こんにちは。
細川 侑也(@yuyan_mtg)です。
本日ご紹介するのは、パイオニアの黒単無駄省きです!
エリア予選でも1度だけ使用し、権利を賭けた最終戦で敗北してしまったものの、それなりに回して納得のいく75枚が完成したので、ぜひ参考にしてみてください。
黒単無駄省きとは?
その名の通り、《無駄省き》を活用した黒単の手札破壊デッキです。
《無駄省き》は、対戦相手が手札からクリーチャーを捨てるとトークン生成、土地を捨てると黒マナが2つ、それ以外を捨てると1ドローできるエンチャント。
このカードを置いて手札破壊を撃ち、手札をボロボロにしながらこちらだけリソースを得ていく、そんなちょっといやらしいデッキです。
黒単無駄省きは、僕は黒単コントロールだと考えてデッキを構築しています。普通のリストよりも全体除去が多めなのはそのためです。相手とカードの交換を繰り返してこちらだけ《勢団の銀行破り》や《ロークスワイン城》でカードを引く。この動きに重きを置いています。余談になりますが、デッキを組む際に「このデッキはアグロ・ミッドレンジ・コントロール・コンボのどれに該当するのか?」を考えるのは非常に重要です。
デッキの性質を理解していないと、正しいカード選択は難しいのです。
「そんなことは当たり前だ」と思っている方は、次にサイドボーディング後について考えてみると良いでしょう!特に攻めと守りの両方を行うミッドレンジです。
ビートダウン相手にコントロールとして立ち回ろうとする時、そのサイドボーディングは本当に適切でしょうか?サイド後にあなたのデッキはコントロールになっていますか?コントロールデッキになっていないのに、コントロールしようとしていませんか?
ゲームに勝つには、まず己を知るところから!
デッキリストとカード解説

メインボード
黒単無駄省きには様々なクリーチャーが採用されています。《最深の裏切り、アクロゾズ》や《敵意ある調査員》ですね。
ですが、僕はどちらのクリーチャーも不要という結論に至りました。
まず《最深の裏切り、アクロゾズ》のような「除去されてもまた場に戻ってくる」ようなフィニッシャーですが、手札破壊を大量に撃つこのデッキにはあまり向かないと感じました。どうせ場に出て除去されませんし、生き残った時のインパクトは、5マナのクリーチャーと考えるとさほど大きくありません。いや、弱くはないのですが、《黙示録、シェオルドレッド》が強すぎるんですよね。
《敵意ある調査員》に関してはもう少し悪く、4マナで1枚ハンデスはコスパが悪すぎます。手札破壊にかかるマナは少なければ少ないほどよく、1マナで1枚が基本。これはパイオニアの速度に対して、3~4ターン目にただの手札破壊を打つだけでターンを終えるという行為が遅すぎると感じたためです。
しかも《敵意ある調査員》のおまけである手がかりを出す能力も、1度手札が空になった相手には無力。よく4/3が棒立ちになります。その点、《黙示録、シェオルドレッド》は生き残った時のインパクトが凄まじい。《ロークスワイン城》はほぼ起動し放題になりますし、ライフレースもほぼ無にします。
黒単無駄省きの大量に入っている手札破壊を最も活かせるのがこの《黙示録、シェオルドレッド》だと思いました。毎ゲーム引きたいカードなので3枚に増やしましたが、かぶって困るケースはありませんでした。
デッキ名を冠しているこのエンチャントですが、決して《無駄省き》への依存度が高くないのがこのデッキの良さ。
もちろん2ターン目に設置して《真っ白》や《思考囲い》を連打すれば瞬く間にゲームに勝てますが、引かなくともハンデスと《勢団の銀行破り》で勝つことができます。《無駄省き》はあくまでオプションです。
とはいえ、手札破壊がこれだけ入っているので、引けばちゃんとカードとして機能してくれます。相手の手札が空になった後も《ガイアー岬の療養所》があれば誘発するので、後半引いても腐ることはあまりありません。
僕は《無駄省き》を「マナのかからない《勢団の銀行破り》」程度の認識で使っています。1マナの手札破壊は、7枚や8枚などを試して、結果6枚に落ち着きました。
《思考囲い》は最早説明の必要もなく絶対に4枚入りますが、《強迫》についてはそれなりに腐るマッチがあったり、抜けても《致命的な一押し》だけで意味がないことも多いので、2枚にとどめています。
