こんにちは。
細川 侑也(@yuyan_mtg)です。
毎週、最新のメタゲームをデッキリストと共にお届けするこの記事。
エリア予選もそろそろ佳境!本日もパイオニアのメタゲームを追っていきます。
絶対王者、ラクドス吸血鬼はミラーマッチを意識
今週もマジックオンライン上では吸血鬼とアマリアが大人気!
その中でも最多数を誇ったのはやはりラクドス吸血鬼。国内で行われているエリア予選では《腐食の荒馬》型が流行ですが、オンライン上では《薄暮軍団の盲信者》型が主流です。
ラクドス吸血鬼
ショーケース予選:優勝 By PATXI

ミラーマッチでは《腐食の荒馬》はただ除去されるだけの2マナ域で、《砕骨の巨人》も相手に《腐食の荒馬》が入っていなければ大した仕事をしません。少なくともミラーでは活躍しないこのカードは、オンライン上では使われない傾向にあります。
《薄暮軍団の盲信者》は単体では弱いカードですが、《傲慢な血王、ソリン》+《血管切り裂き魔》を揃えるための潤滑油としては優秀です。出た時に仕事を終えるので、除去されても何も問題ありませんし、むしろ相手は放置したいぐらいでしょう。
衝撃的だったのは、パイオニアショーケース予選を優勝したリストの《死の飢えのタイタン、クロクサ》です。《変わり谷》が4枚入っているデッキに《死の飢えのタイタン、クロクサ》を入れて脱出できるのかいささか不安ですが、実際に脱出できた時の強さは折り紙付き。
特にミラーマッチは消耗戦になるので、お互いのクリーチャーを手札破壊しあい、除去してしまった後、墓地に残った《死の飢えのタイタン、クロクサ》がゲームを決めることになりそうです。
《墓地の侵入者》のような、同型でサイド後も残る墓地追放カードが今のラクドスにはまったく入っていないので、《死の飢えのタイタン、クロクサ》はミラーマッチで非常に輝くことでしょう。
吸血鬼のガード下げを見逃さないイゼフェニ
さて、吸血鬼・アマリアに続いて入賞回数が多いのがイゼットフェニックス。
イゼットフェニックス
ショーケース予選:4位 By JUJUBEAN__2004

パイオニアで最強のドロー呪文、《宝船の巡航》を使えるデッキで、これまで常に意識されていたデッキでした。吸血鬼の《ドロスの魔神》はまさにイゼットフェニックスを強く意識した1枚で、これに加えて《分派の説教者》が入っていたこともあり、最近では鳴りを潜めていました。
しかし、吸血鬼がミラーを意識し、サイドボードの墓地対策も減少傾向なため、イゼットフェニックスは見事復活。
特徴的なのは《毒を選べ》の採用。これにより「3ターン目に《血管切り裂き魔》さえ出てこなければ有利」だった対吸血鬼の相性が大幅に改善されました。
たった1マナで後腐れなく《血管切り裂き魔》を処理できるので、後は《宝船の巡航》で大量にカードを引けば勝利です。
《ヴァラクートの涙》がサイドボードに入っていることもありましたが、イゼットフェニックスにとって1マナと2マナには大きな差があります。1マナのドロー呪文がたくさん入っているので、たった1マナ違うだけで更に2枚掘り進めることができ、《毒を選べ》を引ける確率が上がるのです。
吸血鬼がイゼットフェニックスへのガードを落とし、イゼットフェニックスが吸血鬼を意識しているなら、その相性差は歴然。
《毒を選べ》型が今後主流になっていくかにも注目ですね。
徐々に入賞回数が増えてきたグルールアグロ
グルールアグロと言えば、《損魂魔道士》《僧院の速槍》《精鋭射手団の目立ちたがり》をスペルでバックアップするグルール果敢が一般的でしたが、近頃勝っているリストは、どちらかと言えばグルールブリッツのようなデッキ。
グルールアグロ
ショーケース予選:4位 By JUJUBEAN__2004

ブリッツとは、クリーチャーを並べて《無謀な奇襲隊》で速攻強化して攻撃するデッキの総称で、特に《炎樹族の使者》と組み合わせて使うアグロにその名前がよくつけられていました。
《炎樹族の使者》はもちろん、《アロエの錬金術師》とも相性が良い《無謀な奇襲隊》。《狡猾なコヨーテ》まで採用されており、とにかく速攻に重きを置いた構成です。
イゼットフェニックスと同じく、赤系アグロも現代は軽視されている傾向にあります。どのデッキもラクドス吸血鬼を強く意識していることから、除去が軽いものから、多少デメリットはあっても《血管切り裂き魔》に触れるものに変わっています。(《苦々しい勝利》など)
除去が質重視になればなるほど、どのクリーチャーも大差ないグルールアグロのようなデッキは光ります。全部2/2ですが、その代わりに殴ってくる速度と数が多いこと多いこと。《致命的な一押し》を複数枚引かれなければ、あっという間にライフを削りきってしまうことでしょう。
環境がミッドレンジを意識してきたらチャンス!今週は使い時かもしれませんね!
総括
ラクドス吸血鬼とアマリアの二大巨頭は顕在!しかし、3番手としてイゼットフェニックスが迫ってきています。
ラクドス側もこれを無視することはできないでしょう。《ドロスの魔神》を再び入れる時が来たかもしれません。そしてそこに対しても刺さる《毒を選べ》は、今後イゼットフェニックスの標準装備になるのでしょうか。
そしてアグロデッキの期待の星、グルールの今後の活躍にも注目です。
エリア予選もいよいよ佳境。国内でもオンラインと同様に吸血鬼祭りではありますが、果たしてこのメタゲームで勝ち上がるのはどのデッキか。
個人的な予想では、今週はイゼットフェニックスが更に数を増やすことになるのではないかと思っています。
ラクドス吸血鬼側がガードを上げようとして《ドロスの魔神》をたくさん入れても、対イゼットフェニックス以外ではイマイチ。今の流行からすると中々この思い切ったデッキ構成にはしづらい。
一方で《死の飢えのタイタン、クロクサ》はミラーマッチで強いカードなので、入れるプレイヤーも多いでしょう。そしてこの《死の飢えのタイタン、クロクサ》はイゼットフェニックスに全く強くないため、今週もラクドス吸血鬼は対イゼフェニのガードを下げざるを得ません。