手札にない状態でとりあえず《切望の隼》だけを《記憶の氾濫》でとっておく意味はさほどありません。

      リソース手段として《切望の隼》を確保したいなら別ですが、中盤までの攻防で《切望の隼》は役に立ちません。《九つの命》は貼れば大幅な延命になるので、いつでも積極的に確保しておきたいカードですが、《切望の隼》は違います。



      九つの命》で寿命を増やしつつ、ドロースペルを連打して《切望の隼》に辿り着いて逆転というのが基本の流れです。2枚を揃えるのではなく、先に《九つの命》を貼って後から《切望の隼》を引き込むイメージを持ちましょう。

      あくまでこのデッキはアゾリウスコントロール。コンボデッキではありません。

      序盤の《海の神のお告げ》や《記憶の氾濫》での選択をお間違いなく!

      TIPS

      勝ち手段まとめ

      ・《九つの命》が相手の攻撃で具現カウンター9になった時に、追放能力がスタックに乗った状態で《切望の隼》で相手に《九つの命》を渡す。

      ・《九つの命》の上に具現カウンターが8個置かれている状態で《アダーカー荒原》で1点を受け、9個目が置かれて追放能力がスタックに乗った状態で《切望の隼》で相手に《九つの命》を渡す。

      ・《九つの命》を《切望の隼》で相手に渡して《告別》でエンチャント追放を行う。

      《切望の隼》による大量提供

      切望の隼》は自分のコントロールしているパーマネントを好きなだけあげられます。

      場合によっては自分の土地すべてを相手に渡して10枚ほど引く、なんてことも可能です。

      たとえば次のターンに負けが確定しているラストターン、《九つの命》を相手に渡して《告別》で吹き飛ばすしかない…といったケースが稀に訪れます。その時は先に土地からマナを出しておき、自分のパーマネントを全部相手にあげれば、大量に引けるドローできるので、《告別》を引ける大チャンスを作れます。

      《九つの命》はあくまで軽減

      ダメージをカウンター1個分にする《九つの命》はあくまでダメージを軽減するだけ。軽減されなかった場合は普通にライフが減ってしまいます。

      一番ありがちなのが《砕骨の巨人》です。吸血鬼相手にライフを減らし過ぎると《砕骨の巨人》で負けてしまうので注意しましょう。最近は2枚ぐらい入っているリストが多いです。

      《魂の仕切り》関連

      切望の隼》で相手に渡したカードを《魂の仕切り》した場合、オーナーはこちらなので、追放したカードを唱えるコストは重くなりません。《一時的封鎖》を相手に渡して《魂の仕切り》で再利用なんてこともできます。

      切望の隼》を追放すれば変装コストで再び唱えられるのは既にお伝えした通り。

      このデッキでは《魂の仕切り》は色々な使い方ができるので、ぜひ堪能してください。

      《切望の隼》を出すタイミング

      たとえば《九つの命》を具現カウンターが1個の状態で《切望の隼》を出したとします。ここに除去が飛んできた場合、今変身させるしかありません(もちろん、そのまま《切望の隼》だけを相手に渡してドローしても良いですが)。が、これは少しもったいない。

      九つの命》を相手に渡すなら、勝つタイミング、もしくはその寸前が良いです。なぜなら中途半端な状態で渡してしまうと、《九つの命》による延命手段を失ってしまい、《告別》でしか勝利できなくなってしまうためです。勝利手段と延命手段を同時に手放すことになります。たとえば7個ぐらいまで溜めていれば、《切望の隼》と《不穏な投錨地》で9個にできる可能性があるのでOKです。

      そこで、相手の盤面に《九つの命》を9個溜めるほどのクロックがあるか、《アダーカー荒原》で9にできるか、《告別》で流せるタイミング、このいずれかの場合でのみ相手に《切望の隼》を唱えましょう。

      これはもちろん、コンボを決める際のルールなだけです。《一時的封鎖》や《海の神のお告げ》を渡してドローしたい場合にはその限りではありません。《切望の隼》だけが手札に浮く状態も多々あるので、その際はむしろさっさとドローに使うのを推奨します。

       

      サイドボーディングガイド

      対ラクドス吸血鬼

      +4《神聖の力線
      +1《多元宇宙の警告


      ー2《魂の仕切り
      ー2《失せろ
      ー1《一時的封鎖》(《腐食の荒馬》型の場合は《ドビンの拒否権》をアウト)

      対アマリア

      +1《一時的封鎖
      +1《霊気の疾風


      ー2《ドビンの拒否権

      対イゼットフェニックス

      +2《ドビンの拒否権
      +1《船砕きの怪物
      +1《サメ台風


      ー2《一時的封鎖
      ー2《魂の仕切り

      対緑単

      +1《霊気の疾風
      +1《一時的封鎖


      ー2《失せろ

      対アゾリウスコントロール

      +4《サメ台風
      +2《ドビンの拒否権
      +1《船砕きの怪物
      +1《約束された終末、エムラクール
      +1《多元宇宙の警告


      ー2《一時的封鎖
      ー2《太陽降下
      ー2《告別
      ー2《切望の隼
      ー1《九つの命

      対5cニヴ

      +4《サメ台風
      +1《船砕きの怪物
      +1《約束された終末、エムラクール
      +2《ドビンの拒否権
      +1《多元宇宙の警告


      ー2《太陽降下
      ー2《一時的封鎖
      ー4《失せろ
      ー1《魂の仕切り

       

      終わりに

      というわけで本日はアゾリウスファルコンの紹介でした。

      デッキに関する質問などは、僕のXアカウント(@yuyan_mtg)まで遠慮なく!

      それではまた!