《致命的な一押し》を落としたいのは最終的に《黙示録、シェオルドレッド》を出す瞬間だけであり、ラクドスのように「序盤の《税血の収穫者》を倒されたくない」という状況も起きないので、《致命的な一押し》を落とす優先度は低いのです。
また、初手に《思考囲い》しかなかった場合はとりあえず《鏡割りの寓話》を落とします。その後に引いた《強迫》は《致命的な一押し》しか抜くものがない、といった裏目も起きるので、《強迫》をメインに3枚入れるのはリスクが高いと思っています。《思考囲い》から《勢団の銀行破り》。これだけで勝ってしまうこともあるほどの強力なアクションなので4枚です。
《精神迷わせの秘本》と散らして使っていましたが、最終的にクロックになるのが強く、4回引けることよりも重要でした。《精神迷わせの秘本》を引いた時に毎回「これが《勢団の銀行破り》だったらなぁ…」と思っていましたからね。特に語ることもなく4枚です。意外と紛争しないデッキなので、《勢団の銀行破り》で出てくる宝物は重宝します。これも《勢団の銀行破り》のメリットですね。
《廃墟の地》と《解体爆破場》でも紛争を達成するので、むやみに使うのは禁物です。プレインズウォーカーに触りづらい、《血管切り裂き魔》に対して使えるという2点で採用されています。最初は「こんな除去で大丈夫か?」と心配していましたが、使い勝手がよく、4枚の時期もありました。
《薄暮軍団の盲信者》から《傲慢な血王、ソリン》《血管切り裂き魔》という展開に対しては《シェオルドレッドの勅令》は弱いですが、《シェオルドレッドの勅令》が手札にあれば《致命的な一押し》を《薄暮軍団の盲信者》に当てられますし、あまり問題はなかったです。個人的にはこのデッキで4枚必須だと思っているカード。
《血管切り裂き魔》を除去する手段としても良し、《勢団の銀行破り》が減っている今ならラクドスに対しても強いカード。除去と手札破壊のどちらも使用できますし、プラス能力は《無駄省き》と噛み合います。
《黙示録、シェオルドレッド》の項目でもお話しましたが、手札破壊は軽ければ軽いほどよく、3マナの手札破壊はあまり入れたくありません。しかし、《無駄省き》を有効活用したいなら手札破壊を入れざるを得ない。
その点、《ヴェールのリリアナ》は完璧です。最初にマナこそ払いますが、除去として使った後は手札破壊で《無駄省き》を誘発させられ、しかも支払うマナは0です。《無駄省き》と《ヴェールのリリアナ》の相性はよく、ここは4枚ずつで動かないと思っています。
サイド後はより最適なカードと入れ替わりやすく、1枚抜くことはありますが、メイン戦では除去と手札破壊のどちらにもなることから、腐りづらく、非常に便利なカードです。弱すぎてどんどん枚数が減ったカード。《血管切り裂き魔》が出てきた返しに《真っ白》を打てますか?打てません。
イゼットフェニックスに対してのみ強いカードですが、他のマッチでは基本的には最悪です。
とはいえ、2枚程度入れておくとアマリアの《戦列への復帰》と《救出専門家》を潰せること、イゼットフェニックスに対しての勝率は担保しておきたい、《無駄省き》下では使用に耐えうる(3マナ支払って土地を捨てたら2マナが出て追加アクションが取れ、クリーチャーを捨てればブロッカーが立つため)カードなので、2枚のみ採用しています。数ある全体除去の中でも1、2を争うぐらい好きなカード。クリーチャーが入っていないデッキにも《外科的摘出》のように使用できるって素晴らしい。
特にアマリアと吸血鬼に強く、それぞれのキーパーツである《アマリア・べナヴィデス・アギーレ》と《血管切り裂き魔》を抜いてしまえば勝利目前です。
手札破壊と布告系除去を警戒して、相手はカードを手札で温存してくることはあまりなく、基本は全展開となります。なので《死人に口無し》はよく刺さってくれます。黒単無駄省きはコントロールデッキで、毎ターン土地を置きたい。にもかかわらず伝説の土地である《ガイアー岬の療養所》は3枚入っています。
なので、土地は多めの27枚です。バリューランドが《ロークスワイン城》、《廃墟の地》、《解体爆破場》、《目玉の暴君の住処》、《ガイアー岬の療養所》と14枚あるので、土地を引きすぎて困ることはさほどありません。土地が詰まって2アクション起こせなかったり、5マナ目を引けずに《死人に口無し》が打てないことの方が問題です。
《地底街の下水道》は《死人に口無し》の証拠収集を助けることもでき、気に入っています。《沈んだ城塞》は2ターン目に《廃墟の地》が起動できること以外はあまりメリットがなく、《ロークスワイン城》がアンタップインできない状況が頻発して許せませんでした。
《見捨てられたぬかるみ、竹沼》は入れても入れなくてもどっちでもいいのですが、拾うカードが大したことなく、やはり《ロークスワイン城》がアンタップしないことが腹立たしかったので入れていません。
サイドボード
主にラクドスとコントロール全般、5cニヴにも入れます。
対ラクドスは手札破壊の撃ち合いを経て、《血管切り裂き魔》と《鏡割りの寓話》との戦いになります。1対1交換を繰り返していくと《鏡割りの寓話》分不利になるので、こちらは《勢団の銀行破り》を用意しておきたいのですが、相手の《思考囲い》で抜かれることもあります。
かといって、《勢団の銀行破り》の上から《精神迷わせの秘本》を増やすのは限界があります。ラクドス吸血鬼は比較的早いデッキで、従来のラクドスミッドレンジよりも早いゲームを仕掛けてきます。《精神迷わせの秘本》と《勢団の銀行破り》を4枚ずつ入れると手札にそればかり溜まってきます。
そこで、リソースと除去を兼ねる《絶望招来》が一番良いと考えました。ニヴにも《絶望招来》連打が一番です。アマリアに対して軽い除去を増やしても結局《救出専門家》と《戦列への復帰》で戻されて意味がなかったので、追放除去を入れることにしました。
最初は《未認可霊柩車》などをサイドに取り、アマリアに対してもサイドインすることで解決しようとしたのですが、あまりにただの墓地対策が弱すぎたのでやめました。《真っ白》を残したこともありますが、探検で手札が増えた瞬間に打つ気が失せたので、やはりナシ。
結局墓地対策を入れるのではなく、全体除去かつ墓地対策の《影の評決》で解決することにしました。緑単とロータスに。緑単は特に少し減速すれば《黙示録、シェオルドレッド》や全体除去に辿り着けるので、《減衰球》でターンを遅らせるのは重要。
アマリアや白単などのアグロデッキに対して。アマリアへの意識はかなり強いです。
《救出専門家》、絶対に使わせない!アマリアや白単への追加です。《強迫》を抜いてカードを増やすのでデッキが少し重くなるのが気になり、1マナの除去が少し欲しいと思いました。《切り崩し》はカウンターが乗った《アマリア・べナヴィデス・アギーレ》と《野茂み歩き》を倒せないのでダメです。
ラクドス、コントロール全般に。
先ほどは《強迫》の弱いところを話しましたが、サイド後はラクドス相手に《強迫》を増やしてもOKです。サイド後の戦いでは相手も不要カードを抜いてその分スペルが入るので、《強迫》の当たりが増えるためです。こちらもアマリアを主に意識しています。場に残った時に強いカードは黒単無駄省きと相性が良いので、《ゲトの裏切り者、カリタス》も相性抜群です。
トップデッキで除去引かれたらキレましょう。
基本的な回し方
手札破壊と除去で1対1交換を繰り返していき、《勢団の銀行破り》や《ロークスワイン城》でこちらだけ手札を増やし、そのリソース差で勝利しましょう。意識すべきはとにかく相手のカードとの交換です。カードを1枚ずつ交換していったら勝手に有利になっていくので、手なりでプレイしていっても気づいたら有利になっています。すごいデッキですね!
《ロークスワイン城》を起動してから何かアクションを起こしたりなど、とにかく毎ターンマナを使うデッキなので、手札破壊を温存することはあまりなく、どんどん1ターン目から打ってしまいます。《無駄省き》、《思考囲い》と両方揃っている時は3ターン目に《思考囲い》を打ちたいかもしれませんが、相手の知らないゲーム1では絶対に1ターン目《思考囲い》から入りましょう。
相手に《思考囲い》を撃たれたら悲惨なことになりますし、《無駄省き》から《思考囲い》を打ってもただの1ドローにしかなりません。3ターン目の1ドローより1ターン目の《思考囲い》の方が価値があります。1対1交換を繰り返すコントロールデッキであることを念頭に置いて回しましょう!
TIPS
《無駄省き》は様々なディスカードに対して誘発する
《鏡割りの寓話》の2章や《天上都市、大田原》などの魂力、様々なカードで《無駄省き》は誘発します。
最初は特に忘れがちなので注意しましょう。
《ヴェールのリリアナ》はプラス必須ではない
プレインズウォーカーは基本的にプラスし得なものばかりですが、《ヴェールのリリアナ》はちょっとクセがあります。プラスした結果、自分が損することもあるのです。
たとえばこちらの手札がすべて有効牌だったなら、あえてプラスしないのも手です。相手はいらない除去などを捨て、こちらが有効牌を捨てたら損します。
《ヴェールのリリアナ》をプラスして得られるリターンは、次のターンのマイナス2ぐらいです。
もちろん、相手の手札を絞っていくと、《ヴェールのリリアナ》はどんどん強くなります。3枚からならいらない除去を捨てることになりますが、2枚になれば良いカードを奪える確率は上がりますからね。なので実際は有効牌しかない手札でも、プラスをする場面は多いです。
ただ、プラスが必須ではないということは覚えてプレイしましょう。
《死人に口無し》の証拠収集を意識しよう
このデッキはほとんどのカードが軽いため、証拠収集6を達成するのは意外と大変。しかし、5ターン目に達成して打ちたい状況も多い。
最も満たしやすいのは《思考囲い》+《シェオルドレッドの勅令》+《ヴェールのリリアナ》による6。
《ヴェールのリリアナ》を引いている場合は捨てるカードで証拠収集6を満たせるようにしましょう。返しで相手が《ヴェールのリリアナ》を落としてくれば3増えるので、《ヴェールのリリアナ》を引けばそこそこの確率で条件達成できます。
5ターン目に達成できるかで対アマリアの勝率は大きく変わります!
サイドボーディングガイド
対ラクドス吸血鬼
+4《絶望招来》
+1《強迫》
ー2《真っ白》
ー1《致命的な一押し》
ー1《死人に口無し》
ー1《黙示録、シェオルドレッド》
対アマリア
+3《影の評決》
+2《ゲトの裏切り者、カリタス》
+2《軍団の最期》
+1《レイ・オヴ・エンフィーブルメント》
ー2《無駄省き》
ー2《強迫》
ー2《真っ白》
ー1《黙示録、シェオルドレッド》
ー1《ヴェールのリリアナ》
対イゼットフェニックス
対緑単
+2《減衰球》
+3《影の評決》
ー2《死人に口無し》
ー2《真っ白》
ー1《ヴェールのリリアナ》
対アゾリウスコントロール
+1《強迫》
+4《絶望招来》
ー1《死人に口無し》
ー4《致命的な一押し》
対5cニヴ
+1《強迫》
+4《絶望招来》
ー1《シェオルドレッドの勅令》
ー4《致命的な一押し》
対ゴルガリ《陰湿な根》
+2《軍団の最期》
+2《ゲトの裏切り者、カリタス》
+3《影の評決》
ー2《真っ白》
ー2《黙示録、シェオルドレッド》
ー3《死人に口無し》
『ブルームバロウ』で試してみたいカード
そして今回は、黒単無駄省きで試してみたい『ブルームバロウ』のカードを紹介します!土地なら2枚、土地以外なら1枚を捨てさせられる手札破壊。
手札破壊としては二流ですが、レベルアップした時にまあまあ強いですね。特に最初のレベルアップが軽いのが魅力。黒単コントロールだった無駄省きですが、もしかしたらこのカードを4枚入れて、追加で《はぐれ影魔道士、ダブリエル》なども入れることで、早期決着を目指す形が作れるかもしれません。追放なので《無駄省き》とは噛み合わないが、それ以外は中々完璧な1枚。
カード1枚を贈呈するというデメリットが、黒単無駄省きには薄いので、実は贈呈系カードは色々と見ています。
引かれたカードがインスタントや瞬速以外なら、そのまま《ヴェールのリリアナ》などでディスカードさせられるので、贈呈のデメリットを帳消しにできるのです。
贈呈したらリソースになりますし、試したい1枚。《真っ白》を抜くことになりそう。まさにその「カード1枚を贈呈する」と書かれているカード。《血管切り裂き魔》を安心して倒せる除去です。
《黙示録、シェオルドレッド》を回収しながら相手にカードを引かせて、そのカードを《ヴェールのリリアナ》で捨てさせる…なんて動きができるかも。
終わりに
今回は黒単無駄省きの解説でした!
明日は『ブルームバロウ』発売日!黒単無駄省きにはどんなアップデートが入るのでしょうか?
デッキに関する質問などは、僕のXアカウント(@yuyan_mtg)まで遠慮なく!
それではまた!